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1975-05-30 第75回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月三十日(金曜日)    午後一時三十二分開会     —————————————    委員の異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      工藤 良平君     和田 静夫君  五月二十九日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     岩男 頴一君  五月三十日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     八木 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 英男君     理 事                 上田  稔君                 高田 浩運君                 青木 薪次君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君     委 員                 岩男 頴一君                 上條 勝久君                 川野辺 静君                 古賀雷四郎君                 八木 一郎君                 鈴木  力君                 原田  立君                 塚田 大願君    政府委員        国土政務次官   斉藤滋与史君        国土庁長官官房        審議官      横手  正君        建設省河川局長  増岡 康治君        消防庁次長    森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        警察庁刑事局保        安部公害課長   星野鉄次郎君        環境庁水質保全        局企画課長    西村 純幸君        国土庁地方振興        局山村豪雪地帯        振興課長     岩渕 道生君        大蔵省主税局主        税企画官     水野  勝君        文部省管理局教        育施設部指導課        長        大井 久弘君        厚生省環境衛生        局水道環境部計        画課長      山崎  卓君        厚生省社会局施        設課長      舘山不二夫君        農林省構造改善        局建設部防災課        長        棚橋 正治君        農林省農蚕園芸        局農蚕課長    工藤 健一君        林野庁指導部長  藍原 義邦君        水産庁研究開発        部漁場保全課長  山内 静夫君        通商産業省立地        公害局保安課長  広海 正光君        運輸省自動車局        業務部貨物課長  金田  徹君        海上保安庁警備        救難部長     山本 了三君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      野原 石松君        建設省計画局建        設業課長     大森 敬介君        建設省都市局都        市政策課長    豊蔵  一君        建設省道路局企        画課長      浅井新一郎君        建設省住宅局住        宅総務課長    吉田 公二君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        自治大臣官房参        事官       今井  実君        自治省財政局指        導課長      関根 則之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和五十年度防災関係予算に関する件)  (大分県中部の地震対策に関する件)     —————————————
  2. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  昭和五十年度防災関係予算に関する件等について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 青木薪次

    青木薪次君 青木であります。  災害対策基本法の第一条によりますと、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、」云々というように書いてあるわけであります。そこで私は昨年七月七日に私の出身地である静岡県を襲った台風八号、これは全国的な災害をもたらしたわけでありますが、この集中豪雨によりまして静岡市の丸子川というところが甚大な被害を受けたのであります。国の補助を受けて災害復旧工事を行ったのでありますけれども、この点がいま地元で非常に疑惑を持たれているわけであります。ある工区の重機施工費が千六百万円積算されたにもかかわらず、重機業者末端に六百万円で下請に出した。こういう問題が発生いたしまして、いまいろいろと物議を醸している状態になっております。これは手抜き工事の典型的なものである、税金むだ使いであると思うのでありまするけれども、このことについて建設省はどういうように調査され、または認識されておられるかをお聞きしたいと思います。
  4. 大森敬介

    説明員大森敬介君) ただいま先生指摘丸子川災害復旧工事につきましては私どもの方でも静岡県を通じて調査をいたしました。  本件工事につきましては確かに第三工区につきまして村井建設というものが一億一千万円でこの仕事を請け負ったという事実がございます。  ただいま御指摘の重機関係の問題でございますけれども、これにつきましてはその一億一千万円のうちの機械施工部分、これにつきまして下請といたしまして望月建設という建設会社下請契約に基づいて請け負わせたという事実もございます。ただ、私どもがいろいろ県を通じて調査した限りにおきましては、ただいま先生指摘がございましたように、千六百万円の設計あるいは六百万というふうな結果が必ずしも判明いたしておりません。県の設計内容につきましてはこの元請の村井建設に一億一千万の総額をもって発注いたしましたので、そのうちの機械施工部分というものにつきましては別途分離発注の場合ほど明確にはできない部分もあろうかと思います。何しろ設計予算価額でございますから、ここではっきりした数字を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、概略では大体一千万円強という積算内容のようでございます。それに対しまして当該望月建設が指定を下請いたしました機械施工部分というのは下請契約書によりますと九百八十万円ということになっております。したがいまして、その差は私どもの見るところではきわめて僅少でありまして、元請の村井建設一般管理費的に使用したその部分に該当するものであろうというふうに考えております。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 それはその後私もそういうような数字の打ち合わせをしたことは知っているんですよ。これは元請から五社が大体下請としていろいろ話し合いをした。そのうち一社はこれはやめたという話を聞いているのでありますけれども、この中で千六百万円が第二番目に千四百万になり、三回目に千二百万になって、それから第四回目が一千万になって、一千万になった第四次が今度は元請の方へいって八百万円にして結構ですとこう言ったんです。いいですか。そうしたらところが今度は第二次の人がこれはけしからぬ、約束違反じゃないかということになって、そうしてその八百万円をまた二百万円削った。そうしていまあなたのおっしゃったことはこれは日付のない契約書のようなかっこうで日付も書いてないのですよ、私もそれを見ました。したがって、このことがこういうようなことに今度はなったらしいということを地元皆さんに聞くと、一笑に付して笑っちゃっているんですね。これがいまあなたの調べた調査結果なんです。だからそういうように非常にこの問題について疑惑を持たれているということなのでありまして、私はこのことについてどこどこまでも真相を調べて何とかというようなことをいまここで議論をしているということではないのです。そうじゃなくて、工事請負については双方の話し合いによって決まることであり、受けることになれば高いとか安いとかはこれは別問題です。完成までの責任を持たなければならぬので、元請金額のただ三分の一程度契約をさせられたりすれば手抜き工事をごく普通の状態でしなければならぬということになると思うのです。したがって、発注者はこれを竣工検査で合格させるということになれば、これは設計それ自体が問題であり、発注者側のモラルということにもなってくると思うのです。そういうようなことについて、これは静岡丸子川だけの問題ではないんでありまして、われわれは別に警察権力を持っているわけじゃありませんから、そのことをその下請の第二次、第三次、ずっとやっている過程の中でその人たち皆さんに言っちゃったんですよ。言っちゃったもんだからそうかそうかということで、そのことが大きな問題になり、地元建通新聞というような新聞に出て、しかもそのことが盛り上がった一つの大きな原因になったわけですね。いまあなたの調査結果というものは県へ行って県で聞いたことでしょう。ですからそういうようなことについていまここで私は本委員会においてこの問題について事実関係をどんどんどんどんただしていくというような時間的余裕はないから、以下こういうような問題について私はただしてまいりたい、こう思っているわけでありますので、それらの点について一般的にどう考えますか。
  6. 大森敬介

    説明員大森敬介君) 私ども調査先生のただいま御指摘のございました点、やや食い違いがあります。事実関係について私どもも県を通じて調査をしたということでございますから、その点については間違いはなかろうというふうに考えておりますが、事実の問題については先生も特にというお話でございますから、一般論としてお答え申し上げますと、仮にもしいま御指摘があったような非常に不当に低い代金で下請契約を請け負わせたというようなことがありますれば、これは当然建設業法上の規定違反いたします。したがいまして、当然しかるべき処分をいたすということになろうかと思います。本件につきましては、この両業者ともいずれも知事許可ということでありますから、仮にそういう措置ということになりますれば知事が実施するということになりましょうし、また建設業者大臣許可であります場合には、建設大臣名をもって処分するということになろうかと思います。そういう意味で、一般的には、いま御指摘のような点があるとすれば、これは明らかに建設業法違反、それに伴う処分を要する事項になるというふうに考えています。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 建設業界民主化近代化のために、行政機関発注する工事について強力な指導によるいわばメスを入れていくということについて、建設省の決意を聞きたいと思います。
  8. 大森敬介

    説明員大森敬介君) 業界のこういう重層下請とよく言われております構造につきましては、建設省としてもかねてから再三通達を出しまして、こういう弊害を除去するようにということで業界指導してまいっております。また、個別にもそういうことをいろいろ各発注機関あるいは建設業担当機関からいろいろと指導をいたしておるわけでありますが、やはり間々そういうことも見受けられるということがやっぱり現実です。私どもといたしましては、そういう意味で、より一層こういう行政指導という面並びに万一そういうものが発生した場合の監督という点については、十分に強化してまいりたいというふうに考えております。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 不明朗な請負関係とか、末端下請業者の倒産問題を抱えている静岡県の重機建設業協会とか、後で申し上げたいと思うんですけれども産業廃棄物対策協議会というようなものが建設業近代化とか民主化への要求を掲げて非常に立ち上がったんですね。特にその中で七・七集中豪雨は、土砂崩壊とか河川のはんらんとか、決壊による災害復旧工事というものについては一部を除いてまだまだ工事が遅れているんです。今度の近く予想されるさみだれとかあるいはまた集中豪雨があるかもしれません。そのときには、また再びこういう災禍をもたらすという原因が現在内包されているというようなときに河川しゅんせつ工事とか、堤防のかさ上げその他補強工事などについては機械施工部門主体がゆだねられているんですね。ところがこのような場合は重機専門業者発注または下請させることがそういう場合にはこれは正しい、こういうように思うんだけれども行政当局としては、その機械部門関係についてはほとんど能力のないと言われるところへこれを発注する。ところが主体は九割以上のものを重機関係専門業界発注させることができないというんですね。そういう現状があるんですけれども、その点についてはどう考えますか。
  10. 大森敬介

    説明員大森敬介君) 一般論といたしましては、私どもの方でも過般来の総需要抑制に伴う建設業界受注減、それによりまして業界自身が非常に従来にない不況に見舞われているという実態にございます。特にこの問題は中小建設業界に非常に激しいものでありますから、原則論といたしましては、やはりそういう中小建設業の助成なり振興という意味合いを持ちまして、でき得る限り分離発注をするようにということはかねてより指導いたしておるところであります。現に昭和五十年度につきましても、過般、事務次官名をもちまして、そういう——まあこれは建設省発注工事についてでございますけれども分離発注をでき得る限り積極的に推進するようにということも通達いたしております。この具体の、この事案についてということになりますと、私もちょっと具体的にわかりかねる面もございますけれども一般の傾向としてはいま申し上げたようなことがございますので、当然工事のいろんな工程計画あるいはその工種内容等によりまして、分離が可能な限り各発注機関としては分離発注をすべきであろうというように考えております。ただ、それでは、しからば何でも分離発注が可能とかという点でございますけれども、やはり全体としての工事の中におけるその当該工種部分の位置づけ、あるいはまた、工程計画を全体的に立てていく上での工事進め方、そういった点もございましょうから、すべてが分離という形はやはりむずかしいと思いますけれども、これは基本的方向としてはでき得る限り分離発注するということについては先生指摘のとおりだろうと思います。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 これはぜひ、いま言ったあなたの、大森建設業課長のいまの説明について確認いたしていきたいと思っておりますが、特に建設業の古い体質を改善するためにはピンはね会社とか土建ブローカー、あるいはまた、ここにトンネル会社というのが、いわゆる中間会社が存在するのです。これは衆議院等においても、予算委員会等においてもいろいろ問題になったことを聞いております。したがって、下請保護のために中間搾取を排除して、そうしてこの元請業者から、いま言った分離発注などのことも考えて、直接施工業者への発注とか、また機械施工部門分離発注指導するということは、一片の通達だけではなかなか困難ということになりますので、この点については、ひとつ地元の、地方機関のその方面の行政責任者等も招いて、建設省としてこれを直に指導する、こういう気はないかどうか、お聞きしたいと思います。
  12. 大森敬介

    説明員大森敬介君) 私ども、大変失礼な言い方かもしれませんが、建設業を直接所掌しているという立場でありまして、いまの御指摘の点につきましては、むしろ発注側の問題ということになろうかと思います。もちろん建設省としては両方の機能を持っているわけでありますから、発注の方にその点につきましてはよく私の方からお伝えをしたいというように考えます。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 どうもそこまでいくと答弁があなたちょっと消極的になるのだけれども、十九条の二、三の問題というものがちゃんとこの建設業法に出ているわけでしょう。それらの関係等について、問題は、従来もそうだったし、今後予想される、予見される災害に備えて、しかも国民税金が正しく使われる、しかもこのことが中小企業の救済にプラスし、あるいはまた、そのことがひいては国土保全にも役立つ、こういう立場に立って私は言っているわけです。そういう意味合いにおいて、発注側立場だから建設省は深く立ち入ることはできぬということはちょっとおかしいと思うのですけれども建設省もいわゆる行政側立場として、私は全国的な問題として聞いているわけなんですが、その点どうお考えですか。
  14. 大森敬介

    説明員大森敬介君) 先ほども申し上げましたように、先生指摘のとおり、やはり分離発注をできる限り促進するということについては、これは建設省としての基本的な方針として進めておるわけであります。ただ、私もしさいにわからぬ点がございますのは、やはりその工事内容によっていろいろその工種組み合わせ方あるいは工程進め方というものがあろうかと思いますので、具体の問題につきましては、やはりそれぞれの発注を担当しておる部局が最も実情を詳しく知っておるのではなかろうか、かように考えましたので、先ほどお答え申し上げたようなことを申し上げました。もちろん、しかし基本的には、建設省といたしましては分離発注をでき得る限り促進するということについてはもう間違いないと思います。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 そのいまの建設省立場というものを私は了解して、今後においてまたいろいろと話し合ってまいりたいと、こう思っております。  次に、この五月の二十六日、四日ほど前静岡市で県内のこの白トラ運送業者約二百人が五十台のダンプカーに分乗し、「ダンプ労働者法的地位の安定を」とアピールしてデモ行進をした。白トラとは、ダンプを持ち登録していながら道路運送法による運送業者とは認められない個人ダンプ労働者、現在静岡県内だけで三千五百台の登録ダンプカーがあるのでありまするけれども、その九割以上、全く一〇〇%に近い状態でこの白トラがいま走っているんです。道路交通法違反などをやりたくなくても——乱暴運転積荷オーバーを無理にわれわれは好んでやっているんではないというようなことをいろいろ言われているんでありまするけれども雇用関係では企業から切り離されている。それからこのことは、やっぱり労働者でも経営者でもないという立場なんでありますが、八百万円以上もするダンプカーを買って、一特定の業者だか労働者だかわからないような中間的立場にいると思うんでありますが、みんな一人当たり三百万円ぐらい現在、借金を抱えているわけであります。不景気も手伝って深刻な問題がある。たまにはこのために乱暴な運転なんかをしたりすることがあって、警察につかまったりするということはあるわけでありますが、このことについて運輸省自動車局としてどう考えているか、このことをどう認識しているか、お聞きしたいと思います。
  16. 金田徹

    説明員金田徹君) お答え申し上げます。  白トラの問題につきましては、ダンプに限りませんで、いろいろ全国的にも問題になるケースが多いわけでございますが、基本的には、自分のところの荷主さんが自分荷物自分の車で運ぶというふうな場合には、これは白でも当然いいわけでございます。当然自分のところの荷物を運ぶわけですから、これは営業車でなくてもいいわけでございますが、一方、白のまんまでもって建設業者下請に入るとか、あるいは他の荷主さんに頼まれて白のナンバー輸送契約をして運ぶということは、これは道路運送法違反になりますので、私どもとしても警察とも協力しながら、その摘発には努めておるわけでございます。ただ、非常に数も多いし、全国的に至るところにそういう徴候もあるわけでして、なかなか摘発調査につきましては万全を期しがたいという面は確かにございます。しかし、今後ともそういう問題につきましては、警察ともさらに協力関係を深めまして、そういうことのないようにいたしたいというふうに考えております。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 ダンプ業者地位につきまして監督官庁は一体どう考えているかということでお聞きしたわけでありますけれども運輸省立場と、それから労働省立場というものと、いろいろ、なおほかにはきょうは呼んでいないんでありますけれども、通産の立場やいろいろあると思うのでありますが、たとえば労働災害の問題があります。前に名古屋の竹中工務店の建築現場で事故が起きました。労働災害ダンプ運転手がけがをいたしまして、竹中さんとしては現場の労災で処理しようと思ったんですね。ところが、ダンプ運転手ダンプを持っているんだと、生産手段を持ってそれを使っているのだから、これは事業者であって社長だと、こういう認定をして、もちろん社会保険事務所でもこれは適用されなかったわけです。ダンプの一人親方社長でもあり、運転手だというんでありまするけれども、そこで、じゃダンプ労働者という問題が実は問題になってくるわけですね。県の環境衛生課なりに、産業廃棄物処理業者になりたいということで運動をいたしてまいりますと、それは現在の状態で言うと、これは無許可業者警察摘発されるから許可をしてほしいということなんでありますけれども、ところがダンプの一人親方は、法律的には法を守る実は能力を持っていないというように断定されてしまう。したがって、一人一人には許可をすることはできない。そこで協同組合をつくれば許可をいたしましょうということなので、そのために、法人化してもらうために中小企業団体中央会とか、皆さんのところへいろいろ相談に行く。いろいろ親切に教えてくれるんだけれども、結局は事業者ではなくて労働者だ、事業者でない者は協同組合をつくることはできない。運送業法から言うと、他人の荷物を運ぶ者は青ナンバーでなければならない、白トラは、いま課長の言ったように違法だし、許可をするわけにはいかないということだった。そうすると、この問題についてダンプを持って働いている人の、いわゆるその人の立場について規定をしなければ、さっき申し上げましたように、九〇何%——一〇〇%近いような状態で、実際には運んでおる状態の中で一体どういうように規定づけるのか、この点について行政立場の意見を聞きたい、こう思います。
  18. 金田徹

    説明員金田徹君) お答え申し上げます。  一人親方ダンプ等運転手地位と申しますか、法律上の地位は、労働者ではなくて、いわば自分の、小さいながらも事業主であるということになってしまう結果、社会保険等関係について保護を受けられないということは、私ども、これは直接の所掌ではございませんが、恐らく先生おっしゃるようなことになるのかと思います。  それではどうしたらいいかということでございますが、幸い中小企業協業組合であるとか、あるいは企業組合というふうなことで、中小企業者が集まれば、一人一人はダンプの一台持ちでありましても、それが五人、七人というふうに集まって協業組合とか、企業組合といったものをつくっていただければ、それである程度最小限度車両数も集まるわけでございますし、また、その中から当然企業組合としての管理経営のための従業員なんかも雇うことができる。あるいは運行管理者、あるいは整備管理者といったようなものも持つことができる。施設なんかにつきましても共同で整備することができるといったような方向でありますれば、私どもとしては、そういった企業組合あるいは協業組合許可をすると同時に、また、その営業車としての免許でございますが、道路運送法に基づく免許ということも、これは当然道が開けてくるわけでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 これは各労働省立場においても——きょうは通産省見えておりませんから——いいわけですね、その点については。
  20. 野原石松

    説明員(野原石松君) 現在の労働者災害補償制度のたてまえは、あくまでも労働者保護するという観点をとっておりますので、御指摘のような一人親方的なダンプ運転手さんにつきましては、直ちには適用されないわけでありますが、しかし、先生指摘のように、そういう方々は非常に弱い立場でもあるということは、私ども、よく承知をしております。したがいまして、今後運輸省その他ともよく御相談をいたしまして、別個の観点からの補償制度等ができないものかどうかというようなことについて前向きに検討してまいりたいと思っております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 昭和四十五年の十二月十五日に制定されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律中の建設廃材処理について事業者がみずからの責任において適正処理することを義務づけられているわけですね。厚生省に伺いたいと思うのでありまするけれども、このことが、実際に法律はつくったけれども地方の県、市、町村に対する最終処分の問題をめぐって指導がないということは、たとえばもうせっぱ詰まって、ビルを壊した、そこへ置いておけばかえって新たな災害を起こすということから、したがって、次善の策として途中へ捨てる。そうすると、今度はそこにまた問題が発生する。あるいはまた、警察立場としては、これは白トラで人に頼まれた荷物を運んだのだからこれは検挙するという立場になると思うのですね。そういうようなことになっていくと思うのでありまするけれども、厚生省としてはこの残滓の処理及び清掃に関する法律についてどういうようにこれから指導していくおつもりなのか、お聞きしたいと思うのです。
  22. 山崎卓

    説明員(山崎卓君) 先生いま御指摘のとおり、四十五年にできました廃棄物の処理及び清掃に関する法律、二つの領域につきまして規定しておりまして、一つは一般廃棄物といいまして、まあ大体都市系と申しますか、家庭から出るごみが主でございますが、そのほかにいま先生がおっしゃいましたような産業廃棄物についての部分がございます。この産業廃棄物の処理の責任につきましては、その十条の第一項がございまして、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」、まあこういう規定になっておるわけでございます。まあこれとちょっと離れますけれども、国際的にも四十七年にはOECDの事務局長が汚染者負担の原則、PPPの原則というようなことも言いまして、まあ大体におきまして産業廃棄物系統は事業主責任でやるべきであるということが大体の趨勢になっておるというふうに私どもは理解しております。実際問題といたしましては、先生指摘のとおり、なかなか最終処分地の確保等に苦労があることは私ども伺っておりますけれども、まあこの産業廃棄物の問題につきましては、そうしたPPPの原則につきましても公共関与の問題が一体どういうふうに絡んでくるのか、公共も一切関与してはいけないものかどうかというような点につきましては、まだ法律ができて日が浅いせいもございましょうし、いろいろ議論があるところでございます。まあそういうようなところを踏まえまして、私どもといたしましてもいろいろとそうしたPPPの原則と公共関与のあり方等につきましては、一昨年の四十八年から産業廃棄物処理問題懇談会というような厚生大臣の私的機関も設けさせていただきましていろいろと御研究を願っておるところでございますが、まあこの最終処分地の問題につきましても、現行法上はそうした事業者の事業活動の一環としてそこまでしっかりやっていただくというような体系になっておるものでございますので、その線を踏まえつつ市町村がどういうような御援助をしていけるか、あるいは処分用地のあっせんとかそういうようなことにつきましても、将来といいますか、もう早急にもいろいろと心を砕いていかなければならないと、かように考えておりますが、いま申しましたような全般の大きな問題に、私ども非常に直面しておるものでございますから、そうしたものの中で早急に何らかの指導と申しますか、そうしたものを見出すようにしていきたいと、かように考えております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 いま厚生省の当該行政担当の立場に立った発言、実はそこが問題なんですよ。法律をつくったということは、法律を有効に、全国民の環境保全のために使わなければならぬということになるにもかかわらず、結局つくったけれども日は浅いといっても、もうつくってから五年もたとうとしているのですよ。決して日が浅いということは言えないと思うのですよ。問題は、このことが非常に災害のもとになる、交通災害にしても労働災害にしてももとになるから私は特に言っているのでありまするけれども、いまあなたのおっしゃったように、いわば元請業者がたとえば建設廃材の処理の場合、全部責任持って取り払えと言っても、元請業者下請に、さっき言ったようにずっと出してあるのですよ。下請業者が、たとえばそれじゃダンプ業者に対して、ひとつおまえ、これ持っていってこい。ただでやったり、あるいはまた少しぐらいお金を取ったりしてやると、お金を取ること自体、またこれ違反になるでしょう。それから白トラ運転することもこれは違反でしょう。処理地へうっちゃったらこれまた違反でしょう。一体それじゃそのまま積んでおくのですか。このことが都市災害の大きな原因になっているということについて、あなたはこの事実についてどういう認識をされておられますか。
  24. 山崎卓

    説明員(山崎卓君) ちょっと私の言葉があるいは足りなかったかもしれませんけれども産業廃棄物につきましては事業者責任の原則というものが法律で定められておりまして、かつその処理処分につきましては政令で一定の技術上の基準に従って行わなければならない、こういうような形になっております。その政令では、収集、運搬、中間処理、それから最終処分というような形で各段階ごとに規定がございますが、最終処分の形態といたしましては埋め立て処分並びに海洋投棄というような規定になっております。事業活動のところでいろいろとそうした特に、いわゆるプラスの生産コストとともに、そうしたいろいろと廃棄につきましてのいろいろな廃棄コストといいますか、そうしたようなことにつきましていろいろと新しい問題が起こりつつあることは事実でございますけれども、そうしたようなことも踏まえまして法律はやはり事業者責任というようなことを課しているというふうに私どもは理解いたしておるわけでございます。したがいまして、そうした事業者責任がうまく果たせるようにするにはどのように公共が関与していったらいいかというようなことが私どものもっぱらの検討の中心課題である、かように考えておることを申し上げたかったわけでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 いま課長のおっしゃったようなことは私も知っているのですよ。問題は、中間処分ということじゃなくて、さっきから言っているように、最終処分について、まさかコンクリートの廃材を船へ積んでいって沖へうっちゃるなんということはこれなかなか容易なことではないし、これまた行政がやはり介在をしなければならぬという問題になると思うのです。たとえば公共の用地を取得するために、たとえば沼地へこれを投棄する、そうして埋め立てに使うというようなこともあるでしょう。また、海岸を埋め立てるためにこれをひとつ廃材を使うという場合もあるでしょう。あるいはまた、河川のいわゆる河川敷等においてこれを埋め立てに使って何かレクリエーションその他のものに使うということもあるでしょう。いろいろあると思います。しかし、問題は、一つの町なり一つの市なり村においてこれを最終処分をするということですよ。そういうことを行政が介入しなかったらこれはできないのじゃないですか。だからそれをもしできないとするならば、これは二つか三つ合わさったところで県なら県で指導してやるとかということについてなぜ厚生省は指導しないのですか。法律をつくってそれをそのままにしておくということは、これは私はある意味では職務怠慢じゃないかと思うのですけれども、あなたの見解を聞きたい。
  26. 山崎卓

    説明員(山崎卓君) 先生おっしゃいましたように、行政が全然手を出さないということではなくて、最終処分につきましては埋め立て処分並びに海洋投棄という二つの手段があるわけでございますけれども、その埋め立てにつきましても、事業者がみずから行う場合と、それからその事業者がたとえば産業廃棄物処理業者を使って、その産業廃棄物処理業者に費用を支払って処理をする場合、二つの道があるわけでございますけれども、その産業廃棄物処理業者許可を受けますにつきましては、やはり処分地についてどういうところでやるのかというようなことを申請いたしまして、それが公の目に触れまして、それならばよろしいという形で許可になっておるわけでございます。  それから処分の基準につきましても、政令で定められてありますことは、有害物を含んでおります汚泥でございますとかそういうようなものになりますといろいろ非常にむずかしいこともあろうかと思いますけれども、建築廃材のような比較的環境汚染、何といいますか、有害金属等を含んでおらないものにつきましては、比較的簡単な基準でございますので、問題は場所の確保がどういうふうにしてできるかということであろうと思います。現に地域でいろいろとお困りの場合には、公有地の開放であるとかあるいはその他につきましてそれぞれにやはり現地で工夫をしておるようでございますし、そうしたものの何といいますかスムーズにいくようにと願う気持ちは厚生省ももちろん持っておるわけでございますので、今後ともなお市町村の方とも連絡をとってまいりたいとは思っております。ただ、私どもが申しましたのは産廃がまた非常に大きな問題を抱えております。たとえば行く行く処分地の確保が困難になってまいりますれば、あるいは海洋投棄というようなことまでも積極的に進めていかなければならないかもしれません。そういうようなことも含めまして、厚生省としては非常に研究しているところである、こういうふうに申し上げたかった次第でございます。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 警察庁の方見えますか。
  28. 星野鉄次郎

    説明員星野鉄次郎君) はい。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 これのたとえば建築廃材だけじゃありませんけれども、主に建築廃材がやり玉に上がっているのですけれども、これに対する検挙数ですね、もう無慮数千数万にわたるところでありまするけれども、その内容についてたまには悪質のものが出るだろう。しかし私はこの大多数の者は生活を守るために仕方なく違反をやるというケースが多いと思うのでありますけれども、これを警察庁としてどういうように認識されておられるのかお聞きしたいと思います。
  30. 星野鉄次郎

    説明員星野鉄次郎君) 警察といたしましては、産業廃棄物の問題につきましても、もちろん違法なものは取り締まらなければいけません、取り締まりに当たっておりますが、ただこの種の問題につきましては、単に取り締まりのための取り締まりということではいけないと思いまして、問題はやっぱり公害といいますか最終的に環境の汚染を防止しまた廃棄物の適正な処理に資するような取り締まりをやっていきたいと考えておるわけです。したがいまして、取り締まりの基本的な考え方として、ひとつは重点的な取り締まりということを考えております。それは無許可の営業あるいは不法投棄、いろいろ態様あるわけでございまするけれども、単に形式的なものではなくて、実質的に有害な物質が河川やそういうところに捨てられまして、環境汚染するとかあるいは悪臭その他で非常に付近の住民の方に迷惑をかける、こういうような事犯を重点的に取り締まっておるわけでございます。  昨年昭和四十九年中の廃棄物処理法違反の総取り締まり件数は千八百十九件でございます。このうち八割以上の千四百九十七件というのが不法投棄でございます。残りの二割弱が無許可営業その他でございます。建築廃材の件数が幾らかということは、実はそういう形でちょっと統計をとっておりませんので申しわけないのでございますが、ただ不法投棄されました廃棄物の違反で検挙されましたものにかかる不法投棄物の種類ごとの割合で申しますと、建築廃材につきましては一三%ぐらいの数字が出ております。そういうことでございますが、私どもといたしましては冒頭に申し上げましたように、できる限り公害の防止なり廃棄物の適正処理なりに資するような取り締まりをやっていきたいと思いますので、法律のたてまえの事業者責任を貫くという意味では、たとえば不法投棄を故意に委託して排出企業者がそういうことを知っておりながらやっておる場合には共犯としての責任を追及するというようなことも考えておるわけでございます。なかなか現実にはむずかしいケースが多いと思います。  そこで、先ほど来問題になっています許可関係につきましてはなかなか私どもの取り締まる立場から見ましても、最終処分関係、適地が見つからない等の問題がございますので営業の許可がなかなかおりないというような事情もあるようでございます。こういう点につきましては、厚生省の方からるる御説明ありましたように事情があると思いますけれども、私どもとしてもできる限り行政の面で御改善いただきまして、そういう問題の解決を図っていただくことが取り締まりを担当しております私どもからも希望される点でございます。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 いま警察庁からお話のありましたように、処理業者はやっぱり知事の営業許可を受けなきゃならないですね。営業許可を受ける場合に、私の所属する静岡県内においても、さっき言ったように、正式な許可を受けているのはほんの数台にすぎない、あとの何千台というものは不許可なんですね。そういうことについて営業許可を受けるための条件として先ほど厚生省からお話があったように、捨て場とかあるいは地域住民の承諾も要りますね。それからそのほかに数十項目に上る基準や規制事項に適合いたしませんで、なかなかおいそれといかない状態なんです。とても個人個人では不可能に近い状態になっているということなんです。だから国として県、市町村を何とか指導してもらいたいという声がある。そこで先ほど運輸省立場においては明快な回答がありました。それから厚生省の立場としても何としてもこの問題を解決したい、もっと努力したい、指導したいという、警察庁の立場としてもこの問題をこのまま置いていいということにはならないので、何とかしなければならぬという、皆さんがそれぞれ同じ立場に立っているわけです。そうすると、ここで関係省庁で一回この問題で打合会をやってもらえぬだろうか、こう思うのでありますけれども、この点をひとつ委員長から諮ってもらいたい。
  32. 中村英男

    委員長中村英男君) いま青木君から各省でこの問題を、お話を相談してもらいたいということでございますが、よろしいですか。
  33. 山崎卓

    説明員(山崎卓君) 関係省庁が集まりまして相談をすること自体はやぶさかではございませんけれども、やはり大もとにつきましては、私先ほどもちょっと申しましたようないろいろな問題がございまして、そういうこともございますので、関係業界あるいは関係各省の関係者も入っていただきました産業廃棄物処理問題懇談会をずっと続けておるわけでございます。そのところあたりでの一つの問題は、大企業につきましてはいろいろとやっぱり資力も非常に強いから何とかしのいでいけるということがあっても、運送業者に限らずあるいは清掃業者も含めてですが、中小企業業者あたりは非常にやはり資力も弱い点もある。それがPPPとどういうふうに絡んでいくかというようなところ、それならば製品コストを上げてやっていくということについてどうだとかあるいはそれについて融資が入るほうがいいとか悪いとかいうようないろいろな議論が実はそこにあるわけでございます。やはり先生指摘のような、そうした業界の方々のためには何といいますか、下請料金が適正かどうかというような問題もございましょうし、そうしますと親企業の製品の問題とかそういうようなことにもなってまいるわけでございますが、そうした対価の問題あるいは先ほど別の角度からではございましたけれども運輸省の方のお話がございましたような協業化とかそういうような手段の問題等々いろいろ根本の問題が先へ進んでまいりますれば、それの次の問題としてそういうような点は当然恐らく議論に上ってこなければならない問題だろうという認識は私ども持っております。ただ大もとの問題がそういうことでございますので、ただいまの段階で監督者だけがちょっと集まってすぐに解決をするというほど問題は簡単ではないような感じを持っている、そう申し上げたかったわけでございます。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 運輸省にお聞きしたいと思うんですが、この種の問題を解決するには、前提としてあなたがさっき明快な答弁をされたように協業化、企業化をまず早く進める、そのために私どもは一静岡県だけではなくて全国的にもそういう指導をいたしたいと思っているわけです。そうして、そういう中でこの問題を処理していくように努力いたしてまいりたいと思っておりますが、運輸省の方としてもそういう積極的な立場に立ってこの問題に対して指導をしてもらいたいというように考えております。私はこれきょうこの質問だけで終わるんじゃなくて、皆さん行政立場のいろいろ指導が有効になされているか、いつなされたのかというような点についてこれからいろいろこの問題について強い関心を持ってまいりたい、こう思っておりますが、国土庁の横手審議官にお伺いしたいと思うんですけれども、これらの関係をいろいろやっぱり国土保全、環境保全というような立場に立って国土庁としてもこのことを、発足したばかりの省庁だということじゃなくて、きょうは長官がどこか結婚式に行ったようですからね、この次またお伺いしたいと思っておりますけれども、よくひとつ国土庁長官にもこのことを話しておいてもらいたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  35. 横手正

    政府委員(横手正君) ただいまいろいろ産業廃棄物の関連につきまして各省の関係承っております。産業廃棄物の処理を誤りますと二次公害の発生のおそれもあるわけでございます。基本的にはこれ公害関連というようなことでもございましょうし、主としては厚生省、公害関連としては環境庁、こういったようなおのおのの携わる立場もあろうと思いますが、先生の御趣旨は十分上の方にも伝えておきたい、かように存じます。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 時間もなくなりましたから、これで私はこの次の質問までこの問題留保いたしますけれども、きょうはこの程度で終わっておきたいと思っております。要は、先ほど申し上げましたように、早くこの産業廃棄物処理に関する問題が、一般ダンプを持っている労働者の死活の問題だと、このことを考えて早急に対処してもらいたいということ。それから建設省としては、いわゆる中小下請建設業を守るという立場、そういう立場も考慮して、たとえば重機業者なんかについては、分離発注なんかの問題については、これからも本委員会を踏まえてひとつ具体的な指導もしていただきたい。こういうように要請いたしてまいりたいと思っております。  それから厚生省の方としては、この法律はつくったけれどもやっぱり今後の問題としてそのいわゆる企業組合とか協業組合をつくって正常に動いた中においてさらにこの問題が相当正常化されてくるわけですから、そのことについては適正な指導をするようにお願いいたしたい。警察庁としてはこの問題をやはり犯罪予防とそれから環境その他について守ると、こういう立場に立ってひとつこれを大いに協力してある意味では突き上げてもらいたい。こういうように私は要請いたしまして、本日における私の質問はこれで終わりたいと思います。
  37. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 当委員会、稲葉さんの問題があったりいろいろございまして、ちょっと時間経過したかもしれませんが、しかしこれは非常に大事なことなんで、二、三点現場にございまするいろんな問題を徴しまして御質問申し上げたいと思うんですが、一つはことしの一月、二月低気圧によります被害があったわけでございますが、特に東北の宮城県や福島県で人工造林の被害がございました。これは全国的にわたりまして一月から二月にかけて兵庫県やまた島根県の方にもあったわけでございますが、もう一月、二月のことですから相当月日も経っておりますし、調査も進んでおるだろうと思うのでありますが、この低気圧による被害、特にこの森林に対する、人工造林に対する被害、この概況を御説明いただきたいと思いますが。
  38. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) ただいま先生お話ございましたように、ことしの冬期にかけまして大陸の寒気団あるいは低気圧の通過等によりまして多量の豪湿雪が降った地方について、東北地方あるいは中国地方でございますけれども、さらには近畿、北陸地方、広範にわたりまして造林木の折損や倒木等約六万ヘクタールに及ぶ被害がございました。被害の及びました県は大体十一県でございまして、いま申し上げましたように約六万ヘクタールでございますし、被害額は推計いたしまして現在のところ百三億余に及んでおります。
  39. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 全国、十一県でおよそ六万ヘクタールということですから、相当な被害になるわけでございますが、被害総額がおよそ百三億というただいまのお話でございますが、特に被害が大きかったのは宮城県、福島県だったろうと思うのでございますが、これは長官指定になっております激甚災害復旧造林のこの指定ですね、この被害額では当然指定になるだろう、こう思うのでありますが、この間検討になるのか、いつ指定になるのか、その間のことについてお伺いしたいと思いますが。
  40. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) いま申し上げました各県につきまして、ただいま県の方から調査結果が出てきております。それによりましてただいまわれわれが行っております造林の激甚災に対します補助要綱に基づきまして関係方面と折衝いたしまして早ければ六月中には対応できるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  41. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この被害の状況は各県からもう報告が来ているわけでしょう。それで県段階じゃなくて、林野庁での査定か何か、県の報告を待ってということじゃなくて、林野庁の段階での決定というか、指定がいま待たれているんじゃないでしょうか。
  42. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先ほど申し上げましたように、被害の状況としては把握いたしておりますけれども、これに対しまして被害のありました個所については、先ほど申し上げました造林補助要綱によりまして激甚災地については補助をいたします関係上、県でつまびらかな調査をいたしまして、その調査結果に基づいて私どもといたしましては被害地に対して造林の補助を行うという段取りをいたしております。
  43. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 一月、二月といいますと雪の降っている最中ですから、被害状況というのは実際雪が解けなければ被害状況つかめないということですが、春先になりますと大体山をお持ちの方は農業もやっていらっしゃるわけですから農繁期、こういうことで、これはもう林野庁の方もよく御存じのことと思いますが、倒木起こしやそのほか欠損木等についての早急な手当てをしなきゃならぬということで非常に手間もかかり、そして非常に農繁期を迎えてこの処理、処置というものは非常に当事者にとっては大変なことです。その間のことについてはよく御存じだと思うのでありますが、被害の状況についていろんな激甚災害復旧造林の項目等については地元でもいろいろ調査をしているようでございますし、また林野庁の方にも報告しているようでございますが、いずれにしましても一月、二月のことが六月中ということで非常に時間がかかる。木の成長も時間かかりますけれども、林野庁の仕事も非常に時間がかかるというそんな感じがしてしょうがないんですけれども、早いからすぐ何ということじゃないかもしれませんが、私が一番心配するのは、やはりここ数年非常にこういうことが続いているわけです。宮城県は四十七年ですか、やはり大きな被害を受けております。こういうことからしまして、いま緑をということで造林意欲を一生懸命高揚しておるわけでございますけれども、やはりこういう被害があったときにしっかりした対策を立ててその意欲を阻害することのないように当局でも配慮がなければ、そうでなくても現在用材も非常に値下がり動きのある中において意欲を失うというこれが一番大きな問題ではないでしょうか。そういうことからいたしまして、できるだけ早い機会に、そしてまたその意欲を阻害することのないように配慮すべきだと思いますし、これは普通の激甚災の指定ですと、これは中央審議会の議を経なきゃならぬということで非常に手続上もまた大変ですけれども、長官指定ということで林野庁の段階でできるわけでしょうから、実際これを現地の現状というものを把握なさって、これに対してどうするかということについては、そう一般災害の激甚災指定等とは違った意味で早くできるんじゃないかと思うんですけれども、その間のことについてはどうですか。
  44. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先生指摘のように確かに一、二月のことでございます。すでに四カ月ぐらいたっておりますけれども、御存じのように雪の深いところ、多雪地帯あるいは山奥ということで実際の調査が一部おくれた点もございますが、逆に事業につきましては倒木起こし等につきましてはすでに実行いたしております。したがいまして、私ども造林につきましては実行結果について補助をするというスタイルをとっておりますので、実行いたしましたものを現在全部県の方で調査いたしまして、それで策定して激甚災の指定をし、そして補助をいたします、こういう形になっておりますので、事業そのものについてはおくれないように対応いたしております。
  45. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私も実際現場を見ましたし、またいろんな方々にもお会いもしておりますけれども、やった事業に対してということですけれども、やっぱり指定があるかないかということについて、これだけの被害総額になりますと大体はなるであろうということですけれども、また心理的に云々ということではなくて、やはりきちっと指定するものは指定する、それに対してやったことに対してはちゃんと補助を出すものは出すということに明確にいたしませんと、調査しております、およそ五月、六月ごろだろうということは言われておりますけれども、雪があってどうこうといういろんな調査の段階での問題もございますが、そしてまた実際したことに対して後から補助が出るということですから、何も作業そのものには被害のないような言い方をしておりますけれども、現実的には農作業と一緒になったり、どうしても人手が足りなかったり、そうしてまた、はっきりこういうものが決まりませんと、自分のところの被害はわかりますけれども、全国的にどうなのか、そしてそれが本当に指定になるのかならないのか、森林組合や、個々にとっては、やはりそういうことが明確であれば、また意欲の上においても、次の段取りにおいてもやりやすいという、こういうことは言えると思うのです。そういう点で、ひとつ激甚災の指定を一日も早くして、そしてその意欲を盛り上げるといいますか、いませっかく育ててきたものが、ちょうど二十年前後の大事なやつが傷められたわけですから、そのショックも大きいだろうと思うのですけれども、そういう方々に対して再造林の意欲を失うことのないようにひとつ御配慮をいただきたいと思うのです。ほぼ、いろいろ年寄りの方なんかに聞きますと、気象状態が気象状態かもしれませんけれども、余りこういう立木が裂けるとか、そういう一部の倒木ということはあったにいたしましても、最近は四十七年、またことしも打ち続いておるわけです。これは気象だけに原因があると断定でき得ない、やはり品種といいますか、木の材質にも問題があるんじゃないか。この前林野庁の方にもいろいろお聞きいたしましたが、やはり戦後植えられたものがちょうど現在二十年前後になって、その当時のもほがいろんな状況の中で弱いということも言えるんじゃないかということのようですけれども、やはりこういう災害に強い品種を育成するということ、また、ただその原因を気象に置くのではなくて、もっと品種それから保育、こういうことについて配慮をなすべきである。まあこれも当委員会におきまして、四十七年の災害のときにもずいぶん林野庁長官、いろんな議論があったところですけれども、まあ当然林野庁でも御検討なさっていらっしゃることだと思いますが、特にこういう被害を受けるところは大体決まっておりまして、北海道のようにさらさら雪のところはならないわけでありますから、また斜面もどういう斜面が起きやすいということもいままでの経験上もわかるわけでありますので、こういうことに対する指導というものをしっかりいたしませんと毎年同じことを繰り返すのじゃないか、こう思うのですが、こういうことについての御検討、そしてまた今後の対策といいますか指導についてどのようにお考えになっていらっしゃるかちょっとお伺いしたいと思います。
  46. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先生指摘のように、戦後非常に造林面積がふえましたし、それによりましてわれわれといたしましても被害がありました個所について十分な調査をいたしまして、品種の問題あるいは保育の問題干ばつの問題等含めまして、これからこういう被害が少なくなりますよう十分な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まいりますじゃなくて、いままでしたことがないんですか。
  48. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 四十七年にもこういう被害ございました。そういう点でその辺の調査をいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、被害地が必ずしも同一でございませんので、いろいろの被害地がございますので、そういう点を含めまして全般的に検討し、早く対策をとり得るように検討してまいりたいというふうに考えております。
  49. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、これはぜひ雪害に強い苗といいますか、木を、ひとつ造林面積がふえたということもありますし、気象状況ということもありますし、いろんなことがあるかと思いますけれども、それとあわせて、やはりこういうものに強い品種というものの普及またそういうものに対する配慮、こういうことをひとつ十分に指導していただきたいと思うんです。それとこういう被害に遭ったときにやはりせっかく育てた二十年前後のこれからお金になろうかというやつですから、非常に農家にとりましてはショックな話でして、一世帯当たり被害の大きいところは相当な被害を受けておられるわけであります。ただ荘然自失というところもございます。  そこで、いつも問題になるんですけれども、保険のことですね。もちろんいまやもう森林というのは一個人の所有云々だけではなくて、やはり緑というものやまた森林の持つ自然環境に与える影響というものは非常に最近は高く評価されてもおりますし、こういう面では再造林ということについてはやっぱり全力を尽くさなきゃならぬと思うんですけれども、非常に国の補助や国がめんどうを見るということもさることながら、やっぱりさっきもお話ございましたように、どこにどういう形であらわれるかということはそれは本当に予測し得ない、それだけにいざということのためにいろんな策を講じなきゃならぬ。そういうことから保険というのはある程度の使命はあろうかと思うんですけれども、なかなか加入率が低いということが一つの大きな問題になっているんですが、これもいつも問題になっていることですけれども、今日までの議論も踏んまえまして、やはり林野庁におきましても、農家の方々にこういう被害の起きたときにその意欲を喪失しない、やっぱりある程度の補償のできるために、保険に対してもっと入りやすいといいますか、またその内容の徹底を、PRするといいますか、こういうことについてのやっぱり対策をもう少し強力にしなきゃならぬじゃないかという気がするんですけれども、この保険のことについては現在どのようにお考えになって進めようとしていらっしゃいますか、その間のことについてちょっとお伺いしたいんですが。
  50. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先生御存じのように、保険につきましては確かに現在加入率が非常に低うございまして、特に植えまして五年以内のものにつきましては六〇%以上の者が加入しておりますけれども、総体の人工造林面積に対しましては現在三三・四%の加入でございます。こういう関係で被害の一般的に出やすい五年あるいは十年未満のものにつきましては、わりあいと高い加入率になっておりますけれども、それを超えますと非常に加入率が低いということで、私どももこういう不慮の災害が出かねない地方につきましては、極力保険につきましての普及宣伝を図りまして加入を進めるような段取りをただいまいたしております。
  51. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 特に宮城県は四十七年度、今回ということで、大体ことしの被害は県南の方に多いわけですけれども、石巻を中心とする県北の方もやっぱりございます。二度にわたるこういう被害ということでもございますし、また先ほど来申し上げておりますように、森林の持つ使命ということから言いまして、現地の事情というものをよくひとつ把握なさいまして、激甚災の指定、これを早くしていただきまして、ひとつ再造林の意欲を失うことのないように御配慮をいただきたい。これはひとつ、きょうはまあ長官にはじきじきいろいろなことを申し述べたいと思っておったんですが、前にもいろいろこの事情については林野庁の方にもお伺いもしておりますし、またいろいろ対策についても御検討をいただいておることだと思います。まあここまた続いておることでもございますし、ぜひひとつ林野庁で精力的にお取り組みいただきたいと、こう思うんです。  では林野庁の方は結構でございます。  次は、話があっちこっちに行くんですが、ことしの三月、岩手県の胆沢郡の衣川で大きな地すべりといいますか被害があったんですが、これも建設省に何回も言っておりますので、建設省じゃなくて農林省の、増沢ダムの影響だということで農林省だと、あっちだこっちだと言っているんですけれども、いずれにしても被害を受けた事実は事実であり、相当な面積にわたりまして地盤のすべりがあったことは事実なんですが、これは農林省ですか、被害の状況といいますか被害の実態をちょっとお話しいただきたいと思うんですけれども
  52. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 本年の三月の九日から十日、及び二十日から二十一日に相当な降雨がございまして、先生指摘の衣川村増沢地区にその豪雨のために雪解けが助長されまして大量の地下浸透となりました。そして二十二日の午前八時ごろ地すべりが発生いたしております。地すべりは大体十二・五ヘクタール程度でございまして、山林が八ヘクタール程度、農地が四・五ヘクタール程度でございます。深さ二十メートル以上の亀裂を生じておりまして、当地区の地質は砂質の凝灰岩、傾斜は比較的緩でございますけれども、さっき申し上げましたような異常降雨のために水が、地下水が地下に浸透いたしまして地下に地すべり層が生じて滑落活動が行われたものというふうに考えております。
  53. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ここに増沢ダムというダムがあるわけですね。これはダムを建設したのはいつですか。
  54. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 増沢ダムは岩手県営の農地防災ダムとしてつくっておりまして、昭和二十六年に着手いたしまして三十九年に完了しております。
  55. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これはつくったのが県ということですけれども、実はこの地すべりがございましたときに、いまお話ありましたように二百ミリ近い大変な雨量であったということですが、それで大きな地すべりがあった。それはいまのお話では、豪雨といいますか大量の雨のためということですが、実は増沢ダム建設のときにその周辺の方々については土地が買収になりまして、散在しておりました農家の方々も移転なさったわけですが、そのダム近辺の五十メートルから百メートル以内の方々はその買収地域に入らぬものですから残ったわけですね。今回被害を受けたのはそれらの方々になるわけです。今度の被害を受けましたことについて、まあ直接の原因がそばにダムができたためとか、ですから県や国に責任があるという、こういうこともこれは間接的には言えるのかもしれませんけれども、いずれにしましてもいま被害を受けたこの五世帯の方々、どうするかということが大事なことだろうと思います。本来ならば、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、これで移転することができれば一番いいわけなんでしょうが、これは政令で一応十戸というようなことになっておりますね。そういうことで、まあ五世帯ということですから、数の上ではこれは適用にならぬということになるのかもしれません。しかし、これはこういういろんな災害を未然に防ぐということや、いろんな意味があって、議員立法としてその精神といいますか、こういうことからいいますと、今回の被害を受けた方々については、それは近くにダムができた、わずか五十メートルかそこらの違いのために対象にならなかったといういろんな事情を勘案すれば、法の精神の上からやはりあとう限り救済の道を開いてあげるべきじゃないかという、こんな気がしてならないんですけれども、この間のことについての——これは建設省になりますか、国土庁ですか、どうですか。
  56. 横手正

    政府委員(横手正君) ただいまの増沢集落の移転の関係でございますが、先生御承知のように防災集団移転促進法では一応の要件が決められておりますので、この要件には該当しないということになるわけでございます。ただ、こうした場合にも、ちょうど建設省の方でがけ地建設の移転事業というのがございまして、県当局におきましても地元と相談しながらその事業に乗せるべく現在検討中のように聞いております。防災集団移転法には乗っかりませんが、そちらの方で救済の道が講ぜられるだろうと、かように考えております。
  57. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは地元から私ども聞いておりますが、先ほど申し上げましたようなこういういろんな事情の中での事故でもありますし、こういう政令で戸数が決められてしまいまして、一世帯でも、一戸でも少なければこれに当てはまらぬということで、それは法文上はそういうことになるのかもしれません。しかし、近くにダムができたということも、それは直接的なことではないかもしれませんが、やはりこの原因の一つであるということや、本来ならばそこにダムができたということであれば、そこから離れなければならなかったのかもしれません。いろんな事情等勘案すれば補助率の一番高いといいますか、この法律によるのが地元の方にとっては望ましいことなんだろうと思います。いまお話のようにがけ地近接危険住宅移転事業ですか、これで建設省が検討しておるということのようでございますが、これはいま特別措置に当てはまらないとするならば、やはり最大限この移転事業でひとつ措置をして、いままでの事情等考えますと、やはり地元集落の方々のために措置をしてあげるべきだと思いますが、これは建設省としてはいろいろ御検討していらっしゃることだと思うんですけれども、こういう方向で措置をする、そういう心がまえでいらっしゃるのかどうか、その間のことについてお伺いしたいと思います。
  58. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) ただいま御指摘のがけ地近接危険住宅移転事業、これは一応予算補助の形でございますが、地方公共団体が条例で指定いたしました災害危険区域でございますとか、建築制限区域にございます既存の建築物が移転をいたします場合に、これに対しまして国が補助をするというものでございまして、本年度千六百戸の予算が用意してございますので、地元の方とお話いたしまして、この費用によって、この予算によって行おうということでございましたら対処いたすつもりでございます。
  59. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いずれにしましても岩手県の、しかも衣川といいますと、御存じのとおり大変な財政力のないところでもございますので、できるだけひとつ、これは自治省にもお願いしなければ——ここに自治省の方いらっしゃいませんけれども、お願いして、がけ地近接の移転事業ですと、やはり地方自治体の負担分もあるわけですけれども、こういう事情等勘案しまして、地元の意見に沿うように国としてはぜひひとつ御配慮いただきたいと思うんです。  地すべりにつきましても、大きな地すべりが石川県なんかにございましたですね。この事故が起きてから原因がどうこうということで、そういう災害を未然に防ぐということのためにいろいろな処置がとられておることは重々承知しておるわけでございますが、また、最近は非常に集中的な豪雨があって思いがけないいろいろな事故が起きるという、それが思わない事故を引き起こすというような問題を惹起しているということで、法の運用といいますか、こういうことにつきましては現状等つぶさに御研究の上に、地元——しかも、大体過疎地にこういう被害が多いわけでございますので、現状というものを的確に把握いたしまして処置をしていただきたいものだと思うんです。  次は、地盤のことですが、ちょっと問題は別になりますが、福島県の原町、そこが地盤沈下がいま大きな問題になっておるわけであります。地盤沈下というとこれは公害のことでおれには関係ないという顔をなさっていますけれども、これも、地盤沈下のことにつきましては、公害の方からのとらまえ方、そしてまた環境庁、建設省国土庁、いろいろな角度からの分担になっておりまして、これの一元化ということが何かいろいろ論議されておりますし、規制等につきましても、現在、工業用水法とかビルの地下水採取に対する規制の法律とか、実際、地下水に対する施策というものは非常におくれておるわけで、今国会でも、建設省——国土庁ですか、積極的に取り組もうということのようですが、全国的に見ますと、この地下水の問題というのは非常に大きな問題だと思います。いままでもこの原町のことについては何度かお話をしましたので、大体どのくらいの被害で、どうなっておるかということについてはつかまえていらっしゃるだろうと思いますが、状況をちょっと御報告をいただきたいと思います。
  60. 西村純幸

    説明員(西村純幸君) 先生いまおっしゃいましたように、福島県の原町市におきましては、大甕地区などで地盤沈下が問題になってまいりまして、現在、この地区を中心とする約二十五方キロの地帯において地盤の沈下が観測されております。沈下量が最も大きいのはこの大甕地区でございまして、その累積沈下量は五十センチ以上に達しております。最もひどいところでは一メートルないし二メートルにも達しております。この地盤沈下によりまして、家屋の破損、用水路の通水不能、道路の損壊、水田の湛水などの被害が生じておるのが現状でございます。
  61. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この地盤沈下の原因究明といいますか、これはわかり過ぎるほどわかっているはずなんですが、明確にされていない。いま環境庁と建設省ですか、県ですか、観測のデータをとっておるということですが、いろんな観測実態調査をするのにやっていらっしゃるので、今日までのいろんな調査によりまして原因究明というのはなされたのですか、どうですか。
  62. 西村純幸

    説明員(西村純幸君) この沈下の原因といたしましては、この沈下が泥炭層などを含む軟弱地盤であることとか、地下水の採取量が相当量に達しておることなどからいたしまして、地下水の揚水によるものと推察されますけれども、現在先生のおっしゃいましたように、地下水が採取されている範囲、採取量とか沈下量、さらにはこれら相互の関係などのメカニズムにつきまして現在なお地元の県、市及び国において調査中でございまして、今後さらに究明しなければならない点が多いのでございます。
  63. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 原因は地下水のくみ上げのために地盤沈下が起きたということは明確なんですね。どのぐらい地盤沈下が起きて、また地下水の採取量というものがどのぐらいかということについては、どのぐらいくみ上げるからどのぐらい沈下するかという、そういう実態についてはいま調査をしている、そういうことですか。  恒久的な地盤沈下に対してのことについて公害の上からいろんな対策を講じられなければならないだろうと思いますが、現在地盤沈下が進行しているわけですから、田畑につきましておよそ二千五百ヘクタールという膨大な田畑が中心になるわけですけれども、それが農繁期に平らにしたものがもう秋口になりますと不等沈下のために十分な収穫が得られないとか、こういうことが起きていることはよく御存じだろうと思います。また、排水路の施設やそれから農業用水路、こういうものが破壊して、いままで水の来たのが来なくなって、そして農作業が十分にできなくなり収穫が得られなくなった、こういう問題も起きているわけです。こういうことから言いますと、これは実際地盤沈下のための災害といいますか、防災上こういうものに対しましていま沈下を盛んにいたしておりますので、早急な処置をとらなければならない実態だろうということが、これは測定いかんにかかわらず、実態を究明するいかんにかかわらず、現在沈降が進んでおるということは御存じのとおりです。応急的な対策と恒久対策といいますか、そういう防災上二つの道があろうかと思うのですけれども、ここは御存じのとおり、農業用水に地下水を使っておったということで、農業用水につきましてはいち早く農林省の方でいろいろ調査をしようという調査費がついて、農業用水のためのダムをつくろうということのようですが、地元では農林省の方は案外、余り早くはないかもしれませんが、調査をしようという姿勢があるわけですが、工場もあるわけです、製紙工場を初めとしまして。この工場関係ですね、これは通産省関係になるかもしれませんが、こちらの方がなかなか進まないということのために農業用水のためのこれから調査をして、これは主としてダムをつくろうということですけれども、つくったといたしましても、それは大体農業用水と同じぐらい工業用水も使っているわけでありますから、沈降速度が、地盤沈下の速度がやや緩慢になるということであって、恒久的な対策ではない。地元にすれば何とか、これは国のやることであり、原町に住む五百世帯から八百世帯の農家の方々が二千五百ヘクタールのところにいらっしゃるわけですから、これらの方々にしてみれば農林省がどうとか通産省がどうとかということではございませんで、この地盤沈下をどうするかということが問題になるわけで、こういう総合的な問題になると、これは国土庁の方のまた関係にもなるんじゃないかと思うのですが、いずれにしましても、こういう行政の一元化といいますか、こういう処置をいたしませんと、観測データをまたまた調査をいたしましてと言っているうちに、どんどん地盤沈下が進んでおる、進んでいく。これはまた、先ほどもお話の中にもございましたように、泥炭層といいますか、非常に弱い地層で非常に沈下が激しいという、こういう状況なんです。これは国土庁もよく御存じのことと思うんですけれども、とにかくこれだけの二千五百ヘクタールという面積、これがいま被害を受けつつある。  それで農業関係のことについては農林省がいま調査費をつけて調査をしようという、しかし農業用水と同じくらいに工業用水が使われておるのではないかといわれている。こういう中にありまして、やはり国土保全といいますか、すぐそばに海岸もあるわけでございますし、いろいろな懸念がなされているわけなんですけれども、これは総合的にやはり対策を講じませんと、観測をいたしましてから、実態を調査しましてからなんと言っていたのではならないんじゃないかと思うのです。  特に建設省は、ここに国道が走っていますね。六号線ですか、これは十年間に二メートルぐらい沈下しているんですよ、実態はよく御存じだと思いますが。ですから、建設省も、いやそれは農林省のことで、通産省のことでと言っていられないので、自分のところの国道が十年そこそこの間に二メートル三センチですか、二メートルから沈下をして、かさ上げを毎年やっておる、こういうことも考え合わせますと、これは決して人ごとではないということで、行政上いろいろな立場もございますけれども、それを統括して施策を講ずるのはやはり国土庁じゃないかと思うのです。今日までこれに類似したのが佐賀県に白石ですか、この地方にも同じような形のところがあって、いろいろ処置をなさっているようでございますけれども、原町の問題につきましても、これは国として本当に取り組んでいただきませんと、地元の農業また工業、いずれにしましてもこの地域が地盤の弱いということもございまして、農業用水だけを何とか確保したといたしましても、いまのこの被害がおさまるということにはならぬという、非常に地元にとっては危機感を持っておるわけですけれども、それが行政上担当が違うとか何とか言っていたのでは、いつになっても解決のめどは立たぬ。こういうことで原町の問題につきましては積極的にひとつ施策を取り組んでもいただきたいと思うのですが、きょうは大臣いないので、政務次官ひとつどうでしょうか。先ほどの報告のことや、いま申し上げたこと等考え合わせまして、原町のことは一地方のことではございませんで、確かにむずかしいいろいろな問題があるかと思いますけれども、それを調整をとって施策をなすのが国土庁の役割りだろうと思いますのでお伺いします。
  64. 斉藤滋与史

    政府委員(斉藤滋与史君) 先生の御指摘の原町の地盤沈下問題について、幅広く全国的な視野に立ってこうした問題に取り組んでいけというような御指示であったろうと思います。非常に昨今の工業用水、農業用水あるいは生活用水、有限の水資源をいかように有効に生かすかということをわれわれはいませっかく勉強しながら、早い機会にこの規制問題につきましては法案をお示しして御検討願わなければならない時期であろうと、このように考えておるわけであります。当原町の問題を含めて、こうした関連につきまして政府といたしましても皆さん方の御理解、御協議をいただきながら、早い機会に規制を踏んまえて考えていきたいと、かように考えておりますので、またその節はよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  なお、原町の具体的な問題につきましては関係省庁とよく協議連絡の上、適切な措置を図りたいと、かように考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  65. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 水がないところですとなかなか大変なんですけれども、阿武隈山系のふもとでもございますし、農林省としましても、そのダムの建設について調査費をつけておると、こういうことですから、それとタイアップをしましてですね、これは工場関係というのは、なかなかむずかしいいろんな要因のあることもわれわれはよく存じておるんですが、ダムをつくるにも、今後農業用水はそっちの方でやれと、工業用水についてはわれわれの方でそのうちになんという、そういうちぐはぐな行政上の支障のために、地元のこの防げるべき問題も防げずに済ますようなことがあってはならぬと、これは何も原町に限ったことでは決してございませんけれども、特にこの原町の状況というのは、ほかのところに見られない非常に大きな被害が起きておるという、こういう実態をどうかひとつ、いま政務次官からお話しございましたが、積極的にひとつ各省庁との話し合いを進め、今後の応急処置と、それから恒久対策、よろしくお願いします。  地盤沈下は、地盤に限っては以上のことです。  次、何にしてももう一カ月ぐらい委員会しなかったものですから、いろいろなことがあちこちにございまして、飛び飛びになって申しわけないんですが、次は小名浜のことでございますが、これは農林省の方や、それから建設省はちょっと関係ないかもしれませんが——農林省の方はお帰りになっても結構です。  小名浜の事故については、もう時間もありませんからくどくど申し上げませんが、起きた原因や、それに対する補償とか、いろんなことがいま問題になっておるようです。特にこの事故の原因、これはまあいろいろ言われておるわけですが、一番地元で問題になるのは、一つは漁業者に対する補償のことですね、これは御存じのとおり、全部日本の国籍の船だったらいいんですが、外国の船、パナマ国籍の貨物船——それは一回だけじゃなくて、二回あったんですね、タンカーとそれから韓国国籍の貨物船と衝突しておる、それに伴ってこの漁業補償ということも非常に問題が多いということで、地元でも心配しておるわけですが、この漁業補償については、これは農林省の方の所管——地元の漁業組合に任せても、国際的ないろんな兼ね合いが出てまいりますと、漁業組合だけではできんじゃないかと、やはり積極的に県や国がアドバイスするということで、早急なこの漁業補償の交渉が進むように配慮すべきじゃないかと思うんですが——これはどこのあれなのかな、どうですか。
  66. 山内静夫

    説明員(山内静夫君) 小名浜沖の油流出事故につきまして、現在補償関係の問題でございますが、この事件は二件ございまして、四月六日の「アデリーナ号」事件と、それから四月十五日の「第十五大手丸」と韓国船との衝突事故と、この二つに分かれているわけでございます。後者の事故につきましては、現在補償交渉を行いつつございまして、とりあえず福島県、茨城県に各三千万円が内払いとして支払われ、その後の被害状況の査定を待って——第三者の査定機関に任せてございますが、それを待って本格的な交渉に入ると、こうなっておりますし、「アデリーナ号」事件につきましては、弁護士を立てまして——外国船でございますから、なかなか漁業者の手に負えないと、こういうことから、弁護士が中に入りまして現在交渉中でございます。水産庁といたしましても、この種の事件につきましては適正な補償が得られるように、県あるいは市町村が漁業者をできるだけアドバイスすると、場合によったらあっせんの労をとると、こういう態度で今後も進んでいきたいと、こう思っております。
  67. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もありませんので、ちょっと一、二点にしぼってお伺いするんですが、一つは私はこの流出した油の量、こういうことから見ますと、この「アデリーナ号」は百三十キロリットルですか、それから「第十五大手丸」が三百七十キロリットルですから、量としてはそんな大きな量ではないのかもしれませんが、小名浜港という特殊な港に起きた事件であり、これから、いま大きなコンビナートというか、大きな石油基地がいま建設中であるという、こういうことからいたしまして、いまはこれだけに済んだから——これだけに済んだと言ったら、被害を受けた漁民の方には申しわけないんですけれども——これからもっともっと大きな事故の起きる要素ができてくるということです。それに対して、できたらそれに相応したような対策を講じるんだということかもしれませんが、問題が起きてからじゃなりませんで、もう工場の建設や、タンクの建設はもう進んでおるわけですから、それに即応した対策が講じられなきゃならないことは当然です。この油流出のときの防災体制として、油回収船の設置とか、また廃油処理施設、中和剤散布のタグボート、こういうものを設置して、いざというときのための処置をいたしませんと、今回は流出した油が少なかったから大事に至らない、いそ物で、先ほどお話しのあったような被害にとどまったわけでありますが、今度はもう八万バーレルからの大きな工業団地が背後にでき、コンビナートができるということになりますと、こんなことでは済まないという、この保安体制を強化しなければならない。こういうことについて、関係当局が厳しくやはり今後の推移とともに、この防災体制を確立するという、一部法案等につきましても出ているようでございますが、二度と再びこの大きな事故をここで起こさないような配慮を関係当局でしていただきたいということと、もう一つは、気象条件が非常に厳しいところで、七月等においては濃霧の発生率が非常に高いところである。今回のこの事故の起きたときも、やはり濃霧があって、事故の起きた後に濃霧注意報が発生になっておると言われておるわけですが、そうしてまた、船員に聞きますと、非常にこの港は危険な港だということが言われておる。御存じのとおり、ここには小名浜に気象観測所があるわけですが、これが人員が削減になりまして、現在の十五名から十三名で十分にやれるということのようですが、やはり気象の非常に激しいところであるだけに、気象観測ということにつきましての対策や、また、やはり霧の多いということに対しまして、それを十分に管制する体制として管制システムというものを完備する必要があるんじゃないか、こういうことも地元では非常に要望しているわけであります。まあ小名浜でこういう事故が起きたという、小さな事故として見るのではなくして、今後大きくコンビナート等の計画が進められるという段階で、また非常に霧の発生率の多いところであるということから、管制システムというものを完備するという、こういうことに十分な留意を払いませんと、取り返しのつかないことになるんではないかと、御存じのとおり、あの小名浜周辺はアワビやワカメ等、いそ物につきましてはいままで相当な水揚げがあり、それによって生活なさっている方々がたくさんいらっしゃるわけであります。今日もなおそれは変わらないわけでありますが、三十九年の新産都市指定を受け、どんどん工業化が進むとともに、あの周辺の漁業者が、だんだん漁業では生活でき得ないような窮状に追いやられておるという、こういうことで、行政当局の厳しい姿勢によって守り得られる、未然に防ぎ得られる面も多々あるわけでありますし、後の補償ということで問題を引き起こすことではなくして、ぜひひとつこの管理体制や保安体制、そしてまた気象観測等についての十分な配慮をしていただきたいと、こう思うんです。  きょうはまあ気象庁の方いらっしゃっていると思いますが、そのためのことにつきましてのお話と、あと運輸省の人だれか……関係の人、ひとつこれについてのお考え、対策ひとつお話しください。
  68. 山本了三

    説明員(山本了三君) 大量流出油対策等のいわゆる防災体制の強化の問題につきましては、過去に起きました、東京湾で起きました雄洋丸とか、あるいは瀬戸内で起きました水島の三石の流出事故等に待つまでもなく、海上保安庁といたしましては早くからその必要性を痛感いたしておりまして、小名浜港にも、具体的に申し上げますと、流出油の災害対策協議会というものを結成いたしまして、官民合同——もちろん漁業者も入っておりますけれども、官民合同で流出油によります災害を局限しようという組織を持っております。  今回四月に起きましたアデリーナ号の乗り上げ事故とかあるいは大手丸と韓国船の衝突事故の際におきましても、この災害対策協議会が全面的に活動いたしまして、たとえば流出油の防除に使用いたします処理剤の散布使用につきましては、そのつど時間、場所等を関係者が協議いたしまして、そして二次災害の防止に備えると、そういう措置をとっております。先生も御指摘のとおり、陸上のコンビナートの災害につきましては、自治省におきまして、いわゆるコンビナートの防災法といいますか、これの立案に当たっておられますけれども、海上におきます同種のいわゆる災害の防止につきましては、海上保安庁といたしましては、陸のコンビナート防災法に対応し得るようなそういった規制の方法、規制をかけられるようなそういった法律を持つべきであろうという考え方のもとにいま鋭意研究を進めております。それはそれといたしまして、海上保安庁の設置目的は当然といいますか、海上における安全の確保でございますので、小名浜港の港勢の進展を見守りつつ、その港に、小名浜港に入港いたします船舶の実情その他をよく観察いたしまして、そして現地の状況にマッチしたいわゆる海難防止体制といいますか、必要があれば管制システム等につきましても考慮して小名浜港の航行の安全を確保してまいりたいと、そのように考えております。
  69. 塚田大願

    ○塚田大願君 私はきょうは豪雪対策の問題で質問したいと思うわけであります。ところが見渡しますと大臣の姿が見えないので、いささかこれは遺憾に思うのですが、私、災害対策長くやっておりますけれども、大臣の出席しない委員会というのはきょう初めてですな。大変これは遺憾なことだと思います。やはりこの災害の問題というのは、非常に災害列島と言われるほどの日本でありますから、政府としても特に重視していただかなければならないと私は考えます。しかし、とりあえずまあこういう状態でありますから、私も質問いたしますが、実は雪の問題をいまごろ質問するのはちょっと間が抜けているんじゃないかというお考えの方もあるかもしれませんけれども、実はそうじゃないんです。ついこの間私この豪雪地帯、新潟県の松之山地区を回ってきました。五月になってなおかつ二メートルから三メートルの雪と闘っている。苗代一つつくるにもその雪を除雪しなければ苗代ができない、こういう事態でございまして、時期的にも決して時期外れの問題ではないと考えて、あえて質問申し上げる次第であります。  しかも今回、実はこの新潟県の各地から請願もございまして、この雪の問題で請願がございました。この請願は豪雪出かせぎ地帯における冬期保安要員制度の創設を要請する請願書、こういう表題でございますので、特にきょうはこの請願とも関連をいたしまして御質問申し上げるわけであります。  実は昨年もう大変な豪雪でございました。四十九年、これはもう十年ぶりの豪雪というので、この災害対策委員会でも、委員会調査派遣が行われました。私もそのとき参加をいたしました。そうしてこの委員会でも、私は二回にわたりましてこの雪の問題で質問をいたしました。ここに会議録も残っておりますが、当時はこの担当が経済企画庁でありましたか、災害の方はね、そういうことでありますが、今度は国土庁が担当されていると、こういうことに変わりましたけれども、問題は別に変わっているわけではございません。そこで、ことしはじゃあ昨年ほどではなかったのではないかというふうな見方もあったようでありますが、実際は私今度視察してみますと、ほとんど昨年と大して変わらないのです。もちろん地域によりますけれども、この頸城の松之山の周辺というのはほとんど変わりがない、雪の量から言いましても。たとえばこの松之山では、昨年役場の近くで調べた数字は、昨年が四・九メートルであった。これは十年ぶりの豪雪だと言われたんですが、ことしは四・八メートルあるんですね、ほとんど変わりがない、こういう実態でございました。決して昨年に比べて少ないというふうな実情ではございません。これはしかし、なかなか雪国の方でないとぴんとこないと思うんですが、私写真撮ってまいりました。これは五月二日、メーデーの後の、翌日の写真でありますが、なおかつこんなに雪があるということでございました。これは後でひとつずっと回覧していただきたいと思うんですけれども、ところによりますと、五メートルぐらいまだ積もっているところもあると、こういう実態でございます。  私、昨年の質問のときにも、あえて徳川の末期に出版されました「北越雪譜」というこの本を引用いたしまして、雪国での難儀というものがどんなものであるかという説明もあえてしたわけでございますけれども、まあこういうことは別といたしましても、とにかく雪おろしのための被害というものは、非常に毎年毎年繰り返されておるわけであります。昨年もこの松之山町では屋根の雪おろしで二人の方が生命を落とした。ことしはどのくらい、どんな被害があったかと、行って聞いてみましたら、一月十四日、下川手部落というところで出かせぎ後の留守を守っておられました七十一歳の老人が四メートル雪の下で世を去られた、だれもみとる者もなかったと、こういうことですね。  それからこの写真にもございますけれども、私行って驚いたのは、やはり大きな家が点々として雪でつぶされて倒れている、倒壊をしている。もちろん人身の被害はなかったわけでありますけれども、どっちかというと、出かせぎの留守のお家が雪おろししないためにつぶれている。こういうことでございますが、とにかくその被害というものは本当に黙視できない状態が、今日でもなお続いているわけであります。そういう意味で私改めて、あえてまた質問を申し上げるわけでありますけれども、先ほど示しましたこの請願、出かせぎ地域の冬期保安要員制度の創設、この保安要員制度というものがどんなにこう重みを持っているかということは、これはやはり現地の方が一番よくわかっていると思うんです。ですから、こうして請願も出てきているんです。これは請願のうちの一つでありますけれども、この松之山の請願は、町長、町会議長、それから町会議員さん全部が署名されておりまして、約二千の署名が集まっております。有権者約四千人の町でありますから、まあ二千人の方々がまず率先して署名をされている。これからもどんどん出てくるだろうと思うんですが、この例を一つとりましても、この地域の方々の保安要員制度に対する要望というものがどんなに強いかということがわかると思うわけであります。  請願の内容についていま詳しく一々御説明申し上げるわけにいきませんけれども、要するにこういう出かせぎ地域というのは、大体冬の季節には孤立をするわけであります。ほとんど部落と部落の交通もとだえるという状態でありまして、したがって、各部落ごとに何人かの冬期の保安要員を置く、それに対して県なり市町村なりが出かせぎに見合った給与を補償する。そしてその要員を確保する、こういう制度なんですね。この制度は昨年新潟県議会でも問題になりまして、論議されまして、これは非常に画期的だということで、県としてもこういう制度をひとつ採用して、ことしから、五十年度から予算も組んでひとつやってみようと、こういうところまできているわけです。私はまあとにかく一つの画期的な前進だろうというふうに考えているわけでございます。  そこで、県としては国に対しても何らかひとつ援助してもらいたい、こういう要請が県からも出ているはずでございます。    〔委員長退席、理事上田稔君着席〕  これは、昨年の六月行われました第二十三回豪雪地帯対策審議会、この審議会でもこの問題が論議をされて、県の代表もこの点では要請をしておるという記録がはっきり出ておるわけであります。この際、こういう制度を国としてもひとつぜひつくってもらいたいと私は考えるわけです。  今度私、参りまして、各部落でいろいろ懇談をいたしてまいりましたけれども、大荒戸という部落では大変たくさんの方々が集まられまして非常に熱心な要請が、陳情がございました。この松之山町の大荒戸という部落は、松之山でも老人自殺が一番高いという部落でございます。ところが、その松之山町自身が新潟県では老人自殺が一番高いと言われている地域でございますから、この部落の老人自殺というのは日本で最高だと見てもいいのではないかと思いますが、この部落での集会では、とにかく老人の方が涙ながらに、この制度ができれば私も死ぬまでここにおられるといって涙を流しながら陳情されました。私も大変胸を打たれたわけでございます。  概況を説明いたしますとそんなところで、時間がございませんから、大体の見当はつけていただいたと思うのでお伺いするわけでありますが、まず最初に、国土庁としては、担当の主務官庁として、こういう制度の創設、つまり地元や県からの要請がございますが、これに対してどのようにお考えになっておるのか、まずその点をひとつお聞きしたいと思うんです。大臣に聞きたいところなんですが、大臣がいなければだれかかわりでも結構ですから、国土庁としての見解を聞かしていただきたいと思うんです。
  70. 岩渕道生

    説明員(岩渕道生君) ただいま先生が御指摘のとおり、新潟県ではそういう制度を実施しておるというふうに聞いておるわけでございますが、一般に補助事業、何か事業を行いまして、それに対して国が補助をしていくということは、一つの施策を進めるに当たりまして非常に有効な手段であるというふうに私どもは思っておる次第でございます。  そこで、じゃそういう補助事業というものが有効に働くのはどういう場合かということを考えてみますと、たとえば道路の除雪事業であるとか土地改良事業あるいは公立学校の施設の整備など、どちらかと申しますと地域的にさほど差異がない、ある意味では物的なと申しますか単純で画一的な事業を進めるには非常に有効であろうと、こういうふうに思っております。  そこで、雪の対策になりますと、御承知のとおりその地域の社会的なあるいは自然的条件によりまして非常に多岐にわたるきめ細かいいろいろな対策を講じなければならない。こういうふうに思うわけでございますが、そういうような場合は、どちらかと申しますと画一的な単純な補助事業ということには比較的になじみがないんではないかというふうに考えております。  たとえば新潟県で実施しております冬期保安要員制度の中に含まれます施策というのは、除雪などの雪害対策のほかに民生対策、過疎対策、出かせぎ対策等、内容が非常に多岐にわたっております。    〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 それから、たとえばそれぞれの対策につきましても、個々の対策は積雪の多い、少ない、あるいは都市的なところかあるいは農村的なところか、あるいは平場であるのか山地であるのかということによりまして非常に変わってくるだろう。すなわち社会的な、自然的な条件によりまして細かい対策がそれぞれ要求されているというふうに考えられます。さらには、それらの事業、たとえば雪国の事業なども入っておりますが、それらの補助事業が実際に実施されたかどうかというような確認についても技術的にむずかしい点がございます。したがいまして、これらの事業はそれぞれの地域の実情に応じまして、地方公共団体がいろいろと工夫していただくという意味では非常に理解ができるところではありますけれども、国の補助事業ということには適していないのではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  71. 塚田大願

    ○塚田大願君 私はだから大臣がいなければだめだというのはそこなんだ。いまの答弁を聞いてごらんなさい。全くお役人の答弁でしょう。こういう答弁を私は聞こうと思っているのじゃないのですよ。やはりあれはむずかしい、これはむずかしい、まあ法律や制度から言ってなじまないとか、むずかしいとかということでなくて、ここは災害対策委員会ですからね。こういう災害、そして人身の被害、こういうものに対して政府としてはどういう暖かい配慮をする気かということを私は聞きたかったんです。まして三木内閣は社会的不公正の是正ということも言っておられる。弱者救済ということも言っておる。こういうところで本当に出かせぎしなければやっていけない、そして留守を守っているのは本当にお年寄りと子供だけだ。そこへ豪雪が来る、雪おろし一つできない。こういうものに対してどういう暖かい手を差し伸べてやるかというのが私は政治だと思うのです。だからいまのような課長の答弁では私は全然不満です。これはですから保留しておきましょう。いずれ大臣がおられるときに私はこの問題について再度質問するつもりであります。  じゃあ次に進みますが、これは課長でもいいですよ、これからの答弁は。  国土庁としては五十年度の予算をどういうふうに組まれているのか。国土庁が出されました五十年度の「豪雪地帯対策関連予算概算要求額」というものを見せていただきましても、毎年の、例年と大して変わらない、こんなものを見せてもらいましたが、しかし大体豪雪地帯対策特別措置法という法律があります。この法律に基づいて各関係省庁の予算全体と いうものを総計したら、大体どのくらいの額になるのでしょうか。それをお聞かせ願いたい。五十年度予算。
  72. 岩渕道生

    説明員(岩渕道生君) 豪雪地帯対策特別措置法に関連しました予算は、非常に範囲が広うございまして、交通通信の確保、農林業務の振興、生活環境施設の整備、国土保全施設の整備等非常に幅が広うございますが、これらの事業につきましては、五十年度予算については現在関係各省が盛んに個所づけを行っている最中でございますので、まだ集計するというような段階には至っておりません。ちなみに昭和四十九年度の予算額で申し上げますと、その額は約三千百五十六億円と見積もっております。
  73. 塚田大願

    ○塚田大願君 これはなにでしょう。三千百五十六億ですが、積雪地方全体の関連した費用であって、豪雪地帯特別対策費というものではないのですね。    〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
  74. 岩渕道生

    説明員(岩渕道生君) はい。特に雪の予算区分といたしまして、そういう区分はございません。それぞれの各省が関連いたしました事業を契約に基づきまして実施をしていく、こういうことでございます。
  75. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃあ自治省に聞きますがね。まあいまも山村豪雪地帯振興課長がおっしゃったように、各省にみんな分かれておる、予算もなかなかつかみにくい、こういう話なのですけれども、自治省としては地方財政に対してどのくらいの援助をしておられるのか、それを聞かしていただきたいと思います。
  76. 関根則之

    説明員(関根則之君) 豪雪地帯につきましては積雪度が高いためにいろいろ除雪費であるとかあるいは庁舎を持っております場合には光熱水費がよけいかかるとか、そういういろんな問題がありますので、そういった経常経費によけいかかり増しがするという点及び建物などをつくりますときにやはり強度を高めておかなければいけない。学校をつくるにいたしましても普通の平場の雪のないところの学校よりも丈夫に構造をしておかなければいかぬ、そういったものがありますので、道路についても同じようなことでございます。凍上を防止するというような点から、価格単価が高くなってまいりますので、そういった投資的経費がかかり増しをいたします。これらを含めまして、いろいろな地方交付税を算定いたしますときの需要額を補正をいたしております。その補正額を総計いたしますと、昭和四十九年度では五百十四億円に相なります。このほかにたとえば昭和四十八年度のように特別の豪雪がありましたようなときには、特別交付税におきまして特に平年度以上にかかりました経費を算定をいたしまして特別交付税として交付をいたしております。昭和四十八年度はその額が六十四億円になっております。四十九年度は金額はこれよりもずっと少なかったというふうに記憶をいたしております。  以上が一般的な交付税上の措置でございまして、このほか私どもの方で特に道路の維持費ないしは道路の拡幅等の問題あるいは除雪機械を購入する必要がある、あるいは道路につきまして融雪施設をつくるというような豪雪地帯の地方団体が特に必要な機械施設等をつくりますための財源といたしまして、一般単独事業債の中に特別豪雪地帯対策分といたしまして別枠を設けまして、そういった資金需要に対処をいたしておりますが、昭和四十七年度から実施をいたしております。四十九年度は三十六億円、昭和五十年度は四十億円を計上いたしまして対処をいたしております。  以上でございます。
  77. 塚田大願

    ○塚田大願君 まあ自治省としてはそれなりにいろいろ努力をされておると思うのですが、しかし、なおかつ現地を見ますと大変なことなのですね。そこで、私はやはりこれは地元からの要請も出ておりますけれども、豪雪債の制度をひとつ何とかしてつくってくれないかという問題であります。いまの交付税の積雪調整だけでは余りに少ない。これはまあ人件費だけしか見てくれない、こういうことではどうにもならないので、何とかその豪雪債の枠をひとつ設定してくれというのが地元での大変強い要望であります、県としても市町村としても。しかもこの問題は、先ほど申しました昨年の六月の豪雪地帯審議会でもこの豪雪債の枠の問題がやはり論議をされておるという状態でございますが、自治省としてもこういう積極的な姿勢をひとつ打ち出してもらいたいと思うんですが、その点ではどうでしょう。
  78. 関根則之

    説明員(関根則之君) お話のございましたような要望が地元から非常に強く出ておりまして、特に融雪施設を最近つくるところが非常に多くなってきております。通学の道路建設費ではそれがまかなえない。一般の財政措置では間に合わないというようなことから、特に道路関係を中心にして豪雪市町村から要望が出されておったわけでございます。  そういうものを背景にいたしまして、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、別枠の起債を豪雪市町村のそういった事業のために設けまして、当初二十億だったと思いますが、それがだんだん拡充を見まして、今年度、昭和五十年度では四十億にまでなっております。私どもとしては、今後引き続きこのワクをさらに広げていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、ただいまお話のございました趣旨は、むしろ枠の設定はすでに済んでおるわけでございますが、それに対しまして、現在辺地債とか過疎債という制度がございまして、一たん起こしました起債の元利償還を交付税で見るという制度があるんでございますが、この豪雪枠に対しましてもそういった裏負担を交付税で見てくれと、こういう要望が最近出てきているわけでございます。しかし、この問題につきましては、お話はよくわかるわけでございますけれども、やはり交付税で裏負担をするということになりますと、ほかのいろいろな似たようなケースとの均衡も考えていかなければいけない。また当該市町村の財政事情等も考えざるを得ない。たとえば過疎市町村で申しますと、単に人口が減少しているものについて見るというんじゃなくて、財政力が非常に低い団体だけを拾ってみておる。こういうような制度をとっておるんですが、豪雪の場合にそういった区分けがうまくできるかというような問題もございます。いろいろな事情から、私どもとしてはなかなかそういった交付税で元利償還金を見るという制度をつくるということに実は踏み切れないでいるわけでございます。  ただ、現在特豪地帯に指定されております市町村の数は、全部で百九十二市町村ございますけれども、このうち十六市町村を除きまして、あとほとんど九割を超える市町村はすべて過疎市町村または辺地を有する市町村になっております。したがって、過疎債、辺地債の適用が受けられますので、大体道路等もその中に含めて起債を起こすことができるというような制度になっております。私どもとしては、むしろそういうことで九割以上をカバーしておる過疎債、辺地債、これを毎年充実をいたしておりますが、今後ともこれらを充実することによって、そういった豪雪地帯市町村に対する財源措置というものを強化をしてまいりたい、これを活用してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  79. 塚田大願

    ○塚田大願君 この問題は、自治省としてもいろいろ苦労されていることは私も知っております。しかし、なおかつたいへん強い地元の要請もございますから、これは今後ともひとつ検討していただきたいと思うわけです。  次に大蔵省にお伺いしたいと思うんです。まあ、いまお聞きのとおりであります。いろいろ自治省としても苦労しているけれども、なかなか思うようにいかないということでありますが、しかし地元から言いますと、この程度、いままでの程度の援助では全く何にもできないんだということでございますので、私は大蔵省にお伺いするんですが、大蔵省の場合には所得税の豪雪控除というものを設けられてはどうかと思うんですが、この点はどうでしょうか。この問題も、豪雪地帯対策審議会ではしばしば意見として出てくるわけですね、豪雪控除を設けてもらいたいということで、所得税の。この点はどうでしょうか、大蔵省。
  80. 水野勝

    説明員(水野勝君) 先生の御指摘の豪雪控除の点でございますが、先生のお話のように、かなり長い間いろいろ御要望あるわけでございますが、その点につきましては、税制調査会からもまたたびたび答申をいただいておるわけでございますが、何と申しましても、豪雪控除というような個別的な、いわば地域的なそういった事情を税制上一般的な制度としてそれを取り入れるということにつきましては、なかなかどうも難点がある、やはり一般的な課税最低限なり基礎控除の水準として考えるのが筋ではないかという答申の考え方でございまして、私どももそういう方向で処理、対処していくのが妥当ではないかと考えておるわけでございます。
  81. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまおっしゃっているのは、要するに基礎控除を広げていくということなんだと思うのですけれども、しかし基礎控除というだけではやはりこれはもう無理なんで、限度がありますから無理でありまして、やはり豪雪控除というふうな制度をひとつやはり思い切って設けなければ、実際この豪雪地帯のいろいろな問題というのは、困難というものは私は解決できないのじゃないかと思うのです。この点も、ここでこれは繰り返し繰り返し論議がいままでもされているところでありますから、あえてここでまた繰り返す必要もないし、また時間もありませんから、この点でも大蔵省としては、もう非常に強い要望があるんだということを頭に認識していただいて、ひとつ今後もっと積極的な姿勢で対処していただくことをひとつ要望して次へ進みます。  私、時間がないので、本当に駆け足で、私自身も大変意を尽くさないし、政府の皆さんも何となく言い足りないというふうなこともあるかもしれませんけれども、その点は御了承いただいて、次に建設省にお伺いします。  建設省の場合、これは昨年の私の質問でも質問したわけでありますが、主要道路の確保の問題ですね。今度行きまして陳情をいろいろ各部落で受けてみましたけれども、実に道路の確保という問題ではどこの部落も頭を悩ましているというのが実情です。私が行きました田麦立という部落でありますけれども、ここでは、この写真はありませんけれども、一番雪が降ったとき、電柱についている電灯ですね、いま螢光灯ですが、この螢光灯が埋まってしまう。そこでその螢光灯は雪に埋まって切れてしまう、こわれてしまうことを心配して、その螢光灯を掘り起こすのだというのですがね、その道路についている電柱の螢光灯を。そんなぐらいのところになりますと、とにかく道路が途絶をする。もちろんしかし、いまあの町にも雪上車もありますし、ブルドーザーもありまして、何とかかんとか交通だけは確保するように努力しているようでありますが、しかしこの除雪機械ですね、そして除雪費用、これが町としても、部落としても大変な苦労をしておる。この松之山町では国道三百五十三号線が走っているわけであります。一応この国道だけは何とかなっておりますけれども、部落に通ずる道になったらもうほとんどこれはどうにもならない。こういうことで、私、昨年も質問申し上げましたが、当時もその道路の確保は強化していきたいと、こういうふうにおっしゃっておられたんですが、この辺の問題が建設省としてはこの一年間どのぐらい進歩、前進されましたか、その経過若干お聞きしたいと思うんです。
  82. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) お答えいたします。  建設省では雪寒地域の冬季の幹線道路の交通確保ということを中心にいたしまして雪寒事業を実施しておるわけでございますが、昨年の大雪、それからその前の雪、ここ数年急に雪がふえてまいってきているわけですが、御承知のように昨年の三・八豪雪の際のあの大雪の中で直轄区間初め、各道路管理者の所管しております除雪計画区間につきましては、冬期間ほぼ除雪目標水準を確保して、大体冬季の交通幹線を確保できたわけでございますが、まあこの冬季交通確保に対する雪国の皆さんの御要望というのは非常に強いわけでございまして、あれでまだまだ十分というふうには考えておりません。私どもも逐年この除雪事業を中心といたしました雪寒事業のレベルアップをいたしておりまして、数字的に申し上げましても除雪事業といたしましては四十九年度、五十三億でございまして、これを五十年度は六十七億ばかりに拡大いたしておりまして、伸び率にいたしまして一・二六倍ということでございます。御承知のように道路事業全体といたしましては四十九年と五十年の比では〇・九四ということで六%ダウンの事業費でございますが、その中で雪寒事業の中の特に除雪事業につきましては二六%の伸びというような重点を置いてやっておる次第でございます。そのほか制度的にも幾つか御要望があった中での消雪パイプに対する電力料の補助対象化というような御希望もございましたので、そういう問題も一部実現できました。そういうようなことで逐次除雪事業の水準アップを考え、実施しておる次第でございます。
  83. 塚田大願

    ○塚田大願君 まあ建設省もそれなりに一生懸命にやっていらっしゃることだと私は思うんですが、しかし、なおかついまの予算の数字を聞きましても、一・一六倍、いまのインフレの高進を考えますと、決して多くなったと言えるかどうか、これはやはり非常に問題だと思うわけです。しかし、なおかつひとつこれからもそういう面での積極的な対処をひとつお願いしたいと思うんです。  次に厚生省、これも昨年いろいろ身体障害者の世帯の問題、雪おろしの問題などいろいろお願いしたと思うんですが、やはり今度も行ってみまして、そういう身体障害者の世帯であるとか、あるいは老人世帯、母子世帯などが実に雪おろし、まあ雪おろしだけじゃないんですが、一番やはり目立つのが雪おろしという問題なんですが、大変苦労されておるんです。やっぱりこの点でももう少し、たとえば先ほど申しましたように、留守家族の世帯、老人が一人だれも見守ることなく豪雪の下で死んでいかなければならない、こういう状態を何とかひとつもう少し解決できるような方法を私は講じていただきたいと思うのですが、この点、厚生省、いらっしゃいますかな。
  84. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 昨年も先生から御質問があったところでございまして、そのときの先生がお挙げになった例といたしまして、消雪パイプの設置について何とかならないかというお話でございまして、私どもでもいろいろと検討をしてまいりましたところ、消雪パイプにつきましては、どうも現在のところ一般には普及していないようである、それから建物の構造などが一定の構造でないと消雪パイプをつけることもできないというふうなことで、必ずしも普及はしていないということでございますが、そういった場合には世帯更生資金の活用を図ってまいるようにということで、県に指導しております。世帯更生資金の金額は住宅資金の場合でございますと五十万円ということになっておりまして、私ども調査では大方の方々の場合には五十万円の範囲内で消雪パイプを取りつけられるのではないだろうかと、かように考えているわけでございます。それからこの世帯更生資金のうちの住宅資金につきましては、現在財政当局と協議をいたしまして、本年度中四〇%余りの引き上げを行いたいと、かように考えております。
  85. 塚田大願

    ○塚田大願君 世帯更生資金でいろいろやっていきたいとおっしゃるのだけれども、やっぱりそれだけではこの問題がなかなか解決しないのですね。やはりそれはいまもおっしゃったように消雪パイプだってそう簡単に取りつくというふうなものではない。やっぱり一番手っ取り早いのが雪おろしと、人間の力による雪おろしと、こういうことになるわけですね。そういう意味からも先ほども請願がございました冬季保安要員がおれば、部落に何人かいれば、そういう世帯を選んで雪おろしをしてやれる。こういう点では非常に合理的だと私は思うのですね。そういう意味でも私は保安要員制度というものが非常に大きな役割りを果たすことができるだろうと考えておるわけです。ですからまあ厚生省は厚生省としてそれなりにいろいろ世帯更生資正の問題を心配していただいて結構だと思うのですが、なおかつそれだけでは足りないという点をひとつよく考えていただきたいと思うのです。  それからあと、文部省と農林省にお聞きしたいので、話を進めますが、文部省にお伺いします。  この文部省に対しても昨年いろいろ私、子供の通学の問題で質問を申し上げましたが、除雪の問題で、学校の門の除雪のことです。今度行きましたらやはりこの豪雪地帯では学校の校庭の除雪という問題ではなくて、まず通学路の確保ということが非常に問題になっているわけですね。子供が朝、その部落から学校、かなりやっぱりいま学校が統合されておりますので、こういう過疎地域では。二キロなり三キロなり小さな子供が、小学校一年生の子供が通わなければならない、とても足では通い切れない。そこで部落としてはまずブルドーザーを出して雪を固める。そしてその上を雪上車を走らして子供をそれに乗せて往復させる、登校、下校やらせる。こういう方法で子供の通学路を確保しておるわけでありますが、まあ道路の問題ということになりますと、建設省ということになるかもしれませんが、やはり子供のこの教育のための通学路——通学ということになればやはり私は文部省も大いに関係してくると思うんですが、    〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 そういうブルドーザーや雪上車を使うということになりますと、当然機械の費用もさることながら、それには父兄の中からそういう送迎のための人をつけなければ、小学校一年生や二年生の子供は危なくてとてもほうっておけないわけで、そういう人件費などもわずかだけれども出しておる、こういうところもございます。したがいまして、こういう豪雪地域の子供の通学の問題、そういう問題もひとつ改めて考えていただく必要があると思うんですが、そういう点では何か文部省としては考えておられる面があるかどうか、それをお聞きしたいと思うんです。
  86. 大井久弘

    説明員(大井久弘君) 先生御存じのとおり、児童生徒の通学というのはほとんどのものが当該地域及び市町村道に依存しているという実情でございます。したがって、市町村道における除雪に対して何か対策を講ずるという点から見ますと、これはむしろ文部省の所管というよりもよその省庁の所管ということになろうかと思われますが、文部省といたしまして講じております対策というのは、直接道路の除雪対策ということではなくて、むしろ豪雪地帯におきます児童生徒の通学の困難を緩和するということから、分校あるいは寄宿舎等が設けられている例が非常に多うございます。したがいまして、その分校あるいは寄宿舎の施設を建てるものにつきましては、その施設費について相当な補助率をもった補助を行うということ、さらにはその寄宿舎に居住する児童生徒の居住費につきましても補助をするというような対策を講じているところでございます。また学校の中につきましては、一般的には地方交付税の措置によりまして除雪費につきます措置が行われているわけでございますが、特別な豪雪に際しましては、除雪事業に特に費用が平年に比べて著しく多額であるというようなものにつきましては、法律に基づく財政援助という形での補助が行われているところでございまして、昨年の、四十八年の十二月から四十九年の三月までの豪雪に際しましては、新潟県の守門村に対する補助が行われたところでございます。
  87. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま文部省としては分校とか寄宿舎なんだとおっしゃるんだけれども、たとえば田麦立というところに分校があったんですね、それが統合されてしまって、なくなって遠くまで通わなければならないという逆の現象が起きているんですよ。そういうところほ子供の通学をどうやって確保したらいいかと、こういう問題なんですがね。これもなかなかいろいろ各省の関係もあるかもしれませんが、これは文部省も私はそういうところの実情を少し調べていただいて、そういうところにはどういうふうな援助をしたらいいか、これはひとつ少し研究していただく必要があると思うんですがね、そのことをひとつ要望しておきます。  最後に、時間もなくなったようでありますから農林省にお伺いをします。  これも去年の質問で私聞いたんですが、苗代の除雪の補助金の問題、これもいろいろ当時聞きましたが、やはりことしも行って聞いてみますと——聞いてみるというより、実際に二、三メートルの雪を除雪して苗代をつくっていく、その労苦たるや大変なものだと私もつくづく思いました。ところが去年の質問のときにも、大体農林省としては苗代の除雪は反当たり一万二千二百六十二円の補助をしておると、こういうお話でございました。これは反当たり一万二千二百六十二円ということになりますと、坪にして四十円ということになりますが、実際行って聞いてみますと農家は二十円しかもらってないと、こういうわけなんですね。それで、四十円国から出ていると、実際に二十円しかいかない。その間、いろいろ町としての費用やその他のものを見ているかもしれませんけれども、こういう実態で、たとえばある農家でありますが、八畝の苗代をつくっている、八畝で坪二十円でありますから一千六百円の補助をもらっていると、こういうことなんです。しかし、とてもいまどきの千六百円ではその除雪というものはとてもできる話ではないので、いただくことはいただくけれども、これじゃどうにもならないというのがこれが農民の皆さんの本音のようでありました。しかもこの補助というのは昨年、四十九年のだけだったと思うのですが、特別の豪雪のときだけ、やっぱりこれは毎年そういう点では農林省としても何とか援助をすべきではないかと思いますし、もう一つは単価も反当たり一万二千円というのではとても、少なくとも五、六倍でなければ援助ということにはならないのではないかと思うのですが、これについては農林省どんなふうにお考えですか。
  88. 工藤健一

    説明員工藤健一君) ただいま先生の御指摘は二つありまして、一つは除雪費等の苗代対策に対する単価の問題と、もう一つは毎年そういう組み方ができないか、こういう二つのお尋ねでございますが、いままで実は昭和三十二年、三十八年、四十年、四十三年と、ずっと豪雪時の水稲の苗代設置がおくれる場合に、除雪をしまして共同苗代、委託苗代等の設置を進めてきたわけです。最近は御存じのように田植えが機械化されまして、いわゆる機械移植用苗が必要になってきておりますので、私の方といたしましては先生指摘の単価を上げるという意味も含めまして、機械移植用苗の硬化ハウスの増設を入れまして、昨年の苗代対策を組んだわけでございます。中身は御存じのように除雪費とか用地の借り上げ費、保温資材費、苗の輸送費等の経費になるわけでございますが、先ほど先生指摘の十アール当たり一万円ないし一万二千円というのは実は共同苗代設置の補助金でございます。委託苗代は全部で、若干、いまトータルの金額ですが、二万一千七百四十八円ぐらいになっております。それから最後に私が申し上げました機械移植用苗の、これは共同育苗になるわけでございますが、これの機械移植用の稚苗と申しますが、それをつくる硬化ハウスの費用全体が十アールにしまして——地域によって違いますが、六万一千四十円から十一万五千二百円という形に相なっております。もちろんまだ全地域が硬化ハウスをつくるわけではありませんが、そういう形で次第次第にふやしていきたい、こういうふうに考えて、今後ともそういう線で進ましていただきたいと思っている次第であります。  それから第二の点の四十九年度だけで、毎年という御指摘でございますが、先生御存じのように、苗代対策は、これはほかの災害とも一緒だと思いますが、発生した被害の程度とか広がりとか、稲作農家に及ぼす影響、さまざまのそういうことを総合的に判断しまして対策を講ずる。こういうことに決まった場合に予備費とか、それから流用で対処した、これは昭和三十二年、ずっとそういうしきたりをとっているわけでございまして、そういう対策を講ずることになった場合には、先ほど第一段に申し上げました単価をなるべく上げるような形にいたしていきたい。したがって、当初予算には計上いたしておりませんで、予備費か流用で対応する、こういう形になっているわけでございます。
  89. 塚田大願

    ○塚田大願君 一問だけ。もう時間も来まして大変御迷惑をおかけいたします。  いまのあれ、一つだけ質問したいんですが、その単価の引き上げの問題は一応わかりました。一応これからもひとつ努力していただくと。ただ補助、四十九年だけでなくて毎年という問題ですが、雪は毎年確実に降るんですね。ですから降ってから予備費で云々というのでなくて、私はやはり最初データも申しましたように、去年とことしはほとんど同じぐらい降っている。それで一般には何か雪が少ないんだと言われているような、そういう印象になっておりますけれども、事実はそうではない。したがって、やはりこういうところに対しての予算の組み方というのは、私は予備費ということでなくて、やはり予算の中にきちっと組んでしかるべきではないかと思うんですがね。これも今後の課題でひとつしていただいて、いろいろ御検討を願いたいと思うんです。  以上で私の質問は終わります。
  90. 中村英男

    委員長中村英男君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  91. 中村英男

    委員長中村英男君) 大分県中部の地震対策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  92. 岩男頴一

    岩男頴一君 これはすでにもう前回の当委員会で質問されたことでございますし、また時間も三十分でございますから、きわめて重要な点の幾つかにつきまして御質疑をしたいということでございます。  御承知のように、去る四月の二十一日の午前二時三十七分に直下型の地震が大分県の庄内町以下五カ町を襲ったわけでございまして、庄内町の内山地区を中心としまして西北西方向に約二十キロ、北北東方向に約十キロの長円形の範囲でいわば稲妻が走ったというふうなかっこうで長方形のこの範囲内にひどい打撃を与えた直下型の地震でございました。当初測候所の予報は、新聞とかテレビで非常にとんでもない方向が震源地であるということが発表になりました。震源地から約百キロぐらい南東の方向の祖母、傾山の付近であろうというふうな報道がなされました。しかも震度は四というふうな発表でしかなかったわけでございますが、その後次々に報告がされるに従いまして、しかもこの深さは四十キロというふうな発表になったわけでございます。ところが、その後ただいま申し上げました地区が侵されたということでございますし、震源地、いわゆる深度も二十キロというふうに訂正をなされましたが、その後繰り返し余震がいまも入っておりますが、当時のこのような測候所の地震の予知といいますか、発表に誤った発表をなされますと、地域住民は非常に余震の来るたびに恐れおののいておるというようなことでございまして、私ども日本が地震国でありながら、いま少しきちんとした震度あるいは予知というようなものについての設備が日本でできないものであろうかというふうに、これは余談でございますが、心配したのでございます。自民党の政調の委員会の皆様と一緒に直ちに参りまして、その後二回ほど現地に行ってみましたら、通常の風水害の災害と違いまして、阿蘇火山帯でございますから、PH四というような非常に酸性土壌の火山灰地帯であることも原因をしておると思いますけれども、耕地にしましても、林地にいたしましても、あるいは宅地にいたしましても、ほとんどもう土の粒子がばらばらになったというようなかっこうでございまして、手でみなすくえる、こうやりますとぱらぱらと落ちるというふうなかっこうにこの長円形の二十キロと十キロの範囲内はなっておるわけでございます。したがいまして、通常の風水害の災害に対します損害というようなものの、これは当てはめようがないからそれにしておるわけでございますけれども、損害の出しようがない。たとえば家屋にいたしましても、通常家が建っておりますとこれは半壊でございますが、このいわゆる直下型の地震の場合は、行ってみますと、全然基礎がだめになっておる、地盤がだめになっておる、そうして家が建ってはおりますけれども、はりも何も全部ずれてしまっておるというかっこうでございまして、これを壊して、そうして地盤を直して新しく新築をしなくちゃならないというふうなことでございます。これは普通災害であれば半壊ということで簡単に片づけられますけれども、むしろこの地震の直下型でありますと事はめんどうであるというふうになっておるのでございます。たとえばホテルが倒れましたけれども、これの取り壊しに一年間かかるそうでございますが、約三億円、そうして新しく数十億円かけてまたつくらなくちゃならない。火災等よりもよほどめんどうだということでございます。  そこで国土庁にお伺いいたしますけれども、聞くところによりますと、県も地元も非常に要望しております激甚災害の指定の問題でございますが、七月ごろではなかろうかということでございますが、これは確かでございますか。
  93. 横手正

    政府委員(横手正君) 大分地震関係の被害の状況につきまして、現在農林省のほうで査定を進めておられるところであります。ただ、かなり奥地まで被害があるというようなこともございまして、査定は最大限努力されて七月末までかかろうかと、こういうような見通しのように伺っております。こういうこともございますので、私ども農林省とも相談しながら査定結果を待って検討いたしたい、かように考えております。
  94. 岩男頴一

    岩男頴一君 この五月二十四日の五カ町の合同会議によりまして、私その資料をもらってきたのでございますが、約百七億という金額が、五月二十四日現在でございますが、恐らく国土庁等に入っておりますこの損害額というのはもっと前の被害額であろうと思うわけでございます。  そこで林野庁関係にお伺いをいたしたいのでございますが、いま審議官はこの激甚地の指定につきましては、これは後刻農林省あるいは林野庁等の被害の総額が出てきたら、それから検討するということでございますが、この五月二十四日現在の五カ町の被害の状況というものを見ますと、これは実に丹念に各町とも係が調べておる資料であろうかと思いますが、林地のたとえば地すべりだけでございますが、これが庄内町で四十カ所、二十八ヘクタール、それから湯布院で三十六カ所、十八ヘクタール、それから九重町は九十八カ所で五百十二ヘクタールというふうな面積でございます。県の方から聞いたところによりますと、地すべりによる防災関係では現在この三つの町だけでも約二百カ所程度の林地の地すべり地区があるわけでございますが、いま県の方はそれぞれ国の方と耕地、道路あるいはまた緊急治山事業によります緑化あるいは砂防関係等話をしておりますのが三十七カ所でございます。そのうちで耕地、道路が四カ所それから緑化、緊急治山事業で応急に六カ所やろうということでございます。それから砂防が、一応県の砂防課が手がけてやっておりますのが、緊急で計上しておりますのが五カ所、それから県単が三カ所でございますから、したがいまして、いま簡単に三つの町だけで丹念に調べました林地の地すべりの約二百カ所のうちで三十七カ所を県が拾い上げている。そして、その三十七カ所のうち十九カ所は人家の不足とか、あるいは高さの不足というようなものでこれが当てはまらない、つまり手当てができないという状態でございます。ここに被害写真がございますからごらんになっていただきたいと思いますが、林地にいたしましても、これは先ほど申し上げましたしたように、高度の火山灰地、そしてまた、直下型によりますところの恐らくマグニチュードは七以上であったであろうというふうに直撃を受けたところの人たちは言っておりますが、したがって、この山林が地すべりをしておりまして地はだが露出をしておりますところだけでなくして、森林地帯に入ってみますと、木は立っておりますけれどもみんな根っこが浮いておる、そうして第二次、第三次の地割れがたくさんしておる。第二次、第三次の災害を必ず起こすであろうという、そしてまた膨大な面積の林地があるわけでございます。これは後刻写真を見ていただくといいのでございますが……。したがって、私が国土庁にお願いいたしたいのは、なるべく早く、これは大体いまの被害額でも大丈夫だ——大丈夫というのはおかしいわけでございますが、これは一応激甚地の災害の指定がされるというような判断がつくならば、まあひとつ出そろったらとかなんとかおっしゃらずに、これは奥山へ行けばまだまだたくさん出てくると思いますので、どうぞひとつなるべく早く激甚地災害の指定をしていただいて、そうして、それに対してそれぞれの基準に合った対策を講じていただきたい。  それから、時間がありませんから、大急ぎで要望だけを申し上げますが、いま一つは第二次、第三次災害が、これは必ず大災害が起こりますが、起こった場合に、今度の直下型の地震の激甚地災害のその適用をしていただきたい。これは当然この広大な範囲の面積の林地を今後治山をするとなれば数年間かかるであろうと思います。急いでも数年間かかる。予算上の問題もあります。したがって、そのような処置をとっていただきたい。  そこで、いま一たび国土庁にお聞きをいたしますが、少しでも早く激甚地の災害の指定をするというのか、やはり慎重におやりになるのか、お聞きをいたします。
  95. 横手正

    政府委員(横手正君) 激甚地の指定の制度は御承知のとおりでございますが、その趣旨とするところは被災に遭いました市町村の財政の援助、こういうことになります。また、これは精算補助というような形で翌年度に見られるという形が原則になっております。したがいまして、従来の慣例からいたしますとかなりおくれて——大体年が明けまして正式の指定をするというのが通常でございますが、しかし、それではやはり被災の市町村は安心しておれないという面もあろうかと思います。そういうこともございますので、林野庁さんの方とも相談いたしまして、査定結果が出ました段階で該当するという見通しが立てば内定の御連絡等そうした適時適切な方法でも考えてみたいと、かように考えております。
  96. 岩男頴一

    岩男頴一君 では、お願いします。よろしくお願いいたします。  今度は、もう時間がございませんから、したがって、農林省の耕地関係の方にお伺いいたしますが、やはり林地と同じような理由でございまして、私のいま手元にあります被害総額は五カ町で十七億円という数字が出ておりますが、この耕地の被害を見てみますと、庄内町で一筆ごとの調査をしたそうでございますけれども、五百四十カ所百四十八ヘクタールという田でございます。湯布院が千百七十三カ所四十二ヘクタール  この四十二ヘクタールで千百七十三カ所というこの被害地の数はえらい多いんじゃないかというふうに調査をしてみましたところが、なるほど通常の——これは五カ町の山間部が侵されたわけでございますが、したがいまして、段階状の田でございますが、鉄砲水か何か出てざあっと線状に畦畔等が流れたというのじゃなくて、なるほど現場に行き、そしてまた写真等を見、被害調査をした人たちの話を聞きますと、ずたずたにやられておるわけでございます。ずたずたにやられておりますから、したがって、これを在来の耕地災害というふうな考え方でこれを復旧したのでは、これは全然水もたまらないし、ちょっとした雨が降っても第二次、第三次災害を起こしまして田としての効能はないと思います。したがって、農林省の関係の方にお伺いいたしますが、農林省としては、このような珍しい直下型の地震によって土質がばらばらに壊された、そして四十二ヘクタールの被害の耕地面積の中で千百七十三カ所も畦畔その他が侵されておるという状態でございますが、いかなる方法でこれをひとつ復旧するのか、どういう技術でやるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  97. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 農地等の崩壊個所につきましては、コンクリートのブロック等十分な強度を持った工法によりまして畦畔の復旧を行いまして、また農地の亀裂につきましては心土の突き固めなどの工法によりまして漏水を防止しまして再度災害のないように適切な工事で実施してまいりたいというふうに存じております。  また災害復旧は原形復旧ということが原則でございますが、いま御指摘のように相当ずたずたにやられているということでございまして、農地等の崩壊、埋没等がはなはだしくて原形に復旧することが著しく困難または不適当な場合には農地の区画、形状を変更、整理いたしまして復旧することができるということで、現地の状況に応じまして対応したいというふうに存じております。
  98. 岩男頴一

    岩男頴一君 ただいま農林省の方から、場合によっては防災を兼ねて機能回復というような方向に持っていこうというような意味合いのお言葉でございましたが、ぜひともそのようにしてやっていただきたいと思います。それは地区によって違いましょうが、県の方に、このような復旧で、こういうふうにひとつやったらどうかというような指示をやっていただきたい、これはしておるかもしれませんけれども。そういうことによって、恐らく県の方もまた地元に対しましての指導も変わってこようと思いますので、ぜひともそのようなかっこうで復旧をお願いいたしたいと思います。  それから、大急ぎで参りますが、自治省にこれはどなたかお願いいたします。  災害が発生いたしましてから自治省はいろいろとこの問題について御配慮をいただいておると思いますが、どういうふうな手当てをしたか、お知らせを願います。
  99. 今井実

    説明員(今井実君) 今回の地震で被害を受けられました関係町に対しましては、非常に資金繰りにもお困りでしょうから普通交付税を繰り上げて交付するということにいたしました。内容的には本来六月に交付すべき交付税の一部を五月二日に、今月の二日に繰り上げて交付をいたしてございます。
  100. 岩男頴一

    岩男頴一君 交付税を繰り上げて交付していただいたということでございますので、関係各町がいろいろな資金繰りに非常に便利がよくなってきたと思いますが、ここでいろいろとお願いをいたしたいのは、また実情を聞いたことを御報告申し上げますと、ある町ではすでにこのいわゆる対策費として、事業費、旅費あるいは時間外手当、いろいろなものが要ったと思いますが、自主財源二億円程度の町ですでに二千五百三十万円使ったと言っております。これは明細に、もちろん公費でございますから記録はあると思いますが、しかもこの住宅等の破損の問題でございますが、いまプレハブをつくって住んでおるのが罹災民のほとんどでございますけれども、これも余震のたびにすぐ飛び出すというようなかっこうの生活をしておりますので、早急にやはり住宅を建てなくちゃいけない。これは被害を受けた地方自治体の首長としては当然、その強い罹災民の希望があれば、これを受け入れざるを得ないと思います。ある町のごときは、市中銀行から一億五千万円の十五年の借り入れを計画しておるそうでございます。そして、これを一応八分八厘の金利を八分五厘というふうに銀行さんにまけてもらっておる、そうして十五年で、一年半の据え置きで、そうしていわゆる十三年半で八分五厘の元利を払っていく。大体各破壊をされました住宅を失った人たちに四百万円程度融資をするということを——これは自治省から考えますと、これは余裕財源があったとか、あるいはそういうことは行き過ぎではないか、国の手厚い看護を待ってやるべきであろうというふうにおとりになるかもしれませんけれども、これは援護資金、いろんな問題を見ましても、僅々百万円程度しか貸し付けはございませんから、これはやはりあのようなひどい天然の災害、天災を受けた地域住民の幸福を願うならば、やむを得ず苦しいいまの地方財政から、やはりある程度利子補給をしなくちゃならないということで、三分五厘の利子補給をするということを決めたんだと。それはやらざるを得ない。そうしますと、一億五千万で三分五厘でございますから、約五百二十数万円の毎年利子補給をしてあげなくちゃならない。しかもこれは農家の住宅、納屋というような農家の被害者の場合だけでございますので、したがってここに商店あるいは観光地と言われます町でございますと、旅館、ホテル等が壊されますと、やはり将来同じようなことを考えてやらなくちゃならない。そこで、これはこの苦しい町村の地方財政の中で、超過負担とは厳密には言えませんけれども、必要悪と言えば必要悪、悪と言えばこれ必要悪でございます。しかし私どもは、これは地方団体のやむにやまれない処置によってなされたに違いはないと思います。あれこれ考えまして、ひとつこのような問題が出てまいりましても、自治省としては大きな温かい気持ちでこれを見守っていただいて、そうしてこういう被災地の町村の味方として、こういう問題を温かい目で見守ってやって、そうしてできるならば特交等で許される範囲内で援助を与えてやってほしいということを重ねてお願いをするわけでございますので、御所見を賜りたいと思います。
  101. 今井実

    説明員(今井実君) ただいま具体的にお挙げになった例につきましては、私もまだ承知しておりませんので、現地からまた詳しいお話を伺ってみたいと思います。  それはそれといたしまして、今回の地震で被害を受けました県並びに関係各町、いろんな目に見えない財政需要が急増いたすわけでございますので、今後の財政援助措置につきましては、被害状況並びにこれらの団体の財政状況等勘案いたしまして、今年度の特別交付税におきまして財政運営に支障を来さないように十分配慮をしてまいりたいと、かように考えております。
  102. 岩男頴一

    岩男頴一君 最後にいま一たび国土庁にお願いをいたしますが、えびのあるいは昨年の伊豆、最近直下型の地震がふえてまいったような傾向でないかと思いますが、今度の大分のこの直下型地震は、伊豆の地震を見られた方が来られまして、はるかに損害が大きい、規模が大きいということでございます。それからいろいろ言われておりますが、川崎、横浜、こういう地区からも続々と視察が参っております。したがって、直下型地震というものが将来起こり得るんではなかろうかという不安が、日本に私は国民の間にうんとふえておるんじゃなかろうかと思いますが、またその要素もあるような気がいたします。ところが、残念ながら直下型地震を含めまして、地震に対しますところの災害あるいはこれに対しての査定とか見積もりとか、あるいはこの被害に対します補償とかいうようなものはないわけでございます。いままでの通常の風水害等による災害によりますものに準じておるということでございますから、先ほど住宅の問題につきましても、見た目には半壊にも見えないけれども、わざわざ壊してこの事業までやらなくちゃならないというような状態。それからいままで申し上げましたように、耕地にいたしましても林地にいたしましても、たとえば耕地の地割れでございますが、牛の入るような地割れもあるかと思いますが、当時でございますからレンゲが生えておりましたが、レンゲをはいで見ますと、無数に地割れがあるというようなかっこうでございます。林地におきましても、木は何とか立っておるけれども調査すればするほど地割れがどんどんあって、ぼくぼくになっておるというかっこうでございます。しかも、地区に、電気が走ったように、その電気の走ったような震源地の上だけがひどい災害を受けるということでございますから、在来の土木あるいは農林の激甚地指定の機構にはなかなか合わない。今度のこの大分県の中部地震の場合は、特に、この五カ町のそれぞれの町の一部の山の中の一番へんぴなところがちょうどこの二十キロと十キロの楕円形の中に入っておったというかっこうでございますから、したがってやはりこういう直下型の地震等はこのようなかっこうで今後も来ると思いますから、したがって、国土庁の方では、やはり在来の災害、風水害等の災害等に合わせるというようなことでなくして、何かやはり政令なり法令なりをお考えになって そしてこの地震あるいは直下型の地震等については、何か別法をつくるような方向にしなければ、災害の査定あるいはそれに対しましての今度はそれの工事の施工とかいうような問題で困るんでなかろうかと私どもは思います。国土庁はそのようなお考えがありますかどうか、お伺いいたします。
  103. 横手正

    政府委員(横手正君) 今回の大分の地震の被害状況でございますが、本日伺いますと、百億を超えるというような額のように承りました。私ども五月の二十一日現在の資料を持っておりますが、これによりますと、まだ当時で六十億、市町村の報告で六十億余りではなかったかと思います。と申しますことは、いま先生指摘の山地部における被害がその後ふえてきておるんじゃないかというふうに思われます。恐らく、私ども五月二十日過ぎの被害で検討いたしておりましたので、その後の被害の増加を見まして、激甚の指定等については検討を続けてまいりたいと、かように存じます。  それからなお山地部で先生のおっしゃられるような被害状況だと存じますが、そこで私どもやはり二次災害、特にもう九州地区では梅雨に入ったようでございますが、今後集中豪雨的なものに見舞われての二次災害の発生の危険もかなりあろうかと思われますので、建設省、農林省、急遽集まっていただきまして、特に二次災害の発生が起きないよう特段防災事業の推進に努力してほしい旨の連絡をいたしております。建設省、農林省では、それぞれ最大限努力を現在続けておられるところでございます。将来、私どもも伊豆地震あるいは大分地震、こうしたものの状況を今後の防災体制の進め方に当たっては参考にさしていただきたい、かように思います。
  104. 岩男頴一

    岩男頴一君 それから、中部地震とは別でございますが、去る五月二十六日の午後零時四十分に大分県にひょうが降りました。主として大分県の大野郡野津町というのが広く葉たばこ等が侵されたわけでございまして、昨年も大野郡には発生をいたしましたが、そのときの被害は一億数千万円でございましたが、今度は野津町だけで二百四十二ヘクタールのうち八十五ヘクタールが全滅でございます。それから二十ヘクタールが五〇%の減収と見られておるわけでございまして、ここは特に葉たばこを専業としておる農家が多いわけでございます。きょうは時間がございませんから専売局の方もお呼びしてございませんが、そこで、地元としては、町としては、急遽水稲あるいは陸稲に、一番農民が希望しておるから、これに転作をさしたいということでございますが、そのほかいろいろと融資の——いわゆる延期とか天災融資法の適用とか、いろいろ言っておりますが、そういう希望がありますが、これは五十年度産米の政府の買い入れ米というものは、すでにもう決定済みで、通知済みでございますから、したがって、いまさらどうこうともなりませんでしょうけれども、政府買い上げがなければ、この膨大な面積に水稲あるいは陸稲を奨励しても、つくってもどうしようもならない。約百ヘクタールのたんぼを若干野菜はつくりましても、流通機構がございませんから、百ヘクタールの野菜というものはどうしようもならない。したがって、たばこは全滅、そして一番大事な、一番希望しております稲作というものは、もうすでに政府買い入れ米の割り当てが済んでおるからできないということになるわけでございます。したがって、この問題については食糧庁の方も来られておると思いますし、いまここでこの稲作に転作をして、この米をどうこうしてくれということについては、これは食糧庁の方もどうしようもならないと思いますけれども、そういうような実情があると、農民はどうしようもならない、何とかしてくれないかという血の叫びをあげておるということだけを御記憶を願いまして、これはもう答弁はよろしゅうございますので、私のきょうの質問はこれで終わります。
  105. 神谷信之助

    神谷信之助君 最初に、きょうはどうしても長官に出席をしてもらってお聞きをしたいと思っておったのですが、先ほども話がありましたように、結婚の媒酌人だということで出席できないということでありまして、私は大変遺憾だと思うのです。まあそれは予定は当然先にきまっておったのでしょうけれども、国会の開会中で、しかも金曜日は定例日ですから特別委員会がある、延長国会になったから予定が狂ったとしても、これは長官として大事な任務ですから、国会の審議に出席を求められても出席ができないというのは、私は重大な国会無視にも通ずるものだと、きわめて遺憾であります。かわって政務次官に出てもらいましたが、ひとつこの点は十分長官にも言ってもらって、そして長官に質問する点はまた次回改めて御見解を聞きたいと思います。よろしくひとつお願いしておきたいと思います。  最初に、前回から引き続いて、大分の中部地震の問題が質疑をされましたが、特に例の湯布院のレークサイドホテルですが、これが一階が押しつぶされたわけですが、このホテルの破壊の原因ですが、これは直下型地震であったということに関係しているというように思うのですが、この点はそういうように理解していいのでしょうか。  これは国土庁でしょうか、それとも建設省ですか。
  106. 横手正

    政府委員(横手正君) レークサイドホテルの状況につきましては、建設省において早速に建設省の建築研究所の方から担当の方が現地の視察に赴いておられます。その報告はまだ私も十分拝見いたしておりませんが、そちらで原因究明等が行われるはずでございます。
  107. 神谷信之助

    神谷信之助君 建設省は見えていないんですか。
  108. 横手正

    政府委員(横手正君) 建設省の担当の部局の方がお見えになっていないようでございます。
  109. 神谷信之助

    神谷信之助君 直下型地震の影響で特に一階を押しつぶされた形になっていますね。一階がフロアみたいに空間になっておる、そこへ直下型地震が起こったわけですから押しつぶされた。ですからそういう直下型地震が最近ちょくちょく起こってきているということで、これは建設省に聞きたいのですが、現行の建築基準法ですが、これについていろいろの学者がいろいろのことを言っておられますが、特に最近東大の地震研究所でいろいろ論議をされたようですが、それでは、今日の建築基準法では水平運動には耐えられる構造基準になっているけれども、上下運動については考慮に入っていない、上下運動に対しては弱いということが報告されております。大分の地震について、実際に現地について調査をした結果斜面に盛り土をしたりあるいは石垣を積んだりして造成した宅地の上に建てたものが被害が大きい。全壊家屋の九〇%以上が地盤の崩壊によるということで、いわゆる基盤、地盤が十分になされていない所では直下型地震の場合は被害が大きい。したがって、この点についての建築基準法上の改正ですね、これが必要だということを言われているのですが、この点についてひとつ建設省の方ではどういうようにお考えか、あるいはそういう点についてもうすでに準備をされておるのかどうかお聞きしたいと思います。
  110. 豊蔵一

    説明員(豊蔵一君) ただいまの御質問の件につきましては、私どもの方の住宅局の方で所管いたしておりまして、私担当ではございませんのでお答えできない次第でございますが、耐震構造につきましてのいろいろな調査研究は、住宅局の所管課及び建築研究所等で種々研究を進めておりまして、現在の建築基準法で十分かどうか、そういった点についてさらに詰める検討をしていると聞いておるところでございます。
  111. 神谷信之助

    神谷信之助君 建設省に私、当該のところに聞いたところでは、この直下型地震に備えて耐震規定を大幅に強化をして、ビルの壁とか柱ですね、これに粘り強さを導入する、そういうことを検討を始めているというお話を聞いたんです。問題は、ところが——担当の方おられないそうですから、ひとつ特に強調しておきたいんですが、基準法を改正しますと、そうすると、すでに建っている建物についてどうなのかという問題がある。先般衆議院の災害委員会で柴田議員が尋ねたら、それは、四十五年に建築基準法を改正したんで、それでもう大体いいんだという、そのときにはそういう回答だったのですね。ところが、レークサイドホテルは四十年に完成した。だから、建築基準法を改正をしてもさかのぼらないからどうにもしょうがありませんという言い方になって、そして実際には直下型地震でつぶれているわけです。これはやっぱり私は大変おかしいと思うんですね。特に川崎を中心にして南関東地帯で直下型地震が起こる危険がいろいろ言われているわけですから、ああいうコンビナート地域なりあるいは人口の密集地帯、こういうところでもしそういう直下型地震が起こったら、これは大変なことになるわけです。そういう点で、建築基準法をそういう改正をしても、それに応じて、すでに既存の建築物に対して補強させる、一定の年限を切って補強を義務づけるなり、あるいはそれに必要な特別の融資制度をつくるなり、そういうことも考慮して、そして実際にやらなければ、これは私はどうにもならぬと思うんですが、ひとつそういう点を特に強調しておきたいと思うんです。  いま連絡によると、担当の課長が国会の方へ来られているようですけれども、ひとつその点特に強調しておきます。  そこで、いま言いましたように、川崎が御承知のように非常に直下型地震の危険が多いということで昨今問題になっております。国土地理院の水準測量によりますと、四十五年と四十九年を比較してみて、川崎駅前を中心に最高四・七センチメートルのふくらみがあった。これで、地震予知連絡会がこれを重視をして川崎直下型地震の可能性があるということを明らかにしたわけです。この隆起についてはいろいろ説があって、マイクロクラックによるものだという、ダイラタンシー理論ですか、こういうことをおっしゃる学者もあれば、あるいは地下水の規制が功を奏したんだという、そういう議論もあります。いずれにしても、地震の可能性を否定をするというわけにはいかぬ状態が今日起こっているということです。実際に地震予知連絡会がその可能性を発表した後の三月の二十三日にマグニチュード三の直下型地震が深度三十キロあたりで今日まで三回ほど起こっております。ですから、特に川崎では市民が非常に不安を感じています。ことしの一月の三十一日に川崎市でこの地震予知についてのアンケートを市民からとっているのですが、それを見ますと、八三%の人が大変不安だというように回答しています。それから地震予知の発表があってから五〇%の人が避難の方法について家族の間で相談をしているというわけですね。そして一番不安な点は何かというと、地震のときに起こる火災と、それからコンビナートと、それから避難場所だというように出ております。そこで、川崎市もこういう状態を憂慮して、この五十年度から地震対策に力を入れるということになってきておりますが、これに対して私は政府の方も最大限のこれは努力をしなきゃならぬ。単に一自治体ではこれはなかなか大変なことだと思うんですが。  そこで国土庁にお聞きをしたいんですが、災害対策基本法にいうところの中央防災会議、これの設置が規定されておりますが、この中央防災会議というのは最近はいつ開かれたのかどうか、この点にお答え願いたいと思います。
  112. 横手正

    政府委員(横手正君) 四十八年に開いております。ただ、中央防災会議ではその他防災会議にかけるべき事項がかなりあるわけでございますが、それは持ち回りの会議というような形で処理している場合もございます。これは四十九年に入っても二、三度ございます。
  113. 神谷信之助

    神谷信之助君 大都市震災対策推進要綱というのがありますね。あれはいつ、どこでつくられたのですか。
  114. 横手正

    政府委員(横手正君) 四十六年の五月に中央防災会議で決定を見たところでございます。
  115. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、この要綱で——この要綱はいわゆる防災基本計画の具体化として中央防災会議がつくられたんだと思うんですが、この推進は、防災会議がつくられたんだから、防災会議が責任を持って進めていかれるということになっているんだろうと思いますが、そういうように理解をしていいんですか。
  116. 横手正

    政府委員(横手正君) 先生も御承知のことと存じますが、中央防災会議には事務局がございます。この事務局のもとに大都市震災対策連絡会議というのを設けておりまして、現在は四十六年に決定を見ましたこの推進要綱、この内容につきまして、関係省庁が非常に多いわけでございますが、関係省庁相集まりまして調整推進を図ってきておるところでございます。
  117. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、その推進要綱に基づいて事務局があって、事務局を中心にして関係各省で大都市震災対策連絡会議を開いて、それで進めてきている。それじゃ、具体的にあの要綱に基づいてどういうことをなさってきているんでしょうか。あの要綱ですと、災害に強い安全な町づくりをやるということで、非常に具体的にいろんな項目が出されておりますが、実際これをやろうと思うと強力な政治力を必要とするわけですね。だから、そういう事務局の連絡会議段階で実際にそれで済むのかどうか。都市改造なんかやらなきゃならぬという重大な問題もあるわけですが、こういった点は一体どうなんでしょうか。
  118. 横手正

    政府委員(横手正君) 四十六年に大都市震災対策推進要綱を決定しまして以来、四十八年にまた中央防災会議で当面の防災対策の推進についての申し合わせを行っております。その中で地震対策の推進につきましては、この要綱に基づいて各般の対策を推進することにいたしますが、当面、特に地震予知の推進、防災体制の強化、それから都市防災化の推進、この三点に重点を置いて進めようと、こういう申し合わせを行っております。こうした推進要綱なり申し合わせに基づきまして関係省庁でそれぞれ所管の事業についての促進を図ってまいってきておるところでございます。
  119. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうも何ですね、しかし具体的に、たとえば地震の予知についてはどうだとか、それからいまの都市の防災化ですか、これについては具体的にどう進んでいったのかという点は一体どうなんですか。
  120. 横手正

    政府委員(横手正君) 地震予知の関係でございますが、現在の日本の現状におきましては、地震予知はまだ研究段階でございます。そういうこともございまして、科学技術庁を中心に、関係省庁で地震予知関係の集まりを持っております。ここにおいて、地震予知関連の特に事業の推進、特に予算の獲得、こういうことを進めてまいってきておりまして、地震予知関係の予算はここ数年来かなりの伸びを示しております。四十八年に七億円余りでございましたが、四十九年には十五億円余、五十年には二十億円というふうな伸びを示してきておるところでございます。こうした予算の増額の努力に努めながら、関係省庁ではそれぞれ地震予知の研究を推進してきておるということでございます。  次に、都市防災化の関係でございますが、これは主として建設省において、防災拠点といいますか、江東地区、こうしたところの防災化の推進、こうした面につきまして事業の推進を図ってきておるところでございます。
  121. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、これは地震対策というのは非常にもう、御承知のように、大変な仕事を、大事業をやらなきゃならぬわけですね。それを各省でばらばらでやっていくと、そうして、ときどきこう連絡会議で打ち合わせをするという程度ではこれはなかなか進まない。ですから、災害対策基本法の十二条には「中央防災会議に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。」というようにあるし、それから施行令の四条には「部会を置くことができる。」というようにありますがね。ですから、大都市の震災対策部会というようなものを設置をして、専門員を任命をして、そうしてやっぱり総合的に早くやらなければ、災害が起こってから、そして後からどうだこうだ言っても始まらぬ問題だと思うんですが、この点はひとつ政務次官いかがでしょうか。
  122. 斉藤滋与史

    政府委員(斉藤滋与史君) 御指摘のとおりであります。ただ、いま審議官から御説明申しましたように、現在のところは、各省庁で専門的分野にわたって専門員を設けてこの問題について取り組んでおるわけであります。中央防災会議においてそれを掌握、集中して対処するということについて、御建言はもっともでございますが、そうしたことを踏んまえて、これから早急に十分な措置を図るという方向でいませっかく検討中でございます。  なお、いろいろとあちらこちら、大分あるいは川崎の問題等々現実に踏んまえて、御指摘の面につきましては具体的になお一層充実を図って、もとより関係省庁各般にわたる問題でございますので、大変むずかしいわけでありますけれども、対応それから起きた場合の措置、またそれについての研究等々について十分な措置を図ってまいりたいと、かように考えております。
  123. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは、実際にこの震災対策、特に大都市なりコンビナート地域の震災対策をやろうとすれば、これは後でまた触れますが、非常にどえらいことをやらなければいかぬということになってくるんですね。ですから、どうせまた私はそのために中央防災会議の会長というのは総理大臣になっているんだろうと思うんですね、わざわざ。そういう、政府が総理を先頭にして大きな政治力を発揮してやらなければ、これはどうにもこうにもならぬ問題だということで基本法にも中央防災会議の設題を決め、しかも総理を会長にする、責任者にするというようになっているんだと思います。ですから、この点は後ほどにもまた触れますが、十分ひとつ考えていただきたいと思います。  そこで、先ほど話のあった大都市震災対策推進要綱の中で、特に公共施設等の点検整備、特に危険物施設は大きな被害を及ぼすから、その耐震性について早急に点検を行って必要な措置をとるというような点が述べられてありますが、そこで、消防庁及び通産省に対して聞きますが、石油及び高圧ガス、こういう危険物施設の点検はどのようにして行っておられるか、あるいはそしてそれに応じてどのような必要な措置をとってこられたのか、この点をお聞きをしたいと思います。
  124. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 消防庁で所管いたしておりますのは危険物の施設、装置でございます。それらにつきましては、現在の消防法あるいは危険物関係の政令ないし省令によりまして、随時立ち入り検査をやり、点検を行うことになっておりますけれども、御承知の、昨年末の三菱石油の水島製油所におきます流出事故がございまして、そういうふうなことから、耐震性を含めました保安点検を今後強化をしていきたいということで、当面本年の一月に、まず大規模なタンク施設を中心にいたしまして総点検、緊急点検をいたしました。引き続いて、小規模なタンクも含めまして点検を実施するというスケジュールを組んで進めておるわけであります。特に川崎、横浜、東京南部におきましては、いま御指摘の南関東地域におきます地震危険という問題がございますので、コンビナート地域の施設、装置につきまして、各市町村の消防当局におきまして、耐震性を含めました保安点検をいま鋭意実施をし、川崎市等におきましてはもう相当の進捗を見まして、必要な是正指示もいたしておるといったような段階でございます。
  125. 広海正光

    説明員(広海正光君) 通産省では高圧ガスの保安関係をやっておりますが、事故を未然に防止するためには常日ごろから点検を充実して行っていくということが非常に大事であるという点は先生指摘のとおりでございまして、これをこのような考えに基づきまして全国の通産局に化学保安対策本部を設置をいたしまして、昨年一月から三月にかけまして、コンビナート事業所を中心といたしまして総点検を行いました。また、ことしに入りまして三菱石油の重油流出事故にかんがみまして、高圧ガスタンクの一斉点検を実施したところであります。さらにこのような随時行う点検に加えまして、高圧ガス取締法上定期的に保安点検を行うということになっておりまして、従来これは事業所ごとに一年に一回ないし三年に一回ということでやってきたのでございますが、今度それを改正いたしまして、一年に一遍点検を行うということにいたしたところでございます。さらに今国会で高圧ガス取締法の改正が行われましたが、この改正によりまして、特殊法人高圧ガス保安協会に専門スタッフをプールいたしまして、第三者の目で厳しい各事業所における保安管理全般についてのチェックを行うということにいたしております。また、こうした行政側における点検、監督体制の強化に伴いまして、保安管理の第一次的責任はやはり事業所にあるということで、やはりこれも今度の法律改正によりまして、保安統括者、保安技術管理者、保安企画推進員、保安主任者、保安係のライン、スタッフ両面における保安管理者の専任を義務づけまして、保安義務体制を抜本的に強化いたしております。
  126. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで次ですが、石油、高圧ガス等、これらが、水島の事故でも取り締まりなり対策が一元化してないということで、非常に大きな問題になっているわけですね。この辺はやっぱりひとつ大都市の地震対策を進める上でも私は国土庁で一元的に指導し、また推進をできるようにやらなきゃならぬのじゃないかと思うんですがね。この辺はひとつ研究をしてもらいたいと思います。  次に都市防災化事業の推進の問題ですが、これは市街地の空地確保あるいは建築物の不燃化、あるいは避難地確保、こういう問題について具体的に挙げられておりますが、これはどういうように現在進行しておりますか。——国土庁の方ですか、建設省……。
  127. 豊蔵一

    説明員(豊蔵一君) 都市の防災のための事業といたしまして、避難地の確保あるいはまたそれについての整備、さらに避難地に至りますところの避難路の整備といったようなことがございますが、これにつきましては、この大都市震災対策要綱に基づきまして、各公共団体につきまして必要な場所、それから事業の種類、そういったものにつきまして検討を進めてもらっております。そういったものを地域防災計画の中に位置づけまして事業の推進を図ってまいりたいと思っておりますが、緊急を要しますものにつきまして、特に一つは公共施設の既存のものにつきましての補修対策、これを四十六年から一斉点検をいたしました結果、必要なものにつきまして応急対策を実施いたしまして、その後このような整備につきまして、四十七年から建設省といたしまして警戒道路とか避難道路とか、あるいはまた河川等の堤防の改修といったような点につきましての三カ年の一応の計画を立てまして、実施してまいりました。なお五十年度以降も引き続きまして、第二次三カ年計画を立てまして、推進を図っていきたいと考えております。
  128. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで具体的に川崎の場合を例に挙げて少し議論したいと思うんですが、川崎ではすでに地震予知以来地震対策を進めてマグニチュード六、そして震央は川崎駅周辺、震央から半径六キロ以内は震度六という想定で、被害の想定は罹災人口十二万二千人余り、倒壊家屋は約一万八千戸、出火件数百一件という想定に基づいて、これに対する対策として防災遮断帯の設定とか、危険物施設に対する監督の強化、構造改善あるいは市の消防体制の整備、水道、医療体制、そのほかいろいろ挙げております。そういう緊急対策として五十年度は具体的に避難対策あるいは備蓄物資、それから広報対策、それから急傾斜地対策、防火水槽、それから消防車両、老朽校舎の改築など二十九億円を計上して進めているわけですね。そこで、川崎でいろいろ具体的にお伺いしますと、一番不安に思っているのは、コンビナートが隣接をしているという問題、そこで、それに対する対策としては、防災遮断帯を一日も早くつくりたいということで、いろいろ研究をなさっているんですが、建設省の方で四十七、八年にかけてこの京浜防災遮断帯についての調査ですか、これをやってその報告を出されて、さらに去年の十二月からは建設省の都市局に調査委員会を置いて検討されているというように聞いておるんですが、川崎の方、一自治体で私はこういう事業をやろうと言っても、なかなかどうにもこうにもならないし、しかもまあ学者なんかのいろんな協力も得なきゃならぬ。こうなってまいりますと、こういう点では建設省のこの都市局の調査委員会、これらの果たす役割りというのは非常に大きいと思うんですけれども、これは一体いつごろをめどに結論を出すということで、今日作業をなさっているのか、この点ちょっとお聞きをしたいと思うんです。
  129. 豊蔵一

    説明員(豊蔵一君) 私どもの方でいま検討しておりますのは、先生指摘の四十七年度、四十八年度の両年度にわたりましての調査結果が一応出ておりますが、これはまだ都市の環境の改善をも含めました都市防災の総合的ないわばモデルとして検討いたしたものでございます。この調査結果が報告されましてから、コンビナートに対する種々の規制措置であるとか、その他いろいろな手当てが加えられておりますし、またこの事業を具体的に進めていきますためには、やはりさらに具体的な土地についての土地利用の状況あるいは工場の移転の可能性あるいは地元住民の意向、そういったようなものを相当検討をいたさなければいけないかと思っております。そういう中でどのような地域にどのような事業を行っていくかというような問題をさらに詰めまして、それを具体的な事業として取り上げ、実施していきたいと考えております。  一方、先生指摘ありました調査委員会ということでございますが、これは実はこのことをも含めまして、もっと広く大都市地域全体における避難地、避難路あるいは遮断緑地、そういったもの全体につきましてどのような基準でどのように整備したらいいだろうかということを検討いたしておるものでございまして、これの成果が四十九年度、五十年度とかけまして調査いたしました結果、各都市におきます地域防災計画の中での具体的な事業計画としてあらわれていこうかと思っております。相関連はいたしますが、直ちにこの調査結果に対しての事業のための調査委員会というわけではないということでございます。
  130. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうですと、ますますなかなか話が進まないわけですね。これはちゃんと体制ができてから地震が起こってくれるならいいですけれども、なかなかそうはいかぬわけでしょう。実際、川崎でいまおっしゃってる避難場所とか避難道路なんかもやろうとして、一応空き地を、一定の空き地を指定した。しかし、それは指定しただけで、実際には避難場所にならぬ状況ですね。東京でもそうですね。百二十一カ所広域避難地と指定してある。調べてみたらその土地の二〇%はもう民有地であると、そしてそこには住宅が建ってしまって空き地ではなくなっております。それからあるいは避難場所ですからその周囲は不燃建物で守らなきゃならぬ。ところが実際にはそこには木造家屋が周囲にどんどん建っている。避難地にならないわけですね。ですからこれは場所を指定するだけじゃなしに、それを実際避難場所として確保するということになれば、民有地であれば買い上げをしなきゃならぬし、避難道路もそれに対してその周辺は不燃家屋に変えていかないことには逃げる途中で火事が起こったんじゃ、これはどうにもならぬ。こういうことになりますと、これは一自治体でどうのこうのということにならぬ事業になるんじゃないかと思うんです。ですからこういうやつつくれと、避難場所なり避難道路を計画つくりなさいとおっしゃっておるわけでしょう。いま言ったように、そういう指定はしたけれどもどうにもなってないという状況を、これはどうするお考えなんですか。避難場所なり、あるいは地方防災計画でそれつくれと、つくってそれをどうするんですか。どのように政府としては指導し、あるいは援助しようとするのかという点ですね。
  131. 豊蔵一

    説明員(豊蔵一君) 現在いろいろな都市におきまして順次避難地なり避難道路の指定をしていただいておりますが、御指摘のように、その避難地が必ずしも十分な規模を有していない、あるいはまた民有地であるという場合もございますし、また避難道路として指定いたしておりましても、そこに至るまでの距離が長いとか、あるいは道路の状況が必ずしも十分な規模を持っていないといった点もございますので、具体的には、私どもの方といたしましては、そういった避難地につきましては、都市公園事業等を活用いたしまして用地の確保と施設の整備を図っておりますし、また避難路につきましても道路事業あるいは街路事業等によりまして逐次整備してまいっております。各都市からも非常に強い要望がありますので、私たちもこれに対して重点的に予算の許す範囲内で助成を図ってまいっております。
  132. 神谷信之助

    神谷信之助君 その辺がやっぱり私は大分問題だと思うんですね。避難地を都市公園としてやって、その都市公園の事業で補助率を適用してやっていく、これはぼちぼちですよ。何年かかりますか、たとえば川崎や東京。東京都ですと百二十一カ所でしょう。いまとにかく規制しただけはそれで十分かどうかは、これはまだまだ不十分ですわね。そういうものをちゃんと確保してやっていこうとする。それから道路は道路でも一定の補助はしますとおっしゃるけれども、避難道路も普通のアスファルトの道路ではあきませんわね、火災だったらだめですから。ですから特別にメッシュの入った硬質の舗装をやらなきゃならぬ。そういったいろいろな問題が出てくるわけでしょう。何年計画でそういう防災都市をつくっていくのかというようなことをやっぱり考えなければどうにもならない。自治体の方から言いますと、地震が起こるためにこの道路は特別の道路にしなきゃいかぬ、あるいは予算をつくって避難場所をつくらにゃいかぬ。こう言いましても、それだっても自治体の財政は大変ですから余分の金をつぎ込まないとできない、こうなるんですからなかなか自治体の方でもそう簡単にはいかぬ。こうなりますと、私は政務次官にもお聞きをしたいんですが、ですからこれは特別にそういう立法でもして強力に一遍にどこもかしこもということはできぬにしても、一定の地域を指定して、それに対して一挙に一年なり二年なりで集中してやっていくとかいうような、そういうやり方をやらないといつまでかかるやらわからぬような、そのうちに地震はどんどん起こったと、大変なことになったということになってしまうと思うんです。特に一度地震が起こると、これは大変な被害をこうむるわけですから。  この間もフジタ工業の技術開発センターが、もし関東大震災が再び起こったらどれくらいの被害をもたらすかということを推計をしておりますが、それによると、死者四十万から七十一万、資産の損害は三十九兆から五十兆円、物価の上昇は恐らく二・二から二・九倍になるだろう、GNPは一三から一五%低下をする、税の減収は二兆二千億くらいになるだろうというように言って、もし関東震災のようなものが東京で起こったとしたら大変なことになり、一時的に国家機能が麻痺するおそれもあるというようなことを発表しております。ですから、もし地震が起こったら、特に東京とか川崎とか、こういう人口密集地帯やコンビナート地域にそういうものが起これば大変な損害を国家は受けるわけですね。ですから、その損害を考えれば、特別の枠をつくったそういう財源をつくって別にやるということがどうしても必要になるのじゃないだろうか。いわゆる大都市防災対策特別措置法というようなものをつくってやると、そのために私は総理を会長にした中央防災会議、関係閣僚集めてやっているということじゃないかと思うのです。ですから、そういう強力な政治力を発揮をしなければできないと思うのですが、こういう点ひとつ踏まえて緊急に防災会議を開いてもらい、そうしてそういう認識を新たにしてやってもらわないと、いま自治体の方で積極的にやろうとしても、なかなか財政的にも、それから能力的にも進まない、そういう問題が私は起こってくる、しかも地震はいつ起こるかわからぬ。こういうことですから、ひとつこれについての御意見を聞きたいと思うのです。
  133. 斉藤滋与史

    政府委員(斉藤滋与史君) いろいろと各般にわたって御意見ございました。御案内のように、震災対策は御指摘のように非常に広範多岐にわたっております。それだけに非常に集中してどのように効果的にやるかということにむずかしさがあるわけでありますが、私たちといたしましては、やはり県、市町村それぞれには防災会議というものを持っておられます特殊性を考え、また、将来の都市づくりということの一環の中で、当然こうした問題は対処しなければならない問題であろうと思います。いま建設省の方からも説明があったようでございますけれども、いままでやってきた諸制度というものを十分活用して現在のそうした観点から見ますると、非常に問題点もあるようでございますので、御指摘の点をよく踏んまえて、ひとつ早期にこの問題については対処することの方がいいというように私自身は思っておりますし、またそうした方向で各省とよく連絡しまして、問題点を追求し、広範多岐にわたるからということで逃げないで、よく連絡会議、現制度を活用しながら、先生指摘方向でひとつ検討さしていただき、また、検討ということがいつまでも続くということでなく、早い機会にこうした問題は対処したいと、かように考えております。
  134. 神谷信之助

    神谷信之助君 建設省の建築基準法関係の担当の課長さんが来られたようですから。先ほど一応申し上げておきましたが、現行基準法ですね、真下型地震、いわゆる水平動は強いけれども、上下動についての基準についてはやっぱり弱いのじゃないかというのが東大の研究グループの中でも言われてきていますし、建設省の方でも建築基準法の改正についての検討をお始めになったという話も聞いておりますが、そういう点についてひとつお伺いしたい。  それから、もう一つは、問題は改正をしても、すでに既設の建物についてその基準に合うような補強のやっぱり問題をやる必要がある、それを既設はしようがないということになりますと、これは大変なことになるというように思いますので、この点をひとつ意見を聞かしてもらいたいと思います。
  135. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 大分の地震で鉄筋四階建の建物が倒壊したというゆゆしい事件がございまして、私ども早速建築研究所から専門家八名を派遣しまして、つぶさに調査をしたわけでございますが、近々その報告が出るそうでございますけれども、それによりますと、われわれ建築基準法で、大体関東大震災程度の地震には甚大な影響がないような強度に基準を設けておりますけれども、あの場合、かなり震央に近いホテルの部分では、関東大震災の二倍あたりの震動があったというふうな判断をしております。こういったことはすでに十勝沖地震でも例がございましたので、それに対処するために、一部建築基準法の指導要領を改正して、柱の粘りその他につきましては、すでに措置しておるわけでございますけれども本件の建物はそれ以前の建物でございまして、現行の基準法が適用になった場合もつかどうかの検討もあわせて建築研究所でいまやっております。上下動につきましては、確かに震央に近いために、海洋性の地震と比べてかなり大きかったようでございますけれども、建築研究所の報告では、やはり横揺れが大きな原因であるというふうに言っております。先生指摘の学会等でいろいろ御指摘の点は、むしろああいった建物が壁が少なくて、地震があった場合に粘りが少ないのではないかという御指摘があるわけでございます。これにつきましても、若干の改正はしたわけでございますが、どうもこの辺の数量的な把握がまだまだ学問的に十分でないということで、建設省でも五カ年計画をもちまして新耐震設計法の開発に取りかかっておりますし、また、建築学会等でもそういったことの学理が十分究明されて、現在の設計法では不十分であるということがはっきりしますれば、われわれは改正するにやぶさかでございません。これは恐らくそう遠くない将来に結論が出るかと思いますけれども……。そうしまして基準法を改正しても古い建物には適用できないではないかという御指摘でございますけれども、こういうふうに騒がれている情勢でございますので、法律を改正するとかどうとかということでございませんで、やはりそういった建築団体、たとえば建築学会であるとか、建築士会であるとか、あるいは建物を持っていらっしゃる団体、百貨店協会だとかビルヂング協会とか、そういうところに呼びかけまして、既存の建物を完全に耐震診断できるような方法もかなり開発されておりますので、そういうことのPR、またもし欠陥があった場合にはどう補強すればいいかというふうな技術的な方法、そういうものをもちまして十分行政指導してまいりたい。このように思うわけでございます。
  136. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後に消防庁にお尋ねしますが、水島の事故以来コンビナート災害に対する特別立法をする必要があるということになって、すでに閣議の決定がなされてこの国会に提案をされるというように聞いておったんですが、いまだにまだ出てないわけですね。当初消防庁が考えておられたよりも、要綱で説明を聞きますと大分後退をしておるというように思うんですけれども、これはいまどういう状況になっておるのですか。その辺は消防庁、主管のところでおわかりならお答えいただきたいと思います。
  137. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いわゆるコンビナート防災法につきましては二月初めからいろいろ各省庁の御意見を取りまとめて自治省、消防庁が中心になりまして成案を得るよう努力したわけでございます。御承知のように個別の既存の規制法によります規制と、それから新たなコンビナート防災法によります規制とが重複いたしますことはこれは避けなければなりません。むしろいままでの個別規制法で不十分であった点、あるいはよく言われますように、ばらばら行政と申しますか、一元化に欠ける面があるというふうなところで連絡が不十分だというふうな点を十分補完するようなことを主に考えなければならない。そういたしますと、どうしても既存の個別規制法との関連がなかなか、法律的ないわゆるすり合わせと申しますか、の点がむずかしゅうございます。そういうふうなことで非常に時間がかかりまして、先般ようやく閣議決定になったわけでございます。私どもも一日も早く提案されることを期待いたしておりますが、恐らく近々のうちに国会に提案し御審議していただくことに相なろうかと、かように考えます。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 ひとつ、コンビナート災害法にしても、これは大変な問題で十分に審議をしなきゃならぬのが、延長国会になってもまだ提案されていないわけですね。そしてあれだけ直下型地震の危険が地震予知連絡会からも出たりして、そして川崎の市民を中心にしていろんな不安も高まっているし、現に伊豆の地震あるいは今度の大分中部の地震という直下型地震が相次いで起こって、その被害の大きさ、これがもし大都市に起こったら大変なことになるという不安も高まっています。ですから、災害が起こってから後追いをするのではなしに、災害が起こらないようにする。同時に、絶対に起こさないといったってなかなかそうはいきませんので、起こっても最小限の被害に食いとめるためには、先ほど言いましたような大都市防災法ですね、そういうような震災対策法というような特別立法でもつくってやっていくとか、強力なやっぱり指導をやらないと進まないと思います。この辺をひとつ最後に検討していただくように主張して私の質問を終わります。
  139. 中村英男

    委員長中村英男君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会