○多田省吾君 まあその
審議会の問題も
政府の隠れみののようなかっこうで、
政府に都合のいい
答申が出たときにはすぐ採用する、都合が悪いときはどんな正当な
答申でもそれは黙殺する、大変私はいままでそういう苦汁をなめてきました。それから、
自民党の諸君は総定数内増減というようなことを小
委員会でまあ一回、二回とおっしゃったそうでございますが、私の試算によりますと、本当に
昭和二十二年のときに行われた人口比例の配当基数による配分をいまの人口比例でやりますとどうなるか、二十名増、二十名減になります。東京は八名増、大阪は四名増、愛知は二名増、神奈川四名増、埼玉二名増、合計二十名増。減になるところは、福島二名減、茨城二名減、栃木二名減、群馬二名減、新潟二名減、長野二名減、京都二名減、岡山二名減、熊本二名減、鹿児島二名減、計二十名減、こうなるんですよ。どうも
自民党の方たちはこの減になるのを決して実現しようとしないんですね。
昭和三十九年の
衆議院のときもそうじゃないですか。第三次
選挙制度審議会の
答申は十九名増、一名減だったじゃありませんか。それを
自民党が中心になって
修正したじゃありませんか。そして通過したのは十九名増。ですから、どうも減の伴うものはもうこれは通過しないんだってなことで、もう
自民党の諸君がそういう増減のある案を持ち出すという根本の
意味は、絶対これは定数是正やらないぞっていう意思表明と同じなんです。この前の第六次の
選挙制度審議会のときにも
自民党のある
衆議院議員の方は、増減なしの採決のときに、増減ありの方が通ればこれは絶対不可能だなと、そう漏らしておりました。そういう考えで、定数是正をやりたくない意志でこの総定数内の増減是正と、こういうことを考えておられるんだったら、これはもう大変な悪質な陰謀だと思うんですよ。そういう点で、私たちは実現可能案の二十六名増案という、各党にもいろいろ意見はありますけれ
ども、野党四党が一致して実現可能の案を出したわけじゃありませんか。それからもう
一つは、参議院全国区の比例代表制と組み合わせてやるんだと。いろいろ
大臣も、今度の参議院選から実現するんだ
——総理もそう本
会議で
答弁しておられましたね。そそうしますと、もうあと半年しかない、もう来年の通常
国会にそれを出そうというんですか。参議院全国区のそんな比例代表制なんてものをそんな簡単にまとめようというお考えがあるんですか。とんでもないことですよ。私は
衆議院の
選挙制度にしろ、参議院の
選挙制度にしろ、やはり各党が一致しなければ、こういう土俵づくりはやってはならないと思うんです、当然。憲法と同じ大変なこれは問題ですよ、
選挙制度の是正というのは。議会制民主主義の土俵づくりじゃありませんか。
昭和四十七年の十月ごろ田中前
総理は
選挙制度審議会の強いお願いにもかかわらず、ついに総会を開きませんでした。懇談会にしてくれ。私はその席上
質問しました。野党の強い反対があっても小
選挙区制をやるおつもりですかと。田中
総理ははっきりと野党各党の一致を見なければ小
選挙区制は絶対にやりませんと
答弁したんです、そのときは。二階堂前官房長官もそこにいました。選
挙部長だって知っておられるんだ。その後、
昭和四十七年十二月の総
選挙が終わるやいなやじゃありませんか、小
選挙制を持ち出したのは。おかしいですよ。今度の参議院全国区の問題でも、全国区比例代表制、非拘束制の方は野党が一致して反対していますよ。で、拘束制の方も大部分の野党、それから
自民党内でも過半数の反対があるじゃありませんか。そういったものをなぜ通そうとするんですか。私たちはことしの三月二十二日にこの参議院全国区比例代表制なんてものがどんなに悪いものか論文発表しました。時間もありませんから簡単に申しますと、私は参議院の特質から見て、参議院の
政党化を助長してはならないと思います。そして、全国区に比例代表制をつくることは参議院の
政党化をますます助長する結果になります。本
会議で民社党の和田
委員が、
政党本位の
選挙は
衆議院でやるべきだ、参議院ではやるべきじゃない、このように
質問いたしましたけれ
ども、私も同感です。参議院全国区の非拘束比例代表制というものはいまよりも競争は少しも減りませんし、また各党内の競争はますます激烈になります。決してそういうものはよくなりません。金はもっとかかりますよ。その上にいわゆるドント方式という計算
方法はこれは第一党が極端に有利な
方法なんです。党利党略だと思います。それから非拘束制ということ、
政党ごとにいわゆる番号をつける、そして
政党に投票する。いま全世界で拘束式の比例代表制をとっている国は
一つもありませんよ。私はそういうものを通そうとするのは非常におかしいと思うのです。非拘束制よりももっと、もっとこれは
政党本位になります。ワイマール体制下のドイツで昔やったことがあるそうです。拘束名簿式比例代表制ですね。これはもう
政党で番号つけるのですから、
選挙人の意思を顧慮しないでつくるんですから、これは非常に評判が悪くってすぐやめました。そういうものを
三木総理はやろうとしたんですよ。おかしいんだ。ですから、われわれはこの変型拘束式を含めて、そういう参議院全国区の比例代表制には、あらゆる点から考えて合理性もないし、絶対反対します。本当に全国区の
選挙方法を改善するんなら、いまの
選挙制度をそのままにして、たとえば前々回まで大変問題になった高級公務員の立候補制限とか、それから
政治資金規正法を
改正して
企業献金を禁止するとかして金のかからない
選挙にする。全国区制に金がかかる。
——自民党たけにかかるんじゃありませんか。私はそういうものには強く反対します。
それからもう
一つは、一昨日戸塚
委員の
質問に答えられて、
衆議院の
選挙制度について自治
大臣は小
選挙区制が最も理想的な望ましいものであるというような
答弁をなさったそうでございますが、私はこれも非常にとんでもないことだと思うのです。朝日新聞やあるいは共産党さん、わが党あるいは白鳥助教授等の試算によっても、いまの現状で
昭和四十七年十二月の
衆議院選挙の実態から考えまして計算しますとどうなりますか。四割台の得票率で八割の議席率を得るのが
自民党じゃありませんか。社会的不公正の最たるものです。
選挙制度というものは民意を正確に反映させるものでなければなりません。得票率と議席率が一致するのが最も望ましいのです。大体世界じゅう全部そうなっていますよ。だけ
ども日本だけがそうじゃない。現状でもそうです。それをさらにまた助長させようとしているのです。第一党の
自民党さんは、
衆議院でも、参議院でも四割台の得票率で六割前後の議席を得ているじゃありませんか、現在の中
選挙区制で。それをさらに広げようというのです。とんでもないことです。どこに根拠があるのですか。小
選挙区制、まあ確かにアメリカやイギリスでやっています。あれはアングロサクソン民族の特性として大
選挙区制をやってもあれは二大
政党になるのです。イギリスがそうじゃありませんか。大
選挙区制時代に二大
政党になったんですよ。それを二大
政党にするために小
選挙区制にする、これはもう反対の
考え方です。錯乱した
考え方です。ですから、いまヨーロッパの議会制民主主義をとっている国々は、ほとんどやはり
政党本位の
選挙といえば比例代表制です。ですから私は
衆議院こそ
政党本位の
選挙であるべきでございますから野党の各党が大部分主張している
都道府県単位の比例代表制、こういったものを考えるべきなんです。それを五党がいまきちっと
日本の現状に、国民の要望に従ってあるのに、小
選挙区制で一人しか当選させない、こんな愚かな小
選挙区制を理想的だとか、望ましいなんておかしいですよ、これは。これはもっとそういう点をよくお考え願いたい。(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)これは決して見解の相違じゃないです。はっきりした
データに基づいて科学的に私たちは調査をした結果です。反論があるなら言いなさい。幾らでも応じますよ。
——まあせっかく
質問したのですから
大臣、この
衆議院の小
選挙区制、それから参議院の全国区比例代表制について
大臣の所感をお述べ願います。