○春日正一君 いまの問題は、これは決して公営
住宅だけの問題じゃなくて、
公団の場合でも、当然いまのお
言葉を
——切り開いていくためにはそういう方向をもっと強めていかなきゃならぬ問題だろうと、そういう
意味も含めて言っているのですから、その点はぜひくみ取ってほしいと思います。
それからこの立てかえ
制度で、十年間無利子ということで、これはいままでよりは確かに進んだんですけれども、それじゃそれだけで問題は片がつくかといいますと、やはり国庫補助の水準が実情と非常にかけ離れて低いものですから、どうしても超過
負担が出てくるということになるわけです。たとえば小中学校の場合、国の
制度でいうと一戸当たり〇・四五の児童の発生率、それに掛ける基準面積、掛ける買収単価、掛ける調整率、掛ける三分の一というようなことで補助が計算されて出てくるんですけれども、この基準になる児童発生率の〇・四五というのが低過ぎて、
公団の方では総裁通達で〇・六、中学は〇・三というふうにかさ上げしていますけれども、それでもまだ低いんですね、実情は。この間、町田へ行って、私いろいろ聞いたり、資料をもらってきたんですけれども、あそこは御承知のように非常に団地の集中したところですわ、東京都下では。だから、あそこへ行って聞いてみたんですけれども、〇・九九というんですね、児童の発生率が。それから多摩市でも聞いてみましたら〇・八ないし〇・九という高い率を占めているわけです。だから、そういうことで計算すると、多摩市長の話を聞きますと、実際には六分の一の補助を三年かかって出してもらっていることになるんだというふうに言っているんですね。
住宅公団はそういうことではいろいろ抵抗があるので、そういうことを解消する
意味で、学校用地の譲渡価格を半額に下げるというような処置もとっておられるんですけれども、しかし、この分は独立採算制だもんだから家賃と分譲価格にはね返ってくるというような矛盾が出てくる。
だから、地方自治体へ行って聞いてみますと、地方自治体の理事者も非常にその辺苦慮しているわけですわ。もっとああもしてほしい、こうもしてほしいと注文つけたいんだけれども、注文つけると家賃が高くなりますよ、こう言われると、理事者としても幾ら高くなってもいいとは言えないという矛盾に苦しんでいるわけですね。だから、保育所の場合でも、これは頭からもう補助のつく保育所の数を抑えてしまって、そして実際には必要なものに対して補助もつけない。たとえば社会福祉
施設緊急
整備五カ年
計画、四十六年度から五十年度ですが、四十八年度分は五百カ所、四十九年度分は六百カ所、もう決まっているんですね。そして厚生省でも、これは自治体が要求して補助を
協議したものだけでも倍はあるということを認めておるんですわ。初めからもう削っておる。その結果、たとえば大阪府下の場合、保育所三十七カ所
設置したのにわずか五カ所しか補助がつかない。そして補助の対象とする基準も非常に低くて、一人当たりの建物面積が五平米、実際の建設では七平米平均になっているというような形で超過
負担が重ねられていって、それで豊中市の例で見ますと、そういう
関係の総
事業費が一億四千六百万円の中で、国庫
負担の基本額が本来千三百四十万円こなければならぬのが、
負担金は六百七十万円しかしてもらえない。超過
負担率が七八・四%。これは特別高いものを私引き出してきたんですけれども、大体こういうふうな形で超過
負担が非常に高い。だから、地方自治体は消極的にならざるを得ないわけですし、それから
住宅公団が立てかえ
施行する場合でも、超過
負担の一〇%範囲までしかやらない。で、宅開
公団も同じだというように聞いています。費用の立てかえも一〇%どまり。つまり
政府で出すその六百七十万の基準の一割増しぐらいしか出さない。超過
負担の分、全部
公団なりあるいは宅開
公団なりがしょい込んで、自治体に超過
負担をかけないということにはなっていないわけですね。だから、地方自治体はそういう立てかえ建設やってもらっても、後にその
負担が残るわけですから消極的になる。
その点の事情について、町田市の出した「団地建設と市民生活」という、まあ白書みたいなものですけれども、これを見ますと、こういうふうに言っております。この高ケ坂
住宅というところから取れる収入は、入居者に対して行われる行政サービス経費との差額はどのくらいに見込むことができ、それによって累積赤字は向こう何年間でカバーされていくかというふうな問題を立ててこう調べた結果、この累積赤字総額一億一千四百三十九万円、今後毎年約四百二十万円
——これは差額六百六十万円マイナス地方債償還額二百四十一万円は四百十九万円。これが解消充当額だということで、その約四百二十万円ずつ解消に充てるとして、累積赤字を解消するには今後二十八年もかかると推定されると。そうしてこれまで
——これは十年後の話ですが、これまでのものを含めると、少なくとも三十七年間の解消期間は必要であると言っていい、こういうふうに言っているわけですね。だから、地方自治体がああいう
一つの団地なり何なりつくられてしょい込む行政の
負担というものは非常に大きいし、長期にわたるものだということを考えてみますと、やはりもっとこれを解消するということをやらなければならないわけですね。そうでないと、こういう場合どうなるんですか。いま言ったように、宅開
公団で言いますと、
法律だから、やる場合、あなた方は
法律では非常にきれいに必要な
関連公共施設なり、あるいは公共のサービス
施設なり、そういうものをきちんと
整備した良好な
宅地を造成するんだと、こう言っている。ところが、いま言いましたように国の補助金というものが実情に合わない。その場合、さっき言いましたように一〇%までは見込むけれども、それ以上見込まぬということになれば、結局小学校三校、中学校一校というような
規模のものができなくなるんじゃないですか、結局。そうすると、ひどい状態が出てくるわけですね。
高島平の団地の例で、これは板橋区で、一万百七十戸ある。これが当初保育所は三カ所、定員三百四十人。それで
公団の計算では、共かせぎ率は一四・五%ということだったけれども、実際に入ってみると二一%が共かせぎ。家賃が高くて、世帯が若いものですから、どうしても共かせぎが多くなるということで、結局
昭和四十八年二月には団地内の区立保育所
三つに入りたくても入れない子供が二百六十人。だから、当時の新聞では、入園できず親子別居中のケースが百五十五組もあったというようなふうに出ております。つまり親戚なんかに子供を預けてそれで共かせぎするというようなケースが出たというようなことになっております。二歳の子供を九州、鳥取、東京の親戚にたらい回しにしておるという世帯までも出ている。団地自治会も運動して、四十八年七月には、二十六人の母親が東京都に対して行政処分不服
審査請求というのを出して、これは余りやるべきことをやっていないじゃないかということで訴えをしておりますけれども、いま団地内に四つ、
周辺地域に五つ建っていますけれども、まだそれでも九つでは足りなくて、どうしても十二カ所が必要だと言われておる。こういうふうな形なんですね。だから、いま高島平のあのりっぱな団地つくられたけれども、そうしてそれにはちゃんと必要な保育所もつくります、学校もつけますということになっているけれども、実際にできたものを見ればそういうものが足りなくて、そのために後から区役所がうんと苦労しなきゃならぬ、こういう事態になっているわけです。そうすると、宅開
公団の場合でもあなた方はちゃんと
一つの基準を持って、戸数なんかに対して小学校
一つとか、あるいは中学校
一つとか、そういう
計画も立てておいでになるけれども、いま言ったような形で国が補助すべきものが、当然出るものが出てないということになればこれは控えるよりしようがないのか、それでも構わず建ててしまって自治体に全部後払いでかぶせるようにするのか、どっちにするんですか、これ。