運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-06-05 第75回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 波男君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 増田  盛君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 坂野 重信君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 小野  明君                 小谷  守君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 春日 正一君                 三治 重信君    国務大臣        建 設 大 臣  仮谷 忠男君    政府委員        国土庁土地局長  河野 正三君        国土庁水資源局        長        宮崎  明君        建設政務次官   中村 弘海君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省計画局参        事官       大富  宏君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  高橋 英雄君    参考人        住宅金融公庫総        裁        淺村  廉君        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        上野 誠朗君        日本住宅公団理        事        川口 京村君        日本住宅公団理        事        播磨 雅雄君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○宅地開発公団法案(第七十二回国会内閣提出、  第七十五回国会衆議院送付) ○連合審査会開会に関する件     —————————————
  2. 中村波男

    委員長中村波男君) ただいまから建設委員会開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  宅地開発公団法案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、本日、宅地開発公団法案審査のため、住宅金融公庫役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 中村波男

    委員長中村波男君) 宅地開発公団法案を議題とし、前回に引き続いて質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 三治重信

    三治重信君 まず第一に、この宅地開発公団のつくられるもとになった考え方について御質問をいたしますんですが、この宅地開発公団のもとになった審議で、行政監理委員会から四十八年の十一月に出されました「住宅対策のための土地行政機構および運営のあり方について」の答申、この中にありますいわゆる新公団設置、この中身と今度の法案中身とがそんなに違わない中身じゃないかと思うんですが、これを基礎にしてこの公団法をおつくりになったのか、また、大体この行監住宅対策のための土地行政機構運営ということを基礎にしてこの宅地開発公団を考えられたのか、お伺いします。
  8. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団の問題につきましては、一年間にわたり行政監理委員会の方できわめて慎重に検討がなされたのでありまして、その結果出されました答申、四十八年の十一月一日に出されました答申におきまして新公団設置を提唱いたしております。その中身につきましては、大体取り上げられている事項は、本法案におきまして十分その中身を組み入れて、多少表現等が違いますけれども、たとえば名称であるとか、あるいは単一または複数の公団を考えるべきであるとか、この答申の中でもはっきりこうしろといった部門等が、検討とされた部門等がございますので、それらの点は別といたしまして、おおむねこの答申に沿って作成したものでございます。
  9. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、この新しい宅地開発公団は、おとといですか、上田さんが主としてニュータウンということで質問されておったのですが、私もこの新しい土地行政機構及び運営答申中身からいくと、ニュータウン建設のための公団と、こう考えた方が通りが、考え方がすっきりしていいんじゃないかと思うのですが、いままで質疑を聞いている限りにおいては、その点が政府の方ではっきりしないんじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  10. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 答申によりますと、「新公団設置」とありまして、「(仮称・新市街地開発公団)」というふうに仮称という名称を使っております。われわれもこの名称をいかにすべきかということは検討事項として最後まで残った案件であったのでございますが、結局宅地開発公団という名称にいたしましたのは、現在の大都市圏域におきます宅地難あるいは住宅難、これに端的に対処するというためには、新市街地開発という、新市街地という名称よりは宅地開発ということの方が大都市圏域のこの新しい公団名称としてはむしろ簡明率直でわかりやすいのではないかということで、そういう名称にしたのでありまして、その中身等については、その趣旨は十分尊重しているつもりでございます。
  11. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、名称は議論しても余り意味がないんですが、この中身を、そういう三大都市周辺においての宅地大量供給開発と、こういう目的にいたしますと、いままでの一番の隘路が結局地方公共団体がその公共施設についての負担に耐えがたい、これに対して地方公共団体拒否反応が非常にある。これについての配慮を非常に答申の中にも強く出しておりますし、今度の法案の中にも、最大眼目はそういう地方公共団体に対する、負担の過重によって土地開発ができない、それを何とか国公団という構想でそういうものを排除していこう、またそれについて地方公共団体開発について話しやすくしていこう、こういうことが主なねらいじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  12. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 今回の法案におきましては、特にこれだけの大きな大開発をいたします場合に、地元との協調体制に十分配慮することが必要と考えておりまして、なかんずく、この答申にもありますように、地元地方公共団体財政負担の増加を回避するための各種の助成措置を講じろということが言われております。そこで、この公団におきましても、特定の公共施設に対する直接施行というような制度、あるいはその他の関連公共公益施設につきましての立てかえ制度の強化というような実質的な面を強化するとともに、さらにその協調姿勢をこの公団の中に織り込みますために、非常勤職員制度であるとか、その他諸種協調の場をこの公団の中にも苦心して入れたつもりでございます。
  13. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、ニュータウンをつくるという構想、またそういう新しく大量開発するとなると、いままでの住宅公団がやっていた土地開発の問題と、この新しい新公団土地開発とは質的に非常に違うので、それは余り住宅公団——前の答申にも若干住宅公団土地部門を新公団に移すことも考えられるというようなことが書いてあるのですが、私はこの中身を見ていくと、住宅公団土地部門とか、住宅公団とは全然関連をなくして、修正条項とかそういうものをなくして、むしろ先ほどの局長説明も一応納得しないわけではないけれども、はっきり区別するためには、やはりこの新都市をつくる、ニュータウンをつくる公団だと言えば、住宅公団とそんなに何ら権限調整する必要はないんじゃないか。また、そういうものを、これ余り調整してみても、私は実質的に余り意味はないんじゃないか。むしろ積極的にニュータウン開発をする公団だと、こういうことで包んだ方がむしろトラブルは少ないんじゃないか。また、衆議院の方で三百ヘクタールという開発点を狭めたようになってこちらへ送られてきているようなんですけれども、私はこの中身公団を本当に公団らしくするためには、むしろ開発の五百ヘクタールという規模をもっと広げて、新しい総合的なニュータウンを三大都市圏につくって、本当に科学的な調査をやって総合的に開発をしていく、じっくり開発をしていく、住宅公団はアップ・ツー・デートでやっていくというふうなのが、私はこの公団をつくるならその方がむしろ一つ理想ニュータウン——理想と言っても国の財政、またその土地自体による程度の問題があるんでしょうけれども、そういうふうにこの目的をはっきりした方がいいんじゃないか。また、そういう構想の方が私は住宅または宅地開発していくために、住宅公団と違った機能を果たす意味において国民の信頼を得るのではないか、こう思うわけですが、ひとつその点をはっきりしてもらいたい。
  14. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 過般来いろいろ議論となりましたのは、住宅公団を拡充することによっても目的は達せられるのではないかという立法論的あるいは一つ方法論としての論議が行われたわけでございます。この答申にもありますように、新公団日本住宅公団あるいは国土総合開発公団——いまは名称違っておりますが、地域振興整備公団との関係は、機能的、目的別に整除しなさいということを言われまして、三つ公団がそれぞれ目的機能とを分かち合いながら、分担関係を明らかにすべきであるということが述べられております。  そこで、そのつくり方といたしましては、いま御指摘がありましたように、住宅公団全国公団でありますし、この公団は三大都市圏を中心とする大都市圏のための、しかもその中の宅地を大量に供給するということを目的とした公団であるという点で、目的的にはっきりと分けられるということに着目いたしております。それからまた大規模なものを市街地として造成いたしまして、そして上物はつくらないというような意味におきまして総合的な都市づくり公団となる。こういう意味におきまして、他の公団とそれぞれ分野をはっきりと分けたものとしてつくろうとしたものでございます。
  15. 三治重信

    三治重信君 まあ、平行線なんですけれども、そういうことかもしれないけれども、住宅公団宅地開発部門を何もそう制限する必要はないんじゃないかと私は思います。それで、三大都市圏における宅地供給、また需給関係を調整していくために三つ方法があると。結局、市街化区域内における農地宅地化と、それから二番目に既成市街地の再開発をやる、それから三番目にこの新市街地の形成による宅地供給。この三番目のやつが新公団重点的にやる部面だろうと思うのですけれども、建設省として、この三大都市圏住宅並びに宅地開発をしていく場合に、この三つやり方についてのウエートの立て方といいますか、その三つがどれぐらいの割合宅地住宅供給されていく、またいかそうと、こういうことを考えているか。すなわち一番初めはいわゆる線引きの中における農地宅地化による開発、それから二番目がいわゆる一般住宅が建っているけれども、これをスクラップ・アンド・ビルドで建て直していくということ、三番目は、そういう地域からさらに離れて新しく新市街地ニュータウンをつくるのだと。こういう考え方答申されているようでありますけれども、建設省としては三大都市圏におけるこういうふうな住宅宅地開発をやっていく場合に、この三つ割合がどんな状況で住宅宅地開発が行われていこうとするのか、また、いかせようとしているのか。
  16. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 三大都市圏におきましては、いま御指摘のありましたように、既成市街地の中の非常に環境の悪いところを再開発によって整備するということは一つの大きな命題として推進しなければならない課題であります。同時にまた市街化区域内の農地等空閑地をできるだけ計画的にこれをまとめて宅地化するということも一つの現下の大きな課題である。そこで、御提案いたしております、大都市地域における宅地供給に関する特別措置法案というようなものを提出したのもこの理由でございます。さらに大都市周辺部におきまして大規模宅地開発を行うと言えば、当然この周辺部において無秩序なスプロールを抑えながら、こういった宅地開発公団等による大規模供給をやらなければいけない。この三つの方策は、結論から言えば、それぞれ同時並行的に行われなければならず、それぞれの事業はそれぞれのやはり特色目的を多少ずつ異にしておりますので、たとえば再開発につきましては、都市機能とか環境とか、あるいは防災といった面、これを重点的に考えながら宅地供給という面で見れば、そこに一定の限界がございますし、また次の市街化区域内の農地等開発ということは、これは現に必要な緊急対策でございますけれども、すでに地価は相当高くなっており、公共施設周辺に整っているとはいえ、大規模開発にはあながち適当なものばかりとは言えない。それから三番目の宅地開発公団等が行います周辺部におきましては、大規模開発には適しますけれども、何分にもそこは公共施設等がまだ未整備でありまして、新市街地をつくるということになりますと、関連公共公益施設等整備ということが非常に大きな負担、費用がかかり、大きな問題となり、特になかんずく水あるいは足といった問題、環境の激変に対応する諸種地元との協調体制というような問題がある。いずれもそれぞれ宅地開発という面から見れば、それぞれの特色を持ち、かつ限界を持っておる。だから、これらを総合的に推進し、あわせて並行的に行うということが、大都市の中の宅地開発の面から見まして、やっぱり偏らないで同時的に並行的に行わなければいけない問題だと考えております。
  17. 三治重信

    三治重信君 その説明はだれでもわかるのですが、じゃあ結局具体的に建設省、国が、この三つやり方について、第三次計画なり、計画をつくられるのに、具体的な住宅並びに宅地供給割合をどう考えているかということ。
  18. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発という面から言いまして、どれだけこの三つ方法で役立つかということでございますので、いま定性的に申し上げましたけれども、まあ東京圏に例をとってわれわれが試算いたしますと、昭和六十年までに大体東京圏で五百七十万戸ぐらいをめどにいたしまして開発するというときに、既成市街地の中で、いろいろな一団地の施設であるとか、あるいは再開発であるとか等々によって、開発、建てかえたり、あるいは空閑地を利用したりいたします戸数として三百五十万戸ぐらいを考えております。それから新市街地、この新市街地というのは、これからいま宅地になっていないところを開発する分野としまして、残りを公的な開発によりまして、大体区画整理、民間を合わせて百五十五万戸、公的なものといたしまして七十万戸、合計二百二十万戸ぐらいを考えているというような次第でございます。
  19. 三治重信

    三治重信君 その三つやり方というものについて、具体的に今後実施、重点の置きどころをそれぞれ特徴を持ってつくっていってもらいたいと思います。  それからこの新しい公団の今後のやり方についてでございますが、またいままでの住宅公団の実際の開発についてのいろいろの問題を考えた場合に、まあ言葉は悪いのですけれども、いわゆる地元エゴの問題、結局ごねておると国が何とかしてくれる、あるいは地主にしてみれば公共団体が何とかしてくれる、こういうふうなのが——で、結局、計画にこれは公的なやつだしということで初めに協力した人は、後からみるとばかをみる、いわゆるその裏を返せば正直者ばかをみると、こういう実績を、悪循環を繰り返してきた。結局だんだんむずかしくなると、だんだんそれに対する手厚い手がとられていく、こういうことが身をもってこの一般の風潮になってきたのじゃないかと思う。言葉地元エゴ、いい言葉じゃないのですけれども、また裏を返せば正直者ばかをみる、こういうことのないように、今度の新公団について、新しく新市街地開発していく場合に配慮がなければならぬと思うのです。それを単にいわゆる地元市町村関係者協議会でいくと、こういうことだけでいままでのトラブルを早期に解決できるというめどですか。さらにこれがそういう地元の県や市町村地方公共団体との話し合いだけでは、とてもではないが、さらに地元エゴが強くなってくるのじゃないか、こういうことが心配されるのですが、こういうことに対する対策というものは法案のどこかに出ているのですか。
  20. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) いま御指摘のとおりに、地元との協調体制、そのための諸種手法を講じておりますが、もう一つ地権者と申しますか、権利者に対する対策が必要でございます。これにつきましては、もちろん地元地方公共団体等を軸とし、その協力を得て説得する、あるいはPRに努めるということが必要でございますが、この公団法自体におきましても、これは組織法でございますから事業法中身は書いてありませんけれども、これが行います事業といたしましては、土地区画整理事業あるいは新住宅市街地開発法に基づく事業あるいは新都市基盤法律というような大規模開発にふさわしい法律の体系が整っております。これにつきましてはそれぞれ地元土地所有者に対して生活再建の方途であるとかいろんな諸種の援助の道を与えておりますが、特にこういったエゴというようなことが行われるために、一部の者のために事業が進捗しないということを防ぐ必要があります場合には、最終的には収用権等が与えられており、また計画制限等によって他の者が投機的な意図を持って入ってくるというような可能性を排除することも一つのそういう説得しやすい場所をつくることになりますから、こういった計画制限であるとか取引規制であるとかのほかに、最終的には土地収用権を与えるというような手法があるわけでございます。これらの手法を使うことによって、またはそれを背景としながら、しかし、事前に計画をそれらの住民の方々に周知徹底させるということが、まず何よりも必要だと考えておりまして、法律上この中にないではないかということでございますが、これは組織法でございますので、まず協議体制みたいなことを重点に書いておりまして、個々の事業に際しての地権者に対する姿勢といたしましては、それぞれのいま申しましたような法律の中に規定されております。
  21. 三治重信

    三治重信君 そうすると、私は各事業法に規定があるからわかっているんだけれども、結局何か問題が起きると、いままで各個別の法律によってそういうものについての規制のやつが規定してある。しかし、今度は公団として総合的に公共施設やその他をまとめてやっていくし、それから金もそこへ集中的にやっていく。しかし、そこの中で、いわゆる言葉は先ほどから悪いと言っているんだけれども、ひとつごね得というものが出てきた場合には、またそういう各施行法一つずつのやり方でしか処理できない、それでやればできる。しかし、そういうことは従来もそれのために各個別法ができてきているわけなんです。しかし、公団そのものは今度は総合的にやるというと、地方公共団体でも同じように開発すれば、やるときにはそういういろいろの問題が同時に解決されなければ何一つできないわけです。したがって、そういうところで公団というものをつくって総合的にまとめていこうと、こういうことなんで、確かに組織法事業法は別でいいわけなんですけれども、そういうものをやっていく場合に、そういう個別法の適用でなければできないというふうな判断でいくと、どこか一つのものが支障がくれば全体がストップすると、こういうことになるんじゃないですか。
  22. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) この公団事業につきましては、それぞれの事業手法に応じてその対応の仕方が違うわけでございますし、区画整理というようなものをやる場合あるいは新住法を使う場合によっていろいろ違うわけであります。結局はこういう一部のごね得のために全体の事業がストップしてしまうというようなことのないようにいたしますためには、やはりそれは最終的には公平の原則でございますから、これを説得しながらも、なおごね得が生じないようなそういう制度を持っていなければならないと思います。それにはごね得というのは結局対価において、その評価その他において、後になればなるほど得であるというようなことが生ずることがごね得を発生させる一つの原因であろうかと思います。そこで、収用法における価格固定手法を使うとか、後になれば有利であるというようなそういう評価の仕組みというものを、従来任意買収が多かった時代にはそういうことがあったかもしれませんけれども、これだけの大きな事業をやる場合には、工区ごとには分けましても、できるだけ評価の均一、それから時間的な計画というものを密接に立てまして、そうしてそれに基づいてやるということがごね得を少なくするゆえんであるというふうに考えております。
  23. 三治重信

    三治重信君 現地との協議の中に特にこの問題をひとつ重点的にやって、一般のまた先にまじめに協力した人が後から本当に腹を立てる、こういうことにならぬようにぜひひとつ考えてもらいたいと思います。  それから線引きの場合に、ことに四十七年、八年においても、またその前においても、金融緩和のときに町の不動産業者が非常にたくさんの土地買い占めて今日も持っていて、線引きの結果非常に開発できぬで困っている。それを今度の公団が助けるんじゃないか、助けるために公団をつくったんじゃないかという質問もずいぶん行われていたわけですが、こういういわゆる大手の不動産会社土地買い占めといいますか、そういうところの中で、いかに土地を買って持っておっても調整区域の中では開発計画を出すことができないんじゃないですか。また農地——農林省の方お見えになりますか、おられなかったら一緒に答えてもらいたいと思うのですが、そういう農地も相当何というのですか、買収されているのですか。原野とかそういう地目変更、ことに一番土地地目変更のむずかしいのは農地だと思うのですが、そういう三大都市圏の中で、おととい発表になったあの買い占めの中で地目変更開発、そういう何というか農地として転用するようなものが無理のようなところ、開発するのに対して一枚でも完全に抑えてしまっていいものかどうか。開発公団がそれに乗るということでなくして、こういう問題を処理しないと、この新しい公団の方も大量の土地確保について方針をはっきりしないと、一般の理解を得にくいんじゃないかと思うんですが、それに対する対処の考え方。ちょっともう一遍言い直しますと、大資本不動産会社買い占め土地にそのまま乗って、大資本不動産会社を助けるというようなことはしない、こういう答弁なんだが、しかし、開発適地ならばそれに乗って悪くはないじゃないか、またはそういうものを一枚でも買い占めのやつについて、それを放置しておって、三大都市圏宅地開発やなんかに非常な支障を来しゃせぬかと私は思うのです。  それはなぜかというと、大資本が買ったがためにそこは絶対に開発を許さぬ。こういうことになってくると、あともうほかのところもだれも開発する者がないとなると、住宅公団か新しい公団しか開発できない。供給が非常に減ってしまうんじゃないか。そういうものに対する規制をしながら、いわゆる悪徳商人的なものを抑えにゃいかぬけれども、そういう資本なり、買っている者の所有の関係によってこれは絶対開発しないのだというようなことでは、かえって三大都市圏周辺の自然環境を保持しながらの開発というものは、何かそういうものにこだわっていくとマイナスになるんじゃないかと思うのですが、そういうことについて、いままでの答弁だと、私が感じている限りにおいては、そういう大資本の、また大手不動産の買い占め土地を決して利用はしませんというふうな返事だと思っているのですが、私はむしろそういうものでも、いわゆる不当な利得はさせないけれども、開発に適当な、ニュータウンとして開発に適当なところは積極的にやる。その前に、先ほどほかの質問者からの注意があるように、誤解を世間に与えないような方策というものを何か考えているかどうか。
  24. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 大企業等が買い占めしている土地というものをそのまま適地だとはわれわれは思っておりませんが、これから選定基準をつくって選定いたします場合に、その適地であると思われる区域の中にもしたまたま大資本と言われる、あるいは大手と言われるものの土地が含まれていたとしましても、それは全部じゃないと思いますけれども、それを利用するということにつきましては、私は何ら差しつかえないと思うのであります。問題は、その業者に不当な利益を得させたというような感じを持たせるようなそういう事業の進め方ということが非難されるわけでありまして、適正な価格において、それをあるときには収用し、買収するということに相なります。  それからまた、そういう適地の中でありますと、やはりほかの個人所有者等もございます。これとのバランスもとらなければいけない。だから、適地の中にあるものにつきまして、私どもはそういう大企業が持っているところだから、それは適地であっても使わないというようなことを申し上げたことはございません。問題は、大企業が持っているところは大体調整地域の中に先行的に持っているところが多いわけでありまして、しかもそれは大変虫食い的なものが多かろうと思います。問題は、それが適地、われわれの宅地開発公団の適地であるかどうかということに問題があろうと思いますが、そういう中にもし仮にある場合には、これは正当な価格で収用すべきであると、その場合には誤解を受けないようにという先般お答え申し上げましたのは、大企業が不当にまんまとそういう思惑が図に当たったというような形にならないように、いままでの経緯も十分に見きわめながら、その取得について慎重を期さなければいけないということを申し上げたのでございます。  なお、ついでに、これらの大企業につきましては、本来使えないような土地を持っておる者も相当あるわけで、それでお困りのところがあろうかと思いますが、それならばそれで、住宅地としてそこが不適地であるならば目的変更されまして何らかの用途にお使いになるというようなこと、あるいは開発許可になる時期が近いと思われますならば数社相寄って、開発許可を得たならば、本当に良好な宅地となるようにみずからの手で開発されるようなそういう仕組みをつくっていただくように、業界とも指導しながらそういう方向を考えていきたいと思っております。
  25. 三治重信

    三治重信君 そこで、今度は大臣にお伺いしたいんですが、三大都市圏の総合的な開発の中で、どうも公団をつくっていくと、公団に全部おんぶをしていくような体制に考えられるんですが、私はむしろ非常にそういうふうな土地を先行取得している民間の大手の不動産会社開発会社があるということになれば、それに対して適正な規制を監督していけば、またはそういう公共施設についての配慮をしていけば、私は民間会社にやらしたっていいんじゃないかと思うんです。ことにいまの民間の開発をやっているところを見ると、市町村がそういう住宅開発について公共施設の費用が非常にかかるからということで、それを全部民間会社にしょわしていく、そうすると非常に分譲価格も高くなるということになっていくと思うんです。まあこの新公団は、それを政府はそういう公共施設についての多額の補助を出していく、資金を出していく、こういうことになっていくと、初めから競争が、国のやる部分については非常な国費が出ていく。しかし、民間がやろうとすると、そういうような公共施設は全部ただで、地方公共団体は寄付しろ、これだけこうやれと、こういうふうになれば全然競争にも何もならぬようなことになるんじゃないかと思うんです。  また、公団開発をしていく場合には、そういう公共施設について地方公共団体に非常に負担にならぬようにサービスをし、また国もそういうことで非常にたくさんな金を出していく、民間がやる場合には全然そういうものがないばかりでなくして、むしろその開発の非常なたくさんの部分について、経費について寄付を強要される、こういうことになってくると、さらに公団をつくったために一般開発がおくれてしまって、かえって全体としてアンバランスがきやせぬか。いままでの開発でも、公団開発というものは二、三割で、民間の方のが絶対的に多かったわけですね。これを非常に逆転さして三大都市圏開発をやっていこうとするのか。この公団ができるから、あと民間のいままでの開発のやつは極力抑えてしまって、そして公団理想的な開発をしていくんだと、ここまでの踏み切り方ではないだろうと思うんですが、そういうことのあんばいについてどうお考えになりますか。
  26. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私から先に、いま御指摘になりました民間宅造に対する助成の方策についての基本的な考え方を申し上げます。  御指摘のとおり、民間の宅造は小型のものが多いわけですが、その積み上げは、いま御指摘のありましたように非常に多くの宅地供給割合を民間が占めておるわけであります。この間来申し上げましたように、公共開発におきましては約三、民間開発が五、区画整理が二というような、計画の中におけるそういう分担関係を持っておるわけでありますので、できるだけ優良な民間の宅地開発に誘導するということが宅地政策における一つのわれわれの課題だというふうに考えておる次第でございます。それに対しましては、現在のところ開銀の融資あるいは金融公庫の融資がございまして、宅地造成の融資と、それからそれと合わせて関連公共公益施設の融資も行っておりますが、だんだん優良な宅地造成を民間が行うようにしていくためにも、まとまった団地開発を推進させていくためにも、関連公共公益施設というものが当然地方公共団体との間に問題になってまいりまして、これは結局本来の管理者である公共団体施行すべきものまで民間が背負うことになりますと、それが宅地価格に割り掛かって結局は単価の高いものになる。それからまた民間がどんどんそういうものをつくりますと、関連公共公益施設がふえてきて地方公共団体も困るから、勢いそれを民間には持ってくれというようになる。これは地方公共団体にとりましても関連公共公並施設が、それは官がやろうが民がやろうが、関連公共公益施設負担がかかってくるということは同じでございますので、片や一方は民間の営利企業でございますから利潤の限度というものがございますけれども、それにしましても、こういった優良な宅地開発を行います民間につきましては関連公共公益施設についても何らかの助成策をして、地元公共団体負担のかからないようにしてやることが第一ではないかというふうに考えておりまして、民間の優良宅造の推進と、それに伴う関連公共公益施設に対する、できれば非常に低利の融資ということを中心に検討いたしたいというふうに考えております。
  27. 三治重信

    三治重信君 ちょっとその点を保留して、国土庁に土地の問題でちょっとお尋ねしたいんですが、お聞きのように今度三大都市圏周辺または三大都市圏の中でいろいろの開発をしようということでされていくわけなんですが、その中で結局いろんな思惑で、土地買い占め土地開発計画に違反していろいろ民間の中で土地の売買が行われていくわけなんですが、こういうものに対する規制といいますか、いろいろの利用の方法計画はされる、そういうものに違反をして土地の利用をやろうとしていくものについて、ひとつ何か考えておられることがあるのかどうかということが一つ。それは結局何かというと、先ほどにも若干話したように、何でもやり得だと、一生懸命まじめにやっている人が損をするということ、いわゆるやり得だということを、せっかく土地開発規制をやっていく場合にやり得だということをどうしてもとめなければならない。その方法でいろいろの問題が行われておるんですけれども、新しいやり方の中で、結局それが全部地価というもの、いわゆる土地の売買だけに集中しているものだからいかぬのだと思うんです。もしも土地の賃貸の問題、いわゆる先祖伝来の土地についてはやはり放さぬけれども、不要のものはやはり一般の公共的なもの、あるいは国、公共団体開発に従う、しかし土地は放したくない。こういうふうなことが考えていいんじゃないかと思うんですが、そういう長期の土地の所有権と使用権の調整の問題を新しく検討する時期に来たのではないか。
  28. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 第一の、いろいろ企業その他が本来法令の範囲内で開発が許されないような場所につきましていろいろな取引がある。それに対するあるべき利用計画面からする規制ということについてどうなっているか、あるいはどういう考えであるかという点でございます。この点につきましては、御承知のように国土利用計画法によりまして、一定規模以上の取引につきましてはすべて都道府県知事への届け出が義務づけられております。したがいまして、その届け出がありました際に、法律に従いまして利用目的面からの審査をやって、ふさわしくないものにつきましては取引の中止を勧告するわけでございます。その後実際の運営に当たってどう行っていくかと申しますというと、その取引段階でパスをいたしますというと、後に個別法による、たとえば農地法による転用許可であるとか、あるいは都市計画法による開発許可であるとかいう後の段階のチェックが二重に行われることになりまして、取引はオーケーになったが開発段階で結局だめになるというようなことも、これは多少国民に対しましては考えなければならない点でございますので、したがいまして、取引の規制段階で都道府県内部の関係部局集まりまして、一体この土地は将来農転許容し得る地域に属するかどうか等の審査もあわせてやりまして、取引についての勧告をするしないの決定をするという運営に現在いたしております。したがいまして、国土利用計画法の施行後におきましては、おっしゃるような市街化調整区域、特に開発ができそうもないような地域土地を買うとか、あるいは仮登記をしておくとかいう種類の取引は一切ないという状態になるであろうというふうに考えております。現に昨年十二月二十四日施行以来今日まで、中止勧告を出しましたものにつきましてはすべてが取引が中止されております。  第二の御質問でございます、いわゆる借地方式と申しますか、土地の所有権は手放したくないけれども、利用権を公共機関等に譲ってもいいというような方々があると思われるが、それに対して今後どういうふうにそれを展開することがいいと考えるかという種類の御質問であろうかと思います。いままでも特に中京地区等を中心にしまして公営住宅の団地等をつくる際にも、農地所有者の方々からの借地方式で団地形成をやった例等もあるわけでございまして、地主の方がそれを望むならばそれを、その道を選ぶということは許されていたわけでございます。しかし、御承知のように現行の借地法という法律のたてまえにおきましては、借地権を設定したその借地人の立場が非常に保護を強くされておりまして、厚く保護されておりまして、そのために一種の物権的性格に借地権がなっているわけでございます。そのため地域によりましては借地権の設定の対価、いわゆる借地割合と言っているものでございますが、これが所有権価格にだんだんだんだん近まってくるというようなこともございまして、所有権とほぼ似たような対価を支払いながら賃料をずっと将来に向かって払っていく。二年ごとに更新時期における折衝を重ねていくというような種類の地域もあるわけでございます。  そういうところにおきましては、公的機関といたしましては、なかなかこれまた厄介な問題を将来に残すということでもあり、またかたい構造物を公的機関が建てるというような土地につきましては、それを望まない土地の所有者の方々も多いというようなことで、地域の実情と地主の考え方というものに非常に左右される面があるわけでございます。したがいまして、所有権をある程度抑えて利用権本位に世の中の土地制度というものを固め直していくということは、われわれも基本的な方向としてはそうでなければならないと考えておりますが、具体の公的機関の事業対象の用地に関する権限の取得関係につきましては、直ちにそれを義務づけるというようなところにはなかなかまいらないかと考えております。何しろ土地を所有し、処分することによって利益を受ける、資産所有というものに対してこだわりを非常に強く持つということが実は土地対策上は非常な支障になっていることはおっしゃるとおりでございまして、あらゆる施策が利用の権限と義務ということに中心が置かれて土地に対する観念が変わっていくことが望ましい。税制その他もそういう方向に今後とも詰めていきたいとは考えておりますが、いまお尋ねの具体の問題につきましては、そういうふうに考えております。
  29. 三治重信

    三治重信君 それからいま一つ、この一、二年前に東京都で発表になったいわゆる土地の移動の状況という中を見ると、法人の所有が非常にふえたということは、これは資金の流動性が高まってそうなったことがわかります。  もう一つ、個人の所有の部面で非常に顕著な特徴は、東京都区部になってくると、さらにいわゆる土地の物すごい細分化ですね、これが非常に顕著だ。したがって、片方は建設省が大変な金を使って宅地開発だ、住宅開発だと、こうやっている。しかしながら、都市の真ん中の方はだんだんだんだんその百坪のやつが二十坪ずつ五つに分かれ、二十坪のやつがまた半分に分かれると、こういうようなことで非常な細分化をされている。そういうふうになったのをあと取り返しがつかぬようになってしまっていると思うのですが、したがって、土地の細分化の問題は、また都心の、大都市における地価をますます高からしめる。これを最近の不動産の方は大きな取引がとまってきた途端に、いわゆる一千万円から二千万円前後の土地ということになってくると、環状線の中なんかでは十五坪とか十二、三坪というようなことを、非常に分けてやっている、こういうようなことをやっている。また一面、片方では、つくる方は理想的にある程度のやつをやっていながら、今度は一遍もうできちゃった方はますます土地の所有権のために細分化が行われてめちゃくちゃになってきちゃっているんじゃないかと思うんです。したがって、こういうものもぜひ、土地の有効利用をやっていく場合において、私が言ったのもなかなかできないということ、趣旨はそうだけれどもということだと、土地の所有権の絶対化というものを前提にしていけばそんなことになっちゃう。将来を考えていった場合に、そんな十五坪や二十坪の土地を一生懸命そういうものを所有さして、値上がりを期待さしてこうやっていくというのは、やはり非常にゆゆしい問題だと思うんです。したがって、そういう問題について、土地政策上大都市についてはもっと土地の細分化についての防止方法をひとつぜひ考えてほしいということ。  これについてひとつお願いすることと、それからまた建設省に特にお願いしたいんですが、最近の新しいニュータウンの場合には、分譲した土地について二年以内に住宅を建てにゃいかぬというような規制は前から一般的なんですが、さらに最近では、それを将来にわたって再分割、あるいはそういうものをしないというやつを入れるということも聞いているんですが、そういう実例が、そういうものがどれぐらいの期間保てるものか。また、事実せっかく開発した土地が地価の値上がりによってどんどんどんどん細分化されていくと、またスプロールと——まあスプロールと違うんですけれども、スラム化していく。したがって、私は将来は土地というものは、結局土地の所有と利用というものを離さぬことには、こういうものはせっかく大変な金をつぎ込んでいながら、まただんだんだんだん個人のそういう所有権の奨励のために——奨励と言っちゃ語弊があるけれども、所有権というものと個人の所得の増進がいかないために非常な土地の利用を偏屈にさしていくと思うんです。こういうものに対する対策をぜひ考えてもらいたいと思います。
  30. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 建設省としましては、従来から区画整理等におきましても過小宅地の整理というような条項を置いて、できるだけ新しくつくるものにつきましては、これが一定の適正な利用の形態を持つようにという指導をしてきております。さらに新住宅市街地開発法におきましても、譲り受けたものは二年以内に建物を建てなさいということのほかに、工事完了公告後十年間は、その土地に所有権、地上権等の使用収益権を設定する場合には都道府県の知事の承認を受けなければならないということにいたしまして、大体新住法では七十坪ぐらいを一つの基準として分譲しておりますから、これが直ちに細分化されて、あるいは使用収益権が半分ずつ分けられて、またそれが人に貸されるというようなこと、あるいは売られるというようなことのないようにそういう歯どめをいたしております。  それからなおその新住法という、収用法でなくてやりますような場合、たとえば区画整理によるような場合で、集合換地するような場合におきましても、日本住宅公団の例で申し上げますれば、その譲渡契約の場合において、その特約によって同様に使用収益権を目的とするような権利の譲渡または移転につきましては、あらかじめ公団の承認を求めるということを条件として譲渡いたしておりまして、もしそういったことに違反した場合には買い戻し権を留保すると、あるいは契約を解除するというような方法をとっておるわけでございまして、過去五年間におきましてそういう例も大体十四、五件ございます。こういうような方法によって、できる限り新しいところにつきましては細分化を防いでいるわけでございますが、その期間は十年と、これは民法上それ以上の限定が困難であることとともに、それから十年もすれば大体市街地として固定してしまいまして、まあそれ以上の民法上の特約は無理であろうというところで、それ以上の問題になってきますと、いま御指摘のように市街地全体の一般の問題になってまいりまして、これはそういう細分化を防ぐためには、たとえば諸外国の例にありますような最低敷地制限というような特別法をつくるとか、あるいは民法の十年の特約を破るような二十年なり何なりという長い特例法をつくるというようなところまで進めなければいけません。  現在のところ、わが国の実態から言いまして、そういうところまでちょっと進めない状況にありますけれども、これは細分化という問題は非常に大きな問題であり、その根源は御指摘のように地価がどんどん上がって、わが国におきましては特に土地が非常に資産性が強過ぎる。利用よりも所有という方が非常に強く見られたというようなそういう社会的な土地事情の背景があるからだろうと思いますが、こういったことがこういう地価の鎮静化を機として今後良好な市街地をつくっていくためにも、今後の一つ課題として細分化防止のための方向をわれわれは検討していかなければならないと思っております。
  31. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 国土庁といたしましても、三治先生の御所論まことによくわかるわけでございまして、そういう方向で今後も検討を重ねてみさしていただきたいと思います。  ただ、現在世田谷、杉並等で起きております宅地の細分化につきましては、世代交代期に当たったり、あるいは相続のときの問題が起きましたりとか、いろんな必然的な問題もあるわけでございまして、相続税あるいは建築基準法その他もろもろの関係法令にわたる点もございまして、慎重に関係省庁とも連絡をとって検討を進めたいと考えております。
  32. 三治重信

    三治重信君 そういう答弁になるだろうと思って——まあそれしかいまのところはないだろうと思うんですけれども、私はこの土地の細分化の問題は、ぜひ開拓とともに、せっかく開拓したり、また現状よりか市街地でも悪くなるような、何というんですか、細分化や、非常にさらに悪くなるようなやり方についての歯どめをこれは法律上ぜひ検討してつくってもらいたいと思うんであります。これは単に市街地宅地ばっかしじゃなくて、農地においても、自作農をやる場合において、相続の問題で非常に細分化が行われている。それは農業でも農地を、各所有を細分化していけば農家がもう成り立たなくなっていく。こういうことについて、いわゆる家産制度で大分農地の細分化、いわゆる分散を保護する体制が非常にできている。日本の農業もまだそこまで、いわゆる各小作人に分配して、所有権を与えて、戦後は非常に農業の生産をそういう所有権のために高くしたんですけれども、また世代がかわってくるときに、細分化によって——いまの農業は私は土地の細分化を、農地の細分化を防がなければ、日本の農業を何ぼ自給化しようと思ってもだめだと、こう思っている。  これは宅地の部面においても勇敢にひとつぜひ、有効利用するためには、ただ新しく開発するときに有効利用ばかり考えないで、いま利用されているやつをなお悪くしない方にも、土地の所有権なんか制限してももう少し悪くさせぬような法の体系をひとつぜひ考えてもらいたいと思うわけなんです。そうしないと、開発の部面において非常に新しい法律ができ、新しい公団ができ、新しい手法でやっていっても、それが少したてば、まあこのやつはいまの法制上は十年だそうですが、十年たてばそれが二つに分け三つに分かれると、こういうふうになってしまえば、またさいの河原になってしまう。ひとつ国土庁という狭い国土の利用について新しい役所までできたということになれば、これは土地は国民の財産としても、またはその所有権を認めていっても、それは個人の所有をわがままにしていくことによって、お互いにその利用をますます窮屈にし、環境を悪くするような利用の仕方を許して、現行法上やむを得ないと言っていたんじゃ意味はないと思うんです。ぜひひとつその点を考えてほしいと思います。  最後に、運輸省お見えになりますか。運輸省にお伺いしますが、今度宅地開発公団ニュータウンから新しく鉄道を敷くということについての構想は、これは多年開発されるところでは望んでいたところでありましょう。これが一括してやられるということが非常な地元民には期待されるところだと思うのですが、いままでの議論にもあったとは思いますが、従来のそういう鉄道や輸送機関としての鉄道、通勤の鉄道だけでは私は新しいニュータウンをやっていく場合に、非常に朝夕のラッシュの解決策にはぼくはならぬと思う。むしろそういう通勤ラッシュについてもう少し高度な輸送の方法を考えていかなければならぬではないかと思うのですが、そういう部面について、とりあえずは従来の鉄道の延長ということになるのでしょうが、こういう通勤対策としての鉄道の利用について、新しいやり方といいますか、大量輸送の方法で変わった新開拓面で、将来こういうことを予想している、いま現にこういうことを開発しているということはございませんか。
  33. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 先生がおっしゃるように、大都市におきます通勤通学輸送というものは従来から非常に大きな問題になっております。運輸省といたしましては、大都市の通勤通学輸送というものを解決するためにいろんな施策をやっておるわけでございますが、従来やっておりますものは、地下鉄につきまして補助制度を行いましてこれの整備を促進するとか、あるいは私鉄が新しくニュータウン鉄道をつくるなり、あるいは従来の複線をさらに複々にするとか、そういったような大規模な改良工事なり新線建設を行うという場合に、なかなか全額私鉄が負担するということでは鉄道の建設がむずかしいというふうな場合につきましては、日本鉄道建設公団がそういった民鉄の線をつくりまして、これを長期の割賦で私鉄に譲渡していくというふうな方法、そういったもろもろの考え得るいろんな手段を講じておるわけでございます。  まあ、特段にと言われますと、現在のところ、従来のそういった方針をさらに強化していくということが主体でございますけれども、さらに新しいニュースと申しますか、そういう点では、大都市におきますそういう大量な輸送機関に対するさらに補助的な輸送機関、あるいは中小の都市におきます大量な輸送機関ということで、従来とは少し違った輸送機関ということで新交通システムというふうなものの開発が行われておりまして、これは建設省の方でもやっておられますが、運輸省といたしましても、両省いろいろ検討しましてそういう新しい交通技術の開発ということを現在検討をしておるというふうなことでございます。
  34. 三治重信

    三治重信君 最後に、今度は大臣に答えていただきたいのですが、いまお聞きのように、この新しい公団の問題を展開していかれる場合に、まあ私の党は一応目的が現在のところ不明確だということその他で反対をしますが、しかし、やられる場合に、この輸送の問題あるいは環境の保全の問題とあわして通勤の問題もぜひ考えてもらいたい。  職住接近の問題は今度のやつでは余り解決されていないと思うのです。したがって、この新公団をつくっていって輸送機関がうまくできぬ場合には、やはりその間に職住接近の施策、いわゆる職場を近くにつくるところ、できるところを開発に選ぶ。そのほかいろんなそういう配慮をしていただかないと、ますます勤労者だけが外へやられて、そして職場に通うのに大変苦労しなければならぬ。こういうことが出てまいりますので、私はいまの何というか住宅公団と、新公団宅地公団、片方は住宅までつくるのだ、片方は宅地だということだけの機能では非常にはっきりしないと思っております。したがって、私は新公団を、日本で新しい三大都市圏の衛星都市ニュータウンとして、総合的にひとつ勤労者のモデル的な住宅、職住接近の市街地、あるいは通勤輸送、過密の通勤を解くニュータウンをつくってもらう、あらゆるそういうものについてモデルをつくってもらう公団ならば私は再検討しないわけではないわけなんです。また、実際やられる場合には、そういう方向へぜひ持っていって、一つの新しい環境、新しい総合的にモデルをつくるということの方向に進んでもらいたいと思います。  そういうことで質問を終わりますが、若干御意見を拝聴したいと思います。
  35. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) 三治先生の御意見はずっと最初から伺っておりましたが、大変私どもこれからこの業を進めていくために参考になる御意見を拝聴いたしたわけであります。率直に申し上げまして、非常にむずかしい客観情勢の中でこの問題を進めていくためには、いろいろ国会でも議論がありますように、いろいろと批判もありますし、あるいは積極的な反対の意見もありますし、私どももそういった面については十分に検討検討を重ねてまいったわけでありますが、現在の時点でこれを除いて、じゃあほかに何かいい方法があるかと考えますと、とても見つからないとなれば、非常に困難な問題であるけれども、この問題に積極的に取り組んで何らかの突破口を築かなければならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。もちろん住宅こそ建てませんけれども、その住宅を建てるための条件、宅地その他のいろいろな施設を充実しなければならぬ。おっしゃるとおり、ひとつやるぐらいなら思い切ったモデル的なものをつくって、それで一つのモデルができれば、それに向かってさらに今後拡大していくという方法はできるわけでありますから、最初の施設が完全にモデル式のものができて、国民自体にも納得してもらっていけるかどうかということが今後の大きな課題であろうかと思うわけであります。  職住の接近の問題にいたしましても、やはりそのためには住まいをした人のまず足を確保する、そうすることが職住接近の問題になりましょうし、さらにその人たちが将来の生活設計を進めていくためには、やはりそのための施設も必要だということも当然でありますから、そういった面は十分に考えていかなければならぬと思っております。一番の問題は、やはり交通、足の問題だと思っております。これはいま運輸省の方からもお話しありましたように、われわれもいろいろ検討をいたしておりますが、やはり大都会の補助交通機関としての新交通システムですか、こういった問題もいま運輸省と一緒に検討いたしておりまして、そういうふうなものも含めまして、これはひとつ全力を挙げてこの問題と取り組んで御期待に沿うようにしなければならぬと、かように考えて努力をいたしてまいるつもりであります。
  36. 沢田政治

    ○沢田政治君 前々回に引き続いて質問をいたしますが、前回の委員会で上田委員の質問に対して政府の見解が違う違わないと、こういう問題が議論になりました。さらにはまた上田委員が、この宅地開発公団がベッドタウンをつくるのか、ニュータウンをつくるのか、独立都市をつくるのか、半独立都市をつくるのか、まあ上田委員の見解によりますと、大都市の過密を三十キロ、四十キロ、五十キロというように拡大していく以外の何ものでもないということで、結論まで結ばれまして、だから反対だと、こういう趣旨を明確にしたわけでありますが、このことについて私は何も異論を唱えるものではありませんが、一体この法律はこういう事業をやるという手法じゃないわけですね。つまり宅地を造成するという機関だと、こういうものを設けるのだ、そして宅地をつくるのだと、こういうことに尽きると思うのですよ。上田委員が言っておるようなぼくは内容と性格を志向するものであるならば、反対は反対だけれども、この法律は絶対日の目を見せちゃいかぬものだと思うのですね。したがって、この宅地開発公団法ができたとしても、今後どういう手法でやるかというのが私は問題として残されておるわけですね。たとえば土地区画整理法、あるいは新住宅市街地開発法、首都圏近郊都市開発整備事業に関する……、いろいろな法律がありますね。これでどういうものをつくるかというのが今後の私は課題に残されている問題じゃないかと、そうでなければ、上田委員の言っておるようなものをこれでこういうように実施するんだという性格づけのものであるならば、ぼくは大変だと思うので、この点についてまず明確なやっぱり所信をお聞きをしたいと思うのですね。
  37. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) お説のとおりでありまして、この公団法はたびたび申し上げておりますように、大規模開発周辺部において行うために、現下の大都市の膨大な住宅難宅地難に対処する一つ方法として、それだけの能力を持った、新しい事態に対処するためにはそれだけの能力を持たせた新機構をつくることが必要だというところにまず原点があるわけでありまして、そういう意味組織法であります。したがって、この公団においてどういう手法を使うかということは、公団法の中に列挙されているその能力の範囲、業務の範囲の中に列挙されておるとおりであります。その中には新住宅市街地開発法という手法もあれば、区画整理法という手法もある、いろいろな手法が列挙されております。これらの手法を駆使して、そして良好で健全で、しかも大量供給にふさわしい位置を選定して、どういう手法を使っていい環境の町づくりをするかということは、これからの実際の事業地に即して決めるべき問題でありまして、ただし、その場合の位置なり、あるいは面積なりというものは当然この公団の性格からして大規模であり、かつ東京圏で言えば四、五十キロ圏というようなところを施行するのだ、こういうところだけが決まっておるのでありまして、事業地につきましてどういう形のものをつくるかということは、これからマスタープランを立ててつくることになるわけでございます。
  38. 沢田政治

    ○沢田政治君 そうであるならばわかります。そうでなければ、この前のようにベッドタウンかニュータウンかという、ここでもう決着がつく問題であるならば、私も非常に異論があるのでここで大議論しなければならぬと思ったわけですが、やはり今後の課題だと、こういうことですからあえてその問題は深く触れません。第一条の目的でも、日本住宅公団法、これには勤労者住宅をつくるのだという点が明確になって、今度の目的にはそれがないと、こう言われておりますが、なるほど法文そのものは勤労者というようなことは言っておりません。が、しかしながら、宅地ということを非常に強調しているわけですね。たとえばこの逐条説明目的を見ましても、明確に都市勤労者の住宅、こういう表現も使っていますね。でありますから、私は基本的にはやはり勤労者住宅をつくっていくのだと、そのためにやっぱり宅地造成をするのだという精神は貫かれておるし、これはいささかの変更もないというように私は素直にとっているわけですね。ただ、持ち家住宅をどうするのか、集合住宅をどうするかというのは、やっぱり議論の対象としてこれは当然残っておりますが、何といっても勤労者住宅が中心であるということは、皆さんのこの逐条説明の理由書きの中に偽りがないならば私は素直にとってもいい、こういうように考えておるわけです。  そこで、これは一番私はやっぱり基本にひっかかる問題ですが、一体住宅というものをどういうようにとらえるのか。これがまあ私は戸建てとか集合住宅とかの問題もありますが、最もやっぱり物の考え方の、住宅政策の基本的なことだと思うのです。そこでこれは、ある人は財産と見る人もあるし、動産と見る人、不動産と見る人、生活の根拠だと見る人、いろいろこうあるわけですが、どっちもよしあしは言いませんが、どうも私は、やはり建設省の物の考え方が、私どもの理解、基本的な理解とは非常に違うような感じがしてなりません。と言いますのは、私はやはりこの住宅というのは生活の三大条件の一つだと思うのです。衣食住ですね。生存条件というのは、太陽、水空気ということになるわけですが、これはやっぱり私は政治のかなめだし、憲法二十五条に言うところの健康にして文化的な最低生活、これはナショナルミニマム、最低のものだと思うのですよ。したがって、その責任を、国家がこれに対して何を果たすかと、何を保障していくかという基本的な理解がないところに私は今日の住宅政策の混迷があると思うのです。その証拠には、第一期の住宅五カ年計画ですか、第二期——第三期に向かおうとしておるわけでありますが、一期、二期ともこれは計画を満足に達成されておりません。そういう中で今度は第三期に向かうわけですが、いささかの反省もないわけです、これは。できなかったからできなかったのであります、次は第三期に向かいますと、こういう軽い態度を見ても、住宅というものに対して国家が果たすべき義務というものを明確にしておらぬところに私はやっぱり問題の起こる原因があるのだろうと思うのです。  これは衆議院の方で議論になったかどうかわかりませんが、わが党は、少なくとも生活の三大要素である住宅というものをはっきり法律の場で明確づけるべきである。国がいかになすべきかと、そうしてまた健康にして文化的な人間の生活、三大条件の一つである住宅というものが、最低かくあらねばならぬと、最低これを保障しなければならぬというためには、住宅基本法というものを明確につくるべきだ、国家が義務を負うべきである、すぐできるかできないかは別として。そういう意味住宅基本法をつくるべきだという主張をわが党はかねてから出しておるわけです。  いま、話によりますと、新聞等の報道によりますと、社会的な不公正とか、それから福祉国家に移行するのだという三木さんが、どう勘違いしてか、そういうものをつくる必要はないと言ったとか言わないとか一部には報道されておりますが、私は三木さんはそういうことを言うはずはないというふうに善意に理解しますね。住宅基本法、何というか、来年出すのか、再来年出すのか、これは別としても、国家わ住宅に対して最低どういうことをすべきかということはやっぱり明確にすべき時期に来ておると思うのですよ。鉄道とか、新幹線とか、高速道路とか、産業基盤はどんどん今日までやってきて、これ以上高度成長はできないし、産業の方にばかり金を使っておられぬと、だから国民生活の方へ重大決意をして転換せざるを得ないと、こう内閣も言っておるのだから、これは各党一致した見解だと思うのですね。そういうことだから、住宅基本法という名前がいいか悪いかの問題もありますが、国が最低何をなすべきか、住宅とは一体何だ、こういうものを明確にする時期が、党利党略じゃなく、やっぱり国民の一致した要望だと思うので、建設大臣いかがですか。
  39. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) 衣食住、これはもう生活の三大要素であることは申すまでもございません。その意味において、住宅の最低保障を国が考えていかなければならぬことも、これは私は今後の当然の政治の課題だと思っております。三木総理からいろいろ発言があったようですけれども、これは私ども今度の国会で基本法を出すというところまではいっていないと、こういう答弁だと、これは御本人もそういう意思ははっきりしておりますし、御理解願いたいと思いますし、私どもはそういう意味から過去二期間住宅政策をやってまいりまして、おっしゃるとおりのいろいろの議論も出てまいりまして、いま住宅審議会においてこの問題について専門的ないろいろ審議が進められております。近く答申もあるはずでありますから、これを待って少なくとも住宅に対する基本方針を明確にせなければならぬ。それが基本法という名前になるかどうかは別問題といたしまして、基本法的なものを考えるべきだというふうに私どもは考えております。
  40. 沢田政治

    ○沢田政治君 いままで比較的マクロ的なことを聞いたわけですが、ちょっと小さい非常にミクロ的なことを質問したいと思いますが、特にきょうは住宅金融公庫の方が見えられておりまして、きょう何周年記念とかという非常におめでたい日で、それぞれの行事があるそうですから、まとめて先に質問いたしますが、いままでの建設省の統計を見ても、全然国家が何らの貢献もしない、努力もしない、協力もしない。自力建設を戸数何戸建ったという中に含めて、これは宣伝、選挙のときは何戸建ってきましたなんて——選挙のときのことはここで言いませんが、それぞれの党利党略はある程度やむを得ないと思うから言いませんが、これは誇大広告の一つだと思うのですよね。本人が営々として努力してつくったものも統計計算の中に入れて業績を誇示するなんて言語道断だと思うのです、これは、私個人的に。しかし、やはり政府が自力建設の場合でも住宅金融公庫とかなんかで金融的にも世話したものは、これは含めてもやむを得ないでしょう、一〇〇%協力したわけじゃないが。いつかの委員会でもぼくはそれを分けて言えと、政府が協力した自力建設ですね、あるいは公的な住宅、全く政府関係のないものというふうに分けろと、分けなくちゃこれいかぬぞと、こういう主張をしたことがありますが、そこで一ころは、住宅金融公庫も非常に金融が緩和された折は、枠といいますかね、募集してもなかなか枠が全部使い切れなかった時代もたしか二、三年前にあったと思うのです。ところが、最近においてはここにもう殺到しておるわけですね。御案内のような金融事情もあるでしょう、総需要抑制もあるでしょう、非常に殺到してきておる。ことしの二月二十日ですか、一カ月で締め切るのを、もうそれを待たずにこれは締め切らなくちゃならぬと。こういうことになって、公庫としての貸出枠、一般住宅用の、これはもうまたたくうちに締め切らざるを得ないと、こういうことになったわけですね。  その際に、きのう住宅金融公庫から来ていただいて事情を聞いたわけでありますが、それは公庫としての枠はあるが、別の枠というものはない。  一部の新聞には枠の買い占めなんて、こう新聞に出ているわけですがね。そういうことがあったとかないとかという報道をされておるわけでありますが、そういう枠というものはこれはない、こう言われて、私もごもっともだと思うのですが、思うのだけれども、やっぱり一部では報道されておる。そうでしょう。一部の住宅を販売するそういう業者が公庫融資つきなんて宣伝しておるから、当然そういう疑惑が出てくるわけですね。別に住宅会社に枠がないんだったら融資つきなんてPRする必要はない。PRしているところはやっぱり枠を持っておったんじゃないかという、事実じゃないにしても、やっぱり世上そういうような錯覚を起こすわけですね、あえてこの際錯覚と言っておきますが。こういうことはよくないと思うのですね。つまり住宅金融公庫は零細な庶民が住宅を自立する場合手助けする金融機関なんですよね。そういう政策目的を持ったものなわけですね。したがって、住宅販売会社とかそういう業者の利潤を、何といいますか手助けするものであってはこれいかぬわけだ。これは本末転倒なわけですね。それはないと信じますが、一部にそういう誤解なり報道されておるわけでありますから、誤解かどうかわかりませんよ、これは、私は事実であったかわかりませんが。私はやっぱり誤解だろうと、こういうように善意に解釈しますが、こういうことが起こってくる原因というものはどこにあるのか、総裁見えられておるんで御答弁願えれば幸いです。
  41. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) お答え申し上げます。  私ども住宅金融公庫ではいろいろな貸し付けの種目がございまして、ただいま先生からお話がございました個人住宅の建設資金の融資というのが大体私どもの予算の六割ぐらいを占めております。しかし、そのほかにまたいろいろな種目がございまして、結局目的とするところは、国民大衆が健康で文化的な住宅を手に入れるということに役立つ施策をしておるわけでございます。  それから業界に何か枠をやったようなことをときどき私どもも言われまして、さようなことはあるはずがないということを申し上げておりますが、少しくその点について御説明を申し上げます。  まず、先生がただいま住宅金融公庫融資つきという広告など新聞にも出るというお話ございました。確かにそういうことはございます。しかし、それは私どもが最初から別な種目で特に資格を限定いたしまして、計画的に造成する優良な団地の住宅については、建設段階では融資しないけれども、お客さんができ上がったものを購入する場合には、お客さんに融資をしてあげるというお約束を初めからするような制度もございます。また、最初から、建設段階から融資をして、そうしてお客さんがお買いになるときにはその融資を切りかえるという制度もございます。そういうのが新聞によく金融公庫融資つきといって出ますけれども、これは決して私どもが不正なことをしているわけじゃございません。そういう制度一つございます。  ただ、先生御指摘の個人住宅の受付につきましてやはり同じようなことをやっておるじゃないかということを言われることがございます。実はもう二年ぐらい前から金融公庫もおかげさまで国民の方々から大変期待をしていただきまして喜んでおりますが、反面、申し込みが非常に一時に集中する傾向を示しております。特に今年度の申し込みの受付を四月の二十八日に開始をいたしましたところ、まさかと思っておりましたが、即日満配どころか少し行き過ぎたようなかっこうになりまして、資金需要の旺盛さに全く私どもも驚いておるわけでございます。この融資の申し込みの受付は何も今回に始まったことじゃなし、前回も前々回もいろいろそういうお話も、そういう疑惑もございましたので、特に今回は非常に厳重にいたしまして、私どもの公庫の個人融資の申し込みは本人またはその家族が直接行ってもらいたい。だれかが代理して一括持ち込むというようなことはさせないということを、私どもの業務は全国の八千くらいの金融機関の窓口で処理をするように契約をしておりますが、そういうところにすっかり徹底をしておるわけでございます。  また、申し込まれるお客さんが申込書を入手されますが、申し込みを書く書類を手に入れられますが、その場合にもそういうことをちゃんと書いてお願いをしておるわけでございます。したがいまして、業者に枠というようなことは絶対に存在しないという、これはもう私どものたてまえであり、また事実さようなことは私はあってはならないと考えております。ごたごた申しますが、申し込みに際しましては本人またはその家族、よく事情のわかった方が申し込む。しかも、その申込書には土地登記簿の謄本であるとか、申込人の収入証明書であるとか、保証人の収入証明書であるとかいろいろ添付していただきますので、そういう架空のものの受付は絶対ないたてまえになっております。まあ、しかし、私ども決して胸を張っておるわけでございません。たくさんの件数を扱っておりますので、何かそういうような、もしか遺憾な事例でも万一あるとすれば大変なことでございますので、ただいまも念には念を入れましてそのような調査をいたしております。また、万が一そのようなことがありましたら、私どもは厳重な措置を講じたいと考えておるわけでございます。
  42. 沢田政治

    ○沢田政治君 全くおっしゃられるとおり、あってはならないことなんですね。問題は、申込用紙を、これも事実有根か無根やわかりませんが、一括五十部も買って持って帰ると、こういうところから誤解が出てくるわけでありまして、やっぱり本人か、本人の家族か、明らかに特定の個人なら個人に依頼したものを、これまで制限できないわけです。原則としては本人が一番いいわけですが、そういうように繁雑かもわかりませんが、せっかくの国民が期待している住宅金融公庫が誤解までいったんじゃこれは大変なことだし、事実あってはいかぬことだし、これはやっぱり注意してほしいと思いますね。  それで、今度全く予想外の大量の申し込みがあったと、そして締め切ったと、期間を待たずに。さて、いま残っておる人をどうするかという問題も出てくるわけですね。これまた一部の報道ではもうどうにもならぬと、だから一切この際抽せんにしたらということも言われていますね。抽せんといいますと一見これは平等に見えますね、しかし、これは本当の厳密な意味の平等かといったら平等でないんですね。たとえば公団住宅を申し込む方でも、本当に住宅に困っておる人もあるし、全くこれを借りなくちゃこれは自力建設はできないという方もあるでしょう。でありますから、必ずしも私は抽せんというものは平等にして平等だとは思わぬのです。でありますから、これは抽せん制ということよりも、むしろ本当に住宅金融公庫というものが、零細な庶民のそれに頼らなければどうしても家をつくれない方、特に住宅にだれが見ても客観的に非常に困難を来している方、こういう方というように、むしろ平等という名のもとに、一番いいのは抽せんと、いま住宅公団なんかやっているような方法じゃなく、もっとやっぱり目的に沿って平等を期すという方法、行政的には事務的に繁雑かもわからぬけれども、むしろ平等ということで菜っぱ一からげ投げ捨てるような平等ではなく、むしろ国民の要望に沿って本当に困った者を救い上げていくと、こういう方向に私は改善すべきであって改悪すべきじゃない。こういうように考えておるが、いかがですか。いまのあれではもうだれが見ても、月収三十万円、四十万円あっても、これは申込順序で当たるわけだよね、これは。明らかにこれ不合理だと思うんですね。利子が安いんだから、収入の多い人でもこっちへ申し込んだ方が町の金融機関よりいいに決まっているんだから。でありますから、私はやっぱり後ろ向きの平等ではなく、前向きの平等ということをもう少し研究に値するんじゃないかと思うんですね。いまここでぼくは即答を求めているわけじゃありませんが、検討に値すると思うんですが、いかがですか。
  43. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) まことに先生のおっしゃるとおりでございます。私どもせっかくこういう貴重な資金を融資する仕事をさせていただいておりますので、できるだけ本来の目的にかなったようにこれを融資したいという念願で一ぱいでございます。まあこの受付の方法につきましては、最初は私ども抽せんでやっておりましたのが、七年ほど前に現在のような受付方式に変えた経過がございます。いろいろ意見もございますが、このように申し込みが殺到するという事態になりますと、このままのやり方でいいかどうかということについては当然私どもも大いにこれは研究をしなきゃならぬし、建設省におかれましても非常にこの点は気を遣っておられまして、いろいろと御指示をいただいておるわけでございますが、この処理をどうするか、抽せん制あるいは選別方式、まあいろいろ問題がからんでおりますが、これらにつきましては、なお監督官庁ともよく打ち合わせまして、できるだけ前向きにいい方策を出してまいりたいと、ただいま考えておる次第でございます。
  44. 沢田政治

    ○沢田政治君 それから建築容積で制限がありますね、余りでかいやつは対象にならぬわけですね。いま、これはどれくらいでやったっけね。
  45. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) いわゆる私ども融資の対象は最高百二十平米ということにいたしております。それより大きい家は私どもの融資の対象にならないと一応原則的にはなっておるわけでございますが、たとえば老人を抱えておる世帯であるとか、非常に家族が多いとかいうような場合には、特に百五十平米くらいまでそれを広げてもいいという特例がございます。この点につきましては、家族の構成によっていろいろ需要の度合いも変わると思いますので、当然大きな研究課題として常に私どもでも内部で議論をしております。これからもできるだけ実情に即しました方向で改善すべき点があれば改善するという姿勢でまいりたいと考えておるわけでございます。
  46. 沢田政治

    ○沢田政治君 原則はいまのままでいいと思いますが、しかし、原則のための原則であってはいかぬと思うんですね。といいますのは、やっぱり住宅を数多くつくりゃいいというわけじゃないわけですね。少なくとも木造でも半世紀ぐらい入っておる人が多いわけでありますから、やはりこの質的向上ということを言われておりますので、スラム街の何というか再生産のようなものであっちゃいかぬと思いますね。そういうことでいまの原則はそう不合理と思いませんが、もっと実情に即して原則を弾力的に運用できるようにしてほしいものだと思いますね。たとえば地方なんかでは、やはり三夫婦もおるところがあるわけですよね、夫婦が三つですね。これはまあ同族ですよ、他人じゃありません。そういうような場合は、もっとやっぱり弾力的に実情に即したように一家三つの夫婦で九人も十人もおるという場合には、やっぱりそれに即したように運用できるような……、これも即答は求めませんが、やはり研究課題として研究していただきたいものだと、こういうように考えるわけです。  それで、忙しいようですから数字だけ聞いておきます。民間デベロッパー、またマンション業者等にもこれは昭和四十七年から融資をしておるわけですが、大体額はどういう傾向を示しておるのか、大ざっぱな数字でもひとつお聞かせ願いたいと思います。
  47. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) ただいまお話が出ましたデベロッパーに対しまして、団地の分譲住宅の建設資金を貸したり、あるいは宅地の造成資金を貸したりする種目がございます。これも資格を限定いたしまして、良質なものが比較的安い価格で供給されるように、国民大衆の利益になるように、そういう面でまた指導をしておる種目でございまして、まず団地分譲住宅、デベロッパーが団地をつくって住宅を分譲すると、これに対する融資額はどのくらいかと申しますと、まず四十七、八、九と三年度申し上げます。  四十七年度はそういう分譲住宅の戸数が九千九百戸でございまして、融資をいたしました金額が百九十一億円でございます。一体これはどの程度のものなのかということを申し上げますと、先ほど来お話が出ております個人住宅の、最近殺到いたします個人住宅の申し込みでございます。これが戸数にいたしますと、大体四十七年度は全体の五三%、いまの団地のデベロッパーの分は三%、大変低い率になっております。それから四十八年度で申しますと、民間団地分譲が戸数で九千二百八十六戸とございまして、融資額が二百七十億。これは大体戸数で言いますと全体の戸数の三%ぐらい、金額でいうと四%ぐらいに当たるのではないか。大したウエートを占めておるわけではございませんが、そういうことをやっております。それから四十九年度になりますと、戸数が少しふえまして一万三百二十九戸、金額は四百四十四億となっておりますが、これは予算そのものも非常に大きくなってまいりましたので自然ふえてくるわけでございますが、やはり全体に占めるパーセンテージは三%程度ということでございます。  それから宅地の造成資金を民間に貸し付けるという仕事、これもデベロッパーに貸しておることをただいま申し上げましたが、これは四十七年が金額にいたしまして約十億円、これは宅地関係で融資をいたしたもの、ほかにたくさんございますが、そのうちの一%ぐらいを占めております。それから四十八年は十二億、これも宅地関係全体の約一%ということでございます。それから四十九年度は十八億、これは全体の約二%、大体こんなところでこういう仕事を私の方はやるように融資をしておるわけでございます。
  48. 沢田政治

    ○沢田政治君 住宅金融公庫はお帰りになって結構ですが、一つだけ私は注文つけておきますが、特に民間デベロッパーに、建物をつくって売る、あるいは宅地を造成する、こういう融資はやっぱり公的な金でありますから、無制限な利潤行為を援助するものであってはいかぬと思いますね。これは釈迦に説法で、当然だと思いますが、したがって、そういう貸し付ける条件の場合、条件の一つとして、やっておられると思いますが、ある程度じゃない、できる限りやっぱりこういう値段で売るべきだ、こういう暴利は取るべきじゃないというような、建物にしても宅地にしても、公団の融資で一つの公的な目的がありますから、その目的を厳格に守るようにやっぱり監視していくといいますか、そういう努力はしていただきたいものだと思いますね。これは従来もしばしば当委員会で言われておることですから、これは一段とその点について御努力を願いたいことを一つ注文つけて、金融公庫帰って結構です。どうも御苦労さんでした。  そこで、住宅公団にお伺いしますが、いろいろな隘路はありますわな、当委員会でも相当議論がなされました。地方財政負担が多いとか、水とか足とかいろいろこれあるわけですが、特に区画整理手法でやる場合、やっぱり問題になるのは減歩なんですよね、減歩。たとえば都市街路をつくる場合でも、これはやっぱりみんな、割り勘と言ったら言葉悪いけれども、率直に言えば土地の割り勘のようになるわけだ、減歩するわけですね。これが非常にやっぱり区画整理の場合隘路になっているわけですね。もちろん別の角度から言いますと、区画整理開発をすると、そうなると付加価値が上がるじゃないかと、二〇%ぐらいの減歩でもまだおつりがいくんじゃないか、だからこれだけは耐え忍ぶべきだという議論もありますよ。ありますが、しかし、都市の街路とかそういうものはこれは明らかに公共がやることであって、道路をつくるところまで個人が負担すべきじゃないと、こういう住民側の利害もあるわけですね。だから私は、どっちがいいとか悪いとかいうのじゃない、これが非常に工事の停滞とか遅滞につながっておると思うんですね。  そういうことですから、私はやっぱり開発されて、なるほど土地の値段、付加価値が上がることはこれは否めません。そういう場合には固定資産税でぼくは取るべきだと思うのです。やっぱり道路とかそういう公共的なものは、根幹をなす都市街路なんかは、これは国なり、何というか管理者が持つべきだというように、これは明確に、公団のことばかりじゃありませんが、やっぱり割り切る時期に来たんじゃないかと思う。言い分はぼくはどっちもわかりますよ。両方とも言い分があるようですが、そのためにやっぱり工事がこれは停滞しておる。こういうことですから、これは公団に聞くのは無理ですわな、公団としてもこれはすっきりしてもらった方がいいらしいわけですからね。公団にこれは聞いてもしようがないでしょうね。だから、これもいま即答を求めませんが、区画整理事業法をやっぱりそういう面でもう一回洗い直してみる必要があるんじゃないかと、こう思うのですね。これは新しい公団ができた場合、この手法でやるかもわかりませんからですね。これはどうですか、これは建設省、どなたからでも。即答は求めませんよ、やっぱり矛盾があるのですよ、出てきているのですよ。これは法を直すか、特別立法によるかは別としても、いろいろなやり方は別としても、考える時期に来ていると思うのです。
  49. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 公共減歩の問題につきましては、従来から公共施設について減歩率を緩和しろという要求、あるいはそれに関するいろいろな問題が出ていることは御承知のとおりでありまして、われわれとしましても、これにつきましては今後ともその採択される本来管理者が施行すべきその公共施設でありますから、これを国の補助をできるだけ拡大するというような方向で検討をいたしておりますし、また住宅公団の行います土地区画整理事業についていろいろな換地あるいは公共減歩という問題がいろいろ問題になっておりますけれども、公団の場合は比較的民間の区画整理等に比べまして問題は少ないというふうに考えておりますが、いずれにしましても減歩の問題は古くて新しい問題でありまして、それらを検討すべき時期に来ておると思います。
  50. 沢田政治

    ○沢田政治君 そこで、この委員会でも議論になったわけだが、果たして公団が新しく造成する宅地が坪十万円でできるかできないか、限度は一体どうかと、第何分類とかと議論になったわけですが、これは大変私はやっぱり疑問ありますよ。疑問はありますが、ここで議論してもこれは決まる問題じゃありませんね。しかし、決まる問題じゃないけれども、一般庶民の経済力の限度以上であってはこの公団設立の目的というものはないわけだから、これはやっぱり今後の努力にまたなければならぬと思うのですが、その端的な例は洋光台ですか、十日に視察に行くわけですが、あそこでもやっぱり宅地分譲をした。しかもあそこは公団では全く例を見られない、やっぱり都市の地価としては低廉なものであったという折り紙つきですね。そこでさえも二八%ですかが、やはり何といいますか、抽せんで当たっても御辞退申し上げますと、こういうことになったわけですね。もう生きた証拠ですよ、これは。もう限度以上に、もう宅地を買って住宅をつくるということになると一般庶民の限度以上になっておると思うのですよ。これは政府のそれぞれの機関でも、もはや大都市においては宅地つきの住宅自力建設はもう高ねの花だと言っておるわけですから、宅地はやっと手に入ったでしょうが、最近の建設資材あるいは人件費の高騰によって人件費の高騰によって建築費が、上物が非常に高くなったわけでありますから、やっと待望の土地が手に入ったわけですが、どうも前途は見通しつかぬと、こういうことで私はやはり辞退したと思いますね。これは住宅公団のだれということは言いませんが、やはり個人的にしみじみと述懐しているわけですよね。  というのは、たとえば新しい公団宅地造成をした場合でも、二年以内なら二年以内に何というか建物をつくらなくちゃならぬというのが分譲条件であるならば、恐らく今日の日本住宅公団の二の舞、三の舞になることはこれは必然だということを言っているわけですね。何もこれは政府の悪口を言っているんじゃない。実情から推してそういう本音が出てくると思うんですね、これは。でありますから、果たしてこの二年というのがいいのかどうかと、いまの住宅金融公庫等の融資とか貸付条件とか、こういうものを洗いざらい考えてみなければ、宅地は買ったけれども住建設はできないという現実の日本住宅公団に出ておるような問題が必ず出てくることはこれはもう必至ですよね。したがって、これは分譲条件というものはやっぱり建設二年ということを考えていますか。さらにまた別の手法でいろいろ、何というかな、法律をまた考え直して、やっぱり目的に沿ったように分譲即新しい都市ができていくと、こういうようにするためにはまだまだ検討すべき幾多の課題というものが、いろいろな条件を整理しなければならぬ問題が残っておると思うんだが、いかがですか。
  51. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 工事完了いたしまして分譲をいたします場合に、その譲渡条件といたしまして、二年という建築の期限を切っておりますその理由は、投機を防止すると、宅地だけ買って建てないでそれを他に転用するような危険もありますので、これは投機を防止するという意味一つあったわけであります。それからまた緊急の事態に備えるために家を早く建ててもらいたいわけですから、そういう建てたいという人を優先して入らせるべきであると、こういった意味も含まれていたわけであります。本来的に言いますと、実は宅地だけあったって何もならないのでありまして、ですから上物と一緒に建てられることが望ましい。ですから、この種の宅地分譲をいたします場合には、その上に建つ建物を建てる能力のある者、これを総合的に勘案いたしましてやることが必要だと思っておりますが、新住宅市街地開発法におきましても、また住宅公団が従来からとっております譲渡契約の条件にいたしましても大体二年ということを原則としておりますが、その際いろんな事情でどうしても建てられないような事情があるときには、許す限りその承認にかけまして行政上の生きた運用を図るべきだというふうに考えておりまして、まあ宅地開発公団の場合、それぞれの規定によって二年という制限は、いまのところこれをどう変えたらいいかという名案はございませんけれども、それにいたしましても、その上に建つ上物との関係を考えまして生きた運営を図るべきだと考えております。
  52. 沢田政治

    ○沢田政治君 これはおっしゃられるとおりで、二年を三年にしたから、じゃ建つのか、四年にしたら建つのかという議論になるわけで、細かい議論になるとですね。これはやはり相当の額ですから、一年間延ばしたから自力建設ができるという議論にはならぬと思うんですよね。だから、やはり目的に沿って達成させるためには、上物をもつくる計算をして、どういうような条件にして、どういう金融措置を講じたらいいかというところまでもう少し詰めて、近い将来の課題としてこれは検討すべきだと思うんですね。  それともう一つは、先ほど三治委員が土地の細分化、これを質問されましたが、おっしゃられるとおりで、いろいろな厳しい制限がありますから転売とかそういうものは簡単にできない。しかし、やろうと思えばできますよ、これはね。いま自分の買った七十坪なら七十坪にどういう家をつくるかというのは全く本人の勝手なわけなんだよな。これをわずかに制限できるとすれば建築基準法しかないわけだ。自分の買った土地にどういう規模の家を建てるかということは、これはもう自由にできるわけだ。実際に登記上は細分化しなくとも、事実上細分化される可能性はあるわけですね。本人が家をつくった、そうして二人で組んで、若干廊下でつないだようなかっこうで二世帯が入るという方法もあり得るわけなんだ、方法によってはですね。でありますが、しかしながら、そういうことも事情はわかるが、せっかく新しくつくられる住宅地というものはやっぱりスラムの再生産であってはいかぬということもこれはあるわけだ。そういうことだから、そういう場合、いまの建築基準法しかないわけでありますが、どういう手法で、たとえば緑化協定とか住宅協定とかいろいろな協定の方法もありますわな、こういう規模にしようというね。どういう方法でやりますか。これはやっぱり考えようによっては法律上の細分化は防げたとしても事実上の細分化はちょっと防げないんだよね。だから、どういう方法でやりますか。
  53. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先ほど三治先生の御質問の中でも落とした問題でございますけれども、いま御指摘のありました建築協定ないしは緑化協定、これを十分に活用するということが一つ方法であろうかと思います、実態的な。まあ法律論から言えば先ほど申しましたように最低敷地制限とか、あるいはイギリスの住居法における家族数との見合いにおいてその制限を強化するというようなことまでいけば別でございますけれども、現実の現在の日本の状態からいたしまして、要は細分化を側面から防げればいいわけでございますから、そこで先般都市緑地保全法においてつくられました緑化協定という制度があります。一人施行公団のような分譲いたしますときには、それが市町村長に認可を得ることによりまして、その譲渡条件がそのまま引き継いでいくということで、樹木の植栽地の位置を決めてしまってそろえる、町並みをそろえてしまうというようなこと、あるいは家の向きがそれぞれ決まってしまいますとか、そういうようなことによって細分化が非常に窮屈になるような方向が一つは効果として考えられる。  それを直接ねらった法律ではございませんけれども、緑化協定というのはそれに大いに役立つであろうというふうにも考えられますし、それからまた従来建築基準法に基づく建築協定という方法がございますが、これが従来大半は商店街において行われておって、住宅にはほとんど例がまあまれにしかないというのは、これは全員同意ということが前提として必要でありましてなかなか利用しにくかった。すずらん通りとかなんとかというようなところでは全員がやりますけれども、なかなか住宅ではやりにくいというようなこともありまして、そこでこういう公団なり住宅公団なりがひとりで大きな団地をつくってそれを譲渡する際に、この緑化協定に似たような形で譲渡条件がそのまま市町村長の認可を得て、それが譲渡者にその制限が加わるというような形ができますれば、その住宅の建物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠までそれが規制されますので、これも一つ方法ではないかというので検討いたしておる次第でございます。
  54. 沢田政治

    ○沢田政治君 今度新しい——まあできるかどうかわかりませんが、できたとするならば、新しい公団宅地の卸売といいますか、そういうかっこうになるわけですが、その場合、やはり先ほどから懸念されたように本当に勤労住民というのが——どこまで勤労住民かわかりませんか、まあ普通の働いている方ですね、平均以下の方々の宅地の需要を満たすものになるかどうかという懸念が絶えずつきまとっていくわけですね。これは否めないと思うんですよ、異口同音にそういう質問が出ておりますから。そこで、この宅地を分譲する際に、皆さんも言っているように勤労者の宅地供給していくんだというのが大前提だと、こういうことを言っているわけで、そのとおりにいくかどうか。  そこで、たとえば家を何というか一軒もう持っているんだと、本人はね。まあこの際で新しい土地ができるようだから、一丁ここにも宅地を買っておこうじゃないかと、そういう制限はいまの法律じゃ何もないのですね。これは政令で詰めるかどうか別としても、そういう場合、これはどうするのか。ぼくはやはり皆さん方が目的の一条で掲げられておるように勤労者の宅地供給するんだということがあるならば、文字どおりやっぱり困窮の度合いによって優先順位をつけるべきだと思うのですよ。明らかに自力で建設する能力のある者がここは格安だと——安いんですよね、これは利潤は含まれておりませんから。一般の宅建業者から見たなら安い。安いからこれは殺到してくるわけでありますから。そういう分譲基準というものを目的に沿うたように整備する必要があると思うんだが、どうか。
  55. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 確かに譲り受ける相手方について、理想を言えば、イギリスがやっておりますようなウエーティングリストみたいなものをつくりまして、同じ困窮者の中でもこの人の方が百点で、この人の方が八十点だというふうな優先順位等が困窮度に応じてつけられるということが理想でありますけれども、現実の問題として、主観的な困窮者を客観的に数的に把握して順位をつけるということは、宅地だけではなくて賃貸住宅の入居者につきましてもなかなか困難な問題であります。しかし、こういった問題は、少なくとも理想とまではいかなくても、できるだけそういう優先順位を明確化するための検討はしなければいけないということで、これは住宅局とともに現在重要な管理上の一つ課題として検討を進めておるところでありますが、現在やっておりますやり方で言えば、原則として公募によるというのが大体住宅公団を初めそういうやり方をやっております。公募によるということは、優先順位が余りつけられないわけでございますが、そのかわりその資格要件といたしまして、住宅公団法の施行規則の二十七条、八条等におきまして、公団の利用計画に従っていること、それから自分で住宅を建てること、それから代価の支払い能力があること。さらにこれを事務取扱規程の二十四条において細分化いたしまして、現に住宅に困窮していることが明らかであることということを言っております。そして日本国籍を持っている勤労者であること。これははっきりするわけでありますが、単身者はだめだ、婚約者はいい。それから二年以内に住宅を建てること、またその代金の支払いが可能であること。いろいろ書いてありますけれども、現に住宅に困窮していることが明らかであることということの基準、この場合で言えば現に住宅を建てるべく宅地に困窮していることが明らかであることということの判断の基準をつけるということが非常に大事な条項だと思います。しかしながら、それを真正面からいま言いましたようにつかまえるのには的確な方法が現在のところ必ずしもないので、たとえば公団におきましては、譲渡契約に当たりまして、譲渡後再譲渡したりするときは公団の承認がかかってなかなか売れないんだよ、あるいは買い戻し条件がつくんだぞというようなことをあらかじめPRするということが、一つのそういった投機的な売買の歯どめにもなっているかと思いますが、いずれにしてもこれだけでは十分だとは考えておりません。この問題につきましては、できるだけ優先順位をつけるという面につきまして、管理上の今後の一つ課題として考えていきたいと考えております。
  56. 沢田政治

    ○沢田政治君 特にいま並べられました基準がそう矛盾があると思いませんが、返済能力ですね、これは返済能力はなければ困るわけだね。それはわかりますよ。しかし、上限がないわけだよね。だから、現に自由業をやっておって年間一千万所得があると、これは民間デベロッパーから買える能力はあるわけだ、宅地に困難しているかもわからぬけれども。そういう者が当たって、該当して全くそれ以下の二百万ほらほらの方が買えないということでは、これはやっぱり社会的な不公正という面からいっていかぬと思うのです。だから、そういう面はやっぱり研究すべきだと思うのです。この点は、ぼくは住宅公団にも言えますね。先ほど言ったように抽せん制度が果たしていいのかどうか。せっかく何というか努力して、やっぱり依然として一部屋に家族が六人もおるという全く人間以下の生活をしておる木賃アパートの方々が、この恩恵に浴しておらぬものだから、公団がまさに嫉妬、怨嗟というところまでいっておるわけですね。でありますから、やっぱり抽せん制というものを、ぼくはそう急にはいかぬとしても、やっぱり優先順位というものを、目的に合致した方向に近づけるためには検討すべきだと思うのだが、これは住宅公団でもそうですね。これは運否天賦であってなかなかわからぬわけだ。宝くじ買うのと——宝くじ当たらなくてもせっぱ詰まって困らぬわけでありますが、住宅難の方はこれは当たらなければ本当に大変なわけですから、これは公団に聞こうと思ってお呼びしたわけですが、やっぱりこれはどうしたら社会的な公正と目的に沿った実効が上がるかということを一つ検討課題としていただきたいと、こういうように考えます。  最後に一つお聞きしたいことは、全面買収がどうか、全面買収が望ましいが、その用いる手法によっては地主に対して保留分が残るという問題も出てこれはわかるわけです。その際に、仮に地主に残った場合、どういうように価格規制するかということですね。これはやはり付加価値が上がるわけです、これは開発するんだから。その場合に、これは地主が公の金で付加価値が上がる。自分の努力で上がるわけじゃないんだから、これはやはり税金で取るのか価格規制するのか、何かやらなければこれもやはり社会的な不公正がまた出てくるわけでありますから、できるならば、やっぱり全面買収の方式は可能な限りとるべきであるし、仮にまた用いる手法によって自分の保留分が残った場合には、厳重に価格規制か税金で取り上げるか、全くもうけ得ということにならぬようなことを考えなければこれは大変だと思うのです。いかがですか。
  57. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) お説のとおり、結論から言いますと、できるだけ全面買収方式、たとえば新住宅市街地開発法等の全面買収方式でやりたいと考えております。しかしながら、これだけの大きな地区になりますと、先買い区画整理方式をとった方が望ましい場合も考えられるわけでありまして、たとえば洋光台とか港南台とか、あるいは高蔵寺もそうでございますが、そういった全面買収でない方法の方がやりやすい、あるいはその方が適当だという場合もあり得るわけでありますが、その場合には、たとえば国土利用計画法による規制区域だとか、あるいは届け出制だとか、あるいは法人、個人に対する譲渡に際しての税制の措置だとか、こういった用意はございますけれども、やはり何といっても、こういった細分化だとか、いまおっしゃいました価格の面における歯どめというものは一定の限界がございます。これは一般市街地と同じでございまして、ですから、同じ公費を使って区画整理をやりましたところでありましても、それが高く他に転売しがちな、それに対する歯どめというものは完全な形ではなかなか施行できない向きもございます。  そこで、われわれとしましては、できる限り全面買収によって、そうすれば一種の開発登録簿等によるサブディビジョンコントロールとまではいかなくても、そういった個々の規制ができますし、それからまた先ほど来譲渡条件の場合につけるような緑化協定とかいろんな条件が働いてまいりますから、そちらの方で買い戻しその他の制限もできることでありますし、そういう全面買収方式をとりたいと思っております。区画整理を行います場合に、その残った四割なり三割なりという土地につきましては、これは所有者のやはり所有権の範囲内で自由になっているのが原則でございます。これに対していま申しました用意は一応できつつありますけれども、やはりそこには限界があるというふうに考えております。ですから、われわれはできたら広い団地でございますから、この部分は全面買収で、この部分は区画整理でというような併用方式をその中で使うことも一つの知恵ではないかというふうに考えまして、要はできるだけ大量に早くそういう宅地をつくり上げること、それが他と比較して不公平な、あるいは非常な利益を与えるというようなことにならないように留意すべく今後とも検討いたしてまいりたいと思っております。
  58. 沢田政治

    ○沢田政治君 最後の最後の質問ですが、まとめて言いますから、まとめて答弁していただきたいと思いますが、先ほど三治委員も交通の問題ですね、多摩ニュータウンなんか交通の問題で団地はできたけれども足がないというようなことがあったわけですから、そういうことがあってはいかぬと思うのですね。しかも画期的な方法宅地を造成して公共事業、特定公共を、一切を立てかえ直接やっていこうということですから、そういうずさんなことは許されぬと思うのですが、しかし、鉄道が先にできちゃってということも望ましいわけですが、なかなかそうもいかぬと。そうなると、つなぎの交通——運輸省ね、ということになると、これはバス、民間バス。なるほど多摩ニュータウンもバスが、最初バスを交通手段にしましたね。だけれども、通勤するだけのバスで、夜間に遅く帰った場合にはみんなタクシーだと、こういうことで、通勤する人だけが住んでいるだけじゃない、家族も住んでいるのですから、やっぱりショッピングもある。こういうことですから、当然鉄道ができなくともつなぎのバスを、民間バスを通すようにする。しかも夜間もある程度私鉄、国電に合うようにやる。これは民間バスとして非常にえらい負担だと思いますが、その点は運輸省の方でやっぱり協力をして、普通の既成市街地と変わらぬような利便というものを考えてやらなければ、最初に入った者は非常に不便したということになると第一印象が悪いわけですから、居住地で一回不快な思いをしたら一生思い出——思い出なんて余り心理的なことを言って悪いわけですが、非常にまずいと思うのです。特にそういう経験が多摩ニュータウンであったものだから、やはり前回のわだちを繰り返さないように努力していただきたいということが一つ。  それから国土庁、これはどこへ行っても水々、足というのが問題になったわけでありますが、具体的な数字は申し上げませんが、大変な水というものは重要な課題になってきておるわけですね。昭和六十年度を展望するならば、これは非常に深刻な問題ですよ。でありますから、やはりこういう計画とあわせて水需要というものを考えていかなければならぬと思いますね。水の再利用なんて、こう言っておりますが、どこでやっておりますか、水の再利用研究なんかしているところは。住宅公団なんかも言っておるわけですが、こういう水の再利用も一元化して一元的にやらなければならぬと思いますね。特に私は、やはりわが国の水行政は、農業用水、慣行水利権の問題もあるし、それから工業用水、これはいろいろありますね。上水、下水、たくさんあるわけでありますが、これはやはり水行政の一元化というものを、官庁のなわ張りもあると思いますが、やはり水需要を満たすということになると、どうしても広域管理といいますか、広域利用ということにならざるを得ないと思いますね。でありますから、既成のなわ張りを超えた、発想の次元というものを変えた何か方法を考えなければならぬと思うのですが、その点に対してお伺いして、私はきょう質問を終わります。
  59. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 宅地開発公団の造成いたします大規模宅地の足の確保につきましては、鉄道を建設するということが基本的な考え方かと思いますが、鉄道の建設につきましては、あくまで入居時点に間に合うように行うということを原則として考えておりますけれども、先生おっしゃいますように、鉄道の建設ということにはいろいろとむずかしい問題が生ずることが間々ございます。用地の買収に手間取るとか、あるいは思わぬ障害があって工事がなかなか進まないとか、そういうことがございますので、万一入居時点で間に合わないというふうな場合には、かわりのバスということも考えられます。あるいはまたその開発いたします宅地規模、入居者の数とか、そういったことからまいります輸送需要、それから既設線の駅までの距離とか、そういったいろいろな点から、むしろ鉄道よりもバス輸送の方が効率的だというふうな場合も考えられると思います。これらのバス輸送が必要であるという場合には、運輸省といたしましては足の確保が十分にできるように配慮をしたいと思います。  なお、先ほどお話がございました深夜でございますが、現在もいろいろな団地のために特にバス輸送ということが行われておりますが、深夜になかなかバスというのは運行がむずかしいのでございますけれども、できるだけ夜遅くまで運行されるような行政指導を着々やっておりますけれども、またやはりバスとしての限度を超えた夜遅くという場合に、タクシーの問題も出ましたが、これにつきましても、運輸省では現在相乗りタクシーというふうな制度をつくりまして、できるだけ利用者の負担が過大にならないようなそういう配慮もいたしておる次第でございます。
  60. 宮崎明

    政府委員(宮崎明君) 水の問題は、おっしゃるとおり非常に深刻になりつつございまして、今後ともダム等の水資源開発施設を積極的に促進するとともに、今後は需要の抑制——需要の抑制といいますと、いわゆる水を大切にうまく使う、節水等も含めて効率的に使う、需要抑制とそれから水の循環利用、これが今後の大きな課題になろうかと思います。  宅地開発計画、大規模宅地開発に伴っての水の問題でございますけれども、これはその地域の利根川なら利根川での水資源開発基本計画の中で、関東地域全体の水需給の中で十分考慮してまいりたいと思っております。特に人口増をどの程度見込むか、それがどこに張りつくかということと十分関連ございますので、その中で十分対処してまいりたいと思います。ただ、この宅地開発公団といいますか、大規模宅地開発ができたとしましても、たとえば百万人なら百万人といたしましても、水の需要というものは多くて一人頭三百リッター以内と思います。ですから、百万人としましても日量で三十万トン、毎秒にいたしますと三・五トンくらいの水の量に——全体の南関東でたとえば昭和六十年までに人口増が五百万とか六百万という想定でございますので、そういう中での人口のどこに張りつくかということを十分想定してこの面は考慮してまいりたい。三百リッターという量はかなり大きな量で、杉並、大体人口五十五万ですから、この一人当たりの使用量は二百四十リッターでございます。ですから、まあ三百リッターというものをニュータウンでみれば十分だと思います。  それから水の再利用の問題でございますが、これはまだ法的といいますか、制度的に十分なものができておりません。現在私ども中心になりまして、関係各省と連絡をとりながら水の制度的な整備、それから財政的な問題、そういうことを十分考慮して水の再利用の促進ということに努力してまいりたいと思っております。  なお、水の一元化、水行政の一元化ということにつきましてはなかなかむずかしい問題がございますので、最後に広域的な水の運用ということは、地域地域、常識的な水需給圏内での水の広域的な運用ということも逐次行われていますし、いろいろ計画もされて、今後タイミングよく打ち出していきたい。これはやはり地域間の利害に関しまして非常な大きな地域の政治問題、社会問題に発展しますので、その辺は慎重に対処してまいりたいと思います。
  61. 中村波男

    委員長中村波男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      —————・—————    午後二時十三分開会
  62. 中村波男

    委員長中村波男君) これより委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  63. 春日正一

    ○春日正一君 大臣がお見えにならないので、まあもう少し後になってもいい問題として、最初に大阪の茨木市でいま開発されておるサニーニュータウンの問題について公団の方にお聞きしたいのですが、このニュータウン開発者である昭和土地開発株式会社から住宅公団土地売り渡しの申し出があったというふうに聞いていますけれども、それは事実かどうか。それから公団として、この申し出についてどういうふうにしておいでになるのか、その点をお聞きしたいのですが。
  64. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 昭和土地開発株式会社から昨年の十一月に住宅公団に対しまして土地の売り渡しの申し込みがございました。それに基づきまして、現在は候補地として取り上げるのに適当であるかどうか、あるいは地元の市の意向、こういったものを現在調査いたしておる段階でございます。
  65. 春日正一

    ○春日正一君 このサニータウンが、昭和土地開発株式会社が公団土地を売り渡したいといって申し入れてくるまでの経過、そういうような事情はどうなっていますか、御存じですか。
  66. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 私どもは昭和土地開発株式会社から申し込みの際に、昭和土地開発株式会社は御承知のように開西電力の子会社でございまして、まあいわば開西電力がこういった宅地開発をやることは適当でないという通産省の行政指導を昭和土地の方で受けまして、どこか公的機関に譲渡したらどうかということで私どもの方へ申し込みがあったと、こういうふうに承っております。
  67. 春日正一

    ○春日正一君 それは大分話が違うんですね。だから、ただそういうことだけで電力会社が宅地開発やるのは適当でないと、この適当でないことをやって大もうけしてきているんですから、百七十億ですか。そうしてどうにもこれはならなくなったものを公団に押しつけようとしておるというのが経過でしょう。だから、私はそこをお聞きしたかったのですけれども、これではきわめて簡単にこういうふうになっていますね。この「土地売渡申込書 日本住宅公団大阪支所 支所長扇谷弘一殿」ということで、「下記の土地の売り渡しをしたいので、別添記載の公団の買収方式を承知のうえ、関係書類を添付して申込みをします。なお、貴公団からこの申込みを断わる旨の通知を受けたときは貴公団に対しあっせん手数料その他のいっさいの請求はいたしません。」とこういう形で申し入れしているわけですわ、昭和四十九年十一月五日。  ところが、この経過を調べてみますと、この会社は昭和土地開発株式会社、これは昭和四十二年の十一月に住友信託銀行等が共同出資して、土地の造成、住宅の建設、土地住宅の分譲と不動産事業を行うということで、昭和四十六年三月末までに三カ所ほどの分譲マンションを建て、そうして現在茨木のサニーニュータウンをやっておるというふうなことで、売上高にしても昭和四十三年度三億五千七百万、四十五年度十六億二千六百万と発展したと。当社持ち株比率九〇%というようなふうに、大いにそれでもうけてきたんですね。ところが、この茨木のサニーニュータウンについては、土地の造成場所が、これ小さい方の地図ですけれども、(地図を示す)これが茨木市で、ちょうどここのところに当たるところで、ここの排水がちょうど茨木市の十日市水源地の上に当たると。だから、上水が汚染されるということがこれは市議会で問題になりまして、それで市議会で、ずいぶん建設委員会で議論されて、まあ一人を除く全員でもってこれは反対すべきだと、だから水はやらぬということになって、その後議会の全員協議会を開いて、ここでも一人を除いて全員の意思でもってこれを認めるわけにはいかないという議論をして、ここに議事録、これほどたくさんあるわけですね、私ずっと読んでみたけれども。そういういきさつがあって、もうけようと思って手がけてみたけれども、始末に困って、それで何とかしたらということになって、その質問を、去年の四月二十六日に大阪出身のわが党の神崎委員が取り上げて、それで角度としては商工委員会ですから、いわゆる関西電力というような公共事業を行っておる会社がこういう営利事業に手を出していいのかと、それが適当かどうかということで質問をして、中曽根通産大臣は適当でないと思うという答弁をされたわけです。それから公団の方へということで、持ってきたという経過になるんだと思いますけれども、そういう経過を持ったもの、そうしてその実態がどういうものであるか、大体御存じになっていますか。いま売ろうと言っているその土地の造成状況なり、その実態。
  68. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 現在、現地の関西支社において調査中でございますが、いままでにわかった点を申し上げますと、いま御指摘のような排水の問題、それから給水の問題、もちろん問題がございますので調査中でございます。それで、給水の問題についてはたとえば千戸程度ならいま給水できる。その余については逐次給水施設が整い次第給水をしていくと、こういう方式でよかろうというような中間の報告も受けております。それから造成等につきましては、これは現在まだ工事中でございますけれども、全体のうちの大半、全体で百二十五ヘクタールございますけれども、そのうちの約八十七ヘクタール分が造成済みであると、これは現地でも確認をいたしております。しかしながら、いずれにいたしましても、そういった関連公共施設が整っておるか、あるいは地元の市に公団住宅を建てることについての受け入れ体制があるかどうかがやはり取得をするときの問題になりますので、その点を現在慎重に検討をいたしておるわけでございます。
  69. 春日正一

    ○春日正一君 それで、いま言われたように、このニュータウンは茨木市の大字安威というところにあって百二十六ヘクタール、これは調整区域ですね。計画人口は一万二千人、戸数で三千戸ということで、四十五年の六月に古い宅造法で許可になったものですね。それがさっき言いましたように汚水の問題、そういうような問題で議会で問題になって、話がつかなくなっているという経過なんですけれども、公団としては値段の点が合うとか、何かそういうようなことがあれば、検討中と言っておるけれども、買う意思はあるんですか、ここを。住宅公団関西支社企画用地部長の平田さんという人はこういうふうに言っていますね。四十九年八月ごろ昭和土地開発から一括買収してほしいとの話があったと、ただいま公団として検討中であると。一、住宅公団が買うことに府、市が承知するかどうかと、それから買い取り原価で折り合いがつくかどうかという点を検討しておると言うのですね。で、五十年度の予算で買い取る余地はあると、こういうふうに言っておる。それから資産計画、分譲計画は立ててない。現在のところ昭和土地を介して、市に条件について意向をまとめてもらっておると、日本住宅公団法三十四条に基づく協議はしていない云々と、こういったようなことを言っておるわけですけれども、いま言ったようなこの二つの条件が整えばお買いになるということですか。
  70. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) いま先生が申されました地元の府、市の受け入れ体制、それから価格が公団住宅を建てるのにふさわしい価格であるかどうかの検討、さらに交通問題あるいは関連公共公益施設等についての問題、そういったものを検討いたしまして、いろいろ土地を取得するまでには手続がございますけれども、そういう手続が終わって、住宅用地として適当であるということになれば取得をいたしたいと、こういうことになるわけでございます。
  71. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、話を先に進めますけれども、本来このニュータウンの状況を見てみると、公団という、特に住宅公団というものが買い取るということは、どうも問題があるんじゃないかという気がするんですよ。一つ地元の問題になっておる飲料水の汚染という問題があります。仮に十日市の水源地があると、ここのニュータウンの処理計画では、汚水が一人一日二百五十リットル出るとして、それでこの計画の水質としては、BOD一八ppm以下、SS二九ppm以下と、こういうことになっているのですけれども、いまこの水を茨木市がとっておる安威川の水質の現状ですね。この十日市の水源上流で府の公害監視センターが調べたのでは、BODが五十年三月二十五日現在三ppm、大阪府の環境基準というのは二ppm以下ということになっていますね。それからSSの方は、これは四十九年六月が四一ppm、これを五十年三月二十五日には二二ppmということで、府の環境基準二五ppmよりも下げるということになっているわけですよ。そこへ上流でもって、いま言いましたようにBODの一八ppmというようなものが入ってくれば、現在すでに環境基準を上回っておるものをさらに悪化させるということはこれは避けられないことだと思うんですね。だから、そういう意味から見ても、市民としてそれはがまんならぬということになるわけですね。  もう一つの問題は、災害の危険の問題です。昭和四十二年七月の水害でもってこれは連続雨量が平地で二百四十八ミリ、それから山間部で二百九十二ミリということですけれども、安威川の流域で市の三分の一の世帯が浸水して、床上浸水千八百九十二戸、床下浸水が一万六百十八戸、当時の全市の世帯数が三万二千ですから、大体一万二千というと三分の一以上ですね。これが浸水しておる。そうして農地の流失等が九十三ヘクタール、冠水が千四百ヘクタールというような大きな被害を出しておるわけですね。そうして茨木市の総合計画によれば、安威川全体では上流に毎秒五百トンをカットできる調整池、これが必要で、これがないと、四十二年水害時と同量の雨量があれば、その後の改良を考慮してもなおまだ危険があるというふうに総合計画では言っておるわけですね。しかし、そのための費用が二百億円もかかるというんで、まだ着工のめどはついていないというような状況です。だから、そういう状況のもとでこのサニーニュータウンというようなものが完成して、そこでこのニュータウン内に容積五万八千二百六十七立米の遊水池をつくったということですけれども、これは非常に小さくて、これだけじゃどうにもならぬというふうな問題があるわけですね。そういう面から見ても、そういう災害をそれじゃなくする、ニュータウンにはいま言ったような二百億というような金がかかるという問題がある。それを解決しなきゃならぬでしょう。そういう問題がある。  それからこの点では実際上、市議会も知らずにどんどん話が進められて、これが四十七年七月に大阪府の都市計画地方審議会がニュータウンの汚水処理場建設を認可したということで、初めて市民の間で問題になり、市議会の問題になって、そうして先ほど言ったようなお断りするという結論が出てきた。しかし、その間にどんどん工事が進みまして、先ほども言われましたように、この百二十六ヘクタールのうち第一工区と第二工区はこれはもう完工しておる。あとの第三、第四が残っておるという状態、しかも第一と第二工区の方はほとんど個人住宅ですね、一戸建ての。そういうものになっている。そうすると、公団がお買いになってそれをそのまま払い下げるということになると非常に高いものにつく。じゃあつくり直すことになると、石がき積んで整地してあるやつを全部ぶっこわしてまたやり直さねばならぬというようなことになって、公団としてはやはり非常に大きな負担を負わなきゃならぬ、そういう条件があるわけですね。そういうことになると、結局関西電力がもうけるためにやって、そうしてあの時期に宅造をやってもうけようとやってみたけれども、まあその後の住民意識の変化といいますか、公害問題の深刻化といいますか、そういう条件のもとで市議会からも反対を食う。大阪府もそれにチェックをかけるというような状態のもとで処分にも困っておるものを引き受けてやるということになると、これは一種の大企業の金もうけのし損ないを公団がしりぬぐいをしてやるという結果になるんじゃないか、私はそう思うんですけれども、総裁、どう考えますか。
  72. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 公団が用地を取得するためには当該地元市町村と十分に協議をしなければならない。いまお話しのように地元の市において、あるいは市議会においてこれに対する反対があるということになれば、公団は反対のある限りはその用地を取得しないというような方針でずっとやってきておるわけです。したがいまして、いまいろいろお話のありましたような点がどういうことで市議会の方並びに市当局の御了解を得られるかという点を現在現地において詰めておる状態だろうと思います。いずれにしても、市の方で公団がこの用地を肩がわりするということについて反対であるということになれば、公団としてはその反対を押し切って用地を取得するというようなことはあり得ないことだと思っております。
  73. 春日正一

    ○春日正一君 こういう一括肩がわりということは、公団としては前例がないことだというように聞いておりますけれども、それはそのとおりでいいですか、前例ありますか。
  74. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 一括全部肩がわりしたというのはちょっとなかったんじゃないかと思います。
  75. 春日正一

    ○春日正一君 そういう初めてのことで、いま言ったような話がつけば公団としてはずいぶん金をよけいかけなければならぬ、損をするといいますか、俗に言えば。私は公団は損得という問題は除外した団体でなくてはならぬという主張を持っていますけれども、いまの話でいうと損をする、かぶせられるということになっても引き受けるのかどうかということですね。
  76. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 公団として住宅用地として適当であるという判断をしない限りは、あるいは地元で反対等がなくて、地元の市あるいは市議会等を含めて賛成である、こういった状態になって買収することになると思います。  それから戸建ての問題につきましては、これはもともと中層が七百、テラス住宅が三百戸程度、全体の中で約三分の一程度がそういう住宅でございます。それで、戸建ての部分のところにつきましては現在造成が終わっておるところも変更せずに、たとえばタウンハウス方式のものを建てるとか、そういった戸建てではない建て方も検討する余地があるかと考えております。
  77. 春日正一

    ○春日正一君 防災の問題その他いま触れましたけれども、公団への申し出価格というのは平米七万円ということになりますと、一区画七十五ないし九十坪という、坪にしますと、七万ですから大体二十一万ないし二十二万ぐらいになるということになると、一区画で土地だけで千五百万円から千九百万円ですね。そうすると、これは一般に言われる勤労者という概念の人たちの手の出せる値段ではないんですよ。そうすると、公団法の第一条には勤労者のための住宅をつくると書いてある、そのための宅地を提供すると書いてある。ということになると、法のたてまえから言ったってこんな高いものは買えないはずじゃないですか。この点、大臣と総裁と両方からお答え願いたい。
  78. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 茨木市にあります茨木ニュータウンにつきまして、現在公団の方からわれわれ承っておる話では、まだ支社におきまして候補地を選定して既略調査をやっておるという段階でございます。公団がまだ全体の姿勢は一切決めておらぬわけでございまして、私の方で直ちにとやかく言えないと思いますけれども、基本的な問題につきまして二、三聞いております。で、前向きの考え方といたしましては、基本的な考え方といたしましては、立地条件がよくて、地元市町村が賛成して、価格も適当だということであれば一般論としてはあまり忌避する理由はないと思います。ただ、いまおっしゃいましたように、きわめて高くなるとか、公団の値段と折り合いがつかないとか、地元が反対だとかいう場合に無理して買う必要はないかと思います。どうしても買うという場合でも、先生のおっしゃるように戸建てのものにつきましては十分慎重に扱うべきだとわれわれ思います。一般住宅公団住宅の用地を購入されますときに、いまのいろいろな手法の中で大臣認可が要るようなものにつきましては相当早く本省も聞きます。しかし、一般には公団の方の自主性にお任せしておって、大体お買いになった後から聞くことが多いわけであります。本件のように問題があるものにつきましては、われわれも十分聞きながら善処してまいりたいと思っております。
  79. 春日正一

    ○春日正一君 総裁、どうですか。
  80. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 最近大変地価が上がりまして、市街地では平米十万を超すというような、これも入手しております。団地においても交通至便のようなところではやはり平米五、六万の土地も当然買わなければならないということがございますが、これは大体私どもの方は、上に住宅をつくりまして両方を一括して分譲あるいは賃貸というような方式でやっておるわけでございます。したがいまして、最近土地だけを分譲するというのは非常に減っているわけでございます。できるだけ集合住宅に活用して、その残りの部分でどうにもならぬと、集合住宅用には活用できないという土地を分譲するという方式にいっております。したがいまして、このサニーニュータウンを引き受けました場合に、これがいま先生おっしゃるように非常に土地代だけでもすでに造成済みであって相当高額のものになる、この上、住宅を上に乗っけてこれが一般住宅困窮者に渡すということがどうであろうか。これがこの問題においてほかの条件が完結いたしましてもやっぱり大きなわれわれとしては考えなければならない事態にある。そこら辺も慎重に検討しなければならぬということを支所の方に指示している次第でございます。
  81. 春日正一

    ○春日正一君 大臣、後から来られたのだけれども、どうですか、お答えいただけますか、無理なら後でもいいですが。
  82. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) 最初の質問の経緯はよくわかりませんけれども、いま質疑応答の場合で一応様子がわかったわけでありますが、ただ、具体的なこの場所の問題についてはどうかと思いますけれども、私は一般論として申し上げます。  率直に言って、われわれたびたび御答弁申し上げておりますように、適地で適正価格で本当にそれが必要なものなれば、これは企業が持っている土地であっても必ずしもそういうものは買わないという、そんなかたくなな考え方は持たないと思っております。これは住宅建設のために必要であれば当然考えるべきだと思います。ただ、適地だから、適正価格だから全部買ってもいいという問題じゃないと思います。それが本当に必要化するかという問題、必要であるかどうかという問題、それを買わなければ実際公団運営というものが困るのかどうかという問題、むしろそこまで掘り下げて検討して問題を考えるべきじゃないかと、かように思っております。いまの問題も私いま聞いただけでどこまでの問題か知りませんけれども、これはこういった問題を軽々に扱うべき問題ではない、十分検討せなければならぬ、かように思っております。
  83. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、いまの住宅公団法にはこういう場合に歯どめになるような規定というものがあるのかどうかという問題。私聞いてみますと、関西支社の方から本社の承認を求める上申書といいますか、そういうものが出てくる、本社の理事会でこれを承認するかどうかを決める、それが公団の最終決定になる、そうして買い上げるということになればそれだけの手続でやれることになる、こういうことになっているようですね。だから、地元なんかで聞いてみると、結局転売していった土地のゴールは住宅公団というような批判も出ているようですね。だから、そういう点で歯どめが法律的にあるのか。そういう不当なものというか何というか、犠牲をしょわされるようなものを買うという非難を受けるようなものをチェックする歯どめというものはどこにあるのか、そこをお聞きしたいですね。
  84. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 住宅公団の業務は住宅公団法の第三十一条に掲げております。その一番最初に、「公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」と示しておりまして、先ほど先生おっしゃいました第一条の目的を達成するということからその業務がすべて起こっておるということでございまして、すべてその精神で発足すべきだと考えております。ただいまの公団の内部規定でございますけれども、やはりそういうふうな趣旨で建設大臣の方でも認可をしておるものでございます。土地取得規程というのがございまして、その中で相当細目の規程を定めております。たとえば本件のような場合も、まず支所の方で候補地の申し込みがありますと、申し込みを受けつけまして、概略調査というのをやります。概略調査というのをやりまして、おおむね先ほどいろいろと話が出ましたような条件については何とかなりそうだが交渉してもよいかという申請をいたしまして、それでまず本社の承認を得まして、それから交渉に入ります。交渉が終わりましてから、今度は取得交渉を承認のためにもう一回本社へ上がってくる、そういうものを見まして用地取得承認の手続が終わったら買う、こういう手続でございます。相当慎重にやっておりますので、今後もこういうことを励行させたいと考えております。
  85. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、歯どめと言えば、私もその第一条の「住宅に困窮する勤労者のために」という、これに該当するかどうかということが公団法の中ではただ一つの歯どめになる。そういう意味で、私さっき言ったように土地だけで千五百万とか千九百万というようなものが果たして第一条の目的にかなうかという問題を出したわけですけれども、それしかないんですね。だから、いろいろこうやっているうちに肩がわりさせられてしまうようなことになる。ところが、宅開公団法について言えば、この第一条の「勤労者のために」というこの規定も取ってしまったんですね。だから何にも歯どめがない。そうすると、この前の会に上田委員が指摘したように、区画整理、新都市基盤などで土地所有者に約四〇%の土地が残るという、こういう開発手法によって大企業の買い占め土地開発可能な土地、分譲可能な土地として復活救済されるというような問題も出てくるし、新設される鉄道の沿線で買い占めが起こる、これは市街化区域になることを見込んでですね。それから宅開公団の始めるニュータウンがどこかというようなことを、これは地獄耳というものがあって聞き込んで、計画予定地での先回り買い占めが起こるというような点を指摘しましたけれども、そういう非常に抽象的な歯どめですけれども、「勤労者のために」というそのものを削ってしまった宅開公団法ということになれば、これはもう防止の対策が、歯どめがないということは非常にはっきりしてくると思うんです。そして、これについての答弁もまことに抽象的で私ども納得できないものだったんですけれども、こういう点考えてみれば、この宅地開発公団法等に何らの歯どめもないということが、ある意味で言えばこの法案の致命的な欠陥になって将来問題になるだろうというふうに私思うんですけれども、その点大臣はどう考えますか、どういう保証があるのか。
  86. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) この公団法目的として「勤労者のために」という文句が入っていないということでございましたけれども、この本来の宅地開発公団法の設立の趣旨というものは、現在の大都市周辺の大変な宅地難ということに対処するための一つ方法として、大規模宅地供給を大量に行って、低廉な価格でまず取得するということが最大の目的であり、その限りにおきまして、その趣旨に沿った地域を選定しなければならないのでありまして、これは当然の前提だというふうにわれわれは考えておるのでありまして、その上に行われる住宅建設が諸種の機関に譲渡されるわけでありますけれども、これはそれぞれの目的に従って、あるいは分譲の形をとり、あるいは集合の形をとるかもしれませんが、そういう庶民の手の届く住宅として供給されるべく、この宅地開発公団宅地開発は当然そういう目的のために造成されるものであるというふうにわれわれは考えております。  そこで、歯どめでございますけれども、いまの御指摘にありましたようなケースと違いまして、この宅地開発公団の行います地域は三百ヘクタール以上、あるいは五百ヘクタールもある、それ以上もあるというような大きな団地でございますから、当然事前に自然的調査、社会的調査、あるいは経済調査というようなものを行い、環境調査も十分に行った上で、そして骨組みとして、住区を分けたり、あるいは関連公共公益施設の骨組みなどをつくってからでないと宅地の取得にかかることはあり得ないわけでありまして、ですから、そういうめどがまだわからぬ段階で、地元協調体制もできない段階で宅地に取得するということはない。そういう意味で、この宅地開発公団における宅地取得に取りかかる姿勢も、またやり方も違うという意味で、そういう意味で、いま挙げられました歯どめという意味では十分、そういう目的がわからない段階で買うというようなことはないという意味で歯どめはございます。
  87. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、いまの説明、ちっともわからぬですがね、私には。ただ、あなたはそういう歯どめをするつもりだと言うだけのことで、法律には歯どめをするという、どこでどうとめられるというものは何にもない。そこが問題なんですよ。それだけ言って、もうこれは議論しません。  その次に、きのうも問題になりました、宅地開発公団が造成する宅地では賃貸し分は三割程度にとどまるということが、局長説明を計算してみると、これ明らかになるわけですけれども、まあ大臣は、私のこの前の質問に対しても、公共賃貸しが非常に大事だということを答弁しておいでですし、それから今回の審議の中でも、各議員の質問に対して公共賃貸しが重点でなければならぬという考えをお述べになっておられるのですけれども、しかし、宅開公団では賃貸し分が三割程度しかやれないということになれば、一体この賃貸し住宅というものはどうやってつくるのか、どこでだれがつくるのかという問題が残されるわけですわ。それをどう解決するか聞かしてほしいと思うんです。
  88. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団が造成いたしました宅地の使用の仕方につきましては、事前に事業計画の段階におきまして、その住区計画なり、あるいは配分計画というものが決まるわけであります。その場合には十分地元関係公共団体、あるいは関係各省庁等とも相談しながら、一方住宅計画に沿いながら、この宅地の最も適当な使用方法がそこで決まるわけでありまして、したがって、まず第一には、住宅の需要の実態に応じて、その場所によって一律にこれが幾ら、ここが幾らというふうに決めるわけにはいきませんけれども、先般申し上げましたのは一つのモデルとして申し上げたのでありまして、場所によりまして、あるいは賃貸、分譲が五割、五割となったり、あるいは六、四になったり、七、三になったりするというような例を申し上げたのであります。  したがいまして、たとえばこの間の例で申し上げますと、千里、泉北では大体六、四になっております。戸数で言えば六割が賃貸になっております。で、多摩では五五対四五になっておりますという例を申し上げました。ところが、港南台のようなものは三、七というふうになっております。これは港南台にはそれだけの事情があってそういう配分になったのでありまして、だからこの宅地開発公団の上に建つ賃貸住宅及び分譲住宅の比率が港南台のようになるとは限らないわけでありますが、要するにこれは需要の実態に即し、地元の要望等も十分取り入れまして住宅計画に沿って配分戸数を決めるわけでございまして、公的な土地開発である以上、その政策的な住宅の用に供すべきことは当然でありますから、必要な賃貸住宅につきましては優先的に用地を確保すべきことは言うまでもありません。
  89. 春日正一

    ○春日正一君 困るのは、前にずっとあなたが説明してきたことを基礎にして私どもも計算もし、質問も組み立ててくるわけですわ。そうすると、その前提をぐるっと変えちまうと、これは話にも何にもなりはしない。だから、あなたがいままで言われたように、面積で言えば賃貸しが四、分譲が六になると。しかし、住宅にすれば集合が七で戸別が三ということになると。しかもその集合住宅七という中で、公団の場合で言うと、五十年度ではこれはもう逆転していますけれども、いままで賃貸し四、分譲六というように逆転していますけれども、そういうことで計算をすれば七掛ける四で二八%、それに分譲中に含む民営賃貸しも入れると、五・二%ということになると三六%にしかならぬ、こういう計算出てくるわけですね。私はその計算でいま質問しておるわけですわ。それをそのときの都合によって、ああもいたします、こうもいたしますということになると、これはもう質問のしようも何もありはしない。あなたの主観ですべて判断されちまうということになる。  そこで、私は話を進めたいんですけれども、仮にそういう論でいって、宅開公団、これが千ヘクタールを供給して、十万人分として、そのうちの三割、三万戸とすれば、一万戸分しか賃貸しがないわけですね。しかもそれができるまでには、いま言ったような肩がわりやれば別だけれども、新しくやるとすれば、五十五年か五十六年ごろからだというようなことになってくるということになると、これは公共賃貸しのこの供給というものは非常に狭く少なくなってくるんじゃないかという心配がされるわけですわ。  で、御承知のように、公共賃貸し住宅というのは、五十年度の予算では公営で一万戸が減っておる、公団でも一万戸減っておる。そうしてこの前も問題にしましたように、現在の第二期の五カ年計画の達成率というものは、公営では七六・五%、公団では六三・五%という見込みになっておるわけですね。特に大都市圏でこれがぐんと落ち込んでおる。そういって、別な方式として、既成市街地でのいわゆる転がし方式をやったとしても、これは一挙に何万戸というものをばあって転がすわけにはいかぬですわ。これはかなり時間をかけて転がさなければならぬということになりますと、一体一番いま困っている——大臣、私この前も言いましたけれども、それは住宅の戸数としてはもう世帯数を上回っているけれども、しかし、この期間にいわゆる木賃アパートというものが四十数万戸もふえている、そういうような状態。賃貸し住宅の条件も非常に劣悪になっているし、一方、持ち家といっても、その中には非常に狭い敷地に小さな家を建てている持ち家、十五坪とか二十坪というようなところに建てている持ち家、この細分化がある。持ち家と賃貸しの両方で住宅難な状態が増幅されていっておるような状態。どうしても賃貸しをふやさなければならぬじゃないかという点で、大臣もそれはそうだということでまあ賛成していただいたと思うのですけれども、そういういまの状況を打開するために一体宅開公団は何の役割りを果たすのか。三割しかやらぬということになれば、この木賃住宅に住んでいる人たち、この人たちはいつになったら住宅らしいところに移れるのか。その問題を解決することが政治の中心じゃないのか。自分で家を買える人はまだ結構な方だ。借りるにもそんな程度のところしか借りられないという人こそ政治が救わなくちゃならぬものじゃないのか。どこでやるのかということを聞いているわけです。
  90. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いまの宅地開発公団が確かに造成宅地を集合住宅用地として分譲されるというような場合に、具体的には事業施行地の位置、規模等によって一応一般的には差があるものだと思います。ただ、先ほど四割、六割というお話がございましたけれども、その集合住宅の分譲を受けるものはやはり公営、公団、公社等の事業供給主体でございます。で、公営、公団、公社等の事業主体が現実に自分でつくって供給いたしております上物につきましては、最近五カ年間の例では七四対二六ぐらいということになっております。おおむね七割、三割ぐらいの感じで恐らく今後そういうような集合住宅地の上に活用できるだろうと思っております。ただ、先生おっしゃいましたように、東京都においては、東京の都内に、広域的にそういうふうな住宅公団の方で、もしくは宅地開発公団でつくっていただいたところを活用して賃貸住宅をつくるということも一つの手でございますが、東京の都内にやはりそういうふうなところはなかなかできぬじゃないかという点は、恐らく規模から言いましてそのとおりだろうと思います。  最近の東京都の中におきます住宅の建設実績を見ますと、第二期住宅建設五カ年計画の始まりました四十六年から四十九年までの間に、公営住宅が全部で二万九千七十八戸建っております。それから日本住宅公団がやはり都内で賃貸住宅を一万八千五百二十九戸建てております。それから分譲住宅を三千六百二戸つくっております。特定賃貸住宅、これは利子補給でやりますものでございますが、これは六百三十四戸。合計いたしまして、この四年間で七万三千九百七十四戸。確かに東京都の住宅不足に対しましてはきわめて少ない数字だと思います。大都市を中心に公共住宅等の立ちおくれが著しいとたびたび申し上げてまいりましたけれども、われわれ非常に残念に思っております。特に木賃アパートに居住していらっしゃる方々の住宅事情改善のためには、やはり公営住宅、それから公団賃貸住宅公団の長期特別分譲住宅、特定賃貸住宅等を大いにふやすということが一番大事だと思います。特に木賃アパートに住んでいらっしゃる方々の平均の所得を見ますと相当低いということも考えられますので、やはり公営住宅に相当ウエートを置くべきだということだと思います。そのためには、先ほどもお話に出ましたけれども、やはり転がし事業を息長くやっていくということとあわせまして、立てかえ事業を促進するとか、それから都営住宅関連しまして、いままでなかった制度でございます公共公益施設の立てかえ制度を組み込んで促進を図るとか、それから特別区による区営住宅も建設を促進するとか、それらの手だてを講じまして、そういうようなものについての建設を促進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  91. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいまの議論の前提になることでありますから簡単に釈明させていただきますが、私はいままでの答弁におきまして、面積的に六、四であっても、過去の例から見まして、一つのモデルとして過去の例を参考として申し上げれば、戸数的には七、三というふうに賃貸の方がオーバーしている。そういう例も踏まえていけば、面積的には六、四であっても、戸数としては賃貸の方が六、四というふうに逆転するようなことが一つのモデルとして考えられるのではないかということで申し上げたのでありまして、これは上物計面の——やはりこの公団法自体一つ組織法でございますから、これを運用いたしまして、それでもってその具体の建設計画につきましてはやはり需要の実態に即応して立てられなければならないということを繰り返し申し上げた次第であります。そして需要の実態とは何かと言えば、これは特にその県における住宅の需要の実態であり、供給計画姿勢であるというふうに考えております。
  92. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、この議論は幾らしてもあれですからやめておきますけれども、しかし、一戸建て分譲を六割にせにゃならぬという合理的な根拠というものは何もないです、ただ実情そうだというだけのことで。しかもあなたのいま言われた部分の集合の場合に、仮に住宅公団がやるとすれば、これは住宅公団が賃貸し幾ら、分譲幾らという一定の比率を持っているわけですから、そういう割りでいけば三分の一にしかならぬじゃないかという私の論もわかってもらえると思うのですよ。  そこで、一番問題なのは、やはり公団にしてもあるいは公営にしても、先ほど言いましたような低い達成率しかできなかったということは、地方自治体がこれに拒絶反応を示すという点が一番大きいところだったと思うのです。そしてその中では、税収が少なくてこのサービスに出す支出の方がうんと多くて困るとかそういうような問題あるいは生活関連施設、そういうようなものに対する費用がかさむというようなことで、こういうものは当然国が政策によって措置すべきもので、それができないから結局地方自治体も断るということだと思うのですね。だから私、ここでも強調しておきたいことは——その前に、ちょっといいあれがあるから御紹介しておきますけれども、こう言っているのですよ。「アメリカ合衆国両院合同経済委員会の都市問題分科委員会」「その報告書」という中でこういうふうに言っていますよ。「国民のすべてに快適な低価格住宅(lOW−COSt housing)を提供するという問題を解決した最初の、唯一の国家はソビエト連邦であり、諸大国の中で最も快適な住生活を送っているのは同国の人達であること、これに対して、伝統的な独立個人住宅を基本とするアメリカの住宅政策が立ち遅れていることをショッキングな問題として指摘している。」、こういうふうに言っておる。  だから、こういう点は、本気で国の責任として国民に必要な住宅を保障するという政策を進めれば、それはソ連と社会体制が違うのだから同じようにとはいかぬまでも、せめてヨーロッパ並み程度の比重には高めることができるだろう。そのために、やはり国が自治体の拒否の理由を解消するということを考えていくことがいま一番大事な問題じゃないのか、そう思うのです。だから、そういう立場から見ると、宅開公団をつくって、そうしてこの宅地供給するというような政策というものは、この日本のいま当面しておる問題を解決する、住宅問題を解決するという立場から見て、特に大臣が表明しておいでになる公共賃貸しをたくさんつくるという見地から見ても、住宅政策の一般的な方向に逆行するものじゃないかという気がするわけです。そこらの辺についての考えをひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。
  93. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) お説のとおり、この公的な宅造である、特に大都市周辺に大規模に造成いたします公団のつくりました宅地の配分につきましては、先ほど来申し上げておりますように、これを庶民の手の届くような価格において、これをできれば公団なり協会なりあるいは公営住宅といった公的な機関による賃貸住宅にできる限り優先的にこれに充当するということが必要であります。個人持ち家住宅を最優先として、その残りをそういう公的機関に分譲するというような考え方は毛頭持っていないわけであります。ただ、その配分の仕方でございますが、これはその土地土地のその団地の所在する地域における住宅事情、困窮状態あるいは世帯階層等を反映させまして、そして一つ住宅市街地として構成する必要があるだろうということで、その配分、構成を図らなければならないということを申し上げたのであります。優先は確かにおっしゃるとおり、こういう公的住宅に優先度を高めていくことは当然でございます。
  94. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、住宅を持たせると言いますけれども、局長がよく言われる第三分位の中以上という、しかし、第三分位の年収二百五十三万五千ということから見て、大体まあこのくらいの所得を得る、二百五十万から二百七十万かの所得を得るということになると、三十代のもう後半にいくくらいな年輩の人が、役所あたりでもそういうことになるのじゃないかと思うのですよ。そうしますと、長期割賦で三十年ということになりましても、まあ三十五として六十五歳ですわ、払い終わるのが。結局定年後も十年近く払わなくちゃならない。払えなくなれば結局子供に借金を引き継ぐということになる。しかも私は労働者の実態をあなた方余り深く考えておいでにならぬと思うのですけれども、労働者というものは一生のうちに何回か大きな病気になったり、大きな災害に遭って生活がぐらっと脅かされるような事態というものにしばしば出会うものですよ。特に最近のように経済情勢が不安定になってくれば、去年当てにしておったのがことしは残業がなくなったとか、一時帰休だとか、あるいは下手すれば失業というような事態が出てくる。そういうふうな三十年という長期の間、夫婦共かぜぎでもって一日も病気せぬでかぜげるというような前提で計算した支払い能力というようなものは成り立たぬ。  現に私、住宅公団に聞いてみて、長期分譲住宅の解約の実態、これ四十八年度ですけれども、こういうことになっているのですね。公団が解約を許可した件数千百三十件、そのうち別なものを買ったとか新築したとかいうことで要らなくなったという理由が三百七十七件、それから勤務地の変更を含んで、地方勤務、転勤、そういうことでここにはおれぬということで譲ったというのが三百五十一件、それから親の扶養義務ができたというようなことで、家族がふえたというので別のところに移ったというのが三百一件、転地療養など六十件、まあその他四十一件ということで千百三十件なんですね。ところが、昭和四十八年度の分譲建設戸数は一万四千戸で、そのうち四十七年度の繰り越しが四千七百入っていますから、それに加えて、そうすると一万八千七百戸、これに対して約六%に当たるものが結局長期分譲で買ったものを他に譲っておるのですね。そういう実情なんですよ。だから、長期分譲ということも——持ち家はだれだって欲しい、私だって欲しいですよ。しかし、現実の収入という問題生活という面から見れば持てない人が過半数、六〇%以上おる。その人たちがいま木賃住宅に住んだりして住宅難で困っておる。これを解決してやるということが一番大事だということになれば、宅開公団をつくる前に、公営住宅なり公団住宅なりがなぜ行き悩んでおるかという原因を明らかにして、そこを取り除いていくということに金かけるのが本当なんじゃないかと。これは政治論議ですから大臣にお聞きしますけれども、どうですか。
  95. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) 住宅が非常に逼迫しておって、しかも大都市中心で低所得者層の人々、さらに木賃の住宅におられる、環境の悪いところに住まいをしておる人、これは大都市を中心に非常に多いわけです。しかも環境が、共同水洗のトイレあるいは共同炊事といったような環境のところ、五十万戸もあるということを聞いておりますし、私どもはそういう人々に対して希望に沿うように量的な住宅を確保すること、賃貸公的住宅を確保すること、これが一番大きな使命だと思っておりますし、そういう意味で、そういう問題を解決つけるには、やはり公的住宅は賃貸に重点を置くべきだということを私は考えておるわけであります。それなりに私どもは今後努力をいたしていくつもりでありますが、じゃそれをやらなければならぬから宅開公団法の大量宅地供給は必要じゃないかということについては、これは考え方もいろいろありましょうけれども、それにはそれなりのまた一つ目的があるわけでありまして、大都市市街地内のいろいろな宅地供給の問題を考えると同時に、市街地周辺の大量宅地供給も考えなきゃならぬ。私どもはそういうふうに思っておるわけでありまして、その大量供給の仕方についていろいろ御意見のあることは十分わかっておりますから、そういう問題を参考にしながら今後遺憾なきを期していかなければなりませんが、いずれにいたしましても、公的住宅をできるだけ充実していって、そして勤労者のための宅地が充足されるように努力をしなければならぬことは政治の第一の問題であると、こういう考え方で努力をいたしてまいりたいと思っております。
  96. 春日正一

    ○春日正一君 その点では、今年の予算は通ってしまったからあれですけれども、この次の五カ年計画の中では、やはり公共賃貸しというものについていままでよりうんと比率を高めるという努力をしていただきたいということを希望し、同時に、ひとつ釈明しておけば、私は宅地開発、あっちもやるな、こっちもやるなというのじゃなくて、政府だっていまたくさん金あるわけじゃないだろうし、あるだけの金をいまどこに重点を置くべきかということになれば、公営、公団じゃないだろうかと、こう言っておるのですから、そこの点はひとつ誤解のないように。  そこで、もう一つの問題は、宅地の造成と住宅の建設とが分離するということになりますね。そうしますと、一つ問題が出てくるのは、分離して宅造に関係して出てくるいろいろな問題が予想されるのですけれども、それの責任の所在がどうなるかという問題、私実際問題として非常に不安なんです。というのは、一つの例を出しますと、たとえば防災の問題、これはこの前、私この委員会でお聞きしましたけれども、たとえば去年の三月三十一日ですか、港北ニュータウンの建設の許可を当時の亀岡建設大臣が出された。同時に、それに対応する条件として鶴見川の最高高水量、これを二千三百トン毎秒ということに改定された。これも同時に出された。ところが、私質問してみて、港北ニュータウンの方は六十年までにはできると。ところが、鶴見川の方は現状どうなのかということで、あのとき私聞き損なっておったのですけれども、末吉橋のところで七百トンと言われておったのですけれども、後で細かく聞いてみますと、結局鶴見川全体での一番狭いところは四百トンしか通せないのですね、毎秒。そうしますと、しかも鶴見川を大改修してみたところであの川でのめる水量は千八百立米毎秒ということになっている。五百トンはどうしても途中で分流するか何かしてカットしなければならぬ。それがそれじゃやれる見込みがあるかというと見込みがない、こういうことなんですね。そうなりますと、ニュータウンはできた、今度災害が起こってくる、そうするとその災害の責任だれが持つか。私、弁護士に聞いてみたのですよ。国が同時にそういうものを許可しておいて、片方はできて、片方はできなくて災害が起こったら、これは当然国家責任として国家賠償の裁判の対象になるのじゃないかと言ったら、弁護士はなるでしょうねと言っておった。そういうことなんですね。そういう問題が現に起こっておる。そうしてサニーニュータウンの場合でも、やはり防災問題というのが原因になっているわけです、ひっかかっている。こういう三百ヘクタールとか五百ヘクタール以上というような大工事をやれば、当然被害が、問題がいろいろ出てくるわけですね。  もう一つもっと具体的な例を言いますと、住宅公団が横浜の神奈川区につくった南神大寺の団地、ここでは戸数が千四百三十戸、昭和四十六年から四十九年にかけて工事をしておるんですけれども、ここではもういろいろの形で被害が起こっておるんですね。ここに「南神大寺住宅公団団地建設による被害の修復を求める陳情書」というのが出て、この中に建設中の被害、工事による云々というのが出ておる。建設後の現在の被害、振動の後遺症、壁のひび割れ、土台、柱の狂い、たてつけの不良化、家屋のゆがみ、擁壁、下水管等の亀裂、がけ崩れの危険、その他云々と、全部読みませんけれども、水害として、雨による道路の排水溝化——道路にさあっと出てくるのですね、私も行って見てきたけれども。大雨でトイレ使用が不能になるというようなこと。それから強風の被害。それから工事不備被害として、公団の土どめの工事がずさんなので雨や土砂などが庭に流れ込む。費用をかけてつくった私道が壊され放置されたままになっておる。それから井戸の水が完全にかれてしまったというような幾つかの項目を挙げて、それで何とかこういう問題について仲裁してほしいという陳情をしておりますし、横浜市に対しても、こういう問題が解決するために協力してほしいという陳情をしておるわけですね。  私、この陳情も聞いたし、実際、実情、現地も見て来たのですけれども、やはり宅地造成の過程で起こってくる。そういう被害というものがある。住宅を建てたために、たとえば風なんというのは、高い建物を建てたから起こっていると、そういう被害がある。そういうふうな形でいろいろな被害が起こってくるんだけれども、そういう場合に、この南神大寺の場合は住宅公団宅地の造成もやり建築もやっておるから、だから河川のあれもあります、横浜で有名な六角橋の商店街が溢水しておる。公団が金を出して下へもう少し水を深めたけれども、それでも片がつかぬそうです。私はこの間の選挙のときにも行って、どうなったと聞いたら、ちっとも効き目ありませんと、そういうことなんですね。そういうのをとにかく公団に持っていくと、公団がいい返事をしてくれぬもんだから、横浜市が中に入って何とかあっせんしてくれということでいま話をしておる段階ですから、私この問題について深入りはしませんけれども、そういうことなんですよ。  そうすると、それじゃ宅開公団宅地をつくって売っちまったと、そうすると、どこへ文句を持っていったらいいのかという問題が出てくるわけですね。これをどう処置されますか。
  97. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 公団が造成を行います場合には、防災につきまして十分に配慮して事業を行うべきであり、特に事前調査におきまして、こういった災害の問題は特に重点的に調査しなければなりません。しかし、もし宅地を造成いたしまして、処分してしまった後で災害が発生したという場合の責任の問題につきましては、その原因が公団の工事にあるということが明白であれば、当然宅地開発公団負担することになるわけでありまして、その費用は当然支出項目を設けて公団の中から支出するということが必要になります。もちろんこういうことのないように事前の調査を行い、いま二つの例を挙げられましたが、宅地造成中における防災、あるいはその河川改修等がおくれているので、改修までの間に防災のための調整池をつくる。で、改修が済んだらそれを取りはずすと、あるいは最後まで残るかもしれません。こういった事前の調査においてそういった防災の面に十分注意を払うべきはもちろんでありますが、しかし、それについてなお当時調査にかかわらず誤謬があったとか、計算間違いがあったとかというようなこともあり得ることでございます。これらの原因がはっきりするならば、その工事を行った公団の責任でございます。
  98. 春日正一

    ○春日正一君 それは口の上ではそういうことになるけれども、実際問題ではそうならないんですよ。たとえばこの南神大寺の問題なんかでも、住民が幾ら公団に言っていったって話にならないんだから、こんな単純な問題。つまり工事するのに必要だからこの物置を取りのけてくれと、かなり古くなった物置なので取り払ってそこで工事しちゃった。工事済んだらそれっぱなしだから、しょうがないから、そこの——女の人ですよ、ほんと置くいま物置があるでしょう、既製のプレハブみたいになった物置が。あれ買ってきて置いたと。あるいは便所のつぼが割れちゃったと。ところが、かわりのつぼだけ持ってきて、ほいと言って置いていった。しようがないから人を頼んでちゃんともとのようにいけてもらったというようなことで、何万かの金がかかっているし、これ公団に払ってもらえますかと言ったら、そんなこと知らぬと、こう言うのですね。それで、私もあんまりそれはひどいと、公団の信用も害するということで、いろいろ話をして、それは公団の方で当然めんどう見ましょうという話になった。あたりまえのことなんだけれども、国会議員が出ていかなければ話にならないんだから。そういうことがざらにあるんですよ。  だから、私はこの際大臣にお願いしておきたいんですけれども、公団の総裁にもそうですけれども、この南神大寺に行ってみて、具体的な中身の話はあれしますけれども、家がかしいだ、それからたてつけがこんなに開いちゃったというようなところですね。それから何ですか、土どめのあれがぶっとふくらんで崩れそうになってきているとかというような問題が出ておっても、それが何にも、どこでどれだけ被害が出たかという判断する基準がとってないんですね。そうしてまた、そういうものをどう補償するかという手続もなければ何にもない。みんなが文句を言っていったら、結局つかみ金でもって迷惑料五万とか三万とか。つまり実際私どもが一級建築士にはからしてみて、この家は二百五十万の損害を受けていると、この家はまあ十何万だというようなのをひっくるめて迷惑料三万とか五万とか、これでがまんしてくれというようなことで片をつけるという原始的なやり方ですね。そうじゃなくて、これからも公団も仕事をしていくわけですから、そういうときには初めにきちっと住民と協定もし、そうして着手前の状況もきちんと写真に撮るなら撮っておいて、着手後にどういう変化が起こったのかと、それを比較して、そうして公平な形で補償する、あるいは修復するというようなことのできるようなきちんとした基準、これをつくってやらせてもらえませんと、これはもう公団の仕事にしろどこの仕事にしろ非常な不信を買うようなことになる、無用のトラブルを起こす。私も特別職の国家公務員ですから、国家の金を使いさえすればいいとは考えていない。しかし、やはり与えただけの被害はきちっと償ってあげなければ国民の信頼が得られないわけですから、そういう形のものをつくっていくということは考えていただきたいと思うんです。実際この問題ぶつかってみて私はびっくりした、そういうどんぶり勘定でやっておったのかと思って。それはぜひきちんとしてほしい。そうしてそういう点からいって、いまのような分離というような問題になれば、これはもう責任の所在なんてわからない。宅開の方は売っちまったんだから知りませんと逃げるに決まっている、いまの現状では。そういうことになると思うんです。  それからやはり土地と上物を分離するということは、この前の住宅問題のときも私言いましたけれども、住宅問題というものは単に家を建てればいいというだけの問題じゃなくて、住民の生活環境を含めて町づくりの一環、住宅というものは町の中の一つの要素だという点をこの前も問題にしたんですけれども、そういう方向でずっと問題にされるようになってきておる。だから政府も五省協定というようなものをつくって、これ年々改善して内容を改良していっているわけですね。そういうことも、やっぱり町づくりとして一括して考えなければならぬ問題としてそういうものができてきたし、発達もしてきたし、そうして今度の宅開公団の場合にも立てかえ制度のああいう形のものもできたということになると、やはり住宅を建てるということと、下の敷地をつくるということと一つにして考えませんと、宅地宅地でそれを買って、それに合うような建物を建てるということでは、やはりいまの町づくりの趨勢に反することになるんじゃないかという気がするわけです。そういう意味で、大塩局長はこの間も新しい課題には新しい専門店が必要なんだ、やはり分化、専門化が進化の方向だということを言われましたけれども、確かに分化、専門化が進歩の一つの方向ではありますけれども、それを総合するということがなかったらこれは本当の進歩にならぬ。そういう意味で、やはり宅地の造成と住宅の建設というものを総合してやるということが一番望ましい姿じゃないか。私はそう考えるんですけれども、その点についての意見、これもあと時間がありますから、私もう少し次まで行ってしまいますから、そこをひとつ聞かしてほしいということ。  それからこの二十三条で、「宅地の造成をしようとするときは、宅地の造成計画について、あらかじめ。」「地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。」と、こういうふうになっているわけですね。ところが、長の意見は聞くけれども、上物をつくる主体ですね、一番大きな主体は住宅公団といままでの議論の中ではなっているわけですけれども、その方の意見を聞くということにはなっていないわけですね。長の意見を聞けば大体いいということになってしまっている。そういう意味でいけば、やはり中層化、高層化によって土地の利用計画とか施設の配置とかいろいろそういう条件が変わってくるわけですから、やはりそういう上物をつくる一つの意見の一致がなければ宅地の造成ということも十分にはやれないということになるんではないか、一体これをどう整合させるのかということですね。  それから、三つになりますか、もう一つ、自治体の意見を聞くということになっていますけれども、これは大規模開発地元に与える影響というのは非常に大きいものですから、多摩市のごときは元来の市の何倍ものものをつくられるわけですから、そういう場合に、やはり地方自治体の長の同意、そうしてその前提としての地方議会の議決ということをはっきり規定しておきませんと、やはり非常に問題が出てくるんじゃないか。で、さっき話しました茨木のニュータウンの問題も、市の理事者はまあ多少の抵抗は持ちながらも話し合いに乗っていっているような状況にあったんですね。それが下水道の問題でもって一般にわかってきて、市議会で問題になって、市議会では一人を除く全員という形で反対ということが出た。だから、市の理事者と議会とでは大分違うんですね。そういう意味で、これほどの大きな工事をやろうということになるんですよ、当然意見を聞くということじゃなくて、同意を必要とするし、その前提として、市議会の議決を得て同意したというような厳密な規定をしておくことが、仮にこの法律が成立するとしても大事なことじゃないかと思う。そういうふうに思うんですが、その三つの点についてお答え願いたい。
  99. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず第一の点は、都市計画の、二つに、宅地供給住宅供給とが分かれるというときに、この調整をどうやってとるかということでございますけれども、これにつきましては、都市計画の段階で基本計画をつくります場合にも、ここに住区をどういうぐあいに配置する、あるいは公共施設はどういうふうに配置する、人口は大体どれぐらいにするというような骨格を都市計画で決めることになっております。したがいまして、事前の段階において事業計画の中でそれらの点は調整できるものと考えております。  次に、二十三条の長の意見を聞くということに関連して、それが譲渡されるべき住宅公団等との調整はどこでやるのかということでございますが、これまた造成計画の段階におきまして、住宅公団とか、県、市と当然その段階で調整が行われているわけでありまして、それなくして造成計画というものの面積や、位置や、規模や、住区や、配置というものがわかるわけがありません。したがって、この段階で調整かでき——調整といいましても幾つかの段階がありますから、少なくとも造成計画の作成の段階で調整がとられるものと考えております。  それから第三番目に、地元に非常な影響を与える、社会的激変を及ぼすものであるから、長の意見のみならず議会の議決等が必要ではないかということにつきましては、確かにそういう激変を与える事業であるだけに、造成計画の段階における単なる手続的な長の意見を求めるだけでなくて、実態としましては、これは初めから地方公共団体を含めた県、市、あるいは地元のそういう意見を調整することが必要でありまして、だから長の意見を聞いて、正式に長がイエスとかノーとかと言ってくる過程におきましては、当然これだけの大きな問題であれば議会の常任委員会なり何なりを通じまして、意思等もそこでろ過されて出てきているというふうにわれわれは考えるわけでありますが、長の意見ということにいたしましたのは、その代表者として長がどういうふうに思っているかということを意見として聞くという意味でありまして、その意見が出てくる背景にはそういう、ものによって違いますけれども、恐らくそういった手続が裏の方で行われているだろうというふうに考えております。
  100. 春日正一

    ○春日正一君 私は法律の規定の問題として言っているので、それはあなたの説明を聞いていれば、万事うまくやります、相談もしますということになっているけれども、長の意見を聞けということになっているけれども、公団と話をしろとか事業主体と話をしろというようなことにはなっていない。だから、しなくてもいいことになっているんです。だから、うまくやると言うなら、それをきちっと入れておいたらよかろうし、長の意見を聞くということは、裏では議会の意見も聞いているだろうしと言うけれども、さっき言ったサニーニュータウンの場合は長の意見と議会の意見とが違ったから、こういう問題が十年もたってから出てくるわけですよ。だから、そういう意味では、あなたの説明では、私の言っておる長の同意を得ろ、あるいは議会の議決を得ろということが必要ないという論拠にはならぬわけです。そういうことは結局万事うまくやります、私に任せてくださいと、それじゃ法律というものはうまくないんじゃないかと思うんですよ。
  101. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 説明が足りませんでしたが、この法律一つ組織法としまして、事業法規は他にこの公団が使います、たとえば新住宅市街地開発法区画整理法等におきまして、その手続の中に書かれておるわけでありますが、この公団で言っておりますのは、その造成計画をつくるに際して長の意見を聞けと、こう言っているのでありまして、その段階はちょうどたとえば新住宅市街地開発法で言えば二十六条の施行計画に当たるわけでありますが、施行計画を同時に予定するはずでありまして、その施行計画につきましては大臣の認可にかかっておりますが、その施行計画の案をつくりますときには当然そういう長の意見を聞き、管理者または管理者となるべき者、市町村なら市町村長、県なら県というものの意見も十分に徴してきなさいというような規定がそれぞれの条項にございます。
  102. 春日正一

    ○春日正一君 私は聞けというのじゃなくて、同意を求めろと言っておるのですよ。だから、聞けということにこっちもなっております、あっちもなっておりますと、それじゃ同じことなんですよ。だから、それがあるということを、さっき言ったような具体的に議会と理事者との考え方が違っておったというような例が現実にあるわけですから、それで住宅公団がいま間にはさまっておるわけですよ。だから、私はそういう点をはっきりしておけと言っておるのですけれども、この議論はそれ以上してみてもあれになりますから、次の質問に移りたいと思います。  それで、四番目は団地拒否の原因とその打開の問題。これは宅開が仮にできたとしたって当然伴ってくる問題ですから、だからその問題をお聞きしたいと思います。で、住宅建設に伴って道路、公園、下水道など公共施設、学校、保育所、ごみ処理場、公民館というような公益施設、そういう関連公共公益施設による膨大な地元自治体の財政負担、建設や維持管理に要する。これが団地を拒否する一番大きな原因であるということはすでに何回もここでも問題にされたところですから、それは前提としてあれしますけれども、政府宅地開発公団の行う大規模宅地造成に今度十年無利子据え置き、二十年償還という関連公共公益施設費の償還制度を採用されたということも、そういう団地拒否を緩和するそういうことのためだろうと思うのです。そこを打開しようということだと思うのです。しかし、そうだとすれば、なぜこの措置を大規模宅地造成だけに限定するのかという点がちょっとわからないわけです。たとえば公団、公営とも必ずしも大きなものばかりではなくて、中小規模なもの、こういうものもつくるわけでして、そういうものにも当然そういう地方自治体の負担を軽減して、そういうものを受け入れやすくするというような措置をとるべきではないかというふうに考えるのですけれども、その点どうですか。
  103. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) お説のとおり、団地拒否には事の大小を問わずそういった人口の少なくとも流入に伴う負担について拒否的、消極的な態度が見られるわけでありますが、特にこの宅地開発公団のような大規模な場合には、何にもないというと語弊がありますが、施設等が全然そろっていない、しかも弱小の市町村が多いところで非常に巨大な投資が一時に行われるということのために、従来から行われておりますような、四十二年から始まりました五省協定のような程度の助成では足りないということが明らかでありますので、それよりももっと強化した対策が必要であるというので、大規模宅地開発について特段の措置を講ずる必要があるというところに発想を置いて特別の措置を講じた次第でございます。
  104. 春日正一

    ○春日正一君 それは特別な措置を講じたのだけれども、それは宅開公団がやる大規模事業、あるいは住宅公団の場合ですと三百ヘクタール以上、あるいは一万戸以上というようなものに限定されておる。ところが東京都では、都営住宅一千戸以上の場合に都営住宅建設に関連する地域開発要綱というものを四十八年十一月につくりまして、その中をこう見てみますといろいろ細かく書いてありますけれども、私一々これ読んでいると時間がかかるから重点を抜いたものを読みますけれども、その内容の中には、小中学校用地は無償で譲渡する。これが一番地方自治体欲しいところですね、無償で譲与する。保育所、幼稚園、公民館、老人施設の無償での使用許可。無償という意味一般が無償というのじゃなくて、市町村にただで使わせるというような援助の措置を盛り込んでおる。一戸当たり平均して五百万円につくというふうに都議会で都の理事者は説明していますけれども、これがやはり都営住宅の受け入れを容易にして、都営住宅の建設を打開する一つの手がかりにはなったということ。この前私、数字も挙げて説明したんですけれども、だから当然東京都でそういうふうにやっておる。そしてそれなら実際そういう公営住宅の隘路というようなものは打開できるというようなことなら、国としてもこの程度のことはやるべきじゃないのかと思うんですけれども、この点、大臣どうですか、住宅局長ではなくて、これは金のうんとかかる問題ですから。
  105. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 最初に、公営住宅のためにそういうことにとって国が何をしたかということを御報告したいと思います。  先ほども申し上げましたとおり、公営住宅を建設する都府県が市町村にかわって公共公益施設を先行的に整備する場合の必要な助成金というのをことし準備いたしました。起債も四十億ばかり準備いたしました。たとえば東京都が都内の一ところにつくる場合には都営住宅の建設が促進するという措置をとったわけでございます。まだまだ不十分でございますけれども、これでも相当前進になったと実は思っております。
  106. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) 関連公共公益施設に対する地方団体の財政負担の問題が、これが一番大きなこれを遂行していくための隘路になっておることは私どもは十分承知をいたしております。そういう意味で、局長からも御答弁申し上げましたように、補助率のかさ上げの問題あるいは起債の充当の問題、地方交付税の特別枠の設定の問題と、いろいろ考えてやっておるわけでして、特に本年から新たに特別枠の関連公共事業債というものまで設定をして、できる限り地方団体に負担をかけないようにということの努力をいたしております。その上に立てかえ施行というものをやっておりまして、従来のままではいけないから今年は特に御承知のような特別な実は方策も考えておるわけでありまして、われわれ財政当局と折衝する場合においても、さらに前進させたいことはやまやまでありますけれども、ほかとの関連もありますものですから、精いっぱいのところを実はやって、われわれとしてはまず現段階ではやるだけやったと思っております。しかし、これで決して私どもは満足してはおりません。しかも東京都がいまおっしゃったように特別なことを考えておることは、これは公営住宅が特に東京都が非常に進展を見ておらない、今年あたり一万戸そのまま残っておりますから、そういう意味で、これを進めていくための特別な方策として考えることはこれは都としても私は苦肉の策ではないかと思います。ただ、公営住宅のために特にそういうことをしたというのは、これは東京都のやっておることは大変いいことだと思いますけれども、同じ公営住宅、全国的にやっている問題でありまして、特に東京都だけがそうしておるから、そういうふうに全部右へならえさすということにもなかなか財政的な問題もあります。これは否定はいたしませんが、おっしゃる気持ちはよくわかるのでありまして、今後さらに地方財政負担を軽減するためにわれわれは最大限の努力をする、それが公的住宅対策の一番の成否の焦点だと、そういうふうに思って今後努力をいたしてまいりたいと思います。
  107. 春日正一

    ○春日正一君 いまの問題は、これは決して公営住宅だけの問題じゃなくて、公団の場合でも、当然いまのお言葉——切り開いていくためにはそういう方向をもっと強めていかなきゃならぬ問題だろうと、そういう意味も含めて言っているのですから、その点はぜひくみ取ってほしいと思います。  それからこの立てかえ制度で、十年間無利子ということで、これはいままでよりは確かに進んだんですけれども、それじゃそれだけで問題は片がつくかといいますと、やはり国庫補助の水準が実情と非常にかけ離れて低いものですから、どうしても超過負担が出てくるということになるわけです。たとえば小中学校の場合、国の制度でいうと一戸当たり〇・四五の児童の発生率、それに掛ける基準面積、掛ける買収単価、掛ける調整率、掛ける三分の一というようなことで補助が計算されて出てくるんですけれども、この基準になる児童発生率の〇・四五というのが低過ぎて、公団の方では総裁通達で〇・六、中学は〇・三というふうにかさ上げしていますけれども、それでもまだ低いんですね、実情は。この間、町田へ行って、私いろいろ聞いたり、資料をもらってきたんですけれども、あそこは御承知のように非常に団地の集中したところですわ、東京都下では。だから、あそこへ行って聞いてみたんですけれども、〇・九九というんですね、児童の発生率が。それから多摩市でも聞いてみましたら〇・八ないし〇・九という高い率を占めているわけです。だから、そういうことで計算すると、多摩市長の話を聞きますと、実際には六分の一の補助を三年かかって出してもらっていることになるんだというふうに言っているんですね。住宅公団はそういうことではいろいろ抵抗があるので、そういうことを解消する意味で、学校用地の譲渡価格を半額に下げるというような処置もとっておられるんですけれども、しかし、この分は独立採算制だもんだから家賃と分譲価格にはね返ってくるというような矛盾が出てくる。  だから、地方自治体へ行って聞いてみますと、地方自治体の理事者も非常にその辺苦慮しているわけですわ。もっとああもしてほしい、こうもしてほしいと注文つけたいんだけれども、注文つけると家賃が高くなりますよ、こう言われると、理事者としても幾ら高くなってもいいとは言えないという矛盾に苦しんでいるわけですね。だから、保育所の場合でも、これは頭からもう補助のつく保育所の数を抑えてしまって、そして実際には必要なものに対して補助もつけない。たとえば社会福祉施設緊急整備五カ年計画、四十六年度から五十年度ですが、四十八年度分は五百カ所、四十九年度分は六百カ所、もう決まっているんですね。そして厚生省でも、これは自治体が要求して補助を協議したものだけでも倍はあるということを認めておるんですわ。初めからもう削っておる。その結果、たとえば大阪府下の場合、保育所三十七カ所設置したのにわずか五カ所しか補助がつかない。そして補助の対象とする基準も非常に低くて、一人当たりの建物面積が五平米、実際の建設では七平米平均になっているというような形で超過負担が重ねられていって、それで豊中市の例で見ますと、そういう関係の総事業費が一億四千六百万円の中で、国庫負担の基本額が本来千三百四十万円こなければならぬのが、負担金は六百七十万円しかしてもらえない。超過負担率が七八・四%。これは特別高いものを私引き出してきたんですけれども、大体こういうふうな形で超過負担が非常に高い。だから、地方自治体は消極的にならざるを得ないわけですし、それから住宅公団が立てかえ施行する場合でも、超過負担の一〇%範囲までしかやらない。で、宅開公団も同じだというように聞いています。費用の立てかえも一〇%どまり。つまり政府で出すその六百七十万の基準の一割増しぐらいしか出さない。超過負担の分、全部公団なりあるいは宅開公団なりがしょい込んで、自治体に超過負担をかけないということにはなっていないわけですね。だから、地方自治体はそういう立てかえ建設やってもらっても、後にその負担が残るわけですから消極的になる。  その点の事情について、町田市の出した「団地建設と市民生活」という、まあ白書みたいなものですけれども、これを見ますと、こういうふうに言っております。この高ケ坂住宅というところから取れる収入は、入居者に対して行われる行政サービス経費との差額はどのくらいに見込むことができ、それによって累積赤字は向こう何年間でカバーされていくかというふうな問題を立ててこう調べた結果、この累積赤字総額一億一千四百三十九万円、今後毎年約四百二十万円——これは差額六百六十万円マイナス地方債償還額二百四十一万円は四百十九万円。これが解消充当額だということで、その約四百二十万円ずつ解消に充てるとして、累積赤字を解消するには今後二十八年もかかると推定されると。そうしてこれまで——これは十年後の話ですが、これまでのものを含めると、少なくとも三十七年間の解消期間は必要であると言っていい、こういうふうに言っているわけですね。だから、地方自治体がああいう一つの団地なり何なりつくられてしょい込む行政の負担というものは非常に大きいし、長期にわたるものだということを考えてみますと、やはりもっとこれを解消するということをやらなければならないわけですね。そうでないと、こういう場合どうなるんですか。いま言ったように、宅開公団で言いますと、法律だから、やる場合、あなた方は法律では非常にきれいに必要な関連公共施設なり、あるいは公共のサービス施設なり、そういうものをきちんと整備した良好な宅地を造成するんだと、こう言っている。ところが、いま言いましたように国の補助金というものが実情に合わない。その場合、さっき言いましたように一〇%までは見込むけれども、それ以上見込まぬということになれば、結局小学校三校、中学校一校というような規模のものができなくなるんじゃないですか、結局。そうすると、ひどい状態が出てくるわけですね。  高島平の団地の例で、これは板橋区で、一万百七十戸ある。これが当初保育所は三カ所、定員三百四十人。それで公団の計算では、共かせぎ率は一四・五%ということだったけれども、実際に入ってみると二一%が共かせぎ。家賃が高くて、世帯が若いものですから、どうしても共かせぎが多くなるということで、結局昭和四十八年二月には団地内の区立保育所三つに入りたくても入れない子供が二百六十人。だから、当時の新聞では、入園できず親子別居中のケースが百五十五組もあったというようなふうに出ております。つまり親戚なんかに子供を預けてそれで共かせぎするというようなケースが出たというようなことになっております。二歳の子供を九州、鳥取、東京の親戚にたらい回しにしておるという世帯までも出ている。団地自治会も運動して、四十八年七月には、二十六人の母親が東京都に対して行政処分不服審査請求というのを出して、これは余りやるべきことをやっていないじゃないかということで訴えをしておりますけれども、いま団地内に四つ、周辺地域に五つ建っていますけれども、まだそれでも九つでは足りなくて、どうしても十二カ所が必要だと言われておる。こういうふうな形なんですね。だから、いま高島平のあのりっぱな団地つくられたけれども、そうしてそれにはちゃんと必要な保育所もつくります、学校もつけますということになっているけれども、実際にできたものを見ればそういうものが足りなくて、そのために後から区役所がうんと苦労しなきゃならぬ、こういう事態になっているわけです。そうすると、宅開公団の場合でもあなた方はちゃんと一つの基準を持って、戸数なんかに対して小学校一つとか、あるいは中学校一つとか、そういう計画も立てておいでになるけれども、いま言ったような形で国が補助すべきものが、当然出るものが出てないということになればこれは控えるよりしようがないのか、それでも構わず建ててしまって自治体に全部後払いでかぶせるようにするのか、どっちにするんですか、これ。
  108. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず、いま御指摘になりましたように、大規模な団地を造成し、しかも環境のよいものにしようとすればするほどきわめて高いものにつく、言いかえれば地方公共団体財政負担は非常に高くつくわけであります。そのために、本来管理者が建てるべきものではありますけれども、管理者の責任でやるべきものではあるけれども、これがなかなか間に合わない。基本的には地方財政の基本に触れるそういった特例措置その他が必要であり、漸次政府としましても、たとえば人口急増地帯、児童生徒、学童急増地帯等における補助率のアップ、あるいは補助採択基準の強化、起債充当率の強化、あるいは交付税の算入基準の特例、逐次改善してきたところでありますが、それでもなおかついま御指摘になりましたような現象が生ずるのであります。そこで、そのために私どもとしましては、学校のみならずすべての施設につきまして、必要な関連公共施設あるいは関連公益施設のすべてにつきまして、必要なものは十年間据え置き、無利子期間を含む三十年という措置をとりまして、とりあえずこの方式によれば地方公共団体に少なくとも十年間は迷惑をかけない、すぐ施設はお渡しできるという制度をつくったのでありまして、必要なものはつくらなければならない。必要なものをなくして入居させるというようなことはかえって非常な混乱と、それから団地をつくった趣旨に反するわけであります。そういう意味におきまして、先ほど大臣の答弁にもありましたように、今後ともこれで十分とは思いませんけれども、その実施の過程を踏まえて、関係省庁とも協力しながらこの問題に、これは真剣に取り組んでいかなければならない課題だと考えております。
  109. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そうすると結局必要なものはつくると。そうすると、超過負担は結局十年後には自治体に全部かかっていくということになるわけですね。それで、結局ね、私はそう思うんですよ。いまその議論やり合ってみたって、もう時間ないし、だからやり合わぬけれども、結局そういうことにならなきゃ建てるもの減らすよりしようがないんだから、そういうことになると思うんですよ。だから、こういうふうに水準が非常に低いというのは、やっぱり学校とか、保育所とか、上下水道、ごみ処理施設、屎尿処理施設、すべてにかかわる問題ですけれども、やはりいまの新しい都市というもの、町というものは、こういうような施設というものはどうしてももうなくちゃならぬような時代になってきている。だから、そういうものをつくるのは当然なことになってきておるのを、まだそういう時代に対応できない古い補助してやりますというような観念で扱われておることから、そういう開きが出てくるんじゃないのか。だから、当然こういう新しい町づくりという観念なり時代の要請というものに応じて、建設省としてそれに実際対応できるような、つまり住民がそこへ行って住めばそういう必要なものはありますというような町をつくっていくような、そういう制度にこういう補助制度というものも改善していくべきではないだろうか。つまり新しい課題に対して新しい対応をするということはまあよく言われるけれども、まさにそういうものを改善していくことが、ここに言う新しい課題に対する新しい対応ということじゃないかというふうに思うんですけれども、その点大臣どうですか。
  110. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) やはりこれだけの新しい町づくりをいたしますためには、世界でも同じ問題に苦しんで同じような悩みを持ってやっておるところであります。われわれも外国の例等を参考にしますけれども、そのままわが国に直輸入を直ちにできない面もございます。先ほど来申しておりますように、その超過負担というような問題はこれを早く解消しつつ、しかも地元公共団体が困らないように、しかもこういった団地が早く速やかに良好な環境において達成できるような新しい対応の策を講じなければなりません。それには、やはり基本的には地方財政の問題でありますので、その問題をこれから検討課題として、われわれ十分各省とともに対応していかなければならないと思っておりまして、とりあえずの措置としましては、この宅開公団及び住宅公団につきまして、大規模なものにつきましては立てかえ制度の強化ということで十分大幅な改善になったというふうに私は評価しておる次第でございますが、なお足らざるは補わなければいけないというふうに先ほど来申し上げておるわけでございます。
  111. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) これは非常にむずかしい問題でして、都市への人口の集中、その集中した人口がさらに周辺へどんどん伸びていく、人口急増地帯はお手上げだ、何とかして救うことを考えなきゃならぬということが一つの大きな政治の課題でありまして、ただ、いま率直に言って、団地をこっちが持っていってつくる、その団地が人口集中の一つの元口のように実はなっておるわけですけれども、私はいまの状態で、もしじゃ団地をつくらなかったとして、果たしてその人口、周辺地区は全く増加せずにそのままの状態でいけるだろうかという問題も、これはその周辺地区の自治体自体もそういった将来の面を見通してもらいたいと思います。決して責任転嫁するわけじゃありませんが、すべてが団地を持っていくものの責任であって、すべてが被害者意識という感じになっているのじゃないかという感じもしますから、いずれにしても団地がいかなくても相当に人口は増加してくるし、周辺はスプロール化してくることを考えると、何らかの対策を地方自治体自体もせなけりゃならぬ時期に迫ってきつつあるのではないかという実は感じがいたしておるわけであります。そういう意味で私ども考えるわけじゃありませんけれども、いまの場合、急増地域に対する対策としては何とかと思って局長からいろいろ答弁申し上げておるのでありまして、たとえば十カ年間据え置き、無利子というのは、これは現時点においては私ども大幅な政策だと思っておるわけです。それは十カ年間地元の町村には何も責任がありませんから、施設は全部つくって、学校に限らずすべての施設をつくって、全部そのまま十カ年間は無関係でいけるわけでありますから、まあ十カ年間たてば大体その地域に住まいをした人々も定着をしてくるし、定着をしてくればその地域市町村に対して何らかのプラス面もできてくるではないか。そういうものを考えると、それに対する財政負担もある程度できるのではないかという考え方から十年というものを私どもは目安に考えておるわけであります。これですべてがいいとは考えておりません。また、そういう見通しはなかなかできるものじゃありませんけれども、まあできるだけ前進をしていくつもりで努力をいたしておりますことはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 私も団地をつくるなと言ってるわけじゃなくて、どういうふうにしたらうまくいくかという問題、やはり真剣に考えているつもりです。  そこで、もう一つ、これ簡単な問題ですけれども、この十年据え置きというのはこれはいいことだと思うのですけれども、これの適用が計画されている地域のすべての市町村を対象にして実施されるのかどうかということです。何か私、漏れ聞くところによると、無利子、据え置き制度に係る適用条件というようなものをいろいろ考えておいでになって、財政の指数なんかによって差等をつけるというような話を聞いているのですけれども、そういうことはないですか。
  113. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 結論から申し上げますと、そういうことはこの宅地開発公団につきましては少なくともございません。
  114. 春日正一

    ○春日正一君 じゃ、まあそれは確認しておきます。  そこで、地方財政圧迫の第三番目の問題は、まあ関連公共施設、公益施設をつくるという問題でもいま言ったような問題がありましたけれども、今度はそれを管理運営していく経常経費の増大というものが大きいわけですね。これは神奈川県では一番人口増大の大きい相模原市の例ですけれども、ことしの四月にこういうおもしろい白書を発表しているのですね。「こども急増びんぼう白書」というのですが、これは細かいことあれしませんけれども、大筋を言いますと、四十八年度の決算、一万人人口が流入してきたとして、小学校一、中学校三分の一、それから保育園一、ごみ処理施設などの建設費と、それにプラス役所の人件費、物件費など経常費で三十一億二千万円が新たに必要になるというようなことが言われておるわけです。だから、そういうものも新しく出てくる。それがやはり地方自治体が団地の大規模なものができるのをきらう一つの原因になっておるというふうに思います。  それからもう一つの問題は開発負担金の問題。多摩ニュータウンの場合、これ公団施行分ですけれども、総投資額は約二千三百億、そんなものですね。そのうち開発負担分として住宅公団負担する額が約四百億円。それで平米当たり二千二百円と、これが地価にはね返る。これと、それから鉄道の開発負担、百六十七億ですね、そういうふうなことになっているわけです。それから道路の場合、補助事業を除いて地区内は全額開発負担、地区外は東京都と折半。公園の場合、これは補助のつく基幹的なもの、これは補助の裏を全額開発負担。児童公園など補助なしは全額開発負担。下水道、これ地区内は全額開発負担。前述の小中学校用地の半額譲渡分も開発負担、大体まあそんなようなことですね。そうしますと、これらすべてが独立採算制でやっていくものですから、家賃、分譲価格にどうしても転嫁されざるを得なくなるという問題があるわけです。まあそのほかにも、前にも言いましたような国庫補助の低さということとも関係して、保育所、老人施設、公民館などの施設の多くが初めから計画の対象外に置かれてしまうというようなことにもなるし、建物や土地の償却費が高くなってくる。それが民間の幼稚園の保育料とか商店の物価高になってはね返ってきたり、そういう結果として、豊かな地域社会というようなものが、施設の不足からそういうものが育っていかないというようなことになってまいります。  そこで、さっきも言いましたように、そういうものをきちっと整備させようというようにして地方自治体が開発者に負担金を要求すると、結局それは家賃や物価にはね返ってくるというふうな口実にされて抑えられるし、実際多摩市でも町田市でも、その点では市の理事者は非常に苦慮しておるということなんですね。この点で私一つ問題として提起したいのですけれども、いまの住宅問題を解決する。今日もう資本主義がこれだけ高度に発達しまして、国民の非常に多数がもう勤労者として給料取りになっており、その大多数が安い給料取りだ、自分の家も持てないというような状態になっているという条件のもとで、しかもこれだけ発達した生産の水準、文化の水準に合った生活、これを保障していこうということになれば、資本主義のルール、つまり独立採算制というようなルールでもってものが片がつくかどうか。そこらをここらで真剣に考え直さなければならぬのじゃないか、過渡期の問題としてですね。私はいま社会主義の問題言っていないけれども、資本主義のもとでも国家の役割りというもの、そのことを考え直さなければならないのじゃないかという気がするわけです。当面、だからそういう町づくりというもの、国民の住宅の保障というものを最低限のものは国費でやること、国がつくるんだと、国の責任で政治としてやるんだと、こういう立場が必要になってくるのじゃないか。そうでなければ、幾ら公団をつくっても、結局独立採算制で、高い利息のつく金を借りてきて物をつくって売ってあげますということになるのだから、あるいは貸してあげますということになったところで、先ほど来いつも問題になるように、公団住宅でももう非常に高い家賃になってしまうということになって、もう国民にこたえられないようになっているわけですから、この点をやはり総合して考えて、独立採算制というような制度をやめて、本当に新しい町、都市をつくるのにふさわしい補助金のかさ上げをやるとか、あるいは国庫の出資を、公団に対してもっと資金を一般会計から繰り入れるというような措置をとっていく必要があるんじゃないか。これは根本的な考え方の問題、それからまた実際の来年度からの予算の組み方の問題とも絡めて、この考え方についてのひとつ見解というか、感想というか、それをお聞きしたいのです。
  115. 仮谷忠男

    ○国務大臣(仮谷忠男君) 住宅対策を積極的に進めていくためにさらに国が努力をし、補助率等についても前進をさしていくということは、これは私ども当然のことであるし、さように考えていかなければならぬと思っております。ただ、独立採算制を一切やめて、そうしてすべて国の補助でやれという大変格調の高い御意見でありますが、それは一応ひとつ御意見として承らせていただきたいと思います。
  116. 春日正一

    ○春日正一君 そこの問題に取り組まなければ、どんなに幾つ公団つくってみたってらちが明くものじゃないというふうに私は思いますよ。  そこで、もう一つお聞きしますが、そういう意味で、建設省宅地供給法、この宅開公団法だと思いますけれども、これをつくる過程では、宅地開発に伴う関連公共施設等整備のために一平米当たり千円の助成金、つまり一千ヘクタールなら百億円、こういうものを出すことを考えてその要綱をまとめたというようなことが、これは四十八年五月二十二日の新聞に報道されておるのですね。だけれども、この内容の善悪は細かいこと書いてないから私申しませんけれども、やはり何らかのそういう補助制度が必要と認めておいでになったということはあったのじゃないか。とするなら、さらにこの考え方を捨てないで、取り上げて検討していくということは非常に大事だと思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  117. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) いま御指摘にありました昭和四十八年当時、平米当たり千円なりあるいは千五百円というような一つのメニュー方式と称する助成の仕方を内部で検討した経過はございます。このメニュー方式というやり方も、その目的とするところは、結局この地方財政を圧迫している現状に対処するために、その宅地開発の隘路を打開すべく、その円滑な施行を図るためにということが目的であったのでありまして、このメニュー方式の持っている特徴もございますが、一方欠点もありまして、たとえばものによって、無差別で、補助率も違うものを、緊急度も違うものを同じ平米当たり何ぼというようなことでやることがいいかどうか、それから面積が違い、あるいは頻度が違い、あるいは団地の性格も違うものにつきまして、このメニュー方式がいいかどうかというような検討もまだ不十分でありまして、それにかえまして、それにかわる措置として、段階的ではありますが、この立てかえ制度の強化というような制度を活用し、かつまた関連公共施設整備事業の助成基金をこの中に設けて、その中で運用するというような方式にかえて、宅地開発公団はそういう仕組みにかえたわけでございます。その過程でそういうことを考えたことは事実でございますが、その問題の欠点というものが大きかったために、私どもはそれを採用しなかったわけでございます。
  118. 春日正一

    ○春日正一君 時間が来たそうですから、私これできょうの質問は終わらにゃならぬと思いますけれども、いまずっと私挙げてきましたように、やはり住宅が建たぬ、あるいは公営住宅なり公団住宅が建たぬというようないろいろな原因、たとえば地方自治体の負担の問題とか補助金のあり方の問題とか、それから独立採算制の問題とか、こういう隘路になっておる問題を一つ一つなくしていくということを考えませんと、いまのような考え方で、とにかく日本は資本主義の社会なんだから、何でも資本主義なんだということで独立採算制というようなことでやっていこうとすれば、これはさっきも言いましたように、公団を幾つつくったって、こういう住宅問題とか町づくりの問題というようなものは解決つかないだろうと思いますよ。  そういう意味で言えば、私最後にこれ問題にしたいのは、もしそういう条件が保証されるというならば、住宅公団はいままで宅地造成も手がけてきておるのだし、技術者も持っておる、経験もたくさんある。だから、住宅公団で十分必要な宅地もつくり、住宅もつくる、欲しい人には宅地として分譲するということができるんじゃないか。住宅公団が伸び悩んだということは、結局いま言ったようなそういう諸条件があって、その妨げになってできないのだから、それを打開するために新しい公団に対しては十年無利子の据え置きというような手は打ちましたけれども、しかし、その程度のことで結局問題が片がつくということにはならぬ。新しい宅開公団をつくるという根拠にはならぬだろう。もしそういう条件でできるなら、住宅公団だってそれは当然できるはずだ。むしろ宅開公団というようなものを新しくつくれば、これから人も集め、組織も組み立てていかなければならぬわけですから、むしろ一つ困難な山を越さなければならぬ。ところが、住宅公団の方はすでに宅地部も持っておるのだから、そうして宅地の買収や造成に経験を持ったスタッフをたくさん持っているわけですから、そういう条件が整えば住宅公団で私はできると思う。だから、屋上屋をという論は、私ずっと詰めていってみてこれは本当だと思います。だから、そういう点で、この問題についてはもっと町づくりの問題、国民生活の問題として、日本の現状において真剣に政府として考えていただきたいということを申し述べまして、今日のところ私は質問を終わります。あとはまた別の機会にお願いいたします。
  119. 中村波男

    委員長中村波男君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  120. 中村波男

    委員長中村波男君) 連合審査会に関する件についてお諮りをいたします。  宅地開発公団法案について、地方行政委員会、農林水産委員会及び運輸委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会