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1975-05-29 第75回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月二十九日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      遠藤  要君     戸塚 進也君      上條 勝久君     宮田  輝君  三月二十八日     辞任         補欠選任      宮田  輝君     上條 勝久君      戸塚 進也君     遠藤  要君  三月三十一日     辞任         補欠選任      望月 邦夫君     八木 一郎君      上條 勝久君     大谷藤之助君  四月一日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     望月 邦夫君      大谷藤之助君     上條 勝久君  四月二十四日     辞任         補欠選任      上條 勝久君     園田 清充君      坂野 重信君     平泉  渉君  四月二十五日     辞任         補欠選任      園田 清充君     上條 勝久君      平泉  渉君     坂野 重信君  五月八日     辞任         補欠選任      望月 邦夫君     橘  直治君      小谷  守君     安永 英雄君  五月九日     辞任         補欠選任      橘  直治君     望月 邦夫君  五月十日     辞任         補欠選任      安永 英雄君     小谷  守君  五月十二日     辞任         補欠選任      小谷  守君     中村 英男君  五月二十九日     辞任         補欠選任      望月 邦夫君     増原 恵吉君      中村 禎二君     亘  四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小野  明君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 坂野 重信君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 小谷  守君                 中村 波男君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 春日 正一君                 三治 重信君    衆議院議員        建設委員長代理        理事       唐沢俊二郎君    国務大臣        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        国土庁長官官房        長        粟屋 敏信君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁土地局長  河野 正三君        国土庁水資源局        長        宮崎  明君        国土庁大都市圏        整備局長     小幡 琢也君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        国土庁長官官房        審議官      山東 良文君        文部省管理局教        育施設部長    柏木健三郎君        農林省構造改善        局計画部計画課        長        青木 敏也君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  高橋 英雄君    参考人        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        播磨 雅雄君     —————————————参考人出席要求に関する件 ○宅地開発公団法案(第七十二回国会内閣提出、  第七十五回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 小野明

    委員長小野明君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  宅地開発公団法案審査のため、必要に応じて日本住宅公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野明

    委員長小野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小野明

    委員長小野明君) 宅地開発公団法案議題とし、本案趣旨説明を聴取いたします。仮谷建設大臣
  5. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) ただいま議題となりました宅地開発公団法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年における人口産業大都市集中に伴い、大都市地域においては、土地利用の混乱、地価の異常な高騰など土地問題が一段と深刻化しており、都市勤労者住宅宅地を取得することは、ますます因難になりつつあります。  土地問題を根本的に解決するためには、全国的に土地利用計画を確立し、これに即して公共優先の立場から土地の取引、利用にわたる規制、誘導を強化し、投機と乱開発を排除することが急務でありますが、同時に現下の地価上昇宅地取得難の原因が基本的には宅地需給の不均衡にあること、特に大都市地域においては、今後人口産業地方分散を強力に進めたとしても、なお膨大な宅地需要が見込まれることにかんがみまして、宅地大量供給を促進することが緊急の課題となっております。  しかるに、現在、大都市地域においては、大規模宅地開発事業実施は、関連公共施設等整備に伴う地方財政負担の増大、通勤難等隘路等に直面しております。  このような現状にかんがみ、当面する宅地開発隘路の打開を図りつつ、大都市地域における住宅地大量供給を図るための新機構が必要であると伴断いたしまして、関連公共施設交通施設等整備を行う権能を備えた宅地開発公団を設立し、大規模宅地開発事業を行わせることとした次第であります。  なお、大都市地域においては、日本住宅公団は、勤労者のための大量の住宅建設という重大な任務をもっておりますので、同公団が行う宅地開発事業は、今後は、その住宅建設用地の確保に重点を置くことといたし、新公団との業務の分担を明確にいたしております。  以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、宅地開発公団は、人口及び産業集中が著しく、住宅不足のはなはだしい大都市周辺地域において、住宅の用に供する宅地の大規模造成を行い、これとあわせて整備されるべき施設の用に供する宅地造成するとともに、これらの宅地に必要な公共施設交通施設等整備を行うこと等により、良好な住宅の用に供する宅地大量供給と健全な市街地形成を図り、もって大都市及びその周辺地域における住民生活の安定と福祉の増進に寄与することをその目的といたしております。  第二に、公団の設立に際しての資本金は五億円とし、政府がその全額を出資することといたしておりますが、建設大臣の認可を受けて政府及び地方公共団体の出資により、その資本金を増加することができるものといたしております。  第三に、公団に役員として、総裁、副総裁理事八人以内及び監事二人以内を置くこととしているほか、非常勤の理事を置くことができるものとしております。  第四に、公団は、その目的を達成するため、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業等により住宅地造成し、管理し、または譲渡するとともに これに関連して必要となる公共施設及び利便施設整備することとしております。また、住宅地造成とあわせて整備されるべき健全な市街地形成のため必要な施設の用に供する宅地整備することとし、工業団地造成事業流通業務団地造成事業を行うこととしております。さらに、公団は、みずから地方鉄道業または軌道業を行うことができることとしております。  第五に、公団は、関連公共施設整備する場合には、当該公共施設管理者の同意を得て、その工事を施行することができることとしております。この場合、当該工事に係る国の負担金または補助金は、直接公団に交付することとし、地方公共団体は、工事の施行に要した費用から国の負担金または補助金の額を控除した額を公団に支払うものとしております。  第六に、関連公共施設整備に要する費用のうち地方公共団体公団に支払う支払い金及び公団整備した利便施設地方公共団体が譲り受ける場合の代金について地方公共団体公団に支払うべき利子の軽減に資するため、公団関連施設整備事業助成基金を設け、その運用により地方公共団体財政負担軽減を図ることとしております。  第七に、公団は、公団造成した宅地を譲り受けることを希望する者が引き受ける宅地債券を発行することができることとしております。  第八に、公団は、業務内容に応じて建設大臣または運輸大臣が監督することとしております。  そのほか、財務及び会計、関係大臣との協議、罰則等に関する規定を定めるとともに、日本住宅公団法その他関係法律の改正を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようにお願いをいたします。
  6. 小野明

    委員長小野明君) この際、本案衆議院における修正部分について、衆議院建設委員長代理理事唐沢俊二郎君から説明を聴取いたします。
  7. 唐沢俊二郎

    衆議院議員唐沢俊二郎君) ただいま議題となりました宅地開発公団法案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、本法律案は昨年二月、第七十二回国会に提出され、継続審査となって今日に至りました関係上、この一年有余の期間の経過等により、附則中所要の規定整備をする必要が生じ、ここにその修正を行ったものであります。  修正の第一点は、宅地開発公団の最初の事業年度を成立の日から昭和五十一年三月三十一日に改めること、第二点は、宅地開発公団法法律番号昭和四十九年」を「昭和五十年」に改めること、第三点は、「国土総合開発公団法」の名称を「地域振興整備公団法」に改めること等であります。  以上が修正趣旨でありますが、委員各位の御賛同をお願いする次第であります。
  8. 小野明

    委員長小野明君) これより本案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 沢田政治

    沢田政治君 私はまあ人の言葉じりをとらえることはいやでありますが、いま大臣趣旨説明の中に、やはり住宅問題の解決土地問題の解決だと、そのためには国としては土地利用基本計画を立てなくちゃならぬ、こういうことを言われておるわけでありますが、言われておることは私はしごくごもっともだと思うわけです。しかし、土地利用計画法に基づく国としての国土利用計画をまだ明確にしておらぬわけですね。いわんや都道府県の基本計画利用計画もまだはっきりしておらない。こういう段階において宅地開発公団だけこれは先行するということじゃちょっと時期的に見てもこれは違うのじゃないか。と同時に、また日本が再びこの高度成長政策にこれは房ることは不可能なわけです。したがって、新新全総がどうなるかという動向考えなくちゃならぬと思うわけです。そういう一体の基本的な国の計画をまず明確にして、さて住宅をどうする、宅地をどうする、こういうところにやはり問題の焦点をしぼって問題提起をするのが順序じゃないかと、こう思うんですが、まさにこの順序が逆だと思うのですね。この点について非常に疑問を感ずるわけでございますから、建設大臣、どういうお考えを持っていますか。
  10. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 確かに根本的な解決としては、国土利用計画が確立されて、その上に立っていろいろな諸計画が進められるということは、これは住宅問題に限らずその他の公共関係長期計画がその基本の上に立ってやらなければならぬことは当然であります。ただ、この公団法が昨年からの継続法案でもありますし、立法の時点においては高度成長が一応考えられた時期のものとも思われますけれども、しかし、現実の問題としては、むしろ現在の三木内閣基本方針経済安定成長の中における重点施策は何といっても福祉行政に最重点を置かなければならないし、その意味における建設行政は、特に住宅宅地あるいは下水道等生活関連事業に最重点を置いてやるべきだ、こういう基本方針が立っておりまして、その最重点を置いて住宅政策を進めていくために一番の隘路になっているのは宅地の問題でありますから、そういう意味宅地大量供給を進めていくということがこの法案趣旨でもありますし、大きな前提のあることは十分承知をいたしておりますが、さりとて、住宅宅地問題はそのまま放任すべきことではないし、政府の最重点施策でもありますので、そういう意味から本法案審議お願いをいたしておりますことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  11. 沢田政治

    沢田政治君 と申しますのは、こういうような現象を追うような住宅政策なり土地政策ではいかぬじゃないか、もう少し長期展望に立つべきじゃないか。どだい今日都会に人口集中したのはこれは国の政策の結果なんですよね。つまり高度成長政策の結果なわけです。太平洋ベルト地帯にどんどん産業投資を行った、そこには非常に労働力需要というものが出てくる、でありますからそこに集まる、また国の財政金融を挙げて産業基盤整備拡大、こういうものにどんどん政策の意を注いできた、こういう結果都市にどんどん人口集中したことはこれは当然の結果だと思うんです。そこで、都市人口集中するから宅地難だ、住宅難だ、だからつくらなければならぬという、そういう発想ではこれは高度成長政策の後追い政策であって、これはいつも追いかけ回されておる結果だと思うんですね。だから、日本経済というものはどういう方向にいくのか、また国土均衡発展のためにはどういうやはり政策をとるべきかという基本がしっかりして、そうして住宅なら住宅宅地供給なら宅地供給ということになるのがぼくはやっぱり順序立てとしては当然の結果じゃないかと思うのです。場当たり場当たり現象を解消をするということでは私は行政じゃないし、いわんや政治じゃないと思うのです。そういう面からいって、宅地のみが先行しておる——もちろん私は宅地供給がなくてもいいとか、住宅は非常にあり余っているのだという前提じゃない。これも必要だけれども、その前提としてなすべきものは何もまだなしておらぬ。そうして宅地の方に非常に局部的にスポットを当ててここに持ってきても、やはり議論はしにくいと思うのです。もう一回所信をお伺いしたいと思うのです。
  12. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) お説は私もよくわかります。人口がなぜ集中したかというその過去を反省しながら、根本的に問題を検討をして、そして新しい方向政治経済も再出発せなきゃならぬことは当然でありまして、その意味において高度成長から安定成長へと、そして長期計画もさらにいま一度再検討する必要があるということで、これはいろいろ議論をし、あるいはその計画が進められておりますことは御承知のとおりでありまして、私どもも過去を十分反省しながら新しい政治方向を決めていくべきだということは当然でありまして、御意見は私はよくわかります。それじゃあこの法案はそれができ上がるまで待ってはどうかという御意見のように拝聴いたしましたけれども、昨年からの継続の問題でもありますし、当面福祉重点生活重点の点からいってやはり住宅問題は放任できない その一つ現症療法であります。確かにそのとおりでありますけれども、現症療法といえども放任できない問題でありますから、御審議をいただいておるわけでありまして、これはぜひひとつ御理解を賜りたいと思いますし、根本的な反省や問題点の究明をわれわれは怠ってはおらないし、その方面にも最善の努力をし今後の徹底を期していかなければならぬことは御意見と全く同感であります。
  13. 沢田政治

    沢田政治君 これは建設省実施官庁ですから、今度国土庁という新しい庁ができましたので、これは国土庁の問題だと思うのですね、特に国土計画的な利用。これで金丸大臣、あなたも首都移転論者ですか、そういう論があるかどうかわかりませんが、果たして四世紀にわたる東京都の首都はこのまま現存していいのかどうかと、こういう問題が各方面から相当スポットを浴びて議論されていると思うのですが、もちろん首都移転すべきだとか、すべきでないとか、これは私はまあいずれがよしあしということは言いませんが、しかし、あなたも新首都問題懇談会ですか、私も御招待をいただきましたので初回に出席いたしましたが、これは軽々にどうすべき、こうすべき、どこだ、そこだということにはならぬと思うのです。少なくとも一国の首都形成というものは、それぞれ歴史的な背景とか、いろいろなやっぱり問題が、次元の高い問題もこれあろうと思いますから、移転すべきだとか、すべきでないという前提に立った議論ではないというように考えていますが、しかし、今日東京がこれ以上過密になったら——これは大阪でもそうですね、三大都市圏と言われているところはどこもそうなわけでありますが、このままで人口が膨張したならば果たして都市としての機能を維持できるのかどうか。また、国土均衡ある発展という観点からいっても望しいのかどうかという一つ問題提起がされておると思うのですね。そういうことで、一応国土計画的な利用計画という観点からいって、学者等もいろいろ言っていますし、新聞もいろいろ書いておるところもありますし 批評しているところもありますが、この際に個人的なそういう問題を論議しようということもそれなりの意義があると思いますが、特に東京がこういう状況になっている今日でありますから、私はそういう面からいって、一応個人的な有志の段階ではなくやはり国政レベルで、これは閣僚なら閣僚でも結構ですよ、国政レベルでやはり首都移転を含めた国土利用というものはいかにあるべきかということを議論し始めてもいい段階に来たのじゃないか。もちろんこの首都移転の問題は、議論して十年後、二十年後、あるいは一世紀かかるかもわかりませんが、やはり議論だけはいまから公の場で議論するという一つの気構えというものがこれ必要じゃないかと、こう思いますが、いかがですか。
  14. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 首都及びその周辺地域の非常に人口の過密という問題は、だれしも大きな問題点であるということは考えておるわけでありまして、そういう意味でこの首都にこれ以上人口産業集中することについては抑制しなければならない。また、現在の東京のこの首都人口という問題を考えてみますと、災害の問題あるいは公害の問題、こういうようなことを考えてみますと、一つの大きな政治問題としても考えなくちゃならない。これはいま先生が提案されているいわゆる公の場、国会の場でもこういう問題について議論を積み重ねるべきじゃないか、私はそういうことをこいねがっておるわけであります。しかし、この問題は個人の考え方でああするとかこうするとかいうことでなくて、いわゆる国民の世論の動向というものが必要であるということであるならば、この公の場でそういうようなことを議論さしていただいて、そうしてそれを積み重ねる中で国民も十分この問題について認識を持っていただくようなことにしなければ、首都移転という問題は考え得られぬじゃないかということを、私も先生考え同感であります。  私は首都移転の可否という問題について、することがいいとか、あるいは移転の問題、あるいは転都論というような問題もいろいろ学者先生方や、政治家先生方や、いろいろの御意見があるわけでありますが、要はいわゆる災害、あるいは公害、そうして均衡のとれた地域社会というようなものをつくるという上からして、この問題を本当に討議して、あるいはまた移転するならば、この問題を、後に残る東京というものはどうするのだ、当然ひずみも出てくることでありましょうから、そのひずみに対してはこうするのだというようなすべてのいわゆる計画というものが考えられなくてはならない、こういうようにも考えておるわけでありますが、なかなか大きな問題でありますから、ちょっとやそっとでこの問題が解決するとは思いませんが、きょうに生命をうけるいわゆる日本国民が、次の時代の国民のためにもこの問題を等閑視するわけにはいかない。私は先生のおっしゃられるように、ぜひ国土庁におきましても、大都市基本問題研究会等もありますし、あるいは首都圏整備審議会等もあって、いろいろこの問題についても審議を重ねておるわけでありますが、そういうことでなくて、この公の場でそういう問題を討議していただければ非常にこれを推進する上に大きなプラスになるのじゃないかということを考えておるわけでありまして、どうぞひとつそのような方向へ御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。
  15. 沢田政治

    沢田政治君 首都移転についてはいろいろな説をなす方があります。これは一々もっともだと思いますね。それぞれの歴史的な背景なり、何世紀に一回変わるとかというまた統計的に言う方もありますし、しかし、首都というのはやっぱり外国との位置関係交通関係、そういう面からいって一つの顔になりますからね。そういう選択の基準があるというような説をなす者もありますし、いろいろありますが、しかし、これ以上やはり公害とか、人口の過密とか、人口が特に偏在しちゃいかぬということを、そういう角度からでもやはり取り上げなくちゃならぬ時期に来ているのじゃないかと思います、是非は別として。でありますから、やはり国土庁でも内々にじゃなく、やっぱり真剣に取り組むべき問題だと思うのですね、公然と。もちろん国会でしかるべき機関を設けてこれを議論するかどうかというのは、これは国会意思でありますから、内閣意思を聞いてやるというものじゃありませんから、議員相互間にそういうような必要性なり認識が高まった場合に国会ではそれぞれの場を設けるべきだと思いますが、これは答弁要しませんが、国土庁としてもやはり真剣にこの問題は検討すべき課題一つだということだけは私は申し添えておきたいと思います。  そこで、私は、すっきりしないのは、なるほど住宅不足である。一時ほど東京とか三大都市圏人口が、社会増というのが、かつてのような勢いで何というか増勢を示しておりません。鈍化の兆しがあるわけでありますが、しかし、一方においては、これは自然増というものもかなり出てきておることも、これはまあ数字で私は承知しております。でありますので、いろいろ問題があったとしても、住宅困窮者が大変おる、困難者もおる、こういうことも事実で、何かしなくちゃならぬと。こういうことで、その意味合いにおいては私は理解は一致すると思うんですが、ただ手法において、いま現在、日本住宅公団という一つ宅地造成したり上物をつくったり、こういう一つ機関が、法人があるわけですね。その上にさらに宅地開発公団というのがこれはできようとしておるわけでありますが、屋上屋じゃないかという批判の向きもあります。果たしてこういうものをつくって、庶民が望むような、いまも断念せざるを得ない、マイホームは庶民のもう夢ではなくなった、高ねの花でもない、もう画餅だ、画餅にもならなくなったと、そういう望みも持つ人もなくなったというのが昨今の状況だと思うんです。  したがって、屋上屋という議論もありますし、この公団ができても、果たして庶民の夢が実現するような低廉な、安い、いまの日本の勤労階級の所得に見合った、その負担以内の宅地供給できるのかどうか。例によってこれは高級官僚の天下りになって そうしてまた一部の民間デベロッパーが抱えて四苦八苦しておるところの救済策になるんじゃないかと、こういう危ぶむ向きもこれはなしとしないんです。ありますね。したがって、まず私は、どういう土地を提供できるかというのは後の議論に譲りたいと思いますし、意見に譲りたいと思いますが、なぜ屋上屋を重ねるのか、その必要性があるのか。建設省から何回も来て私は説明聞いたわけだけれども、どうも聞けば聞くほどまだ納得できないんですね。理解できないんですよ。というのは、いまの住宅公団では持っている権能が少ない、したがって地方公共団体が歓迎しないということだけに理由があるのであるならば、住宅公団にそれだけの権能を持たした方がいいでしょう。今日皆さんが提案しているような宅地開発公団法のようないろいろな行政的な権能を与えた方がいいでしょう、それだけであるならば。それをなぜ二つの公団をつくらなくちゃならぬか。これはどうも一部世論にあるような、マスコミにあるような屋上屋、あるいは閣僚でさえも公然として疑問があると、こう言っておられました経緯がありますから、この法案が出てくる、だからその付近をやっぱりすっきりしてもらいたいと思うんですね。
  16. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 細かい具体的な問題はまた後で事務当局から御答弁をさせますが、ただいまの御意見は、そういう御意見のあることも十分私どもは承知をいたしております。私自体が建設大臣に就任をいたしましてから、この法案は前国会からの継続法案でありますけれども、同じような疑問を持った一人でもあります。屋上屋ではないか、住宅公団で積極的にやればいいじゃないかという考え方も実は持った一人であります。まあ内容をいろいろと検討してみまして、しかもこの問題についての衆議院におけるいろいろな議論をいたし、それから意見も拝聴いたしてまいったわけでありますが、いま一番私どもが悩みといたしておりますのは、住宅公団自体が本来の使命に沿って本当に国民の要望や、住宅を欲しい人々、勤労者の皆さん方の要望にこたえておるかどうかという現実の問題を掘り下げていろいろ検討いたしております。率直に申し上げまして、住宅公団のいま仕事そのものは、いろんな面から非常な批判を受けて一つの壁に突き当たっていると言ってもいいのであります。それでいて、今度の使命からいって、年間少なくとも六万戸以上の建設はしていかなきゃならぬ。そのため自体の、それだけの宅地の開発すらも実は非常に困難な状態をきわめておることもこれは現実の問題であります。そういうふうなことを考えてみますと、住宅公団というのは宅地部を設けていろいろやっておりますけれども、本来の使命はやはり住宅を建設する、国民の期待にこたえて住宅を建設するということに最重点を置くべきだという考え方を持って、そのためには新しい住宅公団のこれからの方向につきましても、第三期の計画を前にして、もう一辺反省をし洗い直して出直すべき時期に来ておるのじゃないかと、こういう感じも実はいたしておるわけであります。  その際に、さらに住宅公団みずからの宅地建設以外の住宅そのもの、これは全体からいって日本住宅建設の六〇%は民間住宅であることも御承知のとおりでありまして、そういうことを考え、さらに国民の公的住宅に対する非常な期待等も考えてみますと、やはりその期待にこたえていくためには、もう少し、一番隘路である宅地開発を思い切って行って、そして大量供給をすることが住宅問題を解決する一つの突破口であると、こういう感じを持っております。その意味において、住宅公団宅地部でこれを進めていくことが適当かどうかという問題、あるいはそれだけの大きな負担にこたえることが、現在の機構で、現在の状態でできるかどうかという問題——すでに住宅公団が生まれて二十年たっております。もうすでに管理住宅が七十万、八十万戸と言われておりますし、これを管理していくだけでも相当大きな問題になっておること、さらにこの住宅公団に対する期待というものは全国的に非常に多うございまして、三大都市圏に限らず地方都市でも住宅公団を積極的に誘致しようという地区もあるわけでありまして、そういう希望にもこたえてやらなきゃならぬということになると、従来のように三大都市圏だけに住宅公団集中しておっていいかどうかという問題もあります。  そういう意味から、特に宅地供給のきわめて重要であり、住宅必要性の切迫しておる三大都市圏につきまして、宅地開発公団を設けて新しい観点宅地供給をしていくことがいまの場合適切ではないか。こういう考え方で私どもも宅開公団法というものをさらに推進しようという考え方を持っておるわけであります。これについてはなお、もちろんいろいろ議論の余地ありますけれども、そういう意味で私どもは、この法案をぜひ御理解をいただいて推進をさせてもらいたい、そういう考え方で臨んでおることを御理解を願いたいと思うわけであります。  お答えになったかどうかわかりませんが、なお具体的な問題は事務当局からよろしければお答えをさせることにいたします。
  17. 沢田政治

    沢田政治君 住宅公団がそれぞれの使命を果たしてきたけれども、非常に困難な状況になっておるということは、住宅戸数、建設戸数の問題からいっても、非常に遠隔地になっておるという問題、家賃の問題、いろいろな面で隘路に逢着しておることは私も認めます。しかも地方公共団体等においては、住宅公団が入ってくるのは困るという一つの拒絶反応と言って表現がいいかどうかわかりませんが、ある程度の拒絶反応もこれはある。こういうことも事実として知っています、よしあしは別として。  そこで、具体的に住宅公団にお聞きしたいわけですが、なぜこの住宅公団住宅建設というものが行き悩んでおるのか、その主因というものは、ありていに申すならばどういうことで行き悩んでおるのか、この点を私はお聞きしたいと思うのです。それがやはり宅地開発公団をつくる必要があるのかどうかという一つの判断の決め手になろうかとも思いますので、なぜそう行き悩んでいますか、いまなぜ拒絶反応を起こされていますか。また、今日の住宅公団は、もうどんなに機構を改革してもこれ以上はどうにもならぬ、住宅公団みずからが、もう住宅公団の機能というものは限界で、たとえば宅地開発公団のような行政的な権能を持ったとしてもだめのかどうか。ここまで聞くのは酷かもしれませんが、まあなぜ行き悩んでおるのかだけを聞きましょう。後の方は建設省から聞きますから。
  18. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 公団の当面いたしておりますいろんな隘路につきましては、これは各地方において事情が違いますので、なかなか一口には申し上げられないわけであります。いまお話しの団地お断りというのは、これは首都圏の関東臨海部、具体的に言いますならば神奈川、埼玉、千葉というようなところでは、これは人口が余りに急にふえるからその急増を何とかしてとめたい、人口抑制ということがもとになっておる。で、この場合には、したがいまして年間に建てる戸数を第二期五カ年計画の当初お約束いたしました戸数の半分にしてもらいたい、全然建てるなとは言わないけれども、とにかく建てるスピードを落としてもらいたい、こういう要請があるわけであります。しかし、中部地方とかあるいは近畿、あるいは北九州等においては、人口が急増であるから団地はお断りだという問題はないわけでありまして、それは地方の財政負担が多くなり過ぎる、学校の負担もありいろいろある。したがって、主として金の問題が出てくる。  それからもう一つは足の問題。公営企業のバス等につきましてもなかなか赤字で困っております。そういうようなところで、また新しい団地に対するバスの運行をしなければいけないとか、あるいは大規模開発におきましては鉄道を新しく敷かなければならないというような問題、この問題の解決が先決である。まあ公団におきましても、たとえば洋光台のようにむしろ足の方が先に行っておる、あるいは高島平のように足の方が先に出発しておるというような、非常に交通関係とマッチした、整合した計画で団地を建てた場合もございますが、これらの問題につきまして、やはりいろいろ各地方地方におきましてはなかなかそういうふうにうまくいかないというところもございます。  それから大規模の開発におきましてはあらゆる計画の整合性が必要でございまして、単にたとえば宅地造成だけをするということで事が済むわけではございません。必ず水の問題、特に上水の確保の問題と、それから排水関係あるいは治水関係、河川の大改修を必要とする、こういうような問題もございまして、なかなか話が一年、二年で簡単につくということではない、こういうような問題もございます。  住建の方で実は非常に苦しみましたのは、四十八年までは用地の取得がなかなかできなかったわけでございます。御承知のように毎年三〇%近い土地の急騰がございました。この当時は民間のあらゆる企業と公団とは競争するような立場になったわけでございます。したがいまして、その当時は、たとえば売り主が相手を選定するのには入札制度をもってした。この入札の場合に必ず公団は負けました。それは民間デベロッパーの方がより高く買えるというようなことで、四十六、四十七、四十八、この三年間は非常に建設用地を獲得するのに苦しんだわけでございます。そういった事情は今日非常に緩和されまして、私どもとしては、この点で一応地価の騰貴が安定化し、あるいは鎮静化してくるという現状は、非常に仕事がスムーズにできるという点は歓迎しておるのでありますけれども、われわれの手でどうしてもやはり解決できないと思っておりますのは、特に都市用水の水の問題でございます。そういうような問題で今日に来たわけでございますが、ただいまのところは、一番まあもとになります用地の取得難という問題につきましては非常に楽になってきております。ただ、最初に申しました首都圏の三県におきまする人口抑制策との整合、これは私はやはり国と地方公共団体が真剣にこの問題に取り組んで、そうしてその間にコンセンサスがないとなかなか進まないという問題は残るであろうと考えておる次第でございます。
  19. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、公団の方にこれはあえて答弁を求めませんが、建設省の方に答弁を求めるわけですが、今日住宅公団が非常に隘路に逢着しておるという原因をるる述べられました。これは一々もっともであります。まあたとえば住宅だけはできたけれども、団地だけできたけれども足の問題をどうするかという問題、それから人口をこれ以上ふやしたくないというやはり受け入れ側の県の一つ基本的な考え方、また地方財政ですね、行政需要が非常にふえる、負担に耐えかねるという問題、水の問題ですね、これもあります。しかし、そのほかにやはり住宅公団そのものの姿勢もありますよ、ぼくに言わせますと。これは後で質問しますが、たとえば宅地を入手する場合の選定の仕方とか、選定の具体的な方法といいますか、結果ですね。たとえば千葉県市原市の、五年前に買ったでしょう。山林、原野のまま放置しているでしょう。売った業者は、また転がし転がし転がして、最後またそれを買い戻して、公団が買っているというような例もあるでしょう。これは大阪府の光明ヶ池ですか、あれと似ていますな、これもね。いやまだまだありますよ、これは探したら。このことだけで私はやっぱり公団に対しては一日や二日ぐらいたっぷり質問したいことがたくさんあるですよ。  まあ、いまそれを言うのが目的じゃありませんから、それはさておきましょう。市原市の問題、後で聞きますが、しかし、いま言われました地方財政が非常に需要がふえると、これには耐えられぬと、人口ふやしたくないというこういう気持ち、しかもこれは交通の問題、水の問題が一挙に解決できない、いまの住宅公団の手法ではね。これもやはり非常に行き悩んでおる一つの現実だと思うのですね。そうであるとするならば、そういう権能を持たせたらいいでしょう、いま言われるような理由であったならば。新しくつくろうとする宅地開発公団ですか、これと同じような権能、もう少し強化したものを与えたならば、何も機構を二分割しなくとも、二つにしなくとも、三大都市圏はもちろんのこと、これはもう地方都市においてもひとしく、何といいますかね、宅地造成住宅政策というものも前進するだろうと思うのですね、それだけの問題であるならば。どうも新しく宅地開発公団を設けるという積極的な理由、これでなければどうもならぬのだという理由にはどうも乏しいと思うのですね。これは大臣でなくても、これを企画した計画局でどう考えますか、これ。
  20. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 具体的なことは事務当局からお答えをさせますが、同じことをやるならいまの住宅公団に権限を拡大をしてやらせばいいじゃないかと、屋上屋を重ねる必要ないじゃないかという、理論的に私どもそういうこともうなずけると思っております。ただ、いま公団総裁からもいろいろ御説明をいたしましたように、住宅公団の仕事が本来の住宅を建てる以前の宅地問題でもうほとんど手いっぱいになっておるという状態であり、宅地を開発する、そうして水の問題、あるいは足の問題、あるいは地方財政の問題、これは本来からいって住宅公団のやるべき仕事じゃない、政治問題なんです。そういう問題に手足を煩わされて、結局それいっぱい。しかも三大都市圏でそれいっぱいになって、住宅公団に対する期待というものが全国的に非常に大きい。そういうところまで積極的には手が伸びていかないという問題もあるわけです。一つの機構が、やはり機構を充実するとしても私は限界があるんじゃないかという感じも——私は余りこんなこと詳しくないんですけれども、やはりある程度限界があるんじゃないかという感じもいたします。  それと、いまの状態で本当に行き詰まっている。第二期五カ年計画を五十年度完全に消化するとして、公団住宅は六三%なんであります。これは単にその公団の責任と私ども思っておりません。やはりインフレの問題、地価問題、あるいは資材の問題がそういう大きな隘路になっておることは事実でありますけれども、それにしても、それに対処するための現在の機構としてはもう一遍検討する必要があるんじゃないかというぐらいに考えておるわけでありまして、これをさらに権限を拡充して膨大なものにして果たしてその目的が達成されるかどうかについては、これはよほど検討を要すると思っておるわけであります。そういうふうなことを考えてみますと、現時点では全く進めないと、それは率直に言って二期計画の六三%しか五十年度完全消化するとしてできない状態でありますから、これに対しては国民からもあるいは政党からもきわめて強い批判を私どももろに受けておることも御承知のとおりであります。そうすると、この機会に何らかの形で突破口を見出さなきゃならぬという考え方に立っていろいろ検討していきますと、少なくとも問題の三大都市圏に限っては、ひとつ新たな方策で、手法でこの問題を解決つけていくことを考えてみる必要があるんじゃないかと。これは都市周辺の問題は宅開公団で処置をしていきます。  また後で、いま衆議院で御審議をいただいております大都市圏内におけるいわゆる宅地の再開発の特別措置法でありますが、これは市街地内における宅地開発の問題、そういった問題も三大都市圏に限って問題をしぼって処置をしていきたいという考え方の法案であることも御理解がいただけると思うのでありまして、そういう意味から考えますと、住宅公団はむしろ本来の本当の使命である住宅建設にさらに積極的に取り組んでもらうと、そういう意味において、みずからのいわゆる建てる建物の宅地、自家用土地はみずから開発して、そうして建物の建設に重点を置いてもらうと、それ以上の煩わしいいろんな政治問題や、解決しない問題はひとまず切り離して、特にいろいろ問題の多い大都市圏においては、ひとつ新しい機構において開発を進めていくことが国民の要望にこたえるゆえんではないかというふうに私どもは解釈をいたしまして、この法案審議お願いをいたしておるわけであります。これは決して議論の問題ではありません。私どもは現実の問題として一応そういうことを考えておるわけでありまして、沢田先生の御意見とは若干その点が一致しない面もあると思います。私はその御意見のあるのも当然だと思いますし、その問題についてもずいぶん私どもは頭を傾けながらこの問題についての処理をいろいろ考えておるわけでありますが、現時点ではさような観点で御審議をいただいておるということを御理解を賜りたいと思います。なお、事務当局から具体的な問題は御答弁をいたさせます。
  21. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま大臣からお答えいたしましたとおりでございますが、さらに私から一、二つけ加えさしていただきますと、ただいま大臣の答弁にありましたように、住宅公団にこのような権限を与えることが果たして絶対にだめなのかということではないが、いろんな現実問題として、あるいは政策的選択等の問題として考えた場合に、むしろこの際このような新しい拒否反応の情勢に対処して、これから本格的に残された住宅問題という最後の戦後的な課題を速やかに処理していくためにも、新しい権限を与えるというならば、むしろ新機構によってこの三大都市圏に限っては踏み切るということが、それに専念させるということが能率的であり、また合理的であろうというふうに考えたというふうに私は要約して申し上げたいのでございます。  ちょうど、比喩になるかもしれませんけれども、やはり全国的公団といたしまして、かつて道路公団というものがありましたが、それが各都市の事情に応じまして首都高速公団あるいは阪神高速公団というものに分離いたしますときに、やはり同じように専門的な都市高速道路というものをつくるためには、道路公団で処理するよりは、むしろそういう機能分化を行いまして、特殊な場所でございますから、能率的にかつそういう新しい権能を持ってそれに専念させることが適当であろうと言われた議論に似ているように私は思うのでございまして、一年間、行管におきまして、むしろ新しい権能はこの際地域的にもそこに集中した問題を解決するための特殊な機関として、複数または単数の機関を検討すべきであるというような結論が出されましたのも、そういうことが背景にあったというふうに考えている次第でございます。補足して申し上げます。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 大臣の答弁は先ほどと終始一貫変わらぬし、補足答弁もこれは補足になっておらぬわけですね。新しい皮袋には新しい酒をと、同じ権能を持つ機関であったならば、新しい観点から出発した何といいますか、公団の方は非常に能率的だと、こういうことに尽きるわけですよね、要約して言うとですね。しからば、どうして新しい機関に新しい権能を持たして、どうして具体的に安い宅地供給できるのか、隘路が打開できるのかという具体的な方法は何にもないわけです。まあこれは水かけ論になるから私言いませんが、そうなるとぼくは、いままでの住宅公団というものは全く無能なやつばかりそろっておると、もうこれ以上力がないんだと、こんなに権限を与えてもどうにもならぬのだというようにも聞こえるわけだね、とりようによっては。しかし、昭和三十年から今日まで二十年間に約二万五千ヘクタールの宅地を手がけてきましたね。そうして一万ヘクタールの宅地造成を完工さしておるわけですね。かなりの実績を持っているんですよ、これはね。でありますから、これ以上荷物を重くしてはいかぬとか、新しい皮袋には新しい酒をとかというそういう抽象的な議論じゃなく、やっぱりこれじゃどうしても、どうやってもだめなんだという積極的な、いまの住宅公団じゃどうにもならぬ、荷物が重いということにはならぬと思うのですよね。しかし、これはやりとりをしておっても同じような答弁を何回も繰り返すと思うから私はやめます、きょうの段階ではね。まあ他に質問があると思いますから、質問の経過によってはまた再びお聞きしたいと思いますが、きょうの段階はこれ以上時間をつぶしません。  そうなりますと、この宅地開発公団ですか、公団が二つあるので、これはなかなかぼくも間違うわけでありますが、宅地開発公団ができたならば、一体本当に——庶民は期待してませんよね、希望もしておらぬと思うのですよね。本当に皆さんがねらうような、大臣が先ほど趣旨説明したような、いまの日本勤労者経済の負担力に耐え得る宅地というものが供給できるのかどうかと。同時にまた、後で聞きますが、これは後で答弁願いたいわけですが、庶民が求めておる公的賃貸住宅というものは飛躍的に伸びていくのかどうか、こういう問題があると思うのですね。したがって、この公団が、宅地ですね、分譲を指しておると思いますが、分譲宅地の場合、どれだけの値段で、目標として造成しようとしておるのか、また可能性があるのか。結果を見なければわからぬというものじゃ、こんな危険な公団つくる必要ないんですよ。こういうものができるんだから、これを認めてほしいと、議論してほしいという角度でやるならば、まだ話がわかりますよ。一体三・三平方メートル当たり、まあ一坪ですね、幾らぐらいでこれはできますか。いろいろキャッチフレーズには坪十万円なんて、こう言ってますが、坪十万円でできますか、それ以下でできますか、どのくらいの見当ですか、どうしてそれができるんですか、具体的にこれを納得いくように説明願いたいと思うんです。これは抽象的な答弁じゃいかぬです。
  23. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 新しい公団ができまして、どれぐらいの価格の宅地造成目的としているかということでございますが、具体的にその位置とか、あるいは造成費とか、あるいは取得の場所によりましてそれぞれ単価が違いますし、あるいはその期間の長短によりまして一律に幾らになるということを申し上げることは現段階では困難でございますが、われわれが大体の目安としておりますのは、大都市のこういう宅地難に対処して、庶民住宅を大量に良好な環境において供給するということが至上の命題でございます。そのためには能率よく早くやる。この公団が行います場所は大都市周辺部でございます。庶民の手の届く範囲内における適正な価格においてこれを大量供給しなければならない。非常に抽象的になりますけれども、一律に幾らということは場所によって違いますので申し上げにくいわけでございます。  しかしながら、これはもちろん原価主義によってこれを譲渡することにいたしておりますし、それからまた宅地開発公団の新しい権限といたしまして、いろんな各種の権限を与え、やりやすいような、団地拒否の姿勢を直しながら、これと協調しながらいくような体制を進めておりますので、そういう意味から言いまして、この団地供給ということは一段とスムーズに運び得るようになるのではないか。したがって、宅地価格におきましても、これは庶民の手の届くような価格水準というものを絶対に維持するような方向でいかなければならないというふうに考えておるわけでございます。具体的にどれくらいの価格で供給できるかということにつきましては一律に申し上げにくいわけでございます。ただし、そういう宅地供給可能であるというふうに考えておりまして、そのための種々の公団に対する手当てをいたしておるということを申し上げまして、その価格算定の方法等につきましては、また御質問があれば申し上げます。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 住宅問題の前提は、現在のところは土地の問題、宅地の問題である。これが前提なんですね、現在のところは。そういうことで、私の言っておるのは、公的な機関宅地造成するということには何も反対していませんよ。これはあるいは宅地造成されるかもわかりません、この公団ができて。これは結果を見なければわかりません。そういう期待を持ったとしても、その造成される宅地というものが果たして勤労階級の経済負担力の限度以内かどうかというのが、この公団設立の意義があるかないかということになるんですよね。中間層以上の者しか買えない宅地が何万ヘクタール造成されても、この公団を設けた趣旨にはならぬと思うんですよね。だから、場所によっても違うし、ところによっても違うから明確な答弁できないと、こういうことでありますが、少なくともこれだけの公団をつくる以上は、いま国民——国民といってもたくさんあるわけでありますが、特に勤労者の所得水準というものから照らして、たとえば一戸建ての家を求め、宅地を求めるとするならば、どれだけの宅地の値段というものが勤労者の負担力の範囲内であるかどうかと、こういうめどぐらいも明確にしないで、場所によって違いますと、一概に申せませんということじゃ、ますますこの公団をつくるというのが民間デベロッパーの救済策であり、中産階級以上の持てる者の宅地供給だという嫌疑が濃厚に出てくるわけですね。そう疑っておりませんが、どうも疑わないという根拠もまだ出てこないわけだからね、どうですか。
  25. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 価格の水準ということでおよそのめどを申し上げますと、いま御質問にありましたように、庶民の手の届く範囲内の価格でなければならない、そこに一つの目安を置くべきでございます。大体われわれが考えております一つの目安は、これはつくりました宅地は個人分譲のみならず、住宅公団にも、あるいは住宅公社にも、あるいは公営住宅にも分譲するわけでございまして、その場合にどれぐらいの価格になるかというのをひとつ試算で申し上げます。  これはある種の前提を置いた試算でございますし、数字につきましてもまた一つの仮定を置いておりますが、大体それを申し上げないと水準がわからないと思いますので、簡単に申し上げますと、大体現在の関東における四十九年の所得階層の分位を五分位に分類いたしますと、第一分位で百六十五万、二分位が二百十五万九千、三分位が二百五十三万五千、四分位が三百十二万、五分位が四百五万となっておりまして、これは一つの推計でございます、まだ出ておりませんが、そういうふうにわれわれは推計いたしております。その返済可能額を一応これまた推定をいたしますと、第一分位の支払い可能額が年に四十四万四千、二分位が六十四万六千、三分位が七十三万四千、四分位が百十一万三千、五分位が百五十六万八千というふうに一応置きますと、この宅地価格というものは大体一戸建ての家をつくる場合に、宅地だけではいけませんので、その上物も含めて考える必要があるというふうに考えましたときに、大体首都圏における過去の住宅公団の処分例等から見まして、土地代が六百二十万、それから建物が、これは公庫の関東の平均でございますが、七百六十万というふうに推定いたしまして、これは根拠はございますが、平均でございます。総額千三百八十万円、一戸建てるのにかかるであろうというふうに仮定いたしまして、その場合に三割の頭金を持っておる、公庫融資を六百万円つけるというような仮定を置きますと、残りの残金は三百六十六万になりますが、それを一般金融機関から半分、それから勤務先等から半分借り入れるというような推定を置きまして計算いたしますと、大体年間の支払い、あるいは返還の必要額は八十八万円見当になるというふうに推定を置きまして、この八十八万円が土地、家とも支払い可能となる分位はどこかというふうに見ますと、大体第三分位の中より下ぐらいのところから一戸建て個人分譲は支払い可能であろうというような一つのモデルを持っております。  これは家も土地もでございますが、その場合に土地だけで申しますと、先ほど申しましたように六百二十万円という数字で申し上げました。この六百二十万円の基礎は、首都圏におきましていままでの処分例といたしまして大体九万円の七十坪というふうに考えております。    〔委員長退席、理事上田稔君着席〕 これのコンビネーションによっては、それが六十坪のあるいは十万円になったりいたします。こういうことで仮に計算いたしておりますが、この数字は、たとえば住宅公団の八万円見当というのは過去の仕入れ原価によるものでございますから、これよりは若干高くなることが当然予想されます。その場合に、かつて衆議院においても、大体現在の感じで言えば十万円見当の水準をめどとして供給することを一つの目標といたしたいというふうに申し上げた、そういう水準を考えたものでございます。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 三・三平方メートル当たり十万円で宅地を提供したいと、これを一応目標にしておる、こうおっしゃられるわけですが、一体そういうことはできますか。これはもちろんあなたがおっしゃられるように、場所とか距離を考えなければそれは可能ですよね、可能かもわかりません。しかし、三十キロとか四十キロ以内ということになると、更地でそういうところが手に入りますか。ぼくは不可能だと思いますね。これはまあいままでの実績があると思いますから、住宅公団の方にお伺いしますが、用地として買いますね、これは原野かもわかりません、農地だかもわかりませんね、宅地らしいものかもわかりません。それを買って、まあ仮に三・三平方メートル当たり何というか、一万円で買ったとするならば、これも場所によって違いますよ、一体土地造成して関連公共の負担も含めてどれだけに売り出されますか。私のいままでの常識的な判断では十五倍ないし二十倍になるわけですよね。場所によっても違いますよ、これは。大体そういう一つの見当というのは、私はそう間違いはないと思うのですね。どういう実績が出ているのか、一応ちょっと調べておいてくれとぼくは注文したわけですが、どういうことになっていますか。
  27. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 公団が一戸建ての宅地といたしまして分譲いたしました若干の実例を、元地の値段と売り値を申し上げたいと思います。  千葉県の北小金で昭和三十八年から四十年ぐらいにかけまして買った二百ヘクタールばかりの団地がございます。この北小金団地は、いま申しました三十八年から四十年ごろに買いました買収の平均単価が、平米当たりでございますが二千二百七円、その二千二百七円で買いました土地造成いたしまして四十七年十二月に宅地分譲いたしておりますが、そのときの単価か、これも平方メートルでございますが、二万二千八百八十六円ということでございまして、倍率で申し上げますと十・三七倍というふうになっております。  また、関西で鶴山台という団地がございますが、これがかなり長い間にわたって買収を進めてまいったのですが、三十八年から一部四十六年までかかっておりますが、約八十ヘクタールの宅地開発をやっております。これが用地の買収単価が千四百九十二円でございますが、これを四十八年の三月に処分いたしておりますときの価格が平方メートル当たりで一万四千七百三十八円、倍率で申しますと九・八八倍というふうになっております。  もう一つ、名古屋の近辺で高蔵寺というかなり大きな大団地をつくっておりますが、これは用地買収が三十六年から四十四年にかけまして買ったところでございますが、大体七百二ヘクタールのかなり大きな団地でございます。買収単価が平方メーター当たりで二百七十九円ということでございますが、これを四十七年の七月に分譲いたしておりますときの単価が一万一千六百七円ということでございまして、これは特殊な例ではありますが、倍率で申しますと三十九・六七倍ということになっております。  大体、私たちの考えでは、でき上がりました製品の価格構成と申しますものは、おっしゃいましたように素材の価格、それから工事費、それから期間によって違いますが、両方に金利がかかってまいります。それから人が要りますから事務費がかかってまいります。この四つから成り立っておるわけでございますが、大体金利と事務費は、素材なり工事費なりの価格と、それから期間に大体相応じますので、結局基礎をなすものは原料の値段と工事費だろうと思うのです。これはやはり同じようなでき上がりの土地が期待できるわけでありましても、工事費がたくさんかかるところはやはり素材が安いわけでございます。    〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 先ほど申し上げました高蔵寺のようなところは、かなりの山であったものですから、買いました時期も早かったものですから安かったわけですけれども、工事費の方は逆に高くかかる要素がございますので、そういったことで、もとの用地に対する倍率で言いますと高蔵寺のようなものは非常に高く出ております。畑作地帯のようにわりあい工事費のかからないところは、工事費は少ないけれども原料の価格が高うございますので、そういったところは倍率が低く出てくる、そういったことで両方の要素を大体推定いたしまして幾らぐらいというふうに考えるより仕方がないと思っております。
  28. 沢田政治

    沢田政治君 宅地開発公団で最低で三百ヘクタールということになりますと、人口三万ぐらいになると思いますね。これは地方じゃりっぱな市ですよね、忽然と一つの市ができるわけです。この宅地は非常に細切れだから造成費が多くかかるとか、大量生産だから非常に原価が下がるとかという、製造業のようにいかぬわけですね。自動車とかテレビだったら大量生産したならばコストダウンになると、こう言われているわけでありますが、事宅地の場合は、やはり都市というものを形成しなくちゃなりませんから、そこに家をつくるということだけじゃこれはならぬと思います。やはり都市機能を備えなくちゃならぬ、環境というものを考えなくちゃならぬ、そういうことで利便施設とか関連公共とかその他のいろいろな特別の施設をつくらなくちゃならぬわけでありますが、そうなるともっと、いままで住宅公団がやったものよりも相当新しいものをつくるんですから、これは大変な、何というか関連公共の量も多くなると思いますね。それから考えるならば、十倍から四十倍近いものもありますが、どこが平均かということはこれは定かじゃありません。そうなると、三・三平方メートル当たり十万以内の、持ち家の場合、宅地を提供するということになると、そういう土地が大体ありますか。東京都から四十キロ、五十キロ以内でそういうものを買えますか。山の中じゃこれは別ですよ、不可能だと思うんですね。もう頭で不可能なんですよ。
  29. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 具体の場所が限定されない以上、ただ、傾向として申し上げるしかないわけでございますけれども、現在のたとえば東京圏で申し上げまして、五十キロ圏あたりのところで大規模宅地を開発しようとするところは、現在は距離的には五十キロ圏でありましても、社会的と申しますか、いろんな事情でそれが残っているというような場所が多うございますから、そうなりますと、そこには既存の施設がない、あるいは都市化が進んでないようなところが多かろうと思います。それでないと大規模にまとめるということは不可能である。しかし、これを鉄道を引っ張るとか、あるいは交通施設を持っていく、水を持っていくというような形においてこの五十キロ圏を社会的にも近くして、一時間圏あるいは一時間ちょっとの圏域の中に引っ張り込むというような形の造成をすることとなろうと思います。そういうところで考えてみますと、いま公団の方からもお話がありましたように、平均で申しますと、大体原価の土地というものは、売価のでき上がりの土地の価格について、別の計算でございますけれども、これは公団の同種の首都圏の四つぐらいの団地の平均で申しますと、大体一三%、一五%ぐらい、一三・何%ぐらいの原価に当たっているわけでありますが、そういう開発可能の適地であって、そういう価格で買い得る土地というものは現在なおあり得るというふうに私どもはめどをつけております。大体東急等で出しております別の資料によります五十キロ圏域等の価格表によりましても、これはでき上がり宅地として、価格による地価として発表されておりまして、したがって、私どもがいま申し上げましたような土地と必ずしも一致しないと思いますので、私どもはそういう適地があるというふうに見ておるのでございます。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、最近地価公示法による地価公示がなされまして、全国平均九・何%だか値下がりしておる。これはやっぱり宅地ということになると地価ですから、これは経済性のない土地だったら幾らもあるでしょう、庶民が手の届かないような。やっぱり宅地とか土地問題というのは、国民経済力の負担限度内に入る土地ができるか、つくれるか、あるか、これが決め手になると思うのですね。まあ若干上向いておった地価が、公示価格によると上昇が鈍ったと、こう言われておるわけでありますが、果たしてこれはやっぱり反落の方向に向かっていくのかどうかですね。一時小康を保っておる程度じゃないかというようないろいろな見方、説もありますね。また、別な見方としては、余り上がり過ぎたのだから、買い手がなくなったんで一時小康を保っているという説もあるし、まあその説がどっちかということは私はここで議論はしませんが、ああいう傾向は、どうして九・何%だか、これは鎮静化の方に向かったのか、本当に鎮静化なのかどうかですね。ぼくはやはり公示価格の鑑定方法にもよるんじゃないかと思いますね。従来の売買実例方式ですね、近傍近隣の価格をにらみ合わせていままで決定して、まあぼくらが後追い価格だと、地価に追従しているだけで何もあれは権威はないなんていつか主張したことがありますが、今度はまあ完全な収益還元方式をとっているわけじゃないが、そういう計算方法も加味してやった結果だと、こういうことを言われておるわけですが、あの地価公示が若干でも下がった数字を示しておるというこの理由ですね。そして将来はどうなるのですか、これは。その付近の見通し、どう考えますか。
  31. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 本年一月一日に地価公示価格が九・二%、全国平均で低落をしたわけでございます。この理由は、金融の引き締め等を主軸といたします総需要の抑制、これが一番大きく響いておると思います。それから税制の改正、それから国土利用計画法の制定というような行政要因も相当大きく響いておろうかと思います。これが将来に向かってどうなるかということでございますが、コンピューターを使いましていろんな試算をいたしまして、向こう三カ月の見通しを国土庁として全国都道府県に通達をいたしておりますが、四月に七月までの間の見通しを通達した資料によりますというと、これは横ばいということでわれわれは考えております。それよりもさらに長期にわたって見通しをするということになりますというと大変むずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、土地取得資金に対する融資の抑制を今後の金融緩和時においても厳に保持するという態度を閣議でも決めていただいておりますし、大蔵省銀行局とも話し合いまして、金融関係団体へその趣旨は徹底さしてもおりますし、また業界の持っております在庫というものをながめてまいりましても、相当まだ在庫があるわけでございます。御承知のように直ちに開発し得る市街化区域内に企業等が持っている土地も相当あるわけでございます。そういうようなことをも考えますというと、三カ月を超えて少し長期にながめましても、この横ばい傾向は続くんじゃないかという見通しを持っているようなわけでございます。
  32. 沢田政治

    沢田政治君 そこで、どういう観点からまあ公示価格がそうなったのかということは、果たしてこれは本物の地価の値下がりなのかどうかはなかなかまだ未知数だと思うのですね。はっきりこれはもう何というか、反落の傾向に向かっているということは即断できない。しかもまたこれは騰勢に向くかもわからぬという微妙な段階だと思うので、これを定かにこうだということはいまの段階では言えないと思います。ただ、一部懸念されておるように、これは総需要抑制、金融引き締めですね、いろいろな経済的な要素があると思いますが、一部には再びこれはやっぱり暴騰の兆しがあるんじゃないかと、まあ政策のいかんによってはね。といいますのは、大企業が持っておるのは、これは市街化区域内にも持っていますよ、土地を、不動産会社は。しかし、多くは調整区域にあるわけですよね。まあ特に東京にしても千葉にしても埼玉にしても調整区域を広げようという意図は毛頭ありません。でありますから、これは断念をしているわけですね。先行きこれは持っておってももうからぬだろう、もう金利で大変だと。年間二〇%も金利を払っていかなくちゃならぬからこれは四苦八苦だということで非常に悩んでおる業者もあるようです。ところが、今度この宅地開発公団ができて、恐らく市街化区域内の中において一団の団地を、三百ヘクタールというものを見つけるのはこれは至難だと思うんですよ。これは調整区域に入ってくると思うんですよ、これは当然結果として。そうなったならば、やはり持っていてよかったということになるわけだ。また、それを買えと。もうけというのは限度ありませんからな。飽くなき利潤の追求なんて、私はそうかたい言葉では言いませんが、やはりうまみがあったということになるわけだ、これは。そういうことになり得るんですよ、これはね。そういう危険性はないかどうかですね。その危険性があるならばどうするかという問題ですね。まあその危険性があるかないかから先に聞きましょう。
  33. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のとおり、もし放置しておきますれば、その事業用地につきましては投機的な仮需要というものが発生しがちになる。幾ら金融が引き締まっているとはいえ、そこに膨大な投資をするわけでございますから、当然そこは効用に応じて値上がりするという見越しをつけまして投機する、そういうおそれがございます。そこで、われわれは、その事業を実施するに当たりましては、このたびできました国土利用計画法の許可制度を活用するとか、あるいは都市計画法の予定地域の制度を活用してその開発の規制を事前に行う、あるいは周辺に調整地域の制度を活用いたしまして、それによってその土地以外のところにも波及しないように、またその事業用地について、そういった投機的な取引が行われないようにというような配慮を十分いたしてまいるつもりでございまして、またそういう手法はいま十分整っておるというふうに思っております。したがいまして、私どもはこの事業を進めるに当たりまして、現在調整地域でございましても、地元との協議等によりましてこれを線引き変更しまして市街化区域に直す、その過程におきましていま申しましたような事前の投機的な売買が行われないような万全の策を講じてまいりたいというふうに考えておりまして、そういうおそれは私どもはないと現在のところ考えております。
  34. 沢田政治

    沢田政治君 その点をお聞きしたかったわけですが、ここは非常に重要なんですよ。土地利用計画法との関連をどうしてやるのかというのが私もまあ興味というか、関心の的であったわけですね。したがって、土地利用計画法の第四章に従って、第十二条規制区域の指定とか、あるいはまた遊休土地である旨の通知をすると、こういうものを合わせて厳格にやるのでしょう、これは。そうでなければ、これをやらなければ、また仮需要をあおって投機から投機といく可能性があるので、この点はやっぱり明確に私はしてもらいたいと思うんですね、どうですか。
  35. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) この点は私どもが一番従来からも困ってきた点でございまして、新産都市等の事業用地を予定されますと、そういった過去の苦い経験がございます。したがいまして、この国土利用計画法ができまして、この許可制度なり、あるいは届け出制度なり遊休土地の制度なりというものがこの大規模開発と一緒になって活用されなければいけない、また活用すべきであるというふうに考えておりまして、この点は十分配慮してまいりたいと思っております。
  36. 沢田政治

    沢田政治君 新都市計画法によってまあ大体五年で一回見直しということになっていますね。何といいますか、宅地開発公団が出ていってやるのは別ですよ。一般の線引きの見直しですね、今年になると思いますね。まあもちろん線引きは都道府県知事がやるわけですから、これは建設省がどうこうという問題じゃありませんが、しかし、これも線引きいかんによっては、見直しいかんよっては再び地価がやはり仮需要といいますか、投機といいますか、こういうものを発生するおそれがあると思うんですね。したがって、これは非常にやはり重要な問題だと思いますよ。一概に都道府県知事に強要はできないとしても、その点の十分な配慮というものは、何らかの形でやはり行政指導をすべきだと思いますね。まあ数%という、何といいますか説も出ておりますが、私の聞くところでも、非常に業界が自分の買っておったところを何とか線引きを広げてくれと東奔西走しているというふうな話も聞いておりますが、これは今後の地価の非常に私は重要なポイントとまで言わぬけれども、再び地価騰貴の一つの引き金になる可能性があると思いますね。この点について厳格に地価を再びつり上げたり投機を発生させないような措置をするためにはどういう心構えであるのか、この点をお聞きしたいと思うんですね。
  37. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 御指摘の線引きの見直しにつきましては、ちょうど新都市計画法が制度施行されまして直後に線引きを行いました都市計画区域につきましては、そろそろ五年という期間が経過するときになります。そういうことで、いち早く線引きを含めました、地域の都道府県におきましては、これはまあ線引きに限らず都市計画全体でありますが、基礎的な新しい現時点での調査というものをもうやっているわけであります。この調査結果が出てきまして、都道府県の判断としてその案がまとまりますと建設省に協議に参ります。私どももそれを受けまして十分意見を闘わした上、さらに農林省と協議を要することになっておりますから、農林的な土地利用との調整をこれまた十分図って逐次見直しを実施するということになります。ただ、まあ一般論としては、この五年間の市街化の動向というものの状況の変化を見ましても、まあそうさほど市街化区域を拡大しなければならないという強い方向にはないんではないかと、むしろ将来の経済成長が鈍化するとかいうような要因もありまして、五年ぐらいの経過ではまだ当初の線引きを大幅に動かすという要因にはならないだろうと考えております。特に現在の市街化区域でさえも、その中で優先的に整備を図るべき都市施設整備がなかなかテンポが進まず苦慮しておるところでありまして、大幅に拡大するということになりますと、とうてい追いつかないということになりますから、その面での全体的な制約もあります。ということは、逆に言えば市街化区域は当初からある程度の余裕があったということでもありますが、なかんずく、先生御指摘のように、この線引き見直しがせっかく鎮静しかかっている地価を再び高騰に向かわせる、あるいは乱開発に向かわせるという引き金になるということは最も警戒すべきことでありますから、そのようなこともあわせ配慮いたしまして、公的機関による計画的な開発区域などを主体といたしまして必要最小限度の範囲で行うということになるものと考えております。
  38. 沢田政治

    沢田政治君 これは線引きの見直しについては、再び投機を、思惑を生む一つの要素になるという点を十分考えてやはり連携をとってやってもらわなければ、これは一地方の出来事じゃありませんから、非常に地価高騰に向かわせる一つの引き金になる可能性があるので、やっぱり慎重を期してもらいたいと思うのです。  そこで、問題をちょっと変えますが、先ほども若干触れましたが、大都市近郊で建設省計画によりますと一年間に二千五百ヘクタールの開発地域を見出すと、これはできますか。まあ三百ヘクタール以上、合計で二千五百ヘクタールですね。これはほとんど先ほど言いましたように市街化区域内では見つからないとは断定しませんが、これは不可能に近いのではないか。そうなりますと、勢い市街化調整区域に手をつけざるを得ないのですね、これは。ところが、埼玉にしても千葉にしても市街化調整区域に新しい開発をするということは好んでおりませんね。これはイデオロギーじゃなく、これはほとんど異口同音に腹の中では反対しているわけですね。そこで、県なり都なりがこれは反対してだめだと、こういう場合は、いやこれは国の法律に基づいてやるのだと、こういうふうに強行しますか。まあ法律はいろいろ書いてありますが、それは法律の問題じゃなく、実際問題としてどうしますか、そうなった場合に。
  39. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) これだけの大規模な開発をいたしますことは、当該地元の市町村のみならず、県にとりましてもきわめて大きな社会的な問題になります。したがいまして、地元との調整及び協調なくしてはこの事業の遂行は困難であり不可能であります。したがいまして、私どもはこの宅地開発公団の権能を強めるのみならず、その中で地元との協調ということに特に留意をしていくような、そういう仕組みをこの中でも幾つか考えておりますけれども、いま御指摘のような、それでもなおかつその開発について絶対反対ということであるならば、事実問題としてこれは不可能でございます。
  40. 沢田政治

    沢田政治君 新都市計画法によってスプロール化を防止する、秩序ある町づくりをすると、こういうことで線引きをしなさい、計画をしなさい、こういう義務を負っておるわけですね、地方自治体が。そのとおりやってきているわけですね。それを今度は、無理、強行はしません、あくまでも納得でやりますと、こう言っておるわけですが、仮に意見が合わなくて、いやどうしても必要だということでこれ強行することになると、私は一方においてはやっぱり自治権の侵害になるし、本来やはりどういう町をつくるかというのは、これはもう自治体の固有の権限なんですよね、自分の町をつくるのですから。それを今度は宅地開発公団ができたからこれはできるのだということでまあ強行突破した場合には、これは自治権の侵害と、建設省みずからがつくった新都計法、これにも反していることになるとぼくは思うのだ、道義的にですね。だから、やはり地方自治体がどうしても納得できぬという場合には、無理、強行は絶対しないならしないということをここで明確にやっぱり表明してもらわなくちゃ困ると思うのだな。大臣、どうかな。
  41. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 先ほどからいろいろ申し上げておりますように、宅地開発というものが非常にむずかしいということは御理解いただいておると思います。それが住宅公団一つの大きな壁にぶつかっておることも御承知のとおりでありまして、われわれがやろうとしても、これはやはり地方団体あるいは地方住民が、さきに局長が話を申し上げましたように、納得し、協力してもらわなければ前進しないのですよ。これは現在のもうそれが世相なんであって、そういうものを無視してやろうと言ったってできっこありません。そういう意味で地方自治体が絶対反対だというものを押し切ってやるというようなことは絶対しません。私どもはあくまでも説得し、協力してもらって問題をすムーズにしなければならぬ、その使命を持っているわけです。それかといって、できないからと言ってほうるわけにいかない現実に来ておりますから、全力を挙げてやらなければならぬが、やるための前提としては、どこまでも地方団体の協力を得る、納得をしてもらうと、こういうことが前提条件なんであります。それを反対を無視してやるということはしません。
  42. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、市街化区域内ではこういう膨大な開発はちょっと不可能だと思うのですね、断定はしませんよ、ちょっと不可能だと思いますね。人口三万の都市を忽然と——まあ忽然という表現は悪いわけですが、新たにつくるということはやはり市街化区域内ではちょっと容易じゃないと思いますが、そうなると調整区域ですね。そうなると、これは農地なんですよね、調査区域は。そこで、農業との関係を一体——住宅だけやればいいというわけじゃありませんから、一国の経済というものを考えるならばやはり農業もこれは必要だ。特に食糧難というのはこれは世界的にいま問題になっておるわけですので、まあ西暦二〇〇〇年には人口が倍増するだろうと、こう言われていて、食糧に対する危機感というものは世界的な意味問題提起をされておる今日でありますから、住宅が足りないから農地を無制限につぶしてもいいということにならぬと思いますね。そうなりますと、やはり調整区域、農地、これは都市近郊は優良農地が多いわけで、優良農地をつぶすということになるわけですね。そこで、農業サイドから見てどう考えるかということですね。まあ農林省の方が来ておると思いますが、私きのう聞いたわけですが、これは市街化区域だからわれわれは認めるのであって、農地をつぶすということについては農林サイドとしてはこれは賛成しないと。これはだれであったか名前を聞かなかったわけで、私はうっかりしましたが、これはなかなか歯切れのいいことを言うなと思って私聞いたわけでありますが、やっぱりそういう意向に変わりありませんか。これ以上農地をつぶしたら、私はやっぱり食糧という観点から、別の次元からやはりこの問題は取り上げなくちゃならぬ問題になると思いますね。農林省の見解、どうですか。
  43. 青木敏也

    説明員(青木敏也君) 宅地開発公団の事業につきましては、土地区画整理事業あるいは新住宅市街地開発事業等都市計画法におきましていわゆる市街地開発事業と称されるパターンの事業が一部予定されてございます。これらの事業につきましては、すでに都市計画法等におきまして事業実施の施行予定地区を市街化区域内ということに法律上明記されておりまして、この点につきましては、ただいま御指摘のような点につきまして法制上明確にされているわけでございます。  一方、三大都市圏におきます市街化区域内に含まれます農地でございますけれども、私どもいろいろ建設省の新国土建設長期構想等から拝見いたしますと、今後六十年度までに新たに住宅を必要とする面積というものは約七万ヘクタールというふうに言われていることを承知いたしておりますが、こういった土地需要の広がりにつきましては、三大都市圏におきます市街化区域内の農用地、これが私ども約十一万ヘクタール程度というふうに把握いたしておりますので、全体の面積的には十分そういった需要に市街化区域内の農用地で対応できるのではないかと考えております。しかし、先生がただいま御指摘のとおり、市街化区域内の団地の広がりとかそういったもので公団が予定いたします三百なり五百という、そういう規模の事業にうまく適合する団地があるかどうかということについてはいろいろ問題があるかと思います。しかし、先生がただいま御指摘のありましたように、最近の食糧問題、そういうことを背景といたしまして、国民に対します食糧の安定的な供給ということは国家的な政策課題であるというふうに私ども考えておりまして、こういう観点からの農用地の確保という要請をやはり国民的な場において受けとめていかなければならないというふうに考えます。  私ども、もちろん都市的なそういう宅地造成、そういった事業を十分理解いたしておりますけれども、一方農用地の確保という、そういう食糧問題等を背景とした農業サイドからの需要も非常に重要だということを、やはり国家的な場で十分比較考量して適切な土地利用の調整があるべきである、こういうふうに考えます。したがいまして、最後に先生のお話しありました、具体的に市街化調整区域内で宅地開発公団の事業を農業サイドとして、農林省としてどう考えるのだという御質問でありますれば、やはり市街化調整区域というのは、都市計画法上市街化を抑制すべき地域というふうに位置づけられておりますし、市街化調整区域はそういう前提に立ちまして、いわゆる農業振興地域整備に関する法律によりまして、一体的に農業の振興を図るべき地域というふうに制度的にも位置づけられてございます。かかる観点からいたしますと、いわゆる市街化調整区域や農振地域等におきまして宅地開発公団の事業を実施するということは適当でない、こういうふうに考えております。
  44. 沢田政治

    沢田政治君 全く私はそのとおりだと思うのです。その姿勢は貫くべきだと思うのですね。というのは、資源ナショナリズムとこう言いますが、まあ資源の民族主義ですね。これはもう石油ばかりじゃないのですね。一次産品、特に農業でも、やがては食糧を外交の道具に使われる可能性というものは十分にはらんでおると思うのですね。しかもそういう場合に、日本の食糧の自給率というのは四〇%ちょぼちょぼですね。家のないのもこれは困りますが、食糧がない、いわんやこれが外交の道具に使われるということになったならば、私は一国のやはり自立という問題に関する重大なこれは次元の政治問題だと思うのですね。そういうことだから、やはりそれとの調和というものは十分これは考えなければならぬと思うのですね。これは農林省としてはやはり強い態度を持ってほしいと思うのですね、この点については。そこがつくりやすいからそこにつくるという建設サイドの考え方だけではこれは大変なことになるだろうということを私はやはり注意しておきたいと思うのです。  そこで、千葉南部のニュータウン、これは公団も若干手がけておるようですが、これは千ヘクタールですか、千葉の南部ニュータウンですね。その隣に千葉県の大網白里町ですか、という町があるわけですね。ところが、ここが町の優良農地の八分の一も東急不動産が買っているわけです。これは三千ヘクタールですか。これを新しい宅地開発公団が引き継ぐと、こういううわさが私の耳にも入ってくるわけですね。そうなると、私が冒頭に懸念したように、大手不動産業者がいま抱え込んで四苦八苦しておるものを救済するための公団だと、やはり世論は当然そういうように判断するわけですね。これは当然だと思うんですよね。これは真偽のほどはどうですか、引き継ぎますか。それと千葉ニュータウンを、これは宅地開発公団に委譲を千葉県知事が示唆しているとかどうとかと新聞に出ておりましたが、不愉快なんですね。もうあたかも宅地開発公団ができるのは当然だと、いま審議中ですよ、ここで。それをもうできるのは既成事実なように——これは新聞か書くのは自由です、これは。もしそうだとするならば、これは国会軽視だと思うんですよ。まだ審議中のものを、公団ができるのはもう既成事実だろうからこれを委譲するなんということは全く国会をばかにしていることだと思うんですね。この点について、いかがですか。
  45. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 千葉の東南部につきましては、御指摘のように現在住宅公団が約九百七十ヘクタール、千ヘクタール弱取得しております。しかしながら、この地域が新しくできます宅地開発公団の事業の適地として該当するかどうかというような検討はまだいたしておりませんし、そういう段階にもまだ来ていないというふうにお答えいたします。  それから北千葉の問題につきましては、新聞に出ていることは私も承知しておりますが、正式に千葉から申し出があったとかというようなことはございません。
  46. 沢田政治

    沢田政治君 もし仮に千葉南部のニュータウン、公団の方の九百何十ヘクタール、約千ヘクタール、これと東急不動産の三千ヘクタール、これはもう明らかに市街化調整区域ですよね、建てちゃいかぬところですよ。それをやはり投機買いをしているわけだ、これははっきり。東急不動産が農業をやっているなんて聞いたことがありませんよね、牧畜をやっているなんということは。明らかにこれは遊休土地ですね。こういう場合仮に、私はこんなものを買っちゃいかぬと思うんだよ、そうすることによって、やっぱり庶民が疑っておったところの大手不動産の救済策だということと符合するわけですから。仮にここを開発することにしても、やはり土地利用計画法に基づいて、遊休地と指定して、そして買い取り協議ですか、これは拒むことができませんからね、買い取り協議させる。そうしてそこに何というか投機的な値段を許さぬと、こういう措置を講じる意図がありますか。私はそれを奨励しませんが、もしやるとなったならば、そういう手順を踏んでやりますか、どうですか。
  47. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私どもがまだ未調査であり、また未検討の地域でございますので、いまの段階でそういう予測を立てることは早急だと思いますけれども、この千葉東南部の問題は、一番問題となるであろうと思われます点は、おそらく水の問題が一番、それから交通の問題というような問題があろうと思います。したがいまして、この土地が適地であるかどうかということについては十分慎重に検討しなければ結論は出ません。したがいまして、公団が設立されまして、事業計画として適地を幾つか候補として挙げます場合に、そういう点を十分検討しながらいくべきでありまして、現在そこをどういう手法でもってやるということは、いまのところではちょっと申し上げられません。
  48. 沢田政治

    沢田政治君 宅地開発公団の将来の私はやはり姿勢を正す意味にもなると思いますから、もう一回重ねて住宅公団ですね、公団が二つあるからどうもこんがらかっちゃって——住宅公団の方にお伺いしますが、先ほども少し触れたわけですが、千葉県の市原市の三百ヘクタールの、これは四十五年に買っていますね。今日まで五年経過しているわけでありますが、依然として原野、山林になって、山火事も起きたという物騒な地帯になっているわけですが、これはもう明らかにその当時から千葉県側としては開発してもらっちゃ困ると、こういう意向を表明しておるわけですね。もうだめだと、開発は。にもかかわらず、調整区域ですよ、ここは。市街化区域じゃない。なぜこれを買ったかということですね。値段はどれだけかということですね。将来どうするかということですよ、こういうところを持ち込んでですね。しかも非常に——余り詳しく言うと時間がかかりますからあれですが、塚本総業ですか、のものであったわけだ。それが建設業者とか、転々転々として、また買う段階には塚本総業が買い戻して公団が買ったと。しかも当初の値段のすごい、何といいますか、十倍にもなっておると。こういう用地取得というものは許されるんですか、これは。  だから私は、やっぱり住宅公団の行き詰まりというのは、いろいろな地方からの拒絶反応もあろうと思いますが、こういうふまじめな態度ですね。こういうところにもやはり住宅公団の真価というものは非常にゆがまって受け取られておると思うんですね。これはゆがまるじゃない、これは事実だと思うんです。何か新聞によりますと、転々と転がしたのは悪いわけじゃないと、やはり塚本総業というのは土地の人も知っておるし、人脈の関係からいっても買いやすいんだなんてうそぶいているんですね、今度は逆に座り直ってですね。しかも公的な金でこういうことをされたんじゃたまったものじゃないんですよね。その買う経緯がどうであったのか、将来この土地をどうするつもりですか、これは。金があり余って買っているんじゃないでしょう。これは金利がついていくんですよ、これは。これは反省しませんか、こういうことについて。どうですか。
  49. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) ただいま御指摘のありました土地は、千葉県市原市の潤井戸地区というところの土地でございますが、一応買収のいきさつを申し上げますと、住宅公団といたしましては、昭和四十三年ごろから千葉市の東南部地方におきましてかなり大規模な開発をやってみたいと、こういうことで調査を進めておったわけでございます。候補地といたしまして、公団の中では第一、第二、第三、第四地区と四つの地区を挙げまして、これらの地区の総合的な開発構想を公団みずから研究いたしまして、それに千葉県とも御相談申し上げておったわけでございます。まあ第二地区というのは、ある大学が持っておりまして、大学の方の事情がございまして候補地から脱落したわけでございますが、残りの第一、第三、第四地区というものはいろいろ検討してみまして買収をいたしたわけでございます。  まず、第一地区につきましては昭和四十四年の四月、それから第三地区につきましては四十四年の六月に開発地区といたしまして決定いたしまして、用地の取得を始めたわけでございます。これら両地区は、第一が実測面積で大体七百三十ヘクタールぐらい、第三地区が三百八十ヘクタールぐらいあるわけでございますが、これらの地区は昭和四十五年の七月の線引きの際に市街化区域に編入されたわけでございます。ところが、ただいま問題の第匹地区潤井戸の地区につきましては、県は公団が取得しておくことにつきましては反対しないけれども、水の問題その他いろいろの問題がございまして今回の線引きには入れない、市街化調整区域の方に残しておくと、こういうふうなことを言ったのでありますが、一連の計画でもございましたので、公団は将来市街化区域に編入していただくことを期待いたしまして買収したような経過でございます。買収単価は平方メートル当たり三千五百二十五円でございます。で、先ほども総裁から申しましたように、当時民間の買収攻勢も非常に激しかったものでございまして、住宅公団といたしましても四十八年ぐらいまでは数年間非常に用地買収に苦しんでおった現実があったわけでございます。そういったことで、将来の用地取得が非常にむずかしいという見通しから、今日考えてみれば少し勇み足であったかもしれませんが、買収に踏み切ったような経過がございます。最近は大分事情も変わってまいりましたので、今後はきわめて慎重に運んでまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  50. 沢田政治

    沢田政治君 建設省にお伺いしますが、住宅公団が民間業者であるならば損をしようが得をしようが思惑買いしようが、これは差しとめられないでしょう。しかし、法律に基づき、公的な金で、法人である公団が、何回も転がって転がって転がした土地を買って、安く買ったとか、まあよかったとか、世話してもらってよかったなんて、こんなことを言っているんじゃ、これはもう狂気のさただと思うんですよね。それと同時に、少なくとも新都計法に基づいておるところの調整区域を買う場合には、ある程度建設省と何らか話し合ってしかるべきものだと思うんですね。まあいつの日か何というか脚光を浴びるだろうというのはこれは町の業者の話ですよね。そういうことで無定見に土地を買うというのは、これはこの際ちょっといかぬですね、こういうのは。相談がありましたか、これは。指導しましたか、買う場合。全然つんぼさじきなんですか、住宅公団というものと建設省は。
  51. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 公団土地の買収につきましては、必ず建設省と相談していただくことにいたしておりまして、いま播磨理事からのお話もありましたように、公団が買う場合、必ず県とあらかじめ協議をし、相談をして買っているということが言われましたけれども、建設省もそういった事情等を聞きまして、それならばこういう点に気をつけろというようなことを言いながら、そういうことを問題として必ず建設省の該当の所管いたしております課には連絡をし、そして相談をしながら買収を進めている、それが買収の仕方でございます。
  52. 沢田政治

    沢田政治君 本件についてはどういう観点でこれを——許可というところまでいかぬと思うんだけれども、いいだろうと、どういう観点で、じゃあこれはいいだろうということになりましたか。しかも何回も転がされた土地である。しかもこれはもう将来開発の見通しがないというところをオーケーなんて、何か暗黙裏の了解するはずはないと思うんだがね。どうもその付近はすっきりしませんな、責任関係は。
  53. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) この土地につきましては、買収の時期が四十四年、五年という当時でございましたので、突然の御質問でございますから、その当時どういう判断をしたか、ちょっと私いま直ちにお答えしかねるわけでございますが、私どもが先ほど協議を受けているということを申しましたのは、その土地が適地であるか、それから将来の開発可能性については十分見通しがあるか、価格はどうであるか、それから開発する過程において問題はどういう点が問題があるかというようなことを総合評価するために、関係各課が相寄ってその協議をして公団に返事をする、こういう仕組みをとってきたのでございます。
  54. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、この問題は後に残しておきたいと思うのです。まだたくさんあるわけですから、これだけで議論のやりとりをしておっても始まりませんが、非常に不明朗です。  そこで、宅地開発公団ができた場合、現在の住宅公団というものはどうなるだろうかということですね。もちろん若干の機能を——目的とか機能はこれは分けておりますよ、三つに。分けておるわけだが、しかし、三大都市圏内においても三百ヘクタール以下、しかも自分が、住宅公団が家を建てようとするところの宅地造成はできると、こういう道は残されていますけれども、これは見ようによっては両者併存できるようなことになるけれども、どうもやはり将来このままでいくならば住宅公団宅地部門から手を引かざるを得ない状況になると思うのですね。これがまた上物の建築にも影響してくると思いますね。というのは、片一方は非常に強い行政権能とか、補助金とか、立てかえ施行とかたくさんありますね。強い武器と言えば言葉は悪いですが、種々の権能がついておるわけです。ところが、住宅公団の方はそれがないということになると、これは三大都市圏はもちろんのこと、地方都市においてもこれは宅地開発公団が開発するならいいけれども、あまり権能もない住宅公団が来てもらって宅地をつくるなんていうことはこれは真っ平ごめんだという一つの、反射的にそうなっていくわけですよね。そうなると私は、やっぱり住宅公団にはそれぞれ持っておる独自の機能を発揮してもらいたいということが逆になって、もう上物をつくる方も衰退していかざるを得ない状況になる可能性があると思うのですね。だから、両者が併存してそれぞれの使命を達成するのであるならば、三百ヘクタール以下の、しかも自分が建物をつくろうという場合には宅地開発公団と同じような権能を持たせなければ両者の併存した発展がないじゃないかと思うのだが、この件はどう考えますか。
  55. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず第一には、住宅公団は毎年六万戸、七万戸という膨大な住宅を建設する責任がございます。したがいまして、それだけでも大体二千ヘクタールぐらいに着手しなければならない。そういう相当膨大な量を背負いつつ、かつ現在の三大都市圏住宅難にこたえるためには、現在持っております宅地部門というものはフルにこれを回転するのみならず、これを強化していかなければならない。強化こそすれ、これを弱めるというようなことがあってはならないというふうに考えております。そこで、五十年度におきましても、特に住宅公団につきましては立てかえ施行におきましてその権能を強化し、三百ヘクタール程度の大きなものになりますと、自分の団地をつくりますために関連公共公益施設整備につきまして拒否反応が出てまいっておりますから、それについて十年間は無利子として、三十年で償還するというような宅開公団と大体同様の権能を与えたような次第でございます。  ただ、それ以下のものになりますれば団地としては小さいのですから、百五十ヘクタールぐらいのものにつきましては義務教育施設のみについて同様な措置をとる、五年据え置きの二十五年償還というような措置をとる。あるいはもっと小さく五十ヘクタールぐらいになりますと、三年据え置きの二十五年償還、こういう措置をとったのでございます。これはやや程度は違いますけれども、小さいからということで宅地開発公団に準じた措置を五十年度から予算においてとることとしたような次第でございまして、したがって、住宅公団におきましても、やはり拒否反応の強い三大都市圏の中で行う以上は、宅地開発公団と同じようなそういう問題点を持っておるわけでございますから、こういう宅地開発部門の強化ということは今後とも進めていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。  次に、新しくできます宅地開発公団は、上物はつくらないで、市街地として、市街地をつくって、これを住宅公団なり、あるいは先ほど申しましたように協会なり、あるいは個人なりへ売ると、いわば一種の卸でございますけれども、そういう宅地専門の公団とするということによって、より専門的な機能をそこでフルに発揮してもらいたい、しかもそれは大規模なものでなければいけないということにいたしておりますので、住宅公団との関係におきましては、そのつくられた宅地住宅公団に譲るという意味におきまして、これが併存する形で三大都市圏におきましては対処していけるのではないかというふうに考えております。
  56. 沢田政治

    沢田政治君 一応きょうの段階で予定された時間は来ましたですが、まだ家賃の問題ですね、宅地さえつくればいいじゃないか、上物をつくればいいじゃないか、こういうことになっても住宅問題解決しないわけです。現に家賃の問題では非常にこれは賛否いろいろな立場の方がありますが、いまの家賃というものはこれでいいのかどうかと、これはいずれの観点からのよしあしじゃなく非常に問題を提起されておるでしょう。これはやっぱり住宅公団住宅でも実費主義でいっていますから、原価主義でいっていますから、同じ規模のもので、後に入った者は若くて所得が低くても四万円と、所得の高い人が一万円なんていうのが出てきていますので、これはいまのような原価主義でいくのかどうか、やはり政策家賃に切りかえるのかどうか、こういう問題もあります。さらにはまた、新しい公団がいろいろな関連公共とか利便施設をつくるわけなんで、その場合の負担ですね、こういうものの負担に入っていくのだから、本来ならば住民というものは租税さえ納めておったならばそういう行政的ないろいろな利便というものは享受できるというのがこれは常態なんですよ。ところが、住宅にあぶれた人が高度成長によって鳴り物入りでここに集められて、住宅から漏れた、そこの今度新しい何といいますか宅地開発公団のところに入った、新しい町づくりにも割り勘を出さなくちゃならぬ、片一方は租税だけでいいという不平等もこれは出てきますし、関連公共どうするかという問題、まあたくさんあります。  約三分の一質問したわけでありますが、あとの三分の二は私全部やるか、党のどなたかにやっていただくか、きょうの段階は一応これで終わって、あとの残り時間は保留しておきます。
  57. 小野明

    委員長小野明君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会
  58. 小野明

    委員長小野明君) これより委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、中村禎二君及び望月邦夫君が委員辞任され、その補欠として亘四郎君及び増原恵吉君が選任されました。     —————————————
  59. 小野明

    委員長小野明君) 休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  60. 坂野重信

    坂野重信君 宅地開発公団法案に関連いたしまして午前中も質疑がありましたが、若干重複するところがあるかもしれませんが、まず宅地の長期見通しといいますか、そういう問題について最初にお伺いいたしたいと思います。  建設省住宅計画につきましては長年非常に苦労されて、住宅行政は非常な進展を見ておるわけでございまするけれども、その中においても、何といっても宅地問題というのが住宅問題の中で一番重要、かつ一番また困難なものであろうと思うわけでございます。どちらかといいますと、住宅計画というものに比べて宅地計画というようなものが従来の実績からいってやや立ちおくれておったのではないかというような感じがするわけでございますが、将来の長期展望につきまして、まず宅地需要長期計画の見通しについて建設省から最初にお伺いいたしたいと思います。
  61. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 建設省におきましては、昭和四十七年の十二月に国土建設の長期構想というものをまとめておりまして、それは四十五年から六十年までの十五カ年間における住宅及びその必要な宅地の見通しをそこで策定いたしておりますが、それから数年たちましたので、四十九年度から六十年度までの十二年間というふうに直しまして、現在の段階で換算いたしますと、建設戸数が全国で二千四百四十万戸のうち九百万戸分、これが新たに宅地を必要とする建設戸数となりました。三大都市圏で言えば、この千二百万戸のうち四百四十万戸分が新たに宅地を必要とする面積でございます。これに対応いたしまして、この九百万戸という新規に宅地を必要とする全国の宅地需要は十八万六千ヘクタールでございまして、三大都市圏におきましては四百四十万戸に相当する約七万六千ヘクタールの新規宅地が必要である、かように推定いたしておる次第でございます。
  62. 坂野重信

    坂野重信君 そこで、これは恐らくマクロ的に宅地需要ということから住宅の戸数との見合いで積算されておると思うわけでございますが、いま国土庁土地利用基本計画、また新新全総の策定が行われておるわけでございますが、そういう時期的な問題、あるいはミクロの点でいろいろ今後調整を要すべき問題があろうかと思います。新新全総につきましても、最近の安定成長といいますか、静かな控え目な成長ということで、当初策定にかかった時代よりも若干のこの情勢というものも変遷があろうかと思います。この辺の問題を、新新全総と土地利用基本計画との関連、それと宅地計画との関連をどういうぐあいにお考えになっているのか、その辺をひとつ御答弁願いたいと思います。
  63. 河野正三

    政府委員(河野正三君) ただいま坂野先生おっしゃいましたとおり、新全総の見直し作業、それから国土利用計画の策定、同時並行いたしまして現在作業を進めている段階でございまして、各都道府県との意見のやりとり等もございまして、ただいまのところ全国ベースでも、それから三大都市圏ベースでも、宅地がどのぐらい今後必要になるかという数字の確定はいまの段階ではまだできていないわけでございます。本年度中にはある程度の策定ができようかという段階でございます。  なお、土地利用基本計画につきましては、本来国土利用計画ができましてからこれに基づきまして策定をする予定にいたしておりますが、ただいま当面いたしております土地取引の規制の関係で、なるべく速やかに策定する必要がございますので、現在各県と暫定的な土地利用基本計画につきまして策定の作業を進めつつあるわけでございます。すでに四月三十日付で九県分は土地利用基本計画内閣総理大臣による承認をいたしましたが、残りました都道府県につきましても鋭意現在作業を進め、手続を進めているわけでございます。この中におきましては、三大都市圏に属する都道府県があるわけでございますが、その土地利用基本計画では、ほぼ現在まで考えられております既定の地域区分、すなわち都市計画法等、各個別法によります区分というものを前提といたしてつくっておりますので、御質問にございますような将来のあるべき需要というものを十分に織り込んだという形にはなっていないわけでございます。
  64. 坂野重信

    坂野重信君 まあ、午前中もいろいろ議論がありましたけれども、都市計画における面的な調整の問題もあろうかと思いますし、それから大きくはいま問題の土地利用基本計画との関連。そこで、その中において新しく宅地公団というものができて、大量な宅地の開発計画というものが策定されるわけですけれども、その辺のタイミングの問題がうまく調整できるかどうか、その辺のところをひとつ建設省の方からお願いいたしたいと思います。
  65. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいまも国土庁の方から御説明がありましたように、新しい経済計画あるいは全総計画というものとあわせまして、先ほど私が申しました長期構想、これらの構想と合わせることが必要でありますが、すでに三大都市圏における人口集中は著しく、宅地難というのはもはや現実の最大の社会的問題になっているのでありまして、かねてからそういうことで土地対策の非常に大きな一つの柱として宅地大量供給、大規模供給ということは従来からの既定の方針でございます。そこで、ただいま申し上げましたような数字をもとにして現在まで対策を進めてきているわけでございますけれども、今後これらの上位計画としての長期の構想が固まりますならば、それと調整をとりつつこの計画を進めていくことは当然でございます。現在のところ、すでにわれわれが持っている見通しをもとにいたしまして、そして具体の現実を踏まえまして宅地開発公団によって大規模開発を推進しようと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  66. 坂野重信

    坂野重信君 宅地難が一体いつになったら解消できるか、これはまあ総合して住宅難をいつ解消できるかという問題に通ずるわけでございますけれども、この辺が一番国民の知りたがっている問題であり、かつその辺の見通しというものをやはり政府としても明らかにすべきだと思うわけでございますけれども、その辺の宅地の需給見通しと絡んで、一体住宅難をいつごろ解消できるかというようなことをできるだけ端的にひとつ表明願いたいと思います。
  67. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 住宅難の解消という問題は、きわめて住宅難の内容によりましてそのめどというものは非常にむずかしい問題でございます。ただ、現在三大都市圏におきまして主として膨大な宅地需要住宅難を中心として対策を講じようとしているその対策の観点から申しますと、この宅地難現象というのは、一つには人口産業の過度集中に伴う激しい土地需要増であり、それからまたそれを見込んだ仮需要等の異常な投機的なものが起こりまして、それによる地価高騰ということが原因であったと思うのでございますが、最近ようやくこういった激しい社会増は鎮静化しつつあるのでございますが、これにかわって若年層の多い地域におきましては自然増がそれをオーバーし、なおかつ依然として住宅難はまだ大きな課題として非常に大きな問題になっております。  また、一方地価の問題につきましては、税制、金融あるいは総需要抑制等のいろいろな対策の効果もありまして、最近におきましては仮需要はようやくおさまりつつあり、地価は鎮静に向かいつつある、こういった状況で、いまやかつての激しい売り手市場というものは一応一変いたしまして軟調となっているというような感じがいたします。したがいまして、こういうようなときに、傍ら供給対策を強化することによりまして、こういった仮需要を封じ込めながら地価対策を進めていくならば、まあ私見でございますが、こういった対策を五年続けることによって、五年もすればこういった地価鎮静の、安定のめどがはっきりと定着するものではないか、そういう段階において初めて住宅対策のめどがつき、宅地難と呼ばれたかつての異常な様相が安定してくるのではないかというふうに考えますときに、めどと申しますか、そういう対策を前提といたしまして、あと五年もすればそういう鎮静の定着、安定のめどが立つのではないかというふうに考える次第でございます。
  68. 坂野重信

    坂野重信君 そこで、建設省がいま第三次の住宅建設五カ年計画のいろいろ策定の作業をおやりになっていると思います。これは国土庁の新全総等の長期計画等の関連もあるかと思いますが、その辺の住宅の新しい五カ年計画についての基本的な考え方といいますか、どういうような方針で今後の住宅政策というものを、今後の五カ年の中において考えていくかというようなことをひとつ基本的な方針として、まず建設大臣からお答え願いたいと思います。
  69. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第三期の住宅建設五カ年計画につきましては、ただいま基本方向づけにつきまして住宅宅地審議会に諮問をいたしておりまして、六月中に本答申が出るということになっております。中間で一回、中間の報告をいただいておりますが、それによりますと、やはり第二期の反省の上に立って抜本的な方向づけを新しくすべきだということが示されております。  主な方向といたしましては、第二期のときにはどちらかといいますと、建設計画ということで全体の需要供給関係をまずつくりまして、所得水準に合わしていく、いわば演繹的な計画が主でございまして、そういう点を改めまして、すでにストックが世帯の数よりも戸数の方がオーバーしているという現状を踏まえまして、過去のストックにつきましても十分の活用を考え供給計画にするということ、それからやはり上位計画もございますけれども、地方分散等も考慮いたしました地方公共団体等の実際の住宅需要も積み上げまして、お互いにそれをリリーフすることによりまして積み上げ方向を大幅に確保すること、導入すること、それからやはり住宅の管理の面におきまして、従来はどちらかというとハードの面に非常に重点置いたわけでございますが、いわゆる入居の管理の問題、家賃の問題等につきましても十分配慮した上で第三期計画をつくるべきであるというような提案をいただいております。まだまだいろんな提案ございますけれども、本答申をいただきました上は十分そういうものに従いましてりっぱな五カ年計画をつくりたいと思って作業しているのが現在でございます。
  70. 坂野重信

    坂野重信君 そこで、住宅計画宅地供給計画とが密接な関係があるわけでございますが、ひとつできることならばこの住宅の五カ年計画の策定の際に、宅地についてもはっきりした住宅計画に準ずるような計画というものを策定をして、できれば宅地計画についても同時に閣議決定というようなことまでも——今度の宅地開発公団をつくろうという時期ですから、やはりこの宅地政策というものを前面に押し出すためにはどうしても具体的な計画というものがなければ、これは非常に抽象的な話では迫力もないわけでございますし、また全国各地について具体的な施策というものが行われなければならぬわけでございますから、その辺の考えがおありかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  71. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 昭和五十一年から五カ年間の計画が始まりますが、これは現在第三期五カ年計画として作業中でございます。そこで、住宅宅地審議会におきましても、宅地部会におきまして現在その新しい住宅対策、それから宅地対策、これは一体のものでございますので、これを住宅五カ年計画の中にいかように織り込むべきかということについて現在検討中でございます。いずれ、いまはまだその作業中でございますけれども、一応七、八月ごろにはめどをつけて、本年度末までにはそういう作業を終えたいと思っておるわけでございますが、その中においてできる限りわれわれは即地的にも宅地対策、宅地の量及びその仕方というものを住宅計画とあわせてセットいたしたいという気持ちは十分持っております。したがいまして、特に民間には幅がございますけれども、公的住宅につきましてはできる限りそういう積み上げ的なやり方をやりたいと思っておりますが、少なくとも三大都市圏等につきましては、各圏ごとに一つの目標を定めまして、それによって具体の開発計画が行われるような基礎といたしたい、こういうつもりで作業を進めたいと考えております。
  72. 坂野重信

    坂野重信君 宅地供給計画宅地の開発計画ということの関連でございますが、これから宅地開発公団もできるわけでございますし、その他の地方公共団体等のいろんな供給公社等もあるわけでございます。また、宅地開発公団以外にいろんな国土庁地域振興整備公団等もあるわけでございますが、政府のいわゆる施策によるそういった特にこの宅地開発公団の事業と、民間のベースによる民間のデベロッパーとの両方面でもってカバーし合いながら宅地供給というものを図っていかなければならぬと思います。いろいろ議論がありまして、民間の業者を圧迫するんじゃないかとか、あるいはむしろ民間のやっている業者に乗っかるんじゃないかというようないろんな議論があろうかと思いますけれども、やはり民間でやる健全なる宅建業といいますか、そういう問題等、政府のこういった公団等による事業の計画というものもおのずから分野というものを明快にいたしながら、両々相まってやはり事業というものが執行されなければならぬと思いますけれども、その辺の考え方あるいは分野をどういうぐあいに考えていくかというようなことをひとつ御説明願いたいと思います。
  73. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま申し上げましたとおり、できる限り即地的に積み上げるというような方向が望ましい。特にこの公的開発につきましては民間とシェアを分かちながら進めていくことが必要でございます。いままでの大体の実績によって判定いたしますと、大体公的な計画的開発というのが三割を占めており、民間の開発は大体五割を占めており、区画整理によるものが二割というようなことで第一期の五カ年計画は推移いたしましたし、第二期につきましても大体そのような傾向であり、やや公的開発の方がダウンしているような実績でございますが、これを第三期の住宅計画におきましては、できるだけ公的開発と民間開発との分担関係を明らかにしつつ、特に公的開発につきましては即地的な積み上げをできる限りやらなければいけないと思っております。  そこで、仮に七万六千ヘクタールが新たに必要だということにいたしますと、その三割というのは二万二千幾らの分量になりますが、その中で宅地開発公団はどれぐらいのシェアを持つべきかというようなこともその中に織り込んで、いまのところネットで申しますと大体一万一千ヘクタールぐらいのシェアを持つことになりますけれども、もとになります七万六千ヘクタールを含めまして再検討の時期にございますので、そういった数字はいま定かに申し上げられませんけれども、私どもは民間のエネルギーと申しますか、民間のデベロッパーの働く分野と、やはり公的な宅地開発の占める責任の分野とはおのずから違うと思います。やはり公的開発というものは計画的にできるだけ大規模に進めなければなりませんし、民間の開発というものは、やはりおのずから場所なり景気等に変動がございますから幅というものがございます。そこで、われわれは民間開発の誘導ということを重点にいたしまして、環境のいいものをできるだけ誘導する。それから公的開発は地域ごとに、公共団体等の協力を得て地域ごとに積み上げていく、こういった分担関係を保っていきたいと考えております。
  74. 坂野重信

    坂野重信君 やはり民間でやっておる仕事もそうふまじめな仕事ばかりじゃないわけでございまして、まじめな中小のデベロッパーもあれば、大手のデベロッパーもあるわけでございますから、やはりこれは建設業者全般の問題の一つの行き方として、民間の仕事を圧迫するというようなことがありますというと、これは国の政策として非常にまずいことでございますから、その辺は十分共存共栄といいますか、両々相まっていくようなことをひとつ政策の面で十分お考え願いたいと思います。  そこで、宅地開発公団をおつくりになるのは大変結構だと思うわけでございます。むしろこれは遅きに失したという感じが私どもするわけでございますけれども、宅地開発公団ができて大規模宅地開発をどんどん進めていく、しかもそれが大都市圏で、大都市周辺に主として行うわけでございますから、こうなってまいりますというと、やはり人口産業というものが再びそこで集中してくる、スプロールというものがまた起こるじゃないか、地価の高騰というようなものがまた誘発するようなことになって、何か逆作用のようなことになってくるのではないか。国土庁考えている全国のバランスのとれた土地利用という立場からいっても、何か逆行するようなことがあってはこれは大変なことでございますから、その辺の考え方をどういうぐあいに持っていくか。そしてまた地価の高騰等があった場合に、またおそれがある場合に、規制をどういうぐあいに同時に考えていくかという問題について、非常にこれは重要な問題であろうかと思いますが、その辺の考え方を建設省国土庁の両方にひとつお伺いいたしたいと思います。
  75. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず、私どもはこの宅地開発公団をつくって大規模開発を進めていくという考え方の基礎には、現在の三大都市圏における住宅難宅地難の著しい社会問題に対処するという、そこに原点を持っておるわけでありまして、他方、国土均衡ある発展を図りまして地方分散を進めていくということは、国土行政基本的な課題として同時に進めていかなければならない大きな柱でございます。そこで、この過大化いたしました大都市のこういう放置できない病弊に対処するということと、それから国土の健全な均衡ある発展を図るための地方分散を進めていくということは同時並行的に両立し得る課題であり、また両立しなければいけないというふうに、その両者をそのように結びつけて考えておる次第でございます。なお、この宅地開発公団によりましての大規模な開発に伴って地価が高騰するということがないように、その周辺に少なくともこれが波及しないような方策というものをわれわれは最も注意していかなければならない宿題だというふうに考えております。そのためには最近できました国土利用計画法を十分活用するとか、あるいは都市計画法における諸種の規制措置を講ずることによって周辺への波及を防ぎ、また投機的な仮需要が発生しないように注意してまいらなければならない、またそういう姿勢でいかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  76. 山東良文

    説明員(山東良文君) 大都市圏整備の立場から一言お答え申し上げたいと思います。  ただいま建設省計画局長からすでに御答弁ありましたので、ほぼそれと一致するところでございますが、大都市圏整備基本方針といたしましては、まず第一には集中抑制を図る、そして集中抑制をしながら都市環境、居住環境をいかによくしていくかということで、これが両々相まってやっていかなければならないことだというふうに考えているわけでございます。それで、最近の人口動向につきましても、先ほど計画局長からの話がございましたけれども、いわゆる一ころのような社会増がだんだんと減少してまいりまして、そしてそれにかわりまして自然増がふえてきた。ちなみに首都圏の場合のことを例に申し上げますと、昭和三十七年あたりでは年間約三十九万人程度の社会増があったわけでございますけれども、四十八年当時になりますと十二万人を切るというようなことでございまして 大都市に対する集中の圧力というものはだんだんと幸いなことに弱まってきているというような状況でございます。まあそういったことを背景にいたしながら、しかもなお自然増がふえ、それに対する環境をいかにしてよくしていくかというようなことに重点を置いていくわけでございますけれども、しかし、なおそのようなことの結果、産業集中人口集中が激化するというようなことがあってはいけないわけでありまして、この点につきましてはかねがね集中抑制あるいは地方分散に努力しているわけでございますけれども、今後も適正な諸機能の配置というようなことを図りながら一層そういった方向に努力してまいりたいと、そう思っております。
  77. 坂野重信

    坂野重信君 まあ、この辺は十分国土庁で調整をとっていただきまして、将来遺憾のないようにひとつそういう政策を強力にお願いいたしたいと思います。  そこで、午前中もちょっと話が出ましたが、国民の一般は宅地開発公団を一体なぜつくらなければならないか、既存の公団を強化すればいいんじゃないかというような疑問が多いかと思います。四十八年の十一月一日の行政監理委員会からの答申を見てみますというと、その答申ではこれは仮称というぐあいになっておりますが、宅地開発公団という名前じゃなくて、新市街地開発公団(仮称)ということになっておりますが、その辺の考え方がその後において変貌を来したのかどうか。これは名前の問題でございますから、もし新市街地開発公団ということならば、住宅公団との混同ということも余りなかったんではないかというような気がいたします。もちろん目下これは法律審議中でございますから何も決まったことじゃないわけですけれども、中身をいろいろ聞いてみますというと、やはり大都市圏における新市街地の建設ということが非常に強く押し出されている。  どちらかというと、住宅公団はいままで宅地開発についても非常に苦労されておりますけれども、そもそもの出発がやはり住宅の建設という上物の方から出発してきている、そしていろんな問題が生じてきて、困難な問題、地方の公共団体との関連等において今度は下の宅地の方の問題が非常に大きくクローズアップされてきた、そこで今度は宅地が大変だということで非常にそちらの方に力を入れなければならぬということになってきた。問題の発生が上物の方から先に来ておるということもあって、住宅公団も非常に苦労されておると思いますけれども、いままでの実績から言いますと、やはり問題が後手に回っているという実績があちこちに出てきている、各地方公共団体からも拒否反応というものが出てきている。まことに残念なことでございますけれども、そういうことから言いましても、やはりもともとそういった宅地を中心とする新市街地を開発すべき公団というものは、当然当初からむしろ先行すべきじゃなかったか、いまの反省でございますが、そういうことが感じられるわけでございますけれども、新市街地開発公団というのが宅地開発公団に変わった、その辺の何か経緯がありましたら、その辺を御説明願いたいと思いますし、住宅公団との関連において宅地部を強化すればいいじゃないかという議論が依然としてあろうかと思います。その辺をひとつ明快にお答え願いたいと思います。
  78. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 経緯と申しますか、いきさつを若干申し上げます。  もともと、ただいま御指摘がありましたように、これは市街地開発公団という名前にした方がいいのではないかという議論、確かにございました。この名前にこだわるわけではございませんので、最終的にはおととしの予算折衝の際に三役のところに上がりまして、名称をどうするかという問題が一つの問題になったわけでありまして、そのときに、なるほどこの公団は大規模な新市街地をつくるのではあるけれども、宅地問題ということが現在の一番大きな課題であり、住宅難解決するということと結びつけて考えますときに、宅地開発公団という名前にした方がより明快でわかりやすいのではないかということで宅地開発公団ということになったようないきさつがございます。  それで、次の先行的に——後追いにとかくなりがちではないかという問題につきましては、この宅地開発公団は、特に事業の進捗に合わせまして入居に支障が来さないように地元公共団体との間で従来からも十分調整を図るように指導してきたところでありますが、特にこの宅地開発公団につきましてはそういうことが必要でございます。そこで、従来からわれわれは五省協定による地元の財政負担軽減を図りながら、開発者が関連公共施設をかわって整備するといういわゆる立てかえ施行制度についても、これに改善強化を漸次加えてきたところでありまして、先行的整備の推進に努めたのでございますが、この宅地開発公団におきましては特にその点につきまして配慮いたしました。地方公共団体の同意を得まして、道路、公園、下水道等の特定公共施設と呼んでおりますが、これらの施設につきましては公団みずからが直接施行するということができるように措置いたしました。これらの一連の措置によりまして関連公共施設の先行整備ということは一層推進することができるのではないかというふうに考えている次第でございまして、いま御指摘の後おくれにならないように、事業の進捗と合わせてできるだけ先行的に推進するということが特に必要だというふうに痛感いたしております。
  79. 坂野重信

    坂野重信君 そこで、もう一度この問題に関連してお尋ねいたしたいんですが、すでにでき上がっている公団住宅公団だけではなくて、地域振興整備公団というものがすでにあります。そこで、宅地開発公団日本住宅公団地域振興整備公団との仕事の区分けというものをもう一遍ひとつ明快にしていただきたいのが一つ。  もう一点は、仕事の内容で公団がおのずから分離するということはなかろうと思いますけれども、先ほど質問いたしました民間の業者、民間事業との関連でございます。いろいろ各府県等を回ってみますというと、そういう公団じゃなくても県の住宅公社であるとか、住宅供給公社であるとか、開発公社というものがあるのだと、あの辺を十分もう少し助成をしてもらえれば相当な仕事ができるはずだというような意見もございますし、また住宅金融公庫であるとか開発銀行等が土地開発等についても相当な融資をいままでやっているわけです。その辺を強化すればいいのじゃないかという議論もあろうかと思います。その辺をひとつあわせて御答弁願いたいと思います。
  80. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず最初に、宅地開発公団あるいは日本住宅公団、この分担関係について御説明いたします。  宅地開発公団は、法律の文言にありますように大都市周辺地域において、具体的にはこれはいわゆる首都圏で言えば近郊整備地区に当たる五十キロ圏を指すのでございますが、大阪圏におきましては四十キロ圏、中京圏においては三十キロ圏という、そういった周辺地域におきまして宅地大量供給を図るために大規模宅地開発を行うということが目的でございます。  日本住宅公団は、住宅不足の著しい地域において住宅の建設と再開発、それから宅地開発を行うのでありますが、この宅地開発公団とダブる地域につきましては、附則におきまして公団住宅の建設のために必要な限度において開発を行うものとするというふうに定めておりまして、自分の建てる住宅団地をつくるのだというふうに両者の分担関係をはっきりと分けております。さらに規模につきましても、大体大型のものは宅開公団で、そして住宅公団は自分のところを中心としながら、それよりも規模におきましては小さいものを大体予定すると、こういうふうな分担関係考えている次第でございます。  それから次に、民間のデベロッパー等の助成との関係でございますけれども、まず公的開発といたしまして、この宅地開発公団は大規模ないま申しましたような地域における宅地開発を進めていく必要があるのでございますが、民間につきましても、いまおっしゃいましたように開銀の融資あるいは公庫の融資によりましてこれを強化していく必要がございます。ただ、民間の行います宅地供給には、いわゆる大規模市街地としてこれを造成するということには限界があろう、特に拒否反応の強い三大都市圏におきましては、民間によって水とか足とかあるいは関連公共公益施設の負担をも自分で負担いたしまして、魅力ある都市づくりをするということにはおのずから限界があるのでございまして、そこで先ほどおっしゃいましたように、民間と公共との分担関係というものを明らかにしろということでございましたが、そういう民間には民間の特色を生かしながら、公的開発は、特に宅地開発公団はそういった大規模市街地造成するという点に着目いたしまして、シェアを分けていくべきだというふうに考えておりまして、民間の今後の開発の促進につきましては、量的には非常に大きな分担を持っておるわけでございますから、この良好な住宅宅地が促進されますように諸種の助成措置を講じていかなければならないというふうに考えております。  それからもう一つ、抜けましたが、地域振興公団につきましては、大都市地域以外の地域において大都市からの人口及び産業の分散の受けざらとして、この公団が地方都市整備を行うというふうに分けております。したがって、三者の関係は以上申しましたような分担関係になって、はっきりと区別しているつもりでございます。    〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
  81. 坂野重信

    坂野重信君 次に、関連公共施設等整備についてお尋ねいたしたいと思います。  一番住宅公団等で従来問題になり、また地元からの一番の拒否反応といいますか、その大きなやはり原因というものは、何といっても住宅団地ができた場合の足の問題であるとか、あるいは水の問題等において、あるいは教育問題、さらにそういうものが絡んで地方財政の圧迫というような問題が伴ってくる。せっかく公団なり政府が苦労して住宅団地をつくっても、入居者がありがたみがわからないといいますか、その辺のいろいろPRの問題もあろうかと思いますけれども、いずれにしてもそういった関連公共施設等整備というような問題がもう少しスムーズにいかなければ問題は解決できない。宅地開発公団を設置するゆえんもそこにあろうかと思うわけでございますが、その辺の問題につきまして、午前中大臣も、地元との調整についてはひとつ懸命に今後調整に努力するのだということをお答えあったわけでございますけれども、どうも私は、せっかく政府が従来住宅公団等において苦労して地元の住民のことをいろいろ考えながら、地元との調整のことを一生懸命考慮に入れて、きめ細かい政策というものをとっておるにもかかわらず、なかなか地元からそれを受け入れられていないというようなことは非常に残念でございます。これらについて、基本的に大臣は、今後こういった公団ができた場合に、これを契機として、今後どのような方針でもってこれらの問題を含めて事業の推進を図っていこうとお考えになっているのか、基本的な方向で結構でございますから、まず御説明願いたいと思います。
  82. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 坂野先生は専門家でして、むしろいろいろと御研究もなされていると思いますし、またいろいろと専門的なことは私ども御相談もいたしたいと思っておるわけでありますが、率直に申し上げて、住宅公団自体が一生懸命団地造成に努力しながら、それでいて少しも入居者からも地元からも感謝をされておらない。一体だれのために住宅をつくっておるのだというふうなことを私率直に言ったこともあるわけなんですよ。それは結局いま人口集中に対して拒否反応を持っておるということ、団地お断りは、それで地方自治体何も得るところがない、それ以上に余分な財政負担で、全く迷惑千万だというのがこれは率直な気持ちだと思うわけです。これは要するに関連公共施設の施行の仕方に問題があるわけであって、これで必要以上に地方財政を圧迫することは、これは地方においては耐えられないことでしょう。  そういう意味で、これから団地をつくっていくためにも、あるいは宅地をこれから開発していくためにも、一番考えなければならぬことは水とか足とか関連公共公益施設の問題をどうするかということだと思うのでありまして、従来もこの点に対してはいろいろ措置をとってきたはずであります。重要な問題はほとんど立てかえ施行をやって、そうして長期にわたって地方から支払いをしてもらうという形をとってきたわけでありますけれども、しかし、それでもその程度のものではまだ承知できないということでありますから、考え方によれば、もう少し一歩も二歩も前進した立てかえ施行、それから地元の負担軽減の問題を、これは第一義に考えていかなければいかぬのじゃないかと、こういうふうに思っております。その意味においても、やはり地元とのそういう面は十分に相談をしながらまず理解を得るということが第一、そうして理解を得たなれば、できるだけ地方財政を圧迫しないような方向宅地造成をやり、あるいは団地の造成をしていくということに基本的な方向を持って努力していかなきゃならぬ、これが一番今後の大きな課題ではないかと、かように私は存じておるわけであります。
  83. 坂野重信

    坂野重信君 そこで、この公共施設に関連いたしまして、地元の財政負担軽減するということになってまいりますというと、どうしても国の助成というものを強化せざるを得ない。助成ができない場合には地元の財政負担というものに結びついてくるわけでございますし、いろんな政策ができぬ場合には今度は開発者の負担、開発者の負担になってくると今度は入居者の負担ということに関連があるわけでございますから、何といっても財政負担、こういった種類の事業については財政負担軽減を図らなければならぬ。まあそのためには、必要な施設というものはどうしてもこれは必要であるわけでございますから、そこで財政負担というものを、地方に対して圧迫を加えないように——非常に地方財政というものはそうでなくても大変な時期に来ているわけでございますし、今後こういう面で私は、この公団ができても実際の実行面において相当な困難性といいますか、そういうものを決意してかからなければ、覚悟してかからなければならぬと思うわけでございます。  そこで、国庫補助の一覧表をいただいておるわけでございますが、教育施設であるとか消防施設等、あるいは福祉施設等の一部においては、こういった種類に準ずるようなものについては特別の財政措置というものが図られておるわけでございますけれども、一般の都市施設あるいは環境衛生施設等についてはまだそういう問題が取り上げられていないということでございますが、その辺についての今後の対処の仕方というふうな問題について建設省の方はどういうぐあいにお考えになっているのか、今後予算要求の段階等において、将来この宅地開発公団等の関連においてどのような考えで進めていかれるのか、お答え願いたいと思います。
  84. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 大規模開発をいたします場合に、一番拒否反応の起こります理由財政負担の問題であり、特に補助がつきましても地元の裏負担が必要である。それから特に公益施設と呼ばれる利便施設的なものの整備が必要であるのに、それに対する補助制度も少ない、あるいは起債その他も十分にいっていないというような点が一番問題の点だと思います。そこで、昭和四十二年以来五省協定というもので立てかえ施行制度をつくりました。で、逐次それは立てかえ施行制度の範囲あるいは中身を改善強化してまいっておりますけれども、特に開発公団におきましては、直接施行という制度で、公共施設の方は同意を得てかわってやることができるということで、人的、物的なそういう援助がその面でさらに図られると思います。さらに関連公共施設のみならず公益施設すべてにつきまして広範な対象範囲を取り上げまして、これを立てかえ施行し、十年間据え置いて十一年目から割賦していただく。三十年の長期の割賦という制度を設けたのでありまして、そのために必要な基金というものをつくりまして、その十年間の利子補給をやるというような制度をつくったのもそういう意味からでございます。  で、関連公共施設のみならず公益施設というものの中で、特に義務教育施設のみならず幼稚園とか、あるいはごみ施設であるとか、そういった公益施設の比重というものが環境論がやかましくなってくるにつれて非常に大きなウエートを占めてまいっておりますので、これらにつきましても、いま申し上げましたような制度で大体私は大幅な改善になるというふうに考えているのでありますけれども、これを施行してみまして、なおかつ足りない分があれば、それは強化していかなければならないと思っておりますが、十年間たてば大体人口がそこに定着し、そこにまた収入も地方公共団体に出てくるわけでございますので、一応十年というふうに考えた次第でございます。
  85. 坂野重信

    坂野重信君 国鉄の方、見えておると思いますが、ちょっとお尋ねいたします。  国鉄の方では、昭和四十七年に三省協定ということで開発者負担という方式が生み出されております。これは大変結構でございますけれども、やはり開発者負担でございまするから、でき得ることならば国鉄がこの方式でもって、足の問題等においても全額ひとつ鉄道側でこういうような問題については負担をして足の便宜を図っていくというような考え方があるのかないのか。また、問題があるとすればどういうところに問題があるのか、お答えを願いたいと思います。
  86. 高橋英雄

    説明員高橋英雄君) 国鉄のみではございませんで、鉄道関係につきましては、どちらかといいますと、私鉄がこの公団のつくります鉄道との関連があるというふうに考えますが、まあこれは三省協定で現在ニュータウン鉄道等につきましては開発者負担という制度を設けておるわけでございますが、これはこういった鉄道は主としてそういうニュータウンなり開発された宅地の入居者のために、主としてそういう方のためにつくられる鉄道であるということで、宅地の開発等の計画と一体として行われるという性格のものでございまして、まあ言うなれば、そういう宅地なりニュータウンなりの建設に不可欠な公共的な施設の一部であるというふうに私ども考えておりますが、こういうものにつきましては、他の公共的な施設としての道路なり公園なりあるいは下水道とか、そういった施設をつくるに際しまして、まあ開発者なりあるいは入居者が一部を負担するというふうなことがございますが、それと同様な趣旨で鉄道の建設につきましても建設費の一部について応分の負担をしていただくというのが三省協定の開発者負担という考え方でございますが、今回の宅地開発公団がつくります鉄道の場合におきましても同様な考え方というものはとらざるを得ないと思いますが、まあできるだけ入居者にとって過大な負担とならないよう、そういうふうな配慮をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  87. 坂野重信

    坂野重信君 文部省にちょっとお答え願いたいと思いますが、先ほど建設省の方から話がありましたように、教育施設等についても、文部省もこのような問題については前向きにお考えになっていると思いますけれども、こういった地方財政の問題等を勘案して、新しくそういった入居者が入ってくるわけでございますから、その入居者のための教育施設というような問題も考えなければなりませんし、あるいは隣接した既存の地域との関連というような問題もございます。一番その住民にとっては教育施設という問題は非常に重要な問題でございますが、地方財政の負担の問題等も絡んで、文部省としての今後の前向きな方針というふうなものをひとつお答えを願いたいと思います。
  88. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) お答え申し上げます。  文部省としましては、大型な住宅開発に関連します教育施設につきまして、いま申されました前向きに進めるということで、三年先の人口動態を予測しまして、それに伴う児童生徒数、あるいはそれによります学級数、これを参考としまして、三年先までの分を先取りして施設整備するということにつきまして国庫補助をするということを従来やっておりましたし、これからもこれを進めるつもりでございます。また、地元の負担となります単価等につきましてもいろいろ従来御論議があったわけでございますが、四十九年、五十年と補正予算あるいは五十年度の予算をもちまして単価を相当大幅に上げてまいりまして、いわゆる超過負担解消に努めているところでございます。今後とも、幸い建設関係の物価等につきましては多少の鎮静を見ていることでございますし、これ以上地元にこういった開発に伴う学校施設整備につきまして御迷惑をかけないように、また実施面におきましても単価の傾斜配分等をこれから考えまして十分措置していきたいと、こんなふうに考えております。
  89. 坂野重信

    坂野重信君 時間がもう経過いたしましたので、この辺で質問を打ち切りたいと思いますが、先ほどお聞きしておりますというと、まだこのミクロの具体的な平面計画といいますか、そういうものがはっきり地域的にもできていないようでございます。県別にこれから固めていきたいということでございますが、何といってもこの住宅宅地というものはやはり安く大量に供給しなければならぬ。そうすると、やはりこの立地条件というものをよく考えて、なるべく原価プラスアルファ、アルファ分が低くなるようなことを考えていかなければこれはしょうがないわけでございます。幾ら大量に供給してみてもやはり立地条件がまずければそれだけのいろんな関連公共施設というものがかさんでくるわけでございますから、十分ひとつ事前に関係者の間で計画の調整といいますか、こういうものをお互いに知り合って、その上でもって立地条件というものを勘案して、水の問題、足の問題、あるいは教育の問題、その他あらゆる問題を総合しながら早目にひとつ先行的に計画というものを早急に固められるということが最も重要なことではないかと思うような次第でございます。パンフレットにも宅地開発協議会というものをつくりたいというようなことがございますが、ぜひともこれは早目におつくりになって、こういうものを通じて地元とまたこの施行者、事業主体との連絡、さらには関係の筋、各省との連絡というようなものを十分やはりとっていくということが必要じゃないかと思っております。従来はとかくここに土地があいているということで、それに食らいついてみたらいろんな問題が出てきたということで、それでは情けないわけでございますから、先行的に一歩一歩先んじて問題を考えながら考えていかなければならぬと思うような次第でございます。  そこで、その辺のところをひとつ大臣に最後にお願いしたいわけでございますが、もう一つ、これも答弁は要りませんが、せっかく宅地ができるわけでございますから、何といってもわれわれの国民大衆の願いというものはマイホームをやっぱり持ちたい、一戸建てのやはり住宅というものが最終的なねらいだろうと思います。もちろん中間段階におきましてはいろいろ賃貸の問題も重要でございます。決してこれはもう軽視できないわけでございますけれども、やはりこの分譲住宅といいますか、そういうものを頭に描きながら、やはり国民の若い層を含めたマイホームというものを供給するというのが非常に重要な事柄と思うわけでございますから、その辺を念頭に置かれまして、十分ひとつ政策を練っていただきまして御推進願いたいと思う次第でございます。  以上で終わります。
  90. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 宅開公団法の問題では与野党にも共通したいろいろな議論があります。私どもそのことは十分心得ておるのでありますが、さてせっかく出発することになりますと、そういった御要望にこたえていかなければならぬ、また責任の重大さを本当にひしひしと実は感じておるわけであります。  坂野先生いろいろ御指摘ございましたが、特に宅開公団法に基づく宅地を推進していくための公共関連施設のこれは後追いにならないように先行的なものを積極的に考えていかなければならないこと、さらにはせっかくできた公団でありますから、安い宅地を大量に供給するというこの重大使命、これはどこまでも遂行しなければならない。これに対して私どもは大変大きな責任を感じておるわけでありますが、御意見を十分に体しまして今後全力を挙げて努力をいたしてまいる所存であります。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 最初に、住宅政策一般についてお尋ねをしたいと思います。  昭和四十九年の三月に建設省住宅局が発表されました昭和四十八年度の住宅需要実態調査結果報告によりますと、住宅困窮世帯が非常に多い。数字を簡単に、御承知のことと思いますが、全国平均で約三五%、東京圏が三九%、大阪圏が三九%、中京圏三一%、このように国民住宅に対する要求というこの報告が実態としてあらわれているわけなんです。また、四十九年の六月に内閣広報室が調査しました大都市地域における住宅宅地に関する世論調査によりますと、大都市地域において都道府県や公団、公社等の公の機関が大規模宅地開発を行った場合、その宅地はどのように利用したらよいかという問いに対しまして、公共用の住宅の用地として優先的に利用するという、これが五〇%、一般向けの分譲宅地として優先的に利用する三〇%、その他二%、わからないというのが一八%という結果が出ておりますけれども、午前中から宅地開発公団質疑等が行われましたが、分譲住宅造成を行うことも主張されておりますけれども、いま私が二つの報告あるいは調査の実態を申し上げました国民の要求を満たすという点からするならば、私はこのような分譲住宅よりも公共用の住宅ということに重点を置くべきじゃないかと思いますが、まずこの住宅政策一般の上から、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  92. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いま先生おっしゃいましたとおり、非常に住宅に困窮していらっしゃる国民の方が多うございます。われわれ住宅政策を推進してまいりますときに、住宅に困っていらっしゃる方々の指標といたしまして、いま先生のおっしゃいました主観的な立場で調査をいたします住宅需要実態調査と、それから客観的な指標によってやります住宅統計調査、両方の資料の分析をいたしております。  主観的な住宅困窮世帯、先生おっしゃいますとおり国民の約三五%、一千万世帯くらいが住宅困窮を訴えておられます。その場合の主な理由は、住宅が狭いというのが第一でございまして、その他環境、設備か悪いというのがそれに次いでおります。客観的指標によります住宅難世帯、これによりますと、昭和四十八年の十月一日現在でございますけれども、二百四十八万世帯、普通世帯の八・五%ぐらいの方が客観的に悪い家に住んでおられるというような実績になっております。  そういうものを踏まえて今後の政策考えていくわけでございますが、持ち家、借家という住宅供給区分は非常に基本的な問題でございますが、われわれが基本的にどうすべきかと考える立場といたしましては、国民の要望を中心に施策の方向を定めるべきものだということを第一に考えております。ただその場合に、低所得者層、それから社会的流動層、老人、母子世帯等に対しましては十分な量の良質低廉な公的賃貸住宅供給が必要である。しかしながら、最近の需要実態調査を見ますとおり、最近の国民の皆さんの中には持ち家志向の強い中堅勤労者の方々もおられます。そういう方々に対しましては長期低利の融資もしくは低廉な負担で償還可能な分譲住宅供給等を考えてまいりたい。昭和五十一年から始まる第三期五カ年計画におきましては、こうした観点から持ち家、借家の区分を検討いたしまして、バランスのとれた供給にしてまいりたいと思っております。現在審議会に諮りまして検討いただいている次第でございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長が申されましたとおりに、いろいろ検討していただいているということでございます。それで、第三次住宅五カ年計画をいま検討中であるということでございますが、もう少しばかり基本的な考え、また現段階で発表できる範囲内のそういうものを具体的にもうちょっと説明いただけませんか。
  94. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) ただいま審議会で御検討いただいておりまして、昨年の十月の五日でございますが、基本的体系についての中間報告というのが出ております。その中間報告の中には住宅政策の現状と問題点、それから新たな住宅政策の体系づけ、それから今後におきますいろんな政策の概要等について相当きめ細かく示されておりますけれども、なお中間の報告でございますので、それぞれの項目につきまして引き続き検討を続けているというのが現状でございます。  基本方向といたしましては、すべての国民がその能力に応じた適正な費用を負担するということによりまして、良好な環境のもとに一定水準以上の住宅を確保することができるようにすることということを基本の目標にすべきだという示唆をいただいております。この場合、先ほど申し上げましたとおり、最近の住宅に対する国民の要望が規模を中心とする質の問題に集中しているという現状にかんがみまして、真に住宅に困窮する者を公的住宅に入居させる制度の確立など、総合的な政策を推進すべきだというような御提案をいただいております。で、引き続き検討中でございますが、おおむね目標といたましては、六月いっぱいぐらいにその基本的問題の小委員会の答申が出まして、その答申を受けて本委員会を開きます。本委員会の答申はいまの情勢ですと七月に入るんじゃないかと思いますけれども、その正式答申をいただきますと、それと並行いたしまして、われわれ中間報告にも示されております望ましき居住水準はいかにあるべきか、それから望ましき負担はいかにあるべきかというものにつきましても別途基本的な作業もいたしております。そういうものを全部かみ合わせまして大体八月には来年度の、五十一年から始まります第三期五カ年計画の初年度としての第一年度分の予算要求をいたすということに相なろうかと思います。で、過去の例によりますと、これは閣議決定いたすわけでございますが、さらに正確な数字にいたしまして審議会の意見を聞くということになっております。それを経まして閣議決定に持ち込まれるのは、第二期の例で推測いたしますと、十二月ごろになるんじゃあるまいかというふうな段取りを考えております。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 それとあわせまして、いま局長も申されましたとおりに、すべての国民に健康で文化的な生活を保障する責任を持つ国といたしましては、国民生活の基本となる住宅国民住宅権、これを保障していかなくちゃならない。そういう意味で、いまも私申し上げましたとおりに公共住宅ということに対して重点を置くべきではないか。そういう意味からこれは公営住宅法の改正にもつながるかと思いますけれども、私は公営住宅の建設の促進と、それから居住水準の向上にも力を入れるべきじゃないかと思うんです。そういう意味からいたしまして、公営住宅建設の事業主体であります地方自治体に対しまして、国の補助率の引き上げ、それから超過負担をもたらす原因となっている実勢工事費と標準工事費との格差の是正、こういう点についても検討すべきじゃなかろうか。また、住宅用地建設に伴う地方自治体の関連公共施設整備負担を軽減するために、その整備に関して、それぞれの関係法律で定められておりますけれども、そういう補助率等も改めてこれは検討をし、そして国の補助を強化すべきではないか、こういう点も検討をするべきじゃないか。  また、居住水準の向上のために、いまもちょっとお話が出ておりました、老人、母子世帯等に対する配慮等も考えていくということがございましたけれども、一つは、老人と子供、夫婦や孫たちが一緒に暮らせるようなペア住宅、こういうものに対する検討、あるいは心身障害者が車いす等で自由に出入りできるような安心して暮らせるような住宅構造、いわゆる特別構造の公営住宅の建設を、特別補助というそういう便宜を計らって、こういう文化的な生活を保障できるような、国民住宅権を保障する意味からこれをやるべきじゃなかろうか。国民生活水準の向上や家族構成の変化等で、いまもお話し出ておりますとおりに非常に狭くなってきている。そういうところ、あるいは浴場施設のない公営住宅が非常に多い。こういうようなものに対しましても国の補助で増改築や新設を図っていくべきではないか。ここにおいて住宅政策一般を総ざらい検討する必要があるのじゃないかと思います。私は、まだまだほかにありますけれども、いま代表的な四点について申し上げましたけれども、これに対するお考えはいかがでございましょうか。
  96. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 具体的な問題は住宅局長から御答弁をさせますが、基本的な考え方としては、田代先生考え方と私どもも大体一致をいたしております。戦後の住宅政策というものが、とかくの批判はありましたけれども、量的には一応確保できたと思っております。ただ、いま住宅に関する国民の要望は、おっしゃるとおりに居住水準の引き上げ、質の向上ということが非常に強く叫ばれておりますから、今後の住宅政策、五十一年度の新規に計画する第三期は、やはり質の向上に重点を置くべきことが第一であることは当然であります。その次がもちろん公営住宅、公的住宅を私は賃貸に重点を置くべきだと思っております。それから第三点は持ち家住宅、これもまた非常に希望があるわけでございますから、これはでき得ることであるならば公庫融資に基づいて推進をしていく、こういうふうな大まかな方向を持っていきたいと思います。  こんなものも含めまして、問題はやはり居住者や地方自治体の負担の軽減を図っていかなきゃならぬ、これに対していろいろ配意をしなけりゃならぬということは、これは当然でありまして、今後の努力の課題であろうかと思っておるわけであります。そういう基本的な考え方で今後の住宅政策は進めてまいりたい、かように思っておるわけであります。
  97. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いま基本方向につきましては大臣のお話がございました。で、少し先ほどの四点につきましてお答えいたしたいと思いますが、公営住宅のたとえば補助率の問題を検討すべきじゃないかという点がございました。当然検討には値すると思っております。ただし、いまのところ地方公共団体が本当に困っておりますのは、むしろ起債が一〇〇%でないとか、それから標準建設費が十分でないとかいう点だろうと思っております。そういう点の方に大いに力を入れた方がむしろよく建つのじゃないかというような感じを持っております。しかし、十分検討したいと思っております。  それから居住水準のことにつきましては、中間報告におきましては、「居住水準を定めるにあたっては、」「まず、国民が健全な住生活を享受するに足りる住宅規模、設備、環境等を確保するとともに、住宅が」「長期にわたってその効用を維持するに十分な質的水準の目標を設定すべきである」。また、具体的には、「目標年次において国民に保障すべき最低水準と努力目標としての望ましい水準の両者について検討する必要がある」という御提案をいただいております。現在そういうふうな水準につきまして、いかにあるべきかを検討しておるわけでございます。  実際の問題といたしましても、先ほど大臣のお話もございましたとおり、たとえば公営住宅等につきましても毎年規模の増を図ってまいっております。この五カ年計画でも、始めました四十六年と比べますと、大体十二平方メートルの規模の増を行ってまいっております。六割ないし七割が大体三DKになるというような時代に来ておるわけでございます。そういうことになりますと、その後に出ましたペア住宅、それから身体障害者用住宅等のバラエティーある住宅の設計、間取り等につきましても徐々に始めてまいっております。現在も方々で試作といいますか、供給をすでに行ってまいっておるわけでございます。それから既存のものにつきます、たとえば浴場が古いじゃないかというような問題、確かにございます。したがいまして、昭和五十年度の予算からそういうものに対します増改築といいますか、既存の供給中の公的住宅に対する増改築等の予算につきましても計上して、徐々にではございますけれども進めたいと思っておる次第でございます。第三期の場合にはさらにそういうものを検討してまいりたいと思っております。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 次に、財投依存の現在の住宅政策を一般会計による住宅政策に改める検討をすべきではないか。これはまあこちらの意見でありますけれども、建設省としては建設省としての行き方があるでしょう。しかし、世界有数の経済力を持つわが国が住宅面におきましては非常な立ちおくれをしております。御承知のとおりだと思います。後進国であります。そこで、フランスのジャーナリストのロベール・ギランという人が、日本の繁栄のひずみというものはその貧弱な住宅に象徴される、このように指摘しているわけなんです。だから、政府住宅関係の予算が如実にこれを証明しているのじゃないかと思うわけなんです。御承知のとおり一般会計に占める住宅関係の予算の比率は一・四%、ところが、御承知のとおりにヨーロッパ諸国におきましては五%から一〇%、こういう状態であります。これから考えるならばいかに貧弱であるか。いまもお話が出ておりますとおりに、住宅国民生活に欠かすことのできない基本基盤である。こういう点から考えて、いま申すとおりに一般会計による住宅政策ということも改めて検討すべきではないかと思うんですが、この点に対するお考えはいかがでしょう。
  99. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生おっしゃいますとおり、国の一般会計予算の総額に対しまして住宅関係の予算は一・四%でございます。これは昨年も一・四%でございました。財政投融資によりますと、これは国全体の財政投融資総額に対しまして一七・二%ということでございます。これは昨年は一五・三%でございました。で、確かに一般会計予算を大いにふやすということはわれわれの念願でございます。念願でございますけれども、やはり一番原資も多い財政投融資を大いに活用すると、しかもそれに対しましてはやはり一般会計の方から利子補給金を相当出しております。したがいまして、今後この利子補給のあり方等の検討を十分いたしながら、やはりそれぞれの階層別に応じた施策を講じていきます際には財投も大いに活用しなければならない、おっしゃるように一般会計も大いにふやしていきたい、大変欲張っておりますけれども、このような姿勢で考えておる次第でございます。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 これはすぐできることではないと思いますけれども、一応検討されるべくひとつ頭の中にとどめておいていただきたいと思います。  それから建設省計画局の推定によりますと、昭和四十九年から六十年度までに必要な新規の住宅建設戸数が約四百四十万戸、宅地面積としましては約七万六千ヘクタールの供給が必要であると、このように推定されておりますが、いま審議されております宅開公団が新設された場合、現在住宅建設が進んでいない大きな原因となっている用地取得の問題並びに財政問題を解消して、このように計画された住宅供給が可能であるということの説明をまず最初にお願いしたいと思います。    〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
  101. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 七万六千ヘクタールという膨大な宅地需要が今後十二年間に発生するであろう、それに対処いたしますためには民間を含めまして、公的、民間、区画整理、これを大体私どもは先ほども御説明いたしましたが、三、五、二ぐらいの比率で進めていくことになるであろうし、また従来も大体そういう実績を持っておりました。そこで、宅地開発公団はその中の公的宅地開発の、いま申し上げました数字で言えば三の分野の中に入るわけでございます。  大体私どもは、その宅地開発公団供給すべき宅地の量というものを、その中で最終的には一万一千ヘクタール——ネットでございます——のものをつくり出すということを一つの目標といたしております。この面積は三大都市圏の外周部におきまして、五十キロ圏、四十キロ圏、三十キロ圏といった外周部におきまして大規模な新住宅市街地として生み出すわけでございますが、その地域におきましては現在放置すれば非常にスプロールがされやすい地域であります。そこで、そういうところに計画的な大規模宅地をまとめる必要がある。その面積は東京圏で申しましても、四、五十キロ圏と言いますと、大体二十六万ヘクタールもある膨大な地域でございます。その約七割は山林、農地でございます。そういったところで必ずしも市街化区域の中に全部取れるとは考えておりませんけれども、量的に言えばその中で適地は十分探し得るものと考えておる。問題は、そういう庶民の手の届く価格で造成し得るための条件に合ったところを探す。これをできるだけ能率のいい進め方で開発していくということが必要だと考えておりまして、量的には私どもは十分その適地をその中で確保するということは可能だと考えております。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 では次に、宅地開発公団造成をします宅地利用計画、集合住宅地、それから分譲地、これのパーセントがわかりましたらひとつ教えていただきたい。
  103. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 現在のところ集合住宅か、あるいは一戸建ての分譲住宅かという、そのパーセントをはっきりと明確に数字的に一律に申し上げることは不可能でございます。それはその土地柄にもよりますし、需要の実態にもよるものでございまして、私どもは一貫してこれは環境のいい一つ市街地としてつくらなければならないのでありますから、平板なフラットなそういう構造のものだけではこれは市街地にならない。したがって、中心部であるとか、駅であるとか、あるいはセンター地区であるとか、そういったところは当然これだけの規模のものであれば町として必要でございますから、そういうところには集合住宅をうんと建てなければならないというふうに考えておるわけでございます。でございますが、一応過去の実績から推定してみることも一つのめどになりますので実例を申し上げますれば、過去におきまして千里、泉北という比較的大きなわが国では団地をつくっておりますが、その中における集合住宅と、それから平家一戸建ての住宅の比率は、面積的に言いますと六対四で、四が集合住宅の用地の面積でございます。戸数にいたしますと逆転いたしまして、集合住宅の方が七に、そういう平家の戸数が三というふうになっております。大体こういうことをめどに置きまして需要の実態に即してつくらなければなりませんが、大体集合住宅とか分譲住宅の比率というものは、そういう戸数では六、四、面積的には逆に四、六というようなことも一つのめどになろうかと思いますが、これはあくまでも一つの過去の実例を挙げたモデルでございまして、地形その他によって変わると思います。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 いまお聞きいたしましたら、明確なパーセントは出ないけれども、泉北あるいは千里の例を挙げられて、面積においては六、四である、四が集合住宅、こういうことをおっしゃった。そうして戸数にしたならばこれが三、七である、七が集合地の戸数である。こういうことでございますが、いまさっき大臣の御答弁の中に、あくまでも基本的には国民の要望を中心としてすべての施策を考えていかなくちゃならないと、こういうお話が根幹になっておるはずでございます。いまお尋ねしたところでございます。そして、いまさっき私が建設省の調査結果あるいは内閣広報室の世論調査等の実態等も示しました。そうしますと、国民の要望はいろいろあるでしょうけれども、一様に公共賃貸住宅ということを大都市勤労者は望んでいるわけなんです。もちろん持ち家主義の考えを持っている人もあるでしょうけれども、最大公約的に考えましてもその意向が強い。そうした場合に、これの面積を六、四と見ましても、これを進めていった場合には、住宅政策の重要課題であります安くて住みやすい公共住宅の大量建設ということを考えていきますと、その面から考えますれば、今回の宅地開発公団の分譲地、持ち家住宅政策の推進ということはちょっと逆行するような考えがしてならないんですけれども、この点はいかがでございましょうか。いまの数字の点から言いまして、国民の要望という点から考えてですね。
  105. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 国民の要望あるいは困窮者の実態、これに合わせて供給すべきことは当然でございます。先ほど申し上げましたような数値はいままで出てきているものの結果を申し上げたのでございまして、これからつくり上げます場合にわれわれは、その大阪圏なら大阪圏、東京圏なら東京圏における実態を踏まえて、これからできるであろう五カ年計画も十分各県ごとにこれをできるだけ数量的に定着させながら戸数計画を立てていかなければならないと考えております。御指摘のように賃貸住宅に対する要望というものは非常に熾烈なものがございます。と同時にまた、四十六年ごろ調査されました総評あるいは総理府の世論調査等によりましても、合計いたしまして賃貸住宅の要求も二五・六%、それから安い宅地の提供がほしいというのも二五・二%、大体拮抗しておるような統計もございます。それから賃貸住宅に現在入っている人について総理府が調べましたものによりましても、持ち家を持ちたいというのが二七%、大体同じような数字になっております。  ですから、賃貸住宅と、それからこういった分譲の持ち家を持ちたいという要求、それぞれこの資料によれば大体拮抗しているように思いますけれども、場所によって、これが大体近郊都市でございますから、相当既成市街地の近くではなくて一時間圏というようなところに大規模市街地としてつくるところでございますから、そういう土地の性格からも考えまして、市街地として健全な各層から構成された市街地形成するようにいたしたい、こういう考え方からまいりますと、賃貸主義ということは当然でございますけれども、持ち家につきましても相当量のやはり需要があることは見逃せない。そこで、これらをいかにしてコンバインして組み合わせていくかと、そしていい市街地をつくっていくかということが集合住宅か一戸建てかという形式の問題に今度はなるわけでございますが、そういう考え方で、中心部につきましては当然集合住宅が多くなるであろうし、それから縁辺部の方においては比較的なだらかな低層のものが多くなるであろう、こういう組み立てを考えて、一応の頭の中に置いているモデルとして申し上げたのでございます。具体的には数字は、個々にその事業計画の当初において、ここは大体高層住宅地区にするとか、ここは低層の一戸建てのところにするということは事業計画の当初において認可する際に十分検討いたしまして、そういう計画を立てることにいたしたいと思っております。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 それからいまの持ち家住宅の件もわからないわけではありませんが、新全総の点検の行われたそのときに、庭つき一戸建てはもはや夢であると、このように大都市圏の人々のマイホームの夢を打ち破ったそういう発表がなされまして、居住観念の転換を迫られたわけなんです。それに対しまして今回初めて国土利用白書が出されまして、この中にも明確に述べられておりますとおりに、今回は宅地開発公団を創設いたしまして、初年度二千五百ヘクタールの土地造成し、そしていまここで審議されているようなことが述べられております。そうしますと、新全総の点検のときと今回の白書を見ました場合に、政府の施策というものがそのように逆戻りしている、こういう感じを受けてならないんですけれども、この点に対して大臣いかがでございましょうか。
  107. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) これは後で、河野土地局長もおりますので、お答え願えるかと思いますが、たしか私の記憶によりますと、一戸建て平家というふうな形のものはもはや東京においては夢であるというような表現であったと思いますが、夢に近いというような表現だったかと思いますけれども、これが言われた当時は、ちょうど狂乱的な非常に騰貴の進行しておった四十八年当時ではなかったかと思うわけでございます。で、そのために宅地難というものは飢餓感となって、非常に国民の心の中に大きなわだかまりになって社会問題になっていたというふうにわれわれは認識しておるのでございまして、そのためには地価を鎮静させるということが当時の、そしていまも続いているわれわれの住宅難解決のかぎとして一つの大きな政策重点であります。  幸いにして、近時地価が諸種の対策の効果もあって鎮静しておりますけれども、まだまだ油断はできないのであって、これから地価対策をしっかりと定着させる必要があるというふうに考えておりますゆえんは、やはりこの国民需要に応じて、国民に健全で健康な住宅を持たせるということが国の施策の目的でなければならず、そのためには地価を安定させる必要があるのでありまして、諸外国に比して著しく高いわが国の異常な地価というものを、これを克服するということが今後の命題でございます。その意味におきまして、この宅地開発公団一つのねらいも、これだけの権限を与えて、そしてこれから大いに大規模な健全な住宅地を大量に、しかも安い宅地供給しようというねらいも、その地価安定の上に立って初めて可能でございます。したがいまして、その当時と若干情勢が変わりつつあるし、またそれを変えなければいけない、いまようやく兆しが出ておりますものを今後定着させるという政策と一緒にこの宅地開発公団も進んでいくべきだというふうに考えております。
  108. 田代富士男

    田代富士男君 次に、日本住宅公団の抱えている問題について少しばかりお尋ねしたいと思います。  最初に、日本住宅公団の今日までの事業実態、まあわかる範囲内で結構でございますが、総事業費、あるいは宅住面積、それから完成地区の面積、処分宅地の面積と、ちょっと数字的に教えていただきたい。
  109. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 住宅公団は今年でちょうど二十年目を迎えるわけでございますが、この二十年間に発注いたしました住宅戸数は九十二万一千一百三十八戸でございます。このうち、供給いたしておりますのが四十九年度末で七十八万三千八百三十五戸、これだけの戸数を供給いたしております。その内訳は賃貸住宅が四十九万五千六百三十一戸、分譲住宅が二十八万八千二百四戸でございます。  それから宅地の方でございますが、宅地につきましては総施行面積が二万五千三百八十六ヘクタール。内訳を申しますと、住宅地が一万九千九百六十一ヘクタール、工業用地が二千六百六十三ヘクタール、流通業務用地が六十六ヘクタール、研究学園都市が二千六百九十六ヘクタールでございます。このうち、完成いたしまして供給いたしているものは一万一千二百五ヘクタールでございます。これは種別ごとに申し上げますと、住宅地が七千百四十二ヘクタール、工業用地が二千二百八十ヘクタール、流通業務用地が三十三ヘクタール、それから研究学園都市で現在すでに各研究機関が使用いたしておりますのが千七百五十ヘクタールでございます。全体の事業費は約四兆円の事業費を使っております。現在、このうち長期で借金という形でありますものが約三兆円近くございます。  住宅並びに宅地につきまして、現在までやってきました実績は以上のとおりでございます。
  110. 田代富士男

    田代富士男君 細かい数字をいまお聞きいたしましたけれども、これを大別しますと、宅住面積と完成地区面積の差というものを考えましても、非常にこれは考えさせられる面が多いわけなんです。こういう面から、ここに建設未着手団地の一覧表もいただいておりますが、住宅公団が何点かの隘路にいま直面をしております、いろいろこういう問題を、この団地一つ取り上げましても。そして当初の計画から大幅におくれております。この理由は、公団住宅建設による地方財政への影響、いまさっきも話が出ておりました。また、交通機関の確保が困難であるという事実、水資源確保の問題、あるいは環境破壊といいますか緑地破壊の問題等、こういう問題がありますけれども、これはこのままでよいと言える問題じゃないと思うのです。これは深刻な問題をたくさん含んでおりますけれども、この現実を総裁としてどのように認識をされ、これを解決するにはどうすればよいとお考えになっていらっしゃるのかお聞かせ願いたいと思います。
  111. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 大規模宅地造成につきましては、実はあらゆる面の計画の整合性ということが一番根本になるわけでございます。いまお話のありましたように、まずわれわれといたしましては、その団地の所在する地方公共団体、これは都道府県があり市町村があり、おのおのその主張があるわけでございますが、これと十分にまず話を詰めなければいけない。したがいまして、そのときにいろんな問題が起きてくるわけでございます。一番いろんな点で苦労するのは、急に人口を張りつけるということが非常に財政的なショックを一時的に大きく市町村に与える、これを何とか緩和しなければいけないということで、この金の面におきましては、ずいぶん立てかえであるとかいうような制度でいろいろ問題を詰めてきておるわけでございます。  たとえば学校について申し上げますならば、中小学校についても、これは建設費だけの国庫補助であって、用地についての国庫補助は全然なかったという時代が、つい四十五年までがそうでございました。人口急増地帯におけるいろんな地方財政上の援助、これを強化していく、これも大体四十六年以降の施策でございます。これらの問題につきましては、地方公共団体と私ども一体になりまして、自治省にも話をし、あるいは建設省はもちろんのこと大蔵省にも話をしというようなことで、この間の問題の解決につきまして大いに努力してきたつもりでございます。これは今後ともこの努力は続けていく。現に今年度からは大規模のものにつきましては十年間無利子据え置きというような制度、これがあったならば、これがもっと早くやってくれていたならば、もっともっと建設には協力したであろうということを私どもの方に言ってくる市町村長さんも非常にたくさんございます。そのようなことでございますが、逐次その問題はそういうふうな方面で、建設省の方にもお願いいたしまして進めていくということでございますが、問題は水の問題と足の問題というふうに、これは府県ベースあるいは公団だけのベースでは解決のできない問題であります。これにどう対処するかということが今日の非常に大きな課題でございます。  水の問題につきましては、特に南関東、東京圏におきましては、御承知のように神奈川、埼玉、千葉県も人口抑制——余りに急激に年に二十万人ずつふえていくというようなことではとても県民に健康で文化的な生活を保障することができない。その根幹は何かと申しますと、これは水の供給について県が自信を持ってこれに対応できない、こういうところに来ているわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、国土庁建設省、さらには厚生省というように、いろいろ水問題そのものの所管の官庁があるわけでございますが、公団だけでできるそれでは水に対する対処はどういうことかということで、実は本年度からいわゆる中水道計画と言いまして、水洗便所に消毒した上水を使う必要はないじゃないか、これを何とか循環利用することはできないだろうかというような研究に着手いたしまして、われわれのできる範囲、すなわち使用する水の循環利用ということで使用量そのものの増大を食いとめる、こういう方向で何とか第一歩を踏み出そうということでやっておるわけでございます。  足の問題につきましては、これはわれわれも問題がありますので、大団地につきましては、絶えず国鉄当局、あるいは営団地下鉄、あるいは地方の公営交通関係、これと十分な打ち合わせを毎年やっております。しかし、国鉄も非常に苦しいところであり、あるいは私鉄等においても実は多摩に二線入れてもらったのでございますけれども、今日あとの住宅の張りつきが遅くて非常に赤字経営で悩んでおるというような御迷惑もかけておるというような点で困っておりますが、これにつきましても運輸省の方の御努力で、たとえば団地バスに対する赤字についていろいろな国から補助も出していただく、あるいは金利の軽減の措置もしていただくというようなことで進めておるわけでございます。そのように徐々にではありますけれども、いろんな難点がありますのに一つ一つ取り組んで今日まで来ておるというのが現状でございます。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 具体的なことになりますが、大阪府の枚方市と箕面市と高槻市に未着手の団地がありますが、ここの着手できないいろいろな原因があるでしょうけれども、一番大きな問題になっているのは何なのか。そしてここはいつごろになったら着手できるのか。見通し等についてお聞かせ願えたらお聞かせいただきたい。
  113. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 具体の問題につきまして、実はちょっと手元に資料ございませんが、大体どこの市町村でも先ほど申しましたように人口が非常に急にふえるということについて、いろいろな面で、私どもの方でできるもの以外に、たとえば保育所の問題であるとか、あるいは医療施設の問題であるとか、いろいろ関連の施設がございますので、箕面につきましても、この建設の年度を調節してもらいたいといういろいろな要求がございます。したがいまして、いまの団地が完成してから次の団地はやってもらいたいというような要望がございまして、市町村とも話して、これはおくれておりますが、これらについて地元の市町村と話のつき次第、次から次へと逐次着工していきたい、このように考えている次第でございます。詳しいことにつきましては後でまた資料を……。
  114. 田代富士男

    田代富士男君 これは三つとも事情が違うでしょう。これは準備なさっていらっしゃらないようでございますから、後でまた教えてください。  いま総裁からいろいろ大幅に計画がおくれている理由あるいはその対策等についてお話しありましたけれども、まあそういうことも含んで宅開公団がいま審議されておるわけなんですけれども、この公団が力を発揮した場合に、いまいろいろネックとなっていた、そういう問題が解決できるという保証といいますか裏づけはあるのでしょうか。私はその疑問を持つわけなんですけれども、その点、総裁いかがでございましょうか。
  115. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 私どもの方も実は大団地をやる場合に地元の公共団体と、これと本当に一体となってというつもりでいままでやってきたつもりでございますけれども、若干やっぱりいろいろな面でかゆいところに手が届くほど両方で話が全部詰まってから着工するという現実ではない面があったと、これはわれわれの方の反省でございます。したがいまして、この宅地開発公団が大規模宅地造成するというときには、その前提として私は国と地方公共団体の間に全く意見の一致があると、これが一番根本であろうと思います。地方の方では、いま申しましたように、いろいろな意味人口を抑制したいという今日要請があるわけでございまして、これをよく話し合いをして、新しくできた公団の方針と地方公共団体とが、本当にここにこういう町をつくろうというこの合意が前提としてなければ、相当のいろいろな面で、たとえば公共事業等もほとんど直轄でやるというような、こういう権能を新公団は持っているようでございますけれども、それはもうただ単に金の問題だけということではなくて、やはり地域住民との本当の合意がその前にあるということであるならば可能であろうと、このように考える次第でございます。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 いまのお話でちょっとわかりにくい点がありますけれども、もうちょっとじゃあ具体的に申し上げますと、宅地開発公団を新設した場合と、今度日本住宅公団宅地開発公団と同等の権能を付与した場合では、公的宅地供給の総量は違ってくるのか、同じなのか、そこらあたりに対する総裁としてのお考え、これ聞かしていただきたい。  それからいま地元との意見の一致ということが根本であると、これはもう当然でございますけれども、お話のとおりに地元の公共団体にかわりまして関連の公共施設整備し、また交通施設等、建設経営する権能を備えた強力な新しい機構が必要になってくるわけなんですが、なぜこれが住宅公団でなくて宅地開発公団でなければならないかというこの理由ですね。これはひとつ建設大臣にお尋ねをしたいと思います。前の方は総裁にお答え願いたい。後の方はひとつ大臣からお答え願いたいと思います。どうでしょう。
  117. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 先ほどこの二十年間における業績をお話し申し上げましたが、二十年間で住宅地だけに限って申し上げますならば、住宅公団がやってきた供給面積は七千百四十二ヘクタールでございます、二十年間に。ところで、ただいま宅地開発公団がやろうとしておるのは十年間に一万一千ヘクタール、これは住宅公団がやってきた事業の大体倍のスピードでございます。したがいまして、ここで新しい機関ができたならば宅地造成の面積はふえる、それは当然にふえると思います。宅地造成の絶対量は住宅公団もやり、宅地開発公団もやるという場合の方がふえるであろうという推察はできると思います。
  118. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) この問題は、衆議院でも、それから参議院でも、与野党にも大体同じような意見があります。これは私どもその部度いろいろと申し上げておるわけでありますが、率直に言って、こんなもの新しくつくらぬで、住宅公団を強化して、そうしてやるべきじゃないかという意見、むしろすっきりと住宅公団宅地住宅とに分けて、そうして二つの公団でやったらいいじゃないかと、こういう意見、両方あるわけなんですよ。私は前段の問題でも、じゃあ住宅公団でこのまま強化してやらして全くできないかというふうに言われても、それは努力すれば、それは全くだめだとは考えられません。これは率直に申し上げます。住宅公団ができて二十年だと、それなりに私は実績を踏んできたと思うのです。さきに総裁からお話がありましたように、かなりの実績を残してきたことは御理解いただけると思う。ただ、ここ四十八年以降においては、従来のような手法、考え方では行き詰まったということなんです。それが現実に大都市を中心にして、いまおっしゃったような問題ができている問題であります。これはいままでのような体制、いままでのような考え方で臨んではもう乗り切れないという時期に来ていると思う。  それじゃ機構を若干強化して乗り切っていくという問題と、ここまでくればむしろ新しい観点に立って問題を掘り下げていくのが、積極的に進めていくということがいいか悪いかという問題、ここが考え方の相違になってくるわけであります。住宅公団宅地だけじゃないんです。住宅を建てるという重大な使命があるわけなんです。その住宅を建てなければならぬ大使命と、片一方、いまはもう宅地の問題に一切全エネルギーを集中しているかっこうになっているわけです。それが手を焼いて壁に行き詰まっている状態になっている。そういうことを考えると、それ、やれないことは強化したらやれるでしょうけれども、それだけじゃ住宅公団の使命は達成できない。そこへもっていって国民の要望する住宅を積極的に建てるということがこれが住宅公団の私は主なる使命だと思っております。そういうことを考えてくると、自分たちの主なる使命である住宅を建てるために、自家用の必要な宅地住宅公団でおやりなさいと、そして住宅を建てることに専念をしなさいと、その方が国民の要望にこたえるゆえんだと、こういう考え方を私どもは持っている。そのかわり、いまいろいろな隘路のある問題は新しいひとつ事業団をつくって、公団をつくって、この公団で新しい体質で取り組んでみる。じゃ住宅公団でできないものを、それを新しい公団ができたから、それでやる保証があるかと、こう言われると思います。そういう御意見もあったと思うのですけれども、それはこれからの努力の問題です。  そういう問題があるからこそ新しい強力な公団をつくって、この問題とひとつ一生懸命取り組んでみて、国民の期待にこたえなければならぬというのが政治課題だと私どもは思っておるわけでありまして、そういう意味で現在行き詰まっている住宅公団をこれ以上強化をして、しかも本来の使命以外のことに全エネルギーを集中さすような行き方は、決して今後進めていく方策としては私は最良の方策とは考えない。こういう意味で新しい公団をつくって積極的に進めていく。しかも新しい公団は全国を対象にしてやろうというわけじゃない。一番問題になっている三大都市圏だけをやっていこうと。住宅公団は三大都市圏はやらないけれども、全国にはこれは住宅公団としての使命があるわけでありまして、宅地もやらなければならぬし、住宅も建てなければならぬでありますから、そういう面からいって、私どもはここの辺で区分をして、ひとつ新しい機構で出発をさしてもらう方がいい効果が上がるんじゃないかと思っております。非常に大きな責任です。これは議論の分かれ目であって、いろいろと私も率直に言って屋上屋を重ねるようなことは好ましいとは思っておりません。私も本当は野人で官僚じゃありませんから、何か役人の救済場所をつくるような公団をどんどんどんどんつくっていくことは好ましくないと思っています。私はそういう面においては余り積極的ではありませんけれども、この事態でこの問題を解決つけるには、いまの考える時点ではこれ以外に方法はないんじゃないか、そのことが国民の期待にこたえるゆえんではないか。これはもっともこれからの努力次第でありますけれども、その決意を持って臨めば新しい方向は見出せるのではないかという考え方で、実はこの法案の御理解をいただくようにお願いをいたしておるわけであります。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 大臣、お話を聞いて、大臣のお話を否定するわけではございませんけれども、大臣御自身が余りこれは積極的ではないけれども、いまの時期をおいては——これはそういう本心は積極的かわかりませんが、いま言葉の上で積極的ではないけれどもと、これは大臣だけではございません。橋本幹事長の時代にこういう話も出まして、福田行政管理庁長官のときにもこの問題はストップがかかったいろいろないきさつを経てきているわけなんです。  それで、どうしてもわからないのは、宅地開発公団を新設することがこの現在のいろんな隘路解決することになる、これを是とする。いま住宅公団を強化補充するということは、法改正を行いまして宅開公団と同様の権能を付与するようなそういう促進を図った場合、これはできないんだと、公団をつくらなければできない。公団をつくることが是である、現在の強化補充は非であると、端的に言うならば。その解決はいまから努力する、その努力にかかっているというような大臣のいまのお話でございましたけれども、ここらあたりが私自身がなるほどとわかるような、また国民の皆さんがなるほどとわかるような、努力するという努力の二字だけではこれはわからぬと思いますが、もうちょっとそこらあたりを、いまの大演説もわかりましたけれども、もうちょっと具体的にお話し願いたいと思います。
  120. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま大臣の答弁にありましたように、いま一番急がれている問題は、この新しい事態に対応して、しかも国民の期待にこたえるためにはやはりいままでの手法ではいけないので、新しい強力な権限を与えつつ対処しなければいけないということがまず第一にあって、それをそれでは現在の住宅公団の強化という形でいくべきか、新しくここまで来たならば新機構によっていわば一種のデパートに対する専門店と申しますか、それのみの専門店をつくって、その専門店に期待をかけるべきかと、こういった問題の分かれ目であるということをただいまの答弁であったとおりでございますが、それをもう少し具体的に申しますと、現在住宅公団におきましては七十四万戸、これは昭和四十九年末現在でございます、に及ぶ住宅の管理を行っておりますし、それから年六万戸、七万戸という住宅公団の建設の、言葉は変ですが、ノルマがあるわけでございます。これの期待にこたえなければならない。これを早く完遂する必要があります。しかも三大都市圏については重点的にこういう事業を進めていかなければならない。しかも管理面におきましては今後ますます質量ともにこれを改善していくことが必要であり、今度の五カ年計画におきましても恐らくそういう管理面の強化ということは非常に大きなウエートを持ってくるだろうと思いますが、そういう面から見ましても、やはり住宅公団はこの三大都市圏という緊急の場におきましてはむしろ能力的に限界に来ている。  それからまた、自分のところだけの問題ではなくて、公営住宅の用地も足りない、あるいは協会住宅、公社住宅の用地にもこたえなければいけない。そういった首都圏全体が悩んでいる宅地供給するという任務にこたえるためには、住宅公団住宅公団の自己住宅の建設に主眼を置き、そうしてそれらの普遍的な需要に対応するためには新しい新機構によって宅・市街地開発という専門の分野を担当させる新機構をつくった方がいいのではないかという、そこに判断の分かれ目があるわけでございます。私どもは住宅公団の使命というものを非常に評価しておりますし、それからまた三大都市圏におきましては特に公団住宅というものを大量につくっていただかなければならない。これをやっていただきたいということを一方に置きながら、しかるがゆえに、いま申しましたようなもっともっと新しい課題が出てきた今日、これを新しい専門的な機構によって達成することの方が能率的であり、住宅公団の拡充によっても必ずしも一足す一が二にならないのではないか、こういう判断の上に立ちまして、むしろ一足す一は一・五ぐらいにはなりましょうけれども、二にはならないのではないか。こういった比喩的でございますが、判断の上に立ちまして、分離していった方がいいのではないかというふうに考えた次第でございます。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまの御説明で端的に申し上げるならば、住宅公団としていろいろ努力をしてきたけれども、今後管理面において質量ともに改善すべき点がある、能力も限界に来つつある、そういう意味から能率的に住宅公団は自己住宅の建設に主力を置き、そうして専門の分野をつくっていった方がよいんではないかという考えからであるというお答えでございます。そのお考え理解できないわけではありませんけれども、たとえば管理面において能力に限界があるということですが、こういう分野分野に分けた方がよろしいというならば、国鉄を例にとりますと、国鉄の乗客と貨物というのはこれは性格は全然違うべきものなんです。そうすると、これも本来であるならば、いまのお答えのとおりであるならば、国鉄の乗客の収支は黒字である、貨物は赤字であると、そうするならば、これを端的に分けていくならば運賃値上げ等は考える必要はないわけです。この貨物の赤字のために乗客に運賃値上げのしわ寄せが来ていると、こういうところを考えていった場合に、国鉄も分けるべきであると、それでなくして、これは能力を上げるために国鉄という一つの機構内において鋭意検討をしているわけなんです。  そういうことから考えますれば、能力的に限界であると言われますが、国鉄はいま国鉄の職員の方が約四十三万人おるわけです。公社関係で、電電公社が約三十万人、それから郵政関係も約三十万人、こういうような従業員によりまして運営されているわけなんです。そうした場合に、能力的に限界があるということは、ちょっと今回の宅地開発公団新設を是とする理由には私は乏しいと思うんです。だから、国鉄の場合を端的に考えれば、そういうことになるわけです。運賃値上げもしなくていいわけなんですけれども、そういうことと当てはまるか当てはまらないか総体的に考えた場合に、能力の限界という点は、私は限界ではないじゃないかと、このように思うんですが、いかがでございましょうか。
  122. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私の言葉の足りなかった点を補足さしていただきますと、能力的限界と言いましたのは、かつて四十五年ごろは、住宅公団は他へも、一般に分譲する責務を果たさんがために大規模団地等に精力を使ってまいりました。四十五年当時におきましては、それを住建部門——住宅建設部門へ渡す量が大体六割くらいであったのでありますけれども、近時に至りましてはだんだんそれがふえてまいりました。自分のつくったところは現に自分のところで使うという、量的なパーセントもふえております。大体八割ぐらいになっております。そういう点から見ましても、住宅公団は自分の用地の取得ということが非常に大きな課題になっているという意味から、他へ分譲、これ以上膨大な需要にこたえるために他へ、大量の目標にこたえるべく供給するのには限界に来ているという現状で申し上げたのでありまして、これ以上権限を付与できないという、絶対にできないという意味で申し上げたのではないことをお断りしておきたいと思います。  それからもう一つは、そこでどちらがベターであるかという判断の基準につきましては非常に問題があるところでございますが、先ほども例として申し上げましたように、首都高速道路公団というものができます場合に、道路公団と分離するときにもそういう議論がありました。先般本四架橋公団をつくりますときにも、やはり専門の橋であるからということで、道路であってもそういうことの方がベターであるということで、部門を内蔵せずに独立させたというような判断がそこにあったと思うわけでありますし、これは例は適当かどうかわかりませんが、鉄建公団というようなものをつくった理由もやはり機能的に分離した方が、その方が能率的であるという判断を、それぞれ立場は違いますけれども、そういう判断の分かれ目が、機構をつくりますときには一つ政治的選択として、判断の選択の問題としてあったと思うわけでございます。  以上、私どもがいろいろその方がベターであるという数字を並べましたけれども、究極するところはそういう判断に誤りがないかどうかということであろうと思います。私どもは専門化、分化することは進歩の方向であるという一般論を申し上げるつもりはございませんけれども、こういう事態に対処してどうしたらいいかという責任を感じますときに、新しい機構によって新開拓、新分野に専念するものをつくる方が能率的であるというふうに判断したということでございます。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 わかりました。この問題はこれ以上何いたしましても結論は出ないと思いますので、次に進みます。  宅地開発公団が提供される土地勤労者が購入をするわけなんですが、その場合に、勤労者世帯の所得水準はどの程度以上のものであると考えていらっしゃるのか、言いかえるならば最低所得基準、年収どのくらいかということでございましょう。また、その宅地の上に住宅を建設をしなくちゃなりません。そうしますと、合わせますと、どの程度以上の所得水準でなければならないのか、まず御説明を願いたいと思います。  特に三十四条では宅地債券等のことが言われておりますし、そして五年から十年内に積み立てをいたしまして、分譲価格の二分の一の時点で約二百平方メーターの宅地分譲を受けて、残余の金額については二十年ないし二十五年の長期で支払いをしていくという、そういう措置を講じられておりますけれども、それにいたしましても最低所得基準、年収どのくらいであるのか、住宅を建てた場合に。そういうことをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  124. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私どもが持っております資料で仮に積算して申し上げることになろうと思います。その前に、大体持ち家というものの性格は、それを支払い可能額を算定いたします場合には、消費ではございませんので、これは一種の貯蓄でございますから、消費性向よりは貯蓄性向というようなものの方が近いというふうに考えまして、しかも割賦して取得するということを前提といたしまして、返済可能額と、それから収入とを組み合わせた数字でございます。  昭和四十九年で、ちょっと古いのでございますけれども、推定いたしました勤労者世帯の現在の所得階層の、これを五分位で申し上げますと、大体第三分位、二百五十三万五千円と推定されますけれども、第三分位の階層が返済可能額が平均いたしまして七十三万四千円ぐらいになります。この七十三万四千円というところにめどを置きまして、この階層以上の三、四、五分位、これが持ち家を持ち得る階層ではないかというふうに考えておるわけでございます。結論から申し上げます。その積算の根拠は、また御質問があれば後で申し上げますが、第三分位以上の者に、持ち家というものはこの数字で言えば支払い可能である。もっともこれはそれ以下の者は絶対にできないという意味ではございませんで、こういう計算をすればそうなるということでございます。財産の転化でございますから、持ち家を持つということは。支払いとの関連において申し上げますと、そういうことでございます。  その場合のもとになります一戸建て住宅の総額は千三百八十万でございます。土地代がうち六百二十万、上に建つ上物の住宅が七百六十万。中身をちょっと申しますと、土地代は最近の住宅公団の処分例によりまして、大体坪九万円として七十坪を考える。この組み合わせに変動があればまた違ってきます。それから住宅の方は、二十八坪で坪二十七万二千円という数字を使っております。こういう数字もまた組み合わせに変動が可能でございますが、まあこういうことを一応推定して、千三百八十万として推定するならばということで、そしてその支払いの仕方につきましては、いま御指摘のありましたようなイージーペイメントみたいなことを考えまして、三割程度頭金を持っていることを前提とし、残りを住宅金融公庫から六百万円借りる、五分五厘の十八年元金均等で借りる。残りを銀行から半分百八十三万、勤務先から半分百八十三万借りると、こういった推定をいたしましたときに、大体月の支払い額というのがそこで出てまいりまして、年間八十八万ぐらいになる、月に七万三千円ぐらいになる。で、これをボーナス月に仮に十万円ずつ別に入れるとすれば五万四千円ぐらいの支払いになる。こういったことを考えまして、いまの階層別と組み合わせますと、大体第三分位の中以下ぐらいのところから取得可能になるのではないかというふうな積算をしてみたのでございます。これはモデルの一例でございます。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 いま五分位の立場からお話しいただきましたけれども、第三分位の点でとらえていらっしゃるわけなんですが、一、二、三、四、五の分け方の中で一般の住宅を希望される層というものは——三、四、五のこの五分位の方は高額者でございます。順位にした場合には一、二、そちらの方が非常に多いわけなんです。三、四、五の場合は、比較した場合には、これは相対的にした場合には、第三分位以上の人と以下の人とした場合には以下の方が多い。そういうことから考えまして、私はやはり一番最初に申し上げましたとおりに、分譲住宅というこれは、ある特定といいますか、公共の賃貸を望む人たちにするならば、これは考えを改めてもらいたいという声もあるんじゃないかと思うわけなんですが、果たしていま御説明をされましたとおりで、じゃ自分の力で宅地を入手し、そして上家を建てて住むことができる能力のある、解決できる世帯数は全世帯の何%ぐらいと見ていらっしゃるのですか、その点お聞かせいただきたい。
  126. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいまの五分位は、いま申しましたのは関東地方でございますが、総人員を五分の一ずつとして均等にならしておりますので、それぞれ一分位、二分位、三分位、四分位、五分位は五分の一ずつの人数に当たります。  それからなおこの階層は伸び盛りと申しますか、第三分位の者でありましても所得の伸びというものは著しい年代に属しております。そういうことを考えますと、実際には第三分位と申しましても、それ以下の者でも一戸建て住宅の取得が可能であろうというふうにわれわれは考えるわけでございますけれども、現在の段階で見ればこういう形だということを申し上げました。  それからもう一つは、集合分譲住宅の場合も考えなければいけませんので、いまは一戸平家のことを申し上げましたが、公団住宅の例で申しますと、中層あるいは高層の長期割賦分譲方式というのがございます。これによりまして頭金百五十万の当初五年間は元利据え置きで金利五・五%というようなそういう計算方法でまいりますと、大体第二分位ぐらいから取得が可能であるというふうに推計されます。中層で約千二百二十万、高層で千三百七十万、価格はかえって高層の千三百七十万の方か大体一戸建てと同じ——千三百八十万でございますから同じでございますが、支払い方法等が違いますので、この方式であれば第二分位以上の人から取得が可能であるというふうに考えております。でございますから、これは一応のそういう形式的な図式として処分返還可能額というものを決めたものでございますから具体的には変動があろうと思いますけれども、一応のめどになるのじゃないかと思います。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、もうちょっと今度は突っ込んでお尋ねしてみたいと思いますが、三・三平方メートル当たり十万円から十二万円とお話しされておりますけれども、そういう単価で特に大都市圏においてそういう土地を提供したいということでございますけれども、果たして都心からいまさきも説明がありましたとおりに三十キロないし五十キロ圏内でこのような土地を提供することができるかという、今日では用地買収価格でも三・三平方メートル十万円以下で探すということは大変じゃないかと思うんです。その証拠に四十九年四月の地価公示価格によりますと、首都圏の住宅地の価格上昇率は平均三五・九%、その後も高騰を続けているわけなんです。また、五十年二月に不動産センターの発表された数字によりますと、四十九年度は二七・〇七%の値上がりを示していると、こういった状況下の大都市周辺にありまして、いまさきは可能であるという御説明がありましたけれども、私はこういう数字から考えましてむずかしいのではないかと。だから、私はむずかしいと言っているけれども、建設省当局としては可能であるとおっしゃる、その内訳を示していただきたい。こういう理由で可能であるというですね。
  128. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず、一般的に言いまして、宅地の処分価格というのは、用地の取得費だけではなくて、造成工事費、その他負担金であるとか、利子であるとか、あるいは事務費であるとか、こういうものが積み重なって決まるものであります。用地取得費だけで処分価格が決定されるわけではございませんが、しかしながら、これまでの大規模宅地開発の例によりますと、初年度の処分単価というのは用地取得費の大体二十倍までぐらいでございます。一般には約八倍という結果が得られております。仮に用地を一平米当たり五千円で買収いたしたといたしますと、処分価格は一平米当たり約四万円ということになります。こういう見方は経験値から出したものでありまして、もう一つ別の資料から導き出しますと、大体取得価格というのが、最近の東京圏内における幾つかの団地の平均で申しますと、取得費が大体一三ないし一五%に当たっている。それから造成費が大体三五ないし三七%に当たっている。それから金利が二割ぐらいに当たっている。それから負担金——諸種の負担額というのか二割くらいに当たっている。その他一割ぐらいが大体事務費関係でございます。そこで問題は、長くかかればかかるほど金利がかさんでまいりまして、これが宅地に割りかかってくるわけでございます。ですから、今後の宅地をなるべく低廉にしようという努力目標といたしまして、一つフレキシビリティーがありますのはその金利の点のパーセントを下げること。それから宅地に二割割りかかってきますところのその分担金、負担金という面を幾つかのいろいろな助成措置によって下げること等によって、その全体のコストを下げることが可能でございます。  いま申しましたように、仮に五千円で買収したら、結果的には八倍とすれば四万円ぐらいになるということを申し上げましたけれども、それらの中身を分けて考えますと、仮に五千円が一三%になる、あるいは二〇%になるかということは、一つの努力目標はもう一つの要素である金利をどうするか、それから負担額をもう少し減らせないかというような点の、その率を下げる努力とも相まって決定すべきだというふうに考えておりまして、したがって、結論的に申しますと、現在までにいろいろな例で、住宅公団が取得しました同様の大規模な団地の例で申しますと、大体八万円からぐらいの見当になっているということを先ほどの例でも申し上げました。したがって、いまの感じで申しますと、先ほど御指摘のありましたように、いまの庶民の手の届く範囲の額というそういう範囲で言えば十万円見当ということで、それをめどにして努力いたしたいということを申し上げたのでありまして、場所により、またそういう造成費等が高くつくとか、負担金が高増するとかいうようなところは、位置の選択に当たりまして十分配慮しながら、価格がどの程度に落ちつくかということを、当初事業計画に当たりましてこれはめどがつくことでございますから、そのときにしっかりと判断していかなければならないと思っております。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、具体的な問題でひとつお尋ねいたしますが、十年前に開発に着手されました横浜の洋光台地区が三・三平方メーター十万円の分譲価格でされたわけなんです。これはいろいろ話題を呼んだところでございますが、これは都心から約五十キロのところじゃないかと思いますが、いま五千円ぐらいで宅地が購入できるというような、数字の上でございますが、十年前に着手したこの地域がいま十万円で売り渡されたと。こういうことを考えた場合に、いまの数字の説明は一応こういうパーセントでなされているということはわかりましたけれども、パーセントよりも何よりも、そのもの本体の土地というものが五千円で五十キロ以内買えたばかりに、あるいはこれを倍として一万円とした場合に八万円であります。じゃ一万円ぐらいであるかどうか。いまさき私が四十九年四月の地価公示価格を首都圏の価格上昇率三五・九、また不動産センターの発表の四十九年度の二七・〇七という値上がり等の数字が出ておりますけれども、この洋光台は十年前に取得した、それで十万円。じゃ現時点において、いまさきから言っておりますとおりに、果たして十万円から十二万円で出せれるかと、まあこれを心配するわけなんですが、具体的な問題として洋光台の問題を出したわけなんですが、この点はどうでございましょう。
  130. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) ただいま具体的な話が出ましたので、一応洋光台を開発いたしました公団から御説明をいたしたいと思います。  手元に正確な資料を持っておりませんが、ただいまお話のございましたその十万円というのを二、三年前に売り出しまして話題をまいたわけでございますが、これは洋光台の宅地分譲といたしましては一番最後に分譲したものでございます。洋光台全体といたしましては、その前にかなりの宅地債券を発行いたしておりまして、その人たちは大体四万円から六万円くらいの間で——坪でございますが、四万円から六万円ぐらいの間で処分したんでございますが、最後に、やはり予想以上に人口がふえまして、学校をもう一つよけいに用地をつくらなければいかぬとか、いろいろ設計変更が生じたものでございますから、私たちとしては最後の処分につきましてはその時点で適当な価格だと考えまして、従来の処分よりか少し上げたものでございますから、平均価格という数字ではなかったわけでございます。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 平均価格ではないけれども、ゴルフ場の会員権でも最初と後に値段の違いがありますけれども、現実にきょうの時点でなくして、二、三年前に十万円で出されたことは間違いないわけなんです、平均価格は以下でございますけれども。そういうことになりますと、今度は土地の価格をどうするかという問題もそういうことになりますとこちらは質問したくなりますから、現時点において私が質問したことは、十年前に着手して、そして十万円で売り出しをされたと、で、現時点において土地を購入して十万円で売り出しができるかと。どういう経費がかかっているかというパーセントはいまお聞きしたとおりのことでわかりました。だから、この説明を聞いたのでいきますと、端的に一万円そこそこで土地を買わないことには十万円で提供はできない、この数字のとおり。ということは、十年前に着手した洋光台でさえも十万円になっていると、こういうことで私は、大都市圏周辺において、三十キロないし五十キロ以内においてこれが提供できるかどうかということをお尋ねしたわけなんです。だから、平均は安いですと、その議論やったら私はまた質問したくなりますから、それはちょっととめておいてください。とめた方がいいと思います。
  132. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 現実にわれわれが考えております地域は、候補地は東京圏、中京圏、近畿圏におきましてそれぞれ現在まだ公共施設等が整っていないそういう周辺地域を着目して、それが早晩スプロールと申しましょうか、そこに人口が定着する趨勢を先取りいたしまして、そこに市街地をつくろうという場所でございますから、われわれの当たった数字でありますと、五千円ないし一万円という数字の範囲内で取得することは不可能ではない。これは当たってみないとわかりませんけれども、いまの段階では不可能でないというめどをつけております。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、不可能ではないということですから、これはひとつ一生懸命努力をしてください。しかし私は、私の意見としてこれは不可能じゃないかと思いますが、努力するとおっしゃるんですから、これは結果を見なくてはわかりません。これはとやかく言いません。  そこで、この宅造費が、造成費が三五%ないし三七%これにかかるといういま説明がございました。それで、これに関連して質問いたしますが、いま洋光台の問題を具体的に出しましたから、洋光台の問題とこれは関連して御質問いたしますと、日本住宅公団がこの洋光台に手をかけられたわけなんです。現実にはいま京浜東北線がそばを通っております。ところが、住宅公団がここに建設の作業を始められるときには、これは鉄道は敷かれていなかった。しかし、今度の宅開公団の内容を見ますと、いままで住宅公団でできなかった地方鉄道及び軌道の建設等、及び経営等云々ということがうたわれております。そうした場合に、この洋光台そのものの宅地、それに対しましてはこの鉄道の建設の負担費、こういうものは入ってないわけなんです、これには。住宅が建った後に鉄道が、これは国鉄自身で敷いておりますから、住宅公団の負担はかかってない。そうしますと、今後はいまから土地を探して、鉄道が通っているそばにそういう安い土地があればいいんですが、鉄道が通っていないとすれば、そこに鉄道建設をしなくちゃならない。そうすると、その鉄道建設に対する造成費というものは単価に組み込まれなくてはならないと、そうなった場合に、いま端的に洋光台の十万円の分譲価格というものに対して、これがもしも宅開公団のいまの趣旨のとおりに京浜東北線を敷いたとするならば、恐らくこれ以上の単価にならざるを得ないと思うんです。  そうした場合に、まあ住宅公団が建設した宅地というもの、それから今度宅開公団が開発して売り渡される土地というものは値段の違いが出てくるんです。そうした場合に、片方では宅造費に対してその負担が入っていない。だから、鉄道建設等の事業費というものをこういうところに組み入れるということになっておりますけれども、これはそこに入る国民の立場からするならば公平でなくちゃならない、私はこう思うわけなんです。そうした場合に、家賃に直接はね返るような方法はこれは改めるべきではなかろうかと思うわけなんです。こういうことを考えますれば、洋光台の問題を取り上げても、私はこの工事費が加わるだけでも高いものになる。それで、いま用地は五千円ないし一万円くらいで入りますという御確信でございますけれども、私はこういう点を鉄道あるいは水道関連施設の事業を直接施行するならば、当然こういう宅地の分譲価格へはね返ってくるんじゃなかろうかと、こういう点考えまして、いまさっき、もとへ戻るんじゃありませんが、住宅公団の中の一機構としてやるならばこういう負担をかける必要はないわけなんですね。こういう点どのようにお考えであるのか、具体的な例とあわせまして提起をしたわけなんです。どうでしょう。
  134. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま御指摘になりました洋光台の場合は、後で鉄道がついたのでございますが、これは見方を変えれば、そういう鉄道がつくという計画がすでに先行しておって、その周辺部はその効用を含んで先に値上がりしているというような場所でもあったわけである。で、仮にいまそういう計画が全然ないところに公団がそういう計画を持ち込んで鉄道計画と一緒に計画いたすという場合に二つ問題があります。一つは、いま御指摘になったその負担が公団宅地造成費用の中に入り込んで地価に入り込んでくるという問題と、それから周辺地価をまたその計画によって上げるのではないかという二つの問題が出てまいると思います。主として前者について申し上げますと、大体宅地開発公団が主として考えております鉄道というのは、できれば鉄建公団等が、この公団自身がやらなくて鉄建公団等がやる場合等が一番望ましいわけでございますが、どうしてもそういうことが間に合わないとか、いろんな事情でできないということになれば、この公団宅地全体ができませんので、この権限を与えまして最寄りの駅までこれを敷くということをまず考えておるわけでありまして、都心まで直通の、あるいは複線化全体をこの公団で全部やるというようなところまではこの公団では現在のところ無理であり、また考えていない。で、最寄り駅までの鉄道の敷設、これは場所によって長短ございますから、一概にどれぐらいの費用になるということはわかりませんけれども、その鉄道によって足を確保するということをまず第一に考えますときに、まあ例として適当かどうかわかりませんが、多摩の場合等におきましても分担金を持っております。大体それが多摩の場合では六%程度地価にはね返っていると思います。  しかし、これは最寄りの駅までの、主として朝夕の自分の交通を支えるための受益の範囲において、一種の受益者負担として、それだけその土地の効用が増すわけでございますから、その分についてはこれを宅地の効用が上がるという範囲において分担するということはこれはやむを得ない範囲だろうと思います。できる限りそれが六%でないように、四%なり二%なりというような程度に下げ得ることが望ましい方向でありまして、鉄道のみならず水道におきましても、やはりこれができれば県営水道の給水計画の中に組み込まれることが望ましいのでありますが、それが間に合わないときには自分でつくって自分で経営するということも必要でありますが、これらはいずれもその中の全部ではないにしても、その受益の範囲において持つという分は、これは当然見込むべきである。それらを合計いたしまして、先ほど幾つかの団地を平均して二〇%ぐらいになると申し上げましたが、今度の場合は鉄道が入りますから、その鉄道の分というものはこれに付加されるケースがその場合は出てまいります。で、われわれとしましては、問題は、その鉄道の建設費が非常に高くなることによって交通費が赤字になる。それを埋めるために宅地造成の方の費用に割りがけるということは絶対したくない。そこで、経理を分離いたしまして、宅造の会計とそれから鉄道の会計とは分離経理することといたしております。しかし、いま申しましたように、その中でも受益者負担に該当する分は、それは土地を原価で出すとか、あるいは最寄り駅までの土地費は、普通の買うお金とその原価との差額を見るとか、こういう形において負担することはやむを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 この問題はこの程度にいたしまして、問題は、何と言いましても大都市周辺で五百ヘクタールのまとまった土地が手に入るかどうかという、これが問題です。単価の計算よりも何よりも、土地が手に入るかどうかということなんですが、大体どういう方法で土地を取得しようとされるのか、これは確信だけではどうにもできませんけれども、お考えになっていらっしゃる手段についてお聞かせ願いたいと思います。
  136. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団が行います手法は、主として土地区画整理事業、それから新住宅市街地開発事業、それから新都市基盤整備事業、これを代表的な手法として考えております。  区画整理事業におきましては、施行区域の土地を普通四割買収と言っておりますが、先行買収いたしまして、その後その土地を交換分合等によって整理いたしまして、周辺と一緒に市街地として開発するわけでありまして、その先買い地、これは任意買収によって取得することになります。それから新住宅市街地開発事業におきましては、施行区域の土地の全部を一筆残らずこれを収用いたしまして、これを事業用地に充てるという方式でありまして、これは御承知の幾つかの例が先行しておりますが、多摩も一つのその例でございます。それから新都市基盤整備事業によりますと、施行区域内の土地の一定割合を先買いいたしまして、土地区画整理と同様に土地の交換分合を行いますが、その土地を、先行買収する土地については収用権を与えておるという点が区画整理と違う点でございます。  このいずれの方法をとるかということは、その土地の事情によって違うわけでありますし、また地元との話し合い等も大きな要素になろうかと思いますが、それぞれ一長一短があり、それから土地の形状によって性格的に手法も決まってくるというような場合もあります。土地区画整理事業のごときは村落が相当介在しているというような場合に有効でありまして、高島平のごときはああいう土地区画整理事業でやったのでございます。新住の方式は最も望ましい方式でありますが、五十キロ圏と言いましてもなかなか人家等が全然ないというところはまれでございますが、そういう場合には、たとえば千里ニュータウンをつくりましたように、真ん中の集落地は区域から抜いております。ああいうことができれば新住法でやることができます。それから新都市基盤整備事業は、これはまだ例がございませんけれども、宅地開発公団ができましたならば、これは宅地公団がやるのに一番ふさわしい、事業主体を得た手法ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまいろいろな手段を講じて目的を達成されようとしていらっしゃいますけれども、いまお話を聞いた範囲内でこれが目的達成できるかと言えば私はちょっと不可能な点があるのじゃなかろうか。不可能なことはないとおっしゃるかもわかりませんが、私はその場合にどうしても市街化調整区域にも手をつけざるを得ない、そういう事態が出てくるのではないか。これは端的に言ってこういう状態になってくるんじゃないかと思うのです。そうした場合に、市街化調整区域を崩していく宅地開発をやろうというお考えであるのか、まずそこら端的にお聞かせ願いたいと思います。
  138. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 端的に申し上げますれば、大規模なこのような宅地開発事業をやる適地としては、現在の予見のもとに、いろいろな諸種の条件のもとに設定されました市街化区域の中でそれを完全に取得することは困難でございます。したがって、現在調整地域とされているところ、あるいは白地地域とされているようなところに適地を求めるということが必ず起こってくるだろうと思っております。市街化区域も含みますけれども、現在調整区域の中に適地が入っていくということが当然考えられると思います。しかしながら、この開発事業は、先ほど申しましたように都市計画の手法によって、その手続を経て決められる、その事前の段階におきましては地元との協議を調え、また法律におきましては、農林大臣等との新住法のごときは法定協議を済ませてやる事業でございまして、こういう計画的な大規模な事業が現在では予測されていないから市街化区域になっておりませんけれども、これが計画的にはっきりと裏づけがされた段階におきましては、これを市街化区域に編入いたしまして、再調整いたしまして、市街化区域の中でこの計画的事業を遂行していくという形をとることになります。したがいまして、結論から申しますと、調整区域は抑制すべき地域である、市街化区域は開発を計画的に進める地域である、この原則は崩していないのでありますが、この場合に変更するということは予見の変更としてやむを得ないし、またそうしなければ適地は確保できないというふうに考えます。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 一番心配していた点はその点なんです。まあこれは衆議院でも問題になったところでありますし、御承知のとおりに四十七年、四十八年のあの地価の異常高騰の原因はどこにあったのかと、これがそもそも市街化調整区域がすでに大手不動産会社に土地投資の目的によって大量に買い占められている現状であります。御承知のとおりに、法人による土地投機は、個人の長期保有土地の譲渡先が四十四年には法人に対するものが二七%であったのが、四十七年には五五%に倍増している。しかも投機目的のたな卸し資産土地の増加が著しくて、四十二年には全保有地の四%にすぎなかったものが、四十九年には一一%と大幅に増加している。まあ土地だけを考えてもこのとおりです。そして資金の流れを調べますと、十八兆八千億円という、これはもう想像もつかないようなお金が流動しておりますし、そのうちの十兆七千億円が金融機関からの貸し出しによってなされている。これは今回出されました白書の中にも四十八年度の十八兆八千億に上る土地取引の動きを負った主役は法人企業であり、これを後押ししたのが金融機関であるということが明確にこれは発表されているわけなんです。そして大量の土地を取得したまま、いま開発できずにもてあましているのがだれかと言えば、調整区域の土地を持っているこの大手の不動産会社なんです。このときに、いま調整区域は開発はしないという目的は崩していないと言いながらも、ここを開発するようなことになったならば、大手不動産会社というものは願ったりかなったりという形じゃないかと思うのです。私はここを一番心配するわけなんです。  過日、御承知のとおりに私鉄系の大企業が宅地用にと土地を放出したことがあります。一時話題を呼びましたけれども、これも考えてみますならば、いまから考えますれば、市街化調整区域内の土地でありまして、政府に市街化調整区域の開発を許可させるためのおとりと言えば語弊がありますけれども、そういう見方がしないわけでもないわけなんです。そういうことから考えますれば、今回のこういう措置を講ずるということは、大企業の大手不動産会社あるいは大手デベロッパーというものが一番喜ぶのじゃないかと思うのです。こういうことを考えれば、公共賃貸住宅を望むという庶民の声がありますが、あえてこういう市街化調整区域を崩してまでも、言うなれば環境破壊ということも言えるかもわかりませんが、国民を犠牲にしてということも言えるかもわかりませんけれども、これは語弊があるかわかりませんが、住宅産業救済というようなことを、そういう大手の企業救済というふうに考えられないわけはないわけなんです。こういう点を非常に心配するわけです。目的は崩してないということはおっしゃいますけれども、現実にこういう問題が含まれているというこの点に対して、大臣いかがでございますか。
  140. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団が行います事業用地として適地であるかどうかということが一番大きな当初の問題である。かくして事業用地が決まりますれば、それは先ほど申しましたような手法によってこれを取得するわけでございますが、その場合に大手あるいは法人が取得している土地をねらい撃ちして買うというようなことはあり得ないのでありまして、われわれは毛頭そういうことは考えておりません。大手不動産業者等が所有しております土地は、確かに面積的には調整地域の中に持っておる方が市街化区域に持っている量よりもはるかに多うございます。しかしながら、必ずしもそれらは適地とは言えないとわれわれは思っております。で、仮にその事業用地の中に法人の土地が含まれておりましても、われわれはそれを一般と同じように取得するのでありまして、それが一つの法人の、あるいは二つの法人の土地だけで足りるような計画には必ずならないと思いますが、個人たると法人たるとを問わず、これは適正価格で取得するのでありまして、大企業あるいは法人の救助策になるような、あるいはそれの援助になるような、そういうようなことを考えてこの事業を進めていったならば、地元の協力も得られないのみならず、また事業自体にとって大きなマイナスでありますので、その点は十分そういう疑いの持たれないように当初から計画的に進めてまいりたいと思っております。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあ、ちょっとお尋ねしますが、都市計画区域の線引きの見直しの点についてですが、どのようにあわせてお考えになっていらっしゃるのか、いろいろやり方あるでしょうけれども、基本的原則……。
  142. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 新都市計画法が施行になりまして直後に線引きを行いました都市計画区域では、そろそろ五年という期間が経過しようとしております。都市計画法は、この市街化区域、調整区域の線引きに限らず、常に時代おくれの都市計画にしないために大体五年置きぐらいに基本的に新しい事態を調査しまして、その新しい実態に即して必要な見直しをするということを考えておりまして、線引きもその中に入っております。そういうわけで早期に線引きを行いました区域では各都道府県が基礎調査を現に行っておるところでございます。その結果がまとまってまいりますと、都道府県で原案をつくりまして建設省に協議が参ることになります。建設省としても五年たった時期でもありますから、その協議を受けまして、さらに法律で定められました農林省等との協議、それにより農業的な土地利用との調整を十分図った上で最終的に線引きの変更が行われるということになると思います。もっともこの五年間の市街化の動向というものを見渡してみますと、これは各地域によっても非常に違った事情がありますが、全般として申せば、一つには市街化区域を当初相当余裕を持って決められておったというようなこと、そういうこともあって優先的に市街化を図るべき区域であるにもかかわらず、市街化区域内の公共投資がなかなか思うに任せず進んでいない。したがって、これもまたこの機会に大幅に広げるということは、ますます市街化区域とは名ばかりで、その基盤となる都市施設整備がとうてい追いつかないということになってしまう事情があります。国全体の景気あるいは成長の動向も従来とは変わってまいると思いますし、それが都市化の動向にどのように影響するか、少なくとも従来よりは控え目な都市化の傾向になるんではないかと思われます。  なお、ただいま御指摘になりました地価は、非常に微妙なところでようやく安定に向かいつつあるわけでありまして、何かの引き金がありますと、再び暴発するということも優に考えられるわけであります。そういう非常にきわどい時期にあると思われますので、線引きの見直しというものが少なくとも地価の高騰、乱開発というものを再び巻き起こすことのないような慎重な配慮をするのは当然必要である、こういうことが言えると思います。そういうことで、全般論として、私ども五年目が参りましたから線引きを行わないということもありませんけれども、これは極力小幅なものにとどめ、その小幅なものも公的機関による計画的な開発といったものを最優先的に取り上げる、こういったものを主体の必要最小限度の見直しということがこの際考えられるんじゃないかと思っております。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 残り時間があと五分だそうでございますから、いろいろありますけれども、いま線引きの御説明がございましたが、小幅にとどめたいという建設省の方針でございますが、また調整区域内の大企業が所有する土地というものを指定して取得するというふうなことはしないという、これは当然のことじゃないかと思いますが、調整区域内にこれは開発をすることは間違いないわけなんです。そうした場合に、直接特定な大企業の土地ということは建設省のおっしゃるとおりかわかりませんけれども、事実において持っておるわけなんです。だから、大企業が遊休地を大量に抱えておることは事実なんです、調整区域内において。そこへ新設の宅地開発公団がこういう調整区域の土地に手をつけますと、結果的には市街化区域を拡大することになることは明らかなわけなんです。そこで、いま五年ごとに手直しをされるということでございますが、五年前を振り返ってみますと、指定の市街化地域は約五十数万ヘクタールだったと思うのです。そして都市計画の線引きをされたところが、市街化区域は約八十万ヘクタールと見込まれていたけれども、実際には百二十数万ヘクタールになってしまった。これは五年前のことです。このためにこの市街化区域内の水の問題とか、いまいろいろ隘路になっている問題が出てまいりました。そしていろいろな建設とかそういうものが大幅におくれている。現在の市街化区域内を充実することを最優先とすべきではなかろうかと思うわけなんです、広げる前に。それなのに市街化調整区域をさらに開発をして市街化区域に拡大するということは、現在の大都市の抱えているいろいろな諸問題を直視しない姿勢と言われても仕方がないじゃないかと思う。いまの範囲内のものをまず完璧にしてから、それから開発するというなら話もわかるけれども、いろいろな問題がある、開発がおくれている、それもやらずに広げるということはどういうことかと。これは私は政府自身の姿勢の問題だと、これは建設大臣、思うのです。これに対して建設大臣どう思われるのか。  それと、市街化調整区域に対しましては、建設省自体が新都市計画法で原則として開発を抑制すべき場所と大騒ぎをしまして線引きをしたのも事実でございます。もしこの土地をこのように解禁したとなるならば都計法の根本を逸脱することになる。あれだけ大騒ぎをして、そうして業者の救済に行政が介入したと言われても仕方がない。この点を建設大臣としてどうお認めになるのか。また、このような開発に対しまして、千葉県、埼玉県は調整区域内は絶対に開発をさせない、再三にわたって言明をしております。また、神奈川県の場合は金沢海岸の埋め立て問題について問題がありましたが、もう今後はこういうことは住民の反対に遭ってできないということを言明しております。こういうことを考えた場合に、私はこれは慎重に取り扱うべきじゃないかと思いますけれども、私の質問の時間がこれで終わりましたから、ひとつ建設大臣からまとめてお答え願いたいと思います。
  144. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 足りないところは事務当局からお答えをさせますが、第一の線引きの問題でありますが、これは五年たてば見直しするということに一応なっておりますから、そういう点で見直しが行われているところもあるかもしれません。原則として五年前の線引きにはいろいろ問題のあったことも私ども十分承知をいたしております。しかし、一応線引きが決まったとするなれば、おっしゃるとおり市街化区域は開発ができる、調整区域を抑えなければならぬ、これもはっきりいたしておりますから、開発の順序は当然市街化区域から行うべきであって、調整区域にはいくべきでないというのはこれもそのとおりであります。だから今度は、見直しとして出てきますけれども、そういうことを特に逸脱して私は大幅な変更をしようという恐らく意見はないんじゃないかという感じがいたしております。だから、そういう計画が出てくるはずでありますから、決してうのみはいたしません。出てきたものは十分に検討いたします。これは農林省とも相談をせなければいかぬ問題でありますから、最初の方針、法律の趣旨を逸脱するようなことは絶対にさせない、こういう考え方で臨んでいきたいと思っております。  それからもう一つは、調整区域に大企業が土地を所有しているということ、これも私もよく承知をいたしておりますが、これと、宅開公団法が仮に成立して開発をやる場合との関連でありますけれども、先生、最初からいろいろ議論されましたように、まずその適地があるかないかということが先決問題でありまして、仮に適地があったとするなれば、その適地が正当な手段で入手できるかどうかということもこれも大きな問題であります。これはどこまでも地元の地方団体と十分に相談をしながら正当な手段で、正しい方法で適正価格で入手できることがもう絶対の条件であります。これを少なくとも特定の業者の特定の人のために何らか考えるといったようなことは、断じてあるべきことではないということは、私は公団の仕事を進めていくための第一の至上命令である、こういうふうに思っておるわけでございます。そうして最終的な目的は、やはり安い宅地大量供給するという使命に向かって努力していかなければならないことは当然でありまして、いろいろ御心配の点もあろうかと思うけれども、そういった面を考え、そういった面を十分に処置をしながら遺憾のないようにしていきたい、当然のことだと思っておるわけであります。
  145. 小野明

    委員長小野明君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十九分散会      —————・—————