○橋本敦君
天下り問題でだいぶ議論が煮詰まってきているのですが、私は少し観点を変えまして、
補助金行政の問題について
意見を述べさしていただきたいと思います。
これは
先生方も大体御存じのように、いまの
補助金行政というのは、大体これまでの高度成長の
国家財政の
中心的仕組みに応じて産業開発、大
企業関係に非常に多く出されていました。たとえば造船
企業に対する利子補給金だけでも、
昭和四十四年から四十八年まで総額五十億円出ているわけです。ところが一方、今日の厳しい
国民生活の中で、
国民の生活基盤——教育、福祉という面については非常に少ないという問題がある。これが依然として
指摘をされているわけです。
特に私がきょうここで問題にして御
意見を賜りたいと思うことは、通産省関係で技術開発研究費関係の
補助金が大
企業関係に非常に多いということですね。たとえば電子
計算機開発促進費を
昭和五十
年度の
予算で見ますと、百二十四億七千五百万円計上されている。昨年は百五十二億二千五百万円。これが富士通信、芝浦電気、三菱電機、日立製作所、こういった大
企業がつくる研究分野、これが組織をされてそこへ出される。もう
一つ、重要技術研究開発
補助金というのがあるのですが、これが
合理化促進法に基づいて例年出されておりまして、昨年四十九年では四十二億四千万円、これがまた川崎重工、三菱金属あるいは大阪瓦斯、新日本製鉄、日立造船、神戸製鋼、こういった大
企業に研究開発
補助金として出されている、こういうかっこうになっております。で、この問題については、これまで
補助金制度の改善ということでいろいろな答申もあったわけですが、
一つは、
閣議了解、
閣議決定の中で、資本力、研究資金力がある、自立ができる
企業にはなるべくこういった
補助金は出さないようにしようという申し合わせがある。それがあるにもかかわらずだれが見てもはっきりしているような、こういう大資本、大
企業に依然として多額の研究開発
補助金が出されている、これがまず第一の問題であるわけです。
しかも
先ほどから問題になっている
天下り人事を
決算委員会調査室の方で
調査をしていただいた資料を見ると、やっぱり通産、大蔵が民間
企業も含めて
天下り人事が一番多い部類に入っておる。そういたしますと、
天下り人事とも関連をして、
補助金行政がそういう人事の癒着の中で
閣議了解を無視して大
企業に出されているのではないかという問題が
一つあると思います。とりわけ私が通産関係の研究補助費で問題だと思うのは、大型工業技術研究開発費というのがありまして、これは四十七
年度で三十九億であったものが、昨年の四十九
年度では六十五億二千八百万円に上がってくる。これがなぜ問題かといいますと、この
補助金は、
補助金適正化法の適用が第二条で外されてしまいまして、
補助金適正化法による十四条の実績報告の義務がない。あるいは二十三条で決められた各
省庁の立入検査権がない。こういうことが特別の
補助金として大型工業技術研究開発費が工業技術院の委託研究ということで六十五億円も出されたわけですね。で、通産省の重要技術研究開発費でも会計検査院の注意事項として
指摘されているもののほとんどが多額の研究開発
補助金の出し過ぎだということになるんですが、この大型工業技術研究開発費、工業技術院から委託されてこれをやりますと、いま言ったように国の
監督はまるまる及ばないということになる。これは非常に問題だと言わなきゃならぬ。
しかもこれがどういう
企業に出されているかということを聞きましても、かつてこれは公表したことがないんだという通産省の
お話で、まあ
フリートーキングをきちっと事実に基づいて成功させるためにぜひ出しなさいということで初めてもらったんですが、これを見ますと、何とこれまた石川島播磨、川重、三菱、トヨタ、こういった大
企業に出されている。これ通産省発表するのは初めてだと言うんです。こういうことでは、
先ほど行管庁
長官が
補助金行政についても十分の
監察を行ってきたし、行いたいという
お話がありましたが、こういう問題については適正化法が排除されてしまいますと、行管庁の
監察も十分できないままに出されるという大問題が起こってくるわけですね。果たしてこれまで出してきた多額の研究
補助金が
国民の税金を使って
国民福祉に適合するような科学技術の発達に即応するテーマに、しかも実績は出されてきたかという問題になりますと、それは十分に実績報告が国会になされていないということでうやむやになっておる。こういう非常に重要な問題が
補助金行政の特に技術開発を
中心とする通産関係に多いということを、私は
一つ思うんですね。だから、この適正化法を排除してまで
補助金を出すということは、この際
行政監察の
立場から言っても改めるべきではないかと私は思うんですが、行管庁あたりどういう御
意見か、これも明確にしていただきたいわけですね。
とりわけことしの
予算でも高校増設の
補助金が削られるとか、あるいは学童保育の
予算が厚生省が要求したんだけれ
ども必らず削られるとか、いろいろ
国民生活上の問題がある。これとの対比においても
補助金行政は全面的に改める、再検討し直すということがいま大事ではないか。私はこんなふうに思う。