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1975-02-24 第75回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十年二月二十日(木曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十二日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       植木庚子郎君    大野 市郎君       倉成  正君    小山 長規君       塩川正十郎君    正示啓次郎君       安宅 常彦君    岡田 春夫君       楯 兼次郎君    中川利三郎君       安里積千代君 二月二十二日  正示啓次郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和五十年二月二十四日(月曜日)    午前十時開議  出席分科員    主査 正示啓次郎君       植木庚子郎君    倉成  正君       小山 長規君    塩川正十郎君       佐藤 敬治君    島田 琢郎君       島本 虎三君    楯 兼次郎君       広瀬 秀吉君    松浦 利尚君       和田 貞夫君    荒木  宏君       柴田 睦夫君    多田 光雄君       中川利三郎君    中路 雅弘君    兼務 大出  俊君 兼務 田中 武夫君    兼務 竹内  猛君 兼務 栗田  翠君    兼務 沖本 泰幸君 兼務 田中 昭二君    兼務 渡部 一郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         公正取引委員会         事務局経済部長 野上 正人君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         通商産業審議官 天谷 直弘君         通商産業大臣官         房長      濃野  滋君         通商産業大臣官         房審議官    宮本 四郎君         通商産業大臣官         房会計課長   川原 能雄君         通商産業省通商         政策局長    橋本 利一君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         通商産業省生活         産業局長    野口 一郎君         工業技術院長  松本 敬信君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         特許庁長官   齋藤 英雄君         中小企業庁次長 小山  実君         消防庁次長   森岡  敞君  分科員外出席者         北海道開発庁企         画室長     大西 昭一君         経済企画庁総合         計画局電源開発         官       伊藤 謙一君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    渡辺 重幸君         環境庁企画調整         局環境審査室長 大塩 敏樹君         環境庁大気保全         局大気規制課長 鈴木  晃君         大蔵省主計局主         計官      小山 昭蔵君         建設大臣官房技         術調査室長   高秀 秀信君         建設省都市局都         市政策課長   豊蔵  一君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         国土地理院参事         官       村岡 一男君         消防庁予防課長 永瀬  章君         日本電信電話公         社施設局長   山本  孝君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    松村 賢吉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     和田 貞夫君   岡田 春夫君     島田 琢郎君   楯 兼次郎君     佐野  進君   中川利三郎君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     田邊  誠君   島田 琢郎君     広瀬 秀吉君   和田 貞夫君     佐藤 敬治君   荒木  宏君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     島本 虎三君   田邊  誠君     金丸 徳重君   広瀬 秀吉君     井上  泉君   中路 雅弘君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     岡田 春夫君   金丸 徳重君     村山 喜一君   島本 虎三君     松浦 利尚君   柴田 睦夫君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     安宅 常彦君   村山 喜一君     楯 兼次郎君   野間 友一君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   三浦  久君     多田 光雄君 同日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     中川利三郎君 同日  第一分科員田中武夫君、沖本泰幸君、渡部一郎  君、第二分科員竹内猛君、栗田翠君、田中昭二  君及び第三分科員大出俊君が本分科兼務となっ  た。     —————————————本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計予算通商産業省所管  昭和五十年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしくお願いをいたします。  本分科会は、昭和五十年度一般会計予算中、経済企画庁農林省及び通商産業省所管並びに昭和五十年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管について審査を行うことになっております。  本分科会審査日程につきましては、お手元に配付しております日程表により審査を進めてまいりたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  それでは、昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、通商産業省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。通商産業大臣河本敏夫君。
  3. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十年度予算案等予算委員会第四分科会における御審議に先立ちまして、その概要を御説明申し上げます。  わが国経済は、これまで世界に例を見ない順調な発展を遂げてまいりましたが、反面、この目覚ましい成長過程において、環境汚染物価問題の深刻化を初めとするいわゆる高度成長のひずみが顕在化する一方、国際的にも資源ナショナリズム高まり等経済成長制約要因に直面しております。  このような内外経済情勢変化にかんがみ、わが国経済は、今後新しい安定成長路線へとその進路を転換していくことが必要とされております。これはわが国にとりまして未知の道程であり、さまざまの国難が予想されますが、われわれはたくましい国民エネルギーと英知を結集し、新たなる国民的連帯のもとに、当面する諸問題を一日も早く解決しながら、調和のとれた安定成長への道を切り開いていくべきであると考えます。  私は、こうした認識のもとに、国民福祉の一層の充実国際社会への貢献を目指して、通商産業行政を積極的に展開してまいる所存であります。  昭和五十年度の通商産業省予算案及び財政投融資計画の作成に当たりましても、このような基本的方向に沿いまして、物価の安定、公害保安対策充実中小企業対策推進資源エネルギー安定供給確保技術開発促進等重点施策中心といたしまして、一般会計予算二千八百九十二億九千二百万円、財政投融資計画二兆七千九十五億円等を計上しております。  以下、この通商産業省関係予算案等重点事項につきましては、お手元に資料がお配りしてありますが、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 正示啓次郎

    ○正示主査 この際、お諮りいたします。  ただいま河本通商産業大臣から申し出がありました通商産業省所管関係予算重点事項説明につきましては、省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 正示啓次郎

    ○正示主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔河本国務大臣説明を省略した部分〕  次に、重点事項別に、予算案及び財政投融資計画概要を御説明申し上げます。  第一に、物価の安定と消費生活充実につきましては、三十一億六千七百万円の予算を計上しております。  まず、生活関連物資のパニックの教訓にかんがみ、新たに需給価格情報提供協力店システムを整備することとし、八千万円を計上するとともに、物価安定対策流通合理化促進対策消費生活改善対策等充実を図ることとしております。財政投融資計画におきましても、日本開発銀行等流通近代化枠充実を図っております。  また、繊維産業構造改善対策充実するとともに、伝統的工芸品産業振興対策として二億五千四百万円の予算を計上するなど、豊かで潤いのある消費生活実現を目指しております。  第二に、資源エネルギー安定供給確保につきましては、鉱物資源等の探査及び採取技術開発のため、海水希少資源回収技術対策費一億三千二百万円を計上いたしましたのを初め、地熱発電開発調査費八億一千万円、発電用新型炉実用化評価研究費六千三百万円、マンガンノジュール開発等のための経費七億四千七百万円等合計二百三十二億九千三百万円の予算を計上しております。財政投融資計画におきましても、日本開発銀行に、資源エネルギー枠八百七億円を確保するとともに、金属鉱業事業団電源開発株式会社事業拡充等を図っております。  なお、石油対策及び石炭対策につきましては、石炭及び石油対策特別会計におきまして歳入歳出とも、他省分を含めまして一千五百七十八億八千万円を計上しております。このうち、石油対策分は四百七十八億四千五百万円でありまして、特に九十日備蓄を目標とする石油備蓄増強対策費七十一億九千九百万円並びに石油開発推進のための石油開発公団探鉱投融資規模の大幅な拡充(八百億円から一千億円へ)及び同公団の機能の拡充に必要な経費三百六十六億円を中心に計上しております。なお、九十日備蓄につきましては、財投からも日本開発銀行及び沖繩振興開発金融公庫から合わせて二百億円、石油開発公団から五十億円の融資確保しております。  また、石炭対策分につきましては、一千百億三千五百万円を計上して、引き続き第五次石炭対策推進を図ることとしております。  さらに電源立地促進等を図るため、電源開発促進対策特別会計歳入歳出とも三百五億二百万円を計上しております。  第三に、保安確保公害防止対策充実につきましては、対前年度比二三・六%増の百六十六億二千七百万円の予算を計上しております。  まず、一般家庭コンビナート等における高圧ガス爆発事故に対処するため、高圧ガス保安対策費四億百万円を計上する一方、日本開発銀行に新たに高圧ガス保安設備等の枠を設けております。  金属鉱山等蓄積鉱害防止対策につきましては、地方公共団体経費負担を軽減するとともに金属鉱業事業団の業務を充実することとし、二十八億四千万円の予算を計上するほか、同事業団融資枠二十九億円を確保いたしております。  また、財投といたしましては、日本開発銀行公害防止枠を九百二十三億円と大幅に拡充するとともに、前年度に引き続き、苛性ソーダの製法転換緊急対策として合計五百九十億円を融資することとしております。  第四に、中小企業行政の一層の推進につきましては、対前年度比二七・四%増の一千二十二億二千六百万円の予算を計上するとともに財投につきましては、中小企業関係金融三機関の貸付規模を対前年度比二二・六%増の二兆五千五百二億円とするなど、施策全般にわたり大幅な充実を図っております。  中でも小規模事業対策を強力に推進することとしており、小企業経営改善資金につきましては、貸付規模を一千二百億円から二千四百億円へと倍増させ、また、貸付条件改善を行うこととしており、このために必要な予算百六十五億三千百万円、財投千百億円を計上しております。  また、経営指導員の大幅な増員等のため、小規模事業対策費として予算百六十八億九千四百万円を計上しております。  さらに中小企業振興事業団事業運営費五百一億八千三百万円、商工組合中央金庫出資四十億円、信用保証協会基金補助四億円等の予算を計上しております。  第五に、産業構造ビジョン実現産業活動適正化につきましては、二百六十九億八千七百万円の予算を計上しており、また財投におきましてもその充実を図っております。  まず、産業構造知識集約化方向に沿って、電子計算機産業振興対策費として予算百四十五億八千万円及び日本開発銀行融資三百三十億円並びに民間輸送機YX開発費二十一億二百万円を計上するほか、新たに研究開発型新企業育成のため三億円を計上しております。  また、省資源省エネルギー政策を強力に推進するため、広報活動費一億二千百万円、クリーン・ジャパン運動推進費三億二千三百万円、鉄くず対策費一億五千万円等を計上するとともに、日本開発銀行に新たにエネルギー有効利用・再資源化枠を新設いたしました。  第六に、福祉社会実現をめざす技術システム開発促進につきましては、六百七十七億三千九百万円を計上し、また国産技術振興のため、日本開発銀行融資二百六十五億円を確保いたしております。  まず、四十九年度から発足したサンシャイン計画につきましては、三十七億四百万円を計上して、その本格的推進を図っております。  また、大型工業技術研究開発等のため百二十八億二百万円を計上しているほか特許等工業所有権行政拡充強化のために百十五億四千三百万円、沖繩国際海洋博覧会開催のために百八億五百万円を計上しております。  第七に、対外経済政策積極的展開を図るため、百七十二億二千五百万円の予算を計上するとともに、日本輸出入銀行に、貸付規模で九千三十億円を確保しております。  まず、経済協力につきましては、発展途上国の要請に応じた中小企業海外投資推進するため十五億九千百万円を計上するとともに、外務省計上国際協力事業団事業運営費につきましても、充実を図っております。  また、海外における我が国企業活動適正化のため、二千七百万円を計上しております。  以上の一般会計及び資源エネルギー関係の二特別会計予算のほか、アルコール専売事業特別会計歳入二百十億五千五百万円、歳出二百八億六千三百万円、機械類信用保険特別会計歳入歳出二十七億九千九百万円、輸出保険特別会計歳入歳出七百三十一億三千六百万円を計上しております。  以上、通商産業省関係予算案及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  6. 正示啓次郎

    ○正示主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明を終わりました。     —————————————
  7. 正示啓次郎

    ○正示主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。質疑申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  8. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間がありませんので簡潔に質問いたしたいと思います。最近プロパン爆発事故が集中し、激増しておるわけですが、つい最近もプロパン販売業者の方が私のところに見えまして、実はもう戦前から薪炭業をやっておって、最近では家庭燃料変化によってプロパン供給業をやっておるのだけれども、毎日毎晩、消防車の音が鳴ると夜も寝られない、家族が頭を抱えて、ひょっとしたらうちが供給した家庭じゃなかろうか、こういうことで非常にこれは頭を痛めておる、結果的にそうでなければやれやれということで胸をなでおろすというような心境だ、長い間商売もやってきたのだけれども、こんなことでは家族全体が安心して寝られない、実は商売もやめようと思うのだ、こういう訴えをしてきた業者もあるわけです。  そこで、まずお聞かせ願いたいわけでありますが、ガス爆発事故最大原因というのは一体どこにあるのかということを、通産省として把握しておられる点についてひとつ御報告願いたいと思いますし、また、それにつきましてどういうような対応策を講じていこうとしておられるのか、ガス爆発事故をなくするために抜本的な対策というものをお立てになっておるのであれば、この際これらの点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  9. 増田実

    増田政府委員 ただいまの御指摘のプロパンによります爆発事故、これが起こりますことにつきまして、その原因がどこにあるかということのお尋ねでございますが、プロパンにつきまして最近新聞紙上にもその痛ましい事故犠牲者発生が伝えられておるわけでございますが、この原因は、やはりプロパンガスガス漏れが起こる、そのガス漏れいたしましたプロパンガス、これは御存じのように非常に重い気体でございまして、これがなかなか拡散しない、つまりその部屋の中で低いところに沈でんする、こういうことでございますが、それに対しましてほかの原因で火がそこへつきますと、これが爆発して相当大きな事故を起こすということでございます。  この事故発生につきましては、私ども関係業界事故発生を防止するためにいろいろの指導をし、消費者にもこれに基づきまして、取り扱いにつきましていろいろの注意取り扱い指導ということをいたしておりますが、現在に至りましてもまだ発生しておるということにつきましては、私どもさらに一層指導あるいは取り扱い注意をいたさなければならないと思っております。  このプロパンガス事故防止のためには、高圧ガス保安協会を使いまして、ただいま申し上げたような各種の措置を行っておるということでございます。
  10. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それではこの爆発事故最大原因というのは消費者にあるということですか。いまの御答弁では、消費者取り扱い注意を促すとか、あるいは指導を行うという御答弁ですが、消費者にその原因がある、こういうことですか。
  11. 増田実

    増田政府委員 この事故発生につきましては、私は消費者にだけ責任があるということじゃございませんで、先ほど申し上げましたように、ガス漏れの事実というものが発生いたします原因といたしましては、消費者取り扱いの不注意ももちろんございますが、器具の不備その他の原因もあるわけでございまして、消費者取り扱い方が悪いから事故が起こるということだけではございません。もちろん、消費者使用が誤ったことによりまして事故発生しているという事実もいろいろ起こっておりますが、その原因は、供給している者あるいは消費している者、それぞれにいろいろ原因が出ておる、こういうことでございます。
  12. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 いま、消費者にもある、器具その他にもある、こういうことですが、どちらに事故原因が多いかということについてお答え願いたいと思います。
  13. 増田実

    増田政府委員 事故がどちらに多いかというお尋ねでございますが、その原因につきまして、これを分析いたしまして、これは消費者責任、これは供給者責任ということで、なかなか一概に決められないわけでございます。はっきりしておりますものももちろんございますが、両方にまたがるということもあるわけで、どちらの責任が非常に多いということは、これは一概に言えないと思います。ただ、消費者の不注意その他によりまして起こっている事象が非常に多いのですが、その不注意につきましても、それを事前に供給者側が十分に教えるべきであったという点もございますので、これを一概にどちらの責任ということは、なかなか言えないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  14. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 消費者取り扱い上についての注意を怠るという点は、私はやはりあると思うのです。それはそれとして、ガス器具あるいはガス器具に伴う——配管工事は別として、たとえばゴム管を使っておるときのこのゴム管漏れあるいはガス器具欠陥商品、これなんかかなりのウエートを占めておる。もちろん配管についての検査あるいはボンベについての検査、これは行政指導によって供給業者が義務づけられている点について、厳しく点検活動をやっておるか、検査をやっておるかということについて、いま言われるような行政指導等もやれば解決できるわけですが、ガス器具製造業者欠陥商品の厳重な検査とか、あるいは家庭使用しておるガス器具に伴うゴム管製造メーカーに対する規制だとか、行政指導だとかいうようなものは、これは消費者供給業者がどうしようと思ってもどうもできないわけですね。そこらの点は厳格に規制もし行政指導もし検査もし、やっておられるのですか。
  15. 増田実

    増田政府委員 私が聞いておりますところでは、いまのガス器具につきましては、ガス器具の検定の協会がございまして、そこで型式の検査をいたしまして、欠陥商品が出ないように十分な注意をしておるということでございます。事故が起こりましたときに、もしそういう器具原因によってその事故発生しているということがありました場合には、直ちに、その検査が正しかったかどうか、その見直しをやって、そういう起こりました事故が再び起こらないような措置をとるということでございます。
  16. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 ほとんどの家庭ではやはりゴム管を使っているわけですね。メタンゴム管を硬化させて、そしてゴム管が亀裂を生じて、そこからガス漏れをしておるというのが、ガス爆発事故の中でいずれもその点が指摘されておるわけですね。アメリカではゴム管家庭では使うことを禁止されておるということですが、日本ではまだ一〇〇%ゴム管使用しているわけですね。ゴム管使用についていま直ちにということはどうかと思いますが、やはりゴム管メタンに対するところの耐久度というようなものを考えて、製造過程でもう少し厳重に行政指導するとか、あるいは将来にわたって、事故防止のためにゴム管にかわる管を使うというような点は考えておられないのですか。
  17. 増田実

    増田政府委員 ただいま、ゴム管につきまして、アメリカではこれを金属管への切りかえを行っておる、ところが日本では現在まだゴム管使用しておる、そのゴム管が老化して、そのためにその管からのガス漏れというものが生ずる、これについて転換をどう考えているかという御質問でございますが、私どもの方も、このゴム管から金属管への転換というものを現在検討いたしております。  御存じのように、プロパンガス使用は大体全国千六百万世帯を超えておりますので、これを一斉にかえるということにつきましてはいろいろまだ問題がございます。しかしいろいろ事故発生しておりますし、このゴム管というものが相当の原因を起こしておる現状から、これを金属管に切りかえるということを現在検討しております。また、これをできるだけ早く切りかえたいというのが私どもの考えでございます。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると、ゴム管から金属管転換させていくという方向で、この爆発事故の防止のための一環として検討されておるということですね。一体それはいつぐらいをめどにそういうように転換を図っていこうと考えておられるか、お聞かせ願いたい。
  19. 増田実

    増田政府委員 いまの金属管につきまして、この切りかえの問題点というのが、この金属管の曲げを繰り返しますと、若干そこに問題があるという技術的な問題がいろいろありまして、現在、私どもの方の立地公害局の方でこの問題につきまして、専門家の委員会で、この管の切りかえにつきまして技術的な問題の詰めをやっております。そういう意味で、ただいまお尋ねの、いつまでに切りかえるというのは、そこの結論が出ましてからその切りかえを決め、そしていつまでに切りかえるかというものを決めていきたいと考えております。
  20. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間もありませんので、また機会があればもう少し論議をさしてもらいたいと思いますが、私の言いたいのは、ややもいたしますと、消費者取り扱いないしは供給業者取り扱い、そこに重点を置いて、器具なりあるいはゴム管なりに事故原因が伴うということについて、行政指導するのが第二次的に考えられる向きがありはしないかということであります。  そこで、そのことを放置いたしておきますと、爆発事故は、プロパンガスの方が都市ガスよりも事故発生が非常に多いということで、プロパンガスが非常に危険だという印象を国民の皆さんに与える結果になるんじゃないかというように私は思うわけです。そうなってまいりますと、最近、特に都市化する現象の地域では、都市ガスの進出というものが非常に大きいわけです。そのことによりまして、プロパン業者供給業者の中でも、これはメーカーもあれば小売業者もあるわけですが、特にこの小売業者というのは、先ほども申し上げましたように全く零細な、言うならば戦前からの芝屋さん、燃料屋さん、炭屋さんとよく言われた、こういう業者なんですね。ここらの生活の危険を生じてくるおそれがあるわけです。そうでなくても、この国会で上程されることになっております、特に大都市の財源確保のための事業所税の創設に当たりましても、政府原案を見てまいりますと、都市施設という中に、ガスタンク、あるいは電力会社であれば発電所、変電所というようなものが都市施設だということで課税の除外をされておるわけです。一方では、プロパンガスのボンベの置き場というようなものは、これはそうじゃない。そうすると、政府は、そういう税の創設に当たりましても、やはり大企業を頭に置いた考え方に立っておるというように見られてもいたし方ないわけです。申し上げましたように、せっかく長い間、芝屋さん、燃料屋さんということで、家庭とのつながり、消費者とのつながりというのがあって、プロパンガス供給業をやっておる業者にとっては、これはたまったものじゃないわけです。  そこで、あなたの方で、ことしの四月を目途として、零細企業であるにもかかわらず、容量売りから体積売りということでメーターの取りつけということを義務づけられるようにして、かなりの資金をこれらの業者はすでに投下していっているわけです。その投下しておるということを無視して、都市ガスが進出してまいりますと、販路が失われて、そこに何の保障もないということになるわけです。したがいまして、これらの業者の保護のためには、都市ガスの進出に当たって業者が販路を失うということになった場合に、これは、国あるいは都市ガスの進出に当たって利益を受けるガス会社、都市ガス業者、それらのいずれかが、これらの零細企業を保障していくというようなことはお考えになっておられないかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  21. 増田実

    増田政府委員 ただいまお話のありました都市ガス業と液化石油ガス、いわゆるプロパン販売業者との間のガス供給につきまして種々のトラブルが起こっておるのは事実でございます。  従来、都市ガスは人口の密集しております大都市の供給を担当し、液化石油ガスの方は都市の周辺とかいわゆる地方の人口の希薄な地域の供給を行っておるということで、それぞれ分野が一応分けられておったわけでございます。ただ、最近都市が非常に人口がふえて、そうして都市化現象がその周辺に及ぶ。そういたしますと、従来プロパンガスを提供いたしておりますところへ都市ガスが進出する。そこで双方の転換、切りかえに当たりましていろいろのトラブルが起こっておるということでございます。  ただ、私どもの方の考えといたしましては、消費者家庭用燃料として都市ガスを使うかあるいはプロパンガスを使うか、それぞれ特徴がありますし、このいずれを使用するかは、最終的に消費者の自由な選択にゆだねるべきものだと思っております。ただ、その切りかえに当たりまして、先ほど申しましたいわゆるトラブル、摩擦というものが起こっております。これは都市ガス業者の、場合によれば行き過ぎたやり方というのが事実として各地で起こっておるのが報告されておるわけでございますが、私どもといたしましては、この転換が円滑に行われ、両当事者間で円満にその話し合いが行われるということを望んでおるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、問題が起こりましたときにはこの両者間で十分話し合いができるような場をあっせんするということ、また、都市ガス業者の行き過ぎたことが起こった場合に、これに対して指導していくということをやっております。  それで、お尋ねの保障の問題でございますが、この両者間の保障につきましては、先ほど申し上げましたそれぞれ両者間で話し合っていくということで、円満にその解決を図るということで指導していきたいと考えております。
  22. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 現実には、住民の皆さんが都市ガスを使うかプロパンガスを使うかという選択の自由というのがあるわけですが、それは形式的にやっておって、やはり都市ガスの普及、都市ガスの進出というものがこれらの業者を非常に圧迫をしておる、ないがしろにしておる。都市ガス化をしていくためには、やはりあなたの方の都市ガス普及のための法的な援助措置があるわけですから、住民負担も伴って、自治会やあるいは町内会を通じまして、この業者の意向というものを全く無視して進出していく、これが現実ですから、そのことによってやはり小売業者が販路を失った、こういうようになった場合には、当然その原因がやはり国ないしはそのことによって利益を受ける都市ガス業者にあるわけですから、当然その生活保障というようなものはすべきじゃないか、こういうように思うのですが、もう一度お答え願いたい。
  23. 増田実

    増田政府委員 いまの都市ガスの普及によりまして、液化石油ガス販売業者がそのために商圏を失うということが現実に起こっておるわけでございます。ただ現在、この液化ガスの供給は、先生御存じのように大体千七百万か八百万世帯でございます。それから都市ガスの方は現在一千百万世帯で、普通常識的には都市ガスの方が多いように思われておるわけですが、現在ではいわゆるプロパンガスの方が全国的にはむしろ家庭燃料としては大きな地位を占めておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、都市が周辺に伸びましたときにそこでいろいろの問題が起こる。従来非常な努力をして、そしてようやくプロパンガスの供給を行ってきております業者に対しまして、この都市ガスが一挙にその商圏を奪うということが出ておるわけでございます。これらの問題につきまして、私どもも決して都市ガス業者に対してだけ味方するとか、それだけを保護して、プロパン業者に対しまして不公平な取り扱いをいたしておるつもりはございません。両者の間の円満な話し合いを進めるべく努力をいたしておりますし、また、それによって円満な話し合いができました例も非常に多くあるわけでございます。ただ不幸にして、なかなかこの問題が解決しないで、裁判問題になっている地域も一カ所かあることは存じておりますが、保障の問題につきましてはできるだけ両者間で話し合いをする。両者間の話し合いにつきましては、政府としてもその話し合いのできるような場をつくり、そこで円満に話し合いができるように指導していく、誘導していくということで努めていく所存でございます。
  24. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間も参りましたので、この辺で終わりたいと思いますが、何か質問が中途半端になりまして物足らないわけですが、プロパンによるところのガス爆発の原因というのは、これは単に消費者あるいは供給業者にさも原因があるというようなことじゃなくて、やはりガス器具にもその大きな原因の要素があるんだ、こういうことでガス器具ゴム管製造業者に今後ともひとつ行政指導をしてもらいたいと思いますし、さらに、そのことを放置されると、申し上げましたようにプロパンガスというのは恐ろしいものだ、こわいものだ、こういう印象を与えて、都市ガスの普及というものがより進捗をして、小売業者に生活権なりあるいは営業権が奪われる、こういう結果になるわけでございますので、これらの点につきましても、今後都市化に伴うところの小売業者の保護の問題、あるいは申し上げましたように、メーターが義務づけられておるわけですが、消費者にもあるいは小売業者にもかなりの負担をされておるのですから、それがそのまま都市ガスの進行によって消費者や小売業者が犠牲になるというようなことにならないようにしてもらいたいと思いますし、また、都市ガスと小売業者との間に紛争が起こるというような場合には、積極的にその紛争処理のための処理機関を行政庁の中で、府県や市町村に設置させていくというようなことも考えてもらいたいと思いますし、さらには都市ガス業者が今後供給区域を変更していく、そういう場合には必ずそれぞれの地域の小売業者の団体もあるわけですから、そういう団体と協議の上でそのような許可を与えていくというようなことにひとつ注意を促したい、こういうように思うわけですが、これらの点につきまして最後に大臣の方からお答え願いたい。
  25. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまいろいろ問題点を指摘されましたが、御指摘のような方向で努力してまいりたいと思います。
  26. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、島田琢郎君。
  27. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 私は、電気、電信電話の電柱の敷地の借り上げの問題について若干の質問をいたしたいと思います。  まず電信電話公社の関係でお尋ねをいたしますが、いま全国で大体どれぐらいの電柱があるのですか。そして、それに支払われている敷地料はどれぐらいになっていますか。
  28. 山本孝

    ○山本説明員 現在、電電公社におきまして全国に有する電柱は、おおむね千百二十万本ぐらいであろうかと思います。そのうち敷地補償料の対象となるものは、私有地に入ったものだけでございますが、約二割強でございまして、現在、毎年取得している電柱の支出まで全部を含めまして三十億少し払っているかと思います。
  29. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 通産省、この電気の関係の本数と借り上げ料はどれくらいになっているのですか。
  30. 増田実

    増田政府委員 電力会社、これは九社ございますが、九社の合計を申し上げますと、いわゆる私の方で支持物と言っております電柱、鉄塔その他でございますが、これの数の合計が千三百十二万四千基ということで私ども数えておるわけでございます。  それから、これに対して支払っております金額でございますが、現在、これは四十八年度実績でございますが、九社で払いました金額の合計額は三十三億八千万円となっております。
  31. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 電電公社それから通産省両方にお尋ねしますけれども、そのうち農地にかかわる部分はどれくらいになりますか。
  32. 増田実

    増田政府委員 先ほど申しました千三百十二万四千本のうち、農地に立っておるものの数字が手元にございませんですが、ただ民有地にありますものが約七割ということでございます。
  33. 山本孝

    ○山本説明員 電電公社におきます電柱のうち、田畑など農地山林まで含めまして、四十八年度末で約二百四十万本ぐらいではなかろうかと思います。
  34. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 そうすると、電信電話の場合五分の一強が農地に建っている、こういうふうになるわけですね。これは金額にしますとちょうど五分の一というふうになっているのですか。
  35. 山本孝

    ○山本説明員 その以外の約八割のものにつきましては道路に建っておりまして、これは無償で使用さしていただいております。
  36. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 いや、私の聞いたのは、二百四十万本あるんだけれども、先ほどの借り上げ分つまり金を払っている分が三十億だ、そうすると農地というのは、その建っている本数の割合からいって五分の一だから六億と解していいのか、そういう質問をしたつもりであります。
  37. 山本孝

    ○山本説明員 五分の一と申し上げましたのは、現在電電公社で持っています電柱全部に対しまして農地関係にありますのが約五分の一ということでございます。  それから先ほど三十億強と、ちょっと正確な数字が手元にありませんが、申し上げましたのは、その年度に新しく建てましたものに対する支出、それからいままで建っておりまして契約更改で新しく継続をして支出しているものを含んでの数字でございます。  それで、新しく建てる方の額につきましては、一般の工事その他の工事も含めておりますので、正確な分計というのはちょっと出ておりませんが、いわゆるいままで建っていて契約が過ぎまして、新しく契約したものにつきまして支払っている額というのが、そのうち大体五分の一ぐらい、ちょうど同じような関係になりますけれども、五分の一ぐらいじゃなかろうかと想定しております。
  38. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 この電柱一本に対しては平均すると大体どれくらいの面積になるのですか、電電公社も通産省も。
  39. 増田実

    増田政府委員 電柱一本について私どもの計算では〇・一平米で計算しております。
  40. 山本孝

    ○山本説明員 全部の数字はちょっとはっきりしておりませんけれども、一般の電柱につきましては一・七平米をその対象にしております。そのほかの支柱でありますとかあるいはケーブルその他につきましてはそれぞれ算定をいたしております。  それから先ほど申し上げました三十億強というのは、全部農地関係に払っている額でございます。
  41. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 そうすると何かちょっと数字が合わないような気がしますが、そうするとこういうことですか。この借り上げ分は二割しかない、全体八割は無償である、この二割は全部農地なんだ、こういうふうに理解していいわけですね。
  42. 山本孝

    ○山本説明員 正確なパーセンテージはちょっと申し上げられないのですけれども、大部分、ほとんどのところが農地関係と心得ております。
  43. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 通産省、いま電電公社では電柱一本当たりの使用面積は一・七平米という説明でした。通産省はえらい少ないのですね。〇・一平米じゃ、これは電柱は見ただけでもこんな大きさが違うんですね。これはどういう積算根拠なんですか。
  44. 増田実

    増田政府委員 先ほど御説明いたしました〇・一平米と申し上げましたのは、つまり電柱の占めている土地の広さが〇・一平米でございますが、一応この敷地料と申しますか、この計算では大体一・七平米と申しますか、単価に対しまして半坪で計算する、坪数で申すとあれですが、一・七平米前後ということになるわけでございます。ですから、その意味では一致しておるわけでございます。
  45. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 電電公社もそうしたらそういう計算ですね、いまおっしゃっているのは。電柱一本の面積ではなくて、借り上げするときのいわゆる敷地、計算の根拠になっている敷地が一・七だ。
  46. 山本孝

    ○山本説明員 そのとおりでございます。
  47. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 そこで、いま三十億、通産関係での計算は三十三億、約三十四億という説明でございました。大体払っている金額は同じなんですが、この両者に言えるのは、この積算の根拠が果たして一致しているかどうかが私は聞きたい点なんです。まず電電公社からこの積算の根拠、つまりその中にはいま言った一・七平米が基準になって単価が幾らでということになるわけですね。そういう積算の根拠をちょっと明示してくれませんか。
  48. 山本孝

    ○山本説明員 いまの本柱で申し上げまして一・七平米と申し上げましたが、この例で申し上げますと、電柱敷地補償料のわれわれ算定の根拠といたしましては、先ほどの対象の坪数に対する借地料相当分と、それから電柱があることによります労力損も見込みまして算定をしております。この借地料相当分は、日本不動産研究所の数値を、それから労賃につきましては農林省の数値を使いまして算定しております。  なお、電電公社におきましては、この補償料につきまして、社内でございますが、電柱敷地補償調査会というものをつくりまして、そこに社内委員のほかに、通産省、農林省、自治省それから林野庁、それから国鉄、電気事業連合会、それから全国農業協同組合の中央会、全国農民総連盟、そのほか大学の先生の方にも入っていただきまして審議していただきまして、四十年の一月にその答申を得まして現在の方式でやっております。その後おおむね三年間を目途に改定をしてまいりまして、この五十年度も、大体三年目になるものですから、せんだって来、農業協同組合中央会の方、それから全国農民総連盟の方々と御相談いたしまして、ようやく協議調いましたので、議定書をつくりまして、現在郵政省に公衆電気通信法の施行令の改正方をお願いをしております。
  49. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 そうすると、いま言われた関係との間で、その根拠になるものについては合意は十分得ているということですね。ことしはそれにかかわる部分の予算の要求もしている、こういうことでありますが、ことしは相当値上げになる見通しですか。
  50. 山本孝

    ○山本説明員 本柱の例で申し上げますと、大体六〇%強の値上がりになるかと思います。たんぼの例でございますが、現在本柱年額二百八十円が四百五十五円という数字になろうかと思いますが、全部平均いたしまして先ほど申し上げたような数字になります。
  51. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 局長、通産省ですけれども、電気の電柱についてはどういう積算根拠とどういう方針に沿ってこれを改定し、現地の納得を得ているんですか。
  52. 増田実

    増田政府委員 電気事業者の電柱敷地料につきましては、先ほど日本電信電話公社から御説明がありましたが、この電信電話公社の改定が行われますと、それに合わして改定をする、こういうことになっております。これは大体昭和三十二年ごろから日本電信電話公社の方の改定が行われ、この改定には私どもの方も、先ほど御説明ありましたように御相談にあずかって、一緒にこの内容につきましてはタッチしておるわけでございますが、これが決まりますと、従来の例ですと約一年くらいおくれておりますが、同じ内容で改定をするということになっております。したがいまして、先ほどの例でいいますと、たんぼでの借地料が二百八十円ということになっておりますが、これは日本電信電話公社の二百八十円と電力事業者の二百八十円と現在は同じでございまして、それから、近く電信電話公社が改定を行うということになっておりますが、その改定が行われればそれに合わした改定を行う、こういう予定になっております。
  53. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 この一年おくれというのはどういう理由があるんですか。たとえば、一年おくれに審議をする、結論を出す、しかし一年さかのぼるということなら別ですけれども、いまのお話によると、さかのぼらないんでしょう。一年おくれるというのはどういうわけですか。
  54. 増田実

    増田政府委員 この一年おくれることにつきましては若干問題点になっておりますが、先生御存じのように、電力料金につきましては認可料金になっておりますし、また最近、非常に電力会社の経営が苦しくなっておるということで、若干の猶予期間を経て行っておるわけでございます。ただ、本来からいいますと、この電信電話公社で行いましたものに準じて同じでやっていくわけでございますから、一年おくれるということにつきましては、御指摘のように問題点である、こういうふうに私どもも思っております。
  55. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 問題であるとすれば、やはり長官、これは直さなければいけませんね。少なくとも、私は、電電公社の方針に準拠するということ自体が本当はいかぬと思うのですよ。やはり同じ電柱といいましても、太さも違えば、立っている場所も違う、間隔のメーターも違いますね。そのように違うのですから、電電公社の方に寄りかかって、そっちの方で答えを出したら、おれは一年おくれで追いついていくぞ、ついていくぞ、追いついていけばいいんですけれども、ついていくぞというような方針では、やはり現地は納得しないと思うのですね。やはり問題点であると長官みずからお考えであるならば、私は直ちにこの改定をするという姿勢がないといかぬと思うのです。  それからもう一つは、いま言ったように、電電公社とは別に、電柱に関しては通産省がきっちり行政指導をされて、そして正確な敷地料をはじき出すということが私は大事だ、こう思うのですが、いかがです。
  56. 増田実

    増田政府委員 確かに御指摘のとおりだと私も思いますが、この電柱の敷地料の算定につきましては、いろいろ全国農業協同組合あるいは全国農民総連盟との間に非常にむずかしい交渉が行われておるわけでございますが、従来、これは先ほど申し上げましたように、昭和三十二年以来、電力業者の方が独自にやらないで、一応話し合いで電電公社の方で定まったものを踏襲する、こういうことになっています。ただ、電柱の性状その他につきまして違う点がある場合には、それぞれそれに応じて差を設けるべきものだと私も思っております。  それから一年おくれの問題につきましては、確かに電電公社の方がそれできめたのに、電力業者がさらに一年おくらしてやるということにつきましては、これはいろいろな理由もございますが、しかし理論的に言えば同時、あるいは電電公社が決まったらすぐに改定をすべきものであるというふうに思います。こういう点につきましては、ただいまの御指摘もございましたので、私どもの方も、関係団体その他ともよく話をいたしまして、できるだけこれを繰り上げるような指導をしていきたいというふうに思っております。
  57. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 それは直してもらいたいと思いますし、直さないといけません。しかも、先ほどから幾度も言っておりますように、電電公社の方の方針に寄りかかるというような姿勢に根本的に問題がある。それをまずやめて独自の、電電公社が三年後という点を、いまのような物価の状態あるいは労賃の上昇、こういうもろもろの経済事情というものが目まぐるしく動いているときですから、電力会社は率先して敷地料の改定をやるということがないと、電柱を畑の中に立ててもらったら困る、すでにそういう考えが強く現地にはありますので、それはいま時間がありませんから長長言うことは避けますけれども、電柱一本立っておることによって大変なロスが起こっておるのですね。本来ならば、われわれの土地に立っておるやつだから撤去せい、こう言ったって本当はいいわけですけれども、これは公益的な施設ですからそこまで言うのはいけないことですが、しかしずっとこの先、また何十年も踏み耐え、またがまんをしていかなければならないということを現地に強いておって、敷地料は一年おくれで払っていくわ、責任の所在は結局は電電公社の方でやったのだからということで明確でないわ、こういうことでは、この制度についてはきわめて前時代的と私は言わざるを得ないと思うのですよ。ですから、そういう意味で、いまの点についてはしっかりとひとつ改定をするという考え方に立って、この二点はぜひお進めを願いたいと思います。  それから、木柱と鉄塔があるのですけれども、木柱のことにつきましてはいまちょっとおきたいと思いますが、どうも不都合だと思うのはこの鉄柱ですね。鉄柱は御存じのとおり足四本で立っておるものですから、その占める面積も大変な面積になります。これは木柱と違ってコンクリートでぎゅっと押しつけて地下に固定してしまうものですから、これは一回立てられますと、もう永久にこの土地の利用というものはスムーズにいかぬ、こういうことですが、この鉄柱の積算いわゆる面積の計算もおかしいし、それから借り上げ料の積算の根拠もまことに私どもは理解できない。この点は大きな改正が必要だと思うのですけれども、長官はどうお考えになっていますか。
  58. 増田実

    増田政府委員 いま、鉄塔の問題でございますが、ただいま先生からお話がありましたように、電柱と違いまして相当大きな面積を占めておりますし、またそれを固定いたします。それから相当高圧の電力を上で通すわけでございますので、それに応じた補償をいたすべきものでございます。ただ、鉄塔敷地につきましてはできるだけ所有権を取得するということで、借地でやる場合はむしろ少ないわけでございます。ただ借地の算定に当たりましては、占める面積以外に、やはり先ほど申し上げました電線を走っております電圧その他を含めまして、そして計算をいたしまして借地料をきめるということで、むしろこれにつきましては、統一基準というよりも、個別のケースでそれぞれ単価が決まっておるというのが実情でございます。
  59. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 現地の電力会社は、これらの改定に当たって相当前向きだと、私、思うのですよ。ただ、通産省が電気料金の値上げとかそのほかの条件を指示するに当たって、このコストを正確に認めていないのじゃないかという気がするのです。これはいかがなんですか。
  60. 増田実

    増田政府委員 電力料金の査定におきましては、これはそのときのコストで査定するということになっておるために、その値上げの余地というものが非常に少ない。この点に電力業者が、料その他の値上げにつきましてコスト計算の中に入っていないということで、その値上げにつきましてなかなか値上げをすぐにしないという点が出ております。これは、電力料金の計算の方法にもいろいろかかわるわけでございますが、私どもといたしましては、非常に近い時期に、すぐに行われますコストの値上げその他につきましては算定の中に入れておりますが、まだ不確定なものにつきましては、電力料金の中に算定するわけにいきませんので、それらが落ちている、そこに、先生御指摘のような非常に弾力性のない点が出てきておるということは、そのとおりでございます。
  61. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 長官は、私が指摘した点については全部お認めになっているのですね。直してくださいよ。こんなばかな話はないですよ。ですから、現地で非常に電力会社の皆さん御苦労されている、正直言うと、われわれとの間でいろいろやり合って。電力会社の皆さん方は、農家の皆さんがおっしゃっていることよくわかります、しかし、わが方にも一つのコストがございまして、このコストを正確に通産省が認めてくれるということがないと、なかなかこれはやれぬ、こういうニュアンスで説明がなされておりますね。ですから、私が最初に申し上げましたように、敷地の問題、電柱の問題については通産省が所管なんですから、余り枠をはめちゃうと、企業は一番弱いところにしわ寄せをしていかざるを得ませんね。いつも被害をこうむっているのは電柱を貸している農家なんですよ、きょうは農家に限定して申し上げておきますけれども。以上申し上げた三つの点は全部、長官が、おっしゃるとおりです、これは大変問題がございますと認めている。これはきょうを機会にして、ぜひひとつ即刻改めていただきたい、こう思います。  それから、もう時間がなくなってきましたが、もう一つものすごく前近代的な問題があるのです。というのは、電気を引っ張ってもらったときの条件みたいなものが昔あったのですが、今はそんなことはないそうですけれども、メーターをはかる検針、それから集金、これを現地がやっているのですね。この料金だってものすごく安い。私もその一人です。メーターをはかりに行きます。料金も集めております。払われる手数料なんというものは話にも何にもならないのですよ。きょうは時間がないから細かなことは言いませんけれども、これだって改めてもらわなければならない大事な点です。これはどうお考えなんですか。一号検針、二号検針、いろいろな規則を設けてやっているんですけれどもね。
  62. 増田実

    増田政府委員 検針あるいは集金につきましての委託費の問題でございますが、これらにつきましては、電力会社とその委託先との間の取り決めによって決まっておるわけでございます。これにつきましては、私どもとしましては、電力会社と委託先側との間で、円満な、円滑な話し合いのもとに、この委託費の額が決定されるということを望んでおりますし、またそのように指導してまいる所存でございます。
  63. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 これは一番最後の答えは、まことに奥歯に物がはさまっておりますな。これは直してください。調べてみてください、長官。ものすごくこれはでたらめですよ、私に言わせれば。ですから黙って、唯々諾々としてやる者については、その部分しわ寄せをして、損がわかっておったって直そうとしない。こういうことをそのままにしておいて、電気料金の値上げだ何だなんて言ってきたって、それは現地は心情的にもなかなか納得できないものなんです。これは即刻ひとつ、四点目として、長官、直す、直すように行政指導する、この一項を私は明快な答弁をいただいて、この質問を終わりたいと思うのです。
  64. 増田実

    増田政府委員 ただいまの委託検針あるいは集金の問題につきましては、これは私の手元にいま北海道電力の数字が出ておりますが、四十八年から四十九年へのアップ率、この一号検針につきましては二九・五%上げております。それから二号検針につきましては三一%上げております。集金につきましても、ほぼこれと同じくらいの値上げを行っております。これが値上げ率として適当かどうか、もちろんいろいろ御議論があると思いますが、ただ、私が申し上げましたのは、この検針、集金の率につきましては、電力業者と委託先との間に円満な話し合いが行われて、そうして適正な価格で、この委託が円滑に行われることを望んでおるわけでございます。
  65. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 もう満足できるような答えが出なければ、返上してもいいですね。これは返上します。とってもかなわないのですよね、忙しいときに検針したり集金したり。これは電力会社に協力しているわけです、われわれも電気を引っ張ってもらっているから。でも、やっぱり限度があります。とてもたまらぬというような値段で押しつけられていて、現地は納得して円満解決したと通産省で御理解されているのであれば、われわれとしては、申しわけないけれども、これは電力会社にひとつ返上するからおまえさんの方でみんなやってくれと、こういうふうになってもいいですね。
  66. 増田実

    増田政府委員 私から申し上げるのは、電力会社と十分お話し合いいただきまして、この委託事業が円滑に行われることを、私としては望んでおるわけでございます。また問題がありましたときには、私どもも、この問題につきまして、そのあっせんその他話し合いの場をつくるということにつきましては、努力いたしたいと思っております。
  67. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 はい、了解です。それじゃ、そういうことでやってください。お願いします。  終わります。
  68. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて島田琢郎君の質疑は終了いたしました。  次に、田中武夫君。
  69. 田中武夫

    田中(武)分科員 きょうは、ひとつ植物の特許について若干の質問をいたしたいと思います。  現行の特許法で、植物の種とか苗についての特許は認められていない。現在、特許法等は工業所有権法と言われておるように、工業を中心として決められておる。だが、しかし、特許法の第一条の目的「発明の保護及び利用を図ることにより」云々、この第一条の目的を見る限り、あえて工業製品あるいは工業に関する方法だけに限るということではないと思います。現行の特許法で、植物特許についてできるのかできないのか、まずその辺からお伺いをいたします。
  70. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 いま先生がお話しのとおり、第一条には、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。」とございますので、植物だけ特異な取り扱いをするようなことではございません。  いま先生からお話しございましたような植物特許を大別いたしますと、四つぐらいあると思いますが、植物自身の新品種の発明の問題、それから植物の新品種の創生方法の発明の問題、あるいは植物に処理を施しまして、発生でありますとか、あるいは病虫害に対する問題でありますとか、収穫とか、いろいろそういう影響を及ぼす問題、あるいは植物を利用する手段の発明の問題といろいろございますが、私ども現在は、いま四つ申し上げましたうちの後の二つにつきましては、発明に関しましての特許というのは数多くございます。それから一につきましては、新品種の問題は、これは見方がいろいろございますけれども、ほとんど例がないというふうに考えております。それから、二につきますいわゆる創生方法につきましては、若干でございますけれども例がございます。以上のようなことでございます。
  71. 田中武夫

    田中(武)分科員 この第二条の定義、これも長いから要約いたしますが、一口に言って、物の発明について、その物を生産する方法、及びその方法を使用して云々というのが、一口に言っての定義だと思うんです。これを見ても、植物を除くということにはならないと思うわけなんです。植物についても品種の改良、優良な品種、あるいは量産方法等について、それぞれの分野で血のにじむような辛苦努力が続けられており、この努力の結果に対して、特許と同じようなというか、保護が必要であると思うんです。その点についてはいかがでしょうか。
  72. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 先生いま特許法の二条の条文をお読みいただきましたが、もちろんそのとおりでございます。それで新しい品種をつくり出す品種自体の問題と、創生方法の問題と、細かく分けますと二つございますが、新品種自体の問題につきましては、実は現在のところほとんど例がございませんが、これは発明のところの定義にもありますような、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるということで、これが出てまいりますいわゆる反復可能性があるかないかという点につきまして、まだ十分な解明がなされておりません現在におきましては、特許というものはほとんど例がない、こういうことになっておるわけでございます。創生方法につきましては、先ほど申し上げましたように、これは例は少ないわけでございますが、例はございます。
  73. 田中武夫

    田中(武)分科員 その創生方法になるのか、品種になるのか知りませんが、私、最近たまたまバラ研究所なるものを見る機会がありました。そこではいろんなバラを配合というのですか、かけ合わせて、そうして新しい品種をつくる。そうしてそれをたとえばフランスとかイギリスとか等と交換をしておる。だが、後で申し上げますが、それらの国には、名前はいろいろありますけれども、特許と同様な保護がある。日本にはそういう手厚い保護がないために、いろんな面において支障がある、そういうような話を聞いたわけなんです。たとえば、もちろん自然的現象というようなものが若干加味はせられるけれども、しかしこちらの種とこちらの種というか、おしべ、めしべというのか何か知りませんが、それをかけ合わす、配合する、そうして新しい品種をつくっていく。これはいわゆる工業生産品に対するいろんな方法、これは化学もございましょうし物理的なものもあろうが、そういうことと何ら変わりないんじゃないか、私はそのような感じを受けたわけなんですが、私は、あえて法改正を必要と、最後にはそういうことにお願いしたいと思うんですが、そういうことじゃなくたって、現在の法律だって、やろうと思えばできるんじゃないか。それを禁止する積極的な規定はない。したがって、たとえばいままでにそのような申請があったのかなかったのか、あるいは今後そういう申請がなされた場合にどのように扱おうと考えておられるのか、その点をお伺いいたします。
  74. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 先生の御質問のうちの、従来そういうふうな出願がなかったかどうかということでございますが、いまお話しのような例にぴったりしたような例は、実は私どもほとんど耳にしておりません、いわゆる高等植物につきましての、ことに有性繁殖の場合のそれが反復可能性が出てくるかどうかという点につきましては、学問、現在いろいろ進歩はいたしておりますけれども、まだ十分に解明できない点があるようでございまして、したがいまして、特許された例も実はないわけでございますが、下等植物につきましては数件例がございます。たとえばパン酵母の交配、育種の問題でございますとか、そういうふうな例がございまして、そういうものは、それが客観的に立証できるということで、特許になっております。したがいまして、今後そういう出願がございました場合に、私どもその出願の内容を、これはもちろんケース・バイ・ケースでございますが、そういう反復可能性あるいは安定性というものが明細書の中において立証ができますならば、特許をいたすつもりでございます。
  75. 田中武夫

    田中(武)分科員 実は元特許庁の審査官というか職員で、いま弁理士をしておる人にもいろいろ意見を聞きました。しかしその弁理士の人は、やはりどうもだめなんだ、何とかしてもらわないと、といったような、これは元の審査官というか特許庁の人なんです。そういうような意見も聞いております。また、これは農林省の方にも、むしろその方に関係が深いかと思うのですが、わずか三十分ですから、私は議論をここでしようとは思いません。しかし、たとえばアメリカでは植物品種保護、イギリスでは植物品種及び種子というか、秘法というのが一九六四年に制定せられておる。フランスでは植物新品種の保護に関する法律、そのほか西ドイツ、オランダ、デンマーク、スウェーデン、北欧諸国にはいろいろあるわけなんですね。私が聞いた話では、私が行った日本のバラ研究所で、そういうような新品種というか、バラをつくり出すというか、そうしてそれをフランスへ持っていって、フランスではそれにサムライという名前をつけてやっているようであります。  そこで、農林省もおいで願っておりますが、日本でも農林省関係の法律で、農業種苗法ですか、また植物の新品種の保護に関する国際条約もあるが、日本の実情はいま言ったように、まあ先進国というか、アメリカ、ヨーロッパ、北欧等に比べて、その保護が薄いというか十分でない、そのためにいろいろな面で支障がある。まあ輸出輸入という言葉で表現した方がいいのかと思いますが、日本にそういう法律がないために、諸外国からは十分なもの、新しい望んでいるようなものが手に入らない、そういうようなことも聞いておりますが、これは特許庁と同時に農林省においで願っておりますが、農林省の農業種苗法あるいは国際条約等について、一口でよろしいですから、どのように考えておられるかお伺いをいたします。
  76. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいま先生お話しのように、昭和三十六年に、植物の新品種育成者の権利保護を図るために、植物の新品種の保護に関する国際条約というのが締結されまして、この国際条約に関連いたしまして、西欧の各国において新しい国内法制度が整備されているわけでございます。  それで、わが国の場合には、これも先生お話がございましたとおり、農産種苗法というのがございます。これは昭和二十三年にできた法律でございますが、それに基づきまして、種苗名称登録制度、これが実施されているわけでございます。ところが、この農産種苗法によりまする種苗名称登録制度、これによりまするいわば品種保護と申しますか、それとこの国際条約とは、目的、内容がかなり違っております。したがいまして、いまの農産種苗法のままでございますと、この条約に加盟できない、こういう状態にございます。日本の場合には、長年伝統的にこの農産種苗法でやってまいりましたものですから、なかなか外国の制度になじみにくい面があるわけでございますが、最近は育成者の方々の権利保護の意識も高まってまいりまして、それからまた種苗の国際交流も増大しておるわけでございます。こういった面から、わが国が何か新しい農産新品種の保護制度を考えるべきではなかろうか、そして国際条約に加盟した方がよいのではないかという要請も内外に高まっている、現状ではそういう状況にございまして、私どももそういった現状を踏まえまして、既存の農産種苗法との関連をどういうふうにしたらよかろうか、目的とか制度の仕組みがかなり違うものでございますから、それをいろいろ検討している、こういう段階にございます。
  77. 田中武夫

    田中(武)分科員 特に特許庁の意見はありませんか。
  78. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 国際条約と種苗法のことは、いま局長答弁のとおりでございまして、私の方の関係といたしましては、たとえばアメリカに無性繁殖のものとあるいは海底植物を除いたようなものについての特許の特別な制度がございます。日本の特許法では、そういう調度を設けませんでも、いま申し上げましたような出願の内容でございますならば、要するに発明が対象でございますならば、これは特許の対象になり得ると、私どもは考えております。  ただ、アメリカに別の法律があることは先生御案内のとおりですが、アメリカは特許法の対象でも、やはり発明と発見というものを対象にしております関係で、たとえば突然変異でできたような品種につきましては、これは発明と言うべきか発見と言うべきか、むしろ発見と言うべきではなかろうかというふうに思いまして、その辺はたとえばアメリカの法制、特許法と日本の特許法とを同一のレベルで考えることはちょっと無理ではないかという気もいたします。日本の特許法におきましては、対象が発明というふうにわれわれが認定できますならば、所要の条件を備えておれば特許ができる、こういうふうに考えております。
  79. 田中武夫

    田中(武)分科員 現にというか、近くというか、世界的に食糧危機の到来が言われておる。社会的、政治的な大きな課題となっております。したがって植物、広い意味において農産物全般というか、食糧に関係のあるものを含む、これの量産、同じ面積でも多くとれる法とか、あるいはまた、年に一回のやつを二回、二回を三回といったような、そういう量産の方法等々も真剣に考えなくてはならないときがもう来ておるんじゃないか。そういう実情を踏まえて、この食糧問題の——それだけで解決するとはもちろん思っておりません。だがしかし、その食糧危機の解決の何%かぐらいには役立つであろうと思います。したがって、そういうものも含めて、植物の新品種保護制度というか、あるいはその生産方法工程をも含む、特許と同じような保護制度が私は必要であると思う。  そのためには、第一点として、保護の対象はすべての植物として、その繁殖は有性、無性を問わない。保護の条件は、新規性、均等性及び安全性によりこれを行う。さらにいま言いましたように、特許と同じような保護、こういうことであるならば、一定期間、たとえば十五年等々の一定期間、特許と同様な権利保護を与える、そういったことを骨子としての法改正または新立法の制定を要望したいと思います。  さらに、先ほど申しました国際条約のため、それに基づくところの法律制定というか、これは改正でいくのかどうか、その辺のところはもっと検討の必要があろうと思いますが、等々を要望したいと思います。  特許庁さらに農林省等関係省庁において、そのようなことを真剣に前向きに検討する用意があるのかないのか。ことに、事は一番大事な食糧問題に直接関係のある問題を含んでおると思いますので、農林省さらに特許庁から、前向きというか積極的な御答弁をいただきたいと思います。いかがです。
  80. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 いま先生からお話がございました点につきまして、先ほど申し上げましたように、現行法におきまして、植物に対しまして処理を施して、発生、生育、病虫害、収穫等に影響を与えるものにつきましては、その客観性と申しますか、諸般の特許を受ける条件が具備している場合には、現行法でも特許の対象にいたしております。現にその例がございます。したがいまして、私ども、いま先生のお話を、私どもの方の特許法の現行法で受けとめられない部分については、あるいは法律改正なり新法律なりという点について、前向きの方向で考えたいと思います。
  81. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいま先生お話しの種子と申しますか、新品種を保護して、それによっていい品種が伸びて、その結果農業生産の発展向上に役立つということ、私もまことに大事なことだと思っておるわけでございます。  問題は、その内容でございまして、その場合、従来わが国の場合には農産種苗法体系がございました。もう一つには、従来、育種の場合には、いわば米麦等の育種、これは主として国とか県の試験場中心で行われたわけでございまして、したがって農産種苗法でも米麦等は除いているわけでございます。いわば、米麦は主として国県の試験場系統がやって、そこで優良品種を育種してそれを普及する、こうなりますと、これはむしろ公開するのが原則でございまして、逆に、特許的なものと違いまして、成果を一般に利用していただくという面が強かったわけでございます。  それに対しまして、いわば園芸等におきましては、もちろん試験場系統もございますが、いわば民間の育種家と申しますか、その方々が努力して品種を育成しておる、こういうのが多いという事態にございます。したがいまして、新品種を保護してそれによっていいものを伸ばすということは、私どもまことにそのとおりと存ずるわけでございますが、その間の中身をどうしてまいるか。第一点の御質問で、全植物の種子に及ぶようということがございましたが、その場合、米麦その他をどう考えるか、これはやはり検討しなければならぬ課題だと考えるわけでございます。  第二番目の、その場合の要件といたしまして、新規性、均一性、安定性ということがございまして、国際条約の基本精神はまさにそうでございます。その場合、私どものもう一つの悩みは、従来、日本の場合の新品種は、さらに優良性というものがポイントでございました。むしろ新しいと同時にいいものをということで、農産種苗法では優良なものをということがポイントになっておる。したがって、これをどう調整するか、これはなかなか理論的にも技術的にもむずかしい難問でございます。したがいまして、実は私どもこの問題に対しまして、四十七年から学識経験者とか育種家の方にお集まりいただいて研究会を設けたわけでございますが、そこが実は一番大きな争点になっておるわけでございます。この点を関係者はどういうふうに納得し理解し、考え方が一致するかということがポイントでございまして、これらの扱いも詰めてまいらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから、決まりますれば、保護の態様が、現在は品種と名称の登録制度がございますが、その内容を変えまして、特許のような保護制度、これは私もそういうふうにした方がよかろうと思いまして、これもいま言った保護の要件ともからむ問題でございます。そういたしまして、基本的には国際条約に加入したほうがよろしいと考えておりまして、そうすると、国際条約に加入するために矛盾する部分をどう直していくかということでございます。  四点の御指摘に対しましては、目下そういうことで検討いたしておりますが、いずれにいたしましても、目的は新品種を保護して、それによっていいものをつくって、普及して農業生産に寄与することでございますから、そのために四十七年以来研究会を開催いたしまして検討いたしておりますが、近々結論も出るわけでございますから、その結論も踏まえまして、さらに関係者の理解、認識の一致を得まして、関係省とも協議をいたしまして、いわば前向きの方向で検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  82. 田中武夫

    田中(武)分科員 米麦というか、これはそれぞれの県等々の試験場等であるいは大学等でやっておられる、これはできるだけ公開をする、これは私、必要だと思うのです。しかし一面、やはり個人が何らかの努力をしてやった場合、私どもは特許と独占という問題についてはいろいろな意見を持っておりますが、しかし、それはそれとして、この際やはりむしろ特許庁の方でそのような保護を与えるということによって、あるいは量産方法等々は食糧危機を救うという何らかの面において、これは重要であろうと思うのです。したがって私はこの特許法でも、植物を積極的に排除する理由はない、このように思っておりますが、なおいろいろな詳細な点では支障があると思います。そこで初めからあきらめておるのもあろうかと思うのです。現行法でもできるのだ、そういうことであるならば、少し特許庁どうでしょう、これには予算等も必要だから、あわせて大臣にもお願いというか、提案をしておきたいのですが、この植物特許については、こういうようなものあるいはこういう方法をするならば、現行特許法でも十分にできるのだ、こういうような宣伝というか、知らしめる方法をとってもらいたい。これにはもちろん若干の宣伝費用と言えば大げさですが、普及のための費用が要ろうと思います。そういう意味において、なお特許法自体を検討すると同時に、現行法でもできるということを知らしめる方法をひとつとってもらいたい。まず大臣、そのためには若干の予算というか金が伴う。したがって、大臣の御意見、それから農林省は前向きの答弁がございましたが、最後にもう一言、そういう決意、特許庁長官には、いま言ったように少しやってもらいたい、こういうことをお願いしたい。宣伝というか普及するようにひとつ努力をする、知らしめる、その方法及びそれに支障がある点については法改正を考える、そういう点で、もう時間でございますので、だめだけ押しておいて終わりたいと思います。それぞれから一言ずつ、その私の提案に対するお答えをいただきたいと思います。
  83. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまいろいろな質疑応答がございましたが、現行法でもできるのだということについてのPR、それについては至急具体的な方法を相談いたします。  それからなお、できないものが仮にあるとするならば、今後関係の省と相談をいたしまして、前向きに検討いたします。
  84. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 先ほど申し上げましたように、反復可能性の問題があるわけでございますが、学問の進歩日に新たでございます。したがいまして、これは現在でも、従来特許にならなかったものについても、明細書の内容いかんによっては、特許になり得るものも出てくるわけでございますので、その辺、御趣旨をくみまして、具体的な方法につきまして、さらに前向きに検討いたしたいと存じます。
  85. 松元威雄

    ○松元政府委員 ただいま先生の御提案の方向に即応いたしまして、技術的内容をさらにもう少し詰める事項もございますから、そうして国際条約加盟ということを目標にいたしまして、それで現行の農産種苗法の関連も整理いたしまして、そういう方向で前向きに検討を進めてまいりたいと存じます。
  86. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは終わります。
  87. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて田中武夫君の質疑は終了いたしました。  次に、荒木宏君。
  88. 荒木宏

    荒木分科員 公正取引委員会事務局長にお伺いをしますが、先般、総合商社に関する第二回調査報告が発表されました。総合商社が余りに強力である、その地位の乱用のおそれが否定できない、しかし事実確認はきわめて困難である、したがってその対策が効果を上げるためには一層の工夫が必要である、こういう指摘がなされておりますが、確かにそういう一面があると思います。  そこで、総合商社の取引について問題の多い分野につき、取引の条件あるいは資金、資本関係、また人事関係など、これらの項目について、五十年度、実態調査を進められる必要があると思いますが、局長の御意見を伺いたいと思います。
  89. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 先般、第二回の総合商社の調査結果を発表いたしましたが、その中でも申し上げておりますように、総合商社の地位利用、こういう行為に対しましては、ただいま先生も御指摘がございましたけれども、不公正な取引方法につきまして、違反行為の認定基準と申しますか、ガイドラインと申しますか、そういうようなものを今後明らかにしていく必要があるというふうに考えております。その場合に、当然、ガイドラインを考えます場合に、個別の業界の状態につきましても検討を加えまして、ガイドラインは設けていかなければならないと考えております。ただ、今回の調査は一応独禁法上の総合商社の活動につきましての問題点を解明いたしまして、一応完結した形になっておりまして、今後、この総合商社の活動の実態につきまして、さらにどういうような面について調査検討を加えていくかということにつきましては、現在の時点では、まだ決まっておらないわけでございます。そういうガイドライン検討との関連におきまして、今後検討を加えていきたいと思っております。
  90. 荒木宏

    荒木分科員 ガイドラインや認定基準を定める上で、個別の業種の調査の必要があるということはお認めになったと思います。  そこで、私が特に申し上げたいのは、あの中で、地位利用の不公正な取引方法の類型が幾つか例示されておりますけれども、たとえば「資金援助を条件とする不利益の強要」、こういった例示がありますが、とりわけ総合商社と中小繊維業者、たとえば織布でありますとかメリヤス、タオルなど、こういった部門での実例を非常にたくさん聞くわけです。そこで、新年度に、こういった個別の取引分野について調査をお進めになる際に、やはり問題の多いところ、これをまず調査対象として取り上げる、比較的問題の薄いところですね、まだそう表面化していないところは、やはり順次ということになろうかと、これが物事の手順というものであろうかと思うのですが、そういった意味合いで、この織布を初めとする繊維部門の実態調査の必要性、これをひとつ念頭に置いて、いま局長のおっしゃった対象を決めるに当たって十分考慮をしていただきたいと思いますが、ひとつ御意見を伺いたい。
  91. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 総合商社と繊維業界との関係につきましては、ある程度話は聞いておりますけれども、まだ公正取引委員会といたしましても、十分に実態は把握をしておりません。したがいまして、どういうような商慣行があるのか、あるいはその間にどういうような不公正取引というようなものが介在をしておるのか、そういう点も、今後ガイドラインを考えます場合に、この点も含めまして検討対象にしていきたいというふうに考えております。
  92. 荒木宏

    荒木分科員 わかりました。個々の分野の取引の実態の調査を進められるに当たって、いま指摘をしております問題の多い総合商社と中小繊維業者の取引条件、その他の関係について、十分に実態を調査していただきたい。いま局長答弁されましたように、この点は特に重点にしていただきたいと思います。  そこで、やや具体的な問題についてお尋ねしたいと思うのですが、総合商社が繊維業者と取引をする。この場合は、一般的には綿糸を売りまして、そしてその代金の支払いを受ける。一方、綿糸を買った織布業者など中小繊維業者は、それで織布など製品をつくって、また同じ総合商社に売る、こういう取引事例が非常に多いわけですね。その場合に、総合商社がごく一部の有力な、大きい織布業者に対しては、織布業者にとって、買い手側にとって有利な条件で取引をする。小さい、弱い零細な織布業者に対しては、買い主側にとって不利な条件で取引をする。こういう場合には、一般指定の二号でありますとかあるいは十号でありますとか、こういう条項に該当する疑いがあるのではないか。もちろん事実関係の調査も必要でありましょうし、あるいは先ほど局長御指摘の物差しを明確にする、商慣習や理由の有無について実態を明らかにしていく、こういうことも必要だと思うのですけれども、同時に、いま私が申しましたような事例がありとすれば、これは二号もしくは十号の該当のおそれも考えられる、かように思いますが、いかがでしょうか。
  93. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいま先生のおっしゃっております事例、具体的にどの程度中小に対して不利だというようなことになっておるのか、これはちょっと実態を調べてみませんと、いま直ちに、優越的な地位の乱用とかあるいは差別的な扱いだとかいうようなことを、即断するわけにはまいらないと思います。
  94. 荒木宏

    荒木分科員 そこで、いまの局長の御答弁ですが、どの程度不利になっておるか調べてみなければ即断はできない、調べてみた結果、これが該当するかしないかという物差しがなければならぬと思うんですね、公取の側に。つまり著しく不利な場合には該当のおそれありとされるか、あるいは相当な程度不利な場合には該当のおそれありとされるか、いま局長がおっしゃった、どの程度という、その程度の基準について、公取としてはいまどのようにお考えかということを、ひとつ明らかにしていただきたい。
  95. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 これはやはりケース・バイ・ケースで、現在のところは考えていかざるを得ないと思います。
  96. 荒木宏

    荒木分科員 そうしますと、もちろんケースによっては該当するおそれが考えられると、こういうことですね。
  97. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 実態を調べた上でないと、その点ははっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、実態を調べまして、あるいは該当する場合も出てくるかと思います。
  98. 荒木宏

    荒木分科員 そこで、多少事実関係を申し上げますけれども、伊藤忠商事、それから丸紅株式会社、これは今回も調査の対象になっておる総合商社であります。これが綿糸を販売いたしますときに、買い手側の織布会社なり繊維業者、これはもちろん一般的には中小がほとんどなんですけれども、その中で全国的に非常に大きいトップクラスと言われるところ、たとえば大阪に川本包帯というのがあります。これは包帯製造業では全国でトップクラスであります。また、四国に酒六というのがあります。これは織布業者としては同じく全国でトップクラスであります。ところが、伊藤忠あるいは丸紅またトーメンなど総合商社は、そのような買い主側のトップクラスに対しては、まず売買代金の支払いにおける手形サイトが、弱い小さい零細業者に比べて短い。それから金利が安い。それから代金の起算日が、実際に荷物が着いてから、その金利の起算を始めている。いまサイトの点をちょっと申しましたけれども、それはほかにも関連しますから一応おきまして、代金の支払いが、着いてから利息の起算が始まる、これは当然だろうと思うのですけれども、大きい業者に対しては荷物が着いてからでよろしい、それから金利も安くてよろしい。ところが、小さい弱い業者に対しては、荷物が出た瞬間から金利の計算が始まって、しかもその金利が高い。いま弱小業者に対しては四十五日、一一・一九%というのがとられておるようですけれども、こういう起算日の事例、それから金利が高いというのを、相手が弱い、総合商社に向かってなかなか自分の言い分が言えない零細業者に対しては、そういうような不利な条件を適用している場合がある。これはもちろん事実関係を調べてもらわなければならぬと思いますが、それを調査をしていただいて、事実関係をつかんでいただいて、そして先ほど局長がおっしゃった二号、十号など不公正取引の違反の有無について検討されてしかるべし、かように思うのでありますが、いかがですか。
  99. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 早速、これは実態がどういうふうになっているかということを、まず調べてみたいと思います。
  100. 荒木宏

    荒木分科員 それではこの事実は、局長に御答弁いただいたように、早速に調査をしていただきたい。しかも、私が特に申し上げたいのは、買い主側である弱小零細繊維業者は、綿糸を買って、それを綿布にしまして、また総合商社に納める。ところが、納めるときには今度は利息がつかない。代金の利息なし、しかもその支払いは九十日から百二十日という非常に長い期間引っ張られるということですから、往復売買の帰りの方で不利益を受ける。総合商社、それから中小繊維業者間の取引において、買うときにはいまのように利息も払わなければならない、売るときには、利息抜きでしかも手形期限が長い、しかも、買うときに、強い大きい織布業者と比べて不利を受けている、こういうわけですから、ひとつそういった点を含めて、早急に調査していただく、このことを再度確認しておきます。
  101. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいまおっしゃいましたようなことは、実際の商取引の場合におきまして、合理的な許された範囲を逸脱しておるかいないかというところに問題があると思います。いずれにいたしましても、実態を調査いたしたいと思います。
  102. 荒木宏

    荒木分科員 あわせて事実関係は調査をしていただく。それから先ほどお話しの、ガイドラインといいますか、違法認定基準と申しますか、これが一般指定を拝見しますと、二号は「正当な理由」というふうな表現があり、十号は「正常な商慣習」という、きわめて抽象的な表現なんですね。ですから、この点の基準の明確化もあわせて早急に確立されなければ、規定があっても絵にかいたもちのようなもので、実際に困っておる多数の零細な繊維業者の救済にはなかなか役立たない。一方、総合商社の優越的な地位を乱用するような取引がまかり通る、こういうことになるわけであります。事実の調査は確約をいただきましたので、物差しの方も、ひとつ早急に検討して明確にしていただくということをお約束願いたい。
  103. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 この総合商社の不公正取引のガイドラインあるいは認定基準の問題につきましては、最初に申し上げましたように、これから明確化の作業をいたしたいと思っております。
  104. 荒木宏

    荒木分科員 そこで、関連して、いま目の前に迫っております紡績業界の不況カルテルでありますが、これは御案内のように、二月の末日で一応期限が参ります。正式の申請はまだ出ていないようですが、紡績業界としては延長の意向があるように聞いておりますけれども公正取引委員会として、カルテルの延長を認めるかどうか、このことを判断される際に、たとえば織布、メリヤス、タオルなど、中小繊維業者の業界の団体がありますが、これらの意見も十分考慮、参考にした上で、結論を出すようにしていただきたい、かように思っておりますが、局長の御意見を伺いたいと思います。
  105. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 不況カルテル延長の問題は、まだ結論が出ておりませんが、いずれにいたしましても、必要性の有無につきまして、現在検討中でございます。もちろん必要性の有無を判断いたします場合には、主務官庁の意見も聞きまして、十分に関係業界にも悪影響の及ばないような配慮をしながら、判断を下したいというふうに考えております。
  106. 荒木宏

    荒木分科員 今度は通産省の局長に伺いますが、いまそのことに関連して、総合商社を中心とする糸商組合と、それから中小織布業者の団体である綿工連などと協議中というふうに伺っておりますけれども、先ほど来、公正取引委員会事務局長答弁されておりますような趣旨を十分くんで、指導なりあるいは助言をなさるように、ひとつ要請をしたいと思いますが、局長の御意見を伺いたい。
  107. 野口一郎

    ○野口政府委員 ただいま先生の御質問になりました件でございますが、私どもいろいろ懸案の問題だというふうに聞いておりますけれども、ともかく未曽有の不況のときに当たりまして、兄弟の仲にあるべき紡績業界と機屋業界が角突き合わせてうまくいかぬということは、この不況をどうやって克服していくかということにとりましても、非常に大事な問題だというふうに考えております。そこで、私どもの方も、いま先生御指摘ありましたように、うまい合理的な、双方が納得できるような解決案にたどり着くべく、側面的にいろいろと支援をいたしておるわけでございます。先ほど来、公取の方からのお話を聞いておるわけでございますが、私どもも、強い者が弱い者いじめするというのはまことに正しからざることというふうに存じております。ただ、長い慣行とかいろいろないきさつとかが積み重なっている問題だというふうに聞いておりますので、その辺のことも考え合わせながら、何とか解決のめどを得たいというふうに、及ばずながら側面から援助している次第でございます。指導しております。
  108. 荒木宏

    荒木分科員 ひとつしっかりお願いしたいと思うのですが、ただそのときに、指導の一つの基準、めどというものがなければ、これは結局両方にまあまあというふうなことにしかならない。  そこで、もう一度公取の局長に一言お尋ねしたいのですが、通産省が指導される上のめどの一つといいますか、私先ほど申し上げた、強い総合商社が品物を売ってその代金に金利をつけるときに、たとえば自分のところの伝票を切った瞬間から金利計算をする。ところが、織布業者の方は、弱い立場の者は、自分のところの製品を出荷して、相手に届いて、検収が済んで、届いてから五日も一週間もたたなければ、なかなか代金の支払いすらしてもらえない、これは正常だとお考えでしょうか。こういうやり方が正当だというふうにお考えになりますか。いかなる慣習があろうとも、いかなる従来の形態があろうとも、強い方は自分の紙を切った途端に金利の計算が始まる、弱い方は、わざわざ運んでいって、そこへ品物が着いて、相手の検査を受けてからでなければ、無利子の代金すらもらえない、これはやはり問題があるというふうに思われないでしょうか。結論だけ一言おっしゃってください。
  109. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 取引と申しますのは、信用度にもよりましょうし、また取引の額というような点もございまして、どの程度であれば合理性の範囲を逸脱するかということは、なかなかこれは判断がむずかしいと思いますが、やはり個別的なケースにつきまして、私ども十分に実態を把握して判断を下したい、というふうに考えます。
  110. 荒木宏

    荒木分科員 その実態は通産省はよく御存じのはずであります。ですから、公正取引委員会も通産省も、ともに強い決意で事に臨んでいただきたいということを、ひとつ要請をしておきます。局長、よろしゅうございますね。
  111. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 承知いたしました。
  112. 荒木宏

    荒木分科員 それから、通産省の局長さんもよろしゅうございますね。
  113. 野口一郎

    ○野口政府委員 はい、わかりました。
  114. 荒木宏

    荒木分科員 時間が迫ってまいりましたので、残余の問題をまとめてお尋ねいたしますが、不況対策ということで、先般政府の方から発表がありました。これは通産省の局長に伺いますが、繊維の場合、産地ごとにいろいろ違いがありますが、倒産が次々に起こってくる、こういう産地について、倒産防止にきめ細かく対処ということを言っていらっしゃるが、具体的には何を重点におやりになるか、これをひとつ簡潔に伺いたい。  それから、それに関連いたしまして、大蔵省の銀行局長、見えておりますか。——通産省が不況業種の追加をいたしました。これは御存じと思います。その場合に、前に民間の金融機関で特別融資の制度が設けられましたけれども、不況業種が次から次に追加されていけば、当初の三千二百億というのは、場合によっては枠が足らなくなることもあり得る。そこで通産省と協議の上で、こういった業種追加があった場合に、その増枠ということを要請されることも検討されねばならぬというふうに思うのであります。そういった点についての大蔵省当局の意向、それからまた、きめ細かい防止対策をとられたときに、一定の枠の中で業種間の振りかえということも、場合によってはあろうかと思います。追加が必要になった場合に、たとえば年度末金融について、そういった振りかえをして、なお不足の場合に、前向きに検討される用意があるかどうか、この諸点について、通産省の局長と大蔵省から伺っておきたい。
  115. 野口一郎

    ○野口政府委員 繊維が当面しております現在の不況というのは、これはまことに異常と申すぐらい厳しい場面にあるわけでございますし、特に繊維が苦しいのは長いということでございます。他の業種に先駆けて景気引き締め策の影響等を受けまして、受注も減り、在庫もふえ、生産も減少するというような状況になったわけでございます。  そこで、繊維に対する当面の不況対策といたしまして、昨年の秋にいろいろの柱を立て、いわば総合的な対策を打ち出してきたわけでございます。それは金融面の対策のみならず、需要喚起のための方策、あるいは需要の減少に伴う生産面の対策、あるいは通商面の手当て、雇用面の対策等、いろんな方面から、ともかくこの不況脱出のために、いろいろと考えられる手を打ってきたわけでございます。  先ほど先生が、どういうところに重点を置いてやっておるんだ、こういうお話でございますが、何と言いましても、やはり当面金融的な手当てをすることが大事なことではなかろうかということでございまして、中小企業のみならず、非中小企業を含めまして、金融面で三つ、四つの柱を立てて、その手を打ってきたわけでございます。その中に、先生が先ほど引用されました政府系の三機関に対する財投の増加というようなこともあるわけでございますけれども、中身的に見ますと、私どもの方は、何と言いましても、在庫、滞貨に対する金融あるいは減産のための資金手当て、こういうようなことが何よりも大事になってくるわけでございますし、それから最近になりますと、返済の延期というような声も、中小企業の方々から出ているわけでございます。私どもの方は、そういうことの円滑な実行のために、繊維はかなり産地生産という形をとっておりますし、産地にはそれぞれこういう組合やその組織、団体等がございますので、そういうところと連絡をとりながら、その産地の実態に即した政策を展開しているわけでございます。
  116. 荒木宏

    荒木分科員 大蔵省の御答弁に続いて、大臣に最後に一言。さっきの総合商社と中小繊維業者の関係について、公取の意見も踏まえて、強い決意でやっていただくということを、最後に一言おっしゃってください。
  117. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 簡潔にお答え申し上げます。  第一点の市中銀行で行っております中小企業対策の特別融資制度の三千二百億の枠の追加を考えないか、こういう点でございますが、御案内のように、この制度は業界なりあるいは所管官庁、通産省等の所管官庁からお申し出があれば、これに応ずるたてまえをとっておりますので、枠等で不足が起こってくるというようなことがございますれば、私ども、銀行に対しまして増枠を要請するということにいたしたいと思っております。  それから第二点、政府関係金融機関の年度末の追加の問題でございますが、私ども昨年の暮れに、年末に下期分として、例年にない大幅な追加をいたしました。その後の窓口状況とにらみ合わせますと、ただいまの時点では、そのやりくりその他でいけるんじゃないか、こういうふうな感じを私ども持っております。ただ、状況は大変常に流動的でございますので、通産省あるいは通産省の中小企業庁等ともよく御連絡をいたしまして、必要があれば検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  118. 河本敏夫

    河本国務大臣 繊維関係の資金の面につきましては、大体十分でなかろうかと思う手を打っておりますが、なおいろいろ対策を講じておりますその過程におきまして、不足をいたします場合には、大蔵省とも相談をいたしまして、十分な手配をするつもりでございます。  それからなお、先ほど大商社との取引関係についての御指摘がございましたが、実情をよく調べまして、不当な取引のないように指導してまいりたいと思います。
  119. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて荒木宏君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部一郎君。
  120. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それでは私は、昨年の十二月十八日、倉敷市水島において起こりました三菱石油株式会社水島製油所の流出事故原因とその対策についてお伺いしたいと思います。  もちろん、かかる事故は二度とあってならぬものでありますし、この中から大きな教訓がつかみ取られてこなければならぬと思うのでありますが、いままでの当院におけるさまざまな質疑の中から取り漏らされた部分等を取り上げまして、見解をお伺いしたい、こう思っておるわけであります。  まず、タンクの底にひびが入ったという問題については、いろいろ議論されておるわけでありますが、そのタンクの外側に防油堤があり、防油堤の強度、高さ等については、消防法に基づく危険物の規制に関する規則第二十二条で基準がきめられております。ところが、三菱石油の場合は、防油堤は現実にはそれをとめられませんでした。これは、はしごが倒れて防油堤が倒壊したということもありますが、このはしごが倒れたという事実がなくても、油の流出を食いとめる容量に問題があったと思われます。すなわち、一つずつのタンクごとにしつらえられている防油堤の場合は、その容量の五〇%以上という規定になっておる。複数のタンクのための防油堤の場合には、一番大きなものの五〇%以上、その他のタンクの一〇%以上の容量を含むもの、こうなっておるわけであります。ところが、これでは全体あふれてしまう。しかも今回の事故の場合には、事故が起こったというので、タンクからタンクへ連結したパイプを通して、その油を移動させようとした事実がある。そうすると、実際にこの規定は無視されているという面と、それから現実に合わないという面と、両方あったのではないか。これに対してどうお考えですか。
  121. 永瀬章

    ○永瀬説明員 タンクの周囲に設けます防油堤につきましては、ただいま先生おっしゃったとおりの規定がございます。たまたま今回の水島の事故を起こしましたタンクの周囲にございました防油堤は、計算上は四万八千キロリッターを幾らか上回っておりましたので、防油堤の破損事故がなかったならば、中にため得たという形になるのでございますけれども、一般的に申し上げますと、先生おっしゃったとおりに、数基ある場合に、一番大きなタンクの五〇%と残りタンクの一〇%の容量といたしますと、他のタンクの基数が多い場合は、大きなタンクが壊れましても、外に油が出ないだけの容量を持つことになるのでございますけれども、タンク基数が少ない場合は、確かに一〇〇%にはなりません。  そこで、今後の問題といたしまして、第一の問題は、やはり防油堤が壊れるということを何らかの形で防がなければなりませんので、これを壊しましたものとしましては、タンクについておりました垂直型の階段、独立型の階段でございますが……(渡部(一)分科員「その話は後で」と呼ぶ)では、今後の問題といたしましては、この防油堤の容量をできるだけふやすという方向で考えていこうと思っておりますが、ただ現実の敷地その他がございまして、新設のものに対してはやれるのですけれども、既存のものをいかにして満足させていくか、これは非常に構造等の問題がございますので、何らかの方法を考えたいと思います。  なお、これに対しまして、もし防油堤が壊れました場合を考えますと、敷地外へ出ることを防ぐことが必要でございますので、敷地周囲の第二次防油堤と申しますか、そのような敷地外に出ないための堤の作堤等を今後検討して、規制の中に加える方向で考えたいと思っております。
  122. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いま言われたお答えが本当に行われればいいわけですが、防油堤の容量をふやす方向で考えるといまおっしゃいました。それは非常に結構な言明である。また敷地の周囲の堤をつくる、これまた非常に結構なことであって、私が水島コンビナートを見てまいりましたら、工場の一番外枠にたかだか三十センチぐらいの堤があったら全部とめることができた。ところが実際には、遊水地の部分、それから脱水装置の部分から怒濤のように外へ出てしまった。そこにふたがない、こういう初歩的なエラーで油が流出している。この分は十分厳格にひとつしていただかなければならない。検討するという言い方は、あれほどの事故が起こってまだ検討段階であるというのは、私はうなずけないのですが、いつごろまでにその防油堤の容量をお決めになるおつもりか。また、周辺の第二防油堤とでも言うべき工場周辺のその小さな堤については、いつ行政指導をなさるおつもりか、それをお伺いしたい。
  123. 永瀬章

    ○永瀬説明員 外周部の堤につきましては、あわせて、御指摘のとおりに排水口の方から出たんでは、これは全く底抜けになりますので、排水口の出口、工場からの出口のところの閉鎖方法もあわせて考えなければならないと思います。これにつきまして現在検討を続けておりますが、一方また、コンビナート全体としての規制の問題もどのようにしたらいいのか、現在鋭意検討が続けられておりますので、それとの絡みもございますが、できる限り、来月の末ごろには部内の考え方を固めたいという希望ではおりますが、多少ずれる可能性はございます。
  124. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 大臣、それはやっていただけますね。
  125. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりやります。
  126. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それからもう一つ申し上げておきますが、防油堤の容量を言う場合に、建っているタンクの防油堤の下に隠れる部分がその容量の中に入っているか入っていないか。防油堤がありますね。そこへタンクが建っている。その防油堤に隠れる部分のタンクの部分ですね、それが容量に入っているか入っていないかの判断が、現地署長に任せられておる。したがって、現地署長は二通りに理解している。これを入れているところと入れていないところとある。こんな変なことまで起こっておる。これはひとつ厳重に注意していただきたい。そういうことも決まっていないから、防油堤の容量なんというのはもういいかげんをきわめておる。現地の署長は閉口しておって、水島の場合は厳格に理解しておるが、他の地域では緩く理解している地域がある。これもひとつ注意していただきたい。
  127. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この容量の計算につきましては、一基の場合でございますと、防油堤の高さ以下のものは出ないはずでございますので、それは除いてもいいはずなんでございます。ところが二基、三基ありますと、ほかのものには入っておりますので、その辺をまた抜かなければ、計算上は外さないと、防油堤からオーバーフローしてこぼれるおそれがございます。この点の計算の方法につきましては十分な規定をつくろうと思うのです。指導もしております。
  128. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 指導がないのですよ。あなたが指導していないのですよ。だから、それを指導しなければだめですよ。あなた、いまそうおっしゃったけれども、この現場を私は見てきて言っているんです。消防署長たちと会ってきて、私は言っているんです。あなたの方は、その点行政指導していない。だから、防油堤の容量がどれくらいかは、その署長の計算に任せられておる。だから私申し上げたいんです。よろしゅうございますか。
  129. 永瀬章

    ○永瀬説明員 いままでの会議等では、私、申し上げましたような考え方で指導はしておりますが、これが徹底していないうらみは現実にございますので、今後指導の徹底を図りたいと思います。
  130. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それから、大臣、おかしな話があるので、聞いていただきたいのです。  このタンクからあふれた最大の理由は、階段が倒れたからです。タンクにふだんは階段がらせん状についておるのです、普通のいままでの分は。このらせん状の部分については、応力計算から除かれておって、まあ小さいものだから大丈夫だろうというので、いままで考えられておった。ところが今度の場合は、垂直階段で、見てまいりましたら、物すごい大きなものである。一・四メーターに三・三メーターの、高さ二十四・二メーター、建物で言うと、大体四階建てないし五階建てに近い建物。そしてその目方たるや、三十四トンもある。そしてそのコンクリートが、これは大臣、妙なことなんですが、素人常識でもわかるのですが、三十四トンのものがあるのに、コンクリートが、下に広く、深く打ち込まれていなくて、深さは一メーターちょっと、一メーター五十ぐらいと見えましたが、それぐらいの深さのコンクリートの上にずんと突き上がっておる。だから、ちょうど、何というんでしょうか、鉛筆を立てたみたいになっておる。下の基盤は、砂地の中にコンクリートがあって、ぽっと乗っておるだけで、それにフックが二つかかっているだけである。そして、後の検査によると、その地域の砂地が十センチ下へ下がっただけで、これははずれたわけです。  こんな変なものをひっかけておって、この垂直階段を人間が昇降していたということ自体が問題であるけれども、このはしごの設置基準がなかった。それで、タンクの設置に当たっての消防の認可基準の中には、タンク付属施設という項目であるけれども、そのタンクの部分については見逃されておる。これは、タンクの底にひびが入ったとかなんとかというむずかしい議論の前に、非常に幼稚な事故なんですね。考えられないほどの幼稚な事故が起こっておる。それで、根こそぎはしごが揺らいで、ばたんと倒れて、防油堤を突き破ってしまっておる。もう御承知のとおりでありますが、このはしごの問題、どう解決されるか、私はお伺いしたい。  それは一向に話が詰められていない。これまで各種の委員会の議事録を見てみましたけれども、はしごの責任について問うたのがない。はしごの、これだけの構造物が建築基準法の対象になっていない。そして、消防の方の許認可基準の中に入っていない。もう全然変なんです。それで労働省の方でも、これほどの建造物に人が何人も上がりおりするんですから、労働保安の上からも問題なのに、それからもチェックが行われていない。これをどうされますか。
  131. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生御指摘のように、あの事故の一つの要因でございます防油堤が壊れましたことにつきましては、御指摘の階段の基礎が防油堤にぶつかりまして、このために防油堤が破損したということが一つございます。  こういう事故の防止について検討を続けてまいっておるところでございますが、あの階段につきましては、御指摘のとおり、消防法上のタンクの付属物の構造規定の中には、実は入っておりません。と申しますのも、従来の一般的な階段というのは、御説明ございましたタンク側壁に踏みしろをつけて、ぐるっと回って上がる、側壁に沿って上がる形のものが通例でございまして、あのような階段が採用されていることを、実は私ども国としては存じませんでして、そのために規定を設けておりませんでした。  今後の問題といたしましては、いずれにしても、タンクの防油堤の中に、必要なものなら別ですが、そうでないもので、飛ばされて防油堤を壊すようなものは設けさせたくないのでございまして、今後は、あれを禁止する方向で、まず指導をかけまして、その後、規定の整備を図っていきたい、かよう考えております。
  132. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 大臣、消防庁長官がおいでにならないみたいなので、タンクの許認可の書類を見ていただきたい。     〔渡部(一)分科員、書類を示す〕  それで、これが水島製油所の図面でありますが、この中に——倒壊した部分はここですが、その部分に同じラダーが四カ所あるのです。つぶれたのは一つです。だけれども、あと三つは、いまもそのままになっておる。将来禁止する方向ではなくて、いますぐ禁止されたらどうですか。それを、なぜいまごろまでそのままにしておくのですか。次の事故が起こったら、また倒れますよ。これに関しては、行政はスピードがなければだめだと私は思います。これは消防庁だけででき切れないのは、私はわかっております。だけれども、四カ所同じやつが横についているのですから——コンビナートに行ってみてごらんなさいよ。私は行ってこの目で見てきたのです。なぜ、すぐ禁止しないのですか。
  133. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お尋ねの水島のタンクにつきましては、事故直後、これを取り外すように話をしてございます。(渡部(一)分科員「いいや、外されていない」と呼ぶ)まだ外されていないとのお話でございますが、現在は、あのタンク、四つとも全部空にしておりますので、また、事故原因の調査の問題あるいは後の基礎の問題等がございますので、一応使用停止はかけてございますし、取りはずすことは向こうも了承しておりますが、その時期は、現在使用されておりません関係で、もう少し先にさせていただきたいと思います。
  134. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それで、水島製油所に聞いたんです、これはだれがつけたんだと。そうしたら、石川島播磨の推薦により、レコメンドにより、そして千代田化工建設の施工によりつくりました、私の方に責任はありませんと、水島製油所の所長は述べました。それならあなたの指導は、どこに何をやっているのですか。水島にだけそう言ったって、あなたのそんな態度であるならば、次のタンクにまた垂直階段はつくられるでしょう。なぜ、そのつくった方にまで行政指導しないのですか。そんなやり方じゃしようがないじゃないですか。これは消防庁だけ私は責めるつもりはない。消防庁は悲惨なんですよ。  これは現地の署長が出した通達書です。私の言った批判は、この中にほとんど全部書いてある。これは通達というよりも、こうしてもらえないかという、「対策について」と書いてある文書であって、むしろお願いみたいな文書なんです。権限がない。地元の署長としては冷や汗をかいているのです。これでは何もやっていないじゃないですか。何をなすっているんですか。  大臣、これは消防庁長官が来ないと——あの人は気の毒なんです。説明のために来られて、私が責任を追及したのでは話にならぬ。だけれども、こんなはしご一つの問題を、なぜすぐ片づけないのか。いまの御答弁からいうと、禁止する方向で規定を整備するという方向が出ているようですね。しかし、それは禁止しなければいけない。もう危険だとわかっているじゃないですか。下が一メーターしかない石ころのかたまりに、そんな三十四トンもあるものを横にぶら下げておいたら、倒れるのはわかっているじゃないですか。砂の中に、基盤もなく立っている。ばたんといくに決まっているじゃないですか。使用禁止したら安全か、それすらわからないと思うのです。  大臣、これは政府を代表して、すみやかに禁止措置をとっていただきたい。よろしくお願いします。
  135. 河本敏夫

    河本国務大臣 今度の水島の事故につきまして、いろいろお話がありましたが、実際、後から考えてみますと、反省すべき点が多々あったと思います。そのはしごの問題も確かにその一つでございまして、関係省が至急に寄りまして、いま御指摘のような方向で処理をしたいと思います。
  136. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 次に、保安管理です。今度は、気の毒なんで、消防の味方をして少し申し上げたい。  それは、爆発しそうなものというのは幾つもあります。いまそういう保安管理について責任を持っておられる省庁が、高圧ガスについては通産省である、油については消防庁である、火薬については通産省である、原子力については科学技術庁である、そして火事が発生すると全部消防庁に来る、そして人が死んだら労働省に行く、こういう仕掛けになっておるわけですね。だから、まことに気の毒なことに現場はなっておるわけです。当日事故発生した途端、消防署としては地元からの要請で、現地に出動した。入口で戸が閉められて、入らないでくださいと言われた。時間がむなしく三十分余り経過したわけです。それは、この問題については許認可権限というか、一貫した権限を消防署が持っていないことを示している。消防署側は、タンクその他実際のどの部分が破裂したかで、監督権限が変わるからですね。実際火災が発生して問題が起こるとなった途端、消防署が踏み込み始めた。しかもそのときに持っていった物は、火が出たんだか、ガスが出たんだか、油が漏れたんだかというので、対応策をその都度変えなければならない、その設備も何もない。自分が許認可をする権限を与えられておるものでない物に対して、ある限度以上の責任を持つことはできない。保安管理についても、これは原子力、火薬、油、高圧ガス等を含めて、許認可の当初から、消防署が全部監督許可権限について一貫した権限が与えられるように、政府部内で調整していただきたいと私は思うのですが、どうでしょうか。もちろんそれは通産省が全部やるとおっしゃっても結構です。ともかく、もう油だけなんという化学工場はない、高圧ガスだけなんというのもあり得ない、いろんなものがある。原子力はちょっと別としても、火薬もあれば、油もあれば、高圧ガスもある、その他の化学的原料物質もある。そこが許認可権限が一々違うもので、勝手に許可されて、燃えれば消防署、こうなるというのはちょっとどうかと思うのですね。この辺をまとめていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  137. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 特にコンビナート地区におきますところの権限の問題は、いま先生が御指摘になったとおりになっております。ただ各省庁がどうしてこういう形でやっておるかということを申し上げますと、特にこの保安問題といいますのは、国の立場といたしましては、最低限の保安基準を作成するという立場が一つあるわけでございます。これにつきましては、おのおの非常に専門的であり技術的な問題でございますので、保安基準の作成につきましては、最もその産業に、能力といいますか、その検討をし得る能力を持った官庁がやるという形で、こういう構成になっておるわけでございます。  それからもう一つ、保安問題として重要なのは、現場の監督体制の問題があるわけでございまして、通産省といたしましては、高圧ガスとか火薬とか、いろいろ所管いたしておりますけれども、現実に現場監督をやっておりますのは都道府県でございまして、都道府県知事が、コンビナートの通産省関係のものをチェックいたしておるわけでございます。それで消防庁との関係につきましては、災害が起きたときの防災体制の問題、あるいは災害発生時の出動体制等々につきましては、全部につきましてカバーされておるわけでございまして、その点は消防庁と、それから労働者の安全の面からの労安法の問題がございまして、労働省と、通産省と消防庁と、コンビナートにつきまして、重点的に、この辺の防災体制について連絡をとりながらやっておるという実態でございまして、今後これにつきましては、さらに強化してやっていくことを、現在検討いたしておる段階でございます。
  138. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いまの御答弁は現実にそぐわないですよ。実際には、そんなことを言っておられたのでは、事故はまた起こりますよ。もう一回お考え直しを願いたい。  私、では次の問題に行きますが、今度はオイルフェンスの話をいたします。オイルフェンスが張られておる、ところがオイルフェンスの能力は、この際一番大きなものが水上三十センチ、水面下位四十センチ、合計七十センチ分しかない。ところが通常理解できるのは、大体二十センチの厚みの物が一・一ノット以下のスピードで当たったときにのみ食いとめられるようになっている。ところが、あいにくとこれがC重油であったために、重油容量が重く、実際には二十センチの厚みを支えることもできなかった。実際にあふれ出したときは、三十センチ、四十センチの厚みで殺到したため、オイルフェンスが一方では浮き上がり、一方では乗り越え、オイルフェンスの端につないでいた船が倒れようとした。そうして最初のときの船は、したがってオイルフェンスを放棄して、横に逃げたという事実がある。ところが私が調べてびっくりしたのですけれども、オイルフェンスに対する基準がない、設置の義務づけがない、オイルフェンスの構造に関する選定基準がない。だから工場も設置の仕方はいいかげんであり、工場が一応の基準で設置している物についても、これはもう全然基準にならぬような、薄い膜が多少張った程度の物をとめるぐらいのものでしかない。こういう流出した物をとめるものでは全くない。したがって、オイルフェンスの問題については海上保安庁が担当されているようにも伺うのですけれども、海上保安庁に伺ってみましたけれども、担当官お答えがない。それで通産省に伺ってみましたけれども、もちろんこれほどの流出事故を想像していないから、対抗するオイルフェンスのあれがない。これは一体、工場の設置基準の中で考えらるべきものではないか、私はそう思うのですね。これはどう対処されますか。
  139. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 今回の事件にかんがみまして、関係各省庁におきまして、コンビナートの、特に共同保有の資材につきまして、さらにコンビナートの実態面に即しまして、緊急に措置するように手配を進めておりまして、確かにこのオイルフェンスにつきましては手抜かりがあったことは、われわれとしても十分反省いたしておりますので、単に陸上部門のことだけじゃなくて、海上部門も含めまして、今後体制を整備してまいりたいと思います。
  140. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いつまでにおやりになりますか。
  141. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 できるだけ早急にやりたいと思っております。
  142. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 もうずいぶん時間がたっているのですよ、あなた。もう一回答えたらどうですか。
  143. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 まあ関係省庁と、非常に幅の広い問題でございますので、きょうの先生の御趣旨も体しまして、また早速、きょう手配いたしたいと思います。
  144. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 もう人ごとの事故みたいな顔をしているけれども、通産大臣も私も、瀬戸内海に面したところに住んでいるのだけれども、ここには油のタンクの数のリストがあるのです。一遍大臣に驚いていただこうと思って、私持ってきたのだが、タンクがこれだけあるのですよ。そのタンクもみんなインチキなんです。きょうは一々指摘しませんけれども、防油堤のコンクリートが裂けている物、砂が崩れかかっている物、ぞろぞろあるのです。きょうは、いままで皆さんが議論したと思うので、私言いませんけれども、タンクをつくったときに、底辺と側壁を溶接しますが、溶接をする際に、その部分だけいきなり溶接するものですから、溶接ひずみが起こっているタンクがたくさんあります。これはもう御理解いただけるとおりです、基準がないのですから。手抜き溶接というのがある。これは全部しばらくのうちに裂けます、単純な技術上のエラーですから。また、下の砂地がやわで構造上欠陥があることは、大学の先生方がいま研究中のようでありますから私の言うのはそれを除きますが、タンクの設置基準が、アメリカのかたい海岸の岩盤の上に、あるいは引き締まった砂地の上につくられているのと違って、ふわふわの埋め立て地帯につくられるというのは、ものすごいエラーであることも指摘されておりますが、これに対する基準その他まだ全然出ていない、これはどうかなすっているんじゃないのか。事件が十二月に起こって、もういまは二月です。二カ月過ぎているんです。二カ月過ぎているのに、なぜこんなにのろいのか、大臣、これどう思われますか。
  145. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、今度の事故を通じまして、反省すべき点が実に多いんです。いま御指摘になった点は全部そうです。特に、防災体制の一元化というものがされていないということが最大の弱点であろう、こう思います。  そこで、先般も総理から、この点についての強い御指示がございまして、いま消防庁——自治省が中心になりまして、コンビナートの防災対策保安対策をどうすれば強化できるか、一元化できるかということについて、せっかく作業を進めておるところでございます。近日、大体の見通しが立つと思います。いま御指摘の点は全く反省すべき点だと思います。そういう方向で努力をいたします。
  146. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 じゃ、時間が来ましたので、これで終わります。
  147. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて、渡部一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘君。
  148. 中路雅弘

    中路分科員 私は、石油コンビナートの問題ですが、主として京浜コンビナートの問題について質問をしたいと思います。  先日も、川崎の三菱石油製油所、それから日石の浮島工場等も、私自身、現地の消防本部長に案内いただいて視察をしてまいりました。また、先日発表になりました、消防庁の指示で行った、全国の石油タンクの点検の結果が報道されていますが、川崎市だけの消防本部の行った点検の結果を見ましても——簡単に言いますと、これは一月三十一日に調査結果が発表になっていますが、一万キロリットル以上の大型タンク合計百九十四基のうち、一応消防庁が目安としている安全の確認の基準をオーバーしているのが十四基、その他についても多かれ少なかれ不等沈下をしている。あるいは配管の亀裂が十件、防油堤のひび割れが四十三件、私も防油堤の中まで入って、埋め立て地のひび割れが非常に多いのを見てきたわけですが、あるいは消火設備の不良が三十一件ということで、調査タンクの約半分が欠陥タンクといいますか、危険な状態にある。市の消防局自身が、この調査に基づいて、九社に、是正命令だけで六十九件、勧告七十五件をやっているわけです。また、高圧ガス貯蔵タンク、これが通産省の関係、県の工業保安課の調査ですが、この調べでも、川崎市の浮島にあるコンビナート、高圧ガス用のタンク五基が、十センチから三十センチの不等沈下、ゼネラル石油のタンクになりますと、一基は三十三・七センチという、安全基準といわれているものの倍以上を上回っているという不等沈下が見られるわけです。言わば、平常時でも、こういうコンビナート地域では、水島のような事故がいつ起きるからわかない、こういう事態がごろごろしているわけです。  先日の朝日新聞の解説を見ますと、高度経済成長の担い手である石油産業が、最優先であるべき安全の問題をないがしろにして、野方図に拡大してきたことによって、国民をいつも危険と同居さしている。この企業の姿を、今度の消防庁の調査結果がはっきりと示すものだという解説も載せてあるわけですが、石油の問題を中心にして、この所管である通産大臣の、文字どおり手抜きの行政だったと思うのですが、今後の防災体制のあり方について、一言最初にお聞きしておきたいと思います。
  149. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油関係、特に石油化学関係のコンビナートの防災体制につきましては、目下政府の方で一元的な防災体制をつくらなければならぬということで、いまいろいろ準備をしておるところでございますが、それは自治省が中心になって作業を進めておられます。通産省といたしましても、独自の立場から、この防災体制についての指導が必要であると考えまして、本日朝も、全関係者を通産省に集めまして、強い指示をし、同時に注意を喚起した次第であります。
  150. 中路雅弘

    中路分科員 京浜の場合は、石油コンビナートのいまの現状とともに、御存じのように、昨年の暮れの地震予知連絡会が発表した、川崎を中心にした地盤の異常隆起があって、震度五の直下型地震の可能性があると発表されていますが、問題の地域がコンビナート地域に当たるということ、そして石油タンクの不等沈下が、いまお話ししましたように、表面化している、こういうことが重なりまして、地方自治体やあるいは住民の中で、非常に大きな不安がいま出てきておるわけです。科学技術庁、お見えになっておると思いますが、私は、この直下型地震、震度五ないし六のこれが、コンビナート地域のいまの防災と関係して、どういう影響があるのかということについて、検討をされておるのかどうかお聞きしたいのですが、先日、建設省が中心で、防災遮断帯の問題について、京浜地帯の調査をされました。その報告書も見ましたが、それに参加された防災都市計画研究所長の村上さんという方が新聞にも発表していますが、直下地震とコンビナート災害が重なったときの恐しさですね。これを直視しなければならない。いまのままだと大惨事になって、東京も大きな影響を受けるだろうということを指摘されておるわけですが、皆さんの方で、この直下型地震とコンビナート災害の問題について、いまどのような検討、あるいは震度五、六の場合に、いまのコンビナートの耐震性を検討されておるのかどうか、これも簡潔でいいのですが、お伺いしたいと思います。
  151. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  地震の場合の、特に埋め立て地等の地震による挙動というものは、非常にむずかしい問題かと思います。それで、科学技術庁自体では、具体的な研究はいたしておりません。やはり関係省庁のそれぞれの研究機関におきまして、独自に研究は進めておられるわけでございます。
  152. 中路雅弘

    中路分科員 皆さんの方でまだ検討は十分——科学技術庁が中心になってやっておられるわけでしょう、この地震予知連絡会の後の対策については。
  153. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 科学技術庁がやっておりますのは、地震予知研究推進連絡会議というものを開催しております。これは、昨年の十一月七日の事務次官等会議申し合わせによりまして設置されまして、科学技術事務次官が主宰しておりますが、これは文部省と共同でやっておるわけですが、地震予知の研究の推進につきまして、各省庁、連絡調整をいたすということにしております。  それで、震災対策の具体的な問題につきましては、国土庁の災害対策室の方でやっておりますが、そこの関係省庁の連絡会議の中に、各分科会を設けまして、その分科会ごとにテーマを持ちまして、具体的に煮詰めているということが実情でございます。
  154. 中路雅弘

    中路分科員 この問題、非常に急がれているわけですね、コンビナートの地域において、しかも地震予知連絡会が初めてこういう可能性について発表しているところですから。その防災問題を考える場合にも、どういう影響があるのかという問題について、この耐震性についても、いろいろまだ意見がまちまちだ。この問題についての研究を急ぐ必要があると私は思うのです。  たとえば、通産省、お見えになりますから、これも一言お聞きしておきたいのですが、通産省に高圧ガス火薬類保安審議会がありますね。その中に地震分科会というのがありますが、私、聞いてみましたら、この地震分科会がいま余り稼働していないという。いまのような状態の中で、やはりせっかく審議会があり、地震分科会というのを設けられているわけですから、高圧ガスの問題等は通産省自身が責任を持っておられるところですから、ここでこの地震の問題についても至急検討をされるということがないと、正確な防災対策も立てられぬじゃないかと考えるわけですが、この点も御意見をお伺いしたいと思います。
  155. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 通産省所管の高圧ガスにつきましての地震対策につきましては、特にコンビナート事業所に多く存在いたします球形タンクの耐震性につきましては、工業技術院、公害資源研究所、科学技術庁、それから国立防災科学技術センター等々の御協力を得まして、四十六年から四十八年にかけまして一連の実験をやっております。それから、さらに四十七年、四十八年にかけまして、高圧ガス保安協会にコンビナート防災システム開発調査を委託いたしてきております。  このような一連の実験並びに委託調査の結果を踏まえまして、つい最近、昨年の十二月二十五日に、いま先生のおっしゃいました審議会の中に地震対策分科会を設立いたしまして、コンビナート等におきます高圧ガス設備につきましての耐震設計基準を策定するための検討作業を開始いたしておりまして、われわれの希望といたしましては、本年九月ごろまでにこの作業を完了いたしたい、こう考えております。  それからさらに、近々コンビナートの保安規則を新たに制定いたしまして、保安距離の拡大やら各種保安設備の大幅な強化を行いたい、こういうことで、いろいろ準備を進めておる最中でございます。
  156. 中路雅弘

    中路分科員 私は最近、日石の浮島の高圧ガスの現場も見てきたのですが、高圧ガスについては、先ほど石油タンクの問題が出ましたけれども、こればはっきりした基準すらないわけですね。県の方に任されているということなわけですが、神奈川の場合で言いますと、この高圧ガスの防油堤といいますか、これの容量は、県の自主基準で、タンク容量の二〇%から五〇%でオーケーだということになっているわけです。耐震性について私質問しましても、案内していただいた皆さんのお話ですと、直下型の上下の震動ではこれから計算し検討してみないとわからないという実際のお話ですし、しかも、タンクと防油堤の距離というのは基準がないわけですね。だから、企業ば最小限のものをつくっているのが実情ですから、私たちの調査した日石化学の浮島工場でも、この液化エチレンタンクなどの危険なタンクが、防油堤との間隔がわずか一、二メートルというのでつくられています。だから、タンクが、先ほどお話しのように、球状タンクで、支柱で支えられているわけですから、もし支柱が地震か何かで倒れたら、防油堤のコンクリートに激突するか防油堤の外へ倒れてしまうというわけですね。実際はそういう現状なんですね。その点では、この高圧ガスについて、これは通産省の方の責任の問題ですし、至急に基準を設けていかなくてはならない。  防油堤といっても、全くいまのはナンセンスな状態ですね。先ほど石油タンクについてはお話しになりましたけれども、川崎の場合、一万キロリットル以上の石油の大型タンクが百九十四基あるうち、防油堤が五十八あります。私も皆調べましたけれども、そのほとんどが、四基から六基の共同の防油堤になっている。五十八のうち、それの収容するタンクの最大のものが一基壊れても、収容する能力がないというのが三十あります。複数基壊れたら、この五十八の防油堤は全部お手上げだという状態ですね。防油堤を越えて、工場内あるいはそして海へ流れるのは間違いない。  一万キロリットル未満のタンクはもっとひどい状態にあるわけです。川崎市内だけでも、こういうタンクが総数で二千五百八十五基あります。容量で六百八十七万キロリットルという膨大なものですから、先ほど私聞いていましたら、前の皆さんの質問の中で、今後防油堤の容量をふやすようにしていく、あるいは敷地内に二重ですか、周囲に防油堤をつくる考えだというお話があったわけですけれども、私はこの問題については、もう少しはっきりと基準を明確にしなければいけない。そこを流出した油が少なくともその防油堤によって収容できるものにしなければならない。しかもそれがもしあふれた場合でも、その事業所の敷地の中で、絶対に周囲に出さないということの、明確な基準がやはりいま必要なんじゃないかというふうに考えます。  消防庁にお伺いしたいのですが、容量をふやすというだけではなくて、その基準を設ける場合に、私がいまお話ししましたように、最低その敷地、事業所の外に絶対に流出させないということ、それからそのタンクの容量というものを収容できるだけの防油堤というのが必要なんじゃないかと思うのです。ただ防油堤を改善するというだけではなくて、私も現地を見まして、そのことを痛感したのですが、もう少し皆さんの具体的なお考え、これからどういう方向でこの基準を改善しようとされているのかお聞きしたいと思います。
  157. 永瀬章

    ○永瀬説明員 まずお尋ねの、もし油がこぼれても敷地の外に出さないという考え方につきましては、当然のことでございますので、周囲に堤を設けさせるということのほかに、やはり一番問題は、先ほどお答え申し上げておりました排水口の出口を完全にふさぐということでございます。この二つでその対策を講じたい、そしてそれは規定の中に入れていきたいという考え方であります。  それから、防油堤そのものの問題につきましては、先ほども別な先生にお答えを申し上げましたが、新規のものをやる場合には、どんどん規制をきつくしたものがやれますけれども、現在存しますものをどのようにして規制をして、防油堤外にタンクの油を出さないかという点につきましては、あまり高くいたしますと、また作業性だとかあるいはガスの滞留だとか、あるいは監視の問題、いわゆる漏洩の発見その他の問題、いろいろ支障が出てまいりますので、その辺の兼ね合いにおきましてどの程度にすべきかを、現在いろいろ苦慮しながら検討しているところでございますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、防油堤の容量を何らかの方法で増す方向で考えたいということで、現在考えておるわけでございます。
  158. 中路雅弘

    中路分科員 もう少しお聞きしたいのですが、増す方向——一つの場合、いままで五〇%ですね。それで一〇%プラス、これが全く科学的な根拠もなかったということは、今度の事故でもはっきりした。ただそれを増すというんじゃなくて、私の言っているのは、少なくともその防油堤が流出した油を全部収容できるだけの防油堤でなければいけない。しかもそれに二次防油堤といいますか、事故があった場合でも、その事業所の敷地の中で収容できるという二重の対策が必要ではないか。これから防油堤の容量を増すと言われた場合に、いままでの基準についてはっきりした科学的な根拠がないわけですね。基準ははっきりしなければいけない。その場合に、私の言っているのは、いろいろ検討はされますけれども、少なくも最低全部収容できるというのでなければ防油堤としての意味をなさないのじゃないか。それをひとつ基準に考えていただく必要があるということをお話ししているので、見当としてそこあたりをやはり目安にしなければ、五〇%から六〇%にしたというだけでは話にならないんじゃないかということをお尋ねしているわけです。
  159. 永瀬章

    ○永瀬説明員 一つの目標といたしましては、先生がおっしゃるとおりの考え方を持っております。ただ、いろいろ技術的な問題がございまして、先般の場合は油が燃えませんでしたのでよろしいのでございますけれども、これが燃える油で、燃えるとなりますと、広げるだけ広げますとまた消しにくくなってまいります。面積を大きくしますと消しにくくなってまいりますので、その辺で区切りを設けながら外へ油を出さない方法を考えていくという考え方です。
  160. 中路雅弘

    中路分科員 これは三菱石油の関係者の皆さんも二人入っていますが、四十七年の三月に、安全工学協会というのがまとめた「石油コンビナート地域における危険物施設の安全性に関する調査報告」というのがあります。三菱石油の今度事故を起こした関係者も二人これには参加している委員会ですし、委員長は北川という横浜国大の教授ですね。それがまとめたのを読みますと、防油堤についてこう言っています。「タンク内の危険物が不幸にして流出した場合、これが広がるのを防ぐために」防油堤が最後のとりでである。だから「万全の対策をとる必要がある」ということで、防油堤の容量についても「現在の消防法ではタンク一つであれば」云々ということが書かれていて、流出防止の面からはこれは全くナンセンスなんだということを言いながら、少なくとも、私が言いました収容能力、全体があふれた場合にそれを収容できるだけのものでなければいけない。しかも「敷地内にこれらの危険物を誘導して安全にためる場所があるのがなお望ましい」ということも指摘しているわけですね。三菱石油の関係者も参加して、すでに四十七年にこういう報告書をつくっているのです。今度の水島の場合もこのとおり検討してやっていけば災害は幾らか防げることもあったのですね。  こういうのは関係の多くの専門家の人たちがみんないままで意見を述べているのですね。たとえば東京大学工学部の西村(石油化学)助教授ですが、「基本的には、タンクの容量が収容できる防油堤をつくることを義務づけること、火災のことを考へるなら、タンク直径の三倍の敷地をとる必要がある」ということも言っておられます。やはりこういう点で、いままですでに多くの専門家の皆さんやそれに関係している人たちが述べている意見ですね、これをもっとやはり大事にして、この基準というのは素人でもわかるわけですね、それを中心にひとつ考えてほしいし、もう一つ、この基準を、先ほど聞いていますと、来月の末くらいまでにひとつ検討していきたい、考えたいというお話ですが、基準をつくられるまでほうっておくわけにいかない。川崎市では行政指導で、二次防油堤の問題、改善やあるいは防油堤の幾らかのかさ上げ、これを企業に指示をしています。しかし、地方自治体の指示ですから、それは要請という範囲にとどまるわけです。その点で、国の方が安全基準を検討される前にも、行政指導としてやはりこの問題を強くいま指示される必要があるんではないか。これから安全基準を検討します、法改正についてもやっていきますというだけではなくて、現にやはり地方自治体はそういうことの要請から行政指導としていろいろ考えているわけですね。国として最低のやはり安全を確保する意味での行政指導をやる必要があるし、いま敷地の問題、いろいろ困難な問題をおっしゃいましたけれども、いまむずかしければ、少なくともいまあるタンクについてはタンクの容量を規制する。全部入れちゃって防油堤が入らないということならば、逆に油の方の容量をその間制限するということを考えるのが本当の安全の対策だというふうに思うのです。安全基準を至急検討していただくとともに、現在行政指導として地方自治体がやっているようなそういう点の指導を直ちにやるということについては、皆さんの方でぜひ私は踏み切っていただきたいと思うのですが、お考えをお聞きしたい。
  161. 永瀬章

    ○永瀬説明員 タンク及び防油堤に関します技術基準、いわば政令、省令になるわけでございますが、これの現実的な改定となってまいりますといろいろ手続上かなり時間がかかりますので、またそれに先行いたしまして当然行政指導はかけていきたいと考えております。その行政指導をかけます基準及び政省令の改正あるいはこれに基づきますところの告示等の改正を含めて、現在検討中でございますので、できるだけ早い機会にひとつ行政指導だけは先行してかけたい、かように考えております。
  162. 中路雅弘

    中路分科員 いま、できるだけ早く安全基準をつくるということと、それを待たないで行政指導をかけていくということの御答弁がありましたから、ひとつその点は、特にこういうコンビナートの地域は、地方自治体だけの要請では企業になかなか行政指導が通りませんから、国の方で責任を持ってやっていただきたい。重ねて要請しておきたい。  それから、もう時間もありませんから大臣にお聞きしたいのですが、防災体制の一元化については先ほども答弁があったようですが、私は、この一元化の問題、機構としてどうするかということの検討というのはなかなか今後時間もかかると思う。しかし、今度消防庁が全国的に一斉に総点検をやった。いまそれぞれが点検をやっているわけですね。通産省は自分たちの所管のやつをやっている。県の工業保安課は高圧ガスタンクについてやっている。消防庁は今度のようにタンクについてやるとかいうふうにやっているわけですが、少なくともコンビナートの防災の点検の問題については、年に一回とか何回とか、各関係省庁が一緒になって総合的なコンビナート地域における検査をやる必要があるんじゃないか。新幹線だっていま検査を何回か、一遍とめてやっているわけですね。それと同じように、このコンビナート地域について——特に総合的なコンビナートというのはそう何カ所もない。全国で十七カ所ぐらいでしょう。そこについては各関係の、通産とか消防とかあるいは海上保安庁、労働、いろいろ省庁があると思うのですが、そういうところで点検を別々にやるんじゃなくて、コンビナートについての総合検査をやる。これは閣議で相談されればできることだと思うので、そういう総合的な点検の制度化といいますか、こういう点について、私はぜひ必要じゃないかと現地も視察して感じたのです。行政の一本化ということになりますといろいろまだむずかしい問題、これから検討していかなければいけない問題があると思うのですが、点検を総合的にやる、これは関係の皆さんの間で相談をされればできることではないか。そうでないと、先ほどお話のように、コンビナート地域というのはみな関連しているわけですね。私は、安全性の総点検について、一斉に総合的に検査をやるということを要請したいと思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思う。
  163. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお話のように、全国で十七カ所コンビナートがございますが、完全な一本化された防災体制というものができ上がるまでには若干時間がかかると思います。そこで私も、いま御指摘のような方法が必要でなかろうかと思いますので、関係の各省と至急相談をいたしまして、その方向に進めたいと思います。
  164. 中路雅弘

    中路分科員 いまの問題は、これは法改正とかそういうことを抜きにして、行政の面でやろうとすれば、それから関係の省庁で相談をされればできることですから、私はぜひとも、新幹線までとめてやっているわけですから、コンビナート一日ぐらい全部、それで全国総合的な検査をやるということがあっても、これは安全のために当然なことだと思いますので、ぜひとも具体化を、いま検討するというお話ですから、していただきたいと思います。  時間も終わりになりましたが、このコンビナートの災害、特に地震問題がありますので、川崎を中心にした京浜地帯ではこれが大きな関心の、また不安の中心の問題になっています。ここにありますが、川崎市からことしの二月に「地震対策等に関する緊急要望書」というのが政府に出されているわけです。この中でも「危険物施設等に関する法改正について」という十項目の要請が出されております。防油堤の容量の拡大措置についても述べてありますし、あるいは保安距離、保有空地の強化の問題、タンクの構造の設計基準についての問題等、あるいは高圧ガス施設についての点検ということで、十項目書かれてありますが、これはやはり現地で一番コンビナートを抱えて苦労している自治体あるいは消防庁、関係者の皆さんの今度の点検を通じての具体的な提起であり要望でもあるわけですから、先ほど消防庁で安全基準をこれから検討するというお話ですし、あるいはコンビナート全体の防災対策についても関係の省庁で検討されていくわけだと思いますが、ぜひともその中に、このコンビナートの地域の最も中心である京浜コンビナートを抱えた皆さんから具体的な提起として要望書が出されているわけなので、時間もありませんから、十項目は皆さんのところへ行っているわけですから中身について紹介をしませんけれども、取り入れて検討していただきたいということを強く要望しておきたいのですが、これにつきましても一言御返事をいただいて質問を終わりたいと思います。
  165. 河本敏夫

    河本国務大臣 川崎市よりの要望十項目につきましても、十分参考にさせていただきます。
  166. 中路雅弘

    中路分科員 では終わります。
  167. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  168. 正示啓次郎

    ○正示主査 休憩前に引き続き会議を開きます。通商産業省所管について質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  169. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 最初に、資源エネルギー庁長官に数字をちょっとお伺いしたいのですが、今日一般ガスあるいは都市ガス、さらにLPGというようなことで、どのくらいの世帯がガスを使っておるわけでありますか。そしてそのシェアはどういう比率になっているか、ちょっと数字をお聞きします。
  170. 増田実

    増田政府委員 いわゆるプロパンガスを利用しております世帯数でございますが、これは四十九年十月現在の数字でございますが、千六百五十七万五千軒になっております。これに対しまして都市ガスの需要家軒数、これは少し統計が古くなっておりますが、四十九年の一月現在でございますが、千二百五十万三千軒ということになっております。四対三の比率ということになっております。
  171. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 LPGはその残りですか。
  172. 増田実

    増田政府委員 ただいま申し上げましたのはLPG、プロパンガスでございますが、この方が千六百五十七万軒、それから都市ガスの方が千二百五十万軒ということでございます。
  173. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 千六百五十七万ですね。  全国の数字はそれでわかりましたが、私が住んでいる宇都宮地区で調べてみましたら、ガスの供給を受けている世帯数が約九万五千、都市ガスが一万七千世帯、このうち一万六千というのは東京瓦斯がカバーしております。LPGはこれに対して七万八千世帯、こういうことになっているのですね。全国の数字よりLPGの比重がきわめて高いわけであります。  そういう中で、いま東京瓦斯が、新潟で産出されるLNG、メタンガスを主体としたLNGをパイプラインで宇都宮まで持ってきて、そのパイプラインに接続をした栃木市であるとか、あるいはその沿線の壬生、石橋というようなところにも供給をし、さらにこの宇都宮市内に供給をしょう、こういうことで、非常にいま地元のLPG業者がこれは大変なことになるということで大恐慌を実は来しておるわけであります。  そういう場合にわれわれが一番心配するのは、八年くらい前でしたか十年くらい前でしたか、はっきり記憶はないのですけれども、液化石油ガス保安に関する法律、それから取引の適正化に関する法律、いわゆるLPG二法とよく言われているのですけれども、それができまして、その法の規制のもとにLPGに対する規制も非常に強化され、また取引の適正化のために行うべきいろいろな要件も法の強制のもとに進められてきた。こういうようなときに、野放しで大企業が新しいそういうエネルギーをどんどん供給をして自分のシェアを拡大するということになった場合に、このLPG業者はいずれも小零細企業が大部分を占めておるわけでありますが、こういう人たちにとって非常に大きな打撃を与えるというか、生業としてやっている人が非常に多いわけですけれども、そういう人たちが業として成り立たなくなるということが当然に予想されるわけです。  こういう問題について国としてどうお考えになるのか。そういう人たちは、消費者は王様なんだから、消費者が安くて安全な安定供給の得られるエネルギー転換するのはあたりまえのことなんだから、その自然の流れに任しておけばいいのだ。LPG業者がそういう法の規制のもとにずっと安定供給をやって、保安の点でも、また取引適正化の面でも、法の命ずるところに従って実行してきておった、そういう人たちをどんどん排除して、言うならば弱肉強食、優勝劣敗という原理が物のみごとに作用して、そういう零細業者、小業者を駆逐していってももうこれはやむを得ないのだ、こういうお考えなのか。または、そういう問題についてはしかるべき、やはりそういう人たちに対する何らかの政府の温かい措置というようなものをやらなければいけないと認識をしておるのか。こういう点について、これはエネルギー庁長官だけじゃなしに、中小企業庁長官もお見えになっているようだし、しますから、両者からひとつお聞きしたいと思います。
  174. 増田実

    増田政府委員 ただいまお話しのありました、従来いわゆるLP業者が供給しております地域に新たに都市ガスが進出する、そこでいろいろな問題が起こるということでございますが、従来から、都市ガスの方は人口が稠密な地帯、いわゆる密集地帯、大都市の家庭燃料の供給を担当いたしておる。それから大都市の周辺あるいは山間地域、離島その他につきましては、いわゆるLP業者プロパンという形で家庭燃料を供給するということで、一応の分野というものがそれぞれによって分かれておるわけでございます。先ほど先生に御説明いたしましたように、現在のプロパンガス業者の供給先が千六百五十万世帯に及んでおるわけでございます。ところが最近、都市が郊外へだんだん進出いたしますと、従来プロパンが提供されております地域に都市ガスの導管が引かれまして、そしてそこが新たに都市ガスの供給地域になる。それによりまして、従来非常に努力をいたしましてようやく開拓しましたプロパン業者がそこから退かざる得ないというようなことで、いろいろ問題が起こっております。  この燃料の選択につきましては、先ほど先生からもお話がありまして、むしろそうであってはならないという若干の注釈つきでおっしゃられたのではないかと思いますが、私どもは、家庭燃料プロパンで選ぶかガスで選ぶか、これはやはり消費者の自由選択だと思っております。ただ、自由選択とは申しますが、先ほど申し上げましたように、従来プロパン業者が非常に苦心をして切り開いた地域に都市ガス事業者が相当強引に割り込むということで、そこにいろいろのトラブルが起こっておるわけでございます。私どもといたしましては、この都市ガスの進出、そしてLP業者の商圏の問題につきましては、できるだけ両者間で円満な話し合いをいたしまして、そしてその問題の解決に努めていきたい、こういうふうに思っております。これは、いま御指摘の宇都宮近辺だけでなくて、全国でもいろいろの問題が起こっております。中には、都市ガス業者のやり方につきまして非常に強引な点があったということで、これが訴訟の対象になっておるケースもございます。ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、両者間でできるだけ話をする。そしてまた話し合いにつきましては、私どもも努力してそのあっせんの場を与える。それから補償の問題その他につきましても、両者間で円満に解決できるように努力をいたす、こういうことでやっております。
  175. 小山実

    小山(実)政府委員 従来、LPGの販売業者が供給しておりましたところへ都市ガスが進出をしてくる、それに伴います問題でございます。これは中小企業対策という観点から申しますと、確かに従来のLPG販売業者の営業の面で非常に困ってくるという問題が出てくるわけでございますが、一方、こういう問題につきましては、やはり都市ガスの方がもし安全かつ低廉であるということでございますれば、これについての消費者の選択というものをむげに抑えることも非常にむずかしいということでございまして、中小企業庁の立場といたしましては、従来その需要開拓に努めてきたLPG販売業者の立場というものを都市ガス業者が十分に尊重して、円満に相互の調整がつくということを期待したいわけでございます。なお、将来そのLPG販売業者についていろいろ転業とかいう問題が出てまいりましたならば、これはまたいろいろ既存の制度を活用いたしまして、そういう面でのまた対策も考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  176. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま私が引用しました栃木県の宇都宮でそういう問題が起きているということで、LPG業者がこれはゆゆしき問題である、まさに生活権の問題である、営業権の問題であるというようなことで県に請願をいたしました。そういうものを引かないでもらいたい、パイプを敷設しないでもらいたいということで請願を県議会に出した。県議会も困って、県の商工労働部の中小企業課が間に入って両方の言い分を聞きながら、ある程度あっせん役をやったということですけれども その中で、大企業である東京瓦斯が示したものは、パイプをとにかく敷設をして、ガバナーステーションですか、そういうものをつくる、そこから今度はどんどんガス供給を始めるというような場合に、既存のLPGを配管し敷設をしておったその施設を撤去する際に、小零細業者は立ち会え、立会料として二千円出しましょうということが東京瓦斯から示された。それに対して、とんでもない、そんなことでどうしてわれわれが将来食っていけるのかという反撃があって、しばらく折衝を重ねたら、東京瓦斯の方では、それではざらに千円だけ立会料として上積みしましょう、こういうような見解を出した。これに対してもやはりLPG業者は、とうてい納得できる線ではない、こういうことで県もほとほと困ってしまって、これ以上あっせんを続けてもさらに進展はなさそうだし、われわれの限界もこれくらいだ、こういうようなことで手を引くかっこうにいまなっている。  しかし請願としては、パイプラインを引かないでもらいたいということを県の防災課の方を通じて出しておったものですから、その点では安全性というものはほぼ大丈夫であろう、パイプラインそのものの敷設に伴う危険性というものについては、かなり安全性は立証されているというようなことで、その段階ではそれじゃ請願を取り下げましょう、こういうことになり、さらに今度は営業権の補償の問題というような形でもう一遍筋を変えて、商工労働部というのが県にあるわけですけれども、そちらへ請願を出し直そうということで、一たんパイプライン敷設反対ということではそういう取り扱いになったけれども、また請願を改めてしかるべき筋、というのは商工常任委員会を通じて県議会にもう一遍出し直すというような状況にいまあるわけなんですね。  私どもが考えるのは、やはりどうしても中小企業対策という面から考えてもらいたい。この問題は、単に低廉な、しかも安定供給確保される、そういう立場からすれば、おそらく消費者の選択は自然にそっちに流れるであろうということは、もうだれしも察しのつく問題なんです。しかし、今日まで大部分の都市において、非常に高いシェアを持ってそれぞれの家庭燃料としてプロパンを供給してきた、しかもLPG二法によって取引の適正化も図られ、五十年の三月三十一日でほとんどメーターもつける、これは取引適正化法の趣旨を具現化した、そういう事態になってくる。あるいは、御承知のようにプロパンはもう皆ボンベ供給であります。最近小規模導管というようなこともありますけれども、主体は何と言ってもボンベ供給。そういうことで、そういうように進出されたらそのボンベが全部要らなくなってしまう。つけて幾らもたたないメーターも全部要らなくなる。それぞれに投資をしているわけです。そういうものがもう全部くず鉄になるわけですね。  しかも中小企業にとっては、特に小零細企業にとっては——大体LPG業者は全国各地そうでありますが、主として薪炭商をずっと古くからやっておった人たちが転換をした零細業者が非常に多い。零細とまで言わなくても小業者であることに間違いない。そういう人たちが、たとえばメーターも一台大体五千円だ、それからボンベ、これは十キロ物が大分少なくなっているようですが、十キロ物で大体三千円見当、二十キロがいま非常にふえて、これが主役をなしているようですが、これが大体一本当たり五千円程度、五十キロボンベになりますと約一万円、こういうような値段がしている。たとえば宇都宮あたりの例で見ましても、大体二百七業者あるわけですけれども、これが七万八千からの戸数に供給しておるわけですから、一業者当たり平均すれば大体四百戸くらい。こういうことで計算してみましても、ボンベだけでも恐らくほぼ二、三百万は投資をしているのですね。それからメーターを三月三十一日で皆つけるのだということでいまそれを一生懸命やっているわけです、もう期限も幾らもないということで。そういうものが大体四百台としまして、五千円とすればやはりこれも二百万だ。少なくとも大体四、五百万の投資というものはやっているのですね。それが全部くず鉄になってしまう。タイムラグがありますから、これは東京瓦斯が進出してもどのくらいの年次でどういうように供給していくかということは、東京瓦斯でも計画はお持ちでしょうけれども、それは一切示さないのですね。消費者が選択して次々にこうやっていくんだからという逃げ口上もあるわけです。これは、東京瓦斯は恐らく企業としてはそんな悠長なことをやっているはずはないから、ちゃんとした計画は持っている。そしてやはりそれなりの対策もやっているのですね。自治会長をうまく抱き込んで過度の宣伝をやって、もうLPGなんかの時代じゃないんだ、われわれのこの天然ガスでやればかくかくのメリットがあるんだなんということを、どんどんそういう人たちを抱き込みながらやっているのです。これだって小零細企業にとっては非常に目に余るようなこともあるのですね。そういうことをやりながらやってるんだけれども、そういう点についてはもう全然問題にしない。こういうことで、やはり先ほど申し上げたように企業側としては計画的に進めるに違いないのです。そうすればごく短期間のうちに相当のシェアが奪われていくということは、もうはっきりしているのですね。それにもかかわらずそういう人たちに対して——いままで四百戸供給しておったやつが一、二年の間に半分になってしまったといったらどうしてその人たちの生活が成り立っていくのか、業として成り立っていくのかというようなことが恐れられているんだけれども、それに対しては何らこたえる考えはない。まあ将来器具の販売などを、新しいガス供給に伴ういろんな器具なんかについて幾らか考えてますよ、減った分について幾らか器具の販売などもやってもらうようにやりましょうとかなんとかという条件は出しているようですが、それなんかも具体化されない。まだそこまで話し合いも進まないというようなところでがしんとぶっついたままで、いま水が入ったような状況になっているわけなんです。  したがって、そういう点について先ほど話し合いをさせたい、十分話し合って円満にいきたいという、それはわかったけれども、その話し合いの基準になる、そういうようなものについて、たとえばそういうボンベだとか、あるいはメーターだとか、これは法によって皆強制してそういう方向に持っていったものですよね。それはボンベは、当初からそういう個別の供給をやればそれ以外にないのだから、これはもう当然のことだけれども、そういうものが全部スクラップになってしまうということをみすみす、国がそういう二法をつくった経過もこれあり、そのままにしていいのかどうかという問題はやはり大きな問題だと私は思うのですよ。だからその辺のところについて、これはやはり大きい問題ですから、基本的な考え方を通産大臣からひとつ——いま私が申し上げたし、両庁の責任者から話がありましたから内容はおわかりだと思いますから、通産大臣というこの問題に関する最高の責任者である河本さんから、あなたのそういう場合に処する基本的な構え方、どういう方向でこういう問題を解決したらいいのかということをお聞きをいたし、それから話し合いの基準となるべき、たとえばボンベのごとき必須のもの、それから法によって強制されたメーターなんというのが二束三文のスクラップになる、こういう問題なんかについて、やはり話し合いの基準になるべきものとして、当然それは力のある大企業の東京瓦斯が持つべきではないかと私は思うのだけれども、そういう問題についてやはり話し合いの基準のようなものを国としても示していくというようなことが必要だと思うのですが、その点はあなたの方から、これは中小企業庁でも資源エネルギー庁でもどっちでも結構ですから、お伺いしたいと思うのです。
  177. 河本敏夫

    河本国務大臣 お話しのような紛争は各地にあるようでございます。しかし、大部分は話し合いで解決しておるようでございますが、もし話し合いが非常にむずかしいというようなことがあれば、これは地方地方で解決するのが一番望ましいのですけれども、場合によれば通産省があっせんをして話し合いの場を設けるとか、いろいろ積極的に取り組んで、そういうトラブルがなくなるように努力をしたいと思います。
  178. 増田実

    増田政府委員 ただいま広瀬先生から御指摘のありましたように、ことに宇都宮地区では東京瓦斯の導管敷設に伴いまして非常に大きな問題が起こっておるということについて、私どもも承知しております。それでまた、この問題ができるだけ円満に解決されるように両者が十分話し合いまして、そしてプロパン業者の従来の非常な努力、それから先生のおっしゃられたようにいろいろな保安改善その他も行っております、その努力が全部、これ撤退しますと無になるわけですから、これらにつきまして、今度新しく出る東京瓦斯の方もそういう事情を十分考慮してこの問題の解決を図るように、私どももできるだけ力を尽くしたい、こういうふうに思っております。基本的な考え方は大臣がいま申し上げたとおりでございます。
  179. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 中小企業庁は何か特別な考えはないですか、私の質問に対して。
  180. 小山実

    小山(実)政府委員 特につけ加えることはございません。
  181. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま先ほどから宇都宮の実情については申し上げたとおりで、痛み分けのような形にいまなっているということで請願は取り下げた、また出し直そう、こういうようなことになっているのですが、LPG業者は決して納得をしておりません。非常な不満を持って、われわれの業界というのはそれほど弱いものなのか、大企業が進出してくればもう有無を言わさず追い出され、駆逐されて、そしてしかも将来に向けての営業権も確実に奪われていって、しかもそれに対する何らの補償がない。立会料として二千円とか三千円とか出すというようなことで、器具の補償の問題なんかについては先ほど具体的な数字を挙げて申し上げたのだけれども、こういうものに対して、強者として駆逐していく、そしてそのことによって膨大な利益を独占的にやがては得る、そういう見込みのある業者が負担するなり、あるいはまた国がそれについて、たとえば転廃業に追い込まれる人たちに対してはやはりまとめてそれに対する助成、優遇の措置をするとか、そういうものがはっきり示されなければ、もう不安で、またより一層エキサイトした紛争状態を醸し出すかもしれない、こういうおそれがあるわけですよ。  だからその辺のところについてもう少し具体的に、私の言いたいことはおわかりいただいたと思いますから、その辺のところを、LPG業者がこれからどう対処していったらいいかというようなことについて、やはりあなた方が少しはわれわれにとって、きょうの広瀬質問によって幾らかでも温かい気持ちがあるのだなということがわかり、それに頼りながらそういう方向で営業権を守り、将来生きていく道を発見し得るような、その光がちっとは見えるところまでお話しいただかなければ私が質問した意味がないのですよ、これ。そういうつもりでひとつお答えをもう一遍。
  182. 増田実

    増田政府委員 今回の宇都宮の問題につきましては、確かにいろいろな問題がございまして、ただいま広瀬先生からいろいろ事実を挙げられて御指摘になりましたとおりの問題があると思います。話し合いと申しましても、確かに先生がおっしゃられますように、片方は非常に大きな企業であり、片方は中小企業でございますので、なかなかそう対等に話ができないとか、いろいろな問題があると思います。そういう意味で、私どもが先ほど申し上げましたように、できるだけこの問題につきまして両方が円満に話し合いができるように、それから補償の問題その他についても、両方の立場というものを考えて、決して一方が力ずくでやるということじゃなくて解決できるように努力いたしたいと思います。きょう先生からいろいろ御指摘がございましたので、それも十分頭に入れて、そういう精神でこの問題を解決に持っていきたい、私はこう思っております。
  183. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 もうあと二分ぐらい残っていますか、そんなところですから……。  この問題は、LPG時代がどのくらい続くかということについては、今日までかなり長期にわたってやってきた。薪炭からそういうLPG供給小売業者として生活をかけて、あらゆる努力を国の規制に従いながらやってきた。そしてそれだけ大衆にもサービスをしてきた。そこへもってきて新潟方面の、無尽蔵といわれているようですが、したがってこれは相当長期にわたって、理論的には永久的な貯蔵量を持っているというLNGのようです。そうしますと、もう当分どうしようもない。それに押されたら押されっぱなしで、もうわれわれはどう転廃業したらいいのか。そしてしかも補償の問題なんかも先ほど申し上げたとおりで、それ以外のところへは一つも進まない。こういうようなことで、どうすべきかということを非常に苦悩しているわけですよね。そういう中で通産省としても、先ほど大臣も場合によっては通産省もあっせんに乗り出します、こういうことなんだけれども、具体的にこれは小規模導管の問題がその二法の後、簡易ガス事業法の際に出ました。そのときなんかにも、この既存のLPGの小零細企業とそういう大企業の進出によるシェア争いという問題について、いわゆる商調法を適用していくというようなことも当時の質疑過程を通じて確認されているところです。これはそういうものにも乗せ得ると理解をしてよろしいのですか。通産省があっせんに乗り出しますというような点は、具体的にどういう形でやれるのか、その点をやはりはっきりさしておいていただきたい。
  184. 小山実

    小山(実)政府委員 先生御指摘のように、紛争の解決につきましては、特に法的手続を要する場合だけではなく、いろいろな指導で行えるわけでございますが、もし一方の当事者からそういうあっせん調停の申し出がありました場合には、先ほど御指摘のありましたような小売商業調整特別措置法によります都道府県知事のあっせん調停の対象になり得る。また、さらに進みましては、知事の勧告とか大臣の勧告の対象になり得るというふうに考えております。
  185. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 これで私の質問は終わります。
  186. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて広瀬秀吉君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  187. 大出俊

    大出分科員 大変短い時間でございますので、単刀直入に承り、かつどういう対策を具体的におとりをいただけるのかという点を聞きたいのであります。  本題は、昨年の十二月の二十六日から七日にかけまして、川崎市の元木町というところを中心にいたしまして、大変な地盤の隆起が過去十年、顕著なものが五年続いているということで、国土地理院が所管をいたしております、事務局をお持ちになっております地震予知連絡会、萩原さんが会長でございますが、ここが、直下型地震の可能性があるということで、文章は大変気をつけてお書きになっておりますが、そのときの討議の中身も調べてよく承知しておりますが、実は大変な不安が増幅をされている現状であります。すぐ裏は京浜最大のコンビナート地域でございまして、千二、三百のタンクが林立をする、こういう中であります。しかも産業道路一つしか隔てていない、つまり三十メートルしか住宅街を離れていない、こういう地域であります。したがいまして、先週初めごろでございましたか、震度四近い地震がございまして、私ども驚かされました。たなの物が落ちる、そら来たということで、実は大騒ぎが起こったわけでありまして、たび重なる地震のためにますます住民の方々の不安は大きくなっていく、こういう現状であります。  そこでこの間、内閣委員会に関係の方、お集まりいただいて一応承ったのでありますが、具体的な点にいきますとそこから先がないのであります。ただ一つ文部大臣の永井さんのところで、親の手元を離れて子供が学校に行っている、関東大地震のように昼間起こる場合だってあり得る、それが一番心配だという親の気持ち。ところが学校の講堂が木造講堂で、大変な年月を経ている老朽講堂、かつ三百を超える老朽学級校舎が四千五百点以下のところまである。こういうことでございましたので、この点については文部省の方では、とりあえず木造の危険な三つの講堂については鉄筋に建てかえる方向をとる。あわせて、年次計画でいけば先になるのだけれども、それを早めて、危険な学級校舎の順番をつけて、一番危険なところから手をつける。大変これは決断をいただきまして、後ほど具体的な御回答までいただいたわけであります。  実はこの種のことは冷静に受けとめなければいけません。つまり、冷静に受けとめられるようにするのには、関係の官庁の皆様方の方でそれぞれ具体的な手を打っていただく、着手していただくことが、物事を冷静に受けとめられるように住民感情がなっていく要諦だと思っておりますので、そういう意味で承りたいのであります。  そこで、まず一つは、けさ大臣は十二社の関係の企業、石油会社その他だと思いますけれども、その社長さんをお呼びになって話をなさっておられるようであります、ちょっとニュースで見たのでありますが、高圧ガスその他は通産省の所管でありますから、消防庁あるいは各自治体の調査の結果として横浜なんかは半数が欠陥タンクであります、そうした中で、企業側の予防努力と申しますか、要請をなさったようでありますが、事、非公式だそうでございますし、十二の会社のお呼びになった社長さんのうち半分は御本人が出てこない、会見は二十分、こういうことでございまして、どうもこのことは、ニュースの報道の仕方からすると、私聞いておりましたが、逆に何かかっこうだけそういうことをやったのだというふうに受け取られて、逆になりはせぬかという心配も実はある。したがって、この地震の件について、中身は御存じだと思うのです、後から申し上げますが、この危険な地域の関係の社長さん等をお集めいただいて、少し時間をかけて、どうするか、どうするのが一番、地震予知にかかわる住民の不安感情というものを除去するのに役立つかというふうな点を、ひとつ詰めておやりいただく必要があるという気が私はするのでありますが、そういうお気持ちはございませんでしょうか。——もう少し私の方から説明しましょう。  これ、ごらんいただくとわかりますが、「直下型地震の可能性も 川崎中心に地盤が異常隆起地震予知連絡会が判断 来年末から危険期」つまりことしであります。去年の十二月の予知連絡会の報告でありますから、本年の暮れから危険期に入る。「早急に集中観測開始へ 隆起の異常さ明白 万一に備え十分な準備を」、ここにもございますが、「京浜で異常な地盤隆起 一、二年で強震の心配観測五年異例の発表」「コンビナートに激しい衝撃京浜に強震予報 新幹線は、空港は——あきらめ顔の住民も」と言う。これは、以来今日まで大変な騒ぎで、各自治体が、横浜市もきょうはそのための議会を開いておりますけれども、地震条例というのを審議しております。  実はそういうことでありまして、学者の定説でございますけれども、大きな地震あるいはローカル的な大きな地震が起こるのは、その地域でかつて地震が起こっているところ、ここに起こる、こういうわけであります。そこで、川崎、横浜、そして品川というこの沿道は、歴史的に大変大きな地震がすでに何回も起こっている地域であります。文化九年、一八一二年六月六日でありますが、ここで神奈川県東部を震源地とする大きな地震がございました。文化地震、横浜、川崎、品川の臨海地帯に大変大きな被害が出ております。これはすべて臨海地帯であります。これは一八一二年。その百六十何年前、慶安二年という時代、一六四九年でありますが、六月四日、同じ六月であります。これもマグニチュード六・四という大きな地震がございました。このときは川崎駅周辺で百五十軒からの家が倒壊、つぶれております。大きな被害であります。それから横浜地震というのがございまして、明治十三年でございますが、一八八〇年二月二十二日、横浜でマグニチュード五・四。この横浜地震というのは世界的に有名でございまして、世界的に地震学が確立する大きなきっかけになった、その方面で有名な地震であります。これは川崎から品川に近いところまで大きな被害を出しております。六十九年周期説という河角さんの説もございまして、プラスマイナス十三年ございますから、そういう意味の大きな危険期である以上に、この、つまり慶安地震、文化地震、明治地震とつながってきている地震のある意味の周期。だから、地震予知連絡会議の会長さんの萩原さんのお話がここにありますけれども、非常に大きな地震発生がかなり切迫している、そういう可能性があるという判断を下した。ただ、気象庁その他からいろいろな意見がありましたので、表現はなるべく気をつけて書いたんだ、こういうわけであります。  そこで、この地域は一番古いコンビナート地域であります。これは通産省も消防庁も、まことに手ぬるい話でありまして、水島事件以来ようやく腰を上げて調査に入られたわけであります。ここにございますのは横浜市の消防局が調べたものですが、調べた結果、二基に一基が欠陥がある。大変な沈下のものもございますし、傾斜のものもございますし、防油堤が用をなさないものもありますし、大変なことであります。それから、皆さんの方でお調べになった消防庁その他の集計、これによりましても、これは四百十七基に上る危険なタンクがある。タンクは消防庁、高圧ガスは通産省であります。同じ会社に高圧ガスもタンクも並んでおるわけであります。したがいまして、これは全国で九万五千基あるのですから、だからこの中で調べたというのは本当にサンプリングの調査のようなものであります。それでもおおむね二基に一基近い四百十七基の危険タンクがある、こういう結論が出ておるわけであります。  ところがそれに対して、しからばどういう手を打ったかというと、抜き検査的に、油を抜いて検査をしろということを言っているところが何カ所かあるが、こういう状態のままでございます。したがって、そういう意味で具体的に一体どうしてくれるんだという大変大きな住民の声がございまして、横浜、川崎、東京、特に大田区でありますが、相談室その他はいずれも連日町内会からたくさん意見が出てきている、いまこういう状態であります。  したがって、けさ、タンクの問題その他、高圧ガスの問題が主でございましょうが、関係会社の社長さんを大臣がお呼びになって非公式にお会いになったそうでありますが、これが時間的に二十分で、非公式で、責任者、社長さんがお見えになったのは半数だったというわけでありますから、そういうことでは逆にかえって不安感を高めるだけだから、この地域における関係の危険タンク、危険な貯蔵所は指摘されているんですから、関係の責任者を大臣がお呼びになって具体的な相談をするという必要がありはせぬかという気がする。そのことをおやりになるお気持ちはないかと、私は冒頭にこう聞いたわけであります。
  188. 河本敏夫

    河本国務大臣 ちょっと簡単に経過を申し上げますと、去る一月下旬に予算委員会の総括質問で、江田先生から例の水島の油流出問題について御質問がございまして、幾多の問題点を指摘せられました。それに関連をいたしまして、総理から、いろいろ問題点はあるようだけれども最大の問題点はこの防災体制というものが一元化されていない。一元化されてないということはてんでんばらばらである。それで強力な指示ができない、対策がとれない、ここに問題点があるようだから、自治省が中心になって、とにかく強力な一元体制をつくるためにどうしたらいいのか、立法措置が必要ならば、どういう内容の立法措置が必要であるかということを至急検討するように、こういう御指示があったわけであります。  自来、各省からそれぞれの参考の資料を自治省の方に出しまして、目下自治省の方で、どうしたらよいかということについて結論を急いでおられます。多分三月の中旬あるいは下旬までに一応の結論が出るのではないかと思うのでございますが、それと別個に、通産省としましても全国の十七のコンビナートに対してそれぞれ具体的な通達を出しております。注意を喚起するために通達を出しておりますが、なお不十分である。やはり直接会って注意を喚起しておく方がよかろうというので、きょう、各コンビナートの代表を集めまして、一般的な注意を促しますと同時に、具体的に四項目にわたりまして指示をいたしました。そういうことでございますが、もちろんそれだけでは不十分であると思います。なお引き続きまして、機会あるたびに、あらゆる方法を考えまして、そうして防災体制の強化をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  189. 大出俊

    大出分科員 時間がきわめて短いからいきなりぶっつけでものを言いましたから、御理解いただきにくかったと思うのであります。それはお許しをいただきたいのでありますけれども、実は大変な不安状態に陥っているわけでありまして、だから自治体がおのおのそのための議会などをやっているわけであります。  そういう地域でございまして、ここに幾つも例がありますが、おのおのの企業、おのおのの会社の、つまり保安責任者の方々が、責任が持てないということを新聞記者に語っている。新聞に全部載っております。京浜地区の地震が起こるという予知をされているコンビナート、これは住宅街のすぐ裏なんです。産業道路一つ隔てれば住宅街なんです。三十メーターしかない。そこで、ここで言っているのを見ますと、ちょっとここに幾つか挙げておきますけれども、まず、去年の三月に川崎市の防災会議というのがございまして、地震専門家を入れまして、金井さんという日大の工学部の教授さん等を入れて調査をいたしました。この地域、ずばりこの地域でありますが、地盤の締まりが非常によくない砂土質である。しかも地下水が非常に多い。震度五程度の地震でも地盤の粒子間の水圧が増し、土の粒子がばらばらになって地盤全体が液化状態になる。したがって震度五で、もたないというんです。こういう地域なんです。  しかもこの中で、幾つもの会社がございますけれども、エチレンなんかを扱っている会社がございます。日本石油の浮島工場、すぐ裏でありますが、ここなんかでも、配管が縦横に走っておりますが、可燃物を大量に扱っているので、非常訓練等をやっておりますけれども配管が破れて火災が起きたということになれば全くお手上げである、企業としての手のつけようがない、こういうふうに、入倉さんというポリエチレン係長、保安責任者でありますが、そういうふうに述べておられます。ここから始まりまして、昭和石油さんなんかでも同じように火薬庫を抱えているようなものだというわけですね。したがって、地震ということになって、火災が起こったとなったら、会社の消防体制ではどうにもならない、これまた全くお手上げである。次々にこういうふうに述べておるわけであります。こういう地域なんです。これは一番古いコンビナートですから、調査の結果として一番欠陥なんかも多いわけであります。消防庁も発表しております。  だから、ここらあたりはやはり、大臣がどうしてもぐあいが悪ければ担当局長でもいいわけでありますが、震度五なら震度五という地震が起きる、しかも非常にそれは切迫していると言っているわけでありますから、やはりこれに対しては、ずばりこの地域の企業の責任者の方々を呼んで、会社側の防災体制はどうなのかということを、欠陥タンクが指摘されているのだからそれは皆さんの方で具体的にどうしようということになさるのかと、やはり市民が多少なり気持ちの余裕を持って冷静に処理ができるようにするためには、私は行政面でそういう手が必要だと思います。せっかく大臣が、けさああいうふうにテレビでニュース報道するように手をお打ちになったのだから、この京浜地区の一番古いコンビナートであって、遮断緑地もないのだから、だからずばり呼んで、おまえさんの会社の防災体制はどうなのかというところから、この地震予知に対してどういうふうに考えるかという、私はそういう皆さんの行政的な手の打ち方があってしかるべきだという気がするわけでありまして、金丸さんが川崎市長の陳情に対して、私も近くお伺いをして視察をする、こうおっしゃったそうでありますけれども、いまだにおいでになっていないものですから、それとても地元ではいろいろ不安材料になるわけであります。そういう意味で承ったわけでありますので、もう一遍ひとつお答えいただきたいのであります。
  190. 河本敏夫

    河本国務大臣 けさも各コンビナートの主たる企業の代表に対しまして、具体的には四項目にわたる防災体制の強化について指示をしたわけでございますが、後、引き続きまして、コンビナートごとにその指示が具体的にどう行われておるかということにつきましては、通産省及び関係の各省相談しまして、至急にコンビナートごとに具体的な防災体制を調べてみたい、こう思います。
  191. 大出俊

    大出分科員 十二月二十七日に萩原さんの地震予知連会から、地震予知研究推進連絡会議議長武安義光さん、これは科学技術庁の事務次官でございます、これは行政機関でございます、そこに報告が出ているわけですから、これはほかの一般的な問題じゃない。マグニチュード六・五あるいは震度五の地震が起こる可能性が非常に強いということを、いまだかつてないのだが表に出したわけです。だからこの地域の人が騒ぐのはあたりまえであります。さっき申し上げた、かつて地震があった地域でありますから。コンビナートごとも結構でございますけれども、一番古いコンビナートで、一番条件が悪い。だから、お呼びになるならば、まず、一番たくさんあって、古くて、条件が悪い、しかもずばり地震予知が出ている、ここをぜひとりあえずお呼びいただきたい。この点をお願いしたいのですが、いかがですか。
  192. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 私から経過をちょっと申し上げたいと思います。  通産省といたしましても、この地震予知連絡会の発表につきましては非常に重視いたしておりまして、発表になりました翌日、早速神奈川県を通じまして、川崎、横浜地区のコンビナートの構成事業所の責任者を集めまして、直ちに次のような指示を行っております。すなわち、一応五十三年度末を目標にして設備の耐震強化対策をずっとやってまいっておるわけでございますけれども、今回の発表によりまして、五十三年度では遅いということになりそうでございますので、これを相当程度繰り上げて実施を完了するということが第一点でございます。それから第二点といたしまして、緊急遮断弁あるいは害を除く除害設備等の保安設備の作動点検を十分に行うようにこの際監視する。それからさらに、毒性ガスなんかもあのコンビナートにございますので、これらにつきましては特に急いで、ことしの六月末までに毒性ガスの設備については設備を完了するというような指示をやったわけでございまして、われわれとしましては、特にコンビナートの中でもこの地区の保安体制につきましては特段に注意をいたしまして、御期待に沿うように努力してまいりたいと思います。
  193. 大出俊

    大出分科員 五十三年を急げというわけでありますが、ことしの暮れという言い方をしているわけですね、萩原さんは。ここに新聞にも載せておりますが、この新聞の中身によりますと、つまり非常に差し迫っている、震度五という地震がいつ起こってもおかしくない、そういう立地条件になってしまっている、隆起していて。ここにありますが、萩原さん、地震予知連絡会の会長さんのお話、「社会不安を起こしてはいけないということでかなり控え目の形で文書は出したものですが、国がそれを受けて、いまのような無防備状態を早急に改善してくれることを期待したのですが」と。やってくれないということなんですね、おっしゃっているのは。だから、その指示は結構なんですよ。しかし、ことしの暮れに迫っているとまで萩原さんは言い切っているわけですから、早急にもう一遍呼んでいただいて、大臣がいみじくもおっしゃいましたが、その指示は一体その後どうなっているのか。川崎市も横浜市も調べていますが、二基に一基ずつ欠陥がある。会社側の反論ばかりあるわけですよ。二百分の一なんというのは基準が辛過ぎる、アメリカは七十分の一じゃないかというようなぐあいの、沈下、傾斜等についても。そうでしょう。それじゃ前に進まないわけですから。  いま遮断帯とおっしゃったけれども、遮断帯はここだけないのです。公害防止ということで、これは新潟地震の教訓です。そこで公害防止事業団が四十一年から計画を立てておられるでしょう。千葉、市原、大阪、堺、愛知、東海、全国十六カ所緩衝緑地帯をつくると、進めているわけですよ。ところが奇妙なことに、新聞にも書いてあるが、わが国の代表的コンビナートである京浜地区だけは手つかずのままで放置されている。コンビナートの規模が大き過ぎる上、既成市街地に余り近接し過ぎていて遮断帯のスペースがとりにくいこと、代替用地難で移転がむずかしいことなどを理由に何にもしていない。これは川崎市も横浜市も中防会議に聞いているわけですよ。プランはございません。萩原さんはだから予知をして、何とかしてくれと言っているのですが、と。通常五百メートル必要だというわけでしょう、被害が及ばないためには。五百メートルどころじゃないのですよ。一番離れているところで三百メートルしかない。五十メートルでいっぱいなんです。横浜に入ってくると産業道路一本だけなんです。三十メートルです。その向こうはコンビナート群がずらり並んでいて、産業道路のこっちは全部市街地ですよ。そうすると、遮断帯をつくって五百メートルなければならぬという結論をお出しになっていて、ほかの方に余裕のあるところは計画を立てて進めておられて、一番問題の、しかも地震予知が行われているところに全くプランがゼロで何もしてないというばかなことがありますか。そうでしょう。これは中防会議の方もおる、建設省の方もおいでになる、消防庁の方もここにおいでになる。あわせて承りたい。時間がありませんからずばり答えてください。
  194. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 神奈川県を通じまして指示いたしました結果につきましてその後調査いたしました結果、特に耐震性の構造の強化につきましては設備の大体六三%が完成いたしておりまして、残りをできるだけ早く実施させるようにさらに続いて指示をいたしております。それから特に緊急訓練ということで、地震発生訓練を二月十九日に浮島地区のコンビナートで実施いたしておりますが、さらにこういう訓練も実施いたしていく。  それから、ただいま申し上げましたのは実は緊急遮断弁という安全弁のことを申し上げましたので、確かに保安距離につきましてはいろいろ問題があろうかと思います。いずれにしましても緊急にさらに関係各省庁とも連絡をとりまして、重点的に検討を進めてまいりたいと思います。
  195. 大出俊

    大出分科員 そうおっしゃるが、これは二月十五日なんですよ。今月なんです。ついこの間なんです。横浜市の消防局が全部調べた。中に細かくありますよ。ずいぶんめちゃくちゃです、これは。二基に一基勧告しているのですよ。これは川崎市が調べたのですよ。これは二月一日です。これもほぼ二基に一基ですよ。あなたのいま六七%は完全だとおっしゃるが、これは二基に一基。実情が違うのです。だから、横浜市にも川崎市にも資料があるのだから、これはおとりになって、あなた、一片の指示じゃなくて、こういう結果が出ているんだから、呼んで、どうなのか。これは当然じゃないですか。それでなければ、理性的に受けとめろといったって受けとめようがないでしょう、住民の方々は。これは早急にやっていただきたい。  そして消防庁、いまの遮断帯の件ですね。プランゼロでは一体どうすることになるのですか。一番緊急に、一番問題があると萩原さんが心配でわざわざつい最近の新聞にまで談話を載せているのに、だから言ったのだが何もやってくれないで困るといって載せているのに、全くゼロではそれは理性的に受けとめろといったって受けとめようがないじゃないですか。こういうふうに進めていて、将来こうするのだからと言わなければ……。そうすれば、そうか、それではことしの暮れと言われたが、物理的にできないものなんだから、ではこういうふうに進めるというのだったら真っ当になるのですよ。それは国の責任じゃないですか。これは両方ともお答えください。
  196. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 保安距離につきまして、特に民家との距離につきましては、一昨年九月末の災害を反省いたしまして、近いうちに通産省令の改正の中に大幅に拡充強化いたしてまいるつもりでございます。その他、設備間の距離等々につきましても、今度お願いしております高圧ガス取締法の一部改正の抜本的の改正と相まちまして、技術基準の強化も図ってまいる所有でございます。
  197. 大出俊

    大出分科員 もう時間が二、三分しかないですけれども、私の言っているのはあなたが言う法案の準備、それもちゃんと読んでいますよ。これから審議していくわけでしょう。そうではなくて、ことしの暮れと言っているが、そのときまでにあったら間に合わぬのですから、あったらどうするのですか、そんなことを言って。万一をおもんぱかるのが防災でしょう。しかも、当該の市が具体的に足を運んで調べてみて結論を出しているでしょう。あなたが指示したのは先の話だ。だから、やはり関係両市も呼び、その上で資料があるのですから、ずばり保安責任者が物を言っているわけですから、危険なところは呼んで、どうなっているのだ、こうしろとか、大臣きょう四つのことをおっしゃったが、その四つの中の一つは重要な問題ですから、そこらを具体的に目の前でやっていただかぬと、会社の方が陰で言っていることと、基準がおかしいじゃないかとかなんとか、それではおさまらないのですよ。そのことを言っているので、のんきな抽象的な話では困るので、地震という問題ですから、いかがですか、もう一遍答えてくださいよ。そのくらいやったっていいじゃないですか、住民が心配しているのだから。
  198. 河本敏夫

    河本国務大臣 御趣旨はよくわかりました。至急に関係の各省と相談をいたしまして、一番緊急を要する京浜コンビナートの防災対策強化のために、至急御相談をいたします。
  199. 森岡敞

    ○森岡政府委員 緊急点検に基づきますその後の指示、勧告につきましては、各府県なり市町村におきまして的確にやっておりますが、その結果は早急に私どもで聴取をいたしまして確認をしていきたい、企業はそれに対してどう対応したかということを明確にしていきたいと思います。  それから、保安距離ないしは遮断帯の問題でございますが、保安距離につきましては、先ほど通産省の方からお話がございました高圧ガス施設につきまして、保安距離を拡充したいという考えもありますし、私どもの方も石油貯蔵タンク等につきましては、保安距離をさらに拡充したいというふうに考えておりますが、同時に、最初に通産大臣からお話がございました総理の御指示に基づきまして総合的な防災体制を考えます際に、やはりこの遮断帯の問題というものは、ぜひ一つの重要な問題として私どもとしては研究いたしたい、適当な結果を早く出したいと思います。
  200. 大出俊

    大出分科員 時間がないからだけれども、ここだけないのですよ。確かめてみたが、計画がゼロなんです。ほかは全部立てて進めているのでしょう。一番危険な、一番密集している、一番古い、地震予知まで出ているところについてゼロでは、理性的も落ちつけもあったものじゃないじゃないですか。そうでしょう。三十メートルしかないのだから、五十メートルのところは一ぱいあるのだから、その地域をどうするかということについてのプランをあなた方がつくってくれぬことには、企業に対してもあなた方は物を言わなければ。そうでしょう、一番危険なところをほっておいて一体これはだれが責任を持つのですか。責任者はだれなんですか、国土庁なんですか、どこなんですか。何か言いなさいよ、あなた方。そんな無責任な話はないじゃないですか。危ないのだから、あなた方研究するのはあたりまえじゃないですか。
  201. 横手正

    ○横手政府委員 防災遮断帯の問題でありますが、現在京浜地区における防災遮断帯のこの整備の基本調査、あるいはそれを設けましたときの効果調査、こうしたことは建設省を通じて、建設省において行ってもらいました。この調査結果に基づきまして、関係市の方で遮断帯の整備についての検討がなされておるというふうに聞いております。
  202. 大出俊

    大出分科員 建設省を通じてと言うが、建設省は一体どうなのよ。
  203. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 いまお話がありましたように、コンビナート地域の中における保安体制の充実ということとあわせまして、都市サイドの方でどれだけのことができるか、具体的に緊急を要するものにつきましては、地域防災計画の中におきまして、防災対策の緊急事業計画というものを作成していただくことにしております。そういう中で遮断緑地とか避難地とか避難路とか、緊急に整備を必要とされるものを計画に盛り込みまして、これを国としても積極的に助成、推進していくように、現在各地方公共団体と打ち合わせ中でございます。
  204. 大出俊

    大出分科員 まあ時間がないからあれですけれども、そういう地域防災対策という、そんなものは法的に全部読んでぼくもちゃんと知っているのだ。知事だ、市長だ、責任者だとやっている。やっても、国が口をあかなければできやしないじゃないですか、そうでしょう。移転するといったら、移転するにはどうするのだということになるでしょうが。それをいまのように中防会議は関係省がやっている、関係省は今度は都市何とか対策の方で、地域防災計画の中でやってもらうように言ってある。それでは地震がもしあったらどうするの、国の責任上。そういうことではこれはだめですよ。
  205. 正示啓次郎

    ○正示主査 それでは、政府を代表して通産大臣もう一度……。
  206. 大出俊

    大出分科員 大臣といっても、ここに大臣は一人しかおられないのだが、さっき一元化とおっしゃったけれども、まさにこれはばらばらではどうしようもないのですから、早急に手を打つように、大臣ひとつ物を言ってくださいよ。
  207. 河本敏夫

    河本国務大臣 御趣旨はよくわかりました。至急に対策を立てます。
  208. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  209. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 政府は公共料金の値上げについて、これを極力抑制するということをたびたび言明しております。ところが全国的に公共料金の値上げ、都市ガス料金の値上げが相次いで進められてまいりました。たとえば千葉県の京葉瓦斯、昨年の四月十日に東京通産局が三六・八五%の料金値上げの認可をしたにもかかわらず、それから九カ月後のことし一月六日、四七・九二%の料金値上げを認可しました。一年以内にまさに二倍に上がったわけであります。また大多喜天然瓦斯株式会社、ここは一昨年の十一月に二五%の値上げをしたにもかかわらず、一年を経た去年の十一月五日に再び平均四八・五%の値上げを申請しました。これを合わせますと約八〇%になるわけですけれども、そしてこれは目下審査中であります。それで四十九年中に値上げが認可されたもの、また値上げの認可申請中のもの、これは全国の都市ガス企業二百五十三社のほとんどになっております。こうした動きは、最初に言いました政府の公共料金値上げに対する方針と矛盾するように思われますけれども、まずこの点についての通産大臣の考え方を聞いておきたいと思います。
  210. 河本敏夫

    河本国務大臣 公共料金に対する考え方でございますが、これは三木内閣の基本方針といたしましては、極力抑制をしていくというのが基本の方針でございます。したがいまして、ガスにつきましてもその方向指導しておるわけでございますが、最近の物価情勢から考えましてそうとばかりもいきませんので、ケース・バイ・ケースで具体的にいま厳重にコスト計算を立てまして、部分的な値上げをしておるというのが実情でございます。
  211. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 ケース・バイ・ケースと言われますけれども、現実には、いま例がありましたように大幅な値上げが続々となされているというのが現状であります。  特に中小都市ガスについて見ますと、その体質について公益事業のあるべき姿から考えてみて疑問を抱かざるを得ない点があるということで、この点について尋ねていきたいと思いますが、京葉瓦斯について見ますと、京葉瓦斯に五〇%のナフサを供給しております南悠商社という会社、これは京葉瓦斯の三分の一の株式を持っておる大株主であって、南悠商社と京葉瓦斯の社長は同じ人であります。こういう関係にある南悠商社が出光興産からナフサを仕入れて、これを子会社というような関係になる京葉瓦斯に売るわけです。南悠商社の利益が当然計算されて、その分だけナフサの小売価格は上がる、こういうことになるわけですけれども、このような関係にある会社がこうしたやり方で利益を上げる、これは公益事業の場合に好ましくないと思いますけれども、こういう角度から取り上げて原料価格を抑えるというような指導はなされているかどうか、お伺いします。
  212. 増田実

    増田政府委員 ただいま柴田先生から京葉瓦斯と南悠商社との関係について御指摘がございました。これについて簡単に御説明申し上げたいと思います。  ガス会社がその原料の調達に当たりまして資本関係のある会社から購入すること自体、これがどうかという問題でございますが、能率的な経営のもとに都市ガスを安全にかつ安定的に供給するという公益事業の使命が達成されています限り、この購入先については特に問題はない、つまり資本関係があっても差し支えないと思います。  ただ、しかしながら、もしこの関係会社から買います原料の価格が不当に高い価格であって、そして、それによりましてその高い価格がガス料金に転嫁されるようなことがあれば、これは公益事業のあり方としてきわめて不適当、むしろ望ましくないことであると思います。そういう意味におきまして、私どもも、この京葉瓦斯の料金の査定に当たりましてはこの点は厳しくチェックしておるわけでございます。  御指摘の南悠商社の件につきましては、これは昭和二十四年に設立されております。いわゆる総合燃料問屋であります。それからまた、先ほど先生がおっしゃられましたように京葉瓦斯の大株主ということでもございます。それから、京葉瓦斯が使用いたしておりますナフサの半分——出光興産の生産になりますナフサの購入は、この南悠商社を経由して購入しておるわけでございますが、私どもも先ほど厳重にチェックするということを申し上げたわけでございますが、このナフサの購入価格につきまして、南悠商社が出光から調達し、これを京葉瓦斯に供給いたしております価格と、それからそのほかの会社が供給いたしておりますナフサの価格について、これは厳重に比較をいたしまして、妥当な価格であるという判定をしております。  それからまた、南悠商社の売り上げの中に占めます京葉瓦斯へのウエートは四%程度でございます。京葉瓦斯が資本の同系統である南悠商社を利用して不当に利益を隠すとか、そこで不適当なことをしているという事実はございません。  大体以上申し上げましたようなことで、資本関係がある会社から原料を購入するにつきましては、私どもは厳重な審査をいたしまして、ほかとの比較その他もチェックいたしまして、これについては問題ないということを確認している次第でございます。
  213. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そういう特殊な資本関係にあるような場合、公益事業ということを考えた場合にその値段を抑える、そういう指導があってしかるべきだと考えて質問したわけです。  京葉瓦斯について言いますと、この京葉瓦斯は相当分を千葉県産の天然ガスに依存しているわけです。ガス料金の値上げが、石油価格が上がったということが大きな理由になっていますけれども、石油価格が上がったときでも、輸入品ではないこの県産の天然ガスの価格は上がっているわけはないわけです。民生用の天然ガスを取るということについては、特に障害があるわけではないわけで、家庭ガスには原料費の安いこの天然ガス確保する努力を京葉瓦斯などはなすべきである、こういうふうにして価格を抑える、こういう指導はなされているかどうか、そういうことが必要だと思いますので、お伺いします。
  214. 増田実

    増田政府委員 いまお話のありましたガスの供給に当たって、その地域に天然ガスの生産がある場合、できるだけ民生に必要なガスの原料として天然ガス使用すべきだという御指摘でございますが、私どももそのとおりと考えております。  ただ、先生御存じのように、天然ガスのくみ上げにつきましては、地盤沈下の問題その他いろいろございまして、天然ガスのくみ上げにつきましては、排水制限その他を行っておるために、これをある一定量以上取ることは非常にむずかしいということで、天然ガスの利用には限界がございますが、できるだけこういうものを都市ガスに利用するということにつきましては、私どももそのとおりだと思っておりますし、またそのような方向で行政をやっておるわけでございます。
  215. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 くみ上げと地盤沈下の問題については、これまた後で触れることにいたしまして、公益事業の体質に関連して、ちょっと戻りますけれども、今度は大多喜天然瓦斯と関東天然瓦斯開発株式会社との関係が非常に問題があると思います。関東天然瓦斯開発は卸売、供給事業をやるし、大多喜天然瓦斯はガス事業者となっているわけですけれども、二つの会社の取締役は全く同じ人である。そして関東天然瓦斯は大多喜天然瓦斯の株式の八〇%以上を所有しておる。そして二つの会社とも事務所は同じである。いわばガス関係における生産部門と販売部門というような関係になっていると思います。  こういう関係にある関東天然瓦斯が子会社であります大多喜天然瓦斯にガスを供給するときに親会社が利益を得るような仕組み、これは外観から見ても疑惑を持たれるような内容になっていると思うわけです。こういうことが公益事業の場合でも問題はないという考え方であるのかお伺いします。
  216. 増田実

    増田政府委員 ただいま大多喜天然瓦斯と関東天然瓦斯、これは資本系統が非常に共通しており、また役員も共通しておる、こういうことで、先ほどの京葉瓦斯と南悠商社あるいはそれ以上の問題点があるのではないかという御指摘でございますが、私どももこれにつきましては特に慎重にチェックを行っておるわけでございます。ただ、この大多喜天然瓦斯と関東天然瓦斯の従来の設立された経緯につきまして、これは先生御存じのことだと思いますが、大多喜天然瓦斯株式会社は昭和六年に設立されたわけでございますが、その後昭和三十二年にこれが分離いたしたわけでございます。それが、先ほど先生がおっしゃられました関東天然瓦斯、これが原料の供給の立場に立ついわゆる卸供給事業者ということになっておるわけでございます。それからもう一つは大多喜天然瓦斯という会社で、これがガス事業者、この二つに昭和三十二年に分離いたしました。  一つの会社が二つに分かれたために、資本系統においても共通しておるし、またその従業員についても、同じところで同じように働いているということで、そういう点から言いますと、資本系統が同じなために問題が生ずるおそれがあるということは、御指摘のとおりだと思います。  ただ、私どもの方は、そういう問題点を特に重要視いたしまして、業務上のコストなどの計算におきまして、厳密なこの両社のコスト計算におきましての区分をさせております。そして両社が別法人として、先ほど言いましたように、片方が一般ガス事業者、つまり大多喜天然瓦斯会社は一般ガス事業者、それからもう一つの関東天然瓦斯につきましては、これは卸供給事業者としまして別の取り扱い、しかもコストにおきましては、厳密な区分をさせておるわけでございます。  この大多喜天然瓦斯のガス料金の料金査定に当たりましては、こういう事情がございますので、両社の経理区分につきましては十分調査し、慎重な態度で取り組むように、これは東京通産局が料金の認可をしていますので、私どもの方からも特に東京通産局に対しまして指示をいたしておるわけでございます。  ただ現実には、関東天然瓦斯が供給いたしておりますガスは、大多喜天然瓦斯以外にも卸で供給いたしておるわけでございます。京葉瓦斯あるいは習志野市その他にも供給しておりますが、これらとの料金の比較、あるいはいわゆる大口需要者である三井東圧化学に対する販売価格その他も十分調べまして、この両社間が資本関係で非常に密接な関係があるということによりまして疑惑が生ずるような点のないように、慎重に経理をチェックいたしまして、そして料金水準を決めておる、こういう次第でございます。
  217. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 疑惑が生じないようにするということですけれども、この中身を見てみますと、価格の面からやはり問題があると思います。  それは、関東天然瓦斯開発の株式の八〇%以上を持っている三井東圧化学株式会社、ここには現在一立方メートル十円という価格で売っている。ところが、この関東天然瓦斯の小会社である、そして民間供給事業をやっている大多喜天然瓦斯には、一立方メートル当たり十八円で卸す。今度大多妻天然瓦斯の方では、原価が上がったという理由を言って、ガス料金の値上げの認可申請をするわけです。そしてガス利用者に値上げを求めてくる、こういう関係があるわけですが、関東天然瓦斯開発の大多喜瓦斯に対する卸売料金の値上げ認可、これをまず抑えて、大多喜天然瓦斯のガス料金の値上げを抑えるということでなければならないと思いますけれども、この点についての御見解を承ります。
  218. 増田実

    増田政府委員 ただいま三井東圧に対する関東天然瓦斯の供給価格と、それから大多喜天然瓦斯への供給価格について、三井東圧に対して有利になっておるんじゃないか、そこに問題があるんじゃないかという御指摘でございます。  現在、三井東圧に対しまして一立米当たりの供給価格、これは五十年一月に更改されておりますが、先ほど先生から十円とおっしゃられましたが、一月から十三円になっておるわけでございます。それから大多喜天然瓦斯につきましては、従来から一応外房分は十円、それから内房分につきましては十三円五十銭という価格になっております。ただ供給につきましては、三井東圧に対しましては非常にコンスタントな供給になっておりますが、大多喜天然瓦斯に対する供給につきましては若干時間的、季節的なフラクチュエートといいますか、変動がございまして、同一の金額で供給するということにつきましては相当な困難があるということで、先ほど申し上げました外房分十円、内房分十三円五十銭の値上げの申請が現在出ております。  ただ、この値上げの理由につきましては、先ほど言いましたようないろいろな理由がありますが、この申請価格が果たしていいかどうかにつきましては、現在これを検討いたしておるということでございます。
  219. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 大企業である三井東圧は、このガスを使って生産をして利益を上げる、こういうところにいままで安い値段で売られた。一般住民の使用するガス、これはこのガスによって何も利益を上げるという関係にはないわけですが、こちらの料金の方が高い。今回、関東天然瓦斯が大多喜瓦斯に売る卸売料金の値上げの申請がなされておりますけれども、三井東圧への価格よりもこの料金が高い値段で売られるということになれば、これは社会的不公正を拡大するということになると思います。三井東圧は大量に買っているわけですから、この値段を少々上げれば、この大多喜天然瓦斯に売る価格、これを上げなくて済むというような計算になるわけですけれども、こういう一般家庭が使う会社に売る価格を抑えて、工業用の大規模に使う会社に対する値段の方でカバーするというような考え方はとれないものか。特にこのガスが千葉県におけるガスであって、いわば県民、国民の共有財産であるというようなことを考えれば、そういう指導もしてしかるべきではないかと思いますが、御意見を伺います。
  220. 増田実

    増田政府委員 先ほど申し上げましたように、天然ガスの供給につきましては、天然ガスは定量的に産出される性格があります。それに対しましてこれを受ける方の側、ことに都市ガスにつきましては、時間的にもあるいは季節的にも変動があります。それに対しまして大口にとります工業用、この場合は三井東圧株式会社の場合になるわけでありますが、負荷調整を行いまして一応定量的に産出されるものに合わせて引き取るということになっております。そういうことで、やはり原価的には都市ガス向けとそれから工業用向けというものには差が出てくるというのはやむを得ないと思います。ほかの会社その他につきましても、産業用の引き取りの仕方、それから都市ガス用の引き取りの仕方の差によりまして価格の差が出てきておるわけでございます。  ただ、この差につきましても、いまおっしゃられましたように、都市ガスというものは各家庭の大事な燃料ということでございますので、そこに対して不当なしわ寄せと申しますか、価格の上げがかからないように、これにつきましては、私どもも十分にチェックいたしまして、そしてこの価格を決めていきたい、こういうふうに思っております。
  221. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 料金の計算について、原価計算ということをされるわけですけれども、それはあまりこだわるべき性質のものではない。特に千葉県のこの天然ガスというのは、埋蔵量が二千億立方メートルと言われ、現在の千葉県における年間生産量五億立方メートルから計算しますと、四百年間分に相当するものが埋蔵されていると言われておりまして、これは国民の貴重な共有財産であります。ところが、現実には関東天然瓦斯開発が、この五億立方メートルの生産の中の二億立方メートルを生産しておりますし、ほかの幾つかの企業と合わせて計算しますと、まさに数社で独占的に利用する、こういう状態であります。そして、この採掘の結果は、地盤沈下が生じて、千葉県民には大きな迷惑になっております。こういう性質の天然ガスであるわけですから、これらの供給に関しては、千葉県民の負担というようなことを考えた場合に、採掘コストを公開して、住民の納得いくやり方で公益事業が運営されなければならない、このように思いますので、指摘しておきます。  次に、天然ガスの卸売料金の計算は、これは企業の申請に基づいて通産省が決める。まさに企業と通産省との間で決められて、この決める価格については、国民の方は何ら関知することができない、こういう関係になっております。ガス料金について見ますと、もちろん不十分ですけれども、ここには公聴会という制度があります。ところが、このガス料金の値上げというような場合に、卸売料金が上がったということがいつも根拠にされますし、この卸売料金の値上げの認可について、国民が何ら意見を言う機会がない、知らされないということは、現在の制度上非常に不備であると思います。たとえば、公共料金でも、電力料金になりますと、審議会というようなものがあって、意見を聞く。ところがガスについては審議会がない。そういうことから考えてみまして、この卸売料金についても、さらにガス料金についても、地方自治体なり住民なりあるいは学識経験者なり、こうした意見を参考にして決める、そういうような制度が必要である、そのように考え直さなければならない、このように思いますが、この料金の決定についての住民の参加について、大臣はどう考えておられるかお伺いしたいと思います。
  222. 増田実

    増田政府委員 先生の御指摘のとおりの事実でございますが、ガス料金につきましては、これは公聴会を開きまして、十分審査をするということになっております。またその原料になります各種のガス、いま御指摘になりましたのは天然ガスでございますが、それ以外に、たとえば先ほど問題になりましたナフサとかあるいは石炭その他の問題につきましても、これはガスの料金を決めますときに、私どもの方で十分全国の数字あるいはその近辺の会社の数字その他を把握いたしまして、査定いたしておるわけでございます。そういう意味で、そのもとになります原料料金につきましてもこれがガス料金にはね返るわけでございますので、これに対しましては、きわめて慎重に、その価格についての査定を行い、その結果として、各家庭に配給されるガス料金を決める、こういう形でやっておるわけでございます。
  223. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 慎重に審査するということですけれども、やはり本当に慎重に審査するためには、住民の意見を述べる機会が制度的に保障されなければならない、こういうように考えますし、そういった問題も含めて検討しなければならないと思います。  最後に、千葉県では、天然ガスについて採掘の規制をしておりまして、今回はこの採掘規制が、京葉瓦斯においても大多喜瓦斯においても、値上げの理由に加えられております。しかし千葉県は、現在は工業用の利用が圧倒的であって、大量取得が地盤沈下の原因になっている、民生用であるならば、これは採掘に規制を加えるべきではない、こういう見解をとっております。この千葉県の考え方からいたしましても、国民、県民の共有財産でありますこの天然ガスを、いかに公共のために利用するか、このことについての根本的な対策が立てられなければならないと考えます。現在のような、一部のものが不公平なもうけ方をするというゆがめられた天然ガスの利用の中では、そういう状態にあるわけですけれども、このエネルギー利用についての根本的な対策が検討されるまで、一般家庭用の値上げを押さえて、特に根本的な対策を立て、その上に立って料金問題を検討すべきであると思いますが、時間が参りましたので、その点について、結論的な見解をお伺いします。
  224. 増田実

    増田政府委員 天然ガス使用先といたしましては、いわゆる化学工業用と都市ガスが大きな対象でございます。  千葉県の天然ガスにつきましては、先ほどからお話ありましたように、採取の規制というものが行われて、だんだんその量がむしろ減っておるわけでございますが、ただ、結果的に言いますと、工業向けは減少しておりますが、総体が減っておる中でも、都市ガス向けの供給量はむしろ増加しているという実績が出ております。そういうことで、私どもも、工業につきましても、千葉県に、天然ガスを基礎にいたしまして、そこに工場が建てられたいろいろな経緯もございますが、しかし現実には、工業用向けが減ってガス向けがふえているということで、いま先生が御指摘になった方向で、これが利用されているということでございます。  それから料金の認可の問題でございますが、私どもも、先ほど冒頭に大臣からも申し上げましたように、できるだけ公共料金を抑制し、そして値上げを回避いたしたいという立場でございますが、これもいろいろの原料価格の値上がりその他によりまして、企業として吸収できないぎりぎりの点がございます。これを認可いたさないでそのままに放置いたしますと、安定供給というものができなくなるということで、もちろん公共料金の査定につきましては、私どもはきわめて厳正な立場で、必要やむを得ざるものだけを上げるという形でやっております。やはり安定供給確保するために、必要やむを得ざる料金については、これは認めざるを得ないという立場にあります。
  225. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 じゃ終わります。
  226. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤敬治君。
  227. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、最近非常に業者の間で問題になりました例の衛生陶器、それと関連するところの水洗金具、こういうものの値上げがメーカーから宣言されて、非常にいま業界で問題になっておりますので、その点について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  通産省にお伺いいたしたいのですけれども、この衛生陶器や水洗金具のトップメーカーである東陶機器、それから伊奈製陶、この二つの会社が、東陶の方は一月十一日付でもって、二月一日から一律に一五%値上げをする、こういう通知を業者に出しておる。伊奈製陶の方は一月十八日付でもって、一月二十一音から衛生陶器一三%、水洗金具一六%、大体平均しますと、やはり一五%の値上げをする、こういうふうに業者に宣言をいたしまして、業界では非常に困っておりまして、一番先に困るのは、すでに安い値段で注文を受けたのが、突然こうして上げられても、これに対するカバーのしようがない、こういうので非常に困っております。さらにまた、最近住宅の資材その他が高くなって、非常に受注が少なくなっている、またこういうものを上げられると、ますます注文が少なくなる、こういうので、これは死活に関する問題である、こう言って、各地で業者の大会等を開いていま非常に大きな問題になっております。そこでちょっと通産省にお伺いしたいのですが、この衛生陶器、水洗金具、こういうものをつくっているメーカーの主なるものはどういうものがあるか、そしてまた、市場占有率、シェアがどのくらいで、どういう状態にあるのか、ちょとお教えを願いたいと思います。
  228. 野口一郎

    ○野口政府委員 お答え申し上げます。  衛生陶器をつくっておりますメーカーは、中小企業を含めますると、昨年の状況で十七社ある。そのうち中小企業が数から申しますると大部分でございまして、いわゆる中小企業というものは十三社でございます。ただ、いま先生の御指摘ありましたように、東陶機器とかあるいは伊奈製陶とか、いわゆる大きな企業が数社ございます。まあ上の方から申しますると、東陶機器、伊奈製陶、西浦、アサヒでございますか、というものが比較的大きいものとされておるわけでございますけれども、先ほど申し上げました中小企業でございますが、中小企業の十三社のシェアは、昨年の数字で二二%ということでございますので、いわば大企業の生産シェアの方がかなり高いということが言えるのではないかと思います。  そこで大手のいわゆるメーカーでございますけれども、どんな大手があるか、概要を申し述べよという御趣旨でございますので、わかっている限りのことを申し上げたいと思うわけでございますが、最大のメーカーは東陶機器と申します。これが約六一%のシェアを持っておりますトップメーカーでございます。その次に伊奈製陶がございます。伊奈製陶のシェアが、昨年の秋ぐらいの数字で大体九%強、それから三番目に西浦という会社がございますが、これがシェアで四・九%、まあ五%弱、それからアサヒという会社が約三%、この辺が大手の目ぼしいところの会社だと思います。
  229. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 先ほど申し上げましたように、この業者が非常に困りまして、これでは死活問題になるというので、先般値上げを自粛してもらうように、各メーカー及び通産大臣に対しまして自粛の要望書を出しました。これについて通産省はどういうような取り扱いをしましたか、それをお伺いします。
  230. 野口一郎

    ○野口政府委員 物価抑制という問題は、私から申すまでもなく、政府最大の重要な経済政策ということで、行政努力をここに集中、傾けているわけでございます。そういう一般的な背景のもとに、私どもが耳にいたしましたのは、二月ごろこの東陶が一五%程度の値上げをしたいのだ、こういうことを耳にしたわけでございます。私どもの方は、先ほど申し上げたような趣旨からいたしまして、昨年の夏までは住宅関連機器ということで、いわゆる目張り物資であったわけでございます。それを八月に一応は解除したわけでございますけれども国民の生活に密接な関係があるものという意味で、その後もウォッチをするという形でございます。しかるところ、そういうような動きがございましたので、われわれ通産省としては、いろいろコストが上がってくる要因というものはあろうけれども、これはできるだけ企業努力で吸収をしていただきたい、それで値上げは抑制していただきたいという方向で、企業の指導に当たったわけでございます。
  231. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そのせいかどうかわかりませんけれども、メーカーから、特に東陶と伊奈から、この業者の団体に対しまして、二カ月延期する、四月一日から同じように値上げをする、こういうような通知が出ています。こういうような具体的な、たとえば二カ月ぐらい延期しろというような指導は、通産省でやったのですか。
  232. 野口一郎

    ○野口政府委員 私の聞きましたところ、一カ月とか二カ月とかという期限は切らずに、先ほど申し上げたような一般的な背景のもとにおいて、政府の経済政策のもとにおいて、企業としてもこういう時勢なんだから、できるだけ値上げは慎しむようにという指導をいたしたと聞いております。
  233. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 これは前には、例の行政指導でもって統制品目になっておったのですが、去年の八月九日に閣議でこれを解除されましたね。まあこれだけじゃないけれども、いろいろな品目が解除されておりますけれども、解除されてからどんどん上がっておるのです。  この値上げの状況を見ますと、たとえば東陶の分では、四十八年の三月に、これは平均で一五%上げております。それから四十九年の三月に一律で一九%上げておる。これは衛生陶器類です。それから今度は一五%上げる。水洗金具になりますともっとひどい状況になって、四十八年の三月には平均で一〇%、四十八年の十一月には平均で一二%、四十九年、去年の三月には一律で二三%、今度これを一五%上げる、こういうふうな状態で、もう次から次とどんどん上がってきております。伊奈製陶の分も同じでありまして、四十八年の四月には平均で一五%、四十九年の一月には二五%、今度一月二十三日から二二%上げる、こういう状況になっております。金具の類は四十八年の四月に一五%、十月に一〇%、四十九年の一月に二五%、今度、五十年の一月に一六%上げる。もうこれは、最近一年十カ月ぐらいですか、この間に衛生陶器類で三回、金具類で四回、衛生陶器類ですと一六〇%程度になっておるし、金具類ですと一七五%程度にまで、もうどんどん上がってくる。こういうふうな状況を見ますと、こういうことはあるいはナンセンスと言われるかもしれませんけれども、むしろもう一遍統制品目に数えて、これをとめるようなことでもしないと、政府がいまやろうとしている住宅政策も何もできなくなるのじゃないか、こういうような感を深くします。特に最近政府消費者物価を一五%以内に抑える、こう言っております。これは一五%が非常にきいておりまして、何でもかんでも、一五%はむしろ逆に上げてもいいのじゃないか、こういうことを、何か話の中ですけれども、言って、一五%上げるのは妥当である、こういうようなことさえ言っているような向きもあって、これはこれでおさまりそうもない、また上がる、こういうような危険性が非常に感じられるわけです。それで、こういうものに対して、通産省はいまどういうふうな態度でもって対処していこうとしているのか、これをちょっとお尋ねしたい。
  234. 野口一郎

    ○野口政府委員 一般的な物価施策での指導ということになりますると、実は産業政策局の方でやっていることでございますが、私どもの方の関連した物資、あるいはいまここで問題になっております住宅関連物資ということに限って申し上げますると、先ほど来繰り返しておりますように、昨年の八月に、一応目張りからは、諸般の情勢からいたしまして、解除はいたしましたが、それは野放図にしていいという趣旨のものでは毛頭ないわけでございます。したがいまして、値上げの事前指導から後も、われわれの方といたしましては、価格あるいは物の需給の動向等をウォッチし続けてきているわけでございます。目に余るようなことがあれば、それは強力に指導するという構えはくずしていないわけでございます。
  235. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 こういうような事実があるのですね。たとえば業界の自粛要望が東陶機器に出されました。それに対して回答が来ている。これは通産大臣にもみんな出ていることですので、何でもないのですけれども、この東陶機器の回答の中にこういうことが書いてあるのですね。「この二カ月延期によりまして弊社の経営は危機に瀕する状態に立ち至ります」、こういうふうに書いてあるのですね。じゃ、どれくらいこれによって東陶が危機になるかと思って、いろいろ調べてみた。ところが、危機どころじゃないのですね。各投資の雑誌だとか本をずっと全部調べてきたけれども、異口同音に、業績が非常にいいのです。この業績をちょっとここで話してみます。まず四十八年を見ますと、五月期の決算で、売り上げが三百三十八億一千四百万、経常利益が五十七億八千二百万、純利益が三十一億二百万、十一月期の決算で、売り上げが四百二十四億二千七百万、経常利益が六十六億三千九百万、純利益が三十五億一千三百万。利益率は五月期が八二%、十一月期が八八%。配当はどちらも一割六分ずつ配当をしているのです。去年、四十九年の五月期では、売り上げが四百八十四億三千五百万、経常利益が七十三億四千三百万で、利益が三十三億七千五百万。ここで利益率が少し落ちているけれども、売り上げが非常に多くなって、実際の利益が非常に多い。同じように配当が一六%になっております。それで、問題になるところの値上げをしようとするこの十一月の分はどうなっているかと申しますと、これは予想ですが、売り上げが四百三十億、経常利益が五十三億、利益が二十七億ですか、ここで利益率が五六%に下がっておるのです。そこで、今度の一五%によって、この利益率の下がったところをカバーしよう、こういうのが今回の目的のように見られるのです。  これを考えますと、ここでもし一五%値上がりしますと、十一月期の利益が三十一億五百万、大体これぐらいになる。これはどういう利益の金額であるかと申しますと、ちょうど去年の五月期、というのは、去年の石油ショックの狂乱物価、石油でもってみんながぼろもうけしたときの利益にぴったり合致する。ほとんど同じくらいです。こうなりますと、いま総需要抑制で、労働賃金も何も抑えて、みんなしてやろうというときに、ここで一五%値上げして、夢よもう一度で、石油狂乱のぼろもうけをもう一遍ここでしようとしているのが、この一五%の値上げなんです。これでは、やられる方はとんでもない話だ。数字を見ますと、まさしくそのとおりになってくる。狂乱物価のぼろもうけを、もう一遍ここでぼろもうけする。四十九年度の五月期の利益と十一月期の予想利益、これ二つ合わせても、約六十二億ぐらいのかなり大きな利益なんです。これをなおかつ一五%上げてぼろもうけをしなければいけない、こういう考え方というものは、私は非常におかしいと思うのですよ。  これは伊奈製陶についても同じなんです。伊奈製陶を考えてみますと、四十八年の四月期の決算では、利益が六億一百万、十月期の決算では八億二千万、四十九年の四月期の決算で十一億七千九百万、十月期の予想で八億四千八百万、こういうような利益を見込んでおるのです。これもまた非常に大きい。ところが、この十月期の決算の八億四千八百万に対して、一五%値上げをするとどういうことになるかといいますと、ちょうど四十九年四月期の十一億七千九百万、大体これに近い十億ぐらいの利益になるのですよ。これもさっきと同じように、ちょうど狂乱物価のぼろもうけしたときのもうけをもう一遍ここでもうけよう、こういうような数字にちゃんと出てくるのですよ。さっきも言いましたけれども、いま本当に政府物価を抑制し、みんなして家でも建ててやろうというときに、こういうような業者がいるということは、私はすこぶるどうも通産省としても考えるべき余地があるのではないか、こういうふうに思います。  そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、いま政府重点施策としてやっているのは、下水道だとか住宅、こういうものを非常に大きく取り上げてやっております。下水道をつくればどんどん水洗便所等が発達していって、広がっていって、こういう衛生陶器、金具に対する需要がもっと大きくなってくる、こういうことを考えてみますと、こういう必需品である衛生陶器や衛生金具等、こういうものがどんどん値上がりしているということは、政府の施策に対する非常に大きな障害になります。いままで大体工事費と資材というものを考えてみますと、六、四ぐらいであった。ところが、この値上げをやりますと大体五分五分ぐらい、こういう割合になってくるだろうと思われるぐらい、資材費のポイントが非常に高くなってきておるわけです。しかも、これを考えてみますと、最近政府物価抑制に協力してくれと言って、各業者にみんな通牒だか何か出している、その直後に、こういうような暴利をむさぼるようなとんでもない値上げをする、こういうことば私は許されないことだと思う。赤字でもないのに、会社がつぶれるようなことを言って、一律に一五%も値上げするということは、私は非常におかしいと思う。しかもこのシェアを見ますと、東陶と伊奈だけで七〇%。これはビールよりももっとひどいガリバー型の完全寡占状態です。これが社会的な責任を何も感じないで暴利をむさぼるために上げようということは、私は許されないことだと思う。特に政府の方針が物価抑制なり住宅を建てようというときに、こういうようなことをやっているということは許されないことだと思います。大臣の見解をお伺いしたい。
  236. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘のように、住宅の建設それから下水道の普及、これは政府の最重点施策でございます。いま御指摘のような数字がございましたので、一応三月いっぱいは値上げをしないようにという指導をしておりますが、なおもう一回、御指摘の数字に基づきまして、再調査をいたします。そして、目に余るような状態でございましたら、行政指導をしたい、こういうように思います。
  237. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 ぜひひとつ再調査をいたしまして、政府重点施策がスムーズに進行するように、処置をしていただきたいと思います。  それで、時間がないのであれですが、公取の方、来ていますか。——お伺いしますけれども、さっきも申し上げましたとおり、この衛生陶器業界というものは、典型的なガリバー型の、本当にひどい寡占状態の業界なんです。従来も、いまも申し上げましたように、東陶が上げれば、ほかの会社も同じように値を上げております。こういうようなことをずっと見てきますと、私はこれに何らかの手を打つ必要があるのではないか。たとえば、いまの東陶と伊奈だけを比べてみますと、東陶は一律に一五%上げると言っております。伊奈製陶は二二%、一六%、こういうふうに分けて上げていますけれども、これは内容を見れば、ほとんど一五%だから同じです。日にちは東陶の方が二月一日から、伊奈の方が一月二十一日から、少しずつずらして、それから率も少しずつ違うような形をとっているけれども、実際問題として同じなんです。これは明らかに、この状況を検討してみますと、作為がうかがわれる。まあ実態をつかまなければわかりませんけれども、証拠をつかまなければわかりませんけれども、私は、この間に何らかの話し合いが行われておる、こうしか思われない。  先ほど申し上げましたけれども、伊奈製陶の業者に対する回答は、これを見まして非常におもしろいと思った。こういうことが書いてあるのです。値上げの問題について「衛生陶器、水栓金具の業界は寡占の体制にあるメーカー一社の力が絶対的に強く、当社単独では値上げは困難で寡占メーカー一社の方向に追随せざるを得ないのが実体であります。」それからそのまだ下に「皆々様の困難さが充分理解出来ますが、当業界の極端な寡占の体制に問題のあることもご認識下さいまして、」何分よろしくお願いします、こう書いてある。業者自体が極端な完全寡占状態だということを認めているのです。こういう状態を、公取として放置しておくのはおかしいと私は思う。ほかが、お前のところは寡占だぞ、おかしいぞと言うのじゃなくて、業者自体が、極端な寡占状態だとはっきりと宣言しているのです。私はここに、一社に追随せざるを得ないと、これを見て非常におかしいと思ったのですが、追随ということは後から追い従うことで、後からやらなければならぬ。ところが、今回の場合は伊奈が一月二十一日、東陶が二月一日と、ちょっとずらして伊奈の方が先にやっているのです。その後から、東陶が一律一五%の値上げをしている。これは話し合いがないとすれば、今度の公取の試案に出てくるところのパラレル行為ですね、こういうことになるんでしょうが、あの法律が通らないと、これは独占にひっかかるかどうかわかりません。しかし明らかに状態は独占の状態である。こういうものに対して公取はどういうふうに対処しようとしているのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  238. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいまのお話でございますが、私どもも、何かこれは共同行為的なものがあるのではないかというような気はいたしますけれども、具体的な内容を調べてみませんと、判断はいたしかねるわけでございます。御指摘の事実があるかないか、これは事件の端緒といたしまして、検討さしていただきたいというふうに考えております。
  239. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いままでの状態をずっと見てみますと、これは当然のことだけれども、ほとんど東陶の意思によって、値段でも何でもいろいろなものが支配されている。これはこの状態になれば私は当然だと思います。東陶の一存によってほとんど上がっている。東陶が値上げをするということがわからなければ、ほかのメーカーは値段を恐らく上げられないだろうと思うのです。だから、そういう意味から言っても、ここにはお互いに話し合って値上げをした、こういう可能性が非常に大きいのではないか、私はこういうふうに思います。いま御答弁があったように、果たして証拠がつかめるかつかめないかわかりませんけれども、事態は非常に疑わしい。しかも業者自体から、極端な寡占の状態にあるということをはっきり宣言されておるのです。私は、これに対して、わかりませんと言って放置しておくことはできないと思う。そう思いませんか。
  240. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 私どももその疑いを持っておりますので、事件の端緒として、調査いたしたいと思います。
  241. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いまその疑いが非常に濃い、したがって、これに対して十分調査をしてみる、こういうふうに考えていいのですね。——ありがとうございました。  この問題は、これからの政府重点施策である住宅、下水道、こういう問題に非常に大きな関連があります。すでにもう四月一日から値上げをする、こういう宣告までされておる状態でありますので、ひとつできるだけ早く調査をいたしまして、その是非をはっきりさしていただきたい、こういうふうにお願い申し上げます。この点についてもう一遍御答弁をいただいて、終わります。
  242. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 十分事実関係を究明いたしたいと思います。
  243. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて佐藤敬治君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。
  244. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私、まず石炭問題からお尋ねしたいと思います。  一昨年の石油ショック以来、エネルギー資源の確保わが国の存続にもかかわる大問題として提起され、種々の施策が講じられてきておりますが、その中で、長い間わが国の経済の礎として大きく貢献してきた石炭産業も、エネルギー資源の見直しとともに、再び重要な課題になってきておるのであります。このときに当たり、産炭地域に対する現状の把握並びに今後の施策について、どのようなお考えがありますか、お述べをいただきたいと思います。
  245. 増田実

    増田政府委員 産炭地域振興施策をどのように考えているかということに対しまして、お答え申し上げます。  現在、産炭地域振興施策を行っております。これは石炭鉱業の転換によりまして、従来行われましたわけでございますが、炭鉱の閉山から地域社会に与える影響が非常に重大である、失業者発生あるいは生活保護者の増大、あるいは関係地方公共団体の財政の窮乏化、また地元の商工業の窮乏その他のいろいろな問題が出てくるわけでございますが、これをできるだけ速やかに解決いたしまして、そして産炭地域を新たなる経済社会活動の場として再生発展させる、こういうことを目的といたしておるわけでございます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、石油危機が一昨年の十月から起こったわけでございます。これを契機といたしまして、石炭の見直しということが行われておりまして、石炭政策についても根本的な見直しを、私ども現在、石炭鉱業審議会を開きまして、検討中でございますが、産炭地域経済の安定化ということからも、この各種の見直しをやっておるわけでございます。  現在この産炭地域市町村の実情を見ますと、もちろん過去の閉山の影響というものがまだ完全に払拭されておらない現状にありますので、引き続きまして、産炭地域振興対策推進していくことが必要である、こういうふうに考えておるわけでございます。このような認識に立ちまして、五十年度におきましても、産炭地域振興の基本計画、それからその実施計画を推進いたしまして、各種の企業の誘致、あるいは産業基盤の整備、それから生活環境の整備、その他の諸般の施策を関係省庁あるいは都道府県と連絡しながら推進していきたい。これがただいまお尋ねの産炭地域振興施策に関しましての、私どもの根本的な考え方でございます。
  246. 田中昭二

    田中(昭)分科員 重ねてお尋ねしますが、いま述べていただきましたことは、いわゆる戦後自民党政府が高度経済成長に突っ走ったその落とし子と言いますか、そういう経済成長のひずみというものも考え合わせますと、炭坑の閉山、閉山後のいわゆる過疎、鉱害、それからいまもお述べになりました関係市町村のいろいろな財政的な超過負担等もありまして、こういうことに対しましては、ひとつ大臣の温かい御所見をもう一回お聞き一したいと思います。
  247. 河本敏夫

    河本国務大臣 御案内のように、戦後のわが国エネルギー政策の経過を見ますと、戦争直後は石炭を重視するという方向でございましたが、その後、安い石油が入るというので、石油中心になりまして、それ以来、産炭地のいろいろな振興対策を立てたわけでございますが、最近になりまして、再び石炭を見直すという傾向が出てまいりましたけれども、それとてもおのずから限度がございます。したがいまして、依然として、産炭地に対しては特別の施策が必要である、かように考えております。
  248. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまお述べいただきましたように、石炭は、わが国の中でただ一つの国産のエネルギー資源であると思います。その石炭産業の保護育成を図ることは、いま述べてもらったような状況であるかと思いますが、何さま、何をやるにも金が要りますし、その施策をやるためには、現在の石炭及び石油対策特別会計というのがありますが、これも財源確保のためには必要最小限のものであるかと思います。この特別会計を長期にひとつ存続させて、当初の目的であります、わが国のただ一つのエネルギー資源の保護育成に努めるべきではないかと思いますが、この特別会計について、どのような今後の見通しをお持ちになっておりますか、お尋ねします。
  249. 増田実

    増田政府委員 石炭石油特別会計によりまして、現在の石炭対策及び石油開発対策、それに今回備蓄対策が加わりまして、これらの諸施策の財源として賄っておるわけでございます。石炭石油特別会計につきまして、これは従来からも関税議論というのがいろいろございまして、世界的に、原油に対して関税をかけているということは非常に例外的なわけでございます。そのために、こういう原油関税というものが、産油国に対してもいろいろ問題があるということで、一部には石炭石油特別会計を廃止すべきだという議論が相当強く出ておるわけでございます。昭和五十年度につきましても、五十年度に石油関税を残すかどうかということにつきましては、関税審議会で相当な議論が行なわれて、私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたような、石炭対策及び石油開発対策の重要な財源であるということで、これらの対策の財源措置としてきわめて重要な特別会計であり、その意味で、関税の廃止というものは、そのほかの財源で確保されれば別でございますが、そうでない限りは廃止できないということを主張してきたわけでございます。ただこの議論につきましては、今後とも関税を原油にかけるのがいいかどうかということについては、引き続きいろいろあるものと考えております。
  250. 田中昭二

    田中(昭)分科員 財源確保のために必要であれば、当然これは残していかなければならない。またいろいろな施策をやる上においては、必要があれば一般会計からでも繰り入れて、そうして適当な処置をとるのが、いわゆる石炭を保護するということになると思います。この一般会計からの繰り入れの問題、それから現行の配分率が十二分の十というようになっておるように聞いておりますが、これでも、関係市町村は大変いま財政の窮迫並びに困難な中で、先ほど言いましたように、いわゆる超過負担等に悩んでおる現状であります。そういうことを考えれば、この配分率も当然上げてやるべきではなかろうか、こう思いますが、一般会計からの繰り入れと、その配分率を上げるということにつきましての御意見をお聞きしたいと思います。
  251. 増田実

    増田政府委員 この石炭石油特別会計の財源は、現在の石油に対する関税の収入をもって賄うわけでございます。従来は石油の輸入数量が年々相当大幅にふえておりましたので、これによって石炭対策及び石油開発対策を賄ってきたわけでございますが、今後これによって賄えるかどうか、つまりいま先生がおっしゃられましたように、不足分を一般会計で追加する必要があるかどうか、これはむしろ石炭石油政策の内容によりまして、どうしてもこの石炭石油特別会計の中ではおさまらないという場合に、この問題が出てくるわけで、幸いにしまして、昭和五十年度はこれで賄い得たわけでございます。石炭対策につきましても、千百億の石炭対策費というものを確保いたしまして、これによりまして、私どもは現在の第五次石炭対策実施中でございますが、これが遂行できるというふうに考えております。ただ先ほど冒頭に申し上げましたように、石炭の見直しを現在石炭鉱業審議会でやっておりまして、それの結論が出まして、石炭石油特別会計との関係をどうするかということについて、根本的に考えていかなければならないようなことになってくると思いますが、現在のところでは、この石炭石油特別会計で、先ほど申しました各種の施策をやっていくということになっておるわけでございます。
  252. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまお話を聞けば、五十年度の手当ては十分なされておるというような御発言でございますけれども、私はまだまだ足らない点もあるんじゃないかという気がしてなりません。また配分率の問題についてもお答えございませんでしたけれども、時間が制約されておりますから、最後にまたお聞きすることにしまして、次の問題に移ります。  次は、細かい問題でございますけれども、大事な問題だと思いますからお聞きするわけでございますが、炭坑の跡地を利用しまして企業が誘致される、また宅地の造成なども行われまして、住宅難に一役買っておる、そういうことを聞いておりますが、こういう施策は全国で大体どのくらいありますか。おわかりになっておれば、お答え願いたい。
  253. 高木俊介

    ○高木政府委員 ただいまの宅地造成、団地造成でございますが、数といたしまして、福岡県で五十九、全国で百十団地、造成の済んだところあるいは現在やっておるところがございます。
  254. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その造成宅地で建物が傾いて、これは地盤沈下だと思われますが、大変な危険と損害を受けておるというところがあるというように聞いております。福岡県も特に炭鉱跡地が多うございますが、福岡県では地盤沈下による被害というのは具体的にどういうものがありますか、一、二述べていただきたいと思います。
  255. 高木俊介

    ○高木政府委員 昭和四十六年でございますけれども、団地といたしまして、昔の九州採炭の新手炭鉱が掘ったところの跡でございますが、坑口が浅所陥没いたしております。ただし、これは直ちに鉱害の臨時復旧といたしまして、臨鉱復旧を実施いたしております。なお、四十七年に嘉穂郡の碓井町で町営の住宅敷地造成中に、旧坑道が露出いたしまして、浅所陥没した例がございますけれども、これも直ちに監督局が町に復旧を依頼いたしまして、復旧を完成いたしております。
  256. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま述べてもらいました以外にも、私一、二聞いておりますけれども、きょうはそのくらいでやめておきます。  問題は、そういう危険な状態の場合には、炭鉱の跡地を処理しております鉱害事業団等によって、何らかの手が打たれておるようでございますが、この地盤沈下の全国的な状況把握というのはできておりますか。できておるか、おらないか、それだけお答え願います。
  257. 高木俊介

    ○高木政府委員 鉱害復旧の観点からは、全部調査できております。しかし、先生のおっしゃる、どこが、いつ陥没するかというようなことは、浅所陥没したところはわかっておりますけれども、それは発生主義といいますか、発生した場合に、当人から通産局へ申請するようになっておりますので、申し出があった分に対しましては、鉱害事業団等を通じて、復旧には努めております。ただし、将来どこが起こるかというのは、調査いたしておりません。
  258. 田中昭二

    田中(昭)分科員 お役所の仕事ですから、そういうことになると思いますが、大臣、ここは大事な点でございましてね。いまマイホームというものがいろいろ議論されまして、せっかく家を建てても、傾いて大変なことになってからだったら、届け出があれば手当てをしますということでございます。  それはそれとしまして、私、次に具体的にお尋ねしますが、建設省、お見えになっておりますね。ボタ山を処理しまして埋め立てを行う。——大臣、ひとつ聞いておいてもらいたいと思います。そのような場合に、ボタでございますから、陥没、地盤沈下というようなことも当然予想されるわけですが、その場合に、第一義的には、造成する側に問題があるとも思いますけれども、現在の建築に関係します法令上、それはどのようになっておりますか。すなわち、現実には、そういう宅地といいますか、敷地の土質調査なんかの義務づけはどのようになっておりますか、お答え願いたいと思います。
  259. 大田敏彦

    ○大田説明員 建築基準法の第十九条に、敷地の衛生とか安全に関する規定がございまして、これは当然規制対象になっております。しかし、これはごく一般的な規定でございまして、最前の埋立地等では、地盤の改良等によって安全上必要な措置を講ずるという規定がございます。そのほか大規模な建築物、といいますと、木造で五百平方メートルを超える建築物、鉄筋では二百平方メートルを超える建築物、こういうものに関しましては、地盤の許容応力あるいは基礎くいの許容支持力を決めます場合に、地盤調査を義務づけております。その際、ボーリング調査あるいは土質調査をするように規定がございます。
  260. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまちょっと聞き取れなかったところもあるのですが、そういうボタ山を埋め立てした場合に、そこが宅地として造成された跡に建物を建てる場合には、安全上の規定があるとおっしゃいましたね。それは何法の何条にそういうことが決めてありますか。
  261. 大田敏彦

    ○大田説明員 建築基準法の第十九条に、ボタ山とは書いてございませんが、埋立地等ということで、これは当然盛り土等いろいろ安全な措置を講じますが、その場合の規定がございます。
  262. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その規定を読んでください。そういうふうには書いてないはずです。
  263. 大田敏彦

    ○大田説明員 第十九条の第一項でございますが、これは排水の規定でございます。それから第二項の規定、「湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。」これが該当するかと思います。
  264. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま私がボタ山の例を引きましたから、そういう十九条の規定をお読みになったと思いますが、炭鉱の場合には坑道をいろいろ掘っておりますね。ですから、坑道の陥没なんかを考えますと、そういう地盤沈下等の場合には適用にならない。私いままで、土質調査というのは義務づけられておらないというふうに聞いております。だけれども、いま建設省の方でそういう規定によって安全のチェックをしてあるとすれば、今後、その規定によってどういうふうになされておるのか、私もよく見てみたいと思います。  そこで、大臣、通産省としましては、こういう炭鉱の坑道、それから閉山した跡のいまのようなボタ山も含めて、特にいま建築基準法上にもありましたごみというか、そういうものが埋蔵されているようなところについては、しかるべき措置をやらなければ大変な危険が発生する可能性があると思いますが、この辺はいかがでしょうか。
  265. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまいろいろお話を聞いておりましたが、私もやはり調査をしないと危険があると思います。
  266. 田中昭二

    田中(昭)分科員 きょうは具体的な事実をここで述べるまでの時間もございませんし、いまの大臣の御答弁によりまして、今後の石炭、いわゆる産炭地の問題については、最善の措置をしていただくようにお願いをしておきます。  時間がございませんが、また初めに戻りまして、産炭地の問題でございますが、毎年、産炭地の方からはいろいろな陳情、要望等が出ております。特に本年も、石炭鉱業の安定と産炭地域の振興推進に関する要望、こういうのが関係市町村並びに議会からも出ておりますが、その実現についての大臣の御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
  267. 高木俊介

    ○高木政府委員 いま先生の御指摘の要望書でございますけれども、全部見ておるか見ていないか、ちょっとあれでございますが、市町村議長会あるいは市町村長さん等の方から陳情が来ておることも事実でございます。そういう点で、内容を十分前向きに検討していきたいということで、産炭地対策は、石炭の残した一つの害でございますので、できるだけ早くこれを排除するという方向で、予算措置その他前向きに取り組んでいるところでございます。
  268. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣から、基本的な取り組み方について御発言願います。
  269. 河本敏夫

    河本国務大臣 産炭地からの要望等につきましては、十分考慮してまいりたいと思います。
  270. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて田中昭二君の質疑は終了いたしました。  次に、島本虎三君。
  271. 島本虎三

    島本分科員 私の場合は、きょうは大臣の御高見を十分に拝聴したい、こう思ってやってまいりましたが、いろいろなコンビナート、大規模な工業開発、こういうようなこととあわせて、ひとつ大臣にこの際——いろいろな石油、重油の流出事故その他コンビナートの爆発だとか火災、こういうようなのが最近ずっと相次いでいるわけであります。報道されないものを含めると、ほとんど毎日のような事故じゃないかと思うのでありますが、最近のコンビナートの爆発、火災を含めて、または重油の流出、こういうようなのを含めて、このコンビナートに対しての安全性ということに対して、どういうふうにお考えでしょうか。現行法そのもの、そのままでは、今後やはりこういうような危険は後を絶たないんじゃないかと思いますが、この際、大臣の今後の行政の基本となる考え方を承っておきたい、こう思うのであります。
  272. 河本敏夫

    河本国務大臣 コンビナートに対する防災保安の法律がいろいろありまして、それは各省ごとに分かれておるわけなんです。その点は非常に不備だと思います。これは結局、このコンビナートが、過去十数年の間に日本で急激に発展をいたしまして、そしていまでは世界でアメリカに次ぐような巨大な産業になった、こういうことのために、法律が後追いしていった、こういうことにあろうかと私は思います。しかしいずれにいたしましても、先般予算委員会の総括質問におきまして、江田先生からその点御指摘がございました。総理も直ちにそれを受けまして、これではいかぬ、とにかくこの防災体制というものを一本化しなければいかぬ、強力な対策をとるためにもぜひこれが必要である、見直すように、こういう御指示がございまして、いま自治省が中心になりまして、各省からいろんな資料を出しまして、目下その基本的な法律をつくるために、いろいろな準備を進めておるところでございます。これができますと、一本化されるわけでございますが、それまでのつなぎといたしまして、コンビナート防災関係の関係閣僚会議、こういうようなものが必要でなかろうかということで、官房長官のところで、目下そういうものを置いたらどうかということで検討しておるわけでございます。  同時に、あわせまして、通産省におきましても、各省それぞれいろいろ準備は進めておられますが、ほっておくわけにいかぬ、急を要するということで、実は本日もコンビナートの主要な企業の責任者十数人を集めまして、具体的に四項目ばかり指示をいたしました。その指示に従って至急に対策を立てるように、こういう手配をいたしておるところでございます。
  273. 島本虎三

    島本分科員 いままで私も、昭和三十六、七年以来、まだ公害というような言葉が珍しかったころから、社会労働委員会の方に属しておりまして、この問題と、私取っ組んでみたわけでありますが、昭和五十年の現在までの間、ずうっと一貫して変わらないものがあるのです。確かにそれは口では何と言っても、その端緒になるのは、事故が起きてから後の対策だったということなんです。先にやって対策を十分練って、そして事故を防いだということは余り聞かないのであります。ことに通産行政の中には、それがまことに多いわけでありますから、いわば業者との癒着があるのではないか、こういうようなことさえ言われるに至っているわけであります。したがって、いまの発想、そしてそれをはっきり定義づけて、調査の上に立って法案をつくる、結構であります。しかし、安全と技術の関係ということについても、もう一歩深くメスを入れていただかなければならないと思うのであります。この原因が突きとめられて技術的な改善が行われる、だんだんこういうふうにしてやっていって、そうしてまた事故発生する。今回の水島事故を教訓としてでも、原因究明、そして石油タンクの安全性、こういうようなものについても十分やらなければならない。しかし、これとても、前から言われておっても、やはり事故が起きてからでないと手がつかない、こういうようなことじゃなかろうかと思うのであります。したがって、コンビナートの安全性の中でも、いま申しましたように石油タンク、この安全性の問題については、いろいろ問題があるのじゃないかと思うのです。それでお聞きしたいのは、タンクの安全の基準というやつは、やはりはっきりしてございましょうか。
  274. 森岡敞

    ○森岡政府委員 石油タンクにつきましては、御承知のように、保安法規といたしましては、消防法令によりまして保安基準を定めております。その保安基準は、鋼板の厚みを決め、それから同時に水張り検査をいたしましてそれに耐え得る、それで漏れとかひずみが出ないというふうな構造でなければならないというふうなことを定めておりますけれども、しかし設計施工の基準と申しますか、そういうところにまで立ち至った規定は設けておりません。そういう点につきまして、さらに詳細な、設計施工基準まで含めた基準を設けるべきではないかという御意見も、最近とみに強まっているわけでございます。御指摘のございました事故原因の調査を、いま鋭意進めておりまして、それの見通しを得次第、そういう点も含めまして、保安基準についてのさらに詳細な内容の拡充を行っていく必要があろう、かように私どもとしては考えております。
  275. 島本虎三

    島本分科員 やはりまだ調査の段階であるということでありますが、私がいまはっきりこの際やっておきたいと思いますのは、専門家を動員してやっている問題ですけれども、その専門家の間で、安全の限界、安全の基準というのはきちっとしているか、タンクの場合。やはり法律で決められたとおりやっているんだというのじゃ、まだ抜けるのじゃないかと、私は思っているのですね、大臣。安全の限界とか安全の基準なんというのは、きちっとここまで安全だというのをやっておかないとだめでしょう。まだまだ疑問があるのであります。というのは、タンクの管理上の責任だけであるとするならば、これは三菱石油でございましょう。タンクの素材に欠陥がもしあるとするならば、それを担当した新日鉄でございましょう。それからタンクの製造が原因だとするならば、石川島播磨重工でしょう。基礎工事に問題があるとすれば、当時これを担当した熊谷組でしょう。そしてこれは建設工事の全体についてのいわばミスであるというならば、これをやった千代田化工でございましょう。それぞれがそれぞれの立場においてやっていて、原因は一体どれなんだ、いつでもあいまいになっているのです。全部にこれは原因があるのじゃありませんか。ここもやはりあいまいにしたままでは、これから対策を練りますと言っても、何か私としてはまた具体性を欠く、同じことを繰り返される。消防だけの問題じゃないのです、これ。こういうような問題になってくると、通産省はえてして引っ込み思案になるのですよ、大臣。いまの原因究明、どれが原因なんだというと、このうちの挙げた会社のどれかが手抜きをしたか、また法の欠陥か、いずれかになるわけですね。この問題について、もっと突き詰めなければならないと思っているのであります。具体的な問題になると、大臣、いつもしり込むのです。確かに総論はいいんだけれども、具体的になるとしり込みが始まるのが、通産省の通弊なんです。今回、これを契機にして、具体的にメスを入れるべきじゃないかと思っております。若干つらいことがあっても、罰すべきものは罰してもいいし、切るべきものは切ってもいいじゃありませんか。これから事故を起こさないために、私はこの安全限界というようなこと、安全の基準というもの、こういうようなものをきちっとしてやるべきではないかと思います。個々の問題をやって、全部一生懸命やりますと言っても、またとんでもないことになります。そういうことを恐れるのでありますけれども、この点では、私の言うのはちょっと無理でしょうか、大臣。
  276. 河本敏夫

    河本国務大臣 この三菱石油の事故につきましては、自治省が中心になりまして、いま原因を究明をしておるということは、お話しになったとおりでございますが、その背後には、お説のように素材の問題、設計の問題それから施工の問題、その基礎工事の問題、いろいろあるわけでございます。そういうものを全部含めまして、いま徹底的に究明をしていただいておるというのが実情でございまして、その原因の究明を受けまして、一方においては法の整備を行っていく、そういうことで、できるだけ急いでやっておりますので、近日、その成果を踏まえまして、具体的な対策ができ上がる、かように考えております。
  277. 島本虎三

    島本分科員 事務当局、通産、消防、いずれでもいいです。この安全の限界、安全の基準というものはきちっとしていますか。タンクについてです。
  278. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 通産省の所管といたしましては、高圧ガス関係のタンクが所管になるわけでございまして、これにつきましては、通産省令で、技術基準として、特に肉厚、強度の問題につきまして基準を決めております。特にこの高圧ガスの関係は、最近、戦後発達した石油化学とともに発達した技術でございますので、大半は海外から技術を導入いたします関係もございまして、十分に海外情報を入れながら、高圧ガス保安協会に専門家を集めまして、これ専門にこの研究をずっとやっておるわけでございまして、装置が変わるたびに、省令の段階で保安基準を見直しまして、逐次それを改正していっておるわけでございまして、近いうちに、またさらに保安技術基準を改正する段取りをつけているわけでございます。
  279. 島本虎三

    島本分科員 消防の方はいかがですか。
  280. 森岡敞

    ○森岡政府委員 消防法及び危険物に関する政令、さらにその施行規則におきまして、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、保安のための技術上の基準を定めております。ただ、私ども、この基準の内容につきましては、さらにこれを思い切って拡充しなければならないという面が非常にたくさんあるように思います。その際に、先生が御指摘のような安全ラインと申しますか、安全の基準と申しますか、それについての考察、調査を十分考えなければならない、かように考えております。
  281. 島本虎三

    島本分科員 どうもまだ私不安なんですね。コンビナートにはタンクだけじゃないわけですね。タンクの問題一つやっても、安全に対する基準というもの、その限界さえもはっきりしないで、これから法改正も考えるとしたならば、私としては、そういう安全性というものに対して、まだまだはっきりした態度をとることはできないのじゃないかと思っております。要するに、私の場合は、いつでも人間が中心であって、工場や業者中心になってはいけないということです。コンビナートの場合はことにそうなんです。ですから、あえてなんですけれども、いつでも、これはタンクの問題だけですが、不等沈下の問題、こういうような問題をやっても、一つの安全性、その限界や、ここまでが基準なんだというその基準がはっきりしない。こういうようなもので、ただやらせておいて、水を張らしてやっても、何にもならないじゃありませんか。二、三年後にまた情勢の変化が必ずくる、地質の変化もくる。そういうような状態にしておいて、不等沈下があるのはあたりまえなんです。そういうような安全性の限界、それからわれわれ水島へ行って見てまいりましたが、底板の厚さまで、皆さん点検するようになっているわけです。そのとおりやっているわけです。そのとおりやって、ああいう事故が起こるわけです。だから底板の腐食であるとか摩耗であるとか、地盤そのものの脆弱性であるとか、その沈下の度合いであるとか、こういうようなものは初めからきちっとして、重量物質をやる場合には、大概建物の場合なんかだったら、地盤の軟弱、土壌のぐあいをよく調べて、一本のくいでは足りなかったら次にずっと岩盤にぶち当たるまで打っていくとか、二本、三本と深く打つとか、こういうような規制が建物にはあるはずです。また進んでやっているのです。タンクの場合には、そういうものは全然考えられておらぬのですか。いるのですか。
  282. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほど申し上げましたが、現在の施行令ないし施行規則の技術基準は、率直に申しまして、かなり抽象的に過ぎる面が私は多々あると思うのでございます。いま具体的に御指摘のありました、たとえば基礎ぐいの打ち方とか、あるいは地盤との関連でそれをどういうふうにすべきかとか、そういうふうなところにまで、実は立ち入っておりません。これはやはり御指摘のように、いろいろなパターンなりケースに分けまして、そういう基準は明確にしていく必要があるだろう、かように私は考えております。  そこで、先ほど通産大臣からもお話があったわけでございますが、とにもかくにも、水島の破れましたタンクにつきまして、材質、構造あるいは溶接、地盤、その辺のところ、あらゆる分野にわたって完全な調査をしていただいておりますので、その調査結果に基づきまして、タンク建設上のすべての面についての安全基準と申しますか、それを網羅的に制度として確立していきたい、かように考えております。
  283. 島本虎三

    島本分科員 まだその具体性については、点検中であり、いろいろやっている最中であるから出ない、こういうようなお考えでしょうが、われわれはいわば素人ですよね。素人であっても、この点はどうだろうかと思う点がないわけではないのですね。たとえば、きょう私、北海道から来て、羽田に飛行機でおりましたが、川崎の方では、いま盛んに埋め立てをしておりますね。片やまだ埋め立てているのですが、そのそばにタンクがずらっと立っているじゃありませんか。埋め立てされたその土地というものは一番脆弱じゃないですか。そこへすぐタンクを建ててもいいのですか。またタンクはもうすでに立っているのです。片やずっと埋め立て中。その端の方も、順番にタンクが建ってきている。通産省は、こういうような点に対して、安全性をもとにして指導していると思うのですが、川崎の埋立地にいまもタンクが建っている。こういうようなものに対してどういうふうに指導しているのですか。これは安全なのですか。もう行ってみたらすぐわかるのです。飛行機が突入しておりる。その場合に、左手の川崎、あの地先をいま埋め立てている。埋め立ての終わったところに、もうタンクが四つ立っている。すぐ建てるじゃありませんか。これは私としては少し安全性を無視した指導じゃないかと思うのです。いま大臣から、大事な今後の一つの発想を承ったのです。それから法的にもそれを規制していく、こういうような態度も承りました。そして行政の一本化という点もこれから考えるということがあったのです。と言いながら、いまそういうふうにすぐやっている現実をどうしますか。あれは安全なのですか、安全じゃないのですか。この点、通産省並びに消防庁、両方からひとつ具体的に伺いたいと思うのです。
  284. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 タンクにつきましては、消防庁で所管されておりますいわゆる石油タンクと、高圧ガス関係のタンクと、大きく分けて二つあるわけでございますが、構造は若干違いまして、消防庁の所管されます石油タンクといいますのは、ああいう軟弱地帯におきましても、ある程度圧密沈下を予想しまして、それでも十分に中の石油が漏れないような設計でつくられておるわけでございます。したがいまして、従来そういう設計で事故がほとんどなかったわけでございますけれども、現実に今度発生いたしまして反省いたしますと、そういう方式で十分であったかどうかということが一つの大きな問題だろうかと思います。  それから高圧ガスタンクの構造は、大分違っておりまして、これは下に鉄筋コンクリートの基盤をつくりまして、これはその上にがっちりした足場をつくって、それで球形タンクあるいはそうでないタンクということで、二通りの種類がございますが、これにつきましては、不等沈下というよりも、むしろ下が鉄筋コンクリートの盤でございますから、盤自体が傾くということはあり得ると思いますし、現に神奈川県でも、今回の調査では、高圧タンクについても、不等沈下というよりも盤が傾いているという御指摘がございます。いずれにしましても、われわれがいままで予想していなかった石油タンクのああいう事故が起きましたものですから、やはり従来の考え方でいいのかどうかということを根本的に見直さなければならないということで、鋭意両省でいろいろ検討いたしておる段階でございます。
  285. 森岡敞

    ○森岡政府委員 確かに御指摘のように、埋立地にタンクを建設いたしますことは、地盤的に悪いことが多うございますので、そういう意味合いで、地盤を堅固にしなければなりません。これはもう御指摘のとおりでございます。私どもは、先ほども申し上げましたように、総合的な防災体制の確立を、立法問題を含めて、ぜひ早期に結論を得たいということでやっております。それからまた、各省で所管いたしております各種の法令による個別規制、これも早急に拡充をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  したがいまして、今後の石油タンクの建設につきましては、そういう総合的な体制の確立なり個別法規の強化なりに見合ったような方向で、それに即するようなことで指導してまいりたい。若干それまでの間に間隔がございますけれども、この間につきましては、行政指導をもちまして、十分安全が確保されて、私どもが考えておりますような、今後結論づけますような安全基準が確保されるように指導してまいりたい、かように思います。
  286. 島本虎三

    島本分科員 抽象的なんですよ。具体的に、いまもうすでに片や埋め立てしながらタンクが建っているのです。飛行機に乗って、きょうなんか天気がいいから、千葉県の方も全部見えるのです。そしてちょうど羽田におりる。その左側の方に、いま盛んに造成中です。でき上がった分にタンクが四つ建っている。行ってごらんなさい、大きいタンクですよ。これでいいのかなと思うのは当然でしょうけれども、通産省の方で、そのタンクをやる場合には、地盤が安定していなくても建設を認めているのですか。それとも、そういうような場合には、一応は沈下率なんというものも当然あるわけでございましょうから、そういうようなものを考えて、きちっと——曲がってもいいなんて、こんなふうな許可はないはずだと思うのです。曲がらないように、ちゃんと沈下率も考えて、安全の限界もそこに打ち込んで、基準をきちっとして、そして許可しているのではないかと私は思っているのですよ。ところが、いま不等沈下、ほとんどの地域が不等沈下でしょう、タンクのある場所。ない場所はないでしょう。それほどになっているのは、すぐ埋立地の方へ、沈下率というのですか、こういうようなのも十分確めないで、そして建設だけ許すということになると、当然こういうようなことが起きてくる。この点は私は十分考えなければならないんじゃないかと思うのです。現実の問題として現在あるのです。やっているのです。埋め立てをしながらタンクを建設しているのです。こういうような問題に対して、安全性の問題を考えて指導しているのかどうか。ここなんですよ。一言でいいんですが、これは安全性を考えて指導しているんですか。あれは絶対安全なんですか。その点、どちらでしょうかね。——いや、ちょっと待ってください。消防庁には権限ないんじゃありませんか。できるときに、これは安全かどうかの点検だけするのでしょう。あれを許したりするのは通産省じゃございませんか。どこですか、あれは。
  287. 森岡敞

    ○森岡政府委員 石油タンク施設の設置認可及び完成検査は、消防当局が行っております。
  288. 島本虎三

    島本分科員 それだけじゃわからない。ちゃんとやったんですか、あれ。
  289. 森岡敞

    ○森岡政府委員 川崎の事例につきまして、いま非常に具体的な御指摘がございました。実は私、ちょっといまその川崎埋立地の状況を十分詳細に承知しておりませんが、お話のように、埋立地にタンク施設をつくります場合には、当然その基礎、地盤工事につきまして、十分な安全が確保されるようにやらなければならない、これは当然のことでございます。ただ最初に申しましたように、たとえば不等沈下が、いまお話のありました何センチなら許容できるとか、そういう具体的な基準と申しますか、そこまでは、消防庁といたしまして、いままでのところ、別に指示はいたしておりません。しかしそういう点を含めまして、私どもは、先ほど来繰り返して申しておりますように、かなり具体的な安全基準というものを早急につくらなければならないということで、やりたいと思っておりますので、川崎の事例につきましても、早急に実態を調べまして、適切な措置を講ずるように考えてまいりたいと思います。
  290. 島本虎三

    島本分科員 大臣、余りもう時間がなくなってしまって、あと二、三分で終わりだから、やめろというのが来たんですよ。これはいまのように、埋め立てをしながらタンクをやるというのは、やはり前例に徴して危険だと思うのです。この点は十分、安全率、安全の限度というのですか、こういうのも考えた上で、現実にもうそれはやっておりますから、今後それを指導すべきだ、こういうように思います。そうでなければ後を絶ちません。大臣、これに対して、もう現実の問題ですが、いますでに許可してやっているんですがね。不等沈下の点が一番問題なんですが、埋立地へすぐやるというのは、私は危険きわまりないと思うのです。これに対して、大臣どう思いますか。
  291. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘の川崎の分につきましては、これは消防庁の方で至急に調べていただきまして、島本さんのところへ御報告をしていただきます。  それからなお、安全の強化対策につきましては、先ほど申し上げましたように、自治省が中心になりまして、来月中には案がまとまると思いますので、その際に、当然強化された一応の基準というものができ上がる、こういうふうに思います。
  292. 島本虎三

    島本分科員 その場合、やはり沈下率なんかも当然考えられると思うわけです。それと同時に、この安全性のいわゆる安全限界点も当然考えられると思います。しかし、それは大きくなれば大きくなるほど、事故が起きたら大きいんですよ。ですから最も慎重でなければならないのでありまして、この点、小さいうちならまだしも、大きくなった現在のようなタンクでは、能率を上げるために事故が起きたならば、ものすごい大きいものになる、こういうようなことでありますから、そこを十分考えて、今後やらないとだめだし、現在実施中のものに対しては、すぐ調べて、そうして地質その他を調べて、そのまま待たせるなら待たせるようにしておいて、安全を先行させて行政指導すべきだ。きょう見てきた川崎のやつは、生々しい事実でございますから、これをよく調べてもらいたいということであります。  最後に、最近、私も異様なことをちょっと新聞で読んでびっくりしたのですが、北海道開発庁、来ていますか。——北海道の千歳川の上流に重油の大量流出事件があったということを新聞で読みましたが、あれは江別市の飲み水の水源になっていますね。上水道の水源になっているところなんですが、そういうようなところに重油がドラム五本分、中和剤もまたまかれていたとか、いろいろなことで、大分問題になっているんですが、こういうような方面の指導や監視はどうなっているんですか。
  293. 大西昭一

    ○大西説明員 長沼町のドリゾールの工場から、ドリゾールの製造に要する燃料として貯蔵しておった重油が、事業者が知らない間に流出しておったという事故が一月の末に発生したということは私どもも聞いておりますが、この点についての指導は、北海道庁は間接的といいますか、消防庁になろうかと思います。事故そのものについては私どもも伺っております。消防庁からお答えをいただけたらと思います。
  294. 森岡敞

    ○森岡政府委員 お話しの、北海道長沼町、ドリゾール工業株式会社でA重油の流出が一月二十五日に発見されました。私ども、その後いろいろ事情を聴取いたしますと、会社の通報が二十六日ということで、一日おくれておりますので、会社としてはこれはまことに通報が遅いということで、一応消防当局から強くその点を指導するようにということを申したわけでございますが、お話のように、会社側は、通報前だと思うのでございますが、中和剤十八リッターかん四かんを散布いたしまして、中和処理をいたしたようでございます。消防当局は通報を受けました後、構内に分離槽をつくらせましたり、あるいは、馬追運河というのがございますが、そこに三カ所のオイルフェンスを張ったりいたしまして、江別市の上水道に影響のないように極力対策を講じていくというふうに報告を受けております。なお、実態につきましては、上水道関係については私ども十分調査いたしたいと考えております。
  295. 島本虎三

    島本分科員 もう時間がないので、あとは注意を喚起だけしておきます。  というのは、一日おくれたんじゃないのです。一月十六日に地下タンクに重油を六キロリッター注入して、二十日にタンクが空になっているのを発見して、二十五日に地上に出ているそれをまた発見して、そして流出している分が四・五キロリッターの重油であり、それが四センチの厚さでずっとしみわたっていたということがわかったのは二十五日でしょう。十六日の問題ですから、これは一日の違いじゃございませんよ。そういうような点でルーズなんです。指導もルーズなんです。  また、中和剤は大量に使えばいい、こういうような考えでただ指導しておられるとしたら、これも重大です。あれは催奇性の試験もやっておりません。発ガン性の試験もやっておりません。それから代謝試験もやっておりません。繁殖試験もやっておりません。これがどういうような影響があるかということをわからないままに、ただ中和剤として使用している。いわば危険なものですが、ただまけばいいと言う。それがいわゆる上水道の水源地帯に流入しているんだ、こういうようなことになったら大変でありまして、いま警戒態勢に入っているようですけれども、消防の方ではもっと慎重に調べて、北海道庁なりを大いにしかって、そんなことのないように行政指導せいということを言ってやるべきだと思います。  時間がありませんから、私はこれは言いっ放しでありますけれども、こういうようなことはまことに残念であります。残念だということを言って、私の質問を終わります。
  296. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて島本虎三君の質疑は終了いたしました。  次に竹内猛君の質疑に入るのでありますが、本日は同君の質疑に対し、参考人として水資源開発公団理事松村賢吉君が御出席になっております。  なお、松村君の御意見は、質疑をもって聴取することにいたします。  竹内猛君。
  297. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、通産省の筑波学園に関する諸問題、並びに霞ケ浦の水の問題について主として質問をしたいと思います。  まず最初に、通産大臣にお伺いしますが、閣議決定というものはどの程度の責任が持たれるものであるか。閣議決定の責任性について。
  298. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府の基本方針を決めるわけでございます。
  299. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 政府の基本方針を決めるものであるとすれば、筑波学園の移転の問題について閣議決定が七転、八転、全くつかまえどころがないというこの事態について、政府責任を感じますか。
  300. 河本敏夫

    河本国務大臣 計画の過程でいろいろ、大計画でございますから、やっておるうちにああした方がいいとかこうした方がいいとか、いろいろな意見が出てくると思うのです。その都度いい意見を取り入れてだんだんよくなるように決めていったわけでございますから、これは私は大変結構なことであると思います。
  301. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 地元は、政府のこういう態度について、はなはだ不信を持っておるということをまず言っておきます。  その理由は、まず最初に、当初計画が田中総理大臣によって、二年繰り上げる、五十年にはすべての機関が移転をするということを言われた。ところがその後、今度は国土庁にそれが移って、国土庁の長官は先般現地の視察をされて、四年これを繰り延べるということになった。地元ではその計画に沿って行政をやっている、あるいは各企業もその政府の閣議決定の線に沿っていろいろの事業を計画をしている、こういう事業がいろいろの点で損失をこうむっているという事実がある。こういうことについて、行政の責任者として何か感ずることはないか、これはどうですか。
  302. 河本敏夫

    河本国務大臣 御案内のように、一昨年の秋に、第四次中東戦争の結果、石油問題が起こりまして、いわゆる狂乱物価というようなものが出てまいりました。これではいかぬというので、これは日本だけではございませんで、全世界が総需要の抑制、財政及び金融によるいろいろな事業の圧縮、こういうことをやり始めたわけです。でありますから、中には建設途中でストップになったものもありますし、あるいは無期延期になったものもあります。  筑波学園のことにつきましては、そういうふうに工期が延びたというふうな点については、これは万やむを得ない点があったのではないか。ただ、その間御迷惑をかけた面もあると思いますので、その点は大変遺憾に思いますが、これは世界全体のそういう傾向でございますからある程度御理解していただけるのではないか、こういうふうに思います。
  303. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、そういう世界の責任にものを押しつけないで、そういうことについても政府は十分知っていた上でのこれは閣議決定なんだから、やはり行政の責任というものを何らかの方法でとってもらわなければ困るということを主張しておきながら、次の問題を質問します。  現在、筑波町の旧作岡地区の寺具、西坪、安食、この部落を中心に、通産省の工業技術院が学園の地域外に用地を買収し、移転をする計画があるけれども、それは本当ですか。
  304. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 現在、その土地買収の手続を進めております。
  305. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 その計画は、いつ、どこで、だれが、どういう話し合いをして、だれに連絡をしてどうなっているのか。これはどうなっていますか。
  306. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 筑波研究学園都市に建設します工業技術院の研究センターは、一つは学園地区内に百四十七ヘクタールの土地を取得しまして、そこにつくることになっております。それからさらに、この百四十七ヘクタールだけでは狭隘でございますので、団地外に——なるべく団地に近い、研究学園都市に近い地区を望んだわけでございますが、団地外に約六十五ヘクタールの土地を取得して、この二つでもって筑波の研究センターというものを形成していく、そういうふうに当初の方針から決まっておるのであります。
  307. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 当初筑波学園が発足するときに、現在移転をしようとしている九機関、九地区で十六の地域にまたがっている施設をなぜ一緒にその筑波学園の中に入れなかったかということ、それはどういう理由でそれだけが抜けて、それから後でそういうような追加をしなければならない、団地外に求めなければならないという理由はどういう理由です。
  308. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 最初の百四十六ヘクタールにつきましては、これは研究学園都市の、全体の各試験研究機関が移転するときの土地の配分と申しますか、そういうことで、通産省関係は百四十六ヘクタールしか取得できない。それでは、われわれとしてはこれからの研究計画を推進していくためには規模としては足りないということで、やむを得ず団地外に六十五ヘクタールの土地を別途取得する、そういうことになって出発したわけでございます。
  309. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それで、現在この問題について、どことどういう契約をし、どのように進行しているか、その進行の実情について詳しく説明してもらいたい。
  310. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 まず、団地外の土地の取得につきましては、当時首都圏整備委員会がございまして、そこの事務局長を通じまして茨城県知事に用地の取得についてのあっせんをお願いしたわけでございます。そこで茨城県といたしましても御高配をいただきまして、筑波町といろいろ御検討をいただいて、それで約三年ほど日時を要したわけでございますけれども、県並びに筑波町の両御当局の慎重な御検討の結果、筑波町の作岡地区に土地を取得するということに決定を見たというふうに経緯は聞いております。
  311. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 文書上で正式に契約をしたのはいつですか。
  312. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 文書上では、ことし、五十年の二月の十七日に第一回の用地売買の契約を締結いたしました。
  313. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 通産省が工業技術院を移す場合に、作岡地区でなければならない理由はどういうことです。
  314. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 私どもは、研究を遂行するために団地外の土地としてどういうところを希望しておるかということを県当局にもお話を申し上げまして、そのときに、まず第一は、先ほど申し上げましたように研究学園の地区にわれわれの本拠となるセンターがございますので、そこから余り遠いところでは連絡上の不便等もございまして、余り遠くないところにお願いをしたい。それからもう一つは、中につくるいろんな研究施設の関係上、余り起伏のあるところではぐあいが悪いということで、なるべく平たんな土地をということでお願いをしてあるわけでございます。
  315. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま地元に、必ずしも通産省の皆さんが考えているようなことに同意しない事態が起きていることは知っていますか。
  316. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 地元の皆様方の一部に、いま先生おっしゃっておられますように、必ずしも歓迎をしないというような意向が一部にあるということは聞いて知っております。
  317. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 町長がこの土地を売ってくれということを地権者に言うときに、二百人程度の地元雇用をいたします、環境の整備もいたします、上下水も直します、町有地を処分をして学校の改築もいたしますという約束をしているようですけれども、二百人程度の地元雇用ということについて、通産省、責任を持ちますか。
  318. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 私どもは、地域に研究所を設立することでございますので、どうしても地域の住民の皆様方の御理解なり御協力を得なければいけないということを十分考えておりまして、そのためにはなるべく地元の皆様方と協調、協力のできることは協力をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ただいまお話しのような、たとえば地元の方々を二百人も雇用というようなことになりますと、これは国家公務員としてのあれでございますし、また、現在、御承知のような、総定員法でもって人員を削減というような国の方針でございますので、そのようなことは私どもとしてはとうてい考えられないところでござ  います。
  319. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そのあとの問題はどうです。上下水を直すとか環境を整備するとか、それについてはどういうふうにお考えですか。
  320. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 その辺につきましても、私どもとしては具体的にこういうことをということはとうてい申し上げられないことでございますから、できるだけ御協力できることはしたいというところでお話を申し上げておるところでございます。
  321. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いまのお話はよく理解できます。それは、これよりさらに前に、全国農業協同組合がそこにえさの研究所をつくっております。そのときにも町長は同じことを言った。地元の雇用をいたします、それから環境の整備をします、道路を直しますという約束をしておきながら、現実にそれができておらないということで、工業技術院の移るについても、そのような話はうそじゃないか、賛成ができない、こういうふうに言っておるので、いまのお話は真実だと思うから、それは私は了承いたします。  それで、代替地を出すということについて何か聞いたことがありますか。
  322. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 代替地の件につきましては、具体的にはまだ何も聞いておりません。
  323. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 寺具地区の農民には代替地を出してこれを賛成させているのだという話をしておるようですね。その代替地というのは、これは戦後満州から帰ってきた大日向開拓の皆さんが筑波と大穂のちょうど境に入植をされて、いま農業がやりにくくて困っている。そこにもし工場が来て、そこに雇用ができるのであればこの土地を売り渡すけれども、そうでなければ工業技術院の代替地には出せない。こういうことで、せっかく現在農業をやっているものを代替地として出すということがもし考えられるとするならば、それはきわめて適当でない。そのようなことをもし町長が言ったとしても、それはやはりうそである、偽りである。そういうものは代替地として認められない、こういうふうに私は申し上げておきたいと思います。  さてそこで、一部の反対と言うけれども、これは一部じゃない。昨年の十二月二十四日に筑波の町議会において、町議会は工業技術院が移ってくることには反対はしない。ただしあの土地を売ることには賛成できないという議決をしていることを承知ですか。
  324. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 その議決のところまでは、私、不勉強でまだ承知をしておりませんでした。
  325. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そういう議決をしているわけです。そこで、町長と助役はこれを推進している、町議会が、その土地ですよ、他の地区は別ですがね、その土地に同意をしないと言った場合に、あなたは一体どちらをとりますか。町長、助役の行政の方をとるのか、住民を代表する町議会の意思を尊重するのか、どっちです。
  326. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 あすこの地区の決定に至るまでには、先ほどもお話を申し上げましたように、茨城県当局と筑波町当局との間で非常に慎重に御検討をいただいて、いろいろとまた地元の皆様方の御意見等も聞き、調査等もして、そうしてその結果決められたと私ども承知しておりますので、いま考えられる用地としては一番適地であるというふうに認めざるを得ないと私は考えております。したがいまして、反対の方々もあるいはおありと思いますけれども、その辺はいろいろ誤解と言いますか、私どもが建設する第二研究センターについての御理解が少ないような感じもいたします。そういうところから反対というような御意見になってきたようなことも考えられますので、私どもは今後とも皆様方の御理解、御協力を得るように努力をしながら、あの地区の住民の皆様方にもちろん御迷惑はかけない。しかも住民の方々とともどもに協調していけるようなセンターを建設したいというふうに念願をしておるところであります。
  327. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 努力をしても、なおかつ反対の場合には土地収用法を使いますか。
  328. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 土地収用法というのは最後の最後の手段ではないかと私は考えます。したがいまして、本当の最終的にどうしてもという場合はあるいはあるかもしれませんけれども、原則といたしましてはやはり地元の皆様方と話し合い、御理解を深めながら御納得をいくようにして進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  329. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 町長が農家に農地を売ってもらいたいということを連絡しておりますが、その農地は坪一万八千八百七十九円、山林が一万七千九百七十八円であります。この農地の価格というのは一体何を基準にしてどこで決めたのか。
  330. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 大変失礼でございますが、いまおっしゃいました価格というのは町長が……
  331. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 町長が農民にそれを通達で出しています。
  332. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 私どもが今度作岡地区に取得しようという考えの価格は、畑地につきましては平米五千七百五十円、それから山林につきましては平米五千四百五十円、そういうことになっておりますが、これは関東財務局にお願いをして、適正な土地の価格の鑑定をした結果、それに基づいて工業技術院として決定をした価格でございます。
  333. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 国が国の仕事としてやった筑波研究学園都市で、土地収用にもかけて買収した価格は平均坪千二百円であります。離農料まで入れても反当四十万円。いまここで示された価格になると五百五十万円近いものになる。一体、同じ地域の同じ続き柄の土地にこの十年間に十数倍もの差ができている。いま、三木総理が言うような社会的不公正を是正をするという立場に立ったときに、同じ国の機関がこれをやるということは一体どういうことですか。
  334. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 御指摘の、当初の筑波研究学園都市の買収のときには四十万程度でございまして、現在は五百五十万程度ということになるわけでございますけれども、やはり最初に取得をした当時の価格に比しまして、土地の価格が大幅に上昇してきたという地価の上昇によるものでございまして、現在の価格は、現状から申しますといま御説明申し上げましたように適切なものというふうに判定してよいのではないかと考えております。
  335. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そうすると、土地というのは一人の人が一生に一度しか売れないものだ。その筑波研究学園都市の土地を放した人々から、こういうような同じ続き柄の土地がそのようになるならば、その差額なりあるいはそれに対する補償を要求しようという運動が起きたときに、皆さんはそれに対してどうお答えしますか。それは土地が上がったからやむを得ない、勝手にしやがれ、こういうことですか。
  336. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 土地を売られた方の御心情、よくわかるのでございますけれども、それに対して補償をというようなことになりますと、それは現在のところではとうてい、やむを得ないけれども、できないということを申し上げざるを得ないと思います。
  337. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは通産大臣にお伺いしますが、閣議の決定は守られない、物価の値上がりにおける、土地を放した、国に協力した者の補償はやらない、そういう政治は一体どうですか。これは住民に奉仕する政治ですか。そう考えられますか。
  338. 河本敏夫

    河本国務大臣 私はその値段のことはきょう初めて聞くわけでございますが、いま聞いておりますと、第一回の買収は十二、三年前のことである、こういうことでございますから、この間、十数年の間にはいろいろな物価の騰貴、土地の価格の変動等もありますので、これは全国的にそういう例があるのではないかと思うのです。でありますからそれを一々補償するというふうなことはできませんが、当初に売られた方に対して申しわけないではないか、こういうことになりますと、そういう感じもなきにしもあらずでございますが、国の大きな事業でございますから、できるだけ協力していただいて、この事業が今後順調に進行することを期待をいたしております。
  339. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 通産大臣のそういうお言葉ですが、私はそういうことについてはもっと、これは国の大きな行事に協力したのだから、やはり前に協力した人々、これに対しては何がしかの努力をするということがなければ筑波の方を説得することはできませんよということが一つと、団地以外に対して土地を取得する場合に、現在の予算で一体できますか。特定国有財産整備特別会計によって見ても、通産省が持っておる財源を全部整理をしても一千五百二十七億円かかる。そして持っておるやつを始末をしても六百三億円だ。九百二十四億円の赤字が出るということになっている。そのときに、いまのような値段で土地を買って、そして本当に皆さんの期待するようなときに、いつまでに移すということはまだ聞かないけれども、その期間内に仕事が完了しますか。どうですか、これ。
  340. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 第二センター、団地外の土地の取得につきます予算につきましては、予算の手当ては済んでおりまして、それによって取得をしてまいることにしております。
  341. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 工業技術院の問題についてはまだ問題がありますけれども、私はこれでそのことについてはひとまず終わります。またいずれ別な機会に問題を出します。  そこで、水資源公団の方からも見えておりますので、最後に一つだけ。霞ケ浦の総合開発の問題が当初計画よりはなはだおくれている。これは一体いつになったらこの総合開発が本来の目的に沿った形で遂行できて、そして霞ケ浦の周辺に対して期待に沿えるようになるのか、そのことだけをお答えをいただきたい。
  342. 松村賢吉

    ○松村参考人 お答え申し上げます。  霞ケ浦開発事業、これは昭和四十三年から建設省が実施計画調査を始めまして、この事業を四十六年度に水資源開発公団が承継いたしまして現在に至っているわけであります。この事業は、御承知のようにまず霞ケ浦の周辺の利水目的と、それから霞ケ浦の水位を変動することによって利水事業、四十トンの新規利水を開発するという、この二つの国益を持っているわけであります。それで、この事業の内容といたしましては、一つには現在あります常陸川の水門の改造ということがございます。それと湖の周辺の築堤事業、これが一つと、それから水位変動に伴いますいわゆる対策事業並びに補償というふうになっております。それで、この事業を当初総事業費三百十五億ということで始めたわけでございます。現在四十九年度末におきまして、このうち約百四十四億円の事業費がついておりまして、これによりましておおよそ四六%の事業進捗率ということが一応は言えるわけであります。  それでこの内容といたしまして、やはりこの事業を進める上で、この湖の漁業関係の補償事業ということが一番問題になると思います。四十六年に公団が承継いたしましてからこの漁業補償の問題にすぐさまかかりまして、まずこの漁業関係者と、霞ケ浦の護岸堤その他こういう事業を進めることについての同意を取りつけております。この同意に基づきまして護岸堤事業その他をやりまして現在の進捗になっているわけでございます。  一方、漁業補償そのものの交渉も続けてまいりまして、幸いこの漁連その他の努力によりまして、昨年の末、四十九年の十二月には、内水面漁連と申しまして、常陸川関係の漁業を担当しているものでございますが、この内水面漁連との間に補償の大綱、補償金額を含めまして円満に調印させていただいたわけでございます。それで、このあと、残ります霞ケ浦、すなわち西浦の漁連関係、北浦の漁連関係、こういうものにつきましても、内水面漁連と同じような歩調で今後補償の交渉を続けておりまして、これも相当明るい見通しがついておりまして、近いうちに話がまとまる見込みがついております。まだ額その他具体的には決まっておりませんけれども、見通しをつけたい、つける段階になっております。こういうようなことで、今後は事業が一大飛躍をすることになるだろうと思います。  しかしながら、現在の事業昭和四十六年に公団が承継いたしますとき、一応五十年ということの目標でやっておりました。しかし現実の問題では五十年度にこれは完成することができません。また、当初の三百十五億円の予算というものも、これも昭和四十四年に積算したものでございまして、その後相当の年月が実はかかりまして、御承知のように非常な物価の変動その他ございまして、大幅な変更をせざるを得ないという状況で、現在主務官庁その他、公団においてももちろんですが、いろいろ協議いたしまして変更の検討をしておる次第でございます。したがいまして、五十年の工期というものは数年延ばさざるを得ないという状況でございます。現在まだいつということは申し上げられませんが、鋭意検討いたしまして、皆様方の御協力を得て早期に完成をしたいと、努力をしておる次第でございます。
  343. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間が来たのでこれで終わりますが、いまの工業技術院の移転の問題についてもまだまだ問題があります。それから霞ケ浦問題についても、いまお話がありましたが、これもかなりおくれているようですけれども、こういう問題も含めて、また別の委員会でこれを取り上げていきますので、ひとつそのときにもまたごめんどうでも水資源公団の方には出ていただきたいし、工業技術院の方は地元の問題をもう少ししっかり、農民の立場にも立って考えてもらわないと、あの町長のもとではいろいろなことが幾つか起きておりますので、そういうこともよく検討されて、農民を疎外しないように、大事にするように、大切にするように考えてほしいということをつけ加えて終わります。
  344. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  345. 多田光雄

    多田分科員 私は最初に、大気汚染の窒素酸化物対策についてお伺いしたいと思います。  大気汚染問題は、亜硫酸ガス対策の時代から窒素酸化物対策の時代に入ったと言われておりますが、日本全国の窒素酸化物による大気汚染は年とともに深刻化するばかりで、一向に改善される気配はございません。きょう、環境庁長官は自動車排出ガス規制値を大幅に後退させた告示を出しました。全国民の注目を集めてきた自動車排出ガス規制もまた窒素酸化物問題であることは御承知のとおりです。この自動車排ガスについて、すでに私ども共産党の同僚議員が再三にわたって、政府の態度がメーカーサイドじゃないかということを指摘したところですが、きょう私は、排煙から窒素酸化物を除去する装置、つまり排煙脱硝装置ですね、特に石炭を燃料とする石炭だきの脱硝装置の技術開発の状況について、若干環境庁それから通産省に伺いたいと思います。  まず環境庁に伺いますが、昨年八月から九月にかけて脱硝装置メーカーを呼んで、ヒヤリングをやられて調査報告をまとめましたが、現在の排煙脱硝技術のうちで火力発電用の石炭だきの脱硝技術はどのような開発状況なのか、これをひとつ答えてください。簡単に頼みます。
  346. 鈴木晃

    ○鈴木説明員 脱硝技術開発状況につきましては、昨年主なプラントメーカーの方からヒヤリングを実施したわけでございますが、その時点では、脱硝技術は乾式法が比較的進んでおりまして、ばいじんや硫黄酸化物を含まないクリーンな排ガスの場合についてはほぼ実用化の段階にあると見られましたが、重油や石炭等の燃焼排ガスの場合にはまだ問題があるように見られます。しかしながら、脱硝技術は最近かなり進歩を見せておりまして、種々の問題点も今後解決されていくものと考えております。石炭燃焼ボイラーの脱硝装置につきましては、すでに一部のメーカーで技術開発に着手したと聞いておりますけれども、脱硝プロセス、試験データ等について詳しい資料を得ておりませんので、これらの資料が明らかになった段階でいろいろ評価を行っていきたいと考えております。
  347. 多田光雄

    多田分科員 環境庁に伺いますが、この報告書を見ると、主に石油化学工場などの石油系ガスを燃料とするガスだき用の脱硝装置、これがほとんどなんです。重油だきの脱硝装置は、ばいじん、粉じんが多くなって、つまりダーティーガスと言われて、ガスだきより一層困難だということは御承知のとおりです。さらに石炭だきの脱硝装置になりますと、いまおっしゃったように、むずかしい重油だきよりもさらに一層技術的にはむずかしい。  そこで環境庁に伺いますが、石炭だきの脱硝装置について、小さなパイロットプラントなどの研究計画はどうなっているか、これを簡単に答えてください。
  348. 鈴木晃

    ○鈴木説明員 昨年ヒヤリングをやりましたときに、直接石炭ガスを対象とした研究をやっておりましたところは一社ございました。(多田分科員「どこですか」と呼ぶ)川崎重工でございます。しかし、亜鉛脱硝装置と申しますのは、単にクリーンな排ガスだけに適用できるものではございませんで、ダーティーガスでもいろいろなプロセスによって採用できると考えております。
  349. 多田光雄

    多田分科員 環境庁に伺います。  そこで、私はこの報告書を全部読ませてもらったのです。ここで私は次の二点がわかったのですが、これを確認してもらえるかどうか。  一つは、石炭だきの脱硝装置は広島県の電源開発会社の竹原火力、これは川崎重工ですね。これは排煙量が一時間当たり五千立米の小さなパイロットプラントですね。五十年度末の昭和五十一年三月に完成予定で建設にかかって、五十一年度末の昭和五十二年三月まで一年間の実験運転実績を見る、ここではこうなっているわけです。それから第二番目、石炭だきの脱硝装置については、現在までのところ試験運転をさせた実績も皆無であるということ。この二点、これは大体間違いありませんね。イエスかノーかだけ答えてください。
  350. 鈴木晃

    ○鈴木説明員 先生おっしゃいましたように五千立米パーアワーの実験プラントを現在建設中でございます。
  351. 多田光雄

    多田分科員 つまり、いま私の言ったことを確認できますねということを言っているのです。(鈴木説明員「はい」と呼ぶ)では、確認してもらったことにします。  そこで、これは通産省に伺いますが、電力会社の重油だきの火力発電所用として、実用化規模の脱硝装置設計計画があるかどうか。技術開発用のテストプラントやパイロットプラントじゃありませんよ。私の言っているのは、重油だきまたは石炭だきで実用機の設計計画があるかどうか、これを伺っておきます。
  352. 増田実

    増田政府委員 いまお尋ねの重油、原油だき火力及び石炭火力につきましては、現在ありますのはパイロットプラントだけでございます。
  353. 多田光雄

    多田分科員 パイロットプラントだけですね。つまり、実用の装置はないということですね。——それも確認しておきます。  それから、通産省に聞きますが、重油だき、石炭だきの場合ですが、通産省は窒素酸化物を除去する脱硝装置がすでに実用化したと判断しているかどうか。もし実用化の段階に達しているというなら、これは当然のことですが、既設の発電所や、それから今後新設されるであろう火力発電計画に対しても、脱硝装置の設置を当然行政指導されると思いますが、そういう実用化したと判断していますかどうか、それを答えてください。
  354. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 わが国におきます脱硝の技術の見通しでございますが、ただいま盛んに開発途中でございまして、一部すでに見通しの立ったところばございますけれども、全般的に申し上げますと、大容量のものにつきましてはまだはっきりした見通しはついておりません。
  355. 多田光雄

    多田分科員 つまり、ないということですよ、はっきり言えば。  そこでまた通産省に伺いますが、結局、排煙脱硝装置について言えば、大体の技術開発というものがいまのことでわかったと思いますが、特に石炭だきの脱硝技術、これはまだ全然開発されてない。しかも、これは世界的にパイロットプラントの運転実績さえ皆無なのです。実用化の判断材料はまだない、こういうことが大体明らかになった。  そこで私申し上げたいのですが、ところが、こういう脱硝装置の技術開発の状況の中で、苫小牧の、でき上がれば世界最大の臨海コンビナートとなるというこのど真ん中に、昭和五十三年三月までに出力三十五万キロワットの、しかも石炭専焼の火力発電の計画があるのです。北海道は、昨年五月、石炭火力を苫小牧東部に立地させるということをきめた。そして七月には公害防止対策を発表しました。この石炭火力の排出量は一時間当たり百十七万八千立米です。つまり、竹原でやっているテストプラント、これは五千立米です。しかもこれは海とも山ともわからない、五十一年の三月にようやくその試験が始まるという段階です。そういう段階なのに、五十三年の三月までに百十七万八千立米を出すそういう装置をつけると言っている。ところがいまだにそのテストプラントの五千立米の運転実績もないのですよ。そうなのに、苫小牧東部のこの石炭火力では、いま言ったように二百倍以上の百十七万の排煙量を持った脱硝装置をつけるのだと言っているのです。私が言っているのじゃない、北海道庁が言っているのです。どこを押せばこういうでたらめな非科学的なことが一体言えるのか。それは道の出しているこのパンフレットを見ればわかる。これでもって地方自治体や住民を説得している。  そこで通産省に聞きますが、こういう脱硝装置の中でも石炭だきの脱硝装置は非常にむずかしい。これを苫小牧東部のようなところに、しかも窒素がもういっぱいなんだ。そうしますと、重油だきや原油だきの火力でも当然のことながら脱硝装置をつけられるということになるのだけれども、一体この点はどうでしょうかね。どうお考えですか。石炭火力がつけられるというならば、もっとやさしい重油や石油の脱硝装置もつけられるということになる。これはどうお考えですか。
  356. 増田実

    増田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、原重油だきの火力につきましては現在パイロットプラントで試験中でございます。それから石炭火力につきましては、先生おっしゃられるとおりまだ建設中でございまして、これは現在の計画では、八月ごろにテストプラントを用いて試験を開始するということになっております。
  357. 多田光雄

    多田分科員 この苫小牧で昨年の五月、石炭火力を道が決定した時点では、すでにあそこの双葉、明野という二台の測定器によってほぼ一年間の窒素酸化物の測定データが出たのです。その結果によりますと、苫小牧地区では二酸化窒素の環境基準をはるかにオーバーしたんですよ。だからこそいま言ったように、北海道はどうしても石炭火力をつくるのだと言ってこういうパンフレットを出して、脱硝装置ができるのだ、こうしていま住民を説得しているわけですが、そこで私は環境庁に伺いますが、問題になるのは、脱硝装置が間に合わないときに、いま間に合ってないのですから、石炭をたけるのか、それともたけないのか、一体この点を環境庁、本当に環境庁の立場から答えてください。
  358. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 昨年七月、重油専焼の火力を石炭火力に変更する旨の計画が出されたと聞いておりますが、現在私どもまだその詳細の説明を受けておりませんので、先ほどお話のございました点につきまして慎重に検討したいと考えております。
  359. 多田光雄

    多田分科員 報告を受けてないとすればそういう答えでしょうが、だれが見たってこんなことは不可能なことなんだ。ところが、これは大臣聞いてください。これは北海道開発庁に伺いますが、福田開発庁長官は昨年十二月二十七日の公害対策の関係閣僚会議の席上で次のように言っているのです。これは同日付の北海道新聞その他にも出ましたが、こういうことを言っているのです。「苫小牧東部に立地予定の石炭専焼火力発電所はあくまで当初の方針どおり建設を進めたい、ただ石炭専焼では窒素酸化物が環境基準以上になることも考えられるが、この場合は重油専焼に切りかえる。石炭専焼火力だと言っておいて、基準を超えるならば重油専焼に切りかえていく」こういうことを言っている。そこで、この発言について北海道開発庁は認めますか、どうですか。
  360. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 先生御指摘がございましたように、多少誤解を招くような御発言の点の御指摘でございますが、開発庁といたしましては、ただいま北海道の地元と道はあくまでも石炭専焼という線で考えておりますから、石炭専焼ということで御理解をいただきたいと思います。
  361. 多田光雄

    多田分科員 大臣の発言は間違っているということですか。
  362. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 ただいま道の方針といたしましては、石炭専焼オンリーということで地元で進んでおりますから、先ほどの答弁のように御理解いただきたいと思います。
  363. 多田光雄

    多田分科員 大臣の発言が間違っているのかどうなのかということを聞いている。あなたの個人的な意見を聞いているのではないのです。
  364. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 石炭専焼ということで、地元は、道はそういう方針でございますから、その限りにおいて大臣の発言は誤解を招いたと思います。
  365. 多田光雄

    多田分科員 つまり、だれが見たってできないこと、だから大臣は率直に言っただけのことなのだ。それをいまそう言ったら都合が悪いから、道や開発庁はそういう答弁を繰り返している。言えば言うだけ、いかに非科学的なものかということがはっきりするだけなんだ。  そこで私、これは通産大臣に伺いたいのですが、この福田発言をあるいは御存じかもしれません。第一は、昨年から現在にかけて北海道庁が行ってきた地元住民の説得、つまり石炭火力一本でやるのだ、こう言っていますけれども、これは科学的に言ったって技術的に言ったってペテンに等しいのです。さっきの政府答弁を見てもはっきりしているのだ。  それから第二番目——通産大臣、ここが大事なところです。八十六万トンの石炭を使って石炭専焼火力だと言って、国会を通している石炭特別会計から四十九年度で五億四千九百万円、ことしは五億五千八百万円、これだけの石炭特会からの予算をつけている。五年間の最終年度までに二十七億円以上の建設補助金を北海道電力に出すわけですよ。私はこのことは羊頭狗肉だと思う。石炭をたきますと言って、たけなければ重油に切りかえるかもわからない。しかも石炭をたくというのは、公害や今日の技術からいって不可能に近い、まだ世界的にもないのですから。あるような幻想、あるような非科学的な期待そういうものを持ってやろうとしているのです。大臣どうでしょうか。こういうことに石炭特別会計から、まるで国会を偽るかのようなやり方でもって金を出すということについて、これが本当に石炭の振興政策につながるのかどうなのかを私は伺いたいと思うのです。
  366. 河本敏夫

    河本国務大臣 いろいろ紆余曲折はあるようでございますが、私は当初の計画が、いろいろむずかしい問題はありましてもすべて解決されまして、予定どおり成就するということを強く期待をいたしております。
  367. 多田光雄

    多田分科員 当初の期待どおりいかないのですよ。先ほどの答弁、非常に時間がないからかいつまんで聞きましたけれども、つまり、脱硝装置ができなければ道が言っている二百立米に抑えるなんということはまず逆立ちしたってできないことなんです。これは工業技術院の専門家に聞いたらナンセンスに等しいと言っているのです。ここに資料がありますよ。ナンセンスという言葉は使っておりませんが、混焼にしても同じだと言っている。しかもこの時点ですでに環境基準を大幅に上回っているということが決まって、わかっていた時点で、石炭火力に切りかえているのです。しかも、脱硝装置をつけるという見通しもないということもはっきりしているのです。政府答弁だけじゃないのです。道に行って専門家に聞いてもそれはできないと言っているのです。それから第三点を言いますと、窒素酸化物でこの苫小牧と室蘭とを外すならば、私はいま石炭の需要の振興、石炭政策の上からつくるところは北海道にあると思うのです。一体そういう立地点について通産省は真剣に調べたのでしょうか。これを認可して予算づけまでやっているのです。ちょっとそれを大臣に伺いたいのです。
  368. 増田実

    増田政府委員 この東苫小牧におきます石炭専焼火力発電所につきましては、これは道庁との間の打ち合わせもいろいろやっておりますが、東苫小牧地区を最適地として推薦してきておる、こういうことであります。ただ、ただいま先生が御指摘になりましたように、脱硝の問題についていろいろ問題がございますので、私どもも慎重にこれを取り扱っていきたいというふうに考えております。
  369. 多田光雄

    多田分科員 おたくでもこういう脱硝問題の資料を出し、工業技術院からも出ている。環境庁も出している。一体こういう資料を見て立地点を決めたのでしょうか。まことに無責任と言わざるを得ない。  そこで、経済企画庁来ていますか。——企画庁に伺いますが、三月の電調審にこういう問題の多い石炭火力をかける根拠はないと私は思うのだけれども、どうですか、これは。
  370. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、今年度の電源開発基本計画に東苫小牧火力発電所を組み入れるかどうかという点につきまして、ただいま関係省庁で検討中でございます。特にいま先生が御指摘の大気についての環境問題につきましては、環境庁等を中心に検討中でございまして、これらの検討結果を待ちまして、基本計画に組み入れるかどうか、そういった点について私どもの考え方を出したいというふうに考えております。
  371. 多田光雄

    多田分科員 再確認しますが、環境庁の検討結果ですか、環境アセスメントなりを検討した結果決めるということですか。そこだけ言ってください、ちょっと聞き漏らしたから。
  372. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 環境庁あるいは資源エネルギー庁におきます環境審査の検討結果を待ちまして私どもの考え方を決めたい、こういうことでございます。
  373. 多田光雄

    多田分科員 わかりました。環境庁の責任は非常に大きいですよ。自動車排ガスのような、ああいうだらしないまねを二度とここでやらぬでください。いささかあった環境庁に対する期待は一切なくなってしまうのだから。  そこで、私は通産大臣の責任は非常に重いと思うのです。これを決めたときはもちろん前任者の中曽根通産大臣のときだったのです。私は皆さんに劣らないぐらい、石炭の需要の拡大、産炭地の振興を願っているものです。しかしいまこれをやるような石炭の専焼というのは、正しい意味での石炭対策じゃありません。どこから一体その石炭を持ってくるかというような、この石炭を持ってくることも限定されるのです、外国の石炭ですから。重油に切りかえざるを得ないでしょう、もし厳密に環境でいくならば。つまり、これは通産省の立地点が誤っているのです。通産省が独自に調べるならば、すでに決定した時点でもって窒素酸化物が環境基準をオーバーしているということもわかるし、あのコンビナートのど真中に、どこの世界に一体石炭火発を持っているところがありますか。しかも三十五万キロワットです。私は、先ほど申し上げましたように、もう一度あの広い北海道の中で適切な立地点を選んでいく、適切な規模の発電所をつくっていく、それが本当の石炭政策であり、正しい立地計画だと思うのです。もしそれをやらないとするならば、どんな理屈があったって苫小牧の大規模工業開発はつくるんだ、何様が何と言おうとそんなことは知りません、こういうことになってくるのです。環境基準もノーだ。私は通産大臣の責任は非常に重いと思うのですが、しかも予算づけをしているのです。石炭特会から石炭専焼として金を出すんですよね。ある意味では国会に対する背任の行為にもつながることです。どうです、これは。
  374. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御指摘によりましていろいろ問題があるということを承知しましたが、関係各省及び関係者の意見をなおもう一回聴取いたします。
  375. 多田光雄

    多田分科員 調査してもらうことは大いに結構です。私が問題にしているのは、こういう客観的な事実がありながらなぜ一体あそこに決めたのか。そういう上に立つならば、通産省としてははっきりと再検討するというのがあたりまえだと私は思うのです。過ちは早く改めた方がよろしいわけです。またあそこの地元で大問題が起きることは必至なんです。  ですから、私は繰り返し申し上げますけれども、大臣、あの広い北海道の中で脱硝装置はまだできていない。これから一年後、二年後だってまだ見通しはないのです。しかしながら、通産省が善意で、考えているように石炭を使いたい、需要を拡大したいというのであるならば、しかも地場産業を発展さしていきたいというのであるならば、本当は何もコンビナートのど真ん中に石炭火発を持ってくる必要はないことなんです。そうすれば、真剣になって新しい立地点を含めて再検討に乗り出していく、これが私は常識で考えてもあたりまえのこと、だと思うのです。どうでしょうか。
  376. 河本敏夫

    河本国務大臣 私がさっき申し上げましたのは、関係各省庁並びに関係者の意見をもう一回よく聞いてみたいということを申し上げたわけでございます。
  377. 多田光雄

    多田分科員 環境庁に伺いますが、道でいま言ったようにこういうパンフレットを出して、三十五万キロワットで二百立米にいたしますということを宣伝しているのです。これは環境庁の立場で、各地方自治体に対する介入にはなりませんが、こういうことをほっておいてよろしいのですか。つまり、いやがる地方自治体や住民に、必ずできます、二百立米に抑えますと、こう言っているのです。一体こういうことについて環境庁どうですか、報告のあるなしにかかわらず伺いたい。
  378. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 御指摘のように、石炭火力につきましては種々の問題点が考えられますので、その点、私どもも慎重に検討することといたしておりますが、地元におきましては先ほどお示しの資料につきまして、一般の住民を含めまして意見を聞いているということでございますので、そういった意見にこたえるような内容のアセスメントの報告書が出てまいりました段階で、技術的に検討して判断したいと思っております。
  379. 多田光雄

    多田分科員 開発庁に伺いますが、開発庁がその仕事のたてまえから言って、どうしても北海道の開発、特に目玉と言われている苫小牧大規模開発を進めたい、そういう気持ちは私はわからぬではない。しかしながら、理解したということは賛成したということじゃないですからね。いままでも相当ごり押しをやってきて、そして見直しだと言う。その見直しの中身がまたこういう形で北海道の五百万道民にしっぺ返しになってくる。しかも道が先頭に立ってこれをやっているわけです。道がやるということは、やはりこれ、開発庁がツーツーなんですよ。北海道開発庁が真剣に北海道民の健康、北海道の地場産業の石炭発展させるとするならば、こういうペテン的なやり方はかえって北海道の石炭産業に対する道民の期待や国民の期待を裏切ることになると私は思う。真剣に考えてもらいたい。  それからもう一つ——いや、私はあなたに答弁を求めていない。  最後に、通産大臣、この石炭火力に対して石炭特別会計から二十七億円という巨費が北海道電力に出るのですが、もし重油だきになった場合に、当然これは国会を偽ることになるわけですが、そういう場合は返してもらうとかあるいは出さないとかという処置をとるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  380. 河本敏夫

    河本国務大臣 まあ、仮定の問題でございますから、いまここで具体的に申し上げるのはいかがかと思いますが、いずれにいたしましても御指摘のように問題がたくさんあるようでございますから、全部の関係者からよく実情を聞いてみたいと思います。
  381. 多田光雄

    多田分科員 もう時間もありません。繰り返し申し上げますが、私は、石炭対策特別委員会に席を置く者の一人としても、本当の石炭開発を期待するものです。また、その需要の拡大、産炭地の発展を願うものです。しかしながら、それを裏切って、羊頭狗肉を売るようなこういうものには納得できません。したがって、通産大臣が、ここでも三木内閣の政治姿勢が正しいか正しくないか、本当に住民本位なのか、地場の産業を発展させるものなのか、それが問われている内容として、いまお答えになったような方向で、ひとつきちんと正しく解決していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  382. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて多田光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、沖本泰幸君。
  383. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、主として同和問題につきまして大臣にお伺いしたいと思います。  同和対策事業特別措置法ができまして、これは十年の時限立法で、五十三年度で十年間が終わるわけです。ことしは五十年度。ことし予算は計上されておるわけですけれども、最近とみにこの同和問題はいろいろと問題視されてきております。  ところで、紛争そのものの内容と通産関係の問題とはいろいろ違いがあるとは思いますけれども、この同和問題ということについて、マスコミの報道によったりあるいは予算委員会のテレビの生中継等を見た国民は、まだよくわからないということがあるわけです。同和対策事業特別措置法にも、国民と国及び地方公共団体責任を負うのだということが明記されております。そしてその中で同和問題に対して正しい認識を国民に与えるのだということがこの特別措置法の中に盛り込まれておるわけです。ちょうどいまがそういう国民の関心を呼ぶ一番重要な時期ではないかというふうに考えるわけですけれども、いままで同和地域の人たちはどういう職業の中、あるいはどういうふうな差別を受けて現在まで来たかというような問題をより国民に徹底していただきたい。PRが必要だということも考えます。いままでは、ともすればただ予算計上してお茶を濁したというふうに考えてもいいのじゃないか、そういうふうないままでの内容だったと私は考えるわけですけれども、こういう問題についていま大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  384. 河本敏夫

    河本国務大臣 同和問題は総理府が全面的に管轄をしておられるわけでございますが、通産省としましては、その中で特に該当地域における中小企業対策をやっていくということが通産省に課せられた仕事でございます。でありますから、もちろんこの中小企業対策は十二分にやらなければならぬと思いますが、なお根本的には、御指摘のように、やはりまだ同和問題についての十分なる認識というものがない、そういうところにも問題はあろうかと思います。でありますから、これは総理府のおやりになることでありますけれども、やはりできるだけチャンスをつかまえてはPRをしていく、こういうことがその前提条件として必要であろう、こう思います。
  385. 沖本泰幸

    沖本分科員 ややもするといろんなことに取り紛れて、それで認識が非常に浅いという点があるわけですし、やはり根本的なことは、差別の内容というものを国民が正しく認識するところに出発点があるわけですし、特別措置法ができた根本精神もそこに乗っておるわけですから、そういう問題を中心にしてやはり通産省の果たす役割りはあると思います。  たとえて言うなら、部落の人たちは主として革製品をつくっておったとか、それに類するようなものをつくってきたとか、あるいはきわめて小企業、零細企業であって、それが産業界の中でどういうふうな中身で現在まで来たかというような事柄、そういうことの中に差別があって、ますますその人たちの産業活動の地域が狭められてきておった、それを底上げをしていって一般産業の中でまた果たす役割りがあるわけですから、その中で十分果たせるだけのことをしてやるにはどうしたらいいかというような点ですね。こういう問題はもう一度洗い直していただいて、物の面といわゆる認識の面で問題点をとらえていただいて、認識の面も十分その周辺なりあるいは一般の国民の人たちが認識できるようなところまで高めていくということがよりその問題解決を図っていくことになる、こういうふうに考えるわけですから、今年度の政府予算の中にもある程度そういう内容のものはお含みだとは思いますけれども、その辺を大臣もひとつおとらえになっていただいて、今年度の中に新しい方向を見出していただくようなことを考えていただきたいと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  386. 河本敏夫

    河本国務大臣 やはり、同和対策、同和事業というものは、通産省といたしましても与えられました中小企業対策だけをやっておるということではなかなか進まないと思うのです。やはり御指摘のように根本的に、同和事業の本質、またそれが国全体において果たす役割り、こういう基本的な認識を常に持ちながら中小企業対策というものをやっていって初めて効果がある、こういうふうに思いますので、御指摘のような方向で進めていきたいと思います。
  387. 沖本泰幸

    沖本分科員 それで、いままでもそうですが、ほかの省でもいわゆる直接的な国の事業というものがほとんどないわけなんですね。他の省でも、地方自治体の関係に国から補助を与えていくとか、そのほかのいわゆる公共的なところにお金を出してそれを助けていくというふうな、直接政府が手をつけたというものがない。また政府から出る財政の措置そのものも比較的低いわけです。そのためにずっと積み残しが起こってきておる。それから、本当にいわゆる日の当たらないところに十分目を当てていくようなあり方というものが十分でないというきらいもあるわけです。これは大臣も予算書をごらんになってよく御存じでございますし、そういう点も多分にあるわけでございますから、その辺は十分これから検討していただいて、もっと役割りを果たしていただく、国が責任を全うするための役割りを果たすにはもっとやっていただくことがあるんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その辺はいかがでございますか。
  388. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御指摘のような問題点があると思います。したがいまして、御趣旨のような線に沿って進めていきたいと思います。
  389. 沖本泰幸

    沖本分科員 具体例を申し上げませんので抽象的なお話になって、大臣も具体的なお答えが非常にしにくいのじゃないかとも思います。  そこで、特別措置法では前期五カ年計画と後期五カ年計画に分けているわけなんです。これは先ほど総理府でも御質問したわけなんですけれども。ところが、後期において前期の五カ年計画の中でおくれた部分を補うためにいろいろ調整をしていくということが、この法律の中に盛り込まれております。しかし、長期計画を策定するために総理府がいろいろな面から調査をしたわけですけれども、その調査というものが一応最初の段階でできたのが四十六年なんです。この法律は四十四年の七月に施行されたわけです。ですから、本来は四十四年の段階、この法律ができるまでに完全な調査が行われて、その調査に基づいて法律と長期計画というものが同時に出発しておったら問題はなかったわけですけれども、大体四十五年、四十六年の段階で各省に伺った点では、総理府の調査を待って計画を立てていくというのが各省の方針だったわけです。ですから、本当に各省の少なくともまとまったような計画ができたのは四十七年度くらいになってくるわけです。ですから、具体的にスタートしたのは法律ができてから三年もおくれた後でスタートしておるということになりますし、それから先ほどの総理府の総務長官のお話でも、五十年にまたさらに調査してということをおっしゃっておられます。そうすると、五十年に調査したものがまとまっていくのが結局五十一年、五十二年ということになりますし、五十三年度の予算を立てるときが最終年度ということになりますと、結局はやはり二年、三年おくれで、ずうっとずれ込んできておるということになります。ですから、いわゆる初年度あるいは明くる年、二年、三年という間は法律だけできて、具体的なことは全然行われていなかったということが実態です。ですから、予算の裏づけは低くても、やっと一応スタートをしていき出したというのが四十八年、四十九年、五十年度ということになるのじゃないかという点が見受けられるわけです。  そういう点を考えていきますと、恐らく積み残しが全部残ってくるということが考えられるわけですね。そういたしますと、結局法律だけつくって中身は十分でなかった、それだけで終わってしまうというふうになるおそれが十分あるわけです。そういう面を考えていただいて、通産省の方では四十六年に総理府の調査がまとまってそれから具体的にスタートなさったと思うのですが、それから現在に至るまでどの程度問題の消化ができたか、あるいはこれが最終年度の五十三年度に、この法律に従った通産省の計画されるものが一応終わる段階でどの程度十分できるのか、できないのか、その辺をお答えいただきたいと思います。     〔主査退席、松浦(利)主査代理着席〕
  390. 小山実

    小山(実)政府委員 先生いま御指摘のございましたように、通産省も全国調査をもとにいたしましていろいろな対策を講じてまいっておるわけでございますが、ただ、通産省の行っております同和地区の中小企業振興対策というものは、同和地区の業界の自主的な盛り上がりといいますか、これを前提にいたしまして、それに金融面等からこれを支援するということを基本的な考え方にしておりますので、同和対策でも、たとえば道路をつくるとか住宅を建てるというような、物的設備の整備といった公共事業とは若干性格を異にしておりますので、先生ただいまお話のございましたように、計画に対する積み残しというような形の考え方は若干なじまない面があるという感じがいたします。ただ、同和地区の産業におきましては、日本中小企業、特に零細な企業と申しますか、これの持っているいろいろな問題が、特に長年の歴史的経緯からかんがみまして非常に集約的にあらわれているという点がございます。全般的に経済変動の非常に激しい最近の時世でございますので、同和地区の産業がそういう意味で非常に問題が多いという感じは持っておるわけでございますが、私どもといたしましては現在のところ、同和問題を解決する上での中小企業の振興というものは一つの中心的な課題でございますので、従前にも増して積極的に施策を進めてまいる、同和対策事業特別措置法の目標達成に最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  391. 沖本泰幸

    沖本分科員 これはいままでの経緯から御質問したわけでございまして、通産省の果たす役割りとしましてこれだけのことをしていきましょう、これだけは実効が上がるというような具体策というものをお持ちになっていただかないと困ると思うのですね。  それと同時に、現在的な問題として、先ほどお答えがありましたとおり、零細企業の持っている一番の弱点というものをすべて備えておるという点は御承知だと思うわけですね。     〔松浦(利)主査代理退席、主査着席〕 ですから、不況が訪れれば不況の直接の波をすぐかぶってしまう、またそこに働いていらっしゃる方々の労働力というものをつぶしてしまう、こういうふうな波及効果というものが非常に高いことはよく御存じだと思うのですね。それから、いわゆる特殊な企業をやっておられ、あるいはそういう面の部門を持っている方、あるいは働いている方がたくさんあるわけですから、やはりそういうところにスポットを当てていただいて、えぐった対策をやっていただかないと解消にならないと思うのですね。だから、社会一般の中の中小企業なり零細企業が占める問題とは別の立場から考えていただいた対策を立てていただかないと、これは解消しないと思うのです。  それでまた、事業そのものを興さすにしても、あるいはその事業を助けてあげるにしましても、政府が直接手をかけているというところは全然ないわけなんですね。そういう点が、たとえ的に言えばくつの底から足をかいたような結果に終ってしまう。そうすると、法律はできたけれども十分その法律の恩恵に浴せないということになるわけですから、その辺はやはり十分考えていただいたことをやっていただかなければならないと考えます。  それで、もとへ戻りますけれども、そういうものを見合いながら十分のことをしてあげなければならぬというお答えではあったわけですけれども、いわゆる前期と後期との比較対象を通産省の方でおやりになっていらっしゃいますでしょうか。
  392. 小山実

    小山(実)政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、前期の通産省の施策の目標といたしましては、たとえば中小企業の経営の近代化を図りますために、各府県の商工会とか商工会議所に配置されています同和担当経営指導員による経営指導充実でございますとか、あるいは実態を調査して、問題点の改善と、改善の方法を明らかにしてその近代化を推進する、あるいは設備の近代化、協業化等の推進、こういうようなことが事業の計画でございますので、この点につきましては先生の御指摘のように、確かに、はっきり設備の近代化をこの業種についてどれだけというような計画は立てておらないわけでございますが、それぞれ前期に行いました施策をベースにいたしまして、さらにこれを拡充強化するということを考えておるわけでございます。
  393. 沖本泰幸

    沖本分科員 初めから繰り返すようなことになりますけれども、二通りあると思うのですね。一つの面は、直接助けてあげるにはこういうふうな方法が必要だという点と、それからもう一つは、同和地域の零細企業が単独で成り立つということはあり得ないわけですから、それに関連するいろいろな産業なり事業なり——たとえばくつの底皮ばかりつくっている方あるいは甲皮を切っていらっしゃる方々とか、あるいはビニールのサンダルをつくっているとか、ビニールの履物をつくっているとか、歯ブラシをつくっているとか、いろいろつくっている方がそれぞれの問屋に持ち込んでいって、その売れ行きが悪ければ悪いなりにそのままたたかれて状態が悪くなっていくということになるわけですから、その周辺のそれを受け入れる企業に対しても、事態の内容というものを十分認識していただいて、その辺からも手を入れていただいて解決の方向へ向かっていただく。そういうことがやはり通産省の果たす役割りであり、そういうものが推進されない限りには、ただ法律に従って予算措置を講じたということだけに終わるわけで、それで現在至っている同和問題というものはもっともっと深いところへ問題が持ち込まれていくということになるわけですから、国民の十分な認識を得るための仕事と相まって、いま申し上げたような内容のものを十分組み込んでいただかないとむずかしいと思うのです。  その辺をもう一度見直していただいて——総理府の方でももう一度ことし見直して計画を立てるということをおっしゃっております。その面はもうすでにでき上がっていなければいけないわけですけれども、ことしやるということはそれだけ何年か後へずれ込むわけです。法律そのものは十年の時限立法であるということになりますから、いわゆる五十二年度、五十三年度には積み残した問題に対する要求があり、あるいは政府の方が五十三年度で、時限立法だからもうこれで打ち切る、後へ延ばす考えがないというような事態にでもなれば、後で大変な紛争を起こしてくるということはもう想像できるわけです。ですから、そういうふうなものを見合って、それでこれを何年か後にまだ継続して解決までに図っていく計画であるとか、あるいはそれまでに十分責任を果たしていただくだけの仕事を興していただく、こういうふうなものが十分練られて、具体的につくり出していただかないとむずかしい問題だと考えます。その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
  394. 小山実

    小山(実)政府委員 先ほども先生からお話がございましたが、通産省の同和行政が直接手をつけている面が少ないというお話がございました。実は中小企業全般に同じような問題がございますが、特に同和地区の産業につきましては、業種なりあるいは業態によりまして、一時的にそれぞれ現状なり問題点、改善方向等が異なるわけでございまして、こういう観点から、四十四年度から同和の関係のうちで主要な産地につきまして、産業振興班というものを組織いたしまして、いろいろな調査を行いまして、その調査に基づいてそれぞれ地域的、業種的に適合した施策を実施していく、こういう観点で進めておるわけでございます。中小企業政策全般に、地方公共団体と国とが二人三脚と申しますか、そういう形で行っておるわけでございますが、特に同和地区の産業振興につきましてはまたそれぞれ地域の事情がありますので、そういう観点から実施をしているということでございます。  なお、この同対法の十年間が済んだ後どうなるかという問題でございますが、この辺は総理府もさらに四六調査に続いた調査をするということでございますならば、われわれもまたそれを受けて、さらに従来の調査も見直すなり新しい問題についての調査もいたしまして、その実情に応じて対策充実を図ってまいりたいという考えでございます。
  395. 沖本泰幸

    沖本分科員 それで、三木内閣の基本方針でもありますように、社会的不公正をなくしていくというのが最大の公約であり、柱でもあるわけなんですね。社会的不公正の一番最たるものが同和問題であるということは事実なんです。それと同時に、地方自治体の財政硬直化の問題もあり、これから政府の果たしていただく仕事というものは重要な問題を投げかけてくるわけであります。そういう中において考えていただかなければならないわけですから、その辺は大臣としても十分配慮していただいて対策を立てていただくことが私としては望ましいと考えるわけです。  そこで、一般中小企業の金融対策としてでなくて、同和地区の中小企業の金融対策として、国及び地方公共団体の出資によって特別の金融機関で長期の融資制度を設けて、よりカバーしていただく、いままである金融機関の措置以外にですね。できたらそういうことをやっていただきたいと考えるわけですけれども、そういう御計画はありませんか。
  396. 小山実

    小山(実)政府委員 同和関係の産業振興のために特別の金融機関を設置してほしいという要望は、かねてからいろいろな関係者からもあるわけでございますけれども、一つは、政府のそういう特殊法人の新設というものが非常に抑制されているという問題もございます。それからまた一つには、政府関係のいろいろな機関の大きなふところの中で、それぞれ時宜に応じてうまくそれを活用していった方が、ある意味では有利ではないかという感じもいたします。いろいろ検討すべき点はあろうかと思いますが、そういう観点から、当面の対策といたしましては、政府中小企業三金融機関の活用を図る。そのために三機関に対しまして、同和地区の産業に対しましては特別の配慮を払うということにつきまして、四十四年の九月三十日、さらには四十八年の二月八日付をもちまして長官名で強く要請をしておるわけでございます。  さらに、四十七年度から中小企業振興事業団の貸し付けの高度化資金の中に同和枠というものを設けまして、これは特に事業必要資金の八割を無利子で貸し付ける、こういう制度を創設しておるわけでございまして、五十年度には、このために中小企業振興事業団に四十八億一千万円、四十九年度の二十六億円に比べまして非常に大幅な増額をした出資をしております。今後ともこういうような特別に有利な資金の拡充に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。  それからなお、各府県でもいろいろ同和地区向けにいわゆる制度融資を行っておりますが、この場合に大体信用保証協会の保証というものが前提となっております。この信用保証協会中小企業信用保険公庫から融資金の貸し付けを行っておる一わけでございますが、この配分に当たりましても、同和地区向けの融資をやる府県に対して、特別の配慮をするというようなことを考えておるわけでありまして、以上の措置をもって、当面、できるだけ同和地区の産業振興のために努力してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  397. 沖本泰幸

    沖本分科員 一番信用力が弱い地域なんですね。ですから、そういう面はやはり特別に考えていただかないと、一般の中小企業、零細企業並みの考え方ではこれは十分いける問題ではないということになるので、その辺も十分お考えにはなっているとは思いますけれども、それと同時に、いま申し上げておる中小企業なり零細企業の発展を図ってあげることが、地域的に狭められているこの労働力を助けるということになるわけで、差別の一番大きな問題として、就職なり就学の機会均等というものが一番重大な問題になってきておるわけです。そのために同和地域に集まって生活していかなければならないという歴史的経過なり、いろいろなものがあるわけですから、そういうものを考えていただきますと、ただインフレ、不況によって中小企業が倒産していく、零細企業が一番波をかぶる以上の問題がここにはあるわけなんですから、その辺を十分考えていただいて特別の計画を立てていただかないと、法律的な効果というものが上げられないということになるわけですから、その辺を十分考慮していただきたいと思うわけです。  これはいろいろと御質問しても同じような答えが返ってくると思いますので、最後にそういう面に対する大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  398. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま、同和事業に対する金融措置につきましては中小企業庁の次長から詳しく申し上げたとおりでありますが、私は一全体的に見まして同和事業は軌道に乗ってきた、こう思います。しかも総理府の方では、なおことし見直して、来年以降の対策をとりたい、こう言っておられるわけでございますから、これを機会に、なお一層同和事業充実に力を入れていきたい、かように思います。
  399. 沖本泰幸

    沖本分科員 時間がないので以上で終わります。
  400. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  401. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 時間がありませんから、三つの問題について簡潔に質問をして、御答弁をいただきたいと思います。  その第一点は、家電製品についてのJIS規格の問題であります。御承知のように、いま家庭に大量の電気製品が出てきておるわけでありますが、これは電気製品のみならず、いろんな家具あるいは台所用品等々、多くのメーカーの物が入り込んでおるわけであります。しかし、いま一番問題になりますのは、特に家電製品に例をとって申し上げるのですが、JIS規格がないわけなんです。特に部品についてのJIS規格がない。ですから互換性がないわけですね。たとえばA社の電気掃除機を買った。ところが周辺に修理をしてくれるところがなかなかない。B社の修理をしてくれるところはあるんだけれども、そういうところがない。ところがB社の物をA社で補修するわけにいかない。結局また新しい物を買わなければならぬというような条件も実はあるわけであります。いま私たちが省資源とかあるいは節約とかということを盛んに言うわけでありますが、たくさんの部品でありますから、すべての部分についてJIS規格というのは非常にむずかしいのでありますが、しかし、少なくとも本体をなしておる部分、たとえば電気掃除機ですとホースの部分とかそういった部分については当然JIS規格というものがあって、A社とB社との互換性があるという方向にJIS規格というものを改めていくべきではないか、また制定をしていくべきではないかという気が私はするのです。消費者から、再三にわたって通産省にも恐らく陳情が出ておったと思うのでありますが、この際、こうした方向づけについて、通産省では具体的に研究をしておられるのかどうか。特に、省資源という問題を抱えて、私は大切な問題だと思うのです。この際、通産省の御見解を承って、意見を述べさしていただきます。
  402. 松本敬信

    ○松本(敬)政府委員 家庭用の電気製品の主要な標準の部品につきましては、JISによって、寸法あるいは性能等を規定いたしております。ただしかし、家庭電気製品及びその部品といったようなものは、非常に技術進歩が早うございますので、規格化いたしましても、すぐに陳腐化してしまう、そういったようなことのために、旧型品との互換性の確保というものは困難なことが一つございます。それからまた、工業所有権にかかわるような問題もございますので、メーカー間の互換性の確保がなかなかむずかしいというような問題もございます。  それで、御指摘のとおりに、この互換性を確保するということは、JISにとりましても大きな目的の一つでございますので、できるだけ規格化するように努力はしておるところでございます。特に、いま御指摘ありましたような、消費者が日常使うような部品、たとえば電気洗たく機の排水のホースとかあるいは吸水ホース、それからタイムスイッチといったようなものにつきましても、その互換性の確保ができますように、五十年度早早には、工業標準調査会に付議いたしまして、早急に規格化をするように努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  403. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 この問題は、大臣も恐らく再三お聞きになっておると思うのでありますが、非常にモデルチェンジの早い業界では、一定のJIS規格されることには反対する傾向が強いのです。それを規格化しますと、要するに外観からモデルチェンジして、見た目がいいからというので競争条件を整えるわけですね。それを、通産省がいま言われたように、一定の規格でやりますと、業者の方から非常に抵抗が出るわけです。  私は、言われたことは正しい方向だと思うのですが、この際、そういった業者の意図がどこにあったとしても、いま言われたように、家庭用品の中の重要なものについては、いま言われたようなものについてJIS規格をつくっていくという通産省の方針というのは曲げてもらいたくないと思うのです。いままでも再三あったのです。あったけれども、業界の圧力が強いというわけじゃありませんが、支障があってできなかったのです。この際、通産大臣としては、消費者の立場を本当に考えれば、これはやるべきことなんですよ。この際、大臣としての決意をお聞きしたいと思うのです。
  404. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまも工業技術院の院長が申し述べましたように、消費者のために大変プラスになることだと思います。でありますから、ことしから、いろいろ具体案を持っておるようでありますが、その方向で私は進めていかなければならぬ、こう思います。
  405. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 ありがとうございました。前向きの御答弁がありましたから、これはこれで終わります。  二番目に、非常に飛躍をいたしますが、ダムの問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  きょうは、建設省からも課長さんにおいでいただいておるわけですが、実はこれは私の郷里のことを例にとって大変恐縮でありますが、一ツ瀬川の上流に、有名な九州電力の一ツ瀬ダムというのができたわけです。私は決してダムを否定したり、あるいはダムの効果というものを否定するものではありませんけれども、最近、ダムができた後の奥地の林道開発、こういったものをめぐりまして汚濁するわけです。ダムの貯水池が、人造湖が汚濁をする、しかも家庭用水がどんどんと流れ込んで汚濁する、あるいは水産庁の方で盛んに奨励をして、ハマチ養殖と同じように淡水魚の養殖というものをダムの中でやるという指導が行われておる。そうすると、ダムの中で一定の網をつくって大量のえさを投入する。ところがそのえさが沈でんをしてこれが腐敗をする。そういうことで、いま非常にダムの汚濁というのが進んでおるわけです。  ところが、御承知のように、このダムというのは、多目的ダムであれ発電ダムであれ、下流の方ではこれが飲料水として使われておる。いまこのままこのダムの問題を放置しておくと、私は大変なことになると思うのです。いままでの、つくるダムというものから、むしろ環境を整備する、そういったことをある程度念頭に置いたダム建設なりあるいは設計、計画というものが必要になってきておると思うのですよ。  そこで、この際、ダムをつくる直接の官庁であります建設省の課長さんにお尋ねをしておきたいのですが、そういった方向でこれからのダムはつくればいいのだというのではなくて、総合的に、つくったダムは環境を破壊しないというような方向でダムを建設するという方向づけがされておるのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  406. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 建設省で五十年度に二百七十四のダムの執行をいたすわけでございますが、先生おっしゃるとおりに、ダムはつくればいいというものではございせん。これをうまく地域との調和の中で運用していくことが一番大切である、こういうふうに考えておりまして、特に御指摘のありました水質問題等につきましても、四十六年度から所管のダムにつきましていろいろな汚濁の実態の調査、あるいは対策が必要かどうか、また、監視策はいかにあるべきかというようなことの調査もいたしておりましたが、利水用ダムにつきましても同じような問題がございますので、さらに抜本的な対策を講ずる必要があるということで、四十九年度から通産省とタイアップいたしまして、全国約四百近い大きなダム、これは必ずしもいま水質に問題があるということではございませんが、実態調査を始めておりまして、そういった実態調査を踏まえて、水質問題にどういうふうに取り組んでいくかというようなことを、専門家の意見を聞く場もつくりながら、五十年度、五十一年度と強力に進めてまいりたい、こういうつもりでおります。
  407. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 通産大臣、ダムができ上がりますね。そうすると、特に発電ダムの場合、貯水しておる水を放流しますと何億という損をする。したがって、ダム管理規程がありますから、一定の条件を満たすまでは放水しないわけです。そうすると、ダムで全部せきとめてしまいますから、ダムから下の方の川、それから発電所から下の方の川は、全部自然浄化能力がなくなっておるわけですよ。そうすると、自然浄化能力がなくなってきておるときに台風が来る。台風が来るとオーバーフローすると大変だというので放水するわけです。放水したら、ダムサイトにたまっておる汚濁水というのが一挙に下流まで流れてしまう。常にそういう繰り返しなんですね。  ところが御承知のように、火主水従でありますから、火力に対する補助機関としての水力があるわけです。ですから、常時満々たる水をたたえておることが必要なんだけれども、川の水というのはほとんど流れずに枯渇しておる状態だ、そういう条件がいま全国あちらこちらに出てきておるわけです。ですから私は、発電をすることも大切だが、川そのものを死の川にしてしまう、自然の浄化能力がなくなってしまうというのは大変だと思うのです。現に水が枯渇してきておりますから、そういう意味で水の奪い合いのようなものですね。発電所側もためてためて取ってしまう。多目的ダムならこれは別ですけれども、そういった意味で発電ダム、こういったもののあり方あるいは運用というものを一遍見直す必要があるのではないか、やはり自然環境にマッチするようなダム運営というものに私はこの際転換をしていくべきではないかという気がしてならないわけです。そうしなければ、私はこれは大変な環境破壊の問題が起こってくるというように思うのです。ですから、通産大臣、所管大臣としてこの際、そういったダムの管理運営について建設省側と十分話をして、少なくとも環境というものを考慮した運営規程というものに改めていく、そういったお考え方があるのかどうか。いま建設省は四十九年度全国四百件について調査中だというお話ですが、通産省においてそういうお考えがあるのかどうか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  408. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御指摘がございまして、環境上非常に重大な問題がある、こういう点が明らかになったと思います。でありますから、そういう点はもう一回見直していきたいと思います。
  409. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 それから、これは建設省の方も御答弁いただきたいのですが、ダムをつくりますね、ダムをつくったときは非常に環境がいいつもりでつくったけれども、先ほど言いましたように、ダムをつくるために道路がダムサイトまで整備されます。そのダムをつくったために道路がよくなった。そうすると、さらに奥地にというので、資源開発、林道開発というのが進むのです。ところが、御承知のように、林道というのは道路法上の道路ではないですから、コストが安ければ安いだけいいというので、土砂をどんどんとダムの中にほうり込むのです。できたダムは満々と貯水があるから、これはもったいない、だからこの際ひとつ淡水魚の養魚場にしようではないかということで、囲いをつくってどんどんとえさをほうり込む。ですから、できた後またダムそのものの環境が破壊されるということも起こり得るのです。ということになりますと、今度は、林道をつくるのは林野庁、魚を養殖するのは水産庁というふうに各省ばらばらになるわけです。ですから、ダムの環境を維持するという意味では、ある一定の基準というものを設けておかないと、私は、幾ら建設省と通産省が力んでみても、問題の本質的な解決はできないと思うのです。  そこで、この際通産大臣、国務大臣でありますから、通産大臣の方で提起をしていただいて、ダムをつくるときのことはもちろん、つくった後の問題について、管理運営については建設省で十分でありますが、今度はダムそのものの汚濁については林野庁、水産庁等々の協議が必要だと思うのです。これは建設省も中心になるだろうと思うのですが、そういうものを国務大臣として提起をしていただいて、そういったダムについての環境保全対策というものを明確にしていく、林道などにもめちゃくちゃに残土を投棄するというようなことはやめさせる、ある程度の一定の厳しい基準を設けるというようなことは当然あってしかるべきだと思うのですが、そういったものについての通産大臣の御見解を承りたいと思うのです。
  410. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに御指摘の点は大きな国の行政上の問題点だと思います。でありますから、関係の各省と相談をいたしまして、どうすれば一番いい方法がとれるか、よく相談をしてみたいと思います。
  411. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 建設省の課長さんもよろしいですか。
  412. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 汚濁の問題につきましては、その原因も自然あるいは社会両面にわたっていろいろあろうかと思いますし、また、それを取り締まる権限も、環境庁あるいは河川法に基づくわれわれの方の仕事、あるいはまたその施設をつくった、たとえば電気事業者等を監督される通産省の立場、いろいろあろうかと思います。また、利用の問題にいたしましても、先ほど先生もおっしゃいました養魚等の問題につきましては、河川法の場で取り締まるあるいは条件づけをするというようなことも可能ではございますが、いろいろ関係ございまして、一例を申しますと、養魚の問題等につきましては、私の方で、水質問題を十分配慮して養魚をやりなさい——これは水産庁のお立場もいろいろございますので、いまのところそういった条件づけをいたしまして、水質の汚濁の防止に努めておるところでございますが、これからも一生懸命そういった勉強もし、やっていきたいというふうに思っております。  また、最近林野庁等ともいろいろ意見交換いたしまして、安ければいいというようなお立場ではない、金をかけてもズリを落とさぬようにするとか、そういうふうなお立場もわれわれの方へ連絡が来ておりますことを申し添えておきます。
  413. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 この問題は非常に重要な問題ですし、これからまたダムがあちらこちらに建設をされていった場合に非常に重要だと思いますから、ぜひ、大臣からお話がありましたように、各省協力をして早急に対策を決定していただきたいと思うのです。  そこで、これは自分のところで恐縮ですが、現実に一ツ瀬タムによって——ここは杉安峡という清流だったわけですね。舟遊びができて、アユが釣れる大変りっぱな観光地だったのです。ところが、これが完全に汚濁をされて、舟は丘に揚がってしまう。旅館はお客さんが来ない。大変な犠牲をいま受けておるのです。これは九電のダムでありますが、そういった既存の公害、環境破壊の問題、これについてもやはり何らかの解決策というものを考えておく必要があるのではないか。いま前向きの御答弁がありましたが、それでは、現在までそういうふうに環境を破壊されてしまったもの、こういったものについてどうするかというお考え方は通産省の方にはおありになりますか。将来のことは、前向きのことはよくわかりました。いままで破壊されたものについては一体どうするか、こういうことについては行政の立場で発電所、電力会社なりそういったところをどのように指導し、どういうふうに解決させようとするお考え方があるのか、そのことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  414. 増田実

    増田政府委員 ただいまお話のありました一ツ瀬ダムそれから杉安ダム、この下流に杉安峡がありまして、その自然景観が破壊されるあるいは濁水が流れるということがありまして、これにつきましては、宮崎県知事も九州電力に対しましてこれの改善方を強く要請いたしたわけでございます。これによりまして、これは先生御存じのように、昭和四十八年四月から着工いたしまして、約五億円の費用をもちまして表面取水設備というものを設けまして、これが昨年の七月に完成いたしておるわけでございます。ただ、この直後に台風がございまして、台風の濁水がダムに入りましたために、現在その効果が余り上がっておらないということでございます。それから、まだゲート操作その他につきましても不十分な点がありまして、これにつきましてさらに一層効果を上げるように期待しておるわけでございます。これによりまして濁水の問題が完全に解決するかどうか、まだ確認されておらないわけでございますが、しかし、今後とも一層の環境整備の指導を行いまして、一ツ瀬川の清流化に私どもも努めていきたい、こういうふうに考えております。
  415. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 取水口を取りかえていただいたということは、これは全国でも初めてのケースで、その効果はこれからだと思うのです。しかし、問題は、その取水口を表面水の方に変えたからということで私は解決しないと思うのです。だから、私は、やはり将来、現在までの環境破壊に対する問題についても補償の問題とかなんとかということが相当大きな問題として出てくるのではないかと思うのです。そういったものについては通産省としてももっと積極的に——たまたま私は一つの例を申し上げただけであって、やはりこれから相当大幅に起こってくる、住民と企業側の争いになってくると私は思うのです。その点についてもひとつ明確な指導体制というものを確立しておいてもらいたいというふうに思います。そういう点についてはよろしいですか。
  416. 増田実

    増田政府委員 この一ツ瀬ダムの問題、これは、全国各地に同様なことが起こりました場合に、ただいま先生のおっしゃられましたように、この濁水化を解決し、またこれによって被害を受けた方々に対する問題の解決ということにつきまして私ども努力していきたいと思います。
  417. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 ダムの問題、終わります。  それで、先ほど電気製品の問題で私は質問を一つ失念をしたので、大変恐縮ですが、もう一遍返らせて質問をさせていただきたいのですが、それはJISマークをつけて、互換性をJIS規格によって与えるということになりますと、今度は責任が共通されてくるのですね。  通産大臣も御承知だと思うのですが、昨年もお年寄りが電気ごたつで亡くなった、あるいは電気製品で火災があったということが再三あるのですね。これを追跡調査していきますと、結局保証期間内ですとメーカーが責任を持つのですが、一定の保証期間が過ぎてしまうと、どこで修繕をしたのかわからぬのですね。修繕屋さんに持っていって修繕をするわけですから。それがたまたま事故のもとになったというような場合には、補償責任がはっきりしないわけなんですね。そこで、これは通産省の御努力でベビー用品ですか、歩行器とかそういったものについては、それぞれメーカー側が製品安全法に従って被害者救済制度というのを現実にやっておられるわけですね。ですから、そういった意味では、JIS規格である程度互換性を認めるということをやっていくとするならば、最終責任はすべてメーカー側にあるのだという意味で、そういった被害救済制度といったようなものを持ち込むお考えがあるのかないのか、その点を私は先ほど質問するのを失念しておりましたから、その点についてひとつお答えをいただきたい。
  418. 増田実

    増田政府委員 電気製品が事故を起こしまして被害を与えた場合の損害の賠償その他の問題でございますが、いま先生がおっしゃられましたように、製品安全法の対象につきましては一つの制度ができております。そしてこの制度によりまして、消費者に対する被害が万一起こりましたときの補償その他が円滑に行われるようになっておるわけでございますが、電気用品についてはこの製品安全法の対象になっておらないということで、これにつきましては、昨年の十月から電気ごたつを含めます八品目につきまして、これは日本電気工業会加盟の十一社が生産物損害賠償責任保険に入りまして、できるだけの補償をするという制度をつくっておるわけでございます。  ただこれは、先生御存じのように、製品安全法で実施しておりますやり方に比べましてまだ不十分な点がございます。これらの点につきましてさらに改善をしなければならないということで、私どもあらゆる点から、いまの損害賠償のみならず、技術的な問題も含めまして、電気用品の安全問題について取り組みたいということで、資源エネルギー庁の中に電気用品安全委員会というものを設けまして、消費者も入れ、専門家の方々も入りまして、問題点を全部洗い出して、そしてできるだけ解決に努めたいということで、現在そういう方向で計画をしておる次第でございます。
  419. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 いま言われたことで了解をするのですが、結局、被害者救済制度というものを導入する意思はあるわけでございましょう。これをなぜ言うかといいますと、先ほど言いましたように、最終責任者が保証期間ならはっきり言ってメーカーなんですよ。たとえば電気冷蔵庫なら五年でございましょう。その五年の間に事故が起こったとすればこれはメーカーが最終責任を負うわけですが、それを超えた部分ですね。しかもアメリカのように修理システムというものが確立されておりませんから、A社のものをB社で修理をした、修理をしてしまったらこれはもうメーカーに責任がないわけですから、それで被害が出たらだれが責任を負うのかということで問題になるわけですね。ですから、私がさっきから言うように、あくまでも製品についての最終責任はメーカーである、JIS規格によって互換性を認めるわけですから。そういう前提に立つなら、やはりこの際通産省の方から指導をいただいて、製品安全法に従った被害者救済制度というものを、家電製品についてその重要な物については導入をする。現に人が死んでおる、あるいは火事が起こっておるわけですから、その点は政治的に私は配慮をしていただきたいと思うのですが、大臣どうでございましょうかね。
  420. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生のおっしゃられました方向で私どもこの問題を解決したいと思っておりますが、ただそのメーカーの責任を問います具体的な方法その他いろいろ議論もございますので、先ほど申し上げましたように電気用品安全委員会を設けまして、専門家の方々あるいは消費者の意見を聞きまして、そしていまおっしゃられたような方向で解決に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  421. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 あと一つ質問する予定でしたが、文書でいま私の手元に回答が来ましたから、これは省略をさせていただきまして、終わります。
  422. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。  次に、栗田翠君。
  423. 栗田翠

    栗田分科員 私は、東亜燃料清水工場の増設問題について質問いたします。  昨年十二月の三菱石油水島製油所の石油流出事故はいま大変大きな問題になっておりますし、またつい先日は四日市でやはり大協石油のタンクが炎上したりしております。この中で、消防庁の調査でも一万キロリットル以上の石油タンクなどを調査されまして、欠陥タンクが四百十七基、不等沈下が百九基、七百三十五カ所に欠陥が発見されたという大変な事態にもなっているわけです。  まず総括的なことを消防庁に伺いますけれども、現在こういう事態の中で、防災保安の上からも石油基地の総点検とか、規制基準の抜本的改正が必要だと思いますけれども、こういう点はどんなふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  424. 森岡敞

    ○森岡政府委員 石油タンクなどの貯蔵施設あるいは取り扱い施設につきましては、御指摘のように、この際抜本的な保安基準なり保安体制の見直しを行う必要があろうと私どもは考えております。  つきましては、まず第一に、水島の事故原因というものを徹底的に解明いたしたい、できるだけ速やかに結論を得るようにいたしたい。それに基づきまして、私どもの所管いたしております消防関係法令による保安基準の整備を思いきってやりたいということがまず第一でございます。  それから第二は、先般の予算委員会でも御指摘があり、また総理の御指示によりまして、私ども現在検討を進めておりますが、高圧ガスあるいは石油その他各種の危険物が集積いたしておりますいわゆる石油コンビナートにつきまして、総合的な防災体制を確立するという検討を、各省庁の御意見を伺いながら進めております。立法問題を含めまして、この点についていま鋭意検討を進めておるわけでございます。  第三は、緊急に行政指導と申しますか、保安点検の指導を強化してまいらなければならぬと思います。先般一月に、いま御指摘のような緊急点検を行いましたけれども、これは一万キロリットル以上のタンクを中心にしております。また点検の内容も、非常に急にやったものでございますから、さらに詳細な点検も必要だろうと思います。そういう意味合いで、今後引き続き、いま申し上げた各体制、各種の保安基準なり何なりの強化に至るまでの間におきましても、早急に保安点検なり行政指導の強化をやっていきたい、かように考えております。
  425. 栗田翠

    栗田分科員 昭和四十八年の十一月と四十九年九月に石油審議会から答申が出ておりますけれども、そのときに十五の製油所が許可されているわけですが、石油業法による許可を通産省が与えたものはこの十五のうち幾つだったのでしょうか。いままでに与えられているものは幾つでしょうか。
  426. 増田実

    増田政府委員 ただいまお尋ねありました四十八年の十一月に石油審議会に付議いたしまして、許可の答申を得ております。これは先生十五件とおっしゃいましたが、一六件でございますが、そのうちすでに許可を与えておりますものが四件でございます。  それからもう一つおっしゃられました四十九年九月の関係でございますが、これは四十八年の十一月に石油審議会に付議いたしまして、許可の答申を得ましたもの、石油危機がありましたものですから、しばらく凍結をしておったわけです。それで四十九年の九月にこの十六件の見直しをやりまして、一部につきましては完成時期をずらす、その他の調整をいたしましたのですが、そのまま十六件を認めておる。ですから、共通して十六件が対象になっておりまして、そのうちの四件は許可済みである、こういうことでございます。
  427. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、残る十二件がまだ許可されていないわけですけれども、これを許可されない理由は何でしょうか。
  428. 増田実

    増田政府委員 これは十六件中十二件が未許可になっておりますが、これがまだ許可いたしておりません理由は、それぞれいろいろ理由があるわけですが、一つの分類といたしましては、完成時期が相当先なものですから、まだ許可申請が出ておらず、したがって許可をしていないというものがあります。  それからもう一つの分類に入りますものは、地元でいろいろ問題がありまして、私どもの方も慎重にということで、まだ許可をしていない、こういうのがあるわけでございます。
  429. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、東燃清水工場の場合にはどういう理由で許可していないのでしょうか。
  430. 増田実

    増田政府委員 いまの東燃の清水工場の分につきましては、これは完成時期を一応昭和五十二年四月ということになっておりますが、地元の了解が十分得られておりませんものですから、その様子を私ども十分慎重に見ながら結論を出したいということで、現在のところまだ許可をしてないということでございます。
  431. 栗田翠

    栗田分科員 当時審議会がやられておりましたころは、地元の反対というのもまだあんまり大きくなかったわけです。ところがその後だんだん状況がはっきりしてくる中で、最近では公害問題とあわせて、安全問題などでも大きな不安が出てまいりまして、地元の反対運動というのはいま高まる一方のように見受けられます。特に民間の方たちが大気汚染の状況を自分たちの手で調査したり、それからつい先日も、大変寒い夜だったのですけれども、二十四時間にわたりまして、二百カ所の点検地点をつくりまして、そこで逆転層の状態を夜を徹して調べているという状態が出てきております。  こういう非常に根拠ある調査をもとにしながら、地元がいま反対の声を高めてきておりますけれども、地元のこういう反対が大きくなってさましたら、それを理由には許可しないということはずっとあるわけでございますね。
  432. 増田実

    増田政府委員 いわゆる環境の問題につきましては、私どもも十分調査し、また地元の声も聞いて結論を出したいというふうに思っておりますが、実は清水市の東亜燃料工業の原油処理設備の増設につきましては、清水市が昨年の秋に公害対策審議会を開催して、この問題について検討しようということでありましたのですが、反対の方々が押しかけて開催できないということで、こういう点で市の方としてもなかなか結論が出せないという点がいろいろ起こっておるわけでございます。私どもといたしましては、これは反対の方方、いろいろおられるわけですが、やはり市がこの公害対策審議会を開催するということについては協力していただきたいというふうに思っております。そこの審議会で十分科学的にここの環境問題を調査していただきたい、こういうふうに思っております。
  433. 栗田翠

    栗田分科員 普通、許可をされる時点というのはどういう時点なのでしょうか。これはもう少し説明を加えますと、増設なり建設なりをする前に環境の状態、立地状態、いろいろなものを見てこの許可をしたりしなかったりするのか。それとも工場が建てられてから、いざ操業直前というときになって許可がおりるのでしょうか。一般的にその辺はどこを時点としていられますか。
  434. 増田実

    増田政府委員 この許可につきまして、ただいまのお尋ねにつきまして御返事申し上げますと、原則としては工場建設を着工いたします前に許可をもらって、それから着工するのが原則でございます。ただ、この許可を得なければ建設に着手できないということにはなっておりませんので、一応工場を操業させるという前に許可をもらえば、それで事前に、つまり工場を動かす前には必ず許可を得なければならない、こういう運用でやっております。できるだけ原則としては着工前に許可を得るということでできるだけの指導をしておるわけでございます。
  435. 栗田翠

    栗田分科員 この東燃清水工場は増設されますと、現在四万三千五百バレルですけれども、三・六倍程度、一日に十五万八千バレルという大変大きなものになるわけです。こういう点では安全の面でも慎重に考えていかなければならないと思います。  特にこの清水という地域は東海沖地震の観測強化地点に入っているわけでして、去年の二月二十八日に全国七カ所の特定観測地域が指定されましたけれども、その中で特に二カ所の強化地点に含まれております。  私、実は去年閉会中審査のときに、災害対策特別委員会で参考人に対して質問をしたことがあります。このときに東海沖地震が起こる可能性と、それから起きた場合にどのくらいの地震エネルギーを持ったものになる可能性があるかということを伺いましたが、そのときの宇津参考人のお答えでもマグニチュード八くらいのものはあるのじゃないかというふうにおっしゃっています。もう少し小さ目に見れば、たとえば七・五とか、そのくらいかもしれないわけであります。こういうふうなお答えが出ているわけでございます。  それから東海沖地震の起きる可能性については方々で言われておりますけれども、たとえば力武常次教授、この方が「テクノロフィジックス」一九七四年のオランダ版で書かれておりますけれども、これですが、東海地方に地震が起きる可能性は現在でも九〇%の確率である、起きたら、東海地方の工業地帯に重大な打撃を与えるであろうという趣旨のことをここで述べられているわけです。こういう点でもこの地域は、一般的に地震が起こるかもしれないというところでない、もう少し危険な地域である、そういう意味ではいま非常に危険な可能性をはらんだ地域だということができるのではないかと思います。  そこで安全性の問題で私、伺ってみたいと思いますが、ここに去年の十月一日の日付で出されています「東亜橋」と読むのだと思いますが、東燃清水工場のPR紙がございます。これは市民向けにPR紙として出されたもので、いかに今度の増設計画が安全であるかということをいろいろな事例を挙げて強調しているものです。この中で幾つかの点は、私などには大変これはと思うところがありますので、そういう点について伺わせていただきたいと思います。  まず一つですが、地盤の問題で安全な地盤だということを言っているわけです。「当工場の予定地は第2図Bに示すように、地震基盤と考えられる強固な洪積土層、およびその上部のかたい沖積層のいづれも安定した強固な地盤であり、地震による地盤破壊(液化現象、その他)は全く考えられません。」こういうことを言っております。私がいままで自分の常識としておりましたのは、沖積層というのはかたい強固な地盤だというふうには教わった覚えがなくて、沖積層というのはかなりもろいものであるというふうに私などは聞いてきたわけでございますが、大変ここは強固であるということがしきりに一つは言われているわけです。この沖積層についてはどうお考えになられますか。
  436. 高秀秀信

    ○高秀説明員 一般的に沖積層については先生のお話のようなことがあろうと思いますけれども、土質の場合には当該地域であっても、強さといいますか、私ども支持力という言葉を使っておりますけれども、非常にばらつきがございまして、たとえば十メーター離れたら強さがどうなるということがございますので、いまのお話で直ちにどうこうということはできないのじゃないかと思いますが、一般的には、先生お話のように、岩に比較してどうかという比較論でございますから、そういうことはあろうかと思いますけれども、いま弱いか強いかということは一様に言えないのじゃないかと思います。
  437. 栗田翠

    栗田分科員 昭和十年の静岡地震のときの液状化地図によりますと、この清水の埋立地付近というのはどんなふうになっていたでしょうか。お持ちでしょうか。
  438. 高秀秀信

    ○高秀説明員 当該の資料を持っておりません。液状化の場合は、一般的に水と土とがまざって、いわゆるどろどろというような状態、あるいは私どもの専門用語ですが、そこまでいかない場合でも一般的に非常に支持力が弱くなる、減少をするという表現で呼んでおりますので、当該のところでどうなったか私承知しておりませんので……。
  439. 栗田翠

    栗田分科員 私の手元に「静岡県地震対策基礎調査報告書」というのがございます。一九七一年の三月、静岡県の消防防災課が出しているものでございます。これはちょうど静岡、清水地域について述べていますけれども、この中でまず三十一ページを見ますとこう書いてあります。「最近の何回かの地震で、くり返して被害を発生しているところは、次のとおりである。清水市の巴川下流部に沿う地区 清水港沿岸の埋立地」、いまの東燃の増設予定地というのは、この清水港沿岸の埋立地になっております。「清水港沿岸部の埋立地と、巴川下流部の深い化石谷の上を占める地区とは、最近の地震による被害からみるかぎり、この地域でもっとも地震に弱いところである。」、最も弱いところであると書いてあります。「また、清水港の沿岸部は、地震津波を警戒すべきところでもある。」こういうふうに述べられておるわけでございます。  それからまた、同じ資料の四十九ページを見ますと、「また、過去の他地域での例によれば、臨海部の埋立地では液状化現象が多発しているので、清水港沿岸の埋立地についても検討する必要があろう。」こういうふうに言われておりまして、この静岡県の消防防災課の出している資料によっても、この地域は被害があった場合にはかなり大きな被害が起こる、そういう場所ではないかということを指摘していると私は思います。  この地域は埋立地ですが、この埋め立ての問題についても、先ほど申しました去年の十一月二十六日の災害対策特別委員会の参考人に私質問いたしまして、浅田参考人が答えておられます。「わかっていますことは、たんぼや海岸を埋め立てたところは、もうおそろしく悪いということでございます。おそらくこれは、自信のある値ではありませんけれども、二倍や三倍以上の差があるのではないかと思います。」、これは地震が起きた場合に、埋立地でないところと埋立地であるところの差ですね、それが二倍から三倍ではないかと思いますと、浅田参考人はこんなふうに言われているわけでございます。  では、次の点に移りますが、次に地盤改良のことについて、やはりこの「東亜橋」が述べているわけなんです。この場所は、「この上に埋め立てた土質は埋立地前面の浚渫土を主として、巴川に堆積したヘドロ層を含んでおりそのままでは、ゆるんでいます。しかし、砂分が比較的多く、締め固め等、処理し易い地盤であるので、サンドドレーン工法を併用したプレローディング工法による地盤改良をし、充分地盤を締め固め液化現象を起さないしっかりした地盤にします。」云々と書かれておりまして、「一旦圧密した後は極めて安定しており、何ら沈下はありません。」こういうふうに言っております。  この点で建設省に伺いますけれども、いままで道路その他の事業でこういう工法をやはり用いていらっしゃるというふうに聞いておりますが、こういう工法を用いた場合の効果はどうだったのでしょうか。
  440. 高秀秀信

    ○高秀説明員 先生おっしゃいましたプレローディングあるいはサンドドレーン工法は、一般的に地盤改良として私ども道路工事その他に使っておる工法でございます。これはいずれも水を抜くとか間隙を小さくして土の粒子のかみ合わせをよくして、そうして支持力を増すという工法でございまして、私どもの工事においてはかなりの効果を発揮して一般的に使われる工法でございます。
  441. 栗田翠

    栗田分科員 私ここに「土と基礎」という専門誌を持ってまいりました。これは一九七二年八月号でございますが、ここに網干寿夫教授、この方は広島大学工学部の土木工学科の教授でいらっしゃいますが、こういうことを書いていらっしゃいます。「サンドドレーンが工法としてほぼ確立されたころになって、新幹線や名神・東名高速道路などの現場比較実験を通じて、道路公団や国鉄の技術者達の間に、サンドドレーン無効論が出てきて、各方面に大きなショックを与えた。」こう書いてあります。そして「サンドドレーン施工区域と無施工・無処理区域の盛土の沈下状態を比較したところ、ほとんど有意差がなかったという事実をもとにして、従来不必要な場合にサンドドレーンを使用していたのではないか、使用しなくても同じくらいの速さで沈下したのではないかという疑問が提示されたのである。」こう書いてありまして、さっきのお答えとは大分違う中身になっておりますが、この点についていかがでございますか。
  442. 高秀秀信

    ○高秀説明員 ただいまの文献私読んでおりませんが、手元に土木学会が編集いたしました「土木工学ハンドブック」を持っております。私もある程度工事にはタッチしておりますので、その経験から申し上げますと、結論はやはりプレローディングをかけている期間といいますか、これはよく昔から言われますように、水をしぼり出すということが基本的な考え方ですから、バンクなり盛土をする場合にどのくらいの期間、どのくらい水を、要するにしぼり出したか、あるいはどのくらい圧密をさせたかというようなことでございますので、一般論としては、学会でも、先ほど申し上げました経常化された工法であるというふうに私ども考えております。後、個々の現場で、いま申し上げたような具体的な工事としてどうしたかということが問題であって、工法それ自体に欠陥があるというふうには現段階では私ども考えておりません。
  443. 栗田翠

    栗田分科員 消防庁に伺いますが、今度のタンクの総点検で不等沈下したものが百九基もございました。タンクを地盤改良せずにやたらに建設していたということもないと思うのですけれども、こういう不等沈下したものも、当然これらの工法で地盤改良がされていたのではないかと思いますが、御調査になった結果はいかがでしたでしょうか。
  444. 森岡敞

    ○森岡政府委員 タンクの点検をいたしました際には、基礎工法につきましても十分調査をするように指示いたしておりますが、大変早々の間にまとめましたものでございますので、どのタンクがどういう基礎工法をとっているかということについての完全な集計がまだできておりません。しかし、御指摘のようなサンドドレーン方式によります基礎固めをやったものも相当ございます。現在、まだ全体の集計をしておりませんので、完全に正確に申し上げることは困難でございますが、サンドドレーン方式の場合に、特に不等沈下が著しいというふうな結論には必ずしもなってないのでございます。
  445. 栗田翠

    栗田分科員 いまのお答えにもありましたとおり、恐らく地盤沈下を起こしたところでも、東燃清水工場と同じように、建設したときには安全であるというつもりで地盤改良をして、それがその結果そういうことになっているのだと私も思うわけです。ところで、伺いますけれども、いままでこういうタンクの建設をしますときに、あらかじめ地盤の調査などをするチェック機関はあったのでしょうか。消防庁はやっておられますか。
  446. 森岡敞

    ○森岡政府委員 消防当局におきましては、タンクの構造ないしは地盤につきまして、安全確保ができるように、完成検査をいたします際にはやっておるわけでございますが、地盤の工法につきまして、どういうふうな工法をとるべきかというふうな点につきましての法制上の基準は設けておりません。ただ、御案内のように、相当期間水を張りまして、水張り検査をして地盤の固めを見て、それで安全性を確保する。かような方式でいままでやっておったわけでございます。
  447. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、やはりタンクがつくられてからその安全性を調べるという方法だけであって、つくる前に地盤その他の検討を加えるということを消防庁としてはしておられないわけですね。
  448. 森岡敞

    ○森岡政府委員 そうでございます。
  449. 栗田翠

    栗田分科員 通産省に伺いますが、通産省でもそういうことはあらかじめやっていらっしゃいませんか。
  450. 増田実

    増田政府委員 やっておりません。
  451. 栗田翠

    栗田分科員 こういう点も大変不備だと思うわけです。今後はその地盤が適したものであるかないか、タンクができてしまってからではわからないわけですから、こういうことを十分にやらなければいけないし、また、工場側だけのPRでは、なかなか正確なものは出てこないのではないだろうかと私は思うわけです。  次の点に移ります。  同じこの「東亜橋」の中に書かれておりますが、地震についてですけれども、「地盤の地震時の振動特性」云々ということで、「これにより装置や建造物は、関東大地震の一・五倍の強さでもこわれないよう、霞ケ関ビルと同等の設計とします。LPGを貯蔵するタンクは一段と強くし、関東大地震の二倍の強さ(地震係数〇・四五以上)に耐えるものとしますので、地震でもこわれることはありません。」こういうふうに述べております。  ところで、国土地理院に伺います。  たとえば、日本で起きました松代地震、それから広尾沖地震など、これは地震係数はどのくらいでしたでしょうか。
  452. 村岡一男

    ○村岡説明員 ただいまの御質問、地震係数というのは、建物についてではないかと思うので、ちょっと先生のおっしゃることが理解しかねるのでございますが……。
  453. 栗田翠

    栗田分科員 建物についてではないですね。
  454. 村岡一男

    ○村岡説明員 たとえば、地震の大きさといいますと、マグニチュードという言葉を……。
  455. 栗田翠

    栗田分科員 ガルでおっしゃってくださいませんか。
  456. 村岡一男

    ○村岡説明員 ガルですか。恐れ入りますが、多分、いまちょっと聞いたのですが、加速度といいますか、激しさという単位をおっしゃっておるのだと思いますが……。
  457. 栗田翠

    栗田分科員 はい、そうです。
  458. 村岡一男

    ○村岡説明員 たとえば松代の場合、結局加速度といいますと、われわれの感ずる震度ということに関連するのかもしれませんが、建物の構造に対してどう影響するかということはわれわれちょっとわかりかねますが、ただ、人体に感ずるとすれば、いわゆる松代の場合は、揺れ方がわれわれの呼ぶ震度四に恐らく相当するのではないかと思います。その松代の例をとりますと、いまのガルを直したものにすれば〇・一程度ではないか。ちょっと答弁が要を得ておるかどうかわかりませんが……。
  459. 栗田翠

    栗田分科員 私が調べましたのでは、松代〇・五二、広尾沖地震が〇・五一三、ガルにしますと松代が五百二十ガル、広尾沖が五百十三ガルになっております。これは「土と基礎」でやはり調べまして、建築物の場合、このガルで大体安全設計をしておるように聞いております。もしこの数字が正しかったとしますと、先ほどのPR紙の関東大震災の二倍の強さ、〇・四五以上をはるかにオーバーしているわけでございます。疑問に思っていらっしゃるようでございますから、後ほどその数字、私の方でももう一度調べますし、またそちらからも調べてお寄せいただきたいというふうに思っております。  私、時間がなくなってまいりましたので、終わりにいたしますけれども、このPR紙の内容、いま一つ一つ検討いたしましたけれども、安全であるというPRの中身が、こういう意味ではいろいろな学説などもあって、根拠がそう確かなものではないのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  時間が来てしまいましたので、これの続きは私、二十六日にまた時間を取っておりますので、二十六日にあとの分を続けてやらせていただきます。
  460. 正示啓次郎

    ○正示主査 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日火曜日、午前十時より開会し、経済企画庁所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時八分散会