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足立分科員 あなたは非常に簡便な
制度にしたとおっしゃるのだが、いまやっている
試験なんというものは私から言わせればまるでナンセンスみたいなことが多いのですよ。それで事大主義というか、事を大げさにするだけで、四級の普通の
免許と差をつけたとおっしゃるが、
内容はほとんど同じことをやっているのです。それで全く河川、湖沼と限定して、しかも小
馬力と限定しておきながら、一体コンパスの見方だとか、そんなものは海図がなければコンパスを見たってしようがないのですよ、実は。そうでしょう。小さな船はこんなもの備えつけの義務は持ってないんだ。それにもかかわらず
学科でこういうことをやっておるし、
試験にも出る。その他
船舶法だとかなんとかしちめんどうくさいこと言って、気象だって、アジア大陸の気圧が下がり、小笠原高気圧がどうのこうの言っているが、これは限定でしょう、
浜名湖なら
浜名湖の中だけでしょう。そんなものにこんな大げさなこと言って、こけおどしみたいなことをやって、とてもこれは一発で通りませんから、結局
講習会へ行かなければならぬわけですよ。
講習会は、金は取られるけれ
ども、受ける人間にとってはむしろありがたい機関でして、
講習会を受けなければ絶対通らない。私のところに来ている連絡によりますと、ついこの間も三百人ばかり
試験を受けたそうですか、
講習を受けずに
試験を受けた人間は一人もないのです。それは
浜名湖ですから、
地元の船や船外機をつくる会社があっせんしてやってくれるのだが、ヤマハとか鈴木自動車とかいうのが
講習をやっているわけだ。これは善意でやっていると彼らは言うのですけれ
どもね。それが三日間で一万八千円も
講習料を取るわけですね。そしてその
講習を受けなければ、実際は
試験は受からない。ここに領収証がありますからお目にかけますよ。——これは受験料も含めて二万五千円という領収証です。だから、
運輸省の方はきれいごとを言って七千円で全部
試験が受けられますと言っているが、実際はそれ以上にそういうふうに金がかかる。
それ以外にまだかかるのですよ。たとえば
省令では
身体検査二百円となっているが、予備
身体検査証明書というものを持っていかないと受け付けてくれない。予備
身体検査証明書というのはどういうものかというと、町の開業医等へ行きまして
身体検査をしてもらう、その要項が全部書いてある。この診断書は少なくとも千円以上取ります。ちゃんとこれは
運輸省から来た資料の中にも、予備
身体検査証明書というのは入っているのだ。そうすると、二百円というとばかにきれいごとだが、先にちゃんと医者に診てもらって、診断書をもらっていかなければ、
試験場で
身体検査をやってもらえないんだ。だから、何のことはない、人におんぶして、
省令じゃ二百円と書いてあるのが実際には千二百円かかるわけだ。それ以外に行ったり来たり、開業医に
身体検査してもらうといったら半日仕事ですよ。国民の苦しみとか迷惑とかいうものは何も
考えない、役人がいいように勝手にやっている。しかも、
試験の請負団体は有名なモーターボート協会というようなものにやらしているというようなことになりますと、一体
運輸行政というものは何をやっているんだと、私は実際義憤を感じているんですよ。
時間がないから大臣に申し上げますが、私さっきからるる申し上げているとおり、こんなものは実際は
免許は要りません。ただ、マナーとか
常識とか基本的なことは、これは教育する必要があると思う。知っておく方がいいです。知っておく方がいいので、私も協力しようということでああいうやわらかい
修正で同意したわけですけれ
ども、それならそれらしくきちんとやってもらわなければ困る。六日も七日も実際かかるような
試験制度をやり、やぶから棒に行ったって絶対に通らないような
試験をやっている。
しかも、
実技試験なんというのは全くナンセンスですよ。私もこれを見て吹き出してしまったのですが、どういうことをやっているかというと、いまエンジンは完備したもので、女でも子供でも簡単に操作ができるわけですね。したがって、
実技試験といったってやることはないはずなんだ。それなのに競艇の選手上がりの
試験官が偉そうな顔をして、全く昔の軍隊式なんだ。いまお見せした領収証は私のいとこのものですが、りっぱな会社の社長で、私と同い年だからもう六十過ぎているその社長がともかくふんまんやる方ないあれで私に訴えているんだが、こういうことをやるんだな。ともかく直立不動の姿勢で
試験官に対してすべて申告するんですよ。それが何十項目とあるんですが、その態度が悪いと
実技はだめなんだ。そしてまず船が係留されているところへ行って、
試験官に対して「係留よし」、船をつないである状態がいい、それから「左舷よし」「右舷よし」「船尾よし」「エンジンよし」「船体安定よし」、それから「乗船いたします」と言って乗船すると、また「右舷よし」「左舷よし」「ビルジよし」「水抜き栓よし」「船体異常なし」、「装備品の点検を行います」と言って、「救命胴衣よし」「ブイよし」「バケツよし」「アカがえよし」、これは読み上げれば五、六十項目ありますよ。これをともかくてきぱきと呼称しながら、そして
試験官に敬意を表して軍隊式な動作をとらぬとアウトになる。
アウトになるとどうなるかというと、今度は
講習所へ戻って補講を受ける。補講は一時間三千円です。そうなっているんだ。これは
実技ですからね、ガソリン代が幾らかかるか知らぬが、それもべらぼうに高いと思う。
それから
省令で決めた
実技試験五千八百円というのもたった十分か十五分なんです。長くて十五分、大体十分だというんだ。そうでしょう。十分間で五千八百円取るというのはわけがわからない。
ともかくこれを受けた人間の実感を率直に申し上げると、
運輸省はモーターボート協会と癒着して、ぐるになって何だかんだと言ってともかく銭を取ることばかり
考えている。金を出せばパスするという仕組みになっておる。これはけしからぬ。時間をとられることはちっとも
考えてない。私が
修正動議を出して、
速記録その他を
地元へ送って、これは
釣りをやる連中から漁業組合からみんな送ったのですが、まるで
足立先生うそを言っているじゃないかと言って私はひどい目に遭っているわけだ。
だから私は
提案しますが、原付の自転車は受験料千円ですよ。そして一日の
講習でパスします。ただ、いきなり
試験だけやるというのはいかにも簡便のようにあなた方は弁解するのだが、簡便じゃないんだ。いまのやり方は不親切きわまりない。むしろ公営で
講習を一日おやりなさい、最後にテストしてよく覚えていればいいんだから。しかもコンパスがどうの気象状況がどうのこうのとしちめんどうくさい、外洋へ出て航行する船じゃないのですからね。水深だとか船の速力とか船の速力なんか人間が歩くくらいのスピードでわかりきっちゃっている。そういうふうに限定しているのですからね。限定が条件なんだから。それを四級普通と全く同じような
試験をやっておる。したがって、四級をお受けなさいと
試験官が言うそうです、ばかばかしいから。あなた方十
馬力以上のエンジンをつけた場合
操縦ができなくなるんだから、初めから四級を受けたらどうですかと言うくらいに厄介なことをやっておるということなんです。
だから、全然私の
修正の
趣旨というものは尊重されていないということです。原付と同じようにお
考えになったらどうですか。原付なんか、私
ども地元で知っていますが、農協あたりが頼みますと、ちゃんと警察から来てくれて、その辺のおかみさんを集めて五時間ぐらい
講習をやっていろいろ交通法規を教えますと、教わったばっかりだからテストはすぐできますよ。これはテストをやって、実施免除ですよ。陸上の交通で、とにかく三十キロのスピード制限があるとはいいながら、これだけ交通事情がやかましいときに、簡便な方法でパスさせているのに、さっきから申し上げてるように何十年間も無
免許で全く
事故もなく、
漁民なんかげたをはくような気持ちで
自分の船を
操縦しておった。それがモーターボートが出てきたためにこういうことになっちゃった。
モーターボートの方は特にマナーが悪い。私
ども釣りしていますと、わざわざ
釣り糸を切ったりして喜んで走っていくやつ、このやろうと思うが追いつけないから手のつけようがない。だから、こういうマナーの点に特に
重点を置くべきだ。
それから、さっき申し上げたこの限定にしても、
浜名湖なら
浜名湖、芦ノ湖なら芦ノ湖、涸沼なら涸沼で、その地域の特性、特にどこに暗礁があって危険だからここは気をつけろとかいうようなことをよく教えるべきだと思うのです。そうじゃなくて、
一般的な法規みたいなしちめんどうくさいことを、こけおどしみたいなことばっかりやってるから、受ける人間は苦心惨たんし、したがって
講習にも行かなければとても受からないというようなことで、どうにもならぬのが現状です。ですから、大臣、お願いしますが、これはひとつ思い切って——私が
修正を出したときから
運輸省とはそういう約束だったのに、事務当局がこういう勝手なことをして、三権分立だから
行政権はわがものだというような顔をして、こういうことをおやりになることは私は許せません。だから、これは何とか改革をするということをあなたはお約束をしていただければ、改革をするまで私は見守ります。いかがですか。