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1975-02-13 第75回国会 衆議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十三日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 小山 長規君 理事 竹下  登君    理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君    理事 山村新治郎君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       植木庚子郎君    大久保武雄君       大野 市郎君    北澤 直吉君       倉成  正君    黒金 泰美君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       谷垣 專一君    塚原 俊郎君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    藤井 勝志君       細田 吉藏君    前田 正男君       森山 欽司君    安宅 常彦君       阿部 昭吾君    阿部 助哉君       石野 久男君    岡田 春夫君       多賀谷真稔君    楯 兼次郎君       楢崎弥之助君    松浦 利尚君       湯山  勇君    青柳 盛雄君       中川利三郎君    平田 藤吉君       三谷 秀治君    石田幸四郎君       渡部 一郎君    安里積千代君       小平  忠君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         国防会議事務局         長       内海  倫君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 山縣 習作君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       斎藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         法務政務次官  松永  光君         法務省人権擁護         局長      萩原 直三君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         大蔵省主計局長 竹内 道雄君         大蔵省理財局次         長       金光 邦夫君         大蔵省証券局長 田辺 博通君         国税庁長官   安川 七郎君         国税庁次長   磯辺 律男君         文部省初等中等         教育局長    安嶋  彌君         文部省社会教育         局長      安養寺重夫君         文部省体育局長 諸沢 正道君         文部省管理局長 今村 武俊君         厚生省公衆衛生         局長      佐分利輝彦君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省社会局長 翁 久次郎君         厚生省児童家庭         局長      上村  一君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林大臣官房予         算課長     渡邉 文雄君         農林大臣官房経         理課長     降旗 正安君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         林野庁長官   松形 祐堯君         通商産業省産業         政策局長    和田 敏信君         通商産業省機械         情報産業局長  森口 八郎君         中小企業庁次長 小山  実君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省航空局長 中村 大造君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         労働省職業安定         局審議官兼労働         省職業安定局失         業対策部長   岩崎 隆造君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省住宅局長 山岡 一男君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     松浦 利尚君   青柳 盛雄君     三谷 秀治君   正木 良明君     石田幸四郎君   矢野 絢也君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     堀  昌雄君   三谷 秀治君     青柳 盛雄君   石田幸四郎君     正木 良明君   渡部 一郎君     矢野 絢也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。三谷秀治君。
  3. 三谷秀治

    三谷委員 八鹿高校で大変な事態が発生しております。これは、地方自治体、学校などの公的な機関が、部落解放同盟朝田派によりましておどかされて屈服をして、手下になって暴行に加わるという異常な事態が発生しております。国民にとりましては全く信じがたいことであります。しかしこれは八鹿だけの特殊な事件ではありません。地方自治体の行財政が暴力脅迫によってゆがめられて支配されるという、重大な事態が随所で発生をしております。しかもこれは国民の間には十分に知られておりません。私は、引き続きこの点につきまして、関係大臣にお尋ねしたいと思います。  福田自治大臣は、先般の本会議におきまして、同和問題につきましては、国が事業費の三分の二を負担することで解決すべきである、しかし、自治体単独事業をやりますと地方財政を圧迫する、また国の予算がふえるとそれに対応する地方自治体負担分がふえることも懸念しておる、こう言われております。しかしこれは、今日の同和行政同和財政実態を全く御承知になっていない議論だと思います。  そこで、まず初めに、四十八年度決算における政府府県市町村を含めました同和予算総額とその負担比率一ついてお聞きしたいと思います。同じく四十八年度の大阪府下における同和予算決算、その政府、府、市町村別負担比率をお聞きしたいと思います。
  4. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  実はその問題では、先般、調査をせよという御依頼もあったわけでございますが、その同和関係におきましては、事務費とか教育費とかいろいろな面に分かれておりますので、自治省自体としては、この調査をいままではいたしておりません。区分がいろいろございますので、それを皆合わせて計上するというか、調査をするということは、非常に困難な実情でございますが、もし詳しい説明が必要とあれば、政府委員から答弁をいたさせます。
  5. 松浦功

    松浦政府委員 お答えを申し上げます。  自治省といたしましては、御承知のように、毎年度決算を徴収しているわけでございます。それぞれの費目について調査、集計はいたしておりますが、同和事業は、御承知のように、教育費あるいは民生費、そういったところへ全部細かに分かれて入っておりますので、同和事業決算自体について集計したものは、自治省としては現在ございません。予算についても同様でございますので、お許しをいただきたいと思います。
  6. 三谷秀治

    三谷委員 自治体同和予算実態総体を全く御存じがない。要するに、同和事業そのものが掌握できていないということなんです。同和事業総体がわからないということで、同和行政の問題が正しく打ち出せるわけはありません。  同対審答申は、御承知のように、同和問題の解決は国の責務だとしております。同特法におきましても、同和予算はおおむね三分の二を国が負担するとされております。四十八年度の国の同和予算は四百二十五億三千万円であります。これが同和予算の三分の二としますと、自治体同和予算は二百十三億ということになるわけであります。こういう実態なんでしょう。  なお、まだ調査されていないとおっしゃっておりますが、各市町村府県におきましては、同和予算類別をして数字を明確に出しておりますが、これがどうして国として集約できないのか、お尋ねしたいと思います。
  7. 松浦功

    松浦政府委員 自治省といたしまして、先ほど申し上げましたように、各費目の中に入り込んでおります同和予算、それを一々分析をこれまでいたしてきておりませんので、手元に数字がないということを申し上げておるわけでございます。
  8. 三谷秀治

    三谷委員 なぜそれをおやりにならぬのですか。同和予算同和事業の問題を論議します場合、その総体が幾らかということがわからない状態で、どうして正確な同和対策が立てられますか。なぜこれはできませんか。府県市町村においては行っておるわけなんです。これを集約することをなぜしないのか。これは自治省責任か、あるいは総理府責任かわかりませんが、いずれにしても責任ある方から御答弁いただきたい。
  9. 植木庚子郎

    植木国務大臣 ただいま自治省からも御答弁がございましたけれども、国、府県市町村同和対策事業予算決算額は、従前から把握いたしておりません。これは国の同和対策事業決算につきましては、一般対策事業の中に含めて計上しているものもございまして、この総額把握することは困難でございます。御指摘の点につきましては、閣係各省協議をいたしまして、可能な限り把握に努めてまいりたいとは存じますけれども、大変困難でありますことを御了承いただきたいと存じます。
  10. 三谷秀治

    三谷委員 国の同和予算につきましても、一般予算に組み込んだものと純粋の同和予算と、類別をして資料をお出しになっている。各自治体もやっているわけなんです。これを集計することをおやりになっていない。なぜかということなんです。今後おやりになる意思があるかどうかをお尋ねしたい。
  11. 植木庚子郎

    植木国務大臣 ただいま申し上げましたように、大変把握が困難でございます。たとえば建設事業費の中の住宅予算等を挙げてみましても、その決算につきまして、総額としてこういう住宅建設事業を行ったということは把握できるのでございますが、その中の一般住宅同和住宅との仕分けなどについては把握はできないというような状況等もございます。しかし、先ほど申し上げましたように、可能な限り把握に努めてまいりたいと考えております。これは関係各省庁と協議をさせていただきたいと存ずるのでございます。
  12. 三谷秀治

    三谷委員 これはやる気になれば容易にできることなんです。できないという理由は一つもない。  大阪府下自治体同和予算決算額を見ますと、四十八年度は六百六十六億に達している。大阪府下同和対策事業に対する国の支出額は五十八億にすぎない。四十八年度の同和対策事業に係る起債額というのは二百四十二億八千九百万円。このうち基準財政需要額に算入しますものがわずかに八億九千五百万円にすぎない。これを合わせまして国の負担額は一二・五%にとどまっている。大阪府下の場合です。この実態について政府はどうお考えですか。同特法というのは、おおむね三分の二を国が負担をする、こういうたてまえになっている。ところが大阪府下決算額で見ますと一二・五%にすぎない。起債額を含めまして、起債の国が元利償還分を見込むものを加えまして一二・五%にすぎない。この実態についてどうお考えでしょうか。
  13. 福田一

    福田(一)国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
  14. 松浦功

    松浦政府委員 国の補助金大阪府下の同対事業費の中で占めるウエートが一二%だという御指摘でございましたが、これは国の補助対象事業になっておりますものの三分の二に見合うものが一二・五%で、それ以外はそれぞれ単独事業として行われているというふうに、私どもとしてはその数字から理解せざるを得ません。  単独事業につきましては、御承知のように、当初におきまして起債もお認めをいたしております。そういう形で予算を執行されておるというふうに理解をいたすわけであります。
  15. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、問題が少し明確になりましたが、地方自治体がこの財政危機の中におきまして、政府基準の二十倍もの単独事業を自発的に好きこのんでやっておるのかどうかという問題なんです。そのように認識されておりますと、これは大変な認識不足であります。いやでも出さなければならない事情というものが地元におきましては発生してきておる。ここに同和行政の何よりも問題がある。これは解放同盟朝田一派というのが暴力恫喝をもってそれを強要するという問題、このことを抜きにして、いまの大変な単独事業の問題というものは実態をつかむことはできません。しかもこのことは、今回までしばしば自治大臣等がお認めになって、国会答弁でも示されておるところであります。  たとえば四十五年の十月におきましては、秋田自治大臣がこうおっしゃっている。住民全体の利益を、一部少数の人の利益のためでなく、公正な手段により、脅迫等事態のもとでなく、健全に、公正に、平静に地方住民全体のためにやっていきたい、こういう御答弁をなさっております。渡海自治大臣は四十七年にこうおっしゃっている。窓口を一本化して特定団体だけに不公正な行政を行うことはよくない、こうおっしゃっております。奥野文部大臣は四十八年の国会におきまして、窓口一本化という言葉を使っておるけれども、私は行政権に対する不当な介入だと思う、これは同和問題の根本的解決むしろ障害になるのではないか、深く心配しておる、こうおっしゃっている。江崎自治大臣は四十八年の国会におきまして、暴力によって地方自治体がおどかされて、その自主性を失うなどということがあれば、これは民主政治を根底から揺るがす行為である、よく調査したい。いろいろおっしゃっている。  このことから見ましても、地方自治体同和予算というものがどういうものを背景にして組み立てられておるかということは、政府も十分に認識をされておると思う。これは御承知ないとおっしゃるわけでしょうか。
  16. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になったような大阪府下の問題等々が計数上ある程度判明はいたしております。しかし私たちとしては、同和問題というものについて差別をできるだけなくしていこうというときに、差別がいかにもある実態を余り大きく出すということが、果たして大きく見た同和行政のいわゆる差別をなくするという方針に合致するかどうかというようなことも考えてみなければならない面があると思っております。  同和の問題についていろいろ御指摘もございますが、もう一つ、われわれは地方自治という問題を無視するわけにはまいりません。すなわち、地方市町村等がその単独事業というものをやる場合には、いずれも議会の議決を必要とするわけでございまして、当該市町村議会において議決いたされたものを中央からむやみに制限を加えるというか、抑止するというようなことも、自治という大きな観点から見ますと、われわれとしては考慮をいたさなければならない面があるわけであります。そういう点もございまして、いままで余り警告するとかそういうことをしておりませんけれども、私は同対審のあれから言って、公正に行われなければならないということがその趣旨でございますから、そういう面を欠いておるとか、あるいはまた、自治の精神が暴力によってゆがめられておるようなことがあったとしたら、これは今後は是正をしていかなければならない問題と考えております。
  17. 三谷秀治

    三谷委員 地方自治を尊重されますことは大変結構だと思いますが、いまは、地方自治体同和行政同和予算というものは、真の自治性の上に立って成り立っていないという状況があるということを、先ほどから申し上げたわけであります。どのようなおどしやあるいは暴行が行われておるか、これは今日まで表面に出ましたものだけでもずいぶんあります。表面に出るのは、解同朝田派暴力に屈服しない場合、脅迫に屈服しない場合です。その場合にトラブルが起きてくる。そうしてこれが表面に出るわけでありまして、密室の中で屈服しました場合には、これは暴力という形では表面には出てこない。これはもう明らかな法則であります。しかし、それでは暴力がなかったから脅迫はなかったかと言いますと、そうじゃない。かん詰め交渉脅迫交渉常套手段になっております。しかもそれが波及的な効果を発揮しまして、全体の市の理事者議会に対して影響を及ぼしている、こういう経路をたどっておるのであります。  脅迫市長理事者を屈服させました後は、これに同調しない議員、これを批判する議員を片っ端から攻撃する。この実例はたくさんあります。このような議会議員に対する恫喝というものも、大阪市、八尾市、大東市、吹田市などでは日常ふだんに行われております。私もこれは大阪府議会におきまして経験してまいりました。  私が経験しましたのは四十三年、四十五年のことでありますけれども、四十三年度におきまして巡回生活相談用バスを購入するということで五百三十六万円の予算大阪府が出した。ところが四十五年になりましてもバスの影も形もない。おまけに金も行方がわからない。そこで、おかしいというので議会で追及したことから、三十数名が私どもの控え室に乱入をしてきて、約一時間にわたって監禁をされ、ばり雑言を浴びせられる、同僚議員事務局員暴行を受ける、こういう事件が発生しております。この主犯は、つい先般、大阪地裁で処罰を受けたばかりであります。  吹田市の山本市長監禁事件は御承知と思います。四十四年の六月四日から六日まで、三日二晩にわたりまして、数百人が個人の住まいを包囲して、電話、水道、ガスを切断する、そうして窓口一本化を強要する、あるいは要求する予算認めろと要求した。西宮市役所占拠事件は御承知でしょう。これは四十八年九月十日から十月二日まで続いている。市役所市議会を占拠して辰馬市長松岡助役松浦助役、八人の全局長、三人の部長が辞意を表明する、十六日以後十数日間登庁していない、こういう事件が起きております。これは十月に屈服している。亀岡の市教委次長暴行事件も御承知だと思う。これは四十九年の三月に教育次長暴行を加えておる。市の幹部十二名が連袂して辞職をした、こういう問題が起きておる。  羽曳野市の津田市長監禁事件、御承知でしょう。これは四十八年の十一月の下旬から連日脅迫的な行動を行っている。四十八年の十二月四日には、三百人で市長を五時間監禁をした。四十九年の一月の十四日には、八百人で押しかけて、十五時間にわたって市長監禁している。飯も食っていない。職員に殴るけるの暴行を加えて、二人が五日と十日の負傷を負っている。八尾市の助役に対するピストル発射事件、御承知ですか。これは四十六年三月でありますけれども解同八尾市の助役、これは一人はいま大阪府の企画部長をしております幡谷君でありますが、もう一人は渡辺君という助役がおりましたが、これと市長応接室交渉中、うまく交渉がはかどらないからといってピストルを撃ち込んだ、これが二人の真ん中を通過した、こういう事件も起きてきている。四十五年におきましては、渡辺助役はさらに、市役所の三階の会議室交渉中に、六尺机をひっくり返されて、それで足を打撲していまだにびっこになっている。こういう状態が公然として白昼発生しておるのであります。  例を挙げますとこれは切りがありませんから、この程度にしておきますけれども、こういう事態というものが連続して起きております。  これは理事者に対する脅迫暴行でありますが、議会はどうかといいますと、それによって屈服しました理事者方針を聞かない議員に対しては、除名をさせるとか、あるいは殴るけるの暴行を加えるということが、これまた連続して行われている。たとえば一番わかりやすいのは、四十四年六月に起きました八尾市議会における斉藤議員に対する除名問題であります。これは同和問題を質問しようとしましたところが、解同朝田派斉藤君のところに押しかけまして、質問をやめよと強要した。聞かないと見ますと、廊下に待ち伏せして殴るけるの暴行を加える。議長に対しても、発言をやめさせろ、やめさせなければ混乱が起きると脅迫して、議会審議権まで封じようとした。斉藤議員がこれに屈せず同和住宅問題について質問を行いますと、解同朝田派というのは議会全員協議会を開かした。そして一人一人の議員を指さして、懲罰せよ、反対するならおまえは差別者だ、こういうおどかしをかけて、ついに斉藤議員の懲罰の除名決議をやったのであります。これは後に、大阪地裁におきまして除名効力停止が決定されましたので、大阪府知事も除名処分の取り消しの審決を行いました。これは一つ議会に対する脅迫の事実なんです。  このようにしまして、同和予算同和行政というものは、恫喝脅迫の上に成り立ってきておるということ、これは地方自治体自主性などではありません。だれが見ても明らかなことなんです。この事態に対して政府はどのように認識されておりますか、どのようにこれを処置されようとしておりますか、お尋ねしたいと思います。
  18. 福田一

    福田(一)国務大臣 われわれといたしましては、しばしば申し上げておるところでございますが、暴行とか脅迫とかいうようなことが行われることは、民主政治の破壊につながるものでありますから、絶対に認めるわけにはまいりません。そういうようなことが今後起きないように、われわれとしては、できるだけの措置をとりたいと考えておるところでありまして、いま過去におけるいろいろの事例をお挙げになっておりますが、われわれは、今後の問題といたしましては、そういうことのないように、極力暴行あるいは脅迫というような事実をなくするように全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  19. 三谷秀治

    三谷委員 この暴力的な威圧によりまして、今日の同和行政には二つの面の不公正が出ております。一つ一般住民施策との間における極端な格差であります。いわば同和の名による逆差別であります。もう一つは、同和地区内における新しい差別、つまり朝田派とそれに属さない者に対する格差であります。これは新差別と言われております。  この逆差別がどう進んでおるかということ、これを私は問題として提起したいと思うのです。  たとえば大阪市の浪速区というところでは、同和総合計画がいま進んでおるのです。これは本会議でも部分的にはお尋ねした問題であります。ここは人口一万五千人の同和地域であります。この地域に、小学校五十億五千万円、解放会館が三十五億二千万円、買物センターというのが二十五億九千万円、老人センターというのが十五億六千万円、これだけで百二十七億二千万円になる。この上に青少年会館の建設計画があります。この建設費を、それぞれの平準的な規模における建設費と比較してみますと、小学校で七倍、老人センターで二十倍、買物センターで十六倍という驚くべきものであります。  この五十億五千万円の建設費を投入します栄小学校というのは、生徒数は六百四十七名の小規模校でありますが、これに敷地は約五万平米を用いるというのです。冷暖房つき、千人を優に収容できる食堂、講堂、体育館、プール二面、二百メートルトラックという超デラックスなものであります。すでに竣工しました矢田小学校も、四十七億の建設費を費やして冷暖房つきのデラックスな校舎であります。  一方では、一般校はどうでしょうか。雨漏り、壁崩れ、床腐れなどの惨たんたる状態で放置されております。老朽校舎、プレハブ教室、特別教室の不足など、施設の緊急整備を要するものが大阪市だけで延べ三百七十五校にも及んでおります。  これは、百聞は一見にしかずと言いますから、具体的に見ていただきます。これが一般校の状態です。茨田南小学校です。雨が漏る、こういう教室が使われております。これは岸里小学校、壁崩れです。これは南田辺小学校、もうといも崩れてしまって、雨が浸透する。これが一般校の現状なんですよ。  一方、どうですか、これが四十七億円かけました矢田小学校。どうです、これが堺市協和町の同和住宅。家賃は千百円の住宅です。これがいまの矢田小学校で、これは切れているものですから少し量的な感じが出ませんが、こういう状態になってきている。  同和地域や指定校におきまして、それにふさわしい施設が必要なことは、これは当然なんです。しかしこれでは余りにも格差がひど過ぎる。同時期に完工しました一般校を見ますと、生徒数六百五十八人の大阪市立の巽東小学校というのは八億二千万円、少し完工の早かった喜連東小学校、生徒数は千五百九十六人でありますが、総工費八億八千万円です。一般校におきましては、土地代を含めまして八億台のものが引き続き建設されておる。同和指定校になりますと、四十七億から五十億五千万円。いま計画しております意岐部小学校は四十一億という。これは余りにも差別が極端じゃないですか。これは逆の差別行政じゃないですか。奥野文部大臣は、この学校建設につきまして、夢のような話だとお答えになった。夢ではない、これは現実なんです。こういう不公正な行政は是正させるべきだと思いますが、どうでしょう。
  20. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいまの問題についてお答え申し上げます。  大阪に限りませず、どこにおきましても、わが国の子供が勉強していきます上に、教育の条件を整えるということが文部省の基本方針でございます。しかしながら、いま奥野文部大臣の御発言の引用がございましたけれども、必ずしも条件が整っていないというところに問題がございますから、それをどうしていくかということで検討し、また政策を進めていくという考えであり、またそのように努力しているつもりでございます。  先ほどの大阪府の浪速地区に関して申しますと、栄小学校について御質問があったというふうに理解いたしております。それはいまのような、デラックスに過ぎるのではないかということでございます。そこで、大阪府の教育委員会を通しまして、栄小学校の実態について文部省として事情を調査いたしました。これについて教育委員会から大阪市の回答というものを寄せてきたのでございますが、それはいわゆる学校だけではなくて、地区の全体的改善ということをねらったものであるという考えを示されたわけであります。文部省はただ、さらに栄小学校の学校規模、これについての教育的必要性などについて説明を聴取しておりました。その間に大阪府からの融資によって財源措置が行われる、その見通しになったということがわかりましたので、この件につきましては、国としての助成措置を考えないという立場をとるに至りました。  それは以上申し上げたとおりでございまして、そのような態度で臨んでいるわけでありますが、他方、御指摘のように、プレハブ宿舎というようなものがあるということも、これはきわめて重要な問題でありまして、それをどうやって解消していくかというふうに考えなければいけないわけであります。  大阪府について申しますと、昭和四十八年五月一日現在でプレハブ校舎が三百四十五でございますが、それから解消に努力いたしまして、一年後の四十九年五月一日現在、プレハブの数が二百九十九と減少いたしております。しかしながら、さらに減少に努めなければいけないわけでありまして、そこで、四十九年度の補助事業などによって、大部分が解消される予定でございますが、さらにまた人口急増のための問題が生じてまいります。そこで五十年度に、新設校のための用地難から生じる問題が若干は残るものと予想されております。そこで大阪市で、四十九年度から五十一年度までの三カ年計画によって校舎整備の重点的計画を行っておりますが、文部省といたしましては、義務教育施設の整備、特にプレハブ教室の解消を重点として国の助成に努力をいたしております。  昭和五十年度におきまして、約九百万円、小中学校校舎の予算を計上いたしておりますが、それは、いまの御趣旨の根本に関連して申し上げますと、なるべく、すべてプレハブ学校をなくして、そして教育条件を整備していく。そうしてまた自治体において非常に大きな融資が行われるときには、政府の方で補助しない、そういう形でございますことを御報告いたします。
  21. 三谷秀治

    三谷委員 いまのお答え質問と焦点が合っておりません。こういう逆差別はやめるべきではないか、こういうお尋ねをしたのであって、もちろん全体をよくするということはいいことでありますが、しかし、いまそういう条件のない中で五十億もするような学校がなぜ必要なのか。一方では八億、九億で事足っておる、それがなぜ五十億も必要なのかという問題についてお尋ねしたのです。  これは時間がありません。そう詳しくは申し上げられませんけれども、たとえば大阪市の茨田小学校などは、運動場が狭くて、高学年、低学年分けて運動場を使っている。講堂も定員の四分の一しか収容できない、それだから行事ができない、こういうところもいまだに残っております。それから南百済小学校のように、プレハブ教室が十二教室ある。屋根の上にまでプレハブ教室をつくっている。夏季になりますと、四十度の熱がこもってくるという。こういうものが放置されておる。しかも、八億、九億で事が足りますのに、どうして五十億も四十七億もかけて特殊な学校が必要なのか、そういう差別は改めるべきだ、こういうことをお尋ねしておる。
  22. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私、先ほど申し上げたところで数字が間違っていたので、非常に趣旨が徹底しなかったと思いますが、昭和五十年度小中学校校舎予算約九百万円と申し上げたそうですか、九百億円でございます。これは大変な違い。  そこで、プレハブの校舎、それもプレハブ教室。先ほど言い違いがあったとすると申し上げておきますが、それの解消でございます。それで、さらにデラックスな学校をどうするかということについての処置は、栄小学校のケースを申し上げた。そしてどういうふうにやっているかということを申し上げたのですが、これは一つ一つのケースについてお話を申し上げるほかはないわけだと思いますので、栄小学校のような方針で臨んでいるというふうにお答え申し上げたわけであります。
  23. 三谷秀治

    三谷委員 栄小学校のケースも、何らそれを首肯せしめる内容ではありません。地域改善の事業の一つだとおっしゃっている。そのことと一体五十億もする学校とどうつながってくるのか、そこの有機性は一つも明確になっておりません。いずれにしましても、この問題だけをいまここで取り上げてお尋ねを続けるわけにはいきませんけれども、こういう逆な差別をやめなくちゃいけません。同対審答申というものは、逆な差別をつくりなさいなどと言っていないのだ。差別をなくすることを言っているのだ。これは、差別をなくするべき行政におきまして、差別が広がっているという状態なんです。差別をされることに反対する者は、差別をすることにも反対しなくちゃならぬわけだ。一方では差別反対と言いながら、一方では他を差別するような行政同和行政じゃないことは言うまでもないことだ。これについてお尋ねしたのです。  あわせてお尋ねしておきますが、大阪市というのは人口二百八十万人なんです。同和地区人口は五万八千人、ですから、これは二%強なんです。ところが、四十九年度の民生福祉事業費を見ますと二百五十六億円。その二百五十六億円の民生福祉事業費の中で同和事業費が百九十億六千万円になっている。七七%になっておるわけだ。二%のために七七%。そのために、たとえば一般保育所におきましては、四千四十七名の児童が入所できない。同和地区保育所におきましては、定員の七六%しか施設に入っていないで余剰が生じてきている。これが国民の同権、平等に反しないのかどうか、お尋ねしたい。
  24. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘のような数字は、はなはだ申しわけないわけで、つまびらかにいたしておりませんが、この差別の問題について、これをなくしなければいけないという方針に基づいて、同対審によって、この同和予算を大いにふやすということで、われわれは協力をいたしてきておるわけでございます。  そこで、その協力をしてきておる予算の使い方の問題でいろいろ論議が起こっておるのでありますが、しかしこの同和問題というのは、やはりいままでに差別があったということについて、われわれが、これは差別をなくしなければいかぬというつもりで、予算の拡充をし、差別をなくするようにしたのでありますが、物事を是正しようというときには、やはり少しアクセントをつけるというか、力を入れないというとできません。そこで、そういうのが若干行き過ぎが起きておる面が、このいま御指摘になったような問題が起きておるのではないかと思うのでありますが、しかし、そういうふうなことをして、いま御指摘のあったようなまた新しい格差ができるとか差別ができるとかということは、これはやはり順次直していかなければならない問題であると私は考えるのでございまして、物事をやるときに、非常にこれは悪いということなら、それは改めろということで、少しそれが行き過ぎになる、行き過ぎたらまたそれを直す、こういうふうにして政治というものを中正なところへ持っていくというのが政治の目的ではなかろうかと私は思うのでございます。  過去の問題についての御指摘については、われわれもなるほどと思う面もありますけれども、しかしまた、そういうことをやらざるを得ないようになったところ、その根源を考えてみますと、われわれとしても何とかしてあげたいという気持ちでやったことでございますので、そこいらをひとつお互いに理解して、そうして何とか中正なところへ持っていくようにみんなで努力するということが、同和問題に対するわれわれ政治家としての務めではなかろうか、私はかように考えておるわけであります。
  25. 三谷秀治

    三谷委員 あなたがおっしゃいますように、差別があった、これは事実なんです。これをなくするために努力する、これは当然のことなんです。そこで、その場合に、少し足りないものを足りるようにするために行き過ぎが出てくる、アクセントがつくとおっしゃっている。ところが、このアクセントば少しひど過ぎやしませんか。  私どもも、同和地域に対する特別な配慮を払っていくということについて、反対するものじゃありません。しかし、このような余りにも常軌を逸した差別というものが逆に生じてくる。これは決して差別をなくする道じゃありません。逆に一般地区の住民からは、いろいろな批判が出てくる。そのことが差別をなくする障害になってくるわけなんです。そこが非常に大事な点であります。  それから、みんなで努力するとおっしゃっておりますけれども、それはどういう意味なんですか。これは政治に責任を持つ政府が第一義的に責任を持つべきものである。これは当然のことなんだ。全部が責任があるんだ、そういう国民責任論などをここで述べるべき場合じゃない。政府行政責任としてお尋ねしておるのであって、問題をすりかえて転嫁してもらっては困る。  しかも、さっき申しましたように、こういう事態が発生してきますのは背景があるということなんです。その背景につきましては、具体的な例を先ほど並べて、前提として質問したじゃないですか。どのようにして理事者脅迫されているか、どのようにして議員暴行を受けてきたか。その上にこれができておるというところに問題があるのであって、これに対して政府がいかなる処置をとるべきかということをお尋ねしておる。     〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕
  26. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほども申し上げたところでありますが、差別をなくするために差別が出てくるというようなことは、われわれとしては好ましいことではございませんし、政治の姿として、また政治を担当しておるわれわれとしても、それは十分わかっております。わかっておりますが、先ほど申し上げたみんなでという意味は、これは長い間の同和問題というものを解決するのでありますから、やはり政府もそういうつもりでやらねばいけませんが、みんな国民全部も同和問題というものを理解して、そうして差別をなくするようにしてもらいたいという願望を述べたわけでございます。
  27. 三谷秀治

    三谷委員 国民が理解をすることは当然必要なことなんです。そのための教育も必要であります。そんなことは一つも否定していない。問題は、そういうところで指摘しているわけじゃありません。今日の地方自治体の問題については、たとえば自治省あたりは人件費が最大の問題だとおっしゃっておる。しかし、このような、一般水準から比較しまして七倍も八倍もするような、そういうデラックスな特別な建物をつくったり、施設をつくる、そのことについては一つもお触れになっていない。そういう根拠はないのです。しかしこれが行われておる。行われておりますのは、暴力があり脅迫があるからだ。それに対してどうするかという問題こそが、いま問われておる問題なんです。それについて適正なお答えがありません。
  28. 福田一

    福田(一)国務大臣 そういうようなりっぱなものができたから、いまこれを取り壊して直すというわけにはいかないのです。私が申し上げておることは、そういうことの差別がないように今後われわれとしては努力をいたします、こういうことを申し上げておるわけであります。
  29. 三谷秀治

    三谷委員 その努力のほうにアクセントがかかればよろしい。しかし、いままで聞いておりますと、そこでなしに、何かある方が、こういうものが生じておることが妥当であるかのようなところにアクセントがあったから重ねてお尋ねしたのです。当然こういうことは是正するために努力してもらいたいと思います。  そこで、もう一つ実例を挙げておきますけれども、松原市というところがあるのです。ここは前回、渡海自治大臣国会答弁で引用されておる。これは松原市の理事者に会ったが、同和で手いっぱいで何もできないと言っている。このことを渡海自治大臣がおっしゃっておる。  この松原市におきまして二十四戸の酪農家がある。これを収容しますために、二十二億円を投じまして酪農団地をつくった。乳牛の飼育を一カ所でやろうというので、二十二億出したわけであります。これは名目は部落の環境整備と部落産業の振興となっておる。解同朝田派が要求したものです。二十二億だけ出しまして酪農団地をつくりました。ところが酪農家はここに乳牛を移すことをがえんじない。建設後一年たちました今日におきましても、いまだに放置されたままになっておる。一戸に約一億円の工費支弁になっておる。世間では全く信じられないと言っておる。こういうことが起きておるのです。つまりこれは、自分の住まいと隣接して牛を飼っておりますから、この方が便利もいいし、労力の面からも助かる。それを一カ所の団地に集めようとした。たった二十四軒の酪農家ですよ。二十二億の市費を支弁してこれをつくった。ところが酪農家がこれに移ってこない、こういうことが起きておる。こういう事態に対してどうお考えになりますか。二方におきまして、この松原市というのは人口十三万の都市でありますけれども、いまだに屎尿処理場がない。肥の始末がつかない。河川投棄をして警察ざたになっておる。今後におきましても、海洋投棄をするほか手がないという状態になってきておる。ごみ処理場も狭くて、大型ごみが処理できない。生駒金剛山系の谷に投棄して、環境破壊で問題になっておる。こういう状態が起きてきておる。  この背景にあるものは何かというと、良識のある自治体議員理事者というのが、肥やごみの始末がつかないのに二十四戸の酪農家のために二十二億の団地をつくる、そんなことが起きてくるわけはない。しかし、そういうことが現実に起きてきている。この背景にあるものは何かということですね。この究明こそが政府の重大な責務だと私は考えておる。これは農林省の関係かもわかりませんが、農林大臣がいらっしゃって、管轄であればお答えをいただきたいと思います。
  30. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいまお話がございました松原の酪農団地は、市の単独事業でやっておるわけで、国の方としては公害関係予算を一部程度つけておるわけでございます。
  31. 三谷秀治

    三谷委員 単独事業で、赤字財政で困っている、そういう市がこういうことをやらざるを得ないという事態ですね、これについて十分な御認識をいただきたいと私は思います。  これらの自治体におきます同和予算の比率というものは、実にこれは高いのです。たとえば予算総額に占めます同和予算の比率につきましては、これは本会議におきましても述べたところでありますが、これを建設事業費において見ますと、大阪府下市町村の四十八年度決算に係る建設事業費の中で同和建設事業費の占める割合というものは、たとえば貝塚市におきましては、部落人口は二・八%でありますが、建設事業対比では六一・四九%になっている。泉南市におきましては、六・五%の部落人口になっておりますけれども同和建設事業費は、全体の建設事業の中の五九・一九%になっている。八尾市におきましては、四・二%の人口ですけれども五〇・七〇%。松原市におきましては、一・八%の人口に対して四四・二%。能勢町、岬町におきましても、それぞれ五〇%から四二%という比率になっている。  こういう状態を放置しておきまして、地方自治体が真に全体の住民に対する公正な行政が執行できるでしょうか。地方自治体の人件費だけはじゃんじゃん問題にしていらっしゃいますけれども、それはそれとして検討すべき問題があるとしましても、こういう常軌を逸した予算処置について調査し是正する処置をどうしておとりにならないのか。行政の公正、地方財政の上でも重大な問題ではないでしょうか。こういう問題について、政府が取り上げて解決するために、どのような処置をおとりになってきたのかお尋ねしたいと思います。
  32. 福田一

    福田(一)国務大臣 いままで御指摘になったようなこと等もありまして、自治省といたしましては、いま関係庁との間に、どういうようなことが行われたか、あるいは今後どのように処理すべきかということを含めましていろいろ協議をいたしておる段階でございます。しかし、同時にまた自治省自体は、特にいま御指摘のあったような主な府県に対しましては、総務部長を先般も集めた際に、この地方自治というものはもちろん十分尊重しなければならないけれども、しかし、それかといって余り差のひどい事業措置をするようなことについては、今後はひとつ考えてはどうかということを指示をいたしておる、こういう措置をとっておるわけでございます。
  33. 三谷秀治

    三谷委員 政府の処置につきましては後でまたお尋ねしますが、これほどの同和予算を使い同和行政がやられておりますから、同和地区住民はこぞって大変な受益をしておるのかといいますと、そうではない。部落の中で新しい差別がつくり出されまして、同和行政施策からはじき出されておる住民が少なくないのです。この新差別についてお尋ねしたいと思います。  同和地区住民を対象にしました個人給付制度などが実施されております。たとえば、妊産婦見舞い金、義務教育就学奨励金、高等学校入学支度金、高等学校奨学金、大学入学支度金あるいは大学奨学金、就職支度金、職業訓練手当、あるいは職業訓練学校入学支度金、技能修得資金、技能修得奨励金など多様にわたっております。このことは、この施策そのものがどうこうというのでなしに、朝田派認める者以外は、未解放部落住民でありましてもこの制度の適用から除外されているという問題なんです。  たとえば大阪におきましては、そのための不作為違法確認請求訴訟が提起されておる。改善を見たものもあります。審議中のものもあります。改善を見ましたものは、裁判所の判決によりまして救済を見たわけでありますが、この裁判所の判決というものは、すべてそのような処置は、憲法十四条、法のもとの平等に反しておる、あるいは自治法十条第二項の住民の権利を侵すものである、あるいはまた、自治法の百三十八条の二の執行機関の義務に反するものである、だからそのような処置は正しくないのだ、こういう判決が出てきて、そして救済を受けております。まだ審理中のものもあるのであります。こうしてこの逆差別というものが大変大きな問題になっております。  時間の関係がありますから一括して説明申し上げますが、大阪市の支給要綱などを見ますと、この差別を制度化してしまっている。たとえば妊産婦見舞い金の受給資格というのは、大阪同和促進協議会会長及び地区協議会会長が「適当と認め、推せんした者」とされている。との同和促進協議会というのは何かと言いますと、これは会長以下理事、会計監査まで十六名役員がおりますが、これは全部が朝田派の役員なんです。身がわり組織になっている。市長があらかじめこの対策資金を同促協会長に交付して預けておく、同促協会長は個々の決定内容に基づきまして地区協会長を通じて申請者に支給をする、こうなっている。公金の管理、支出、給付者の決定権まで、すべて民間団体に委譲されておる。これは全く違法じゃないですか。  地方自治法の百三十八条の二項、いま判例からも引きましたけれども行政事務はすべて、自治体の執行部が、みずからの判断と責任において、誠実に管理し執行する義務を定めております。いわんや暴力脅迫をもって事とする団体が行政権を管理するなどということが認められますか。これは公共団体の基本的性格を損なう処置ではありませんか。是正処置を指導すべきだと思いますが、どうでしょう。
  34. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまそういう具体的な問題で指示がございましたが、権利を守ることは、これは訴訟その他の問題等々もございまして、それぞれの不公正な措置を受けた者が、これを訴訟に訴えるということは当然の措置であり、またやってしかるべきことでありますが、われわれとしては、行政の立場から言えば、地方自治体地方住民に対して、なるべく公正に物事を取り扱うようにということを指示をいたしておるわけであります。
  35. 三谷秀治

    三谷委員 一般論をおっしゃっただけであって、いまの具体的な事例に基づいて指導を強める必要はありませんかとお尋ねをいたしたのです。
  36. 福田一

    福田(一)国務大臣 そういうようなこともございますので、この間も総務部長等集めまして、なるべく公正に物事をやるようにということを指示をいたしておるわけであります。
  37. 三谷秀治

    三谷委員 こういうことが行われますのはなぜかということ。部落差別を解消するための、未解放部落の劣悪な環境や生活条件を改善する立場に立てば、このような部落住民間における差別などあるわけはないのです。なぜこういう差別の廃止に反することがやられておるのか。そうして市民から、これが差別の撤廃だろうかと疑われるようなことがやられるのか。世間の非難を受けることを無理無体にやるのかということ。ここに非常に重要な問題がありますが、この同和予算同和行政から利権を得ておる、これを利権の対象にしておる、そこに問題があるわけです。差別解消を名目にした利権のために行政を利用するようなことがあってはなりません。  一月二十日付のヘラルド・トリビューン紙を見ますと、こう書いてある。旅行者がフランスで買いました英字紙でありますけれども解同朝田派の蛮行を紹介しまして、暴力が利権をもたらすと考えているようだと書いている。こういう指摘が外国の新聞においても行われている。  利権の仕掛けはいろいろな形で行われております。その一つが、たとえば同和建設協会という建設業者の組織であります。建設大臣がお越しでありますからお尋ねしたいと思いますけれども大阪、東京などにおきまして同和建設協会という団体が組織されております。そうして朝田派自治体交渉して、自治体当局を従わせて、ほとんどの目ぼしい事業をこの業者に請け負わせております。たとえば四十八年度の同和建設協会加入業者の請負工事というのは、大阪市だけで見ましても百四十三億八千三百万円に達しておる。四十九年度上半期におきましても五十四億九千万円に達しておる。これは大阪市の全請負契約件数の三分の一を占めておる。それから羽曳野の四十八年度の工事契約は、九億二千万円のうち六億円を海原建設という同建協の大将が請け負っております。松原市におきましても、四十四年から四十七年にかけまして、同建協の太田組の請負件数が十四件、二十三億三千八百万円に上っている。  われわれは、中小企業に特別な配慮を払うことを否定するものではありませんが、これを悪用して、特定の団体が事業の請負にまで介入をして、特定業者が請負工事を占有するような不公正は認めてはならないと考えております。しかも、この請負に対しましては、朝田派の言うところでは〇・七%、実際に業者の話によりますと七%の定率の納付金が取られておる、こう言っている。公共団体の予算の執行にピンはねが体制的に組み立てられている。契約金の一定額を制度的に納付するものである、それを前提として工事の請負をさせるという措置がとられております。自治体の工事請負契約の規定に違反しませんでしょうか。行政の公平性に対して違反しないでしょうか。
  38. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 お答えをいたしますが、公共事業の発注に当たっては、発注標準に基づいて建設業者を選定するということになっておりまして、具体的な指名は、地元の事情を考慮して発注者の自主的な判断に任す、こういうことになっておることは御承知のとおりであります。したがいまして、地方公共団体が公共事業を発注する際においては、やはり当該地方公共団体が地元事情に明るい同業者の団体からいろいろの意見を聴取するという措置をとることは、私は必ずしも不当とは考えておりません。いま具体的な問題がございましたが、これは発注者自体の問題でありまして、私ども実は承知いたしておらぬことであります。
  39. 三谷秀治

    三谷委員 これが行政の公正性に反しないのかということをお尋ねしておるわけです。それで、いま発注者自体の権限によるものだとおっしゃっておりますが、この発注者というものが、前段で説明しましたような脅迫暴行などによりまして、そうせざるを得ない条件があるということも考えお答えいただかないと困るのですよ。
  40. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 繰り返して申し上げますが、発注標準に基づいて、発注事項の規模に見合った施工能力を十分考えた上で業者を選定しておるのでありまして、そういう意味で、業者団体から意見を聞きながら発注していくということ、これは入札制度の上からも私は格別問題があると思っておりません。おっしゃるような問題があるということについては、これは私どもがそこまで関知する問題でない、かように思っております。
  41. 三谷秀治

    三谷委員 入札制度の点からいきますと、これは地方自治法に明確な規定があるのです。地方自治体の契約というものは、一般競争入札、随意契約それから指名競争入札、三つがあって、それぞれの規定がなされておる。いまこれにつきまして私どもは法令上の問題としてお尋ねするわけでありませんが、その点からいきましても問題はあるものであります。あるものでありますが、ピンはねがそこについて回る。しかもこの不当な請負額というものが、特定の団体を通じて業者に行われてきておる。こういう問題についてどうですかということをお尋ねしたのです。
  42. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 そういう事態が事実あるとすれば、これはまことに遺憾なことでありますが、私ども関知してない問題でありますから、そういった面については今後も十分指導してまいりたい、かように存じております。
  43. 三谷秀治

    三谷委員 関知してないとおっしゃっておりますが、それならお尋ねしますけれども政府はしばしば通達をお出しになっておる。この通達というものが何のために出されておりますのか、お尋ねしたいと思うのです。
  44. 植木庚子郎

    植木国務大臣 ただいま御指摘の通達は、昭和四十四年七月及び四十八年五月に出しました関係各省事務次官連名通達のことではないかと思うのでございますが、これは同和対策事業特別措置法の円滑かつ公正な実施について十分な配慮をするようにということを、地方自治団体に示達をいたしているのでございます。
  45. 三谷秀治

    三谷委員 政府は今日まで、しばしば同和行政の公正について通達をお出しになっている。四十五年の建設省住宅局長通達、四十七年の自治省振興課長通達、四十八年の総理府の通達、四十八年の関係各省事務次官通達などが出ております。このこと自体が、同和行政が不当にゆがめられておることを証明しているのです。それがなければ通達を出す必要はない。しかし通達は出しっ放しになっているんじゃないか。この通達がどのように各自治体同和行政に正しく反映したかどうか、調査されておりますか。通達を出すだけじゃだめですよ。出すだけですと実態がわからないから、先ほどからのようなあいまいな答弁になってしまう。この通達に基づきましてどういう改善がなされましたか、これをお尋ねしたい。
  46. 植木庚子郎

    植木国務大臣 同和対策事業は、それぞれの地域の実情に即して行われるべきものでございますが、同時に、関係地区住民を等しく対象にいたしまして、公平に実施すべきものであるということは当然のことでございます。各地方自治団体におきましては、具体的な事業の指導につきまして、この通達の趣旨に基づいて、地方自治のたてまえにのっとってこれを行うべきものでございまして、私どもといたしましては、この趣旨の徹底につきまして、各関係省庁の協力のもとに機会をとらえて行っているところでございます。先ほど自治大臣から、本年の一月に総務部長会議を行って、その際いろいろ指示をしたというお話もございましたが、総理府といたしましても、昨年末、主管部課長会議を招集をいたしておりますし、また同時に、この予算成立後にも主管部課長会議等を開きまして、この趣旨の徹底を図ってまいりたい、こう考えているのでございます。  なお、成果について調査を行っているかということでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけこの趣旨の徹底を図りますように指導を行うということが重要であると考えているのでございまして、個別の事例につきまして調査を行うということはいたしません。これは各関係省庁が行っておられるところでございます。
  47. 三谷秀治

    三谷委員 各関係省庁の調査結果について御報告いただきたい。
  48. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほど来お答えいたしておりましたとおり、そういう調査を具体的にやることが事務的にまだ困難でありますから、やっておらないわけでありますが、われわれとしては、そういうことのないように、また同時に、余りそういう点を強調していわゆる地方自治考え方をセーブするようなことのないように、という配慮も考えていかなければならないのでありまして、余り上の方から、これをしてはいかぬ、あれをしてはいかぬというようなことは、私たちとしてはできるだけ差し控えていきたいというのが、自治という精神に合致するのではないか。しかし、一方においてそういう不公正があるようなことは、極力自治体においても考えてもらいたい、こういうところで問題の処理をいたしてまいっておるつもりでございます。
  49. 永井道雄

    ○永井国務大臣 文部省といたしましても、調査ということはいたしておりません。そういう状況でございますが、しかし、先ほどから御指摘がございましたように、教育の現場におきまして必ずしも原則としていることが守られていない場合、そういう場合には繰り返し指導助言を行ってきております。ケース・バイ・ケースで指導助言を行ってきております。  そのときの原則というのは、先ほどから話が出ましたように、もちろん都道府県教育委員会の自主的な判断と責任を重んじるということでございますけれども、しかしながら、同和教育というものを進めていくときには、教育の中立性というものを重んじて公正に進めていく、それが損なわれているようなおそれがあると考えられます場合には指導助言を行ってきているというのが、これまでの進め方でございます。
  50. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 昭和四十六年三月二十九日付の連名通達に基づく農林省関係の事業は、四地区について計画が策定され、そのうちの三地区については、現在事業を実施中でございます。  なお、農林省所管の同和対策事業については、昭和四十八年五月十七日付の連名通達の趣旨に沿って、その実施を図っておりまして、今後とも同通達の趣旨の徹底については努力をいたす考えでございます。
  51. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 労働省といたしましては、同和問題の解決に特に重要な就職の機会均等、職業選択の自由にかかわる施策を担当しておりますので、御指摘のとおり、次官通達の趣旨に沿うて十分に配慮して各出先機関を強く指導しておるところでありまして、昭和五十年度の予算におきましても、雇用対策上の予算は七十数%増加を見て実施しているところであります。
  52. 三谷秀治

    三谷委員 どうも私、時間がないのに、的外れのことを言ってもらっては困るんですよ。行政の均てんについての通達をお出しになった。それがどう実行されてきたか、その調査結果をお知らせ願いたいということをお尋ねしたのに、お答えになっておりますことがそうでなしに、ごく一般的な行政内容について御説明になっております。  これは各大臣にお尋ねをしたいと思いますが、残念ながら幾らも時間がありませんから、他の機会にお尋ねをすることにしまして、一つお尋ねしたいのは、地方自治体に対しては行政の公正、平等に関する通達を政府は出しながら、その政府自体がそれに反する処置をおとりになっていないかどうか、この点をお尋ねしたい。  これは朝田一派によりまして同和地区企業連合会というものが組織されました。同企連と言っておる。これに所属する納税者に対する課税、徴税に当たりまして、税の特別扱いをして脱税を認めていないかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  53. 安川七郎

    ○安川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘同和地区の納税者につきまして、団体の方が何か脱税を指導しているのではないか、またこれに対して、それを認めているのではないか、こういう御指摘がございましたが、さような事実はないと聞いております。
  54. 三谷秀治

    三谷委員 ないと聞いていますとおっしゃったのですか。しかし実際には、同企連に属する業者に限って、国税局内の通達で同和控除が行われております。これは業者自身の証言もあります。同企連の文書でも示されておる。国税局の申告書類の実際の取り扱いの中にもはっきりと示されておる。  現在、大阪国税局には同和対策室なるものが設置されておる。これは四十四年二月に全国で初めて設置されたものです。大阪国税局同対室、室長外二名になっておりますが、これが事務を担当して、総務部長責任者になっておる。そして朝田派大阪同和地区企業連合会を通じて行われました所得申告の処理その他の税務行政を行っております。明らかに一般業者、国民と区別して特別の取り計らいをしておる。これでありますが、この大企連の報告書によりますと、四十二年から始まりましたが、たとえば四十八年度におきましては、所得税申告数四千五百三十六件、法人申告は二百四十五件に及んでおりますが、この分だけ特別な控除処置をとっておる。この事実を否定されますか。
  55. 安川七郎

    ○安川政府委員 第一点でございますが、大阪国税局に同和対策室というものがあるのではないか、職員二名が従事しておる、こういう御指摘でございますが、これは昭和四十年八月の同対審の答申がございまして、それを受けまして、昭和四十五年、国税庁から通達をいたしまして、趣旨は、同和地区の納税者に対しましては今後とも十分実情に即した課税を行う。つまり同和対策議会の御答申によりますと、同和地区におきましては歴史の積み重ねの上で特別な社会的あるいは経済的な問題がある、こういうような御指摘なわけでございます。したがいまして、課税関係につきましても、十分そういった同和地区の実情というのは、私ども把握いたさなければならないわけであります。十分実情を把握いたす、またその実情に即した課税を行う、これが私どもは本当の公平な課税の態度ではないか。そういたしますと、これはいろいろ研究を要する問題が多うございますから、特別な専担者というものを設けまして、十分地区の実情を把握する、こういうことをやっておる、これが実情でございます。  それから第二は、何か同和控除というような特別な措置を講じておるのではないか。こういう事実はございません。私どもといたしましては、ただいま御説明申し上げましたように、実情をよく把握して課税する、かようなことでございます。  同和地区におきましては他の一般の方と違う点がある。たとえば税の面から見ますと、一般の納税者とは異なります不利な借り入れ条件というものがございます。あるいは通常の場合でも、いろいろな事業をする場合に、高いあっせんの手数料というようなものを払う必要、そういうことがございます。あるいは譲渡関係につきましても、所得税と同様な、たとえば立地条件が非常に悪い、それから土地等の売却条件が非常によくない、あるいは譲渡いたしました場合に特殊な立ち退き料がたくさん要る、こういうような実情は事実あるようでございます。そういうものは経費として私どもは実情に即して認める、これは当然なことでございます。したがいまして、そういうような実情に応じた課税はいたしておる。しかし何か同和控除というような一律的な扱いはいたしておりません。  なお、パンフレットをお示しになりましたけれども、いろいろな団体につきまして計数をとる場合もあろうかと思います。また、私どもの方の、ただいま申し上げましたような実情に即しました課税につきまして、その方面がいろいろ名前をつけて呼ぶということもあり得ようかと思いますが、私どもとしては、ただいま申し上げましたような同対審の答申に即しまして、本当に実情に応ずる、実質的によく公平の問題を考える、こういう態度で進んでおるわけでございます。
  56. 三谷秀治

    三谷委員 局長、ひとつあなたに見てもらいたい。これは納税申告書です。同和控除というのが明らかに記載されている。いま、その部分をお見せしましたように、税務署の申告書の扱いの中で同和控除というのが明らかに記載されています。
  57. 安川七郎

    ○安川政府委員 ただいまお示しの資料を拝見いたしましたが、これは税務署の手で書いたものではございません。納税者の方がそういうような名称をつけられた、こういうふうに私は拝見するわけであります。  それから、相当以前のことでございますけれども、納税者の方から、同和控除という名前をつけまして、そういうような申告書が出た場合もあるやに聞いております。しかし現在は、さようなものはございません。
  58. 三谷秀治

    三谷委員 確かにこれは納税者が書いたものに違いがない。しかしこれは税務署が受け付けて確認している書類だ。認めている書類だ。これはたくさんここに書類があります。ありますが、たとえば本来言いますと、所得税法百二十条によりまして、確定申告書というのは税務署長に出すのでしょう。ところがこの大企連というのは税務署に出さないのでしょう。国税局を窓口にして受け付けをやっている。そのことを証明する書類もここにちゃんと出ている。それからまた、いまお見せしましたように、同和控除というものがちゃんと控除欄に記載されている。これを受理して認めてきている。それからまた、ほかの例でいきますならば、国税局自体が大企連という捺印をしているのでしょう。判をつくってついている。それは団体がついているものではない。国税局がついたものです。なぜ、そういう特殊な判をつくって、これを押さなければならぬのか。そこに特別扱いの証明が明確に示されている。この問題につきましては、いま、さらに詳しくはお尋ねできませんけれども、こういう不公正な処置が行なわれている。税金というのは、憲法によりまして法定主義なのです。法の規定がないのに、そのような、たてまえとしまして三割控除をする、そういう内容になっている。書類もそれを示している。それについてどうお考えか。これは大阪国税局長として、いまの高木事務次官がいらっしゃるときに起きてきて決まった話なのです。
  59. 安川七郎

    ○安川政府委員 お答えいたします。  申告書は税務署長に提出する、これが法律でございます。しかし、多数の納税者の方々の中には、これを間違えまして、他の税務署長に御提出される方もございます。あるいは郵送でもって国税局に入る場合もございます。いろいろのケースがございます。本当は冷たい法律論から申し上げますれば、それはそのまま受理できない、期限を徒過したものである、こういう扱いになるわけでございますけれども、しかし、これはやはり親切に取り扱う必要がございますので、他の署に参りました場合でも、できるだけ本来の署に送る。国税局に入りました場合、あるいは郵送の場合でも、これを当該署に戻しまして、できるだけ正当な申告書と扱う、こういう措置を実はやっておるわけでございます。多数の方の場合には一括という場合もないわけではございませんが、税務署の場合でも、これを一括お持ちになる方もございます。いろいろケースがございますので、それは実情に応じた措置をする、ことに親切に扱う、これを旨にしておるわけでございます。  それから、先ほども、経費につきましてはるる申し上げましたように、これは一括やってはおりません。できるだけ実情に即して認める、こういう措置をとっておるわけでございます。  また第三の点でございますが、何か国税局の方で特別な判こをつくって、それを押したということでございますが、私どもが一番旨といたしますのは、すべての納税者が同じようなことで扱われる、こういうふうに考えております。申告書の上にいろいろ役所の方で区別をいたすということは本質的に好ましくない。したがいまして、恐らく大阪国税局で何かさような判を押すということはあり得ないことである、私はかように考えております。
  60. 三谷秀治

    三谷委員 あり得ないことが実際に行われているわけなんです。そこに問題がある。いまこの文書について一件ずつ詳細にお尋ねしますと、その全貌が出てきますけれども、きょうは時間がありませんから、私の場合はこれで終わっておきますけれども、いずれこれは機会を改めて明らかにさせてもらいたいと思います。  そもそもこういう事案が、よしんばいまおっしゃいますように、同和地区対策として特別な考慮が必要であるとしましても、それなら同和地区住民全体にしなくちゃいかぬのでしょう。特定の団体だけを対象にすべきものじゃないでしょう。それが行なわれておるところに一つは問題がある。  それからもう一つは、租税法定主義に反しておる。あなたは昭和四十三年一月三十日の大阪国税局長解同中央本部及び大企連との確認事項を御承知ですか。
  61. 安川七郎

    ○安川政府委員 大阪国税局長が確認をいたしたということは、私聞いておりません。
  62. 三谷秀治

    三谷委員 その確認書もちゃんとここにあるのです。この内容は七項目になっておりますけれども、これは大阪だけじゃありません。東京におきましても東企連というのができて、六項目の確認事項ができておる。ごまかしちゃだめですよ。こういう公の文書がちゃんとできておるわけです。それに基づいてこれらの問題が進んできておる。国税局長通達も出ておるわけなんです。そして特別な扱いが行われておる。ただ、これをやりますと租税法定主義に反しますから、あなた方の方ではこれは認められない。認めたら大変なことなんです。しかし、実際はそうであるということは、税務署の申告書類の取り扱いの中で明確に示されておる。  これについては、そんなことは絶対にあり得ないとおっしゃいますか。もう一ぺんそれは確答していただきたい。
  63. 安川七郎

    ○安川政府委員 税務行政の場合には、納税者からいろいろな御要望、あるいは場合によりまして陳情と、それぞれの組合から、当該業種についてはこういうことをやってくれ、こういう相当な御要望がございます。それがいろいろな意味で項目別に整理されていることは十分ございます。したがいまして、ただいまの確認書というお話がございましたが、いろいろな同和地区につきましてそういうような御要望が出ておることは事実でございます。また、私どもといたしまして、できるだけ同対審の答申に沿いまして、実情に応じて課税をいたすという趣旨でございます。さような御要望につきましても、われわれが行政的にとり得るものはできるだけ尊重して、実情に即した課税をする、こういうことはやっております。
  64. 三谷秀治

    三谷委員 時間がないようですから、残念ながらこれで終わらざるを得ませんが、このような同和行政におけるゆがみというものは至るところに出ているわけなんです。それが、同和地区の地域の住民だけでなしに、同和地区内の住民の不満をも買っておるというのが今日の事態になっております。ですから、同和行政の公正、民主的な施行、逆差別、新差別をなくするということは、今日の政治の中心的な課題であって、このことのために、たとえば羽曳野や松原や亀岡などにおきまして、これを争点とする選挙におきまして大変な変化が起きてきた、これは御承知のとおりだと思います。
  65. 小山長規

    小山(長)委員長代理 三谷君、時間が終了しております。
  66. 三谷秀治

    三谷委員 ですから、このような、市民や住民の支持できない、理解できない同和行政を強行しては、部落解放の課題は少しも前進しません。これは明確なことなんです。いま大阪府知事は、勇気と良識を持って正しい方向にこれを改めるという態度をとっている。東京でもこの問題が重大な問題になって、都政の真価が問われております。真に行政の公正と地方財政の実情を憂うるならば放任できない問題なんだ。民主政治の基幹にかかわる問題でもあります。
  67. 小山長規

    小山(長)委員長代理 三谷君、時間が終了しております。簡単に願います。
  68. 三谷秀治

    三谷委員 遺憾ながら、今日、革新と言われる政党の中にも、この暴力を容認して、不公正な同和行政を支持する向きもあります。東京、大阪では、これが革新統一の障害になっております。政府はこれに期待をかけて、もしも朝田派暴力と不公正な同和行政を放置しておるとしますならば、これは公権力、党利党略に利用するものであります。暴力が政治を左右することは絶対に見逃してはなりません。政府は法令を遵守して厳正な指導を行ってもらいたい。暴力行為は親告罪ではないわけでありますから、これほどの連続する暴行事件がありながら、警察が適正に対処していないという具体的な事実の中にも、国民は重大な疑惑を持っております。これに対して私は、政府の姿勢を正すことを要求して質問を終わります。
  69. 小山長規

    小山(長)委員長代理 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まず、直接予算関係ある部分から質問に入りたいと思います。御案内のとおり、四次防は五十一年度で終了するわけですが、五十一年度までを見越して、いまの時点で四次防の達成率はどの程度と見込まれておりますか。
  71. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 政府委員よりまず達成率のところだけをお答え申し上げまして、それから私がお答えいたします。
  72. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 それでは達成状況を簡単に御説明を申し上げたいと思います。  各自衛隊ごとに御説明を申し上げたいと思いますが、陸上自衛隊につきましては、主要な項目、戦車が二百八十両、装甲車が百七十両、自走火砲九十門、作戦用航空機百五十九機、地対空誘導弾、ホークでございますが、これが三群、これが計画の総計でございます。これに対しまして、五十年度予算を含めましてただいままでに達成されたもの、それから達成見込みのもの、これが、戦車が二百一両、装甲車が百三両、自走火砲十門、作戦用航空機百十八機、地対空のホークは三群、こういう状況でございます。  それから、艦艇の方でございますが、艦艇は五十四隻、六万九千六百トン、これが総合計画でございますが、これに対しまして、ただいま申し上げました五十年度の見込みを含めまして、三十四隻の三万六千百トンという状況でございます。  それから、航空機の方は二百十一機でございまして、これに対しまして、ただいままで百三十四機ということでございます。  そこで、達成率という御質問でございますが、この主要項目だけについて申し上げますと、大体、陸が六〇%以上をオーバーしておると思います。それから海上自衛隊につきましては、トン数から申しますと辛うじて五〇%をオーバーした状況である。航空自衛隊につきましては、達成率はかなり高いというふうに考えてよろしいかと思います。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはただいまの達成率であって、四次防、五十一年度終了時を見込んだ達成率を私は聞いているのですが、いまのはそうじゃないでしょう。現在の達成率ですね。
  74. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 五十一年度終了になりますと、五十一年度予算の問題もございますので、明確な数字をただいまの段階で申し上げることは困難かと思いますが、大体、陸と空につきましては一〇〇%に近い数字で、九〇%台の達成率が見込まれると思います。  ただ、海の場合につきましては、ただいま申し上げましたように、六万九千六百トンのうち、ただいままでに見込みを含めまして三万六千百トンということでございますので、五十一年度以降に三万三千五百トン、二十隻が残されております。大体、建艦ベースが約一万トンということでございますので、海上自衛隊につきましては、おおよそのところ約二万トン近くのものが未達成に終わる予定であるということでございまして、全体が約七万トンのうちの二万トンが未達成というふうに、ただいまの段階では見込まれる次第でございます。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昨日のわが党の阿部委員質問に対して、総需要抑制はもう二、三年続けるという福田経企庁長官の御答弁であります。自衛隊の装備も決して聖域ではないわけであります。総需要抑制の対象になる。これはすでに山中長官がそういう方針で若干の削減をされた。そうすると、現在までの達成率から考えて、四次防の最終的な達成率を陸と空について九〇%というのは、これは相当甘いのじゃないかと思いますね。このような経済的な影響を受けて、確かに予算的に装備が制約された。こういうふうに達成率が七割ないし八割ということになった場合、防衛構想との関係は一体どうなるんですか。このような達成率で、四次防で目指しておりました防衛構想にどのような影響が生じるのか。それを明確にしていただきたい。
  76. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は、四次防計画というものは、わが国の現憲法下に許された、自衛のために必要な最小限度の防衛力を維持する上におきまして、ただいま考えられる最上のものだというふうな確信を持って四次防計画の達成に努力をしておるわけでございます。しかし、いま楢崎先生から御指摘のございましたとおりに、陸と空におきましてはほぼ達成の見通しがついておりますけれども、海につきましてはかなり困難が予想されると思います。大体、最初六万九千六百トンというものを決めましたわけでございますから、毎年一万トンくらいずつはずっとやっていかなければ達成困難なんです。ところが、四十九年度で八千トン、そして実行予算では五千二百トンというふうに落ち込みましたので、かなりの影響が起きておるわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、国民の生活を圧迫するようなことがあってはいけませんけれども、しかしながら、一面におきまして、必要最小限度の防衛力というものはやっていかなければなりませんので、この計画を変更するという考え方は持っておりません。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 委員長、お聞きになってわかりますか。四次防の達成率が七割ないし八割の場合に、四次防で考えた日本の防衛構想にどういう影響があるかと私はお伺いしたわけですが、いまの御答弁は、それに答えてないんじゃないですか。最小必要限度とか何とかおっしゃっていますが、それはもう防衛庁の当初からの言いぐさであり、国防会議の言いぐさでもあるわけですよ、必要最小限度というのは。そういうことを聞いておるんじゃない。たとえば防衛構想にいろいろあるでしょう。特に海の場合は、私が申すまでもなく、一番米軍が期待しておるところでしょう。その海の達成率が悪い。そう防衛構想に影響がないのだったら、一体四次防とは一体何なんです。何を目指してやっておるのです。ただ装備を更新する、それだけですか。防衛構想とは関係ないのですか。飛行機を二、三機減らそうが、護衛艦を一艦か二艦か減らそうが、防衛構想に関係ないのですか。それだったら、もっとほかにやってもらいたいことがある。私は後で言いますけれども。一体そういうものなんですか、四次防とは。それをお聞きしているのですよ。
  78. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 お答えいたします。  あるいはいま的確にお答えできなかったと思われるわけでございますが、四次防というのは、周辺海域の防衛能力及び海上交通の安全確保、並びに重要地域の防空能力の強化並びに各種の機動力の増強を重視しつつ、装備品の更新、近代化を図ることといたしておりますが、四次防の進捗のおくれによりまして、これらのテンポがおくれるという影響は免れないというふうに思いますけれども、しかしやはり、四次防を達成することによりまして、日本の安全保障というものが確保されるというふうに確信をいたしておる次第でございます。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官は確信を持っておられるそうですか、私は具体的にさっぱりわからないのですね。具体的にどういう影響を受けるのですか。たとえば海の場合、達成率六割の場合に一体どういう影響を具体的に受けるのです。長官の哲学を聞いているのじゃないのです。
  80. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 御案内のように、周辺海域の防衛のために四個護衛隊群を現在持っております。この四個護衛隊群の中身を近代化していくというのが、二次防、三次防以降の継続した計画でございまして、三次防に一個護衛隊群の近代化を、三次防の完成時でございますが、完了いたしております。四次防は、引き続きましてもう一個隊群の近代化ということを目標としたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、計画が大幅にダウンをしておるということによりまして、この一個隊群の近代化がかなり大幅におくれるということによりまして、周辺海域の防衛に間隙を生ずるおそれがある、こういうことでございます。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういう間隙が生じるのか。言葉としてあるだけで、さっぱりわからないのですね。  では長官、この積み残しは、一体、次期防衛力整備計画にどのように及んでいくのですか。つまり、ポスト四次防は一体どういう形になるわけですか。たとえば、これまでどおりやはり五カ年計画五次防構想なのか、それとも年度ごとのローリングで行くのか、大体どういう構想をいまお持ちですか。
  82. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 四次防以後の、つまりポスト四次防の防衛力整備の方向につきましては、いま具体的に申し上げるような内容はまだございませんけれども、しかしながら、装備について申し上げますならば、まず質的向上を重視していく。これを計画的に更新して近代化する。あるいは隊員の処遇の改善を中心として、現在欠落しております機能の整備を行うとともに、また民生協力体制の整備に力点を置くというふうなことになろうかと思うのでございます。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 よくわからないのですね。もう少し的確に。普通だったら、もう二年前から次の構想に入っているのですよ、毎回。それが全然わからない。いまのような答弁をだれに聞かせてもわからないんじゃないですか。きょう、実況放送はやっておりませんけれども
  84. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実は、われわれといたしましては、いま御指摘になりましたように、四次防の達成に精いっぱいということはおわかりいただいたと思うのです。そうして四次防以後をどうするかという問題につきましては、これは日本の経済自身も非常な転換期に来ております。それからまた、私たちの防衛力をどういうふうに維持していくかという問題につきましても、新しい観点に立ってこれを考えなければならない転換期に来ておるのじゃないかというふうに、新しい防衛庁長官は実は考えておるわけでございます。したがいまして、率直に申し上げまして、いま楢崎委員に的確に、あるいは周囲の皆様方に的確にお答えできないのが実は誠実な御答弁でございまして、ただ、これから非常に重大な問題であるから、私、責任を持って、ポスト四次防をどうやるかということについて検討をいたさせております。そうしてそのことにつきましては、近く三月以後、三月になりましてから、その明確なる指示をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、たとえばやり方につきましても、四次防だからすぐ五次防と楢崎さんはおっしゃりたいところでしょうと思いますが、あるいは間違っているかもしれませんが、そうじゃなくて、言葉につきましても、私は五次防という言葉を使いたくない。ポスト四次防はどうあるべきかという考え方です。そうしてそれは、たとえば固定方式でやっていくのがよろしいか、あるいはローリング方式でやっていくのがよろしいか等々につきまして、真剣に検討をいたすつもりでございます。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 向こう側がつくられた文を読まない方が、いまの方がわかりやすいのです。いまおっしゃっていることは、大体いままでどおりのパターンでやるというのは考え物だ、それでポスト四次防については大体この三月をめどにある程度の指針を出したい、こういうことでよろしゅうございますね。いいですね。
  86. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 はい。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは承っておきます。  そこで私は、一つ予算と関連をしてお聞きしたい問題があるのですが、陸幕第二部別室、通称二別と言っておりますね。この部隊についてお伺いをしたいのです。まず、これの編成、機構及び部隊別の人員、任務。なぜこれを聞くかと言うと、これは非常にえたいの知れない覆面の部隊であるからです。そうして五十年度の予算が幾らついておるか、要領よく簡単にお答えいただきたい。
  88. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 政府委員答弁いたさせます。
  89. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 お答え申し上げます。  急の御質問でございましたので、細かい資料を持っておりませんので大ざっぱな御答弁になるかと思いますが、陸幕の第二部別室、これは陸幕の第二部に付置をされております組織でございまして、その陣容は全体で約千五十人でございます。組織は、市ヶ谷に本部がございまして、全国七カ所の通信所、それから二個の分遣班、これが設けられております。  それから、ここでやっております仕事でございますが、これは外国の軍事に関します通信、これはわが国の上空に飛来いたします電波を、全部と言ってはおかしいのですが、これを傍受いたしまして、そしてそれによって周辺の軍事情勢を分析するという仕事をやっておるわけでございます。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いつこれは編成されたのですか。
  91. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 昭和三十三年の四月に陸上幕僚監部第二部別室というのが発足をいたしております。その当時は四カ所の通信所でございました。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 予算は。
  93. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ちょっといま予算の資料を持ち合わせておりませんので……。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 予算は約九億二千六百万円、間違いであったらあとで訂正してください。約十億近くの金をこれに投入する。千五十人の部隊である。しかも、これは陸海空から成っているんでしょう。混成部隊ですね。普通の通信部隊と違う。普通の通信部隊は、言うところのELINTですね、エレクトリックの方です。しかし、こちらの方は通常COMINTと言っておる。コミュニケーション・インテリジェンス。これは、先ほど申し上げたとおり、完全に覆面部隊になっている。当初、内調及び警察関係の方もこれに含まれておったんじゃないですか。どうですか。
  95. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 発足当初においては、いま御指摘のありましたような各官庁が関係をしておった——関係しておったというよりは、出入りをして支援を受けておった、こういうことがあったわけでございますが、現在はございません。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それらの方々がいなくなったというのは、制度上そうなったんですか、編成替えのためにそうなったんですか。
  97. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 制度上という御質問でございますが、制度的にはもともと防衛庁の組織でございます。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 警察なり内調がずっとおった、それが現在はいなくなった。それは編成上排除をしたんですか、自然にそうなったのかどうか、それを聞いておるんです。
  99. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは、派遣をしておりました各省庁の御都合によるものでございまして、当庁はそれの連絡に当たるということでお受けをしておったということにとどまるわけでございます。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの内調ないし警察も含めて、陸海空から派遣されている方々の本籍はどこにあるのですか。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 陸はもちろんでございますが、海空は陸幕長の指揮下に入っております。その他につきましては、これはよく事情がわかりませんが、当時はそれぞれ派遣元に身分があったように思っております。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 お聞きしておりますと、大変あいまいなんですね。のようですとか、らしゅうございますとか、全く把握されてないのではないですか、この二別という部隊を。定員は千五十名、陸上自衛隊四百八十、海上自衛隊百九十、航空自衛隊二百三十、事務官が百五十、こういう構成のようです。これは、そのおのおのの陸海空の定員の中に含まれているのですか。どうなんです。それを聞いているのですよ。
  103. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは、それぞれの陸海空の定員に含まれておりまして、それから二別の定員が、いま申し上げました約千五十名でございまして、それに移しかえておるということでございます。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大蔵大臣はこういう部隊の内容について御存じでしたか。これに約十億つけているのです。しかも、この十億というのは特別についておるわけでして、それぞれの身分によって、たとえば給与なんかはその本籍から払っていただくのではないですか。こういう部隊の必要性について、どのような検討をされましたか。
  105. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもはまだつまびらかにいたしておりません。
  106. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 楢崎さんは、この軍事情勢、非常にお詳しいわけですから——でございますが、日本の防衛力というものは、御案内のとおりに、日米安保条約に基づいて、核の問題については非核三原則をとっておる。それから憲法の制約もある。したがって、自衛のために必要な防衛力というのは、先ほど御答弁申し上げましたように、必要最小限度のものに限る。しかし情報、つまり日本の安全保障を確保する上におけるいろいろの軍事情勢というものは、これは的確に、正確に把握しておかなければいけない問題だ。つまり、ウサギは相手をやっつける、そういう動物ではありませんが、自分を守るためにあの長い耳が実はあるわけなんで、そういう機能です。(笑声)いや、これは笑い事じゃないと私は思うのです。これは非常に大事な点なんで、この点について、私は防衛庁へ入りまして、その点が的確に行われておるかどうかということについて真剣にいま検討もさせております。そしていま御指摘の二部というものがあることも承知をいたしております。そうして、私はこれを漸次本当に機能あるものにしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほどから申し上げたとおり、この二別には非常に隠密なところがあるのです。全貌が知られていない。しかも警察なりあるいは内調からも入っておった。ということは、この部隊が完全な隠密のスパイ部隊である。これはELINTと違うのです、COMINTと言っているように。私は、この具体的な例については、分科会で時間をとってやりたいと思うのです。こんな不明朗な部隊は私はやめたらいいと思うのです。  それで、今度、防衛庁設置法改正で増員を要求しておられますが、先ほど言ったとおり、陸から四百八十、海から百九十、空から二百三十も派遣しているような、こういう部隊はおやめになったらどうですか。そうしたら増員する必要はないのですよ。  私は、この点については、まだほかに問題を抱えておりますから、詳細は分科会に譲りますけれども、これはもう一遍、大蔵大臣、予算をつけられるときに、こういう部隊が果たして必要なのかどうか、もう少し検討される必要があると私は思う、ELINTというのがほかにあるのですから。これは大変なスパイ部隊なんですよ。それで私は、この全貌をもう少し明確に国民の前に明らかにする必要があると思うのです。
  108. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 いま防衛庁長官から御説明申し上げましたように、この二部別室というのは、隠密部隊でもスパイ部隊でも何でもございません。やっております仕事は、外国の軍事に関する通信、この通信も、わが上空に飛んでくる通信を傍受をいたしまして、それを分析をして周辺の軍事情勢を察知するということでございまして、わが国のように専守防衛をたてまえとしておる国としては当然行うべきものであり、いずれの国においても行っているものでございます。  先ほどELINT、COMINTということをおっしゃいましたが、ELINT、COMINT、いずれもここでやっております。部分的にELINTを航空自衛隊の出先でやっておるところもございますが、この二部別室においては、ELINTもやっておりますし、COMINTも行っております。  いずれにいたしましても、わが国のように領域の狭いところでは、外国機の侵入がありました場合に、御案内のとおり、レーダーサイトで情報を入手してスクランブルで飛び立ちましても、辛うじて領土上空間際で迎撃をするというような状態でございまして、このCOMINT、ELINTの助けは、平時のスクランブル実施上も大変に役立っておるわけでございまして、陸海空それぞれの対象がございますので、これを統一的に運用しておるということでございまして、何か秘密めいたものであるというものではございません。ただ、その活動の性格上、あえて外国にこういうことの存在を明らかにしない、活動の実態を明らかにしないというのが一般の国際常識になっておる、それだけのことでございます。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 詳細は分科会に譲りたいと思います。これは私は、こういう部隊はやめたがいい、その結論だけ申し上げておきます。  次に、PX、AEWの問題についてお伺いしておきますが、昨年十二月二十七日に、いわゆる専門家会議から国防会議の事務局長あて答申が出ておりますね。このうちで特にPXなんですが、これは一体、この答申を私も持っておるのですけれども、何を言っておるのですか。国防会議の事務局長は、どのようにこれを理解されておりますか。
  110. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  専門家会議の私に対する答申は、昨年末提出されました。この問題につきましては、非常にむずかしい問題でございますから、約一年数カ月をかけまして、技術的な観点あるいは財政経済の観点から、かなり詳細な検討が行われました。その結果の答申でございます。  確かにその答申は非常にむずかしい表現に相なっておりますが、私どもがこの答申を受けまして、その趣旨を理解しておる限りにおきましては、PXLにつきまして、結論としては、これを国内で開発することをどういうふうに理解すべきか、あるいはもし政府において将来このPXLを装備するとするならば、外国機の導入を図る場合にそれはどういうふうに評価すべきか、この二つについていろいろ検討した結果は、いずれを非とするというふうな答えは出しにくい。いずれについても長所、短所がある。したがって専門家会議として、最終結論としていずれをノーというふうに言うということはなかなか困難であるというのが総合的な結論。  ただ、それに付言いたしまして意見を述べておりますが、その意見は、国内産業の状況、あるいはこういうふうな基幹的な自衛隊の装備でございますから、もし財政上許すのであれば、あるいは防衛庁の期待する運用上の条件を満たし、また時期的にもそういうふうな条件を満たすというふうなことであるならば、あるいは国産ということは大いに期待されるところであろう。しかしながら、そういうふうな条件に欠くるところがありとするならば、やはり時期的に見ても外国機の導入ということもやむを得ないものと考えられる、こういうふうな付言をいたしております。  これが大体PXLについての専門家会議の私への答申の概要でございます。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どっちでもいい、いいようにしなさい、こういうことですね。どうするのですか、結局。
  112. 内海倫

    ○内海政府委員 どちらでもいいというふうに、まさしくとればとれるわけですが、それは無責任に、どちらでもいい、こういうふうなことを言っておるわけではなく、先ほど申しましたように、あるいは財政的な面、あるいは日本のそういうものを開発するについての基本的な技術能力、あるいは産業構造の面、とりわけ費用対効果というふうなものを克明に分析した上でそういう答えを出しておるのでございますから、したがって、政府といたしましては、私への答申を私から国防会議議員懇談会に報告いたしまして、それらの専門家会議からの答申内容というふうなものを十分参考にした上で政府方針を今後きめていきたい。そういう意味で関係の各省庁で早急に検討するということを議員懇談会で了解いたしました。現在、各省庁においてはその検討に入ろうとしておるわけでございますから、最終的には政府がやはり意思決定をいたさなければならない、そういうふうに考えます。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いつ決定されますか。
  114. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 政府委員より御答弁申し上げます。
  115. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ただいまの国防会議の専門家会議の答申に基づきまして、昨年の十二月二十八日の国防会議議員懇談会におきまして、PXLについては、国産の財政的、技術的基盤について関係省庁において検討しろということでございますので、国防会議の御指導を得まして、私ども関係省庁と詰めまして、五十一年度の予算編成が行われるまでの時点に、その財政的基盤、技術的基盤についての詰めをいたしたいというふうに考えております。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もしつなぎの問題が起こったらどうするつもりですか。たとえばつなぎとしては、やはりP3Cを考えておるとか、どうなんですか。
  117. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 まず、いま申し上げましたように、大前提は、四次防、それの当初から国産の研究開発ということで出発をいたしまして、それで、国防会議の専門家会議であのような御答申を得られたという結論になっております。そこで、財政的、技術的な基盤の検討というのは、国産についての検討をいたすわけでございまして、その結果がどういうふうに出るかについては、現在はっきり予測はできません。もし国産をするという点について基盤が不十分であるということになりました場合に、つなぎの問題を考えざるを得ないと思いますが、それは時期的には、四次防ではなくて、五十二年以降の次期防の期間の問題であるというふうに考えております。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もし開発でなしに輸入の場合は、たとえばP3CならP3Cにつなぎを決める場合には、やはり国防会議の決定が要りますね。
  119. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 御案内のように、文民統制の強化に関する国防会議の決定がございますので、新規の装備の取得につきましては、国防会議の御決定をいただくことになっております。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次に、YXの問題について通産大臣にお伺いをしておきたいのですが、御案内のとおり、四十八年度末でございますか、日航製から分離して民間輸送機開発協会がつくられましたね。そしてこれが担当するということになっておる。四十九年度の予算の残が幾らで、五十年度の予算は幾らか、それをまず明確にしてください。
  121. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 四十九年度の予算の残が相当出ることは事実でございます。その正確な数字は、いま記憶がございませんから、政府委員の方から答弁させます。
  122. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  五十年度の予算は二十一億でありまして、四十九年度の繰り越しは十二億一千八百万円であります。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一体これは見通しがあるのですか。私が調べたところでは、ボーイングと提携をされる、ところが、ボーイングの方はもう727の改造に入っておりまして、次の7X7の取り組みは全く見通しがないわけでしょう。しかも、十二億も四十九年度積み残して、また二十一億も五十年度につけておる。見通しないのです、全然。全然ないでしょう。ありますか。どうやるのですか。たとえば7X7の開発等を考えておるのですか。民間輸送機開発協会のためにこの予算をつけておるのですか。何です、この予算は。
  124. 森口八郎

    ○森口政府委員 私どもYXの開発をやろうということでいろいろ経緯があったわけであります。結局、ボーイングと提携をし、さらにイタリアを加えて、日、米、伊三国間の共同開発ということで話を進めてまいったわけであります。当初の予定では、四十九年度中にも正式な契約を結んでスタートいたしたいということで努力を重ねてまいったわけですが、何分にも交渉事でございまして、そういうようなわけで期日がずれて、現在まだボーイングと日本の民間輸送機開発協会との間で交渉を進めておるというような現状であります。御指摘のように、ボーイング社におきましては、727の改造計画があることは事実であります。ただし本件のYXの飛行機は五年先のことであります。したがいまして、727の改造計画がありましても、YXの離陸は十分できるというように考えておるわけであります。ただ本件は相手方のある交渉事であります。したがいまして、日本側の担当者といたしましては、交渉妥結を目指して全力を挙げて現在交渉に邁進しておりますし、私どもも、わが国産業構造高度化の担い手としての航空機産業の振興を図るという考え方から、これを全面的にバックアップをいたしまして、交渉をぜひとも成立させるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 見通しないんですよ。はっきりしておるんですよ、これは。こういう見通しのないものに十二億、さらに五十年度二十一億。民間からの分を入れれば四十億でしょう。何でこういう予算をつけるのです。見通しは何にもないのです。交渉をする交渉をすると言っても、交渉のめどもないのですよ。大蔵大臣、私はこういう点も考えてもらいたいのですよ。こういうめどのない予算を何でこんなに大量につけるのですか、四十九年度に十二億も余しておいて。まだほかにどれだけ民生のために必要な予算があるか、私はそれを言いたいのですよ。こんな予算は削除すべきだと私は思う。全然見通しがありませんよ。これだけはひとつ、四十九年度十二億余っておるなら、五十年度の二十一億は削除してもらいたい。どうですか、大蔵大臣。
  126. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま通産省側から御答弁がありましたように、交渉中でございまして、確たる展望がまだつかみ取る状況に至っていないことは事実でございます。しかし、予算をカットするということになりますると、交渉のベースを失うことになるわけでございまして、私どもといたしましては、この種の交渉につきまして、予算をはずすことによって、はしごをはずしてしまうというようなことはいたしたくないと考えております。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ボーイングとの交渉のめどはないのですよ。十二億積み残しておるからいいじゃないですか。五十年度の二十一億は要らないじゃないですか。こんな見通しのない予算をだれのために一体つけているのです。これは通産省も考えてもらいたい。  厚生大臣、おられますか。私は一例を挙げたいと思うのですよ。私は四十七年の暮れ、それから参議院では四十八年の四月、わが党の野々山委員ががん対策について要望しております。いまがんに冒されて亡くなっていく人がどれくらいおりますか。年間三十万と言われておる。死亡率は脳卒中等に次いで三位と言われているのです。このがん対策に一つの明るい光明が出てきた。それは医療用の原子炉ですよ。医療用の原子炉を持ってきさえすれば、いま千分の一ミリの差もなく患部に当たるようになっている。一台たかだか十億ですよ。いまたった一台、川崎の東京原子力産業研究所に工業用の原子炉があるだけ。しかしこれは医療用の原子炉に比べて何十分の一の出力しかないのです。それでもそれを使っていま日本の専門医が治しつつあるのですよ。手術もようせずに三時間で治しておる。それを私は言いたいのですよ。軍艦が一つなくなった、一体どれだけ日本の防衛力構想に影響があるか、わけがわからない。わけのわからない、めどもないようなYXの予算を二十一億つけるのか。医療用の原子炉はどうなったのですか、約束されたのですが。亡くなられた愛知大蔵大臣は、これは大いに考えたい、ぜひ実現させたいと答弁しているのですよ。五十年度予算についていますか。なぜこういうがん患者が切実に待望しておる医療用の原子炉というものに予算をつけないのですか。私はそれを言いたいのです。どうなんです、厚生大臣。
  128. 田中武夫

    田中国務大臣 当省では予算要求をしておりません。したがって、ついておりませんが、科学技術庁関係でこれを処理するというふうに聞いております。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 科学技術庁関係ついていますか、大蔵大臣。きょう科学技術庁呼んでいませんが。
  130. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ただいま手元に資料ございませんので、至急調べてみます。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何たることですか。あれほど二年越しにわれわれが要求し、実現のために努力すると答弁しておって何ですか、それは。そんなことだったら、われわれ何ぼ質問してもだめですよ、実現すると約束しておって。これで難病対策ができると思いますか。一体何をやっているのです。(発言する者あり)
  132. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 お静かに願います。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 はっきりしてくださいよ。
  134. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま取り急ぎ調べまして御報告いたします。
  135. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 楢崎君に申し上げますが、御要求の総理大臣が出席しておりますから、大蔵省で調べているうちに、ひとつ時間の都合上、総理大臣に御質問願って、大蔵省は早くいまの答えを出すようにいたします。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がありませんから、それでは委員長の言葉に従います。  実はこういうやりとりを総理に聞いてもらいたかったのですよ。交渉のめどのないYXに二十一億つける。しかも四十九年度から十二億予算余している。そういうむだな予算をつけながら、四十七年度と四十八年度にわれわれが要求した、がん対策のための医療用原子炉を何とか備えつけてくれ、こういう工業用原子炉しかないから——これは医療用原子炉の何十分の一の出力しかない。医療用の原子炉が備えつけられれば、たとえば全国九つ、百億ですよ。ファントム二機やめればいいんですよ。二機やめたって何の影響もない、日本の防衛構想には。さっきおっしゃったとおりです。  いま聞いたら、つけておるかつけておらぬかわからぬと言うのですが、いま委員長からの指図がありましたから、それは調べてもらって後であれしますが、総理、まず冒頭お伺いしますが、非核三原則というのは、平時の原則でございますか、それとも緊急時も含めて日本の不変の国是でございますか。
  137. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 日本の不変の原則でございます。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、まあ幼稚な言い方かもしれませんが、日本はアメリカに防衛の補完をしてもらっている、核のかさのもとにある、しかし日本は持ち込ませない、何か核を使うときには日本以外のところで使ってくれと、こういうロジックになるわけですね。こういうフリーライダーと申しますか、アメリカの方がそれを了承しておるのかどうかですね。そこで、もう当初、佐藤内閣の時代は、イエスもありノーもあるというようなお答えであったようですが、いま非核三原則は不変の原則、平時も緊急時も問わない。それでは、その方針で内閣は統一されておるのでしょうか。もう一度、済みませんが念を押したいと思います。
  139. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 内閣を代表しての御答弁でございます。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 航空自衛隊は四十九年度の総合演習をやりましたね。このときの想定の中に、これは例によって色で青、緑、赤。青は日本でしょう、緑はアメリカでしょう、赤はソ連でしょう。沿海州、樺太に敵が集中をした。事態が緊迫をした。そこで、全航空部隊は北海道に集結をする。専用飛行場は三沢、千歳、八戸、帯広——帯広は民間飛行場ですね。赤、つまり仮想敵国、ソ連でしょう。これは四百機をもって攻めてくる。これに対してわが方は、ナイキJ部隊とファントムが迎撃をする。そして、これが残念ながら、三日間でナイキJもファントムもやられる。結局、四日目から米軍の来援を頼む。その際に、ナイキJにかわって核ハーキュリーズを導入する、そうなっておりますね、想定は。間違いありませんね。
  141. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 米軍の弾薬補給の期待を一応想定しておりますが、核ハーキュリーズを期待はしておりません。全部通常弾頭でございます。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 違いますよ。核ハーキュリーズを入れるようになっている、米軍から四日目以降。四十九年度の航空自衛隊の想定は焼いたという話を聞いておりますが、調べてください。全然削除せずに私は資料として出してもらいたいと思う。つまり、いま三木内閣は、非核三原則は不変の国是である、緊急時もという国是でございますが、自衛隊はそうじゃないですね。緊急時、つまり、いまのような想定のときには、アメリカから核ハーキュリーズを入れるという想定で総合演習をやっている。これはひとつ、総理の方針と違うわけですから、四十九年度航空自衛隊総演の想定を、削除するところなく出してもらいたい。よろしゅうございますか。
  143. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほど楢崎議員の御質問の中に、ある特定の国を仮想敵国としたという御指摘がございましたけれども、われわれの自衛隊におきましては、赤、青ということで演練はやっておりますが、仮想敵国を特定してはやっておりません。  それから、いまの問題については、防衛局長から御答弁申し上げます。
  144. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、私ども、核兵器を使って、仮に米軍にいたしましても、核兵器を使用しての戦闘ということは、想定をいたしておりません。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いずれにしても、四十九年度航空自衛隊総演の想定を出してくださいと私は言っているのです。出せますか、削除するところなく。
  146. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 委員長の御指示によりまして、決定さしていただきたいと思います。
  147. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと何ですか。
  148. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 委員長の御指示によりまして……(発言する者あり)
  149. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 お静かに願います。丸山防衛局長
  150. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 該当部分につきましては、委員長のお取り計らいに従いまして提出をいたしたいと思います。
  151. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 じゃ、楢崎君に申し上げますが、理事会で相談をいたしまして、結論を出します。理事会の結果で、出せと言えば出しますし、出すなと言えば出さない。理事会で決めますから、どうぞひとつ暫時お待ちを願います。しかし、立法府の立場といたしまして、できるだけ期待に沿うようにいたしたいと思います。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、その問題は保留しておきます。  次に、これは私が四十八年三月十三日に当予算委員会で質問して、当時の田中総理が私に善処を約束された問題であります。  実は、横田空域が依然として米軍の専管空域になっている。私が特に、いま専管空域は横田と岩国と嘉手納ですが、そのうちこの横田を問題にするのは、日本の首都圏に日本の空がないということを問題にしているのです。この横田空域の航空路は有名なブルー14です。壁になっている。つまり羽田空港の壁になっているんですね。だから、そのためにたとえば民間航空機は、その空域を一々許可をもらって、回廊をつくってもらって飛んでいるか、あるいは上り便は全部、板付から飛ぶときには大島上空を通ってきていますね。だから、この横田空域の管制権は、ぜひ日本に取り返すべきであるという要求をしたのです。そのとき田中総理は、善処すると約束をされた。  ところが、驚いたことに、実はその一年前の四十七年、つまり一九七二年四月十一日付で、米空軍の航空施設部長ロナルド・H・マッキンレー中佐から、この横田空域の管制の移譲の問題について相談したいという相談がすでにあっておったんですね。そして七三年の六月十五日も、私の質問した直後ですが、重ねて話し合いたいという要求が米軍の方からあっているのです。これを航空局の方で実はこっそり断っているんですね。こういう米軍からの要求があっておったのを運輸大臣は御存じでしたか。
  153. 木村睦男

    ○木村国務大臣 いまお話の点は、私の在任前でございますが、運輸省は承知をいたしておりました。  いまの点に関連いたしまして、ちょっと申し上げたいと思うのでございますが、いまお話がございましたように、四十七年の四月にいまのマッキンレー中佐ですかから、当時運輸省の安全監察官でありました西畑君という人に対して手紙が来ておるわけでございます。その内容は、横田の空域の範囲を削減して東京管制本部、そこの空域にいたしたいということと、それから、もし必要とあれば、横田にあります長距離レーダー等のそういうものを、東京管制部の方に提供することも考えられる、というふうな意味の手紙があったわけでございます。これにつきましては、四十六年ごろから、運輸省といたしましては、日本全体の航空管制の近代化のためにいろいろスケジュールをつくって準備をいたしておりまして、たとえば四十六年の七月には、福岡空港に管制業務の移管を実施するためにいろいろと計画を遂行し、また四十七年になりますと、沖縄返還に伴います那覇の飛行場あるいは着陸誘導管制業務等、そういった仕事のために管制官等もつくりまして、その方のことに忙殺されておったわけでございます。そういう航空局の現状を先方に話をいたしまして、先方はそのことは了解をいたしておるわけでございます。  それから、四十八年の六月になりまして、ジョーンズという大佐から西村管制課長に、再び大体同じような提案がされたのでございます。その要旨は、当時から三年ないし四年間に日本の管制能力の好転が期待されるようであるから、この空域の調整について将来どうするかということの話し合いをいたしたいということでございまして、これを受けまして、運輸省といたしましては、府中において会議を催しまして、いろいろ検討をいたしたのでございます。その検討の結果、日本側といたしましては、四十九年の五月に予定しておりました那覇の航空管制の業務の移管、それから五十一年に予定しております他の航空管制地域の三沢の庁舎の移転と、いろいろそういう計画がございまして、それらを抱えておりますので、これらを全部処理をいたしまして、そしてこの話をさらに続けていこうというふうな相談になりまして、アメリカ側の方も、直ちに空域の削減を実施するという意向では必ずしもございませんで、三年ないし五年のそれには準備が要るということのような話でございまして、当方もその点では大体意向が一致したということでございます。  そこで、現状どういうふうになっておるかといいますと、現在、関東全域につきまして、航空管制上のいろいろな近代化のための措置を講じております。現在、東京管制本部が東久留米にございますけれども、非常に狭くて移転をいたしております。移転して人員をふやして、その人員で仕事ができるようになって、初めていまのような要求に対して受け入れ体制ができる、こういうことになっておりますので、そういう予定で準備を進めておることを申し上げておきます。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、実情をよく知っているつもりです、管制官が足らないという。ただ、先ほど申し上げたとおり、首都圏の中にある米軍の専管空域、これは日本の独立に対して大きなたんこぶになっておるわけですよ。せっかく米軍から横田空域の管制権を返したいという話し合いがあれば、何はともあれそこにまず集中すべきではないかというのが私の意見なんです、その順序としてですね、あるいは横田空域が返ってきたら、羽田はいま発着が四百五十機ぐらいでしょうが、あと百機ふえますよ、だからそこに集中すべきではないか、これを申し上げたいのです。  それと同時に、行管庁長官、さっきから恐縮ですが、この管制官については、ひとつ総定員を、枠に縛られずに、これは大いにふやしていただきたい。そして優遇していただきたい。この二つを要望したいのです。  それで、これは総理が最高方針を決められますので、せっかくこういう話があるのですから、総理、この横田空域を取り返すということの方に重点を置く方針転換をひとつお願いしたいわけですが、どうでしょうか。
  155. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 せっかく米軍としても横田の管制権を日本に返したいというのですから、そういうことでありますから、この協議を促進することに努力いたしたいと思います。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 行管庁、ひとつ定員の問題。
  157. 松澤雄藏

    ○松澤国務大臣 事務当局から答弁させます。
  158. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 お答えいたします。  管制官は、四十六年度現在の定員が千九十四人でございましたが、過去四年間に逐次増員をいたしてまいりまして、五十年度の定員は二千百五十六人と、約二倍近くになっております。定員事情の非常に苦しい状況でございますけれども、できるだけ努力してまいりたい、かように考えております。
  159. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では要望をいたしておきます。  次に、せんだっての予算委員会で保留をしておりました陸上自衛隊幹部学校兵学研究会の問題であります。  防衛庁長官は、ごく個人的な、私的な研究とおっしゃいましたが、この研究会は、その後明らかになったところによると、研究会の役員は、つまり理事長ですが、これは学校長なんです。副理事長は副校長がなられておるのです。そして会員は、幹部学校所属の幹部はもちろんのこと、幹部学校以外の陸上自衛隊の幹部も賛同者は参画しておる。最盛時は百人と言われている。だから、これはもう陸上自衛隊幹部学校、つまり昔の陸軍大学総ぐるみの研究会なんです。しかも、ほかの陸上自衛隊の幹部の諸公も参画しているのですから、言うならば自衛隊ぐるみと言ってもいいくらいな研究会。その研究会の機関誌に堂々と、私が指摘したクーデター研究の論文が掲載をされておる。ここに問題があると私は思うのです。だから、これをわかりやすく言うと、あの論文を見る限りは、革新連合政権ができたときに、社公民くらいまではまあじっと自衛隊はがまんをする、社共連立内閣になるとこれは決起するときだ、こうなるんですね、あれからいくと。もう一つの言い方をすれば、わが党の佐々木元委員長がおっしゃっていたように、社会主義的的連合政権のときはじっとがまんの子である、しかし、社会主義的政権になったらこれは決起しなければ、社会主義政権になったら大変だからということになるんですね。これは私は、議会制民主主義の立場からも、あるいはシビリアンコントロールの立場からも、幾ら個人的な研究といえども、自衛隊員である以上、自衛隊法にこういう行動はどこにも根拠がないわけでしょう。自衛隊法に根拠がない、まして憲法に違反するようなこの種の研究を、幾ら個人であっても自由にできるのかどうか。研究というものについても、ここに一定のコントロールが必要である、限度がある、私はこう思うわけです。その点についての総理の見解を、まずひとつぜひお聞きしたい。  それともう一つは、これに顧問がおるんですね。「理事長が委嘱する適任の賛同者」、この顧問はどういう人物であったか、これを明確にしてもらいたい。それから講師群がおるんですね。講師が呼ばれている。どういう講師が呼ばれておったか。情報によると、与党のタカ派と言われる人たちが呼ばれておる形跡がある。これは、いずれ明確にしたいと思います。まず防衛庁の責任においてこれは明確にしてもらいたい。以上。
  160. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 楢崎委員の非常にいい御質問だと私は思います。と申しますのは、ただ、この研究会が確かに学校長とか理事長とか副校長、そういうものが後でどんどん入ってきて、いかにも防衛庁が権威づけて公的なものにしたようなかっこうをしておる、これはまずいと私は思います。しかしながら、この性格そのものはあくまでも私的同好会だということ、この点はひとつよく御理解をいただきたい点であります。  それからもう一つは、これにいたしましても、研究内容が軍政学、戦略学、作戦戦術学等の多方面に及んでおりまして、各人がそれぞれのテーマを自由に選んだもののようでございますし、特定のテーマに片寄ることなく、歴史上では、孫子の研究とか、あるいは戦場での戦術から後方の補給支援まで、さらには科学、経済、個人資質の研究など幅広いものに実はなっておるわけで、この論文というのはその中の一つでございます。しかし、その一つの問題でありましても、楢崎委員の御指摘は、まさにそのとおりであって、個人がこういうようなことを研究することは、これから軍事というものについて勉強しなくちゃならぬということは、これは、むしろ奨励さるべきものだと私は思います。しかしながら、いま申されたように、一般公務員としてあるいは自衛隊員としての節度というものは、一面においてなけらねばならない。いやしくもクーデター研究というようなことになる、あるいは実力の行動に出るようなことを研究しておるということは、いかに個人的な問題であるといえどもいけない。  もう一点は、政党を批判するような、あるいは茶化すような、そういうようなことを個人の研究といえどもなすべきではない。これはしかし、一般的な公務員としてあたりまえなことなんだ。しかし私は、防衛庁長官としましては、先ほど申しますように、自衛官といえども一般国民が持っておるところの研究、思想、信条の自由というものはあるわけなんで、それはやはり認めてあげるべきである。それでなければ、余りあれもやっちゃいかぬ、これもやっちゃいかぬということになりますと、非常に独善的になって、そうして妙なことになるおそれがある、私はそう思うのです。  そこで私は、この問題を非常に大事に考えまして、この措置についていま検討いたしておるところでございます。いずれこの点につきましても、明確な線を出したいというふうに考えておるわけでございます。
  161. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 お答えします。  先生の御質問の中に、顧問の問題、それから部外者からの講師の招請の問題がございましたが、その点につきましては、私から答弁させていただきたいと思います。  先ほどから大臣が申し上げておりますように、兵学研究会の構成メンバーというのは、私的な研究会でございまして、活動が非常に鈍いということで、先ほど大臣申しましたように、四十三年、形式的でございますけれども理事長に校長というようなものを据えたわけでございますが、その後も研究については低調でございました。その際に、顧問というような制度を設けるようなことになっておったようでございますが、現実には顧問を任命した様子もございません。  それから部外から講師を呼んだかどうかということでございますが、部外から講師を招いたという事実も聞いてございません。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは、いずれ明確にする時期を私考えておりますので、いまの答弁は間違いです。ごまかしです。それだけ明確に申し上げておきます。  それで総理、こういうことはきちんとけじめをつける必要がある。これは大変な問題ですよ、われわれ国会にとっても。総理の御見解を、この問題について最後にお伺いしておきたいと思います。
  163. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 御指摘の兵学研究会、私的な研究の論文であるということでありますが、これは、いろいろ研究をすることは当然でありましょうけれども、おのずからそこは、御指摘のようなクーデターの実施の研究ということは、やはりいろいろな誤解を生じて適当ではない。今後自衛隊というものが憲法、自衛隊法の規定のもとに、やはりシビリアンコントロールの原則は厳しく励行することによって、国民の負託にこたえなければならぬと私も強く考えておる次第でございます。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この点は、ひとつ断固たる措置を要請をいたしておきます。  そこで、この前残しておりました最後の問題ですが、いわゆる三光汽船の問題です。私が、この前、理事会に預かっていただきました諸問題について、まだ明確な回答が出ないわけですね。その中でも、私はこのぐらいはいいではないかと思って、この問題のイースタン・シッピングがエージェントになっている香港在住の会社、あるいは法人、個人についてそのスペルですね、英語のつづり並びに住所ぐらいは教えていただきたい。ところが、これに対して三光汽船からの回答は——これは、運輸省が三光汽船に対して照会したんですね。そうしたら、これは運輸省に対する回答でしょう。外人株主のことでもありますので、資料の提出は本人の了解を得るまで差し控えさせていただきます。つづりも教えられない、住所も教えられないとは何事ですか。幾ら外人の株主であろうと、そんなに隠さねばならぬのですか。そんなに調べられることがこわいのですか。何かあるのですか。さらに、その三光汽船が売船をしたいわゆるリベリアの会社ですね。私はこれは幽霊会社であると思っておるのですが、これについてやはり住所を調べてもらった。ところが、三光汽船が売船をした相手のミダス・シッピング・コーポレーション、それからオリエンタル・シッピング・コーポレーション、カスピアン・マリン・コーポレーション。問題の事故を起こしたパシフィック・アリス号、これは「たじま丸」ですが、これを売った相手のパシフィック・バルク・キャリアーズ・インコーポレーション、この四つの会社は全部同じところにあるのです。八〇・ブロードストリート・モンロビア・リベリア、この八十番地に全部あるのです。そして、この責任者あるいは内容を知らせてくれと言ったら、これまた全然回答がない。  そこで私は、三木総理にお願いをしたいわけです。依然としてこれは理事会で預ったままで保留の形になっておりますが、田中前総理と比較するのはなんですけれども田中前総理はやはり政治責任を痛感をしてやめられた。そのやめられた大きな原因の一つに、やはり当時の三木副総理の批判があった。政治家というものは国民に疑いを持たれるだけでだめだ、この批判ですね。それから、せんだっての私の質問に対して総理は、毎回言うようですけれども、疑惑について説明できないようなことがあったりしたら、あるいは反社会的な商法等々があったらこれは責任をとらせると私に約束をされた。まだ疑惑は解明されない。田中前総理はやめた。河本通産大臣はまだおられる。では、田中前総理は悪くて河本通産大臣はいいのか。私はここでやはり、三木総理のクリーンというのは一体何なのか、これを疑いたくなるのですね。これはまだ懸案になっておりますから断定はいたしません。総理に対する要望は、ぜひ三木総理の手によって、徹底的に私が提出した疑惑を責任を持って解明していただきたい。どうでしょうか。
  165. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 総理の前に一言だけ申し上げたいと思うのですが、先ほどリベウアの会社が同一住所である、こういうお話がございました。これはリベリアは、御案内と思いますが、全部便宜置籍の船になっておりまして、その背後には、ギリシャであるとか、あるいはヨーロッパのノルウェーであるとか、あるいはアメリカであるとかカナダであるとか、あるいはまた香港であるとか、そういうふうな国々の有力なる船会社あるいは貿易商社等が背後で実権を持っておる、いわゆる便宜置籍の会社がたくさんあるわけです。私は、数は覚えておりませんけれども、数千あると思うのです。ただしかし、この便宜置籍ということを国の本業といいますか、そういうことにしております関係で、全部国営の船会社といいますか、代理店会社がありまして、そこが全部一応住所になるのだそうです。でありますから、世界じゅうの数千のいわゆる便宜置籍の船会社が一応全部そこの住所にしておりまして、その四社だけではなくして、私の承知する限りにおいては数千の会社が、何か政府の指定する国営の代理店会社ですかの所在地がその住所になっておると承知しております。リベリアに関する限りはそういうことだと思います。  それからもう一つ、株主の問題についてのお話がございましたが、実はいま三光汽船では一万人以上の個人株主がございますし、四、五百社の法人株主があるわけです。外国では、ヨーロッパ、アメリカ、香港と各方面に上場しておりまして、外人株主の数も非常にふえておるわけなんです。立場というものをよく理解されまして、外人株主の数が非常にふえつつある。そういうやさきに、株主になったということだけでいろいろなことを調査をされるということになりますと、これまた株主間で動揺等が起こってくる、誤解等も起こってくるということ等も多分心配したのではないかと私は思います。そこで、いま運輸省あての答弁をお読みになりましたが、そのことにつきまして、私はつまびらかにいたしませんけれども、多分、やはり海外の株主でございますから、非常にデリケートな問題がございますし、それから株式市場というものは非常にデリケートでございますので、だから、そういう意味でやはり、住所、氏名とか、そういうものを含む資料を出すについては相手方の了解を得たい、こういう趣旨でなかったかと思うわけでございます。
  166. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 私も、いろいろと楢崎さんの御質問に対して、河本大臣、誠意をもって答えておると思うのでありますが、疑問があれば解明をされて、そして疑問は明らかにされることが、これはやはり国会として当然のことだと思います。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これでやめますけれども、疑問は解明されてないんですよ。どうでもいいことは誠意をもって答えておられるような感じになっておりまして、大事な点は全然答えてないのです。それはもうこの前指摘したとおりです。それで、これは留保された問題でもございますし、ぜひ理事会の取り扱いにまちたいと思います。  最後に一問だけお許しをいただきたいのですが、この前やはり懸案にしておきました埼玉銀行の谷古宇産業に対する融資残高を、私は数字を挙げて調べてくれと言っておきました。それがどうなったか。それと、日本住宅公団の関係が見えておりますから、日本住宅公団は谷古宇産業の土地をいま買う交渉をしておるかどうか。岩槻市です。土地は約十三万坪、金額にして百億近い。これだけ明確にしてください。
  168. 山岡一男

    ○山岡政府委員 日本住宅公団が谷古宇産業から土地を購入したかどうかという点でございますが、調べましたところ、日本住宅公団がいままでに購入いたしました土地は二件でございます。一件は大宮市の加茂川団地、購入年月日は昭和四十五年十二月、約八万平方メートルでございます。金額は八億四千万円ほどでございます。もう一件は大宮市の西遊馬団地、購入年月日は昭和四十八年十二月、面積は一万二千九百平米、購入価格は五億九千万円ほどでございます。  なお、今後の購入予定については、現在、具体的なものはございません。
  169. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 先ほどの楢崎君の質疑に対し、主計局長から報告をいたさせます。竹内主計局長
  170. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 お答えいたします。  五十年度の予算におきましては、科学技術庁、文部省、厚生省の三つに分かれて百三十四億九千万円のがん対策費が計上されておりますが、お話の原子力の利用によりますがんの治療の問題でございますが、一つは科学技術庁におきまして、放医研、放射線医学総合研究所に対する研究費三億二千八百万円というのがございます。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことは聞いていないのです。医療用の原子炉はどうなっているかということを聞いているのです。
  172. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ですから、放医研でサイクロトロンの設備をつくりまして、そこで中性子を発射させる、その中性子を利用してがんの治療の研究をするというために三億二千八百万円の予算が計上されておるわけであります。放射線医療でございます。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 違いますよ、あなたの答弁は。そんな研究じゃないのですよ。治療用の原子炉を設置するかどうか、これを聞いているのです。約束しているのですよ、わが党に。
  174. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 その点につきましては、私どもいま確かめましたところでは、原子力利用によりまするがんの治療というものは、現在まだ開発段階にあって……
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 違いますよ。あなたは知らないんだ。もうちゃんと四十七年度、四十八年度の質問実態を明らかにしているのですよ。じゃ、いま一遍それをやりますか。冗談じゃないですよ。川崎の工業用の原子炉しかないから、それを使ってもうすでによくなった人があるんですよ、何人か。医療用の原子炉を備えれば、それの何十倍という威力が出て、さらにがん患者に光明を与える。たかだか十億だ、ぜひそれは協力して実現しましょうと約束したんだ。それはどうなったかを聞いているのですよ。何も研究用に幾ら出したというような話じゃないのですよ。
  176. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ただいま申し上げましたように、その放医研に対する三億二千万円の研究費、そのほかに文部省に対しまして、がん特別研究費として十一億ついております。(楢崎委員「だめですよ、そんなことを言ってちゃ。何を言っているんですか」と呼ぶ)原子炉によりまする治療ということにつきましては、要求を受けておりません。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうでしょう。つまり全然予算を計上してないということじゃないですか。約束はどうなったのです、約束は。(「だれだ、約束したのは」と呼ぶ者あり)亡くなられた愛知大蔵大臣です。じゃ、それは責任ないとおっしゃるのですか、亡くなられたから。自民党内閣として責任ないのですか。何に使うか、わけもわからないようなYXに、めどもないのに二十一億も予算をつけて、実際にがん患者が渇望しておる医療用の原子炉、一基十億、なぜそれがつけられないのです。それを言っているんです。私は承服できませんね、これは。全然約束を履行してないから。
  178. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ただいまの件は、主計局長は原子炉をがん治療に利用の関連において、予算上どういうものがいま計上されておるかということの御説明を申し上げたわけでございます。ところが楢崎委員は、そういうものでなくて、故愛知蔵相が言われたものずばりが予算化されていないじゃないかという御指摘でございます。御指摘のとおりでございまして、そういう要求は現に五十年度予算になかったわけでございます。したがってまた、予算で計上が残念ながら見ていないことは御指摘のとおりでございます。  いま局長からもお話がございましたように、私ども、これは完成された技術であるというようには承知していないわけでございますけれども、御指摘もございますので、なお検討させていただきたいと思います。  それから第二の、埼玉銀行から谷古宇産業グループに対しまして融資残高が幾らあるかという御質疑でございましたけれども、これは具体的な融資状況については、個々の取引内容にわたりますので、この場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もう時間が来ましたから、これでやめますけれども……
  180. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと申し上げますが、あなたの御質疑と政府答弁とかなり食い違いがあるようだししますし、理事会でなお研究して処置をするようにいたしたいと思います。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それで結構ですが、念のために申し上げておきますと、四十七年度の私の質問に対しては、当時通産大臣であった現幹事長の中曽根さんも私に約束したのですよ。二年度にわたって約束しているのですよ。念のために申し上げておきます。検討するということは予算の修正に通ずる問題ですから、これはわれわれは重大に受けとめておきます。  それじゃ、委員長の裁断にお任せをいたします。
  182. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 理事会でよく検討いたします。  本会議も始まっておるようでございますから、駆け足でひとつ行っていただきたい。  午後二時より再開することといたします。  暫時休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  183. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
  184. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 質問に先立ちまして、委員長のお許しを得て、これから質疑をいたします内容の資料を一応各大臣にお見せいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  185. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 結構です。
  186. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、配ってください。  三木内閣が発足して以来、すでに三カ月を経過しようとしているわけでございますが、その三木内閣発足に当たっての政治の一つの基本的な柱と一して、社会的不公正の是正ということが挙げられておるわけであります。  本日、経企庁長官の所信表明がございましたが、そのお話を聞きましても、これからの経済運営に当たっては一いわゆる資源は無限というような従来の立場から大きく方向転換をしなければならない。その長期方針の転換ということが、一つは経済運営に当たって大事な問題ではないか。さらにまた、その長期方針の転換までの短期的な措置、この二つの問題を挙げられまして、その中身としては、経済成長のスピードの転換あるいは中身の転換等を十分に検討する必要があるであろう。経済力の配分、生活環境のおくれを是正する等の問題があるけれども、なおその基本的な問題としてやはり取り上げなければならぬのは、社会的不公正の是正への配慮であり、省資源政策の徹底である、こういうような趣旨のお話をちょっといま伺ったわけでございますけれども、特に三木内閣が、今日の政治不信の一因として、この社会的不公正を挙げておられるわけでありますが、その解決、是正に乗り出そうとしている姿勢は高く評価するわけでございますけれども、一体どのような実行がこれからあらわれてくるのかというのが問題であります。言葉のみあって実行力に乏しいという批判も、新聞等には散見するわけでございますが、私は、本日この予算委員会におきまして、やはり社会的不公正の是正という立場から、国有地に関する各種の問題提起をいたしたいと思うのでございます。  私が取り上げます国有地につきましては、いわゆる国有財産法の中に規定されている問題の中の、主として行政財産ではなくて普通財産の分についてでございます。しかもその貸与の問題、貸し出しをしている国有地の問題が主でありますが、この問題提起をする前に、やはり政府全般が社会的不公正の是正をうたっているわけでございますので、大蔵当局におかれましても、こういった姿勢で行政全般を見直す必要があるのではないか、こういうふうに思います。  そういった意味におきまして、大蔵大臣に、どんな決意に立たれて今後行政全般の見直しをしていかれるのか、特に社会的不公正の是正という立場から、どのようなお考えで臨まれるのかを、まず最初にお伺いしてまいりたいと思います。
  187. 大平正芳

    ○大平国務大臣 社会的不公正の是正という問題は、いつの時代におきましても、政治が追求しなければならない道標であると私は考えます。われわれも過去におきまして、そういう考え方で行政に携わってまいったわけでございますけれども、年年歳々経済が成長いたしまするし、財政は自然増収を確保することができまして、社会的不公正に対する不満がある意味において緩和されておりました時代を、ある期間経過することができたと思うのであります。しかし、経済はすでに低成長時代に入ったわけでございます。歳入、歳出両面にわたりまして、厳しくこの社会的公正の問題が問われなければならぬ厳しい客観的情勢になってきたということをしみじみ感じておるわけでございまして、いままで以上に真剣な態度でもって、この問題の打開に努めなければならぬと考えております。
  188. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは具体的な問題に入りたいと思いますが、公明党は早くから国有地の総点検をやっておるわけでございますけれども、こういう角度から、私は今回、大蔵省のいわゆる普通財産である国有地の貸し出し問題について、かなり大幅な追跡調査をしてみたわけでございます。  その追跡調査をするに当たりまして、まず一つ大きな問題でありましたのは、この普通財産は大蔵省が管理をしているわけでございますけれども、どうもその内容は秘密のベールに包まれているような気がしてならないのでございます。この国有地は、言うまでもなく、国民共有の財産でございますが、しかし実際はなかなかそういう仕組みにはなっておらないように私は思うのでございます。国民共有の財産であるならば、普通一般国民がこの国有地を調べたいと思いましたら、ある程度わからなければならぬ。私あちこちへ出かけまして、地方の財務局等にも行って、いろいろな事情を聴取いたしましたのですけれども、極端に拒否された例はありませんが、なかなかスムーズにまいりません。たとえば、この国有地の問題については本庁に報告してあるから、本庁に聞いてもらいたいと、いかにも迷惑げなそういう態度にしばしばぶつかったわけでございます。また問題を追及していきましても、それ以上は本庁の許可を受けなければお答えはできない、こういうような返答も二、三にとどまらずあったのでございます。  国有財産法第十一条には、「大蔵大臣は、各省各庁の長の所管に属する国有財産につき、その現況に関する記録を備え、常時その状況を明らかにして置かなければならない。」と、このように規定をされております。このような規定があるにもかかわらず、なかなか国有財産というものを調べることができません。一体この十一条の規定というのはだれを対象として定められているのか、この法律に基づいて国民が閲覧を求めたときに、それが可能なのかどうか、この点からまずお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
  189. 金光邦夫

    ○金光政府委員 一般に国有財産の払い下げあるいは貸付けというものは私契約に属するものでございますので、国と相手と同じ立場であるということから、相手の立場を尊重いたしまして、その物件の内容その他は相手の了承を得てから発表するというたてまえをとっております。したがいまして、そういう考え方で、出先機関で自由に閲覧するという方法はとっておらないわけでございますが、国会の御審議、御必要に応じまして、いろいろ資料は取りそろえているような次第でございます。
  190. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまお答えがあったとおりでございます。いわゆる私契約の問題がからんでくるから、国会指摘があればそれを報告するにはやぶさかではない、こういうような御答弁でございますけれども、いろいろ法律関係をずっと調べてみますと、各省庁所管の国有財産については、毎年大蔵大臣に報告し、大臣は総計算書を作成する、内閣は会計検査院に送付してその検査を受けなければならないとなっております。また、その検査を受けた総計算書には、説明書を添付して翌年度の国会の常会に提出しなければならないことになっているわけでございます。これは法文を調べればだれでもわかるわけなんでございます。  そこで大臣にお伺いをしたいのでございますけれども、国有地というのは、いわゆる国民共有の財産でございます。確かに私的契約を結ぶ場合もあるかもしれません。政府一般私人あるいは一般私企業との間に契約を結ぶ場合もあるかもしれませんけれども、そうでない場合だって、これはあり得るわけであります。国有財産そのものとして残っている場合もあるでしょう。そういうようなものに対して、一般国民の方が、たとえば、私の近所にどうもこれは国有地とおぼしきものがある、これが現実に存在するかどうかを確認したい、面積はどのくらいあるのか確認をしたい、こういうような希望をもって各地方財務局へ行きましても、これは閲覧することはできないのでございます。できますか。いかがですか。やってないでしょう。
  191. 金光邦夫

    ○金光政府委員 一般には、そのような閲覧をやっておりません。(「やらせないのか、禁止しているのか」と呼ぶ者あり)必要に応じて、御要求の趣旨をお伺いして、あくまでも相手の立場を尊重するというたてまえから、そのような取り扱いをいたしているようなわけでございます。
  192. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大蔵大臣、お聞き及びのとおりでございます。私は、この大蔵省の態度はおかしいと思うのですね。国有地というのは国民共有の財産でございますから、たとえ賃貸契約がありとしても、ある程度のことは教えてしかるべきじゃないか。私たちは、国有地問題、貸し出し問題を追及しました。何番地で何という会社が借りておりますか、これすらもなかなか教えてくれぬのです。実際に私たちが現場を調査して、いろいろ地方へ行って調べてみまして、この番地のこういう会社でございましょうと言って、初めて全貌が報告をされるというような状況なんです。われわれ国会議員が行ったってそうです。一般の方なんか行ったら、全然教えてもらえないのが現実の姿であるわけなんでございます。そういうようなことになりますと、一般の方が国有財産の実態を知りたいと思ったときに、これはやはり国会議員に聞く以外にない、国会議員に調べてもらう以外にない。そういうようなことをやりますれば、これは贈収賄の問題だって起きかねないというようなことも出てくるわけでございまして、やはり原則的には、国民が公有財産というものを点検できる、ある程度の閲覧はできるようにしておくべきが、国民の立場からいけば当然ではないか、私はこういうふうに思うわけでございます。そういった秘密主義から公開主義に切りかえる必要があるのではないかと思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。大蔵大臣、御答弁いただきます。
  193. 大平正芳

    ○大平国務大臣 国有財産の管理、これは国民の財産でございますから、厳正にしなければならぬこと、仰せのとおりだと思うのであります。また国民がこれに関心を持つ場合、いつでも資料が利用できる状態にあることが望ましいと思うのであります。  なぜ、いま御指摘のように閉鎖的になってまいったのか、またそうする必要がなぜあるのか、このあたり、私はまだよく検討をいたしてみたことがないわけでございますけれども、これにはいろいろないきさつがあり、沿革があることと思うのでございまして、いま御指摘の点につきましては、なお私の立場で検討をさせていただきたいと思うのであります。  ただ、今日、国有財産の管理が非常に厳しく問われておるときでございますので、一般に公にいたしましてこれが処分をやることを考えるよりは、むしろ公用あるいは公共用の空間を確保するというようなところに国策の力点が置かれておるような事情もございまして、公開的な政策をとってまいることがいつも必ず正しいというわけにはまいらぬのじゃないかという感じもいたしますけれども、なお検討をさせていただきたいと思います。
  194. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大蔵大臣、行政財産等は、いわゆる公の利用目的に使っている場合が多いわけですね。そういうようなことも考えますと、私は一応やはり公開の原則を導入する必要があるという意見でございます。いまの御答弁をいただきましたので、なお十分御検討をいただきたいと思うのでございます。  さて、具体的な問題に入ります前に、いま各大臣のお手元まで差し上げましたけれども、この普通財産の貸し付け状況を見ておりますと、非常に賃貸料が安い。安いというよりは、安過ぎるというのが実態ではないかと思うのでございます。今日、俗な言葉で言えば、土地一升金一升と言われるような時代でございましょう。そういう時代に余りにも安過ぎる価格というのは、かえって社会的な不公正を招くことは言うまでもないのでございます。  ここに挙げました中で、極端に貸付料の安いものを挙げますと、福島県の北塩原村の一流会社、いわゆる上場している会社でございますけれども、一万二千百七十平米借りておって、年間の賃貸料が八百五十八円、月額一平米当たり六厘という値段。今日のこういった物価高騰の時代に、六厘という価格で土地を一平米借りられるなんというのは、全くこれは話のほかだと思うのです。  そのほかに代表的なものを挙げてみますと、たとえば宮崎県の宮崎市、サービス業、十三万五千平米借りて、一平米当たりの月額が四十九銭、こういうような状態でございます。  しかし、ただこれだけの数字を挙げただけでは、監督官庁である大蔵省も納得をなさらぬかもしれませんので、以下具体的に挙げます。しかしながら、いま普通財産を貸し出ししているその数量というのは、百九十三万九千二百四十平米余あるわけであります。五十八万坪余あります。私どもが近接地の公示価格でずっと調べてみますと、その総額は、評価をしてまいりますと一千四百三十三億円くらいだろう。これだけの膨大な国有財産でありますので、どうかひとつ以下具体的な事例を挙げますので、慎重な御答弁、また明快な御回答をお願いいたしたいと思うのでございます。特に私は指摘をしなければなりませんが、この五十八万余坪にわたる国有地を借りている百六十七社のうち、上場会社が実に四十社にわたっているということでございます。そういうような状況を見ても、この国有地が企業の利益追求のために使われている、利用されている、そういうことが明らかにうかがわれるのであります。そういう基本的な問題を踏まえて、具体的に申し上げてみたいと思うのでございます。  まず、いま指摘いたしました賃貸料の問題でございますけれども、今日お金の価値がなくなったといいましても、新聞一部を買いますと、夕刊でも三十円というような時代でございましょう。そういうような時代に、大蔵省のいままでのいろいろなお話を聞いていますと、物価鎮静のためにはそう簡単に賃貸料を上げることはできない、こういうふうなことを言っております。しかし、それが余りにも安過ぎるというのは、常軌を逸するような安さでは、私は社会的に大きな問題が起こると思うのでございます。  まず、具体的に、京都市北区にありますゴルフ場に貸している問題について取り上げます。この借地面積は四万一千七百七十五平方メートル、賃貸料は年間で二百八万八百八円であります。この京都ゴルフ場に貸し付けをいたしました経過については、私も事情をよく承知いたしております。昭和二十一年、アメリカ軍の命令によってゴルフ場をつくることになった。そこで民間会社を設立してこの土地を貸し与えたわけでございますけれども、貸すこと自体、そこにも私はいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、いま特に賃貸料を問題にしているわけでございますので、そのことをまず申し上げてみたいと思います。大蔵省からの資料をもらいましても、このゴルフ場、約五十八万平米ありまして、その中の七%ぐらいのところでございますけれども、まあ現場に行ってみても、どれが国有財産であるかわからぬ。大蔵省の資料によれば、赤丸でちょこっと印をしてある程度、そういった意味では、私は国有地にもう少し明確な表示をつけなければならぬのではないかという感想を抱きながら帰ってきたわけでございますけれども、いまこの周辺の土地の売買価格というのは、一坪三十万から三十五万。たとえば京都市も多分に漏れず過密都市の一つでございますけれども、この近辺はどんどん住宅地としていま発展をいたしております。そのために車庫がない。自動車の車庫を確保することがなかなかむずかしい。たまたまあったとしても、月に五千円から七千円くらいはするだろうと言われております。また、隣接地の公示価格で調べてみましても、ここら辺の公示価格は約七万二千五百円くらい。この借地面積に掛けてみますと、三十億からの財産になるのでございます。三十億の財産を借用していて年間に約二百八万でございます。月額にいたしまして一平米当たり四円十五銭。これは一体どういう状態を意味しているかといいますと、たとえば仮にこれだけの土地を取得するために銀行から三十億円を借り入れしたと仮定をいたします。公定歩合を九%とはじいてみても、金利だけでも年間二億七千万払わなければならぬ。その金利と賃貸料との問題を考えますと、実に銀行金利の〇・〇〇七、銀行金利の百三十分の一の値段。先般本会議におきまして公明党の竹入委員長が、中小企業救済のために三百万までは無保証、しかも無利子にしたらどうかということを申し上げましたときに、金融の体系からなじまぬ、そういうことはちょっとどうかと思うと言って拒否をされましたけれども、この賃貸料は銀行金利の百三十分の一ですよ。いかにも安過ぎるじゃありませんか。そういうような状態をこのまま放置しておいてよろしいでしょうか。  もう少し申し上げてみましょう。今日いわゆる庶民は、自分の住宅を建てるための土地を確保するだけでも大変な苦労をしております。そういう反面において、こういう安い値段で国有地が貸し出され、そしてこのゴルフ会社は、そういうような安い土地を借りて一このほかにも農林省の土地がかなり借りられておるわけであります。約七万八千平米くらい借りられておるはずでございますけれども、そういうような公有地を借りて膨大な金もうけをしておるわけであります。ここの会社のゴルフ会員権というのはいま四百万円と言われております。恐らくそれだけでも百億の資産を持つ会社でございましょう。こういった中小企業の土地取得の現状から見て、いかにも国有地貸し出しは過保護になっているのではないかというふうに思うのでございますけれども、この賃貸料が適正であるという根拠について、大蔵当局の御説明をお願いいたします。
  195. 金光邦夫

    ○金光政府委員 国有財産の貸付料につきましては、民間の水準にスライドするというのを基本に置きますけれども、やはり国の財産でございますので、全国的に一つの目安を持ちたい。そこで相続税課税標準価格というものを基本に置いているのは御承知のとおりでございますが、その相続税課税標準価格に倍率を掛けまして——その倍率は民間の実態調査の結果の倍率を掛けまして、認めるという原則でございますが、四十四年ごろに非常に地価が上がってまいりまして、非常に一気に貸付料が上がるではないかという問題もありましたために、前年に比べまして非常に激変するというものにつきましては、激変緩和の意味で、四割というものを限度に——これも民間の実例から見たわけでございますが、四割を限度にいたそうという取り扱いを実施したわけでございます。件数がかなり多いものでございますので、三年に一度という更改時期を定めておりますために、前年の三割を限度に三年間据え置く。それではアンバランスが出てくるということで、四十七年からは一・三の連乗ということで三年間やるように変えまして、それでもなおかつまたバランスがとれない向きもございますので、住宅用、企業用、いろいろございますけれども、企業用等につきましては、四十九年から底上げの方式をとっておるというようなことでございますので、次第に是正されてくるのではないかというふうに見ております。そういうような通達に基づきましてこの土地の評価もいたしました結果、先生御指摘のように、年間平米当たり五十円。これは同時に、民間の例で、このゴルフ場に民間人が貸している例もございますが、この例を見ましても、四十八年度大体平米五十円あるいは平米当たり四十六円というようなことで、同じような水準かというふうに思っておるようなわけでございます。
  196. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 相続税額を基本にしていらっしゃるということで、そう特別安くないというような意味の言い方をしていらっしゃるけれども、これは安くないですか、一体。銀行金利の百三十分の一ですよ。たとえば宮崎市の例を見ましても、十三万五千平米借りておるわけでしょう。そして月額一平米当たり四十九銭、そういうような状態ですね。  それじゃ一体、民間の人はどういうような苦労をして手に入れているのか。これは先般新聞にも掲載された問題でございますけれども大阪堺市の保育園、その保育園の隣に民間住宅がびっしり建ったのでは、とてもじゃないが日当たりが悪くなるというので、父兄たちが苦労して土地を買おうとしているわけですね。一口一万円、そういう寄付を募って、そしてやっと三百三十平米、百坪ぐらいの土地を買おうとしているんだけれども、一千五百万ぐらい金が集まったけれどもまだ買えませんというんですね。そういうような苦労をしていらっしゃるわけですよ。  あるいはまた、地方自治体等の例をとりましても、大変な苦労をして土地を取得いたしておるわけでしょう。東京都においては、四十八年十月、大同製鋼から工場の跡を買ったわけでございますが、これが約八万二千平米、百十三億、一平米当たり十三万八千円も出して買っておるのですよ。  これは東京都だけではございません。その他の地方自治体を見ましても、たとえばある大きな都市の例でございますけれども、公営住宅用の土地を九千二百平米買っております。三十三億かかっておる。一平米当たり約三万六千円平均ですね。そういうような現状から見ますと、いかに大蔵省が賃貸料の正当性を立証しようと思っても、現実に悩んでいる国民は、私は決して納得はしないと思うのですね。だからこそ、私は社会的不公正是正の立場からこの問題を考えているわけでございます。  一体その根拠は適正なのか。いわゆる相続税率に百分の三を掛けるのが原則になっている。それでもなおかつ安いのは、毎年三割ずつそれに掛けていくということでございますけれども、一体、法律の中でその相続税額を取らなければならぬというふうには書いてない。これは全く大蔵省のさじかげんじゃないですか。そういうようなところから、大変な問題が起こってくるわけですね。特定の企業だけがそういう安い土地で商売を営んでいる、そういった国有地をたまたま借りることができる企業のみが繁栄をしていくというのは、私はまずいと思う。  さて、もう一つ議論を発展させまして、先ほど申し上げましたように、このゴルフ場は同時にまた、林野庁の管理の土地を七万八千三百平米借りておる。その賃貸料が年間に四百八十万ちょっとです。これを計算してみますと、月額一平米当たり五円十銭。私は、これを見てびっくりいたしました。農林省が貸していらっしゃる、林野庁が貸していらっしゃる土地はいわゆる森林でしょう。木が生えておる山でしょう。大蔵省が普通財産として貸していらっしゃるのは平地でございましょう。大蔵省がいろいろな国有財産払い下げのときは、明確に平地の平米当たりは幾ら、傾斜地は幾らと言って、傾斜地ははるかに安くなっておる。ところが、賃貸料は逆じゃないですか。一体大蔵省においては、平地の方が安くて山林が高いというような一般概念でもおありでしょうかね。おかしく思いませんか。この食い違いについて、両省から、なぜこのような食い違いが出てきたのか、御説明をいただきたいと思います。
  197. 金光邦夫

    ○金光政府委員 財務部所管の方から申し上げますと、先生御指摘のように、このゴルフ場のもとは、昔、京都大学の演習林上賀茂中央苗圃を改造したものでございまして、いわば芝生の下、あるいは木を植えたとする、その底地価格ということになるわけでございます。価格、貸付料等につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、それではもう一点御指摘の、各省の基準はどうなっておるかという御指摘でございますが、大蔵省はこういう基準でやっておりますということを各省に流しまして、大蔵省に委託をしておやりになるところもございますし、その基準どおりおやりになるところもございますし、また企業会計等、別途の方法でおやりになる場合もあるわけでございます。
  198. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大蔵大臣、これはおかしいとはお思いになりませんか。平地の方が安くて山林の方が借地料が高いんですよ。そこら辺、もし何ならば、こういう写真をごらんに入れますけれども、これは一般の住宅地と要するに隣接している平地ですよ。底地とかなんとかおっしゃいましたけれども。この周辺にはいっぱい住宅が建っている。道路一本隔てればたくさんの住宅が建っているわけです。そこで、坪三十万もするような土地が、山林の方が高くて平地の方が安いというのはおかしいんじゃないですかね。これは当然大蔵省として、そこら辺のところは農林省と相談をして、考え方を統一すべきじゃないですか。農林省の方は固定資産税を中心にされておる、大蔵省の方は相続税額を中心にしている、こういう両省の御説明ですよ。それなりに計算基準はあろうかと思いますけれども、これは一般社会通念から考えまして、全くおかしいですよ。いかがですか。ここら辺を是正されるお気持ちはありませんか。
  199. 金光邦夫

    ○金光政府委員 御指摘のとおり、同じ国有地でございますので、当然考えなければならない問題があると思います。ただ、平米単価を御参考に申し上げますと、財務局所管分が四十八年で平米五十円、林野庁四十七円という数字が出ております。
  200. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこら辺の説明は、もう私は十分聞きましたから、よく知っています。どうかひとつ是正されるようにお願いをいたします。  さらに、この賃貸料の問題について、先ほどの資料の中にも挙げておいたのでございますけれども、いかにもこれがまた、ばらつき、格差が多過ぎて、私は、大蔵省のこの算定基準というのは、一体何を基準としてこういうような賃貸料を出しているのかなということを疑わざるを得ないのでございます。たとえば、先ほど指摘しました京都の北区の土地が一平米年間四十九円八十銭。横須賀の田浦港町の三万七千四百六十二平米の土地が一年間に平米当たり八百七十九円。東京の目黒区下目黒の土地が一平米年間三百九十八円。私はこれを非常に不思議に思うわけですね。京都と横須賀の場合を考えた場合に、横須賀の倉庫用地の実に十八分の一、東京の目黒の雅叙園等と比較しましても、実に八分の一であります。  そのほかに同じ番地、いわゆる大蔵省が提示をしましたその近辺を、格差を全部見てみましても、この資料の二ページにございますけれども、三重県の四日市市塩浜町では、同番地で一・六倍の違い、広島県呉市広町の土地の場合は二倍の違い、横須賀市田浦港町にある二つの敷地を比較しますと四・四三倍の違い、こういうような格差が見受けられるわけでございますけれども、そういうような状況を見ますと、これは全く大蔵省のさじかげんでおやりになっているんじゃないか。こういうような格差について、明快な答弁ができますか。時間がありませんから、長くなっては困るのです。
  201. 金光邦夫

    ○金光政府委員 三年ごとに、通達に基づいて、その通達の基準に従ってやっております。  先ほども御説明いたしましたように、激変緩和もございますが、民間の実例でも、長く借りているというのは比較的安くて、新しく借りるというのは高くつくというのが例でございますので、そういう民間の実態調査から出てきたものを基準にしてやっておりますから、したがいまして、同じ倍率を掛ける場合でも、たとえば地代家賃統制令の適用のあるものに準じて取り扱うようなもの、それ以外のものに分け、その以外のものも住宅と営業用に分ける、それも古いものと新しいものに分けるというような倍率を考えておりますので、一つの時点で考えますと、いろいろ問題があろうと思います。
  202. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ふざけてもらっては困りますよ。この表を見てごらんなさい。私はそんな問題の指摘はしていないじゃないですか。年数とか面積、考えてごらんなさい、全然格差があるじゃないですか。そういういいかげんな答弁をされるから、私は国有地の貸し出し問題については疑いたくなるわけです。これはまた後で明快な説明を求めておきます。  そういう状態にあることを、大蔵大臣もよく知っていただきたい。もう一遍、国有地のこういう管理問題については、総体的に洗い直しをする必要がある、私はそういうふうに思うのでございますけれども、これだけ見ても、大臣おわかりになると思うのでありますけれども、いかがでしょうか。大臣の御答弁をお願いします。
  203. 大平正芳

    ○大平国務大臣 元来、国有財産の管理問題、平時におきましても問題が多いところへ持ってきて、こういう激動期の経済環境でございまして、御指摘のように、種々問題がありますこと、私もよく理解できるところでございます。これを厳正に、国民のために公明に管理していくということは、私どもの厳粛な務めでございまして、時代の推移に応じまして、十分、改むべきは改め、弾力的に配慮してまいることは当然の責務と考えております。
  204. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは農林大臣、時間の都合もあるようでございますから……。  先ほどのようないわゆる民間に貸し出している国有地、農林省所管のもの、行政財産ですね、二千平米以上のものを、全部ひとつ出していただきたい。  それから、農林省所管の行政財産について、そういうような使用目的について十分検討されているのかどうか。あるいはその他の問題も、実は私、取り上げたかったのですけれども、将来、かなり利用計画を変更しなければならぬ問題がたくさんあるのではないか。たとえば、私の出身地であります名古屋におきましても、七万五千坪の土地が市内のど真中にあります。そういう問題についても、公害発生源にもなっているし、地元では県、市、いろいろな利用計画を立てて、払い下げをしてもらいたいと思っておるけれども、一向にその将来の方向が提示されておらぬというような問題もあります。そういったところから、私はもう一遍、農林省所管のそういうものを提出していただいて調査をしたいと思いますが、出していただけるでしょうか。
  205. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林省所管の国有財産のうちで、将来活用の対象として考えられる主要なものは、国有林野及び国有農地等でございますが、このうち国有林野につきましては、先ほどもお話がございましたが、現在重要な課題となっておる都市環境の保全、整備のため、あるいは保健保安林の指定等を進めて、緑地の保護育成に努めるとともに、公園、学校、住宅等の公共的用途に供することが適当であるものについては、所要の活用を行っていきたいと思っております。  また、国有農地につきましては、自作農創設の用に供さないものについては、同じく都市環境の整備のための国有農地等の売払いに関する特別措置法に基づきまして、公共的用途への活用を図っているところでございます。  なお、いまお話がありました一般の庁舎敷地等につきましても、その効率的利用に努めまして、不必要なものは、用途廃止の上、大蔵省に引き継ぎ、都市地域全体の土地の有効利用に資するように配慮していく方針でございます。  なお、ただいま御要望がありました、国有林あるいは国有農地等についての資料については、御提出を申し上げます。
  206. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは農林大臣、あと結構でございます。  次の問題に移りますが、一つは相続税物納の件についてお伺いをしたいと思います。  われわれの調査によりますれば、目黒区下目黒に二万一千二十六平米の土地がありまして、これは四十三年四月、大蔵省に相続税の物納分として登記されております。現在一平米当たり月三十三円で貸与されておる。公示価格は、近接地を調べてみますと、約四十六億五千万円の土地であります。  ここで、私は非常に疑問に思いましたのは、国有財産物納分でございまして、借地権者がほかにあるわけであります。登録されると同時に賃貸契約がなされておる。そういう状況を見てみますと、一体その物納というのはどういうことだろうかということでございます。四十六億からの財産が、当然これは国に収納されるべきであるけれども、借地権が設定してあるから、実質的に国有財産にはなっているけれども、名目上は書類のそういう操作になるわけでございますけれども国民のものになったという感じはないのでございます。  こういう問題は、私はこういうような疑点があるわけでございます。たとえば、こういうことが許されるならば、ある個人が相続税を払わなければならぬ。その住んでいる家の半分を物納分として国に収納してもらう。そうして同時に賃貸契約を結んでそこに住んでおれば、東京のど真ん中で一平米三十三円で何年間でも借りられるわけですね。土地契約は三十年が基本でございますから、鉄筋の家を建てたら六十年は借りられる。しかもそれは、賃貸契約というものは継続することができるように法律に明らかになっておるので、何百年だって借りられる。それでは物納の意味はないじゃないですか。おかしいとお思いになりませんか。これが許されるとすれば、相当数の国民の方方が、これを盾に、大蔵省に全部自分の住んでいる家を物納しますということになりますが、どうですか。
  207. 金光邦夫

    ○金光政府委員 先生御指摘のとおり、いろいろ問題がありますけれども、物納になったら、国が前所有者の地位を継承するというたてまえでございますので、物納時の借地権者を、国有財産となったからといって直ちに排除するとかいうことをやっておりませんで、引き続き貸し付けに移行しているということで、いろいろ問題があることは承知しております。
  208. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 理財局次長さん、それは答弁にならぬですよ。大蔵大臣、これどうですか。私がいま指摘をしている問題は、この目黒の土地、会社の名前を挙げれば雅叙園。雅叙園が借りておるのです。ある方が物納されたわけですね。借地権が設定されておりますから、引き続き大蔵省は雅叙園に貸し付けた。それはそれなりに理由があると思うのです。しかし、そういうことをしましたら、国民全般がこれをまねたらどういうことになりますか。えらいことになるじゃないですか。そうお思いになりませんか。だからそういう形での物納というものは相当慎重にしなければならぬ。また、引き続き貸すのは妥当かどうか、あるいはその賃貸料が妥当かどうかというのも、当然これは地方の審議会にかけなければならぬ。全然かけてないのです。だからこういう問題が起こってくるわけですね。じゃ、私なら私が相続税を納める場合に、自分の住んでいるうちの半分を物納して、貸してくださいと言えば済むわけです。そういう理屈になりませんか。まあ問題指摘として申し上げておきます。  時間が余りありませんから先へ進みますが、今度は軌道敷地の問題。いわゆるいろいろな電鉄会社が国有地を借りております。千葉県の習志野市津田沼、約一万七千五百平米、埼玉県入間郡で一万二千二百平米、その他六つばかりあるのでございますけれども……。  ここで、私は大臣にぜひお伺いしたいのでございますけれども、国有地の貸与というのがある。貸与というふうに名目がついている以上は、将来返還を原則としておられるはずだと私は思うのでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。これだけはぜひ大臣に御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  209. 金光邦夫

    ○金光政府委員 公用、公共用に利用できないような御指摘の土地については、払い下げをするというようなことで勧奨をしております。  なお、先ほどの物納財産も、五百平米以下の小さいようなものは、権利者に払い下げをする方向でやっております。
  210. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣としてもお答えにくいのだろうと思うのでございますけれども、たとえばいま申し上げました習志野市の津田沼の場合、これはその近辺に国有地がものすごくあって、何十万平米というふうにあったわけですよ。それは全部払い下げた。ところが、軌道が走っている部分だけ、国有地として、貸し付けの対象として残してある。なぜかと言うのです。私に言わしめれば、同時にこれは払い下げすべき問題であるけれども、軌道敷であるため安い賃貸料で借りられるから、恐らくこの電鉄会社は国有地を貸してもらいたいというふうに申し出たのではないだろうかと思うのですよ。こういうようなところから、いわゆる国有地というのは不必要な、まあいわば線だけですね。四日市の国有地の払い下げの場合もそうです。たとえば四日市の塩浜にあるいろいろなコンビナート、それが道路を何メートル幅か借りておる。それからやはり石油タンク車を運ぶための軌道を、軌道だけを借りておる。こういうのは返還を求めようもない。しかもその近辺は全部払い下げておる。これだけ故意に残しておるのですね。それは、何百万という金を払うよりも、一年間に十万やそこら辺払っておいた方が安いに決まっておる。そういうような不公平な払い下げ、あるいは国有財産についてのやり方というのは、これはまずいと思うのですよ。まあ、お答えにくい問題だと思いますけれども、こういうことは今後おやめになってしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
  211. 大平正芳

    ○大平国務大臣 本来、御指摘のような土地は、保有しておって貸与するというようなことは常識的ではないと思います。処分すべきものは処分すべきが正当な処理であると思います。どういういきさつでそうなったのか、私はつまびらかにいたしませんけれども、御指摘のように、道筋としては、処分すべきが正しい管理の仕方ではないかと考えます。
  212. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一つ問題を申し上げますが、鹿児島県の西之表市の場合に、三十四万平米をある会社に貸していらっしゃいます。目的は植物の栽培だそうでございますけれども、この貸し付けが三十五年二月から行われまして、すでに十五年経過しておる。ところが実際にわれわれが行って調べてみますと、この会社が使っているのは五万平米ぐらいのものです。したがって三十万平米というものは原野として全く残されている。そういうように使用もしてないものを、なぜそのまま貸与しておくのか。私はきわめて不自然ではないかと思うのでございます。これは問題指摘にとどめておきます。  さて、いまちょっと返還問題に触れたわけでございますけれども、一体、国有地の貸し付けというのは返還可能なのかどうかということですね。私は、現在の法律の仕組みは、これは永久貸与であって、返還を原則としていないように思うのですけれどもね。その一つの例を挙げてみますと、先ほど申し上げました一平米月額六厘の問題、福島県北塩原村の一万二千百七十平米、用途目的は発電所の水源地。これはいわゆる水位を上げるために、どうしても土地を買収して、そして水をためなければならぬ、こういうような状態だそうでございまして、周辺は全部買収したわけですね。それで国有地の方は、水が満タンになった場合には水中に埋没し、水がかれたときには浮かび上がってくるという土地だから、貸しておると言うのですね。そういうようなことを考えてみても、実際問題として、これは返還は不可能じゃないですか。実質的に不可能ですよ。なぜ、実質的に不可能なそういう国有地を、貸与というような形で処理しておくのか、こういうことです。これはどなたが答弁されますか。
  213. 金光邦夫

    ○金光政府委員 国有財産の中央審議会の答申もいただいておりますけれども、土地の有効利用には、公用、公共用優先であるということで、その答申に従ってやっておるところでございますが、そういう公用、公共の用のいま直ちに必要のないというようなところは、従来の経緯もあり、貸し付けのままにしておる、あるいは御指摘の湖の山あるいは軌道敷等、払い下げるものは払い下げるようにしているわけでございます。  そこで、それでは実際に公用、公共用の用ができた場合に、それを取り上げ得るのかということでございますが、これは法律的にできるということでございます。ただその場合、既存の権利者に対する補償をしなければならないという問題が出てくるわけでございます。そこで、先生御指摘のように、地方公共団体で貸し付け中の財産の場所を、両人で話し合って、公園にしたい、補償もするからというようなことで、公園そのほか、たとえばてん菜糖の農場を試験場に変えたというような例は、いままでにございます。
  214. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あなたの御説明を聞いても、私への答えにはならぬのです。先ほどの軌道敷地と一緒で、払い下げをする場合には、そういった処分をしなければならない。そこで一番問題になるのは、大蔵大臣、貸し付けの問題で、継続の場合は審議会にはかけぬでいいというふうにはなっていないのだけれども、実際一つもかけていないのです、聞いてみると。たとえば先ほどの京都のゴルフ場の問題あるいは宮崎のゴルフ場の問題、大変安い値段で借りておりますね。ところがこれは継続になっている。継続の場合は、何十億の財産であろうと審議会にかける必要はないと言って済ましていらっしゃるわけです。私は、賃貸料を改正する場合だって、当然、賃貸料が適正かどうかということについては、地方の審議会にかけなければならぬと思うのですが、いかがでございましょう。これは大臣御自身の御答弁でなければならないでしょう。いかがでございますか。
  215. 金光邦夫

    ○金光政府委員 新しいものについてはかけるようにいたしておりますし、慎重に扱ってまいりたいと思います。
  216. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 継続の部分はかかっていますか。
  217. 金光邦夫

    ○金光政府委員 古いものにつきましてはそういう扱いをしておりませんでしたので、引き続きそのままの状態が続いておるわけでございます。
  218. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いま御答弁があったとおり、古いものの継続については審議会の審議を経てない。だれもチェックすることができないような仕組みになっている。これは改正されますか。
  219. 大平正芳

    ○大平国務大臣 検討してみます。
  220. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではさらに、一体国有地の返還は実質的に可能なのかどうか、この問題について具体的に問題を指摘してみたいと思います。  いま私が取り上げます問題は、日光市本町にありますところの約三万三千平米くらいの土地でございます。年間の賃貸料が百八十六万三千二百五十八円、一平米の年間が五十六円でございます。大変安い。私もこの現場へ行ってみました。ここにはいろいろな問題があるのでございますけれども、時間がありませんから、問題点にしぼってお尋ねをいたしますが、この日光市はいわゆる山間の谷間に存在する都市でございます。非常に小さな都市でございます。そのため日光市としては公有地が非常に少ない。この日光市の国有財産をある企業が借りておるわけでございますけれども、返還を求めて、いわゆる日光市の福祉施設をそこに建設したい、そういうような希望を持っているわけでございます。そのために、栃木県の財務部でございますか、ここにも一、二度話が行っているようでございますけれども、陳情いたしておるようでございますけれども、こういうような要求があったときに、いまのお話を聞けば、国有地は返還を求めることができる、こういう御答弁でございますけれども、いまのいろいろな経過を踏まえて、この日光市に払い下げをする考えはありませんか。もし払い下げを要求した場合に、どんな障害が起こってくるかも、つけ加えて御答弁を願います。
  221. 金光邦夫

    ○金光政府委員 先生御承知のように、この土地は旧御用邸の跡地で、地元の御意見どおりの運営をしてきたわけでございます。それは省略いたしますが、最近日光市から払い下げの話が、御指摘のように四十八年十月、四十九年十一月とございました。先ほども御説明いたしましたように、日光市と会社との話し合いが進んで円満に解決されるということを条件に、話し合いをうちの方とやっておるわけでございます。日光市が払い下げを国に申請するときに、会社が賃借権の譲渡に同意する、市は会社に対して補償金を支払うということが合意されてからいらっしゃってください、というやりとりをやっておるわけでございまして、この私の方の要求が満たされて、市の方で取り仕切って話を進められて、円満に進んで、市の有効な利用計画が具体化した場合には、当然大蔵省としても国有財産審議会に付議して、適正な措置を図りたいというふうに考えております。
  222. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういう空理空論を言うてもらったって困る。じゃお伺いしますが、この企業が契約を継続したりしたときに、断れますか。
  223. 金光邦夫

    ○金光政府委員 公用、公共の用に必要だという説得を続けまして、そのための補償問題、これを詰める話し合いを進めるということでございますが、さしあたり地元の市にお願いしたいというふうに説得を続けたいと思います。
  224. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 困るね、そういうことでは。この国有財産法からいって、契約を更新したいというふうに企業が申し出た場合に、それを断ることができるのかというのですよ。
  225. 金光邦夫

    ○金光政府委員 法律上はできますけれども、実際に適用したことはございません。
  226. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大蔵大臣、ですから、条文にはそういうふうにありましても、これも実際に返還を求めることができないのですよ。なぜならば、返還を求めますと、いままで商売をやってきた これは非常に大事な問題なんですよ。いままで商売をやってきた、その損失が生まれるから、その損失を補償してくれれば返しましょうというわけですね。安い賃貸料で貸しておいて、出ていってくれと言った場合には膨大な権利金というものを払わなければならぬ。それは民間ならあるでしょう。個人対個人であれば、そういうこともあり得ますよ。国有地と企業との関係でそういうことが存在すること自体が、私はおかしいと思うし、またいま言ったように、実際は、継続、更新を申請した場合に、そういうこともあるから断れないのです。そうするとこの借地権は、法律によりますと三十年というふうに定めてあるのですけれども、これは実際に空文にすぎません。更新の手続さえすれば何年でも借りられる。三十年はおろか、六十年、百年、二百年だって借りられる。そういうようになっているということについて、法律の条文ではいろいろありますけれども、大蔵省として、もう少し運営の細目というものを厳密にしてやっていかなければならぬと思うのです。先ほど、日光市当局が損害金を補償してくれれば、そういった上で、企業と円満妥結を望んでおるというようなことを言いますけれども、賃貸契約しているのは大蔵省と企業でしょう。これは大蔵省が間へ入って、福祉施設に使うのだから、期限切れのときには返してもらいたい、その損害は補償しましょうというぐらいのことはあるかもしれませんけれども、そういう形で行われていかなければ、いつまでたってもこれは返らぬじゃないですか。こういうような状態で、先ほどの目黒の場合もそう、京都の場合だってそうです。この貸し付けの土地というものは、ほとんど永久貸与の方向しかいま出ていない。貸与というのはあくまでも返還を前提としたものでしょう。そういう国有財産、国民の共有財産、何十億、何百億の財産が、一私企業のために何百年も借りられていくという実態は、これはいかにもおかしいじゃないですか。一体これを今後どう処理されるおつもりでございましょうか、お伺いをしたいと思います。いかがでしょう、大臣。
  227. 金光邦夫

    ○金光政府委員 先ほども御説明しましたとおり、地元の市等で公園の用に供したいという強い御要望がありまして、努力された場合、それを市の公園にしたという努力が実を結んでいる例は幾つかございます。
  228. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは局長あたりでは答弁できないですよ。大臣、いかがですか。
  229. 大平正芳

    ○大平国務大臣 国有財産法ばかりでなく、戦後立法は、主権尊重のたてまえで、立法政策上考慮されておるケースが多うございまして、いま御指摘のように、既得権に対しまして国が相対的に弱い立場にあることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、国有財産は国民の財産でございますから、これは厳正に国民のために管理しなければならぬという別の法目的があるわけでございますから、国といたしましても、国有財産の管理に当たって、その点については勇気を持って当たらなければならぬことは御指摘のとおりでございます。したがって、個々のケースに当たりまして、手間がかかりまするけれども、いま石田委員が御指摘のような方向に向かって、国有財産の厳正な管理を実現するという目的のために、国としてなすべきことを怠ってはならないと私は思います。
  230. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは時間がありませんから、せっかく各大臣御出席を願って、そのままでは申しわけございませんので、お伺いをしたいのでございますが、国有財産の問題について、いまいろいろと、私、御指摘を申し上げたわけでございますが、自治大臣、地方自治体の公共用地ですね、この貸し付けも、私はかなりいいかげんじゃないかと思うのです。その一つの事例を挙げます。愛知県名古屋市におきまして、あるゴルフクラブがございます。これは年間数億の収益を上げておると思われます。そして、ある緑地帯の三分の二を借りております。緑地帯のほとんどです。それで、近接公示価格等で調べてみますと、約二百二十六億ぐらいの財産になるのですね。  この間新聞に、最高裁で、ゴルフ場の利用税については、ゴルフというのはやはりまだ現段階においては特定の人の娯楽ではないかというような最高裁の裁定が出ました。利用税はやむを得ない、そういう答弁が出たわけでございますけれども、私もこの判断は正しいと思うのでございます。  まずそこで大蔵大臣にお伺いするわけなんですけれども、この県有地を借りておるゴルフクラブ、これは公益法人ということになっておるのですね。スポーツ振興のための公益法人。時間がありませんからまとめて申し上げますが、もしこのゴルフ会社が、この間の最高裁の裁定とにらみ合わせてみて、このスポーツクラブ、ゴルフクラブが公益法人でいいというのであれば、営利を目的とした水泳場、スケートリンク、スキー場、ボーリング場その他の有料施設は全部公益法人でもいいということになりますな。  私は、このゴルフクラブは公益法人になじまないのではないかと思うのです。これは県の認可でございますけれども、これは文部省の委任事項ですから、私はこれは県のミスではないかと思うのですが、文部大臣の見解をぜひ求めたい。これがもし公益法人でもいいということになれば、他の有料スポーツ施設は全部公益法人の経営ができるということになりますよ。いかがですか。
  231. 永井道雄

    ○永井国務大臣 愛知カンツリー倶楽部というのは、御指摘のように公益法人であります。そこで、他のスポーツ施設は全部公益法人になるかどうかという問題、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです。といいますのは、この愛知カンツリー倶楽部というのは昭和二十八年にできているのですが、そのときに設立条件というもの、使用許可条件というものがある。一つは、ビジターの利用率の増進に努めること、利用料について知事の承認を受ける、こういうふうなことが条件になっているわけです。そこで、それを条件にして今日まで仕事をしていて、報告をしているということを、私たちは報告を受けているわけなんです。一般にゴルフクラブ——私はゴルフをやりませんから余りゴルフ場のことは詳しくはないのですけれども、これについて若干調べますと、公益法人のゴルフ場というのは、いまのは二十八年ですが、昭和三十年代にできたもの、一番最後のものが山口県のケースでございまして、昭和四十二年ですね。  そこで、公益法人という姿でゴルフ場を認めるというときには、私はいま言った条件というものを非常にきちっと守っていく必要があると思います。そういう場合には、スポーツであって、そして人々になるべく広く使用されるというふうにならなければならないものだと考えております。
  232. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しかし文部大臣、私はもうこれ以上聞く時間がないのですけれども、会員権はいま四百五十万ですね、ここのゴルフ場の会社の会員権は。それで、正会員を中心とした、ビジター等の利用もあるでしょうけれども、この近所にパブリックゴルフ場というのがあるのです。その利用率から見たら年間四分の一ですよ。そういう状況から見ても、私はこれはなじまないと思うのですよ。これは県会でもいま問題になろうとしているのですよ。時間がありませんから、この問題はひとつ御研究いただきたい。  自治大臣、このゴルフ場の中をいろいろ見ますと、クラブハウスとかキャディーハウスとか、そういうものも地方自治体は建設してあげて、貸しておるわけなんです。緑地帯の三分の二を県有地として借りておる。さらに地方自治体は、クラブハウスをサービスし、キャディーハウスをサービスして、一生懸命建設してあげておるわけですけれども、こういうような形の地方自治体の土地の利用というのは私はおかしいと思うのですけれども、いかがでしょう、自治大臣。
  233. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のゴルフ場の問題については、ちょっと承っておることがあるのでありますが、われわれとしては、公共用地は公用あるいは公共のために使われるというのが姿として望ましいと思っておりますが、これをつくるに至った状況あるいは条件等々については、いろいろのことがあると思いますので、もし必要があれば、政府委員の方から答弁をさせていただきます。
  234. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その必要はございません。しかし、これは自治省としまして、こういうような大都市の周辺ですよ、名古屋市の。これは名古屋市内ですから。名古屋市内にこれだけの県有地があって、その三分の二を借りておるわけです。住宅用地を取得するにも大変な苦労をしておるわけですよ。そういうことを考えてみますと、やはりこれは地方自治体が持っている土地についても、自治省としては一遍洗い直す必要があるんじゃないか。そして行き過ぎのあるものは、注意すべきは注意した方がいいんじゃないか、こういうように思うのですが、いかがでございますか。大臣の御答弁……。
  235. 福田一

    福田(一)国務大臣 そういうようなものがどれくらいあるか、一応調べさせてみても結構であります。
  236. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、そのお調べの結果を御報告いだだくといたしまして、この問題については、時間がありませんので、ここまでにいたしておきます。  大蔵大臣の方には、またまとめて後でお伺いしますが、国土庁長官にお伺いをするわけであります。  いま、いろいろ国有地あるいは公有地の実態について、一つ二つの問題指摘をしたのでございますけれども、これは全般的に調べてみますと、まだまだ問題にすべきものはたくさんございます。そこで、住宅問題等を調べてみましても、建設大臣にも伺いたいと思ったのでございますけれども昭和五十年度を最終年度とする第二期住宅建設五カ年計画は、ほとんど達成不可能でございますね。その一つの原因に、大都市周辺のいわゆる用地の取得難というのが挙げられておるわけです。ところが、いま指摘しましたように、名古屋市内にも、そういった広大な面積が緑地帯で残されている、あるいは営林署の土地もある、あるいは京都市内においても、そういうような膨大な土地がゴルフ場に貸され、それで企業が金もうけをしている、こういう問題がございます。あるいは軍転法に基づく元軍港四港の周辺土地もどんどんいろんな形で払い下げが行われておるわけです。そういうようなことをいろいろ総合的に考えてみて、私は国有財産全般についての検討をする必要があるのじゃないか、こう思っておるわけです。ところが、いろいろ各省の状況を聞いてみますと、管理をする機構というのはある、しかし、将来計画をどうしようかという問題については、特別そういう部局というのはない、そのつど検討していらっしゃるようです。  先ほど私が申し上げましたように、この国有地の貸し付け問題だけを、大蔵省の普通財産分だけを見ましても、百九十万平米あるわけです。約六十万坪というものがあるわけですね。そういうようなことから、大蔵省に集まっているそういうような国有地、さらにまた県有地等も調べてみて、総合的にこういう問題をひとつ検討してみる必要があるんではないか、いわゆる国土利用の立場から。私有地を買い上げするというのは非常に困難ですね。で、公有地の活用という問題について、もう一遍国土庁あたりで総括的に資料を集めて御検討される必要があるのではないか、こういうふうに感じておるのでございますけれども、いかがでしょう。
  237. 金丸信

    ○金丸国務大臣 公有地は公共のために優先すべきであると思いますし、また、国土は均衡ある利用ということは当然、だと思います。  ただいまお話を承っておりまして感じたわけでございますが、国土庁といたしましても、これから計画もいろいろ立てなくちゃならない、そういう意味から考えてみまして、十分検討していきたいと思うのですが、まあ国有地につきましては、それぞれの行政官庁あるいは公共団体、また普通国有財産については大蔵省等が管理いたしておるわけですが、ただいまの利用目的というような問題、計画的な問題、こういう問題についても、ことに住宅問題等があるわけでございますから、積極的に、そういう問題についても、建設省その他各官庁と十分連絡をとって、今後まいりたい、こう考えております。
  238. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 どうか、そういう意味におきまして、公有地の調査委員会あるいはまた各地方自治体との話し合いも必要になってきますので、そういった利用計画委員会等をおつくりになってやるべきである、ということを申し上げておきたいと思うのでございます。  さらにまた、国有財産中央審議会の四十七年度の答申を見ましても、公有地は取得難であるし、そういった意味からも、民間へ処分することは原則として行わない、こういうようなことが答申としてうたわれております。あるいは、できるだけ都市の再開発に寄与するよう活用することを主眼として処理する、こういうような問題も提起されておるわけでございますが、どうかひとつ、徹底したそういう姿勢で臨んでいただきたい。  この間も私、横須賀へ調査に行きました。そうしますと、四十八年度ですでに港湾埋め立ての法律は改正をされておるわけでございますけれども、何十万平米という土地を一つの鉄道会社が埋め立てをして、いま一戸当たり二千数百万円、三千万円の価格でそういう住宅を売っておるわけです。そういうようなことを見ましたときに、いかにもわが国の国有財産の管理あるいは利用計画というものがずさんであったということを、まさに憤りの眼をもって見ざるを得ない、そういう状況がございました。どうかこの点ひとつ、社会的不公正の是正をモットーとされる三木内閣として、取り組み方をお願い申し上げておきたいと思うのでございます。  さて、大蔵大臣に総括的にお伺いをするわけでございますけれども、いま申し上げましたように、この国有地活用の原則としては、公共的な活用を原則とするというふうでなければならぬことは申し上げるまでもない、御答弁をいただくまでもないわけでございますが、同時に私は、今後こういった国有地を利用して特定の企業のみが金もうけできるやり方、この点はどうしても改むべきではないか、こういうふうに思うわけでございます。  いままでの推移を見てみますと、ここに国有地があったということを発見した人、そういう人が利用しておる、あるいは特定の企業だけが一部の土地を払い下げてもらって、貸し出し、貸し付け分として残しておる、そういうような状況なわけでございますけれども、そういう意味におきまして、公有地の貸し出し、払い下げの問題については、これはやはり公開の原則を導入しなければならないのではないか。いま国鉄が未利用地を払い下げる場合には、これはやはり競売の方法をとっております。そういうような意味から、国有地払い下げについては、特定の人だけが申請をしそれを官庁が検討されるというのではなくして、やはり公開を原則とされる、競争の原理を導入する、そういう必要があるのではないかと思うのでございます。また、貸し出しの場合にいたしましても、いままでの賃貸料をごらんになってわかりますように、一平米何円という値段は、もうわれわれの生活の中にはほとんどないのでございます。そういう状況から考えても、やはりこの貸し出しの賃貸料においても、国有財産を金もうけには利用できない、そういう一つの枠をはめるためにも、競争の原理を導入する必要があるのではないか。国有地を利用しても、それは金もうけにならぬ、そういう歯どめが必要ではないかと思うのでございますけれども、いかがでございましょう、大臣。
  239. 大平正芳

    ○大平国務大臣 第一の国有財産の管理、処分につきましては、石田委員もいま御指摘のように、すでに公用、公共用を主眼にすべきであるということ、あるいは一番緊張を呼んでおる都市周辺の国有財産の処理については、都市の再開発とのつながりというものを中心に考えろという原則が、中央審議会でもお示しがあるわけでございまして、そういうことが基本でなければならぬと私は思います。公開の原則と申しますのも、そういう基本の原則を損ねない範囲内におきまして、いま仰せのようなライン、われわれの国有財産の処分について、どういう場合にどういう条件で考えられるか、ひとつ検討させていただきたいと思います。  第二の賃貸料の問題でございます。数々の御指摘をいただいて恐縮しておりますが、いまの実態に即しまして、いかにも非常識じゃないかということでございまして、一々の場合を精細に取り調べまして、是正すべきものは是正いたすべきであると思うわけでございまして、そういう再検討をして、是正すべきものは是正するということで、御了承いただきたいと思います。
  240. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう少し大蔵大臣にお伺いをしたいわけでございますが、先ほどの返還問題でございますけれども、法律上はできることになっておるわけですね。しかしながら、実際は補償をしなければならぬからそれがむずかしい。新たに予算を組んで金を払わなければならぬわけですから、そういう意味の困難さがあるのだと思うのでございますけれども、やはり補償問題というのは、契約期間に限って、たとえば三十年の契約をした。二十年で返還をしてもらう必要が出てきた。その場合は補償をせざるを得ないでしょう。しかしながら当初の契約は三十年ですから、三十年を経過したものは返還が原則であるわけでございますから、そういう問題についても補償しなければならぬということはない、これはあくまでも運用上の問題だと私は思うのでございます。  それからもう一つは、国有地の貸与問題は、契約の更新というのはやはり例外にすべきであって、返還が条件なんですから、もう少しいまの法律を改正するなりして、貸与年数というものを下げるべきじゃないか。まあ時間がありません。いろいろな、国有財産法の問題についてもさらに議論をしたかったのでございますけれども、時間が終わりましたから、この二つの問題を伺って、終わりにしたいと思います。
  241. 大平正芳

    ○大平国務大臣 御指摘の点、またその理由、私もよく理解できます。ただ、いまの立法から申しまして、いま御指摘のような線で処理した場合、それが適正な処理になるかどうか、問題が起きた場合、果たしてそういうことで公判が維持できるかどうかという法律の問題になりますと、今日この席ですぐ、かしこまりましたと、そのまま御承認申し上げるわけにもまいりませんので、御趣旨はよく了解できましたので、そういう方向で真剣に検討さしていただくということで、御了承いただきたいと思います。
  242. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  243. 谷川和穗

    ○谷川委員長代理 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  244. 松浦利尚

    松浦(利)委員 急に政府の都合で、私が質問することになりました。政府の方にまだ準備ができておらぬ点もあると思うのでありますが、ひとつ的確にお答えをいただきたいと思います。  まず第一点でありますが、実は昨年十二月の十九日にOECDが定期的な経済動向及び予測について発表をしたわけであります。その中に、これは一般的な問題としての提起でありますが、先行きに明るさがないと設備投資が停滞し、景気回復後のインフレの原因になる、ということが第一点。それから第二点としては、ある程度の需要停滞はインフレ対策として認められるとはいえ、度を越すと問題を生ずる、などなどの点を指摘いたしまして、経済の先行きに対する産業界の信頼感の欠如が最大の問題だ、同時に、雇用面からも信頼の回復に重点を移しかえることを指摘しておるわけです。また政策転換のタイミングはきわめて重要で、これは、来年末というのはことしのことでありますが、来年末までに経済成長が正常なものになり、七六年の雇用安定化を望むなら、直ちにこの際、政策転換に踏み切るべきだ、ということの指摘が行われたわけですね。その関係で西ドイツあるいはアメリカ、それぞれの先進国においての経済転換、景気刺激策というものがとられ出したことは、御記憶のとおりだと思うのです。  そこで、常々副総理、経済企画庁長官は言っておられるのですが、こういう外国からの問題は、これは雑音だ、わが道を行くんだということをもきのう指摘しておられたのですが、その点は、このOECDの一般的な分析についてどういうふうな考え方を持っておられるのか、わが国の経済に照らして、OECDの指摘は正しくないのかどうか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  245. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 OECDがわが国の経済運営のマナーについて何か言っているというようなお話ですが、それは言っていないのです。一般論といたしまして、いま非常に信頼喪失の時代である、その信頼喪失の原因は何かと言えば、これは石油問題またインフレ、そこでインフレの結果どなたも先に不安を持つ、そういうようないろんな要因を指摘しまして、今日は世界的な不安な時代である、コンフィデンスというか信頼が失われた時代である、そういう指摘をしておるわけです。その中で、今日しからばインフレはどうして起こったのか、こういうことにも触れておりますが、インフレは過度の過去の経済成長の反動として起こったのだ、こういう指摘もしておりますし、また同時に、しかしその事態に対処するために余り厳しい引き締めをするというと、その摩擦、これも警戒をしなければならぬ問題である、こういう指摘もしておるわけでありまして、その指摘に対しましては、大体私も大局的には妥当な指摘である、こういうふうに考えておるわけです。  そこで、OECDもそうでありますが、海外で、日本はこの際政策を転換したらどうだというような論をなす人、これはあります。しかし、日本を特定いたしまして、何か公の機関でその政策転換を要請する、こういうような動きはないのです。  そこで、この海外の動きに、わが日本国は非常に敏感なんです。どこか海外で議論があるというと、すぐ、さあ日本はそれを考慮に入れぬかなあという意見があります。そういう動きが非常に顕著である、こういうふうに思うのですが、これは私は非常に危険なことだと思うのですよ。海外のいろんな学者なりあるいは実業家が、日本の経済を見て批判をする。その批判の背景にはいろいろの含みもあり、また利害も伴うというようなこともあるだろうと思うのです。ですから私は、海外の動き、これはちゃんと、どういうふうに日本の経済を見ておるか、しっかり受けとめなければなりませんけれども、だからといって、それに動かされて、わが国のかじを見誤るというようなことがあっては相ならぬ、こういうふうに考えているのです。三年前なんか、まさにその見誤ったケースじゃないかと思うのです。日本とドイツでうんと外貨がたまった。そこで外貨のたまった国は外貨減らしをしなければならぬという声がずっと強く出てきたのです。それに対しまして、ドイツはその動きに従わなかった。わが国はそういう動きにかなり同調して動いて、外貨減らし政策というのを真っ正直にとったわけですよ。これが調整インフレと言われる、そういう政策になってきたわけです。そういうようなことを考え、苦い経験もありますから、私どもはその辺はよくにらんでおかなければならぬ、こういうふうに思います。  そこで、現在のわが国の経済のかじ取、これはどこまでも主体性を持ってやらなければならぬ。そうしてまた同時に、いまわが国がとっておる主体性での政策が、世界の協調に反しているかというと、これはそうじゃないのです。とにかく経済は決して縮小政策をとっているわけじゃないので、七五年といいますか、五十年度におきましては、とにかく四・三%成長を見込んでおる。これは先進諸国の中では非常に高い成長です。しかも、いま輸入をわが国は相当しておるのですよ。しかも、その輸入を相当しておるという結果、わが国の国際収支には四十九年度において五十億ドルの赤字が出る。そういう見通しです。それだけの犠牲を払っても、世界経済のために、とにかく輸入をしておるという結果になる政策をやっておるわけです。私は、わが国の経済について、いまこの時点において指さすものがあれば、そういうことを堂々と説明すべきである、私は返す言葉はあるまい、こういうふうに信じております。
  246. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま経済企画庁長官から、胸を張っていろいろと言われましたが、そこで、これは通産大臣にお尋ねをしたいのでありますが、まさしくOECDが指摘をしておるように、設備投資が停滞をしたら、景気回復後にインフレになるおそれがあるという指摘は、ある意味では私は正しいと思うのですね、一般論として。  そこで通産大臣にお尋ねをし、経済企画庁長官の判断をお示しいただきたいのでありますが、これは新聞等でありますから、正確には把握しておらないのですが、そういう、再びインフレ圧力が生ずるということを避ける意味で、近く電力、鉄鋼、石油化学、石油精製、アルミ、こういったものに対して、設備投資抑制を解除する。そして大蔵、日銀などに対して金融的な配慮もしてもらう、企業に対しては計画実現に向かうように指導をしていくのだ。またあわせて、そうしておかなければ企業の国際競争力が低下するということが、これは通産大臣の発言として報道されたわけです。ということになると、実質的にこの設備投資解除というものに対する総需要抑制との矛盾、摩擦、OECDが指摘をしているように、先行きに明るさがないと設備投資が停滞をするという事実が現に出てくるということになれば、これはまた大変でありますから、そういった意味の調整、それで通産大臣はこのことについて、いまもそういうふうに投資抑制解除という方向で、閣議なりあるいは産構審に諮問をしようとしておられる。これに対して経済企画庁長官はそれをどのように判断をされるか、まず通産大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
  247. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 設備投資についてのお話が出ましたが、現段階では設備投資に対する意欲は非常に落ち込みまして、私は先般来日本の重立った産業の代表と全部懇談をいたしましたが、いまの時点では、ほとんど全部の産業が民間設備投資をするというふうな意欲を失っておるというのが実情でございます。  なぜかといいますと、まず全産業といってもいいと思いますが、大体二割から七割までぐらいな減産をしておるわけですね。そういう状態でございますから、民間で設備投資をやってみようというのは非常に少ない。ただ、私どもが非常に心配しておりますのは、二、三年先には基礎的な物資がこういう状態では不足するのではないか、いまはいいですけれども、二、三年先にはそういう状態が来るのではないか、こういう点を心配をいたしまして、設備投資を全面的にいつまでも抑制するということではなく、弾力的にこれを運用していく、そういうことが望ましいのではないかということで、いま検討をしておるところでございます。
  248. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 要するに経済が混乱をし、インフレを招くということは需給の均衡が破れる、こういうことです。需要の方が進んでいって、それに対する資材の供給が間に合わぬ、こういうことになれば、それはインフレであります。いまとにかく四十九年度で言いますが、マイナス成長ですから、そういう問題は起こってきません。それから五十年度は四・三%成長だ、こう言うから、これも目の先設備が不足しているという問題はないと思うのです。ただ、いま通産大臣がおっしゃるように、二、三年先、五十年は四・三%成長だ、また五十一年にも何がしかの成長がある、五十二年にも成長がある、そうすると、それに伴って需要が起こるわけですから、それに応ずるだけの設備は持たなくちゃならぬ、そういうようなことから、通産省におきましては、個別の資材等につきまして需給がどうなるかということを見ておるわけです。見て、これはどうも二、三年先には不足しそうだというようなものがありますれば、それは二、三年設備に期間がかかるというならば、もう今日それを始めなければならぬ、こういうことになりますので、その辺はケース・バイ・ケースで対処する、こういうことになろうかと思います。
  249. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ケース・バイ・ケースということは、非常にわかっておるようでわからない言葉なんです。  そこで、きのうも、総需要抑制はあと一年六カ月ぐらい続けるという発言を、わが党の阿部委員に対して副総理は御答弁になっておられますね。  そこでお尋ねをしますが、この安定成長に向かうための、五十年、五十一年というのは、初めから調整期間でありましょう、経済の調整期間として設定したのでありましょう。それはどうですか、それはそのとおりでしょう。
  250. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 それはそのとおりでございます。
  251. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで総需要抑制を一年六カ月延長するという意味の根拠が私はなければならぬと思うのですね。調整期間で一年六カ月ということは、来年の中では総需要抑制は打ち切るということですか。  そこで、ちょっと副総理に不明確な点がありますから、お聞かせ願いたいのですが、いまの設備投資の関係は、あとでまたもう一遍議論させていただきますけれども、経済企画庁の経済審議会計画推進委員会が十二月の二十五日に「経済社会基本計画フォローアップ」として、昭和四十九年度報告をした内容なんですね。そこにこういうことが書いてあるのです。五十五ページから五十六ページにかけてですが、要するに、「調整期間の長さに影響を与える要因」というものが存在をするのだ。それでその要因はこういうものだということで、四つのことを挙げておるのですね。その一つは「国際的な経済環境である。」これは石油の問題とか、そういう国際経済の状況とか、そういったものを含めて、それが一つの要因だ。それから二番目には、いつも政府が言うように、「物価と賃金の相互関連」という問題で、春闘を重視するのだということが二番目。それから三番目には、失業が大量に発生をするというようなことを中心にして、四つのことを挙げておるのですね。これがうまくいかなければ調整期間というのはさらに長引くのだということをこれで指摘しておるわけです。  そこで一つの問題、第三の指摘をしておる失業の問題でありますが、いま労働省の調べを見ましても、失業保険被保険者資格喪失者のうち事業主都合による離職者数、これを昨年の十一月までフォローしておられましたから、その資料、これは労働省の資料でありますが、九月に五万四千六百二十一人であったものが、十一月には九万八千七百五十六人と、約倍に増加をする傾向ですね。おそらく十二月にはまだ多いだろうと、こう言っておるのですが、そういう場合には、ここにはこういうふうに書いてあるのですね。「失業という社会的混乱が起り、物価か失業かという厳しい選択が迫られる段階になっても、なお物価安定のみを目指すことには現実的に困難があろう。この面からは、急激な総需要抑制策による調整によって短期間に物価を安定させようとすることには問題があり、調整期間の長さについて多少余裕をもって考える必要があるのではないか。」こういうことを触れておられるのですね。だとするならば、きのうの一年六カ月総需要抑制というものをさらに続けますという発言は、逆に言うと、このフォローアップしておられるこの経済社会基本計画に対して、いまの失業というのはまだそう深刻じゃない。企業倒産というものがそう大したことはない。ですから、この調整期間の一年六カ月の間には、まだまだ総需要抑制というものを締めていっても大丈夫だという前提に立っておられるのか、それとも総需要抑制という枠は崩さないとよく言うのですけれども、しかし、総需要抑制というのを崩さない、崩さないと言いながらも、失業問題なりあるいはそういった問題を考慮して、俗っぽい言葉で言えば、なし崩し的に政策の転換をやっていくのだ、そういう政策をいまとろうとしておられるのか、それともやはり厳しく、五十年、五十一年という調整期間を目指して、びしっとやろうというお考えに立っておられるのか、そのいずれを経済企画庁長官としては選択しておられるのかです。
  252. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 総需要抑制政策といいましても、これを進める手法なりその手法の緩厳、これは固定したものじゃないのです。手法にいたしましても、いろいろな手法がある。あるときには財政を抑制のために使わなければならぬ、あるときには金融を、あるときには両者を使わなければならぬ、またあるときにはその他の法的手段も使わなければならぬ、いろいろな手法があるわけです。その手法を用いる、その厳しさ緩さ、これもそのときどきの経済情勢に応じて千差万別である、こういうことであります。  ただ私は、総需要抑制政策、これはとにかく調整期間中は大体これを守っていかざるを得ないだろう、こういうふうに申し上げておるのです。しかし、なるべくそういう抑制期間を早く切り上げたい、そういうような希望も含めまして、一年半ぐらい続くかなということを申し上げたのですが、これは総需要抑制政策といっても、それを撤廃しましたといったそのとき、画然と経済政策がそこで変わるというわけじゃないのです。ですから、まあ物価が落ちつきます。あるいは国際収支も安定の度合いが出てきます。あるいは国際情勢が明るい見通しになってきた、あるいは雇用情勢あるいは生産活動、そういうものを他方ににらみながら、それがどうなってくるか、そういうようないろいろな要素を見て、そして弾力的、機動的に総需要抑制、そういう観念のもとに施策をとっていく、こういうことであります。ですから、ずっと事態が進んでいく、物価も落ちつきました、また国際収支の方も明るくなりました、そういうような時期になりますれば、これは総需要抑制政策といいましても、中身においては非常に緩やかな総需要抑制政策だというふうになろうと思うのです。  この総需要抑制政策の中身は、いま触れられました雇用の問題とか、生産活動の問題とか、あるいは重要物資の需給の問題とか、そういう問題を多角的にとらえまして、そしてその結果、これは総需要抑制政策の枠内であるけれども、こういう手を打たなければならぬ、こういう際には、これはもう機敏に弾力的な手を打っていく、こういうふうに御理解願います。
  253. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっともう一遍お尋ねをしておきたいのですが、一つは、いま言ったように、昨日阿部委員には一年六カ月間の総需要抑制を続けていくのだ、それがいまケース・バイ・ケースだ、こういうふうに言われたのですが、ずっと政府のとってきた一連の行動を見てまいりますと、こういうことだと思うのです。  一つは、一月から三月までの公共事業、これは完全に消化をする。繰り越し分を除いて、四十九年度の一月から三月までの政府関係公共事業は一切やりますぞ。それから完全消化額が一兆四千五百八十億、公共事業を一−三月に集中して、一兆四千五百八十億円を三カ月で完全に消化する。それから五十年四月以降、ですから新年度においては、上期に公共事業の契約率を七〇%に高める。これは四十八年から四十九年は五四%だったのです。五四%から五〇%程度の契約率なんです。これを七〇%ということは、逆に言うと、景気浮揚策というものを、公共事業というものを通じて、この一月から実施をするということなんですね。  それからもう一つは、金融が締まっておるので、過去二年間停止していた大手商社に対してインパクトローンを認める。いままでは電力と鉄鋼に対してだけ認めておったものを、さらに導入許可を与える。これは大蔵省でありますが、大蔵大臣にお尋ねをしておきます。そういう認可をされる。  そういう設備投資も解除する、公共事業も完全消化をする、金融についてもインパクトローンを認める、こういうふうなことでいきますと、結果的には公定歩合とかあるいは預金準備率の引き下げというような、明示的な政策の転換をしておらないだけで、実質的にはもう総需要抑制の中身というものは、なし崩し的に景気刺激策という方向がとられておる。だから逆に言うと、もっと、もう政府がここまでやってくれたのだから、もう間もなく公定歩合、預金準備率の引き下げ等が行われるだろうという空気がいま出てきておるのです。  ですから、経済企画庁長官の言われる総需要抑制の中身というのは、具体的にはもう何もないでしょう。それは、いろいろなことがあるかもしれませんよ。しかし、主なものはないのです。あるのは、要するに公定歩合、預金準備率の引き下げということだけが残されておるということになっておるのじゃないですか。私はそう思いますね。ですから、政府が、総需要抑制でございます。抑制でございますと盛んに言うのは、言葉だけであって、中身はそこまでもう来ておるじゃないか。そういう点は、やはり中身について正直に言うべきじゃないか。ですから大蔵大臣、まずインパクトローンの導入許可を与えましたが、この点についてどうですか。
  254. 大平正芳

    ○大平国務大臣 一兆四千五百八十億の第四・四半期の公共事業の契約の促進、これは松浦委員の御指摘のとおり、第四四半期はこの消化について促進を図りたいと考えております。すでに第三・四半期までに七六・一%契約ができておりまして、二三・九%残っておるわけでございますが、繰り延べ分五一一%がありますので、残りの一八・八%、これは第四・四半期で契約を規制しない限り、当然認めるべき性質のものでございまして、私どもはその契約を認めましても差し支えなかろうという判断でございます。ただし、あなたが第二段で言われたように、上半期七〇%の契約をやろうなんということは決めておりません。いませっかく、来年度の予算そのものの御審議を願っておる最中でございまして、それをどう使うかなんということをいま議論するようなふらちなことは考えていないわけでございます。  念のために申し上げておきますけれども、去年は大体上半期五三、四%くらいの契約でございました。例年より一〇%内外低目に抑えたわけでございます。来年度どういたしますか、これは予算成立後、慎重に考えてみたいと思っております。  第三の問題で、インパクトローンでございますが、これはアメリカあるいはヨーロッパ市場等で、会社によりまして、すでに久しく以前から交渉が続いておりましたもので、成約ができたものが若干あるわけでございまして、いまそれを抑えるという必要を特に認めませんので、そして金額そのものもそう巨額なものではございませんので、これは認めていくつもりにいたしておりますことは御指摘のとおりでございます。
  255. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 総需要抑制政策とは言いながら、中身はもう空っぽじゃないか、そういう御指摘ですが、そうじゃないのです。たとえば財政につきましても、ことしの予算、公共事業費につきましては、かなりの額を五十年度に繰り越しておるのです。これは政策的に繰り越しておるわけなんです。それは一切まだ手は触れておりません。  それから、四十九年度の残った公共事業につきまして、これを完全消化、完全消化とおっしゃいますが、完全消化なんてとてもできるものじゃないのです。これは、もう支出を促進するというだけのことでありまして、そう完全消化ができるものじゃない。また、金融政策につきましても、これは日本銀行がちゃんと資金供給枠を四半期ごとに決めまして、それにのっとりながら通貨発行額あるいは経済の動向全般をにらみましてやっておるわけでございまして、そういう基本的な構えは変えておらないのです。  とにかく国も企業も家庭も、過去十五年間、高度成長思想という背景のもとに今日までやってきた。ややもすると、特に産業界なんかそうだろうと思うのですが、さあ総需要抑制政策が撤廃になった、夢よもう一度ということで、盛んな、急激な経済活動に移らぬとも限らぬ。しかし、正しいこれからの日本経済のあり方というものは、もう高度成長は許されない、これは、かなり静かな控え目な成長だ、こういうことになってくる。そこへ、調整期間二年間かけて、全国民、特に企業の頭というものを持っていかなければならぬ、そういう時期でありますので、これは目を離すわけにいかないのです。その目を離すわけにいかないという考え方の中心は何であるかというと、需要の管理ということになるのです。需要というものがそう起きないように目を光らせなければならぬ、そういう考え方に基づくわけでありまして、そういう体制の中においてとる一つ一つの政策、これは、そのときの生産活動の状態あるいは需給の状態あるいは雇用の情勢、そういうものをにらんで緩厳よろしきを得なければならぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。
  256. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その需要管理政策という意味はわかるのですが、金融にしても、要するにもう十二月に、一月以降の先食いを認めておるわけですね。先食いを認めて出しておるわけですよ、金融関係も。ですから、私がいまなぜこのことで質問をしつこくやっているかというと、現実に総需要抑制政策という動きで、今日まで政府がずっと一貫して物価を中心に政策をとってきたけれども、どうもここで政策転換をするらしい。政策転換をすれば、先ほど言いましたように、企業の中には、通産大臣によりますと、非常に冷え切っておる面も出てきておりますけれども、またもう一度という状態が、期待可能かどうかは別にして、産業界には非常にいま高まってきておると思うのです。  要するに総需要抑制だ、需要管理政策だと言いながらも、いま言ったように、ずっとなし崩し政策をとってきた。そのために期待ムードというのが非常に大きくあらわれてきておるわけですよ。ですから、需要管理政策ならもっとびしっとした需要管理政策をやるべきである。あいまいなところに問題がある。あいまいなことをするなら、五十年、五十一年に静かに控え目な軟着陸でなくて、これに書いてあるように、もっと五十一年、五十二年、五十三年ぐらいかけて、三年間で軟着陸してもいいじゃないか。調整期間も何も二年間にこだわる必要ないじゃないか。三年間にしてもいいじゃないか。むしろ総需要抑制政策というものを唱えるなら、びしっとやってもらいたい。でないとするなら、もろもろの問題を考えて、調整期間というものを二年でなくて、五十三年なら五十三年に引き延ばせばいいじゃないか。なぜそういう転換をしないのか。その点を、私は経済企画庁長官に期待するから、質問をずっと、こういうことでもう何遍も、委員会でも総括でやられたし、各党からやられたことを、あえてここで私は質問しているわけなんですよ。  ですからこの際、経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、調整期間というのは、絶対に五十年、五十一年というものに限定をするのか、今後も。需要抑制は一年六カ月、まさしくこの二年間の枠の中ということですが、これを延ばすという気持ちはないか。摩擦が起こっても、この二年間でやり遂げるということに、方針として変わりはないのか。そのことをひとつお聞かせいただきたい、具体的な問題として。
  257. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私どもも人間ですから、先の先どういう事態が起こってくるかもしらぬ、特に国際情勢においてどういう変化があるかもしらぬので、そういうようなことをここではっきり見通しておくというわけにはまいりません。しかし、今日の時点において、とにかく一番国民が心配しているのは何だ、こう言いますれば、これは物価の問題です。それから国として大事な問題、国民は直接の影響はないのですから、そう関心は持ちませんけれども、国として大事な問題は何か、国際収支だ。その二つのかなめ、これの大体の見通しがつくまでは、窮屈なことでありますけれども国民も協力してもらいたい、こういうふうに思っておるのです。  いま私どもが、非常に国際的な変化、そういうようなことに際会しなければ、何とかして国民の待望する物価、定期預金の金利以下になった、先先ももう物価問題については安心できる、また企業も家庭も先々の設計、企画というものができる、こういう状態にしたいということで、そういうところまでに達する不安定な時期というものは、そう私は長い期間ということは好ましくないと思うのです。ですから、異常な事態が起こらない限りにおきましては、何とかしてこの二年間、なるべくそれも早い時期に、この見当をつけたい。この二年間という時期はどういうふうに考えておるかというと、この五十年度というこの年に大体粗ごなしをする、そうして五十一年という年に詰めをする、こういうふうな形にしたいということを考えておるのですが、とにかくそういうことで最善を尽くし、国民に御安心を願いたい、こういうふうに思っておるのです。
  258. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは気持ちはわかるのですが、しかし問題は、先ほどから言うように、政府のとっておる需要管理政策、総需要抑制政策というものが、個々のケースで拾っていきますとなし崩しなんですよ。だから、さっきから言うように、公定歩合、預金準備率の引き下げということがないだけなんです。明示されないだけなんです。  それで、副総理は盛んに、今度の三月期対前年度一五%以内、きのうは一三%ぐらいになると言われたそうですけれども。ところが、よくよく考えてみますと、この三月期はそうであったとしても、それじゃ四月以降はどうなのかということについての見通しはないですね。ただ、はっきりしておるのは、五十一会計年度中に一年定期預金金利の七・七五%にしたいということになれば、五十年度の終わり、五十一年三月末対前年度一けたにしたい、そういうことを志向しておられるのですけれども考えてみますと、産業界にそういう期待可能性というものが、いまずっと浸透してきている段階でしょう。しかも政府が言っておるように、酒、たばこあるいは十月からはがき、公共料金が上がる、ガス代の値上げの申請も出ておる、電気の値上げの申請も出ておるということになってきますと、瞬間的には、それは確かに一五%以下に抑えることはできても、目標として言えることがあったとしても、四月以降に対して、物価が安定する見通しというのは私はむずかしいと思うのです、率直に言って、いまのようなやり方なら。なぜかと言うと、総需要管理政策、総需要抑制政策というものがしり抜けになっておるからですよ。にもかかわらず、物価が中心だ、物価が中心だと言って、片一方では倒産が出る、失業が出る、そういう状態が生まれてきていますね。ですから、国民としては、いまの経済運営というのは、一体どっちにどういうふうに向いておるのか、私は模索してもわからぬだろうと思うのです、率直に言って。政府部内もわからぬのじゃないですか。だから、これに対して非常にばらばらな意見が出るのです。新聞に単発的にとっとっとっと出るわけですね。どうですか。  そういう意味ではもう一遍、政府は総需要抑制という問題について洗い直してみる必要があるのじゃないですか、一体政府は何をすべきなのかと。せっかくこういう経済社会基本計画というものがあるわけです。これは抽象的にすべてのことが羅列されておる。こういうもの、こういうもの、こういうものがある。しかし、そういうものの中には、具体的に何が入っておるのか。物価安定の中で、通産大臣が言う設備投資の抑制解除という問題は一体何に該当するのか。インパクトローンの導入というのは一体何に該当するのか。そういうものを、私は一遍ずっと図式に書いて並べてみてもらいたいと思うのです。私は、わかっておるのは、経済企画庁長官だけわかっておるような気がしますね。  ですから、私はもう時間がありませんからこれで打ち切りますが、希望です。そういうものについて、もう一遍正確に見直してみて、経済の運営について一体政府はどういう方向をこれからとろうとするのか、その点について、私たちに明示していただきたいと思う。おそらく質問しておる私の頭が悪いのかもしれぬですね。だから、われわれにもわかるように、もっと明確なデータなり資料というものを、国民の前に明らかにしてもらいたい。その点を、ひとつ経済企画庁長官に約束をしていただきたいと思うのですが、どうですか、やって出していただけますか。
  259. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私どもの申し上げておることは、非常に明快なんですがね。とにかく物価を安定し、国際収支の見当をつけなければならぬ、これをずっと進めておるんですよ、この政策を。しかし、それをやっていく過程において、いろいろな摩擦現象、ひずみ現象が出てくる、これに対しては有効適切な手をとる、こういうことでありまして、その手を着々いま進めておるわけでありまして、具体的な摩擦回避対策、これは、あした経済対策閣僚会議を開いて、具体的、当面必要な対策を決めますが、どこが明快でないのか、私もお話を承っておって、どうもよくわからないのですがね。私ども申し上げておることは非常に明快である。  ただ、こういう空気はあるのです。私は、私自身も心配しておりますが、景気論争というものが大変盛んなものですから、それをやはりマスコミなんかもいろいろ書く。そうすると、国民の間には、さあ政策転換がもう早いのじゃないかという期待を込めての見方、そういうものがあるのじゃないか。そういうようなことで、多少具体的政策なんか出ますと、鉄鋼の値段なんかしゅっと上がるとか、株価が上がってくるとか、そういう現象が出てくるんじゃないか、そういうふうに思いますが、しかしそれは、そういう政策転換、需要をどこまでも管理していくというこの基本的な姿勢につきましては、これは物価が安定し、国際収支の見通しがつくまではやめるわけにいかぬ。しかしその一方、雇用の情勢が悪くなった、あるいは倒産が出るなんというようないろいろな問題がある。それに対して手をこまねいておるというわけにもいきませんから、それに対しては必要な手を打つという、これだけの話なんです。私どものとっておる態度は、きわめて明快だと思います。  それから資料が必要であるということであれば、お求めがありますれば、具体的にお申し込みくださればいつでも提出いたします。
  260. 松浦利尚

    松浦(利)委員 言葉で言ったらわかるんですよ。いま言われたとおり、筋道、そのとおりだと思うんですよ。ところが、実際に具体的に図式の中に書いていってみますと、一体どこにそういうのがあるのか、問題が。わからなくなるわけですよ、やっておることが具体的に。また各閣僚が言っておられることがわからない。それから、需要管理政策の中の一体どこをこの人は言っておるのか、その点がわからない。  ですから、言葉では非常にきれいにすっといくけれども、経済は動いておるわけだから、それは図式にしてどうのこうのと言うのはむずかしいから、言葉で簡単に副総理は言っておられるのだと思うのですが、この際、大蔵大臣もおられるわけですから、もう一遍、私たちにもわかるように、一体いま政府がとっておる総需要抑制というのはどういうことなのか、摩擦が起こっておるもの、具体的に失業に対して摩擦が起こっておるからこうする、こういうことをやったのだ、こういうことはこういうことでやったのだ、具体的にこのためにこの政策をやったのだ、こういう摩擦があったからこれをこうやったのだということを、具体的に出していただきたいと思うのです。委員長、どうでしょうか、副総理も出していただけるということですから。
  261. 大平正芳

    ○大平国務大臣 総需要抑制政策という名の政策でございますが、これは御承知のように、金融面と財政面と両面から成っておりまして、金融面では、一昨年から昨年にかけまして公定歩合の引き上げという形で行われておりまして、この方は去年の暮れからことしの春にかけまして、欧米各国で若干の改定が行われたようでございますけれども、わが国は変えておりません。  それから預金準備率でございますが、これも数次にわたりまして高めてまいったわけでございますけれども、欧米各国に比べましては、なお依然として低位にあるわけでございますが、これも諸外国も手をつけておりませんし、わが方もまだ手をつけていないわけで、御承知のとおりでございます。  それから窓口規制でございます。これは日本銀行の手によって行われておる、銀行ごとに、四半期別の融資枠の設定でございますが、これは各四半期ごとに若干の、前年同期あるいは前年同期比の厚薄はございますけれども、この従来のフレームのまま実行いたしておるわけでございます。ただ、このフレームの中で、各銀行、金融機関が弾力的な配慮ができるゆとりは、私はあるものというふうに考えております。  それから、財政面でございますが、これはもうもとより、一般会計、特別会計、政府関係機関を通じまして、全体として規模を抑制的に編成していく、節度ある運営を図るということが基本でございますが、第二は、公共事業あるいは財投の投融資の契約を四半期ごとに規制してまいっておるわけでございます。それから、去年の九月から、御案内のように、一部繰り延べを実行いたしておるわけでございます。  ただ、これの例外は、なし崩しに崩しておるではないかと言われるわけは、恐らくは財投で、あるいは住宅資金を二回にわたって融資枠を拡大いたしましたり、あるいは公害融資を年度内に増枠をいたしたりいたしたことを言われておるのだろうと思いますが、これは既定の枠を越えて追加枠を年度内に出したことは、松浦委員も御承知のとおりでございます。それ以外に、そもそもこの総需要抑制策にかけていない、たとえば中小三機関でございますとか、あるいは住宅金融公庫であるとか、そういうようなものはもともとらち外に置いているわけです。ですから、いままでわれわれがやってまいりましたことは、枠外に財投の追加枠を認めた以外、特にいままでやってきたやり口を、基本の政策のフレームを崩してやった覚えはないわけなんでございまして、特にこれはおかしいじゃないかという点があったら、御指摘をいただきたいと思うのです。  あなたの言われる、インパクトローンの取り入れはどうだということでございますが、これは銀行の融資ではございませんし、外国から外貨を取り入れるわけなんでございまして、いままでの総需要抑制政策の中で、これは抑えるんだという措置を講じていないものなんでございますので、これを受け入れたからといって、いままでの定立した総需要抑制政策の骨組みを崩したということは、いわれなき誹謗ではないかと私は思います。
  262. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いわれなき誹謗を言っておるのじゃないので、わからないから、もっと正確に資料を出して、具体的にそれは何に該当するんだ。仮に言うと、インパクトローンを導入する。しかし、これが円に転換されることに対してチェック機能がないわけでしょう。銀行でもどこでも、チェックするところはないです。円に転換することを一体、これはどこでチェックするのですか。チェックできるという機構があればいいですよ。ただ許可をしただけですから、これが円にどんどん転換されていくのですよ。やはり景気浮揚になるじゃないですか、円が増加するわけですから。だから、そういうのは一体これは何だと質問されたときに、いや、それは総需要抑制の枠ですよ、矛盾があったからこれは許可したんです、その矛盾は何だ、わからないですね。  だから、いわれなき誹謗じゃないのです。わからぬから、もっと明快にしてくれと言うのですよ。だから、その資料をこの際出してくれと言っておるのですよ。経済企画庁長官は出すと、こう言っておるのですから、出していいのじゃないですか。お互いに勉強するのが委員会ですから、何も自分だけわかっておってもらっては困るので——もういいです。時間がないですから。
  263. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いや、資料を出さないと言っているわけじゃ決してないのです。いま説明をしておったわけでございまして、いままでのことを整理いたしました資料は、お出しいたします。
  264. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まあいわれなき誹謗というのも大平さんだから出る言葉で、まあ悪気があって言われたんじゃないですから、いいですが……(発言する者あり)
  265. 谷川和穗

    ○谷川委員長代理 御静粛に願います。
  266. 松浦利尚

    松浦(利)委員 問題は、的確な資料を、われわれが勉強できるように、もっと具体的に議論できるように、ひとつ提出をしてくれということでありますから、それが出た段階で、この問題は、だれが議論するかは別にして、もう一遍議論をさしていただきます。そのために、この質問は一応留保さしていただきます。  それで次に、話題を変えますが、総務長官においでいただいたのですが、小坂総務長官時代に「物価問題調査会家計部会提言」というのが、四十九年十月二日に出されております。このことについては知っておられますか。
  267. 植木庚子郎

    植木国務大臣 仰せのとおり、前総務長官の小坂長官の私的諮問機関であります物価問題調査会の家計部会におきまして協議せられました結論が、答申の形で出てまいっておりますのを、承知いたしております。
  268. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その中に、もう非常に具体的な提言がなされておるのですね。この中に「ナショナル・ミニマムの確保」というのが出てきておるのです。「現在の生活環境の下において最低限必要だと思われる生活必需物資の品目と数量を選定し、それらを可能な限り廉価で供給する」、こういう提言がなされておるのですね。しかもそのために品目リストまで、四十九年八月に総理府が出された「家計支出上の主要品目について」というものが、実は、この家計部会でも資料として議論されておる。それを見ますと、米に始まって食パンから干しうどん、イカ、アジ、サバ、塩サケ、牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、鶏卵、粉ミルク、キャベツ、タマネギ、キュウリ、トマト等、主要品目がずらっと出ておるのですね、教育あるいは娯楽についても。こういうものの中で、これが最低必要なものだから、この最低の生活必需物資の品目を選定して、それを低廉な価格で供給しよう、まことにいい発想だと思う。家庭生活を営むための最低のナショナルミニマムはこれだけですよということを提言したのは、私は、これは大変前内閣としてはりっぱなものだと思うのです。  そこで、三木内閣、この提言が一体どこにどうなったのかですね。お聞きするところによると、物価問題調査会家計部会というのは、もう解散してなくなっておる。提言のしっ放しです。物価を安定すると言うなら、まず具体的に、国民が最低家計に必要なものをここまで議論をして煮詰めていただいたのですから、これをまず低廉に供給するための努力を図っていくということを、品目別に掲上してあるわけですから、そういう作業をなぜ三木内閣はされないのか。やる御意思があるのかどうか、提言のしっ放しなのかどうか、その点をひとつ総務長官から明確にお答えいただきたいと思うのです。
  269. 植木庚子郎

    植木国務大臣 この調査会は、前後十二回にわたりまして開催せられまして、十月の四日に、総会において提言がまとめられたわけでございまして、いまお話しのように、物価問題に関連いたしまして数々の御提言がございましたが、その中に「ナショナル・ミニマムの確保」という条項で、お話のような提言がなされてあるのでございます。これは十月十一日の経済関係閣僚協議会におきまして、小坂前長官からその内容を報告いたしまして、各省庁にわたって、この提言の推進方をお願いいたしました。  具体的にそれではどうなっているかということでございますけれども、この中には、まず第一番目に、公共料金のあり方について書いてございます。これにつきましては、極力抑制的に取り扱うという趣旨のもとに、御承知のとおり、三木内閣におきましては、公共料金の値上げの必要性がありますものにつきましても、これを極力抑制をしていくという方針をとっているわけでございます。  それから、生活必需物資の確保でございますが、これは、確保いたしますとともに、可能な限り廉価で供給をする必要がございます。したがいまして、毎月統計調査をとっているわけでございますが、お話のような生活必需物資のそれぞれの品目につきまして、丹念にその調査資料を整えますとともに、これは経済企画庁等において分析も行われ、経済関係の閣僚協議会あるいは経済対策閣僚会議におきまして、それらの生活必需物資が安定して、また廉価に確保できますように、その都度各関係省庁に対しましてお願いを申し上げているところでございます。
  270. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっと、そういうことを聞いておるのじゃなかったんですがね。まあ詳しく答弁されたんだからいいですが。  経済企画庁長官、物価担当大臣ですから、ちょっとお尋ねをしておきますが、大体ナショナルミニマムというものを設定する御意思があるのですか。ここに提言しておるように、要するに「最低限必要だと思われる生活必需物資の品目と数量を選定」する、ナショナルミニマムをつくるんだ、そういう発想ですね。  いま長官はいろいろ言われたけれども、それはそれで物価対策として結構ですが、問題の本質はやはりナショナルミニマムというものを設定する意思があるかどうかということなんです。私はそのことが非常に重要なポイントだと思うのですね。そういう提言に対して、物価担当大臣である経済企画庁長官は了承されますか。
  271. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ナショナルミニマムといいますと、やはり最低限の生活はどなたもこれが保障されるという社会体制、そういうことが基本だと思うのですが、これはそういう考え方でやっておるわけなんです。たとえば、所得の非常に低い人に対する所得保障というか生活保護、そういうものでありますとか、あるいはその他のいわゆる社会的弱者に対する対策、そういうものをきめ細かくやっているわけなんです。  そこで、それと離れまして、今度は物資ごとに、これは生活必需物資だ、ですからそれの供給を確保するという考え方ですね。これは私は非常にむずかしいと思うのです。私は、そういう考え方を、ここの席で、そのままやりますということは、なかなかお答えしにくいのです。つまり、そうなりますと、何か指定になった物資を配給でもしなければならぬというような考え方にまたつながっていく、これは非常にむずかしいことじゃないか、私はこういうふうに思うのです。しかし考え方の基本につきましては、私は理解もでき、そうすべきものであるというふうに思いますので、そこに挙げられておる品目全部にいきますかどうかわかりませんけれども、とにかく生活必需品と言われるような品物につきましては、その需給だとか価格だとか、これはもうつぶさに点検し、それが消費者物価全体として悪影響のないようにという配慮は、もう本当に全力を尽くしてやっておるわけです。またその中において、特定の物、特別の物、たとえば来年から肉を指定物資にするというような考え方も出しておるわけでございますが、行政能力、そういうことにつきましてはなかなか限界もありますので、その答申全部が全部これをそのとおり実行するかというと、これはなかなかむずかしいとお答えせざるを得ないのですが、ただ精神につきましては、私も極力そういう精神で、価格というか物価、また商品の需給、そういうものの行政に立ち臨んでいきたい、こういうふうに考えます。
  272. 松浦利尚

    松浦(利)委員 経済企画庁長官は、そういうことで精神は賛成だということで、なかなか作業的にむずかしい、こういうことですが、総務長官、これはせっかくの答申ですから、せっかくの提言ですから、できるかできないかは別にして、実質的にこういうナショナルミニマムを設定してみる、私はこれをやるということは、政府にとつては正しいことだと思うのです。具体的に実行するかどうかということは非常にむずかしいけれども、ナショナルミニマムというものはこういうものだという一つのものを、この提言に対してつくり上げるという作業は、私はやってしかるべきだと思うのです。そういうことに対して労を惜しんだらいかぬと思うのですよ。この提言に対して、総務長官の方では引き続き作業を続けていただきたい。続ける意思があるのかどうか、そのことをひとつ総務長官の方からお聞かせいただきたいと思います。
  273. 植木庚子郎

    植木国務大臣 お説のとおり、いろいろな困難な問題もございますけれども、この御提言は大変建設的でございまして、貴重なものでございますので、関係省庁と連絡をとりまして、できるだけそれが実現できますように努力をいたします。
  274. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間がなくなりましたから、次に進みます。  これは実は、非常に政府の施策に便乗した悪質な商法のあり方について、お聞かせをいただきたいと思うのです。  四十八年の十月、例の石油パニックが起こったわけですが、それ以来、御承知のように、省資源ということで、節電その他が盛んに言われたわけですね。さあ、ネオンを消せとか、さあ、テレビの放映時間を縮小するとかということが盛んに出たのです。そのときに節電、節電という言葉が使われたんですが、そういう中で、たくさんの冷蔵庫が実は新しいタイプとして売り出されたのです。しかもその冷蔵庫が全部、節電という名で売り出されたのです。政府の言う節電に協力をしておりますよ、この節電という言葉が入るのですね。各メーカー全部ですね。ほとんどそうです。さらに節電、全部節電、節電というふうになっておるのですが、実はこの節電が、計算をしてみたら、節電じゃなくて、むしろいままでよりも電力を消費する機械なんです。私がいま手元に持っておる資料は、メーカーが計算をした資料なんです。どこのメーカーかということは申し上げません。  これをひとつ、通産大臣が担当大臣ですから、お見せいたします。これはメーカーの専門家が計算をした数字ですから、間違いでありません。百七十リットルの計算であります。この直冷というのが従来のものですね。間接冷却というのが新しく出た節電タイプ、俗に言うファンつきというやつ、霜なしというやつです。霜がつきませんぞというのが間接冷却です。これが実は節電というタイプなんです。電気冷蔵庫というのは、実は常時運転をしておりません。冷蔵庫の中の温度が一定の温度に達しますと、運転がとまります。したがって、平均運転稼働率は五〇%と見るのだそうです。そして節電の——ここに「節電SW」とありますけれども、この節電期間というのは、要するに非常に湿気の多いとき、そういうときには非常に強く冷蔵庫を使用いたします。したがって、その三カ月間が非常に電力を多消費するので、その三カ月を引いて残り九カ月、これが節電という形で使われるわけです。それから、霜取りと言いまして、直冷式の場合には大体年四回、三十分通電すればいいんですね、霜が取れる。間接冷却というのは霜なしでありますから、これは霜が初めからつかない。八時間に一回、二十分間通電するということになっておるんですね、計算をするときに。そこで百七十リットルの比較を、ここに書いてあるように、直冷式の場合、運転時、停止時、それから霜を除くとき、それから間接冷却の運転時、停止時、除霜時というやつが出ております。それを計算するんですね。節電月というのは湿気の多い三ヵ月を除く九カ月でありますから、この上の方の運転時、Aの直冷の百二十ワット掛ける〇・五プラス二十一ワット掛ける〇・五、これは御承知のように一時間当たり百二十ワットで運転をする。それからここに出ております停止時に二十一ワット使うわけでありますから二十一ワット。それを一時間に換算をして百二十ワット掛ける〇・五プラス二十一ワット掛ける〇・五。これの二十四時間、しかも三十日掛ける九カ月。それでキロワットアワーに直しますから、そういう計算の仕方をしますと、四百五十六・八四。そういう計算で、湿気の多いときと、それから霜を取るという計算をいたしますと、総計にいたしまして、ここに書いてあるように、六百二十八・七二二キロワット使う、年間消費するということになるわけなんですね。時間がありませんから、詳しくは言いませんが、そういうこと。  それから、節電関係だと言われておる間接冷却ですね。この場合の計算、かこの下にしてあります。この計算方式については、先ほど言ったと同じであります。ただ違っておるのは、八時間に一回、二十分通電をするということでありますから、一日二十四時間に計算をいたしますと、六十分通電をするということになるんです。六十分の半分五〇%しか運転しておりませんから、二分の一計算をいたしますと、〇・三三三という計算になりますから、これは一応端数を切り捨てて〇・三時間という計算にしてあります。それから八時間に一回、二十分通電でありますから、これが三回通電をしますけれども五〇%しか稼働しておりませんから、一・五回しか回転をしないという計算で計算をいたしますと、実は節電タイプと言って売られておるものが八百四十九・四七四キロワットということで、消費電力量が多いわけなんですね。  そこで二枚目を見ていただきたいのです。これはもう正確な数字です。これは業界で出しておる数字ですから、メーカー側で書いた数字ですから、間違いない。  この冷蔵庫を持っておる世帯というのは二千八百万世帯なんですね。そのうちツードア世帯というのが四〇%普及しておる。普及台数にして千百二十万台、そのうち八百九十六万台がこの節電タイプの方に切りかわったわけです。その節電タイプに切りかわったやつは、電力にして十九億七千七百万キロワットアワーの損、十七円で計算いたしますと、金額にして三百三十六億円の支出増ということになるわけなんです。  そこで通産大臣にお尋ねをいたしますが、一体、こういう政府が言う節電という宣伝に便乗して、節電だ節電だと、こういうふうに言って、消費者の方に電気冷蔵庫を売りつける。計算をしてみたら節電じゃなかった。むしろたくさん電力を消費する。逆に言うと、国の政策と逆なものが節電と称して売られておった。私は、これは大変な問題だと思う。しかも、私が調査を始めたら、この節電タイプと書いてあるカタログを全部引き揚げた、メーカーが。もういまないですよ。同じ型でも、カタログにはもう節電というやつはないのです。全部もう小売店から回収してしまった、調査に入ったとたんに。一体通産大臣として、これは通産大臣の所管の内容でありますが、こういう商法のあり方はいいと思われますか。これは私はちょっとひどいと思いますね。これを通産大臣はどういうふうに考えられますか。  時間がありませんから、もう一つ。  その三ページを見てください。これは電気冷蔵庫の保証書なんですね。たまたまナショナルしか手に入らなかったからナショナルとしてありますが、ほかのところも全部なんです。これが何と保証期間が一カ年ですよ。いいですか、保証期間が一カ年なんです。このナショナル電気冷蔵庫保証書というのは一カ年なんです。電気冷蔵庫は通常五年なんです、いままでの直冷式は五年間。これは一年間。なぜ一年間としたかというと、この間接冷却というのはファンを使っています。ファンを常時くるくる回して霜を取っておるわけです。そのファンは常に回転をしておるから一年しかもたないのです。だから一カ年間の保証ですから、もう一カ年たって壊れたら、すぐこのファンをつけかえなければいかぬ、今度は。そのつけかえ料が何と二万円から三万円する。新製品という名のこの製品は、節電どころか、たくさん電力を消費さした上に、しかも一カ年の保証書をつけてのうのうと売られておる。  通産大臣、こういうばかげたことは許せないと思うのです。通産大臣、これはどう思われますか。
  275. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、冷蔵庫には直接冷却方式と間接冷却方式がございまして、先生御指摘のとおり、間接冷却方式の所要電力量は直接冷却方式の所要電力量に比べて二三ないし二七%高いことは、おっしゃるとおりであります。ただ、直接冷却方式、間接冷却方式、いろいろ長所、短所がございまして、間接冷却方式について言いますと、やはり先生がおっしゃいましたように、霜取りが自動的に行われるとか、あるいは保存食品を害さないとか、そういうような長所があるわけであります。したがいまして、一方から言いますと、そういうような冷蔵庫を一般民衆が生活水準の向上に従って求めるというような点から、間接冷却方式の冷蔵庫がだんだんふえつつあるということは事実であろうというように考えております。  それから御指摘の広告の面でありますが、確かに経済的、節電的というような言葉を使っております。これは私は非常に不的確な言葉であるというように考えております。何に比べて一体節電型であるのかということを明確に表示すべきでありまして、この間接冷却方式は、二年ぐらい前には、一般の直接冷却方式に比べますと、電力量が五〇%ぐらいも多くかかる、ほかのいろいろなメリットはありますが、電力量が多くかかるというような点が最大欠点でありまして、これをその二年の間に二三ないし二七%の電力量にメーカーが改善をいたしたわけであります。そういうような点をつかまえて、節電型というように申し上げておるわけでありますが、御指摘のように、比較するものを言わないで、単に節電型というのは、非常に誤解を与える点があろうかと思いまして、私どももこの点は遺憾に存ずるわけであります。こういうような点につきましては、さらに私どもも業界を指導してまいりたいというように考えております。  それから、ファンの点につきましては、御指摘のとおり、冷蔵庫のほかの部分につきまして、特に圧縮機等につきましては大体五年でありますが、ファンについては一年が保証期間であるというのは、やはり先生の御指摘のとおりでありますけれども、これは扇風機等が半年というような保証期間になっておりますので、それと大体並行する意味で、一年間という保証期間を設定しておるところであります。  それから次に、ファンが壊れました場合に、二万円ないし三万円要するという御指摘でありますが、私ども調査によりますとこれは大体四、五千円で直るていのものでありまして、もし仮に二万円ないし三万円というような高額のものを取っておる事実がございますれば、私の方できつく指導して、これは是正させてまいりたいというように考えております。
  276. 松浦利尚

    松浦(利)委員 四、五千円と簡単に言うけれども、私の言った数字は事実なんですけれども、修理代、なんとかかんとか入ってきて、そうなるんだが、あなたが言ったように四千円くらいでも、問題があるんじゃないですか。たった一年間だよ。一年間で故障する冷蔵庫なんてないですよ。  そこで、この際、通産大臣にお尋ねをしておきますが、こういうものをなぜ売らすのか。こんなものをなぜ売らすのか。もっと事前にチェックできないのか、こういうものは。あとから問題になったって、国民の方は買ってしまっているのです。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 私は政府責任もあると思うのですよ。政府が、石油が、原油が入ってこなくなった、さあ節電だ、みんな節約しましょうと言って、国民がみんな協力したんだ。国民の側に協力させる、その協力に便乗して、そして節電タイプだと言って節電でないものを売る。しかも保証書は逆にたった一年の保証でごまかされてしまう。それはファンを買ったらファンが故障したら一年じゃないか、四千円出すのは当然ですよ、こういうことは、逆に言うと、政府の政策に対しても業界側が反旗を翻したのと一緒ですよ。いまのような局長答弁をしておったら、今度またこういうことは起こりますよ。まず、こういう事実に対して、政府は一体どういう反省をするのか。現に買った国民の側はどうするのか。その問題について、ひとつ通産大臣、明確に答えてください。いまの局長答弁は、消費者サイドで物を言っているのではなくて、何か企業側のような発言をしておるでしょう。そういうことを言うなら、初めからそういうふうに書かせればいいんだよ、指導するときに。だから通産大臣、もっとはっきり答えてください。
  277. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 確かに、いまお話をいろいろ聞いておりますと、広告にも問題があるように見受けられますし、保証期間であるとか、修理費、こういう問題についても問題があるように思います。至急実情を十分調査をいたします。
  278. 田中武夫

    田中(武)委員 関連。いまの、大臣はよくおわかりにならないから、ああいう答弁ですが、森口局長は一体何を言うか。ああいう答弁なら、まるでその会社の営業部長か宣伝員のような言葉です。こういうことでは、とうてい納得はできません。  さらに、公取委員長が見えておりますから一言伺っておきますが、これは虚偽広告というか誇大広告の最たるものであると思います。したがって、これは詐欺的行為である。したがってこれは損害賠償の対象にもなり得る。そういうことを申し上げて、通産大臣、公取委員長答弁を求め、この点に対しましては留保いたします。
  279. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これは私ごく最近聞いた話でございますが、最初のころ、つまり昨年の四月ごろにやったのには、ただ節電と書いてあった。それでその後エアコンディショナーについても、その全天候、オールウエザーのもので問題になりまして、そういうことから公取が気がつきまして、これはいかぬ、何に対して節電であるかというのをはっきりさせろと言ったら、最近、その後の十月ごろからのビラには、従来のものよりはということですね。間接式である従来のものよりは節電である、こういうふうに書いているのだそうです。これもしかしちょっと紛わしい。それで、厳格に言えば、それは排除措置の対象になるかもしれません。私、いまここで明言できません。これは委員会にかけなければ、それはできませんが、しかし、それよりも公正競争規約をいますでに、もう昨年から指導して、つくらしております。その公正競争規約ができますれば、そういう家電製品一般について、必要な字句は皆客観的なデータを書き入れなければならない。だから節電と言うなら、電気のその量はどうであるかということ、あるいは水の問題についても、全部データに書き入れたものを表示しなければならぬ、こういう義務を公正競争規約で課しますから、間もなく、私はそう遠からず、業界がつくることを承諾するのじゃないかと思いますが、こちらで指導して強力にそれをやらしておりますから、そういう間違いは、今後はなくなるものと思います。
  280. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、お聞きいたしますと、広告それから保証期間それから補修費、そういう点に問題があるように思いますので、至急実情を調査いたします。
  281. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先ほど関連質問田中委員の方から保留をしておりますので、私の残余の質問は保留させていただきます。
  282. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 まだ保留と決まりません。そういう御発言があったので、これはまた理事会でよく研究いたしまして、まだ保留と決まったわけじゃない。何でも保留されたら困るので、保留と決まりません。ひとつ理事会でよく研究するということにいたしたいと思いますが、田中委員に申し上げますが、よろしゅうございますか。
  283. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長の発言で、これは保留ということで決まっております。法務大臣がおりませんから申しませんが、損害賠償の対象になるかならないか、こういう問題に発展をさせていきたいと思いますから、さよう御了承をいただいた上で、保留にしていただきたいと存じます。
  284. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御発言でありますが、ひとつ理事会でよく研究いたしまして、結論を見出すようにいたしたいと思います。  まだ時間がございますから、どうぞ。(発言する者あり)法務大臣はいまちょっと留守ですから……。  理事会で研究するということにいたしましてよろしゅうございますか。(松浦(利)委員「留保します」と呼ぶ)理事会で研究するということに決めまして、本日はこれにて質疑は終了いたします。  次回は、明十四日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会