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1975-03-25 第75回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十五日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十二号   昭和五十年三月二十五日     午後一時開議  第一 農業振興地域整備に関する法律の一部     を改正する法律案(第七十二回国会、内     閣提出)  第二 地方税法の一部を改正する法律案内閣     提出)  第三 皇室経済法施行法の一部を改正する法律     案(内閣提出)  第四 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案     (内閣提出)  第五 下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業     等の合理化に関する特別措置法案社会     労働委員長提出)  第六 特別児童扶養手当等支給に関する法律     等の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 所得税法の一部を改正する法律案内閣     提出)  第八 法人税法の一部を改正する法律案内閣     提出)  第九 租税特別措置法の一部を改正する法律案     (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  古川喜一君の故議員松岡松平君に対する追悼演   説  日程第一 農業振興地域整備に関する法律の   一部を改正する法律案(第七十二回国会、内   閣提出)  日程第二 地方税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  日程第三 皇室経済法施行法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第四 高圧ガス取締法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第五 下水道整備等に伴う一般廃棄物処   理業等合理化に関する特別措置法案社会   労働委員長提出)  日程第六 特別児童扶養手当等支給に関する   法律等の一部を改正する法律案内閣提出)  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第七 所得税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  日程第八 法人税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  日程第九 租税特別措置法の一部を改正する法   律案内閣提出)      午後一時六分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御報告いたすことがあります。  議員松岡松平君は、去る一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、去る七日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は商工委員長議員従四位勲二等松岡松平  君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます     —————————————  故議員松岡松平君に対する追悼演説
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) この際、弔意を表するため、古川喜一君から発言を求められております。これを許します。古川喜一君。     〔古川喜一登壇
  5. 古川喜一

    古川喜一君 ただいま議長から御報告のございましたとおり、富山県第一区選出議員松岡松平先生は、去る一日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  私は、諸君の御同意を得まして、議員一同を代表し、謹んで哀悼言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)  思えば、本年一月、富山選出国会議員県側との懇談会の席上、松岡先生は、常と変わらずまことにお元気で、濶達な意見を吐かれておられましたのに、それからわずか一カ月有余、先生の計報に接しようとは、全く思いもかけなかったことでありまして、哀惜の念やるかたないものを覚えるのであります。  松岡松平先生は、明治三十七年十二月、立山連峰剣岳のふもと、富山県上市町にお生まれになりました。少年時代、青雲の志に燃えた先生は、十三歳にして単身上京し、つてをたどって神田の洋服店に入られました。早朝から深夜に至る厳しい労働条件のもとで洋服裁縫の仕事に打ち込まれましたが、かねて持しておられた学問に対する憧憬と、ほとばしる情熱はやみがたく、店を辞して苦学力行正則英語学校立教中学を経て、中央大学法科に学ばれました。  この間、先生は、生活の苦難と闘いながら、民法、刑法、商法などの多くの著書をはじめ、英米法など、外国の文献も次々と読破して、法律学の本質を体得される一方、社会法学社会主義経済学と、幅広く人文科学分野にわたって勉学に精進されたのであります。  やがて、その刻苦研さんが実を結び、大正十二年には、十九歳という全国最年少で、天下の難関たる弁護士試験に合格され、若き法曹として社会へ大きく踏み出されました。(拍手)  弁護士時代松岡先生は、つとに逸材として頭角をあらわし、各種の訴訟事件と取り組まれましたが、とりわけ、樺太庁樺太林業株式会社との間の木材売払代金請求訴訟においては、約七カ年にわたり、心血を注いで会社側の弁護に当たられたのであります。そして、先生は、旺盛な意欲のもとに、緻密な法理論を駆使してこれを勝訴に導かれたのでありまして、すぐれた法律家としての先生の存在は、大きく光彩を放つに至りました。  また、社会法学に造詣の深かった先生は、これを実践に移して貧しい農民の窮状を救おうと、富山県下における幾多小作争議に、日本農民組合顧問弁護士として挺身し、事件を有利に解決するなど、働く農民指導的立場を貫かれたのであります。  やがて、先生は、時代の推移とともに事業経営を画策されることになり、昭和十三年、砂鉄製錬事業に着手し、独自の製造技術開発に成功されたのでありまして、この方面における随一の事業家として、先生面目躍如たるものがありました。(拍手)  昭和二十年八月、わが国が有史以来いまだ経験したことのない敗戦に際会したとき、先生は、静かに新生日本の向かうべき方途を熟慮し、政治に参画することを決意されました。これは、先生が確固たる信念のもとに、戦前、戦中を通じて体得された高邁な理想とすぐれた識見、手腕とを政治分野において集大成させようとするものでありました。  松岡先生は、戦前から私淑していた鳩山一郎先生を助け、日本自由党結党準備に寝食を忘れて奔走し、昭和二十年十一月の党創立後も、党の基礎づくりに精魂を傾けられました。  翌年四月、戦後初の総選挙が行われることになり、先生は、当然出馬の決意のもとに、満を持しておられたのでありますが、告示直前に突然の公職追放の憂き目に遭い、その後、一たんは解除となりましたが、引き続く昭和二十二年四月の総選挙の際には、告示直後、夢想だにしなかった再度の公職追放を受け、政治の場から身を引くのやむなきに至りました。  しかし、昭和二十七年十月、わが国独立回復後の初の総選挙が行われるや、先生は勇躍立候補して、みごと最高点で当選され、また、三十年の選挙にも当選されました。  そして、先生は、国会議員として、いよいよその本領を存分に発揮しようとの意欲に燃えておられたのでありますが、次の総選挙で苦杯を喫し、その後の四たびの立候補も健闘むなしく、不運な結果に終わりました。  この間、十四年の歳月は、先生にとって文字どおり臥薪嘗胆の連続でありました。しかし、先生は、たび重なる逆境にあっても、いささかもこれにくじけることなく、常に笑顔とユーモアをもって人に接し、選挙戦に備えて着々と準備を進めてこられました。そして、先生が、飽くなき政治への情熱不撓不屈の精神をもって、前回の総選挙みごと本院への復帰を果たされたことは、人の容易になし得るわざではなく、驚嘆のほかはありません。(拍手)  当選後の先生は、まさに魚の水を得たるごとく、その御活躍はまことに目覚ましいものがあり、長年にわたって蓄積された識見と過去の政治経験を大いに生かし、国政の審議に、はたまた党務に精励されました。  先生は、与党の立場から、しばしば委員会において質疑に立ち、非核三原則の問題、インフレ下における不況対策農業近代化問題、住宅建設土地対策など、各方面にわたってうんちくのある意見を吐かれて、政府を鞭撻されたのであります。  また、先生は、資源の乏しいわが国経済の将来を深く憂慮し、平和外交の推進と資源国との協調を力説してこられましたが、一昨年六月には、アフリカのギニア国を訪問、鉱物資源の宝庫たる同国との経済提携技術協力に尽力されました。  昨年十二月、商工委員長に就任された先生は、今日の大きな政治課題である独占禁止法改正問題に深い関心を持たれ、同法改正案国会審議に備え、鋭意その問題点について検討を加えておられたのでありますが、本年一月末、国会がいよいよ本格的審議に入ろうとするとき、体に異常を感じ、入院加療を受けられることになりました。しかし、先生は、過去の独禁法審議の際の膨大な会議録を病室に届けさせ、意識混濁危篤状態となられる直前まで、綿密に目を通し、その審議に万全を期しておられたとのことであります。  また、先生は、委員長として、委員会の円満な運営を図るため、絶えず与野党の意思の疎通に努めてこられましたが、手術を控えた二月初め、商工委員会理事会に体を支えられながら病院から出席し、委員長の職務を果たされたのでありまして、その真摯な態度は、先生の旺盛な責任感を如実に示すものとして、私どもの胸を強く打つものがあります。(拍手)  松岡先生は、七十年の生涯を静かに閉じてゆかれました。先生の歩んでこられた道は決してたんたんたるものではなく、先生の華々しい御活躍ぶりや偉大な成果を見るにつけ、そこに常に大きな苦難試練を克服してこられた先生の姿がうかがわれるのであります。  人は、苦難に直面したとき、これを不幸と言い、でき得る限りこれを避けて通りたいと願うのが常であります。しかし、先生は、みずから進んで苦難に立ち向かい、これを乗り越え、実りあるものとされました。そして、温かいヒューマニズム、強い正義感がこの原動力となったことは、先生を知るすべての人々が認めるところであります。すぐれた創造力、たくましい意志、燃ゆるがごとき情熱、怯懦を退ける勇猛心、こういうものを青春と申すならば、まさに、先生の全生涯が青春時代であったと申せましょう。(拍手)  今日のわが国は、大きな転換期を迎え、幾多試練を克服してまいらねばなりません。このときに当たり、確固不動信念と、深い洞察力を有せられる練達の政治家松岡松平先生を失いましたことは、返す返すも残念なことであり、惜しみても余りあるものがあります。  ここに、ありし日の松岡松平先生の事績をたたえ、人となりをしのび、心から御冥福をお祈り申し上げまして、追悼言葉といたします。(拍手)      ————◇—————  日程第一 農業振興地域整備に関する法律   の一部を改正する法律案(第七十二回国会、   内閣提出
  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長澁谷直藏君。     —————————————  農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔澁谷直藏登壇
  7. 澁谷直藏

    澁谷直藏君 ただいま議題となりました内閣提出農業振興地域整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における農業の動向及び農業振興地域における土地利用等の状況にかんがみ、農業振興地域における土地の計画的、効率的な利用を一層促進するために必要な措置を講じようとするものでありまして、その骨子は、  第一に、農用地利用計画の対象となる土地範囲を拡大して、従来の農用地等のほかに農業用施設用地を加えること、  第二に、市町村は、土地農業上の利用を確保するため、農業振興地域整備計画の作成または変更に際して、土地交換分合を行うことができること、  第三に、市町村は、農用地区域内において計画的に利用権設定する農用地利用増進事業を行うことができること、  第四に、市町村または農業協同組合は、農用地区域内にある農用地で、耕作等がされていない農用地について特定利用権設定ができること、  第五に、農用地区域内における開発行為について、許可制度を設けること、  第六に、農用地利用増進事業または特定利用権設定について、これによる権利の設定及び賃貸借等につき、農地法の特例を設けること 等であります。  本案は、昭和四十九年の第七十二回国会提出され、同国会においては、四月十一日の本会議趣旨説明がなされ、委員会では、五月十四日、政府から提案理由説明を聴取し、同月二十二日、質疑が行われたのでありますが、以後、今国会まで引き続き、継続審査となってきたものであります。  今国会におきましては、去る二月二十五日から三月十八日までの間、五回にわたり質疑及び参考人意見聴取を行う等、慎重に審査を重ね、三月十八日、質疑を終了いたしましたところ、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四党共同提案により、市町村は、農用地利用増進計画を定めようとするときは、農業委員会の決定を経なければならないものとすること等、五項目にわたる修正案提出され、また、日本共産党革新共同からも修正案提出され、それぞれの趣旨説明の後、原案及び修正案を一括して討論に付し、次いで、採決しましたところ、日本共産党革新共同修正案は否決され、四党共同修正案及び修正部分を除く原案可決され、結局、本案は、多数をもって修正すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、六項目附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第二 地方税法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第二、地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長大西正男君。     —————————————  地方税法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔大西正男登壇
  11. 大西正男

    大西正男君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方税負担現状にかんがみ、地方財政の実情を勘案しつつ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、道府県民税及び市町村民税所得控除の額の引き上げ事業税事業主控除額引き上げ料理飲食等消費税免税点引き上げガス税税率引き下げ等を行い、あわせて、都市環境整備及び改善に資するため、目的税として事業所税を創設するほか、地方税制合理化を図るため、所要の規定を整備しようとするものであります。  本案は、二月二十七日当委員会に付託され、翌二十八日、福田自治大臣から提案理由説明を聴取し、三月七日には参考人から意見を聴取するなど、本案はもとより、地方税制全般にわたって熱心に審査を行いました。  三月十八日、本案に対する質疑を終了しましたところ、日本社会党公明党及び民社党の三党共同提案により、住民負担をさらに軽減するため、道府県民税及び市町村民税所得控除の額及び事業税事業主控除額等を、原案より引き上げる等の措置を講ずるとともに、地方税源をさらに充実するため、道府県民税及び市町村民税法人税割り税率引き上げ産業用電気に対する電気税非課税措置の廃止、事業所税課税団体範囲拡大等措置を講じようとする修正案提出され、山本委員からその趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論を行いましたところ、自由民主党を代表して島田委員は、本案賛成日本社会党公明党及び民社党の三党共同提案による修正案反対日本社会党を代表して小川委員は、本案反対、三党共同提案による修正案賛成日本共産党革新共同を代表して三谷委員は、本案反対公明党を代表して小川委員民社党を代表して折小野委員は、本案反対、三党共同提案による修正案賛成意見を述べられました。  次いで、採決を行いましたところ、三党共同提案による修正案賛成少数をもって否決され、本案は、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四党共同提案により、地方自主財源充実強化住民税課税最低限引き上げ地方税に係る租税特別措置整理等内容とする附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 皇室経済法施行法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第三、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員長藤尾正行君。     —————————————  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)掲載〕     —————————————     〔藤尾正行登壇
  15. 藤尾正行

    藤尾正行君 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、内廷費定額一億三千四百万円を一億六千七百万円に、皇族費算出基礎となる定額一千二百十万円を一千五百三十万円に、それぞれ改定しようとするものであります。  本案は、二月一日、本委員会に付託され、二月十三日、政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行い、三月十八日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大出委員より、日本共産党革新共同を代表して中路委員より、それぞれ反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  16. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  17. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 高圧ガス取締法の一部を改正する   法律案内閣提出
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第四、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長山村新治郎君。     —————————————  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号二に掲載〕     —————————————     〔山村治郎登壇
  19. 山村新治郎

    山村治郎君 ただいま議題となりました高圧ガス取締法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  近年、石油化学工業等高圧ガス製造事業が大規模化、複雑化し、また、一般家庭における液化石油ガス消費が拡大するに伴いまして、高圧ガス爆発等による災害の絶滅を期する必要性が一段と高まっております。  本案は、この現状に対処して、高圧ガス保安体制強化を図るため、提案されたものでありまして、その主な内容は、  第一に、高圧ガス事業所における保安管理組織につきまして、現行の作業主任者制度を改め、事業所ごとに、保安統括者とこれを補佐する技術者等を置くとともに、工場の主要な分野機能ごと保安係員を配置する等、保安管理体制を体系的に整備強化すること、  第二に、高圧ガス事業所における危害予防規程を充実するため、その認可申請に際して、高度の専門的能力を有する高圧ガス保安協会意見書を添付させることとするとともに、従業員保安教育強化するため、事業所保安教育計画に対し、新たに、都道府県知事変更命令権を設けること、  第三に、爆発等災害を未然に防止するため、特定高圧ガス製造設備については、その設備製造段階において、一定の検査を受ける義務を課すること、  第四に、保安管理強化するため、LPガス容器等について、検査合格刻印制度及び所有者表示制度を設けるとともに、バルブ等付属品についても、新たに検査制度を設けること、  第五に、高圧ガス保安協会に対し、新たに一億円の政府出資を行うとともに、同協会の業務を拡充すること 等であります。  本案は、去る二月十七日、本委員会に付託され、同月十九日、通商産業大臣より提案理由説明を聴取いたしました後、慎重な審査を重ね、三月十八日、質疑を終了し、採決いたしました結果、全会一致をもって、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、コンビナートの保安確保家庭用LPガス災害防止及び高圧ガス保安行政強化に関する決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  22. 羽田孜

    羽田孜君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、日程第五は、委員会審査を省略し、本案及び日程第六とともに、内閣提出中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を追加して、三案を一括議題となし、委員長趣旨弁明及び報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  23. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  日程第五 下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法案社会労働委員長提出)  日程第六 特別児童扶養手当等支給に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出)  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案内閣提出
  25. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第五、下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法案日程第六、特別児童扶養手当等支給に関する法律等の一部を改正する法律案中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。  委員長趣旨弁明及び報告を求めます。社会労働委員長大野明君。     —————————————  下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法案  特別児童扶養手当等支給に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)掲載〕     —————————————     〔大野明登壇
  26. 大野明

    大野明君 ただいま議題となりました下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法案について、趣旨弁明を申し上げますとともに、二法案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法案趣旨弁明を申し上げます。  御承知のとおり、現在、国は、下水道の緊急かつ計画的な整備等を促進している状況にかんがみ、本案は、一般廃棄物処理業者等下水道整備等により受ける著しい影響を緩和し、あわせて、その経営の近代化及び規模の適正化を図るため、市町村合理化事業計画を定め、その業務の安定と廃棄物の適正な処理を図ろうとするもので、その主な内容を申し上げますと、  第一に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定による市町村長の許可または市町村の委託を受けて屎尿処理を行う業、その他、下水道整備の促進等により重大な影響を受けると考えられる政令で定める業を一般廃棄物処理業等とすること、  第二に、市町村は、下水道計画等との調整を考慮した上、一般廃棄物処理業等についての合理化事業計画を定め、都道府県知事の承認を受けることができること、  第三に、市町村は、合理化事業計画に基づき合理化事業を実施することとし、この場合、国は、市町村に対し、必要な資金の融通またはあっせんその他の援助に努めること、  第四に、一般廃棄物処理業者等は、合理化事業計画の定めるところにより事業の転換を行おうとするときは、その計画を市町村長に提出し、認定を受けることができることとし、国または地方公共団体は、当該認定を受けた一般廃棄物処理業者等に対し、事業の転換を行うのに必要な資金につき、金融上の措置を講ずるよう努めること、  第五に、合理化事業計画に従って事業の転換を行おうとする一般廃棄物処理業等の従事者に対し、国または地方公共団体は、職業訓練の実施、就職のあっせんその他の措置を講ずるよう努めること 等であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、特別児童扶養手当等支給に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、心身障害者及び児童の福祉の向上を図ろうとするもので、その主な内容は、  第一に、在宅の重度障害者に月額四千円の福祉手当を支給することとし、その費用は、国がその十分の八を、都道府県または市町村が十分の二を負担するものとすること、  第二は、特別児童扶養手当の額を月額一万一千三百円から一万八千円に引き上げるとともに、支給対象障害児の範囲を拡大して、新たに、中程度の障害を有する児童に月額一万二千円の特別児童扶養手当を支給すること、  第三は、児童扶養手当の額を月額九千八百円から一万五千六百円に引き上げるとともに、特別児童扶養手当及び児童扶養手当の支給対象となる障害児及び児童について、国籍要件を撤廃すること、  第四は、児童手当の額を四千円から五千円に引き上げることであります。  本案は、二月十九日、付託となり、三月二十日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  次に、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢に即応し、中小企業退職金共済制度を一層効果的なものとするため、所要の改善を行おうとするもので、その主な内容は、  第一に、退職金共済制度における掛金月額の最低額を八百円に、最高額を一万円に引き上げるとともに、退職金給付に対する国庫補助の対象部分を引き上げること、  第二に、特定業種退職金共済制度における退職金の支給要件を緩和するとともに、掛金日額の範囲引き上げること、  第三に、掛金納付月数の通算条件を緩和するほか、所要の経過措置を定めること 等であります。  本案は、去る二月十五日、付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  27. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第五につき採決いたします。  本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。  次に、日程第六及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第七 所得税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第八 法人税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第九 租税特別措置法の一部を改正する   法律案内閣提出
  30. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第七、所得税法の一部を改正する法律案日程第八、法人税法の一部を改正する法律案日程第九、租税特別措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長上村千一郎君。     —————————————  所得税法の一部を改正する法律案及び同報告書  法人税法の一部を改正する法律案及び同報告書  租税特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕      ————◇—————     〔上村千一郎君登壇
  31. 上村千一郎

    ○上村千一郎君 ただいま議題となりました租税関係三法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における国民負担の状況にかんがみ、各種所得控除引き上げなどにより所得税負担の軽減を図るとともに、あわせて制度の整備合理化を行おうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。  まず第一に、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を、それぞれ現行の二十四万円から二十六万円に引き上げることといたしております。この結果、昭和五十年分の課税最低限は、前年度の税法改正の平年度化分も合わせて夫婦と子供二人の給与所得者の場合、前年の百五十万円から百八十三万円へと三十三万円程度引き上げられることになります。  第二に、福祉政策等の見地から障害者控除等の特別な人的控除についても、あわせて引き上げをいたしておりますが、その引き上げ幅を一般的な人的控除の倍額としております。すなわち、障害者、老年者、寡婦及び勤労学生の各控除を、それぞれ現行の十六万円から二十万円に引き上げ、特別障害者控除を二十四万円から二十八万円に引き上げるとともに、老人扶養控除を二十八万円から三十二万円に引き上げることといたしております。  第三に、退職所得の特別控除額を、勤続年数二十年までは一年につき二十五万円、二十年を超える場合の一年については五十万円に引き上げることといたしております。この結果、勤続年数三十年の場合の退職所得の非課税限度は、現行の八百万円から一千万円に引き上げられることとなります。  第四に、中小企業対策の一環として、白色申告者の専従者控除を、現行の三十万円から四十万円に引き上げることといたしております。  第五は、医療費控除の拡充でありますが、最近の医療費支出の実情に即しつつ、その最高限度を現行の百万円から二百万円に引き上げるとともに、いわゆる足切り限度のうちの定額基準を、現行の十万円から五万円に引き下げることといたしております。  第六に、山林所得、譲渡所得及び一時所得の特別控除額を、それぞれ現行の四十万円から五十万円に引き上げることといたしております。  以上のほか、給与所得者が確定申告を要しない限度額を、年間給与収入については現行の八百万円から一千万円に、給与以外のその他の所得については現行の十万円から二十万円に、それぞれ引き上げ、また、予定納税を要しない予定納税基準額の限度を、現行の三万円から五万円に引き上げるなど、実情に即した所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、中小企業の内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税の軽減を図るとともに、改正商法の施行に伴い、確定申告書の提出期限の延長制度を拡充する等の措置を講ずるものであります。  第一に、同族会社につきましては、各事業年度の留保所得のうち、一定の控除額を超える部分について、特別の税率により法人税を課税しておりますが、この場合の定額控除を、現行の一千万円から一千五百万円に引き上げることといたしております。  第二に、法人税の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に提出しなければならないこととなっておりますが、改正商法の施行に伴い、会計監査人の監査を要する等の理由により決算の確定がおくれることとなる法人につきましては、一定の条件のもとに、その提出期限を一月延長することができるという制度を設けることといたしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における経済社会情勢の変化に即応し、おおむね次のような措置を講ずるものであります。  まず第一に、利子、配当課税の改善合理化でありますが、現行の源泉分離選択課税制度につきまして、その選択税率を二五%から三〇%に引き上げるとともに、その適用期限を五年延長することといたしております。  第二は、土地譲渡所得課税の適正化でありますが、個人の長期譲渡所得の分離比例課税制度は、適用期限の到来とともに廃止し、新たに五年間の時限措置として、譲渡益二千万円以下の部分については二〇%の税率により課税し、譲渡益二千万円超の部分については、本則の二分の一総合課税にかえて四分の三総合課税とすることといたしております。また、短期譲渡所得の分離重課制度につきましては、その適用期限を五年延長することとしております。  第三は、既存の特別措置の整理合理化でありますが、海外投資等損失準備金について、先進地域に対する投融資で資源開発以外のものに係る制度を廃止するとともに、価格変動準備金制度について、後入れ先出し法により評価しているたな卸し資産をその対象から除外する等の措置を講ずることといたしております。  第四は、農地に対する相続税の納税猶予制度の創設であります。すなわち、農地の相続人が農業を継続する場合に限り、農地価格のうち、農業投資価格を超える部分に対する相続税の納税を猶予することとし、その相続人が次の相続まで、または相続税の申告期限後二十三年間農業を継続した場合には、猶予税額の納付を免除することといたしております。  第五に、福祉政策に資するための措置として、老年者年金特別控除額を六十万円から七十八万円に引き上げるとともに、勤労者財産形成。住宅対策に資するための措置として、住宅貯蓄控除制度の控除割合及び控除限度額を引き上げることといたしております。  第六に、中小企業対策として、中小企業構造改善計画等に基づき、中小企業者が負担する試験研究費賦課金を任意償却の対象に加えるとともに、公害対策として、昭和五十一年度の自動車排出ガスに係る保安上の技術基準に適合する乗用自動車及び電気自動車について、一定の期間、物品税の軽減を行うことといたしております。  さらに、資源対策として、探鉱準備金制度等の対象に海外自主開発法人からの引き取り鉱石に係る採掘所得を追加する等の措置を講ずるほか、交際費の損金不算入制度等の期限の到来する措置について、実情に応じその適用期限を延長する等、所要の改正を行うこと、いたしております。  以上の三法律案につきましては、参考人を招いて意見を聴取する等、慎重審査を行いましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、去る三月二十日、質疑を終了いたしましたが、続いて三法律案を一括して討論を行いましたところ、自由民主党を代表して大石千八君は本案賛成する旨を述べられ、日本社会党を代表して佐藤観樹君、日本共産党革新共同を代表して増本一彦君、公明党を代表して坂口力君、民社党を代表して竹本孫一君は、いずれも本案反対する旨を述べられました。  次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案につきましては、政府は、今後においても、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減合理化に努力すべきである等、九項目にわたる自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党民社党の五党共同提案に係る附帯決議を、全会一致をもって付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  32. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三案につき討論の通告があります。これを許します。高沢寅男君。     〔高沢寅男君登壇
  33. 高沢寅男

    ○高沢寅男君 私は、所得税法法人税法租税特別措置法の三法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して反対討論を行うものであります。  議員各位も御承知のとおり、この国会ほど社会的不公正の是正という合い言葉の叫ばれた国会はありません。三木内閣もまた、政治の基本姿勢の柱として、この言葉を強調されているのであります。  インフレによって拡大された社会的不公正、それは、具体的には所得と資産の格差の拡大となってあらわれているのでありますが、これを是正する最も直接的な、そして最も効果的な方法が、税制の改正であることは申すまでもありません。  ところが、今国会政府より提案された租税三法の改正法案内容は、所得と資産の格差を是正するための急所には全く触れようとしないものであり、その不作為によって、いよいよ大企業と高額所得者に奉仕しようとするものであります。私は、総論においては、社会的不公正の是正を唱えながら、その行動においては、このような不作為の行為によって不公正拡大を推進している三木内閣のきわめて悪質な国民欺瞞の態度を、ここに強く糾弾するものであります。(拍手)  三木内閣は、昭和四十九年度のいわゆる二兆円減税を盾にとり、五十年度の所得税減税を、物価調整減税にも遠く及ばない、わずか二千三百九十億円の小幅減税に圧縮したのであります。人的控除の引き上げによる四人家族の課税最低限は百八十三万円となりましたが、生計費には課税しないという原則からすれば、年収二百八十万円までは非課税とすべきであるとのわれわれの要求には、はるかに遠いものであります。  重役減税の批判を受けた、問題の給与所得控除の青天井も、百九十万円の控除頭打ちを設けるべきだとのわれわれの主張を退け、重役、社長クラスには笑いのとまらぬ青天井控除が依然として続けられております。  その他、所得税の関係では、われわれは、勤労大衆の生活の実態に即して、配偶者控除の適用要件である配偶者の所得限度の引き上げ、通勤費、夜勤手当の非課税、労働組合費控除と寒冷地控除の新設等を要求いたしましたが、これらの要求も無視されております。  給与所得では、四人家族の課税最低限が百八十三万円になるのに対し、配当所得では、四人家族の課税最低限が四百四万九千円となるという、不公平の典型をもたらす配当控除制度を廃止せよと言うのに、これを廃止せず、また、キャピタルゲイン課税のため有価証券譲渡所得の課税を復活せよと言うのに、これも復活せず、大金持ちの株式配当所得には、あたかも万里の長城のような保護の城壁をめぐらしております。  法人税の関係では、われわれは、法人の所得の階級に応じて累進税率を適用するよう主張しておりますが、三木内閣は、あくまで低率の比例税率を変えようとしません。問題の、法人の受取配当の益金不算入制度も、法人擬制税のからに閉じこもって、あくまで固守しようとしております。法人間の支払配当で益金不算入となり、したがって、非課税となっているものが約三千億円もあるのであります。  今日、インフレによる不当利得がどこにあらわれているかと言えば、その最たるものは土地の含み資産であります。昭和四十一年より四十九年まで十年もたたない間に、土地の価格は四倍にも上がりました。その結果、昭和四十八年度末の東京証券取引所の全上場会社の保有する土地の含み資産は、実に六十八兆円に上っているのであります。この含み資産に対し、資産再評価課税を行うことをわれわれは主張しています。もしこれを実施したならば、かりに一〇%の税率を適用しても、たちどころに約七兆円の税収が生まれるのであり、これが社会的不公正を是正する強力な財源となることは、だれの目にも明らかであります。ところが、三木内閣はこれをやらないのであります。  租税特別措置法では、不公平税制の代表である利子、配当課税の特例が、預金や株式保有の正確な把握ができないという税務行政上の口実で、またもや五年間も延長されるのであります。  医師の社会保険診療報酬課税の特例も手つかずであります。昨年十二月の税制調査会の答申は、社会保険診療報酬の収入千五百万円以下の金額に対しては経費控除率を七二%とし、金額の多くなるにつれて順次控除率を引き下げ、収入五千万円を超す金額には控除率を五二%とすることを提案しましたが、少なくもこの提案を、当面の改善案として実行するようわれわれは要求したのでありますが、これも無視されております。  土地譲渡所得では、長期譲渡所得について、政府案では、特別控除後の譲渡益二千万円以下の部分には二〇%の税率で課税し、二千万円を超える部分は四分の三を総合課税した場合の上積み税額によることに改正されておりますが、われわれは、この二千万円を超える部分は、全額を総合課税にすることを主張するものであります。  交際費につきましては、それが単に税の不公平の問題にとどまらず、社用支出の乱脈が各種の社会問題をすら惹起していることから見ても、われわれは、損金算入限度額の定額部分を三百万円に引き下げ、限度を超える部分は全額を損金不算入とすることにより、交際費への課税を思い切って強化することを主張しましたが、政府改正案には受け入れられておりません。  いま、最大の世論の焦点となっている自動車排気ガスの対策では、一方では、保安基準に適合する自動車の物品税の課税標準を軽減するとともに、基準に適合しない高公害車には、現行より一〇%高い税率で物品税を課することが必要でありますが、三木内閣は、自動車大メーカーへの配慮から、高公害車対策は逃げの一手であります。  以上、私は、政府の租税三法改正案に対する反対理由の各論を一つ一つ述べてまいりましたが、最後に、もう一つつけ加えたいことは、国の税制と地方財政との関係であります。  今日、インフレによる支出増とデフレによる税収減のはさみ打ちの中で、すべての地方自治体の財政は重大な危機に瀕しております。これを解決するには、憲法の定める地方自治の本旨にふさわしい自主的財源を地方自治体に保障しなければなりません。  たとえば、一例として、大企業の税負担を大きく軽減している租税特別措置でありますが、そのはね返りで、地方自治体の税収は大きな減収となっているのであります。東京都のごときは、租税特別措置のはね返りによる減収は、年に一千億円にも上るのであります。この租税特別措置を整理すれば、それだけで地方自治体の自主財源は飛躍的に強化されるのであります。  企業献金の再開を財界に要請する三木内閣は、こうした問題を解決する意思も能力も全くなく、ひたすらに、財界の許容限度の中で、事なかれの税制改正を小心翼々といじり回しているにすぎないのであります。このような態度で、どうして社会的不公正が是正できるでしょうか。  私は、三木内閣が、口に社会的不公正の是正を唱えつつ、その行動では不公正の拡大を推進していることを重ねて糾弾して、租税三法の一部改正法案に対する反対討論を終わります。(拍手
  34. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  35. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  36. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  37. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時九分散会      ————◇—————  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣 植木 光教君      ————◇—————