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1975-02-19 第75回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十九日(水曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 小宮山重四郎君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 田中  覚君    理事 保岡 興治君 理事 稲葉 誠一君    理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君       小澤 太郎君    小平 久雄君     早稻田柳右エ門君    中澤 茂一君       日野 吉夫君    山本 幸一君       諫山  博君    沖本 泰幸君  出席国務大臣         法 務 大 臣 稻葉  修君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         法務政務次官  松永  光君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務大臣官房司         法法制調査部長 勝見 嘉美君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省矯正局長 長島  敦君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君  委員外出席者         法務大臣官房営         繕課長     水原 敏博君         法務大臣官房審         議官      鈴木 義男君         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         法務省刑事局公         安課長     俵谷 利幸君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 村上 哲朗君         建設大臣官房官         庁営繕部長   大屋登美男君         最高裁判所事務         総局総務局長  田宮 重男君         最高裁判所事務         総局人事局長  矢口 洪一君         最高裁判所事務         総局経理局長  大内 恒夫君         法務委員会調査         室長      家弓 吉己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政検察行政及び裁判所司法行政に関  する件      ————◇—————
  2. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件、裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所田宮総務局長矢口人事局長長、大内経理局長から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
  3. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。横山君。
  5. 横山利秋

    横山委員 最初に、各省関係者おいでを願いまして、四十八年十二月十一日の本委員会理事懇談会における協議事項のその後の経過につきまして意見ただしたいと存じます。  その協議事項の中で二項目ございますが、二項目めに「在京弁護士会館等の建設問題に関しては、霞が関中央官衙整備マスタープラン策定関係省庁間において促進することとし、そのプランには弁護士会側希望を可及的に取り入れるよう考慮すること。」と相なっています。しかるに、明年度予算案を見ますと、このマスタープラン策定その他について、本委員会協議事項方向に必ずしも向いていない、そういうふうに感じられますので、この機会に、各省協議事項の結果につきまして誠意を持ってどのように履行しておられるか、伺いたいのであります。おいでを願いましたのは、私に参りました報告によりますと、建設省大蔵省、それから最高裁、それから法務省、この四省でございますが、それぞれ、この協議事項についてどういう作業をしておるかか、まず御報告をいただきたいと思います。
  6. 大内恒夫

    大内最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。  昭和四十八年の十二月十一日に、ただいま横山委員御指摘のとおりの理事懇談会お話があったことを私どもは十分に承知してございます。  そこで、この問題は、最高裁判所の旧庁舎、すなわち霞が関一丁目一番地の跡地の利用に関連する問題でございまして、まず、最高裁判所といたしましてその跡地についてどういう計画をつくるかということが問題の前提になるわけでございます。そこで、その後私どもといたしまして、四十八年十二月段階はまだ最高裁判所霞が関に執務しておった当時でございますので、昨年の五月に三宅坂に移転しました後で具体的な計画をいろいろ考えまして、私どもといたしまして、その跡地には東京高等裁判所地方裁判所等建物をつくりまして、在京裁判所整備を急ぐということが最も適当であろう、かように考えまして、本年、五十年度の予算におきましてそのことを要求し、折衝をいたした次第でございます。ところが、この計画はなお十分に中身につきましてもかなり準備をして検討する必要もございますので、いろいろの事情がございまして、五十年度の予算におきましては具体的な内容、すなわち規模でございますとかあるいは工期でございますとか総工費でございますとか、そういう点は未定ということで、単に整地費の一部が予算に計上されたという段階に相なったわけでございます。したがいまして、現段階におきましては、霞が関の旧庁舎跡裁判所の具体的な計画は現在のところは未定というふうになっておりまして、五十一年度の予算折衝におきまして、そういう点をさらに裁判所としては詰めて、何とか裁判所の方としての建物の実現を期したい、かように考えておるところでございます。  ところで、先ほどの弁護士会側の問題、弁護士会館の建設問題でございますが、私どももその後、弁護士会からも、将来もし、ただいま申し上げました東京高裁でございますとか地裁でございますとか、そういうものを旧庁舎の跡につくるということが実現すれば、高裁なり地裁なりが立ち退いた跡に弁護士会館を建設することについてぜひひとつ御尽力をいただきたい、かようなお話をいただいております。それで、私どもその話はよく承知しておりますが、何分にもただいま申し上げましたとおり、跡地の具体的な建設計画というものは現在未定という段階に相なっております。私どもといたしましてはこの問題をまず実現することが第一でございますので、その問題を実現しました上で、なお関係省庁とも十分協議いたしまして、事柄について考えてみたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 いまの、この問題が実現したらという、この問題というのは何ですか。
  8. 大内恒夫

    大内最高裁判所長官代理者 この問題と申しますのは、すなわち、旧庁舎の跡に裁判所の、東京高裁でございますとか地裁でございますとか、そういう建物を建設するという先ほど申しました問題が、五十一年度の予算におきまして具体的に確定しましたならば、こういう趣旨でございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 次の役所報告を伺います。
  10. 水原敏博

    水原説明員 法務省営繕課長でございます。  一昨年十二月十一日の理事懇で、先生御質問にございましたとおりの結論が出ました。その段階では、現在の法務省並びに裁判所の占めます一画、これを建設省側で名づけて霞が関中央官衙整備計画Aブロックと呼ばれておりますが、その段階ではAブロックのお堀端の方に裁判所のグループの建物建てる、旧最高裁判所跡地法務省関係建物建てるという素案が示されておった段階でございました。  ところが、昨年の八月かと覚えておりますが、新聞で旧最高裁判所跡地には裁判所側裁判所合同庁舎をつくるべく予算概算要求を進めている、あるいは概算要求をしたという報道がなされました。実はその問題につきましては私ども寝耳に水でございました。最高裁判所からは、実はこういうふうになったからという了解を求められました。しかしこれは、私どもはあくまで建設省所管いたしましてマスタープラン策定すると承知いたしておりましたので、建設省に九月初めに伺いました。この計画変更の経緯について御説明を願ったわけでございます。その際に、建設省でも個々役所から申し出を受けて、個々役所との協議をしながら整備計画をまとめていきたいというお話でございましたので、私どもは当然建設省からは最高裁判所の跡に法務省合同庁舎建てるべく計画が進められているものと思っておりましたところが、そのようになりましたので、この変更後はひとつ十分法務省にも今後の策定について協議していただきたい、そして各省庁間にそごのないような計画策定をお進め願いたいということを申し入れたわけでございます。  したがって、そのような変更がございましたために、現在具体的な法務省並びに検察合同庁舎整備計画策定されておりませんし、そのマスタープラン策定される段階、私ども意見を述べまして建設省策定していただ段階におきまして、当然一昨年の十二月十一日に御協議ただきましたような会館の建設問題につきましてもそのプランの中に入れた計画をさしていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  11. 大屋登美男

    大屋説明員 霞が関中央官衙整備計画につきましては、これまでいわゆる中央官庁をこの霞が関地域に集めるということを第一の方針といたしまして整備してまいりました。そのやり方は、いままでありました敷地の空地と申しますか、更地建物建てるといった方針でやってまいりました。ところが最近になりましてそうした更地もだんだんなくなってまいりまして、いまわれわれが持っております計画では、たとえば労働省、厚生省、これを厚生省老朽、狭隘な建物を取り壊した跡に建てるといった中央合同交換といった計画がございますけれども、こうした、言うなれば再開発といった形でものを進めなければならないという段階になっております。これは一つの例でございますけれども、今後はこういう更地じゃなくて、老朽、狭隘な建物を壊して建てるといったようなことを進めてまいらなければならないというふうに考えております。いま申し上げました厚生、労働の合同庁舎、この次にはまず法務あるいは検察庁のあのブロック、この辺の整備計画を進めてまいらなければならないと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、そこにどういう省庁が入居するか、そういったことが決定した段階におきまして、それらの省庁とあるいは大蔵省折衝しながらものを進めてまいらなければならないというように考えております。
  12. 村上哲朗

    村上説明員 ただいまお話がありましたように、霞が関地区中央官庁整備計画につきましては、段階的にではございますけれども建設省においてその計画をいま立案作業中と聞いております。特に問題になっております現在の裁判所あるいは法務省のありますブロックにつきましては、これからどういう施設の配置にするか、あるいはどういう省庁をそこに置くかということをこれから検討されていく段階になっておるというふうに聞いておりますので、ただいまお話のありました弁護士会館の問題につきましても、その段階でわれわれも検討していくということで、現在の段階弁護士会館についてどこにどういう規模のものを配置するとか、あるいはどういう形で使用させるか、と申しますのは、弁護士会からのいろいろお話も聞いておりますけれども土地払い下げをしろ、こういうお話もございますけれども、この地区中央官庁が集まっておりまして、全部国有地になっておりまして、行政財産として使用しておりますので、払い下げるということにつきましてはいろいろ問題があろうかと思います。現在も行政財産使用許可ということでやっておりますけれども、こういう方向でまた検討もできるのじゃないかというようないろいろな点もございますので、この辺もあわせて、計画策定と並行させまして検討をしてまいりたい、こういうように考えております。
  13. 横山利秋

    横山委員 四省の御報告を聞きましたが、どの省も、理事懇談会における協議事項をあたかも知らないような御報告なんであります。知っておる、知っておると言っておるが、知っておるならば、霞が関中央官衙整備マスタープランが、各省間での合議が一回か二回はどうして行われなかったのであろうかと思われる。それからまた、御報告によれば、最高裁は、五十一年に高裁のあれができたならば、できたならばという条件つきであるから、条件が満たされなかったら私は知らぬよ、こう言っている。法務省は、建設省は少しはおれの方に相談してくれてもよさそうなものなのになぜ相談しなかったのかと、言外に恨みを込めている。建設省は、これからやるんですわというような勝手な顔をして、そして先般あったマスタープランの存在その他について説明しようとはしない。大蔵省は、ただ払い下げなんかできませんと、とんでもない返事をしておる。だれもそんなこと聞いてはいない。事ほどさように、四十八年十二月十一日に当理事懇談会において協議が行われた方向に、どの省もまじめに取り組んでいないということは大変遺憾千万だと思います。ここに当時の委員長が座ってお見えになりますけれども、まことに遺憾なことだと私は思います。われわれ与野党が一致をいたしました協議事項について、政府部内においてだれが一体責任を持って推進してくれるのか、それをまず伺いたいと思います。
  14. 大内恒夫

    大内最高裁判所長官代理者 この問題につきましていまそれぞれ各省からもお話がございましたが、これは結局各省庁それぞれお考えがあるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、旧裁判所の跡は、裁判所建物のあった跡でございますので、まず私どもとしてそこに在京裁判所整備したい、かようにまず考えておるわけでございます。それを促進し、それを具体的に実現するということが、理事懇談会において御提起のございました問題を将来促進する一番重要な基礎である、かように考えておる次第でございます。そこで、各省庁おいでになりますので私の方から申し上げるのはあるいは僭越かもしれませんが、少なくとも私どもといたしましては、弁護士会館建設問題についてまずなすべきことは、私どもの旧庁舎跡在京裁判所整備する、それによってその後の問題を処理してまいりたい。もちろんこれにつきまして、先ほど申しましたように関係省庁との協議をいたし、かつ予算でそれを実現するということが先決問題でございます。私どもとしてはぜひそれを実現してまいりたい。そうした上でこの問題を促進するようにいたしたい、かように考える次第でございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 最高裁が前へ出て、私の所管でもないけれどもどうしても一言言うておきたいということで、来年度予算で旧庁舎跡高裁のあれをきめるのが先決だ、それなくば話に乗れぬと言わんばかりにがんばられる意味が私にはよくわからないのです。それをつくるにしたところで、それはマスタープランの中の一環としてつくらなければだめなんじゃないですか。それにもかかわらず、あなたの所管でもない問題なのにあなたがどうして前に出てくるのか、私にはよくわからない。  私どもがこの文書を作成いたしましたときにずいぶん議論をした結果、政府側の主張を入れて、なるほどそうか、霞が関一丁目におけるあの昔ながらの建物は、一回総合的にマスタープランが必要である、日弁連会館だけの問題ではございませんという政府側言い分を、ああそうか、わかった、日弁連言い分もあるけれどもマスタープラン策定一つ大事なことだということはわかったということなんですよ、与野党がわかったのは。それならばマスタープランをつくってもらいたい。マスタープランをつくるときに、せっかく陳情もあり、ごもっともなことであるから、日弁連敷地を確保してやりなさい。そうでなくてもあそこにいまおるのだから首になわをつけて引っ張って出すわけにはいかないから、意地悪でもされたら困るだろうから、そこのところは既得権と認めて、あそこに土地を確保してやりなさい、マスタープランをつくるときにはその敷地を確保してやりなさいということが、きわめて常識的にわれわれ与野党意見が一致したことなんです。そのマスタープランをちっともつくらぬではないか。マスタープランをつくる責任の省は建設省ですか。どこなんですか。だれか返事してください。
  16. 大屋登美男

    大屋説明員 私どもといたしましては、マスタープランをつくるべくいま関係省庁折衝し、努力しておるつもりてございます。また、弁議士会館の話につきましても、十分中身了解しておるつもりでございまして、御希望の線に沿いまして十分検討してまいりたいと考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 あなたの方でマスタープランをつくるのですね。そのときに各省庁協議をすることは当然ですね。それならば、この前うわさのあったマスタープランをつくったときに、どうして各省庁協議をしなかったのですか、あなたは。
  18. 大屋登美男

    大屋説明員 うわさのあったというのは、私ちょっと存じません。
  19. 横山利秋

    横山委員 二十階建てとかなんとかいううわさがあったじゃないですか。
  20. 大屋登美男

    大屋説明員 これはいわゆる検討資料でございまして、まだマスタープランと申し上げる段階に至っていないものだと御了解ただきたいと思います。
  21. 横山利秋

    横山委員 検討事項であるから、自分の考えておることだから、まだ各省に言うつもりはないというものが、どうして新聞に出たり、あっちこっちの話題に出たり、よその省が怒る結果になるわけですか。
  22. 大屋登美男

    大屋説明員 いまおっしゃられました二十階という程度のことは、決して建物を二十階にするとかしないとかいうことではございませんで、霞が関全体としまして二十階程度に抑えればおさまるだろうという程度の基本的な方針でございます。あそこの地区に全部二十階建て建物をつくろうというほどの強い線が出ておったわけではございません。
  23. 横山利秋

    横山委員 それでは改めて建設省に伺います。ここは各省のそういう関係者がみんな出ておるのでありますから、この協議事項による霞が関中央官衙整備マスタープラン策定の構想を改めてここで話をしてください。そして、それはいつごろ大体でかそうとするのであるかという点についても話をしてください。これからどういうふうにそれを実行しようとするのかという手順についても、ひとつ正確に話をしてください。
  24. 大屋登美男

    大屋説明員 いまおっしゃられました霞が関地区マスタープラン、しかも再開発という手法に沿ったマスタープランの作成につきましては、非常にむずかしい問題がございますけれども、根本的な方針として申し上げられますのは、たとえば建蔽率をどのくらいに押さえるとか、あるいは容積率をどのくらいに押さえるとか、あるいは建物の高さをどの辺に押さえるかという程度のことでございまして、これを各ブロック、しかもその必要、緊急性に応じてブロックごとに詰めてまいったものを積み上げて全体のマスタープランとするという方式が一番現実的な方法と考えております。したがいまして、いつ幾日にできるというふうなことを申し上げるのは非常にむずかしいと思います。
  25. 横山利秋

    横山委員 大事なことはこういうことなんですす。幾つかあります。それを明確に答えてください。  マスタープランができなければ霞が関官衙における官庁の新築、増築はしない、こういうことになるのか。第一の質問はそれだと言うのです。そういうことだとすると、最高裁がいまアリバイを張っているように、私のところは五十一年にはどうしてもやらなければならぬ、予算要求をしなければならぬということがあるから、マスタープラン最高裁のいま言っている関係について明確にしてもらいたい。  それから第二番目に、この「弁護士会側希望を可及的に取り入れるよう考慮すること。」とあるが、弁護士会側希望というのは、「日本弁護士連合会東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会会館建設のため、会館延面積約二二、二一六平方米、これに要する敷地約三、七六〇・三二平方米を、千代田区霞が関一丁目一番一号〜四号地区内に設定せられたい。」あなた方のために要望書を正確に読み上げておきますが、そういう要望マスタープランの中に組み入れられるかどうかという点をも明らかにしてマスタープランについての説明をしてもらいたい。
  26. 大屋登美男

    大屋説明員 先ほど来いろいろへたくそな説明を申し上げておりますけれどもマスタープランと申しますと、要するにあの地区全体の計画ができるのが一番理想でございますけれども、現実的には各ブロックごとに積み上げていくという方法しかいまのところはとられておりません。   それからもう一つは、いま第二番目の御質問弁護士会館弁護士会側の御要望マスタープランに取り入れるということにつきましては、これは決して不可能ではないと思いますけれども、やはりいろいろ関係方面の制約がございますので、私どもとしましては、マスタープランの中にこれを取り入れることにはやぶさかではございませんけれども、やっぱりその方面の御了解を得られなければならないというふうに考えております。
  27. 横山利秋

    横山委員 はい、わかりました。そういたしますと、マスタープランそのものについての性格がほぼ明らかになりました。私の解釈に間違いがあったら訂正してくださいよ。  マスタープランというものは、一丁目一番地に、どこに何が来て、その建物はこういうふうでと、全部きちんとしたかっこうになるものではない。少なくとも大体の骨格みたいなものだ。したがって、その骨格というものについては近く各省庁協議でまとめ上げていきたい。いいですね。その方向で、いま最高裁の言うような、旧庁舎跡高裁建てる、再来年度、五十一年度予算要求に支障のあるような問題ではない。あるいはまた日弁連会館建設については、この協議事項について了解をし、これを設定するについてマスタープランの中に取り入れることにやぶさかでない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  28. 大屋登美男

    大屋説明員 そのとおりでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 いまの、私とそれから建設省との間で行われた最終的な質疑応答異存のある省は言ってください。——異存のある省は言ってください。
  30. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 ないようでございますから……。
  31. 村上哲朗

    村上説明員 いまのお話は、物理的にあのブロロックの中に、弁護士会館の用地といいますか場所をどこに設定するか、そういう点でのお話かと思います。それをどういう形でやるかについては、われわれとしては今後検討したいと思っております。最初に申し上げたとおりでございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 大蔵省村上さんですか、あなたの御意見は、要するに物理的にあの中へ日弁連が入ることについては異存はない。しかしその入り方、つまりその条件ですね、ただで貸すかそれとも有料で貸すか、有料ならばどのくらいで貸すかという点についてのアリハイをあなたは張っておきたい、こういうことですね。
  33. 村上哲朗

    村上説明員 アリバイと申しますか、いろいろ検討する課題は多いかと思いますけれども、要するに、われわれの聞いておりますのは、あそこの土地払い下げてほしいということを弁護士会側から聞いておりますので、払い下げについてはなかなか問題があろうか、こういうことでございます。
  34. 横山利秋

    横山委員 それならばその点につきましては、払い下げでいかなければ借地ということに相なりましょう。日弁連のあそこに現在おる既得権といいますか、それを無視するわけにはまいりますまいから、おのずからの解決があろうかと存じます。  そこで最後に一つマスタープラン策定する側であろう建設省要望しておきたいと思いますが、日弁連会館の問題は、現在あるあそこでそのままつくるというならば、それは事は簡単だけれども、あなたのほうで、マスタープラン関係上少しずってくれ、こちらの方に来てくれということがありますと、なかなかこれは作業がむずかしくなる。私はどちらだと言っておるわけではありません。少なくともマスタープランをつくる側の希望というものがなるべく先行しないといけないのではないかと思います。したがいまして、大まかなものであろうと、マスタープランが大体いつごろにはできるのかということなんであります。実は私の方にも、同僚諸君のところにも陳情が来ていると思うのでありますが、四十八年十二月十一日にこういう懇談協議事項がありながら一向実現をしていないことについて、実は内部的にも困っておる。それは建設委員会というものがああって、お金も集めなければいかぬ、そういうお金を集めるについて、一体いつごろになるのやら、どのくらいの土地が確保されるのやら、どこに確保されるのやら、本当にあそこで確保されるのやら、本当にはっきりしない、それではお金の集めようがないという心配なんであります。きょう大まかなことはここであなた方との質疑応答で明らかになりましたけれども、大体あそこの中で、どのくらいかわからぬけれども要望はしかと私が申し上げておいたんだからあなたの方で御検討なさると思いますけれども、どの辺でどのくらいということのめどがつくのはいつごろであるか。あなたの一存ばかりではいけない、関係省庁との協議というものが必要だと思います。そういう協議をも含めて、いつごろなのかという点について目標を立ててもらいたい。
  35. 大屋登美男

    大屋説明員 先生がおっしゃられましたように、非常に関係方面が多くてむずかしい問題でございまして、これから折衝いたしますけれども、いつごろにできるかということについてのお返事はちょっと御勘弁を願いたいと思います。(横山委員「あなたの予測、目標」と呼ぶ)私自身の目標ではなくて、これはやはり関係方面との了解が得られなければ、いつということは申し上げられないと思います。
  36. 横山利秋

    横山委員 大臣、まあお役人では結局そういうことになりますが、お聞きになっておったと思うのであります。  これ、四十八年十二月から一年以上たって初歩的な質問をしているのです。また一年たって初歩的な質問をするばかなことはしたくないと思うのであります。いわんや、最高裁も先ほど強く言っておられる来々年度の予算要求の問題もございますから、ひとつ大臣、お骨折りをくださって、このマスタープラン策定を急がして、そしてあの中央官衙のマスタープランができて、なるべく早くあの辺が一新されるようにお骨折り願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  37. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 何しろ、弁護士会といい裁判所といい、法務省といい大蔵省といい、既得権の堅持というか、権利思想の非常に発達した団体の競合する官衙でございますので、これのあっせん促進ということは非常に骨の折れることでございますけれども法務省にも責任なしといたしませんので、横山先生の気をもまれることもよくわかりますし、法務委員会理事懇談会の御決定もあることでございますから、これはいつまでも放置するわけにいかぬなあ、何とかひとつ微力ながらあっせんの労をとらなければいかぬかなという感じを持つ次第でございます。一生懸命にやってみます。
  38. 横山利秋

    横山委員 それでは大臣のひとつ御努力を期待をいたしまして、この問題を終わることにいたします。  次に、最近本委員会に提案さるべき予定になっております刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、事前にひとつ大臣の意見を伺っておきたいと思います。  きのう参議院法務委員会で、刑事局長を含めて法務省側の答弁の中で、刑事被害者の救済につきまして法務省検討中であるということについて答弁があった模様であります。本件につきましては、しばしば本委員会におきましても、大臣を初め担当者から御答弁がございました。それはよく承知をいたしておるわけでございます。それももっともではあるけれども、私がもう長年この席上で言い、歴代の法務大臣が歴代ごもっともであると言っている問題が、そういうことを検討なさるのであるならばむしろ先行すべき問題ではないかということを私が主張をいたしております。本委員会には私の方から、この政府側から提出されます法案に対する、対立をいたします法案を提出をいたします。毎年出しておるやつでありますが、それは一つには、この法律案が拘束の問題について、拘束期間中の補償をするのでありますが、私どもは非拘束の問題をも含めておるわけであります。それから金額の問題です。それは法律案を提案いたしますからいいんです。しかし、それに関連をいたしまして私が歴年主張いたしておりますことは次の二点であります。  一つは、これは裁判で無罪になった問題である。しかしながら、検察段階において間違いであったというわけで釈放される、裁判にならないで、検察段階で間違い犯人を釈放する、それを拘束しておいたというようなときには、いま被疑者補償規程というものがあって、恩恵的に、まあ、えらい済まなんだというので出しておるわけでありますが、本来、それは恩恵的に出されるべき問題でなくして、この刑事補償法及び刑事訴訟法と同じように、これは国が被害者に対して補償すべき問題ではないかということが第一であります。  第二番目の問題としては、今度は警察段階、警察で間違って人を逮捕した、そして留置をしておいたが、間違っておったおまえ気の毒だったな、出ていってくれというようなことが往々にしてある。かつて私の愛知県におきましてその事案が生じまして、被害者から訴えがありまして、それは予算がないというので、愛知県議会におきまして特別な議決をして約五十万円支払った経験がございます。  そういうようなことを考えておりますと、この刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を今度またお出しになるわけでありますが、この際改めて、積年の私どもの主張でありますところの検察段階及び警察段階における検察陣の誤り、無事の人を逮捕してそしてその誤りを犯した問題について、どうして一体補償制度についてもっとまじめに考えないのであるか。これは歴代の法務大臣なりあるいは警察庁の方からも、検討をいたしますということを何回も言っておるのであるけれども、一向検討もしようとしない。今度、あのめちゃくちゃな爆弾によって刑事被害を受けた人、そういう人たちについては最もお気の毒であるから、それを何らかの関係で補償しようとするのはいいですよ。けれども、その問題と私が提起している問題との比較はきわめて顕著であります。それは、刑事被害者の方は検察陣や警察が何らの関係もない問題である。ただ未然に予防し得たかもしれないということは残るかもしれぬけれども、これは何らの責任問題、関係ない。私の提起しているものは警察や検察に責任がある。かりにそれが無過失の責任であろうとも、間違って人を逮捕して、そしてそれが無事の人であったという点についてみずからの責任を明らかにしなければならぬ。そういうためにこの問題について真正面に取り組むことについてきわめて憶病である。自分の恥部、自分の誤り、自分の責任を明らかにしなければならないから、この問題については真正面に取り組もうとしない。きわめてひきょうである。刑事被害者の問題をやるというのならば、それはやりなさい。やりなさい。が、その前に私どもが提起している問題になぜ真正面から取り組もうとしないのであるか、こういう意見なんです。  ですから、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部改正を今国会に提起するならば、その問題の解決をせずして、また積年の私どものこの法律改正案に対する政府のまじめな回答なくしては、今回はこの法律案については私どもは覚悟がある、正直なことを言って。そういう点を法務大臣は御存じであろうかどうか。また御検討がいまできていないならば、一回まじめに検討してもらいたいと思いますが、いかがです。
  39. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 長年、歴代の法務大臣、ここにもおられますし、小島さんも、お帰りになりましたけれども 非常に御努力の結果、御指摘のいわゆる被害者補償制度の実現にはだんだん問題が詰まってまいりまして 現在は、労働災害補償など他の補償制度との関係、補償の要件、範囲、金額、手続など、制度の具体的な内容につきまして、長い間検討をした結果がようやく煮詰まりつつある段階でございまして、そう長くお待たせするようなことはないと私は思うのでございます。ですから、でき得る限り早い機会に結論を出すつもりで、いま毎日のように事務当局を督励しているような実情であります。具体的にはあれがおりますから……(横山委員「話が違うよ」と呼ぶ)ああ、それは失敬しました。いまそのことで事務当局と話をしておりまして、どうも失礼いたしました。もう一度ちょっと要点をおっしゃっていただきたいと思います。
  40. 横山利秋

    横山委員 だったら休憩するから、そこで御進講してください。
  41. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 では審議官に答弁させていただきます。
  42. 鈴木義男

    ○鈴木説明員 本日、私どもの方でいただいておりました横山先生の御予定の御質問は、被害者補償の方でございましたので、現在御質問になっております被疑者補償あるいは警察での補償の問題等につきまして直接の担当者が参っておりませんので、私でわかる限りのことを申し上げたいと思います。  被疑者補償規程は、御承知のように大臣の訓令という形でできておりまして、形の上では、法務大臣は補償をすることができるということで、まあ、するもしないも法務大臣の自由裁量であるというような形になっておるわけでございますが、実際には、被疑者補償規程に書いてありますような要件に当たる場合については、裁量だから、おまえはやらないというようなことではなしに、補償をしておるわけでございます。そういう意味におきまして、法律にするか規程のままに残しておくかということについても、さらに検討する必要はあると思いますけれども、規程であるために特に権利の救済に不都合を来しておるということはないように私どもは理解しております。  なお、警察の問題でございますけれども、警察で逮捕いたしまして、その事件が検察庁に来て結局不起訴ということになった場合につきましては、この被疑者補償規程が適用になるわけでございますし、その他の面につきましては、これは警察の方で御検討中のところだろうというように理解しております。
  43. 横山利秋

    横山委員 大臣、さっき熱弁をふるったのに、あなたちっとも話がわかってないのでがっかりだな、正直なところを言うと。熱弁をふるったつもりですよ、こっちはさっき。いやになっちゃうな、これは。大臣、あなたに本当に納得してもらわなければいかぬのだから、勇をふるい起こしてもう一遍言いますけれども、こんなこと初めてです。耳を澄まして聞いてください。  こういうことなんです。今度国会へ出ます刑事補償法は裁判で無罪になった人の問題です。私が提起しましたのは、裁判に行かないで検察庁で、つかまえたけれどもおまえは疑いがないと言って釈放した者については、これは適用されないのです。こちらの方は、被疑者補償規程という恩恵的な規程が法務省の内部であるわけです。しかし、この被疑者補償規程というものの欠陥は、恩恵的であるために利用率が大変悪いのです。つまり、被疑者は知らないから、検事や何かがおまえこれ欲しいのか欲しくないのかということになるわけですから。歴史的に見てもこれはほとんど活用されていないのですよ。あんなこと鈴木審議官は言うけれども、活用されていないのですよ。統計を調べてみればすぐわかる。  その次の問題は警察の問題です。警察で間違えて人をつかまえたときに、おれは人権じゅうりんだ、おれは間違いだ、補償しろと言ったって、補償の規定がないのです。ところが、愛知県であるときに問題が生じまして、それでもっともだというわけで、県議会は特別に議決をして五十万円払ったことがある。そんなことまでせんならんというのはよほどのことですわ、日常茶飯事、この段階でなくて。検察陣、警察の段階である問題について、これを補償するならばこの両方とも法律をもって補償しろと言うのです。そして、私がいま声を大にして言うのは、まあそんなことを言いたくないけれども、あなた方が、あの爆弾で被害を受けた人についてまじめに検討するとおっしゃるから、それは結構なことで、やりなさい。だけども、それとこれと比べてみたら、こちらのほうが、無過失であろうとも警察や検察が誤りを如実に現実に犯した問題だから、こちらのほうが優先するではないか。なぜこれをまじめにやらぬか。歴代の法務大臣が検討すると言っておっても、少しも作業にかかっていないではないか。だから、その答えがない限りこの法律の改正は今度は通さぬぞ、横になるぞ、こう言っておるのですよ。わかりましたか。
  44. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 わかった。ごもっともでございます。警察が、人間のやることですから過って逮捕する場合もあるでしょう。これはお許し願って、疑いがあったらどんどん逮捕して、間違っていたらどんどん放して、そして責任をとる。責任をとるには、まあ補償しか、しょうがないじゃないかと私は思います。検察の場合も同様だと思います。そういう制度の確立に尽力したい、こう思います。
  45. 横山利秋

    横山委員 尽力したいということは、どこのいつの法務大臣もおっしゃったわけなんです。あそこにも法務大臣が一人お見えになりますが、あの人も言ったのです、尽力しよう、検討しよう、と。どういう方法でそれをやるか、今度それが明らかにならない限りこれは通しませんぞと言っているのですから、ひとつその点ははっきりしてください。
  46. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 法務大臣はそれを補償することができる、と、してもしないでもいいような文章だけれども、実際は義務づけられているような措置をとっていると、まあ鈴木審議官は言うのですが、私はどうもあなたの説の方が正しいように思いますな。そこで、帰ったらこの人と議論して、あれじゃ世間は納得しないよ、いま民主政治の世の中に、引っ張りっ放し、釈放をして後は知らないということでは、余りに人民の権利が侵害されて、警察国家、検察国家、権力国家みたいな感じがするじゃないか。——どうも従来の法務省の伝統というか、官尊民卑時代の弊風がまだ残存しているように私は思うから、帰りましてこの人とよく議論して、そして御要望に応ずるような措置を早急に実施したいと思います。
  47. 横山利秋

    横山委員 わかりました。それでは今回はひとつぜひこの私どもの提案について具体的な答えを出してもらいたい。その答えを、大臣がいまおっしゃるように帰られて法務省関係者と御相談なさって、ひとつ法案審議の際に明白にしていただく、こういうことにして、きょうは注文をしておくにとどめたいと思います。  時間がございませんが、民事局長がいらっしゃいますから、ちょっと変わったことで伺います。  これは法務年鑑の昭和四十八年版ですが、民事局の仕事の中で、「地図の作製等に関する作業法第十七条の地図を法務局が作製する作業は、昭和四十三年度よりモデル的に実施されているが、昨年度においても、宇都宮・鳥取・松江及び釧路の各地方法務局の四局において実施した。」こう書いてあります。もう四、五年前に私はこの問題を取り上げたのですが、いま簡潔に伺います。  法十七条の地図が最終的に全国的に完成されるのはいつごろのことでございますか。
  48. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 法十七条の地図は現在わずかしかございません。しかしながら、これは早急に整備する必要がありますので、いろいろな方法を講じて努力しておるわけでございますが、現在とっております方法は、登記所が税務署から引き継ぎを受けました公図のうち、精度が高い、実情を正確に反映していると認められるものをより抜きまして、これを再製いたしまして十七条の地図に充てるという方法、それから、国土調査によってできた成果の地籍図を移管を受けましてこれを法十七条の地図にする方法、それから、土地改良、土地区画整理事業、こういった事業によってできます換地図、これをやはり登記所に送られてまいりますので備えつけまして法十七条の地図とする方法、それからもう一つは、法務局がみずから実地調査を行いまして地図を作製してこれを法十七条の地図とする方法、こういった各種の方法を併用して法十七条地図の整備に努めておるわけでございますが、何と申しましても、日本国土は狭いと申しましても相当広いわけでございましてて、いつまでにということは、これら各種の事業の進行状況にもよりますので、ちょっとその見込みについては申し上げられませんが、いずれにしても相当の年月をかけて整備を図っていきたい、このように考えております。
  49. 横山利秋

    横山委員 余分なことは言わぬでもいいんですよ。法十七条の地図を法務局が作製する作業が歴年行われておる。法十七条の地図、それが一体どのくらい年月が予想されるか。いまの作業のままで行ったならばどのくらいの年月が予想されるか。いまあなたがいろいろくどくど言ったのは、それがなかなか遅いからほかの問題でこれにかわるものとして、法律的にかわるかどうか議論があるんだけれども、そういうものは次に質問します。十七条の地図はこのベースで行ったら何十年後に大体できそうか。何十年後という表現が適当ですか、何百年後という表現が適当ですか、何年後ではないでしょうね。その点をひとつ皆さんにわかるように、それは何十年後というふうに言ってもらえばいいんですよ。
  50. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 正確な予測は困難でございますが、もちろん何年後というのではございません。数十年後ということになろうかと思います。
  51. 横山利秋

    横山委員 そこで、いまお話しのように、「十七条地図の整備には長期間を要するところから、この間の十七条地図にかわるものとして現在法務局・地方法務局で保管している土地改良法等に基づく土地の図面及び旧土地台帳附属地図についてポリエステル・フィルムによる再製と和紙による裏打の補修により整備を行った。また、国土調査法に基づく国土調査の成果として地籍図が作製され登記所に送付されてくるが、市町村による地籍調査の完了時から作製されて登記所に送付されるまでの間に、時間的なズレ(一年ないし二年)が生じるため、その間の土地の異動状況が地籍図に必ずしも反映されていないため、それを地籍図に反映させるための修正作業を行った。」これは四十八年の作業です。何をやっておるのかわけがわからぬというような感じがするわけですね。百年河清を待つような話なんです。  これに関連いたしまして、私が入手いたしました東京地裁四十八年五月三十日の判決なんですが、「登記所備付の公図の閲覧監視および保管につき登記官に過失があるとしてこれに基づく国家賠償請求が認容された事例」という判決をずっと見てみました。要するに、公図の表示が誤りだった、こういうことなんであります。これについては国も責任がある。被害者も、そんなものは法律に基づくものでないものを、法律に基づくものだと簡単に理解したためにおまえはこういう被害を受けたのだから、おまえにも責任がある、こういう言い方なんですね。まことにおかしな判決であります。被害者に、おまえにも責任があると言ったって、登記所にある品物が間違いがあるというようなことを国民に、あんなものは十七条によるものじゃないから間違いがあるかもしれぬぞということを一般人に知らしめる方法はありませんし、役所のことだから間違いがあるはずはないと思うのが普通なんですね。  私が短い時間ですべてを言い尽くすわけにはいきませんが、民事局の仕事の中におけるこの地図の作製というものが、あなたの方も数十年かかるのだからまあほどほどにしようという気持ちがあるんじゃないですか。この地図の作製についてもう少し本格的に考え方を新たにする必要があるんじゃないか、こう思うのですよ。大臣、これも大臣に聞いてもらうためにしゃべっているのですが、本当に民事局の作業というものは、数十年かからなければ十七条の地図ができないのか。数十年かかってもできるのかどうかよくわかりません。その間継ぎはぎだらけのやり方をして予算を食っておるわけですよ。その継ぎはぎだらけのやり方が裁判でまた問題になるわけですよ。ですから、この地図作製について一回考え直したらどうか。そして一遍本格的に、なるべく短い年月の中で根本的に地図がつくられるような作業を、思い切って計画を立ててやったらどうか、こういうのが私の意見でございます。大臣と民事局長の御意見を伺いたい。
  52. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 ごもっともな御指摘でございます。最初に私申し上げましたように、地図の整備は、国土調査それから土地改良、区画整理その他各種の公益事業の進行とも関係がございます。そういう意味におきまして関係官庁との協力をいたしておりますが、さらに今後緊密にいたしまして、地図の整備に協力したいということが一つ。  それから、法務省自体といたしまして現在地図の整備に相当な予算を費やしております。たしか五億程度になろうかと思いますが、何分にも税務署から引き継ぎまして、それまでやっていなかった地図の仕事をやるようになって、それだけの十分な人員が確保しておりません。そういった点を補強するためのいろいろな測量講習とか、専門家を養成しておりますので、そういうことと相まちまして、地図を整備していくという体制をいま強化しつつあるところでございます。御要望のありました点は非常にもっともでありますので、私どもといたしましても十分に努力する所存でございます。
  53. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 ただいまの問題は、きのう参議院で同様な御質問をいただきまして、したがって同様なお答えになりますが、法務省民事局でこの地図をきちんとつくれと言うても、どうもあの法律は不可能に近いようなことを注文されているような気がしてならぬのであります。陣容といい、それから地図作製の科学的な機械力といい、それから費用といい、横山先生の御要望になるようなことをやろうとすれば、いまのこの速度では何十年かかるかわからぬです。そこで、国土庁の国土調査促進特別措置法という法律がございますので、これと法務省所管の不動産登記法、これの組み合わせ、それから地方公共団体で備えている正確な地図があればそれと不動産登記法との組み合わせ、これによって、すなわち自治省、国土庁の協力を得て完成することが御要望に応ずる近道ではないか。法務省の民事局だけでやっては何十年かかるかわからぬ。そこできのうも御答弁申し上げましたのですが、早急にこの横の連絡をとって三者間協議会をつくって、この地図、公図の作成を近づけていく、そして公図が作成されたと同じような効果を現出していくということにしたいと思って、早速自治大臣にも、それから国土庁長官にもそういうことをお話しして、メンバーをそれぞれ供出して、何十年後にできるかもわからぬというその公図の作成目標を近づけていくということにしたい、こう思っておる次第です。
  54. 横山利秋

    横山委員 終わります。
  55. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 稲葉君。
  56. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いま横山さんの質問を聞いていて、一つは。きょう刑事局長は出てこないでしょう。次席検事の会同があるから出てくるのを勘弁してくれということなんですが、これは、水曜日には一般質問があることがわかっているし、普通の場合は刑事局長が呼ばれることはわかっておりますから、そういうふうなことで期日を設定するというのは考えてもらわなくちゃ困りますよ。これはよくないですよ。だから話が、国会軽視だ、とは言わぬけれども……。  それから問題点は、被疑者の補償の規程というのをなぜ法律としてできないのかということとか、それが実際に運用されている場合にどう行われているか。それじゃ不起訴処分するときにどういう場合にそれが該当するとか、それじゃそのことを釈放するときに被疑者に通知しているかどうかとか、それは不起訴処分の内容に罪とならずとか嫌疑不十分、嫌疑なしとか、それがきわめて恣意的に行われますから、そういう場合、どういう場合にそれが該当するかということを全然一般の被疑者に知らしてないわけですから、いろいろな問題がありますけれども、これは刑事補償法の改正案が法律として出てくる、私どもも対案を出す、そういうふうな中で絡めて今後質問をしていくというふうになると思います。横山さんは覚悟があると言ったけれども、こっちは重大な覚悟があるということにしておきます。  そこで大臣にお尋ねするのですが、一つは、あなたは法学博士でしょう、大変失礼だけれども。それで憲法の専門家だと言われる、と言うと語弊があるかもしれませんが。この前あなたが言われました、公職選挙法ですか、あるいは選挙腐敗防止法ですか、そういう法律をつくるのかどうか知りませんが、そのときに連座制をやって、やり方によってはそれが何か憲法違反であるというふうな話が出ましたよね。このこと、どういうふうな場合にそれが憲法違反だと、こういうふうに言われ、あるいはお考えになっているのか、そこからますお聞かせ願いたいと思います。
  57. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 いわゆる三木試案を拝見しますと、総括責任者、支出責任者、これが有罪になった場合は、自動的に当選無効の効果をこの最終判決に当然に付与する。つまり、総括主宰者なり支出責任者の有罪判決の既判力を当選した議員に直ちに自動的に及ぼすというやり方は、憲法第三章の、何条でしたか忘れましたが、何人も裁判を受ける権利を奪われることがないとかといった、いろいろな一連の人権擁護規定に違反するおそれがあるのではないか、疑いがあるのではないか。何か、自動的になるならなるでいいが、それに不服を申し立てる救済の手段が本人に与えられていなければならないのではないか、こういう点で、それが全然与えられていないで、他人に対する判決の既判力が当然別な人間に及ぶというのは、憲法第三章に一連の人権保障規定があるのに触れるのではないかという見解を申し上げたわけです。
  58. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 三木試案か何か知りませんけれども、そういうふうなものをつくるときに、法務省なりあるいは法務大臣に全然相談がないのですか。相談がないというと、いかにも法務大臣が軽んじられているような印象を与えますね。いかに試案とは言いながら重要なものについて……。
  59. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 事前にお知らせは受けていませんでした。自由民主党の選挙制度調査会長に出されて以後拝見をいたしまして、記者会見でそういうことを申し上げました後、総理からお呼び出しがあったわけではないけれども、総理に会いましてそのことを私は言いました。そうしたら、自動的に失格ということにしないと、余り裁判が長引いて、もう任期中はずるずるずるずる、総括主宰者や何かがやられても本人は実際上は任期は勤めてしまうというような、これではやはり国民が納得するだろうか、なあ稻葉さんと、こう言うのだね。しかし、そういうことはあっても憲法の条規ば条規でありますからねと、こういうことで、不服を申し述べるチャンス、そういうものを与えたらいいのではないか、逆にしたらいいのではないか。当選無効の訴訟をこっちから起こすのではなくて、当選の有効の立証をそっちの方に、当選者の方に与える逆な救済手段を付したならばまあやや私を納得せしめる試案になりますがな、こういうことを言っている段階で、自由民主党の選挙制度調査会でどういう御結論になりますか、法務大臣としてやら、法律学徒として、そういう見解を尊重してもらうようにいま見守っているという段階でございます。
  60. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そこで、伝えられるところによりますと、選挙法違反の裁判がありますね、そこへ当選した御本人に証人として出てもらって、そこで弁明の機会を与える、それでいいのではないかというようなことがちょっと新聞紙上で伝えられておりましたね。これはまた筋がおかしいですよ。民事裁判と刑事裁判とは全然違う。まあ、民事というのは行政というか、刑事裁判と違う。刑事裁判で証人に出て、そこで弁明したからそれであれだなんという、そんな筋は全く筋違いだ、私はこういうふうに思うのですが、そこはどういうことなんでしょうか。
  61. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 その新聞記事は私見ておりません。それから、もしそういうことがあったといたしましても、全く私の関知するところではありませんし、そうして、それは間違っていると思っております。
  62. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 間違っているというのは、どういうふうな理由から間違っているという、そこが抜けてしまうと、ただ結論だけではあれなんで、まあそれは政府委員の方でもいいですけれどもね。
  63. 根岸重治

    ○根岸説明員 いわゆる総括主宰者等の買収事犯などが確定した場合に直ちに当選を無効にするというような法制につきましては、ただいま大臣からお話し申しましたように、憲法三十一条、三十二条の関係で疑問があると私ども考えております。そのために、では代案として、新聞等によりますと、いわゆる訴訟参加をさすとかいうような案が出ているようでございますが、所管の自治省等から正式にそういうことの検討は私ども相談を受けておりません。ただ、いろいろ憶測等をいたしまして、私ども事務的にはいろいろなことも検討せざるを得ないと思っております。  いまおっしゃるような制度がどういうことを意味するかは具体的には存じませんけれども、刑事訴訟の本来の被告人の訴訟の中に当選人を絡ませてくるということは、本来の刑事訴訟法に種々の影響もございますので、一概に悪いとかいいとかいうことではなく、利害得失等も考慮しなければいけませんので、慎重に検討すべき問題だというふうに思っております。結局、連座制の強化という大きな目的のために、ある程度の刑事訴訟の手続がモディファイされるということはあっていいのかもしれませんけれども、本質的に被告人の刑事訴訟に重大な影響を及ぼすようなことがありますと、これはもはや許容の範囲を超えることになりますので、そういった面で事務的には私どもいろいろ考えている段階でございます。
  64. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 もう一つ、大臣、企業からの政治献金ですね、これが例の八幡の献金の問題で、法律的に、これは限度があるわけですけれども、一応認められておる。そのことから来るのかどうか、よくわからない理屈ですけれども、企業献金を廃止するのは憲法違反だという説がある。いや、それはあなたの党の中にあるらしいのですよ。法務省という意味じゃないですよ。憲法違反だ、だから廃止するのはいかぬ。これは変な理屈ですがね。そういう反面解釈から出た変な三段論法があるように伝えられておるわけです。きのうの新聞にもそういうことが出ておりましたね。こういうことについては大臣としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。まず総論的なところは大臣に答えていただいて、専門的なところはいいですよ。
  65. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 ただいまの問題は、憲法違反論もありますし、合憲論もございます。それで合憲論の根拠、違憲論の根拠、それぞれございますから、本当はこれは最終的には最高裁判所の御決定になることですが、内閣としては法制局の見解を求めていただきたいと思います。
  66. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 内閣法制局はいいのですがね。法務省としては、あなたとしてはまずそれではそういうふうなことについてどういうふうにお考えなんだろうかとか、あるいは専門的に見てこういう点、こういう点が問題になってくるんだというふうなことについての概略は、ここでお尋ねをするのは無理でしょうか。
  67. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 別に無理じゃないですけれどもね、私がいまおっしゃったような問題について憲法論をやりますと、どうも法務大臣という地位にあるものですから、よく新聞だねになったりしまして、法務行政をやる上に、毎日そんな議論ばかり吹っかけられてはなはだ迷惑している点もあるのです。ですからこれは、法学博士なんて言って、どっちの方角かわからないくせに余りよけいなことを言わぬ方がいいな、こういう心境でございます。
  68. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 やけに穏やかになられたと思うのですがね。それでは何かあなたの特徴がなくなったような気がして、こっちもさびしくなってしまうわけですが……。  そこで、話は違いますが、独禁法の改正の問題について三、四点お尋ねをしていきたい、こういうふうに思うわけです。  まず、公取の事務局長おいでになっておられますのでお尋ねするわけですが、公取の事務局長、いろいろな立場があるでしょうし、いろいろあるでしょうから、私どももちょっと聞きづらい点もありますが、言われておる企業分割というものを、公取の試案として何か除くというか、実際上不可能だというか、そういうふうになったというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。いまの段階でですよ。
  69. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 この企業分割の問題は、今度の改正試案の中でも非常に大きな問題でございまして、市場が独占的な状態になっておって、しかも価格とかあるいは利潤というような面におきましてその弊害があらわれてきておるというような場合に対処するための最終的な手段として考えておるものでございまして、そういう点から、独禁政策の整合性を確保していくという見地から私どもはこれは必要不可欠のものであるというふうに考えておるわけでございます。
  70. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 あなたがどこでどういうふうに言ったということをぼくはここで聞きませんけれども、その場合に、独禁法のどこかの条文の改正で行くという考え方なのか、あるいは商法の改正で行くという考え方なのか、あるいは両方で行くのかもわかりませんが、そこら辺のところはどういうふうにあなた方としては考えておられるのですか。
  71. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 企業分割の要件、あるいはその分割を命じますに当たっての考慮事項というような点はすべて独禁法に規定をしていくべきである、こういうふうに考えておりまして、したがいまして、分割の手続規定、これも原則としては独禁法に規定されるべきであるというふうに考えております。
  72. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、あなた方としては原則として独禁法の改正だけで足りる。それで商法ですね、たとえば株主権、あるいは一般債権者の保護、あるいは従業員の保護というか、そういうような問題、いろいろありますわね。ことに株主総会の特別決議の問題、こういうふうなことについては、独禁法にそういうふうな、ことに株主総会特別決議の条文については適用しないというふうなことを一条加える、こういうことで法律的に処理できる、あるいは事実上も処理できる、こういうふうに考えておられるわけですか。
  73. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 この手続規定を独禁法に設けます場合には、先生おっしゃいますように他の法律との関係が問題になってまいりまして、特に商法との関係が問題でございます。私どもは、公共の利益、つまり競争秩序の回復という点と財産権の保障という問題との調和を図ることに十分留意をいたしまして、企業分割の目的を実現するのに支障とならないような所要の規定を設けていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、ただいまおっしゃいました株主の権利の保護というような点につきましても、所要の商法との間の調整規定というようなものも考えてまいらなければならないというふうに考えております。
  74. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 法務省、これは民事局長ですが、いま公取の方から言われたことについてはどの程度話が進んでいるんですか。——よく聞いてなかったかな。
  75. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 会社分割につきましては、公取試案というものが発表されましてから、問題点につきまして公取の事務局の方から何度か御相談を受けております。しかしまだ最終的にどういう方針で行くんだということが決定されていないようでございますので、われわれとしては一応いろんな場合を想定しながら、こういった場合にはこういう問題が起こるのではないかというようなことでお話をしておる程度でございまして、どの点というほどはっきりしたお答えをいま申し上げる段階にはないように思います。
  76. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、近々、たとえば一カ月とか二カ月の間にそういうふうなことが、問題点というか、それらが煮詰まった状況で出てくるというところまではとても無理だ、こういうふうに聞いてよろしいでしょうか。
  77. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 私どもが大体基本的な考えとしております点は、前回先生が御質問になりましたときに申し上げたつもりでございますが、会社分割と言いました場合に、真っ正面に取り組んで、一つの会社を二つの会社に分ける、現在ある会社を解散させて、そして新しい二つの会社をつくるということになりますと、ちょうど解散とそれから設立の手続をミックスしたような、そういう手続が必要になってまいりますので、これは手続的には相当細かい規定を置かなければならないという点がございます。それから債権者や株主の立場を考えて、それにどういう保護を与えていくかということもございますので、これは時間的に考えますとかなりの時間を要するのではないかというふうに思うわけでございます。しかし、それ以外の方法として言われております営業譲渡方式とか、それを多少モディファイしたような形の方式をとった場合にどの程度の整理で済むかという点は、いろいろ考え方がございますので、幾つかの考え方を目下整理しておる段階でございまして、最初に申し上げた分割に比べますと、これは時間的にはそれほどのあれがなくてもできるんではないか。ただその内容いかんによりますので、それは今後の公取の方の、あるいは総理府の方の御方針と突き合わせながら考えていきたい、このように思っておるわけでございます。
  78. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、前の場合、後の場合、二つ言われましたね。いずれも法制審議会にかける、諮問するということになるわけですか。あるいは後の方の場合は法制審議会にかけなくてもいいということなんでしょうか。
  79. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 法制審議会にかけるということになりますと、これは相当時間を要するのが例でございます。あるいは、でき上がった案を提示いたしまして、それについて御意見を伺うという方法もございますけれども、いずれにいたしましても法制審議会にかける以上は、相当慎重な審議が行われるということを予定しなければならないと思います。そこで、現在進められております改正は主として独禁法の改正で行くということになるといたしますと、必ずしも法制審議会にかけなくてもいいんではないか。非公式に法制審議会の関係の部会なりあるいは委員の方々の御意見を聞くという程度のことはあってもいいかと思いますけれども、正式に案として法制審議会にかけるということがすべての場合に必要だというふうには考えておりません。
  80. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、どうもはっきりしないのですが、法務省としては独禁法の改正だけでいい、商法の改正ということは考えなくてもいいんだというふうに結論が出ている、あるいは出たというふうに理解をしていいんでしょうか。
  81. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 独禁法の改正で企業分割なり会社の重要な業務の一部譲渡を盛るなりして、寡占の弊害を除去するというやり方はそれで結構でしょう。しかし、その内容いかんによっては、株式会社の最高の機関である株主総会の議決を必要としないというようなやり方をいたされては商法全体の基礎が揺るがせられるから、そういう点について注意してもらいたいものだ、こういうことを申し上げているのです。  私、法務大臣就任の際に各局長所管事項の説明を聞きまして、そういう問題があるならやはりいまのうちから言うておかぬと、総理がそういうことを知らないで、分割、結構結構と言って進んでいって本当にえらいことになっちゃ困るから、なるべく早くそういう点を明らかにしておいた方がいいな、こういうつもりで、私、所見を申し上げた。それ以来だんだん、公取、自民党の山中調査会、それから政府の総理府の懇談会等において検討が進められまして、近く素案ができるという段階に来ましたのです。これをあの当時私が何も言っていなければ、いまごろ急にそういう問題が持ち上がって、本当に独禁法の改正法律案が公約どおり出せるかどうか心配でしたから、私は、やはり独禁法の改正は公約ですからやらなければならぬという立場から、これを促進する意味においてああいうことを申し上げたのであって、足を引っ張るとか、だれかその辺の財界から頼まれたとか、そんなことは断じてありません。そういうことでございます。
  82. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いま、財界から頼まれたとか足を引っ張るとか——足を引っ張るというのはこの前ぼくが言ったが、財界から頼まれたとかなんとか、そんなことはちっとも私は言っていないのですが、わざわざおっしゃったわけです。  そこで、この間大臣が、私有財産制度、私的所有権というか、それの絶対性というものは公共の福祉によって制限される、これは憲法にも書いてあるからあたりまえのことですが、そこで、企業の分割が公共の福祉に該当をするという場合ならば、それを独禁法の一条でやって、商法の規定を排除しても憲法違反にはならないという意味のことを委員会でも言われたようですね。そこらのところはもう少し説明をしていただかなければわからないのですよ。もう少し詳しく説明してくれませんか。
  83. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 憲法の第三章に国民の権利義務というところがありまして、いろいろな国民の基本的な権利、自由について保障が強く打ち出されておりますが、「公共の福祉に反しない限り」においてとか、そういう形容詞のついた条文もあり、つかない条文もあるわけです。しかし、十二条か何かの、国民のここに保障する権利、自由は公共の福祉に反せざることを要するという一般規定が全部かぶるものだと私は思うのですね。したがって、営業の自由とか企業活動の自由とか、それは自由主義経済のもとで保障さるべきであるけれども、買い占め売り惜しみみたいなことを平気でやるような反社会的な企業活動については、公共福祉という概念でそれを制限するということがあってもしかるべきではないか、こういうことを申し上げたのです。  ただ、公共の福祉はだれが決定するのか、これが公共の福祉の制限に該当するということをだれが決定するかと言うと、主権者たる国民が決定するのでしょう。その代表である国会が決定するのでしょう。国会が決定するということになると、これはやはり、対話と協調と言いますけれども、最後は採決ということになる。採決ということになれば、多数党が公共の福祉を決定するようなかっこうに陥るおそれがある。それは厳に慎まなければならぬ。時勢に待つのだと言いながら、もし、右にせよ左にせよ、全体主義政党が多数を持ったような場合には、これも公共の福祉だ、これも公共の福祉だと言ってどんどんどんどん制限の法律をつくって、過半数で実際上は憲法に保障する国民の権利、自由が奪われてしまう。憲法九十六条の厳密な改正手続を経ないで、過半数で実質上憲法の改正が行われるような主権の制限がますます行われるのでは危険があるではないか、こういう心配も他方にはありますけれども、現在の企業のやり方を見ておりますと少し行き過ぎで、これは独禁法の強化によって、公共の福祉の名において制限する必要があるということを申し上げたわけなんです。
  84. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 一般論は別として、だから私の聞いているのは、企業分割をやって、その結果として株主なりあるいは債権者等の保護に欠けるところがあっても、それが場合によっては公共の福祉という概念からいって憲法上問題にならないということもあるのではないか。その場合に、この問題に限定をして言うならば、独占が非常に高度に進捗していて、その状態というものが行われて国民経済というものを支配をすると言うか、それに悪影響を及ぼしておる、そういうときであるならば、企業の分割をかりに行ったとしても、一般株主や債権者の保護に欠けるところがあっても、より大きな国民経済の確保という点から言えば憲法違反の問題というものは起きないんだ、こういうふうに理解ができるのですか、こういうふうにお聞きするわけです。
  85. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 その主権の保護と公共の福祉概念による制限との兼ね合いの問題だと私は思いますね。それで、私はそういう点のほかに、独禁法の規定で分割なり一部譲渡なりを株主総会の特別決議なしにやれるという規定の仕方は、少し公共の福祉の名においてする制限の方の乱用に陥りやしないかという疑いを持ってああいうことを申し上げたのです。  そのほかに、法務省民事局の見解を聞いてみますと、商法上の諸規定からいって、そういう分割規定を、あるいは一部譲渡規定を仮に、株主総会の議決のことは別として、規定したとしても、実際上やれるかどうかについては幾多の疑問があるものです。商標権の問題はどうするか。たとえば麒麟麦酒をぽつんと割って、どっちに麒麟麦酒という商標を使わせるのか、商標一体の原則をどうするか、商標権の保護というような一般国民の権利、自由もめちゃくちゃになりはせぬかといったような問題。それから企業担保権論がありますね。この企業担保権論は、人的物的設備から全部のものが担保力をなすのですが、会社の重役を半分ずつに分けて、その担保力が落ちるということに対しては、これにうんと金を貸してある債権者は保護できるのかどうかといったような、国民の広範な範囲における第三者の基本権に大きな影響を及ぼして、侵害することになりはせぬかということが非常に優慮されるということをいま申し上げて、懇談会等でおやりになっていることでございまして、それを見守っていなければいかぬな。しかし、あんまりいつまでも放置しておくわけにいきませんから、法案の国会提出の時期もあることでございますから、そのうちに素案が出てまいりましたらまた御質問にお答えしたい、こういうように思います。
  86. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 課徴金のことについてこの前いろいろ聞きましたね。よくわからないのは、この計算方法がまずわからないのですが、これはいずれ後で独禁法のあれができれば合同審査になると思いますからそこで聞くことですが、それは簡単に。  それからこれに対する不服の申し立て、これはどういうふうにやるのですか。
  87. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 私ども、課徴金の納付を命じますのは、独禁法上の審決によって命ずることが適当であると考えておりますので、これに対します不服の申し立て、これは独禁法の七十七条の「審決の取消しの訴え」これによるべきであるというふうに考えております。
  88. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 まあ、この問題は後にしましょう。きのうですか、やみカルテルで、価格カルテルで旭硝子や何か、板ガラスのメーカーの、俗に言う手入れというか、立入検査というか、調査というか、ありましたね。これなどにも関連をするのですが、いままで、条文の上から言って、石油カルテルの問題は別として、公取の専属告発、これはほとんどと言っていいくらい行使されていないわけですね。ぼくはこれは、法務省というか、検察庁とそれから公取と両方に問題があると思うのです。どういうふうな基準で告発をするわけですか。従来なかったのはどういうわけですか。
  89. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 公取が告発をいたします具体的な基準というようなものは設けておりませんが、悪質なものにつきまして、やはりそのケースにつきましてケース・バイ・ケースで考えていくということでやっておるわけでございます。
  90. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 悪質というふうなことで、これを公取だけの判断に任せるというのはこれは問題ですよ。これじゃ専属告発権が何のために設けられたかわからないでしょう。それで検事の方では、不起訴にした場合のいろいろな規定がありますからできるだけ告発を受けたくないのかもわからないのですが、悪質というのは基準はないのですか。ケース・バイ・ケースで……そんなこと言えば何だってみんなケース・バイ・ケースですよ。ありとあらゆることはみんなケース・バイ・ケースなんです。たとえば税の場合などには、検察庁と国税局関係とで前もって打ち合わせをして、そして告発するかどうか決めるわけでしょう、普通の場合は。公取関係の告発の場合には、一方的に公取だけに判断を任しているのですか。これは法務省、どうですか。
  91. 根岸重治

    ○根岸説明員 御存じの石油事件の場合には事前に打ち合わせがあったとも聞いておりますが、告発は二十四年に三件あった以後、この前の事件以後ございません。そこで私はつまびらかにいたしませんが、いわば、税の事件のように非常に数が多いわけではございませんので、常時接触して基準等を設けてやっておるというようなことはないというふうに思っております。
  92. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それは数が多くないと言ったって、やみカルテル、幾らでもあるんじゃないの。いままで公取がやみカルテルと認定したものはどのくらいあるのですか。どうして告発しなかったのか。ということは、大臣、これはどんどん告発されたら検察庁は仕事ができなくなっちゃうのですよ。率直な話、現在の陣容では非常にむずかしいし、それから公取の調査というか、それは相当証拠の価値判断も違いますし、だから検察庁の方で、告発されると仕事が非常に多くなって、ほかの事件などの処理が困っちゃうということで告発を抑えている、あるいは抑えてないまでも、公取の方はそれをまた察知して余り告発をしないというふうなことに現実にはなっているのじゃないですか。カルテルが全然ないわけではないでしょう。あれだけたくさんカルテルのことについては調査や何かやっているのですから。こんなばかな話はないのです。なぜそんなに告発がないのかということですよ。これは検察庁と公取との、なれ合いという言葉は悪いかもわからぬですが、どうもそういうところで経済事犯に対しては……。  公安事件だったら、便所にビラを張ったってとっつかまえてほうり込んでおいて、そうして二十日だけじゃなくて公判にかけて、そういうことがいっぱいあるでしょう、罰金事件程度で。こういうことについては全くと言っていいくらい非常に緩やかなんだな。寛容なんですね。これは三木内閣の姿勢かな。どうなんですか、これは。おかしいじゃないの。アメリカなんかと違うでしょう。アメリカなんかの場合は経済事犯に対するのは非常に強いでしょう。西ドイツも強いでしょう。日本だけですよ。カルテルに対する考え方が実に緩やかなんだな。おかしいじゃないですか。大臣、どういうふうに考えますか。
  93. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 あなたの御意見と全く同じです。けさも次席検事会同で、三つの問題については厳正な態度をもって臨まなければいかぬ。一つは経済事犯、石油ショック以来、国民生活安定法であるとかいろいろな法律をつくっておるが、これらの違反事件については、経済安定、物価鎮静という三木内閣の姿勢上、検察当局は厳正な態度をもって臨んでもらいたいということと、公害、これも国民生活を非常に脅かすものだから、公害事犯については厳正な態度をもって臨め。それから暴力事件、ゲバだとか、内ゲバだとか爆弾だとか、ろくなことはないから、こういうものは徹底的にやらなければいかぬ。こういう現下日本の時世にかんがみて、世相にかんがみて、最も重大なる三点を力説して、これが取り締まり、摘発、捜査、処罰、こういうことに検察は全力を挙げるべきものだということを申してきました。先生と全く同じ意見であります。
  94. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 申してきたのは結構なんですが、それに伴う体制というものがないのですよ、ざっくばらんな話。それではあなた、経済の検察ということについて、法務省の中でそういうところがちゃんとありますか。それはどこでやっているのです。大臣どうですか。
  95. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 特にそういう経済事犯担当の専門検事などという者を置かなくても、検察陣営全体でやればいいことでございますから、必ず御期待に沿うような効果が出てくると私は信じております。
  96. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それではあなたのおっしゃることですから私も信じますが、そうなってくると、公取に専属告発権というものを認めておったのでは告発してこないでしょう。告発してこなければ、検察庁が幾ら踏ん張ったところで、することがないのじゃないですか。だからこの公取の専属告発権というものを考え直さなくちゃいけないのじゃないですか。そこは大臣、どういうふうに考えますか。
  97. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 いままでは、高度経済成長で、皆浮かれ浮かれでいいかげんにしていましたけれども、こういう時世になってきましたから、現にだんだん告訴も出てきましたな。山形県の石油やみカルテル、石油連盟のこれによる灯油価格の引き上げはいかぬとか言って損害賠償を求めたり、それから刑事罰を求めてくる、告発にしようとか、そういう世相の動きも出てまいりましたから、これから大分違ってくるんじゃないでしょうか。そういうふうに思います。
  98. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 前の話は民事訴訟の問題でしょう。民事訴訟の問題で、検察庁に関係ないですよ。後の話はちょっとよくわかりませんがね。いずれにしても体制がそういうふうになっていないのですよ。だから、それなら専属告発権というものを法務省としても考え直す必要があるのではないかと聞いているんですよ。十分検討に値しますと、こう言って答えればいいのですよ。
  99. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 答えまで教えられているわけですが、あなた、さっき不法行為に基づく民事訴訟の問題だと言われましたけれども、あの七百九条でやるためには前に不法行為がなければいかぬ、犯罪行為がなければいかぬ。ですから……(稲葉(誠)委員「不法行為と犯罪行為をごちゃごちゃにしちゃいかぬ」と呼ぶ)いや、犯罪行為もその一つでございますね。ですから、そういう機運も世論としてだんだん高まってきたことでもあり、そういう世論にこたえて公正取引委員会が大いに、独禁法の改正までもやろうとえらいハッスルしておられますから、今後十分これに期待していこうと思いますが、それで不十分な場合は、やはり検察当局が自発的に告発するということも大いに考えていかなければならぬわけでございます。
  100. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 検察当局が自発的に告発するというのは法律でできないのですよ。やみカルテルの場合なんかできないのですよ。だから、いまあなたが言われたことが、最後に重点があるとすれば法律の改正も必要になってくるのじゃないか。これは検討に値しますという答えならわかるのですよね。そこがないものだからおかしくなってくるのですよ。どうかもう一遍お願いします。
  101. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 そういう法改正をも含めまして、それから、経済事犯というのは単にやみカルテルだけではありませんから、買占め売惜しみ法なんかでも犯罪になる、罰則までもくっつけた事項がございますからね。それらにつきまして、検察当局は世論にこたえて十分活動を活発に開始していかなければならぬということでございます。
  102. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 法務省側が世論にこたえて活発にやると言うんですが、公取の方はどうなんだ。板ガラスの問題でも、これはきわめて悪質なケースだとあなたの方は見ているわけでしょう。いまここでこれを告発するかどうかということを言えというのは無理ですから、ぼくもそんなこと聞きませんけれども、その姿勢にこたえて、どしどし告発するというのもおかしな話かもわからぬけれども、その点については十分活発に、告発という制度があるのですから、それを考えていく、こういうふうなこととしてお聞きしていていいのでしょうか。
  103. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 先ほども申し上げましたように、これはケース・バイ・ケースで今後も考えてまいりたいと思いますが、独禁法を厳正に施行するという立場から、この告発につきましても厳格に運用してまいりたいと思います。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それじゃ、矯正局長に聞きますけれども——あとで大臣、終わったら来てくださいね。  未決勾留ですね、ことに東京拘置所で、職員の週休二日制というか、そういうふうなこともあって、収容者の処遇というか、その基本的権利が侵害をされておるというふうなことがいろいろあるのですが、そこでお尋ねしていきたいのは、これは私のところへある人から手紙が来ておるわけですね。中に長く入っている人ですよ。だから、この人の手紙は体験から言っているわけですから、うそを言っているんじゃないと思うんですが、たとえば、週休二日制というものがまず言われ出してきてから、医務診察が週三回が週二回になってきた。それから領置が週三日が週二日になる。宅下げが週二日が週一回になる。食糧購入が週三回が週二回になる。それから手紙の受け付けも平日は午後三時まで、土曜日は正午までに制限をされる。前は土曜日も平日と同じようだったらしいのですが。それから土曜日の差し入れを廃止しておる。こういうふうなことがいろいろ東京拘置所の中で現実に行われているらしいのですね。これが一体事実かどうかということが一つ。  それから週休二日制に伴う処遇の問題ですね。これは試行期間だったようですけれども、今後これをどういうふうにしていくのか、このことをお尋ねしておきたいと思います。
  105. 長島敦

    ○長島政府委員 最初に御質問の事実関係について、私どもの方で調査いたしました結果について申し上げます。  最初の医療診察の問題でございますけれども、調べました結果では、御指摘のように回数か減ってきたという点はございませんので、変わりました点は、看護士が毎日一回ずっと巡回をして回りまして、病気かどうかというのを察知すると申しますか、あるいは申し出を受けるということをやっておりましたが、この分につきまして土曜日の巡回をやめておる。そのかわり、これは舎房の担当の看守の方が気をつけておる。それで土曜日につきましても、病人があるという場合にはもちろん医療をやっておるというふうに、調べた結果はなっております。  それから物品の領置あるいは宅下げ等の問題でございますが、この点につきましては、領置とか宅下げいたします場合には、本人から願せんと申しますか願い出があってやるわけでございますけれども、土曜日が受け付け日に割り当てられております一部の収容者につきまして土曜日の受け付けを停止したというために、そういう人たちにつきましては従来三回でありましたのが二回になって、一回減少しております。  食糧の購入でございますが、この点につきましては、現在食糧として自弁購入が許されますのが弁当と野菜類、惣菜でございます。それからかん詰め、甘味品等の間食、牛乳等四種類ございますが、このうちのお野菜。惣菜でございますが、これが月水土が受け付け日になっておりました関係から、土曜日についての受け付けを停止いたしまして週二回に減少しております。  それから土曜日の差し入れでございますが、この点は職員も減員しておりませんし、実際上差し入れ業務は従来どおり行っております。ただ、土曜、日曜が中に入りました場合に、現実に収容者の手元に届きますときには、一部の物について一日程度おくれが出ておるというのが実情でございます。  手紙の受け付け時間につきましては、私ども調査の結果では午後三時までという線を維持しておるというふうになっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、ただいま御説明申し上げましたようないろいろな点で、従来の取り扱いに比べまして不利益な点が出てきておるのは事実でございます。  週休二日制を試し行うという場合に、実は増員その他の措置は全くとりませんので、現体制で収容者の処遇を低下させないで試行しろということを強く言ってまいったわけでございますけれども、いろいろな工夫をしておるようでございますけれどもなおこのようなしわ寄せが一部に出たということは大変遺憾に思っております。この際に週休二日制の試行の結果を十分に検討いたしまして、将来週休二日制を施行いたします場合にはかような問題が起こらないようにということで、いままで試行いたしまして出てまいりました問題点のデータをいま集めておりますが、そういう関係で三月いっぱいでこの現在やっております試行を全部取りやめまして、あと詳細な検討に入りまして、それに対してどのような対策がとれるかということで詰めてまいりたい、かような心組みでおるわけでございます。
  106. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 このいまの手紙の受け付けあるいは食糧差し入れについても、何か金曜日の午前中に入らないと実際問題としては月曜日にならなければ届かない。それはもちろん晩飯なんか、官弁で用意していった場合なんかあるかもしれませんけれどもね。金曜の午後から入った物はもう土曜、日曜、だめ、月曜日にならないと本人のところへ届かないという、こういう実情らしいですよ。そこのところをよく調べてごらんなさい。  それが一つと、それから、懲罰にかかっている場合でも糧食の差し入れを禁ずることはできないでしょう。刑訴の八十一条ただし書きで、ありますね。あるんだけれども、窓口では、「懲罰だからだめです」と言って断ってしまうのでしょう。あるいは「懲罰でだめです」とは言わぬかもわかりませんよ。「だめです」と言うと問題になるかもわからぬから、ただ「懲罰です」と言うんだね。懲罰だと差し入れができないように、持っていく人は思うのかどうか、知りませんけれども、この条文をちゃんと知っている人はそんなことないでしょうから、この条文のただし書きで、糧食の差し入れを禁ずることはできないわけだということをがんばればそれはやらざるを得ないのでしょうけれども、係の方はそういうことを言わないのですね。懲罰だからということだけなんですね。懲罰なんだけれども、この条文のただし書きによって糧食の差し入れを禁ずることはできないのだ。実際は行っているんだということを言えばいいんだけれども、言わないのですね。不親切と言えば不親切なやり方をしている。こういうふうなことが現実に行われているわけです。そこら辺のところをよく調べてごらんなさい。私らの聞いているのとだいぶ違うのですよ。権利の告知なんだから、やはりしなくちゃいけないのじゃないかい。するというと、よけいな仕事がふえるから、したくないということかもわかりませんけれどもね。そこら辺のところをどういうふうに考えているのか、どういうふうにどうするのか、これはお答え願いたいと思います。
  107. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいまの懲罰中の糧食の差し入れの点でございますが、仰せのとおり、施行規則に、糧食はとめられないことになっております。(稲葉(誠)委員「刑事訴訟法」と呼ぶ)刑事訴訟法でございます。そういうことがもし万一ごさいましたら大変なことでございます。十分に指導いたしたいと思います。  なお、先ほど申し上げましたように、三月いっぱい試行をするわけでございますけれども、その間におきましても、ただいま御指摘のございましたいろいろな点については、できるだけ改善するように指導いたしたいというふうに思っております。  なお、糧食の点でございますが、私どもの調べましたところでは、先ほど申し上げましたように、甘味品とかあるいはかん詰め等、惣菜類についておくれが出ておるようでございますけれども、そのほかの弁当とか何かは即日本人の手元に届いておるという調べになっておりますが、なお詳細調べたいと思います。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それから、東拘の中で房、普通房とかいろいろな房があるでしょう。普通房はわかります。普通房の中に独居と雑居があるのはわかりますけれども、その他の房は正式な名前は何と言うんですか。俗に言う自殺房だとか保護房だとか、いろいろ言っていますが、正式には何と何と何があるんですか。
  109. 長島敦

    ○長島政府委員 正式には実は独居と雑居しかございませんが、便宜上、懲罰を受けました場合には罰室とか罰房とか申しております。それから別にございますのは保護室、保護房というのがございます。これは非常に錯乱状態等になって、自傷他害のおそれが非常に顕著だというような場合に保護するための房でございます。自殺防止房というのは俗称でございますが、現在、そういう名前が非常に刺激的でございますので、部内でもそういう言葉を使わないようにしまして、第二独居房という名前にいたしております。これは一般の独居房と構造は全然違っておりませんが、自殺防止のために、自殺のおそれのあるような人を入れます関係から、自殺に使いやすいような突起物とかいろんなものを全部除いておりまして、首がつれないような措置がとられておるという特殊な設備になっておるわけでございます。
  110. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 東拘ではそこを非常にふやしているんですか。そういう第二独居房とかというのを増加さしているんですか。
  111. 長島敦

    ○長島政府委員 四十八年に森恒夫の自殺事件がございまして、その当時国会でも自殺防止についていろいろ御意見、御示唆がございまして、当時田中大臣、ここにおられますが、非常に御熱心に御自分で二回も御視察いただきまして、またいろんな御示唆をいただきました。それで、非常に居住条件を悪くしないで、しかも自殺のきっかけになるようなものを除こうというのをつくったわけでございます。収容人員に対しまして、東拘ですと大体百名前後そういう危険者があるということで、当時から大体百室をめどにしてそういう部屋をつくったわけでございまして、現在約百室程度そういう部屋があるかと思っております。
  112. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そういうところへ自殺のおそれがあるという名目で、いわゆる政治犯というか、そういうのを入れるんですか。入れるんですかと言うとおかしいけれども……。
  113. 長島敦

    ○長島政府委員 これも当時、自殺問題を御議論いただきましたときに御説明を申し上げたのでございますけれども、何とかして科学的に、自殺の予測というか、自殺をやりそうだという予測ができないだろうかということで、当時心理学とか精神医学とかいろんな関係者、それから保安の方が集まりまして検討した結果、一つの自殺要注意者判定表というものをつくりまして、それに基づいていろんなチェックをしております。その結果に基づいて、ある程度の点数以上になると申しますか、ある程度危険だという徴候が出ました場合には、その中から選びまして、第二独居房でございますか、そこへ入れているという状況でございます。その結果、東京拘置所で非常に多数の実は自殺者を防止しておりまして、そういう意味では大変効果が上がってきておるというふうに見ております。
  114. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それから、中に入っている人は未決でしょう。未決だから、刑事訴訟法のたてまえから言えば、有罪判決があるまでは無罪の推定を受けているわけですね。あなたもさっき糧食の問題、規則だなんて言ったけれども、訴訟法に書いてあるのだから。長島さんが間違えるのはどうもまずいよね。それで、新聞なんかも、どの新聞かは別として、一つの種類の新聞しか入れられないんですか。一つの種類というのは、甲が一種類とかなんとかいう意味じゃなくて、全体としてある特定の新聞しか入れられないのですか。たとえば甲はA新聞を読みたい、乙はB新聞を読みたいというときに、それはだめだ、全体としてみんなの意思を聞いてみたらある新聞だ、これしかだめだということで、ほかの新聞を入れさせないのですか。そんなことが一体どこに書いてあるの。新聞購読というか、知る権利というか、そういうものは基本的にあるわけで、本人がこの新聞を読みたいと言うのに変な——変なと言うと語弊があるけれども、一般に市販されている新聞、しかも名のある新聞を見たいというのに見せないのはおかしいですね。これはどこに根拠があるの。
  115. 長島敦

    ○長島政府委員 実は新聞につきまして、原則は一紙というふうに制限しております。これは当時通達が出ておりまして、通達が根拠になっております。これが出ました理由は、たとえば東京拘置所でございますと千三百人常時いるわけでございますけれども、これに日刊新聞紙を、著名な新聞紙でも数社ございますけれども、全部自由に選ばせるということになりますと、検閲をやっております関係から、どうしても検閲に手間どるということがございまして、そのために朝刊が昼ごろになるとか午後になるとかいうようなことにもなりかねない。そういうことで、みんなの便宜ということを考えまして、そこで多数の方のいわば希望調査をやっておりますけれども、その希望調査によりまして一紙を選ぶ。そのかわり、その一紙について集中的な検閲をやりますればもう問題はございませんので それを配付するというようなことをやっておるわけでございます。これは事務処理上の便宜ということで、やむを得ずそういう通達が出たものというふうに理解しておるわけでございます。
  116. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはおかしいじゃないですか。実際問題としてはぼくもわかるのですよ。いろいろ聞いてみたのですよ。わかりますよ。ある新聞を取って、途中で出ちゃうでしょう。出ちゃって払わない人もいるらしいというんだ、よくわからぬけれども。そういう関係で非常に拘置所として困るという例もぼくは聞きましたけれどもね。しかし、本人がたとえばある新聞、著名な新聞を読みたいと言うのに、絶対読ませないのでしょう。それはそういうようないろいろな事務的なあれはあるかもわからぬけれども、そんなことよりも、自分の好まない新聞を結局読まざるを得ないということになってくるので、これはぼくはおかしいと思いますよ。事務的な問題よりも、無罪と推定を受けているわけですから、そういう人たちがこういう新聞を読みたいということならば、何も五種類も六種類も一人の人が取れというのではなくて、一人の人がA新聞、もう一人の人がB新聞ということならば、その程度のことを認めるのは当然ですよ。これはぼくはおかしいと思いますね。そんな、便宜が人権よりも優先するというのはぼくは理解できないですよ。この点どういうようにするのか、局長の答弁を求めます。
  117. 長島敦

    ○長島政府委員 御指摘のような問題点が確かにあるわけてございまして、これは日刊新聞紙ですからなるべく早く本人たちの手元へ届ける必要が一方でございますし、一方では事務能力の問題がございます。その両方を勘案しながら、できるだけいまおっしゃいましたような線で、これを緩和できるものなら緩和していくという方向検討するのは当然のことだというふうに思っております。
  118. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いわゆる著名な新聞紙と言うと言葉は悪いので、どこが著名でどこが著名でないかということで新聞を分けるわけにはいかないからむずかしいのですけれども、いわゆる世間的に著名な新聞、そういうふうなもののうち一種類しか取らせない。取らせないというのは、甲は一種類という意味じゃなく、全体を通じてその新聞しかとらせない。ほかの新聞を読みたくても読めないというのは、ぼくは理解できないですよ。緩和する方向とかなんとかというのじゃなくて、積極的に取り組んでもらわなければ困りますよ。それが一つ。  それから、いまあなた、検閲という言葉を言いましたね。検閲というのは一体何なの。また憲法が出てくるけれども、憲法なりあるいは刑事訴訟法なり監獄法なりというものとの関係はどうなっているの。検閲という言葉でいいの。
  119. 長島敦

    ○長島政府委員 検閲という言葉が妥当でなかったかもしれませんが、要するに、その新聞の記事の中に、たとえば現に入っております被告人に関連した詳細な記事がありますような場合、あるいは脱獄事件を詳細に報道しているような場合、それを見せますことによって中の規律と申しますか秩序と申しますか、そういうところにぐあいが悪い。あるいは、被告人という立場にございますので、罪証隠滅とかいうようなことに関係が出てくる。あるいは暴動とか逃走というような記事の場合にはそういうおそれも出てくる。そういうような記事がございますと、それは抹消しておるわけでございます。そういう意味で、検閲という言葉は適当でないかもしれませんが、事前に新聞を読みまして、どうしてもぐあいが悪いという部分は抹消するということをやっておるわけでございます。
  120. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、だれがそれをやるのかということが一つと、法律上の根拠はあるのですかと聞いているのです。憲法なり刑事訴訟法なりに根拠があるんですかと聞いているんだ。
  121. 長島敦

    ○長島政府委員 憲法論といたしますと、明文はもちろんございませんけれども、強いて申しますと、公共の福祉という一般的な概念が一方ではございますが、もう少し具体的に申しますと、たとえば刑事裁判のためのいろいろな規定が憲法上ございます。そこの中で、たとえば令状によって身柄が拘束できるとか、あるいは刑の執行に関する規定とかございます。そういうことから照り返ってまいりますと申しますか、そのために必要な限度においてのことはできるという根拠というか、そこにも具体的と申しますか、裏づけになる規定があろうかというふうに思っております。  法律的には監獄法でそういう検閲が可能だ。検閲と申しますか、審査と申しますか、削除が可能だという根拠がございまして、それに施行規則がございまして、削除等ができるという扱いになっておるわけでございます。
  122. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 この点について裁判があったことがありますね。その裁判の結果はどうなったのですか。在監者からの裁判がありましたよね。
  123. 長島敦

    ○長島政府委員 急でございますので詳細に記憶ございませんが、私の記憶しておりますところでは、こういう監獄というような場所の規律、秩序と申しますか、そういう目的のために合理的な理由があってやる削除、抹消は合法であるという判決があったと記憶しております。
  124. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 これは監獄ということで、監獄というのは一体何かということになるとまたちょっと問題は別で、拘置所も監獄の一種だと言うかもわかりませんけれども、既決囚と未決の場合とは違うわけです。  そこで、あなたの言うように、新聞なんかも真っ黒で、わけがわからぬですね。真っ黒に消しちゃっているでしょう。一生懸命消していますよね、看守の人が命令を受けてか何か。それじゃ収容者の人権というか、読む権利というものはどんどん侵害されているわけなので、こういう点については十分考えてもらいたい、こういうふうに思うのです。  それからもう一つ、中からいろいろな手紙を出すのについても枚数の制限をしているの。どういう制限をしているのですか。
  125. 長島敦

    ○長島政府委員 手紙の枚数の制限と申しますか、原則は一回の手紙について七枚以内ということで、特別の理由がありまして、理由が認められればもちろんそれ以上許すわけでありますが、原則は七枚ということになっております。この理由でございますが、発信、受信の数が非常に多うございます。この手紙につきましても、発受についてある程度事前に内容を見まして、ぐあいが悪いという分は抹消するというようなことがございますので、その事務能力の関係から見ますと、一回七枚程度というふうに制限いたしませんと結局手紙の発信がおくれていくという事態になるわけでございまして、そういうことで、現在の職員の能力との兼ね合いで一応出てきておる基準が七枚以内ということでございます。
  126. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 何か、週に六通に制限されているのですか。それから書く時間もきめられて、どっかの部屋へ行って書くようになっているの。
  127. 長島敦

    ○長島政府委員 御指摘のように、原則は週六通でございます。そのほかに電報は自由でございます。もちろんこれにも例外がございまして、特別の必要がある場合は例外発信を許しております。  それから手紙を書く時間でございますが、手紙を書く場合に、差し支えのないものは自分の部屋で書くことを許しておりますが、こういうものについては制限がございません。自分の部屋で書かすのがぐあいが悪いというものにつきましては、特別の筆記室がございまして、筆記室でやります場合には、午後三時までで筆記室を閉じますので、三時までという制限が加わっております。
  128. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 大臣、また後からちょっと説明しますけれども、聞いていてくださいね。  東京拘置所なんかに入っている未決の人ですね、その収容者の処遇の問題を聞いているわけですが、たとえば十日に一度ぐらいふろに入るのですか。それが懲罰か何か受けると三週間も入ることができないの。
  129. 長島敦

    ○長島政府委員 私の承知しておりますところでは、東京拘置所はいま五日に一回ふろに入れておるというふうに聞いております。それから懲罰の場合は、場合によると思いますが、ふろに入れない場合もあると思いますが、入れない場合は体をふくためにそういう便宜は提供しているというふうに承知しております。詳細はちょっとわかりませんが……。
  130. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そこで、たとえばいろいろ出廷拒否をします場合がありますね。そうするとそれに対する懲罰という意味を込めて、直ちにそれが懲罰かどうか知りませんけれども、懲罰の意味を込めて、結局ふろも入れないというわけですね。三週間に一遍ぐらいしか入れない。あるいは本人が入りたがらなかったので入らなかったのかもわかりませんけれども、そういうふうなことも言われているわけですね。ここら辺の実情をもっとよく調べてほしいのですよ。ふろというのは、大きなところへちょちょっと入るのでしょう。余り体を洗っている暇なんかないわけですね。一人三分ぐらいかな。ふろは一人何分以内で入るの。
  131. 長島敦

    ○長島政府委員 これも施設でいろいろでございますが、全部で三分ということはないと思います。大ぜいおります場合のふろの入り方は、最初に三分なら三分あるいは五分なら五分、それから体を洗いまして、それからもう一回また入るということで、少なくとも十五分、最低はその程度だろうと思っておるわけでございます。東拘の実際を私よくまだ調べておりませんので、先ほど御指摘のございましたいろいろな点、なお調べたいと思います。
  132. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それから、たとえば布団なんか薄っぺらな布団だというのですね。そんな厚いものは、ホテルに泊まっているわけじゃないからそれはある程度しょうがないかもわかりませんが、非常に薄っぺらな布団で、綿がもう出ちゃっているというのですね。同じ布団を二年も着ているというのですね。これはあかでべとべとになっているのじゃないですか。よく調べてごらんなさいよ、そういう点。  恐らく局長の方へはいろんなことが伝わらないのですよ。私の知っている範囲は、東拘じゃないけれども、たとえば看守の人の勤務条件の問題にしても、人事院がときどき調べに行くのでしょう。調べに行くときにはこういうふうに答えろ、これ以外のことは答えちゃいけないということを、はっきりは言わないけれども、そういうふうに言っているのじゃないですか。東拘ではないですよ。だから人事院の方でも、いろんな勤務条件の問題とか内部の問題はよくわからないのですね。これは看守の勤務条件の問題に該当するのですがね。いずれにしても、一つの例をとってみても東拘の中のそういういろんな問題、細かい点についても、近ごろ週休二日制ということを中心としてか、あるいは締めつけが非常に激しくなってきている、こういうことが盛んに言われてきているわけですから、この点は大臣も収容者の人権ということについていろいろよく調査をして、そして万全を期すというか、尊重してもらいたい、こういうふうに思うわけです。いいですか。その点について、あなたがおられなかったときもありますけれども、後でよく聞いたりなんかしてやってほしいということを申し上げ、それに対するお答えを、簡単にというか、詳細にでもお願いしたい、こう思います。
  133. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 被収容者の処遇の改善につきましては、御指摘のようなひどいことがあるかどうかはわかりませんが、私の見ました限りでは綿の出ている布団などはなかったのでございますが、減食したりふろに入れなかったり、そんなことはさせるわけにはまいりません。処遇の改善につきまして御指摘でございますから、そんな御指摘のようなことは起こしちゃいかぬようにこれから厳重にやります。自分で泊まって見てくるというわけにはまいりませんけれども……。
  134. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 泊まって見てくるわけにはいかないということはないですよ。これは正木さんなんか中に入ってやったのですから。それは別として、一応そういう要望をしておきます。また別な機会に、どういうふうに改善されたか、よく私の方でも調べて質問します。  民事局長、あなたも何かお急ぎのようですから戸籍法の改正が現段階でどういうふうになっているかということですね。どういうふうなところをどう改正したいというように考えているのかということと、それから身分法の改正、親族、相続の改正はどういうふうなところがポイントでどう進んでおるかということをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  135. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 まず戸籍法の改正でございますが、戸籍制度に関しましては、昨年の三月、法務大臣から民事行政審議会に対して、「最近の実情にかんがみ、戸籍制度に関し、当面改善を要する事項について意見を承りたい」という諮問がなされております。この諮問に対しまして、民事行政審議会では目下審議中でございまして、現在までに、部会を設けて、部会で七回の審議が重ねられております。部会の審議は先般一応終了いたしまして、あしたこの総会が開かれますので、部会の審議結果の報告がなされる予定でございます。総会においてこれをどのような形で審議されるか、これは総会が御決定になりますのでわかりませんが、いずれにいたしましても近くこの問題に関する答申がなされるのではないか、このように考えております。その答申の結果いかんによりましては戸籍法の改正が必要になってくる、こういうことで、最終の結論がいつ出るかということと、その内容がどうなるかということとのその結果によるわけでございますが、できますれば戸籍法の改正を行いたい、改正案を提出したいというふうに考えておる次第でございます。  内容についても申し上げますか。——いままで部会で問題になりました問題点は五つほどございまして、一つは届け出人の範囲の問題であります。死亡届あるいは裁判に基づく届け出につきまして、届け出の資格者の範囲を広げたらどうか、こういう問題でございます。それから第二は人名漢字の問題でございまして、現在子供の名前をつけます場合に、それに用いる漢字が制限されております。その制限の範囲を拡大する、あるいはその制限の枠を撤廃して自由にしてしまう、こういう問題がございます。それに関連して、現在戸籍には氏名に振りがながついておりません。この振りがなをつけてはどうかという提案がございますが、これについても一応の審議をいたしております。それから三番目に本籍表示の問題であります。これは、本籍は地番で表示することになっておりますが、最近住居表示がかなり広範囲に行われておりますので、住居表示による本籍の定め方をも認めるべきではないかという問題でございます。それから四番目が戸籍筆頭者の問題であります。これは、現在は戸籍の筆頭に記載する者は、夫の氏を称する婚姻をした場合には夫、妻の氏を称する婚姻をした場合には妻となっておりますが、こういう原則をやめにして、むしろ当事者の希望に沿うような、希望に応じて自由に、いずれでも筆頭者にできるようにしたらどうか、こういう提案であります。それから最後の五番目が公開制限の問題であります。現在、戸籍は原則としてだれでも閲覧ができるし、また謄抄本の交付の請求もできることになっておりますが、戸籍にはいろいろ身分関係の事項が記載されておりますのでプライバシーの問題も生じておりますので、何らかの制限を加えるべきではないか。少なくとも他人の戸籍を閲覧したり、あるいは他人の戸籍の謄抄本を請求する場合には何らかの制限を認めるべきではないか、こういう問題でございます。  それから身分法の改正の問題でございますが、これは法制審議会の民法部会の中に身分法小委員会というものがございまして、そこで昭和四十六年以来、相続関係の問題を中心に検討いたしております。その内容は、主として相続人の範囲それから相続分が主でございまして、たとえば非嫡出子の相続分を現在のままでいいかどうか。それから妻の代襲相続権、これは配偶者が死亡した場合に、その他方の配偶者が死亡した配偶者の代襲相続権を持つことにするかどうか、こういう問題です。それから養子の相続権、これは、養子が現在養方と実方と両方の相続権を持っておりますので、これを修正すべきではないかという問題です。それから兄弟姉妹の相続権、これは、たとえば兄弟姉妹が配偶者と同時に相続する場合があるわけでございますが、比較的関係の薄い兄弟姉妹が配偶者と共同相続人になるのはどうであろうか、こういうような問題です。それからそのほか、配偶者の相続分が現在のままでいいかどうか、もう少し配偶者の立場を考えてみてはどうか、こういう問題。それから現在問題にしておりますのは寄与分の問題でございまして、被相続人の生前にいろいろな寄与をした、そういう者に対して遺産分割の際に特別の分け前を考えてやるべきではないか、こういう問題でございます。なお、この問題に関連いたしまして夫婦財産制度の問題がございます。この夫婦財産制につきましても相続の問題と関係がございますので、あわせて検討をしておる、こういう状況でございます。
  136. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 時間が来たので、最後に大臣、いまの戸籍法の改正ですね、これは早急に今国会に提案の予定というか、そういうめどなんでしょうか。それが一点。  それからいまの身分法の改正、これは非常に重要な問題を含んでおるのですが、とにかく法制審議会というのが長過ぎますよね。何をやっても長い。人数が多い関係もあるかもわかりませんが、とにかく長いですね。そうして集まってくる方はお年寄りが多いらしいのですが、それはまた別として……。だから、法制審議会に大臣が諮問しておるのですから、その審議をもっと急がせる必要があるのではないか。身分法に関連しても、いま言われたことは重要な問題を含んでおるからなかなか大変でしょうけれども、そういう点について、大臣、どういうふうに考えておるか。  戸籍法と、いまの身分法の関係の法制審議会の問題、二つの点についてお答えを願って私の質問を終わります。
  137. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 戸籍法の改正につきましても身分法の改正につきましても、今国会に提出するという速度にはなりかねる。——法案提出の何とかということを先に言われましたが、それじゃないですか。これは法制審議会との関係でいつ一体出るのか、何だかわけがわからないからもう少し法制審議会を促進せしめよということについては同感ですが、法制審議会のメンバーにつきましても、そのメンバーをかえるかどうかというようなことにつきましても検討を要するというふうに思います。
  138. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 戸籍法の改正問題について、いまの大臣の答弁でいいのですか。いいならいいけれども
  139. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 戸籍法の改正につきましては民事行政審議会に諮問中でございまして、答申が出てくればそれに基づいて改正案を出しますし、おくれればおくれる、こういうことでございます。
  140. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 青柳君。
  141. 青柳盛雄

    ○青柳委員 大臣、午前中からずっとその席に着かれたままで、休憩する時間もないし昼食をおとりになる時間もないのでまことに恐縮に考えておるわけですが、私がきょう御質問申し上げたいことは、過日大臣が所信を表明されました幾つかの問題についてお尋ねをしたいと思いますので、まことになんですけれども、しばらく御在席をいただきたいと思います。  大臣の所信表明は大体五つぐらいに分かれているようであります。いずれも重要な事項についての御発言でございますから、私どもは逐一その詳細についても承りたいと存じますけれども、たとえば第二の「矯正及び更生保護行政」の問題につきましては、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案も予定されておりますからそこでお尋ねする機会もあろうかと思いますし、また最後の分で「刑法の全面改正」というようなことについては、本日は時間の都合でお尋ねするのはやめ、私はもっぱら二つの問題についてだけお尋ねしたいと思います。  それは、第一の「法秩序の維持」という項目、それから第四の「出入国管理行政の充実」ということでございます。  第一の問題は、それほど深く論ずるまでもないように思いますけれども、しかし、先ほども公害の問題やあるいは経済関係事犯についての姿勢の問題が論議されておりますので、これも決して単純な問題ではない。また政治姿勢としても徹底的に検討しなければならない問題だと思います。さりながらそのことについていま私は申しませんで、もう一つの問題、つまり治安情勢に応じた法秩序の維持、いわゆる検察の対応というようなものについて、厳正公平、適正、迅速というような法律運用のあり方が果たしてどうなっているかということをお尋ねしたいと思うわけです。  臨時国会でも、与野党全会一致で特別の決議が行われまして、いわゆる暴力事犯、法秩序を乱すような事犯に対しては絶対にこれを食いとめなければならない、厳正に臨まなければならぬ、そういう国会の意思が表明され、政府もそれを受けて、十分な措置をするという発言もあったわけであります。当然なことでありますが、どうも法治国でありながら法治国にふさわしくない事犯が最近日本において頻発をしておる。爆弾事件などというのはまさにショッキングな、いろいろの人たちに関心を呼ぶ現象でございまして、これはもうほとんど、ああいうことがあっていいのか、一体なぜああいうものが起こってくるのか、また、起こってくるのを阻止することはできないのか、また、やむを得ず出てしまったものは速やかに犯人を検挙してしかるべき刑罰を加えるということはできないのか、国民は非常にいらだちを感じているわけであります。  まずこの点について、法務当局とすればどのような答えを国民に対してすることができるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  142. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 およそ民主主義社会において最大な敵とでも申しましょうか、困るのは暴力であります。暴力は、場所と時を問わず、それが大学内であろうと国会内であろうと一般社会であろうと、そんなものは許すべきものじゃない。態様のいかんを問わず、それから、相手が暴力を誘うような刺激的な言論を弄したとかということも問わず、暴力それ自体は断じていけない。こういうことは当然でありますし、言うまでもないことであります。  〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 しかも、爆発物を仕掛けて一般の何の関係もない民衆を多数死傷せしめるというようなことについては、断じて容赦はできぬ。私は検察首脳部に来ていただきまして、そして警察を鼓舞激励し、早く犯人を挙げると同時に、今後のこういう事犯の発生を未然に防止する体制をつくってもらいたい、こう言ったら、警視庁管下に起こったいままでの事件ごとに一人ずつ専門の検察官をつけて、いまその犯罪の早急なる捜査、逮捕、処罰ということを急がしておる。それに対応して警察当局は一生懸命にやっておる段階であります。
  143. 青柳盛雄

    ○青柳委員 いま、私が質問したことについて一部分的なお答えしか得られなかったわけであります。すでに起こってしまった犯罪を厳重に捜査をして、その真犯人を処罰する、そして、これは後から類似の犯罪を行う者に対しても一つのみせしめ、と言うと言葉が厳しいのでありますが、そういうものを阻止するのにも役立てる、そういう面ではお話があったわけでありますが、しかしこれが案外と核心に追ってはいない、なぜだろうかという疑問は一般に当然のこととして起こっております。もちろん、犯罪が公然と行われている場合には、犯人も即座に取り締まるということもできるけれども、隠然として、犯人が巧妙なやり方で行う場合には、なかなか、何者がその下手人であるかということを確認することは困難であるかもしれません。しかし、最近起こっている幾つかの事犯を見ますと、どうもこれが単なる爆弾マニアというような変質者の行為であって、とうてい本人を突きとめることは困難であるというのではなくて、何か一つのイデオロギーのようなものを持っておって、政治的な目的を達成する一つの手段——非常にそれは政治的には効果を発揮しない、本人の意思に反して逆効果になる可能性も多いわけでありますけれども、本人たちは大まじめで、その行動をとるならば政治的にも社会的にも大きな影響を与えて、自分たちが希望するような状況が現出するのに役立つであろうというふうに主観的に考えてやっている、そういうもののような感じがするわけであります。  これは、私ども部外者ですから、果たしてそれがそんなものではなくて、ふたをあけて見たらやはりいわゆる変質者、精神的には異常な人間のしわざであったということもあり得ると思いますから一概に言えませんが、私は、もしいわゆる政治的な意味でのゲリラ活動というようなものの一環としての爆弾事件だとするならば、それらしい対応をすることが政府としても必要ではないのか、そういうようなものがはびこらないように諸般の施策が行われてしかるべきではないか。もちろん、思想は全く自由でありますから、思想を取り締まるということはできません。いわゆる治安問題として思想を抑制するということはできませんけれども、しかし、そういう思想が出てくるのには出てくるだけのやはり素地というようなものが、社会的な原因として存在すると思うんですね。ことに、政治経済なんかで非常に不合理なことが横行しているということになれば、それに対する不満がそういうようなゲリラ的な活動としてあらわれるということも、歴史が古今の東西で示しているわけでありますから、そういう点についても考える必要があると思いますけれども、これは一法務省の範囲内だけで問題にすることはできませんから、私はそのことについてまでは言いませんが、少なくとも治安当局として、そういう者たちの存在について何らかの情報活動をやっておるのかどうか。  たとえば公安調査庁という役所がございます。ここでは破壊的な政治活動と言われる概念に該当するような活動、これを行うおそれのある組織、そういうようなものについての調査を事前に行う。これは取り締まりに直結するわけではないというか、規制も手続がありますから、破壊活動防止法に、解散を命ずるとかいろいろな中止命令を出すとかいうことがありますから、全然取り締まりと無関係とは言いませんが、少なくとも情報活動というものを非常に熱心にやっている。そのために職員も毎年ふやしているし、予算も相当要求して、これを獲得している。だとするならば、こういうようなゲリラ活動をやる連中の情報というものを収集するためにどういうような措置をとっているのか。一々具体的に言ってしまえば種明かしになって、彼らから情報を得られないと言うから具体的にどうと言うのではありませんが、たとえば、いわゆるスパイという言葉を使いますけれども、情報提供者とかあるいは協力者というようなものを彼らの中に放って、あるいは彼らの中から養成して、そして情報を得るような、そういう努力というものをしているのかしてないのか。少なくとも抽象的には答えられると思うんですね。それから、努力しているとすれば、何らかの成果をその中から上げているのかいないのか。そういう組織すらないのかどうか。公安調査庁には一部とか二部とかあって、主に一部というのは具体的には日本共産党を対象にしてフルに活動しているということはもう公然の秘密というか、公然の事実でありますけれども、それ以外にもいま言ったようなイデオロギー的なもの、思想的なものを背景に活動している組織というのはたくさんあるようであります。法務大臣も「過激派集団」「内部抗争による内ゲバ事件」などという言葉も使っておられるように、いわゆる過激派集団というようなものがあって、これに対しても調査をしているのではないかと思います。そうすると、爆発物使用というようなことをやるのとこの過激派集団との関係とか、あるいは別なものであるか共通なものであるか、こういうことについての調査をやる機関というのはあるのか。あるとすればどの程度のウエートを置いてやっているのか、ぜひお聞かせ願いたいと思うんです。
  144. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 いわゆる爆弾事件につきましては、先生おっしゃるように気違いみたいな個人犯罪ではなくて、やはりおっしゃるとおりの暴力による政治的要求の成就といいますか、そういうイデオロギーによる政治犯罪ではないかというところまで捜査の範囲は狭まりつつあるように伺っております。国際的なゲリラ集団の一派だというふうには、国際性はいまのところつかめておりませんようでございます。  公安調査庁の調査はどういうことにまでいっているかというお尋ねですが、公安調査庁は、破壊活動防止法による破壊活動の未然防止のための情報を集める、未然にこれを防止するという任務でございますので、もちろん爆弾事件につきましても、そういうおそれのある集団が存在するのかしないのか、それから存在するとすればどういう地域になるのか等々につきまして、非常に精力的に調査し情報を集めておる。どの程度にわかっているかということをここで申し上げるということは、犯人検挙に支障を来すおそれもありますので、答弁をその点は差し控えさしていただきたいと存じます。
  145. 青柳盛雄

    ○青柳委員 きょう公安調査庁の長官などに来て、いただくようにあらかじめ要請しておきませんでしたから、大臣だけではちょっと具体的なお話についてお答えはできにくいのかもしれませんが、私が質問したかったのはもうちょっと具体的な、たとえばこの程度の陣容でもってこの程度のことはやっているんだということくらいは知りたかったわけです。ですからこれは質問を後日に譲って、留保をいたします。いま申し上げましたように、この問題についての質疑はまた別の機会に継続をいたしたいと思います。  いまちょっと大臣、ほかの御用事があるそうですから、その間、別な問題、出入国の問題について、朝から局長、次長等がお見えになっていますからますお尋ねをしておきたいと思います。  法務大臣の所信表明の第四の中に、先ほども申しましたように「出入国管理行政の充実」というのがありまして、一ページ半、そのことに論及をしております。これは入国管理を担当しておられる局長、次長の方々の重大な関心事であることはもうよくわかりますので、このことについてお尋ねをしたいと思うのであります。  過去四回ほど、出入国に関する抜本的な法の改正をするということで国会に上程をされながら、いずれも審議未了の廃案になっているということについて、当局では、どのようなところに問題があってこうなったか。つまり、この大臣の所信表明の中では、「従来の経緯、その他諸般の情勢を勘案しつつ、根本的かつ総合的に再検討」それをしたいと言う。だから、なぜ通らなかったのか。どういうふうに再検討をするというのであるか。まず大まかなところを説明してもらいたいと思います。
  146. 影井梅夫

    ○影井政府委員 御高承のとおり、現在の出入国管理令は昭和二十六年制定のものでございまして、その後、最近二十年間に、日本に出入国いたします外国人の数が約二十倍弱でございますけれども、昨年、一昨年は大体七十二万ないし七十三万の外国人が入国し、また出国している。それからそのほかに特例上陸ということで、これは大部分は船舶及び航空機の乗員がごく短時日、日本に入国し、また出国する。この数が大体一年間に二百二十万弱ということになっておりまして、非常に出入国者の数が激増しておるという状況にございます。もちろん、交通機関といたしまして、かつての船舶時代から今日の航空機の時代に移ったのが大きな原因でございまして、こういった交通手段の変化、それからそれに伴います出入国者の数の非常な激増ぶり、これに対処いたしまして出入国手続の簡素化、合理化、それからまた在留いたします外国人の管理につきまして、これまた簡素化、合理化の必要があるであろうというのが、この法令改正の一番大きな動機と申しますか、目的でございます。  そこで、ただいま青柳先生御指摘の、過去四回この法案を提出しながら審議未了になった、これを私どもどう見ているかという御指摘でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現行の出入国管理令が制定されましてからその後の事情の変更ということに応じまして、出入国管理令の改正ということは必要であるということ、これはもう一貫して変わらないところでございます。そこで、過去四回法案を提出いたしまして審議未了となったわけてございますけれども、一体その原因はどこにあるかということを、私どももちろん真剣に検討しているところでございます。その間、御批判また反対論、いろいろ出されております。これを私ども謙虚に続みまして感ずるところがいろいろあるのでございますけれども、その一部といたしましては、法案の字句と申しますか、趣旨と申しますか、これを全く誤解されたことに基づく反対、御批判もあるように思います。また他の一部分といたしましては、法案の読み方によりまして非常な危惧をお持ちになっている。私どもが意図いたしておりますところと違いまして、これに非常な危惧をお持ちになっているという点もあるように思います。したがいまして、こういった点をもよく私ども検討さしていただきまして、最初に申し上げましたような全くの誤解、どこから見ても誤解というような点は別といたしまして、そのほかに私ども謙虚に受け入れるべきものがございましたらこれを受け入れまして、過去四回出されました法案につきましてさらに検討を加えているというのが現状でございます。
  147. 青柳盛雄

    ○青柳委員 改正の主たる眼目が、情勢の変化に敏速に適応するように合理化するんだという点については、基本的には反対する必要はまずないし、反対する方が正しくないと思われるし、したがって、それだけだったら、四回も出されて審議未了になるなどということは考えられないのですね。与党である自由民主党の議席が半数を優に超えている、いわゆる保革伯仲ではない、極端なことを言えば、強行採決をもってしても通過させることは決して不可能ではない数を持っておられる。にもかかわらず四回ともこれは廃案になるというのには、与党側の自由民主党としても、これはごり押しをするのには正しくない内容を持っているのじゃないか。単に、政治は妥協だから、合理的なものではあるけれども、反対するやからが理不尽ながら反対するからトラブルを避けるんだと、そんな単純なものではないと私は思うんですね。四回も通らないのにはそれだけの理由があると思うんですよ。だから、これは立案をする側の役所の人たちとしてみれば、新聞論調などを見ても、また反対運動をやっている人たち、また野党側の言っているところが、単に誤解であるとかあるいは杞憂のようなものを持っている、要するに一口に言うと愚民であるというような考え方、つまり、役所は非常に緻密な研究の結果、非常に合理的な考え方で、合理的なものとして提出をしている、ところが一般国民というのはわからず屋であって、そして何か杞憂ばかり抱いてこれに反対をする、また野党側もそのしり馬に乗ってわいわいと反対をする、自由民主党までが勢いに辟易して後退をする、そんなように、いわゆる官僚独善の考え方でこういうものの立案準備に当たるとすれば、これはよほどどうかしているんですよ。時代感覚が私は全くない態度だと思うのです。  新聞論調や、その他比較的中立的な立場で物を見ている人たちの言動を見ましても、これが緊急に必要な、時代にマッチした簡素化、合理化という事務的な手続であるならば問題はないけれども、そこにきわめて問題を呼ぶところの治安的な条項、つまり、政治にぴんぴん響いてくる思想や言論、表現あるいは政治活動、そういったものに対する規制が、外国人ということを一つの理由にして、国内人には認められているけれども外国人にはそういう言動は許されないといったようなことで取り締まりの条項を設ける。そしてこれを禁圧するためには一定の制裁を行う。処罰もするし、排除措置もとる、こういうようなのが一番問題になるのじゃないか。これがもし許されると、外国人について適用されたものが自国人について適用されないというのはおかしいのじゃないかということにだんだんなっていくわけですね。かつて戦時中には、私ども日本共産党は、日本人でありながら考え方が何か外国思想にかぶれているんだ、だから戦争に反対したり天皇制に反対したり、よからぬ言動をなす、これは日本人ではあるけれども、その体の中を流れているものは外国人の血と変わらない、いわゆる非国民だ、国賊だというようなところまでエスカレートして、自国人でない外国人なら殺してしまって構わないんだ、獅子身中の虫みたいなものだと、こういう発想になるわけですね。  だから、外国人を差別するというようなことは一見合理的なようであります。参政権もないのだし、そしてまた日本の役人になる資格も持っておらぬのだから、外国人は政治活動などはやっちゃいかぬのだ、内政干渉になるのだと言えば、一見人聞きはいいんですけれども、それでまず政治活動や思想や言論活動を統制していくこれが突破口。外国にもそういう例があるんだから構わないだろう。しかし、外国に例があって、それがいい例になっているのか悪い例になっているのか。立法例があるというだけで、それを無反省に模倣する必要はないどころか、してはいけない。日本には日本の行き方があるべきだ。私どもはやはり平和を求め、中立的な立場で、いかなる国際紛争にも一方に加担しないというようなのが一番理想だと思っているし、また憲法の要請ではないかと思うんですね。そういう場合に特定の国の人たちを敵視するというようなことがあっていいだろうか。  たとえば、朝鮮半島に例をとってみますけれども、朝鮮は不幸にして二つの国に分かれた形になっております。大韓民国の南朝鮮の方の部分とは友好関係は続けるけれども、北半分の方の朝鮮民主主義人民共和国の方とは国交も樹立しないし、また出入国についても特殊な扱いをする、こういうようなことが当然のような形になっております。なぜ国交を樹立しないのかということになれば、これは、朝鮮の安全は日本の安全に緊要なものであって、そして南は自由陣営であるけれども、北の方はいわゆる社会主義陣営、共産陣営であって、日本の国の方向と相入れないというようなことが一つの理由になる。もちろんソ連や中国、東欧諸国とも国交は回復しているわけでありますから、決してそれだけが原因だとは言わないにしても、何か朝鮮の人たちから見れば敵視しているんじゃないか。そういうものに対して、この出入国法の改正案というものはそのままずばり敵視政策を露骨にあらわしているもので、これは杞憂だとか思い過ごしだというようなことではないと思うのですね。国際情勢の変化に応じてどういうような機能をその条項が発揮してくるかということは、これは予断を許さない。だからこの人たちが先頭に立って反対するのもよく私どもには理解できるし、また、単にこれは北の人たちだけではなくて、南から来ている民団関係の人たちも反対をしているというような状況、もちろん諸外国の、日本と友好関係を持とうと思っている国の人ちからも危惧の念を持って見られるというところにあるわけですね。これは考えたことないのかどうか。  二月十日付の読売新聞の報道の最後のところを見ると、「出入国法を制定する場合、あくまで手続き簡略化と政治活動規制を抱き合わせてやるか、分離するかの選択にかかっているともいえるが、最小限の規制は必要だとの意見はいぜん省内にも強い。」と書いてある。これは一つの観測記事です。しかしどうも、抱き合わせというのは昔から非常に不公正なやり方だというふうにとられております、どんな法案でも。ねらいがどこにあるのかは知りませんけれども、いいものと反対されるようなものとを抱き合わせにして、そして反対するようなものも賛成をせざるを得ないようなものと抱き合わせしておけば一緒くたに通される、こういう非常に不公正なやり方があるわけだ。私は、抱き合わせをしないで、そういう問題のあるものは留保して、それはもっともっと世論をよく見て、時期が熟したところで出せばいい。しかもいいものとして出す。緊急なものは緊急なものとして出せばいい。これは一番常識のあるやり方だ。与党の自民党の人たちの中でもそういう意見を持っておられる人は、私の知っている限りでもそんなに少なくはないのです。緊急性があると言うのなら緊急性のある方を、問題のない方を切り離して出せないわけではないだろう、技術的に、こう言うのです。いかがですか、この点について。
  148. 影井梅夫

    ○影井政府委員 現在、私どももう一度根本的に再検討を加えております段階でございますので、いまこの段階でいろいろのことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただいま先生御指摘の第一点になるかと思いますけれども、政治活動に関しまして内外人全く平等にせよという御趣旨であったかと思いますけれども、この点は私どもはいかがかと考えております。ただ、特定の国を指定いたしまして、その外国だけは特に差別をするということは考えておりません。すべての外国を平等に扱うつもりでおります。ただし、先生御指摘の、日本が未承認の国との関係、これとの承認関係云々は、これは私どもの出入国管理を越える問題でございますので、私からとやかく申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、出入国管理の立場からいたしますと、手続要件と申しますか、旅券の有効性というようなことも起こってまいりますので、そこには多少の差別が生ずるということはやむを得ないかと思いますけれども、他方、その手続的な差別に名をかりまして、不必要な実質的な差別を加えるということは毛頭考えておりません。
  149. 青柳盛雄

    ○青柳委員 この問題は、法律技術的にはいろいろの論議を呼ぶことがあると思います。過去四回も法案は出たわけでありますが、実質審議に入りそして逐条審議をするというようなことがありませんから、いわゆる論議として、立案者と審議する側との間での詰めというものは公式にはなかった。なかったことがいいか悪いかというようなことは、これは別問題でありますけれども、立案をするに当たって、論議を呼ぶような問題について十分論議を闘わして、それを参考にするということは必要なことだと思うのです。きょうそれをここでやろうとは私は実は思っておりません。  少なくとも、私は日本人と外国人をあらゆる面において全く平等に扱えなどというふうなことは言わない。それは常識外れの議論であります。しかしながら、世界人権宣言その他国際法が幾つもございますけれども、その精神というものはわれわれは尊重しなければいけない。日本が諸外国の流れに孤立しているというような状態があってはいけないことは、もう言うまでもないのであります。したがって、外国人の思想あるいは表現、そういうものを一々規制するというようなやり方、つまりこれを内政干渉だというふうなおどかしの文句でやってしまうということは、非常にデマ的なものになってくると思うのです。  一つの例を挙げますと、最近、四十八年に出された法案で廃案になったものですが、要するに最近廃案になったものを見ましても、百二十六号あるいは百四十六号該当者の人たちについては政治規制は除外するという。これ、外国人でないのかと言えば、外国人なんですよ。外国人は参政権がないのだから、役人になれないのだから、政治的な発言はいかぬ、内政干渉だ。それではこの百二十六号、百四十六号の人たちは外国人ではないのか、参政権はあるのか、役人になれるのかと言えば、そういうような外国人ではないですね。そういうような、外国人であっても参政権を持つ外国人、あるいは公務員になれる外国人というものが世界で通用するのかしないのか、これは私はちょっと詰めて考えてみませんとわかりませんが、少なくともこの人たちが外国人であることは間違いない。そういう人たちを除外すると一方では規定しながら、他方ではなぜ政治活動について規制をするのかと言えば、主な理由は、参政権もないし、公務員になる資格もない。矛盾するじゃないか、筋が通らないじゃないか。だからこれは口実であって、私は、外国人であれ日本人であれ、明らかに法秩序を破壊する、暴力を用いるということが政治的な目的を達成する唯一無二の手段であるというような、そういうような考えのもとに行動するというようなのは、これはしかるべき規制があって構わない。またなければいけない。規制の仕方ですよ。これは思想を取り締まるというようなことではなくて、具体的なあらわれに対してこれを規制するということはあっていいと思うのです。それを、外国人だからいかぬというようなことを言って、自国人と外国人を全く同列にしようという議論のように私どもの議論をとるとすれば、それこそ誤解であり偏見であると言わなければならないと思います。  私はもう時間がありませんから、大臣にお尋ねいたしますけれども、大臣の在任中には恐らく、大変失礼ではありますが、出入国管理法の上程というのはなかろうと思うのであります。そういうような政治情勢でもありませんから。しかし、もし切り離して出すということであればあるいは望みなきにもあらず、つまり、根本的かつ総合的に再検討して、緊張性のあるものをまず国会に出して、そしてそれだけは通していただいていま問題になっている具体的な障害を除去するということであれば、私はこれはまた別問題ではないかと思います。いずれにしても大臣としては所信を表明されておるわけでありますが、それはどうも大変控え目で、「当面は現行制度のもと、できる限り業務の合理化、能率化を図るなどして、出入国手続及び在留管理事務の適正、迅速な処理に努めてまいる所存であります。」というところでとめておられますから、あえて出入国法に挑戦するというようなお考えではないかと思いますけれども、一言お考えをお聞きいたしたいと思います。
  150. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 出入国法の問題は、私が所信の表明で述べたとおりで、それ以上を出ませんのです。いまの出入国管理令の不備な点、時勢の要望に合わない点があることも認識しておるわけです。それで、その部分だけでも改正すれば国益になるではないか、要らぬことと抱き合わせなければいいじゃないか、こういう御指摘については、きわめて傾聴すべき意見である、こう存じます。ただ、これについて私の個人的な所見を申し上げても、自由民主党の党議がまとまらなければ何にもならないことでありますから、そんな実を結ばないようなことを、ここでただいま歯切れのいい答弁をするわけにはまいらないわけです。
  151. 青柳盛雄

    ○青柳委員 先ほど大臣にお尋ねしようと思っておりましたら、ちょっと所用がおできになりましたので出入国の方に移りましたが、最初の治安の問題の中で、私ども共産党といたしましては、そういう爆弾事件あるいは内ゲバ事件だけでなしに、まだ二つほど注目をしなければならない現象が最近起こっていると思います。  その一つは、部落解放同盟の中の一部の人たちが一つの特殊な哲学を持っておりまして、その哲学から出てくると思うのでありますが、糾弾闘争というものが暴力化しているわけであります。つまり、その哲学は、外部から威迫を加える、あるいは暴力を加えなければ土性骨が直らないという、そういう哲学のようであります。つまり、未解放部落で生まれた人たちは生まれながらにして差別的な状況にさらされている、差別するやつはと言えば、これは未解放部落に生まれなかったすべての人である、こういう考え方ですね。非常に非科学的な考え方であります。つまり、未解放部落以外で生まれ育った人間はもう生まれながらにして差別観念を備えている、それが潜在的であるかあるいは顕在的であるかという違いはあるにしても、業のような形でその血の中に流れているという思想。だから、こういう人間が同和行政をやるということになれば、必然的に差別的な同和行政になる、だからこの人たちに対しては徹底的な糾弾をして土性骨をたたき直してやらなければいけない。いわゆる行政闘争というのはそこから出てくるわけであります。美濃部知事が同和行政について、非常に未解放部落の人たちの立場について理解があるにしても、これは未解放部落出身の人間でないから、潜在的にその血の中には差別意識というものがある、こういうのは徹底的に糾弾をして、いわゆる洗脳しておかないと何をやらかすかわからない、こういうような論理のようであります。それがまた教育に及んでまいりまして、教育者たるものが部落出身の者でない場合には、同和行政をやるの、部落の問題について教育をするのなどと言っても、これは必ず差別教育を行う。PTAにしたところでそうだ。教育委員会あるいは教育に携わる一切の者がやはり糾弾の対象でなければならない、こういうのが八鹿事件などを巻き起こしてくるわけであります。  私はこのような思想は間違っていると思います。間違っているということは思想をもって反駁をすべきであって、間違っているから取り締まるというようなことはできません。思想は思想で対抗する以外ないのであって、これを取り締まるために実力を行使するということは、これは国家の権力をもってしてもしてはいけないことで、それは思想統制であり、それはファシズムであると思います。しかしながら、そういう哲学が基本にあって、そして暴力をふるうのを、これは差別を受けてきた、つまり被差別者のやむにやまれぬ心情から出たところであるから、これに対しては寛大であるべきではないかとか、あるいはそれは長いものには巻かれろというか、泣く子と地頭には勝たれないからタブーにしておこうとかいうようなことで果たして治安が守れるのかどうか。私はそうじゃないと思う。間違っている考え方から出発した間違った行動は、法治国である以上は当然法を厳正に適用すべきである。決してこれを黙過してはいけない。余りにもこれを庇護するような態度、迎合するような態度をとれば、これは共犯者にもならざるを得ないと思うのですね。兵庫県の教育委員会あるいは学校の校長といったような人たちの中にそういう傾向が見られる。つまり、意識的に暴力に協力加担をしている。これはもう厳重に対処しなければならぬと思いますし、また八鹿事件では、被害者の側で八鹿警察署長を、職務怠慢罪といいますか、まあしかるべき刑法の条章に該当するものがあるとして告発も行っているようであります。私はこれは単なる行き過ぎな、いわゆる乱用ではないと思うのですね。具体的な事実関係を私はここで申し述べませんけれども、警察の怠慢は、単に黙過するというようなものではなくて、むしろ、ほかの言葉で言えば、泳がす。こういう暴力分子を泳がして、そして暴れほうだいにする。なぜ泳がすのだと言えば、この暴力分子の敵視している、糾弾闘争の対象、リンチの対象にしている者は共産党員あるいはその同調者、いわゆる共産主義に対してはどのような迫害を加えても構わないという過去の思想、そういうものがあって、それに役立つものならばどんな人間でもひとつ使ってみよう、泳がしてみよう、こういうよからぬ考え方というものがあるのではなかろうか。だからこそ、ひきょうで怯懦であるがゆえに手心を加える。後のたたりが恐ろしいから手心を加える。そういうことばかりではなくて、思想的には解同のそういう人たちと共通のものはないかもしれないけれども、しかし反共という点ではまさに共通のものを持っている、こういうのが治安を害するのに協力加担しているのではないかと思うのです。  だから、そういうことはかりそめにもあってはいけないと私は思いますので、この点について大臣がどう対処されるのか。「厳正公平」という言葉がこの所信表明の中に書いてあります。私はこれは非常に大事だと思うのです。いま美濃部都知事の三選問題が問題になっている。その基本は何かと言えば、同和行政について厳正公平なものがない。つまり、新しい差別、逆差別のようなものがいまや東京都政の中に持ち込まれている。ここに問題があるわけです。それ以外の何ものでもない。厳正公平というのは、美濃部さんが八年前に立候補するときに公約したことであり、四年前に立候補するときにも公約したことですが、これは公約がなくたって、民主主義の政治をやるという人間が厳正公平にやりませんなどと言ったら、それは資格が最初からないと言ってもいいくらいなものです。だから私は当然、大臣のお答えは、そういう特定なイデロギーを持って、考え方を持っていようといまいとを問わず、暴力は一切これを認めない、厳正公平に対処すると言われると期待しますが、一言お答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 暴力は絶対にいかぬということは申すまでもないことです。そうして、暴力をふるう側の方に何か相手が刺激的なことを言うからか、かっとなって暴力をふるったんで、同情すべきだなどという議論をすることそれ自体が、私は差別につながるような気もするのです。同和問題というのは非常にむずかしい。憲法十四条の、法の下の平等と、人種、信条、性別、門地等によって差別はできないんだ、差別しちゃならぬのだということをもう少し国民の間に徹底してもらわなければいかぬ。私どもには全然差別感はありません。それから、差別感というものは、差別されたと思う方の心の中、それから差別をしておる方のそっちの側の人の心の中にあるのでありますから、そういう点で、刺激的な、差別的な、口にすべからざる言動を吐くこともそれは慎んでもらわなければいかぬけれども、さればといって、そういうことを言ったから暴力に出たんで、同情すべき点があるというような、暴力を擁護するようなことそれ自体も、それは差別につながって、そして暴力は絶対いかぬということにも反すると私は確信いたしております。  したがって、警察も検察も、わが法務行政の管下にあるものにつきましてはそういうことのないよう、それを指揮監督する立場にある法務大臣として厳正公平な立場でやっていきますということを申し上げているのは、いま言ったような心持ちで申し上げていることを御了解願いたいと思うのであります。
  153. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 諫山君。
  154. 諫山博

    ○諫山委員 最近、最高裁判所の長官のいろいろな発言を聞いておりますと、司法の危機は感じない、わが国には司法の危機などはないのだということが繰り返されております。石田長官のころもそうだし、村上長官のころも同じような言葉が繰り返されているわけです。しかし、幾ら長官がこのことを口で繰り返しても、世間はそうは思っておりません。日本の司法が非常な危機に直面しているというのが一般的な見方ではなかろうかと思います。  そこで、司法の危機というのは何か、それは何にあらわれているかということを私なりに検討してみました。私は、その一番はっきりしたあらわれというのは裁判の内容だろうと思います。  昭和四十八年十二月十二日に、有名な三菱樹脂事件で最高裁大法廷の判決がありました。これは労働者の思想、信条が真正面から問題になった事件です。どういう判決が下るかということは、その裁判官がどういう思想、信条の持ち主であるかということと大きなかかわり合いを持たざるを得ない事件です。一審の東京地裁、二審の東京高裁は解雇が無効と判断しました。ところが、最高裁判所では全員一致、解雇が有効になりました。みごとな逆転劇です。昭和四十九年十一月六日、国家公務員法の三つの事件で判決が下されました。猿払事件、徳島郵便局事件、総理府統計局事件です。この三つの事件で最高裁大法廷の判決がある前に六つの判決が下されております。六つの判決の中で五つの判決が無罪です。国家公務員法に基づく公務員労働者の政治活動の制限にはいろいろ問題がある、これには制約を加えなければならない、こういう立場から、猿払事件では一審、二審無罪、徳島郵便局事件では一審、二審無罪、総理府統計局事件では一審有罪、二審無罪。ところが、最高裁判所では十一対四でこれが有罪に逆転いたしました。両方ともマスコミで非常に問題になった事件です。私たちも大変重視している事件です。  そこで考えてもらいたいのは、たくさんの地方裁判所、高等裁判所がほとんど一致して解雇無効と言い、無罪と言っている事件が、最高裁大法廷に来ればなぜ十一対四で有罪になるのか、なぜ全員一致で解雇無効の判決が覆らなければならないのか。まさにこれが司法の危機に直面しているかどうかの試金石です。これは、一審、二審を担当する第一線裁判官がよほど偏っているのか、それとも最高裁判所の裁判官がよほど偏っているのか、どちらかでなければならないと思います。この問題について法務大臣はどうお考えであるのか、見解があったらお聞きしたいと思います。
  155. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 法務大臣は、独立不覇、その良心と法律に従って行なわれる裁判所のことについて、こういう席上で所見を申し上げることは差し控えたいと存じます。
  156. 諫山博

    ○諫山委員 確かにそれは一つの見解だと思います。  そこで、私はもっと質問を続けます。  私たちが司法の危機と言うのは、主として最高裁判所が反動化している、最高裁判所が自民党寄りになり過ぎている、これが中心的な問題です。最高裁判所がどういう経過をたどって反動的になってきたか、国民から離れてきたか、これはいろいろな分析があります。きょうの質問に際して、私は次のような検討をしてきました。  昭和四十四年の四月二日、都教組事件で大法廷判決がありました。これで公務員労働者のスト権が少なくとも刑事罰から解放されたという結果になっております。このときの最高裁判所の表決は九対五です。それから四年たった昭和四十八年四月に、全農林警職法事件の判決がありました。ところが、警職法事件では四年前の無罪判決が理論的に覆されまして、八対七で有罪になりました。四年間に最高裁判所の中で九対五から八対七に変化してきたわけです。どうして四年間に最高裁判所の中でこういう変化が起こってきたのか。大抵の人が指摘しているのは、それは内閣総理大臣が自分に都合のいい裁判官ばかりを任命してきたからだ、これが一般的な世評であることは、恐らく法務省当局も最高裁当局も聞いておられると思います。  この経過が数字でどのようにあらわれているのか、私は最高裁当局に質問します。昭和四十四年四月二日、これは大法廷で都教組事件に無罪判決が出た年です。それから全農林警職法事件で有罪判決が下されるまでの四年間に何名新しく最高齢の裁判官が任命されたのか、そして新しく任命七れて全農林警職法事件に関与した裁判官はどのような判断を下したのか、有罪説だったのか、無罪説だったのか、御説明ください。
  157. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の、四十四年四月二日以降、昨年の四月二十五日というお尋ねであったと思いますが、その間に任命された裁判官ということになりますと、十二名の裁判官が任命されております。これは人事の関係で申し上げるわけでございまして、その裁判官が個々の事件につきましてどのような御意見であったかということは、裁判の問題でございますし、判決で判例集等に登載されておりますので、そのものによりまして御了承いただきたいと考えております。
  158. 諫山博

    ○諫山委員 十二名じゃなくて十一名じゃないですか。
  159. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。四十四年の四月から四十九年の四月までが十一名でございます。
  160. 諫山博

    ○諫山委員 人事局長説明されなかったが、これは説明しにくかったのだと思います。四年間に新任された最高裁の裁判官が十一名。このうち全農林警職法事件に関係した裁判官が七名、その中で有罪説をとったのが五名、無罪説をとったのが二名、間違いございませんか。
  161. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 たびたびで恐縮でございますが、そのお尋ねの前に、私正確を欠いた点がございますので……。  四十四年の四月から四十八年の四月二十五日までの間に任命された裁判官は十一名ということでございます。そのように御了承をいただきたいと思います。  中に御指摘の裁判で多数意見、少数意見があることは私も十分承知いたしておりますが、裁判の中身の問題で重要な問題でございますので、判例集等によりまして御了承いただきたいと考えております。
  162. 諫山博

    ○諫山委員 重要な問題だからと言うけれども、これは公刊されておる本に出ておるのですよ。だから答えようと思えばすぐ答えられるわけですが、私の指摘に間違いがあるのかないのかも答弁できませんか。  もう一遍言いますと、新任の裁判官のうち五名が有罪、二名が無罪、これが間違いかどうかはいかがでしょう。こんなのは最高裁の判例集に書いてあるのだから、秘密にしなくていいでしょう。
  163. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 四月二十五日の判決で御指摘の点はそのとおりの人数でございます。
  164. 諫山博

    ○諫山委員 法務大臣も最高裁当局もここを考えていただきたいのです。全農林警職法事件では最高裁の裁判官全体としては八対七で有罪がきまった。ところが都教組事件以後任命された裁判官で警職法事件に関与した裁判官の有罪、無罪の比率を見ると五対二、つまり最高裁の裁判官が四年間のうちに八対七という比率から五対二という比率に変わってきたわけです。これは裁判の内容です。そしてこの事件というのは、事実認定がどうだとか、細々した法律解釈の技術がどうだとかいうのじゃなくて、公務員労働者のストライキ権をどう見るのか、憲法上の基本的な人権をどのように評価をするのか、こういう問題で最高裁の裁判官の中身がこれだけ変わった。まさにこれが世間で言われる司法の危機なんです。  もう一つのことを質問します。国家公務員法の猿払事件、徳島郵便局事件、さらに総理府統計局事件、この事件では、昭和四十四年四月からそれまでに任命された裁判官が何名いたのか、そしてこの裁判官のうちに国公法違反事件に関与した裁判官が同名いたのか、御説明ください。
  165. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 ただいま御質問のありました点でございますが、昨年の十一月六日の判決までの間に新たに任命された裁判官の数は十三名でございます。
  166. 諫山博

    ○諫山委員 恐らく説明されないと思いますから、私が指摘いたします。  新しく任命された最高裁判官が十三名、この中で国公法違反事件に関与したのが十二名。それは間違いありませんか。そして、その中で無罪にすべきだと主張した人はたった二名しかいなかった。どうでしょう。
  167. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございます。
  168. 諫山博

    ○諫山委員 これがまさに世間で言っている司法の危機の実態なんです。最高裁長官は司法の危機なんかありませんと盛んに強調されますが、しかし、新しく任命された裁判官というのは次々に基本的人権を狭める立場で判決をしている。これがマスコミでどういうふうにとらえられているのか、ぜひお聞き願いたいのです。  読売。これは国家公務員法の三事件で逆転判決が出た直後の報道です。この逆転判決というのは「最高裁の“体質の変化″によるとしかいいようがない。」  朝日。全農林警職法判決以後「「猿払事件」までの二年弱の間に、退官した五人(「公益」派二人、「人権」派三人)の交代として最高裁入りした新顔の五判事が、「猿払事件」ではそっくり「公益」派になだれこんでいることが注目される。」ここでは、公益派と人権派というふうに分かれております。人権派という言葉はいいとして、公益派というのは、私の方から言えば反動派あるいは自民党寄りの派というような言葉になると思うのですが、これがこの二年間に最高裁になだれ込んで、これが猿払事件の逆転劇を演じたんだ、こういうことを朝日新聞が報道しております。  最高裁はこういうのを読んでいると思うのですが、世間でこういう批判があることは最高裁自身御存じですか。
  169. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の新聞の記事、そういう記事があったということは十分承知いたしております。
  170. 諫山博

    ○諫山委員 読売にしても朝日にしても、最高裁に対してずいぶん手ひどい批判をしております。しかし、報道されているのはこういう批判だけではないのです。たとえば「この判決に心から満足している。裁判上論争のあった国家公務員の政治行為の制限について明快な判断を下してもらった」こういう談話も公表されております。これは自民党の大村官房副長官です。世間で最高裁判所の判決の内容がどういうふうに問題にされどういう角度から危機を訴えられているかということを、最高裁当局あるいは法務省もぜひ理解していただきたいのです。  そこで、どうしてこういうことになったのか、最高裁判所にえりもえって自民党好みの人ばかりが集まってきたのか。それが裁判官の任命手続の問題として現在論議されていることも恐らく御承知だと思います。私は幾つかの、最高裁の裁判官が任命された当時の新聞報道を調べてきました。一番問題を引き起こしたのは、昭和四十五年九月まで駐米大使をしていた下田武三さんが最高裁入りをしたときです。このときの新聞報道では、小林法務大臣も事前に知らなかった、石田長官ら最高裁全判事も知らなかった、極秘のうちに交渉が進められた、下田さんの最高裁入りはアメリカ政府筋の方に早く伝わってきた、そして裁判所の内部では、意外だ、おかしいというような声が渦巻いている。そしてある新聞は次のように報道しました。「政治のウズから生れた″法の番人″司法部内にも驚き」「法の番人になった放言大使」これは下田さんのことらしいです。朝日新聞は四十六年一月十三日に社説を掲げまして「最高裁判事の選び方を検討しよう」こういう論議が広がっております。さらに朝日新聞の一月十三日の社説では「このような重大な人事が事実上、政府当局の意向だけで決定できることについての不安」がある、つまり任命手続に問題があるのではないか、こう言っているわけです。「最高裁発足当時に行われた任命諮問委員会の制度、あるいは、これに代る効果的な選任方法について、あらためて検討することは有意義なことではないか」これが下田最高裁裁判官が任命された直後の朝日の社説です。この朝日の社説の裏には、ごうごうたる任命手続の非民主的なやり方に対する批判があったわけです。こういう報道がされ、最高裁さえ知らないうちに任命されたと一般に報道されているのですが、これは事実だったのか、私、法務省当局と最高裁当局にお聞きしたいと思います。
  171. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 最高裁の裁判官の任命は内閣の専権に属する事項でございまして、私の承知しております限りにおきましても、長官が総理に対しまして意見をお述べになる機会はあるように承っておりますが、最終的には総理がお決めになることでございまして、私どもそれ以外の、どのようないきさつでどのようになったか、新聞紙上等では一般の国民と同様の点は承知いたしておりますが、それ以外のことについては、最高裁当局、事務当局といたしましては何ら関知していない、こういう実情でございます。
  172. 諫山博

    ○諫山委員 法務省はいかがでしょう。
  173. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 最高裁判所の判事の任命は内閣がこれをやることになっておりまして、従来の内閣の最高裁判所裁判官の任命が、御指摘のような不公正な選び方をしているとは思っておりません。公平な人選が行われている。法務大臣としてそういうことを明言することが司法に対する国民の信頼をつなぐゆえんであって、どうもおかしいようだなんて、そんなこと言ったら、それこそ司法の尊厳を冒涜する暴言になるかと存じます。
  174. 諫山博

    ○諫山委員 法務省最高裁当局も、まあ知らぬということのようですが、新聞の方がずいぶん知っているようです。  そこで、もう一人問題になった岸盛一さんについて聞きます。私は新聞報道に基づいて少し指摘します。昭和四十六年四月二日の朝日、このときは「植木法務大臣は後任は検察畑からと働きかけた。最高裁裁判所内部の起用を求めた。これに対して総理大臣は、これまで最高裁人事は最高裁の意向を尊重してきた。しかし下田前駐米大使の場合は最高裁側の候補者を押さえた形になった。そこで今度は最高裁の考えを取り入れよう、こういうことで岸さんになった」と朝日新聞に報道されております。こういう経過はありますか。これは司法の尊厳にかかわるとかなんとかじゃなくて、朝日新聞が報道しているような事実があったのかなかったのかということです。つまり、法務大臣としては今度は検察畑から採ってもらいたいと言うし、最高裁側は裁判所内部から採ってもらいたいと言った。そしてもう一つ新聞記事によれば、「最近の最高裁人事でこれほど裁判所と検察側がもめたことは珍しい。これはまさに序列とメンツが相争ったものだ。」こう書いてありますが、いかがですか。
  175. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 四十六年四月の問題でございますが、人事等につきまして新聞紙上いろいろの記事の出ることは他にもあるわけでございますが、最高裁の裁判官の任命に関する限り、そういった意味のやりとりがないということは先ほどもお答え申し上げたとおりでございまして、それ以外は私ども、岸判事の任命問題について何にも承知をいたしておりません。
  176. 諫山博

    ○諫山委員 新聞が言っているのは、最高裁側と法務省側がお互いに人選を競い合ったということですが、そういうことは秘密だから言われないというのじゃなくて、そういう事実はなかったと断言されるのですか。
  177. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 先ほどもお答えいたしましたように、最高裁の裁判官の人事につきまして、裁判所の事務当局あるいは法務省の事務当局と話し合いをするといったような問題は一切ないと承知いたしております。また、そういうことが行われたというふうには一切聞いておりません。
  178. 諫山博

    ○諫山委員 当時稻葉さんは法務大臣でなかったと思うからちょっと無理かもしれませんが、これでは、法務省側はぜひ検事を採ってくれと言うし、裁判所側は盛んに裁判官を推薦する、競い合ったというのですが、そういうことはないのですか。矢口さんはそんなことはあり得るはずがないみたいな説明をされるのですが、絶えず最高裁判事の任命のときにはこの問題が出てくるのです。法務省としていかがでしょう。
  179. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 検察、裁判所弁護士会を法曹三者と言いますが、何かあなたのお話を聞いていると、最高裁判所裁判官の総数の中でこの法曹三者間に人数の割り振りみたいなのがあって、慣例になって、その慣例で人事を相談し合うようなことをおっしゃいますけれども、そんなことは全然ないです。それは憲法に基づく内閣の最高裁判所裁判官の任命権ですもの。そういう事実はありません。
  180. 諫山博

    ○諫山委員 いま私が述べているのは、実は私の調査とか私の見解というのではないのです。何百万、何千万の人が読んでいる一般紙に載っている報道です。材料には事欠かないのですよ。  たとえば天野武一さんが任命されたときの記事を調べてみましょう。引用して読み上げますから、「今回もさきの下田武三氏や岸盛一氏の人事と同じようにやはり密室人事だった。特に今度は退官してから一カ月近くも後任を決めず空席にするという異常ぶりである。日弁連の推薦をほごにしたことも問題が残る。」さらに、少し飛ばしまして、「なぜ天野氏になったのか多くのなぞに包まれている。というのは、植木法相や検察首脳は天野氏ではなく別の人を推していたからだ。植木法相らの意向がくつがえされるくらいだから相当の応援部隊が天野氏にあったと見るよりほかはあるまい。政界の実力者に相当する人であろう。」あなたたちはそういうことはない、ない、これは全部内閣総理大臣だと言うけれども、世間ではそういうふうに報道されてないのですよ。法務大臣はほかの人を推薦したけれども、相当な応援部隊がこれをひっくり返した、恐らくそれは政界の実力者に相当する人だろう、こうまで書かれているのです。そして解説として、「最高裁人事の秘密性と独善性、その印象を一層強くしたのが今回の人事である。」これは読売です。  ここに書かれているような、法務省がだれを推薦する、最高裁がだれを推薦する、日弁連がだれを推薦する、こういうことは、いいか悪いかは別として、ないのですか。私は重ねて聞きます。これだけ報道されているのに、やはりそういうことは一切なくて、内閣総理大臣がだれにも相談せずに一方的に決めているのですか。
  181. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 下級裁の裁判官の問題でございますと、これは任命につきまして最高裁から名簿を提出いたします。そういうことに関連いたしまして、事務総局では、人事局の担当でございますので、そういう問題、名簿提出前の問題について、いわゆる裁判官会議に議案を提出する等の関係におきまして関与することは事実でございますが、最高裁の判事の任命に関します限りは、実は私ども事務当局は全くノータッチでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、長官が長官のお立場で個人的に総理にお会いになる機会があり、その際御意見をお述べになることはあるやに承知いたしておりますが、それとて、どのようなお話をなさったのか、事務当局としては一切関知しない、そういうことでございます。人事のそういった問題につきましていろいろと、任命がございますと記事が出ることは出るわけでございますが、いずれも私どもの全く関与しない問題で、私どもは、閣議の決定がございまして、このような方に決まったという事務連絡を受けて初めて承知するという状況でございます。
  182. 諫山博

    ○諫山委員 人事局長であるあなたは関与しないけれども最高裁長官とか、その他の最高裁裁判官は関与するかもわからないという趣旨ですか、いまの発言は。
  183. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 最高裁判所ということになりますと、これは裁判官会議で御審議をいただいて正式にお決めいただく、そういうものが最高裁判所の意思でございます。そういう点から申しますと、最高裁判所もまた関与されない。ただ慣例として、長官が機会があった場合に長官個人の御意見をお述べになることがあるやに承知しております。しかしこれも、そういうことだというふうに伺っておるだけでございまして、どういう御意見をお述べになったかというようなこと一切は、他の十四人の裁判官の方も、また事務当局も何ら承知いたしていない、そういう状況でございます。
  184. 諫山博

    ○諫山委員 実はきょう、私としては内閣総理大臣あるいは官房長官の出席を希望していたのですが、それができませんでしたから、一番最高の責任者に答弁をいただけないという点は非常に残念に思います。  これはさまざまな人事があります。しかし最高裁の裁判官の人事くらい問題になる人事はないのじゃないですか。私は三つの例を挙げましたが、引用しようとすればもう切りがないのです。最高裁判所裁判官が任命されるたびに新聞は書きまくります。  たとえば大塚喜一郎さん、この人は弁護士から最高裁の裁判官になった人です。日本弁護士連合会としては九名、中には十名と言う人もいるのですが、それだけの弁護士の名簿を提出して、この中から次の最高裁裁判官は選んでもらいたいという要求をしたのに、これが無視された。そして日弁連の名簿に全くない大塚喜一郎さんが、どういう手続かわからないけれども最高裁裁判官に任命された。これは内閣総理大臣の一本釣りだというような評判があることは、恐らく最高裁当局も御存じではないかと思います。  吉田豊さん、この人については、津田実前法務事務次官起用に大体内定していた。ところが田中総理が難色を示した。そのために津田氏の内定を取り消して吉田豊大阪最高裁長官の起用を決定した。こういうことが、私が聞いて回るんじゃなくて、印刷物を読むだけでも目に入ってくるんです。  そこで、最高裁判所の裁判官の人事がなぜこれほど世間で問題になるのか。これはただ不明朗だというだけじゃなくて、私がさきに指摘した司法の反動化、とりわけ重要な事件で自民党政府寄りの判決が最高裁の中で非常にふえてきた、このことと結びついて最高裁裁判官の人事が重視されているわけです。  私はこの問題について、長沼事件の判決のときのことを思い起こします。札幌地方裁判所で長沼事件の判決が下ると、政府当局はいろいろな機会にこれに圧力をかけました。たとえば山中防衛庁長官、「地裁判決は重大な誤りであって、上級審で必ずや是正されるであろう。」中曽根通産大臣、自衛隊記念行事で次のような講演をした。「長沼ナイキ裁判の福島判決ほどお粗末でいいかげんなものはない。」自民党橋本幹事長、これは党の統一見解としての談話を発表しております。朝日新聞の夕刊によると、「自民党はこのような判決には納得しがたい。福島裁判長は青年法律家協会の有力メンバーであり、これまで各種の問題を起こした人物であることにかんがみ、このような偏向した判決がなされることは当初から予想された。判決の憲法解釈の誤りは上級裁判所で必ず是正されるものと確信する。」山中防衛庁長官の発言でも橋本幹事長の談話でも、上級審に非常に大きな期待をかけるわけですね。最高裁判所に行ったら政府を苦しめるようなこんな判決は必ず覆るだろうということを確信する、こう言って最高裁判所に非常に大きな期待をかけているのが最近の自民党政府だろうと思います。そしてこのことが最高裁の人事の中に意識的に働いてこなかったかどうか。私は、総理大臣が幾らそういうことは意識しなかったと言ってみたところで、さっき私が数字に挙げましたように、新しく任命されたほとんどの裁判官が、新聞の表現によれば人権派ではなくて公益派、私の言葉を使わしてもらえば人権派ではなくて反動派の立場に立ったというのは、決してこれは偶然ではない。意識的に操作されているんだ。そのことと最高裁裁判官の任命手続というのが無関係ではないんだということを、私は最高裁当局にも考えてもらいたいし、法務省にも考えていただきたいわけです。  そこで、最高裁裁判官の任命手続を民主的にすること、これは恐らく、政府が考えているかどうか知りませんが、まじめに司法の危機を考えている人すべての願いではないかと思います。現に日本弁護士連合会はこの立場から、最高裁判所裁判官の任命制度についての法律案とも言えるようなものを用意しております。これがすでに公表されておることは、法務省当局、御存じですか。いかがでしょう。
  185. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 聞いております。
  186. 諫山博

    ○諫山委員 そこで一番一致して強調されているのは裁判官任命諮問委員会をつくるべきではないか。裁判官任命諮問委員会というのは奇抜な構想ではなくて、最高裁が始まった当時はあったんだ、なぜこれをなくしたのか、なぜこれをいまの時期に復活しないのか、これをやればもう少し裁判官の任命手続というのが民主的で明朗になっていくのではないかというのが広範な国民、学識経験者の世論なんです。  そこで私は、最高裁発足当時活動したことがあるという任命諮問委員会の実態を調べてみました。有名な三淵忠彦最高裁長官、この人は諮問委員会の答申に基づいて任命されたそうです。最初の諮問委員会というのは、三回の委員会と一回の委員懇談会を開いた。そして各委員から最高裁裁判官として適当と認める者をいろいろ推薦した。そこで名前が出てきた人が百三十九名。この中で四十八名は辞退した。残ったのが九十一名。この九十一名を諮問委員会でいろいろ検討し、分析しながら三十名を選んだ。この三十名の中から最高裁の裁判官を選んでもらいたいという答申をした。この中から最高裁の裁判官が選ばれたというふうに書かれているのを見たのですが、そういう経過だったかどうか。最高裁、御存じですか。
  187. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 詳細については手元に資料がございませんが、ほぼ御指摘のとおりだったろうと思います。
  188. 諫山博

    ○諫山委員 これは事務当局に説明していただくのは適当でないかもしれませんが、こういう最高裁裁判官の任命の仕方というのは、現在やろうと思えばできるのですか、できないのですか。何か支障がありますか。最高裁の事務当局としてはいかがですか。
  189. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 先ほども説明申し上げましたように、最高裁裁判官の任命は内閣に専属しておる憲法上の権限でございまして、私どもの方からそういうことがいいとか悪いとかいうような意見を申し上げるということは、制度にかかわる問題でございますので差し控えさせていただきたいと考えております。
  190. 諫山博

    ○諫山委員 法務大臣にお聞きします。  この第一回の諮問委員会では百三十九名の名前が出され、選びに選んで三十名を内閣総理大臣に答申した、こういう経過です。ところがこのやり方に対して、これは内閣総理大臣の指名権、任命権を侵害するものだという意見が出てきた。それが一つの原因になって廃止されたと物の本に書かれておるのです。全くばかげた議論が出たものだと私は考えたのですよ。何も諮問委員会が裁判官の十五名の人を特定してしまったわけではないのです。この人たちが適当ではなかろうかといって答申した。この答申した人の中から内閣総理大臣が任命していただきたい。どこから見ても内閣総理大臣の指名権とか任命権を侵しておりません。内閣総理大臣の任命権、指名権を当然の前提にしながら、それが党利党略に流れたり恣意にわたったりするようなことのないように、民主的に意見をくみ上げるために諮問したということになるわけです。また、こういう諮問が任命権とか指名権を侵害するものだということになれば、これはもう諮問委員会なんというのは成り立たないということになります。だから、昭和二十三年ごろこういう議論がなされたそうですが、少なくとも現在の時点から見れば指名権、任命権を侵害するというようなことではないように思うのですが、法務大臣いかがですか。
  191. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 諫山さんのその点に関する御所論には賛成です。  それから、物の本とか新聞とかいうものを金科玉条のようにして、不公平な、自民党寄りだか共産党寄りだか、特定の政党の方へ、人権派とか何とか派に偏った人選をしているというような新聞の論評も、論評はこれは御自由でございますけれども、そういうことがどうして言われるのか私どもは心外です。国民主権に基づき、その代表たる国会において選ばれた内閣がその人選権を持つという、裁判所法三十九条の規定に従っているので、内閣がときに諮問委員会に諮問したが、これは諮問しなければならないという法律であったのですね。それがだんだん形式的に流れたりいろいろなことがあって、理由があって二十三年に廃止して、やはり内閣自体が責任の矢面に立って、自分でいろいろな知っている限りの適材を人選していくということにしてあるのでありまして、御質問の点については、諮問委員会を設けてやることが違憲だなどというふうに考えておるわけではございません。
  192. 諫山博

    ○諫山委員 私がいろいろな新聞を引用して、どうもその中に法務大臣のお気に召さない点が多かったようですが、私はわざと赤旗を引用しなかったのです。私は本当は赤旗を引用したいのです。しかしそうじゃなくて、なるべくそう言われないように、朝日新聞とか読売新聞を引用した。そこで考えていただきたいのは、いわゆる商業新聞、一般紙でさえ、いま私が読み上げたような批判をしているのだ。赤旗はもっと痛烈な批判をしております。そのことを法務省当局も裁判所当局も理解しておかなければ、司法の危機は感じませんというような雲の上の発言みたいなことになるということを警告したかったのです。
  193. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 普通の商業新聞だから赤旗と違って、一党一派に偏するわけじゃなくて公平なのだ、これらの言うことは正しいので、人選が間違っておることを間違っているとちゃんと書いてあるじゃないかと言いますけれども、それは人事でございますから、いろいろな点で、それこそ神に祈るような気持ちで内閣はやっているのでしょう。けれども、自薦、他薦があったりいたします。漏れた人たちが新聞社をつかまえてそういうことを言ったりいろいろする。やはり、普通にいって政治や人選はあたりまえ、ちょっと何か不満の意思があれば不公平があるというふうに感じて、新聞が不公平がないようにしたいものだなと、こう言って、いろいろお書きになる。それは封ずるわけにいかぬ。自由でございます。またそういうことがあって、だんだん神に対しえりを正すような気持ちで裁判官をきっぱり選ぶという内閣の正しい姿勢も生まれるのでしょう。それは結構な話ですけれども、いままで不公平に、やれ反動派をたくさんつくるように努力したとか、そんなようにおっしゃることは私は賛成できない。しかも法務大臣としては、そういうようなことについてはきっぱり否定しておきませんと、本当の司法に対する権威、国民の信頼というものが失われますから、公の席上でございますから、こういう点についてはあなたと所見を異にいたしますことをはっきり御答弁申し上げておかなければならぬというように思う次第です。
  194. 諫山博

    ○諫山委員 やはり見解が違う点はお互いにはっきりした方がいいと思います。私もいまの問題で、少なくとも次のことをはっきりしておきたいと思います。  赤旗と違って一般新聞は公平だからというふうに言われましたが、これは二重の意味で間違いです。私たちは赤旗が最も公平で客観的だと思っております。同時にまた商業紙が公平だとも思っておりません。——御意見があるようですから……。
  195. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 あなたは私の発言を誤解しています。あなたが、一般商業新聞だからいかにも公平で、だから私は赤旗という新聞名は出さなかったのだというふうにおっしゃいますから……。私も一般新聞は公平だという前提に立っているのじゃないのです。一般新聞だって間違いもありますし、それは人間のやることですから、真実でないことも、誤報されたりすることもあります。そういう点で、内閣が最高裁判所という司法の最高機関の人選をやる場合は気をつけろよ、厳密にやれよという意味には私は非常に賛成なんです。そうしなければならぬと思っているのです。そして、赤旗が不公平で一般新聞は公平だなんて私は一度も言ったことはないですよ。往々間違うこともあるし、赤旗も真実公平な場合もありますし、いろいろありますよ。そんな、赤旗が不公平だ、一般新聞は公平だなどと考えたこともありませんね。
  196. 諫山博

    ○諫山委員 ただ、私がいろいろ新聞を引用したのは、最高裁判所の裁判官の任命で世間が非常に騒いでいるということを認識していただきたかったわけですよ。そのためには世間から見てももっと民主的に見える、公平的に見える手続が必要だ。これは裁判官がよく言うでしょう。自分が公平だと思っておればそれで済むのじゃない、はたから見ても公平に見えなければならない、これは裁判官が司法修習生によくお説教する話です。それがまさに最高裁の裁判官の人事であらわれている。幾ら総理大臣が公平だ、公平だと言っても、世間では公平と見ていないですよということを検討してもらいたかったのです。しかしこの議論をやってもしょうがありませんから、結論を急ぎます。  弁護士が最高裁の裁判官に任命される機会は当然しばしばあるわけです。大塚喜一郎さんが一本釣りされた。——これは弁護士会での言葉です。みんな一本釣り、一本釣りという言葉を使っておりますから私も使わしてもらいます。大塚喜一郎さんが弁護士会の意向を無視して一本釣りされたということが一つの契機になって、日弁連の中では最高裁裁判官推薦諮問委員会というのがつくられているそうです。これは私は結構なことだと思います。弁護士の中から最高裁の裁判官を任命するなら、一本釣りをするのではなくて、日弁連の中に会長の諮問機関としてつくられた推薦諮問委員会検討させてくれという制度をつくっているというのです。これは私は尊重するのが当然だろうと思うのですが、法務大臣いかがでしょう。
  197. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 内閣総理大臣個人が最高裁判所裁判官として適材の人材を必ずしも全部知っているというわけにいかぬですから、それは法曹三者がそれぞれの領域における適任者について詳しいでしょう。法務大臣もそういう方と交通は始終あるわけですから、そういう人材の発掘については、参考意見を総理大臣から言われれば申し上げることがたくさんあるでしょう。その場合に、日本弁護士会連合会の会長諮問機関として、最高裁判所裁判官推薦諮問委員会というものを設けられるということは結構な話ですね。ひとりで決めないで、大ぜいの万機公論に決して推薦してもらえるということは結構な話だと私は思います。ただ、人事ですから、団体の決議なんかして持ってくるべきものじゃないですよ。
  198. 諫山博

    ○諫山委員 最後に、最高裁矢口人事局長に質問します。  司法の反動との関連で、毎年いまの時期に問題になってくるのが司法修習生の裁判官への任官拒否です。もう一つは裁判官の再任拒否です。そろそろその時期が近づいてきたようですが、これは絶対にあってはならない。こういうことがあればますます司法に対する国民の信頼は崩れる、こう私は考えているのですが、今年そういうひどいことを最高裁はやるつもりかどうか、御説明ください。
  199. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 毎年四月になりますと任期十年を終了される方が大量に出てまいるわけでございます。具体的に申しますと、ことしは修習生七期の方と十七期の方、これがいわゆる任期十年を終了しまして、七期の方は、判事の任期を終わって判事に再任されるかどうかという問題、それから十七期の方は、いわゆる判事補の任期を終わりまして、判事任命資格を取得し、判事に任命されるかどうかという問題、そういう問題がございます。一般的に、少し理論的ではないかと思いますが、再任の問題というふうに言われております。この問題は、毎年四月の上旬に任期の切りかえ時点が参りますので、それの一月ほど前、したがいまして三月の上旬に裁判官会議の慎重な御審議を得て御決定をいただくという慣例でございまして、本年もそのようなスケジュールを予定いたしておりますが、御承知のように裁判官会議御決定のことでございまして、いま私のもとでとやかくそれ以上申し上げることはないわけでございます。  それから新任の問題は、これまた目下、これからいわゆる二回試験というのを行いまして、三月の末に希望者の採用面接を行うという問題で、これももう少し先の問題であろうかというふうに考えております。
  200. 諫山博

    ○諫山委員 私は、任官拒否と再任拒否は絶対にしてはならない、このことを最高裁の長官以下責任者にもお伝えいただきたいと思います。あなたは最高裁を代表してここに来ておられると思いますから。また、最高裁の人事局長というのはこの問題で絶大な権力を持っているというふうに言われておりますから、あなた自身もこれは絶対にしないようにということを要求しまして、質問を終わります。
  201. 田中覚

    田中(覚)委員長代理 質疑は以上で終了いたしました。  次回は、明後二十一日金曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会