運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-05-07 第75回国会 衆議院 文教委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月七日(水曜日)     午後一時六分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 藤波 孝生君    理事 三塚  博君 理事 木島喜兵衞君    理事 山原健二郎君       臼井 莊一君    西村 英一君       羽生田 進君    深谷 隆司君       森  喜朗君    山崎  拓君       小林 信一君    辻原 弘市君       長谷川正三君    山口 鶴男君       栗田  翠君    有島 重武君       高橋  繁君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 永井 道雄君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         文部政務次官  山崎平八郎君         文部大臣官房長 清水 成之君         文部省初等中等         教育局長    安嶋  彌君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      廣江 運弘君         自治省行政局給         与課長     金子 憲五君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     福田 篤泰君   山口 鶴男君     下平 正一君   安里積千代君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   福田 篤泰君     上田 茂行君   下平 正一君     山口 鶴男君   永末 英一君     安里積千代君 同月二十四日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     山中 吾郎君 同日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     山口 鶴男君     ————————————— 四月二十三日  私学に対する公費助成増額等に関する請願(山  田芳治紹介)(第二五二三号)  同(栗田翠紹介)(第二六三六号)  養護教諭全校必置等に関する請願外三件(小  林信一紹介)(第二五二四号)  同外七件(小林信一紹介)(第二五五二号)  同外十一件(小林信一紹介)(第二五八九  号)  学校図書館法の一部改正に関する請願(受田新  吉君紹介)(第二五二五号)  同(小林信一紹介)(第二五二六号)  同(久保三郎紹介)(第二五四八号)  同外一件(山田太郎紹介)(第二五四九号)  同(山崎始男紹介)(第二五五〇号)  私学助成に関する請願梅田勝紹介)(第二  五二七号)  同(高橋繁紹介)(第二五五一号)  同(高橋繁紹介)(第二六〇九号)  同(高橋繁紹介)(第二六一九号)  同(高橋繁紹介)(第二六三五号)  重度身体障害者(児)のため図書館の諸設備整  備に関する請願木島喜兵衞紹介)(第二五  二八号)  国立大学学費値上げ反対等に関する請願(田  中武夫君紹介)(第二五四六号)  同(山口鶴男紹介)(第二五四七号)  同(木島喜兵衞紹介)(第二五九〇号)  同(長谷川正三紹介)(第二五九一号)  私立諸学校に対する助成金増額に関する請願  (八百板正紹介)(第二五五三号)  産業教育手当法改正反対に関する請願古川  喜一紹介)(第二五五四号)  女子教職員育児休暇法制定に関する請願(栗  田翠紹介)(第二六一〇号)  同外二件(上田茂行紹介)(第二六三七号) 五月二日  勤労学生のための大学夜間部廃止反対等に関す  る請願栗田翠紹介)(第二六七一号)  教育予算増額等に関する請願梅田勝紹介)  (第二六七二号)  私学助成に関する請願高橋繁紹介)(第二  六七三号)  同(山崎始男紹介)(第二六七四号)  同外一件(高橋繁紹介)(第二七二八号)  同(高橋繁紹介)(第二七五一号)  同(鬼木勝利紹介)(第二七六六号)  同(津金佑近君紹介)(第二七六七号)  同(鬼木勝利紹介)(第二七九五号)  同(高橋繁紹介)(第二七九六号)  同(鬼木勝利紹介)(第二八一八号)  同(高橋繁紹介)(第二八一九号)  同(横山利秋紹介)(第二八二〇号)  国立大学学費値上げ反対等に関する請願(小  林信一紹介)(第二六七五号)  女子教職員育児休暇法制定に関する請願(小  林信一紹介)(第二六七六号)  同外一件(木島喜兵衞紹介)(第二八二二  号)  津市の納所遺跡保存に関する請願田口一男君  紹介)(第二六七七号)  同(長谷川正三紹介)(第二七九四号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願外一  件(山田芳治紹介)(第二六七八号)  同外一件(山田芳治紹介)(第二七〇七号)  同(木島喜兵衞紹介)(第二七九七号)  同外七件(山田芳治紹介)(第二七九八号)  同(山田芳治紹介)(第二八二三号)  学校図書館法の一部改正に関する請願河上民  雄君紹介)(第二七〇八号)  同(古川喜一紹介)(第二七〇九号)  同(楯兼次郎紹介)(第二七二九号)  同(楯兼次郎紹介)(第二七六八号)  同外一件(中村茂紹介)(第二七六九号)  同(多田光雄紹介)(第二八二四号)  日本フィルハーモニー交響楽団助成に関する  請願外一件(木島喜兵衞紹介)(第二八一七  号)  義務教育就学児童・生徒の通学交通機関確保  に関する請願長谷川正三紹介)(第二八二  一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件(義務教育諸学  校の教育職員給与改善問題)      ————◇—————
  2. 久保田円次

    ○久保田委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島喜兵衞君。
  3. 木島喜兵衞

    木島委員 きょうは、各党が、先般の人材確保法に基づいての人事院勧告及びその法律に基づいての審議の場合に、これは慣行上内閣に係りますが、しかし人確法という特別な国会意思を持ったもの、そのものが果たして十分に審議されたかどうかという点ではやや問題が残っているということで、そういう意味では集中審議をということでありますので、そういう意味で、人確法にかかわるあの勧告に関して、人事院教員給与あり方というものについてのものの考え方を承りたい、こう思うのであります。  そこで、まず第一に今回義務教育等教員特別手当をおつくりになりましたが、これをおつくりになられた考え方というのでありましょうか、その趣旨というのでありましょうか、そのことをまず第一に承りたいと思うのであります。
  4. 茨木広

    茨木政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように人材確保法義務教育職員について規定してございますのが本体でございますので、そこでそれとの関連でその他のものはいろいろ考えていかなければいかぬ問題がございますけれども、一応義務教育が中心でございます。  そこで、今回第二次勧告といたしまして一応一〇%の目標があったわけでございますけれども、第一次教員給与改善とそれから昨年の夏の大幅な給与改善がございまして、この二つでその当時の一〇%を逆算いたしますと七%程度改善になってまいります。そこで本俸手当二つに分けましてこれを処理をするという考え方をとったわけでございます。その趣旨は、すでに第一次改善一般行政職員を乗り越えまして相当改善をされた実績がすでに出ておったわけでございます。その上に二次改善が上積みになってまいります関係上、人材確保法趣旨と、それから公務部内の諸問題等をいろいろ考えまして、本俸と諸手当義務教育等教員特別手当、この二つに分けてこれを処理する、そういうような考え方のもとに新しい手当を創設するという勧告になったわけでございます。
  5. 木島喜兵衞

    木島委員 総裁、第一次で一般行政職よりもある程度上回ったということでありますけれども、この人確法というのは乗り越えるためにつくったものだろうと思うのです。ある程度乗り越えたからという話がありますけれども、ある程度という判断は、教員一般行政職との間の、その基準あるいはあらまほしき乗り越え方とでも申しましょうか、そういう点ではどうお考えになっておりますか。
  6. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人確法ができまして、義務教育教員重要性にかんがみて、これに優秀な人材確保したいという趣旨から、いろいろな措置があるわけでございましょうが、その中で、給与についてもひとつ一般公務員より有利にしたいということが人確法精神であったと思うのでございます。  ところで、一般公務員給与水準教員給与水準というものについてはどの程度がいいのかということは、これは実は大変むずかしい問題でございまして、何%あるいは何十%上であることがあらまほしき姿であるかということは、ここで私自身もはっきりとした立場は持ち合わせにくい問題でございます。ただ、人確法精神ということはここに明確に相なっておりますし、それに第一次、第二次ということで並行して予算措置も講ぜられたということがございますので、その両面をにらみ合わせまして措置をするということにいたした次第でございます。  ところで、義務教育教員と申しますけれども、私たち公務員給与全般について管理をいたしておりますたてまえからいたしますと、同じ教員については、義務教育だけを取り上げて、他は、高等学校その他については何ら考える必要がないという立場に立つことはとうてい不可能でございます。そういう意味で、教員全般については逆転防止なりその他のことは最小限度にとどめるというような考え方から措置をいたしたということでございます。したがいまして、第二次の勧告についても、高等学校の先生あるいはその他の高専大学についても逆転等の不合理が生じます面につきましては、最小限度措置を講じさせていただいたということでございます。  そういうことで、一般公務員に比較してどの程度が望ましいかということについては大変むずかしい問題であると申さざるを得ませんが、それは一つ国家意思あるいは国会意思として予算措置等も講ぜられている面も考慮いたしまして、それとのにらみ合わせで措置を講じたということが第二次勧告精神でございます。
  7. 木島喜兵衞

    木島委員 最後におっしゃいました義務教育等教員という「等」は後でまた御質問申し上げます。そこで、一つは、他の公務員との一定バランスがとれたから、したがって一方において手当をつくったというお話ですね。それでは、一体いまどのくらいのバランスが必要なのか、あるいはどの程度のアンバランスがあらまほしいかと私は申したのですけれども、少なくともこの法律は、皆さん人事院の本来の仕事と——人確法をつくったというきわめて政治的といいましょうか、政策的な法律でありますから、その趣旨というものを十分にそんたくされなければならなかったはずであります。だから、もしも均衡しなければならぬという原則があるとするならば別でありますけれども、たとえば裁判官なら裁判官というものは均衡を必ずしも考えておるものではない。あるいは前の田中総理は、裁判官並み教員を持っていくのだ、五〇%上げるのだという発言もあった。だから、その限りでは必ずしも均衡ということが必要ではない。むしろ均衡を打破するための人確法であったろうと思う。その点の認識はいかがなんですか。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 あの法律にもございますように、一般公務員との比較、均衡上は、その均衡を破ってしかるべきである、それが精神でございますので、一般公務員についての均衡のことは、あえて無視といいますか、乗り越えまして第一次の勧告をいたした、引き続いて今年も第二次の勧告をいたしたということでございます。
  9. 木島喜兵衞

    木島委員 だから、何も手当をつくらないで、全部やったらいいじゃないですか。なぜやらなかったのですか。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 手当つくりましたのは、主として教育公務員自体均衡の問題を考慮したわけでございます。したがいまして、本俸全体で措置をするということに相なりますと、一般公務員との均衡の問題は別問題といたしまして、他の高専関係あるいは大学関係等につきまして大変な不均衡が生じてくるということがございますので、あえてこういう措置を講じたということでございます。
  11. 木島喜兵衞

    木島委員 それとちょっと別なあれでありますが、しからば義務教育等教員特別手当ですか、教員手当というものの趣旨は何ですか。その意義は何ですか。
  12. 茨木広

    茨木政府委員 人材確保法の一条の「目的」に「義務教育学校教育職員給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材確保し、もつて学校教育水準維持向上に資することを目的とする。」こうございます。やはりそれが最終のねらいでございまして、具体的には三条のところに「一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」こういうふうになっておるわけでございます。
  13. 木島喜兵衞

    木島委員 私の聞いているのは、義務教育教員手当をつくったその意義というのは、単に、それでは高専とか大学との関係があるから、したがって本俸を上げることができないから、それ以上上げたら大変だから、もうこれ以上上げられないから、しかし予算はあるし、何かかっこうをつけなければならぬから手当をつくったというだけなんですか。
  14. 茨木広

    茨木政府委員 いま読み上げました三条にも「一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」こういうふうにあって、その四条にさらに「同条の趣旨にのっとり、必要な勧告を行なわなければならない。」こういうふうにございます。  そこで、当時へ人材確保法審議されました際にも予算人事院勧告との関係等についても御議論がございましたし、前総裁からも、やはり予算文字どおり拘束を受けるという形ではないというふうに了解するというふうな答弁もございましたし、それから種類につきましても、やはり俸給なり手当等も含めた全体でもっていろいろ考えていくんだということの答弁もしてございます。したがって、この一条なり三条なり四条合わせまして、どのようにすることが最も適切であるかということについて人事院として勧告をする、こういうたてまえにこの法律はなっておるというふうに考えております。やはりそういうような趣旨に従うた勧告を今回させていただいた、こういうものだと思っております。
  15. 木島喜兵衞

    木島委員 私が聞いているのは、特別手当性格を聞いているのです。いかなる意味を持っているものなのか、人確法というものに基づいて。人事院のやる気や何かを聞いているんじゃないんだ。
  16. 茨木広

    茨木政府委員 特別手当はやはり給与全体で人材確保を図っていくということでございますが、その中に、本俸で扱っていきますものもありますし、既存の諸手当で扱っていく場合もあると思いますが、今回のものは新たに別途の手当を新設をしていただくということにいたしまして、やはり全体といたしましては人材確保をねらっていく、こういうような趣旨のものでございます。
  17. 木島喜兵衞

    木島委員 時間も制限があるからあれですけれども、たとえば義務教育等教員手当という教員という特殊性あるいは専門性というものを考えて、たとえば人材確保するということでは、金だけではない。金だけを目当てに教員になった場合には、一体、そういう金を最高価値とするところの教員だけで果たしていいだろうか、そういう批判があったかと思うのです。金を最高価値とする。だから教員みずからが立身出世主義になる。あるいは現在問題のあるところの学歴偏重の社会というものもそういうところから出てくるでしょう。そういうことから、ひいては国際的にはエコノミックアニマルだとかあるいは悪徳商人なんというのもそういうところから出てきたということになるかもしれない。だからそういう意味では、教員というのは、たとえば皆さん教員調整額のときの勧告で、教員というものは自主性創造性が特徴だとお書きになりましたね。たとえばその創造性というものを考えるならば、基本的にはきわめて広範な文化というものを身につけなければならない、あるいは教育基本法等にもありますけれども、教員研修義務を負っておる。それは自発的、自主的なそういう研修、あるいはまたいろいろな研究をする場合でも、たとえば体育とか美術なんというのは大変金がかかる。普通の企業ではそういう研究は会社の研究費を使っておるだろう。ところが教員はみずからの生活費で出している。だから、そういう教員というものの専門性から、たとえば手当をつくるのである。すると、金だけではなしに、教員というものが自発性創造性が必要であり、きわめて広い文化性というものが要求される。だからそういう手当をつくるという、金だけではなしにそういう意図があり、そういう思想があって手当をつくるというならば、それもまた一つ考え方であろう。ところがそうでなしに、いま私が聞いておると、そういうことが全くなくて、ただ他のバランスということであるならば、しからば人確法というものをつくったところの趣旨と全く違うではないかということになるのです。手当というものを、最初に人確法を通して教員給与あり方というものを皆さんはどう考えておるのか。確かに人材確保法というのは人材確保しなければならぬ。しかしその人材というものの中身もあります。金さえ高ければどこへでも行くというような教師だけでいいか、そういう問題も含めてその手当をつくったというならば、それはそれで一つ考え方であろう。しかしそういうものもなくて、ただ他のバランス関係上困るから手当をつくったというのであれば、それではこの国会において人確法をつくったところの趣旨と全く違うではないかということになりませんか、総裁
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いまの教員性格なりあり方というものについてはお話がありましたとおりでございまして、私も同感でございます。そういう趣旨から申しまして、ただ単に給与面からだけの優遇措置ということでなくて、いろいろな面をあわせ考慮していかなければならぬということも当然のことでございますが、その中でやはり何といっても自主性創造性文化性といいますか、いま御指摘になりましたようなことを達成をさせるためには、研修その他のことも自主的にやらなければならないというようなこともございますところから、やはり給与についても際立った優遇措置を講じなければならないという着想が、恐らく人確法精神であったろうと思われるわけであります。  ところで、その趣旨に沿って人事院にもその勧告義務が負わされましたので、われわれといたしましてもそういう作業を二回にわたってやってまいったのでございますが、その際に、給与について優遇をするということが、これは本俸でもってやらなければならぬという趣旨ではあるまいというふうに思っております。その点は本俸措置をするか、あるいはその他の手当等措置をするかということは、やはり全体としての給与対策給与政策の問題になるということでありまして、そういう見地から申しまして、先刻も申し上げましたように、われわれといたしまして、教員その他一般公務員給与全体を管理いたしておりまする立場といたしまして、均衡その他のことも無視するわけにもまいらないということもございまして、手当とそれから本俸措置をした。しかし、これを合わせましてやはり給与上の優遇措置を講じたということに結果としては相なるのではないかというふうに考えております。
  19. 木島喜兵衞

    木島委員 総裁手当定額にされた意味はどういう意味ですか。四%を基準として最高九千円という定額にされた理由はどうなんですか。
  20. 茨木広

    茨木政府委員 定率でやります場合と定額でやります場合といろいろなことが検討されたわけでございますが、定率でございますというと、本俸の方が時代によってはいろいろ給与考え方が変わってまいりますと自動的に変わってまいるというような面もございます。その辺でやはり長い目で見ますと、いろいろ問題が生じてまいります。そういうこともございまして、今回のものは定額考えていくというふうにしたわけでございます。
  21. 木島喜兵衞

    木島委員 そうすると、たとえばこれを出したときにはすでに第三次の五%の予算が決まり、国会意思政府意思も決定をしておる。すると、この五%をどうするか。私はさっきから聞いているのは、教員給与人確法に基づくあらまほしき姿を人事院はどう考えているかということから聞いているわけですから、すると、もう五%あるわけですね。これは本俸一定均衡上、本来第二次でも上げるべきであるけれども上げなかった、したがってこれは満配である。とすると、第三次はどうするのですか。というのは、現在の本俸を上げなければ手当の方は定額でしょう。すると何か第三の道を選ぶのですか。第三の何とか手当というのをもう一つつくるのですか。この辺は教員あり方というものを見通して、第一次、第二次、第三次というものを考えなければならないはずでありますから、その場主義で、予算がついたからこれをどうする、適当に配分するのか。教員のあらまほしき賃金をこの人確法に基づいてどう考えているかということを聞いておるんでありますから、第三次はそれではどうなるのですか。
  22. 茨木広

    茨木政府委員 第二次をこの国会で御処理いただきましたので、地方の方の問題についてはいまこれから順次実施される状況に相なっております。そのような状況を見、さらに夏の一般勧告が予想されておりますので、その問題が一つ間に入ってまいります。そういうようなものをあわせ考えまして第三次を考えていく、こういうことに相なると思います。が、文部大臣の方から人事院総裁あてには、二次と三次とを含めたものについてのいろいろ要望点が出されております。今回の二次までの間に片づかなかった問題も残っております。それらの問題もやはりあわせ考えながら三次は処理していかなければいかぬだろうということに考えておるわけでございます。
  23. 木島喜兵衞

    木島委員 要するに、人事院人確法に基づく教員給与あり方を持っておらぬということです。総裁、この人確法ができたときの経緯は御存じだと思うのでありますけれども、いろいろと議論があった。ずいぶんと難航をした法律であるけれども、しかし満場一致になったのは、実はこの場合附帯決議一つは成立の基礎であろうと思う。附帯決議は「この法律における教育職員給与改善は、現行給与体系に基づいて行なうこととし、」とあります。この手当現行給与体系からはずれます、新しい創設でありますから。これは附帯決議満場一致国会意思無視はしておりませんか、そうお考えになりませんか。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人確法成立過程等につきましても、私なりに勉強いたしまして承知をいたしておるつもりでございます。「現行給与体系に基づいて」という言葉の解釈でございますけれども、これは現行給与体系自体が御承知のように一般職給与法その他でもって決まっておりますし、またそれ自体が時々刻々に時勢に応じて変動していくという性質のものでございます。その基本的なたてまえ、それから構成というものを踏まえてやるということに了解をいたしております。したがいまして、これは必ず本俸でもって措置すべきものであって、その他のことでやってはいけないというふうには解釈をいたしておらないわけであります。
  25. 木島喜兵衞

    木島委員 この法律における、すなわち人確法における教育職員給与改善現行給与体系に基づいて——その他でやるのは別てあります、一般勧告でやるのは別であります。この人確法に基づいての給与改善はと、限定しておるのです。今回の給与改善はこの法律に基づくものであります。この法律に基づくところの給与改善現行給与体系でというこの附帯決議無視しておりませんかと聞いておるのです。
  26. 茨木広

    茨木政府委員 ただいまの附帯決議の文言は、参議院の方でつけられた文言の中の五段階給与問題に関連した柱をお読みになったのだろうと思いますけれども、その当時、私もその席に総裁のわきにおったわけでございますけれども、当時四項目の附帯決議があったわけでございます。当時前総裁も、人事院の所管のものにつきましてはというような頭書きをつけた答弁をしておられます。今度の第二次給与改善勧告につきましても、一方人材確保法に基づきますとともに給与法にも基づくという勧告になっております。したがって、この附帯決議等の趣旨をも踏まえて勧告を申し上げておるわけでございまして、決して違反をしているということではございません。
  27. 木島喜兵衞

    木島委員 では、附帯決議に関連して少し質問いたします。  教頭を一級にわたらせる、これは今回なぜ突然教頭がこの中に出てきたのですか。
  28. 茨木広

    茨木政府委員 これは御案内のように、その後教頭の法制化というものが進みまして、新しい職種として校長と教諭の間に教頭というものが法律上の制度として固まってまいったからでございます。その当時の委員会におきます答弁でも、私どももやはり職務と責任に基づいて給与を決めていくという原則がございますので、そういうものが法律上の制度ということになりますれば、校長とあるいは教諭と同じような給与としてそのまま扱っていくわけにはまいりますまいという答弁をした経緯もございます。
  29. 木島喜兵衞

    木島委員 だから、そう言うのです。いわゆる五段階賃金をとらないというものは一体何だったか。教頭を特別に扱わないということでしょう。これは附帯決議ですよ。そこで法律ができた。法律ができたのは、その法律に基づくものでもってそれを是とするとしても、この人確法に基づくところの改善に当たっては現行給与体系によって五段階賃金をとらないと、国会満場一致で議決をしておる。したがって、一般のたとえば夏の勧告の中でもって別の法律ができたから、だからそれは教頭の給与を別に考えるということは、それはそれなりにわかる。しかしこの法律の施行に当たってはいわゆる五段階賃金をどらないというのだから、この中でもってやることは、附帯決議でやるのでしょう。総裁、どう思いますか。
  30. 茨木広

    茨木政府委員 これは五段階制度はとらないというような附帯決議でございますが、その当時五段階というのは、例の上級教諭とその他の教諭というふうなものに分けていくという考え方があったわけでございますが、それを含めて五段階ということでございまして、決して五段階ということにはなっておりません。
  31. 木島喜兵衞

    木島委員 教頭は五段階に入っていないのか。いまの答弁は、五段階の中に教頭は入っていないと理解しているのか。五段階というのは、上級、下級と言ったけれども、五段階に教頭は入っていないのか。そうあなたは理解しているのですか。
  32. 茨木広

    茨木政府委員 教頭を入れますと四段階にはなるわけでございますけれども、五段階というものにはならないわけでございます。
  33. 木島喜兵衞

    木島委員 ちょっと待ってくれよ。これは重大問題です。いいですか、いわゆる五段階給与制度——いわゆる五段階というのは、校長、教頭、上級、下級、助教諭、この五段階です。そのいわゆる五段階制度なんだ、制度というのは。四段階かいいというのじゃないんだ。こんなことがわからないというばかな話はないじゃないか。これで国会軽視だと言わないのか。附帯決議違反だと言わないのか。こんな理解でもって賃金をやっているのか。給与をやっているのか。総裁国会無視しているのか、お聞きしたい。
  34. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 五段階給与制をとらないということについてはそのようにわれわれも理解をいたしておったのでございますけれども、その後教頭につきましては、御承知のように法律改正がありまして、従来の規則等で取り扱いをいたしておりますのを法律上の制度として確立をしたということが出てまいりました。そこで、そのことに注目をいたしまして措置をしたということでございます。
  35. 木島喜兵衞

    木島委員 それはいま言ったことなんだよ。だからその後に、人確法ができた後に教頭法ができた。だからそれはそれであるとすれば、それは人確法に基づくところの給与改善ではない、別の法律に基づくのであるから。この勧告人確法に基づくところの給与改善でしょう。だから、その中に附帯決議でもっていわゆる五段階賃金制度はとらないと言っている。だから、いまあなたがおっしゃるように教頭法ができたんだ、だからやらなければならぬと……。それは議論があるところだけれども、それを是としても、それは別個の問題であって、この人確法に基づくところのものではないでしょう。附帯決議違反でしょう。それを聞いているのです。
  36. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 われわれは附帯決議違反とは考えておらないわけでございまして……(木島委員「理由を言いなさい、明確に理由を言いなさい」と呼ぶ)人確法に基づく給与改善は三次にわたって行われるわけでございます。その場合に、その時々刻々の時点におきまして情勢が変わることもございます。そこで教頭につきましては、法律改正で制度化されたという厳然たる事実がございますので、これを取り入れてきたということでございます。
  37. 木島喜兵衞

    木島委員 総裁 質問に答えてくださいよ。法律ができたのはいいです。変わるのもいい。だが、この附帯決議は「この法律における教育職員給与改善は、現行給与体系に基づいて行なうこととし、いわゆる五段階給与制度はとらないこととすること。」だからこの法律によるところの勧告でしょう。この法律によるところの給与法の改正でしょう。この法律によるところのものでは、いわゆる五段階の賃金の制度、給与制度はとらないとあるのに——教頭の方をするなら別個にやったらいい。この夏なら夏にやったらいい。なぜこれをやるのですか。いい、悪いという問題ではなくて、国会附帯決議を全然無視しているじゃないか。ぼくはさっき、手当だって義務教育等教員手当もと言ったら、附帯決議違反じゃないじゃないかと言ったら、つべこべ言うから、それではこれはどうかと聞いているのです。違反じゃないのですか。
  38. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御答弁申し上げておりますように、われわれといたしましては違反とは考えておりません。
  39. 木島喜兵衞

    木島委員 だからその理由を言いなさい。それじゃ総裁、いわゆる五段階賃金制度というのはどう理解しているのですか。
  40. 茨木広

    茨木政府委員 この五段階給与制度の問題については、その後御案内のように教頭の法制化が進み、今回の二次改善を踏まえた文部省の要望の中にも、「学校教育法の一部改正により教頭職が法制化されたことに伴い教頭の処遇をその職務と責任にふさわしいものにし、あわせて校長の処遇を適正なものとするよう現行俸給表の等級構成を改善すること。」こういう要望書がございます。それで、現実に昨年の九月以来、教頭は一等級に持っていくという段階的な改善措置がすでに関係省庁の指導のもとに行われておったわけでございます。そういうこともあって、特一等級という等級を別に設けるという姿のもとに教頭と校長の分離を図っていくという考え方を出したわけでございます。ですから、文部省御当局自身もそういう御要望をしておるということも私どもとしてはやはり十分吟味をいたしまして勧告を申し上げた、こういう経緯でございます。
  41. 木島喜兵衞

    木島委員 それは、文部省がこの法律でもって要望した、これもけしからぬ。だが、要望があったからそのまま、国会附帯決議に違反していいという人事院勧告になるはずはない。理屈にならない。文部省から要望があったからということであなた方はすべてを入れているわけではないでしょう。すべて入れるわけでないでしょう。また入れられるわけもない。あなた方に国会附帯決議を尊重するという意思があるなら、文部省からそのような要請があろうともできるわけがない。五段階給与制度の中には教頭が入っているんだ、教頭のない五段階はない、これをどう考えているのか、明確にしてもらいたい。
  42. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 繰り返し申し上げますが、当時のなには、五段階制はとらないということは事実でございます。ただ、その後教頭につきましては制度的な確立がなされたと……。
  43. 木島喜兵衞

    木島委員 それは別でやりなさい。
  44. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 別とはわれわれ考えておらないということでございます。
  45. 木島喜兵衞

    木島委員 どうしてか。これは一般勧告でやってもできる。いいですか、繰り返すけれども附帯決議は、この法律における給与改善は五段階賃金をとらないのですよ。今回の勧告はこの法律に基づく改善でしょうが。違うのですか。
  46. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人確法に基づく勧告であることは事実でございます。
  47. 木島喜兵衞

    木島委員 だったらそうじゃないか。それなら五段階賃金をとらないと——総裁、いわゆる五段階給与制度の中に教頭は入っているんでしょう。校長、教頭、上級、下級、助教諭、これを五段階と言うんです。そうでしょう。だったらあなた、ちっとも論理的にならぬじゃないですか。教頭法ができて、それでやるならそれは普通の勧告でやってよろしい。それをいま言っているんじゃない。いや、総裁、そう思いませんか。  しかし、その勧告に基づくところの法律はもうすでに通っておる。これはいま実施をしておる。だから、いまこれを言ったってしょせんしようがないことかもしれません。けれども、国会附帯決議軽視ということはけりをつけなきゃいかぬと私は思っている。言い合ったってしようがないじゃないですか。私が質問することに明確に答えておらぬでしょう。私たちが納得できる答弁じゃないでしょう。現に施行がされておりますから、これはもうどうもならぬかもしれません。しかし、皆さん国会附帯決議に対するところの軽視は、あるいは無視は、これはどうもならぬですよ。あなたは同じことを繰り返しているんだけれども、私も同じことを繰り返している。答えられないからあなたは別な答弁をしているだけで、私は同じ質問をしているんだよ。どうなんでしょう。
  48. 茨木広

    茨木政府委員 ここにいわゆる五段階制と書いてございますが、これについても、先生がいまおっしゃられておりますような、教頭も含みました意味の非常にきつい解釈の方もございましたように漏れ承っておりますし、それから上級教諭という問題はなるほど問題があるけれどもというような意味で、五はだめだという意味で解していらっしゃった方もいらっしゃったように漏れ承っております。いろいろな御意見があって、そこでこういうようなふわっとしたまとまりになっておるものというように私どもは漏れ承っております。
  49. 木島喜兵衞

    木島委員 じゃ五段階という、五つの段階というのはどういう段階ですか。
  50. 茨木広

    茨木政府委員 これは当時いろいろ言われておりましたから、通常は校長それから教頭それから上級教諭、一般教諭それから助教諭、こういう五段階であったんだろうと思います。
  51. 木島喜兵衞

    木島委員 もちろんおっしゃるように、五段階給与体系というものは法律用語じゃありません。だから「いわゆる」とつけたのです。いわゆるです。しかしこの「いわゆる」という、いわゆるこの五段階というものがあったからこそ、この法律が実はもめて、最後にこの附帯決議によってこの法律ができた。言うなら、この附帯決議がなかったらこれはできたかできないかわからない。とすれば、この附帯決議をあなた方が尊重しないということは、これは許せません。しかしこれはもう現に実施されているんだから、私はこのことをつべこべ言うのじゃない。このようになったことはもうしようがない。今後どうするかはまた別に考えますよ。だから、少なくとも私が言っているのは、附帯決議の違反じゃないのか、無視じゃないのか。私は、あなた方の答弁はちっとも理解できないのですよ。私はまだたくさん質問があるのに、これだけで同じことをぐるぐる回っていてはどうにもならぬじゃないか。委員長、これはどうしますか。委員長としてどうお考えになりますか、この私とのやりとりを。
  52. 久保田円次

    ○久保田委員長 理事会で相談しましょう。次へ進めてください。
  53. 木島喜兵衞

    木島委員 校長の特一、これを持っていくわけですね。特一に持っていく。特一をつくりましてね。これも教頭ができたからなんでしょう。教頭の格づけを考えなかったら特一というのはできなかったのじゃないですか。その点はどうなんですか。
  54. 茨木広

    茨木政府委員 先ほども触れましたように、すでに昨年の九月に教頭の発令がえがあって、そして教頭の半数程度については一等級という御指導がすでに行われておったわけでございます。そうなりますというと、私どもがかねて御答弁を申し上げておりましたように、職責が違うものをたてまえとして同じ等級にというわけにもまいらぬ。そこで特一等級構想というものが生まれてまいったわけでございます。
  55. 木島喜兵衞

    木島委員 そうすると、一つの職種は一つの等級だというわけですな。そうすると、特一に校長の二分の一だとか、教頭は四分の三だとか、どうしてなるのですか。
  56. 茨木広

    茨木政府委員 これは、切りかえの当初に当たりましては、全部一斉に教頭は一等級、校長は特一等級というふうな考え方もあると思いますけれども、これは国だけでなくて地方も含んでおる問題でございますので、やはりその辺の漸進的な格づけの安定を増しつつ考えていった方がよろしいというようなところから、本来のたてまえは、校長は特一等級、教頭は一等級でございますけれども、漸進的に進めていくという考えのもとにそういうようなことに相なったわけでございます。
  57. 木島喜兵衞

    木島委員 漸進的というのはあり得るわけね。だったら平も一等級になれそうね、過渡的に。
  58. 茨木広

    茨木政府委員 その問題は本質をやや異にしておる点があります。と申しますのは、等級の本来の姿といたしましては教頭が一等級、特一等級が校長、それから一般教諭が二等級ということでもってその等級の俸給金額のカーブというようなものは考えられております。したがって、二等級の上位号俸の改善率というようなものを相当高目に改善いたしましたのも、そういうような点を踏まえてのことでございます。したがって、本来でありますれば、やはり一般教諭は二等級というのがたてまえでございます。ただ御案内のように、内閣委員会におきまして附帯決議がつけられておりまして、そういう中でも非常にりっぱな方がいらっしゃる、そういう方については一等級に上げ得る道を開くことということがつけられております。この問題につきましては、いまの校長特一、それから教頭一等級という問題について暫定的に進めておりますものが漸進的に終わりましたころを目標にいたしまして、どういうような基準が一体あるだろうかということで文部省とも寄り寄り御相談を申し上げておるところでございます。
  59. 木島喜兵衞

    木島委員 どういう基準というのが出てきましたな。すると、校長の半分とか教頭の四分の三というのはどういう基準ですか。
  60. 茨木広

    茨木政府委員 これはたてまえが、本来が、先ほどから申し上げておりますように、特一等級が校長、一等級が教頭というたてまえでございますけれども、漸進的に進めるという意味で暫定的に一つ考え方を出しておるということで、今回も、資格基準表等の表現の用語を使いますれば「きわめて大きな」とかというような文言を使っておりますけれども、それをわかりやすい言葉で翻訳された形で文部省の方から指導をいただいておりますけれども、たとえば教頭は秋の九月の段階では約二分の一という御指導をなされましたが、今回の段階では、さらに時期が進んでおりますので四分の三程度まで、それから校長の方は、初めてでございますので二分の一程度をというようなことで、それぞれの県の実情によって格づけを御決定いただくというようなふうに御指導されておるわけでございます。
  61. 木島喜兵衞

    木島委員 さっきおっしゃった、今回の法律附帯決議で「教員給与体系の改正に伴い、一般教諭についても一定の資格と教職経験年数を勘案して一等級を適用できる途を開くこと。」とあるでしょう。それで、あなた、いま基準とおっしゃいましたね。そこで私は基準を聞いているんですよ。だから、二分の一、四分の三というその基準は何ですかと聞いているんです。その基準がわからなければこっちだっていいじゃないか、こういうことになるのですけれどもね。
  62. 茨木広

    茨木政府委員 いま、校長、教頭等についてそういう考え方が出れば平についてもこれでいいではないかというふうにおっしゃられましたが、そこが少し本質が違うと申し上げましたのは、もともとの等級の本来のところは、教頭は全員一等級の方向に将来は上げていくというたてまえで等級ができておる。それから校長は特一等級にという方向で特一等級の等級ができておるということでございますけれども、逆に平の教諭の方は二等級がたてまえでございまして、それを一等級に上げていくという場合には、おのずからそれは基準考え方が全く違ったものである、こういうふうに考えているわけでございます。
  63. 木島喜兵衞

    木島委員 平を——一方を一定基準によって上に上げるというなら、そして校長、教頭は一つの等級だとするなり暫定的だというなら、二分の一は校長は入れない、教頭は四分の一は入らぬわけでしょう。その基準があればこっちも基準があっていいわけでしょう。そこでこっちの基準というのは何で決めてあるのと、こう言っているのです。
  64. 茨木広

    茨木政府委員 まず同じ基準という用語では同じだと思いますけれども、内容はおのずから違ってこなければならぬということを前提に申し上げまして、校長と教頭につきましてはそういう暫定的な進め方をしていくという考え方でございますので、一応規模でございますとかその他を考えて、責任の度合いと申しますか、より重い方を早く上に上げていく、そうでない方を順次後の方にというような考え方が表通りの考え方でございますけれども、実際は、いま申し上げましたような概算的なめどが数字的なものとして翻訳された形で出ておりますから、そうなりますと、恐らく各県の事情といたしましては、やはり規模の大きなところとか、あるいは規模は小さいけれども、校長になりましてからの年限が多少長い方を早く上げていくというふうにおやりになるのではなかろうかと思います。
  65. 木島喜兵衞

    木島委員 一体何で二分の一とか四分の三と言うのかわからないのですが、全部なら、いい悪いは別として、すっきりしてわかりやすいのです。いままでもたとえば一職種一等級というのですか、この場合何でこうなったのか全くわからない。だから何か基準でもあるのかと思って聞いているのですが、何だかわからないですな。国家公務員の場合どうするの。
  66. 茨木広

    茨木政府委員 国家公務員教員の場合の御質問だと思いますが、その場合でございますれば、同じような考え方でそれぞれ個別に文部省の方で選考されまして、協議があるものというふうに考えております。  ただ、一般職の方でございますと御案内のように——一般職でないということでございますから、教員についてでございますれば、国家公務員についてもやはり同様な考え方でございます。
  67. 木島喜兵衞

    木島委員 まあわかっていて答えるのだからあなたもつらい答弁だと思いますけれども、たとえば内閣委員会では、国立の高等学校十七で、その二分の一だの四分の三だなんてずいぶん議論がありましたな。だから本当にわからぬと思う。だからそういうあいまいならあいまいでもってみんな通したら、平を一等級にやることもあいまいでいいや。人事院の人事管理というのはそういうものだと思うからです。ちっとも筋が通ってないじゃないですか。ちっとも理論的にわからぬじゃないですか。皆さんの任務の中には本来科学的なんというのがあるのですね。ちっとも科学的に感じませんな。二分の一とか四分の三というのはヤマカン的ですな。人事院というものの性格が疑われるじゃありませんか。どうでございますか。
  68. 茨木広

    茨木政府委員 まあ校長と教頭の場合と、先ほどから何回も繰り返しておるわけでございますが、本来一遍に上げていきますことについてもいろいろ考えなければならぬ問題がございますので、漸進的にということでそういう運用をする。それから、しかしまあ先生がおっしゃられました、それでは一般の方もそれでいいじゃないかというのは、先ほどから申し上げておりますように、本来のたてまえが二等級に格づけされるべきものの中から特に選抜をしていくという性格のものでございますので、その辺はやはりおのずから考え方が異なってまいるものと思っております。  私どもの方といたしましては、資格基準表に従来からいろいろ使っております表現の仕方がございまして、その表現の仕方で今回もうたっておるわけでございますが、一般の方でございますればそれをもとに級別定数というようなものが考えられ、それから資格年数というようなものも考えられて、その後いろいろかみ合った形で各任命権者が選考されるというような過程を経て、出てまいるわけでございます。
  69. 木島喜兵衞

    木島委員 総裁学校教育というのは先生と子供の触れ合いが基礎ですね。そうすると、たとえば校長の場合、大規模という話がさっきありましたが、大規模の校長は授業を持たない、そうするとこれは教育職なのだろうか。元来学校教育というのは教師と子供というものの接触が学校教育である、その成果を上げるための条件をどう整備するかというものがもしも授業を持たない校長、教頭であるとすれば、これは教育職だろうか。文部省の役人さんや教育委員会委員さんと同じ目的になるのじゃないだろうか。学校教育というのは子供が対象なんです。子供に直接接触しているその教師が教育職なんです。その成果を上げるために条件を整備するとするならば、文部省もやっている、教育委員会もやっている、これは行政職だ、同じじゃないのだろうか。どうですか。
  70. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは私から御答弁をするたてまえでないかもしれませんが、教育というものが先生と児童、生徒との触れ合いであるということが本体であることは、御指摘のとおりだと思います。  そこで、学校というものを考えます場合に、校長でも小規模のところではいまのお話しのような児童、生徒との触れ合いを持つところがある、直接に教育に従事する場合もあるわけでございます。ところが大規模なところでは直接そういうことを担任をしないで、教育全体がうまくやれるようにこれを考えていくというたてまえをとるところが多いかと思います。しかしそれは、学校管理という面から申しますと、お話しのように文部省なりあるいは教育委員会というような行政的なものでいいじゃないかというようなお説もあり得るかと思いますが、しかし同じ学校ということでこれを運営管理していくということになりますれば、そこで区別をいたして、大規模なところの校長は行政職にするということもいかがかと考えられまして、沿革的にも全部教員の資格を持っている先生が校長に当たっておるということに相なっておると思います。
  71. 木島喜兵衞

    木島委員 もし、いまあなたのおっしゃるように、同じ学校でもって運営管理に当たって教育の成果を上げようとしておるとするならば、そこで校長も教頭もそれは教育職である、みんな一つ学校という社会の中でもって、みんな子供の成長のために同一の目的を持って、具体的にはその一つの地域、場所において、その場でもってやっておるのだ、だから教育職である、いいのです。としたら、やはり事務職員というものも教育職じゃないだろうか。いまあなたのおっしゃったことによるとそうならないだろうか。総裁、いかがですか。
  72. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 教育の場にあって仕事をしているという面では同じではないかという御議論もあるかと思いますが、仕事の内容自体が、これは学校の会計その他の純然たる事務処理の関係でございますので、その職務内容から申しまして、これはやはり事務系統であるというふうに言わざるを得ないと思います。
  73. 木島喜兵衞

    木島委員 このことは余り大きく議論するところではありませんが、そういう思想もあるから、附帯決議学校事務職員の給与改善についても配慮をするということになっております。これはこれ以上深くは聞きません。そういう意味では、今度の勧告にその意味で期待をいたします。  その次に、先ほどちょっと話がありましたが、文部省からの要求の中に、何とか主任の給与改善の要望が出ておるという話ですね。これもまたつくりますと、現行給与体系を変更しない、これに基づいてという附帯決議に反することにもなるわけでありますけれども、これについて、文部省の要求についての総裁のお考えはいかがですか。
  74. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 主任につきましては、これは等級の関係じゃなくて、何か特別の手当でも考えてもらいたいというような要望が出されておることは事実でございます。しかし主任の制度というものは、これは一応調べてみますると、大変区々まちまちでございます。県によっても違いますし、また学校によっても違うということで、区々まちまちであるとともに大変数多くの主任というものがあるわけでございます。そこでそういうものについておしなべて何らかの措置を講じていくということにするためには、やはり制度的にもう少しはっきりとしたものが出てこないと、われわれとしては簡単にその要請にはこたえられないという考え方で現在おるわけであります。  なお、その点についてはよく資料も調査し、われわれとしても実情を調査いたしました結果、慎重に検討するということでいまのところそれについて特別の制度措置を講ずるということは考えておりません。
  75. 木島喜兵衞

    木島委員 私、最初から申しているように、教員給与あり方というものは、人材確保するというところから出ているわけです。私、さっきも言いましたように、学校教育というのは子供と接触することなんですね。だから教育というものの使命を重く考える良心的な教師ほど管理職にはならないだろうと思う。子供に接することが教育であります。子供に接しなかったら教育者でないとすら言える。だから子供に接するそのことが教育者としての使命だとすれば、それは管理者にならない。ところがさっき言ったように、たとえば金だけでもっていけばやはりそうなります。そういう意味で私は大変に問題があるところのものだと思うのです。  たとえば、私にこんな経験があるのです。数学では、私の県下では、指導者としては最高の指導者でありました。その教諭が、その成績をもって校長にさせられました。ところが彼は管理能力がなかった。だから先生からも父兄からも大変に疎外されました。結局彼は左遷されていきます。もし彼を管理職にせずに、校長にせずに授業をさせておいたら、まさに教育の本質であるところの授業そのもの、子供の成長そのものに大変役立ち、その人間が生きた。ところがその授業がうまいからといって管理職にしたからこの人間は死んでいった。生命を失っていった。この点が十分に考えられなければならぬだろうと私は思うのです。  今日経済のシステムは、効率化や合理化というものを当然志向します。だから当然にして力の集中を図ります。管理体制を強化してプログラム化し、画一化しようとします。だからその効率化や合理化というものが、ベルトコンベヤー方式だとかコンピューターシステムというように人間を疎外するし、非人間的にこの社会を今日の経済産業社会はしております。そういうシステムを教育の中に余りにも早く持ち込もうとしているところに今日の教育論争の一つの焦点があるんだろうと思うのです。しかし人間をつくる教育の中に、人間疎外、非人間的なそういうシステムを入れようとする、これか過ぎるために——私は全然それを否定するんじゃありませんが、過ぎるために今日の教育論争が一つあることは否めないだろうと思います。しかしそのためにいろいろな教頭をつくりあるいは主任をつくりしていく、そして手当を出す、等級を上げる。人はやはり高給を求めます。だからそこに人が集まります。しかし求めるものはみんな求めるかもしれない。しかし切符の数は決まっておる。だから競争になる。だから授業をやめて宿直室でもって管理者試験を受けるところの準備をする者が出るというような実態になってきているんじゃないか。上におもねて子供を疎外するところの教育になっていくんじゃないのか。教育はそこから荒廃していくんじゃないのか。そういうことを、教育の特殊性というものが、この法律を通してどう給与改善をするかということになるならば、私は最初に申したように、この人確法に基づいての給与改善に当たっての教員の賃金のあらまほしさというものは、一体人事院はどう考えているかということから私は御質問申し上げているわけでありますけれども、そういう意味ではそういう点を十分に御配慮いただきたいと思うのであります。  その次、産業教育手当、定通手当を支給しないということ、これはもう余り意地悪い質問をいたしません。今後どうなさいますか。
  76. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 前段のお話は大変傾聴すべき御意見でございまして、私も十分理解ができるところでございます。この間の法案の審議でそれぞれの、内閣委員会におきましても、一般教員についても上に行く措置を講じろ、そういう道をひとつ研究しろというふうなことがありましたのは、いままさしくおっしゃいましたような線に基づく御意思であるというふうにわれわれも承っておるのであります。これについても、附帯決議趣旨もございますので、十分配慮をしてまいりたい、かように考えております。時期その他の点につきましては今後検討いたしたいということでございます。  それから第二の産業教育あるいは定通関係に対しての特別手当の支給の問題でございますが、これはここでるるその趣旨を御説明いたしますことは省略をさせていただきますが、われわれとしては、一つの見地を持って定通、産業教育等についても、今度の特別手当趣旨を踏まえた措置でもあったのであるから、その重複は避けた方がいいということで一応やったわけでありますけれども、しかし国会論議の過程を通じていろいろな御意見もございました。われわれもこれに対して見解を表明いたした次第でございまして、今後実態の調査その他をやりまして、できるだけ早期に趣旨に沿った措置を前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
  77. 木島喜兵衞

    木島委員 これは調査などという余りめんどうくさいことは要らない、きわめて論理は明快であります。二つ法律は、二つ法律をおのおの違ったところの立場からつくられておるのですから、余りぐだぐだと言うことはありません。法律趣旨に沿って、附帯決議趣旨に沿って明快におやりいただきたい。  それから義務教育等教員特別手当という「等」というのはどういう意味ですか。
  78. 茨木広

    茨木政府委員 これは義務教育学校教育職員についての給与改善が本体になっておるわけでございます。そこで、義務教育教員特別手当という名称が一応出てきたわけでございますけれども、均衡を考慮して逆転を防止する必要上、最小限度の配慮をやはりその他のものについて持っていく場合がございます。そこで、すぐ出てまいりましたのが高等学校でございますが、その場合に高等学校の先生に義務教育教員特別手当の支給というかっこうもいかがかということで「等」が入った、こういうことでございます。
  79. 木島喜兵衞

    木島委員 時間がありませんから、少し議論したいところなんですけれども、この点は人確法附帯決議で、「高等学校、幼稚園並びに盲学校、……との均衡を考慮して同時に必要な措置を講ずること。」、そういう附帯決議の一環としても、これは私は決して否定するんじゃありません、とすれば、なぜ幼稚園が入らなかったのだろうかと思うのですが、いかがですか。
  80. 茨木広

    茨木政府委員 この附帯決議の中にも、「給与改善との均衡を考慮して」ということで、「考慮して必要な」と、こういうふうな文言になっておりまして、そこにいろいろ判断の入る余地が残されておると思っております。  具体の問題といたしましては、御案内のように、幼稚園につきましては、まず昨年度の改善だけでも三種類行われておるわけでございます。第一次教員給与改善、夏の勧告、それからもう一つ、御案内の教職調整額の適用問題、こういうものが三つ昨年一年の間に行われております。その関係上、必ずしも十分まだ消化し切れてないという現地の実態も一つございます。それから、今度の給与改善考えていきます場合に、義務教育が主になりまして、その他については均衡上やむを得ないものについて配慮をしていくという措置に相なったわけでございます。その点が第一次改善の場合と高さも違ってまいりましたので、第二次改善については大変周辺との関係ではきつい状況が出てまいったわけでございますが、そういう中で幼稚園の問題も考えますということになったわけでございます。そこで、幼稚園については本法の改善は適用いたしますけれども、手当の方は今回は適用しない、こういうことに相なったわけでございます。その辺のところは、先ほど申し上げましたような昨年のいろいろ三回にわたる改善の問題の消化状況というようなこともございまして、そういう措置に相なったわけでございます。
  81. 木島喜兵衞

    木島委員 三回の給与改定でも消化し切れないというのは、これはどこも同じことです。幼稚園だけで理屈になりますか、理屈になりませんよね。しかも、私さっき言わないでおこうと思ったのだけれども、たとえば高等学校につけるという中には、これは本来、議論していきますと、三本立て賃金というものに言及せざるを得なくなっていきます。同じ学歴でもって同じ教員になるための、たとえば大学を出てそうして勤務する場合が違うからといって、小中学校と高校でもって賃金が違っていいのかどうか。そういう思想もおありでもって均衡というものを考えて「等」とおつけになって高等学校にも手当を支給するというように私は理解しておるのですが、そうじゃないのですか。
  82. 茨木広

    茨木政府委員 一番密接な関連があると申しますか、均衡上まず考えなければいかぬという点が高等学校と小中学校の間の関係であるということは、先生いま御指摘のとおりでございます。同一大学の中を出ました者が相別れて勤務するという実態が大変進んでまいりましたので、そういうような姿が第一次教員給与改善のときから漸次出てまいっておるというのは御案内のとおりであります。
  83. 木島喜兵衞

    木島委員 したがって、今日、国立大学には幼稚園の教員の養成課程があって、その卒業生がずいぶんと公立に勤めておる。とすると、高等学校についていまおっしゃったことと同じことが幼稚園に言えるんじゃないでしょうか。そういう実態というものをやはりつかまなければ——今日、国立大学にそういう幼稚園の教員の養成機関があるでしょう。同じ四年制の大学を出て、そうして幼稚園に勤める、小学校に勤める、高校に勤める、そういう均衡というものは考えないでいいのですか。消化なんという問題、これは議論の対象にはなりません。
  84. 茨木広

    茨木政府委員 先生の給与考えていきます際に、大学の卒業の点だけで問題を決定するというわけにもまいらない、それも一つの非常に大きな要素であったことは事実でございます。特に小中学校高等学校との関係ではそういう関係が大変濃厚な要素としてあったことは事実でございます。しかし、また、勤務のというか、その内容の点からいきましても、小中学校高等学校でございますと、特に中学校高等学校というような関係で見ますと、漸次中学校から高等学校に進んでいくという過程の段階の生徒をお取り扱いになるということで、その間に大変類似性が出てきつつあるということも、これまた間違いない問題だろうと思います。そういう点から特に両者においては密接な関係があるという点であります。幼稚園の方になりますと、子供さんが小さい関係もございまして、そう長時間学校の中に置くということもできませんし、その辺の園児をお取り扱いになる時間帯その他の問題についてもやはり相当異なっております。それから義務との関係では、片方は御案内のように義務制ということになっておるわけでございますが、幼稚園の方はまだ義務制ではない。それから全国的に見ましても、保育所系統と幼稚園系統と二分するようなことになっておるという、いろいろな問題がその間にございますものですから、そこでその他のところでも触れましたように、幼稚園の問題については今後の検討課題ということで指摘もしておりますように、なお今後検討したいというふうに考えておるわけでございます。
  85. 木島喜兵衞

    木島委員 いま、がちゃがちゃおっしゃったが、それじゃ聞きますが、幼稚園の先生方は教育職の俸給表を使うことは、あなたのいまの理屈から言うと合わないということですか。
  86. 茨木広

    茨木政府委員 教育俸給表を使うことが合わないというようなことはまだ考えてもおりませんし、これからの研究問題ということでそこに出してあるということでございます。
  87. 木島喜兵衞

    木島委員 教員の俸給を使うのは研究問題なんですか。
  88. 茨木広

    茨木政府委員 いえ、教員の俸給表を使うというか、どういう俸給表を適用したらいいのかという問題でございます。と申しますのは、先ほどの小中学校の問題と高等学校の問題が、漸次号俸がいま同じ金額になりつつある、進行しておるわけでございます。そうなってまいりますと、高等学校の方に小中学校の俸給表が寄っていくというのか、両方が接近してまいるという問題が一つございます。その場合に、そのまま幼稚園の方の問題をどう考えていったらいいのかという問題が出てくるわけでございます。それから学歴の関係でと申しますか、免許資格の問題で申し上げましても、これまた国立と公立で大変違うようでございます。国立の場合には四年制の大学出の場合とそれから短大出の場合と大体半々ぐらいのところになっておりますが、公立の方になりますと大変事情が変わってまいりまして、大学出は非常に少なくなりまして、約八割程度の者は短大出、二割程度高等学校出の方がいらっしゃるというようなふうに大変構成も違ってまいります。そうなりますと、従来、師範学校出を中心とする義務制に対しまして、旧制の高等師範、文理大等を中心とします高等学校というようなことがいろいろ問題になって三本立てができたのでしょうけれども、それがだんだん実態が変わってきたというようなことで実質的に両俸給表の間が接近してまいったという実態がいまできつつあるわけでございます。その辺の問題もいろいろかみ合わせて検討していかなければいかぬむずかしい問題があるのではなかろうか、こんなふうに考えておるものでございますから、短兵急にどうだというふうに聞かれましても、どうもお答えにくいというのが現状でございます。
  89. 木島喜兵衞

    木島委員 いや、いま聞いたのはこういうことなんですよ。あなたは保育所だとか勤務時間だとか何だかんだと言うから、そういう関係だと言うから、それでは教員給与表を使うのはいけないという考え方に立っているのですかと聞いているのです。そうではないのでしょう。
  90. 茨木広

    茨木政府委員 別にそれがいけないともどうとも申し上げておるわけではございません。
  91. 木島喜兵衞

    木島委員 いままで文部省等もいろいろな指導して、教育職に移るようにという指導はしておりますね。それはもう御存じでしょう。それをいいとも悪いとも言わないとおっしゃるのですか。学校教育法上は、幼稚園も学校教育法上のきちっとした機関として規定されておる。いまおっしゃった学歴は、どこへ格づけするかは別個ですよ。そうでしょう。そんなのは理屈になりませんよ。教育職であるか一般職であるかという問題なんです。教育職でないのですか。あなたは、なるのかならぬのか、いいとも悪いとも言えないと言っている。幼稚園は教育職じゃないのですか。
  92. 茨木広

    茨木政府委員 私の方の所管しております国立大学の付属の幼稚園、これはりっぱな教育職というふうに考えておりますし、そういうふうになっておるわけでございます。ただ、いま先生がお聞きになっておるのはいろいろ地方の問題をお聞きになっていらっしゃるようでございますが、地方の問題は、御案内のように教育職俸給表を適用していらっしゃるのもありますれば、行政職俸給表を適用していらっしゃるのもあれば、また別途のやつをつくっていらっしゃるところもあるということで、いろいろ実態が分かれておるようでございまして、直接私の方からどうこうというふうに申し上げることは差し控えたいと思います。
  93. 木島喜兵衞

    木島委員 私がきょう質問しているのは、教育職員の賃金のあり方というものを人事院はどう考えているかということなんです。だから、学歴その他はそれでもって処理ができる。国立は教育職員であって、それじゃあ地方の公立の幼稚園は教育職員じゃないのですか。学校教育法上どうなんですか。実態はいろいろあるかもしれない。それはいいですよ。実態がみんな教育職ならこんな質問はしませんよ。実態はばらばらですよ。それはわかる。わかるが、実態がそうであるということと、どうあるべきか、どうあらまほしいかということを聞いていると最初から言っているのです。教育職じゃないのですか。学校教育法上どうなんですか。明確にしてください。そんなことでいいのですか、人事院は。
  94. 茨木広

    茨木政府委員 幼稚園の教諭は学校教育法上教育職員のグループに入るか入らぬかということでございますれば、それはもう教育職員ということに入ると思います。しかし地方のことでございますので、それはどういう俸給表を適用するのがよいかというふうに聞かれますと、私の方としましても直接ここではお答えにくい、こういうふうに申し上げておるわけです。
  95. 木島喜兵衞

    木島委員 それではあれですか、小中学校の公立は、教育職の給与表を使うなんということはあなた方には言えないわけですか。いいの悪いのと言えないのですか。そういう思想でもっていつも勧告をやっているのですか。
  96. 茨木広

    茨木政府委員 ぎりぎり詰めたことでまいりますと、公立の学校のものについて私どもとしては勧告を申し上げるというたてまえに相なるわけでございます。ただ、小中学校については、これは義務教育としてもう画一的に指導され、制度化されておりますので、その辺も横にらみしながら物事を考えていかなければいかぬという立場に置かれておるというのが実態だろうと思います。
  97. 木島喜兵衞

    木島委員 総裁、いいですか、学校教育大学、高校、まあそれに高専がありますか、あるいは中学校、小学校、幼稚園、まあ養護学校とかそういったものは別ですが、これは学校教育法上の教育職ですね。教育機関ですよ。それの教員は教育職ですね。その教育職は教育職の俸給表を使われるのがあたりまえでしょう。実態はどうあれ、人事院とすればそうなることが好ましいとお思いになるでしょう。実態とかなんとかじゃないのです。どうあらまはしいかということです。
  98. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 給与局長が申しておりますのは、幼稚園関係についてはいろいろ検討すべき問題点もあるということで、それらについてはなお検討を持続したいということを考えているのだという趣旨のことを申し上げたのでありますが、いまお尋ねように、義務教育あるいは高等学校とは対象が違いますけれども、幼児であるけれどもこれは教育ということには間違いないわけであります。したがって、現在の制度からいえばたてまえとしては、どういう俸給表がいいかということを今後検討することは別問題といたしまして、やはり教育職であるというたてまえは間違いのないことであろうかと思います。ただ実態は、よく御承知でありますように、現在大部分の公立の幼稚園につきましては、教育職の表をやっておるのもあるし、独自の俸給表をつくっておるのもあるし、あるいは一般行政職の俸給表の適用をやっておるものもあるという実態はございますけれども、しかし、あるべき姿と言われれば、これは幼児といえども教育であるということには間違いないことだと思います。
  99. 木島喜兵衞

    木島委員 学校教育の形態からいって、幼稚園は教育の法律によっての教育機関なんだから、当然なんですよ。そうでないと保育所までそうだという式になりますからね、幼児の教育というのは。そこのところを明確に。だから、そういう意味で教育職であるならば教育職の俸給表を使うことが好ましいのは当然でしょう。地方自治体でもってどうしているかという実態はいろいろある。あるけれども、好ましいのは好ましいでしょう。そういうことは、人事院の幼稚園の先生を含めた賃金のあり方についての物の考え方を私は聞いているのですから、そうじゃありませんか。
  100. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういう意味であればわかりましたですが、幼稚園といえども、実質は類似したものでありましても保育所とは違うわけでありますから、これは純然たる教育機関である、そこで働く者は教育者であるということだと思います。
  101. 木島喜兵衞

    木島委員 したがって、給与の問題では教育職の俸給表を使用することが当然であるということになるでしょう。
  102. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 給与の問題として言いますと、現在の制度のたてまえから申しますれば、御説のとおりであります。
  103. 木島喜兵衞

    木島委員 それがなかなか実施されておらない。この点は、文部省は文部省なりに、人事院人事院なりに、まあきょうは自治省来ておらぬけれども、自治省は自治省なりに、そのような方向に進めるように御努力いただきたいと思います。  時間が過ぎて、もうやめろやめろという話でありますからやめますけれども、いずれにせよ、きょう私が申し上げておることは、この国会でつくった人確法趣旨というもの、法意というものが尊重されなければならない、その点が大変不満である。さっき私がお聞きしましたように、この人確法に基づいて、第三次のことも含めて今後の教員給与がどうあるべきか、そのことの思想を明確にされて、たとえば今回の法律に対する附帯決議、あるいは第三次その他についても今後十分なる御勘案を賜りますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  104. 久保田円次

    ○久保田委員長 山原健二郎君。
  105. 山原健二郎

    ○山原委員 いま木島先生からもお話しになりましたように、この人確法は本委員会においてもずいぶん大きな論議を呼びました。そして参議院におきまして、この法案を通すに当たって附帯決議がつけられております。したがってこの附帯決議というのは、法律にしばしば附帯決議はつけられますけれども、この附帯決議によって各党が賛成をしたというそういういきさつがあるわけです。この附帯決議は非常に重要な意味を持っているわけです。それが果たして今回の勧告によって守られておるかどうか、これはわれわれにとって非常に大きな関心のあるところです。その意味で、私は主として文部省、それから自治省、それから人事院に対する質問を行いたいと思います。  最初に、いま文部省が学校組織調査というのを行っておりますが、この中身それから目的、これを最初に報告してもらいたいのです。
  106. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省におきましては、教員給与の第二次及び第三次改善の内容といたしまして、去る三月の七日付をもちまして人事院に要望をしたわけでございますが、その中に教務主任、児童生徒指導主任、学年主任等の職務を担当する教員に対しましては、その職務と責任にふさわしい処遇を確保する必要があるので、当該主任等に関する規定の整備と相まって給与上必要な措置を講ずることという要請をいたしておるわけでございます。  この点につきましては、あらかたの実態資料は整えておるのでございますが、さらに詳細な資料を入手すべく現在調査を始めておるということでございます。
  107. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいまの安嶋さんの答弁によりますと、いわゆる主任手当といいますか、そういうものを人事院に対して要請をしておるということと、この附帯決議ですね、先ほど取り上げられましたいわゆる五段階給与制度はとらないということですね。この国会において論議をしてきました問題との関係はどういうふうに把握されておるのですか。
  108. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 いわゆる五段階給与と申しますと、校長、教頭、上級教諭、一般教諭、助教諭のこの五段階を言うものと理解をいたしておりますが、ただいま御指摘の主任等につきましては、そうした五段階に対応する職ではございません。教務主任にいたしましても学年主任にいたしましても、現にほとんどの学校におきましてそうした校内組織があるわけでございまして、その仕事に従事する先生方は特別な職務を負荷され、また重い責任を負っていらっしゃるわけでございますから、そうした職務の実態に対して何らかの給与上の措置をすることが必要であろう、こういう考え方を前提にいたしておるわけでございます。特別に新しい制度を設けてということではございませんで、現行給与制度の中におきまして、その運用として、そうした主任等の方々にそれにふさわしい給与を与えるべきである、こういう考え方が前提になっておるわけでございます。
  109. 山原健二郎

    ○山原委員 国会で論議したことは、いわゆる五段階給与制度という言葉で集約をされておりますけれども、論議をされたことは、要するに、学校の中に賃金の格差を持ち込む、このこと自体が論議をされてきているわけですね。そのことから考えますと、文部省の意図というのは、われわれが国会において論議したことを、言葉の上では変わっておりますけれども、実質的にはまさに格差賃金を持ち込んでいく、なし崩しにやっていくことになるのじゃないですか。その準備をし、すでに人事院に対してその要請をしたということは、私いま初めて聞きまして大変驚いておるわけです。学校の中にそういう格差賃金を持ち込む、これが文部省の考え方ですか。
  110. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 格差賃金というお話でございましたが、ただいまお答えを申し上げましたように、教務主任等の先生方は特別な職務を負荷され、かつその責任も重いことでございますから、それにふさわしい給与上の処遇をお願いしたいということでございます。同じ仕事をしている先生方に対して違った給与にするということを考えておるわけではございません。
  111. 山原健二郎

    ○山原委員 それでは、五段階論争がなされたときの上級教諭というのはあなたも使われた言葉ですから、上級教諭というものはどういうふうに理解されておったのですか。
  112. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 いわゆる五段階給与ということでございまして、その中におきまして考えられておる上級教諭というのは、私の理解では、かつて中教審がそうした考え方を答申をしたことがございます。そのことを一般に上級教諭と言っておるものと理解をいたしておりますが、中教審がその答申で上級教諭というふうに申しておりますのは、大学院で再教育を受けまたはその他の方法によって高度の資質を身につけたと認定される教諭ということになっております。したがいまして、ただいま御指摘の教務主任等とはやはり考え方が違うというふうに私は理解をいたしております。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 われわれがこの場所で論議をしたのは、教育上の立場で論議をしておるわけですね。学校の中にいろいろな階級をつくって、そしてそれに対する処遇を変えていくということが学校の教育として果たして正しいかどうか、こういうことでわれわれは論議をしてきておるわけですよ。文部省も教育を担当しておる省ですから、われわれもそういう観点で論議をしてきておる。それは五段階給与体系制度というような言葉になったかもしれないけれども、その論議をした中身というのは、教育の立場に立って、ある一つ学校、たとえば十人先生がおる、二十人先生がおる、その中に幾つも幾つも階級的なものを持ち込むということが教育上正しいかどうかということで論議をしてきたのです。そういう中から五段階の問題も出てきているわけですね。すでにきょうのお話では、人事院給与局長はいま四段階だという言葉を使っているわけですよ。今度の勧告で教頭に対する処遇が変化することによって四段階になった、こう言っておるわけです。文部省、いまの法律による人事院勧告、今度の給与改定、これは四段階だと思っておりますか。どういう認識ですか。
  114. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 結果的には四段階になっておると思います。
  115. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、今度教務主任、学年主任、いまその調査をし、しかもすでに人事院に対して要請をしておる、これは人事院がそれに基づいて決定されたら五つになるじゃないですか。実質的にはそうなっておるという、いまの四段階という御認識であれば、そうでしょう、今度は五つになるんじゃないですか。賃金の形態から言えば、形から言えば五つになるんじゃないんですか。
  116. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私どもは五つになるとは考えていないわけでございまして、現在結果的に四段階になっておると申しましたのは、校長、教頭、教諭、助教諭でございまして、これはいずれも先生御承知のとおり法律上職種として確定したものでございます。ところが、教務主任あるいは学年主任といったものは、これは法律上の職種というふうには現段階では考えておりません。校内における教諭の一つの職務分担である、こういうふうな理解でございます。学校は、御承知のとおり教員の組織の点から申しますならば、これは一種の人的な組織でございます。この人的な組織体が円滑に運営されますためには、やはりその人的なある程度の組織と申しますか、仕事のまとまりと申しますか、そういうものがある方がより円滑な学校運営ができる。現にそういう必要から教務主任があり学年主任がある。ほとんどの学校でそういうものが設けられているということは、やはり実態上そういうものが必要とされておるということでございます。教務主任とかあるいは学年主任とかいった新しい職種を別に設けようというわけではなくて、現にあるそういう制度というものを前提にいたしまして、そうした仕事に従事しておられる先生方にその職務にふさわしい給与をなすべきであろう、こういう考え方でございます。
  117. 山原健二郎

    ○山原委員 いろいろおっしゃっても給与の面では差が出てくるわけでしょう。しかも、新たに法律的な職種を決定するわけではないけれども——法律的な職種を決定するならば国会議論をしますよ。ところがむしろそれよりももっと巧妙に、国会の論議の対象にならない形で、現に存在しておる職種だから、これに対して処遇を変えるという新しい事態をあなた方考えている。では学校というものが一体どういう——人的構成というお話でございますけれども、学校というものを構成している人的構成が学校における教育効果をどういうふうに上げていくか、子供たちにとってどういう教育が本当に正しいのか、その論議がこの問題をめぐって国会で行われましたか。本当はそこで起こらなければならぬでしょう。たとえば教務主任と学年主任その他いろいろな主任がたくさんありますよ。恐らく何十種類とあるでしょうね。スポーツの主任もおるでしょうし、あるいは図書主任だっておるでしょうし。そういうものの中からあなた方はいま三つですか、教務と学年、それから児童生徒指導と言われている。法律には出さないけれども、学校の中に一つの賃金の異った存在を持ち込もうとしているんじゃないのですか。そこがいままで論議されたんじゃないんですか。それか中教審の言っておる五段階——中教審も五段階というふうな言葉で言われておるけれども、国会でわれわれが論議をして、附帯決議としてそういうものは持ち込まないということは、そういう論議の上に成立しておるわけですよ、附帯決議は。それをまさになし崩しでやろうとしておるのじゃないですか。この点は後で文部大臣がおいでになったらお聞きしたいと思いますので、私が別の質問をしておる間に、文部大臣に山原からこういう質問があったということをお伝えいただきまして、後で御答弁をいただきたいと思うのです。  二つ目、自治省に対して質問をいたします。  自治省が事務次官通達を出しております。三月二十日ですね。自治給第十九号です。「教員給与改善に関する取り扱いについて」各県人事委員会、県知事等に出しておりますが、これはなぜ——三月二十日といいますと国会にまだこの法律は上程されていない段階じゃないですか。国会に提出されたのは三月二十四日です。そしてこの法律は成立するかどうかわからぬ、あるいは修正されるかもしれないという段階ですね。その段階でどうしてこういう通達を出したのか、伺っておきたいのです。
  118. 金子憲五

    ○金子説明員 この時期におきまして、昭和四十九年度はその後地方の統一選挙を控えておりまして、各県の議会はこの時期にほほ半数が議会を終えようとしている状況でございました。したがいまして、これ以前に給与課長内簡で取り扱いにつきまして概略を通知し、国においての取り扱い方針が定まったこの段階におきまして事務次官通達で、ただいまお話しのような取り扱いについての文書を出したということでございます。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 普通の場合ならともかく、人事院勧告の基礎になっておりまする人材確保法というのは、これは明らかに政策的な問題として、政治問題として論議をされてきたことなんですね。それに基づく人事院勧告が行われて、そして法律国会に提出をされたのが二十四日ですよ。そして法律が可決されたのが三月三十一日。その以前にあなた方が出されたこの通達というのは、御承知のようにきわめて確定的な、たとえば調整の問題あるいは公立幼稚園教員給与については人勧の趣旨に従い処理すること、あるいは三項目には専決処分を行わないようにすることなど、まだ法律が上程もされていない、国会審議はまだなされていない、修正されるかもしれないという段階で、こういう確定的なことを出すということは、私は大変不見識なことだと思うのですよ。当然のことですか、そういうやり方が。
  120. 金子憲五

    ○金子説明員 すでに御承知のところでございますが、地方公共団体の職員の給与改善につきましては、地方公共団体の人事委員会においての勧告という手続が必要でございます。それにつきまして、従来もそうでございますが、国におきまして人事院勧告が行われた場合、その団体の給与状況その他を勘案いたしまして人事委員会の方が勧告を行うというのが通例でございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう単に給与の問題だけでなくて、教育上の論争が行われてきた法律、そして同時にそれに基づいて勧告がなされたこの段階、しかもそれに基づいた法律はまだ国会に上程されていない段階ですよ、あたりまえだと言えますか。国会でこの法律か仮に——いま参議院において与野党勢力伯仲だと言われている状態を迎えているわけですが、そんなことは別にしまして、仮にこの法律が否決されたときはどうするのですか。あらかじめ法律が通るということを完全に予想して、そして各県の自主的な権能を持つ人事委員会に対してこういう通達を出すということ、これは私は正しくないと思う。あなた方はやはり正しいと思っているのですか。
  122. 金子憲五

    ○金子説明員 人事委員会勧告につきましては、従来の私どもの考えといたしましても、指導上も、国において法律が確定をしてから、成立をしてからでなければ勧告をしてはならないというような指導はいたしておりません。それぞれその団体においての給与の実態その他を考え、あるいは国との均衡考えて独自の立場でもって勧告をしなさい、このように申してきております。したがいまして、あと具体的に各団体において議会に提出をしどのような形で成立をさせるか、これにつきましては国会においての成立を待って行いなさい、このような指導方針で臨んできております。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 専決処分の否定とか均衡上必要な調整というような文言ですね。これなどは各人事委員会の権能に対する一定の制約を加えるものであることは明白です。しかも法律はまだ審議されていないという段階で、全く自治省というのは親切なように見えますけれども、実際はこの文章は幾つかの脅迫を含んでいますよ。そういう横着な態度をとるべきでないと私は思う。しかもこの中で三点ばかり問題がありますから申し上げますけれども、「一般の公立幼稚園教員給与については、人事院勧告に関する「教員給与改善についての説明」の趣旨に従い、処理すること。」こうなっているのですね。すなわち「人事院勧告に関する「教員給与改善についての説明」」というのは、今回の改善を及ぼすことは適当でないということが説明になっているわけです。これは国会を通るか通らぬかわからぬですよ。三月二十日の時点では通るか通らぬかわからぬ。それを明確にその「趣旨に従い、処理すること。」こう述べているわけでしょう。だから私は、国会審議との関係で非常に重要な通達だと思うのです。これは衝にある者がおいでじゃありませんけれども、どうです、私は無理を言っているのですか。公立幼稚園についてどういう決定がなされるかわからない段階ですよ。人事院勧告はなされておるけれども、まだ法律の行為は発生していないのです。その段階で断定的に、これに従って処理することということを自治省は言えるのですか。
  124. 金子憲五

    ○金子説明員 順を追って御説明申し上げますと、先に、専決の件につきましては、給与については特にその団体においても重要な問題でございますし、今回、教員給与改善につきましてはいろいろ調整措置を講ずる必要がある、専決処分でやるのは適当でないというふうに考えております。この点は、専決処分というのは地方自治法上の規定で、御承知のことと存じますが、会議を招集しても会議が成立しない場合あるいは急施を必要とする場合等非常に限定されておりまして、この際専決処分をするのは適当でないというふうに考えた次第でございます。  それから調整措置につきましても、従来、教員給与改善につきましてすでに各団体が独自の措置として改善している部分がございます。この部分につきましては十分に考慮をして調整措置を講ずるのが適当である、このような趣旨でございます。  それから幼稚園の教員につきまして、国の方で法律が成立する以前にこのような断定的なことを言うのはけしからぬということでございますが、これにつきましても国立の幼稚園との関係からいきまして、一般的に公立の幼稚園はその態様、それから職員の構成等が違っておる。そのようなことから人事院勧告においても説明にこの点が特に付されておりますので、その点を十分理解をした上で人事委員会においての勧告あるいは実施についての準備をしてもらいたい、このように注意を喚起している次第でございます。なお人事院に対しましても、私ども自治省といたしましては、地方団体の人事行政につきまして協力それから助言をするということが地方公務員法上あるいは自治省設置法上の権限とされております。具体的な判断そのものについて介入するということになると問題があろうかと思いますけれども、一般的な助言勧告はむしろ私どもの責務であるというふうに考えております。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 人事院勧告の中で公立幼稚園をのけた理由、これは説明を読ましていただきますけれども、「幼稚園教員にあっては一般的にはこの点の事情に相違があるほか、その職務にも一部異なる点のあることが認められる。」こう出ています。この二つですね。「一般的にはこの点の事情」の「この点の事情」というのは、義務教員も高校と同様に大学卒の者が主体となりつつあるというのが前文にありますから、おそらく学歴のことを言っていると思うのですが、この学歴と、さらに職務にも一部異なる点がある、この二つについて説明をしてもらいたいのです。学歴のことは先ほど少し出ておりましたからその方は後で申し上げますが、この職務について一部異なる点がある、これはどういうことですか。これは具体的に言ってもらいましょう。
  126. 茨木広

    茨木政府委員 御案内のように、小中学校の方はまさに教育本体というか教育が中心でございますが、幼稚園の方は教育と同時に保育が入っておるという内容になっておりまして、その点が違っておるわけでございます。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 じゃ、学歴の方はどうですか。一遍聞いておきましょう。
  128. 茨木広

    茨木政府委員 学歴の方は、小中学校につきましては大学卒が小学校三一%、中学校五四%。短大が小学校四七%、中学校四一%程度でございますが、最近の採用者の状況を見ますと、小学校が七六%、中学校が九〇%大学卒というような状況になっております。これに対しまして幼稚園の方は、国の付属の方で申し上げますと、計のところで、大学卒が四五・五%、短大卒が四一・四%、高卒が一三・一%、こういうような状況になります。公立の方は都道府県の場合と市、町村と三つございますわけですが、計のところで申し上げますと、大卒が四・三%、短大卒が七六・七%、高卒が一九・〇%、こういうような姿に相なってまいります。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 学歴のことについて私は申し上げたくはありませんけれども、この人材確保法というのは、人材を教育に吸収をしていくということで出されたことはいままで論議をされているわけですね。そのために給与を上げていくということでしょう。学歴が低い人がその中に何%おるから給与が低くていいんだ、これは人確法の逆ですよ。逆の論法ですよ。全く乱暴な、幼稚園の教員は学歴が低くてもいいんだ、そういう論法になってくるわけですよ。これは人確法精神から言っても、この人事院考え方については私は納得するわけにはいかないのです。それを引き上げていく、そういう学歴も兼ね備えておる人たちを吸収していくというために人材確保法という法律があるわけでしょう。それができたわけでしょう。それと逆行する思想ですよ。これが第一点。これを指摘しておきます。  それからもう一つは、「職務にも一部異なる点」というのは、一次のときにはどうですか。何でこれが突然いま出てきたのですか、説明してもらいたい。
  130. 茨木広

    茨木政府委員 御案内のように、人材確保法義務教育学校教員の問題について書いてあるわけです。一条からその他のものについて敷衍していくような思想が多少うかがわれますけれども、御案内のように、主体は義務教育学校でございます。その関係上、幼稚園がすぐその中に入っておるとは考えられませんので、御案内のように、附帯決議の方を足がかりにしながら、均衡上考慮していくというグループに相なるわけでございます。  そこで、一次の場合には、御案内のように、他の一般行政職公務員給与水準等と比較いたしましてもいろいろ問題もございましたし、やはりそれなりの改善をやらざるを得なかったわけでございます。そこで、均衡上、高等学校なり幼稚園等に及ぼす際に当たりましてもそれは抵抗感がなかったわけでございますが、今度の二次ということになりますと、これはモチの三つ重ねみたいなもので、第一段階の場合には、一番末広がりに広く均衡考えていかなければいかぬ段階でございましたけれども、第二次改善ということになりますと、さらに高い段階になってまいりますので、いろんな要素を考えながら均衡を考慮していかなければいかぬという問題が出てまいったわけでございます。それだけこの給与水準が非常に高くなってくる段階で物事を考えていく、こういうことに相なったわけでございます。  そこで、幼稚園等の問題を考えてみますと、御案内のように、義務教育の場合のように公費で全額負担というたてまえにはなっておりませんし、一部は父兄負担でもって大部分のものが賄われていくというような実態もございます。そういう面で、いろいろ父兄側からの、先ほども触れましたように、昨年の三次にわたります改善等の問題の受け入れについてもやはり抵抗感があるということも御案内のとおりでございます。  そんなこともいろいろございまして、やはり高い段階になりました給与水準で、そのまま一次と同じように幼稚園の方に及ぼすことについては、慎重に考えざるを得なかったということでございます。
  131. 山原健二郎

    ○山原委員 この附帯決議は「義務教育学校教育職員給与改善との均衡を考慮して同時に必要な措置を講ずること。」ということですね。これは明らかに幼稚園教育についての漸進的な立場でこの附帯決議がなされているわけです。それが一次のときには全く問題にならないで、いろいろ理由をつけておられる。父兄が何とか言ったとかいうのは私はいま初めて聞いているわけですね。それから、高い段階になって、給与水準が高くなったから、こんな職務の一部に異なる点があるなどという理由づけをしているんじゃないか。三回目だと言うけれども、二回目などは調整額はどうですか。昨年の十二月ですよ。そういうところまで非常に悪い条件に置きながら、最後になってくると、職務の一部に異なる点という言葉が突然出てくる。こんな人事院勧告見たことない。職務の一部に異なる点というのは何ですか。具体的に挙げてください。何項目あるのですか。いまのお話は、三回目だとか、そんなことは理由にはならぬです。教育と保育があると言う。あって結構じゃないですか。それでなおかつ文部省は教育職としての方向を志向しているわけでしょう。そんな勝手なことを人事院が言う権限があるのか。職務の一部に異なる点があるとは一体何事か。個条書きに言ってください。一つ一つ論駁しましょう。職務の一部に異なる点があるというのは何々ですか。保育があることは一つだけわかりました。教育と保育が結びついておること、その一つだけしかあなたは挙げていないのです。職務の一部に異なる点とは、小中学校の先生方とどこに違いがあるのですか。具体的に挙げてください。それだけの確信を持ってこれは出てきたと思うのですよ。
  132. 茨木広

    茨木政府委員 先ほど御説明いたしましたように、教育のはかに保育が入っておるという点をそこで指摘したわけでございます。
  133. 山原健二郎

    ○山原委員 教育の中に保育が入っておるから——では一次の勧告をしたとき教育の中に保育が入ってなかったのですか。どうなんです。
  134. 茨木広

    茨木政府委員 先ほども触れましたように、一次の際の給与改善の段階と、第二次給与改善の段階では高さが違ってきておる。一次の改善の際には、全般的に一般職公務員との関係でも高めていくという必要性が具体的に明確にあったわけでございますけれども、それが一次改善で相当の高さに改善されました結果、二次ということになりますと、その上に上積みになっていくということに相なりますので、その点からの違いを先ほどから申し上げておるわけでございます。
  135. 山原健二郎

    ○山原委員 それは職務の違いではなくて、給与が高くなったから違いが起こってきた、こういう言い方じゃないのですか。高くなったから、そこで職務の一部に違いがあるという文句をつけてきたわけでしょう。  文部省はどうですか。公立幼稚園の先生方は職務の一部に違いがあるから給与上の差異を生じていいという考え方ですか。どうなんです。
  136. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまの御指摘のところは、これは公立幼稚園について言及されたところではなくて、小中学校と幼稚園の違いについて言及されたところだと思います。後段の「国立大学附属の幼稚園の教員均衡上特に必要と認められるものを除く一般の」云々ということになりますと、これは公立幼稚園に関係した部分かと思いますが、ただいま御指摘の点は国立の小中学校と幼稚園との関係であると思います。したがいまして、その点についての御説明は、ただいまの人事院のお考えを承るということであろうかと思います。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 では私が二つ、ここに書いてある一つは学歴の問題でしょう。一つは「その職務にも一部異なる点のあることが認められる。」、それから後は私も正確に読んでいませんけれども、「このため国立大学附属の幼稚園の教員均衡上特に必要と認められるものを除く一般の幼稚園の教員に今回の改善を及ぼすことは適当でなく、」——ここでどうして「職務にも一部異なる点のあることが認められる。」なんという文言が出てくるのですか。文部省はこれはどういうふうに理解しているのですか、もう一回説明してください。
  138. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省がどう理解しているかという話でございますが、これは人事院がお決めになった内容でございますので、その内容につきましては、人事院給与局長の御説明を承るほかはないということでございます。
  139. 山原健二郎

    ○山原委員 どういう評価をしているのですか。文部省のいままでの見解とここに書かれておることとは相違がありませんか、相違があるのですか。文部省としてはどういう見解を持っていますか。
  140. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この文言に即してお答えすることは私は差し控えたいと思いますが、小学校と中学校の教育あるいは保育の違いということになりますと、御承知のとおり片方は教育ということでございまして、各教科について組織的な知識内容その他を伝達をし、その他必要な教育活動を行っていくということでございますが、幼稚園の場合は文字を教えるとかあるいは算数を教えるとかそういった知識的な内容ということではなくて、むしろ遊びを通じて必要なしつけなりあるいは情操なりを陶冶していく、こういうことであろうかと思います。それがつまり保育の内容だと思いますが、活動の内容におきましてただいま申し上げたような違いがございます。もちろんその前提といたしましては、児童あるいは幼児の発達段階の違いということが前提になっておるわけでございますが、それを前提としながら、それに対する活動には、ただいま申し上げたような内容上の違いはあるというふうに理解をいたしております。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 小中学校の場合組織的な教育の体系といいますか、そういう教科課程といいますか、そういうものがあるということも一つの理由ですね。幼稚園はないのですか。
  142. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 幼稚園の教育につきましては、御承知のとおり幼稚園教育要領というものがございまして、その中に幼稚園の教育内容についての定めがございます。その内容は、先ほど申し上げましたように遊びと申しますか、生活を通じてしつけなり情操なりあるいは身体の健康なりを高めていくということでございます。もちろんそれが組織的でないわけではございませんけれども、国語とか算数とか社会とか理科とかいったそういう組織的な教育は行っていない、そういう違いがあるということであろうかと思います。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、その前に言っておきますが、人事院はいままで参議院あるいは衆議院の内閣委員会における答弁の中でいろいろ言っているのですよ、きょうは言わないのですけれどもね。たとえば附属の場合、それは指導とか実習があるとかというようなことを言っています。あるいは人事院の人にある交渉がなされていますけれども、その際には教育課程がないとかいろいろなことを言っているわけですね。文部省もその違いをいま言われているわけですが、まあ文部省は子守程度に幼稚園を考えているのか。中央教育審議会の答申をお読みになりましたでしょう。中央教育審議会の答申の中に何カ所も幼稚園教育についての重視の問題が出ているわけです。ずっと改めて見ましたけれども、そういう中教審答申全部いいなどと言っているわけではありませんけれども、幼児教育の重視という点ではだれだって一致できるわけですね。文部省だって言ってきているわけですよ。そういう点から言いますと、いまあなたの言われていることは、そういう違いがあるということと同時に、それが一方では三%本俸が値上げ、一方ではそれは据え置き、こういう結果になってくるわけですね。それほどの差異があるものとして安嶋さんお考えになっているのですか。どうですか。
  144. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御承知のとおり、従来から幼稚園の教員につきましては教育職俸給表(三)が適用されておるわけでございます。その原則は今日でも変わりがないというふうに理解をいたしておりますが、ただ、人事院勧告の説明におきましてただいま御指摘のような指摘がございますから、教育公務員特例法の二十五条の五に基づきまして、各地方団体が幼稚園教員の俸給表を定められます場合に、国の俸給表、つまり国の教(三)を基準としてお定めになるわけでございますが、その際は人事院勧告の説明に触れられているこうした事柄を踏まえて、具体的には各人事委員会がそれぞれの地方公共団体の幼稚園の教員の俸給表をお定めになる、こういうことであろうかと思いますが、しかし基本は教(三)ということであるというふうに考えております。
  145. 山原健二郎

    ○山原委員 そこで、その前にもうちょっと言いますけれども、私がなぜ言っているかというと、この人事院勧告、職務の一部に異なる点があるなどということから、今度は自治省の通達になる、これが下におりていくわけですね。そういうことだから、私はいま重視してその問題を細かく言っているわけです。  それからもう一つは、先ほどあなたは教育職の給与表の(三)の適用を堅持すると言われるわけですね。どうですか、人事院の方はそう言わないのですよ。教育職(三)、これについても検討するというようなことを言っているのですよ。検討すると言っています。これにのっとるともどうとも言っていないのです。いままで文部省は何遍もその点は指摘してきているわけでしょう、教(三)をたてまえとすると。四十九年の皆さんが出しているのを読み上げてみましょうか、何遍もそういう指導をしてきている。文部省の考え方としては教育職(三)表がたてまえであるということを言い続けてきている。ところが今度はこれから幼稚園は外される。しかも、先ほどの人事院考えでは、何か別の給与表をつくるかのごとき発言をしているのです。この点一体どうなっているのですか。文部省と人事院との考え方はここで全く違うのですか。双方から伺っておきたい。
  146. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど申し上げましたように、公立幼稚園の教員給与は、教育公務員特例法の二十五条の五の規定によりまして、国の教育公務員給与の種類及び額を基準とするということでございます。したがいまして、基準とは何かという問題が起こるわけでございますが、現時点におきまして教(三)が基準であろうというふうに考えておりますが、ただ、今回の人事院勧告におきましては、その説明におきまして「国立大学附属の幼稚園の教員均衡上特に必要と認められるものを除く一般の幼稚園の教員に今回の改善を及ぼすことは適当でなく、」云々ということがございますから、各地方公共団体におきまして、教(三)は基本ではございますが、それを適用いたします場合には、人事院勧告に含まれているこうした趣旨も踏まえて具体的な措置がなされる、こういうことであろうかと考えております。
  147. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、人事院の見解によって、いままでの確固たる方針が、それはいろいろ実情はあると思うのですよね、しかし文部省の考え方というものがいま変わろうとしているのですか、人事院の見解によって変化しようとしているのですか、どうですか。
  148. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 繰り返しになるわけでございますが、国の基準によるということでございますから、その国の基準内容が何かということになれば、教(三)の俸給表と今回人事院勧告をされた説明内容そのものを踏まえて、各人事委員会が幼稚園教員給与についての考え方を固められ、それが各地方公共団体の幼稚園教員給与の基礎になる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  149. 山原健二郎

    ○山原委員 人事院がそんな政策的な問題にまで介入する必要はないです。そんなことでごたごた動いてどうなりますか。人事院は昭和四十年七月十九日、これは教育職(三)表適用につきまして日教組の質問に対する人事院の回答、この中には、人事院の回答、この中には、人事院は「教育職俸給表目が適用されることになっている。」と言っているじゃありませんか。それからさらに、文部省初中局が出しました各都道府県教育委員会給与主管課長あて通達、これは四十一年十二月二十一日、「公立幼稚園教職員の俸給表は一般職の職員の給与に関する法律における教育職俸給表(三)が適用されることが建前であります。」とこう言ってきているわけでしょう。人事院だってそう言ってきているわけでしょう。何でここでごたごたとするのですか。何でこんなことになるのですか。人事院の見解をもう一回聞きたい。
  150. 茨木広

    茨木政府委員 いまいろいろお挙げになりましたのは、四十七年当時の俸給表を基礎にしての考え方でございます。今度のものは、第一次教員給与改善、第二次教員給与改善というものを経た後の俸給表の考え方としてはこうであるということで問題があるという指摘をやったということでございまして、そこにもう俸給表の内容が非常に変わってきつつあるということを踏まえての言及でございます。
  151. 山原健二郎

    ○山原委員 そういうことを人事院考えるのはともかくとして、こういう発表をして、しかもいままで取り続けてきた文部省の方針までがいま揺らごうとしている、こういう状態です。  ついでにここで聞いておきたいのですが、幼稚園の教頭さんはどうなっているのですか。幼稚園だって教頭はあるわけですね。
  152. 茨木広

    茨木政府委員 国立の幼稚園の教頭は、御案内のように園長が、教授の方が兼ねていらっしゃるものですから、その関係上、一等級にすでになっておるわけでございます。
  153. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、その点は素人だからごまかしやすいかもしれませんが、「初任給、昇格、昇給等の基準」、人事院規則九−八ですね、教育職俸給表目等級別標準職務表、これによりますと、特一等級、小中学校の困難な職務の校長、それから一等級、小、中、幼稚園の校長、園長、小、中学校の困難な職務の教頭、こうなっているわけであります。これから見ますと、園長は一等級に残る、それから教頭は二等級にそのまま格づけされるという、こういう結果になるのですね、そういうことですか。
  154. 茨木広

    茨木政府委員 標準職務表の表現は、制度のたてまえ等をあらわしておるわけでございますが、それはいま先生がお述べになられましたとおりでございます。実態は、先ほど私が答弁いたしましたように、前の指導で、先ほど申し上げましたような等級にすでになっておるわけでございます。
  155. 山原健二郎

    ○山原委員 一職一等級という皆さんの方針とこの学校教育法によるところの幼稚園の教頭、これはどうなるのですか。
  156. 茨木広

    茨木政府委員 前の通達では、先ほども申し上げましたようなことになっておるわけでございますが、今度特一等級を設け、一等級、二等級とこういうふうにそれぞれ等級のたてまえを明確にいたしました後の今後の問題については、附属の教頭をどういうように扱っていくかということについては、いまのこの等級制度のたてまえから、その点を処遇し得るように明確化してもらうという問題がやはり絡んでのことで、今後、お互いにいま文部省との間で検討をしておるという段階でございます。
  157. 山原健二郎

    ○山原委員 それでは、幼稚園については別の給与表をつくるということですか。幼稚園の給与というのは一体、どこへ行ったのですか。基準がどこにあるのですか。
  158. 茨木広

    茨木政府委員 国立に関します限りは、幼稚園の給料表は教育俸給表の(三)表でございます。
  159. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省、国立に関しないところはどうですか。
  160. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国立の給与表が教育職の(三)表でございますれば、公立も(三)表でございます。
  161. 山原健二郎

    ○山原委員 それでは、この改善された給与法を適用して、さらに四%の教員特別手当をつけるのは当然じゃないんですか。
  162. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国立の幼稚園につきましても、その特別手当は出ていないわけでございますから、したがいまして、公立幼稚園にも、基準としては出る余地はないと考えております。  それから、先ほども申し上げましたように、基本は教育職俸給表(三)表でございますが、人事院から、先ほど申し上げた趣旨勧告の説明があるわけでございますから、現実の適用といたしましては、そうした事柄も踏まえて運用すべきであろうというふうに考えております。
  163. 山原健二郎

    ○山原委員 あなたは先ほど教特法二十五条の五を出しましたね、国に準じてと。これの使い方ですね、いま全く、給与を下げる場合にはこれを使い、実際に上げるときについてはこれを使わぬという、こういう結果になっておるのですよ。国に準じてやればいいでしょう。そうじゃないですか。
  164. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 給与改善をする場合にも、教特法二十五条の五に基づいて改善が行われておりますし、また行われるべきものと考えております。
  165. 山原健二郎

    ○山原委員 問題は、文部省も幼児教育の重視ということを言っているわけですね。そうでしょう。そうしてこれについて教育職ということを志向しているわけでしょう。そういう点から考えると、しかも、もとへ戻りますけれども、この人確法附帯決議の点から言っても、なぜこれを外したのかということを私は言いたいためにいろいろ言ってきているわけですね。なぜこれを入れなかったのか。文部省はこれでも結構だと思っているのですか。人事院勧告、これでもう文部省は結構だとこの問題では思っているのですか。
  166. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省と申しますか、政府といたしましては、人事院勧告を尊重するという立場でございます。したがいまして、勧告あるいはその勧告に基づく法令に基づいて教員給与改善を進めていきたいということでございます。
  167. 山原健二郎

    ○山原委員 人事院は政策面にまで立ち入ることはないのですよ。何でここまで来たのかという問題をさっきからもう皆さんが言っているのは、これなんですよ。人事院が踏み込んできて、それに対してなぜ文部省としては——中央教育審議会の答申だって何遍も何遍も出てきたし、いままであなた方も文部大臣が何遍、この幼児教育の重要性を主張してきましたか。その観点から言うならば、人事院に対して、そこまで踏み込む必要はないんだという態度がなぜとれないのか。だから私もその点では何遍も繰り返しばっかり言っているのですが、人事院だって、先ほど言ったようなたとえば教員組合に対する回答を出している。ところが、今度の改定によってはこれを外している。国会の方は附帯決議をつけている、こういう状態。国会の方は、政治的、教育的観点からこの附帯決議をつけているわけだ。これを明らかに踏みにじってきている。それに対して一言も文句を言わないで、人事院勧告に従ってやるまでですということになれば、いままで文部省の掲げてきた幼児教育の重視などという教育政策上の問題は一体どうなるのか、その点を聞いているわけですよ。これは永井文部大臣に伺っておきたい。
  168. 永井道雄

    ○永井国務大臣 人事院勧告というのは尊重すべきものであると思います。他方、文部省は年来の政策的な理想というものがあり、これを追求していくという立場にございます。そして、その政策的な要求の一つが幼児教育の重視にあることは申すまでもございません。したがいまして、この問題につきまして、人事院勧告を今回私たちは尊重いたしますけれども、だからといって幼児教育の旗をおろすのではなく、今後の課題としてこの問題を一層推進するように考えていかなければならない、こう考えております。
  169. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省の四十九年六月二十四日に出しております「地方交付税法における教育費関係の単位費用の改正について」という通達ですが、もう一遍読んでおきます。記の2に「公立幼稚園経費のうち、教員給与費については、従来から公立の小中学校教員と同様の教育職俸給表目に準じた給料表が適用されることを前提として、標準経費の算定が行われているが、いまなお教育職俸給表(三)より低い給料表を適用している市町村があるので、これら市町村に対しては、公立幼稚園教員給与制度の建前にのっとり、速やかに、教育職俸給表(三)の適用が行われるよう、十分な指導をされたいこと。」こう言って、四十九年に出しているのですね。何遍も何遍も出している。それが、いまその基礎が人事院の話によると崩れていっているわけですよ。そのことを私は最後に指摘をしておきたいと思うのです。  それで、そのはか事務職の問題もありますし、それから定通、産振の問題もあるわけですが、これらも全く理に合わないわけですね。産振、法律が違うにかかわらず、この二つ特別手当をもらうのはけしからぬというようなこと、それなら管理職手当のついておる者に対して出さぬのですか。そんな根拠のないこと言ったらだめですよ。それから定通の問題だってそうです。実際、今度の人事院勧告というのは、いわば人確法、それに伴う国会における附帯決議無視する勧告になっておると私は思います。  それは、一つは幼稚園の問題、それから教頭の格づけです。四分の三とか、校長の特一等級が二分の一というようなことについても、これは全くわけがわからぬ。それから、そういうものをやるならば、これは一般勧告で検討されるべき内容のものであって、人確法に基づく勧告には値しないものであります。そして、文部省の幼稚園教育振興の方針がこの勧告によって崩される第一歩になりかねないと私は思うわけです。それらのことは、文部省でもこの勧告について恐らく検討されていると思うのですよ。文部省の言ってきたことがいま崩されようとしている、私はそういうふうに理解しているのです。だから、文部省はそれほどの危機感を持っていないと言われるならば、それはやむを得ませんけれども、この人事院勧告について文部省は一体どう考えておるのかということを一つ聞きます。  それからもう一つは、塩崎先生待っておりますけれども、文部大臣に最初私が言いましたが、今回文部省は学校組織調査を行っているということを聞きました。それはどういう目的かと言えば、教務主任あるいは学年主任等、主任に対して特別な処遇をしていくという方針、人事院にもそれを要請しておるということですね。これは、文部大臣、よろしいですか、いままで国会で論議してきたことは、端的に言えば、学校の中にそういうものを幾つも幾つもつくってはいかぬという論議がなされてきた。学校というものはそういう構成ではなくて——もちろん校長さんも必要でしょう。しかし、それはちょうどシンフォニーの指揮者のような、学校の運営を巧みに、しかも熟練した技能、そういうもので、しかも先生方からも父母、子供からも信頼される人によって運営されていく、そういう民主的な運営、そういうことが学校教育にとっては大切なんだ、だから、そういう中へいろいろな階級を持ち込むことはいかぬのだという論議がずいぶんなされてきたわけですね。  ところが、法律でそういう階級をつくるのじゃないと言いながら、実質上はいま校長、教頭、そして教諭、助教諭という四段階になっておる。それをまたここへ、法律には出さないけれども、主任というものをつくっていく、それに対しては特別な処遇をしていく。まさにいわゆる五段階の方式というものを持ち込もうとしておることがすでに文部省によって発案され、しかも要請として出ておるという重大な問題が出てきたわけです。これはわれわれがいままで主張してきたところと違うわけです。それからまた、国会における附帯決議趣旨とも異なっておりますから、この点について文部大臣はどうお考えになっておるのか、伺っておきたいのです。
  170. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私思いますのに、学校の中では管理主義的にならずに、民主的な運営というものが行われることが、教育が活発になっていく上に必要な一つの条件であると思います。  ただいま先生御指摘の教務主任等の問題であります。これをどういうふうに考えるかということでありますが、これは新しく職階を設けるというふうなものではなくて私は、職務給的なものであるというふうに考えます。事実学校を見てみますと、職務としてローテーションも行われているような、そういうふうなものであって、そこで、そういう教務主任あるいは学年の主任というものが学校を運営していくときに一つの責任を持つ、それに伴うものであると考えているわけでありますから、五段階給与に伴う管理主義的な考え方というものが必然的にこれに結びつくということはないと考えますし、なお重要なことは、こういうものの運営に当たって今後どういうふうにしていくかということを考えていく際に、民主的な学校の運営の仕方というものをこれから一層、これは校長も教頭も加わって考えていく、そういうふうにすることが大事であって、この問題が、繰り返しになりますが、直ちに五段階給与に結びつくそういう必然性を持っていないと私は考えております。
  171. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に言った、今回の人事院勧告に対して文部省はどういうお考えを持っておりますかということです。
  172. 永井道雄

    ○永井国務大臣 この問題につきましては非常に重要なことであります。これは全般的に、人事院勧告に関連いたしまして、先生も先ほど御指摘になった幼稚園の問題なども含まれているわけです。この問題は、人事院勧告が出ましてから、いろいろ検討して非常に重大な問題が含まれていると思いました。  そこで、三月二十日の給与関係閣僚会議で私も発言いたしましたが、その発言の要旨というのが私の考え方の基本でございます。それを申し上げますと、まず第一に、人事院勧告というのは従来から予期していた面と異なるものを含んでいた。そこで文部省として考えますと、相当深刻な問題がそこに含まれている。従来から期待していたということは何であるかというと、われわれは人確法の当初の趣旨に基づくそうした考え方というものがあるという期待があった。ところがその期待に反する面があった。そこで今後どうしていくかということを私たちとして要望するかと言いますならば、人確法の当初の趣旨の期待に沿って今後教員給与改善に対処していくように、これは閣僚会議で私は要望したわけでございまして、これが根本的な考え方でございます。
  173. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、私は、幼稚園の問題も小学校、中学校と同じように取り扱っていくべきである、これは幼児教育の問題から考えましても当然のことでありますし、そのことを主張しておきたいと思います。  それからさらに、文部大臣答弁にありました主任問題ですね。この主任の問題は何と言っても大きな論議を呼ぶと思いますよ。これはこの国会でも当然論議しなければならぬ問題です。またそれはいままでも論議されてきました。文部大臣もそうでしょうけれども、私どもも現場の実態を知っています。教務主任、スポーツの主任、いろいろ主任がおるわけです。それなりにそれぞれの専門的な技量を生かしてやっておるわけですね。そしてその中から学年主任も選ばれる。それは経験のある者が選ばれて、しかもその中には自発的に学年主任をやって学年をうまく円満にやっていく、そういうことで学校というものはいま運営されているわけですね。それに対して賃金の差をつけていくということ、私はいまこれが完全に誤りだと言っているわけじゃありませんが、これは論議しなければならぬ問題です。では、たくさんある主任の中で教務主任、学年主任、こう決めること自体がはたして正しいかどうかという問題もあるでしょう。言うならば、安嶋さんの言っているこの教務主任の種類というのは管理的な性格を持ったものなんですよね。そういうものに対して特別の処遇が与えられていくということになりますと、場合によっては、その職務に対してこれの獲得のし合いとかいうような問題が起こってこないという保証はないわけです。実際にいま学校運営は自発的にやっておる。そして学校は、本当に有能な人を得たならば学年もうまくいくわけですね。そういう先生方の自発性自主性、こういうものを金の力で破壊する可能性だってあるわけですよ。だから、そんなことを文部省が一存で決めて人事院に処遇を変えてくださいなどということではなくて、国会でもこれを論議する。はたしてそのことが子供たちの教育にとって幸せになるのかどうか、この問題が本当に論議されなければならぬわけです。私は実は本当に驚いたんですよ。学校調査をやっておいでて、しかも五月二十一日にその調査の集約をされるという話を聞きましたので、一体いまごろ何の目的でそういう学校調査が行われておるのか、しかも各県一〇%の割当をして学校調査をやっている、何の目的だろう。聞いてみたら、主任手当を増額するための調査だと私はいま初めて知ったわけです。これはいままで国会で論議をしてきましたこと、またいわゆる五段階給与制度はとらないというこの附帯決議との関連におきまして、私は非常に重大な問題がいま出てきておると思うのです。  委員長に最後にお願いをいたしますけれども、この問題についてはやはり当委員会で特別に時間を設けて論議をしていただきたい、このように思いますので、委員長の適切な御善処をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  174. 久保田円次

    ○久保田委員長 理事会で相談します。
  175. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  176. 久保田円次

    ○久保田委員長 塩崎潤君。
  177. 塩崎潤

    ○塩崎委員 本日の文教委員会の開催の趣旨に従いまして、第一次人事院勧告、それに基づく給与法、それと人確法及び予算との関係等について文部大臣人事院総裁、それから内閣法制局、さらにまた大蔵省、自治省に御質問をしたいと思うのでございます。  ただいま山原先生もるる強調されました。その前の木島先生も鋭い質問をされていろいろと主張されておったのでございます。しかしこの委員会だけではなくして、先般三月二十五日でございますか、私が内閣委員会に参りましてこの問題について御質問をした際に、与野党一致して不思議に人事院勧告に対して攻撃的であった、大変心配しておった、不安がある、こんなことを感じ取ったわけでございます。こんなことは珍しいのです。きょうは私はぜひとも、内閣委員会と違って文教委員会ではこの問題をどのように考えたらいいか、このような観点から文部大臣の御意見を特に賜りたいわけでございます。  先ほど文部大臣から、今回の人事院勧告が、人確法趣旨及び義務教育国庫負担金予算において予期されていたものとは異なるものとなったことは、異例なものとして文部省としては深刻に受けとめているという御答弁が、山原委員の御質問に対してございました。全くそのとおりだと思うのです。しかし私は今回の問題は、単に教育問題、文教問題を離れて、さらにまた国会政府予算、それとまた人事院との関係、こういった問題にも非常に深刻な影響を与えている問題だと思うのでございます。国会軽視、予算軽視あるいは政府軽視、こういった考え方人事院勧告の中に、先ほど山原委員もおっしゃられましたが、本当に散見されるわけであります。こういった観点から文部大臣に御質問を申し上げますので、御答弁を願いたいと思うのでございます。  そこで、文部大臣は非常に学者で、思弁的に形而上学的に広範な御答弁でございますが、私はこのような深刻な影響を文部省に与えた根本原因は何か、なぜこうなったのか、人事院勧告がなぜこんなふうに文部省の予想と違ったのか、その原因をどう考えておられるか、それをまず伺いたいのです。私はかつて大蔵省におりました行政官でございますので、文部大臣のように深く思弁的に考えないで、これは今度、人確法趣旨人事院が、義務教育職員について待遇改善はもう十分なんだ、したがって予算に計上されたる一部を義務教育等教員特別手当ですか、こういった手当をやればもう十分なんだというところに根本的な原因があると思うのです。本来なら単純に俸給表を改正しておればこんなような問題はなかったと思うのです。大の男がここまで来て長らく議論をする必要はなかった。第一次勧告の折に一〇%の給与改正をしておれば済んだと思うのでございますが、七%を三%と四%に分けて、三%の方は俸給表、四%の方は手当、この二つに分けたところに根本原因があると考えているわけでございます。根本原因というと、また大臣はもう少し深くうまい言葉で言われるのかもしれませんが、私はここに原因があると思うのですが、その背後に、人事院の中に人確法精神に盛られたところの義務教育職員の待遇改善は前年の一〇%と今度の三%で十分なんだというようなことがあると思うのです、手当にした根本的な原因は。これは三月二十五日の内閣委員会で質問された方々に対して答えられた人事院の中の、ことに総裁が目に入れても痛くない茨木政府委員の御答弁の中にこのことが非常に明確にある。茨木政府委員は私も非常に尊敬申し上げている方なんですけれども、こういったことが果たして人事院として言えるのかどうか、ひとつ文部大臣に御意見を承りたいのです。茨木政府委員が大出委員の質問に対してお答えされているわけでございますが、「法律趣旨は、」とあるのです。法律趣旨というのは人確法なんです。人確法趣旨文部大臣が一番御存じのはずです。大臣はあのときにはおられませんけれども、文部大臣としていま一番権威を持って考えられておるはずでございますが、人確法趣旨は、「先ほど申し上げましたように一般職員に比して優遇するということでございまして、その段階は前回及び今回の三%部分でもう十二分に達成されておるわけでございます。」とあるのです。どうなんです、大臣。一般職員に比べて義務教育職員が幾らぐらい高くていいかということは、神様でもないとなかなかわからない。それを茨木給与局長か大胆にも、また不遜にももう十二分だ——十分ならいいんだけれども、二がよけいについて、十二分ときているのですね。したがって、残りは手当にしていくんだ、こんなふうなことを言っておられるのですよ。私は、文部大臣としては人確法をどういうふうに理解され、この人事院考え方をどう理解されるか、一遍まず伺いたい。
  178. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私は次のように考えております。  なぜ予期していなかったことが起こった、そして文部省として深刻な問題が含まれているというふうに私は申したかと言いますと、この七%が四%、三%に分かれているということは、前年度の一〇%のときにはない考え方でございますから、こうしたことは予期しなかったことでございました。しかしながら、それでは人事院がこういう考え方あるいは新しいやり方によって先生方の給与の問題はもう解決している、あるいは人確法というものはもう満たされているというふうにお考えかというと、私の考えでは、人確法というのは何といっても国の法律でありますから、人事院がこれを重んぜられて今度の勧告を出されたことは間違いないと思います。ただ、人事院のお立場は、われわれ文部省からの要望も聞かれますが、他方、各方面の意見も聞いて、第三者として公正な御決定に至る。その間において義務教育の先生方と他の先生方の関連も考える、あるいはまた一般職の関連も考えるという意味合いにおいて、先ほどのような種類の発言も出てくると思います。しかしながら、私は、考え方の根本には、国の法律である人確法人事院が重んじておられないということはあり得べからざることと思っております。でありますから、私は、今後もひとつお考えいただくようにと要望したわけであります。
  179. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大臣の御答弁、やはりむずかしくてなかなかのみ込めないわけでございますが、そこで人事院総裁、どうなんです。先ほども山原委員が、政策、価値判断は人事院が入り込めない分野じゃないか、入り込んではいけないのだ。私はそういうふうな考え方は持たない。人事院の独立性というような問題は考え直さなければならぬと思う。人事院は本当の雇用者と被用者との間の、エンプロイヤーとエンプロイーとの間の公平な中立機関だと私は思うのです。同時にまた紛争処理機関である。せいぜいアメリカのようにスポイルシステムで、一党の政党政治の弊害が出た場合に初めて中立性を持たすような行政機関であることは理解できるのですが、これを離れて、私どもが人確法という法律をつくって義務教育職員だけを優遇しようといったときに、はかの者に比べて高いのだとか、これで十分だということは、根本的に人事院の権限の枠外じゃありませんか。それを茨木政府委員は至るところで、これはもう十二分なんだと二がよけいついておる。八分ぐらいならまだいいのに、十二分とまで言っている。人事院総裁、どうなんですか。
  180. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人事院性格、権限等については、先生お話しのとおり私も正しい方向であると思っております。したがって、人確法法律として通った、国家意思としてこれが確定をしておるということでございますので、当然人事院といたしましてもその趣旨に沿って、その趣旨を尊重してやっていかなければならぬというたてまえでおるわけでございます。  ただ、これもいままで繰り返し申し上げておって恐縮でございますけれども、われわれ人事院といたしましては、各種の公務員給与を全体として管理をするたてまえに立っておるわけでございます。無論人確法精神というものから見て、一般公務員よりも給与水準を高めなさい、その趣旨は十分わかりますので、その方向の働きはいままでもやってきたつもりであります。ただ給与の問題となりますると、いろいろの相互関連なり均衡なりを無視できないということも事実でございます。特に教育公務員相互間の均衡の問題あるいは逆転を防止しなければならぬというような問題は、給与管理の責任者といたしましては無視はできないではないかという基本的な立場があるわけでございます。  そういう点から、第一次の勧告では、一般公務員に対してそのまま義務教育教員を中心といたしまして俸給表の引き上げでもって措置をすること、これはできる、また妥当であるという確信でもってやったわけでございますが、今年の第二次勧告ということになってまいりますと、いろいろ検討を重ねました結果、これを俸給表で全体として措置をすることは、いかにも均衡論あるいは逆転防止という点から見て踏み込めないというようなことになりました。しかし国でもってすでに予算は通っておる、また人確法精神自体もございます。そういうところから七%というものを削ってどうこうするということは、これはたてまえ論としても許されないということから、大変苦労をいたしました結果、これを振り分けまして、俸給表と手当ということにいたしたのでございます。やむを得ざる措置としてそういうふうにやった次第でございまして、われわれは人確法法律のたてまえ自体を尊重しないというようなことは毛頭考えておらないことを申し上げておきたいと思います。  それから、いま塩崎先生のお話にございました各委員会等におきまする政府委員答弁で、十二分ということの表現があったことにつきましては、当時のやりとりのいろいろないきさつ等あるいは勢いからいいまして、そういうことが出てきたのではないかというふうに思いますけれども、そのこと自体人事院全体といたしまして十二分というふうに考えているということではございません。また、すでに第三次の勧告等も行うことに相なっておることから申しましても、その点については御了解を賜りたいと存じます。
  181. 塩崎潤

    ○塩崎委員 総裁は、内閣委員会でも、逆転防止という観点からこうなったのだという御趣旨の説明ばかりでした。確かにそういった点はないわけでもない。しかし私は、政策判断なんだから、逆転防止など恐れておったのでは政策はとれないじゃありませんか。一つ文教行政は進まないと思うのです。しかも総裁は非常にまじめな、私も役人時代から御尊敬申し上げて、いろいろ教えを承ったのだが、それがやはり逆転防止といい技術面にこだわって、結局は人確法の軽視というかっこうに私はなっていると思うのです。そしてまた予算まで軽視してきた。こういったかつてない議会始まって以来初めて起こった予算軽視という事態まで起こしているわけです。私は、これはしっぽが犬を振るような間違いだと思うのです。犬がしっぽを振るべきであって、しっぽが犬を振ってはいかぬと思う。逆転防止というかっこうで人確法まで振ってしまった、私はこれが総裁の御議論だと思うのです。ですから私は、いろいろやりとりのいきさつもありましょうけれども、茨木政府委員のこの御発言は至るところに出てくるのですよ。こんな考えでやりましたら、教育手当も要らなければ、それからまた第三次勧告なんていうのも、手当になることはもう必至じゃありませんか。さらにまた、この手当にしたために、産業教育手当も重複して支給しないという結果になった。諸悪の根源はこういった考え方にある。どうなんですか総裁、今後このような考え方で依然として進むのかどうか、もう一遍御答弁を願いたい。
  182. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この点につきましては、われわれ自体といたしましても非常に深刻な問題意識を持っていろいろ作業をやったつもりでございます。しかし、給与の管理をやっておりまする責任の役所といたしまして、やはり明白な逆転その他の不均衡の発生というものは少なくとも防止をしていかなくてはならぬということがございますので、苦心の結果、こういう措置をお願いを申し上げたということでございます。ただ今度の勧告の実施に当たっては、各方面からいろいろ御議論をいただいておるということは、私も非常に衷心から考えておることでございまして、それらの点は十分に体して、今後の処置には遺憾のないように対処してまいる所存でございます。
  183. 塩崎潤

    ○塩崎委員 総裁の大変誠実な御答弁で、私も考え直さなければいかぬ点があるかもしれませんが、しかし人事院総裁人事院の独立性というものはこういった考え方——人事院勧告か出るまでは文部省あるいは他の機関との間の話し合いというものは全くないのですか、あるのですか、どうなんです。私は、文部省が三月何日に皆様方のところに申し入れたところの文書は存じております。しかし、そのときには義務教育特別手当なんという文字は一かけらもない。それが突如として降って沸いたような、義務教育特別手当ですか、このような私どもの想像外の手当で、人確法精神に合致するのだというようなことを言われた、このようなことは、独立性であるからあなた方は十分民主的な話し合いをしなくても済むとお考えなんですか、どうなんですか。
  184. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 中立的な自主的な機関であるから、民主的な手続を全然無視していいなどとは考えておりません。したがいまして、給与勧告その他の過程におきましては、あらゆる方面から意見を承っておりますし、職員団体の皆様方あるいは各省庁の代表の方々からも細かい意見の提出がございまして、これを誠実にその趣旨をくみ取って、検討は加えておるのでございます。ただ最終的には、人事院といたしましては、三人の人事官で構成する人事官会議というものがございまして、ここで決定をいたしております。今度の場合も、最終的には手当制度に踏み切るということにつきましては、各方面の事前の協議、連絡等はいたしておりません。
  185. 塩崎潤

    ○塩崎委員 文部大臣にひとつ伺いますが、文部大臣、この深刻な影響を与えました人事院勧告は、いまのような状況ででき上がったわけでございます。これについて文部省は人事院に対してどのような働きかけをしたか、ひとつ御答弁を願いたい。
  186. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省の人事院に対する働きかけでございますが、御承知のとおり教員等処遇改善調査研究会というものが文部省にございまして、これが昨年の夏からことしの春にかけまして、かなりな回数にわたりまして会議を持ちまして協議をいたしたわけでございますが、その間に、オブザーバーという形ではございますが、人事院給与局長が終始出席をされておりました。したがいまして、教育関係者の給与改善に対する要望並びに文部省の気持ちというものは、その間におきまして十分御理解をいただけたというふうに私どもは考えております。また、その間人事院のお考えも承ったわけでございますが、それを集約いたしましたものが、御承知文部大臣から人事院総裁に対する要望でございます。ですから、文部省の考え方はすべて大臣名のあの人事院に対する要望の中に盛り込まれておるということでございます。それを踏まえて人事院が今回の勧告のような内容を最終的に御決定になったということでございまして、あの要望をめぐりまして、私どもはいろいろ説明もし、お願いもした次第でございます。
  187. 塩崎潤

    ○塩崎委員 人確法の規定の仕方は、大臣御存じのとおりでございます。非常に茫漠たる、人事院勧告に期待をするような、法律的な強制力のないような規定の仕方で、私は大変不満だったのであります。全く強制力のない法律で、これで義務教育職員給与が私どもの思うとおりに改善されるかどうか、非常に不安があった。私はいきなり給与法を直せ、こういうような主張もしたわけでございますが、当時藤波政務次官でございましたが、人事院勧告体制というものは非常に大事なもので、これを壊したらいけないから、法律は遠慮してあのような書き方にしよう、こういうことにしたわけでございます。それはまことにそのとおりであると思います。しかし私ども、その背後にありますものは——安嶋初中局長ちゃんと答えてくださいよ。いや、あなたは当時管理局長であったから御存じないかもしれないが、私どもは俸給表で一般公務員に対して大体四分の一、二五%−三〇%ぐらいまで考えておったのでありますけれども、今度の予算で結果したところでは、一般公務員よりも四分の一だけ俸給表が高いのだ、こういった簡単な考え方で、その一部分が手当になるとかいうようなことは全然考えてもいなかったと思うのですね。大方はやはりそう考えておった。皆さん方はどのような考え方人確法ができたときに持っておったか。いまの次官の岩間君の方が答えられるのがいいかもしれませんが、安嶋さん答えてくださいよ。
  188. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私どもは、給与改善で計上されました予算の内容といたしまして、先般の大臣の要望にも含まれておりますように、教務主任等に対する手当、それから御承知教員特殊業務手当、こういったものの若干を含めてはおりますが、大部分は本俸改善によって措置されるべきもの、そういうふうに考え、期待をいたしておりました。
  189. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大臣、いまお聞きのとおりで、五段階給与なんという考え方はないと言っておる。手当考えられるなら、非常にスケールの小さい、八十億足らずの教務主任手当とかいう手当を文部省が考え程度で、あとは全部俸給表が改定されるべきである、こういうふうな考え方であったわけでございます。  私どももそんなような考え方で、本当にもう不眠不休と申しますか、大臣御存じのように、あのような大騒ぎをして予算を取ってきたわけでございます。それが全く変わった形で人事院勧告になり、今度の給与法になったわけでございます。  大臣、これはどうですか、そういった考え方をもとへ返すことができるかどうか。これは大変なことだと思うのですけれども、大臣、このような考え方の変更に対してどう思われるか。やはり一般給与の改定の方が望ましい、こうお考えですか、どうですか、一遍ここで伺いたい。
  190. 永井道雄

    ○永井国務大臣 暮れから正月にかけて予算の折衝というものがあり、そのときに考えておりましたことは、いま初中局長から申し上げましたように、四%とか七%を区別するようなこと、そういう措置の仕方でなく給与改善されるということでございました。  そこで、私は、先ほど申し上げましたように、予期せざることが起こったので深刻であるというふうに思っているわけであります。しかし、これは繰り返しになりますが、人事院による勧告というものが、わが国における制度としてきわめて重要なものでありますから、これをまた尊重するということも当然のことであるかと思われます。  しかし、私は、人事院といえども、根本的には人確法精神というものを重んじていかれるということについては、われわれと全く変わらないはずであると考えます。なぜかなれば、人確法はわが国における法律でございますから、法律というものの基本的な精神というものは、わが国において生きる者にとりましては、最も重要な拘束力を持つはずであると考えるからであります。ところが、その人事院のお考えは、われわれが文部省で考えておりましたのとはかなり異なる側面をもって諸種の条件を御考慮になるという結果、結論を出されることになったわけであります。  そうすると、私たちとしては、これはどうしていくべきか。これは私は、人事院のこういうお立場というものも尊重はいたしますけれども、当初考えておりましたことを繰り返し要望していく、こういう考えで閣議でも発言いたしましたが、今後もこの考えをもって、人確法の当初の精神というものを貫徹していただくように、そういう角度で臨んでいくという態度を変えないつもりでございます。
  191. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大臣、このままでいきますともう先が見えておるような気がするのです。大臣がよほど蛮勇をふるって人事院とかけ合わない限りは、いまこの問題は、深刻な影響は解消されないような結果にきておると私は思うのです。とにかく諸悪の根源が、人事院が独立性という名のもとに独断で義務教育手当にしてしまった、ここにあるのです。  そこでいろいろな諸悪が出てくるわけでございますが、一つは、予算に二百三十二億円の金が余るわけでしょう。文部大臣どうですか。私どもがあれだけ苦労して、予算を取るのにあれだけ泣いたり笑ったり——泣くことばかりですけれども、あんなことをやってきた予算が、わずか人事院の机上のペンの持っていき方で、もう二百三十二億余ってくる。これはおかしいじゃありませんか。  そこで私は予算法律との関係、これを大蔵省も法制局もおられるから伺いたいと思うのですが、どうなんですかね。  人事院総裁に伺いますが、人事院総裁はまた自治省でずいぶんこの問題は御議論をされたことだと思うのですけれども、予算が全然なくて人確法だけがある場合、その場合には金は出ないでしょうね。予算は全然計上されていない、しかし人確法という法律はある。ただ人確法の規定の仕方いかんによって、茫漠たる規定ならば、これはもう余り意味のない法律でございますから、私はともに金は先生方には渡らぬと思うのです。これはもう問題のないことだと私は思うのです。問題は、予算があり、予算は計上されているのです。しかし法律がない場合は一体どうなんです、人事院総裁。これは予算だけで金は支出できるか、できないか。総裁はどう考えられますか。二百三十二億円余っておるのですからね。
  192. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 予算関係は余っているというお話でございますが、結果的にはそういう数字が出ておるようであります。しかし給与につきましては、これは法定主義をとっておりますので、予算が余っているからといって、その分を適当に分配するということはできないと思います。
  193. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私はこれから二百三十二億の問題と同時にあわせて予算法律との一般的な関係、これを本当に確かめておきたい。大臣、こんなことは初めてなんですからね。これは二百三十二億不用に立てるつもりなんですか。私はこの予算人確法のために計上したものだと思っているのですが、大蔵省、どうですか。
  194. 廣江運弘

    廣江説明員 お答えいたします。  まず、第二次給与改善のための予算額計上の考え方でございますが、これは予算に計上いたします当時におきましては、人事院勧告もいまだ出ておりませんでしたし、なお法律も成立いたしておりませんでしたために、一応のめどといたしまして、第一次改善の例にならいまして、一〇%の財源措置額を計上いたした次第でございます。  もちろん給与改善が実際に執行されますのは、先ほど人事院からお答えのありましたとおり、給与法を待って——なおその前に人事院勧告を待って、給与法を待って行われるわけでございますし、財源措置額等めどとして計上いたしましたものが、人事院勧告の具体的内容を拘束いたすものではございません。  予算におきまして一部不用になると言われている金額につきましては、この予算自体義務教育費国庫負担金、その他の項目に分かれて計上されておるわけでございますし、一部不用になるといいましても、年度途中におきまして、そのほか種々の増減要因が考えられますので、そのようなものを勘案いたしまして、最終的にどのようになるかは検討の上云々されなければいけないことかと思います。
  195. 塩崎潤

    ○塩崎委員 廣江主計官と、先般の内閣委員会での吉居説明員ですかの説明は非常に茫漠たるお答えで、いまと大体変わらない、予算というものは財源のめどをつけただけなんだ、こんなような大蔵省らしくないことを言っておられる。私は予算というものは、古い旧憲法時代と違ったいまの民主主義的な憲法のもとでは性格は違っておると思う。味村法制局部長は、いや歳出の権限を付与するのが予算だ、それを上回って支出してはならないのだ、幾ら下回ってもいいのだというように聞こえるような御答弁があった。味村さん、いまでもそう思っておられますか。
  196. 味村治

    ○味村政府委員 内閣委員会で御答弁申し上げましたとおり、現在でも予算は支出の権限を政府に与えるものであるというふうに考えております。
  197. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私はそれは非常に古い考え方で、味村さんひとつ頭を変えてもらわなければいかぬと思うのです。つまり、確かに歳出の権限を与えることは間違いない。しかし、予算というものがこれだけ重要なのは、歳出歳入を見合わせて、歳出においてはおおむね法律あるいは契約に基づくところの政府が支払わなければならない債務を計上しておる。それに見合って歳入はこれぐらいある。したがって、歳入がこれだけあるから歳出も大丈夫なんだ。そしてこれだけの債務を払うためにこれぐらいの税金を取るべきである。これが私は近代的な予算だと思うのですね。最近の財政法も少し勉強してくださいよ。味村さん、昔の頭ではいけませんよ。そういう考え方になれば、しかも法律予算とは形影相伴う、形と影が常に相伴って、いま人事院総裁が言われたように、予算が計上されればそれに見合って法律があり、法律があれば予算があって、必ずそれに伴って支出される、こういった形になっておるのが新憲法下の予算だと私は思うのです。したがって、二百三十二億も余るという見通しがつくなら、なぜ国民からそれだけの税金を取るのですか。大蔵省、答えてくださいよ。これだけ余るなら早速減税しなければいけないじゃありませんか。人事院勧告を出す際にそれをどう考えたのですか。後で人事院総裁にもお答え願いますが、まず大蔵省、ひとつ答えてください。
  198. 廣江運弘

    廣江説明員 お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたとおり、教員給与改善のための予算計上額は一つのめどとしての財源措置であり、予算の弾力性を確保するために措置したものでありまして、人事院勧告の具体的内容を何ら拘束するものでないことは先ほど申し上げたとおりだと思っております。  次に、予算について一部不用になるというような御議論がございますが、不用になるかどうかにつきましては種々の増減要因を考慮して考えなければいけないということを重ねてお答えさせていただきます。
  199. 塩崎潤

    ○塩崎委員 同じ答弁を繰り返されているだけで、答弁にならないと思う。私は予算性格を言っているのです。いま私が申しましたように、予算法律というものは一体をなしておる。この法律は国家公務員法、給与法じゃないのです。人確法予算が一体になる。したがって、茨木政府委員の言うように内閣の施策は人事院を縛るから予算には縛られないのだというような考え方ではないのです。それは間違いだと思う。そうじゃない。人確法があって、人確法に基づいて予算が計上される。その人確法に縛られて人事院勧告が出るべきである。予算人確法に縛られて人事院勧告が出て給与法が出るべきである。給与法なんというのは人確法の下にあるものなんですよ。人確法に基づく予算が一種の法律になるのだ。査定ができない、こういった考え方に立たなければ、皆さん方が勝手にどうでもできるじゃありませんか。こういった新しい予算に対する考え方をやっていただかなければ、今後大変ですよ。こんな事例はいままで一遍もないのです。廣江君は大蔵省では私よりはるかに若いが、国会の途中で新しい法律がつくられたために不用になった、不用といいますか、余るというようなことはいままでない。予算というものが財源のめどを示すくらいならば、予算審議はそんなに真剣にできぬじゃありませんか。いろいろの法律に基づいた債務をずっと歳出に計上していくのです。そして法律に基づいた歳入を、税法に基づいた歳入を個々に計上していく。そして全体の国の債務がはっきりなってくるのは予算じゃありませんか。人確法に基づいて七百七十億の予算を計上した。予算に縛られるのはおかしいから人事院は独立でやるというような考え方では私はだめなんだ、いけないと思う。間違いだと思う。予算に対する考え方はどうですか、人事院総裁
  200. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今度の人確法に基づく勧告というのは、お話がございましたように人確法予算の二本立てということから出てくるものだと、これは私も考えております。そうでありませんと、人事院性格といたしまして、人確法自体ができてまいりますればそれに基づく措置は当然講じなければならない義務を負うわけでございますけれども、その具体的な内容をどうしていくかということについてはまた別個の考え方も出てくる余地があります。ところが、同時に並行して予算措置も講ぜられておるということでございますので、私たちといたしましても、給与の技術的な考慮というものはむろんございます、ございますけれども、計上されている予算の内容というものについて、それをにらみながらやっていくということは、これは当然でございます。そういうことで、第一次の勧告はそのままという形に相なりましたが、今度の第二次の場合は、その後の給与勧告一般給与の上昇等を基礎にいたしまして、全体として七%の措置ということに相なったのでございます。したがいまして、それを頭に入れて、七%はへずるようなことはできないし、またしないということで七%は使わしていただいているわけでございますけれども、しかしそれの割り振りということにつきましては、るる申し上げておりますような原因から、これを本俸手当に振り分けざるを得なかったということでございます。  なお、私のときではございませんが、人確法審議過程等におきまして、前の総裁もこの内容については人事院にひとつおまかせを願いたいということを言っておるというふうに聞いております。  なお、予算に対する考え方でございますが、これは専門の大蔵省あるいは法制局からお話がございましたとおりでありまして、そっくりそのまま使い切らなければいけないということにはなるまいと思います。
  201. 塩崎潤

    ○塩崎委員 味村さん、あなたにもお伺いいたしますが、とにかく歳入はどんどん入ってきておる。いまみたいに歳入欠陥八千億なんという時代じゃないのですよ。そのときでも、一遍国会で議決を得た公共事業費を一銭も使わないことを内閣の権限だけでできますか。そんなことが果たしていいでしょうか。補正をして、国会の議決を経てやるならばできますよ。しかし、内閣だけの権限で節約というようなものは限度がある。それは歳入が非常に入らなかったときに辛うじてやれる制度であって、それも新憲法のもとでは私は疑問があると思う。国会最高の機関であり、財政監督も八十三条国会の議決を経ることになっているのですよ。あなたは憲法を一番勉強しておるはずだ。どうです。どんなにでも削減できますか。いま人事院総裁はそう言われた。
  202. 味村治

    ○味村政府委員 一般的に申し上げますれば、予算案を作成し、提出するのは政府の責任でございますから、したがいまして、政府は必要と認められる歳出、これを見積もって計上し、国会の議決を得るのが当然でございます。したがいまして、一たん国会の議決を得られました以上は、特段の事情がない限りはその歳出どおりの計画に従いまして歳出を行うというのがごく通常であろうかと思います。ただ、今度の問題は給与の問題でございまして、給与法律及び人事院規則に基づかないと支給ができないわけでございます。ところが、今年度予算が提出されました段階では、先ほど大蔵省の方が申されましたように、まだ人事院勧告もなく、給与法の改正もないわけでございます。したがいまして、政府としてはどれだけの金額が人事院勧告によってアップになるかということがわからないわけでございますから、そこで見込み額を歳出として計上せざるを得なかった、そういう結果このような事態になったのであるというふうに了解いたしております。
  203. 塩崎潤

    ○塩崎委員 第二部長、私は、人確法に基づいて七百七十億の予算が計上されていると思うのです。ただ、金額が具体的に書いてないのは人勧体制の尊重、その中で人事院に任してあるということが佐藤前総裁に言われておったわけです。やはり七%ですか、俸給表で言えば七%の中で人事院が技術的に考える。予算を完全に消化すべきである、これが私は人確法趣旨であり、そしてまた予算性格であると思うのです。したがって、去年の三月二十六日に藤波政務次官と議論したのですけれども、あの人確法に基づくと私は思っておったら、給与法の去年の一〇%の一部改定の際には、人事院総裁人確法との関連はどこにも一つも書いてなかった。したがって私は、人確法に基づいてこの給与法を改定するのだと書いてください、そうするとこの趣旨がはっきりすると言ったのです。それは文部省の当時官房長であった井内君にも申し上げておったら、もう閣議も済んでしまったから勘弁してくれというお話で、私も涙をのんだ。そのときは俸給表だけの改定だったから問題はなかったのです。しかし本当の趣旨は、人確法があって初めて給与法の改定があったのでしょう。一般の夏の勧告に基づいて給与法の改定があったのではないのだから、その法律関係をはっきり書きなさい、こういうことを申し上げたのですが、勘弁してくれと言うから、内閣委員会であったから私は遠慮した。しかし、ことしのような問題が起こるとは予想していなかった。私がこれを主張したら、今度はやっと法律の制定理由の趣旨人確法に基づきなんて書いてある。初めて人確法が出てきたのですよ、大臣。こんな人確法を私らうつつを抜かして、ここで大騒ぎして、三塚さんなんかは肋骨まで折ろうというぐらい働いたのが、本当に人確法が生きておらぬじゃありませんか。生きておるとすれば、七百七十億の予算人確法に基づいて、そしてその技術的な給与の支給法として給与法の改正がある、そういうふうに考えるべきである。ほかに、一般給与法の母法といいますか、憲法というような法律はないでしょう、人確法みたいな法律は。そう考えると、予算を余すような給与法を策定すること自体、これは予算軽視であり、予算軽視よりもむしろ人確法軽視、同時にまた国会軽視なんですね。たびたびそれは山原先生も言われておりましたように、本当に国会軽視と言わざるを得ない。人事院というのは、国会を軽視していいのですか、総裁どうなんですか。
  204. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 国会は国権の最高機関でございまして、人事院といえども、当然に最高限の尊重をしていかなければならぬものと思っております。
  205. 塩崎潤

    ○塩崎委員 それでは総裁、七%と言われた。そこで三%と四%と言われた。私は、普通の役所なら予算は全部消化する。予算はどれだけあっても足りないという役所が多いのですから。七%なんという金額よりも七百七十億全部使うという考え方をなぜとられなかったのですか。九千円の特別手当を四割ばかりふやして一万二千六百円、これぐらいの金額が決められるわけですよ、手当にしても。私は手当は反対なんです。しかし、仮に手当にするにしても、せっかく国民から血税を取って七百七十億計上することにしておるわけですよ。あなたは大蔵大臣として、歳入欠陥なんか当時考えてなかったのでしょう。そんな大蔵大臣にはまだ早いはずだ、あなたは。それがわざと不用を出すようなことに持っていったのはどういうわけです。なぜ全部消化するように、九千円というのを一万二千六百円にしなかったのですか。これならまだ話がわかる。総裁、どうですか。
  206. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 予算との関係につきましては、先刻来申し上げておりますように、人確法というもので予算がある。したがって、人事院としてはこれをにらみながらの勧告作業を行ってきておるところでございます。ただ、勧告の内容ということに相なりますと、給与の技術関係のこともございます。また、繰り返し申しますように、給与全体の管理をやるという立場からいたしまして、均衡その他の問題というものを一切無視するわけにもまいらないという制約がございましたので、いろいろ苦心をいたしました結果、そうかといって要するに実質毎月出るものが七%という線を下るのは適当でないということから、三%と四%で七%にいたしたということでございます。その結果、積算をいたしますれば、これは大蔵省なり文部省の関係でございましょうが、予算の見積もりとは違ったことに相なってきたということでございまして、しかしそのことはやむを得ない措置ではなかったかと思います。
  207. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私はどうも総裁の御答弁にしては余りにも技術的過ぎて、先ほど言った、しっぽが犬を振った結果にすぎないと思うのですね。逆転防止とかいうようなことばかり頭にあって、その結果あなたのやったことは国会軽視であり、予算軽視であり、これまでの慣行の大変な変更なんです。そうでしょう。本当は二百三十二億減税すべきだったかもしれない。そうじゃなくて予算を計上したわけですから、完全に使うべきだと思うのですね。私はいまおっしゃったようなことはよくわからないので、九千円を一万二千六百円になぜできなかったのか、その説明を伺いたいのです。それならちょうど全部使えるでしょう。手当ですから、退職金にも超勤にも影響しない。なぜそうされなかったのですか。そうして初めて予算の執行というものが忠実にできる。人事院といえども、私は国会で議決した予算は忠実に執行すべきである。ただ、歳入欠陥でも生じてというような事態が生じたならば、補正を組んで直すならわかるのですが、どうしてそうやらなかったのですか。
  208. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 予算措置が講ぜられておるということもございますので、この趣旨に沿っての勧告をいたしたことでございます。ただ、その点につきましては、本俸でもって、俸給表でもって全部をやるということにははっきり決まっておることではございません。いろいろな事情から、第一次の勧告においては俸給表を中心にやった。今度の場合におきましては、実質毎月の給与に換算いたしますと七%ということでございますので、これを振り分けた。振り分けて三%、四%にしたわけでございますが、四%ということになりますと、これもおのずから限界がございます。全部使ったらいいじゃないかという御説もございますけれども、これがつかない教員もあるわけでございます。そういうような点から彼此勘案をいたしまして、七%の線におさめたというのが実態でございます。
  209. 塩崎潤

    ○塩崎委員 この問題は、しかし、いま片づいたのではないと思うのです。私は、数字の羅列にすぎないような予算が簡単に執行できると思わない。なかなかその意図がわかりませんから、いろいろ法律が出てくる。今度の給与法もその一つだと思うのですね。そこで、大蔵省は違ったことを言っておられましたが、昔の款項の間の流用ができないように、これは人確法に基づく七百七十九億ですから、ほかには流用できないと私は考えている。したがって、私は、人事院総裁のことですから、やはり人確法精神、これは文部大臣も言われておるわけでございますから、この予算の剰余について、まだ計算上の剰余ですが、これについて今後その人確法精神に沿った使い方を人事院勧告として考えられることになろうかと思うのですが、その点はいかがですか。
  210. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この間第二次の勧告をいたしまして、国会意思として御決定をいただいたということでございます。これにはいろいろ御議論もあったわけでございますが、こういうことで決定をさしていただいたということでございます。ただ今後恒例のといいますか、毎年やっております一般勧告というようなものもございます。それから第三次の五%という問題もございます。それらの点につきましては、これらをにらみ合わせながら、いろいろの面について検討を加えてまいりたい。現在、いまの段階では、これをどうこうするということの成案は無論持っておりません。
  211. 塩崎潤

    ○塩崎委員 文部大臣はいかがお考えでしょうか。大臣、私は憲法を見てみますと、憲法七十三条に、内閣は「法律を誠實に執行し、國務を総理する」という権限が与えられているわけでございます。人確法はやはり誠実に執行していただきたい。予算も、いま申したように、国会の議決を経たものを勝手に——いま味村さんですら言われた、前言を翻したと思うのですけれども、勝手に削減するということは、これは三木総理大臣といえどもできないはずでございます。国民は税金をこういうくらい納めるから、これくらいの歳出ということを予定しているわけでございます。したがって、この予算については、大臣、人確法趣旨に従って使っていただける、そして大臣はそのような努力する、こういうふうに考えていいでしょうか。
  212. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私は、予算を決定いたしましたならば、それを決定どおり使うというのが通常のことであろうかと思います。しかしながら今回そうでない側面を生じてきているのは、特段の事情による面があり、また人事院がいろいろな諸般の事情を考慮して、しかも予算を見ながらお決めになったということであろうかと考えています。しかしながら、われわれは人確法というのは非常に大事であるという考えに立っております。この点は、文部省はもちろんこの考えでありますけれども、国法でありますから、私は、人事院もまたこのお考えを持っているということを信じております。  他方、私は、人事院は公正なる第三者機関として特段の事情を多角的に御検討になる場合にも至公至平の場合に立ってこの御決定に至られたものと思って尊重しているわけであります。そこで、私が尊重しております人事院でありますから、人事院もまた今後の予算の使い方、それから教員給与改善につきましては、文部省を尊重してくださるものとかたく信じ、要望を繰り返している次第でございます。
  213. 塩崎潤

    ○塩崎委員 文部大臣の御答弁、なかなか思弁的でむずかしいのですが、御期待を申し上げて、この次の問題に移りたいのです。  次の問題は、私は、俸給表の改定が弊履のごとく捨てられて四%の義務教育等教員特別手当にされた結果生じた問題でございます。それは内閣委員会でも附帯決議がつけられまして、いまだに実現されてないところの産業教育手当との関係の問題であります。  文部大臣、どうなんです。産業教育手当法というのは、これは文部省の所管の法律であり、文部大臣がイニシアチブをとって、人事院のむしろ意見を聞いて、手当の支給方法を決めるようになっておりますね。そういった考え方に立つと、今回の併給を抑制する——抑制という言葉はあれかもしれませんが、抑制するということについて、文部大臣どうお考えなんです。
  214. 永井道雄

    ○永井国務大臣 産業教育手当、それから定時制通信教育手当の受給者に対しても、義務教育等教員特別手当が支給されるように、私どもは勧告を受けた後にも要望して、御配慮を願っている次第です。
  215. 塩崎潤

    ○塩崎委員 ちょっと御答弁がよくわかりませんが、恐らく大臣としてはあんまり本意ではないということでございましょうか。大臣、もう一遍お願いします。
  216. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいま申し上げましたように、私は、人事院総裁にもお目にかかりまして、いまの点について、産振手当、それから定通手当の受給者にも、義務教育等教員特別手当をお考えになるよう、お目にかかって御要望申し上げた次第であります。
  217. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで人事院総裁文部大臣もあんなふうに言っておられる。先般の内閣委員会でも、併給をするのだという附帯決議がついた。私は、そのときに、誠実な人事院総裁ですから、もう附帯決議のごとくなるものだと思った。あれは三月二十五日でしたから、おそらく、人事院規則が出ても、産業教育手当との関連は全くなくて、産業教育手当をもらっている者にも当然義務教育等教員特別手当は出るように、人事院勧告のあの趣旨を変更していただけるものだ、こう思ったのです。ところが、法律と一緒に施行されました五十年三月三十一日の第二条を見ると、これも書き方、私は味村さんとこれからもいろいろ御質問したいのですが、産業教育手当を支給している期間を除き義務教育特別手当を支給するものとするというわけで、附帯決議趣旨が生かされてないのですが、これはどういう趣旨なんですか。やっぱり国会軽視なんですか。附帯決議というものは国会考え方ではない、単に人事院に対する陳情である、こんなようなお考えですか。
  218. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そのような考え方は持っておりません。ただ、大変手続的なことを申して恐縮でございますが、給与法律改正につきましては、人事院勧告がございまして、これを受けて政府が閣議でもって方針決定をする、それに基づいて法律案が出るという手続ですべてやっておるわけでございます。そういうことでございますので、産振手当受給者あるいは定時制教育の受給者等に対しても、さらに義務教育特別手当というものをやるということになりますと、これは前の第二次勧告の内容とは異なったことになってまいりますので、その点については、さらに勧告等の措置を講じてやっていくべきがたてまえであろうというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、これらの点につきましては、いま文部大臣からも御要請がございましたことは事実でありまするし、また両院の内閣委員会においても、その旨は各党一致で要請がございまして、附帯決議に相なっております。われわれは、われわれの考えがございまして、一応ああいう勧告を申し上げたわけでございますけれども、そういう国会審議の過程その他を通じまして、私たちも国会意思はよく承知をいたしておりますので、現在それらの点について、さらに実態の調査を文部省を通じてやっております。これもそう長くかかるものでもございませんので、できるだけ速やかに措置を講ずるために検討したいということで、目下鋭意勉強しておるところでございまして、国会附帯決議を軽視をするという考え方は毛頭持っておりません。
  219. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大変物事にこだわられない藤井人事院総裁ですから、私は、国会附帯決議がついたら早速勧告も修正するという方が男らしいと思うのです。そんな実態調査なんというものは本当に口実ぐらいなもので、必要ないじゃありませんか、考え方の話なんだから。そして、この人事院規則なんというものは、あなたが判を押せばすぐ直る。国会のいろいろな法律の複雑な手続は要らないのですから、これは早速、この人事院規則を直されることをやっていただけるかどうか、ひとつ伺いたい。もうきょうにでもやっていただきたい。どうですか。
  220. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いま申し上げましたように、いろいろ問題点の整理もやっておる段階であります。そういうことで、できるだけ速やかに結論を得て措置をいたしたいということでございます。
  221. 塩崎潤

    ○塩崎委員 味村部長、あなたと先般内閣委員会でも少しやりとりいたしましたが、あそこではどうしても時間がなくて十分議論できなかったが、この人事院規則の定め方、これは憲法違反か法律違反だ。こんなようなことで国民が期待しておる産業教育手当の効果を、権利を、この人事院規則という一片の、何と言いますかね、規則なんです、法律ではないもので削減できると思われますか。私は法律的に疑問だと思う。  この給与法の十九条の五の三項、この点は申し上げましたが、法律の上では、産業教育手当を支給する者に対しては義務教育等教員特別手当を支給しないというような表現は一つもないのですね。法律にないのですよ。大臣よく聞いてくださいよ。「人事院規則の定めるところにより、手当を支給する」という言葉はある。もちろん人事院勧告の中には、併給を何か調整することを考慮するという言葉があるんですが、法律の上では、この大事な、本当に苦労をして農業高校の先生方が獲得したところの手当が削減されるなんという法律一つも規定がないじゃないですか。それを、支給される期間を除くというような怪しげなる規定の仕方で削減しておること自体が憲法違反じゃないんですか。法律違反でしょう。私はこの間も申し上げましたように、こんなことは税法では許されませんよ。あなたは私らに税法をずいぶん教えた、国民の権利を制限するならはっきり書きなさいと。これはなつとらぬじゃありませんか。これはどこで読むんですか。法律で、支給しないと書くべきだ。どうしてそう書かないのですか。支給すると書いてあるから、私は支給するものだと思っていた。法律的にも間違っている。こんなことを内閣法制局が通して、国会でもって、いかに代議士が法律を読まないからといっても、これは私が読んでもすぐわかる。これはいけませんよ。答えてください。
  222. 味村治

    ○味村政府委員 一般職の職員の給与法によりますと、「人事院は、この法律の実施及びその技術的解釈に必要な人事院規則を制定し、及び人事院指令を発すること。」というのは人事院の権限になっておりまして、人事院は独立の機関でございますので、具体的な人事院規則につきまして云々するということは、法制局としては差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、私どもが立案にタッチいたしました際の、先生の御指摘の一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律によります十九条の五の第三項でございますが、これは「人事院規則の定めるところにより、」ということで、義務教育等教員特別手当を支給する対象及び額、それは人事院規則の定めるところによるんだというふうに考えてつくっております。  しかし、それではまるっきり人事院規則に白紙委任かと申しますと、そうではございませんで、「第一項に規定する教育職員との権衡上必要と認められる範囲内において、」ということでございまして、高等学校教育職員につきましては、義務教育教職員との権衡上必要と認められる範囲、これは対象においても額においても、その範囲内において人事院規則が定められるのだ、このような理解のもとにこの法案にタッチいたしましたことを申し上げておきたいと存じます。
  223. 塩崎潤

    ○塩崎委員 味村さん大分歯切れが悪くて、いつもの味村さんと違う。「第一項に規定する教育職員との権衡上」じゃありません、これは義務教育教育職員との関係なんだから。この産業教育手当は、高等学校の先生の間で、農場手当として、生き物を相手に大変苦労する先生方にも、超勤とかあるいは不快手当とか、そういった形でついたわけです。寒冷地手当みたいなものじゃないですか。法律でもらった手当なんですね。それを一片の人事院規則で、そういうことを明確にしないままに削減しようとする、私はこれは完全に法律違反だし、内閣法制局の大ミスだと思うのです。  これは私だけが言うんじゃない。あの大先輩の赤城さんがいいことを言っておられる。あの年取った、さすが憲政の大家である赤城さんまでが内閣委で法律論を展開しておるんですね。恥ずかしいことないですか。法制局がもう少し気をつけるべきだと思う。赤城さんはこういうことを言っておられますよ。「せっかく人事院というものは独立して、公正に物をやるということですが、人事院法律無視して、法律によらないでも人事院規則でこれをやるといえば、戦前の緊急勅令みたいなものだし、あるいはまた統帥権的な立場になるので、これは少し差し控えてもらいたいと私は思うのです。」と言って、こういう法律論を至るところでやっておられる。人事院総裁法律論を一つもやっておられない。産業教育手当趣旨人確法的なものだから、今度人確法的なものをつくればいいじゃないかと、赤城さんがつくった法律を勝手に自分が人確法的なものと判断して、よって支給しないのだということを総裁が言っておられるだけで、どこの答弁を見ても法律論をあなたは一つもやっておられない。あなたはいつの間に統帥権を持っておられるのですか。人事院というのは統帥権ですか。昔、陸海軍は本当に内閣まで倒した。これは本当に法律でもつくって——既得権なんですよ。大きな権利です。それを一片の人事院規則で効果を無にするのです。結果的には削減したことになる。味村部長どうです。この赤城さんの質問に対してあなた方は答えておらない。あの先輩にこんな法律論をやらしておるのですから、いかに不自然であるか。皆さん、法制局がこんなことをしておったのでは、本当に法律を信用できませんよ。時限立法は全部廃止だ。答えてください。
  224. 味村治

    ○味村政府委員 十九条の五の第三項に「第一項に規定する教育職員との権衡上必要と認められる範囲内において、」ということでございまして、義務教育教育職員高等学校教育職員との「権衡上必要と認められる範囲内において、人事院規則の定めるところにより、」こうなっているわけでございます。産業教育手当の支給を受けております高等学校等の教育職員と、それから義務教育教育職員との権衡上必要があるかどうかということは、これは人事院の方で御判断になることであろうかというふうに考えております。人事院の方でそのような御判断になった結果、あのような人事院規則が出たのではなかろうかと、これは推測をいたすわけでございます。
  225. 塩崎潤

    ○塩崎委員 味村さん、あなたが私に教えたのは、そんなふうな教え方じゃないんだ。高等学校の定時制教育及び通信教育振興法第五条何項による定時制手当については、人事院規則の定めるところにより支給しないというふうになぜ法律に書かないのですか。税法で税金を取るときは、必ず課税対象、そして取る限度、これを法律に書かされるでしょう。これだけ法律で得た権利を、支給しないのなら、これは人事院規則で支給しない場合があるんでしょう、なぜそれをはっきり書かないのですか。その方が民主的な法律であることは認めるでしょう。新憲法下で大体そうなってきた。したがって法律が長くなってきたのですが、なぜこの人事院関係給与法だけはこのような総動員法的な、統帥権的な昔の陸海軍的なやり方を認めるのですか。味村さん、答えてください。
  226. 味村治

    ○味村政府委員 人事院は人事に関する専門の独立機関といたしまして、公平な立場において給与を決定するというふうに考えております。したがいまして、先生のおっしゃいますように、確かに産業教育手当を支給した高等学校職員については支給しないと書けばこれは非常にはっきりしているわけでございますが、しかしそれだけではございません。金額等もございます。そういったものを一まとめにいたしまして、要するにこれは高等学校教育職員でございますから、義務教育の教職員との均衡を図ることが必要なんだ、こういう趣旨でこの三項ができているわけでございますので、その均衡上必要と認める範囲は、人事に関する専門機関であります人事院にゆだねる。ただ、無制限にゆだねるのではなくて、その範囲を定めてゆだねたんだという趣旨でございます。
  227. 塩崎潤

    ○塩崎委員 味村さん、これは一〇%から四%引いて六%になってしまったということですよ。それが一片の人事院規則でやられたということですから、こんなような法律は今後考えてくださいよ。もう通ってしまったんだから何とも言えない。いかに国会議員が法律を読まないかということを暴露しているにすぎない。これがやはり人事院の独立性なんですか。人事院だけこういうような権限を認めるのが憲法の定めるところですか、味村さんどうです。
  228. 味村治

    ○味村政府委員 法律でもって政令なり人事院規則あるいは公正取引委員会規則その他に省令といったようなものにゆだねます場合には、これは委任の範囲をはっきりさせて委任の規定を設けるということが法制局として従来からの態度でございますし、今後もそのような態度を続けてまいりたいと思います。
  229. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私はこのような問題、日本人というのは裁判ざたといいまして、訴訟を非常にきらうくせがある。味村さん、そこが皆さん方のつけ目かもしれないけれども、このような問題は裁判所で黒白を争うぐらいの、いわば行政訴訟といいますか、こういったことを農業高校の先生方はやってみることも本当にこれは法律の規定の仕方あるいは民主的なあり方についての反省になるからやってもらおうと思うのです。そんなようなときになっても、あなた方余り抵抗しないように、これは悪かったと、恐らくいま味村さん、心の中ではしまったと思っているに違いない、過去の惰性によってきたに違いないと思うのですが、これはしかし人事院総裁は至急廃止するというふうに大体言っておられますから、これはこの程度に置いて……。  ひとつ最後に、総裁、私はやはり将来が心配なんです。人確法趣旨がまだまだ無視されるような気がしてならない点が一つある。それは私どもは大体二五%と考えているのですよ。一般公務員に比べまして二五%ぐらい高いと考えておるのですが、それは手当でも仕方がないかもしれないということで人事院がやっておられるに違いない。しかし九千円というふうにここに書いてありますね。これは毎年ベースアップが、低成長の時代にはないかもしれませんが、まだまだ今度の春闘でも一五%程度であるとすれば、人事院勧告で今度上がっていく。そうすると九千円は据え置かれれば、私どもが当初考えていた二五%がだんだんダウンするわけでしょう、大臣。私は、「月額九千円」というような規定の仕方は、人確法精神じゃないと思う。これがまた人事院のお手盛りにかかって永久に据え置かれたら、九千円が本当にノミナルな金額になってくる。これは大臣、どう考えられますか。ここまで法制的に文部省と人事院が詰められたかどうか。私は四%というふうに、四%の範囲内において義務教育特別手当を支給するというふうに書けば、ベースが上がれば自然に上がってくる。産業教育手当式に書けば心配はないのですが、これは毎年毎年人事院に西岡部会長や藤波部会長が盛んに陳情に行った趣旨が私もよくわかりました。この九千円を据え置かれたら、九千円という法律の規定の仕方をされたら、もう毎年足を運ばなければならない。これはベースアップに応じて九千円を何と申しますかインデクセーションという言葉がいいかもしれません。インデクセーション的に上げていただけるかどうか。こんなような運動が必要と考えられるか、文部大臣、どうですか。
  230. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私は今回のような四%の手当ということで本当に教員給与が当初思っていたように上がっていかないということでありますと非常に問題でありますから、引き続き改善を要望していく考えております。その点については、この勧告以前も勧告以後も全く考え方は変わっておりません。
  231. 塩崎潤

    ○塩崎委員 人事院総裁、いまの九千円の問題はどうですか。私はもう総裁の誠実な御性格からすれば、九千円じゃなくて、四%の範囲内において人事院規制の定めるところ、少なくとも四%ですから、四%の義務教育特別手当を支給する、こう書くべきだと思うのですが、どうしてそう書けなかったか。今後九千円に対して、そのもとのベースアップの際にはどういうふうに対処をされるか、これをいま伺っておかなければ、人確法精神はだんだん薄れていくわけです。あなた方の手によって骨抜きにされる。これをひとつお伺いしたい。
  232. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 われわれ事務的に検討をいたしました際には、率でいくという方式と定額方式と二つあるということもむろん承知いたしておりまして、検討の対象にいたしました。いたしましたが、これまたおしかりを受けるかもしれませんが、前から繰り返しております均衡の問題その他のことを配慮いたしまして定額ということにいたしたのでございます。しかし、この定額というものは今後一切そのまま据え置いて手をつけないというふうには考えておりません。いまのおのずからなる本俸に対する率の関係その他のこともございますから、それらの関係を頭に置きながら、今後においてその場その場でまた検討を加えることはむろんあり得る。永久にこれをそのまま手を加えないということは考えておりません。
  233. 塩崎潤

    ○塩崎委員 最後に一問だけお願いいたします。いろいろと申し上げましたが、ともかくも人確法の規定が相当抽象的である、大臣の言うような思弁的な書き方でありますために、このような解釈についていろいろの考え方人事院にとられてしまっていまのような混乱を招いているのだと思うのです。そこで総裁のことですから、私はもう信じていきたいのですが、本当に総裁が約束を実行されれば別なんですが、私どもは心配で心配でたまらない。そこでいっそのことそれなら人確法を、私どもはもうこれは憲法と考えておるのですから、給与法の上にあるもの、給与法はこれに基づいて出るものだから、人確法三条を全部改正して、少なくとも二五%以上公務員との給与の差はあるものとするというような規定を入れればすべての問題は解決するのですが、私はこれはいまの人勧体制のことを考えると適当じゃないということで、西岡先生、藤波先生が遠慮されたことを知っておりますから、ですから私はそういった点を考え、彼此勘案していくとすれば、そのような方向も考えられる。そのような方向について人事院総裁は決していいとは思われぬと私は思うのですが、こんなような方向についていろいろ考えなければならぬような、そんなようなことに走らない方向を考えていただきたいと思うのですが、ひとつそのようなことについて総裁、どう考えられますか。私は、人事院総裁を信頼していきたいんだ。しかし、どうも今度そごがあった。そごがないためには手荒いこともしなければならぬというようなことは残念ですから、そんなことがないように人事院総裁、御努力願えるかどうか、ひとつ最後に御答弁願いたい。
  234. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御鞭撻を受けたことと承知をいたしまして、今後十分努力をしてまいる所存でございます。ただ、人確法について法律の規定を改正するというような点につきましては、これは国会意思として出てまいればそういうことでございましょうが、われわれの方でそういうふうなことは、目下のところは考えておりません。
  235. 塩崎潤

    ○塩崎委員 以上で質問を終わらしていただきます。
  236. 久保田円次

    ○久保田委員長 次回は、来る十四日開会するこ  ととし、本日は、これにて散会いたします。      午後五時二十一分散会