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芳賀委員 労働時間とそれから
反収はもう昔から、大臣が生まれる前からこれは三年
平均ということになっておるわけですから、いまここで議論する必要はないのですよ。ただ、その基礎になる数字のとり方が過大過ぎるのです。その点だけ言うと、四十九年の米の実収
平均数量は十アール四百五十五キロというのはわかっているでしょう。四百五十五キロが全国の
平均収量です。それから統計
調査部の
調査農家だけの
平均数量が五百三キロですね。今回の
米価算定に使った四十九年の
平均数量は五百十三キロということになっております。だから、実収
平均よりも五十八キロ多い。
調査生産費の
収量よりも十キロ多い。こういうやり方で三年間の
平均値を出したわけですから、ことしは五百十キロで十アール
当たりの
米価算定の総
生産費を割ったから、これは非常に
米価が安くなっちゃったのです。とれていないものを過大な数字を使って分母にするわけだから、当然答えは小さくなるのは間違いないですよ。こういうでたらめなことをやって、そして
生産性の
向上なんというのはもう振り向きもしない。
労働時間についてもそうでしょう。
昭和三十五年は百七十三・二時間かかっている。それが四十九年は八十四・八時間だから、ちょうど十年間で農民の努力で投下
労働時間がこれだけ減っておるわけでしょう。だれに頼まれたのでもないですよ。営々として
生産性を上げてきたんじゃないですか。一体何を言っているんだ。
それから、いままでは一俵以上の
販売農家を
対象にしたとか、今度は五俵以上にしたとか、
米価を下げるためだけの手段はどうしたらいいかということだけを随所に探し出して、あるいは捏造して、ことしの一万五千四百三円という去年よりも一三・一%上げの
米価の
試算をやったわけだ。これは決まったのでないですからね。やはりきょうは先ほど大臣が言われたとおり、当
委員会の議論等についても十分認識を新たにしてもらって、よくやったという適正
米価が決められるように、これから残された時間を十分に努力してもらいたいと思うのです。
それからつけ加えて聞きますが、八日に安倍
農林大臣と自民党の総合農政
調査会の丹羽さんと、農林部長の中川一郎君と、昔ベトコンと言われた米対策協議会会長の坪川信三君と四人で集まって合議の結果、一三・一%上げの
諮問米価を米審に出す、そのかわり後で
政府・自民党の保留分として一%は残してある、これは後で自民党に花を持たせるために一三・一%に大体一%程度は加算する、と、こういう話し合いの上で一三・一%が出た。これは新聞に報道されておるわけです。これは真偽を確かめる考えは私はないのですよ。そういうことで、後で一%加算になることはもう間違いない点ですね。
それから、もう一つお尋ねしたいのは、この低
米価諮問を不満として、たとえば農協の中央米対本部においては、昨日、全国の都道府県農協の米対本部長に対して全国的に管理米の出庫不協力の行動に入るような指令を出しておるわけです。それからまた、農民組織の全農総連も、米対本部長名をもって、都道府県の傘下組織に対して出庫拒否闘争に突入すべしという指令を出したということが新聞、テレビ等において報道されておるわけです。
これほど全国の農民は今回の
諮問米価に対して大きな不満と怒りを持っておるわけでありますから、われわれ社会党としては、昨日、
政府の
諮問米価に対しまして社会党としての見解を発表したわけであります。大事な点だけ申しますと、今回
農林大臣が米審に
諮問された
試算米価の一三・一%上げの万五千四百三円
米価なるものは、これは
政府試算として真に検討に値しないものである、したがって、これは米審に
諮問したわけでございますが、これを潔く撤回して、
食管法の規定に基づいた正しい
算定を行って、当然
米価審議会に再
諮問すべきである、と、こういう趣旨の見解を発表したところであります。それほどにわれわれ社会党としても今回の
米価問題というものは重視しておるわけでございますし、同じ自民党の
農林大臣であっても、安倍大臣に対してはわれわれはいままで
相当期待と信頼を持ってきておるわけですから、この
段階において、日本農政のかなめである大事な
米価決定について、安倍
農林大臣としてこれは初めての
米価決定ということになるわけでありますから、後世に非難を残さぬようにぜひしっかりやってもらいたい。そして本当に食管制度を守って、日本の食糧の自給度を
向上させ、その基盤である
米価の
決定や農業発展のために名実ともに攻めの農政の陣頭に立って、この
米価決定を機会にして十分に検討してもらいたい。そういう点を申し上げるわけであります。
これに対して
農林大臣の所信を明らかにしてもらって、私のきょうの質問を終わりたいと思います。