○江藤
政府委員 お尋ねの趣旨は、これから自給率を高めていくわが国の
農政の基本方針についてのお尋ねでありますが、御案内のように、国際的な
食糧の不足と、それから
国内的にも非常に嗜好が多様化してくる中にあって、わが国としてこれからどうやっていくかというと、根本的には、
国内で自給のできるものは極力自給力を高めていくということに全力を挙げていく。そして、どうしても自給のできないものがありますが、それは、たとえばトウモロコシ、マイロに見るような家畜のえさ、そういうものがありますから、そういうものは安定的な輸入を図っていく。つまり一、二カ国ということではなくて、もっと広く安定的な輸入の道を図る、そして総合的な
食糧政策を進めていく、これがまず第一番の基本になるであろうと思います。
しからば、今後の
国内の
農政の推進に当たってはどうするかということになるわけでありますが、それは、いま御案内のように、
昭和六十年度を目標とする農産物の
需給の
長期見通しと今後の
食糧政策のあり方について、実は
農政審議会で御審議をいただいておるわけであります。この結果を待って、
農林省としてはこの長期的視点をここに
一つ焦点を決めて、まず第一番にやることは、効率的な土地の利用を
考えるためには
農業基盤の整備事業ということをどうしても第一番に
考えていかなければならぬことは当然でありまして、私どもが
昭和五十年度
予算で基盤整備事業に非常な力をいたし、また、皆様方にお力添えを賜ったのもそこにゆえんがございます。
それから、もう
一つは、農用地をどういうふうに
確保していくかという問題が
一つあります。これは、
国土利用計画法に基づいて利用区分を設定する、あるいは農振法の成立を図ってもっともっと効率的な農地の利用というものをはかる、あるいは農地法の規定に基づいて農地転用の規制を十分に今後も監視をしていくというふうな、いわゆる農用地をどういうふうに
確保していくかという問題がどうしても取り組まなければならぬことでもあります。次には、もう限られた農地でありますから、今後水田、特に裏作と言いますと水田でありますけれども、この水田の裏作をどうするか、麦あるいは大豆、あるいはえさの作付を進めていくために裏作をもっともっと高度に利用するのにはどうしたらいいかという問題があります。それから、先ほどと関連がありますが、農地の利用と、それから集団化、もう
一つは制度金融の問題があります。どうしても金融が伴いますから、そこで、五〇%増しの四千五百億の近代化資金を準備をする。あるいはまた農林漁業金融公庫も四千三百何十億というものを準備する。特に、ことしは御
承知のように初度的経営資金、運転資金をその中に準備する。こういうふうなことをはかりながら、相続税の制度の改正と相まって、これ以上農地が分散しないように、まず
一つの枠をはめていかなければいかぬ。もう
一つ、先ほどちょっと御
意見がありましたが、いよいよ来月は
畜産物を初めとして、いろいろと
価格改定の時期にも当たりますので、今後の動向等を十分参酌して、物価、賃金に見合うだけの適切な
価格決定というものをしていかなければならない。そういう
価格政策の強化の問題が
一つあります。
それから、最後には、実際に
農村の皆さんが今後取り組んでいくためにどういう
農業技術を取り入れていくか、その指導体制をどうするか、品種改良等をどうしていくかという、そういう
農業技術等の問題がありますが、これらを総合的に組み合わせながら今後の
農政を進めていきたい、このように私どもは念願をいたしておるところでございます。