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1975-08-19 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年八月十九日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 加藤 陽三君    理事 木野 晴夫君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       大石 千八君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    林  大幹君       三塚  博君    山本 政弘君       木下 元二君    鬼木 勝利君       受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    小野 武朗君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         内閣総理大臣官         房広報室長   関  忠雄君         総理府人事局長 秋富 公正君         行政管理庁長官         官房審議官   川島 鉄男君         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省主計局給         与課長     吉居 時哉君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 八月八日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     和田 貞夫君 同月十九日  辞任         補欠選任   旗野 進一君     塩谷 一夫君 同日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     旗野 進一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  去る八月十三日の一般職職員給与等改定に関する人事院勧告につきまして、人事院より説明を聴取いたします。藤井人事院総裁
  3. 藤井貞夫

    藤井説明員 先般の勧告に対しましての説明をお聞き取りいただきまする機会をお与えいただきましたことを、ありがたく感謝をいたす次第でございます。  お配りをいたしております書類として勧告及び報告、それから参考資料給与勧告についての説明がございますが、その中の給与勧告説明中心にいたしまして、その要点について御説明を申し上げたいと存じます。  人事院は、例年のとおり、官民給与の双方について実態調査実施いたしたのでございますが、本年の経済情勢民間調査の結果にも十分反映を見られるわけでございまするが、なお、これを比較いたしました場合の官民給与較差は、平均金額にいたしまして一万五千百七十七円、比率にいたしまして一〇・八五%であることが明らかと相なりましたので、この較差を埋めるための給与改定を行うことが必要かつ適切であると認めた次第でございます。  本年の給与改定に当たりましては、民間給与状況さらにはその配分の傾向公務員生活実情等を考慮いたしまして、俸給表重点を置きつつ、諸手当につきましても生活給的な配慮を特にいたしまして所要改善を行うということにいたした次第でございます。  まず、俸給表改善について申し上げたいと存じます。  本年の民間におきまする初任給、それから職務の階層別給与の上昇の傾向を考慮しながら、特に家族持ち中位等級職員給与改善重点的な配慮をいたしまするとともに、指定職を含みまする上位等級、すなわち一、二等級等につきましては、それらとの均衡上必要な最小限度配慮をするということにとどめた次第でございます。  初任給につきましては、ことしは民間状況もそれほど重点はかかっておりません。そういうことで、これとの見合いで考慮いたしましたが、しかし昨年の国会の御審議等におきまして、特に三公五現との関係について附帯決議がなされておるわけでございまして、特に高校卒初任給につきましては、三公五現と国家公務員との関係では非常な開きがあるということは事実でございますが、そう一遍にこれを詰めるわけにもまいりませんが、本年は附帯決議趣旨も尊重いたしまして、なるべくその差を広げないということを重点的に配慮いたしまして六千八百円の引き上げということに、これについては特に配慮をすることにいたしております。  それから、職種別に見ました場合は、なお依然として人手不足が続いております看護婦医師等について特に配慮をいたしますほか、大学、高専の先生につきましては、さきに行われました人確法に基づく義務教育学校教員の第二次改善との均衡を考慮いたしまして、少なくとも著しい逆転等のことが起こらないような配慮をいたしまして改善を加えることにいたした次第でございます。  それから、医療職俸給表(二)につきまして、特に新二等級を新設いたしまして、これについては病院等薬局長なりあるいは一部の放射線技師長なり臨床検査技師長の一部に適用する道を開くことにいたしております。特二等級でございます。  次に、諸手当改善でございますが、これにつきましては、生活給的なものに特段配慮をして改善を加えることにいたしております。  まず、扶養手当についてでございますが、これは現在配偶者については五千円でございますものを一千円上げて六千円、それから配偶者以外の扶養親族のうち二人につきましては、現在千五百円のものを五百円ずつ上げておのおの二千円といたしまして、この結果、奥さんと子供二人といういわゆる標準家庭については一万円の扶養手当が出せるということにいたした次第でございます。  それから、通勤手当でございますが、これにつきましては、やはり民間における支給状況なり職員通勤実態を考慮いたしまして改定することとしております。特に昨年、国鉄並びに私鉄等運賃引き上げ等がございましたので、現行通勤手当でカバーする部面の比率がそれだけ相対的に低下をいたしておることがございますので、これにつきまして配慮をいたしました。  すなわち具体的には、運賃相当額全額支給限度額現行八千円に二千円プラスいたしまして一万円といたしました。二分の一加算額を加えた最高支給限度額現行の九千円から一万一千五百円に引き上げることにいたしました。すなわち運賃として通勤手当で対象とする、めんどうを見るというのは一万三千円ということに相なるわけでございます。  また、自転車等交通用具使用者に対する手当額についても二割方改善をすることといたしております。  住居手当につきましては、これも民間状況並びに公務員住宅入居者との関係をも考慮いたしまして、借家、借間の居住者に対する手当支給限度額等について改正を行うことにいたしております。すなわち従来までいわゆる足切りが四千円でございましたものが、御承知のように本年の二月におきます公務員住宅家賃改定によりまして約三五%程度の値上げが行われたのでありますが、それとの見合いで、足切りを千円伸ばしまして五千円にいたしまして、五千円を超える家賃、間代を支払っている職員に対して支給することに改めることにいたしました。これが中心改正でございます。それと同時に、最高支給限度額についても千円の上積みをするということにいたした次第でございます。  それから、医師の確保というものがなお依然として、特に僻地等においては困難な問題がございますので、これに対する対策の一環といたしまして、初任給調整手当について現行十三万円に一万円積み足して十四万円の支給月額限度にするということにいたしましたのと、いわゆる医系教官、文部省、厚生省等におります病院勤務でない医系教官等に対する初任給調整手当についても、医師との均衡上従来いろいろ問題がございました。そういうことで、昨年これについても初任給調整手当支給するということで制度を踏み切ったわけでございますが、ことしその支給限度現行二万五千円から三万円ということにすることにいたしますとともに、支給期間限度を相当程度延ばすという措置を講ずるということにいたしたいということでございます。  それから、先般御審議をいただきました義務教育等教員特別手当でございますが、これについては一応定額ということできておったわけでありますけれども、その後諸般の情勢検討いたしまして、今般の改正でまた基礎の俸給額引き上げに相なりますこともございますので、新俸給月額の四%相当額基準としたものに改正をいたしますとともに、先般の当委員会でも附帯決議がございました趣旨を尊重いたしまして、産業教育手当、それから定時制通信教育手当受給教員に対しても、義務教育等教員特別手当の一部を併給することに改めたいと考えております。  それから期末、勤勉手当、いわゆる賞与につきましては、例年どおり前年の支給実績調査いたしましたが、その結果、去年と同様の比率が出ておりまして、民間との均衡が保たれておりますことが明らかになりましたので、現行のまま据え置きとすることにいたした次第でございます。  以上が俸給表並び手当に関する勧告案内容でございますが、その次に申し上げておきたいと存じますのは、本年の調査いたしましたところによりますと、民間企業のうちには、四月現在非常に厳しい情勢を反映いたしまして、残業規制とかあるいは一時帰休とか、さらには役付手当カット等を行っておるものがかなり見受けられます。特に部長課長等役付手当の一時的減額につきましては、大規模製造業等についてはかなりの率に当たるものがこれを実施をいたしておることが見受けられまするので、これを見過ごしてまいることもいかがかと存ぜられる節もございますので、本省課長等支給する俸給特別調整額、いわゆる管理職手当、これを一年間にわたって一〇%削減することといたしますとともに、指定職職員については、御承知のようにこれは俸給一本でございまして、いろいろな手当がございません。地域給に当たる調整手当だけでございまして、あとの扶養手当なり特別調整額等はございません。俸給一本に組み入れられておるわけでございますが、これにつきましては、いま申した管理職手当の減額に見合うことといたしまして、その俸給アップ率を削減するという措置を講ずることにいたしました。この結果、指定職最高号俸でございます東京大学の学長あるいは京都大学学長に適用される俸給額につきましては、四・六%の上げ幅にとどめるという結果に相なった次第でございます。  最後に、週休二日制の問題でございます。  これは昨年、おととし二回にわたりまして、民間実情調査の結果ともにらみ合わせて報告をいたしておるわけでございますが、本年も引き続きその実際の民間における実情調査いたしました。その結果、民間におきまして何らかの形で週休三日制を実施いたしておりまする事業所の割合は六七・四%ということでございます。従業員数によりますと、大規模会社等もこれに入ってまいりますので、八割を超えるというような状況に相なってきておるわけでございます。これらに対応いたしまして人事院といたしましては、五十年度を目途に試行計画策定その他についての措置をいたしてまいりたいという趣旨のことを申しておるわけでございますが、われわれといたしましても、その後、この趣旨に従い試行計画策定に努めてきております。ただ何分にも、公務行政サービスを維持していかなければならぬ、それでないと、国民生活に重大な影響を与えるという基本的な問題がございます。したがいまして、行政サービスを維持しつつこれを行っていくためには、さらに実地に即した検討を行うことが必要であると考えられますので、これは当委員会においても先般来ずっと申し上げてきておりますように、当面、来年の初期から試行基準に基づく試行計画、すなわちテストをやっていく、これを具体化するということといたしまして、関係諸機関との緊密な連絡のもとに所要検討を進めることにいたしたいということを申し述べておる次第でございます。  最後に、改定実施時期については、当然本年四月一日ということでお願いをいたしておる次第でございます。すでに三公社五現業職員についての公労委の裁定完全実施されることに決まっておりますことから、公務員給与につきましても、この勧告が完全に実施されますることにつき、国会及び内閣の格段の御配慮を心からお願いをいたしまして、内容の概略の説明を終わらせていただく所在でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  4. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて説明は終わりました。
  5. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出委員 このたびの勧告をめぐりましては、私がこの間大平大蔵大臣に承りましても、人事院独走は許しがたいなんということを平気で言うわけでありまして、新聞紙上にあらわれる各種論評もしきりに公務員の賃金が高い、高い——一つも高くはない、生活困窮の度をきわめているのにそういう論評でございましたから、そういう中で大変詰めた作業をなさいまして勧告を出していただいたわけでありまして、その労をまことに多といたす次第でございまして、その意味では感謝を申し上げるわけでありますが、ただ、公労協並みという、まあ横目でにらんで出さなければうそになるだろうと、こういう答弁総裁はいたしましたが、その意味ではまことにもって不満であります。  悪い冗談が聞こえてまいりまして、大出何がしがこの委員会で、逆算をして計算をすると一〇・九五だと言ったと。私のところに勧告内容をお持ちになった方まで、先生、一〇・九五とおっしゃいましたねと、こういう話でございまして、私の耳に入ったのが悪い冗談かあるいは本音かわかりませんけれども、大出さんが一〇・九五と言ったので、まさかそのとおり出すわけにもまいらぬから、ちょっと下げて一〇・八五にした。全国の公務員諸君挙げて私の責任を追及する、こういうことになりかねぬわけでありまして、まことにもってこれはけしからぬ冗談だということになるわけであります。つまり公労協並みでないというところに大きな問題が残されております。それにもかかわらず、新総裁大変御苦労なさいました点について、先ほど申し上げましたように、重ねて感謝を申し上げておきたいのであります。  そこでまず第一に、総裁談話というのが実は出されているわけであります。これは人事院総裁であります。この談話例年と趣をいささか異にする中身になっている。妙な気がするわけであります。この総裁談話例年にないことを言っておられますけれども、これは一体どういう意味を持つことになるのか、まず承りたいのであります。  ちょっと要点を申し上げますと、五十年八月十三日の人事院総裁談話。「一般職国家公務員については、人事院勧告が、労働基本権制約に対する代償措置として最も重要な処遇改善の途であることにかんがみ、」昨年これはない。「労働基本権制約に対する代償措置として最も重要な処遇改善の途であることにかんがみ、」こういう言い方をされているのであります。これは一体何をもってわざわざことしこのことを、言わずもがなのことだったということで昨年は入れなかったのかもしれませんが、本年入れた理由は一体どこにあるのか。  もう一つ、真ん中の少し後の方に「昨今の厳しい社会経済情勢のもとに、」というところから始まりまして「公務部内においても、当然のことながら能率増進行政サービスの向上のため更に一段の努力を傾注するとともに、」と言っておいて「組織活力昂揚のための施策を一層強力に展開することが要請されているものと考える。」ということ。「組織活力昂揚のための施策を一層強力に展開することが要請されている」これは一体何ですか。この二点について総裁からまず承りたいのであります。
  7. 藤井貞夫

    藤井説明員 ことしの総裁談話では、言わずもがなのことを言っておるのではないかというような御指摘もわれわれの耳にすでに入っております。ただ「労働基本権制約に対する代償措置として最も重要な処遇改善の途である」というようなことを、過去の勧告の際にも申し上げたことは実はございます。ただ、ことしの場合は、われわれもわれわれなりに世間のいろいろ厳しい情勢というものを受けとめまして、いろいろ苦慮をしたような実績もございます。そういうことでございまするけれども、しかしながらやはり人事院勧告というものは、官民較差があればこれを追いつかせることなんだ、それが過去の累積で積み重なって今日まで来ておる。幸い国会内閣の非常な御配慮によって、すでに四十七年からは四月一日完全実施ということで来ておるわけであります。ところがこれが、いろいろ厳しい経済情勢であると言いながら、もしその道がまたもとへ戻っていく、あるいは一部でも完全実施が阻害されるということになりますと、これは大変な大問題であるというふうに私なりに受けとめております。そういうことで、ぜひ何とか——情勢はわかるけれども、しかし、そういう民間の厳しい情勢というものは四月実施民間給与情勢に反映しておるのだから、それでなおかつそういう較差が出ておれば、これを追いつかせる、較差を是正するということは当然のことであるから、ぜひともひとつ完全実施の道を閉ざさないでほしいということを切々と実は訴えたかったということのように御了解が賜りたいと存じます。  なお、先刻も申し上げましたが、三公五現につきましては、すでに仲裁裁定ということで実施の道が開かれておるわけでございます。といたしますと、同じ職場で机を並べておる諸君の中にもすでに実施が決まっておる者とそうでない者との差別があって、そういうことはやはり職場管理運営、士気の高揚ということにも非常に影響がございます。それらの配慮をいたしまして、万が一にもこの完全実施の道が閉ざされることのないようにという、実は思い余った心境からこういう談話を出したということにお含みを願いたいと存じます。  それからもう一つ、「組織活力昂揚のための施策を一層強力に展開することが要請されているものと考える。」ということを言っておりますが、これは、やはりいま申し上げましたように、完全実施ということ、これはどうしてもやっていただかなければなりませんと同時に、やはり公務に対しては世間批判というものがあることも事実でございます。無論その批判というものが見当違いのもの、あるいは誤解に基づくものもたくさんあると思いますけれども、しかし、そういうものは知らないというようなことでそっぽを向くわけにはまいりません。御承知のように公務員の仕事というものは公務の執行であり、しかも公務員給与というものは国民の税金によって賄われるという筋合いのものでございますから、常にやはり公務員公務員なりに自粛自戒しなければならぬ、そういうことが必要でありますと同時に、職場自体におきましても、公務能率増進というようなことと並行いたしまして、職場における組織活力高揚していく、具体的に申すならば昇進昇格等人事管理の問題もございますし、さらに研修というような点もございます。それから、だんだん問題になっておりまする退職管理というようなことにつきましても、いずれはやはり何らかの措置を講じてまいらなければならぬ時期が来るのではないかということで検討を始めなければならぬということもございます。しかし、これは当委員会でも申し上げておりますように、公務員の場合、近い機会に直ちに定年制に踏み切るとかいうようなことは、いまのところは実は考えておりません。これについては、その周辺をめぐるいろんな問題がございます。そういう問題を踏まえてまいりませんと事は解決をいたしませんので、そういう点には慎重に配慮しながら、しかし一つ活力高揚一環として検討していかなければならぬ事実がございます。そういうことで、やはり公務部内においても、管理者におきましても、行政管理庁等も、それなりの職場で御努力はいただくわけでございますけれども、われわれ人事管理の当局としての責任を持っております者といたしましても、そういう点についてもひとつ特段の御配慮をいただきたい、そういうことを考えましたので、以上の二点について申し上げた次第でございます。
  8. 大出俊

    大出委員 この前段の「労働基本権制約に対する代償措置」だとあえてうたった真意というのは、今回の人事院勧告をめぐりまして、口の前で私は大蔵大臣に質問を続けたわけでありますが、大蔵大臣は大変渋い言い方でございました。最初は、これは何を言い出すのかと思っていると、もっともあの人は人が質問したって三年たって返事するようなタイプですからね、下を向いて寝ているのかと思えば考えているという人ですから、出足は悪いですけれども、それにしてもどうも少し歯切れが悪過ぎる。つまり人事院独走は許さぬというようなことを言い出すんですからね。だから、そういう周辺の事情、だが筋を通して物を考えれば、代償措置なんだと、この筋を一歩たりとも崩すわけにまいらないという決意のほどを明らかにされたし、あわせて、なおのことだから完全実施をしてもらわなければならぬという強い人事院意思をここにうたわれた、いまそういう趣旨の御答弁でございますから、そのようにこれは受け取らせていただきたいのであります。  この点は、後ほど改めて総務長官にも承りたいところでありますが、また後段の部分につきましても、きょうは小野任用局長さん等もお見えでございますから、少し突っ込んで承りたいのでありますが、とりあえず総裁はかたい決意で、完全実施を一歩たりとも曲げてもらっては困るという、そういう決意を明らかにされておられます。それを受けてひとつ総務長官に承りたいのでありますが、中身については後ほど申し上げますけれども、今回の勧告扱いにつきまして、実は私、十三日の午後二時に、後ほど御出席をいただきますが、井出官房長官にお目にかかりまして、一体政府はこの勧告扱いをどう考えているかと聞いたら、人事院総裁がお持ちになったときに総務長官にも御同席をいただいて、いろいろその御意思のほどを承った。したがって、政府としては総務長官から談話の形で意思表示をさせていただいたと、こうおっしゃる。すぐで、時間がございませんでしたから、私ども手元にございませんので、読み上げていただけぬかと言ったらお読みになった。私は、黙って聞いていて、それは昨年の総務長官談話とはえらい違いではないかと言ったら、井出さんけげんな顔をして、どこが違うと言う。「完全実施」という言葉のその「か」の字も入っていない、これは一体何事だ、しきりに財政がどうのこうのと、給与担当責任者として必要のないことを言っているではないか、こういう言い方をしましたら、そんなことはないと最初言いましたが、これは私、十二年間給与をやっているので、毎年総務長官が何を言ったかちゃんと頭に入っている。だから「完全実施」と去年は入っていたと言ったら、大出さんがそうおっしゃるのだからそうでございましょう、だが入っていないけれども、この書いてある行間に「完全実施」の意思がにじみ出ているはずでございますと、文人長官と言われるだけありまして、「完全実施」が行間ににじみ出ていると言う。ではにじみ出ているのかいないのか、文字になっていないのだから、長官、あなたも委員会にあらわれて、にじみ出ているという点についてひとつ説明してくれということになっているわけです。  ときに、行間ににじみ出ていると言うんですけれども、これは文字に書いていないのですから、総務長官にまず承りたいのは、何で一体去年と著しく違って「完全実施」の「か」の字もないような談話をお出しになったのか、ここのところをまず承っておきたいわけであります。
  9. 植木光教

    ○植木国務大臣 八月の十三日に人事院勧告が行われまして、私から総務長官談話を発表したことは仰せのとおりでございます。その中にも書いておりますように、人事院勧告政府が「尊重することが公務員制度を適正に運営をしていくための基本的建前である」という認識を私は強く持っているのでございます。したがいまして、財政事情なども厳しいことは御承知のとおりでございますが、私も承知をいたしておりますけれども、しかしながら、できるだけ早い機会給与改定が行われるよう誠意をもって対処いたしたい、こういう談話を出したわけでございます。  この中に「完全実施」という文言がないではないかという仰せでございますが、これは確かに、昨年も一昨年も「完全実施」という文言は入っておりまして、今回は入っておらないということは事実でございます。しかしながら、検討を開始いたします、勧告の当日に発表いたします中に、完全実施をいたしますということを断言するということは、これはまあできないわけでございます。したがいまして、もう大出先生十分御承知のように、昨年も「勧告完全実施に努めてきたところでありますが、今回の勧告についても、」と、こういう言い方をしているわけでございます。  私は、基本的たてまえとして人事院勧告を尊重しなければならないということを言いますことによりまして、同じことを言ったつもりでございまして、昨年までの談話におきましても、この人事院勧告を尊重し、できるだけ完全実施したいという政府の基本的態度を示しているのでございまして、その基本的態度につきましては何ら従来と変わるところはございません。前回の当委員会におきましても完全実施について最善の努力をするということを申し上げた決意には、何ら変わりはないのでございます。
  10. 大出俊

    大出委員 あなたはそう言っても、行間ににじみ出ているか出ていないかの話になるのでね、そう言うと。これに書いてあるのを見れば一目瞭然で、今度のあなたの談話は、植木さんになって何でこんなに違うのかと思うくらい中身が違う。言っていることは尊重しか言っていない。「政府は、これを尊重することが公務員制度を適正に運営していくための基本的建前であるとの考えで処理してきたところであります。」尊重することが適正運営の基本的たてまえだと、こうあなたは言っているだけです。そこで次に何を言っているかと思えば「今回の人事院勧告実施については、」いきなり財源が出てくる。「特に財源をはじめ諸般の事情を慎重に検討する必要がありますが、」と、前にこう誓いちゃっている。尊重がたてまえだ、尊重なんですね。完全実施ではないんですよ。尊重がたてまえだ。だが次の方で、財源を初め諸般の事情をまず慎重に検討しなければならぬと、こう言っている。その結果でなければどうなるかわからぬというのです。「私はできるだけ早い機会給与改定実施されるよう誠意をもって対処してまいる」尊重がたてまえだ。財源を初め諸般の事情を慎重に検討しなければならぬと、尊重がたてまえだが、財源その他を慎重に検討しなければなりません、その上でできるだけ早い機会給与改定実施されるようにと、これは完全実施ではないのです。尊重だ。財源がないのです、だから検討するんですよ。その上で早い機会給与改定実施改定実施というのは不完全実施だって改定実施です、これしか言っていない。こんなばかげた給与担当大臣としての談話なんというものは見たことがない。  去定のやつ、これを見るというと明確なんですね。去年は「政府は、人事院勧告を尊重することを基本的建前とし、」その次にすぐ続いて「勧告完全実施に努めてきたところでありますが、」三年間完全実施してきています。だから「今回の勧告についても、誠意をもつて対処する所存であります。」明確じゃないですか。尊重をたてまえとして勧告完全実施をやってきた。三年間やってきた、だから今年も勧告について誠意をもって対処する所存です、これなら去年もおととしも尊重がたてまえだから完全実施をやってきました、今年も去年と同じように誠意をもって実施しますと、こう言っているわけですから、これならば完全実施努力を誠意をもっておやりになるということが明らかです。だから、いわば今度は百八十度違う。完全実施、この意思を表示した上で「この際、公務員諸君においても、一段と公務能率増進行政サービスの向上につとめられるよう、強く期待するものであります。」これならわかる。尊重がたてまえですよ、完全実施をやってきましたよ、だから、ことしも誠意をもって対処しますよ、したがって一段と公務能率を上げてくれ、こう訴えているわけですからなるほど筋が通った談話なんです。  ことしは、あなたは「完全実施」の「か」の字もない。行間もヘチマもあったものじゃない。これしかない。改定、もって読んで字のとおりであります。こういうふざけた談話をお出しになるから全国大騒ぎになるわけですよ。あなたの所管されている総理府だって、一体これどういうことになるのですかと私に質問までちゃんと来ている。働いている皆さん、みんなこの談話で心配している。何で一体、給与担当の大臣がそこまで大蔵省の方に顔を向けなければいかぬのですか。いかがですか。
  11. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、完全実施という文言はこの中にございませんけれども、しかし人事院勧告を尊重するということが基本的なたてまえであることは、完全実施を今日までしてきた沿革をとらえての私の談話でございまして、したがって、先ほども申し上げましたように、勧告せられました当日、直ちに完全実施ということを申し上げるということが、私といたしましてはまだ断言できる段階ではない。私の気持ちは、もう申し上げるまでもなく完全実施をしなければならないというところにあるわけでございます。したがって、昨年と同じ姿勢で、すなわち完全実施をしたいという昨年のその姿勢と同じ姿勢で今回も臨んでいるのでございまして、したがって、この中には先ほどお読みになりましたように、公務増進行政サービスの向上というのが抜けておりますのも、実は完全実施をするということが基本的に方針が決められました段階でこそ初めて公務員諸君に対しても公務能率増進行政サービスの向上に努めてほしいと言えるわけでございますから、したがって、その点は私としてはこの際は談話として出さなかったわけでございます。  なお、当日行われました給与関係閣僚会議におきましては、先ほど人事院総裁談話の中で出しておられますと同一の趣旨の発言をいたしまして、人事院勧告が十分に尊重せられるようにという強い発言をしたという事実をもってひとつ御理解をいただきたいと存ずるのでございます。
  12. 大出俊

    大出委員 いまの総務長官の言葉じりをつかまえては申しわけないのですけれども、そういう意味じゃないんだが、おっしゃったから言うんだけれども、これは完全実施をいたしますと言える段階になったら公務能率の向上と行政サービスの向上を言いたいというわけですね。どうも完全実施すると言えない段階だから、公務能率増進だとか行政サービスの向上に努めてくれというようなことは言えない。そうすると、あなたは完全実施しないのなら、公務能率増進は、これは全く増進どころじゃない、どんどん低下しても、あるいは行政サービスが低下しても、これは完全実施しないんだからしょうがない、それがしまいにはストライキみたいになってもこれはしようがない、こういうことになりますよ、あなたのいまのお話しなら。完全実施が言えないから行政能率の向上とかサービスの向上とかというようなことは言えないとあなたはおっしゃる。完全実施が言える段階になって公務能率の向上を言い、行政サービスの向上を言いたいと、こう言う。裏返せばそういうことになる。だから、そんなばかなことはないと私は思うのです。ですから、あなたは間違いなく完全実施の御意思をお持ちだと思う。  そこで承りたいのですが、これは十七日の東京新聞ですけれども、「完全実施表明へ」と、こう書いてあるんですね。皆さんは、新聞に載っている記事というものは都合が悪いときはそれは勝手に書いたんだと言う。都合のいいときは新聞をごらんなさいと言う。まことに都合よくできていますが、これは早手回しなんですよ。「政府十九日の衆院内閣委で完全実施表明へ」と書いてある。きょうあなたここで完全実施を表明なさることになっている。その理由をここに三つ書いてある。その理由は——これは経過がここにありまして「十三日午後の給与関係閣僚会議に続き、月末に二回目の会議を開いて正式に態度を決めるが、十六日までに非公式ながら完全実施の方針を内定した。」と書いてある。内定したのかしてないのかまず承りたいのですが、その理由の一「先に三公社五現業職員給与を公労委の仲裁裁定どおり引き上げている」二番目「ここ数年、完全実施の線が定着している」三番目「多難を予想される臨時国会で野党との争点を少しでも減らす必要がある」この三点目はよけいなことですがね。そうでしょう。この三点目はなしにしましょう。この一と二。十六日に内定した、こうあるのですが、これは少し早手回しですけれども、総理府傘下の方々からも電話連絡があるような世の中ですから、いつまでも皆さんに心配をさせていても仕方がない。したがって、給与担当責任あるお立場で、早手回しに新聞が書いておりますが、したがって期待感をお持ちになる公務員の方々おいでになるわけでありますから、総務長官としては、何としてもことしは引き続いて完全実施をする、この方向で全力を挙げて努力をするということでひとつはっきりお答えをいただきたい。でないと、さっき申し上げた談話がありますだけに、私ども応対に非常に苦労しておりますので明確にしていただきたいのですが、いかがでございましょう。
  13. 植木光教

    ○植木国務大臣 給与関係閣僚会議の後、十五日の閣議におきまして、人事院勧告を私から報告をいたしました。その後、各省庁間でいろいろ協議をしているわけでございますが、公式に特別に会議は持ったわけではございませんで、まだこの実施につきまして決定を見たということではもちろんございません。しかしながら、給与担当閣僚といたしましては、人事院というものは現在の公務員制度のもとでは公務員の労働基本権の代償機関でございます。このことは国内的にも国外的にも政府自身も述べてきたところでございますので、したがって、勧告を尊重すべきは当然であると存じます。さらにまた、三公社五現業が赤字であります団体におきましても四月から仲裁裁定完全実施をしているという状況にかんがみましても、非現業公務員がこれら職員均衡のとれた処遇を受けるということは当然であると考えているのでございまして、したがって、私といたしましては、強い決意完全実施のための努力をしているということでございます。
  14. 藤尾正行

    藤尾委員長 大出君に申し上げます。ただいま自治大臣が席に着かれまして、出席時間が三十分ということになっておりますので、ひとつ自治大臣に対する質疑を御集中いただけばありがたいと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 お見えいただけばすぐ切りかえて福田大臣から御答弁いただく、こういうお約束を私もいたしておりますから早速入らせていただきたいのですが、実は二つございます。お忙しいところ担当の委員会でないところへお出かけいただいてどうも恐縮でございます。通産大臣をおやりの時代以来しばらくでございますけれども、本当にきょうはありがとうございました。  実は、給与関係閣僚会議をお開きになる際に、地会公務員関係を御担当でございますので、いわば中心的なお立場でございます。総務長官が担当の大臣として御努力をいただくわけでありますけれども、やはり一つの合議の結果として物は決まるわけでありますから、そうしますと、何としてもこの際、今日勧告が行われるに至る経緯の中に実は数々の心配が公務員諸君の胸の内にある、そういう意味できょうはどうしてもお出かけをいただきたい、こういうことでお願いをいたしました。これが一つであります。  もう一つは、十五日でございますか、人事委員長さんを全国からお集めになって会議をお開きになる、さらにその後で総務部長さんをお集めになってお話しになる、前に鎌田次官から通達みたいなものも出ているというふうな一連の経緯がございます。  楠弘さんですか、おいでになりますが、いままでラスパイレスとはどんなものだとか、あれはいいかげんじゃないか、このデータを見たって間違いだらけじゃないか、一〇%ふえちゃったり、翌年同じ自治体で一〇%減っちゃってみたり、これは一体何だ、横浜なら横浜の例を挙げて、コンピューターに入れるといったって、インプットする調査所見が違えば結論は出やせぬじゃないか、山崎さんの書いたものまで引用して実はやりとりもしておりますから、そういう議論を大臣とする気はない。ただ、地方公務員の置かれている立場、地場賃金との関係などなど、私も長い経験がございますから、そういう点で大臣のお考えを承っておきたい、この二点で実はお出かけをいただいたわけであります。  まず、第一の点でございますけれども、いろいろ紆余曲折が今日までございます。三十日には大蔵大臣に直接お出かけいただいて御質問申し上げたりいたしましたが、自治大臣のお立場で、今回の勧告完全実施ということについて、いま総務長官からお聞きのとおりの御答弁がございましたが、閣僚会議の主要メンバーの一人としてどうお考えになるか、ひとつ意思表示を賜りたい、これが第一でございます。御答弁いただきたいと思います。
  16. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。  私も地方公務員関係を担当しておる者といたしまして、この今回の勧告完全実施されることを望んでおります。  ただし、これは決まったわけでないことは総務長官の言われたとおりでありまして、私が正式に発言する機会があればそれを要望いたしたい、かように考えております。
  17. 大出俊

    大出委員 明確なその点についての御答弁をいただきました。  そこで、第二の問題でございますが、地方公務員の賃金が高いか、低いかという大きな議論が今日まで続けられておりまして、私も人事院ができるころから今日まで給与を手がけておりますから、たくさんの場面、またたくさんの地域の調査もしてまいりまして、たくさんの異論も持っております。  だが、そこでまず一つ承りたいのは、いま完全実施への御配慮をいただきましたが、大臣の目でごらんになって、公務員の賃金というのは高い、こうお思いなのかどうかという点ですね。  このことしの人事院調査に基づく資料によりますと、四〇・三歳という年齢で、扶養家族構成が一・六ぐらいになっているはずでありますけれども、そういう四十歳を超える方、これで十三万三千円ちょっとの金額であります。十三万円台。これは税込みでありますから、税金を抜きますというと、まさに四十歳を超える方々で、この間植木さんと議論をいたしましたように、総理の給料を一〇%返納されたというので、十二万ばかり返納したわけでありますが、まさに返納部分の一〇%ぐらいにしか当たらぬ給料しかもらっていない。これでは妻子を養っていくのになかなか大変なことです。  公務員の賃金というものは、景気がいいときにはまるっきりばかみたいだ。娘を公務員にやったんじゃ一生苦労するというようなことになって、今度は景気が悪くなった途端に公務員の賃金は高い高い、これは過去の不況のときでも必ずそうでありました。これは一つのプリンシプルがない、原則がない。つまり、行政の衝に当たっておる皆さん、みずからの責任ある所在、そこでやる仕事の直接の担当者である方々、公務員諸君、この生活を踏まえて、公務員の賃金というものはかくあるべし、好不況にかかわらずこれでいいんだというそれがないということになると、これは重大な問題です。  景気のいいときには、同窓会をやったって、おまえ幾らもらっているのだ、ばかみたいじゃないか。二次会に行ったって、おれが払うと言うのは、みんな民間の方が払う、これが常ですよ。景気が悪くなると途端に、やれ高い、そのときに必ず出てくるのは地方公務員の賃金です。植弘さんだって御存じでしょう。自治省のえらい方がしきりに渡りだ、昇短だ、けしからぬと言っているけれども、その人自身地方の自治体の総務部長なんかやっているときには、自分で渡り、昇短をやってきたでしょう。植弘さん、あなた苦笑いしておりますけれども……。  実際に人事院の対応等級の取り方一つながめたって、横浜市なら横浜市というところで民間賃金と比べれば、高い高いと言っている地方公務員との差が二万七千円くらいある。だから、地方の人事委員会の権限で勧告をするのはあたりまえです。本当ならば、人事院並みの勧告をすることは低きに失する、こういうことなんです。  つまり今日の四〇・三歳くらいの方々で、人事院がお調べになっている平均のところで、これが税込みで十三万円台の給料しかもらっていない。それが仮に一〇%商いといったって十四万円台、これが一体そんなにかね、太鼓で高いぞ高いぞと言うほどに高いのかどうか、このインフレの中で生活ができるのかという実態を、まずこれは福田さん、きのうやきょうじゃありませんからもう十分御承知で、自治大臣というお立場でいろいろおっしゃっているんだろうと思うのでありますけれども、その辺をちょっとお漏らしをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  18. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お答えをいたしたいと思いますが、いま大出さんの言われております四十歳を基準にして大体十三万くらいになる、こういうことにつきましては、実は私、数字をはっきりつかんでおりませんから、何とも申し上げることは困難でありますが、前段のそれに至るまでの段階において、大体公務員給与の問題と民間企業給与の問題についてどう考えていくべきかということについては、これは基本問題でありますから、お答えをいたさなければならないと思うのでありますが、私は、やはり民間企業というものは、公務員と比べて安定性が非常に少ないと思います。すなわち、公務員の場合においては、安定性が非常にあるわけでございまして、企業がつぶれるというようなことはあっても、神奈川の県庁がつぶれたり、あるいはまた横浜の市役所が給料を払えなくなるなんて、そんなばかなことはあり得ない。そういう意味で、私は長い目で見た場合においては、国家公務員とか地方公務員というのは、一応生活の安定が得られる面にあると思います。しかし、もちろんこれからの企業の問題について、そういうことがあった場合にほっておいていいというわけではない。もちろん国としては措置をしなければなりませんが、非常に安定性があるということが、考えなければならない一つである。そういう意味合いから言いますと、民間の企業より商いというようなことは、これは少し不公平な面が起きやしないかということがあると思うのです。  そこで、いまあなたから具体的なところの例をとってお話しがございましたが、私は、それぞれのところにおいてしかるべくお決めになる問題であって、これは条例で決めることになっておりますから、何も横浜市でそうだとか神奈川の県庁でそうだということが全国的に通ずるということにはならないのじゃないかと思うのです。だから、それぞれのところにおいて、それぞれの議会あるいは理事者が法律でもって定められてある条文を正当にというか、素直に理解をして、それに応じて行政をやっていただくということが自治省としての姿でなければならない、私は、こう考えているわけなのであります。  詳しいことは、もうあなたの方が専門家なんで、私などはあなたに教えてもらわなければいかぬ立場かもしれませんが、しかしラスパイレス方式などというのも一つの物の考え方を出しているわけなんで、実は私は、いつも申し上げておるのですけれども、私も、二十年月給取りをいたしておりまして、月給取りの心理というものはよく知っているはずなんです、新聞記者を二十年間やりましたから。こういう関係で見ますと、一定年齢で一定の学校を出たということになりますと、その給料を一つだけ合わせてみると、大体その会社の体系というものはわかるのです。それは自分の同期生が千円も二千円も高くなると全く不愉快千万で、実際言うと文句が出るわけなんです、自分の方が下だということで。それから、ある意味では自分の方が上に上がると非常にいい気持ちになったりなどして、ここいらは月給取り心理というものでありましょうか、いずれにしても一つのものを調べると、上の方もこれについてずっと上がっているし、下の方もずっとそれについて下がっているというのが私は給与体系だと思うのです。  だから、ラスパイレスというものも、そういう意味で比べてみたときに大体の見当が出てくると思う。しかし、いかに民間給与が高くても、やはりそういうような公務員という立場から見て、まあこれくらいでがまんしてもらわなければということで人事委員会がよく判断をする、それからまた、それをやる場合、人事委員会が、一体横浜とか——横浜ばかり言ってはいけませんが、小田原なら小田原とかあるいは大阪なら大阪で財政事情は今後どういうふうになるんだろうということも考えてやはり決められるということが望ましい姿である。これを直接にこうしなさい、ああしなさいと言う権限は、法律によってわれわれは与えられておりません。ただ、その場合に一種の助言をするということだけは何も悪いことではない。それが次官通達の形になってあらわれたり、あるいは人事委員長を集めた場合あるいは総務部長を集めた場合に表現されておると私は思うので、実は私は、どっちの委員会にも出ておりませんから、出たときにどういうことを言ったかということは、その担当の者に聞いていただけばいいが、私は、そのことはちゃんと示してあるつもりなんです。逸脱してはいけない、法律を逸脱しない範囲においてよく指導をするということは必要だ、こういうことだけははっきりさせてありますから、私の自治大臣としての考え方はそういうふうに理解をしていただければ結構だと思う、場合によって行き過ぎがあればわれわれは是正しなければいけません。われわれは行政官でございますから、常に法律の定めるところに従って行政をよく運営していくという義務があると考えておるわけでございます。
  19. 大出俊

    大出委員 鎌田次官が、大臣おっしゃるように人事委員長さんの会合にはお出になっているんですね。実はここに「自治事務次官あいさつ(要旨)」という印刷したのがあります。これは全文ございますが、これを見ますと大分激しいんですよ。それも後で自分の方に文句が来ないように、鎌田さんという人は頭がいいですからね、わりと大きな声でがちゃがちゃ言うんですけれども、ここではうまく、ポイントは一生懸命逃げている。植弘さんの知恵かもしらぬ、笑っているから。どぎついことを言っている、言っているんだけれども、がしゃんとやられそうなところは、巧みにという言葉が当たるのだろうと思うんだけれども、前の方で言っているのは、人事院勧告したってそんなものは、率というものは結果なんだから、率は問題じゃないのだということを言っていて、それで最後は「適正」な給与の実現に努められるようになんて「適正」と言っておけば、何が適正かという議論になってしまうからこれはわからぬわけですけれども、これは総体的にながめると国より下げろということなんですね、簡単に言ってしまえば。そう言っている。全部あるんですからね、ここに。これは、なかなか知恵者もそろっているからうまいこと言っていますが、異例のことです、こんなことはいままでやったことがないんですから。  しかも人事委員会委員長さんを呼んでこんなことを言うとなれば、これは大変なことなんです。本当ならばお隣においでになる人事院総裁藤井さんを三木総理が呼んで、大平さん流に人事院独走は許さないなんてことを言ってごらんなさい、天下の大騒動になってしまう。地方人事委員会という小さい組織だから、その意味では、こんなことが行われても大騒ぎが起こっていないだけのことで、これはやはり御存じのとおりに独任機関でございまして、第三者機関ですからね。  私は、御存じのとおりにILOに何べんも行っている男ですけれども、竹内さんが法務省からおいでになって力説をしている、地方人事委員会について代償機関ですからと言って。ところがILOそのものは、地方人事委員会というのは完全な代償機関から見ればほど遠いということを言い続けている。そういうところにこういうことをやるというのは穏やかでない。独自の権限を持つ第三者機関、スト権に対する代償機関である人事委員会に対する不当な介入だと言い切らざるを得ない。私は、この点はいかに言葉の上で気をつけて言ってみても、結果的に同じことになると思う。この点はここで決着をつけようとしても、時間がありませんからそうは参りませんけれども、明確にしておきたいと思うのであります。  そこで、先ほどの点でもうちょっと申し上げておきたいのですが、さっき私が申し上げましたのは、今度の人事院調査です。五十年八月十三日の人事院総裁藤井さんの名前でお出しになった報告公務員の賃金が明確になっている。つまり人事院所管の五十万の公務員の方々の本年四月における平均給与月額を算定すると、俸給で十二万四千九百円しかもらっていないですね。俸給で十二万四千九百円寸まさに三木さんがもらっておって一〇%返納される十二万、これが本俸です。扶養手当が四千五円、調整手当が四千七百四十五円、合計で十三万三千六百五十円、そしてその平均年齢は四〇・三歳、悲しき四十歳なんですね、これは。四十歳を超えておられる公務員の方々、これが平均なんです。四十歳を超えておられて平均扶養家族数が一・六人、まあ二人ですね。それで十三万三千六百五十円しかもらっていないという現実なんですね。これは税金が入っている。これで高い高いと言われたのでは、これは公務員たる者立つ瀬がない。よしんばラスパイレスその他いろいろおっしゃるので、私は、そうは思いませんけれども、百歩譲って、皆さんの主張のように一〇%仮に高いと仮定してみても、じゃ十三万三千六百五十円の一〇%上乗せしたら幾らになる。一万三千円ふえるだけです。そうならば十四万六千円台、ちょっと計算をして十四万七千円台に乗る。十四万。それで地方公務員は高い高いと言われたのじゃこれは立つ瀬がない。  そこで、これを民間と比べてみますと——人事院はなかなか幾ら言ったって出さない。今度は鎌田さんやその後の行政局長さんですか、林さんですかな、ここへお出になってもらっていろいろ言っていますよ、調査結果を公表しろとか。しかし人事院だって公表しやしない。調査諸表などを出してくれと言ってねばったら、前の総裁佐藤さんが怒った。この席でけんかになった。出したことはない。対応等級なんて言ったって、向こう様の年齢を明らかにしていない。十歳も違う人と突き合わせている、対応等級をとっている。たとえば十歳違いの人と対応させれば、年齢の開きが十年あるのですから、一年間で民間公務の昇給の間差が三千円開いているとすれば、十年違えば三万円違うんですよ。  私なんかいい例なんですが、早稲田の英文科を途中でやめて逓信官吏練習所へ飛んだ。それで逓信官吏練習所を卒業したから、郵政省の官吏で郵便局へ勤めていた。私の早稲田の当時の同級生が日赤の本社の総務部長をやっている。横浜のノザワ松坂屋の筆頭常務。これはもう大変なものですよ。だから十年の年齢の開きがあれば、一年間の昇給間差が三千円民間が高いとすると、十年間で何と三万円の給料の差ができてしまう。にもかかわらず、年齢は不問に付して対応等級人事院はおとりになる。ここに明確な資料もある。対応等級をここにおとりになっている。一等級の例をあげても、本省の課長さんと五百人規模以上の支店長さん、工場長さん、部長、次長と対応させている。本省の課長さんというのは五一・四歳、五百人規模以上のところの民間の方は四七・七歳、大変な年齢差であります。本省の課長さんで五百人規模以上の課長、これは四三・一歳。もう一つ、五百人規模以下に下げて、ちょっと年齢はふえるけれども四五・五歳。本省の課長補佐は、民間の五百人規模以上の課長代理と対応させますが、四十歳です。そうするとここで九・六歳の年齢差がある。課長まで行くのに九・六歳、約十年の年齢差があるとするといまの話になってしまう。三万円違ってしまうのです。それが労働省のこの調査というのは、私も長年手がけていますけれども、一番確実だと見ていい調査、センサスですよ。ここにございますけれども、労働省、政府調査している中でこれは一番規模が大きいし、手数もかかっている賃金構造基本調査です。残念ながら四十八年六月までしかまだ私の手元に入っていない。これで見ますと、まず二十五歳のところを見ると行政(一)表の七等級の二、六万四千三百円。これは四十八年の比較で四十九年のはまだ出てない。労働省からまだもらってない。これに対して民間の方が幾らかというと八万二千五百円、約二万円違う。ところで三十歳のところをとると、行(二)で六等級四号ですから八万円。民間が十万円超えている。三十五歳のところで六等級の九で公務員が九万七千三百円。民間が十二万六千六百円。だんだん開いてしまう。四十歳、公務員は五等級の十一ですから十一万八千四百円、民間は十四万五千円に行ってしまう。五十歳というところへ来ると三万七千六百円開く、賃金構造基本調査の対比でいって年齢で調べていきますとね。つまりこれが実態なんです、大臣。  ですから、これはその地域、六大都市にしろ七大都市にしろ、人事院の対応等級というのは片っ方にありますけれども、さて具体的な話をしていきますと、高校をお出になった娘さんで勤めてちょうど五年目で幾らもらっているのだと言ったら十七万だ。どこへ勤めているのだと言ったら横浜の三菱商事。その御家族の中に公務員の方がおる。十年勤めている。公務員というのはつまりませんね先生、こう言うわけです。娘が十七万円持ってくると言う。フジタ工業に私のめいが勤めている。これだってまだ勤めて四年目ぐらいで十六万くらい持ってくる。公務員というのはまるきり話にならぬ。  だから、実際にそういう同じ年齢を合わせて官民対比をやれば、センサスにあらわれたとおりの数字が出てくる。ここに非常に大きな問題がある。だから、地方の人事委員会の独自の権限の、国家公務員より低くしなさいと言わんばかりに次官が出ていって物を言うというのは、行き過ぎであり、介入であり筋違いだという気がする。これは独任機関でございます。  このことを前提にして大臣に承りたいのですけれども、鎌田さんがこの中で、人事院がやっているのを一、二例にとって、五%の官民較差があれば勧告するんですよというようなことを言って、地方の人事委員会はけしからぬ、何をやっているのだ、ろくな調査もしないでなんと言っている、だけれども、人事院は六大都市や何かの人事委員会と連携をとって調査をされているはずだ。そうでしょう。だからそれは調べてないのじゃないのだ。  そういう前提で地方公務員法に基づく地方公務員給与というのは、鎌田さんの話の中にも国に準ずる云々の話が出てくるけれども、準ずるということが一体どこに書いてあるか。地方公務員法に基づく給与決定の根幹というのは一体何ですか。お答えいただきたいのです。
  20. 植弘親民

    植弘説明員 御指摘のように、地方公務員法の二十四条の一項というのが、まず地方公務員給与決定の基本原財でございますが、これは職務給の原則でございます。さらに第三項、これも現在その基本になっておりまして、そこでは生計費、国家公務員、他の地方公共団体の職員、それから地域内の民間企業の従事者の給与を考慮して定めることになっておるのでありまして、文言としての準ずるというのはございません。しかし、この二十四条三項を解釈してまいりますと、国家公務員に準ずるというのが最も妥当であろうということで、地公法制定以来そういう指導をさしていただいておるわけであります。
  21. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いま御質問がございました点で、私この問題は非常に根本的な問題であるから、御認識が、その点いささか違うかもしれないと思うのですが、確かに三菱商事であるとかいうような種類の一流会社の場合は別でありますけれども、そういうのはそうたくさんはないと思うのです。中小企業の例をとってみますと、もううんと悪いところでは高校卒業生でも七、八万円で就職している者も私は相当あると思うのです。われわれがすべて政治をやります上において考えておかなければならないことは、どこを基準にしてとって公平であるかという問題が一番基準になるのでありまして、そのとるとり方が非常に国民的なコンセンサスが得られるかどうかということが私は問題になろうかと思うのです。非常な一流企業といえども、これは倒産しないとは限りませんが、しかし一流企業の場合と中小企業、特に企業の相当数のものが中小企業ということになっておりますから、そういうところの人から見ると、あるいは商店主とかそういう人から見ると、これは何か異例のことで、いまおっしゃったような高校卒業生が十七、八万円取ったということであれば、これは異例なことでありますからそういうものは数が少ない。だから、とり方の問題を一応考えておかなければいけない、私は、公平かどうかという問題を考える前に、比較の対象をどうするかという問題の論議が一番大きくなるのじゃないかと思うのです。だから、みんな公平にやればいいという考え方になれば、これは社会主義か何かにしまして、みんな一律の給与をやるしか私はないと思うのですが、自由主義経済の中でやりますと、どこいらをとるかということでこれが正しいか正しくないかというけじめがつくのじゃないか、私は、そういう感じを持っておるわけです。  もちろん先生もそういうことはよくわかっておいでになってお話しがあるのだと思っておるのですが、そういう場合に先ほど私が申し上げましたように、今回の人事院勧告というものは、時期におきましては私は四月からやるのが当然だという意味には考えておりますけれども、しかし今度国家公務員の場合に、国家公務員と地方公務員と比べてみて、非常に高いところがありますと、たとえば一〇〇と一四五、それがとり方が違っておるじゃないかということになれば、またもっと詳しいあれになりますけれども、たとえばそういうようなものがあれば、そういうところがそのままに存続していくということがいいことかどうか、これはやはり公平の原則で考えなければいけないのじゃないか、そういう意味のことを次官が言っておるのであり、また人事委員会においてもそういうことを言っておるのであって、おしなべて全部のものをしかりつけておるのだとは私は思いません。そういう特殊なものは今後は考えなさいよということを言うことは、考えたらいいのじゃないですかということを言うことは、一極の勧告ですね、しなさいというのじゃなくて勧告ですから、これは考えなさいよと言うことは少しも差し支えないのじゃないか。それは法律に定められたことを言っておるだけである。ただ、それがいかにも強圧的に抑えつけるような形になることは問題だと思うので、私もいつも委員会でも言っておるのですが、一〇〇に対して一四五というのは、一年ですぐ直せなんと言ったって無理じゃないか、それが現実のものとすれば、両三年くらいの間に順次直していくという心構えで運営していってもらえば——これは善意と見なければいけません。一応いままで十四万五千円取っていたのをいきなり十万円にするなんてそんなばかなことは考えてはいない。また自治省も考えておらない。しかし、うちは少し高いのだから、やはり少しは考えなければいかぬ、よそと比較しては高いから考えなければいかぬ、こういう気持ちになることが、一応一般の人から見て、自由主義経済の中において見ますというと、やはりそういうことを考えるのがしかるべきではないか。  人事委員会というのは、法二十四条にあなたのおっしゃったように準じてという言葉はございません。いま公務員部長が言いましたように、参考にしてということでございますから、一体その一〇〇と一四五が正しい参考で出てきているのでしょうかという理屈を言われる場合に、うちとしても非常に困るのです。だから、それはやはり考えてもらいたい、こういう意味のことを言っていると理解をしていただきたいので、頭ごなしに全部右へならえというようなことを言える道理がないと思う。私は、府県の場合におきましても、大体一〇〇に対して一一〇というようなことがあれば、まあまあ四、五%くらいの差ができても、これはしようがないんじゃないかというようなことを、公式の場においても言っておるのでありまして、画一論者ではございません。しかし、そういう立場から見ましても、一〇〇と一四五というのを目をつぶっていろという考え方にはどうしてもならない、こういう気持ちのあらわれとひとつ次官通達その他のわれわれがとっている措置をお考え願って、御理解を賜れば幸いであるというのが私の考え方でございます。
  22. 大出俊

    大出委員 大臣は、いま地方公務員法二十四条をおとりになりましたが、ここで「職員給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」これが原則なんですね。「その他の事情を考慮して」「生計並びに」という。だから生計費が実際どうなっているかというところから調査をして考慮する。その考慮の枠というのがどこまでが考慮なんだ、それは一〇%なのか、二〇%なのか、三〇%なのか、考慮の範囲というのは。そんなことはここにうたってない、だから、そう言われれば困るんだとおっしゃる、その限りではわかっておっしゃっていると思いますから、それはそれでいいんですけれども、このあいさつを見るとここが抜けているんですよ。これは皆さん、憲法九十二条に言う地方自治の本旨というのは一体何だという問題、ここが抜けているんです。地方議会があるわけです。つまり地方議会が条例改正をお決めになっているわけです。承認をしたから決まっているのです。勝手に人事委員会がやったのでもなければ、勝手に理事者がやったのでもない。地方議会が決めたから条例になっているわけです。  植弘さん、旧来からこういう解釈をとっているなんて言うんだけれども、昔、鈴木俊一さんなどがおいでになるころに、あなた方がしきりに最初はいばったんですよ。公務員は、地方公務員法ができたんだから法律によらなければ首が切れませんぞと私が官公労事務局長のとき言ったら、そんなことはないといばった。六大都市なんか条例でみんな首が切れるようになっている、こう言うのです。それは違法なんだと幾ら言っても聞かないから、私は質問書を法制局とも相談して出した。そうしたらいろいろ検討されて、確かに法律によらなければ首は切れませんとしまいに回答してきた。それなら条例が違反なんだから取り崩しなさいと言ったらみんな取り崩したのです。だから、いま条例で首が切れない。そうでしょう。地方公務員法ができたときの皆さんの解釈だってそういう前歴があるんですから。  私は、野田武夫さんが自治大臣のときに、あなた方定年制法案をお出しになったからトップ質問でその問題から入りまして、とうとう答弁できなくなって、二日間私は地方行政の質問席にすわっていたんですよ。それでつぶれてしまいましたけれども。  だから、そう簡単におっしゃられても困るのです。相手があってやっているんですから。だから正しくこの法律はやはりお考えいただきたいんですよ。大臣がおっしゃるとおりなんだ、その幅をと言われれば、なかなかこれは法律上の基準はない、だから大臣の言っているのが、どうも少しという、そういう趣旨で言っているのなら、その限度なら私は言いようがあると思うんですよ。確かに五十九条に「技術的」と入っているんですから、これは「技術的」なんですから、だから、その限り介入をしないという原則は立てておいていただかぬと、独任機関である、第三者機関である地方人事委員会の首根っこを自治省がつかまえて、こうだと言って押えつけちゃったのじゃ、それじゃ団交権とストライキ権を返せになっちゃう。  昔、三十年に、人事院勧告実施しないから、私ども公労協は、私は代表幹事の筆頭をやっていたんだけれども、ストライキぶつよりしようがなかろうというふうに踏み切った。かくて三十二年春闘で、東京駅前の中央郵便局を空にさした。当時私は全逓の中央本部の書記長で、田中角榮さんが郵政大臣で生きのいい四十歳の大臣だから私の首を切った。威勢のいい労働大臣の石田博英さんん。角さんと博さんで、けしからぬといって新聞記事を毎日出してくれる。  だけれども、今日公労協というのはストライキを平気でぶちまくっているでしょう。これはどうしようもない。だから、余り不当な介入というふうに地方公務員の方が受け取るようなところまで自治省がお入りになることは、お慎みいただかぬと困る。そうでないと昔の公労協式に、それならどうしようもないじゃないか、代償機関たるものを認めないならストライキしかないじゃないか、こういう発展の仕方になる。一つ間違うと今度は、自治省の威令が行われるとすれば、全国至るところの自治体は大騒動になってきますよ。このことはILOが言っているとおり、日本の労使関係のつまり中心になる信頼関係を失う。私はよくないと思っているのです。  だから、今回自治省がお集めになったのは、これは念のために大臣にはっきりさしておいていただきたいのですが、地方人事委員会は、法律上明定をされている第三者機関であり独任機関なんですから、知事部局にこれは責任を負うんですから、そういう機関であるという、そこに勧告権が厳として他の介入を許さず存在をするという、ここのところをきちっとお認めの上で五十九条の技術的助言の範囲で物を考えたのだとはっきりさしておいていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
  23. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 あなたは非常に専門的な立場からいろいろ御質問なさいました。私もいま五十九条の条文も読んでおりますけれども、先ほど来私が申し上げておるように、何もこうせいとかああせいとか言っておるのではなくて、そこいらが少し均衡を失するというか、少しルーズになり過ぎておる可能性がある、しかし、いま高度成長から低成長へ入るときだ、これからも高度成長は国際関係から見てもうほとんど望み得べくもない、そうすれば、やはりここいらでひとつ十分この趣旨を正しく理解して運営をしてもらいたい、こういう趣旨だと私は理解をいたしておりますから、あなたがおっしゃるように、命令のような形で私のところの自治省の者が言うておるとは思いません。ここはお互いにまあ理解し合うということです。要するに理解し合う。どこいら辺がいいかなというのは、常識というとおかしいが、まあ政治家でいうと腹と腹というようなことも言うたり、いろんなことを言いますが、理解し合うことなんですよ。これからは大変だ、地方公共団体の収入も余りふえない、むしろ逆に減るんだ、そういうときだからよく注意して、余り高いようなところは少しは考えにゃいかぬじゃないかという趣旨が出ておるのだと御理解を願えればいいと思うのです。高いから絶対に下げなければいけませんよとは私は言う権限はないと思います。法律にそんなことは書いてないのだから。われわれ行政官は法律の範囲内でやればいい。立法は立法府の権限なんですから。私はそういう意味でやったらいいと思うのです。ただし、常識を越えるということになると大いに批判が出てきますから、そこいらは私は、自治労にしても組合関係にしても、一般の情勢の理解というものをお互いがよくし合っていくという努力だけはしていただきたい、こう考えておるわけです。
  24. 大出俊

    大出委員 これは、これから地方人事委員会勧告するに当たっていろいろな問題が出てくると思うのでありますけれども、私は、何よりも地方住民の皆さんのことを念頭に置かなければならぬわけでありますから、とんでもない争いが激化するということをお互いに避けなければならないと思っているわけであります。  そこで、ひとつ最後に大臣に御要望申し上げておきたいのでありますが、自治体の財政欠陥あるいは自治体財政が非常に危機に瀕するというようなことは、いまに始まったことじゃない。過去にも何遍か同じようなことがありました。そのたびに地方公務員の賃金が問題になってきた経過があります。歴史があります。その繰り返しでありますけれども、そこで、今度の地方財政の危機現象というのは一体何に起因するのだということです。  この間、大臣、座談会にお出になって、長洲知事その他といろいろお話しになっておられたわけでありますが、大蔵省に物を言っていただかなければならぬ面がたくさんあると私は思うのです。スタグフレーション、こういうことになると不況とインフレが混在をするわけでありますから、インフレという面では谷間になる老人や母子家庭が出てくる、これを自治体経費、人を使って救済しなければならぬ、これは挙げて自治体の責任です。どうしてもそこに金がかかる。混在する不況という面からすれば、倒産も起こるわけでありますし、あるいは失業という問題も起こる。自治体はそこに行政機関を持っているわけでありますから、これまたすぐ何らかの対処をせざるを得ない。当然ここにも自治体の経費がかかり、人がかかる面が出てくるわけであります。  さて、不況だということが混在しているわけでありますから税収は落ちる。逆に人件費、物件費は上がるということですから、基本的にこれはスタグフレーションということになるとすれば、自治体の財政が危機に瀕することはあたりまえでありまして、公務員給与であるとかあるいは何がしかの福祉の先取りだという問題ではなくて、私は、基本的にそこに問題がある、こう思っているわけであります。  そこで、東京都の最近の実績なんか見ましても、一、二指摘しておきたいのでありますが、最近の三年ばかりのものを調べてみますと、法人二税、法人事業税あるいは法人住民税の占めるウエートが、たとえば東京都の例を見ますと、税収部門の中で非常に高いわけであります。五十年度を見ますと、東京都の場合には税収入が総収入の六七%なんですね。東京を調べてみますと、この六七%の税収のうちの四〇%が法人二税なんですね。ところが法人二税の増加率を見ますと、三年前四十八年は前年対比で三七%伸びている。三七・三%法人二税がぐっと伸びている。ところが二年前四十九年、ことしからいいますと去年ですね、前年対比で法人税の伸びが二五・三%。したがって、前年対比で三七・三%伸び、去年は二五・三%伸び、五十年度というのは一・七%しか伸びてない。三七、二五、一・七。これは税収六七%のうち四〇%を占める法人二税です。だとすると、このべらぼうな落ち込みによって都財政が危機に瀕するのはあたりまえでございまして、基本的には給与でもなければ福祉の先取りでもない、ここに一番大きなウエートがある、金額にしても圧倒的に高い、こういうことなんですね。そうすると、これは地方税制などのいろいろの矛盾もあります。そんなことをここでいま言ったってしょうがないのですけれども、そういう実情にある。  そこで、この間大平さんとやりとりをしておりましたら、公共事業費を補正予算で上乗せをするという気持ちも多少あってお答えになっておりました。そうなると、地方自治体の場合には起債という問題がどうしても当面する問題になってまいりますが、てっぺんでぴしっと押さえられてしまう。国は公債でいいかもしらぬけれども、地方の場合はそうはいかない。どうしてもそこに大きなネックが出てくる。ところが、これは自治省の分野、責任ではないけれども、てっぺんで押さえられる、こういうかっこうになる。これは申すまでもないんですけれども、国税三税の三二%交付税率で決まっておりますけれども、そういう面でいくと、困窮している財政にさらに困窮の度を加えかねない要素がある。ここらをやはり自治大臣の立場で、いまどうするかということを本当に考えていただきたいと思っているわけであります。  どうも横浜市長が社会党市長ですから、財政事情を詳しく私も知っておりますが、川崎もそうですし、東京もそうです。だから革新市長ならずとも、この時期に財政の危機を迎えるというのは、どなたがおやりになったって、限度は多少あってもその意味では同じなんです。だから、いま神奈川県なんというのは、引き継いだばかりの長洲——この間座談会をおやりになった長洲知事だけれども、骨格予算を組んで三百億とってありますからと津田さんは言って引き継いでいった。三百億あるのかと思ったら、ない。骨格予算に食い込んでしまっているわけですね、落ち込んでいますから。そういうことなんですから、その根本に触れてこれから自治大臣とも給与給与としていろいろやり合っていくことになりましょうが、その基本のところを一度篤とお考えおきをいただきたいという気がするのですが、最後にその点だけひとつ御答弁いただきたい。
  25. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 大変根本的な問題についてのお話しがあったわけでありまして、実はスタグフレーションということの内容自体にもいろんな問題があります。しかし政府は、来年の三月に一応消費者物価を九・九に抑えるということで、これがそう抑えられた場合に、これはインフレであるかどうかというような問題も出てきますね。だから、そういうことについて、スタグフレーションについての問題点はいろいろありますが、ただ四十一年、二年の、不況のときと違いますのは、もうあなたも十分御承知のとおり、私たちがいわゆる原料というものを自由に安く買えなくなったという事情が一つある。これからもないですね。低開発国も売りはしません。そういうことは恐らく認めないと思う。そういう事情があるだけに、低成長しかできないということを私たちは言っておるわけでございます。そうすると、低成長時代ということになると、いま切りかえの時期でございますから、東京都にしましても神奈川県にしましても大阪府にしましても、どこにでもいま非常に大きなショックを与えておるということは事実でございます。しかしそれかといって、完全な不景気に陥れてはいけないということであれば、ここで何としても公共投資をふやさなければいかぬ。そこで国が一つの予算をつくった。それで地方がそのまま負担を持ちなさい、そんな理屈はこれは成り立たないですね。私は、その点は非常にはっきりしているつもりでございまして、そういうときはひとつ大いにがんばってみよう。これ以上申し上げませんけれども、私はそういう決意を持ってやっておる。私は、余りあげつらうことがきらいですから、宣伝したりそういうことをするのはきらいですが、やるときはちゃんとやりますから、その点は御心配のないようにお願いしたいと思います。
  26. 大出俊

    大出委員 大変短い時間でございまして意を尽くしませんですが、これから先の人事委員会の扱う第三者機関としての立場もありましょうし、そこらをめぐりまして職員団体の間とのいろんな問題もございます。したがって触れさせていただこう、こう思いましてお呼び立ていたしましたが、何よりも今回の勧告完全実施について関係閣僚会議の中で御発言をいただける、こういう実は御答弁をいただきましてありがとうございました。大変お忙しいところをどうも恐縮でございました。
  27. 藤尾正行

    藤尾委員長 自治大臣、御退席ください。
  28. 大出俊

    大出委員 総裁談話のところに返りまして承りたいのでありますが、二つ新しいことを言っておられるその一つの方ですが、代償機関という表現がされております。  総務長官にこの際承っておきたいのですが、昨年の春闘などの中で取り決めが行われまして、公労協関係、公共企業体関係あるいは公務員関係に分かれて機関をおつくりになって検討されている労働基本権の問題でございます。むずかしい名前ですから、ここに書いておきましたが、公務員問題連絡協議会、こう言うのでしょうね。それで、こちらの方は、この間の国会の幕切れに、妙なときに二つの法律をお出しになりましたね。第三機関に対抗要件という意味での法人格付与の問題とか組合員、非組合員の範囲の問題だとかお出しになりましたが、その基本に触れる団交権等の問題、団交権が付与されることに法律上なれば、その中心的問題は給与でございますから、いま私が自治大臣とやりとりしたような問題はなくなってしまう。お互いの当覇者能力で自治体と関係職員団体が賃金を決める、協約を結ぶということになりますから、そういう意味で本当はそれが一審正しい労使関係だろうと私は思うのでありますが、この辺のところはその後どういうふうに進んでいるのですか。どうも何がどうなっているのやら、やる気があるのやらないのやらさっぱりわからぬわけですけれども、担当責任者総務長官だろうと思うのでありますが、一体どのようにお進めになるのか承りたいのであります。
  29. 植木光教

    ○植木国務大臣 ただいまお話しになりました公務員問題連絡会議でございますけれども、これはお説のように公務員の団体基本権を含めまして、公判審の答申を受けまして関係各省庁の責任者にお集まりをいただいて協議をしているわけでございます。その結果、前国会において提案をいたしましたように、二つの問題を二法案にいたしまして御審議をいただくという運びになったわけでございますが、基本権の問題につきましても、引き続いてこの会議におきまして協議中でございまして、これは引き続き検討すべき問題についてはいろいろございます。たとえば早急に結論を得ることは困難であるということで、いまいろいろやっておりますのは、消防職員の団結権でありますとか、あるいは非現業職員について交渉不調の場合等における調整等の方法あるいは刑罰規定の再検討、そういうような問題等についてもいろいろ鋭意協議中でございまして、公制審の答申を受けまして私どもとしては努力をしているところでございます。
  30. 大出俊

    大出委員 その中心の団交権あるいはスト権等の労働三権なんという問題はどうなっているのですか、いまのお言葉になかったのですけれども。
  31. 植木光教

    ○植木国務大臣 いろいろな問題を討議をいたしておりまして、団交権についてももとより協議中でございます。
  32. 大出俊

    大出委員 協議中と言われればいたし方ございませんが、たまたま総裁談話にございますので、これは前からの約束事でございますから、そうのんびりされても困るので、鋭意お進めいただきたいのであります。  官房長官にお忙しいところを御出席いただきましたので、大変恐縮でございますが、何回か実は公務員給与等をめぐりましてお出かけをいただきたいと思ったのでありますけれども、いずれにせよこういう事情でございますから、一度はお出かけをいただかないとけりがつきませんので、お呼び立てをいたしまして恐縮でございます。  そこで、二つあるのでありますが、給与のカから先に申し上げますと、十三日に私が二時にお目にかかりましたときに、総務長官談話をお読み上げをいただきまして、去年と違うんじゃないんですか、「完全実施」の「か」の字も入っていないというのはどういうわけですか、そうでしたかなというお話しがございまして、毎年やっておるのだから私の記憶に間違いはないと申し上げましたら、ということになると、これはまあそうは言いながらもこの行間完全実施というのはにじみ出ているはずでございますというお話しがございました。そこで私は、行間ににじみ出ているのかいないのか、ひとつお出かけをいただいてと申し上げてお別れをしたのですけれども、一体政府として、官房長官が諸事取りまとめていただいておるわけでありますけれども、いままでのむずかしい経緯がありますが、しかし、にもかかわらず人事院総裁は、その談話の中で改めて、労働基本権にかわる代償機関である、だからどうしてもこれは完全実施をしてもらいたいという意思表示をしたとさつきもお答えになっておりますし、曲げてもらっては困る、こういうことでもございます。したがいまして、まずあのときは総務長官から意思表示をしてもらったというお話しでございますが、完全実施をするという御意思政府にありゃなしや、これが一つ。  それからあわせて、あの日は、きょう午後三時ごろから給与関係閣僚会議を開いて、とりあえず関係各機関で努力をしましょうという別れにしたいのだというお話しでございましたが、時期的に今後給与関係閣僚会議をどういうふうにお開きになって、いつごろまでにこの問題についての決着をお出しになるおつもりなのか、手順、道筋をひとつお聞かせをいただきたいのであります。
  33. 井出一太郎

    井出国務大臣 大変ごぶさたをいたしました。  せんだってお目にかかりました際に、ただいま仰せのようなお言葉がございました。それは勧告を受けました当日のことでありますから、後ほど官房長官も談話を出されるはずである、誠意を持って人事院勧告を尊重していくと、こういう趣旨談話でございます。それはまあ従前のこともこれあり、総務長官としてはお気持ちをその中に込めて言われておる、こういう解釈を申し上げたつもりでございます。  それから第二点、しからば給与関係の閣僚会議はいつまでに煮詰めるのかという仰せでありますが、これは本年、財政事情等もございますし、各関係省庁それぞれの事情もあるわけでありまして、この間はまず第一回を、勧告がありました当日に開いたということでございますから、それをみんな持ち帰りまして、それぞれ煮詰めました上で私のところで取りまとめる次第でございますが、関係閣僚の出席というふうなものも勘案しなければなりませんので、いま明確にいつ幾日と申し上げるまでには立ち至っておりませんが、これはできるだけ速やかに、こういう考え方でおります。
  34. 大出俊

    大出委員 ここに長官、新聞の記事がございまして、さっきちょっと総務長官にこの記事に触れて申し上げたのですけれども、きょうは完全実施の表明をここでしていただけるようにこの新聞の記事はなっておるわけです。十九日の衆議院内閣委員会政府と、こういうわけですから、一番政府らしいところでお答えいただきたい、つまり官房長官にお答えいただきたいのでありますが、「完全実施表明へ」となっている。まあ、いろいろとあったということですね、だが、正式に決めてはいないのだけれども、「月末に二回目の会議を開いて正式に態度を決めるが、」と、こうなっているんですね、新聞記事は。東京新聞でございますが、「月末に二回目の会議を開いて正式に態度を決めるが、十六日までに非公式ながら完全実施の方針を内定した。」と、こうなっているのです。  それで理由というのが「先に三公社五現業職員給与を公労委の仲裁裁定どおり引き上げている」というのが一つ。二つ日に「ここ数年、完全実施の線が定着している」三つ目に「多難を予想される臨時国会で野党との争点を少しでも減らす必要がある」などと、こう書いてあるんですがね。これを官房長官にはあえて読み上げて申し上げたいんですけれども、この間お目にかかったときに官房長官のお話しは、まあ行間完全実施という政府の気持ちがにじみ出ているはずでございます。お互いに物わかりいい話にしましようやという話が長官からございまして、おまけに私どもの下平公務員特別委員長も一緒でございましたから、あなたの頭がそれ以上白くならぬようになんという冗談までついておりましたがね。つまり三番目のところはそういう長官の言いっぷりが一つあったのですけれども、そういう三つの理由がここに付されて十六日内定、月末二回目の会議を開いて決定をしたいということで進んでいるというふうに書いてあるのですけれども、全くそのとおりここで御答弁いただこうとは思っておりませんけれども、せっかくの機会でございますから、しかも全国数多くの公務員の方々が、私のところにはさっきも申し上げましたが、総理府の関係の方からも一体どうなるのでしょうかという問い合わせもくるようなことでございまして、したがって、大体の見通し、道筋をせっかく新聞も取り上げておりますので、もう一歩ひとつ突っ込んでお答えをいただきたいのでありますが、いかがでございますか。
  35. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいまお読み上げになりました新聞記事は、その出所はどこからか存じませんが、それは私の関知しないところでありまして、そしていまお挙げになりましたような二つ、三つの項目は、これは一つの参考の材料にはなろうと思いますが、しかし政府全体はまだそこまで進んでおらぬというのが現状であります。
  36. 大出俊

    大出委員 だがしかし、二回目の会議をいずれにしても開かなければならぬのでしょう。大体今月中ぐらいには開いていただきませんことには、来月、これは皆さんの予定どおりいくとすれば臨時国会ということなんでございましょう。いろいろ問題を取りそろえて、さて臨時国会にどう臨むかということに野党各党もなるはずであります。だとすると、やはりその辺の見通しがなければならぬことになるわけで、その辺、今月末なら今月末、今月内なら今月内なりに二回目会議ぐらいお開きにならなければいかぬ筋合いではないかという気がするのです。でなければ、せっかく人事院勧告を出して、顔合わせだけで終わっている、これも不誠意きわまることになりはしないかという気が私はするわけであります。したがって、正式に決めない限りものを言えない、これはわからぬわけではない。わからぬわけではないが、先ほど総務長官完全実施ということで一生懸命努力してみたい、こういうお話しでございましたし、福田自治大臣にもちょっとお見えいただいたのでありますが、給与関係閣僚会議が開かれればその席上で、ここ三年ばかり完全実施をしてきたのであってスト権にかわる代償機関であることに間違いはない、だから完全実施をすべきであるという意見を述べたい、こうさっき答えておられました。そういうわけでございますから、どうも官房長官だけ引っ込んでおられますと、行間ににじみ出ておるなんておっしゃって、さっぱり何もにじんでこぬことになりますので、少しはにじませてくれなければ筋が通らぬじゃないですか。いかがでございます。
  37. 井出一太郎

    井出国務大臣 私は、取りまとめ役でございますから、いまおっしゃるような有力閣僚がその席で御意見を開陳なさる、これは十分に受けとめて対処をするつもりでおります。今回の勧告人事院とされまして非常な苦心の作だと思いますし、政府としてはこれを誠意をもって取り上げて対処をしてまいる所存でございますが、いま期日を、およそいつごろということをここで明示いたしますのは、もうちょっとこらえていただきまして、これは私もよく承知をして、そうじんぜん日を手間取るということはいたしません。
  38. 大出俊

    大出委員 いままで段々御質問いたしましてお答えいただきましたが、ただの一度も「完全実施」という言葉は出てこないのでございます。この間「完全実施」という言葉が総務長官談話にないがと言ったら、行間にある、こうおっしゃったんですけれども、一言も出てこないわけでありますが、完全実施の方の行間ににじんでおるやつは一体どういうことになるわけでございますか。完全実施に向けて長官は最大限努力をされる、つまりいまのお言葉をかりていえば有力閣僚、さっき私が申し上げた自治大臣等が、これは地方公務員責任を負っておられますが、さっき明確にここで、開かれれば代償機関である人事院勧告なんだから完全実施すべきであるということを私の意見として述べます、こういうお話しでございました。それを有力閣僚の発言を受けて対処する、こういうお話しなんです。ということは、有力閣僚の完全実施という御意見が出てくれば、官再長官も完全実施ということで対処をなさる、努力をする、こういうことでよろしゅうございますか。いかがでございましょう。
  39. 井出一太郎

    井出国務大臣 給与関係の閣僚、相当数はございますが、まだ二回目の会合も開かれないうちに私がえらい気早に申し上げることもいかがかと思いますが、その空気を十分にくみ取る、これは私の役目であろう、かように存じております。
  40. 大出俊

    大出委員 官房長官、きょうはえらい慎重ですな。本当にこれは驚いたんですけれども、「完全実施」という言葉がないじゃないかと言ったら、いや完全実施というのは行間ににじんでおると、あなたは私にお答えになった。ところが、ここに出てきたら、それも言わないというのでは——それじゃ、にじんでいるかにじんでいないかはひとっここへ出てきてから承りましょうということで別れたんですから、官邸の長官の部屋でおっしゃっておいて、ここで同じことをなぜおっしゃらぬのですか。いかがでございますか。そう引っ込まれては困るんですが……。
  41. 井出一太郎

    井出国務大臣 私も総務長官談話をここに持っておりますが、この後半の部分などを拝見いたしますと「私はできるだけ早い機会に」云々、このあたりは、聡明なる大出さんをもっていたしますならば、まあ意のあるところをおくみとりいただける、かように存じます。
  42. 大出俊

    大出委員 そこまで言っておいてまだ「完全」の「か」の字も言わぬのですね。意のあるところをとおっしゃるのですが、意のあるところを、完全実施ということで努力をなさるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。そう受け取りたいのですが、いかがでございますか。
  43. 井出一太郎

    井出国務大臣 大出さんの願望はよくわかります。それに対応すべく私の方も閣僚会議等を取りまとめる、こういう方向に考えておるわけであります。
  44. 大出俊

    大出委員 私の願望は完全実施をしろ、こういうのですから、官房長官はそれを体して閣僚会議を取りまとめる努力をするとおっしゃるのですから、私の願望である完全実施、これを受けて閣僚会議を取りまとめる努力をするということだと思うのですが、そういうことになりますな。よろしゅうございますね。
  45. 井出一太郎

    井出国務大臣 そうだめ押しをされましても、物事というものは幾らかは余地が残っておる方が余韻嫋嫋としておる。御発言のほどはよくわかりました。
  46. 大出俊

    大出委員 ずばり言わないで遠回しに言うという文人長官の御発言でございまして、私の願望を受けて閣僚会議取りまとめに努力する、こういうことでございます。それをずばり完全実施をすると言わないところだけ残してくれ、こういうわけでございますので、そこだけ残しましょう。  そこでもう一つだけ、これはこの委員会の所管でございますから、せっかくおいでいただいて黙っているわけにもいかぬ。三木さんは靖国神社においでになったわけでありますけれども、ちょっと一、二点だけ簡単に承っておきたいのです。  かつて稻葉さんの御発言をめぐるいろいろなやりとりの中で、政府の重要な役職にある大臣は、個人だと言ってみても大臣であることに間違いないという意味で公私の使い分けというのは非常にむずかしい、したがって、現在の憲法を守らなければならぬ立場にある閣僚がそういうところに出席をしておるということについて、自今そういうことのないようにしたい、こういうことを繰り返し繰り返し三木さん自身がお述べになった。それが十四日に突然変わって、総裁から個人におなりになって、ときに官房長官は南平台の住人なんということまでお話しになったわけでありますが、いま私どもの党が、臨時国会に臨むにあたって非常に重視をして国会対策上の議論をしておるわけであります。  そういう意味で簡単で結構でございますが、この点についてそういう答弁をみずからなさっていた、つまり公私の使い分けということは非常にむずかしいのだ、幾ら個人と言ってみても、重要な政府の閣僚という地位にある方の場合にはそういうことがあってはならないという趣旨答弁を御自身が何回もされて、私も聞いておりました。にもかかわらず御本人が、公私の別の使い分けが、総理であり総裁であり、もちろん個人三木もございますが、その使い分けが非常にむずかしい、したがって、そういう席に政府の重要な地位にある閣僚が出席すべきでない、こうおっしゃった三木さんの心境がどうしてそういうふうに変化をしたのか。歴代閣僚が何も十五日という日に——行っている方もありますが、外しておられるわけでありますけれども、そのところ解しかねますので、官房長官からこうなんだという、あなたと海部さん等々で相談をされているわけですから、一番よく御存じの長官でございますから、その日は私は諸事忙しいから返事をさせていただくまでと、お立場をつけ加えて記者に話しておられるわけでありますから、そこのところを承りたいわけであります。いかがでございますか。
  47. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは私といえども、総理の気持ちを一〇〇%そんたくすることはどうもむずかしいのでございます。稻葉法相のケースとは若干異なるところはあるだろうとは思いますが、恐らく総理のお気持ちとしては、戦後三十年という一つの折り目、節目というふうなものが頭の中に強くあっただろうと思うのです。それから従来、赤秋の例祭には個人の資格でお参りをしておりますから、そういう前例もあることですので、今回、総理の気持ちの中にそういうものが、総理みずからの発意としてこの機会にひとつお参りをすることが何か自分の気持ちを納得させるものであろうか、こんなふうに私は察しておるわけでございます。
  48. 大出俊

    大出委員 もう一つだけ承りたいのですけれども、新聞に、例の「きけわだつみのこえ」の学生で亡くなられた方の会であるわだつみ会なんというものもございますが、党内事情で行かざるを得ないというようなことで靖国神社に個人ということを強調されておいでになったのだとすれば、英霊を二回殺すことになるという談話を出された会などもございました。私は、そうではないことを願うのでありますけれども。  そこで、武道館においでになって、そこからは官用車をお使いにならないでわざわざ車を乗りかえて靖国神社においでになった。で、五分ばかりおいでになって、すぐまた、今度は千鳥ケ淵の方は公式のようでありますけれども、なぜそこまでやらなければならなかったのか。三十年の節目だからというならば、それなりに対処の仕方はあるはずでありまして、なぜそこまでのことをやらなければならなかったかというところにわだつみ会あたりがこういう物の言い方をする根拠があると私は思う。一番よく知っておられる長官でございますだけに、ここは私はどうしても解せないわけであります。このことが実はまた臨時国会の争点などになることを私は余り好まぬのです。  そういう意味で、せっかく長官にお出かけをいただいためったにない機会でございますから、当面の政治問題の一つでありますから、なぜそこまでの必要があったのかというところがどうしてもわからぬので、相談をなさったわけですから、そういうことまでしてなおかつ行かねばならぬという、しかも旧来の御発言とは違うことを御本人がおやりになる、ここがわからぬので、もう一遍そこのところを、これは長官に御相談の上でおやりになったのでしょうけれども、なぜそういうややこしいことまでお考えになったのか。これはなかなか御答弁いただきにくい質問でございますけれども、あえて申し上げますから、お答えいただきたい。
  49. 井出一太郎

    井出国務大臣 私の承知している範囲では、三木総理は案外さらっとこれを受けとめたのでございます。そう目くじらを立てていただくほどのことはないように本人は受けとめておりました。  それで、いま言われるような何か少し二重の手間がかかっておるような感じでございますが、これなども、たとえば稻葉さんのときなどもその辺が論議になりました。そういうわけで、まあ少しこまかな配慮といいますか、これはその程度に受け流していただきたいと思います。
  50. 大出俊

    大出委員 個人を強調したかったという手続だったのかもしれません。もちろん主題でございませんから一百承っただけであります。長官にお出かけいただいた時間がきわめて短時間でございましたけれども、私の願望を受けとめて取りまとめたいというお話しをいただきましたから、そこから先、これ以上の詰めばいたしません。どうかひとつ、できるだけすみやかにというお話しございましたから、全国の公務員諸君の非常な期待感のもとに出されている勧告でございますだけに、ぜひひとつ、すみやかな閣僚会議の取りまとめを、まさに私の願望を受けていただいてお進めいただきますようにお願いをいたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  51. 藤尾正行

    藤尾委員長 官房長官、御退席して結構でございます。
  52. 大出俊

    大出委員 それで、あわせて総務長官にも承っておきたいのですが、総務長官のサイドでは、給与関係閣僚会議というものをお開きになる道筋、手続というものは、総務長官のところではどういうふうにお進めになるおつもりでございましょうか。
  53. 植木光教

    ○植木国務大臣 給与関係閣僚会議の今後の手順につきましては、いま官房長官からも御答弁がございましたけれども、私といたしましては、できるだけ早い機会に誠意をもって対処したいということを申し上げているわけでありますし、同時に、官房長官に対しましても、できるだけすみやかに取りまとめをお願いしたいということを申しているところでございます。いま関係省庁でそれぞれ財源その他についても詰めを行っているところでございまして、諸般の事情いろいろございましょうけれども、先ほど申し上げましたような決意も私持っておるわけであります。できるだけ早く会議が開かれる、そしてまた、そこで政府の方針がすみやかに決定せられるようにということを強く念願しているものでございます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
  54. 大出俊

    大出委員 総裁に、先ほどの談話の後段の方をこの際聞かしておいていただきたいのでありますが、この中身いろいろあるわけでございまして、「組織活力昂揚のための施策」と、こうあるわけですね。一つ公務員の方々の研修を強化するとか、あるいは適正な処遇、昇格、昇給などを適正にとか——これは本来適正であるべきなんですね、その意味では。あるいは定数の管理というものが一つあるわけですね。あるいは退職の管理というものがあるわけですね。  そこで、これらの問題の中で退職の管理、さっき総裁がお答えになりましたが、先般も実は小野局長にお出かけをいただいておりまして、触れたかったのでありますが、時間がなくなりましたので残念ながらそこまで入れませんでした。したがいまして、この際承っておきたいのですけれども、局長の方から前に一遍お答えをいただいたことがございます。いろいろ検討している云々という幾つか論点をお挙げになりました。もちろん検討だから今日もなさっているのだろうと思うのでありますが、枠内昇給の問題などをめぐりましても、いろいろ私中に入りまして、当時二十四カ月を十八カ月にして五年間というようなことにいたしましたが、そこらも外れてきたりいろいろいたします。微妙な問題ございます。したがいまして、人事院としてこの退職の管理なる問題について、担当局の方としてどういうふうな手配、手順で研究をなさっておられますのか、少し突っ込んだ御答弁をいただきたいのであります。
  55. 小野武朗

    小野説明員 一般職国家公務員職員構成につきましては、大出先生承知のとおりでございますが、本年の公務員給与実態調査の結果は、平均年齢につきましては、三九・八歳と、昨年に比べますと〇・二歳ほど平均年齢が上がっております。しかしながら、これは過去十年間おおむね年間〇・三歳ずつ上がっていたという数字から見ますと、その平均年齢の上昇はやや鈍化したという感じはございます。  それから、高齢者の在職状況でございますが、たとえば行政職俸給表(一)について六十歳以上ということで見ますと、行(一)適用職員約二十五万人のうち六十歳以上というのは約四千人でございまして、昨年に比べてこれまた特にふえたという数字は出ておりません。  それから、年齢別の職員構成を見ましても、やはり大きな山が四十六、七歳ということで、昨年に比べまして特段に大きく変化したという様子もございません。そのような状況のもとで、先国会におきまして総裁から御答弁もございましたように、いわゆる定年制等一律に退職をさせるというような制度を近々のうちにやるという、そういう考えを持ってはおりません。なおしかし、今後も高齢者の退職の状況なり、さらには年齢別の職員構成の実態、それから退職後の生活の問題、日本の社会構成における年齢別構成の問題等々、いろいろ検討すべき事項がたくさんございますが、将来にわたっても現在のような職員別構成でいけるのかどうかということを踏まえまして、いわば長期的な視点に立ってこの退職管理、新陳代謝の問題につきましては、十分に慎重に研究を進めてまいりたい、現在はそのように考えておるわけでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 これは突っ込んだ議論をいたしますと、時間がかかることでございますから、小野さんがいまの問題だとおっしゃっておりませんので、次の機会に譲らしていただきたいと思います。ありがとうございました。  次に、中身に入らせていただきたいのでありますが、私がちょっと冒頭に触れましたように、総務長官が春闘の幕切れのときに、当該団体の皆さんとの間の話し合いで公労協並みの人勧を期待をする、出ればこれは完全実施に向かって努力するという趣旨の取りまとめになっているわけであります。その点からいたしまして、今回の人事院勧告、どうも解せない点がたくさんあるわけであります。なぜ一体、この一〇・八五という数字になったのかということ、あるいは皆さんは、公労委がとらえたときは民間の上昇を一三・三、そういうとらえ方をしたはずでありますから、あるいはそれが後半鈍化した、落ちたというふうな物の見方をしたのかもしれぬと思いますけれども、私がこの席で申し上げたのが幾つか言の端に上ったようでありますから改めて申し上げておきますが、公労協の仲裁裁定というのは御存じのとおり一一・七八でございまして、これにプラス二・三五という定期昇給を加えますと一四・一三になる、こういう数字であります。したがいまして、これを逆に計算をしていきますと、一三・三という民間の上昇率をとらえた、これから二・三五昇給率を引きますと一〇・九五という数字が出てくる、これは全く単純な計算でこういうことになる、こう言ったわけであります。ところで一一・七八と出ているんですから、一一・七八から一〇・九五を差し引きずれば、ここに出てくる答えは、つまり人事院勧告と公労委の仲裁裁定との較差ということになる。公労委側からする較差。私が言っているのじゃない。つまりそれは〇・八三という数字になる、こういう取り上げ方を私はしたわけであります。だから〇・八三という較差は一体何なのだ、明確な皆さんの御答弁は出ていない、私の見方からすれば。  そこで、改めて承りたいのですけれども、この〇・八三というのは一体何だったのだろう。もう一遍言いますが、一三・三ととらえた、そして定昇二・三五、こう言っているわけでありますから、それを引くと本体一〇・九五が出てくる。一一・七八という裁定が出ているんですから、これから一〇・九五を引くと〇・八三、これが較差だということになる。私は、〇・八三が較差だ、こういう公労委の言い方だとすれば、これは大変おかしなことができ上がるというふうに思っているのでありますが、そこらのところを一体どういうふうに人事院はおとらえになっておられるのか。皆さんは、官民比較をやったら結果的にこうなったと言えば一番簡単な答弁だけれども、あなた方、調査諸表を出さぬのだから、本当にそうなったと言ったって、こっちが計算しているのじゃないのですから疑問が出てくる、だから聞くので、悪い冗談だと私申しましたが、私のところにお見えになった方も、先生、一〇・九五とおっしゃいましたね、こう言っていましたからね。そっくりそのまま出しちゃぐあいが悪いからちょっと引っ張ったと、こうなるとちょっと私も迷惑でね。そこらのところ、一体どういうふうにお受け取りになって、かつまた一〇・八五になるについての道筋というのは、一体どういうことになっているのか、そこらをひとつ、簡単で結構でございますから、御説明をいただきたい。
  57. 茨木広

    ○茨木説明員 公労委の方の関係は、はっきり何%というふうに公表されました数字を言っていないわけであります。ただ文章では「人事院勧告において、官民給与格差算定方式が変更されたことに伴い国家公務員給与引上げ率」、「率」と言っております。「率に若干のプラスが生じたため、」云々というところが一カ所ございます。それから民間との関係につきましても、昨年の引き上げ率に触れられまして「四十九年の民間産業の賃金引上げ率と公共企業体等のそれとの間に差があったことが、今回、労使間で問題として提起された事実を、この際考慮することが妥当であると考えた。」と、こう二つ挙げていらっしゃいます。まあ、その点でやはり何らかの配慮をしたのだろう。それからもう一つ問題点は、読んでみますと、当時の公労委でつかまえられました民間賃金の動向についてでございますが、「民間賃金の動向について検討を行った結果、賃金引上げ率の平均は定期昇給分を含め一三・三%程度になるものと推定した。」こういう一つの足場をやはり言ってございます。  その辺を踏まえてみますると、先生がいまおっしゃられましたように、私の方は民間調査から積み上げるわけでございまして、直接これと関係ございませんけれども、その後の状況が、総裁の冒頭の説明にもあったかと思いますが、その後どうもしり下がりになってきまして、労働省の大手の、この当時一三・三という足場で踏まえましたものも一三・一になってくる、加重平均では一二・九になるという結果になっております。私の方の「報告」の中にも書いてございますように、積み残しの方の実態として集計しましたものでございますと、一三・〇という数字に民間アップ率がなっております。それらを総合して考えますと、仮に当時公労委のあれが〇・八三といたしましても、立っておりました足場がぐらぐらしておる、一三・三がその後変わってきておるというようなこともいろいろ反映しまして、私の方の数字が出てまいっておるのじゃなかろうか。私の方の数字には、御案内のように昨年の五月以降の積み残しと申しますか、積み残しのまた積み残しでございますね、そういうものがいろいろ入っておるということもございますし、それから公労委関係の数字が出ます当時のそれまでのわりあいに高いアップ率のものも入っております。その後のしり下がりの状況も入っておる、それらが全部混在いたしまして出ました結果が一〇・八五と、こういうことでございまして、決して先生の数字との関係云々ということではございませんで、むしろ前後でございますか、とあのときおっしゃられましたかち、大変ぴたりと当てられたものだ、こういうふうに思っているわけであります。
  58. 大出俊

    大出委員 どうも、もって私の責任だなんていうのじゃ迷惑でございますから、公労委の裁定が出たスタンドポイントはどこにあるのだということを私が挙げたわけでありまして、つまり、その逆算数字をここで申し上げた、こういうわけでありますから明らかにしておきたいのであります。  そこで、将来の問題ございますから申し上げておきたいのでありますが、いままで人事院勧告と公労委の裁定というものを長年私は対比してきておるわけです。ずいぶん長い年月でございますから、そのほとんどにタッチしているわけです。そうすると、人事院勧告の方が高く出ていることが、古い時代から何遍かあった。必ずしも一致していない。それは年齢構成や何かみんな違うのですから、そう簡単に一致するものじゃない。そうそう一致するとすれば、横目でにらむどころじゃないので、皆さんの実態調査は要らないのです。公労委と同じことをやってくれればいい、そうなる。だからそういう意味で、向こう様が較差だと言ったからといって、それを較差だと受け取る必要は毛頭ない。だから、よしんば較差だという受け取り方を人事院がなさるとしても、〇・八三という較差は、これは何だかわからぬのだから、多少あるくらいに受け取ることがせいぜい関の山ではないかということを私は申し上げて、ならば一一・七五くらいの数字が出てもおかしくないのじゃないかということを言ったわけですね、先般のこの委員会で。私はその立場は捨てていない。  そこで、しり下がりになった、こう言うのですけれども、この間私は、この席上で労働省に労働省の二十億円以上、千人規模以上の調査というのはインチキではないかと言っている。鉄鋼だって大手五社なんて入ってないじゃないか、金融関係なんというのは情報がとれぬということで入れてないというと、そんなふざけたことがあるかと言った。中小企業がという話がさっき出たけれども、言い損ないましたが、中小企業は逆に高い。そうなってくると、やれ一三・一だなどという数字それ自体がわれわれは信用ならぬ。だから皆さんの方が、これまた間接的に人に聞いたことだから真偽のほどはわからぬけれどもと、うまいことをおっしゃっているんですね。だれが言ったか知らぬけれども、いまもちょっと一三・三が一三・一になったというんだから、そこで〇・二違うんだからそれならば〇・二引いてごらんなさい、まことに実態調査の積算としてかっこうのいいものができ上がる、うまくでき過ぎている感じがするんですね。  だから、そういうおかしげなことをなさっている今回の人事院勧告、この結果として出た数字はどうもつくられている、つくられた数字であるという気がする。これは私、長年給与を手がけない男の言うことじゃないですから、局長だって長く給与局長おやりになるとすれば、給与に対する勘が働く。こんなにうまいぐあいになることはない、つくったな、そういう勘というのは当たるのです。どうもみごとにことしの一〇・八五なるものは一この間、いみじくも藤井総裁おいでになる隣で大平さんが、人事院独走は困りますというようなことを言われましたが、このくらい落としておけば、ああそうか独走はしなかったかということになるのじゃないかと、私はどうもそういう気がするのですが、これはいかがでございますか。
  59. 茨木広

    ○茨木説明員 これは人事院と人事委員会のたくさんの人の共同調査の結果を積み上げて、それから統計局の方にお願いいたしまして集計をした結果の、神聖な開票の結果でございまして、決してもうそういう操作の手を加えたものではございません。
  60. 大出俊

    大出委員 将来のことがありますから、このくらいのことは申し上げておかぬといかぬのですが、総裁おかわりになった早々でございますから申し上げますが、皆さんが調査された調査諸表なんというものはどうしても出せぬものですか。総裁いかがでございますか。
  61. 茨木広

    ○茨木説明員 これは大変個票がたくさんのものになりまして、結局、統計局に自動車で運びまして、計算機に入れて、その結果をまたこちらに持ってきて、それから今度もう一つ公務員の方でやっておりましたものとを入れていって計算を人事院でやる、こういう方式でございますので、なかなか膨大なものでございます。御了承いただきたいと思います。
  62. 大出俊

    大出委員 人事院の人員より私どもの方が人員が多いんですよ。公務員共闘という組織はちょっとやそっとの数の組織ではない。おのおの末端に至るまで給与の専門家というものがみんな点在していまして、集まってくれと言えばぱっと何百人だって集まってしまう、何千人だって集まってしまう。だから、幾ら大きい自動車であっても、幾ら山ほどあっても、いま春闘共闘だってコンピューター使ってはじいているのですから、入れて調べることぐらいいとも簡単。長年、淺井さんの時代からそうなんですけれども、マーケットバスケット方式をとってから今日までそうなんですけれども、ただの一度も、どういう調査をなさったのか、実際見たことはない。人事院が出してくる資料を見ると、ぐあいの悪いところは皆落っこっちゃっているんですね。この間も、行政二表で調査されたと言うから、では十職種どうなっているのだと言ったが出さない、とうとう最後はお出しいただきましたがね。皆さんはぐあいの悪いところは皆逃げちゃうんですから。だから、これは一遍、本当のことを知りたいんですがね。長いつき合いなんだから、ひとつ、どうですか、一遍、本当のことを知らしてくれませんかね。いかがですか。
  63. 藤井貞夫

    藤井説明員 お話しの点でございますが、最近は、いろいろ勉強をされて、組合の方々にも給与の非常に専門家がどんどん出てきておって、われわれもいろいろ折衝の段階で教えられるところも多いということは、これは事実でございます。そういう点では敬意を表しておるわけでありますが、この民間給与実態調査なりあるいは国家公務員実態調査につきましては、調査項目等におきまして、これは組合等の意見をあらかじめ最近はずっと聞いてきておるわけでありまして、その結果として実施をいたしておるものでございます。したがいまして、いろいろ事務的、技術的にも、いま給与局長が申しましたいろいろな難点がございますのと、それともう一つ、やはり私の気持ちとしては、行政機関としてこれが調査実施に当たるのが人事院というふうにされておるものでございますので、そこはひとつ、人事院の立場を御信頼をお願いしたいということでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 自治省が人事委員長会議を開いて、その席で、鎌田次官が物を言い、行政局長が物を言い、その中に、ろくな調査もしてないじゃないかと言わんばかりのことを言っているんですよ。調査結果を公表しろと言う。自治省が、地方人事委員会に向かって、調査結果を公表しろ。皆さんは公表してない。皆さんの好きなところだけしか公表してない。そういう時期が来たから私はあえていまの質問をしたわけでありますが、これは関係がございますから、自治省横暴な点は皆さんの方もこれは考えていただきませんとね。総裁談話であえて代償機関とお答えになった気持ちを、私どもは、地方の人事委員会にも持ってもらわなければ困るのです。また調査をされるときには、関連を持っておやりになっているはずなんだから、そうでしょう。だとすると、人事院方式の調査に参画している大都市の人事委員会というものがあるわけですから、それに向かって自治省が、おまえさんたちはろくな調査しないじゃないか、給与の管理の責任があるじゃないかと言っているんですからね、だから、きちっと調査して公表しろ、そういう暴言を吐いていて、あなた方が黙っているという手は私はないと思う。皆さんの関連における調査なんだから。そこらのところはどうお考えになりますか。自治省はそう言っているのだから……。
  65. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは私の立場からとやかく申し上げることは差し控える方がいいかと思いますが、私も前に自治省にも御厄介になっておりまして、この種の仕事にもタッチしたことはございますので、多少のことは、国、地方通じて問題の所在等は知っているつもりでございます。お話しになりましたように、この給与実態調査というのは、非常に広範な、しかも対象が多いものでございますので、とても人事院だけでやれないということで、全国の各県あるいは指定市の人事委員会に御協力をお願いを申し上げております。いわば、そういう意味では共同調査であるはずでございます。恐らく自治省が申しておりますのは、それを受けてのそれぞれの地方での勧告のあり方等についての発言ではないかと思っておりますけれども、われわれの立場としては、常日ごろ、人事委員会の御協力に対しては大変感謝を申し上げております。また、その調査の信憑性につきましても、毫も疑いを持ったことはございません。
  66. 大出俊

    大出委員 となれば、関連があるのだから、地方人事委員会調査しているものを公表せいなんというようなことを言われたからといって公表すべきでないことになる。あなたがいまおっしゃった、行政機関としてという趣旨になれば、これは同じことなんです。そうでしょう。詰めるなとおっしゃるなら詰めぬでもいいですが、そういう理屈になりますから、それだけは申し上げておきます。  次に、定期昇給の問題がございます。定期昇給というのは、これまたまことに不可解なんですな。人事院どうなっちゃっているんですかね。私が質問するたびに違っているんですね。取り方の時点で違うと言うけれども、都合のいいことばかりあなた方は考えている。どこでしゃべったか、何なら後で言いますけれども、私が質問したら二・六だとこの前の——この前じゃありません、去年の勧告のときにそう言った。で、おたくの次長がお見えになったから、十六日に総裁が新聞話者会見をやったときに何で二・八だと言ったのだと言ったら、いや、総裁が言ったのじゃない、私が言ったのだというんですね、おたくの次長は。みんな違うんですね。今度はどうなっているのかと思って見たら、これは公務員は四月に全員が昇給したと仮定した場合に二・四六だというのでしょう。ところで、さて四月分というのは比較対照の中に入っちゃっているわけですから、これを抜くとその四分の三だというんですね。四分の主なら計算上一・八五になるのです。そうでしょう。そうすると、民間は一斉に四月に上げちゃっている、だから公務員も四月に上がったとすれば二・四六だというわけでしょう。だが、実は四分の一だということになるから四分の三残る。七月、十月、一月ですか、残る。そこで、そうすると残り一・八五だという計算ですね、皆さんの方は。ところが、原資的に調べてみれば全くそこに違いがある。たとえば一〇〇として二五%ずつ四期ということになったと仮定した場合に、二五%は四月に上がっているんだから、比較対照に入っているからこれは除外する。残り三期、二五%、二五%、二五%と、月が違うんですね。一斉に昇給するのじゃない。あなたの方の計算の二・四六は、四月に一斉に全員が昇給したと仮定して二・四六なんだから、その四分の三で一・八五だ、こう言うのだが、実態はそうじゃない。七月に昇給をする、十月に昇給をする、一月に昇給をする、こういうずれがある。最後の一月というのは、一年間と限定して考えれば年度というのは三月までしかない。そうなると原資というのは〇・九二です。一・八五じゃない。一・八五というのは、一斉昇給と考えて計算をし、二・四六でその四分の三残りと計算するから一・八五になる。それは四月一斉昇給という前提で二・四六だ。そうなると七月、十月、一月、全部ずれている。  これは当該団体の方々が、ここになかなか難解な表をつくっているんですけれどもね。これは錯覚を起こすようだけれども、よく調べてみるとなるほどここで言っているとおりなんですね。原資的にはつまり十六分の六になる。だから〇・九二です。そうなると人事院の昇給の算定の仕方は明確に誤りがある。四月実施なんですから、この一年というふうに限定をして考えると来年の三月までだ。つまり来年の一月の昇給をしたところで初めて、官民比較をやった、較差が生じた、それのバランスがとれる。皆さんが定期昇給まで入れて調査をし始めた、そういうことになる。そうするとこれは明らかに公務の側が足らなくなる。あなた方の昇給というのは、一体どういう計算をなさるのですか。いま私が言ったとおりじゃないのですか。
  67. 茨木広

    ○茨木説明員 まず、較差の方の出し方の問題でございますが、これは御案内のように四月の給与について官民を比較する、こういうたてまえでございます。そこで、民間の方は大体春闘時期に定昇とベアと一緒におやりになるというようなことでございますので、大体春闘時期に改定されたものは定昇を含んでおるものということの高さになる。こちらの方は四月でございますから、すでに定昇が一日付で行われておるという計算のもとに較差を算定いたしてございます。でございますから、その四月の定昇を含めましたものと民間の四月時点におきますところの高さとの差が、ここに較差として出てまいるわけでございます。したがって、公務員の定昇率云々は、直接にはこの較差には関係がないわけでございます。ただ最近、公労委等の発表でも参考というかっこうで定昇を含めた数字を御発表になる。春闘の方も、定昇を含めてこれこれでございます。こういうことになるものでございますから、そこで、いろいろ記者団等の御質問の中にも、定昇を含めれば幾らになるのだという質問がございます。これは定昇を含めて考えるべきものではないのですというお話しは申し上げておるわけでございます。過去も霊界を含めて幾らになりますという発表をこちらでしたことはございません、こう申し上げておるわけでございます。がしかし、それではおかしいではないか、定昇を含めた姿を出せ、出せ、こう言うわけでございます。そうなりますと、それは定昇にはいろいろあるのです、で、年間で言えば先ほど先生のお挙げになりましたのも一つでございます。それから四月の定昇はすでに織り込み済みでございますから、仮に四分の一ずっといたしますと、あとの三回は高さだけで言えば一・八五になります。原資で言えば、これはまた違うのです。(大出委員「〇・九二」と呼ぶ)いや、人員分布その他を入れますとまた違った数字が出るのですが、そういうふうになります。  さらに、原資というお言葉がございましたが、もっと原資ということで実際本当に金が要るという金額を算定いたしますと、新陳代謝の分もやらなきゃいかぬので、大蔵省等で使っておるのは〇・五ぐらいの原資しかあと要らないという計算方法になっておるのです、こういうことをいろいろ御説明を申し上げまして、それで、とにかくまずまるまるお使いになることはこれは絶対誤りでございます。どうしても高さを出したいというなら、そのうち二番目のものをお使いになるしかないのでしょうが、実際に公務員のふところに入りますものは、年間としてこの年度中に入りますものは、本当はその原資率の方の金額なんでございます。こういうふうに御説明を申し上げておるところでございますが、これは、やはりそれぞれのお考えがございますから、いろいろな形で新聞に出たのは御案内のとおりでございます。そういう形でございまして、定昇を含めて幾らということをこちらの方で公式には出していないわけでございます。
  68. 大出俊

    大出委員 公式に出してなくたって、聞かれて非公式に言っていれば一緒じゃないですか。何言っているんですか。だからこの間、念のために質問してあるじゃないですか、積み残しのこの算定の方式は一体どうなんだといって。民間の賃金率マイナス、括弧公務員の定昇率四%マイナス一%でしょう。そして括弧閉ず。それを大括弧に包んで、掛ける民間事業所率イコールA。このあなた方がやっている積み残しの方式は四マイナス一じゃないですか。そんなことを言うんなら、これを変えなきゃいかぬじゃないかと、こう言うのです。これはいやでもちゃんと入っちゃうじゃないですか。だから、そんなものは入らぬと言ったってそれはだめなんです。だからあなたの方も、一年前か二年前か知らぬけれども定昇を書き出しているじゃないですか、関係ないはずのものを。  だから、そういうことになるとすると、私は、定昇を含めて物を言うんなら原資率が問題にならざるを得ないと言うんだ。そうなれば較差というのは低く出るんだから。だから、これは一・八五じゃない。一・八五から〇・九二引けば〇・九三になる。一〇・八五にこの〇・九三、一・八五との差額を乗せると一一・七八になっちゃいますよ。不思議な数字だ、これは。一・八五から〇・九二引けば〇・九三になるんだから、一〇・八五に〇・九三足せばこれは一一・七八になる。公労協並みになっちゃう。そうでしょう。つまり、原資率からいけばもっと高く出るべきものがこれは出ないのだ。定昇というのは、現実にここまで問題になっているんだ。だから、あなたの方も質問されて非公式に答えるからこれが耳に入るわけです、一・八五と言っただろうという話が。そうでしょう。まことにもってこれは不可解なんです。  だから、念のためにここではっきりさせておきたいんだが、定昇というものを中心調査をされたことはありますか、民間のものを。あったら資料が欲しい。
  69. 茨木広

    ○茨木説明員 お答え申し上げますが、まず民間の定昇率そのものをこちらで算定したことはございません。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕  それから、積み残しのところから従来いろいろ御議論がございましたようですが、まあ三%ということになっておるわけですが、これは中労委その他の発表の数字を使っているのだと思いますけれども、それで民間のものをやる、あるいはこちらの方の定昇率ではなくて民間のものを引いた一というのは、その積み残しがありますものは、四月の定昇分をすでにやっておるものもあるだろうということで恐らく入れたのじゃないかと思いますが、一応前からその積み残し部分については定昇を引っ張りまして、そして積み上げる、こういう方式で来ましたものですから、まあ、そういうふうになっておるわけでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、いまの点は皆さんの方で調査をしたことがないというんだから何ですが、なくて当てずっぽうでこのくらいだろうと言ったってこれは話にならぬ。そこまで定昇問題はやかましくなっているんだから、あなたの方でそれはきちっと——国民の税金で賄われている公務員給与だとおっしゃるなら、総裁、あなた方もこれは納得する、説得できる出し方をしていただかぬと、それでなきやわれわれも責任が負えないです。定昇というのはどうなっているんだ、いろんなのがありましてなんていうんじゃ、どれかわからない。そういういいかげんな、四月に一斉昇給したとすれば二・四六でございます。残りは四分の三ですから、それなら一・八五でございます、こう言われたって、納得しようがないじゃないですか。原資を計算すれば〇・九二しかないんだから、かかってないんだから、それなら一・八五から〇・九二を引けば〇・九三残るんだから、それだけは高く出ていいんじゃないかということになる。  だから、ここのところは責任を持って人事院が、聞くたびに何かわけのわからぬことをおっしゃらぬで、過去の算術では何でおれに二・六と言っていて、あなたは二・八と言ったのだと言ったら、いやそれが——そのそれががまたわけがわからぬのだ。それじゃ話にならぬ。これは盲点だ。わからぬ。かくて人事院勧告がわからぬ。  総裁、これは将来に向かって対処していただけませんか。
  71. 藤井貞夫

    藤井説明員 公務員の定昇の問題は、給与局長からもお話しを申し上げておりますように、年四回に分けてやっておりまして、その積み重ねが来年度の四月の官民較差の基礎になって出ていくというかっこうになってまいります立場を従来堅持してきておりました。  そこで、定昇の率その他については、これは率直に申しまして、おしかりを受けるかもしれませんが、実はそれほど真剣に取り組んでおらなかったということがございます。ただ、いまお話しにもなりましたように、やはりそれでは済まないことになっておるという情勢もございましたので、ことしはその点を配慮いたしまして、かなり突っ込んだ研究はいたしました。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 そういうところから、いまお話しの一・八五というのが一応出てまいりました。しかし、それをとるのか、やはり所要の原資をとるのかというような点につきましては、使い方の問題もありますけれども、やはり人事院の態度として、今後は公務員の定昇というのはどれでいくのだ、この方式でいくからこうだということをはっきりさせて、疑問の余地のないようにしていく努力は、御指摘のようにやりたいと思います。
  72. 大出俊

    大出委員 たくさんありますから順次進めますが、職種間バランスという点がもう一つございます。  時間がありませんから全部申し上げられませんが、今度の勧告俸給表上の手直しをされている、バランスをとったという意味の手直しをされているのが、教育職つまり先生、お医者さん、看護婦それから研究職などを直しておられますね。人確法二回、つまり九%と七%と先生引き上げたわけであります。その間、逆転現象の防止だとか、つまり短大の教授だとかあるいは大学の助教授だとかいろいろなことがありました。これをどこかでバランスをとらなければならぬわけでありますから、それを直された、バランスがとれた。ということになるとすると、そこで一区切りついたわけですから、先生方と一般行政職、たとえば小中の先生方と一般の行政職、この較差というのは一体どうなったわけですか。どのくらいございますか。先生の方は大分高くなった。この較差、これは一体皆さんどう考えておられますか。
  73. 茨木広

    ○茨木説明員 教員の第一次のときの改善は、従来おくれておったものを回復するというようなことでございましたし、この間の二次の改善と二つ合わせましたものが合計二〇%行われたわけでございますが、そのうちの一〇%以上のものが、行政との間の前からのバランスから見ますと、やはり差ということになっておるのだろうと思います。それぞれ対応のところをいろいろ考えてみませんと、はっきりは出ないわけですが、ただ、これが法律上の問題としまして、御案内の人確法の方で行政を基準にして優遇せよ、こういうことになっておるものでございますから、ぐるぐる堂々回りしますと、またこれはエンドレスになるわけでございまして、その辺は大変むずかしいところでございます。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 大出俊

    大出委員 私は、先生方が悲しき四十歳になって、普通なら四等級にいっているのが、いかないなんというのでは困るので、だから、その意味先生の給料を上げることに大賛成。しかし上げれば、今度は一般行政職とバランスがとれないのだから、今度は行政職を上げろというのはあたりまえ。かくて公務員給与は上がるということです。上がれば生活が楽になる、こういう理屈なんで、私は反対じゃない。だから、較差がひどくなれば、これを直すのはあたりまえ。人事院責任です。妙な回答を当時佐藤人事院総裁がしたわけですから。人確法はどうなんだということになったときに、最初は不満たらたら言っていましたが、途中からころり変わったんだ。だから、その意味で直さなければならぬ。  どのくらい較差があるかと思って、専門の方に調べてもらった。行(一)で四等級の十号、四十二歳、この方が十七万二千八百円。ところで教員の場合、小中学校、これは日表ですね、二等級の二十四号、同じく四十二歳。この方の場合に、これは教職特別手当を入れなければ十八万八千百円。だから一万五千円ばかりの差がございます。教員の場合には、大学を卒業して二等級の四号で入ってくる。そうでしょう。二十二歳で二等級の四号で入ってくる。学校の先生、小中学校ですが、この方が二十年間勤務したとすると、さっき申し上げた二等級の二十四号になる。こう上がっていくのですから、当然、二十年間で二十四号になる。そうすると、いま申し上げたように教職特別手当を抜いて十八万八千百円になる。  もう一遍言いますが、大学を卒業して先生におなりになった。二等級の四号で入ってきた。二十二歳。この方が二十年間先生をおやりになっていると、二等級の二十四号になる。二十四号の方は十八万八千百円になる。このほかに教職特別手当が一万百円ございますので、それを入れれば十九万八千二百円。ところで、行政職の方で四十二歳の方、四等級の十号。この方は、同じように大学を卒業して試験採用で入ってこられて、二十二歳で七等級の一号で入ってくる。二十年たって四十二歳になると、行政職(一)四等級の十号、これが十七万二千八百円。だから、教職特別手当を入れれば、その差は二万五千四百円、こういう差になる。  もう一例挙げておきましょう。三十二歳の方、行(一)六等級の六号。同じ筆法です。六等級の六号、十一万百円。教職の方、三十二歳、二等級の十四号、十三万二千四百円。これに教職特別手当が一万百円ございます。だから十四万二千五百円になります。大変に差がございます。  二例挙げたわけでありますが、つまりこれだけの差になった。九%、七%の二回、合計で一六%ですから、十万円にすれば一万六千円、単純計算したって、差が出るのはあたりまえ。それだけの差ができた。人確法という法律なんだからしようがないのだ、行政(一)が基準になっているのだからといって済む筋合いか。生活がついている。学校の先生は、皆さん認めて上げちゃったのだから、これはこれでいい、いまさら下げられないのだから。そこがつけ目です。だから、ここで行政(一)表の、こんなに差をつけて、まじめに仕事ができるか。皆さん行政職がたくさんおいでになるけれども。ふざけちゃ困る、上げてくれ。それはあたりまえですよ。  これは人事院、将来どうするのですか。きょうの話をしているのじゃないですよ。将来どうしますか、これだけの大きな差を。先生は、人確法というのだから、大変人格者だから、それで高くていいんだということになりますか。一般行政職というのは、それじゃ、ばかかちょんみたいになっちゃいますよ。そういうわけにはまいらぬのだから、一般行政職はどうにかしなければならぬじゃないですか。人事院、これはどうですか。
  75. 茨木広

    ○茨木説明員 大変むずかしい問題を提起されたわけでございますが、この問題は当初から、そういうようなことが起こるということは予想されておったわけでございます。そういう前提で人材確保法も通っておるわけでございますし、この前のときは大変おしかりを受けたわけでございますけれども、そういう予算も組まれておったわけでございます。そういう問題が起こるので、私どもとしましては、るるいろいろなことを申し上げたわけでございまして、その気持ちにはいまもって変わりはございません。大変困った問題だというふうに思っておるわけであります。
  76. 大出俊

    大出委員 だから、これもつけ目だと言った。人事院が一生懸命、それがいやだから断ったんだが、おっつけられて、あなた方がのんだのだから。あなた方は初めからそういう問題が起こることを予測して断ったのだが、断り切れずにのんじゃってできちゃったのだから、あなた方の予測のことが起こってくるのはあたりまえじゃないかと私は言っている。だから、あなたは困ったと言う。いまは困ったでいいですけれども、総裁、これはやはり来年から先に向かって研究してくれませんか。もう一遍上に積もうということになるとすればなおのこと開くのだから、これは一遍御研究いただきたいのですが、いかがですか。
  77. 藤井貞夫

    藤井説明員 この点は、問題点があったが引き受けたのですから、長期にわたって何らかの措置は講じていかなければならぬという感じは私自身も持っております。ただ、人確法が成立いたしました経緯もございます。それから御承知のように第三次の分が残っております。その後にどうするか、少なくとも財政的にはもうこれで打ち切りになるのかというような見通し等の問題もございます。いずれにいたしましても、第三次が内容がどういうふうなことになりますか、いまのところまだわかりませんが、これが一応落着をいたしました後にもう一度全体をながめ回して、そういう点で問題点についてはなかなかむずかしいことでございますけれども、ひとつ謙虚に検討してまいりたいと思っております。
  78. 大出俊

    大出委員 現状、そこから先深追いはできないと私は思います。というのは、私もそこを心配したから、佐藤総裁のときに、将来そういうことになりはしませんかということを奥野文部大臣もおいでいただいたところで質問したわけです。そうしたら、そういう可能性が多分にあるというわけですよ。だから、本来ならば引き受けたくないというわけですね。ないけれども、情勢やむを得ず人事院は引き受けざるを得ないというわけですよ。だから、初めからそのことは頭に入っているわけです。だから、茨木さんがいまいみじくも困った問題だとおっしゃるので、それがあるから一生懸命防いだわけです。だがしかし、それを押し切られてやってしまえば、この問題が出てくることはあたりまえなんです。しかし、いまここでと言ったら皆さんがお困りになる、困ったということになるわけですから、いまここでとは申さない。長期にわたってという御答弁でございますから、その長期がどの辺でということになるのか。次にもう一回という場面も出てくる可能性もある。前回、三塚さんたちがここでいろいろ、二百四十億か何か金が残るじゃないか、どうしてくれるのだ、おれたちが取った金じゃないか、何やっているんだ人事院、このばかどもが、というようなことになったわけだけれども、そんな金だってなくはないのだから。そうでしょう。そうすると、ますますもってこれはぎらぎらする。茨木さんの前任者がよく言ったぎらぎらする問題なんだ、一般行政職から見れば。そうでしょう。だからそこのところは、その長期という長期はどこまでの長期なのかという点を含めて、これはよく話し合いをしていただきたい。つまり当該団体は、そういう問題を抱えていて片っ方が上がっていったわけですから、そういうふうにお考えいただきたい。これは私の希望です。  次に初任給ですが、昨年の附帯決議がございましたし、さっき総裁説明にもございましたが、これは電電、専売が六千八百円ですね、公労協の数字で言えば。国鉄、郵政が七千円、こうなっているわけです。六千八百円プラス二百円。それを皆さんの方は、本来ならば六千幾らなんだけれども六千八百円まで上げた、こういうのですから、附帯決議趣旨に従って御努力をいただいたという点では評価をいたします。したがって、この点はこれ以上開かないように努力をしたということになる。将来に向かって、今度はこれが開き過ぎている点については一層の御努力お願い申し上げたいわけであります。その点が一つ。  それから、ここでもう一つ承りたいのは、人事院規則に基づく昨年の試験採用の三カ月短縮問題でございます。今回の俸給表をおつくりになるに当たって、在籍者、つまり三短で入った人、当時在籍した人、こう並べてみて、その調整を図るという意味俸給表づくりをなさった。これを私は認めないわけではないのだけれども、三短をやってしまった試験採用のこの方々は後戻りをしない。三短がなくなることはない。三カ月短縮でずっと行ってしまう。ここで、たとえば何等級何号をその意味で在職者に有利にといって皆さんは俸給表を積み上げた。だが、その積み上げた俸給表のところは、三カ月短縮のままでこの方々は間違いなく通っていくわけです。そうすると、何のだれ兵衛という属人的に三カ月短縮は将来ともにずっと残ってしまう。これは全員を三カ月短縮しない限りは解消しないという残り方です。私の言っている意味はおわかりになりますか。そのことを皆さんは将来一体どうするつもりかという点を聞いておきたい。いかがでございますか。
  79. 茨木広

    ○茨木説明員 過去にも民間経歴者の問題について計算方法を直したこともございますが、そのようなときには、やはり途中で収斂をした方式をとっております。何らかそういう制度改正をやりました際に、どこで収斂するかという問題だと思います。  おっしゃられるとおりに、これから後入ります方は三短の制度に乗るわけでございますが、前すでに上の方に行かれた方は乗らないということになります。そこで今回、ちょっと御指摘ございましたように、八の三等級よりも上の方の号俸について四百円とか三百円とかいうような積み方をずっといたしまして、その辺のところを配慮いたしたわけでございます。その辺で収斂をさせていただかないと、ずっと古い方まで掘り起こしてということになりますと大変なことになりますので、これで御了承を得たいというふうに考えております。また、この三短を過去の者にずっと及ぼしていきますと、結局また来年の較差のところにそれが出てまいりまして、較差を引き下げていくという作用を持つわけでございます。先食いというかっこうになりましていろいろな影響もございますので、やはり従来過去にやりましたような類似の方法を見習ってと言っては語弊がございますが、途中で収斂するということで御了承を得たいと思っております。
  80. 大出俊

    大出委員 つまり、どこかで何とかしなければならぬという問題を抱えたということになるでしょう。そうお考えでしょう。そこだけはっきりしておきたいんですよ。これもまた、いまとは申し上げませんが、先付小切手はここで切っておいていただかぬと、だんだん積みますからね。将来どうしてくれると言ってくる、さっきの問題もいまの問題も。だから、ここではっきりしておきたいのですが、そういう問題を抱えた、これだけは間違いないでしょう。いかがですか。
  81. 茨木広

    ○茨木説明員 この前の委員会でもお答えをしたわけでございますが、昨年のその三短方法も俸給表に積むかわりにということで、やむにやまれない方法、もうこれしかないということでやったわけでございます。十分御案内のとおりでございます。そこで今度は、あらかじめ四号俸以上のところにずっと金額を積ませていただいたわけでございますから、これで一段落というふうに御了承を得たいと思います。
  82. 大出俊

    大出委員 三短については、私もその関係者の一人ですが、例の住宅手当をつくるときみたいに、中身は四の五の言わぬから枠だけつくってくれといって出して、それじゃ出そうという気になったときもありました。だから、しばらく私もそれには触れないで来ています。しかし論理的には、三短という問題はどうしても先々尾を引くんですね。つまり七の四なら七の四に乗せた人というのは、ずっと乗っていくわけですからね。そういう問題はどこで何百円積んでも、積んだところはその三無の人は通っていくのだ。通らぬわけにはいかないんですよ。そこだけ避けていくわけにいかないんだから、そういう矛盾は残る。だから矛盾が残るから、それを将来どうするかということは、これまた焦らぬでひとつ御検討いただきたい、こういうことにしておきたいのですが、いかがでございますか。これでおしまいなんだと言ったってだめですよ。矛盾が残っているのだからそれはだめ。焦りませんから。
  83. 茨木広

    ○茨木説明員 それぞれの下位等級のところに号俸を積みますと、それとの均衡で上の金額がずっと決まってまいりますから、それが影響した金額でずっと各俸給の七等級、六等級と直っていっているわけでございますから、それらが含まれておるというふうに御了解を得たいと思います。
  84. 大出俊

    大出委員 これは、ひとつ論争ということにしておきましょう、時間の関係もございますから。  そこで、ひとつここで承っておきたいのですが、不思議なことに、勧告本文その他を見ても何も書いてないんですけれども、何か少し奇異に感ずるのは、指定職アップ率は六・五に抑えている。八等級二・三、七等級一〇・九、六等級一〇・七、五等級一〇・七、四等級一〇・六、三等級一〇・五、二等級九・八、一等級九二で、指定職六・五、こういうアップ率ですね。そこで、このアップ率そのものに触れないで、一等級、二等級というところは管理職手当の方をいじったわけですね。二五、二〇というところをいじったわけですね。一〇%落とす。  そこで、まず何でわかるように勧告にお書きにならぬのですか。
  85. 茨木広

    ○茨木説明員 御案内のように、勧告に書きますものは、国会に制度改正お願いする部分を勧告という形で出しております。それから、その以下の人事院規則等でできますものは、「説明」の中で「こととしている。」という表現で従来とも出しております。  そこで「報告」の方に、実はその前段的なことが二カ所に書いてございます。「報告」の三ページ目になりますが、「官民給与の比較」という見出しの前のところに「なお、この調査一環として、本年四月において、民間企業が現下の困難な経済情勢に対応して採りつつある対策を調査したところ、製造業を中心として、残業の抑制、」その次でございますが、「役付手当等の給与の一時的減額等を実施しているものがあることが明らかとなった。」ここにまず報告をいたしまして、それを受けまして、もう二枚ほどめくっていただきますと、「次に、諸手当については、」というくだりがございますが、その次に「なお、民間における管理職員に係る役付手当の一部減額措置を考慮して、公務においてもこれに相当する俸給特別調整額について同様の措置を講ずるとともに、指定職俸給表適用職員についてはこれに対応する措置を加味した俸給表改定を行うことが適当と認める。」こういうふうに「報告」の中に出してございますので御了承をいただきたいと思っております。
  86. 大出俊

    大出委員 私がなぜこれを取り上げるかと言いますと、将来に向って非常な問題を含むからなんです。ということは、給与というものは遡及して減額をするなどということがあってはならぬと私は思う。これがたてまえだと思います、旧来からの。旧来からのたてまえとして、給与を遡及して減額をするなどということがあってはならぬと思う。だから、そういうものをなぜ本文にちゃんとうたっておかないのだ、そういう疑問なんです。  大蔵大臣がお見えになりましたので、時間の関係もございますから中速質問に入らしていただきますので、いまの点は後から聞かしていただきます。  休暇でおくつろぎのところをお出かけいただいて、まことに申しわけないのでありますが、勧告が出まして、その後なお新聞紙上等では、大蔵御当局の財政上の理由その他でにわかに完全実施に踏み切りがたい趣旨の記事が何回も出ておりまして、臨時国会もやがて参りますし、そういう点等を踏まえてこの際、短時間で結構なんですけれども、先般私がいろいろ詰めた御質問を申し上げましたが、総務長官もおいでになり、きょうは自治大臣にもお出かけをいただき、官房長官にもお出かけをいただきまして、だんだん質問を続けてまいりましたが、いずれにしても財政当局の責任あるお立場の大蔵大臣にそのお考えを承らぬことには物事前に進みませんので、あえて御出席を求めた次第でございまして、お許しをいただきたいと思います。  前回、いろいろやりとりをさしていただきましたが、この勧告を踏まえてこの間の大臣の御答弁では、最終的に人事院勧告をひん曲げて実施をするなどということは考えないということを最後でお述べになっているわけであります。財政事情その他を踏まえておいでになるのでしょうが、大変いろいろあった中で出た勧告であります。不満な点もたくさんございます。ございますが、何はともあれ完全な実施をというのが公務員諸君の願望でございましょう。そういう意味で、大蔵大臣としてどうこれについて対処をなさるおつもりなのかを、あらためてひとつ勧告が出ましたから聞かしていただきたいと思います。いかがでございましょう。
  87. 大平正芳

    大平国務大臣 人事院におかれて今回、国会並びに政府に対しまして一般職公務員に対する御勧告をいたされまして、それを拝見いたしたわけでございますが、御苦労の存するところもよくわかりまするし、勧告自体につきまして私どもとやかく内容的にコメント申し上げようとは思いません。また、人事院勧告は尊重さるべきものでございまするし、また政府部内におきましても、関係大臣がすでにそういう御意向を、強い希望を申し述べておられますこともよく承知いたしております。私も、この前あなたにもお答え申し上げましたように、これは尊重すべきものであるし、ぞんざいに取り扱ってはいけないものであると考えております。  ただ、何さま御案内のようにことしは中央、地方を通じまして財政的には大変苦しい立場にございます。今回の勧告実施するにつきまして、中央、地方を通じまして一兆五百億余りに上る財源を必要とするわけでございます。すでに計上いたしてあるものを差し引きましても、一般会計において二千四百十億円、地方財政計画上も千二百億円余を必要とするというような事情にありますことは御案内のとおりであります。そして、これは全額ことしは歳入に余裕があるわけじゃないわけでございますので、赤字公債に依存せざるを得ないような状況であるわけでございます。  それからまた、最近の経済状況を見てまいりますと、雇用状態もだんだん悪化してまいりまして、これは私から申し上げるまでもなく、一時帰休はもとよりでございますけれども、新たな雇用の機会はだんだん阻まれてまいっておりますし、これから先雇用不安が起こらないと保証できないような状況でございます。したがって政府としては、この際、財政もさることながら経済におきましても、こういう雇用不安が解消するような措置を何としても講じなければならない責任を持っておるわけでございます。国民は、いまこういう状況におきまして、財政当局ばかりでなく政府全体のこれに対する措置を非常に注視しておることであろうと思うのでございます。  したがって、この問題の取り扱い方につきまして、筋道は仰せのとおりでございまして、われわれもよく心得ておるつもりでございますけれども、これを最終的に処置してまいるにつきましては、国民各層の十分こなれた御理解と御協力を得なければならぬと考えておるわけでございましてて、そういうことの手だてを十分講じた上でこの最終的な処置を講じてまいりたいと考えております。  ただいまのところ、第一回の給与関係の閣僚の集まりはございましたけれども、各省持ち寄りましていろいろな問題をいま検討いたしておりまして、二回、三回と詰めた会議をいたしまして、政府として公正な結論を得たいと念願しておるわけでございます。
  88. 大出俊

    大出委員 きょうはお忙しいところをお出かけいただきましたが、たまたま自治大臣にもお出かけをいただきまして先ほど承ったのですが、代償機関としての人事院勧告だという前提を踏まえて、給与関係閣僚会議等の席上では、だから完全実施をすべきものだという意見を述べたい、こういうはっきりした御答弁が自治大臣からございまして、植木総務長官はもとより担当の責任大臣でございますから、談話の中で「完全実施」ということを明言しておりませんけれども、完全実施ということで努力をしたい、こういう趣旨の御発言でございましたし、井出官房長官の方も、私が強く申しております完全実施という私なりの願望を受けて取りまとめに努力をしたい、こういうお話しでございまして、いずれにしても、財政当局の財政問題というのが焦点になってきているわけであります。いまのお言葉を承っておりまして、私なりに受け取らしていただきたいのは、筋は重々わかっているというお話しでございますから、つまり代償機関たる人事院勧告であり、完全実施をしてきている経過を踏まえている、そういう筋道はわかっている、こうお述べになっておりますから、完全実施はしたいというお気持ちはある、ただ財政的にその見通しを立てるについて努力をしている、あるいは苦慮している、こういうことだと思うのですが、完全実施はなさるおつもりはある、この点はそう受け取ってよろしゅうございますか。
  89. 大平正芳

    大平国務大臣 ほかの関係閣僚と同じように、私も完全実施したい気持ちはやまやまでございます。
  90. 大出俊

    大出委員 ちょっとここで技術的で恐縮でございますけれども、大臣お述べになりました予算的な規模、つまり既定経費五%何がし組まれております国家公務員、地方財政の面で一〇〇%でございましたか組まれております地方公務員、そこらは一体、この勧告国家公務員、地方公務員を通じまして実施するに当たってどのくらいの予算規模になるのか、新聞その他ございますけれども、これは直接承っておきたいのでありますが、お答えをいただけますでしょうか。
  91. 大平正芳

    大平国務大臣 いま申しましたように、人事院勧告における給与改定所要額は、一般会計が約四千三百十億円です。特別会計が約九百十億円、したがって一般、特別両会計を合わせまして五千二百二十億円となりますけれども、重複分がございますので、それを差し引いた統計は、約四千五百三十億円となります。それから先ほど申しましたように、地方公共団体分につきましての所要財源は、約六千億円でございます。それを合わせますと一兆五百三十億円になります。そこで一般会計につきましては、四千三百十億円のうち予算上措置されておる額は約千九百億円でございますので、二千四百十億円の財源が新たに必要となるわけでございます。地方公共団体分につきましては、六千億円のうち地方財政計画上措置されておる額は四千八百億円でございますので、約千二百億円の財源を新たに必要といたします。  いま申しました数字は、いずれも概数でございまして、若干の異動は今後あろうと思います。
  92. 大出俊

    大出委員 お忙しい大臣でございますから、きょうは長い質問はいたしませんが、いまお話しいただきましたように、ほかの大臣同様に完全実施をしたい気持ちは強く持っておられる。だが片や本年の財政見通し、その他が非常に困難であるというお話しなんでありますが、臨時国会に参りますと、先ほど私申し上げましたが、そこらの先の見通し、昨年も七月二十六日に勧告が出ましたものが、暮れ押し迫った段階まで実は実施が延びてしまったという苦い経験が公務員諸君にあるわけでありまして、まして公企体関係などは組織力のある組織でございまして、団交権もございますが、そちらは先に決まってしまっている、こういうことで、団交権もない一般の公務員の方々なり地方公務員の方々だけがいつも残るという、こういう残念な現象でございますだけに、給与関係閣僚会議第一回を十三日におやりになったのでありますが、あと財政当局の御都合が中心になっているような先ほどほかの方の答弁でありますので、どの辺までいけば大体給与関係閣僚会議の議題として、いろいろ御苦労があろうと思いますけれども、筋という意味でひとつお決めをいただける時期が来るのか、途中省略して結論をひとつ承りたいのでありますが、いかがでございましょう。
  93. 大平正芳

    大平国務大臣 本来なれば、財政当局の都合から申しますと、補正予算にかかわる問題でございますので、できるだけ遅い方がいいわけなんです。したがって、秋深くなりまして、大体第一・四半期、第二・四半期の歳入歳出の実績というようなものも出てまいりまするし、本年度の後半の見当もほぼついてまいるというところで補正予算を組ましていただくということが一番安全な道なんでございます。ところが、ことしはそういきません。そうやりたいわけでございますけれども、実際はことしは、予算総則でお願いいたしてございまする蔵券、大蔵省証券の発行限度の中で財政の切り盛りができればようございますけれども、歳入欠陥の都合でまたそれができなくなるというようなことも起こりかねませんので、いやおうなく時期を若干早めなければならぬと考えております。しかしながら、少なくとも法人の九月期決算の状況くらいはつかんでおかないと危なくていけない。九月期の決算を完全につかむことはもちろんできませんけれども、これの感度がほぼ財政当局で掌握できるという時期まで待っていただかなければならぬのじゃないかと考えておりまして、しからばその時期はいつごろかというと、まあ九月いっぱいくらいはどうしても必要じゃないかというような感じがいまいたしておりますが、精いっぱい私どももできるだけ早く見当をつけたいという努力は重ねておるところです。
  94. 大出俊

    大出委員 いずれにせよ、昨年はせっかく参議院選挙後の臨時国会が開かれましたが、そこで、政治的な理由があったのだと思いますが、出ている勧告の処理をしていただけませんでした。かくて外遊日程その他があってずっと延びてしまったということなんでありまして、たまたま新聞等にあらわれる限りでありますけれども、九月に臨時国会を開く、こういう日程を政府当局の側もあるいは与党の皆さんの側もお考えのように見受けられるわけでありまして、それもいろいろの法案の関係からすればそう短期にはできない、こういう事情にございましょう。これにどうしてもやはり間に合わせていただかないというとまた昨年の轍を踏む結果になる。例年それではいかに何でもどうも国家公務員、地方公務員の方に気の毒でございますから、どうしてもやはり九月の臨時国会に間に合わせていただく、こういうふうにこれをお進めいただきたいと思っているわけでありまして、九月期決算の動向をつかみたいというのは当然だと思いますけれども、恐らくそれでも皆さんの方で、特に大蔵大臣がその気持ちでお進めになるとするならば、この九月という時点における国会に間に合わせることは不可能ではないのではないかという気がするのでありますが、そこのところをひとつ、これがまあ実はきょうの詰めでございますけれども、くどいようでございますが、市ねてひとつお伺いしておきたいわけでございますが、いかがでございましょう。
  95. 大平正芳

    大平国務大臣 九月に私どもの方から召集をお願いいたしてあります臨時国会には、ぜひとも補正予算の御審議を願わななければならぬのじゃないか、そういうタイミングをはかりながら用意をしたいと考えております。
  96. 大出俊

    大出委員 そうしますと、補正予算をお出しになるのであれば、当然この問題はそこで処理をするということになる、こういうことでございますね。きょうは大変お忙しいところをお出かけいただきましたが、そこをどうしてもやはり大臣に直接承らぬ限りは物事が前に進まぬ、こう考えましてお出かけいただきました。休暇中と承っておりまして恐縮でございましたが、ぜひひとつ、全体の公務員の気持ちをおくみいただきまして、御努力を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。きょうは大変お忙しいところ済みません。ありがとうございました。
  97. 藤尾正行

    藤尾委員長 大蔵大臣の御退席を許します。
  98. 大出俊

    大出委員 二十分というお約束でございますから、以上で大臣には御退席くださって結構です。  それでは、残りました問題三点でございますから、簡単に承って終わらせていただきます。  いま私が申し上げましたように、本文にお書きにならなかった、説明書にある、こう言うのでありますけれども、本来、給与というものを遡及減額をするというふうなことがそう簡単に行われては困る。これは総務長官ぜひ耳におとめいただきたいのでありますが、と申しますのは、ちょっとこれ計算したものがございますから申し上げますが、二等級の九号というところをとりますと、俸給で二十万八千九百円、こういう金額であります。したがいまして、これの二五%が管理職手当であります。それは五万二千二百二十五円、こういうことになるわけであります。この場合に総額幾らになるかといいますと、二十六万一千百二十五円というのが総額であります。管理職手当を入れた額であります。これが勧告でどういうことになるかといいますと、二十万八千九百円が二十二万九千四百円に上がります。一〇%減額をいたしますから二五%ではなくなりまして二二・五%を掛けることになります。だから、管理職手当五万二千二百二十五円が実は五万一千六百十五円に減ってしまう。給料は上がりましても、管理職手当の方は二二・五になりますから減る。だから、手当だけを考える場合に、明らかにこれは減額であります。ただ、給与は上がっていますから、合計すると二十八万一千十五円。つまり、勧告後の二等級九号の方の俸給管理職手当を入れまして二十八万一千十五円になる。で、勧告以前ですと二十六万一千百二十五円ですから、管理職手当の面では五万二千二百二十五円が五万一千六百十五円に減りますけれども、総額でふえるからという理屈が成り立つのだと思うのであります。しかし管理職手当というのは本給じゃございませんから、明らかに違う。手当ですね。その手当だけ考えれば、これは減額になっていく。つまり、四月実施ということでございますから、四月、五月、六月、七月というのは、管理職手当は払われてしまっている、支払ってしまっている。だから、論理的には支払った管理職手当から、五万二千二百二十五円と五万一千六百十五円の差額というものは減額措置になる、こういう理屈が成り立つ。これは私はにわかにそうですかとは言えない。将来に向かって公務員給与がさかのぼって減額だなんてことがあっていいのかどうか。これは、いまの段階は勧告ですから、総務長官が法律をおつくりになるときにどういうふうにお考えになるか知りませんが、私はそう簡単な問題じゃないと思う。さかのぼって減額措置なんてことがあってはならない、支払われた給与でありますから。  そこで、人事院に承りたいのは、なぜ一体、管理職手当、しかもこれが四月以降今日まで支払われてきているものについて減縮措置をとるなどというお考えになったのか。しかも民間が六カ月だから一年に延ばす、つまり二分の一だから期間を一年に延ばす、こう言う。半年だというならまだわからぬわけではない。一年となりますと、これは四月からなんですから、だから、そうしなければ来年の勧告に引っかかってしまう、そうでしょう。どうもこれが私にはわからぬのですが、何で一体、管理職手当などをいじろうとなさるのですか、支払っているものを。いかがでございますか。
  99. 茨木広

    ○茨木説明員 民間の賃金カットの状況の方を調べてみますと、一般の方でやっておるものもあるのだと思いますが、この対象会社の中で役職手当についてカットをやっておりますのが六割程度出てまいります。そうすると、残りのものがありますから、どうも一般のものについてもやっていらっしゃる場合があるようでございます。これはすでに一〇・八五の中に四月時点で調査として入ってまいりまして、その結果が一〇・八五というふうに出てまいっておりますから、これは一応一段落というふうに考えているわけでございます。ただ特別調整額の方は、超過勤務手当もそうでございますけれども、これは比較外でございますので、その関係が別途の問題になります。  そこで今回、本俸等との関係でどうするかということをいろいろ検討したわけでございますけれども、民間状況を調べましても、すでに昨年の暮れごろからそういう傾向があらわれてまいりまして、現在までの時点でも平均六カ月程度のカットの状況があらわれてきたというような状況が出てまいりました。特別俸給表については、また一、二等級との関連で号俸のアップ額そのものを調整するというようなことを考えておるわけでございますが、それらとの相互関連をいたしますと、やはり四月から一年間というふうなところでやらざるを得ないのではなかろうか、こういうことに相なったわけでございます。  ただ御指摘のように、今度の一、二等級のアップ額が九・一%とか平均で九・八%とかいう金額でございますから、この特別調整額だけをつかまえますとそういう問題が出てまいります。その辺のところは、本俸の方の改善額と合わせればという考え方も一つございます。しかし、それがいろいろ問題があるのだ、やはり特別手当は特別手当として考えるべきではないかというような点も、論議の段階でもいろいろ検討が行われております。そこで、それらについてはやはり経過措置として考えていかなければいかぬ問題ではなかろうかというふうに考えております。
  100. 大出俊

    大出委員 これは総務長官おいでになりますから、御指摘申し上げるだけにとどめておきます。ただ私は、余りこれは感心しないと思っているわけでございまして、四月から払っちゃっているわけですから、それは手当に関しては計算上どうしてもマイナスになるわけですから、そういう先例を余り残したくないという気が私はする。だから、法律をおつくりになる際にどうするかという問題があろうと私は思うのでありますが、ひとつ御相談いただきたいと思う。これは要望でございます。  あと二点、簡単に承ります。  号俸の延伸を三、四、五と今回の勧告でやっておられる。頭を打っているところを上へ延ばした。三等級で一号、四等級で一号、五等級で一号、これは行(一)です。行(一)のところで三等級で一号、四等級で一号、五等級で一号、これは延伸をしている。六等級のところはほってある。何でほったのかという点がわからぬわけです。なぜならば、六等級のところは非常に人が多い。三等級、四等級、五等級のところは、これで見ますと、五等級で百人、四等級で五十五人、三等級で三十人ですか、これだけがここで頭打ちになっている。これは救われるわけですね。ところが、六等級は二百七十三名おる。去年に比べまして大変にふえているわけでありますが、二百七十三名もここにがさんと——懲戒処分だ何だということを陰で耳にいたしますけれども、私は、やはり俸給表扱いは、そういうことにかかわる筋合いのものではないという気がする。何かそこに原因があるにしても、これは私は納得しかねるわけでありますから、そこの理由をひとつ明確にしていただきたいと思っております。  それからもう一つ、ついでに申し上げて終わりたいのでありますが、人事院規則九−八、三十四条の二というところで、一定年齢を超えての昇給、一般が五十八で行(二)が六十、医療(一)が六十、こうなっていますね。この十八カ月、二十四カ月の問題、五十一条で十八カ月を二十四カ月に読みかえる、こういう措置ですね、五十年七月まで。これは私、仲に入っていろいろ苦労しましたからよく覚えているのですが、これは、その後の追跡調査みたいなことを、当時理由があって二年がかりで人事院がお出しになった。先ににおわしておいて翌年やる、こういう方式だった。ただ、ここに該当する方は非常にお気の毒なんですね、現に在職しているんですから。だから、あのときの理由を振り返りまして、もう一遍追跡調査してみたら一体どういうことになるか。それらの意思があるのかないのか。本来なら、この種のことは、その後五年もたつのですから調べていただく必要があると私は思っているのですが、そこのところ二つ、いまの六等級をなぜ延ばさないかという、二つだけひとつ承っておきたいと思います。
  101. 茨木広

    ○茨木説明員 今度の号俸延伸は、それぞれの俸給表について万やむを得ざるものというところで実施をそれぞれ選択いたしたわけでございます。それぞれの等級に現在あります方の人員分布、それから年齢の状況、それから運用の状況、そういうものを考えながら、今後個々の号俸をどの程度、どう考えていったらいいかというようなところで実はやったわけでございます。そういうところで、六等級はそこの線に上ってこなかったということでございます。  それから、号俸延伸との関係で追跡調査という問題でございますが、各号俸の人員分布等の状況は、それぞれ毎年の公務員実態調査をいたします際に見ておりますけれども、やられました方の云々ということでございますれば、そういう意味の追跡調査ということはやっていないということでございます。
  102. 大出俊

    大出委員 以上で終わらせていただくのですが、ちょっとどうも気になって困る問題がありますので、総務長官に簡単に答えておいていただきたいのですが、いまだにどうも元号という問題がちらちら新聞に出てくるわけです。これは公式制度連絡調査会議を改めて総務長官発足させたようでありますが、この意図と、一体いまどういうふうになっているのか。法的に決めなければならぬというようなことで、そういう意図でお進めになっているのか。事務当局は総理府ですから、恐らく事務当局の意図というものは先に出ると思うのです。そこのところが気になっているんですけれども、簡単に答えてください。
  103. 植木光教

    ○植木国務大臣 さきの七十五国会におきまして、この委員会におきましても元号、国旗、国歌その他の公式制度関係の事項についていろいろ御質疑がございました。したがって、それらの問題を検討するために、七月二十八日に公式制度連絡調査会議を開催したのでございますが、それぞれ非常にデリケートな問題でありますし、世論の動向等も見詰めながら慎重に対処してまいらなければならない問題ばかりでございます。したがいまして、ただいまは審議の具体的なタイムスケジュールというものは持っておりませんで、それぞれの事項につきまして今後継続的に慎重に協議をしていきたい、こういう考え方でございます。
  104. 大出俊

    大出委員 そうすると早急な問題じゃないですな。
  105. 植木光教

    ○植木国務大臣 はい。
  106. 大出俊

    大出委員 どうも時間を取りまして恐縮でございます。
  107. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後二時四十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後二時五分休憩      ————◇—————     午後二時四十分開議
  108. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を続行いたします。木下元二君。
  109. 木下元二

    ○木下委員 今般の人事院勧告の問題でありますが、この人勧の引上率は一〇・八五%でありまして、公労委仲裁裁定の一一・七八%、労働省調査による民間主要企業賃上げ状況の一三・一%、さらに労働省の毎勤統計による全産業の毎月決まって支給する給与の四月の対前年同月比伸びの二二・四%を下回っております。また、総理府統計局家計調査による全世帯消費支出の四月の対前年同月比伸び一八・二%、消費者物価指数の伸び一三・六%にも及んでいないのであります。これでは、国家公務員労働者の生活の赤字解消と改善を図ることはできません。人勧は政府の賃金抑制のガイドライン一五%以下に押さえ込んでおる。これは、どうも政治的なにおいがするわけでありますが、この点についてどうお考えでありましょうか。まず伺います。
  110. 藤井貞夫

    藤井説明員 今回の勧告は、額にいたしまして一万五千百七十七円、これをあえて率に直しますと一〇・八五ということでございますが、いま御指摘になりましたいろいろの諸指標との関係というものはございますけれども、これは先生も先刻御承知でありますように、われわれの勧告というのは、四月時点における民間給与実態調査をやりまして、それと国家公務員給与とを精密に比較した結果、較差が出てまいります場合においては、その較差を金額的に詰めていただきたいという趣旨勧告を出しておる次第でございます。この調査の結果が一〇・八五%ということに相なってきたわけでございます。もともと、公労委関係の問題とは、いままでもここで私からも申し上げておりますように、直接の一応の関係はございません。われわれの方は、あくまで民間給与実態調査をやって、それを基本にして、調査を比較検討をするということでございます。  ただ、従来の経緯というものを見てまいりますと、無論公労委においても、民間の面は全然措置を考慮しないでということではなくて、むしろ民間との見合いで、しかも春闘がどういうふうに落ちつくかというようなことも勘案いたしまして定昇込みの率が出るわけでございますので、したがって、そこに大きな関連はございます。  そういう意味で、従来の経緯を見ますと、公労委関係と一般公務員との関係はそれほどの大差はない、大体見合ってきておるわけでございます。ただ、今回の場合は、お話しがございましたように、公労委関係よりは〇・九三ばかり率として下がっておることは事実でございます。ただ、これは公労委の関係が、四月時点の若干高めの時代、鉄鋼とか私鉄とか高めの時代に仲裁裁定が出されたという経緯がございまして、それと、その後の労働省関係等の調査では一三・一というような組合も出てまいりました。私たちの調査では、やや下がりぎみの分が反映したということもあろうかとも思いますけれども、結果として一〇・八五ということが出てまいったのでありまして、これは精密な比較をもとに出てきた数字でございますので、われわれといたしましては、この趣旨にのっとって措置をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 木下元二

    ○木下委員 精密に出てきたということでありますが、どうもこの人事院官民較差方式というのは、その較差を小さく出すように仕組まれておるような感じがするわけでございます。ことしの民間の賃上げは、秋に再度考慮するどかあるいは一時金で考慮するという形の妥結が例年よりも多く出ております。また、対外的に明らかにした賃上げ額が、実際の賃上げよりも下回っておるものも例年より多くなっているということでございますが、人勧ではこうしたものが反映されていないように思うのです。この点については、どのような認識をお持ちでしょうか。
  112. 茨木広

    ○茨木説明員 毎年四月時点で、こちらの四月定期昇給を終えた後の給与と、民間の四月の改定を終わった後の給与とで高さを比較いたしまして、その間の格差を出すということでございます。昨年の四月時点で合わせましたものが、この一年間の間に、民間の方にも、ただいま例に挙げられましたものと逆の意味の、五月以降それぞれの時期遅れで改定されたものがずっとあるわけで、それらもすべて今度の民間の高さに入ってきたわけでございます。それにさらに、昨年の四月時点で改正されたものは、恐らくことしもまた四月時点で改正されるでしょうから、それらの合わさったものが出てきます。こちらの方も昨年の四月時点で改正されました後の、七月以降の定昇ももちろん較差の中に入ってまいるわけであります。そういうもので、そのものを、四月時点の高さの差を比較するということが官民比較の中心でございます。その後、五月以降、特にことしは秋あたりに、十月あたりに再改定をするというのが民間には見受けられるようでございます。そういうものを入れてまいりますと、その時点で比較をすれば入ってまいるわけでございますが、四月時点で比較しますから、それは無理な話でございまして、それを何らかの数字上の調整をやって織り込んでいくということになりますと、そのものの基礎がぐらつくものでございます。お互いに毎年そういう事例はあるわけでありますものですから、ことしもそういうことで、四月時点で押さえて調査をして比較をするということに徹することがこの際はよいのではないかということでそういうふうにしたわけでございます。
  113. 木下元二

    ○木下委員 それはよくわかりますが、したがって五月以降に、特に秋に賃上げをするというような分は考慮しないということでありますが、しかし、さっき私が指摘しましたように、対外的に明らかにした賃上げ額が、実際の賃上げよりも下回っておるというようなものもあるやに聞いておるのですが、そうしたものについては調査をされておるのでしょうか。そうしたものについての認識はいかがでしょうか。
  114. 茨木広

    ○茨木説明員 いまの方は逆の例をお挙げになったようでございますが、私の方でつかまえてまいりますのは、大体四月現在の給与で、四月二十五日以降のところで支払われておりますが、その支払った実際の数字をつかまえてくるわけでございます。ですから仮に、先生がおっしゃられましたように、妥結はこういうふうにしておくけれども、実際はこれしかということの場合には、その額は入ってまいらないことになることはやむを得ぬことだろうと思います。五月以降、要するに調査時点の六月中旬までまいりますから、その時点までの間に加えて遡及して、四月に支払われたものは全部つかんでくるというたてまえでございますので、やはりそのたてまえを、有利不利にかかわらず崩さずにいくことが正しい調査のあり方ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  115. 木下元二

    ○木下委員 四月時点で調査するということで、結局ないしょで支払われておるというようなものについてはつかみどころがないというような乙とになると思うのです。  それはそれでそういうふうに伺っておきますが、この人勧が実現いたしますのは、ことしも十一月かあるいは十二月になるというおそれもあるわけでありますが、この間の目減りを計算いたしますと、官民較差というのはさらに大きくなるわけでありますが、人勧ではこの点が考慮されておりません。この目減り防止措置を何らかの形でとるべきではないかと思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  116. 茨木広

    ○茨木説明員 これも昨年、大変議論がございまして、早期支払いの問題として課題になっておるわけでございますが、前の委員会でも総務長官からお答えがございましたように、いろいろ総理府を中心検討されました結果が、できるだけ早い機会国会を開いていただきまして、それに政府の方から御提案いただくという姿で努力をしていくという以外に、やはりいまのところはなかなか解決の芽はないんじゃないかと思っております。特に、こういう時代になりますと、そういう時期的ずれで有利、不利と申しますか、そういう点がいろいろ民間との関係で出てまいることは争われぬことだろうと思いますけれども、広い目で見て、やはり全般的に調整をとっていくという考え方をしていくしか方法はないんじゃなかろうかと思います。
  117. 木下元二

    ○木下委員 できるだけ早くに国会を開いて、給与改正を実現するようにということであります。それはもっともでありますが、一つ人事院勧告そのものが出る時期が遅いわけですね。四月を基準にして、出るのが七月あるいは八月ということで、もうその人勧が出る時期の遅いことによって三月ないし四月おくれる、こういうことになるわけですね。その人勧が出た後において給与法の改正ができるだけ早く実現をするように、これは当然のことであります。しかし、その人勧そのものが、そういうふうに出る時期がおくれるということによって、目減りなりあるいは利息の問題等が生じるわけなんです。したがって、この人勧が出るまでの分については、これは理論的にも人勧自体の中に盛り込むべきではないか、私はこう思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  118. 茨木広

    ○茨木説明員 人事院勧告そのものが、五十万弱の所管の一般職公務員を対象にいたすわけでございますが、これが地方公務員の方に引用され、それぞれの方に引用されるものでございますから、大変広い層の基礎になっているわけであります。そうなりますと、やはりしっかりした調査に基づいた数字の積み上げから出ました率でないとなかなか御納得を得られない。私どものような調査をやりましても、この数字はおかしいのではないかというような議論が出るわけでございますから、やはりそれを安易にやりますと、第一に民間の方の動向そのものがやはり六月時点を過ぎませんとなかなか確定しないわけでございまして、すでに三公五現の方でつかまえられております仲裁裁定の段階で、いろいろ議論になりましたあの段階の数字とその後の数字というものは、民間の数字そのものが動いておるわけでありますので、そういうようなことに端的に見られますように、やはりある一定の期間を過ぎたところできちっと調査をした形でないと、この岡さが妥当なのかという納得をしてもらえないんじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  したがって、そこでおくれるのならば、あらかじめその分の利子云々という問題があるわけですが、気持ちはわからぬわけではございませんけれども、やはりこれは勧告が出まして、政府の方で法律案の形で出されまして、国会で議決になって初めて確定するわけでございまして、確定を待たずにその分云々というわけにもまいりませんし、また民間でも、分割支払いをするなんということも時によってはあるわけです。そういうような場合もいろいろ考えてみますと、これはおくれる分をどうこうというふうにきちっと計算をして織り込むということは至難なことだろうと思います。
  119. 木下元二

    ○木下委員 私は、おくれること自体がぐあいが悪いということを言っているわけじゃありません。おくれるのは当然である。慎重に、厳密にいろいろ調査もし、進められるわけでありますから、相当期間おくれる、これは当然のことであります。そのおくれた分について、これはおくれて遡及して支払いをするということになるわけでありますから、その問の利息の支払いなり、あるいは経済事情の変動に伴ういわゆる目減りの問題を処理をするというのが、私は当然のことだと思うのです。そのことを提起をしておるのでありますが、できるだけ早く国会を開いて法改正を実現する、これがまず第一に必要なことであります。  人勧が出た後においては、そういうことで解決するというより仕方がないことでありますが、人勧そのものがそうした作業のためにおくれるわけでございますから、そのおくれる分について措置をするということも、私は人事院として考慮されてしかるべきではないかと思うのであります。どうもそのお考えが十分ないようでありますが、総裁、その点については、私は理論的には私の言っていることが少しも間違っていないと思うのでありますが、いかがお考えですか。
  120. 藤井貞夫

    藤井説明員 昨年の人勧に基づきます給与改定に関しましても、これが非常におくれたということが直接の動機になりまして、いわゆる目減り補償の問題等が大変活発に論議の対象になったことは私も承知をいたしておるのであります。  ただ、給与局長も申し上げましたように、われわれの調査は、非常に膨大な作業量を要する調査でありまするし、また、民間の春闘等の状況というものが、どうしても六月あたりまで普通ずれ込んでくるというような実態もございますので、ここにおのずから技術上また実務上の限界ということがございまして、大変に努力をいたしておりますけれども、まずどんなにやっても、作業の進み方で、去年のような七月あるいは普通の場合は八月ということになってくるというのが実情でございます。これを勧告が出ました後で、いまもお話しの出ておりますように、できるだけ速やかに国会でもって御審議をいただいて、そして成立をさせていただくということは、従来から人事院が念願をいたしておったところでございます。ことしも、去年おくれたということもございますから、できるだけひとつ速やかに国会で御審議をいただいて、成立をさせていただきたいということを強く期待をいたしておる次第でございます。  ただ御承知のように、公務員給与というのは、ほかならぬ国民の税金でもって賄われるという種類のものでございますために、給与の法定主義というものをとっておる、要するに法律でもって給与改定等が行われていく、これを国会で御審議をいただいた結果、成立をしたところに従って改善実施されるという仕組みに相なっておるわけでございます。  したがいまして、四月にさかのぼってということが勧告一つの大きな骨子になっておりますが、それと人勧が出ました後の、要するに目減りを何か予測して、そこに措置をしていくということは、これは事実上不可能に近いのではないかということは、いままでも申し上げておるとおりでございます。去年のような場合、非常におくれたというようなときには、心情としては理解ができないことではございませんけれども、給与の法定主義のたてまえ、その他、大体それの目減りといっても、実際の推定をどうするかというようなそういう問題もございましょうし、それらの点を総合勘案いたしますと、目減り対策等はきわめて困難なことではないかというふうに考えております。
  121. 木下元二

    ○木下委員 私の問いに対して十分お答えがないようでありますが、一応伺っておきます。  人勧の引上額が、この五月九日の植木総務長官の回答、公労協と同程度の賃上げを期待することは理解できるという春闘回答がありましたが、これを下回ったことは重大であります。人事院さえなければ、労使間の団体交渉で最低限公労協の水準を確保できたはずではないか、こう思われるわけであります。このことは労働基本権の代償措置としての人勧制度に重大な欠陥があることを裏書きするものではないか、あるいはまた人事院みずからその代償機能を否定することになりはしないか、こうさえ思われるのであります。人事院として、この労働基本権制約の代償機関としての責任はどう認識しておられるか伺いたいと思います。
  122. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院は、公務員の労働基本権の制約の代償機関としての機能を十分自覚いたしておりますし、また従来からその線に沿って大いに努力を重ねてきたところでございます。そして人勧の取り扱い等に対しましては、幸い国会内閣方面におきましても、この趣旨を十分了察せられまして、完全実施というふうに踏み切って今日まで来ておるわけでございます。しかし、この人勧の制度は、先刻来出ておりますように、やはり一つのどういう方式でやるかということの方法論がございます。これには議論としてはいろいろあるわけでございますけれども、いろいろの従来からの積み重ね、研究の結果、現在とっておりまする官民比較の方法というものが一番合理的であるという観点に立ちまして調査をし、これをもとにして較差がある場合においてはその穴埋めをするということで勧告お願いいたしておるような次第でございます。したがいまして、この調査のやり方等を厳正に的確に行使をいたしました結果が、ことしの人事院勧告ということに相なって、数字としては出てまいったような次第でございます。  いま御指摘になりました総務長官と組合側の話し合いというものも、われわれ無論耳にはいたしております。それについては十分検討もいたしておるつもりでございますけれども、たてまえが、これは公労協の関係とは直接に関係がございませんで、官民較差というものが基本的には直接の対象に相なってまいるわけでございますので、その結果として出てまいりますものが、一般に伝えられます公労協並み、その他ということで完全に拘束されることがないというのがむしろ人事院のたてまえであり、それが合理的な調査の結果出てきた結論であるといたしますれば、われわれといたしましては、それを踏まえて勧告をいたすのが当然ではないか、かような立場に立っておる次第でございます。
  123. 木下元二

    ○木下委員 たてまえはよくわかりますが、いまも指摘をしましたように、春闘の回答、公労協並みの回答が出ておるのに、それを下回る人勧が出るということになりますと、公務員労働者としましては、これはもう率直に言いまして、一体人事院は何をしておるのかということにならざるを得ないと思うのです。そういう点から私は問題を言っておるわけであります。これでは人事院の代償機能が十分機能していないのではないか、こうとられてもいたし方ないのではないか、こういうふうに感ぜざるを得ないのであります。  その感じた点だけを申しておきまして、もう一つ問題を指摘いたしますが、先ほども午前中の質疑で触れられた問題でありますが、定期昇給率の算定の問題であります。人事院は本年度の定期昇給は二・四六%であるということでありますが、この定期昇給は四月、七月、十月、一月の四グループに分けて実施をしている、四月分は官民比較の際すでに織り込み済みであるため、その四分の三に当たる一・八五%であるというふうに説明をしておるわけであります。しかし、今年度の定期昇給は四月は三四・六%、七月は二三・一%、十月は二二・三%、一月は二〇%であります。この人勧の定昇率は、四回あって四月は終わったからということで単純に四分の三ということで、この四分の三を乗ずるというふうな計算は、これはどうも私は納得できないのであります。七月、十月、一月に実施をする六五・四%、四月分の三四・六%を差っ引いたこの六五・四%を掛け合わせるべきだと思います。これによりますと、定鼻率は人事院説明よりも〇・四九%低くなるのです。この点、人勧は公務員給与引き上げを何か高く見せようとしておるのではないか、こういう疑いすら起こるのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  124. 茨木広

    ○茨木説明員 午前中も御説明申し上げたのでございますが、人事院勧告改善額というものは、四月時点の官民較差から出てくるわけでございまして、そのものずばりでそれしかないわけであります。それで、定昇との関係がどうこうということで、私の方が公式に定昇込み幾らという発表をしたことはございませんし、そういうことはいままでもやってきてはいないわけでございます。ただ民間の春闘の御発表が定昇込み幾ら幾ら、こういうふうな発表が大部分でございますし、それから三公五現の場合も定昇込み幾らというふうに、参考として公労委の方で御発表なさっておるようでございます。そういう関係から、そういう考え方をこちらに持ってきたならばどうなるのかという意味の質問が記者団の方からもございました。そこで昨年、いろいろ並べて答えましたものが、四月の定昇込みのものの姿でもって官民を比較いたしておりますので、まるまるそれをプラスするということはやはり問題があるということで、ことしまたいろいろ吟味をしてみますと、やはり四月分は終わっている、ですから七月、十月、一月という三回分をプラスされるならば、一つの考え方としてはわからぬことはないがということで、仮に四分の一ずつということでございますれば、一・八五になりますという話をしたわけでございます。  原資ということになりますと、それぞれ七月のものは九カ月、それから十月のものは六カ月、一月のものは三カ月分しか原資が要りませんから、その原資率で計算しますと、この二分の一程度の額になってくるというふうにいろいろ違ってまいります。本当は原資率でもって計算するのが一番正しいわけですが、要するに、ことしの四月時点で比較しましたものとしては、今度の勧告で申し上げているだけの金額を上げていただかなければいかぬ、これは間違いなく中身の入っている数字でございます。あと七月、十月、一月と三回定昇がございますから、今年の分の公務員給与についてどの程度要るかという目で見ますれば、本当は原資率の関係でいかなければいかぬということをいろいろお話しをしたわけでございます。そういう生のものと、四分の三のものと、それから原資率的な考え方をしたものと、いろいろ数字を発表いたしましたところが、各社それぞれの観点でお書きになったというのが新聞に載った数字でございます。  それで、先生がただいまおっしゃったような意味の原資率的な——厳密に計算してまいりますと、人員ウェートでちゃんと四月に三四・六やっておりますから、その後のものについてということになってまいります。そういうことで厳密な計算をすれば、原資率としては〇・八二程度のものが出てまいるというのが実際の所要原資として見た場合の数字でございます。さらにもっと厳密にいたしますれば、新陳代謝の問題もございますから、それよりさらに原資は少なくて済むということになるわけでございます。
  125. 木下元二

    ○木下委員 その平均賃上げ率が一〇・八五%、平均定昇率が一・八五%ということで発表されておって、その細かい説明は余り目につかぬわけであります。人事院というところは、先ほど来説明があるように非常に緻密に、正確に数字等を計算されるのに、この点についてはこういうふうに非常にずさんな、単純な計算をやっておられるということは、どうも理解に苦しむのであります。この点についても原資で計算するか、あるいは人員ウエートで計算するかは別として、やはり数字を出す以上は正確に、緻密にお出しになるべきである、こう思うのであります。この点はひとつ、今後の問題といたしましても十分に考慮をしていただきたいと思います。総裁いかがですか。
  126. 藤井貞夫

    藤井説明員 昇給率の問題は、民間の場合と違いまして公務員の場合は四期に分けて実施するというような点がございますものですから、その点見方によっていろいろな計算が出てくるわけであります。ただ、従来はそれほど昇給率というようなことが表面立った問題になっておらないということもあったのでありますが、昨年あたりからやはり民間との対比というようなことから、公務員にも昇給があるのではないかということから、その昇給率はどのぐらいかというようなことが問題となって出てまいりました。われわれもそのこと自体は、民間とは違う点はございますけれども、やはり昇給があることは事実でございますので、それを十分見据えてそれに対する答えを出していきたいという態度をとってきております。特に本年度の場合は、それらの点に相当詳細な検討を加えました結果、いま給与局長も申したような、また先生も御指摘になりましたような数字が出てきたわけであります。しかし、単純に考えましても、物の見方というものから見まして、いまの一・八五とかあるいは原資的に言えばその約半分とかあるいは新陳代謝を考慮に入れればさらにその下をいくというような数字も出てまいるということは事実でございます。しかし、昇給率ということを問題にするためには、民間との対比において信憑性のあるというか、やはり合理的な根拠に基づいて自信のある数字を出していかなければならぬということで、本年はその第一歩を踏み出したものと思っておりますが、いま御指摘もありましたように、さらにこちらとしても検討を進めまして、はっきりとした根拠のもとに、原資で参ればこう、あるいは平均的な昇給率ということでいけばこうというように前提を置いての数字を出してまいりますとともに、その中でやはりもう少し検討いたしました結果、確信の持てる、民間対比との間において最も信憑の置ける、公務員における昇給率がかくかくでございますということをさらにひとつ検討は続けさせていただきたいと思います。
  127. 木下元二

    ○木下委員 結構です。  次は、配分問題でありますが、この原資の配分は俸給表改善の部分が約九・四四%、諸手当改善が〇・八五%、はね返り分が〇・五六%ということであります。この原資配分について、人事院は基本給部分を重視しており、けしからぬというようなことが一部で言われておりますが、ことしのような物価上昇にも追いつかないような勧告水準の中では、国公労働者の生活を防衛するためには当然であると私は思うのでありますが、この点について人事院はいかがお考えでしょうか。
  128. 茨木広

    ○茨木説明員 こういう時代でございますから、それぞれのところに厚くという要望が出るのは、それはやむを得ないことだと思います。また、これは原資全体の配分でございますから、私どもが所管をいたしておりますのは、組合関係者もおりますし、管理職の方で組合に入っていない方もいらっしゃいますし、各層の方を全部お預かりしておるわけでございますから、やはりそれぞれの方を公平に取り扱いながら物事を考えていかなければならぬ、こういうことでございます。そこで一応、停年民間の動向等も見ながら配分を決めている、こういうような姿をとっておるわけでございます。
  129. 木下元二

    ○木下委員 いや、一部の論評にあるわけでありますが、基本給の部分ですね、これを人事院は重視をし過ぎではないかという批判があるわけですが、この点について人事院はどうお考えになるかということを聞いているのです。
  130. 茨木広

    ○茨木説明員 本俸と諸手当にどの程度の盛り方をするかということにつきましては、やはりこれは民間の本俸的なものと諸手当等に分配しておりますものの率等を参考にいたしましてやっておるわけでございます。そういたしますと、やはり八割と九割の間ぐらいのところが基本給の方に盛りつけが行われておって、そしてその他の諸手当はそれ以外のもの、こういうことになっております。ことしの姿でも八七%強のものが本俸で、そのほかが扶養手当以下の諸手当等にそれぞれ配分されていくわけでございます。今度の改善案として出しておりますものの諸手当がそれらを食っておりますし、それから今回出しておりません調整手当でございますとかそういうものもはね返りとして、寒冷地手当でございますとか、こういうものがやはり相当大きな額を占めております。そういうものを合計いたしますと、諸手当でやはり一二%強という姿に相なるわけでございます。その辺はやはり民間の動向も踏まえながら見ておるわけでございます。  ただ、一部最近よく第二基本給というような思想が出てまいりまして、改善になったものを、たとえば退職手当の基礎にはね返らないような給与にというような考え方もございます。また厚生年金のようなものですと、脱法を防ぐという意味で、そういうものを手当の形なり何なりにしましても、毎月支給するものは全部そういう年金の基礎につかまえていくという決め方をしておるわけでございます。退職手当のようなものでございますと、調整法もございませんで、それぞれ民間会社思い思いでございますから、その基礎になりますものの底を狭くしていくという思想も会社によってはあろうかと思います。ただ一方、規定をいろいろ見てみますと、また、これは退職手当法にないような役付加算だとか、それから勤続年数加算だとかいろいろこちらの制度と違う別途の方途を講じて、やはり長く勤務します者がふえていくような方途を講じているようでございます。そこで私の方は、そういうものを五年に一ぺんぐらい調査をいたしましては、こちらの方の制度と民間の制度とそう乖離しないように、それぞれやはり改正をいただいておるものというように私は承知いたしております。
  131. 木下元二

    ○木下委員 民間の動向と決して遊離したものではないというふうに伺っておきます。  期末、勤勉手当を昨年と同様五・二カ月分の勧告を出したことに対しまして、民間では、夏は額、率とも下がっておるのにけしからぬというようなことが一部で言われておるのでありますが、公務員の場合は、これはさっきも言われましたが、一年おくれでありまして、民間実態が一年おくれに反映をするという関係にあるわけであります。民間の夏の一時金の落ち込みは来年度の勧告に反映をされるということになるわけでありまして、このような主張は筋違いと言わざるを得ないと私は思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。人事院と総理府の考え方を承っておきたいと思います。
  132. 茨木広

    ○茨木説明員 一年おくれの姿になっておりますが、昨年の六月期には民間が多いのにこちらが少ないということで非難があったわけでございます。六月分が大体〇・二程度多いわけでございますが、逆に十二月期は今度は下降期に入りましたために〇・二カ月分くらい少ない。その六月と十二月と相殺されて調整いたしますとちょうど五・二八と端数がつくわけでございますが、そういう数字が出てまいったわけでございます。ことしの六月期はいま御意見のとおりでございますが、これは十二月がどういうふうに推移しますか見てみないと、なかなか早計にどうこうというふうにはできませんので、その辺の状況をよく注視をしてまいりたいと思っておりますが、一応そんなところでやはり一年おくれの姿をとりながらしんぼうしていただくときもありますし、そうでないときもある。先ほど給与のおくれという問題が御指摘ございましたが、こういう面もありまして、いろいろ総合的にと私の申し上げた意味は、そんなところにも意味があったわけでございます。そういうことで御了承いただきたいと思っております。
  133. 秋富公正

    秋富説明員 総理府といたしましては、専門的第三者機関の人事院勧告というものを尊重して今日まできたわけでございまして、ただいま人事院給与局長から期末手当勤勉手当問題につきましても御説明がございましたが、そういったことにつきましても、民間との比較という民間実績に照らしての勧告でございますので、いまお話しがございました、いいときもあるかもしれませんし、逆に非常に悪いときもあるかもしれませんが、やはり実績に照らしてということで、私たちといたしましては、人事院勧告を従来どおり尊重してまいりたいと思っております。
  134. 木下元二

    ○木下委員 ことしの配分では、いわゆる世帯形成層と中だるみ是正を重視をしまして、四等級ないし八等級の組合員の層については、ほぼ同率的な配分が行われております。一等級、二等級につきましては、九%台とやや落ち込み、指解職については六・五%に抑える、俸給特別調整額の一〇%カットを行うなど、国公労働者の要求をほぼ受け入れておると思うのでありますが、この点は一応の評価をするのにやぶさかではございません。しかし上厚下薄の給与体系そのものを根本的に改善する見地には立っていないと思うのです。賃金の伸び率を見ましても、次官クラスは一九六〇年を一〇〇といたしますと六四四、五等級十号俸は四七三、七等級五号俸は五七九という数字が出ております。高級官僚の伸び率が最も高いのであります。それから八等級三号俸との倍率を見ましても、較差は若干縮まってきましたけれども、それでも次官クラスとの較差は十倍になっております。行政職一表の等級別の原資配分を見ましても、上位等級ほど人員構成比に対する配分率は高くなっております。昨年との比較では、一等級、二等級上位等級では配分率は昨年よりも低下しておりますが、同時に六、七、八等級の下位等級も低下をいたしております。中位等級は昨年よりも上昇しておりますが、よく見ますと、人員が最も集中している五等級、六等級の原資配分率の合計は、昨年と同率になっております。これには財政上の配慮が加えられているのではないかと思うのですが、そういうことであります。  いずれにいたしましても、配分は国公労働者の要求を一定程度取り入れたとは言え、上厚下落の現行給与体系そのものを根本的に改善する見地には立っていないと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  135. 茨木広

    ○茨木説明員 ことしの配分では、民間のやはり中堅層を重視するという傾向あるいは上下同率的な配分という姿をながめながら決定をいたしておるわけでございますが、昨年に比べますと、率そのものが昨年は一〇%前渡しのものを含めまして二九・六四でございますけれども、ことしは一〇・八五という枠の中の配分でございますから、それなりにやはり限界はございましたが、それから昨年は、もう一つ比較方式の変更に伴います原資がやはりそれにプラスになって二九・六四になっている、そういうこともございまして、従来しわ寄せを受けておった中堅層以上のところに厚く配分するということの考慮も払っておったわけでございます。そういうような点がいろいろ競合いたしまして、ことしの結果に相なっておるわけでございます。  基本的に上薄下厚的な姿をもっととれということでございますが、これは給与表の体系の中には生活給的な部分もいろいろございますし、職務の責任等からくる給与というようなものもございます。そういうものが混在をいたしまして、現在の俸給表の姿をとっておるわけでございます。でございますから、毎回単純に上薄下厚でもってやっていくというわけにもまいらぬぎりぎりのところに来ておると思う。でございますから、今度でもポイント要求という形で組合も出してきておりますが、従来のように、要するに初任給を上げていけばおのずから下がずっと上がってきますから、上へずうっと上がっていくのだというふうに単純には御理解なさらぬで、下の方を厚くしていけば上の方の原資が下に持っていかれるのだということの理解が深まってまいりました。そういう観点から、八等級の三号俸と五等級の七号俸のところの給与を、いま一対二になっておりますが、その一対二の比率をくずさぬようにしてくれという要望が大変強く最後までございました。去年の附帯決議がございましたけれども、初任給を少し抑えても、そこの一対二の比率は守ってくれというような要求すらことしは出てきておったような姿でございます。  そういうことでございまして、やはり上下差の関係でいきますというと、上薄下厚ということを連年続けていきますことも、この辺でだんだん限界に来つつあるのではなかろうか。というのは、家族数で割ってみられますと、一人当たりにしますと下の方よりも上の方が大変きつい生活になってくるという結果が出てまいるわけでございます。そういうところまでぎりぎりに来ておりまして、俸給表上の構造でも、二等級、三等級あたりでも、ことしは二等級の方の一つ号俸が上がる昇給間差額よりも、三等級の方の一つ号俸が上がる間差額の方が多いというような姿もやむを得ず生じてまいるわけであります。そこまでぎりぎりのところに来ておりますので、そう簡単に毎回毎回上薄下厚というような率を連乗していくということにはやはり問題があるのではなかろうかというような気がいたしております。いま十八歳のところは、下支えとしてマーケットバスケットを組みまして、一定の生活費というものを計算してみて、大丈夫だなという安心感を持ちながらやっておるわけでございますが、逆に今度は、上の方の何かそういうものを考えていかなければいかぬことになりつつあるのではなかろうか、これは官民を通じての問題だと思いますが、そんな気すらしておるところでございます。  それから、ただいま御指摘のございました指定職等の関係でも、課長クラスと上下との関係では、三十五年から五十年までの間に、もうすでに二分の一に上下較差が縮まっておりますし、それから指定職制度が始まりましたのが三十九年でございますが、これは御案内のように、俸給表の構造が違いまして、諸手当を含めました金額でございますから、直接俸給表上だけの比較で議論していただきますといけない、やはり諸手当を全部込めた形で御比較をいただかなければいかぬわけでございますが、それを抜きにいたしましても、三十九年と五十年の姿でいきますと、指定職の方でも八等級との関係で見ますと約六七%に上下倍率が圧縮になっておりますが、同様にやはり行政(一)の一等級のところでも、三十九年と五十年では六一%に倍率が圧縮になっておるということで、大体似たような圧縮率で上下較差は縮小されてきております。だから、そういうようないろいろ金額を比較されます場合には、諸手当を含めましたり、職責の問題をどう考えていくかというようないろいろな問題を考えていただいて御比較をいただかなければいかぬのじゃなかろうか、こんなふうに考えております。
  136. 木下元二

    ○木下委員 中堅層に厚く配分をするという点で、今回は改善されてきたという点については評価をいたしておりますが、ただ、いま言われたように上薄下厚をずっとやってきて、もはや限界に来たというような、そういう理解はこれはどうかと私は思うのです。ここでこの点についての議論はいたしませんけれども、一つ伺っておきますけれども、初任給と次官クラスとの較差を、ことしの勧告では十倍ちょうどにしておるのでありますが、この線は、これはもう絶対に譲ることができない線だというふうにお考えなんですか。
  137. 茨木広

    ○茨木説明員 指定職給与をどういうふうに考えていくかという問題については、いろいろ御議論があるだろうと思いますが、人事院が従来とっております方式としましては、何年に一度かは、やはり対応の民間の役職の方々の給与というものを調査いたしまして、その時点でやはり均衡をとった措置を講じていくということにいたしております。それで、中間年の場合には、下からの連動的な改正最小限度改正をやりつつ、そういう民間と随時合わせながらその乖離を防いでいくという姿をとっておるわけでございます。結局、その入り口のところに、学校を出ました方が民間の方と官庁の方とそれぞれ志望者が分かれるわけでございますが、その段階で、将来の姿がどうなるのだということもやはりそれぞれ考えながら職業の選択をやるというのが現状でございますから、その辺を加えてみまするというと、やはりそれぞれの段階ごとに官民比較をしていくというこの国家公務員法の六十四条にあります原則は、どの段階の職種についても踏まえながら給与を取り扱っていくということが、やはり妥当な姿ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ですから、率そのものが、この率がどうである、どっちに動きますかは、今後の民間給与の動き方に関連しながら、やはり不動なものではないというふうには考えております。
  138. 木下元二

    ○木下委員 指定職については、官民比較ということを言われるのですけれども、指定職については官民比較をやらずに、人事院がどうも恣意的に俸給額を決めておる、そういう仕組みになっておるのではないかと思われるのですが、この点はいかがですか。
  139. 茨木広

    ○茨木説明員 これは、なかなか民間のものをちょうだいするのは、それぞれ会社の格式と申しますか、そういうものがやはりあらわれるものですから、そこで、親展文書で担当の重役の方に直接文書を出しまして調査をするわけでございます。そういうめんどうな調査でございますので、毎年やるということにはいたさずに、何年に一遍かの調査を入れながらその乖離を防いでいくという姿をとっております。でございますので、その調査いたしました年にそれを合わせていくということで、その公開的な発表はいたしてはおらないわけでございますけれども、そういう意味調査は何年に一遍かやるわけでございます。ただ、やらない年は、ずっと過去の方も手繰ってみますというと、やはり改善率もやや低い率に抑えた姿、下からの連動でこういくものでございますから、民間の、いわゆる春にやります民調の中に、課長部長等の給与が出てまいりますから、それとの、特に部長等の給与額の改定状況等を踏まえながら、その上の方のつなぎをやっていくという姿で連動していきまして俸給表ができ上がるわけでございます。そういう姿でやらしていただいておるところでございます。
  140. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、根拠あるデータに基づいてやっておるわけであって、決して恣意的に判断しているわけではないというふうに伺ってよろしいわけですね。
  141. 茨木広

    ○茨木説明員 そのようでございます。
  142. 木下元二

    ○木下委員 次の問題ですが、人事院のこの官民較差方式というのは、どうも較差が小さく出るように仕組まれていて、幾つかの改善すべき問題点を持っておるように思うのでありますが、この調査対象企業は、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上というように改善されてきておりまして、この点はそれなりに評価はできると思います。これに対しましていろいろな批評があるわけでありますが、現段階ではやむを得ないにしても、公務員給与改正民間の一番上の賃上げグループに右へならえをしておることは問題だとか、あるいは勧告中身民間賃金の実態をはるかに上回る疑問の多い勧告と言わざるを得ないとかいった批判があるわけであります。人事院としては、これについて一体どう思われるか、あわせて政府側の考えも伺っておきたいと思います。
  143. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院で行っております民間給与調査規模でございますけれども、現在は、御承知のように企業規模で百人以上、事業所規模五十人以上ということで、それらの従業員の給与についてほとんど全体を調べるというような、そういう統計上の仕組みでもってやっておるわけでございます。御承知のように、これは従来からの積み上げでこういうふうになってきておるわけでございまして、したがって、毎年その規模を変えていくとかいうような筋合いのものではございません。われわれの方は——いろいろの御意見があることは事実であります。いまお話しがありましたように、やはりもっと大規模の企業というものとも比較をすべきじゃないかというような声もございます。また、それと反対に、公務員の方はどうも大規模の方に偏し過ぎておるのではないだろうか、やはりもっと小規模のものも対象にしなければ片手落ちだ、特に不況の時代等に入りますと、特に中小企業等の関係からはそういう意見が非常に強く上がるということは、従来からの経験に徴して事実でございまして、ことしあたりはわれわれのところへもそういう面の非常に強い御批判、御意見というものを寄せられておりますことは事実であります。しかし、これはいわば従来の、言葉は悪うございますけれども、一種の労使慣行みたいなもので積み上げがなされておりまするし、また、このことをやります結果が、民間の従業員の約半数以上をカバーしておるということで、これは一つの信憑性といいますか、妥当性、合理性というものを持っているのではないだろうかというふうに考えておるのであります。やはり公務というのは大事な仕事でございますから、ここにはやはり民間の大方の平均的な給与というものを確保するということでないと、とても人材が確保されないという面もございますので、それらの点をあわせ考えますと、現在やっておりますこの規模というものはやはり非常に合理的なことではなかろうかというふうに考えておりまして、ここ近々のうちにこれについて改定を加えるとか、そういうことは現在のところ考えておりません。
  144. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま人事院総裁からお話しもございましたように、この調査対象規模の問題につきましては、もう少しこれを大規模のものにすべきではないかという意見もございますが、逆に、もう少し一般の中小企業の実態も反映さすべきではないかという声も従来からございましたが、特にことしにおきましては、こういった不況下におきまして、もう少し中小企業の実態も反映さすべきではないかという意見も実は私どもの方にもいろいろとございますが、こういったいわゆる公務員というものを長い目で見た場合には、事業所規模というものを余り軽々に変えるべきものではない、やはり永続性を持って見るべきものだと思いまして、人事院総裁もただいまお答えになりましたように、私たちとしましても、そういった従来の人事院規模というものを尊重してきておるものでございます。
  145. 木下元二

    ○木下委員 この賃上げの原資配分について、これは先ほども少し触れたのでありますが、この点についても、民間では退職金の基礎となる基本給の引き上げを極力抑えておる傾向があるのに、人事院官民較差是正を基本給中心に行ってきたことは問題であるというような批判があるわけでありますが、この点については人事院としてはどう思われるか。ことしの民調の結果によりますと、民間での原資配分は基本紬部分で何%、諸手当関係で何%ぐらいであったのか、公務員の場合と比べてどうなのかといったこともあわせて伺っておきたいと思います。なるべく簡単に……。
  146. 茨木広

    ○茨木説明員 先ほども触れたわけでございますが、ことしの民間給与の基本給とその他の配分ということは、一緒につかんでまいります関係上、そこまでのところはわかりません。ただ、私どもが見ておりますのは、別途民間のものについて随時、中労委でございますとか労働省でございますとかいうようなところの発表の中でそういう配分の傾向を示したものが出てまいりますので、そういうものを見ながら配分全体を抑えておるわけでございます。  それによりますと、これは四十九年の労働省の賃金労働時間制度総合調査という調査がございますが、その結果として出てまいりましたものを見ますというと、民間の姿は基本給として八四・六、業績給が二・七、これを二つ合わせたものが大体そういうものだと思いますが、それからその他のものが、勤務手当が三・八、生活手当が七・一、奨励手当が一・〇、その他が〇・八ということで一〇〇%、こういう比率になっております。こちらも、いまの基本給と民間の業績給を合わせたようなものに大体合わせているわけですが、公務が八七・四%、それからその他のものが、諸手当、はね返り分というような姿に相なるわけでございます。ことしの配分も、先ほどちょっと触れましたように、八七%強が本俸でございまして、あとは諸手当でございます。ですから、大体そういうようなものとは、大きな傾向としては合わしてあるというふうに申し上げていいかというふうに考えております。
  147. 木下元二

    ○木下委員 もう一点ですが、公務員住宅や退職一時金、退職後の共済年金などを取り上げまして、生涯賃金での民間比較という視野で公務員賃金を考える必要があるのではないかとか、あるいは国民は、官民間に逆較差が生じておるのではないかといった批判なり疑問も生まれておるのであります。私は、決してそうではないと思いますけれども、この点について、決して逆較差などは出ていないというふうに人事院もお考えでありましょうか。
  148. 茨木広

    ○茨木説明員 先般そういう記事がございましたが、この問題は、それぞれのやはり勤務実態なり条件がいろいろございまして、給与以外の厚生経費その他にもいろいろの歴史的沿革があって、それぞれの歩き方をしておるということだろうと思います。で、現在のところは、給与給与としてそれぞれ一定の方式で民間との比較をしながら持っていく。それから、先ほど触れましたように、退職手当にしましても年金にしましても、やはり随時比較しながら制度をそれぞれ運営している、こういうことになっているわけでございます。退職手当について見ましても、やはり民間のそういうものと年金の姿をとっておるものもございます。そういうものをみなやはり分解をしまして比較をしてみないと正確な比較ができないので、五年ごとに調査いたしておりますものはそういうふうにやっておるわけでございます。  それから、年金関係につきましても、厚生年金のほかに調整年金とか企業年金とかというふうに企業で別途それにプラスしておるものがございます。これも一緒に寄せ集めてこないと本当の姿がわからない。それからもう一つは、掛金の方の姿もやはり見てみないといかぬ。こちらの方は、もうすでに昔の恩給時代の運営ではなくなりまして、官側と本人と折半負担ということで掛金を掛けておるわけでございます。そういう掛金の姿で見ますと、民間の方の厚生年金よりもこちらの掛金の方が多い。多いなりにやはり抱えていきますものも多い点もあるかと思います。そういうことで、やはり本人負担のものと実際に年金として出ていきますものと、みんな総合的に事を分析してみませんと簡単にいかないわけでございます。  あと住宅のようなものもいろいろございますけれども、これらはまた、御案内のように民間と違いまして、税務その他でありますとか、一生の間に十回も転勤するというような方もたくさんいらっしゃるわけでございます。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 そういうような一定の場所におきますところからくる公務の清新はつらつとした気分を維持するというようなこと、あるいは別途のことを防ぐというようなこともいろいろありまして転勤をそれぞれさせているということもあって、そういう住宅を整備するということもございます。そのかわり逆になかなか自宅が持ちにくい、退職時になってそれぞれ手当てをしなければいかぬというような、やむにやまれずそこまで追い詰められるという立場も、民間の場合よりも公務員の場合が多いという不利な点もあるわけでございます。  いろいろな点がございますものですから、そういう意味の総合的な比較ということになりますと、なかなか簡単に言いにくいことでございまして、こういう時代でございますと公務員の方がいいと言われますし、一たん景気がよくなりますとどうも公務員の方が悪いと言われます。なかなかそこはむずかしいものだというふうに考えておりますが、それぞれ比較できますものについては個々的に比較をしながら、バランスをとりながら運営していくというつもりでやっておるところでございます。
  149. 木下元二

    ○木下委員 結構です。  人勧に当たっての総裁談話について少しお尋ねしたいのでありますが、人勧が労働基本権制約に関する代償措置として最も重要な処遇改善の道であることを特に取り上げております。勧告が完全かつ速やかに実現されるよう、国会内閣とに対して特段配慮を強く要請しておるところでもあります。人事院は、この労働基本権の代償機関として、勧告の完全かつ速やかな実現のためにどのような責任ある措置をおとりになるおつもりでしょうか。たとえば一定の時期を見て、完全かつ速やかな実現のための勧告を再度出すとか、総裁談話を発表するとか、あるいは法案づくりに時間がかかるという口実を与えないために、一般職給与法の改正案そのものを人事院でつくって国会内閣に出すとか、そういった具体的な措置をおとりになる考えはありましょうか。いかがですか。
  150. 藤井貞夫

    藤井説明員 労働基本権の制約に対する代償機能を人事院が果たしているということにつきましては、深い関心と確信を持って従来も仕事をやらしていただいておる次第でございます。今回の場合も、いろいろ状況が厳しいというふうに言われておりますけれども、基本的な態度としては従来と全く同じ態度で作業をやってまいりましたし、また、精密な調査の結果として出てまいりましたこの勧告内容というものは、できるだけ速やかに完全に実施をしていただきたいということで勧告にも申し上げておるところでございますし、また談話においても触れておるのは、そのところからきておるものと考えておる次第でございます。  本日も朝来、いろいろこれの完全実施に至る手続その他の点について話が出ておるわけでございますが、われわれといたしましては、内閣及び国会においてこの勧告が完全かつ速やかに実施されることを確信し、また期待をいたしておるような次第でございます。  したがいまして、この勧告が入れられないというようなことは、無論目下のところ考えておることでもございませんので、それを前提としていろいろのことを考えるというようなことは、それはむしろ筋違いのことではないかということで、いまのところ、そういうことについては何ら考えておりません。勧告を出しました際には、これは国会及び内閣にということに相なっておりますので、衆参の議長さんのところへ私も直接持ってまいって説明をいたしております。また、勧告趣旨というものを十分に御説明申し上げまして、善処方を要請いたしたところでございます。また政府関係では、総理がアメリカからお帰りになったところで打ち合わせをいたしまして、その席上、官房長官及び総務長官も御同席の席上で直接に勧告文をお手渡しし、また内容説明をいたしたというようなことで、その他関係大臣にも要請をいたし、説明をいたしておりますし、万全の措置を講じてきておるつもりでございます。  また、政府において法案づくりで時間的な云々というお話しがございましたが、従来からもそういうことはございません。勧告が出、内閣においてその取り扱いが決定いたしますれば、鋭意法案づくりに取り組んでもらっておるわけでございます。ただ、勧告を出した責任のある人事院といたしましては、総理府で立案を進められまする際の参考資料として法律の改正案をうちの事務総長の方から総理府の方へ送っております。これは従来からもやっておるところでございます。
  151. 木下元二

    ○木下委員 政府の方が人勧を尊重しないとかあるいは完全実施をことさら進めないとか、そういった事態というのは、いまの段階では考えられないというお答えでありまして、もっともな節もあるわけでありますが、少なくとも政府がこの完全実施、早期実現を進めていく、それを促進させるような具体的な措置というものはお考えいただきたいと思うのであります。いま言われました法案の下書きのようなものをお出しになるということも、やはりそうした側面で意義があると思うのであります。その一般職給与改正案の下書きを政府の方にお出しになる、これはいつまでにお出しになっていただけますか。
  152. 藤井貞夫

    藤井説明員 参考として総理府に送付いたしまする法律の改正案は、事務的に準備ができまして、今明日のうちに総理府へ送付いたす予定でございます。
  153. 木下元二

    ○木下委員 政府に出しても、それに基づいて提案するかどうかはわからないわけでありますが、これはひとつ国会の方にも出していただきたいと思うのです。少なくとも各会派と要求する議員にお出しいただきたいと思うのです。これは勧告そのものも内閣国会にお出しになっているのですから、参考資料としてということを言われましたが、参考に私たちの方にもお出しいただきたい。これは約束していただけますか。
  154. 茨木広

    ○茨木説明員 給与法の法律提案権は内閣の方にございますものですから、それであくまでもそういう意味の本当の素案でございまして、そういう趣旨のものでございますから、やはり本来ならば総理府の方で独自にお考えになるのが筋でございますので、これは御了承いただきたいと思います。
  155. 木下元二

    ○木下委員 それは特に内閣委員会委員の私たちは非常に関心が深いわけでありますが、何も特に隠してお出しになるという理由もないと思うのです。先ほど来参考に参考にということを言われたのですが、その参考のために、私たち、この内閣委員会の特に要求をする委員にお出しになることを拒む理由はないと思うのであります。総裁いかがでございますか。ぜひひとつお願いしたいと思います。
  156. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま給与局長も申し上げましたように、われわれの方といたしましては、法案作成の本当の参考資料ということで、従来総理府の方へお渡しをしておるような次第でございます。したがいまして、いま給与局長が申したようなことで御了解が賜われればと思いますけれども、その点本当に何か資料としてお話しがございますれば、総理府と相談をいたしました結果、何らかの形で御連絡をいたしたいと思います。
  157. 木下元二

    ○木下委員 えらい慎重に構えられるのでよくわからないのですが、これだけ問題になって、政府の方がこの法案の提案をする、そのために人事院の方から人勧も出されているわけでありますから、その参考に法案の下書きをお出しになれば、当然、国会のこういうふうに審議をいたしております私たちの方にもお出しいただいて何ら差し支えないし、むしろそれはプラスになると私たちは思うのです。ぜひひとつお願いします。
  158. 藤井貞夫

    藤井説明員 この法律の提案は普通政府からいたすものでございまして、それの立案のごく参考資料として、われわれの方で改正案を出しております。ただ、これにつきましては、政府案でございますので法制局で審議をいたす過程がこの中にございます。それらの点を考えますと、われわれも法律の最終的な専門家というわけにはまいりません。これは法制局を通過いたしまして初めて政府としての案が確定をいたすわけでございます。その過程を経て決まってくるものが最終案でございますが、それの前提として人事院として素案がこういうことがあったではないかとか、そういうようなことになりましても、かえって要らざると申しますか、そこに無用の混乱が生ずるというか、障害が生ずるというおそれもございます。そこらの点がございますので、慎重に申し上げておるのはそういう意味でございますので、取り扱いにつきましては総理府と相談をいたしまして、何らかの意味で御連絡をいたすということでございます。
  159. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、一応そういうふうに伺っておきます。  それから、この総裁談話の中で「組織活力昂揚のための施策を一層強力に展開することが要請されている」というふうに述べておられますが、この施策の中には定年制実施や勧奨退職制度の整備ということも含まれておるようであります。この定年制実施は、公務員の身分保障の重要な変更をもたらす問題であります。法改正を伴う問題でもありますので、その検討に当たりましては、これはまず職員団体との交渉を重視をするということも必要でありましょうが、同時に、こうした問題については、国会報告すべきだと思うのです。少なくとも三、四カ月ごとに検討の経過なり到達点について、国会の方に御報告をいただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  160. 藤井貞夫

    藤井説明員 定年制の問題は、退職管理に関する一つの有力な手段であるということは民間の場合でもそうでありまして、われわれも、その点の意義ということは認めておる次第でございますけれども、ただ、公務員の場合についてそれを実施する段階になっておるのか、またどういう形にそれを実施すべきなのか、それを実施するということになれば、その周辺のいろいろの問題がございます。退職後の問題であるとか、あるいは再雇用の問題であるとか、いろいろこれを取り巻く周辺の問題というものをあわせて総合的に検討をいたさないと、事柄が非常に重要でありますために問題が生ずるおそれがございます。  そこで、公務員の場合は実は非常に職場が多種多様でございまして、したがって、そこに要請される公務員の職種、また年齢による熟度といいますか、そういったこともそれぞれの職種によって大変異なります。そういうことが従来、定年制が一般的には導入されないできておったということの原因でもあろうかと思う次第でございます。ただ、われわれといたしましては、これは重要な事柄でございまするし、また職員の構成の今後の推移その他をながめてまいりまして、周辺問題等もあわせて検討を重ねておる次第でございますけれども、問題が問題だけに、これにつきましては、そう三、四カ月に一度というようなことで情勢が変わる筋合いのものでもございません。そういうことでもございますけれども、しかし調査をいたしております段階で何らかの区切りが出てくるというようなことで、国会にもその点は御承知おき願う方がよいということがございましたならば、御質問にお答えするということもございましょうし、こちらの報告事項として、あるいは資料として提出をするというようなことも並行して考えていくことにしてはどうかと思います。定期的に三、四カ月というようなことになりましても、その時点で煮詰まった結論が変わったというような事態がありません場合には、これはむだなことでもございますので、それらの点もひとつ御了解を賜っておきたいと思います。     〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 木下元二

    ○木下委員 こういうふうにお尋ねしますのは、この前も問題になりましたが、国会報告もせずいきなり中間報告というようなものを新聞発表される。あれは五月三日でありましたか、そういうことがありました。いまも言われますように、こういう重要な問題でもありますので、何よりも私たち国会の方にもその調査の結果なりあるいは検討の経過なりについて、定期的でなくとも結構です、いま言われますように、一定のめどが出て中間結果の発表をした方がよいという段階で結構でありますから、ぜひともこれは発表し、報告くださるように要請をいたしておきます。よろしいですか。
  162. 藤井貞夫

    藤井説明員 了承いたしました。
  163. 木下元二

    ○木下委員 もう余り時間がなくなりましたが、総務長官に伺います。  この代償措置としての人勧そのものに問題がありますが、政府は最近になってようやく人勧を完全実施するようになってきました。この実施時期を半年おくらせることは、数年前の状態に逆戻りすることになるわけでありまして、これは私は容認できないことだと思います。あるいはまた、午前中にも指摘がありましたように、三公社五現業職員に対する公労委仲裁裁定を受け入れておきながら、協約締結権を奪われた非現業の公務員に対して、現業職員の賃上げ水準にも達しない人勧をさらに値切るというのは、不公平もはなはだしいと思うわけであります。これはもう人事院の代償機能をみずから否定することにもなると思います。あるいはまた、公務員給与を、臨時国会での値上げ法案を通すための取引材料に使うといったことも取りざたされておるわけでありますが、こうしたこともあってはならないと思うのであります。公務員労働者の多くは、人勧制度そのものに反対をし、労働基本権の回復を要求いたしております。しかし政府は、昭和二十三年の第一回人勧以来これを値切り続けてきました。人勧が完全実施され始めたのは、つい最近のことであります。ところがことしは、財政危機を理由に人勧を値切ろうという動きがあるわけでありますが、今後の労使関係を考える場合におきまして、絶対に私はこれは許すことができないと思うわけであります。団交権のない公務員の賃上げを延期すれば、労使関係に重大なひびが入ることにもなるわけであります。この点はよく慎重にお考えいただいて処理をしていただきたいと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  164. 植木光教

    ○植木国務大臣 人事院が現在の公務員制度のもとにおきまして公務員の労働基本権の代償機関であるということは、私は、かねがね申し上げているとおりでございます。したがいまして、人事院勧告政府が尊重をいたしますということが、公務員制度を適正に運営していくための基本的なたてまえであると考えているのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ早い機会にこの人事院勧告実施をせられますように誠意をもって対処しているところでございます。御理解をお願いいたします。
  165. 木下元二

    ○木下委員 午前中も大平大蔵大臣完全実施をしたいというふうに答弁をされたわけであります。そして時期としては九月いっぱいまで待ってほしいという趣旨答弁がございました。この人勧の取り扱いについての政府の最終的結論を出す時期については、これは総務長官としては遅くともいつごろまでというふうにお考えでありましょうか。
  166. 植木光教

    ○植木国務大臣 御承知のように、八月十三日に勧告が行われまして、第一回目の給与関係閣僚会議を開催いたしました。その席上、大蔵大臣、自治大臣から、けさほどもお話しがありましたような所要財源についての報告があり、また、私を初めとする二、三の閣僚からそれぞれ意見を申し述べたところでございます。第一回目には結論を得るに至らなかったのでございますけれども、私どもは、できるだけ早い機会ということを強く熱願をいたしているのでございまして、なるべく早い機会政府の方針を決定いたしまして改正案の作業に取りかかりたいというふうに考えております。
  167. 木下元二

    ○木下委員 改正案の作業ということですが、これは例年の例から見ましてどのくらいの時間がかかるのでしょうか。これは一般職給与法の場合、あるいは特別職の場合、防衛庁職員、裁判所職員とあるわけでありますが、そうしたものの法案の作成作業、これはどのくらいかかりますか。
  168. 植木光教

    ○植木国務大臣 従来の例によりますと、いまお話しのように一般職のほかに特別職の給与改正案を策定する作業が必要でございます。約一ヵ月間を要しております。
  169. 木下元二

    ○木下委員 先ほどの人事院のお答えによると、人事院の方からも法案の下書きのようなものを参考に出すということでもありましたし、まず第一に最終的な態度をお決めになるということが先決でありますが、そうした作業も相当期間かかるわけでもありますので、ひとつできるだけ早い時期に、昨年のこともありますので、これを進めていただくように強く要請したいと思うのでありますが、よろしゅうございますか。
  170. 植木光教

    ○植木国務大臣 事務当局を大いに督励いたしまして、できるだけ早く改正案が策定できますように努力をいたします。
  171. 木下元二

    ○木下委員 もう時間が来ましたので最後でありますが、政府は、財政危機、歳入欠陥、経済不況を口実に、賃金抑制、合理化強化など、公務員攻撃を一段とエスカレートしておる状況であります。五十年度予算の歳入不足が約三兆四千億円にも上ると言われております今日の財政危機は、自民党政府の対米追従と大企業本位の高度成長政策の歴史的破綻を示す深刻な不況と激しいインフレの直接の結果であります。地方自治体も含め、税、財政、金融を総動員して進められた高度成長と、その頂点としての列島改造の推進が石油危機とも重なって完全に破綻をし、これまでの高度成長、GNPの急増、そしてそれが税収増、大企業向け財政支出増という高度成長方式が崩れ去ったことは明白であります。しかも、三木内閣が行財政の見直しを盛んに口にしながら、実際には高度成長を支え促進してきた税、財政、金融の仕組みをなお温存しておることが財政危機を倍加させていると思います。たとえば四十九年度で二兆数千億円に上る大企業への特権的減免税は、その典型であります。これは国際的にも例のないものであります。また一兆三千億円を超える四次防推進予算を執行しつつある上、すでに六十日分以上の石油備蓄を抱えている石油業界に七百四十九億円の備蓄融資を決め、あるいは公害企業チッソへの二十三億円の開銀融資を決めるといった措置をとっていることなども、財政危機を深刻にする大きな要因になっていると思います。  ところが、三木内閣はこのような高度成長促進型の財政金融の仕組みを続けるだけでなく、今日の経済危機を大企業本位の立場から打開をするために、新幹線、本四架橋など大型公共投資促進のための、少なくとも一兆円を超える赤字国債の発行構想が進められております。すでに国債発行高はことしの四月現在で十兆七千六百九十一億円の巨額に達しており、これにより国債発行高がいままでにない、途方もない額に達するであろうことは火を見るよりも明らかです。それに財源難打開の名による酒、たばこの間接税の引き上げ、物品税の引き上げ、付加価値税の導入、郵便料金や国鉄運賃を初めとする一連の公共料金引き上げの策動、さらに歳出面では地方財政に対する統制の強化と人件費攻撃、財政硬直化打開の名による社会保障、食管特別会計への繰り入れあるいは国民生活にかかわる経費への攻撃等々、財政金融をこれまで以上に大企業奉仕に動員しようとしております。  三木内閣の財政危機打開の方向は、結局国民からの収奪のこの上ない強化と福祉のための財政支出の抑制、これに向けられておる。このことは、三木内閣の露骨な反国民的姿勢を改めて露呈していると思います。戦後最大の不況と激しい物価高のもとに起こった今日の財政危機の真の打開は、財政危機をもたらし、倍加させた大企業本位の高度成長政策と高蓄積型の財政金融の仕組みに対する根本的な反省なしには不可能です。これは高度成長を通じて異常にまでふくれ上がり、この不況の中でもうけを上げ、力を持っている大企業の当然の負担で、財政金融を国民生活防衛のために緊急に動員することであります。このことはまた、国民本位の不況対策の有効な手立てとなることは明らかであります。  秋の臨時国会に提出する補正予算案と新たに組みかえる経済見通し、さらには現在編成が進められている来年度予算等は、こうした方向で取りまとめるべきだと思います。みずから招いた財政危機と経済不況の責任にはほおかぶりをし、公務員労働者と国民に犠牲を押しつけるというやり方を絶対に許すわけにはいかないと思います。  政府の見解を承りたいと思います。
  172. 植木光教

    ○植木国務大臣 ただいまいろいろ御発言がございましたけれども、御所見と私どもの考えておりますのと異にする点がございます。しかしながら、人事院勧告問題に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、これをできるだけ早く実施するように、責任と誠意をもって対処してまいる決意でございますので、御了承をお願いいたします。
  173. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、私がいろいろ申しましたことに対するお答えが非常に不十分でありますが、この問題についてはまた機会を改めて申し上げたいと思います。  もう時間がありませんので、これで終わりたいと思います。
  174. 藤尾正行

    藤尾委員長 鬼木勝利君。
  175. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 まず、人事院総裁にちょっとお尋ねしたいのですが、大体本件に対する質問は、およそだれも考えているところは同じことで重複する点が多々あるかと思いますけれども、またそんなことを聞くかというようなことは言わないでお聞き願いたいと思う。  午前中に大出議員からも質問がなされておりましたが、私も非常に奇異に感じたのは、人事院総裁談話でございます。これも午前中あなたがるる説明をしておられたようだが、あなたの真意はわかります。大平さんたちが出し渋っているというようなことをあるいは予測されたのか、そういうところをお考えになってことさらにこういうことを発言されたのじゃないかと思いますが、それは当たっているか当たっていないかわからぬけれども、ことさらに人事院勧告労働基本権制約に対する代償措置だ、これはもう当然ですね。国民周知の事実で、いまさらこういうことを、しかも相手は議長や総理に対して勧告をされたのでしょうが、では総理でも両院議長でも、こういう人事院の成り立ちを知らないということで出されたのか、あるいは勧告を無視するような態度があるとあなたはお考えになったから出されたのか。こういうことをことさらに出されるということは、私どもとしては奇異に感ずる。それよりも総裁談話として、今日の国の財政状態が非常に逼迫しておることは承知しておるが、政府の財政上のそういう失政、あえて失政と申します。先ほど木下先生からもお話しがあったように、三兆に上る歳入欠陥、財政上の落ち込みということは、これは明らかに歴代自民党政府の失政ですよ。それを公務員にしわ寄せするなんということはとんでもないことです。だから、財政上はどうあろうとも、当然完全実施すべきだという総裁談話ならば、ああなかなか総裁としてはいいことを言った、こうわれわれは考えますけれども、先ほども総務長官からお話しがあっておったようだが、労働基本権の制約に対するところのこれは代償措置だというようなことを総裁談話として発表されるということは、私はこっけい千万だと思う。あなたの真意はわかりますけれども、ねらいどころはわかりますけれども、私は、これは総裁談話としては最もまずい談話だと思う。その点について総裁の御見解を承りたい。
  176. 藤井貞夫

    藤井説明員 総裁談話について御注意をいただいたのでありますが、御注意の趣旨については、私は私なりに了解をいたすところがございます。ただ、いまお話しがございましたが、私といたしましても、両院の議長さんやら内閣総理大臣がこのことを知らないからというような不遜なことは、もとより考えておるわけではございません。これは一般向けということでございますので、総裁談話という形に相なっておる次第でございます。この趣旨につきましては、午前中も申し上げたような次第でございますけれども、今年のいろいろな経済社会の状況というものはきわめて厳しいものがあるというふうに言われております。そして例年になく、われわれの方へも各方面からの御注意やらあるいは陳情やら投書やらというものがたくさん来ております。ただ、われわれといたしましては、人事院勧告というものの性質からいって、これは国の財政関係とかその他のことを配慮して行うか行わないかということを決めるべきものではない、少なくともそういう判断は人事院がやるべきことではない、人事院は既定方針にのっとって官民の給与調査比較をやり、そこに較差が出てまいりますならば、その較差の穴埋めをしていただきたい、これが本来的な人事院勧告趣旨であるという立場に立っておるわけでございます。ただ、いろいろ新聞紙上でも先生承知のような記事が流れております。われわれといたしましては、それに非常に戸惑ったりいろいろのことをやっておるわけではございません。本来の使命というものにのっとって仕事を進めるという立場に立っておるわけでございますが、情勢情勢でもございますので、特にこの際は人事院勧告趣旨というものを一般にも御理解をいただいて、その上で勧告完全実施ということをひとつ特段お願いを申し上げたいということを訴えたかったという気持ちがございます。そういうところから実は思い余った発言をしたというようなことに御了解を賜りたいと存じます。  なお、公労協関係三公五現につきましては、これらについての赤字の問題等も御承知のようにございます。ございますけれども、仲裁裁定というものはすでに実施をされておるわけでございます。御承知のように、林野庁その他につきましては、三公五現の関係職員一般職公務員給与法の適用を受けております職員とが同席しているというような、そういう職場もあるわけでございます。そういう点を考慮いただきまして、ぜひともひとつ人勧の内容につきましては完全実施をしていただきたいという熱意のほとばしりが、こういうような談話の形式になったのだという点で、ひとつ御了解を賜りたいと存じます。御注意になりました趣旨につきましては、十分肝に銘じさせていただきたいと思います。
  177. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは私が先ほどから申しておりますように、あなたのその真意はわかります。おっしゃるお気持ちは、私は、先ほどから言っているように、よく了解いたします。人事院の立場としては、あなたのおっしゃるように、国の財政云々ということをあなた方が検討されるところの必要はないわけだ。あなた方は人事院の立場として、あくまで完全実施をすべきだ、これを押すべきはずなんです。その点を押すことは私は了解しているんですよ。しかし、ことさらにこういう文句を入れるということに——去年、おととし、さきおととしと、いままではこういう発言はなかった。ようございますか。いまあなたのおっしゃったような、そういう似たような談話はあっております。それは私も承知しております。しかし、このようにはっきり、相手は議長や総理に勧告されるのに、そういうことを言われたということはいまだかつてなかった。だから私は、本年に限ってこういうことをやられるというのは、しかも完全実施ということはごく最近でございます。たしか四十七年からだったと思います。そうすると、もう三回も四回も続いておるのだから、最近といえども完全実施ということは定着しております。ですから、あくまで人事院の立場として押されることは、これはまことに結構で、私どもも了解します。しかし、ことさらにこういう言葉を、しかも相手は総理や議長にこんなことを言われるのは、何のためにこんなことをおっしゃるのか。国民にあまねく知ってもらうためとおっしゃったけれども、国民人事院の成り立ちというものは、しかも四十七年から完全実施していますから、みんな周知の上です。いまあなたの御答弁で大体私も了解いたしましたが、そういう点についてはよくお考え願いたい、かように思うわけでございます。  そこで今度は、総務長官にお尋ねしますが、総務長官は先ほど、なるべく早い時期にこれが決定を見るようにしたい、こういうふうにおっしゃっておりました。これもけさほど大出議員がちょっとお尋ねしておるようでしたが、あなたは閣僚会議の後の談話で、完全実施ということの御発言がなかった。お気持ちは、先ほどからずっと承っておるのに、そういうことをおっしゃっておるようですが、談話の場合に完全実施をするように努力をするということをおっしゃらなかったことは、ことさらにその発言を避けられたのか、何かあなたに底意があったのか、まずその点をあなたにお伺いしたい。
  178. 植木光教

    ○植木国務大臣 人事院勧告が実質的には四十五年以来完全実施されておることは、私どもにとりまして、公務員制度を適正に運営していくための基本的たてまえを守る上から非常に喜ばしいところでございます。したがいまして、私といたしましても、この基本的なたてまえを貫きたいという一心でこの給与改定に取り組んでいるところでございます。八月十三日にございました勧告を受けて後の給与関係閣僚会議におきましても、先ほど来お話しがございますような、人事院が労働基本権の代償機関であるという点、あるいは三公社五現業の公共企業体職員とのバランス上の問題等々の立場から、この勧告完全実施せられるように発言をしたのでございまして、したがいまして、私が談話を発表いたしました中に「完全実施」という言葉がないではないかという御指摘を受けているのでございますが、特別に底意があってそのような文言を使わなかったというのではございませんで、あくまでも基本的たてまえを貫きたい、またできるだけ早い機会にこれが実施せられるように誠意をもって対処いたしたい、そういう決意を込めて談話を発表いたしたのでございまして、給与担当閣僚といたしましては、最近のよき慣行を本年度も実現をいたしたいということで鋭意努力中でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  179. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、あなたは先ほどからおっしゃるように、給与担当大臣として完全実施をすべきだということを当然強くお考えになっておることはわれわれも了承します。  ところが、十三日勧告されて、それから閣僚会議をやられた。その場合に大平大蔵大臣が、これは慎重に対処すべきものだと。これは国家公務員給与改定を軽々に、いやしくも国事に関した、国の施策に関したことを軽々にやるはずはない。慎重にやるという意味が——じゃあいままでの閣議では何でも軽々に簡単にやったのか。公務員給与改定についてのみ慎重に取り扱うべきだと。それは総務長官として、大平大蔵大臣の発言をどのように御理解、解釈をなさっておるのか、その点をまず……。
  180. 植木光教

    ○植木国務大臣 給与関係閣僚会議の席上におきます大蔵大臣の発言は、この人事院勧告所要財源は幾らであるかという発言が主でございました。ただ、国、地方を通じて財政的にいろいろな問題があるので、納税者たる国民の納得を得るよう、財源を初め諸般の事情を考慮しつつ、今後関係省庁とも慎重に協議検討いたしたい、こういう要旨の御発言でございました。したがいまして、大蔵大臣とされましては、財源が非常に窮迫をしている状況の中で、また国全体が不況の中でいろいろ苦悩をしておられる国民実態というものを考えて、その納得を得るようにいたしたいという意味での御発言と理解をしたのでございまして、したがって、それぞれ各省庁とも問題点を持っておりますので、その問題点の整理及び協議をお互いにやろうではないかという意味の発言であったと理解をした次第でございます。
  181. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そういうことを踏まえて長官は、これは完全実施を当然やるべきだというような発言を控えられたんじゃないですか。あなたの真意はどういうところですか。
  182. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど来お話しが出ております総務長官談話といいますのは、勧告を受けまして直ちに出した談話でございます。したがいまして、給与関係閣僚会議はその後で数時間たってからあったわけでございまして、その数時間後の関係閣僚会議におきましては、先ほど来申し上げておりますように、私から完全実施方の要請をしたのでございます。
  183. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから先ほど私は人事院総裁にもお話しした。そういうことを諸君は予測しておったんじゃないか、予測の上に立った発言ではないかということを人事院総裁にもお尋ねした。それは賢明なる総務長官でしょう、そういうお考えがあったのじゃないか。だから、そういう底意があったのじゃないかということを、御無礼だけれども長官にお尋ねをした。いかがですか。非常に用心をとられたんじゃないですか。
  184. 植木光教

    ○植木国務大臣 四十九年の総務長官談話には「完全実施」という文言がございます。これは「勧告完全実施に努めてきたところでありますが、今回の勧告」云々と、こうなっているわけです。これはもう先生承知のとおりでございます。私の談話の、適正に公務員制度を運営していくための基本的たてまえであるとの考え方で勧告の尊重をやってきたということを申し上げたのは、同じことを言っているのでございまして、完全実施というのは、勧告を受けました直後の総務長官談話でございますので、これから検討を開始しようとするときの談話といたしましてはまだふさわしくないという考え方で、この文言を用いることがなかったのでございます。しかしながら「できるだけ早い機会給与改定実施されるよう誠意をもって対処」するという中に、完全実施決意を込めて談話の発表をしたということで御理解をいただきたいのでございまして、特別の底意があったというわけではございません。
  185. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、特別の底意はなかったとおっしゃるが、私は、給与担当大臣としてあなたは率先して、絶対完全実施をすべきだという大きな旗を振るべきだと思う。私は、それが担当大臣として当然の責務だと思う。  それから、先ほどからの閣僚会議ですが、これは大平さんに私は話すべきだと思うが、いまあなたのお話しもあったから申し上げますけれども、勧告の取り扱いについては、納税者の理解を得るよう慎重に検討すべきだということを大平さんは言っている。いやしくも国家予算を納税者の理解を得ないで勝手にやったことがいまだかつてありますか。予算委員会においても、あるいは各委員会においても、国会で十分に検討検討を加え、慎重に取り扱った結果、国の予算というものはできておる。ことごとく納税者の理解を得ておるものとわれわれは考えておる。ことさらに公務員のベースアップに限って納税者の理解を得るよう慎重に考慮する、だったら、他の国の予算は納税者の理解を得ないで勝手にやった、このように解釈していいか。こういうことを言われたのに、あなたもそこに列席されて、給与担当大臣としてなぜ反発しない。あなたを激励しているんですよ。あなた、そのとき黙ってさようでございますと言ったんですか。そんな総務長官ならもう要りませんよ。貴職の御見解を承りたい。
  186. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、大蔵大臣及び自治大臣から所要財源についての御発言がございました。大蔵大臣からはいまのような御発言がありました。その次に自治大臣から地方公務員についての財源問題が出ました。そこで、その次に私が発言をいたしまして、先ほど来申し上げておりますように完全実施方を強く申し述べたという状況でございます。したがいまして、おっしゃいますよりに慎重審議検討しようということで、それに対しまして私が何ら発言をしなかったということはございません。反発という意味ではなしに、むしろ当然あるべき姿ではないかということで完全実施を主張したのでございます。
  187. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま私の言葉で反発というのはちょっとおかしいのですが、あなたと同じ閣僚で——なるほどあなたが発言をされておるのもここに載っておるようでございます。労働大臣も「財政上の制約はあるが、公務員制度の適正な運用を図るためにも勧告実施配慮すべきである。」このように発言いたしておるようでございます。自治大臣も地方の財政の問題、ここに書いております。しかし結局は、これはただみんなの意見が出ただけで、結論は持ち越しておる。  それで、先ほどから何回も御発言があっておるように、なるべく早いうちにこれを決定したいとおっしゃっておりますが、なるべく早いということが、これは非常に微妙な言葉で、十日間ぐらいが早いのか、一月ぐらいが早いのか、二月ぐらいが早いのか、年末までにはまだ三月も四月もあるが、年末までにやれば早いうちにできたことになるのか、大体の見込み、目安はほぼどの程度にまとめたいというようにあなたはお考えになっておるのですか。なるべく早いという言葉は、その解釈はどういうところを基準にするのか、非常にあいまいであってちょっと理解に苦しみますが、あなたのお考えでは早いかもしれぬが、われわれが考えるのには遅過ぎるというようなことで、食い違いも出てくると私は思うのですが、あなたの目安といいますか見込み。大体政治家というものは、先見えのせぬような者は失格ですよ。大体いつごろだとか、少なくともこういうふうに答弁さるべきだと私は思うんですよ。なるべく早くじゃ全然わからないのです。私のお尋ねすることは余りに厳しいかもしれませんが、なるべく早くということはどういうふうに解釈すべきですか。その点ひとつ長官に……。
  188. 植木光教

    ○植木国務大臣 先般の給与関係閣僚会議におきましても結論は出ませんでしたが、誠意をもって対処をしようということは各閣僚とも申し合わせをしたのでございます。その結論に従いまして目下各省で問題を急ぎ詰めているところでございますが、要は財源の問題でございまして、この点につきましては、先ほど大蔵大臣出席をせられまして、完全実施のために大蔵大臣としても努力をしたいという意味での御発言がありました。私どもといたしましては、いつと言われますと非常に答弁に困るのでございますけれども、臨時国会におきまして早い機会給与改定法案が成立をいたしますのを目途といたしまして、給与関係閣僚会議、それによる方針の決定、法案の策定作業、そして提案、こういう運びをいたしたいと考えているのであります。「できるだけ争い機会」というのは、文字どおりできるだけ早い機会という考え方で努力中でございますので、御理解をいただきたいのでございます。
  189. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 臨時国会においてなるべく早くこれを審議して実施決定をいたしたい、そういう前提があってなるべく早くということならば大体わかるようでございます。それを早く言ってもらえば、こういうことをいままでやあやあ言わなくても済んだ。  次にお尋ねしたいのは、これも人事院総裁にお尋ねしたいのですが、あなたの談話の中の「当然のことながら能率増進行政サービスの向上のため更に一段の努力を傾注するとともに、組織活力昂揚のための施策を一層強力に展開する」これも午前中大出さんが聞いておるようでしたが、「施策を一層強力に展開する」というのは一体どういうことですか。この点をちょっと説明してください。
  190. 藤井貞夫

    藤井説明員 公務の性質上、その指導の向上を図っていく、あるいは行政サービスの向上に心がけていくということは当然のことでございます。従来ともそういう面の努力政府部内においても行ってきておるところであり、また公務員各位にも自覚を求めてやってきておるところでありますことは御承知のとおりでございます。また、この人事院勧告というものは、公務員給与改善につながるものでございますので、これは間然に国民の負担によって賄われるという点がございますので、従来から勧告を出します際には、あわせてこれに類することを発言して今月まで参っておるのであります。  ところで、これに対処をいたします場合においては、公務員自体の自覚を促していくという面と、それから公務員の部内においてそれぞれやっていかなければならぬということがあると存ずるのであります。いまお尋ねになりましたものは、その中で公務部内でもってやっていかなければならないことを一瞬強く自党して取り組んでいかなければならぬということを指摘いたしたのでございますが、ここにおける「組織活力昂揚のための施策」というのは、具体的に申し上げますれば、昇給、昇格等の人事管理の適正化、それから研修の強化。これはいろいろ国会でも御鞭撻を受けまして、だんだん公務員の研修というものは拡充強化をしてまいっております。各省でも独自でやっておりまするし、人事院にございまする公務員研修所の研修範囲というものは毎年拡大をして、その範囲を広げてきております。この点はさらに一層の努力をして研修の徹底を図らなければならぬということがございます。  それから、次の問題といたしましては、公務員の年齢構成あるいは将来の展望ということを考えまする場合におきましては、公務員の退職の管理方法というものを有効適切に持っていく必要がある。これは定年制を含めての問題でございますけれども、まだ定年制自体を公務員についていつからやるというようなところにまではわれわれの準備の方もまいっておりません。したがいまして、今度の場合にも、それに具体的に触れることは差し控えておりますけれども、しかし、それをも含めた新陳代謝の有効な方策というものを、長期的な視野でさらにやはりやっていかなければならぬ。これは人事院自体でやっていけること、またやっていかなければならぬこともございますが、他の省庁、すなわち人事局なり行政管理庁等、本来の職務権限の中でやっていっていただく必要のあるものもあるわけでございますが、それをも含めまして組織活力昂揚のための施策の一周の展開ということを指摘をいたしたような次第でございます。
  191. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 施策の強力な展開ということは、その内容はいま具体的に御説明がありましたから大体わかりましたが、そういう点については来年度の勧告にでも、中間報告とかあるいは決定的な報告、意見の答申があるわけですか。そのようにもうすでに皆さん方の方ではお考えになっておりますか、検討を進めておられますか。
  192. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま申し上げましたように、問題意識といたしましてはいろいろなものを持っておりまして、各方面の検討を続けておるような次第でございます。しかしながら、具体的にこの点についてはこういうふうにやっていくということは、予算措置その他で出てくるものもございます。また、そういうことでなくて、なお長期的な展望のもとに検討を続けてまいらなければならぬというものもございまして、ただいまのところ、いまの時点で来年の勧告にどういうものを取り上げるか、あるいは取り上げるものが決まっておるかということになりますと、いまのところはそこまで具体的にはいっておらないというのが正直なところでございます。
  193. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 では大体わかりましたが、来年はまだ中間報告も、あるいはまとまったことも出す段階には至っておらぬと、こうおっしゃっておるようですが、これは、こういうことをうたっている以上はなるべく早く、これこそ早急にまとめてもらいたいと思う。それで十分審議いたしますから。  次に、人事院は今回の勧告の基礎となった職種別民間給与実態調査ですね、そういうことをされておりますが、その中でも特に今回は民間におけるいわゆる残業規制、それから賃金カットの実施状況調査されておるようでございます。手元に参考資料をいただいておる。ところが、この参考資料の中には、実施事業所の割合やあるいは賃金カットの対象となる役職の段階別事業所の割合はここに載っておるが、肝心な幾ら賃金をカットしたのか、それが載っていない。だから、せっかくここに参考資料をいただいておりますけれども、これではどうも私は理解しがたい、わからない。この参考資料としていただいておりますところの三十九ページに「賃金カットの対象となる役職段階別事業所の割合」ということが書いてある。載っておる。ところが部長課長課長代理、こう載っておりますが、割合だけであって——「その1 実施事業所の割合」をごらんいただけば書いてあります。これはおたくからいただいたものです。全産業の賃金カットは一二・六%、わずかに一二・六%賃金カットがしてある。それから製造業で二〇・二%。しかも、これは平均して二〇%のカットでございますが、六カ月の期限つきなんです。賃金を幾らカットしたということは全然ない。ようございますか——ようございますかって、これはあなたの方から出ておるのだから、あなたの方が私の方にようございますかと言わなければならぬ。何でも物事は逆になるからどうも話がしにくいのだな。いいですか。はっきりしてくださいよ。賃金のカットであって人員の何%、つまり二〇%なんです。そして賃金は幾らカットというのは載っていないのだ。ぼかしてある。ぼかしてあるのか調査しなかったのか、故意にこれは外したのか。ようございますね。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕  そしていいですか、総務長官民間事業所においては部課長の人員の二〇%が賃金カットされた。何ぼ賃金カットしたとはないんですよ、これに。しかも、これは暫定措置だというので六カ月の期限がついている。また経済情勢でもよくなれば、これはもとに戻しますよという意味だと私は解釈する、六カ月の期限つきだから。ようございますね。ところが国家公務員の部課長は一律に一〇%ぱっとカットしてある。しかも期限つきじゃない。これは、いつまたもとに戻るかわからない。一〇%カットしている。そこで私は、何も高級官吏の部課長を擁護するんじゃない。上薄下厚だ。上を薄くしてなるべく下を厚くするというのが私の考えでございますけれども、はっきりした根拠のない、算定基準のない上に立ってすぱっと一〇%カットしてある。だから、どういう根拠で公務員の部課長管理職手当を一〇%もカットしたのか。もし、民間の部課長管理職手当を二〇%も三〇%もカットしたならば、こちらの公務員の一〇%カット、それは少ないじゃないか、民間との較差が余りにもはなはだしいのじゃないかと、私はこれにはまた意見がある。今度は逆に、民間の方はわずかに五%か六%しかカットしていない、こっちは一〇%もカットした、それはこっちがかわいそうじゃないかという論議が出てくるわけなんです。ところが、それを比較すべき、民間の部課長管理職手当をカットした賃金の実態がこれには出ていない。だから、公務員の部課長を一〇%カットしたのはどこから出てきたのか、根拠はどこにあるのか。これじゃ納得できませんよ。はっきりしたあれがない。いま言いますように、カットが多過ぎれば余りひどいじゃないか、少な過ぎればもっとカットすべきじゃないか、これは、いろいろな算定基準の根拠によってまた大いに論議すべき点が生まれてくると私は思う。これじゃ論議のしようがない。人事院総裁はえらい私をにらみつけていますけれども、にらみつけぬで、ひとつその点をはっきりしてください。だれでもいいから。
  194. 茨木広

    ○茨木説明員 この資料にお挙げいたしましたものは、今回の「報告」の中に一応民間の現状とこちらの基本的考え方に触れまして、あと説明文のところで具体的に出したわけでございますが、それの足場になりましたものだけを載せたわけでございます。  ここに、いま御指摘もございましたように、事業所数とその賃金カットの対象となりました役職段階別の事業所の割合を載せてございます。これを私の方で使いましたのは、こういうわけでございます。  御意見のように、これについては民間全部がやっておるという姿ではございませんので、内部でも大変議論をいたして御検討をいただいた結果でございます。そこで、これから解釈されますところは、全事業所の一二%のところにおいてカットをいたしておりますから、全事業所にはそれぞれ役職がいらっしゃいますが、それの大体一二%程度の方がとにかくカットを受けている。そのカットの状況は、下の方で、部長課長の段階は九九%とか八五%でございますから、やっておる事業所においてはほとんど全員やられておる、しかし、課長代理のところになりますと四二%でございますから、がたんと落ちてまいります。そういう姿が出てまいりましたので、課長部長の段階で約一割二分の事業所において賃金カットが行われておりますので、これに対応するものをこちらの方に持ってまいるということになりますと、特別調整額をもらっておられる方は一種、二種から五種まで段階がございまして、そこの人員の一種、二種を拾いますと一六%ばかりになって、これに大変近い数値の人員にまとまってまいります。それで、一種、二種をもらっていらっしゃる方は、本省でございますとちょうど部長課長に相当しますもの、それから出先機関はそれに相当します機関長あるいは部長課長等、出先の局長、そういう方がこれに対応するものでございます。そういうようなところで、一つは、全事業所の役職の人数の一五%程度のものを、そういうっかみ方でこれを使わせていただくということでここに資料を出したわけでございます。  それから率の点でございますが、これは直接民間の方からというわけにも実はまいらなかったわけでございますが、調査いたしてみますと、業で、部長の方で一七・五%という数字が出てまいりました。それから課長のところで二〇・一%という数字が出てまいりました。先ほど挙げました一二・七%の事業所についての集計の結果そういうものが出てまいったわけでございます。率もそれぞれ、部長課長とで異なりますし、それをそのまま反映させて持ってくるというわけにもまいらなかったわけでございます。  期間の点については、いまの御質問の中にもすでに御紹介がございましたように、昨年の暮れごろから始まってまいりまして、今年の三月までの段階で見ますと、一月のものあり、二月のものあり、三月のものあり、四月のものあり、五月のものあり、六カ月のものありということで、大変まちまちな結果になってまいりました。それから今後の予定を聞いてみますと、これまたやはりいろいろ月数が散在いたしますが、一番大きなところ、不明というところで六五%。不明ということは、恐らくこれからしばらくの間続けていくということだろうと思います。  そんなことで、期間の点も、何カ月というふうにすぽっと持ってくるわけにもいかない、そういう結果になりましたので、直接私どもが足場を置いた資料としてここに御紹介申し上げるというようなものにならなかったものでございますから、この参考資料の中には入れなかったわけでございます。ただ、そういうものを横にらみしながら、いまの率・期間等も勘案して、それからもう一つは、今度の賃金そのもののカット、本俸等のカットでございますと、それは一〇・八五の中にすでに反映されておるわけでございますが、特別調整額の方は比較外でございますので、その関係の反映がございません。それで、こちらについてもやはり対応したような何らかの措置をとる必要があるということを「報告」の中で述べておるわけでございますけれども、そういう観点で考えました結果、今回、ベースアップ率も、平均一〇・八でございますが、一等級、二等級は九%台の改善でございます。そこで、これの特別調整額へのはね返りの分が当然あるわけでございますが、その程度のものをちょうだいする、そのかわり期間を一年間というふうにして、一〇%ということは、むしろそちらの方との関連も考えながら出てまいったということで、民間の方のことも横にらみしたわけでございますけれども、両者勘案しまして堺が考えられてまいったというような経緯もございまして、ずばり民間の率そのものに足場を置いただけでもございませんでしたものですから載せなかったわけでございます。  そういう経緯でございます。
  195. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまあなたは、民間部長で一七・五%、課長級で二〇%賃金カットをしていると言われたが、それが一番大事な問題であって、われわれは事業所の人員の割合なんかをどうだこうだ言っているのじゃないのだ。割合も有力な参考資料ですけれども、賃金カットの資料が一番大事な資料じゃないですか。民間においては部課長はこれだけ賃金をカットしているから、こちらもこうしたというならわがるけれども、その一番大事なポイントである賃金カットの資料をどういうわけでこの表に出さなかったのですか。それは伏せるために故意に出さなかったのですか。われわれにそういうことを知らせちゃ困るというので出さなかったのですか。いまあなたは説明して、調べていると言いながら——それはどういう意味ですか。国会でわれわれに審議をしてもらいたい、速やかに御賛同願いたいなんて言っておいて、大事なところのポイントを外して隠しておる。大体人事院はそんなことをやるんですか。総裁、あなたひとつはっきり説明してください。
  196. 藤井貞夫

    藤井説明員 都合の悪い資料は特に出さなかった、あるいは隠したというような意図は毛頭ございません。実は、この特別調整額のカットにつきましては、いま御指摘の裏にもあると思いますが、いままでの人事院勧告の基礎というものは、いろいろな施策を講じまする場合に、その民間における普及度その他制度の内容等につきましても、相当普及度が高まってきておる際にこれを導入するというようなやり方をいたしておるのが通例でございます。ただ、今度の場合は、民間におけるいろいろな状況が伝えられておることでもございますので、われわれといたしましても、民間給与決定の背景になりまする各種の条件というものは一応調べてみたいということで、例年にないことでございましたが、本年の場合は時間外の勤労の制限の問題でありますとか、あるいは一時帰休の問題あるいはいま問題になっておりまする賃金カットの問題、そういう状況でどういうふうになっておるのであろうかということを調べてみたわけでございます。  そういたしますと、いま資料にもございましたように、普及率自体はそれほどでは実はございません。われわれ思っておったほどのものでもないわけでございますけれども、しかし製造業を中心といたしまするたとえば大規模、五百人というような層に焦点を当てますと、かなり賃金カットの率は高くなっておるということがございます。それと、いま給与局長も御説明申し上げましたように、一般の不況の状況あるいはその他の景況の反映というものは民間給与自体にもあらわれておるわけでございます。したがいまして、それが今度の場合一〇・八五ということに出てまいったわけでございます。ただ、管理職手当に当たりまする特別調整額というものにつきましては、これは官民比較の対象外になっておる給与の種類でございます。そういたしますと、それの対応するものとしての民間における賃金カットを伴う景況というものは、これは調べた結果かなりあるにもかかわらず、これを見過ごしてしまうということがいかがかと考えられたのであります。それと、上げ幅自体がことしの場合にわりと低目であるということがございますので、どうしても上薄というような形にならざるを得ない。といたしますと、やはり部課長さんあるいはそれ以上の指定職関係の方々というものには、この際はひとつごしんぼうを願わなければいけないのではないかということに落ちついてまいった次第でございます。  その率あるいは期間等につきましても、民間の場合におきましては、大体期間的には従来は六カ月というようなものが多かった。今後のものについては、まだはっきり内容がわかりませんけれども、ある程度続いていくということも想像せられます。しかし、いまの民間における部課長のカット額というものをごくおしなべて大観をいたしますと、二〇%で六カ月というものが従来の実績では多いということもございました。公務員の場合は、これは半年でどうするというようなことは、事柄上なかなかむずかしい問題でございます。そこで率において配慮しまして、一〇%カットの当面は一年ということでひとつ実施をいたしてもらいたいということに決定をいたしたような次第でございます。なお、これの今後一年たちました後の取り扱い等につきましては、民間におけるその後の状況等を勘案をしながら判断をいたしてまいりたい。われわれといたしましては、無論できるだけ速やかにその措置が撤廃になるということを期待いたしておるということでございます。
  197. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなたの説明、よくわかりますよ。部課長の一〇%カットはまず一年ということだ、一年たったらまた経済情勢あるいは財政情勢がどうなるか、それによって考える、民間は六カ月と、こういうことですね。それはそれで理解します。ところが、いまあなたが説明をされる資料として、私が先ほど言ったように、なぜそれを出さないか。これじゃわれわれが研究する資料にならない。だから、こんなむだな時間を長く使わなければならない。  総務長官、これは善及の率が書いてあるんですよね。部課長の賃金カットをした事業所は一〇〇ある中で一二・六%だ。わずかに一割そこらですよ。あとはカットはやってない。ところが、五百人以上の事業所は二六%やっている。それからまた、製造業なんかではやはり二〇%だが、五百人以下の小さいところになるというと四〇%やっている。普及率だけ出ているんですよ。いま御説明になって、わかっているんですよ。それを出してもらえば、それによってわれわれは、なるほどこれでこうだ、ああそうかなと、その検討をする基礎資料というものがはっきりするわけなんですよ。  それを出してくれないんだもの。ここで聞けば説明してくれる。あるいは故意に出さなかった、そういうことは私は考えません。そんな悪意にはとりませんけれども、少なくともわれわれにこうして提供して、資料としてひとつよくごらんいただきたいといって出してもらったにしてはずさんだ。だから、各事業所の賃金カットの率なんかを、この次の機会までに資料を出してください。よろしゅうございますか。出すか、出さぬか、はっきり返事をしてください。
  198. 藤井貞夫

    藤井説明員 御了解いただけなかったかと思いますけれども、ここにカットの率を出しませんでしたのは、給与局長が御説明申し上げました理由もあったわけでございます。ただ、こちらとしては調べた結果がございます。したがって、いま御発言の趣旨はよくわかりましたので、内容検討いたしまして、次の機会には何らかの形で整理をいたしまして、御審議の参考にいたすように努力をいたしたいと思います。
  199. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、いま総裁が、これは一年間で模様を見るということでしたから、私も了承しますが、いずれにしても現在支給されている俸給といいますか、一切を含んでもいいが、その収入を減らされるということは、だれだっていま月給を取っていて、それを一割減とか二割減とか減らされるということは、余り気持ちのいいことじゃないですよね、実際の話。これは、だれだってそうだと思うんですよ。仮に部課長の一種、二種と私の調べた範囲では、一〇%削減されると一極で六千円以上違うんだよ。それから二種で四千五百円くらい削減されますね。一種で六千百円といいますと、年間七万円から八万円くらい減収ということになる。口では七万とか六万とい言いますけれども、なかなかこれは大変ですよ。簡単にいきません。それだけの削減をするのですから、やはり部課長諸君が、なるほど財政難の折から事業所あたりも生産減とか一時帰休とか昇給一時ストップだとか昇給をダウンするとか、今日財界も一般社会も非常な不況だから、この程度ならわれわれもやむを得ぬだろうと皆納得をするような、なるほど人事院の脅えた基礎資料からするならばやむを得ぬ、一年間くらいはがまんをすべきだというような、やはり皆さんが納得をされるような——大平大蔵大臣国民の、納税者の納得を得なければ、ふざけたことを言うな、あたりまえだ。一般国民の、一億国民の納税者の納得のいくようにわれわれ国家予算は審議しているんだ。ところが、公務員は納得せぬでも構わぬ、ばっさりやれというようなやり方はいけない、私はこう言うんですよ。  皆さんが、なるほど万やむを得ぬだろう、忍びがたきを忍ばなければやむを得ぬだろうというように、納得をされるような方法をもって人事院はやるべきだと私は思う。全然基礎資料もない、全然算定基準もない、どうやらこうやらわからないようなことでカットされたのでは、カットされた方の人は私は承知ができないと思う。それを申し上げておる。カットすることの是非をまだいま私は言っているのじゃない。すべて納得をされなければいけない。どうですか総務長官、そういうあなたの御見解は。
  200. 植木光教

    ○植木国務大臣 今回の人事院報告並びに説明の中に、管理職の一〇%カットについての御意見が明記されているわけでございますが、私もいま質疑を伺っておりまして、鬼木委員と同感でございまして、理解と協力がなければならないと存ずるものでございます。この点につきましては、人事院も十分配慮しておられるところと思うのでございまして、私どもといたしましても、相携えまして理解と協力が得られますように努力をいたしたいと思っております。
  201. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 次に、週休二日制についてお尋ねをしたいのですが、なるほどおたくから出ているあれには週休二日制のこともよく書いてあります。よく書いてありますが、これは本格的に実施あるいは試行はいつからおやりになるのか。時期が五十一年度というようなことも書いてあるようですが、その点についてお尋ねをしたいのです。試行計画策定を急いでおるというようなことが響いてありますが、いつごろその試行計画はまとまるのか。これもなるべく早いというようなことに御説明になるかもしれぬが、その点について人事院総裁の御答弁お願いしたいと思う。
  202. 藤井貞夫

    藤井説明員 御承知のように、公務員週休二日制につきましては、去年、おととしの勧告時における報告で触れたところでございます。これを受けまして、先般来からの当内閣委員会等におきましても質疑応答を通じまして、来年の初めから、ひとつ目途としてテストの実施に踏み切りたいということを申し上げております。その点を今度の報告では明確化いたしたということに理解をいたしておるのでございます。  そこで、テストに踏み切るということになりますと、しかも、それが来年の初めを目途にしてということに相なりますと、時間的な制約からおのずから計画が、大体スケジュールが組まれるわけでございます。現在、職員局を中心にいたしまして、いまお尋ねの試行計画実施基準については鋭意検討を進めておるわけでございます。私も、今度の勧告が終わりましたならば、早速それの報告も聞きながら実施基準の作成ということに本格的に取り組みたいというふうに考えておる次第でございます。  そこで実施基準は、そういうテストの実施具体化ということとのにらみ合わせから申しますと、当然に各省庁の試行計画というものが年内にはまとまらなければいきません。そういうことで、おのずから試行基準の作成なりこれを各省に提示をする、提示をいたしました結果、各省それぞれにいろいろ問題点を整理して試行計画を作成する、それを持ち寄ってもらって問題点々整理調整しながら、どういうふうにやっていくかということを最終的に決めて、来年初めを目途にひとつテストに踏み切るということに相なるわけでございまして、試行基準の作成を今後ひとつ急ぎたい、かように考えておる次第でございます。
  203. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 おたくの方からちょうだいいたしました資料によりますと、普及率が本年の四月で六七・四%、それから月に一回あるいは月に二回とかあるいは隔週とか月三回あるいは完全と、全部こう出ております。総合いたしまして六七%、これだけの週休二日制が民間企業においても普及いたしておる。そうしますると、これはもはや時代の流れとわれわれは考えなければならぬと思う。時代の流れに逆行するということはできないと思う。あなた方のお考えが、さっきの賃金カットは、事業所を調べたところがわずかに一二%だとかあるいは二〇%の普及率でぱっとやられた、これは六七%もあるのにまだ答えが出ない。これこそあなた方はどういうお考えでこれは作業されておるのか。大平さんじゃないけれども、慎重に慎重にということでやっておるんですかな。人事院にもやはり大平さんの二代目がおるのかな。
  204. 藤井貞夫

    藤井説明員 私の方は大平さんとは関係が特にないわけですが、御指摘になりましたように、本年の給与調査でもって調べました結果、六七四%ということでございまして、昨年がたしか五八・八%でございましたから、いわば順調な伸びを示してきておるということは言えると思います。そういう意味では、公務員部内に週休二日制を何らかの形で導入するということは、やはりいまお話しになりましたような時の流れという表現をしても差し支えのない段階であろうかと思っております。  ただ、先生もよく御承知のように、公務というのは国民生活と密接いたしたものでございますので、公務サービスの低下というものが出てきたり、国民生活に悪い影響を顕著に与えるというようなことになりましては大変でございますので、したがって、そういう意味からいって万全の上にも万全にやっていかなきゃならぬ。そのためには、やはりテストを実施してみて、そしてその結果を判断するということが一番いい方法ではないかという考え方に実は立っておりますものですから、去年あたりも試行計画策定というような言葉を使ったわけであります。それを受けまして、ことしの報告の場合においては、来年の初めからひとつテストの実施に踏み切りたいという、一歩前進をしようという立場に立っておりますものですから——ただ、公務員の場合には、いまの公務能率の問題と、それから各種各様の職場がございます。非常にむずかしい職場もございます。そういう点で、どういうふうに週休二日制を導入していくかということにつきましては、ただ単に机上でもってとつおいつということよりもテストに踏み切って、その結果を待って調整すべきことは調整をしていくということをやる必要があろうかということで、一歩前進を図る意味でもって今度の「報告」ということに相なったのであります。しかし基本的に申して、私たちもやはり時の流れというものはしみじみと感じておるのであります。
  205. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 試行計画なんてなかなかいい言葉を使っておるのですが、試行計画はもう昨年から立てておられる。しかし計画、計画で計画倒れしてはいかぬから、ですから、おたくの方で調査されておるように——それはおっしゃるとおりですよ。なかなか一律に、そう簡単に短兵急にはできないと私は思う。それはあなたの方から出ておる資料にもあるのです。一律にできない証拠には、月に一回でなきゃだめというところもあるし、月二回のところもある、あるいは隔週のところもある。それから公務員は、官公庁は直接国民関係があると言うが、民間事業だって直接国民関係がありますよ。あるいは食糧会社なんていうのは、一日でもとまったら国民は飢えますよ。それはどれだって関係はあります。国民ことごとく関係がある。事業所というのは国民関係のある仕手をやっているんだ。国民関係のない事業所というものはどういう事業所がありますか。そんなところがあるわけがないでしょう。ですから、そういう計画、計画じゃただ机上の空論であって、まず試行の実施をやってもらいたいと思うんですよね。  だから、どうぞひとつ最後のあなたの御答弁のように、いたずらに右顧左べんすることなく、逡巡することなく、これは速やかに実施に踏み切っていただきたいと私は思う。実施といってもそれは試行なんだから、うまい言葉を使っているんだからね。言葉がうまいばかりじゃつまらぬ、実際がうまくなければ。よろしゅうございますか。
  206. 藤井貞夫

    藤井説明員 わかりました。
  207. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなた、なかなかはっきりしているな。じゃもうそれで答弁終わりじゃ。  もう私の約束の時間が来よるから、言いたいことはいろいろあるのですが、次に定年制の問題についてお尋ねします。  今回の勧告には、定年制の問題は全然載っていない。聞くところによりますと、これは何か人事院の方では研究をされておる。無論研究は当然でしょうが、そこで、この定年制の問題について今回何も言われなかったということについて、私はちょっと奇異な感じがするんですよね。どういうわけでこの定年制の問題は出されなかったのか。人事院の方にはこの定年制審議委員会といいますか、何かそういうものができているというんだが、名前はどういう名前だったか知らぬが、だれがこんなことを研究しているんですか。これは何をやっているのか。今日、非常に問題になっておるのは定年制の問題ですね。だから、大事なこの定年制については、まとまった勧告でなくても、中間報告かあるいは意見でもこれは当然出すべきだと私は思う。これは公務員法の第三条にも載っておる。第二十三条にも載っておる。ところで、その中間報告も何も全然出ていない。一体何をやっているのか。人事院内においてその定年制の研究をしておる責任者はだれですか。
  208. 小野武朗

    小野説明員 お答えいたします。  いわゆるこの定年制の問題は、一定年齢で一律に退職をしてもらうという制度でございまして、これは公務員制度上の非常に重大な変革ということで、私ども任用局が任用行政の一部として従来も研究してまいりましたし、現在も研究をいたしております。その研究の勉強会といたしまして、先生御指摘の任用制度調査研究会というのを設けておりまして、これは各省のOBの方、それから各省の人事担当官のお方々十二、三名で、任用制度に関する見識をお持ちの方々にお集まりいただきまして、そして若年層の確保対策から昇進管理のあり方、最後退職管理のしかるべき方法等につきましての勉強会を設けて、種々研究を進めているということでございます。  それで、一般的に申し上げますと、新陳代謝が円滑にいきませんで、高齢職員がたまって高齢化をしてくることによって昇進の渋滞を生ずるというふうなことになりますと、職員の士気の低下あるいは活力の低下というふうなことで、ひいては行政の能率の阻害を生ずるというふうなことになりますと、これは大事でございます。しかしながら、現在の一般職国家公務員の在職の状況を見ますと、たとえば行政(一)俸給表、つまり行政事務、技術を担当する者に適用される俸給表でございますが、この行(一)の適用者について約二十五万の中で、たとえば六十歳以上の高齢者がどの程度いるかというと、約四千人でございまして、全体の一・数%というような状況でございます。これは各任命権者が退職管理につきまして非常な工夫と努力をしていらっしゃるということ、それからまた、職員側もそれにこたえて、理解をもってこれにこたえているというようなことから、現存のような状況になっている。これは、ここ数年そういうようなことで高齢者がどんどんふえているという状況にあるわけではございません。  それから、公務員の年齢別職員構成を見ますと、いわゆる標準的な。ピラミッドの形にはなっていないのでございまして、戦後の行政需要が増大いたしましたときに、非常に数多くの職員を採用しております。それらの職員が現在四十六、七歳のところに非常に大きな構成の層を持っておりまして、いわば中ぶくれの人員構成に相なっております。  こういうような構成の中で、にわかにいわゆる定年制というようなものを施行することは、むしろ高齢化を促進すると申しますか、そういう憂えもございますので、現状においては、直ちに近々のうちに定年制をしくというような必要はないというように判断をいたしている、以上のような状況でございます。
  209. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはあなた方の方で、先ほどお話しがあったように任用制度調査研究会ですか、そういうところで定年制に対してお考えになっておるということでございますが、いまにわかに定年制をしくことはどうかというようなお考えを持っておられる、それはそれで結構でしょう。いろいろ甲論乙論あると私は思うのです。だが、しかしまた、いたずらに高齢化していくことをそのまま看過しておくということは、これは財政の上からもやはり大きな問題だと思うんですね。でございますから、せっかく人事院の方でそういう任用制度調査研究会ですか、勉強会か、そういうものをつくっておられるならば、これは人事院としては当然その中間報告として、われわれに問題を提起してもらわなければいかぬと思う。いま、こういう状態で人事院は考えておる、これもやはり国民の非常に関心の的になっておるんですね。  どこだ、ここだということは言いませんけれども、非常にはなはだしい例もあるのですよね。七十歳、八十歳以上の人もまだ残っておる。非常に困っているというようなところもあるんですよね。それかといって、また民間なんかは五十五、六歳から六十歳の間の一番働き盛りのときにばんと首切られてしまう。これも困る。非常な問題がある。あるいはまた、仮に六十歳ぐらいの定年にして、それからはまた再雇用の道を講じてあげるとか、あるいは六十歳以上になれば、もう昇給はストップするとか、あるいは本俸を幾らかダウンするとか、あるいは六十歳以上のあれは退職金の算定基準にはしないとか、そしてその人の行くべき道をまた考えてあげるとか、いろいろなことを考えておられるようです。  ですから私は、高齢者であるからすぐに切り捨ててしまえということを申し上げているのではないのです。でございますから、少なくともこの定年制ということについては、人事院としては十分考えるべきだと私は思う。これは大事なことだと思う。今日、勧奨条例といいますか、俗にいう肩たたき、しかしこの肩たたきは法的には何も拘束力はない。居座れば居座っていい。ですから、そういういろいろな、やや合法的でないものがやはり今日あるわけなんですよね。だから、そういう点について、人事院としてはどういう考えを持っているということをやはり報告すべきだと私は思う。  せっかく任用制度調査研究会なんというようなものがあって、それは何のために研究しておるんですか。発表しない、ただ、あなたたちだけの考え方でやっておるのですか。目的は何のためにそういう研究会をつくっているのですか。ただ、あなたたちだけで考えるという門外不出のものですか。それを局長、ひとつ……。
  210. 小野武朗

    小野説明員 もちろん御指摘のとおりでございまして、定年制実施するということになれば、当然に法律の改正ということに相なりますので、国会の御審議を経てやらねばならないということは十分承知しております。いまの段階では、今後の高齢者の退職の状況がどういうふうになるであろうか、それから年齢別の職員構成がどのように推移していくであろうか、さらには、定年制の施行のためには、御指摘のようにいろいろ困難な問題が解決されぬばならない。特に定年後の職員生活の問題、年金制度を含めた生活の問題をどのように考えていくべきか、定年年齢をどのように定めるべきか、あるいは日本全体の人口の年齢構成がどういうふうな変化をしていくであろうか等々の非常に複雑な問題がありますので、それらの問題をいろいろな角度から勉強を進めてまいりたいということでございまして、なかなか、近々にわかに結論が出るような性質のものではなかろうと思っておるわけでございます。長期的な視野に立ちましてこれは慎重に勉強をしてまいりたいと思っておりますし、その過程でまた御報告すべき事柄がございますれば、御報告するようにすべきであるという御意見、十分承知をいたしました。
  211. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これはやはり、あなた方だってそういう知恵者がたくさん集まってやっているのだから、わざわざ他からOBまで呼んでやっているのだから中間報告すべきであると思う。こういうふうに人事院では調査しているということ、そしてわれわれに問題を提起してもらいたいと思う。  いよいよ時間が来ましたので、最後総裁に一言、あなたの御見解を承りたいが、公務員給与改善については、従来は民間の賃金の後追い——後追いというと言葉が悪いかもしらぬが、結局は後追い、後追い、こういうような状態になっておったが、この時点に至っては、人事院勧告も一転機を迎えているのではないか。つまり、今日の一般社会の不況というようなこともにらみ合わせてですね。今度出された人事院勧告は、これはもう先ほども何回も申し上げているように、絶対完全実施ということは当然のことでありますけれども、一生涯の給与体系あるいは生涯福祉という観点から、官民較差の適正是正ということに対して、ここらで公務員給与ということに対しては一回洗い直して考え直すべきときが来ているのではないか。これはあなたの御見解を求めているのです。そういう時点に来ていると私は思う、根本的に、抜本的に。ただ民間の後追い、後追いばかりでなくして、独自な公務員給与の体系をここで一度厳然と確立すべきじゃないか、こういう考えを持っておるのですが、その是非については、先ほどいろいろ申し上げましたように、各人各人の論議もあろうと思いますから、私は、何も固執するわけじゃないんだが、そういう気がするので、人事院総裁、貴職の御見解を承りたい。
  212. 藤井貞夫

    藤井説明員 公務員給与のあり方というものをどうすべきかということにつき決しては、いろいろの議論があることは事実でございます。これは先生もよく御承知でありますように、諸外国におきましても、この点については大変深刻に悩んで、この取り扱いには従来苦慮してきている問題でございます。ただ、この問題につきましては、公務員給与国民の税金によって賄われるということ、それから公務の性質という問題、それから公務員自体の生活というような点を総合勘案してやらなければなりません。よく言われますように、公務員には独自の給与決定の方式があってもいいのではないかというような議論もございます。しかしその基準をどこに置くかということになりますと、これはきわめて困難でございまして、一般の民間の、それこそ大企業よりも高くするということになれば、とうてい国民の納得が得られない。そうかといって、平均的なものよりももっと下げてもいいじゃないかというようなことで、公務員だけに犠牲を強いるというような結果になりましても、これまた公務員の納得が得られない問題でございます。そういうような点から、欧米の諸国におきましても、いろいろ紆余曲折はございましたけれども、現在のところ、大観いたしまして、人事院がとっております官民較差の比較方法というものが漸次定着を見つつあるような現況でございます。均衡性の原則とかあるいは匹敵性の原則とかいうような言葉を使いまして、大体人事院方式というものと同じようなことをやって今日まで定着してきております。したがって、現在まで人事院がやってまいりましたこの方式は、それなりに合理性があるものであろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、現在までは経済界の非常な激変の時代、また経済成長の時代でございましたので、毎年毎年勧告を行ってきたというようなことで、それこそ席暖まる暇もないというような、言葉は適当でございませんでしたが、そういう状況にもあったわけでございます。しかし、この点は将来永久にそういう状況が続いていくわけのものでもないと思いますし、それからわれわれの方といたしましても、いま先生御指摘になりましたように、現在の俸給表は、いろいろ手直しはしておりますけれども、非常に長い閥使用をしてきております。そういう意味から、ある時点に立てば、やはり根本的にあり方について再検討するというような時期が来るかもしれません。その点は部内でそれぞれの立場からいろいろ深刻に検討をいたしておりますが、まだいまの時点においては、この方式を変えて、次のさらにいい方法を発見するという自信はございません。しかし検討は真剣に進めてまいりたい、かように考えます。
  213. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 了解しました。これは私の一愚見としてお耳にとどめておいていただきたいと思います。  じゃ、どうも委員長、ありがとうございました。
  214. 越智伊平

    ○越智(伊)委員長代理 総務長官の時間の関係がございますので、御協力のほどをお願いいたします。  受田新吉君。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 長官のお時間が迫っておりますから、十分しかないですね。  総務長官給与担当の国務大臣でいらっしゃる、したがって、国務大臣として給与については政府を代表して責任をもって答弁できるお方であることを前提としてお尋ねいたします。  この人事院勧告給与法案として御提出をされるための作業は、どのぐらいの日数があればできるものでございますか。
  216. 植木光教

    ○植木国務大臣 第一回目の関係閣僚会議はすでに開いたところでございますが、できる限り速やかに閣僚会議におきまして方針の決定を見たいということで鋭意努力中でございます。  同時に、改定の方針が決まりましたならば、特別職を含めまして作業をすることになるわけでございますが、従来の例によりますと約一カ月を要しております。しかしながら、できるだけ給与改定実施せられますように完全実施へ向かって努力をいたしますとともに、事務当局を督励いたしまして、改正案が国会に出せますように鋭意努力中でございます。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 給与法案を提出する閣議は、おおむね見通しとしてはいつごろ開かれ、そして閣議で決まるということですか。
  218. 植木光教

    ○植木国務大臣 大蔵省の方で、財源問題もございまして、いまいろいろ検討をしておられるわけでございますけれども、私どもといたしましては、臨時国会の早い段階におきまして改正案が提案できますように、最善の努力をいたしたいと存じております。ただいまここで、いつの時点で閣議決定ができるということを申し上げられないことは、まことに遺憾でございますが、できるだけ速やかに出したいということで努力をしております。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 事務当局にお尋ねしますが、長官の御答弁はいまのとおりですけれども、閣議決定を見た、それからスピードを上げてこの法案の作成、ぎりぎりで何日あればよろしゅうございますか。
  220. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま総務長官からお答え申し上げましたように、従来の例でございますと、いわゆるこの取り扱い方針を決定いたしましてから約一カ月かかっております。今回はそれに加えまして、防衛庁の職員につきまして糧食費の作業がことしの新しい問題としてございますので、こういった問題、それから特別職の問題、それから横車の関係、こういった問題を一般職給与法案と並行いたしまして作業いたしますので、いま大いに督励いただきまして、努力いたしますが、いまのところやはり一カ月ぐらいの予定を考えております。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 閣議決定を見るまでもなく、すでに勧告案をそのまま出すという態度が決まっているならば、その線でもう直ちに作業についていいはずです。閣議決定を見るまで傍観しておるというようなことではなくして、もういまでも作業を進めていいわけです。人事院勧告より変わったものを出す見通しがございますか、長官。
  222. 植木光教

    ○植木国務大臣 誠意をもちまして完全実施のための努力をしているのでございまして、いろいろな一般職改正案のデータ等も人事院からいただくことになっておりますし、また特別職につきましても、いまの段階からいろいろ準備もしつつあるという状況でございますが、いずれにいたしましても、正式に政府の方針が決まりませんと、いつこれができ上がるということは申し上げられないという事情をどうぞ御賢察いただきたいと存じます。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 政府勧告案を少し切り下げてやるとかいうことなら別です。大体長官は、原則としてこの勧告案をそのまま政府案として出す、こういうことじゃないのですか。
  224. 植木光教

    ○植木国務大臣 完全実施に向かって最善の努力をいたしているのでございますから、私どもといたしましては、この勧告に基づいた改正案が提出できますようにという念願を持ちつつ作業をしなければならないと存じておるのであります。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 完全実施で問題になるのは、実施期の問題だけだと思うのです。あとの俸給表その他をいじくろうとしているわけですか。俸給表その他はそのままやろうとするのですか。この点を確かめておきたい。
  226. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど来、人事局長から申し上げましたように、特別職の問題がございますので、特別職のうちでも特に防衛庁の職員につきましての給与法の策定というものに時間がかかりますことは御承知のとおりでございまして、そこへ持ってきまして、先ほどこれも局長が申しましたように糧食費についての新しい算出作業も必要となってまいりましたので、時間がある程度かかるということは御理解をいただきたいのでございます。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 長官、そうむずかしく考えないで、糧食費その他について、そのものはもうすでに防衛庁で幾らでもできる仕事です。いままでやっておらなければいかぬです。防衛庁を道連れにするためにおくれるなどという変なことでなくして、防衛庁だってりっぱな人材がそろうておるのですから、糧食費ぐらいのことは簡単にすぐ片づきますよ。  それから、いまの特別職ですが、これは上薄下厚の線で勧告がされているわけですから、指定職の最高四・八%アップしかしていないというようなことを宛ても、特別職のおよその答えはすぐ出ますよ。この前の委員会で申し上げましたが、国務大臣の給与九十万円を一割寄付しておられる、このようなものは、寄付をする分を差し引いて、国務大臣の給与についてはむしろ給与を引き下げるという案が出るのか、あるいは据え置きにするのか。国務大臣以上が引き上げになるということは私は予測しておりません。これは現状に押さえるかあるいは引き下げる場合もある。いまの一〇%寄付などということは、いかにも迎合主義に見えるから、これをびしっと、たとえば国務大臣の給与は八十万円に押さえるとか、こういうようなところをすかっとやる作業も含めてやられるのか、そういうことを考えてみると、そうむずかしい問題じゃないですよ。特別職の俸給表というのはごく簡単なものですからね。そんなに一月もかかるようなものじゃないのです。一時間もあればできるものです。これはもうバランスを考えれば簡単なんです。  大臣、この際、国務大臣の給与は、寄付をやめていただいて本俸を引き下げるという案をお持ちかどうか、お答え願いたいのです。
  228. 植木光教

    ○植木国務大臣 閣僚の給与は、いまお話しございましたように九十万円でございまして、一〇%自発的意思によって国庫に寄付をいたしておるのでございます。本年の人事院勧告は、お説のとおり、民間における厳しい実情を反映いたしまして、管理職手当一割削減、指、定職職員給与等上位等級について最小限度引き上げにとどめております。したがいまして、閣僚の給与につきましても、このような民間及び一般公務員給与改定実情を十分勘案の上検討いたしたいと存じております。ただいまの御指摘につきましては、貴重な御意見として承らせていただきます。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 長官は非常に紳士でいらっしゃるから、私、余り追及するのは申しわけないと思うのですが、私、どうも合点がいかぬのですけれども、閣議決定を見て一カ月もかかると言えば、閣議決定の見通しも立たぬということになれば、どうしても給与法案というものは十月にならなければ出せないということになりますよね。そうじゃありませんか。十月を待たなくても、今月中に閣議決定、一カ月以内に作業と言えば九月の末ですからね。早くても九月の末まで、事実問題としては給与法案十月にかかるという見通しになるわけですか。その見当はつくはずです。
  230. 植木光教

    ○植木国務大臣 本日、この席に大蔵大臣出席をせられまして、補正予算の見通し等についても発言をせられたわけでございますが、この補正予算に関連をいたしましては、どうしても財源の問題が出てまいります。それとこの公務員給与の問題も関連をするわけでございます。大蔵省としましては、九月一ぱいぐらいで経済の財政の見通しをつけたいというようなお話しでございました。私どもといたしましては、そういう見通しが九月の末につくということでありますと、その段階で政府の方針が決まるのかということになっては非常に提案の時期がおくれるわけでございますから、この公務員給与に関しましては閣僚会議における方針の決定をなるべく速やかにやっていただきたい、これを私は強く要請をしているところでございます。いずれにいたしましても、できるだけ速やかに提案ができるというふうにいたしたいと存ずる次第でございます。
  231. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、大臣としては、臨時国会の忍集時期というのは、九月五日という説があるようですが、閣僚として——どうせ閣議で決まるわけですからね。大体見通しはどうでございますか。九月五日ですか。
  232. 植木光教

    ○植木国務大臣 この点につきましては、いろいろ意見のあるところでございまして、各党間におきましても、いろいろお話しをしておられますし、政府国会との間で協議をしなければならない点でございます。いまのところ、政府としましては、九月五日を目途にして開会をいたしたいということで臨んでいるのが実情でございます。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 長官、どうぞお帰りください。  では引き続いて、人事院総裁並びに局長にお尋ねしたいと思います。  総裁、私、このたびの勧告を拝見して、どうも俸給表をいかにも複雑多岐になさる傾向人事院は考えていらっしゃると思うのです。昭和三十二一年のあの給与法の大改正の際に、従来の五種類の俸給表を七種類十四表に整理したのです。切りかえた。それにまた指定職が入ってきたわけですが、種類がふえたわけですけれども、そのときには行政職(一)は八等級で整理されておって、いろいろな細々したものがついていなかったのです。ところがこの十年来、指定職というものができまして、しかもそれがだんだんと発展して、初めは事務次官、外局の長、特に大事なポストの局長であった指定職が全部の局長になり、次長にもなり、参事官にもなって範囲が広がってきました。それへもってきて各種の俸給表の中に特一、特二、特三というものがあらわれてきた。今回また医療(二)に特二というものが出てきました。こういう傾向を見ますと、俸給表をいじくるたびに複雑多岐になってきておる。大体、原則として八等級に整理されておったこの俸給表がそのように複雑多岐になってくる。また、八等級にバランスをとるために、今度も三等級に相当するところの医療の(二)に特二をつくったなどとおっしゃっておる。もともとこのように八等級に整理すべきものと、研究職、教育職のように余りたくさんの等級をつけない方がいいものとあるのです。そういうつけなくてもいいものへ、いたずらに複雑なものをつけるという傾向は、人事院として、公務に従事する皆さんに非常な複雑な感じを与える。特に今度の医療職の特二、薬局の長みたいな地位にある人のために、こういうことでございますが、特二を設けなくて一へ持っていけばいいじゃないですか。二等級から一へ持っていけばいい。一へ持っていけると期待されるものが特二に抑えられるということになる。私は、こういう複雑なものをつくることは適当でないと思うのです。お答えを願います。
  234. 藤井貞夫

    藤井説明員 御指摘になりますように、問題点があることはこれは事実でございます。それからまた、先刻鬼木委員からの御指摘もございましたように、この現在の俸給表自体が相当長い間の耐用年数を経てまいっておりますことから、見方によっては、総合的にはいろいろ問題が出てきておる点もあるかと思います。ただし、いろいろ複雑になってきたという点の御指摘に対しましては、それなりの実は理由が御承知のようにあるわけでございまして、行政部内における組織、機構の変更あるいは職務内容の変化、職員構成が変化していく、そういうような事情がございまして、それなりの手直しをしなければ十分の給与管理ができないというようなことから、われわれの方でもそういうふうな判断になりますし、また絶えず各省の人事当局等から、あるいは組合の方々からも強い要請があるというような点もございます。  そういうことで、現実に対応いたしますために、非常に安易なことでやっておるわけではございませんけれども、結果的には特一、特二とかというようなことが出てまいるということで、その分だけやはり複雑になってきていることは事実でございますけれども、これはそれなりの理由があって、現実に対応する最小限度措置であるというふうにわれわれは理解をいたしておるのであります。ただ、全般的に今後の長期的な検討問題として事柄を考えます場合においては、先生御指摘になりましたような点も確かにあるわけでございまして、ある時点に立てば、それらの局部的な不利不満とかそういうような問題点とかいうようなものは、やはり大局のためには無視をして、何らか思い切った措置を講ずべき時期が来るかもしれません。そういうことを踏まえて、われわれはわれわれなりにひとつ真剣な検討はいたしたい、かように考えております。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 総裁人事院当局は当局なりに検討したい、何を検討されるわけですか。
  236. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま御指摘になりましたようなことについての対策でございまして、たとえばいまここですぐにやるとかなんとかということではございませんが、俸給表の種数というようなものをもっとやはり簡素化することができないのか、あるいは職務上の等級構成というようなものについて再検討する必要がないのか。いまお話しの中にも出ましたように、等級等はごく簡素化して、等級は少なくていいいわゆる職種もあるわけでございます。それに対して行政職あたりは、やはり一つ組織でもって動いていくものでございますから、ある程度のそれに対応する階層というものが必要であるものについては、それ相当の配慮をしなければなりません。しかし、総体としてもう少し簡素化し、合理化するというような点は、これは絶無とは申し上げかねるわけでありまして、そういうような点を含めて長期的な視野に立つ検討はいたしたいということでございます。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 長期的な展望に立った検討をしたい、そうしますと、これ以上複雑にしないようにしたいという意味を含めておりますか。
  238. 藤井貞夫

    藤井説明員 なるべくはそうするということの対策も含めてのことでございます。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 今回の勧告の中に管理職手当俸給特別調整額を二五%、二〇%の分について一割カット案が出ておるのですが、この管理職手当というのと超過勤務手当というのは、性格的に申しますと、超過勤務、すなわち超過して勤務した分に対する手当、時間外の超過勤務に対する手当、勤務時間以外と管理職手当との関連はどういうものか。つまり、超過勤務手当の変形が管理職手当という認識をお持ちかどうかです。
  240. 茨木広

    ○茨木説明員 超過勤務手当特別調整額とは、直接全く変形だというふうには考えておりません。と申しますのは、そういう要素もございますが、管理監督の職責に伴いますいわゆる役付手当というような意味も相当濃厚な性格のものが特別調整額だと思います。ただし、超過勤務手当関係では、現在の制度では特別調整額をもらっている方には超過勤務手当支給しないということで外してございます。そういう意味では、それらのものを含んだ意味も持っておるということも、これは争われぬ事実だろうと思います。ただ、民間でも役職手当が出ております方に超過勤務手当を併給しておる例もございます。いま現に病院等の問題については、そういう方で相当やはり残業をされる方についての併給問題なんかも、こちらの場合も理論としては起こっております。そういうような性格のものだというふうに思っておりますので、イコールではないけれども、そういうような意味のものも含んでおる。しかし役職、いわゆる管理監督の地位にある者の手当だという性格の方がより濃厚なものだ、こういうふうに考えます。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 いま予算内措置として超過勤務手当は、それぞれ中央、地方、運転手などに対して何時間分ずつに現在なっておりますか。
  242. 茨木広

    ○茨木説明員 いろいろの段階があると思います。月十五時間ぐらいの者もございますし、十八時間ぐらいの者もございますし、どうもそれぞれの職務の繁閑の度合いによって、予算否定の段階で予算当局と各省との間でお決めになっておるのでございます。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 平均して何時間分となっておりますか。
  244. 茨木広

    ○茨木説明員 どの程度になるかということは、ちょっと正確には申し上げかねますが、大体一〇%内外のものでなかろうかと思います。それも本省の場合とまた管区なり出先の場合とそれぞれの実態によって違っておるわけでございまして、一律にいまここで何分ということは、私のところではちょっと申し上げかねます。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 超過勤務手当支給を受ける者は一〇%そこそこ、平均してその程度、管理職手簡を受ける者は最高二五%、二〇%、今度それが一〇%カット、そうすると、超過勤務手当を受ける者は下級の職員です。営々として苦労しておる諸君は十時間分ぐらいしかない。例を二五%の最高の特別調整額を受ける人は、これを時間に切りかえると三十一・八時間、三倍のものをもらっているわけです。高禄をいただいた上に、それを基礎にした比率管理職手当を一方でもらっている。超過勤務手当をした者は時間割りで計算をされておる。だから、たんたんと進むエリートコースの皆さんに非常に有利な給与体系ができ、そして営々として努力する下級職員は労に報いるのに余りにもみじめな処遇しかしてない。  同じ国家の公務に従事して、これほどの上厚下薄の傾向を持つような形の給与政策をおとりになることは私は適当でないと思う。したがって、今度一〇%カットというのは非常にいい案だと思うのです。これは前から、管理職手当の性格と超過勤務手当の性格を比較したときに、もともと二十七年の改正まで同じだったのです。そのときは管理職手当はなかった、超過勤務手当で片づいておった。しかし二十七年から三十二年の改正の五年間も、つまり超過勤務手当均衡がとれるようにという配慮をやっておった。それが三十二年から管理職の特別調整額としてあらわれて非常に優遇されるようになってきたという歴史があるわけです。その歴史の原点に返る時期が来た。そのための一〇%カットというのは、給与政策としても私はいい答えが出ると思っておるわけです。超過勤務手当支給を受ける者と、管理職手当支給を受ける者とが余りにも開いて、上位に立つ人々は恵まれ、大衆公務員は冷遇されているという、この長い給与の歴史の中に一つの新しい道を開いたという意味で、私は一〇%カットは意味があると思うのです。むしろ管理職手当などというものは廃止して、超過勤務手当で一括してやるべきであり、また超過勤務手当においても、職務の質と量などで作業量がもう決まっている現業の皆さんと、作業量が決まっていない一般の公務員の皆さんとの間にもどういう調整をしたらいいかという一つの新しい課題もあるわけなんですがね。  これは非常にむずかしい問題があるから、これらの問題についてはできるだけ手当制度は簡素化して、国民が納得し、公務員が納得するようなものに持っていく必要がある。いわば超過勤務手当の変形のような性格を持つ管理職手半なるものにメスを入れて、この二つを調整した新しい一本の手当として制度を創設してしかるべきじゃないか、原点に返る時期が来ておると思うのです。  総裁、この問題は総裁の高度の政治判断ということにもなるわけです。私の提案について、これはまことに取り柄のない発言であると思われるか、傾聴に値する提案と思われるか、いずれを選ばれるか、チョイスはいずれであるか、お答えを願いたい。
  246. 藤井貞夫

    藤井説明員 御指摘になりましたような問題点があることも事実でございますけれども、いわゆる管理職手当特別調整額ができましたにはできましただけの実は理由があったわけでございまして、これと超勤というものは無論相補足する面もあることは事実でございますけれども、給与局長申しておりますように、全く超勤にかわるものというわけではないということでございます。いま受田先生が上の方が厚くて下の方は超勤で冷や飯を食っているというようなお話しもございましたけれども、これらは特別調整額を創設いたします際の経緯もございますし、今度の賃金カットの対象にいたしておりますのは一種、二種でございまして、要するに本省の課長級以上を目途として措置をしたいという考えでございますが、御承知のように特別調整額には五種ございまして、だんだんとパーセンテージが低下をするということでございます。それらの点で、下の方といいますか五種程度ということになりますと、一般の超勤等との見合いもそう不均衡なものではないというような点の配慮もあって現在の制度ができているのではないかというふうに考えておるのであります。  管理監督の地位にある者の評価をどうするかということについては、いろいろそれなりの問題はございます。しかし民間等におきましても、それらについては超勤ということよりも役付手当とかいうようなことで措置をしているという実態も踏まえてまいりますと、特別調整額自体もやはりそれなりの存在理由があるのではないかという考えが私の現在の考え方でございます。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 五種に分かれている下の方を私は誓うておるのじゃないのです。一、二、三ぐらいのところまでを軽減すべきだ。それから実際にもらっている本俸が高給をもらっている。本俸そのものが職務給として管理職であるがゆえの高禄をはんでいるわけで、そういうものを含めて高禄をもらっているのですから、改めてまた高い給与に高い比率管理職手当を別にひっつけるということは、本俸で恵まれ、さらに管理職手当で恵まれるということになれば、下級の公務員から見たらまことにバランスが崩れています。  本俸そのものに高位の給与をもらっている皆さんは、その職務が高いということに対する手当が出ておる。改めてまた管理職手当をそれに応じた比率でいくというのが問題で、その意味では、そうした勤務時間の外の執務というようなものに管理職であろうと一般の人であろうと差をつける時期ではもうなくなってきた。むしろ高位の給料の人は、それで職務給としての管理職分が入っておるのだという理解に立てば、同じ比率でいっていい時期が来ておる。ひとつ提案として御検討を願う。お答えがあればひとつどうぞ。
  248. 茨木広

    ○茨木説明員 お言葉でございますけれども、一等級、二等級それぞれ各等級とも民間との関係も考慮いたしまして現在の俸給表はでき上がっておるわけでございまして、その民間とのバランスなくして現在の金額が決まっておるわけではございませんので、その点御理解をいただかないといかぬということ。  それから、役付手当の問題につきましても、一〇、一二、一六、二〇、二五と五段階ございますが、課長部長というようなところでそれぞれ忙しいのは一種がついておりますが、そうでないものは二種とか三種というようになります。そういう姿で部長なり課長民間と比較してみますと、こちらの方の特別調整額部長クラスは平均一六・九%、課長が一一・七%になります。民間の方がやはり対応しますのが、部長で一七・一%、こっちの一六・九に相当しますのが一七・一%でございます。課長がこちらの一一・七%に相当しますものが一三・五%でございます。そんなところで職場のいろいろ繁閑によりまして、それぞれ一種なり二種なり出ておるわけでございます。でございますから、本省ではよく問題になりますけれども、課長補佐クラスの超勤をやめましてこれにしたらという話があるわけでございますが、職場によってはそれに大変反対される。むしろ二〇%になりますと格下げになるというようなところも現実にはあるわけです。平均で先ほど超勤の各時間数、計上額なり何なり申し上げましたけれども、職場によりましては大変残業残業と続くところもございまして、そういうところは、むしろこれにされますとかえって格下げになる。そうでないところは、むしろこれをつけてもらうことを喜ぶ、いろいろ職場によって違いまして、その辺で苦労をしておるわけでございます。その辺のところもひとつ御理解をいただいて、なおいろいろ矛盾のある点は絶えず検討をしておるところでございますけれども、そういういろいろ職場によって違いますことを御理解いただきたい。  それからもう一つは、あとは特別調整額になりましたゆえんのものに、やはりどうも自分で命令をするような立場で残って、自分で超勤をいただくというのは、やはりおかしいだろうということで、一種のそういう意味の打ち切り的な意味特別調整額というパーセンテージにそれぞれおさめられたといういきさつもまたある。そういう点もございまして、監督される方は超勤制度で、する方は特別調整額制度ですっきりさせておく。自分で残って自分でもらうというようなことは避けようというようなこともいろいろあったと思います。そんなところをいろいろ考えながら検討はしたいと思います。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 時間がだんだん進んできますが、この国家公務員法の六十四条に俸給表の規定があるわけです。俸給表が規定されなければならない原則に「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ」と書いてある。人事院が適当と認める事情にすればいいじゃないですか。民間とひっつけてだけ考えるべきでなくして、こういうところは給与政策上の人事院が適当と認める事情のところでやれる手があるわけです。民間がこうだという問題のほかに、わざわざこの法律に人事院が適当と認める事情を入れてあるということはそこに理由がある。  それから、中央官庁と出先官庁と比べて出先官庁の方が、むしろ第一線で帯労する皆さんの方が一種、二種、三種の中で低い等級をもらっておる。中央官庁におる地位の高い者が二五%をもらっている。あるいは二〇%をもらっている。これらにもまた矛盾があるのです。中央、地方を通じて管理職手当は一五%なら一五%にぴしっと抑えておけばいいのです。中央におる人が偉いんで、地方におる人は偉くないんだというような思想もここから生まれる。管理職手当と言えば、もう一五%なら一五%ですかっと抑えておく。中央、地方でなぜ差をつけるか、これもおかしいですよ。中央集権的なにおいが多分にあるですよ。そういうものを考慮してひとつ総裁、私の提案を御検討願いたいと思います。  そしてもう一つ、今度は人事局長さん、人確法と今度の勧告との関係でございますが、人材を確保するために、義務教育の学校の先生方を優遇する法案が通って給与改善された。第二次までいった。今度第三次へいくかどうかというところへ来ているわけです。そうするとこの人確法で、義務教育学校に勤める人は特に重要な使命があるというので優遇をした。それにひっかけて今度の勧告を見ると、それとのバランス問題が起こって高専及び大学の先生俸給表の、ちょうどそこのバランスが崩れるところを今度改善する勧告ができているわけです。だから、人確法がなければ高専及び大学のいまのバランスの崩れた措置はとらなかったはずですね。人事院どうですか、この人確法がなかったら、今度高専と大学の先生俸給表はいじくらなくて済んだんじゃないでしょうか。
  250. 茨木広

    ○茨木説明員 今度の、官民較差からきます一般的な動かし方はしなければいけなかったと思いますけれども、特別配慮の問題は起こらなかったんだろうと思います。
  251. 受田新吉

    ○受田委員 これは政府として、一つ大事な問題がひそんでいるわけです。つまり人事院が高専の俸給表と大学の俸給表をいじくったのは人確法ができたからだ、いまこういう御答弁があったわけですが、人確法がなかったらいじくらぬで済んだ。ここへひとつ私、焦点を当てた質問をしてみたいのです。  そうすると政府としては、人確法は間違いであったということになると、これはまた困るわけなんで、人確法によって義務教育の学校の先生の優遇をした。ところが、もうずっと皆、上もいくんなら、むしろ教育職にある者に対する優遇法案というような法案ならそれは筋が通る。義務教育だけを優遇しようとした趣旨とは違って、みんな教育全体を優遇するのだという法案ということになったと同じものになるわけですね。どうでしょう。
  252. 秋富公正

    秋富説明員 御指摘のとおり、人確法につきましては、昨年の二月に国会において御審議いただきまして成立した法案で、すでに第一次、第二次の人事院勧告もございまして、本年度に五%分が予算上計上されているという実態でございます。  御指摘のとおり、今回の人事院勧告を拝見いたしますと、大学あるいは高専の一部につきまして、いわゆる逆転防止のための措置勧告がなされているわけでございます。私といたしましては、人確法と申しますものは、国会でも御審議いただきましたように、すぐれた人材を義務教育諸学校の教員に充てるための措置でございまして、私は、これなりの意義は十分あるものと考えておりますが、これに基づきます人事院勧告というものにつきましては、人事院において御判断されてきているものでございまして、私は、それはそれなりにまた意義がありますし、今回のいわゆる逆転防止の措置と申しますものも、またこれなりの意義があるものと考えまして、人事院勧告を、政府といたしましても尊重してまいる所存でございます。
  253. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、大学、高専を優遇する。今度は優遇した結果、たとえば研究職と大学の教授職とのバランスが崩れてくる。これは相互に交流人事も要るわけなんです。そうすると、今度は一般行政職の方のバランスが崩れるという問題があるじゃないですか。いかがですか。皆バランス問題が出てまいります。
  254. 秋富公正

    秋富説明員 その点は非常にむずかしい、またデリケートな問題でございまして、さきの内閣委員会におきましてもいろいろと御議論のあった点、私も承知いたしておりますが、やはり国会の御審議をいただきました、成立いたしました人確法というものは、私はそれなりの意義があるものと考えております。
  255. 受田新吉

    ○受田委員 いま一般行政職の皆さんの俸給表、研究職という俸給表、これを見ると、人確法をもとにして教職員が上がってくる、そうすると今度、大学、高専が上がってくるということになってくる。そうすると、ほかの方は今度は逆転してきたじゃないかというような問題が起こってくる。それは一体どうして始末するわけですか。この始末はどうしたらいいのです。今度は一般職の方の給与もバランスをとるために改善するのですか。研究職の方も改善するのですか。
  256. 茨木広

    ○茨木説明員 そういうような問題がございますものですから、かねてから私どもは、その教員の給与の一次、二次、三次というものの上げ方についていろいろやはり形を変えたり、いろいろ脅えていかなければいかぬということを申し上げておるわけでございます。  ただ御案内のように、別途予算が組まれまして、こちらの方にそういう姿で要望が参りますと、やはりそれなりの苦心をした料理をしなければいけないという立場に私どもとしても立っておるわけでございますが、いま御案内のような大学、高専関係、研究職に及ぶではないか、そういうような問題が全くないということではなくて、漸進的にはそういうものも考えながら、全体のおさまりということを順次脅えていかなければいかぬ、こういうことではないかと思います。
  257. 受田新吉

    ○受田委員 特に第二次の人確法に伴う改善措置では、本俸は三%、手当四%というようなかっこうで、本俸をたった三%しか上げていないんですよ。それでもこれだけの問題が起こる。人事院も、人確法というのは気に入らぬ法律ということで、予算をとって押しつけた、人事院勧告を強制した、強姦をされたというので人事院も苦労し、またこういう細工をしている。いろいろ考えてみると、給与体系を基本的にどうするかというので非常に大きな問題があるのです。政府がどこで調整をとるか。義務教育諸学校だけを優遇するという法ができたのなら、やはりそれなりのところでとめておくべきで、それを波及させると、行くところを知らざるということになるのです。この問題が一つあるわけです。  もう一つ人事院総裁でも局長でもいいですが、今度一〇%カット案が出たのですが、これは四月へさかのぼってカットするのですか。
  258. 茨木広

    ○茨木説明員 カットの問題については、まず民間の場合に、賃金カットという中に、一般の方の基本給等のカットの場合と役付手当のカットと二色ございますが、一般の方は、この一〇・八五という勧告そのものの中に溶け込んで、調査の中にもうすでに溶け込んでおるわけでございます。こちらの特別調整額の方に対応します役付手当の方は、比較の外の方の問題でございますので、今回、別途調査をしたわけでございます。  その関係でいきますと、やはり昨年の暮れころから、会社によっては逐次やってまいったという姿で、そして四月以降も引き続きばらばらにいろいろやっているという姿になります。そんなかっこうをいろいろ判断しながら、一応一年間ということで考えておりますので、そこで余り時期おくれになりましてもいかぬ話でございますし、ちょうど民間の方でもやっております時期に対応した時期にやりますことが最もふさわしいことであろうということで、今回の給与改定時期が四月一日からというふうにお願い申し上げておりますので、その勧告が発動します時期に同時に四月からやらせていただいたらというふうに考えております。
  259. 受田新吉

    ○受田委員 こういうものは憲法第二十九条の財産権の問題、期待権も一つの財産権に入るということなんです。したがって、二五%もらおうという人が、過去へさかのぼって減額措置をとられるということはまた問題がある。実施の時期から一〇%をカットするというのなら、これはやむを得ぬと思いますが、過去へさかのぼってやるということになると、今後、人事院民間給与を調べた結果、五%の増減ということで減もあるのだから、減らされるときもあるわけですね。減らされるときに、四月へさかのぼって今度は本俸までも減らされるという問題が起こるときは一体どうなるかという問題です。そのときも四月へさかのぼって、増減のあった場合の減のときにも遡及して減額するのかどうか、ひとつ法律論として聞きたいのです。
  260. 茨木広

    ○茨木説明員 御指摘の点は、当然やはり考えなければいかぬ問題でございますので、内部でも十分相談をいたしてございます。  そこで、今回のベースアップの関係のはね返り分が出てまいるわけでございますが、その遡及いたします分については、ふえます限度で、要するに過去に現行法でもらっております部分に食い込まない範囲内でカットをしていくという制度にせざるを得ないだろうというふうに考えております。
  261. 受田新吉

    ○受田委員 また将来の問題が一つ起こる。もう減額措置をする卵が一つ生まれたわけです。そうすると、今度は本俸までも五%減というような時代が来たときに、四月へさかのぼって本俸五%減額措置勧告をするということになるのかどうかです。
  262. 茨木広

    ○茨木説明員 制度といたしましては、増減いずれについても報告勧告をするという制度になっておるわけでございますけれども、現に支給いたしましたものを返納させるという形の減額、これは、やはり将来に向かってやっていくということでございまして、遡及ということはできないだろうと思います。
  263. 受田新吉

    ○受田委員 いまここでそういうお約束ですが、四月から民間給与調査をしたら、四月へさかのぼって五%減らさなければならぬ答えが出たということで、実際は四月から減額すべきものであるが、給与政策上として、そういうときには四月へさかのぼらぬ、減らす場合はこれから先と、こういう人事院の方針ということが明確になったわけですね。
  264. 藤井貞夫

    藤井説明員 今度やろうといたしておりまする賃金カットの問題については、給与制度改正一環といたしまして、四月にさかのぼってということを考えておりますが、これは給与局長申し上げましたように、本俸の引き上げ分がございますから、それとの関係で、カットをいたしたことによって本人から返納させるということは、それは適当でないと思います。したがって、特別調整額については、それとの調整を講じつつやっていきたいと思います。  それから、いまもう一つお話しのありました、将来あるいは起こるかもしれない減額勧告というような場合は、これは私は明らかに憲法上の問題でもあると思います。従来もらっておったものをさかのぼって返納させるということには問題がございますので、それはやはり勧告以後ということにならざるを得ぬというふうに考えております。
  265. 受田新吉

    ○受田委員 質問を終わります。どうも済みませんでした。
  266. 越智伊平

    ○越智(伊)委員長代理 中路雅弘君。
  267. 中路雅弘

    ○中路委員 時間も大変遅くなっておりますから、給与の問題については木下議員が質疑も行っていますし、前回の委員会の際に少し質問で残した問題が何点かありましたので、きょうその問題を、短い時間ですが終わりに少し質疑をさせていただきたいと思っていました。ただ、やむを得ない事情で総務長官がおいでになりませんので、総務長官に少し質疑をしたいと思っていた問題がありまして、ILOの国際会議公務専門総会における問題、特に政府代表として行かれました片山人事局次長さんの発言等についていろいろ御質問もしたいと思いましたけれども、総務長官がおいでになりませんから、この問題は別の機会にしたいというふうに思いまして、あとこの前の質疑で残した問題をもう少し質問したいのと、それから官房の広報室はお見えになっておりますね。——その関係の問題ですが、質疑をしたいと思うのです。  最初に、総裁週休二日制の問題でもう少し、前回の議事録を見ましても、私の質問も、幾つか一緒に御質問した点もありまして、二、三答弁がなかった問題もあるものですから、前回の質疑のお答えの確認をしながら、最初に若干御質疑をしたいと思うのです。  週休二日制の問題では、総裁も、一つは時短の問題で前回「われわれの考え方の基本は、やはり勤務時間の何がしかの短縮ということを主体として考えていくべきであろうというふうに思っておる次第でございます。」というふうに御答弁になっていますが、何らかの時短を伴ってやるのだというお考えを述べておられますが、これもきちっと確認をしておきたいと思います。  そして、試行の時期の問題ですが、「試行は本年度中にやるということで準備を進めております。ただ、その試行の時期を、たとえば来年の一月からやることといたしました場合に、一月から始めて三月で終わるのか、さらに五十一年度までいくのかというようなことについては、まだ最終的な結論は出ておりません。」という答弁をされていますが、今度の報告の中で、この試行の実施時期の問題は、五十一年度じゅうにやるということですが、三月以降どうしていくのか、あるいは試行以後の見通し、こういった問題についてもう少しお考えをお聞きしておきたいと最初に思うのですが、いかがですか。
  268. 藤井貞夫

    藤井説明員 第一の問題でございますが、これは本格実施に踏み切ります際には、民間のその後の状況その他を総合勘案して決定をしなければならぬ問題だと思いますが、週休二日制の普及が漸次進んでまいりますとともに、週の所定時間というものもむろんのこととして若干短縮をされてきておることは、すでに資料としてもお出しをしているかと思います。  われわれといたしましても、そういう観点を参考にいたしつつ、将来の実施に移す段階においては、やはり何らかの時短を伴わざるを得ない、事柄はやはり公務員の勤務条件の改善につながる側面も持っておるものでございますから、そういう意味では時短を伴わざるを得ないというふうに考えております。  それから第二の点でございますが、テストの実施については、ひとつ来年の初めから着手できるように準備を進めてまいりたいということを、今度の報告でも明確に打ち出しておるのであります。したがいまして、これから各省が実際のテストの計画をつくりますための基準になります試行計画基準というものの作成を急いでいかなければならぬというふうに考えまして、それができますとこれを各省庁に提示をいたして、それに基づいて各省別の試行計画を出してもらう、そこで問題点を整理し、調整をすべきものは調整をいたしまして、来年度初からのテストの実施に踏み切るように措置をいたしたいというふうに考えておるのであります。  したがいまして、これはあくまでテストということでございますから、テストというものが実際に行われた上で、いろいろな問題点が浮き彫りにされてくるだろうと思います。そういう場合に、それらの結果等を具体的に検討し、にらみ合わせをしながら、問題点があれば、それに対する対応策をどういうふうにやっていくか、本格実施に踏み切るとすれば、どういうことになるかというような結論がだんだん具体的に明確になってまいると思います。したがいまして、いまの段階におきましては、試行基準案の作成を急いでおるという段階でもございまして、まだテストに入った段階でもございませんので、現在のところは、テストの実施をどのぐらいやるのかということについては未確定でございます。
  269. 中路雅弘

    ○中路委員 次にテストの様態です。  年次有給休暇の転用ということではなくて、職務専念義務の免除あるいは特別休暇の付与、いずれかの方法をとってやることが適当ではないかというお話しがありましたが、有給休暇の計画的使用によらないということと、職務専念義務の免除あるいは特別休暇の付与、いずれかの方法という御答弁ですが、これは職免と特休と両方なのか、どちらかでやられるのか、どういうことですか。
  270. 藤井貞夫

    藤井説明員 それらについても、これから具体的に検討して詰めに入りたいというふうに思っておる次第でございますが、職務専念義務の免除かあるいは特別休暇の付与かということは、どちらにすることが適当であるかという観点で検討はいたしますけれども、決定をいたします段階では、どちらかということでなくて、どちらか一つということに決めたいと思います。
  271. 中路雅弘

    ○中路委員 両方ということじゃなくて、どちらかに決めるということですね。  それから次に、テストの場合、試行の段階では土曜日の閉庁ということは考えられない、閉庁はしないという御答弁ですから、これはそのまま確認しておきたいと思うのですが、対象ですが、テストの実施につきましては「全省庁を対象にいたしましてやっていきたい。その範囲内においていろいろ実施が困難な省庁等も浮き彫りにされてまいるということもございますので、それらの時点において」云々ということですね。全体の省庁を対象にやるということですが、このやり方で特殊な省庁を除外するという考えは持っておらないという御答弁ですが、やり方進め方として困難なところ、これを先行させて、そこでの基本問題が解決できれば全体の問題がはっきりするわけですから、そういう進め方をやられるのか、あるいは全体の省庁は対象にするのだけれども、一応比較的やりやすいところからやってみるというようなことなのか。全省庁を対象にされるということは御答弁されているのですが、じゃこの実際のやり方、進め方というのはどういうお考えなのか、もう一歩お聞きしたいと思います。
  272. 中村博

    ○中村説明員 先ほど総裁からも申し上げましたように、すべてそれらの基本的な事項にかかわることは、試行基準の中で決められることでございます。  したがって、現段階で私どもの考えを申し上げますと、先生ちょっと御指摘なすったように、やはり試行の本旨にかんがみてみれば、まず困難なところをやるべきだろう。困難でも、御承知のように、国家公務員職場はもうほとんど全国的とでも言うほど非常にたくさんの職種がございますので、また各省ごとに公務員の構成、公務サービスの内容、それから勤務条件等いろいろ異ってございます。したがいまして、その辺をどの部面から試行の本来的目的をよりよく達成するために優先させるべきかという問題があろうかと思います。それもやはり結局は各省ごとのいろいろな具体性があるわけでございますので、基準を示した後の各省がこれに対応して具体的なものをお盛りになる段階での協議の内容になろうか、かように考えております。
  273. 中路雅弘

    ○中路委員 この点では、特に困難なところが結局取り残される職場が出てくるということにならないように、困難なところの問題の解決ということが、全体の本格的な実施に踏み切る場合の重要な問題ですから、その点はひとつ特に要望をしておきたいと思うのです。  それと御答弁がなかったことで一問お聞きしたいのですが、隔週にするのか月二日の形をとるのかという問題ですが、これはどちらの方法でやられるわけですか。
  274. 中村博

    ○中村説明員 隔週または月二回を基準としてということを昨年の御報告で申し上げております。  これは先先特に御承知のように、いろいろな態様があるわけでございまして、先ほど申し上げましたような各省ごとの勤務条件の差異、職員構成の差異あるいはその行政サービス内容の差異、そういうことがございますので、その辺はそれを基準としてということで試行計画をつくってもらおう、かように考えております。
  275. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点お聞きしておきたいのですが、今度は報告になっておりますが、この週休二日制については、いずれ別途の勧告を出されるのか。  私も、この前の質問では、今度の給与勧告で触れられるおつもりなのか、報告や意見という問題なのか、私は勧告とすべきであると思うわけですが、今後給与勧告と切り離して別途の勧告にされるのかという質問もしているわけですが、それに対して「そのような技術的、事務的な、制度的な側面等を解決をいたしますために、あるいは別個の勧告を出すということが出てまいるかもしれない」というふうに考えているという御答弁ですが、この点もう少しはっきりお聞きしておきたいのです。別途の勧告を今後されるのか、また、そうだとすれば、その時期はいつごろなのか、お聞きしておきたいと思うのです。
  276. 藤井貞夫

    藤井説明員 テストの実施につきましては、八、度の報告で触れたところでございます。これ以外にさらにテストについて技術的なあるいは制度的な措置等について勧告を行う必要があるかどうかということは、試行基準の作成とこれに伴う各省庁の実際計画の作成及び問題点が出てくる段階等を総合的ににらみ合わせながら最終的な腹は決めたいと思っております。  しかし、事柄が事柄でございますために、事をはっきりさせるという意味で、先刻お話しのございました職務専念義務の免除でやるのか、あるいは特別休暇の付与でやるのかというようなことは、これはあるいは何らかの形で触れるというようなことが必要であるかもしれません。しかし何分にも、人事院規則等でできることでございますので、そこまでやらなくたって今度の報告で触れておりますからして、いわば技術的、事務的な問題として触れないで済むかもしれませんけれども、そういう点はいま申し上げましたように、基準案の具体化とも並行して今後検討いたしたいということでございます。
  277. 中路雅弘

    ○中路委員 行管はお見えになっていますか。——やはり前回の質問に関係してですが、前回、政務次官から答弁をいただいたのですが、提言の問題でもう一、二点お聞きしておきたいのです。提言が行政監理委員会の設置法に基づく——阿部さんの答弁でも「このような意見書の内容は、行政監理委員会設置法に基づく行政監理委員会としての意見ではございませんけれども、」ということでおっしゃっているわけですが、六人の有識者の提言という形になっているわけですね。御答弁でも正規の会議による提言ということでないわけですが、こういう正規でない会合、これに給与を払うとかあるいは財政支出をされる法的な根拠というのはどこにあるのですか。
  278. 川島鉄男

    ○川島説明員 実は、正規の会議ではないというふうな御主張でございますけれども、そうではございませんで、行政監理委員会会議でございます。その答申に委員長の名前が出ていないという意味において、その答申は厳格に法的に言えば監理委員会の意見ではないという御答弁を政務次官から御答弁申し上げたと思います。その結論に至る間の例会で開かれておる監理委員会会議は正規な会議でございます。
  279. 中路雅弘

    ○中路委員 そこをもうちょっと聞きたいのですが、行政監理委員会の設置法によりますと、は委員長と、これは長官ですが、委員長と三人以上の出席がなければ議決ができないということになっていますね。したがって、この六人の有識者の提言というのは、そういう意味では先日御答弁のように「このような意見書の内容は、行政監理委員会設置法に基づく行政監理委員会としての意見ではございません」とそのとおりなわけですが、それでは六人の提言というのは正規のあれだとおっしゃるのでしたら、その根拠というのはどこにあるのですか。
  280. 川島鉄男

    ○川島説明員 御質問の趣旨は、その会議が正規の会議であるかということと、提案が正規のものであるかということと二つが一緒になっておるのじゃないかと存じますが、一応その提言そのものは、これは御案内のとおり六人の委員さんが御署名になった、六人の委員の御意見であるという意味におきましては、監理委員会の意見であるというふうには言えませんという趣旨でございます。  それから、そのそれぞれの会議委員長及び三人以上のというふうな規定になっております。当然いろいろの事情で委員長出席できない場合がございます。そういうときのために、あらかじめ委員長が指名する委員長代理というものが、そういう場合には委員長の職務を代行するという規定がまた別にございます。そういうことで正規に成立しておる会議でございます。
  281. 中路雅弘

    ○中路委員 それじゃ、この六人の有識者の提言というのは、そういうことになれば、その会議委員長の代理があって、委員会として正規に開かれた会議でしょう。その提言ということになれば、それは有識者のただ名前を連ねた提言ということにならないのじゃないですか。私は、いまおっしゃった委員長がいない会議、六人の会議が正規の会議だと言われているその法的な根拠はどこにあるのか、どういうところを根拠にされているのかということをお聞きしているわけです。
  282. 川島鉄男

    ○川島説明員 行政監理委員会設置法によりますと、第十条「委員会は、委員長が招集する。」「委員会は、委員長及び三人以上の委員出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」ということでございまして、そういう意味で、正規の会議が成立するのは、委員長及び三人以上の委員出席がなければならぬということでございます。さらに、それの第四項で「委員長に事故がある場合における第三項」第二項と申しますのは、いまの三名以上の委員出席してという規定でございますが、その「第二項の規定の適用については、第六条第三項に規定する委員は、委員長とみなす。」その第六条第三項と申しますのは「委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」と、こういうふうな規定になっております。そこで、その委員長代理が、委員長に事故がある場合にはこの会議を開き、かつ議決するという場合の委員長とみなすという、こういうことで、その会議が正規な会議であるということの法的根拠ということになります。
  283. 中路雅弘

    ○中路委員 そこがおかしいと思うんですよ。委員長に事故がある場合と言うんですが、事故じゃなくて、初めから委員長出席しない、これは六人の提言という会合なんですね。正規の会議を招集して、委員長に事故があるから委員長代理が置かれるという、いま読まれたところの適用の、そこで出された提言じゃないのです。それなら、委員長に事故がある場合に委員長代理が設けられて、それでやられた会議なら、それは正規の会議ですね。したがって、この提言も当然正規の提言になるはずなんです。しかしこれは、この前の答弁のように、私も質問しているように、それは正規の意見じゃない、六人の有識者の提言だとおっしゃっているわけですね。そこに私がこの前から質問をしている問題があって、それは最初にお話ししているように、長官が委員長を兼務しているという問題から、また、そういうふうな事故でもないのに事故にしてやらざるを得ないという、六人の提言にしなければいけないという矛盾がそこにあるものだから、いますぐ結論を出すということは言っていませんけれども、こういう問題についてはもう一度、基本については検討をされる必要があるのではないか。そうしなければ、いまのようにこじつけのような答弁で根拠を示さないとやれない、委員長に事故があったのだからというところへ持ってこなければ根拠を見出せないということになるから、そこに矛盾があるのだから、こういう問題については検討する必要があるのではないかというのがこの前の私の趣旨なんで、それについてはまともにお答えをいただいていないので、きょうもう一度お聞きしたというわけですから、いまの私の指摘している点はおわかりだと思いますが、この点についてはどうですか。
  284. 川島鉄男

    ○川島説明員 その会議で、その委員会としての意見を決めずに、六人の委員の意見を決めようということで決定された提案でございます。委員長代理が委員長代理として、委員長及びその委員全部がこの内容意思決定に参加したという扱いにしてしまえという意思決定があったわけです。六名の委員の意見としようということがその会議で定められたわけでございます。  なぜそうなったかということについては、いろいろと議論がございましょうと思いますが、それを申し上げますと、一応これの前提がございまして、現在の委員会は第四期の監理委員会でございますが、第三期の監理委員会の終わりのころ、二月の下旬でございまして二十七日だったと思いますが、三木総理から六人の委員、その場合委員長を含んでおりません、六人の委員に対して三年間の任期中いろいろとお勉強いただいたその経験にかんがみて、今後の行政改革について御提言をいただきたいというような趣旨のお話しがございまして、それで六人の委員が、それでは委員長を外した六人で、自分らの意見を率直に述べようということで、四月の二日でございましたか、第三期の任期が終わる直前に第三期の委員さん六名が連署して意見を提言されたわけでございます。  今回のこれは、引き続き第四期の監理委員会で十分に検討していただく必要があるというような提言のあれでございましたので、それを受けてこの六人の委員がそういう意見をまた出されたという姿になっておるわけでございます。
  285. 中路雅弘

    ○中路委員 そう長く時間はとりませんけれども、もう一問。  結局、委員会の提言というのが出ないわけですね。いまの機構だと、受ける方が長官であるということで、それが委員長を兼務しているから外して、委員会議を開いて有識者の提言という形で出すという、そういう機構上から、そういう場合には委員長を外さざるを得ないということになっているから、だから私は、そういうことについて検討をされる必要があるのではないか。そうしなければ、いつも委員長を外して正規の設置法に基づいた委員会の提言でない形で、有識者の提案ということで出さざるを得ないわけですからね。それは受ける方の長官が委員長を兼務している、率直に言うと、その関係からそういうことが起きざるを得ないわけですね。事故があったので出ないわけじゃないんですよ。検討される必要があるのじゃないか、この矛盾は。そういうことをお尋ねしているわけなんです。
  286. 川島鉄男

    ○川島説明員 必然的にそうなるというふうな話だと存じますが、実は必ずしもそうではございませんで、たとえば第三期の監理委員会におきましては、六つ答申がございまして、五つまでは委員長ともどもの委員会の諮問に対する答申が出ております。最後一つは、先ほどのようないきさつで、それで委員長を外した意見が出ておるわけでございまして、最近の運営におきましては、委員長が行管長官を兼ねておっても、一向その支障のないような運営がなされておるという事情が実はございます。  敷衍いたしますと、六回答申が出ておるけれども、五回までは委員長ともどもの答申が出ておる。それから最後の一回は、三木総理からの要請にこたえて、六人委員の意見を聞かれたので、それで委員長を外してお答えしておる、こういうような運営になっておるということが実態でございます。
  287. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃ、六人の委員会ですね、この提言というのは。委員長代理を置いてやったんですか。
  288. 川島鉄男

    ○川島説明員 会議を開催するときには、必ず委員長代理が主宰してその会議が行われております。
  289. 中路雅弘

    ○中路委員 それが事故の起きる場合ということを根拠にしてやられているわけでしょう。そこに私は矛盾があると言っているんです。事故じゃなくて委員長を外してやる会議ですね。それを、さっきのようなことを根拠に持っていって、委員長に事故があるから委員長代理を置くのだというところに根拠を置いてやられているから、その会議のその根拠から言えば、それは正しい適用じゃないのじゃないかということでそういう矛盾が起きる点があるわけだから、これは一度そのあり方について検討された方がいいのではないかということを提案しておるのです。  時間も余りとりたくないからあれですけれども、しかし一度この問題は、やはりそういう矛盾があることは事実なんですから検討をされる必要がある。しかも、それが正規の会議だとすれば、正規の提案として出されてもいいわけでしょう。それが正規のあれじゃないということを答弁されている以上、そういうふうな委員長代理を置いて正規の委員会としてやられたことでないということは事実じゃないですか。
  290. 川島鉄男

    ○川島説明員 いま先生が御指摘になりました、これを拡大解釈すれば、まあ事故ということになるかもしれませんけれども、まさに事故という言葉で予定している事情と必ずしも一致しないじゃないかという点は、そのとおりかと思います。別に違法とまでは言わないとしても、言葉として果たしてそこまで拡大してどうなんだというような疑点は残るかと思いますが、まあしかし、いずれにしましても、そういうことでは非常に厳しくくくった会議としては成立しにくい場合が多々あります。特に国会開会中等にはありまして、大臣は出席できないことも多うございますし、一応そういうふうに拡大解釈してやっておりますが、の概念として果たしてどうだろうかという疑念があるということについては、私も全くないとは言えないかと思います。  それから、先ほどの六人提言でございますが、これは先ほどちょっと御答弁申し上げましたけれども、敷衍して申し上げますと、正規の会議におきまして六人の意見として出そうという意思決定があったわけで、委員会の意見として出そうということではないということの決定があったのだというふうに私どもは理解しております。
  291. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしても、いまの御答弁でも、少し無理があるということはお認めになっているわけですから、違法というまでいかなくても、私は、そのことを問題に言っているので、もっとすっきりした形にしないと、そういうように拡大解釈して、法的な根拠についても運用されている、それは最初のところにやはり矛盾があるからだと思うのですが、その点は一度検討もしていただきたいということをあわせて、少し無理があるのだということはいまも御答弁でも出されているわけですから、きょうはこの前御答弁の政務次官もお見えになっておりませんからこれにとどめますけれども、十分検討していただきたいということをあわせて要請しておきたい。  もう一つ別の問題ですが、広報室の出された世論調査ですね、三公社五現業職員の労働基本権に関する調査ですが、この調査について、最初の調査目的を見ますと「三公社五現業職員の労働基本権について国民の意向を調査し、公共企業体等の労働政策の参考資料とする。」公共企業体の労働政策の参考資料説明されているわけですが、しかし労働基本権についての調査ということをうたわれながら、実際この中身を読んでみますと、その中のスト権だけを取り出しての調査になっているわけですね。そうして時期で見ますと、五月二十一日から五月三十日という時期に行われているわけですが、この調査が、実際はスト権だけ取り上げて調査をやられている、労働政策の参考資料ということで。調査の目的あるいはこういう時期になぜこの調査をやられたのかということを、もう少しお聞きしておきたいと思います。
  292. 関忠雄

    ○関説明員 お答えいたします。  御指摘のこの「三公社五現業職員の労働基本権に関する世論調査」でございますが、この調査目的の表現が中身とふさわしくないじゃないかという御指摘でございます。調査目的がスト権に関する国民の関心度というものを中心にいたしましたので、この調査目的の表現がいささか不適当だったという御指摘につきましては反省をしております。  それから、この五月二十一日から三十日、こういう時期にどうしてやったかと、こういうお尋ねでございますが、この世論調査につきましては、スト権問題につきましての国民の関心も高まっている時期における国民の意識を調査するということが適当であるというふうに考えまして、この時期に実施をいたしたような次第でございます。世論調査実施時期なり実施方法につきましては、国民の意見が広く正しく反映されるものとなるよう努めておるような次第でございます。
  293. 中路雅弘

    ○中路委員 この世論調査については、一般新聞も非常に批判を向けているわけですね、当時。読売新聞なんかでも、この世論調査が客観性を要求される調査のやり方としては非常に不手際だということは否定できないというふうに言っていますけれども、労働基本権についての調査と称しながら、いま御答弁のように、スト権だけ取り上げるという形で、それもこの五月二十一日から三十日というのは、いわゆる春闘のストライキの直後でありますし、後で御質問しますけれども、この調査の項目、中身を励ますと、反対の結論を誘導するような設問が非常に多くあります。調査の時期と、この設問とも関連して、いわゆることしの秋には何らかの結論を出すだろうことを予定している公企体の関係閣僚協議会でのスト権問題での資料にしていこうということが、いろいろ調査の全体を見てみますと、非常に裏書きされているんじゃないかというふうに思うのですが、直接の調査の目的としては、この公共企業体の閣僚協議会、こういったものに向けた対策としてこの調査をこの時期にやられたというので間違いないんじゃないですか、そういう意図で……。
  294. 関忠雄

    ○関説明員 この調査でございますが、私どもで行っております世論調査、いろいろなものをやっておりますけれども、総理府独自で企画して行いますものと、また各省庁の希望に基づいて実施するものとあるわけでございますが、毎年度各省庁の要望を総理府において調整をした上でそのテーマを決定し、計画的に実施をすることとしておるのでございます。本件につきましても、公共企業体等関係閣僚協議会の事務局より要望がありまして、必要と認めて実施をいたしたのでございます。  この質問の立て方と申しますかが非常に意図的ではないかと、こういう御指摘でございますけれども、この質問の立て方としまして、一般的な入りやすい事柄に関する質問から複雑な事柄に関するものに移るのが世論調査の手法として通例でございますので、その方法に従って質問を組み立てたわけでございます。誘導的にこの質問を立てたといったような意図は毛頭ございません。
  295. 中路雅弘

    ○中路委員 それじゃ、もう二、三問中身で質問しますが、三公社五現業のスト権問題についての調査ということになっていますけれども、実際この設問を見ますと、Q3で、国鉄ストで迷惑を受けたことがあるかということがいきなり質問で出てくる、ストライキの直後ですね。そして、その後でスト権を認めることの賛否を尋ねるという設問になっていますし、Q3を見ましても、国鉄ストと郵便ストの二つの例示をしているわけで、三公社五現業といっても、その他のスト権問題については何の設問もないですね。国鉄と郵便という問題だけについて出ています。Q4でも例示が出ていますけれども、他のいろいろ林野だとか印刷だとか、そういう企業体は除外をしているわけですが、こういう点でも、春闘のストライキ直後に国民生活関係のある国鉄、郵便ストに集中をして設問をしていく。だから、労働基本権といっても、ストライキだけにしぼっているわけですし、そのストライキも三公社五現業の調査といっても、賛否ということですけれども、事実上は国鉄ストに焦点が当てられているという設問に最初からなっているんじゃないですか。これは三公社五現業といって、ほかのところはどうして外しちゃったのですか。
  296. 関忠雄

    ○関説明員 この世論調査の表題のっけ方について不適当じゃないかという御指摘につきましては、私どもとしても反省をしておるというふうに先ほども申し上げました。表題は私どもで便宜つけたような次第でございまして、今後とも、こういう表題から中身に何らかの疑点を持たれるようなつけ方についてはいたさないようにいたしたいと思います。  それから設問の仕方で、国鉄スト等で迷惑を受けたかということから入っておるということについての御指摘でございますが、これまた先ほど申しましたように、質問の立て方として一般的な事柄から入ってまいるという手法によって行っただけのことでございまして、意図的なものは毛頭ないわけでございます。
  297. 中路雅弘

    ○中路委員 意図的なものがないと言われるのですが、それが設問を次々に見ていくと、非常にはっきりしてきているわけですね。たとえばQ6の回答例、これはもうみんなそうですか、たとえば国民生活への迷惑と支障ということを中心に挙げられています。あるいは職員の安易な気持ちによる弊害、スト権問題の判断の基準、それにこういう設問をしていくということになれば、民間労働者のスト権も否認する根拠になってくると私は思うのです。たとえば私鉄だとかバスだとかタクシー、そういう場合は同じ問題がありますし、地方自治体でもごみ処理やくみ取りですね、そういう下請の労働者の場合の問題を考えた場合でも、これを判断基準にしていくということになれば、当然スト権の否認の問題になりますから、こういったものがそういう判断の一つの例示として出されるということにも問題がありますし、その次の企業体の財政事情というものも問題があります。企業体の財政状態のいかんによってスト権問題が左右されるというのも全く性質の違う問題ですね。企業体の財政事情が悪いかどうかという問題は、また別の論議の存する問題です。この企業体のスト権を行使する問題、これは職員団体が自主的に判断する一つの事項であって、私は当然、スト権を認めるかどうかの判断基準にするべき性質の問題じゃないというふうに思います。  それで逆に言うと、今度はいまのスト権問題で労働者側の方が主張しているもの、そういうものが例示に全くないんですね。たとえば公務員も憲法にいう勤労者であるから、憲法で保障されたスト権は認めるべきだという労働者側の意見、あるいはこのストライキ権がいわゆる行政機構の民主化、腐敗やそういうものに対する、労働基本権というのはやはり行政機構の民主化と結合して、そういう角度からむスト権の問題を、回復を主張する意見もあります。そういった労働者の方の側の意見について皆さんの判断がどうかというのは全く例示の中にないということで、主として国民に迷惑をかけたかどうか、あるいは財政事情が悪い場合にストライキはどうかというようなことが例示になっていますから、意図的なものはないとおっしゃっているわけですが、一般新聞さえ今度のこの世論調査については、不手際は否定できない、先ほど言ったように、幾つかの新聞もそう指摘しているようです。  この調査のやり方が、全くそういう点で一つの結論を最初から予定して持っていく、判断基準というのが、スト権問題を論議していくそういう基準として出されているものに値しないものが皆出ているわけです。先ほど意図的なものはないとおっしゃっていますけれども、具体的な幾つかの例を挙げても、その点は明白じゃないですか。
  298. 関忠雄

    ○関説明員 お言葉を返すようですが、この質問の中に、たとえば国鉄の職員にストライキ権を認めることに賛成した人に対して、どういう理由で賛成ですかというので「ストライキ権は、国鉄職員といえども労働者としての権利である」あるいは「労働者の生活を守るためのストライキであるならばやむを得ない」そういったような設問もしております。また、スト権を認めるかどうか検討するに当たって考えなければならない点ということの中で、労働者としての立場や生活というのもその例示の中に挙げておるのでございまして、私どもとしましては、国民がどういう問題に関心を持っておるであろうかということを正確に把握するために、かなり努力をいたしておるつもりでございます。
  299. 中路雅弘

    ○中路委員 こういう調査というのは、設問の仕方や配列あるいは回答例、そういったものによって非常に大きな結果の違いが生まれてくるわけですから、その点では調査における公正といいますか、十分検討してやらなければいけない問題だ。その点では、やはり全体を通して見て、今度のやられた調査については、中身について非常に問題があるということで取り上げたわけですが、この調査はどこで——広報室ということになっていますが、実際指揮をされたのか。設問や回答の様式、それはどういうところで作成されてやられたのですか。実際の責任はどこでやられたわけですか。
  300. 関忠雄

    ○関説明員 質問の作成は当広報室において行ったものでございます。したがいまして、調査責任は私ども広報室でございます。
  301. 中路雅弘

    ○中路委員 細かい一つ一つの項目について論議はしませんけれども、いま言いましたように、最初からこれは「三公社五現業職員の労働基本権に関する調査」ということで出されているわけですけれども、しかしお認めになっているように、中身はスト権問題にしぼられているわけですし、それも三公社五現業というのじゃなくて、主として国鉄ストを対象にして取り上げている。その点では非常に問題がある設問も幾つかあるわけですから、今後こういう調査をやられる場合に、十分公正な世論の反映ができるようにやはり懐重な検討をされて、調査の目的も明確にしてやられる必要があるのではないかということを、私は強く指摘しておきたいと思うのですが、もう時間も遅くなっていますから、個々の内容について具体的にこれ以上お話しをしませんけれども、その点では私は、いま二、三の点だけしか指摘しませんでしたが、表題から中身等を見ると非常に違うものがあるわけですから、こういう調査については、いま言いましたように、調査の目的に沿った正しい判断ができるような問題の設定というものを強く要望したいと思うのですが、いま調査をやられた時点で、率直に振り返ってみて、そういう点で問題があった調査ではないかと思うのですが、お考えはどうですか。
  302. 関忠雄

    ○関説明員 今後とも、表題のつけ方も含めまして、世論調査の適正な実施ということについて努力をいたしてまいりたいと思います。
  303. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が遅くなっていますから、きょうはこの問題じゃなくて、中心は国際会議の問題、日本代表の皆さんの発言と実際の国内の実態が相当かけ離れている、国際的な会議では相当かっこいい発言を政府代表の皆さんやられているんですけれども、それがいろいろ実態と合わない、かけ離れている点がたくさんあると思いましたので、その点を一つずつ具体的に御質問をしてみたい、お考えをお聞きしたいと思っていたのですが、長官がおられた場合の方がよりいいのじゃないかと思いますので、別の機会にまた給与の問題で質疑をする機会もありますから、時間も遅くなっていますから、その部分は除いて終わりたいと思います。
  304. 越智伊平

    ○越智(伊)委員長代理 御苦労さまでした。  次回は、来たる二十六日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十七分散会