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1975-07-30 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年七月三十日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 加藤 陽三君    理事 木野 晴夫君 理事 箕輪  登君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       伊能繁次郎君    近藤 鉄雄君       林  大幹君    吉永 治市君       綿貫 民輔君    山本 政弘君       鬼木 勝利君    受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         管理局長    長橋  進君         人事院事務総局         任用局長    小野 武朗君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         人事院事務総局         公平局長    今村 久明君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         総理府人事局長 秋富 公正君         総理府人事局参         事官      石田  均君         行政管理政務次         官       阿部 喜元君         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛施設庁長官 齋藤 一郎君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         労働省労政局長 青木勇之助君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 七月十日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     中尾 栄一君 同日  辞任         補欠選任   中尾 栄一君     近藤 鉄雄君 同月三十日  辞任         補欠選任   大石 千八君     綿貫 民輔君   三塚  博君     伊能繁次郎君 同日  辞任         補欠選任   伊能繁次郎君     三塚  博君   綿貫 民輔君     大石 千八君     ————————————— 七月四日  一、国の行政機関の休日に関する法律案大出   俊君外六名提出、第七十二回国会衆法第二〇   号)  二、一般職職員給与に関する法律の一部を   改正する法律案大出俊君外六名提出、第七   十二回国会衆法第二一号)  三、休日の範囲の改定等のための民事訴訟法等   の一部を改正する法律案大出俊君外六名提   出、第七十二回国会衆法第二二号)  四、内閣法等の一部を改正する法律案内閣提   出、第七十一回国会閣法第二七号)  五、内閣法の一部を改正する法律案内閣提出、   第七十二回国会閣法第六号)  六、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改   正する法律案内閣提出第六七号)  七、職員団体等に対する法人格の付与に関する   法律案内閣提出第六八号)  八、行政機構並びにその運営に関する件  九、恩給及び法制一般に関する件  一〇、国の防衛に関する件  一一、公務員の制度及び給与に関する件  一二、栄典に関する件  一三戦没者等慰霊等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 休会のところをお集まりいただきまして大変恐縮でございますが、事が国家公務員あるいは地方公務員皆さんの生活にかかわる問題でございます。かつまた最近の新聞関係方々が取り上げておられる中身からいたしましても、大変全国公務員方々が心配をしておられまして、一体ことしの勧告の扱いなどというものはどうなるのだろうか、こういうことでたくさんの連絡も来ておりまして放置するわけにまいりません。あわせて人事院勧告が、新総裁藤井総裁の手で行われる日にちも間近に来ておりますので、あえて御足労をおかけした、こういうことでございまして、ありがとうございました。  そこで、まず最初に承っておきたいと思っておりますのは、やがて大平大蔵大臣、御出席いただけることになっておりますけれども、いずれにしても財源措置をめぐる問題が大きく取り上げられておりますので、大蔵事務当局どなたがお見えになっておるかわかりませんけれども、五十年度歳入欠陥なり法人税あるいは所得税の落ち込みなりという問題が非常に大きなウエートを占めたいまの論調になっておるわけでありますが、そこら一体どういうふうに皆さんが見ておられるのか、当初の予定から見て、どのくらい落ち込んでどういうふうになりそうなのかという、ここまで来れば全くわからぬで済む筋合いでありませんので、そこで、そこら一体どう考えておられるのかということを冒頭に承っておきたいのであります。大臣見えになりましたら改めて細かく承りますが、とりあえずお答えいただきたいと思います。
  4. 松下康雄

    松下説明員 ただいまの御質問についてでございますけれども、本年度の非常に落ち込んでおります経済情勢からいたしまして、税収の今日までの実績につきましても、当初の予算に計上しておる分の収入の確保には及ばないであろうという点は十分うかがわれるのでございますけれども、何と申しましてもまだ年度が始まりましてから三カ月分の実績しかわかっておらない状態でございますので、本年度全体を通じまして歳入欠陥がどれほどになるかという点につきましては、幾つかの見込みをつくって内部的な検討はいたしておりますけれども、まだいまの段階ではっきりとした数字を申し上げることができる状態にはなっておりません。
  5. 大出俊

    大出委員 どうも大臣おいでにならぬところでございますから、重複いたしますので細かく入るわけにもまいらぬ気がいたします。せっかく事務当局御出席いただきまして恐縮なんですけれども、そういう意味で、そう大した時間ではございませんから、その間別な関係の方を質問させていただきます。  総務長官に承りたいのでありますけれども、いわゆる春闘をめぐりまして、五月段階でその幕切れに職員団体皆さんとの間の話し合いが行われまして一つ結論が出ているように承っております。総務長官が物を読み上げて、こういうことでということでまとまっているわけでありますが、そこら一体どういう答え方になっておりましたのか、この席上で改めてひとつお答えをいただきたいのでありますが、いかがでありますか。
  6. 植木光教

    植木国務大臣 春闘の際に公務員共闘その他組合関係方々に私から申し上げました主要なる点につきましては、まず第一番に、給与改定については人事院勧告が行われた場合にはできるだけ速やかに改定法案を策定をいたしまして、これを国会において御審議をいただくということでございます。さらに、組合公労協と同じ程度給与改定を期待するということは理解ができるという点でございます。それから、いわゆる処分の実損回復でございますが、これにつきましては、引き続き協議を続けてまいりたいというような点について私から発言をいたしまして、組合としては了承をいただいたわけでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 実は問題がきょうは多岐にわたっておりまして、一つ勧告をめぐりましての財政当局の物の考え方、もう一つ勧告の時期、内容にかかわる幾つかの問題、あわせていま、公労協並みの、あるいは公労協程度勧告が行われることを期待するという総務長官がお述べになりましたようなポイント、さらにこの問題をめぐりまして一つ相場と申しますか、労働省が二十億以上の企業等についての春闘賃金引き上げ率、額についての発表をされておりますが、新聞その他の論評によりますと、どうもそこら一つのめどになっておるわけでありますが、ここらをめぐる問題、つまり公労協並家という一つスタンドポイントというのを一体どこに置くのかということなのであります。あわせて、しきりにいまほかの方からも横やりが入っておりましたりいろいろいたしますから、自治省にかかわる、地方人事委員会委員長さんを集めてどうのこうのと穏やかならぬ話も出てきておりますからここらの問題、さらに週休二日制をめぐりましての行政管理庁からの、これまたどうもとんだ時期にとんだ物の言い方が出ておりまして、果たしてそれだけの権限がありゃと言いたいわけでありますが、そこらの問題あるいは防衛庁給与、それにかかわる二、三の問題、たくさんあるわけであります。  そこで、財政当局から入りたいと思ったわけでありますが、大臣おいでになる時間のずれがございまして、とりあえず大筋を幾つか承っておいて、財政当局の問題に戻りたいと思うのであります。  人事院総裁に次に承りたいのでありますが、まず勧告の時期は、私のかつての質問お答えになって、八月の十日ごろまでにば出す、こういう実は答弁になっているわけであります。三木さんの訪米等もございますけれども、一体人事院はいつごろ勧告ができる、そういう取り運びになっているのかという点、一つずつお答えいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  8. 藤井貞夫

    藤井説明員 本年の勧告の時期につきましては、前の機会に八月の十日前後になるのではないかという意味のことを申し上げたと思うのであります。その後、鋭意連日強行軍の作業を続けておりますが、その事務的な運び並びにいま御指摘になりました総理大臣訪米日程ということの絡み合いもございますので、まだ最終確定というところにまでは至っておりませんが、大体総理がお帰りになったなるべく早い機会ということに相なろうかと思っております。
  9. 大出俊

    大出委員 総理のお帰りになるのは、これは公式日程でありますから、はっきりしているわけでありまして十一日の夜。昨日、私が海部官房長官に直接確かめましたら十一日の夜、こういうわけであります。したがって、そのきわめて面後ということになりますと、十二日あるいは十三日というところがきわめて直後なんでありますが、そこらのところだというふうに判断をしてよろしゅうございますか。
  10. 藤井貞夫

    藤井説明員 最終的な詰めは、まだわれわれの方の事務運びぐあい、あるいは政府の日程のとりぐあいということで決まっておりませんことはいま申し上げたとおりでありますが、いま大出委員がおっしゃいましたように、総理が御帰国になるのが十一日ということでございますので、大体それとの絡みで申しますと、常識的なところはそのころということに相なるのではないかと思います。ただ、個人的な問題でございますが、総理も大変おくたびれになるということもございましょうし、それらの点のことも総理府あるいは官房筋との意見の調整を図りながらやっていくということでございますが、十五日以後になるということはないと思っております。
  11. 大出俊

    大出委員 話した限りでは、十一日の晩に帰ってくる、翌日というのはどうもという官房筋の話でありました。確かにお疲れになる点もございましょう。翌日ということはどうも困るという趣旨であるとすれば、十二日が翌日でございますから、きわめて早くというならば十三日。そこで総裁は、十五日より遅くなることはない、まあこの辺だというわけでありますね。とりあえず、そういうことにいたしておきます。  それから、大平大蔵大臣との時間がダブりますので、順序不同になって私の方もやりにくいのでありますが、労働省労政局長青木さんお見えになっておりますから、この際、労働省数字について考え方をひとつ承っておきたいのであります。  労働省は、例年のことでございますけれども、春闘のいかほど率的に上がったのか、金額はどのくらい上がったのかということなどを中心数字を出しております。そして一三・一という数字を出しておられるわけですけれども、いささかこれは不可解な点があるので承っておきたいのであります。  ここに五十年七月七日ということで「昭和五十年民間主要企業春季賃上げ状況労働省労政局労働組合課ということで資料が出ております。これを見ますと、単純平均でいきまして一三・一、こういう数字が出ております。加重平均でいきますと、後ろの方に資料一つついておりますが、一二・九という数字でございます。一二・九に下がるのは、人員ウエートその他低いところがたくさん入っておりますから当然の結果だと思いますけれども、そこで、なぜこの中に金融関係を入れていないのかという点。極端な結論を先に言ってしまいますと、ことしこの数字はどうもでき過ぎている感じがする。どうも青木さんのところでうまく——労政局というのは政治がかっておりますから、うまく時の政治情勢に合わせたのではないか。極端に言うとそういう疑いがきわめて濃い。例年載せていないとは言いながら、なぜ一体、ことしは金融関係は非常に好況を呈しておりましたが、取り上げようとしないのか。  あわせて、繊維あたり不況産業でございまして、鐘紡のようなところもありますが、二十三企業もここに入っておる。化学のごときは何と四十九も入っておる。ところが、鉄鋼はわずかに八しか入っていない。鉄鋼七社は前年に引き続いて標準労働者三十五歳勤続十二年、これで妥結したので鉄鋼七社は上記の表から除外した。一四・九も上がっておる鉄鋼の新日鉄初め大手七社をみんな抜いちゃった。これは一体どういう理由に基づくものか、まことに理解に苦しむわけであります。  三点挙げましたが、一体どういうお考えなのか承りたい。まさに信憑性の全くない表であるということになる。いかがでございますか。
  12. 青木勇之助

    青木説明員 お答え申し上げます。  まず、労働省でやっております春季賃上げ調査でございますが、調査対象企業は、先生御存じのとおりに東証及び大証第一部上場企業でありまして、資本金が二十億円以上、従業員千人以上の企業といたしております。なお、当然のことではございますが、当該企業労働組合があり、毎年春に賃上げ交渉を行う企業、これを対象といたしております。  また、沿革的に申し上げますと、この調査製造業中心にそれぞれの業界での代表とも言うべき企業を選定してまいってきておりまして、そういうことで建設業等と並びまして金融関係相場形成の面でそれほど重要な立場にないというようなこともございまして、従来から現在までのところ調査対象とはいたしておらないわけでございます。  また、鉄鋼大手につきましては、先生指摘のとおりこの集計に入っておりませんが、昭和四十七年まではこの調査集計対象といたしておりました。しかし、一昨年から労使双方ともいわゆる標準労働者ベース、本年は組合側は三十歳勤続十二年、会社側回答が三十五歳勤続十二年というパターンに要求、回答が変化してまいってきておりまして、現在他の産業と平仄が合います平均労働者ベースというものの数値が得られないために、やむを得ず集計対象から除外いたしておるわけでございます。  次に、調査対象企業産業別バランスの問題、いま先生から御指摘がございましたが、これもこれまでできるだけ考慮してまいってきておるつもりでございまして、たとえば従来入っておりませんでした繊維が、春に賃上げを決定いたすということで繊維を四十九年から入れてまいっております。そういうことで、漸次ばらつきをなくするようにいたしてまいってきておりますが、現在なお先生指摘のとおり若干のばらつきがあることも事実でごごいます。  ただ、この点につきましては、この調査の過去の長い沿革、経緯等もございまして、いまにわかに改めるということはむずかしいと考えるのでありますが、今後、先生のただいまの御意見等を貴重な参考意見といたしましてよりよいものに改善してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから第三点の加重平均の点は、ただいま先生指摘のように、本年は従業員数組合員数ウエートの比較的大きい電機及び繊維等賃上げ率が低率にとどまりまして、その結果一三・一が一二・九、こういうことになっておりまして、別段作為的な加工は一切いたしておりません。そういう数字でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 そういうことを言ってもだめなんですよ。繊維は四十九年から入れた、こう言うのだけれども、旧来入れていなかったものを入れたんだから、入れないなら入れないでいい。ところが、繊維が昨年来大変に落ち込み始めて、それをわざわざ入れた。銀行はこの不況の中で非常に好調を呈している。これは入れない。しかも取り上げた企業の数、これもまためちゃくちゃだ。不況産業繊維なんというものは二十三企業も入れている。電力が九、ガスが三、新聞放送が六。製造業中心なら新聞放送なんか要らない。電線が六、鉄鋼が八、セメントが五、ゴムが四、石油が八、化学は四十九も入っている。若干のばらつきどころじゃない。ばらつきだらけだ。金属鉱業六、石炭が五、水産食料品十九、こういうわけだ。これは作為的でないと言ったって作為的に読めるじゃないか。  そこへ持ってきて、あなたはそういうことを言うけれども、私は昨日、組合課の方になぜ一体こういうことをするのだと電話で物を言った。なぜ一体金融関係を入れないのだ。ことしの春闘後半における、公労協にしても公務員にしても、人事院をめぐってもそうなんだが、残った金融業等その他が一体どうなるのか。これは上がるであろう。繊維も残ったんだが、しかしこれは下がるであろう。そこらがことしの春闘の締めくくりとして一体どうなるかというのがポイントなんだというのがわれわれの論争点だ。片方の繊維の方は二十三も入れたけれども、金融関係は入れない。製造業中心なら新聞放送だ何だというのは入れる必要はない。そこで詰めてみたら、金融関係情報がとれない、こう言う。じゃ一体、ここにあるこの数字情報はどうしてとったのだと言ったら、組合課中心になって主として組合からとった、企業は出してくれない、出しても本当のことを言わない、組合からとったと言う。  かつて私が事細かに各企業組合側情報をとりまして委員会質問いたしたことがあります。昨年であります。あなた方は答弁しようがない。おわかりにならない。組合からとるならば、組合に一番近いわれわれが一番詳しい。金融関係については情報がとれない、だが高いようですと言う。情報がとれないで高いようですと言うのはどういう意味かわからぬけれども、入れないなら入れないでいいけれども、それでは、入っていないから聞くんだが、金融関係というのは一体どのくらいにおさまっているとあなた方はお考えですか。労働省労政局というところがあって、組合課というところがあって、金融関係がどのくらい上がったかがわからぬで事済むと思っておられるんなら、そんなくだらぬ組合課なんか要らない。いかがでございますか。
  14. 青木勇之助

    青木説明員 お答え申し上げます。  先ほど繊維を四十九年から入れると申しましたのは、この調査は四月に賃金改定を行っているものを取り入れているわけでございまして、繊維関係は従来は六月改定でございまして、そういう関係で従来は入っておりませんでした。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。  なお、金融関係につきましては、都市銀行関係は大体平均一二%ぐらいというふうに了知いたしております。
  15. 大出俊

    大出委員 金融関係というのは都市銀だけじゃない。  それじゃ、その一二%というのは何を根拠にあなたはおっしゃるのですか。私は、ここにマル秘資料をちゃんと全部持っている。マル秘と判が押してあるでしょう。銀行協会なんてものは——われわれにマル秘資料が手に入るのなら、皆さんに入らぬはずがないじゃないですか。何ということをあなたはおっしゃる。ここにあるこれだって都市銀ですよ。平均で言うと三十歳一七・一二、二十九歳が一七・五一、三十一歳が一七・九一。マル秘とべたり判こが押してあるじゃないですか。そこから見たってわかるでしょう。全部載っかっている。何が一二%ですか。ふざけたことを言っちゃいけませんよ。あなた方は、資料も何も出さぬでそんなばかなことを言ったってだめだ。マル秘とべたり判こを押したものがここにちゃんとある。そういういいかげんなことを言うから、つくられた資料だと言うんですよ。  地銀関係だって、ここに一つ残らず全部載っかっている。主要銀行全部。決して低くはないですよ。一二%なんてところは一つもありはしない。北海道銀行一四・九%、青森が一四・九%。ずっとこう長々とある。荘内あたりだってこれは一五%、東邦銀行で一五%、常陽銀行で一四・九%、足利銀行で四・九%、群馬銀行で一四・八%。これはみんなここに載っかっているじゃないですか。これは地銀協、地方銀行全部です。これだけあればたくさんでしょう。一二%なんていうのは一つもありはしませんよ。一四%以下というのも一つもない。一三・五%というのがあるだけ。一三・五%、たった一つだけ。北陸の池田という銀行。あなた、そういういいかげんなことを言っちゃだめですよ。一二%という資料をここで出してください。そんなものは一つもないじゃないですか。
  16. 青木勇之助

    青木説明員 都市銀行関係につきましては、組合課で調べました数字は大体一二%ということに相なっております。  それから、市銀以外の地銀とかそこらは一五%前後のかなり高いものがあることは、先生指摘のとおりでございます。
  17. 大出俊

    大出委員 それじゃあなた、都市銀行を出してごらんなさいよ。ここにちゃんと都市銀行はある。公の席で名前を挙げることはこれははばかられる、マル秘だから。だから、わざわざここにある資料名前を消している。消したって写っているのだから、見ればちゃんと見えている。そういういいかげんなことを言っちゃだめですよ。常識じゃないですか、銀行のいいことぐらい。何を言っている。地銀より都市銀がみんないいに違いないじゃないですか。いまの動きを見てごらんなさい。地銀だって、私が聞いたってあなた方は何一つ資料を出そうとしないじゃないですか。ここに全部あるじゃありませんか。漏れているものなんかありはしませんよ。事細かに全部載っかっている。しかも年齢別に二十六歳、三十歳、三十五歳、四十歳、四十五歳。女子の方は十八歳、二十歳、二十二歳、二十五歳、三十歳。年齢別に全部出ているじゃありませんか。ここには相互銀行が全部ある。相互銀行なんていうのは大変に高い。一六%から一七・九%に至る間、ずらり並んでいる。そういういいかげんなことを言ったって通用しない。  つまり、この一三・一%なる資料がいかにでたらめなものかということは明らかです。おまけにこれは、景気の悪いところをよけい入れて加重平均をとれば落ちるに決まっているじゃないですか。さっきあなたが認めたとおりだ。それで一二・九%という加重平均をあなた方は出した。この一二・九%から公務員の二・八%の昇給率を差し引けば一〇・一残る。そうして労働省のこの数字を基礎に、しきりに一〇%、一〇%と、こう言う。  十六日の人事院総裁記者会見の席上だって、労働省数字はオーソライズされたものだと言う。一三・一%と出ている。加重平均でいけば一二・九%だと言う。私は、二・八%の昇給率なんというものは聞いたことがないのだが、私が去年聞いたら二・六%と言ったのが、昇給率は二・八%だと人事院が十六日に説明している。そうすると一〇%くらいになるということになる。全くもって労働省数字というものはインチキ過ぎる。企業の数を合わせて人員ウエートで落ちていくように計算すれば、逆算してごらんなさい、ちゃんとこう出てくる。それでぐあいの悪い一七%を超えているような高い銀行は入れない。  去年は、かつて四十九年以前は六月だったから、四月になったから繊維を入れたと言うけれども、そういう言い方をするなら、ことしの春闘なんというものは二段ロケットも三段ロケットもある。四月の段階ではこれこれにしておいてください、秋にこうしますからというのはたくさんあるのだ。それなら一体どう調査したのです。三段ロケットまであるのだ。四月はこうこうで秋にこうする、何々筋がうるさいから秋にこうする、後で一時金でこうしますと言う。  私は、組合の出身ですから、あなた方組合課へは他人が行くのじゃない。私は仲間の内輪なんだ。冗談言っちゃいけませんよ。こういうとてつもないものをこしらえて、そういうものをつじつまを合わせて一〇%だと言って、かね、大鼓であおったって、そんなわけにいかないのだ。ことしは一つ間違えば、人事院勧告というのは藤井さん、新総裁になって初めてなんだから、初めての新総裁が、一〇%なんということで労働省がつくった数字あたりを基礎にして物を言われたのじゃ、佐藤さんから藤井さんになった途端に人事院人事院のていをなさないということになってしまう。人事院の存在価値はない、そういうことになってしまう。そういう見え透いたことをしてはいけませんですよ。  時間がありませんから、私がここに持っているこの銀行マル秘資料を、ごらんになりたければ見てくださいよ。ちゃんとマル秘判こを押してあるのだから。年齢別に全部出ているのだから。これは都市銀行相互銀行地銀全部ある。一行も落ちてはいない。こういうのを入れれば、公労委があの仲裁裁定を出すときに一三・三という数字を基礎にした、それを軽く上回ってしまうのです。  さてそこで、青木労政局長さんの時間の関係があって、十一時半までしかここに座っておられぬということでしたから、大蔵大臣に実はきょうは御無理を申し上げて御出席をいただきましたので、時間がダブリますので、私はこの点だけを先に立証させていただいたというわけであります。この関連は後で人事院総裁なり総務長官なり大蔵大臣なりとの間でひとつやりとりをしたいと思っております。  そこで大臣、どうもお忙しいところをおいでいただいて恐縮でございますが、北海道においでになってしまうというので、きょうは残念ながら御出席をいただけないかと半ばあきらめたのですが、たまたま羽田発何時何分か知りませんが、お出になった飛行機が乱気流のためどうも北海道にお着きになれぬでUターンをされたというわけでありまして、たまたまここにお帰りいただいたわけでありまして、したがって大変タイミングがいいわけでありますので、北海道がわざわざ大蔵大臣をこっちへ帰してよこしたわけでございますから、公務員ベア十一月実施なんということをおっしゃるものですから、公務員諸君の怨念が大蔵大臣をこの委員会に呼び戻したことになるわけであります。  そこで承りたいのですが、せっかくの機会でございますから、何かどうもにぎやか過ぎて困るんですけれども、ポスト三木だなんという騒ぎになっておりまして、次期総理、大蔵大臣大平さんですから、こういう大蔵大臣の顔が新聞の正面に載って、この写真は大分こわい顔をしておられるのですが、そこで「公務員ベア 十一月まで実施を延ばす」こういうことを書かれると、既定経費の中に五%組んである。人事院は、いま私が立証したように、労働省のつくられた数字を基礎に一〇%勧告だ。そうすると五%組んであるんだから、人事院が一〇%出すだろう、ちょうど半分になるところまで実施時期を延ばして実施をするとすれば既定経費で間に合う、算術上はまことに都合よく合うわけであります。  新聞がこういう書き方をしているのですが、大蔵大臣、この公務員給与に関しまして、歳入の欠陥だとかあるいは税収の落ち込みだとか、いろいろな理由はございましょうが、そこらのことを理由にされて、去年七月二十六日勧告を年末までぶん延ばされた経験がありますけれども、実施時期まで削るとなると、これは穏やかでないのでありますが、そこらのところの真意を、違うなら違う、そういう考え方があるならあるとおっしゃっていただきたいのですが、いかがでございますか。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 公務員に対する処遇でございますが、政府としてこの問題は大変重大な問題でございます。常に心して処置を誤らないようにしてまいらなければならぬことは申すまでもないと考えております。  それでは、ことしどういうことかということでございますが、人事院の方では、遠からず民間給与あるいは公務員の生計費等を御判断になりまして御勧告があるやに聞いております。したがって、これがございました段階におきまして、重要な問題でございますから、政府部内におきましてよく相談いたしまして、誤りない結論を出したいと考えております。  もちろん、財政当局といたしまして、いま御指摘のように、中央、地方の財政が大変厳しい環境のもとにございますことでございますので、そういった事情につきましては十分御勘案をいただき、また公務員諸君の御理解も得なければならぬと考えておりますけれども、何さままだ勧告をちょうだいいたしておりませんので、そして政府部内におきまして協議を遂げておりませんので、いま国会の場におきまして、これこれしかじかという御答弁を申し上げるわけにはまいらぬことは御承知願いたいと思います。
  19. 大出俊

    大出委員 初めからしまいまでさっぱりはっきりしないのです。真ん中で少しはっきりするかと思ったら、またはっきりしないのだけれども、これが大平流答弁ということになるんですね。  そこで、はっきりしないのをはっきりさせなければならぬのがこの委員会なんですが、途中でおっしゃったことは、公務員諸君にも中央、地方の財政がきわめて苦しい、窮迫しているという実情を御理解をいただかなければならぬ、こういうお話が出てきた。中央、地方の財政が苦しい実情を公務員諸君に理解していただかなければならぬということになると、財政が苦しいので、完全実施、四月実施をしようというても、財政上なかなかむずかしいことをわかっていただかなければならぬ、こうなると、この新聞記事は全くうそではなくなるのでありまして、完全に実施し得ないことがあり得るということになる。いかがでございますか、そこのところは。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 財政は中央、地方を通じまして大変厳しい状況にありますことは、大出さんも御案内のとおりでございます。したがって、こういう状況に対しましてどのように対処してまいりますか、私といたしましては、中央、地方を通じまして、まず公務員皆さんの全幅の御協力を得なければ、この難局を突破できないことは申すまでもないことでございまして、そういった点について十分理解を求めて、御協力をいただきたいものと思っております。  したがって、公務員諸君の処遇問題というのは非常に重大だと思っておるわけでございまして、財政危機にありますだけに、それだけにまた御協力を賜らねばならぬわけでございます。また、それだけに処遇の問題は、財政が窮屈だからといって財政の都合だけで云々すべきものでもなく、全幅の御協力をいただくような、筋の通ったものにしなければならぬと思っておるわけでございます。  したがって、私がいま申し上げた公務員諸君の御理解を得たいという意味は、そういう意味でございまして、実施時期云々というようなテクニカルなものとの関係は別にございません。
  21. 大出俊

    大出委員 そこが、全国の皆さんはこの種の新聞記事を見て心配しておるところでありまして、大蔵大臣、つまり人事院というのはスト権にかわる代償機関であって、スト権は与えていないけれども、十分カバーされているのだというのがILOに対する長年の政府答弁であります。田中角榮さんが私の首を切って、三十三年以来私もILOに何遍も出ておりますが、政府の答弁はそういうことであります。  本来そういう性格の人事院勧告である。だとすると、これは私ば動かしがたいものだと考えているのでありますが、いまの大臣の答弁からすると、財政事情だけで考えるべきものではないが、財政窮迫の今日的実情を公務員諸君にわかってもらわなければならぬと繰り返しておっしゃる。だとすると、完全実施をする気持ちがあるのかないのかという点を再度承らないことには、御出席をいただいた意味がない。ここで言っておるように、実施時期を延ばすという気持ちがあるのかないのか、完全実施をするという気が逆にあるのかないのか、人事院勧告というのは原則ですから、そこを一体どうお考えなのかをもう一遍はっきりしていただきたい。いかがでございます。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、公務員の処遇問題というのは、政治の中では非常に重要な課題でございますので、おろそかにしてはならぬと考えております。人事院勧告は、それ自体尊重しますことは、国家行政の秩序の上から申しまして基本的なものであることもよくわかっておるわけでございまして、したがって、人事院勧告がございましたならば、それを尊重してまいる、できるだけ完全実施を考えるということは、当然のわれわれの念願でなければならぬはずでございまして、それをどのようにして実行してまいるかについて心を砕いてまいるのがわれわれの任務であろうと思います。  しかし、いま申しましたように、財政事情が大変窮迫をいたしておりますし、関係方面十分協議いたしまして、仮に勧告がございました場合に、これにどのようにこたえてまいりますか、これをどういう姿で尊重してまいりますか、できるだけ完全実施をいたしたいというのは、例外なくみんなが考える念願であろうと思うわけでございますが、こういう環境でございますので、十分御協議いただきまして、できるだけ完全実施の姿が実現できるようにしてまいらなければならぬと思っておりますけれども、十分の協議を遂げて、十分の御理解と御協力の上で、公務員行政もうまくまいれば、財政の危機の打開も可能になるように運んでまいるのがわれわれの責任であろうと思っております。
  23. 大出俊

    大出委員 そこまでおっしゃられますとわかるような気がするのですが、たてまえがございまして、人事院そのものが代償機関だという国際的な受け取られ方でありますから、そういう意味では当然人事院勧告というのは完全実施をする、こういう筋合いのものである、そこで切っておいていただければ、ここから先言うことはないのですけれども、ただしかしがどうも三回ぐらいついているわけですね。当然これはだれしも完全実施をしなければならないものであろう、こう思う、ただしかし財政がと、こう言うんですね。ただしかしの方は、したがってたてまえとしてこれは完全実施をすべきものである、しかし財政が苦しい、財政は苦しいけれども何とかしてうまく運営ができるような知恵をしぼって努力をする、そしてウエートを完全実施の方に置くのだ、こういう意味に受け取っていいのですか。そこのところはいかがでございますか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 いま申しましたように、完全実施ができるような方向に最善の努力をしなければならぬことは当然の政府の責任でございまして、これまでも毎年そのように努力を重ねてまいって、完全実施に至らないまでも漸次それに近づけてまいった経過は、あなたもよく御承知のとおりと思うわけでございます。政府も引き続きことしはどんなに財政が苦しくても、そういう方向への努力は私はしなければならぬものと考えておるわけでございますが、ことしの財政事情は申すまでもなく空前の窮迫状態でございますだけに、これをやるにつきましては、関係方面十分の協議を遂げ、深い理解と協力をいただかないと、それだけこの人事院勧告、それの実行というものが独走するような状態では、とても私は財政上の責任は持てないと思うわけでございます。十分こなれた理解と協力の上に立って、初めてそういう措置もまた生きてくると思うのでございます。そういうことは十分政府として努力をした上で実行いたしたいものと念願いたしております。
  25. 大出俊

    大出委員 その後の方が大臣、一言も二言も多いんですね。だれが考えても完全実施しなければ、ならないものなんだ、そこで終わっているならわかるのだけれども、また一つよけいおまけがついて、人事院勧告が独走するようなことになると大変なことになるという言い方をする。独走するもしないも、本来人事院というのは独立した機関、独任機関です。それを、これに介入する意思があるやにいま受け取れる。隣にいる人事院総裁に、大平さんが独走しなさんなよ、こう言っているように聞こえるのです。  そこで、承っておきたいのですけれども、おやめになりた高木事務次官がこの問題に触れて、介入せざるを得ないという言い方をされておるわけであります。これは次官が言ったことでありますから、どうもそこから先は単に事務当局のお話じゃでは困るのです。おやめになりましたが、事務次官がおっしゃったことですからね。ここにございますが、「財政圧迫の公務員ベア 政府介入が必要に 大蔵次官が講演」大蔵省の高木事務次官が六月二十六日「東京紀尾井町の赤坂プリンスホテルで開催中の日本生産性本部セミナーに出席し、「調整期の財政金融政策」と題して講演した。」この中で「政府がこれまで介入できなかった公務員の賃金決定機構を再検討し、ある程度財政当局が関与し得る体制へ移行する必要があると強調した。」つまり「公務員給与の引き上げ問題について介入の意向が表明された」いまいみじくも大臣の口から、ある意味では軌を一にして、人事院の独走は困ると言う。これは一体どういう意味なんですか。高い勧告を出してはいけないぞというのか、大蔵省の考えているような勧告をしろというのか、勧告の結果いかんによっては、たてまえはたてまえだが、本音はこの新聞にあるように、実施時期を延ばすぞぐらいを考えておられるのか、そこのところはどうなんですか。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 人事院は独立の第三者的な機関でございまして、大蔵省はもとよりどこからの干渉も受けないと思います。ここに藤井さんもおられますけれども、私どもそんなにうぬぼれておりません。また、過去におきまして人事院勧告というものについてとやかく事前に干渉いたしたこともなければ、事後においてこれをとやかくコメントいたしたこともないわけで、これを尊重してまいったことは御案内のとおりであります。高木君がどういうつもりでおっしゃったのか、それは私は存じません。また、速記録めいたものもございませんので、高木君にかわって私からお答えする立場にもありません。高木君の言われたことに対して私は責任を持つわけにまいりませんけれども、財政当局といたしましてまず第一に、人事院勧告に事前にも事後にも干渉する、介入するというようなつもりはございません。  第二に、これが独走されては困るということを申し上げたのは、これは政治といたしまして当然のことでございまして、私ども公務員行政も秩序正しく活力ある状態において維持していかなければならぬわけでございまするし、同時に、われわれのやっておりまする財政もまた秩序ある姿で処理してまいらなければならぬわけでございまして、各部門部門の行政がばらばらで動くというようなことがあっては困るわけでございます。先ほど申しましたように、いろいろな行政分野について十分理解があり、そして協力があるという状態が望ましいわけでございまして、そういうことを保障するためにも、人事院勧告がございました段階でよくよく行政部内十分協議を遂げまして、これをどのように受けとめてどのように実行してまいるかということにつきまして間然するところない理解を進めて、そして皆で十分の理解を持って行政に当たるようにしていただきたい。そういうことは当然やらなければならぬことで、そういうことをやっていなければ国会からおしかりを受けるわけで、私が申し上げていることは、別段変わったことを申し上げているつもりはありません。  それから第三の問題、時期的におくらすつもりがあるかどうかという問題。これはいま申しましたように、勧告をちょうだいいたしまして、それを部内でよく協議した上で私は責任のある結論を出したいと考えておるわけでございまして、いまの段階で申し上げることではございません。ただ、政府部内だれ一人として、何とかこの勧告をひん曲げて実行してやろうというような考えは持っていないと思います。できるだけこれを尊重していきたいという思いにおいては一致しておると私は思うのでございまして、こういう困難な状況ではございますけれども、皆よく協議を遂げまして、十分問題を消化した上で十分の理解をもってこの処理に当たるというようにいたしたいということを申し上げておるわけでございまして、先ほど申しましたように、この受けた後をどうするかということを、事前に私がお答え申し上げるのは、一閣僚にすぎないわけでございますので、いま時期尚早であろうと思いますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  27. 大出俊

    大出委員 大臣、くどいようですが、独走されては困る、勧告が独走するというようなことがあってはならぬ、こういうことなんですが、その意味がどうも理解しにくい。私もそう回転の悪い方じゃないのですけれども、ちょっとそこがわからない。だからかみ砕いて言えば、旧来、人事院が全く大蔵省とノータッチで勧告してきたとは思われない。非公式な話だから公にここで例を挙げることは差し控えますが、つまり大蔵省に相談するところは相談しろというのが独走があっては相ならぬということなのか、つまり、このぐらいの勧告になるというようなことを財政当局にあらかじめ話をするぐらいのことはしろという意味なのか。私は、たてまえとしてはあくまでも独立機関だから、人事院独自に調査をして独自に集計をして独自に勧告をするものなのだから、本来その意味では独走すべきものである、こう思っているんですけれども、そうでなくて一々相談しろの何のということになると、ILOへ行って物を言い直さなければならぬ、代償的性格の意味からいって。  いま大臣の言う独走してくれては困るという趣旨のことは、人事院が独自にやるのだが、介入はしないのだが、大蔵省側の心づもりもあってのことなんだから協力をしろ、つまり勧告はこのぐらいになるぐらいのことはあらかじめ相談をしてやってくれということなのか、そこらがどうも独走、こうあなたはおっしゃるのだがわからない。何とか私がははあそうかと思うぐらいのところまでは答えてくださいよ、せっかく質問しているんですから。いかがですか。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 人事院が独立の機関として自主的な御判断をされて、そしてそれを政府も尊重いたしまして公務員に対する処遇を処置してまいるという仕組み、これはいまの行政の秩序の基本の一つの柱でございますので、それを侵すようなことがあってはいけないわけでございます。しかし独立した機関でやられたことでも、それが他の行政とばらばらに機械的に実行されるというのではなくて、みんながそれを理解もし、協力もして実が上がるようにやってまいるということであってほしいと私は申し上げたわけでございまして、独走という言葉が必ずしも適切な言葉とは思いませんで、干渉とか独走を許さぬとか、あるいはわれわれの方と事前に何かしないと困るとか、そんな意味を込めて申し上げたことでないことは御了承いただきたいと思います。
  29. 大出俊

    大出委員 大蔵大臣の立場から、この今日的財政その他を含めた政治情勢というものを背景にして人事院勧告考えてくれ、こういう言い方を抽象的にされることはあり得るかもしらぬ、ただそれが、受け取り方によってはそれでも人事院に対するある種の圧力だということになるかもしらぬけれども、財政当局の責任者という意味でそう考えたと言うなら、これはそういう言い方もあり得るかもしらぬ、この程度には思います。それを出るものでない、こういうことであれば、それなりに私は私で理解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 当然のことだと思っております。
  31. 大出俊

    大出委員 それでは、いままでの大臣の御答弁を承りまして、旧来政府は人事院勧告というものは、その独立性、ILO等との関係における代償機関的性格であることを承知で完全実施への努力をしてきた、その方向に持ってきたのだ、だれしもそれはそう考えている、その限りでは、これを小切って変わった受け取り方をする、ひねった受け取り方をするということはだれしも考えていない、そういう小細工は考えていないというお話が実はありまして、ただ財政上非常に苦しいということだから、そこらは十分理解をして、政府部内で全体として苦しい中でどう実施ができるか、そういう努力を勧告が出ればしていきたい、こういう趣旨に受け取りますが、よろしゅうございますね。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 そこで、後の問題とも絡みますから二、三点承っておきたいのですが、昨年度、つまり四十九年度歳入欠陥といいますか、税収の落ち込みといいますか、七千六百億あるいは七千七百億というふうな数字が出ておりまして、政令改正等、先取り穴埋めみたいなことをおやりになっておられるようでございますし、五十年度になりまして何ヵ月もたっておりませんけれども、大変に新聞その他至るところで財政の窮迫が述べられておりますし、公に言っているかどうかわかりませんけれども、恐らく大蔵省の流しておられる材料だろうと思う記事がたくさんあるわけであります。  そこで国税三税、税収総体で考えれば、所得税法人税というのはおおむね七割ぐらいを占めるはずであります。ここが非常に、法人税にして九千億ぐらい落ちゃせぬかとか、あるいは所得税にしても大変に落ち込むという、そういう先行きの見通しが、確たる数字を話しておられるのは一点ぐらいでありますけれども、抽象的にあるいは比較的具体的に述べられている。幾つもここに資料がございますが、その辺を大臣は全体としてとらえて、いまおっしゃる財政窮迫ということ、なぜこういう結果を生んだかという、実は財政窮迫が後ろについて公務員給与が語られるわけでありますから、一体なぜこういうことになったかという、その原因、結果というものをはっきりさしておかぬと困りますから、そういう意味で承りたいのですけれども、なぜこういうことになったのかという、ここのところを大臣一体どうお考えになりますか。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 私ども去年のいまごろ、景気の推移は、恐らく年が明けますとだんだんと明るい展望が開けるのではなかろうかというように感じておったのです。参議院選挙も終わりましてぼつぼつ回復の段取りがとられて、年が明けますと景気は漸次明るい方向に向くのじゃないかというようなことを考えておったわけでございます。けれども、去年の上半期のような好況が続くというようには見ていなかったわけなんです。ああいう状況が続くとは思わなかったわけでございます。したがって、去年の補正予算の編成に当たりまして、私ども相当内輪に歳入の見積もりを立てたつもりでおったのです。あなたの言われる法人税にいたしましても、前年度増し二〇%ぐらいのところを押さえておったわけでございますし、個人、つまり土地の譲渡所得にいたしましても、おととしに比べて去年は大体五〇%程度に見ておったと思います。したがって、そんなに大きく見積もってはいなかったわけでございますけれども、実際は、暮からことしの春にかけましての数字が、われわれの予想を絶した落ち込み方でございまして、土地譲渡所得なんというのは、五〇%に見ておったのが二八%に落ち込んでしまうということでございまして、一年決算の法人にいたしましても、下半期は一一〇%程度あると見ておったのが、一月は九二%という数字に落ちてしまったわけでございます。すなわち、景気の落ち込み方というのが、われわれが予想しておったよりうんと激しいものがあったということでございますので、これは全く不明のいたすところでございまして、当時はこんなにまでなるとは思わなかったわけなんでございます。したがって、七千六百八十六億もの税の減収が生ずるなんということは夢にも思わなかったわけでございますが、それが事実になってしまったわけでございます。したがって、私ども非常な衝撃を受けたわけでございます。  しかし、こういうことを振り返って一つ一つのことをいろいろ吟味してみますと、それなりの理由はあるわけでございますので、この経験を十分踏まえた上で今後の処置を誤りないようにしなければならぬと考えておるところです。
  35. 大出俊

    大出委員 あわせて一、二点、これに絡んで承りたいのですが、所得税、これは税金を払っている人の八四・六%は勤労所得税を払っている人ですから、国税三税の中の大きなウエートを持っておりますが、大変に落ち込む。それで、個人消費支出の伸び率が一%落ちると税収でどのくらい違いますか。事務当局の方でも結構でございますが、ちょっと答えていただきたい。六百億ぐらいだろうと思いますが……。
  36. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 ただいまの大出委員の御質問の個人消費支出というお尋ねでございましたが、源泉所得税の中の給与の分につきましては、むしろ雇用者所得の方に関連づけて考えておりますが、雇用者所得が見込みに対しまして一ポイント減りますと、おおむね五百ないし六百億、むしろ六百億に近い方の減収になるのではなかろうかと考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 そうすると、経済企画庁の「五十年度の経済見通し並びに運営について」という、例の毎年お出しになる数字がありますが、ここでは個人消費支出の伸び率は一八・四%になっておるはずであります。ところが、労働省のさっき私がやりとりした数字で言えば、賃上げ一三・一ぐらい、労働省はそう言っているわけです。一体大蔵省は、五十年度予算をつくるに当たりましてどのくらいに見ておられたのか、私は恐らく一七%ぐらいの伸び率に見ておられたのではないか、あと対象人員が一%ぐらいふえる、こういう見方をしていたのではないかという気がするのですが、そこら一体いかがですか。
  38. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 五十年度当初予算の見積もりに用いました計数は、経済見通しと合わせておりまして、先生指摘のとおり雇用で一〇一%、賃金で一一七%、総合いたしまして一一七・一というように推定いたしております。
  39. 大出俊

    大出委員 そうすると、雇用で一%伸びを見て、消費支出の方で伸び率が一七%、一一七ですから一七%ということになりますね。ところが、これが一三・一ぐらいにおさまるとなりますと四ポイントからのずれが出てくる。一ポイント六百億前後——私は、六百億近いと思っているわけですから、四ポイントずれればそれだけで二千四百億円ということになる。だから、その意味所得税の落ち込みは当然二千四、五百億の落ち込みになってあらわれる。このことをいまお認めなわけでありますが、一ポイント六百億近いとおっしゃるのですから。  そうなりますと、私は、ことしの春闘をめぐりまして、かつて経済企画庁の皆さんに内閣委員会おいでをいただいて、さきの国会でも、かねや太鼓で昨年の十月以来日経連、経団連を含めまして、時には総理まで含めていろいろなことをおっしゃるのだが、四%くらいの成長率を、経済企画庁は運営見通しの中で言っておられるわけでありますが、そういう前提に立って物を考えていくと、これはえらいことになりはせぬかという、つまり個人の消費支出がとことんまでかれていく、景気刺激の非常に大きなウエートを持っている部門が全くかれてしまう、逆に税収は所得税の面で大きく落ち込む、そういう問題が出てくる、だから、しきりに賃金を抑えると言っても、物価との対比はもちろんありますけれども、そこらのところは、経済企画庁の見通しでも一八・四になっているのだから、よほど考えなければならぬ問題だということを再三指摘したわけであります。  だから、大蔵大臣はさっきそんなふうに思ってなかった、こういうことを言うのだけれども、いま私が例に挙げた、ことしの春闘の賃金引き上げを一三%ちょっとに抑えた、組合は負けた負けたと言っておるわけでありますが、きのう私は、大蔵省からここ数年間にわたる各種預貯金の個人の伸び率の数字を細かく出してみていただいた、毎年私は出していただいておりますけれども、実は大変な預貯金の伸び率が見られる、反面では。総需要というわけでありますけれども、そのうちの五〇%は御存じのとおりに個人消費支出でございます。財政支出が二〇、輸出が一〇、民間の設備投資その他が残りの二〇でございましょう。だから、とことんまでかれ過ぎる、つまり個人消費が伸びないという結果になっている。そうなると、もちろんこれは法人その他全部に響くわけでありますから、設備投資その他も沈滞現象が出てくる、法人税にも大きく響いていく。だから、日経連の桜田さんはそういうことを言っているけれども、内部は内ゲバで、何でこんなに抑え過ぎてしまったかという意見もたくさんいま見られる、これは御存じのとおりであります。  つまり消費、これがとことんまで落ち込んでしまうという一つの側面と、もう一つ、当時言われていなかった、所得税というのは累進課税ですから、賃金がよけい上がれば税収のふえるのはあたりまえ、一ポイント狂えば六百億落ちるに決まっておる。一三%に抑えれば、大蔵省は一七%プラス一%の雇用の伸びに期待していたわけでありますから、当然それだけで二千四、五百億の落ち込みが出てくることは明らか。いまそのことについて騒ぎをやるというのは一体どういうわけだ、初めからわかっているじゃないかと実は言いたいわけであります。  そこらのところは一体、大蔵大臣どういうふうに受け取っておられるのですか。つまり、そういう結果が出てきていて、それが一番最後に残った賃金引き上げを抑制している。しかもストライキ権もなければ団体交渉権さえない公務員に、財政窮迫なんだからという言い方で新聞にばかばか出されて、一番弱い、しかもインフレにも一番弱い、インフレ被害者である公務員諸君、ここに集中的に、賃金引き上げ社会悪と言わんばかりの書き方を追っかぶされる、こういうふざけたことはないと私は思っておるわけでありますが、いまの個人支出の伸び率を一七%ぐらいに見てきた、だが一三%におさまって四ポイントマイナスが出た、二千五、六百億、一つ間違えばそれ以上の減収がそこからも出てくる、これはわかり切ったことであります。そのことは物を買わない、貯蓄がふえてくる、低所得層の貯蓄が非常に伸びている、そういう現象、そういう結果になった責任は、私は、財政当局に大きくある、こう申さなきゃならぬと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  40. 大平正芳

    大平国務大臣 政府の言う雇用者所得と、それから今度の春闘で言う一三・一%でございますかのベアとは、同じベースにおける比較はできないと思うのです。一三・一というのは、いわばベースペイ的なものでございましょうし、雇用者所得は全体を含んでおりますので。  それからもう一つは、年度が第一・四半期を経過したということでございまして、あと四分の三年を残した今日、全体についてまだ確たる展望を語るには少し早いと思いますので、政府もまだ経済の見通しというものを書いていないわけなんでございます。この二つは、細かいことでございますけれども、御説明申し上げるまでもないことでございますけれども、一応御了承おき願いたいと思います。  それから、春闘のベアでございますけれども、本来、ベアの問題は労使の話し合いでお決めいただく、政府が関与すべきものではないということは、たびたび政府も申し上げておったわけです。それで、政府の指図で上下されるような、そんな弱い労働組合でもなければ資本家団体でもないように私ども承知いたしております。政府はそんなに力がございません。それで私どもは、去年の年末のボーナスにいたしましても、ことしの春のベアにいたしましても、税の見積もりの計算におきましては、もっと高いところを考えておったことは事実なんでございますが、先ほど申しましたような事情でそれが覆されたわけでございます。覆されたことも政府が計画性を持っていなかった証拠なんでございまして、政府は、そんなに一貫した方針でベアを抑えるとか上げるとか、そん力は、大出さんがおっしゃるようにはございませんよ。ですから、その点はせっかくの御提言でございますけれども、私とあなたと見解が違います。  しかし、いずれにいたしましても、そういうような結果になって、私どもで予想のようなぐあいにまいっていなかったわけでございます。そしてそういうことに対して責任はどうだというお尋ねでございますが、そういう状況を見通せなかった洞察力の不足は、確かに私どもの責任でございますので、これは逃げ隠れできません。先ほど申しましたように、こういう苦い経験を踏まえて今後の処置について誤りないようにしなければならぬというのが、いま私どもが考えておることでございまして、こういう見通しの過ちを犯したということにつきましては、何とも弁解のしょうがないわけでございまして、私初め政府の責任でございますことは申すまでもございません。
  41. 大出俊

    大出委員 ここで二つばかり承っておきたいのですが、もう時間もありませんが、いま私が例に挙げましたように、一三・一%というのは一体雇用者所得の伸び率とどうカラムかというようなことはいろんな議論がありますが、そう大差はない、おおむね四ポイントくらい落っこちる結果になる、つまり二千数百億所得税の減収が出てくる、あわせて法人税の方が、いろいろな数字がございますけれども、九千億くらいのものが落っこちそうである。もちろんこれはまだ三カ月くらいしかたっていないから、わからぬといえばわからぬわけですけれども、それだけでやはりもう一兆何千億かの減になっている。昨年の七千六百四十八億円の落ち込みなんかも、政令改正でいろいろ手当てをされましたが、かぶってきている。ということになりますと、確かに相当な落ち込みということになる。窮迫状態ということになる。  そこで、ならば一体どうするかという点が、これまた去年は七月二十六日の人事院勧告を何と暮れ迫るまでぶん投げられたわけですからね。さんざっぱらひどい目に遭ったわけでありますが、先行きの心配もますます公務員諸君にはつのっているわけでありますが、どういう手当てをあなたの方はなさろうとするか。一説には、補正で公共事業対象に一兆円ぐらいの予算を乗せたらどうかというような意見が出てきてみたり、いろいろな意見がいま錯綜しています。また、税財源をどこに求めるかということで、大臣がおっしゃったのかどうかわかりませんが、貸倒引当金の繰入率を下げるという、法人税四〇%として、当面一千億ぐらい何とか浮いてくるんじゃないかという、いろいろなことをいま皆さん考えのようであります。さらに、そこから先赤字公債の発行という問題が一つ出てきているわけであります。これは建設公債じゃない。これは四十年度の例もございまして、そこらまで触れましていましきりに書かれており、さたをされている問題でありますから、責任は責任として、これからどういうふうに運営をなさるかという基本的な問題がございます。さらにもう一つは、間接税分野で、戦後の取引高税云々の苦い経験もございますしいたしますけれども、付加価値税問題なんかも一つ間違えば出てくるのではないかという、二十四カ国もやっていることですから、そういうふうな問題がちらちら出てきているわけでありますけれども、そこらまで触れて、一体大臣は今後どういうふうに進めていこうというプリンシプルをお持ちなのか、承っておきたいのであります。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 例年でございますならば、もう少し事態の推移を見まして、秋深くなりまして、それまでの経済の状況、税収の状況、歳出の状況を見た上で、暮れに補正を出しまして処置するということでいくわけでございますけれども、私は、ことしはそうはいかぬだろうと考えております。何となれば、去年の補正予算で、すでに御案内のように大きな歳入減少を来したわけでございまして、ことしわれわれがまず第一にやらなければならぬことは、四月二日に成立さしていただきました予算の執行上支障ないようにまずせなければならぬわけでございます。公務員のベアがどうだとか景気対策がどうだとかいう悠長な話ではないのでありまして、いまの、現にお約束をいたしております予算の執行上歳入、かどれだけ不足するか、その手当てをどうするかということが第一の任務なのでございまして、それをまず第一にやっておかなければならぬわけでございますので、一・四半期しかまだ経過していない今日ではございますけれども、歳入の今後の見通しにつきましてまだ十分データを集め得る状況でないことも十分承知いたしておりますけれども、九月からお願いをいたしております国会におきましては、まず補正予算の姿でこの問題について解決をさしていただかなければならぬと思うのでございまして、それが第一の政府のなすべき仕事でございます。  それから第二に、生きた現実の問題といたしまして、いまあなたがお取り上げになりました給与問題もございまするし、これから経済政策といたしましてどういうことができるか、どういうことをすべきであるかという問題も、政府・与党ではいまいろいろ検討をいたしておるところでございまして、そういった問題について、でき得ればこの補正予算で答案を出さなければいけないのじゃないかと考えておるわけでございます。  しかしこれは、いずれにいたしましても、あなたが御指摘のように、尋常一様の手段で対処できるようなしろものではないと考えております。言いかえれば、普通の年でございますれば、税の自然増収がこのくらいあるから、これを補正でどれだけ計上するかというようなことで、長い問われわれは財政の処理をいたすことができたわけでございますが、ことしはとてもそんなことは望むべくもございませんで、あなたがいみじくも言われましたように、現行税制の中で行政府としての権限で処理できる増収の道がどこまで図れるかというような点をいま検討をいたしておるところでございます。これもしかし、相当大部分が国会と御相談をしなければできないことばかりでございまして、行政府にゆだねられたものはごくわずかでございます。しかし、ごくわずかなものにいたしましても、成案を得た上で、それは国会等に十分お話の上やっていきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、これは選択的増収と私は申し上げておりますが、そういうことを第二に考えていかなければならぬと思っておりますが、それをもってしても金額は限られておりまするし、需要は大きいわけでございますので、どういたしましても公債政策に頼らざるを得ないことになるのではないかと考えておりますが、これも無原則に歯どめなくやるということについては、国民の理解が得られるはずはございませんので、きのうの閣議で御案内のように、本年度の予算で五百四十億ばかりの節約を予告いたしたわけでございまして、これはもとより補正予算で国会で減額補正を御承認いただきたいと考えておりますが、そういうこともやりまするし、政府はなすべきことをいろいろやった上で、なお足らないということについて公債政策を考えておるという意味で、国民の理解を得たいと考えて、そういった手順で進めておりますが、いずれにせよ、補正予算という形でそれをそういう答案を書いて、九月に召集が予定されておりまする国会に御審議を願うという手はずにいたしたいと考えております。
  43. 大出俊

    大出委員 これは最後ですが、いまのお話承っていますと、貸倒引当金の繰り入れ率を下げるというのは、これは政令でできますね。これは法律事項じゃない。政府の行政努力でしょう。いまの節約財源五百四十億の減額補正、これも行政努力でしょう。ただ、それだけで補正の、つまり財源措置は可能かと言えば、そうではないはずであります。  そこで、法律改正を必要とする新税を考えるということになるとすれば、いまの情勢でそう簡単に、対国民ということになりますから、事は進行しないというふうに見なければならぬ。まして酒、たばこ、郵便料金まであるわけでありますから。となると、いまいみじくも大臣がおっしゃったように、総理はこの間初めて公に物をおっしゃったようでありますが、公債発行ということに頼らざるを得なくなる。その場合に、一つ問題は、この数字正しいのだろうと思うのでありますが、五十年度の当初予算で公共事業などの対象経費が三兆五百二十四億円。ただこれは、建設国債の発行額ということになりますと、財政法四条でございましょうが、二兆円だけになっているわけですね。したがって、この残りは一兆五百二十四億円ですかね、国債の増発ができるという勘定。  たまたま新聞にちらちら出てくるのでありますけれども、景気刺激なども含めて公共事業の枠を広げるということになって、それを補正でということになりますと、その限りでは建設国債なるものの枠が広がる。ただ、明らかに足りない財源を補正するのですから、旧来のようなわけではない、四十年のときとは違う。そうなるとこれは、そこまでいけば特例法か何かお考えにならなければ実際問題としてはできないのではないかという疑問を持つわけでありますが、そこらのところは、九月五日ですから委員会を開いている期間がないので、私どもは私どもなりにこれを検討しなければなりません。  そういう意味で、たまたまいま大臣口にされましたから、ここらまでお考えの上で財源手当てをして補正をと、こういうかっこうになるのかどうかという、そこまでお答えをいただきたいのですが、いかがでございますか。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、いまの予算の枠組みの中で建設公債を出し得る金額は一兆五百億ばかり残っておるということでございます。したがって、一兆円ばかりの公債発行で補正財源が全部充足されるということでございますならば、あなたの言われる特例法というものは、理屈の上からいって不要であると申し上げられますけれども、私の見通しではそのように処置していくこともなかなかいまは困難であろう、十分のいろいろの手当てを考えて、できるだけ公債に依存しないような措置はしてまいりたいと考えておりますけれども、やはり特例措置は国会にお願いせざるを得ないのではないかと考えております。
  45. 大出俊

    大出委員 私も、公務員給与は、たてまえに従って完全実施をお願いしたい、こう冒頭から申し上げておりますけれども、結果的に出てきた今日的財政事情を全く知らないわけじゃないわけでありまして、だからなおかつ心配になるので御指摘をいただいた、こういうわけでありますが、いまそこまでお答えをいただきまして、事情おのおのつまびらかになった気がいたします。  それにもかかわらず、事、公務員給与というのは、その方々個々人の御家族を含めた生活にかかわる問題でございまして、しかも公労協皆さんのように団交権がある方々でもない、一番谷間になっている方々が、いま残っている人事院所管の方々であります。あとは地方公務員の諸君であります。したがって、冒頭からおっしゃっておられる財政的な苦しさは承知をしておりますけれども、それにもかかわらず、ひとつ公務員給与につきましては、先ほどお話ございましたように、大変どうも、苦しいきわどい答弁をいただいておりますけれども、私どもは私どもなりに、これまたそれなりの努力はしていかねばなりませんけれども、いずれにせよ、大臣財政当局でございますから、そういう意味で、全国の公務員諸君の生活、ひいては公務それ自体の仕事にもかかわるわけでありますので、前向きでとらえてひとつ問題を片づける、解決をするという方向で御努力をいただきたい。  最後に、だめ詰めみたいになって恐縮でございますが、念のためにもう一遍そこのところの答弁をいただきまして、終わらせていただこうと思いますが、御答弁を……。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 公務員の処遇につきましては、十分配慮せねばならぬことは当然のことでございます。人事院勧告がございますならば、これを尊重いたしまして、公務員のモラルと勤労を保障する意味におきまして、できるだけ尊重してまいるということは当然と思っておるわけでございまして、これは財政事情が苦しいからといってこの大方針を曲げていいとは私は考えておりません。したがって、人事院勧告がございましたならば、関係方面と十分政府部内で協議を遂げまして、完全実施の方向でみんなとよく協議を遂げてみたいと考えておるわけでございます。
  47. 大出俊

    大出委員 賃金問題はもうそこまでにさせていただきまして、一つだけ、これで一切終わりでありますが、せっかくお出かけいただきましたので、週休二日制にかかわりまして、私も事情はきわめて詳しく知っているつもりでおりますけれども、銀行関係方々の方で銀行協会組合との間で協定等もできています。ただ政府機関、たとえば郵便局もございまして、政府機関の方が週休二日制をどうするのだ。これはたまたまきょうは政務次官、行管からお見えいただいておりますけれども、そちらの方からも異論があって、後からこれはつまびらかにしていただきたいのでありますけれども、逆に総理府の中にも四つの部会がございます。公務員の部会もあれば公労協関係のところもあれば民間もある。ここでも議論をされている。だが、いずれにしても政府がということに返ってくるわけでありまして、そうすると銀行法十八条との関連がなければ銀行関係の方の決着はつかない。この委員会で私、森政務次官に先般承りましたら、大河の流れであって、週休二日というのはそっちの方に流れている。だから、われわれがこれをとめようとしても、そういうわけにまいらぬと思っている、だから天下の大勢には従いたいという趣旨の御答弁までいただいているのでありますが、この委員会公務員の週休二日制問題についての所管の委員会でございますので、この際大蔵大臣から——大蔵委員会におけるやりとりは多少私も議事録読んでおりまして承知はいたしておりますが、あれから時間がたっております。六月目途に十八条改正という問題も爼上に出ているようでありますが、そこらのことを一体、大蔵大臣としてどうお考えかという点を最後に一点だけ承っておきたいのでありますが、お答えいただきたいと思います。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 この問題は、ひとり金融行政ばかりでなく経済行政全体、さらに政府としては公務員行政も絡んだ大変広範な問題でございますので、関係閣僚協議会がございまして、すでに何回か討議された経緯がございます。したがって、通常国会が終わりまして大蔵委員会の審議の経過を踏まえた上でこの関係閣僚協議会で週休二日制問題を御討議いただくような、そういう手順をお進めいただくように官房長官には御要請申し上げておきました。それが一つでございます。  それから第二は、この問題は銀行法その他多くの法令にかかわる問題にもなってまいります。たまたま金融制度調査会の陣容を一新いたしまして、銀行法、日本銀行法等含めまして金融制度の改正問題を少し腰を落ちつけて御勉強いただいておるわけでございます。この方は私の考えでは、相当時間をかけてじっくり御討議いただかなければならぬと考えておるわけで、早急に御結論をお願いするのは無理だと考えておりまするけれども、他方関係閣僚協議会の方も、問題が問題だけに相当のタイミングをちょうだいしないと御討議が願えないわけなんでございますから、その点は含んだ上でいま金融制度調査会にも御審議を願っておるわけでございます。  そういう二つのことが通常国会後新たに措置いたしましたこととしてございますことを御報告申し上げて、今後もそのラインで問題の審議の促進に当たっていきたいということを申し上げて、お答えにいたしたいと思います。
  49. 大出俊

    大出委員 大蔵大臣にお忙しいところを御出席いただきまして、いろいろ前向きの御答弁をいただきましてありがとうございました。大蔵大臣への質問をこれで終わらしていただきます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  総務長官に承りたいのでありますが、さっきから申し上げておりますように、団体交渉権を持たず、法的にも谷間にあります公務員方々並びに地方公務員方々の問題でございますから、いわゆる春闘の幕切れにさっきお続み上げをいただきました公労協賃上げなるものとほぼ同じような程度のものが勧告として出てくることを期待する、これは総務長官としてもそうお考えであるということをお認めいただいた形で終わっておるわけであります。  いま財政問題が当面、新聞その他で取り上げられている中心点でありましたから、大平さんにそこらの点の御見解を承ったわけでありますが、苦しいながらもだがしかし、旧来たてまえとしてきた制度であるということで、勧告が出るならば政府部内相談をして何とか曲った方向に持っていくのでなしに実施に努力したい、こういうお話でございました。担当の所管の大臣でございます植木さんにも、この点はぜひひとつ前向きにとらえていただきまして、官房サイドには何回か私いろいろお話もしてまいりましたが、幸い井出官房長官、海部副長官等々の方々も、何とかその方向でという言い方を私にはしておられますが、何しろ中心は担当大臣植木さんでございますから、厳しい情勢ではありますが、旧来の進めてまいりました経過に基づきまして勧告が行われた暁には、先ほどお話をいただきましたような方向で御努力願いたいのでありますが、この際、再度はっきりさせておいていただきたいのであります。
  50. 植木光教

    植木国務大臣 人事院勧告を尊重いたしますことが、公務員制度を適正に運営していくための基本であると私は考えております。したがいまして、これまでも誠意をもってこれに対処をしてきたところでございますが、人事院勧告が出されましたならば、その勧告を見ました上で関係省庁とも十分協議をしなければならないのでございますが、私は、勧告の実施について最善の努力をいたしたいと存じております。
  51. 大出俊

    大出委員 行管の政務次官にお出かけをいただきまして、余り長くお待たせもできません。順序がいろいろ入れ違って恐縮でございますが、ここで承っておきたいのであります。  一つは、総定員法なる法律に基づきまして三年五%式の、機関によって違いますけれども、定員削減問題その他をいままで推進をしてまいりました。ただ私は、総定員法がこの内閣委員会に提案されましたときに、佐藤総理に何回かお出かけをいただいて、詰めた議論もしたのであります。時あたかも一省一局削減などという問題まで飛び出しました。だが、これは総定員法といって頭数を抑えたことは、行管の当時のるる説明をされている中身からすると、定員の削減が目的ではない、減らしていった定員はプールして行管が抑えていく、そして近代社会における複雑化した行政機構というものを、国民のすぐそばに行政機関がなければならぬということ、これを認める前提で、しかるべく行管が抑えた定数を能率的に配置をしていく、こういうことであって、つまり首を切るという性格の総定員法ではない、これがたてまえで提案をされているのであります。ところが、最近の新聞等によりますと、定員削減計画なるものを早めるというんですね。そういう新聞の取り上げ方が、行管の意思として発表されたというふうに書かれているわけであります。これは一体、何が目的なのかという点、これが一つであります。  それからもう一つは、行政監理委員会等がこういう言い方をしたからという前提になっておりますけれども、先ほど大蔵大臣にも質問をいたしました週休二日制なる問題について、これは長い懸案でございまして、ここ数年来あらゆる角度からいろいろな党の方々を含めて詰めてきた問題であります。これはまことに不可解なのでありますけれども、七月二十三日、いまになって取ってつけたように「国の行政機関の定員管理に関連する当面の諸施策について」という文書の一番最後のところに、しかも一番最後の行に「週休二日制の普及状況との関連、行政サービスの水準確保等基本的な問題点があるが、これに加えて、定員管理面への影響として、交替制要員等に相当数の新規増員が必要となるおそれがあるので、行政コストの節減が強く要請されている状況の下においては、なお、慎重に検討すべきである。」という、何ともどうもさっぱりぴんとこぬような話なんですけれども、どこか向こうの方で物を言ってかすかに聞こえるような書き方なんだが、何でこんなことをやらなければいかぬのか。果たしてそこまでの権限が行管にあるのか。これだけ長い間議論してきているのに、その間行管は一言も物も言わずに、ここまで来てなぜ——やめてくれならやめてくれと書けばいい。  さっきここで申し上げたように、大蔵政務次官でさえこの席上で、天下の大勢である、大河の流れである、一大蔵省がこれに逆行するようなことを申し上げられる筋合いでない、大河の流れに従います、こういうふうにお答えになっている問題を、いま大平さんも前国会が終わって、大臣の答弁の責任上かくかくしかじかの措置をとってきたと答えておられる。人事院もそうであります。何遍もこれは報告もしてきているわけであります。にもかかわらず、そこらとの相談がどうなったのか知らぬけれども、ぽかりこれが出てくるということは、私は、大変に不見識きわまるという気がするわけであります。  行管長官というのは、そんなにこういう問題に詳しくはない。何でこういうばかなことをするかという、逆に方々から行管はけしからぬという声をたくさん聞いているわけでありますが、なぜ一体こういうものをお出しになったのか、真意のほどを二つだけ承っておきたい。
  52. 阿部喜元

    ○阿部説明員 後の方から先に答えさせていただきますが、大出さんは、行管が何で週休二日制にいろいろ口出しするか、こういうことだろうと思いますが、いまお話もありましたとおり、第四期行政監理委員会委員さんたちが、前期行政監理委員会の提言を受けまして、四月以降、国の行政機関の定員管理問題について主要省庁から説明聴取を行い、審議を行って、このほど御存じのとおり「国の行政機関の定員管理に関連する当面の諸施策について」こういう意見を出されたわけでございますが、定員に関連する問題について、公務員の週休二日制にも触れるべきである、こういうことで提言されたのです。  御存じのとおり、公務員の週休二日制が導入されれば、やはり交替制要員等に相当数の新規増員が必要となるおそれがある。こういうことになりますと、行政コストの節減が強く要請されている今日でございますので、なお慎重に検討をするべきである、こういうふうに言われておるわけでございます。したがいまして、こういう委員の提言によって、定員管理面への影響の問題については、わが行政管理庁としても当然これは関心を持たざるを得ない、こういうふうに考えておりますので、人事院において検討をされ、政府部内でいろいろこの問題が論議される場合におきましては、いま言いましたような意見をもやはり参考として検討に参画してまいりたい、かように思っておるようなわけでございます。  それから、定員削減計画の繰り上げ実施等について、首切りや強制配転に結びつくような考えじゃないかという御質問だろうと思います。今回の定員管理計画の繰り上げ実施措置は、すでに定められております全体の定員削減目標の三年三%の枠内において、五十一年度の定員削減実施割合を、削減目標の十分の三から十分の四に引き上げることにした次第でございます。五十一年度においても五十年度並みの定員削減を行う、こういう結果になるわけでございますが、これに対していろいろの御心配があるわけでございますが、これを円滑に実施するために、人事管理面におきましては高齢者の離職促進、また新規採用を極力抑制する、こういうような観点から、五十年度における定員削減の実施状況から見ても、出血整理や強制配置転換は行わない、こういう御指摘の趣旨にのっとりまして実施をいたしたい。なお、心配がある場合は、各省庁とも十分協議をいたしまして、心配のないように善処をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 後の方からもう少し承りたいのですが、私どもがいま担当の委員会である内閣委員会を通じて人事院等といろいろやりとりをしてきておりますのは、この辺で基準をつくって試行をやってみようというわけですね。そこで、これをやってみて、この中で交代制勤務等もちろん問題があります。それぞれ専門家がおるわけでありますから、行政監理委員会皆さんが必ずしも専門家ではない。交代制勤務なんというものは、自分でやってきて、私自身で郵政省の交代制勤務についてやってみて、いろいろなものにぶつかって、いろいろな考え方を持っているというわけでありますから、第三者がほかからながめて簡単にわかるようなものじゃない。書いてある中身を見たってこれはくその役にも立たない。何にも言っていないのだ。責任上ちょっと何とか言っておこうやぐらいの話しか書いてない。交代制勤務というのはどうなっていて、どこが隘路でどうなんだ。気象庁一つつかまえたって大変なこと、郵便局をつかまえたって大変なこと、国鉄をつかまえたって大変なことです。そこらを何も触れずに「交替制要員等に相当数の新規増員が必要となるおそれがある」おそれがあるというのですからないかもしれない、試行をやろうというのですから。おそれがあるので、行政コストの節減が要請されている現況において、なお慎重に検討すべきである。何の意味があって一体こんなことを言うのか。中身も何もない。こういう無責任な行政監理委員会なんていう制度は実を言うとやめてもらいたいのだ。実際に自分で汗をかいて仕事をしたことも何もないのが集まって、机の上で何か騒いで、各省の意見を聞いた、聞いたからこう言っておこう、そういうふざけたこと、また行政管理庁がのこのこと、そう言ったから出しておくんだなんという無責任きわまることはやめてもらいたいと私は思っている。これはもっと深刻な問題なんだ。国際的に例もたくさんある。だから、国会だっていろいろ議論が出たから、有給休暇を使って試行的なことをやってみているわけでしょう。簡単なことじゃない。だから安易に、何の責任も負い切れもしない中身で物を言わなければならぬのかということ、これは無責任きわまる、言っておこう程度のことでこんなことされちゃ迷惑だ。その点、私ははっきりさせておきたい。  電話で行管の方とやりとりいたしましたら、まあ簡単に言えば、行政監理委員会がこう言うんだからそれを出したのだというわけでありまして、それにしても行管の自主性が少しなさ過ぎはしないか。順序から言えば試行をやってみる。交代制勤務はなかなかむずかしい。しかも総理府の各部会の中では、全部困難なところを抜いちゃってやらないというようなことじゃなく、全部一緒にやってくれという意見人事院に来ている。そこで総理府に設置している部会——田中さんが総理のときにもここで物を言っているわけでありますが、関係行政官庁間の連絡というのはきわめて密にやっていることになっている、これじゃまるっきり密にやっているとは思えない。試行をやってみて、さて、交代制勤務にはこういう隘路がある、この省のこの部門にはということになるわけですから、その場合にどうしても定員がということになるとすれば、その上で行管は総定員法というものに変えたときのいきさつがあって定数を持っていることになっているわけだから、その総定員の枠を超えるということがある場合には国会に出してくる。そうでなければ、行管が押さえている定数と、各省の必要に応じた話し合いをするということになっているわけですから、まず試行をやってみた段階で話し合いが行われていって、その上に立って果たして定数がふえるということはどういうことになるのか、ふえるとすれば。その順序を何にも踏んでないいまの段階で、こういう取ってつけたようなことをやるというのは、私は非常に不見識だと思うんですよ。  だから、たまたまそういうことでみんな集まって、ここに名前が書いてありますけれども、私の友人の栗山さんまで入っているわけだけれども、六名の方が各省の話を聞いた後、聞いてこう言っておこう、こう言う。何ともどうもお粗末きわまるですね。これは話にならぬ。しかもそれを、そうでございますかと言って、また麗々しく新聞発表する行管も行管だと私は思うんだけれどもね。そこらは少し考えていただけぬかという気がする。せっかく真剣に、大蔵大臣だって小切手法や何かの問題まであるから、ずいぶん真剣に考えてきているわけだ。人事院だってずいぶん苦労してきておられるわけだ。総理府だって部会を抱えていてずいぶん苦労をしてやっておられるわけだ。何回も、公務員部会なんか六回もやっておるわけです。  だから、そういう各行政機関がそれぞれの難問を抱えて苦心してきていることなんですから、そこら意見を行管として十分に聞いた上で、行政管理委員会にも十分な理解説明ができるようになっていて、それにはまず試行が要る。試行をやって、その上でなければ出せないはずなんですね。私はそう思う。だからそこらのところは、事務当局の方が私におっしゃったように、監理委員会ではこう言っておこうということだから表へ出したのですという程度ならばそれで了解をしますけれども、そう根の深いものじゃありませんとおっしゃるのだから、それならそれでいいけれども、しかし私は、こういう扱いを定員管理をする行管が将来に向かって軽々しくすべきでない、こう私は思う。それが第一の問題であります。  で、最初の問題の定員管理計画の繰り上げという点は前からも問題がありまして、最初は渡りという形でこの省の人員をこっちの省に持っていくという話まで総定員法を提案をされたときにあった。それをいろいろ詰めていって、出血が出るというようなことは一切しないし、強制という形もとらないし、省を渡るということもやらない、そういう前提があってでき上がっているわけでありますから、したがって、早めるということになりますと無理がいく、旧来の計画でないのですから。もちろんそれは行管の言うことを各省というのはなかなか聞きませんからね。そういう意味でそう心配ないのかもしらぬけれども、これまたそうばかりも言っていられないので、いまの点は念を押しておきたいと思ってお呼び立てをしたわけなんでありますが、どうかひとつ、そこのところを踏まえていただいて、さっきの御答弁で第一の方はわかりましたが、ぜひひとつ、公務員皆さんに不安を与えていただきたくないので、そこのところは不安動揺というようなことが起こるような考え方ではなくて、心配はないのだという点と、いまのこの点は試行段階、まだやっていないわけですから、いささか早きに失するが、たまたま監理委員会がこういう取りまとめをしたから、行管としてその筋で扱ったということなんだというのならそれでいいのですけれども、そこらはきちっとひとつお答えをいただきたいのであります。せっかく苦労しているわれわれからすると、ふざけなさんなと言いたいところなものですから……。
  54. 阿部喜元

    ○阿部説明員 行政管理委員会に対するいろいろの御批判を賜ったわけでございますが、せっかく各界各層から優秀な方が来られて、非常に日夜心配をして考えておられますので、われわれとしてはやはりその意見を十分参考にいたしたい、いまもかように思っておるようなわけでございます。  事が、さっきも言われましたように、この問題は大河の流れというようないまお話がございましたが、これは非常に大きな問題でありますとともに、われわれが週休二日制に対して言及するのはあくまでも定員の問題、こういうことでございますので、その点について実験段階、こういうこともございますが、やはりいま数年前とは大変世の中が変わっておりますので、定員問題になりますと、やはり国民の声を考えて慎重にならざるを得ない、こういうようなことかと考えるようなわけでございます。  そういうことで、いろいろ首切りのこういう問題についても御心配を賜っておるわけでございますが、念のため数字を申し上げておきますと、一%ふえるために非現業職員が四千七百人が約六千二百人にふえます。約千五百人。それから五現業職員の定員が三千三百人の上千百人プラスになりますから四千四百人。したがいまして十分の三でいきますと、八千人のところが約一万六百人に本年はなります。両方合わせまして約二千六百人本年ふえるわけでございます。その点につきましては、御指摘の点もございましたので、公務員皆さんの御心配がないように全力を上げて円満な解決の方向で善処いたしたい、かように思っておるようなわけでございます。
  55. 大出俊

    大出委員 政務次官がおっしゃっている限りにおいてはわかりますので、ぜひひとつ逆に皆さんの方で慎重に、そこらはせっかくおのおの苦労しているわけでありますので、御配慮いただきますようにお願いをいたしておくわけであります。大変どうもきょうはありがとうございました。  時間の関係がございますので、ここで自治省の公務員部長さんにお見えをいただいているわけでありますが、これまたどうも理解に苦しむ話が出てきておりまして、自治省地方自治体の給与水準について抑制指導をするのだと言う。で、地方人事委員会方々委員長さんなどをおい集まれと言って集めて、集合と言って集めて——これは勧告が出た後でしょうな。八月でございますか、来月中、こうなっていますね。来月中旬、都道府県指定都市などの人事委員会事務局長会議一つありますね。ところが、また聞くところによると、どうも委員長さんも集めるという。これば一体、法的には何を根拠におやりになるわけですか。五十九条でもお使いになるというわけですか。
  56. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  先生よく御承知いただいておると思いますが、自治省設置法なり地方公務員法上の技術的指導、助言の立場でお集まりいただくわけであります。
  57. 大出俊

    大出委員 重ねて承りますが、五十九条というのは、これは表題にもありますように「自治省の協力及び技術的助言」という項なんですね。人事委員長さんというのは、独任機関で独立機関、知事部局に責任をお負いになるんだろうが、これが勧告を出すわけでありますが、それに何で「自治省の協力及び技術的助言」がひっかかってくるのか。ここで自治省が賃金の抑制指導へというわけですが、この「自治省の協力及び技術的助言」というものの中に、地方公務員に対する人事委員会勧告について、それを抑制だ、指導だということが含まれているのですか、この五十九条というのは。この「自治省の協力及び技術的助言」というのは何を指すのですか。
  58. 植弘親民

    植弘説明員 抑制という言葉を使いますと、非常にシビアな感じがいたしますが、私ども別に抑制という感じを持っておりません。基本的には、地方公務員法二十四条第三項にございますような地方公務員給与決定についての基本的原則がございますが、この基本的原則に基づいて適切な措置が講じられるように助言、指導を行うのでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 これは二十四条にございますがと言うのですが、だってあなたの方が言ったことになっているんですよ、新聞を見ると。賃金抑制で集めるんだという。一〇%高いんだから、人事院が一〇%勧告するんだから、だから一〇%上げてはだめだ、これはゼロだ。自治省というのはどうかしているんじゃないですか、最近は。自治者がぬけぬけとこんなことを言うのがどうかしている。  それに大体、地方の人事委員長さんというのは、自治省が集まれと言ったら集まらなければいけない人ですか。これはどうなっているのですか。
  60. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  新聞でもいろいろと報道されておりますが、この問題はすでに当委員会でも大出先生から大分御指摘をいただきました。要するに、地方公務員給与水準がいかにあるべきかという基本問題に端を発しているわけでございまして、現実にラスパイレス指数等から見ますと、地方公務員給与水準が国家公務員に比べて非常に高くなっている。したがって、やはり地方公務員については適正な給与水準を維持してもらいたいという気持ちが強いわけであります。そういう意味で従来から指導もし、また、その点で先生方からもいろいろと御指導もいただいたわけでありますが、人事委員長さん方ないし人事委員会にお集まりいただくという点につきましては、勧告が行われました後におきまして、今回の勧告がどのような意義づけを持っておるのかということも知っていただくし、それから地方公務員給与関係といいましょうか、地方行政といいましょうか、そういったものを取り巻く環境はどうであろうかといったようなことも十分お話し合いいたしまして、適正なことをやっていただきたい。もちろん人事委員会の組織そのものが第三者機関であるということも、地公法の精神からいって十分存じておりますし、決して私ども個別的にああせいこうせいといった指図ができるものとは思っておりません。しかし、一般的に地方行政を取り巻く環境といいましょうか、そういった状況を十分踏まえていただきたいということにつきましては、人事委員会といえども地方団体の機関でございますので、私どもとしては、そういう状況もお話しし、人事委員会意見も聞きたいというような気持ちでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは集めて、ラスパイレス指数なんかを持ち出して大変高いんですよと言って圧力をかけるのですか、人事委員長に。そうなるでしょう、抑制なんだから。一体そんなことできますか。
  62. 植弘親民

    植弘説明員 いまラスパイレスを申し上げましたのは、現在の地方公務員給与の実態について従来から御説明している点を御説明したわけでありまして、今回の場合も人事院勧告がどのように行われているか、それからまた、地方財政の状況なりを十分御理解していただくといったようなことが主体でございまして、あなたのところは一〇%高いから一〇%下げなさいといったような具体的な指導をするつもりはございません。
  63. 大出俊

    大出委員 人事委員会勧告がどのように行われているかなんて言ったって、あなたが行うんじゃないじゃないですか。人事院は、藤井さんおいでになるけれども、総裁以下ぴちっとした独立した機関でおやりになるんだし、地方人事委員会もそれぞれ独任機関、独立機関でちゃんとおやりになっているので、あなたよりよほど詳しい、出した本家なんだから。出した本家にあなた、勧告がどのように行われているかなんというようなことを話するの。そんなべらぼうな話ありますか。いまあなた、勧告がどのように行われているかというようなことを説明すると言った。あなたが出すんじゃないのでしょう。地方人事委員会が出すんでしょう。一体そのことは何に当たるんですか。あなたの方で地方の人事委員長さんを集めるんでしょう。集めて、勧告がどのように行われているかなんというのをあなた話すんですか。その人は勧告する人じゃないですか。それは人事委員会委員長さんから自治省勧告がどのように行われているか聞くというなら話はわかる。勧告する権限は人事委員会にしかないんだ。固有のものだ。どのように行われているかをあなたの方で説明する、ふざけたことを言っちゃいけませんよ。話は逆じゃないですか。  だから、あなたの方はラスパイレスがどっち向いたとか、いいかげんなラスパイレスを持ってきて、いつかさんざんあなたとここでやり合ったじゃないですか。ラスパイレスは間違いだらけじゃないですか。しかも県だの指定都市だのに、地方人事委員会はあるけれども、そこのラスパイレスを見てごらんなさいよ。全体ではみんな低いところばかりじゃないですか。そうでないところはラスパイレスからいけば高い。そんなの呼んできて、一体勧告がどう行われているか実情を説明する。勧告するのは、その逆に人事委員長さんの方がやるんです。そうでしょう。しかも、この方々は非常勤の方々が多いんでしょう。  これは新聞が書いているとおりで、あなたはほかで言っておいちゃ、直接聞くと新聞が勝手に書いたのだといつも言うんだけれども、新聞を見れば明らかに自治省は八月の中旬に人事委員会方々を集めて抑制指導するという。ラスパイレスから見て高いんだから、人事院勧告藤井さんの方から一一・五%か一一・七、八%か出るでしょう、出たら、あなたのところは高いん、だからゼロですよと言わんばかりのことを言おうという。明らかにこれは法の趣旨に反しますよ。そういうことはおやりにならぬ方がいいと思うんですが、いかがでございますか。
  64. 植弘親民

    植弘説明員 先ほどもお答え申し上げましたが、人事委員会勧告を聞くのでございませんで、人事院から国家公務員について勧告が出ますと、それについての説明は当然人事院の方からおやりになるからいいでしょうが、私どもの立場としても、どういうふうな感じで受けとめるのかとかいったような点について、単に人事委員会だけでなしに、人事課とか地方課といった担当の方も呼ぶわけでございますから、そういうものの説明もするという意味でございまして、それについてどういうふうに理解するのかとかいったようなこともいろいろと意見の交換をすることは必要であろうと思うのです。ただ、具体的に抑制の指導という言葉を書かれますと、何かそういうふうに厳しく個別的に抑制指導するようでございますが、私どもそういうつもりはございません。一般的にこの勧告をどのように理解するのか、あるいは現在行われている地方行財政の実態はどうなのかという点についての意見の交換をしたいというのが趣旨でございます。
  65. 大出俊

    大出委員 それなら、これはあなたの方とは別に何ら関係のない機関ですよ。人事委員会というのは知事部局に責任を負う機関ですよ。そうでしょう。だから、いまの話は、県の、つまり知事部局なら部局の人間を呼ぶというのならわかるんですよ。しかし、これは明確な第三者機関であって、解任もできなければ、圧力をかけてもならない筋合いですよ、賃金に関する限りは法律、制度上。それをあなた方が呼んでなんというのじゃ、黙って見ているわけにいかぬ。  しかも全人連——全国人事委員会連合会というんですかね。こちらの組織の方々も、自治省がそんなことをやるべきでないという見解ですよ、明確に。また、自治省に旗を振られて抑制指導だなんていってのこのこ地方の人事委員長さんが出てくるとすれば、そんな人事委員長さんはやめてもらわなければいかぬです、そんな不見識な人事委員長さんは。非常勤でどこかの学者さんがやっていたり、官僚のもう相当古い方がやっておられたり、弁護士さんがやっておられたり、いっぱいございますよ。こういう方々自治省が呼びつけた、財政窮迫の現状を説明するとかなんとか、そこへ決定権を持っているその人事委員長さんがのこのこ出てくるのだとすれば、これはまず失格だ。代償機関としてILOにだって日本政府はそれを何遍も説明しておるはずじゃないですか。県当局のどこか関連部局を呼ぶというなら、これは話がわかる、自治省と長い関連があるわけでありますから。だけれども、独立機関である人事委員会を呼ぶということについては全くもって筋が通らぬ。もしおやりになるなら、われわれそれなりのことを考えますよ。根拠も何もないじゃないですか。人事委員会に対して、やれ抑制指導の助言のと、そんなばかなことが許されていいはずはないじゃありませんか。  それなら、たとえば人事院藤井総裁に三木総理大臣——規模が違ったって法律上は人事院と同じ性格なんですから、地方人事委員会自治省と言えばそういう関係ですよ。三木総理大臣藤井総裁に、ちょっと藤井さん出てきてくれ、財政の窮迫の今日的実情を説明するなんて言って、抑制指導するなんて言ったら、これはどうなりますか。世の中ぶつつぶれちゃうじゃないですか。同じことじゃないですか。そんなところへまた藤井さんがのこのこ出ていく、そんなことだと、世の中、不信任だと言いますよ。あたりまえじゃないですか。そんなばかなこと一体できますか。あなたでわからなければ自治大臣呼ぶからいいけれども……。
  66. 植弘親民

    植弘説明員 いま大出先生指摘考え方について、私自身も十分理解しているつもりでございます。個別的に具体の人事委員長さんに対して、どういう勧告をしなさいという言い方をするつもりはさらさらございません。(大出委員「さらさらございませんなんて、そんなことできるはずがないじゃないか」と呼ぶ)できるはずございません。そのとおりでございます。したがいまして、私どもとしては、地公法なり自治省設置法にございますところの技術的な指導、援助、助言の範囲におきまして一般的な状況を御説明申し上げる、こういうつもりでございます。したがって、その説明の上に立って、各人事委員会が現実に地公法の規定に基づいてどのような勧告をされるか、それは自主的な機関としての自主的な行為でございますから、それにまで立ち入るつもりはございません、立ち入れません、こう思っております。
  67. 大出俊

    大出委員 そんなつもりはさらさらないどころではなくて、そんなこと法的にできない。明確じゃないですか。これは一遍地方行政委員会を開いていただきまして、自治大臣にやっていただきますから、きょうは私の意見だけ申し上げておきますが、そんなことをもしやるとすれば天下の大騒動が起こりますよ。はっきり申し上げておきます。そんなことなら私は、地方公務員諸君に断じて片っ端からストライキを打てと言う。これは公労協の先例もある。諸君がストライキも打てないようなことだから、自治省の公務員部長さんなどになめられる。もってのほかですよ。こんなものは地方公務員方々国家公務員方々に団交権さえ回復すれば一遍で消えちゃうのです。給与というものは団体交渉の最たるものですよ。そうでしょう。それでおしまい、そういう性格のもの。ならば労働者の基本的な権利に立ち返って、そういうまねをするなら明確な介入なんだからストライキを打てということになりますよ。昭和三十年代に返る、公労協の出発はそれなんだ。そういうことをすべきじゃないですよ。  だからこそ、昨春闘の結果として、私は、むずかしい名前だからここに入れておるんだけれども、公務員問題連絡会議でいま団交権問題で一生懸命やっておるわけでしょう。こういう時期に、自治省がそういう地方の人事委員長さんなどに招集をかけるなどというばかげたことを考えること自体が間違いだ。法律は明確に現存している。意見だけ申し上げておきます。これは公務員部長さん、お忙しいところを呼び出しまして恐縮でございますが、法的にできないことはできないのですから、その点だけは申し上げておきます。ラスパイレスだ何だというのは、前回あなたと大分長い議論をしましたからあえて取り上げませんけれども、これはお気をつけいただきたいと私の方から御忠告申し上げておきます。  そこで、多岐にわたっておいでをいただきましたので、余り時間をおかけしてはと思いまして、順序不同になりましたが、先に行管、自治省、大蔵省の皆様方に聞かしていただいたわけでありますが、本題に入らしていただきたいのでありますけれども、先ほど、昼食の時間等の関係があって、私の方で防衛庁の賃金その他に入った際にということになっているという連絡をいただきましたから、時間の関係がございますから、それでは防衛庁にかかわる賃金問題を先に聞かしていただきたいと思います。そして人事院総理府にかかわる勧告をめぐる中身、配分等々、週休二日に至りますまで、これは後ほど聞かしていただきます。  そこで、防衛庁の給与についてしばらく私、触れておりませんので、少し触れさせていただきたきたいのでございますが、ここに人事院事務総長の尾崎さんなどもお入りになっておられます防衛庁職員給与制度等研究調査会というものがございまして、この防衛庁職員給与制度等研究調査会、ここが四十九年六月二十五日に、中間報告と受け取っていいのではないかと思うのでありますが、報告を出されております。さすがに、これは防衛庁をめぐる問題でございますから読んでみますと「自衛隊は、」というところから始まりまして「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、」なんということになっているわけでありますが、まあ要するに、営内居住の方々等にかかわる食費あるいは営内生活諸経費等々について何らかの形でひとつ優遇措置を講じようという趣旨のものだろうと私は理解をするわけでありますが、防衛庁の担当の方から、つまり給与制度の改善に関する報告に至ります間、制度等研究調査会がどういう経緯でこの問題を取り上げて六月二十五日の答申になったのかという点を、まず承っておきたいのであります。
  68. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたとおり、給与制度等研究調査会で防衛庁職員、なかんずく自衛官の給与改善についていろいろ検討していただいております。この研究会は四十八年五月に発足いたしまして、大体毎月一回、時に二回検討をしていただいておりますが、今日までにいろいろと給与の前提となる任用制度あるいは給与制度、そういったものを説明いたしまして、その説明の途次、途次で検討をしていただいておりますが、何と申しましても自衛官が、特別職の公務員ではありますけれども、一方また、有事の際に部隊行動をするという特殊な公務員でもございますので、なかなか一朝一夕に結論がいろいろのものについては出ない。しかしその中でも、現在約十二万の自衛官が営舎内居住をいたしておりますが、この営舎内居住をしております自衛官の食事代が中心でありますけれども、それを中心とする営舎内の生活経費、これは全部ではございませんが、実は俸給算定の際にあらかじめ控除をしておるわけであります。この控除をしている部分については、自衛官は——自衛官と申しましても曹士自衛官でございますが、法律で営舎内居住を義務化している、そういう意味で他の学生生活とは違う、こういったものに伴う営舎内の生活経費、これを俸給からあらかじめ控除するという制度は改むべきである、他の問題はなかなか時間がかかるけれども、この問題だけはとりあえず早期に是正すべきであるという答申が、昨年の六月に防衛庁長官あてに出されました。  以上でございます。
  69. 大出俊

    大出委員 重ねて承りたいのですが、営舎内居住の方々の、つまり食事代が主でございましょうが生活経費、トイレットペーパーまでございましょうが、その種のものを免除するという中心的な理由というのは、大体どういうところにあったわけでございますか。
  70. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  これは自衛隊あるいはその前身の警察予備隊発足当時にさかのぼりますけれども、当時、一般的な生活状態というのが今日ほどではありませんで、なるほど営舎内に居住という義務化はじておるけれども、その中で集団生活でありますから、比較的安く食事も支給できている、それからまた、宿舎事情というものも必ずしも一般的に芳しくありませんで、そういう中で義務ではありますけれども、営舎内に居住をさしておる、そういう一般との見合いで、これを特に無料化するというのは他の公務員との比較において妥当でないという趣旨であったろうと思いますが、今日はいまや事情が違ってきておると考えます。
  71. 大出俊

    大出委員 私の党のたてまえは御存じのとおり、非武装中立論を掲げていますから、立場は異にいたしますけれども、ただこの自衛隊の方々、現に御家族を抱えて生活している方々もたくさんおいでになりますし、あるいはその間いまのように、一つの義務として営内居住をやっておる方々おいでになる、それぞれ生活を抱えておられるわけでありますから、その限りではできる限りやはり生活が豊かに行われていくようなことを当然考えなければならない筋合いだというふうに割り切って考えているわけであります。  これは古い話でありますが、私も見習い士官時代、営内居住の経験がございまして、営内居住を相当年月にわたりましてみずからやっておったわけであります。まことに当時の旧軍隊の見習い士官というのは、勝手なこともできることはできますけれども、営内居住というものは何といいますか、やはりこれは一般と隔絶をしておりますから、大変なことであります。だから、それ相当のことを考えてあげなければならぬという気持ちが前からありまして、かつてこの委員にお出になっている方々おいでをいただいて、討議の結果を聞いておった時代もございました。たまたま中間答申的なものがまとまったというので、当時、早速そのまとまったいきさつ、論拠について承ってみたこともございました。昨年の国会に恐らく出てくるのであろうと実は思っていたところが、いつになっても出てこない。実は、せっかくそういう答申が出たならば、理由がそれなりにあってのことなのだから、出すべきではないかという気持ちが逆にあったのでありますけれども、延び延びになって今日に至ってしまっている。  したがって、この答申を今後防衛庁としては一体どう扱うのかという点を、当時たしか三十億ぐらいございましたが、大蔵折衝の過程では予算がついておるように私は承知をいたしております。だとすると、これは昨年の国会の内閣委員会の予定表には、防衛庁給与法律改正が別個に出てくるというふうに想定をされていた。それが出てこない。一体、これをこれからどういうふうに取り扱っていかれるのか。事、隊員の皆さんの生活にかかわる問題でございますから、大変心配をいたしますが、その辺のお答えをいただきたいのであります。
  72. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいますとおり、本年度の予算に三十億をこのための経費として計上いたしておりますし、また前国会に一応提出を予定した時期もございます。  ところで、いろいろ検討してみましたが、内容はただいま申しますとおり、営舎内の居住自衛官の処遇改善ということになるわけでございますが、これを方法論的にやりますと給与法の改正、それも給与法の中の自衛官俸給表の改定という非常に根本的な問題になるわけでございます。そういうことで、これは昭和五十年度の自衛官の給与改善措置の一環、先般来御議論なさっております給与改定と一面においてはあわせることがふさわしいのではないかと考えましたし、また本年度計上いたしましたのは三十億でございまして、この三十億で処遇改善をしようといたしますと、内容的には年度後半にならざるを得ない。さらに立法技術的な点もございますけれども、仮に前国会で法案を出して御承認をいただく、今度また給与改定をする。われわれは後半にやろうと思っているものですから、そこで立法的には全然働かない法律がそこへできるというような、これは技術上の問題で、そういうことは構わぬじゃないかと言えば、それも一論でありますけれども、そういうことも考えまして、次の給与改定が行われる国会に、その給与改定とあわせてこの内容を盛り込んだものにいたしたいということで現在作業を進めておる段階でございます。
  73. 大出俊

    大出委員 ちょっと立ち入って承りますが、先ほど営内は曹士合計十二万、こうおっしゃいましたね。そうすると営外の方々が、曹、幹部含めて計算上は十二万前後の方々おいでになることになるのではないかと思うのです、全体の人員から押さえますと。営内十二万、営外幹部含めて十二万、こういう分かれ方になるのではないかと思います。  そこで、営内であれ営外であれ、俸給表は一本のはずでありますから、そうすると、その俸給表から、旧来の経過に基づいて食費あるいは営内生活経費というふうなものを落としてしまうという方法をとっている、こういう形なんでしょうね。そうすると、落としているその金額がつまり対象になって国がそれを見る、見ないという議論がこの答申の中身なんでしょう。しからばそれがどの程度、まるまる落ちている分を見るというのか、答申の中身というのは、細かく書いてありませんからわからぬわけでありますが、つまりどの程度見ようというのか。そして時点時点でとらえ方は違いますけれども、俸給表から落とされている食費あるいは営内生活経費というものは、金額的に大体平均をとって幾らぐらいになるのか。そしてこの答申で、それがつまり俸給表から落ちているわけでありますから、俸給表に戻す措置を技術的にはとる、こうなるのだろうと思うのですが、どのくらいが戻ってくるのか。そしてその戻ってくる部分を計算すると、一カ月当たり、三十億のうちでどのくらいになるのかという点を、少し細かく立ち入りましたが概略御説明いただきたいと思います。
  74. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  給与制度調査会では、そういった営舎内経費を全額俸給に戻すべきであるという答申でございました。私たち、その点も誤りではありませんけれども、また別の観点から、先ほど申しましたように、自衛官も特別職の国家公務員でありまして、他の国家公務員との均衡ということも考えざるを得ない。そうしますと、法律的にはなるほど営舎内に居住して、そこで食事をするわけでありますけれども、たとえば一例として通常の勤務日における昼食というのは、これは営舎内に拘束されておろうとおるまいとそれは余り差がない。われわれの方から言いますと、自衛官の特殊性を顕著に主張できない部分でありますし、また外出をする者についての通常日における夕食、そういったものなども余り主張し得ない、そういった分は今回の改定ではこれは特に取り上げないということにいたしました。  そこで額でございますが、額は先生おっしゃいますとおり、毎年毎年この営舎内経費は違ってまいるわけでございます。現在はこれが一万一千六百五十円でございます。この一万一千六百五十円を、俸給算定の際にあらかじめ控除いたしまして、営舎内の者についてはそれだけ、そのかわり食事を無料で支給する。営舎外に居住する者に対してはその一万一千六百五十円を営外手当として支給するという方式をとっておりますが、ただいま申しましたような自衛官の営舎内居住の法的拘束に加えまして、実質的にも特性を主張できる部分、これを現在の一方一千六百五十円ベースではじきますと八千百円余りになります。
  75. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは一万一千六百五十円が俸給表から落ちている、俸給表が一本だから。したがって、営外であれ営内であれ、落ちている俸給表が適用されている。だから、営内の方々はその分は無料で食事になっている、あるいは食事プラス営内生活経費になっている。営外の方は同じ俸給表だから、それだけ金で一万一千六百五十円払っているということなんですね。  そこで、いまのお話からすると、予算的にとなると月に八千円何がしということになると、大体七割見当のものが大蔵折衝の過程としては認められているということになる。そうすると、これは隊員に掛けて計算をしますと、三十億というと二カ月分くらいの金になりますか。
  76. 今泉正隆

    ○今泉説明員 答弁漏れをいたしまして失礼いたしました。  これは月によりまして、たとえば期末手当が出る月、勤勉手当が出る月、そういったものが出ない月ということで異なりますけれども、現在の三十億円を、いま申しましたようなことでやりますと、来年二月からこれを実施すれば、大体その額に見合うものになるということでございます。
  77. 大出俊

    大出委員 そうすると二月、三月という二ヵ月分ということになりますね、三十億は。  そこで、人事院が今回勧告をなさる、そうすると、それに基づいて給与三法の改正がおのおの必要になってくる。そのときに、皆さんにかかわる自衛官の方々の俸給表改定、この中で二月実施なら二月実施でこの八千何がしが俸給表に戻ってくるという形の俸給表のつくり方をする、こういうふうに考えていいわけですか。
  78. 今泉正隆

    ○今泉説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。ただいまお話しになっている部分は二月から施行になる、その他の部分は一般職職員と同じ時期から施行になるということでございます。
  79. 大出俊

    大出委員 これは自衛官の俸給の扱いの問題でございますが、人事院の茨木さんがおいでになりますけれども、尾崎さんが、たしか旧来からこの防営庁職員給与制度等研究調査会には御出席だったのだと思うのでありますが、たとえばここで営内居住という特殊な義務づけに基づく生活でありますけれども、一万一千六百五十円をこの時点で俸給表から落としてやる、その七割ぐらいが俸給表に戻ってくる、つまりその意味では七割ぐらいの食事を含む営内生活経費というものを国が見るということになる。他の公務員との権衡という問題が一つ出てくるわけでありますが、そこらの御関係は、人事院からもこの委員会に尾崎さん等出ておられたわけでありますが、どういうふうに受け取っておられますか。私は、私流に考えておりまして、反対ではないのでありますけれども、人事院の御見解をちょっと聞いておきたいのです。
  80. 茨木広

    ○茨木説明員 尾崎事務総長が給与局長時代から個人の資格でそちらの方に出ていらっしゃいましたものですから、私の方の人事院の内部の方で正式にそれを吟味するという機会を得ておりません。ただ御指摘のようなデリケートな問題を多少耳にははさんでおりますけれども、そういう意味では心配いたしておりますけれども、一応公式には検討いたしておりません。
  81. 大出俊

    大出委員 担当の委員会としてこの問題を次の給与表改正で扱った場合に、他との権衡なんという問題が起こってくるといけません。そういう意味意見をいただこうと思ったのでありますが、実は尾崎さんから個人的な意見は、非公式な意見は承っておりますけれども、ここでオーソライズされるものならば御意見をいただいておこう、こう思ったわけですけれども、意見がいただけませんが、果たしてほかの方に同じようなケースがあるかないかという問題はわかりませんけれども、あるいはあるのかもしれません。したがって、そこらもございますので、一遍これは所管であるなしは別として、法律国会に出てくることでございますから、それなりの御検討をいただいておきたいという気がするのでありますけれども、この点人事院の方ではいかがでございますか。
  82. 茨木広

    ○茨木説明員 寄り寄り検討いたしてみたいと思っております。
  83. 大出俊

    大出委員 いまの点は、以上御質問申し上げまして中身がよくわかりましたから打ち切らしていただきまして、この際、先般の国会から引き続きまして、大変性急な問題がございますので、この給与関係いたしまして一、二点簡単に防衛庁から承っておきたいわけであります。  と申しますのは、この間の国会で私が横浜市磯子区小柴、通称小柴貯油施設、こう言っております貯油施設に関しまして四十七年にいろいろなやりとりがございました経過を私の方から述べまして、事前に御調査をいただいておりましたが、久保防衛施設庁長官から、調査をいたしましたが御指摘のような経過があったことを認めます、こういう実はお話がございました。横浜の防衛施設局長さんも何代もおかわりになりましたが、久保さんの時代から始まりましてそういう経過があったことをお認めいただいたわけであります。  そこで、二カ月ぐらいの間に米軍との交渉その他ができるようになるというふうに思っているという久保施設庁長官の御答弁もございました。ところが、なかなかどうもそれが進展を見ていない。たまたま私この地域のたくさんの方々から御要望がございましたから、お目にかかってこの方方の御意見だけは承っておこうと思って承ったところが、ちょっと急な問題が出てまいりました。  この小柴の貯油施設、歴史的にこれは旧海軍がやっておったのを米軍が引き継いだわけでありますが、その後米軍が接収していた土地を地元の皆さんにお返しをした。その経過は私ここに資料全部持っておりまして、詳しくございますが、時間がございませんから触れません。したがって、今日は間違いなく個々人の所有土地であります。  で、ここにずいぶんたくさんの方々が、所有権者がおいでになります。二十一筆になりますか、山林、畑地、山林、畑地、山林というようなぐあいで、斉田平吉さんという方から穴倉清之助さん、森田由松さん、斉田源蔵さん、新豊一さん、森田市蔵さん、窪田金作さん、増田守夫さん、斉田新之助さん、小山勝蔵さん、斉田吉男さん、小山省三さん、小山武市さん、斉田新太郎さん外七十六名で持っておられる土地がそのあと四筆ほどございます。それから小山兼吉さん、斉田伝作さん、それから斉田新太郎さん外七十六名で持っておる土地が、これは山林でございますが、また別にございます。こういう実は所有者になっている。つまり個人所有の土地の下にいわゆる十八号タンクというものをいつの間にかつくってしまった。  したがって私、これを早くから何遍も取り上げてきたのでありますが、最近の防衛庁からの話では、補償金を払うからイーズメントをくれというような話がある。非公式に個々人に行く、いまになって補償金を払うとは何だ、補償金を払うから地役権をくれとは何だ、かんかんに怒ってしまっているわけですね。長い年月にわたって勝手に人の土地の地下に危険な倉庫十八号をつくっておいて、その間借料、使用料を払ったわけじゃない。ここまできて補償金を払うという言い方は何だ。補償金という費目が果たしてあるのかと思って、私もいろいろ調べてみたんだけれども、そんなものはない。つまり借料をさかのぼって払うという意味ではないかと思う。地元の諸君にすると、そんなこそくなふざけた話があるかというわけです。それなら、タンクをつくったときにつくりましたという話があって、おたくの土地なんだから払わしてくれと、なぜそのときに話がないのか。勝手に不法占拠で人の土地の地下に倉庫をつくってしまっておいて、いまになって補償金を払うから地役権をよこせという言い方は何だ。年配の方方ですから、しかも長年待たされているわけでありますからね。しかも裸で十八号タンクができていて排気塔が出ているだけなんですから、大変危険この上もない。イーズメントが必要だという防衛庁の言い分は、いまさらふざけたことをと、こういうわけです。だから、これだけの地権者がそれじゃそろってひとつボーリングでもやってタンクまでおろすか、その責任は、人の土地を不法占拠している米軍あるいは管理をしている防衛施設庁にある、こういう話なんですね。そんなことをいまさら言い出すのならば、まずタンクをどけろ、おれたちはそう言いたいというわけです。  そこで、私に持ってきたのを見ましたら、そういうふざけた話を長年待たされたのにするのなら、まずもって無断のまま使用されている十八号地下貯油タンクを撤去しろ、もしくはリローケートしてほかに移転しろ、これが原則だ、そうなれば。その上で四万五千平米なら四万五千平米、約束どおり返してくれ、おれたちの土地なんだから。そして十八号地下貯油タンクの使用については撤去あるいは移設のめどが明確になれば、工事期間などを含めて短期間、一年とか二年とかこの間に限って提供に応ずることにやぶさかでない。そして危ないのだから、消防施設の設置だとか施設入口前にあるトンネル内道路の舗装を早急に実施できるように検討してもらいたいということで、改めてわれわれは提案を待っている、こういう話でございました。  前に、これは小山寛治さんという方が、余りといえば理不尽であるというので、自分の土地なんだからボーリングするなんという話がございまして、私が中に入ってとめたことがございます。これだけたくさんの地権者がそろってそういう話になるとすると、おれたちは老い先短いのだからどうなったっていい、せがれや孫子のためにやっておくことはやっておくのだという調子の話、これをこのままにしておきますと、これは皆さんが何と言ってみても、この方々に返した限りはこの方方の土地なんだから、所有権をちゃんと持っているんだから、そこに何の契約もなく地下に十八号タンクをつくったことも事実なんだから、私はおさまらぬことができ上がると思いますので、こういう場所で大変恐縮なんだけれども、大変緊急な問題でございますから、事件でも起こったら困りますから、そういう意味で取り上げたわけなんでありますがい皆さん一体どういうふうになさるおつもりなのかが承っておきたいのです。
  84. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 ただいま御質問がございましたいわゆる小柴貯油施設の問題については、いま御説明があったとおりのいきさつでございまして、私も最近いまのポストについたばかりでございますが、よく勉強してみますと、四十三年に大出先生が本委員会で御質問なさって、それ以来の問題である。しかもその中身は、さかのぼって二十八年に返還になった施設についていま御指摘のようなことがあるということを承知しまして、地元の方方にお返しした土地の下に何の権限もなしに貯油タンクがある、しかも危ないということ、それについていろいろ先生もごあっせんいただいて、解決する努力をしてまいったつもりでおりますが、今日なお解決しておらないということで、これはまことに申しわけない事案であるというふうに思っております。  そこで実は、この二日二十八日の委員会に私は別な資格で出席しておりまして、先生の御指摘、それに対する私の前任者の久保長官の答弁も承知しております。当時もやはり私と同じように、そのとおりでございますと、それからそのときの御指摘では、それではなるだけ早い機会に地元の人及び関係市と話をしてよく打開の方途を講じろということでございました。  そこで、その後の経過でございますが、四月二十三日に、御承知かと思いますが、地元の関係者それから横浜市の係官の立ち会いのもとにいろいろ話をしまして、まず当面の問題として排気塔が出ておって大変危ない、それからそのそばに何か穴があいておりまして子供が落ち込むというようなことがございますので、その周囲に保護のための防護さくを講ずる、これはできればもう八月にもやろうかという段取りをしております。当面の応急策はそういうことで地元の方にも御了解いただいて、人の土地でございますから御了解いただかないとできないので、御了解いただいて措置をしようという段取りをしております。  それから、そのタンクそのものは、これは地元の方の御意向でやはりあくまで撤去していただきたい、撤去するという段取りが目安がつかない限りはイーズメントにも応じられないという強い御意向でございますので、私どもとしては、これを撤去するためにはかなりの経費がかかりますので、経費の段取りを、おざなりではなくてまじめに検討いたしまして、その段取りをつけた上で具体的なめどを申し上げたい。そしてイーズメントの設定をお願いするというふうに持っていきたいと思っております。  それから、四万五千平米の問題ですが、これは過去において何遍か簡単なようなことを申し上げたわけです。実際は相手のあることでございますし、それから相手もかわったりしておりまして、その点、結果的にはうそを申し上げたようなことでまことに申しわけないのですが、ただいまの時点で米軍当局と大いに話し合って、かつ、これは大蔵なんかも返還に関連しては権限を持っておりますので、関係機関とも十分連絡をして四万五千平米については地元の方々の御要望に応ずる努力を改めて精いっぱいする。それについては一、二カ月と申しましたが、一、二カ月の工事が終わる前から米軍と話をしておりました。その後、詳しく申し上げれば長くなりますが、何回も米軍に強く折衝をして今日に至っておりますので、今後努力を重ねてまいりたい。  それから、道路と防火層の問題がございますが、これはわが方で幾らか補助をしようと思うと、どうしても市が介在していただかないとできないものですから、御案内のあの法律を適用するためには市が補助を申請していただく。したがって、いま私道になっておりますが、市の道にしていただくとかあるいは防火層についても市が介在して補助を申請していただくということが必要なので、市も入れてそういう検討をいたしております。  以上の点は、四月二十三日に関係者とお話しし、その後、防火壁については五月に至ってまた地元で立ち会って地元の方々の御了解を得る方向にまいっておりますので、大変速度が遅くて申しわけございませんが、私また新たにいまの立場で最善の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  85. 大出俊

    大出委員 長い時間をもちろんかけませんが、長い経過がありますから、説得すべきところはしていきたいと思っておりますので、できるだけひとつ……。時間がたちますと、せっかくいい話にしてあったわけですけれども、それなりにおっしゃるとおり、人もかわれば環境も変わりますので、また待ちくたびれれば感情もいら立ちます。したがって、どうももとへ戻ったようなことがたくさん出てくるわけなんでありますが、=面、無理からぬところだという気もするのです。そこらはごしんしゃくいただきたいと思っているのです。  そうして、これはリロケートするとするとどのくらい経費はかかりますか、当時は七億とか八億とかいう話が一遍ありましたが。
  86. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 物がだんだん高くなっておりので、厳密に計算するとかなりになると思うのですが、いまのところ概算やはり六億か七億ぐらいかかりそうな感じでございます。
  87. 大出俊

    大出委員 わかりました。ぜひひとつ、これはそういう方向でお進めいただきたいのと、あわせて長官またおかわりになりましたので、たくさん来るわけじゃありませんので、地元の方々と一遍会う機会ぐらいはぜひおつくりをいただきたいというふうにこれはお願いをしておきたいのでありますが、その点が一つです。  それからもう一つ、簡単に承っておきたいのですが、これは前回忘れまして、逗子、横浜市、両方にかかわる池子の弾薬庫につきまして、本年新春の横浜防衛施設局長の年頭のあいさつの中に、一部返還が本年は実現するという趣旨のあいさつ文があるのです。久保さんの施設庁長官のときに、あらかじめそのことをお話ししたら、お答えいたします、こうなっていて、それっきりになってしまったのですが、この件もしおわかりであれば簡単で結構でございますが、その後の経過を簡単に御説明をいただきたいのであります、どなたでも結構でございますから。
  88. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまの小柴の関係で、地元の方にお会いして少しでも御説明できる、それによってまた御了解いただけるというなら、私いつでもお目にかかる機会を設けたいと思っております。  それから、池子の方は勉強不十分でございますので、担当の部長からお答えいたさせます。
  89. 銅崎富司

    銅崎説明員 池子の一部返還問題につきましては、米側といろいろ折衝しておりまして、先生御存じの池子側の二カ所と横浜側一カ所、三カ所ございましたが、その三つにつきまして返還の要請を米側にいたしております。
  90. 大出俊

    大出委員 時間がありませんからこれで打ち切らせていただきます。  そこで、簡単にあと中身に触れて逐次ずっと承りますので、長い御答弁要りませんけれども、お答えをいただきたいのであります。  勧告は十五日までにはというお話でございました。人事院に承りたいのでありますが、公労協が五月段階で裁定が出る、公労委の裁定、これがたしか一一・七八だったというふうに思うのでありますが、これに定期昇給二・三五を入れますと一四・一三、こんな数字になるのだろうと思うのですが、この点と、それから何か公労委の側が公務員の側との較差というふうなことを当時云々した記憶を持っておりますが、そこらを含めて一体人事院はどういうふうに判断なさっておられますか。
  91. 茨木広

    ○茨木説明員 公労委の裁定の方は、御案内のように単純で一一・七七と発表されておりますようですし、加重で一一・七八と発表されておるようでございます。これは定昇引きのものでございます。その仲裁裁定を出されます際に、いろいろ談話なりの中で触れている問題が、ただいまの公務員との関係の較差問題といいますか、そういうものをお触れになっておるようでございます。ただ、ここら辺中身がはっきりしませんようでございまして、そういう要望があり、また労使の間でそういうことについてもいろいろ議論があったというようなことを触れながら、そういうものも横にらみしたような意味のことが書いてあるということでございまして、いかほどのものをどうしたということは明確には書かれておりませんものですから、その辺は私どもといたしましても聞いてみましてもわからないかっこうに正式にはなっておるというふうなことでございます。それは去年のこちらの比較方式を変えましたことに関連して、あるいは去年のその後の私どもが調査しました民間の水準と公労委の方でお決めになったものとの差等のことも頭に置きながらいろいろおっしゃられたのじゃなかろうかと思いますが、そういうことから出てまいった問題であろうというように考えております。
  92. 大出俊

    大出委員 この当時の公労委の民間賃金引き上げの動向について述べておる中身は、過渡的段階でございましたが一三・三%と、こういう言い方をしているわけであります。したがって、定期昇給二・三五、こういうことでございますから、一三・三なる公労委が上げた民間の引き上げ水準、これは定昇が入っておらない公労協の方でありますから一三・三から二・三五の定期昇給分を差し引いてみると、残りは一〇・九五、こういう数字になります。     〔木野委員長代理退席、越智(伊)委員長代理着席〕 したがって加重平均二・七八から一〇・九五を引きますと〇・八三という数字が出てくる。積んだのだとすれば、われわれなりに計算をするとこのくらいを積んだということに理屈の上ではなる。  もう一遍言いますが、一三・三から二・三五引いたものが一〇・九五、一一・七八の加重平均、これから一〇・九五引きますと〇・八三、まあ見当をつけるとすれば、あるいはこんなことかなと、確たるものではありませんが……。  ところがもう一つ、当時の実情からすると、三月の物価の上昇、これが大体一四・一、一四・二というようなことを言われていた。三月は一四・二ですね。三月が一四・二、四月が一三・六、五月が一四・一、六月が一三・七というのが実は全国の消費者物価の対前年同月比でございます。これは三月だから一四・二。それから私鉄、私鉄がこれは五月九日の中労委の裁定が一四・二という数字がここに出てきている。そうすると加重平均二・七八に定昇の二・三五を足せば公労協は一四・一三になる。理屈はともかくとして、大きく見ると、時の物価上昇、上げ幅あるいは私鉄の一四・二、ともにこれは一四・二でございますが、どうもここらを横目で見ながら一一・七八ブラス二・三五、一四・一三という数字が出てきたような気がする。  そこで、先ほど私が承ったように、春闘公務員共闘皆さん職員団体方々等との幕切れに、公労協と同程度勧告が出ることを期待する旨の総務長官のお話もあった。例年そうでございますが、公労協との対比が大体出てきている。したがって理屈はいろいろあるでしょうけれども、公労協並みという言い方だとすれば、これは定昇抜きで加重平均で一一・七八ぐらいのところになればこれは公労協並み、こういうことになるのでありますが、この今日の四月推定ベースで公務員は十三万九千円でございますから、そうすると大体一一・七八ということになると一万六千円を超える、このくらいの数字になるわけでございます。  そこで、承りたいのですが、公労協との関係というのはここ十年ばかり、ここに数字がございますけれども、そうこれは公労協公労協、こっちはこっちということではないのでありまして、積み上げ方式で調査をされる、だが結果的にはおおむねの見合いになってきているわけでありまして、そこらのことを踏まえまして、公労協並みのところを期待するという総務長官のお話もあったわけでありますから、人事院の側は一体この辺のところをどうとらえておいでになるのか。勧告前でございますから、確たる数字を申し上げて承ろうというのじゃないのですけれども、このあたりのところ、一体どういうふうにお考えでございますか。公労協並みを期待しておられる総務長官が隣においでになるので、期待にお沿いいただけるかどうかという点を聞きたいのであります。
  93. 茨木広

    ○茨木説明員 いま私の方は、御案内のように民調を実施いたしまして、それと公務員との四月現在におきます額を比較いたしてその積み上げの較差が出てまいる、その較差を四月の給与額で割り返しまして率が出てまいる、こういうような結果に相なるわけでございます。これは大出先生、御案内のとおりでございます。公労委の方の接近の方法は、いまいろいろお話ございましたように、いろいろな要素を横にらみされまして、例年の、特に私鉄とかそういうものとの関連を大変重く見ていらっしゃるようでございますが、そういうものを見ながらお決めになった経緯でございます。  そこで午前中、労働省の方もお呼びになっていろいろ御議論ございましたようですが、あの当時の足場では労働省調査になっておる数字も、いま先生がおっしゃられましたような一三・三あるいは五が出るかというような空気のもとにあれはお決めになったと私の方は見受けております。その後の結果が、午前中大変御議論がございましたようですが、むしろしり下がりになってきたという関係もございます。どっちみち私の方は労働省数字等をもとに決めるわけではございませんで、直接民調を基礎にいたしまして正確に較差を出してまいりますから、その結果がどのようなものになるかということは、あけてみないとわからぬ話でございますが、あの当時の情勢よりも、先ほどの中労委の調停と申しますか委員長の案と申しますか、出されました当時の状況よりも、その後の入りますものが全般的に少ししり下がりの状況がございましたので、その辺がどのような数字になるかということで大変頭を痛めているというのが現状でございます。
  94. 大出俊

    大出委員 しかし、人事院は居を移されて、総裁以下皆そこでいろいろ詰めておられるんだと思うのでありまして、ここまでくればおおむね結果が出てきているわけであります。しかし、総務長官の言う公労協程度のものを期待する、総裁、これはいかがでございますか。その期待を大きく離れられては困るのでありますけれども、公労協程度のことを期待するという幕切れになっているのでありますから、大体そんなところに近いものになる、ここまでくればそう考えてよろしゅうございますか。総裁、いかがでございますか。
  95. 藤井貞夫

    藤井説明員 春闘段階におきます組合総務長官との最終的な話し合いの席上で取り交わされましたいろいろな経緯については、先刻来明白になっておるところでございまして、公労協並みの期待をするということを総務長官理解する、毎年と少し違ったようなことであったように承っております。いま給与局長も申し上げましたところでございますが、われわれの方は民調というものを直接の根拠にいたしまして較差が出ればそれに基づいてやるということがたてまえでございまして、直接には民調の関係ということになります。公労協の方は直接にはつながってまいりません。ただ、従来も横目でにらんでおらないと言えばこれはうそでございまして、そういうことも頭に入れながら、どういうような民調の結果が出るかということに対して非常に深甚の注意といいますか、心配等も交えながら見ておるといういまの段階でございます。
  96. 大出俊

    大出委員 いま総裁が、従来ともに公労協の方を横目でにらんでいないと言えばうそになるとおっしゃいましたから、横目でにらんでおいていただきたいわけでありまして、その辺のところに落ちつけば大体期待されたとおりのことになるというわけでありまして、これは十年ばかり、ここにございますけれども、公労協人事院勧告が、旧来からそう飛び離れた結果が出ておるわけじゃない、積み重ねていってもそう違わぬところにいかなければおかしいわけでありまして、民間の動向というものが一つの前提になるわけでありますから、期待を裏切らないところに落ちつくように御努力をいただきたいと思うわけであります。時間の関係もありますから細かく深追いをいたしませんが、そう申し上げておきたいのであります。  それから、先ほども労働省といろいろやりとりをいたしましたが、金融共闘関係は、もうすでにさっき数字を申し上げましたから重ねて申し上げませんけれども、人事院の方が調査の結果どういうふうなことで進められておるか、調査諸表なんて私は見たことがないからわかりませんけれども、恐らくそこらは、金融関係なんかもそれなりに正しくおつかみになっているはずだと思うのでありますが、そこが一体どうなっておるかという点が一つ労働省調査の中には鉄鋼大手が入っていない、金融関係が入っていない、さっき労働省が認めたとおりであります。しかも、どうもえらい腰だめのことをおっしゃいましたが、私のところには細かい資料があるわけであります。  それからもう一つ、ことしは三木さんの周辺でなんという新聞記事がございまして、中小企業などの賃金の状況は反映されていないなんと言っていますけれども、春闘共闘などがコンピューターではじいた限りでは、中小の方がかえって引き上げ率はいい、いずれも一四%を超えた数字が出てきている。ここらのところも、人事院は決められた枠でやっていますからあれでございますけれども、いろいろなことを新聞が書きますけれども、中小が悪いわけではない。  それからもう一つ大きな点、これは人事院にしかと聞いておきたいのでありますが、春闘、春の段階で、じゃこのくらいにしておく、だがしかし、秋にこれだけ回してという、通称世の中で言う二段目ケット方式だとか、一時金まではね返っているところなどは三段ロケット方式などという言葉が出てくるが、そういう企業がいろいろございます。電機なんかでもございます。人事院そこらのところは一体どういうふうに調査をし、おつかみになっておるのか、おわかりになっておるのかどうか、調査をしているのかいないのか、ここらのところをはっきり承っておきたいのであります。
  97. 茨木広

    ○茨木説明員 第一番目の銀行関係でございますが、おいでになる組合の方からもそういう話題が出ております。今回の調査には、付帯的に昨年の秋以降の状況から、これから少し前向きの方の状況まで、聞き取り調査でございますが、わかるものはできるだけ調査してまいるように調査員の方に指示をしていただいてやったわけでございます。しかし一番基礎は、例年の、四月に給与を支払いましたもの、それから調査時点までの間に妥結をいたしておりますが、まだ配分が終わっていないというものはまずきちっとつかむという方式、これを動かしますと大変なことになりますので、そういうことで現在較差を算定いたしております。  いま御指摘銀行についても、どこのものがどれだけ入っているかという個別的、業種別にというのは、私もいま認識いたしておりませんけれども、一般傾向といたしましては、昨年も銀行の方はおくれておりまして、積み残しのところにも入っていない。したがって逆に、その後の改定銀行やっておりますから、昨年の高い率のものがことしの中に入ってくるというかっこうになります。ですから、これから先の改定の部分を入れますと二重にもなりますという問題もございますし、その辺がやはり先ほどの率にもいろいろ有利な影響もあるんじゃないかということも考えておるわけでございます。その辺でございます。  それから第二番目の、繊維とか鉄鋼とか業種別には従来のものをやはり全部網羅するというたてまえでやっております。ただ別途、教員その他の改善を特別いたしましたので、学校関係とか病院関係の抽出率は多少落としてございますが、それ以外はやはり従来と方法を変えるということは数字の基礎をゆがめることになりますので、同じような範囲で取り上げております。  それから、いまの二段ロケット、三段ロケットの問題でございますが、調査の過程に一部、たとえば初任給を四月に決めまして、七月また別のものをというようなところもつかまえてきているのがございます。その辺のところは、これは昨年から一年間にわたる動的状況もそういうふうに把握できますものはいたしておりますが、その辺をどう扱うかということは、やはりよく内部で慎重に検討いただいてと思っておるところでございます。恣意的にこれをどうこうということになっても、こういう時代でございますので、それなりにまた大変なことになりますので……。
  98. 大出俊

    大出委員 ここでちょっと承っておきたいのですが、定期昇給というのは一体何%ぐらい見るのですか。去年私が聞いたら、あなたの方は二・六%と、こう言った。ところが、十六日でございましたか、総裁がお出になった定例記者会見ですか、あの新聞記事で見る限り、まことに私はどうも不納得でございまして、強いて言えば、総裁まことにけしからぬねという言い方になりたいわけでありまして、あの中を見ると定昇は二・八%だと、こういう言い方から始まりまして、しきりに一〇・三だ云々だということが新聞総裁がいろいろしゃべった結果としてこう出てきている。何を一体総裁はあの段階で言ったんだ、まことに不可解な気がするわけでありますが、これを含めまして、一体定昇はどう見て、十六日のこの段階というのは何を一体総裁は言ったのか。新聞から見る限りでは、どうもこの時期にこんなことを、不見識なことを言われては迷惑だという気がするのでありますが、この辺はいかがでございますか。     〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
  99. 茨木広

    ○茨木説明員 先般の記者会見で定昇の御質問がございました。それに対しましては私がお答えを申し上げたのでございますが、定昇は、新ベースが決まって、そして給与表が決まりますと同時に、新たな給与表に基づいて定昇率が幾らになるかということが決まってくるのであって、この段階で幾らになるかということは申し上げられないので、勧告申し上げた時期に、その俸給表に基づく定昇率が出てまいるのです、こういうふうに説明してございます。ですから、新聞でお書きになりましたのは、昨年のものをお書きになったのだと思いますが、それは昨年とはまた違ったものが出ますよということもその際に申し上げてあるのでございます。そういう関係でございまして、やはり新しい俸給表が出てまいらないと、どういう率になるかということはここではわからない話でございます。
  100. 大出俊

    大出委員 長い時間かける気はないのですけれども、私が昨年聞いたら二・六という言い方をされた。新聞は一様にどの新聞も二・八という数字を使っておる。あなたの方が言わぬで二・八という数字は使いはせぬでしょう、どこの新聞だって。そうでしょう。だから、労働省一三・一だ何だから引き算をしたようなかっこうでみんな書いてある。これは穏やかでない。いまの給与局長答弁ならこんな数字が出てくるはずがない。ひとつ総裁自身はここのところはどうお考えなんですか。新聞には、総裁がかくかくしかじか述べたと書いてある。総裁がこの時点でこうお述べになって、二・八引っ張ったら一〇%ぐらいだなんというばかなことを言われたんじゃ、これは総務長官公労協並みの期待というものとの関連もございまして、ちょっと承服いたしかねます。いかがでございますか。
  101. 藤井貞夫

    藤井説明員 新聞報道の編集方針その他について、私からいろいろ申し上げることは差し控えさしていただきますが、いまの御指摘の点は、給与局長が申し上げましたように、私といたしましては、そういうことは一切申しておりません。恐らく記事にする関係上、推測をしなければというようなことがございまして、そういうことで事務当局にも去年のものはどうであったとかなんとかいうようなことの聞き出しがありまして、そういうものを引用したのではないかというふうに私は想像いたしております。私もそういうことを軽々しく言うはずがございません。
  102. 大出俊

    大出委員 総裁は、総務長官が期待するとおっしゃった公労協を横目でにらんでいないと言えばうそになるわけですから、横目でにらんでおられる。公労協を横目でにらんで、さて集計の結果はと、こうお考えになっているというわけでありますから、恐らく総務長官の期待を裏切ることはない集計結果が出るだろうと思っておるので、まさかあんなことをおっしゃることはないだろう。いま明確に否定をなさいましたから、この点については了解をいたします。  そこで、この配分でございますけれども、いずれにせよ、本俸を重点的にお考えになるのだろうと思うのでありますが、本俸、扶養手当、住宅手当、さて初任給、こういうことになっていくわけでありますが、ここらのところを一体ことしはどういうふうにお考えになろうというおつもりでございましょうか。本俸、特に中だるみ問題その他がございまして、これは後からちょっと触れさせていただきますが、そこら辺のところは一体どういうふうにお考えでございますか。
  103. 茨木広

    ○茨木説明員 ことしの民間給与の動向等も見ておりますと、昨年までの傾向と違いまして、初任給よりも中堅層にあるいは一律的な上下というような感じの配分傾向になっておるというのが意識としてあらわれてきた動向でございます。組合の方からも、そういうような空気も受けまして、やはり中堅層を相当重点的に考えていただきたいというような感じの要望も出てまいっております。  そこで、ことしはいままでいろいろ論議されておるような感じの、やはり民調、民間の給与状況を反映して較差が出てまいると思われますので、そういたしますと、やはり本俸に重点を置きつつ考えていくというふうなことはたどらなければならぬ道であろうと思っております。本俸の中でもやはりそういうような傾向も踏まえながら配分も考えていかなければいかぬ、こういうことではなかろうかと思っております。いませっかく、これからいろいろ作業に入りつつあるところでございます。
  104. 大出俊

    大出委員 ここで二つだけ承りたいのですが、指定職というのを調べてみますと、これは皆さんの方で言いますと人事院規則の九−四二、指定職ですね。標準職務表がございます。標準職務表の方には羅列的にずっと本省の局次長がどうのこうの、指定職の場合はこう、一等級の場合はこう、みんなこうあるわけでありますが、時間がありませんから細かくは申しませんが、人事院規則九−四二の東京大学の学長から始まりまして、ずっと並んでいるイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チという一番最後、「前各項に掲げる官職以外の官職」こうなっておりまして、「一号俸から五号俸までの号俸のうち、官職ごとに指令で定める号俸」こういう条項が最後に載っている。  そこで、総務長官おいでになりますけれども、総理府の場合に一体指定職俸給表というのはどこまでが官職でいって、どこまでが指定職の俸給表でございますか。
  105. 秋富公正

    秋富説明員 具体的なことは人事課長の方でございまして、私、必ずしも明確でございませんが、総理府におきましては、局長それから審議室長、こういったものは指定職でございますが、あと漸次これが拡大されてきているようでございますが、私、所管でございませんので、必ずしも正確なお答えができないので失礼いたします。
  106. 大出俊

    大出委員 これは実はやみなんですな。みんな皆さんは指定職の方に持っていってしまうんですね。  この際、念を押しておきたいのですが、総理府の場合には局長、局次長、その後に審議官、部長、室長、付属機関の長、それから付属機関の事務局長さんまで全部指定職です。一等級なんて大穴があいてしまっている。みんなあっちへ行ってしまっている。局長や次長だけじゃないんですよ。審議官、部長、室長、付属機関の長、これはみんな指定職です。こんなものはこの羅列の中に載ってない。これは人事院の指令ですよ。それから付属機関の事務局長、これも人事院の指令ですよ。みんな指定職に行ってしまった。片っ端から指定職です。これは総理府にしてそうなのです。  次は、これは行政管理庁だってそうですね、指定職俸給表。事務次官それから局長、統計主幹、審議官、監察審議官、管区行政監察局長、全部指定職です。これは人事院の方が指令したのです。  大蔵省などなおひどい。事務次官、財務官、官房長、局長、日銀政策委員部長、局次長、審議官、専売公社監理官、研修所長、全部指定職です。  これは人事院に承りたいのですが、この最後の、みごとにみんな指定職に持っていってしまっているんですけれども、これはどういうわけですか。これは違法だとは言えないかもしれない。「前各項に掲げる官職以外の官職」これは指令で定める、こう言う。上の方というのはまことにうまくできているのですが、これは一体どういうことなんですか。
  107. 茨木広

    ○茨木説明員 御案内のように現在の指定職俸給表は、もと甲と乙と分かれておりましたものが統合されておるわけでございますが、当時のあれで甲が局長以上、それから部長とか局次長とかそういうもの相当のもの等が乙のところに入っておるわけでございます。そこで、それが統合された姿で、いま御指摘のところに大体いまの部長なり次長なり、それ相当のところが個別に上がってまいるというようなことに相なっておるわけでございます。一応組織の方の整備と相まってそういうようなものが出てまいりました際に、いろいろ協議がございまして、過去のものとの均衡を考慮しまして、部長なりあるいは局次長なりに対応するものを順次指定をしてまいっておる、こういうことでございます。それから、あとは研究所とか学校関係のものでございますと、これはいわゆる狭義の行政職と、それに対応します研究職なり教育職なり、それからもう一つ、病院系統がございますが、医療職系統、これをやはりそれなりに待遇をするということから、対応のところの方々をやはり指定してまいっておる、こういうような姿でございます。
  108. 大出俊

    大出委員 これは、いまちょっと一つ資料をどこかへ入れてありますけれども、いまおっしゃった甲、乙が一緒になった長い経過がございますが、重要な課長だの局長だのというのでみんな次次に上に上がっていった。  ここに一つ資料があります。これによりますと、昭和四十年に指定職の甲、乙の合計三百五十六人だった。指定職の創設は三十九年です。四十年に甲、乙合計しますと三百五十六人。これを四十八年にいま話の甲、乙一本にした。この時点に三百五十六人が何と九百二名にふえた。四十九年に千五十七名にふえってしまった。みんな指定職に持っていってしまった。これは人事院のお手盛りです。五十年、これはもっとふえているでしょう。千百幾らになったか知らないけれども、みんな上がって指定職に行ってしまった。こうなると、一番てっぺんのところというものはまるっきり優遇されっばなし。これは今度、全然上げる必要ないじゃないですか。おまけに、いっか植木さんも、御説明になっているように、大臣は一〇%返納されているわけですから、大臣が返納していれば、やみで指定職になった人たち、これは全然要らないでしょう。これこそ自治省じゃないけれども、この指定職の方々についてはベースアップはゼロでいいんですよ。やみでみんな上がってしまっている。こういうことを茨木さんのところでやっている。藤井総裁人事院はけしからぬです。そして省に聞いてみれば言いはしない。どこまでが指定職だと聞いたって、ちょっと私のところじゃわかりませんと言う。さっき総理府秋富さんだって、課長段階でございまして、私にはわからない、まともに答えやしない。それなりに調べてみれば、みんな行ってしまっている。そういうやみをやっているてっぺんのところは要りませんよ。財源がどうのこうの言っているんだから要らない。こんなにふやしてしまった。重要課長から重要局長なんて、例の制度を始めてからみんなそっちへ行ってしまった。  だから、ここに資料があるんですけれども、昭和四十一年と四十九年、八等級三号、つまり高卒の初任給、四十一年一万七千三百円から四十九年五万九千二百円、この間、四十一年を一〇〇とすると、一体何倍くらいになっているかというと、三四二・二ですから三・四倍になっているだけです。ところが指定職、局長さん等は同じ四十一年で十万四千百円、この方が四十九年で幾らになっておるかというと四十八万円です。四五六・七、四十一年に比べて四・五六倍、四・五倍以上上がってしまった。ところが、新高卒初任給八等級三号などというのは三・四二倍、三・五にもいかない。偉い人は四・五を超えてしまっておる。三・四と四・五六、こんなに上がってしまっておる。それで真ん中の四十三歳なら四十三歳をとってみると、同じ筆法でいって二・五八、二・五倍にしかなっていない。指定職の方々は四・五倍、四十三歳の四等級の十号、何と二・五倍にしかなっていない。まさにこれは悲しい四十歳ですよ。指定職の方々人事院がやみで認めてどんどん上げてしまって、四十三歳、まさに働き盛りで、子供さんの教育が必要であるという時期、世帯形成からいったって、三十五歳で四人世帯形成するのでしょう、その三十五歳のところを見たって二・七倍しかない。三十五歳のところが二・七倍、四十三歳が二・五倍、指定職が四・五倍、四十一年からの上がり幅が。新高卒初任給が上がる傾向にあって、なおかつ三・四倍にしかなっていない。  委員長、ちょっと了解いただけますか。これを差し上げておきますが、これをひとつ専門家で見てください。これはひど過ぎる。これじゃとても食えやしませんよ。一体どうするつもりですか、今度の勧告におきまして。かくのごときめちゃくちゃな中だるみを……。
  109. 茨木広

    ○茨木説明員 まず指定の問題でございますが、これは別表の方に全部列挙し切れないので、基準になるものを列挙いたしまして、その他は指令ということで人事院会議で決めさせていただくということであって、決してやみではございません。  それから、この上下倍率の関係でございますが、これは昨年以来、私どもも注意をして見ておるところでございますが、昨年も申し上げた機会もあったかと思いますけれども、出発の当時は、御案内のように指定職俸給表は、諸手当を全部調整手当以外は含めた金額になっております。そういう関係があって、金額がすっと上がったような姿に見えるわけでございますが、年々の改定の経過をたどってまいりますというと、上下倍率の関係は、初任給との関係では約二分の一近くに縮まっておる、三十五年以降の課長クラスの一等級のところと八等級で見ますとそういう姿になります。指定職はその後できてまいりましたわけでごごいますが、やはり七割方に上下倍率が減ってございます。  先生がいま見解として申されました指定職の俸給表を今度の際どう扱っていくか、これもいまいろいろな角度から検討をいただいております。ただ、いま御意見のようなことで実施をいたしますと、今後、指定職に上がってまいります段階との接点をいろいろ吟味いたしておりますが、仮にこれをストップをいたしますということになりますと、その影響は三等級、四等級近くまで及んでくるという状況になって、逆転の姿を生じてまいるというようなこともございますし、現在の指定職の層に入っております者のうち、行政職が約四百六十人ばかりで、それから五百人以上は大体大学の教育系の教授方でございます。それからあとは研究職、医療職、こういう姿になっております。また、この対応のところの、総理府所管の方の特別職の中にも、やはりそれ対応の裁判官、検察官、その他外交官の方々が多数おられます。その辺のことも慎重に検討して、ここをどうするかということは決めてまいらなければいけない問題であろうということでせっかくいま勉強中でございます。
  110. 大出俊

    大出委員 あと羅列的に言いますから答えてください。  初任給ですけれども、去年一万円ばかりの開きになってしまった。よけいなことは言いませんが、ことし電通、専売等の動向を見ますと九・九%ぐらい上がっています。六千八百円、国鉄がこれに二百円乗っているわけですから七千円でしょう。そうすると、あれだけ去年もめた初任給でございますから、そのために人事院との間で話し合いもできなくなったといういきさつもある、それだけに、去年の動向からながめてみて、これ以上較差が開くということは認めがたい。一万円からまだ開くというようなことにしてもらっちゃ困る、初任給は。したがって較差を詰める、こういう方向で一体どこまでやっていただけるのか、これが一つ。それから、いまの逆転するかもしれぬというのだが、逆転なら、一万円なら逆転するかもしれぬが、七千円なら逆転しないという限度があるわけですから、そこらをお考えいただければいいことになる、指定職との関係。それから三番目に、去年初任給にかかわる試験採用の人の三短をやったはずであります。それならば一体在籍者はどうするのか。いま、それまでおる人をどうするか。在籍者調整という問題が依然として出てくるわけでして、この在籍者調整という問題は、これは時間がありませんから多く回答をいただかぬでも結構でございますから、該当の職員団体皆さんの間でぜひこの点は詰めていただきたい、これが三番目。それから次に、扶養手当、大体標準世帯で扶養手当一万円ぐらいのことに持っていけないかという気がするのでありますが、ここらあたりの見当はどうお考えになっているかという点が四番目。それから住宅手当は、今年はあるいは調査の過程等から見ていろいろ問題があるように聞いてはおりますけれども、この点は一体どういうことになるかという点と、通勤手当の問題は一体どうかということ、これで六つ申し上げましたが、簡単で結構でございますから、さっとお答えをいただきます。
  111. 茨木広

    ○茨木説明員 初任給の問題は、昨年以来の問題でございますので、注視をしまして吟味をいたしております。ただ、ことしの状況は、民間との関係で言いますと、先ほどちょっと触れましたように、初任給に重点を置く姿ではございませんが、しかし、昨年以来の経緯がございますものですから、できるだけ勉強してまいりたいということで見ております。ただ、先ほどの六千八百円、それから七千円という数字が出てきておりますが、この辺のものを率に直してみますと、やはり大変高い率にそこがなってしまうことにもなります。というのは向こうの方は、先ほど来御議論のとおりに、三公五現の仲裁裁定の決まる経緯が相当高く出ておりますので、その辺が反映した初任給になっております。その辺の関係もあって、大変いま頭を痛くしておるところでございます。組合からの要望は、最低六千七百円は上げてもらいたいという要望になってまいっております。その辺も踏まえながら結論を出してまいりたいというふうに考えております。  それから、指定職の問題については、一つの御見解をいただきましたので、その辺もよく参考にさしていただいて、御相談をいただきたいと思っております。  それから三番目は、在職者調整の問題でございますが、この点も含めたような感じで七等級の、要するに二十七歳世帯構成程度のところから相当金額を張り込んでくれという要望の姿も一つ出てまいっております。そういう姿で解決するのも一つの方法じゃないかと思って、いろいろ吟味しておるところでございます。  それから、扶養手当についての要望もそういうようなことで承っております。これは民間の動向もいま調べておりますので、せっかく勉強してまいりたいというふうに考えております。  それから通勤手当は、昨年相当前進した制度改正をやったわけでございますが、その当時、十月の運賃改定も控えておりました動向も踏まえて当時の制度を決めておりますので、両者を折衷したようなところを踏まえながら、その後の運賃の値上がり状況等も踏まえて線を決めてまいりたいというように考えておるところでございます。  それから住宅関係は、これはことしの出てくるであろうと想定されるものがなかなかきつい中での配分でございますので、全面的にというわけにはなかなかまいらぬだろうし、特に昨年新たに踏み出したものということについては、やはりよく検討してまいらなければならない。しかし借家、借間等の問題についても、その後の動向をよく見まして検討しなければいかぬ問題であるというふうに考えて、これら生活関連的なものは、枠の許す範囲内でよく考えてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  112. 大出俊

    大出委員 もう一点だけ承りますが、春闘の積み残しの問題でいつも問題になるのですが、おたくの算式がありますね。ちょっと言いますと、民間の賃上げ率からマイナス、括弧して公務員の定期昇給、これは四%になっているんですね。マイナス一%括弧閉ず、これを大括弧で囲んで民間の事業所率を掛けて、AならAということで積み残しを算出する、こういうことなんですが、これはもう御存じのとおりであります。ここで四%の定期昇給率というのは、これはどこから考えても解せぬのです。これは、さっきも二・六だ、二・八だになっているんですから、そうなると、これはこの算式に偽りありになるので、ここのところどう考えますか。簡単に答えてください。
  113. 茨木広

    ○茨木説明員 この算式につきましては、前にも国会で御議論があったようでございますが、それを引いておるのは、いわゆる民間の定昇分というようなものが春闘の時期に一緒に込みで改定されるような場合には、どの部分が定昇部分であり、どの部分が定昇部分でないかというようなことがなかなか決めがたいということで、これは一種の算式ということでずっと固まってまいったような経緯があるようでございます。その辺のところで、いま御議論のようなあれもございますわけですが、まあ前からの経緯もいろいろございますものですから、御了承いただきたいと思っております。
  114. 大出俊

    大出委員 あと週休二日の問題で総裁に三、四点承ります。それで終わります。  これは、基準を決めると私に何遍もお答えになりました、十二月までにと言って。そして寸でき得れば給与のときでなく別にということでございましたが、時期的な問題がございます。行管もいろいろなことを言い出すというようなわけでございますから、給与のときに何かずばりおっしゃった方がいいような気がする、最近の実情から見て。そこのところを報告なら報告でどうお書きになるとか、総裁どういうふうにお考えかという点をひとつ承りたいのです。  それから第二番目に、基準と絡みますけれども、まず来年一月から実施するというやりとりに私との間はなっておりましたが、変わりがないかどうかという点。  第三番目、やり方なんですけれども、職免、つまり職務専念の義務免除というような形をおとり、になる。これはそうなれば規則を出すわけですね。それから特別休暇、これも規則が要ります。そういうふうなことをお考えなのかどうかという点。  それから、さらにもう一点、特定職場の除外ということが出てくると、総理府でやっておられる部会での検討の状況等との関連も出てまいります。この辺のところ、つまり一斉におやりを願わなければならぬというふうに思っているのですが、そこのところをどういうふうにお考えなのか、とりあえずこの点について承っておきたいのです。
  115. 藤井貞夫

    藤井説明員 お答えをいたします。  週休二日の試行の問題については、いま大出委員が御指摘になりましたようなことで今日までまいっております。その方針については変わりはございません。これを今度の勧告に取り入れるのかどうかという問題でございますが、まだ結論を得ているわけではございませんが、私の感じといたしましては、去年、おととし二年引き続いて週休二日制のことに言及をしてまいっております。ことしもまた民間の状況を、職員局の去年の十月調査以降の分についても調査をして、その集計を行っております。その結果も見ながら、やはり大きな流れとしてこの勧告に何らかの形で触れていくということがいいのではないかというふうに考えております。ただ、試行の技術的な面等につきましては、これは本勧告になじむかどうかということに疑問もございますので、この点については別個にやるかもしれないということを含みとして考えておるのであります。  それから、試行の実施時期等の問題は、いま御指摘になりましたとおりのことを考えまして、それとの時間的な見合いで基準その他の準備を進めてまいりたい、かように考えております。  それから、形式の問題でございますが、やる限りはやはり特免かあるいは特別休暇か、いずれかの方法にすべきが至当であろうという考え方を持っております。これをどちらにするかということは、これから検討をいたしたいということでございます。いずれにしても、これをやるということになりますれば、人事院規則の改正問題等が起きてまいると思います。いずれにしても、これは試行でございますので、私といたしましては、全職場を対象としてやっていく、その段階においていろいろな問題が浮き彫りにされてくる、浮き彫りにされたら、それに対して対処を考えていきながら進めるということに考えております。
  116. 大出俊

    大出委員 大体私の考えておりますような御答弁をいただきましたが、方々からいろいろな雑音も出てくるわけでありますけれども、これは国際的な大勢でございまして、人事院の御調査その他の数字等もにらみながら、ぜひひとつ、これは勇断をふるってお進めをいただきますように。心配しておりました文部省なんかでも、私も承りましたが、文部大臣も相当前向きに物を考えて答えておられますし、大蔵省あたりでも、ここまでくればという気持ちが強くなっておりますし、また不況という名がついておりますが、しかしこういう時期は、ある意味では特にこの種のことを進めていく機会かもしれません。そこらのことも含めていただきまして、ぜひひとつこれは進めていただきますように、重ねて御要望申し上げておきたいのであります。  最後に、総裁が御就任をいただきまして以来、ことしの人事院勧告というのは、総裁の手によるものとしては初めてでございまして、そういう意味で、財政状況その他の問題等があってとかく新聞その他の書き方等も気になる面があるわけでありますが、私は、やはりこういう時期であればこそ、人事院の存在価値をある意味では、悪い意味でなくて、問われることになりかねない時期だという気もいたします。そういう意味で、総務長官春闘幕切れに職員団体皆さんお答えになっておる一つの期待、これは職員諸君の胸の内にある期待でありますから、ぜひひとつ、横目でにらんでいないと言えばうそになるというお言葉でございましたが、そこらの期待に沿い得る結果が出ますように、格段の御努力をいただきますように最後に一言申し添えまして、大変くどいようでありますが、もう一言、ひとつその辺のお答えをいただいて、終わらせていただきたいと思うのであります。
  117. 藤井貞夫

    藤井説明員 大変ことしは特に厳しい環境にあることは事実でございます。しかしながら公務員には、皆様先刻御承知のように、公務の特殊性から言いまして、それだけいろいろな制約がございます。その制約に対する代償機能を果たす役割りをするものとして人事院があるわけでございます。しかも、この人事院給与に関する勧告制度というものは、各方面のせっかくの御努力と積み上げによりまして、完全実施というところにまで進んできたわけであります。私といたしましては、このたてまえは、いかなる状況がございましても堅持してまいりたい、かような覚悟を決めている次第でございます。
  118. 大出俊

    大出委員 総務長官に最後にもう一つ承りたいのです。御予定をいろいろお持ちのところをお運びいただきまして恐縮をいたしておりますが、事、多数の公務員諸君の生活にかかる問題でございますので、御了承をいただきたいのでありますが、なかなか厳しい周囲の状況にございますだけに、総裁がきちっとお答えになっておりますので、ぜひひとつ、公労協程度のものが出ることを期待をするという意味での合意もございますから……。  私は、もう何とも腹に据えかねるのは、不況と名がつくととかく公務員の賃金が問題になるということ。じゃあ景気のいいときにはどうなんだという。同期の諸君が集まってみても、何だおまえ公務員かと、つまりもらっている給料の少なさを何とも後ろめたいものをという、これは公務員をやっている方々の一様にある気持ちでございまして、景気のいいときにはまさに小さくなっていなければならぬ、ところが不況になるととたんに問題が出てくる。しかも、こんなにたくさん公務員がいてとは言うのだが、定員法から総定員法に移ってくる経過を見ても明らかなように、行政サービスという面を含めて必要だからこれだけ定員がいるわけでありますから、決して非合理的なものでもない。  そういう時期でございますだけに、ひとつ、これまた担当の責任ある大臣というお立場で、公務員諸君の大方の期待に沿えるような御英断をお願いをいたしたいと思っているのでございますが、最後にもう一言お答えをいただきたいのであります。
  119. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、厳しい環境でございますけれども、人事院勧告は尊重をするという実績を積み上げてまいったわけでございます。関係省庁と十分協議をいたしまして、私といたしましては、その実現のために最善の努力をいたす決意でございます。
  120. 大出俊

    大出委員 どうも大変長時間にわたりましてありがとうございました。
  121. 藤尾正行

    藤尾委員長 中路雅弘君。
  122. 中路雅弘

    ○中路委員 本来ならば休憩を一度した方がいいと思いましたけれども、職員団体皆さんとのお話し合いもあるそうですし、その時間も限られています。私たちも、関係組合皆さんとのお話ですから、協力をしたいと思いますし、また、後の時間も詰まっているわけですから、続いて質問させていただきたいと思います。  最初に総裁に、藤井総裁総裁としては今度初めての給与勧告を行われるわけですから、この勧告に先立って総裁の基本的な考えを二、三点お伺いしておきたいと思います。  第一番目は、公務員給与のあり方の問題。基本的な考えとあわせて、代償機関としてどのような機能を果たすべきであるかという問題、その責任をどのように認識しておられるかという点について第一番目にお伺いしたい。  続けて御質問しますからあわせてお答え願いたいと思うのですが、第二番目は、刑事罰の免除の問題、不当労働行為の排除に関する問題ですが、これについても総裁の基本的な考え、あわせて人事院の公平機能のあり方についての考え方、代償機関としての責任について総裁がどのように認識をしておられるかという問題。  もう一点ですが、結社の自由と団体交渉権に関する問題です。特に結社の自由と現行の登録制度との関係についての考え方ですが、同時に、非登録団体の団体交渉権及び管理運営事項と団体交渉権との関係、こういった問題について最初に基本的な総裁のお考えだけお伺いしておきたいと思うのです。
  123. 藤井貞夫

    藤井説明員 先刻、大出委員の御質問に対してお答えをいたしましたように、人事院というのは、公務員がその公務の性質上いろいろ制約を受けておりますことの代償機能を果たすということを非常に重要な使命として設置をされておるものであると解釈をいたしております。すでに私、大分以前になりますが、人事院事務総長としてもお仕事をさせていただいたこともございまして、その点の認識は十分持っておるつもりでございます。しかも、この人事院制度というのは各方面の御理解と御努力によりまして、戦後の相当の期間を経過をいたしまして、すでに定着をしてきているというふうに認識をいたしておりまして、この筋道というものは堅持をしていかなければならないというふうに決意を固めておるような次第でございます。  そこで、公務員の処遇ということに関しましていろいろございますけれども、その主要なる項目の一つとして給与をどうするかという問題があることは御承知のとおりでございます。この公務員給与をどうするのが適当であるかということは非常にむずかしい問題でもありますし、また、それだけに世界各国でもいろいろ問題が提起されて、それぞれの分野で努力が重ねられてまいっておるのであります。そこで、人事院といたしましては、これは各方面のいろいろな御指示等もございまして、そういう面も参考としっついろいろ積み重ねをいたしまして今日の官民較差の方式を打ち出した次第でございます。  御承知のように公務員というのは、公務に従事するということでございますが、それと同時に、その給与その他は国民の税金で賄われるという要素を持っておるのであります。したがって、いつも公務員給与に関する処遇等を中心考えますと、両方からの批判がございます。国民の側から言えば、何としてもやはり税は低きをもって望ましいものとするという考え方がございましょうし、また公務員自体といたしましては、労働基本権その他が制約を受けておる、また服務等についても厳重な規制があるというようなところから、やはり相当の処遇をしてもらわなければ困るという要請があることも事実でございます。そういう点をにらみ合わせまして御納得をいただく、いわゆるコンセンサスを得るということにいたしまするためには、今日までやってまいりました官民較差というものを調査いたしまして、その結果が出てまいりますればその穴埋めをする、後追いというかっこうではございますけれども、較差を是正していくという方式が一番合理的な方式ではないかということで今日まで来ております。  よけいなことでございますが、世界の各国におきましても、この方式が先進国等においては漸次とられておりまして、いわゆる匹敵性の原則とかあるいは権衡性の原則とかいうようなことでアメリカ、イギリス、ドイツ等においても、われわれのやっておりまする人事院方式というものを基本として採用をしてくるところが多くなっているということでございまして、われわれといたしましては、いまのところはこれが一番合理的な方式ではないかというふうに考えておる次第でございます。  また国会、政府を通じましてこの方式について御納得がいかれた結果とも思いますが、漸次完全実施という方向に積み上げがなされまして、最近に至ってこれが実現に来ておるということでございますので、私といたしましては、これに関する方式というものを堅持してまいるという所存を固めておる次第でございます。  それから、第二の点でございますが、いわゆる刑事罰と実損回復ということでございますけれども、これは実は人事院の立場として責任持ってとやかく申し上げる筋合いのものではございません。しかし、問題があることは前々から承知をいたしておりまして、真剣に問題点を見詰めて検討はいたしております。ただ、いろいろ波及する問題もあり、また法律制度自体のたてまえの問題もございますので、それらの点を十分にらみ合わせながら今後さらに慎重な検討を重ねてまいりたい、かように考えます。  さらに第三の点でございますが、これもまた、公務員の利益を保護するというようなたてまえから、公平審理の制度というものが認められております。いわゆる不利益処分の審査なり行政措置要求の審査ということがあるわけでございます。この仕事も非常に重要な、大切な事柄でございます。常にいろいろの処分をやるというようなときには、その実態をよくわきまえて、実情に適した措置を行うべきであるという指導は各省庁に対してやっております。また、各省庁も長い間の経験がもうすでにできておりますので、まず遺漏のない運営が行われておると思うのでありますけれども、しかし、それとは別に、やはり職員側からその処分に不満があって提訴をしてまいるというものがございます。これに対しましては、人事院としては慎重な手続をもちまして公平委員会を組織し、ここでいろいろな参考意見等も聞き、実情も調査をいたしまして一応の結論を出して、これを人事院会議でさらに慎重な検討を加えた上で結論を出すということでございまして、非常に重要な仕事でございますので、これに対しては今後とも公正、厳正な態度で事柄の処置に当たってまいりたい、かように考える次第でございます。  それから、次の問題は労働基本権の問題でございます。これも御承知のように、政府部内で関係閣僚その他の関係者が慎重に検討を続けておられる問題でございまして、非常に微妙な問題でもございますから、私自身といたしまして、ここでとやかくの論議をいたすことは差し控えさしていただきたいと思う次第でございます。  以上、お答え申し上げます。
  124. 中路雅弘

    ○中路委員 後の問題は、また先に関連した問題で御質問したいと思います。  勧告の問題ですが、先ほどからもすでに質疑で出ていますが、非常に厳しい情勢の中での勧告を控えているわけです。さきに、四月初めにも関係職員団体皆さん総裁の話の中で総裁自身が、厳しい客観情勢だが、政治情勢に左右されないで人事院の主体性は守っていくということをお話しになっていますし、早期支払いについても万全の努力をしたいというお話をされているわけであります。いろいろ政治的な圧力と思われるようなことも各新聞紙上でも出ているわけです。こういう中で、先ほどもお尋ねになっていましたけれども、勧告の時期、十五日以前というお話もありましたけれども、勧告の時期、そして人事院総裁としての今度の勧告についての基本的な姿勢といいますか、一言もう一度お伺いしておきたいと思います。
  125. 藤井貞夫

    藤井説明員 給与に関する人事院勧告の本質なりというものはすでに論議をされ尽くしております。皆さんもよく御承知のとおりのことでございまして、私からるる申し上げる必要もございません。したがいまして、人事院といたしましては、政治情勢等に左右されることなく、本来の使命達成のために毅然とした態度でこれに臨んでいくという態度を固めておる次第でございます。その点は組合の諸君にも従来たびたび申し上げておるとおりでございます。したがいまして、いまお話がございましたが、厳しい環境にあることは事実でございますけれども、各省庁そのほかにおかれましても、人事院勧告の特徴、本質というものはよく御理解をいただいておりますことから、特に政治的な圧力その他と称すべきようなものは一切ございません。その点はここではっきり申し上げておきたいと思います。  それから、勧告の時期でございますが、これも午前中に大出委員の御質問に対してお答えをいたしましたように、大体十五日以前、それにおくれることはない、総理がお帰りになった後十五日以内、その間において勧告を行いたいというのが私の気持ちでございます。
  126. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、総理府人事局長あるいは総務長官にもお尋ねしたいのです。先日、関係職員団体皆さんが要望書を出した際ですか、六月末に人事局長もお会いになっていますが、この際にも、勧告については額、時期とも完全実施に努力をしたいという答弁をされているわけであります。早期支払いの問題については、この委員会でも長官から、いままで考えられる四つぐらいの方法についていろいろ答弁がありましたが、いまの時期に来て、やはり早期に国会を開いて決める方向をとられるのではないかと思うわけです。政府としての完全実施についての、あるいは早期支払いについての長官のお考え、それからその際に、先ほどありましたが、公労協程度というお話も長官から出ているわけです。組合職員団体の方では約一万六千円ということで期待をしているわけですが、長官として、この点についてこの場でも明確にお答えを願いたいと思います。
  127. 植木光教

    植木国務大臣 人事院勧告の尊重につきましては、政府は鋭意努力をしてまいったところでございますし、勧告が出されましたならば関係省庁と連絡をいたしまして、厳しい状況の中でありますが、これの完全実施のために最善の努力を払ってまいりたい決意でございます。  それから、早期支払いにつきましては、ただいまお話がございましたように、いろいろ検討をしたわけでございますけれども、結論的には、現行制度のもとでできるだけ給与改定の早期化を図っていくことが適当であるということを、さきの国会で答弁をしたところでございまして、私どもといたしましては、そのような姿勢でこれに取り組んでいきたいと存じております。  また、今春闘終了時に、私が組合公労協と同程度給与改定を期待することは理解できるということを申しましたのは、例年人事院勧告が公企体の賃上げとほぽ同程度となっておりますので、公労協と同程度給与改定組合が期待されることは理解ができるということを申し上げたわけでございます。中立的かつ専門的な第三者機関でございます人事院の本年の勧告がどのようなものになりますか、私どもは、勧告の内容には立ち入ることはできないわけでございます。したがって、他意があったわけではございませんで、人事院の中立性というものを侵すような考え方で発言をしたわけではございません。いずれにいたしましても、勧告が出されました段階で努力をいたしたいと考えます。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 大蔵省の皆さん、先ほど少し時間をとって大臣大出委員との質疑もありましたけれども、重要な問題なので私この問題をもう一度お聞きしたいと思うのですが、七月十九日付の毎日新聞に、相当詳しく大蔵省の財源難対策ということで、人事院勧告の実施時期の引き延ばしを初めとした具体的な記事が出ています。一昨日、職員団体皆さんと総務課長にお会いしたときも、根も葉もないことを報道しているわけではないということも課長が話しています。相当具体的に出ていますが、公務員給与のベースアップについて完全実施を断念し、十月ないしは十一月実施とする。二番目に、現在給与法で年間五・二カ月支給と決められている期末勤勉手当を、昨年の年間四・八カ月分の水準に引き戻す。三番目、管理職手当や超勤手当の一律カット。四、そのために必要な給与法の改正などを次期臨時国会提出する云々という六項目の記事が掲載されているわけです。そして、もう先ほど引用されましたから全文は読みませんけれども、前高木大蔵事務次官が、政府が介入することができなかった公務員の賃金決定機構を再検討し、ある程度財政当局が関与し得る体制に移行する必要があるという発言をされているわけです。先ほど人事院のあり方についての基本的な総裁の発言もありましたが、この大蔵省関係皆さんの発言あるいは新聞の記事は、明らかに労使の問題に対する介入でありますし、こういった報道あるいは発言が大蔵省当局の皆さんのお考えなのかどうか、私は、決して単にいま思いつきで始まった問題ではないのではないかというふうに思うわけですが、その点をもう一度確かめたいと思います。
  129. 松下康雄

    松下説明員 大蔵省の考え方についての御質問でございますけれども、財政当局といたしましても、公務員給与決定問題に関しまして、中立的な専門機関であります人事院の役割りを評価してまいるという基本姿勢におきまして、他の政府関係の諸分野と何ら異なるところはないのでございます。  ただいま御指摘になりました新聞の記事につきましては、私どもも、どういう事情でそのような記事が出ましたか全く存じないところでございますけれども、当面の人事院勧告の問題につきましては、私ども、まだ勧告も出ておりませんこの時期に、これに対してあらかじめこうだ、こうだというような具体的な検討を行ったことも全くございませんし、勧告が出ました後に、関係の省庁が集まりまして、この問題については十分検討いたしたいと思っておるところでございますので、その新聞記事につきまして、何がしかコメントをするという立場ではございません。  また、もう一つの前次官の御発言ということでございますけれども、私どもは、前次官がその会合の席上で実際にどういうお話をなさったかという点はお聞きしておりませんし、また、それが速記録になって残っておるというようなことでもないようでございますので、これも新聞報道に対しまして意見を申し上げられる立場でないのでございますけれども、私ども新聞の記事で拝見する限りにおきましては、いまの段階で何らかの、いわゆる介入というお言葉をお使いになりましたけれども、そういうことをなさる意図での発言であるようには受け取らなかった次第でございます。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの新聞報道については、大蔵省の考えではないというお話でありますけれども、しかし、これが根も葉もないところから報道が出ていないのだということを、皆さんの方はお話をされているわけですし、いろいろ論議をしているいまの時期に——三公社五現業の場合ですと、仲裁裁定が出てすぐ閣議決定していく、しかし公務員の非現業部門のこの問題については、勧告の前から新聞紙上を通じてもこういう報道がどんどんされる。私は、この点では明らかに政治的な圧力をかけようという意図が非常にはっきりしているのじゃないかというふうに思うわけです。  もしこの報道のように、たとえば十一月まで引き延ばすということになれば、昭和三十年ごろに引き戻されてしまうわけです。調べてみますと、勧告の額どおりなったのは、昭和三十八年以来なったわけですし、時期を含めて五年前からは勧告どおり完全実施をされるというのが定着してきました。四月一日というのもすでに七二年、七三年、七四年と三年前から完全実施をされてきているわけですから、全くこういう経過を無視して、いまの財政困難ということを理由にして公務員にその責任をかぶせるということになりますし、こういうことは絶対許せないのじゃないか。  先ほど人事院総裁が、今度の勧告に当たっての基本的な考えをお述べになりましたけれども、言葉の上だけではなくて、昨年を見ましても、いろいろ努力をしたと言いながら、実際には十二月まで引き延ばされたわけでありますし、今度の場合は、額まで値切られるということになれば大変な問題であります。もし勧告が出されて、政府がこの勧告を尊重しないという場合に人事院としてどのような姿勢で臨まれるのか。これはILOの公務専門委員会において、片山人事局次長だったですか日本政府を代表して発言されている中でも、争議権の否認と代償措置についてという問題で「さらに給与に関する人事院勧告は一九七〇年以来完全に実施されており、十分な代償措置が形式的にも実質上も十分整備されている」ということで、国際会議でも発言しておられるところであります。こういうことが事実上無視されるという事態になれば、勧告をした人事院としても非常に重要な問題でありますし、また先日、聞きましたら、千葉県だったですか、自治労の代表と皆さんとの交渉の中でも、これは給与局の次長さんがたしか交渉に参加されたと思いますが、人事院が代償機関として早期実施のために監視をしていくのだというお話もされています。  私は、言葉の上だけではなくて具体的に、もしそういう事態の場合、人事院として少なくとも完全実施について勧告をされた問題については、再び政府に勧告を出すというような決意まで明らかにしていただく必要があるのではないかというふうにも思うわけですけれども、政府が出された勧告について十分尊重されない、たとえばいま新聞で報道されているような事態が起きた場合、人事院総裁としてどういう考え、また姿勢で臨まれるのか、一言お聞きをしておきたいと思うのです。
  131. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告を出します以上は、これを尊重していただくということを前提にいたしておりますし、また長年の積み重ねの結果、これがここ数年来は完全に行われてきておるのであります。したがって、状況が厳しいといいましても、民間の給与との較差を是正していくという基本方針には毫も変わりはないわけでございますので、その点勧告が出ました暁には、国会においても政府におきましても十分尊重をしていただけるものと期待をいたしております。したがって私といたしましては、いまこの段階でもしそれが尊重されなければどうするかということを考える余地はございません。現在の時点においては、完全にこれは実施していただけるものというふうに期待をいたしております。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 勧告も間近いわけですから、改めてその時点でこの問題はさらに政府の姿勢あるいは人事院に、先ほど基本的な総裁のお考えは伺っているわけですから、質疑をしたいと思います。  続きまして、内容についていま細かく立ち入ることはまだむずかしいかと思いますが、今度の勧告に当たって関係職員団体からも要望が出されていますが、こういう問題に関連して人事院の基本的な見解だけ幾つかお伺いしておきたいと思います。  職員団体組合皆さんから出されている要求書は、六月三十日にも人事院皆さんと話し合いをされているわけですが、この中で賃金体系の改善の問題で、実質賃金の防衛の観点から本給、扶養手当の改善を重視をしておりますし、本給について定率配分ということになっています。ただ、その中で落ち込みの激しい七の五については一千円の積み上げが行われていますが、この出されている賃金体系の改善についての要望、詳しくは皆さんの方が御存じだと思いますが、これについて給与局長のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  133. 茨木広

    ○茨木説明員 いませっかく検討中でございますが、組合の要望等についても十分承知いたしております。また、民間の本年の給与の配分の状況等から見ましても、やはり本俸なりいまの扶養手当のようなもの、そういうものを重視していかなければいかぬ問題であろうというふうに考えております。  それから、本俸の中に入りました御議論としてございました具体の問題について、これは必ずしも要望どおりの金額をどうこうということは、やはり較差全体の数字との関連もございますので、そう簡単にいかぬかと思いますけれども、そういう重点の置きどころの気持ちというもの、あるいは要望の傾向というようなものは十分踏まえながら、民間の動向と調整をいたしまして決定をしていただかなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 初任給ですが、八の三の高卒初任給、これは六千七百円は確保したいという要望が出ていますし、先ほども質疑でありましたが、これだけそのとおりになっても、国鉄の七万五千七百円ですか、電電の七万五千五百円、こういった水準から見ますと、約一万円の開きがなおあるわけですし、国会の昨年の附帯決議の中でも、公労協との較差をさらに開かせないようにしていくという点もあるわけですが、この六千七百円そのとおりであっても、較差がさらに開くという事態にもなります。こういう点で、この初任給の問題についてのお考えもお聞きしておきたいと思うのです。
  135. 茨木広

    ○茨木説明員 初任給の要望の点は、昨年来の経緯もございますので、十分踏まえて吟味をいたしておるところでございます。ただ、先ほども触れましたように、私どもの気持ちといたしましても、三公五現との間の初任給の較差が開くような姿に出るということは好ましくないという気持ちは持っておりますけれども、三公五現の個々の企業体の決まり方いかんによっては、やはりそれなりに理由があってお決めになっているという事情もございましょうし、完全にそれを踏まえ切れるかどうかという問題も、やはり較差全体の出方との関連もございますので、特にいま御指摘になられました国鉄の方は、組合の要望よりさらにまた三百円ばかり高いところに決まっているようでございますので、その辺のところは、率直に申し上げまして頭の痛い問題だというふうに申し上げざるを得ない。仮にその数字を受け入れるということになりますと、非常に初任のところが高くなる率になってくるだろうと思います。こちらのきつい較差の中で配分をやっていくということになりますと、ことしは初任を余り重視しない民間の傾向でございます。むしろ中堅層を重視するということになるわけでございますが、逆にそれが別の姿をとってくるということが非常に強く出てまいるということにもなりますので、その辺はやはり全体の枠の問題とにらみ合わせながらほどほどの調整をしていかなければいかぬのじゃなかろうか、こんな気持ちでございます。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 あと一つ一つ答えていただくと時間もとりますから、何点か挙げますからまとめてお答え願いたいのです。  行(二)なんか極端に低いわけですが、昇給の間差額の改善の要求が出ています。これについてのお考え、検討ですね。  それから次に、これは具体的に提起されていますが、府県機関の係長相当職の四等級格づけとか、あるいは一般職員の五等級の格づけ、行(二)一般職員の一等級格づけなど、昇格の頭打ちを解消する問題、これに強い要求があるわけですが、この問題ですね。  それから三つ目に、初任給基準、昇給基準を改めて、いわゆる中途採用者、昇給延伸者の号俸格づけを改善してほしい。民間からですと十八カ月を一年に換算しているわけですから、これがまた生涯つきまとう、年金にも非常に大きく影響するということで、一定の期間を経過すれば一〇〇%復元さしてほしいという要望も強いわけですが、この問題。  第四番目ですが、高齢者の昇給延伸の措置の問題で、五十年の七月で十八カ月の経過措置が切れているわけですが、行(一)の五十八歳、行(二)の六十歳以降の定昇、二十四カ月ごとにたしかなると思いますが、この問題についてのお考え。  諸手当の問題は、先ほど御質問されていましたから、改めて繰り返しになりますから、質問の中では省略しますけれども、いま言いました問題、簡潔にひとつまとめてお答え願いたいと思うのです。
  137. 茨木広

    ○茨木説明員 第一点の昇給間差額の改善の問題でございますが、組合の方から実は毎年、私はときどき会いますと相矛盾する要請ではないかということを申し上げているわけでございますが、配分では上薄下厚の率なりにせいという要請がある。それから昇給間差額を改善せいという要請が一方にある。これは全く相反する要請であるという話をしているわけでございます。上を抑えていけば、上下較差が、先ほどもちょっと触れましたように、十五年間で二分の一に縮まってきているというような情勢下でございますから、昔一号俸の昇給の率が四%ないし五%あったものがいまだんだん三%を切って二%に近くなりつつあるというような状況でもおわかりのように、そういうことになってくるので、そうなりますと昇給間差額というようなものは悪くなっていくのだという話を申し上げているのですが、そういう相矛盾した要請がございますものですから大変頭の痛い問題でございまして、ことしは組合の方の要請等も民間のあれもやや中堅層等に重点を置くとか、あるいは同率的な傾向でございますから、その辺は多少圧縮率が緩和されるかと思いますが、ことしすぐどうこうというふうな問題をこの際入れていくということは、大変むずかしい問題だというふうに考えております。  二番目の県段階の係長の昇任問題あるいは一般職員の五等級昇任の問題、行(二)の一等級昇任の問題、これも前から承って漸次配慮はいたしておりますが、これは秋の予算時期前に級別定数の問題を取り扱いますので、その時期によく勉強してまいりたいと思いますが、今度の俸給表をつくります際に、中堅層クラスのところに相当配慮をしていけば、また、それもそれなりに少し緩和される材料も出てくるわけですが、その辺も両方踏まえながらよく勉強してまいりたい、こんなふうに考えております。  それから、中途採用者の問題でございますが、これは前に大変きつかったものを、数年前にいま御指摘の期間に改めてまいったわけでございます。これは若いときから入っております方と途中から入りました方とどのような調整を図っていくかということで、職場内のデリケートな空気もございますので、引き続き勉強をしておる問題でございますが、いますぐ回答が出るという問題でもなかなかないと思っております。  それから、最後の高齢者の問題でございますが、これは、ことしの七月から初めて制度どおりの運用に入って、いまの五十八歳なり六十歳以上の年齢になりますと倍の昇給期間でないと土がらない、こういうようなところに入っていくわけでございます。これを取りやめろという話を組合からも受けておりますが、一方、公務員の年齢層が平均的にはやはり徐々に上がってまいっておりますという問題も踏まえなければいかぬし、それから官民較差の比較の場合についても、高齢者層のところについてはやはり問題がございますというようなこともあって、いますぐこれを緩和するというふうな時期ではないというふうに考えております。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点だけお聞きしておきたいのですが、組合皆さんから、交代制変則勤務者に対する手当の新設あるいは超勤手当や休日給の割り増し率の引き上げ要求が出されているわけですね。また宿日直の廃止と、廃止に至るまでの手当を一回につき四千円に引き上げるというような強い要求も出されております。お話によりますと、人事院として現在この問題について今度の勧告では触れられない方針だということも聞いておりますが、調査項目としても挙げておられなかったわけですね。しかしこの要求は、組合だけではなくて、各省庁の人事担当課長会議での文書を見ますと、この人事担当課長会議でも人事院に対する要望書として提出しているものであります。労使が共通して要求している問題であるにもかかわらず、なぜこれらを調査項目としても挙げていないのか。  先ほど人事院総裁が、代償機関としての人事院の役割りの問題についても基本的な考えをお述べになりましたけれども、いわば労使が共通して要求しているということになれば、人事院さえなければ労使の団体交渉で一定の解決策が見出せる問題でもあります。こういう問題について、逆に人事院があるためにそれすらできないということでは、文字どおり代償機能としての役割りを果たすということは言えないのじゃないかと私は思うのですが、どうしてこれらの問題について調査項目としても今度挙げていないのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  139. 茨木広

    ○茨木説明員 給与調査の項目は非常に多岐にわたっておりますわけでございます。相手の会社の方には相当御迷惑をかげながらやっておる話でございますので、毎年新規の項目を入れる場合には古いものを抜いたりしまして、余り事務量が過重にならないようにという配慮をしながらお願いしておる、そういうような関係がございます。ことしはいろいろなものも付帯調査でございましたので、本式の調査の方には交代制関係のもの等は入れなかったわけでございますが、別途、交代制の問題について調査をしています。この交代制問題は、大変むずかしゅうございまして、週休二日制等の問題も出てまいりました関係上、普通の正規の勤務時間あるいは勤務体制以外の勤務をする方についての給与の評価をどうするかということが相対的に変わってくるのだろうと思います。そういうような状況が民間でどのように扱われているかというようなことも調査をしてかからなければいかぬものでございますので、これからよく検討してまいりたいと思っております。この一般勧告とはまた別の問題として、週休二日制の動き等というようなものもどういうようにテストされるかというようなものとの関連も見ながらよく検討してまいりたいというふうに考えております。  したがって、そういう超過勤務時間に対する二割五分増しの率の問題等、これらもやはり労働基準法の方とも関連しまして大変影響の大きい問題でございますので、前からときどき議論にはなりますけれども、まだとてもいますぐどうこうというような時期ではないというように考えているわけでございます。やはり今後引き続きの検討問題というふうには考えておる次第でございます。  それから、宿日直手当の問題でございますが、これは、例年三年に一度程度の速度でこれを改正してきておるわけでございますが、昨年と一昨年は大変大幅な給与改定でございましたので連年の姿になりまして、御案内のように内閣委員会でもいろいろ論議があったわけでございますが、ことしは周辺の事情もございまして、調査をせずに、まあ三年置きになりますか、今後の問題というように考えておるところでございます。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 この点で私はもう一度要望しておきたいのですが、先ほどお話ししましたように、いま挙げたような問題は、いわば労使両方から要望されている問題ですね。したがって、こういう問題は、やはり代償機能を果たす人事院としては当然民調の中に取り入れて調査をすべきだと思うのです。そうしなければ、労使の両方から要望されている問題、それを当事者同士で話をすれば一定の解決策が出るような問題を、代償機能があるためにそれが調査対象にもならないという状態では、人事院としての責任を果たすことはできないんじゃないかということで、ぜひともこれはやはり調査の項目に入れて今後検討していくということを私は強く要望しておきたいと思うのです。  次に、先ほど御質問もありましたが、もう少し詳しく週休二日制の問題をお聞きしておきたいのです。  これに関連して行管にも二、三お尋ねしたいわけですが、国会でいままで答弁されています、あるいは昨年の給与勧告における報告にもありました週休二日制についての原則的な考え方ですね。時間短縮を伴う問題、隔週または月二回という問題行政サービスを維持するということ、勤務条件その他の条件に留意しながらやっていく、試行を実施するといった、報告にありましたこれらの原則的考えは今日の段階でも変わりはないのかどうか。勤務条件に留意するということは具体的にどういうことなのか。労働強化を伴わないということを含むのかどうか、あるいは時間短縮は具体的にどの程度考えておられるのか、法改正を伴うのか、あるいは規則の改正で処理されるのか、一日の勤務時間は現行と比べて延びるのかどうか、こういった問題について、さきに報告されている問題と関連して最初にお考えをお聞きしたいと思うのです。
  141. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制の考え方の基本は、いままでも述べてまいっておるとおりでございまして、変わりはございません。それと同時に、去年の勧告においても触れましたように、本年度はトライアル、試行に踏み切るということでございますので、その線に沿いまして、目下いろいろな点についての検討を重ねておる段階でございます。  週休二日制をやりまする際におきましては、むろん公務能率というものを十分に考えてまいらなければなりませんけれども、しかし反面におきまして、これは公務員の福祉、勤務条件の改善に連なることでもございますので、われわれの考え方の基本は、やはり勤務時間の何がしかの短縮ということを主体として考えていくべきであろうというふうに思っておる次第でございます。ただし、これにつきましては、何時間短縮するかとか、そういう点はまだ決定の段階ではございません。その中に試行という一つ段階が入っていくわけでございまして、そこに問題がいろいろ出てまいりました過程におきまして、いろいろな情勢ともにらみ合わせながら、具体的に形態はどうするか、勤務時間の短縮の問題はどのように措置をするかということは、その段階において決定をしていき、それぞれだんだん具体化を進めていくということではないかというふうに考えておる次第でございます。  それと、これを実施に移す段階におきましては、できる限り公務能率の確保、増進というものを図っていかなければならぬということの反面に、大変な勤務条件の強化というようなことになるのも本来の目的とは違った面が出てくるわけでございますので、その点は十分に、いろいろな時間の割り振りなり、勤務の態様であるとかあるいは仕事のやりぐあいとかいうようなことを総合的に検討をしながら、無理のない結果が出るように、これもまた試行の段階において十分問題を摘出して、それに対する態度を決めなければならぬことではないかというふうに考えております。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 一月から実施される方針の試行についてもう少しお聞きしたいのですが、これは一月から三月まで試行を実施されるということなのか、五十一年度についてはどうなるのか、引き続いて試行を続けられるのか、本実施に移行されるのか、あるいは試行を中断されるのか。五十一年の一月から試行を実施という方針ですが、それに関連して、いま言ったような問題をもう少しお聞かせ願いたいのと、それから、これは先ほど御質問もありましたが、試行に当たって、年休の計画的使用によらないで特休あるいは職免で対処するという、大出委員の、五月でしたか、質問の答弁もありますが、この方針で変わりはないのかどうか。規則の改正だけで対処するのか、具体的な検討はどの程度進んでいるのか。また、五十年内に、秋ですか、この問題について検討して、何らかの基準案を出すということですが、この骨子はもう決められているのか、こういった点についてお尋ねしたいと思います。
  143. 藤井貞夫

    藤井説明員 試行は本年度中にやるということで準備を進めております。ただ、その試行の時期を、たとえば来年の一月からやることといたしました場合に、一月から始めて三月で終わるのか、さらに五十一年度までいくのかというようなことについては、まだ最終的な結論は出ておりません。  と申しますのは、試行自体についても、あらかじめ各省庁の意見も聞いておりますし、実情もよく調査をいたしておることでございますが、実際に試行に移ったということから出てまいりますいろいろ問題点というものは、また予測できなかったようなものがあるかもしれません。したがいまして、それらの点につきまして、あらかじめ予測を持ってどうしていくかということは、まだ時期尚早の段階ではないかというふうに考えておりまして、試行の過程において、どういうふうにしていくのか、一時また中止をするのか、また続けるのかというようなことにつきましても、今後ひとつ十分慎重に検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。  それから、試行をやります際におきましては、それはいわゆる年次有給休暇の転用ということではなくて、職務専念義務の免除あるいは特別休暇の付与、いずれかの方法をとってやることが適当ではないかということば、他の機会においても申し上げたとおりでございまして、その点は変わっておりません。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 試行についてのもう少し具体的なお尋ねをしたいのですが、試行の様態ですが、その前に、週休二日の問題について、今度の給与勧告で触れられるおつもりなのか。報告や意見というのではなくて、勧告とすべきであると私たちも思うわけですが、給与勧告と切り離して別途の勧告にされるのか、こういった問題。  それから、試行に当たって、皆さんの方の発言の中でも、特に問題の起きやすい交代制勤務の職場あるいは登記所や病院、学校など住民サービスに直結しているところ、こういうところも外さない、そういうところからも一定数を選んで試験的に実施したいという発言もありますけれども、試行に当たっての基本的な考え方、困難のある職場についてどのように進めていかれるのか、また、週四十四時間の範囲内で処理される方針なのか、一日の勤務時間は延長されないのか、土曜日は閉庁とされるのか、あるいは半数の職員で開庁にするのか、隔週とするのか、あるいは月二回という形をとられるのか、こういった問題、試行に当たっての様態について幾つか御質問したいと思うのです。
  145. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制につきましては、昨年、一昨年の勧告においても触れたところでございます。それを受けまして、本年の勧告の際にも何らかの形で言及をすることがいいかどうかということにつきましては、目下民間の実態をさらに調査もいたしております。その結果も見る必要がございますが、それらの点を勘案しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  ただ、試行の実施の具体的な内容等につきましては、最小限度、人事院規則の改正その他の措置が必要となるという場面も出てまいります。したがいまして、そのような技術的、事務的な、制度的な側面等を解決をいたしますために、あるいは別個の勧告を出すということが出てまいるかもしれないというふうに考えておるのでございます。  それと、試行の実施につきましては、これは全省庁を対象にいたしましてやっていきたい。その範囲内においていろいろ実施が困難な省庁等も浮き彫りにされてまいるということもございますので、それらの時点においてまたそれぞれの対策を講じ、問題点を摘出していきたいというふうに考えておりますが、一応たてまえといたしましては、やはり試行は全省庁を対象としてやるということにいたす所存でございます。  なお、試行の基準の内容等につきましては、目下職員局を中心に検討を進めておりまして、まだ結論が出せる段階には至っておりませんが、これはあくまで試行でございますので、試行の段階において土曜日閉庁ということは考えられません。従来の勤務時間をそのまま採用しつつ、特別に個個の職員について交代制その他の点でもってやっていくということに相なるものというふうに承知をいたしておるのであります。
  146. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題に関連して、これは総理府になりますか、国会職員皆さんのことで一問ちょっとお聞きしたいのですが、いま、参議院は実施していませんが、衆議院において閉会中ということで限って、人事院勧告が出て試行が実施されるまでの間、隔週土曜、ABの二班に分けて、交代で年休の計画的な使用という形で実施をされているわけですが、この問題について職員皆さんからいろいろ意見も聞きます。  一、二点だけ確かめておきたいのですが、土曜日に全部、年休の使用ということでやるわけですけれども、年休の問題については、強制的に年休をとらして、年休を土曜に全部、年休は土曜だということで当ててやるということになりますと、年休の消化について、本人はその点では非常に制約を受けてくるわけですから、あくまでも本人の希望によってという問題、この点について、年休の計画的使用ということについて強制しないということは私はきちっとさせておいていただきたいと思うのと、もう一つは、人勧が出て試行が実施された際には、先ほど御答弁のように、国会職員も特休や職免による週休二日制の試行を実施することになるのではないかと思うのですが、この二点について一応確かめておきたいと思うのです。
  147. 石田均

    ○石田説明員 ただいまの御質問お答えいたします。  国会職員につきましては、実は私どもの方の所管でございませんで、国会職員法という法律が別途ございまして、これは特別職の国家公務員でございます。したがいまして、これは国会事務局におきまして、適宜御措置になるべき筋合いのものかというふうに存じますので、私どもの方から確定的なお答えは御遠慮させていただきたいと存じます。
  148. 中路雅弘

    ○中路委員 二番目の問題ですが、国会職員はいま言ったような形でやられているわけですけれども、勧告が出て、試行が実施された際には、国会職員についても、先ほど御答弁のような方向で試行実施されるということになると思うのですが、人事院の方のお考えも確かめておきたいと思います。
  149. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは、いまも御答弁がございましたように、われわれ人事院は、一般職国家公務員対象としてやっていく使命を持つ役所でございます。国会国会として独立をいたしておりまして、国会で御判断いただくことかと思います。
  150. 中路雅弘

    ○中路委員 受田委員がちょっと途中で関連に入らせていただきたいというお話なので、もう一、二問だけちょっとお聞きします。  これは、先ほど問題になりました、例の行管の出しています。月二十三日の提言です。この中で、六人の委員名前で出ているわけですが、まずお聞きしたいのは、この委員会は六人の委員のほかに委員長があるわけですね。委員長長官が当たるわけですが、行政監理委員会設置法によりますと、会議委員長と三人以上の出席がなければ議決できないということになっているわけですが、この提言には六名の委員委員長は出ていない。法律で決められた正式の会議で決まった提言ではないわけですが、この問題について機構上も矛盾があるということで、いままでも何度か指摘をされて、この機構上の問題については検討するという答弁もされているわけですが、いまだにこういった正規の法律で決められた形での提言でないものが出てきているわけです。  お聞きしますと、この会議に出席の六人の、非常勤の職員皆さんだと思いますが、給与が出されているわけですが、こういった正規の会議でないものに給与を払うことも、厳密に言えばいわば法律違反ということにもなるわけですが、こういった機構上の矛盾を持ったままこういう提言がなされているわけですし、週休二日制についても、先ほどから論議されているような、ストップをかけるような文章もこの中で出てきています。  最初に、この機構の問題について検討されるといままでお話しされていたのですが、いつまでにこの問題を検討され、結論を出されるのか、お聞きしたいと思います。
  151. 阿部喜元

    ○阿部説明員 行政監理委員会委員長長官を充てることがどうか、検討したか、こういうことであろうと思いますが、先生御存じのとおり、政府部内に置かれておる審議会、委員会等のうちで、会長、委員長大臣が兼ねておるのが相当数ございます。そういうことで、行政の制度及び運営の改善については、性質上閣議の場で議論することを適当とするものが多く、したがって、行政監理委員会が審議した結論も閣議に反映させる道を開いておく必要があり、また行政監理委員会が審議する事柄に関し、内閣の意向を委員に十分に伝えつつ審議することが必要であり、このためには行政管理庁長官が行政監理委員会に直接的に参加することが適当である、こういうことで委員長行政管理庁長官がおられるということは適当であり、近年の委員会運営において、このような仕組みについて特段の問題を生じていないと思われますので、これを現在変更する意思はございません。  なお、大臣を除いた六人委員会の話がございましたが、これは法律上の委員会としての意見か、あるいは私的な意見か、どういうことかというようなことだと思いますが、行政改善の問題に関してすぐれた識見を有する六人の委員をもって構成することとされておるわけでございますが、たてまえとしては委員長及び委員全員による機関としての活動が本来のあり方であるということは言うまでもないわけでございますけれども、しかしながら、このことは各委員がそれぞれの責任において自由に意見を公表することを妨げない、そういう意味で民間有識者の立場から政府側の意向や都合にとらわれずに自由濶達な改革意見を表明しようとする場合には、委員長たる大臣を除いて、民間出身の委員のみでまとめられた意見が当該委員の責任において公表されることは当然あり得ることだろうと思います。このような意見書の内容は、行政監理委員会設置法に基づく行政監理委員会としての意見ではございませんけれども、民間の委員の独自な立場とその識見に基づく見解として、行政改革の推進に当たり十分に取り入れていきたい。  ちなみに申し上げますが、意見答申が四十行われておる中で、委員長を含んでいるものが二十九、委員長を除いたものが十一ございます。こういうことで、大臣がいなくても民間の意見も十分尊重していく、こういうふうに考えておるようなわけでございます。  なお、週休二日制の問題について行管が何か待ったをかけたのじゃないかというようなことで一言ございましたが、午前中も御答弁申し上げましたとおり、週休二日制についてけちをつけたということでなくして、御案内のとおり、週休二日制が導入されれば、当然これは交代制要員等に相当数の新規増員が必要となる、こういう意見が各省庁には少なくないのでございます。交代制の方法等について十分検討するとしても、定員増加を招くおそれがある場合には、現在御案内のとおり、行財政の合理化が非常に緊急課題と言われておる時代でもございますし、行政コストの節減も不可欠と言われている時代でございますので、事、定員に関しましては、われわれといたしましては、はいそうですかというようなわけにはいきませんので、これは、やはり行政監理委員会委員等の意見もございますので、こういう意見を尊重してまいりたい、かように考えておるようなわけでございます。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 いまおっしゃったように、自由な意見を述べてもらっておる、いわゆる設置法に基づいた法律による正規の委員長も出席した会議というのと性質が違うわけですね、この提言の場合。その中で人事院がこの数年真剣に取り組んできている、作業してきている週休二日制の問題、この作業を知っていながら、あえてこういう提言の中で述べておられる、これを私たちは非常にけしからぬじゃないかというように思うのです。それでしたら、ここに書いてある「交替制要員等に相当数の新規増員が必要となるおそれがあるので」——じゃお聞きしますけれども、ここで言う新規増員はどういう試算をされたのか、何名の増員が必要なのか、そういった上でこの提言がなされているのか、どういう検討をされたのかということをお聞きしたいと思うのですが、たとえばここでその他にも「行政サービスの水準確保等基本的な問題点」という指摘もあります。どういう問題点があるのかという具体的な検討、特にここでいま増員のことをおっしゃったからお聞きしますけれども、何名の増員が必要となる、だから慎重にやってくれというような検討をされて、いま人事院が真剣にこの試行もやり、考えている問題について出される提言ですから、そこまでやって出されたのかどうかということなんです。検討されているのですか。
  153. 阿部喜元

    ○阿部説明員 御指摘のように自由な意見に基づいて出したわけでございますが、いまの定員の問題、具体的にどういう検討をしたか、こういうことだろうと思いますが、管理局長の方から詳しく御答弁をいたします。
  154. 小田村四郎

    ○小田村説明員 具体的に増員がどの程度になるか、あるいはそもそも増員が必要になるかどうかという点につきましては、週休の実態がどういうことになるかということと非常に関連しておりますので、その内容が明らかになりませんと具体的な検討はできないわけでございます。  今回の行政監理委員会の六人委員の御意見といたしましては、各省から定員事情につきまして御説明を聞いたわけでございますけれども、その各省の御説明によりますと、かなりの増員が必要と見込まれる、こういう御意見が多数でございまして、そういうことから増員を招くおそれがきわめて多いのではないか、したがって、現在の財政面におきましても行政面におきましても、非常に合理化の必要性が叫ばれておる段階におきましては、この問題について慎重に検討すべきである、こういう御意見がまとめられた次第でございます。
  155. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御答弁のように、各省庁からそういう意見があったということですが、具体的な裏づけ、たとえば新規増員に幾ら要るとか、これだけ増員が必要だ、そういうような検討、具体的な中身が実際にはまだないわけですね。そうなるだろうというようなことで、しかも、自由な意見という形の提言を出される。私は、いま人事院が週休二日制の問題ではすでに二回にわたって報告が出され、あるいはいま試行も含めて検討されている中で、事実上それにストップをかけるようなこういうやり方は、非常に不当じゃないかと思うのです。  人事院総裁に一言お聞きしたいのですけれども、こういった提言も出ていますが、週休二日制のいま進められようとしている皆さんの原則的な進め方、考え方、こういった点については、先ほど御答弁のように、いままで報告されているように、人事院としてはこの作業を、いろいろこういう提言も出ていますけれども、そういう考えに立って今後も進めていくのだというお考えには変わりはないと私は思いますが、一言その点についても総裁からもう一度お聞きしておきたいと思います。
  156. 藤井貞夫

    藤井説明員 作業は既定方針どおり進めてまいる所存でございます。
  157. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは、かわります。
  158. 藤尾正行

    藤尾委員長 受田新吉君。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 ごく短い時間で二、三の問題点をお尋ねしましよう。  自治省、あなたの方で来月全国の人事委員長会議を開催されますか。
  160. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  人事院から本年度給与勧告が出ました後におきまして、大体中旬ぐらいを目途に開きたいと思っております。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 その日取りは、勧告があって直後、通告をしてすぐ招集できる態勢にしておるのか、あるいはいま人事院総裁は十三日か十四日のうちには勧告するという答弁のようでございます。十五日以後にはならぬ。こうなれば、十五日という日を予定してでも集めてよいわけですね。全然そういう日取りについてはまだ未定ですか。
  162. 植弘親民

    植弘説明員 まだ正式決定いたしておりませんのであれでございますが、大体そこらあたりにしたいと思っております。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 そこらあたりというのは、十五日以後にはならぬということですが、十五日以後にはならぬということは、十五日が入らない、十三日か十四日ということですね、総裁
  164. 藤井貞夫

    藤井説明員 厳密な意味では、以後といいますと、その日を含むということですから、十五日以後と言えば十五日も入るわけですね。したがって、以後にならぬという意味は、お話しになりましたように、十三日か十四日というふうに御理解いただいてもいいのではないか、まだ確定はいたしておりませんがという意味でございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 十三日か十四日ということになる、十五日以後にはならぬと言えば十五日が入らないということになれば、十五日という招集のめどがあるのじゃないですか。
  166. 植弘親民

    植弘説明員 いま一応十五日を予定いたしております。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 早う言うていただけばこんなに手間がかからぬわけだったのですが、私ここでひとつ、植木長官がおられるわけで、いずれまた次の機会があるのですが、念を押しておかなければならぬことがあるのです。  けさほどからの大出、中路両議員の質問で大体傾向はわかるのですけれども、私、昭和二十三年からずっとこの人事院勧告の扱い方をみずから直接関係して、この扱いを質疑応答してきたわけでございますのでよくわかるのですが、二十三年の勧告のとき、実施せず、一部修正というようなものが幾つも出てきておる。勧告の中身によってはそのまま勧告どおり実施したものもあるし、また幾つも、実施せずまたは一部修正ということで片づけてきておるのですが、昭和四十七年以来完全実施に踏み切っておるわけです。先ほどからの議論の中でいささか不安があるのですが、あなたは総務長官として、給与担当の国務大臣として、この人事院勧告はいかなる場合も完全実施と、こういう決意であることははっきりしていますね。
  168. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのとおり、四十七年度から完全実施が行われてきたわけでございまして、私といたしましては、いろいろな情勢が厳しい中でございますけれども、完全実施が行われますように最善の努力を払ってまいる決意でございます。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 いまあなたは給料を幾ら辞令の上でもらい、また、現実に十万円寄付しておられるようですから、税金その他を引いて幾らもらわれておりますか。
  170. 植木光教

    植木国務大臣 閣僚の給与は九十万円でございます。一〇%を寄付いたしておりますので、したがって八十一万円でございますが、諸雑費、税金等差し引かれまして、手取りとなっておりますのは約半額でございます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 九十万円ですね。九十万円の一割というのは、これはもう寄付のしっ放しですか。どこかに供託して、いつかもらうというような魂胆があるわけじゃないですか。しっ放しですね。
  172. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのとおり、寄付のしっ放しでございます。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 そこまで割り切っておられるのであるならば、むしろこれは給与そのものを一割減額して、これを法律でうたうべきで、勧告された場合、また、これに件う特別職の俸給が決まった場合、むしろその分だけ謙虚に額を減らして法律にうたうべきではないでしょうか、その方がよほど筋が通ります。
  174. 植木光教

    植木国務大臣 本年四月以降実施中の一部返上、寄付でございますが、これは全閣僚の自発的な意思に基づきまして、給与を受領いたしました後、自由な意思処分行為といたしまして行っているものでございます。  特別職の給与は、もう御承知のとおり、職務と責任の度合いに応じて決められておりまして、閣僚といえども例外ではございませんで、閣僚の現行の給与水準が不当であるとは考えておりません。したがいまして、いろいろこれにつきまして御意見がございますけれども、閣僚の給与の一部返上があるからといって直ちに給与法を改正する必要はないものというふうに考えているのでございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 このたび勧告案が出る、その扱いに当たって、特に最高給の皆さんの謙虚な意味の辞退ということよりも、むしろ閣僚以上は、あるいは次官以上は、昇給ストップというような扱いにするということであれば、これはきわめて筋が通ると思うのです。つまり、上薄下厚のラインに沿って、こういう事態に際して、特に最高級のポストにあるお互いの給与を遠慮しようという意味では、昇給を法律の上で遠慮するというようなたてまえにした方がいいと思うのです。  これは、また次の機会もあるわけですが、人事院は、今度の勧告で上薄下厚の基本線をある程度考慮しておられるのかどうか。
  176. 茨木広

    ○茨木説明員 まず一般職の俸給表については、民間の動向との関連で決定するように検討いただくということに相なると思います。  ことしの傾向は、例年よりは同率的な感じの配分にあるいはなって、中から初任の方をやや抑えぎみであるという傾向がございます。この傾向は踏まえなければいかぬと思います。  もう一つ、ことしの特殊事情として私どもが大変頭の痛い問題は、御案内のように教員の一次改善、二次改善というものが入ってまいっております。もう一つ、三次がどうなるかということで、予算には一応載っておるという姿がございます。これが小学校−高等学校の教諭の上の方のラインを大変上げてきております。校長に至っては指定職の二、三号俸のところに金額としては到達しつつある、こういう問題が一つございます。これが大変下支えになってきておりまして、簡単に上を抑えてそれでいけるのだということにもならぬ。それも一つ、大変頭の痛い問題でございまして、その辺を総合勘案しなければいかぬということでいま大変苦慮しているというのが現状でございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 自治省が特に地方公務員国家公務員のバランスをとる御意図を持っておられるわけでございますが、ラスパイレス指数の中の国家公務員一〇〇という内容はどういう形になっているのですか。たとえば指定職も皆入れて計算しているのかどうかです。
  178. 植弘親民

    植弘説明員 ラスパイレス指数の対象といたしております職種は、行政職の給料表の(一)を使っている職員だけでございます。したがいまして、指定職は入ってございません。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 地方公務員との比較で、地方公務員の方はどういう対象になるか、つまり指定職に当たる者は入っているかどうかです。
  180. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  いわゆる部長といったものを国家公務員の指定職に相当するというふうに考えるといたしますならば、部長というのは行政職(一)の適用を受けている職員は入ってございます。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 そこにちょっと問題があるわけですね。国家公務員の方は指定職を外しておる、地方公務員の方は部長、つまり局長以上の指定職に当たる分が入っておる、そこで算定の基礎がすでに崩れておるのじゃありませんか、指数の比較において。一方は指定職を外しておるのです。つまり、たな上げして行政(一)までにしておるわけです。どうでしょう。
  182. 植弘親民

    植弘説明員 指定職相当職をどう見るかという点に若干の問題はあると思います。たとえば、はっきりいたしております教育長だとか公営企業管理者といった者は、特別職じゃございませんが比較から外してございます。ただ、仮に部長級が指定職であるということにいたしまして、それじゃ国家公務員指定職に入れたらどうかということになると思いますが、その場合、国家公務員について私どもが比較の対象といたしまして計算いたします場合でも、仮に指定職に入れましても、その率は〇・〇〇二程度ぐらいと思いますので、全体の比較の数字としてはそれほど影響がないものというふうに理解いたしております。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 ごく少数であるから影響が薄いと言うけれども、これはすかっとしなければいけません。それは国家公務員が指定職を入れてないならそれに相当する部長を外す、私は、そこにちょっと指数の比較においてごまかしがある、こういう感じがするのですが、これはいかがでしょう。
  184. 植弘親民

    植弘説明員 比較の便宜上、いわゆる行政職給料表(一)を適用している職員を選んで比較しているわけでございますが、その意味におきまして、私ども意識的に率を上げ下げするために国家公務員の指定職を除き、地方公務員は入れているというつもりはございません。仮に考えてみますと、地方公務員の場合、指定職に相当すると考えられます職種を全部除いてみますと、現在のラスパイレスに、ほんのわずか、数にならない程度でございますが、上がるのではないだろうかという感じがいたします。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 私、それを数字に上がらぬから入れるとか入れぬとかいう問題ではなくて、一方で入れているときは一方で入れ、一方で外しているときは一方で外す、これが本当の比較になるわけだ。そして地方公務員などは、別途またほかの方面で現場に直結しているだけに、国家公務員のようにいすの上に座っているだけでない立場の問題もひそんでおるわけでございまするから、その比較は正確にやらなければいけない。  それから、ちょっと部長さん、そこの大臣の次へお座りいただいて、大変御迷惑だが、あなたにもう二、三お尋ねしたい。  このラスパイレス指数の流れ、昭和二十三年に国家公務員法ができて、実施されて以後の指数の動きはどういうふうになっておるのでしょう。つまり、最近において地方公務員が一一〇・六というふうにいっているが、最初のころは大体スタートが平均して、それがずっと順次上がっていったのか波があったのか、いかがでしょう。
  186. 植弘親民

    植弘説明員 ラスパイレス指数的なものを使い出しましたのは、実は地方財政につきまして第一期の困窮期といいましょうか、あの二十八、九年ごろの非常に地方財政が苦しくなったときでございますが、その当時、地方公務員給与を財政計画上どういうふうに組むかといったような必要性もございまして、昭和三十年に第一回の地方公務員給与実態調査を行いまして、それから大体三年置きぐらいにやっておりまして、いまでは五年ごとにやるというふうに指定統計がなってございますので、そのころから大体の概数がございますが、御承知のように地方公務員の場合は、都道府県と指定都市と、それから市と町村と、こういうふうに団体種類がございまして、それぞれが規模なり職員数なり違います。そのために一概に言えませんが、一般的に言いますと、大体都道府県は国家公務員に非常に近かった。市町村の中では、市は国家公務員よりも高いのも少しあった、町村はおおむね低かったといったようなところから順次高まってまいりまして、いまのような状況になったというふうに理解いたしております。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 その流れを見ると、特に町村は依然として低い水準にあるのです。これは市、それから特別の市、それから県というような比較において断然町村は低い水準にある。それをむしろ引き上げるような努力が一方に要る。それから一方で、極度に水準以上に高いところにある分を押えるというような配慮をどこかでしておられるのですか、どうですか。
  188. 植弘親民

    植弘説明員 御指摘のように、昭和四十九年四月一日現在におきますラスパイレスを見ますと、四十七都道府県はすべて一〇〇を超えております。それから市の指定都市もそうでございます。それから市のうちの約九〇%が一〇〇を超えてございます。それから町村につきまして、約半数が一〇〇を超えてございます。御指摘のように、町村ではまだ国家公務員ほどの水準にないところもございます。     〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 したがいまして、私どもといたしまして、従来から一応国家公務員の水準というものを基準にして地方公務員給与を決めるべきであるということでまいっておりますから、著しく高くなっているところでは引き下げる努力をということで、まあ国家公務員よりも非常に低いところについては、これはやはりある程度その地域の実情も踏まえなければいけませんが、国家公務員に近づく努力についてはやるべきであるというふうに理解いたしております。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 その職務の内容、そういうものに準じて給与が決まるわけでございますから、同じ勤務する場所で、一方は国の職務をやれば低い、地方の職務を担当すれば高いというところのバランスは、ある程度地方自治を侵害しない限度内で配慮することば私は必要だと思うのです。  ただもう一つ、ここで部長にお伺いしたいのだが、中央が行管の指導で人員削減方策をとっているが、地方も同じようなことをやられるのですか。
  190. 植弘親民

    植弘説明員 地方団体の場合は三千三百以上ございまして、それぞれ態様が違いますために、一律にどうするといったような国家公務員における定員管理のような方法はとれない場合が多いと思います。しかし、やはり最小経費でもって最大効果を上げるというのが行政の鉄則でございますし、各地方団体におきましても、現実にはそれぞれがたとえば一割削減をやりまして、そして新しい事業に必要な人員を配当していくとかいったような努力をいたしております。しかし、この五年間に約四十万ほどふえておりますが、実はこれも国の法令の改正なり制定なり、あるいは補助事業が新しく設けられたといったようなことに伴うものが相当多うございまして、地方団体全体といたしましては、定員管理には相当努力している面は私どもも認めざるを得ません。ただ、残念なことに、三千三百有余の地方団体がございますために、個別に見てまいりますと、案外定数管理のルーズなところもございますし、非常に一生懸命やっているところもございます。したがいまして、そういった比較的ルーズなところについて、この際見直していただくといったような努力は要請せざるを得ないと思っております。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 自治省地方自治のこうした人事行政並びに給与行政に圧力をかける力は、具体的にどういうものがあるのですか。
  192. 植弘親民

    植弘説明員 やはり地方団体は、いまは憲法で保障されました地方自治、いわゆる自主性を持っておりますから、昔のような形で自治省なり国が圧力をかけるわけにはいきませんし、少なくとも何か制裁的な措置を講ずるとかなんとかいうようなことで地方団体を引っ張っていく、そんなことは絶対できっこございません。いわば従来からの、地方自治について国も一生懸命考えてきたというきずなによって、信頼関係の上で私どもの指導が地方団体に受け入れられているというふうに理解いたしております。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 地方自治の本質を侵さない範囲内において行政指導という点、法律的には権限がないですね、そうですね。
  194. 植弘親民

    植弘説明員 もちろん、自治法にございますように、地方団体が法律に違反したりなんといった場合において受ける措置はございますが、一般的な場合に特別の強制措置はございません。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 ただ、私いま指摘したように、地方自治体の中には職員がきわめて優遇されるところ、そしてまだ低水準に置かれているところ、そういうものはある程度のバランスをとる方向に国が行政指導をしていくこと、これは私は大事なことだと思うのです。  それで、特にいまの地方にはよけいな仕事を国から振り向けて、ばかに負担が多くなって自然に人員をふやさなければいけぬというような事情が起こってくるのです。そういうときには、国から地方へ仕事を余り振り向けぬような配慮をするなどという一つの基本的な問題等を考えて、このややっこしい問題の解決に真剣に国が取っ組んでいくべきだと思いますから要望しておきます。  もう一つ、時間がありませんが、人事院がこれから勧告をされる中身の中に十分まだ配慮する期間があるのですが、それは本俸をできるだけ確保する制度、諸手当よりも本俸を大事にしてあげるといういき方。それから教員の場合でしたら、たとえば教員の二等級は、教諭一本で二等級を占めているのですが、これは通し号俸的なものになっているんだから、長期勤続者は一等級へ上げるとかという配慮もあわせてやるとか、いろいろな問題がこれからまだ配慮されると思うのです。それは人事院規則へ回される面もあるし、法律へうたう面も、勧告へうたう面もありますので、そうした意味で上薄下厚のラインを、そうしてできるだけ基本的は将来の年金等にも影響する本俸を上げるというラインを守っていただきたい。そういうことを配慮していただいて、そうして長官は、この扱いを、完全実施にするというお説として承りましたが、その際に、実施期の問題と一部修正という線と二つあるわけで、そのいずれも完全実施の線で守っていただくというところでお考えをまとめておいてもらいたい、そういうことを要望をいたしておきます。  おしまいに、長官、今度の予算要求で二五%増に昨年抑えておったのを一五%にとどめるということにしたようだが、恩給や年金は二五%はやる、こういう既定方針が決まったわけですか。
  196. 植木光教

    植木国務大臣 昨日の閣議におきまして、五十一年度の概算要求は一五%以内にするということになったのでございますが、恩給及び各種年金につきましては、今年度改定によりまして平年度化する分についてはこの一五%から除外をするということになりまして、私どもとしては大変喜んでいるところでございます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 そのラインに沿うならば、人事院勧告は、これは年金、恩給そして現職の給与、これは現役も退職者も一貫した処遇という意味において、狩にいかなる財政上の理由があろうと勧告は完全に守るというところをひとつしっかり支えておいていただきたい、要望申し上げまして質疑を終わります。
  198. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 中路君。
  199. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が大分たっていますし、勧告が出ました後できるだけ早く委員会を開くということになっていますし、総務長官組合皆さんとの会見ということなので、私の方もそれをとめるということもよくありませんので、予定していました幾つかの問題、定年制の導入の問題やあるいはスト権の労働基本権の問題で広報室がやられました世論調査の問題、あるいはILOに関する問題、幾つか御質問したいと思っていたのですが、今度は私自身の時間の終わりもありまして、この後少し時間をいただきまして、いま人事院がやっておられる給与勧告の基礎作業、この幾つかの問題だけひとつ御質問したいと思いますので、広報室の皆さん待っていただいた方もあるのですが、そういう事情なのでひとつ次回に回していきたいと思います。  今度の勧告の基礎作業の問題に関連して何点かお聞きしておきたいのですが、今度の職種別民間給与実態調査について最初に簡潔にお聞きしたいのですが、国家公務員給与の実態調査について、ことし行われました調査の要領、それから職種別民間給与実態調査の実地調査をやられました期間、それから民間給与について何月時点をとられているのか、こういった点を最初一言でいいのですが、簡潔にお答え願いたいと思うのです。
  200. 茨木広

    ○茨木説明員 調査の問題でございますが、これは例年の方式で企業規模百人以上、事業所規模五十人以上の事業所について、約七千四百ばかりのものを抽出調査いたしてございます。  それから後もう一つ、民間給与の押さえる時点は例年のとおりやはり四月現在でございます。したがって調査そのものの会社に出向きますものは、五月の連休明けということで、五月末から六月の十六日までの間にお邪魔いたしておりますけれども、調査時点は四月でございます。
  201. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、公務員の賃金は一月ですね。それで民間賃金は四月のものをとっておられるわけですが、寒冷地手当や通勤手当の状況も含めてみますと、一月から三月までの変動がある意味では正確に把握できないのではないかと思うのですが、体制の問題等で、公務員と民調と同時にやっていくという場合、非常に困難があるという点もわかるのですが、こういう変動を把握するために何らかの処置は、私は正確にする意味では必要じゃないかと思うのです。この点について、一月から三月までの変動を正確に把握するという点では、もう少し具体的な処置が必要じゃないかと私は考えているのですが、もし何かお考えがありましたら最初にお聞きしておきたい。
  202. 茨木広

    ○茨木説明員 御指摘のとおりの問題点があるわけでございますが、そこで一月十五日現在の公務員の実態を二月から三月にかけて調査をいたしまして、それをもとに四月現在の状況を、要するに定昇時期に来ております者について定昇を入れていくという操作でございますが、そういうことについての修正を加えた推計を四月現在やりまして、そして官民の比較をやる、こういう方式になるわけでございます。これは同時に、四月になりましてから調査をいたしますと、きわめて短時間に、民間の給与調査が終わりました後集計をし、両者の比較をやって結論を出さなければいかぬという問題がございますものですから、公務員の方をその時期に調査をして推計をするという方式でもって追い込んでおいて、接比して民間の給与調査を統計局等に持ち込みまして調査をするというような方式をとらないと時期がおくれてまいりますものですから、そういうやむを得ざる措置をいたしておるわけでございます。  なお、通勤手当のような問題については、やはり公務員の通勤実態状況を押さえてやりますが、四月になれば異動があるではないかという意味のやはり微差はあると思いますが、しかし毎年そういう一年おくれの姿で通勤の実態の各金のかかる率のカバー率と申しますか、こういう点を押さえまして、そうして改善を加えていく、こういうことをやっておるわけでございます。
  203. 中路雅弘

    ○中路委員 今度調査対象となった事業所の中で労働組合のある事業所あるいは賃金の決定が団交によって決められている事業所、これはどれだけあるのか、こういう点はお調べになっておるのですか。
  204. 茨木広

    ○茨木説明員 一応全国のところから先ほど申し上げました規模で事業所を抜いて、そこから今度は一定の三つ置きとか四つ置きとかいうふうに抽出をして、要するに恣意が入らない形で抽出をしてまいりますので、その対象のところがどういう関係に労働関係がなっておるかという調査はいたしておりません。
  205. 中路雅弘

    ○中路委員 人事院のいまやられている御答弁の調査は、その事業所の中で労組の有無や賃金の決定が団交によっておるか否か、こういった問題とは関係なしにやられているわけですけれども、私は、人事院が労働基本権の代償機関であるということであれば、民間賃金について労働組合の有無にかかわりなく画一的な調査をやっていく、あるいは団交によって決められるというそういう問題を抜きにして画一的な調査をやっていくということが、果たしてそれで本当の意味での代償機能を果たせるかどうかという点で意見を持っているわけですけれども、こういった問題について、労使の間の代償機能という性格から言って検討をしてみる必要があるのではないか。その調査対象の事業所が、労働組合があって団体交渉によってその賃金が決められているところ、そうでないところ、この問題についても、やはり調査をされる必要があるのではないかという考えを持っているのですが、皆さんのお考えがあれば、ひとつこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
  206. 茨木広

    ○茨木説明員 いま押さえております事業所の規模で言いますと、大体そういう労働者の五三%程度のものを押さえるところでやっておるわけでございますが、その中でも千人以上のところが二八%、五百人以上で押さえますと三四%というようなところでございますから、そういう大規模なところでいまどき組合がない、労使の交渉も行われないということは大体考えられないことでございまして、大半のところはやっぱりそういうものは持って、何らかの折衝はやっておるものというように考えてよろしいのではないかと思っております。
  207. 中路雅弘

    ○中路委員 しかし、これは正確にする意味でも、私は、民調の対象になった事業所の中で労働組合の有無、こういった点はやはり正確にする意味調査をされておく必要があるのじゃないかというふうに思うわけですが、これは要望としてひとつお話ししておきたいと思います。  それから、給与の官民比較をやるわけですから、ことし九十一種ですか、いずれも公務に類似した職種であるというふうに考えるわけですが、調査対象事業所から除外した経営形態のものにどんなものがあるかということです。お聞きしたいのは、公団だとか公社あるいは公営企業などの企業体が調査対象から外されているわけですが、これはどういう理由で外されているのですか。
  208. 茨木広

    ○茨木説明員 本年度調査で、事業の業種の種類として出し入れをしたということはございません。  それから、いま御指摘のものが外れておりますのは、要するに国家公務員給与を、法律関係で言えば三公社五現は、向こうがこちらの方も一つの材料として参考にされる法的仕組みになっておるわけでございます。そういう関係でこれは外れておるわけでございます。  それから公社、公団等は法的関係はそういうものがないと思いますが、実質的にこちらが決まりましてからいろいろお決めになっておるという関係になっておりますので、そういう関係地方団体、それから三公五現、それから公社、公団、そういうようなものは除いていかないと、こちらが決めたものをまたもう一回つかんでくるという姿になるものですから、そういうことになっておるわけでございます。
  209. 中路雅弘

    ○中路委員 調査事業所の抽出の方法ですが、調査方法を見ますと、毎年抽出し直しておられると思うのですが、これは毎年事業所の抽出については一からやり直していくという方法なわけですか。
  210. 茨木広

    ○茨木説明員 これは、まず基礎台帳は毎年つくり直します。事業所の盛衰というか、なくなるものもありますし、新たに生まれるものもございますから、そういう意味で基礎台帳は全部毎年つくり直します。その中からやはり無作為抽出法でございますので、千人以上の規模、五百人以上の規模、百人以上の規模というふうに、それぞれ層化をいたしまして、そうして抽出率を何分の一と、こういうふうに決めて抽出をしていく。したがって、千人以上のものの抽出率と五百人以上と百人以上と違いますけれども、その調査したものを、今度はその抽出率を逆にしてもとの母体にそれを伸ばしていくということでもって、またもとの姿のところに膨張さしたと同じ効果を持つというようなふうになるようにしておるわけでございます。
  211. 中路雅弘

    ○中路委員 労働省の統計なんかの調査を見ますと、抽出について毎年三分の一ずつ入れかえを行っているわけですね。私は、これに比べると、人事院のやり方が、抽出の仕方が毎年やり直していくということになると、連続性あるいは安定性という意味では少し欠けるのではないかという気もするのですが、労働省のこの統計のやり方、とり方、こういったものと比較しますと、そういう感じがするわけですが、この点についてはどういうお考えですか。
  212. 茨木広

    ○茨木説明員 これは、いろいろの考え方だろうと思いますが、こちらは全国民とまではいかないけれども、百人以上の規模のところのその年その年の国民経済の実態をそこに反映してくる、つかんでくるというところを考えておりますから、個個の企業でどういうような動きがあったかということは、そこにやはり七千という数を調査しておりますので、平均化されてあらわれてくる、そこに一番大事な安定性を求めておるわけでございます。そうでないと、特にことしのようなふうにある業種は非常にいいけれども、ある業種は非常に悪いというようなことになりますと、それじゃその悪い業種は落としていい業種を入れるのだということになれば、片っ方の方では納得されないだろうと思いますし、そういう点もございますものですから、やはりなるべくそういうような恣意的な選択を入れない方法が、長い目で見ました場合に国民の納得も得られる、組合側の方の関係者の納得も得られる、こういうことだろうと思います。そういう意味で、労使の納得を得られる方法として長期的に見て安定性を図っていくということが大事じゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  213. 中路雅弘

    ○中路委員 次ですが、民調の調査項目ですが、昨年と比べてみますと、新しく調査項目に三つたしか加わっていますね。一時帰休、賃金カット、定年制の状況といったものが加わっているわけですが、それから削られた項目があるわけですね。調整手当等が削られています。たしか去年の人勧では、調整手当については「引き続き検討を重ねるものとする。」ということが言われていたと思うのですが、昨年の人勧でも検討を重ねるということが言われている問題を、なぜことしは削ったのかという問題ですが、あるいは定年制の状況など新たな調査項目として加えられた理由ですね、人勧にどのようにこれを取り入れようとされているのか、この点についてもお聞きしたいと思うのです。
  214. 茨木広

    ○茨木説明員 調査項目を決めます際には、やはりことしの民間の調査項目を決める時点におきましての民間の本年度給与情勢の動向というようなものを頭に置きながら決めるわけでございます。  そういう点からいきますと、まず御指摘になられました調整手当の問題でございますが、御案内のように、大変業種によってことしは悪いところとそうでもないところとあるわけでございます。また、その業種の展開しておる地域が相当いろいろかたまって集団的に繊維産業が展開しておるところとか、自動車産業が相当あるところとか、いろいろございます。そういう関係で、やはり恒久的な地域手当制度を吟味する資料を得るのにはことしはふさわしくない年であるということが院議でも吟味されました上で調査項目からことしは落としていくということでございます。したがって、引き続きやはり来年度の方にまたこれを送っていきまして検討をしていきたいというふうに考えております。  それから、新たに加えましたものは、これは午前中以来いろいろ御議論があったような情勢でございますが、そういうことしの民間給与の決まりました背景、事情というものをそれなりにつかまえて、そして出てまいります較差というものも、そういう背景、事情を踏まえて出てきたものだということを理解してこれを検討していかなければいかぬ、そういう事情がございますので、それらの一連の関連のものと思われるものを調査項目に加えまして調査をした、こういうことでございます。
  215. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御答弁ありましたけれども、調整手当等についてことし削った理由についてはお話しになりましたが、これは引き続いて検討を重ねるということを皆さん勧告の中でも出されている問題ですから、私は、その点は今後も十分検討していく必要があるんじゃないかということをあわして述べておきたいと思うのです。  官民給与の比較の方法の中で、方法ですが、あるいは手順ですが、調査が事業所単位でやられるわけですね。そして官民を対応させる段になると、企業単位に組みかえていくという企業規模別方式と称しておられるわけですが、従業員五百人以上と未満の二つのグループに分類して官民比較をされているわけですが、なぜそうしなければならないのか、その根拠ですね、こういったものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  216. 茨木広

    ○茨木説明員 これは給与を決めております決め方の根拠でございますが、結局民間と比較しておりますゆえんのものは、やはり労働市場として考えますと、どういうものとの間で競争関係になっておるかというようなことも一つ踏まえなければいかぬことになります。  それから、役職対応と申しますか、そういうところも、どの程度のものと国のどの程度のものと対応させるのがやはり皆さん理解を得られるのかという問題があろうかと思います。そういう意味で、やはり民間会社相互のそういう意味のバランスもございましょうし、そんなところから、課長であればこちらの課長と対応しますのは向こうのどういうところがいいというような考え方で決めておるわけでございます。そういうようなところで、係長あたりのところで言いますれば、やはり一段階どうも相手の規模によって違えないとすっきりした比較ができないではないかというようなところから御指摘のような段階差が出てまいっておるわけでございます。でございますから、たとえばこちらの課長のところで申し上げますと、本省の課長に相当しますものが、五百人以上の規模でございますと課長としていますが、これは調査の際に、課長と言いましても、大きな課長、たくさん部下を持っておるものもあればそうではないものもあるということで、ほぼ十名程度の課の課長、こういうふうな指摘をしまして、その辺のところをいろいろ見ておる。で、規模五百人未満でございますと、支店長とか工場長あるいは部長、部次長、こういうものを対象に見ておるというふうにちょっと一段階違えて見ておるというふうなところで初めて納得得られるんじゃなかろうかというところでそうしておるわけでございます。
  217. 中路雅弘

    ○中路委員 企業単位に組みかえますと、たとえば本店や支店の区別がなくなってしまうわけですね。民間について本店の課長も支店の課長も同格に扱われるということになってしまうのではないか。民間の課長の水準がその分だけ低くなるということも言えると思うのですが、企業単位に組みかえると、いま私が言いましたような本店、支店という点では支店課長、本店課長も同格に扱えという関係になるんじゃないですか。
  218. 茨木広

    ○茨木説明員 この点は、会社によって本店とそれから支店のそういう役職との関係を同等に扱っておるものもありますれば、違えて扱っておるものもあるということで、詳しくやっていきますと、やはり会社によって本店、支店の扱い方が違ってくる場合もあり得ると思います。ただ、そこまでおたくの会社はどういう扱いですかと個々的に聞いて調査をするということは、なかなかたくさんの中の調査でございますので不可能でございますので、別途何年に一遍かそういう点検をしてみて、どうも食い違いがおかしいということになれば、そこは変えていくということで大数的にやはり処理せざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  219. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどちょっとお話しになりましたが、国公の行(一)とたとえば企業規模五百人以上の民間との官民対応職務と平均年齢、ことしの四月でどうなっているのか。行(一)の一等級から八等級までいまの官民対応の職務、年齢について簡潔にひとつ説明をしていただきたいと思うのです。
  220. 茨木広

    ○茨木説明員 ことし調査をいたしておりますものを手元に持っておりませんので答えかねますけれども、ただその際に、前にも御議論があったかと思いますが、比較いたしますものは同年齢、同一学歴のものを民間の対応のところから持ってきまして、たとえばこちらの大学出の三十八歳のところがこちらに何人おるということでありますれば、大学出の三十八歳の民間のところのものの平均給与を出しまして、それを持ってきてこちらの方の大学出三十八歳の人数にそれを掛けて出すということで、民間の賃金水準をこちらの公務員の構造に置き直した形で民間の給与額をまず出していき、それから公務員の現在の給与額との較差を求めるというやり方をやりますから、その平均年齢がこちらが高いか向こうが低いかということは、そこの比較のところでは影響がないといいますか、ただ総体平均公務員のいまベースという発表をいたしておりませんけれども、しかし勧告のときに平均何ぼになりますという発表をいたします。これにはやはり年齢が高くなっておれば、それだけ水準が高くなることはこれは間違いないので、そこで勧告の際には、平均年齢は何歳、学歴構成はどういうふうになっておるということをつけて発表をさせていただいておるわけでございます。
  221. 中路雅弘

    ○中路委員 私のところに四十九年の四月の人事院の官民対応職務と平均年齢の表がありますけれども、これを見ましても、いまの御説明によりましても、一等級から三等級の上位等級の同一職名、上位の等級は課長という同一職名をとっていますが、四等級から五等級の中位等級になりますと、一段下の職名をとっていますね。四等級の補佐が民間五百人以上の係長というような形で、六等級−八等級の下位等級については学歴、年齢、企業規模によって線を引いて対応させるということになっているわけですが、等級別の実在員を見ますと、四等級から六等級に大きな山があるわけですし、財源でも大きなウェートを占めているわけですが、この対応で見ますと、人事院が採用されている規模別職務等級の対応方式で見ますと、上位等級では較差が大きく出て、下位等級では小さくなる。しかも財源の面で大きなウエートを占めています四等級から六等級が低くなるために、全体として総合較差を引き下げることになるのではないかと思うのです。この方式では官民較差が解消しない最大の理由の一つがここにあるように私は思うわけです。給与水準を引き下げるある意味ではまた作為的な手法かもしれないと思うのですが、この辺についてはどうですか、こういう対応の仕方……。
  222. 茨木広

    ○茨木説明員 平均年齢的に見ますと、たとえば課長なら課長の向こうの平均年齢が幾ら、こちらの平均年齢が幾らというような意味の差は出てまいると思いますけれども、先ほど言いましたように、同じ年齢のところをつかまえてきて数字を、民間の賃金額をぶち込むという調査をやっておりますから、全体としますと、全体が全部老齢化しておるとその食い違いがあるのではないかという感じが出るわけでしょう。また一方、新陳代謝しまして、下の方はむしろ今度はこちらが早いという場面も出てくるわけでして、その辺は長期的に見てどちらがどうだというふうにはなかなか決めがたい問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  223. 中路雅弘

    ○中路委員 規模別を五百人未満の民間の係長の平均年齢、これに対応する行(一)五等級の本省の係長の平均年齢というのを見ますと、この表で見ましても、係長といっても、公務員では四十歳代に人員が集中の山があって、民間では三十歳代に大体山がある。十歳も若い民間労働者と比較されているわけですね。官民給与の比較の際に、公務員の年齢に合わせて民間賃金を比較しているから問題ないというお話もあるわけですけれども、民間では職務給がどんどん導入されて、標準から十歳も離れた係長というのは、大体昇給が頭打ちされている者が多くなっているわけですから、こうした人たちと、いわば働き盛りの公務員の係長を比較するということにやはり問題があると思うのです。等級別の標準職務表を基準に官民の現実的な職務対応関係を設定すべきであると私は思いますが、こういう点は改めて検討をしていただく必要があるという意見を持っておるのですが、皆さんのお考えはどうですか。
  224. 茨木広

    ○茨木説明員 民間の生きのいいところとこちらの生きのいいところとを比較せいという、いわば制度年齢的な比較の御議論だろうと思いますけれども、そういたしますと、総体としまして官民の年齢別の比較をしてやるわけでございますから、その辺の生きのいいところを生きのいいところと合わせますと、それじゃ生きの悪いところは民間よりもうんと下回らせてもいいかという問題が今度は逆に出てまいりまして、結局、初任のところから入りまして、五十歳から五十五歳前後のところでだんだんできていく、上の方、六十歳以上の者も若干おるというような体制で、生涯的な運営を給与表としてやっているわけでございますから、全体として見ますと、そこがバランスがとれているのであって、あるいは入り口のところで得をしたり、あるいは中間で損をしたり、上の方へいって得をしたりというふうなことがやはりあり得るのはやむを得ぬことじゃなかろうか。公務の実態を詳しく言えば、やはり民間の実態とはまた多少違うところもあるわけでございまして、そこはやはり総体平均的に物事を見ていかざるを得ないのじゃなかろうか。これよりもっといい方法があれば別でございますけれども、有利なところと有利なところだけを比較していくということになれば、それじゃ、こちらの公務員の方が有利になっておって民間の方が不利になっておるところはもっと削っていいのかというと、そうも簡単にはいかないという問題もあるのではなかろうかと思っております。
  225. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一、二点だけお聞きしておきたいのですが、官民を比較する際の基礎給与の問題ですが、官民の賃金の比較対照給与は、寒冷地手当や通勤手当、かなり手当の立て方がこういう問題では違っているわけですが、これを含む基準内の給与とされているわけですが、現在のやり方では公務の特殊性や官民双方の職員構成の違い、あるいは賃金政策の違いを度外視することではないか。当面、やはり比較基礎給与の範囲を調整額を除いた基本給部分に限定することがよりいいのではないか。とりわけ通勤手当や寒冷地手当、寒冷地手当は民間より高いわけですし、ついては比較給与から除外すべきじゃないかというふうに私は考えるわけですが、皆さんの方でこういった問題を基準内給与としておられる根拠、また、私がいま述べました考えについて御意見もお聞かせ願いたいと思います。
  226. 茨木広

    ○茨木説明員 これは民間の給与とこちらの給与の立て方が、やはりしさいに見ますと、どの程度を本俸に置き、どの程度をたとえば能率給的なものに置き、あるいは手当にどの程度の比率を置くかということば、会社によってもいろいろ違いますし、大体業種ごとには合っておるかもしれませんが、そういう目で見ますと、なかなか違いがございますわけです。  そこで、給与調査の比較方法としましては、全体をつかまえまして、そこから時間外勤務手当のようなものは除外するという方法で比較をせざるを得ない。その比較をしてきましたものを、大体全体の動向を見ながら本俸にどの程度の比率、手当に幾らぐらいの比率というようなところで配分を決めていく、こういうことになるわけでございます。もしそういうふうに分別して調査をするということになりますと、また大変これは調査技術としましてもむずかしいことになります。それから、仮にまたそういうふうに分別いたしますと、それはそれで今度民間とまた別途の調査をやって比較をしなければいかぬという問題になります。そこで通勤手当のようなものについては外に出してくれという要望もございますけれども、いまのところは一緒につかまえてきた形でもって調査をし、分配しておるわけでございます。寒冷地手当については、例の定率部分に相当しますものは、この比較の中に入れておりますけれども、定額部分にされました部分は、その外に出しておるわけでございます。  そういうようなことで順次、民間との状況を比較しながら、その辺の合理化を図っておるところでございますけれども、なかなかそういう調査技術の関連もありましてむずかしい点がございますわけです。
  227. 中路雅弘

    ○中路委員 勧告が出た時点でさらに具体的な問題は御質問したいと思いますが、いま幾つか御質問した問題の中でも、これは関係職員団体皆さんからも出ている要求についても幾つか触れてみたわけですが、そういう点では人事院調査の問題について幾つかの点について作為的じゃないかというような強い不満も出ておる問題もあるわけですね。皆さんの方の考えもあると思いますけれども、私は、こういう問題では直接対応する職員団体皆さん意見も真剣に検討していただいて、調査の問題についてさらに改善方を要望していきたいというふうに思うわけです。具体的な問題は、やはり勧告が出ました時点で改めて御質問したいと思います。  いろいろ総理府等にもお尋ねしたい問題もあったわけですけれども、職員団体との会見ということは、私たちもぜひ必要だと思いますし、時間も延びていますので、次回にあとの問題は回さしていただきまして、きょうはこれで終わりたいと思いますが、最後にお話ししましたように、この勧告の基礎作業の問題についても、職員団体皆さんからいろいろ問題の指摘や要望も出されておるわけですが、そういった点はぜひとも十分双方で検討していただいて、必要な改善策が一致できれば積極的に取り上げていただくということをあわせて総裁にも強く要望しておきたいのですが、総裁のお考えも最後にお聞きして終わりたいと思うのです。
  228. 藤井貞夫

    藤井説明員 組合その他の関係からの要望は十分にこちらとしても検討いたしておりますし、また、その過程におきましては、頻繁に直接に会いまして、趣旨の内容もよく聞き、こちらの考え方も申し上げるというようなことで満足——全面的に満足ということでなくても、特に最近は、人事院側のそういう態度なりやり方なりは十分評価をしていただいている向きが多いのではないかというふうに考えておりますが、しかしお話の点は、公務員給与に関する重要な事柄でございますので、謙虚に言い分等についても検討いたしまして、納得のいくことであれば、改善すべきことは改善をしていく、そういう努力は今後とも続けてまいりたいと思います。
  229. 中路雅弘

    ○中路委員 終わります。
  230. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十一分散会