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1975-06-24 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十四日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 箕輪  登君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    有田 喜一君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    中馬 辰猪君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       木原  実君    八木  昇君       和田 貞夫君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    福永  博君         科学技術庁原子         力局次長    半澤 治雄君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      安仁屋政彦君         科学技術庁原子         力局原子炉規制         課長      中村 守孝君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 六月二十三日  辞任         補欠選任   大石 千八君     綿貫 民輔君   三塚  博君     伊藤宗一郎君 同日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君     三塚  博君   綿貫 民輔君     大石 千八君     ————————————— 六月二十三日  一世一元制法制化に関する請願山下元利君  紹介)(第三九七一号)  同(小泉純一郎紹介)(第四〇五五号)  同(田中伊三次君紹介)(第四〇五六号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第四〇五七号)  傷病恩給の改善に関する請願佐々木秀世君紹  介)(第三九七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 まず、原子力行政懇談会設置されておるわけですが、聞くところによりますと、いままで六回、七回ばかり懇談会が継続されておるわけです。最終的な結論に到達するまでには至っておらないと思いますが、この機会に今日までの同懇談会審議過程をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  4. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 行政懇談会の方は私も出ておりましたが、国会の関係等ございまして、主として原子力局長が出席しておりましたので、原子力局長から詳細御説明を申し上げます。
  5. 生田豊朗

    生田政府委員 現在までに七回審議をいたしておりまして、一番最初科学技術庁から問題点の御説明をいたしました。通産省からも問題点の御説明がありました。その後ヒヤリングを続けまして、先週までで一応各界からのヒヤリングが終わっております。ヒヤリングの後、一応事務局取りまとめました問題点を御披露いたしまして、問題点について御討議いただいたわけでございます。あと夏にかかりますまでに一、二回開きまして、もう少し御討議いただきまして、夏休みが過ぎました後から取りまとめに入るという予定でございます。
  6. 和田貞夫

    和田(貞)委員 懇談会審議日程はわかりましたけれども、それでは第一回目の懇談会科学技術庁なり通産省問題点を挙げられたその問題点というのをひとつお示し願いたい。
  7. 生田豊朗

    生田政府委員 いろいろ細かく書きましたけれども、前回に御披露いたしました問題点でございますけれども、平和利用に徹するということを大前提といたしまして、まず国民の信頼を獲得できる原子力行政体制はどういうものであるべきかということを大前提といたしまして問題点を掲げてございます。  具体的には、第一に原子力委員会はどうあるべきか、原子力委員会の果たすべき役割りあるいは性格についてどう考えるか、さらに原子力委員会委員長現行法では科学技術庁長官ということになっておりますが、それを科学技術庁長官の兼任ということではなくて、専任委員長を設けた方がいいかどうか、あるいは原子力委員会事務局でございますが、これも科学技術庁原子力局事務局を行うということになっておりますが、それをそのままでよろしいか、あるいは専任事務局を設けるべきかというような問題点が第一でございます。  それからその次に、安全審査を含みます安全規制につきまして、原子力委員会あるいは各行政機関、すなわち科学技術庁通産省運輸省等に分かれておりますが、これを今後どういうふうに持っていったらよろしいかという問題でございます。その辺の組み合わせについて問題点を提起してございます。  それからその次が、安全研究体制でございますけれども、その安全研究体制につきましての政府と民間とどの分野をどういうふうに分担したらよろしいかという問題、あるいは政府部内で各省庁間の分担をどうしたらよろしいかという問題、そういう問題を提起してございます。  最後に、国民の理解を得る体制ということでございまして、地域住民との接触あるいはPRの体制をどうしたらよろしいか、あるいは公聴会、資料の公開原子力関係の施設の立地に関します手続をどうしたらよろしいかという問題についての問題点を提起してございます。あと一、二ございますけれども、主な点はそういうところでございます。
  8. 和田貞夫

    和田(貞)委員 結論は大体八月ごろにまとめられるわけですか。
  9. 生田豊朗

    生田政府委員 まだ内閣審議室の方とも、それから座長の有沢先生とも、その辺詳しく話を詰めておりませんけれども、八月にこの委員先生方がいろいろ御多忙で、八月中は恐らくこの懇談会開けないと思いますので、その八月の休みに入ります前までにある程度この問題点について議論を煮詰めていただきまして、休みが終わりました後に取りまとめに入る、そういうことになるのじゃないかと考えております。
  10. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは最終結論ですか、中間報告という形になるのですか。
  11. 生田豊朗

    生田政府委員 その辺がまだはっきりいたしませんで、私も実は最近、ちょっと有沢先生お話をする時間がございませんので、お打ち合わせしてないわけでございますが、一月ほど前にお打ち合わせをしました形では、有沢先生の御意向は、できれば八月の休みの前に粗筋といいますかスケルトンといいますか、そういうようなものでも一応つくっておきたい、その辺のところ、その中身について、八月の休みの間に事務局に勉強しておいてもらって、九月以後その大筋の骨組みをもう少し肉づけしていきたいというようなことを言っていらっしゃいましたので、そういう先生の御意向どおりに進みますと、中間的な結論を出すか出さないか、その進捗状況にかかってくると思いますが、いずれにしましても、早くとも秋以後になりませんとなかなかまとめるのはむずかしいのじゃなかろうかというように考えております。
  12. 和田貞夫

    和田(貞)委員 審議室の方はどうですか、審議過程からいってどういうような方向になっていくかという、そういう報告はしてもらえないですか。
  13. 安仁屋政彦

    安仁屋説明員 いま原子力局長が答えられましたように、懇談会としてのきっちりした日程はまだ決まっておりません。これからどういう範囲までを検討対象とするか、あるいはどの程度の頻度で懇談会を開催していくか、それによって結論の出る時期も違ってくると思いますが、原子力局長説明したとおり、現在のところでははっきりした日程はまだ決まってない、こういう段階でございます。
  14. 和田貞夫

    和田(貞)委員 原子力局長の方から問題点四つ挙げられたわけですが、その四つの問題について七回会を重ねているわけですから、その七回の審議過程で、懇談会の推移の過程で、大体どういう方向に向かっているかという内容ですね、この機会にお聞かせ願えないですか。
  15. 生田豊朗

    生田政府委員 実は、私の御説明がちょっと不足でございましたけれども、一番最初と申しますか、第二回に内外の原子力開発状況につきまして、ある程度問題点も含めたわけではございますけれども、むしろ現状説明中心にいたしまして私とエネルギー庁長官から御説明申したわけでございます。その後、原子力委員会学術会議電力会社電機メーカー、これはいずれも労使双方でございますけれども。さらに「むつ」の放射能漏れ調査委員会大山先生柴田先生、全漁連、消費者代表というようにヒヤリングを重ねてまいりまして、そのヒヤリングのときの内容、それからそのヒヤリングのときの各委員先生からの質疑内容に基づきまして、一応問題点をまとめてみろという御指示がありましたので、取りまとめましたのが、先ほど申し上げた四つ問題点でございますので、むしろ、これからこの四つ問題点中心にしまして議論が始まるという段階でございます。
  16. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ十分審議がされておらないということですね。審議がされておるのだけれども、審議内容について、非公開であるから外部に発表してはいけないということではないんですか。
  17. 生田豊朗

    生田政府委員 そうではございませんで、むしろ、いままでは事務当局あるいは関係各界代表の方から意見を聞くという段階でございまして、懇談会のメンバーの方の中での議論というのはほとんどないわけでございます。これからその実質的な審議が始まるということでございます。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それではやむを得ないといたしまして、この原子力懇談会三木総理私的諮問機関として設置する、こういうようになった直接的な経緯というのはどういうことですか。
  19. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 直接の原因は「むつ」の問題でございまして、あの問題が発生して「むつ自体の技術的な原因が那辺にあるかという一種の検討会というものでございますか、これをひとつ内閣に設けまして厳正に判断しようという意味で、原子力委員会そのものを含めて検討しようということで、それからもう一つは、原子力行政そのものがこの際再検討の要があるのではないか、特に安全問題を中心にして再検討する必要があるのじゃないか、その際、本来であれば原子力委員会自分で案をつくって自分で処理するのが筋でございますけれども、しかし原子力委員会を含めて、原子力委員会対象としての対策にもなりますので、むしろ、その当事者である原子力委員会よりも、もう一つ次元の違った、また客観的にこれを批判、判断できる、したがって、また対策のできる機関をつくろうというのでこの行政懇談会をつくったというふうに承知しているのでございます。
  20. 和田貞夫

    和田(貞)委員 原発関連地域知事からの要望がことしに入ってからなされておりますが、これらの知事さんが共通して内閣要望された、政府要望された内容というのはどういうことですか。
  21. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、去年の暮れ、八県だと思いますが、知事さんと一緒懇談をいたしまして、いろいろ要望もちょうだいいたしました。各知事意向はほとんど同様でございまして、原子力行政懇談会なるものが近くできるという話だけれども——できたのは大分後でございまして、去年の十二月でございます。できるはずでございますが、これは見通しとしては大体いつごろ結論が出るのか、あるいはこれが法案化されあるいは予算化され、各省との権限調整が済んで、そしてまた実際に発足して行政として定着するという見通しは大体どういうものなのかということでした。  それで私は、どうもこういう大問題を処理するには、慎重を要する問題でもあるし、少なくとも二年はかかるでしょうというお話をいたしましたところ、それは大変困る、自分らは原子力発電をいま手がけておるわけですけれども、いままでは国の方でこれが安全であると言うのを受けて、そして国が安全と言うからいいじゃないか、自分ら自体も技術的な安全はよくわからないのですが、しかしオーソライズしたものがそう言うんだからいいんじゃないかということで実は原子力発電に踏み切ってきたのです、ところが「むつ」のような問題が起きますと、一体何を頼りにして今後住民との対話あるいは説得に努めたらよろしいかということで実は大変困ります、やはり安全の問題あるいは究明、あるいは安全行政に対してはずっと継続して進んでおるわけでございますから、それをいままでのままでそのままの姿でやってもらっては困ります、この際、ひとつ政府としてこの安全行政に対するはっきりした姿勢あるいは決心というものを示してもらいたい、そのためには、単に従来のように安全でありますという科学的な立証をするだけでは、実は地元の説得が効かぬので、政府としては形で具体的に示してもらいたい、その懇談会のようなものができて、その結論に基づいて一挙に大改革を企てることは大変結構だけれども、望ましいのだけれども、それができるまでそれじゃほっておかれるというのでは自分らの方はどうにも立つ瀬がない、やりようがないという非常に強い要望がございました。  私は、それを聞きまして、現実要請としては、この懇談会結論を待って大きく展開するということはとてもそれまで待てないぞということで、たしかその前々日だと思いましたが、閣議で今度の予算には局部の増設は一切認めぬというけじめを私自体も同意してつくった本人でございますけれども、しかし、その要請を受けまして、これは容易ならぬことだ、われわれが東京で考えている問題とは——現地の困難というか苦脳のさまはよくわかりましたので、それじゃいかぬ、この際、そういう閣議決定した直後でありますけれども、政府の具体的な姿勢を示すのにはやはり安全局というものをつくって、そしてそのときの非難一つは、開発体制安全体制を同じ機関でやるというのはおかしいじゃないか、自分開発すると言って案をつくっておいて、そのつくったそのものが危ないと言うことを同じ一つの人格がやるということはおかしい、それはやはりどうしても分けてやるべきだという議論が実は当時非常に強うございましたし、県の皆さんも大変そういう要望も出しておられまして、この際、それでは少なくとも、原子力委員会そのもののあり方の勝負は今後に残すことにして、最終的な責任を負う原子力安全局だけは別途のものとして先行してつくることが、あらゆる意味知事さんやなんかの要望にこたえる道じゃなかろうか、こういうことで実は安全局をつくった次第でございます。  したがって、根本原子力行政に対する政府の気構え、姿勢というものを広く示そうじゃないかということが大きい一つの動機でございますが、いよいよつくってということになりますと、その性格なり権限なり一体どうするかという問題がございまして、ずいぶん練りに練ってこの案を出したつもりでございます。したがいまして、この原子力安全局なるもので一切今後の問題をカバーするという意味は毛頭ございません。これがそういう大きく発展していく道筋の一つの一里塚であるというふうに考えていただけば大変幸甚だと思います。  しかし、それにしても、その権限なりあるいは一貫性なりというものに対して毅然たるはっきりしたものがなければ、これはつくる意味がないわけでございますので、そういう点に対しまして十分配慮して提案したつもりでございます。
  22. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま長官の方から御説明がございましたが、これでは安全局設置ということは、関連地域知事要望に全くこたえたということではない。  そこで、せっかくこの原子力行政懇談会が持たれて、先ほどから言われておりますように、原子力委員会性格、機能をも対象にして日本原子力行政について抜本的に考え方を改めようという意思が政府におありであって、せっかく審議をされておるわけですが、にもかかわらず、安全局設置するということでこれが事足りるというようには、長官いま言われなかったのですが、そういうような原子力行政についての懇談会を開かれて、八月が終わってこの秋ごろには日本原子力行政全体を洗い直すための結論が得られようとしておるのに、わざわざここで局を設置するというような必要性がなぜあるのかということが私たちはわからない。別段、いま安全局設置しなくても、もう少し時期を待って全体として洗い直すという方向があったのじゃないですか、どうですか。
  23. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お説ごもっともでございまして、この案を出したときには行政管理庁あるいは大蔵省から同様の主張が非常に強うございまして、それをあえてこういうかっこうで強行したものは、判断では、現実も私そうだと思いますけれども、仮に秋以降に結論が出たといたしまして、これが来年の予算に間に合うかと申しますと、大変実はむずかしいので、恐らく間に合わぬと思います。  それからこの種の問題ですから、各省権限調整の問題が必ず出てきます。各省権限調整の問題というものは、御承知のことだと存じますけれども、これこそはどうにもならぬ、時期のかかる問題でございまして、有沢機関結論が出たから、そのとおりにはい、そうでございますか、結構でございますというふうになるかと申しますと、これは並み大抵のことじゃないと思います。そして今度は、それを法律化して、そして通ることになりますと、恐らくは私は来年は無理、早くて再々来年になるだろうと思います。そうすると、大体ことしから三年目になります。そうすると、三年間はいまの現体制のままで非難を浴びながら、政府としてこの原子力行政にたえ得るかというと、それはたえ得るわけがないのでございます。  ですから私は、職を賭して原子力安全局をやってくださいと言って総理あるいは幹事長に迫ったのはそれでありまして、これはそれでなくてはできないのです。そうでなければ原子力委員長とか科学技術庁長官、要らないですよ。そういう状況のままで、いまのままで非難を浴びながら、このままで三年間やりなさいというのであれば、こんなものはやらぬ方がいいのです。ですから、そこはひとつこれでもってやらしてくださいという姿勢を示したものでございます。
  24. 和田貞夫

    和田(貞)委員 長官、むしろ先ほどから非常に正直に、日本行政縦割りの中で官僚のなわ張り根性というのが、なかなか払拭することができない、であればこそ、こういうように機構いじりをやることによって、むしろあなたが危惧されておることがのんべんだらりとそのままこれで事足れりだということになってしまう、こういうおそれがあるのではないか、むしろこういうような機構いじりをしないで、この際、今日の原子力行政については根本的に洗い直す、近くこの結論懇談会として出されるのだから、それまで待って困難を克服してでも根本的に洗い直しするという考え方に立つ方が好ましいのじゃないか、こういうふうに思うのですがどうですか。
  25. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いまのままでやりますと、原子力行政に対する最終的な責任というものは、諮問機関原子力委員会が持つのか、あるいは本来の行政機関としての大臣が持つのか、ここら辺のぐあいが非常にどうも不分明な形でいままで実は来た。それから各省との間に「むつ」のような問題が起きたときにだれが一体最終責任を持つのか、また一貫した行政体系になっていないじゃないか、こういう点を突かれますと、これはやっぱりこのまま放置するわけにいきませんので、私は、今度のように少なくとも安全局をつくる機会に、本来の行政機関としての筋の通った権限を明確にして、それから各省間の調整は、すぐ法律を変えるわけにいきませんから——これは安全の問題一つとってみますとあれですけれども、安全問題だけに限って御説明申し上げると、典拠法規がそれぞれ違うわけでありまして、わが方は原子炉等規制法一つであります。通産は電気事業法でございます。あるいは運輸は船舶安全法とか、いろいろ法律がありまして、それに基づいて規制しているわけでございます。その間、基本設計がどうだとか、詳細設計がどうだとか、いろいろ分けておりますけれども、やはりいままでのままだと、その間専心これにかかっておるという体系がまだ整備していない、完備していないわけですから、いわばシステマタイズされた一つのものをずっと安全を審査もし、検査もし、あるいは運転もしていく、こういうかっこうになってくるのですから、こういうシステマタイズしていくというかっこうになっていない、一つの分断されたかっこうであることは、これは事実でございまして、そういう点を、もう少し法的権限はそれぞれ違っても、行政運営としていままでよりは一歩前進した形でやれるのじゃなかろうかということが、私は、やっぱりこの局をつくってやり得る一つの大きいめどじゃないかというふうに感じます。  それから、それがいわば発電炉舶用炉等に対する一つ考え方でございますけれども、御承知のように原子力平和利用ばかりではございませんで、原子力基本法の本当のねらいは、平和時のこういう安全問題より以上に、国の安全、言いかえれば原子力軍事利用という、一番国としてバイタルな問題があるわけでございまして、そこで当時、十数年前、もう二十年になりますか、基本法をつくった当時、各党超党派で、私も当時これに関連を持った一人でございますけれども、超党派基本法というものをつくった当時、原子力にタッチした方たちというものが、学者がいないんですね、ですから、学者皆さんも平和の利用であれば協力するけれども、軍事利用ということでは一切いまから協力しませんと言う。それは国内の全般の空気も、まさしく原子力利用というものは平和目的に限るべきだということで、御承知のように原子力基本法に平和の目的に限る、研究開発利用は平和の目的に限る、そして運営の方法は自主、民主、公開の原則にのっとってやりなさい、こういう基本線の世界に冠たる基本法というものができたわけです。  ですから、根本のねらいは、原子力委員会のねらいというものは、日本原子力行政というもの、あるいは原子力研究開発利用そのもの軍事転用になるかならないかという、これを見守るというのが一番大きい使命なんです。それがその後、どういうふうに発展しておるかと申しますと、日本には資源がないのですから、相互条約でもって各国と、いま六カ国でございますが、相互協定を結んで、その協定に基づいて燃料あるいは設備の提供を受けているわけでございます。そしていままでこういう開発をだんだん進めてきたわけでございますけれども、その平和利用に基づく相互条約の中には、必ず全部これは平和の目的に限りますよ、もし軍事利用した場合には、今後核燃料は提供しないのみならず、いままで提供したものを全部撤収いたしますからという条文になっております。  それで、それをインスペクトするために、これを国連機関に委譲いたしまして、日本軍事利用しているかどうか、国連機関査察をするわけです。現に毎年、毎月来ています。年に大体十数名、月には二十日間ぐらい現実にもう何年も来てやっています。そしてその査察を、向こうに単独に任せておくわけにいきませんから、原子力局査察員をつくりまして一緒にインスペクトするという体制をただいまとっております。核防が今度は一応継続審議になりましたが、今後あれが通りますと、日本が主体になって自己査察をすることになります。それで、主客転倒いたしまして、国連機関がわが方の査察に従属してそれを監察するという体制に変わっていきます。  そうしますと、わが国の国内体制というものは、ユーラトム並みにしろといって主張したわけですから、ヨーロッパ並みになる場合には、日本査察体制は大丈夫なのか、りっぱな法規があることはわかっている、しかし官庁としての体制ができているのかどうかということが実は大変問題になりまして、今度の核防条約が通った場合には、安全局もできるであろうから、それに人員をふやしてかくかくいたします、安全局はつくりますということで国連機関にわが方は第五次の交渉に行って、これを確約してきて、そして安全保障を、NPT、いわゆる核防条約に基づく改善された査察協定をかち取ってきているわけです。ですから、各国は、この安全局ができるのが当然だと思っているわけですね。しかも、これができれば、大蔵省も、その部面の査察のための人員も六名ふやしましょう、こういうかっこうになっているわけです。  それからもう一つ、アイソトープの問題ですけれども、これももちろんこの安全局で管理するわけですが、これはどういうことになるかと申しますと、去年大変事故が起こった、それからアイソトープを使っていろいろ研究しているところや実用に使っているところの件数は三千三百件ぐらいありますから、それが盗難に遭ったりいろいろなことになりますから、こういうものの取り締まりを一体どうするかということ、問題はここなんですよ。いままでのままでよろしいかというと、だんだんふえていくわけですから、やはりここを充実せぬと管理、監督はできないぞということになる。あるいは平和目的といいますか、今後の開発のために、たとえば新しい動力炉を開発する、再処理施設をつくる、あるいはいままでの灰の処分をする、こういう問題がある。実は、原子炉などよりもこの再処理の問題というのは非常に厄介な問題なんです。そういう問題の安全をどうするかということ、これはもう科学技術特別委員会はそればかりやっているんですよ。だんだん開発が進んでいくと、そういうでかい問題が生ずるといいますか、極端に言えば、そういう燃料のサイクルを完成するための最末端的な仕事というのはまだいっぱいあるわけです。  そういうものの安全というものは一体だれが責任を持つのかということになりますと、いままでやってきましたけれども、やはりこれは不十分だ、もっとはっきりした専門の機関専任する機関をつくって、そしてそういうあらゆる今後の問題にこたえようじゃないかという意味が、この安全局でありまして、もちろんウエートの大きさは発電炉とか舶用炉とかにかかりますけれども、しかし決してそれのみではない、もっともっとたくさんの要素を持って、それがみんな片手間でなしに専門に、しかも充実した姿でやってもらわなければ国として困りますよというのがたまりたまって、この安全局が生まれたのだというふうに私は実は解釈いたしまして、何としてもこれが通りませんと、国際的にも大変まずい、国内的にも大変まずいということを考えて、ぜひともひとつ今度は十分御審議いただきましてお通しいただきたいということで、実は提出いたした次第でございます。
  26. 和田貞夫

    和田(貞)委員 だからこそ原子力安全局を分離するということよりも、行政機関と全く切り離した、独立性のある行政委員会的な原子力委員会に改組して、それが中心となった規制あるいは国民の不安を除去する安全性の確保、そういうことを第一義的に考えた原子力行政の見直しというものをこの際すべきじゃなかろうか。なるほど原子力局から安全局に分離をいたしましても、しょせんあなたが所管する二つの局であるわけです。いままで一つの局の中でそれぞれ規制と開発とをやっておったのが、局が二つできて別々に切り離したのだというものの、やはり行政機関の長としてのあなたの所管する事項になるわけですから、これはいま長官がとうとうと述べられたように、国民の不安というものが、この機構改革によって一掃されるということにはならないというように私は思うわけなんです。  そこで、長官にもう一つお答え願いたいと思います。  安全性についての考え方ですが、これは科学者会議の方も去年の十月に勧告をしております。その勧告の内容を見てみますと、科学者会議ではやはり安全性というものは、科学的に見ると、どんな実験も、開発も絶対的に安全であるということじゃないのだ、まずそこから出発をしなくてはならないのだというようにこの科学者会議は前段にうたっておるわけですが、そういう考え方についてはどうですか。
  27. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 安全と言いましても、いま申しましたように、軍事に転用されない安全の問題もありますし、あるいは発電等軽水炉に対する安全の問題もございますし、あるいは将来開発するであろう、開発しつつある増殖炉、ファストブリーダーあるいは核融合、いろいろな面の安全の問題もございましょうし、あるいは燃料を再処理するとかあるいは廃棄物を処理するとか、そういう環境汚染につながるような、特に廃棄物の処理は、そういう安全の問題もありましょう。  同じ安全と言っても、これは大変範囲が広うございまして、どの面を指しておっしゃるのか、私は、はっきりいたしませんけれども、しかし仮に問題を限って軽水炉による発電の安全性という意味でありますれば、それに関して御説明申し上げたいと存じますが、どういたしましょうか。
  28. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、やはり一般的な技術と違って、原子力開発というのは絶対的に危険性というものは伴うわけですから、どのように開発しようとしても、やはり危険性というものは伴っていくわけですから、安全性というのは絶対的に安全であるというようなことはあり得ない。そこで私は、いろいろと研究をなされたり、技術を開発したりして、できるだけ安全度を高めていくということにほかならないのじゃないか、こういうように思うのですが、そこがやはり原子力行政の安全性についての根本的な、基本的な考え方に立っていかないと、この国民の不安というものはぬぐい去ることができない、国民の不安をぬぐい去って安全性を確保する原子力行政に持っていくということができないのじゃないかというように私は思うのですが、それはどうですか。
  29. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 恐らくおっしゃる意味は、いま大変いろいろ問題になっています舶用炉あるいは発電炉に使っておる軽水炉に関する安全性の問題かと存じますので、その点を少しお話しいたします。  軽水炉そのものは、これは本来安全なものなんです。使っている燃料は濃縮ウラン、大体二%から三%の濃度でありまして、爆弾で使う九十数%、一〇〇%近いものとは全然違います。それから、減速材は水でございまして、この水が、温度がだんだん高くなってまいりますと、うんと高くなってきますと、核反応そのものが鈍ってまいりまして、普通、負の温度係数と言っていますけれども、自分自体で自然に停止するようになります。ですから、爆発に至りません。これは事実アメリカでも、何にも制御棒等を使わずにそのままでやってみたのですけれども、とまりますね。ですから、爆弾のようには破裂しない、爆発しないというその安全性だけはまず大前提として御理解いただきたいのです。  そこで、原子炉とは何ぞやと言っても、爆弾と違いまして、原子力そのものを制御して危なくないように使うというのが原子炉の本質でございます、他の機械やなんかと意味が違うわけでございまして。そこで普通、安全性と言われているのはどういう意味かと申しますと、私は、どうもこの点は日本の皆様の——われわれも多分力も足らないし、悪かったに違いありませんが、安全という問題に対して非常に幅広い解釈がありますのにかかわらず、最悪の場合だけつかんで話すものですから、非常にこんがらがったのじゃないかということですね。それは、いま申しました軽水炉でございますけれども、たとえばパイプが何千本も入って、そして非常な強い圧力で中を熱湯が走り回って、それから熱を移しとって、そうして蒸気に変えて普通の電気にしていくという構造になっているわけですけれども、そのパイプ等が、仮に何千本の中で一本、しかもその一部に小さい穴があいたといったような場合でも放射線が出ます。出ますが、微量な放射線が出ますと、すぐアラームで、放射線が出ましたよという警告ができるようにしてあります。早期発見のためのあらゆる設備ができております。ですから、そういうものが出ますと、すぐ炉をとめて、その修理にかかっていく。これは何にも関係ないですね、第三者、大衆とかは。あるいは環境には何の関係もない。それから、それがもしそうでない場合にはどうなるかというので、あらゆるケースを考えていって、そうして二段にも三段にも、あるいは独立して、これがだめであれば全部だめだというやり方では困るということで、独立して炉を消すような装置を幾段にも考えている。最後には、地震その他あらゆる要素があった場合には、こういうふうにしろ、震度がこういうふうになればこういうふうにとまる、あらゆることを考え、そうして、ほかの産業にはいままで全然ないわけですけれども、仮想の、あり得べからざる事故を仮にあるとした場合どうするかということを想定してまでこの安全性というものを確保するための措置というものができておるものなんです。これは、ほかのいままでの人類の歴史にこういう産業というのはありません。あり得ないことまで想定して、仮にあったならばという、あらゆる事故を集合して、そうして、仮にあったならばという想定を下しておりますけれども、それに対してもこういう手段で出しませんという装置が幾つもできております。またもし仮に、それがそれでも漏れたという場合にはどうするかというと、遮蔽を幾つにもしてそれを出さないようにしていく。  ですから、アメリカの原子力委員会が、三年ばかり大金を使いましてアメリカの学者を動員して、そうして軽水炉がそういう大きい事故、第三者を冒す、あるいは環境を汚染するような事故がありやなしやという確率を三年間で研究させたわけです。それで結論が去年の秋ラスムッセン報告として出ておりまして、いま世界の各個所でその検討に入っておりますが、アメリカもそれを公開して各国に送って、それぞれ検討して返事を下さいということで、わが方もわが方で研究を進めております。それによりますと、そういう意味ではこれほど安全なものはない。きょうは資料を持ってこなかったので正確には言えませんけれども、いん石の確率よりもはるかに少ないんですよ。何億分の一。こんなことはあり得ないのです。  ところが、日本のいまの取り上げ方は、小さいピンホールが起きた、それはすぐ炉を消して直せば直るわけですから、そのことと第三者あるいは環境を汚染するというこの事故とごっちゃにしちゃうわけですね、大変だと。私は、どういうわけで日本がこういう風土になったのか、世界にこんなところはありません。あるわけがない。  ですから去年、ソ連の原子力委員長でございますか、日本に参りまして、社会党の皆さんもソ連の事情をよく聞きたいというので会わせた。お聞き及びだと思いますけれども、原子炉ほど安全なものはないじゃないかと、ずばりともう話をされて、そうしてその後、去年の秋、日本のこの道の練達の士が、技術堪能の士が十数名でございますか、参りまして帰ってきましたが、ソ連のこの問題に対する考え方というものは実に徹底しておりまして、日本のように被覆なんというものは余りやってないんですね。ですから、ぜひひとつ皆さんで見に行ってもらいたいと思うのです。  ということで、私は、安全という概念そのものに対する考え方、取り上げ方に非常に問題があると思います。ですから、たとえばどこそこで事故が起きた、炉がとまったじゃないか、それはとまってますけれども、より以上に安全に完全なものにしようというので、日本は念には念を入れて修理したり何かしているのですから、これはどうしてもとまる率が多くなります。ほかの国では、もうそんなものは構わぬでやっておるようなところがあるのにもかかわらず、日本はそんなことはしません。ところが、そのこと自体が、実際はいま申しましたように、安全と第三者というのは、大事故とかいわゆるリスク、危険とかいうものとは違うんですけれども、すぐごっちゃになって取り上げられるということ、それから、いろいろ故障でとまること自体は何の問題かというと、私は、むしろ操業度、電力の安定供給というものに支障を来たすのじゃないか、あるいは経済価値、電力料金に操業度が影響しないかという問題として取り上げるのであれば、これはわかります。それは当然のことでございますからそれはわかります。しかしそうじゃなくて、そのもの自体がいわゆる安全、第三者なり環境汚染なり、そういうものとの関連でこれが安全かどうかというこの論議の立て方、こういう特殊な原子力風土なんですね。これはどうもまだまだ改善の余地があるのじゃないかというふうに実は私は考えています。  今後だんだんそういうものを直していかなければいけませんけれども、しかし、しからばなぜそういうことが起きてきたかと言いますと、私はやはり、これは日本の安全問題に対して、特に軽水炉の安全問題に対する機材その他に対するメーカーあるいは電力会社あるいは研究所、政府も交えまして、この問題に真剣に取り組む姿がなかったということ、これは批判されてもやむを得ぬことだと思います。その経過を、私、初代の原子力局長でありますから、私どもがやったときにはどうだった、軽水炉を取り入れたときにはどういう状況だったという点から話せば非常にはっきりしてきますけれども、長くなりますからやめますが、要するに、そういう安全自体に対する、特に軽水炉の安全問題に対する国の研究は遅まきでありますけれども、これらの研究をどうするか、いまやっております。原子力研究所にも今度センターをつくりまして、いま真剣にやっておる。二、三年来でございますけれども、非常に成果を上げつつございます。アメリカの方でも刮目しているほど成果を上げつつある。それから、電力会社もメーカーも一緒になってだんだん故障の原因、個所等がはっきりしてきましたから、全部総がかりでいま完成に向かいつつある最中でございます。  そういう軽水炉に対する安全問題をどういうふうにしていくか、できたそのもの自体が安全であるのが一番いいのであります。しかし念のため安全かどうかということを検査しようということで審査、検査の体制をどうするか、これもさっき申しましたように、いままでの法規でもやれますけれども、現状をもって満足すべきかと言いますと、必ずしもそうではございませんので、それを行政措置として、お互いに連絡し合ってもう少しはっきりさせようじゃないか、あるいは国民の支持を得るためにどういうふうな方策が必要か、理解、協力を得るための方策いかんといったようなこと、軽水炉だけの問題に関しましてもいろいろな問題がまだあるわけでございまして、そういう意味で、私は、こういう安全局のようなものをとりあえずつくって、そしてそういう問題を、万全ではないにしても前進させていく。そうではなしに漫然と三年後、四年後を待って、それまではしようがありません、何ともなりませんという行き方はとるべきではないのではないかということで、この安全局に踏み切ったわけでございます。
  30. 和田貞夫

    和田(貞)委員 アメリカや西ドイツで騒ぐような事故でなくても日本の場合は非常に騒ぐ、これは日本が特有の被爆国である、世界で唯一の被爆国である、原子力に対するところの国民のアレルギーというのは、なかなかぬぐい去ることができないという国情にあると思う。それともう一つは、原子力行政の先進国はすべて核保有国であって、もちろん軍事目的にも使っておる。それであればよけいに日本の場合と異なって、開発自体が先進国でありますし、また幅も広いわけでありますから、技術というものは日本の技術よりもはるかにすぐれ、はるかに進歩している、そういうところの技術格差というものが歴然としてあるのじゃないか、こういうように私は思うのです。  だから日本の場合は、外国の場合には騒がないようなことであっても、やはり事故を皆無にしていくという研究開発というものが必要であると思いますし、また最悪の事故というものも仮定して対処していかなければならないと思うのですが、何と言いましても、今日の原子力行政の第一義的に考えなければならぬのは、開発ということよりも安全性の確保というもの、これをやはり第一義的に考えないと、国民の支持を得た、国民の協力と相まった原子力行政というものはなかなか進展していかない、私はそういうふうに思うのです。  ところがこれは、本会議でも予算委員会でも、総理もあなたも認められたように、ややもするとわが国の原子力行政というものが、研究ということよりも開発ということに先行した、そういう観もある。だから、今日の原子力行政の見直し方というものは、あくまでも安全性というものを第一義的に置いて、根本的に見直すのだという観点に立ってもらわなくてはならない、こういうように思うのですが、どうですか。
  31. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 手前みそを並べるわけではございませんけれども、たとえば原子炉等規制法なんという法律は、世界でも非常に整備した法律でありまして、よほど先進国でなくては——先進国でもこれほどの法律はございません。そういうものに基づいて国内原子力の安全をいままでやってきたればこそ、さっき申しましたように、国連機関もヨーロッパ同様の査察体制日本はとってもよろしい、こういうことに踏み切ったわけでございます。  ただ、御承知のようにいま一番問題になっておるのは、軽水炉自体に対する安全というものは日本は実にプアではないか、この指摘が非常に強いわけでございます。それはいまお話し申し上げましたように、確かに万全ではなし、遅まきではございますけれども、ただいまそれを進めておる最中でございますということを申し上げたのでございまして、全般がおくれておるというふうには私は考えておりません。  たとえば、日本で初めて自分みずから開発しておりますただいまのATRとかファーストブリーダーという原子炉、開発そのものがいかにすれば安全であるか、ファーストブリーダーの安全性を自分でテストしながら、そのもの研究しながらいろいろな機材を考え、進めておるわけです。初めから自分でやっておるわけですから、しっかりしたものが私は必ずできてくると思います。こういうものは、いま各国に決して劣っておりません。同じように進んでおります。核融合なども決して各国に劣ってはおらぬ。新型でいま進めておるわけでございます。  ただ、まことにくどいようでございますけれども、いま口をきわめて非難されている最大のものは、実用化されたというので安全性に対して、事故自体研究に対して手を抜いておった軽水炉、発電、舶用炉に使う、これに対する安全、事故研究体制というものが非常に不備だったという非常に強い非難はまさしくそうでございますから、これを遅まきながら一生懸命いまやっておる最中で、今度の電力会社の広域運営とかあるいは共同研究とかいう一つの大きなねらいもそこにあるわけでございます。官民力を合わせてこの解決に当たろうじゃないかという空気にやっといま挙国一致で進みつつある、こういう状況であります。  そういう場合に、最高責任個所が不分明だというのでは困りますから、この際、安全局をつくって、責任体制の面でも問題の所在をはっきりさせようじゃないか、こういうことでございます。
  32. 和田貞夫

    和田(貞)委員 原子力委員会の年報を見てまいりますと、四十二年に動力炉・核燃料開発事業団の設置法ができて、四十三年以降、動燃事業団の予算日本原子力研究所の予算の比較が出ておるわけなんですが、四十三年、四十四年、四十五年、ここらあたりになってくると、原子力研究所の予算というのは大体横ばいである。しかし開発を主体とする動燃事業団の予算というのはかなり伸びていっている。四十六年では、原子力研究所の予算が大体百十億六千四百万、動燃事業団の予算が三百十七億、これが五十年になりましたら、原子力研究所の予算が二百五十一億九千九百万、動燃事業団の予算が五百三十六億七千万、こういうように非常にその比率が増大していっているわけですね。あるいはそれぞれの人員配置を見てみましても、原子力研究所の方は大体人員が横ばいである。ところが、動燃事業団の定員の推移というのを見てみますと、当初出発した四十二年では七百七十六人、それが四十六年には一千三百三十四人、大方倍になりまして、五十年では二千七十二人、こういうことで人員の配置の推移も非常に上昇している。予算の面から見ましても、人員の面から見ましても、研究開発に占めるウエートと開発面に占めるウエートでは非常に大きな隔たりを来しておる、こういうように思うのです。  この姿を見ましても、原子力行政全体が、やはり研究開発よりも産業界の要請によって実用化させていく開発部面に非常にウエートをかけておる、これが今日の原子力行政の姿ではなかろうか、こういうように思うのですが、どうですか。
  33. 生田豊朗

    生田政府委員 確かに先生の御指摘のような予算の推移になっております。ただ一つ、申し上げられますことは、原子力研究所は歴史が大変古うございますので、ある程度の体制の整備ができまして、経常の業務体制に入ったために、予算のふえ方が余り多くなかったという点、それから動燃事業団につきましては、四十二年に設立されまして、新型動力炉の開発あるいは再処理施設の建設、ウラン濃縮の施設の建設というようなことで、建設事業が非常にかさみましたので予算が急増したという傾向がございます。  ただ申し上げられますことは、ただいま先生も数字をお挙げになりましたように、原子力研究所につきましても、四十九年度、五十年度と相当予算の伸びが大きくなっております。これはなぜ大きくなっているかと申しますと、一つは核融合の研究がございます。これの予算がございますけれども、それよりもこの予算がふえました中心は、安全研究予算の増額でございます。     〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 四十九年度、五十年度とほとんど倍増あるいはそれに近いような形で安全研究予算をふやしておりまして、これは原子力行政のかなめの一つ安全研究の充実であるという観点から、安全研究予算獲得の場合も超重点を置きまして予算の増額を図っておりますので、これを反映いたしまして原子力研究所の予算が非常にふえてきております。  一方、動燃事業団の方は、先ほど大臣の御説明にもありましたように、ATRすなわち新型転換炉、それからFBR高速増殖炉の実験炉でございますが、そういうものの建設がほぼ建設としてのピークを越えましたために、全体の所要経費としてはやや伸び率が下がっておるという点もございますし、再処理施設もほとんど建設が完了しておりまして、同様の傾向でございますので、予算のふえ方がややなだらかになっているということで、最近一、二年は先生御指摘のカーブがかなり傾向が変わっております。  それと同時に、動燃自体においても、新型炉あるいは再処理等に関連いたしまして、安全性の研究を相当やっております。私ども予算を要求し、あるいはつけます段階におきまして、その動燃独自の安全研究にも相当重点を置きましてやっております。安全研究と申しましても、軽水炉の安全研究は原研でございますけれども、新型炉あるいは再処理等に関します安全研究は動燃がやるわけでございますので、動燃の最近の予算の中で、特に建設のピークを越しました後は、安全関係予算が非常にふえております。そういうことでございますので、表面上は確かに御指摘のとおりの傾向をたどっておりますが、もう一度繰り返して御説明させていただきますと、最近一、二年間では、その安全研究の充実を反映いたしまして、予算の伸び方のカーブが原研と動燃とでかなり違ってきておる。内容的にも、安全研究関係予算を非常に充実させておりますので、その点をぜひ御理解賜りたい、こういうふうに考えております。
  34. 和田貞夫

    和田(貞)委員 予算の全体として、原研と動燃事業団と比較すれば、大体二対一の比率になっていますね。原子力行政関係予算の全体の六〇%を超えるというのが動燃事業団の予算になっているわけです。安全研究予算が含まれておるから伸びていっておるのだと言いますけれども、それでは、動燃事業団の予算の中で安全研究予算の比率というのは大体何%ぐらいですか。
  35. 生田豊朗

    生田政府委員 動燃事業団の予算の中での安全研究でございますが、昭和四十九年度の動燃の予算全体が約四百二十億でございますが、その中で安全研究関係が四十八億、十二%ぐらいになるかと思います。それから五十年度につきましては、動燃の予算が五百三十六億でございますが、その中で安全研究関係予算が八十億でございます。約一六%ぐらいになろうかと思いますが、これは増加しております。  いずれも一〇%あるいは一五、六%で余り多くないではないかという御指摘があろうかと思いますけれども、何と申しましても、新型炉それから再処理、濃縮といいますようなものを自分で建設いたしますので、建設の経費がどうしてもかさむわけでございます。原研の方も実験炉、試験炉の建設はいたしておりますが、これは建設の規模がけた違いに違いますので、どういたしましても予算としては小さくなるということでございまして、その差がございます。ただ、こういうことでございまして、動燃の中でも、絶対額といたしましても、全体の予算の中の比率といたしましても、安全研究予算を非常にふやしているわけでございます。
  36. 和田貞夫

    和田(貞)委員 やはりどう言おうとも、安全研究のウエートというのは低いわけです。大型であろうが小型であろうが、やはり開発の面に主力を注がれておるというのが動燃事業団の事業の実態じゃないですか。そうじゃないですか。全体的な予算に占めるウエートというのは、やはり開発の方が大きいのじゃないですか。
  37. 生田豊朗

    生田政府委員 これはただいま申し上げましたように、確かに数字の面では先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、原子力研究所は、原子力に関しますいろいろな技術を研究するのが主務でございます。したがいまして、その中での安全研究予算の比率というのは当然多くなるわけでございますが、動燃の方は開発でございます。開発と申しますと、実際に新型転換炉にいたしますと、原型炉といいます実際に発電をするものをつくるわけでございます。高速増殖炉にしましても、発電はいたしませんが、五万キロワット程度の出力を出し得るものを実験炉としてつくる。それから再処理施設につきましても、年間二百十トン程度の使用済み燃料を再処理することができる、試験、実験ではございませんで、実際に実用化できるものをつくるわけでございますので、どうしても建設費というのがたくさんかかってまいります。ということで、全体の予算の中での建設費の比率がどうしても多くなるわけでございますが、これは動燃と原研とを比べますと、業務の内容が違いますので当然そうなるわけでございまして、全体の中での比率が低いから安全研究を無視したというように私どもは考えていないわけでございます。  先ほど説明いたしましたように、安全研究の比率自身もかなり大幅にふやしてきておりますし、絶対額もふえておりますので、それに全体の開発に見合った安全研究は十分やらせているというふうに考えております。
  38. 和田貞夫

    和田(貞)委員 動燃事業団の設置自体が、これはもちろん開発主体になる事業団でありますが、その設置要請というのは、やはり産業界の強い要望によって設置されたということに間違いないわけでしょう。そのことによって、もともとの原研の基礎研究をやるというこの行政が軽視されていってしまっておるということにはならないのですか。
  39. 生田豊朗

    生田政府委員 動燃を設立いたしましたのが、産業界の要請と申しますよりも、原子力政策を推進していくに当たりまして、政府と民間との担当いたします分野をどういうふうにするかということであろうかと思います。  原子力研究所は、原子力に関します基礎的な研究から出発いたしまして、その後さらに安全研究に非常に重点を置いております。それからさらに核融合も最近手がけておりますので、現在では原子力研究所は、その主力は基礎研究よりもむしろ軽水炉の安全研究、それからさらに核融合、その点に非常に重点が移っているわけでございます。これも広い意味安全研究を全部政府がやるべきかどうかというのは非常に議論がございまして、これは民間の分担する分野も当然あると思いますので、民間の分担する、つまり個別的、具体的なものは民間が分担すべきだと思いますけれども、総合的、一般的な安全研究というのは国が分担すべきだろうということで、毎年予算を非常にふやしまして原子力研究所を中心安全研究をやっている状況でございます。  動燃事業団の方は、先ほど来申しましたような新型の動力炉あるいは再処理、ウラン濃縮というような、いわゆる核燃料サイクルに関連します施設の開発をやっているわけでございますが、これを民間がすべて担当すべきか政府が担当すべきかというのは、いろいろ議論のあるところでございますけれども、諸外国の例を見ましても、そういう非常に巨大な費用を要します大型のプロジェクトを完全に民間だけでやらせるというところはございませんで、何らかの形で政府が相当てこ入れをしているということでございます。動燃事業団のやるものにつきましても、すべて政府資金だけでやっているわけではございませんで、原則といたしまして、実験炉のようなものはまだ実験段階のものでございますので、これは全額政府出資で賄うという原則でございますが、原型炉と申します、実験炉よりももう一つ実用化の段階に近づいたものでございますが、これですと、現実に発電をしまして電力を送るわけでございますので、その段階までいきましたものは、原則として政府と民間で五〇、五〇の費用の分担にしようということにしておりますので、新型転換炉につきましても、全体の開発経費の半分が政府、半分が民間ということで分担していたしております。再処理施設につきましても同様でございまして、民間資金を相当導入してやっております。  そういうことでございますので、動燃事業団の任務につきましても、本来民間企業がやるべきものを民間企業の負担を軽くするために肩がわりしてやっているということではございませんで、世界各国の例にもならいまして、その開発対象になっております設備につきまして、ただいま申しましたように、政府が全額負担すべきもの、あるいは官民折半で分担すべきものというふうに分けてやっている次第でございますので、その辺、ただいま先生の御質問のように、特に産業界の要請がありまして産業界にサービスするために動燃事業団をつくって運用をしているという考えはございません。
  40. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それはそれとして、先ほど申しましたように、今日、国民の側に立って言うならば、原子力行政については非常に不信感を持っているわけですね。だから、その不信感を払拭して安全性の確保について重点的な原子力行政を行って国民の信頼を回復していくことが一番必要であるわけです。そうでなければ「むつ」も動きませんよ。ちまたの原発設置についての住民の反対運動というのはなくならぬですよ。そのためには一体どうすべきだというように考えておられますか。国民の信頼度を回復させる原子力行政のあり方というのは、どういうように考えておられるか。あるいは各地の原子力発電所の設置について住民の反対運動が起きる、その反対運動をどういうようにすれば鎮静させることができるというようにお考えになっておりますか。
  41. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま御質問の点が非常に重要な点であろうと私ども考えております。要は、その信頼の問題ではないかと私は考えるわけでございます。先ほど来大臣も御答弁になりましたように、いろいろ反対運動が激しいわけでございます。数年前までは、この安全性の問題につきましても、たとえば電力会社のような企業が安全だと言えば、安全なのであろうという考え方があったと思いますが、その後情勢が変化いたしまして、企業が安全だと言っても、なかなか信用できないということになってまいったかと思います。  そこで、むしろ原子力の安全については国が責任を持つというような考え方政府の首脳部にもありまして、最近一、二年間、むしろ企業が信用できないのであれば、政府が安全だということを言って証明すれば安全なのだから信用してもらいたいということできたわけでございます。昨年の「むつ」の問題は、放射線漏れそれ自身についてはそれほどのことはないと私ども思っておりますが、それにも増しまして、その辺について国が安全だと言ったのにとにかく問題が起きているではないかということで、そこの基本的な信頼感に非常に大きくひび割れができたという点が、私どもは「むつ」の問題の本質であり、それが一番困ったことになったというように思っております。  先生御指摘のように、私どもは政府あるいは国に対する国民の、特にその地元の住民の信頼感をどうやって取り戻すかというのが第一でございますので、先ほど有沢懇談会問題点を御披露いたしましたときにも、一番最初にその点を前提として問題点を整理したというように申し上げたわけでございます。  具体的にどうしたらいいかということでございますけれども、私どもは一つは、やはり政府原子力の安全の確保に真剣に取り組んでいる、そのために全力投球をしているのだという姿勢をまず示す。これは姿勢だけではございませんで、もちろん実態の伴うものでなければいけませんけれども、政府安全行政に全力投球をして真剣に取り組んでいるのだという体制をまずつくることが第一であろうかと思います。そういう観点に立ちまして、この安全局設置につきましても、先ほど大臣の御答弁があったとおりでございます。  もう一つは、実務的な問題といたしましては、とにかく故障なり事故なりを起こさないような実績を積み上げることが非常に大切であろうということでございますので、この点も各電力会社等を十分指導いたしまして、仮に軽微なものであっても事故、故障を起こさない、原子力発電所というものはそういうものが起きないで、スムーズに運転されていくものだという実績を積み重ねていくというのが大事であろうと思います。  それから三番目には、やはり率直に申しまして、反対運動をされる方の中には、技術上の問題等につきまして十分事実を御認識になっていないような向きもかなりあるように考えます。これは私ども初めあるいは電力会社等も含めまして、全般的にそういう説明と言いますか、あるいは普及啓蒙活動と言いますか啓発活動と言いますか、そういうものが従来非常に不備であった、行き渡らなかったということを痛感しておりますので、いろいろの手段を活用いたしまして正しい知識を国民の皆さまに十分知っていただくという努力、これもたとえば、その説明資料を一回つくってまけばそれで済むとか、あるいはそういうことを説明した映画なりをつくって見せればそれですぐわかるというような簡単なものではないと思います。いろいろ努力を積み重ねていかないとできないものでございますので、少し時間をかけましても、そういうじみちな努力を重ねていきたい。大体政府の積極的な安全行政姿勢それから内容の充実、それから事故が起こらないという実績を積み重ねること、普及啓発活動もじっくりと腰を据えて取り組んでいくこと、この三つが現在のような情勢から新しい方向に進み得る柱ではないか、かように考えております。
  42. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま説明されたこの三つの御意見、これは私は確かにそのとおりであろうと思いますけれども、しかし政府原子力行政に取り組む姿勢というものについて、言うならば今回の原子力安全局を分離さすというようなことで、国民が果たして政府が積極的に取り組んだというように思うかどうかという問題、あるいは故障を起こさせないような実績を積み重ねていくと言われても、最近の新しい、佐賀の場合にも事故を起こしているというようなことで、むしろ事故の積み重ねというものはあっても、事故を起こさないというような積み重ねというものは現段階ではないじゃないですか。あるいは反対運動について、確かにわれわれ素人ではそういう技術的な面についてわからない、安全性についてそういう特別の知識を持っておらないのでありますからわからない。しかしあなたの方から、ただ安全なんだ安全なんだということで、そういう認識を深めさそうといたしましても、そこにはやはりいままでの過去の政府姿勢に対して疑問というものを国民は持っておるわけでありますから、大丈夫だ大丈夫だと言ったところでなかなか回復さすことができない。したがって、この反対運動をなさっておられる知識の持たない一般住民よりも、いろいろと学者間で見解の相違、意見の相違というものがありますが、やはり原子炉について疑問を持っておられる学者あるいは原子力開発について意見を持っておられる学者、そういう学者の意見というものを十分に聞き入れる、そういうことでなければ反対運動をなさっておられる住民運動を理解をさせるということにはならないのじゃないですか。  いまの三つの点について、いま申し上げましたように、それぞれ確かにいいことを言われるわけですが、いままで積み重ねてまいりました実績というのはそうはなっておらない、それをどういうように持っていくべきであるというお考えなのかということを聞かしてもらいたい。
  43. 生田豊朗

    生田政府委員 御指摘は大変ごもっともでございます。実は佐々木大臣は初代の原子力局長でございまして、当時はまさに国を挙げて原子力開発を進めるという体制だったそうでございます。現在から見ますと、非常にうらやましいような時代でございますが、私どもは、原子力開発に反対する学者あるいは原子力の危険性を非常に強調するような専門家、そういう方の意見に一切耳をふさぐとか、そういう方と意見を交換することはやらないとかいうことは全く考えておりません。特に佐々木大臣御就任になりましてから、そういう、広く門戸を開放すると申しますか、反対論の立場の人とも大いに意見を交換しようということでございまして、最近ではあらゆる反対の側の方ともお目にかかって意見を交換するという方向に切りかえている次第でございます。  専門家同士で討論をすべきではないかという御意見はそのとおりでございますので、実はそういう専門家ベースの公開の討論会を開催しようということを計画しておりまして、ただいま準備をいたしております。恐らく実現するだろうと思いますので、いつごろかはっきりわかりませんが、恐らく秋ごろにはなるかと思いますけれども、専門家ベースで、公開の席上で十分討論していただくということを考えておりまして、これも一回だけではなしに、たとえば年に一回とかいうようなことで定期的に続けていきたいというふうに考えております。
  44. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それも一つの方法であると思います。  ところで、長官先ほど言われました、とりあえず原子力安全局を分離するのだ、これは一歩前進なんだ、しかし、いま持たれておる行政懇談会結論が秋ごろには出るだろう、しかし出たところで各省間の調整各省間のなわ張り根性があって、どういう結論が出ようとも、原子力行政根本的な見直しについては少し遠ざかるであろう、こういうように言われたわけなんですが、そうすると今日段階で、機構の一部を改正して、従来から踏襲しておる原子力行政の一環として安全審査体制のあり方というもの、これについては従来どおりのやり方で踏襲されようとしておるのか、この機会安全審査体制を抜本的に洗い直そうとしておられるのか、その点についてはどうですか。
  45. 生田豊朗

    生田政府委員 安全局ができましても、ほかの関係各省設置法というような機構あるいは業務、さらに原子炉規制法、電気事業法船舶安全法といいますような関係法令の規定は特に変わりませんので、形式的には安全審査の手続につきましては現在と同じでございます。  ただ、発電用の原子炉について申し上げますと、原子力委員会科学技術庁におきまして、基本設計審査をいたしまして、設置許可をいたしました後、通産省に移りまして、詳細設計審査、工事方法の認可、各種の検査が行われまして、最終的に通産省の使用前検査を経まして営業運転の許可をするということになるわけでございますが、その辺の、原子力委員会科学技術庁での審査通産省審査とのつながりが、現在でも十分意を配りまして、その間に断絶のないように努めているわけでございます。それが原子力安全局ができますと、安全審査がその業務の中心になってまいりますし、安全審査に対する体制が非常に完備されますので、その辺、通産省との連絡調整あるいは全体の基本設計だけではありませんで、詳細設計、工事の進捗状況、試運転の状況、その他全体をながめまして総合的に判断する機能、そういうものが非常に強化されてまいりますので、現在特にそれでは手続上あるいは行政上欠点があるのかということになりますと、そういうことはございませんけれども、安全局という一つ安全行政責任を持った部局が誕生することによりまして、その辺がさらに改善されるというふうに考えております。
  46. 和田貞夫

    和田(貞)委員 安全審査ということについては、やはり地元住民の理解と協力を得る方策というものを考えていかなければならぬ。変更する必要はないと言われましたけれども、現行のそういう手続で地元住民の協力というものは得られると思いますか。
  47. 生田豊朗

    生田政府委員 「むつ」の問題を契機にいたしまして、いろいろ御批判をいただいておりますのが安全審査の一元化の問題といいますか、一元的な責任の問題ということであろうかと思います。これは実は、私どもの立場から言わせていただきますと、「むつ」の場合は確かに大山委員会にも御指摘を受けましたような点があったわけでございますが、発電用の炉につきましてはああいう点はない。ただいま申し上げましたように、十分スムーズな連絡調整ができているというふうに思っておるわけでございますが、しかしやはり全般的には「むつ」でああいう問題が起きた以上、ほかでも同じようなことがあるのではなかろうかというような疑念を持たれますこともやむを得ないことでございまして、その点を何とかして払拭し解消するということに努めなければならないわけでございます。  そういうことで、その一つのステップがこの安全局設置であるというように考えておりますけれども、あと、法令的に安全審査を一本にまとめてしまったらいいのかどうかということも、先ほど原子力行政懇談会で御披露いたしました問題点を申し上げましたときに、その中に含めて申し上げたと思いますけれども、安全審査をたとえば炉の型式別にそれぞれ各省庁に分担させてやったらどうかというような考え方、あるいはある一つの役所で全部まとめてやってしまったらどうだという考え方、あるいは現在のように各省庁で分担しているけれども、そこのところの分担の仕方あるいは全体の連絡の仕方をさらに強化するような方法があるのではないかというような点を第二段階の問題として検討している次第でございます。
  48. 和田貞夫

    和田(貞)委員 せっかく四十八年に「原子炉の設置に係る公聴会開催要領」あるいは「実施細則」ということを決められたわけですが、その開催要領なり実施細則が住民の協力を得られるような運営になっておるとお思いですか。
  49. 生田豊朗

    生田政府委員 一昨年、福島で公聴会をいたしましたときに、ただいま先生がお示しになりました実施要領、実施細則というものをつくったわけでございます。そのとおりにいたしましたけれども、残念なことには一部の方の御参加を得なかったこともございますし、公聴会の開催に当たりましていろいろ紛争が起きたのも事実でございます。さらに、この公聴会を開催いたします前後、一昨年でございますが、国会におきましてもいろいろ御議論をいただきましたし、公聴会の開催の後、各新聞等マスコミの論説等によりましていろいろな批判もちょうだいしたというような次第でございます。  私ども、そういうことがございますので、この次は新潟の柏崎の原子力発電所につきまして公聴会を開催する予定で準備を進めておりますが、福島のときの経験にかんがみまして、それと全く同じ形で柏崎でもやるということは現在考えておりません。なるべく当時の国会での御討議あるいはマスコミからの批判にもこたえられるような方向内容を修正してまいりたいということでただいま検討いたしております。
  50. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、実施細則を改めようと考えておられるわけですね。
  51. 生田豊朗

    生田政府委員 どの程度改めるか、まだ決めておりませんが、いずれにいたしましても、実施要領、実施細則とも多少修正いたしたいと考えております。
  52. 和田貞夫

    和田(貞)委員 たとえばこの実施要領で、原子力委員会が「内閣総理大臣から原子炉の設置の許可の基準の適用について諮問を受けた場合」しかも「必要と認めるとき」以外はこの公聴会を開催する必要はないわけなんですね。そこらの点はどうですか。
  53. 生田豊朗

    生田政府委員 いまの御質問の二点のうち、第一点の、内閣総理大臣から諮問を受けたときと申しますのは、電力会社が原子炉の設置について設置許可の申請を内閣総理大臣に提出いたしまして、それを内閣総理大臣が、事実上は科学技術庁長官でございますが、原子力委員会に諮問するわけでございます。それを受けて原子力委員会公聴会を開催するということでございますので、この設置許可の申請があった段階公聴会を開くというその点は変えるつもりはございません。設置許可の申請があったものにつきまして公聴会を開くというたてまえにいたしたいと考えております。  第二点の、原子力委員会が必要と認めたときという点でございますが、この点につきましては、もうあらゆるケースについて全部公聴会を開けという御要望もかねがねあるわけでございます。それをそうした方がいいのかどうかという点についても検討いたしておりますけれども、現実的に個個のケースにつきまして分析してまいりました場合、やはりすべての原子炉の設置許可申請に対して公聴会をするということになりますと、これは全く同じ方を対象にして同じことを公述していただくというようなことの繰り返しになるようなケースもございますので、これは必ずしも従来の方針に拘泥するわけではございませんで、弾力的な運用はしてまいりたいと思いますけれども、現在のところ、すべての設置許可申請に対して一々公聴会をやるということは考えておりません。
  54. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そこらあたりが、やはり地元住民の理解と協力を得る方策であるかどうかということなんです。やはり設置許可の申請があったら許可をするという前提で公聴会を開いていくというようなこと。許可をすることについてどうかということを国民に問いかけるんじゃなくて、許可をするという前提に立って、何か意見あったら聞きたい、こういうような公聴会というのは全く形式的な公聴会であって、そういうところから住民の協力や理解というものが得られると思いますか。私は、やはり許可をするという前提じゃなくて、申請があれば地元住民に問いかける。地元住民の意見を聞いて、事によれば許可をしない場合もある、こういう実質を伴った公聴会でなければ、これは理解と協力を住民に求めようと思っても無理です。そこらあたりを根本的に洗い直すという考え方がなければ、いかに機構面で原子力安全局を分離したところで始まらぬわけですよ。そこらの点を私は問いただしているわけです。どうですか。
  55. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいまの先生の御意見には、私も全く同じようなことを考えておりまして、この設置許可の申請がありました場合に、それをもう当然許可するものとしてその審査をする、あるいは公聴会で地元の住民の意見を伺うということは全く考えておりません。これは申請があれば許可するという前提でございますれば、もう許可制度ということは要らないわけで、たとえば届け出というようなことでいいわけでございますが、これはいやしくも許可制度というものがあります限りは、当然不許可ということもあるわけでございます。  したがいまして、新しく設置を計画しております原子力発電所の地元の方からそういう御質問がございましたとき、私どもは、これは許可するか許可しないかということを審査しているので、当然不許可ということもあり得るのだということを御説明しているわけでございます。この点は、原子力委員会委員の方も同じ考え方でございますので、ただいま先生の御質問のように、申請があったら許可を前提としてやるのだということは全くございません。
  56. 和田貞夫

    和田(貞)委員 公聴会の実施細則を見てみましても、地元の利害関係者だけの公述を受けるということしか公聴会内容はなっておらぬわけですね。もちろん地元関係者も必要であると思いますが、地元関係者の側に立って非常に疑問を持っておる、あるいは反対をしておる、そういう学者もこの公聴会の公述の対象にしていくというように改める必要がないですか。
  57. 生田豊朗

    生田政府委員 その点が非常に大きな問題点でございます。実は、一昨年の福島の公聴会を開きましたときに、そういう御議論が国会でもずいぶんございましたし、地元の方の間でもそういう御議論がございました。と申しますのは、福島のような方式で公聴会をいたしましても、地元の住民団体の代表者の方は、何となく原子力発電の安全性について漠然と不安な感じは持っている、ただ公聴会に出てそれを理論的、体系的に説明できるかというと、どうもわれわれでは十分な説明ができない、したがって、自分たちの意見と同じような意見を持っている大学の教授とか専門家とかいうような人に、かわりに自分たちの意見を述べさせるようにしてもらいたいという御要望があったわけでございます。それについてもずいぶん検討いたしまして、結局、福島の公聴会におきましては、地元の住民団体の代表として委嘱されたという形がはっきりしているのであれば、必ずしも福島の住民の方でなくても、東京の大学の先生であってもあるいは大阪の大学の先生であっても結構でありますということで、そのときも数名の方にはそういう形で陳述をお願いしたわけでございます。  で、ただいま検討しておりますのは、そういう形よりももう一歩進めまして、先ほど先生も御質問になりましたように、むしろ専門家ベースで公開討論会をやってもらった方がもっとはっきりするじゃないか。たとえば地元の住民の方にしてみますと、原子力発電は安全だという学者の意見を聞くと一応もっともらしく聞こえる、危険だという学者の意見を聞くとそれももっともらしく聞こえて、両方とも学者、専門家なので、一体どちらの意見が正しいのかどうも判断に困るというようなケースがございます。  そういう御意見も伺っておりますので、したがって私どもは、先ほどお答えいたしましたように、これはむしろ地元ではなくて東京でやればいいと思っておりますけれども、両方のサイドの専門家の方に公開の席上で十分に討論していただく、討論していただけば、これは学者同士の議論ですから、一方が完全に片っ方を論破するということは恐らくないのだろうとは思いますが、それを公開の席上で聞いていただければ、おのずから専門家の意見というのはこうだということが御理解いただけるのじゃないかということを考えまして、それを計画している次第でございます。
  58. 和田貞夫

    和田(貞)委員 公開討論会は公開討論会として、この実施細則なり実施要領、それを少しでも住民の理解と協力を得られるように改めていくという考え方はないのですか。
  59. 生田豊朗

    生田政府委員 そういう考え方はございます。そういう考え方に立ちまして、具体的にどうしたらよろしいかということを原子力委員会の内部でも検討しておりますし、新潟県当局とも意見を交換している段階でございます。
  60. 和田貞夫

    和田(貞)委員 たとえばそういう対象を専門学者、技術者を対象にするということも一つでございますが、またしかし、そういうようにしても、なお細則では十五分間以上しゃべったらいかぬ、こういうことでしょう。やはり片方がしゃべればそれに答える、答えればさらにその再質問をする、それが公聴会ではないですか。ともかく十五分しゃべったら、あとしゃべり切れぬやつは文書で出せ、そういうような形式的な公聴会の持っていき方というのは、住民は納得するどころか、理解するどころか、かえってあなたの方に不信感というものを積み重ねていくという結果になっていくわけですよ。ここらの問題も含めて改定していくという考え方はおありですか。
  61. 生田豊朗

    生田政府委員 そういう考え方でございまして、先ほど申し上げましたように、前回の福島公聴会の際に、その前後に国会での御議論あるいはマスコミからの論評、寄せられました御意見の最大公約数的なものは、一方通行の公聴会では非常に問題だという点が一番多かったように考えております。したがって、何らかの形で対話を取り入れてまいりたいというように考えております。ただ、取り入れ方は非常にむずかしい問題がございますので、いま具体的に検討しておりますが、何らかの形でそういう、たとえば先生のおっしゃいましたような形を取り入れてまいりたいというように考えております。
  62. 和田貞夫

    和田(貞)委員 住民の意見を聞いて、その意見がどうなったかということはわからぬではなくて、やはり原子力委員会住民の意見を聞いて、そして原子力委員会結論を出して内閣総理大臣に答申をするまでに、住民の意見というのはどういうように生かされたかということを住民の側に公開していくというような改め方もその中に含んでおりますか。
  63. 生田豊朗

    生田政府委員 実は一昨年の福島公聴会の際にも、そういうことをやっているわけでございまして、公聴会それ自身は住民の方の御意見を聞くだけになったわけでございますが、そのお聞きした意見を原子力委員会におきまして十分検討いたしまして、設置許可をいたします前に、直前でございますが、検討結果報告書という形で、相当大部のものでございますがまとめまして、それぞれ参加された方にもごらんいただくように手配したわけでございます。  したがいまして、前回でも私どもは聞きっ放しではなくて、その御意見には具体的にお答えしたというように思っておりますけれども、何と申しましても安全審査の期間が長いものですから、公聴会で意見を述べてからその検討結果報告書まで相当間があいてしまうというような御意見があったわけでございます。  したがいまして今回も、何と申しましても安全審査を始めて間もない段階でやるわけでございますので、そこで全部結論を出してしまうわけにはまいりません。ですから、対話方式を取り入れましても、すべての疑問にそこでお答えするというようなことはできないかと思いますが、前回のような方式に加えまして、公聴会それ自身にも、何らかの形でそういうような方式を取り入れてまいりたいというように考えております。
  64. 和田貞夫

    和田(貞)委員 せっかくできた公聴会制度でありますから、これはやはりフルに活用して、原子力行政全体についての国民の信頼度を回復していくという唯一の制度なんですから、これはやはり要領なり実施細則を根本的に改めて、そこから政府先ほど示された基本姿勢を、国民の信頼回復のために政府がこう踏み切った、こういう印象を与えるような公聴会制度にやはり持っていくように、根本的な改革をしてもらいたいというように私は思うわけです。  時間も参りましたので長官にお尋ねしたいわけでありますが、原子力行政懇談会が秋には、最終的な結論にならなくても、中間的な結論が何か示されるということになった場合に、長官言われておりましたように、各省のなわ張りがあって、実行に移せるのは三年も四年も先だろうというような見通しも言われたわけなんでありますが、これはやはり科学技術庁として——ちょうど地方行政委員会でいまコンビナート法が審議されているわけでありますが、これもやはり十三省庁にわたるそれぞれのなわ張り根性があって、コンビナートの防災対策というのはなかなかできない。たまたま水島事件があったために、それをきっかけに防災を担当しておる自治省が中心になって、不十分ながらコンビナート法が提出されて、いま審議をしておる。しかしそういう中でも、なかなか通産のサイドからの足の引っ張りというようなものがございますが、しかしながら、曲がりなりにもコンビナートの防災対策をやるための法案が用意されたわけですから、三年も四年もほったらかしにしておるというのではなくて、そういう結論が出れば、その結論に基づいて、科学技術庁中心になって関係各省ついてこいということで、国民の不安を一掃するために、原子力行政の信頼回復のために抜本的な改正というのを、機を待って近い機会にそのような改革案というものを、もちろんこの原子力三法その他の法律の改正も伴って、次の国会には何とかひとつ意思表示のための上程をする、法案の改正を含めて上程するというような考え方に立ってもらえないかどうか、長官からひとつお答え願いたいと思います。
  65. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私の心情なり、その方が国家のためによろしいという点はくどくどと申し述べました。変えられません。この法をいまつくった方がよろしいという気持ちには変わりございません。
  66. 和田貞夫

    和田(貞)委員 原子力行政懇談会でどういう結論が出るかわからぬけれども、やはり問題指摘もされておることでありますから、何らかの結論が出てくると思うのです。そういう結論が出てくれば、今回のこの改正案にこだわらないで、抜本的に日本原子力行政のあり方というものについて、科学技術庁中心になって、原子力三法初めその他の法律の改正を含めて、近い将来に政府姿勢国民の側に示すという観点に立って、根本的な原子力行政の改正案というものを次の国会に出されるという用意あるいはお考えというものはおありかどうかということを聞きたいわけです。
  67. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、平行線になるから同じことを繰り返すだけでございますけれども、有沢先生にお会いしても、こういう原子力安全局のようなものができて、そして人材の養成をしたり準備をいましておくことが有沢結論につながってくるところなので、それも何もしないで、そして結論を待って、何年かとにかくがんばりますけれども、その間空白と言っては語弊がありますが、いまのままの強化しない体制でいくということは忍びないということをくどく申し上げたのでございますから、御理解いただきたいと思います。
  68. 和田貞夫

    和田(貞)委員 あなたはあなたの考え方で今回この改正案を出されておるわけなんですが、この改正案は、このことによって、当分は日本原子力行政というのは、この形で国民の信頼を回復するために安全性を第一義的に考えた原子力行政をやっていくんだということであって、懇談会でどういう結論が出ようとも、当分はこのままでやっていくんだ、機構改革をやったというこの実績をそのまま踏襲していくんだ、懇談会でどういう結論が出ようとも、そういうことは関知しないという考え方なんですか。
  69. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 話が逆でありまして、懇談会結論が出ますれば、もちろんその実現に努力するのは私どもとしての役目でございますから努力いたします。しかし懇談会の座長の有沢先生が申されるのにも、結論を出すよりも、こういう一つの拠点と申しますか、中心ができて、そうしてそういうものを充実していくぞという構えがないと結論を出すのも大変苦しいという話をしておりました。私は、それは真実だろうと思います。具体的にこの問題を進める場合には、それを継続していくわけであります。ですから、別に結論が出ますれば、それを遵法しないとかいうことでなしに、私どもがそういう必要があってつくったものでございますから、早期に実現するにはがんばりますし、努力はいたしますけれども、しかし結論を実施に移す際におきましても、またその間におきまして原子力安全問題というのはゆるがせにならぬ問題ですから、一歩でもこの際前進していくということがよろしいのじゃないかという意味でございまして、有沢答申が出れば、それをどうこうするというよりも双手を挙げて実現に向かうことは当然でございまして、長い間、有沢先生原子力委員のとき私、局長をやっておったし、大学も先生でございますので、一切先生のおつくりになったものであれば喜んでやります。やりますが、さっき申したような手順になりますということをお話し申し上げたのでございます。
  70. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、私は、どう考えても、こういう機構いじりをすることによって、これが既成事実として、やはりせっかくの行政懇談会結論が出ても、それが放置されるという懸念を私の頭の中から払拭することができないわけです。  しかしながら、時間も参りましたので、最後に申し上げますが、こういう官僚的な発想による機構いじりということでは、国民の理解というものを高めることができないと思いますので、むしろ行政懇談会結論を待って抜本的に日本原子力行政のあり方というものを洗い直すということが当を得た措置じゃなかろうか、こういうように私は考える次第であります。  時間が参りましたので、以上で質問を終わりたいと思います。     〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後一時二十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時二十五分開議
  72. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。木原実君。
  73. 木原実

    ○木原委員 すでに同僚委員から多方面にわたっての質疑議論が展開をされたところですけれども、私も設置法に関連をして幾つかの質問を申し上げたいと思います。特に長官の御見解を何点かについてお承りしたいと思うのです。  われわれ設置法の審議に当たる者としまして、今度も安全局設置をする、たてまえは非常に結構だと思うのです。しかし、われわれ国会の方から見ますと、これはたてまえの機構に終わってくれたのでは全く困るわけですね。この委員会でも、かつて経済企画庁に物価局を新設したのですが、物価局ができたとたんに狂乱インフレで、インフレが爆発をした、こういうことになるわけなんです。もちろん機構だけの問題ではございません。ただその際に私、申し上げたことがあるのですけれども、ともかく物価局というようなものを新設をすれば、国民に対して、たとえ消費者物価の一%でも下げてみせる、こういう約束ができるのなら、多少のことはあってもわれわれも推進しようじゃないか、たてまえには全く異議がないわけですから。  実は今度の場合も問題は同じでして、安全局をつくることによって、いままでの原子力行政の中で占めていた安全とか規制とかの措置なり行政の態様というものが、これから先どういうことになっていって、どれだけの安全確保についての、つまり国民にとってのメリットというものがあるのか、こういうことをまず明らかにしてもらいたいと思うのです。  国も定員その他の問題につきまして大変シビアな状況にある中で、われわれから見れば大変わずかですけれども、人員の配置もふやして安全局を新設してやろうというのですから、たてまえには異議はございません。しかし問題は中身ですね。そういう科学技術庁の心意気をひとつ示してもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  74. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどもお答え申し上げたのでございますが、原子力の安全というのは大変幅が広いと申しますか、あるいは奥行きの深いものでございまして、大きい範疇に分けますと、戦時利用、爆弾をつくるとかそういうことをしないということ。それからもう一つは、平和利用自体におきましても、発電炉とか舶用炉とかいうエネルギーに使う部面と、アイソトープそのもの利用する部面とございまして、アイソトープ等を利用するのは、それはそれで法をつくりまして、安全の監視、監督をしておるわけでございますが、一番問題になっておりますのは、エネルギー源として使う場合の発電炉、舶用炉、舶用炉は日本では主として軽水炉でございますが、この軽水炉に対する安全が非常に実は問題になっております。  そこで、この原子力安全局をつくりますと、まずそのスタッフが安全問題に、主としていまの問題に専心取っかかれるということ、これが大きいメリットだと思います。そして何をやるのかと申しますと、軽水炉の安全の研究がまだ非常に不十分でございますので、そういう問題はいま進めつつございますが、それをさらに強力に進める一つの指導的な官署になります。  それからもう一つは、その安全と称してできたものが果たして安全かどうかという審査、検査が必要なわけですけれども、それに対する責任体制あるいは一貫性といったようなものが、これができますことによりましていままでよりははるかに明確にもなり、あるいは連絡等もスムーズにさらに進み得るのではなかろうかと思っております。  もう一つは、安全性に関する国民皆さんの理解、協力を得るためにどうするか。日本は特殊な環境に置かれておるのは御承知のとおりでございまして、そのために列国以上にこのサイドは重要な問題でございます。  先ほど申しました軽水炉以外の問題でもたくさん安全の面はございますが、しかし特にただいま一番問題になっておる軽水炉問題に関しましては、いまのような一つの前進が見られるのではないか、こういうふうに考えております。
  75. 木原実

    ○木原委員 軽水炉の問題については、後で少し伺いたいと思うのですけれども、おそらくたてまえとしては安全優先ということでいままでもやってこられたと思うのですが、いままでの原子力行政の中でのあり方、たとえば原子力委員の中で、かつて田島英三先生とか、最近はまた稲葉さんがおやめになった。たとえば田島先生にしましても、原子力の安全の問題については専門家でいらっしゃる。稲葉さんにしましても、かなり広い視野から原子力行政のことを考え得る力を持った方です。そういうような方が、どういう事情か、われわれは新聞で報道される範囲のことしか知らなかったわけですけれども、何かやはり原子力行政の中にかなり思い切って変えていくと申しましょうか、あり方を検討していく要因というものがあるのではないか。人事のことについて深く触れる気持ちはありませんけれども、こういう偉い先生方が、しかもかなり原子力行政について熱意を持っておられた方たちがやめていかれたというのは、何かそれなりの問題があったのですか。
  76. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 田島先生のときには私まだ長官でございませんので、後で局長からでもできる限り御説明いたしたいのですけれども、稲葉さんは、まだ正式にこちらから辞令を出しておるわけでもないし、まだ原子力委員の身分のままでおりますけれども、再三おやめになりたいと言って私に申し出てきたゆえんはむしろ去年に問題がありまして、やめたいという辞意は変えないようでございます。そこで昔から大変じっこんでございますから、そう言わぬでしばらく助けてもらえぬかということで、いままで実は委員として勤めていただいたわけでございますけれども、稲葉君の最近の心境は、原子力委員として、いわば一種の行政官として、しかも非常勤の片手間の委員としてやるのにはどうも自分としては忍びないし、むしろ政治運動として原子力の推進役に回った方が、かえって国民の意に沿うゆえんではないかというわけで、今後は主として原子炉の安全問題とかあるいは建設問題等に対する国民運動に大変力を入れてやっていきたいのだというお話で、聞いてみますと、確かに日本一つのいま欠けておる面と申しますか、大きい面でございますので、ああいう力のある方がそういうことをやってくだされば、これまた今後、原子力行政あるいは原子力開発を進める上において結構なことじゃないかということで、まだ最終的にはおやめいただいておりませんけれども、辞任の理由はそういうところにあるようでございます。
  77. 生田豊朗

    生田政府委員 田島先生原子力委員をおやめになりましたのは、ちょうど一年前、たしか昨年の六月十五日ごろだったと思います。辞意を表明されました理由は、原子力委員の任命に当たりましての手続の問題でございます。田島先生の御主張によりますと、従来、原子力委員会の慣行として、新しく原子力委員が任命される場合には、原子力委員会の内部であらかじめ相談をして、その相談した意見を委員長代理を通じて原子力委員長である科学技術庁長官あるいは任命権者である総理に伝える、そういうことであったわけでございますが、その前に、昨年の四月に任命されました宮島委員の任命の際にその慣行が守られなかったということでございまして、この慣行が守られないということは、原子力委員会の中立性、つまり行政府からある一定の距離を置いて原子力委員会というものは存在しなければいけないということに照らして問題があるのではないかという御意見でございます。そういう御意見で、当時の森山原子力委員長と協議をされたわけでございますが、残念ながら意見が一致しませんで辞任されたと承知しております。
  78. 木原実

    ○木原委員 私、人事の問題に深く立ち入る気持ちはございませんけれども、そういうような大きな背景の中では、たとえば原子力委員会というのは大変責任の重いポストであることは明らかです。それからまたその背景の中には、開発の問題と安全の問題が言葉としてはかみ合っておるわけですけれども、その辺にやはりそごがあるのではないか。つまり、きちんと責任をとるべき体制、それからまた、その中には開発と安全の問題というのが、言葉としてはかみ合っても、何か体制的にと申しましょうか構造的にと申しましょうか、かみ合わない、そういう側面がやはりあったんじゃないですか。人事にはともかく触れませんけれども、そういう問題について、つまり責任体制と、それから安全と開発の問題についての考え方をひとつ示してもらいたいと思うのです。
  79. 生田豊朗

    生田政府委員 田島先生が辞意を表明されましたそのときの問題としまして、ただいま先生が御質問になりましたような、安全と開発原子力委員会で二つの業務が一緒に行われているのは問題であるとかいうようなことは特になかったと記憶いたしております。  ただ、田島先生は環境放射能の専門家でございまして、特に安全問題、工学的安全性の問題よりも原子力開発に伴う環境への影響についての権威でございますので、その点についていろいろ御研究、かつ原子力委員としても御活躍になっていたわけでございますが、そういう観点から、原子力委員会性格というものについて、それが国民に信頼されるようなものでなければいけない、つまり行政府と全く同じものであっては意味がないのじゃないかという点をかねがね御主張になっていたように記憶しております。
  80. 木原実

    ○木原委員 これは原子力行政全般にかかわることでもあるのですが、一つは、私どもから見ましても、たとえば原子力行政原子力委員会なり科学技術庁なりが持っているウエート、これがどうも一貫性がないんじゃないのか。たとえば船について言えば所管が他の省庁にまたがる。それから発電につきましても御承知のように通産省サイドの問題がある。通産省通産省で代替エネルギーとしてこの原子力の可能性というものを最大限に追求をしていって電力の確保を目指したい、こういう通産省の立場というものがあるわけですね。もちろんその場合でも、安全ということは切り離せないのだ、こういう形にはなっておりまして、それなりの規制は行っているわけです。しかし結果においていろいろな事故等が出てくる。「むつ」の場合についても同じことですね。つまり今度、安全局設置ということになってくるわけですけれども、その背景の中に安全ということを軸に置いた原子力の規制その他について各省庁にまたがっていてどうも一貫性がない、国民の側から何か大きな事故があったときに責任を追及していきましても、どこかやはり責任がぼやけてしまう、こういうこともあるわけですね。それじゃにわかに原子力のものを全部一元化してやっていくということは可能かどうかということについては、私どもも多少の疑問なしとはしません。  これは他の分野の問題でも同じことがあるわけですけれども、つまり共管になっている側面、それから末端の規制管理がそれぞれ幾つかの省庁にわたっている、そういう中で一体この科学技術庁というのはどういう位置を占めるのか、最終責任はどこなんだ、こういうふうに問い詰めていきますと、やはり安全が至上の命題であるということになれば、それを軸にしたむしろ一貫性のある行政機構というものを考える必要があるのではないのか、こういう見解も私どもやはりうなずける面があるわけですが、お考え方はどうでしょう。
  81. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生の御質問の点は、原子力行政機構の全般につきまして非常に重要な点でございます。特に「むつ」の問題が発生いたしまして、安全行政に対する全般的な不信感が「むつ」の問題を契機にいたしまして出てまいりまして、私ども非常に遺憾に思っている次第でございますが、その一つ安全審査と申しますか、安全の規制全般が果たして一元的に行われているのかどうか、ばらばらに行われていて責任の所在があいまいなのではないかというような御批判が非常に多かったわけでございます。  率直に申しまして、原子力船「むつ」の安全審査から昨年放射線漏れを起こしますまでの過程におきまして、科学技術庁及び原子力委員会と運輸省との間の連絡体制が完全に十分であったかと言いますと、そこにはかなり反省すべき点があるということは事実でございます。これは私ども事務当局といたしましても、それから原子力委員会の内部でも、そういう反省はしているわけでございます。これは大山先生委員会報告書にも指摘されたところでございますので、その点は至急改めたいということで運輸省との連絡体制は特に緊密にやるように心がけております。  ただ「むつ」に対してそういう問題が出てまいりましたけれども、原子力開発の主流を占めます原子力発電につきまして「むつ」と全く同じようなことがあるのではないかという点につきましては、それはそうではないのでございまして、原子力発電につきましては、原子炉の基本設計につきましての安全審査、これを科学技術庁原子力委員会でいたしております。その後、詳細設計審査、工事方法の認可それから各種の検査、これは通産省がいたしておりますが、この間の連絡体制はもうかねがね非常に気を配りまして十分にやっているつもりでございます。たとえば安全審査を担当しております安全専門審査会の学者、専門家の先生が約三十名おられますが、その大部分の方が通産省原子力発電技術顧問会のメンバーでもございます。したがいまして、科学技術庁通産省の両省庁のいわば学術的、専門的な顧問のグループの方がほとんど同じであるということでございますので、まずそういう関係でわれわれの扱います基本的な審査通産省の行いますそれ以後の審査との間の連携が緊密に保たれております。さらに人的な面におきましても、通産省の公益事業部と原子力局との間の職員の人事交流を緊密に行っておりますし、そのほかにも連絡体制を非常によくとるように心がけております。これは私どもの段階から各担当官に至ります段階まで各段階に応じまして、もうすべて一々相談しながらやっていくという形をとっておりますので、現在まででもその点遺漏はないと確信しておりますけれども、その点をさらに充実させますために今般原子力安全局という新しい機構を設けまして、こちら側の体制を強化することによりまして、その辺の連絡のやり方あるいは連絡体制をさらに緊密にしてまいりたいということでございます。
  82. 木原実

    ○木原委員 緊密にやっていくということなんですが、幾つか問題があると思うのです。  これは長官に伺いたいと思うのですが、こういう安全局設置という提案なんですけれども、安全について、たとえば事故が起こったときの責任体制みたいなものが裏づけとしてないのじゃないかという感じがするわけです。つまり事故が起こったときに処理はするでしょう。しかし事故が起こったとき厳しく責任を追及をしていって、事故に対する対策や措置はいろいろ考えるのだけれども、事故が起こったときの自己規制といいましょうか、そういうものが乏しい。つまり事故を起こしたということは、それは担当部局のやはり責任になるわけですね。しかしそれが、被告の座に置かれた分野に対して、同じ行政の分野の中からやはり責任を厳しく問いただしていく、こういう姿勢が欠けているような感じがするのです。それは最善を尽くしてやるわけですけれども、しかし原子力の技術それ自体が、もうよく言われますように開発途上の技術であって、それから現在の技術水準ではなおかつ予測しがたい事故が起こる可能性というものがあるというふうに考えられる若い技術だと思うんですね。それだけに、できるだけのことをということでスタートするわけですけれども、しかし事故が起こったときには厳しくその責任が問われるという大きな行政上の歯どめがなければ、どうしてもやはり連絡の問題にしましても、まあそう言っちゃあれですけれども、緊密にやるとは申しましても裏づけがない、こういう感じがするわけです。  ですから、それほど安全に対して力を入れて安全優先で、一二〇%の安全措置で出発するのだというならば、安全局設置する裏づけについて、一番大事な事故が起こったときは、これは安全局長はもちろんのこと、厳しく内部から告発をされ、それから責任に服さなければならないのだ、つまり被告になる可能性があるわけですから、そのときに原告になり得る者がやはり行政の中にもあってといいますか、そういう厳しい体制というものを、最近いろいろ起こっていることから照らし合わせてわれわれとしては望みたい、こういう気持ちがあるわけなんです。  それらについて法の改正を含めて、原子力の問題については念には念を入れてやっていくのだ、その上での安全局であり安全行政の新しい展開だ、こういう考え方は出ないものですか。
  83. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実はお説のとおりの意味でつくったように私考えておりますが、いままでおっしゃるように責任体制がややもいたしますと不分明になりまして、どこに最終的な責任があるかということが不分明だったと思います。その一つの理由は、仮に審査、検査の問題を例にとりますと、それぞれ法に基づきまして検査、審査等をしておりまして、連絡はとっておりますが、やはり根本にあるのは、いまお話しございましたとおりの基本設計詳細設計一貫性といいますか、どの程度それが詳細設計をやるときに基本設計の方は責任を負わなければいかぬかといったような点が、若干不分明の点があったのではないかというような感じがいたします。したがって、だんだんとたどっていって、メーカーなのかあるいは事業団なのかといったようなところまでいきますと、これは申し開きようによっては、どこか最終的にはわからぬようなかっこうになっておることは事実でございます。  そういう点から「むつ」の問題を契機にして、いろいろ政府と申しますか特別な機関をつくりまして、東工大の当時の大山学長の主催のもとに結論を出したのですけれども、これはやはり事故そのもの原因究明というよりも、それを起こしたバックグラウンドの組織なり権限なり、それから運営方法なりというものに対するいわば改善を要望するわけでございまして、それに一部これはこたえているわけでございます。  しからば、その責任はどうとるのかといいますと、最終的な責任原子力委員会にあるのか、それともそれを執行した執行者、あるいは立案者と申しますか行政府そのものにあるのか。原子力委員会は、本質的には、法的には諮問機関でございまして、そこがいままで非常にあいまいだったと思いますし、あの事故が起きまして、そういったものをこの際明確にすべきではないかということで、この安全局ができますれば、ここがもちろん最終責任者でございますし、その長である科学技術庁長官最終責任を負わなければならぬのはもう明瞭だと思います。そういう意味では、これをつくることによって責任は非常に明確になるのではないかということで、ただいまお話ございましたように、審査、検査の過程等を通じまして一貫性をとっていきたいというふうに考えております。  ただ、注意しなければいけませんのは、諸外国ではそういうものは機械の故障の一部で、それは直せば何でもないのですというふうなもの、言いかえれば第三者に被害を加えたり環境を汚染したりするようないわゆる大事故というものでない、ちょっと機械をとめて修理すれば修理ができるという程度のものまで、言いかえれば各国では新聞にもほとんど載らないというようなものまで日本では余りにもこれを報じて、世界的に特殊な風土になっておるわけですから、そういう小さい故障まで全部責任をとらなければいかぬかというのは、これはちょっとまだ問題を蔵するところだと思います。だんだん改善する必要があることは認めますけれども、いまの段階では小さい故障の起こるのはやむを得ぬ世界的な現象であると思いますので、そういうところまで最終的に責任を負わなければならぬとなりますと、これはやはり少し問題があろうと考えます。
  84. 木原実

    ○木原委員 後段の長官のお考え方は、日本の場合は特殊だ、こういうことなんですけれども、確かに特殊であっても、原子力という問題については念には念を入れる以外に、行政の分野においても、原子力利用そのものについても、やはり国民のいままで蓄積されておる不安や疑問を払拭することはできませんし、それがなければ原子力行政は幾ら逆立ちしても進まないということにもなりますよ。そこでやはり問われるのは、原子力行政に携わる側自体が厳しさの上にも厳しさを認識して、えりを正してやっていく、こういう姿勢がないと前に進まない現実があるわけですね。ですから、われわれ議会の側としましても、寸毫の甘さも許さない、そういう立場に立たざるを得ません。したがって責任の問題も、他の分野はともかく、現実国民が不安を感じて、それから事故等についてもことさらに神経をとがらせておるという現状があるわけですから、やはりそれにこたえるものがないと、外国でどうであっても進まないという姿があるわけですね。この点については、ひとつ厳しい認識を持ってもらいたいというのが私の見解です。  そこで、先ほど来ちょっと話が出ておりましたが、最近、新聞等にも報道されました美浜の一号炉、二号炉とか玄海の事故がありましたが、これは原因が究明されたのですか。
  85. 生田豊朗

    生田政府委員 美浜の一号炉につきましては、ほぼ一年間停止しておりまして、蒸気発生器の一次冷却水の漏れ、その原因となりました細管の減肉現象、あるいはその減肉の結果としてのピンホールにつきまして、ただいま通産省原子力発電技術顧問会を中心検討しております。まだ最終結論には達しておりませんが、原因の究明がほぼ終わったように聞いております。  それから、美浜の二号につきましても、同様に検討中でございます。  玄海の一号につきましては、試運転中のことでございますので、恐らく美浜の一号、二号と別の原因、恐らく外部的な原因によるのではなかろうかというような観測をしておりますが、その原因につきましてはただいま通産省で調査中でございます。
  86. 木原実

    ○木原委員 いままで原因らしきものとおっしゃったように、何か穴があいたわけですね。そこへ盲栓をはめてやった、こういうような話を聞いているのですが、いままでわかった推定原因、そういうものはどういうことなんですか。
  87. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  美浜の一号炉に起こりました損傷は、蒸気発生器の中に六千本以上の細いパイプが束になってたくさん入っております。その細管は下の方から上がって上部で湾曲して戻ってくるわけでございますが、その上部の細管の部分の振れどめに使っているストラップという板がございまして、その板とパイプとの接触部、ここで流れがどうしてもよどみがちでございます。その流れがよどむということが大きな原因になりまして、そこで温度が局部的に高くなります。それで、そこで水が蒸発したり、蒸発した後にまた新しいお湯が入ってくるということで、その部分に不純物とか、中に水質を管理するために入れております燐酸ソーダ、そういうものが堆積したり蓄積しまして、濃縮されて蓄積するわけでございますが、そういうことによって局部的に酸性の度合いが高くなります。その酸性の度合いが高くなることによって腐食が起こるのであろうということが、大体いままでの理由として推定されておるわけです。この点につきましては、米国のNRCもほぼ同様な見解でございます。世界的に、スイスでもそういう現象が起こっております。そういった多くの世界的な現象の例から見ても恐らくそうであろう。それから、アメリカのコンバッション・エンジニアリング等で実験した例でも、そのような理由を正当づける実験結果が得られております。わが国でもそうではなかろうかと見当をつけまして、現在、最終的なわが国独自の実験をやろうということでいま実験中でございます。
  88. 木原実

    ○木原委員 私も、技術的なことは素人でよくわからないのですけれども、しかしそれらしきところには盲栓をはめてみたというような措置はとったわけですね。それ以外のところにも穴があいていっている、そういう状態なんですか。
  89. 中村守孝

    ○中村説明員 美浜一号炉の場合、予想されます個所につきまして、そういう局部的に高温になるであろうと思われる個所を全部ふさいでしまいますと、実はパイプ全部をふさいでしまわなければならないということになりますので、特にその可能性の高いところについてふたをして運転をしたわけでございますが、その後、やはりそういうところだけでなくて、そういういま言ったような理由で発生するところがそのほかにもたくさんあるわけでございますので、一番可能性の強いところは閉めましたけれども、そこだけの閉め方では足らなくて、まだそのほかのところでも発生したというのが現状でございます。  美浜の二号炉につきましては、若干場所を異にいたしまして、先ほど蒸気発生器の細管が上で曲がっておると申し上げましたが、その曲がっている部分ではなくて、今度は下からずっと立ち上がる細い細管を支える支持板とその細管の接触する部分で起こっておるわけでございます。そのところでもやはり間隙が非常に少のうございまして、その間隙が少ないために水の停滞が起こり、先ほど申しましたような燐酸ソーダの濃縮が起こったのではないかと推測されておりまして、その水の流れというものは非常に複雑なものでございまして、小さな実験装置だとかモックアップで再現するというのは、なかなかむずかしいというようなこともございまして、実際に運転し始めたもので初めてそういうものが出るという経験を今回受けたわけでございます。  ただ、この美浜の二号炉だけでなくて、この例は、私どもの集めた情報でもアメリカで起こっております。アメリカで起こっておりますけれども、こういったものについては、アメリカでも、たとえば燐酸ソーダをヒドラジンという新しい薬品にかえるということで対処できるのではないかということで、美浜一号炉以上に損傷した原子炉もその後運転を再開しております。わが国ではさらに念を入れて、現在、最終的な実験結果を待って対処したいということで、美浜一号炉についてはさらに検討を続けたいということにしております。
  90. 木原実

    ○木原委員 この美浜一号と二号はメーカーが違うわけですね。一号炉と二号炉はメーカーが違って、したがって型も違う。これを私どもはけしからぬと思うのですが、私どもの党がかつて関電に対して一号炉、二号炉の問題について質問を出したことがあるのです。そのときに関電当局が、われわれの党に対して公式に回答してきたところによりますと、二号炉は大丈夫ですよという返事が来たのです。これはたしか一号炉はコンバッション・エンジニアリングですか、それから二号炉はメーカーが違う。したがって、そういう腐食は起こらない、こういう回答をよこしたことがあるわけなんです。そうしましたら、同じような現象が起こっておるわけですね。しかも、これは関電の二つだけではなくて、玄海にも、それからまた、現に建設をやっておるほかの大型の炉についても、それから「むつ」についても同じ原因が推定されるのではないかと思うのですが、どうなんですか。
  91. 中村守孝

    ○中村説明員 確かに美浜の一号炉と美浜の二号炉とでは型を異にいたしまして、一号炉はコンバッション・エンジニアリングのつくりましたタイプ、それから二号炉はウエスチングハウスの設計に成るものでございます。  この両者の間の構造上の大きな変化と申しますと、蒸気発生器の中にございます細管の上部に湾曲している分を支えるふれどめのストラップの構造でございますが、この部分がC型のものは非常に幅の広い板でございます。ウエスチングハウスの方は、これがかなり細いものを使ってございまして、そういう意味で、水の流動の仕方がコンバッション・エンジニアリング型のものよりもかなり改善されております。  そういう意味で、当時の経験から申しますと、外国の事例でも蒸気発生器の細管にいろいろ損傷は見られましたけれども、美浜一号炉のような特有な減肉現象というものが多く認められておりませんで、ほかのいろいろなクラック現象と重なったような形で外国では発見されておりました。  そういうこともあって、この構造的な特徴から見ても、美浜一号炉特有のものではないだろうかという考え方は確かにございました。ただし、その直管部、下から上の方に立ち上がるパイプの部分にもそういう減肉が全く起こらないということは言えない。その当時でも言えなかったわけでございますが、可能性としては非常に低かったわけでございます。  その美浜一号炉の直管部、下から上の方に立ち上がっているパイプを支えるプレート部分には、そういう減肉現象が発見されていなかったという事実がございますので、それと似たような構造でございます美浜二号炉につきましては、直管部には発生する可能性は少ないのではないか、発生するとしても、美浜の一号炉の上の曲管部に見られたような、非常に多数の細管が同時に減肉現象を起こす、千本も二千本もというようなことは起こらないのではないかという見解で、全く起こらないという見解ではなかったのではないかと思います。
  92. 木原実

    ○木原委員 これは長官がちょっとおっしゃいましたように、軽い程度の事故だという、つまり、この構造上の誤りか何か知りませんけれども、事故の程度としては大したことはないという御見解ですか。
  93. 生田豊朗

    生田政府委員 この問題につきましては、ただいま先生のおっしゃったような考え方をとっております。これは事故といいますよりも、きわめて軽度の故障であるという判断でございます。ただいま規制課長からも詳細御説明申し上げましたように、この種のPWR型の原子炉の蒸気発生器の減肉あるいはピンホールの問題につきましては、これは同型の原子炉、世界に非常にたくさんございますけれども、これについて各国とも非常に多数発生している故障でございます。  これの対応の仕方も各国まちまちでございまして、ヨーロッパ諸国あるいは社会主義圏の諸国におきましては、日本よりもはるかに緩やかな対応の仕方をとっているわけでございまして、アメリカが日本にわりあい近い対応の仕方をとっておりますが、それでも、減肉がどのくらいまで進めば炉をとめて点検、修理するかというその判断につきましても、アメリカよりも日本の方がはるかにシビアな方針をとっております。  それで、ことしの三月でございますが、御承知のようにアメリカの原子力委員会が二つに分かれまして原子力規制委員会というのが生まれたわけでございますが、その規制委員会委員の一人が原子力産業会議の年次大会に出席するために東京に参りまして、そのとき原子力委員のメンバーに私どももまじりましていろいろ懇談したわけでございます。そのとき、たまたまこちらからも美浜の一号の問題を御相談したわけですが、これは先ほど規制課長が申しましたように、アメリカで一つ同じような現象を起こした原子炉がございます。これが一年半停止いたしまして、最近全出力運転を始めた、先ほど説明しましたように、燐酸ソーダをヒドラジンにかえまして全出力運転に移ったわけでございますが、これにつきましても、これはミシガンでございますが、ミシガンの地元の住民の意見というのは、一次冷却水が二次側に漏れて、それが非常に安全性にとって問題である、事故につながるのではないかという反応は全然ない。むしろそういう種類の故障というのは、故障自体は大したことはないわけでございますが、万一のことを考えまして炉をストップするわけで、そのミシガンの炉も一年半ストップしました結果、稼働率が非常に悪くなってくるわけで、そのために原子力発電のコストが上昇して電力料金にはね返るという意味で経済的な問題、これは先ほど大臣も申しましたように、むしろ経済性の問題としては非常に問題があるのではないかという反応の仕方だそうでございます。  ただ、このPWRの蒸気発生器の問題、この種の問題を安全性上非常に重大な問題であるというように取り上げているのはほとんどないわけでございます。私どももそのように考えておりますが、そう申しましても、それだからほっといてもいい、実はヨーロッパあたりでは、一次冷却水が漏れたままさらに運転を続けるという例がいろいろあるわけでございますが、私どもはそういうことはいたしませんで、それが発見されました都度とめまして点検し修理をするということで、経済性を犠牲にしまして安全性を確保するという方針で対処しております。
  94. 木原実

    ○木原委員 ただ、そうおっしゃいますけれども、その事故といいますか、構造上の欠陥だ、これについては、まだ原因についても、先ほどの話ですと推定ですよね。したがって、確実に何によってこういう構造上の欠陥が出てきたのかということについては、これはまだ確たるあれはないわけでしょう。少なくとも確定した原因究明というのはないわけでしょう。どうなんです。
  95. 生田豊朗

    生田政府委員 確定した原因というのはないわけでございます。ただ、現在までいろいろな角度から、構造上の問題あるいは化学的な問題ということで検討いたしまして、現在のところ比較的有力になっておりますのは、燐酸ソーダが濃縮して、それが腐食、減肉の原因になっているのではないかというのが非常に有力な意見になっております。  したがいまして、ミシガン電力会社のパリセイドという炉でございますが、これが美浜の一号と全く同様の、もう少しひどい状態になりまして、一年半とめました後、燐酸ソーダからヒドラジンにかえまして一挙に全出力運転をやっております。この結果が非常にその辺の原因究明にもいい参考になるのではないかということで注目いたしております。
  96. 木原実

    ○木原委員 そうしますと、たとえば「むつ」は遮蔽の問題であったという話をわれわれも聞いておりますけれども、しかし「むつ」の中身の問題にしましても、同じようなやはり炉の中に構造的な欠陥があったと推定をするわけですか。「むつ」はどうなんですか。
  97. 生田豊朗

    生田政府委員 蒸気発生器の設計とか構造から言いますと、「むつ」の原子炉の蒸気発生器は、美浜の二号のものと大体同じでございます。したがいまして美浜の二号から類推いたしますと、そういうことがあるいは起こるかもしれないということは一応考えられるわけでございますし、外国の原子力船の例を見ましても、あのアメリカの「サバンナ」も実験航海中にたしか数回蒸気発生器の細管にピンホールがあくという故障を起こしたというのを記録で承知いたしております。ということですから、今後「むつ」が絶対にそういう蒸気発生器の細管の減肉あるいはピンホールが起きないかと言いますと、絶対に起きないということは言えないわけでございますが、「むつ」の原子炉につきましては、今回総点検をすることにしておりますので、ただいままで御説明しましたような美浜の一号、二号、あるいは玄海一号の検討の結果を取り入れまして、事前に対応すべきものがあれば十分対応をしてまいりたいというように考えております。
  98. 木原実

    ○木原委員 技術的な問題はこちらも弱いからあれなんですけれども、ただ、いずれにいたしましても初めには推定、想定のできなかったそういう腐食部分が出てきた、それに炉をとめて対応している、こういうことなんですね。しかし原因そのものの究明についても、これはまだかなりのペンディングな状態になっている。「むつ」についても、いまお話がございましたけれども、単なる遮蔽の問題だけではなくて、やはり中の構造上に似たような形のものがあるのではないか、これは推定としてあるわけですね。これは私どもとしましては、最終的にはやはり技術の可能性を信用するかしないかという問題に返ってくるわけなんですが、しかし専門家である人たちの見解を聞きましても、現にそういうものが起こり、それが構造上の欠陥として指摘をされている。しかもこれについては、ともかく原子力委員会なり安全専門審査会ですか、ちゃんとオーケーを出しているわけですね。しかも片方でそういう形で炉をとめていろいろ原因の究明をやらなければならないという状態にありながら、さらに同じような大型の炉が、たとえば高浜一号、二号にしても建設が進められている。「むつ」は御承知のような形になっている。そういう状態が出てきているわけなんですね。だから、これらのすべてについて、それならば国民が安心できるような解決策といいますか対応策というのはお持ちなんですか。きちんとした形でこれなら対応できるというような措置か何かお考えがあるのですか。
  99. 生田豊朗

    生田政府委員 実は、非常に細かくなりますので御説明を省略させていただきましたけれども、原子力委員会の安全専門審査会が安全審査をいたします場合に、つまり平常運転時にどうであるかということだけではございませんで、大きな事故が起こることを想定して安全審査をしております。実は重大事故あるいは仮想事故という二つに分けまして想定いたしておりますが、これはまず現在の技術水準から考えまして起こるとは考えられない事故でございます。起こるとは考えられない事故でございますけれども、それがもしも起こったらどうするかということで、そういう重大事故なり仮想事故が起きましても周辺の住民、いわゆる大臣の言われる第三者に影響が及ばないようにその点も確認いたしまして安全審査をいたしております。  それで、先生の御質問のPWRの蒸気発生器の問題につきましても、減肉現象が起きましてそれがさらにピンホールになるものがございます。それから一次冷却水が二次側に漏れるということでございますが、これがいわゆるギロチン破断と申しまして、そのパイプが瞬間的にすぱっと切断されてしまうという問題が起きましたらどうかということで、これを一応重大事故の一種として、それが起きたらどうであるかということも想定いたしまして、そういう事故が起きても安全であるようにということを確認した上で許可しているわけでございます。  したがいまして、専門家の意見によりますと、減肉あるいはピンホールからそれがギロチン破断に発展する可能性はないということでございますが、それはそれといたしましても、もしもギロチン破断という起こり得べからざる事故が起こりましてもそれなりの対応策、安全は十分確保されているということを考えておりますので、その点十分審査しているというように確信いたしております。
  100. 木原実

    ○木原委員 ただ、たとえば続いて大型の炉が建設されている、これらについては経験として持っていない分野が多いわけですね。皆さんの言う若い技術であるから、可能性は局長おっしゃるように、こういうことになってもこうだ、一二〇%のいろいろなことを想定して安全対策を立てる、当然なことだと思うのです。しかしそれにもかかわらず、やはり技術的にと申しましょうか科学的にと申しましょうか、つまり経験をしない、運転をしなければわからないというような側面を依然として残したままたとえば企業化されているとかあるいは運転が始まっている、こういうことがあるわけですね。ですからわれわれの不安は、まあ何回か繰り返し不幸な事故を含めて経験を踏まえて、確実にやはりそれに対する対応策というものができて、技術的にも科学的にも間違いがない、こういうことであるならば——これはそれにもかかわらず事故が起こることがあります。全体としてまだ未確定の分野あるいは想定の範囲外に出る事故の可能性といったようなものが残されている。そしてそれがたまたま今度の美浜の一号、二号の問題についても、あるいは「むつ」の問題についても、そういう形のもので出てきた。  そうしますと、われわれの側から見ますと、大丈夫だ、外国でもしかじかかくかくだ、こう言いましても、しかしその可能性としては、依然として事故につながる欠陥その他の問題がやはり残されているのではないのか、こう判断せざるを得ないわけですね。だから、いまの段階で一二〇%大丈夫だと言っても、われわれの側から見ればそれを信用することができない。経験的にそういうものがないからだ。しかも技術そのものはまだ未開拓の分野が残されている、そういう状態だと思うんですね。  ですから、私がここで申し上げたいのは、「むつ」の問題やそれから軽水炉の問題について相次いでそういう欠陥が指摘をされ、当局としてはそれに対して対応しているのだ、こうは申しますけれども、未確定の分野が残されたまま、現実の問題としてはたとえば美浜一号、二号あるいは玄海、そういう構造上の欠陥が発見をされた。「むつ」の問題は片方でああいう形になっている。それにもかかわらず、今度はもっと大型の高浜の一号、二号や、それからほかにも大飯の一号、二号あるいは伊方なんかもそうですけれども、それの建設が進められている。大丈夫なのか、こう疑問が出るのは当然だと私は思うのです。ですから美浜の一号、二号を仮にとめてやっておるというのなら、よりでかいものの建設なら建設についても、やはり一定の限度を設けて、それらの建設もやめて、まず国民の安心を買うというのが前提ですから、そういう対応は考えられませんかね。これはこれで大したことはないので、外国でもしかじかかくかくだ、これだけのことはやります、こう言って片方で建設が進んでいる。何か国民の側から見ますと、安全を押しつけられたかっこうで、それでも疑問が残る、こういう状態があると思うのですが、どうでしょう。
  101. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ごく常識的にお話しした方がかえって理解が得られるかと存じますので、私の見解を述べたいのですけれども、そういう材質あるいは溶接等からくる、しかもそれが小さい穴がパイプにできたり、あるいは亀裂が生じたりというようなことが仮に起こりますと——いま起こっているわけですが、それが起こりますと、放射線がすぐ出てくるわけで、その放射線は出たらすぐキャッチできるようになっておるわけですから、炉をとめて修繕する、こういうことで、お話の点は、放射線が出るような小さい故障まで全部完璧にやれないものかという御議論でありますと、なかなかこれは大変だと思います。  しかしそうでなくて、国民一般の心配は、そのこと自体を心配しているのじゃなくて、それからだんだん故障が大きくなっていって、そして第三者あるいは環境まで汚染するような、そういう大事故というものが起こるのじゃないかというところに国民の不安があるのじゃないかと私は思うのです。それが絶対ないということ、原子炉そのものがそういうふうにできておるのでありまして、あり得ないということなんです。内部構造というのは一体どうなっているのだという説明をしますと、大変長々となりますのでやめますけれども、要するにそういう事故にはまず何億分の一しくじるということはあり得ないという調査になっております。またアメリカの原子力委員会で特にそういう確率がどうだろう、そういう大事故というものが仮に起こるとすれば——本当に起こるものだろうか。いままで起きたことがないのです。原子炉でそういう事故というのは一遍も起きていません。いま世界じゅうに全部で四百くらい運転あるいは建設中のものがありますけれども、いまだかつて全然そういう事故は起きたことがないわけです。  それがもし仮に起こるだろうかということを、アメリカの一番優秀な技術者、学者といいますか、大変な金をつぎ込んで、三年間NASA、宇宙開発、あるいは向こうの国防省の弾道等の確率を研究している新しい確率論でずっと研究させまして、それが去年秋に出まして、それによりますと、そういう小さい故障はたくさんあるわけですけれども、そういう大きい事故の確率というものはほとんどゼロ、完全にゼロと言ってもいいくらいの実は答えになっておりまして、それから推しても小さい故障と大きい事故と全部一緒にして安全というものですから、一般の国民としては大変惑うのじゃないか。しかし、ここはそうじゃなくて、そういう大事故を起こさぬようにしているのが原子炉の特質なのでありますということを申し上げたいと思います。
  102. 木原実

    ○木原委員 もうそろそろ最後ですからあれですが、美浜の一号、二号なんかにそういう構造上の欠陥が出た。しかし、これはたとえば安全専門審査会ですか、あるいは原子力委員会がオーケーを出すときには、そういう構造上の欠陥があり得るといいましょうか、当然想定をした上でオーケーを出したのですか。そのときはわからなかったのですか。
  103. 生田豊朗

    生田政府委員 構造上の欠陥を想定いたしますというよりも、もうちょっと先のことまで想定しているわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、蒸気発生器の細管がギロチン破断、瞬間的に完全にすぱっと切れてしまうというようなことがありましても、安全上問題がないということを確認をした上で許可しているわけであります。
  104. 木原実

    ○木原委員 そうしますと、今度のそういう欠陥が出たということについては当然想定済みであったわけですか。
  105. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 パイプに小さい穴があくのがどうして審査のときに予見できなかったという御質問じゃございませんか。——これは数千本の中でその中の一本のまたごく一点を突いたようなかっこうのものですから、実際に装置する前にあらゆる検査をして、材料的にあるいは溶接等でそういうことがないようにということを十分検査して実際はやるのだそうですけれども、やはり起きてしまうということのようでございます。ところが起こらぬのもあるわけです。ですから、全部が全部起こるというわけではありません。だから、運が悪いと言っては語弊がありますけれども、そういうのは……。
  106. 木原実

    ○木原委員 これはまあ長官、お互いどうも技術のことになると素人で大変なんですけれども、ともかく起こるのもある起こらないのもある、そうなりますと、先ほど来局長がいろいろ説明しておるのも、これは推定でしかないわけなんです。それだけに、つまり原子力の技術そのもの開発途上なんですね。何回か経験を繰り返して、この分野についての事故の可能性はこれだけ、構造上の欠陥はこれだけというので手直しをされ、そういう確定した法則ができておればいいのですけれども、何といっても途上なんです。だから、同じパイプでも腐蝕するところもあるし、腐蝕しないでいくところもある、こういうことだと私は思うのです。それだけにわれわれが最後に頼りにすべき技術について一二〇%信頼を寄せて——これはお互いの寿命でしたら、幾らお医者さんに頼っていても、どうもこれは運を天に任せる面がございます。しかし、およそ技術的なものだし、科学的な構造図則に基づいて設計されておるのですが、そういう開発途上の若い技術であるがために、念には念を入れて、安全審査の専門委員会原子力委員会の専門家の先生方もおるわけですから、当然そこでいろいろなチェックをしてくれなければ国民にとって手が届かないわけなんですね。これどうですか、ひとつ……。
  107. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そういうのが大事故につながらないように、それは厳密にやっておるわけです。小さいそういうものが起こると言うが、ドイツ等のように、同じ軽水炉、日本と同じものを輸入しておるわけですが、それを完全に材料から何から全部しっかり自分の技術にして、アメリカに頼らず自分でやれるようにできちゃったんですね。それでもやっぱり起こります。しかし日本は、自分で大事故の問題は解決しなければならない。そうでない、いまおっしゃった小さい故障ですね、それすら——それすらというわけじゃありませんが、そういうものに対する配慮といいますか、実際メーカーにおいてもあるいは発電会社においても、まだまだやっぱり研究は足らなかったのじゃないか。現在は故障する個所とか故障の態様も大体わかってきております。それからさっき話もありました原因も大体わかっておる。みんなその点に集中して、いま解決迫っておる最中でございまして、これは局長からも言いましたように、安全の問題として扱っていいのか、そうでなくて、むしろ炉がすぐとまってしまって安全には問題がないわけですから、安全の問題でなくて、採算とか電力の安定供給、予定した電力が出なかった、こういう面の対象にはなっても、安全自体という問題になりますと、その問題とは若干私、別だという気持ちがあります。
  108. 木原実

    ○木原委員 もうこれで終わりますけれども、私は冒頭に、特に行政の分野の責任というものを厳しく体制としても構造的にも確立をせよと言ったのは、そのことだと思うのです。どなたもいいかげんにやっているわけじゃないでしょうけれども。しかし国民にとりましては、これはともかく万一それが事故につながれば大変だということは非常に認識できるわけです。ですから、頼りにする専門家のところでのチェックに仮にも手落ちがあれば、そういうことになるわけですから、その責任のとり方というものはきちんとしろ、こう申し上げたのはそのことになるのです。  最後に伺っておきますけれども、こういう状態の中で、いろいろとかねてからの原子力発電の問題その他について開発の計画がありますね。こういう私どもから見れば、開発途上の技術を駆使して一体どれくらい日本——たとえば原子力発電なりあるいは船の動力に原子力を用いるというようなことも含めて、一体どれぐらいの限度といいましょうか、われわれから言えば、むちゃくちゃにつくられたのでは、それは大変だという感じがするわけです。いま建設をしている部分を含めて、これは行政上の問題として、かなりやはり押さえていかなければならないと思うのですが、長官のお考え方はどうですか。
  109. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ちょっとくどいようですけれども、フランスなどは油の問題が起きましてから、もう新しい発電は全部油を使ってはいかぬ、原子力発電によるべし。イタリアも同じであります。ドイツは原子力発電が大体半分ですね。アメリカは十カ年で二億四千万キロ、日本のいま全部の発電量の大体三倍。これは同じ炉です。ソ連の発電も同じ炉でやっているわけで、日本で使っているのと同じ炉です。どんどんそういうふうにしてやっているわけです。故障も小さい故障は各国で起きています。しかしながらどんどんやっております。しかし日本は、残念ながら必ずしもそうはいかない。そこにさっきからいろいろやりとりのあったような状況がございまして、それでもやはりそういうことのないようにするのが、これは一番いいことでありますから、一生懸命小さい故障もないように努力いたしますけれども、しかし現状を踏んまえて、そういう状況ですので、各国のように思い切った原子力発電に切りかえることができるかと言いますとできません。  できませんので、いままで六十年、六千万キロという目標でございましたが、ただいませっかく検討中でございます。総合エネルギー対策閣僚会議というものをつくりまして、ここでただいま非常にエネルギッシュに、私もその一員になっておりますが勉強中でございまして、恐らくはこの六千万キロという目標は、現実を踏んまえますと相当無理が出てくるのではないかという感じが実はしております。まだ最終的には結論は出ておりません。
  110. 木原実

    ○木原委員 終わります。どうもありがとうございました。
  111. 藤尾正行

    藤尾委員長 鬼木勝利君。
  112. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 科学技術庁設置法の一部を改正する法案について、まず一、二お尋ねをしたいと思うのです。  この安全局をつくられるということについて、「その安全性については、必ずしも国民から万全の信頼を得ているとは言いがたい状況にあります。」そこで、原子力平和利用という安全性確保のためには、まず「国民の理解と協力を得なければならない」これは私もそのとおりだと思うのですが、原子力基本法に三原則がはっきりうたってあるようですが、この三原則の自主、民主、公開、「原子力研究開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」こうあるのですが、今日までこの三原則が十分に得られておったかどうかと言うと、これは必ずしも国民の信頼を得ておったとは言いがたいと、こう皆さんの方にありますが、この三原則をどのように考えておられるのか、これからぽつぽつお尋ねしていきたいと思うのです。  まず最初に、この基本の三原則についてどのように考えておられるか、その御答弁をお願いします。
  113. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その根本は、平和利用、平和に徹するということでございまして、原子力研究開発利用平和利用以外にしていけない、これは厳重に守らせましたし、また、ただいま国民あるいはあらゆる階層で守っていることは御承知のとおりでございます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  そこで研究開発利用運営として自主、民主、公開の原則にのっとってやれ、こういうことでございまして、自主というのは、できるだけ日本の技術を開発して、そうして他国の技術のみに頼らずにいくべきであるというその点、あるいは研究その他に対して不当な圧力を加えたりなどしないようなという意味が大きい意味だと思います。それから民主の運営でございますけれども、これは特に私は原子力委員会に当てはまるものだと思いまして、従来のような官庁だけの行政運営ではなくて、広く民間あるいは学界等の識者の応援を得まして、そうしてその人たち一緒にこの研究開発利用をしていくべきだというのが、民主的な運営の姿だろうと思います。公開は、これは申すまでもなしに、研究の成果の公開であるはずでございまして、研究途上における公開は、法では別に認めておりませんが、ただ、成果そのものを全部公開するというのが意味するところかと申しますと、必ずしもそうではないのでありまして、いままでいろいろな問題がありまして、政府の統一見解もつくったのでありますけれども、これは商業上の機密に類するような事項、あるいは研究の成果を発表することによって今後の研究に非常な支障を来たすような事項等はその中に入らぬと解すべきではなかろうかというふうな、実はただいま統一見解にしてございます。  御承知のように原子力基本法は、原子力委員会あるいは原子力行政に携わる者のいわば憲法でございますので、その趣旨に沿うて間違いなく運用していくつもりでございます。
  114. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま長官の御説明を承っておりますと、すこぶる抽象的で、何ら具体性がないようですが、いままで同一局でやっておったのが今度安全局をつくる、それが自主的であり、それが民主的であるのか、そしていままで公開とはどういうことを公開されたか、そういう点については私は非常に不満に思うのです。今度の設置法の改正についてはどうも了解に苦しむ。原子力の安全確保をするために今度分離させて安全局を独立させる、それがぜひとも必要だ、だったらなぜそんな必要なことを最初からやらないのか。安全局をつくるということが必要だというのがいまわかったのか。  ただ開発開発だと言って、わけのわからぬような事業団なんかつくって、そして開発開発だ、開発が第一か、安全が第一か。いままでの行き方は開発を第一にして安全は第二、第三になっていた。開発第一、規制第二、安全第三、それがいまどうしてにわかにそういうことがわかったのか。余り人をばかにしたような話なんですよ。国民の不信を招いたその原因はどこにあるか、国民の不信を招かないようになぜ公開をしないか、なぜ三原則の徹底を図らないか。だからこういう問題がにわかに起きてくる。その辺のところをもう少し明快に答弁願いたいと思うのです。長官なんというのは、抽象的なことばかり言ってわからない。わかった者の話をはっきり聞きたい。
  115. 生田豊朗

    生田政府委員 先生の御質問、いろいろ多方面にわたっておりますので逐一お答え申し上げます。  まず第一に、原子力安全局というような機構が必要であるならば、なぜ最初から原子力局原子力安全局と二本立てにしなかったかという御質問でございます。これはわが国におきます原子力開発利用の規模の拡大、あるいはその水準の上昇というものとうらはらであろうかと思います。  御承知のように、約二十年前からわが国での原子力開発利用が始まったわけでございますが、当初の研究開発が主体の段階から徐々に実用化の段階に入ってまいりまして、現在では世界各国はもちろんでございますが、わが国におきましても実用化の段階に入っております。同時に、原子力の実用化の規模、たとえば原子力発電の規模にいたしましても非常に拡大しておりますし、今後も拡大する見通しでございます。そういう情勢に対応しまして、原子力に対する行政需要というのが非常に増大しているわけでございます。  特にその実用化の段階に入りましてそれが進展いたしますとともに、実用化段階の当然の結果といたしまして安全問題が非常に重視されてきたということでございます。したがいまして、実用化の段階を今後とも推進していくためには、まず安全の確保を図らなければその推進が非常にむずかしいということでございますので、先ほど先生の御質問の開発か安全かということにお答えいたしますならば、開発するためにはもう何よりも安全第一でなければいけない、安全なしの開発というのは考えられないというのが私どもの考え方でございます。  次に、基本法の三原則の問題でございますが、これも先ほど大臣から御答弁したようなことでございますけれども、特に公開の問題につきましては、国会でもいろいろ御質疑をいただいております。  この公開につきましては、私どもできるだけ公開するという方針で進んでまいりまして、特に最近では、大部分の資料その他は公開する原則で進めております。ただ、問題といたしまして、原子力基本法といたしましても憲法の制約は受けるわけでございます。したがいまして憲法の規定、たとえば財産権の保護というような規定に抵触いたします場合には、公開の原則は当然制約されるということでございますので、先ほど大臣の御答弁にありましたような財産権の保護、たとえば特許権あるいはノーハウの保護、いわゆる企業機密ということでございますが、そういうものについては公開できないものもございます。ただ、企業機密という名前に隠れまして、公開できるものまで公開しないでおくということは一切考えておりませんので、その点、やむを得ず公開できないものはできるだけ限定してまいりたいという考え方で進めております。     〔木野委員長代理退席、越智(伊)委員長     代理着席〕
  116. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうもあなた方の説明ははっきりしないが、いまあなたのおっしゃったのは、研究開発をして、今日はもうその実用化の段階に入っている、だから安全ということが必然的に大事な要件になるのだ、いままでは研究開発であって、実用化ではない、こういう御答弁だった。であったら、実用化の段階に入る、すでにあの「むつ」をあなた方は船舶事業団によってつくって、そしてすでに実用化せんとしたじゃないですか。じゃなぜ、そのときに安全化を図らなかったか。どうもあなたの説明は矛盾するじゃないか。おかしな話。開発研究段階を経て「むつ」を海上に浮かべたじゃないか。そしてこういう大失敗を起こした、しかもその責任のなすり合いをしている。いまあなたの答弁は全然答弁になっていない。だから安全局だなどというのは思いつきでいまやったのか。何ら理論的にはっきりした根拠がない。その点もう一度。
  117. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいまの私の御答弁申し上げましたのは、多少不十分でございましたが、研究開発段階では安全性の問題は必要ないというように申し上げたつもりではございません。  研究開発段階と申しますと、いわゆる環境、これは住民と申しますか環境と申しますか、そういうものへの接触の程度がそれほど大きくないわけでございます。しかし研究開発段階でも、接触の程度が大きくないと申しましても、当然安全を重視することには違いございません。同じでございますので、原子力行政といたしましては当初から安全には力を入れてきているわけでございます。ただ、私が申し上げましたのは、次第に実用化の段階に入ってきて、原子力開発利用の全体の規模が大きくなってきた、大きくなってくると、それだけ環境なり住民なりへの接触の程度が当然大きくなる、しかもその開発の規模が大きくなるにつれまして安全性の重視の仕方も当然大きくなってくるということで、安全行政の全体の行政の量としてのウエートが非常に大きくなってきたということを申し上げたわけでございます。
  118. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうもあなたは、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う。開発段階だから安全ということはいまにわかに起きたんじゃない、前からあったんだ。前からあったのだったらなぜ安全性の確保をやらないか。そして「むつ」のようなああいう大失敗を起こす。あなたの言うことは支離滅裂だ。そんなことを言ったって話にならぬ。安全局をつくって「これを強化することにより、安全確保の明確な責任体制を確立することが是非とも必要と考えるものであります。」それでは、明確な責任体制を確立することが是非とも必要だったら、いままで明確な責任体制というものをつくっていなかった、科学技術庁は最も無責任きわまる、これはそのように理解しますよ。これはだれが考えたってそう考えますよ。あに私一人のみならんや。安全確保の明確な責任体制を確立することが是非とも必要だ、こうあなた言っているじゃないですか、科学技術庁が。いいですか長官、おたくがそうおっしゃっているんですよ。だったら、明確な責任体制はいままでできていなかった、国民を愚弄するもはなはだしい。何が自主、民主、公開だ。その点をひとつ……。  私は、何も理屈攻めをしているんじゃありませんよ。本当にこんないいかげんなことをやったのでは困るのです、実際の話が。ただ開発開発だ、開発の先走り。将来、五十一年度とか二年度とか言っておられたようですが、三千万キロワットに原子炉を拡大したい、通産省はそういうことは不可能であろう、こう言っている。そういうただ開発で先走りばかりやっておる。「むつ」の原子炉の問題でさえまだ解決しないのに、もうすでに六千万キロワットの原子炉の拡大開発をやろう、大体何を考えておられるのか。五十二年、三年くらいにはと言っても、その当時のその時点における経済情勢等もありましょう、人口問題もあるでしょう。アメリカのまねばかりなさろうとしても、アメリカと日本国内情勢が違う。国土、人口、生活様式、経済情勢全部違う。そういうことばかりをあなた方はやろうとなさっておる。それがいまごろになって安全局をつくってくれなんて、どういう根拠のもとにそんなことを言っているんですかね。そういうふうな点をもう少し明確にお答え願いたい。
  119. 生田豊朗

    生田政府委員 少し時間をちょうだいいたしまして考え方を御説明さしていただきます。  まずエネルギー問題でございますけれども、ただいま先生が御質問になりましたように、昭和五十二年度あるいは五十三年度に三千万キロワットの原子力発電を建設しようという計画は、私ども持ち合わせておりません。原子力発電の長期計画といたしましては、三年前の昭和四十七年に原子力委員会がつくりました長期計画がございまして、昭和五十五年度で三千二百万キロワット、昭和六十年度で六千万キロワットということを計画として持っております。  ただ、先生承知のように、最近は、立地問題を中心にいたしまして建設が非常に難航しておりますので、計画がかなりおくれておりまして、現在の見通しでは、昭和五十五年度に約千七百万キロワット弱くらいであろうかと考えております。すなわち、当初の計画の半分強の水準までしかいかないであろうというように考えております。この点につきましては、通産省も同様の意見でございます。  昭和六十年度の六千万キロワットがしからば果たしてどうかということにつきましては、ただいま検討いたしてはいるわけでございますけれども、昭和五十五年度が千七百万キロワット弱ということにいたしますと、それから後の五年間に六千万キロワットまで持っていきますことは非常に困難であろうかと思います。どの程度がいいのかということを、ただいま通産省と協力いたしまして原子力委員会でも御審議を願いまして検討しているわけでございますけれども、ほぼ四千万キロワットから五千万キロワットの間ぐらいではなかろうかというような感じでございます。細かい数字はこれから詰めてまいることになろうかと思います。  そういうことでございまして、無理やりに、ごり押しに原子力発電開発を進めていくという考え方は毛頭ございません。最近の原子力発電所の建設計画がなぜ停滞しているかということは、いろいろの原因がございますけれども、その一つの大きな原因が安全性に対する国民全般あるいは地元の住民の御理解が不十分であるというように考えております。したがいまして、あらゆる手段を用いましてこの安全性の御理解を深めていくということが、結局は原子力発電の建設をスムーズに行うのにも通ずるものであるということでございますので、安全性を無視して進めるということは、これはもう策として最大の愚策であるというように考えておりますので、まず安全性を確保しなければいけないというように考えておる次第でございます。  それでは、その安全性を確保するにはどうしたらよろしいかということでございますけれども、これはまず第一は、先生の御指摘になりましたような政府の部内の体制を確立することでございます。この政府の部内の体制の確立につきましては、ただいまも原子力安全局をつくって責任体制を確立するというのでは、いままで責任体制がなかったのかというおしかりを受けたわけでございますが、そういうことではございません。行政体制と申しますものは、ゼロから一挙に出発するということではございませんので、やはり段階的かつ前進的に改善すべきものは改善していくということが一番円滑かつ合理的なやり方であろうというように考えておりますので、従来とも責任体制はあるわけでございますけれども、それを原子力安全局設置という方向によりましてより明確化していこうということでございます。現在の体制原子力安全局設置後の体制とを比べますと、その点、いままでがゼロであって、安全局であれば百になるということではございません。従来もそれは十分責任体制はあったけれども、よりそれが明確化される、よりしっかりした体制が確立されるということであろうと考えております。  それから「むつ」の問題でございますが、「むつ」の問題は、先生承知のように非常に社会的、政治的な広がりを持った問題でございまして、私ども一同深く反省する点が多いわけでございます。ただ「むつ」の昨年秋に太平洋上で起こしました放射線漏れそれ自体は、原子炉の故障としてはそれほど大変なものではございません。これは漏れた放射線の量も微弱でございますし、その放射線漏れの原因の究明も遮蔽に問題があるということで専門家の間で一致いたしております。ただ、あれだけ世間をお騒がせした問題でございますので、この際、政府の安全確保に対する姿勢を明らかにするためにも、もう判明した原因に対する対策だけではありませんで、「むつ」の原子炉あるいは船体の全体につきまして、改めて総点検をし直すという異例の措置を講ずるよう原子力委員会でも決定したわけでございまして、この際、総点検をする、それで安全性をもう一度確認いたしまして、それを国民の前に明らかにして、さらに原子力船の開発を継続いたしたいということでございます。  したがいまして、もしも「むつ」の原子炉が非常に重大な事故を起こしまして、これがわが国におきます軽水炉というものの本質にかかわる問題であるということでございますと、確かに先生の御指摘のように同じような軽水炉を発電用に使うことも全部やめなければいけないということになろうかと思いますけれども、私どもはそう考えないのでございます。発電用の軽水炉につきましても、いろいろ細かい故障は出ておりますけれども、大きな事故というのは、わが国のみならず世界各国を通じましても一つも出ておりません。むしろ現在の安全性の問題と申しますのは、軽微な故障がさらに発展して大きな事故にならないようにそこで食いとめる、軽微な故障のところで食いとめる、これが安全性の確保でございまして、そこに一番重点を置いているわけでございます。  そういうわけでございますので、従来からの体制が全く国民の安全を無視したということでもございませんし、これからさらにそれを強化していくという考え方原子力安全局設置いたしたい、かように考えております。
  120. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまのあなたの御説明は非常に苦しい御説明であって、あなたの立場としては本当に私は同情する。こんな苦しい答弁はない。いままで安全性はありました、あったけれどもゼロではありませんと言う。これはゼロじゃない、幾らか五%か一〇%はあった、安全ではなかったがゼロでなかったものを今度一〇〇%にする、こういうわけなんです。ゼロでなかったものを一〇〇%にするというならば、そこに五%か一〇%あった、こういうことです。そういうでたらめなことをやっている、あなた方の御答弁はまことに不徹底です。そういう御答弁ではわれわれは納得できない。  現に「むつ」の問題にしても、あんな見苦しい責任のなすり合いをやっている。船舶事業団はわれわれじゃない、われわれは十分やった、それは運輸省だ、運輸省は原子力局だ、原子力局はいや政府がやれというからやったと言う。いままで安全ということに対しては、本当に明確に私どもは責任体制もとっておったと言うけれども、いささかもそういうことはない。これは私、余り言うとやかましく言うことになるから、関連的にずっとこれから続けていきますけれども、あなた方の答弁は全然なっていないのです。その点はっきり私は烙印を押しておく。科学技術庁なんと言うけれども非科学技術庁だ。すこぶるまずい。  そこで、これをさらに明確にいたしますと、いまの御答弁ですが、そうなれば今後は少なくとも責任体制が現在よりもずっとはっきりしてくる、もしこういう問題が起こったならば——そんなことがまた起こっては困りますけれども、原子力局長は全責任をこれから負いますか。いまは原子力局長だけれども、今度安全局長でもできれば、一切の責任安全局長が全部とりますか。責任の所在を明確化する。「今後はそういうことのないように、さらに責任体制を確立することがぜひとも必要と考えるものであります。」では、将来二度とこういう失敗があってはなりませんけれども、こういう場合には、もし安全局をつくれば安全局長が全責任をとるのか、だれがとるのか。これもすこぶる不明確です。その点……。
  121. 生田豊朗

    生田政府委員 現在私が原子力局長でございますので、安全局の所掌事務に相当いたしますことも担当いたしているわけでございます。それで、これは折々原子力局の中でも話していることでございますけれども、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、軽微なものは別といたしまして、もしも原子炉あるいは原子力発電所というようなものに非常に重大な事故が起こったという場合はどうするかということでございますが、そのときには現在の体制原子力局長責任をとるということは当然だと考えます。そのほかに関係省庁でさらに責任をとるものが出てくるかもしれません。しかし、それとは別に、事原子力に関します限り、原子力局長責任を負うというのが当然だと考えております。
  122. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 責任のなすり合いはないということ、今度責任体制を確立するといういまのお話で大体わかりました。  次に、私がお尋ねしたいと思うのは、五月十三日総理府の「むつ」放射線漏れ問題調査委員会では「初めての経験である原子力船を建造するに当たり、技術経験の蓄積から開発責任体制、地元民への協力要請まですべて不備であった。」よろしゅうございますか。自主、民主、公開という点で三原則に関係がありますよ。いいですね。「今後第二船を建造するに当たっては」これはつくるかつくらぬかわからぬけれども、「科学技術庁、運輸省の監督体制開発事業団の開発体制原子力技術の事前チェックなど総合的に再検討する必要がある。」このように調査結果をまとめて三木総理に答申をしておる。  そこで、科学技術庁はどういうふうにこれを考えて受けとめておられるのか。いま私が読んだのはわかりますか。どのように受けとめておられるか。あなた方はいままで、安全性は十分に守っておりますとか、確保しておりますだとか、いま急に安全性のことを言っているんじゃありませんとか、るる述べられた。すこぶるあいまいなことをいかにももっともらしく述べられた。ところが、ここにはっきり「すべて不備であった。」このように指摘されておる。これに対してはどういうふうにあなた方は受けとめていらっしゃいますか。
  123. 生田豊朗

    生田政府委員 大山委員会報告書のただいま先生がお読みになりましたそのくだりは、大変ごもっともな御指摘だと思っております。したがいまして、大山委員会報告書の中に盛られております勧告の線に沿いまして、今後、原子力第一船の「むつ」の原子炉の総点検あるいは改修、さらにその後予定しております出力上昇試験、あるいは実験航海、そういう各段階につきましても、今後の第二船の開発につきましても、技術水準の確保、向上、あるいは開発の各部門、各段階につきましての調整、連絡の密度を高めること、そういうことを十分やってまいりたいと思っております。  ただ、大山委員会報告書を全部お読みいただきますと、そういうことはあっても原子力船「むつ」というものは、技術的に一応の水準に達しているものであって、適当な改修をすれば十分今後も使える、安全に使えるのだということをその報告書は同時に言っているわけでございます。ただいま先生がお読みになりましたくだりだけでございますと、全く原子力船「むつ」の開発はでたらめであった、まさに支離滅裂であったというように考えられがちでございますけれども、実はそうではございません。部分的には確かにそういう問題がございまして、この点は反省もいたしておりますし、今後その線に沿って対処いたしたいというように考えておりますが、原子力船といたしましての「むつ」の基本的な問題あるいは安全性につきまして根本的に問題があるというようには考えておりません。部分的な問題であった。ただ、その部分的な問題がああいう事件に発展いたしまして、原子力全般の安全性にまで影響を与えるようになったということは大変遺憾なことである、その点は深く感じております。
  124. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまのあなたの御説明、それはそうだろうと思うのです。また私もそんなには思いませんよ、「むつ」が一から十まで全部だめだったんだ、そんなことは言いやしませんよ。そんなことはあるわけはないのです。国民のとうとい血税によってできた船が一から十まで全部でたらめの船であったなんて、またそんなでたらめの船を海上に浮かべるはずはないんですよね。そんなことを私は言っているのじゃないのです。しかし一点たりとも不備な点があれば、それは大変な問題ですよ。それはそうでしょう、こういう精巧な船ですから、それはりっぱなものであったでしょうけれども、一点でも不備な点があれば。  で、調査委員会報告書では「原子力船事業団は技術的能力に欠け」と書いてある。そうすると、またあなたに言わせると、十分ありましたけれども一部は欠けておったかもしれません。——そういう子供だましみたいなことを、大事な時間で論議しようなんてわれわれは思っていない。九九%はよくても一%でも悪ければ、九仭の功を一簣に欠くということがあるじゃないですか、千丈の堤もアリの穴からということがあるじゃないですか。どうですか、そうでしょう。ですから「技術的能力に欠け」こう指摘しているのだ。だから、全体的な推進体制としては十分と言えない。十分と言えないということは、九十何%くらいいいかもしれぬけれども十分とは言えない。あなたの論議なんか子供としている論議であって、もう少し次元の高い論議をしなさいよ、原子力局長とか何とかいって何の局長か知らぬけれども。調査報告書にも全然だめだなんてことを言ってないじゃないか。十分と言えないと書いてある。調査委員会報告書はなかなかりっぱな報告書ですよ。  しかも原子力船事業団というのは、これは時限立法でしょう。推進体制としては十分と言えない、技術的能力に欠けている点があると書いてある。だから、これをひとつ改組する気持ちがあなた方にはあるのか、これは長官にお尋ねしたい。  「目的」として「日本原子力開発事業団は、原子力基本法」さっきの三原則だが、「基本法の精神にのつとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することを目的とする。」原子力利用の促進どころか逆じゃないか、あんな船をつくって。候補地はいろいろあるけれども全部反対ばかりしている。  後でまたお尋ねしますけれども、佐世保ではちょっと変わったケースが出ておるけれども、どこでも全部反対しておる。原子力利用の促進にいささかもなっていない。原子力利用は全部反対しろというふうになっている。それから「原子力基本法の精神にのっとり、」基本法の精神にはのっとっておらぬじゃないか、船舶事業団は。基本法の精神と言えば「原子力研究開発及び利用は、平和の目的に限り、」と書いてある。いささかも平和じゃないじゃないか。「むつ」のために大混乱を起こしている。原子力基本法は、国民に一石を投じて混乱を起こせというのが目的じゃない。これでもかこれでもかといって目的に逆行している。そんな船舶事業団、これを継続存続させるなんてとんでもない。こういうようなのは直ちに私はつぶすべきだと思う。つぶさなきゃ承知しない。もしつぶさないのならばどのようにこれを改組するのか。     〔越智(伊)委員長代理退席、木野委員長     代理着席〕  いや、これは私が文句を言っているのじゃない。調査委員会報告書に載っている。いま私が読んだとおりだ。何回やっても同じことだ。だから、鬼木やかましいことを言うなとあなた方思ったってだめだよ、私じゃないよ。その辺のところもあなたよく受け取らぬと、ちょっと頭が妙なふうですよ。はっきりしなさいよ。
  125. 生田豊朗

    生田政府委員 一つ先生が誤解をしていらっしゃいますので、ぜひ誤解を解いていただきたいと思います。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕  原子力基本法に申します平和利用と申しますのは、軍事利用に対比するわけでございまして、たとえば原子力潜水艦をつくるとか、原子力航空母艦をつくるとか、あるいは原子爆弾をつくるとかいうことはやらないというのが平和利用でございますので、「むつ」で確かに社会的な混乱は起きまして申しわけございませんけれども、その社会的な混乱が軍事利用だということにはなりませんので、その点ぜひ御理解をいただきたいと思っております。  原子力船事業団でございますが、明年の三月末で一応存続期間が切れるわけでございます。現在その後をどうするかということにつきまして、原子力委員会の中に各界の専門家にお集まりをいただきまして、原子力懇談会というのをつくりまして、現在御審議いただいております。その御審議いただきます項目の中に、今後原子力開発事業団をどういうふうに持っていくかということも含めて御審議いただいておりますので、その結論を待ちまして対処いたしたい、かように考えております。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 原子力利用ということは平和利用だ、軍事的利用でない、それは当然でしょう。そんなことをしたら大変なことになりますよ。わが国は、非核三原則ということは、これは国是ですよ。三木さんも非核三原則というのは絶対なものだ、いついかなる場合でもこれは絶対不変だと。その上に立って核防条約というものを審議しているんですよ。そんなことはあなたが説明せぬでもね。どうもあなたの説明はね、あなた、小学校か中学校にひとつ行ったらどうかなあ。そうしたらいいよ。その程度ならいい。私は、かつて校長も十年間ばかりやってよく職員を知っておりますけれども、あなたは適任だね。国会でそんな答弁されたんじゃ話にならぬよ。  少なくとも原子力の三原則に従った基本精神にのっとって、協力する機関が逆に国民を混乱に陥れるようなことをやっているということになると、これは当然よくないじゃないですか。軍事力に使っているんじゃない、そのぐらいなことは当然わかっているじゃないですか、平和の目的だもの。私、そんな説明を聞いているんじゃありませんよ。これは当然改組する、それで国民皆さんに納得のいけるような船舶事業団をつくります、こういうことだな。大体船舶事業団なんて、あんなわけのわからないものをつくるのはぼくは反対だけれども、どのように改組されるか、その上でまた論議したいと思うんだけれどもね。  あなた方の話は、自主、民主、公開じゃなくして、いまどこで審議しております、いまどこで懇談会でやっております、いまだれがやっております、その決定を見まして、その決定が、いや七月だとか八月だとか言うけれども、そういうすべての万全の体制ができてから安全局をつくったらいいじゃないの。まだ何もできてない。「むつ」の解決すらまだできていない。何にも解決ができていない。そして先走りばかりしている。そして安全局長をつくる。役人の安全局をつくるのか、そこのところをはっきりせぬとね。官僚安全局か、ははあそういうことかな。  長官は黙してじっと聞いていらっしゃる。本当におかしいですよ、長官。これは時間があれば私はまだどんどんやるんだけれども、きょうは委員長からのたってのあれで、少し質問時間を短くしてくれと言う。ほかならぬ委員長お話だから、少し割愛して早くやめようと思っていますから、余りやかましく言わぬから安心してひとつ……。どういうふうに船舶事業団については考えていらっしゃるか、もう一度その点を。
  127. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力開発事業団につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように時限立法でございまして、明年の三月末で存続期間が一応切れるわけでございます。  一方、原子力船「むつ」をこれからどうするかという問題でございますけれども、基本的な問題は、またおしかりを受けるかもしれませんが、原子力懇談会で御検討いただいておりますが、われわれの考え方といたしましては、できるだけ早く原子炉及び船体の総点検をいたしたいという考え方でございます。これは放射線漏れを起こしました直接の原因でございます遮蔽だけではありませんで、全部にわたって点検をいたしたい、これが第一でございます。  点検が終わりましてふぐあいな個所が発見されました場合は、当然これは修理をいたしまして、つまり原子力船全体としての安全性を再確認いたしたいと思います。再確認いたしました上で出力上昇試験を再開いたしたいと思います。これは実は、昨年の秋に出力上昇試験の第一段階の途中で放射線漏れを起こしまして、ああいう問題にまで発展いたしました。そこで中断しておりますので、出力上昇試験をその後の段階に沿いまして再開し、進めてまいりたい。これが恐らく六カ月くらいかかるだろうと思います。その後は、出力上昇試験が終わりました後、実験航海を約二年間やる予定になっております。実験航海と申しますのは、原子力船として、原子炉を使いまして船を動かしながらいわゆる遠洋航海をやるわけでございます。遠洋航海をやりまして、原子力船としての性能をそこでさらに確認し、検討いたしますし、あるいは各国の港に出港し入港するその訓練、あるいは航海につきましての乗員の訓練、そういうものをやりまして二年間の実験航海をする。とりあえずそこまでの段階を決めております。  したがいまして、今後総点検、修理、出力試験、実験航海ということになりますと、それの終了までに相当の年月を要することになりますので、それを推進する母体といたしまして原子力船事業団はぜひ存続させたいと考えております。  ただ先ほど来、先生からたびたびおしかりをいただきました、その原子力船事業団の機構なり運営の問題でございますが、その点につきましては、大山委員会報告書で指摘されました諸点を十分考えまして、特に技術水準の強化、それから開発体制の強化、そういう点に中心を置きまして、今度こそ間違いのないように原子力船事業団の全体としての体制の強化を図ってまいりたいというように考えております。
  128. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 「むつ」の問題については、その問題だけでも一時間ぐらい要るんだけれども、それに関連してこれは長官にちょっとお尋ねしますが、先般佐世保市長が、「むつ」は原子力燃料棒ですか、あれを抜けば別に安全性ということについては心配は要らない、修理港としてならば佐世保に迎えてもいいというような見解を新聞で発表しておる。そこで政府としては、どういう要件が満たされれば正式に受け入れ要請をされるつもりか。たとえて言うならば、地元市民の、あすこは御承知のとおり被爆地ですからね、だから市民感情がどういうふうになっておるか、あるいは市民の六割が賛成すればどうだとか漁連が賛成したらどうだとか、あるいは議会の議決ができたらどうかとかいろいろ要件はあると思うのですが、正式に政府としてはこれに——長官じゃないけれどもある人なんかは、受け入れてもらえばそんなありがたいことはないというようなお話もあっておりましたが、政府としてはどういう態度でこれにお臨みになるのか、すでにもう佐世保を母港化しようというお考えがあるのか、その辺のところをお漏らし願いたいと思う。
  129. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど局長からもお話し申し上げ、また鬼木先生からも御指摘がございましたように、第二定係港、母港を早く決めようとしていままで努力してまいったのですが、予定地では、対馬のときのように、またその他の地点でも大体同じような見解のようでございますけれども、いまつないでおる船自体は安全なことはよくわかります、しかし、これを修理し総点検をしなさい、そうすればりっぱな船になりますという大山委員会結論が出ているわけですから、どうでしょうか、ひとつ母港に持ってくる前にそういう修理、総点検をして、現物自体はこのとおり大丈夫でございますということであれば、受ける方も利害関係者等に説くのにも説きいいという大変強い希望があるように承知しております。これは当然の一つの希望かと存じます。そういう希望にこたえる意味もありまして、いままでのように、とにかく第二定係港を決め、いままで港がないところでは港を新しくつくってそこで修理改善をする、総点検をするという考え方のみにとらわれるのもこの際いかがであろうか、それも一つの考えだけれども、しかし、おびえる地元の皆さんの気持ちを考えれば、その以前に修理、点検ができるものであればその方がいいのじゃないかという考えにだんだん立ってきておるが、実際やってみまして、好むと好まざるとにかかわらず、よしあしじゃなしに、そういうのが現実のようでございますので、できればそういう方向でと思っておりましたところ、佐世保の市長さんがああいう発表と申しますか意思表示をなすったようでございまして、まだ私どもは正式に佐世保の市長さんと談合しておりませんし、具体的にまだ話も進めておりませんが、しかし大変ありがたいなという感謝の気持ちで実はいっぱいでございます。  それから、いまお話しのように、修理するのには燃料棒を抜く必要があるかどうかというお話でございますが、これはいま原子力事業団で修理方法を非常に各界の優秀な技術者が集まりまして検討中でありまして、まだ結論が出ませんのではっきり言えませんけれども、二論ありまして、燃料棒を抜かぬでも修理はできます、いや抜いた方がいいだろうという議論に実はなっておりまして、もし抜かぬでも修理ができますということになると大変実はやりいいことだと私思っております。  それから、佐世保との交渉を進めるに際してどういう心がけかというお話でございますが、もしこれから交渉を進めるとしますれば、向こうは国際的な環境下にある港でございますから、それに相応するようないろいろな対応策も考えなければいけませんでしょうし、あるいは現地との交渉等も、市長さんがせっかくそういうおぼしめしであればよく市長さんの御意向も聞いて、相ともども問題の処理に、言いかえるならば地元の皆様の合意を得るように努力をして円満に解決いたしたいというふうに考えております。
  130. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 よくわかりました。そうしますと十月でしたか、「むつ」の母港移転をめぐって、自民党の鈴木善幸氏が政府代表としていろいろ話し合いをされた。そして八月末までには結論を出す、だから年内には「むつ」は新母港に引き取られると思う、そういう見通し政府代表として明らかにされておる。その点については、いま長官は佐世保とはまだ何も正式に話し合いはしていない、非常にありがたいことだ、感謝をしておるというところまででとまっておるようですが、年内に解決ができるのか。なおまた鈴木善幸氏が、長崎県以外でも地元の誘致体制が十分であるならば遠洋漁業の基地も挙がっておる、こういう話もされておったようですが、そうすると、かつていろいろ問題になりましたね、対馬だとか鹿児島の甑島とか、いろいろ候補地も挙がっておったようですが、そういう鈴木善幸氏の政府代表としての話は、一応これはもう白紙に返ったということですか。それともそのまままだ話は続いておるのか。
  131. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 鈴木善幸先生は、去年の初頭青森県で「むつ」の問題が起きました際、地元の漁民の皆さんがとびらを閉ざしてなかなか交渉に応じないものですから、特に漁民関係に権威者である鈴木さんをお頼みして、政府代表として全権を委任して現地で交渉し、妥結したことは御承知のとおりでございます。その妥結いたしましたのを、政府むつ問題なんとか処理懇談会、閣僚会議がありまして、そこで受け取りまして、そこで決定いたしまして政府として受け取ったわけであります。そのときで任務は終わっているわけでございます。ただいま鈴木先生政府代表でも何でもありません。ですからお説のように、鈴木先生お話政府の意思だととられますと大変困るのでありまして、そういうことはございません。  それから、八月の中途かあるいは年内いっぱいとかいうお話もあるようですけれども、これは私ども全然関知していないことでございまして、個人的な意見かと存じます。
  132. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは、それはその程度にとどめておきます。  次に、行政管理庁だれか来ていますか。——行政管理庁は、本年度の第一・四半期に実施する行政監察計画として、原子力行政に関する特別調査を行っておる。この特別調査は五十年度から初めて実施しておる。ところが、私は不思議に思ったのですが、内容というか、性格がすこぶるわからない。一般の中央計画監察というようなことがここに書いてあるが、これじゃなくして、特別調査ということについて、これはどういう性格のものか。五十年度から初めて始めたものだが、その辺の事情を承りたいと思います。
  133. 大田宗利

    ○大田政府委員 特別調査という名前でございますけれども、これが的確であるかどうか、これはまだこれからの問題であって、この名前が特に適当でないということになれば、われわれとしても変えようと思っていますが、行政管理庁権限は、二条の十一号にありますように、行政の実施状況につきまして監察し、必要な勧告を行うということでございます。  そこで、いま監察をやっている行政管理庁体系といいますか、それは全国的にやります中央計画監察でございます。地方監察、それから個々の具体的な行政ということではなくて、行政機関全体の運営あるいは体制というものを見ます機関別調査というのもやっております。これが行政管理庁の調査の体系でございます。中央計画監察というのは、中央で計画いたしまして、全国的に実施する、そして、その結果必要な勧告をするということになっております。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕  ここでいまの行政を見ますと、いろいろな問題がございます。たとえば行政の空白的なもの、各行政機関の共管あるいは競合によりましてその間隙が出てきておるかどうかという問題、それから各省にまたがります物価の問題、そういう問題がいろいろ出てきておるわけでございます。空白行政で申し上げますと、これはこの前も許認可で御審議いただいたのですけれども、整理ということばかりでなくて、つくる場合のチェックは実際統一的に行われるのかどうか、そういうものの所管の省庁があるのかどうかというような問題、あるいは公益法人の認可の問題にいたしましてもそういう問題がございます。その他行政上の問題といたしまして、いろいろな暴力問題によって被害が起きるというような問題のときに、本当にそれが補償できるのか、そういうテロ問題とか、いろいろ空白的な問題が出てくるわけでございます。そういう問題の実態というものは、全体としてどこが把握するのだろうかということを考えてみますと、やはり行政管理の一環といたしましてそういう問題も把握する必要があるのじゃなかろうかということで特別な調査と言いますけれども、これは実は権限は同じでございまして、特別調査と言いましても監察の権限のもとに置いてやるという考え方でございます。  そこで、一・四半期にやりました原子力の特別調査でございますけれども、これは監察という問題で当初いろいろ取り上げるべく検討いたしたわけでございますが、原子力行政全般につきまして、体制の問題もありますし、あるいは安全性のチェックの問題もございますが、そういう問題全般について調査を実施するということの方が、今後原子力行政の監察をやる場合にもよりいいのじゃなかろうか。特に中央計画監察というのは、計画をつくる段階ではある程度問題意識を持つわけでございます。しかし特別調査というのは、そういう問題意識によって計画をつくり、それによって勧告するということではなくて、むしろ原子力行政の安全性を中心として、どういう体制で、どういうやり方で、どういう審査方法でということを全般的に見たい、こういう考え方原子力行政について一応やったというわけでございます。
  134. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 特別調査というのは、いまのあなたの説明ではちょっと納得ができないのです。「特別調査は、行政が空白となっているもの、」原子力行政は空白となっているんですよ。いいですか。これは科学技術庁もよう考えてくださいよ。行管の方に聞いているからわれわれには関係がない、冗談じゃないですよ。「行政が空白となっているもの、」それから「各省庁共管」まさにそうですね。今度の法案なんかもみんなそうです。通産省にも関係がある、運輸省にも関係がある。おたくと科学技術庁共管ですよね。「各省庁共管等のため実態はあくが不十分となつているもの、その他監察として実施することが適当でないもの等について」これはいいですな。だけれども、問題は「行政が空白となつているもの、各省庁共管等のため実態はあくが不十分となつているもの、」こういうものについて「全国調査網を動員し、政策の立案推進等に必要な資料情報を具体的にはあくしようとするものであり、」と書いてある。そこで「昭和五十年度においては、昭和四十九年度に引き続き、物価対策のほか、」これはいいでしょう。「原子力行政等について実施する。」原子力行政だけですよ。しかも原子力行政は空白となっている。原子力局長、これをどういうふうに考えられますか。
  135. 生田豊朗

    生田政府委員 私どもは、原子力行政が空白になっているとは考えません。行政管理庁が特別調査を実施いたしますのは、恐らくその第二の方、各省庁間にまたがっている行政、それを適用されて特別調査をやるということであろうと考えております。
  136. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはそうでしょうね。空白とはなっておらぬな。大抵でたらめであるけれども空白とまではなっていないようだ。  それで、行管にお尋ねしますが、一般の中央監察ならば、これは監察をしたら勧告をするでしょう。また勧告を受けたら、それに対して勧告に対する処置をこういうようにしました、それによってまた再勧告もできるわけですね。ところが、これには勧告の義務がない。勧告しない。ただ行政監察局が調べるだけで勧告はやらない。したがって、調査された方も何も義務もない、報告する義務もない、何もない。したがって、規制力もないわけだ。だから特別調査を行管の方でただやって、じっとそれをしまっておくだけなら、これは何のためにやるんですか。全然意味がないじゃないですか。しかも「全国調査網を動員し、」と書いてある。莫大な人と労力と金と時間を使っている。それだけの総力を挙げて特別調査をして、勧告するでもない、知らせるでもない。したがって、調査された方は何もわかりもせぬ。わからぬから報告する義務もない。何のためにそれを調査して、それをじっとどこに置いておくのか、調べたことを。とんでもない。大体特別調査というものの性格はぬえ的存在だ。何のためにこんなことをやるのか。  ぼくはやって悪いとは言っていない。それはそれで必要であれば結構です。だけれども、やったからといってこれは何も公表しない。労してかいなし。しかも「行政が空白となつているもの、」原子力局長は非常に穏健なりっぱな方だから、二番目の方に適当するので一番目は私のところはそんなことはないと思いますと、行政監察局長が横におってじろじろにらんでおるから、ここはうまく言っておけばよかろうというので、局長も政治家だな、あなたの立場を援護して言っているけれども、こんなのはふざけているよ。大体こんな無礼千万な「行政が空白となつているもの、」を特別調査するんだなんて……。
  137. 大田宗利

    ○大田政府委員 ただいま先生から事後どういうふうな取り扱いをするかということで、改善措置も、相手方からの回答も、公表も何もやらないじゃないかという御指摘でございますけれども、実は取り扱いにつきましては、改善の措置というものはとるという方針で考えております。それから公表ももちろん考えております。ただ「空白となつている」という問題につきましては、こういう行政についてはこういう行政をやるべきだのに、体制が弱いとかあるいはその他の理由でほとんどやられていないという問題につきましては、これは改善勧告ができるわけでございます。ただ、そういう理由以外の理由で空白となっているものについては、これから行政としてどう対応するかという問題になろうかと思いますので、勧告先というものはなかなかむずかしいという問題があろうかと思います。  たとえて申しますと、ただいま申し上げましたような、現在すでに行政が行われてないものがございます。しかし行われてないために、それが国民のためにならないのだ、何か行政をそこに行う必要があるのだという場合には、やはり何らかの対策、対応策というものをとらぬといけない。特に最近は、変化の激しい時代でございますので、いろいろそういう現地的な問題もございます。ただ、それを現地の問題ということに終わらせずに、やはり全国的に発生する状況というものを一回つかんで、そしてその上に立って今後行政をどういうふうにやればいいかというその対応策も検討しようということで、その面につきましては、相手先というものがすぐないということで、どういうふうな方法をとるかということは検討しないといけないと思いますけれども、その他につきましては、これは改善策もやはり相手方に示して改善策をとろうと考えておりますし、それからもちろん公表につきましては、一般の監察と同じように公表はするという考え方でいるということでございます。
  138. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなた考え方をいま述べたのであって、従来それでは特別調査をして、そしてそれを相手方に勧告をしましたか、あるいはまた発表しましたか、公表しましたか。やっていない。いまここであなたがそんなことを言うが、公表はしていない。  しかも空白ということを、いまあなた説明されたけれども、これは舌足らずで行政の空白、一部あるいは特別な空白となっている部分とかいうことならわかるけれども、こんな書き方、だれが書いたか知らぬけれども、むちゃですよ。前の方にせっかくそう書いてあるのだもの。「特に」と書いてある。「特に社会経済情勢の変化に行政が的確に対応していない等の分野については」と、こう言っている。だから、一部空白と思われるような部分についてはとか、こういう意味ならわかるけれども、こんなむちゃな書き方をするからわからない。一般の中央行政監察は、それはもうはっきり勧告、報告の義務一切ありますから、的確にそれはあるけれども、この特別調査については、これを発表するとか公表するとか、相手方にこれを通告するとかいうような何も規定はないでしょう。はっきりそういう法的根拠はありますか。
  139. 大田宗利

    ○大田政府委員 現在は特別調査の規定というものはつくっておりませんけれども、取り扱いは、いま申し上げましたように、公表は監察と同じである、それから改善方策というものも監察と同じようにやろうということで、いま検討しておるところでございます。
  140. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま検討中じゃないか。四十九年度から継続でやっておって、そういうことを公表もしていなければ発表もしていない。だからぼくは言っているんだ。いま検討中だ。さっきは考えております、やるつもりでございます。今度は検討中。法的根拠はない。だったら特別調査ということは行管の秘密機関か。そこらの構成を聞いておきたい。
  141. 大田宗利

    ○大田政府委員 特別調査と申しますのは、別に秘密機関でも何でもございません。したがいまして、いま検討しておると申し上げましたけれども、これは公表するという考え方でおります。それから規定ももちろん、これに関する規定は監察に準じまして規定をつくるということで、その必要はあろうかと現在検討中ということでございます。
  142. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、この特別調査は、勧告はやらないまでも、こういう点、こういう点を調査したらこういう結果があらわれております、こういうことを発表するあるいは公表する。そうすると、それに対して、相手方はこういうことをいたしましたという報告義務もないでしょう。法的根拠は何もないでしょう。報告させるのかさせないのか。その結果、またあなた方が特別調査をやるのか。そうしなければ、一方交通で何も役に立たない。全国の連絡網を全部動員して大々的にやるとあなたはおっしゃっている。それだけの莫大な費用と労力を費やして一方交通じゃ意味をなさないから、私はいまあなたにお尋ねしている。行管が勝手にやっているのか、秘密機関か。言葉は悪いかもしらぬけれども、そのようにわれわれは考えざるを得ない。何も法的根拠はないが、そうしなければ、これは行管の一人相撲になってしまう。だから、せっかく特別調査をしたらば、その結果が相手方にもわかり、相手方もその行為を喜んで受けて、ああ、こういうふうにしました——それは一般監察でやっているじゃないか。だけれども、それはあなたさっき言われたように、一般監察をやった上に、なおその上に特に、これは把握しなければならぬと書いてある。あるいは行政の一部分として非常に空白になっているところがあるとか、社会情勢、経済情勢の上から考えた場合に、特にこれは注意しなければならぬというような点があるとか、だから特別調査なんだ。ですから、その特別調査をしたならば、一人相撲じゃいけない。せっかくそれだけの莫大な、大規模な機関を動員してやって、一人相撲に終わったのじゃいけないじゃないか。そうして特に、そういうところを相手方の心証を害しないように、行政の空白化なんということをばっと突きつけないで、もう少し細心の注意を払って、それだけのことをやるならば、もっと効果的にやるべきじゃないかということを言っている。やっていることがいいとか悪いとか、決してその是非論じゃない。どうですか。
  143. 大田宗利

    ○大田政府委員 ただいま先生から御指摘のように、特別調査の取り扱いにつきましては、その調査結果の効果の確保ということもございますので、監察に準じまして相手方への改善措置、それから回答、公表ということは、監察とほとんど同じように考えておるわけでございます。これのやり方その他につきましては、御指摘の点は十分われわれも留意しまして今後慎重にやりたい、そのように考えております。
  144. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 ただ、私が心配することは、いまも話してきましたが、行政管理庁はいままで一度も原子力行政についての監察あるいはまた勧告を行ったことはない。それが今回、突如として特別調査というようなわけのわからぬ、ぬえ的存在の機関によって調査する。ところが何もそれに答えるところの義務もない、報告の義務もない。こういうことをやっておったのでは、私は悪く考えてはなはだ恐縮だけれども、何か各省庁で都合が悪い、言いかえれば政府として都合が悪いものは、全部一般監察ではなくして特別調査の方に持っていく。公表されたりあるいは勧告されたりして、それに対して報告の義務がある、このようにしました、また再勧告をする、それは一般の行政監察。そうではなくして、都合が悪いことは特別調査というものに持っていって、あいまいにされるというようなことが行われないとも限らない。  そこで私が言うのは、一般監察と同じように、特別調査であっても必ずそれに対してはあなたのところはこうだ、向こうもそれに対して報告をする義務を負わせる。それでもまだ不十分だというならば、再勧告をするというようにやらなければだめだ。勧告もやらない、公表もしない、それに対して勧告を受ける方も、まあ勧告をやらないから、報告の義務もない、公表もしない、いつの間にか、わけがわからぬようにしてそのまま過ごしていく。だから政府としても、これはちょっと困るということは、全部特別調査に持っていくというような事態が将来起こらぬとも限らない。だから、法的根拠はないけれども、何かはっきりしたあれをつくらなければだめだ。法的根拠がなくてどうしてもできないというならば、特別調査なんということはやめて、一般監察の中で厳しく監察していったらいいでしょう。どうですか、そこのところをはっきりしてくださいよ。
  145. 大田宗利

    ○大田政府委員 特別調査という名前でなくて、特別監察という名前も実はございます。ただ、特別監察というのは、いまわれわれが考えておりますのは、特に長官その他から特命があったという場合が、実は特別監察というふうに考えておるわけでございます。特別調査というのは、先ほど申し上げましたように、監察に準じて取り扱うという考え方をしておりますし、対象というのは、ここにありますように非常に限定したものでございます。  それから、原子力行政につきまして、実は初めてでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、原子力行政全体の実情を把握したいということで、中央計画監察でやっておりますように、大体一般的な行政につきましてはほとんど資料を持っております。その中でいろいろ日常、問題点というものは把握するような体制をとっておるわけです。したがいまして、その問題点だけが中心になって計画ができるというものではなくて、原子力行政全体の安全性につきまして、どういう体制で行われておるのか、それから審査はどういうやり方でやられておるか、その体制はどうなのかという、安全性につきまして全体的なあれを知りたいということで、特別調査に入れたというわけでございまして、特別調査だから今後これがたなの上に埋没するということは絶対にいたしません。これだけは約束できると思います。
  146. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまあなたもおっしゃったように、われわれの調査した範囲内において、原子力に対しては、今日まで約二十年間、一回も勧告をしていない、行政監察をやっていない。これは行管が最もよろしくないと思う。一番大事な原子力問題に対して、今回突如として、騒がしくなってきたから初めて特別調査をやろう。いままで全然手をつけていない。これは行管の怠慢です。最もよろしくない。  私がいま言った特別調査ということに対しては、これはもう少し洗い直さぬと、そしてはっきりした法的根拠がないならばないで、何らかの方法をとって、われわれが納得するような方法でやってもらわないと、これが一つの盲点になり、抜け穴になるんですよ。あなた方のお考えとおよそ変わった方向に進んでいく可能性が多分にある。よろしゅうございますか。  実は、まだ私やりたいのですけれども、委員長から特にお話があっておりますので、ほかならぬ委員長お話でございますので、この程度で私の質問を打ち切ります。
  147. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  148. 藤尾正行

    藤尾委員長 ただいま委員長の手元に、越智伊平君より本案に対し修正案が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。越智伊平君。     —————————————  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  149. 越智伊平

    ○越智(伊)委員 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、その施行期日を昭和五十年四月一日としているのでありますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日に改めようとするものであります。  よろしく御賛成のほどをお願いいたします。
  150. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  151. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  152. 和田貞夫

    和田(貞)委員 本改正案の、原子力局原子力安全局とに分割するというような考え方は、わが国の原子力行政でいま何が最も重要であるか、それは、原子力の安全性確保と国民の信頼回復に最重点を置くべきであるということを軽視し、たび重なる原子炉事故に対する国民の不安と怒りをそらそうとする全く官僚的発想による単なる機構いじりにすぎません。  現行原子力委員会の機能と権限を含め、根本的にわが国の原子力行政にメスを入れ、政府原子力行政に対する姿勢を改めることによってのみ国民の信頼が回復され、国民の理解と協力を得ることができるものであると考えます。  政府は、安易な機構いじりで終始するのでなく、安全性確保の行政面を強化させるため、原子力基本法原子力委員会設置法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の抜本的改正を行い、現行原子力委員会を改組して、安全規制の機能を持つ行政委員会的な原子力規制委員会に独立させ、原子力安全局に属する部局はむしろその事務局とし、安全規制を第一義的な原子力行政を行うべきであります。  このことによって初めて地域住民の理解や国民原子力行政に対する不信を解消することになると思います。また、安全審査体制についても国民に信頼される方策を検討する必要があり、安全審査委員の任命や公聴会制度の改革を行い、原子力に疑問を持ち、反対的立場の科学者や技術者の意見を尊重する手段を講ずるよう改むべきであります。  わが日本社会党の認識では、国民原子力に対する不安が払拭されず、唯一の被爆国民であるという特殊事情や、核保有国である原子力行政の先進諸国に比し、技術格差の実態からも、原子力の実用化の段階でなく、全分野における基礎的な実験研究を積み重ねるべき段階であると考えます。  また、石炭、石油、天然ガス、さらにはオイルシェールなどが、この地球上に枯渇するときまでには確実に実用化できるように、核融合開発の進んでいるソ連を初めとする諸国との共同研究や国際協力を進め、核融合型の原子力発電研究開発に主力を傾注すべきであると考えます。  せっかくの原子力行政懇談会結論もこの秋には出される見通しでもあるので、その答申を待ち、原子力行政の基本姿勢を再検討し、自主、民主、公開原子力平和利用の三原則を厳守し、安全性を第一義とする一元化した原子力行政の確立にこそ政府は全力を注ぐべきであると思います。  したがいまして、本法案には反対であります。
  153. 藤尾正行

    藤尾委員長 木野晴夫君。
  154. 木野晴夫

    ○木野委員 私は、自由民主党を代表して、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案並びに修正案に対し、賛成の討論を行うものであります。  石油問題を契機に、今日世界的な問題としてエネルギー供給の不足が大きくクローズアップされておりますが、わが国のように、水力によるもののほかエネルギー資源をほとんど持たない国にとりましては、この問題はまことに深刻であります。  このエネルギー問題を解決するために、世界各国において種々な研究が進められております。特に世界的な傾向として原子力によるエネルギー開発に大きなウエートが置かれていることは御承知のとおりであります。わが国におきましても、エネルギーの安定供給に大きな役割りを果たすものとして、鋭意原子力開発利用のプロジェクトを進められているのであります。  このプロジェクトを推進するに当たって、われわれとして留意すべきことは、その安全性の確保ということであります。一言にして申せば、その安全性の確保が絶対の要件ということであります。原子力発電過程において、はたまた原子力船の開発過程において、常にその安全を確保するために万全を期すべきであります。そして国民の信頼を得るよう全力をいたすべきであります。  この安全性の確保の問題については、本案審議のうちにおいて佐々木科学技術庁長官の答弁にも見られますとおり、この安全性を確保するため、従来研究開発安全規制の双方を所管していた原子力局から安全規制に関するものを分離独立させ、その責任体制を明らかにせんとするのが今回の改正の趣旨であって、部局の新設は厳に抑制するという政府の方針にもかかわらず、あえてこの原子力安全局設置に踏み切った旨の答弁があり、その決意のほどは数次にわたり表明されたところであります。  また、原子力船「むつ」の問題を契機として、関係知事より、さらに原子力発電について関係の県知事協議会等からも、安全確保のための責任体制を明確にすべしとの強い要望がなされておるのであります。  政府においては、この問題に対処するため、かつこれらの要望にこたえるため、原子力行政懇談会設置して、抜本的解決に努力しているところであります。ただ、問題が非常に大きな問題であるだけに、その結論に達するためにはなお時日を要する現状にあります。  今回の改正は、こういった状況を背景として、緊急必要の措置として、安全責任体制の確立のために行うべきものでありまして、私としましては、まことに適切、必要と考える次第であります。  以上、私はここに、本案並びに修正案に対し賛成の意見を強く表明するものであります。
  155. 藤尾正行

    藤尾委員長 中路雅弘君。
  156. 中路雅弘

    ○中路委員 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案原子力安全局設置について反対の討論を行います。  昨年来、日本分析化学研究所のデータ捏造事件、原子力船「むつ」の放射能漏れ事故、原子力発電所における各種事故など、原子力利用にかかわる重大な事故が相次いで発生し、そのためこの提案理由にも、原子力利用の「安全性については、必ずしも国民から万全の信頼を得ているとは云い難い状況にあります。」と言わざるを得ない状況であります。現在、政府が進めている原子力開発政策は、とりわけ、その安全審査体制根本的な欠陥を持っています。原子力発電等の安全性を保障する上で、最大の責任を負っているのが原子力委員会による安全審査でありますが、現在行われている安全審査は、その内容、方法、体制のどの面をとってみても、全く安全装置の役割りを果たし得ないものであります。ところが、政府提出の科学技術庁設置法改正案は、安全審査を行う原子力委員会等のあり方には全く手を触れないで、安全審査に直接には関係しない原子力局を機械的に二分し、若干の人員の増加など手直しを行っているにすぎないのであります。そして形の上だけの安全局の新設で国民の目をごまかし、真の安全審査体制確立を先に延ばし、安全性の確立されていない軽水炉を積極的に設置、推進の口実にしようとしていることは、とうてい賛成できないものであります。この点は、わが党が明らかにした安全優先、国民本位の原子力開発についての提言でも、厳しく批判しているところであります。  わが党は、この欠陥原子力行政を緊急に改善するためにも、また政府のごまかしと解決の引き延ばしを許さないためにも、すでに提言で明らかにしている、原子力基本法原子力委員会のあり方を根本的に改めることを強く要請し、反対討論を終わります。
  157. 藤尾正行

    藤尾委員長 受田新吉君。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 私は、民社党を代表しまして、この安全局設置する政府案に対しまして、条件つき賛成の意思表示をしたいと思います。  こちらの委員会で、質疑を通じてわが党の立場を明白にしておきました。つまり、原子力開発利用はいまや国家的必然性を持った要請である。しかし、わが国の原子力開発利用体制が、まず原子力委員会の独自性が欠如されておること、専任安全審査委員が不足しておること、原子炉の安全審査とそれ以後の規制監督行政科学技術庁通産省その他の官庁とに分離して一貫性が欠如しておることなど、安全確保体制が、こういうところで確立されていない現状を指摘いたしました。  特に、原子力船「むつ」の放射能漏れに至っては、原子力委員会安全審査とそれ以後における安全性にかかる責任体制の不明確さが、原子力開発利用に関して一段と国民の不信感を高めてきたわけです。  そこでわが党は、原子力の安全性に関する国民合意の形成を目指して、政府責任を持った安全体制の確立に努めるよう特に次の点を指摘しておるわけです。  その安全確保対策の基本としては、原子力委員会を独立の行政委員会とする、つまり原子力委員会を、特に安全性の点において強力な一元的行政の立場に置こうとするわけです。その業務は、事前の安全審査から運営までの安全審査及び放射線の監視について専管をする、一貫した審査監視体制を確立する。環境保全については環境庁と協調して行う。このため、常勤の専門委員及びその補佐官の大幅な増員を図る。また自主技術の確立及び安全管理体制を強化していく。そのために既存の原子力研究機関を統合強化する。同時に、これら技術者、研究者の大量養成を行うため長期養成計画を立てることなど、これらの問題について強く政府要請をしてまいりました。  しかし、これら本質的な前進を図るべき過程において、政府が安全性の確保という意味から、一部局の設置について強い意思を国会に表明してきたわけでございます。いわば、安全性確保への一歩前進というささやかな形のものでありまして、本質的な問題の解決になっておりません。けれども、その一歩前進を足がかりにして、この原子力行政の一元化、安全確保の一元化のために強烈な意欲を燃やして、これから国民に安心感を与える、国民合意の原子力行政を確立するという意味におけるこの一部局の設置という点を了といたしまして、そうした抜本的、本質的な前進を図るという意味を条件として賛成をいたします。
  159. 藤尾正行

    藤尾委員長 鬼木勝利君。
  160. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私は、公明党を代表しまして、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行うものであります。  申すまでもなく、原子力平和利用に当たって大切なことは、民主、平和、公開の原則の確立であります。また原子力エネルギーの開発に当たって重要な問題は安全性の確保であります。  ところが、政府の今日までの原子力行政は、研究開発中心としたもので、安全性は完全に軽視されてきたと言っても過言ではありません。原子力船「むつ」、さらには各地の原子力発電所が安全性の問題で批判を浴びていますが、これらの問題は、安全性を軽視してきた政府原子力行政に起因するものであります。  本法律案では、科学技術庁に、原子力の安全性を確保するために原子力安全局設置することが明記されています。原子力の安全性は、原子力行政の一元化という中で位置づけられるべきでありまして、重要問題であります。安全確保の行政各省ばらばらになっている現状を固定化させるような改正は、時代の要請に逆行するものであります。  しかも、わずか十九人の局員で安全性の確保に取り組むという機構改革は、全く小手先の施政にすぎないものであります。  また、安全性の確保といっても、新設しようとする原子力安全局は、単に安全行政の総合調整、立案のかなめにすぎず、各省庁を通じて指揮監督するものではなく、その実効性はきわめて疑問と言わざるを得ないのであります。  原子力安全行政の確立が早急に実現されなければならない今日、科学技術庁内の単なる機構改革によってお茶を濁そうとする政府姿勢は、無責任この上もないことであります。  政府は、原子力委員会を改組し、独立した行政委員会として、その強化を目的とした原子力行政の一元化を図り、その中で強力に安全確保を確立させるべきであると思うのであります。  以上の観点よりいたしまして、私は、本法案に対し反対し、反対討論を終わります。
  161. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  162. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより採決に入ります。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、越智伊平君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  166. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十三分散会      ————◇—————