運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-04-16 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十六日(水曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長代理 理事 木野 晴夫君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       笠岡  喬君    近藤 鉄雄君       中馬 辰猪君    旗野 進一君       三塚  博君    吉永 治市君       和田 貞夫君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君  委員外出席者         大蔵省銀行局特         別金融課長   岡崎  洋君         厚生省年金局年         金課長     坂本 龍彦君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 四月三日  靖国神社国家管理反対に関する請願久保等  君紹介)(第一九四七号)  同(久保三郎紹介)(第一九四八号)  同(兒玉末男紹介)(第一九四九号)  同(佐々木更三君紹介)(第一九五〇号)  金鵄勲章制度復活に関する請願福田篤泰君  紹介)(第一九五一号)  同外一件(櫻内義雄紹介)(第一九八二号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第一九八三号)  同(内田常雄紹介)(第二〇二二号)  岐阜県徳山村等の寒冷地手当引上げに関する請  願(武藤嘉文紹介)(第二〇二三号) 同月九日  靖国神社国家管理反対に関する請願川崎寛  治君紹介)(第二一一二号)  同(川俣健二郎紹介)(第二一一三号)  同(河上民雄紹介)(第二一一四号)  同(木島喜兵衞紹介)(第二一一五号)  同(久保田鶴松紹介)(第二一一六号)  同(小林信一紹介)(第二一一七号)  同(小林進紹介)(第二一一八号)  同(佐野憲治紹介)(第二一九九号)  同(佐野進紹介)(第二二〇〇号)  同(斉藤正男紹介)(第二二〇一号)  同(坂本恭一紹介)(第二二〇二号)  金鵄勲章制度復活に関する請願笠岡喬君紹  介)(第二一七二号)  同外二件(愛野興一郎紹介)(第二二一八  号)  同外二件(上村千一郎紹介)(第二二一九  号)  同外一件(江藤隆美紹介)(第二二二〇号)  同外二件(小澤太郎紹介)(第二二二一号)  同(大石千八紹介)(第二二二二号)  同外一件(大久保武雄紹介)(第二二二三  号)  同(大竹太郎紹介)(第二二二四号)  同(大村襄治紹介)(第二二二五号)  同(笠岡喬紹介)(第二二二六号)  同外二件(粕谷茂紹介)(第二二二七号)  同(金丸信紹介)(第二二二八号)  同(亀岡高夫君紹介)(第二二二九号)  同(木村俊夫紹介)(第二二三〇号)  同外二件(近藤鉄雄紹介)(第二二三一号)  同外二件(佐々木義武紹介)(第二二三二  号)  同外二件(鈴木善幸紹介)(第二二三三号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第二二三四号)  同(田中榮一紹介)(第二二三五号)  同(田中覚紹介)(第二二三六号)  同外一件(田村良平紹介)(第二二三七号)  同(竹内黎一君紹介)(第二二三八号)  同(竹下登紹介)(第二二三九号)  同(中馬辰猪紹介)(第二二四〇号)  同外二件(坪川信三紹介)(第二二四一号)  同外二件(渡海元三郎紹介)(第二二四二  号)  同(中尾栄一紹介)(第二二四三号)  同(中尾宏紹介)(第二二四四号)  同外二件(中村寅太紹介)(第二二四五号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第二二四六号)  同(西村直己紹介)(第二二四七号)  同(野呂恭一紹介)(第二二四八号)  同外二件(羽田野忠文紹介)(第二二四九  号)  同(葉梨信行紹介)(第二二五〇号)  同(八田貞義紹介)(第二二五一号)  同(藤井勝志紹介)(第二二五二号)  同外二件(藤本孝雄紹介)(第二二五三号)  同外二件(船田中君紹介)(第二二五四号)  同外二件(前田正男紹介)(第二二五五号)  同外二件(武藤嘉文紹介)(第二二五六号)  同(吉永治市君紹介)(第二二五七号) 同月十四日  靖国神社国家管理反対に関する請願木原実  君紹介)(第二三二九号)  同(柴田健治紹介)(第二三七二号)  同(島田琢郎紹介)(第二三七三号)  同(島本虎三紹介)(第二三七四号)  同(清水徳松紹介)(第二三七五号)  同(下平正一紹介)(第二三七六号)  同(田口一男紹介)(第二三七七号)  同(田邊誠紹介)(第二三七八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二三七九号)  同(竹村幸雄紹介)(第二三八〇号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二三八一号)  同(塚田庄平紹介)(第二三八二号)  同(辻原弘市君紹介)(第二三八三号)  同(土井たか子紹介)(第二三八四号)  同(堂森芳夫紹介)(第二三八五号)  同(中澤茂一紹介)(第二三八六号)  同(中村茂紹介)(第二三八七号)  同(中村重光紹介)(第二三八八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二三八九号)  同(成田知巳紹介)(第二三九〇号)  同(野坂浩賢紹介)(第二三九一号)  同(芳賀貢紹介)(第二三九二号)  同(馬場昇紹介)(第二三九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行います。  四月十四日及び十五日の両日にわたり、国の防衛に関する件について、実情調査のため沖繩県委員を派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員から報告聴取します。越智伊平君。
  3. 越智伊平

    越智(伊)委員 国の防衛に関する件についての実情調査につき、派遣委員を代表して、その概要を御報告申し上げます。  派遣班は、藤尾委員長木野晴夫大出俊中路雅弘鈴切康雄受田新吉と私、越智伊平の七委員で構成し、現地において上原康助瀬長亀次郎の両委員及び安里積千代議員の参加を得て、四月十四、十五の二日間の日程で、沖繩キャンプ・ハンセン内県道一〇四号線越え実弾演習問題等について、第一日目の十四日は、屋良沖繩県知事平良県議会議長と懇談をいたし、また那覇防衛施設局より同問題の概況説明聴取したほか、沖繩総合事務局から業務概況説明聴取いたしました。  第二日目の十五日は、キャンプ・ハンセン視察をいたしました。その際、在沖繩海兵隊施設管理部隊司令官ハッチ准将と会談し、その後、同基地内の着弾地、砲座、県道一〇四号線及び発射地点周辺金武中川小学校をそれぞれ視察調査をいたしました。  なお、着弾地周辺恩納喜瀬武原小中学校につきましては、時間の都合上、視察不可能となったので、演習による障害等について、学校当局から要望等聴取の上、当委員会報告するよう那覇防衛施設局に依頼してまいりました。  以下、調査概要を申し上げます。  まず、キャンプ・ハンセン基地について申し上げますと、同基地は、沖繩本島の北部に位置し、その面積は約五千二百万平方メートルで、名護市、金武村、宜野座村及び恩納村の一市三村にまたがる提供施設でありまして、米第三海兵師団が宿舎、事務所及び訓練場として使用いたしております。  次に、県道一〇四号線について申し上げますと、同道路は、恩納村から金武村に至る総延長約八千三百メートルの道路でありまして、昭和二十八年九月に琉球政府道として認定され、その後、昭和四十七年沖繩復帰に当たり、復帰に関する特別措置法により県道とみなされたものであります。しかしながら復帰時の日米合同委員会の合意により、そのうちの約三千五百メートルについては、キャンプ・ハンセンの一部として提供されましたが、米軍の活動を妨げない範囲内で一般の通行が認められてきております。  次に、実弾射撃演習の態様について申し上げますと、同基地内においては一五五ミリ及び一〇五ミリりゅう弾砲機関銃ライフル等射撃演習が行われておりますが、四キロメートルないし六キロメートルの射程で行われる一〇五ミリ、一五五ミリの射撃演習については、着弾地との関係県道一〇四号線の通行をとめて演習を行っており、四十九年十月までに九回にわたり演習が実施されております。  その後、本年二月十八日から二十日まで、及び三月十一日にそれぞれ計画された演習が、演習反対者着弾地内立ち入りにより実施できなかった経緯並びに米側の三月十九日の演習計画が、日本側の要請により中止となった経緯等は、当委員会における質疑等を通じて委員各位がすでに御承知のことであり、また本問題につきましては、今後の委員会において派遣委員より、それぞれ質疑がなされることと存じますので、内容等につきましては省略させていただきます。  なお、現地におきまして屋良県知事平良県議会議長仲吉原水協理事長等より、本問題等についてそれぞれ陳情がありました。  これらの陳情書及び現地機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上御報告申し上げます。
  4. 木野晴夫

    木野委員長代理 これにて報告聴取は終わりました。      ————◇—————
  5. 木野晴夫

    木野委員長代理 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  6. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ただいまから恩給法改正案について質疑を行うわけでありますが、私は、今度の改正案を読みまして、近年出されました恩給法改正案の中で一番内容が充実しておるように思うのです。これは私、政府の御努力に対して非常に多とするものであります。ただこの際、この法案に関連して若干政府考えを明らかにしてもらい、また確かめてみたいと思う事項がございますので、順次お尋ねをしてまいります。  その第一は、この提案理由説明によりますと、恩給年額増額については、国家公務員給与改善率による増額と、恩給公務員給与との水準差補てんを完結するための増額と二つになっておるわけですね。御承知のとおり四十七年までは、いわゆる恩給審議会方式によって恩給増額をやってきたわけでありますが、四十八年以降は、当委員会附帯決議もありまして、だんだんと国家公務員給与改善に準拠していくということになったわけであります。これはこれで私は結構だと思うわけでありますが、そういたしますと、恩給法の第二条ノ二、これは長官も御承知だと思いますが、「年金タル恩給額ニ付テハ国民生活水準国家公務員給与物価其ノ他諸事情ニシキ変動が生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情総合勘案シ速ニ改定措置ヲ講ズル」この第二条ノ二の規定の解釈と、今度の恩給法改正国家公務員給与改善に準拠してやられた恩給法改正との関係をどういうふうに理解したらいいのであろうかという点を、まず第一にお伺いしたいのであります。
  7. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま加藤委員から、今回の恩給法の一部改正案につきまして御評価をいただきまして、大変うれしく存じております。いま御指摘がございましたように、恩給法第二条ノ二に、恩給年額を決定いたしますに当たりましての基本的な考え方規定せられているわけでございます。この規定現実に運用するに当たりましては、政府は従来、御承知のように恩給審議会の答申に基づきまして、物価公務員給与勘案するいわゆる審議会方式によって年額増額してまいったのでございますが、国会の附帯決議等もございまして、種々検討いたしました結果、今日の社会経済事情のもとにおきましては、公務員給与改善率を基準として恩給年額増額するということが最も適当であるという結論に達しましたので、昭和四十八年度から現職公務員給与改善率によりまして恩給年額を引き上げることになったわけでございます。  したがいまして、昭和五十年度におきましても、引き続いて最新の給与改善率によりまして恩給年額増額いたしますほか、従来、恩給審議会方式によって増額してきたために生じました公務員給与恩給との水準差を完全に補てんをするということにしたのでございまして、恩給法第二条ノ二の基本的な考え方に基づきますとともに、現在の社会経済事情というものを勘案をいたしましてこのような改正をいたしているわけでございます。
  8. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 もっと端的に伺いますと、第二条ノ二を改正する気持ちはあるかないかということなんです。四十八年以降の恩給法改正経緯から見ますと、第二条ノ二の内容が、国家公務員給与に準拠するということになってしまったわけですね。それでも第二条ノ二を、このままにしておいた方がいいのかどうかという点についての政府のお考えを承りたいのです。
  9. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま私、申し上げましたような考え方恩給法改正をいたしておるわけでございまして、御指摘のように、公務員給与改善率により恩給年額増額するという方式を改めて制度化するということにつきましては、現在のところ特に必要はないのではないかというふうに考えております。
  10. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この点私、若干意見がありますが、それはそれで、そういうお考えで結構なんですが、そうしますと、国家公務員給与改善率に準拠してやるということになりますと、国家公務員給与改善が、これは長官も御承知のとおり、毎年毎年大体上薄下厚といいますか、上の方が薄くて下の方が改善程度が高いわけなんです。去年もそうだし、ことしもそうですが、この恩給法改正は一律になっておるわけですね。この点がどうもすっきりしないように私は思うのですが、いかがでしょうか。
  11. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのような点がございますが、恩給年額調整というものは、もう十分御承知のように、退職当時の俸給年額在職年数とによりまして決定されました恩給年額実質価値を、その後の社会経済事情変動に応じて維持することを目的といたしておりますので、退職公務員社会全体の中で占める経済的地位というものを、退職当時のままに維持するためには、社会経済事情の変化を反映いたしました特定の指標によりまして一律に増額することが理論的には適当であろうという考え方に基づき、また恩給受給者がかって公務員でありましたことを考慮いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、四十八年度以来、物価国民生活水準変動を総合的に反映しております国家公務員平均給与改善率指標といたしまして一律に増額をしてきているのでございます。  しかし現実に、恩給改善指標といたしております公務員給与改善自体は、仰せのように上薄下厚の体系で行われております。この傾向を恩給にも反映させるべきであるという考え方もございますので、恩給年額調整方法につきましては、現在検討を進めておるところでございます。まだ結論を得るには至っておりませんが、この問題につきましては、仰せのように、今後ともいろいろな面から十分検討を続けてまいりたいと考えております。
  12. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私はやはり、恩給公務員のベースの上がる水準に準拠するのが正しいと思いますけれども、これは今後検討なさるということでありますから、きょうはこれ以上のことはお尋ねいたしません。  その次に第二点として伺いたいのは、要綱の第二にあります普通恩給等最低保障改善でございます。これは私、非常に結構なことだと思うのでありますが、この改善額ですね、最低保障額を引き上げられたこの数字根拠はどこに求められたのでしょうか、御説明願いたいと思います。
  13. 菅野弘夫

    菅野政府委員 今度の最低保障金額改正でございますけれども、長期老齢者の方三十二万一千六百円から四十二万円ということでございまして、以下それに準じて従来の率でやっておるわけでございますが、その最初の四十二万にしたいきさつを御説明したいと思います。  これは従来から、最低保障という制度ができまして以来、他の公的年金との均衡でございますとか、あるいは恩給内部特殊性でございますとか、そういうものを総合勘案してやったわけでございまして、今回につきまして申し上げますれば、たとえば国家公務員共済組合年金が大体この程度に上がるのではないかということ、あるいは恩給全体のスライドの数字等を総合勘案いたしまして、約三〇%増の四十二万円としたわけでございまして、以下、その七割五分あるいは五割という点につきましては、従来と同じ率でやっております。
  14. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私もいままで国家公務員共済年金アップ率に準拠してこの最低保障を引き上げてきておったように承知しておるのですが、大体ことしは三〇%になるのですか。
  15. 菅野弘夫

    菅野政府委員 従来と申しますか、全く去年と同じようなやり方でやりますれば、現在三十二万の者が三十六万ぐらいになるわけでございまして、それを本委員会でもいろいろの点で御指摘がございまして、共済の一年おくれになるのじゃないか、そういうことでは完全な最低保障ができないのではないかということもございまして、従来のやり方ですと三十六万でございますけれども、それにさらに昨年度の消費者物価上がり等を考慮した数字と、あるいは先ほど申しましたように恩給全体が二九・三%上がりますので、そういう数字等を総合勘案いたしますと四十二万という数字が出てきたわけでございます。四十二万というのは、結果的に三〇%をちょっと超すような数字になります。
  16. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いろいろな事情勘案なさるということですが、私、心配しますのは、国家公務員共済年金が、これは昨年からですか、厚生年金に準拠して決められるようになったわけですが、厚生年金の方は物価にスライドするわけですね。そしてそれと恩給最低保障とがどういうふうにつじつまが合っていくのだろうか。片方は物価にスライドする、こっちは法律で後から決めていくわけですから、おくれが出てくるということが一つ。そこで、その準拠の仕方がどうなるのだろうかという点について、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  17. 菅野弘夫

    菅野政府委員 一般的に申しますと、物価上がりよりは公務員給与上がりの方が最近はずっと多うございますので、物価で上げているのを公務員給与で上げるとすれば、その方がより有利になるということが一般的には言えると思います。  それから一年おくれの点につきましては、先ほど申しましたように、昨年度まではそういう状態でございましたけれども、今度の場合に物価だけをとったかどうかと言われるとお答えしにくいわけで、そこら辺は、先ほど申し上げましたように、総合勘案して四十二万円という数字が出ているわけでございますけれども、物価の点だけに着目しましても、一年おくれという点については、今度は一遍に二年分上げたぐらいの数字に上がっているわけでございますので、その点から見ましても解消したと思っております。
  18. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 確かに、ことしはそういうことは言えると思うのです。ところが来年以降がどうなるかということが、私はちょっと心配なんですね。  それからもう一つ、この点で伺いたいのは、これは恩給を受けていらっしゃる方からいろいろ私のところに陳情があるわけですが、最低保障の分け方ですね、九年以上とか九年未満とか、九年というところに限界を置いていらっしゃるわけですが、この九年というのは、大体どういう根拠でお決めになったのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  19. 菅野弘夫

    菅野政府委員 これは、従来は長期在職者だけしか最低保障がなかったのでございますけれども、昨年から短期の方々につきましても、最低保障を設けるという制度をつくらしていただいたわけでございますが、その際に、短期の方の実在職年と申しますと、兵の階級の方で申し上げれば、三年以上十二年未満でございますか、三年以上十一年というところに当たるものでございますので、その全体を、やはり十二年以上に準ずるような処遇を与える方とそうでない方というふうに分けて取り扱うのが適当であるという考えのもとに、下士官以下の旧軍人でございますと、御存じのように十二年が最短恩給年限でございますので、その七割五分というのが九年であるということを一応頭に置きまして、九年を境にして、九年以上の者については金額としても七割五分という数字に当てはめたものでございまして、九年というのは、大体そういうところを目安にした数字でございます。
  20. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまおっしゃった七割五分というのが、ちょっと私、理解できないのですが、この七割五分の点の説明をいただきたいと思います。
  21. 菅野弘夫

    菅野政府委員 七割五分というのは、金額の面で七割五分にしているのですが、これは恩給全体を見ていただきますと、至るところにそういう七割五分の扱いというのがございまして、これは恩給制度の特色かもしれませんが、あるものと同じではないけれども、それに準じて扱うべきもの、たとえば特例扶助料でございますとか、特例傷病恩給でございますとか、増加非公死の問題もございますが、そういうものは七割五分というふうに扱っておりまして、そういう意味で七割五分の数字一つ頭に出てきたわけでございます。それから九年というのは、十二年と九年の関係でそういう数字がまた出てきたわけでございます。
  22. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 一応お考えはわかりました。わかりましたが、これは九年を六年ぐらいに引き下げて、最低保障は若干下がるかわかりませんけれども、いただいた方がいいという声が受給者の間に非常に強いわけです。これはひとつ長官、ことしはやむを得ませんが、来年以降御検討いただきたいと思うのでございます。  第三の問題は、格づけの是正の問題です。ここに鬼木先生もいらっしゃいますが、文官の問題について考えてみますと、これも恩給受給者からずいぶん私、陳情を受けるのです。たとえば昔は、旧官吏時代ですか、官僚時代というものは、小学校校長さんなら校長さんの格づけが非常に低く、しかも幅狭く決まっておったわけですね。ところが、いまの公務員給与制度では、小学校校長さんも非常に高くなり、同時に幅も広くなった。ですから、もう一遍、仮定俸給を見直してもらいたいという声が切実にございます。これはいかがでしょうか。一昨年、七十歳以上の老齢者について四号俸格上げをやられた。これは、そういうふうな趣旨も含まれて私はやられたと思うのですけれども、昔の官吏制度といまの公務員給与制度を比べますと、四号俸格上げだけでは済まないように私は思います。  私、この間郷里に帰りましたときに、ある御婦人の方から陳情を受けたのですが、女の先生は、昔は非常に給料を抑えられておった、しかもある年限に達するともうやめてくれということでやめさせられておったというのでありまして、現に恩給局でいただいた資料を見ましても、同じように二十五年実在職先生で、男の先生と女の先生退職当時の俸給が、女の先生が九百四十二円、男の先生が千三百二円となっております。非常に低く抑えられておる。これは何とかやはり考えてあげたいなという気持ちが私するのですが、仮定俸給の洗い直しという問題について、ひとつ長官、お考えいただけないでしょうか。
  23. 植木光教

    植木国務大臣 御承知のように、恩給年額と申しますのは、在職年数在職当時の俸給によって決定されているものでございます。いま例として具体的にお挙げになりました女子職員の場合でございますが、仰せのように、いろいろな声があるということは私も承知をいたしております。しかし女子職員であるからといって特別の取り扱いを恩給法上やるというのは、必ずしも適当ではないという考え方もございまして、恩給の給付水準の引き上げについて今後とも努力をいたしまして、最低保障改善というものを行うことによってこれを救っていくというのが適切ではないかというふうに現在は考えているのでございます。
  24. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この点は長官の意見と私、違うのですが、もちろん最低保障を引き上げることは大事だと思います。これは、ぜひやっていただきたいと思います。同時に、先ほど申し上げましたような理由で仮定俸給をもう一遍洗い直してみてもらいたいという強い希望を私、持っておりますので、お考えをいただきたいということを希望いたします。  その次に、文武官の格差の問題をしきりに問題にされるのですが、たとえば兵と兵に相当する文官のいまの恩給の格づけを見ると、十号違うというんですね。これは二十八年に軍人恩給復活した際のいきさつもございます。私も承知をいたしておりますが、四十四年と四十七年の二回にわたって武官の方の格づけの是正をやられた。四十八年には、先ほど申し上げました文官の七十歳以上の老齢者の四号の引き上げをやられた、こういうことでだんだんと格差が広がっておる、こういうことを言うのですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。ことに恩給審議会の答申を私、読んでみましたが、恩給審議会は、やはり退職当時同一俸給をもらっておった者は同じように扱うのが至当ではないかという答申をしておるわけなんですね。この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 菅野弘夫

    菅野政府委員 文武官の仮定俸給の問題でございますけれども、もともと軍人と文官とは仮定俸給のできが違うわけでございまして、これは戦前からそうなっているわけでございまして、軍人につきましては、従来から普通俸給とは違いまして、それとは別に階級ごとに仮定俸給がその当時からあったわけでございまして、それは退職時期にかかわらず同額でございますので、文官の仮定俸給とは性格的に基本的に違っているという立て方になっております。したがいまして、文官の方が文官の中の格差是正その他によって若干上がったからといって、それが直ちに武官の方の問題にはならないというふうに思っております。  それから先生が御指摘になりました点の号俸の差でございますけれども、これは軍人さんの中でも大多数を占めますところの召集者でございます短期在職者の方々、そういう方々につきましては、先生がお読み上げになりました審議会の答申をいただいた後でも下の方に厚い是正をいたしましたので、ほぼ差がなくなっているというふうに承知をいたしております。
  26. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 審議会の答申は、二十八年の軍人恩給復活の際に「仮定俸給号俸を文官に比し一律に四号俸引き下げ、その後の改正によって尉官以下については是正されたが、将官については二号俸、佐官については一号俸是正されないまま残されている」これは訂正されたことを私も承知しておるのでありますが、この恩給審議会の答申は「本来恩給仮定俸給は、同時期に同じ俸給をもって退職した公務員については文武官を問わず同額であるのが相当と考えられる」この答申には十分にこたえていないように思うのですが、これはどうですか。退職当時「同時期に同じ俸給をもって退職した公務員については文武官を問わず同額であるべきである」いまそうなっていますか。どうも私、そうなっていないように思うのですが……。
  27. 菅野弘夫

    菅野政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、大部分の、いわゆる軍人さんでございますと大抵の方が、もう九割何分が赤紙召集の方々でございまして、この方々はいわゆる短期在職者でございます。その方々、あるいはその短期在職者の中で老齢者でございますとか、あるいは妻子でございますとか、そういう方々につきましては、その後の、審議会の答申が出ました後の四十七年の改正等におきまして、先ほど申し上げましたように、ほぼ文官の——まあ文官の場合にも、長期短期とあるわけでございますので、その短期の方々にはほぼ匹敵するような改正がなされておるわけでございます。ただ先生が御指摘になりますように、ではもっと若い短期の者はどうだ、あるいは非常に長期で階級の高い人はどうだということがあると思いますが、そういう点につきましては、確かに先生が御指摘のとおりにまだ格差があるわけでございます。しかしこれらは、軍人恩給全体あるいは恩給全体のバランスと申しますか中の問題、あるいは社会経済的な外部的な問題、それらをさらに総合的に見まして、今後の検討課題にしたいというふうに思っております。
  28. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは、その次の問題に移りますが、加算年の扱いですが、これは恩給審議会でも取り扱っておるのですが、まだ十分な解決を見ていないように思うのです。今度の改正で従来七十歳以上だったのを、六十五歳以上の者について加算年の取り扱いを改正されたわけでありますが、これは非常に結構だと思うのです。ただ六十五歳以上と言いますと、本当を申しまして余り数はいないんですね。せめて六十歳以上くらいにしてもらうと相当の者が助かるのですが、六十歳以上にした場合、どれくらいの国費の増加になりますか。
  29. 菅野弘夫

    菅野政府委員 これは、もうきわめて試算でございますので、大ざっぱな数字でございますけれども、平年度所要額約七十五億になると思います。
  30. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それから加算減算率ですね、この加算減算率というのは、どうも私よくわからぬが、どういう理由でできて、どういう理由でいまの百五十分の二・五とか三・五というものが決まったのでしょうか。教えていただきたいと思います。
  31. 菅野弘夫

    菅野政府委員 これも昔の制度にはなかったわけでございますけれども、新しく旧軍人恩給復活しましたときに、全部昔の制度に戻るものではなくて、新しい目で見直すということで、先ほどの加算の問題につきましても、その当時は全然見られなかった、あるいはだんだんに改正されていって現在のようなことになったわけでございますけれども、それと同じような考え方で、ちょうどその十二年の兵、十二年の方々につきましては、百出るけれども、十二年ということになっていなくて、加算を入れたためにそういうことになるという方については、やはり新しい目で見れば、加算も入れないわけでございますので、百分の二・五、百分の三・五という数字を一年について引くべきであるということになったわけでございまして、その三・五に特別の意味があるかと申しますと、なかなか——そういういきさつでございます。
  32. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私もう一つお伺いしたかったのは、百五十分の二・五と百五十分の三・五という数字が決まった理由ですが……。
  33. 菅野弘夫

    菅野政府委員 さっき百分と申しまして間違いました。百五十分でございます。  それで百五十分の五十というのが、まるまる長期のものでございますけれども、それに対しまして文官でございますと十七年でございますので、一年はどのぐらいに相当するかと申しますと、百五十分の五十を十七分の一いたしますと百五十分のそれが二・五に当たる。それから兵の場合には十二年あるいは十三年が最短恩給年限でございますので、十三で割りますと、百五十分の三・五という数字が出たわけでございます。
  34. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。  次に、特別加給の問題についてお伺いをしたいのですが、今度、第二項症以上の増加恩給受給者に対して、特別加給を七万二千円から十二万円に引き上げられたんですね。これは結構なことだと思うのですが、元来、特別加給というものはどういう性格のものでしょうかということが一つと、それから七万二千円を十二万円に引き上げられた根拠をお話しいただきたいと思います。
  35. 菅野弘夫

    菅野政府委員 特別加給の増額でございますけれども、特別加給というのは、昭和三十三年の法律改正で初めてできた制度でございます。このときのいきさつ、いろいろございますけれども、結局、傷病関係恩給につきましては、それぞれの程度に応じた年金が支給されておりますけれども、その中でも特に重度の方々については、やはり何かと大変問題がある、いろいろ大変であるというようなことで、重度の障害の方を優遇すると申しますか、そういう趣旨のもとに、初めて、その当時二万四千円でございましたけれども、特別加給という制度ができたわけでございます。以後、何回か改正がございますけれども、これは毎年毎年のことではございませんで、何年かたちまして恩給全体のレベルがある程度上がるということになりますと、特別加給をそのままにしておきますと、創設当時の割合等から申しますと、それよりもぐっと低くなりますので、昭和四十二年に回、それから昭和四十八年に一回、それぞれその当時の恩給年額増額に見合ったような改正をいたしております。今度は、昭和四十八年以来でございますが、昭和四十八年のときには、実は七万二千円でございましたので、その後の恩給改善、四十九年度あるいは五十年度の恩給改善、今度御審議を願っております分を含めますと、約七〇%ぐらい恩給全体のレベルが上がるということに着目をいたしまして、約七〇%増の十二万円、月額一万円に相当する額に改正をお願いしているわけでございます。
  36. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。まあ四十八年以降の恩給のアップに準じて上げたということのようですね。  特別加給について、もらっている方の受け取り方が、これは介護手当のようなものじゃないかというふうに言っている方が多いんですよ。確かに、第二項症以上ということになりますと、これは身体不自由な方ですよね。  厚生省の方おいでになりますか。——厚生省の老人対策で、六十五歳以上の寝たきり老人に対しては家庭奉仕員をつけておられますね。今度も増員をし、また、その経費も上げておられるのですが、これは傷痍軍人のような方々についても同じように扱われるのか、あるいは傷痍軍人がある程度以上の恩給をもらっておる場合には、家庭奉仕員はつけられないのかどうか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
  37. 坂本龍彦

    坂本説明員 私、実は老人家庭奉仕員を直接担当しておりませんので、いまそれに十分お答えするだけの知識をちょっと持ち合わせておらないわけでございますが、私はいままでに、傷痍軍人などについては、特にそういった面について特別の制度があるということは耳にしたことはございません。ただ、最初にもお断りいたしましたように、直接担当しておらないものでございますので、これは、あるいは誤っているかもしれないということをお断りしておきたいと思います。
  38. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 もっと端的に、これは恩給局の方で御承知かと思うのですが、たとえば傷病恩給など二百何十万も、今度は三百万近くもらう方がありますね。お聞きしたいのは、傷病恩給を二百万もらっても三百万もらっても、やはり寝たきりの老人の場合、家庭奉仕員のサービスを受けることができるかどうかということです。
  39. 菅野弘夫

    菅野政府委員 恩給局の所管でございませんので、どうもその点十分承知しておりません。
  40. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それじゃ、これは厚生省のあなたの方で後で調べて私に返事をいただきたい。
  41. 坂本龍彦

    坂本説明員 私の方で調査をして担当の課に連絡をいたしまして、後ほど先生の方にお答えをするようにさせていただきます。
  42. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 次に、扶助料の問題についてお伺いいたしたいと思います。  私も今度、恩給法を読んでみて、また恩給審議会の答申を読んでみまして、はなはだ驚いたのですが、女子の公務員の配偶者は、特別の場合だけしかいま扶助料をもらえないのですが、ほかの公的年金にこんな制度ありますかね。私はないと思うのです。これはやはり恩給法の古さというか、そういうものが残っておるのではないかと思うのですが、これは長官どう思われますか。
  43. 植木光教

    植木国務大臣 私も加藤委員と同じように、これにつきましては問題があるというふうに感じます。
  44. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 問題があるというふうにお感じになっていらっしゃるということでありますが、私、本当に問題だと思うのです。これはひとつ考えていただきたいと思います。これも、この間郷里へ帰りまして話を聞きましたときに、女の恩給受給者の方の切実な希望でした。  その次に、増加恩給の第二項症以上の受給者の妻の扶助料の問題なんですが、増加恩給の第二項症以上、たとえば特別項症など年に二百万円くらいもらっているわけですね。この方が病気で亡くなりますと、この人の奥さんはこの恩給の半分はもらえない。最低の保障額を受けるわけですね。ですから、年に二百万くらいもらっておった方の奥さんは、今度は二十何万円になるわけです。十分の一以下に下がるのです。これは私、いろいろ事情はあろうと思うのですが、これを普通の扶助料と同じように半分にできない理由はどこにありますか、一応お答え願いたいと思います。
  45. 菅野弘夫

    菅野政府委員 普通の扶助料というのは、普通恩給の半分ということでございまして、いまお示しのような傷病者の場合には、普通恩給は出ておりますから、もちろんその半分はもらえるわけでございますけれども、そういう方々は、それじゃなぜいまお示しのような数字になるかと申しますと、その傷病に対する恩給、すなわち増加恩給が非常に額が大きいからでございまして、結局、傷病恩給というものは、そういう障害の程度なり何なりを考慮した給与でございますけれども、扶助料というものは、残された遺族に対する給与であるという、そこに基本的な性格の違いがあるのだと思います。それで、そういう増加恩給をもらっているような方が亡くなった場合でも、普通の方よりは有利に増加非公死の扶助料をもらうようにはなっているわけでございますけれども、総額から申しますれば半分にはならないで、それ以下の額になるというのは、これは特に、項症の重い方方については、そういうふうになるわけでございますけれども、いま申しましたように、恩給の種類の性格によるのが基本的な問題だと思います。  またそれでは、そういう方々が亡くなった場合に、もっと上げられるような方途がないかというお話でございますけれども、これはやはり、いま言いました制度の組み立ての基本に関する問題であるというふうに思います。  またもう一つは、そういう傷病になってから亡くなった方でなくて、すぐ戦死をなさったような方に公務扶助料が出ておりますけれども、そういう公務扶助料とのバランスの問題等も内在しておると思います。
  46. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 確かに、戦死をなさった方の遺族との均衡の問題はあると思うのですが、それにしても自分の主人が亡くなって、いままでの恩給が十分の一か七分の一かぐらいにぐっと下がるということになりますと、いままで世帯のやりくりをして、ことに重度の傷病の方ですから、奥さんは苦労して介護してきたと思うのですが、何か私、気の毒なような感じがしてならないのであります。何か漸減というくらいの暫定措置というか経過措置といいますか、そういうことは考えられないものだろうかなあという気がいたします。これは私の希望でありますから、御検討いただけましたら結構だと思います。  次に、扶助料一般の問題ですけれども、恩給の半額ということになっておるわけですね。これはまあ恩給制度始まって以来、そういうふうになっておるようですが、最近の経済事情の変遷を見ますと、恩給の半額ではなかなか食っていけません。最低保障のこともあり、生活保護のこともあるじゃないかとおっしゃるかもわかりませんけれども、一般の受給者気持ちとしては、私そういう方々にお会いして話を伺いますと、自分が死んだ後は、やはり妻に七割ぐらいの扶助料はやってほしいという切実な気持ちを持っておられる方が多うございます。これは非常に財政負担を伴う問題でございますので、ここで急にお答えを求めるつもりはございませんが、そういう受給者にとっても非常に切実な問題について、これは長官ひとつ頭の中に入れておいて今後お考えをいただきたい、かように思うものでございます。御答弁要りません。  次に、普通恩給受給者の傷病年金の減額の問題であります。これは昨年は減額率は減らされたと思うのですが、ことしは減らされておりません。そもそも普通恩給受給者の傷病年金の減額ということは、どういうことでできたのか、また現在は一五%ですか、どういう根拠で一五%ということを決めておられるのか、その辺を御答弁願いたいと思います。
  47. 菅野弘夫

    菅野政府委員 款症に相当する傷病年金を受けておられる方々の、旧軍人に併給されております場合の普通恩給の減額の問題だと思いますが、これはなかなか理解がしにくいのでございますけれども、増加恩給という重度の方々は、勤務年限の長短に関係なく必ず普通恩給がまず出る、それに増加恩給が出るということになっております。それに対しまして傷病年金の方々は、これは年金は出るけれども普通恩給は原則として出ない。出ないと申しましたけれども、もちろん長くお勤めになれば、そっちの方の意味で普通恩給が出るわけでございますが、原則としては出ない。そこで、そういう方々の傷病年金増額をできるだけ高くしようじゃないか、そういう精神のもとに、その傷病年金の額の方を高目に決めております。  したがいまして、それだけならば問題ないわけですけれども、いま御指摘のように、長くお勤めになったということで普通恩給をもらっている方があります場合には、普通恩給を同じく併給されております増加恩給の方々とのバランスが逆転をするということになりますと、やはりおかしな制度になりますので、逆転をしないように減額の規定が設けられて今日に至っております。その減額の規定が従来二五%でございましたのを、先年一五%に下げたわけでございますけれども、これはいまお話しのような御要望等もありましていろいろ研究した結果、少しでもその減額が少ないようにしたらどういうふうになるだろうということを研究の結果、一五%ぐらいならば傷病年金全体の体系を崩さずに改善ができるのではないかということでそこに落ち着いたわけでございます。二五%と申しましたけれども、それは戦後いろいろな変遷がございまして、一五%というときもあったものですから、そういう一番いい数字を採用したわけでございますが、今後の問題としては、傷病年金の体系全体にかかわる問題でございますので、なかなかむずかしい問題だと思っております。
  48. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 均衡の問題ということをおっしゃるわけでしょう。まあ一応わかりますが、恩給審議会の答申の中にも「恩給総額からみて第一款症の傷病年金受給者の額がこれより傷病の程度の重い第七項症の増加恩給受給者の額を上回ることがないようにするために設けられた措置である。しかしながら、加算恩給を併給されている者の傷病年金年額については、第七項症の増加恩給受給者恩給額との均衡を考慮して、この減額を行なわないかまたは緩和することが適当である。」というのが恩給審議会の答申なんですね。私はやはり、こういう趣旨でこの問題も御検討いただきたい、これは長官にお願いするわけでございます。  それから大蔵省の方お見えになりましたか。——傷病軍人の方からずいぶん頼まれる——頼まれると言ってはおかしいんですが、聞かれるんですが、いま恩給を担保とした金融は、どれくらいの件数があり、どういう条件で貸し付けをしておられますか。
  49. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 恩給局関係で公庫を利用して恩給担保貸し付けを受けておられます方は、公庫の統計によりますと四十八年度末——四十九年三月末で十六万三千人ということになっております。なお貸し付けの条件等でございますけれども、貸し付けの金額の限度といたしましては、年金支給額の三年分以内、ただし七十万円を限度とするということになっております。金利は年六%、期間は四年以内、この貸し付けにつきましては、保証人を一人以上立てていただく、おおよそこういうことが貸し付けの内容の骨子であります。
  50. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 こういう訴えなんですよ。目の見えない方とかなんとかでやはり家の中の便所を改造したり、それから出入り口を改造したりせんならぬ、それに金が要るのだ、ところが恩給を担保としたのでは、なかなか金を貸してくれない——貸してくれないというのは必要な額をですよ。これを何とかふやしてもらえないかという御要望なんです。いま最高が七十万円ですか、これは少し低いのじゃないですか。もう少し上げられぬものでしょうか。
  51. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 この貸し付けの限度につきましては、数年おきぐらいに改定しております。ただ、それのめどといたしましてどういうことを考えておりますかと申しますと、大体二つぐらいのめどがございまして、一つは、受給年額の平均の三年分というのがどのぐらいの金額であるかということを見まして、ほぼそれをにらみながら決めておるというのが一つの柱でございます。もう一つのファクターといたしましては、実際の借り入れの平均の金額というのを見ておりますと、現在でも三十万円台でございます。したがいまして、平均といたしましては七十万円で頭打ちということでそうお困りになる方はたくさんおられないと思いますけれども、場合によっては七十万円以上という方も出てこられようかと思います。こういう点につきましては、恩給の受給年額等が年々上がってまいります、これにスライドいたしまして、窓口の実情を見て今後考えていくということは十分考えられるところでございます。
  52. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 七十万円とおっしゃったのは、平均じゃないのでしょう。最高限度なんでしょう。
  53. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 七十万円と申しましたのは、借り入れに際しての最高限度でございます。それから先ほど申し上げました三十万円と申しますのは、実際に個々の借り入れをなさいます資金需要の平均の貸付金額が三十万円台になっておる、こういう実績でございます。
  54. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 こういう借り入れをするのは、いろいろな事情の方がありましょうけれども、一番必要だと思われるのは重度の障害を受けた方です。足がないとか手がないとか目が見えないとかいう方なんです。家の改造など考えました場合に、七十万円というのはいかにも少ないですね。そういう方はまた恩給をたくさん取っておられるわけです。三年分とおっしゃったけれども、恐らく二百万円以上の恩給を取っていらっしゃる方にそういう要望の方が多いように思うのですが、これはぜひ大蔵省の方でもう少しこの限度を上げるように考えてくれませんか、いかがですか。
  55. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 その点につきましては、今後十分検討さしていただきたいと思います。
  56. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ぜひお願いします。  その次に、あと二、三項目ですが、恩給外の所得を受けていらっしゃる方の恩給の停止の問題ですが、私、調べてみましたけれども、公的年金でこんな制度はないですね。ほかの収入が多いからといって年金の方を減らすなんというのはありませんよ。これは恩給について特有な現象だと思うのですが、どうしてこういうふうな恩給制度ができたのでしょうか、私わからないんですがね。
  57. 菅野弘夫

    菅野政府委員 これは恩給が始まったときは、こういう制度はなかったわけでございますが、昭和八年の法律改正においてこういう制度ができました。恐らくこれは、その当時の財政緊縮政策の一環として恩給にもいろいろな制度改正がございましたので、その一部だと思いますけれども、それ以来今日までそういう制度が続いているわけでございます。
  58. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 昭和八年の財政緊縮の際に、恩給についてもある程度減額しようということでできたのだというお答えでございます。それはそういう事情はあった、当時は公的年金制度が余り発達していなかったですから、恩給がそういうことをかぶったということは考えられるのですが、これは長官承知かと思いますが、恩給審議会の答申は「昭和八年当時における異常な緊縮財政の要請により、恩給費節減の一方法として特に設けられたものであり、年金制度本来のあり方からみれば異例の措置ともいうべきで、現に被用者年金でこのような制度をとっているものはない。また、今日ではこの制度を存置しなくとも税法上の措置によってほぼ目的を達し得るものであるとともに、この裁定に要する事務手続はすこぶる煩さであり、行政事務の能率化の観点からもこれを存置する必要性ははなはだ乏しい。したがって、さしあたっては少なくともその停止率を制度創設当時の率に改めるとともに、その停止基準額についても、制度創設当時の額を基礎として今日の貨幣価値にしたがって引き直すよう改めることが適当である。」こういう答申を恩給審議会がしたわけです。この趣旨が妥当だと私は思うのですが、これは長官ぜひ考えていただけませんか。
  59. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど局長から御答弁申し上げましたように、昭和八年の緊縮財政の一環として取り上げられましたが、この答申にございますように、税法上の措置によって、この制度の趣旨はほぼ達せられているという御意見がございますし、また四十八年度におきましては、この答申の後段にございますさしあたっての措置といたしまして、普通恩給及び恩給外所得の停止基準を大幅に緩和はいたしました。しかし御指摘のように、他の年金制度におきましてこの種の措置がとられているというものはないということを考慮いたしますと、この制度のあり方につきましては、今後十分検討をすべきであると私は考えております。
  60. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 最後に、厚生省年金課長さん、老齢福祉年金恩給関係についてお尋ねいたしますが、恩給をもらっておる者は、老齢福祉年金はどの程度の額をもらっている方から受けられるのですか。
  61. 坂本龍彦

    坂本説明員 現在の段階で申しますと、恩給に例をとりますと、年額が十六万円未満の場合に、その恩給に福祉年金を合わせて十六万になるまで併給をいたすことにしております。  ことしの改正の案といたしまして、この十六万円を二十四万円にまで引き上げるということを考えておるのでございます。
  62. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ことし八万円引き上がるということ、これは相当喜ぶ方が多いと思うのですが、公的な扶助料ですか、戦争公務ですか、戦争公務による扶助料を受けておる方々は、これは除かれるということになっておるというのは事実ですか。
  63. 坂本龍彦

    坂本説明員 先ほどのお答え、ちょっと私のあれが不十分でございまして、先ほど申し上げましたのは、いわゆる普通恩給でございまして、先生がいまおっしゃいましたような戦争公務に基づく恩給を受けている場合におきましては、旧軍人としての階級が大尉以下の人、その人の場合には福祉年金は全額併給をいたします。旧軍人の階級で少佐以上の方には併給をいたしません。つまり一般の普通恩給と同じ扱いをいたす、こういうことになっております。
  64. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 尉官以下に限られた理由というのは、どういうところにあるのですか。
  65. 坂本龍彦

    坂本説明員 つまり戦争公務の場合の併給というものの特殊性と申しますか、戦争によって死亡した、あるいは障害となったというような点にその特殊事情があると考えたわけでございまして、特に尉官級以下の人の場合には応召軍人の方が非常に多い。つまり自分の意思によらずに国の召集に応じて戦争に出ていかれたということで、いわゆる職業軍人とはまた違った立場でいろいろなそういう戦争の被害をお受けになった、こういうことで大尉までの軍人軍属の場合には、応召軍人が非常に多いということを考慮いたしまして、こういう取り扱いを決めておるということでございます。
  66. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。  大体以上で私の質問を終わるわけでありますが、長官いままでお聞きいただいておって御了解願ったと思いますが、恩給制度というのは非常に古い制度なんです。私、この恩給審議会の答申を読みまして、これは非常によくできておると思うのです。わりかた公正な立場からよく勉強してつくられた答申だと思います。これはやはり、恩給制度というものをある程度軌道に乗せる効果を果たしたと思っておりますが、これも答申が出ましてから七年たつわけです。その後、いま言ったような年金の方面における物価スライドの問題だとか、あるいは残された問題として軍人の加給加算年の問題だとか、考えてみますと、いろいろまだ問題があるわけでありまして、これはやはり、この恩給審議会のようなものをもう一度、設けるというのか開くというのかわかりませんけれども、全く公正な立場から答申を得て、いま当面している恩給制度上の諸問題の解決に寄与さしたいというふうな気持ちをお持ちいただけないでしょうか。私はそれを熱願するものなんですが、お答えを願います。
  67. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘のように、昭和四十三年の恩給審議会の答申におきまして、改善すべきであるという答申が行われましたのは、二十六項目ございまして、これについては、四十六年度を最終年度といたしまして改善を完了いたしまして、四十七年度以降につきましては、御承知のように、答申後の社会情勢の変動に即しまして新たに提起されました問題についてそれぞれ検討を加えて、必要な改善措置を講じてまいったのでございます。  今後の問題につきましては、国会審議の過程等において御指摘のありました点、本日も加藤委員からいろいろ御指摘があったわけでございますが、これらを参考といたしまして、社会、経済情勢を考慮しながら政府自身の手で検討してまいりたいと考えております。  審議会を置くべきであるという点につきましては、ただいまのところ政府考えておりませんが、一つの貴重な御提言として承らせておいていただきたいと存じます。
  68. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 質問を終わります。
  69. 木野晴夫

    木野委員長代理 次に、旗野進一君。
  70. 旗野進一

    ○旗野委員 このたびの恩給法の一部改正によりまして、公務員給与改善に伴って二九・三%増額する、また明年度はその水準差を六・八%上乗せするということで、三八・一%を増額しようというわけでありますが、これは私、結構なことだと思っておるのでありますが、第二点の普通恩給最低保障改善もこれは長期在職者老齢者の普通恩給最低保障額を大幅に引き上げられたということは、これに関係している人たちの中では、もう要援護家庭に転落をしておるような人たちも中におるのでありまして、そういう意味からして、むしろ遅きに失したような感も私はある。しかし、これは一応皆さんの方から言えば、きわめて画期的な引き上げの措置であったと私は思うのです。  そこで、この二点に対しては私、別にとやかく申し上げようと思いませんけれども、問題は、十八号俸から八十二号俸までの一律アップをおやりになるでしょう。この一律アップをやるということは、どうも私は、率直に申し上げて賛成できない。なぜ賛成ができないかと申しますと、四十八年度から五十年度の三年間の仮定俸給年額を十八号俸では二十一万八千三十二円、一番多い八十二号俸では三年間で仮定俸給額の増加額は百八十二万四千五百五十八円になっている。上下の格差が余りにも激しい。そういうふうに恩給局長は思われませんか。
  71. 菅野弘夫

    菅野政府委員 率で申し上げますれば同率でございますが、額で申せば当然、高い方及び低い方に同じ率を掛けるわけでございますので、絶対額ではより大きな差ができるというのは事実でございます。  先ほども大臣がお答えをいたしましたように、この一律アップという方が、理屈の上では一つの筋ではないかという考え方でずっとやってきておりますけれども、ただ現職の公務員のアップの指標そのものを四十八年から使うようになっておりまして、その指標は、いま言いましたいわゆる上薄下厚という形になっておりますので、恩給の中にもそういうものを入れるべきかどうか、入れられないのかどうかということについては、私たちも非常に関心を持つところでございまして、目下、十分研究をいたしております。ただ現在、結論が出ておりませんので、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、今後の課題とさしていただいておるわけでございます。
  72. 旗野進一

    ○旗野委員 そこで、格差が余りに激しいので、私どもこれを見ますと、必ずしも皆さんのおっしゃる、その下に厚く上に薄いというような現象には見受けられない。これは恐らく財政上の理由から一律アップということになったのでありましょうけれども、すでにしばしば、この問題には議論があったわけでありましょうけれども、特に昨年の第七十二国会において、参議院においても衆議院においても、同じ内閣委員会において附帯決議がなされておる。それは「一律アップ方式について、最近における現職公務員給与改善の傾向を考慮して再検討を加える」ということですね。聞けば、恩給審議会もなくなったということになると、このいわゆる本委員会におけるところの発言あるいは附帯決議というものは、きわめて重要な性質を持っておると私は思う。  そこで、最低保障額の問題は、いま私が申し上げたように、経済事情を考慮した大幅な引き上げでありますから、これに対しましては、きわめて画期的だと私はさっき評価したわけでありますけれども、このいわゆる附帯決議にそうして盛られておるにもかかわらず、何でこんな一律アップをなさるのか、この辺が私にはどうしてもわからない。しかも対象人員は二百二十七万人というようにはっきり示されておる。しかも所要額が六百七十一億ということであるならば、なぜ一律アップをやらないで、この範囲内で上薄下厚という姿に持っていかないのか。私はこれは非常に重大な問題だと思うのです。政府・与党との話し合いでもありましょうし、執行部もおわかりでありましょうけれども、私どもは余りこういうことは知らない。やはり本委員会の場において、この問題に対して、修正すべきものは修正をしていかなければいかないと思います。なぜかと言いますと、恩給受給者はやはり生活に困っているのですから、そういう観点からいきますと、このままにして皆さんがただ一律アップというようなことをなさるということに対しては、どうも私は納得がいかない。  そこで総理府では、予算要求をされるときの四十五号俸以下は三九%、六十三号俸以上を三六・八%、平均して三八・一%という案が、いつの間にか一律アップの政府案になっておる。私は最初そういうふうに聞いておったのです。ところが、全くその趣旨に相反するような一律アップをおやりになろうとしておる。これは恩給受給者の立場から言うならば、恐らく納得のいかないものでありましょう。私どももまさにそのとおり考えておるわけで、あえて私は御質問を申し上げるわけでありますが、六十三号俸以上は受給者の人員が少ない、五十五号俸あるいは四十五号俸以下は人員が余りに多いということかもしれませんけれども、いずれにしたところで、この二百二十七万人と六百七十一億という所要額のあれがはっきりと示されておりますからして、この中で操作をなさることが、恩給局として当然なすべきことではないかと思う。  少しも弱者救済でもなければ、あるいはまた社会的公正を適正に盛っていこうというようなことがここに出ておらない。どうも上にばかり厚い。いま申し上げたように、最高額と最低額では、まるっきりもう問題にならない。もちろんこれは、上と下を同じにしろなんていうことは、私は考えておらないわけであります。しかもまた、武官などは無拠出、文官は昭和八年十月以降百分の一、あるいは戦後は百分の二ずつ恩給納付金ということをやっておるわけです。ですから、五十号俸以下は四五%増、六十三号俸以上は二五%として、平均して三八・一%というようにこの際、上薄下厚の処置をおとりになるお考えは総務長官ございませんか。
  73. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま旗野先生仰せになりましたことは、すでに両院の委員会において附帯決議として出されております。したがいまして、総理府といたしましても、先ほどお話がございましたように、三段階に分けまして上薄下厚という考え方を、今回の予算要求の際にもとりまして、折衝をいたしたわけでございます。公務員給与そのものが上薄下厚の体系でございますから、これを取り入れるべきであるということでやったわけでございますけれども、今回は、先ほどお答えをいたしておりましたように、最低保障額を、従来のやり方でやりますと三十二万円が三十六万円になりますものを、四十二万円に引き上げるということにしたわけでございまして、最低保障額を引き上げますことに重点を置きまして、なお、お説の上薄下厚をなおざりにしたわけではございませんで、幾段階かに分けるということについても主張をしたわけでございますけれども、いま申し上げましたように、今年度は最低保障額を引き上げるということに重点を置きました結果、この三段階につきましては、一応見送りという形になったのでございます。しかしながら、仰せの点につきましては、私どもといたしましても、十分主張すべきことであると考えておりますので、今後の課題といたしましてひとつ努力をさせていただきたいと存ずるのでございまして、今年度はひとつこの辺でお許しをいただきたいというふうに申し上げるわけであります。
  74. 旗野進一

    ○旗野委員 御説明の御趣旨はよくわかりますし、最低保障額を引き上げるということについて、予算措置を相当されたという努力は私は買います。しかしそれも、年金恩給とはもちろん違いますけれども、各種年金がもう次々と上昇をしておるというさなかに、最低保障額を上げるのは、これは当然だと私は思うんですね。これを、いままでもお上げにならないところに問題がある。さっき申し上げたように、もうすでに二十万そこそこしかもらわない、もちろんそれだけの勤務年限もなかったのでありますから当然でしょうけれども、もう要援護家庭になっている人もおる。これは事実を示せと言えば私は示します。そういう状況にあるのでありますから、それとこれとはおのずから私は別だと思うんですね。しかも先ほど申し上げたように、二百二十七万人に対して六百七十一億というはっきりとした、いわゆる人員と予算が出ておる。それをあなた方はお直しになれないということは、私はおかしいと思うのです。  そういう意味からして、旧態依然たるこのいわゆる恩給制度の中で、十八号俸はさっき申し上げたように、仮定俸給年額が既応三カ年で二十一万八千三十二円なんです。物価上昇でありながら、百分の五十として基本恩給額は三年間でたった七万二千六百七十七円しか上がっておらない。ところが一方、六十三号俸の人は仮定俸給額が三カ年で百六万九千八百六十二円増額されていますから、基本恩給額が三十五万六千六百二十円となります。さらに八十二号俸の一番高給の人は仮定俸給額が三年間で百八十二万四千五百五十八円でありますから、基本恩給額が三年間で六十万八千百八十六円の増額になっておる。これでは全く格差というものは物すごい状態になる。  ですからあなた方、これをこのまま私どもの委員会で通せと言うことは、私はおかしいと思うのです。私は、政府・与党の立場に立つ自民党の党員でありますし、議員でありますけれども、かくのごとき格差の激しい一律アップを、しかも附帯決議にこのようにうたっておるにかかわらず、何でこれをあなた方おやりにならないのか。これは私、重大な問題だと思いますよ。  また、いまの恩給受給者は、ことごとく七十歳近い人が多い。だから、はなはだしいのになりますと、小学校校長が自分の部下になっておった女の教員が年金制度に変わっておりますから、だから女の教員の方が多くて、校長がその下の恩給をもらっておるというようなのは、全国にたくさんありますよ。そういう状態を皆さんよくお考え願いますと、私は何も十八号俸と最高の八十二号俸の局長クラスの人たちを同じにせいなんという考え方ではないんですが、これをどうしても直してもらわなければ、私はこれは通せない。これは委員長において、しかるべくこの問題について検討していただきたいことを私は要望しておきます。少なくとも両院の委員会において附帯決議がなされておる、それをまた一律アップしている。  私、こういうおこがましいことを申し上げることは、まことに失礼かもしれませんけれども、歴代の長官やあるいはまたその他の方々に、私どもは内容はわかりませんから、法案が出まして初めてこの問題が議論の対象になるわけでありますからして、まことにおしかりを後でちょうだいするかもしれませんけれども、委員長の方からひとつしかるべくこの問題について慎重に御検討いただいて、単なる附帯決議ではなくして、二百二十七万人に対する六百七十一億を、どう一体適正に上薄下厚の施策を打ち出すか、これは三木内閣としては大事な問題でありますよ。  私などからこんなことを申し上げる必要は何もないが、ただ恩給問題ということになると、ややもすると高等数学が用いられておるものだからわれわれにはわかりにくい。わかりにくいから余りこの問題に対してどなたも議論なさろうとしない。しかしこれは非常に重要な問題であり、また日本の国民の中で一番努力をして、そして黙々と国家の繁栄を祈っておる人たちが多い、そしてその恩給というものによって、自分たちの生活を何とか守り続けようとしてきておる人たちであることは、いまさらもう言うまでもないわけであります。でありますから、まさに委員会軽視ではないか、こう私は野党であればきめつけたいところでありますけれども、野党でない悲しさであえて申しませんけれども、しかし内部告発をやるというわけではございませんけれども、率直な見解として、この際、総務長官からこの問題について慎重にひとつお考えをいただきたい、こういうことであります。御意見をお伺いいたしておきます。
  75. 植木光教

    植木国務大臣 今回の恩給増額につきましては、非常に多種多様の問題が山積をいたしておりまして、したがいまして、財政当局との折衝におきましてもいろいろ苦労をいたしました。ほとんど大部分が、満足すべきものではありませんが、大部分のものにつきまして実現を見るに至ったのでございます。仰せ上薄下厚につきましても、私どもとしては、最後まで努力をいたしたわけでございますけれども、結果的に、先ほど申し上げましたように、最低保障額の引き上げということで今回は見送りとなったのでございまして、ひとつ明年度におきましては、附帯決議の趣旨を生かしまして、仰せの点についての最大限の努力をさせていただき、実現方につきまして配慮さしていただきたいと存じますので、御了承をお願い申し上げたいと存じます。
  76. 旗野進一

    ○旗野委員 この問題につきましては、もうこれ以上申し上げませんけれども、ひとつ委員長の方でしかるべくお考えをいただきたいことを御要望申し上げておきます。  もう一つは、私のところへシベリア出兵の際の人が手紙をよこしているのです。この人の手紙を見ますと、私どもシベリア派遣軍としての従軍者には、今次大戦に参加された軍人の人たちだけに加算を認めておるけれども、われわれに認めてくれないということなんですね。シベリア出兵なんて言いますと、私どもはわからないのですけれども、そういう手紙が私どもの方へ舞い込んでおります。そうしますと、やはりそういう人たちに対する通算というものをなぜ認められないのか。事務当局のミスなのか。この点について、七十歳以上が六十五歳以上に緩和適用ということになっておるけれども、われわれはその恩恵に浴しておららないという手紙なんです。後刻そちらの方へ差し上げますけれども、そういうようないわゆる通算漏れの者があるのではないかというようなことを考えますので……。
  77. 菅野弘夫

    菅野政府委員 ただいまの具体的なケース、わかりませんけれども、シベリア出兵につきましても、七十歳以上等になっておられれば加算されているはずでございます。お年がいかないのかもしれませんし、あるいはお年がいったとしても、あるいは金額の計算をそういうふうにやった上で、最低保障の下であったので実際には実になってないというのかもしれませんが、具体的によく検討さしていただきたいと思います。
  78. 旗野進一

    ○旗野委員 終わります。
  79. 木野晴夫

    木野委員長代理 次回は、明後十八日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時散会