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加藤(
清政)
委員 郵便事業を
独立採算で
運営していくこと自体に問題があると
考えておるのですが、
郵便法第一条で「郵便の役務をなるべく安い
料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進する」と定められておるわけです。公共の福祉のために安い
料金で郵便は配達されなければならないわけです。したがって、郵政
事業特別会計は
赤字になってもある
程度やむを得ないということにもなるわけで、その
赤字負担は一般会計から繰り入れをすべきであると思うのです。
本年二月八日の衆議院
予算委員会公聴会の席上で、重度身体障害者グループの「羊の声」の宮尾代表は、
郵便料金の
値上げについて次のように公述しているわけです。
「今度の
郵便料金の
引き上げは、それ以上に深刻なものがあります。
私たちのグループには、両手が使えないために、足で字を書く人がおりますが、この人は友達に手紙を出すことが生きがいになっていまして、毎日足の指に鉛筆をはさんで書いております。電話は手が使えませんから利用できません。また、字は書けますが、歩くことは不可能ですので、友人との交流手段ということになりますと、文通以外にはございません。手紙五十円、はがき二十円という今回の
値上げ案は、こういう人たちから、その唯一の交流手段と、文通で得ておりました
生活の張り合いを取り上げるおそれがございます。
さらに、この
値上げ案によりますと、これまで比較的低額になっておりました第三種の
料金も大きく
引き上げられていますが、これは身障者団体の活動に重大な支障を与えかねないものがあります。五年前のことになりますが、各団体が出しております機関誌の郵送
料金を、郵政省の御好意によって三種扱いが受けられることになりまして、今日まで発行してくることができたのでございますが、今度の
値上げが実施されましたならば、廃刊の危機に見舞われる団体も出てくるかもしれません。介護手当の新設は結構でございますが、それにも増して、この際、いま申し上げました
郵便料金に関連しました問題につきまして、ぜひ何らかの
措置をいただきたいと存じます。」と、このように切々と訴えられたこれらの人々にとっては郵便は唯一の生きがいであるということになるわけですが、
独立採算制、
受益者負担ということで福祉の優先、不公正の是正を
公約した
政府が、これらの人々の生きがいまでも
郵便料金の
値上げによって奪ってしまうというつもりかどうか。
なお
郵便法の第十九条の二で、災害地の被災者に対してはがき及び郵便書簡の無償交付が定められております。また二十六条では盲人用点字、盲人用録音物、点字用紙は無料と定められております。これらの費用は郵政
事業特別会計の中で賄われております。つまり他の郵便
利用者がそれらを
負担しておるということになるのですが、こういうものは国の一般会計から繰り入れすべきものであると
考えられるのです。郵政
事業特別会計が
独立採算制であるからその会計で賄えというのはおかしいのではないか、そのように思います。現に公職選挙郵便規則の第二条で候補者へ無償で交付したはがきの
料金はどう扱われているか。たしか候補者には無償で衆議院、参議院の全国区、地方区、各都道府県知事、そういう選挙について交付されておりますが、後でそれを自治省の方からその財源について繰り入れをすると聞いておりますけれ
ども、その点もひとつお伺いしたいと思います。
このように、
郵便料金は単純原価主義でなくて
政策料金であってもよいし、そうあるべきであると思います。ただし、この場合貫徹しなければならない
政策は公共の福祉でなければならないと思いますが、これを貫徹する場合、
郵便事業を特別会計制度で
運営していく限りは、その
政策貫徹のための
負担は一般会計で負い、特別会計へ繰り入れすべきであると思うのですが、その点をお聞きします。
なお、今日国の
政策全体の福祉優先への転換が求められている中で、
郵便事業に対して身障者の郵便物無料化、低
料金化、通信教育受講者の
負担の軽減だとか、学術公共団体の研究通信等の
負担軽減等に、社会
政策的、教育文化
政策的な郵便物に対して無料、低減化の要望がきわめて多いわけでありますが、この
国民福祉の
立場に立って、
独立採算制にこだわらず、一般会計が
負担し得る限度で、無料または低減扱いの
料金として
国民全体の理解と納得を得られなければならないと思いますが、この点について郵政当局と大蔵当局の見解をお聞きしたいと思います。