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1975-06-18 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十八日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    高橋 千寿君       坪川 信三君    長谷川四郎君       廣瀬 正雄君    水野  清君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       久保  等君    松浦 利尚君       田中 昭二君    池田 禎治君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         参事官     山野 正登君         建設大臣官房政         策企画官    高橋  茂君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 六月十八日  辞任         補欠選任   下平 正一君     松浦 利尚君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     下平 正一君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 六月六日  簡易郵便局法等の改正に関する請願林義郎君  紹介)(第三四六八号)  同外一件(廣瀬正雄紹介)(第三四六九号)  同外一件(竹本孫一紹介)(第三五三七号) 同月十二日  身体障害者団体刊行物を第四種郵便物として  認可に関する請願上坂昇紹介)(第三六五  七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四六号)  日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まずNHKの問題に入る前に、最近問題になっております基本的なことについてひとつお尋ねをしておきたいと思います。  それは御案内のとおりに、発展途上国からの中波周波数割り当て要求が、新聞の報道するところによりますと、約九千局近く出されておる。それに関連をいたしまして、現在わが国中波関係は、NHK民放で約四百九十局、百波近くを今日わが国で持っておるわけでありますが、こうした発展途上国周波数要求に対して、当然わが国国際協力という立場からある程度の波の譲渡ということが考えられる今日の国際環境であります。ということになりますと、国際的な中波の再編成をめぐりまして、わが国内においても当然周波あるいは免許の再点検なり割り当て調整という問題が出てくると思うのであります。国益から見た場合には大変大きな問題があるのですが、しかし何と言っても国際協力ということを前提にするなら再編成をせざるを得ないのではないかというふうに考えます。したがって、ラジオの中波周波数関係は今後郵政省としてどういうふうにお考えになっておるのか、この点が第一点であります。  それから第二点としては、御案内のとおりにFM周波割り当ては今日停止されておるわけでありますが、こうした周波割り当て関連して、今後FM割り当てというのはどういう方向でするのか、割り当て再開をいつごろから始めていくのか、そういう点についての郵政省側の見通しをひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  4. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問ございましたまず中波の問題でございます。中波放送の国際的な再編成という件でございますが、これは御承知のように昨年の十月にジュネーブにおきまして長中波放送用周波数の国際的な再編成に関する国際会議というのが開催されたわけでございます。これを第一会期と称しておりますが、この第一会期会議におきましては、将来中波の再編成を行う場合にどのような技術基準でやればいいかという技術基準的なものが検討されました。それに引き続きましてことしの十月には、その技術基準等を踏まえまして、ただいま御指摘ございました今後の世界の中波の再編成の問題、この問題の会議ジュネーブで開催されるわけでございます。ここにおきまして国際的な周波数割り当て計画というものを作成する予定になっております。  わが国といたしましても、わが国方針といたしまして既存の中波放送用周波数権益確保を図るという見地から、さきにジュネーブにございます国際周波数登録委員会に対しまして周波数要求を提出いたしました。各国からも同時に提出されまして、それが先般われわれの方にまとまったものが届いたわけでございますが、各国から出されました周波数要求状況を見ますと、その数は相当膨大でございます。しかも、その中に相当数のいわゆる新規の計画局分もございますし、また大電力局というものの計画もございます。郵政省といたしましては、現在各国からの資料周波数登録委員会から送ってまいりました資料を分析いたしておるところでございます。これを詳細に検討いたしましてわれわれの対策というものを考えたいということでございますが、御指摘のように、ことしの十月の会議成り行きいかんによりましては、わが国音声放送の再編成という問題も当然考えなければいけないのではないかということも予想されるわけでございます。したがいまして、国際協力という大局的な見地からではございますが、やはり既得周波数権益確保を図りたいということで慎重に対処していきたいというのが現在の考え方でございます。  それに伴いまして、二番目の御質問でございましたFM放送を今後どうするかという問題でございます。このFM放送につきましては、周波数割り当て計画を作成しましたのが昭和四十三年の十一月でございます。この時点におきましてNHKにつきましては全国的にその実施が可能になるような計画になっております。また民間放送につきましてはさしむき東京、名古屋、大阪及び福岡、この四地区にFMの特質を生かした放送実施が可能になるようにこの計画を作成いたしました。  民放FM局の今後の置局の問題でございますが、これはただいま申し上げました音声放送としての中波放送が、現在近隣諸外国からの放送との混信によりまして音声放送の媒体としての機能を十分に果たし得なくなっているという現状もございます。そういうことも考えながら、ことしの十月に開催されます先ほどの国際会議の結果を見きわめた上で、今後の中波放送を含めての音声放送全体のあり方というものの検討を進めて、その中にFM放送考え方というものも考えていきたい、かように考えております。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、これはもう言わなくてもわかっていることだと思うのですが、実は波の再編成とかあるいは新たな免許という場合には相当政治的な背景が出てきていつも混乱を生ずるのです。そこで私は、この際大臣に明確にお聞きをしておきたいのですが、国益を守るという意味既得権の波は完全に確保するんだという方針は私は正しいと思う。しかし問題は国益とのバランスの関係で、発展途上国が九千局ぐらいの開局の申請をしておるということになりますと、どうしてもわが国既得権益を譲らなければならぬ場面が私は当然出てくると思う。そうすると、国内周波編成ということにならざるを得ないわけで、いま十月の会議が済んだ後、済んだ後と言われておるが、少なくとも計画というのは——その会議既得権を守るという立場で臨むことも大切ですが、現実に混乱を防ぐという意味では再編に着手しておくべきではないか。あり方について検討して明確に答えを出した上で国際会議に臨むべきではないか。私はそういうものがないと大変な混乱を起こしてくるだろうと思うのです。もういつでも政治的な問題がバックに絡んでくるのですよ。政治家が介在してくる。だから、そういう意味でこの問題に対処する大臣考え方と、それからいま事務当局が御説明になりましたが、もっと早目に再編計画というものは立てられるべきだというふうに私は思うのです。その辺についての大臣の御見解を承っておきたい。
  6. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま事務当局からお答えのありましたように、わが方としてはあくまでも今日確保しておる権益と申しますか、これだけのものは絶対に放さないんだ、いまから再編成を云々して、そうしてもう戦わずして降伏していくというようなことは考えておりません。どこまでもこれを確保するために懸命の努力をしてまいりま  す。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは絶対に既得権益は守る、国際協力ということは一応度外視してまず国益を守るんだ、だから絶対に譲らぬのだ、ということで理解してよろしいですね。絶対に譲らぬ、十月の会議に座った後でも絶対に譲らないのですね。確認しておきますよ。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 国際協力ということはどこまでもこれは主眼にしておりますが、その会議の結果を見なければわからないことでありますが、しかし、われわれとしてはどこまでも日本確保しておりますものは守っていきたい、こういう気持ちで会議に臨みます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 守るということはわかっておるのですよ、さっき事務当局も話されたんだから。問題は、やはり国際協力ということを考えたらもう譲らざるを得ないのですよ、わが国の分を。そうしなければ入れないですよ、発展途上国の波が入ってこれないわけですよ。ですから、国益を守ると言うなら絶対に守ってもらえばいいし、ある程度発展途上国協力をしなければいかぬ、国際協力を前面に出すんだからということになれば、私は当然再編ということを考えておく必要があるんじゃないか、こう言ってる。しかし、あなたはそういうことは考える必要はない、国益を守るんだというふうに言っておられるんだから、それが間違いなくそうであるなら、私はそれでいいと思う。抽象的ではいけないですよ。もっと明確に答えてもらわなければ。
  10. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 大臣説明に補足させていただきますが、現在参っております資料について分析いたしている最中でございまして、まだ詳細な点は出ておりませんが、われわれ、ことに電波関係混信を起す可能性があるというのはやはり近隣諸国でございますが、その対象といたしましてソ連、中国、韓国、このような国がわれわれの近隣諸国として非常に関係あるところではなかろうかというふうに考えている次第でございます。したがいまして、それらの国の状況というものを現在的確に把握しつつあるわけでございますが、その段階におきましてはやはりまだ計画というものはなかなか事前に立てにくい。ただ、いろいろ向こうの状況を何とか情報をつかむことによって、われわれが国益を完全に守り通せるか、あるいはどこで譲らざるを得ないか、この辺のところは今後データを解析しながら検討を進めていきたい、かように考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 このことはきょうの主題ではありませんからこれ以上は避けますけれども、私がなぜそれをしつこく聞くかと言うと、再編ということになりますと必ず混乱が起こるのですよ。混乱が起これば必ず政治的なものが背景に出てくるのですよ。それを私は警戒するからくどく言っておるんで、前提としてはやはり国益を守ってもらって、もうそういうことはないんだということが一番いいけれども、どうも状況から判断して非常にむずかしい状況が生まれてきておりますから、そのことを私は大臣にしつこくお聞きをしておるわけです。ぜひひとつ混乱のないように対処していっていただきたいと思います。  それでは本題に入りますが、NHK関係で、五十年度予算で二百十七億の大幅赤字を見込んでおられたわけでありますが、現状のままの契約料金でいったとしますと、来年度はどれくらい赤字が見込まれるんですか。
  12. 小野吉郎

    小野参考人 目下非常に作業をいたしておりまして、あらゆる角度から検討をいたしておりますが、数字的に明年度赤字がどのくらいになるかということはいままだお答えできる段階ではございません。今年度、五十年度すでに二百十六億の赤字を出しておりますので、五十一年度にはこれを上回る相当な赤字になることは予想できますけれども、いま作業をいたしておりますのは、NHK国民負託にこたえてやらなければならない仕事、これを一体どういうように判断をするか。いままで国民負託にこたえてきておるつもりでございますけれども、今日から将来へ向かって真にNHKが重点を置いてやらなければならないもの、そういったものをやはり指向いたしまして、それに対して一体どれだけの経費が必要かといったような作業を広範な角度からいたしております。その作業のさなかでございますので、まだ数字的に確定的に五十一年度にはこうだという数字は挙げかねるのでございますけれども、まあ大体におきまして今年度、五十年度の支出の規模が千五百二十九億でございます。物価賃金上昇等関係がどういうような趨勢をたどるといったような問題にも関連をするわけでございますけれども、その辺もまだ今日未定でございます。仮定といたしまして、仮に一〇%上がるとすれば百五十億要るわけでございますので、合わせてみますと三百七十億くらいの赤字にはなろうかということは漠然とは予想はできますけれども、現在できるだけそういった赤字を縮めるべく、むだのある面があれば、今日までいろいろ合理化に努めてまいりましたので、そういったものが大きくあるとは思いませんけれども、そういったものはこの際やはりありとすれば完全に切り捨てるべきでありましょうし、また一層国民負託にこたえるために重点的な努力を注がなければならないものにつきましては強化しなければならないと思います。と申しますのは、ここ数年前から受信料の伸び悩みから、必要ではありながらかなり縮めてまいっておりますので、そういった無理が重なってまいっております。そういう面も考えますと、五十一年度の計算上にはかなりの赤字が出るであろうということは予想できます。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま私がお聞きをしたのは、五十年度二百十七億の赤字ですね。ですから、五十年度をベースにして幾らかと、こうお聞きをしたんです。だから、物価上昇その他も計算しなければならないが、しかし実際に五十年度をベースにして幾らになるのか、計画を変更したり何かするんじゃなしに、これをベースにしていって五十一年度はどれくらいの赤字になるんですかと、こういうふうにお聞きをしたつもりなんですが、そういう計算も試算もしておられないんですか。
  14. 小野吉郎

    小野参考人 目下あらゆる角度から検討いたしておりますけれども、もちろんそのような計算もいたさなければなりません。これは仮定数字で先ほどお答え申し上げましたように、仮に一〇%経費増を来す要因があるといたしますと、現在の五十年度の予算ベースに考えますと三百七十億ぐらいの赤字になるであろう、こういうことは予想できます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま五十年度をベースにしてということを前提にして三百七十億近くの赤字になるということですが、大体NHKというのは主たる収入は私は受信料だと思うのです。ですから、その赤字に対応するためには受信料を上げる以外に率直に言って収入の道がないわけですから、受信料を上げるということに当然なってくると思うのです。ということになると、その受信料という問題は、国民コンセンサスを得なければならないということになりますね。  そこで、これは大臣お尋ねをしたいんですが、一体このNHK受信料というのはこれは公共料金なのか、一体どういう性格のものだと郵政省側では考えておられますか、聴視料というのは。
  16. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいま公共料金かどうかというような御質問がございましたが、これにつきましては、従来この受信料につきましては公共料金定義というものがはっきりいたしませんので、必ずしも明らかでないわけでございます。したがいまして、政府部内におきましても現在公共料金としては取り扱っておりません。しかしながら、御承知のようにNHK受信契約者数が約二千六百万という数になっておりますので、その点から見ますと、受信料というのはきわめて公共性の高い料金であるということは言われるのではなかろうか、かように考えております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、公共料金に準ずるものであるとするなら、国鉄あるいは郵便あるいはそういったところで、極端な言い方をすると、国の政策によって抑制することが可能なんですね。経済情勢なり政治情勢判断をして、公共料金は上げないように抑制するということは可能なんです。ところが、NHKの場合には収入源聴視料以外にないわけですから、公共料金に準ずるものだとして抑制するということになれば、その赤字をどこかでめんどうを見てやるという方向が出てこなければうそですね。国鉄の場合は国鉄政府がやはりめんどうを見るわけですから、赤字を。そうすると、公共料金を抑制する見返りとして政府が何らかの補償をするということになれば、逆に言うと政府NHK運営に入り込んでいく、介入をしていくというジレンマに陥るのですね。逆に言うと、NHK側にしてみれば、国民のための放送というものに政治が介入するということについては反対だ、政府が入ることについてももちろん国民全体が反対をするということになりますと、通常公共料金に準ずるものだという発想で、もう値上げが目の前に来ておるわけですから、私は対処できないんじゃないかと思う。ということになると、NHK受信料というものは一体何なのかという性格づけを私は必要とすると思うのですよ。その点は大臣間違いないでしょう。
  18. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように非常に公共性の高い料金であるということではございますが、NHK料金はやはり政府が決定したりあるいは認可する、こういう性格のものではございません。従来から、法律にもございますように、NHK収支予算ということで計上をしたもので国会の御承認を受けてその額を決定するということになっておりますので、その点はわれわれとしましてもぜひ料金の問題について御検討いただきたい、かように考えております。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで大臣、これはやはり政治的な判断だと思うのですが、これはNHK国会に提出した予算を私たちはここで承認をするという手続ですわね。それはなぜかというと、やはりNHKというものの特殊性がそうさせておるわけでしょう。それに政治なり何なりが介入しない歯どめとしてそういう手続にしてある。ただ、全体の国民の代表としての国会承認を得るということだけに手続としてしてあるのだと思うのです。ということになると、NHK自体赤字なんだから、赤字だからといって今度政府出資を求めたり何かするという通常国鉄とか郵政のような発想には立てない。結局、聴視料を上げざるを得ないわけだから。そうすると、国民の同意が必要になってきますね。そうなってくると、やはりNHK聴視料というのは、非常に言い古されたことだけれども新しい問題なんですね。議論されておるけれども、非常に性格があいまいなんです。一体これは何なのかということを早く政府が統一したものを出しておくべきだ。私がこういうことを言うと、野党の立場でおかしいじゃないかという説になるかもしれぬけれども、私はやはり議論としては正確なことは把握しておきたいのでお尋ねをしておきたいのですが、極端に言うと、NHK受信料というのは、国民NHKの経営に参加をするという、国民の側がNHKというものをつくり出しておる、それに対する国民出資金といいますか、そういった性格のものが受信料だというふうに位置づけられなければ、今日のこの赤字という問題を目の前にして当然受信料にはね返ってくる。その受信料にはね返ってきたものを一体どうするのかという問題について国民コンセンサスを得るためには、受信料というものの性格を明確にしておかなければいかぬ。もうその時期に来ておるじゃないか。そういう点について郵政省側がもっと早く的確な見解を出していただく。もちろんその場合には、国会での議論も必要だしNHK側の意見も聞くことが必要だと思うのですが、そういう点についてひとつ……。  どうも事務当局ばかり答弁して、こういうことはやはり政策的な意味大臣が答弁をすべきだと思うのだよね。そうしてちょうだい。それから大臣の後で会長の方からもひとつ答弁していただきたい。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 受信料性格につきましては、昭和三十九年に出されました臨時放送関係法制調査会答申におきまして、受信料は、「NHK業務を行なうための費用の一種の国民的な負担であって、法律により国がNHKにその徴収権を認めたものである。」ということでありますが、「国がその一般的な支出に当てるために徴収する租税ではなく、国が徴収するいわゆる目的税でもない。国家機関ではない独特の法人として設けられたNHK徴収権が認められたところの、その維持運営のための「受信料」という名の特殊な負担金と解すべきである。」こう述べられておりますが、省といたしましても、受信料性格をこの答申に述べられているように考えております。  受信料がいわゆる公共料金であるか否かにつきましては、公共料金定義が明確でないために必ずしも明らかではありませんが、受信料の額については政府が決定しあるいは認可するというものではなくて、NHK収支予算に計上したものが国会の御承認を受けることによって決まるということであります。
  21. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま大臣からお答えがありましたように、臨時放送関係法制調査会におきまして長年検討されました結果、NHK受信料性格につきましては、公共の福祉に沿うために特別に設置された日本放送協会の必要な業務を行うために要する経費国民が分担をするいわゆる特殊の負担金、こういうような定義づけをされております。自来私どもはNHK受信料性格をそのようなものと考え、これは税金ではもちろんございませんし、また対価による料金でもない、このように考えております。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたことであるとすれば、やはり国民に早く知らしめるべきだ。幾らぐらい赤字が出るから、これくらいは上げたいという意思は私は早く国民の側に知らしめるべきだと思うのですよ。  そこで、もう少し具体的にお尋ねをしておきたいのですが、NHK収入というのは、大体日銭が四億円が限度だ、もうそれ以上は無理だということが盛んに詳しい人たちあたりから言われておりますね。そうすると、実質的に受信機の伸びがとまる時期はいつごろが限度だというふうに見ておられますか。どんどん高成長してどんどん受信機がふえていけば、その台数だけ収入が入るわけですからね。しかし、現実にもう限界だ、これ以上はもうふえないというときはいつだ、何年ごろと見ておりますか。
  23. 小野吉郎

    小野参考人 これは受信機を設置した世帯と契約をするたてまえになっております。その世帯の数は今後いつになったらもう全然ふえないでとまるかということは、これはあり得ないと思います。多少ずつでもふえるわけでございますので、その限度におきましては受信料徴収の畑は少しずつふえるわけでありますけれども、今日のこの必要な放送に要する経費を賄うに足るだけのふえ方といったような面から見ますと、もうすでに五十年度の予算に計上いたしておりますように、受信料の伸びは前年に対しまして四・一%でございます。経済の客観情勢から見ますと、現状を維持するのにも四・一%の収入の伸びではとてもやっていけないということは自明でありまして、その意味から言えば大きな曲がり角あるいは一つの限界に近づきつつある。この四・一%の伸びは明年度、五十一年度、五十二年度になりますに従いましてさらに低下するわけでございますので、そういう面から見ますと、伸びの限界というものは、ここ三、四年先にはもうほとんど問題にならない程度になるのではないか、このように考えられます。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 受信料収入の伸びが五十年度で四・一、経常支出の伸びが五十年度で一六・八。ですからいま会長が言われたように、もうこれから受信料収入が急激に伸びるということは予測できない。しかし逆に経常支出の方はずんずん伸びていくわけですね。ということになれば、最終的に政府の方からの資金援助ということは性格上余り好ましいものではないとすれば、これから受信料の方にどんどん影響していく以外に方法がないわけですね。ということになると、この前小沢委員質問に、これは会議録をずっと調べたのですが、百円の伸びに対して三百億円の収入があるということでしたね。この点は会議録で見たので間違いないと思いますが、そうなってくると私は短期、中期、長期の計画がやはり要ると思うのです。ということになりますと、会長は先ほど赤字の問題についていろいろな角度から検討を加えておる、こういうふうに言われたのだが、いまNHKがしなければならぬことは、これは前の逓信委員会でもいろいろと議論されたようでありますが、これは一回しかブルーリポートというのを出されておらぬのですが、このブルーリポートというのはNHKの場合は毎年出されるべきだと私は思う。政府自体だって白書をどんどん出すわけでしょう。しかも、国民コンセンサスを得て国民立場運営されておるNHKだとするなら、このブルーリポートというのは当然毎年毎年出されて、こういうふうになっておりますよということは国民の前にオープンにすべきだと私は思ったので、実は私は第一だけ手に入ったから、ずっとその後も出ておるでしょう、それを下さいと言ったら、ない、とこう言われるのだ。だから、こんなことを言うとおかしいけれども、口では国民のために、国民NHKでございます、とこう言うけれども、経営内容というのは国民に知らさないわけです。逆に言うと知らさない。ここに私はNHKの矛盾があると思う。矛盾というよりも、殿様というか国民の上にあぐらをかいたというか、それは出さないのは出さない理由があったと思う。しかし、いま私は国民に経営を知らしめるべきだ。それで、こういうことをしてこうだから赤字になるのでこうしてもらいたいという、そういうものを当然出されるべきであるにかかわらず、いままで出しておらなかった。そこに受信料の拒否とかそういった問題が出てくるのじゃないか。ですから、いま大臣なり会長が的確にお答えになった受信料というのはこういう性格のものだということであるなら、当然受信料拒否などという行動が広がるはずはないのだ。そういうことがあってはならない。しかしそれが現実に残念ながら行われておるのは、こういうことが知らされておらぬところに原因があると私は思う。  そこで私は会長に明確にお尋ねをしておきたいのですが、早くこの第五次の経営計画というものを出されるべきだ。いつこれが国民の前に明らかになるのか。仮にこれは長期的な計画ですから、当然政府がいますべての経済見通しその他の改定作業に入っておりますから、それと複合するといけませんから、政府のそういった長期計画見直しに対応するものとして出されてくるでしょうから、政府がおくれるから作業が若干おくれることもあるでしょう。ということになれば、やはり短期、中期の構想というものが国民の前に知らされるべきだというふうに思うのです。ですから長期的なもの、短期的なもの、あるいは中期的なもの、どれでも結構ですから、この赤字の実態というものでこうだということがいつ国民の前に明らかにされるのか。その時期はいつなのか。その点をひとつ会長からお聞かせいただきたいと思います。
  25. 小野吉郎

    小野参考人 御説もっともでございます。そのようなつもりでいま作業をいたしておりまして、NHK内部におきましては経営改善委員会を発足させております。またそれだけではなしに、いわゆる国民に奉仕しなければならないNHKのたてまえから申しますと、そういった作業を内部機関だけでやったのではこれはまた独善のそしりを受けると思います。そういった意味合いから、外部のできるだけ広範に国民立場を代弁せられるでありましょうような方を委嘱いたしまして、経営基本問題調査会を発足させたいと思います。その時期はおよそ七月中には発足させたいと思います。ここでいろいろな作業をいたしまして、結局結論を得ますのは五十一年度予算編成の時限もございますので、十月末あるいは十一月の初めごろにはその結末をつけたい。これは現在私どもの持っております意向でございますが、その段階になりますと将来向きのそういった状況がどういうような状況になるのか絵が描けると思います。その時期にはもちろん、その時期までにもいろんな意味合いにおいて必要な限度におきましては、できるだけ受信者の方々に知っていただけるような努力はいたしますけれども、やはり決定的なそれは十一月の中ごろまで、このくらいをめどに作業をいたしておるわけでございまして、その期間のとり方はいま短期、中期、長期とございましたけれども、いろいろ将来の見通しの測定困難な時期でございます。これは国際的に申しましてもそうでございますし、その国際環境の影響を多分に受けます日本国内事情等の関係から申しましても、経済その他の動向は非常に測定しかねる状況にございますので、年数で申しますと短期はおよそ短くても三年ぐらいを考えております。三年先まであたりに一体何をすべきか、また財政の状況はどういう推移をたどるであろうか、これは最小限度はっきりしたいと思います。中期はおよそ五年ぐらいのところがいま山ではないかと思います。もちろんいま御指摘のように、政府でも将来構想について、将来の趨勢についていろんな指標を検討されつつあります。それと遊離するわけにもまいりませんので、そういう点ともやはり符節を合わしていかなければならないと思いますけれども、できれば十一月の中ごろまでにはそういった面を明らかにしたい、かように考えます。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 十一月の半ばまでにその構想を出されるということですからそれを見守りたいと思うのですが、問題は受信料拒否集団というか、ありますね。これはNHKの方ではどうされるおつもりですか。いろいろ手は打って納得させるようにしておられると思うのですが、これはやはり受信料性格があいまいなところから起こってきているのだと思うのですがね。このことを野放しにしておきますと、逆にまた受信料拒否集団というものがふえてくるのです。なぜかというと、受信料が上がってくれば拒否反応が出るわけでしょう。おれはNHKなんか見ておるわけじゃない、民放だ、こうなりますね。ですからこの受信料拒否というものについて、NHKは一生懸命だと思うのです。ですからこれは政府の方も、それは政府の方が余り口出しすることは好まないということもありますが、やはり受信料拒否の問題は解決しておかないと、法律で規制する必要はないが何らかの形で解決しておかないと、これからもう収入がずっと低下するばかり、支出は伸びるばかりですから、極端な言い方をすると、受信料というものは上げ幅を一遍に上げておけば毎年でないかもしれぬけれども、小幅にすれば毎年毎年上げていかなければならぬ、大幅に上げようとすればもう拒否反応が生まれてくるということになりますので、そういう点について、大臣の方で言いにくいでしょうけれども、郵政大臣のお考えと、それからNHK側の覚悟のほどをひとつ聞かせておいていただきたいと思うのですがね。
  27. 村上勇

    村上国務大臣 受信料の不払いというようなことについては、これはもう国民の道義に訴える以外にない、こう思っております。
  28. 小野吉郎

    小野参考人 いわゆる受信料拒否の集団に対しましては、これを軽視するわけにはまいらないと思います。それかと言ってなかなかそれぞれの理由を持っておられるわけでございますので、そう簡単に問題が解決するとは思いませんけれども、その波及はできるだけとめるように努力しなければならないと思います。現在いろいろ、いわゆる通常の外勤の職員だけでなしに内勤の幹部の者も出向きまして、そういう面とはいろいろ接触も保ち、またその波及のおそれのある面については事前にいろんな手を打つ、このようなことをいたしておりますし、あるいはそれが難視聴に原因を持つものであれば難視聴解消に対するいろんなわれわれの努力について御理解を賜り、できるだけ早くその問題を解消するような努力をいたしておりますし、またもともとNHKは好かぬからと言われるそれについては、これはいたし方ないのでありますけれども、それは投げておりません。できるだけそういう面が他へ波及しないような努力をいたしているわけでございまして、将来とも、仮に受信料の値上げというようなことがございますと、やはりいろいろな反発もありましょう、一層それを守り立てるようなことにもなりかねませんので、この点につきましてはあらゆる努力を傾注してまいりたいと思います。いまの実情から申しますと、余りそれが波及するような情勢ではございません。一時非常に広がるやに思える時期もございましたけれども、どうやらそういう面もおさまっているようでございますし、またそういった不払い同盟の方面にも常時手を打つようなことは怠っておらないつもりでございます。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はまた再燃する心配があるのですよ。それは赤字でしょう。上げざるを得ないでしょう。だから、先ほど聞くように、上げ幅が大幅でなければ、小幅にした場合は毎年毎年上げていかなければいかぬのです。大幅にしたときには逆に今度は余り上げ過ぎたからというので拒否反応が出るわけでしょう。ですから、いままでは確かにNHKの御努力で減ってきましたね。しかし、まだふえる可能性というのは潜在的にあるわけでしょう。ですから、私はくどいようですが、これは何でもないようなことでしょう。実は残念ながら私も逓信委員でないものですから、きょう質問せよということを言われてこれを取り寄せたのです。私自身もこれがあるということは知らなかったのです。ですから、こういうものはささいなことのようだけれども、NHKというのはこういうことをしているのですよということを、それは少数に限定されるかもしれないけれども、やはりこういうのを発表して、マスコミを通じてNHKはこうしているのだということを知らしめるということは非常に大切なことだ。それはなぜかというと、株主に対して報告する義務ですよ、経営側の。こういうことを私はこれからぜひやってもらいたい、そして、NHK受信料拒否その他の動きによって少なくとも経営が危なくなる、それに政府のてこ入れがあるというようなことのないように、やはり放送の中立というものを守っていくという立場でこの受信料拒否というものには対処してもらわなくてはならぬ、そのためには最大限の努力をしていただきたいということをまず会長にもお願いをしておきたいと思うのです。  そこで、いま難視聴地域の問題が出ましたけれども、これは大臣の方なのですが、実は受信料拒否集団の中に高層建築物等による難視聴、そのために映像が悪いとか、そういった苦情というのが最近たくさん出てきているのです。ところが、これが原因者責任主義という方向が一応行政指導の形でやられているけれども、法的な根拠がないのですよ。たとえば建築基準法を改めるとかあるいは公害の指定にするとか、そういった問題について法改正なりあるいは特別立法措置というようなそういったお考え方がないのかどうか。これから都市再開発等で高層建築物がふえればふえるほど難視聴地域というのがビル陰等で出てくると私は思うのですね。そういう点についての法律的な改正なりあるいは特別立法等のお考えがあるのかないのかをお答えください。
  30. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 具体的問題でございますので、私からお答えしたいと思いますが、先生御指摘のように最近都市におきます高層建築物による受信障害というものが非常にふえてきております。これに対しまして郵政省では、一昨年でございますが、四十八年の六月にこのような問題、都市における受信障害の問題、さらに辺地における難視聴、こういうものを含めまして、テレビジョン放送難視聴対策調査会というものを設置したわけでございます。そこにおきましてこの問題について委員の方々に取り組んでいただきまして、そうしてその作業が逐次進みまして、最近ほぼ最終案が出る直前になっているわけでございます。この調査会におきましてどういうような内容のことを検討しているかと申しますと、まず受信障害関係者の責務というのはどういうものか、それから受信障害解消に要する費用の負担あり方はどうか、あるいは立法措置として何か新たに講ずべきことがあるかどうか、こういう問題について検討しております。ことに都市におきましては、最近の都市構造の変化が非常に大きなものでございますので、そういうものを考慮しました結果、調査会の検討といたしましては、従来の原因者責任というたてまえだけではなかなかその解消は困難ではなかろうかというような意見も出てきております。したがいまして、建築主を初めといたしまして、放送事業者等の関係者がございますが、それぞれの責務あるいは受益、このようなものを分析いたしまして、そしてどのような体制でこれを解決していくかという点について現在鋭意検討中でございます。郵政省といたしましては、その答申をいただきまして、先ほど申し上げました立法措置などの問題も指摘されますれば、その点について十分検討を進めていきたい、かように考えております。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その結果を待ちたいのですが、それが出たらすぐやはり手続、立法しなければならぬければ特別立法の措置、そういったことをすぐしていただきたい。それはなぜかと言いますと、さっきから言うように、もうNHKは経営困難で上げざるを得ない段階に来ているのです。ですから、そういうものの障害として受信料拒否反応というものが出てくる、料金値上げをすれば。しかし、その原因の一つにそういうものがあるとすれば、早くそれを解決してやっておかないと、NHK側も困ると思うから、いまあなたが言われたことで結構ですが、答申が出たら直ちに移してもらいたいと思うのです。  それに対応してもう一つお願いがあるのですが、それは僻地の難視聴地域ですね、これはもうほとんどなくなってきておって、いま難視聴地域と言われる所は非常に小さい部落集団なんですね。ところが、難視聴解消のためにはたくさんの金が要るわけでしょう。そうするとそのたくさんの金をだれが出すかといえば、受信料負担する国民がその分を負担するということになるのですね。ですから、逆に言うと、放送法に言うところのあまねく電波を国民が受ける権利を持っているわけだからということを全面に押し出して、それはNHKだけの責任だというふうに、経費NHKで持てということだけで押しつけますと、結果的にそのことがNHKの経営を非常に苦しくするということになりかねない。ですから、そういうことを指摘していただくのはいいが、同時に、運営はタッチしないが、その施設についてだけはひとつ国なら国がめんどうを見ましょうというような方向づけもしておっていただきたい。それは全部NHK負担をしなさいよということになれば、相当な施設負担というものがNHKにかかってきますので、そういう点についてはどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  32. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 現在調査会におきましては、先生御指摘のような点につきましてもいろいろ検討事項として上がっております。辺地におきますいろいろな問題につきましても、果たしてその施設者あるいは放送事業者、これだけでいいのかどうか、あるいは国、地方公共団体がどのようにかむべきかどうか、こういう問題についても現在検討されているわけでございます。やはり国、地方公共団体のそういう財政支出負担の可否というものについても、中の分科会等においても鋭意検討されております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではついでで申しわけないのですが、もう時間が来ましたからあと二問で終わります。  いま、放送法の中で、学校の施設、文教施設あるいは厚生施設等はNHKの責任でやらされておりますね。ところが、いまもうテレビというのは教材に各学校が使われているわけですね。ですから、従来のようにNHKだけにそれの負担のしわ寄せをしておったのではもたないという状態になってきつつあるわけですね。確かに放送法ではNHKがやるように、受信料免除はNHKが決めて大臣の許可を得ればいいことになっているのですが、そういう負担はやはりこの際国がすべきじゃないかと思う。なぜそれを言うかというと、NHKが経営を合理化してこれからやられる、しかし結果的に受信料だけがただ一つの収入源だから、上げざるを得ない方向になることは当然なのです。ということになれば、やはり国の側でも整理すべきところは整理しておってもらわないと、ツケが全部国民の方に回ってきます。ですから、この際、これはもうしょっちゅうこの委員会でも言われていることだそうですが、もうそろそろ五十一年度予算あたりから、額も大した額ではないからNHK負担してもということになるかもしれぬが、しかし、その分はやはり国民の側にツケが回ってきているわけですから、この際、国務大臣として、厚生施設あるいは文教施設等についてはそれぞれの各省がめんどうを見なさい——きょうなぜ各省を呼ばなかったかと言いますと、説明員が来たって、これは政策的なことだから答えが得られませんので、国務大臣であり、その衝にある郵政大臣からどういうふうにこれをされるのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  34. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘の点については私も十分心得まして、政府全体の問題として十分今後検討さしていきたい。前向きで検討いたします。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に、これは私が逓信委員でないので、こういうことを言ったら逓信委員の各党派の先生から怒られるかもしれませんけれども、NHK予算が通るたびごとに逓信委員会の附帯決議があるのです。ところが、これを調べてみますと、同じことの附帯決議がずっと続いているのですね。一体、この逓信委員会の附帯決議というのは何なのか。政府を拘束しないことだけは事実だけれども、毎年同じ決議がされて一向に一つも改善されておらぬということは、私は少なくとも大臣は一生懸命前向きに向かっておられることは事実でしょうけれども、いままでの郵政行政の怠慢だと思うのです。国会の逓信委員会の意思、あるいは本会議でも附帯決議の承認をもらっているわけですから、そういう意味からすれば、これは私はもう少し附帯決議に沿って、真剣にNHKの問題を考えるべきだ、国民の側に立って考えるべきだ、そういう点について大臣のお覚悟を最後にお聞かせいただきたいということが一つ。  それからもう一つは、会長に、抽象的ですが、やっぱり値上げせざるを得ない方向、現に四月三日もう値上げすると言っておられるし、阿部委員質問には六百円にしたいというような話も何か会議録を見ましたら出ておりますね、六百円という額まで。しかし、この際国民に向かって、NHKとしての国民に対する覚悟のほどを——値上げするという覚悟じゃありませんよ。経営の基本姿勢に対する国民に対する覚悟のほどをお聞かせいただいて終わります。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 委員会の附帯決議につきましては、国会が国権の最高機関であることを十分心得ておりますだけに、これは今後とも尊重してまいります。
  37. 小野吉郎

    小野参考人 NHKといたしましては、国民に奉仕する機関でありますので、その立場に徹して運営をいたしておるつもりでございます。  ブルーリポートの話も出ました。これは一回出しまして、その後出ておりませんけれども、これは何も国民の上にあぐらをかいておるつもりではございません。そういうつもりではないのでありまして、NHKの財政の状況なり、あるいは運営の実情を知っていただくためには、いろいろな配意をいたさなければなりません。ブルーリポートもその一つでございますし、あるいは現在毎日一万人平均の見学者がございます。年間には相当な数に上ります。すでにいままでに二千万人を超える見学者を迎えております。そういう際にもいろいろなできるだけ知ってもらえるような配意をいたしておりますし、また、地方各局で年間七百回ぐらいのいわゆる生で受信者の方々と会う機会をつくって懇談会を設けておりますが、そういった関係につきましても、番組の面はもちろんでございますけれども、あわせて財政の面なりあるいは運営の実情なり、そういった面を御理解を賜るような、またそれに対する注文なり御意見もいただけるような機会も設けております。いまこのような事態に遭遇をいたしまして、そういった面の強化はもちろんでありますけれども、ブルーリポートの面につきましても、わかりやすく総括した、NHKの実情が一目でわかるようなものをつくる必要もあろうかと思います。そういうことも心がけてまいりたいと思いますが、要はやはり謙虚に国民に奉仕する姿勢と同時に、その実を上げていくことが必要であろうと思いますので、そういった面につきましては、怠りなく努力をしてまいりたいと思います。
  38. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 金丸徳重君。
  39. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私は実はテレビは世につれ、世はテレビにつれ——どっちが先か知りませんけれども、そういうような言葉が使われるほどに放送という問題が世間に大きく影響してくるような時代を迎えています。そしてまた、その世間もいろいろな意味において流動的であり、激変的でもある。それをNHKの鏡にかけてどんなふうに映っておるかをある機会にでもお聞かせいただければ、大変私どもの世間を見る上におきましても物を考える上におきましても参考になろうじゃないかと思って、機会を見ておりましたが、なかなかそういう漠然とした問題を取り上げるような機会もなくて今日に及びました。幸いにして四十八年度決算が議題となりましたものですから、これを機会にこれに関連する形においてそんなことにも触れて、NHKのごらんになっておる、あるいは政府当局においてごらんになっておるところの放送を通じての世相の動きというようなものをお聞かせいただければと思うのであります。  そこで、今度の四十八年度決算を拝見いたしますと、果たして心配になった赤字があらわれてまいりました。先ほどの質疑の中にも出てまいりましたように、恐らく去年はこれよりも多くなり、また、ことしの予算におきましてはさらに二百億を超すものが赤字として計上されなければならない。将来に向かっても大きくそういう傾向をとらざるを得ないような状況のようであります。これには私は料金それ自体についても問題があろうかと思います。またそのほかの原因もたくさん絡み合っていっておるのじゃないかと思うのです。それらのことにつきましては、もうこの委員会におきまして十分論議されておることであります。ただ、私が不勉強なものですから、ついぞそれらのことについて聞き漏らしたり読み漏らしたりしておるので、ダブったりして恐縮千万ですけれども、自分なりにそういうことに余りダブったりしてとうとい時間をお邪魔したらいけないと思って考えをめぐらすのでありますが、乏しい頭の中でなかなかこう、考えれば考えるだけ雲の中に入っていってしまったようなことで、きょうここで質疑の時間をちょうだいしても、三十分か四十分の時間の間に一体どう問題を整理してどの点に中心を置いてお尋ねしていいかわからぬようなことになってしまいました。したがって、お尋ねする前にその事項でも御連絡をいたして、あらかじめ御用意していただいておくべきだったのでありますけれども、その機会がなくて今日に及んでおります。とんでもないことに触れてまいるかもしれませんけれども、その点はひとつ、私の方が準備不足でありますから、お答えの方も、漠然たるといいますか、大ざっぱなお答えでもいいと思うのです。私は大体の傾向がわかりますれば、これからそれらのこと等を参考にいたしまして、自分なりの勉強をいたしてまいるつもりであります。  そこで、いま世間は何かけちけち運動といいますか、物資不足その他の関係からいたしまして、そんな何が出ておるのでありますが、NHK受信料関係などからいたしまして、そういう世相というのがどのように響いてまいるのでありましょうか。そういうことからして、たとえばカラー契約しておったものが普通契約の方に下がっていったのか、あるいはテレビを置いておったのがテレビを壊したけれども新しく買うわけにいかなくなったものだから無料のラジオでがまんしようというような傾向が少しでも見えるのかどうか。それからまた難視聴地帯が出てきたり、あるいは料金免除というような制度が広がってまいるものですから、それらに関連いたしましてあるいはもっと別な理由からいたしまして、先ほども議論になったようでありますけれども、料金をつい停滞するような状況になっておる傾向というものがあるのかどうか。それらについて大ざっぱなお答えでいいですから、会長なり係の方からお答えいただきたい。
  40. 小野吉郎

    小野参考人 いわゆるテレビ文化と申しましょうか、放送文化と申しましょうか、それはやはり上向きの一途をたどっておると私は見ております。ただ最近の例と申しましても四十九年度あたりの例を見ますと、これはいろいろ景気の非常な変動期でありまして、いままで成長成長でいっておった、それが石油ショック以来いろいろな現象が出ております。あるいはメーカー筋ではカラーテレビの計画台数まで少し縮小しなければならないとか、あるいは一般の販売が非常に伸び悩みを来しておるというような状況もございます。あるいは輸出が減退するとかいろいろな現象がありました。そういう経済現象がテレビ享受の面にどのようにあらわれているかどうか、これは端的には非常にむずかしいのでありますけれども、やはりその経済変動の全く枠外にあるとは思いません。総体的にはいわゆるテレビ文化はだんだん進みつつあると思いますし、一日におけるテレビ視聴時間等も漸次伸びる傾向にあります。縮まってはおりません。四十九年度あたりの状況で見ましても、契約総数といたしましては予定の数を上回っておるわけでございます。  ただ、カラー契約の伸びは予定よりもかなり下回っております。そういう面から見るとテレビそのものの台数はふえておりますけれども、内訳で申しますと、カラーの伸びのそれが全体の伸びのそれに比例をいたしまして思うようにいかないというような面は確かにあったと思います。それはやはり一般の経済環境の影響を受けたであろうことも想像はされるわけでありますけれども、しかしテレビの契約の伸びの面から申しますと、そういった面はそう大幅には出てまいっておりません。総体で申しますと、冒頭に申し上げましたように伸びてまいっております。ただ、その伸びが何しろもう二千五百万世帯というような膨大な世帯と契約をいたしておりますので、漸次契約の対象になる畑が少なくなりつつある、こういうことは申せようかと思います。  それにいたしましても全体では三千万を超える世帯があるわけであります。それに対して、二千五百万の世帯と言えばまだ五百万世帯ぐらいあります。これはとりこぼしではないか、いつもほうっておかれるのではないかという批判をよく受けるのでありますけれども、現実には三百万を超える世帯と新規契約を結んでおるわけでございます。しかし他面には、やはりいろいろな社会環境の変動の中で移転その他の関係で契約をしておったそれが脱落するものがあります。それが二百四、五十万あるわけであります。その差が純増になってあらわれるわけでありますけれども、いまの三千万世帯ありましても、中には本当にテレビを持っておられない世帯もあります。持っておられてもこれは貧困、身体障害その他の関係で契約有料対象から落ちるものもあります。そういったものを除いた純然たる有料契約の対象になり得るものがおよそ二千八百万ぐらいと見ておるわけでございますけれども、そのうちの二千五百万世帯とは現実に契約を結んでおります。そうしてみますと三百万世帯がこぼれているではないかということになるわけでありますけれども、新規契約を見ますと三百万を超える世帯と新規に契約を結んでおります。そうすると、ほとんどいっぱいいっぱいに契約するわけでありますけれども、他のいろいろな事情で二百四、五十万は落ちるわけであります。これは毎年そういう大きなサイクルの中で繰り返しをいたしておりますので、完全にNHK受信料制度の枠外に、全然契約の対象になるべくしてならずに済んでおる世帯というものはそんなに多くはない、こう大観いたしております。  以上のような状況でございます。
  41. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 こういう世相にもかかわらず、テレビに関する限りは減る傾向にはないんだ、私もそうありたいと思います。実際そうだろうと思うのです。そういう状況にもかかわらず二百数十万の脱落があるというのはどこに原因があるのか。あるいは転居その他があるからという御説明もあろうかと思うのですけれども、私はそれはもう少し別なところにまだ原因もあるのじゃないかと思います。  それで、同じことになるのでありますけれども、NHKがしきりともう伸びが頭打ちになっている、収入が頭打ちになる傾向にあるんだ、こう説明されておるそういう状況の中において、この四、五年間民放の業態というものは全体としてどういう方向に進んでおるのでありましょうか。広告収入の総括でもよろしいですから、その足取りをお聞かせいただきたい。
  42. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答え申し上げます。  最近の民放の経営状況でございますが、民放事業は最近のような高度成長経済というようなところのもとにおきまして非常に急速な発展を遂げたわけでございます。しかしながら、一昨年の石油ショックがありましてからは、やはりその影響を民放自体も受けております。昭和四十九年度の決算におきまして民放全体での収入は前年度に比べまして一二%増加しております。収入は一二%増加しておりますが、費用はまた一六%増加しております。したがいまして、この結果純利益では前年度に比べまして二五%の減少という形になっております。四十九年度の総収益を申し上げますと、五千三百五十五億円という額に上っております。これは前年度に比べまして一二%の増でございます。総費用、支出でございますが、これは四千八百七十九億円という額に上っております。これが一六・二%の増でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように純利益といたしましては二百十三億円という額になりまして、これが前年度に比べまして二四・七%の減というのが現在の状況でございます。
  43. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 広告収入が急激に減ったというわけでもない。ふえる足取りが少しのろくなったということのようであります。  そこでNHKの方では四十八年度の受信料収入が千億何がしであった。民放はそのころにおいて、これはNHKからちょうだいしました資料でありますけれども、民放のテレビ広告収入は三千五百二十二億。三倍ちょっとになっておるのですね。そうしてその率は、これは政府の方にお伺いするのですけれども、その率は、四十八年度の民放のテレビ広告費の収入NHK受信料収入の三倍余りというのが、四十九年度においてはどの程度に伸びておりますか。その率は減っておるのですか。
  44. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 私の手元にございます資料によりますと、昭和三十九年あたりでではNHK民間放送との比が一対二というような比でございまして、昭和四十五年度で大体一対三というような収入の割合になっております。四十九年度におきましては一対三・五というぐらいの比になっております。ただ民放の方はやはり景気に左右されるということもあるのではなかろうか、かように考えております。
  45. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 先ほど私は三千五百と申し上げたのですけれども、三千七百ですか、私はあるいはこの数字をテレビと新聞と見間違えたかもしれません。これはここにありますから、訂正させてもらいたいと思います。  それで私は一番初め気になりましたことは、わが国国民経済において放送に費やすところの金は、NHKに対する受信料、それから民放の広告費、民放収入はそのほかにたくさんあるのでしょうけれども、そういうことで放送に関しては大体両者で持っておった。この率がどれくらいか。これはむずかしい問題だと思いますけれども、NHKが主であって、民放が終戦後において出てくるころにはやはり公共放送が主であって、民放はその補完的といいますか、大体そういう形でありたい、こう思っておりました、事柄の性質上。ところが、その後だんだん進んできて、いま数字を挙げてまいりましたように三倍近い力を持っている、あるいは三倍以上かもしれない、こう思うのですね。この状態というものは、一体そういうあるべき事態なのか、それともいま世相がこういう状況であるからまあやむを得ぬ、理想ではないけれども、そういうことであったのか。どうお考えになるのか。これはNHKの経営の基本あるいはNHKというものに対する考え方の基本に触れていく問題であろうと思うのですが、どうなんですか。
  46. 小野吉郎

    小野参考人 私どもの方から御答弁を申し上げるのが適切かどうか、一国の放送政策に関する問題のように思いますけれども、これはいま放送法がとっております日本放送政策の基本は、やはり公共放送といわゆる民間放送との並列方式であろうと思います。いずれもが栄えることが好ましいことを期待されての政策ではないかと思います。  なるほど民放さんのスタートの当初におきましては民放社の数も少のうございましたし、NHKは長い五十年の伝統を持っておりますので、やはりその惰性もありましょう、NHKがやはり主で民放はつけ足しのような状況でもあったでありましょうけれども、その後やはり放送文化の発展につれ、放送法の期待するいろいろな公共放送民放との並列の状況を持ち来たすために、あるいは番組の多様化の要請から、いろいろ一県でも複数の民放局があるような状況になりまして、現在ではもうすでに民放社の数は百五社を超えておると思います。そういうような状況であります。それと、全国ネットを持っておりますNHKの系列との対比から申しますと、それが果たしてNHKの側からとりましても、卑近な例をとりますと、それが脅かす状況になっておるのかどうなのか。私はそうとは思わないわけでありまして、両者それぞれ特色を発揮して国民に奉仕すべきものと考えておるわけでございまして、その面から申しますと、私は決していまの状況が悪いとは考えておりません。
  47. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これについて政府の方からも実はお考えなり見るところを伺いたいのであります。並列方式をとることは、確かにそれはそう決まっておりますからそれでいいわけなんで、ただその間にはおのずからバランスがなければならないと思いますね。バランスがとれておるかどうか、バランスがとれる方向に進んでいるか、それともバランスを崩しつつあるかということを私はこの際この辺で一応考えておかなければいけない。来年は民放の再免許の年にもなりますものですから、そう思うんです。それでいかがですか。政府の方といたしましては、いまのように民放は割合伸びている、NHKの方は頭打ちだ、こういう傾向についてどういうお考えでございましょう。大ざっぱでよろしゅうございますが。
  48. 村上勇

    村上国務大臣 いまの日本放送事業の形態が、いわゆる公共放送NHKとそれから民間放送、この二つに分かれてお互いに放送文化のために切磋琢磨しておる姿というものは、いま小野会長がお話しになったように、私はきわめていい傾向だと思います。  そこで先生御指摘民放公共放送との比例がだんだんと変わってきて、当初は一対二というようなものであったのが、いまでは一対三あるいは一対三・五というようなことになっておることは、公共放送を圧迫しておるのでないか、圧迫というよりも、公共放送よりも民放の方に国民の魅力があるのじゃないかというようなことにもお考えになられるように伺いましたが、私はそうは思いません。先ほどの比例は昭和三十九年の比例であります。それから要するに金の面、収入の面から出しておる統計であります。昭和三十九年からいまの昭和四十九年、十年間に非常に民放の各局が末端にまで及ぼしてきております。当時の民放の数というものが非常にふえておる。でありますから、自然に収入も多くなってきております。NHKの方はずっと料金も、ほとんどここ四年も五年も、本当はカラーになっただけで、ちっとも六年前から動いていない。一方は石油ショック等のインフレの波に乗って相当広告の放送料も高くななっている。そういうようなことでありますので、収入面の一対三とか一対三・五というようなものは、決してそれをもってその消長を判断するわけにはいかない、こう思います。私はとにかくいまのNHKと並んで民放とのこの日本放送事業の運営あり方というものはみごとなものだ、こう思っております。
  49. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私も民放の経営状況のいいことについては本当に心から祝意を表したいのであります。またみごとなものだとも思っております。ただ、私心配しますのは、聴視率がもし広告料収入に比例するような形で傾いていきますと、ここに問題が、さっきの受信料拒否をしたい気持ちがある、そこへ触れていくのじゃないかと思いますので、それでいまのような問題をなにしたのであります。  これも実に大ざっぱなお尋ねになるのでありますけれども、現段階において民放全体の番組とNHKの受け持っておる番組と、それは時間帯その他によってずいぶん違うと思いますけれども、大ざっぱに言って、聴視率というものはどんなぐあいになっておるのでありましょう。これは雲をつかむような話なんですけれども、どうか見るところを……。
  50. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私どもの方で大体年二回全国の視聴率調査を実施しておるわけでございますけれども、テレビの平均視聴時間量を全国的なシェアで見ますと、ここ数年NHK民放のシェアと申しますか、比率は大体四〇対六〇ということで多くの変化はございません。大体四十六年以降の調査を申し上げているわけでございますけれども、ただNHKの場合は総合テレビと教育テレビということでございますが、民放は、少ない地区で二局、多い大都市では四局、五局とございますので、局の数からいいますと民放の方が多いという実情でございますので、そういうような比率になるかと思います。それから一日を全体を通じて見ますと、午前中NHKが非常によく見られておりまして、夜間は比較的民放が高くなるというような傾向でございます。
  51. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 NHK四〇対民放六〇、大体の見方はそういうことでありました。私は実は民放の問題を見ましたときに、これは逆ぐらいの率があるいは理想ではないかと思っておりました。しかし、民放の方が非常に経営努力よろしきを得て、聴視者の賛同を得ながらだんだんふえていった。これはこれでいい。私がいまここでこれを改めて問題にいたしますのは、そういうふうになってきますと、もう少しいきますと悪循環の形になりまして、民放がいまの六〇が七〇になる、八〇になる、NHKの聞く時間なり聞く数はだんだん減ってくるということになっては、せっかく並立関係であり、公共放送という立場に立っての使命からいきましても残念なことになりはしないか、こう思ったのであります。  そこで、私は今度の決算書を拝見しながら、またことしの予算書を対比してみましたらば、かなり赤字というものがあるものですから、経営面において節約を図って、その中にはいろんな、こうもしたらよかろうと思って計画したものまで取りやめておる面があるのですね。これはやむを得ないことだと思います。その努力には敬意を表しながら、しかしながら、そのことのゆえにもしも国民に対する、契約者に対するNHKのサービスの低下になっては私は大変なことだと思うのですが、その点の御心配はありませんか。
  52. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま御懸念になっておりますような事態になることは、これは日本放送界のために非常に嘆かわしいことだと思います。先ほど、いまの民放NHKの並列の状況につきまして、私はその限りにおいていいのではないか、こう申しましたけれども、それはお互いにそれぞれ特色を持っております。NHKNHKの特色を大いに発揮すべきでありましょうし、民放さんは民放さんの特色を発揮して、お互いに相研摩しながら国民に奉仕する、こういう姿でなければならないと思います。いろいろ財政状態もございまして、必要やむを得ないものまでも抑えてまいっております。特に地方局に参りますと、新設の民放さんと比べてNHKの施設はもう古くなって、機器その他が非常に古いので、これが画面に映ります。それから見ましても、少し画面が民放さんの新鋭の機械で映る映像よりも悪いようなところもあるようでございます。これはできるだけ機器を大切に使って、そのために要する設備投資を節減するためにとった措置でありますけれども、ぼつぼつそれも限界に参っておりますので、この技術革新の非常にテンポの早い現状から申しますと、早晩何とかしなければならない問題ではないかと思います。財政上の事情だけから申しまして、いわゆるそれがサービス低下につながって、そのために並列の美を損なうようなことになってはこれは非常にゆゆしい問題と考えておりますので、その点については十分な配意を下してまいりたいと思います。
  53. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 サービス低下の心配がある、それがまた私は悪循環の原因になってはいけない、こう心配してお尋ねをいたしました。それについては、私から申し上げるまでもなく十分配慮なさっておると思います。  そこで、いままでこちらでもってたびたび議論になっておりますように、問題はやはり収入ということにならざるを得ないと思います。ということになりますれば、さっきも御意見がありましたように、料金値上げということをこの際考えなければならぬのではないか、そうだと私も思います。思いますけれども、いまこの世間の状況においてこれを打ち出すこともNHKとしてもつらかろうと思います。そこで、私は、その前にもう一遍聴視料金のあり方に触れてみたいと思うのです。  いま日本国じゅうには、何といいますか、ひねれば見えるというようなテレビが相当数あるように思われてならない。NHKがつかんでおられるところの二千五百万世帯の中でもそうなんです。それ以外の中にもかなりの数あるのではないでしょうか。これは私は材料がないものですから判断もしかねるんですけれども、一体日本におけるテレビメーカーというのは、ことしあたり、あるいは昨年、一昨年、四十八年度で、一昨年あたりどれくらいつくって、そのうちのどれだけを外国に売りまいて、残りを日本国内に売りまいているか。その数字はどのくらいと踏んでおられるのでありましょうか。
  54. 川原正人

    ○川原参考人 テレビの生産台数としては、輸出のものもございますので、私どもでは一応輸出関係のものははずしていろいろ調べております。特に私どもがいま一番対象にしておりますカラーについて申し上げれば、四十八年度の——これは大体四十六、七、八各年度、生産といいますか出荷台数はほぼ同じでございまして、大体六百二、三十万台、カラーテレビでございますが、これが国内向けに一年に出荷されております。ところが、四十九年度は石油ショックといいますか、景気の非常に大きな変動がございまして、かなり落ちまして、四百七十万台ぐらいまでカラーテレビは下がっております。なお、このほかに白黒のテレビが、数はもう少なくなっておりますけれども、毎年百数十万台は国内向けに出荷されているはずでございます。ただし、これらの大部分は、何と申しますか、前の機械が壊れましたものの買いかえというものに当たってきておりまして、先ほど申しましたカラーテレビも四十六年度、七年度ごろには大体新しい需要に八割前後回っていたのでございますが、それが四十八年度には六割以下に下がり、四十九年度は出荷台数も四百七十万台ぐらいに減りましたけれども、さらにそれが新規の割合としては四〇%弱ではないかと、これはメーカー筋その他専門家の推定でございます。そういう状況でございます。
  55. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大変むずかしい数字ですからあれですけれども、いま伺うところによりますと、大体一年に、白黒合わせて八百万台ぐらいですか、大ざっぱに言って。そうすると、これが五年もつとすると四千万台、七年もつと、七、八、五千六百万台生きておるわけなんです。もっと、十年ぐらいもつのもありましょうし、最近のけちけち運動によりますると、昔捨てておいた白黒を取り出して、結局カラーを買うかわりにそれを使おうなどということになりますと、かなりのものが動いておるのであります。仮に六千万台と踏みましても、二千五百万世帯というものは半分以下なんですね。もちろん契約の物差しによりますと、同一世帯の中に幾つか置いても一台と仮に計算するということになっておるんですから、そういうことだとは思います。思いますけれども、これは仮にの話ですが、私はこれが一番公平だと思うのですけれども、もし一台ごとの料金ということになるともう少し受信料というものに対する見方も変わってくるのでしょうし、負担という考え方にも変化がくるのじゃないか。ですから、白黒あるいはカラーとなったときにお決めになった世帯というものの物差しを、この際一遍洗い直してみることはどうなんでしょうか。負担の公平を考える意味におきましても、それから国民経済的な適正な量を発見する上におきましても、大変必要なように思うのですね。そういうことについてはどういうふうにお考えになっておられますか。これはきっと基本問題調査お済みになっておられるのですから、それらについても考えを進められておると思うのですが、どうなんですか。
  56. 小野吉郎

    小野参考人 いまの世帯主義を台数制にしたら、それは一つのアイデアだと思います。なるほどそういうことにいけば、受信料負担の面から言えば世帯主義よりも公平ではないかと思われることはそのとおりだと思いますが、ただし、それは無条件では実行できませんので、かえって非常な不公平を来す結果になるおそれもあります。と申しますのは、現在届け出の義務もございませんし、NHKではこれを調査する権限もございませんし、一に受信者の信頼の上に維持しておるのが現在の受信料制度であります。そういう台数関係の制度をとるといたしますと、その台数を把握するために現状ではとても不可能でございまして、法律上におきましても、また法律運用上における受信者の御協力も得なければなりません。そういう面が満たされて初めて台数制が生かされてくるのではないか、そしてそれによって負担の公平が期せられるのではないかと思いますけれども、現在の法制のたてまえでは届け出の義務もない。調査権もない。一にNHKが足でかせいでおおよそのめどをつけてやらなければならぬ。かえって非常な不公平を招いて受信料制度に対する非常な反発を買う結果になりはすまいか、こういうことを非常におそれております。もちろん改善委員会でもそれも一つの検討事項として対象には挙げておりますけれども、さて実行するとなりますと、それにはいろいろな所要の条件が満たされないとなかなか踏み切れぬ問題ではないか、かように考えております。
  57. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 ああすればこういう問題が起こる、こうすればああいう問題が起こる、なかなか大変だと思いますので、いまもおっしゃられたように足でかせがざるを得ない、足で御理解を得るよりほかない、現段階におきましてはそこに落ちつくよりほかないとも思いますけれども、何せこの物差しというのがまだテレビがとうといものの時代だったんですね。いまのようにわりあいに安く手に入る、それから受信料も他の物価と比べれば比較的安い、新聞と比べてもそうなんです。比較的安いという時代になってきますと、あの物差しというものはどうなんですかね。何か改めて、新しい時代における新しい放送体に対するものを考え出されておいて、そして落ち度のないようにしておく必要がありはしないかと思うのです。私はさっき台数全体がどうだろうかというようなことを問題にしてみたのですけれども、実はそれには、NHK関係の皆さんがえらい御苦労をかけて、足をすりこぎにして回っておるのにかかわらず、丁寧に見てみますとなお漏れておるものがありはしないか、それが数たまりますとずいぶん多いものになりはしないかと思うものですから、足でかせぐにしてももう少し楽な方法を考えるとか公平感に合うような物差しにすべきではなかろうか、こう思ったものだから問題にしてみたところであります。  何か細々したこともお尋ねしたかったのでありますが、時間がなくなりましたから結論の方に入ることといたします。  世相がこういうことですから何にいたしましても非常にむずかしい問題になってきまして、そこで足でかせぐにいたしましても、ことしの予算においては契約維持のための経費、契約収納関係として百五十二億を上げておるのですね。恐らく足をすりこぎにして回る金だと思うのです。これは大変なものなんですね。全収入千二百何ぼのうち百五十二億を契約収納関係に使わなければならないような状況になってしまった。大変だと思います。それもほかのところで見てみますと、加入世帯の三割もう少しのものが銀行での振りかえの方でノータッチで入ってくる。そのほかにいろいろノータッチで入ってくる面もあろうと思います。そうすると、足で歩かなければ料金収入が得られないという件数はわずかになってきて、この百五十二億で割りますと、一件当たりずいぶん大きなものになりはせぬか、この点はどういうふうに御計算になっておられるのか。同時に、ことしの予算はそうだ、来年はそれがもっとひどくなりはしないか、いまのいろいろの世相、民放との関係その他もあわせていきますと、そうなりはしないかということが心配されるのでありますが、どうなんでありましょうか。
  58. 小野吉郎

    小野参考人 いまの契約収納にかかります経費をできるだけ切り詰めて、しかも万全な契約収納ができるような体制にいたしますためには、今日金融機関の店舗の数もふえておりますし、そういう発展の状況あるいは今日の国民の貯蓄状況等から見ますと、銀行振り込みで、何も足で行かなくても、契約をしてもらうために一回足を運べば後は自動的にこれが振りかえで口座に入ってくる、こういうふうにすることが非常に好ましいことであります。これは鋭意推奨をいたしておりまして、非常な努力をし、逐年そういった状況の利用がふえつつありますけれども、まだ今日のところでは銀行振り込みの関係——信用組合もありますし農協も使っておりますが、全体の三五%ぐらいでございましょうか、そのくらいは振り込みの関係でできておるようでございますけれども、これをもっと高めたい、このようなつもりではおります。これもなかなか一気にはまいりませんので、たとえば郵便貯金あたりでもこの対象になれば非常に普及度が高いと思いますけれども、郵便貯金でこれの振り込みをやっていただくということも労が多いことでございますし、その面においてかえって、いわゆるいまの銀行振り込みのような手数料では済まないと思いますし、その辺のところは非常にむずかしいところでございますけれども、これはテレビの画面でも、知っていただくためにいろいろ努力はいたしております。これをふやすことが契約収納コストを下げる非常に大きな一助にもなりますので、そういう努力は今後も続けてまいりたいと思います。
  59. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 時間が参りましたから、あとのことははしょりまして、結論みたいなものに入りたいと思います。非常に御苦労なさっておることわかります。が、しかしまだ検討すべき問題もありそうに思えるのですね。そこで、現段階におきましては、結局は受信者の御理解、御協力を得なければということに落ちつくだろうと思うのです。  それで、私は実はこれをおたくの方からちょうだいいたしまして、横読みさせてもらいました。文字が横になっておりますから。ただその結語、結びのところで、私は大変打たれたものがあるのでありますけれども、非常に努力をしておるが、結局は国民との間に結びつき、気分の共通というものがなければなかなかうまくいかぬ、そうあるのですが、私もそのとおりだと思うのです。それが一番大切だと思うのですね。  それで番組などにつきましても、国民の方から、一般の方から、いろいろと御意見をお申し出になっているのを聞いて、それを受けて、出すようにいたしたい、これはごもっともだと思います。それであればこそ国民NHK、みんなのNHKであるというような実が出てくる。同時にそれは番組における結びつき、血のつながりというばかりでなくて、私は一歩踏み込んで、いまの料金というようなものにつきましても、加入者——お互いのことなんですから、お互いにひとつ力を入れて、NHKさんの非常な苦しい状況については、役に立つなら立とうじゃないかというような気分を起こすようにすることも、この際必要ではなかろうか。むしろそういうことによって契約者、聴視者はわれらのNHKとしての非常な親近感を持ちながら、改めての御注文を申し上げたりいたすだろうと思います。そういうような方式を何らかの形で、たとえば町内会と結びつく、あるいはその他の組織と結びついて、その方から番組その他の注文もちょうだいするが、同時に料金なんかにつきましても漏れるところなく、しかしながらお互いに負担していこうというような気持ちの中でやるような方法というものを御検討なさるのも一つの方法だ。この急場をしのぐ方法である。それを尽くして、しかる後に料金問題に取りかかるべきではなかろうかなどとも思ったのであります。これはいかがでございますか。  同時に私は、この「現況」を読ましてもらいながら、大変要領よくまとめてあります。こういうものを、もう少しあるいは簡略な方がいいかもしれませんけれども、契約者全体に読んでもらう。なかなか読んでくれぬかもしれません、忙しい時代ですから。しかし、そういう方法も講じて、あらゆる手の中にそれをもひとつ加えておかれることはこの際やはり大切なことのように思いますが、その点をお伺いをいたし、それから大臣にも、大変大事なときになっておりますから、お考えのほどを承って、終わりたいと思います。
  60. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  非常に有益な御示唆でございます。私どももそのような考えを持たぬではございませんが、なかなか実際にはむずかしい問題でございます。簡易保険には簡易保険加入者の会がございます。これが簡易保険事業発展のために非常な役に立っておる組織であろうと思います。郵便には郵便友の会がございます。これまた郵便事業の発展向上のために非常な役割りを果たしておると思います。われわれの方でも、そういった面から申しまして、NHK聴視者の会、こういうような地方組織あるいはそれを積み上げた全国組織ができないものかどうか、いろいろ検討したことはあるのでございますけれども、これも、金を払う問題になってまいりますと、なかなかそうまいりません。  聴視の面等については、テレビあるいはラジオの共同聴視といったような関係で、ある一つの婦人団体なら婦人団体、農業関係なら農業関係で一つ番組をみんなで一堂に会して見るような、これも試みてかなりの成果を上げたように思います。これをやはり業務運営、特に受信料支払いのそれに結びつけるということになりますと、まだそこまではなかなか至っておりません。それがうまくいけば非常にいいと思いますけれども、そういうようなことにまだなっておりません。これは決して、そういう方向を否定しておるわけではありません。好ましい方向で、できればと思っておりますけれども、そこまで至ります前のそれとして、いろいろ各局に相談所の窓口を設け、いろいろ受信者の方と生で接触できるような措置もとっておりますし、また会館等も開放いたしまして、大いに見てください、こういうことで開放的にやっております。東京の放送センターあたりは、先ほども申し上げましたように一日一万人平均の見学者がございます。これはやはり、そこの聴視者の方とNHKとの結びつきにどれだけ役に立っているかわかりません。これをさらに随時、そういった状況でなしに日常組織化していくことができれば、これは非常に好ましい傾向だと思います。将来もこの面について大いに検討を進めてまいりたいと思います。
  61. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘の点、一々ごもっともでございます。世界に誇るNHKではありますけれども、しかしそのNHKも、国民全体に愛されるNHKであることを私も希望いたします。
  62. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  63. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。土橋一吉君。
  64. 土橋一吉

    ○土橋委員 本日は、小野会長初め幹部の皆さん、大変どうも御苦労さまでございます。  最近新聞を拝見しますと、先ほど小野会長のお話もございましたように、「不況で見学者異変」という題で、ある新聞が「押すな 押すなのNHK放送センター」という題で「一日ざっと一万人」というのが書いてございます。NHKがいまや東京においては、かつての浅草がNHKに変わったと言っても過言でないほど、大変な人気を集めております。最近外国のある有名な婦人がやはりNHKへ参りまして、「元禄太平記」でございますか、それをいろいろやったという放送もございまして、NHKの評価を非常に高くしておるというふうに存じております。  そこで、私はいまから二年ぐらい前でございましたか、一度私も拝見しまして、残念なことには最後の休憩所といいますか、非常に設備が貧弱でございまして、いっぱい長いコースを歩いたから何か飲もうと思っても飲むものもない、こういうことで、寒々とした状況でございました。私は、これだけの多くの国民が関心を持って、しかも外国の有名な人もNHKを訪問する、そうすると、京都の桂離宮とか、あるいはそういうところと並んで日本国民の一つのシンボルだというふうに考えておるのであります。このことはNHKには手数のかかる仕事で大変でございますが、そういう設備をも完備をしていただく。NHKへ行って非常によかった、見せてもらったものも参考になったし、なかなかNHKいい、というようなことは将来受信料にも幾らか関係があるのじゃなかろうか、またNHKのいろいろな国民協力を得る問題についても大きな一つの土台と申しましょうか、こういうことを考えておりますので、ぜひこれを一日二万人の人が来ても喜んで受け入れる体制をとっていただくことは、将来のNHKの仕事の上において私は非常にプラスだ、こういうふうに考えておりますが、会長、どうでございまししょうか。
  65. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまおほめをいただきました放送センターの見学でございますけれども、これはひとり東京のセンターだけでなしに各局とも公開の原則をとっております。せっかくおいでいただくのでございますから、これはやはり中の見学だけでなしに、お疲れでもございましょうから、そこに湯茶の御提供とかあるいは食事も自由にできるというようなことができれば、これはますますいいのでございますけれども、なかなかいろいろ施設の関係もございましてそうもいきかねております。その点から申しますと、いま画竜点睛を欠いておるように思うのであります。あるいは屋上を開放いたしまして、かなりあそこはながめもききますので、そういうようなことも当初建設中には考えたのでございますが、何しろ屋上にはヘリコプターの発着場もございまして、いろいろな関係からそこまで手が届いておりません。現状をもって私どもは満足はいたしておりません。アジア放送連合の事務総長でございましたか、これはアジア放送連合加盟各国に配られる機関誌等を通じまして、世界のどの放送局を見てもあれほど放送局の前に老若男女を問わず非常に多くの人が集まるところはない、これこそ本当に国民放送機関がぴったり溶けた状況ではないかと思う、その面ではNHKが一番すぐれておる、というような紹介もございました。私どもそういうことで満足はいたしておりません。お見えいただいた方々には本当に心から喜んでいただきたいと思いますので、今後もいろいろな設備関係が許します限りにおきまして、現状改善の配意は常に怠らぬようにいたしてまいりたいと思います。
  66. 土橋一吉

    ○土橋委員 昨年十月下旬私も列国議会同盟の議員代表の一人としてヨーロッパを回ってまいりました。そして、ある国の放送局を拝見させてもらいました。その国は人口約八百万ぐらいでございまして、放送局としては非常に完備をしてりっぱなものでございました。しかし、NHKと比較して考えますと、サービスの面においてはさらに考慮すべきものがあるのじゃなかろうかというふうに私は感じて帰ったのです。  他国のことはさておきまして、少なくとも東京において、かつては三越とか浅草とかあるいは朝日新聞社というようなところが若い世代などの見学するのに好適の場所でございました。しかし、今日はそれに成りかわってNHKがそういう面を担当されておりますので、ぜひいまお話しになりましたような点を一層、これは大変でございましょうけれども、努力されまして、そして国民のために大きく寄与していただくようお願いを申し上げたいと思います。御答弁は要りません。  次に、放送法第九条の三で、協会は、その業務を遂行するために必要がある場合には、郵政大臣の認可を受けて、収支予算、事業計画及び資金計画で定めるところにより、宇宙開発事業団に出資することができるという項目がございます。この趣旨は、石川さんにお尋ねしたいのですが、どういう趣旨をもってこの条文を盛り込んだのかということと、NHK会長さんにお尋ねしますが、いままで開発事業団にどの程度の出資をおやりになったかという点を簡単に答えていただけば結構です。
  67. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいまの九条の三でございますが、これは宇宙開発事業団が発足いたしましたのが四十六年でございますが、四十六年に宇宙開発事業団法を国会で御審議願ったわけでございます。その際に、宇宙開発事業団法の附則といたしまして、附則の中に電電公社及びNHKからの出資ができるという条項を盛り込んだわけでございまして、それを放送法の中に入れたわけでございます。  この考えといたしましては、将来宇宙開発を行うに当たって、特に人工衛星等の面におきましてNHKも相当宇宙開発に寄与していただくということを考えておりまして、その時点においてひとつ出資もお願いしたいということで事業団法の中に盛り込んだわけでございます。詳細につきましては科学技術庁の方から御説明いただいたら結構だと思います。
  68. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまお尋ねになりました件につきましては、今日までのところ全然出資はいたしておりません。
  69. 土橋一吉

    ○土橋委員 私がこれから質問しようとする内容は、五十二年打ち上げに決定をいたしました中容量あるいは中型といわれておる放送衛星の問題とNHKの今日までの御尽力、それに対して郵政当局並びに科学技術庁はどういう措置をしようとしておるのか。今後これが実験放送として打ち上げられましてから、NHKはどういうような役割りをそこで果たすのか。あるいは完全にそれが実施できまして後に——昨年の十月民放の大会において今道前会長さんからいろいろなお話がございました、そのときに久野郵政大臣が、御承知のように、さようなことはないだろう、公平に行われるようにしましようというような意味合いのあいさつをつけ加えておやりになった、こういう事情を承知いたしております。そこでお尋ね申し上げたいことは、この「放送文化」に昨年の三月放送衛星の特集号が出ております。この中を拝見しますと、NHKは約二十一億円の金をこの問題について投資をした。使った。そうして法律の規定では、九条第三項の規定によりまして出資をすることができるような内容を持っておるわけです。そうするとNHK放送衛星打ち上げについて、この資料によって二十一億円の金を使い、そして今後もその成り行きについては一つの当事者的な立場からいろいろ研究もし配慮もしたという現状だと思うのであります。  ところが、現実は御承知のように開発事業団が具体的に仕事をして、そして、もし中型放送衛星が仮に五十二年に打ち上げられたといたしまして、そのときの衛星の管理あるいは試験は一体どこがやるのか。あるいはもう一回ぐらい打ち上げる、そうして最後的に各家庭の受信機をもって要するに放送を受け取ることができる。これが通信衛星と違いまして放送衛星ですから、各家庭にまず簡単な受信機で電波が映らなければいかぬわけですね。もちろん共同受信ということもあり得るでしょう。しかしながら、基本は要するに通信衛星と違いまして放送衛星ですから、どこの家庭のアンテナでもそれが見られるというようなことが必要だというふうに私は考えておるわけです。こういう点からいろいろ質問したいということでありますので、ひとつよろしく御答弁を願いたい。  そこで科学技術庁にお尋ねをいたしますが、どういうわけでNASAが五十一年に打ち上げると言っておったのが打ち上げられなくなったのか。どういう経過でこれをほごにしたのか。その点をひとつお聞きしたいのであります。
  70. 山野正登

    ○山野説明員 御指摘のとおり実験用の中型放送衛星につきましては五十二年に米国に依頼して打ち上げることといたしておるのでございますが、米国の航空宇宙局NASAは、一般的に申しまして外国の衛星についての打ち上げ支援を行うに際しましては、打ち上げ費用の支払いを打ち上げ日の二十四カ月前から開始すべきことを標準支払い方式といたしております。この中型放送衛星の打ち上げにつきましては、宇宙開発事業団とNASAの間で契約交渉が進められておるのでございますが、この交渉の経緯におきまして、当初は米側はこの標準支払い方式を緩和いたしまして、五十年の四月、本年四月から支払いを開始いたしますれば五十一年には打ち上げはできるという見通しであったのでございます。そういう関係で四十九年度予算におきましても、打ち上げ依頼にかかわる必要経費というものは予算措置を講じていなかったのでございますが、その後NASAとの交渉の結果、この日本の実験用中型放送衛星に対します支払い方式について、標準支払い方式を緩和できない、つまり打ち上げ日の二十四カ月前から支払いをしてもらいたいという先方の方針が明確となりましたので、本年の四月から支払いを開始したのではこの放送衛星の五十一年度打ち上げというものは不可能になった次第でございます。このような状況を踏まえまして、昨年の十二月に宇宙開発委員会が、宇宙開発経費の見積もりの中におきまして、この衛星の打ち上げ目標年度を五十一年度から五十二年度に変更したということでございます。
  71. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、問題はNASAの都合によって、当初はきわめて安易に二十四カ月前に支払いをしてもらうけれども、まあまあ日本さんのことだからというような、つまり五十一年に打ち上げるということを暗にほのめかしていた。ところが、急に態度を変えて、そうして二十四カ月、二年前にきちっと支払いをしてくれというようなことを急に言い出したというようなことは、両国間における信義誠実、契約の原則に反するように私は思いますが、どうでしょうか。
  72. 山野正登

    ○山野説明員 四十八年当時本件の交渉を開始いたしました時点におきましては、先方も日本の会計年度等を考慮いたしまして、そういう特殊事情から先ほど申し上げましたように五十年四月から開始しても五十一年には打ち上げ可能になるように取り計らおうということで、先方の政府部内において恐らくいろいろ努力をしてくれたものと思われますが、これが先方の政府部内でやはり緩和はできないという結論になった経緯につきましては、私どもは詳細を承知していないのでございます。
  73. 土橋一吉

    ○土橋委員 御承知のように、わが国において科学技術庁でもよく御承知のように、ロケットの技術を促進するという問題と、衛星を先に打ち上げるという問題についていろいろこの中には論争があったということが言われておるわけです。しかしながら、日本のロケット技術を発展させることもきわめて重要でありますが、それをさておいてNASAに依頼したということについては、当時からいろいろ意見が分かれておりました。また批判もございました。しかしながらそのNASAが今度は五十一年に打ち上げられないというので、新聞を拝見しますと、安川駐米大使がレイ国務次官補との契約をやって、五月二十四日午前三時三十分に協定を結んでおるわけです。こういうようなめんどうなことをやらなければ打ち上げができないというようなことについてはまことに残念なことであって、航空宇宙局というアメリカの大統領直属の機関、それに科学技術庁という日本政府機関が約束しておったにもかかわらず打ち上げができないということを急に言ってくるということは、これは日本政府つまり科学技術庁の予算の内容あるいは郵政省予算ひいてはNHKの問題に関係するのですが、一つの損害を与えておるというふうに思いますが、どういう損害が具体的に生まれたのでしょうか。
  74. 山野正登

    ○山野説明員 先生御承知のとおり、実験用の中型放送衛星の早期打ち上げの必要性につきましては、たびたび郵政御当局から御説明のあるところでございまして、将来飛躍的に増大の予想されます放送需要に対処いたしますために、実際の実用放送衛星を実現する過程としてこういった実験用放送衛星が早期に要るということ、それからまたさらに静止軌道とか電波権益といったようなものにつきまして早期にこれを確保する必要があるという郵政省、需要省の御要求につきまして、宇宙開発委員会におきましても慎重に検討されたのでありますが、この早期打ち上げの必要を認められまして、当初は五十一年度打ち上げということを決定したのでございます。それが先ほど申し上げましたように打ち上げ支払いについての調整問題から五十二年度にずれたわけでございまして、この早期打ち上げと申しますのが五十一年から五十二年にずれた、一年間遅くなったという点につきましては私どもも非常に遺憾だと思っておりますが、これが放送政策上いかなる影響を与えるかという点につきましては郵政省の方から御答弁いただきたいと思います。
  75. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  放送衛星につきまして、当初われわれといたしましても五十一年度打ち上げということを期待いたしまして宇宙開発委員会にもいろいろ御要望申し上げたわけでございます。ところが、先ほど山野参事官の方からの御説明のように、そういうことで一年間おくれたわけでございますが、われわれといたしましてはこの件につきましてはすでに各国に事前の公表をいたしまして、そしていろいろその問題についての検討各国にお願いしておりまして、その結果われわれ返事をいただいております。かような状況で、われわれといたしましては当初計画した電波権益並びに静止軌道の位置というものについては確保されたというふうに考えておりますので、その面におきましてのマイナス面はないかというふうに存じております。
  76. 土橋一吉

    ○土橋委員 ある人は、そういう方面へ莫大な金を使うことがあれば、むしろほかの方へ使うのが至当ではないか、非常に火急な物価問題を解決したりあるいは働く勤労者の賃金を上げるような問題とか、こういうことが言われておるわけです。でありますから、ここに書かれておるように、日米両国政府間において書簡の交換をしなければいろいろそういうことができないということになってまいりますと、またNASAの都合によって五十二年もだめだ、都合ができたからというようなことになってくれば、どうしても私は日本のロケット技術を速急にやはり樹立をさせる必要がある、つまり他人様任せで放送衛星を打ち上げるなんてさもしい考え方を持たなくて、科学技術の発展しておるという日本がこの面についてもっと真剣に努力すべきではないかという点が、私の考え方の一つであるわけです。まあやむを得ないことと思いますが、今後さようなことが起こらないようにぜひお願いをしたいと思います。  それと関連しまして、前には一つ打ち上げるのに三十億かかった、その腰だめをもう一つ前に打ち上げるために大体三十億と、六十億がかる。これは通信衛星の場合もそうだし気象衛星の場合もそうだと思います。ところが、今度お聞きをすると、一つ上げるのに五十億くれ、そのかわり三つのそれぞれに一つあて予備を打ち上げるのじゃなくして一つ打ち上げるんだ、それが五十億かかるんだと、こういうような計算のように私は聞いておるわけです。そうしますと、だめの一つ打ち上げ三十、本物打ち上げの、つまり実験用の衛星打ち上げ三十で六十億ですね。ところが今度五十億になって、最初打ち上げた一つが、腰だめの打ち上げが五十億、そうすると三つに割ってくれば大体十七億ぐらいかぶるわけですね。そうすると、一つの衛星を実際に打ち上げるためには六十七億以上の金がかかる。六十億であったのが六十七億かかる。これもやはり計算上から見ると、損をしているんじゃないかというような気がするわけです。そしてまたこのミッションを、たとえば放送衛星ならば東芝に依頼してつくらしておるわけですね。これは一体幾らかかっているのか。それで地上局と称するたとえば制御装置をしなければいけません。あるいは実験中ですからいろいろな地上局の設備がかかってくる。そういうものは実際にどの程度かかるのか、ちょっと教えていただきたいわけです。
  77. 山野正登

    ○山野説明員 ただいまの、まず第一の御質問の打ち上げ経費につきましては、計画立案当時、昭和四十七年、八年当時におきましては、これはNASAの正式な見積もりではないのでございますが、衛星調査団等が先方に参りましたときに得ました情報等を総合いたしまして、一基当たり三十億円程度というふうに見込んでおったのでございます。その後、五十年度概算要求の積み上げをいたしますに際しまして、正式に先方に見積もりの提示を求めましたところ、先ほど御指摘のとおり一基当たり約四十九億円という見積もりが参った次第でございます。  それから予備機の扱いでございますが、これは私ども同じく五十二年に打ち上げを予定いたしております静止気象衛星、実験用中容量静止通信衛星と合わせまして、この三つの衛星が失敗なく成功裏に打ち上げができることを期待しておるのでございますが、その際には、この予備機の手当ては要らないことになるわけでございます。ただ、この三つのうち不幸にしていずれか一つでも失敗いたしました際には予備衛星を利用いたしまして、これをまた急遽打ち上げる必要がございますので、そういったこの三つの衛星につきましていずれかが失敗したというふうなケースが生じますと、この予備機の経費を、たとえば単純に三で割りますと、先ほど御指摘のように四十九億にさらにその三分の一が追加されるといったふうな結果になろうかと思っております。  それから、さらに第三の御質問でございますが、一体この計画でもってどの程度の金が必要かということでございますが、これは将来の見通しも含めまして、人工衛星を、衛星だけをとってみますと約百二十五億円程度の経費が所要かと存じております。  それから、打ち上げはただいま御説明申し上げましたが、地上施設につきましては、これは事業団分と将来郵政省が運用実験を行われる場合と両方あるのでございますが、事業団の数字を申し上げますと、地上施設といたしまして約七億円程度の資金が必要かと思っております。
  78. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、このミッションが大体百二十億。それから打ち上げの費用が四十九億に十七億を加えた、何ぼですか大体その合計額。地上局はそんなに安くできますか、七億円ぐらいで。それは人工衛星、通信衛星のことでないですか。実験中の放送衛星で、そんなことでできますか。
  79. 山野正登

    ○山野説明員 私、少し言葉が足りなかったと思うのでございますが、宇宙開発事業団分と申し上げましたのは、米国のNASAが行います打ち上げは、いわゆる遷移軌道までの打ち上げで、衛星切り離し寸前までの作業をやってくれるわけでございますが、この遷移軌道から静止軌道に打ち上げます作業と申しますのは、宇宙開発事業団が責任を持って行うことになっております。そのために必要な施設と申しますのを宇宙開発事業団は整備する必要があるわけでございます。さらに、それに加えまして静止軌道に投入されました後も、衛星の位置、姿勢等を管理いたしますための必要な施設もございます。それらを合算いたしまして七億円と申し上げたわけでございまして、実はこれ以外に御指摘のように運用実験用の施設と申しますのが郵政省の方で別途立案されております。
  80. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、いままことに奇異なあなた様のお話を聞いたのですが、これは三段式ロケットだろうと思うのですよ。第一燃料は液体燃料、第二は同じく液体燃料、最後の燃料は固体燃料だと言われておるわけですね。そしてそれが三万六千キロの上空に到達する前に、もうそのNASAとの契約が切れたというのはどういうわけですか。その軌道の上に乗っかって、初めてNASAが責任を持って静止衛星というものを完成さしたということになりますが、あなたの説明だと固体燃料が切れちゃって三万六千キロの上空に達するときに、もうNASAは契約をやめてしまったように、私の聞き方が悪ければそういうようにとれたわけですよ。それじゃ無責任じゃないでしょうか。それから軌道修正をして方向日本の上空に向けていくというようなことまで七億円の金を払うなんというのは、それはちょっと常識上おかしいんじゃないですか。
  81. 山野正登

    ○山野説明員 実は米国のNASAの打ち上げ支援と申しますのは、外国の人工衛星につきましては静止軌道投入までの作業ではなくて、遷移軌道までの衛星とロケットを分離するまでの作業を引き受けるということになっておりまして、私どもが今回宇宙開発事業団とNASAとの間で契約させようとしておりますのも、その軌道までの打ち上げを依頼するという趣旨でございまして、それ以降はわが方の事業団がやる責任があるわけでございます。
  82. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、実際は約四十九億、五十億かかって、それで三分の一は——事、放送衛星に関していま質問しておるわけですから。そうすると、三分の一の十七億を加えなければいかぬ。それにまた七億の金をつぎ込まなければ結局三万六千キロの軌道へ乗らない。乗ってからだって、やはり日本向けの放送衛星ですから、つまり三十度とか四十度角度を向けて日本の空の方へ向いてくれなければいかぬわけだ。そしてその羽根もちゃんと太陽熱を受けて電波が回るような仕組みのことをやらなければいかぬでしょう。そうすると、NASAはまだ軌道へ乗りもしないのに、もうこれでうちの仕事は終わってしまった——乗らなかったらどうするんですか。三万六千キロの軌道へそれが乗らなかったときには一体どうなるんですか。一体だれが責任を負うんですか。
  83. 山野正登

    ○山野説明員 これは宇宙開発事業団とNASAとの契約で、NASAの責任範囲といたしまして遷移軌道までの打ち上げ、衛星とロケット分離までの作業というふうにはっきり明記してございますので、それ以降、宇宙開発事業団に責任が移りました以降に起こった事故等につきましては、当然宇宙開発事業団の責任であると考えております。
  84. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題は私もよくわかりませんから、また常識上七億余分にかけて、そして三万六千キロ、赤道の上のそこまで持っていくというようなことは、また余分な費用が七億もかかるというようなことをおっしゃると、幾らかかるかわからない。だから、やはり日本のロケット技術を発展をさして、当然さようなものを打ち上げる体制をとることがきわめて重要だということを言っておるわけです。  そこで、こういう過程で、NHK会長さんもお聞きになっておりますが、NHKはこのことについては初めから前田会長当時から金をつぎ込んで、そして一生懸命おやりになった。そしてまた放送衛星については至大の関心を持って、法律の規定でもちゃんと金を出せ、法律の規定によってNHKは開発事業団に金を出しなさいと強要もされておるわけですね。それだのに、今度衛星を打ち上げてから一体どこがそれを管理をし、どういう試験をやって、NHKとその関係はどういうふうになるのでしょうか。
  85. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この衛星につきましても現在——先生の御質問のように放送衛星について申し上げたいと思います。放送衛星につきましては、従来わが国で宇宙開発を開始するに当たりまして、郵政省といたしましては放送衛星、通信衛星というものを含めまして衛星の開発計画を立てたわけでございます。その中に放送衛星という構想が出てまいりまして、そして作業を進めていたわけでございますが、作業段階におきまして、放送衛星はどのように今後開発していくかということを検討したわけでございます。この開発の仕方といたしまして、いろいろあると思いますが、現在われわれがとっておりますのは、とりあえず国におきまして実験用の放送衛星を打ち上げまして、その実験用の放送衛星によって各種の放送衛星に必要な資料というものを獲得したい。この資料に基づきまして今後の衛星を使っての放送というもののシステムをつくり上げていきたい、かように考えております。その途中の段階におきまして、NHKといたしましても、昭和四十一年ごろからこの放送衛星についての技術の開発、研究を行ってきておりました。それに現在までに約二十億円近くの研究費をかけてやっているわけでございますが、そのために非常に成果は上がっております。したがいまして、われわれ実験用の放送衛星の計画におきましても、NHKの研究成果というものをぜひ使わせていただきまして、国としての放送衛星のシステムを確立したいということでNHKからもこの研究成果をいただいてやっているわけでございます。  今後この放送衛星の計画につきましては、先ほど申し上げましたように、今度の実験の結果によりましてひとつ今後のわが国の衛星放送というものの方針を立てていきたい、かように存じております。
  86. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、私よくわかりませんけれども、つまりNHKさんがこういう法律の規定に基づいて、出資もします、それで二十一億円という大枚な金を使って研究しておる。ところが、仮に衛星が打ち上がってそれが作用をする。ところが、実際それは二チャンネルしか使えない。そうすると、郵政省の電波監理局が中心となってそういう試験をするのですか、それともNHKさんに頼んでそういう試験をやるのですか。あるいは両方まぜ合わせて、責任は郵政省が持ってやるけれども、いろいろなそういうデータは、肝心なものは皆NHKさんからちょうだいをしたり借りて、そして実験をするということになるのでしょうか。
  87. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 放送衛星の出資の件でございますが、これは将来実用段階になりましてNHK放送衛星というものを上げるということになりましたときには、やはり事業団に出資をして衛星をつくっていただくというような考え方で宇宙開発事業団法の附則で成立したわけでございます。  われわれの今後の実験の進め方でございますが、やはりとりあえず実験用のものは国でやるというたてまえにして進めておりますので、当然国が責任を持ってやるわけでございますが、わが国放送技術というものは国だけではなかなか十分満足いけるものではございませんので、当然NHKの従来からの研究成果、さらにわれわれの研究成果、これを合わせまして、ひとつ協力してこの実験を進めて成功させたい、かように考えております。
  88. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、上がっている衛星の、何といいますか、所有権といいますか専有権といいますか管理権といいますか、それは政府が持っている。郵政省が持っている。それにNHKはただ協力する、そしてその実験をどんどんやっていく、こういうことですか。
  89. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 今回の実験用の中型放送衛星につきましては、国の実験でございますので国が管理するということになるわけでございます。
  90. 土橋一吉

    ○土橋委員 それで、それが成功したとしましょう。何か三年しかもたぬというんですから、二年か三年でそれはだめになるわけですから、その間精いっぱい実験をするわけですね。実験をして、その次に大容量の——つまり放送局はたくさんございます。NHKを初め民放、まあ百社近いものがあるわけです。その全部のチャンネルは、そこから放送したものを全部受けることできますか。もう一回ぐらい実験衛星を打ち上げる。最後に大容量の衛星が打ち上がりますね。そうしてくると、NHKさんのいまの三チャンネルとかそういうものと、民放さんが八十何社、まあ九十社あるすべてのチャンネルを、全部電波を出して、そして好きなものがどこの家庭でも見られるということになるのでしょうか。
  91. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先生いま御指摘のようなNHK及び民放全社ということは、事実上不可能かと存じます。したがいまして、やはりそれの放送体系につきましては、その実験の結果を見ましてシステムをつくっていかなければいけないのではなかろうか、かように考えております。
  92. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、今道潤三さんが昨年の十月の四日に意見を述べられたように、これは当分の間民放にはどうもおはちが回ってこない。それを受けるものはNHKじゃないかというような意味合いのことを言っておられるわけですよ。そうすると、郵政省としては、公共放送であるNHKはまず何はさておいても、法律のたてまえから第一義に考えてあげなければならない。片方は、民放さんはつまり商業放送であるわけですね。金をもうけるために国民の電波を利用して事業経営をやっていらっしゃるわけですね、基本的に言えば。そうすれば放送衛星が打ち上がってたとえば二チャンネルとか五チャンネルしか使えない。まだそういう大型の放送衛星を打ち上げるのは困難だということになれば、科学技術の発展でございますからここですぐどうこうは言えませんけれども、とりあえずNHKさんがそういうところへおやりになるようになるわけだと私は思うのです。しかしながら、別の法人をつくって、たとえば文部省が放送大学をつくるんだから貸してくれというようなことも起こってくるように推定ができるわけです。いま郵政省が考えているのは、どういう方向で実際の衛星が打ち上がったときにNHKさんが——法律の規定もちゃんとあるし、二十一億の金を使っておる、ところがNHKは単なるユーザーで指をくわえて見ているというようなことになってきては相済まぬではなかろうかという気が私はするわけです。そこら辺はどういうふうになるのでしょうか。
  93. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 五十二年に打ち上げます放送衛星につきましては実験でございまして、テレビ二チャンネルの計画でやっておりますが、その実験計画の内容におきましてその衛星から出た電波がどのように伝搬するか、あるいは将来の問題として直接受信ができるにはどうしたらいいか、あるいは個別受信できるにはどうしたらいいか、あるいはわれわれが設計いたしましたアンテナからよその国に必要以上に電波が漏れないかどうか、このような実験がこの五十二年の実験で行われるわけでございます。したがいまして、その成果を踏まえまして今後の放送計画を立てるわけでございますので、ただいま先生から御指摘ございましたNHKをどうするか、民放をどうするか、こういう問題については出てまいりました実験結果に基づきまして政策を立てていきたい、われわれはかように存じております。
  94. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、いま石川局長さんのお話を聞いておると、二チャンネルでやってみるけれども、その受信状態や、あるいは電波が他国の領域内へすっ飛んでいく、そういうことも警戒しながら、つまりいわゆる通信衛星とは違いまして放送衛星は電波がかなり強烈ですから、そういうことがすぐ問題になる。また放送衛星に関して国際的な条約をつくるとか法律をつくるとか騒いでおるわけですね。国内でもこの電波は非常に他のものと違って混線、混乱等の問題がありますので、そういう試験をするという段階であって、私がお聞きをするようなことはまだまだほど遠い。つまりだれがやるか、どこが受け持ってそういうことをやるかというのは、まだその結果を見なければわからぬということだとするならば、非常に心細い実験過程における放送衛星の打ち上げじゃないかというふうにも思えるわけで、それでいいのですか。そういう理解でいいのですか。
  95. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 確かに私たちといたしましてはそのような衛星から出てくる電波の特性というものについては未確認でございます。したがいまして、まずそのようなことを確認することが第一の仕事であると考えております。  その次に放送衛星の特質でございますが、当面考えられますことは、放送衛星から出てまいります電波というのは非常に広い範囲において、しかも同一番組を送るには非常に都合のいい衛星でございます。さらに、非常に深い角度から電波が入ってまいりますので、従来から申されておりますように難視聴地帯の救済というものにも非常に有力な手段であると考えております。ただ、今後NHKあるいは民放がそれを放送業務に使うということになりますと、その場合にNHKなり民放のそれぞれの業務内容、業務の進め方あるいは衛星の目的が合致しなければ、しっかりした計画がなかなか立てにくいかと存じておりますが、その点につきましてはまだ関係者の方と十分意見を詰めておりませんので今後詰めていきたい、かように考えております。
  96. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はどうしてもわからない点は、せっかくNHKがそこまで、前田会長以来十年間営々として努力をした。今度打ち上げる段階になってくればこれは科学技術庁の問題だ、あるいはNASAの問題だ、あるいはこのミッションは東芝と電波監理局の問題だとか、あるいは通信衛星ならば電電公社かどこかと契約してつくるとか、今度打ち上げてしまってから資料その他はNHKから協力をいただく、それで郵政省はやる。つまり私に言わせれば、竹に木をさして、木にまたガラス棒をさしたようなかっこうで、要するに基本的に予算収支から最後の詰めまでだれが責任を持ってやるかという点が決まっていないじゃないか。あるときは科学技術庁が出ていって一生懸命やる、それがNASAがだめだと言えば、しょうがない、引き下がってくる。電波監理局もそれと同じように、やってみなければ結果はわかりませんというようなことで、ここで莫大な金を使うことが果たして国益の上から見て、また放送を非常に望んで——先ほどあなたが仰せになりましたように放送衛星で難視聴を解消するんだ。難視聴は、NHKが一生懸命ない金をしぼって、毎年毎年いろいろな金を使っておるわけですね。単なる難視聴解消だけだったらかなり進んでおると私は思うのですよ。ぽつんぽつんとある部落は別といたしまして、NHKさんの非常な努力によって年次計画でかなり進めておる。そうすると今度放送衛星打ち上げの意味が——いまの放送体系全般を覆すような、波の問題や受信機の問題というようなことが想定されるわけですよ。いまのVHFの波でちゃんとできるなら一番いいのですけれども、ところが宇宙というものはそうはうまくいきませんので、いまの波ではなかなか困難だというようなことになってくると、これはかなり先を見通した計画的なものを持ってやりませんと、その都度NASAその他の都合によっていろいろなことが起こってくるときにはしょっちゅうぐらぐらして、竹と木の間がはがれたりついたりする、またガラス棒と木の間をつないだりして金だけ使ってしまって中身は上がらぬというようなことがあっては困るんじゃなかろうかというのが、私、こんなものを読ませていただいて素人考えに感ずるところなんです。これはNHKさんを中心に——民放さんはこの問題については金を出すようなことは規定していないわけですよ。民放さんは商業放送であって、俗に言えば、うまいことをやったところに乗っかってもうけさせてもらうというようなことだけしか考えていないわけですね。これではNHK放送事業全体から見て少し気の毒じゃないか。もっと考慮してみる必要があるんじゃないかと私は考えるわけです。大臣、どうですか。いままでの論議をお聞きになりまして私は懸念をし、統一的にやる必要があると考えておるのですが、これはどんなものでしょうか。大臣の所信はどうでしょう。
  97. 村上勇

    村上国務大臣 先生のお話を聞いておりますと私もその気持ちになって、私は技術的にはちっともわからないものですからつい話のうまい、理論の筋の通った話の方へついていくようになってしまいます。それだけに、これは基本的な問題ですから事務当局からはっきりしたことを答えさせたいと思います。
  98. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま大臣もお聞きになって、ここで私が話した以上の内容、もしほかに秘密があれば、いや、そうじゃない、こういうことによってこれはちゃんと締まっておるんだという事実があれば説明していただきたい。われわれ素人が考えて、いまお話をしたようなことしかどうしても考えられないわけですよ。それがたとえば二チャンネルじゃない、大容量の放送衛星を打ち上げれば十チャンネルは大丈夫ですとか十八チャンネルまでは大丈夫です、だから民放さんも入れますというようなきちっとした見通しがないのに、これから試験をやってみてまずかったらしょうがないというようなことでたくさんの金を使うということについては、非常に問題があると私は思うわけです。
  99. 村上勇

    村上国務大臣 先ほど私の感じを話しただけでありますが、実際は実験用放送衛星の詳細な実験計画につきましては現在検討を進めておりますが、この衛星は技術実験を目的とするものでありますので、いまの段階では御指摘のようにテストパターンを中心として考えておりまして、通常放送番組を送り出すことはいまのところまだ考えておりません。
  100. 土橋一吉

    ○土橋委員 一九七五年のこの国会において、私は強くその問題について、やはり統一的に物を——科学技術庁も大変でしょうし、また開発事業団も大変でしょう。またこれをつくるミッションの東芝にしても何にしても大変でございましょう。しかしながら、いずれにしてもわが国放送衛星事業ということについて関心のあるすべての方が納得のできるような、そしてその実験の結果はどういう結末をつけなければならぬかというようなことはやはり明確にしておいてもらいませんと、ここで一つの衛星を打ち上げるために、地上局にたとえば百億かかるとか、あるいはミッションで百二十億かかるとか、あるいはまた先ほどのお話のように七十億もかけて衛星を打ち上げるとかというようなことになってくると、これは大変な費用を要する問題。まして放送衛星ばかりじゃございません。通信衛星も同じような経路をたどると思うのです。気象衛星も同じような経路をたどると思うわけです。したがって、この問題は国全体の大きな一つのコンセンサスを得ておかなければ、後々問題を生ずるであろう。特に、私はへつらうわけじゃないですけれども、小野会長を中心とするNHKがこの問題について一番関心を持ち、金も使っておるわけです。こういう点について、今後研究の上でもやはりないがしろにしないで、ともにやっていただくように、それができるように私は希望したいと思うわけです。答弁はよろしゅうございます。  次の問題はNHKの方にお尋ねをいたしますが、聾唖者といいまして、耳の聞こえない方が全国にかなりいらっしゃいます。それで、あなたの方では第三チャンネルで「福祉の時代」というような内容で、手話術を用いていろいろおやりになったということが出ておりますので、これは私は大変結構だと思うのです。  最近の要請としては、たとえば大きな政治問題についての討論の番組とか、あるいは社会文化上非常に必要な、国民としてはぜひ皆さんが知ってもらいたいというような問題とか、あるいはドキュメンタリーのような、社会全体の人が非常に注目しておる一つの問題とか、こういう問題について、手話術によるところの、総合テレビにおいてそういう措置を講じていただくことができましょうか。それとも、いまのところは困難だというわけでございましょうか。
  101. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生御指摘の点につきましてはNHKも非常に努力する所存でございますけれども、ただ問題は、手話という方法につきましては、手話そのものが非常にローカル性が強うございまして、東京の手話の方法で全国の耳の御不自由な方がおわかりいただくのが八〇%ぐらい。やはり二〇%ぐらいは東京方式の手話のやり方ではわからないというような部分もございますので、そういう点を考慮いたしまして、総合テレビ等で実施いたします場合にはやはりスーパー、字幕を入れるというようなことで努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。それで、現状では朝の七時、夜の七時のニュースなどで、字幕のテロップを見出しだけではなしに、内容にわたって字幕のテロップを入れまして、そこだけごらんいただいても大きなニュースについてはわかっていただけるというような配慮、努力をしておるわけでございますけれども、御指摘の点につきましては今後なお一層検討させていただきたいというふうに思う次第でございます。
  102. 土橋一吉

    ○土橋委員 すでにこれはテレビ静岡、テレビ神奈川、びわ湖放送などではワイドショー番組について二十数回も、いわゆる手で、手話通訳によるところのテレビを開催をいたしております。ですからこういう点についてぜひ配慮を願いたいと思うわけなんです。  きょう私は赤旗という新聞を拝見しまして、この赤旗の中にこういう記事が載っておるわけです。これは目の見えない方と耳の聞こえない方がコーラスをやっておる。「障害乗越え心一つに手話コーラス懸命 文化祭へ準備すすむ」という題で書いてあります。「目の見えない青年たちの楽器伴奏に合わせて、耳の聞こえない女性グループが手話コーラス。東京の身障者が協力して二十九日開く「第四回障害者の文化祭」」これは北区赤羽会館でおやりになりますが、それを前に「出演者が、障害は異ってもこころは一つと、懸命に合同練習をしています。」これは詩ですが、「春を愛する人は 心きよき人 すみれの花のような ぼくの友だち」という歌です。それで「四季のうた」や、いろいろ練習をされております。この中で、手話通訳で、約三十人の方が手で歌を歌うわけですね。そうしてその中には、ある会社その他、勤めているタイピストの方もいます。この中では市川豊子さん、二十七という人もおります。こういうふうに、タイピストなどをやっておる婦人が、つまり、歌を歌いたいけれども自分は歌うことができない。そこで、伴奏に合わせて手で歌を歌って、自分の心を清め、そしてここの歌にありますように、「春を愛する人は 心きよき人」というような、胸が熱くなるような、そういう一つのものが新聞に報道されております。  こういうことから見ましても、私たちは身体障害者の方々や、あるいはそういう方々の放送に関する非常に関係深い問題として、つまり、聾唖者は歌が歌えないなんというのはよほどわれわれの認識が不足であって、手で歌を歌っていく、それに目の見えない人が音楽で合わしていく、こういう一つのことが出ておるわけですよ。こういうことから見ましても、放送局が、先ほど申し述べましたように、地方局では率先をしてこれをおやりになっておるということであれば、これは当然聾唖者の——たとえばここにこういうのが出ています。私はこれを読んで非常に感銘いたしました。三番目の要求として「料理番組のように実用性の高いものは、働らくろうあ者のため、夜間に再放送せよ」、こういう要求が出ておるわけです。そこで「夫婦で働らく生活が一般化しており、ろうあ者も例外ではない。実用性の高いものは、手話通訳または漢字字幕付きで夜に再放映されたい。」こういうものが出ておるわけですね。こういうものを考えまして——先ほど読みました新聞にも、これは見ていただければわかりますが、心温まるようなこういう方々の催しがあるわけですよ。ですから、こういう問題はやはり、赤羽の一地方においてやっておられますけれども、大変心温まるようなことをやはり放送局としては率先をしてやるべきではなかろうかということで、私はこういう質問を出しておるわけです。  会長さん読んでおられるから、坂本さんでも結構です。どうでしょうか、こういう問題について努力をする気持はありますか。
  103. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生の御指摘の点については全く同感でございます。ただ、放送に取り上げます場合の取り上げ方につきましては、手話というのは非常にボキャブラリーが少のうございまして、なかなか政治番組であるとかあるいは思想を伝えるというような場合にはかなり問題がございます。それからまた手話そのものを理解する局内的な体制がまだ必ずしも十分でございませんので、いろいろな事情もございまして、まず第一段階といたしましては字幕スーパーによるサービスということを第一重点に考えさせていただきたい。先生の御指摘のような点につきましては、もちろんニュースその他でもって取り上げさせていただくのが適当なテーマかというふうに思う次第でございます。
  104. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこで私はいま料理番組のことをお話ししました。この料理番組というのは、御夫婦で聾唖者でお勤めになっておると思います。そこでだんなさんに味覚はあるわけですね。聴覚はないけれども味覚はちゃんとあるわけです。おいしいと言えば夫婦で、こう手でおやりになるでしょう。いずれにしてもそういうことをやはり事細かに——これは聾唖者の方に対する問題たけじゃございません。身体障害者の方とかあるいは目の不自由な方であるとか、すべてのそういう社会的生活において非常に困難を感ずる人に対する放送局のできる限度の努力をお願いしたい、こういう内容の一つでございますから、これは聾唖者だけではございません。目の不自由な方やまたその他の障害の方々に対する十分な措置をぜひお願いしたいという一つの例でございます。  それで、ここにも書いておりますように、このことは手話講座を設けて、障害者に対する一般の理解を深めると同時に、また一般学習希望者の要望にもこたえよといったようなことと双方の関連がありますので、ぜひひとつ会長さんもこういう点について今後一層努力をしていただきたいというふうに思いますが、坂本さんのお話だと字幕程度だ、どうしてもこれはできないといった説明なんですけれども、どうでしょうか。
  105. 坂本朝一

    ○坂本参考人 どうも私の答弁がやや算術的で申しわけございませんが、ただ、実際問題といたしまして手話というものの方法論がいろいろと耳の御不自由な方たちの間にもございまして、手話だけではだめでフィンガースペリングを使わなければいけないとか、いろいろないま手話そのものの定着性が必ずしも成熟いたしておりませんので、そういう点を少しくその関係者の方々と御相談しながら、時期を見て御指摘のような手話講座というようなものも当然教育テレビなどで誕生してくる必要があるだろうと思いますが、現状すぐそこまでいくように手話そのものの中身が必ずしもまだ成熟してないという点につきましても御理解いただきたいと思うのでございます。
  106. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま申し上げるように重要な政治問題、たとえば政治討論会、各党の幹部の方が出ていろいろ所信を述べられる、あるいは重要な一つの文化的な社会的な問題であるとか、あるいは非常に異様なドキュメンタリーのようなものは、やはりそういう字幕はもちろんであるが、映像のすみっこに手だけでもいいと思うのですよ、顔と手の一部分だけ出せばわかるような、そういうことをぜひ一度おやりになってみたらいかがですか。ものはやってみないことにはなかなか踏み切れないものですから、会長さんにぜひ私はこれを強く要望するわけです。どうでしょう。
  107. 小野吉郎

    小野参考人 まことに心に響くような切実な声だと思います。私の方へも投書その他の関係で数々のそういった要望を受けております。いろいろそういった身体障害の方々、気の毒な方々に対しては料金の減免の措置もとっておりますが、ただ料金を安くする、まけたからということで済む問題ではないと思います。日本文化の恩典に浴してもらうような配意を下さなければなりませんので、いまの手話法の関係につきましては現実にそれが非常に効果が高いということであれば直ちに取り上げるに値する、そういう意味合いの坂本専務の答弁だと思いますが、現在まだそこまで定着をいたしておりませんので、せっかくやりましても効果が十分でないだろうということでちゅうちょしておるようでございます。そういった面につきまして、これこそ文化に浴してもらえる決め手になり得るということであれば、取り入れる分にやぶさかではございません。現在いろいろな手法を用いまして、あるいは手話法が有望であればそうでありますし、あるいは字幕がよければ字幕、そういったことで、いろいろな面を総合いたしましてできる限り身体障害の方々に満足していただけるような方法を考究してまいりたいと思います。
  108. 土橋一吉

    ○土橋委員 ありがとうございました。ぜひひとつ。  昨年の四月の逓信委員会で同じく都市難視の問題についていろいろ私は御質問申し上げたり苦情も申し上げました。ところが、最近またまた、ついせんだって朝日新聞の約一週間ぐらい前の夕刊でございますが、これはちょうど私が一年ほど前に指摘をしたと同じような内容の大見出しで、「テレビ電波妨害も”超距離” 超高層ビル 新宿⇒千葉・埼玉・神奈川 数万世帯が被害 解決するには六百億円も NHKなど調査」こういうのが出ておるわけであります。これはすでにごらんになっておると思うのです。一年前に私がやかましくこの問題について、たとえば千葉方面にもある、あるいは特に横浜では保土ケ谷から緑区その他の区でたくさんの方が困っている、あるいは高島平の向こうからずっと埼玉県の方もそうなっておるのだということを申し上げました。この委員会でもずっと都市難視の問題についていろいろ意見も出され、いろいろ答弁をしていただいております。  そこで、きょうは建設省の方お見えになっておりますか。——これは御承知のように新宿の東京副都心の問題だけではございません。丸の内でもそこいらにどんどん大きいのができておりますし、全国的な大都市周辺の問題だと思うわけです。したがって、建築上さような高いものを建てて、電波障害や風の障害も起こるわけですね。これはNHKが苦労して、数回この問題については取り上げている。こういう風のいわゆる公害あるいは電波の公害と言いましょうか何と言いましょうか、こういう問題が頻繁に起こってくる。これについて建設省はどういうふうにこの問題を建築上処理して解決しようとしておられるのか、ちょっとお聞きしたい。
  109. 高橋茂

    高橋説明員 お答えいたします。  都市部におきましては、都市環境の整備あるいは土地利用の合理化というようなことで各種の施設が立体化したり高層化したりいたしますのは必然の趨勢ではないかと私たち認識しております。しかしながら、そのような建設活動に伴いまして各地でテレビ障害が生じておるということも事実でございまして、いままでそれぞれの建設者側におきまして費用負担することによって個々に対応してまいっておったわけでございますけれども、だんだんこの問題が深刻化してまいりまして個々の対応では対応し切れないような状況になってきております。幸いに、郵政省の方でテレビジョン放送難視対策調査会が設置されまして、ここで学識経験者等が委嘱されまして検討をしてまいっておりますが、その調査会の結論を待ちまして対応を考えていくべきではないかというふうに考えております。
  110. 土橋一吉

    ○土橋委員 放送法の第七条の規定によれば、「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」と書いております。ところが、あまねく全国に放送が及ぶようにするということは、自然的な現象、山岳があるとかあるいはえらいくぼ地であるとか、こういう所にも電波が行き届くようにしなさいということであって、都市が高層建築になったそれまで全部NHKがあまねく受信ができるようにせいという意味ではないと私は思うのですが、石川さんこれはどうですか。
  111. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 趣旨といたしましては、先生おっしゃいますようにあまねく日本全国にわたって受信ができるようにということでありまして、都市の問題につきましては、現在検討されております都市の受信障害という問題に起因するのではなかろうか、かように考えております。
  112. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、第七条の規定の別の問題として、関連は幾らかあるけれども例外的な問題として、これは放送法上からは、NHKにさほど強要して、いわゆる難視聴解消のためにさあやれ、さあやれと言ってNHKを責めるべき筋合いの条文ではないではないか。ということになれば、別に法律をつくるかあるいは原因者負担の原則をどのように具体的に活用して課するかという問題になるように思うのですが、どうでしょうか。
  113. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 都市の受信障害の問題につきましては、やはり従来から非常に経験のございますNHKなどの協力を得まして解消していきたいということでございます。したがいまして、NHK自身としましてもいろいろ調査研究を行うというようなたてまえもございますが、やはりNHKだけがその問題に対処するという問題ではないというふうに考えております。
  114. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしてくると、建設省へ行けば、これはNHKつまり郵政省の方が何とか配慮してくださることだというような趣旨であったと思うのですよ。ところが、実際はその建てた建物が高いためにあの東京タワーから出すところのNHKの電波が反射しちゃって、そして映像機に線が入ったりあるいは模像のようなものが映ったりするわけです。そうしてくると建築の方法や建築について責任を負っておる建設省は、これは電波の問題だから郵政省だと言うし、郵政省は要するにその問題についてはできるだけNHKさんが協力するからそれと相まって努力をしますと、こういう説明だとするならば、私はこれはまことに不都合だと思うのですよ。これは都市の再開発の問題はもちろんのこと、最近の異常な高層建築等から見まして、お互いに責任の、どっちかというと何か逃げっこするようなことではなしに、どういうふうな方法で原因者負担を明確にするか、原因者負担でどうしても背負い切れないものは一つの社会的な問題として、たとえばどう処理をするかというような問題について基本的な考え方をしませんと、これは大変な問題になってくるというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  115. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この都市におきます受信障害につきましては、現在におきましては相当社会的問題というような形で取り扱われているわけでございます。郵政省といたしましては、受信障害が起きた時点におきましてこの問題を取り上げまして、中に先ほど御指摘の調査会を設置いたしたわけでございます。ただ、この調査会のメンバーといたしましては、ただ電波関係の人というだけではなくて各方面の方が、十九名の方がこの委員に入っていただいておりまして、あらゆる角度からこの問題を検討していただきたいということで現在検討を進めていただいているわけでございます。この調査会におきまして自来二年にわたって検討されてまいりましたが、その基本的な考え方あるいは方策というものについて私たちが承知しておりますところは、まず都市構造の高層化に伴いまして個々の建築物と受信障害の発生の因果関係を特定することが困難な受信障害が増加して、そのために受信障害の解消をすべて建築主と住民当事者間の解決にゆだねることは困難になってきているという感触がございます。それから次に、受信障害につきましては直接の原因者たる建築主をはじめ、国、地方公共団体、放送事業者、それから住民も、これは受信者でございますが、それぞれその解消に対して責務を有し、または受益者の立場にあるということも検討されております。それから建築主を中心とする受信障害関係者がそれぞれの責務と受益に応じて、受信障害の解消に要する費用を負担し合うことが公平の原則に合致するのではなかろうか、こういう議論もなされております。また受信障害解消に要する費用に充てるため関係者から応分の金員の拠出を求めて、この金員を一元的に管理し配分する業務を行う基金の設立が必要ではなかろうかという議論もされております。また、この受信障害解消の技術的手段としては、主として共同受信施設の設置によるのがいいのではないか、かような意見が出てまいりまして、このそれぞれの件につきまして現在その十九名の委員の方々で御検討願っている次第でございます。いずれ近いうちにこの結論は出てまいると思いますが、そのように各方面からの御意見をいただきながら、この調査会では検討を進めてきたということでございます。
  116. 土橋一吉

    ○土橋委員 この新聞記事を読みますと、こういうふうに、これは下から二段目のところです。  「一方、副都心ビルに関連する十三社で組織している新宿新都心開発協議会(幹事会社三井不動産)では、「反射波の場合、全部がビルの責任とはいえないのでは……。全く予想しなかった問題だし、範囲も広く、一企業の力で解決はとてもムリ。因果関係の比較的はっきりしているビル影の電波障害を解決するだけで精いっぱい。これだけでも五億円もかかったのに」といっている。」いわば、こういう記事が出ておるのです。  これを分析してみると、まあおっしゃっている趣旨はいま私が読み上げたような趣旨でございますが、この趣旨を簡単に言えば、三井不動産のこの幹部の方は、反射の波で全部が要するにビルのことによって起こったというのはちょっとひどいのじゃないか、こういう趣旨のことが漏らされています。その次には、まあわれわれは努力しておるのだ、しておるけれども、とてもじゃないがそんな何万世帯というような金は背負い切れない、御近所のやつだけは共同アンテナでも引いて解決はできるけれども、たかだか五億円ぐらいで精いっぱいだ、こういう趣旨の説明をしておるわけですね。そうしてくると、こういう方々を相手にしておいて、三十キロも四十キロも遠くの横浜であるとか千葉であるとかあるいは埼玉の方々に郵政省はこの問題を一体どう解決しようとしているのか、あるいは建設省は一体どういうふうに——こういうことをおっしゃっておることから見れば、とてもじゃないがその六百億の金を出してくれ、すぐやれなんということはできっこないわけですね。そうすると、どうしても国家の強制的な法律、強制力を持っておる法律をもってある程度の規制をしなかったらこの問題は解決できないではないか。何も処罰をせいとは言っていません。強制力のある法律できちっと、公共的な性質を持った法律で規制をしなければ解決しないではないかというふうに思うのですが、どうでしょう。
  117. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま御指摘ございました意見もわれわれも確かに承っております。したがいまして、まあわれわれといたしましてはそのような意見なども、そのほかいろいろな各方面からの意見なども踏まえてこの調査会では検討しているわけでございますが、複合反射障害の場合につきましてはこれは非常にむずかしい問題がございます。われわれの推定といたしまして、先ほど先生が御指摘方向について大体約三万世帯程度が障害を受けているのではなかろうかということを考えております。したがいまして、この反射障害につきましては、一部におきましてはアンテナの調整などのようなことを行いましたし、また技術指導等を行って解決したものもございます。しかしまだ未解決の分もございますので、それにつきましてはやはり共同受信施設を設置するということが非常に適当かとは思いますが、ただいまのような件もございますので、われわれとしてはこの反射障害については範囲が非常に広いとかあるいはその原因者を特定な原因者であるということを決定することが非常にむずかしい、こういうような点がございますので、実は先ほどの調査会におきましてこの検討について特に鋭意御検討を願うようにお願いしている次第でございます。
  118. 土橋一吉

    ○土橋委員 まあとにかく、まだ少し時間があるように思っていたが、もう時間が来ましたので、あと一問だけで、この問題は後日もう一回質問さしていただくことにします。  最後にNHKの方にお尋ね申し上げるのですが、四十七年の秋口だったと思いますが、四十八年度一般会計から問題が出ておりますが、元東京放送会館の売却収入、あなたの方で下さったこの表で見ると三百五十四億六千三百万円というふうになっておりますが、これは間違いございませんか。
  119. 山本博

    ○山本参考人 間違いございません。
  120. 土橋一吉

    ○土橋委員 三百五十四億六千三百万円が間違いないとすれば、まず一つは放送センター建設のために百八十億の金を出した、そして放送文化基金が百二十億の金を出した、そして沖縄復帰に関して、ここにもございますように十九億七千万の金を使った。ところが沖縄OTHの負債というのは、私の記憶だと、確か九億くらいだったというふうに記憶していますが、どうしてここに十九億七千万という金が上がっているのでしょうか。
  121. 山本博

    ○山本参考人 この十九億何がしかの金は、種類が三つございまして、これは沖縄の復帰に係る債務の返還等に充てるということで、国会の御了承を得てございます。この十九億の中身でございますけれども、これは四十七年度中沖縄分の収支不足等による債務の返還に六億二千四百万、それから、四十八年度沖縄分の収支不足九億八千六百万円、それから四十八年度、その他特別収支の差金に三億六千万、全体といたしまして十九億七千万、以上が含まれまして十九億七千万ということでございます。
  122. 土橋一吉

    ○土橋委員 山本さん、もう少し教えてもらいたいのですが、私はなぜこうやかましく言うかというと、あなたの方の資料を拝見すると、三百十五億何ぼ金がどうだとかというようになって、私の記憶だとたしか三百五十四億だったというふうに記憶しているのに、会計面に出てくる金は三百十五億だとか三百十六億という金が出てくるのですね。私は間違いかと思って何回も見ると、三百五十四億に間違いない。よく経理のこれを拝見するとそういうのが出ておるわけです。どうしても四十億どこかへ持っていかれたような気がしてならないので、ぜひそういう点については、三百五十四億六千三百万円という金を明確にして、だれが見てもそこから、たとえば百八十億あるいは百二十億あるいはどこへ何ぼと、だからして金はございませんよというふうにきちっとわかるようにしていただきたいということなんです。つまり、三百十五億とよく予算の中に出てくるんだ。どうしてもそれは、元放送会館を買った値段と売った値段のその原価を引いたものだといったような話も聞いておるし、そうじゃないような話も聞いておるので、三百五十四億何千万の金で売ったということが事実であれば、そのうち原価は何ぼだった、そして純収益がこれで、そしてそのうち百八十億はセンターのために使った、百二十億は基金のために使った、あるいは沖縄返還問題にこれだけ使ったというふうに一目でわかるようにしておいていただければ、われわれは素人でよくわかりませんので、どこへ行ったのかと思って記憶、記憶をたどっていくような状態ですから、そういう点を今後ひとつ明確にしてもらいたい。たとえば、あるときにある幹部の方が私に説明してくださったときに、あの八十七億はあの繰越金ですよと、こういうお話があった。さあ、私はその八十七億の繰越金というのはどこから出てきたかと思っていろいろ考えたけれども、わからない。そうしてくると、私の考えでは、百二十億から持ってきたのか、百八十億から持ってきたのか、私にはわからぬわけですね。幹部の方は、いや土橋さん、あれは八十何億はあの繰越金ですよと言われても、私にはわからぬわけですね。そういう点はぜひわかりやすくお願いしたいと思う。これは私の要望です。
  123. 山本博

    ○山本参考人 ただいま御指摘ございましたように、実は予算上の数字というのは東京会館の売却以外の収入も合わせて予算計上してございますので、ただいまおっしゃいました三百十五億というのは、確かに特別収入全体としてそういう数字が使ってございます。しかし、この三百十五億のうち、簿価を引きました三百十一億というのが予算上はこの三百十五億の一部に入っております。それで資産受け入れの方に四十二億の簿価が入っておる。これは完全に帳簿上の技術的な操作でございまして、いろいろな、東京会館そのものにつきましてわかりやすい御説明を申し上げるときにこういう数字混乱するような資料をつくりましたということもございますので、これは今後わかりやすいような資料で、いろいろ予算技術的な意味数字混乱しないように資料というものはつくり上げたいと思います。
  124. 土橋一吉

    ○土橋委員 会長もお聞きになりましたように、私は三百五十四億だと覚え込んでおった。ところが、出てくる資料を見れば三百十五億だとかいうような、はてどうしたのかと思って、そういう点で非常に紛らわしい点がございますので、こういう大きな財産の処分は、おそらくNHKとしては金額の比率は、物価が上がってくれば別でしょうけれども、いずれにしても聴視料収入から外れたものとしては私はNHK始まって以来の問題だと思うのですよ、これだけの大きい金が入ったということは。ということでありますが、そういう問題は別個にすぐわかりやすくお願いしたい。  以上をもちまして私の質問を終わらしてもらいます。どうもありがとうございました。
  125. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 田中昭二君。
  126. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 四十八年度の日本放送協会の決算についてお尋ねするために、会長さんを初め幹部の多数の皆さんの御出席を得てお尋ねをするわけでございますが、まず私は、四十八年度の収入支出の決算表を見まして、そこからお尋ねしていきたいと思いますが、その前に、NHKのこの決算というものから何が引き出せるだろうか。もちろん会計検査院の検査も受けてあるわけでございますが、特にわが国の経済の成長の混乱期でもありますし、そういう中で四十八年度の決算が今後のNHKの実際の運営について、幾つもあると思いますけれども、その中でもどういう点を今後の参考といいますか、今後のために資していくものがあっただろうかと、こういうふうに思うわけでありますが、その点何かございましたら教えていただきたいと思います。
  127. 山本博

    ○山本参考人 四十八年度という年度が特別従来と非常に大きな変更がございましたのは、先ほども議論にございました東京会館の売却ということが一つでございます。この売却収入がございましたので、昭和五十年度までNHKの財政というものが受信料に手直しをするということなしに過ごすことができたという点が一つの大きな特徴でございます。  それからもう一つは、沖縄が返還になりましたので、沖縄返還という時点で何がしかの赤字がございましたけれども、これを先ほど申し上げました東京会館の売却収入で吸収をいたしまして、一応この問題が四十八年度に解決をいたしました。  なお、受信料収入その他におきましては、四十七年度から相当——四十六年度をピークにしておりまして、次第に下降現象といいますか伸び悩みの現象がございましたのが、四十八年度においてもその傾向がきわめてはっきり出てきたというようなこと、今後そういう問題を問題に取り組む中において改善をしていかなければならない。  それから未収金の問題にいたしましても、それ相応の改善の努力はいたしましたけれども、完全な改善というようなところまではまだいっておらないというような点が四十八年度の中でくみ取れる問題でございます。
  128. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いろいろな問題があると思いますが、私はいまの経理局長さんのお答えでは少し疑問を抱くところがございます。といいますのは、あの会館の売却のことはそれなりでいいわけですが、受信者のいわゆる受信料収入につきましても、四十八年度の決算においても大変に受信料の収納漏れがあったということは私も指摘したわけでございます。ですから、ただ単にそれが——努力はなさったと思いますけれども、その問題にまた入りますとあれでございますから、その問題は一応疑問として、そのまま受け入れることは私はできないというような感じがしてなりません。  そこで、決算表の事業支出の面を見てみますと、千三百二十八億ですか、端数を切り捨てますが、千三百二十八億三千万、これが決算では千三百二十四億円というふうになっておりますね。ということは、予算面よりも四億何がしかの、四億三千万程度の経費は決算の結果要らなくなった。節約できたといいますか……。ところが、収入面で先ほどもおっしゃったように四億円の減収があったために、差し引き、当初予定しておりました事業収支差金は逆に二千八百万ふえた、こういう結果になったと思いますが、これは何をあらわしておるのですか。
  129. 山本博

    ○山本参考人 予算執行の過程におきまして、事業支出の方はあくまでその枠の中でおさめるのが事業運営の至上課題でございます。したがいまして、事業運営上のもろもろの支出につきましては、この枠の中ではめ込むためにいろいろな努力をいたしまして、ただいま御指摘がありましたように幾ばくかの剰余といいますか、残をいたしましたけれども、受信料、いわば全体の収入といたしましての基本であります受信料が必ずしも予定どおり成果が上がっておりませんので、全体として節減なり効率化なり、そういうものの努力をして全体としてのバランスを何とか保ったというのが決算の実態でございます。
  130. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私、保ったことはこの数字が出ておるからわかるわけですけれども、当初予算のときよりもいわゆる事業収支差金というのはふえたわけでしょう。これは企業で言えば、もうけがふえたということなんですよね。経費の節約と収入減で、差し引きしてまだ経費の節約が多かった、こういうことですから、その点についてお聞きしたかったわけですけれども、御説明がありませんから。問題は、事業支出の中で——問題というよりも、経費を節約した中を見てみますと、一番数字的に経費の節約がなされているのは国内放送費ですね。私は五十年度の予算でもこの問題にちょっと触れましたけれども、この国内放送費というのを二億円も減らすという——ここに「予算総則に基づく増減額」という内訳がありますが、この項目に従って、この国内放送費を二億円減らしたという、このことについてひとつ説明してください。
  131. 山本博

    ○山本参考人 四十八年度の予算運営していきます過程におきまして予算総則第四条並びに第七条に基づきまして、国内放送費をそれぞれ九千四百万円、それから一億八千三百万、合わせまして、ただいま御指摘がありました金額約三億円でございますね、三億円を国内放送費から他の費用に流用をいたしております。四条におきまして九千四百万流用いたしましたが、これの使途は、四十八年度の年度当初は、公定歩合が四・二五%でございましたが、最終的には九%まで上がりました。したがいまして、財務費が不足をしてまいりました。したがいまして、この財務費の二億六千二百万円を捻出いたしますために、国内放送費の九千四百万並びに減価償却費の一億六千八百万、この二つを充当いたしたわけでございます。それから第七条の節減の方でございますが、これによって一億八千三百万国内放送費その他から捻出をといいますか、これは節減の結果でございますが、節減の結果二億八千百万円を職員の給与に、これは三月一日に支給をいたしましたけれども、これは七条の規定に基づきまして職員の給与に振り充てたわけでございます。  この国内放送費の二つの部分で流用いたしました中身は、主といたしまして、直接の番組制作費ではございませんで、国内放送を技術的に運用してまいりますいわば技術的な費用、たとえば道路の分担額が少なくて済んだとか、あるいは具体的な例で申し上げますと、テレビの中継回線の専用料の減とか、そういうようなことが内容でございまして、直接的に番組制作に影響をもたらすような部分から流用いたしたわけではございません。  それから七条の二項に基づく節減額の振り充ての方は、国内放送費の場合は、これは電力使用の節減あるいは真空管の効率的な使用、あるいはいろいろな紙によります資料の作成費、こういうようなものを節減いたしまして、その他のものと合わせまして二億八千百万円を流用いたした、こういう内容でございます。
  132. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の質問にもう少し正確に答えていただきたいと思います。  そこで、もう一つ概略的にお聞きします。国内放送費というのは、四十八年度は大きく減らしてありますが、さかのぼってみますと、大体毎年度ずっと予備費から、その他受託収入とかいろいろな節減でふやしてあるのが傾向だと思うのですね。四十三年はこれはわずかな金額ですが、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、国内放送費というのはずっとふやしてある。それが四十八年は、オイルショックのあった年ですが、それ等考えてみて、四十九年はまだ決算は出ていないと思いますが、大方の何百億の見当でいいのですが、この国内放送費というのはどのくらいになる予定ですか。
  133. 山本博

    ○山本参考人 四十九年度の決算は、つい最近でき上がりました。最終的な数字を申し上げますと、国内放送費につきましては、予算額が当初三百十五億八千三百五十七万七千円でございました。決算額におきましては三百十億七千三百四十三万円でございます。したがいまして、予算残額といたしまして八千三百四十一万四千円が残ということになっております。
  134. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十八年が決算面で大体三百一億、四十九年は三百十億、そうするとこれは五十年は三百七十三億、いままでにないふやし方ですね。それはどういうわけでございますか。いろいろ項目は予算面には書いてありますけれども、四十八年も予算額よりもずっと減って決算額が終わった、四十九年も予算よりも六億近い決算額で終わったというような国内放送費を、五十年度はこれは三割以上になりますかね、二割以上ですね、数字で言えば約六十三億。どうも国内放送費を流用するということを前提に置いて予算でふやしているのですか。そうとしか思えないじゃないですか。いまの予算と決算の数字とを見ていくと。余りにも五十年度は大きいようですね。これは指摘までしておきましょう、また後日お尋ねすることにしまして。  それで先ほど、あなたは国内放送費を予算総則に基づいてまず第四条で流用した、そうおっしゃいました。それからさらに節減額として第七条によって一億八千万減らしました、こういうお答えがあったわけでございますが、問題はこの内容です。これは検査院の方もちゃんと見てあるから間違いないと思いますけれども、私たち素人でありますから、その辺感覚的にも——この予算総則七条というのは私も四十八年の予算総則を見てみましたが、問題は七条の二項ですね。二項で「職員の能率向上による企業経営の改善によって、」、いわゆるここで言えば、経費が節減できたときはその一部を職員の特別な給与に当てはめることができる、こういう予算総則に従ってやられたわけでございますね。問題はその内容ですが、一億八千万の中で、あなたは先ほど電力使用料の云々とか真空管の云々というふうなことをおっしゃいましたが、その区別に分かれて金額がわかりますか。
  135. 山本博

    ○山本参考人 非常に細かい資料になりますけれども、申し上げます。  電力料の節減は国内放送費といたしましては二千三百三十二万九千円でございます。それから資料作成費等の節減が五百八十万ちょっと、それから撮像管の使用改善による真空管の節減が六千四百六十五万八千円でございます。その他EDPS運用経費の節減、放送センター移転経費の節減、これが少しずつございまして、全体として先ほど申し上げた数字でございます。
  136. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 全体の方が多いのですが、いま聞いただけではまあ九千万ぐらいですから半分ぐらいですが、それはそれとしまして、ここで出てきます電力の節減によって二千三百万円節減できたと言いますが、これは電力節減というのは具体的にはどういうことですか。
  137. 山本博

    ○山本参考人 これは事務室を主にいたしまして、番組制作そのものには余り大きな影響を与えないように、たとえば現在でもやっておりますけれども、NHKの電気はほとんど平常にはつけておりません。普通の事務室ではよほど暗い日でないと電気をつけない。あるいはエレベーターなんかも時間的には全部を動かさない。そういう全体といたしまして平均二%の節減をしようという目標をつくりまして、大体この目標どおり達成をしたということでございます。
  138. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が聞いたときには、放送時間の短縮をやりましたね、それは関係ないのですか。事務室の電気を消したぐらいで一〇%の節減をしたと言うが、まさか事務室のエレベーターをとめたとしてみても、まあこれは経営委員会の議決もちゃんと得てあるから事務的に手続上は問題ないと思いますけれども、そしてもう実際は三月一日に支給された分ですからどうとは思いませんけれども、どうもその辺は、放送時間の短縮をやった、それで電力の節減ができたというふうな話は聞いたことがあるのですが、それは違いますか。
  139. 山本博

    ○山本参考人 放送時間の短縮によって浮きました金は、非常に短時日でございまして約三千万ほど浮きましたが、これは放送番組の充実の方に振り向けまして、いま御指摘がありました給与の方の振り当てその他には使っておりません。
  140. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは問題がちょっと違うですよ。放送時間の短縮によって三千万の節約ができたら、いまあなたは職員の給与のことだけおっしゃいましたけれども、これは財務費に使ったのでしょう。一億八千万は人件費ですね。当然そういうものこそこの予算総則で出てこなければおかしいじゃないですか。だから常識的に事務室の電気を消したとかエレベーターの費用が、電力代が少なくなった分が上がってきて、放送短縮された三千万の節減のやつは全然ここに出てこない。途中で同じ項目で流用したのですか。
  141. 山本博

    ○山本参考人 いまの放送時間短縮によります結果浮きました金は、これは経営委員会の御承認を得ないで執行部だけでやれる流用措置でございますので、ここの経営委員会の御承認によります予算総則の適用ということはいたしてございません。
  142. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは重大な問題です。検査院、いまの私が申し上げました問題で、検査のときにどういう状況だったか報告してください。
  143. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 ただいまの点、突然のお尋ねですので、検査をした者にもただいま聞きましたけれども、検査の際にいま御披露のあった点まで検討したかどうかということについて確たる報告がございませんので、その点私どもとして確認した事項かどうかということは別といたしまして、要するにこの予算総則によりますれば、経費の節減額を職員給与等に当てるということの許されておりますのは、ここに書いてあるとおり企業経営の改善によって、それが原因で経費が予定より節減した、こういう条件がかぶっておりますので、そういう場合がまず第一に挙げられようかと思います。  それからいま担当の局長から、ただいまの節減額、要するに番組放送時間の短縮によって浮いた動力、電気代等の節減部分については、これは適宜事務局限りで流用できるものである、こういう御説明がありましたけれども、その点はまたそういう取り扱いになっておりますようでございますので、その限りにおいては特別の問題はないのではないか、このように思います。
  144. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうもいまの説明だけでは明確でありませんから、後日これは調べてみたいと思います。  そこで会長さん、先ほど私、国内放送費のことを過去にさかのぼって状況をずっと申し上げましたですね。大体この国内放送費というのは予備費から足してやるのがずっと例年の決算のようなんですよ。それで、それが四十八年は減らした。そして四十九年も前年の額とは大して変わらないぐらい予算を見ておったけれども、決算がまたそれより少なくて済んだ。それを五十年度は六十七億もふやしたということは、それを含めてどういう感じですか。私はどうも、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、国内放送費が流用ばかりされて、ずっと全体的にはこれは物価の値上がりとか何かがありますから、私は予算のときも質問しましたけれども、本当は上がっていかなければならないのが、内容がどんどん悪くというか締められて、それでいっているのじゃないか、こういう感じもするのですが、どうでしょう。
  145. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまのような御疑念を持たれるのは当然だろうと思います。国内放法の番組経費につきましては、これこそNHKの本来の使命でございますので、いろいろ重点的に処置をしてまいっております。ただ、いろいろその間におきまして当初の見込みよりも全体的にあるいは金利の上昇、物価の上昇、予想以上のそういうものがありまして、それを何とか消化いたしますために、まあ番組制作費の方へ手をつけてそれをしりぬぐいをした、こういうような無理を重ねてきたのが四十七年度、四十八年度でございます。四十九年度も同様な結果になろうかと思いますけれども、五十年度において非常にやはりその関係経費がふえ過ぎておるじゃないか、こういうことは一応の御疑念としては当然だろうと思いますけれども、いまのような措置を、非常処置をとります関係上、物価上昇関係あるいは出演者に対するいろいろな措置、そういった面につきまして非常に手薄な面が積み重なってまいっております。予算書の御承認を受けます附帯決議等につきましても、いろいろそういった面については、部内の待遇改善等についてはこれを優先的に考えるけれども、出演者等の関係については一向にそういった客観情勢の変化を考慮に入れないじゃないかと、手厳しい附帯決議もいただいております。そういうものもやはり抑えに抑えてきた四十九年度までのそれは、五十年度になればああいった非常な、異常な経済状態の中でございますので、これもそのままで継続、据え置きというわけにもまいりません。それやこれや、あるいはNHKの第一義的なそれであります番組の本当に質的の向上を図っていかなければならぬ面から申しますと、先生の御指摘のように、むしろこの関係はいろいろな予算を上回る、見通しを上回る物価上昇その他の関係があれば、むしろ他の経費からつぎ込まれるべき筋合いのものだろうと思います。そこから削って他へ持っていくということは非常な、よくよくの異常な事態だろうと思います。そういうようなことを、非常に好ましくないことでありますけれども、客観情勢の変化に予算の当初の見積もりがついていきませんで、執行過程においてそういう無理を重ねております。これはとるべき方法ではないと思います。それを見直したのが五十年度予算でございまして、そういう面で一気に番組費が非常に上がったのじゃないか、何かやっぱりサバを読んでおるのじゃないかというような御疑念を持たれるのも、これまた当然な御疑念だと思います。実態はそういうことで、無理を重ね重ねてきた番組費に対しましては、NHKの看板商品であります番組制作の面につきましてあんまり無理を強いることはNHKの使命放棄につながる、こういうような面から見直して編成をしたそれでございまして、決してそこに、ほかへ回し得るような金を事前に意図的に積んだというようなことでは毛頭ございません。
  146. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこでもう一つ、先ほど局長さんの方から御説明ありました四条流用の中で、国内放送費から九千四百万削ったのは、テレビの中継局新設に伴う道路整備費の減及び中継回線の専用料の減とこういう説明を受けたわけですが、そうしますと、きょうも大分難視の問題、いろいろテレビが見えないということに対するNHKの取り組み方、いわゆる中継局をつくったりいろいろなものをつくっていただいておるわけでございますが、そういうことから考えますと、そういう当初の予算よりも中継局をつくったときの道路の整備費が少なくいった。そういう費用はさらにまた当年のテレビ中継局の新設とか、翌年でもいいのですが、そういうものに振り当てるべきであって、支払い利子がふえたからそっちの方に回したというようなことは、これは部外者がいろいろそういうことに立ち入ることはないと思いますけれども、常識的にはそういうような感じがしてならないのですが、これはどうでしょうか。回すわけにはいきませんか、その金額で中継局をつくってもらうわけには。
  147. 山本博

    ○山本参考人 お考えとしてはよく私たちもわかりますけれども、先ほど会長も申し上げましたように、その当年におきます緊急の財政措置として行わなければならない問題を解決するために、たとえば公定歩合が上がって財務費が非常に高騰いたしまして、これをどこからか支出をして賄わなければ当年度の予算運営全体が順調にまいらないというようなときでございましたので、こういうような道路整備の規模が非常に縮小いたしまして、その分だけ道路分担金が要らなくなったというような金、ないしはその他の事情によりまして費用が浮きましたとき、これを優先的にいま申し上げた緊急の問題を解決するために使ったという実情でございます。
  148. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 四十八年度の決算でそういう点を私はいまお聞きしたわけでございますが、特にいまの第七条の節減部分に対する人件費に振りかえの方については、国内放送費だけでなくてそのほかの費用からもそういう振り当てがあっているようでございますから、これはその振りかえ分の全体が約二億八千万が人件費の方にいっている。この人件費でございますが、ことしの春闘も大体終わって、予算にはその春闘前の状況予算化してあると思いますが、四十九年度に比較してどういう率で予算化してあったのか。春闘終了後の現段階においてはそれはどういうふうに見るべきか。多いのか少ないのか。多過ぎれば、それこそ今度は逆に人件費の方から他の費用に流用すべきじゃないか、こういう感じもするのですが、どうでしょうか。
  149. 小野吉郎

    小野参考人 この点につきましては、予算と組合との妥結した線との間には食い違いはございません。NHKの慣習としましては、予算編成前に組合と話をつけまして、それによって人件費を組みますので、ことしは、五十年度予算関係につきましては完全に話はついておりません。一四・九%の回答をいたしました十二月段階でございますけれども、予算編成時までにこれでよろしいと手を打てるものではございませんでした。その関係予算総則に新しい一項をつけまして、もしほかとはなはだしく見劣りがするような場合には予算の流用なり、あるいはそれができない場合にはまた補正予算のことも考えなければなりませんけれども、事後で手当てをするということにいたしておりますので、予算としては十二月に私どもが組合に提示いたしました一四・九%で組んでございますので、その関係については組合回答いっぱいいっぱいを組んでおるというような状況になっておる次第でございます。
  150. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま会長さんからお聞きしましたように、四条第二項がことし予算総則に入っておるわけですが、いま一四・何%と言いますが、対五十年度の予算の上昇では約九十億近くなっておりますが、その九十億が一四・何%になるんでしょうか。
  151. 山本博

    ○山本参考人 そのとおりでございます。
  152. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ちょっと数字からだけ、計算が、八十九億五千万ふえておりますから、一六%弱ぐらいになるようですが、総額から見れば。違いますか。
  153. 山本博

    ○山本参考人 ただいま一四・九%と申し上げましたのは、組合員だけのベースアップの問題でございまして、職員全体も含めての計算でございますと、一四・九よりも上回ります。
  154. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 何%になりますか。
  155. 山本博

    ○山本参考人 全職員を入れますと一八・八%になります。組合員だけですと一四・九%になります。
  156. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 では次の問題に移りますが、私、昨年、東北の方を視察に行きまして、いろいろ勉強させてもらったわけでございますが、そのときにNHKにもモニター制度があるということを聞きまして、それで資料を見せてもらったわけでございますけれども、その資料だけではこのモニター制度の全容がわかりませんので、それでこの協会の方から出ております小冊子を勉強してみますと、これは「日本放送協会昭和四十八年度業務報告書」です。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 この最初にモニターについて、二ページに「モニター報告等も参考とした。」、ずっと前にありますけれども、こういうことが書いてありまして、そして六ページに参りますと「放送番組の考査」というところで「モニター制度については、一般モニター制度の運営を改善し、聴視者の意向が放送番組にいっそう反映するよう措置した。」、こういうふうになっておりますが、これはどういうふうに改善なさったのでしょうか。
  157. 坂本朝一

    ○坂本参考人 モニター制度につきましては、御指摘のように番組の制作その他に参考にしているわけでございますけれども、たとえば四十八年度につきましては、モニターの報告の中で、特にニュース等につきまして、NHKのニュースは正確で速いという点は認めるけれども、その放送の方法等について少しく冷たい、あるいは項目たくさんで、もうちょっと温かいと申しますか、そういうような方法論が考えられないかというような、そういう御指摘もいただきまして、そういうものを番組の編成の中に参考にいたしまして、現在の「ニュースセンター九時」というようなものが誕生するきっかけになったわけでございます。その他、ちょうど四十八年度につきましてはいろいろと石油ショックその他のことがあって、そういう点についての海外取材等もやったらどうかというような、そういうアドバイスもございまして、それに従いまして緊急取材をしたというよう事例もございます。  それからモニターの中身の改善につきましては、従来は各地方本部ごとにモニターの数を割り当てておったわけでございますけれども、その地方本部ごとに割り当てておりましたうちの一名ないし二名を管内の局にも割り当てて、そしてその地方の多くの局からの意見の数をふやすといいますか。そういう努力をした、こういうことでございます。
  158. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 NHKでモニター制度を採用された原点といいますか、それはずっと変遷を経てきたわけでございましょうけれども、それと、それからいまいろいろ、ちょっとお話がありましたが、四十八年度に改善したというのは、ただ人員をふやしたということでしょうか、どうでしょうか。
  159. 坂本朝一

    ○坂本参考人 モニター制度を始めましたのは昭和二十四年からで、本部で十七名全中のモニターを採用いたしまして始めたのがスタートでございまして、それから今日に至っているわけでございますけれども、ただいま御指摘の改善ということは、数をふやすというのではなしに、地方に割り当てられておりますトータルの中の地方本部に割り当てられております数を、むしろそこにブランチしている地方局に分けて、そして一人でも二人でも、できるだけさらに地方局の意見が聞かれるように運営を改善した、こういうことでございます。
  160. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで具体的に、このモニターの報告というのはどのくらいあるのでございましょうか。たとえば東京では、本社並びに、どうなりますか、形態がわかりませんが、地方で平均的なところはどのくらいあるのか、わかりましょうか。
  161. 坂本朝一

    ○坂本参考人 大体、全中モニターといたしましては、東京に、四十八年度につきましては百九十名お願いいたしまして、地方は、ローカル番組を主に、全国で四百九十七名の方にお願いしたわけでございます。
  162. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういう人から上がってくるモニターの報告というのはどのくらいの数がございますか。  それと、モニターの制度を採用されたその意味から見て、事業経営なり番組等に取り上げられた例があると思いますが、そういう例を二、三、具体的なものをお教えいただきたい。
  163. 坂本朝一

    ○坂本参考人 年間でもって大体十七万通前後の報告がございまして、一人当たりにしますと月間十九通ぐらいで、それを一日に平均しますと、一日二十分ぐらいお聞き願うというような算術的な計算でございますけれども、そういうことでございます。  その御報告いただきましたのは、ローカルにつきましては各局において、それから全中につきましては東京におきまして、考査室が中心になりましてそれを集計し内容をまとめまして、そして番組を担当いたします部局と会議を持ち、さらには最終的には理事会に報告するということになっております。先ほどもちょっと申し上げましたように、四十八年度につきましては、特にニュース等について表現その他、もっと考えた方がいいのじゃないかというような指摘がかなりございましたのを踏まえまして、いろいろわれわれも考えた結果、四十九年度から、御承知の磯村君がニュースキャスターになりました「ニュースセンター九時」というような番組が誕生するきっかけになったというようなことでございます。  それからごく最近の例を一、二申し上げますと、現在やっております水曜日の娯楽番組で、クイズ番組で「ホントにホント?」というのがございますが、それの出場者、三人回答者が出てくるのですけれども、それについております陪審員というようなのがどうも余り働きがないじゃないか、ああいうのはむだだからやめたらどうだというような御指摘もございまして、最近に至りましてそこら辺を改めたというようなことで、かなりデイリーの番組運営の中でもモニターの御意見を参考にさせていただいている次第でございます。
  164. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そのモニターの二、三の具体例は御説明できませんか。
  165. 坂本朝一

    ○坂本参考人 きょうここへモニターの資料を持ってまいりませんでしたので、文書その他について御説明がしかねるのでございますけれども、具体的な例といたしましては、いま申し上げましたようにNHKのニュースの問題であるとかあるいは番組の内容等についての御指摘ということになろうかと思うのでございます。
  166. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 細かいことを聞くようでございますけれども、どうもモニターの報告が、私現場に行ったときにお聞きしたのでは、具体的にどういうふうに取り上げられておるのかという点がわからなかったわけです。これは、前もって申し上げておったわけでございますけれども、ないとすれば、先ほど全国で十七万ぐらいあるというふうなお話でございましたが、これは毎年相当人数もふやしてあれば、報告というのもふえておるのでしょうか。前年とどのくらいふえたのでしょうか。
  167. 坂本朝一

    ○坂本参考人 モニターの数といたしましては、四十八年度は一般モニター全中番組として百九十名、ローカルとして四百九十七名、計六百八十七名でございました。あと専門モニター、臨時モニターというような形で科学番組であるとかあるいは特別番組であるとか、そういう臨時にお願いするモニターが八百七十名ほどでございまして、     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 四十八年度トータルでは千五百五十七名でございました。四十九年度におきましては、一般全中モニターを百九十二名、二名ふやしたわけでございますけれども、これは沖縄その他のことでふやしたわけでございます。それからローカルは四百九十七名で変わりございません。それから専門モニター、臨時モニター等は、四十九年度につきましては、いろいろ行事がございましたのでふやしまして千三百七十七名にいたしました。トータル二千六十六名ということで、四十八年度よりか約五百名ほどふえた、こういうことでございます。  五十年度は現在経過中でございますので、専門モニター、臨時モニターが年度後半どういうことになりますか、ちょっといまのところまだ予測を申し上げかねるという事情でございます。
  168. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま人数を聞いたわけでございますが、五十年度は全体のモニターの数が半分になっていますね、四十九年よりも。これは何か特別な理由があるんでしょうか。
  169. 坂本朝一

    ○坂本参考人 これは一般モニター、それからローカル番組のモニター等につきましては増減が特にないのでありますけれども、専門モニター、臨時モニターというのは年度後半に芸術祭であるとかその他いろいろイベントがございまして、それにお願いするという、そういうイレギュラーなエレメントがございますので、現状ではいまの見通しで一千百二十四名ということでございますけれども、この専門モニター、臨時モニターの問題はちょっと年度後半の番組の編成その他において浮動性があるというふうに御理解いただきたいと思います。
  170. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは、五十年度は今後において特別な番組か何かある場合にはまだふえるというような感覚で受け取っておっていいのですか。その専門モニター、臨時モニターをそういうふうに——臨時モニターなんかはもう六分の一くらいに減らしてあるわけですね。ただ番組の内容によると思いますけれども、この点がちょっと私、まだ理解できないでおったわけです。  それでは、次に、十七万通ものモニターの報告、それと別に聴視者からは投書が年間、四十九年度ではどのくらいありましょうか。年鑑によりますと四十八年度で百六十三万、こうなっておりますが、四十九年度はどのくらいになっておりますか。
  171. 坂本朝一

    ○坂本参考人 四十九年度の投書の数といたしましては、百八十四万八千七百三十五通で、月に割りますと十五万四千という数字になっております。
  172. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この年間百八十万の投書と十七、八万のモニターの報告というものは、私は全然無関係ではないではないかというような感じもするわけですが、これは各NHKの担当の考査の方ではいろいろな方法をやってあると思いますが、その辺はどういうふうになっておりますか。
  173. 坂本朝一

    ○坂本参考人 これは考査室において全部分類いたしまして、モニターの報告とそれから考査室に在籍いたしております職員のモニター、職員の主査の報告と、それからいま御報告申し上げました投書と、それを分類いたしまして、そして現場にも流しますし、最終的には理事会にも報告する、そういう手段になっておる次第でございます。
  174. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 先ほどからちょっとお尋ねしておりましたモニターの実際の報告でございますけれども、この中に——私、東北に行ったときに先ほどの都市難視の問題でNHKさんが報道されたものに対するモニターの報告をちょっと見せてもらった。それを見てみますと、やはり都市難視なんかについては建物が建ってからいろいろな難視の状況が出てくる、テレビが見えなくなるということはわかっているのだから、高層建築物が建つという予定があれば、事後にあれだけの努力をするのであれば、もう少し事前にそういう手を打つべきではないかというモニターの報告があっておったように私は記憶しておる。そういうものが、具体的にどういうふうにNHKで取り上げられて処理されておるかということを聞きたかったわけです。  それともう一つは、モニターの報告というのはNHKでは部外秘扱いになっておりますね。それは当然部外秘でもいいかと思いますけれども、この部外秘についてはひとつ会長さんの方からお考えを聞きたいと思います。
  175. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私の説明が多少不十分で申しわけございませんでしたけれども、モニターの中には御指摘のように都市難視というようなことについての意見のアピールもあるわけでございますが、そういうのはすぐ営業総局の方にも回送いたしまして、それについての打てる手ならば打つというようなことをやっておるわけでございます。  それからモニターの部外秘につきましては、会長からお話があろうかと思いますけれども、内容的には全く部外秘の必要はございませんが、ただモニターにお願いいたします場合に、一切モニター個人に御迷惑をかけることはいたしませんから、どうぞ率直な意見、批判を自由に記述していただきたいというふうにお願いしてあるので、その点取り扱いを慎重にしているというだけのことでございまして、モニターの内容を部外秘というようなことには考えておりませんので、その点はひとつ誤解のないように御理解いただきたいと思う次第でございます。
  176. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 このモニターの方には何か幾らか報償か何かおやりになるのですか。それと、何か地方ではモニターの方と集まって会議を開くというようなこともあるそうでございますが、そういう場合はどういうふうになっておるか。
  177. 坂本朝一

    ○坂本参考人 大体全中番組でいま申し上げましたように一日に二十分程度、ローカルでも大体そういう段取りになろうかと思いますけれども、一カ月四千円から六千円ぐらいの謝礼をお出しいたしまして、そして郵便で中身は送っていただいて、月に一、二度程度の集会を持つというようなことをいたしておるわけでございます。
  178. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、五十年度、先ほど、臨時モニターをぐっと減らされましたですね。そういうためにも経費の節減には相当なるわけですね。どのくらいなるのですか。——それはそれじゃ後で教えていただくことにしまして、いまの部外秘扱いの問題ですけれども、内容については部外秘するべき問題じゃない、こういうことであれば私はやはり、投書の内容にはいろいろあると思いますけれども、モニターの報告というのは当然これはこういう年鑑にも載せていただいて、国民に周知徹底する意味においても必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  179. 小野吉郎

    小野参考人 先ほど坂本専務からもお答え申し上げましたように、これは部外秘にする必要はないと思います。ただモニターに委嘱いたしますときに、モニターになられる方のフィーリングもありまして、そういった関係からいまのような取り扱いをいたしておりますけれども、それは何の何がしがどう言ったというようなことを何も公表する必要はありませんし、その意見の中で、あるいは受信者の側に立っても非常に参考になりNHKの側でも大いにこれを取り上げて現実にその成果を生かしていかなければならぬような点については、何も秘にする必要はありません。公表、一向差し支えないのでございますけれども、余りに数が多いものですから、これを一々公表する手段等についてもいろいろ問題があろうかと思います。問題はやはり全部ではなく、大別して重要なものをということになれば、それはもう年次報告といったようなもの、あるいはその他のいろんな機会にそれに主なる意見も類別できるわけでありますので、これを公表して差し支えないと思います。
  180. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 公表は、それはあれですけれども、この年鑑、これだけの詳しい内容のものにモニター制度については半ページ分も記載がなくて、実は私さっきから言いますように、モニターのこういう報告が一年間に相当あるでしょうね、どういう報告か、その報告が。その報告はこういうふうに事業経営、番組の中に取り入れられたそういう報告でも載せられれば私はまた一歩前進するのじゃないか。こういうように思いますから、今後年鑑をつくられる場合、そういう方向でいけるものかどうか、いっていただくかどうか、その点お尋ねします。
  181. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先ほど御指摘予算の件につきましては、トータルにおいて予算を減らしておりませんので、これから年度後半において臨時モニターは十分活用したいというふうに考えております。  それから御指摘の点につきましては、大変適切な御指摘をいただきましたので、できるだけそういうようなことについて工夫したいというふうに思う次第でございます。
  182. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に難視の問題でございますが、難視の問題はずっと午前中からも話がありまして、重複するかと思いますから、重複を避けてお尋ねしたいと思います。これは特に郵政省の方に。  先ほどから都市難視の、具体的に東京近郊のビルの高層による難視、それからまた反射も含めていろんな問題が起こっておるという問題、それからある新聞の指摘によります報道の問題、こういうことをずっと聞いておったわけでございますが、この中で、この調査会がございますね。調査会でいま二年間、何ですか審議をやって、間もなく報告が出るということでございますが、その報告は間もなくというのはいつごろ結論が出るのでしょうか。
  183. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  調査会におきましてはほとんど最終段階に来ておりまして、現在最終の原案を詰めているところでございます。したがいまして、今月中ということを期待しておりますが、少し延びまして来月中旬までにはわれわれの方へ報告していただける、かように考えております。
  184. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 このテレビジョン放送難視聴対策調査会ですが、これが今月いっぱいか来月までに結論が出るとしますと、それを受けて、そして具体的な問題処理に当たるにはどのくらいかかりますか。
  185. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 私たちその答申を受けまして、その内容を分析いたしまして、手の打てるものから打っていくわけでございますが、やはり中には立法措置の問題も含まれているのではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、立法措置のあるものについては相当時間がかかるのではなかろうかと思いますが、すぐ手をつけられるものについてはなるべく早急に手をつけていきたい、かように考えております。
  186. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そのことにつきまして、先ほどこの調査会では都市の受信障害の関係とか辺地の難視聴解消という項目でいろいろ調査をされていると聞きましたが、この辺地の難視聴の解消という、こういう項目の中では具体的にどういうふうな議論がなされ、また全国にこの辺地難視聴の地域といいますか世帯といいますか、そういうものはどのくらいあるか、お聞かせ願いたいと思います。
  187. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 順序は逆になりますが、この辺地の難視聴と考えられます世帯は五十年三月におきまして九十一万世帯というふうに計算されております。  次にこの方策でございますが、現在調査会においてこの辺地の難視聴解消について検討されている事項といたしましては、まずNHKの辺地難視聴解消の責務とその限界。それから次に民放の難視聴解消の必要性の有無及び必要あるとした場合のその程度。三番といたしましては国及び地方公共団体の辺地難視聴解消に対する責務。それから辺地難視聴解消を促進する具体的施策。このような件についてこの十九名の委員の方が検討されておられまして、ほぼ成案がまとまったというふうに聞いております。
  188. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう一遍もとに戻りますが、その調査会で出た結論は早急に打つ手というものはどういうものがありますか。また法的な規制というのはどういうことが法的規制として今後出てくるのか。どういう方向といいますか、たとえば先ほどから問題になっておりますように、建設省との打ち合わせをしてビルをつくる場合には前もってこういうふうな義務規定を設けるとか、義務といいますか設備のあれを設けるとか、そういう問題をもう少し教えていただけませんか。
  189. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この内容につきましては現在調査会の中で委員の方々検討中でございますので、どのような具体的な問題が出てくるかということはまだ承知していないわけでございます。しかし、先ほど申しましたような辺地及び都市難視聴、都市の受信障害の解消という面についての内容がどの程度まで具体的に示されるか、この点につきましては私たちその答申を待って検討を進めたいというふうに考えております。したがいまして、先生御質問のどのような具体的な内容が盛られているかという点については、さようなことでちょっとこの場ではお答えいたしかねるわけでございます。
  190. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 簡単なことでは、いま私がモニターの報告でも言ったようにビルを建てる予定がわかるわけですね。そうすると、当然そこはそういうものが起こってくる。こういう問題に対しては法的規制で、どの程度法的なもの、強制的なものを考えておるのか。考えられるのか。こういう点はどうですか。
  191. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 いま先生が御指摘になりましたような例で、高層建築物の問題などは今度の調査会で一番大きな問題点でございますが、ただ現時点におきまして将来の都市構想というものがどのようになるかということについてはなかなか把握しにくい状態でございます。もしそれが事前に把握できますと、われわれとしても対策が非常にやりやすいわけでございますが、現時点においては非常に困難でございます。  それを立法措置において解決できないかという問題でございますが、この建築物をつくるということについての立法措置というのは現時点では非常に困難ではなかろうかと思います。われわれは十分建設省あるいはそういう関係の方と連絡をとりまして、そうしてなるべく事前にそのような実態がわかるというような方法はとっていきたいというふうには考えております。そのような実態を踏まえて、われわれが事前にといいますか、先手を打って受信障害の解消に手をつけていきたい、このような考えでおります。
  192. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、まず調査会が結論を出した、それで郵政省はそういう態度でこの問題に取り組みますと、それまで難視で困っている人は救いようがないですね。その問題が一つ。  それからこれはNHKの方にお尋ねしたいと思いますが、先ほど言いましたように、高層ビルが建つ予定がある、それに対しては事前に何か手を打つというようなことについては、NHKとして独自に何か考えてるのかどうか。考えるべきではないかという気持ちが私あるわけですが、モニター等の報告もそういう面に対してはどういう処理をなさっておるのか。その点お聞かせ願いたいと思います。
  193. 川原正人

    ○川原参考人 先ほど御指摘になりましたモニターの中身自身は私直接見ておりませんでしたけれども、同様の話はもうすでに耳にいたしております。私どもといたしましては、現在ビルの建築は自治体の方に申請といいますか、届けが出るものでございますので、それぞれの局におきまして各自治体に率直なお話を申し上げまして、なるべくその自治体で建築の届けを受けた段階においてひとつ建築主の方に、申請主の方に、こういうビルができた場合にはそのビルの陰でいろんな障害ができる、特にテレビの障害ができるのでその措置についての御指導をお願いするようにいまお話をしております。さらに、これはごく一部でございますけれども、自治体の条例等でその種のことをお決めいただいている都市も現実に出てきております。そういうことも私の方では各自治体にいまできるだけ手広くお願いをしているところでございます。
  194. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 郵政省といたしましてもこの問題につきましては従来から、ことに建物、ビル陰による障害等につきましては建築主といいますか、原因者責任というたてまえから建築主を強力に指導しているわけでございます。これは今後とも立法措置がもし必要とするものでございましたら、その間はそういうような形で続けていきたいというふうに考えております。  なお、反射障害のような非常にむずかしい問題につきましては、これはやはり今後立法措置でいくか行政指導でいくか、この点については答申を受けてひとつ考えてみたい、かように考えております。
  195. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ですから、こういう問題では、先ほど指摘になりました新聞報道等によりましても、新聞等では何十万という困った人たちがおるという指摘がなされておる。ところが、先ほどの答弁にありましたように、郵政省で調べたところが三万世帯ぐらいしかない。費用も郵政省の方では数億円で救済ができるだろう、こういうふうに言っている。ところが、新聞では六百億もかかるというようなことが言われている。そういうことを考えますと、どうもこの調査会の結論が出てみても、いま困っている人たちが実際救済されるのはいつになるだろうか、こういう心配があるのですよ、その辺はどうですか。
  196. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この問題につきましては事の重要性というものもわれわれ十分認識しているつもりでございます。したがいまして、われわれといたしましても、調査会からの報告が出次第、早急に手を打っていきたい、かように考えております。
  197. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 郵政省、それだけの決意があるのであれば、ひとつ十分各機関とも相談をして早く救済処置を講じてもらいたい、こういうふうに思います。  次に、これは私の地元の問題でございますが、福岡の放送会館が建設予定がありながらそのままになっておりますが、この建設がおくれております理由はどういうものでございましょうか。もう一遍ひとつお答えいただきたい。
  198. 小野吉郎

    小野参考人 せっかく土地を入手して建設待ちになっておるのでございますから、財政事情が許せばできるだけ早く建設に着手したいのでありますけれども、何分にもいま金額に見積もってみましても、新しい建設に五十億を下らない金が必要のようでございます。現在ある土地、建物を処分をいたしましても、それはとてもとてもそういう額にははるかに及ばない額でございましょうし、現下の非常に困窮をいたしております財政事情のもとでは、遺憾ながらまだ五十年度予算にも計上できない、こういうような状況になっておりますので、将来の財政の安定を待ちまして、できるだけ早い機会に措置をしたい、かように考えておる次第でございます。
  199. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その移転予定の土地はいつ取得されて、幾らくらいの取得費がかかったのか。そしてさらに、その維持については費用もかかっておると思うのですが、それはどのくらいの金額になりましょうか。
  200. 山本博

    ○山本参考人 これを取得いたしましたのが四十五年九月の二十五日でございます。それから取得いたしました経費が三億九千二百五十九万五千円で、その後この土地を維持してまいりますのにかかりました費用というのは、もっぱら税金でございますが、四十五年度以降固定資産税といたしまして五年間四十九年度まで納めましたが、これが二百二万四千円、これは普通の固定資産税の二分の一の額でございます。
  201. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういう費用が結局むだと言えばむだのような感じもするわけですが、現在の福岡の放送局は狭いために営業部門は別なビルを借りて仕事をしておるようでございますが、そっちの方の費用はどうなりますか。それは家賃だけではなくて権利金も含めてどのくらいの額になるか、教えていただきたい。
  202. 山本博

    ○山本参考人 この事務室を借り上げますときに保証金を出しておりますが、その保証金はその当時で三千三百十七万でございます。それから毎月の賃借料、これは月額にいたしまして七十四万四千円、これがことしの六月現在の月額でございます。
  203. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 数億という金が投資されておるわけでございますが、特に、どこでもそうだと思いますが、この土地の問題につきましては、昨年新しい国土利用法もできましたし、現状から見ましても、土地を遊ばせておくということも、私はNHK性格から見てもどうだろうか。これに対する適切な措置を何か考えておくべきではなかろうか。財産の未利用については、何か特別に内部規定を設けるとか、そういうものができるものかどうか。その点、どうでしょう。
  204. 山本博

    ○山本参考人 この問題につきまして、御指摘がありましたように、国土利用計画法との関連が非常にございますので、これにつきましては、国土庁並びに地元の福岡県、こういうところとよく連絡をとりまして、この土地が遊休地でない、本来的に将来計画を十分持った土地であるということで御了解をいただきまして、国土利用計画法の具体的な適用というものはないような措置をすでに講じてございます。  なお、この土地をどのように利用するかということでございますが、先ほど会長から答弁がございましたように、財政事情が許せばできるだけ早くということを考えておりますので、これを他の権利というもの、その他将来こちらが利用しようというときに障害になるようなこともできませんので、現状のところでは、そういう直ちにいろいろな利用を他にさせて活用しようというようなことは考えておりません。
  205. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 検査院の立場では、こういう土地は、こういう資産に対しては、どういうような考えを持っておりますか。
  206. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 この問題につきましては、たしか昨年の当委員会においても先生から御質問がございまして、そのときにも申し上げましたが、要するに土地の取得につきましては、その上への建造物の建設計画というものと結びつけて取得をするというのが最も理想的な形である。しかし、最近では何といいましても土地の入手が困難でございますので、先行取得ということも相当数行われております。そういう形で、現在この福岡の土地につきましては、結果的ではあるかもしれませんが、先行取得といったような形になっておる。しかしながら、先行取得と申しましても、やはり先行取得した時期から長い間これをそのままにしておくというようなことになりますと、これはやはり実質的には不要不急財産あるいは遊休財産ということにもなるわけでございますので、NHKにもいろいろな御事情がおありのようでございますが、財政事情等の解決がつき次第、早急にひとつ庁舎の建築を計画し、着手していただきたい、このように考えております。  それからなお、この場をかりまして恐縮ですが、先ほどの放送時間の短縮に伴う経費の、動力費等の流用の問題でございます。これについて私の説明が不確かでございましたので、先生御納得いただけなかった、まことに申しわけないと思いますが、これは要するにその短縮の結果の動力費等を同じ国内放送費の中の他の費目に流用した、充当した、こういう取り扱いだそうでございます。なお、その計数については現在資料がございませんので、私ども確認しておりませんけれども、そういう御説明でございますので、その取り扱いであれば予算総則にも認められた取り扱いである、こういう趣旨でございますので、あわせて御説明いたします。
  207. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 終わります。
  208. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  209. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  210. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。     —————————————
  211. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  213. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  提案理由の説明を聴取いたします。村上郵政大臣
  214. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金の預金者貸し付けの限度額を引き上げることを内容とするものであります。  現在、預金者貸し付けの限度額は一人二十万円でありますが、預金者から引き上げについての要望も強く、最近における経済情勢にかんがみまして、日常生活の不時の出費を賄うための資金として二十万円では低きに失しますので、これを三十万円に引き上げて、預金者の利益を増進しようとするものであります。  なお、この法律案の施行期日は、公布の日といたしております。  以上がこの法律案の提案の理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  215. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。  次回は明十九日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会