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1975-05-07 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月七日(水曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    加藤 紘一君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       倉石 忠雄君    高橋 千寿君       坪川 信三君    長谷川四郎君       廣瀬 正雄君    水野  清君       村岡 兼造君    勝澤 芳雄君       久保  等君    田邊  誠君       森井 忠良君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君       池田 禎治君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政大臣官房主         席監察官    永末  浩君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  加治 夏雄君         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君         自治省行政局振         興課長     竹村  晟君         会計検査院第二         局長      柴崎 敏郎君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   園田  直君     加藤 紘一君   大柴 滋夫君     田邊  誠君   金丸 徳重君     勝澤 芳雄君   下平 正一君     森井 忠良君   小沢 貞孝君     池田 禎治君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     園田  直君   勝澤 芳雄君     金丸 徳重君   田邊  誠君     大柴 滋夫君   森井 忠良君     下平 正一君     ――――――――――――― 五月二日  身体障害者団体刊行物を第四種郵便物として  認可に関する請願林義郎紹介)(第二七〇  二号)  同(加藤紘一紹介)(第二七一八号)  同外一件(中川一郎紹介)(第二七五九号)  簡易郵便局法等改正に関する請願外十四件  (田村良平紹介)(第二七〇三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  去る四月二十五日、郵便法の一部を改正する法律案審査に資するため、大阪府に委員を派遣し、現地において各界の代表者から意見を聴取いたしてまいりました。この際、便宜私から簡単に御報告申し上げます。  派遣委員は、団長である私のほか、加藤常太郎君、志賀節君、羽田孜君、阿部喜男君、古川喜一君、土橋一吉君、田中昭二君でありますが、なお、久保等君が逓信委員として現地参加されました。  現地における会議は、四月二十五日午後一時より大阪市にある大阪リバーサイド会議研修センター会議室において開催し、私から派遣委員及び意見陳述者紹介並びに議事運営順序等についてあいさつを行った後、京都市南区連合婦人会会長延原操君、社団法人労働調査研究所事務局長神谷守利君、近畿大学商経学部教授堀田和宏君、大阪市立大学商学部助教授柴田悦子君、以上四名から参考意見陳述を聴取し、質疑を行ったのでありますが、その詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもって報告を終わりたいと思いますが、現地における会議は、大阪府庁近畿郵政局、その他地元関係者多数の御協力により、きわめて円滑に行うことができた次第であります。  以上のとおり御報告いたします。     ―――――――――――――
  3. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際お諮りいたします。  ただいま委員派遣の御報告で申し上げたとおり、大阪における会議記録会議録に参照として掲載することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔派遣委員会議記録は本号(その二)に掲載〕      ――――◇―――――
  5. 地崎宇三郎

    地崎委員長 郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中昭二君。
  6. 田中昭二

    田中(昭)委員 今回の郵便料金値上げ審議に当たりまして、ただいま理事先生方を初め、委員長中心理事会が行われまして、聞くところによりますと、この辺で料金値上げ審議もひとつ終わらしてもらいたい、こういう話もございまして、この審議がこの国会委員会の場で審議されておりますことについては国民も大変強い関心を持っております。私たちもこのたびの料金値上げは大変な大幅なものであり、いままでの審議を通じてみても納得できない点が多々ある。そういうことでいろいろな資料の要求がありまして、その資料もいまただいま見せてもらうというようなことで、今後の審議に私はさらにまた慎重を期さなければならない。その意味できょうは私の順番が回ってまいりましたから、いまからお尋ねするわけでございますが、私もこの法案の審議については初めから郵政当局の、またその他の参考人意見等も十分聞いたつもりでございますが、何さま素人でございますし、素人には素人なりの意見もひとつ十分この郵便法に取り入れられることが、私は国民のためになることだということを初めに申し上げておきます。  そこで最初に、簡潔に率直に大臣にお尋ねしますからお答えいただきたいと思います。  今回の料金値上げ案については、利用者を初め国民の大半の人はとにかくびっくりしております。こういう言葉が適当でないかもしれませんけれども、とにかくこの上げ幅の大きいことについてはびっくりしております。そこで郵政省立場は、ただ財政事情による赤字対策として提案しておるように、いままで見ております。ところが、この郵便事業公共事業でもあり、政府直営事業であることも言うまでもありません。そこで国会審議を必要として、この審議を通して料金引き上げ必要最小限にとどめるべきであると理解しておりますが、これは私の理解は間違いないのかどうかが一点。  そしてまた郵便法の精神から考えてみましても当然でございますが、国民基本的通信手段の確保という行政サービスを行うことも、これは政府に課せられた責任であります。このことについて大臣はどのような御所見をお持ちなのか、お聞きしたい。
  7. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  ただいままでの御審議で明らかになっておりますように、私どもといたしましては全く必要最小限度値上げでありまして、これが国民生活に及ぼす影響等も十分勘案いたしまして、しかしこれだけ値上げしなければ一番大事な郵政郵便事業国民に適切なサービスをするということにもとるおそれがありますので、私どもといたしましては必要最小限度の御提案を申し上げておる次第でございます。
  8. 田中昭二

    田中(昭)委員 いままでの審議を通して見ましても、必要最小限ということはまだまだ明らかではありません。またサービスについても、事新たなものもない。ただ言葉では努力しますとかそういうことは言うことは簡単ですけれども、私はそういうことでは、いままでの審議を通して見ましても、どうしても納得できない。ですから、大臣がいまの御答弁しかできないとするならば、次の問題に入りながら、最終的にこの問題についてもう一遍お尋ねしたいと思います。  仮に大臣のおっしゃるように、当局側必要最小限サービスもやる、こういうことを――審議を通して聞いていますと、結論は、いま一種、二種の料金が大体提案されておりますね。この料金上げ幅につきましても、そのよるべき根拠は、郵政省立場を一方的に審議会に諮問をして、そこからいただいた答申をそのまま一方的に押しつけるような感じがしてならない。今度は国民立場から見れば、利用者から見れば、ちょっとひど過ぎるじゃないか、もう少し何とか安い料金でできないかという、そういう両方意見を対立させるだけでは国民の信頼を得ることはできない。また国民不満を解消することもできない。解消するどころか、かえって不信と不満を増長するようなことでは国民の期待にこたえることはできない、こう私は思いますが、いかがでしょうか。
  9. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  前回、四十一年の料金改正の際には航空搭載によるスピードアップ、また四十六年の料金改正の際には郵便送達日数表を公表いたしまして、送達安定化を図ってまいったことは御承知のとおりでございます。今回の料金改正は、その意味では送達安定化にさらに努力することが郵便利用される皆様に対する見返りのサービス向上ということになろうかと考えられます。また、今回の料金改正に当たりましては、一年半に及ぶ実施時期の延期やはがき料金の圧縮などに配意いたしまして、国民に対する影響の緩和に十分留意いたしましたが、これを機会に職員にもまた組合にも今回の料金改正意味を十分に了解いたさせまして、全職員一体となって、真に安定した業務運行を実現するよういままで以上に努力してまいる所存でございます。このような努力国民の負託にこたえる方途であると考えますとともに、このことにより国民皆様の御理解を得られますよう努めてまいる考えでございます。
  10. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣大体御用意されました答弁メモをお読みになることもいいのですけれども、私の質問もこの場でじかにお聞きになって、私の質問の要旨に答えていただかなければ、これは失礼な言い方でございますけれども、私は議論が空転するような感じがしてならないのです。いま私がお尋ねしたことは、はがきが二十円、封書が五十円というような大幅値上げは、そういう提案に対して両方意見を対立させるだけではいかぬじゃないか――まだサービスのことは全然言ってないのです。サービスのことにつきましては、送達日数前回のことをいろいろおっしゃいましたけれども前回おっしゃったことが――ただ前回値上げのときも同じような筋のことをおっしゃっているのですよ。しかし、職員組合員がその後どういうことをしたかということはまだずっと後に議論することになっているのです。ですから、私ははがきが二十円、封書が五十円、こういう提案に対して、両方が、郵政省の一方的な押しつけと利用者はなるべく安くしてくれ、こういうことではまずいのではないでしょうか、そういうことをお尋ねしているのです。そういう立場でもう一遍ひとつお答え願いたいと思います。
  11. 村上勇

    村上国務大臣 はがきが二倍になり封書が五十円になるということは、耳ざわりとしては非常に高く感ずるのでありますが、しかし今日の郵便事業の置かれている立場からいたしますと、どうしてもこの程度の値上げを御承認いただかなければ、これはどこかへ非常に大きな欠陥が生じてまいりますので、私どもとしては全く必要最小限度のお願いを申し上げているような次第でございます。
  12. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣当局立場だけをここでお述べになる立場じゃないのですよ、私が言うまでもなくですね。ここは審議の場でございますから、そのような当局の言いたいことをそのままおっしゃるのではなくて、二十円と五十円、それをしなければどこかに欠陥を生ずると言うけれども、その欠陥を生ずるのをどこかで穴埋めしてはどうだろうかという御発想をしていただきたい。大臣はずっと官僚でおなりになったわけではないのですから、政治家としてそのくらいの力を持っていただいている大臣だ、私はこう思って御質問申し上げておりますから、やはりこうなってきますと、この審議の場で適正妥当な線を見出すということにはそれではどうすればいいのでしょうか。適正妥当な線に、両方の言い分が対立しているわけですから、歩み寄る以外にない、私はこういう考え方なんです。そうするためにはどうすればいいでしょうか。
  13. 村上勇

    村上国務大臣 先生のお考えの中には、このように大幅に値上げしないで、ある程度の値上げはやむを得ないだろうが、どうも少し耳ざわりもよくないし、また国民生活の上にも非常な影響があるのではないか、であるから、どこからか金を持ってきて、たとえば財政措置をほかの方面で何とか賄うような方法をとったらどうかというような御指摘であろうと思いますが、これはこの郵便事業独立採算制ということをあくまでも重視してまいっている郵政省といたしましては、どうしてもこれを利用者に負担していただく以外にその道はいまの時点ではないのでございます。そういう点であなたと郵政省、いわゆる私の考えとにはどうしてもすれ違い、行き違いがあろうかと思いますが、この辺はどうかひとつ御了察いただきまして、この特別会計、特に独立採算制の範疇においてひとつ御判断をいただきたいと思うのでございます。
  14. 田中昭二

    田中(昭)委員 その意見がすれ違わないようにするにはどうすればいいでしょうかということをお尋ねしたつもりでございますけれども、それも私の質問の下手なためかお答えがないようでございますが、そこで、それでは独立採算制公共料金としてのこの郵便料金当局政府部内での取り扱いがどういうふうになされてきたか、その経緯をまた少し聞かざるを得なくなってきますから、そういう面に移っていきたいと思います。  まず、郵便料金値上げを決定した物価対策閣僚協議会、ここにおきまして具体的にどういう点が問題になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  15. 村上勇

    村上国務大臣 郵便料金改定に当たりましては、物価対策閣僚協議会に付議すべきものは、昭和四十七年七月二十日の物価担当官会議の申し合わせによりまして第一種、第二種及び書留速達料金となっております。ただし、料金改正法律または政令によるなど、閣議を経て決定される場合には重ねて物価対策閣僚協議会に付議することは要しないことになっておりまして、今回の料金改正案につきましては物価対策閣僚協議会に付議されておりません。  なお、三木内閣発足とともに設けられました経済対策閣僚会議において郵便料金改正について検討がなされましたが、その際特に問題になりましたのは第二種の上げ幅料金改正時期についてであります。
  16. 田中昭二

    田中(昭)委員 その上げ幅と時期についてどういう点が問題になったのか、主要な点をお聞かせ願いたいと思います。
  17. 村上勇

    村上国務大臣 御案内のとおり、郵政審議会の御答申内容封書五十円、はがき三十円ということに相なっておりましたが、どうも何とか企業努力をして、まあ封書はやむを得ないとしても、はがきの三十円は二十円ぐらいで抑えるべきでないかということではがきを二十円ということに決めてもらったのであります。と同時に、その実施時期は半年おくれの十月一日をもって実施するというように決められたわけでございます。
  18. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、その協議会答申等についてはもう秩序も何も要らない、どんなでも、むちゃくちゃでもいいということですね。それが一点。ということは、また後で詳しく当局に聞きたいと思いますけれども、この第一種と第二種の料金の幅というのは、大体いままでいろいろ議論されてきて、こうあるべきだという線があったはずなんです。それがこの協議会では逆になっておるから私はむちゃだと言っておるのです。そういうことを協議会で決めて――協議会なり閣僚だけが国民代表じゃないと私は思うのです。そういう点が一点。  まだ不満ですけれども、次の問題に移ります。そうしますと、第三種、第四種及び特殊取り扱い料金の設定に当たっては郵政省経企庁との協議事項となっておる、こういうふうに決められておりますが、この点はどうですか。
  19. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  経済企画庁郵政省との協議事項となっております郵便料金種類は、ただいまお話に出ました内国郵便料金のうち、郵政省令で定めます第三種、第四種及び小包郵便物料金等でございます。第一種、第二種につきましては、先ほどお話が出ましたように、閣議に付議する前に経済企画庁調整を行う。書留速達につきましては経済企画庁調整の上、物価対策閣僚協議会に付議するというふうになっておるわけでございます。
  20. 田中昭二

    田中(昭)委員 それをもう少し、種別ごとに言ってください。そして、どういうことを経企庁と御協議になったのか。両方のお役所から御説明願いたい。
  21. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第三種、第四種、それから特殊取り扱い料金につきましては、郵便法が成立いたしました後、これを郵政省令で定めることになっておりますので、その際に正式の協議をいたすということでございます。その前に、事前に実質的にはいろいろ協議いたしておりますけれども、これは実質的な協議でございまして、料金の金額の当、不当についてもいろいろ御相談申し上げますけれども、形式的に申し上げますと、これはあくまで実際の正式の協議ということではないわけでございます。
  22. 田中昭二

    田中(昭)委員 経企庁、そのとおりですか。
  23. 地崎宇三郎

    地崎委員長 呼んでないのですね。
  24. 田中昭二

    田中(昭)委員 では、事前にそういうことをなされている。それはここで言えないのですか、どういうことをしたのか。その種類別政令で決める事項については大体の計算なり根拠があるわけでしょう。それはここでは言えないですか。
  25. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまお答えいたしました省令料金につきましては実質的に協議をいたすということでございますが、その内容につきましては先ほどお触れになりました郵政審議会から他の一、二種と同様に答申をいただいておりますので、その数字をもと意見調整をいたしておるということでございます。
  26. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は大変に不満です。もちろん答申にいただいておるものもありましょうけれども事前にそれを経企庁物価対策という大きな立場から協議をなされておるものが、何でここで言えないか。そういうことだったら、郵政省省令事項は勝手に決めていいということですね。法律以外のことは何でも当局で勝手に決めていい、こういうふうに私は理解せざるを得ないですよ、そういうことになれば。そしていままでの値上げの結果から見ても、勝手で決めたことは勝手な行政になっていますよ、末端は。これは私は後で申し上げますけれども、もしもそういうことがあったら、私は今度の料金値上げは絶対に承服できません。当局が勝手な省令で決めて、そして国民損害を与えてなければいいです。勝手な規定を決めて、そのあげくの果ては全部国民にしわ寄せして、行政サービスどころか損害を与えておる。そんなことがあるもんですか。  それでは次にお尋ねしますが、書留郵便物速達郵便物、こういう特殊取り扱い料金はどういう根拠料金が設定されておりますか。
  27. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  特殊取り扱い書留速達等でございますが、この料金につきましては、郵便サービスの中でこういったものは付加的な役務であるという考慮をいたしながら収支を償うに足る料金を設定するということが基本的な考え方でございます。このために必要な経費を賄うに足るということが基本でございますが、実際にいろいろまた検討いたします際には特に利用者負担力でありますとかそういったことを考えまして、全体といたしましては第三条にいわゆる郵便収支相償原則の中でこれを決定するという考え方でございます。
  28. 田中昭二

    田中(昭)委員 基本的なことをいろいろお聞きしようと思えば、基本的なことの説明が大変親切でないと私は思うのですよ。だから最初申し上げたように、これでは本当に意見の対立だけというような形に当局側が持ってくるような気持ちがしてならないのです。  もう一遍お尋ねしますが、いままで郵便法第一条、第三条をもとにしていろいろ議論がなされましたね。私はやはりこの郵便料金改正については基本的にはこの第一条、第三条を――具体的に第一条は第一条、第三条は第三条で、ただ当局意見と実際の郵便行政というものとを理解できないようなことを意見を闘わせるだけではどうしようもない。だから、やはり一条と三条がある以上は、それをどういうふうに今後考えて、何といいますか、システムといいますか、そういうものでもつくっていかなければ、ただ議論を闘わせているだけではどうしようもないという感じがしてならないわけです。  そこで率直にお尋ねしますが、今度の料金引き上げ案は法第一条の原則をどの程度加味し、第三条の収支相償という、そういうものにどのくらいウエートを置いたのか。いままで議論を聞いておって私ははっきりしないのです。その辺のことは当局はどう――まあ今後の方向性でもいいのですが、大体料金値上げ案価格そのものの中にはどういうふうにウエートを置いて考えたのですか。
  29. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  今回の料金改定考え方は、昨年の郵政審議会から答申されました料金案もとに設定いたしておりまするので、その答申案に盛られておる考え方をまず一応申し上げたいと思いますが、これは昭和五十年の四月一日から郵便料金改定をしてはどうかということで、その際、昭和四十九年度から五十年度、五十一年度の三年間にわたっての収支の均衡を図るということが大目的でございます。それで、具体的な各種別料金考え方についてお触れ申し上げなければならぬわけでございますが、まず第一種につきましては、この役務提供に要する費用を考慮しながらも、利用及び収支に占める割合からいたしまして、これは何といいましても事業を支える柱でございますから、そういった性格を持たせた料金にするということ。それから第二種につきましては、これは現在、事業財政赤字の主要な原因になっておりますことは御案内のとおりでございますので、この役務提供に要する費用を賄うに足る適正な料金にするということが考え方中心でございます。第三種につきましては、現在過度の料金割引政策をとっておると認められますので、これを転換して、少なくとも直接経費は賄うということを目安にすべきであるということ。それから第四種につきましては、農産種苗を除きまして、その社会的な公共性を重視しましてなるべく直接経費を賄う料金に近づけるようにすべきである。いずれにしても、第四種の性格から見ましてこの値上げ幅は特に配慮するようにということでございます。なお農産種苗につきましては、審議会答申では四種としての取り扱いを廃止して一種または小包によることにしたらどうかという提案がなされたわけでございます。特殊につきましては先ほど申し上げたような考え方でございます。ただし、これは審議会考え方でございます。答申考え方でございまして、私たちが今度提案申し上げておりまする一種、二種につきましては、この答申料金案に対しまして、答申の中にも言っておりますように、国民生活に与える影響を緩和する配慮を加えるようにということがありますので、大臣お答えになりましたような形で実施時期の半年延長あるいはまた通常はがき料金の三十円を二十円に修正するといったようなことをやったわけでございます。
  30. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの説明で一応各種別ごと料金引き上げ基本的な考え方を聞いたわけですが、いままでの議論を通しましてもいわゆる第三条の収支相償ということで個別原価主義はとっておらない、総合原価主義をとっておる、こういう話でございますね。その総合原価主義の一つ一つの種類については、いま言われたような考え方を持っておる、そこまでは私たちもおぼろげながらわかったわけです。  それで、いま私が申し上げたのは、そういう総合原価主義、そうしてその中には一つ一つの個々的な特殊な事情を配慮して、国民生活に与える影響も配慮しながら決めた、それが郵便法に決められております第一条のなるべく安くという、それから第三条は収支相償という、そういうその法律一つ一つをとっていけば、いままでのあれから言ってみても、立場の相違だけで、ただ議論に終わってしまうでしょう。だから私は第一条、第三条を、いまの総合原価主義をとっておる中にはどのくらいウエートを置いてあるか、これは大まかな今後そういうウエートをこのくらい置いて決めるが妥当ではなかろうかという一つの方向性を打ち出すべきじゃないか、こう思うのですが、できればお答え願いたいと思います。
  31. 石井多加三

    石井政府委員 先ほど大臣からお答えがありましたように、第一条のなるべく安くということは、これは郵便法の歴史的な沿革から申しましても全体を通ずる基本の精神でなければならないと思いまするし、私たちはその精神は今度の料金改定の中にも盛り込んで提案申し上げておるつもりでございます。第三条の方の収支相償ということも前回法律改正でこういった条文が入れられたわけでございますけれども、この挿入がなくても、従来から郵便事業というものはそういう考え方もとに独立採算、収支相償という、利用者負担という考え方で進んでまいったと思いまするので、まあパーセンテージで第三条がどの程度入れられておるかといいますと、これはやはり全般的に全体を通じて収支相償ということは、この第三条の条文どおり今度の法律提案では考え提案申し上げておる。全面的にそういう考え方提案申し上げておるということでございます。
  32. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、こっちも単純なものですから、すぐそういうことを私が申し上げても、答えになりますとなかなかかみ合わないので理解できないのですが、私は今度の料金改正、仮にそういうことがなかったとしても、今後の問題についてはそういうことでもやらなければ、そういうことを考えておかなければ、これはもうただ議論の繰り返しというようなことになって、いつまでたってもパターンができないということではいけない、こういうように思うのです。  どうですかね。第一条は歴史的な基本的なことだとおっしゃいますから、これを仮に七〇%入れて、そしてあとの第三条を三〇%くらい入れるという、こういう物の考え方じゃ悪うございましょうか大臣。どうでしょうか。
  33. 村上勇

    村上国務大臣 私も全く先生と同じ考えなんであります。考えではありますが、どうも勘定合って銭足らずということになりましたのでは、どこかへ無理をしなければならないものができてきますので、御指摘の気持ちとしては全くそのとおりであります。
  34. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃ指摘の気持ちはおわかりいただいたようでございますから、今後取り入れていただく。大臣がずっと永久に郵政大臣をなさっていれば本当はいいのですけれども……。  もう一遍当局に確かめますが、はっきり言って今度の料金値上げ郵政事業赤字が出たんだから料金値上げでやらざるを得ないということはわかるわけですが、そうすると第一条よりも第三条に一〇〇%ウエートを置いていると、こういうふうに見ていいですね。どうですか。
  35. 村上勇

    村上国務大臣 決して第三条にのみウエートを置いてやっているわけではありません。と申しますのは、もう全くくどいように申し上げておりますはがきを十円引いて提案申し上げておるというようなところから、あるいはまた、その実施時期を半年ずらしておるというようなところから、十分御理解がいただけると思います。
  36. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣はさっきからそのことをおっしゃっておりますから、私はもうお尋ねしなかった。当局にお尋ねしたわけです。
  37. 石井多加三

    石井政府委員 第一条になるべく安くということを明文でうたっておりますことも、コストを無視してまでも、収支を度外視してまでも安くという考え方ではなく、やはり第三条の言っておりますような意味におきまして、全体としてはやはり収支の相償を図りながら、できるだけ安く、特にその間には企業努力もしながらという趣旨が、第三条の精神だと思っております。第三条と第一条とは矛盾しないというふうに考えておる次第でございます。(発言する者あり)
  38. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの事務当局お答えは不規則発言が多くてよくわからなかったが、わかったことから申し上げますと、大体やはりコスト割れになっちゃ困る。郵便事業は、それはコスト割れになれば大変ですよ。ですから、大臣のような気持ちはあったけれども、第三条、収支相償ということはやはり一〇〇%ウエートを置いておる、こう理解するのが正しいのじゃないですか。それは、第一条は、あるのはずっと歴史的にあるのですから、当然考えていってあるのでしょうが、現実の結果は、やはりコスト割れになってはいけないから……。今度のやつはコストを賄うくらいの料金値上げでしょう。違いますか。どうですか。
  39. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第三条の「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」、この条文の意味しておりますことも、ただいま御指摘のように、収支相償ということでございますが、もちろん第一条の、なるべく安く、あまねく公平に提供するという精神も生かしながら、また第三条も生かしながら、今度の料金改定をお願いしておるわけでございまして、パーセンテージで何%ということは申し上げかねると思います。
  40. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうごまかしを言ってはだめですよ、あなた。今度の値上げをしてみても、五十年も五十一年も五十二年も赤字になるのじゃないですか。これは収支相償、コストを償おうと努力するけれども、まだ償い得ないのでしょう。それははっきり第三条は今度は中心になっています。パーセントで言わぬでいいですよ。中心になっていますと言わなきゃおかしいじゃないですか。値上げした年度から黒字が出た。その翌年度は黒字が少し減った。三年間を目標にと、ちゃんと答申でも出ている。二年間でやったらいいじゃないかという話も出ている。だけれども、三年間にした。五十二年度には大体またとんとんになりますというふうになっておれば、いま、私はあなたの言い分認めますよ。しかし、値上げした当年度も翌年度もその翌年度も赤字じゃないですか。これは、コストを償う、でもまだ足らないと言う、結果的には。それが総合原価主義の総体の結果、それを勘案して上げたのでしょう。どうです。
  41. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘のように、第三条のみを一〇〇%取り入れて第一条を無視して仮にやったといたしますると、今度の料金改定はむしろ赤字を完全に帳消しするまでに至ってないのでございまするから、第三条も完全にこれを一〇〇%生かしたという料金改定には、逆になっていないのではないかというふうにも言えるわけでございます。その点は、むしろ第一条の精神を生かしながら、特に実施時期を延ばすとかあるいははがき料金調整するといったようなことで、第一条と第三条の両方の精神を生かしながらつくったものでございます。
  42. 田中昭二

    田中(昭)委員 答弁になっておりません。もう単純に、わかるような議論をしなければ――かみ合わない議論をしていても始まらないじゃないですか。大臣、どうですかね、これは今後のことでもいいですよ。じゃあこの問題について締めくくりに、大臣、もう一回ここで……。
  43. 村上勇

    村上国務大臣 第一条を考え過ぎて、いま先生が御指摘のように第三条が必ずしも完全になっていない、こう思います。むしろ第三条の収支相償ということよりも、第一条の、なるたけ安い料金でということにウエートを置いておるのがこの料金改正だ、私はこう承知いたしております。
  44. 田中昭二

    田中(昭)委員 また話が全然逆転してきましたけれどもね。ああ言えばこう言う。全然逆転するようじゃ話が次へ進まないのですけれどもね。まだ質問事項これだけあるのに、まだここまでしかいってないのですよ。大臣、これだけあるのですよ。全部やらしてもらったら一日あっても終わりませんですよ、こういう調子じゃ。しかし、委員長も大変がんばっておられるようですから、私もそれにおこたえして進めていきたいと思いますがね。  第一条は、なるべく安く、と同時にやはり行政基本である公平かつ福祉的な立場に立ってというようなことも書いてありますね。そこで先ほど大臣は、前々回の値上げから前回値上げについては、料金のことは別にして、それに裏づけとして行政サービスを高めていきます。こういう御説明があったわけです。ところが、今度の改正については、正常な業務運行努力しますということだけなんですね。いままでの審議でも、何かサービス還元があるかと言ったら何もないというようなのが当局答弁だった。そこで、ないにはないだけの理由があろうと私は思うのです。ということは、前々回、前回値上げのときに、サービス還元をこうしますという国民への約束、努力目標、これがいかにここで言うだけか。その現実。その国民に約束したサービスの還元、これが前回値上げのときにも、サービスの改善で利用者に対する利便の向上にはなってなくて、逆に値上げする前よりも悪くなっているという事実を、私いまから申し上げます。いいですか。これは重大な問題なんです。私はもう逓信委員会に来ましてこのことをずっと言い続けてきました。きょうはその総括をやります。  まずそのサービスの一つの中に郵便送達の問題がございますね。世間では郵便の遅配、欠配、これはもう日常茶飯事です。もう当局側がおっしゃる正常な業務の運行なんかとはほど遠い現状であります。これはここではわからないだけなんです。郵政省の本省では知らないだけなんです。知ろうと思って努力していますけれども、その努力の結果は何にも実が実っておりません。申し上げます。そこで当局が一つのサービスの確保、国民に対する、値上げに対する還元ということで送達日数を公表しましたね。それを何とか確保していこうということで試験通信というのを四十六年からやっているわけです。その試験通信は昨年の九月まで一応ずっとやっておりますが、十月からやり方を変えました。ですから一応四十六年始めたときから九月までの試験通信の結果。その前にこの試験通信というのは何のためにやっておるのか、その目的、そういうものをひとつ聞かしてください。
  45. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  試験通信という制度は、実は郵便の日数表を公表する前から郵政省の内部ではやっておった制度でございますが、申し上げるまでもなく、郵政省郵便物送達速度の実態を把握したい、それによって郵便業務の正常運行を図るという趣旨でやっておったものでございます。  現在までの実施状況につきましては、四十九年の九月まで調査区域を郵政局管内あてとか、あるいは主要の郵便局あてというふうな二つに分けて実施してきたわけでございますけれども、御指摘のとおり昨年の十月から実施方法を改良いたしまして、少しもっと細かく分けて実施しておるわけでございます。  以上でございます。
  46. 田中昭二

    田中(昭)委員 ちょっと大臣、聞いておってください。私がこの質問をするには、それは大局的に大きな立場からの議論も大事ですけれども、こういう実際の現場の実例ということを一生懸命勉強して私なりにやったことをいま御披露しておるわけですから、大事なことですから聞いておってください。  その前に、それじゃ局長さん。あなたは私が一昨年から昨年にかけてのいわゆる送達業務の正常運行ということについてお尋ねしたときに、会議録がございますが、これは何もあなたの言ったことをどうというのじゃないですよ。あなたたちの認識と大臣の御認識がないからそのために申し上げておきますが、昨年の御答弁ではその試験通信の結果、速達の確保率は四十六年は九八%だ。四十七年は同じく大体九八%だ。ところが、四十八年は九二%に下がった。四十九年は八六%に下がった。こういう答弁をなさいましたが、これは間違いありませんか。
  47. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘の数字はことしの二月十九日の委員会で御説明申し上げました数字でございまして、正常運行確保率につきましてはすべての郵便物数の大半、大体八割ぐらい、一つの郵便局の所在しておる郵政局管内あての郵便が大体八割ぐらいあるということでございますので、その同じ郵政局管内あての郵便物の調査結果をもって御説明申し上げた次第でございます。なお、このほかに先生案内のとおり、管内以外の全国の主要な郵便局あての郵便物数の正常運行確保率につきましても調査いたしたものがございますが、これは私が御説明申し上げました数字より若干低目になっております。
  48. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは局長さん、私が質問したときに、おたくからいただいたこういう資料はその前にあったわけですからね。いまここであなたは、自分が言ったことは自局管内の分だったとかなんとかいうことを言われますけれども大臣、この現実の姿が、ここで答弁される場合にやはり全部郵政省の勝手気ままに答弁なさっていることの一つの例ですよ、自分たちの都合のいいように。  そこで大臣、それはいいとして、とにかくどういう区分であろうとも、全体的に確保率というのが前回値上げしたところからずっと下がっているということだけは事実なんです。ずっと下がっている。それはひどいですよ。いま言われた数字もちょっとそれは違いますけれども、私この四十六年から各月別にずっといただいたものがあるのです。試験通信の結果を。これからとりますと、いま主要局であろうと自局管内であろうと、それを合計した平均から言っても――先ほど郵務局長さんはその平均を大体私にお答えがなければいけないのです。それを違ったものを言ったから、私はいま御指摘したわけです。そういうふうに勝手にやっているということをひとつ認識していただいて、この平均のやつを言いますと、四十七年が九六%、四十八年が八五%、何ともう一〇%以上下がっている。そして四十九年は九月までは今度は八一%、ここまで下がっている。いいですか。そうしてこれは一年間のうちには郵便業務というのは正常なときばかりじゃないのです。正常な月と悪い月と半々ぐらいなんです。悪い月というのは異常月、こういうふうにこれには書いてあります。郵政省が決めた送達の状況の悪い異常月。この異常月、大変なことになっていますよ。十二月だけを見てみますと、主要局が――大きな主要局とのあれですからそれをとってみますと、四十六年の十二月は九三%です。四十七年の十二月は九四%、大体変わりませんね。四十八年の十二月は二六%ですよ。三割いってないです。言ってください。いま郵政局は、確認しますが、四十七年度が九六%前後の確保率としますと、正確に届いていない通数が年間どのくらいなのか。四十八年ではどのくらいなのか。四十八年は八五%、四十九年で半年間で八二%とした場合に、どのくらいの郵便物数が正確に届いていないか。その通数を言ってみてください。
  49. 石井多加三

    石井政府委員 先ほど私がお答えいたしました、また前回答弁申し上げましたのは、繰り返しますが、一つの郵便局が属します郵政局管内、これは郵便物の差し出しの状況を見ますと、一つの郵便局が所属する郵政局管内あての郵便物が八割までを占めておるわけでございます。もっと申しますと、同じ府県に出されるものが六割ぐらいあるわけでございます。そのような観点から見まして、同じ郵政局管内あての郵便が八割あるというような趣旨で、これを大体申し上げれば郵便送達状況は御理解いただけるということで、そういった数字を申し上げたわけでございまして、この点につきましては過去二度ばかりこの数字をお答えいたしましたときはいつもそのつもりで申し上げたわけでございます。  なお、ただいま御指摘のございました四十七年度の確保率が年間を通じて九六・四%ということで申し上げますと、これは三・六%を全郵便物数に掛けますから、正常に届かなかった郵便物数が年間を通じて四億五千万通くらいになろうかと思います。四十八年度は年間で十九億三千万通くらいでございます。それから四十九年度は、途中でございますけれども、十億六千万通というような数字でございます。
  50. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま言われたように、大臣、パーセントは五%とか一〇%といいましても、引き受け物数からいきました場合、四十七年は四億五千万通。といいますと、神奈川県全体の一年間の郵便物がとまったことになるのですよ。四十八年は十九億、二十億近い郵便物が正確に届いてないのです。これは本当は、こんな試験通信まで金かけて大々的にやるのだったら、こういう数字がどんどん減らなければいけないのでしょう。何倍ですか、五倍じゃないですか、四十七年と四十八年は。この二十億通というのは関東と信越郵政局全体の郵便物がとまったことになるのです。四十九年はまだはなはだしい。これは半年分の結果から見れば、これも大体倍すれば二十億通くらいです。こういう郵便物の遅配、欠配があるから日常茶飯事であって――それは現場の人たちは一生懸命努力していると私は思います。しかし、こういう値上げのたびに国民に約束したことが、現実は郵政省の全職員挙げての努力にもかかわらず神奈川県全体の一年間の郵便物がとまるというような状態が、関東並びに信越郵政局全体の郵便物がとまるように、年々悪化しているということが問題じゃないですか。大臣、これはどうですか。こういうことを御承知でしたか。これをまず大臣ここで認めてください。これはもう郵政省からいただいた資料ですから、全国の国民に向かってはっきり言ってください。前回値上げのときに送達日数まで公表して努力したけれども、残念ながら四十七年は神奈川県全体の郵便物がとまった、四十八年は関東と信越郵政局全体の郵便物がとまった、こういう認識をまずしてもらわなければ困ります。どうですか。
  51. 村上勇

    村上国務大臣 相当な遅配、欠配のあることは承知いたしておりましたが、ただいまのように年度によって非常に大きな格差のありますことにつきましては十分検討いたしまして、将来そういうことのないように配意いたしたいと思っております。しかし、これはただ単に料金問題だけでなく、第一条の郵便はあまねく国民に奉仕するというその精神にもとっているのじゃないかと思いますので、十分にこの点については留意いたしまして、そういうことのないように今後気をつけるつもりでございます。
  52. 田中昭二

    田中(昭)委員 私はここで本当にひとつ大臣に約束してもらいたいです。私がこういう事実を突きつければ――これは何も私が調査したのじゃない、郵政当局がやっているものです。私はこの郵政当局の結果をうのみにするようなばかじゃありません。これは郵政局が自分たちの都合のいいようなことで、ちゃんと相手を決めて調べた通信の結果なのです。まだまだ埋もれて全然出てこない事項というのもたくさんあるのです。いまの大臣の御答弁からいきますと、こういう格差があるというようなことは自分は知らなかったというような意味での御答弁みたいですね。しかし、それでは責任ある郵政大臣としての答弁を私ははなはだまだ納得できません。というのは、あなたもこのサービスの現状については、この国会の場で私の質問に対して責任ある御答弁をなさっておりますよ。前回の所信表明に対する質問の中で、ずっと私が郵便サービス問題について決意をお聞きした最後のところにあなたがおっしゃっていることは、「もとより、郵便物取り扱いについてその正鵠を期するということ」――郵便法の規定からいっても、正鵠、あたりまえなことです。「正鵠を期するということは第一であります。」また、「全従業員一致して万遺憾のないように国民に対するサービスというものを第一に推進していくということ」「そういう点を除いたら、料金値上げも」「御破算になってしまってもやむを得ぬのじゃないか、」とあなた御答弁なさった。これはどういう意味ですか。これは何か違っているのですか。もう御破算になってもいいのですか。御破算にすべきじゃないですか。
  53. 村上勇

    村上国務大臣 そういうわけではないのでありまして、とにかくそれだけの決意をもって郵便送達の正確を期するということは、何よりも、第一条の「あまねく、」云々ということ、これは別としても、私としてはどうしても郵便物送達が正確でなければいかぬという意味を強く表現した意味でありまして、決して料金問題がどうでもいいというような精神ではございません。
  54. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは国民は困りますよ。それは国会の場というのは決意だけ述べていてよかったら、弁論大会をやっておった方がいいのです。自分の言ったことに対してはちゃんと裏づけをもって国民に示さなければ、国民が何で料金値上げをそれじゃ納得しますか。納得してと言いますけれども、いままでそういう何十億通という郵便が届かないで、悪い月なんか二六%という月もあったんですよ。二六%が四〇%になり五〇%になり七〇%になっていくならば――私はいま大臣のおっしゃることは認めます。だけれども、九〇%のものが八〇%に下がり七〇%に下がる、この七〇%に下がる中には三割を切るというような、そういう郵便送達で、何で国民に納得させられますか。いまは大臣そうおっしゃっておりますけれども、ここの真意はいまおっしゃったような決意でしょうけれども、その決意の底に隠されている――国民郵政事業の関係というのは、そんなことであってはならない、そういう意味で決意を述べられたのでしょう。それじゃ、そういう実態になっていなければ、大臣も初めてお知りになった、これはもう少し責任ある答弁を願います。
  55. 村上勇

    村上国務大臣 とにかく最も大事なことは送達が正確であるということ、これに少しでも支障を来すようなことがないように、その原因をあくまでも追及いたしまして、全従業員とともに必ず正確な送達に転向するように努力をいたしたいと思います。
  56. 田中昭二

    田中(昭)委員 何遍も繰り返して何ですが、委員長、いまお聞きのとおり、私は国民の一人の立場に立って、前回値上げのときからどういうことをやりますという、そのサービスの裏づけ、その裏づけも極端な低下がなければいいですよ、極端な低下をしている現状を見過ごして、今度の料金値上げサービスの還元は何もない、こういう冷酷無慈悲なことを私はここで納得するわけにいきません。どうしても納得できません、これは。こう言いましても、委員長の進行にも差し支えありましょうから次に問題移りますけれども、十分ひとつ今後の審議の、いまからまだありますから、参考にしてもらって、今度こういう事実が出てきたら私は国民の名において、これは料金値上げは絶対認めませんよ。  それじゃ、いまからサービス問題の少し提案事項的なものになりますが申し上げますから、よくひとつ当局は耳を澄ましてこの提案に誠意をもって答えてもらいたい。  繰り返すようになりますが、郵便事業サービスそのものでありますし、今回の改正に当たってこの認識が余りにもなさ過ぎる。私も郵便法改正ということから大分現場を回って意見などを聞いてまいりましたが、第一線の人たちはお客さん本意に考え、いかにサービス提供すれば郵政事業が円滑にかつ満足してもらえるかと日夜努力をなされている方たちが大変多いのです。その人たちは、料金値上げに当たって今回何もサービスがない、どうすればお客さんたちに納得してもらえるかと、この悩みは深刻ですよ。このように政府当局は第一線の意を本当にくんで、そこに国民不満と不信を解消しようというそういうことが足りない。だから国民不満値上げに対する理解ができない理由もそこにあるわけです。ですから、今後のサービス面につきましての何か施策があれば将来のことでも結構ですからお聞かせ願いたいと思います。
  57. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣が御答弁なさったことを繰り返すことになりますけれども、このたびの料金改定に当たりまして、過去にありましたような新しいサービスを開始するといったような問題は実は何も予定いたしてないわけでございます。結局、現在の郵便に対して国民皆様方が期待しておられるものは、大臣お話のとおり、正確な郵便送達ということが確保できるということに一番ポイントがあるだろうと思いまするし、現実に、ただいま御指摘のように、いろいろ実際を見ますと、この郵便日数表を公表して以来、確かに年を追いまして正常な送達の確保が低下してきておるということも御指摘のとおりでございます。この点、まことに私も郵便の担当責任者といたしまして遺憾に存じておる次第でございます。今回その意味では、この送達安定化にさらに努力するということが利用者皆様に対する見返りのサービスということになろうかと考えるわけでございます。そのほかに今後新しいサービスというものを予定いたしまするよりも、何分現在の郵便事業財政が窮迫しておりますることで、その方の収支の確保ということに精いっぱいの努力をしておるわけでございまして、今後われわれ職員も、また組合にもこの値上げ意味合いを十分理解してもらいまして、安定した業務を確保できるように努めるということが、私たちのこの料金改正に当たりまして国民皆様の負託にこたえる最大の道であるというふうに考えておる次第でございます。  なおまた、遅配の解消等のためにいろいろ努力いたしておりまするけれども、やはりこのためには労使の安定といったようなことが一番大切であろうと思いまするし、そのほかにも郵政審議会からいろいろ指示を受けておりますような合理化とか機械化といったようなことは今後ますます強化いたしまして、この事業の改善に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  58. 田中昭二

    田中(昭)委員 サービス面を考えた場合に、十年前ぐらいのサービスの状況とは現在でも変わっておると思います。逆になっておるような状態が見受けられる。郵便の質的変化とともに経済社会における動的変化、それに伴う意識変化によって変わっておりますが、その上でのサービス向上考えていかなければならない。そこで、配達効率の向上と答申案にもありましたが、一日二度配達を一日一度に重点を移していく。現在では一日二度以上は都市部においてでありましょうが、しかもそれは企業関係のものが大変多い。そうですから、こういうものについては私書箱の設置を活用するとか、またそのほかの有効な配達を図るべきだと思いますが、いかがですか。
  59. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘になりました点は、確かに郵政審議会答申に盛られておる非常に大事なポイントでございまして、今後郵便事業をやっていく上に私たちとしても十分その趣旨を尊重して実施してまいりたいと考えております。現在それぞれ実施につきまして検討ないし準備いたしておる次第でございまして、ただ御指摘の中の問題点は若干、現在よりサービスを落とす問題につながることもありますので、そういった点も十分考えながらタイミングを見て逐次手を打ってまいりたい、そういうことで現在準備いたしておる次第でございます。
  60. 田中昭二

    田中(昭)委員 速達は近ごろ大変確実に配達されておる、そういうふうな状況でございますが、速達と反対に不急便の制度化というようなことを考えていく考えはありますか。
  61. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘は、恐らく現在イギリス等で実施しておりますような二速度郵便、早い郵便と遅い郵便をつくるという趣旨であろうかと思います。この問題は実は郵政審議会の場でもいろいろ議論になったことはございますけれども、御存じのとおり現在イギリス等におきましては一種と二種と同じ料金で取り扱っておりまして、そういう一種、二種を一緒にした上で早いものと遅いものというふうな区別になっていることも先生案内であろうと思います。そういう点から見ますと、私たちの方でいま一種と二種とを同じ料金にして、早いものと遅いものだけ、そういう二種類の区別にするということも、いろいろ現在の郵便制度の根本的な改革につながりますので、それに伴ういろいろな手続等の改正、いろいろな問題もございまして、この利害得失につきましては今後いろいろまだ検討してまいらなければならないと思いますので、いますぐここでこれを取り上げるという考え方は持っておりませんが、今後なお慎重に検討してまいりたいと思います。
  62. 田中昭二

    田中(昭)委員 配達の効率化を考えた場合に、人手にかかわる回数をなるべく少なくするということから一日一度の配達ということになるだろうと思いますが、現在小包への信書の同封を禁じておりますね。同一受取人に二度にわたるいわゆる送達でむだを生じていますが、これを改正し、適正料金による小包類への信書封入許可制度ですか、こういうものを考えていいと思いますが、どうでしょうか。
  63. 石井多加三

    石井政府委員 先生案内のとおり小包という制度は通常郵便物という制度と全く異なるわけでございまして、片や信書の送達ということが中心であり、片や単なる物品の送達ということでございますので、現在もこの取り扱いの方法等につきましても大きさとか重量とか料金とかいろいろな面で別々の、ずいぶん差をつけた取り扱いをやっておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のように小包の中に信書を入れるということにつきましては、そういった両者の種別を根本的に変えることにもつながると思いますので、この問題につきましては今後なお慎重に検討させていただきたいと思います。
  64. 田中昭二

    田中(昭)委員 委員長、聞いておってくださいよ。いま私、郵便送達のことで大きな声を出しましたけれども郵便法にちゃんと規定した、国民基本的通信を云々といいながら、そういう考えを持ちながら、郵便が届かない。それがどんどんふえているというから、こういう提案を――これは私が考えたものではないのですよ。現場へ行きますと、そういう細かいことでも、まず細かいことからやらなければ実際何もできないんじゃないですか。ここに現場に行ったときの提案事項をいまから申し上げようと思ったが、そういうことじゃ申し上げられません。とにかく慎重に検討するだけじゃ、どうしようもない。  私は最後に一言、この提案で、いま一番郵便局で困っているのは、住居の移動があった場合に、やはり一年以内の場合にはまた届けなければならない、こういうことになっているのです。まあこれも現場に行けばいろいろな法律の精神に違反するようなことが多々行われておると思いますけれども、そういうことをただ責めるだけでは意味がないことでありますが、この住居の移動については大変むだな労力を――それはちょっとお役所のお互いの意思を統一すればできることです。これはどうですか、何か考えてありますか。おそらくこれも現場の実態すら知らないのじゃないですか。
  65. 石井多加三

    石井政府委員 現在郵便局で郵便の外務員が配達していきますためには、配達地図でございまするとかまた居住者カードといったような、配達作業をやっていく上に必要不可欠な資料がなければならないわけでございます。この点につきましては従来から通達等でこの整備をずっと実施さしておるわけでございますけれども、特に最近、都市化現象の進行に伴いまして、御指摘のように非常に住居の変動が多いというふうなことでございまして、こういった配達地図の整備とか居住者カードの整備というようなことにつきましては、なかなかこれを絶えず現行にしていくということには大変郵便局では苦労しておるわけでございます。こういった点につきまして、実際にはこの整備のための必要なカードをたとえば町内会等を通じまして各家庭に配付いたしまして、必要な事項を記入していただいたり、またそれを回収いたしたりいたしまして、また市町村等の郵便台帳から転記をいたしますとか、戸別訪問等の場合にこれを補完するといったようなことで、地図、カード等につきまして、あることはあるわけですが、これが絶えず現行になっていなければならない。そのためには毎日努力してやっていかなければならないわけでございまして、特に郵便局の局情の、いろいろな情勢のよくない、業務運行の困難なような局につきましては、御指摘のようにこれが整備されてない面が多い。またそれが郵便の遅配の一つの大きな原因になっておるということもありますので、この点につきましてはわれわれとしては実に大切なことでございますので、平素からそういった指導をいたしておりますけれども、なお今後ともこの面の指導を続けてまいりたいと思います。
  66. 田中昭二

    田中(昭)委員 その枠を一遍破らなければだめですよ。私の言っていることも、それはいまの体制の中では無理かもしれませんけれども……。  自治省、見えておられますか。全国で都市の移動というのは大体どのくらいあるのですか。まあおおよその見当でいいのですが、何割ぐらい移動していますか。
  67. 竹村晟

    ○竹村説明員 都市の移動という御質問でしたが、人口の移動ということではないかと思いますが、(田中(昭)委員「そうです」と呼ぶ)その問題につきまして、直接担当してはおりませんが、私が昔の仕事で、たとえば都市近郊の住宅団地等でかわる状況等を見た場合に、大体年間に二割程度というふうな調査をしたことがあります。担当じゃありませんので正確な数字ではありませんけれども、そういうふうな状況になっております。
  68. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま自治省から言ってもらっても二割か三割ぐらいの人口の移動というのは、これは常識として私たちも聞くわけですが、そういう移動があるということに対して本当に現場が苦労していることを考えれば、私は郵政省自体でも、たとえばいまの人口の移動についても市役所なりそれぞれのところに移動届を出すわけでしょう。それをそのままどういう形でか郵政省の方に協力してもらってすれば、まあ自治省の方も、それは簡保の資金とか貯金の資金なんかもうんと応援しているんだから、そういうことはひとつそれこそトップの話し合いで何とか便宜の方法を与えてもらえば、郵政事業は人手がかかる、人件費が高いからと言うけれども、その人件費も給与と物件費から出る人件費は相当なものでしょう。この前この委員会で言われておりましたけれども、三千億に満たないような人件費が物件費まで入れれば四千五百億とか五千億近くになるでしょう。二割の移動を現場の郵便局でその移動通知がもらえるとするならば、その人件費のおそらく何割かという金額がはっきり節約できるのですよ。そして現場の職場でも喜ばれることなのです。こういう人口移動について、そういう移動通知をもらってはどうだろうか。そういうことの下調査も何もできてないのです。できてますか。
  69. 石井多加三

    石井政府委員 先ほどお答えいたしましたように非常に大事な配達資料でございまするので、これにつきましては郵政省としても最大の努力をいたしておるわけでございますが、ちょっと先ほど触れましたように、こういう面につきまして、市町村によりましては一部でございまするけれども非常に協力をしていただいておる。そういう局ではこういった資料が非常に整備されておって配達上非常に助かっておるということは事実でございますが、これを全般の市町村にどこでもそういったことを、何といいますか常識的にいつでもそういった移動があった場合に届け出を郵便局の方へも知らせていただくというふうな制度化するというところまでは現在至っておりませんので、この点につきましてはわれわれとしても自治省の方面にもお願いもしたいと思いまするし、また現地郵便局でもそれぞれの市町村とおっしゃったようないろんな関連性もございまするから、積極的に接触をして御協力をお願いするようにしたいと、かように考えます。
  70. 田中昭二

    田中(昭)委員 いいことは制度化してやってくださいよ。二千億も三千億も四千億もの人件費が今日になって困るという郵政事業ならば当然じゃないですか。昨年の年末あたりは、何ですか郵便局は大変な不況下にアルバイトを雇って何だかんだというような報道もされましたけれども、物件費の中に占める人件費でも、いつも予算よりもオーバーして千億に近い金がどんどんどんどんふくれ上がってきておるじゃないですか。ひとつ真剣になって郵政事業の健全な発展のためにやらなければ、本当に毎年郵便料金値上げをしなければたまらぬということになってきますと、大変なことです。そういうことのないようにひとつお願いしたいと思います。  これまた細かい問題でございますが、郵政省も全国に二万何千かの局を持っておりますね。この局舎の問題についてでございますが、財政悪化という中でもみずからの郵政省の経営努力の一環として、資産の適正かつ有効な運営、そしてその改善を図るという方法もあると思います。その中で局舎等の固定資産に関してですが、現在二万一千局もあります局舎の整理統合、こういうのが数多く行われておりますが、その際、処分を行うとともに、古い使われない局舎、用地がそのまま放置されておる。これでは適正な管理をしておると言えません。こういう状態につきまして当局ではどのように把握してあるのか、その状態をひとつ説明してもらいたいと思います。
  71. 武田礼仁

    ○武田説明員 お答え申し上げます。  その状況でございますが、昭和五十年二月末現在で土地二十三件、面積三万一千五百二十八平方メートル、このうち建物つきのものが八件で、建物の延べ面積は七千七百五十平方メートルであります。この資産額は、固定資産台帳価格で土地は十四億三千三百六十万円、建物は二億三百九十万円で、合計十六億三千七百五十万円となっております。そして、これを適正処理いたしますにつきましては、処分の方針といたしまして、国有財産中央審議会答申の趣旨に基づき、当省におきましても公用、公共用、公益事業を優先としておりますが、処分の相手方である地方公共団体等の財政事情から、遅延しているものあるいは一時中断の形となっているものがございます。しかしながら、今後も買い受け希望の公共団体等へさらに働きかけるなど、一層の努力を続けてまいりたいと考えております。
  72. 田中昭二

    田中(昭)委員 こういうことは、もうここで言われなくても当然のことを、いま最後に努力するとおっしゃいましたけれども、はなはだしいのは十年以上もそのままになっているのもあるのです。それが買うたときの値段が帳簿価格で十六億といいますから、土地の値段はこの高度経済成長の中で、はなはだしいところじゃ十倍、まあ四、五倍というのがあたりまえです。もともと郵便局のあった所というのは一等地です。私も、東京都下の青梅郵便局ですか、行ってきました。りっぱなところです。鉄骨コンクリートづくりでも、建てたり買ったりして大体二十年以内くらいで、そこはぱあになっているのですね。耐用年数からいってももったいない話です。しかし、それが仮に事業の運営上だめだから別な所に引っ越したとしてみても、十年もほっておく必要はないじゃないですか。十六億が百六十億になるか二百億になるか。まあ何も急いで使わなくなって、二、三年して必ず処分しなければならないと私は言っていません。適正な運用をやらなければならない、こういうことを言っているのです。何百億という遊んだ資産があって、これまたどうでしょうかね、郵便料金値上げなんか、これは国民に厚かましいのじゃないでしょうか、委員長。何百億という金、遊んでおるのです。それでこの前から、特定局の局舎は五十年も六十年も家賃払っておるというような話。大分これはおかしいですね。片方では五十年、六十年耐用年数のある建物を二十年以内で売っている。売っていると言うと語弊がありますけれども、使わなくなっている。片方は二十五年くらいの耐用年数のものを五十年も使って金を払っている。それはもうこの前の審議を通じますと、二十年か十五年か、それくらい以上はただもらっているようなものだという話もある。大変矛盾している。こういうことを一々挙げておったら、国民は本当に郵政事業に対して理解するどころか、これは大変なことじゃございませんか、大臣。どうですか、こういう何百億に相当する資産をどのように適正に、かつ有効に処分して、国民に申し開きをしますか。大臣、いかがですか。
  73. 武田礼仁

    ○武田説明員 技術的に二つお答えしておかなければならないと思います。  一つは、初めに申し上げました台帳価格でございますが、これは五年ごとに時価に見合うように評価替えを行っております。四十六年に評価替えを行っておりますので、時価とそれほど開きがあるということはございません。それからもう一つ。特定郵便局の借料の関係でございますが、計算の方法は、私たちは二十五年で元利均等償還ができるという考え方で計算をいたしております。
  74. 村上勇

    村上国務大臣 遊休建物を、郵政省が必要でないものを、二十年もほっておくということは私はどうかと思います。十分調査の上、そういうことはできる限り利用度の高いところへ譲っていくというように努力いたします。
  75. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう、ちょっと腰が重くなりましたね。まあ、予定しておる質問がございますから進めていきましょう。  大臣、これまた現実の一つの問題から、私はいまの郵政業務の中で本当に国民の期待に沿うような姿になっているかどうか。この問題に対して法律違反、規定違反があったら、大臣、私もうこれは郵便料金値上げ、引っ込めてもらいますよ、本当に。そういう問題です。事柄は小さい問題ですけれども、そこから及ぼす影響というのは、郵政省が本気になってこの行政サービス考えなければ、大変なことになる問題です。  東京都下のある特定郵便局で、郵便法にあります書損はがきの取りかえ、交換、このことで一つの事故が起こっております。この事故について、ひとつ当局の方の御説明をお聞きしたいと思います。
  76. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  本年一月の初め、東京都内のある特定局で、交換いたしました書損はがきが過って配達されたという事故がございました。これは一月の六日午後一時半ごろ、その無集配の特定郵便局でございますが、その郵便の窓口の取扱者が、十二月十四日以降交換して鉄匣に保管してきた書損はがきを、たまたま事務机で整理していたところ、取り集め便が到着したために、その方の事務に当たっている最中に、郵便の補助者が過ってその書損はがきを取り集め人に渡してしまったというのでございます。取り集め便出発後、すぐ事故に気がつきまして、郵便局長が、取り集めを行う普通局のある主任に電話でこの返戻方を依頼したわけでございます。その普通局におきましては、取り集め便到着後、直ちに混入した書損はがきをえり分けましたが、混入枚数が不明のために、無集配の局長に電話で問い合わせたわけでございますが、無集配の局長が正確な枚数を言わなかったために、書損と思われるはがきを可能な限りチェックして、漏れなく回収に努めて、約二百枚ほどを当日当該の無集配局へ返戻いたしました。そのほかの何枚かが配達になってしまいまして、ただいま御指摘のように新聞に報道された次第でございます。その後、当該はがきの差出人が、書損交換した特定局に苦情に来られましたので、役職者が当日の事情を説明いたしまして手違いをおわびしたわけでございます。その際、応接者がその方のお名前とか住所等を聞き漏らしてしまいました。後日申告者のお宅がわかりまして、改めて郵便局長が陳謝に伺っておると聞いております。  いずれにいたしましても、この一件は重ね重ねの事故でございまして、私どもといたしましても、お客様に御迷惑をおかけいたしましてまことに申しわけないと存じております。
  77. 田中昭二

    田中(昭)委員 委員長、真剣に聞いてもらったらしいが、少し声が小さかったからよくわからぬところもあったかと思いますけれども、これは第一番に、届けられてならない書損はがきが九州の果てまで行ったというのですよ。大変な事故です。これは。  そこでこの事故に関連して、いまから私は、私の知った範囲のことから、まだ足らないところ、たくさんありますけれども、一つ一つ確認していきます。確認していかなければ、重大な事故であるということが気がつかないと思いますから。  まず、この書損はがきがことしの初めに何月何日に何枚手数料を払ったか払わぬか、わからない。その手数料は現金であったか切手であったか、わからない。これはどうです。
  78. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまの御質問にございました、その局で何月何日に幾らの書損はがきを受けたか、また現金でその引きかえ料を受けたか、あるいは切手でそれを受けたかといったようなことにつきましては明確になってないようでございます。
  79. 田中昭二

    田中(昭)委員 明確になってないのですよ、大臣。仮に私が現場の特定局に十枚なら十枚の書損はがきを持って交換に行きますね。私だったら切手の古いのを持ちませんから現金を持っていくでしょう。一枚二円。二十円。その現実がその特定局ではいま言ったように明確でないのです。そういう郵便行政業務が行われておる。ですからいま新聞に報道されたと言いますが、問題を起こしたのは一月六日に持ってきた人の分だろうということになっている。一月六日にその人だけだったかどうかということがまたわからない。わかりますか。一月六日何人の人が何枚の書損はがきを交換したか、わかりますか。
  80. 石井多加三

    石井政府委員 その局では書損はがきが日別に幾ら受けたかという整理をいたしてなかったようでございますので、ただいま御指摘の点はわからないのでございます。
  81. 田中昭二

    田中(昭)委員 わからないですね。最後に郵務局長さんは、その人がわかったから陳謝に行ったと言いますけれども、それは私が何局も現場を見て現実を指摘して、その後に陳謝に行っているようなものなんです。途中にはまだいろいろな大事な問題があります。  そこで二万近い数あるわけでしょう、特定局、普通局も含めて。そうしますと、毎日の現金出納残高も、それから切手で手数料を受け入れた場合には切手の補充をしなければなりません。私専門家じゃありませんが、切手補充請求簿というのがあります。これの記載もなされてない。他の基本的な交換事務に対する適正な処理がなされてないということなんです。この局では。そのほかのことも全部。いいですか。ですから書損はがきの交換について、この現場の局は誤って処理をしたと簡単に言っておりますけれども、これは正規の事務手続に従ってないというところに問題がある。そうですね。一月六日、私以外に何人か持ってきたら、その日は何枚の交換をしました、手数料は何ぼ受け入れました、こうしなければならないのは当然なんです。それがなされてなかった、正当な事務が。ここに問題がある。そしてまた過ちが起こっているのでしょう、仮にその事務をしたところでも。そのはがきが普通郵便物にまじってわざわざ東京から西の果てまで行っているのです。それで普通郵便物にまざったときにすぐ問い合わせはしたといういま報告です。ところが、そういう重大な事故を起こしておったら、それは自分の方にいままで書損はがきが何枚保管してあったということがわかるのですから、その局は毎日の記録がなくても、年末からたまっておった分が何枚ということはわかっておるはずですよ。それが何枚かわからなかったといういま報告になっておる。それで今度は受けたところの親局は、普通局は、その郵便物を一生懸命ひっくり返して、どうしたか知りませんが、現実は私も不明ですけれども、できる限り、可能な限りチェックをして、それを回収した。いいですか。事故に対してそれだけの回収をやるなら、回収したのは何枚かというのはこれは当然でしょう。その何枚かの確認もまたなされてない。なされてないのですよ。そしてそれに関係した、いわゆる書損はがき郵便物にまざったのを何とかしてとめようと思って努力して仕事をした人、その人も重大な事故であると知りながら、上司に報告も、適宜な処置も何にもされていない。かえってこっちが問い合わせたところ、そういうのはありません、知りません、そういうことになっているのです。途中は。なぜそういうときに親局の方で、書損はがきを何枚といってわかって、またそれを特定局に返しているわけですから、そのときに枚数確認がなされないのか。この一点が、ここに隠されているいろんな現場の仕事の従事者とそこに及ぼす心理的影響とか現場の事務、その現場の実情が、失礼ですけれども郵政局、郵政本省にいらっしゃる方には一つも通じていない。通じていないところで仕事を計画し、事務規程をつくり、通達をつくって流すから現場は混乱するのです。当然じゃないですか、これは。少し大げさな言い方になりましたけれども、こういうことがあることはお認めいただけますか、その現場局と親局との関係は。
  82. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘の点は、いずれにいたしましても親局と無集配の特定局との間の連絡の点、いろいろ不十分であって、こういった点につきましてはまことに申しわけないことと思っております。
  83. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこでそういうことが起こりますと、ここでもう一つ問題は、それを利用した利用者並びに国民のどういう状況であったかということば一応別におきます。もう少しまだ問題がございますからね、これは。  それじゃこの事故が、これはたまたま一つ新聞に報道されたからですけれども、これが全国二万一千の郵便局で毎日こういう事故が行われておったら大変なことでしょう。しかし、わかりませんよ、どれだけ起こっておるか。そういう状況のもとで、私はこの書損はがきのことは小さな問題かもしれませんけれども、このままでほうっておくわけにはいかない。ですから、この書損はがきの交換についての関連条文と、現場で行う事務規程と、郵便規則等も含めて、ひとつ説明をしてください。
  84. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま先生御指摘のように、書損はがきの整理につきましては手落ちがあったようでございます。渡切局の窓口におきましては、交換いたしました書損はがきは窓口の売りさばき主任が当日の窓口補充請求書に添えまして、特定局長であります切手類管理主任に提出するという会計手続になっておりますが、これに対しまして現実はそのような手続がされていないというところに欠陥があったわけでございまして、会計手続上大変遺憾なことであると考えております。  それから書損はがきの交換の処理手続でございますけれども、これは郵便法第十九条の四にまず法律的な根拠がございまして、書損はがきの交換は、郵便はがき等で料額印面以外の個所につきまして汚染し、その一部を棄損し、印刷を誤り、または書き損じたものにつきまして、省令に定めます手数料を納付するということで、料額印面相当額により郵便はがき等と交換する制度になっておるわけでございます。それから、それを受けまして郵便規則でございますが、第六条の二に定めておりますが、請求者が郵便はがき等に手数料を添えて郵便局に請求すれば、郵便局ば同一規格、様式の郵便はがき等と交換するというような定めになっておるわけでございます。書損はがきの交換の請求を受けましたら、その場合には、集配郵便郵便取扱規程第百八十七条の二、無集配局につきましては無集配局郵便取扱規程第百七条の二の規定がございまして、これによりまして請求を受理しまして、書損はがきの交換を行うという定めになっておるわけであります。  次に、交換後の書損はがきの処理手続でございますが、これは郵政事業特別会計規程第十編というのがございまして、これは切手類に関する公達でございますが、これの第二十六条それから第四十二条によりましてそれぞれその手続を定めておるわけでございます。これは先ほど申しましたように、その規定に従いますと、窓口担当者は交換済みの書損はがきを窓口の締め切り処理をするまで保管しておきまして、毎日窓口補充請求書に添えまして切手類事務担当者、この場合は特定局長になるわけでございますが、特定局長に提出するという制度になっておるわけでございます。そして切手類事務担当者ば、これは特定局長でございますが、窓口担当者から受領いたしました書損はがきを堅固な容器の中に保管しておきまして、これは原則でございますが、毎月分を取りまとめまして、数量を確認して不用決定の上処分する。これは分任局、いわゆる普通局でございます。ここで処分するというようなことになるわけでございます。この処分に当たりましては、立会者を設けまして、そこで焼却するとかあるいは煮つぶしをするとか、断裁、せん孔、こういったことの方法によりまして再使用のおそれのないように処理するということにしておるわけでございます。  なお、交換手数料につきましては、切手もしくは現金ということになっておりますので、切手で納付されました場合には適宜の用紙に張りつけまして、これを書損はがきに張りつけた上消印しまして、ただいま申し上げました書損はがきと同様に取り扱うこととしておるわけでございます。また、現金で納付された場合には、切手、はがきの売りさばき代金とともに毎日出納官吏の方に払い込む、こういう制度になっております。
  85. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま規定を長々と読んで説明してもらいましたが、ほとんどいまの規定に違反したということが重大なこの事故が起こった原因なんですね。そこで大事なことでございますからもう少し確認をとっておきますが、いまおっしゃらなかったけれども大臣、十九条の四で、書損はがきは交換できますよ、手数料を取りなさい、こうなっているのですね。それでその交換のしかたは規則の六条の二によってこういうふうにやりなさい。「別段の定のある」という法律のその項を受けて同じ規則の四十二条の二によって、こういう手数料については現金で納付することができる、こういうふうになっております。  これがまた重大な一つのこの事故に関係してくることですから確認しておきますが、ここで現金で納付することができるというその解釈はどのようにすべきでしょうか。私は、普通こういうものは現金を持って買いに行くから、現金で納めろというのが原則だ、こういう理解をしておりましたが、どうも郵便法の全体の法律の規定からいくと、それもちょっと言い過ぎだ――言い過ぎだということは現場の現実と合わないということにもなりますけれどもね。ですから、まず法制局からそのことについての御解釈を聞いて、それで郵政省からも、それから会計検査院も来てもらったと思います。検査院も、こういう立場、この法律の規定を受けた場合にどういうふうな解釈をなさるか、お聞かせ願いたいと思います。
  86. 味村治

    ○味村政府委員 郵便法の第三十二条によりまして、第一項で「郵便に関する料金は、この法律に別段の定のある場合を除いて、郵便切手でこれを前納しなければならない。」ということになっておりまして、まず郵便に関する料金原則といたしまして郵便切手で納めるというのが原則ということになっておるわけでございます。しかし、同条の第三項によりまして「郵便に関する料金は、省令の定めるところにより、これを現金で納付することができる」ということで、ここで現金納付の例外を省令で定めることができるようになっております。御指摘の規則の四十二条の二はその郵便法三十二条三項に根拠を持ちます省令でございますので、したがいまして、書損はがきの交換手数料は、郵便法の三十二条の一項の原則でまず郵便切手で納めることができますし、さらにこの三十二条三項の規定に基づきます規則四十二条の二でもって現金でも納めることができる、このようになっておるわけでございます。
  87. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 郵便法の規定についての有権的な解釈あるいは運用につきましては、これは一に政府におありになるわけでございますので、私どもがとやかく言う筋合いのものではないかもしれませんが、いま法制局からも御説明がありましたとおり、もともと国の収入というものは現金の収納をいうということでございますので、現金をもって納めるというのが原則になっているはずでございます。それに対する特例として郵便法で、この三十二条でございますが、郵便に関する料金を特別に郵便切手で納めるという、これはまあまさに特例でございます。それに対してまた、便宜現金で納付することもできるという規定、これはまさに原則に立ち戻っているということで、言ってみますれば、納付者の便宜によっていずれによってもよろしい、こういうことになっているのではないかと思います。ただ、その次の三十二条の二あたりの規定で「料金」という用語と「手数料」という用語を使い分けているというようなところから、「郵便に関する料金」というのが一体手数料まで含むのかどうかというようなところにあるいは取り扱いを不明確にしているような点も多少はあろうかと思いますが、現在郵政省で運用されているところは、どちらによってもこれは納付者の便宜であるというたてまえをとっておやりになっている。したがって、これはあくまでも納付者の立場に立ってのことでございますので、郵政省の方でどちらか一方ということで強制する筋合いのものではない、このように考えております。
  88. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま検査院の御説明のありましたのと同じでございますけれども、私どもといたしましても、利用者の利便という立場から考えますと、切手で納付されましてもあるいは現金で納付されましてもいいように規定を定めておきまして、これを運用するのが適当かと思っております。それがまたお客様の立場に立った考え方ではないかと考えております。
  89. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、これは法律と現実の行政サービスが大変ちぐはぐになっておる、現実が現金で納めるんだったら法律改正すればいいじゃないですか。規程も改正しなさい。検査院の解釈はそうだけれども郵政省はこうやりますよという、そういういまの枠にはまった根本的姿勢がよくないです。そうでしょう、委員長。どうですか。これは重大な問題ですよ。この収入は、現金で納めるか切手で納めるかというのは、まだ実際の実態は検査院が調べてないようなことまで関係しますけれども。これはもう気違いに刃物みたいなものですよ、これをそのままいまの法律並びに規定でいくとするならば。  そういう現実をいまから申し上げます。本当は郵便料金値上げの前にこういう改正をやらなきゃ、国民の側に立ったら、あなたどうなりますか。委員長わかっていただけますか。しかし時間もあるし、これはどうしますか。これは予算にも関係ありますよ。五十年度予算にも重大な関係があります。金額の多少じゃないのです。法律が現実の行政サービスの中で、その枠を越えなくておるということ自体が問題です。また実際の国庫に入ってくる収納の金が規定されたとおり入ってこないとするなら問題でしょう。  そこで一つ現実に行われていることから私は申し上げます。この交換をしようとする利用者が、この手数料を現金で郵便局の窓口に持って行きます。そうしますと、わざわざ向こうの方にある切手売り窓口のところに切手を買いにやらされるのです。そしてまた、切手を窓口からその交換のところへ持ってきて、そして、これは切手で収納されたという処理になって、先ほどの検査院、法制局の原則に戻ったこと、違ったことの処理がなされておる。これは間違いですか。正しいのですか。現実のことは、郵政省はわからぬかもしれぬな。
  90. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま先生の御指摘の件につきましては、私は現金で納付するのが普通の考え方だと思います。わざわざ切手を買いましてこれを納付するというのは妥当を欠く扱いではないかというふうに考えます。
  91. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう場合は現金で手数料を受け取るのが正しい処理であって、切手で処理されるということはよくないことだ、いま局長はこうおっしゃった。平然と行われているのですよ、それがだあっと何十年と。何十年と言っても、この法律がいつできたか私は知らぬけれども、一貫して。それは仕方がないですよ、過去のことですから、私はいろいろ言いません。だけれども、やはりこれは議論する必要があるのですね。  そこで、せっかく現金で納めたものを、切手納付という処理をしますと、いわゆる法の原則的なものにも違反するが、そのほかに何か問題がございませんか。この際、そういうことに関連して起こってくるいろいろな問題をここで言っておかなければ、解決できないでしょう。どういう問題があるか、いまあなたたちがこれを常識的に考えて、どういうことがあるか言ってみなさい。
  92. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生の御質問の趣旨にあるいは沿わないかもしれませんが、切手をお客様が求めるということになりますと、これは切手収入……(田中(昭)委員「お客様が求めるのではない、お客様が買わされるのですよ」と呼ぶ)そういう事態でございますと、これは切手収入の方に計上されてくるわけでございまして、現金で手数料を納付する場合と、収納する科目が変わってくるということは出てくるかと思います。
  93. 田中昭二

    田中(昭)委員 私の質問はそういうことではないのです。現金で手数料を納めたのが原則に違った――原則にも規定にも何物にも違反したような切手処理になっているということをすれば、どういう問題が起こってくるかということを、どういう認識があるかということをまず聞いておるわけですよ。こっちの一方的なことを言っても聞き流しでしょう。大臣、わかりますか。私が言ってもいいですよ。何項目か私も、私の考えがありますけれども、それがこちらから言うだけじゃ一つもかみ合った議論をできないし、またここで言うだけでもどうしようもないじゃないですか。ですから、経理局長じゃなくて、実際現場の仕事をずっとやってきた人もいるのだから、いま考えてみて、どういう問題が起こるか。私は大体これは前もって代表的に四つぐらい言ってある。言ってみなさい。
  94. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生の御指摘の点は、まず手数の問題が考えられると思いますが、これはわざわざ窓口に来たお客様に切手を買わせるというむだな手数をかけているということ。それから会計処理の上で現金と切手の混同が出るのではないかというような点。それから切手の処理をその場でしないでおきますと、これは犯罪等につながるおそれがあるのではないか。それから切手の場合は切手収入に入り、現金の場合は郵便雑収入に入る。これは先ほど申しました収入の区分の問題でございます。そういった点について問題があるという御指摘があったように聞いております。
  95. 田中昭二

    田中(昭)委員 いや、指摘があって、あなたそれを認めますか。  郵務局長、いまの廣瀬局長の言うたことを大体認めてもらわなければ困るのですよ。私だけ指摘したからと言って――そういうことをこっちが指摘すべき問題じゃないでしょう。郵政省考えて、自分の事故を防ぐためのことは、郵政省当局の事務でしょう。私が指摘するだけが仕事じゃないじゃないですか。私は郵政省から一銭も金をもらっていませんよ。確認しなさい。
  96. 石井多加三

    石井政府委員 先ほど経理局長答弁いたしました内容で私もそのとおりだと思います。あくまで、お客様に現金で払っていただく場合、それから切手で払っていただく場合、この選択はお客様の御自由でありまして、それに従うというのが仕事のあり方として当然であろうと思います。
  97. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、郵務局長も認めてもらったということで……。  大臣、いま四項目ぐらい私が言ったことをそのまま言われたわけですけれども、その中でまた重大なことは、ただむだな労力と言いますけれども、それは二重の労力のむだなんです。そうでしょう。現金を持ってきたら、今度はお客さんは向こうに行ってそれで買ってくるという労力と、それからそのために、いま二項目にありましたように、その買ってきた切手は目の前で消印しなければいけない。そういう郵政現場の局の職員の労力もむだになる。それと、いわゆる財政収入の区分が間違っておりましたということだけでは済まぬ。雑収入に上がるものが郵便業務収入に入っておるからよろしいということにはならない。これは重大な点でしょうね。まだあるかもしれません。  それで、この交換事務について問題点をもう少し掘り下げてみますと、もう一ぺん確認しておきますが、この事務規程を私がこの事故を通しまして、いろいろ当局から来てもらってお聞きしたり話し合いをしたりしたときに、やはり現場の局というのは、郵政省が全体の監督をする、進めていく責任があるわけです。その責任の郵政省の中で、トップから下までこの事務を完全に知らないのです。それはまず認めてくれますか。各係によってばらばらだ。全然違うんだ。
  98. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生御指摘のように、訓練においてあるいは欠くるところがある結果かもしれませんけれども、全体的に見ますとそういった局もあるいは見受けられるという点は事実でございます。
  99. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは局が知らないのはあたりまえですよ。本省のトップの人たちが知らないと私は言っているのです。話をあれしちゃだめですよ。進めよう進めようと思うけれども、言えば言うほどどんどんこっちもかっかしてくるけれども、これでは議論が進みませんから。――それでは、手数料と交換差金も納めなければいかぬようになっているのです。昔七円のはがきとかいろいろありますからね。この手数料と交換差金、こういうものを納めることをこの法律で規定しているわけですね。ところが、そのために利用者の迷惑があるのです。利用者へのサービスがおろそかになったり、トラブルを起こしたり、事故を起こしたりしているでしょう。これを私が先ほどから気違いに刃物のたとえのようだと言っているのですよ。言わんとする趣旨はわかるでしょう。不正の温床にもなる。まだたくさんありますよ。これはしかし省略しましょう、委員長も大分くたびれているようですから。問題は、この規定とか法律を徹底すればこの問題解決すると思いますか、どうですか。その辺まで聞いておかなければ……。現在の規定を徹底すれば解決しますか、この問題。
  100. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 会計処理手続につきましては非常に複雑な内容を持つものでございますので、平素から訓練をする。そしてあらゆる機会を通じて職場訓練なりあるいはその他の場を用いまして訓練を徹底するということが非常に大切なことだと思います。もう一つは、やはり郵便局はお客様にサービスする場であるということ、その精神を絶えず踏まえていくということが大切な事柄だと思っております。
  101. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、訓練をしてもその訓練が現実の場に合わなければ、その訓練だけでは問題は解決しないと思います。委員長そうでしょう。これはどっちかというとサービスの規定ですよ。国民に対するサービスの規定です。交換というのは。その交換の規定が現実の利用者を圧迫したようなことの規定になっているということと、それから現場で行われている行政サービスのあれが規定に合わないために、合わせようと思って、通達なんかも私見せてもらいましたが、もう細かい通達が出してある。これは恐らく、私はさっき失礼なことを言いましたけれども郵政省のどなたでも全部知っている人はおりません。ですから、それでは、その中の一つ問題を申し上げましょう。  今度は、交換されたはがきの書損の現物ですね。これはその後どうしなさいという規定があるのです。先ほどの説明によりますと、会計規程切手編四十二条によって、その書損はがきの現物は「焼却、煮つぶし、断さい、せん孔等」などをして不正使用されないようにしなさい、こうなっておる。これは物品ですが、国有財産というと大げさですけれども、国の財産には間違いございませんね。そういう立場で大蔵省と検査院の方から、この交換された、それで郵政省が預かっておるのは――切手編に書いてあるその規定と現場の仕事が合っておるかどうかというようなことも加えて、その国の財産というような立場に立ってはどういうような理解をすればよろしいか、御説明願いたい。
  102. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 ただいまの御質問でございますけれども、国の場合物品管理法がございまして、物品管理法の第二条に定義がございます。そしてこれによりますと、「物品」とは、国が所有する動産のうち、現金であるとか、あるいは法令の規定により日本銀行に寄託すべき有価証券であるとか、あるいは国有財産法に掲げます特定の動産、そういうものを除いたものを物品といたしております。したがいまして、現在いま御指摘の書損はがき、これは物品管理法にいっておりますところの物品に該当いたします。したがいまして、物品管理法の規定に基づきましてこれは管理されなければならない、こういうことに相なります。  そこで、いま御指摘のこれの廃棄の問題でございますけれども、物品管理法の二十七条というのがございます。この場合におきましては不用の決定というのがございまして、「物品管理官は、供用及び処分の必要がない物品について管理換若しくは分類換により適切な処理をすることができないとき、又は供用及び処分をすることができない物品があるときは、これらの物品について不用の決定をすることができる。」ということでございまして、不用決定をいたしまして、そうしますと、いま御指摘のとおり穴をあけたりというようなことをやりまして、不用の決定をいたします。郵政省の場合におきましては、この関係につきまして郵政省の訓令によりまして切手類の管理官が毎月分を取りまとめまして、これを不用の決定をして、焼却、断裁、こういうことをやっておるということでございまして、規定の仕方といたしましては物品管理法に従った規定をいたしておる、こういうことでございます。なお、廃棄されなかった場合、それまでの間につきましてはこれはあくまでも物品でございますので、不用の決定処分がなされるまでは他に再使用されることがないように適正に管理されなければならないということは当然でございます。したがいまして、たてまえとしてはそういうことになっておりますので、それに合うような運用をしていただくということが必要だと思っております。
  103. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 物品管理法上の手続はいま大蔵省から御説明のあったとおりでございますが、会計検査院であるわれわれの立場といたしましては、要するにこれは書損はがきでございます。再び使用するということのあってはならないものでございますので、その不用決定に至るまでの管理が十分になされなければならないということ、それから不用決定はなるべく早くやっていただいて、これが再使用されるというようなことのないように処分は早くやっていただくということが必要であろうかと思います。ただ、その場合に、現在郵政省でおやりになっているのは、毎月を原則として単位として取りまとめる。これは事務の都合でございましょう。なお、それについては、その数日分まとめるとかあるいはそれ以上に期間を延ばすとか、それぞれの現場における実情というものに合わした規定上の取り扱いになっておりますので、要は各現場における取り扱いが、実態がその精神に沿って行われているかどうかということであろうかと思います。
  104. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま理事の方から、大分時間がたったからというお話もあっておりますが、また生理的にもちょうどお昼を大分過ぎておりますが、大事な問題、いまから結論に入らなければなりませんが、どうしましょうか、委員長
  105. 地崎宇三郎

    地崎委員長 どうぞおやりください。
  106. 田中昭二

    田中(昭)委員 まだたくさんあるのですよ。これで終わりならば――まだこれだけあるのです。まだ半分も終わってない。大臣も何かお食事の時間があるそうで……。
  107. 村上勇

    村上国務大臣 結構です。
  108. 田中昭二

    田中(昭)委員 では、これだけの結論だけひとつやりましょう。まだ結論に入るのはちょっと早いですけれども。  それで、問題は、いまの切手編四十二条にも実は大臣、申しわけないのですけれども、違反しているのです。違反の事実がたくさんあるのです。私はこの問題についてはここに、郵政省からも確認いただいて、行ったところの調査先も全部資料もいただいております。これだけです。全部これは私が行って見てきました局の、まあ全部じゃありませんけれども、私はまだ行っているのです。この中から、いま大蔵省の物品管理規程なり検査院の考えも聞きましたが、残念ながら、この小さな現物ですけれども、しかし何億万枚とも集まりますとこの部屋にも入り切れませんからね。この煮つぶし、せん孔、焼却がなされずに他の方法で金にかえられたり、金にかえるべきがいいという処置がなされておる場合はこれはどうなりますか。もちろん切手編の規定にも違反でしょう。国の財産がそういうふうになされておる場合はどういうことになりますか。検査院の方から。
  109. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 ただいまも申し上げましたように、要するに再使用ということがあってはならない性質のものでございます。その意味におきまして、いま先生がおっしゃったような形で横に流れたりといったようなことは、これは絶対にあってはならないことでございますので、これは単なる規程違反ということではなく、会計経理の上から言っても不当の扱いである、このように考えます。
  110. 田中昭二

    田中(昭)委員 さあそこで、本当はもう少しこの行った局の全部を、どこでどういうことがあったということを言うてみなければ――大臣もどうですか、いま検査院は不当な事項というようなことでおっしゃいましたがね。私が行ったときに調べたこととうそのことが報告なされておる。これはそういう書損はがきですからね、現場で大変困りまして、私が行ったところの局では、こういう資源も大変なときだというのでしょう、そういうところで全然何もしてない真っさらなはがきが書損はがきとしてやはり交換されているのですね。それを焼くわけでしょう。煮つぶしするわけでしょう。そんな暇ないですよ。それをある局長さんなんか、おれは退職したら廃品回収やってこれで金もうけしようかという、まあ冗談でしょうけれども、そういう話はしょっちゅうあるのです。それからまた、いま言われたように他に物品と金にかえられた事実がある。これは完全な不当事項。だけれども、恐らく検査院もいままで、私がここでこの問題を出すまでこういう指摘は一回もなかったでしょう。現実は行われているのに、なかった。ここに行政の問題があるのです。いわゆる国民の税金にあぐらをかいてぬくぬくとしておるから、そういうことになるのです。基本をたどっていけばそうなっていきますよ、根本をたどっていけば。じゃそれをそのままにしていきなさいといっても、これは私たちとして、国民代表としてそのまま通れないじゃないですか。  まあ本省でもこの事務規定を知らないというようなことも大体おわかりいただいたと思いますが、私は先ほど根本解決にならないと言ったのは、実際の事務を知らないで、ここでどんなに郵政省の英知をもってしてみても、また間違った指示を出す以外にない。そこに国民が、結局そのしわ寄せを利用者がいただくということになるでしょう。  そこで今度は、地方の郵政局も間違った指導をしておることを私はまだ本当は三つ、四つ実例で申し上げたいのですけれども、まず私が行った局の関係で地方郵政局が間違った指導をしておることはお聞きになっていますか。それだけをちょっと聞いておきます。一つずつ具体的事実は申し上げぬでも。
  111. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私は存じておりません。
  112. 田中昭二

    田中(昭)委員 存じてないから、ここで言えば解決する問題でもないと思いますが、ここにずっと私行ったときの記録を持っておりますけれども、ある代表だけ申し上げておきます。これは事実調べればすぐわかることですからね。私、昨年も――ことしでしたか、ことしですね、この会議録に載っておりますが、茨城県の古河駅の小荷物通知書のあれで私ここで問題にしたでしょう。あのときは関東郵政局ですか、投書者に対して本当の実態を親切に教えてあげてなかったんですね。ああいうふうに、この書損はがきについても、ある局ではいままでずっと切手で処理されたようにしておったわけです。ところが、私が行った後、これはまずいから――行く前です。行く前に郵政局の係官が来て、三日ぐらい前に全部現金で、手数料でかえたということに処理しなさいということで、その後その局はずっと現金なんです。いずれにしろ手数料を取ったとか――取らぬところもありますよ。取らぬという記録が残っておるところもありますよ。日にちだけ申し上げましょうか。全国ずっと二万一千局調べてみなさい。行ったところ、わかりますから。わかるでしょう。まあ、全部知らないとおっしゃいますからね。そういう、この根本解決を図るために指導したり適切な処理をしなければならない郵政省、地方郵政局では適切な指導ができない。この責任も処理もはっきりしなければ規程違反が、法律違反が勝手気ままに行われる。こういう現状では、私は郵便法のこの審議は進められないような感じがする。いかがですか、大臣
  113. 村上勇

    村上国務大臣 大変参考になり、私どもが今後十分留意していかなければならない点について有益な御指摘をいただきましてありがとうございました。今後取り扱い等につきましては会計事務の上にもあるいは事務取り扱いの上にも全く何の不安のないように十分に研究もし、またこれを指摘いたしまして、万遺憾なきを期したい、このことを強く痛感いたしておる次第であります。
  114. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは私はいま委員長大臣答弁をいただきましたけれども、現実、違法の規程違反のことが平然と行われておるこういうことについて、先ほどこの交換の基本であります十九条の四の法律も、原則から見れば、現実の利用者の利便の状況から見れば、変えなければならないんです。それが第一番でしょう。そしてこの現場の事務というのをよく知って――現場というのはまた不思議なもので、いまそのとおり、規程どおり処理されてないから処理してない人が悪いような感じを与えておりますが、私はそうは思いません。現場でやっていることの方が正しいのです。現場の知恵と言いますかね。それを郵政省は、そういう現場の事務のスムーズにいくことを、こうすれば一番いいということを聞いてもくれない。聞く体制もない。そして法律、規程違反は平然と行われている。それでまた監督する郵政局は間違った指導をしている。これじゃ、どういうことですかね。  それからもう一つ、先ほどせっかく大蔵にも来てもらってあれですが、五十年度の予算をつくる場合、五十年度はどういうふうな歳入の見積もりになっておりますか、それをひとつ。また、それを査定した大蔵省の査定の中での収入の見積もりはどういうふうになっておるか、お聞かせ願いたい。
  115. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 昭和五十年度におきます郵政事業特会の収入でございますけれども、業務収入の中は、業務収入と受託業務収入、雑収入に分かれております。この中の業務収入でございますけれども、内訳は、郵便業務収入と為替振替業務収入でございます。  そこで、問題となっている郵便業務収入でございますけれども、これは過去におきます実績等、こういうものを見まして、これを勘案いたしまして、さらにこれに郵便料金改定によります増収額、いまお諮りしております千五百七十八億円を織り込んで算出したところでございます。この場合に、値上げをいたしますと通常のとおり利用減というものがございますので、その利用減を見込んだり、さらにまた、値上げによりましてほかのものの方へ移行する、安い料金の方へ移行するというようなこともございますので、こういう点につきまして郵政当局と御相談をいたしまして、物数全体としまして初年度一・九%減ということで計算をいたしております。  その次に、為替振替業務収入でございますけれども、これは、過去におきます実績等を見まして、取扱口数の増加であるとか、そういうような最近の収入実績を勘案いたしまして算出いたしております。  さらに、大きな二番目の受託業務収入でございますけれども、これは郵貯特会であるとかあるいは簡保特会あるいは電電公社あるいは一般会計、恩給等ございまして一般会計から入りますけれども、こういうものの受け入れ見込み額を計上いたしております。  最後に雑収入でございますけれども、これは物件の売り払い代金あるいは病院等の収入、収入印紙の取扱収入等を、実績等を勘案して算出したものでございます。郵政当局とよく相談の上決定をいたしたものでございます。これらの計算につきましてはマクロ的に歳入を見込んで計算をいたしておる、こういうことでございます。
  116. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵政省はいまの、全部説明するとまた時間がかかりますから、郵便雑収入の内容はどういうふうな見積もりになっていますか。
  117. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 四十八年度の実績と同額を計上いたしております。
  118. 田中昭二

    田中(昭)委員 同額を計上していいですか。予算を組む場合には前年実績、そういうものをちゃんと見て――大蔵省は、いま郵政省は前年同額を雑収入は見たと言うが、これはいいですか。
  119. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 郵政省の御方針どおりそれを認めたわけでございます。
  120. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一遍聞きますが、雑収入はなぜその内容を、私が質問したのにあなたは答えられないのですか。大蔵省でも郵便雑収入の内訳を一応言ったじゃないですか。なぜかというと、この郵便雑収入の中にはこの交換手数料が入っているわけでしょう。なぜ言えないのですか。
  121. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先ほど大蔵省から御説明がございましたように、郵便収入全体については過去の傾向を見ながらマクロ的に把握するということで郵便収入の見積もりをいたしておるわけでございますが、同様に雑収入につきましては見方を四十八年度同額という計算で計上しておるわけでございまして、それぞれ収入によっては見積もりの方式を変えて計上するわけでございます。したがいまして、全体としては、郵便収入の見積もりとしてはそれぞれ方式が異なっても差し支えないかと思っております。
  122. 田中昭二

    田中(昭)委員 差し支えなかろうけれども、うその見積もりをした――うそと言うとあれだけれども、検査院どうですか、仮に前々年実績を、五十年度ですから四十八年度ですね、四十八年度の雑収入を五十年度の予算の場合にはそのまま持ってきた。ところが、その郵便雑収入の中にはこの交換手数料も入っておって――これは私の結論を申し上げましょう。交換手数料は、いま郵政省から提出してもらった資料だけによってもおおよそ六割ふえるんです。その六割ふえるものを何で四十八年と同じ実績で――これは六割ふえるのは四十九年の実績ですよ。五十年度はまだふえるかもしれません。仮に倍になるものを一で計上しておってもマクロ的とか何だかんだということで予算を認めることは、私はできない。検査院としての立場はどうですか。
  123. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私の説明が舌足らずでございましたが、郵便雑収につきましては郵便業務収入の中でございますので、マクロ的にと申しましたのは、郵便業務収入全体を把握いたしまして、そこの中で郵便雑収を計算いたしております。中で、先生の御指摘のように郵便雑収に入る部分が切手収入と入れかわるということがございましても、郵便収入の見積もりとしては、大数的に見ますと影響がないというふうに私ども考えております。
  124. 田中昭二

    田中(昭)委員 これはどうも大変な問題です。郵便の業務収入がマクロ的に見て余り変わらないから同じだと。しかし、雑収入の基本になっているものは、私がおたくの方から提示された資料を見ても、四十八年よりも六割もふえている。五十年はなおふえるだろう。こういうものを何で四十八年の額そのまま載せなければいけないかと言ったものに対して平然としておるそういう答弁では、予算の審議どころか、何を審議すればいいんですか、それじゃ。委員長、もうこの辺でどうですか、質問がまだこれだけ残っているんです。やれというならやります。――お願いします委員長、私は、いま申し上げたように、この問題は完全に法律違反、規定違反があるものをそのままで進めるということはどうしても納得いかぬことです。それから、これは重要な郵政省の予算について、予算の算定基礎が間違ったものをもって算定されておる。常識的に考えてみてもふえるものを、郵便物数なんかは、やれ料金値上げしたら物数が減るだろう、何だろうかんだろうと言って計算根拠を立てているものが、郵便雑収入に交換手数料を取ったものがはっきりしておるものがそのまま入れられないで、何で進められますか、審議が。  ですから、どうでしょうか、この辺でちょっと休憩さしていただいて、そしてまた次の問題に入るようにしてもらっては。――やりますか。
  125. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  126. 地崎宇三郎

    地崎委員長 それじゃ速記を始めてください。  この際、午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時九分開議
  127. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  128. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が午前中に指摘しました書損はがきの交換事務については、現場でのいわゆる事務が利用者に対するサービス的なことも含まれて円滑に行われなければならないものに関して、この規定、事務処理等が完全にマスターされてなかった。また、事実、処分規定等において適切を欠いておったというようなことをるる指摘したわけでございます。それで、こういうことは私は郵政省の内部でのいわゆる体制の思い切った改革といいますか、現場の意見を十分吸い上げて、そして現場に合ったような規定に変えていくという、上から下へ流すだけじゃなくて下の現場の意見をよく聞いていくというような体制に持っていかなければならない、こう思います。  そこで私が行きました局の中で交換事務について率直な意見を述べられた局長さんがいらっしゃいます。いろいろなことを言われましたけれども、特に大事なことを申し上げれば、やはり交換事務はサービスの一環である。だけれどもいまの規定どおりにやっておったら繁雑で仕方がない。実際問題として利用者にも疑念を抱かせる、いわゆるその場で切手を消印したりいろいろ先ほど申し上げたようなことがあるために。だからこれを解決するためには、書損はがき交換事務そのものがサービスなのだから手数料を取らないでやってもらいたい、これが終局の特定局長さんの言い分。ですから、そうしませんと、先ほども言いましたように手数料を取ることだけに現場では頭がいくものですから、だからやれ切手だ、やれ現金だということで処理が大変複雑になる。こういう点を今後、これは私の意見じゃなくて現場の局長さんの意見ですから、十分ひとつ取り入れてもらいたいということが一点。  それから、いわゆる予算作成の場合におきましても、郵便の業務収入というものの中には当然雑収入の現金収入で入らなければならないものがありながら――そしてあるということは、現在出ておる四十八年の実績といえどもこの雑収入は実態と違ったものが出ている。ですから、翌年度の予算を見積もる場合には当然そういうことを加味し、その手数料がどんどんふえておるならばそのふえておるということも反映して予算に計上することは当然だ。この二点にしぼって、これはどちらかというと当局の改善しなければならない問題だと思いますから、当局からお聞きし、そして大臣からその決意をお聞きしてこの問題を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
  129. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま書損はがきの交換の問題につきましていろいろ実態を調査されまして貴重な御意見を賜りましたことを厚くお礼を申し上げます。この交換手数料の取り方、それからやり方等の問題につきまして、確かに現場の指導等の面につきましてわれわれの方の不十分な点は十分反省しなければならないと考えておる次第でございます。  なお、その際現場の局長等で交換手数料を徴収しないことにした方がいいではないかというような意見が出たというお話でございますが、この制度は、先生案内のとおり、昭和四十一年度の郵便料金改正の際にやはり何かの見返りといいますかサービスアップを考えるべきであるということで当時取り入れられた制度でございます。往々にしてはがきを書き損じるとか誤って印刷するということはわれわれもしょっちゅう経験しておるわけでございますが、ただこういう事情はやはり購入された方の過失によるものであることはまた間違いがないわけでございまして、こういった書損はがきを交換をしない従来の取り扱いでございますると非常にそういう方々にはお気の毒であるというようなことから、当時この制度は設けられたわけでございます。そういうような点もございまするし、また先生案内のとおり財政法第九条の国の財産は適正な対価なくして譲渡してはならないというふうな規定の趣旨もございまするので、書損はがきの交換のための必要な経費と申しますか、これは御案内のとおり、たとえばはがき等の調製でございますとかあるいは配給等の経費とか交換に伴う事務に要する経費が現実にあることは事実でございますので、それを償う程度の手数料は交換を請求される方から払っていただくというのが一応筋ではないかと考えるわけでございますが、いろいろ御提案もございまするので、なお今後いろいろ検討させていただきたいと思います。
  130. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵便業務収入の雑収入の見積もりにつきましては、先生御指摘のように実態を十分把握いたしまして今後歳入を見積もる場合に十分検討いたしてまいりたいと考えます。
  131. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま郵務局長からお答えいただいた中で、大臣お答えの前にもう一つ念を押しておきたいことは、確かにこの交換の事務は一つのサービスとしてというようなことで決められたわけでございますが、交換される書損はがきは相手の過失だということをいまもまた表現なさったわけですけれども、過失であろうとも何であろうとも――それじゃそういうことを利用者に要求するならば、今度はその交換事務をしてあげる当局はどういうことをしておってもいいのかというような、反対の立場に立ってのことをしっかりしなければいけない、こういうことになるわけです。個々にこういうことでまた重点を置いていきますと、議論は数限りない。私が調査した局の中でも一つ一つその実情をもう一遍言わなければならない。ですから事務当局はそれ以上答えられないと思いますから、大臣の気持ちとして今後私はこの交換手数料は、この法に決められた精神といまの財政法上のいろいろな問題とを踏まえて、この交換事務がスムーズにいくという体制ができるまで交換手数料はもう上げない。そういう方向で一遍検討する。そうして、どうしても料金改正も行われることですし、問題があるならば当委員会でもう一遍議論をした上で省令事項として決めてもらう、こういうふうに大臣から御発言いただくか、そういう方向で検討するという御発言をいただくか。ぜひ、どちらかをしていただきたいと思います。
  132. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘の点は先生非常に多年にわたって御苦労され、そしてこれだけの御調査を願ったわけでありますし、また当省としても非常に参考になり有益な御指摘でありますので、十分前向きで検討いたしまして、何とか御期待に沿うようにその解決を図りたいと思っております。
  133. 田中昭二

    田中(昭)委員 大方の私の申し上げたことはお約束いただいた、こういうふうに理解しまして、実際はどうするかはまた御検討いただくということで了解したいと思います。  次に、もう時間も大分過ぎておりますからもう一問、これまた予算と関係した重要な問題でございますが、私もスムーズにすっすっ質問を進めていくつもりでございますから、ひとつそのつもりで誠意のある答弁をお願いしておきます。  と言いますのは郵便貯金会館の問題でございまして、これはことしの三月七日、参議院の予算委員会でわが党の黒柳議員が郵便貯金会館建設について質疑を行いました。結論が納得がいかないままになっておりますので、この件で二、三お伺いいたします。黒柳質問に対しまさか違ったようなお答えはないかと思いますが、初めにもう一度この委員会で確認をしていただきますので、御答弁をお願いしたいと思います。  まず郵便貯金会館建設の法的根拠と設置する目的は、郵政省設置法第四条の第十四号並びに二号、八号でよろしいのでしょうか。そのほかに何かあるのでしょうか。
  134. 船津茂

    ○船津政府委員 郵便貯金会館の現在の設置の根拠でございますが、先生おっしゃるとおり設置法の第四条第十四号、第二号、第八号に基づいて設置しておるものでございます。
  135. 田中昭二

    田中(昭)委員 法制局にお尋ねしますが、これは設置法の拡大解釈であると思うのですが、どうでしょうか。
  136. 味村治

    ○味村政府委員 ただいまの郵政省の御答弁のように、これは主として郵政省の所掌事務の周知宣伝のための機関であるというふうに解されているわけでございます。郵政省の所掌事務でございます郵便貯金業務といったようなものは、通常のわれわれの普通の行政事務、狭義の行政事務と申しますかそういうものと違っておりまして、非常に事業的な色彩が強いわけでございます。そういうようなところから郵便貯金会館の建設、運営ということによりまして、会館の利用者等によりまして郵便貯金業務の理解を深めるあるいは郵便貯金に対するイメージアップをするというようなことによりまして、郵便貯金事業の周知宣伝に役立つということは考えられるわけでございますので、このような郵便貯金会館の建設、運営を郵政省の所掌事務であります郵便貯金事業の周知宣伝のためにしているということは必ずしも当たらないというわけにはまいらないかと思います。ただ、周知宣伝と申しましてもその形態にはいろいろあるわけでございますし、郵便貯金会館の建設、運営といったものが周知宣伝に該当するということにつきましては、やはり社会通念上一定の幅があるわけでございましょう。そういったところから考えますというと、まあ疑問を持たれる向きもないではないかと思うわけでございますが、ただいまのところではこれは郵政省設置法の根拠に基づくものとして考えられており、そのことは直ちに当たらないとは言えないというように考えております。
  137. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうも最初の方からずっと聞いておりましても、ちょっと参議院で御答弁になった法制局の見解とは後退したような感じがしますけれども、いずれにしろ貯金業務のPR業務としてはいろいろありましょうけれども、それはいまの貯金会館の実態とは離れておるという疑いもあるということが大事でありますから、その辺はいままでの御発言等から見て私は少し納得いかないわけでございますが、大臣、この問題では見解を参議院の予算委員会でお述べになって済んでおるように言われておりますけれども、この見解は何ら解決になっておりません。  そこで、一つ一つの問題からまたもう一遍確認の意味で詰めてまいりますが、この郵便貯金会館に関する見解ですね。もう一回お述べいただきたいと思います。
  138. 村上勇

    村上国務大臣 郵便貯金会館は、郵政省設置法を根拠として郵便貯金の周知宣伝等の施設として設置しているものであります。郵政省設置法の規定のみを根拠として設置することにつきましては、それが直ちに違法であるとは考えないが、その設置の法的根拠をより明確にすることが望ましいのであります。そのために必要な措置として、事業団方式等を含めて次期通常国会をめどとして検討することにいたしたいと思っております。  なお、郵便貯金会館の運営に当たりましては、今後とも公的施設としての品位と節度を保つよう十分配意してまいりたいと思っております。
  139. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまお述べになったのは、参議院の予算委員会の総括のときにお出しになったのをそのままお読みになったわけですが、その中で、直ちに違法であるとは考えないが云々と、これが問題ですね。これが問題だと思いますが、どうでしょうか。
  140. 村上勇

    村上国務大臣 衆議院の当委員会におきましても積極的な設置等についての御意見等も拝聴いたしておりますし、直ちにこれが違法だということには考えてはおりません。ただ、しかし、ただいま申し上げましたように違法でないからといって、それで突っ放していくというようなことは全然考えておりませんので、次期通常国会までにこれの統一見解の解決をしてまいりたいと思っております。
  141. 田中昭二

    田中(昭)委員 前進しておりませんね。  その次にそれでは、法的根拠を明確にすることが望ましいとありますが、法的根拠を明確にするとはどの点を設置法において明確にするんですか。
  142. 船津茂

    ○船津政府委員 大臣お答えいたしましたとおりに、設置法直ちに違法であるとは考えておりませんけれども、社会通念上それが妥当であるかどうかの疑念なしとしないということで、これを法的根拠をより明確にいたすために、まあ事業団方式その他を含めまして類似の施設がありまするならば、それらも参考に十分取り入れまして、その法的根拠を明確にしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  143. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま事業団方式等を含めてと言われたけれども、もう少し具体的に、それはどういうことですか。事業団方式等を含めてとおっしゃったんですね。それはどういうことですか。
  144. 船津茂

    ○船津政府委員 先生も御承知かと思いますが、こういうふうな事業体を運営していくに当たりましては通常特殊法人、事業団――まあ部内にも簡易保険郵便年金福祉事業団というのがございますが、そういうふうなやり方、ないしはほかの特殊法人、別の法的根拠による特殊法人の例もあるやに伺っておりますが、それはいろいろ法的根拠を明確にするためには、そういう類似のものを十分参考にいたしまして、かっちりした基礎に置きたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  145. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは何でもかっちりしていかなければいかぬけれども、そんなたくさんあるものではないんですよ。  行管庁では、今後この事業団のこういうものを余り拡大していかないというような見解をお持ちだと思いますが、いかがですか。
  146. 加地夏雄

    ○加地説明員 郵便貯金の振興事業団の設置につきましては、昭和四十九年度の予算の概算要求の際に郵政省の方がら御要求が出まして、その際その事業団でおやりになる業務の内容についてなお検討してもらうというような点があるんじゃないでしょうかとか、あるいは仮に事業団というものをお考えになる場合にも既存の特殊法人をどのように活用するかというふうな点、そういう点も御検討いただきたいというふうなことがございまして、予算の編成の過程で郵政省が要求をおろされたという経過がございます。  で、直接いま御質問の今後特殊法人をどうするかという問題でございますけれども、御承知のように特殊法人問題につきましては、これはまあ国会先生方をはじめ世論の非常に厳しいあれがあるわけでございまして、従来からこういった特殊法人の新設の抑制につきましては非常に厳しくやってまいったわけであります。ただ新しい行政需要が出てまいりまして、どうしても特殊法人をつくらなければいけない、こういう場合には、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドと申しましょうか、そういう形でお願いをしてきておるわけでございます。こういった特殊法人の新設なりそういう問題に対する基本方針というものは、これはやはり今後とも引き続いて堅持してまいるべきではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  147. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が聞いたのは、その事業団というのはあまり拡大しないような方向でしょうということを聞いたんですよ。最後の方でちょっとおっしゃったから、それで……。  法制局にもう一回お尋ねしますが、かつて法制局長官はこの問題について、設置法第四条第十四号による解釈が正当なものであるということではなく、十四号、二号、八号の解釈でいくよりも事業団のような形式でやる方が妥当である、こうはっきりおっしゃっておるわけですね。これは貯金会館は事業団で行わなければできないということでしょう。どうですか。
  148. 味村治

    ○味村政府委員 三月七日の参議院の予算委員会におきまして、法制局長官が「郵政省設置法の第四条第十四号あるいは同条第二号、第八号の解釈でいくよりも、事業団のような形式でやる方が妥当であるということを申した」さらに「現在の郵政省設置法第四条第十四号によるという解釈が正当なものであるということを申したことは全くございません。」こういうふうに述べておられるわけでございます。これは、法制局長官の真意は、現在郵政省設置法の第四条第十四号によって郵便貯金会館を建設運営しているというこのやり方が違法であるということを申し上げているわけではございませんで、これにつきましては、そういう解釈でいくよりも、むしろ事業団といったような形式でいく方が妥当だということを申し上げたというつもりと受け取っております。
  149. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは、いままでの発言のあれから見ても、事業団でやらなければできないんですよ、設置法では。だからそういういまの御発言みたいになったと私は理解しておるのですが、そこでもう一回行管庁、お願いしますが、先ほど、私がお尋ねする前にも、この事業団で行わせてくれということが四十九年の郵便貯金振興事業団を申請したときの経緯をお話しになりましたが、その新設は認めないという政府の方針から、その新設が認められなかった。そこで三木総理も「特殊法人を政府がつくらさないと言っておるんで、郵政省にもいろいろな気の毒な立場があったんでしょう」、こういう御発言になっているわけですね。こういうように言っております現段階では、事業団設置は無理だというふうに総理の御発言から私は思うのですが、どうでしょうか。
  150. 加地夏雄

    ○加地説明員 今後特殊法人の、たとえば事業団なんかの承認の場合にどういう方針でいくかということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、やはり原則としましては新しくつくる場合にはスクラップ・アンド・ビルドの原則に従ってやっていただく、こういう方針は今後とも続けていくべきであろうというふうに考えるわけでございます。そういう方針は、これはもちろん貫いていくべきだと思っておりますけれども、まあ先ほどからお話が出ておりますように、三月七日なりあるいは三月十三日のときの郵政大臣の御答弁の趣旨から、次の通常国会を目途に、事業団方式を含めて検討する、こういう御答弁を申し上げておるわけでございますから、そういった趣旨を含めて恐らく郵政省は案を今後御検討いただくのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。その際に私どもとしては、そういう郵政省の御提案が出てまいりますならば、郵政省と十分御相談をしてやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  151. 田中昭二

    田中(昭)委員 その相談をやっていくところが問題なんですよ。もう少しはっきり答えてもらいたいのですね。結局、郵政省の既定事実をただ認めるだけが行管庁の役目じゃないのですから。ですから、私参議院でのいろんなやりとり、その後のやりとりを聞いておりますと、やはりいまの事業団法、こういう既設の法人等を活用してそれでやっていくという方法、これは検討してもらわなければならない問題だというふうに御答弁いただくのが本当じゃなかろうかと思いますが、どうですか。
  152. 加地夏雄

    ○加地説明員 いまも申し上げましたように、仮に事業団の設置がどうしても必要であるということでありますならば、既存の法人の活用ということも含めて十分御検討いただくことになるであろう、こういうことを当時も申し上げておるわけでございます。先ほども郵政大臣お話しになりましたような、ああいった見解を御答弁をしておるわけでございますから、したがって、問題はこれからその答弁の趣旨に沿ってどのように、ああいう法文上の明確なあれを期するためにどういう形で要求をしていくか、こういう問題があろうかと思います。そういう段階になりまして、郵政省が案をお考えになって要求をされた場合には、私どもは十分郵政省お話をしていきたい、こういうことでございます。
  153. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま確認申し上げたことを聞いておりましても、この問題は、やっぱりいままでいろいろ見解を述べられたように、郵便貯金会館の建設は、国が直接運営管理するというには法的には少し問題がある。疑義がある。そうなりますと、やっぱり事業団でなければならないということがわかったわけでございますが、まだおかしな点もございますから、もう少し突っ込んでお聞きしますから、簡単明瞭に、誠意ある御答弁を願いたいと思います。  この貯金会館の運営についてでありますが、全国の郵便貯金会館の土地建物の所有者はだれでしょうか、お尋ねします。
  154. 船津茂

    ○船津政府委員 国でございます。その会館自体、財産といたしましては、会計上は郵政事業特別会計に属します。
  155. 田中昭二

    田中(昭)委員 先ほども明らかになりましたように、事業団でないとまずいという。ほかの省でも、国が直接関与しないで事業団をつくって管理運営に当たっておりますが、郵政省では郵政省設置法に基づいて貯金のPRのための郵政省の業務として行っていると理解してよろしいですか。
  156. 船津茂

    ○船津政府委員 そのように御理解いただいて結構でございます。
  157. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵便貯金振興会は、設置法上から言えば、その郵政省のPR業務を委託されておる財団法人として理解してよろしいですか。
  158. 船津茂

    ○船津政府委員 実は先生のいまの質問、ちょっと私明確にとらえ得なかったかと思いますけれども、解釈いたしましてお答えします。  郵便貯金会館は、先ほどから申し上げますように、郵便貯金をより国民に親しまれるように、周知の有力な媒体として昭和四十五年からずっと設置してきておりますが、この運営を実は郵便貯金振興会という財団法人に委託してやっております。その財団法人はその運営をやっておるだけでございまして、やはり郵便貯金の周知の一つの力になっておる、こういうことでございます。
  159. 田中昭二

    田中(昭)委員 ばらばらになっておりますね。委託契約書によりましても、この委託契約書第一条は「甲は、会館の運営に必要な役務提供する業務を乙に委託する。」こうなっているんですね。「甲」というのは、これは国を指しておるわけでしょう。「乙」というのは振興会ですね、これもはっきりしておるわけでございます。したがって、当然のことでございますが、郵便貯金振興会から提供される役務行為は郵政省のつまり国の委託による行為であると理解してよろしいですか。特に、この国の委託に基づいて振興会が会館の利用から対価を徴収する場合、財政法第十四条の国の歳入歳出総予算主義は無視されるというようなことになりますが、これはどうですか。これは大蔵省の方にお尋ねします。
  160. 船津茂

    ○船津政府委員 ちょっと明確にお答えできませんで失礼申し上げましたが、郵便貯金振興会は民法の第三十四条に基づく公益法人で、その寄附行為第一条におきまして「貯蓄思想のかん養を図り、為替貯金事業の普及発展に寄与すること」をその目的にしております。郵便貯金会館ば郵便貯金の周知宣伝を目的として国が設置し、運営しているものでございまして、このうち具体的な役務提供にわたる部分をこの法人に委託しておるわけでございます。郵便貯金の周知をこの法人が全部をやっておるというわけじゃございませんで、その一部をやっておるということでございます。  また、先生の御質問の後段にございます。国のそういうふうな財産であり、国の郵便貯金の周知宣伝を行わせておるならば、これは会計法上と申しますか財政法の十四条に違反するかどうかの問題でございますけれども、この郵便貯金会館の目的といいますか、この制度の本旨に従いまして、こういうふうな財団法人、公益法人であります郵貯振興会に特殊、専門的な仕事ないしは単純な労務の提供の仕事というものを委任してやらせるということは、その立場上、独立採算その他機能的な流動的な対応の仕方が、それで国でやるより以上にできますのでこれをやらせておるわけでございまして、あながち、その運営によって生ずる歳入歳出が全部財政法の十四条というものに基づくものではなくて、委託された振興会がその収入支出という独立採算の枠の中で機能的にやっておるにすぎないということでございます。
  161. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 財政法の十四条は、「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」こう規定しておりまして、この場合の歳入歳出と申しますのは、財政法の第二条によりまして、「歳入とは、一会計年度における一切の収入をいい、歳出とは、一会計年度における一切の支出をいう。」とございます。そこで、一会計年度における収入というのでございますけれども、これは「国の各般の需要を充たすための支払の財源となるべき現金の収納をいい、支出とは、国の各般の需要を充たすための現金の支払をいう。」こういうことでございます。ところで、今回の郵便貯金会館の運営に関します業務を、いま先生御指摘の財団法人郵便貯金振興会に委託をしておりますけれども、これはいまのお話しのように、その契約によりまして、委託契約によってやっておるのでございます。したがいまして、この委託契約によりまして郵便貯金会館の業務が同振興会の計算において行われておりまして、同振興会の名前において収入支出が行われております。したがいまして、形式的に国の歳入歳出ということにはなりませんので、ここにいう財政法十四条には抵触はしないのではないか、こういうのが私どもの解釈でございます。  なお、このような契約を結ぶことが適当かどうかというような問題はあると思います。こういうような点につきましては、いま貯金局長からお答えいたしましたように、こういうことをやることによって効率的に運営ができるならば、そういう場合においてはケース・バイ・ケースに考えていいのではないか。こういうふうに考えておりますけれども、一番最初に大臣から御答弁がございましたように、郵便貯金会館の今後の運営というようなことも含めまして、全体として今後検討する、こういうことにいたしたいと思っております。
  162. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは大事な問題ですけれども、聞くたびに私としてはだんだんまたわからなくなったようなことです。  それじゃ次に、そのような言い分になりますと、この振興会と郵政省とは委託契約を締結しておる。この徴収金は歳入として上げる必要もない。それで振興会の費用を賄ってよろしいという仕組みになっておる。これは建物は国のものだ。これは財政法上の基本原則からいって、どうですか。まずいんじゃないですか。
  163. 船津茂

    ○船津政府委員 先生も御承知のように、財産は国のもの、運営は郵便貯金振興会がやっておりまして、その歳入歳出のことは先ほどちょっと御説明申し上げましたので省きますけれども、この委託契約は民法上の私法契約的なものでございまして、単純に委託契約でございまして、これが続く間は、先ほど申し上げましたように、独立採算的な運営を図って振興会がずっと逐年経営していくわけでございますが、余剰が出ますれば次年度に繰り越すなり、欠損のための予備に充てるなりしますし、いろいろやりますが、この委託契約そのものが期限満了して終わったときの時点におきましては、それによって生じましたところの諸財産といいますか、いろいろの余剰金というようなものは国庫に帰属する、こういうふうなたてまえになろうかと思います。
  164. 田中昭二

    田中(昭)委員 いずれにしろ、いままでお聞きしましたことでいけば、一つは、郵便貯金会館の設立の法的根拠郵政省設置法のいわゆる周知宣伝、こういうこと、それと、貯金会計自体のいまの剰余金の問題は、四十七年の六月八日の衆議院の逓信委員会の附帯決議にも言われておりますね。その中でも「剰余金を生じた場合」と条件が設けられておりますが、この「剰余金を生じた場合」というのは、単年度予算でも赤字が出ない健全な運営をしているときという意味の附帯決議であったと思いますが、どうでしょうか。
  165. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えいたします。  第六十八国会の衆議院逓信委員会におきますところの一部改正のときの附帯決議におきまして、「剰余金を生じた場合は、貯金会館等利用者の福祉施設のために還元するように努力すること。」という決議がなされておることば御存じのとおりでございます。単年度で、実は五十年度の予算で赤字が出る見込み。四十九年度の決算もまだ確定はしておりませんが、赤字になる見込みでございます。まだ五十年度予算の見込みでございますけれども、累積されました黒字が四十八年度末千七百三十五億円ございまして、五十年度の締めくくりを予測いたしましても二百二十二億円の剰余金がまだ残るわけでございます。これは晏如としてそれに頼ってはいけませんけれども、やはり郵便貯金会館というような有力な周知媒体を使いまして、国民に親しまれております郵便貯金をより一層親しまれるようにというような意味におきまして、ほどほどの、程度を越えない範囲のこういうふうな周知施設を今後もつくらしていただく。しかし、赤字で剰余金の二百二十二億もなくなってしまうというような状態に至りますと、果たしてそのときにそのような安穏なことが言えるかどうかということは、私もちょっと自信ございませんが、いまの場合はこれを維持運営していきまして、より一層郵貯の増強を図り、郵便貯金特別会計の黒字化、幾らかでも赤字化を少なくするという手だてにもあるいはなろうか、こういうように考えております。
  166. 田中昭二

    田中(昭)委員 委員長からももう時間が大分過ぎておるからという御注意があっておるぐらいですから、言うたことを簡単に言ってくださいよ、確認とあれだけ言っているのですから。  それで、これも赤字の問題ですが、四十九、五十年度の貯金の特別会計の剰余金は幾らですか。それと損失見込み額はどのようになりますか。
  167. 船津茂

    ○船津政府委員 数字に入りましてお聞き苦しいかと思いますが、お答えします。  郵便貯金特別会計の経理内容でございますけれども、四十九年度におきましては、歳入が一兆二千七百六十一億円でございます。歳出が一兆一千六百十七億円で、差し引き剰余金は約一千百四十四億円でございます。五十年度におきましては、歳入が、予算でございますが、一兆五千六百三十七億円、歳出が一兆五千四百十五億円でございまして、差し引き剰余金は先ほど申し上げた二百二十二億、こういうようなものが見込まれております。
  168. 田中昭二

    田中(昭)委員 五十年度、単年度を見ても赤字ですね。そういう赤字になるような見通しの五十年度の中で、郵便貯金会館の建設の予算が四十九年が十八億、五十年が十六億五千万ですね。これは一体どういうことになりますか。附帯決議と違反しておるじゃないですか。
  169. 船津茂

    ○船津政府委員 附帯決議は先ほど御説明申し上げましたが、附帯決議の「剰余金を生じた場合は」というそれを厳格に解釈いたしまして、仮に単年度であってもというように制限したりいろいろいたしますと、先生おっしゃるように附帯決議と表面的には反するかと思いますけれども、精神的には実はこれは国民の福祉に還元するという発想と言いますか思想、ないしは単年度でこそ赤字でございますが、われわれも経営努力その他近代化を図ったり、いま申し上げた貯蓄の増強を図りまして、黒字化をするという努力も重ねますし、累積的には先ほど申し上げましたようにまだ黒字は残っておりますので、やはりこの施設をある程度の規模においてではございますが、維持運営していって国民に親しまれる郵貯をつくりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  170. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、いま剰余金が残っておるとかなんとか言いますけれども、はっきり附帯決議の精神を見ても、赤字を出してまでつくれというのでは決してないのですよ。これに対する大臣の御見解はいかがですか。
  171. 村上勇

    村上国務大臣 一応いま政府委員お答えのとおりだと思いますが、私としては来たる通常国会までにすべての結論を出していきたいと思っております。
  172. 田中昭二

    田中(昭)委員 要するに、郵便貯金事業は経営上大変逼迫していっておるのですね。今後もこのような会館の建設及び運営を続けていきますと、また大臣もおっしゃったように設置法の根拠もあいまいであるし、また郵便会館も単年度では赤字となっておる、そういう財政法上からも幾らも問題がある。このような現段階で、五十年度予算の郵便貯金会館の建設費の十六億五千万は私は妥当でないと思いますが、どうでしょう。ですからこれはやはり凍結するか何らかの形で処理しなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  173. 村上勇

    村上国務大臣 十分検討してしかるべき時期にお答えいたします。
  174. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃ最後にもう一遍郵便法改正案に戻りまして、これ一問で終わることにしますが、今回の値上げに私はやはりどうしても賛成できないのです。いままでいろいろ質問してまいりましたが、議論の中にも大変矛盾する点も多かったようです。  重ねて聞きますが、一種、二種の料金設定の根拠、これは私たち郵便事業というのは収益を目的とする商売ではない、企業であってはならないということになりますと、国が一般会計からでもできるだけの助成をして円滑に運営を図るべき事業である、このように言わざるを得ないわけでございますが、しかるに当局は原価主義、独立採算制というものを第一面にしまして、今回の大幅な値上げを行おうとしておるわけであります。そこで、はがきが当初三十円から二十円というふうに閣僚協議会でなったということは、封書の第一種もこれに準じた料金設定をしないと、いままで当局考えた、私たちに説明してくれた、いわゆるはがき封書の差というものは縮めなければならない、こういうことですね。今度せっかく二種を下げたのですから、一種をまた下げてもらえばいいのですよ。まあ四十円ぐらいにでも――四十円にもいかぬかもしれませんが、郵政当局は外国の郵便事業等もいろいろ例を引いて差が少なくあるべきだということを説明になったわけでございますが、また事務の処理面、いろいろ議論された中でも、はがきとの間にこういう差があってはいかぬというようなことも言われた。そういうことは公平の点から見ても当然やはり従来の料金比率をむしろ縮めることが理想ではないか、このように思います。いまの一種抜きの料金では大変矛盾しておる。こういうことでございますが、ひとつ大臣、これはもういままでの議論を離れて、でき得るならば第一種についてももう一遍検討するというお答えがいただければ大変ありがたいのですが、いかがでしょう。
  175. 村上勇

    村上国務大臣 先生の御意見でありますが、十分検討に検討を重ねて、その結果結局ここまで私どもとしては勉強しているつもりでございます。どうぞひとつ御了承いただきます。
  176. 田中昭二

    田中(昭)委員 じゃ、以上で終わります。
  177. 地崎宇三郎

  178. 久保等

    久保(等)委員 私、郵便法の一部改正法律案質疑に入る前に、緊急当面する問題についてちょっと簡単にお尋ねしたいと思うのです。と申しますのは、御承知のようにきょうから公労協初め民間のストという事態を迎えておるわけですが、この原因はいまさら申し上げるまでもなく、異常な物価高に対する生活権の確保と申しますか、生活の安定を求めるためのベースアップの要求がすでに前々から出ておるわけですが、連休中に政府の方で金額の発表がすでになされております。しかし、この扱いそのものもこれまたきわめて乱暴な実は扱い方だと思うのです。健全な労使関係の確立ということをよく口にせられておる政府にしては、余りにも不見識なやり方だったと思うのですが、その問題は早急に解決を要する重要な問題だと思うのです。  そこで、郵政大臣も非常に大ぜいの直接従業員を抱えておられるし、あるいはまた監督下にある電電公社初めその他の企業もあるわけですが、したがって郵政大臣のこの事態解決への御尽力というものは非常に重要だと思いますし、また非常に責任も重いと思うのです。そこで郵政当局として、現段階でこの問題について一体どう解決しようとしておられるのか。どういうふうに取り組んでおられるのか。これは時間の関係もありますから、ひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  179. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ベースアップの要求につきましては、先生御承知のようにすでになされておりまして、これに対しまして郵政省といたしましては、現今の厳しい経済環境及びただいま郵便法を御審議願っておりますが、郵政事業財政が非常に苦しいというこの実態に即して見ますと、ベースアップに対する省の態度を決めるということは非常に困難な状況にあるわけでございます。しかし、民間賃金が上がっていくという動向あるいは省としても職員の生活向上というものも当然望んでいくわけでありますが、また職員の生産性向上への協力を求めるというような立場から、現在国会において郵便法改正法案を御審議いただいているという状態の中でありますが、昭和五十年四月一日以降の基準内賃金につきまして、定期昇給を含めまして一人平均一万三百八十円の引き上げを行う旨の回答を関係組合しようということで団体交渉を進めることといたしているわけであります。先ほども申し上げましたように、非常に民間賃金の動向も厳しいようでございまして、省としてもまた財政的な制約の中においてではありますが、誠意をもって賃金引き上げの回答をしたいということであります。今後とも誠意をもって組合と交渉してまいりたい、こういうふうに考えております。
  180. 久保等

    久保(等)委員 特に事務当局段階の問題じゃなくて、政府自体がすでに一括回答のような形で態度を表明したりしている状況があればあるほど、これはやはり政治的に最高のところで決断をし、事態収拾に向かって努力をすべきだと私は思うのですが、そこで、いま金額にして一万数百円の話がありましたが、しかし、常識的に考えても、九%足らずの、しかもそれは定期昇給を含めての回答ということで有額回答を出したのですが、これはもうまことに客観的に見ておっても不見識な金額だと私は思うのですね。現に郵政省にしても赤字対策で、大臣が先ほど来御答弁になっておられるように、最小限度の料金値上げ国会提案をしているんだというお話なのですが、その中でも少なくとも現在の情勢の中では昭和五十年度で一七・一%のベースアップを見込んだというのも、これはもともと資料等で拝見をしても、政府考えた今後の経済の見通し、そういった中から試算したもののようですが、そういった点を考えてみましても、一けた回答などというのは私は非常に不見識きわまると思っているのです。三月末に何とかひとつ消費者物価を一五%に抑えようということで異常な努力をして、それこそ不自然と思われるような形の方法でどうにか一五%程度に消費者物価を抑えたと思うのです。しかし、四月になると早くも、少なくとも三月当時では済まされないような情勢がいろいろ出てきているわけですが、そういった点を考えますと、一五%仮に回答されたとしても、これは三月段階における情勢からいって、結局何のことはない、物価高に対してそれを補てんしたという程度の金額にしかならぬと思うのですね。だから、私はこういった金額の問題でここで論争しようとも思っていませんけれども、いずれにしても一けた回答などというのはまことにばかにしたような僅少な有額回答だと私は思うのです。そういう意味合いで、本当にこの事態を早く解決をするためには、その点について思い切った、といってもそう思い切るような意味で申し上げるわけではないのですが、とにかく常識的に考えても、私は少なくとも二〇%前後あたりが常識じゃないかと実は思っておったのですが、それが一けた台のような回答になって、私も実は若干驚いているわけなのです。ぜひひとつこういったことについて閣僚会議なりあるいは政府関係の間で十分に御相談をいただいて、早急にひとつこの事態解決のための御努力を願いたいと思うのですが、大臣からひとつ直接お答え願いたいと思います。
  181. 村上勇

    村上国務大臣 ベースアップの問題につきましては、先ほど人事局長からお話のありました中に、やはり私どもいま郵便料金を何とか値上げしていただいて収支の償いをしようというこの際でありますので、余り大きいことを言うというわけにもいきませんけれども、私は私なりにいろいろとその解決に努力いたしております。しかし、政府全体の問題というところもありまして、ただ郵政省だけが率先してどうするとかというようなこともできないし、またやれない。いまそういう状態でもあることは久保先生御承知のとおりでありまして、ただ早期解決をするために十分努力はどこまでもしてまいりたいと思っております。
  182. 久保等

    久保(等)委員 大臣、ぜひ郵政大臣立場が、先ほども申し上げたように、大ぜいの直接従業員、労働者を抱えた官庁の最高責任者というお立場があるわけですから、そういう立場で、もちろん郵政省だけでまだいまの事態は解決するわけでもないのですから、当然これは民間あるいは一般の官公庁、こういったようなものを含めての解決になるわけでありますから、少なくとも牽引力くらいになろうというくらいのお気持ちでぜひひとつこの問題については取り組んでいただきたい。しかも、じんぜん時間をかけるような段階でもすでにないわけですし、連休明けでいろいろ問題は山積しておりますが、それだけに私はやはり労使関係の問題、非常にいまの三木内閣にとって私は最大の問題の一つだと思うのですが、そういう意味で重要な閣僚のお立場におられる村上郵政大臣のひとつ格段の御尽力をお願いいたしたいのでありますが、いかがですか。
  183. 村上勇

    村上国務大臣 十分私のできるだけの努力を果たしてまいりたい、かように思っております。
  184. 久保等

    久保(等)委員 それで郵便法の一部を改正する法律案質疑に入っていきたいと思います。  先般来の当委員会における質疑も私拝聴いたしておりますから、できるだけダブるような質問は避けてまいりたいと思うのですが、しかし、大臣が何回となく繰り返して御答弁になっておられるのだけれども、やはり私も聞いておって納得できない。そのことについて最初にひとつお尋ねをいたしたいのは、やはりこの郵便事業にとってもそれからまた他の公共事業にとっても、今回のような大幅値上げというものは余り私例を知らないのです。少なくともこういった重要な公共料金の一つである郵便料金が二倍、三倍あるいは五倍といったような大変異常な大幅値上げだと私は思うのです。したがって、こういう大幅値上げ改正法案を出すに当たっては、それこそあらゆる角度から十分に検討に検討を加えられて、要するに窮余の策としてやむを得ずとにかく上げざるを得ないのだという形で提案をしてまいらない限り、これはなかなか国民も納得できないと思いますし、したがって、われわれも今回のこの大幅値上げについてはどうしても納得できませんし、そういう意味では強い反対をせざるを得ないのです。大臣の御答弁を聞いておりますと、結局独立採算制原則があるのだ、したがって、そこからは一歩も踏み出すわけにはいかないのだという立場で御答弁になっておられます。しかし、私はこれはもう少し――もちろんこの場でそれならこうしますと言ってみたところで、いろいろそれぞれの特別会計制度があるのですから、なかなかここで直ちにというわけにはいかぬけれども、少なくとも今後の問題としてある程度の一つの展望なり抱負なり御識見というものを発表せられてしかるべきだと思うのですね。郵便事業というものを、ただもうあらゆるものを切って捨ててしまって、衣を脱いでしまって、郵便事業だけをとって、これでとにかく独立採算制だ何だ言ってみたって阻むものは何もないと思うのです。結局、それこそ独立採算制というたてまえからいけば、赤字になればすぐ全部何か利用者負担だということで、大臣が言っておられるような御答弁になると思うのです。しかし、私は本来、先般来の質疑の中でも言われておりますように、ある部分についてはやっぱり一般会計からの繰り入れがあってしかるべきだと思う部分があると思うのです。たとえば、先般来言われておる中に、一つは共済組合の例の長期給付の中における一五%を国で負担しろというような問題、あるいは郵便局の局舎の建設の問題、こういったような問題については、私はもう少し現在のような制度から一歩なり二歩なり出た形での解決法があると思うのですね。それを単に独立採算制、それも単に本当の郵便なら郵便だけに限っての中で考えようとすれば、これはもう考慮の余地がないと思うのですね。善処するとか検討しますとか言ったって、私は検討する余地もないと思うのですね。何とか一般会計から、私は本来ある部分については入れるべきだと思うのですが、しかし、仮にそういったことがむずかしいとしても、第二の手段として郵政事業全体の中で考えていく。単に郵便事業だけでなくて、郵政事業、貯金、保険、そういったものを含めた、要するに郵政事業全般の中で、少なくとも一般の国民が見ても納得できるような範囲内において彼我融通できるような制度にしていく方法が一つあるのではないかという感じもする。しかし、これはもう大臣、何か私質問していながら答弁まで含めたような質問をしていますけれども、そういうことについて考えてみましょうというか、何かの案がなければ――とにかく大臣、この法案を一刻も早く通せばいいんだというような気持ちで固くなられて、もう独立採算制から一歩も踏み出すわけにいかないんだというような御答弁をされているとすると、これはまた、すでに五十年度にしても五十一年度末にしてもやっぱり赤字が残っていますね、少なくとも郵政省の言われる資料によると。そうすると、それは一体どうするんだということになるのです。  私は、そこでお尋ねしたいと思うのですが、先般来大臣がこれだけの、いま申し上げたような異常な大幅値上げの法案を出しながら、来年度一年度についてさえひょっとしたら改正案を出すかもしれないぞというような含みのある御答弁になっているのですけれども、一体これだけの大料金値上げをやっていつまでもたせる、少なくともこの程度は、限度だけは持ちこたえるのだという期間をある程度は、少なくともこれだけの法案を提案したのだから私は当然そういう説明があってしかるべきだと思うのですね。きょうはきょうなんだ、ひょっとしたらもう五十一年度の予算編成過程に入ったらまたぞろ料金値上げの法案を出すかもしらぬぞということをもしお考えになっているとすると、きわめて無責任だと私は思うのですね。予算編成といったって、こんなものは七月、八月ころから郵政省そのものは考えなければならぬわけですね。大蔵省そのものが八月、九月以降あたりになれば検討を加えるわけでしょう。そうすると、これだけの法案がやっと――仮にですよ、仮にこの法案が通ったとした場合、またすぐおっつけ次のことを考える、こういう無定見な法案の提案の仕方は私はないと思うのですね。だから、その期間が私どもせめて三、四年か四、五年程度は当然もつだろう、仮に――これは決して、先ほども申し上げたように、賛成するわけじゃありませんが、郵政省立場から考えても、少なくともある程度の、この期間だけはもう料金値上げという方法はやらないのですというか、何かそういうことが大臣として当然私は御答弁があってしかるべきだと思うのですが、一体この法案に対しての見通し、この法案が成立したときの今後の見通しというものは大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのか。
  185. 村上勇

    村上国務大臣 私はとにかくインフレ、物価高が抑えられる、そして全く波静かになりますれば、二年、三年、四年とこの料金でもたしていけると思います。その間にはまた――一般会計から云々ということになりますと、やはりそこには一つの公平の原則とかなんとかいうようなことを言われておりますが、この段階ではそう持っていくことについてはだれが郵政大臣をやってもちょっと困難だと思います。しかし、多少の不足額についての財政措置はできると思いますので、何年かもたしていけるということは、ここで私は申し上げてはばからないと思います。大体先生御指摘のとおり、私も決してこの料金がちっとも高くないのだというようなことは考えておりません。しかし、実は四十八年にもあるいは四十九年にも御承知のような御答申をいただいて、そしてその際に解決しておればこのような大幅なものにならなくて済んだと思います。しかし、そうだからといっていまここでこれを手当てをいたしませんと、今度はもう大変な大きな負担になりまして、それこそ非常に国民皆様に御迷惑をかける。と同時に、やはり衣食足って礼節を知るとでも申しますか、郵便会計がどうもこうもならなくなれば利用者へのサービスの面もいささか低下していくのじゃないか。いろいろなことを考えますと、ここで多少の御批判がありましょうけれども、とにかくこの程度の値上げは、それはいろいろなものと比べてみましても何とかつり合いがとれておるのじゃないかということで、私としてはまげて御了承をいただきたいと思う次第であります。
  186. 久保等

    久保(等)委員 大臣何となく御答弁されておられますけれども、ちょっと従来の御答弁とは違うのは、何年かもたしていきたいという御答弁がいまあったのですよ。だから、その何年かが一体それじゃ何年なんだとこっちの方でお尋ねしたいと思うのですけれども、先般来の大臣の御答弁なりあるいは郵務局長の御答弁を私も聞いておっても、五十一年度の予算案の編成の中でもひとつ考えていきたいような答弁をしておられるのですね。五十一年度の予算というと、来年といったって、さっきも言ったように、ことしの話なんですね。それから大臣がいま物価が鎮静すればというお話だったのですが、私は余り未来のことは別にして、突発的な異常事態が出ればそれはそのときで考えるよりしようがないと思うのですが、少なくとも現在のような経済状態、それにプラス政府がどういうことをお考えになっておるか知らぬがそういう政府の決意。とにかく政策を決定せられるのは政府なんですから、その決意と現在の状況。そういうものを総合的に判断して、一体何年もたせなければならぬだろうか、何年はもてる、こういう御答弁を実はお聞きしたいと思っているのです。いまの大臣の御答弁では何年かもたせるというようなことをちょっと言われたのだけれども、楽観的に見ればそれじゃ五、六年ぐらいはもつのか。五、六年はもう料金値上げはやりません、何とかやりくりしてでもやります。それは異常な事態が出れば別です。しかし、現在のような状態でです。それははっきりしていただかないと、これは速記録を見ると、何だ、あのときと大分違うじゃないかという話にもなるのです。だから私は、そういう点できわめて親切にお尋ねしているつもりなんですが、しかし、これは何も大臣と私とのやりとりじゃなくて、国民が一体どうしてくれるのだという気持ちだし、国民郵便料金値上げは大変な大幅値上げになるじゃないかということで、これは直接生活にも関係するし、その波及効果というものは甚大なものがあると私は思うのですね。先ほど来申し上げておりますように、倍率から見ると、これはまことに驚くべき倍率だと思うのです。三割だとか四割じゃないのですから。とにかくはがきが二倍、手紙が二倍半、それから問題になっておる三種にすれば五倍に上げようかということですからね。しかし、そこらのところはわれわれのこういった要望等も加えて、特に省令で決めるべき料金の問題についてはそれこそさらに再検討を加えられるものだと私も思いますが、いずれにしても基本的に郵便料金値上げの問題についてこれだけの法案を提案しているのですから、当面の、それこそここ何年かはという漠然としたのじゃなくて、何年かはとにかく何とかやりくりしてでもやりますという御答弁がないと、五十一年度のときにはまた考えるのですよというような答弁だったら、われわれやはり納得できないのですね。五十一年度といえば来年の四月からですから、もうまるまる一年しかないのですから。その間にもう一遍法案を出すとすれば、もうこれはとにかくこの法案がどういう形になろうが、国会が終わればまたすぐ値上げの何か作業にでも入るようなことでは、こういう法案は、私はわれわれがここで議論したり審議していること自体が何か全くナンセンスだと思うのですね。だからそこのところを大臣に、そんな無理な注文をしているつもりはないのですが、大臣としての一応御見識なり見通しをやはり明確にしていただかなければならぬ問題だと思うのですね。これだけの問題ですから。
  187. 村上勇

    村上国務大臣 五十一年度でまたすぐ上げるということは考えたくありませんし、なお私としてはできる限り長年にわたって値上げはしたくない、この気持ちでありますが、なお理論的には事務当局からひとつお聞き取り願います。
  188. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生御承知のように、過去の郵便料金改正の際には、その改正によって三年ないし五年というような期間その料金によって収支が相償う、こういう形の改正が行われてまいっておりますが、本年度におきましては御承知のような非常に厳しい環境を背景にいたしまして、郵便法改正の時点においてもうすでに六百一億の予算上の収支差額が出るというような現状になっております。したがいまして、こういった段階で何年間郵便料金改正されないで済むかということになりますと、事務的には大変お答えしにくい問題でございます。ただいま大臣お答え申し上げましたように五十一年度の時点で考えるというのは、あらゆる問題について基本的に、たとえば一時的に財政措置をどうするかあるいは基本的に料金はどうあるべきかというようなことを全部含めて、五十一年度予算編成の時点でもう一回考え直す必要があるという意味大臣お答え申し上げたと思っておりますが、そういう事情でございますので、ただいま先生の御質問ではございますけれども、これをただいま何年間この改正でもつとかあるいはもたせるとかいうことは、もうすでに現在において収支差額が出ておるという現状を踏まえましてなかなかお答えしにくい問題ではないか、こう考える次第でございます。
  189. 久保等

    久保(等)委員 だから、確かに答えにくい問題だと思うのですが、しかし答えられないでは実は済まされない問題だと私は思うのですね。見通しも何もなくてとにかく当面上げればいいんだ、とにかく少しでも穴埋めをすればいいんだというような、そういう程度の考え方料金問題を考えるということは、私は考え方として非常に慎重さが欠けると思いますね。しかもこれほど大変な、二倍、三倍、数倍といったような上げ方をする料金値上げに対する取り組み方としては、非常に慎重さがないといわれても私仕方がないと思うのですね。しかも、先ほど申し上げたように、今後それならばどういう方法で一体検討しようとしておられるのか。これは郵政審議会の中でもあらゆる立場からこの経営の問題その他を含めてひとつ検討しなさい、こういうことが言われています。それからまたある程度専門家によって何か審議会なり何なりといったようなものでひとつ検討しなさいということも言われているのですね。これはおととし出た昭和四十八年の答申の中にも書かれておるのです。だから私は、この問題についても郵政当局は一体どう取り組んでおられるのかお聞きをしたいと思うのです。というのは、この法案だけ出せば一から万事解決したということであれば、当分は一安心だということにもなりましょうが、先ほど来苦しい御答弁をせざるを得ないような、帳面じりは赤字というような見通しがあればあるほど、そういう抜本的な方策について検討がすでに始まっておっても早くはないと思うのですね、四十八年の答申の中にもそういうことが指摘されておるぐらいですから。そういうことについて一体どういう構想をお持ちなのか、事務当局の方からでもいいですからお答え願いたい。
  190. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘になりましたような問題がそのとおり実は郵政審議会の中で取り上げられたわけでございます。当面の財政危機を突破する方策としてこのような料金改定をしてしのぐだけで、長期的な展望がなくてはいかぬではないかというようなことから、ただいま御指摘のとおり四十八年の十二月の郵政審議会答申の中では、郵便の将来展望というようなことについて、これは郵政省だけではなくむしろ部外の専門家の参画を得て、今後の社会情勢の変遷の中で全通信体系の中での郵便の位置づけと申しますか、あるべき姿といったようなものを明らかにする必要があるというふうなことで調査研究するようにという提案をいただいております。この研究会はすでに昨年の六月から発足いたしまして、東工大の教授でありました林雄二郎先生を座長格にいたしまして、学界の若手の研究家等十六人の方々が非常に熱心に今日まで議論をし、いろいろ検討していただいておるわけでございます。すでにその中間報告というようなものも最近出されましたけれども、これはいずれにいたしましても長期の展望をするということでございまするので、非常に短い期間で結論を得るということがむずかしいわけでございます。初めから大体二年ぐらいでこれを検討するということでございまして、大体最初の一年間の検討はいま終わりまして中間報告が出ておる、今後なおあと一年間広くいろいろな面で検討をしていただくということになっておるわけでございます。  なおもう一点、四十九年の十二月における郵政審議会答申の中でも、料金値上げの問題はさることながら、今後の郵便事業のあるべき姿、これは経営とか料金とかいったような問題をひとつこの際徹底的に検討して、もう少し早目に具体的な結論を出して事業の将来に備えるべきであるという提案をしていただいております。この点につきましては現在まだ発足いたしておりませんけれども、このたびの料金改定の問題の帰趨を見きわめましてその後になると思いますが、また郵政審議会の中になりまするかあるいは外になりまするか、そういった関係の方々にお集まりをいただきまして、いつも思いつき的な、郵便料金改定をその場その場で急場しのぎに出すというようなことでない、長期展望に立った事業経営ということを検討していかなければならない、近くその人選もしなければならない、かように考えておる次第でございます。
  191. 久保等

    久保(等)委員 ですからぜひその審議会の中では、従来の考え方に立った考え方でなくしてそれこそもう少し発想の転換をしてもらって、たとえばの話で先ほど来私も一、二ちょっと抽象的ですけれども申し上げたのですが、そういうある程度枠を外した考え方で弾力的に対処しない限り、タマネギの皮をだんだんむいていって最後に残ったほんの一粒ばかりの郵便事業という枠の中だけで考えても名案は出てこないと私は思うのですね。したがって従業員にしても勤労意欲というものがわいてこない。  それと、あとでだんだん触れてまいりたいと思うのですが、郵政省そのものの体質にしても、個人個人は一生懸命でやっているつもりかもしれぬけれども、とにかく組織体として見れば非常に非近代的な、職場も非常にどんより曇った冬空みたいな職場ということになると思うのですね。ですから希望の持てる事業にするためには、そういった問題については後ほど触れますけれども、とにかく何とか特別会計があるからその枠の中でやるんだというような話では、これはもはや対処できない段階にあると思うのです。だから多角的に、ぜひ大胆な発想のもとに論議してもらう。さらにどういうメンバーか、詳しいことはきょうは結構ですが、また後ほど何だったら、何人ぐらいでやっておられるのか知りませんが、メンバーも教えてもらいたいと思うのです。もう少し各界の有力者といいますか、なるほどこういった案に対してはだれしも納得できるような、要するに権威のある結論が出るように、ぜひひとつ取り運んでもらいたいと思うのです。これはお願い申し上げておいて、次に移ります。  昭和四十八年、九年、五十年、ここらの収支見込みの概算を資料でちょうだいしているのですが、その物数と、それから収入の金額、こういったことについて御説明を願いたいと思うのです。まず御説明をお伺いしましょう。
  192. 石井多加三

    石井政府委員 先生のお手元に差し上げてございます数字と私の持っておるのとが一致しておると思いますが、四十九年度の収入でございますが、これは予算を補正後の数字といたしますると、収入が四千百五十一億。それから支出が五千五百三十二億でございまして、収支差額は千三百八十一億の赤字という点は、先ほど来経理局長等から説明しておる数字でございます。それで五十年度の見込みでございまするが、ここで予算の予定額は五千八百四十六億が収入見込みでございます。それから支出は六千四百四十七億。したがいまして、収支差額は六百一億というような赤字が出るわけでございます。それから五十一年度は、これは見込みでございまするが、七千五百二十二億の収入に対し、支出が八千二十九億、マイナス五百七億ということになっておるわけでございます。四十九年度のこの収入はもちろん予算の料金値上げの前の数字でございますが、五十年度の五千八百四十六億の予算の予定額は、この十月から今度の料金改定をお願いして、したがいまして半年分の増収額が加わるわけでございます。  今度の料金値上げによりましての値上げ率を申し上げますると、これは今度の値上げをやるものだけについての平均で申し上げますると、二二〇%の値上げになるわけでございます。つまり一〇〇のところが二三〇という数字になるわけでございますが、これは値上げをいたさない、たとえば外国郵便でございますとか小包等もございまするので、そういったすべての収入の中での値上げ率ということに読みかえてみますと、値上げ率は九九%の値上げということになります。ところが実際には、またこれと増収率というのが違うわけでございまして、いつも問題になりまする利用減というようなものが入ってまいりますので、実際の収入としてふえる率は実際にはそれのまた少し少なくなりまして八〇%ということになるわけでございます。五十年度は半年分でございますから、そのうちの四〇%と見ていただきます。それから五十一年度は、これはフルにかかってまいりまするので八〇%。したがって、先ほど申し上げました四千百五十一億の八〇%増が五十一年度の見込み額七千五百二十二億。若干数字は端数が違いますけれども、大体そういったような見方で計算した次第でございます。
  193. 久保等

    久保(等)委員 その物数は……。
  194. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  四十九年度が、これは総物数でございますが、百三十四億五千百万通でございまして、それに対しまして五十年度は、いま申し上げました利用減等がございまするので百三十一億九千四百万通。それから五十一年度は若干ふえますが、百三十二億七千百万通というふうなのが総物数の見込みでございます。
  195. 久保等

    久保(等)委員 この数字を見て直観的に考えられることは、いま郵務局長は結局値上げ後の倍率というものが約八〇%ぐらい値上げになった形になるのだという御説明なんですが、今回のこの郵便法改正に伴っての料金の別表を見ますと、申し上げるまでもなく大変な倍率になっているわけです。それが全体から見れば結局八割程度の値上げにしかならないんだ、いろいろ利用減があったりあるいはまあ外国郵便なんかもあるからという御説明なんですけれども、外国郵便とかそういうものは、比率として占める率は全体から見るときわめて小さいんですね。それからまあ利用減と言ってみても、これは絶対の物量からいくともちろん物量はふえるわけでして、ただ当初からのずっと物数がふえておるようなそういう傾向線はたどらないけれども、いずれにしても前年度に比べれば少なくとも翌年度の方が物数なんかもふえるわけですから、それでいて各種別について見るならば二倍上がる二倍半上がる、やれ三倍上がるということになって、なおかつその八割になるというのが、どうも私は納得できないのです。ここらはきわめて――先ほどもちょっと午前中の御答弁を聞いておるとマクロ的にという言葉を使って答弁しておられるのですけれども各種別について、一体四十九年度は幾ら、五十年度は幾ら、五十一年度は幾らになる、それはもちろん利用減なんかも見てそれぞれについて出してもらう、そういう計算の仕方をやってはおられないんじゃないかというように思うのですが、その点はどうですか。
  196. 石井多加三

    石井政府委員 先ほど私がお答えいたしましたのは、総郵便物数という非常にラフなとらえ方で申し上げましたので、それぞれの年度のそれぞれの種別の物数の予測の数字は、ここに現に持っております。必要でございましたら全部読み上げますが、主要なものといたしまして、たとえば第一種について申し上げますると、先ほどトータルで四十九年度百三十四億五千百万通と申し上げましたが、その中で第一種の通数は五十二億六千百万通(久保(等)委員「それは何年の話ですか」と呼ぶ)四十九年度でございます。同じく第二種は六十億六千三百万通、第三種は十二億八百万通といったようなところが主なものでございます。  それから、その同じ種類で五十年度について見ますと、第一種は四十九億三千五百万通、これは第一種だけについて言いますと対前年比六・二%の減でございます。それから第二種につきましては六十一億八千万通でございまして、これは一種から二種一の移行がございまするので、対前年比一九%の増でございます。それから第三種につきましては十一億七千三百万通でございまして、このたびの料金値上げの幅も大きいわけでございますが、これは二・九%の減というふうになるわけでございます。  同じように五十一年度の数字を申し上げますると、第一種のところが四十五億五千三百万通、第二種が六十六億八千八百万通、第三種が十一億三千万通というふうな数字でございます。したがいまして、第一種は五十年度に比較いたしましてなおまた七・七%の減、それから第二種の方は五十年度に比較しまして八・二%の増、第三種は五十年度に対比して三・六%の減。  まあ主要な料金だけについて申し上げた数字でございますが、なおそのほか特殊あるいは小包といったような数字もございまするので、先ほど外国郵便だけを御指摘でございましたけれども、総郵便物数収入の中で外国郵便小包だけは今回ノータッチでございまするので、先ほど申し上げました全体の値上げ比は二二〇%の増でございますけれども、そういった小包と外国郵便を入れますと九九%の値上げになる。その九九%の値上げは実際には収入としては八〇%しか入ってこないという計算をいたしておるわけでございます。その内訳は、いま申し上げましたように個々の料金別の物数を見ました合計でございます。
  197. 久保等

    久保(等)委員 私、資料を出してもらったのは、四十八年度の資料を手元に持っておるのですが、いま四十九年度あるいは五十年度のお話もあったのですが、それはないからということで出してもらえなかったのですけれども、いま郵務局長がお持ちなら、後で結構ですから、四十九年度、五十年度についてぜひひとつ資料として出してくれませんか。  いまの御説明を聞きましても、しかしこれは細かく計算してみればわかることなんですけれども、何かやはり私、ちょっと納得できないのですね。一種の場合、四十八年度の場合には確かに五十二億通、それが昭和五十一年度になると四十五億、あるいは五十年度の場合四十九億ということで、だんだん漸減するようなはじき方をしておられるから、ある程度減るだろうと思われるのですが、しかしまた、二種の方でふえていくわけですし、三種の場合には余りそう減っていないのですね。四十八年度が十二億、そして四十九年度がやはり同じ、五十年度十一・七、さらに翌年が十一・七といったような数字で、そう余り大きな変化はないのですが、そうしてみると、上げ幅が非常に大きな上げ幅ですから、私はそういう点で収入見積もりというのは非常に甘いと見ておるのです。しかし、確たる資料を手元に持っての、計算をしての話ではないですからなにですけれども、少なくともちょっと資料をべっ見をした感じでは、とにかく倍額にもならないというのはどうも解せないのです。先ほどお話があったように、八割程度の増収といいますか、収入増というお話ですが、ここらは非常に甘いと思うのです。だから、もう少しひとつ、こういった議論をする場合には、いま言ったようなことを細かくやれるような準備なり、われわれにも資料等を提供してもらいたいと思うのですね。そうしないと、何かそれこそ大づかみの議論になってしまって、しかもこれ、余り細かい話ではないのでしてね、何千億、一千億円前後くらいの違いがすぐ出てくるような数字の話ですから、大きな問題ですから、少なくとも算出根拠というものは、やはりきちっとしたものの積算の上に立ったトータルでなければ、まず全体の見込みを立てて、その中でどう配分するかというような逆積算みたいなかっこうでは、これはどうもわれわれ納得できないと思います。いま言ったように、四十九年度それから五十年度の資料を、実はないということで手元にもらっていないのですが、こういった点。したがって五十年度、今年度あたりのものについては、予算を編成するときにそういう方式で予算をつくっておられるのですか。何か事前に聞いた話では、四十八年度のものについては決算がもうすでに済んでおるので、決算段階で初めていろいろ分析をしたり集計をしたりして、初めて四十八年度の分については資料ができたのだというように聞いておるのです。そうじゃないですか、郵務局長。ひとつ実態の状況を説明してくれませんか。
  198. 石井多加三

    石井政府委員 私、先ほど読み上げました数字は、四十九年度、五十年度と、これは一つの予測でございますが、五十一年度まで含めた私たち資料を読み上げたわけでございますが、先生のお手元に差し上げておりませんでしたことは深くおわびいたします。後でまた資料を十分見ていただけますようにお届けしたいと思いますが、ただいま御指摘の、四十八年度の数字と申されましたのは、私の推測でございますが、四十八年度はもちろん決算も終了いたしておりますので、別途、料金改定の際に原価計算の数字が一種、二種幾らになっておるかというような御質問がよくございます際に、経理局方面で、四十八年度の原価計算の数字は、決算も完了しておるので現在持っておるというふうな御説明を恐らく申し上げたのではなかろうかと思うのでございまして、もちろん、五十年度予算を編成する際には、ただいま御指摘のとおり、郵便収入の見積もりをいたしますことは、予算の作業の非常に重要な工程でございまして、私たちといたしましてもできるだけ精密な予測を立ててこれを見通しておりますので、先ほど申し上げました数字は、すなわち五十年度の予算の中身であるわけでございます。
  199. 久保等

    久保(等)委員 郵政事業が直面する問題は、大きく分ければ二つあると思うのですが、一つは、いま言った赤字を一体どう埋めていくかという財政上の問題、それからもう一つは、何といっても大きい問題は、労使関係の問題が私はあると思うのです。これが郵政省のむしろ特徴的な大問題だろうと思うのですね。役所であるとはいいながら、各省ほかを見ても、労使関係が非常に不正常といいますか、ずいぶん長期にわたって陰湿な状態を続けておるというところは非常にまれじゃないかとさえ私は思うのですが、十年あるいはそれより以上前から、私もこういった国会の場を通じたり、あるいは国会の場を通じない形で労使関係の問題について、いろいろ私は私なりに悩むというか、何とか正常化できないものだろうかということで実は若干は努力をしたつもりなんですけれども、先般、というよりも先年ですが、昭和四十五年の十二月十四日に、労使関係で何か話が一応ついて、お互いに確認をし合って、ぜひひとつ今後は積極的な話し合いをする中で事態を解決し、労使関係を正常化していこうじゃないかというようなことも申し合わされたという話も聞き、また具体的にもいろいろな措置がなされたように聞き及んでおったんです。その後ある程度前進をしたような事情も聞いてはおるんですけれども、しかし、根本的に解決をしたかというとさにあらずで、また昨年の暮れにも何か労使の間で話し合って、これまた何か一つの結論が出て、それがそのままどんどん具体的にいい方向に前進すればいいんですが、最近になるとまたぞろ現場段階でいろいろな問題が出、トラブルが出ているんだそうですか、これはひとつぜひ村上郵政大臣には、私むしろうってつけじゃないかと思うのですけれども、この労使関係の問題についてぜひ勇断をもってこの労使関係改善のための御努力を願いたいということを前提にしてお尋ねしたいと思っておるんですが、いろいろな労務対策がとられておるんですね。たとえば労務連絡官というようなものもつくられたり、あるいはまた調査官といったようなものも設けられたりして、労務関係を主として解決しようということで恐らくつくったんだろうと思うのだけれども、逆に、むしろトラブルの種になっておるというようなことがあるんですが、一体労使関係の問題について大臣どんなふうにお考えになっておりますか。  先日ちょっと何か委員会の席上で、私は記録で拝見をしたのですけれども大臣非常な御熱意をもって、体を張っても、ひとつぜひ労使関係の正常化のためには努力をしたいんだというようなことを私委員会記録でちょっと拝見したのですが、これはぜひ実効の上がるようにお願いしなければ意味がないと思うのですが、百万言ここで御答弁をいただいてみても、もうすでに十年もたっているんですから、それでなおかついまこういう質問をしなければならぬことも私は非常に残念に思っておるんですが、大臣、ぜひいま申し上げたことについて、前向きで解決を具体的にしていただきたいと思うのですが、中央の段階ではある程度話がなされて前向きのような形の動きも出ておるように私は拝見するんですけれども、結局現場の、最も仕事の運行に関係の深い現場段階でうまくいかない。最近は、聞くところによると、何か特定局段階でそういう問題が出ておるようですが、むしろそういう点では地方の山間僻地というか地方の末端の方にまで悪い空気がむしろ蔓延しているんじゃないかというような感じさえするのですけれども、単に中央の段階というのじゃなくて、全組織をながめての問題について大臣がどう対処せられる御決意でおるのか。  それから先ほど来、労務管理官の問題あるいは調査官の問題等質問したのですから、それに対してはあるいは人事局長あたりの方から御答弁願っても結構ですが、まず最初に大臣の方からひとつ方針をお聞きしたいと思うのです。
  200. 村上勇

    村上国務大臣 労務の関係につきましては、私、全くこれは郵政一家でありまして、そこにはその立場上の上下はありましても、人間としての全く上下のない、お互いに信頼し、お互いに協調し、協力して、あくまでも同甘共苦の精神をもって事業に当たらなければならないと思っております。私といたしましては、この郵便料金等のこういう問題にほとんど頭を奪われておりまして、労務問題等について従前のような、親しく話し合いをしたり、またいろいろと意見を拝聴するという機会もなかったのでありますが、これからは少なくともいろいろな意見を十分に聞きまして、そして郵政省の全従業員はとにかくみんなが郵政省にその顔を向けて、そして今後一糸乱れぬ歩調をとりながらこの事業のために努力をしていきたい。そのためには、もし誤解がある点がありますれば十分説得し、また意見も十分に聞きながら、本当に和気あいあいとしてこの業務に励んでいけるような労使の関係でありたい、かように思っております。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
  201. 神山文男

    ○神山政府委員 労使関係正常化のために昭和四十五年の十二月十四日に労使間の確認というものを行ったのは先生御指摘のとおりでありまして、自来、省としましてはこの確認の定着に努めてきたということでありまして、さらにまた先生御指摘のように、四十八年末、今度は郵政省の方から組合に対してさらにその確認の再確認というようなことで提起いたしまして、組合からも同意が得られました。一二・一四確認の趣旨を再確認した。それでメモ交換をいたしまして、さらに労使双方が一層努力しようということにいたしたわけであります。  私どもといたしましては、その後具体的にはいろいろ通達も出しました。それから各種の会議等でその徹底を図るというようなこともやってまいりました。それから管理者の訓練をする際にも、労使関係安定という課題を強く盛り込むというようなこと、それから郵便局段階で団体交渉に至らないような事項でも折衝ルールというものをつくって、労使間の意思疎通を円滑化していこうということで努力してまいっておりまして、整理すべき問題についてはいろいろ組合とも整理し、また、しかし今後の問題として若干残っているものも今後さらに誠意を持って詰めていこうということにいたしております。そういった努力の結果、全体的に労使関係の改善というものの実は上がってきているというふうに私ども考えているところであります。     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、この労使関係というものは非常に複雑にして多岐にわたっておりまして、また組織もお互いに非常に広範にわたっているというようなことで、しかも人と人との関係でありまして、生きて動いていくというようなことで非常にむずかしいわけでございますが、省といたしましては、そのような精神で今後とも労使関係の安定ということを目指して努力していきたいというふうに考えておるわけであります。  それから先生お話しの労務連絡官でございますけれども、これは受け持ち区域内を決めまして、各県単位を原則として郵政局の人事部の管理課長補佐というものを駐在させまして、これを通称労務連絡官と称しているわけであります。これは受け持ち区域内の労務状況を把握し、それで郵政局にそれを速やかに連絡する、あるいは受け持ち区域内各局の労務関係事務について素早く的確な指導を行うというようなことを任務として置かれているわけでありますが、こういう連絡官の適切な活動があれば、郵便局段階の日常の労使間の接触も円滑にいく、あるいは受け持ち区域内各局管理者の身近な相談相手にもなっていくというようなことになるわけでありまして、われわれとしてはそういう指導をしてきたところであります。昭和四十六年の六月十日付で実は通達を出しまして、その労務連絡官の所期の目的というものをさらに徹底させるようにいたしたわけであります。これはやはりこの制度発足後十数年たちまして、労務関係も当初より非常に複雑化し、あるいは多様化してきている。また省としても今日労使関係安定ということを基本的な課題の一つとしておりまして、そういうことも深く認識させて、労使関係によい指導をもたらすようにしたいということで、その職務内容及び心構えについて整理して通達したわけでありまして、現在その精神にのっとって運用されていると私ども考えておりますが、さらにそういう趣旨を今後とも徹底させて、所期の目的を達成するようにいたしていきたいと考えている次第であります。  それから調査官につきまして御質問でございますが、これは地方郵政局の所掌事務のうち重要な事項について郵政局長の命を受けて、調査、企画及び立案に参画するというようなことを任務といたしておりまして、事業各般の運営にいろいろ役立っている面があるわけでありまして、ひとつその本来の機能を発揮するように今後とも指導していきたいというふうに考えております。
  202. 久保等

    久保(等)委員 いまの労務連絡官の問題、それから調査官の問題、これは実際有害無益の存在じゃないかと思うのです。いま人事局長は、もちろん置くときにはそれは何らかの理由がなければ置かないんですから、そういう気持ちで置いたんでしょうが、しかし、それが果たしてどういう効果を上げてきているのか。それこそ赤字で悩んでいる郵政事業にとっては一名でも貴重な定員だと私は思うのですね。ところが、むしろトラブルメーカーみたいな連絡官ないしは――その連絡官は大体県単位に一名ぐらいが原則らしいですが、結局今度連絡官に現場の局長報告をしなければならぬ。一々細かいことについて報告はしなければならぬ。連絡はしなければならぬ。連絡官がおるおかげで逆に仕事が非常にふえる。現場の方では非常な負担増で悩んでおるという問題があるのです。だから、もうすでにできて十年以上にもなるといういま答弁だったのですが、そうだとすれば、そのほかにどういう実績を上げて、一体それが現場で喜ばれておるのかどうか。そういう効果がないものなら私はこれは廃止すべきだと思うのですよ。だからこういう有害無益――それから調査官の場合には若干性格が違うようですが、やめる直前の人を持っていって調査官というまあ名目で、したがって、所によってあっちに十人いたり、こっちに一人しかいなかったり、きわめて配置の仕方がそれこそ、一身上の都合か何か知らぬけれども、そういう配置になっておるようですが、こういうものもとにかく郵政事業赤字で悩んでいるのですから、それこそいい意味での合理化をこういうところにこそ私はやるべきじゃないかと思うのです。  それから要員問題について、これと関連しますからついでに申し上げたりお聞きをしたりしたいと思うのですが、現場の要員に対する充足状況、これをずっと見てみますと、資料をちょっとちょうだいして見ているのですが、現場あたりでも、いわゆる管理者と言われる諸君の数のふえ方は非常に著しいのですが、一般の職員の数はむしろ逆に減少ぎみだといったようなことが見られるのですが、これなんかもどう見てもどうも穏当な要員状況じゃないと思うのですね。数字を挙げてちょっと申し上げてみたいと思うのですが、まことにどうもこういったところに私は郵政の硬直化した実態がよくあらわれておるのじゃないかと思うのですが、一般職員数を昭和四十五年度の場合について申し上げますと二十八万七千六百人。それが四十九年度になりますと二十八万二千九百十七人。したがって四十五年と四十九年を比べると四千六百八十三人減になっている。片や管理職と言われる諸君。四十五年度は三万一千九百九人だったのが、四十九年度になりますと三万四千二百十二人。したがって、二千三百三名増員になっておる。これが全国的に見たごく最近における数字のようですが、これを見ても一般職員の方は四千六百八十三人減っている。まあ物数はとにかく申し上げるまでもなく、私もちょっと念のために申し上げますが、四十五年当時は百十五億余りの物数。それに対して四十九年度は百二十九億、約百三十億の物数。そうすれば恐らく、いや機械化したからそういう点では要員減なんだ、一般職員が減らせられるのだという御説明があるだろうと思うのですが、しかしその要員減は、私の資料を拝見したところでは、これも私は答弁を兼ねてお聞きをするようになるのだけれども、約七千人だということも言われております。しかし、七千人仮に機械を入れたから減員したのだと言ってみても、そうならば結局、四千六百八十三人減員になっているのですからこれを引きますと、二千四百人ぐらいさらに減にになってもいいということになるのでしょうが、しかしそうすると管理職の定員増が二千三百三名ぐらいですから、一般職員と管理職の職員と同じ程度にやはりふえているという勘定になるのだろうと思うのです。しかし、課長一人に従業員一名、こういう増員の仕方はこれはないと思うのですね。こういう要員の配置をしたり、いま申し上げたように連絡官、あるいは頭数からいけばこれは少ない人数でしょうが、百三十名ずつぐらいある。しかも、それがまじめに仕事をやってくれるならこれは結構なんですけれども、逆に現場でもっていろいろな問題を起こす。そのことによって仕事はよけいふえる。まあ私もかつて和歌山県の橋本という所に行ったことがあるのです。現場へ。ところが、あそこに小さな郵便局ですけれども、次長がいて労務担当をやっておるらしいのですが、そんな次長私は必要ないと思うのですけれども、私が局長と話をしておったら、そばで傍聴しておって、雑談をしているのですけれども事細かに記録をとっているのですよ。だから次長、この忙しいのにぼくが来て局長と話をしたからといって何でそんな記録をとるのだと言ったら、結局近畿郵政局の人事部長のところに報告をしなければならぬ。私が個人的に行って雑談する雑談でもメモにとって報告しなければならぬ、これは一例なんですけれども。結局、そういう労務連絡官がいてそれが掌握してやっているのでしょうが、こういうものは私は文句なく廃止すべきだと思うのです。それからふやすべきは、いま申し上げたように一般職員の方はとにかく四十五年と四十九年とを比べて四千数百名、約五千名近い減員になっているのです。これは現実に。片方の方は二千三百名余りふえているのです。こういう運営をやっておって近代的な郵政経営をやっておるとは言えないと思うのですね。したがって私は、現場の実際仕事をする部門に要員充足をやる。細かく言えば、これは一体どういうことでこの二千三百三名の管理者がふえたのかも細かく分析をしてお尋ねしたいところですが、これは私時間もないから省略いたしますけれども、これは全くマクロ的に見た、どうしても納得できない数字なんですね。これは郵政省の方で出していただいた資料に基づいてお尋ねしているのですから。大臣、ここらは先ほどの御趣旨を徹底させようとされるのでしたら、ひとつ具体的な問題として、こういったことについてはぜひ方向転換をやらなければならぬというぐらいの御答弁はいただきたいのですよ。この具体的な人間をどうこうとかは申し上げませんが、こういう方針だけは少なくともやめてもらわなければならぬし、それから労務連絡官あるいは調査官、こういったものについても再検討をぜひしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。それは撤廃の方向で少なくとも再検討していただく。  このほかにもまだ挙げると、保険の指導官制度があったり郵便指導官というものがあったり何かするのですけれども、これも名前はまことに結構なんです。指導するんだから。結構なようですが、残念なことに、とにかくこれも似たり寄ったりの労務対策みたいなことをやっておるのが現状のようです。これはひとつフレッシュな大臣あたりの立場で判断をしてやられないと、よく同じ穴の中に入ってしまうと、また同じような臭みに染まってしまうとどうも臭覚を失ってしまうということがありますが、大臣のひとつフレッシュな立場で、大所高所からこういったことを判断して実行していただきたいと思うのです。
  203. 神山文男

    ○神山政府委員 大臣の前に、定員の問題、御質問がありましたのでつけ加えさせていただきますが、一般職員の数、確かに減っております。これは主として電通合理化による減員がこういう結果になってあらわれておりまして、だから地方の特定局とか電通を取り扱っていた局の減員になりまして、大局等においては業務増に応じて定員の増はやっておるということでございます。それから管理職の数でございますが、これは組織改正あるいは置局等に伴う増でございます。
  204. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  郵政省の大先輩であられる久保先生の御意見でありますだけに、これを重要視いたしまして十分検討して御回答いたします。
  205. 久保等

    久保(等)委員 それじゃ大臣、非常に簡潔な御答弁ですけれども、実行されるという御決意を込めての御答弁だと思いますから、私、承っておきます。  人事局長からいま御答弁があって、あるいはそういう数字かもしれませんし、そういうことならばそういうことで、片やまた御承知のように、これはまた後で阿部委員の方から御質問があるから私控えておきますけれども、臨時雇いだとかそれから郵便集配請負人ですか、そういったような者を大量に抱えてやっておるわけですね。こういった者あたりは当然本務化すべき要員だと思うのですね。これ、たとえば臨時雇いですか、臨時雇いだけの数字をひとつ、一月どのくらい使っておられるのか、ちょっと御答弁願えませんか。延べでも何でも結構です。
  206. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいま月の数字を持ち合わせておりませんが、年間四十九年度で、延べですが、約六百五十万人。これは年末年始あるいは夏季繁忙等も含めた数字でございます。
  207. 久保等

    久保(等)委員 六百五十万というと、相当な大都市ですね。とにかく大変な臨時雇いを使って何とか急場をしのぐようなやり方をやっているのですが、当然これは本務化すべき、全部が本務化すべきということまでは言いませんけれども、とにかく相当数本務化しなければ運営がつかないという状態だろうと私思うのです。ほんの年末だけの期間だけの問題じゃなくて、これは日常業務そのものをやっておるんだと思うのですが、そういう点から要員対策の問題も、これは大蔵省は私特別きょう呼んでおりませんからいないのでしょうが、これはやはりそういう事情等について大蔵省の理解を得て、定員に入れるべきものは定員に入れるということでやらないと、それこそ先般来言われておる郵政の国営事業の使命を果たすことができないと思うのですね。若い高校の在学生のようなのをむしろ相当数使うというようなことでは、これはとても本当の国民の信頼を得る郵政の運営というようなことはおぼつかないと思うのですね。ですから、そういう質的な面も考えなければならぬと同時に、いま言った量的な問題も考えなければならぬ。いずれにしても要員対策の問題が非常に重要な問題だと思うのです。だからあらゆるものがこう因果関係でぐるぐると回って、鶏が卵になる、また卵が鶏になるというような式に悪循環を繰り返していって、それがだんだんエスカレートしていっているのが郵政事業じゃないかという感じがするのです。だから一つ一つ具体的な問題で取り組んで解決をしていかないと、郵便料金大幅値上げの問題にしたって、私はそういったことが一つ一つ改善される中でやはりある程度の料金値上げもひとつやむを得ないんだということで訴えていくのなら、国民もまたある程度納得してもらえると思うのです。先般来の提案趣旨の御説明なり、いろいろ質疑に対する御答弁を聞いておっても、積極的なこういう施策をするんです。今度上げてもらえばこうなるんですよというものは何もないですね。それでつい出てくるのは、遠からずまたお願いするかもしれませんよという含みのあるような御答弁をいただくようなことでは、これはもう本当に郵政事業が最悪の状態だと私は思うのです。  それで、せめて労使関係だけでも非常に明朗でしかも非常に意欲に燃えて、郵便局に行くのが何か楽しい、非常に職場が明かるいというのと逆に、何かいかにもいやいややっているような感じを受けるような職場では、これは公共に奉仕する、公衆に奉仕する国営事業としてはいけないと私は思うのです。要員対策の問題、これも重要な一つの問題だと思うのです。六百五十万も年間に臨時雇いで仕事をやっているというのも、一体どっちが中心になってやっているのか。臨時雇いが中心になってやっているのか、本物が本務者の方が中心になってやっているのかわからないような事業みたいなものですね、図にかいてみるなら。それで、どうも十年たっても労使関係で話し合ったことが下部の末端の方にいったら麻痺状態になっている。上の方では何かある程度話がついたようだけれども、下へいったら全然言うことを聞かない。これはもう麻痺したような組織だと私は思うのです。要員対策の問題から話がだんだん大きくなったのですが、その要員対策の問題、大臣ひとつどういうふうにお考えになりますか。いまの延べ六百五十万の話と御答弁を聞いて、大臣とすれば一体どうすればいいか。
  208. 村上勇

    村上国務大臣 これはいろいろ定員法その他の問題がありましょうし、しかし希望を持って働かすということは大事なことであろうと思います。したがって、十分検討した上で何とか処理してまいりたいと思います。
  209. 久保等

    久保(等)委員 ぜひひとつこの問題についてはやはり前向きで、本務化すべきもの、定員化すべきものについては定員化していくということで大臣もぜひ取り組んでいただきたいと思います。  それからどうも余りいやなような質問ばかりで、私自体が余り気が進まないのですけれども大臣にもひとつぜひ十分に御理解を願いたいと思うのですが、郵政の内部において労使関係で非常にトラブルがある。それを今度は第三者機関に持ち込んでいって裁判ざたにする、あるいは人事院に持ち込んでいって公平審査を受ける、こういう案件が非常に多いので、これまた私も非常にびっくりして驚いているのですけれども、その現状についてひとつ人事局長の方からお伺いしましょう。私の方で余り説明みたいな質問をしていると何ですから、人事局長ひとつ民事事件、刑事事件それから人事院の公平審査請求案件、何件ありますか。
  210. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  いわゆる郵政職員関係の組合事案といいますか、労使間の問題に属する事件数として、四十九年末の数字でございますが申し上げますと、刑事事件係争中のもの二十八件、それから民事、行政事件係争中のもの八十三件、それから人事院公平審理係争中のもの四千八百八十五件。なお、この人事院公平審理の係争事件の数の中で、いわゆる休暇闘争等のようなマンモス訴訟と俗に言われるようなものは、これは数は非常にふえますが、態様は同じものというふうに見ることができると思います。それからもう古くなって事実上審理に入らないと思われるようなものも中に相当ありまして、現実に審理の対象とされるものは約六百件程度と見込まれます。人事院の方でございます。  また、この刑事事件のうち、これは当局が告訴、告発したものは二十五件ということでございます。
  211. 久保等

    久保(等)委員 さらに人事局長にお尋ねします。  刑事事件二十八件、民事事件八十三件、人事院の公平審査請求案件四千八百八十五というのですが、この刑事事件と民事事件で、それぞれ上級審にさらに上訴したり上告したりしている案件もあるようですが、それを各審ごとに何件ずつになっているか。それから当局が勝訴したものは一体何件ぐらいあるのか。それをちょっとお聞かせ願います。
  212. 神山文男

    ○神山政府委員 刑事事件係争中のもの二十八件と申し上げましたが、このうち最高裁に二件、それから高裁に四件、地裁に二十二件、計二十八件でございます。  それから民事、行政事件係争中のものについてはただいまちょっと資料が手元にございません。  それから刑事事件のうち当局が告訴、告発したものは二十五件ということでございます。
  213. 久保等

    久保(等)委員 一審、二審で当局が勝訴したものは……。
  214. 神山文男

    ○神山政府委員 これは係争中のものを申し上げましたが、従来過去にわたりましてちょっとただいま資料が手元にございません。
  215. 久保等

    久保(等)委員 たとえば一審、二審で郵政当局が勝った、しかし、なおかつ最高裁に行っているかもしらぬししますが、そういう裁判の結論がどんな結果になっておるのか。少なくとも最高裁に行っているのは一審、二審の判決があるでしょうし、高裁に行っているのも第一審での判決があるでしょうししますから、そういったような結論についてお聞きしたいと思うのです。いま手元になければ、後ほどで結構です。  民事の場合は、郵政当局が告訴した案件は何件か。それもわからないですか。
  216. 神山文男

    ○神山政府委員 民事、行政事件については、当局が告発、告訴したものはありません。
  217. 久保等

    久保(等)委員 この刑事事件にしても、いまお話があったように、郵政当局の方で告訴したというものが二十五件あるようですし、それから人事院関係の案件については、さっきもお話があったように四千数百件に上っているわけです。こういうところにも、いかに労使関係が、よく言われるように裁判ざたにするということはよほどのことでないと、信頼関係があったらこれは裁判なんというようなことにはならないと思うのですね。そういったことがますます職場の中でいろいろな問題に波及していっていると私は思うのですが、少なくとも一審二審あたりで仮に負けたというような問題については、それはもうそれで結末をつければいいと思うのですけれども最高裁まで行ったりなんかしているようですし、高裁にも行っておる。そういう形で、いつまでも裁判で争っておる。これも実際労使関係のあり方としては最も最悪の状態だと私は思うのです。こういう第三者機関に持ち出して物事を解決しようという考え方は、要するに敵対関係になればこれは別ですけれども、最悪の状態だと思うのですが、こういうことについて反省を込めて、私はこういったことに対するやり方をやめてもらいたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  218. 村上勇

    村上国務大臣 他人と争うわけではないのでありまして、実際きょうだいげんかということは、どちらがいいか悪いかは別といたしまして、できる限り避けるべきものである、そうして、ますます労使の協調を図るということが大事だと思います。
  219. 久保等

    久保(等)委員 それから、この裁判費用なんかは一体とのぐらい――どの期間をとればいいのか、いまの係争中の裁判で一番長いのはどのぐらい長いのがありますか。だから、その一番長いものから今日まで一体、全体を含めたらどのぐらいの費用がかかっておるのか、ひとつその裁判費用を聞かせてください。非常に金が豊富な家庭の裁判みたいな話ですが……。
  220. 神山文男

    ○神山政府委員 刑事事件につきましては、これは検察庁の関係になりまして、郵政省として経費を支出するという問題ではございません。  それから、民事、行政事件でございますが、これは予算で申し上げますと、昭和五十年度で二百二十二万円、こういうことでございます。
  221. 久保等

    久保(等)委員 しかし、弁護士とかなんとかやはり雇うのでしょう。ただ起訴になったら起訴になったっ放しですか。刑事事件は金は全然要りませんか。
  222. 神山文男

    ○神山政府委員 刑事事件については、郵政省として弁護士を雇ったり、そういうことはいたしておりません。
  223. 久保等

    久保(等)委員 しかし、顧問弁護士なんか使ってやっているのじゃないですか。全然そういうものにはノータッチですか。そんなことはないでしょう。
  224. 神山文男

    ○神山政府委員 民事、行政事件につきましては弁護士に依頼するということもいたしておりますが、刑事事件についてはそういうことはいたしておりません。
  225. 久保等

    久保(等)委員 いずれにしても、これは金のかかることには間違いないと思うのですね。と同時に、やはり当事者が行っていろいろその弁論にも参加する――弁論といいますか、裁判にも協力をするのでしょうし、少なくとも手間のかかる仕事ですね。だから、二百二十二万円というのは何にかかった金か知らぬけれども、きわめて内輪目に出した金だと思うのですが、いずれにしても、こういった裁判関係に人手を煩わし、金も使う、職場はますますおかしくなる、こういったことはもう下の下だと私は思うのですね。したがって、その解決について、これは単に成り行きに任せておくというのじゃなくて、取り下げられるものは取り下げるというようなことで、やはり事態を円満に解決するような方向でひとつ御努力願いたいと思います。  いろいろ時間の制約もあるようですから、できるだけ簡潔にお尋ねをしたいと思うのですが、ぜひひとつ、いま申し上げた裁判問題については、大臣、やはりこの委員会でこういう問題が議論になり、郵便法改正問題と関連しての質問の中でこれを一つの契機にして片づけるというような御努力を願いたいと思うのですが、大臣いかがですか。
  226. 村上勇

    村上国務大臣 労使協調ということは最も大事なことでありまして、そういう紛争が行われておることにつきましては、まことに遺憾であります。十分検討した上で、どちらも、取り下げられるものは一刻も早く取り下げていくということに努めたいと思います。
  227. 久保等

    久保(等)委員 それじゃ最後の質問に入りますが、やはり人事政策の問題についても、これは反省を加えてひとつ今後対処してもらいたいと思うのだが、引き抜き人事といいますか、簡抜人事といいますか、そういう人事が全国的に非常にやられていろいろトラブルになっているのです。それから、役付の任用基準の問題にしても、これがなかなか協約化されないというようなこともあって、なかなか紛争が片づかないという問題があるのです。簡抜人事の問題なんかについても、十人、二十人飛び越して下の方がにわかに栄転する、役付になるということになれば、やはり職場の一般の職員が気持ちよく働くということにはならぬと私は思うのです。これも何千人の中、何百人の中に一人ぐらいたまにあるというのなら、これは物の見方、人間に対する判断が違うということもあり得ると思うのですけれども、残念ながらこれが非常に全国的に、しかももう長い間――私も何回かこういった問題に直面したことがあるのですが、現在も何か約五年の間に五千件ぐらい問題になるというか、要するに職場の方でいろいろトラブルの原因になっている問題があるのだそうでありますが、これも異常だと思うのですね。中には、下から百人ぐらい飛び越えて引き抜き人事みたいなかっこうでなるというのですけれども、まことにどうも異常だと思うのですね。それが結局、何のことはない、労務対策上そういう人事がやられていることは間違いないのですが、個々の問題については申し上げませんけれども、こういったような簡抜人事というか引き抜き人事みたいなことについてやはり反省を加えて、そういったことはやめるべきだと思うのですね。  それから任用基準の協約化の問題についても、これは人事局長あたりからお伺いしたいと思っているのですけれども、こういった問題もやはりそうした協約なら協約を結ぶところは結んで、納得をしてその基準に基づいて任用していくというふうにした方がやる方もやりやすいと思うのですね。一つの基準を設ける、お互いの話し合いで基準を決めておくというふうにして片づけていった方がやる方もやりやすいと思うのです。そうすれば、情実人事だとかなんとか言われなくて済むと思うのですが、この二つの問題について、最初に人事局長の方からひとつ御答弁願います。
  228. 神山文男

    ○神山政府委員 職員の任用に当たりましては、基本原則は国家公務員法に規定されているわけでありますけれども、公務員法は能力主義ということをうたっております。単に年功序列ということでなく、やはり職務についての責任感のある、あるいはすぐれた人材というものを登用するというのが基本方針かと思います。そこで、これを具体的にどういうふうに適用していくかということが大切でありますが、職員の能力とか適性あるいは経験あるいは勤務成績、そういうものを総合的に勘案の上に適材を適所に配置するという考えでやってまいっておりますが、今後とも人事の公正を期するようにひとつ徹底してまいりたいと考えております。
  229. 久保等

    久保(等)委員 任用基準の協約化の問題は。
  230. 神山文男

    ○神山政府委員 任用基準の協約化については組合ともいろいろ話し合ってまいっておりますが、組合の案は完全なる先任順位で登用せよという案でございまして、そういう完全に先任順で登用するということはやはり世間一般から見ても、また公務員法の考えから言っても、また実際の人事の運用においてもいかがかと私ども考えておるわけでありまして、私どもとしては先ほど申し上げたような考えで今後とも公正な人事をやっていきたいというふうに考えております。
  231. 久保等

    久保(等)委員 ちょっと、もう一遍人事局長お尋ねしますが、協約化することについてはもちろん異議はない、ただ協約の中にどういう中身を織り込むかということについて、話はしているがいまのところまだ妥結を見るに至っていないということなんですか。もちろん協約化することを前提にして話をしているということですか。
  232. 神山文男

    ○神山政府委員 任用の一般基準につきましては協約事項ということになろうかと思いますが、個別人事になりますと、これは人事権と……
  233. 久保等

    久保(等)委員 基準の協約化。
  234. 神山文男

    ○神山政府委員 任用の基準ということであれば協約の対象になるというふうに考えております。
  235. 久保等

    久保(等)委員 というふうに考えるじゃなくて、やっているかどうかという話を聞いているのですから。
  236. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほど申し上げましたように、組合から提案がございまして、先任順に任用するという中身でございまして、その点でただいまのところ意見が合致していない、こういうことでございます。
  237. 久保等

    久保(等)委員 だから、私の言っていることは了解できるのでしょう。要するに、協約化することを前提にして、中身について何を織り込むかと言ったら、いま言った先任権にしろ、いやそれはちょっとそれだけじゃ困る、ということで議論しているのだというのなら、私はそれで労使が話し合ってもらえばいいのだから。
  238. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほども申し上げましたように、労使の話し合いはもうやっております。
  239. 久保等

    久保(等)委員 だから、協約化することには異議ないし、またそういう方向で努力しているのだというふうに理解していいですね。
  240. 神山文男

    ○神山政府委員 そうです。
  241. 久保等

    久保(等)委員 それじゃ最後に大臣に、いまのようなことも含めてなんですが、同時に、先ほどちょっとお尋ねした簡抜人事といいますか引き抜き人事ですね、こういったことについて、やっぱり職場の明朗化の一つには人事問題だと思うのですよ。しかも、同じ仲間なんでしょう。たとえば課長代理だとか主任だとか主事だとかという自分たちの仲間ですね。その仲間の中でいきなり五十人も百人も飛び越えて上へ持っていかれたら、これはどうもその下で今度はおれがなるのじゃないかと思っておったら、もうずっと下の方の連中がいきなり上へ持っていかれるというようなことは、これはもう本当に私は意図的な人事だと思うのですね。それと、いま申し上げた協約化の問題にしても、だからもう少し従来のやり方を方向転換をしていただくことが必要だと思うのですが、大臣いかがですか。
  242. 村上勇

    村上国務大臣 まだ勉強が大分足りないと思いますので、十分勉強し研究して、そして絶対に不公平でないように公平な人事を行ってまいりたいと思います。
  243. 久保等

    久保(等)委員 いま私がいろいろ労使関係の問題をお尋ねしたのも、これはやはり郵政事業再建の最も重要な柱の一つだと思ってお尋ねをしたり、またひとつこういうことを機会に方向転換をぜひしてもらいたいと思うのです。基本的な労使関係のあり方の問題として、ぜひひとつ従来のやり方について方向転換をすべきものは方向転換をするし、廃止すべきものは廃止する。そういうところにやっぱり郵政事業のむだが一つはあると思うのです。労力、人員の面で非常なむだがある。そういう中で、さっきも一番劈頭に申し上げたように大幅料金値上げでは、これは国民としては全く泣き面にハチみたいな話だと思うのですね。そういう意味でひとつ郵政大臣の英断をもって、先ほど来時間がないものですから指摘したのは私の思っておりますほんの何分の一かなんですけれども、重要な柱だと思いますから、御検討願いたいと思うのですね。  では終わります。
  244. 地崎宇三郎

  245. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵便料金の問題に入る前に、郵政事業の運営全体の問題について懸案の事項が幾つかありますので、この際お伺いしておきたいと思います。  いま郵政省の中に先ほどちょっとお話が出ました郵便集配請負区という制度があるわけでございまして、ここに働く方々は、従来郵政職員郵便局の仕事をなさっておった方々が定員法の関係上請負に切りかえられたといういきさつがかつてありますが、その後、この皆さんの処遇が非常に劣悪で、しかも労働者としての扱いを受けない。いわゆる労働基準法上の労働者であるかどうか、あるいは労働組合法上の労働者であるかどうかというようなことでいろいろ議論があったわけですけれども、特に昨年の四月五日の社会労働委員会に労働省の方からも御出席をいただきまして、私内容をつぶさに御報告を申し上げまして、当時、いまの労働大臣、同じ長谷川さんでございましたが、郵政省の中にそういう制度が残っておったということは政府としても非常に心外な話で、何とか前向きに検討したいというお話でありました。もちろん法体系上の問題もありますので、私は若干の時間を与えて労働省の方にも十分検討をしていただくようにお願いをしてあったのですが、大体私が指摘をした内容で労働省の方でも、郵政省から聞いておった話とはずいぶん内容が違うので、少し調査をさせてもらいたい、こういう当時の答弁でございましたから、きょう基準局の監督課長ですかお見えになっていただいておりますから、その後ずっと調査をしていただいたと思いますので、もう繰り返しませんから、一体いまの郵便集配請負区に働く人たちが労働基準法上の労働者に該当するかどうか、労働省の調査の結果を承りたいと思います。
  246. 岸良明

    ○岸説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、昨年の四月に御指摘をいただきまして、その後私どもの方で、全国にどういうところに郵便集配請負人の方が働いておられるかということ、また郵政省の方からいろいろと契約の内容等を伺いまして、ことしの二月に、三月一日から四月三十日までの間に実態の調査をするようにいま指示をいたしております。したがいまして、その結果を見ましてからこの問題については最終的な判断をいたしたい、かように考えております。
  247. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 去年の四月ですから一年たっておるわけですよ。当時労働大臣答弁では、速急にこれはやりたいというお話であったし、私が指摘をしたことについて郵政当局も別段反論がなくその実態は認めるという経緯があったわけですね。これは繰り返すと長くなりますからね。もし繰り返してここで議論するのならいまから議論しますが、繰り返さなくてもあなたの方はわかっておるわけですよ。私の指摘に間違いがなければ、これは文句抜きに労働基準法上の労働者ですよ。そうでしょう。問題ははっきり答えてください。私の指摘のとおりに間違いがなければ労働基準法上の労働者である。もし、あなた方が調査の結果、私の指摘に間違いがある場合には改めて議論をする。どうですか。
  248. 岸良明

    ○岸説明員 昨年四月五日でございますが、御質問がありましたその際の議事録も私はよく承知をいたしておりますし、先生の御指摘のとおりに、労働者の概念というのは実態的な概念であるということでございますので、私どもといたしましては、契約の形式のいかんにかかわらず実態がどうであるかということを現在調べておるところでございます。したがいまして、もしも実態の調査をした結果、先生の御指摘のような事実があるとするならば、これはそういう者については労働基準法の適用があるということでございます。
  249. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は自信を持って調査をして議論をしておりますから。ですから、むしろおたくの調査が遅いのが心外ですけれども、これは役所の仕事ですからここでいま責めてみても仕方がありませんが、郵政当局としては、いまお話しのように労働省の方でもせっかく調査中のようですが、これはどこに出て議論をしても、これが労働基準法上の労働者であることは疑う余地のないところになっておると私は思うのです。そこで、当然労働省の調査の結果は近い時期に出ると思いますが、それについての対策は、その結果が出た上で関係の方と話し合いをして措置をするということでようございますか。
  250. 神山文男

    ○神山政府委員 そのとおりでございます。
  251. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、まず、いまそこに働いておる方々の身分上の問題については、これは労働基準法の適用を受くるものと私は確信しておりますし、そういう結論が出れば郵政省でも措置をしてもらうということになっております。  二点目ですが、この制度は申し上げましたようないきさつで、定員法の関係でよんどころなくやったのですが、たとえば大臣御承知ですが、別府の奥に城島高原、それからその手前に志高湖というのがあります。別府からの距離が幾らでしょうか、七キロぐらいではなかったかと思いますが、非常に短い距離です。御承知のように、いまあそこはもはや観光のメッカです。グランドホテルあり、いろいろな施設がありまして。ここが集配請負区なんですよ。これは附帯決議でもなるべく早く請負をやめて直配達に直せという附帯決議がなされておるわけですが、今日なおそのままになっておる。こういうところを早く直接郵便局が配達をするというサービスをやる、これは当然のことだと思うのですが、そういう措置をとるかどうか。大臣、身近でよくおわかりと思うのですが、どうですか。
  252. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま先生の御指摘の別府の局の受け持ちの区域内に、御指摘のような集配の請負をやっておる地域が三地区あることば私たちも承知いたしております。その点につきましては、先生の御意見もございますけれども、確かにその辺が非常に発展地域であるということもよく熊本郵政局でも承知いたしておるようでございます。ただ、現在そこの地域で引き受けております。あるいは配達いたしております郵便物数というもののここ数年来の動きを見ますと、地域の発展度合いと比例して非常に郵便物数が伸びておるというのではなく、むしろ若干は減っておるような傾向もあるように闘いでおるわけでございまして、直ちにこれが本務者の担当すべき区域に編入すべきものかどうかにつきましては、もう少しその辺の実態を調査さしていただきたいと思うわけでございます。
  253. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま私は例を申し上げたのですが、本来郵便集配請負制度というものはとるべき措置ではないという原則を大体確認しておるわけですよ。なるべく早い時期にこれは切りかえていけという附帯決議がついているはずです。これは郵務局長御承知でしょう。そういう附帯決議がつけられて三十年に近い、二十数年たっている。その間なおいま私が申し上げたところが残っておるということは、郵政当局が集配請負区というものを郵便局の直配達区域に変えていかなければならないという意欲があるのかないのかということになる。その一例として私はいま別府の問題を出したのでありまして、何も別府だけを直接どうこうと言うのじゃないのですよ。全国的にこれを定員法上やむを得ず切りかえた。しかし、これはなるべく早い時期に直配達の区域に直していきなさいという附帯決議がつけられておるのに今日なお放置してあるじゃないか。しかも、その中にはいま事例を申し上げましたような内容のものもありますよ。一体、直配達に直していく意思がおありですか、ないのですかということをお伺いしておるのです。
  254. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいまの集配請負の問題でございますが、御承知のとおり郵政省では、郵便規則の八十五条適用地という場合を除きますと、僻地に至りますまで各戸配達ということが大原則で、そういうふうに実施いたしておるわけでございますが、郵便局からの距離が非常に遠かったり、また物数も非常に少ないという地域におきましては、一部本務者によらないで請負によって集配をやっておる。その区数が現在約千五百区あるわけでございます。その中身につきましては、先ほど先生の御指摘のような行政機関職員定員法の実施に伴う措置といたしまして、千人近い人がこの請負集配に切りかえられたという歴史的な経緯があることは事実でございます。  問題は、こういった地域に対する配達の仕方といたしまして、これをすべて本務者によってやるのが妥当であるかどうかにつきましてはいろいろ意見もあるところでございまして、物数も非常に少ない、しかも受け持ちの郵便局から非常に離れておるというような場合に、これを郵便局の職員でやるということにいたしますと、そこに経済的な意味のロスということも出てまいりましょうし、制度としてはやはりこういったものはあってよろしいのではないか。郵便事業の第一条の目的を達するための趣旨に沿うためにも、こういったものは制度として残していかなければならないのじゃないか。ただ具体的に、いま全国千五百区ありますけれども、こういった地域も毎年毎年いろいろな道路状況その他の変更、発展というようなこともございますので、そういったような発展状況を見ながら、お説のように本務者を配置すべきとする必要があると認められるものは、これはやっていかなければならない。しかし、これを全部なくしていくということは制度としてはいかがであろうか、かように考える次第でございます。
  255. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたは趣旨をはき違えておるのですよ。八十五条適用地が従来あったことは私は百も承知しておるのです。しかし、いまお話が出ました行政機関職員定員法の関係で、郵政省が定員法上どうしようもなくなって、郵便物運送委託法の一部を変えたのが二十八年七月三十日です。このときの附帯決議をもう一遍読み上げますよ。「郵便業務は国家専掌とする本旨にかんがみ、委託業務は漸次出来得る限り縮小すること。就中通常郵便物の取集、配達等を請負とすることは、特例の場合を除き避くべきこと。」という附帯決議がつけられておるのですよ。国会軽視もはなはだしいじゃないですか。それから二十数年たっておる。まだ一千の請負集配区はほとんど変更がないはずです。横ばいの状態ですよ。これを直す気があるかどうかと私は聞いておるのです。八十五条適用地が一切いけないと私は言うのじゃないのです。八十五条適用地があるのは知っていますよ。これはもともと直配達をしておった所を職員定員法の関係上、よんどころなくこういうようにした、だから、これは直さなければいけませんよという国会の意思が明らかに機能しているわけです。それにもかかわらず、あなた方は何もせぬでほたっておいて、いまなお必要であると思います――八十五条適用地の必要は前からわかっておるのですよ。この行政機関職員定員法でやったこれをどうするかと私は聞いているのですよ。それも一遍にやれとは言いません。明らかに労働事情も変わってきておるし、その地域の享便の事情も変わってきておるでしょう。そういうものを勘案しながら、今日までせめて三分の一あるいは半分でも直していったというならば、あなた方は国会の意思、国民の意思を十分くみ取ったことになるでしょう。全然やっていなくて、いまなお八十五条適用がどうだこうだと強弁するに至っては、全く国会軽視、国民の意思を無視した郵便業務のやり方でしょう。それでしかも、郵便料金値上げをするなどと言うから、国民は納得しないとさっきから議論中心になるのですよ。これは当然この附帯決議の趣旨に従って――その後労働事情なんかよくなっているでしょう。別府の場合だってそうでしょう。前は舗装も何もなくて、バスが一日に二回しか行かぬ所だったのです。いまは十分置きにバスが行って、バイクで行ったら二十分かかればいい所です。ほかの僻地に比べればはるかに近い地域にあるのですよ。そういう所が、別府に限らず、このとき職員定員法の適用を受けてやった請負区がたくさんあるはずですよ。それを直していくという意思がみじんも見えぬじゃないですか。やる気があるかないか、もう一遍はっきりしてください。
  256. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  職員定員法が実施されましたそれまでの時点におきまして、明治の創業以来と申し上げてもよろしいかと思いますが、三百ばかりのそういった集配請負区があった上に、御指摘のとおり、一千区ばかりがそういったことによってふえた。現行におきまして千五百という数字を申し上げましたけれども、その当時一千区ばかりふえました中でも、その後の地域の発展状況等を見まして、多少古い時点になりますが、昭和四十年、四十一年ごろにおきまして百区ばかりはこれを本務者の区にいたしたことも御存じのとおりでございます。ただ、現在残っておるものがすべていますぐ本務者にすべき区であるかどうかにつきましては、いろいろまた先生も御存じのとおりの問題もございまするし、郵政省の全体の定員の配置の仕方ということになりますと、御存じのとおり、現在の郵便事業の定員事情もきわめて厳しい中でございますので、これを定員化するということも必要でございますが、同時に、大都会等における郵便の定員の不足といったようなものに対する配慮もいたさなければなりませんので、それらとの関連も見ながら、しかし、同時にそういった発展の状況を見て、当然本務者にしなければならないような、不公平なことにならないような、そういった措置は当然講じていかなければならない、さように考えておる次第でございます。
  257. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういうふうに強弁をすると私も言わなければなりませんが、郵便利用の公平の原則に立って、たとえば一集配区域から郵便集配の方が出発をされて享便区域に郵便をずっと配っていきますね、その享便戸数が何ぼあって、そのキロ程が何ぼあって、そして一区域で集配をして帰ってくる所を、いまなお直配達の区域でやっておる所と、請負区になっておってもそれよりもはるかにその所要時間なり距離なりが短くてやれる所があるはずですよ。片方は従来そういうことをやっていなかった、請負区にならなかったから今日なおその享便区に住む方々は直配達の享便を受けておる。ところが、片方はたまたまこの職員定員法の適用を受けて請負配達になったために、今日的な時点から見るならば、いまこの請負区の方がはるかに享便の状況も多いし利用者も多いし、それから交通の便利もよくなっておる、それにもかかわらず、なお請負で残されておるとするならば、一体郵便利用の公平の原則はどうなりますか。あなたはないと言うなら、ぼくは実例を挙げますよ。請負区よりもはるかに悪い条件の過疎地域に直配達の区はたくさんあるじゃないですか。どうですか、これは。
  258. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  確かに御指摘のとおり現在の郵便関係の定員の配置は、東京等の大都会の中心地の非常に物の重い区域と、特定局方面の過疎の地帯における郵便の外務員のウエートと、持ち出す量等に非常に差があることは御存じのとおりでございます。過疎地に対する対策といたしましては、これはお言葉ではございますが、本来そういった所の本務者につきましては、いろいろ郵便物数の動向等を見ながら、過疎過密の対策、要するにある程度過疎地の郵便物数が明らかに減少していくという状況を見ながら、そういった所につきましてはいわゆる配置転換と申しますか、実際の配置転換はできませんけれども、過欠員の調整をして、大都会等に対する今後の郵便定員の需要に応じていかなければならないほど現在の郵便事業は非常に苦しい定員事情にありますので、せっかくの御指摘ではございますけれども、現在まで十分御意に沿うような方向の措置ができていなかったということは私も承知いたしておりますけれども、今後もそういった地域の発展状況を見ながら、当然措置をしなければならない点については措置してまいりたい、そういう考え方でございます。
  259. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵務局長は私の質問の趣旨がわかっていないのですよ。いま直配達でやっておる集配区でも、条件としては請負区よりもはるかに悪い条件の所を直配達でたくさんやっておるわけですよね。あなたの答弁は後ろ向きで、私がそう言うならいま直配達をしておる所も請負にかえますよという理屈になってくるのですよ。定員事情が悪いから人間を都市に集中する、そうすれば過疎地域は区画の変更をするか――まあ区画変更はともあれ、そういう方法によって減していく、本務者を減していかなければならぬという理屈になるのでしょう。あなたはまるで議論が逆じゃないですか。  私が言っておるのは、たまたま請負区になった所でも、今日比較をしてみれば、直配達よりもはるかに条件のいい地域がたくさんあるじゃないですか。それならば、国会の附帯決議の趣旨にも沿って、そういう地域はすべからく直配達に直していくべきでしょうということを私は言っておるのです。あなたはまるで反対の議論で、集配請負区の方が条件のいい所があって、それより悪い所が直配達区にあるならば、そこも請負区に変えましょうという議論にあなたの議論からいくとなるのですよ。まるで逆じゃないですか。いま現にあるんです。条件が悪くても直配達でやっておる所はたくさんあるんですよ。もう大臣の近所なんかはほとんど皆そうなんですよ。ところが、たまたま定員法の適用を受けて請負区になった所は、それよりもはるかに条件のよくなった所でもなお請負区で残してある。これは早く直配達にしなさい。郵務局長、私は何もかんも全部すぐしてしまえとか、そんなことを言いよるのではないのですよ。そういう条件が整っておる所でもあなた方はやらぬじゃないか。なぜこれをやらないか、そう言っておるのですよ。どうなんですか。
  260. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘のような条件の整っておる所につきましては、これを直配達にするということをやってまいりたいと思います。
  261. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それではいまの問題はそういうことで、なるべく早く調査をして、条件の十分整っておる所、ほかの、いま直配達の区域でかなり条件の悪い過疎地減等と兼ね合わせて見ながら、少なくとも郵便利用の公平という原則に立つならば、これはなるべく早く直配達の区域に条件のある所は直していく、このことをあなたが約束してくれたというふうに私は理解をします。大臣、いいですか。
  262. 村上勇

    村上国務大臣 大体あの場所はよく承知いたしております。
  263. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、承知だけしておいて。やるかやらぬか、私の説明した趣旨を……。
  264. 村上勇

    村上国務大臣 よく承知いたしております。まるで昔とは違っておりますので、直配達ができるように努力いたします。
  265. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、郵便料金値上げについては、これは私ども基本的に反対でございますが、特にいま福祉の問題が大きく取り上げられておるわけですけれども、その中で盲人用点字の郵便物、いわゆる第四種郵便物でございますけれども、これはいま何も郵政省の好意じゃないのですよ。他の郵便利用しておる方々の負担によってこれは無料で送達をしておる。私はちょっと異論があるのです。こういうものは本来国がやるべきだ、いわゆる大蔵省がやるべきだと思っておるのです。郵便事業独立採算制を押しつけておいて、そういう恵まれない方々に対する社会福祉の措置を利用者に転嫁するというのは私は反対なんです。ですけれども、いまこれを議論しても右、左にはならぬでしまうから、そこでいまあるこの制度を最大限生かして、こういう方々に少しでもサービスをするという意味で――御承知のようにいま郵便法によって決められておる寸法がございますね。郵便法十七条の規格でございますけれども、これがありまして、ここで制限を受けておりますが、この盲人用点字をつくるのが最近はだんだん発達をしてきまして、いまイギリスから新しい機械が二台日本に入っておるそうですか、これでいま印刷物あるいは教科書などもおやりになっておるわけです。この教科書の規格は、郵便法十七条の天地四十センチ、左右二十七センチ、厚さ十センチ、目方が盲人用点字の場合は三キロですね。この規格でいきますと、特に左右の二十七センチではどうしてもちょっとはみ出るのです。ちょっとはみ出てくる。これがせめて三十五センチぐらいになれば非常にいいのですが、他の郵便物の規格との関係で取り扱い上なかなかやりにくい点があるというのは私は承知をします。承知をしますけれども、現に万国郵便条約によって外国から入ってくる盲人用点字はこの大きさが日本の郵便法よりも緩和されてもっと大きいわけなんです。それは現に扱っておるわけなんです。そうすれば、日本の国内の方々の間で発着する盲人用点字の特に印刷物等について、若干この規格を大きく認めてやる方法はないだろうか。  実は私もかなりこの十七条の規定について検討してみたんですが、第一種の郵便につきましては大臣の権限で何とかなりそうなんです。ところが、残念ながら盲人用点字は第四種とはっきり規定されているのです。したがって、第四種となれば、これは法律を変えなければやれないのですが、次官通達とか大臣取り扱い上の何か規定を設けて、例外規定を設けて、この盲人用点字の規格をもうちょっと大きくすることを認めてあげれば、目の見えない方々がどんなにお喜びになるだろうかということを考えまして、この郵便料金の大幅な値上げの時期に一つのサービスとしてお考えいただけないだろうかと思うのですが、どうでしょうかね。
  266. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の点は、いつでしたか、前の逓信委員会のときに先生から御質問いただいた問題でございまして、その当時も、引き続いて検討させていただきたいと申し上げたわけでございます。わが国の郵便の規格は、通常郵便については御指摘のとおり四十センチ、二十七センチ、厚さ十センチというのが基本でございまして、この点が確かに国際の郵便の大きさのルールから言いますと外れておる、小さくなっておるという点がございますので、ただいま御指摘のような問題が起こっているわけでございます。わが国の最近までの盲人用点字の出され方を見ますと、現在の郵便法の大きさの制限は大体妥当しておると思っておったのでございますが、外国製の盲人用の点字の輪転印刷機でございますか、非常に大きい機械が輸入されておるということでございまして、私ども郵便を担当する者の立場考えますと、郵便の規格が法律上定められておるものを大きくすることにつきましてはいささか抵抗があるのでございますけれども、そういう形ではなく、つまり郵便法上の大きさを改正するという形ではなくて、現在も伺うところによりますと小包としてお出しになっておるということでございまするので、小包郵便料金の現在省令で決めておりますものの中に、こういった同じ性格の盲人用の点字でありながら規格がちょっと大き過ぎるために無料という恩典を受け得ない方々に対する何か配慮ができないものであろうかというふうに考えまして、まだ結論は得ておりませんけれども、この点は前向きに検討させていただきたい、さように考えております。
  267. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵務局長、非常に前向きの御答弁をいただきまして、私も非常に賛成でございます。  実はこの十九条の三でしたか、小包郵便の場合にも免除規定がありまして、これがいわば小包郵便料金についての免除規定がある以上、この盲人用の小包を無料にするとなれば、また免除規定を法律でつくらなければならないのじゃないかという気がするわけですよ。そこで無料ということには私はならぬじゃないかと思われるわけです。無料ということにはならないが、郵便で出せば無料で行けるわけですから、取り扱い法律変更の大変な手続が要るから、便宜扱いとして当面やるとすれば、小包にして出してください、その場合、無料にするとまた法律変更が要るから、何か非常に安い極端に安い料金でほとんど無料に近いようなものを小包料金の中につくって、盲人用点字を省令の中で扱っていく、そういう措置についていま局長さんからお話があったと私は思うのですが、そう理解していいですか。
  268. 石井多加三

    石井政府委員 大体ただいま御指摘のような方向で検討させていただきたいと思っております。
  269. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 話が非常にスムーズに進んでおりますので、次の質問に移ります。  次は、これは経理局長さんになりましょうかね。収入印紙の取扱費ですね。これはいま大体どういう状況になっておりますか。概略をちょっと御説明願えますか。
  270. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま収入印紙の取扱手数料につきましては三%を受け入れております。現状は、印紙の額面もふえておりますし、それから税法の改正等もございまして、年々経費の増加もございますけれども、収入の方も相当ふえております。
  271. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 確かに、いまの理屈から言えば、郵便も取扱料が年々ふえてくるから郵便料金値上げをしなくてもいいのではないかという理屈になる。印紙の額面もふえてくるから、だから取扱手数料は三%でもだんだん収入がふえてきます。だれが考えても、このインフレの時期に収入が減ることはないんです。収入はふえるに決まっているんですよ。私がいま聞きたいのは、三%という取扱手数料が果たして妥当であるかどうかです。たとえば二十円の収入印紙でもって間に合うという書類がたくさんありますね。その書類が一体いつから二十円のものが五十円張らなければならないという規定に変わったか、あるいは百円張らなければならないという規定に変わったか。これが変わればあなたのおっしゃるように手数料は当然ふえてくる。ところが、二十円の印紙は依然として二十円で手数料として通用する間は、一向郵政省の収入がふえることにはならないわけです。したがって、私は、これは額面というよりも、人件費も上がってくるし、いろいろなことから考えて、この機会にむしろ取扱手数料を少し考えてもらうべきではないかという気がするわけです。  ちなみに聞きますが、雇用保険印紙、日雇い労働者健康保険の印紙を取り扱っておられますね。これも同じですか。
  272. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 いま御指摘の印紙につきましては五%をいただいております。ただ、しかし、これは非常に取り扱いが少ないわけでございますので、その他の収入印紙と比較いたしますと、そういう差があっても差し支えないのではないかと私ども考えております。  それから、先生御指摘の三%が妥当かどうかということでございますけれども、現在の予算から見まして適当な率になっておる、こう私は考えております。
  273. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは大臣郵政当局が適当であると言うのでは、私が何も言うことはないのですよ。しかし、さっきから私がるる説明をしましたように、たとえば社会保障制度の問題にしても、第三種郵便物――後ほど議論しますが、第三種郵便物というものをいわゆる国民文化の向上という見地から一種郵便物よりも安くしなければならないという規定がありますね。これは一体何のためにあるか。少なくとも郵政省独立採算制のためにある規定ではない。国家的見地から国民文化の向上を目途として行われておるのです。農産物の種子だって同じですよ。盲人用点字だって同じですよ。少なくとも郵政省独立採算制というたてまえから考えるならば、こういう郵便料金の設定は私に言わせるならば第三条の規定ではあり得ない。しかし、それがあるということは、国家目的に沿って郵便事業がその受け持つ分野において貢献をしておるからこれが認められてきたと私は理解をするのです。それならば、いまの収入印紙の問題にしても、単に差し引き人件費とつり合いがとれるかとれないかという問題ではなくて、この種の取り扱いをする以上、そういう面で社会福祉に貢献をしておる郵政事業の会計がきわめて苦しい状態にあるときには、三%を五%に引き上げても当然だ。これは私の試算ですが、昭和五十年の郵政省の予算から見ますと、大体五千百九十億というのが三%を除いたところの予算になっているわけですね。それから自動車重量税が二千五百七億、七千六百九十七億というのが三%を除いた郵政省が印紙を引き受ける額になっている。したがって、これに三%を加えますとこれは七千九百三十五億になるのです。これの三%の場合には二百三十八億五百万、もしこれを五%にしてもらえるならば、三百九十六億七千五百万円という額になるのです。その差ば実に百五十八億円ですよ。いま郵政省がこれだけ苦しい特別会計の中で世論にたたかれて郵便料金値上げをしなければならぬだろうかという時期に、何で印紙の取扱手数料をせめて三%から五%にしてくださいということを言えないのですか。それほど郵政省は大蔵省に気がねしなければならないのですか。一体どういうことなんですか。
  274. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 別に大蔵省に気がねして要求しないというわけではございませんが、実は四十九年の補正後をとってみますと、四十八年に対しまして四五・四%ということで非常にふえております。これはやはり税法の改正、それから全体の額面の上がっていること、そういった影響がありまして、過去は先生御指摘のように三%という非常に苦しい時期もあるいはあったかと思いますが、現在のところはほぼ妥当な取扱費になっておると私ども考えるわけでございます。
  275. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 単に額面が上がっただけならば、経理局長、あなたのようなことになるのです。さっき言ったように、二十円で足りておったものが五十円張らねばならぬことになったならばあなたの理屈は合うのです。ところが、必ずしもそうではない。自動車重量税などというものも改めてできたのですよ。そのために印紙をたくさん使うことになったのです。たくさん扱うということは人手が要るということなんですよ。単に額面がふえただけで人手がふえないのならば、あなたの理屈は合うのです。ところが、現にたくさんの税法の改正によって印紙を使わなければならないところがふえてきた。当然それを売りさばく人手というものが要るわけだ。取り扱う人手は要るわけだ。だから、単に額面がふえただけではなくて、取り扱いの数がふえているということは明らかに人手を要するということになるのですよ。それを、あなたの計算では、人手は全然ふえてなくて額面だけ上がったから郵政省は結構これでやれますということをあなたはお答えになっているけれども、それはちょっと違うのじゃないですか。
  276. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 実態を私もう少しよく調べなければ自信を持ってお答えするわけにはまいりませんけれども、額面が上がった方がはるかに手数よりも大きな影響があるというふうに私ども考えておりまして、現在の予算はほぼそういった意味で委任業務としてはやり得る計算になっておるということでございます。
  277. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政省のふところぐあいは大変いいようですから、もうそんなにもらわなくても金は十分にあるというお話のようですから、これはちょっと保留しておきまして、さっき一つ質問で大事なことを忘れていましたが、前の郵便集配の請負に戻りますが、そんなにたくさんお金があって余裕がありますのなら、郵便集配の請負料というのは、郵便集配を請け負っておる方々の賃金と同じ性格のものなんですね。ずっと議論してきて間違いないんです。一日八時間、一カ月三十日働いたところで割り出してあるから、これは賃金に間違いないのです。これは去年は九月、おととしは十月に改定をしてますね。ことしは何月に改定をしますか。
  278. 石井多加三

    石井政府委員 郵便の集配の請負の方々の待遇改善につきましては、毎年できるだけの措置を講じてまいっておるところでございます。ただいま御指摘のとおり、昨年は九月から、従来より一カ月早く改善をいたしたわけでございますが、今年度もできるだけ早く実施したい。少なくとも九月より前に、一カ月でも二カ月でも早く実行できるように現在郵政省内部で相談中でございます。できるだけ早く実施したいと思っております。
  279. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 予算を、もうひっくり返して見ませんが、予算を見ると郵便運送費は何か大分大幅な引き上げになっていましたね。三十五億か五十億か、三百五十億か五百億かはっきり覚えませんが、大分大幅な引き上げになっております。あれは新年度予算で上がるわけですから、そうすると、これは四月からできるんじゃないですか。四月からできない理由はないじゃないですか。運送費がかなり大幅な予算上の値上げになっていました。ちょっと経理局長、見てください。なっていますでしょう。
  280. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  運送費全体は確かにかなりのアップになっておりますが、これは御存じのように、全般の運送費のアップがございますので、それらの中でどのようにそれを実行していくかということになるわけでございます。結論的に申し上げまして、ただいま御指摘のように四月一日からこれを必ず実施するということにつきましては、ちょっと無理であろうと思いますけれども、できるだけ前に出すようにということで現在検討中でございます。
  281. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もそこまで局長が言えば、どうしても四月とはなかなか言いにくいのですが、しかし大臣、別府の場合が一番いい例ですけれども、あそこで働いておる方々は実に二十年近く請負をやっておられるのです。ところが、一日八時間、一カ月三十日働いたと仮定をして高校を出てちょっとぐらいのところです。実際は二十五日しか働かぬわけですから、そうすると高校出よりも安いような給与になっておるわけですよ。しかも、ボーナスというのは非常に少ない。これも議論すれば私、内容を全部言いますが、長くなりますから言いませんけれども、非常に劣悪な労働条件であることは間違いないのですよ。せめてこの請負だけはなるべく早く上げてやっていただきたい。おととしは十月、去年は九月に改定した。賃金という認識に立てば、四月に改定するのが常識だと私は思うのです。私は四月を強く主張します。しかし、郵務局長が四月と約束はせぬけれども、一月か二月じゃだめですよ。四月に近い線ということで大臣、どうですか。
  282. 村上勇

    村上国務大臣 私は郵務局長とよく相談した上で御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  283. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣も金を出すことはなかなか慎重ですが、郵務局長、四月に近い線でいいですか。
  284. 石井多加三

    石井政府委員 この点はいろいろ金庫をよく洗ってみまして、その点の最終的な決定をしなければなりませんので、いまここでいつということはちょっと申し上げかねますが、できるだけ御趣旨に沿って措置したいと思います。
  285. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 趣旨に沿うということは、四月に近いということだと理解をして、この問題は質問を打ち切ります。  次に、先ほど来大変議論のありましたいわゆる郵便法第一条と第三条との関係でございますけれども、先ほど郵務局長は、田中委員質問に対して、一体、一条が重点なのか、三条が重点なのか。いわゆるなるべく安い料金ということが重点か、それとも適正な費用を賄う、これが重点かということについて、むしろ一条を重点に考えまして、たとえば今回の場合、値上げをしてもなお赤字であるということは一条の趣旨を十分に生かしたゆえんである、というふうな御答弁をなさっておったようでございますが、これは私は詭弁だと思うのですよ。ぴしゃっと独立採算制という枠があって、そして総合原価主義というものをとっておる。総合原価主義とは一体何だろうか。その年度における各種郵便物の間のバランスを調整をするのも確かに総合原価主義です。しかし単に、単年度ではなくて、あなた方の計画でも二年、三年を見通してこの収支を賄おうとするのも総合原価主義なんですよ。そうすると、独立採算制である第三条がある限りにおいて、明らかに第一条というのは飾り物、空文にしかならないのです。だから私は、第三条を挿入するときに、一条は死んでしまうからということでこの前随分反対したのですけれども、とうとう強引に押し込まれたのですけれども、いま私が申し上げたように、独立採算制でよそから持ってこないという前提があるわけでしょう。そして総合原価主義で自分のところで賄えということになれば、仮にことしの郵便料金値上げ赤字であったからといって、それが一条の精神にのっとったものではなくて、来年あたりまた値上げをして何とか収支を償わせなければならぬのが三条の精神でしょう。これは経理局長どうですか、大体。
  286. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先ほど郵務局長からお答え申し上げましたように、私は、第一条と第三条というのは矛盾した条文ではないと考えております。第一条のなるべく安い料金というのは、どこまでも安くという意味ではなくて、むしろ先生御指摘の(土橋委員「なるべく安くと書いてあるよ。」と呼ぶ)なるべく安くという意味でございまして、採算を度外視してまでも安くするという意味ではないと思う。なるべく安くと考えるけれども、総合原価主義の立場から、全体的に採算の合う収支相償立場料金を算定していく、そういう考え方でございまして、第一条と第三条は同じような趣旨のものと私どもは解しております。
  287. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは強いて言えば、第一条が営利事業ではありませんよというぐらいなら理屈に合うのです。なるべく安くというのは、営利事業ではありませんよということなんですよ。だから結局は、第三条の収支相償主義というものを貫く限りにおいて、しかも郵便事業は国営で営利事業でない限りにおいては、これは何も高く取る道理はないわけですから、これは空文になってくるという私の主張は間違いがないはずなんです。じゃあなた、なるべく安くという一条の精神がなかったならば、どういう趣旨で第三条を生かして郵便料金を決定しますか。もし第一条なかりせば、第三条だけで収支相償だというならば、郵政専業という立場からどういう料金の決定をしますか。第一条はなくともこの精神は生きてくるはずですよ。どうですか、それなら。
  288. 村上勇

    村上国務大臣 第一条、もうけてはならない。しかし、第三条、損してはならないというようなことであろうと思います。
  289. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、第一条がなかったならば、第一条のもうけてはならないという理屈がなかったならば、もうけるような郵便料金を三条で決めますかと聞いておるのです。第三条の規定だけがあったとするならば、収支相償だから、償えばいいのだから、幾ら上を向けても構わないという精神に国家事業である郵便事業が立つだろうか。これは営利事業でない限りもうけないというのは当然のことなんでしょう。それなら、第一条のもうけてはならないというのは空文にしかならぬじゃないですかと言うわけです。どうですか、経理局長、あなた、専門でしょうが。これがなかったら、それならどういう法律をつくるのですか。
  290. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 第一条の条文は、仰せのとおり基本的な考え方があると思います。そういうふうに解すべきだと思います。なるべく安い料金で営むというのが原則だと思いますが、そのなるべく安くというだけでは料金の決定基準というものが明確ではないということで第三条が加わったというふうに私どもは解釈しております。料金決定基準としての明確な収支相償原則がうたわれたのは、第三条ができて初めてであるというふうに解釈いたしております。
  291. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、第三条ができたことによって第一条は全く空文化したということになる。しからば逆に、この第三条がなかったら一体どうなるか。第三条は、この前入れたのです。これはそれまではなかったのです。なかったけれども、やはり郵政事業はちゃんと独立採算でやってきたじゃないですか。それなら、この第三条がなくてもこれはやはりやっていく。第一条も同じ意味でこれは空文化していると私は思うのですよ。第三条だって、ことさらに入れなくてもいい条文であったのを、独立採算をはっきりさせるためにこれはあなた方が無理をして入れた。入れた以上は、第一条は全く空文になってしまったと理解せざるを得ない。私は何もここで削除しろとか言うのじゃないですよ。理解としてはそうしかならないでしょうと言うわけですよ。その上に立っていまから質問があるのですよ。  その上に立って何を質問するかといいますと、収支相償主義という主張をいまずっと取り続けておるのです。ところで、この郵便料金というのは、郵務局長、どういうものを指して郵便料金と言うのでしょうか。
  292. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵便料金と申しまするのは、通常郵便物小包郵便物料金であるというふうに考えております。
  293. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 特殊取扱の料金郵便料金とは言いませんか。
  294. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の特殊料金も当然郵便料金でございます。
  295. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 しかし、それは非常に広い意味で言うところの郵便料金だと私は思うのです。そして、分ければ、いま局長答弁されたように、通常郵便物料金小包郵便物料金と特殊取扱の料金というふうに分けて考えるのが常識だろうと思うのです。そこで、収支相償とはそれらの三つのものを一本にして考えるのか、それともそれぞれ三つを大体分けて考えるという大まかな考え方があるかどうかですね。
  296. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第三条の趣旨とする収支相償と申しまするのは、いま御指摘の三つの料金全部が総合的に収支相償であるという考え方であると思います。
  297. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は少し性格を違えて考えるべきではないかということをかねて考えておるのです。それは、いまあなたのおっしゃるとおりに言うなら、この前小包郵便料金改定を行うときに、竹下さんでしたかね、少し違う趣旨の説明をされました。小包というものは通常郵便物と違いましてね、ということから出発をして、一般の駅で扱う小荷物と同じような性格のもので、これは独占でもございませんし、ということでずっと説明があったわけですよ。そこで私は、あなた方が収支相償考える場合でも、特殊取扱料金というふうなものは、これは明らかにその限りにおいて収支相償であっていいと思うのですよ。小包というようなものもそうであっていいと思うのです。なぜならば、別に郵便局がやらねばならぬことじゃないのだから、利用者はどっちでも利用できるのだから、いかなる方法でも利用できるわけですから、いいわけですよね。そう考えてくると、私は、この三つはやはり大まかには分けて、収支相償という場合にも、大まかに、小包小包としての収支が大体償っておるかどうか、特殊取扱は特殊取扱としての収支が償っておるかどうか、そして、通常郵便物は通常郵便物としての収支が償っておるかどうかというふうに考えるべきではないかと思うのですが、これはどうですか。
  298. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいまお話にありました中で、特殊といいまするのは、申し上げるまでもなく速達書留でございまして、これは通常にも小包にも両方ある制度でございまするので、ただいま御指摘のように通常と小包と特殊という分け方は、いろいろ考え方はあると思いますが、ちょっとそういう分離だけで見ますことはあるいはむずかしいのではないかと思うわけでございます。したがいまして、やはりこの第三条に言っておりまするのは、小包も含め、通常も含め、もちろんそれらに関連しての特殊も含めての全体の収支相償ということであるというふうに考えるわけでございます。
  299. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵務局長、あなた、郵便法は読んでいるのでしょう。ちゃんとこう分けてあるじゃないですか。通常郵便物小包郵便物、特殊取扱郵便物、ちゃんと分けてあるでしょう。それは小包でも書留にすれば特殊取扱になるのです。しなければ普通小包でしょう。通常の一種郵便物でもそれを書留にやったときに特殊取扱になるのでしょう。あなた、あたりまえのことじゃないですか。別段のものを持ってきて特別に扱うんじゃないですよ。普通の郵便を特別の扱いをするから特殊取扱になるのです。  そこで、一通の郵便物書留にしたために、引き受けて特別な取り扱いをして特別な送達をするということになるために一体幾らぐらいの手数料がかかるだろうか、そういう原価計算もせぬままに、それなら郵便料金は成り立っているのですか。あなた、そればまるでどんぶり勘定みたいなものじゃないですか。
  300. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  小包につきましては、小包としての全体の収支相償ということで料金決定原則が前からあるわけでございます。他の輸送機関等の類似のものの価格といったようなものも参考にするようにということがあるわけでございます。御指摘のとおり、速達とか書留等はそれぞれ御指摘のような考え方で原価計算をいたしまして、その原価計算の数字を一応根拠にいたしますので、それは今度の料金の決定の基礎にはなっておるわけでございます。
  301. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もそう思ったのです。だから、書留とか速達とかいうようなものは一応の原価計算の上で大体いけるという――それはその年度の途中で幾らか赤字になるときもあるでしょう、取り扱いの物数も変わってきますからね。人件費も変わってくるでしょうし、年度の途中で若干のでこぼこはあったとしても、料金決定の原則としては大体その原価に見合うもので決めていっているはずなんですよ。  そこで、一番問題になるのは、一種から四種まである通常郵便物、これが収支相償の一番の問題点になってくるわけなんですよ。私はそう理解すべきであると思って先ほど来この議論をしてきたわけです。そこで、おもしろいのは、第三種郵便物は同じ量目の第一種郵便物料金を超えてはならぬ、こうなっているわけでしょう。そのことは、第一種郵便物が仮に収支相償原則に立ってやられるとするならば、三種の赤字は一種または二種を出す人がかぶらなければならぬという理屈になるわけでしょう。これはどうですか。
  302. 石井多加三

    石井政府委員 御指摘のとおり、三種、四種につきましては沿革等もございまするし、第一種の範囲内でということで原価以下で現在までも取り扱っております。したがいまして、この収支相償ということは、ただいま御指摘の第一種――第二種は今度の料金ではむしろ赤字でございまするので、かかっているとは申し上げにくいわけでございますが、あるいは先ほどの特殊といったようなものにも振りかぶっておる、そういう御理解をしていただいていいと思います。
  303. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで非常に困ってくるわけですが、私どもがここで決定できる料金はそのかぶらなければならない手紙とはがきしか決定できないのですよ。残念ながら三種、四種の郵便料金を私どもここで決定する権限がない。省令に任してしまった。だから、これも私はその当時は、ただどんぶり勘定ということばを使いましたが、いま収支相償あるいは総合収支主義ということばを使っていますが、総合収支主義の中でかぶらなければならぬ、うんと負担をしなければならない手紙とはがきは決めることができるが、郵政省が勝手に決められる三種と四種についてはわれわれは決める権限がないのです。しかも、予算全体は収支相償、総合収支の中で決めなければならぬということになっているわけです。だから、三種、四種という郵便物を法定から外して省令に移したということは大変な過ちを犯したと私は思うのです。われわれが責任を持って決める以上、通常郵便物全体で収支相償あるいは総合収支というものができ上がるかどうかということを、第三条の精神からするならば、考えなければならないはずなんです。ところが、第三条の精神は明らかに通常郵便物全体あるいは全郵便物を包含して収支相償だというふうにお考えになっている。私はそうだろうと思うのです。そうであるのに、われわれが決めるのは一種と二種、たくさんの負担をしなければならない一種と二種だけわれわれに決めさせて、そうしてあとは郵政省省令で決める。それじゃ、私ども予算を見たって、あとがどうなるか見ようがないでしょう。手紙とはがきはなるほど決めることができます。しかし、総合収支の中で、それでは三種、四種というのはどういう決め方をされるのかということになると、われわれはどうしようもないわけです。総合収支主義に立つならば、三種、四種をもう一遍法定事項に返してもらわなければならない、これが私の主張です。どうでしょう。
  304. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第一種、第二種の郵便物は、私が申し上げるまでもなく、全体の郵便物の大部分を占めておるわけでございます。また、料金収入の上におきましても、一種、二種というものが全体の大体六割を占めておると申し上げてよろしいかと思います。この送達は申し上げるまでもなく国が独占しておるということもあります。国民生活に密着した基本的な通信手段であるというようなことから、この料金法律で決めていただく。しかし、第三種といいましても、あるいはまた特殊、第四種等につきましては、その内容となるものが、三種で言いますとたとえば書店とか新聞販売店とか、あるいはものによっては農協といったところでこれを頒布することもできる、いわばほかの送達手段もあるものでございますので、やはりこういった基本的なものだけを法律で決めていただいて、その他は省令に移すということで、前回法律改正をしていただいたというふうに理解しておるわけでございます。他の国鉄、電話等の料金につきましても、基本的なものが大体六割ばかりで、あとその他認可料金とか総裁で決められる料金というふうになっておるようでございますので、先生のおっしゃる御議論も確かによくわかるわけでございますけれども、現在のようなこういう法律のあり方も妥当でないとは決して思わないわけであります。
  305. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 取り扱い上の考え方からいくと、私は郵務局長が言うのもわかるのです。これは確かに独占の仕事ではありませんからね。しかし、その予算の組み立てからいきますと非常におかしなものになってくるのですよ。われわれは一種、二種は決められるが、収支相償で総合収支主義だというのに三種、四種の料金の決めようがなくて、郵政の予算が一体収支賄えるものかどうかということになってくると、予算については全然責任が持てなくなるのですよ。そこで予算編成の見地からいくならば、少なくとも三種、四種までは通常郵便物として法定すべきだというふうに私は考えておるのですが、これは議論しても長くなりましょうが、大臣、この点どうお考えですか。大臣のお考えをちょっと聞いておきたいのですが、予算を組むのに困りませんか。
  306. 村上勇

    村上国務大臣 阿部先生の御指摘のとおりだと思いますが、とにかく現行法によってすべてこれを守ってやっておるようなわけであります。
  307. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経理局長、どうですか。郵務局長については取り扱いの手続上の問題として、その主張が私は全然わからないわけじゃないのです。しかし、経理の方から考えて一体どうなりますか。なるほど手紙とはがき料金は決まったが、三種以下は決まらない。われわれとしても、郵政省の予算を見て手紙、はがき料金は決まったが、三種以下は決まらないのだから、これで果たして総合収支が成り立つのだろうかどうだろうか見当もつかない。あとは、小包とか特殊取り扱いは大体原則的に原価計算主義でいくということになれば、これは大きい差は出ない。結局、一番大きくかぶるのは一種と二種が――二種が今度は赤字だと言っていますが、いずれはかぶることになるでしょう。一種と二種が三種、四種をかぶることになるでしょう。その一種、二種は決められるが、三種、四種はわれわれは決められない。あなた方が勝手に決めて、それで予算というものが成り立つかどうか。経理局長、予算編成上一体どうお考えですか。
  308. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生御承知のように、一種と二種は郵便の大半を占める部分でございますし、これは基本的なサービスとして法律で定めていただくという形になっておるわけでございますが、基準としてはそういう一、二種を基準とした考え方で三種というものが定められていくべきであろうと思います。総合原価主義と申しましても、やはり個別に手数というものを十分考えて、個別原価も同時に配慮しながら総合的に収支考える、こういった形で料金体系がつくられていくというのがたてまえであるだろうと思います。したがいまして、そういう形から予算の収入の見積もりを立てていくという形になっておるわけでございます。
  309. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それからもう一つ、さっき議論になったままですが、収入印紙の三%、これは大臣どうですか、三%で結構なんですか。片方では、本来国が負担すべき郵便物等について郵政省が独立採算の中で大変なサービスをしておるわけですね。片方の印紙の手数料――私は金を出してもらおうと思って大蔵に来てもらっておるのですよ。肝心の郵政省が要らぬと言うから、大蔵来たけれども手持ちぶさたで困っておるだろうと思うのだが、大臣、これどうです。
  310. 村上勇

    村上国務大臣 御承知のような赤字会計をやっておりますので、少しでもいただくものがあればひとつ御協力をお願いいたします。
  311. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは大臣、私が協力するのじゃなくて、大臣がひとつ関係の向きに指示して、いま申し上げたようなこともあるということを理解していただいて、鋭意努力してもらって、少なくとも郵便利用する方々が不要な負担をさせられないような努力を願いたいと私は思います。  それから、私ちょっと資料をなくしましたが、郵務局長、定形外の郵便料金、あなた方がいま考えておるところをずっと言うてみてくれませんか。郵政省が計画しておるところを。
  312. 石井多加三

    石井政府委員 定形外の料金でございますが、現在五十グラムまでのところが四十円になっておりますが、これを百円にいたしたい。五十グラムを超え百グラムまでのものを百四十円にいたしたい。百グラムを超え二百五十グラムまでのものが二百円、二百五十グラムを超え五百グラムまでのものが三百円、五百グラムを超え一キログラムまでのものが六百円、一キログラムを超え四キログラムまでのものが一キログラムごとに六百円、以上でございます。  現行のところをちょっと飛ばしましたが、現行は五十グラムまでのところは四十円でございまして、それから上が五十グラムを超え二百グラムまでのものが、五十グラムを超える五十グラムまでごとに十五円増しということでございまして、従前と刻み方もちょっと変えております。
  313. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 定形ですね。
  314. 石井多加三

    石井政府委員 定形外でございます。
  315. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 四キロまで六百円――ちょっともう一遍言うてみてください。五十グラムまで百円、百グラムまで百四十円、二百五十グラムまで二百円、間違いないですか。私の計算でいきますと、たしか四キロを送ると――いま何ぼと言ったか、六百円と言ったかな。
  316. 石井多加三

    石井政府委員 千七百円でございます。
  317. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると二キロは……。
  318. 石井多加三

    石井政府委員 二キロは七百円でございます。
  319. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 七百円ですね。そうでしょう。二キロまでが七百円で四キロまでが千七百円ですか。そうすると、四キロで千七百円。二キロは七百円。二つつくると、千四百円でしょう。二つに分けて出せば千四百円で出せるが、一つにまとめれば千七百円になる。こんな勘定になるところがあったんですよ。そうなりませんか。
  320. 石井多加三

    石井政府委員 事実そのとおりでございます。
  321. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どういうわけですか。
  322. 石井多加三

    石井政府委員 これは、実際上お出しになる方がそのような工夫をして小型の定形外でお出しになれば、その料金をいただいてそれで結構であります。定形外という制度は、御案内のとおり郵便の作業上、現場の職員のためにできるだけ小型化したいというようなことで、料金もかなり抑圧的と申しますとあれでございますが、非常に大きなものが出されますと迷惑いたしますので、それを小型化するような趣旨も盛り込んだ料金になっておるわけでございます。したがいまして、結局いまのグラムごとの刻みの単価をもう少しきめ細かくいたしますと、いま先生の御指摘のようなケースは起こらないのでございますが、ただいま先生の御指摘のようなことは現在の定形外の料金の中でも同じようなことが実はあるわけでございます。やはり出し方によっては二つ分けて出した方が、一個にまとめて出すよりは安いというケースは現在もございます。今度の料金改定によってそういった事態が起こったというわけではないことを御了承いただきたいと思います。
  323. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 前からあろうといつからあろうと、やはりこれは不合理だと思うのですよ。たとえば今度の改定によると、定形外の場合に五百グラムまでの場合は三百円でしょう。一キロまでが六百円でしょう。二キロは千二百円でしょう。二キロの定形外の郵便物を出せば千二百円取られるのですよ。三キログラムまで千八百円でしょう。これを一キロ五百を二つつくってもいいのだ。そうすると千四百円でいくことになるでしょう。四百円も違うのですよ。しかも一つにまとめて出した方が四百円も高くなるのですよ。そうでしょう。これはちょっと不合理じゃないですか。
  324. 石井多加三

    石井政府委員 この点につきましては先ほどお答えいたしましたように、現在も定形外の料金の中にはそういった部面がございます。この趣旨は先ほどお答えいたしましたように、定形外というものの余り大きなものにつきましては、これをできるだけ制限したい。したがって、意図的に二つに分けていただければその方が安くなっても郵便局の方としてはその方が助かるという趣旨でございまして、これをいま先生の御指摘の矛盾といいますかそういうふうにお感じになるといたしますと、これを解消するのはもっと刻みを細かく百グラムおきぐらいの単位でずっとやっていけば、そういった矛盾は起こらないわけでございますけれども料金体系としてもそのように複雑化することはいかがであろうかというようなことで、ただいま御指摘の問題につきましてはちょっといま具体的な数字で申し上げるものを持っておりませんけれども、現在の方がその差は大きいわけでございます。現在もそういった趣旨のことはこの料金体系の中で入っております。むしろ今度の方が緩和しておるというふうに、具体的な数字で御説明すれば御理解いただけると思っております。
  325. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 前がそうやったから、今度もやらなければならぬという理屈はないのですよ。困るのなら初めから扱わなければいいのです。四キロのものは二キロずつに分けて出してくださいと言えばいいのです。ところが、品物によっては四キロでやらなければいかぬものも出てくるでしょう。二つに分けられないようなものが出てくるでしょう。そのときに分けて出せば安くていけるものが、分けられないがために高い料金になってくる。極端なことを言いますよ。四キロまでが二千四百円です。新しいあなた方の料金は。これをあなた二つに分けて出せば千何ぼぐらいであがるじゃないですか。千六百円くらいであがるじゃないですか。一番ひどいのは五百グラムのところですか、これはどうですか。刻みがたとえば三キロのところと四キロのところは余り違いがないのですよ。二キロを二つつくっても二千四百円。ところが三キロの場合には、一キロと二キロをつくれば安くなる。非常に変な料金になっているでしょう。これはおかしいじゃないですか。何とか制限をするならするで、重さの制限をすればいいじゃないですか。
  326. 石井多加三

    石井政府委員 この問題につきましては先ほど来お答えいたしましたように、実際に非常に大きなこういう定形外をお出しになる場合にはこれに対する多少ペナルティー的な料金をつけるということも、制度としては矛盾していないのではないか。しかしなお、中には大きいのをお出しになる方もあろうと思いますし、小型に分けて二つにしてお出しになる方もあって、それぞれの利用者の選択にお任せする、そういう趣旨で考えられた料金制度であることを御理解賜りたいと思います。
  327. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 武士の情けもあるようですから、もう一つだけ。  きょう心ならずも全逓の組合がストライキをやったようですね。私はけさちょっと新宿の郵便局に見に行ってきましたが、都内で何局やって、警察機動隊が来たところはどこどこですか。
  328. 神山文男

    ○神山政府委員 東京郵政管内で五局でございます。  機動隊については、まだ把握いたしておりません。
  329. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、ここが大事なところです。さっき久保先生からもお話がありましたが、郵便局はストライキをやるとすぐ機動隊を呼ぶのですよ。この前ある局では間違って一一九番に電話したから消防が出てきたことがあるのですよ。(笑声)本当です。笑い事じゃないのです。警察に聞くと、郵便局から言われるからしょうがないと言うのですよ。私はけさ新宿に行ってきましたが、機動隊が来ていました。黒い大きな車で四台来ておりましたが、私が行っておったからでしょう、全然トラブルなし。機動隊が来ただけ大変な国費の費えですが、何ということなしですよ。ストライキの是非はいろいろ意見があると思います。私は今日の時点でストライキをやることが必ずしも悪いとは思っておりません。これは、おたくはまたおたくの考えがありましょう。これはいきさつがあるからそのことは議論の外にして、とにかくよんどころなくストライキをやったことは事実です。しかし、そこに警察機動隊を引っ張っていくという郵政省の姿勢はすぐ改めてもらわなければならない。これをやめるのか、やめぬのか。人事局長、はっきりしなさいよ。
  330. 神山文男

    ○神山政府委員 まだどういう実態でどういうことになっているか把握しておりませんので、よく調べまして検討いたします。
  331. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 調べるも調べぬも、私が行った新宿では何もないけれども機動隊が来て待機しておったのだ。聞いたら、郵便局から来てくれと言うから来ておると言うのですよ。何か問題が起こってよんどころなく来たというのじゃない。初めから来て待っておる。来て待っておってくれと郵政省が要請しておるから、それはおやめなさいと私は言うのです。  機動隊に出動してもらったら、警察には一回に何ぼずつお礼するのですか。
  332. 神山文男

    ○神山政府委員 新宿局でどういう理由で機動隊の出動を要請したか、つまびらかにしておりませんので、検討させていただきます。  それから、謝礼については存じておりません。
  333. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 新宿局はぼくが行って見てきたのですから、入らなかったからそれでいいのですよ。しかし、来ておったのですから、要請しておったことは間違いない。麻布の局かどこか機動隊がきょう入ってますよ。そのためにトラブルを起こして、また後、郵政事業は当分の間がたがたやることは間違いないでしょう。なぜ、あなた方は警察を呼ばなければならぬのですか。しかも、新宿の局にぼくが行って見たら、仕事をせぬやつが百人、発着口にずらっと並んでいる。一体あのまねは何だ。あれで労使の正常化ができると思っているのですか。百人もの人間が「郵政局」とかなんとかいう腕章を巻いていっぱい発着口に集まっている。何か問題があるのだろうかと思ってこうやって見たら、一つも問題なんかありゃせぬですよ。新宿の局長に聞いてみなさいよ。ぼくは参考のために責任者に聞いてみたら、東京郵政局の貯金の管理課長というのが言っておったが、何もありません、しごく穏やかでございます。それは結構なことだと言ってぼくは帰ってきたのですよ。何で片方に百人も人間を連れてきて、それも仕事をしよるというならそれはいいですよ、職員がストライキをやっておるから管理者が集まって仕事をするというなら。仕事をするどころか、発着口にずらっと並んで、あんな金があるなら郵便料金値上げはやめましょうや。あれはみんな出張旅費出してやっているのでしょう。  それで、あなたはいま謝礼出しませんと言ったけれども、ぼくは謝礼出したのを知っているのですよ。立てかえ払いで五千円警察に持っていって、お巡りさんからはねられて帰ってきた事実をぼくは知っているのだ。あれはあなた方が指示しているのだろう、そういうときは警察にお礼を持っていきなさいという。警察の方では取ってはいかぬということになっておるのだろうと思うのだ。要りませんと返されて、立てかえ払いの書類が宙に浮いておるのがあるのですよ。あなたは知っておるか、知っておらぬか。
  334. 神山文男

    ○神山政府委員 謝礼については存じませんと申し上げまして――どういう実態にやっているか、本省としては把握いたしておりません。
  335. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あんた、きわめて不勉強だ。この問題は、ぼくはこの委員会で取り上げて、北さんが人事局長のときに議論しているよ。それをあんた、知らぬというのは何事かい。あんた、全然勉強しておらぬのかい。ぼくは委員会でやったのだから、ここで。北さんが人事局長のときに、こういう実態があるかどうかといってぼくは聞いたのですよ。ちゃんと知っておったじゃないの、北さんは。それはちゃんと知っておって、あんた知らぬなんて不勉強きわまりない。出さぬことは間違いないな。いまからそういうことはせぬことは間違いないな。ちょっとはっきりしなさい。
  336. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいま実態については把握いたしておりません。謝礼については把握しておりませんということを申し上げました。
  337. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何もあんたが把握する問題じゃないのですよ。ぼくはこの委員会で北さんに質問をしたことがあります。あんたは不勉強でそれを読んでおらぬなら読んでおりませんと、寡聞にして知りませんでしたと言うならいいですよ。把握するもせぬもないじゃないですか。人事局長の北さんとぼくが把握しておる問題を、あんたが後から来て把握しておるのおらぬのと、おこがましいことを言いなさんな。そうでしょう。私は寡聞にして勉強しておらぬで知りませんでしたというなら、断りを言いなさい、はっきり。何ですか、あんたは、大体。
  338. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいまの御質問の件、私はまだ存じておりませんので、よく調べさせていただきます。
  339. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あんた、妙なことを言うね。だれが調べてくれと言ったかい。あんた知っておるか、知っておらぬかって聞いたんだよ、そういう問題があったのを。知らぬなら知らぬで、調べぬでもわかっているんだ、初めから。会議録に残っているのだから。知らぬのはあんたくらいじゃないの、恐らく。ちゃんと会議録に残っておるが、もう今回からはそういうことはありませんと、前のことは私は不勉強で知りませんでしたと言うなら知りませんでしたと。調べてみますなんて、私は何もあんたに調べてくれと頼んではおらぬですよ。こっちはちゃんと知っておるんだから、五千円の立てかえ払いはちゃんと知っておるんだから。  大臣、それで問題は、もうしようがないですから武士の情をかけますが、いまの労使の問題は、さっき久保先生からもお話がありましたが、特に差別人事等をやめて、労使の関係を正常化するということと、すぐ警察を呼ぶ、これはやめるように頼みます。どうでしょう。
  340. 村上勇

    村上国務大臣 いま阿部先生から承ったのが初めてであります。よく今後気をつけるようにいたします。
  341. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  342. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  343. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。古川喜一君。
  344. 古川喜一

    古川委員 私は、日本社会党を代表して、郵便法の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表明するものであります。  この法律案は、現下の厳しい経済情勢の中にあって、公共料金たる郵便料を大幅に引き上げ、物価の上昇に拍車をかけ、狂乱物価再来の呼び水ともなりかねないものであり、国民の生活に与える影響はきわめて重大であります。  すなわち、今回の郵便料金値上げ案は史上に例のない大幅なものでございまして、第一種郵便は二・五倍、第二種は二倍、第三種に至っては五倍という常軌を逸した値上げであります。特に第三種郵便物は、業界新聞などに見られますように、発行者がその負担に耐えられない状況であり、通信販売業者においてもそうであり、これらが直ちに購読料に、消費者に通信料を加えた大幅値上げとなることは火を見るよりも明らかであると言わねばなりません。  この料金値上げは、三木内閣の当面の急務は物価の鎮静であり公共料金を極力抑制するとの公約の違反でもあります。先般大阪における参考人陳述にもありましたが、郵便料金値上げはやむを得ないという意見でも、サービスの向上になるならばという条件つきであります。郵便事業は、ほとんど人手に頼る仕事であることはいまさら申し上げるまでもありません。特に、人間関係が業務運行中心であります。しかるに、郵政の職場にあるものは管理職、組合員との不信感であり、これでどうして郵便事業の正常な運営、国民へのサービスの向上が期待し得られるでしょうか。  さらに、本法案の審議の過程を見てまいりましたが、各委員からの質問に、たとえば郵政事業の合理化や抜本改正に、あるいは労使間の正常化に全力を挙げて努力しようという熱意が見受けられないのであります。物価が上がり、人件費が上がるから郵便料金を上げるんだと安易に考えているとしか受け取れない面があります。わが党は、かかる無定見な公共料金の引き上げには絶対反対であり、政府は潔く本案を撤回し、国家財政による大幅な助成策を図るべきであることを主張いたしまして、私の反対の討論を終わりたいと思います。(拍手)
  345. 地崎宇三郎

  346. 土橋一吉

    土橋委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、今回の郵便法の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。  一、まず、今日物価の動向は、新しく憂慮すべき局面を迎えています。政府は、最近の物価動向を鎮静ととらえているが、消費者物価の上昇は今日、五月三日現在においては東京で一四%になっておるのであります。これは一昨年十月狂乱物価が始まったときの一三・二%の上昇率をはるかに超えたものであります。  一、このような情勢の中で、政府みずからが責任を負う公共料金の一つである郵便料金値上げすることは、政府主導型の物価の全般的な急上昇に拍車をかけることは必至でありまして、再び狂乱物価をつくり出して一般国民が犠牲にされることは断じて許すことができないのであります。  一、政府は、郵便事業収支悪化は人件費の高騰であると述べております。しかし、今日人件費が高騰せざるを得ない原因は、歴代自民党政府が推し進めてきたインフレ・高物価政策が原因であることは周知の事実であります。今回の郵便法の一部改正は、政府のこのような責任をごまかすものと言わざるを得ないし、また同時に、悪性インフレと異常な物価高を国民大衆に押しつけるものであります。  一、本来、郵便は国が国民に対して保障しなければならない基本的な公共通信手段の一つであります。  一、元来、政府は、郵便法第一条で言われている「郵便役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進する」との規定を守り、郵便サービス国民提供する義務があるのであります。  一、本法案は、この郵便法第一条の精神を踏みにじり、ただ単に事業経営の側面を優先させ、郵便利用者の負担の増大によって郵便財政の確保を図り、政府の責任を回避する許しがたい政策を国民に押しつけようとするものであります。  一、政府は、郵便事業は独立採算であると称して、郵便局、ポストなどの基礎施設や本省、地方郵政局、医療機関、教育機関などの一切の経費郵便利用者に負担をさせてきたのであります。  一、そこで政府は、郵便事業に対しての道理に合わない独立採算制の押しつけをやめ、郵便事業に対する政府、国の責任体制を確立することが、今日郵便事業に問われておる重大な課題であります。  一、したがって、郵便局、ポストなどの基礎施設や、本省、地方郵政局、医療機関などの経費を国で補てんするのは当然であると言わなければなりません。  一、本法案は、国民各層から実際に通信手段を奪うだけでなく、憲法で保障された言論、出版の自由、文化の享受などの権利を侵害するものと言わざるを得ないのであります。  一、第一種、第二種はもちろんのこと、第三種郵便物の五倍にも上る引き上げは大きな問題を含んでおります。特に、第三種郵便物は、社会文化の啓発、向上に貢献しておるということで低料金扱いになっておる趣旨を全く没却するものであります。  一、よって政府は、この制度を守る上からも、第三種郵便物赤字封書はがきに負担させるのでなく、一般会計からしかるべき財政措置を講ずべきであると思うのであります。  昨日六日には、たばこ、酒類の大幅値上げ法案を衆議院本会議において通過させ、本七日には郵便料金を一種、二種郵便物を倍とか二倍半とか引き上げることは、断じて許しがたい暴挙であると言わなければなりません。このことは、三木内閣が成立以後半年を出ずして、大企業本位とインフレの悪循環に奉仕をし、国民を狂乱物価にさらす悪政の実行者の正体を遺憾なく暴露したものであります。したがって、私は、郵便法の一部改正に反対をするものであります。以上。
  347. 地崎宇三郎

  348. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、強く反対するものであります。  本法案の審議を通してはっきりしましたことは、重要な基本事項について国民利用者に何ら明確にされず、かつ十分なる納得と理解をさせるだけの内容が何もないということであります。  その第一は、物価対策上、二倍から五倍という近来まれなる大幅な公共料金である郵便料金値上げというのは許されるものでなく、まさに暴挙と言わざるを得ません。物価鎮静化の兆しが見えている時期に、政府主導のもと公共料金の大幅な値上げを行おうとすることは、インフレ、不況のもと国民がショックを受けているのを再度がけから谷底へ突き落とすのと同じでありましょう。  郵政当局は、家計費の割合、物価への影響が余りないと言われますが、これは大きな間違いであります。単なる統計上の数字の比較で、その裏にあるもろもろの要因を考慮されておりません。公共料金においては、どんなものであれ、それが政府国民生活に対する姿勢として受けとられ、他への影響が大きく波及するものであります。これを国民は十分に恐れているのであります。しかも、二倍から五倍という途方もない値上げに問題があります。しかも、この料金値上げの基準、根拠が明らかになっていない。原価主義をとっていながら種類によって料金設定に差があるのは、余りにも赤字を埋めるだけといった糊塗的なものと言わざるを得ません。  第二に、郵便という性質上から、一般会計から補てんすべきものであると思うのであります。郵便料金は、採算をはずして国民生活上、経済社会活動上において基本的に最重要な制度と心得ております。特に第三種、第四種等、政策料金が含まれている以上、国は一般会計から補てんすべきであるのが当然でありましょう。  また私は、郵便事業の三つの特別会計が明確でない。すなわち、毎日の収支残高もだんごになって明らかでありません。そして運営面及び経理面の両方から見ましても、同一の郵便局で業務を行い、それぞれの経費等を明らかにする確固たる根拠が欠けているため、郵便料金がどこまで赤字なのかという不透明さがあるところに問題があるわけであります。したがいまして、三事業の予算編成に当たって、元大蔵省主計官が、どんぶり勘定になって推定で決めてきたというようなことを言われたり、またある学者は、三個の特別会計の統合は考慮すべき、とはっきり言われているのであります。一般会計から繰り入れ、三事業調整等、これらに対し、処置を講じようとしないところに問題があると言えるのです。  第三には、郵便業務のサービスの改善と経営努力が何もなされてないということであります。きょうの質疑におきましても、郵便送達日数の確保率は年々悪化の一途をたどっていることは明々白白となったところであります。しかし、この業務の不正常な状態を郵政当局は余りにも軽く考えていたところに大きな要因がひそんでいるのではないかと思われるのです。年間二十数億通という遅配、滞留、その中には誤配、欠配も含まれておりますが、発生していることは、国民郵便事業への大きな不信となっているのであります。これを、前回値上げのときに郵政当局は公約しておりながら、よくなるどころか逆に年々悪くなっているわけであります。これは他のサービス問題も含めて、郵政当局がみずから行えば改善ができるものでありますが、それを改善しようという努力が不足していることであります。  また、郵便行政が法並びに規定にも違反している事実を指摘しましたが、これも氷山の一角であれば絶対許すことができません。  第四に、郵便事業における長期計画、将来の展望が確固たるものでないということであります。国民生活に不可欠な郵便事業というものは、安易な経営では混乱に陥れるだけでありましょう。現在では、郵便事業料金値上げだけを繰り返すという無為無策と言わざるを得ません。当面の赤字対策のみに終始することなく、長期展望に立脚した抜本的な改善が必要なときと言えるのであります。  以上、わずか数点のみの反対理由の指摘に終わりましたが、政府当局が真剣に取り組めば、安易な料金値上げをせずに済むと思うわけであります。今回の一挙に二倍から五倍という無謀な料金値上げに断固反対し、この際政府当局は潔く撤回することを要求いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  349. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  350. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  351. 地崎宇三郎

    地崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  352. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、志賀節君外三名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の説明を求めます。志賀節君。
  353. 志賀節

    志賀委員 提案者を代表して、ただいま議題となりました附帯決議案について趣旨を説明いたします。  まず案文を朗読いたします。     郵便法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   この法律の施行にあたり、政府は次の各項の実施につとむべきである。  一、郵便事業の合理化について、抜本的に考究すること。  一、第三種及び第四種郵便物料金設定にあたつては、社会的影響を十分に考慮するとともに、身体障害者団体等の郵便物について、特段の配慮を行うこと。  一、郵政事業は人手に依存する度合いの極めて高い事業であることにかんがみ、特に労使関係の正常化に努力し、業務の円滑な運営を図るようつとめるべきである。    右決議する。  以上であります。  この決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかるものでありますし、案文も当委員会における質疑等を勘案して作成したものでございますから、その趣旨につきましては改めて説明する必要はないと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ全会一致の御賛成をお願いする次第であります。
  354. 地崎宇三郎

    地崎委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  355. 地崎宇三郎

    地崎委員長 起立総員。よって、志賀節君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。     ―――――――――――――
  356. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  357. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  358. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上郵政大臣
  359. 村上勇

    村上国務大臣 このたびは非常に御慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論されました事項はことごとく私どもに対する深い御教訓として拝聴いたしました。これらの点を今後の郵便事業の運営面に生かしてまいりまして、当委員会の御審議におこたえ申し上げたいと存じます。  なお、ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、これを十分に尊重し、本法の執行に当たりましては、附帯決議の趣旨に沿うよう運用してまいりたいと考えております。  まことにありがとうございました。(拍手)
  360. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は明八日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十二分散会   〔本号(その一)参照〕    派遣委員大阪における意見聴取に関する     記録 一、期日    昭和五十年四月二十五日(金) 二、場所    大阪リバーサイド会議研修センター会議室 三、意見を聴取した問題   郵便法の一部を改正する法律案内閣提出に    ついて 四、出席者 (1)派遣委員         団     長         (逓信委員長) 地崎宇三郎君                 加藤常太郎君                 志賀  節君                 羽田  孜君                 阿部喜男君                 古川 喜一君                 土橋 一吉君                 田中 昭二君 (2)現地参加逓信委員                 久保  等君 (3)政府出席者         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君 (4)意見陳述者(発言順)         京都市南区連合         婦人会会長   延原  操君         社団法人労働調         査研究所事務局         長       神谷 守利君         近畿大学商経学         部教授     堀田 和宏君         大阪市立大学商         学助教授    柴田 悦子君      ――――◇―――――     午後一時閉会
  361. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 これより会議を開きます。  私が衆議院逓信委員長の地崎宇三郎でございます。この会議の座長を務めますので、よろしくお願いを申し上げます。  この際、私から派遣委員代表して、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様御承知のとおり、本委員会郵便法の一部を改正する法律案審査の参考に資するため、各界の代表者から忌揮のない御意見をお伺いしようとするものであります。  御意見をお述べいただく方々には、御多忙中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本法律案は、郵便事業の運営に要する財源を確保し、業務の正常な運営を図るため、郵便料金改定を行わんとするものでありまして、去る一月三十一日内閣から衆議院に提出され、本会議において趣旨の説明を聴取した後、二月二十五日当委員会に付託され、鋭意審査中であります。  それでは、この会議の運営について申し上げます。会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行います。議事の整理、秩序の保持は、座長である私が行うことといたします。発言をなさる方々は、必ず座長の許可を得て発言をしていただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見陳述される方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  次に、会議の順序につきまして申し上げます。最初に意見陳述者各位から御意見をなそれぞれ十分程度に順次お述べいただいた後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、本日の出席委員及び意見陳述者の御紹介を申し上げます。  自由民主党の加藤常太郎君、志賀節君、羽田孜君、日本社会党の阿部喜男君、古川喜一君、久保等君、日本共産党・革新共同の土橋一吉君、公明党の田中昭二君、以上でございます。  次に、各界を代表して意見を述べていただく方方を御紹介申し上げます。京都市南区連合婦人会会長延原操君、近畿大学商経学部教授堀田和宏君、労働調査研究所事務局長神谷守利君、大阪市立大学商学部助教授柴田悦子君、以上の方々でございます。  それでは、まず延原操君からお願いいたします。
  362. 延原操

    ○延原操君 御指名をいただきました京都の延原操でございます。私は、昭和二十三年より現在まで、婦人会の会長として、また日本赤十字奉仕団の分団長として、保護司も十年余りいたしております。団体活動を通じまして明るい社会づくりに御協力を申し上げておる一人でございます。  時代が大変進展してまいりましたと申しましょうか、変わってきました。物価も一昨年ごろより急に上昇いたしまして、三年前に比べますと三倍、四倍高くなっています。日常生活におきまして大変暮らしにくくなっています。このたび、公共料金の一つとして昨年よりやかましく世間を騒がしています郵便料金改正法律案が表面化されてまいりました。いよいよ十月一日より新料金として発足されるようでございます。封書切手五十円、はがき二十円、私たち家庭におきましてはこの二種類ぐらいが多く使用されるのでございます。私は婦人会を通じまして二十世帯を対象として調査いたしましたが、一カ月に二、三通ぐらいの切手を使う。はがきは三枚ぐらい、多い人で五、六通ぐらい利用されるそうでございます。便せん五枚で五十円、二十五グラムとして、北海道までも送っていただくのだから、電話料金考えたら特別に反対する必要はないと申しておる人も少なくありません。また、業務として多く使用されるお方には収入がついていますので差し支えないというお話でございます。都会では住宅が次々と建てられ、路地の奥まで、また大きなアパート、マンションまで、その人たちも毎日配達していただく、大変な業務だと思います。幾ら時代が進歩いたしましても、郵便物だけは昔と同じく個別に配達していただくことは、御苦労なことと思います。  四十六年に郵便料金改正され、今日まで約一千四百億円の赤字だと聞いておりますが、その赤字内容は九割までが人件費だそうでございますが、郵便法に基づきその経費は独立採算のたてまえにより利用者より負担するのが当然だと私は思うのでございます。数字的な詳しいことは私にはわかりませんが、配達していただく方は特に青年層の人が多いように思います。その人たちが雨の日も暑い日も休みたく毎日安心して働くことのでき得ますように、労働条件をよくし、業務運営経費として値上げされるならば、私は賛成いたします。私の声は家庭婦人の代弁者として発言させていただくのでございます。  終わりに、国会議員の諸先生方郵政局の幹部の皆様方に一言お願いを申し上げる次第でございます。郵便料金値上げされあとともに、条件といたしまして、郵便配達スト、遅配等は今後なされないように、サービスをモットーとしていただきますように、またストを目的としたような紙をべたべたと局内に張られないように、御指導をお願い申し上げる次第でございます。  取りとめもたいことを申し上げましたが、以上をもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
  363. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 ありがとうございました。  次に、神谷守利君にお願いいたします。
  364. 神谷守利

    ○神谷守利君 御紹介いただきました労働調査研究所の神谷と申します。時間がありませんので、三点にわたって意見を申し述べたいと思います。  一つは物価問題との関連においてでありますが、現在消費者物価の中で占める公共料金ウエートは二〇%を占めております。特に、公共料金値上げは他の物価への影響が強いことはすでに御承知のとおりでありますが、今回の郵政審議会答申の中でも、郵便料金が国の物価政策の見地から公共料金の主要な指標の一つとして注目されるという特質があることを指摘しております。しかるに、今回の郵便法の一部改正案の提出理由を見てみますと、郵便料の消費支出に占めるウエートが〇・一二%にすぎないから大きな影響はないという立場をとっておりますが、公共料金値上げという場合には、直接的な数量的意味を超えた影響を持つものであり、他の物価引き上げへの心理的な誘導要因として無視し得ないものがあるだろうと思います。さらに、公共料金に含まれる品目は日常生活に欠くことのできないものが多くて、支出の弾力性がきわめて低いものであります。これは、とりもなおさず、公共料金支出のウエートの高い低所得者層の生活の悪化を招くものであり、標準層あるいは高所得層と同一に論ずることはできないだろうと考えます。  二つ目の論点は、今回の改正を見てまいりますと、第五十一条及び第五十三条の二項は手数料の額を明記せず、省令事項とじております。これは国会審議を経ずに値上げを可能にする手段であり、民主的な手法ではないと考えます。料金はすべて額を明示し、法律事項とすべきだと考えます。これが二点目であります。  三点目は、特別会計の矛盾点についてでありますが、郵政事業特別会計法によって郵政事業独立採算制による企業的経営体とされております。しかるに、企業体とはいえ、私企業と同一のものではなくて、公共企業体である以上、赤字を理由に安易に郵便料金の引き上げを図ることは許されないと考えます。むしろ公共の福祉を基本にしたナショナルミニマムに立脚した郵便事業本来の使命を達成するため、現行制度についての抜本的な検討を加える必要があるだろうと思います。  その理由として、郵便局の局舎の国費建設の問題があります。現在、郵便局は簡易局を含めて約二万二千局もあり、これは公共施設としては小学校の約二万四千校に次ぐ多きを数えております。この建設、維持のための費用がすべて独立採算制に包摂されていることが今回の赤字の大きな問題点ではなかろうかと思います。もし企業採算を強調するならば、当然山間僻地などの郵便局はすべて採算のとれないものであり、即刻廃局しなければならないことになります。もし郵便局の建設、維持が一般会計によって賄われるとするならば、昭和四十九年度予算から見れば約六百億円の負担が軽減されることになります。  その二つとして、特定局制度の問題があります。今日、全国約一万七千局の特定局のうち郵便事業特別会計によって建設ざれた局舎はわずか千四百局にすぎません。その他はすべて借り上げ局であり、毎月多額の借り上げ料が支払われております。これは昭和四十九年度予算で見てまいりますと、特定局関係だけで九十三億円に及んでおります。ところで、郵政省の共済組合が投資した建物の借料は年利六・五%の元利均等償還方式によって国が借り受け、借料を払った後その建物は共済組合から国に寄付され、所有権は国に帰属することになっております。特定局舎をこうしたシステムで運用した場合、将来的には郵便事業特別会計が大きく改善されることは言をまちません。要するに、経営体の仕組みについて抜本的な再検討がおろそかにされ、安易に値上げによって採算制を維持しようとする態度が見受けられるわけであります。  第三点目の問題でありますが、郵政職員の退職年金制度との関連でありますが、これは国家公務員共済組合法によって年金に必要とされる財源は、組合員四二・五%、国庫による負担が五七・五%とされています。ところが、国庫負担分は、一般会計からの繰り入れではなしに、郵政事業特別会計から全額支出されております。ところが、民間の厚生年金制度においては、必要財源の二〇%相当を一般会計から支出されており、大手企業もその恩恵をこうむっております。こうした不公正さも赤字の一要因になっていることは明白であります。また、年金のスライド制導入に伴う、すでに退職をした人たちへの追加愛用についても全額国庫負担になっているのに、郵政省の場合は郵政事業特別会計で賄われております。その財源は、五十年度で見てまいりますと約三百二十億円に及んでおります。これもまた赤字の一原因であると考えられます。  以上のように、企業経営としての努力、そういったものが一切行われずに、一切の問題が利用者負担というところで料金値上げによって還元されているどいう点にかんがみまして、私は反対の意見といたしたいと考えます。
  365. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 ありがとうございました。  次に、堀田和宏君にお願いいたします。
  366. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 郵便料金改正を主といたします郵便法の一部を改正する法律案に関しまして卑見を述べさせていただきます。  今日の郵便事業の経営環境並びに経営管理上の諸条件は大きく変わろうとしております。一つは、郵便の需要構造の変化であります。それは、郵便物数の八〇%がいわゆる業務用で占めるに至ったために、郵便需要の弾力性が大きくなってきたということ、同時に、通信手段や運送手段が多様になってきたために、経済動向やあるいは郵便料金の政策に対する企業の反応によって郵便事業が大きく左右され、場合によっては採算の合わないサービス提供に追いやられる可能性が大きくなってきております。  二つは、経営管理上の諸条件が悪化する傾向であります。それは端的に申しまして郵便事業の本義であります能率的経営を危うくするものでありまして、一つは、都市の過密化・流動化現象とか、受け取り時間の集中化の現象などが、外勤の多い、しかもきめ細かなサービスを行うために、生産性の向上を大きく期待できたい性質を持っております郵便サービスの合理化を一層困難なものにしておりまして、省力化あるいは規格化、サービスの縮小などと、従来のきわめてきめ細かな郵便サービスとの間の重要な選択の段階に来ておるわけであります。さらに、郵便事業の経常経費の大部分を占める人件費相当部分は、質量ともによりよいサービスを継続的に供給するという本来の郵便事業を運営するためには、今後さらに増大する可能性を持っていると言わなければなりません。  以上、簡単に申し上げましたような郵便事業を取り巻く短期的な見通しでの経営環境の変化と経営諸条件の悪化というものがすでにあらおれてきておりまして、さらに進行することが予想される中におきまして、すでに今日収入の三〇%を超える千四百億円に及ぶ巨額の赤字を見ているわけでございまして、このまま推移すれば昭和五十一年度におきましては八千億程度の累積赤字となるというふうに聞いております。早急にこの手だてが必要なことは言うまでもありません。  赤字を解消するには、一般会計からの繰り入れとかあるいは借り入れによる一時的な埋め合わせの方法もないではありません。しかしながら、原則的に、一般行政サービスと異なり、需要の弾力性のあるサービスについては適正で合理的な料金で受益者が負担したければたらない。そのためにこそ郵便事業は、ゴーイングコンサーンとして独立採算制に立脚しておるのでありますから、収支の適合は経営の原価に見合う事業収入によって行わなければならないことは言うまでもありません。また、現実に八割が個人以外の差し出す郵便であることから、これの収入不足を一般財源に求めることには負担の公平に反するところがあると思われます。さらに、一時的な手段として一般財源の負担が認められるとしても、それは郵便事業の長期的な事業経営からすれば、いよい上先行き値上げ幅を大きくする結果を持ち込むにすぎません。特に、郵便事業赤字は経常経費によるものでありますから、一時的な一回だけの埋め合わせでは済まないのでありまして、むしろ値上げ時期を適切にして修正幅を大きくしたい方策が望まれるわけであります。したがいまして、従来のとおり料金値上げによってできるだけ早く収支適合を図ることが望ましいと考えられます。  次に、値上げ幅と種別の料金水準について述べます。今回の値上げ幅は第一種三十円、第二種十円が出されており、値上げ率から言えば一見非常な値上がりと受け取られるかもしれませんけれども料金値上げ幅は本来値上げ率に関係たく原価を償う料金まで引き上げられねばなりません。また、長期的丘安定経営を保証する幅を見込まなければなりません。しかしながら、昭和四十六年の値上げ時期より今日までの期間において、経営費用の予想外の異常な増大を見たわけですから、これを一挙にカバーするとともに、今後の経営費の不確実な点を考慮に入れて、長期的な収支適合を図ることは予測上困難が伴いますので、いままでの赤字の解消をまず念頭に置いた収支の適合を達成する以外には具体的な方途はないと存じます。したがいまして、総合原価に見合う収入を長期的に確保していくことが本当であるので、今回の値上げ幅は不当に高いというものではないと考えます。  次に、種別の料金水準について申し述べます。従来の第一種二十円に対する第二種十円の料金制度は、御承知のように日本特有の料金制度であり、世界的な傾向としては、原価を償う料金という料金決定の原則立場から、封書はがきの両者の料金は接近しているかあるいは同じ水準に設定されているのであります。それに関して、今回の第一種五十円、第二種二十円の料金制度は、この先進諸国に見られる世界的な傾向とはむしろ逆行する感じがあります。しかしながら、わが国のはがき利用率が非常に高く、一般的に使用されるわけですから、この特性からこれをあながち批判することはできません。ただ、政策料金にも原価の原則が貫かれるべきであること、第二種に業務用はがきが転換する傾向が見られること、赤字の要因としてすでにはがきが大きな比重を占めている事実などから、問題点を残していると言うことができます。  なお、省令委任によって作成される第三種及び第四種その他の料金改正については、郵政審議会答申の方向が原価主義に立脚した方向に向かって検討されていることは評価しなければならないと考えます。  言うまでもなく、以上申し述べましたことは、収支適合の原則による郵便事業こそが最も効率的な経営を保証し、質量ともによりよい郵便サービスを継続して供給するために必要なことであるとの基本的な考え方に立っております。したがいまして、国の事業において収支の適合を行う趣旨に照らしまして、郵便事業が今後一層能率的な経営によって本当に国民に奉仕するような事業となるよう、当局の一層の合理化努力と厳しい経営意識を期待するものでございます。  以上、簡単ですが、私の考えを申し述べました。
  367. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 ありがとうございました。  次に、柴田悦子君にお願いいたします。
  368. 柴田悦子

    ○柴田悦子君 私は交通経済論を専攻いたしておりますので、交通経済論の立場から、なお婦人でもありますから家庭の主婦の希望も大きく踏まえました立場から、今回の郵便料金値上げ中心にいたしました郵便法一部改正法律案に反対するという立場で、公述をいたしたいというふうに思っております。  主な反対の理由というのはかいつまんで言えば三点でありますが、その三点を順次これから述べてみたいと思います。  第一番目は、料金改定内容をめぐって。こめ内容と申しますのは、大幅な料金値上げを問題にいたしたいわけであります。先ほどもどなたか公述人の方がおっしゃいましたように、郵便需要というのは近年質的な変化を遂げてまいりまして、郵便物の量的構成の変化というのを来しております。これは一、二種の伸びを大きく上回りまして書留速達郵便の需要増というのが顕著なわけでありまして、書留速達郵便料金というのが大幅に今回値上げをされるというときに、前者の一、二種から受ける値上げのデメリットよりもより大きな国民への負担というか、そういうものにはね返ってくるということであります。特に三種の五倍値上げというのを例にとってみますと、三種郵便物といいますのは新聞、雑誌その他知的労働に携わる者にとりましては欠くことのできない部分であります。たとえば私個人をとりましても、大体七種類の学術雑誌をとっておりますが、この学術雑誌の発行先の購入の費用といいますのは輸送費を含めましての会費制度になっておりますので、こういう部分に大きな負担がかかるわけであります。特に、若い研究者の受ける負担というのは大変莫大なものになるということが予測されると思います。  それから次に、いろいろな資料では、通信費の家計に占めるウエートというのが大変低く〇・一二%という数字が書かれております。ところが、通信費を分析いたしますと、特に通信費の中の郵便料のウエートが〇・一二%というふうに僅少になっておりますのですが、この郵便料だけを家計の中で問題にするということに大変疑義を感じるわけであります。と申しますのは、電話と郵便というのはきわめて代替性が強いものでありまして、全世帯を平均化して郵便費の家計に占めるウエートというのをはじき出すのでは大変片手落ちであって、電話の所有主を除いて、あるいは除かない場合には加重平均をして、そして電話のない家の郵便料の負担のウエートを出さなければならない。ここに大きな手落ちがあるのではないかと思います。しかも、この郵便料の値上げで大きな影響を受ける階層というのは、いま言いましたような電話を所有しない階層並びに施設に入っている老人あるいは病人、これらは電話利用という手段がほとんどないわけでありますから、そういうところにいる人たちが最も大きな被害を受けるということであります。  次に、大きな第二番目の問題としましては、料金改定の理由をめぐっての問題であります。これは、先ほどから問題にされております郵便事業の大幅赤字、その問題と、それから郵便事業独立採算制をめぐる問題に触れることであります。明治四年に郵便事業が開始されて以後、一貫しまして国有企業として営まれてきたということはもう周知の事実でありますが、国有企業に近年独立採算制を導入するという動きがあちこちで活発になってまいりました。これは今回の郵便料の値上げを踏まえる大きな土台の理念にかかわるわけでありますけれども、大体国有化される部門というものの前提条件は三つございます。これはもう言うまでもないことですが、公共性、公共の福祉ときわめて密なる関係があるということが一つ。第二番目に、資本の投入額というのが巨額であって、私的資本の負担に負えないということが第二番目。第三番目は国家的要請という、そういう三つが国有企業の成り立つ大前提にあるわけですけれども郵便事業を見ますと、今日特に第一点と第二点、つまり公共性の理念とそれから資本投入の巨額性ということで国有化がずっと貫かれておる。もちろん戦前には第三番目の理由もあるし、戦後も一概に国家的要請が全くネグられていいということではありません。ところが、そういう企業に独立採算制、つまり企業性を導入してくる場合には大変大きな問題が生じてきます。今日、都市交通の中での地下鉄事業の問題あるいは港湾管理の問題等々にその影響があらわれて議論されているのは、皆さん方御存じのとおりであります。特にこの郵政の場合は、三つの特別会計部門、貯金、年金、郵便、おのおのを分けて独立主義というか独立採算制度というのを確立する方向を目指しているのですけれども、これは独算制至上主義と言うべきではないかと思いまして、どちらにしましても、この三つの部門にわたる共通費の部分というのがきわめて多額に上るわけでして、局舎の建設の問題、あるいはそれぞれの局におられる管理職の人たちの業務の問題、この共通費部分について、一体それをどのように今後調整をとるかというようなことは、当然この独立採算制との関係の中で見ていか赴ければならない。これは言うまでもないことであります。  さらに、郵政事業の特徴といいますのは、労働集約的な産業でありまして、この郵便用役というか、交通用役の一種に当たると思いますが、この用役生産というのはきわめて個別性がきついわけです。これは交通業一般に共通的性格を有するものです。個別的性格の強い郵政の労働というのは、当然個別性を持つわけでして、労働集約的にならざるを得たいというのは言うまでもありません。これを大量的に処理する方法とか、あるいは労働生産性をいかに上げるかというようなことでの工夫というのは、おのずと限界があるということを申し上げたいわけです。特に、近年建設費の部門のウエートが次第に高まってまいりまして、建設費の過去十年における伸び率というものは他の部門を上回っておりまして、この伸び率の中で中心は局舎の建設が中心です。この局舎建設での自己資本比率というのが急速に低下いたしまして、借入金に依存をする。そうすると、借入金プラス利子負担というのが大きな赤字となってこの千四百億の赤字の中に繰り入れられてくるというようなことで、これらは当然一般会計部門から支出されなければならない部門でありまして、つまり、ランニングコストからは外される部分であるということではないかというように思います。  それから、大きな第三番目の問題であります。これは料金値上げの原因についての理由でありますが、書かれておりますのが、労働者の賃上げが三〇%に及ぶという文言が挿入されておりまして、これは郵政の労働毒の賃金というのを詳しく知っているわけではありませんが、賃金が他産業並みに上がっていくというのは、これは生活できる賃金という原理から言えば当然のことではないか。むしろ三〇%も上げざるを得ないというその理由こそが問題であります。これはインフレあるいは高物価政策というのの影響を受けて上がらざるを得ないわけでありまして、このインフレ、高物価政策自体を問題にせずに、三〇%上がったという結果だけを問題にしておったのでは、一向に解決できない。先ほどの公述人の中にもその御指摘があって、賃金部門の上昇というのは直ちには解消できない、一度解消してもまた起こってくるではないかという発言がありましたけれども、それと関連して考えてみましても、この問題というのは、上がらざるを得ないその土台を解決しなければ、本来本当の意味での解決にならないというふうに考えるわけです。  郵政部門でのコスト削減への道というのが、先ほど来の私の公述からおわかりいただけますように、機械化、それから技術革新の限度というのがございまして、どうしても労働集約的な産業ですから、賃金のしわ寄せというのを大きく受げるというのはもう大前提でありますから、そこで、安易に人件費部分を節約するとか、あるいはそこの部分だけに目が向いていくというのは、これは独算制の理念と相対立させて考えてみた場合にも大変大きな矛盾であるというように考えるのです。これは郵政の労働自体に誇りを持つというか、それから郵政事業郵政というそういう業務を、国民に対して責任を持つという立場から、魅力のある業務にしていくという努力が先行されない限り、郵政労働の問題というのは解決をしたいというふうに考えるわけであります。  というような理由で、主に第一、第二を中心に、つまり料金改定内容の問題、値上げ中心に置かれているというそういう問題と、それから料金改定の理由が、独立採算制の導入強化、その矛盾というようなところとあわせて、私はこの改正案に対する反対の公述を申し上げたいというふうに思っております。
  369. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 ありがとうございました。  以上で御意見陳述は終わりました。     ―――――――――――――
  370. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 これより委員からの質疑を行います。羽田孜君。
  371. 羽田孜

    羽田委員 陳述人の皆様には、きょうは本当にお忙しいところをこうやっておいでいただきまして、大変貴重な御意見をお聞かせいただきましたことに対しまして、まず厚く御礼を申し上げたいと思います。  いまお話をいただきまして直ちに御質問申し上げなければならぬわけでございまして、整理する間がなくてあれでございますけれども基本的な問題につきまして御質問をしたいと思います。  いま最後にお話がございました柴田先生から政府のインフレあるいは高物価政策という御批判がございましたけれども、これはとり方にはいろいろとございます。しかし、その大きな原因にたっておりますのは、ドルショックあるいはオイルショック、また穀物の異常な気象から来ますもの、いろいろだものがあったと思うのです。そういった中に、やはり賃金も値上がりしてくるというような中に現在の状況を迎えておるわけでございますけれども、いずれにしましても、確かに最近のインフレというものが家計簿に非常に厳しい圧迫を加えておるということは私たちも同感でございます。そういった中で、やはり公共料金というものについては、本当に慎重の上にも慎重にやらなければならないというのが本来だと思います。  実は、もう多分御勉強いただいたと思うわけでございますけれども、この郵便法改正につきましては、昭和四十八年の十二月に郵政審議会の力から答申がございまして、四十九年の七月一日から値上げをするように――値上げをするようにといいますか、そのように検討するようにという御示唆をいただいたわけでございますけれども、当時の物価状況から見まして、いま公共料金については手をつけるべぎじゃないという中に今日までおくれさせてまいったわけであります。そういった中に、いよいよ赤字が累積してくるという中に今度の厳しい措置をとったものであります。私もどうもはがきですとかあるいは封書というものを最も利用する者の一人でございまして、できることだったら何とかこういった事態は避けてもらいたい、これは実は素朴な私たちの気持ちでございます。しかし、そうかといって、これを看過するならば、また大変な累積赤字を積み上げていく、それこそ、いまどなたかのお話にもございましたように、そのときにはまたとんでもない値上げに走らなければならないのじゃないかという御指摘のとおりでございます。まあ、いまいろいろとお話の中に、経営の改善ですとかいろんな郵政省内部の問題等につきまして御検討がございました。私ども委員会の中でそういった問題について勉強してまいったわけでありますけれども、しかし、なおかつ、やはりこれを現在値上げに踏み切らなければならないという厳しい立場に置かれ、また、私どもはこれを上げなければならぬと思っておる立場の人間でございます。こういったものを補てんするために、いまどなたかもやはりお話がございましたけれども、一般会計の中からひとつあれしたらどうだろうというようなお話もあったように思います。しかし、いま皆さんの公述の中にもございましたように、最近の郵便の態様というものは非常に変わってきておる。八〇%というくらいのものが大体企業関係の方々がお使いになっておる場合が多いということでございますので、そういった場合に、やはりそれによって利益を受ける方、この受益者の方に御負担いただくということが大切じゃないかというふうに思います。一般会計から持ってまいりますと、どうしてもその分だけ一般会計の方がマイナスになるわけでございまして、たとえば福祉の方へそのお金が向かっていくものを、いわゆる一部の利益する人のために持ってくるということになりますと、これはやはりいまお話の中にもございましたとおり、公平の原則というものを欠いてくるということで、一般会計からの赤字補てんというものについては相当慎重に扱わなければならない。それであるがゆえになおさらこの値上げというものをせざるを得たいのじゃたなかという気持ちでおるわけでございます。そういった点につきまして、堀田先生からちょっとお話をお伺いしたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいのは、二点続けて申し上げますけれども、第三種郵便につきましていまやはり御指摘がございました。確かに第三種郵便の中には学術雑誌あるいは専門新聞、そのほか福祉関係の皆さん方がお使いになっているものがございます。こういった問題については、私たちもこれは本気で考えなければいけないなというふうに思っております。特に、交通経済論の方の御専門でございます柴田先生の方から、この第三種郵便の中でこれとこれはどうしても考えなければいけないのだという点がございましたら、ひとつ御指摘をいただきたいと思います。  大変乱雑な御質問でございますけれども、一応私の質問とさせていただきます。
  372. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 特に郵便料金のような一般行政と違いますサービスを受けます場合は、これは原則として受益者負担ということが当然のこととして考えられなければならないと思います。特に歴史的に見ましても、受益者負担というものを行いながら、しかもできるだけよいサービスをより安く提供するためにこそ独立採算制というものを、これは世界的な傾向ですけれども、そういったからくりを最初に考えたのではなくて、いろいろの試行錯誤の結果、現在一番それが郵便事業国民への一般的な利益への奉仕というものを保障してくれるというので、独立採算制のところまで初めて持ってきておる段階なのであります。したがいまして、なるほど赤字という問題、つまり物価が上がるあるいは経営内部のいろいろの経賢が上がってくるということによって赤字が非常に巨額になるためにこれを一般会計に負担させるということは、すぐに考えられることではありますけれども独立採算制という制度そのものの欠陥というものがあらわれたことによって今回こういう問題が出てきておるのではないわけですから、むしろ独立採算制というものをできる限り守っていくというような方向、これは将来ともなければならないのではないか。諸外囲、特にイギリスは郵便についてはそうでございますけれども、ますます独立採算制というものを強固にしていこうという方向にあります。これは世界的な傾向と言っていいわけでして、それには十分の理由があるということであります。といいますのは、当初、すべて一般財政によってこういうサービスをすることの結果、ひいては財源に負担をかけるのみならず、サービスそのものの質を低下させるということを踏まえた上での制度でございますから、この制度そのものの欠陥が出たことによって赤字が膨大になっているということはないというふうに考えております。
  373. 柴田悦子

    ○柴田悦子君 第三種郵便物というのが六円から三十円に一挙に上がるということになっております。この中には、学術書はもちろんのこと、新聞、それから雑誌その他の、国民的に見れば文化に接する部分というのがかなり含まれておりますし、それから、いわゆる知る権利というのから見て、多くのものを見てそしてそこから情報を得るというものが含まれています。こういう部分の中の分類の仕方そのものを検討したいと、その中でどれだけを上げたらだめでどれだけがいいかというようなことは、ちょっといますぐには結論が出ないのではないか。むしろ従来の一種、二種、三種あるいは四種の全部ひっくるめました分類そのものを検討し直していただくということが含まれているのではないかと思います。  先ほどから企業の発する郵便物というのが全体の八割を占めるということでありますが、それは事実であります。また、ダイレクトメールその他の郵便量が大変ウェートが高くなってきておりまして、しかもそれらの中には定形化し得ないものが含まれていて、それが郵便労働に負担をかけているということも承知しているのですけれども、ちょっと立場を変えて考えてみますと、企業と企業との間のウエートというのはうんと軽いのです。企業対個人あるいは個人対企業、逆さまの場合もありますが、そういうウエートというのは高いのですね、もちろん個人対個人というのもひっくるめまして。そこら辺に交通の一部に属するそういう用役生産の個別性というのがあるわけでして、一企業から多くの人に出す場合、いかにもすべての人に通信を発しているかのように見えますけれども、しかし、受けとめる側のその郵便物の受けとめ方というのは、全く個別的なんですね。というようなことでは、そういう部分というのは、企業活動に属すると言える部分と、そうではなくて、個人のやはり情報を知りたいという要求の一部分に属するというものとが渾然としておりまして、そういうところから一概に、企業のウエートが高いから受益者負担で企業の側に負担をさせていくというのは当然ではないかという論理から、貧しい人たちの負担がふえていくということを容認するわけにはいかないのです。つまり、貧しい人たちが受ける二十円から五十円に上げるときの痛手と、それから企業の側が受ける痛手というのは、そこが個別性という理由でありまして、用役生産そのものは個別的なんですから、その需要自体も個別的なんですから、たまたまその個別的なものを一つの機関でもって、こういう企業化したものでもってやっていくというのですから、それは私的企業が賄い切れたい部分でありまして、そういう部門というのはいっばいあるわけです。国鉄の赤字線などよく問題にするのですけれども、この赤字線自体を切り離して問題にすること自体がむちゃくちゃであります。僻地へ行きますと、その路線しか公共交通機関がないわけで、たとえ一時間に一本あるいは一日に二本であっても、その列車がなくなるのとそれからついているのとは、そこに質的な違いがあるわけです。そこで、こういう大都市に住んでいる者からすれば、たった一日に二本の列車などというのは何の意味があるかという価値判断ができるめですが、僻地におる者にとりましては、一日二本の交通手段が命の綱ともなるほど、あるいは唯一の周辺の人々との交際の手段になるというほど価値が高いわけで、それを画一化して論ずるというのは交通生産の場合きわめてむずかしいのです。そういうところから、国鉄の独立採算制を論ずるときでも、路線別に独立採算制を立てていくということはかなり困難だということを、これは国鉄当局も申されているわけでして、新幹線のように完全独立している部分は別としまして、駅舎であるとか線路であるとかいうのはずっとつながって続いているわけですから、きわめて共通費部分が多い。踏切とか高架とかあるいはトンネルとか架橋とかいうような、特にコストか高くかかった部分をその路線だけに負担させて、そして採算をとるのがいいか悪いかというようなことが論じられると同じような理由で、この郵政の場合にもそういう個別的需要左独立採算化していくということはきわめて問題点が多いということなんです。これは先進諸国が独立採算制をしているから妥当性があるとか、あるいはあちこちで独立採算の風潮が高まっていて、法的にも整備されてきているから当然であるとかいうことにはならないのであって、港湾の場合などはむしろ港湾建設、これは港湾法の第四十二条、四十三条に書いてございますが、港湾建設の基本的な部分というのは港の格に応じまして、大きいところで十分の十、少ないところで十分の二・五というのもありますが、平均しまして十分の七・五ほどは港格に応じて基本施設は国が建設をするということになっております。ですから、埠頭であるとかそれから整備であるとかいうものは、これは港格によって若干違いますけれども、その負担というのは国がやるということなどを考え合わせてみても、同じような種類の企業の今後の会計のあり方というものについては、かなり根本的な検討が加えられる必要があるのではないかというふうに考えております。  大変長くなって申しわけございません。
  374. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 阿部喜男君。
  375. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 意見陳述者の皆さん方には、お忙しい中在御出席いただきまして大変あり示がとうございます。  最初に延原先生にお伺いしたいのでございますけれども、先ほどのお話のように、先生は平素から郵政事業について深い御理解と御協力をいただいておりまして、私ども逓信行政に携わる者として心からお礼を申し上げます。  先生お話にございましたように、一般の家庭の場合には郵便利用は手紙で一、二通とか二、三通とか、あるいははがきで五、六通程度のもので、それはど影響がないというのは私もそのとおりだというふうに理解をいたします。けれども、先ほど来お話がございましたように、それは大体全体の二〇%程度のものでございまして、あとの八O%というものは、特に企業等から発信をする、端的に言ってダイレクトメールと呼ばれる広告物か非常に多いわけでございます。そうしますと、それらの広告物は広告主である皆さん方の製造なさる物価に必ず影響してくる。これが一般物価に与える影響は非常に大きいのではないか。特にいま日本の政治が、国を挙げて物価の安定を図らなければむらないというこの時期に、こういう郵便料金値上げが物価に大きい影響を与えるとするならば、これは一体どう理解をしたらいいのだろうか、ここが私どもが一番苦しんでおる点でございますので、ひとつ先生のお考えを承りたいと思います。  それから二点目に、堀田先生にお伺いしたいのですけれども郵政事業特別会計独立採算制をとっておることは悪いことではないのだというお話でございまして、特にその意味から郵政審議会答申をした原価主義というものは評価さるべきものではないかという御意見でございました。そうなれば当然第三種等の郵便物についても、いわゆる政策料金についても原価主義というものをある程度貫かれなければならないのだという御趣旨のように私は理解をしたわけでございます。ところで、いま御承知のように郵便料金のうちで、第一種、いわゆる手紙の類、定形外、それと第二種のはがきについては、これは私ども国会で決める法定料金になっておりますが、第三種郵便物以下の郵便料金省令で自由に決められるという認可料金形式をとっておるわけでございます。ところが、この原価主義なりあるいは郵便法第三条でいう「適正な費用を償い」ということは、一つずつの、種別ごとの原価主義ではなくて、総体的な費用を償うというふうに理解をさるべきだというのがこれまでの論議のようでございます。そうすれば一種、二種だけが法定の料金であって、三種以下の料金が自由に郵政省で裁量できるというこの法律のあり方、これは非常に疑問がありまして、やはり全体的に三種郵便物についても法定すべきではないか。そうでなければ非常に矛盾が生じてきて、仮に一種、二種についてはわれわれが議論して決めてみても、三種以下で郵政省の裁量で勝手にやられたのでは、租税法定主義なりあるいは民主主義の原則から考えてどうも理に合わないような気がしますが、三種以下の料金省令にゆだねてあるという点について、法律の運用上どういう御意見をお持ちかということが一点目でございます。  それから二点目は、政策料金のあり力でございますけれども、近時いわゆる福祉という問題が非常に大きく取り上げられて、先ほど神谷先生でしたか、ミニマムの問題が出てきましたけれども、たとえば盲人用点字というのがありまして、これは郵政省が無料でサービスしておるわけで、私は無料であることは非常に幸いで結構なことであると思っております。しかし、一体福祉というものが独立採算制の中でどう理解されたらいいのか。福祉というものは本来国家的な見地から考えられなければならないのではないか。あるいは政策料金の第三種郵便料金にしても、これが社会的な文化の向上に果たす役割りが大きいからという意味で政策料金がとられておる。その福祉なり政策料金というものと独立採算制というものとの関連をいかに理解すべきか。片方では独立採算で抑えつけながら片方では福祉料金が要求をされ、あるいは文化向上のためというような名目から政策料金が要求をされる。本来、私はこういう福祉なり政策的な料金というものの赤字については、これは国全体がそういう面から負担をすべきものではないかという気がするのです。そうでなければ独立採算制というものとの間に非常に大きい矛盾をはらんでくるという気がいたします。この点一体どう御理解でございましょうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。  三点目は、神谷先生にお伺いしたいのですけれども、現行郵便局の中に特定郵便局という制度がございまして、先ほど局舎問題についてちょっとお触れになったようでございますが、ここには二人の職員がおっても一人は局長でございます。給与の面から言うと管理職ということになりまして、非常に高い給料が支給される。数字まで申し上げませんが、要するに任命をされれば一般の部外者でもそこで管理職になって局長さんになる。しかも職員ばあと一人。こういう制度があって、数にするならば郵便局め八割方を占めるほどの膨大な数を持っているわけですが、こういう特定局の制度の問題について一体どうお考えか、これが一点目です。  それから二点目は、いまお話がございました共済組合の長期給付の関係ですけれども、共済組合の長期給付の年金制度等の関係は、御承知のように一般民間の企業体の場合でも国が負担をする部分があるわけでございます。大体二〇%となっておると思いますが、国家公務員などの場合には、大体使用者としての郵政省が負担する部分が四二・五、それから職員が負担する部分が四二・五、残りの一五%は本来国が負担しなければならない。それを全部郵政事業特別会計から賄っておるというのが実態でございます。私は、この最低国が負担をすべき一五%については、郵政事業特別会計ではなく、民間の企業にさえ国が補てんをしておる金額でございますから、当然国家が負担すべきものというふうに考えるのです。現行そうなっておりませんが、せっかく先生御指摘いただきましたので、この点もう少し明確に御教授願えればという気持ちがいたします。  一応これで質問を終わらせていただきます。
  376. 延原操

    ○延原操君 私はあくまで家庭を対象として申し上げおおるのでございまして、先ほど申しましたように、一カ月で二、三通ぐらいしかお手紙を書かない、はがきは三、四枚、五枚書く人は少ない、こういうことを申し上げたわけでございます。そして電話料と比較すれば安いじゃないか、北海道まで、東京まで電話をかけますと何百円と取られまして、はがき、お手紙は片道通行でございますけれども、また向こうからお手紙をいただいても五十円と五十円で百円じゃないか、こういうことを私考えるわけでございます。  第三種郵便ということは私は取り上げなかったのでございますが、たとえばいろいうの会、政党とか後援会とか、いろいろのところから新聞などをいただくわけでございますが、そういうときには会費を払っております。私たちみんな会費を払っておりますから、その会費から賄われたら別にいいではないか。百貨店から私たちの家庭にお買い物に来てくださいというような安売りのパンフレットもたくさん参ります。これも全部、百貨店は言うに及びませず、その中に織り込んでおられます。ですから、直接いまこれが上がっても、私は関係ない、サービスだ、こんなように思っております。  私は、何遍も申しますが、あくまでも家庭を対象として申します婦人会の代表でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  377. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 まず第一点につきましてお答えいたします。  省令による決定に対して、第一種、第二種は法律によってきめられる、それは矛盾ではないかという御質問でございます。私は、結論から申しますと、世界的な傾向という一つの事実に照らしまして、できるだけ料金の設定は弾力的に運用するという立場から、むしろ行政のはっきりとした責任において決定をする範囲というものを広げていくのがこれからの傾向ではないかと考えておるわけです。その理由は、一つは御承知のように、第三種がすでにいろいろの、一種の競合関係に立っております。そういう競合関係に立っておりますために、料金そのものを一般市場のメカニズムに合わせて運用していかなければならないというような事情が発生しておる。これは経済学――私専門ではございませんが、経済学的な資源のいわゆる消費節約といったような問題からいたしましても、常にこの第三種が非常に流動的に動く、したがって、そのために弾力的な運用を保証するというわけで、もちろん議会の一定の枠の中で動くと一いうことでございますけれども、そういう弾力的な運用がむしろ望ましいというふうに思います。それは私だけではございません。事実世界的な傾向としてむしろ料金一般をできるだけ行政の決定に持っていくということが傾向としてあるわけでございます。一般に、たとえば公企業全体について見てもそういうことが言えるわけで、いままで余りに料金に関する決定がタイミングを失するとかいうようなことがあって、たとえば財政に対する負担というものが非常に大きくなっているというような経験を踏まえまして、そうではなくて、むしろ一定の決定権にゆだねよう、しかしながら明確な責任という制度を持ち込もうというようなことで、たとえばそれに対する料金の一定の権限の幅を決めまして、それを公企業とそれから議会あるいは行政とが契約をするというような段階まで一つの傾向として進んできている。そういう意味では、私はこれは矛盾をしているのではないというふうに考えております。  それから、第二の御質問の点でございますが、これは要するに政策料金というものは何かという御質問だと思います。ただ、政策料金というのがあるがために郵便事業が欠損を生ずるのではないということはあらかじめ申し上げておきたいと思います。つまり、政策料金というのは、総合原価を割る料金収入が是正されなければならないというわけで、いわゆる総合原価主義に立った上での収支適合であります。したがいまして、何らかの政策料金を課したから公企業の総収入が減って赤字が出てくるというような性質のものではありません。  第二に、いわゆる政策料金、先ほどからお話が出ておりますような福祉的な料金の問題であります。私は、この問題につきましては、公企業というのはもちろん経済的な合理性だけで動くものではありませんから、何らかの形で社会的あるいは政治的、行政的な判断というものが入ってくるのは当然だと思っておりますが、第三種料金についてはむしろ原価にできるだけ近づけるという努力がいま始まろうとしておる段階において、新たな観点からではありますけれども、政策料金というものが課せられてくる。そうしますと、政策料金を是正する方向においてまた新たな政策料金というものが入ってくる、これをむしろどういうふうに理解すべきかというふうに思うわけです。基本的なことで申しますと、やはり公企業的な運用をする。これは、法的にもあるいは実際的にもそういうものが存在している以上、これは適正な原価という主義に立たなければ事業は運転できないということ。  第二に、すでにいろいろの合理化という方向に動いている、現に先ほどのお話にもありましたように、非常に生産性を上げにくいという事業部門でございますから、これに対してできるだけ省力化をしていく、できるだけ規格化をしていくという形で、合理化努力は私は相当進んでおると思うわけでありますが、その合理化努力に対して福祉的な料金政策をとっていくということになると、かなり技術的な問題が生じてくる。つまり、合理化方向にむしろ逆行するというような懸念がある  第三には、先ほど申しましたように、政策料金を改めて、そしてできるだけ原価主義に立っていこうという方向に対しまして、新たな政策料金をつけ加えるという結果になりはしないかというこ  第四には、これは私自身計算できるという意味では専門ではございませんけれども、政策料金を新たに設定する場合に、郵便サービスでなければできないのかどうか、あるいは郵便サービスに置くことが最も効果的なのかどうかといったような判断をしていただかなければ、郵便事業そのものの経営というものは、考え方として非常にむずかしいものになっていくと思います。
  378. 神谷守利

    ○神谷守利君 御質問は二点にわたっていたと思います。  一点目の特定局の問題でありますが、これは現在の近代的な郵政局制度のたてまえから考えますと、きわめて前近代的な、恥部に当たるような部分では恥いかと考えられます。結論から申しますと、特定局というのは本来近代的な郵政事業の中における分局制度として再編すべきであって、現在のような世襲酌む制度でありますとか、あるいは高級官僚のような天下り人事的なものほどではないかもしれませんが、現在郵便局の二万二千の中で約一万七千くらいのウエートを特定局が占めている現状から見ましても、こういった前近代的む部分を残しているということは、先ほどから問題になっております特別会計赤字をかなり大幅に広げていくことにもつながると思いますので、この問題については早急に解決をしていくべき課題ではないかと考えます。特に、先ほどごく少数の、たとえば一人とか二人という小さな勤務形態の中でも局長というものを一人置かなければならない。そのために、いわば管理職手当、大体管理職の四等級くらいに当たるのだろうと思いますが、大体現在の平均賃金で、局長にしますと十六万ぐらい、あるいは普通局の局長から特定局の局長になる場合に二十万前後の賃金水準におっておりまして、これは必ずしも人件費のコストアップにそのままつながるということではないかとは思いますが、近代的な労務管理体制の問題から考えてみましても、こういった前近代的な労務管理体制をそのまま保障することになっているのではないか。いわばこういったものが分局制度あるいは分室制度をとることによって、より近代化される可能性というものがいまだに残されているのではないかという気がいたします。  それから、二つ目の問題でありますが、共済組合における退職年金の国庫負担分の問題であります。これは、先ほどの陳述内容とやや内容が違いまして、確かに民間でも現在約二〇%の部分が厚生年金の国庫負担分について一般会計から見られているわけであります。先ほどから、いわば郵便事業特別会計という独立採算制のテーマと、それから福祉のテーマということがかなり問題になっておりますが、いわば福祉の部分として見るべき範囲は一体何かということ、このあたりは必ずしも明快ではないと思います。一切のものが特別会計の中で、独立採算制というたてまえの中で全部が補われているのが現状でありまして、本来福祉的准視点から申しましても、あるいは国のたてまえから申しましても一般会計で見るべきものまでが特別会計の中で見られているということが現在の特別会計赤字の原因になっているわけでありますから、これは民間の兼ね合いとの関係から申しましても当然一般会計から見るべきものでありまして、先ほど御指摘がありましたように、民間との比較から申しましても、一五%の部分については当然一般会計で見るのが至当ではないかと考えられます。
  379. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一点だけ堀田先生にお伺いしますが、ちょっと、さっき私の質問をお取り違えにたっておるように思われるのですけれども、いわゆる料金改定に当たって行政に弾力性を持たせるべきだというお話は、これはちょっと私異論があります。これは、租税法定主義なり財政民主主義の見地から異論がありますが、きょうここで議論するつもりはございません。ただ、質問を取り違えておられるというのは、総合原価主義というものをとる以上は、そのうちの一部は法定事項であり一部は行政にゆだねるというこのあり方では、総合原価主義をとりにくいではないかと私は思うのです。たとえば、一種、二種、三種、四種を含めて、少なくとも郵便料金については、特別な手数料的なものは別にして、原則的な料金について、総合原価主義をとるならば総合原価主義をとるように、法律をもって決めるとか、そういうことをやるべきであるのに、一、二種については法定であり、三種以下については行政の裁量にゆだねる、それでは総合原価主義をとろうにも、国会の権限と行政の範囲とでやりようがないではないか、その矛盾を一体どう考えたらいいのかということを御質問申し上げたので、ちょっと趣旨を取り違えられておったようですから、一言だけもう一遍お答え願いたいと思います。
  380. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 最初にも御質問の中に、ただしこれは法律立場から返答しろということでございました。もちろん私はその専門ではございませんので、むしろ世界的な傾向からして、一つの責任単位がこれを決めるという傾向にあり、しかもこれはむしろ日常経営しております責任の行政においてこれが行われるというようなことが一つの傾向ではなかろうかというふうに申し上げたわけです。したがいまして、私自身はこの総合原価主義に立つ限りは、第一種、第二種及び第三種が関連を持って決定されるということは、これはよりいい方法ではあるというふうに考えております。
  381. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 志賀節君。
  382. 志賀節

    志賀委員 先ほど来、私の蒙を開いていただくようないろいろな御発言、御高見を賜りまして、まことにありがとうございました。  延原先生は直接に二十世帯ぐらいの方々にお当たりになって具体的な数字までもお挙げくださいまして、大変勉強になりましたし、私どももおおよその見当としてはそういうところであろうという考えは持っておりましたものの、裏づけをいただいたような気がして心強い次第でございます。  そこで、二番目に御発言になりました堀田先生にちょっと伺いたいのでありますけれども、経営の合理化の問題にもちょっと触れられましたので、私から御高見をいただきたいと思いますのは、郵便事業の経営の合理化、これは全部いままでで満足できる状態ではないことは申し上げるまでもございません。現に機械化を導入したりいろいろな面からそれなりの成果は上げておりますけれども、まだ郵政審議会答申に指摘されているような配達度数の一度化であるとか、あるいは郵便窓口の取り扱い時間の短縮というようなことはなされておらないのであります。こういうような具体的な面についてどのようにお考えになられるかを承りたいと存じます。大体私とものつかんでいる数字では、これに対する反対の傾向はきわめて少数である、こういう受けとめ方をいたしております。  それから次に、神谷先生が先ほど、局舎の建築がなされて、あるいはまた局舎の借り上げがなされてかくかくしかじかの赤字が出るというような、この負担が出てきておるというようなお話がございましたが、この承りました数字を合算いたしましても、まだ依然として今日出ている千四百億の赤字というものには半額にも満たない。したがいましてそめ残りの半額は、いまもちょっと御発言がありましたが、念のため伺っておきたいのは、なお独立採算制をやめにして一般会計から補てんをすることを是とせられるのかどうか。  柴田先生は、先ほど、独立採算のよって来るゆえんは三点にあって、その第一点として公共性をお挙げになった。私は、公共性というものはいろいろな観点からこれを理解することができると思いますが、やはりこめサービスを受ける側がよりよいサービスを受けることもまた公共性の重要な一面であるという考え方を持っております。したがって、サービスの低劣なものを受けるのは、これは公共性には相反する。したがって、独立採算制による企業努力サービスを向上せしめるという考え方からいたしまして、私は、この独立採算というものはやはり依然として今後堅持すべきではだかろうかと考えておるわけであります。  そこで、次に柴田先生に承りたいのでありますが、いわゆる弱者、電話のないような社会的弱者、こういう方たちがいままでもっぱら手紙やはがきに依存しておった、それが値上げになることは、やはりそれだけ社会的弱者に対してしわ寄せと申しますか、あるいは負担をよけいかけることになるではないか。そこで、こういう方たち立場にわが身を置けば、どうしてもこれは考えてほしいという趣旨の御意見に承りました。私はそういうお考えはまことに傾聴に値する御意見であると思いますので、具体的にこめ社会的弱者に対する方法、手段――私はあくまでも申し上げておきますが、独立採算制は堅持する、しかもそこにおいて一律にだれもかれもの料金を上げてそれっきりにしておくのではなくて、そういういわゆる社会的弱者に対しては、その範囲内ではどういう方法、手段、施策があるであろうかという具体的な御意見を承りたいのでございます。電話のことが先ほど出ましたから、私もお話を承って考えたわけでありますが、市内料金であれば、確かに今回の郵便料金値上げというものは痛手でございましょう。しかし遠くに嫁に行っている娘とかあるいは婿に行っている息子とか、こういう者と何百円もかけて電話をかけることに比べるならば、まだこの郵便料金は非常に安いということも言えなくもない。この郵便料金をそういう面から、電話を無料化するよりは、むしろそっちの方の無料化の方がよりやりやすいという財政的なたてまえからも、何か具体的な御意見があったら教えていただきたい、こういうことを考える次第でございます。  なお、先ほども羽田委員からお話がありましたが、今回の郵便料金値上げというものは、柴田先生は、高物価政策、政府の政策がすべてであるかのようなお話でございましたが、私どもは必ずしもそのすべてではないと考えております。極端な言い方で言わしていただくならば、おけ屋がもうかるのは風が吹いたからでもありましょうが火事になったからでもある、こういう考え方を持っておりますので、以上、まことに雑駁ではございますが、お答えを賜りたいと存じます。
  383. 延原操

    ○延原操君 私は、郵便法に基づきまして、独立採算制であるから、これは使った人が払ったらよい、一般会計から持ってきてはならない、こういうふうに思っております。
  384. 神谷守利

    ○神谷守利君 質問の論点でありますが、私の大まかな計算でまいりますと、三点にわたって申し述べたわけでありますが、第一点目は局舎の借り上げの問題であります。この局舎の借り上げの問題については、私は当面の赤字解消のために何らかの寄与があるという形では述べていないわけであります。そうではなくて、将来的な郵便事業会計の改善の上から考えますと、たとえば先ほども例証として一つ申し上げましたように、たとえば元利均等償還後、それが全部国の方に所有権が移管されるということになってまいりますと、現在年間大体九十三億円め借り上げ料を支払っているわけでありますから、少なくとも将来的にはそういったもめが消えていくという可能性を持つわけであります。そういった面で、局舎の借り上げ問題については一つの指摘をいたしました。したがって、もしこれがかなり前からやられておるとするならば、約百億円近い経費の軽減というものが出てきただろうと考えられます。  それからもう一つの問題点は、先ほどの質問でも陳述しましたように、当然一般会計から見るべき性格のものとして退職年金の国庫負担分について大体四百億円ほどが考えられます。これは当然スライド制の導入に伴いまして、追加費用の支出なんかの関連が大体三百億からありますから、もしこういつたものが一般会計で見る――もともと一般会計で見るべきものだと私は考えるわけですが、そういうもめで補てんされるとするならば、大体四百億円くらいの部分がこれによって軽減されるわけであります。  それから三つ目の問題は、先ほど第一点目の問題として指摘しました局舎の国費建設の問題であります。この問題については、先ほどから幾度か論議されておりますように、独立採算制とはいえ、その中にはすべてが独立採算制によって総合原価主義で賄われるべき問題ではなくて、たとえば公共性という側面の中には、かなり山の奥でも、原価からすればほとんど採算がとれないような所でも福祉という視点からして局を一つ建てなければならない、そういう側面が残されているわけであります。もし、そういった部分について、一切採算主義といいますかあるいは総合原価主義というところで問題になってまいりますと、合理化というものの方向が、そういう所についてはすべて廃局しなければならないという方向に向いていく危険性がありまして、いわばこういった公共施設の問題については部分的には一般会計によって見るべき性格のものではないかと考えるわけであります。したがって、私は、結論的に申し上げまして、独立採算制そのものを否定するのかという御発言でありましたが、その点については一つの結論を持っておりません。それよりもむしろ現在の特別会計赤字の原因として、こういった局舎の国費建設によって大体六百億円、あるいは先ほどの借り上げ料の問題で大体百億円、それから年金の国庫負担によって四百億円。いまおっしゃった赤字が大体一千四百億円ということでありますから、少なくともこの三つの問題について改善されるだけでも大体一千百億円ぐらいの解決がなされるわけでありまして、いわば特別会計の矛盾そのものの改善という方向に向かずに、受益者負担ということで安易に料金値上げというところに向いていることが、今回の値上げの一つの基礎になっているのではないかという論点に立ってお話をしているわけであります。したがって、独立採算制そのものの可否について問われた際には、必ずしも結論は持っておりませんが、当面のところとしていわば企業努力でまだかなり改善さるべき問題が残されているのではないか、というところに私の主張があるわけであります。
  385. 柴田悦子

    ○柴田悦子君 私に対する御質問というのは大体二点にわたっておったかと思います。第一点の方は、サービスを受ける側というか、その受ける側がよりよいサービスに対してその対価を支払うのは当然ではないか、それを一体どう考えるか、独算制をとれば当然企業努力がそこでなされてサービスが向上するということから独算制を一体どう考えるかということ。それから第二点というのは、社会的弱者への負担を具体的にどういうふうにできるかという、その二点ではなかったかと思います。  第一点でございますが、大体こういう公企業関係の経営のあり方というのがもともと独立採算にするのはかなり無理があるという要素をたくさん含んでおりまして、そこへ部分的に独立採算を後からなだれ込ましていくということになりますから、厳密に言えば、先ほど山間地域における集配の問題も出ましたけれども、距離に対する輸送原価というのが違った場合に、厳密な原儀主義をとる場合にはそれはどうなのかとか、あるいは航空機な使った場合とそれから自動車だけを使った場合の原価主義の理念からいげばそれがどうはね返るのかとか、非常に原価主義を貫いていった場合の独算制が立ちにくい部分なんですね。と言いますのは、これと共通している企業というのは交通の中にはたくさんありまして、何も郵政だけじゃないのですが、郵政部分というのは、特に手紙を出す側も受け取る側も、両方ともきわめて不特定多数に及んでおり、その中に企業あり、個人あり、出す側に企業あり、受ける側に企業あり、あるいは出す側に個人あり、受ける側に企業ありというのが錯綜しているわけでありますから、それが企業だけ抜き出しまして、よく例に挙げられるダイレクトメールのようなものがウエートがどんどん高くなっていくということは、郵便料金なりあるいは郵政の政策の面からダイレクトメールを減らしていくということから詰めるというのは、もう非常に限界があるのじゃないかというふうに思います。むしろ、こういう形の宣伝販売をしなければならない、あるいはそれの効果の限界性、あるいはそれの、実際上は受け取ってすぐくずかごへほうられていくという、そういう宣伝効果の非常な低さとかというような問題から出てくるわけであって、現在の企業活動の中でそういう部門を政策的に抑えるというのはかなり無理がある。もしそれができるのならば、福祉料金を立てていくというのももうちょっとたやすいことではないかと思います。  そこで、大前提に踏まえられていますサービスとは何かということであります。このサービスの質とは何かということになります。交通通信め部分には必ずサービスの質ということが問題になるわけでして、このサービスの質というのは、ただ料金が安いだけでないということは言うまでもありません。速さ、正確さ、それから定期性というか、そういうふうなものもひっくるめまして、サービスの質ということになるわけです。このサービスの質は独立採算制、つまり企業性を導入しなければできないのかということが、ここが一つの問題点でありまして、何か独立採算制、企業性を導入すればサービスめ質が向上し、現在のような国有企業である限りはサービスの質というのは低下するんだという、そういう論理というのが是認されているかのように見受けるのですけれども、大体交通関係というのは皆サービスの質を問いながらそこでの活動がなされるわけでして、これは、その努力に向けられていくというのは企業努力というか個別的な独算制を目指した怒力――この独算制を目指すということになると、いかに採算を合わせていくかということになるわけです。採算を上げるためにサービスの質を高めていくということになるわけです。しかし、問題は、私最後にちょっと触れて、余り大きく触れなかったのですけれども郵便という非常に多数の人たちの信書を輸送するという労働の価値観というものが、現在の場合、社会的に見て高くないというところに問題がある。これは港湾労働などにも当てはまるわけでして、港湾労働の社会的な評価というのが高くない。そういうのと比べればそれは郵便の場合は高いわけですけれども、労働者本人自身も、こういう郵便事業に携わっているということが誇りであり、それからまた郵便事業の果たしている役割りというのが、全体の国民のいわゆる公共のたてまえから言って、きわめて貴重な労働、つまり教師がやっているような労働に準ずるような非常に貴重な労働に参加しているといった評価がなされたときに、サービスの質というのはおのずからそれに従事している者の中から問われてくるわけなんです。この問われ方がなされないで、ただ採算面から企業努力へ向いていって、その企業努力からそのサービスのレベルアップをしていこうということのみの線からついていくということになれば、国有企業というのは資本主義社会では存立する意味がないということになってしまうわけでして、その辺ひとつ逆に問題を投げ返してみたいというふうに思っております。  それから、社会的弱者の負担というものの具体的な方法でありますけれども、これは先ほどから言いましたように、厳密なる原価主義がとり得ないという部分、つまり、輸送手段も異なりそれから距離的にも異なる、あるいは集配の労力自体も異なるというような部分で均一料金を取っているということに比べれば、こめような社会的弱者に対する郵便料金の特別措置というのは必ずしも不可能なことではない。そういう考え方からいえば、企業の負担すべき郵便料金体系と、それから社会的弱者の負担すべき郵便料金体系とが別建てになるということだって考えられる可能性であります。もっとも、そういう可能性を追求するためには、かなりもう少し根本的に現在の郵便料金体系を踏まえなければならない、再検討しなければならないということは言うまでもないことであります。
  386. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 簡単にお答えいたします。  まず、先ほどから出ておりますように、郵便サービスのいわゆる労働集約的な特徴というものは、これは申すまでもありません。これに対しまして、いろいろのいわゆる合理化の問題が出てくるわけでありますか、一つは、やはり大きな意味でのいわゆる機械化の問題であります。機械化はすでに相当行われているようでありますけれども、機械化規模そのものの限界があると思います。第二は、依然として集配作業というものが存在する限りは、ここにも機械化の入る余地は非常に少ないということであります。三番目には、より一層機械化をしていくためには、むしろ郵便施設の規模を拡大しなければならない。そうすることによって一応機械化は達成されるけれども、機械化の結果生ずるマイナスの部分というものが出てくるであろうと思われます。  第二に、外部のたとえば労働、いろいろの労働の依存というものがありますけれども、これも、郵便サービスの本義に照らしてみて、それはど大きな依存というものをこれから期待することはできない。そういうわけで、やはり限界というものがあるというふうに考えます。したがいまして、実際、先ほど御質問め、窓口の時間を短くするとかあるいは配達を一回にするといったような、いわば直接にサービスな縮小していくということは、郵便サービスの本義に照らしてみますと、たとえば先ほどのサービスの質という御発言がありましたように、本来的には認めることができないものだと考えます。  しかしながら、ただこういう条件は考えなければならないと思います。一つは情報手段か非常に多様化してきているということであります。したがいまして、たとえば手紙に対するいわゆる期待価値といったものがやはり変わってくるというふうに思われます。第二は、今日一番問題になっております郵便事業における人件費の問題であります。こういうものがますます強く伸びていくというようなことを想定しますときに、結局は高い料金で高いサービスあるいは質のいいサービスをとるかどうかといった選択の問題というところに行き着くのではないかと思います。私自身は、やはりサービスの質というものに対する期待価値というものは、情報の多様化といったことからかなり従来とは違ったものになってきているというふうに考えております。
  387. 志賀節

    志賀委員 ありがとうございました。
  388. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 古川喜一君。
  389. 古川喜一

    古川委員 公述人の皆様、どうも御若労さまでございます。私たちは、この郵便料金値上げ問題につきましては、赤字だから郵便料金を上げるという安易な考え方、さらに物価鎮静の方向に向かっているときに公共料金を上ばることが他の物価にどういう影響を及ぼすかということと、郵政事業の根本的な改革がどうあるべきかという立場に立って審議をしてきたわけでございまして、同僚の阿部委員からいろいろ質疑がございましたから簡単に申し上げます。  まず延原さんにお伺いしたいわけですが、三年前の郵便料金値上げの際にもわれわれは大阪へ参りました。そのときにも婦人会の方が出て公述されたわけでありますが、おっしゃいましたように郵便事業は人の手による面が非常に多いわけであります。そして、おっしゃいましたように労働条件をよくする、そしてサービスをよくすることによって値上げには賛成をいたしますということを言われました。三年前の御婦人の方もやはりそういうことでございましたが、伺いますが、本当にそめ後サービスはよくなっているとお思いになるでしょうかどうか。それから労働条件の問題ですが、一般の公務輿の給与から見て郵政に働く人たちの平均給与というのは約二万円弱低いわけでありまして、やはり労働条件がよくならないことにはサービスも向上できないだろうと私は思うわけで、その点、現状をどのようにお考えになっているか、お伺いしたいわけであります。  さらに堀田先生に伺いますが、明治四年から始まりました郵便事業が、たしか昭和二十六年だったと思いますが、占領軍のもとにおきまして、利益の大きい国際電話はいま株式会社として発足をいたしております。その次は、電電公社として名前のとおり電話電報事業は公社として運営されております。残っておるのは、現在の郵便事業が国営事業として残っておるわけであります。先ほどからいろいろ御意見を伺いまして、合理化の問題についても傾聴に値する意見が述べられたわけでありますか、それも大切でありますけれども、私は、明治以来からの郵政事業の根本的だ問題、これが何ら解決されないまま来ているのじゃないか、またその努力もなされておらないという考え方を持つわけであります。それは、神谷さんからおっしゃいましたように、特定郵便局制度の問題。先ほど局舎の問題あるいは分局、出張所にしたらどうかという問題もありましたが、世襲制ですね。局舎を借り上げ、そしていまは局舎と局長は特別の関係はないのだとは言われておりますけれども、大体届書提供者が局長になり、その局長が勇退をすれば息子がそれを受け継ぐというような形で行われておるわけでありますが、こういう非近代的というか、このことと、根本的に局舎問題や特定郵便局長の問題なとがとうあるべきか。いまの機械化の問題やより機械化を多くしていくという問題も大切でしょううけれども、その問題に対してどのようにお考えになるか。  それから先ほど、行政の決定に上って行われる範囲というのを広げていった方がいいのじゃないか、弾力的運用の面から見ても、とおっしゃいましたが、今日の第三種郵便値上げ、一挙に五倍ということになったわけですけれども、非常に組織的にいろいろ郵便料金値上げ問題が出てから反対が出ておるのはこの第三種が主であります。通信販売であろうと、あるいは新聞社、機関紙誌などにも相当大きい影響もあるでしょうし、あるいは文化的なサークル活動をしている人たちにも大きな影響があると私は思いますが、この三種の値上げというものと、行政の行う範囲な広げて弾力的に運営するという面についてどのようにお考えになるかという二点を質問をいたしまして、終わりたいと思います。
  390. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 質疑者並びに陳述人の方に申し上げます。  はなはだ恐れ入りますが、できるだけ簡略に御答弁あるいは御質疑をお願いいたします。  では、延原陳述人。
  391. 延原操

    ○延原操君 三年前と同じ意見を言っているじゃないか、三年前よりもサービスがよくなったか、こういう御質問に答えさせていただきますが、これは本当に大きな問題でございます。これを申し上げますと長く時間がかかりますが、社会問題でございまして、きょうは本当にいい機会でございまして、国会議員の先生、もっと考えていただきたい。  これは教育の問題があると思います。昔ですと、上司の方がいろいろおっしやいましても聞けたわけでございますが、このごろ民主主義というのは自己主義になりまして、上の方の上司の方の言われることを若い方が、配達屋さんでございますので、余り聞けておらないように思います。いつも私の方に配達に来ていただきますと、いろいろ私苦情も申します。いろいろ申しますけれども、頭の毛でも女の子か男の子かわからぬようなこんなに長くして、帽子をちょこんとかぶって、アイフルのような形で配達しております。これはいままでそんなことはございません。こういうことを申しますと、おまえは何やねというようなことがありますので、これ以上申しませんけれども、このサービスということは、やはり上司の言うことをもっとよく聞くということが私は一番大事かと思います。  その次のこと、ちょっと私聞き漏らしましてわからないのでございますが、二の問題はずっとお済ましになってからまた教えていただきたいと思います。
  392. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 簡単にお答えいたします。  局舎制度の問題を御質問いただきましたが、この世襲制その他という問題につきましてよりも、私の申し上げたいことは、まずこういったものについて設備投資の問題が一つある。つまり設備投資をいま急激に発展しておりますいわゆる集中化現象あるいは過疎化しておるところにも必要であるという、いわゆる不採算部門における投資といったよう次ものから考えまして、投資すべてを賄うということは考えられない。もう一つは、やはり同じことでありますが、投資誘導ということが必要なわけでして、そういう意味で、この制度というものはある程度認めなければならない。むしろここでは、問題はしたがってコストの計算ではなかろうかというふうに思います。  第二は、先ほど御質問いただきましたことと関連いたしますので、そめ点については割愛させていただきますが、私は特に料金そのものの問題として考えておるわけですけれども、第三種の料金というものが御承知のようにいわゆる政策的と称してむしろ余りに低過ぎたということが総合原価主義の立場から見て問題であったのであって、したがいまして、今回の考えられておる値上げ幅というものが、むしろ正しい意味のいわゆる直接費を少なくとも賄うようなそういった方向に行く、あるいはそういうことを志向するいろいろの政策的判断というものがまたそこには入ってくると思いますけれども方向性としてこれは間違っていないというふうに考えております。
  393. 古川喜一

    古川委員 延原先生にお伺いしたのは、答弁はいいですが、いわゆる労働条件がよくならなければサービスはよくならないだろうということで申し上げたわけです。そして他の公務員との給与の比較から見ても非常に低廉な賃金で働かされているということを述べたわけですが、答弁はいいです。  それから、いまの局舎の問題に限っておっしゃいましたわけですが、投資的運用ということでありますが、当初やはり明治時代に発足したときには、日本の国として徳川時代から変わったばかりですから、資金の面でやむを得ずそういう制度をとらなければならなかったとわれわれは考えておるわけです。しかしながら、今日の段階においてなおそれが、新しく局舎が設けられるときに借り上げ制度であり、そして関係はないとはいうものの、局舎を建てた人が局長になっているということなんです。そしていまは、先ほど言われたように、六・五%の金利で十三年何カ月で完全に均等割りで返還でき得るという、一般の民間から言えば高額な借り上げ料が払われている。こういうことに対して、過去の分はわれわれはやむを得なかったとしても、これからなぜそういう努力をしないのかという考え方で申し上げた次第でございます。これも答弁は要りません。
  394. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 土橋一吉君。
  395. 土橋一吉

    土橋委員 私は、陳述人の皆さんの大変な貴重な御意見を拝聴いたしまして、まことに感謝にたえないのであります。  さて、延原陳述人にお尋ねを申し上げますが、最近の異常な物価の値上がりによりまして、たとえば酒、たばこあるいは郵便料金などというものが上がってまいりますとさらに一層物価が上がってくるであろうということは、恐らく何人もよく御承知と思います。そういう点について、物価が上がるという基本的な問題について、郵便料金を上げても結構だ、そういう御意見のようですが、物価の上がることはすべての人が反対をしておるのでありますが、そういう点の矛盾はどうお考えになっておるのかという点が第一でございます。  第二番目の問題は、千四百億の赤字だけれども、それは受益者が負担をしたらいいじゃないか、そういう御意見でございました。しかし、あなたさんもよく御承知のように、郵便事業は国家の事業でございまして、郵便法第一条というのは、御承知かと存じますが、なるべく安い料金役務提供する、これが基本原則になっているわけでございます。ところが、四十六年の後半から四十七年にかけまして、いわゆる合理的な賃金、また収支相償原則中心とする、こういうものが突如として入ってきたわけです。これがいわゆる独立採算制と呼ばれているものですが、そういう点について、なるべく安い料金郵便役務提供する、こういう基本原則とあなたの仰せになっている問題と幾らか違うように私存じておりますが、その点どうか。この二点でございます。  次は、堀田陳述人にお尋ねを申し上げますが、あなたさんの御意見は第三条を中心としての御意見のように私は承ったわけです。ところが、これは国家業務でございまして、公社業務ではございません。あくまでも郵便役務はなるべく安い料金サービス提供することによって公共の福祉を増進をする、これは国家的な業務でございます。ですから、あなたの仰せになりましたような第三条を中心とする理論からくるならば、第一に、いま言われましたように、採算のとれないような簡易郵便局であるとか、あるいは無集配特定郵便局であるとか、さらには集配郵便局などはどういうふうに解釈をしたらよろしいのか。  また、あなたのお話の中にちょっとございましたように、巨額な国家資本を投入する、そういう呼び水的なことも必要だというふうに仰せになったわけですが、そうすれば、現在たとえば巨大な局舎をつくるとか、あるいは無集配郵便局あるいは集配郵便局などをつくる場合に、その金はむしろ国家が責任を負うべきじゃないかというようにわれわれは考えておりますが、その点はどうかという点が第二点でございます。  第三にお尋ねしたい点は、なぜ一体こんな郵便料金を上げなければならないような事態が起こったのか。それは御承知のように、政府のインフレ政策というものが池田政府以来ずっと続いてまいりました。したがって、このインフレ政策というのは自然現象ではございません。また、労働者が大幅賃上げを要求したから物価が上がったというものじゃなくて、むしろ物価が上がっているからこそ、労働者がストライキなどを構えまして、七四年春闘におきましても、七五年のただいまの春闘においてもこれを要求しておるわけです。したがって、合理化中心的な、あるいはあなたの仰せになりました独立採算を中心とするならば、この問題との関連においては非常に矛盾をした内容ではなかろうかというふうに私は承っておるわけでございます。  第四点としまして、収支相償中心とするたとえば簡易保険関係であるとか、あるいは郵便貯金関孫であるとか、あるいは電電公社が委託を受けております電信電話事業というようなものは何ら問題は起こっていないのであります。問題が起こっているのはいわゆる郵便業務についていま問題が起こっているわけでございます。したがって、郵便業務というものがそういう悪性インフレによりますところの異常な事態下において料金を上げることによって賄うということは、国家が少なくとも、あなたもちょっと仰せになりましたように、基本的な措置をしないというところに大きな問題があるように私は思っているわけであります。その辺の説明をぜひお聞かせ願いたい。  以上、四点でございます。  次は、柴田陳述人にお尋ねをいたします。  あなたが中ごろで指摘されました、インフレ政策が最も大きな原因だ、そこに根本的なものがあるというふうに私は聞いたように存じますが、そのインフレ政策がこの郵便料金値上げ問題と直結をしておるところに大きな問題かあるというふうに仰せになったように私は記憶をしております。一番中心的な問題はどこであるのか、もう一回その点についてお聞かせを願いたいと思うのです。  第二番目の問題は、集約的な労働力をもって仕事を運行するわげでございますが、何しろ発信人が不特定多数である。受信人もこれまた不特定多数がサービスを受けるわけでございます。そうなってまいりますと、不特定多数のそういう方々が――たとえば山村僻地あるいは療養所、そういう所へ多くの方がいらっしゃるのですが、そういう方が受ける場合に大変困難な事態が起こりまして、郵便事業収支が合わないような事態がその郵便物については起こるわけです。しかし、郵政有が提案をしておりますのは、総合原価主義ということを言っておるわけです。この総合原価主義は私も非常に疑わしい点があります。総合原価主義というものが実は一種のカムフラージュであって、すべて政策的な料金ではないかというふうに考えられる点があるが、その点はどうか。  第三番目の問題でございますが、御指摘がありましたように第三種郵便物は大体全体の郵便量の中におきまして一二%か一三%なんです。総郵便量は、四十八年から四十九年前後におきましては大体年間百三十億通前後でございます。むしろそれよりも多い方だと思いますが、その中に占めている約十四億通近いもの、つまり百三十数億通でございますので一二%くらいです一か、これだけの郵便物がそういうことになってまいりますと大変な事態が起こってくるというわけでございます。知る権利を侵すと同時に、むしろ小さい、たとえばローカル紙、あるいは専門誌、あるいは文化等の関係の方が至大な影響を受けるようですが、そういう点について何か御承知にたっておる点があればお示しを願いたいと思うわけです。  以上でございます。
  396. 延原操

    ○延原操君 先ほど公共料金が上がってよいのか、こういうことでございますが、これは上がらない方がいいわけでございますが、世界の全国で比べまして日本が一番安いということと、そして家庭では――私はあくまでも家庭の主婦の代表でございますので、家庭で余り使わないということ、仮に日々の家庭生活の中で一〇といたしますならば、郵便は〇・〇一でございます。ほとんど私たち家庭では余り使いませんので、それよりも、ここでの問題にはないのでございますが、もっともっと家庭では主食とか副食の方に重点を置いていただきたい、私このように思うのでございます。
  397. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 まず第一点についてお答えいたします。  先ほどの第一条とそれから第三条との関係、あるいはこれは矛盾しておるのではないかという問題に帰着すると思いますが、郵便サービスの本来の目的というのはもちろんサービスの質を向上させてそのサービスを継続的に供給するということが第一の目的でありまして、安くするということによってサービスの質の低下が起こったとするならば、それは本来のあり方とは逆にたるというふうに考えております。特に郵便サービスの場合、なるほど国民全員がそれを使うという意味で国の事業であります。しかしながら、これに対する需要の弾力性というものが現存する限りは、やはり適正な原価に見合った料金を設定したければたらないという基本的な立場が認められるべきではないかと思います。むしろ経営を最もよく効率的に運営してそして安くしていくという意味で、第三条の考え方というのはそれがために企業の自主管理あるいは公企業の企業責任というもめを期待しておるのです。そういう意味では第三条は目的に対する手段であるというふうに考えております。  第二は、先ほど申しましたように、国の事業ですけれども、むしろ国の事業だからこそいわゆる不採算的な部門を含めて総合原価主義に立たなければならないということであります。  第三の建設費その他のことでございますけれども、こういうことはいわゆる補てん主義というふうに考えるわけですけれども、補てん主義である限りは、少なくともゴーイングコンサーンとしての経営という立場からしますと、これはきわめて一時的なものであるというふうに考えております。  それから最後に、郵便事業だけがこういう状態を起こしておる、これをどう考えるかという御質問でございますが、まさに郵便そのものは、先ほど来出ておりますように、労働集約的と申しますか、そういう性格を顕著に持っておる。その特性こそが今回のこういう赤字の問題を起こしてきておる。したがって、これはすべて経営内部の問題として考えていかなければたらないというふうに思います。つまり、制度の問題ではなくて、経営の総合原価主義の立場に立って、これを解決していがなければたらないということであります。
  398. 柴田悦子

    ○柴田悦子君 ただいまの御質問の第一点でありますが、インフレ政策とそれから料金値上げとの結びつき方の問題であります。これは戦前、米相場が中心になって物価体系が組まれたというのに匹敵するくらい、近年は公共料金中心に置かれながら物価体系へ大きな影響を及ぼす、これはいろいろな人が言っているわけです。今日のインフレ政策といいますもとは、必ずしも国内的な要素だけで起こっているのではたいことは承知いたしておりまして、特に、国際通貨危機と石油問題の影響を大きく受けて、それぞれの国で、わが国だけではおいですが、西ドイツあたりでも非常に強くとられているスタグフレーションの政策の影響として、財政インフレの形で、つまり公共投資の部分を増加させていきながら、そしてそれが財政事情を悪化して、そして日銀券の増発に結びついてインフレをさらに再生産していくというようお形態で悪循環が起こっております。こうなれば、どうしても公共料金部分を抑えていくということ、郵便料金が低廉であるということ、だから少しくらい上げてもいいではおいかということではなくて、公共料金体系自体を上げるということが、他の物価への波及効果というのを著しく増大させるということでありまして、これは私の知っている限りで、余りいい例ではないかと思いますが、この前小麦粉の価格を値上げをするというときに、それが家計に波及していく度合いというのを政府の方で御算定におりまして、たしか一カ月に対する家庭への波及は百円以下という算定をおさったのですけれども、実際上、小麦粉の価格上界が波及する範囲というのは予想を超えまして、ただ、パンとかめんとかいうだけではなくて、ケーキミックスからあらゆるお菓子類にまで波及いたしました。つまり、そういう意味での波及効果というのが、郵便料金の場合には非常に大きいという意味でございます。そういう意味で、インフレ政策というか、インフレーションをさらに増大させていく危険性を持つという公共料金性格から、多少その幅が多いとか少ないとかいうことの問題よりも、より以上に、公共料金をいじるということ自体の重さということで指摘をさせていただきたいと思います。  それから第二点の問題で、総合原価主義なとっているというたてまえから、それが現在の料金と一体どういう結びつきがあるか、あるいは断絶があるかというお話ですが、総合原価主義という言葉が出た以上は、料金ではなくて価格と言っていただきたいのです。原価からいけば当然つけられる商品の価格でありますけれども、現在のいわゆる料金というのは価格との乖離というのが大変大きいわけであります。この料金たるゆえんがそこにあるわけで、総合原価主義を貫徹できないというのがこの料金の特徴でありまして、恐らくこれを貫徹していけば、二十円から五十円にいくようなそんお程度の値上がりではとうてい及ばないということにおるわけです。そこで、総合原価主義を貫いていくということと、現在の郵政事業の持つ公共的性格との間というのは、おのずと矛盾が存在する。これは郵便法自体が第一条と第三条とが大きく矛盾する内容で並べてあるということでもわかるわげで、これは第三条の方が後から修正されたのですから、第一条の理念の方が古くからあるというととです。こういう点から、料金という名前がつく限りは、おのずと負担力というのですか、それが踏まえられているわけで、これは地下鉄料金あるいはその他の電気料金等々の料金決定原理と原価主義との矛盾というので、いろいろな部門でこの問題というのは今日大きく研究課題になってきているわけであります。私自身は、価格と言えない理由というのが、たとえ総合という文字をつけましても原価主義を貫徹できかねる、これが郵政部門の特質ではないかと考えております。  そこで、さらに若干つけ加えさせていただければ、この特別会計の三つの部分をそれぞれ分けて独立採算していくということの是非については、余りここでは議論がいままでの範囲ではざれなかったのですけれども、そこの部分についてのある程度の調整と再検討というのを、ぜひ議員の方々にお願いしてみたいというふうに思っております。これは別々でやる意味というのもわかるわけですけれども、しかし、それぞれ分けてしまえば、郵政部門というのは当然独立採算たどはできたい部門なんですから、原価主義を貫いていこうとすればおのずとそこでの問題が出てくるということから、再検討をいただければ大変幸いかと存じます。  最後は、第三種郵便物を受け取る側からばかりの文句を申し上げましたが、この第三種郵便物を発信する側の中に、ローカル紙あるいは文化誌などがあるのではないかという御指摘がございました。これは私の友人で、神戸外大の人が中心になって、ある同人誌を出しております。これは戦後ずいぶん長く続きまして、部数が徐々にふえてきて、同好の士だけが集まってやっている雑誌でありますが、恐らくこういう同人誌などが、遠隔地に住んでいる人たちに発信する場合の負担というのはかたり多額に上るでしょうし、そのために同人誌の発行要用というのがかさんでいくということも想像にかたくないことでありまして、恐らくこういうような種類の雑誌、あるいは同好の仲間が集まりたがらやっている俳句とか和歌とか、そういうものをひっくるめれば、かなりこれの負担増を受ける階層というのは多いのではないかというふうに、これは余り細かいデータに基づかない発言で申しわけございませんですが、友人の顔を思い浮かべたがら、そういう感想だけを述べさせていただきたいというふうに思っております。
  399. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 田中昭二君。
  400. 田中昭二

    田中(昭)委員 陳述をしていただきました各先生方には、お忙しい中を大変御高見をいただきまして、私も心から感謝申し上げます。  私は、このたびの料金値上げにつきましてはどうも賛成できないような考え方でいまおるわけでございます。そのためにも大変有益な御発言なりお考えを聞きました。諸先生方と違いまして、私は郵政事業には大変素人でございまして、いま先生方の御意見になるたけ重複しないように、ある程度現場的と申しますか、現実的な面から一、二お尋ねしてみたいと思います。  最初に延原会長ざんからお聞かせ願いたいわけでございますが、主婦の立場から端的に御発言いただいたと私は理解しておりまして、最近の異常物価高の中で、このたびの料金値上げは、調べた範囲内においても大した問題ではない。特にまた最後に御意見として、郵政の職場に働く皆さんの待遇向上といいますか、そういうものと、今後この料金値上げが行われて正常に郵便業務が行われ、遅配、欠配などがないように、またストも余りないようにというようなことであるように私はお聞きしました。そういう点、私どもも率直に言うとそういう気持ちもしますが、そういうことでございますと、労働者の待遇改善、また郵政業務の正常な業務運行、いわゆる郵便が届かなかったり、いつ届くかわからないようむ状態の遅配、欠配というものがないならば、このたびの料金値上げはというような条件つきのように私は理解をしましたが、簡単に条件つきと私が理解しているものでいいのかどうか。そういう点と、それからせっかくお調べいただいたのでございますから、お調べいただいた方たちは正常な郵便行政サービスを受げておったのだろうかどうだろうか、そういう点もお調べになっておればお聞かせ願いたい。この二点にしたいと思います。  次に、堀田先生にお尋ねしますが、先ほどから独立採算制という問題が出ております。郵政事業には、御存じのとおり三部門の特別会計がそれぞれありますが、この郵政事業の三部門の特別会計の現状をどのように解釈といいますか認識すればいいのか。と言いますのは、具体的に申し上げますと、独立採算制ということの中に、やはりその独立採算部門の収支というものがはっきりしなければいけないじゃないか。ところが、実際の三部門を預かっております現場の郵便局におきましては、会計学からいいましても、初めの手持ち現金からある期間、会計ですから期間を置きますと、その期間中に流れます収支と、それから残高というものがはっきりしなければ、正確な独立採算制ということを、ただ言葉では言えますけれども、現実的には問題がないか、そういう点にしぼってお聞かせ願いたい。  そこで、先ほどから出ております共通経費といいますか、そういうものも大変な、言葉では述べられますけれども、また理論的にはそういうことが言われますけれども、現実に現場の事情に合わなければどうも理解ができない、私はこういう気持ちでおります。  そこで、先ほど独立採算制は受益者負担が当然であるというようなお話もございました。それは一つは、よりよいサービスを受けるためにも、またもしもそれをやらなければ質が低下するというようなお話があったわけでございますけれども、現実にこの独立採算、前回は四十六年の改正でございますが、そのときに、いま出ております法三条の収支相償のいわゆる原価主義を見るための法律が挿入されたわけでございますけれども、どうもこの収支相償法律が、いま申し上げましたようなことからいきますと、いわゆる種別の料金の決定においても、総合原価主義の中でも、種別のいままでの過去の歴史的な、また理由に合った料金決定がなされておるのかどうか。そういう点の一つでもいいわけでございますが、お聞かせ願いたいということでございます。  そこで、同じく堀田先生にお尋ねしますが、私たちは現在の行政サービスというのは、一定の行政サービスの中に企業採算制だけを入れますと、どうしても受ける側としては冷たいものになって細かい配慮が欠けていくということ、もともと行政はより親切な、より便益を受ける立場の方に立ったものが法律でも要求されて覚る、こういうふうに思うのです。行政というのはその親切さを欠いたならば権力になります。権力の一方的な押しつけになります。わが国が戦後民主主義になったといいますけれども、官僚機構だけは明治以来続いておりまして、そういう面ではこういう料金改定等においていつもしわ寄せになるのは国民大衆、庶民といいますか、そういう人たちが多いということも考え、また官僚機構のいい面もあるかもしれませんけれども、どうしてもそういうふうな法律、それから権力というもので一般大衆というものがしわ寄せを受ける、それを直していくことが私は現在の問題ではなかろうか。そういうことで最初に延原会長さんにお尋ねした中にも、そういう意味での、前回値上げのときに、先ほど古川委員からちょっと質問が出ましたが、これは大事な問題である、いわゆる総合原価主義、そういうものから見ました場合でも、そういう点をよく踏まえて、そして国民が、大衆がより良好な状態でそれを受け入れる。そうでないとこういう料金改定が政治不信にまでつながるというようむことを私は恐れるわけであります。そういう意味で、ひとつ簡単で結構でございますからお答え願いたいと思います。
  401. 延原操

    ○延原操君 いま先生のお言葉でございますが、条件つきで上げるのか、こういうお言葉でございますが、ちょっと違うわけでございます。私は、働いてくれる人が安心して働けるようにしてほしい、これにはやはり賃金が絡んでまいります。それを先に申し上げまして、そのつけ加えといたしまして条件をおつけしたわけでございます。どちらが先になってもいいのですけれども、ちょっとその辺が違うわけでございます。私が婦人会の二十名余りの人の統計をとりましたら、やはり皆、同じ意見でございます。そういったことで、皆さん安心して働けるようにしてあげてほしい。それにはやはり若い方ばかりでございますので、日当が安いから早う行ってきて、またアルバイトに行かなければむらぬ。そんな人はないと思うのですけれども、そういうことではいかぬから安心して働けるようにしてあげてほしい。それには切手ぐらいは家庭では余りだくさん使わないのだから上げてもらって、やはり使う者が負担したらどうか。こういうことでございますので、皆、私たちは同じ意見でございます。
  402. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 まず、第一点についてお答えをいたします。  特別会計がほかにもある、これとの関係についてどう考えるかという御質問でありますが、郵便のいわゆるサービスというものと、それから後の会計の行います事業目的ないしは事業性格といったものは全く相入れないものであります。一つは、一般の役務というものを需要に応じて供給するという性質を持つのに対して、他方のものはこれは預金者なりあるいは加入者なりといったような受益者が参加をしておるということであります。したがいまして、本来的にこれは相入れないものだというふうに思います。ただ、では会計的に一体これがうまくいくのかどうかという第二の問題が生ずるという御質問でございますが、私はむしろうまくいかないから、したがって、これを一つにしてしまった方が計算をしやすいというような考え方に持っていくのではなくて、より緻密な、精密な共通経費の算出その他の努力こそが必要ではないかというふうに考えます。  第二点でございますが、これは先ほどから出ております問題だと思いますが、政策料金といった場合にいろいうの使い方をなさいますが、要するに現在までとっております政策料金というのは、総合原価というものに対して総収入というものは見合りたものにする、しかしながら国の事業でありますから、どうしても原価に見合ったものをすべて収入に乗せて取ることができないものがあるから、これを放棄してしまって国民に対するサービス提供義務というものを怠るということがあってはならないので、負担できるところに負担させるというような考え方であるわけです。したがいまして、料金の決定というものもその範囲内において行われている。それが独立採算制あるいは収支適合の原則だというふうに考えております。  第三点の御質問ですけれども、三年後には、たとえば八千億程度の赤字が出るということが事実であるとするならば、あるいは十分に予想されるものであるとするならば、むしろこれは私自身専門ではございませんが、財政に関する問題ということの方がより重要な問題になってくるのではないか。その財政の問題というものを考慮することによって、今回のこの八千億をできるだけ早く回復しようという一つの政策立案というものは、決してこれが官僚機構の独善なり、権力志向のあらわれだというふうには思いません。
  403. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 久保等君。
  404. 久保等

    久保(等)委員 先ほど来いろいろと貴重な御意見をお聞かせいただいてまことにありがとう存じます。私は簡単にお尋ねをいたし、また簡単にお答え願いたいと思います。  たびたび堀田さんにお尋ねをいたして、先ほどからいろいろ御意見をお伺いいたしておるのですが、くどいようですが多少一般論的な立場からお尋ねしたいと思うのです。  郵政事業は御承知のように大変公共性め高い事業だと思うのですが、同時に、日本にもいろいろ公共事業もございますが、郵便事業ほど全国統一的なといいますか、一元的といいますか、もちろん郵便法の建前からいっても、独占事業として政府が行うということになっておりますから当然ではありますが、しかし本質的にそういう性格をまた持っておると思うのです。公共性は非常に高い。しかし、独立採算制でやっていくべきなんだというところには、やはり何か理論的に言っても少し無理があるのではないかという感じがするのです。要するに、そういう非常に公共性が高い。しかし、一面においては、きわめて機械化なり合理化する点ではなじまない面が強い。技術革新とかいってみたところで、機械化も最近されて、郵政当局の方でもいろいろ努力をしてはおるわけですが、その幅たるや非常に限られておるわけです。そういったような本質から言って、公共性が非常に高いが、しかし独立採算制であくまでもやっていくのだということになりますと、やはり非常に無理があると私は思うのです。したがって、多少郵政事業の枠をはみ出た一般論からでも結構なんですけれども、いかに公共性が高くても、どんなに公共性が高くても、あくまでも独立採算制というものは守っていくべきなんだというお考えなのか。私ども実はこの改正案に対しては反対なんですが、先ほど来いるいろ具体的な例等が言われておりますように、他の一般の公共事業でありますならば、一般会計からのこれに対する資金的な面をめんどう見ていくというようなことも現実になされておる事業もあるわけなんですが、とにかくあくまでもびた一文といえども一般会計からのそういった援助と申しますか、言葉はちょっと不的確ですけれども、財政的な協力をする必要はないのだという考え方なのかどうなのか。そこのところをできるだけ簡単にひとつお答えいただきたいと思うのです。  それからまた、経営形態の問題について、これは四人の方々からお伺いしたいと思うのですが、現在は国営事業なんですが、この経営形態の問題について果たして検討する必要があるのかないのかですね。時間が余りないようですから、もちろん余りいろいろ具体的なことで長々と御答弁要りませんが、現状の国営状態でいいのかどうなのか、たとえば公社等の経営形態ということが考えられるのかどうかというようなことについて、結論的な御意見だけで結構なんですが、四人の方々からお伺いをいたしたいと思います。  それから最後に、現在のこの改正案が出ておりますが、この改正案によってもなおかつ実は財政的に問題がすべて解決をしたということにはなっておらないわけです。御承知のように。したがってまた、何らかの形で、独立採算制という立場から考えるとすればするほど、なおさらまた第二の郵便料金値上げという問題が考えられるわけです。したがって、そういう形で根本的な検討を加えない限り、結局他動的なといいますか、インフレ問題、物価問題、こういったものが続く限り、今後ともなおこういった問題について相変わらず料金値上げという問題が考えられるわけなんですが、私は、したがって、一体この経営の問題について、現状を踏まえて、たとえば先ほどちょっと延原さんの方から御注文もありましたが、ぜひひとつこういった面については改善をしてもらいたい、また、あり方として現在の状況についてはこうあってもらいたいといったような御要望事項があれば、これまた簡単にそれぞれお伺いいたしたいと思います。先ほどこの問題については延原さんの方からはちょっとお話がございましたので、ほかになければ延原さんは結構ですが、お三方にお願いをいたしたいと思います。  以上でもって終わります。
  405. 堀田和宏

    ○堀田和宏君 お答えいたします。  第一点でございますけれども独立採算制はなるほどわかるけれども、これはそのままずっといって何かやはり無理があるように思うけれども、この点についてどうかという御質問だと思います。もともと公共性の非常に高いもので、しかも国が独占的に運営しますから、その独占的な事業そのものを能率的に運営するために独立採算制というものが存在している。したがいまして、この独立採算制というものをやはり基底にして事業は運営されなければならないと思います。ただ、一般論として申し上げますけれども、いわゆる投資部分というもの、つまりたとえば新しく設備投資をいたしますような場合め投資部分というものと、それから今日問題になっておりますような経営のいわゆる経常経費との区別というものはやはりしていく傾向にあるというふうに私は思います。しかしながら、今回のことにつきましては私はそれをとらないのは、先ほど兼言っておりますように、いわゆる経常経典の問題であるというふうに考えておりますから、その問題については触れておらないわけです。  第二の点でございますが、経営形態の問題でございます。御承知のように、公社化の問題といったようなことがいろいろ言われておりますが、結論から申しますと、公社化をするかあるいは、言葉はわれわれの言葉でございますが、独立的官庁企業形態といったものとどちらをとるかというような問題として、つまり制度の問題と申しますか形の問題としてこれをとるべきではないと思います。したがいまして、むしろ、公社的傾向にするかどうかといったことすらここでは私はお答えすることはできません。といいますのは、一つは財政的な関係の問題と、それからそれに対するコントロールの問題という二つの問題がございまして、財政についてコントロールしないかわりに、たとえばほかのところについてコントロールするといったような関係がありまして、その結果、これが実質的に独立的官庁企業形態と言うべきなのかあるいは公社と言うべきなのかというふうに分かれてまいりますので、ここではお答えすることはできないということでありますが、私の感想を述べますと、公社化を推進することによってこの種の問題が解決するというふうには考えられないと思います。  第三の問題ですけれども、最初に申しましたように、やはり独立採算というものをたとえば一たん崩しますと、一九二〇年代の企業形態に戻るとぼくは思いますが、具体的な方策として、政策的な、いわゆる物価問題とかといったものに対して余りにそういう立場からコントロールが働きますと、大幅な値上げをする、それこそ非常に大きな悪い影響を及ぼすという立場から、私はやはり微調整料金値上げといったことを具体的に施策していただくということの方が望ましいと考えております。
  406. 神谷守利

    ○神谷守利君 二つの御質問があったと思います。  一つの問題でありますが、私も経営形態云々の問題で現在のこういった抱えている諸矛盾というものを解決できるとは考えられません。と申しますのは、国営であろうと公社形態であろうと現在のような形態であろうと、いわば国家の基本姿勢の問題がその中に数多く含まれておりまして、現在の郵政事業にいたしましてもあるいは電信電話公社の問題にいたしましても、最近はかなりメンテナンス化が進んでいると申しますか、いわば営業主導型――公共奉仕型からいわば利益追求型というところにかなり移行しているのが実態ではないかと考えられます。どちらもいわば郵便とか電信という形で非採算部門を抱えているわけでありますが、そういった部分を切り捨てていこう、あるいはとうしても切り捨てられない部分については価格に転嫁をしていくという手法によって解決をしていこうという基本姿勢が見受けられますので、こういった国家の基本姿勢の問題にかかわる問題でありまして、経営形態がどういう形になればこういった問題が解決をするかということとは現在の問題としては無関係ではないかという感じがいたします。  それから全般的な要請の問題でありますが、現在の経営努力というものは、いわばその内部の特別会計の矛盾そのものの改善という方向に向いておらずに、下請化の問題、たとえば集配の問題にいたしましても運送の問題にいたしましても、国民の公共的なサービスを預かる、そのためには信書の秘密を厳守しなければならない、といった公共的なサービスが維持できないような形での下請化というものが一方では進んでおるわけでありまして、必ずしも経営努力が公共サービスを維持するという方向に行っているとは考えられないわけであります。そういう意味で今日の抱えている矛盾をどういう方向で解決すべき経営努力の方向があるのかというところが問題ではないかというぐあいに考えます。
  407. 柴田悦子

    ○柴田悦子君 公社化構想というのがあらゆる産業部門に広がっておりまして、特に半官半民企業、混合企業というような企業形態も最近はふえてきておりますのですけれども、今日郵政でとられております国有、国営という方針が公社化よりもすぐれているかどうかというそういう判断というのはかなりむずかしい判断かと思います。しかし、将来にわたりまして公社化でもって今日の郵政の抱えている悩みというのが解決できるかというと、決してそうではなくて、むしろ、さっきほかの陳述人が言われましたように、今日の政府の姿勢そのものを踏まえた上での国有化なので、その政府の姿勢自体を問題にした上で、国有化をより民主的な方向で発展させるということができるならばかえって有効ではだかろうか。ということになると、国有化の中身そのものが問題なのであって、公社か国有かというそういう対立関係ではなくて、国有化した現在の国営企業のその中身がこれでいいかどうか、ということで問われていかなければならないのではないかというふうに思っております。  そういう点で経営面での改善努力という具体的な施策にわたるわけでありますけれども、これも枝葉末節、細かいところで一つ一つ調整していくということももちろん大切かと思いますけれども、今日の郵政サービスの非常に大きな質的低下をもたらしている原因というのは、ただ単にそこで働いている労働者の姿勢の問題であるとか、あるいはその他の経営の粗雑さというような問題に限ることではなくて、これも大変大きな問題と関連がありまして、片方では過疎地域が続出していって、そして過疎地域への集配、それから配達の業務というのは困難をきわめる。おのずとサービスを低下させるということに結びつき、片や大都市を中心とした過密現象が起こる。そこでは交通ラッシュあるいは交通難の影響を受けて定期配達が不可能になるというようなことからくるわけで、この経営も郵政部門内部だけで解決できる範囲というのはそこでも限界性にぶつかるものであって、大きく都市政策なり、それから現在の産業立地なりと関連があるわけです。そういうふうに現在そこの部分だけを幾ら解決しようとしても、幾らまた善意で施策がされようとしても、問題に突き当たってしまうというのがいまの経済状態ではなかろうか。そこに経済政策を非常に多面化していただくという必要性があるのであって、そういう点ではひとり郵政だけの御努力では賄い切れない巨大なものがあるということです。そうなると、全体としての経済政策をどう向けていくかということと関連するかと思います。  簡単ながら意見を述べさせていただきました。
  408. 延原操

    ○延原操君 私、国営でいいかどうかということにつきまして一言申し上げますが、私はいままでのようでいいと思うのでございます。国営でなしになりますと、もっともっとややこしい問題がたくさん重なってまいりまして、もっと高くなると思います。私はこのままで結構でございます。  一言申し上げます。
  409. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 これにて質疑は終わりました。     ―――――――――――――
  410. 地崎宇三郎

    ○地崎座長 以上で、すべての議事を終了いたしますが、派遣委員団を代表いたしまして一言お礼を申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、貴重なる御意見をお述べいただき、本案審査に資するところきわめて大毒るものがありました。厚くお礼を申し上げます。  また、この会議開催のために格段の御協力をいただきました地元関係団体の方々に対しましても深甚の謝意を表する次第でございます。  これにて閉会いたします。    午後三時四十五分閉会