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1975-04-24 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月二十四日(木曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    廣瀬 正雄君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       久保  等君    平田 藤吉君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 四月二十三日  簡易郵便局法等改正に関する請願(河野洋平  君紹介)(第二五八二号)  同(染谷誠紹介)(第二五八三号)  同外三件(二階堂進紹介)(第二五八四号)  同外二件(藤井勝志紹介)(第二五八五号)  同外七件(塩崎潤紹介)(第二六六四号)  同(正示啓次郎紹介)(第二六六五号)  同外一件(園田直紹介)(第二六六六号)  同外一件(坪川信三紹介)(第二六六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平田藤吉君。
  3. 平田藤吉

    平田委員 お伺いしますが、四十九年度料金値上げを見合わせられたわけですけれども、その理由について大臣、ひとつお聞かせいただきたい。
  4. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  御承知のように郵政審議会答申をいただきましたが、当時の――当時と申しますか、政府インフレ抑制のためにどうしてもこの際値上げを見合わせようというようなことで、見合わせた次第であります。
  5. 平田藤吉

    平田委員 ことしはどうなんですか。やはり依然としてインフレは続いているわけだけれども物価影響を与えないというふうにお考えなんですか、どうなんです。その点ひとつお聞かせいただきたい。
  6. 村上勇

    村上国務大臣 物価に全然影響がないということは言い得ないと思いますけれども、大体この程度値上げであれば、各家庭の生活にもまたインフレにも大した影響はないというように考えて、ことしお願いしている次第でありますが、実は御承知のように郵便事業はほとんど人手を要するものでありますので、運営経費の約九〇%が人件費になっております。去年からの人件費の増額によりまして、これでまいりますととても累年の赤字というものが将来取り返しのつかないような大きなものになってまいりましたのでは、幾らがまんしておっても将来のことを考えると、ここらでぜひひとつこの程度値上げをお願いしてということで、今回の値上げに踏み切ったわけでございます。
  7. 平田藤吉

    平田委員 大臣は、依然としてインフレは進んでいるし、それへの影響もあることも考えなければならないけれども郵便会計事情から値上げせざるを得ないんだというふうにおっしゃるわけですか。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 政府がすでに発表いたしておりますように、大体四十九年度年度末には物価を一五%以内におさめる、そして五十年の年度末にはこれを一けたにするというように、インフレを是正していくということが一大方針になっておりますし、今回の御審議いただいておる郵便料金値上げというものも大体織り込んで、そういうようにインフレを抑え得るもの、かように思っております。
  9. 平田藤吉

    平田委員 大体三木内閣は、インフレをずっと抑えてきているというふうに言っているんですね。私もきょう、あなた方のこの資料いただいてきたんです。「物価安定はいまひと息全力をつくします」。いま大臣が言っているようなことが書いてある。ところが、実際の状況を言いますと、三木さんになってからだって引き続いて上がっているわけですよね。一四%に抑えた、一五%に抑えたと言ったって、いままで上がった上にそれだけ上がったということを意味しているわけでしょう。ですから、たとえば都市ガス状態を見ても、十二月から二月にかけて二十九社が三〇%から五〇%値上げしていますし、私鉄にしても十二月から一月にかけて十六社で二〇%から五〇%値上げしていますね。国立大学や高校の入学金も、五十年度から二・五倍から四倍になっていますよ。ビールも三月から四月に朝日、サッポロがさみだれ式値上げをして、大びん一本百六十円から百八十円に、そして五月一日からの酒税値上げに便乗して二百円ビールを目指しているというふうに言っているわけですね。石油化学関係を見ましても、一月にポリエチレンなどが一〇%から一七%値上げしていますし、四月から六月にかげて酢酸ビニールなどが一〇%から一五%の値上げをいま実施しつつあるわけです。四月には日本合成ゴム合成ゴムを一五%値上げしていますし、これに引き続いて各メーカーがこれから値上げをする準備をしているわけです。鋼材にしましても六月までに一トン一万円値上げをしようというのです。電気銅にしたって四月に日本鉱業が一トン一万円値上げをしているのです。自動車だって各メーカーが昨年末から二月にかけて大型、中型トラック値上げしていますし、乗用車の第三次値上げ準備中です。そうしてその上、今度は政府酒税を五月一日から一五%ないし二二%ですかの値上げでしょう。たばこだって、ハイライトが八十円から百二十円、これは五〇%ですが、平均しますと四八%の値上げをしようというわけでしょう。国鉄もまた今年中に値上げしようじゃないかというふうに言っているわけです。それから入学金検定料にしたって来春から五〇%値上げをする。電話がこれも足りませんからというので、五十一年度には三〇%値上げをしましょうということを言い出している。NHKの受信料の問題だって、これは上げたいというふうなことも言い出している。  こんな状況で、経済企画庁の調査でも千五百五十四社が、大企業の七割が四月から一年以内に主力製品値上げを計画しておるわけです。経団連の調査によりますと、大企業のうち六四%が製品価格の上昇を期待していると言っているように、値上げ準備をしているわけです。ですから、五月一日に酒、たばこ値上げして――これは一斉地方選挙が済んでからですよ、済んでから上げようというわけです。これが起動力になって全体に影響を与えている。そうして一定段階まで進行した段階でまた郵便料金値上げでしょう。これはどう見たってさまざまな形で影響を与えていくことば否定できないというふうに思うのです。そういう意味では影響が大したことはないのでございますと言うのは、どう計算されたのか私は知りませんけれども、どう考えてみたって、国民の圧倒的多数はそんなふうには理解しませんよ。これがまた影響するのじゃないかという心配をしているのが現在の国民多数の人々の感じだと思うのです。余り大したことはないのだという考えは私は当たらないと思います。もう一度その意味で、ひとつ国民心配しているその心配との関係大臣の見解をお聞かせいただきたい。
  10. 村上勇

    村上国務大臣 これは財政専門企画庁長官あたりにお伺いする方がよく御了解いただけると思いますが、私は、三木内閣経済閣僚あるいは財政方針というものがこういうふうになっていくのだということを承知しておりますので、その方針にのっとっていま御審議を願っておる法案を提出いたしているようなわけでありまして、私の考えでは、いま先生の御指摘のようなことを全部織り込んで、そして今年の年度末には値上がりというものがまあ一けたでおさまるもの、こう私は思い込んで政府方針にのっとって実はやっておるわけでございますので、私、郵政省だけがでっち上げたり作成したりしている経済方針でないことを御了解いただきたいと思います。
  11. 平田藤吉

    平田委員 まあ大臣はそうおっしゃるのだが、国民心配している状態との関係でやはり考えていただかなければならぬと思うのです。今度は大丈夫だ今度は大丈夫だと言うたって、いつだって大丈夫じゃないのですから、それが実情なんですから。  次に、料金値上げ根拠などについてお聞きしたいのですが、なぜ料金値上げするのか、その根拠についてひとつお聞かせいただきたい。
  12. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり郵便事業は、郵便の取り集めあるいは配達の仕事などが、その大半を人手に依存しなければならない事業でございます。一通のはがきがポストに入れられましてから、これがあて所配達されますまでに平均十回ぐらいの人手を経るというふうなことが言われておりますが、そのようなことで運営経費の九割までが人件費もしくはそれに相当するような経費というふうになっておるわけでございます。そのために、近年増加の一途をたどりましたベースアップ等影響を受けまして、四十九年度はすでに営業収入をもってしては人件費すら賄えないというふうな状況になっておったわけでございます。したがって、先ほどお尋ねがございましたように、また大臣からお答えになりましたように、四十九年度から料金改正を計画いたしたわけでございますが、公共料金抑制政府方針にのっとりまして、四十九年度内にはこれを見送るということに決定されたわけでございます。  そこで、昨年の十二月に再度郵政審議会から手紙五十円、はがき三十円というものを骨子とした、なおまたそれの実施時期を四月一日からという答申をいただいたわけでございます。物価政策上の配慮からはがきを二十円にするということと、実施時期を半年ずらしまして十月にするというふうな、そういう配慮をいたしまして料金改正を行いたいというような考え方のもとに現在郵便法改正を御提案申し上げておるわけでございます。これによりまして窮迫した事業財政の基盤を確立いたしまして、事業の健全な運営を維持していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 平田藤吉

    平田委員 言うまでもなく、いま言われましたように郵便事業というのは、手紙はがき、小包などの場所の移動、これが主たる生産になるわけでありますけれども、それの内容を見ますと、郵便物の取り集め、運送、取りそろえ、選別、押印、区分、運送配達という仕組みになっております。この中でやはり集配運送がその主要な業務になると思います。その業務を進める上では、やはり施設として局舎が必要になってくるというふうに思うのです。そこでお聞きしたいのですけれども支出の中で占める比率を聞かせていただきたいのです。  運送についてですけれども委託または下請年間幾らなのか。四十九年が出なければ四十八年でも結構です。それは全体の支出の何%に当たるかをまずお聞かせいただきたいと思います。四十年度と、四十九年度ないしは四十八年度でも結構です。それで出してください。
  14. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま四十年度計数につきましては手元に持ち合わせておりませんので後ほど提出させていただきたいと思いますが、四十九年度予算の中で集配運送費先生がただいま御指摘になりました集配運送関係委託経費でございますけれども、これは総体として五百六十億でございます。そのほかに賃金等もございますけれども、これは中身がいろいろに分かれておりますので細かく分析しないと明確にはお答えできませんが、集配運送費という費目でとらえました場合は五百六十億でございます。(平田委員「何%」と呼ぶ)全体の経費でございますか。全体の経費は、いまちょっと計算いたしますが、また後ほどお答えいたします。
  15. 平田藤吉

    平田委員 局舎借入代金をいまの要領で四十年と四十九年で出してみてください。
  16. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先ほどの四十九年度比率でございますけれども支出全体が五千五百三十二億、そのうち五百六十億でございますので、一割弱ということになりましょうか。五千五百三十二億中五百六十億が集配運送費でございます。  それから、ただいま御質問のございました借料でございますけれども、これは四十九年度におきましては百一億でございます。ですから二%弱、二%までいきません、一・何%になるかと思います。
  17. 平田藤吉

    平田委員 減価償却費を同じあれで出してみてください。
  18. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま四十九年度計数につきましては調べておりますが、五十年度予算上に出ております数字で申しますと、郵便事業分担分でよろしゅうございますか。――これで見てまいりますと、減価償却費は七十一億でございます。全体の一・一%に当たります。  四十九年度につきましては全体百十億でございますが、郵便分担分は六十六億四千七百万でございます。比率にいたしますと、四十九年度におきましては一・二%に相なっております。
  19. 平田藤吉

    平田委員 人件費をいまの要領で出してみてください。
  20. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 四十九年度補正後の予算でまいりまして、人件費総額が四千八十四億に相なっております。これは科目上の人件費でございまして、いろいろ人件費に類するようなものを省いております。この数字だけで見てまいりますと、その四十九年度補正後の総経費が五千五百三十一億でございますので、その人件費を総経費で割りますと七三・八%ということになります。これは科目上の人件費のみでございます。
  21. 平田藤吉

    平田委員 これ、四十年度数字、至急見てくれませんか。  それで、事業費構成の中で人件費推移がどうなっているかについて、若干の年度、前の年度のものは調べてあるのですが、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年、これをちょっと出してみてくれませんか。人件費が何%か。物件費が何%か。
  22. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生指摘人件費割合でございますが、四十六年度以降について見ますと、四十六年度につきましては、予算計数で申し上げますが、八〇・五%でございます。四十七年度にまいりましてやはり八〇・五%になっております。それから四十八年度になりまして七九・五%、四十九年度で八二・三%、五十年度で八〇%ということになっておりますけれども、これは郵政事業全般人件費予算で見た場合でございまして、郵便事業だけを取り上げてみますと、先ほど申しました計数に見合う数字を抜き出しますと、四十六年度郵便事業における科目上の人件費が七〇・三%でございます。四十七年度におきましては七〇・九%でございます。それから四十八年度で七〇・二%、四十九年度で七四・九%、五十年度では七二・二%、このような推移を見ておりまして、ほぼ毎年その構成は変わっておりません。
  23. 平田藤吉

    平田委員 物件費の方の比率を出してみてください。
  24. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま全体の経費から人件費を抜き出したわけでございますが、残りが人件費と私どもは理解いたしております。
  25. 平田藤吉

    平田委員 いま郵政全般人件費比率を出してもらったのですが、少しさかのぼってみますと、昭和三十年が七六・七%だったのですが、三十五年が八四・九、三十六年が八四・七、そして三十七年が七九・七、三十八年が八〇・三、三十九年が八一・五、四十年が八一・八、四十一年が八〇・六、四十二年が八〇・三、四十三年が八〇・五、四十四年が八〇・七、四十五年が八一・六、四十六年が八〇・五、四十七年が八〇・五、四十八年が七九・五、四十九年が八二・三、事業費全体の中で占める比率はかくのごときなんですね。もともと郵便事業というものは人件費が当然主力をなしているのですから、これをとりわけ何かどでかいことでも起こったように国民に思い込ませるような物の言い方をなさるのがおかしいのだ。構成で見たら、あなた、こういう構成なんだから。四十九年がちょっと高くなっていますよ。それでも三十五年、三十六年の水準よりは低いですね。これが実態ですよ。だから、あなた方の言われる人件費ベースアップでもってえらく高くなったような物の言い方は当たらないと思うのですよ。そして、こうやってずっと見てまいりますと、業務費に占める人件費比率の高さ、それ自体郵便事業経営採算の悪化を規定するものじゃないというふうに考えるのですね。ここのところをどう説明なさいますか。
  26. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 確かに先生指摘のように人件費構成割合そのものは、過去通観いたしましてそのようなコンスタントな割合になっておるというふうに私ども考えております。ただ、郵政事業全体がそのように非常に人件費割合の高い企業であるというところに問題があろうかと思っております。ベースアップ率が高いとそのまま総額としても非常に大きな額になりますので、構成比が、全体の経費の中で人件費の占める割合が高いだけに、企業に対する負担は大変大きくなる。そういう意味郵政事業採算上問題が生じているということでありまして、人件費割合が高いことそのこと自体経営上大変問題が大きいというふうに私どもは申し上げている次第でございます。
  27. 平田藤吉

    平田委員 だって、それは昔もいまも変わりないのでしょう。むしろいまの方が合理化を進めてきていますからね。基本的にはやはり変わりないのですよ。自動車がバイクになったなどの変化はあるでしょうけれども。基本的には変わりないと思うのですよ。だからそのことだけでもって問題を論じていくわけにはまいらぬと思うのですよ。  事業費に占める建設費割合は一体どうなんだろうか、この点もちょっと見てみたいと思うのですよ。事業費に占める建設費割合、これの五十年度予算数字をちょっと出してみてください。
  28. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答えいたします前に、先ほどのお答えをちょっと補足しておきたいと思いますが、人件費のそういうコンスタントな割合、その人件費が伸びる状態割合郵便収入の方はそれほど伸びがないというところに経営上の苦しみがあるわけでございまして、そのために毎年大変苦しい経営をしておる、こういう実態は御認識願いたいと思います。  それから局舎建設の全体における割合でございますけれども郵便局舎は本年度は全体で四百十九億七千九百万円ということになっております。これは郵便貯金保険も合わせまして建設経費総額でございますが、そのうちで郵便事業関係郵便局舎経費は二百六十七億、約二百七十億円程度でございます。
  29. 平田藤吉

    平田委員 比率は。
  30. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵便経常施設総額が六千百二十九億でございますので、そのうち約五%ぐらいに当たります。
  31. 平田藤吉

    平田委員 これをずっとさかのぼって見ますと、三十年が三十四億、二・八一%、三十五年が四十五億、三・一%、四十年が百十億、三・九六%、ここでぐんと上がっていますね。四十五年が二百四十二億、四・四二%、そして五十年が二百七十億、五%というふうにずっと累増していっていますね。郵便事業長期計画が始まる四十年から設備投資の急増がこういう形でずっと目立ち始めているわけでしょう。それは減価償却ということで早速郵便料金の方にはね返ってくる仕組みになっているわけだが、この点についてはどうお考えですか。
  32. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生指摘のように減価償却費は当然必要経費を計上しなければなりませんので、その分につきましては経常費負担ということに相なるわけでございます。
  33. 平田藤吉

    平田委員 いま申し上げたように、だんだん建設費が増加していくということ自身が、これは人件費だけではないのですよね、この面からも郵便料金を圧迫してくるわけですからね。そこのところはやはり見ておかないといけないのじゃないかというように思うのですよ。  一方、建設費の財源の方は一体どうなっているかということなのですが、五十年度予算自己資金借入金比率をちょっと出してみてくれませんか。
  34. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま郵便事業剰余金を持ち合わせておりませんので、すべて借入金で賄うということになっております。したがいまして、先ほど先生指摘減価償却費のほかは二百七十億円を簡保資金借り入れによって賄う、こういう形になっております。  それから、先ほどの減価償却費でございますけれども郵政事業における減価償却費全体の額は、他の国鉄電電等と比較いたしましてきわめて少額でございまして、一%程度でございますので、経常負担ということになりますと相当低い負担になっているわけでございます。  繰り返しになりますけれども郵便事業につきましては、手元剰余金を持っておりませんので、過去もそうでございますけれども、すべて長期資金借り入れという形で局舎建設をいたしているわけでございます。
  35. 平田藤吉

    平田委員 郵便事業だけではなく、全体で建設の方の資金比率を出してみてください。
  36. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 総体規模は五百八十八億が五十年度予算における建設規模でございまして、その中で郵便分担分が、先ほど申しました三百七十億の借入金のほか減価償却費でございまして、合わせますと三百四十二億、これは郵便局舎以外のものも分担いたしますのでそういう形になります。それから貯金事業が百四十二億くらいになります。それから保険が百三億ということになります。総体としては建設規模は五百八十八億でございます。
  37. 平田藤吉

    平田委員 自己資金総体でどれくらいになりますか、比率は。
  38. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 比率は、実は貯金保険につきましては、貯金保険事業からそれぞれに必要な建設経費郵政事業特別会計に繰り入れてまいりますので、これはそのまま支出されますので、プラス、マイナスゼロというふうに考えていいかと思いますが、二百七十億が全体の中で占める割合、こういうふうに考えてまいりますと、大体全体の四十数%くらいになろうかと思います。
  39. 平田藤吉

    平田委員 郵便事業の場合、自己資金がないからまるまる借り入れなんですね。しかし、局舎建てるとなれば、それは郵政の方がまるまるであっても、全体としてつくるわけですから、分割してこうだああだと言っておりますけれども、つくるものはつくるわけですからね。そういう意味で見ますと、この面から見ても、自己資金が三十年は七〇・六%だったのですね、三十五年が六二・二%、四十年が四八・一%、四十五年が五一・七%、そして五十年が四二%というふうに自己資金がずっと縮んできているわけですね。必然的に借入金の方が伸びていっているという状況なんですね。これ自身もやはりかなりいろいろな面で問題をはらんでいるんですよ。いま言ったように、全体で自己資金をつぎ込みながらやっておりますけれども、これとてもやはり限界が当然出てくるだろうということを考えざるを得ないわけでしょう。なぜかと言えば、郵政事業財政というのはやはり固定的な部分が多い人件費、これがさっきから言われているように動かせないものとしてあるわけですね。それから物件費の場合でも、たとえば局舎借り入れ下請など、いずれも固定的な費用に属するものが基本をなしているというふうに考えてみますと、このままでいくと行き詰まってくるだろう。自己資金の面、つまり郵便貯金簡易保険の方から回ってくるにしても、それ自身ももうかなりの窮屈さを伴ってくるだろうというふうに考えざるを得ないわけですね。それで、実際には要請されている生産力に対応するために、局舎などの施設はつくっていかなければならない、これは至上命令だ、それから機械化も進めていかなければならないということで、この投資部分というのはふえていかざるを得ないわけなんですけれども、いま言ったような事情から自己資金がずっと比率を低めてくるということで、やはり今後の問題としては困難を当然生み出してくるだろうというふうに考えられるのですね。ここいら辺はどう切り抜けていかれる見通しでおられるのですか。
  40. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵便事業につきましては、これは五十年度予算に限ったことではございませんで、過去長い歴史をたどってみましても、郵便局舎建設する場合は長期の資金借り入れまして、これで局舎建設をしていくというたてまえをとってきておるわけでございますが、今後ともやはりそのような形で必要な局舎建設を継続していく。そういたしましても、結局経営負担になりますのは減価償却、それから借入金の利子、こういうことになりますけれども、五十年度予算でながめてみますと、両方合わせましても約三%未満の経費でございます。したがいまして、この形を今後とも続けていくというやり方が基本のあり方ではないだろうかというふうに考えております。
  41. 平田藤吉

    平田委員 それは実際にはそうはいかないんじゃないですか、あなた方はそう考えているとしても。これは投資額はどんどんふえていくわけですから、減価償却もやはりそれに応じてふえていくわけですから、いま一%や二%だから余り大したことはないというふうに考えられたって、これから先ふえていく度合いに応じて減価償却の方もふえていくわけですから、それは安心できたものじゃないというふうに思うのですよ。  こういう状況でやはり一番問題になるのは、困難さを打開していく方向として、今度出されている値上げだってその一面をなしていると思うのですよ。それから有名な郵政マル生と言われたいわゆる合理化強行、これと値上げの面と両方でもって資金を生み出していくという方向へ行かざるを得ないと思う。あなた方が志向している方向はそういう方向じゃないかというふうに思うのですよ。それ自身がやはり非常に重要なもので、とりわけ今度の郵便料金値上げという方向で困難を打開していこうとされていることは、郵便法の第一条それ自身を踏みにじっていくものになるんじゃないか。いつも繰り返されているわけですけれども郵便法第一条でははっきり言っているわけですからね。「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」というふうに押さえられているわけですね。ところが、あなたの方はいま起こってきている一連のデータをずっと挙げましたけれども、こうした中で困難を打開していく方向を料金値上げという方向で踏み切ってきている。これがいまの一条を踏みにじる結果を生むんだというふうに思うのですが、その点どうお考えですか。
  42. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま郵便法第一条の条文の趣旨に関連しての御質問でございます。この郵便法第一条は、確かに御指摘のとおり「なるべく安い料金で、あまねく、公平に」ということをうたっているわけでございます。しかし、この一条の趣旨といたしますところは、それでは郵便事業という一つの公企業としてやっておるこの事業は、原価といいますか採算を無視してまで安い料金であるべきであるという趣旨ではないというのが従来から私たちの解釈でございまして、これは一つの独立採算という形において事業運営していくために必要な経費はやはり利用者負担という考え方で従来から思っておったわけでございますけれども、ちょうど前回の料金改正の際にそういった点も問題になりまして、御案内のとおり郵便法第三条に「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」という第三条が入れられたわけでございまして、この第三条は、いま申し上げました、事業としての経済性を考えながら独立採算を維持していくだけの料金ということをうたっておるわけでございます。私たちは、まず、第一条の趣旨ももちろんこれは郵便法の基本でございますが、第三条のこのことも十分考えながら料金を決めていかなければならない、そういうことを踏まえまして、このたびの料金改正をお願いいたしておるわけでございます。
  43. 平田藤吉

    平田委員 この問題は後でまた論じますけれども、いずれにしても、第一条は法の目的としてはっきりしているのですね。これを基本に踏まえないで三条を適用していこうとした場合に起こってくるものは、第一条を踏みにじっていくという方向しか起こってこないのですよ、これは相矛盾したものが入っているのですから。第一条の法の目的というものがやはりあくまでも基本ですからね。この基本を私どもは踏みはずしてはならないということを繰り返し強調しているわけですよ。  後でまたこの問題は論ずることにして、この料金の算出方法についてお伺いしたいのですけれども、封書二十円を五十円に、それからはがき十円を二十円に決めた算出方法、どういう方法で決めたのですか。
  44. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねのございましたこのたびの郵便料金改正案の第一種五十円、第二種二十円という決め方の算定の基礎ということでございます。今回御提案申し上げております改正案は、先ほどもお話が出ました、昨年末の郵政審議会から答申をいただきました料金案をもとに設定されたわけでございます。  それで答申料金案についての考え方を申し上げますと、まず第一に、昭和五十年の四月一日からこれを実施するということ、と同時に、四十九年度から五十年、五十一年という三年間の収支の均衡を図るということを目標とするということが一つでございます。第二に、第一種の郵便物につきましては、具体的にその役務の提供に要する費用を考慮いたしながら、同時に利用とか収支に占める割合からいたしまして、これがあくまで郵便事業を支える柱であるという考え方で料金を設定いたしておるわけでございます。それから三番目に、第二種の郵便につきましては、これが今日事業財政の赤字を生んでおる主要な原因となっておるということにかんがみまして、その役務の提供に必要な費用を賄うに足るような適正な料金にしたいということがこの郵政審議会答申に出されました考え方の骨子でございまして、そういう考え方から、手紙は五十円、はがきは三十円というのが答申になったわけでございます。  今回、法案で御提案申し上げておりまするのは、その料金案に対しまして、先ほども申し上げましたように国民生活に与える影響を緩和する配慮を加えるということが答申の中にもうたわれておりまするので、そういう観点から、実施時期を半年間延期するということと、通常はがき料金答申の三十円を二十円に修正するといったようなことで御提案申し上げておるわけでございます。
  45. 平田藤吉

    平田委員 私が聞いているのは、何で二十円の手紙が五十円になるのでしょう、どういう計算方法で出したのですか。
  46. 石井多加三

    石井政府委員 郵便料金の設定の基本的な考え方と申しますか、先ほどお触れになりました郵便法第一条、それから第三条が基本であることは申し上げるまでもないわけでございます。まず、先ほどちょっと申しましたように、一体新しい料金改定案をつくる際に期間をどのくらい見るか、新しい料金がどのぐらいもつかと言いますか、いま私が申し上げましたのは三年と見たわけでございます。そういった予定される期間の三年間なら三年間の収支相償、その間に幾らの経費がかかるか、先ほど来お話が出ておりますように、人件費あるいは物件費等の今後の上がり状況を予測いたしまして、そういったものをまず見ます。それから後は具体的な料金の割り振りになるわけでございます。第一種から第四種まであるわけでございますが、今度御提案申し上げております一種、二種のそういった種類別のコストと申しますか、損益状況を見ますということ、それからまた個別の料金の間の調和というようなこと、あるいはまた歴史的な経緯とかいったようなことも考えながら、いま申し上げました三年間に必要な経費料金に割り振って、一種幾ら、二種幾ら、三種幾らというふうな計算をいたしました。  それで個々の料金考え方につきましては、一種については先ほど申し上げましたように、その役務の提供に要する費用を考えながらも、利用及び収支に占める割合から、これを事業を支える柱とするということでございまして、端的に申し上げますと、コストだけから言いますと多少一種については収益が上がるという形の料金になっております。  それから、第二種につきましては、これが事業財政の赤字の根本原因になっておりますので、これを少なくともその役務の提供に要する費用を賄うに足るだけの料金にはしたいというような形で、三十円という数字考えられたわけでございます。
  47. 平田藤吉

    平田委員 そうすると、五十円というのはあまねく安くじゃなくて、高いですな。そうでしょう、手紙としては高いでしょう。
  48. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第一種だけの収支を見ますと、申し上げましたとおり、これでは若干の益が出てくるという計算になっております。
  49. 平田藤吉

    平田委員 なるべく安くというふうに第一条で決められているのだよね。あなた方が言っている独立採算制の立場から見たって、手紙は高いのでしょう。どうなんです。
  50. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま郵務局長からお答え申し上げましたことの繰り返しになるかと思いますけれども、私ども料金を決定いたします場合にいろいろな要素がございます。先ほど郵務局長が申しました各要素の中で一つの要素は、やはり原価ということにもなろうかと思いますけれども、その一つの要素である原価から見まして、確かに先生の御指摘のように一種定形は相当高いというような感じを抱かれる数字になっております。しかしながら、私ども郵便事業考える場合には、総体で収支相償というたてまえをとる原則にしております。言いかえますならば、総合原価主義と申しますか、総合的に判断をして原価が償うというたてまえをとっておるわけでございまして、たとえば二種の料金をとってみますとこれは著しく低くなっておりまして、二種の料金の赤を補わなければなりませんし、先生承知のように、三種とか四種のようなある意味で政策的な料金ともいうべきものが原価よりも相当安く計算されております。そういったものを補って、全体として相償うというような体系をつくっていかなければなりませんので、一種だけを取り上げますとそのようなことが出てまいりますけれども総体としては収支が相償うという料金体系をつくっていく必要があろうかと考えております。
  51. 平田藤吉

    平田委員 どうもわからないのですよ。あなた方の言っていることがわかったようでわからない。というのは、手紙は高いのでしょうというのですよ。そのとおりでございますという返事が来るだろうと思ったら、どうもわけのわからぬことをあなたは言っている。高いのでしょうと言うのですよ。原価より高いのでしょうと言うのです。
  52. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 一種の原価の収支を見ますと、高くなっております。
  53. 平田藤吉

    平田委員 なるべく安くと言っているのに、何で高くするのですか。しかも、あなた方ががんこに主張している第三条ですか、独立採算制からいったって、高いのだから第三条にも反する。あなた方が主張している第三条にも反するでしょう。そこをどうお答えになるのですか。
  54. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 これも繰り返しになるかもしれませんが、郵便料金を定めます場合には、いろいろな要素があろうかと思います。たとえば何年間収支相償を考えるかとか、あるいは種類別の損益をどう考えるかとか、あるいは公共性をどう考えるかとか、個別料金間の調和をどう考えるかとか、いろいろな要素があろうかと思います。そういった要素を総合的に勘案しながら各種別料金というものはできていくと思います。  いま平田先生が御指摘になりました一種だけを取り上げれば、お説のとおり若干高目に設定されておるわけでございます。しかしながら、私たちがいま計算いたしました原案の料金でまいりましても、御承知のように五十年度予算においては総体として六百一億の赤字が出るという計算になるわけであります。それから五十一年度におきましても同じように若干の赤が出る、こういう形になるわけでございます。したがいまして、一種で黒が出ましても、二種の赤を埋めなければなりませんし、また同時に三種あるいは四種、そういった料金の赤をどうしてもどこかで埋めなければならないわけでございますので、ある部分で黒が出ましても、どこかの赤を埋めるという意味での料金体系をつくらなければならない、そういう次第でございます。
  55. 平田藤吉

    平田委員 わかりませんね。手紙の方が高いのだということだけはわかりました。後はあなた方がいろいろなことを言っているわけで、高いのだということだけはわかった。  そこで、物価経済閣僚会議というのをやったわけですね。そこで、はがきをあなた方は三十円案を出したのを二十円にしたのですが、これはどうやって計算したのですか。
  56. 村上勇

    村上国務大臣 まあ何とか努力して――どうも十円が三倍になるということは、企業努力もしたり、何とかしてひとつおっつけられぬかというようなことで、これは苦し紛れの二十円です。  そこで、いま平田先生も十分御存じで質問されていると思いますが、これは本当に、その五十円というのが高い、えらい良心的にそうでしょうとあなたにつり込まれてか、あなたがそういうふうに持ってこいというような以心伝心、あれしておるように私聞いておるのですが、五十円というのは高くないのですよ、本当は。高いということは、いまの二十円からすれば高いですよ。しかし……(「暴言だよ、大臣」と呼ぶ者あり)まあこんなことを言うとしかられるかも知らぬけれども、明治以来の、そんなことを言うと私えらい昔話をするようですが、まあ明治を言いますと、明治三十年代ははがきが一銭五厘であった。その当時のふろ代は二銭五厘、それからそばのもり、かけ、これは一銭八厘であった。ところが、昭和五十年、現時点でははがきが十円でふろ代が七十五円になっておる。そしておそばは百八十六円というようになっているわけです。だからといって、何もそのまねをしようというのじゃありません。第一条をどこまでも尊重して、あくまでも安い料金をあれしなければいかないが、しかし暴言であれば取り消しますけれども、私は、先生も十分おわかりになってわれわれに注意をしておるのだろうと思いますが、私ども十分それは苦労して、なるだけ第一条を尊重していこうじゃないかということでやりましたけれども、どうしても、もう一年もたたぬうちにまた値上げを要求するようなことになったのでは、これはいたずらに国民を惑わすようなことになるので、とにかくここでひとつ御了承をいただいて何とか切り抜けようじゃないかということであります。でありますから、決してこれは無理な値段じゃない。  それからもう一つ、これはほとんど一般の人たちよりも、それはだれが使っても高いのは困るのですけれども、大体その八割までは各事業主が使っておるので、その事業主にも御負担願うということで、こうしてあれすれば高いのですけれども、しかし決して、実際においては、諸外国と比べましても、安くともそんなに高いものではないということだけは御了承を願いたいと思います。ただしかし、外国と比べて安いとか、明治何年がどうの、そんなようなことによって第一条を傷つけるようなことはいたしません。どこまでも第一条ということを十分尊重して、ただ、たとえば第三条の収支相償の、要するにバランスをとらしていただく、これはかろうじてこれでこういうことが言えるのかもしれませんが、第一条は、第三条があろうと何があろうと、どこまでも郵便事業国民に奉仕することでありますので、必要最小限度のお許しをいただきたい、こういうことでございます。
  57. 平田藤吉

    平田委員 大臣、私が聞いた肝心のことを聞かしてもらえなかった。はがき三十円という案を出したら経済閣僚会議とやらで二十円にした。どんな計算をして三十円が二十円になったのか。えらい大幅に下げたものではないかというように思いますので、どういう計算の方法をされたのだろうかということをお聞きしているのですよ。
  58. 村上勇

    村上国務大臣 これはやはり第一条の、なるべく安い、国民に奉仕するというこの精神を失わないようにということで、三倍とは余りにひどいじゃないかという、そういうことであります。
  59. 平田藤吉

    平田委員 そうしたら、計算はしてないじゃないですか。ながめてみて、三倍は少し高いから二倍にしようという話ですね。それで、三十円にするのを二十円にして、その十円分というのは経済閣僚会議で持つのですか。
  60. 村上勇

    村上国務大臣 経済閣僚会議でそういう負担をしてくれればまことに結構なんですが、そうはいかないと思います。これはやはり大いに創意工夫をいたしまして、何とか第一条の御趣旨を尊重していくような方法はないか。法案審議をしていただきながらも、そういうようなことで何とか償おう、こういうような決意をいたしております。
  61. 平田藤吉

    平田委員 いろいろ言われましたが、それぞれ原価をあらわしているものではない、かかる費用をあらわしているものではないということが言われた。だって、はがきを下げた分は封書で見るわけでしょう。手紙の上へぶつかけちゃったわけでしょう。別に閣僚会議でめんどう見ましょうというんで政府が金を出すわけではないのだから。  そうしますと、これはいずれにしても高くした分は国民にみんなかかるということなんですよ。何か科学的な根拠があるみたいなことをいろいろ言われますけれども、どう聞いてみたってわけがわからない。わけがわからないはずなんですよ。どんぶり勘定で、そして全体で出た赤字を、それを中身を十分に検討されたのか、されないかは知りませんけれども、私から言わせれば大変問題をはらんだ値段の算出の仕方だというふうに思っているわけですよ。だから、さっき言ったように手紙は高いのです。それはそうですよ。はがきを下げてそして手紙で見ようというわけですから、そうならざるを得ないでしょう。  次にお伺いしたいのですが、第三種、四種の料金の割引分、約四百億とされていますな。これは手紙はがき料金で見るわけですが、どういうわけなのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  62. 石井多加三

    石井政府委員 ちょっと、御質問の第三種の割引額というお言葉の意味を私どもなりにとらえてお答えしますので、あるいは食い違っているかもしれませんが……。  ただいま三百九十億という数字を仰せになりましたが、これは第三種の現在の郵便物をそのまま第一種で出された場合――第三種のものの中にはいわゆる定形外、第一種でも特に高い方の定形外に該当する雑誌でございますとか新聞でございますとかそういったようなものをすべて第一種定型外として出された場合、その場合の基本料金の差額をもとに計算した数字でございますので、ちょっと割引額という意味がそういう意味でございましたら、お説のとおり第三種につきましては三百九十億、第四種につきましては十二億でございまして、これらの料金が結局先ほど来御指摘のあるいは第一種でありまするとか、あるいはまだ現在は決めておりませんけれども、別途省令で値上げを予定いたしておりますいわゆる書留とか速達とかいったようないろいろな郵便の今後決めるものの料金と総合計の中で、先ほど経理局長の言いましたように総合原価主義の中で賄うという形になっているわけでございます。すべてが第一種でこれを賄っておるということではございません。
  63. 平田藤吉

    平田委員 逓信病院の経費ですが、このうち七十億も手紙はがき料金収入から出していることになるわけですが、これはどういうわけですか。
  64. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  逓信病院及び医務機関を運営しておりますが、職員及びその家族の健康を保持するためということで設置させていただいております。郵政事業先生も御承知のとおり非常に多数の職員を抱えて、職員の力によって事業運営しているという性質を持っておりまして、こういう非常に多数の職員を抱えているために疾病についてわれわれとしては非常に関心を払っていかなければいけない。職員の、病気のために欠務する日数も年間非常に多く、それで事業運営の成否というのもこれに非常に左右されるという現状でございます。そこで省としましても疾病の予防あるいは早期回復その他職員の健康管理、そういうものに適切な措置を講じていかなければいけないということで、それに要する経費でございますが、事業運営上非常に大切な経費である、また密接な関係を持っている経費であるというふうに考えておりまして、それで特別会計から支出して運営している、こういうことでございます。
  65. 平田藤吉

    平田委員 通常保険では一点十円を取っているわけですが、逓信病院の場合は一点六円だそうですな。どういうわけですか。
  66. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  一点当たりの単価、現在六円ということは先生おっしゃるとおりでございまして、他の企業の病院と比較して、これより高いところもございます。そういうことも考えまして、昨年十一月に一点五円から一点六円に改正したのでありますが、今後とも同種の職域病院等の実態もよく調査いたしまして妥当な単価を設定するように検討してまいりたいというふうに考えております。
  67. 平田藤吉

    平田委員 全林野の場合は十円だそうですな。それから国鉄の場合八円だそうですね。なかなか逓信病院というのは技術的にも設備の点でもすぐれているといわれているのですよ。いいことだと思うのです。だけれども六円というのは、しかも去年まで五円だったのを一円上げたというお話ですから、何でこういうことになっているのだろうかなという――しかも赤字だ赤字だという郵便から見る分がそこへ入るわけですから、どういうことなんだろうという点で大変私も疑問に思っているわけですよ。本来から言えば、これは別途方法を考えなければならぬ。点数それ自体は一点十円もらうとして、それによって生ずるもろもろのものがあればそれはそっちの方で検討すべきものでしょう。つくられている医療制度、政府自身が決めているものを政府の機関内部から壊していくようなやり方というのは正しくないのじゃないかと思うのですが、その点どうお考えですか。
  68. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいま一点当たり六円というお話を申し上げましたが、利用する職員の負担になる料金でございますが、薬剤費とかそういうものの計算の仕方が若干他の公社等の病院と違っておりまして、料金の立て方というのは部分だけでは比較できないようになっておりますので、総体的に見ると必ずしも逓信病院そう安くはない。そう言うと語弊がありますが、そう他の病院に比べて均衡を失しているというふうには考えておりません。しかし、なおよく実態等は調べさせていただいてよく検討をしてはまいりたいと存じます。
  69. 平田藤吉

    平田委員 それはごまかしでしょう。一点六円というのです。それば薬の計算の仕方がどうだとかこうだとか言ったって一点六円は一点六円だ。そうすると、薬がよその薬よりも大変薄めてございますという意味に聞えるのだがね。どうも話になりませんな。逓信病院というのは非常に評判のいい病院なんですよ。その点では私は評価しなければならぬと思うのです。ただ郵便が赤字でございます。赤字でございますと言うておいて、そこからごそっとつぎ込んでいくというのを一点十円なら一点十円いただいて、さてそのことによって職員の負担が重くなるとかなんとかいう問題についてはまた別途考えたらいいじゃないかというふうに申し上げているので、どうもあなたの言うことがよくわからぬ。
  70. 神山文男

    ○神山政府委員 少しまた説明させていただきますと、この薬剤料でございますが、電電、国鉄は薬剤料の八割とか七割とかそういう計算の仕方をしているようでございますが、郵政の場合は十割の計算でいっている、というふうに必ずしも単価そのままで比較はできないと存じます。しかし、若干先生のおっしゃるようによそよりは一点当たり低いわけでございますから、それだけ低料になっているということはそのとおりでございますが、しかし、先ほど申し上げましたように郵政事業、非常に多数の職員を抱えておりまして、この職員の病気を減らしていくということがやはり非常に大切であるという観点から従来そういう考慮を払ったものにしているというふうに考えております。
  71. 平田藤吉

    平田委員 どうもわかりません。わかりませんが、何とかこの場をごまかして逃れようとしているんじゃないかと思うのですが、だとすれば、あなたの言い分だと、薬代を、差額をいただいているのでございますと、これも問題ですな。一点単価を安くしたかわりに薬代は別途いただいておりますということになるでしょう。さもなければ、薬を薄めていますから安くなっているのでございますということになるのかどっちかだ。だから、そういうわからないことを言っていちゃだめですよ。  それから研修機関費、つまり養成施設費というのが出されております。四十七億円。これも手紙はがきで見ているわけですね。これはなぜですか。
  72. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいま医務機関について申し上げたと同様の理由でございますが、この多数の職員に事業知識あるいは技能等の訓練を施しまして能率を上げていただくということは、事業運営上非常に重大なことでございまして、そういう意味で養成施設費、こういうものを特別会計で負担している。事業そのものではないにしても事業と非常に密接な関係を持っていることでございまして、われわれとしてはそういう訓練をすることは当然の責務であるというふうに考えて、経費は特別会計で出させていただいているということでございます。
  73. 平田藤吉

    平田委員 こういうものも、これはこれで考えなければならぬものです。いまおっしゃったような理由じゃ私もわかりません。  管理部門の人件費一千億円、これもでかいですね。これもでかいですよ。これも手紙はがき料金から出しているのですが、何でですか。これは薄めてないだろう。
  74. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 管理部門経費につきましても、ただいま人事局長がお答えいたしました医療、養成、その他の間接費と同じようなものでございまして、こういった経費はやはり事業が円滑に運営されるためにはどうしても必要な経費でございます。たとえば郵便局におきまして郵便貯金保険がそれぞれ円滑な運営を続けていくためには、どうしても管理部門における計画が、あるいは指導その他が円滑でなければ十分にその成果を期待することはできませんので、いわば会社で申しますならば本社経費、こういった経費に当たるかと思いますけれども、この部門におきましては計画、指導、そういったことにつきまして事業の円滑な運営のためにいろいろと毎日の仕事をいたしておるわけでございますので、これに関する経費は当然特別会計の負担であるべきであるというふうに私ども考えております。
  75. 平田藤吉

    平田委員 これだってあなた、管理部門の人件費。管理部門て、何しているのですか。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 たくさんの管理部門を置いていろいろやっているんだろうと思うのだけれども、私はこれも手紙はがきから出してくるというのはわからないですな。  それから次は局舎、ポストなど、これの建設も全部手紙はがき料金で賄っているわけですけれども、何でですか。
  76. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 局舎建設あるいはポストにつきましても同じように事業に欠くべからざる施設でございます。こういった経費は本来全体として利用者負担と申しますか受益者負担と申しますか、それが原則であるべきだと思います。たとえば、現在の郵便の使われております実態をながめてみましても、事業用通信がアンケートによりますと八割を占めるというような、そういう実態から考えましても、でき得る限り経費は利用者が分担するという方が公平の原則にかなうというたてまえから、ポストの経費にいたしましても、これはそういう意味合いで特別会計が負担しこれを料金で賄うという原則の例外ではない、こういうふうに考えております。
  77. 平田藤吉

    平田委員 大臣、今日では郵便局、人が住んでいる所どこでもあるんですね、赤字か黒字かにかかわり合いなく。それは法律の精神にのっとって、末端までずっとつくられているわけですよ。ポストだってそうでしょう。そこへ入るはがきが何枚で手紙が何枚だから置くとか置かないとかいうことにやはりならないのですよ。引き合わなくたって引き合ったって置かなければならないのですよ。今日では御承知のようにバス、過疎地帯のバス、あれにもちゃんと補助金出していますね、国は。それから道路、これだって途中でちょん切れちゃ困るのですから、ちゃんと自動車も通れるように、人も通れるように道路にもちゃんと出ています。一々人が歩くのに金を払ってはいないでしょう。同じなんじゃないですか。人間が生活していく上で欠くことのできないものである。そこから一条の精神が出てきているわけですからね。だからこれはあなた、いま言ったような理屈じゃ、やはりわかりませんよ。郵便事業でみんな見ていくのがあたりまえでございますみたいなことを言われたんじゃわかりません。第一条の精神なんか全くどこかへ飛んでいってしまう。だから、そこいら辺は大臣、どうなんですか。いま言ったようなバスの例を見たって道路の例を見たって港の例を見たって、それはやはりちゃんと補助金も出し、いろいろしてやっているものですよ。そこのところをひとつお聞かせいただきたい。
  78. 村上勇

    村上国務大臣 やはり鉄道における停車場も、そういう意味郵便局も同じように考えられるのじゃないかと思います。私はやはり局舎にしてもポストにしても、郵便関係のあるものは一応この場合特会で解決しなければ、これだけは一般会計でやってもらってというようなわけにはどうもいかないような、これは私の常識ではそういうふうに考えられます。もう少し研究してみなければいけませんけれども、いまの時点で私の頭ではその程度しか浮かび上がりません。
  79. 平田藤吉

    平田委員 大臣、どうも大臣の常識とわれわれの常識とは大分離れている。だからバスだって、過疎地におけるバスで赤字が出るから走らせるのはいやだと言ったら、これは住民が生活できなくなるのだから走らせなければならぬということで国が補助金出しているわけでしょう。道路だってちゃんと人が通らなければならないところへは国が金を出し、県が金を出し、県に対して国が補助し、そして道路をつくっているわけでしょう。人間の生活にとって欠くことのできないものである以上、それと同じなんじゃないかということなんですよ。それがどうも大臣の常識ではわからないとおっしゃる。よほどこれは一般会計から金を出すのがいやだと言うのかね。だって郵政大臣郵政事業が大事だったら、そういう立場からがんばったらどうなんですか、私はそう思う。これはもう当然のことだろうと思ったら、そういうふうに検討いたしますというふうに出るかと思ったら、なかなかどうもむずかしいですなあ。
  80. 村上勇

    村上国務大臣 これはもう道路の場合と違うのです。とにかく郵政事業は特別会計で現在やっておるわけですね。道路はこれはもう別で、一般のだれでも利用していくので、それで金を出して利用するというようなことのない、何もかもその地元の市町村なりあるいは国が助成していくことですから、これはちょっと道路と違うんですね。それをひとつ御理解いただいて、これは先生もやはりずっとお考えになると私と同じようになってくるんじゃないでしょうか、そういうふうに考えます。(「定員がそろってない」と呼び、その他発言する者あり)
  81. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めて。平田君。
  83. 平田藤吉

    平田委員 いまずっと申し上げました一連の経費を除きますと、直接経費を賄う料金ということになれば、いまの料金で十分やっていける、私はそう考える。  たとえば郵政局の支出を見ますと、黒字のところが、東京が六百十二億、関東が二十億、東海が四十九億、近畿が百八十五億、合わせて八百六十六億、赤字のところが、信越が三十五億、北陸が七億五千万、中国が十九億、四国が二十億、九州が五十億、東北が七十七億、北海道が四十一億、沖繩が一億二千万、合わせて二百五十一億。差し引いても約六百億の黒字になるのですな。だから、いま申し上げたような経費をずっと除いていけば、直接いわゆる配達をするのに間に合う、郵便を回していくのに間に合うだけの経費をみようとすれば、現在の料金でいけるということははっきりしている。しかも五条で、郵便事業は独占であるということをいっているわけですね。二条では国営という問題をきちっとうたっているわけです。そして第一条で、法の目的が明確にされているわけです。  こういう点から見て、当然さっき申し上げたような間接的な経費、これらについては、国が責任を負うべきであり、これを国が責任を負ってこそ国営事業といえるのですよ。何も国民に、引き合わないからといってどっと値上げしちゃ賄っていくんだったら、だれだってやれます。政府が責任を負わなくたってやれますよ、こんなものは。そういう意味では私はそうすべきだと思う。ところが、いま言われたような政府の話をずっと聞いていますと、大臣、この郵政事業、とりわけ郵便事業の中で国が負うべき責務というのはどういうことに責務を負っているのか、お聞かせいただきたい。
  84. 村上勇

    村上国務大臣 ともかく郵政事業は、先生承知のように独立会計でありまして、事業そのものは国の事業でありましても特別会計という範疇にあるのでありますし、これを一般会計でどんどんその不足なところを補ってくるならば、それは公平の原則を欠くということであろうと思います。たとえば、もう御承知ですから申し上げる必要はないと思いますが、やはり利用者が、しかもその利用者は八〇%まで事業主である。そういう人たちの負担を軽くするために一般会計で賄うならば、郵便物を利用しない人たちもやはり税金の中から取られていかなければならない。そうしますと、やはり利用者負担の原則というものがこれはここでは大きく物を言うだけでなくて、利用者が負担するということがまず原則でなければならない、私はこう考えますと、やはりこういう場合に一般会計を使うべきでない。先ほど申しましたように、鉄道の停車場、これをもしも一般会計からつくるようなことになれば、これはやはり大変なことで、それとやはり大体似たようなものじゃないか、こう私は思っております。
  85. 平田藤吉

    平田委員 大臣、停車場、停車場とおっしゃるけれども、停車場でいいですけれども、赤字線を国鉄は廃止していますね。最近ずっと幾つか廃止しました。後、交通に困るんですね。で、バスに切りかえます。バスも赤字が出ますね。それへ国が補助を出しているんですよ。停車場に補助を出して残しておいた方がよほど便利なんだ。形がかわっているだけで、やはり停車場に出しているんですよ。出してないというふうに大臣が認識されているのがおかしいんですよ、これは。私鉄だってそうでしょう。国民に欠くべからざるものであれば、それを全員が利用するかしないか、そこまではともかくとして、やはり必要なものはちゃんと国が出しているんだから。だから、停車場出してないなんというような話は成り立ちませんよということですよ。実態はそうなんだ。私がいま聞いているのは、では、全部手紙はがきにおっかぶせて、そして政府の負うべき責務というのは一体何なんですかということを聞いているんですよ。
  86. 村上勇

    村上国務大臣 政府の負うべき責務、それは、とにかく郵便事業の取り扱いは国民にあまねくサービスするということが責務だと思っております。
  87. 平田藤吉

    平田委員 国は経済的には何もサービスしていない。人件費だってそうでしょう。一般会計から見ているのはたった四人でしょう。こんな状態ですよ。大臣とだれかでしょう、四人です。こういう状態なんですな。だから、これは幾ら何でも郵政大臣だったら、郵便事業を大事にして、政府はそう言うけれども、容易じゃないんだろうけれども、ここのところは出してくれという立場に立つのが郵政大臣じゃないですか。もっとも、私は政府の閣僚だというので、全政策に責任を負わなければならぬから、自分のことだけ考えるわけにいかぬと言われるかもしれぬ。しかし、全国の津々浦々まで組織を持っているというのはそんなにたくさんないのですよ。郵便局と学校だけですよ。あとはどれとってみたってこんなにありはしないですよ。そうしてみると、国民の生活にとって欠くべからざるものなんですよ。したがって、政府が責務を負うといったら、国民が出した金でもって、郵便料金でもって全部見ていくから、それが責務だなんて言ったって話は通らない。赤字のところは赤字なりに手だてをするというのが政府の責務だ。それをずっとやってごらんなさい。先ほど例を挙げましたように、これは何も値上げしなくたって、現行料金でだってやっていけるのですよ。だから、政府の責務というのは大臣が言われるようなものなのか。そうしますと、大臣がもしそれに固執されるとしますと、かつて昭和二十二年から二十六年まで、あの時代に国は一般会計から百二十四億円出しているのですよ、国費を。何で出したか御存じですか。
  88. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生指摘のように、終戦直後そのような事態がございました。しかし、ちょうどその時期は戦後のきわめて悪性なインフレの中でございまして、しかも占領下というような特殊な事情でございまして、その間に毎年のように値上げはいたしております。三倍ないし四倍というような非常に大きな値上げをいたしましても、なおかつ採算が合わないというような実態でございまして、そこで特別立法をいたしまして、一般会計から繰り入れるという法律をつくったわけでございますが、これにつきましては、もちろん郵政事業だけではございませんで、ほかの事業も同じような措置をとって、その悪性インフレ下における非常措置としてそのような手だてを講じたというのが事実でございます。
  89. 平田藤吉

    平田委員 悪性インフレのもとでこの困難が出たんでしょう。人件費がかさむ、ベースアップしたものだからと言うけれどもベースアップを労働者が勝手にやったんじゃないんですよ。あなた方も妥当であると認めて、しかも労働者は不満をがまんして、あの程度ベースアップで来ているんですよ。悪性インフレですよ、戦後の一時期に次ぐインフレのひどい時代ですから。その中で起こっている赤字でしょうが。そうしたらあなた、国から出すのも、この時期から比べてみたってあたりまえのことです。ましてや、来年どうなんだということについて、あなた方だって来年度は大丈夫ですという太鼓判を押せないでしょう。今年度よりさらに赤字が累積するあなた方の予算になっているじゃないですか。こういう事態のもとで、これはあなた、国が責務を負うといったら、やっぱりあの戦後の一時期に匹敵するような手だてをしなければならぬ時期ですよ。あの時期は、もちろん国鉄に対しても皆やりましたよね。郵便事業については、いまそうしなければならない時期に来ている。そういう意味で、国の責務として、やっぱりいま申し上げたようなもろもろの問題については国が一般会計から補給金を出すという緊急の策を講ずべきときに来ているんじゃないのか、私はそう考える。大臣、ひとつどうです。
  90. 村上勇

    村上国務大臣 私は、まだその時期じゃないと思う。大体値上げが、それは先生方から考えられると非常に不当だというようにお考えになられますが、私どもから計算してみますと、今日の物価体系から言っても、また国際的に考えてみても、そんなに不当なものではない。やはり、先ほどから申し上げておりますように、公平の原則というものをどこまでも守っていくべきじゃないか。しかし、どうも郵便会計が破産になるような事態になればこれはほうってはおけませんけれども、私は、この状態というものはまだ健全である、かように考えております。それはいろいろと御指摘になればなるところはあるでしょうけれども、まあまあ私としてはこの程度ではまだ破産じゃない、大丈夫やっていける、こう思っております。
  91. 平田藤吉

    平田委員 大臣もなかなかどうもしぶといですな。驚きました。郵便料金を三倍、五倍と値上げをしなければならぬ状況の中で破産状態じゃないとおっしゃる。ことし上げて、また来年の予算はもう見当つかぬというのが現状ですよ、このままでいったら。これでもまだ破産状態じゃないなんて言い張られるのは、大したものだと思うのですよ。三木内閣の性格がここら辺へはっきり出ておるんじゃないかというふうに思うのです。大臣を通じてここへはっきり出ていると思うのです。がんとして、とにかく国民に与える影響については顧みようとしないということがあらわれていると思うのです。  次に質問したい点は、第三種、四種郵便物の割引制度はなぜつくられたのかということについてお伺いします。
  92. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第三種の料金でございますが、これは、沿革的には、新聞、雑誌等の定期刊行物が社会、文化の啓発、向上に貢献しておるということから、郵送を容易にいたしまして、国の社会、文化の発達を助成するという趣旨で設けられたものであり、また、このような趣旨から低料金が設定されておるというふうに理解しています。
  93. 平田藤吉

    平田委員 いま言われたように、郵便法第一条を具体化したもので、今後も維持発展させるべきものだというふうに考えますが、どうですか。
  94. 石井多加三

    石井政府委員 第三種という制度自体の持っておる意味は、先ほど申し上げましたような趣旨でできたものであり、今日までそういった考え方でまいっておるわけでございます。ただ、いま申し上げましたような第三種の中身でございますけれども、この制度ができました当初のわが国の社会経済の環境と申しますか、そういったような情勢と、今日マスコミその他、非常に発展してきておる現在の情勢の中での第三種の持っております意味合いというものは、これはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、私たちはいろいろ変わってきておるというふうにも考えるわけでございまして、制度といたしましては、われわれとしてもこれは維持していかなければならないと思っておりますが、この考え方につきましては、これは料金問題に関連するのでございますが、従来の低料金、御案内のとおり現在、大新聞の朝刊が二十ページで大体百二十グラムというふうに言われておるのでございますが、これを一通大体八円ということでいま郵送いたしております。はがきが大体三グラム、目方だけで比較するのはいかがかと思いますが、一通三グラムでございますが、これを十円。はがきよりも安い料金でお送りしておる。そういうようなことから見まして、コストを調べてみましても、第三種の赤字が、一通当たりの赤字の単価としてば一番大きな赤字を示しておる。せいぜい四、五十円――恐らく原価は四、五十円はかかっておると思いますが、それをいまのような、特に低料の場合は六円ということで一番最低の料金をとっております。そういうようなことでは、八割引きあるいは九割引きというようなことでございまして、これは割引の度合いが少し大き過ぎるのじゃないか。結局、こういったものが先ほどお話の、まさに一種その他の一般の郵便料金にはね返ってくるというふうなことを考えあわせまして、このたびは、と言っても第三種でこれを収支償うようなものを考えるということは考えておりませんけれども、少なくとも直接これにかかった経費ぐらいはいただくべきではないかというようなことが、郵政審議会答申の趣旨でございまして、そういったようなことから、低料につきましては六円のところを三十円、非低料のところは十二円を三十五円というふうな御答申を得ておりますので、この答申を尊重しながら、いろいろな御意見を伺って、三種の料金をどのように決めたらいいか、これから郵便法の第一種、第二種の料金の決定の後で、慎重に決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 平田藤吉

    平田委員 この料金割引の制度が、さっき言われたような趣旨からつくられているわけですから、これを基本に据えていこうとすれば、あなたが言われるように、手紙はがきにはね返らせるべきではないのですよ。そうなると、割引とは言えないもの。政府がやって、そして割り引くと言った以上は、ほかの国民負担にかけるのだというのは、割引というのじゃないのですよ。ほかの国民負担をかけるということは。郵政省が割り引くと言った以上は、やはり国の責任で割り引くというのがあたりまえなのですよ。そういう立場から見ないと、やはりはね返るからという理由が大きなウエートを占めてくるのですよ。そこから問題が起こってくるのです。だからごらんなさい。今回の三種、四種の値上げ案が発表されて以来、反対の声が非常に多いでしょう。聞いていますか。結構だ結構だという声がどんどん出てきていますか。出ていないでしょう。ほとんど反対の声ですよ。それはどのようなものか、お聞かせいただきたい。
  96. 石井多加三

    石井政府委員 第三種、第四種の料金値上げに関連いたしまして、第四種につきましてはこのたびの、まだ最終的に決めておるわけではございませんが、郵政審議会答申に盛られております数字も、たとえば学術刊行物は十五円のところを二十円とか、盲人用点字はもちろん無料でございます。通信教育も従来と余り大きな違いのないような低料に抑えておりますので、第四種は必ずしもそう大きな反対ということは聞いておりません。  第三種につきましては、この料金値上げが定期刊行物等の出版に非常に大きな影響があるということでの反対を聞いておりまして、特にその中でも大きな反対といいますと、いわゆる専門紙、業界紙といったようなものからの反対が特に強いように思います。先ほど私から申し上げました第三種の性格も意義づけも少し変わってきていると申しましたのは、一つには、一般の定期刊行物の配送ということは郵便事業の独占ではございませんし、それぞれの新聞関係あるいは雑誌関係で、書店でございまするとか、いろいろな取り扱い所におきましてこれを配達しておるというふうなことで自分でそういう手段を持っておるところは、余り郵便料金値上げによって、特に三種の値上げによって大きな影響を受けないわけでございますが、いま申し上げましたようなところはほかに手段を持たないということから、そういった強い反対が出ておるというふうに理解いたしております。
  97. 平田藤吉

    平田委員 日本患者同盟の方々の意見ですが、こういうふうに言っているのですね。この団体は郵政省に陳情をしているのですね。この団体は、福祉施設や医療施設、それから在宅の患者さん、これらの間で組織されているものなんです。新聞では、「療養新聞」というのを月三回発行して、全国の会員の方や関係する福祉施設、医療施設に届けているのです。新聞の料金は、会員の方からは月七十円の会費を集めているのです。非常にささやかなものなんですね。会員以外の読者からは月に百二十円いただいている、これは購読料ですがね。新聞の料金が一回の発行で、印刷費、手数料、送料が六円ですか、そういうものを全部含んで、二十六円五十銭ほどかかっているそうです。これが今回値上げされますと、五十円以上の経費がかかるようになる。これは大変困る。そのため、会員以外の月百二十円の購読料を二倍以上に引き上げなければならなくなってしまう。また会員からは月七十円いだだいている会費の値上げを検討しているのだけれども、それをさらに月二十円の値上げをすることも、会員の置かれている現状から見て困難な事態で、大変困っている。こんな状況ですから、なるべく近いところにいる者は新聞を四人で一部回し読みをしているというような人たちなんですね。患者の方々がこの新聞を必要としていますのは、社会保障や国民年金、厚生年金などのささやかな制度の仕組みを知る上で欠かせないものとなっているのですね。なぜなら、日本ではこの種の制度は本人が申請することによって初めて資格が与えられるというふうになっているわけですよ。だから知らない場合は給付されないんですね。そういういろいろな手続の方法や知識を知らせていく上でも、つまり生存していく上で欠くことができないものになっているんだ。また患者の間のお互いの激励もしている。さらに、医者の先生方にもお願いして医療記事を書いてもらって、患者さんの療養に役立てている。そういう意味では、この人々にとってはもう欠くことのできないものになっているのですね。何とかこれは値上げをしないでもらいたいというのが、この人々からの政府に対する陳情であり、私の方へも、これはひとつ考えていただけないかということで話が来ているわけですよ。そういう立場からやはり私は考えていただかなければならないだろうというふうに思うのです。それから日本リーダーズダイジェスト社の請願書、これが出ていますけれども、これでは、今回の第三種郵便物値上げは、社会的不公正の是正が実際にはこのような形で、つまり料金の大幅な値上がりで踏みにじられていきますというふうに指摘していますし、日本自動車連盟の陳情書までが出ていますね。こういうところはいいんじゃないかと思っていたのですが、やはりなかなか大変らしくて、今回の第三種郵便物の大幅値上げは、公益的な啓蒙指導活動を行っている公益法人の機能を全く停止せざるを得ない窮地に陥れる、というふうに指摘しているわけですよ。それから日本専門新聞協会は、第三種郵便料金値上げ反対総決起大会の決議の中で、今回の値上げは、民主主義の観点から見ても重大な暴挙と言わなければならないというふうに指摘しているんですね。こういう利用している当事者として、負担の増大とともに社会的な不公正、民主主義にかかわる問題として受けとめているわけですけれども、こういう声に対してどう考えられるのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  98. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま先生からいろいろ具体的な三種の利用者の中で特にまじめな、また恵まれていない方々の出しておられるそういった刊行物についての問題点をお話しをいただいたわけでございます。現在、第三種の郵便物と申しますると、私たちの方で全国で認可いたしております件数が約一万四千件ばかりあるわけでございまして、確かにその中には、千差万別と申しまするか、玉石混淆と申しまするか、郵便法の中で、これを他の郵便料金負担者の負担の中で特別に救済をするべき必要性の高いものももちろんありまするし、実は必ずしもそうでなくて、私たちが見ましてもそれほどの低料金にする必要がないではないかというようなものもあります。これは私たちもその両方のことを考えなければならないことは申し上げるまでもないわけでございます。ただ、三種全体を通じてこの赤字が、先ほどお話しのありましたような一種その他の一般の利用者の負担になっても差し支えないという国民的な合意の中で認められるものということになりますると、現在の郵便法の第三種を規定しておりまする定義、政治、経済、文化を報道し、論ずるというような抽象的な表現では、実際には本当の意味の法律の趣旨がなかなか生かされないのではないかということも考えられるわけでございますけれども、現実にいま申し上げたようないろんなものが中に入っておりまして、ただいま先生のお話しになりましたものの中には、確かに私たちも非常に気の毒なと思われるような団体の発行する三種もあることはよくわかるわけでございます。ただ、三種全体の料金の決め方ということになりますると、そういったもの全般を見渡しまして、やはり一つの基準的な料金考えなければならないわけでございまして、今度の郵政審議会答申に盛られておりまする数字は、確かに、御指摘のとおり従来から見ますと割り高な料金で倍率も高くなっておりまするけれども、そういったことも総合勘案した案であるというふうに理解しておるわけでございます。  ただ、個々のいま御指摘になりましたものの中にも、そういうものを郵便料金の中で見るのが本当にいいのかどうか、先ほどもちょっとお触れになりました一般会計の問題もございますけれども、中にはあるいはそういう医療、厚生行政の中で別途補助をするというようなものの中で見るべきものもあるのではないか。その辺の境界が実は大変むずかしい問題であろうかと思うのでございまして、郵政省が一般会計から繰り入れをもらう、赤字だから持っていくというのではなくて、そういう今後国の福祉行政がだんだん発展していく中で、こういったものはもっと安くすべきだとかいろいろなものが出ました場合には、そういったものをもう一遍そういう観点から見て、それぞれの行政を所管しておる省庁において一般会計から持っていくという形でこれを穴埋めをする、補助をするというようなことは考えられるのではないかと思うのでございますが、私たちの郵便事業ということになりますると、やはり他の一般の利用者の負担の中で考えるという限界がございます。そういったものを収支差し引いてみまして、その赤字分をすべて一般会計から持っていくということになりますると、非常に議論も粗っぽくなりまするし、保護をすべきでないところへ国民の税金を持っていくということもあるんではないかと思います。いずれにいたしましても三種の決め方は、私たちも非常に慎重にやらなければならぬと思いまするので、いま御指摘の点等は十分考えながら今後決めさしていただきたい、さように考えます。
  99. 平田藤吉

    平田委員 この制度の目的を生かしていくというために低料金あるいは無料扱い等になっているわけですね。いま言われたように、慎重に検討すると言われるから、これはやはり考えておいていただかなければならないと思うんですけれども、そういう意味では二十三条の3の三、それから二十六条に照らしてみて、一体料金の大幅な引き上げがどんな結果をもたらすのか、その点についてどうお考えですか。
  100. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま第三種の問題についての御指摘をいただいておるわけでございますが、確かに第三種につきましては、購読料に郵送料を含めているようなたとえば新聞紙のような場合には、仮に郵便料金が上がりますと発行人がその購読料を改定するというふうな何らかの対応策をとるということは確かに考えられるところでございます。しかし、私たちといたしましては、先ほど申し上げましたような第三種というものの料金は割引度合いが高過ぎる、過度の割引ということになっておるという事情のために、これを適正な料金にするということもまたやむを得ない点があるということも御理解を賜りたいと思うのでございます。仮に第三種が値上げをされました場合に、そういったものの郵便料が家計に及ぼす影響はいかがかという御質問のようでございますが、郵便料の家計に占める割合ということは、総理府の家計調査によりますと、ここ十数年大きく変わっておりませんで、大体〇・一、二%といったような数字でございますしこの場合はもちろん一、二種の料金がその大半でございまして、三種、四種というものは家庭の方は買われる方でございまして、発行される方ではございませんので、ちょっとそういった数字はつかんでおりませんけれども、直接これが家計に及ぼす影響というものはそう大きくはないのではないかと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、たとえば新聞社が料金値上げを理由に購読料を上げるというような場合があるのでございますが、たとえば大新聞等の場合は大多数現在自分の直接配達組織を持っておりまして、それにより得ない非常にやりにくいところだけ郵便におんぶしておるというようなことでございます。たとえば東京都内でわれわれが負担しております新聞代の中には配達料も当然入っておるわけでございまして、値上げの必要な理由のときによく最近配達料が高くなったので値上げをするというようなことを書いております。しかし、それでは田舎の方の郵便で送っておるような場合には、今度郵便料金が値上がりしたからといってすぐそれを全部郵便料金値上げによって購読料を上げるというところまで持っていきますことは、筋から言うとおかしいわけでございまして、その中にも当然都会の配達を自分でやっておる分と匹敵するものがあるわけでございますから、その差だけを利用者に負担してもらうというのが筋であろうかと思うのでございますが、そういったようなことはわれわれの方がどうこう言うべき筋ではございませんけれども、少しこれは利用され過ぎる。そういうことによって確かに一般家計に及ぼす影響が出てくるということはあり得ると思うのでございますが、筋としてはいささかいかがであろうかと思っておるわけでございます。
  101. 平田藤吉

    平田委員 いまのお話で一般紙の問題が主として出されましたけれども、山間部へ郵送して配達人件費がえらいかかるということなんでしょう。郵送している。この場合は、郵送料は大新聞の場合は販売所負担になる。それで、これを今度値上げになって持ち切れないからというので購読者負担にするか、引き続いて販売所負担にするかという問題が出てくる。販売所負担にした場合は、これはとても配達料は追っつかなくなる。それから読者負担にした場合は読者が読めなくなる。山間部の場合は、御承知のように過疎地で、多くの場合、年寄りが多いわけですよ。老人が多いわけですよ。そういう状況から言うとこれは読めなくなる、やめるんだというふうに言っていますね。いずれにしましても大新聞は、それ相応に手だて、方法はあなた方の方で検討すれば、打開策は出るんだろうと思うんですよ。しかし、いま申し上げたような学術関係の新聞とか患者同盟の新聞とか同好会の新聞とかというような部類のものは、配達手段なんかないんですよ。やはり郵便しかないんですよ。それを十把一からげに全部ひっかけてしまうというようなやり方は、やはり正しくないですね。依然として法の精神にのっとった割引制度を堅持すべきであるというように私は思うんですよ。当然そうでなければならないと思うんです。あなたの方も大新聞に物事を限定しないで、多くの困ったと言っている人々の声をやはり聞いていただかなければならない。このところにポイントを置いていただかないと、話が狂ってくるんじゃないか。大新聞とは、それなりにまた相談していただけばいいんじゃないか。そういうことでやはり問題を考えていただきたいと思うんですね。そういう立場から私は、もたらす結果について、決してあなたが言うようなものではない、非常に広範な、国民に重大な影響を与える、私はそう思っております。だから、そこのところをはっきりさせておいていただきたいと思うんですね。
  102. 石井多加三

    石井政府委員 確かにお説のとおり、いろいろ今度の三種の料金の改定が及ぼす影響は、私たちも非常に大きなものがあるというふうに考えまするので、この問題につきましては大臣からもいろいろわれわれも御指示を受けておりまするし、慎重に今後決めさせていただきたいと思います。
  103. 平田藤吉

    平田委員 慎重に検討していただくとして、その検討した肩がわりが手紙はがきにかかっていくようなことは政策割引とは言えないのですよ。政策割引というのは、政府が財政的にも責任を負うことを政策割引と言うんです。そうでなければ、手紙はがきにしょわせて、これで政策割引でございますと言ったってそれは通らない。その点についてここのところではっきりさせておいていただいた方がいいと私は思うのですね。
  104. 石井多加三

    石井政府委員 この問題について、一般会計から三種、四種だけ繰り入れるべきであるという御意見のように承るのでございますけれども、これは従来からの長い歴史的な沿革もございますし、わが国におきましては従来は三種という制度、四種という制度はやはり郵便料金の体系の中で――と言いますことは、先ほどお触れになりました第三条の、総合的な収支をバランスとれる範囲内でそういう政策的な料金考えておる。それを超えてということになりますと、またこれは先ほど大臣の言われましたような税金でそういったものを負担すべきであるかどうかといったことにもなりますし、私たちとしましてはあくまで郵便事業の中で取り組むべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  105. 平田藤吉

    平田委員 大臣、それじゃ最後に。いまずっと論じてきたんだけれども、あなた、郵便の赤字はこの値上げで来年度なくなるのですか。どうなんです。そこのところを聞かせてもらって、なくするのなら結構ですが、なくならないとしたらどうするのかをお聞かせいただきたい。
  106. 村上勇

    村上国務大臣 この法案が成立いたしましても六百億ばかりの赤字にはなります。しかし、それは五十一年度予算編成の際にこれをどうしていくかということについては十分検討して、万遺憾なきを期したい、かように思っております。
  107. 平田藤吉

    平田委員 十分検討してまた手紙はがき値上げいたしますと言うんじゃ話にならないですよ。あなたの最初からずっと一貫している独立採算制ということ、そこにすべてのウエートを置いた物の考え方がやはり障害になっている。第一条の精神に立ち返るべきだということです。そういう立場で検討していただきたいということで、三十五分までという時間が来ました。  それで私のほうは、先ほども申し上げましたように、委員長、質問を残しているわけです。ですから、次の機会にこの問題に関してちゃんと質問できるような機会をつくっていただくことをお願いして、きょうの質問は終わります。      ――――◇―――――
  108. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の郵便法の一部を改正する法律案につきまして、物価問題等に関する特別委員会から連合審査会開会の申し入れがございます。  つきましては、これを受諾して連合審査会を開会することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十一分開議
  110. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田藤吉君。
  111. 平田藤吉

    平田委員 次に質問したいのは、この間の予算第五分科会で東中委員の質問に対して、よくわからない、調べてみますというような問題が幾つも出されているわけです。そこで、私は幾つかの問題についてわからなかった点を、もう大分時間もたちましたからはっきりしていると思いますので、その点について質問したいと思うのです。  問題は、解放研をめぐる問題です。これは、解放研というのは任意の団体であるということは当局も認められているところです。そして、憲法上の結社の自由に基づいてつくられているものであるという点も認めているわけです。したがって、当局が積極的な意味で介入したり、あるいはまた妨害的な意味で介入したりすることは許されないということは申すまでもないわけでございます。ところが、たとえば大阪中郵の場合ですと、ずいぶん広い事務所を貸しているわけですね。一スパンというふうに言われておるようですけれども、三十五平方メートルぐらいの事務所を貸しておられるわけです。この場所は大阪の中央駅をおりたすぐ右側のいわば大阪市の玄関口に当たる場所になっているわけです。ここの二階に解放研が陣取っているわけです。そして狭山差別裁判反対云々というふうに書いたものがつる下がっているわけです。ここにはクーラーが二基備えつけてあるわけです。中郵の中で一つのスパンというのですか、そこに二基もクーラーがついている、こういう豪華な仕組みになっていて、こういうところはほかにはないのですね。中郵の中でもほかにはないわけですよ。こういう状態なんです。このことについて高仲政府委員は、クーラーにつきましては存じません、初めてお伺いした次第でございますという趣旨の話をしておられるのですが、その後調べられたことと思いますので、まずこの点について調べた結果どうであったか、お聞かせ願いたいと思います。
  112. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  クーラーの点につきましては、御指摘のとおり二基ついております。その経緯でございますが、当初解放研の事務室を設けましたのは、屋上の、つまり六階に相当するところにプレハブづくりの仮設のようなものがございました。そこに図書室とか理髪室等、厚生関係施設等があったわけでございますが、その図書室の一部を図書室を使わない日に使用させることから始まったわけでございます。  しかるところ、その後大阪中央郵便局の建物自体の改修工事が起こりまして、局の都合により現在占有しているところに場所を変えさせた次第でございます。当初の六階屋上のプレハブは非常に暑いもので、そこにある各種施設は皆クーラーをつけておったようでございます。もう少し詳しく申し上げますと、当初解放研事務室としては、図書室を図書室の開設しない日に使用させることにしたのでございますが、それでは少し狭いということで、その後会計課の宿直室といいますか、会計課の管財係の寝室の使用していない部分もあわせて使用させる、ところがその部分はクーラーがついておった、今度局の都合により場所を移させるときにそのクーラーを持って下におりてきたということでございます。これがそのうち一台の話でございます。ところが、部屋が変わりまして冷房効率が悪いということで、たまたま局で使用していない在庫の中古のクーラーがあったものを、それもはめ込んでしまった。その結果、御指摘のように窓のところにクーラーが二つつく状態になったわけでございます。なお、大阪中央郵便局の建物の改修工事が済みますと、これは全館冷房になりますので、この問題は自然消滅することになろうかと考えております。  以上がその後調べましたクーラーの件についての結果でございます。
  113. 平田藤吉

    平田委員 いずれにしても特別扱いにされているという点は間違いないわけです。ほかはついていないのにそこだけついているわけですから、あなた方が特別扱いをしてきているという点には間違いがないわけですよ。  次に、中央郵便局の職員が、便所に落書きが書いてあった、差別用語が書いてあったというところから糾弾されて、そして職員が一時間置きに自分の課の関係のある便所のとびらをあけて一つ一つ、書いてあるかないかというのを毎日調べて歩いた、こういう状態ですね。郵政職員として、しかも管理者の正常な国家公務員としての行為というふうに考えられるのかどうか。そのことはよく知らないというふうに村上大臣は答えておられましたが、その後調べられた結果、これはどうだったのですか。いや、大臣お答えなんですよ。大臣がこう言っておられるのですね。「いまここで白い黒いのはっきりしたことを私に言えと言っても、やはりそうなれば責任者を呼んで詳細に一方から聞いた上でそしてお答えする以外にないと思います。どうかひとつ……。」それでその後「郵政局長を呼んで、そうしていろいろ私もよく勉強してみたい、こう思っております。」というふうに答えておられるのですが、その後勉強されてどうだったのかお聞かせ願いたい。
  114. 村上勇

    村上国務大臣 どうもいろいろ話をしてみましたが、一向要領を得ない。私としてはそういうことがあるのじゃないかということを追及いたしましたが、確とした返事がないので、高仲君の方にひとつよく相談してほしい、調べてくれということを頼んでおるようなわけであります。
  115. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  その後、私大阪郵便局長と概括話を聞く機会を得ましたし、また、その後担当参事官を大阪に出張せしめ、また近畿郵政局の担当官を本省に招致するなど目下鋭意調べておるところでございます。
  116. 平田藤吉

    平田委員 鋭意調べている最中だというのではそれ以上のことを申し上げようがないが、えらい時間のかかる話でして、管理職が約一時間置きに便所の戸をあけて調べていかなければならぬというので、まことにこんなばかばかしいことが平然と郵便局の中で行われているなんということは考えられないですよ。至急調べて問題を明らかにして解決していただく必要があるというふうに考えるわけです。  それから次の問題は、解放研の会長あるいは役員というのがいるわけですけれども、たとえば中央郵便局の解放研の会長福原八郎という人、この人は第一集配課の課員、昭和四十六年の夏に中郵に就職した人です。そんなに長い経歴の人じゃないんです。この人は集配課の課員であるけれども配達区域の指定が一切やられてない。ずっと出勤して来ない。職場にあらわれたのは、昨年のいわゆる年末繁忙期のときに一週間ぐらい、制服を着てほっと職場へあらわれて、どこかへ消えていく。それ以来あらわれたことがない。昨年は三カ月間ぐらいは出勤簿に判を押したこともない。ことしになって調べてもらったわけですけれども、ことしの初めから新しい出勤簿になっているのですが、一回も判を押していないという。出勤とも欠勤とも遅刻とも何にも書いてないし、判も押していない。こういう事態がまかり通っているという状態ですね。こういうことについて高仲政府委員の方から「早速調べたいと考えております。」というふうに答えられたが、調べた結果どうだったか。
  117. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の問題につきましては、まことに恐縮でございますが、現在詳しく調査中でございます。過日、東中先生から御指摘のあった出勤簿の問題について申し上げますと、まとめて後から押印するというような実態があったことは事実でございます。しかしながら最近におきましては、毎日確実に出勤簿に押印しておるというふうに聞いております。また集配業務につかない場合があるということも事実でございます。これらにつきましてはなお詳細に実情を調べました上、同和問題の重要性にかんがみまして、慎重に対処していきたいと考えておる次第でございます。
  118. 平田藤吉

    平田委員 そうなりますと、明らかに服務規程に違反しているわけですけれども、これについてどのように処置されたのかお伺いしたい。
  119. 神山文男

    ○神山政府委員 御質問の趣旨が集配業務につかない日があるということについてのことだと思いますが、職員の職務専念義務というのが国家公務員法上ありますが、これを所属長が免除をするという場合があり得るわけでありまして、現在でも制度的なものもございますが、それ以外にも社会通念に従いまして業務に特段の支障のない範囲で個別的な取り扱いを認めるという例が従来からあります。この場合でございますが、同和問題に対する重要性と、事業にとっても同和対策の精神を職員に徹底させるためにもいろいろの措置が必要であろうかと思います。そういう一環としてあるいは所属長がそういう措置をとったというふうに考えられるわけでありますが、先ほど申し上げましたように職務専念義務を免除する場合ということはあり得ることでございます。
  120. 平田藤吉

    平田委員 そうすると、そういう場合は出勤しなくてもいいのですね。そういう場合は出勤簿に判を押さなくても、特別何もしなくても差し支えないのですね。
  121. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいまの場合につきましては、いま官房長からお話し申し上げたように詳しく調査中ということで、それを待って同和問題の重要性というようなことも配慮しながら慎重に対処したいと考えておりますが、いまの勤務免除の場合、実はいろいろのケース、ケースがございまして、たとえば災害等で交通が非常に困難になった、そういう場合はもちろん出勤しなくてもやむを得ないというふうに考えていますが、ケース・バイ・ケースでそれは判断していくべきものと考えております。
  122. 平田藤吉

    平田委員 そういうケースじゃないのです。だから聞いているのですよ。調査中なら調査中で改めてまた聞きますからね、それはそれでいいのですよ。あなたみたいに災害が起こったときにどうだとかそんなものじゃないのですよ。判こも押さないで、郵便局へ来ても平気でいられるのですよ。そして休んでいて、よその郵便局へ講師だと言って行けば何千円か金もらえるのですよ、給料もらったほかに。来なくたって給料もらっているのですからね。そういう状態にしておいて、それでケース・バイ・ケースもありましてとかなんとか言ったって、そんなことば聞こえた話じゃないですよ。まともじゃないですよ、これは。調査中ならよく調査をして、きちっと処理するように、私の方もまた改めてこの問題聞きますから。  こういうことで、集配関係の仕事がやはり渋滞したり、そして負担が一部の人たちにがかったりしているわけですよ、現実に。何もこれはここだけの話じゃないのですね。東郵便局の場合でも、やはり解放研のわずか二十五名ぐらいの組織ですけれども、中谷源司という人が、これも普通郵便課員ですけれども、解放研メンバーだそうですけれども、やはり全く仕事に入っていない、仕事にはついていないという事態になっているわけですね。この問題はどうですか。調べましたか。
  123. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の人の出勤簿につきましても調査いたしました。その結果は福原八郎氏と大体同様でございます。
  124. 平田藤吉

    平田委員 時間も来たようですから、私もここで無理してまた、なんですから改めてお聞きすることにしますけれども、とにかく集配関係の一番大事な部署についているところでこういう事態があっちこっちに起こっているわけですよ。これ自体がサービスの低下にも通ずるし、他の職員から見たらがまんならぬでしょうな。ですから速やかに調査をして、そうして規律に照らしてきちっと処置をするというようにやってもらいたいと思います。  きょうは時間も来たようですから、以上できょうの質問は終わります。
  125. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回ば公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三分散会