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1975-04-18 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十八日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 加藤常太郎君 理事 志賀  節君    理事 羽田  孜君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       亀岡 高夫君    倉石 忠雄君       廣瀬 正雄君    水野  清君       村岡 兼造君    松浦 利尚君       大野  潔君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   久保  等君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     久保  等君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 本委員会の都合で、私が突然いまから質問することになりましたので、省側と十分打ち合わせしておらない——事前に質問の内容についてきのう一応打ち合わせしましたけれども、ある意味では答弁がしにくい点があると思うのですが、それはまた保留しまして、次の機会に質問させていただくことを、前もって委員長、お願いをしておきたいと思うのであります。  そこで大臣にまずお尋ねしますが、直接的に大臣所管ではありませんが、今度の郵便料金値上げによる物価上昇寄与率は何%ですか。
  4. 村上勇

    村上国務大臣 〇・二%ぐらいだと思います。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま〇・二%ぐらいの寄与率だと言われましたが、面接的な影響率は〇・二ですが、郵便料金値上げというのが国民全体の心理的なインフレマインドというか、物価上昇に対する期待感といいますか、そういったインフレマインドを助長するということについては、どのように考えておられますか。そういうことは国民は絶対ない、郵便料金を上げてもそういう心理的波及効果はないのだというふうにお考えになっておるのか。それとも心理的な波及効果は出ると見ておられるのかどうか。その点をひとつお聞かせいただきたい。
  6. 村上勇

    村上国務大臣 これは皆人によって変わっておると思いますけれども、〇・二%程度のことでありますれば、さほど大きな影響はないもの、こう思っております。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さほど大きな影響ないということでありますが、今度郵便料金値上げする根本的な理由は、大臣、何ですか。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 これはもうたびたびお話し申し上げておりますように、郵便事業は再三にわたって郵政審議会からの値上げ答申をいただきましたが、とにかくインフレ抑制のために一応これをいままで抑えてきた、そのために四十九年度赤字、あるいはまたこのまま放置しておりますと五十年度赤字、これらが重なってついに郵便事業国民に奉仕することのできないような大きな困難に逢着する。でありますから、この際郵政審議会答申を尊重し、これを受けて、いま提出し御審議願っておる程度値上げをお願い申し上げたいということであります。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ただいま大臣は、郵政事業そのもの危機に来ておるので最低限の値上げをしたんだ、こういうことだと思うのですが、それではお尋ねいたしますが、いままで二年間総需要抑制をずっと政府が続けてきまして、実質的にいま財界その他では潜在的な値上げムードというのが非常に強い。御承知のようにコスト割れという状況企業の中にあるわけです。ですから、コストが割れておるんだから、できるだけ早い機会コストを戻そうという動き現実にあるわけですね。そうすると、政府自身事業である郵政赤字だから最低限上げるということになりますと、現在日本銀行の調べあるいは経団連調べあるいは朝日新聞等調べを見ましても、非常に潜在的な値上げ意欲というのは強いんです。その値上げ意欲の強い最大原因というのは、結局これ以上生産が低下をするとコストの圧力がふえてどうしても価格を上げざるを得ない。ですからこの際どうかして価格を上げたいという力が非常に働くんですね。結局、いま言っておる郵政事業と同じ発想なんです。コスト割れ赤字状態だからこれを上げたい、こういうことですが、郵政事業も〇・二寄与率のある郵便料金を上げたんだから、民間企業に対してもそういう同じ理屈でいくならば上げることを認めるという方向に行かざるを得ないと思うのですが、そういう問題についてはどういうふうにされますか。郵政大臣所管外だと言われるでしょうが、少なくともあなたが所管しておる郵便事業については赤字だから上げるというのですから、民間の方もコストが割れて赤字だから上げるといった場合に、あなたは国務大臣として閣議でそれは上げざるを得ないじゃないかというふうに言われますか。その点どうでしょう。
  10. 村上勇

    村上国務大臣 民間の御指摘のような問題については、これをどうするとかこうしなければならぬということを意見を開陳するほどの、民間事業に対しての認識は私にはありませんので、私としては自分が担当している郵政事業、特に郵便事業についての問題だけを御審議をいただいておるわけであります。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの大臣の御発言非常に正直ですけれども、ちょっと問題があると思うのです。郵便料金値上げすることが全体の物価を押し上げる、公共料金主導型の問題になるのではないかという批判があることは事実なんですよ。その所管大臣であるあなたのところで上げるんだから、ほかのものが上がってくるときにそれを抑える根拠というものは、郵便事業を担当する大臣としてはなくなるわけでしょう。それをさっきから私が言うように、ただ郵便料金を上げたら済むという問題じゃありませんよ。これは波及的な効果が大きいんですよと申し上げておるのですよ。そういう点について大臣は、全然私は関知しません、私は郵便事業のことだけです、郵便事業のことだけでほかのことは知りませんよ、こうあくまでも言われるわけですか。
  12. 村上勇

    村上国務大臣 私は、郵便事業を今回御提案している程度のことを御承認いただいても、決してそれが非常に民間インフレを刺激するというようなことにはならない、私はそう信じております。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、信じておると信じておらないというのは別問題。具体的に鉄なら鉄が、いまコストが割れておるから一五%アップしたいという動きが現に出ておるわけですよ。その点についてはどう思われますか。当然だと思いますか、いかぬと思いますか。
  14. 村上勇

    村上国務大臣 個々の企業についてはそれぞれ事情がありましょうから、いまここで私が私の立場でこれらを批判するということは少し行き過ぎじゃないか、こう思っております。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、私がなぜこれ質問するかというと、郵便料金という限定された枠の中でこの問題は審議できないんですよ、逆に言うと。〇・二という寄与率のあるこのものは、郵便料金だけで限定して考えれば、確かにコップの中ですからそんなに問題はない。しかし、それが与える全体的な波及効果、心理的な効果というものを含めて、私たち郵便料金値上げはどうかという議論をせざるを得ないんですからね。ですから、それはやはり具体的にそういうものについては答えてもらわなければいかぬと思うんですよ、もっと大臣の方から。ただ抽象的にそういうことはありません、そういうことはありませんで、仮にこの郵便料金なら郵便料金が結果的に波及的な効果の引き金をやった場合に、私たち審議をしておって国民に対してどういう責任を持ちますか。いや、そういうところまでは議論しなかったんですわ、これは済みませんでしたでは済まない。もう結果が起こった後ですから。そこで私はくどいようにお聞きしておるんです。その点大臣、どうですか。
  16. 村上勇

    村上国務大臣 公共料金値上げにつきましては、三木内閣としては非常に慎重に審議したのであります。そして、これがあらゆる角度からどういうふうに影響してくる、どういうふうに響いてくるというようなことを十分研究し尽くした、その上で初めて今回の御審議願っているような法案提出になったのでありまして、これはもう政府全体の責任において絶対にそういう他に波及して大きな影響が起きるというようなことは考えていないのであります。それはもう心配すれば切りがないのでありますけれども、ここらあたりで……。これも議論をすればどこまでも平行線をたどると思いますが、どうかひとつよろしく御理解願いたいと思います。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣非常に正直な方ですから、心配したら切りがないということを言われるのですけれども、確かにそうだと思うんです。しかし、少なくとも郵便料金値上げしても絶対大丈夫ですよ、もっと具体的に平たく言えば、この前の日銀の調査なりあるいは経団連日経連等調査によっても、あれだけ値上げ意欲が強い、その値上げ意欲の強いその裏側には、いま大臣がここで答弁された郵政事業コスト割れになってきておるから値上げをしますよというのと同じ要求なんですよ。それなら郵便事業を上げて何でうちの料金値上げしないんですか、価格を上げてくれないんですかと言われたときに、答えようがないじゃないですか。そういうときにはどのように調整する、そういうときにはどういうふうにするという話は、三木内閣ではまだ決まっておらぬわけですか。ただ公共料金をひたすら上げても他に波及はない、絶対大丈夫だと言うだけであって、現実にいま動きとして出てきておるものについて、どういうふうにこの郵便料金値上げと対峙するか。郵便料金値上げというのはそっちの問題と全然関係ありませんよと言うために、どのように国民に対して明確な答弁をするのかという意識統一はまだできておらぬのですか。
  18. 村上勇

    村上国務大臣 まあ、これは福田総理から三木内閣方針として発表いたしております、要するに四十九年の年度末一五%、それから五十年度年度末は一けたに抑えるという物価対策というものが今日私どものいわゆる三木内閣一つの大方針でありまして、その一〇%以内におさめるという、その中に今回の値上げの分も含まれて御審議をいただいている、というように御解釈願っていいんじゃないかと私は思います。そういうことで、政府全体で慎重審議検討した結果出ていることでございますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 慎重審議した昭和五十年度経済見通しがすでに、福田経済企画庁長官、副総理自身が、四・三%の経済成長は非常にむずかしい、あるいは四十九年度歳入欠陥が八千億ある、経済成長が四・三%なければ昭和五十年度予算についても歳入欠陥が出る、したがって公務員の給与引き上げあるいは米価、こういったものについては慎重にしなければならないという財政危機宣言まで現実に出しましたね。ということになると、郵便料金値上げしなければならなかった段階と現在の段階では、実質的に相当違いが出ておるのですよ。閣内で統一した見解のときと違っておるのです。この値上げを決めたときには五十年度主要経済見通し四・三%というものを中心にして五十年度予算が立った。ところが、それが現実的にはもう狂ってきておるわけでしょう。狂ってきておるということは、逆に言うと、この根拠自体にも相当大きな変化が起こってきておると見なければならないと私は思う。これが仮に四%なり三%成長になってごらんなさい。各企業はみんなコスト割れですよ。一斉に値上げ要求が出てきますよ。現に公定歩合をもっと引き下げろという要求も出てきておるし、現に通産大臣がきょうの新聞等でもいろいろな発言をしておりますね。不景気対策ではなくて、景気浮揚策をやれという発言になってきておりますね。そういったもろもろのことを考えてきますと、いままでのような通り一遍の、いや、それは閣議できめましたから郵便料金値上げは大丈夫ですよ、と言われてもわれわれは納得できないですよ。そういう情勢を踏まえて、本当に波及効果絶対なし、絶対に影響なしと言うには私はまだ納得できないですね。いま大臣が言われたように、前に三木内閣で決まったから、こう言われるからなお不安なんです。現実バックグラウンドが変わってきておるわけですから。そういう点について大臣からもう一遍お聞かせいただきたい。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 これはもう何回お答えしても同じ結果にしかなりません。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういう点についてもう一遍閣内議論をして、郵便料金についてはこういう状況があっても大丈夫だという統一見解を出すというお気持ちはありませんか。全然ありませんか。
  22. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘のような変化があるということになれば関係閣僚とも相談いたしますが、いまの段階ではこれを変更するとかどうするとかいうようなことは私は認められません。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題はこれを審議するのに非常に重要なんですよ。そんな形式的なものでは私たちはこのことについての議論はできないですよ。やはり審議をする段階前段なんです。その前段についてやはりもっと明確に見解を統一してもらわないと、漠然としたことで議論してみたって私たち国民に対して責任持てないですよ。  この際委員長にぜひ、そういったものについてもう一遍検討を加えて——何も私は値上げを撤回せよと言っておるんじゃない。そういうものについて絶対に間違いないか、閣法を出したときの段階と現在では、絶対大丈夫だ、他に波及するあれはないんだ、そういうことは絶対ないんだ、そういうことをここでぴしっと言い切れるかどうかということです。その点について、大臣からなかなか言いにくいかもしれないけれども、この際明確な方針をここでぴしっと出していただきたいと思うのですがね。
  24. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  25. 地崎宇三郎

    地崎委員長 じゃ、始めてください。  郵政大臣
  26. 村上勇

    村上国務大臣 私の考えでは、いまそういう松浦先生の御意見のように非常に急激な変化がある、変わってきているんじゃないかという御意見には賛成できませんけれども、万一そういう事態になるということになれば、これは私は閣内においてもよく相談して十分前向きで検討してまいるつもりであります。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣の言われることもよくわかるのですが、非常にくどいようですけれども、大臣、そのことは非常に大切なことなんです。この法案審議する前段として、どういう事態変化があろうと、上げてしまった後ではどうにもならぬのですから、だから上げようとする前に、仮にこの法案が通ったとしてもそういう国民の不安は絶対ありませんということをここで明確に言い切って、そのことに対しては三木内閣政治責任を持ってもらわなければいかぬのですよ。だから、私はここで状況バックグラウンドが変わってきているんだ、もう一遍閣議なり何なりを開いて郵便料金というものについてのあり方、絶対大丈夫なら大丈夫だという統一見解というものをこの際明確に出してもらいたい。  なぜかと言いますと、現に大蔵大臣が、財政が硬直化したから消費者米価等のものについても検討を加えなければいかぬ。もっと裏返して言えば、生産者米価引き上げについてもある程度ということでしょう。仮に生産者米価が上がったら、今度は消費者米価に転嫁しなければ歳入欠陥が起こりますから財政負担できないわけですよ。ということになると、米の値段が引き上がるということで物価をスライドするでしょう。だから財政が、あの四・三%、雇用者所得の一七%伸びというものを前提にした五十年度予算というものが見積もられているわけでしょう。それに現実歳入欠陥が生まれるかもしれぬという状況の中で、これは一体物価影響があるのかないのかということについてもう一遍議論をしないと、これを値上げをしようというのは昭和五十年度予算を編成する段階政府が決めたことなんです。状況が変わってきているのですよ。そのことを私はくどいように言っているのです。そういうバックグラウンド変化が仮にあったとしても絶対大丈夫です、三木内閣としては大丈夫です、ということをここで言い切れるなら言ってもらって、その点については政治責任を負ってもらわなければいかぬ。政治責任というものがついて回るとすれば、これは三木内閣としてもう一遍議論をして——そのことが出ないから審議をしないというようなことは私は一つも言わないですよ。そういうことをやってみられる気持ちはありませんかということをくどいように聞いているのです。
  28. 村上勇

    村上国務大臣 御審議を願っておることと並行して、私が私の立場経済閣僚等々とそれらの問題についての慎重な検討を加え、また慎重に打ち合わせていくということについては、これはよくわかりました。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは大臣、本法案が採決される前にそういう見解について本委員会に提出していただけますか。
  30. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘のとおり、政府部内の見解を提出いたします。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは本委員会にそれが提出されたときに改めて本委員会で、私がするかどうかは別にして議論させていただきたいということを申し上げておきます。  それから二番目に、御承知のように今度の値上げで逆に利用者の負担が増加をしますから、利用が減退をするのじゃないかというおそれがあるのですね。ここに委員の方がたくさんおられますが、これは冗談ではなくて、年賀はがきを議員というのは相当たくさん出すのですよ。いままでは五万枚出して五十万ですよ。今度は五万枚出して百万ですよ。おそらく年賀はがきというものは、こういうものから計算をしてみても、利用というものは逆に減ってくるのじゃないか。確かにこの郵政省からいただいた資料にもそういう計算がされておりますが、消費構造というのが今日変わってきていますね。あの石油パニック以来消費構造が変わってきている。いま景気が上昇しない最大理由は、GNPの六割を占めている個人消費が停滞をしている、横ばいだというところに原因があるわけですね。そうすると、郵便利用というのは、はがきその他の利用というのは、個人消費というものが冷え込めば冷え込むほど節約ムードというものが浸透してくると私は思うのです。ですから、郵政省資料として出したより以上に利用は減ると私は思うのですよ。そういう点については大臣はどのようにお考えですか。
  32. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、このたびの郵便料金改定は、過去におきます料金改定と比べまして、上げ幅がかなり大幅になっております。そのために私たちの方も、この新しい料金が十月から実施されました場合に予想されます郵便物数見通しにつきましては、かなり議論をし、検討したつもりでございますが、過去におきます料金値上げは、たとえば四十一年、四十七年の場合におきましても、確かに郵便物数増加傾向がかなり強かった時期でございますので、その増加傾向が大分水をかけられた形になりまして、そういう意味での利用減があったわけでございますけれども、対前年比で利用減が出るというところまでは行かず、やはり全体的には郵便物数は若干ふえている、そのふえ方が相当落ちたという程度のショックであったわけでございますが、このたびはそういった点も過去の例とはずいぶん違うということを考えまして、たとえて申しますと、昭和五十年度郵便物数全体の伸びは、対前年比一・九%減というふうに見ておるわけでございます。一・九と申しますと非常に少ないじゃないかという御批判を受けるかと思いますが、実は、御案内のとおり十月実施でございますので、前半の十月までの間、半年間は従来のペースでこれは一応順調にふえていくということになりますと、大体二・八%の増があるというふうに見ておるわけでございます。十月以降、いまお話のありました年賀はがき等も含めまして、これはもう絶対五・二%減になりまして、相殺いたしまして、五十年度全体を通じて一・九%の減だというふうに見ているわけでございます。この点、私たちとしましてはかなり検討いたしたつもりでございますが、実績が果たしてこういった程度のところにとどまるか、あるいはときどき批判を受けますように、もう少し大きな利用減になるのじゃないかというふうな御意見もありまして、この点につきましては、本当のところは結果を見なければわからぬわけでございます。  ただ、いま御指摘のありました、たとえば年賀はがき等について見ますと、お説のとおり十円が二十円になりますために、逆に利用が半減するということになりますと、せっかく値上げいたしましても、収入としては同じ収入しか入らぬということになるわけでございます。別途、御案内のとおり五十円の封書と、それからはがきは、郵政審議会答申をいただいて三十円でございましたものを二十円に抑えましたというようなこともございますから、第二種のはがきの方につきましては、かなり一種からの移行ということもあろうかと思われます。五十円対二十円という比率になりますので、そういったことも考えますと、はがきはそんなに大きく減らないのじゃないかというふうな見通しもしているわけでございます。いろいろそういった点を考えました収入を見込んでいるわけでございます。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま局長の言われたことは非常に危険だと私は思うのです。いままで物数伸びというのは、少なくともオイルショック等を境にして、それまではずっと順調に伸びてきている。それはなぜかというと、高度成長経済段階だからですよ、一年間に十何%も経済成長する段階ですからね。ところが、御承知のように政府が主導的な立場で総需要抑制政策をとってきて、需要管理政策をとってきて、特に個人消費伸びをぐっと抑えて、需要インフレを抑え込んできたでしょう。だから、これから高度経済成長から低成長安定成長へと指導してきているでしょう。政府閣議で決めた方針も、五十年−五十一年は軟着陸する調整期間だ、こういうふうに言って盛んに宣伝しておられるでしょう。そういう経済伸び、逆に言うと、五十年度経済成長が、さっきもいろいろ議論しましたけれども、四・三すらも維持できないかもしれないという冷え込みでしょう。そういう状況の中で、しかも六割を占める個人消費構造が変わってきているでしょう。そういう計算というものはぴしっとしておかないと、値上げをしたが、また赤字だ、また値上げだ、値上げイタチごっこになるのですよ。そういう点について明確な資料というものをまた出してもらわないと、ただ漠然とマイナス一・九でございますよ——私はマイナス一・九よりまだ減ると思います。まだ減りますよ。現に、いいですか、仮に昭和五十年度予算が通ったときの主要経済見通し雇用者所得伸びは一七%と見込んであるでしょう。この雇用者所得伸びが一五%を割ってごらんなさい、一・九じゃ済まないですよ、仮にこれを連動させたとすれば。そういう経済主目標中心にして少なくもマイナス一・九という数字が事務当局は出たのだと思うのです。それが変わってきておって、なおマイナス一・九ということは言えないと思うのですね。そういう計算をしておかないと、せっかく値上げをしたが、また赤字だ、また値上げだ、これはイタッチごっこですよ。特に労働集約型の郵便事業でしょう、人件費が上がってくれば、これは必ず上がるのですよ。これはやむを得ない。しかし、それにかてて加えてそういう背景というものがあるということをもう一遍議論してもらわないと、これも大切なことですよ。局長、どうですか。
  34. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵便の物数伸びの中で、ただいま御指摘のとおり、一般の景気等に左右される面が非常に大きいことは当然でございますが、ただいま御指摘のオイルショック以来の郵便物数伸び状況をずっと見てまいりますと、確かにあの当時郵便の対前年比の利用がほとんど前年度と同程度くらいまで伸びが鈍化したときもございますけれども、またその後の状況をずっと見てまいりますと、ここ半年以上くらい前から、かなり郵便物数伸びとしましては、先ほども申し上げましたように、大体対前年比三%程度伸びを示してまいりまして、この傾向はオイルショック以前の数字と大体似たような傾向で来ているとわれわれは思いましたので、先ほど申し上げましたように、ことしの九月ころまでは対前年比大体二・八%、三%近い伸びがあるもの。ただ、それから後の伸びにつきましては、この料金値上げのショックによって利用減というものが五・二%減が出るというふうに見ているわけでございます。そういった点の見方は、確かに十月以降の値上げによる利用減の見込みにつきましては、これはなかなか的確なものを私たちも見込み得ないのでございますけれども、前半の見込みにつきましては、少なくとも大体最近の傾向から見て自信が持てるものであるというふうに考えているわけでございます。  なおまた五十一年度、五十二年度等の伸びもいまここに予想いたしておりますけれども、五十一年度につきましては、対前年比、五十一年度全体として〇・六%の増があるというふうに見ているわけでございます。この辺は、過去の傾向からいきますと、確かにおっしゃるように、今度の値上げがかなり大きいということも勘案しまして、少し増勢は鈍化するというふうな見込みを立てて収支計算をいたしたわけでございます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのデータをもう一遍出してみられたらどうですか、十月一日以降のものについて。私はやはりそれを正確にしておかないと、次の値上げがすぐ来ると思うのです。これは一つのうわさだからわかりませんけれども一、企業が使うダイレクトメール、これすらも減るだろうと言われているのですよ。収入の六割の中心がダイレクトメールですね。半分ぐらいですか、郵便の場合に。数字が間違っておれば訂正しても結構ですが、しかしそういうダイレクトメールすら使わなくなるだろう。現実にいままでの値上げの経過を振り返ってみますと、いままでは手紙でいっておった、郵便でいっておったものが今度はいつの間にかはがきを使うのですね。はがきは値段が安いから、はがきを印刷してはがきで済ますという状態でしょう。そういうふうにやはりコストを抑えようとする働きというものは、低成長になればなるほど企業側にも出てくるのですよ。個人消費伸びない、個人企業の方もだんだんと遠慮をしてくる、そういう状況というのは必ず出てくる。出てきたときに、あのとき見通しが悪かったからまた値上げをしてくださいでは私は国民に済まぬと思うのです。そういう資料を出してくれますか。
  36. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘のございました全体の郵便の中で、企業等の出しますものが大体八割程度、これは的確に企業だけとは言いかねるのでございますが、業務用、事業用のものが八割と見ておるわけでございます。その中で、ただいま御指摘のダイレクトメールのようなものが大体一九%ぐらいだというわけでございます。残りの六一%ぐらいはいわゆる企業活動の一環と申しますか、いろいろの株の関係、決算の関係その他会社の業務上必要な、郵便に依存せざるを得ないような、われわれとしては非常にこれが頼みの綱でございますが、こういったようなものが全体の六割ばかりあるわけでございます。この点は確かに値上げによって若干これも影響を受けると思いますけれども、まずわれわれとしてはコンスタントな需要が見込めると思うわけでございまして、たとえ一九%でありましても、このDMは昔から景気、不景気によってその需要が非常に変動するということは御指摘のとおりでございまして、そういった点につきまして私の方でもいろいろ見た数字がございますので、先生の御納得がいくかどうか別にしまして、資料を持っておるものをまた見ていただきたいと思いますので、提出させていただきたいと思います。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その資料を出していただくと同時に、その資料をある程度修正しておかないといかぬと思うのですよ。政府自身現実経済成長について四・三%はむずかしいということを言っているのですから、そういう点について計数の修正をしておかないといけないですよ。その修正する資料も出してもらえますね。
  38. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま持ち合わせておる——そういった修正をいたす、いたさぬは別といたしまして、現在まで見込みました収支の見通し、その場合のそういった利用通数の見込みといったものについてはまずお出しいたしまして、これを修正する必要があるかないかにつきましては、なお検討さしていただきたいと思います。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 委員長にお願いしておきますが、いまの資料も非常に大切な資料なんです。これもここに出されたときに本委員会でさらに審議をするということについて、いま出していただけるそうですが、出しっ放しじゃ困るので、出したものはし審議するということが前提でなければならぬと思いますから、その点理事会に諮っていただいて、ぜひ議論していただけるようにお願いしておきたいと思いますが、委員長よろしいですか。
  40. 地崎宇三郎

    地崎委員長 承知いたしました。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういった資料が出てきた段階でさらに議論をさせていただきたいと思います。  そこで、実は日本国郵便局とアメリカ合衆国軍事郵便局との間に交換する郵便物の取扱に関する規則というのがありますね。この規則の料金についても、仮に国内料金が上がった場合はそれに準じて値上げをするというお考えがあるのでございますか。
  42. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの件は、米軍のいわゆる軍事郵便の関係の料金の問題だと思いますが、これは御指摘のとおり、この料金は日本国郵便局とアメリカ合衆国軍事郵便局との間に交換する郵便物の取扱に関する規則という郵政省令で、内国郵便料金を適用することになっておるわけでございます。このたび内国郵便料金が改正されれば、この料金も改正するということになっておるわけでございます。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 値上げするということですが、この規則のバックにある軍事郵便局ですね。いま軍事郵便の取り扱いは那覇局と東京国際郵便局と、この二つですね。これに関連して、沖繩が復帰したときに米軍と郵政局との間に合議文書があるはずですね。それは事前に国際課長さんの方にお願いをしてあったのですが、そういう資料が、これはいままでずっと極秘にされておったそうですが、きのう外務省を通じて云々ということでしたから、それについてはどういう返事だったのか、資料についてどうだったのか、その点をひとつお聞かせください。
  44. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘資料につきましては、米軍関係、外務省関係等との協議が必要でございましたのですが、本日早朝、これは提出してもいいという話が参りましたので、御指摘のとおり、提出させていただきたいと思います。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは英文になっておりますね。サイン入りの英文でありますが、本当なら資料要求した私の方で翻訳しなければいかぬところでしょうが、それは郵政省の方で翻訳をしていただいて本委員会に提出していただけますか。
  46. 石井多加三

    石井政府委員 さよういたしたいと思います。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その資料が提出されたときにこの問題について質問をしたいと思いますが、これについても委員長、御了解いただけますか。
  48. 地崎宇三郎

    地崎委員長 よろしゅうございます。(「理事会で相談だ」と呼ぶ者あり)理事会でよく相談します。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いや、理事会で相談するというのは、理事会でだめだということになったらそれはだめだということだから、私は明確にしておきたいのですが、いまの資料は私が質問するために必要な資料要求したのです。これが理事会で相談をしてだめだということになったら、私はそのことについて質問ができないということでありますから、筆頭理事がいまあそこで不規則発言をしたけれども、これは非常に重要な発言ですから、その点について委員長の方で理事会なんて言わずに——それじゃ資料要求したやつが翻訳されるまで私の質問は保留さしてもらわなければ先に行かないですから。私はそのつもりはなくて、委員長が言われたように、してくれるものと思ったから先に進もうと思ったら、不規則発言でそれは理事会と言われたので、非常に危ないから、その資料が出るまで私は質問を保留します。
  50. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  51. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めて。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 余り御迷惑をかけてもいけませんから……。ただ、加藤先生が不規則発言しますと、実力者ですから、その方向に走るわけですよ、この委員会は。いままで私は何遍も苦い経験をあの方からやられたのです。だから私は慎重にならざるを得ないのです。資料を出したからいいじゃないか、もう質問はいいじゃないか、これは採決採決、こうなっちゃうわけですよ。慎重に審議するという意味で私は資料を出していただいてそれを議論したい、こう言っておるのですからその点はひとつ、ぜひ御理解いただきたいと思います。それでは、それは資料が出たときに質問させていただきます。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、この値上げ法案議論する場合に郵政審議会という機関がありますね。与党の先生方も含めて逓信委員会でまじめに一生懸命議論をしておるのですが、そういったものが具体的に郵政審議会議論されておるのでしょうかね。私はその点が非常に心配なんです。形式的に流れておるのではないか、いま私がいろいろここでも議論したし、また先輩の皆さん方が議論されたようなことが郵政審議会で具体的に議論をされておるのでしょうか、その点大臣どう思われますか。
  53. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵政審議会におきましては、結論的に申し上げますと非常に熱心に議論していただいたと思います。特に、一昨年の四十八年の十一月、十二月にかけましては、当時の私たちの方の審議会に対する諮問も、郵便事業の経営を健全化する方策についてといういわば白紙諮問と申しまするか、郵便料金値上げのみならず郵便事業のあるべき姿、問題点等を徹底的に議論していただきまして、いろいろな問題点も指摘されましたし、そういった中でそういった改善はするにしても、火急の現在の郵便事業財政のピンチを救う方策としては間に合わないから、とにかくそれはそれとして料金値上げをすべきであるという答申であったわけでございまして、その中に掲げられておりまする改善点、問題点等は現在でもわれわれ引き続きまして検討さしていただき、また研究させていただいておりまして、ものによっては逐次これを実行に移していきつつあるわけであります。  昨年の十二月の時点におきます郵政審議会の諮問は、そういった四十八年のときの答申に、すでに料金を三十円、二十円に上げるべきであるという具体的な答申もいただきましたので、ただその後の情勢から見まして、その値上げ案では四十九年度のベースアップ等から見まして三年間の収支を償うことができないということから、改めて今度は料金について前回いただきました三十円、二十円の御答申では今後の三年間の収支のバランスをとり得ないと思いますのでもう一回お願いしたいということで、今度は私の方から郵政省としての五十円、三十円を基本としました料金値上げ郵政大臣の案を示しましてこの御審議をいただいた、そういうふうな形でございまして、昨年の方は期間的にはわりあい数回で終わったわけでございますが、一昨年は相当長期間にわたりまして徹底的に議論をしていただいたというふうに思っておるわけでございます。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この郵政審議会大臣の諮問機関ですから知るよしもないわけですが、その審議会の会議——議事録と呼んでおられるのかわかりませんが、その資料は私たちにお示しいただくわけにはいきませんかね。
  55. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  審議会の公開非公開につきましては、法律あるいは政令上特段の定めはございません。したがいまして、公開非公開の点につきましては審議会自体が決める事柄でございますけれども、審議会といたしましては、事案によりましては自由な意見の交換を図るといった目的のために非公開の決議をしている場合もございます。議事録につきましても、会議が公開の場合につきましてはお求めに応じまして審議会の了承を得てお目にかけることは差し支えのないものでございますけれども、もともとこの議事録は審議会自体の業務運営上作成されておるわけでございまして、広く一般に頒布するという目的でつくっておるものではございません。会議が公開の場合につきましては、先ほど申し上げましたように審議会の了承を得た上でお求めに応じてお目にかけることができようかと存じます。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この料金値上げに関して諮問をなさったときの審議会の会議録、これは委員の皆さんの同意があれば委員会に提出できるということなのでございますか。それなら、委員の方にお諮りしてそれを出してください。
  57. 高仲優

    ○高仲政府委員 昨年のこの料金問題を扱いました審議会につきましては、審議会が非公開の旨を決議いたしておりますので、これはお目にかけるわけにはまいらないと思います。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、諮問をされてそして非公開にした理由というのは、だれがどう言ったかというその名前が問題だと私は思うのですよ。オープンに議論ができないから。ですから私は、やりようによっては公開できると思うのです。ただ形式的に非公開の決議があったから非公開です、こう言っておられるけれども、それは委員会の方に諮って、そういう非公開にしなければならなかった原因さえ除いた形でやりますということを言われれば、私は委員の人たちだって何もこだわらないと思うのですよ。これは背景として非常に大切です。その点どうでしょうか。
  59. 高仲優

    ○高仲政府委員 審議会といたしましては非公開ということで決めておるのでございますから、発言者の名前等を記した明細なるものを出すという  ことは当方としてはできない次第でございますが、議事の概要についてということでございますならば、当方でこれを作成してお目にかけることができようかと思います。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は概要と言っておらないのですよ。名前だけ除けば、ABCDにしておけばいいのじゃないかと言うのですよ。概要じゃなくたって、どなたがどう言ったというどなたが問題なんだ。どなたのところはAにしておけばいいでしょう。Bにしておけばいいでしょう。そういう方法があるじゃないですか。
  61. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  名前を仮にABCといたしましても、場合によってはその発言内容等から発言者が推定されるといったような場合もあり得ることかと存じます。そうした点から考えまして、私どもといたしましては、審議会が非公開の旨決議したものにつきましては、その議事録そのものまたは名前を消しただけのものという形ではお目にかけることができないと存じます。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、いま官房長があんなに答弁をなさったのですが、昭和四十六年の二月十七日の本委員会で当時の井出郵政大臣、いまの官房長官がこういうふうに言っておられる。これは自民党の水野委員の質問に答えておられる。「今後は料金決定に非常に大きな職責を持った審議会でございますから、これを内容的に充実をする、そうしてまた、特に料金なら料金を決定するための一つの部会のようなものを設けるとか、それは中身の問題でございますが、そういうふうなつもりでおるわけでございまして、」だから、審議会を強化するということを言っておられる。いいですか。  さらに、これは民社党の栗山委員に対する御答弁ですが、「ほんとうに権威に満ちた審議会の構成、私どもとしてはこういうことを考え、これはいま任期のある人をすぐあすにもという改組のしかたはむずかしいと思いますが、そういう点実情に即しまして、いまの御趣旨を体してひとつりっぱなものに、郵政審議会が御期待に値するようなそういう権威ある機関として存在していただくように努力をいたすつもりでございます。」という答弁責任大臣がしておられる。ところが、実際にそういう答弁大臣なさったけれども、あなた方は間接的にそうだ、そうだということは言える。しかし、少なくとも最高機関である国会で大臣がこういう答弁して、審議会が具体的にこういう御答弁に即した審議をしたかどうかということについて、われわれは判断する余地ないじゃないですか。私は審議会の人がまじめに一生懸命にやったというふうに思っておりますよ、決しておろそかにしたとは思いません。しかし、少なくともこういう御答弁をなさっておるなら——自民党と民社党の質問にお答えになっておる、それじゃそういう審議会になっておりますよというその内容はここに明確な会議録なり何なりお示しいただいて、あなた方の御期待に沿った審議経過です、審議会になりましたという姿というのを見なければ、チェックするところはないじゃないですか。言いっぱなし、聞きっぱなしで終わりですか。そういう権威のない逓信委員会じゃないでしょう。少なくとも逓信委員会で質問をしたら大臣審議会を強化をしてやりますと言ったからには、それを委員会はチェックする、そういう逓信委員会でなければ意味ないじゃないですか。それをチェックする方法としては、われわれが審議会の中に入っていくわけにいかぬから、非公開だ、非公開だと言うが、何らかの形でそういう内容について、ここで私たちに、こういうふうにりっぱになりました、たとえば部会はこういうふうに開きました、料金決定についての部会は設けると言っておるのだから、部会は例月何日に設けて、部会は何人でどういう審議をしました、そういう経過をここに明らかにすべきじゃないですか。
  63. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  最初に申し上げましたように、どういう議事が行われたかという議事の概要につきましては御提出申し上げることができると存じますが、もともと審議会として非公開ということでやりました次第もございますので、明細な議事録はこれは提出できない。審議の内容がわかる程度の概要ということであるならばお目にかけることができる、かようにお答え申し上げておる次第でございます。
  64. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは官房長、部会開いたのですか。部会というのは、設けるには中身の問題なので、要するに一つ一つ部会を設ける。部会を設けましたか。
  65. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  四十九年の郵政審議会におきましては、これはすでに料金の問題については四十八年に答申をいただいております内容の修正でございますので、特に部会というものは開きませんでしたが、たとえて申し上げますれば、昭和四十年、四十五年、四十八年につきましてはそれぞれ部会を設けて相当回数明細な審議を行っております。たとえば四十五年につきましては、部会は構成人員十一人で、四十五年九月二十八日から十二月七日の間にわたって十一回部会を開催し検討をいたしておる次第でございます。
  66. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、これは四十六年二月十七日の水野委員に対する大臣答弁ですよ、これはうその答弁をしたのですか。四十五年ならすでに部会開かれておるじゃありませんか。大臣はうそを言ったのですか。それじゃ井出官房長官呼んできてください。井出官房長官の出席を求めます。
  67. 高仲優

    ○高仲政府委員 私、四十五年について申し上げましたのは特別委員会という形でやったものでございます。また、その後四十八年におきましても特別委員会をつくって、それによって十分の審議をやっておる次第でございます。
  68. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、ぼくは官房長の言うこともわかるけれども、やはり委員会で継続して大臣答弁なさっているのですよ。大臣がかわったから前の大臣の言ったことはもう、ということじゃないと思う。しかも、われわれは大臣答弁されたことについて十分かどうかチェックしなければいかぬでしょう。そのチェックする手段はないのだから、非公開がどうだこうだと、こう言っておられるから。あなたはその概要だけ出すということだけれども、少なくとも今度の料金値上げについて、部会はどういう部会とどういう部会とどういう部会を持ちました、その部会構成は何人です、どういうふうに議論がありましたという、その部会についてはそういう資料をここに提出してもらう。  それから総体的な郵政審議会における諮問に対する議論、これについてはもうこだわりません。この際理事会で議論をしてもらって、私は少なくとも本人名を削除したものについて提出する。会議録の本人名を削除したものを提出していただきたい。あなたは概要だけだと言うが、しかし概要と言ったって、どこまでが概要かというのはこれは具体的にはわからぬわけですから、そういったものについては理事会で議論をしてもらう、そして資料をいずれにしても提出してもらう。その部会の関係はいいですね。いつどういう部会を、どれとどれとどれとどれの部会を置いた、それで料金値上げについては、こういうふうにこういうふうにこういうふうに議論しました、同時に郵政審議会については会議録を出してもらう、それは理事会の方で委員長さんの御配慮で検討してもらって結構です。その点約束してもらえますか。
  69. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  まず部会の関係でございますが、私ちょっと最初に間違えまして、部会で料金関係の審議をやったように申し上げましたが、後ほど訂正いたしましたように、特別委員会を設けて、その特別委員会料金問題の審議をやった次第でございます。ただし、最初に申し上げましたように四十九年につきましては特別委員会を開催いたしておりません。四十五年、四十八年につきましては特別委員会を設け相当の回数議論をいたした次第でございます。その開催状況、いつ何人の委員でやったといった資料につきましては御提出申し上げます。しかしながら、審議会そのものの議事につきましては、私、前に申し上げましたように、概要の提出にとどめていただきたいと考えておる次第でございます。
  70. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣。この井出郵政大臣、現在の官房長官は、「今後は料金決定に非常に大きな職責を持った審議会でございますから、これを内容的に充実をする、そうしてまた、特に料金なら料金を決定するための一つの部会のようなものを設ける」。だから今度の値上げについても部会を設けて議論をしておかなければいかぬはずですよ。やっておらぬと、こう言う。どうなんですか、これ。井出官房長官に御出席いただかなければいかぬのじゃないですかね。
  71. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、部会という名称ではなく特別委員会という名称で十分の審議をいただいておる次第でございます。しかしながら四十九年につきましては、四十八年答申の手直しという意味合いから特別委員会は開催されておらないわけでございます。
  72. 松浦利尚

    松浦(利)委員 手直しだから開かないというのですか。手直しもやはり必要なんじゃないですか、慎重に手直ししなければいかぬのだから。私はそういう経過じゃない、この料金決定については部会を設けて慎重にしますよ、審議会を権威あるものにしますよと、こういうふうに井出さんは言っておられるのだが、あなたは、いやそうじゃない、四十八年の答申の手直しでございますから、そんなものは開いておりません。違うでしょう。大体郵政が官房長がそんな考えでおるから大臣が誤るわけだよ。井出郵政大臣がこんなに明確に言っておるなら、なぜそういう方向にリードしていかぬのですか。いまの郵政大臣はこんな経過は知らない。御存じないはずですよ。引き継ぎがうまくいかなかったのですか。  委員長、井出官房長官に御出席いただいて、これに対する、そういうふうなことでこれはよかったのか、そういうつもりで御答弁なさったのか、ここではっきりしてもらわぬと審議が進まないじゃないでしょうか。官房長の言っておることと会議録に言っておることとは違うのです。大臣がかわったらやり方が変わったんじゃ困る。その点ひとつはっきりしてください。
  73. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  74. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めて。
  75. 高仲優

    ○高仲政府委員 どうも説明が不十分で申しわけございませんが、部会という名称は使用いたしておりませんが、特別委員会という形で十分の審査をいただいておる次第でございます。なお、部会という名称につきましては、現在郵政審議会の中に郵便部会、為替貯金部会、保険年金部会、電気通信部会の四部会を設けておりますが、この部会にはかけなくて、委員全体の中から権威ある委員をいわば横断的に集めまして、それで十分の審議をいただいておる。こうした関係から特別委員会という名称でやっておりますが、私は、井出大臣のお答えになった点とその精神においては違反するところはないと考えております。
  76. 松浦利尚

    松浦(利)委員 横断的な特別委員会を開いてその中で議論をしたと、こう言われるのですが、それじゃ、最終決定をしたときにはどこで決定したのですか。
  77. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  郵政審議会の総会で決めております。
  78. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、四十八年度の特別部会で答申したものの修正は、特別委員会ではどうしたのですか。
  79. 高仲優

    ○高仲政府委員 四十八年の答申におきまして、私の考えますのには、基本的な考え方というものが決まっております関係で、特別委員会は設けないけれども、総会そのもので直接四十九年は審議をし、決定したという形になっておるわけでございます。
  80. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこがおかしいと言うのですよ。四十八年度に特別委員会で決定したものを総会で決めたのでしょう。それを手直ししたときには、特別委員会議論したところには戻しておらぬわけですよ。ストレートで郵政審議会でやっておるのですよ。それは手直しだから構わぬとこう言っている。それはおかしいと言うのです。おかしくないですか。そんなに軽々に改正できるものですか、総会でぱっぱっと、特別委員会議論したものを。それを言っているのです。だから、井出郵政大臣の御答弁はそういうことは慎重にやったということになるのですよというふうに、ここで、そういうことまで含んでいるのかどうか聞きたいわけです、官房長官に来てもらって。
  81. 地崎宇三郎

    地崎委員長 私の意見ですが、特別委員会委員はそのまま審議会の委員じゃないですか。そうでしょう。ですから、それはやはり審議会で審議したらどうですか。私の話はおかしいですか。
  82. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは委員長のお言葉だとは思えません。お言葉を返して大変失礼ですが、逓信委員会省略、本会議というようなものですよ。それはやはりルールじゃないでしょう。逓信委員会で決めたものが変わってきておるわけだから、変わってきたら当然また逓信委員会に戻って議論をする、それが当然のルールじゃないでしょうか。そのことを私は言っているのです。いや、それでも構わぬのだというふうに官房長官が言われれば、それはもう官房長官が御答弁なさっているのですから、そのことにはこだわらぬと言っているのです。だから官房長官においでいただいたらどうですか、こういうことです。
  83. 村上勇

    村上国務大臣 松浦先生にしかられるかもしれぬけれども、私は、いまの特別委員会というのは、部会というものよりももっと重要視したものだと思います。そこで、すでにもう四十八年に十分特別委員会慎重審議して、結論が出て答申が来たのですから、それでまた四十九年の諮問があって、四十九年の答申の出たものがいまの法案となって御審議願っているわけです。そこで、総会、特別委員会というものを分けてやらなかったことはちょっと手落ちのようにお考えになるかもしれませんが、もうその必要はないという、どの委員も満場一致で、それじゃ本会議へ出そうじゃないかということになったと思います。そうしますと、委員会を省略して直ちに本会議にかける、全会一致の例がありますので、こういうふうに御解釈願って……これはもう私はそういう解釈以外ないと思います。どうぞ、審議会の権威を十分お認めいただいて、そして全会一致これを委員会審議を省略して直ちに本会議で御審議を願ったというようにひとつお願いいたしたいと思うのです。
  84. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣は政治家ですから非常に政治的な御発言で結構ですが、特別委員会を開かぬでもいいから本会議でやれというふうに委員がみんな賛成したからそういう手続をしたのでしょうというのは推測であって、そうだったかどうかはわれわれはわからないんですよ。だから、さっきから私はくどいように言うんですが、どういうことが審議されたかということさえわかればいいわけなんです、ここで。だから、さっきから言うように、くどいようですが、非公開が原則だ、非公開が原則だと、こう言われるけれども、井出郵政大臣が、審議会はこうやりますよ、こうしていくんですよということを明確に言っておられますね、会議録に。しかも、与党と野党の議員に同じことを御答弁なさっているんです。ということになりますと、私たちがチェックしなければいかぬでしょう、そういうふうに本当にやられたのかどうかということを。チェックをしなければならぬということになりますと、やっぱり会議録というものがここに必要になってくるでしょう。そうすると、さっきから私がなぜ非常にこだわるかというと、概要ということになると、いいところだけ概要なんですよ。いいところだけ概要で、悪い部分というものは削除されるんです、概要の場合は。往々にして結果だけが出される。われわれは経過が必要なんです。  官房長、そういう意味で、本問題については最終的な特別委員会にかかっておらぬから、ですから総会で結構ですよ、その審議会の会議録をもう一遍。いま議論を経過した意味でも釈然としないでしょう。われわれがなぜ釈然としないか。何でそんなに簡単に省略できるのかわからない。いや、しかし総会でこれだけ明確にぴしっと議論されましたよ、というのを審議会の委員の皆さんの名誉にかけてもやはりここに公開して出すべきじゃないですか。できるだけ名前なんか削除して。いいと思うんだ、その方が。
  85. 高仲優

    ○高仲政府委員 四十九年におきまして総会のみをもってやった点につきましては、先ほど来私申し上げておりますように、四十八年に十分特別委員会議論を行っており、それの継続といった意味合いがあったから審議会としてそのように決まったものと私は理解いたしております。なお、概要を提出すると申し上げましたが、先生御心配のように結論だけということではなく、ある程度内容のわかる形で提出すればそれでお許しをいただけるのではないかと考えますので、よろしくお願いいたします。
  86. 松浦利尚

    松浦(利)委員 お許しいただくかどうかは出てこなければわからぬわけですから。  それじゃ、当面そういう資料を早急に作成をしていただいて本委員会に御提出をいただく、それが出た段階でこの問題については再度質問さしていただく。委員長どうでしょうか。後段はまた理事会でございますかね。
  87. 地崎宇三郎

    地崎委員長 後段は理事会でいたします。
  88. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ委員会に提出していただいて、後段はひとつ理事会で議論をさしていただくということで早急に資料を提出していただきたいというふうに思います。  それから、これはけさ田邊委員とお話をして、田邊委員も言われたそうですが、これは「郵便を利用される皆さまへ」ということで出しておられるのですけれども、この中には、はっきり料金値上げを十月一日からやりますというふうに非常にタイミングよく資料が出されておるのですね。これは郵政省自身が利用客に対しての一問一答で、こういう質問があったらこういうふうに答えろという統一的なものがここに出されておるのですね。この五ページに「しかし、これも政府物価安定という基本方針から、はがきを二十円に抑え、実施時期もさらに六か月遅らせて、五十年十月からということになりました。」いつなったのですか。いつなりましたか。
  89. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま先生のお持ちになっておりまするそのパンフレットは、実は当初これをつくりました際の考え方は、全国の郵便局の者に、お客様から料金値上げについて、いろいろ新聞等でも報道されております際でございますから、ある程度現在の郵便料金値上げ問題についての予備知識といいますか、もちろん料金値上げができておるとはだれも思っていないことは当然でございますけれども、この考え方、どうしてこういうふうに上げなければならぬかとか、どの程度値上げ幅になるのかというふうなことをもし聞かれても、現場の管理者としてそういったことについて全然知識がないということでは非常にぐあいが悪いということで、外部の一般の方にこれをそのまま配るという趣旨ではなく、考え方といいますか、成り行きその他いろんなことをできるだけわかりやすくそういう場合にお話しをして御理解を賜ろうということで、そういう趣旨でつくったものでございます。したがいまして、国会の先生方にもこれをお配りしておるわけではございませんので、私たちの方の中での一つの経過を報告したつもりでございます。もちろんこのつもりが五十年十月からということになりましたというのも、そういう案で進んでおりますということを言ったつもりでございましたけれども、どういったことかで先生のお手元にも渡りました。一昨日田邊先生からこの点について御指摘がありましたので、私は、このパンフレットの趣旨の弁明は一切いたしませんで、確かにそういう趣旨でお読みになりますると大変な間違いをしでかしたことになりまするので、直ちにこれは直しますということを申し上げたわけでございます。
  90. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、直すんだからそれで結構ですよ、それにまた追い打ちをかけようとは思いませんが、これは私は郵政の官僚の皆さん方の作文だから問題にするのです。これは一問一答で、郵便局が国民の質問に答える文章なんです。そうすると、郵政省という皆さん方は国会の法案審議というものを一番よく知っておられる人たちなんですよ。そうでしょう。一番よく知っておられる人たち、そういう高級官僚の皆さんが、常にこうやって私たちの質問をとったりやりとりしておられる政府委員の各位が、そういうことを知っておりながら五十年十月からということに書くところに問題がある。われわれ野党は少数ですからね。なに、野党の連中が適当に言ったってどうせ十月一日の法案は通りますわという発想がこの中に隠されておるんですよ。だから、字句の修正は、私は直してもらって結構です。しかし、そういう背景があるからこそこういうものが出てくることに私は非常に問題だと、こう指摘をするんですよ。大したことじゃないということを言われるかもしれぬが、一番国会に精通をし、一番国会の法案審議を知っておる人がこういうことを書く。一般の人に出した文書なら、ああそれは訂正します、間違った、こういうふうに言えるけれども、これは一問一答ですからね。その点は私は明らかに議会軽視だと思う。だから修正したということだけで−何か田邊先生が質問したんだそうだけれども、私はそういう本質的なものについてやはり是正してもらわなければいかぬ。議会で議論しておるさなかですからね。この点は私はひとつ郵政大臣明確にしておいてもらいたい。
  91. 村上勇

    村上国務大臣 この点は全く私の方の手落ちでありまして、お許し願いたいと思います。とにかく、いま法案審議の過程にこういうことをするということは、野党の皆さんだけでなく、与党の諸先生に対しても、これだけ熱心にやっていただいている際に、まことに相済まないのですが、しかし、私も実はきのうこれを拝見したような次第でありまして、やはり手回しよくやっておったのが、印刷が早くでき過ぎてというようなことだけではないと思いますが、とにかくだれかがうっかり筆が走ってしまった、こういうことで、決して悪い魂胆ではなくて、それだけみんなこの問題について熱心にやっておる、その熱心の度が過ぎたということで、ぜひひとつお許し願いたい、こう思います。
  92. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、済んだことだからとやかく言うつもりはありませんし、これから改めてもらわなければならぬのですけれども、大臣、四十九年度予算審議しますときに社労委員会で大問題になったんです。御承知でしょう。そのときに内閣としてはそういうことはもう絶対に許しません。あれは紛糾して審議がストップしたわけですから。そのときに内閣の統一見解として、これからそういうことはいたしませんぞということがあって審議再開されたんですよ。これは全くそのときと同じことをやったわけですよ。やってもやっても同じことでしょう。私はこのことで審議ストップしようなんて思いませんよ。しかし、四十九年度の社労委員会で大問題になったと同じことが郵政省の皆さん方でまたされる。これじゃ一体何をやっているんだ。国会冒涜もはなはだしいじゃないかと言わざるを得ないでしょう。私はいま言われたように、大臣が部下をかばう気持ちで、ついつい走り過ぎたと言われるそのお気持ちもわかります。しかし、国会の審議をする現段階で、しかも前年あったことと同じことがまたここで行われているということに、私は議会無視という非常に憤りを感ずるのですよ。  もう一遍大臣からも、ひとつこういうことを二度と——二度、三度ですからね。二度あることは三度あると言うけれども、このことを明確にしておいていただきたいと思います。
  93. 村上勇

    村上国務大臣 もう何にも申し上げることはないのでありまして、全く過ちでありましたので、その文章等についても十分注意いたしまして、かようなことのないように今後十分気をつけますから御了承願います。
  94. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ官房長、これは大臣が知らない間に行われた事務的な問題ですから、全部回収してください。私のやつも戻します。全部回収してください。
  95. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先ほど来の件につきましては私どもの方の大きな手落ちでございまして、深くおわびいたします。それからただいまのパンフレットにつきましては、先ほど申し上げましたように私たち外部に配るというつもりでお配りしてございませんので、回収と言いましても恐らく内部だけのことでございますから回収できると思うのでございますが、ただ先生のお手元にそれが回っておるといたしますと、外部にも行っておるかもしれませんが、そうなりますと、これは完全に回収ということがあるいはむずかしいかもしれませんが、できる限り御趣旨に沿って処置したいと思います。
  96. 松浦利尚

    松浦(利)委員 社労委員会でもあれは回収します、あのポスターは回収するということで全部回収が始まったのです。だから郵政省もそれだけの誠意は示してください。私のこれはお返しします。それはいいですね。  それでは続いて、特定局関係について質問をさせていただきたいと思うのでありますが、きのう資料要求して、すぐはできないというお話でしたが、昭和四十六年四月以降、世襲、特定局の局長さんの子供さん、あるいは奥様、こういう皆さん方が郵便局長に任命された場所と名前、それから局長がやめられた後部外者を登用した場合、どこどこ株式会社のだれだれ、どこどこのだれだれを、部外者を採用した場合の一覧表、これはできましたですか。
  97. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいまの御要求資料は非常に膨大なもので、御承知のように任命権者は地方の郵政局長になっておりまして、本省としてはそういう資料が手元にございませんので、先生のお話がきのうあったということは承りましたが、これは事実問題としても相当手数がかかるものと存じますので、ただいまのところまだできておりません。
  98. 松浦利尚

    松浦(利)委員 実は昭和三十二年の十月十日に、行政管理庁行政監察局から「小規模な郵便局の運営について」という行政監察勧告が出されておるのです。そのほかにも郵政関係の四十六年八月、四十六年九月、四十七年十二月、一つは電気通信関係だけですが、もこう勧告があるのですが、その一番早い三十二年の勧告なんですけれども、その中に特定郵便局に関する管理経費過大という問題の指摘がなされておるのです。率直に言って、それと特定郵便局長の任命というのは大きなかかわりがあるわけですよ。ですから、いま申し上げた資料をどうしても私は提出してもらわなければ困る。その資料は早急にできませんか。いつごろまでにでき上がりますか。
  99. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  部外者から特定局長に任用した者、あるいはまあ先生世襲とおっしゃいましたが、ただいま世襲ということで任用いたしておりませんが、現局長が前代の局長とどういう縁故関係にあるかというようなことで、どの程度の範囲がそれに該当するかということになろうかと思いますが、そういう数字についてなら早急に調べるということは可能であろうと思いますが、具体的な局名及び氏名ということになりますと、これは手数としても膨大でありますし、それからある採用した職員の縁故関係とか前歴とかいうことになりますと、省としてこれを正式の資料という形でつくれるものかどうかという問題がございますので、おっしゃった件、少し検討させていただきたいと思います。
  100. 松浦利尚

    松浦(利)委員 検討させてくださいということですが、それはその数だけでもすぐ調査できますか。
  101. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいま四十六年度以降というお話でございますが、ただいま私の方でわかっているのは四十八年四月以降でございますが、部外者から任用した数は四十八年度が八十人、全任用数が九百五十九人でございます。それから昭和四十九年度が八十六人、全任用数が九百六十四人でございまして、パーセントで言いますと、四十八年度が八・三%、四十九年度が九・一%、こういう数になってございます。  それからもう一つは世襲というお話でございましたが、縁故関係のある者ということで配偶者あるいは四親等内の血族とか姻族、そういったことで拾ったものを報告を受けましたが、四十八年度の全任用数九百五十九名中二百三十四名、四十八年度だけただいまわかっておりますが、九百五十九名中二百三十四名ということでございます。
  102. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これ早急に資料をそろえて、四十六年四月以降の資料を本委員会に提出していただきたいというように思いますが、よろしいですか。
  103. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいま申し上げましたように、特定の職員の名前を挙げて、その職員の父との関係がどう、それから前歴がどうということで郵政省として調べるということについては、御勘弁願いたいと考えている次第でございます。
  104. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その資料を出していただいたときに、この問題については議論させていただきます。それもよろしいですか。資料がなければ議論できませんから、その四十六年四月以降の資料を出していただきたい。  なぜそれを言うかというと、「小規模無集配特定局は管理経費過大のため、経営経済上、郵政会計の過重負担となっている現状にかんがみ、」云云、こうなっているのですよ。そのことがあるからぜひ出してくれ、こういうことですから、出してくれるのですね。
  105. 神山文男

    ○神山政府委員 先生の御要求は、具体的な職員の名前を挙げて、それとの血縁関係とか、それから前歴という性格のものを含む資料ということでございますので、事柄の性格上郵政省として正式にできるかどうか、慎重に検討させていただきたいと思います。
  106. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ慎重に検討していただいて、だめな場合がありますから、そのときにはまたそのだめなときで、どう扱うかそのときに議論させていただきます。  それで、大臣にちょっと、大変恐縮なんですが、一般論としてお尋ねをしておきたいのです。これは資料が来たときにまた議論させていただきますけれども、これは一般論です、具体的なことはわかりませんから。特定郵便局で営々として一生懸命努力をしてきた。ところが、そこの局長さんがたまたまやめられた。やめられた形はいろいろあるでしょうが、やめられた。そこの局の人たちが上がっていった方が勤労意欲が高まるとお考えになりますか。それともその局長がやめたときに、どこか部外とかあるいは自分の縁故関係者をぽっと連れてきて局長にすぽっと据えた方が従業員の勤労意欲はわくとお考えになりますか。前者か後者か、これは一般論ですから、大臣、一般論としてどうお考えになりますか。
  107. 村上勇

    村上国務大臣 これは両方の場合が考えられますね。特定局というのは御承知のように、明治以来ずっと郵政業務に比較的功労のあった一つの流れがありまして、局長そのものがそういうみごとな非常にりっぱな局長の場合には、そこに働いている従業員も非常にりっぱな従業員で、かえって部外から入ってこられて頭に座られたよりもその方が働きやすいというような場合もありましょうし、それからまたそれと別な場合もありまして、必ずこれでなくちゃならぬというようなことはないと思います。そのときそのときの、またその場所、それからいろいろな客観情勢等も考えながら、これでなければならぬ、この方がいいんだということをいまはっきり申し上げることは、私ははばかるというのではなくて、どうも判断がつきません。
  108. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、いまあなた大変なことを言っておられるのですけれども、人事院規則がありますね。人事院規則から、通常の場合国家公務員は人事院の試験を受けて、そして試験に合格した者の中から選択をする。上級管理職、大学卒についてはさらに採用について一定の限度がある。そういうことはおわかりだと思う。ところが、同じ国家公務員でも郵政については郵政省自体の任用基準、選考基準で律せられるようになっておるわけですね。それは公労法適用という段階で人事院の方から外れていった。というようなことになりますと、いま大臣が言われたような判断で言えば、そこら辺の局長さんもどこか部外から採用した方が能率がいいかもしれないのですよ。あるいは本省の課長さんたちだって部外からぼっと連れてきてやった方が能力がいいかもしれませんよ。郵政事業について堪能であるかないかということは関係ないわけだから。全くの部外者を連れてくればいいわけだから。その方がいい。あるいは普通局でもそう。たまたま特定局だからこうだということじゃない。あなたの言っておられるのは郵政事業としてはこうでございますと言われたから、だとするなら、普通局の局長だろうと本省の局長クラスであろうと、部外から任用してきた方がもっとスムーズにいくということを結論的にあなたは言っておられるわけです。それで本当によろしゅうございますか。そういうふうに判断してよろしいですか。
  109. 村上勇

    村上国務大臣 これは事務的にめんどうですから、人事局長から答えさせます。
  110. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうじゃないのですよ。だから大臣、私は一般論一般論、こう聞いておるわけですよ。一般論としてどうですかと聞いたらあなたが一般論に答えられたから、私はいま一般論として申し上げておるのです。その人事局長の基準があることは私も知っておって言っておるのですよ。だから一般論と冠したでしょう。あなたはたまたま一般論でどちらとも判定しかねると言うから、それなら部外者からどんどん——あの基準は変えられるわけですからね。この委員会で変えようと思えば、すぐ変えられるわけですから。それをだから一般論として聞いておるわけです。それを人事局長は四角四面の箱の中ですから、大臣は一般論としてお答えになったのですから、だから一般論のお答えがあるとすれば、いまどういう規則があるか知らぬが、郵政事業の発展のためにはそういうふうに部外者を連れてきた方がいい、部内者の登用よりもむしろいいんじゃないかというのじゃなくて、どっちとも判定しがたいという御答弁だから、私はお聞きをしておるのですよ。人事局長が要らぬことを言うから、大臣がわからなくなる。
  111. 村上勇

    村上国務大臣 私は一般を言うたのじゃないので、私がお答えしたのは、特定局長の場合に、特定局長にはその地域における郵政事業の信望を担い得る有能な人材を部内、部外を問わず広く簡抜することとしておりまして、過去の経歴、勤務実績のほか、面接等による人物評価の結果等をも参酌し、また特定郵便局長としての必要な管理能力等を慎重に判定の上、任用を行っております。そういうこともあり得るということであります。
  112. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、そういう任用基準があることは、私もここに持っているから知っているのですよ、そんなことは、二十五歳や三十歳という。大臣、私は一般論としてお聞きしたわけですよ。そうしたら、一般論としてはそういうことは郵政事業についてどちらが勤労意欲がわくかということについては私は判別しがたい、こういうふうに御答弁なさったから、それなら全部そうしたらどうですか。基準なんか変えようと思えば変えられるわけですから。部外者から登用したらどうか。それはできないわけでしょう。特定局はできるが、ほかのところはできないわけでしょう。その点をはっきりさしておいてくださいよ。一般論としてはこうなんですね。だから、一般論としては郵政事業の発展というのは、部外から登用しようが部内から登用しようがそれはどちらとも判定しがたい。しかし、いま特定局はそういうふうになっておるが、こちらはできておらぬわけですね。そうしたら、そういう方向に改めたらどうですか。郵政事業がそういう方向の方がいいとすれば、改めるべきですよ。特定局長についてはそういう基準があるが、そういう基準に郵政事業は全部改めるべきですよ、郵政事業のためにその方がいいと言われるならば。
  113. 村上勇

    村上国務大臣 あなたのお聞きになったのは特定局長の場合の話だけだと私は解釈しております。でありますから、一般ということになれば、それはもうとんでもないことになります。
  114. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だから大臣会議録を見ていただければわかりますが、一般論として、特定局の局長が世襲して、あるいはほかから部外から登用されて、そして従業員が登用の道がないということと、登用の道があるのとは、どちらが云々ですかと質問したら、それはどちらとも判定できない、こういうお答えだったから、郵政事業がそうだとするなら、全部そうしたらどうですかというお話をした。それはだめなんでしょう。そのだめな理由は何ですか。
  115. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣からお話し申し上げましたように、特定局長の任用につきましては、その地域社会の信望を担い得るような人物を広く部内部外を問わず選考によって採用するということをやってまいっておりますが、山間僻地までの地域社会に溶け込んでいくということが特定局としてはやはり最も大切ではないか、貯金、保険の仕事にしても。そういう面から判断しまして、一般のその他の専門職とは違って、そういう面からの選考ということも大切であろうということで、そういうふうに歴史的に郵政省としては方針をとってまいっておるわけでございます。
  116. 松浦利尚

    松浦(利)委員 人事局長、特定局と普通局はやっていることは一緒でしょう。普通局だって地域社会に溶け込んでなければ困るのだから。特に貯金、保険ということになれば、人口の多いところからかせいでこなければいかぬのだから。それなら、本省は別にして、普通局も特定局も、大きいか小さいかだけの違いですよ。あなたが言う理屈で言うなら、普通局の局長なんかも部外から登用したらいいじゃないですか。それがなぜできないのか。かえって大きな局ほど地域とのつながりが深くなければ困るでしょう、あなたの理論でいくと。それなら普通局の局長も、任用基準を改めてこれから部外から登用しますか。
  117. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  ただいま申し上げたように、特定局は全国津々浦々といいますか、小さな社会にまで溶け込んでいくというような性格を担っているということでございまして、そういう性格に適した人間を広く簡抜していくということでやってまいっておりますし、その方針が現在も非常にいいのではないかというふうに考えられるわけであります。普通局となりますと、担当する地域も非常に広くなりまして、特殊の小さな地域に溶け込むという性格からは若干異なったものを持ってくるんではないか。しかも、規模が大きくなりますと職員数もふえますし、仕事の内容も非常に複雑になってまいります。そういう面からは、やはり部内において相当経験を踏み、専門的な知識も持った人を登用するという方がより適当であろうというふうに考えているわけでございます。
  118. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま人事局長の言われたのは御都合主義だと私は思うのですよ。郵政事業というのは一体でなければならないのですね。普通の大きい局だろうが、末端の特定局だろうが、無集配局だろうが、簡易郵便局だろうが、住民サービスという面から言えば同じことだと思う。その住民サービスというものが、あなたの場合は都市部の住民サービスの管理と田舎の管理とは違うのだ、それはそれでいいんだ、こういうふうに盛んに強弁しておられるけれども、郵政事業という枠の中から見たら、やはりそれは好ましいことではない。これは意見の相違だから、いろいろ申し上げる必要はないのですけれども。しかし、そのバックグラウンドがあるでしょう、なぜそうせざるを得なかったかということが。それは正直に言わなければいかぬですよ。  現実に、いまの特定局の局舎の中で、国営の局舎、あるいは郵政互助会が間接的に建てて、あるいは地方自治団体が建てて郵政省に貸しておるというような、そういう特定局の局舎というものは一体何%ですか、直営というのは。あるいは郵政互助会が建てたというような特定郵便局は、全国で幾つあるうちのどれだけですか。
  119. 武田礼仁

    ○武田説明員 お答えいたします。  特定郵便局の所有者につきましては、昭和四十九年三月三十一日現在で申し上げますと、総合計一万六千八百五局のうち、国有が千三百七十四局、互助会所有が千五百一局、その他が一万三千九百三十局であります。  以上であります。
  120. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言ったように、局舎が、同じ郵政という国有事業でやっておるにかかわらず、もうほとんど大半は私有局舎なんですね。国でやっておらないのですよ。ですから結局、特定郵便局舎を持っておる人、局の所有者、そういう人たちに局舎借り上げの家賃を払って、そしてその人たちに代々やってもらった方がトラブルがなくて、いい。いま郵便局長Aという人がやめたからといって、すぐほかからBを持ってくると局舎をどこかへつくらなければいかぬ。条件としては局舎をどこかにつくることの資金力のある人、その人が局長になる。しかし、それが仮にないとすれば、Aの局舎を持っておった人の息子さんなり縁故者が局長になる。もともと、そういう仕組みでしょう。本当は好ましくないのだけれども——正直に言わなければいかぬと思うのです、本当は好ましくないのだけれども、局舎が現実的に国有化されておらぬ、あるいは互助会という間接的な郵政互助会がつくられておらぬ、したがってそういう任用の仕方も今日ではやむを得ないのだ、そういう背景があると私は思うのですよ。それをへ理屈をつけて、いや地域的だ、どうだこうだと言うところにおかしさがある、漫画的過ぎるのですよ、郵政事業という本来の姿から見ると。いまの局長さんや特定局の局長さんでも一生懸命やっていただいておりますよ。そのことは認めます。しかし、こういうあり方というのは私は郵政事業の発展というものを停滞さしておると思うのですね。大胆なら大臣の権限がすべてに及ぶようにするためには、郵政当局の権限がすべてに及ぶようにするためには、やはりそういう借り上げ局舎というような形態というのはなくさなければいかぬ。だからと言って、いますぐこういうふうにできないわけですよ。しかし構想として、局舎というものはそういうふうに方向を持っていきたいということについて、大臣、どう思われますか。
  121. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵便局の局舎のあり方につきまして、国営事業でありますから、すべての郵便局舎を国有にすべきではないか、借り上げ局舎というものはなくさなければならないのじゃないかという御意見につきましては、確かにそういった意見を持たれる方もあるわけでございますけれども、何分、全国の特定局を含めまして一万八千にも及ぶたくさんの郵便局の局舎をすべて国で持つということは、これまた直ちに事業財政の大きな負担にもなることでございまして、現実には、先ほど建築部長が読み上げましたように、特に特定局の場合これを借り上げによってやっておるというのが非常に多いわけでございます。  この特定郵便局の局舎をすべて国で持つべきではないかという問題につきましては、実は昭和三十三年のころに、こういった特定郵便局の制度全体について当時徹底的に議論をしていただきまして、特定郵便局制度調査会というものがございまして、その答申が出ておるわけでございますが、その答申の中にも、この局舎につきましては借入局舎と国有局舎と併用の方針をとっていくべきであるということを言っておるわけでございます。すなわちその内容は、適当な施設、たとえば立地条件のよいところに存在するといったような、そういう適当な施設が局舎として妥当かつ経済的な条件で利用できる場合は借入局舎による。それから、それと反対に国有局舎にすることが事業財政上有利な場合、または借り入れが不可能な場合もしくは借り入れを不適当とする場合−−たとえば大都市の中心部に所在する郵便局でありますとか、または大規模な郵便局などの場合でございますが、そういったような場合は、予算の許す範囲において国有局舎によるべきであるというふうな答申が出されておりまして、昭和三十三年でございますから古い答申ではございますが、この趣旨は、現在でも私たち守っていくべき基本的な考え方であると思いまして、今日もこの考え方を踏襲いたしておるわけでございます。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、いまやっておるのをすべてやれというのじゃないのです。大変な金が要りますよ。そんなことを言っているのじゃない。しかし、少なくともこれから増築していく部分についてはそれでいいのじゃないですか。これから増設をしていく部分、新たに特定局というのができていますね、増減がありますから。減ったりふえたりしていくわけだが、これから人口がマンモス化して、だんだんベッドタウンがあちこちにできてくる、そういった段階では、やはり特定局というのができていくわけでしょう。そういったものについては、当然国有化していく、国でめんどうを見ていくのだという発想があっていいのじゃないですか。いままであるものをすべてと言っているのじゃない。少なくともこれから出ていくものについてはそうしていく、逐次そういうものでそういう方向に持っていくのだという大綱がなければ、いつまでたってもこういう問題は解決しない。その点どうですか。
  123. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま松浦先生からこれから新設されるような局舎については国有はどうかという御指摘でございます。確かに毎年度新しい郵便局の置局が予算で認められまして、たとえば五十年度予算ではたしか百五十局というふうに無集配の特定局を増置することが予算上認められておるわけでございます。ただ、この予算上認められております特定局の増置は、いま申し上げました無集配の特定郵便局でございまして、比較的小人数の、大体窓口だけを持っておる郵便局でございますので、先生案内のとおり定員も大体二、三人程度の小局でございます。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 特定局の中でも特にこういった局は小さな局でございますので、いま先生のお話ではございますけれども、私たちが今後局舎を国有にしていく考え方を進めていく場合に、普通局は当然といたしまして、特定局の中でも普通局に近い大きさを持っておる郵便局、現に定員が大体二十人以上のような郵便局ということになりますと、これは集配の特定郵便局でございますが、かなり大きな局舎になりますので、こういうものを建てるということは相当の資金が必要でもございます。こういったようなものにつきましては、将来の発展等も考えながら国有を進めていくというふうに考えておるわけでございまして、たまたま、お話ではございますが、今後ふえる郵便局というのは小さな郵便局が多いものでございますから、そういう定員二、三人のようなところの局まで国有化するということになりますと、これは膨大な資金が必要でございますので、事業財政上はそういったところは避けて、こういったものはできるだけ借り入れでいきたい、こういうのがわれわれの基本的な考え方でございます。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういう小さなところも何で分局にしたりあれにしたらいけないのですか。小さなところは、二、三人なら小さなスペースでいいのだから、分局か何かにすればいいじゃないですか。そうすると、分局にすれば局長も要らぬ、主任かだれか一人置いて、従局的なものとして運営していけばいいでしょう。そういうことがなぜできないのですか、分局にすることが。その分局にしていくということは、逆に言うと行政管理庁の監察結果にマッチしてくるわけですよ。いままでのはいいですよ。これからつくるものについてはそういう方向がなぜできませんか。あなたは逆に借り上げだ、こう言うけれども、二、三人の局は分局にしたらなぜいかぬのですか。
  125. 石井多加三

    石井政府委員 いま私が申し上げました本年度予算で認められておりまする百五十局の無集配の特定局は、いま申し上げましたような小規模局でございまして、こういったところは大体大都市の近郊の最近の発展地等にほとんど置いておるわけでございまして、昔のような山間僻地の採算的には非常に不利な特定郵便局の増置ということは最近ほとんどいたしておりません。したがいまして、いまのようなそういった発展地等に置きます場合は、たとえばその辺に住宅公団の団地ができます場合は住宅公団の方から適当な土地を借りますとか、そういった措置もございまして、局舎を借りるという場合に特定郵便局といういわゆる私有の特定局長個人から借りるというような場合もありますが、むしろそういった住宅公団等のものを借りるというような場合もございますので、そういった考え方でやっておるわけでございます。  なお、分局ということになりますとこれは制度論の問題でございまして、私いま局舎について申し上げますならば、分局というものをもしつくるといたしますと、これは要するに国の金で建てるわけでございますから、先ほど申し上げました私の基本的な考え方、つまり小さな局はできるだけ借り上げていくという方が事業財政上よろしいのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  126. 松浦利尚

    松浦(利)委員 年間借料というのは幾ら払っておるのですか。赤字郵政事業特別会計から局舎の借り上げ料というのは幾ら払っていますか。
  127. 武田礼仁

    ○武田説明員 本年度の特定郵便局舎の借料予算は百一億八千八百万円となっております。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、いまお聞きになったとおり、赤字会計の中から百億以上の借り上げ料を払っておるのですよ。  それから特定郵便局で局長が一人で従業員が一人か二人というところの、局長の年間所得は幾らですか。
  129. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  特定局長の平均賃金でございますが、十七万程度になっております。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いいですか、大臣、いまお聞きになったとおりです。局長一人が十七万ですよ。そのほかにその規模、面積に従って一定の評価がえをして、そして家賃を払うわけですよ。百一億幾らの家賃を払うわけです。それで採算が合うと思いますか。先ほどから人事局長が言っておるように小さなところですよ。物の扱いも非常に少ないところで、そういうふうに局長さんには十七万上げて、借料も上げて、そして採算に乗ると思いますか。どうです。一生懸命やっておられることは事実です。私も局長さんに仲のいい人がたくさんおります。一生懸命やっておることは事実です。一生懸命やったって採算に乗らぬでしょう、さっきから言うようにそんなところに置いておるのは小さいところだから。人口の寡少なところは従来どおりやるというのですから。どうですか、赤字になるように仕組まれているでしょう。
  131. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま先生の御指摘の局を無集配特定局ということに限って考えてみたいと思います。     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 その場合に、昭和四十七年度調査がございますが、全局調査はございませんので、抽出した結果で申し上げたいと思いますが、それによりますと、四十七年度におきます一局平均の収支状況は、三事業全体で考えますと黒字ということになっております。ただ、郵便事業については収支率が貯金、保険に比べて悪いという結果が出ております。ただ、郵便局は御承知のように三事業が一体になって行われております。したがいまして、そういう意味合いで無集配特定局の採算はどうかという意味での御質問であれば、全体として黒字になっております、こうお答えしたいと思います。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまあの人が言ったのは非常に間違いがあるのです。私たち郵政事業特別会計が赤字だから議論をしているのですよ。三本全部一緒に議論していいのですか。郵政事業についてはどうかという質問をしているのに、あなたはごまかして、貯金特別会計、保険特別会計、郵政事業特別会計一緒にして黒字ですと、こう言っているのですよ。すれ違っているでしょう。だから、これはもうあれですから、いま言ったように資料を出してください。要求します。  一つは、先ほどのこの家賃がどういう形で支払われておるのかということ、それから平均の家賃が幾らかということ、それから局長さん方の給与がどれくらいになっておるかということ、それから従業員のそういう無集配の給与が幾らになっておるかという資料、減価償却は何年でやっておるのか、その減価償却が終わった局舎が幾つあって、減価償却が終わらない局舎が幾つあるのか、そういう資料をここに出していただきたいと思う。なぜこれが要るかというと、私は郵便料金赤字だから値上げをするというなら、いままでの問題は、制度は制度としてこれはやむを得ないから、やはりこれからもう二度と赤字が出ないようにできるだけ努力をしていくという、そういう方向づけが必要だと思うのです。いままでの局長さんあたり、あるいは従業員さんが一生懸命やっておってもなおかつ赤字が出てきておる。だからそういう赤字郵政事業特別会計の中でどうかやって改めていくように私たち考えてやらなければならぬ。そういう意味で私はいまここで議論をしておるわけです。ですから、そういう資料をここに出していただいて、改めてその問題についてこれからどうしていくのかということについて、出された資料についての質問をさしていただきたいと思います。したがって、いまうちの理事からも連絡があったのですが、もう本会議の予鈴前なので、この際ここで質問をちょっと打ち切って資料をもらった後、再度理事会で議論をするからというお話しです。確かに代議士会もあるようですから、要求だけして私の質問はここで一応保留さしてもらいます。
  133. 武田礼仁

    ○武田説明員 一局当たりの借料というものはここに出ておりまして、六十万六千円です。それからもう一つ、償却が済んでいるという言われ方をされましたが、償却というものは家賃の成立の過程ということから考えまして、償却が済んでいる、済んでないというような議論はできないと思いますが……。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは、実際に国有のもの、郵政互助会のものは償却をしておるはずですよ。国有財産だから償却しなければならぬだろう。それに見合わして一緒にやってみてください。わかる。計算すればすぐ出る。資料要求しておきます。
  135. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕