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1975-04-17 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十七日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 加藤常太郎君 理事 志賀  節君   理事 羽田  孜君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       亀岡 高夫君    倉石 忠雄君       坪川 信三君    廣瀬 正雄君       増岡 博之君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   仲田 嘉夫君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政大臣官房首         席監察官    永末  浩君         郵政大臣官房電         気通信監理官  田所 文雄君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省簡易保険         局長      北 雄一郎君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     増岡 博之君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   増岡 博之君     小渕 恵三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土橋一吉君。
  3. 土橋一吉

    土橋委員 きょうの委員会に、特に私の質問に当たりまして郵政大臣並びに政府委員皆さん、まことに御苦労さまでございます。  さて、郵便料金値上げに関する委員会でございますけれども、その前に郵便料金値上げに深い関係を持っておる労働問題についてちょっとお尋ねをしてみたいと思います。  これは昨日の郵政大臣の御答弁にも、また神山人事局長答弁にもありますように、四十五年の十二月十四日の全逓郵政側の話し合いによって、きわめて正常に現在行われておるというふうに説明をされております。特に村上郵政大臣はこの問題について、人手を多くしておる郵政においては、その正常な関係が非常に必要であるということをきのうも強く力説をされておるわけです。  そこで、七五年春闘でありますが、一昨日の夕刊を拝見しますと、御承知のようにいま闘われておる七五年春闘方向について一応いろいろ説明をしています。また昨日は、関東周辺中心といたしまして、御承知のように日比谷公園で二万有余の労働者が集まり、公企体公務員皆さんもこういう要求を掲げておるわけでございます。第三次統一行動で、きのう、十六日でございますが、「大幅賃上げ、「合理化反対失業反対労働基本権確立などの要求をかかげて、「首都圏労働者決起行動」がくりひろげられました。」と。最高は二十四時間ストで闘っている全金、全国一般新聞労連、合化労連のほか、都職とかあるいは県職など多くの方が闘っております。この中で、十五日の夕刊を拝見しますと、「全電通などスト中止」という題目で、全電通が出している回答内容は、新聞から見ますとこういうふうに言っているわけです。「民間賃金動向が固まる来週中をメドに誠意ある有額回答を示す」これは一です。二は「回答内容は、民間動向参考にし、関係方面了解を得ることを前提として、実質賃金を保障する立場に立って考えたい」。三番目、「そのさい、消費者物価上昇率を考慮、民間賃金にそん色のないよう努力する」というふうに書いてあるわけです。この中では最後に、国鉄全逓も大体そういう方向に同調するだろうということを書いておりますので、私はこういう情勢から考えまして、七五年春闘では、いろいろ言われております。新聞でもいろいろな論評を出しております。しかしながら、私たちはやはり実質賃金を上げることが必要でありますので、現在全逓から要求されておる賃金ベース要求は何ぼであるか、それに対して、こういう新聞動向から見て、郵政省はどういう対処をして労使関係における正常な関係をつくろうとしておるのか、これが第二点。  第三点は、七四年春闘において処分をするという問題がまだ決着がついていないわけです。これは憲法第二十八条の違反条項でありますので、当然公企体の諸君なりあるいは国家公務員ストライキを行う権利を憲法第二十八条で保障しておるわけです。この基本原則を侵して処分をするということは、これは法規上から見ても誤りであるし、撤回をすべきであるというふうに考えておるが、この三つについてまずどういうふうに考えておるのか、明確な答弁をいただきたいのであります。
  4. 神山文男

    神山政府委員 お答え申し上げます。  この春闘といいますか、ただいま全逓からベースアップ要求が出ておりますが、その額は四万七千七百円の基本賃金の引き上げということでございます。それで、ただいま全電通に対する電電公社回答お話がありましたが、郵政省におきましては、ただいまは財政上の問題が非常に窮迫しているという問題があるということと同時に、民間賃金動向、これがまだきわめて流動的でありまして、給与特例法にも定められております給与根本原則からいっても、民間賃金動向ということが一つの大きな要素として掲げられておるわけでありまして、この民間賃金動向がきわめて流動的であるという現在、まだ回答ということはできる段階にはなっていない。それとまた、ただいま御審議を願っておる郵便法改正法案を提出した理由も、現在の郵便財政郵政事業特別会計財政事情が非常に窮迫しているという状態を抱えておりまして、具体的な回答を行うことはきわめて困難であるということであるわけでありますが、しかし一方、郵政省従業員郵政事業従業員に対しましては、やはり他の公企体あるいは現業職員に対して給与改善が行われていくということになれば、われわれも同じような改善はしていきたいという気持ちは十分持っているわけでありますが、何しろ先ほど申し上げたような情勢でありまして、電電公社回答申し上げたようなところまでは回答いたしかねる。しかし、そういう気持ちを持っているわけでありますので、今後関係機関とも十分相談いたしまして、できるだけの措置がとれるようなことをやっていきたいというふうに考えております。  それから七四年でございますか、春闘においてストライキが行われまして、相当多数の職員がこのストライキに参加しているわけでありまして、これは再三政府としても申し上げておりますし、閣議でも決定されておりますように、厳正な措置をとっていくということでございまして、私どもも厳正な措置をとるという考えでおります。ただ、その時期をいつにするかということでございますが、これについてはいろいろの諸般の事情を勘案いたしまして慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  5. 土橋一吉

    土橋委員 第一の問題についての実質的な賃金動向がまだ決まっていない、きわめて流動的だ、したがって具体的な回答をするには至らない、こういう趣旨説明であったと思うんですよ。しかしながら、あなたの方はそういうことは余り研究していないかもわからぬけれども、この「春闘回答速報」という赤旗の報道によると、たとえばこれは民間ですが、出版金属、その他たくさんの労働組合があります。一つの例を金属関係にとりますと、三万円以上回答したものが第二次回答ではたくさんあるわけですよ。名前を挙げますと、タカラベルモント三万四千円、藤村鉄工中部鋼管、これらみな三万二千円から三千円です。それから越原鉄工日本メッシュ、それから瑞穂工業なんかはみな三万円以上です。そして日之本製鋼は四万円出しています。大阪鋼板は三万六千円です。それから出版関係では、小学館が三万三千百八十四円を出しておるわけです。特にわれわれに関係の深い民放労連関係で申しますと、西日本放送ファミリーサービス部は三万九千六百四円出しています。あるいは中央録音は三万円出しております。こういうことで各労働組合は、少ない方で大体二万七、八千円から九千円、多いところは四万円、こういう回答がすでに出ておるわけであります。その中で妥結したものもあります。たとえば出版啓林館では三万九千八百二十九円で妥結をしております。あるいはタカライス工業でも三万一千円で妥結をしております。  こういう状況から見ますと、いま全逓関係要求されておる四万七千七百円はきわめて至当なものだというふうに私は考えておるわけです。ですから、流動的であるとか情勢がわからないとかと言うんじゃなくて、内容を調べれば、いま申し上げましたように三万円以上で第二次回答を出しておるし――四万円出しておるところもありますよ。全国分類で見ますと、四万円以上はいまのところ七カ所で出しておるわけです。(私語する者あり)ちょっと、発言中であるから妨害しないでくれよ。あなた方知っておるでしょう。いま真剣な討論をしておるのに、不規則発言をやって妨害をするとは一体何事かね。こういう妨害をして、どうして委員長、制止をしないのかね。われわれいま真剣に問題を討論しておるのだ。どうですか。
  6. 地崎宇三郎

    地崎委員長 お静かに願います。
  7. 土橋一吉

    土橋委員 さて、こういう内容でありますから、状況がわからぬとかいう問題ではないと思うわけです。したがって昨年の十月以来、御承知のように異常に物価が上がってまいりました。これはどなたも否定のできない状態であります。しかも現政府は、昨年に比較をして一五%に抑えるなどということを言っておりますけれども、昨年が異常な物価狂乱状態であったわけです。その狂乱状態、いまも続いておるわけです。それを仮に一五%に抑えようと一八%に抑えようと物価は異常に上がっておるわけです。春闘は大体昨年の春やったままです。ですからこういう状況において、議会の職員方々もそうですけれども俸給生活者はいまどこでも困っておるわけですよ。この真剣な問題について、先ほどのように、まだそこまで至らぬとかあるいは全電通までどうも考えていないとか、これでは郵政は三十数万の労働者を抱えていて一体何をしておるのかということになるんじゃないでしょうか。そういう問題を解決しないでおいて郵便料金値上げだけをやってくれというのはどういうわけなんだ。そんな条理の通らないことを要求してはならないので、この春闘において率先をして、しかも三十数万の労働者が働いておる全逓という組織を持っておるところに対して、それ以外の組織、未組織もありますけれども、きちっとした態度をとらなければならぬのじゃないでしょうか。郵政大臣どうでしょうか。私の言うことは間違っておるでしょうか。――いや、郵政大臣、そういう態度について私はお聞きしたいのですよ。どうですか、村上郵政大臣
  8. 村上勇

    村上国務大臣 土橋先生お話でありますけれども、いまの郵政省、特に郵便事業につきましては、現状ではいかんせん回答のできない状態であることは、多年経験のあられる先生には私よりもよくおわかりだと思います。
  9. 土橋一吉

    土橋委員 私は村上郵政大臣には非常に敬意を表しております。いまから十九年前も郵政大臣をしておられました。今回二十年けみして、風雪に耐えて再び郵政大臣の職におられるということに対して、私は非常に敬意を払っておるわけであります。こういう点から、いまのお話のような点は私はいただくことができないわけですよ。というのは、御承知のように労働者はほかに収入の道がないわけですよ。郵政省俸給あるいは手当、そういうものによって家族を養って郵政事業をやっているわけですよ。ですからあなたの方の都合で、金が足らなくなったとかなんとかというそんな責任は、郵政省高級官僚政府が負うべき問題であって、労働者は何の罪もないわけですよ。しかもいま申し上げるように、またきのうからあなたも仰せになりましたように、物価が上がっておることが一番問題だ。その物価は一体だれが上げておるのかという問題に帰着するのであって、働いておる労働者にそれをしわ寄せするなんということは許すことができない暴論と言わなければならぬわけですよ。あなただってよく御承知だと思うのですよ。皆さんのおかげであなたは郵政大臣が勤まるわけです。ここにいらっしゃる郵政職員方々もみなそうです。働く人がいて要するに郵便業務をこなしておるからこそ、皆さんはおまんまが食べられ、そして局長であるとか課長という責めが全うできるわけですよ。その者がいま困っておるのにそのことを考えないというのだったら、これは一体どうしてくださるのでしょうか。私は郵政大臣のお考えは、失礼ですけれども逆立ちをしておると思うのですよ。まず給与の問題をどう解決するか、これをやった上で値上げの問題を出すべきであって、給与の問題を解決しないでおいて値上げだけ先行して、それで実際給与は適当なことをやっていく、これでは逆立ちではございませんか。それではあなた方がきのうからお話しになっておるように、要するに労使間はよく話し合って問題を解決する一たとえばきのうの職業病の問題だってそうですよ。頸肩腕症候群の問題にしたって腰痛の問題にしたって白ろう病の問題にしたって、全部同じでありますが、その問題を真剣に解決しないでおいて、方向を出さないでおいて、料金だけ値上げしてくれなんということは、これはあなたも経験があります通ることのできない関門ですよ。これは箱根の関所ですよ。ここのところをちゃんとしておいて初めて料金問題が解決できる、かように私は確信しておるのです。
  10. 村上勇

    村上国務大臣 先ほど人事局長が、われわれは他の公企体が仮にベースアップをしたにもかかわらず郵政だけがそれをながめておるというようなことはいたしませんと、はっきり申し上げておったようですが、私も全くそのとおりでございます。ただ、どっちが先かということを言われますと、いまのこの時点では、先を見通した場合に、やはりまずその原資をつくらなければならない責任が私にはあります。そういうことでひとつ先生の御理解をいただきたいと思います。
  11. 土橋一吉

    土橋委員 それでは神山人事局長に聞きますが、先ほどあなたは非常にあいまいな、そして自信のないものの言い方と態度であったわけです。しかし、全電通の方は、先ほども申し上げましたように、第一の問題は、動向固まる来週中、つまり今週ですね、めどをつけましょうと言って回答しておるわけですよ。第二番目の内容は、民間動向参考にして、そしてその他の関係からできるだけ了解をとって、それで中心実質賃金を高めましょう、こういう回答をしていますよ。そして、その際、消費者物価上昇率を考慮し、民間賃金遜色のないよう努力する、こういうことを言っておるのですよ。内容はそんなむずかしいことはないですよ。つまり、全逓要求が四万七千七百円ならば、それに対してどういう回答をするのか、どういう原資の配分なり、あるいは捻出をしてやるかということを考えれば、きわめて簡単に答えられる。それが、先ほどの答弁だと、全く他人事のような答弁をしている。そんなことは国会で許すことできませんよ。三十数万の労働者を抱えておるのに、あなた、そんないいかげんな答弁で済まされると思うのですか。きちっとした答弁をやってください。これは新聞にも出ることだし、みんなが聞いておることなんですから。
  12. 神山文男

    神山政府委員 郵政省態度につきましては先ほど申し上げたとおりでありまして、民間賃金動向ですが、大手についてはまだほとんど妥結をしていないというような状態であります。それとまた財政上の問題がありまして、具体的な回答を行うということは非常にむずかしいわけでありますが、ただいま大臣も申し上げましたように、他の公企体あるいは現業、こういうところの措置並みのことはわれわれも十分やっていきたいという気持ちを持っているわけでありまして、来週中に有額回答をするという回答電電公社から出ているというお話でございますが、そういうことになれば、私どもとしても、それ並み措置をとるように、関係機関とも十分調整を進めまして努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 土橋一吉

    土橋委員 私は、郵政省電電公社回答やあるいは国鉄の様子を見て、顔色を見て回答するなんて、そういう不見識な態度自身が光栄ある郵政省としては非常に不見識じゃないかというふうに考えるのであります。恐らく諸先生方皆そう思われると思うのです。そういうふがいない物の考え方で、どうして労使関係正常化勤労意欲上昇や、あるいは郵政職員として誇りを持って仕事ができるかということなんです。そうじゃありませんか。ですから、郵政大臣、これはひとつ、あなたも新聞をごらんになっておるし、いま私がもう二回も三回も同じことを言っておりますので、よく御承知おきと思います。しかも回答としては、先ほど申し上げましたように、こういうように、資料を差し上げますから――あなた「赤旗」を読んでいらっしゃいますか。
  14. 村上勇

    村上国務大臣 たまに読んでおります。
  15. 土橋一吉

    土橋委員 たまに。それじゃいけません。やはり毎日読んで、本当のことがどういうふうになっておるのか知らなければいけませんですよ。私もほかの資料を持っていますよ。ほかのある新聞資料をこう持っている。私は切り抜いて、見ました。これは全然でたらめなんです。大新聞記事ですけれども、これは全然でたらめ。こんなものは使いものにならぬ。やはり「赤旗」は本当のことを書いておりますので、この「赤旗」を読まないでおいて、たまに見るぐらいのことじゃ話にならぬ。どういう動向にあるかということを、やはり本当のことをよく知っておかなければいけませんね。うそのことを幾ら知ったってだめなんです。本当は一体どういうふうになっておるのか、これを私は参考に差し上げておきますから……(村上国務大臣「それはちょうどありますから結構です」と呼ぶ)そうですか。そういうわけでございますので、すべて各種別に出ておりますから、しかも第二次回答は、先ほど申し上げますように、大体三万円台です。それで多いところは四万円も出ております。たとえば四万円出たのは七つあります。こういう状態ですから、動向はきわめて明瞭でありますので、ぜひ善処されるよう、最後にこの問題について大臣の明確な答えを聞いて、この問題の質問を私は終わりたいと思っております。
  16. 村上勇

    村上国務大臣 「赤旗」の記事をもっての御意見ですが、私もいろいろな新聞を見ておりますけれども、まだ民間動向がはっきりつかまっていない、こういう状態でありますのに、いま郵政省だけがあわてて飛び出して、そして他のひんしゅくを買うようなことは、私はどんなことがあってもできないのですが、まあこの辺はひとつ、郵政省を多年支持していただいている先生の深い御理解をお願い申し上げます。全従業員に対して決して他の公企体遜色のないようにしたいということは、私の本当気持ちでありますので、どうかひとつ御理解願います。
  17. 土橋一吉

    土橋委員 まあ物の考え方見方によって違うのでしょうが、あなたの方で率先してそういうことをおやりになったからといって、郵政三十二万の労働者郵便を利用する人が、ああ村上さんはとんでもない、どうも先走っておるなんと見る人は一人もありませんよ。むしろ、勇敢な、それこそ労使関係正常化するためそこまで努力しておるのかというので、あなたに対する同情やあるいは尊敬は深まるとも決して後退するものじゃございませんので、安心をしてどうぞおやりください。そういう杞憂は要りませんから。ただ、部内においてあなたが閣僚として、ほかの悪い大臣から責められることはあるかもしれないが、決して大衆からは責められませんから、安心をしてやっていただきたいというふうに思うわけです。  そこで、あなたは新聞も見ておる。ある大新聞記事を私は拝見しております。これは一五%のガイドラインを突破するかどうかといったような、そういう物の見方で書いている新聞は正しくないわけですよ。つまり、四万数千円というのは要求中心であるわけです。それが一五%のガイドラインが超えられるかどうかなんという物の見方で、結局こういう新聞では、大新聞であろうともこれは問題にならないわけです。こういう点をひとつ参考までに私はお示しを申し上げて、ぜひ「赤旗」を読んで労働問題は研究していただきたい、こういうわけであります。  さて、今度の郵便料金のかってない大幅の値上げというのは、国民に与える影響も非常に至大なものでありますけれども、われわれ逓信部内でいろいろやっておる者にとってもまことに大変な問題であります。しかもそれが御承知のように、従来の二〇%、三〇%といっても大幅でございますけれども、それが二倍とか二倍半とか、物によっては三倍も上がってくる、こういうかつてない状態であります。しかも、これがたばこ、お酒の大幅の値上げと絡んで、なるほど実施時期は、片方の酒、たばこは五月から、郵便の方は十月ということになっておりますけれども、こういう並列の形をとっておると、だれが見ても、非常に困ったことだ、どうしてやっていこうかという問題になってくると思うのですよ。そこで、あなた方はこれをお出しになった際に――私たちは、きわめて不当であるし、こういう大幅値上げは認めるわけにはまいりませんが、しかし、あなた方としては相当の理由があったと思うのですよ。その根本的な理由はどういう理由でこんな大幅の値上げを出してきたか、その根本的なところだけを簡単に答えていただきたい。どういう理由でこんなことをしたか。
  18. 村上勇

    村上国務大臣 今回の料金改正案は、昨年の末に郵政審議会から答申された料金案をもとに制定されているものであります。御承知のように、郵便事業はほとんどその八、九〇%までが人手を要するものでありまして、この人件費が――これはどっちが悪いのかわかりませんけれども物価が上がってきた、インフレになって、とにかく賃金が毎年のように上がってきた。そういうようなことでどうしても、すでに本年度では営業収入全部をもって充てても人件費すら賄えないというような状態になっておるのであります。また、四十八年の十二月、郵政審議会から料金改正答申がなされていましたが、公共料金抑制政府の方針で四十九年度はその実施を見送ったのであります。すでに約千四百億ばかりの赤字が見込まれておりまして、このままの状態では国民の基礎的な通信手段である郵便サービスの維持すら困難な事態に立ち至るのであります。したがいまして、昨年十二月に再度郵政審議会から手紙五十円、はがき三十円を骨子として四月一日から改正を行うよう答申をいただきましたが、物価政策上の配慮から、はがきを二十円とし、本年十月から料金改正を行い、窮迫した事業財政の基礎を建て直したいという考え方から発したものであります。
  19. 土橋一吉

    土橋委員 いま郵政大臣の御答弁を承っておりますと、非常に物価が上がった、そのために人件費郵政事業の中でかなりの、八〇%とか、そういう比率を占めておる、したがって、人件費も払えないような状態だ、だからこの際に郵政審議会答申をいただいて、その答申によれば普通書状が五十円、はがきが三十円、その他特殊なものもひっくるめて言えば二倍とかあるいは二倍半とか、こういうふうなことで上げて、そうして収支を償いたい、こういう趣旨に私は聞いたのであります。ところが、それではどうして物価が上がるのか。だれが一体物価を上げて喜んでおるのか。だれが一体物価を上げて苦しんでおるのか。これは賢明な大臣はもうよく御承知だと思うのですよ。そうすれば、きのうもあなたが仰せになりましたように、物価値上げが悪いことなんだ、そいつがいかぬのだ、それを抑えるために私は努力しておるということを言われた。きのうもちゃんと私は記録しておきました。あなたは名言をお吐きになりました。物価値上げが悪いのだ。そうしますと、物価値上げが行われた、そのつまり中心的な政府の政策、これは自然現象じゃございませんからね。政策によることなんです。そうしますと、物価値上げになるような、いわゆる所得倍増論であるとか、高度経済成長政策であるとか、あるいは社会経済基盤何とか政策であるとか、あるいは特に最近、日本列島改造論を中心として異常に物価が上がってきておる。これは一体だれがやったとお思いでございましょうか。郵政大臣、これは一体だれがそういうことをおやりになったのでしょうか。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 物価高騰、これは私は経済学者でもないのですから、理論的に説明申し上げることはできませんが、とにかく今日のインフレということは、これは世界的な情勢でありまして、日本国だけがこのような状態でないというように私どもは聞いております。その原因はどこにあるか。いろいろなことが加味されると思いますが、たとえば昨年、一昨年あたりからの物価の急騰につきましては、やはり石油ショックというようなものが大きく影響してきたのじゃないか、こうも思います。  いずれにいたしましても、物価が上がれば、やはり賃金をこれと並行して上げてあげなければ生活ができないというようなことで賃金が上がる。そうすると、またその高い賃金でつくった物が安くなるはずはない、そのためにまた物価も上がる。どういうふうにだれが悪いのか知りませんけれども、とにかく自然にこういう状態になってきておりまして、どこかでこれを抑制する必要があるのじゃないか。これはいわゆる高度な経済問題で、それぞれ専門的に考えて、そしてそれを施策として行っておるということでありますが、とにかく物価を抑えることがまず何としても急務中の急務である、私はこう思っております。
  21. 土橋一吉

    土橋委員 私は、村上郵政大臣にさらにお尋ねを申し上げますが、だれの責任だかわからない、とにかく物価が上がっちゃったというような御説明であったと思うのですよ。果たして一体そうでしょうか。あなたは全世界的に物価動向がそうだと言われる。しかし、社会主義の国では、聞くところによると、そんなに物価は上がっていませんですよ。朝鮮民主主義人民共和国でも、中華人民共和国でも、あるいはその他の国々においても、そういう政策をとっておるところは、そんなに異常な物価狂乱状態はございません。そうしてくると、これは資本主義体制下における特殊な状態だとまず考えられるわけです。しかしながら、世界的になるほど物が上がっていることも私は新聞でも拝見しております。しかし、日本の場合は異常じゃございませんか。日本のこの物価上昇率は、御承知のように昨年なんかは二十何%、しかも、ことしだってどんどん上がっておるわけですよ。そうなってくると、政府の政策じゃございませんか。自由民主党の経済政策じゃないでしょうか。先ほどから申し上げるように、所得倍増論にしましても、佐藤さんの安定経済政策論にいたしましても、あるいは田中前総理の日本列島改造論にしましても、全部これは要するに高度経済成長政策、そこに大きな原因を持っておるのじゃございませんか。その証拠には、たとえば総需要抑制政策をとって、まず金利を高くして貸し出し条件を強化していけば、鈍化してくる状態じゃございませんか。そうすると、政府の経済政策によってこんな事態が引き起こっておるということにならざるを得ないのじゃないでしょうか。これは予算委員会におきましても、物価対策に関する各種の委員会その他もございましょう、そこにおいても、すべて論議の中心はそこへ向けられておるじゃございませんか。そうすれば、あなたは国務大臣として当然その責任を免れることはできないじゃないですか、現内閣の閣僚としまして。三木内閣は、社会福祉優先だとか、あるいは社会的な不公正を是正して、社会福祉を中心にするということをおっしゃっておるけれども、依然として物価は上がっておるじゃございませんか。しかも、そこへもっていって酒とたばこを上げる。郵便料金を上、げる。そうすると、物価値上げの元凶は、言いたくはないけれども、はっきりしておるじゃございませんか。なぜそういう明確な答弁をしていただけないのでしょうか。何かだれにも責任があるようなそういう答弁をするのは困ります。労働者が賃上げをしたから物価が上がった、それはうそなんですよ。物価が上がっているから、労働者はしようがなく賃上げ要求をしてやるだけのことであって、物価が上がっておるから、労働者は背に腹はかえられないから、ストライキをもってしても何をしても、要するに賃金を上げてくれ。もしこれが悪い方向に向かいまして、異常な状態が起こってくれば、これは憂うべきことでしょう。労働者は要するにスト権というものを持っておる、団結権を持っております。団体交渉権を持って闘っておるわけです。これば普通どこの国においても認められておる正常な労働三権であります。ですから、要求するのがあたりまえであって、しかもそのことのために宣伝することもあたりまえである。ですから、結局物価値上げの元凶――あなたもきのう仰せになりました、物価値上げはいかぬのだと。その値上げをやらしたのは一体だれであるのか。そうすれば、当然そういうことをやっておる政府責任においてこの人件費の問題等を何とか捻出する方法が必要であって、なぜ公共料金を上げて一般大衆に責任を転嫁するのですか。御承知のように、戦後ある時期を除いてはほとんど全部自由民主党の政権でこの問題は起こっているわけですよ。そうすれば、現政府がこの問題について責任を負う、財政の捻出方法その他によって要するに労働者賃金を賄う、これは基本じゃございませんですか。今度の大幅値上げ法律案にしたって、この基本的な点があいまいになってしまったのでは話にも何もならぬでしょう。だれが悪いのでこういうことになったのか。しかもまた、値上げ要求しているのも政府であるわけですよ。おかしいじゃございませんか。われわれ常識じゃ考えられないですよ。そんな悪いことをした人は、まず謹慎をして、済まなかったと言っているのがあたりまえなんです。それがまた値上げをしておるわけでしょう。それが法律案という形で郵便料金値上げという形をとっているわけでしょう。この辺、どういうわけですか。  一体政府というものはそんな悪いことをしていいのですか。政府国民のために経済問題の安定を図り、働く人々のために生活の安定を図ってあげる。あるいは農業、工業なんかが要するに発展をしていく、そのために政府という機関を通じていろいろ努力をしておるのじゃございませんか。それがあべこべに物価を上げておいて、おまけに労働者が賃上げ要求をすれば、それをまた一つ理由にしてまた公共料金を上げてくる。二重の罪悪的な行為を繰り返しているじゃございませんか。いかがですか、その点は。違うなら違う、そうならそうと答えていただきたい。
  22. 村上勇

    村上国務大臣 政府が悪いとかあるいはだれが悪いとかいう――この物価の上がっているのを、どこか悪いところがはっきりすれば、だれであろうと国民の名においてそれを抑えつけることができると思うのです。しかし、そこがわからぬところに私どもとすれば非常に困難があると思います。最近の物価の上がったのは、私は経済学者じゃないからはっきりした答弁にはならぬと思いますけれども、それはやはり何としても石油ショックというものがいろいろなことに災いされて、デマが飛んだり何が飛んだりしてこういうような原因をつくったとも思います。しかし、それも、あるいはあなたの議論からすれば、そういうことで自然現象じゃなどというようなことで片づけるべきものじゃないというおしかりを受けると思いますので、これも私は主張はいたしませんけれども、まあ常識的にはそういうようなことが影響してきているのだ。政府にはそれは日本の政権を担当しているものとして大いに責任はあると思います。けれども、それとこの郵便料金の問題は別個にひとつ御解釈願わぬと、これはどうも困るのはだれかと言えば、郵政省そのものであります。全従業員を含めて私どもが困るので、その点はひとつ御理解願いたいと思うのです。
  23. 土橋一吉

    土橋委員 いまのお話、理論上においてももう一度研究していただきたいと私は思いますが、いまあなたの御答弁の中では二つの賛成しがたいものがあるわけです。  一つは、要するにどうして物価が上がっているのか、その所在がわからない、この点であります。しかし、所在はきわめて明確であります。先ほど申し上げました、戦後ほとんどの期間を通じて自由民主党の政権でございます。これが池田内閣以来高度経済成長政策、国民所得倍増論を唱えまして、そして異常な状態物価がどんどん上がってきた。これは何人も否定のできない事実であります。そして、佐藤内閣時代には御承知の安定経済という名前で物価をどんどん進めてきた。それでもなおかつ足らなくて、田中さんが御承知のように日本列島改造論をひっ提げて、たとえば秦野さんが東京都知事選挙では四兆円ビジョンなんというものを掲げて、そして物価をあおるようにどんどん上げることをよしとしてやってきた。これは何人も否定できませんよ。そうすると、そういうことをやった元凶、という言葉が悪ければその張本人、あるいはその一番の大もとは自由民主党の歴代政権じゃございませんか。それと、これを支持をする日本の財界、大手筋と申しましょうか、大企業。これらが一緒になって、要するに現在の異常な物価狂乱状態をつくり上げ、同時に、いま御承知のように非常に不景気で、たとえば先月の倒産数でも、四十九年度倒産数で莫大なものですよ、そこへもってきて御承知のように首切りであるとか合理化であるとか帰休制度、あるいは大学生なんかも、雇われても自宅待機だというような事態が起こっておるわけですよ。それで大企業だけは依然として、このことをさらに利用して、たとえば企業をどんどん併呑をしてくるとか、何も困っていない。そういう財政措置もやっておるし、金融措置もやっておるわけですね。だから結局中小企業や働くところへ全部そのしわがいっておる。こういう状態でございませんか。そうすると、歴代自民党の閣僚諸君も、ここに有名な方もいらっしゃいますけれども、それらは全責任を負うべき立場にあって、だれが悪いかれが悪いというものじゃないなんということじゃ答弁にならないでしょう。これが第一の問題。  第二番目の問題は、石油の問題もお出しになりました。石油の問題だって、それは日本のアラブ産油国との間におけるメジャーの問題、この基本的な問題を解決しないでおいて、二国間の協定なり、二国間によってたとえば幾らもできることをやらないでおいて、まあ俗な言葉で言えばアメリカのしり馬に乗って、そしてキッシンジャー構想であんなことをやっておる。したがって、いまジュネーブにおいても、この問題は御承知のように第五次中東戦争問題で非常に大きな問題になってきているのですよ。つまりそういう外交上も全く素人が見たって情けないことをやっておって、そして物価は上がっている。しかもそのために、ゼネラル石油を初めとする日本の石油業者は悪徳商法の見本のようなことをやって、そして六十何日間の備蓄があるにもかかわらず、あの問題が起こるとすぐ要するにいろいろな画策をして、そして値上げ、つり上げあるいは物隠しをやった。歴然としているじゃございませんか。こういう歴然たる事実の前に、問題の所在がわからないとかだれがやったかわからないということでは、あなたも自由民主党の幹部の方として、しかも現国務大臣として、当然の責任を、大企業の諸君や政府自身がこの物価の異常な高騰や問題について責任を負わなければいかぬじゃないですか。だれが責任を負うのですか、あなた。あなた方が政治をやっていらっしゃるのじゃないですか。あなた方が税金を取って要するにいろいろなことをおやりになっているじゃないですか。あなた方が金融措置についていろいろな制限なりあるいは規制を加える権限を持っておるじゃありませんか。あるいは租税特別措置に関してもそうじゃございませんか。そういう権限を発動しないでおいて、それを正規に、国民の立場に立って発動しないでおいて、この事態が起こったから、さあ料金を上げてください。いただけませんよ。しかも郵政省が困る問題じゃございませんよ。これは国民が困る問題である。それはなるほど部分的には、そういうことを提案しておってこれがうまくいかなければ郵政の三十何万や村上郵政大臣はちょっと立場はお困りになることはわかりますよ。これはそんな小さい問題じゃないですよ。国民の一億一千万の諸君に影響する問題ですよ。わが国の威信に関する問題でありますよ。郵政省が困るなんというのは小さい問題ですよ。国民全体が非常に困るのですよ。どうですか、あなた、私の言うことは間違っておるでしょうか。あなたのおっしゃっていることは、いまお話し申し上げたように私は理がないと見ておる。私の間違っておる点があったら指摘してください。私はあなたの発言は遺憾ながらそういう発言ではいただくことができない。答弁になっていない。正確な答弁をしてください。そんなあいまいなことでは困る。
  24. 村上勇

    村上国務大臣 ここで先生といろいろ政策論争をしたり、その原因結果等を私は論争するつもりもございません。ただ、私のお願いすることは、郵便事業のこの危機を、何とかしてひとつ御理解ある御解釈をお願いしたいということでありまして、政策論争は、それぞれの立場の者がおりますので、そこらでいろいろと打ち合わせしていいと思いますが、私の立場ではそういうことは言うべきではないと思っております。
  25. 土橋一吉

    土橋委員 この料金を上げてくれということも政策じゃございませんか、先ほども申し上げておるように。たばこや専売を上げるということも、物価問題から見た場合には一つの政策問題として論議をしなければならぬので、その基本的な政策問題をはっきりしなくて、その基本的な土台が明確でなくて、ただ済まぬけど上げてくれ上げてくれじゃいけませんよ。これは国会ですよ。しかも、あなた方の政策がそういう間違ったことで現在ここにひずみを生じておるわけでしょう。ですから、郵政省が困ることもさることながら、国民が一番困るわけですよ。被害者は国民であるわけですよ。郵政省は、ここにいらっしゃる政府職員方々ば困りやしませんよ。困るのは要するに国民大衆が困るのであって、郵政省も、それはこの法案が通過しないということになればいろいろ御苦労はあろうと思うけれども、たとえばいままでのように繰り入れ金がどうであるとかあるいは借り入れ金などで賄うことができるのであって、そういう奥の手を持っていらっしゃるのだ。国民は持っていないわけです。国民はそういう奥の手は持っていませんよ。しかも、税金はどんどんびしびし取られる。ほかの物価も上がってくる。どうしたらいいですか。ですから、政策論争をしないとあなたは言うけれども、政策論争をした上で中心的な問題ですよ。あなたは逃げようというふうなお考えに見受けられますけれども、そういう考えをやめまして、正面から取り組みましょうよ。あなたは、何か事を言えば、政策問題だからいま料金問題ではないというようなことをおっしゃるけれども、その基本的な政策や態度がはっきりしてなくて、ただお願いをするから上げてくれというのじゃわれわれは通過させることはできませんよ。ただの十円の値上げだって国民に影響を持っているわけですから、それはおわかりになるでしょう。基本的な政策はどうなっておるか。その責任はだれが一体負うか。私は自由民主党と歴代政権が当然責任を負うべきである、こう言っておるわけで、そうじゃないと言うなら、ないだけの理由を述べなければならないわけですよ、私の説が間違っているならば。だからそういう料金値上げは撤回すべきである。ここにやはり結論が来るわけですよ。私の言うことどうですか、おわかりいただけるんでしょうか。
  26. 村上勇

    村上国務大臣 よくわかります。よくわかりますが、この郵便料金値上げをしたためにどういうふうな影響が物価にあるかとか、あるいは国民生活にどういうふうに影響するかというような点については、これは郵政省としては責任あることでありますから、そういうことについての御意見があれば、私どもどこまでも御意見を尊重してお話し申し上げるということはできます。ただ郵政省だけの立場で政策的な問題についての可否論についてはどうもいただきかねるというのが私の考えでございます。
  27. 土橋一吉

    土橋委員 それでは端的な問題をあなたにお示しを申し上げましょう。これはあなたの方でお出しになっている郵政統計年報という、要するに冊子でございます。この七十七ページを、持っている方は開いてください。郵政大臣に見せてあげてください。――なければ私が見せてあげましょう。この表を見ますと、これは昭和二十一年から四十八年までの内容を書いておるのですが、ここですぐだれが見ても気がつくことは、特に四十年以来今日まで、たとえば保険、貯金の値上げ上昇カーブの非常に高い比率を示しているわけですね。ところが、郵便だけは高い比率を示すことはできないんですよ。ほかの貯金や保険はこんなに高い比率でぐっと上がっているわけだ。ところが、郵便だけはこういうふうになっている。つまり、こういう事態が起こっていることの原因はどういうことかというと、結論的に言うならば、この郵便事業そのものが人手をたくさん要するということと同時に、現在の自由民主党の歴代政権のもとにおいては当然人件費問題等でこういうことが出てくるということをこの表は端的に証明しておるわけですよ。ごらんになったとおりですよ。  そうすると、さらに私はお聞きしたいのですけれども、それでは結局、従来郵便制度の基本である郵便貯金とか為替とか振替とかあるいは簡易保険とかこういうものや、さらにはたとえば電電公社から委託を受けておる電信電話、これらの問題については何も問題は起こらないわけですよ。問題は郵便だけに常に起こってきているわけなんだ、人手不足でどうにもならぬ、こうにもならぬということは。そうなってくると、この表が示しておりますように、郵政特別会計へ繰り入れるところの郵便貯金関係の金と、簡易保険関係の金と、それから電電公社の委託を受けておるところの電信電話事業その他いろいろなものがございますけれども、それらは常に時勢に即応した体制をとることができる。しかし、郵便だけは依然としてこういう状態で、要するに赤字赤字の傾向を生むし、世間並みなかっこうはしなければならぬし、こういう状態がこの表でちゃんとわかっているわけですよ。そうしてくると、結局郵便労働毒の十三万四千人の待遇問題と給与の問題をどうするかということに問題の中心がしぼられるわけです。三十数万の労働者を持っているといっても、ほかの部門は、要するに郵政特別会計へ入れるところの簡易保険の問題や郵便貯金の問題や、電電公社から入ってくる手数料みたいなものや、そういうものでは問題ないわけですよ。みんな即応はできているわけだ。残念なことに、郵便十三万四千の労働者に関してはこれは解決できないということをここで示しているわけですよ、端的に言うならば。そうじゃございませんか。いかがですか。大胆、どうですか。(村上国務大臣「そのとおりです」と呼ぶ)あなたもそういうふうにおっしゃっている。この表でもうだれが見たってわかるように、そうですね。そうしますと、十三万四千人の労働者の中で、結局郵政省の機構上の問題として、たとえば郵政省のいわば収益といいますか上がった金で養われている高級的な職員方々給与の問題をどうしても論ぜざるを得ないということになってくる。たとえば電波監理に関する職員は、これは郵政本省において別途の予算からちゃんと出しているわけですね。ところが、たとえば監察関係なんというのは一体何をしておるのか。これから申し上げるけれども、いろいろな犯罪事件が起こっても何一つ処理できないじゃないですか。そんなものを盛んにつくって屋上屋を重ねて、そしてその人たちはやはり郵便収益のうちから賄われているわけでしょう。役にも立たない監察が、下から吸い上げてきておるわけだ。あるいは郵政局もそうですよ。郵政局も貯金、保険は別としまして、要するに郵政関係労働者の収益から賄われているわけなんです。そういうことをやめなければしょうがないじゃないですか、どうですか。たとえば電波監理であれば、電波に関する通信行政から当然ある程度の収益を回してここへ入れる。あるいは監察であれば政府からちゃんとその金を入れてやるとか、あるいは現業にごく近い、現業と密接であって、どうしても現業からこの部門をはずしたんじゃ、たとえば列車運行もできなければあるいは航空郵便のこともできない、自動車逓送もできないというようなものは、これは郵便関係に近いものだと思うのです。しかし、上の方にあぐらをかいちゃって、何々企画部だとか何々調査部だとか何々とか言って、結局いわゆる郵政業務そのものには直接関係していない、何か机上のプランみたいなものをつくっておる、あるいは条約関係を研究するとか、あるいはこういうものを研究するとか、これは国家で責任を負うべきじゃありませんか。いかがですか。たとえば郵政大学にしても、あるいは郵政訓練所にしましても、それは郵便の上がりでまかなうんじゃなくて、要するに国が職員全体を教育をする。あるいは診療所だってそうですよ。診療所のことは詳しく私はわかりませんけれども、たとえば全逓共済からも出しておるでしょう。またあなたの方からもお出しになっておるでしょう。これは病院経営として当然医療法人としてのきちっとした体制をとらしておいて、この郵便の上がりからはなるだけ投入をしないような形をとりませんと、そこへ全部金を出しておったんじゃ、これは博物館もあるでしょうし、ましてやこの事業関係のいろんな団体もたくさん持っておるわけですね。そんなところへ一々郵便の上がりの金をつぎ込んでしまったんじゃ、ここが困ることは明瞭じゃありませんか。そういうことの整理をあなた方はやっておられるのでしょうか。その点をお聞きします。どういう整理をしておるのか、どういうきちっとしたけじめをつけておるのか。
  28. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生承知のように、郵政事業は非常に全国的にわたって事業を営んでおるわけでございまして、大変規模の大きい企業でございます。したがいまして、こういった郵政事業郵便、貯金、保険を通じて、あるいは委託業務を通じて言えることでございますけれども、こういった各事業が円滑に運行できるように努力する必要があるかと思いますが、そういった意味で本省あるいは郵政局におきましては、各業務の運行が円滑にいきますように、正常に運行できますように、いろいろな計画面を担当し、あるいは経営資料を収集したりする、あるいは分析をする、場合によっては指導、助言を与えるというような事柄につきまして大きな役割を果たしておるわけでございまして、これは事業を合理的に、また能率的に経営していくというためには欠くことのできない部門であるというふうに考えております。  また、先生先ほど御指摘がございました厚生部門にしましても、医療部門にいたしましても、また養成関係にいたしましても、これは従業員に直接関係のある経費でございます。こういうようなものを総合的に考えますと、いわば間接的な経費と申しますか間接費と申しますか、こういうものはそういった意味で事業のために必要な経費であると私は考えておるわけでございます。たとえば一般の企業で申しますと、本社経費とか、あるいは郵政局のような場合は支社経費に当たるかと思いますが、こういったような経費は当然特別会計で負担すべきものであるというふうに考えております。
  29. 土橋一吉

    土橋委員 廣瀬さん、勘違いをしないでくださいよ。私が言っておることは、要するに郵政の労働関係を言っているのですよ。ほかの貯金とか保険とか、あるいは電話とか電信とか切手収入の問題とか、そんなことを言っているんじゃないのです。十三万四千人の郵政労働者の中でどうしても必要な上級官僚と言われる諸君の人事について、いま申し上げるようにわが国はそんな人がいなければ仕事ができないという組織じゃないのです。法治国なんですよ。常に通達とか告示というものをもってちゃんとそれを皆読めるのです、日本人はいま。したがって、その基準を示しておけば、当然その基準に従って逓送関係は動いていくわけです。配達関係もちゃんとその基準によって動くわけですよ、幸いにも法治国ですから。人が指導しなければならないというような問題じゃないのです。だから郵便局の局長さんがおったり次長さんがおって、それで後職員皆さんがどんどん仕事を進めておるわけですよ。ですから直接関係のない諸君の部門、たとえば監察ですよ。たくさんの人を雇って監察とかいろいろなことをしているけれども、何一つ満足なことができていないじゃないですか、極言ですけれども。  たとえば一つの例ですよ。どうしてもあなたの方が私に言わせるならば。これは朝日新聞夕刊です。日にちは三、四週間前であったと思いますが、ここに簡易保険の集金会社、これは都信用というのでございまして、場所は目黒の中目黒にある民間の営利法人です。ちょっと簡単に読みましょう。  「郵政省簡易生命保険の加入者から掛け金の集金業務を委託されていた東京都目黒区上目黒一丁目中目黒マンション内、株式会社「都(みやこ)信用」(木村勲会長=四十九年二月解散)が、集金した掛け金のうち約二億円を郵政省に払い込まず、知人や関連会社に不正に融資してこげつかせた事件を捜査していた警視庁捜査二課は、二十二日朝、同社など四カ所を業務上横領の疑いで家宅捜索、関係書類を押収した。岡三課は木村会長ら関係者の犯意がはっきりし次第、取り調べるが、事故防止など、集金を代行する民間業者の法的規制がないうえ、都信用の場合は郵政省側が集金業務をあっせんしており、今後、郵政省の監督責任ども問われそうだ。」  こういうことをやっている。監察がいて、しかも芝郵便局の管内で木村さんという方は長く勤めて係長をしておった。それで同じような方と一緒になって、福島富雄さんという方と一緒になってこういうインチキをしている。月々四億も簡易保険の金を集めておったわけです。年間六十億。それがどんなことをしておるかというと、結局三多摩の多摩川のゴルフ場の建設に手を出すとかあるいはキャバレーとか旅館とか、そういう余り経済的にちゃんとしていないような団体にどんどん金を貸し付けて二億円もここでこげつけていた。そんなことがなぜ――監察は大きい局にみんないるはずですよ。たとえば新宿とか東京中央にはみんな監察がいるのですよ。警視庁捜査二課から調べられて初めて自分たちが見るような、こういう監察なんですよ。そんなところに郵政郵便関係労働者が上げた収益を入れなさんなということを私は言っておるのですよ。監察局長いるのかね。これはどうしたらいいか、こんな問題を引き起こしておいて。責任はどうするのか。
  30. 永末浩

    ○永末政府委員 お答えいたします。  監察が取り扱うのは郵政犯罪でございます。先ほど御指摘のございました件は、保険料を払い込む団体というのがあるわけでございますが、この保険料を払い込む団体がまた某会社に委託したという関係にあるわけでございます。したがいまして、それは私的な関係にあろうかと思うわけでございまして、この件につきましては郵政監察のタッチする問題ではないというようなことで警視庁の方にあれしたわけでございます。
  31. 土橋一吉

    土橋委員 大臣もお聞きになったでしょう。首席監察官はそういう答弁をしているのですよ。一体、あなたはそれでいいと思うのですか。というのは、新聞がここに指摘しておりますように二重、三重のピラミッド型の――これは結局業者、つまり木村君やあるいは福島君と地元の営業業者十五軒ずつを一つにまとめて、その十五軒ずつが十個になってそれと契約を結んでおるのだ。したがって、木村それがしなる者は郵政省は知らぬ存ぜぬで、この木村だけが要するにどうだこうだという形をとって、結局責任は十五軒の業者とその上の代表とそれが十人集まって、それで木村と結んでいる、こういう形をとって、郵政省は知らぬ顔でこの問題を、おれのところには関係ないということを言われる。なぜ規則をつくらないのか。木村君は百万円で中目黒のマンションにこういうものをつくって、それであなた方が推薦をしてやらしているんじゃないか。そうすれば、それから資金がどんどん上がってくることについては、まず担保を取るべきじゃないか。担保を取っておいて、もし焦げつきが出てくれば当然解散を要求するなりしなければいかぬじゃないか。それをやらないでおいて、捜査二課からこれを指摘されてから、うちは関係ございません、民間同士でやっておったことだから私の方はかまいません、それで一体簡易保険業務が勤まると思うのですか。簡易保険局長、どうかね、そんなことをやっていいのかね。そういうでたらめな、要するに内輪が統一をしていないじゃないか。簡易保険局長答弁してください。
  32. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいま簡易保険局長が参っておりませんので、私からお答えいたします。  まず、都信用問題が警視庁の捜査二課の方から発動されたということでございます。これは事実でございます。しかしながら、郵政側が知らないでおったところがいきなり警視庁の方から手が入ったという形のものではございませんで、焦げつきがわかりまして、直ちに郵政省といたしましてはこれを警視庁に告発いたした次第でございます。その結果警視庁の手が回った、これが実態でございます。
  33. 土橋一吉

    土橋委員 ちょっと委員長発言中ですが、皆さんから定数がそろってないから発言をやめてくれという声が出ておりますので、定数がそろうまで私は発言を中止させていただきます。答弁もひとつ中止してください。
  34. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  35. 地崎宇三郎

    地崎委員長 じゃ速記を始めて。
  36. 土橋一吉

    土橋委員 先ほども申し上げましたように、監察関係責任者の方は大変でしょうが、しかしながら、こういう問題が警視庁捜査二課で調べられてから、そしてうちに関係がないというようなことを仰せになっているけれども、この木村君というのはもと芝の郵便局の係長をしておった人なんですよ。そしてこれはあなた方は御存じないかもわからぬが、芝の郵便局その他東京郵政では、これを指示をしてやらしておるわけなんです。結局結論は、簡易保険当局に対して二億円の焦げつきができたわけです。それで、財団法人の簡易保険に関係をするそこでいま後始末をしている、こういう状態なんですよ。ですから、監察の方々もいろいろ御尽力になっていることは私わかります。わかりますが、それは郵政の収益から賄うべきものじゃなくて、国として郵政の問題あるいは電波免許の問題あるいは電電のそういう問題全体を、逓信行政に関して犯罪がないようにあなた方はやっておられるわけだから、これは郵政から金を出すべきものじゃないというのが私の主張なんです。あるいは統計をやるとか、あるいは企画をするとか、こういう諸君は、この郵政の十三万四千人が働いておるところの収益から賄うべきものじゃないということを私は言っておるわけです。それは政府責任を負ってそういう官職、たとえば電波監理なんかはそうなんですね。電波監理行政というのは、だれが見たって郵政から金を持ってくるわけにいかぬから。そうでしょう、免許の問題だとか、許可をするという問題ですから。これはむしろ、どっちかというと、電電公社の方から上げた収益のうちで持っていくという形をとるべきであって、郵政だからと言っても関係ない方面の人を養う必要はないということなんです、私の言いたい点は。そういう点を明確にしなさいということを廣瀬さんに言っているわけです。それは風が吹けばおけ屋がもうかる式で、世の中は何でも関係ないものはない。すべて関連はしているけれども、直接逓送関係とか、直接輸送関係とかあるいは局舎の問題とかいうようなところに限っては一つの必要はございますけれども、そういう点はできるだけ一般会計から繰り入れてやる、郵政の、いわゆる郵便からは使わないという体制をここで確立をする必要があるのじゃないか。  特にまた、たとえば皆さんが出しておる、私も勉強させてもらっておるこういうものもお出しになっておる。あるいは「ポスト」という雑誌も出しておる。また、こういうことに関係をする、たとえば協会とかいろいろなものがたくさんあるのですよ。たとえばそこに「文化通信」なんか、それはいいことを書いているからいいけれども、こんなのは一々補助金を出してやったり、新聞を買ったりしないで、いいときには買う。平生は補助金を出さない、自分で独立してやりなさい、こういう姿勢を明確にする必要があるのじゃないかということを私は言っているのです。どうですか。いいことを書いてあるときだけ買ってやったらいい。いいことも書いてない、くだらないことを書いておるときにも一々買い上げをしてやって、その事業団体を補助してやるようなことはやめなさいと言っているのですよ。どうですか、大臣
  37. 村上勇

    村上国務大臣 きわめて合法的な、私ども理解のできる御意見だと思います。ただ、御承知のように何十年という伝統がありまして、一つのいままでの惰性もありましょうし、伝統、歴史というようなものがありましょうから、十分前向きで検討しまして、これが郵便会計の重荷にばかりならないように十分研究し、検討してまいりたいと思います。
  38. 土橋一吉

    土橋委員 ここではもうこれ以上は言いませんけれども、簡易保険関係は特に注意を要する。従来いろいろな関係で簡易保険がとかくの新聞だねになっておる。しかも簡易保険に関係をする、たとえばこの前もちょっと申し上げましたように、四国の松山の郵政局における問題だって、いま監察が調べているなんということを言っているけれども、あれは英断をもって処置をしないと、あれは一つのみせしめですよ。ああいうことをやることについては、御本人は知らないということを本当は言わせない。本来ならば、そんなこと黙っておればいいことを、おればここに移ったから、簡易保険の事業団のなんだからというようなことを言うから、それじゃ偉い先生、先輩だからやってやるということになっている。これはここにおられる政府の諸君も厳として慎むべきことだ。そして無料郵便を出して赤字だ赤字だといって苦しんでおる。そうでしょう。無料郵便はちゃんと決まっておるんですよ。法規の規定に従いまして、どういうものが無料郵便だということはわかっているんだ。俘虜郵便と選挙はがきと盲人点字用紙と、ちゃんと決まっているんだ。そういうことすらもきちっとしないようなことでは困るということを私は言っておるのですよ。そういう処置を今後とりますか。  たとえば、もとの狸穴に郵政関係のいろいろな法人がございます。こういう問題については、本当に必要なものは残さなければいかぬけれども、古い郵政省に勤められた方の顔を立てるというような意味で何とか協会、何とか協会をつくって、そこから発行するそれこそ市場価値からいったら余り値打ちのないようなものも郵政省が高い値で買い上げてやって、そしてその給与を出すようなことはやめてくださいと言っているわけだ。いいものを出したときは買ってやったらいい。と同時に、上級職と言われる諸君も、この人員の恐らく半数くらいは私は必要ないと思うのです。十一の郵政局ございますけれども、定員は何名くらいいますか。約何名くらいですか、十一の郵政局全体で。
  39. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答えいたします。  十一郵政局で約七千人余りの職員がおります。
  40. 土橋一吉

    土橋委員 大臣もお聞きになりましたでしょう。七千名もいるですよ。それでこの人だちは上級官庁だというので、局へやってくると局長も大変な接待をしなければいかぬ。かみしもを着てやってくるわけです。こういうことをやめなければ、郵政郵便労働者の全体の関係というものはうまくいかないですよ。ですからこの措置を、英断をもってそういう諸君は国家からやる。現場の郵便労働者の収益のものはできるだけ使わない。七千人というと大変な数でございましょう。大まかに言って半数の三千五百名は国家資金でやる、あと半数くらいの人が直接現場におりて仕事をするとか、そういうことをやれば大変……。  その次は電子郵便です。電子郵便は先ほど郵務局長もごらんになって、大体わかったと思うのです。これは結局電気通信のものを利用して、それで設置局をたくさんわれわれは持っておるわけだから、そこにやって、当初はたとえば東京-大阪、東京-名古屋間のケーブルをちゃんと借用して、そして書状もファクシミリもあるいは静止状態の画像も、それからいろいろな広告の申し込みとか、そういうものを全部設置すれば皆さんが喜んでこれを利用するわけだ。その資料にも書いています。ワシントンポストも、いまのフォード大統領もこの問題を評価して、これはいい。ちょっと一時期不景気のときはぐあいが悪かった。しかし、逐次これで何億ドルという収益を上げているわけですよ、その作者も。これは電電とよく相談をして、場合によっては電電が自分でやるようなことも考えるかもわからぬから、よく折衝してやらぬといかぬ。ただ設置局をたくさん持っておるところはこれをやって非常に有利だと思う、という結論をちゃんと出している。そうしてくると、これで四億ドルとかと書いていますね、それを日本の金に直せば千二百億円もうかるじゃございませんか。だから、これを研究してみる。その投資に多少の金はかかるかもわからぬけれども、回線その他の問題は電電公社が持っておるのだから、借用すればいいんですよ。ただコンピューターを入れる場合には、全体的な交換をしなければいかぬから、ちょっと金がかかる。だから、そのコンピューターはレンタルで借りて、それで東京中央とか大阪中央とか名古屋中央にちゃんと備えて、それでどんどん配達をしていただく。どうですか大臣、この問題についてはどう考えられますか。
  41. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいまこの問題につきまして先生から資料もいただきまして、拝見いたしたわけでございますが、ここに書いてありますように、アメリカにおきましてこういった制度を考案いたしまして、郵便と電気通信との結びつきをやりながら、新しいサービスとしてかなりの実績を上げておるということをいま拝見いたしたわけでございます。わが国におきまして、アメリカの場合も、この記事だけでは、これが果たしてどの程度、いまおっしゃったほどもうかっているかどうかということにつきまして的確な数字が出ておりませんけれども、いろいろこれをやるのには、いまお話しのような設備も当然要ると思いますし、わが国のいろいろな他の通信手段との中で、必ずこれがペイラインに乗るかどうかにつきましては、なおいろいろ検討しなければならぬと思いますし、また法制的な問題もあろうかと思いますので、いずれにいたしましても、いますぐここで結論的なことを申し上げかねますけれども、十分検討させていただきたいと思うわけでございます。
  42. 土橋一吉

    土橋委員 私の知っておる限りでは、郵政はこの問題について講習会を二回ぐらいしか開いていない。「電波ニュース」から、ずっと見ておると、郵政省は二回ぐらいしか開いていない、どの程度の人が集ったか知らぬけれども。特に廣瀬経理局長なんかは、この問題は真っ先に目の色を変えて研究しなければならぬですよ。特に郵務局長さんもそうですけれども。ですから、これはいまあなたの答弁にもございましたし、そこにも書いておるように、電電公社との関係、つまり回線を利用するという問題と、先ほど申し上げた、要するにわれわれは郵便局をたくさん持っておるのだから、その点では電電公社は、うちにやらせてくれと言いにくい点があるわけだ。しかも郵政大臣は、通信行政を監督する権限を持っておるんだから、当然あなたの裁量でこの問題は研究させて、そして逐次実行に移す。どうしても資金が足らなければレンタル、金を借りる、それでやっていって、もうかったらいいじゃないですか。しかも、電気通信と郵便とを結合するという新しい体制でございますから、これは大いに研究に値するし、そしてまたワシントンとニューヨークの間では、そこにも書いておりますように非常に評価されておるということでありますので、ぜひ、収益を上げるという観点から十分研究していただきたいと思うわけです。  さてその次は、職員の問題は、大体私の言っておることについては御理解いただいておると思います。ですが、これは英断をもってできるだけ、さきの四国のああいう優柔不断なことではなくて、きちっとした処置をとって、ここで郵政財政を切り詰めるなり合理化をするという態勢をまずとるべきであるということを第一に私は申し上げたい。  第二番目の問題、次は局舎の問題であります。あるいは郵便ストの問題であります。さらには進んで、機械化の問題、機械の問題でありますが、特に郵便局舎と宿舎を建設するに当たって、ことしの予算では何ぼぐらいこの予算をとっておりますか。
  43. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 建設勘定全体で五百八十八億だったと思いますが、そのうち郵便関係の経費が二百七十億でございます。
  44. 土橋一吉

    土橋委員 五百数十億のうち二百七十億というと、あとは何に使うのですか。五百八十何億のうち二百七十億では、半分はどこへいってしまうのですか。
  45. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 全体の建設規模が五百八十億ぐらいでございますが、その中には、先生承知のように貯金関係の建物の経費、保険関係の建物の経費等が含まれてまいります。全体の経費の中で、郵便局舎等は貯金も保険も郵便も共通に使っておるわけでございますので、それぞれ各経費が分担するという形をとっておりまして、ただいま二百七十億と申しましたのは、郵便の借入金による分担部分を申し上げましたので、全体としては貯金、保険等を加えた総額でなければならないわけでございます。
  46. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、何々会館を建てるとか簡易保険会館を建てるとか、郵便何とか年金会館を建てるとか、そういうのがさつきの二百七十億以外の金でございますね。
  47. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 簡易保険関係の事業団経費でございますが、これは別に出資金という形で計上いたしております。したがいまして、事業団の建設経費等は含まれておりません。ただ、郵便貯金会館は、これは郵政省独自の建設勘定の中で支弁しておりますので、貯金関係経費の中に含まれております。
  48. 武田礼仁

    ○武田説明員 いまその五百八十億の中で二百七十億云々という経理局長答弁があったわけですが、建設勘定がその中で一体幾ら工事費として使われていくかというようなことは、建築の工事というのは一年で行われるものではございませんので、前から工事が行われているものの今年度の支出でありますとか、それから、ことし契約いたしましても、ことしじゅうにその全額が支出されるものではないというようなことから、いろいろな計算方法がありますので、多少何か矛盾したような発言になったと思いますが、御了察をお願いいたします。
  49. 土橋一吉

    土橋委員 郵政は、この四十八年の資料によりましても、持っておる土地が二十三万五千三百七十平米という、恐らく国鉄以外では最高の土地を持っておると思うのですよ。その金額にしても、相当な価値のもので、たしか相当な価格だと思うのです。それから建築物にしましても、これは武田建築部長が常にお話しになっておるように、わが国最高の建築面積を持っておるわけです。全国の郵便局舎全体の延べ坪というのは、小学校をのければ恐らく全国のいかなる官庁といえどもこれだけの延べ坪を持っているものはないと思います。  そこで、それだけの土地と建物を一々郵便の収益で上げるということになってきたら、とてもこれは賄い切らない。特に、きのうもある委員からお話がございましたように、六千近い簡易郵便局、しかも集配特定局が七千ある、無集配が六千も七千もある。こんなものを一々郵便の収益で賄うといったって賄い切らぬじゃないですか。こういう建物は、要するに郵便事業は国家経営事業であって、国としてそういうものをすべきであって、郵政の上がりからそんなことをするなんということは、ちょっと筋違いじゃないかというふうに私は思うんですよ。  特に最近は、御承知かと思いますが、たとえば八王子の例をとると、八王子の駅前の一等地に郵便局があるわけです。それを今度は浅川の向こうの中野というところに持っていって、将来は発展するでしょうけれども、墓地の近くに持ってくるわけだ。八王子霊園の近くにそれを持ってくるわけだ。どういうわけでそんなことをするのですか。どうして一体、八王子駅前の一番いい所にある八王子郵便局を、墓地近くの中野という、要するに浅川を渡って、すみっこの横っちょの山のふもとへ持ってくるのですか。なぜそういうような土地の差配の仕方をするのでしょうか。たとえば下谷郵便局だってそうです。下谷郵便局は上野駅前の一等地にあった。いろいろな政治上の問題はあるけれども、あれを京成デパートに売り渡してしまった。大宮の場合だってそうでしょう。大宮の郵便局は、あの中仙道の一番いい所にあった。それをデパートに売ってしまってどこかへ引っ越してしまう。こういうことをなぜやるんですか。
  50. 武田礼仁

    ○武田説明員 ただいまお尋ねになりました郵便局について御返事申し上げますと、すべてもとの郵便局の敷地が非常に狭くて、要求されるといいますか、新しい時代に必要な郵便局の局舎を必要な面積だけ建てるには狭過ぎるということで、多少交通が不便になるということはあったかもしれませんが、敷地が大きく買える所へ移った、そういうことでございます。
  51. 土橋一吉

    土橋委員 これは郵政省の土地と建物の問題であります。私が言いたいことは、なぜ一等地で、上野の駅前で郵政省の下谷郵便局なりあるいは上野郵便局というような看板を掲げて、それで事業を表通りでなぜやらないのかということです。自分から後退してあの向こうの両大師の下の所へ移ってしまっておる。下谷の郵便局どこにあるかと聞いたってわかりゃしない。少なくとも店だけは張っておくべきじゃないですか。事業団体として当然大衆の目につく所、大衆はあそこに郵便局があるんだ――裏の方はそれは貸してもいいよ。なぜ、窓口だけはきちっとしないのか。
  52. 武田礼仁

    ○武田説明員 どうも建築部だけの返答というのもおかしいのですが、ただいま御指摘がありました下谷郵便局の場合は窓口は残してあります。郵便局の集配はやっておりませんが、デパートの中に残しております。
  53. 土橋一吉

    土橋委員 そういう考え方が武田さんいかぬのだ。あそこに郵便局があると見るのじゃないのです。京王デパートがあると思って行くんだ。たまたま行ってみたところが中に郵便局があるという程度であって、そういうあさましい考えをなぜ起こすのかということです。あそこに郵便局があって行くのじゃないですよ。たまたま行ってみたら郵便局がくっついておったというので、切手でも買おうかということであって、つまり、これは大宮の局の場合もそうだし、いま八王子でそれが行われようとしているから、私はやはり明治五年以来わが国の官庁の中でも一番古い歴史を持っていて、作業官庁としては一番実りのある実績を上げている郵便が後退してしまって、火葬場の横や山のふもとに行くようなことはやめなさいと言っているんだ。なぜ店を張って、八王子郵便局でございます、下谷郵便局でございますときちっとしないのか。そういう物の考え方でいるから、やることなすことが後退後退しちゃって、そしてくだらないものだけたくさんふやしちゃってくる。こういうかっこうになるのじゃないですか。デパートが大切か、郵便局が大切か。それはデパートも大切ですよ。決して私はデパートを否定はいたしませんけれども、あの下谷の駅前の大きい所で、デパートが裏だっていいじゃないですか。しかも、その取引関係では非常に黒い霧が漂っていたわけです。これは大宮郵便局の場合もそうですよ。だから、そういうことはやめて、きちっとその区画における中心地点においては郵便局を守る。仙台なんかいい。仙台の郵便局は非常に場所もいいし、またきちっとしたものが建ったからあれならいいけれども。東京だってごらんなさい、名古屋だって大阪だって、みんな中央郵便局はちゃんと駅の近くでがんばっているじゃないですか。ですから、私は、これだけの建物その他はやはり国として検討すべきものであって、単なる政治関係、いろんな関係でそんな所でデパートに変更しないように、きちっと窓口を持って、それで作業ができなければ安い所へ赤車で持って行けばいいじゃないですか。両大師の所で借りてやっておったでしょう、バラックをつくって。それならば、そこで業務がはけるのだから、窓口だけはちゃんと張っておきなさいということを言っているのです。私の言っている心情わかりますか。大臣、ひとつ答弁してください。
  54. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  郵便局の敷地の決定の仕方の問題でございまするので、私の方も関係いたしますからお答えいたしますが、ただいま御指摘のありましたたとえば下谷の郵便局の場合も、私たちといたしましては、できれば、先生の仰せを待つまでもなく、前のあの上野駅前の非常にいい土地に、あの局舎では狭いものでございますから、もっと大きな十分業務量に耐える、物量に耐える郵便局をつくりたかったのでございますけれども、先ほど建築部長が申しましたように、あの土地では増大するあの地区の郵便の需要にこたえることができない。やむを得ずその代替地をどこに求めるかということで非常に長い期間別の場所を探したのでございますけれども、いま御指摘のように、確かに従来の土地と比べますとかなり離れた町の中心ではない所に郵便局舎を置かざるを得なくなった。しかし、その場合でも、ただいま御指摘のように、その地域を利用しておられた旧下谷の郵便局の利用の方々に対しましては御不便をかけてはならないということで、いま百貨店の中という仰せがございましたけれども、やはりあの土地には郵便局は残しまして、窓口としてはお客様の需要にはこたえ得る。申し上げるまでもなく、郵便局の大半は、下谷の場合も郵便関係の処理要員というようなものになりますと、いわば一種の工場のような大きな作業をやっておる所でございますので、そういう面から言いますと、必ずしも都心のセンターでなければならないことはないのではないかというようなことでやっておるわけでございまして、その辺の土地の選び方につきましては、私たちも好んで田舎の方の、あるいは墓場に近いというふうなお話もございましたが、そういう所を選んでおるわけでないことを御了承賜りたいと思うわけでございます。
  55. 土橋一吉

    土橋委員 ここに、「新宿郵便局マンモス郵便物」という題で三月の十五日、朝日新聞が書いておる記事がございます。この記事は先ほど申し上げたような諸点から見て非常に検討に値する問題だと思うのです。ここに書いておることは、新宿郵便局というのはできてまだ日にちが何十年というわけはないと思うので、せいぜいでき上がって十年前後じゃないかと私は思うのです。ところが、この新宿郵便局はいま東京では中央郵便局に続く大きな郵便局になっておると思います。それで一日の物数が六十万通を超える、そして超高層ビルがそれに拍車をかけた、そのためにいまパンクしそうな状態で、もう一つ郵便局をつくろうというので郵政省でいろいろ考えておる。それで、できるところの郵便局は大体新宿の北側にできよう、こういうことが書いてあるわけです。ここを読んで私感じたことは、つまり高層ビルができて郵便物が非常にふくそうする、一日六十万通も出てくるというような事態が起こっておる。これも高度経済成長政策の結果なんですね。そしてその結果、敷地はたまたまこれは御承知のように水道分水所の跡ですから安かったと思います。ここへ十六億の建築物を立てる。面積は約千坪くらいあるようです。これは結構だと思うのです。つまりこういうふうに高度経済成長政策をやるたびに結局土地を購入して大きなものを建てていく。こういうことを繰り返しておりますと、結局この費用だって大変な費用です。最後は必ず減価償却しなければいかぬ。借入金にしたって何なり、ただくれる者は一人もいませんから、そうなってくると、結局こういうことを続けて、つまり高度経済成長政策でこんなことをやる。そうなってくると、土地問題だって、局舎の問題だって、依然として政府責任を負う形で、この問題を郵便会計つまり郵便業務の中の問題としないでいかなければならぬじゃないか、という結論に私は立っていま質問しておるわけなんです。決してあなた方をいじめるとかそういうことではないのです。国全体から考えて、こういう自民党政府の政策によってここにまた大きなマンモスビルができる予定だと思います。そうなってくると必ず配達の関係郵便物の関係が起こってくるわけです。そういう結果は、結局いまのように郵便局の人件費が多くてどうにもならぬという、この財政では賄い切らないわけなんだ。どうですか、大臣、これも一つの具体的な例ですよ。私は決してむちゃなことを言っているわけでないですよ。そうすれば、やはり国がその問題についてめんどうを見て、郵便局の従業員の給料問題なんかをちゃんと措置をしなかったらば、この問題は解決しないではないか。つまり、建物あるいは郵便局舎、土地、こういう問題は要するに郵政省のものであるけれども国家のものなんですよ。そうすれば、郵便の収益で賄うという形をとらない方が正しいではないか。ポストもそうです。あるいは簡易郵便局の場合もそうです。無集配特定局の場合も、あれだけ全国にあるわけです。大臣も御承知のように、いま二万一千あるのですよ。全国の市町村全部合わせたって三千か三千ちょっとぐらいでしょう。それを一々借用するとかいろいろなことの費用は全部。しかも、たとえばある地方の農協へ行きますと、つまり農協の一場所借りて簡易郵便局をやっているわけなんです。そこにちやんと御婦人が仕事をしていらっしゃる。そうすると、その給与を払わなければいかぬ。手当を払わなければいかぬ。仕事の量によっては歩合も払っていかなければならぬ。ところが、手紙何通来ますかと言ったら、一日十五通ぐらいでございますと言う。十五通の切手を売って人間一人養っていけますか。しかも場所代を払っている。つまり、郵便法第一条の規定に基づいて、国民の要望にこたえて、郵政業務というのは全国あまねく設置をしてやっておるわけでしょう。そうなってくると、きのうの同僚議員の質問じゃないけれども、第三条の規定によって賄うということがいかに間違っておるか、明瞭じゃないですか。大臣どうですか。いまのような事態から見ても、郵便法第三条の規定だけで問題を押し切って料金を上げるということは、いかに不法であるか、不当であるか、無慈悲であるか、残酷物語のように残酷であるか、きわめて明瞭じゃありませんか。どうですか、大臣
  56. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵便局の業務は郵便だけではございませんで、御承知のように貯金、保険、三事業が郵便局で一体的に営まれているわけでございまして、全国各地に散在いたしまして、そこで住民の方々の利便のために業務を営んでおるわけでございますが、それぞれの必要な経費につきましては、貯金は貯金の分担をし、保険は保険の分担をし、郵便郵便に関する部分の分担をいたしておるわけでございまして、そういった形で現在費用が賄われておるわけでございますが、全体的な経費は、先日も申しましたように、減価償却費あるいは借入金利子等を合わせましても、全体の三%程度の経費でございます。一般的に郵政事業人件費の占める比率が非常に大きいわけでございまして、そのために、仮にそれを一般会計で負担いたしたといたしましても、運営経費を賄うためにはどうしても料金に依存せざるを得ないという一つ考え方があると思います。  それからもう一つは、これを料金でなくて一般会計の負担という考え方にいたしますと、これは税金で負担するということにならざるを得ないと思いますが、税金で負担することが果たして公平の原則にかなうかどうかということになりますと、郵便の利用実態から考えまして、必ずしも私は妥当なものであるというふうには考えないわけでございます。  したがいまして、建設経費といたしましても、やはりしょせんは郵政事業の経費でございます。したがいまして、郵便業務が営まれますために必要な経費につきましては、郵便料金で賄われるという、そういう原則は守ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  57. 土橋一吉

    土橋委員 廣瀬さんのように、自民党の政権を支持をする立場からそういうことをおっしゃることの気持ちはよくわかるわけです。しかし、直面をしておる郵政は、先ほども申し上げたように――それじゃあなたにお聞きしますが、憲法八十三条は何と書いてありますか。読んでください。財政法第三条はどういうふうに規定しておるのか、ちょっと読んでください。ここにございますから、これを見て説明してください。憲法八十三条、四条、そこの国家財政の支出は国会の承認を得るというところ。
  58. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 第八十三条「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」、第八十四条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」以上でございます。
  59. 土橋一吉

    土橋委員 財政法の第三条。
  60. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 財政法第三条「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」  以上でございます。
  61. 土橋一吉

    土橋委員 大変御苦労さまでした。いまお読みいただいたように、公共料金とか、あるいは不特定多数の人が利用する場合には、すべて国会の承認を得る、これは大原則であります。ですから、この法案がいま国会に上程されておるわけです。そこで、われわれは、この憲法第八十三条、四条の基本原則財政法の基本原則から言うならば、当然この問題についてわれわれ責任を持って討論しなければいかない。そういうことから、先ほどからあなたにもいろいろむずかしいことを私は申し上げておるわけですよ。  それで、まず私たちは、けしからぬ、けしからぬで責めておるんじゃないのですよ。第一は土地問題等について、この財政の乏しい――いま廣瀬さんの答弁は、郵便以外の、たとえば保険だとかあるいは、電話業務は言わなかったけれども、簡易保険だとか言っておるわけです。そんなことを私は追及していないの。私は、郵便労働者十三万四千人の問題と収支を経営者がどういうふうにして賄うかということをここで取り上げなければいかぬと言っているわけですよ。もし、あなたが説明したように、お互いに総合的に、つまり収支をバランスをとるならばやっていけるじゃないですか。それはそれぞれの、保険は保険の問題、貯金は貯金の問題としておるから、どうしても郵便の方だけが要するに収入がないないと言って騒いでおるわけでしょう。そうすれば、どうしても郵便の官署と言われる上級官庁で不要なものは国家で責任を負わせる、半数のものは当然郵便の収益から賄う体制をとったらどうかということを言っているわけです。建物その他についても、国有財産なんだから、先ほど表に私示しましたように、当然それは賄い切らない。赤字だ赤字だと騒いでいる。どうしてもこれは国が責任を負うべきだ。あなたみたいな答弁をしたら自由民主党は大喜びですよ。郵便の方はどうするのですか、あなたは。郵便の方は十三万四千人、しかも、ここで二万人の特定局長さんという、まことに言いにくいけれども本当に適当な者が入って局長さんをしておる、こういうかっこうになっておるわけです。その二万人の給与だって大変ですよ。さっきの七千人とこの二万人の給与、これは下級職員じゃないですから、局長さんですから、待遇その他だってきちっとしたものをとらなければいかぬでしょう。それであっぷあっぷしておるじゃないですか、皆さんは。なぜ、これをきちっとした体制をとらないのか。私の言っていることはきわめて明瞭ですよ。同時に、この規定を受けて、郵便法第一条は何と書いてあるか。第一条を読んで聞かしてください。
  62. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵便法第一条「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」。以上でございます。
  63. 土橋一吉

    土橋委員 それから、恐縮ですけれども第三条も。
  64. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 第三条「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」。以上でございます。
  65. 土橋一吉

    土橋委員 御苦労さんでした。読んでいただいてはっきりしておりますように、この委員会においては郵便法第一条の規定が中心でなければいかぬわけですよ。第三条は、つい三年ほど前にあなたが無理やりに、いまの郵便局舎その他の諸問題を抱えておったものだから、これを挿入してきた。これは異物ですよ。矛盾をするものである。きのうもいろいろ委員から言われましたように、もし第三条中心にものを考えるならばこの郵便料金値上げも当然だという結論が出てくるわけだ。われわれはこれは憲法第八十三条、四条、財政法第三条の規定、郵便法第一条の規定から見るならば、こういうことをしてはならないと書いてある。なるたけ安く、あまねく、公平にサービスを提供する。国家事業じゃありませんか。これは電電公社や国有鉄道と違いますよ。形は公企体の労働法規の適用を受けておるけれども、国家業務ですよ。郵政省という特別会計、形だけはとっているけれども、国家でやっていることですよ。しかも、この公共料金というのは郵便逓送契約を一般大衆と結んでいるのですよ。学説はいろいろありますよ。しかし、ポストに入れた瞬間に、郵便局との間にその書状を受信人のところに届けるという契約が成立しておるわけだ。したがって、そうすれば契約の原則から当然高いからまけてくれとかどうとかという問題は起こってくるけれども、公共性を持った料金制度をとっておるからして、いわゆる私法上の逓送契約というものが不特定多数で多いから、切手制度というものを利用して、これを貼ることによってこれが円滑にいく、要するにこれはこういう形をとっている。契約ですよ。契約の原則に従えば、買い手、売り手がいろいろ文句をつけたり、値を下げたりあるいは上げる、この原則はやはり適用されなければいかぬ。そうすれば、先ほど申し上げたように国民の大多数は物価値上げ反対だと言っているわけだ。これを喜んでいる一群の者と、これを指導しておる政府がいるわけだ。ですから、この郵便法の基本的な第一条の規定から見るなら、第三条というのは後から無理やりに押し込んできた異物であるわけだ。国家業務じゃありませんか。その証拠にあまねく低料金でサービスを提供する、全国くまなく郵便制度の恩恵を受けて、社会的な福祉のため貢献をすると言っているわけだ。そのものがいま申したように国民全体は反対しておるわけだ。そうすると、この契約が、口では言わなくたって、そんなむずかしいこと仮に御存じなくて言えなくても、ひどいことだと――特に第三種郵便物はひどいじゃないですか。何で五倍なんて値を上げるのですか。これはローカル紙だって、あるいは専門紙だって、あるいは労働組合とか芸能人とか文化人がいろいろなものをつくって、郵政大臣の認可を受けて第三種郵便物やっておるわけですよ。いままで月に一回発行しようと三回発行しようと六円で送れた。これが今度三十円になってくると、もし毎日出すとすると、月九百円ですよ。そこへもってきて物価が上がっているわけでしょう。印刷代も紙代も上がっているわけだ。そうすると一つのローカル紙なり専門紙を見ようと思っても、もう値が二千円以上になってくるわけだ。いま新聞代だって千四百円ぐらいしておるんじゃないですか。私もそこのところはよくわかりませんけれども、どうですか。そうすると二千何百円出しては、この専門紙を読みたくても読めない。あるいはまた発行する出版社の方ではもう倒産騒ぎが起こってきておるわけだ。どうしてくれるんだ。何とかしてくれ。なぜそういう無慈悲なことをやるのですか。  第三種郵便物は、御承知のように国家事業としては文化とか専門的な知識とか、あらゆるものをできるだけ低料金国民にサービスをして、国民の文化あるいは経済あるいは農業、科学を発展させる。この基本路線を文字どおりあなた方は排斥しておるじゃありませんか。しかも契約事項ですよ。これは得手勝手にあなた方が料金を上げていいというものじゃないですよ。そうすれば、この料金は撤回すべきじゃありませんか。第三種郵便物は特にひどいじゃありませんか。逆に言えば、つまり人を殺すに刃物は要らないということわざがあるように、刃物は使ってはいないけれども郵便料金値上げによって、要するにこの業界や専門紙や地方ローカル紙や労働組合を全部圧殺をするという結果になるじゃないですか。いかがですか。明確な答弁をしてください。
  66. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  まず最初にお述べになりました郵便法の第三条と第一条の関係についてでございます。郵便法第一条の「なるべく安い料金」という規定が郵便法の基本的な考え方であるということで、第三条は後から追加になったものでおかしいじゃないか、矛盾しておるのではないかというふうな趣旨にもとれるわけでございますが、確かに前回の郵便料金値上げの際、この第三条の挿入をめぐりまして当委員会でいろいろ御議論があったことは承知いたしておりますが、この第三条が挿入される以前におきましても、郵政省の基本的な考え方といたしましては、郵便法の第一条の「なるべく安い料金」という規定は、収支を度外視してまでも安い料金であるべきだということを意味しておるものではない、やはり収支相償の上での低廉性であるというふうに従来から考えておりまして、従来も、前回の値上げの以前にも値上げがありましたときに、そういったような基本的な解釈のもとに料金値上げをお願いいたしまして、何回かの料金値上げをやってきたわけでございます。この点、法文上現在の郵便法に、ただ低廉であればいいという第一条の条文以外に何もございませんでしたため、いわゆる料金決定原則と申しますか、これは他の国鉄とか電電関係についても同じような条文があるわけでございますが、郵便料金についてだけはこういった規定がないということからいろいろ議論がございまして、独立採算制でもないじゃないかというような御議論もありましたので、この点明確にするために、いま申し上げましたようにやはり収支を度外視してまでの安い料金ということを言っておるのではない、収支相償の上に立っての低廉性であるということを明白にするためにこういった条文を入れていただいたわけでございます。いろいろ御議論はございましたけれども、現在郵便法の中に厳然として第三条もありまするので、私たちとしましては、この二つの条文は決して矛盾するものではない、いま申し上げましたような考え方に立ってこれを理解すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  それから後段でお述べになりました、このたびの料金値上げの中で第三種の値上げが非常に高過ぎるじゃないかという御指摘でございます。確かに、第三種の料金につきましては、現在まだ私たちも最終的な決定をいたしておりませんが、これは御案内のとおり郵便法の規定によりまして第一種、第二種の料金が決定いたしました後におきまして、それを受けましてこれを省令で定めるということでございますので、いま提案申し上げております料金改正は十月実施ということでもございまするから、この法案が成立いたしました後でいろいろな御意見を拝聴しながら、また郵政審議会答申も尊重しながら決定しなければならないというふうに考えておるわけでございます。ただ、いま御指摘の三倍とか五倍という数字は、郵政審議会から郵政大臣答申されました答申案の中に出ておる数字でございます。もちろんわれわれとしてはこれを尊重しなければならないわけでございます。倍率からいきますと、三倍ないし基本料金については一部五倍というところもございますが、全体の総平均で言いますると、追加料金といいますか、付加料金等を合わせますと、三・二六倍の料金値上げであるというふうにわれわれ審議会の答申を読んでおるわけでございます。確かにほかの料金と比べまして高い倍率であることはもう申し上げるまでもないわけでございますが、先生、御案内のとおり、第三種という制度は確かに明治の創業以来長い間郵便一つの大きな制度として今日まで特別の配慮のもとに低料金政策で臨んでおりまするけれども、この割引にもおのずから限度があるのではないか。審議会の議論の中でも、現在の三種の料金は余りにも度の過ぎた割引をし過ぎておる、せめてこれに直接かかった経費くらいは見るべきではないかというふうな議論がございまして、そういったいろいろな議論の中で、最終的にいま申し上げましたように、新聞につきましては現在六円のところを三十円、基本料金が三十円でございます。それからその他の雑誌等につきましては十二円のところを三十六円、これは大体三倍でございます。そういったような答申がなされたわけでございまして、われわれとしましては、こういった答申も十分尊重しながら、また国会の御議論も伺いながら、今後慎重に決定してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 土橋一吉

    土橋委員 いま、よく丁寧に答弁をしていただきましたけれども、私は残念ながらあなたの説に賛成することはできないわけです。といいますのは、第一条の、この法律の目的という大命題のもとに第一条ができておるわけですよ。したがって「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。」、これはもう読んで字のとおり、なるべく安い料金、ただにせいとは書いていませんよ。何もそんなむちゃな議論をだれもしていませんよ。なるべく安い料金ということを言っているのです。安ければ安いほどいいなんて私は言っていませんよ。石井さん、そんなことをだれも言っていませんよ。なるべく安い料金でということを言っておるのですよ。そうすれば、なるべく安い料金というのは、平たんにとれば、まあできれば安い料金にしてください、こういうことでしょう。なるべくということを言っているのだから。字を読んだって、なるべくという字は字のとおりですよ。そうしますと、安い料金にせいということを原則に言っておるわけですね。そうしてサービスはあまねく公平にやりなさい、そして社会福祉を増進していきなさい、これが第一条です。  そうすると、第二条は「郵便は、国の行う現業であって、郵政大臣が、これを管理する。」と書いてある。これは公社とか何かと違うのだから。国の事業で、郵政大臣がやる。その次の第五条なんか、規定を見てわかりますように、郵便事業は何人にも、これを特別、大臣なり、そういう手続をきちっとしなければ委託してはならない。国家でやりなさい、こうなってきておるわけですね。これはいいでしょう、国家事業ですから。国家事業というのは、もうかるだけやるのじゃないのですよ。社会福祉なんて自分で国家が自腹を切ってもやらなければならない。文化国家にふさわしい。憲法第二十五条は言っていますね。日本国は最低限度の文化的な生活を営む権利を国民が持っておる。社会福祉や社会保障はきちっとやりなさいということを書いている。これは損得の問題じゃないですよ。もうかるか、もうからぬかの問題じゃないですよ。これはいいでしょう。社会福祉というものは。特に三木内閣はそういうことをおっしゃっているわけだから。  そうすると、第一条の規定は、損益勘定はある程度無視をしても、要するになるべく安い料金でサービスをしなさい、提供しなさい、こういうことの意味でしょう。そうすれば、この第三条の「郵便に関する料金は、」云々として書いてあることは、これは事業形態として収支相償の原則でやりなさい、こういうことを言っておるわけだ。ところが、第一条はそうじゃないのですよ。これは完全に第一条は、いま申し上げますように、国として要するになるべく安い料金でサービスをあまねく提供しなさい、こう言っているわけです。こちらの方は物価が上がってきたら、物価に即応して収支がとれるような計算で料金はやりなさい。それだからこれは明らかに第一条と違反をしているじゃないですか。あなた矛盾していないとさっき言い切ったけれども、矛盾しておるじゃないですか。異常に物価が上がっちゃって、自民党の悪政によってこういう事態が起こっちゃった。自民党の先生に悪いけれども、悪政ですからね。それでこういうことが起こっちゃって、第三条の規定を盾にとっちゃって、それでこういう規定があるからと言ったって、いま申し上げたこの財政法三条や、憲法の八十三条、四条の規定、第一条の規定に違反をすることは明瞭なんです。これを違反をしないという説明はできますか。できないじゃないですか。  じゃ、聞きましよう。違反をしていないということを説明したかったら、幾らでも時間を与えますから、説明してください。そうすれば、郵便法第一条の大原則と、第二条、第五条の規定から見て、許すべからざる法文を挿入したということになるじゃないですか。大原則を侵していながら、この国会において承認を求めるということは何事ですか。われわれは法治国家ですよ。憲法の条章や財政法の規定や郵便の基本的な原則から納得のできないものはわれわれ賛成するわけにいきませんよ。大臣どうですか。私の間違っている点があったら指摘してください、郵便法第一条、第三条の規定から見て。
  68. 村上勇

    村上国務大臣 第一条だけで第三条がなければ、第一条だけではいまのような疑義が生じたのだと思います。そのために第三条を入れていわゆる収支相償の原則というものを打ち立てて、そうしてきている、私はこう思っております。
  69. 土橋一吉

    土橋委員 それじゃお尋ねしますが、これは第三条というのは事業形態として収支賄うようにしてくれ、こういう意味の料金を設定しておるわけです。しかし、第一条はそんなことは言っておりませんよ。第一条はこの財政法の規定や憲法の規定によってなるべく安い料金で公平にサービスを提供しなさいと言っておるわけです。そうしてくると、なるべく安い料金ということは、さっきから何回も言うように、ある場所においては採算がとれないかもわからぬ、ある場所においてえらい損害が出てくるかもわからぬ。あるいは新宿局とか、江戸川の局とか、中央郵便局ではそれはもうかるかもわからぬ。しかし、おしなべてそういうことはあるけれども、とにかく犠牲を払ってなるべく安い料金でやってくださいと、こういうことなんだ。もしあなたの主張のように、土地をどんどん高いところを買い込んじゃって、デラックスな郵便局をつくっちゃって、そうして冗漫な職員をたくさん上の方に置いちゃって、そうしてこぶつきのようなそういうえたいの知れない協会なんかたくさん引き連れていて、そこへ金を使っておって、それで収支が賄えませんと言ったって、聞こえないじゃないですか。あなた、国の事業ですもの。そうすれば、私が申し上げたような基本路線を貫かなければ、それは法律違反じゃございませんか。こり法文自身が、先ほど申し上げるように、高度経済成長政策の中で料金値上げを目的として、しかもこの異常な自民党政治のもとにおいてこういう法文が挿入されたわけです。したがって、これは第一条の規定から見ても、郵便法全体を貫く精神から見ても、国家事業という面から見ても、まことに当を得た条文じゃないということは明瞭である。したがって、こういう条文を根拠に出してきて行うこの料金値上げはわれわれ国民としては賛成できない。あたりまえじゃございませんか。だって、法文があるのですから。この第一条の条文はちゃんと厳然として存在するのだから、これは「この法律の目的」という題でちゃんと書いているのですから、それを否定するようなことは法規違反じゃございませんか。どうですか。
  70. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  先ほど経理局長が読み上げました憲法の八十三条ないし八十四条の規定は、いわゆる法定主義といいまするか、郵便料金の決定は法律または法律の定める条件に……
  71. 土橋一吉

    土橋委員 四条ありませんよ、削除していますよ。
  72. 石井多加三

    ○石井政府委員 八十四条でございます。これの違反ということはいまの御議論とちょっと関係がないような気がいたすわけでございますが、後の方でおっしゃいました第一条と第三条の関係につきましては、先ほど申し上げましたことを繰り返すことになりまするが、なるべく安い料金という表現は、採算を度外視してまで安い料金でやれという趣旨では従来から私たちはなかった、やはりこれは事業体としてずっと経営してきたわけでございます。公企業として郵政事業郵便事業をやってきたわけでございますので、その際にはいつも……
  73. 土橋一吉

    土橋委員 委員長発言を中止してください。そんな発言は聞く必要はない。石井さん、ちょっとやめてください。  私は先ほど簡易郵便局の例を挙げたでしょう、特定局の例を。特にたとえば集配局なんかの例もあると思いますよ。そこでは収支相償できないじゃないですか。そういうところがあってもなおかつあまねくサービスを提供する、この大前提の上に立って仕事をしていらっしゃるんでしょう。何も私はできるだけ安い方がいいなんて一口も言ってませんよ。ただにせいとも言っていませんよ。なるべく安い料金だということを言っているのですよ。採算を度外視して経営してもいいなんということを一口も私は言っていませんよ。そうすれば、現にあなた方がおやりになっているじゃないですか。たとえば簡易郵便局にしてもそうですよ。農協や漁協に任しておる簡易郵便局もそうです。山の中にある特定局なんか、みんな収支償いませんよ。たとえば二・五人の定員で果たしてそれだけ郵便だけ――保険は別ですよ。保険、貯金はさっきから何回も言っているように別にしなければいけません。郵便だけで採算がとれますか。それではあなた方、全部そういうふうにやっていますか。約一万三千ほどある特定局関係はそういうふうに、やっていますか。あったら証拠を見せてください。どこの局でも収支がらゃんと賄われる局があれば教えてください。
  74. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  採算性の問題でございますけれども、確かに御指摘のとおり、簡易郵便局あるいは田舎の方の特定郵便局、それ一つずつを単位として収支のそろばんをはじいてみますと、個々には収支のバランスのとれない局がたくさんあるということは御指摘のとおりでございます。また一方、大都会その他の非常に利用率の高い郵便局の、これは郵便事業だけとりましても、そういった局は十分採算性のとれておる局がたくさんあるわけでございます。それらを全国的に総合いたしまして郵便卒業が収支相償であればいいわけでございまして、個個の局の収支のバランスはこの際われわれとしては取り上げないで、全体のバランスがとれるようなそういった料金になるように、特に郵便の場合は全国均一料金でございまして、小包のような場合を除きますと個々の、東京都内だけの郵便は黒字であり、あるいはうんと田舎の方との間の郵便は赤字であるといういろいろな問題がございますけれども郵便事業全体が収支の相償がとれるような、それはまた個々の局の一局一局の収支相償じゃなくて全体の郵便局のプラス、マイナス、赤字、黒字をトータルしての採算がとれればそれでいいというふうな考え方をわれわれはとっておりまして、そういう意味での収支相償ということをこの郵便法の第三条は示しておるもの、さように理解しておるわけでございます。
  75. 土橋一吉

    土橋委員 いやそうじゃない。あなた、そんなでたらめなことを言ったって、それは第三条の規定だけから見ればそういう理屈も成り立つわけです。第一条が厳然としてあるじゃないですか。この目的というのは、御承知のように全体の中においてこのシステムやあるいは料金の問題やすべて、要するに基本的なものはどういうことをやっておるのかということをちゃんとこうやって書いてある。それには「なるべく安い料金で、あまねく、公平に提供する」。そして個々的に見れば、一万三千有余の特定局を例にとれば、それは収益を上げているところもあるし、上げていないところもある。あなた、ほかの官庁でありますか。二万一千も局舎を持って、全国あまねくやっている、そういう企業体はありますか。国有鉄道だってないでしょう。専売だってないでしょう。印刷局はもちろんありはしない。そうすると郵政という事業がこの百年間、あなたがおっしゃるまでもなく均一切手制度によって、これは明治五年からやっているのですよ。前島密さん以来やっているのです。きのうきょうやっているのじゃない。均一的に郵便切手というものを利用して、そして郵便逓送契約を全国の皆さんと結んできているわけです。そうすれば、この第一条の規定が厳然として存在する限りは、この規定を中心に、しかもその土台の上に立って第三条の規定があるわけですよ。ところが第三条は、先ほど申し上げたように第一条の規定から見れば明らかに違反をした、要するになるべく安い料金でやるということを言っている。片方は収支償う料金だと言っている。それと違うじゃないですか。それはいまの経済情勢や自民党の政権下において異常な事態が起こっておるわけです。その例は先ほど申し上げたように、北新宿郵便局の建設の問題にしてもあるいは八王子の郵便局の建設の問題等見ましてもきわめて明瞭じゃないですか。さっきのグラフ、何回も私はあなたに――ほかの業務はいいのですよ。貯金とか保険のことを言っているのじゃない。それはそれでいいのですよ。こんな状態をつくり上げております。ほかのものはちゃんとこの経済情勢にくっついていけるわけです。郵便だけはくっついていけない。それは主な原因は何かと言えば、人件費が重なっていることだ。その人件費はどこでそうなったかと言えば、要するに物価政府の政策によってどんどん上げられておるということ。そうなってくると、この第一条を殺すような説明をしたのでは郵便の第二条の規定が泣きますよ。第五条の規定が泣いてしまいますよ。どうですか。  ですから、国家専業ですから、先ほど申し上げたように社会福祉を中心とする現内閣においては当然そういう点が考慮されなければならぬではないか。そうすれば、一般会計から持ってくるかあるいは郵政特別会計の中で貯金、保険あるいは電話事業の収益をここでどんぶり勘定みたいにして、それでこの収支を賄う体制をとる。さもなければいわゆる郵政局以上の職員を大幅に減らすとか、あるいは国家で持つとか、あるいは郵便のポストであるとかそういう建物は国家で持ってもらうとか、あるいはそういう各協会のようなものをしっぽを切ってしまってきれいな体にならなかったら、この問題は乗り切ることはできぬじゃないですか。契約の原則から言っても、大多数の国民がこれを利用するのだからして、できるだけ国民が納得のできるような、同調のできるような体制をとらなかったら、郵便業務そのものが自滅をするじゃないですか。第一条はそのことを言っているわけです。こだわらないでくださいよ、石井さん。第一条をないがしろにしちゃいけませんよ。あなたは郵務局長さんでしょう。保険局長さんに聞いているのじゃない。郵務局長さんに聞いている。郵政大臣、どうぞ。
  76. 村上勇

    村上国務大臣 なかなかこの第一条、なるべく安い料金、ここに一つの、なるべく安いということは何を標準にするか。いまより上がったから、二倍になったからなるべく安いにならないのかというような議論になるでしょう。私どもは第三条の収支相償という、これを何も盾にとって言うわけじゃないですけれども、とにかく現行法が、それは後で改正したにしましても、現行法がある限り、私どもとすればこういうような値上げのそれもでたらめではないので、理論的に実際積み上げてこうなるということを訴えておるのでありまして、なるべく安くということからすれば、なるほど常識的にはえらい高いじゃないかということも言われるでしょう。しかし、諸物価等も勘案し、それから国民所得に、いわゆる個人的な支出についても、またはこれを大きく世界各国の例等と照らし合わせましても、やはりいずれもインフレ下にある料金としては、今回のお願い申し上げておる料金がなるべく安くというものに違反しているというようには私ども考えていないのですが、その点はもう見解の相違がありましょうが、そういうようなことで第三条、第一条の関係は私どもは矛盾でなくて、これがなければこれはもう立ち往生するようなことになるのじゃないか、こう思っております。
  77. 土橋一吉

    土橋委員 この問題は、かなり頭を冷やして冷静にお互いに検討しなければ、なかなかここで答弁ができないと思います。私は、いまの主張は自分は正しい。もう四十年間郵政関係をしまして、この問題は私もいつも考えておる問題の一つですから、私は自分で自信を持ってこの問題をいま申し上げておるわけです。  そこで、次の問題で、それでは、あなたの方からいただいた四十九年度郵政事業支出内容というのでございますが、この内容について、職員の基本給がどうだこうだといろいろ書いてあります。私はこの内容については、もっと検討するものがあるのじゃないか。たとえば、標準基本給は幾らぐらいになっておるのですか。基本給と、家族手当とそれから勤務地手当ですか、この三つを入れた基本給は何ぼになっておるのですか。
  78. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 総体を平均いたしまして、十二万三千円ぐらいになっておると思います。
  79. 土橋一吉

    土橋委員 その内容は、どんなものを含めてそんなことになっているんですか。そんなにもらってないでしょう。その勤続年数と年齢。郵便でだけですよ。ほかのものはだめですよ。十三万四千人の中の……。
  80. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま申し上げましたのは、全部の平均でございまして、俸給が十一万八千円、扶養手当が二千三十五円、端数は省略させていただきますが、二千円、調整手当が二千八百円、合計いたしまして十二万三千円ということでございます。
  81. 土橋一吉

    土橋委員 それは郵便に関する労働者のあれですね。勤続年数や年齢は何ぼですか。
  82. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま申しましたのは、全事業の平均でございます。  郵便だけ申し上げますと、五十年度の予算では御承知のように五%の昇給原資は別になっておりますので、これを除きまして申し上げますと、職員俸給の月額が、約十万五千円、正確に申しますと、十万五千六百十六円、それから扶養手当の月額が千七百三十九円、それから調整手当の月額が二千二百三十一円ということに相なっております。
  83. 土橋一吉

    土橋委員 それは合計幾らになりますか。
  84. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 合計いたしますと、約十万九千円ぐらいになります。十一万ぐらい……。
  85. 土橋一吉

    土橋委員 そうすると、そのほかに、たとえばいまの手当のほかのものは、交通費と家賃とそれからボーナスですね。そのほかに積雪手当だとか寒冷地手当、いろいろなものがあるでしょうが、それは基本給に対して何%ぐらいですか。基本給に対してその家族手当以外の勤務地手当、それは入っておるわけだ。そうすると、ボーナスの五カ月分と積雪手当、それから住宅手当……。
  86. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 正確にはまだ計算いたしておりませんが、恐らく七十数%くらいになるのではないかと思います。
  87. 土橋一吉

    土橋委員 そんなになりますか、七十何%、基本給に対してそんなになるのかな。
  88. 神山文男

    神山政府委員 お答えいたします。  基本給に対しまして付加給が七五%ということになります。
  89. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、それでは神山さんにお尋ねしますが、われわれ専門家じゃありませんので、しろうとですから、そこのところは、そうすると一人の職員の平均、たとえば三十八歳なら三十八歳、四十歳なら四十歳、それで勤続年数は十五年から二十年前後だと思いますが、それで一人の人に一年間働いていただくためには何ぼ金がかかるのですか。二百万かかるのですか、百八十万ですか、被服とかいろいろなものを入れて。要するに、給与全体で一人の職員さんをお願いするのに二百万かかるのですか。百八十万かかるのですか。そういうわかりやすいところを説明してください。一人の職員を一年間雇うのに何ぼかかるか、平均のところで。
  90. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 概数で申し上げて恐縮でございますけれども郵政全体で大体三百万ぐらいというふうに私ども考えておりますが、郵便だけをとってみますと、二百八十万ぐらいというふうに考えております。
  91. 土橋一吉

    土橋委員 そうすると、いまあなたは、平均賃金が百十何万だと言いましたね。それに七〇%掛けて二十万でしょう。一年間雇って、ボーナスを仮に五カ月上げたって三百万どうして入るのか。うそを言ってはいけませんよ、そんな。冗談言っちゃいかぬよ。三百万だなんて、それはどこかの日本銀行の高級役人だよ。冗談言っちゃいかぬよ。
  92. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私の説明が舌足らずでございましたけれども、私ども人件費と申しますときには、俸給とか、先ほどおっしゃいました手当類のほかに、退職手当とかあるいは共済の整理資源等を含めてすべてを一括いたしまして人件費というふうに総称いたしております。その経費を一人で割りますと、全事業で大体三百万ぐらいになる、こういうことでございます。
  93. 土橋一吉

    土橋委員 それは、やめてほかのところにつく人のことを言っておる。そんなことをここで計算に出してはだめですよ。基準賃金というのは何ぼか。年齢別に言うならば、たとえば三十五歳から四十歳、勤続年数は十五年とか十八年とか。そこで現にもらっておるのを、つまり月給と先ほどお話のあったように手当とボーナスひっくるめて何ぼかということを聞いておる。むずかしいことを聞いてないですよ。年間何ぼ払っておるのか、そんな共済の金出したり退職金まで出せば別ですよ。
  94. 神山文男

    神山政府委員 お答えいたします。  昭和四十九年四月一日現在の平均基準内賃金は十二万一千二百二十六円ということになっております。それから平均年齢でございますが、昭和四十八年の十月二日現在の資料でございますが、三十七歳と八月ということになっております。
  95. 土橋一吉

    土橋委員 勤続年数は。大体それは二十年くらいでしょう。
  96. 神山文男

    神山政府委員 勤続年数でございますが、昭和四十八年の十月二日現在で十八年と七月ということになっております。
  97. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、いま委員長もお聞きになりましたように、あなたの方からいただいたこの表は、四十八年ですけれども、三十五歳から四十歳で八万六千九十円なんです。十五年勤続から十八年までで八万四千二十九円、これが勤続年数別。これに、四十九年春闘において約三〇%を超える賃金を出したわけなんだ。三、八、二十四で、大体十一万円前後だ。そうすると、十一万円前後のところへもっていって、先ほどのお話では五カ月分の手当を出すというと、これは一年間で結局、十二カ月だから、大体百三十万足らず、それに十一万何ぼの五カ月分ですから、結局二百万足らずでしょう、つまり共済とそれは別にしまして。  そうしますと、二百万に足らない給与を出しておいて――この給与表からはっきりしていることは、下の方が多いわけなんだ。勤続年数二十五年、三十年、四十年というのはもうごく少数ですよ。これは大体役職についている方が多い。ほとんどその八割ぐらいは、課長とか課長代理とか局長とかという役職についていらっしゃる。一般の方は広いわけなんだ。これはどこを見てもそうですよ。そうすると、標準をとっても、上の方はつかえて少ない、下の方はずっと多いわけなんだ。だから、標準の金額で定員を査定した場合には、要するにかなりな定員が査定できるわけなんだ。--ここまではよろしいでしょうね。  いまあなた方が、一人約二百万。そうすると、あなたの方で出している資料は、人件費が、郵便だけから言うと、局長は一応外して、大体十三万四千人、そうしてくると、ここで四千五百十九億。これは五十年度予算でかかっていると言っているわけだ。ところが、十三万人で一応二百万円を掛けてみると何ぼになるか。二百万で、まあ十四万人として、二千八百億円。かなり数字が違うじゃないですか。二千八百億円ですよ。その二千八百億円を賄えないと騒いでおるわけなんだ。  ところが、収益は何ぼ上げているのか。四十九年度の収益は大体三千八百億ぐらいでしょう、五千億をちょっと欠けるわけでしょう。そうして今度は五十年度予算を見ると、大体五千億を突破しておるわけなんだ。しかしながら、簡易保険と郵便貯金で入ってくる金は大体六千億なんだ。自分の本来の事業は、それよりも一千億も下回る事業をやっているわけなんだ。そこへもっていって、いま話したように、郵便労働者を仮に十四万人と査定しても、二千八百億あれば賄えるじゃないですか。そうしてくると、この算出の方法その他についてはかなり検討を要するものがある。たとえば郵便収入にしましても、あなた方は五千何百億と出しておるわけなんだ。ところが、この四月一日から十月までの収入は、半年間ですから、その五千何百億の半分はあるわけだ。廣瀬さん、それはいいでしょう。郵便物をならして言えば、六カ月間には、要するに、五千何百億の予算を出した中の二千五百億は十月までの収益と見込んでいるわけだ。十月から来年の三月三十一日までは六カ月あるわけだ。この中で第一種、第二種郵便物の占めている割合は、全郵便量の八〇%前後だと言っているわけだ。はがきだけは二倍であるけれども、要するに、封書は二倍半とか、あるいは定形外なんかは平均して三・四倍だと先ほど言っているわけなんだ。そうすると、この半年間の収益というものは、つまり前六カ月の収入よりはるかにふえるわけだ。  どの程度郵便が減るかというと、きのうの答弁にもあるように、わずか一%とか二%しか減らないわけだ。書状がはがきに乗り移る場合だって、きのうの説明を聞いておるとごく少量である。そうすると五千何百億という予算をはじき出しておる内容は、前半の六カ月の二千五百億よりもはるかに多い収入があるわけなんだ。もし三・何倍で掛けていくならば、この一年間に百三十二億の郵便が入ってくるんだから、そのうち第一種と二種はその八割を占めておるというんだから、そうしてくると一種と二種は大まかに言って百億通が入ってくるわけなんだ。百億通が従来の半年間の収入で三倍とか二倍半ということになれば、五千億の収支の見方は非常に間違っておるじゃないか。常識的に言ったって、前半の六カ月間が二千五百億ならば、後の十月から繁忙期を控えた三月までの間は、それ以上の収入があるわけなんだ。四十八年度予算から見てもそのことは言えるわけなんだ。それが、収入が二・四倍とか五倍とか、物によって三・四倍に上がっておるというんだから、そうすればどうしても後の十月から三月三十一日までの繁忙期の収入というものは、前半の二千五百億をはるかに超える収入を持っているわけなんだ。なぜそういうインチキな予算の立て方をしておるのですか。そこを聞きましょう。  私の見るところでは、結局、たとえば八〇%を占めておるはがきと書状を、片方は倍、片方は二・五倍だから、その中をとってみて仮に二・三倍としよう。そうすれば五十億通を――つまり収入内容から見るならば、明らかにこれは違法な予算を提出しておるじゃないですか。五千億を超えなければいかぬわけだ。五千億は昨年の四十九年度の予算からはじき出して、そして大体これは料金が上がってもこの程度の収入だということで出しておるわけだ。ところが、料金は二・五倍とか三倍上がっておるわけなんだ。そうすれば、後の十月から三月までの収益というものは、前六カ月よりもはるかに超えた収入があるわけなんだ。ところが、同じように、これは二千五百億何ぼの予算ではじき出しておるわけだ。そんなインチキしていいですか。
  98. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 種別につきましては、郵務局からお答えがあるかと思いますが、予算の立て方につきまして御説明申し上げたいと思います。  四十九年度におきましては、実は三千八百億の業務収入を見込んでおります。ところが、五十年度のただいまの郵便法改正案に従いますと、千五百七十八億の改正分による増がございます。したがいまして、大体四九から五〇にわたりまして同様の収入があるとすれば、料金改定分を加えましても五千億を超える。したがいまして、予算的には五千四百五十億の収入ということになるわけでございます。  それからもう一つ支出の面でございますけれども、先ほど先生は基本給、それからその他の手当に限定して人件費を言われましたけれども、私ども事業の経費を考えます場合には、やはり退職手当も考えてまいりませんとつじつまが合わないわけでございますし、共済関係の経費につきましても同様に見込んでおきませんと、これは困るわけでございます。したがいまして、先ほど三行万と申し、あるいは郵便につきましては二百八十万と申しましたのは、そういった人件費総体をくるめまして、そして必要なものを一人当たりにしますとそのくらいになります。先生が二行万とおっしゃいましたものに対応する郵便人件費の総体は二百八十万ぐらいに州なるわけでございます。したがいまして、そういう計算をいたしますと、人件費の予算的な面で見ますと、郵便の直接費だけで見ますと、三千六百二十億ぐらいになります。総体で人件費は四千五百十九億、これが郵便費の人件費、こういうことになりますので、予算的にはそういうふうに御理解を願いたいと思います。
  99. 土橋一吉

    土橋委員 そういうわけで、いまの説明から、きわめて自信のない説明廣瀬さんはやっていらっしゃるわけです。ですから、少なくとも千八百億以上の収益、あるいは二千億近いのじゃないか。つまり値上げした分だけとってみれば、千五百億なんてそういう非常に低い比率で物を見ているのでは違ってくるのじゃないか。ましてや今度物価が一緒に上がってくるわけです。そこへもっていって電話料金も上げよう、私鉄運賃も上げよう、あるいは酒、たばこはもちろん上がってくる、こういう情勢下においては、この見方はつつましいと言えばつつましいけれども、非常に事実を歪曲しているのじゃないか。しかも三・五倍とかあるいは二・五倍とか上がってくるものだから、昨年の比率から見てももっと多くのものを見てよろしいのじゃないか。これが私の主張であります。  ですから、どうか真実に近いものを出していただくということ。それから給与は必ず上げるということ。これは四万七千七百円の要求は私は至当だと思いますので、これを速やかに決定していただくということ。それから何回も言いますが、先ほど申し上げた郵政事業をもりと電子郵便でも入れるとか、あるいは上の方を切るとか、下の方のくっついているしっぽは切ってしまって財政を豊かにするということ。建物その他は国からきちっと取る。それで十三万四千余を初めとする職員の背さんの御奮闘をお願いするということで、私の質問をやめます。
  100. 地崎宇三郎

    地崎委員長 午後二時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十四分開議
  101. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野潔君。
  102. 大野潔

    ○大野(潔)委員 最初に、大臣に一言お願いしておきますけれども、公明党としては私が第一陣でありますが、この後ベテランの田中委員がおります。そこで、私は、主として総論的質問大臣にしたいと思いますので、細かな数字的なものは局長にお任せするとして、極力ひとつ大胆がお答え願えるよう申し上げておきます。  本題の質問に入る前に、まず大臣にお尋ねしますが、先日党首会談が行われました。これが開かれる前に問題になりましたことは、一体全体党首会談で話し合ったことが果たして政治に反映されるのかどうかという点でございました。そして、三木総理も十分前向きに努力いたします、こういう趣旨の話をいたしまして党首会談が実現したわけでありますが、この逓信委員会もきのうから郵便料金改正案の野党質問が行われておりますけれども、この質問を通じまして指摘された不合理な点や欠陥がはっきりした場合に、思い切って法案を撤回したり、または修正したり、その意見を取り入れる決意が大臣にかあるか。または、どんなに問題点を指摘されても、何だかんだと言い抜けしまして質問時間を適当に与えて、まあ何時間かの審議をした、形式を整えた、こういうことで、最後には多数決で終わってしまうのか、その点についてひとつはっきりとお返事を承っておきたいと思います。
  103. 村上勇

    村上国務大臣 なかなかむずかしい御質問で、とにかく大多数の国民の御納得のいくようなことで、どこまでも私はこの法案についての御審議を願いたい、かように思っております。
  104. 大野潔

    ○大野(潔)委員 あんまり明快なお話ではありませんが、十分意見は取り入れると解釈さしていただきます。  そこでまず最初に、物価とそれから郵便料金値上げ関係について伺いたいのですが、三木総理は、物価安定が三木内閣の緊急課題である、また物価安定は三木内閣の最重点政策であるとたびたび強調されております。また福田企画庁長官は、具体的に昭和五十年度四月から十二カ月における年間物価上昇率は一けたの範囲にとどめる、さらにその次の五十一年度においても物価水準を預金金利の水準以内にとどめる、こういう目標を立ててそれに向かって諸政策を進めていく、こう明言されております。大変結構な御決意であり目標であると思います。しかし、このような公約を掲げながら、今回の郵便料金値上げ案を国会に提出したということは大変な施策上の矛盾ではないか、こう思うわけでありますが、その点ひとつ大臣の御意見を承りたいと思います。
  105. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘のとおり、三木内閣といたしましては、物価の安定を図るため、昭和四十九年度末における消費者物価を対前年度比一五%以内に抑えるということをめどに努力いたしておるのであります。その結果、これを大体その程度に抑えることができたようであります。引き続き五十年度におきましても、物価抑制策を一つの大きな柱として取り組みまして、郵便料金などどうしてもやむを得ない値上げ分を織り込んで、来年三月末における消費者物価を対前年度一けたのパーセンテージに抑えるということで努力をいたしておることは御承知のとおりであります。  さて、この郵便料金値上げについてでありますが、御承知のとおり、郵便事業は近年における人件費の高騰をもろに受けて事業財政は極度に悪化してまいりましたが、政府の強い物価抑制の方針に沿って、四十九年度中は郵便料金値上げを見送ってまいったのであります。このために事業財政はさらに窮迫いたしまして、昨年十二月、再度郵政審議会から手紙五十円、はがき三十円を骨子とする本年度四月からの料金値上げ答申を受けたのであります。しかしながら、三木内閣の大きな柱である物価安定の政策から、利用が多く庶民の簡易な通信手段であるはがきについてこれを二十円に抑える、また実施時期を半年延期するという配意を加えて実施することといたしまして、関係法案の御審議をお願いしている次第であります。  なお、この料金改正を見送ることとなりますと、国民の基本的通信手段である郵便サービスの確保はきわめて困難な事態となるおそれがありますので、他の公共料金改正をできるだけ抑えても、優先度合いの高い郵便料金改正を図ることといたしておるわけでございます。これによって窮迫した郵便事業財政を立て直し、郵便サービスを確保してまいりたい、かように思っておる次第であります。
  106. 大野潔

    ○大野(潔)委員 余り納得のできる答弁じゃありませんけれども郵政審議会答申の中に、「この料金改正案は従来になく大幅なものであって、直接間接に国民生活や経済一般に与える影響は軽視することを許さないものがある。」こう述べられておりますが、これに対して大臣はどのような対策を考えておられますか。
  107. 村上勇

    村上国務大臣 今回の改正案では実施の時期を郵政審議会答申より六カ月延期して、十月一日からということにいたしております。最も一般的に利用されるはがきにつきまして、答申の三十円案を二十円として、物価その他国民生活の全般に与える影響を緩和するように配慮いたした次第でございます。
  108. 大野潔

    ○大野(潔)委員 一連の答弁を伺っておりますと、郵政省内部の事情だけが先行していて、国民の一番要望している物価問題ということがどうも軽視されているのじゃないかと思うわけでありますが、いずれにしても公共料金値上げというものは、国鉄運賃のように面接物価に響いてくるものと、もう一つは全体の値上げムードをつくり出すという二つの作用があるのじゃないかと私は思うのです。この郵便料金値上げというのはむしろ後者のムードづくりの方に大きく影響してくるのじゃないか、こう考えるわけです。現在の経済情勢というものは、石油ショックであらゆる日用品が値上がりいたしました。そしてその値上がりも一応は一巡して何とか落ちつきを示したような印象を受けております。しかし、まだまだその値上がりの要素というのは根強く残っておりまして、かろうじて物価抑制策、また国定の厳しい値上げに対する批判の目、こういうものが何とか物価を抑えているというのが現状じゃないかと思うわけです。要するに何かきっかけがあればまたまた値上げの環境をつくり出すのじゃないか、こう心配されているときに、しかも現在の情報化時代にあって、はがきとか手紙というものは国民生活の中へ本当に溶け込んでおります。そのはがきが二倍になり、手紙が二倍半になる。十円のはがきが二十円、また二十円の手紙が五十円になるということは、これは完全に物価値上げのムードづくりには持ってこいの口実でありましょうし、またインフレ感覚を麻痺させる劇薬にもなりかねない、こう私ども反対するわけでありますが、この点郵政事業の中身じゃなくて、やはり三木内閣の閣僚の一人として物価問題の立場からどうお考えになっているか、もう一度しかとお答え願いたいと思います。
  109. 村上勇

    村上国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、大体この料金値上げというものは来年度の年度末の一〇%以内でおさめるという中にちゃんと入っているつもりでおりますが、従来から郵便法第一条に、なるべく安い料金の規定がありますが、この規定は収支を度外視してまで安い料金であることを意味したものではないことは御承知のとおりであります。収支相償の上に立っての低廉性であると解しているところであります。昭和四十六年に新設されました第三条は、これを前提といたしまして、郵便料金は「郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」としておりますので、郵便料金はこれらの規定に基づいて設定されておりますので、公共性の精神も失っているとは思っておりません。
  110. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも私が御質問しているのと答弁が食い違っておるようですけれども、私が御質問しているのはいわゆるムードづくりのことを聞いているわけでして、郵政省からいただいたいろいろな計数によりますと、今度の郵便料金値上げの計数というものは、いわゆる生活費の〇・一二%であると数字的な面だけは確かに出ているわけです。しかし、与えるムードというものは非常に大きいの、じゃないかということを質問しておるわけです。もう一度ひとつその点について……。
  111. 村上勇

    村上国務大臣 これはもうあまねく全国民に使用されることでありますから、そのムードは先生御指摘のとおりだと思います。
  112. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも余りこの辺を突っ込んでもかみ合わないようでありますから、ちょっと角度を変えまして、公共料金の定義ということはこれはもういまさら大臣にまるで試験するみたいにお聞きする必要はありませんが、申し上げれば生活必需品の価格であることが一つ、二つは料金決定について何らかの政府の規定があること、それからもう一つは独占的事業であること、四番目としてサービスに近い価格であること、この四つが少なくとも公共料金の定義になると思うのです。それだけに戦後三十年のインフレ的な物価値上げの中で相次ぐ公共料金値上げ、これは国民の立場から見ますと、いわゆる政府主導による物価値上げ、こう受けとめられているわけです。その点現在の郵便法は特に料金値上げに対する考え方は非常に甘いのじゃないか。すなわち四十六年の改正によって確かに第三条というものが入りました。大変郵政省にとっては都合のいいやり繰り規定でありますけれども、しかし肝心かなめの公共料金としての精神規定、これが強いて言えば第一条に当たるわけでしょう。この第一条の表現が、どうもさっきから論議を聞いておりましてもあいまいです。ですから、先輩委員の一条、三条の論議が盛んに行われましたけれども、この一条は公共料金の定義をもとにしで読むべきだろうと私は思いますけれども大臣いかがですか。
  113. 村上勇

    村上国務大臣 第一条はなるべく安く奉仕せいということでありますので、これは私の解釈では全く普通の状態においてはなるべく安く国民に奉仕するということであろうと思います。しかしこういう異常な状態になりましても、なるべく安くというのがどの時点を指しておるか知りませんが、そのときそのときにおけるなるべく安くでありまして、われわれが今回御審議願っておりまする料金は、今日の時点ではなるべく安くの方へ入っておる、私どもはこう解釈いたしております。
  114. 大野潔

    ○大野(潔)委員 料金が高いか安いかという問題はまた後ほど伺うとしまして、いまこの条文をどう読むかという解釈について伺ったのですけれども、お答えがありませんので角度を変えまして申し上げますが、私が申し上げているのは終戦直後の日本の再建時代、いわゆる新憲法が制定され、ほとんど全部の法律が新設ないしは修正されました。その時代の方が公共料金に対する考え方というものが今日よりもはっきりしていたのじゃないかと思うのです。たとえば昭和二十三年に制定されました国有鉄道運賃法、この第一条に次のように規定されております。「運賃及び料金は、左の原則によってこれを定める。一 公正妥当なものであること。二 原価を償うものであること。三 産業の発達に資すること。四 賃金及び物価の安定に寄与すること。」こうなっております。これに比べまして、先ほども申し上げておるように、郵便法の三条というのはあくまでも料金のやりくり規定です。この点だけははっきりしておりますけれども、いわゆる公共料金の精神規定、これは第一条ではどうも明快ではないと思うわけです。私は自分なりに考えましてこう判断したわけですが、国鉄というものはどっちかと言えば公社的なものです。ですからはっきりと精神規定を入れておく必要がある。ところが、郵便事業というものは、これはもう政府直営の立場ですから、大臣以下直接に公共料金の精神規定を根本として運用される、こういうところに大体第一条というのはこういう表現になった、こう理解しているわけでありますけれども、いま申し上げたような国鉄運賃法、この原則というものを踏まえておられるかどうか。その点をひとつイエスかノーかでお答えを願いたいと思います。
  115. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘になりました国有鉄道運賃法の中に、確かにいま御指摘のような料金の決定原則についての規定があるわけでございます。お読みになりましたとおり、第二に「原価を償うものであること。」という規定があるわけでございます。また電信電話料金につきましても、公衆電気通信法の第一条に「この法律は、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって」云云という条項がございますし、同じような公企業の中にやはりこのような料金、運賃の決定原則についての具体的なと申しまするか、規定がそれぞれあるわけでございます。それに比較いたしますると、四十六年までの郵便法には、第一条にはただいま御指摘になりましたようになるべく安い料金でという、確かにおっしゃる意味でいわゆる精神条項と申しまするか――一体具体的にどの程度の料金にしたらいいかについての、原価を償うとか、あるいはそういったような意味での料金を決定する原則というようなものが郵便法には欠けておった、ということが前回の郵便料金改定の際のいろいろな議論の中心になりまして、そういった意味で、先ほどお話しになりました第三条、いわゆる適正な費用を償う、そういった料金決定原則を郵便法の中にも国鉄とか電気通信と同様に初めて入れていただき、これによって、従来から当然常識としてはそういうふうにしなければならぬ、またそう考えるべきであるというふうにわれわれは理解しておりましたけれども、その点を明確にしていただいた、さように理解しておるわけでございます。
  116. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも郵務局長さんがお答えになるとまた先ほどから論議していたのが繰り返しになってしまいますので、私は角度を違えて大臣に、公共料金というものは郵政省だけの都合でいくものじゃないだろう、国民が一番要望している問題について全体観に立って考えるべきものじゃないかという点から、そういう第一条の解釈についていろいろ伺っているわけでありますが、この問題も前から論議していてなかなかかみ合っておりませんので、では具体的な問題に移っていきたいと思います。  次に料金関係についてお尋ねしますけれども、まず大臣、十円のはがきが二倍の二十円になった。また二十円の手紙が二倍半の五十円になった。第三種の六円が五倍の三十円になった。この改正案というのは、率直に言って大臣はどう考えているのですか。私は余りにも大幅な値上げだ、こう考えておるのですけれども大臣はどう考えておられるか、まず大臣の感じをひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  117. 村上勇

    村上国務大臣 物価抑制方針に沿って四十九年度中料金改正を見送ってきたために、今回御審議いただいております料金改正案は、従来に比べ上げ幅が大きなものとなっております。しかし、もし今回も料金改正を見送ることになりましたり、また非常に上げ幅を小さくしますと、国民の基本的通信手段である郵便サービスの確保すらむずかしくなるおそれがありますので、ぜひこの料金改正に御理解をいただきたい、かように存ずる次第であります。
  118. 大野潔

    ○大野(潔)委員 それじゃ少し具体的に伺っていきたいと思うのですが、まず一種、二種の料金について伺います。  いただいた資料の中で、四十八年度の国内郵便原価表によりますと、第一種の定形、いわゆる封書ですね、これは二十円三十一銭となっておりますけれども、これは間違いございませんか。
  119. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生のお説のとおりでございます。
  120. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そうしますと、きのうから論議を聞いておりますと、そのうち約八割が人件費だということですね。便宜上まるまるが人件費だと考えまして、昨年のベースアップ、約三〇%アップしたわけでありますが、これを単純計算しますと普通封書の場合、アップ分は六円九十三銭ということになるわけでしょう。合計しますと四十九年度の原価というものは二十七円二十四銭ということになるわけです。間違いありませんね、単純計算で。そうしますと、その上また積み上げまして、五十一年のベースアップがどうなるかわかりませんが、仮に前年度と同じように三〇%になったとしても、原価は大体三十五円ぐらいじゃないですか。この原価は四十九年度二十七円二十四銭、これを五十円にした根拠は一体どういうことなんですか。その点について、ひとつ理解できるようにお答え願いたいと思います。
  121. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 原価の将来値と申しますか、将来における必要経費を見積もるのはなかなか前提条件がございまして、先生承知のようになかなかむずかしいわけでございます。ベースアップだけではございませんで、その他の人件費のアップ等も含めて考えて見なければなりませんので、私ども見方をどうとるかということで非常に苦慮いたしておるわけでございますが、大体において先生のお説のような割合で上がっていくものと考えて差し支えないかと思っております。ただ、私ども郵便料金考えます場合、個別の原価計算をとりまして、これによって料金を設定するというのは非常に困難な内容のものでございます。たとえば公共的な色彩のものだとか、あるいは利用の実態だとか、そういったものを全部勘案する必要もございますし、したがいまして、全体の必要経費と全体の収入というものを考えながら個別原価を算出していくという必要があろうかと思います。したがいまして、私ども郵便事業の場合は総合原価主義をとっておりまして、総体的に必要な経費を必要な収入で賄うという考え方によって原価を算出いたしております。
  122. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いま私たちが法律の上でもって審議できるのは一種と二種しかないわけです。ほかの方は残念ながらあとは大臣のさじかげんということで、審議ができないわけですよ。ですから、一番利用されている第一種、これが果たして皆さんが言う第三条のいわゆる原価を償うものであるかどうかという、この点で論議しなければいかぬと思うのですよ。それが、二十七円二十四銭というものがなぜ倍近い五十円になったかということに対して、いまの答弁ではとても納得できません。
  123. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 改正後の平均の、年間の平年度で考えてまいりますと、大体五十一年度平年度で見てまいりますと四十八円ぐらいの収入になりまして、原価は四十二円ぐらいになると推定されます。これもあくまでも推定でございまして、べースアップ等を含めますのでそのぐらいの数字になるかと思います。したがいまして、定形につきましてはほぼ原価に見合う程度の収入ということになります。定形外につきましては若干ふえますけれども、いま先生お示しの定形につきましてはほぼ損益相償う。若干の益が出るわけでございますけれども、これは実は第三種におきまして相当の赤が見込まれます。たとえばいまの五十一年度で見てまいりますと、これもちょっといま確定的な数値で申し上げるのはどうかと思いますけれども、大体十数円の赤が出るわけでございます。それから四種に至りましては、これは先生承知のように政策料金的な色彩が非常に強いわけでございますので、ほとんど全部赤になります。それから小包につきましては、これもほとんど全部赤という計算になりますので、結局そういった赤を埋めるそのためには、法律料金におきまして相当の料金改定を行わないと全体の収支がバランスがとれなくなる、こういうことでございます。しかも、一種、二種は先ほど先生がおっしゃいましたように、使われておる量的にもきわめて大きなものでございますので、ここで収支を合わせてほかの赤字を埋めるというような形にしませんと全体がバランスがとれない、こういう形でございます。
  124. 大野潔

    ○大野(潔)委員 何だかさっぱりわからないわけですよね。法律事項は一種、二種なんですから、あとはさじかげんなんですから、いまこれは論じていないわけでありますが、とにかく一種については二十七円二十四銭が原価だ、単純計算でいけばほぼこれは間違いないでしょう。それがどうして五十円になるかということを言っているわけでありますけれども、ほかの方がどうだこうだと言われたのじゃ、ではほかの方も何のために省令事項に移したのだ、全部国会で十分論議すべきものじゃないか、こうなるわけです。今度の改正でまた法律事項に戻しなさい、こう言いたくなるわけでございますけれども、そういう言い方をされたのではなかなか論議になりませんので、次に進みます。  いずれにしても、結論として申し上げておきますが、この二十七円二十四銭のものが五十円になるということは、私は完全に郵便法の第一条にもまた三条にも反するのじゃないかと思いますよ。これはまた専門の田中委員の方にお願いしましよう。  そこで、第一条のはがきとか手紙が他国と比べるとどういうものかという問題について、大臣に伺っておきたいと思うのです。今度の料金改正案の一種、二種に限定してもよろしいですが、この改正料金というものは国際的に見て非常に高いのじゃないかと私は思うわけでありますが、いかがでございますか。大臣にお伺いしたいと思います。
  125. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  欧米主要国におきましては近年たびたび料金改正が行われておりまして、西ドイツでは書状七十一円、はがき五十八円、イギリスでは手紙もはがきも両方とも五十円であります。またフランスでは書状、はがきとも五十六円というように、わが国の料金はこれらと比べて決して高いとは思っておりません。特にはがき料金は、わが国と違い封書の料金と同額かあるいは封書の八割程度の料金となっておりますために、わが国のはがき料金はこれらと比べますと非常に安くなっておる、こう思っております。
  126. 大野潔

    ○大野(潔)委員 もう一度郵務局長さんから、他国の料金をちょっと明快に挙げておいてください。
  127. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいまの大臣のお答えになりましたのを若干補足し、あるいは重複する点があるかと思いますが、その点は御了承いただきたいと思います。西ドイツにつきましてははがきが五十八円、書状が七十一円。フランスにおきましては書状、はがきとも五十六円。イギリスにおきましてはこの三月十七日から値上げになったわけでございますが、はがき、書状とも五十円。スウェーデンにおきましては書状が四十九円、はがきが四十一円。オランダにおきましては書状が五十六円、はがきが四十三円。なおアメリカでございますが、それに比べて若干安くなっておりまして書状が三十九円、はがきが三十三円。欧米諸国の数字で申し上げますと、大体以上申し上げましたような数字でございます。
  128. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣の経歴を見ますと、大臣は前に郵政大臣をやられておったときに、タイ国へ郵政業務の調査に行かれたようでございますけれども、いつごろ行かれたのか。またタイ国の郵政事情の感想、どんな状況なのか、ひとつ簡単に……。
  129. 村上勇

    村上国務大臣 どうも大分年数がたっておりますので、それでなくても記憶の悪いものですからよく覚えておりませんが……。(大野(潔)委員「進んでいるのかいないのか、簡単でいいです」と呼ぶ)そうですね、日本より進んでいるとは思いませんけれども、今日はどうなっておりますか、二十年前の話でございますからわかりません。
  130. 大野潔

    ○大野(潔)委員 日本よりちょっと劣っているというタイ国の郵政事情でありますが、そのタイ国のはがきとそれから普通の手紙、これは大臣いま幾らだか知っていますか。
  131. 村上勇

    村上国務大臣 よく知りませんけれども、何かわりあいに日本よりも人件費が安いので、やはりほとんどが人件費である郵便事業から勘案いたしまして、日本よりも比較的安い郵便料金だ、こう思っております。
  132. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣は御存じない。実は私も、先ほど郵務局長が読んでいただいた資料をいただきまして、一見してどうもこれは高い国ばかり出ているのじゃないかと思いまして、せめて日本の近所ぐらい、タイ――大臣が行かれたから、それから韓国、ソ連、これはどのくらいしますか、こういう問い合わせを郵政省にしたわけでありますが、残念ながら四、五年前の資料しかございませんということで断られました。どうですか郵務局長さん、その後お調べになりましたか。調べたか調べないかだけでいいんですよ、私は調べたんですから。
  133. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のタイ国についての料金だけはちょっといま手元に持ち合わせておりませんが、ここに、五十年の三月二十四日でございまするから一番新しいものだと思われますが、在日の各国大使館で調べました若干の国の、その他の国の料金は持っております。(大野(潔)委員「三ヵ国だけでいいです」と呼ぶ)ソ連をおっしゃったわけでございますか。――ソ連は手紙が十五円、はがきが十一円、それから韓国は手紙が六円、はがきが三円、それからタイ国はちょっと数字を持っておらぬわけでございます。
  134. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私が調べた数字とちょっと違うと思うのですけれども、私も郵政省でわかりませんと突っぱねられましたので、私の知り合いの大使館の友人に、幾らしているんだと聞いてもらいました。そうしましたら、タイ国のはがきは、あちらのお金でもって二十五サタン、それから普通の封書は五十サタンです。それで私今度大蔵省の国際金融局で換算をしてもらいました。そうしましたら、日本円に直しますと、このタイの二十五サタンというのは三円五十銭、それから五十サタンは七円。これは一ドルが二十バーツ、一バーツは百サタンです。ですから結局一サタンというのは十四銭ということになります。結局、三円五十銭。それからまた手紙は七円ということです。それからまたお隣の韓国の料金を申し上げますと、はがきが十ウォン、約六円です。また封書の方は二十ウォン、約十二円です。それからソ連は、社会主義国ですから特殊かもしれませんけれども、お隣の国であるということで、そういう状況から調べたわけでありますが、はがきが三コペイク、約十二円です。それから封書の方は五コペイク、約二十円。私も最初これを見まして、これは一けた違うんじゃないか、こう疑いまして、それで大蔵省の国際金融局に確認した、こういう経過になるわけであります。  さっき大臣は、国際的に比べても決して高くないという趣旨答弁をされましたけれども、どうなんですか。郵務局長は高いところだけ大臣に教えて、日本の近所すらも比べてもいないと言う。しかも、あなたがおいでになったタイ国の値段ぐらいちょっとお聞きになっても、日本が高いか安いかという判断はつくんじゃないかと思うのですけれども、ひとつ御感想を承りたいと思うのです。
  135. 村上勇

    村上国務大臣 大体安いところは非常に結構であります。しかし、日本と比較したヨーロッパの先進国、これらのその比較している国は大体日本と国民生活が同じような国々が多いと思います。それから、それだといって社会主義国あるいは韓国またはタイ国あたりがどうということを申し上げるわけじゃないのですが、やはりただこれだけをもっての判断ではどうかと思います。やはり国民に対するサービスの度合いの問題等もひとつ勘案して考えるべきではないか、こう思います。しかし、安いことは結構ですから、それはそのまねをしたいのですけれども……。
  136. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣国民へのサービスは完璧であるかのごとくおっしゃいましたので、ついでにサービスの問題も後で伺うことにします。  それでもう一つは、さっきからおっしゃっているのは、いわゆる人件費が違うんだ、国民所得が違うんだということだと思うのです。そこで、そうおっしゃるならば伺いたいのですが、たとえばアメリカのはがきは約三十三円、また封書は三十九円、これはこのまま比べましても、はがきの方は日本の二十円案の方が安いかもしれませんが、封書は大分日本の方が高いわけですね。しかも、さっきから申し上げているように、郵便料金はほとんどが人件費だ、こう言われました。そうなりますと、日本といま比較されている国、これとの国民一人当たりの所得というもの、この違いをやはり比較の中に加えておかなければいけないと思うのです。私は、国会統計の五十年版、これで調べたんですけれども、一番新しい数字、これは残念ながら一九七二年の比較しか出ておりません。その一九七二年の比較を見ますと、日本は一人当たりの所得は二千四百六十二ドル、アメリカは四千九百八十一ドル、ですから、これは日本の約二倍の所得です。またスウェーデンの個人所得は日本の一・九倍、フランスは一・二倍、オランダは一・三倍、西ドイツは一・五倍、これは経理局長大体間違いないでしょう。わかりませんか。まあ間違いありませんから。いまアメリカを例にとって考えますと、個人所得が約二倍なんです。ということは、人件費が日本の約二倍かかっているということになるわけでしょう。また、そう単純計算してまいりますと、アメリカのはがき三十三円というのは、日本の個人所得を当てはめればその二分の一なんですから十六円五十銭、同じく封書の三十九円というものは十九円五十銭ということになるわけですよ。そうしますと、正しくははがきはアメリカの十六円五十銭に対して日本の二十円案と比べる。また封書は十九円五十銭に対して五十円と比較する。国民所得を考えて比較すればこういうことにならなくちゃならないと思うのです。ですから、三木総理もそれから郵政大臣も、四十六年に無理やりに改正した、きのうから盛んに言われている郵便法第三条を盾にとって、公共料金というものはその便宜を受ける人たちが便宜に応じて相応の負担をするのが原則だ、もう盛んに言われておりますけれども、今回のはがき二十円、また封書の五十円というものは、これは相応じゃないんですね。相当高い金額になっているということをまず認識してもらいたいのです。国際的にも非常に高い負担であり、国際的にも大変高水準の料金値上げ案である、こういう点をまず御認識願いたいと思うのです。  そこで、なぜこのようになったのか。ですから、私は料金改正する前に、なぜこんなに日本の手紙はコストが上がったのかという点を郵政事業の経営面から総点検をなさってからこの値上げ案というものは出すべきものではなかったか、こう思うのですが、いかがですか。
  137. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  このたびの料金改定をお願いいたしております料金案の骨子となっておりまするのは、一昨年と昨年と二回にわたって開かれました郵政審議会に対する郵政省の諮問に対する答申というものが骨子となっておることは先ほど来申し上げておるわけでございますが、郵便料金の問題につきまして答申を求めました際に、実は最初から郵便料金値上げ問題についての諮問をいたしたわけではございませんで、特に一昨年の昭和四十八年の年末に約二カ月間にわたりまして審議会に諮問いたしましたのは、郵便事業財政が非常に窮乏しておるけれども、こういった郵便事業の健全なる経営を維持する方策について諮問をいたしたわけでございます。したがいまして、それを受けられました審議会におきましても何とか郵便料金値上げを避ける方法はないかということで、郵便事業の内部の、ただいま御指摘になりましたような合理化でありますとかあるいは機械化でありますとかサービスのあり方等も含めまして、ありとあらゆる角度からこの際いまおっしゃるまさに総点検をしていただきまして、その結果の審議会のお答えの中には、やはり郵便事業の中には直さなければならない点がいろいろある。またサービスのあり方等についても、今後再検討を要する点が少なくない。いろいろ具体的な指示もしていただいておるわけでございます。ただ、そういったようないろいろの内部の合理化、機械化、サービス等の再検討をいたしましても、いま差し迫っておる郵便事業財政の危機を乗り切るにはそういった合理化とかその他の方策だけではどうしようもない。そこまで事業財政は追い詰められておる。したがいまして、そういった改善改善としてやることは当然でありますけれども、この際なお郵便料金の改定はぜひやらないと事業の今後の運営が困難になっていく、そういったようなことが述べられておるわけでございます。そういう全体の結論の中で、昭和四十八年度一たん三十円、二十円という料金値上げ答申をいただき、さらにまた一年おくれまして昨年の年末に再答申を求めまして、今度は郵便料金の改定についてだけの答申を求めたのでございますが、三十円、二十円ではもうやっていけないから、郵便料金値上げが一年延ばされました等の関係から、五十円、三十円というふうな答申をいただいたということでございまして、抽象的なお答えになりますが、郵政審議会のその際に答申をされました内容は、個々具体的にかなり郵便事業の内部のいま御指摘のような総点検をした上での結論をいただいておる、さように理解しておるわけでございます。
  138. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私がいま言っているのは、郵政大臣が国際的にもこの値段は高くないと言うから、いかに高いかということを具体的に申し上げたわけでありまして、何もこういう料金案が出てくる経過を伺ったわけじゃないのです。その経過を言うなら、昨年の十一月十四日でもって郵政審議会に諮問されたわけでありますけれども、その諮問の改正料金を白紙で出したわけじゃないでしょう。これは当時は村上大臣じゃなくて鹿島さんだったわけでありますけれども、その諮問の内容改正料金案というものを細かく書いて、そして諮問しているわけじゃないですか。審議会でもってそれに対して本当にいろいろ計算して、これはこうすべきだ、ああすべきだという意見がついたわけですか。全く審議会に諮問したとおりのもので返ってきておるわけですよ。いま出ましたので審議会の問題、後で私若干お尋ねしたいと思いますけれども、いま審議会が果たして妥当であるのかどうかということをやはり検討しなければならぬと思いますけれども、いずれにしてもいま出てきている改正料金案というものは郵政大臣責任において決められたもの。それでその審議会というものはいわゆるちょっと意見はつきましたけれども、金額については全く郵政省案をそのままうのみにして出てきている。ですから、私は審議会というものを隠れみのにしてこの法案は出てきているんじゃないか、料金は決められたんじゃないか、こういう疑いがあるわけです。ですから、そういう感じに基づきまして、果たしてこの料金が国際的に高いのか安いのか。大臣は大体適当だとおっしゃるので、いかに高いかということを数字をもって示したわけでございまして、郵務局長がお出になりますと、郵務局長さんは郵政省中心かもしれませんけれども、あなたが出ると話がこんがらかっていけない。大臣、どうですか。いまずっと申し上げたとおり、日本の手紙、はがきというものは完全に料金の上からいっても高水準にきているんだ。後で再値上げの問題に絡む問題でありますので、ひとつ伺っておきたいと思うのです。
  139. 村上勇

    村上国務大臣 いま値上げをお願いしているものが決まりますと、これは世界の先進国と大した差はありません。しかし、いまの値段は、これは非常に見劣りがしておることは御承知のとおりでございます。現時点のこの値段は相当……。(大野(潔)委員改正料金はどうなんですか」と呼ぶ)改正料金は、まあまあというところじゃないかと思います。
  140. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣、もっとしっかりしてくださいよ、何がまあまあですか。さんざっぱらここで申し上げたのに。あなたも二十数年、永年勤続の表彰を受けた方なんですから、少し日本の立場から考えてくださいよ。これだけ申し上げてまあまあなんというのは、本当に涙が出てきますよ。まあ大臣ですから、まさか高いと言うわけにいかないから苦しんでいらっしゃるというふうに理解しておきましょう。  そこで次に、法律事項から省令扱いになりました第三種郵便物、これについて伺います。  これは郵務局長で結構でありますが、まず第三種が一般の郵便物に比較して政策料金として低料金に抑えられてきた理由、これはどんな理由によって抑えられてきたんですか。
  141. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  第三種の郵便物は歴史的な沿革もございますが、新聞、雑誌等の定期刊行物が社会文化の啓発、向上という上に非常に貢献しているというようなことから、この郵送を容易にいたしまして国の社会文化の発達を助成する、そういう趣旨で設けられたものでございます。今日までこういったような趣旨から低料金が設定されてきたわけでございます。
  142. 大野潔

    ○大野(潔)委員 この第三種郵便物が六円から三十円になる、一挙に五倍になる、これは大変な問題です。私のところにも、大変反対であるという多くの国民の方の声が寄せられてきておるわけでありますが、これはなぜ一挙に五倍の値上げになったのか。これをひとつ簡単にお答えください。
  143. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたような趣旨で、第三種というものは昔から低料でいったわけでございます。現在の第三種の料金を具体的な数字で申し上げますると、たとえば毎日の朝刊、大体二十ページのものでございますが、目方で言いますと大体百二十グラムというふうに見ておるわけでございますが、第三種でいきますと、この百二十グラムの新聞は基本料金の六円にプラス二円ということで、八円ということでいま扱っておるわけでございます。一方、はがきは御案内のように、官製はがきで言いますと大体三グラムぐらいでございまして、あれは十円で現在扱っておるわけでございますから、そういったような比較から言いましても第三種の料金というものは非常に割り安になっておるということが御理解いただけるんではないかと思うわけでございます。それで、こういう第三種の非常に大きな赤字がほかへ持っていくことはできませんので、結局先ほどもお尋ねございました第一種等の基本サービスの料金にしわ寄せされるというふうな実情にあるわけでございます。第三種の意義ということにつきましても、これは明治時代にこれが創設されました当時と比べますと、現在はマスコミ等の発達も非常に飛躍的なものがございまして、こういったもののウェートも発足当時と比べますとかなり落ちてきておるんではないかというふうなことも考えられるわけでございます。郵政審議会のことを持ち出しますとおしかりを賜りますが、審議会でもこの議論が出まして、いろいろありましたけれども、いずれにしてもあまりにも過度の割引、度を過ぎた割引になっておるということは、これは直さなければならないんじゃないか、少なくともこの第三種を扱うに必要な経費の、直接費、間接費ということを申しますが、間接費ぐらいは償う程度の料金にしたらどうかというふうなことで、ただいまお話しございましたように一部六円のところは三十円、それから十二円のものにつきましては三十五円、確かに従来なかったような高い倍率の料金答申はなっておるわけでございます。今後の取り運びといたしましては、この御審議いただいております一種、二種の料金の決定状況を見まして、十月に料金改定をいたしますまでの間にいろいろな御意見を尊重しながら、また当然この審議会の答申も尊重して慎重に決めていきたい、さように考えておるわけでございます。  以上でございます。――失礼いたしました。いま間接費と直接費を逆に申し上げました。直接費ぐらいは賄う料金にしなければならないというのが答申考え方でございます。
  144. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いずれにしても第三種のこれは五倍ということは非常に大きな影響になると思うのです。第三種の認可条件によりますと、これは発行回数それから部数というものが決められておりますね。その第一には「毎月一回以上号を逐つて定期に発行するもの」、それから二つ目には一回の発行部数が千部を超えるもの、こうなっておるわけであります。そうしますと、また少し計算してもらおうと思うのですが、週刊もの、一週間に一回発行する、一カ月大体四回になるわけでありますが、いままで二十四円の郵送費、これはほとんど配達はないわけでしょう、ほとんど郵送なんですよね。この一カ月二十四円の郵送費が、改正によって九十六円も上がってしまって百二十円になる。そうしますといまの条件である最低千部発行として計算しますと、一カ月に九万六千円の郵送費の負担ということになります。いままで月二万四千円の負担が一挙に十二万円、こういうことになります。  また日刊に出すものであるならば、いままでは百八十円、この郵送費が改正で九百円、実に一部で七百二十円の値上げということになります。最低千部発行として毎月七十二万円の負担増、毎月もし一万部発行なら七百二十万円という負担増、これは大変なことになります。とてもこれだけのものを発行所の負担ということにできない。恐らく読者負担ということで直接購読料の値上げ、こういう成り行きになってくることは当然考えられます。  そうしますと、先ほどは郵便料金というのはムード的にというふうに言いましたけれども、この第三種の点を考えますと、郵便料金値上げ、いわゆる第三種の値上げというものが直接的な物価値上げになってくる、目に見えて上がってくる、こう思うわけでありますが、大臣、この点はどう考えておられますか。
  145. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  新聞、雑誌は郵政省の独占送達する信書には当たりませんので、書店、スタンド、面接販売、配達店への委託、その他どのような方法で頒布するのも自由であります。郵送も頒布の一つの方法として利用されておるにすぎません。ちなみに日刊新聞紙の場合に、一日の発行部数三千八百万部の大部分が郵送以外の方法で頒布され、郵送されるのは全体の一・六%であると聞いております。第三種の中身は、郵政省の独占送達するものではないことに御留意をいただきたいと思っております。  次に、昔は情報伝達手段が新聞、雑誌に大きく依存していたことから、郵送に依存する度合いが大きかったものと思われますが、今日では各種情報メディアが多様化し、量的、質的に充実してきておりますし、また書店、販売所など流通機構が整備されてきておりますので、郵送依存度も低下してきておると思います。第三種の意義についても、昔と今とでは大きな変化が生じているという点に御理解いただきたいのであります。  第三種についていろいろ御意見があるということは十分承知いたしておりますが、このような事情から言っても、現在の余りにも安きに失した料金は是正させていただきたいと考える次第でございます。
  146. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも大臣答弁を聞いていると全く答弁になっておりませんけれども、郵務局長さん、第三種の認可数はどのくらいあるのですか。
  147. 石井多加三

    ○石井政府委員 ちょっと概数で申し上げますが、現在認可いたしておりますのが約一万三千九百件ぐらいあるかと思います。
  148. 大野潔

    ○大野(潔)委員 第三種郵便物認可が一万三千九百件、事前に伺っていたのは一万三千九百六十五件。その第三種郵便物認可の対象となるものは、郵便法第二十三条三項によりますと、「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」と、こう規定されておるわけです。そうしますと、各種政治団体、文化団体がこの値上げによって影響を受けるわけですが、一挙に五倍値上げという数字は、結果的には日本国憲法に保障された言論の自由、表現の自由の、下手をすると弾圧になる、そこまでいかなくても重大な影響を与えるようになるんじゃないか、こう思いますが、その点から大臣どうですか。
  149. 村上勇

    村上国務大臣 先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
  150. 石井多加三

    ○石井政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたが、新聞、雑誌といったようなものは信書というふうなものとは違うわけでございまして、いろいろ最近にはそれぞれの新聞、雑誌等、それぞれ書店とかあるいはスタンドとか配達店といったようなところでこれを売りさばかせるとか、それぞれの出版元におきまして独自の方法でこれを頒布しているのが非常に多くなっておるわけでございます。確かにいまでも郵便にのみ依存しておられる、たとえば業界紙でございますとか専門紙でありますとか、先ほど大野先生の御指摘になりましたような各種の団体といったようなものが出されるものは、確かにいま郵便にほとんど依存しておられるということで、そういった方面から今度の値上げが非常に大きいということでいろいろ私たちの方にも御要望をいただいておることは事実でございます。私たちも、ただ、こういうような三種の扱いにつきまして、今度の値上げでこれを一挙に原価を償うなんということは考えておるわけでございませんけれども、直接費ぐらいは賄うようにという審議会の御答申趣旨も十分理解できるわけでございまして、結局この大きな赤字の一つの原因にもなっておりますために、これを一種、二種の一般の利用者に転嫁することもいかがであろうかと思いますし、一般の利用者の負担にたえ得る程度の赤字にこの赤字をとどめていかなければならぬのじゃないかというふうな審議会の御答申趣旨を勘案しながら、今後最終的な三種の料金の決定にできるだけ慎重を期してまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  151. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を中止してください。     〔速記中止〕
  152. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記をお願いします。  大野君。
  153. 大野潔

    ○大野(潔)委員 重ねて伺いますが、いま答弁がありましたごとく、第三種の業界紙とか専門紙によって国際情報、国内情報を交換し合っているわけですね。ただ、いま郵務局長が言われたのは、スタンドにもあると言いますけれども、ごく専門的なものはスタンド売りやってないのですよ。スタンド売りやっているものはそう心配ないと思うのです。これも問題はありますよ。ありますが、一番深刻なのは、ほとんど郵送に頼っている第三種が非常に多いということなんです。その点に私は焦点を当てて御質問しているわけでありますが、そういう情報を交換し合い、重大な役割りを果たし、経済活動の発展や文化の向上に大きく貢献していることは御承知のとおりです。またそれを認めているからこそ公共的なサービス料金であったと思うのですよ。それがここで一挙に五倍も上がってしまったら大混乱が起こるじゃないか。あなたはすぐ一種、二種に転嫁することばかりおっしゃるけれども、私は後でお話ししようと思ったのですが、一般会計からの導入ということもあるじゃないか、こう思うのですよ。ですから、一種、二種への転嫁というのじゃなくて、そんなよけいな後の措置考えるのじゃなくて、まず、現在の第三種を五倍も上げてしまえば大変な問題が起こるのじゃないか。先ほど申し上げましたように、それこそ憲法で保障された言論の自由、表現の自由すらも侵すような重大なことを国がやってしまうんじゃないかということを私は申し上げているわけです。  いずれにしても、そこで大臣に伺っておきたいのですが、先ほども郵務局長が、三種以下の料金というものは省令料金であるので、現在答申が出ただけでまだ最終決定したわけじゃありません、こういう答弁がありましたけれども、そういう答弁大臣から出ていないようです。一体全体大臣は、私だけでなしに大ぜいの方が同じことを論議しているわけでありますけれども、この点についてあくまでも答申を尊重してこの五倍の値上げ考えているのか。それともこの論議を踏まえて十分検討していくのか。その点についてお答え願いたいと思います。
  154. 村上勇

    村上国務大臣 この法案の御審議を願っておるところでありますが、この法案が成立いたしました上で決めようと思っておりますので、その際十分に検討してまいりたいと思っております。
  155. 大野潔

    ○大野(潔)委員 また重ねて申し上げておきますが、三種の中には、社会的に弱い立場の方があるわけです。各種の病気の患者団体の発行している機関紙、そういうものがあります。このままいきますと――患者団体の発行の機関紙というものはまさにスタンド売りはしません。せいぜい病院にまとめて持っていって配布する。また自宅療養の方に対してはこれはほとんど郵送でしょう。それらのわずかな資金で細々と出している機関紙が、これが値上げになったためにある場合には廃刊せざるを得ない、やめざるを得ない、こういうものも出てくるのじゃないかと思うのです。そうなりますと、三木内閣が、社会的不公正の是正、このように公約の一つとしてうたっているわけでありますが、これに対して逆行するんじゃないか。大変なことになるぞ、こう思うわけでありますが、こういう点についても十分配慮して大臣はお決め願いたい、こう思うわけであります。  そこで、いま値段の問題が終わりましたので、次に郵政省自体がどのような経営努力をしておられるかという点についてお尋ねしていきたいと思うのですが、このような大幅値上げ国民にお願いする以上、当然郵政省自身の経営努力というものがなければならないわけです。これは常識です。しかし、先日の大臣の提案理由説明を聞いておりましたら、非常に不思議に思ったことは、これほど国民に負担をお願いしておきながら郵政省としての経営努力の決意が全く見られないということです。提案理由説明の中ですよ。念のためにもう一遍読んでみますと、郵便法の一部を改正する法律案の提案の理由「ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。」、途中はずっと値上げ理由料金改正内容だけです。私はこれは略します。最後に来まして、「以上、提案理由及び主な内容について御説明申し上げましたが、今後とも郵便の送達速度の安定を図ることにより、国民各位の期待にこたえるよう懸命の努力を傾ける所存でございます。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。」これで終わっているわけですよ。これで言われているのは、確かに一点だけ「郵便の送達速度の安定を図る」とありましたけれども、これはどう好意的に見ましても、労使間の協調を図って利用者サービスを図ります、こういう内容であって、その郵政省自身が料金値上げに際してどれだけ本当に経費の節減を図っていくか、いわゆる企業努力、改善努力、こういうものは全然うたわれてない。これはまことに不思議な問題ではないかと思うのですが、その点についてお答え願いたいと思います。
  156. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  郵便事業をできるだけ効率的に運営いたしますための郵政省の努力でございますが、これは国民の皆様方の御協力を賜りながら、たとえば郵便の番号制を数年前から取り入れまして、またそういった御協力をいただいて、差し出されました郵便物を自動的に区分するような機械をわが国では、世界的にもかなり進んだ機械を発明いたしまして、全国でもうすでに百台近くこれを配備いたしまして、作業能率の向上を図るなどいたしておるわけでございます。そのほかにもいろんな選別機とか、郵便事業の省力化につながるものはいろんなものを考案してまいっております。  ただ、最終的に申し上げますと、やはり郵便事業の一番の隘路は、一軒一軒配達するという最後の問題でございまして、これはどうしても人力に依存せざるを得ない、そういうようなことで機械化の限界というものがそこにあるわけでございます。そういった点は、わが国のみならず世界各国の共通の悩みでございます。今後も大きな省力化というふうな機械的なもの、その他の考案ということもなかなか困難と思うのでございますけれども郵政審議会の議論の中にもありましたような、たとえば将来の郵便のあり方、これは配達度数の問題もございましょうし、あるいは窓口の取り扱い時間の問題等につきましても、もっと研究を続けてまいりたいと思いまするし、なおいろいろな面で効率的な経営を図る努力を今後とも続けてまいりたいと思うわけでございます。
  157. 大野潔

    ○大野(潔)委員 自動読み取り機など機械化によりまして、これは正式に使われたのは四十三年の七月ですか、その効果というのは確かに出ているようです。私が大ざっぱに計算したもので見ますと、機械が入る前年の四十二年度、郵便総引き受け物数は百億七千四百万通、職員総数がそのときは十二万一千ですから、一人当たり年間平均取り扱い数は八万三千、この四十九年で見ますと、総引き受け物数が百三十四億五千百万通、職員総数は十三万三千八百、一人当たりの年間取り扱い数は平均十万通強。ですから約二〇%ぐらいになっていると思います。これは大変結構だと思います。そこで、今後の自動読み取り機等の機械化計画、これはどうなっているか。できれば年度別に予算額を簡単に説明できませんか。
  158. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  一番典型的な、お話に出ました区分機の問題でございますが、現在まで百台近くと申し上げましたが、正確に申し上げますと九十一台でございます。これは大体区分機にもいろいろの種類がございますが、相当たくさんの人間の節約になるような大型の区分機につきましては、やはり大量の郵便物のあるところでございませんと、物数の少ないところに配備いたしますと機械の運転時間が非常に短くなるというようなことからロスにもなりまするので、大規模のこういった区分機を配備する必要のあった局には現在大体配備してきております。しかし問題は、まだもっと小さな規模の局に小型の区分機というようなものを配備いたしますとか、あるいはまた区分機までいきませんでも、自動的に大型、小型のいろいろな郵便物を選別して取りそろえをし押印するというふうな機械、こういったような機械は今後ますます配備してまいりたいと思うのでございますが、過去の年度別の配備数は手元に持っておりますが、今後五十一年度、五十二年度以降の配備計画につきましては、特に中心的な区分機につきましては、いま申し上げましたような現在まで開発した機械は大体もう配備済みでございますので、また別の型のものを、少し改善した小型のものを考えなければならぬかと思っております。そういったものの配備計画につきましては、現在まだ十分な計画が立っておらないわけでございます。
  159. 大野潔

    ○大野(潔)委員 やはりこれだけの値上げ国民にお願いする以上、もっともっとこれから経営努力というものはどういうふうにするかということを真剣にやるべきだと思うのですよ。これから考えるなんというんじゃ、全く悠長きわまりない。こんな状態でもって国民値上げをお願いするのはどうかと思うのです。そのほか、集配作業を能率化するための軽四輪、バイクの増強、さらにまた集配作業の環境の改善、こういうことを大いに進めてもらいたいと思うのです。  そこで、配達回数の問題ですけれども、四十八年十二月の郵政審議会答申でも、「労働力の効率的活用をはかり、経済的な業務運行を維持するためにも、配達度数を一日一度とすることについて、具体的に取り組むべきである。」こう言っておられますね。間違いありませんね。四十九年度の通信白書によれば、一度配達区は二万六千二百七十八区、全体の五三・五%、それから二度配達区は二万二千七百三十八区、全体の四六・三%、三度配達区は百十八区で〇・二%、これについてその後どのような検討をされているか、お聞かせ願いたいと思うのです。私は二回、三回の配達がぜいたくだと言っているわけじゃないのです。余りにも料金改正案が高過ぎる。ですから利用者の側から見れば、そんな高い料金を払うぐらいなら、配達が一回でもやむを得ないのじゃないか。あくまでも大幅な料金値上げをされるよりは、それによって値上げ幅が抑えられるならばはるかにがまんできる改善だ、こう思うと思うのですね。ですから、当然料金値上げの前にこれらの問題について検討されるべきものであったのじゃないか、こう思うわけでありますが、その点について、ひとつお答え願いたい。
  160. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、審議会の答申の中にも郵便の配達度数は一日二度地が日本ではかなり多い。諸外国等に比べましても、この点につきましてはサービスがよ過ぎるというと語弊があるかもしれませんが、御指摘のように郵便料金問題等もだんだん絡めまして考えた場合に、配達度数を一度に落としてもいいのじゃないか、その方が利用者にとっても料金値上げよりものみやすいというふうなことも含めましての、そういった点についての検討をすべきであるという答申をいただいておるわけでございます。この問題につきましては、私たちの方でも目下積極的にこれをできるだけ早く実施するという考え方のもとに現在検討いたしておるわけでございます。ただ御案内のように、全国に二万の郵便局がございますし、また十三万のポストといったような、非常にたくさんの窓口その他を持っておりますので、こういった配達度数を二度を一度にするということも、実はいろいろなこれに関連いたしましての運送便の引き方の問題でございますとか、配達のみならず、その他の郵便の取り集めの度数もいまの度数を若干直してこれを落としていくというような問題がやはり全部絡んでまいるわけでございまして、これに対してのいろいろな調整ということがかなり時間をかけて準備期間を設けてやっていかなければなりませんので、現在これについてはわれわれとしてもできるだけ早く実施するように積極的な検討を進めておるわけでございますが、たまたま今度の料金の改定の問題いまの時点ではまだこれをいつから実施できますということを申し上げるまでには至っておらぬわけでございますが、いずれにいたしましてもこれはもう時間の問題である、われわれとしてはそういう考え方で取り組んでおるわけでございます。
  161. 大野潔

    ○大野(潔)委員 誤解のないように申し上げますけれども郵便料金値上げになる、配達度数は減ってくるというのじゃかなわぬのですよ。私は郵便料金値上げすべきじゃないという考えを持っているのです。値上げしないでこういう努力でもって何とかならなかったかという立場からお伺いしているのですからね。料金値上げになります、しかもサービスの方は落としますというのじゃ国民はたまったものではありません。ですから郵便料金値上げになっては困るという立場から、そういう面で人件費がかかるというならばそういう面の企業努力というものをいままでにやるべきが当然ではなかったかという点で私は申し上げているのです。  そういうことについては郵政省の方でもお調べになっているし、また一部の新聞でも調査しているわけでしょう。四十八年十月に行われた配達回数に対する郵便モニターの意見を見ましても、配達回数を一日一回にすることに対して、構わない、仕方がない、こう答えておりますのが七五%、反対は一七・五%です。また同じ年の八月、産経新聞の千人調査で、東京二十三区では構わない仕方がないが八五%、横浜、川崎では八四%、その他首都圏では八八%。また反対理由としては、仕事の上で一日二回は郵便を受け取りたいというものが二四%、郵便がおくれるのではないかと心配する向きが七四%ということです。ですから、最初の仕事上二回必要とする利用者に対しては私書箱の強化という方法もありましょうし、それからまた後の郵便のおくれという問題については、先ほど御説明があったいわゆる機械化によるスピードアップまた車両の活用、こういうもので能率を図ってもいいわけです。そういう点でやって料金値上げを上げるとしても最小限に食いとめる努力はしなかったのかという点を伺っているわけでありますが、これについてひとつお答え願います。
  162. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  確かに料金値上げをお願いいたします前に、サービスのそういった問題についての整理をいたしまして、なおどうしても料金値上げをしなければ間に合わぬ、そういった見きわめをつけた上でお願いをするというのが一番正しいやり方だったかと思うのでございますが、ただいま御指摘になっております配達度数の二度地を一度地に落とすという問題につきましては、私はもっぱら作業的な内部の準備的な面でのおくれを先ほど申し上げたわけでございますけれども、実はこういう措置を講じましても、現実にサービスを落とした途端に経費がすぐそれだけ浮いてくるわけではございませんで、申し上げるまでもなく現実にそこに働いておる職員がありますので、そういった人たちの配置転換とかいろいろ受け持ち区域の調整といったようなことが出てくるわけでございます。そういったものがもちろん経費の上でもかなりの節約になるわけでございますけれども、さしあたって現在の火の車の財政の大きな面での救済にはまだほど遠いというようなこともございまして、そういった面での準備も完全に整っていないということが現状でございます。  なおまた、こういったことをこの機会に申し上げるのもいかがかと思いますけれども、実は、郵政省郵便職員につきましても、ただいま一般に問題になっておりますいわゆる勤務時間短縮の問題、週休二日制の導入といったような問題もございまして、そういったようなこともあわせ考えながらこの問題を処理してまいりたいと考えておる次第でございます。
  163. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いずれにしても、ずっといままで経営努力ということについて伺ってきたのですけれども、第三条を盾にとって料金値上げの方でもって何とかやりくっていこうということが中心であって、もっともっと郵政省自身がコストを下げるという努力をすべきだと思うのですよ。いずれにしてもこういう点についても十分検討してもらいたいと思うのです。  次に、労使間の問題については、昨日大臣が体を張って労使協調を図る、国民には迷惑をかけない、そういう趣旨答弁をされておりましたので、さらにまた大ぜい論議されておりますので、省略します。  そこで、サービス問題について伺いたいと思うのですが、いま言ったようにだんだんと省力化のために機械化が進むということは能率化ということの点から見ても大いに結構なんですが、一面人間性が失われ、やはり真心、誠意というものが欠けた結果が出てくると思うのです。ここに典型的なケースが新聞に出ていたので御紹介します。本当はこんなことは省略しようと思ったのですけれども大臣は他の国に比べて日本の国はサービスがいいとおっしゃいますので、最近はいかにサービスが悪いかというその一つの実例として申し上げたいのです。  三月十一日付の「秋田さきがけ」という新聞に出ていた記事でありますが、見出しは「石頭郵便局」、こういうあだ名がついているそうであります。また「「一字違い」も配達せず」こういうものであります。「たとえ、あて先がわかっていても住所が不正確なら配達できません――という〃お堅い〃郵便局が県内にある。この正月には年賀状を一週間遅らせて配達するという〃実績〃を持つ本荘郵便局で「あまりにもお役所仕事、もっと利用者サービスすべきではないか」と反感を買っている。」こういう書き出しです。  「数日前、秋田臨港署から発送した本荘署あての二通の手紙が返送されてきた。いずれにも「あてどころに尋ね当たりません」というゴム印が押されてあった。調べてみると本荘市中町二七が正しい住所だが、臨港署側が中町を中島と書き間違えていた。同郵便局では、返送する場合、見損じを防ぐため、二人が必ず見直してチェックするシステムを取っている。だが、二人とも本荘署を知っていないということはまず考えられず、誤記を理由にあえて返送したとみられる。同じようなケースはしばしばあり、さきには鳥海村役場から由利郡町村会事務局あての郵便物が「表尾崎町」と「裏尾崎町」を間違えたため返送された例もある。  この郵便には国への陳情書が入っており、返送された時は締め切り間際だったため、役場側はあわてて町村会へ車を飛ばし、締め切りにやっと間に合ったという。さらに同市石脇にある本荘自動車学校では、同市内に一つしか自動車学校がないにもかかわらず、番地を書かなかったということで差出人に返送されたことがあった。」郵務局長、これは事実ですか。     〔大野(潔)委員新聞を示す〕
  164. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいま拝見いたしましたこの新聞記事は実は私、まだ見ておりませんでしたけれども、このあて先は確かに「警察署」ということでございまして、所番地も書いてございますし、この番地が若干間違っておったからといって、こういったものをあて先不明だというふうなことで返しましたといたしますと、これは大変申しわけない私たちの方の不始末だと思います。  一般的に申しまして、各局には、実際の郵便の配達をする職員がひとりでこれは配達できないとかできるとかいう判断をするのじゃなくて、本当にあて先に名あて人がいないかどうかといったような判断は、上司もこれを調べまして、そこに二、三の上司がおりまして、それぞれそういったことを判定して、本当にどうしても見当たらないという場合にお返しするというふうな指導を平素からいたしているつもりでございますけれども、そういった点での訓練が――あるいはこの担当者がどういう、また採用間のないような職員だったかどうか知りませんけれども、そういった常識的な面についてのわれわれの訓練が十分行き届かなかったものであるというふうに考えます。こういったことをしでかさないように今後とも十分指導してまいりたいと思います。
  165. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いまお見せしたケースというものは、まあ役所ということですから、その意味では一つの特異なケースかもしれませんけれども、最近非常に事故が多いのですよね。私なんかも経験があるのですが、この間ごく親しい友人にだけ年賀状を出したのですけれども、その年賀状が返ってきた。びっくりして、引っ越したのかと思って電話してみたら、ちっとも変わってないし、住所変更もないのです。特に最近評判の悪いのは選挙のはがきです。あれはちょっと違ってもぽんぽん突き返される。そういうことが非常にある。そういうことはたまに新聞の苦情欄、投書欄の中にも出ていますね。やはりこういうサービスが悪いんだということを大臣もよく認識していただきませんと、日本はサービスがいいんだから高いのはあたりまえだというような答え方をさっきされましたけれども、よく御認識願いたいと思います。  さて、次に保険局長に伺いますが、四十九年度の簡易保険特別会計の収支決算、これはどうなっていますか。
  166. 北雄一郎

    ○北政府委員 四十九年度の決算はまだ固まっておらないのでございますが……。
  167. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私の手元へ四十九年度は来ておりますが、これは概算ですか。概算で結構ですからどうぞ……。
  168. 北雄一郎

    ○北政府委員 決算のあらましの見込みでございます。  それでは、四十九年度の簡保会計の決算のあらましの現在の段階での見込みを申し上げます。保険勘定でありますが、歳入総額が一兆六千四百七十三億円でございまして、歳出総額が六千七百六十二億円の予定でございます。この過剰金を積立金に編入いたしますと、五十年度初めの積立金総額が五兆五千二百四十一億円になる、こういう見込みでございます。
  169. 大野潔

    ○大野(潔)委員 本年度の差し引き過剰金というのは九千七百十一億でよろしいですか。
  170. 北雄一郎

    ○北政府委員 仰せのとおり九千七百十一億円の見込みでございます。
  171. 大野潔

    ○大野(潔)委員 それでは貯金局長に伺いますが、同じく四十九年度の郵便貯金特別会計の収支決算、概算で結構です。
  172. 船津茂

    ○船津政府委員 四十九年度の見込みでございますけれども、歳入が一兆二千七百六十一億円、支出が一兆一千六百十七億円でございまして、収支差額千百四十四億のプラスでございますが、当年度だけの利益金といいますか、これはマイナスでございまして、五百九十一億円の赤が立つ予定でございます。
  173. 大野潔

    ○大野(潔)委員 これは公定歩合が非常に高くなったということでいろいろな影響があって特にことしはマイナスになったと思うのですが、そこで大臣に伺いますが、郵政省所管の郵便及び貯金、保険年金、この三つの特別会計を一本化すべきである、こういう意見があるわけです。それはいまお話あったごとく、四十九年度の郵便特別会計は一千三百八十一億円の赤字であるけれども郵便貯金特別会計の剰余金は一千百四十四億円、それから簡易保険特別会計の過剰金は九千七百十一億円、こうなっているわけです。しかも、三勘定に分けているけれども人件費のような各事業に実際必要な経費は一括して郵便事業の勘定で経理している。そうであるならば、三勘定まとめて一つの企業体として考えれば、さしあたり郵便料金値上げをする必要がないのではないか、こういう意見があるわけでありますが、大臣、いかがですか。
  174. 村上勇

    村上国務大臣 郵政三事業はおのおの事業目的を異にしております。郵便貯金や簡易保険はいずれも国民の大切なお金をお預かりしているもので、それを安全確実に運用し、預金者や加入者の方々の利益を守っていくためには、それぞれ独立した特別会計を設けて、その資金計画を明確にして運営いたしている次第であります。したがいまして、貯金や保険で黒字が出ても、たとえば保険料の引き下げとかあるいは配当金の増額など、貯金、保険の預金者あるいは契約者のためにそれぞれ使うべきものでありまして、三事業を一本化した会計とすることは適当でないと考えております。
  175. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣に言わせればそういうことになるでしょう。専一家でない私には一見大変筋の通ったお答えになるわけでありますけれども、しかし、この間十二月二十一日付、これは読売新聞ですが、これに「郵便料も抑えられる」こういう見出しでもって、四十五年に大蔵省の理財局長を退職した岩尾一さんという人の発言が載っておりました。私ちょっと読んで見ますと、岩尾さんが大蔵省主計官時代の話として、人件費や局舎維持費の分担金を「三事業会計の収支決算状況をにらみながら「郵政省の担当官とエンピツをなめなめ、〃このくらいだろう〃と〃談合〃で決めていた」」、こういう記事が載っております。郵便特別会計は三事業の費用分担が適切でないためにこういう赤字になっているのではないか、とこの記事を見た途端に思うわけですが、その点経理局長どうですか。
  176. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 御承知のように、郵政事業郵便、貯金、保険三事業が同じ郵便局の中で行われているわけでございますけれども、それぞれ会計を別にいたしまして、はっきりと経理の区分をいたしているわけでございます。そこで問題になりますのは、郵政事業特別会計の中に繰り入れるときにどのような手続によるかということになるかと思いますが、各事業に直接必要な経費につきましては、これはもう明確な部分につきましてはそのとおりの額を繰り入れてまいります。それから問題は、間接費のというか共通的な経費の分担になろうかと思いますけれども、これにつきましては、事業費と申しますか、しょせんは人件費の割合になってくるかと思います。定員比と申しますか、そういったものにあらわれてくると思いますので、そういった形で区分されるものが非常に大きいと思います。また訓練経費のように、養成人員がはっきりしておりますものは、そういった人員比によりましてそれぞれの経費を区分してまいります。また建設費のようなものは、実際に各事業が使っておりますスペースに応じた経費を繰り入れる、こういう形になっておりますし、共通部分につきましても、その面積比に従いまして区分いたしております。過去の事実につきましては私よく存じませんけれども、現在の方法は鉛筆をなめなめというような表現ではなくて、根拠を明らかにして繰り入れをやっておりますので、よろしく御理解を願いたいと存じます。
  177. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私も専門家じゃありませんから、経理局長さんにそう言われますと全く反論のしようがないのですけれども、しかし岩尾さんという方は大蔵省の理財局長をおやめになったばかりで、現在もそのほかの公職についていらっしゃる方ですよね。その方がさらにこうも言っているのですね。四十三年、経済企画庁官房長時代の思い出話として「郵政省が十五億円の赤字を理由値上げ案を持ち出してきた際、出身の主計局にこの〃どんぶり勘定〃方式を採らせることで値上げに待ったをかけさせた」こういう話が出ているわけです。もしこれが事実であるとするならば、そうすればいま答弁のあった分担金の算出方法をあいまいにして、そしてこのような大幅値上げを国会に提出してきているんじゃないか、国民はこう考えるわけです。郵便利用者から見れば、ずいぶんなめた話じゃないか、こうなってくると思うのです。結局、政治不信の助長ということにつながってくると思うのですけれども、さっぱり答弁にならないわけですね。  それで、この岩尾一さんという人は現在農林漁業金融公庫の副総裁をしておられますけれども、この方は郵政審議会のメンバーになっておられますか、どうですか。
  178. 高仲優

    ○高仲政府委員 岩尾一氏は郵政審議会委員ではございません。
  179. 大野潔

    ○大野(潔)委員 この審議会につきましては、また一番最後に専門的に伺うつもりでありますけれども郵政省は四十六年の法改正のときに、特に第三種以下を省令に移すときにこういう答弁をしているわけでしょう。改正案は郵政審議会に必ず諮問する、要するに郵政審議会が調整弁になるのです、こう言われておるわけでありますが、この岩尾さんのように郵政に事実上大蔵省時代から携わってきている人、こういう人をなぜ入れないのか非常に不思議なんです。とともに、いま経理局長がお答えになったことではとても私は信用するわけにいきません。これは委員長、できればこの岩尾一さんを当委員会参考人として呼んでいただいて、その値上げが妥当であるか否であるか、この辺の意見を十分に聞く必要があると思うのですが、後ほど理事さん方に諮っていただいて、ひとつ御検討願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  180. 地崎宇三郎

    地崎委員長 了知しました。
  181. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そういうことで、重大な問題でありますので、この分についてはひとつ質問を留保させていただきます。  次に郵政事業の収支の見通しについて伺いたいと思うのです。  今回の改正案というものは、いままでに論議してきましたとおり、非常に影響が大きい。またまた物価狂乱の引き金にもなりかねない。このような無理をして、また一面では危険を冒して料金値上げを図るわけでありますが、これが仮に実施された場合、五十年度、五十一年度、五十二年度、今後三年間の事業収支の見込みはどのように立てておられるか、ひとつお答え願いたいと思います。
  182. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 この料金改正をいたしました場合に、五十年度におきましては予算で見込んでおります収支差額は六百一億の赤ということに相なっております。ただ、この五十年度の予算でございますけれども、これは先生御案内のとおり給与改善原資は五%を見込んでおりまして、五十年度、将来の必要額というところになりますと、さらに別の見方も成り立とうかと思います。たとえば、これは仮にでございますけれども、経済見通しに従いまして一七・一%のアップを加えますと、五十年度の見込みは九百九十八億ぐらいの赤字を考えなければならなくなってまいります。さらに五十一年度の見込みでございますけれども、こういう形で後のベースアップの伸びを経済社会基本計画で延ばしてまいりますと、一二・三%のアップということになりますので、この形で収支を見てまいりますと、五十一年度でも約五寸億の赤を見込まなければなりません。五十二年度につきましても千三百六十億ばかりの赤が見込まれるという計算に相なります。  ただ、これも先生承知のことでございますけれども郵政事業人件費の比率がきわめて高いものでございますので、この条件が変わりますと著しく変わってまいりますけれども、仮にこの料金改正実施し、しかもベースアップの率をいまのように仮定いたしました場合には、合計いたしまして四千二百五十億ばかりの赤字が五十、五十一、五十二の三カ年で累計として生じてくるというような見込みに相なります。
  183. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣、いまの御説明によりますと、五十年度、五十一年度、五十二年度、こんな大幅な料金値上げを図っても赤字が累積されて、五十二年には四千二百五十億の赤字になる、こういう御答弁です。そうしますと、改正案というものは結局通っても若干の赤字対策になるだけなんですよね。そしてこのまま推移していきますと、累積赤字がいま申し上げたとおりふえてまいりまして、そうなると結論的には、郵政事業が崩壊してしまうか、それとも毎年のごとく料金値上げを図るか、または思い切って一般会計からの導入に踏み切るか、いずれかの道を通らなければならないと思うのですが、大臣はどのように考えておられますか。郵便事業を崩壊させるわけにいきませんが、まさか料金値上げを図っておられるとは思いたくないのですけれども、その点どうでしょう。
  184. 村上勇

    村上国務大臣 今後の赤字がどうなるかということですが、ベースアップ動向が大きな影響を持つものとは思われますが、このほか、事業収入の伸び、経営努力などにも左右されるものと思われます。幸い今回の料金改正実施でき、また事業環境の好転も得られますならば、郵便事業財政を立て直す足がかりとなると考えておりますので、明日に期待することのできる郵便事業とするためにも、ぜひ今回の料金改定を御理解願いたいと考えております。今後どうするかにつきましては、今後の経済情勢など諸般の情勢等、これを十分見詰めつつ、郵便事業の安定と円滑な運営を阻害することのないように所要の措置について関係の向きとも協議してまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、五十一年度の予算編成の際に十分に処置してまいりたいと思っております。
  185. 大野潔

    ○大野(潔)委員 ちっとも答弁になっていないのですよね。要するに、いま値上げしても――値上げは決まったわけではありませんよ、お礼を言われても困りますけれども、これが強行されたとしても、五十年も五十一年も五十二年もずっと赤字が続いて、四千二百五十億になるわけでしょう。そうなりますと、これはずっとさらに続いていきますと、郵便事業というものがもう崩壊してしまうのか、またはその再値上げをするのか、または一般会計の導入を図るのか、三つの方法しかないと思うのですよ。もちろんそれは企業努力その他もありますよ。ありますけれども、基本的な対策として三つしかないと思うのです。どの道を歩かれるかということです。  そこで、大臣は、きのうあたりからの答弁を聞いておりますと、五十一年度以降の再値上げはその時点で考えるといたします、こういう答弁をしておられるし、また本会議では「今回の料金改正は、このような現状にある郵便事業財政の立て直しを図るため、郵便法第三条の考え方をその根底に据えて、長期的に収支の改善を図ろうとするものであります。」こう答えられているわけでありますが、一体全体こう答えられている意味は、事業会計の赤字が続く限り毎年でも料金改正をやる、こういうことなのかどうかということを伺っているのです。
  186. 村上勇

    村上国務大臣 五十一年度の予算編成の際にどうするか、一般会計から不足分を持ってきてくれるかどうかというようなことについては、これは関係方面と十分検討した上でなければならないと思いますが、企業努力その他の方法により、また経済情勢の変化等もありまして比較的人件費等に負担がかからないようになりますれば、何とか収支が償うのじゃないかとも思っております。少なくともいまの段階でこれをどうしていく、また再値上げをするというようなことを申し上げることは、私ははばかりたいと思っております。
  187. 大野潔

    ○大野(潔)委員 村上さんは、そう長く郵政大臣をおやりになっていないという御判断からそういう答弁をなさるのかもしれませんが、しかしあなたも永年勤続の表彰をされたりっぱな方なんですから、やはりこれからの郵政事業の先行きに対してはっきりした基礎をつくるべきだと思うのですよ。とにかく先ほど申し上げましたように、郵便料金というものは目いっぱいです。いまの案に賛成するわけじゃありませんよ。反対ですよ。仮に私があなたの立場であっても目いっぱいだと思うのです。やはり、この際やっておくべきことは、一般会計の導入ということをどうしてもやらざるを得ないと思うのですよ。その道をあなたがつくるべきじゃないか、こう期待しているわけです。ところが、先日の本会議答弁で三木さんはこう答えています。「公共料金というものが、赤字が出れば皆一般会計で負担するということになりますと、どうしても、これは合理的な経営、能率的な経営というものがおろそかになって、安易な経営に流れる。」こう言われております。この三木総理は郵政大臣経験者であります。その経験者の三木さんがこのような発言をなさるということは、よほど三木さんは現在の郵政事業の実態を知らないのか、またはよほど郵政省の現在の経営というものが総理大臣にも信頼されていないのか、どっちかじゃないかと思うのですが、その点大臣はどうお考えですか。
  188. 村上勇

    村上国務大臣 郵政事業は公企業として独立採算をたてまえといたしておりますし、受益者負担を原則としておりますが、郵便の八割までが業務用通信であるという利用実態から見まして、赤字を一般会計で負担することは負担の公平を失することになります。そういう意味で適当ではないと考えられます。仮に一般会計負担として赤字を一般会計で埋めることとなると、とかく親方日の丸意識が強くなり、経営は安易に流れやすくなる危険があると思います。したがって、事業本来の経営原則によって事業を経営していくことが企業意欲を高め、事業の健全な発展に資することとなると私は考えております。
  189. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも事前に課長代理の方が見えたので質問の大綱を申し上げておいたので、その答えがつくられているからそういう答弁になると思うのですけれども、各局長さんを代表しまして、郵政省の実務者を代表して、官房長、一体全体あなたは、三木さんが郵政省の現在の実態を知らないのか、それとも余りにも現在の郵政省の経営というものが総理に信頼されていないのか、どっちだと思いますか。
  190. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたように、現在の郵便利用の実態という点から考えまして、一般会計から金を入れるということは負担の公平を欠く、この認識のもとに三木総理は発言されたものであると考えております。
  191. 大野潔

    ○大野(潔)委員 とにかく総理は政府助成をやることによって安易な経営になるということを心配していることは事実です。しかし、いままでいろいろと検討してまいりましたように、とにかくはっきりしたことは、今回の改正料金というものは目いっぱいです。人件費の増加という物理的な問題等を素直に理解したとしても、これは認められないような大変な値上げであります。また、国際的にも非常に高い料金になってしまっているわけです。ですから、いかに心臓の強い村上郵政大臣でも、来年まさかこんなことは出してくるとは私も思いません。また、郵政当局の経営努力というものも、先ほどちょっと伺ったように、大いにがんばっていただきたいと思いますが、あくまでもこれはじみちに根気よくやっていく問題でしょう。いきなり赤字解消の決め手になるとは思いません。そうなりますと、一定の再建ができるまでは政府助成というものを図るべきじゃないか、こう私は思うわけでありますが、もう一度ひとつ大臣のお答えをいただきたい。
  192. 村上勇

    村上国務大臣 現時点における郵政事業、特に郵便事業は、決してカンフル注射を打っても余命幾ばくもないのだというような重体ではございません。四十八年、四十九年と郵政審議会のあの答申を、尊重はしたのですが、当時の情勢によって値上げを見送ってきたということでありまして、ここちょっと二年ばかり、物価高、インフレを抑制することの方が先だということでこの問題を手がけていなかったからでありまして、今回、非常に大きくお考えになられると思いますけれども、この程度のことをしておきますれば、郵便事業は決して落ち込んでどうすることもできないということになるとは思っておりませんので、私としては十分自信を持って臨んでおる次第であります。
  193. 大野潔

    ○大野(潔)委員 十分自信を持って臨むと言いますけれども、五十年度には二千三百七十九億、五十一年度には二千八百八十六億、五十二年度には四千二百五十億、どんどん赤字がふえるのですよ。私は国民の立場から、郵便料金をまた上げられてはかなわぬ。だから、値上げによって財政再建をするのじゃなくて、一般会計導入によって基本的に再建努力をする、そしてまた経営の方の努力もして、極力値上げを抑えるべきだ、こう思っているのですよ。その立場から聞いているのです。さっきから大臣の御答弁を聞いておりますと、一般会計からの導入、これをいやがっているようでありますけれども、これは前に前例があるわけでしょう。郵政事業に一般会計の導入をしたという前例がありますね。それは御存じでしょう。申し上げましょうか。  郵政特別会計に一般会計から繰り入れた前例は、昭和二十四年六月一日に通信事業特別会計から郵政事業特別会計、このように変わったわけであります。独立したわけであります。この分離されましたときに、封書が五円から八円になりました。そのときに一般会計から四億の繰り入れをしております。これはそのときの総予算から見ますと、約〇・九%です。それからまた、二十五年には一般会計から十三億円を繰り入れております。これは全体の予算額が五百四十七億でございましたので、約二・三%に当たります。それからまた、昭和二十六年には封書が八円から十円、はがきが二円から五円になりました。このときには一般会計から二十三億円繰り入れしております。当時、約六百六十一億の予算でございましたので、これが三・九%に当たるわけです。これだけの一般会計からの導入をしております。政府助成をしておられます。もちろんこのときには特別立法を行いまして、一般会計から繰り入れを受けていた状況です。こういう前例があるのに、大臣は第三条だけを盾にとって利用者負担にこだわる。しかも、来年以降の再値上げについて明言を避けている。これは私は納得いかないのですよ。ですから、先ほどから申し上げているように、あなたは大物大臣なんですから、三木さんと話し合って、そして健全な郵政専業ができるように道をつくっておくべきじゃないか、こう申し上げているわけですが、いかがでしょう。
  194. 村上勇

    村上国務大臣 そういう前例がそのときにあったと思いますが、とにかくこれは非常に高度な政治判断によって決めるべきことであろうと私は思います。でありますから、予算編成の時期に十分政治判断をして、何とか切り抜けていく考えでございます。
  195. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうもはっきりしませんので、じゃ、もう一つ例を申し上げます。  ちょっと話が変わりますけれども、四十七年から四十八年にかけて、衆参両院で国鉄運賃の値上げ問題がございましたね。大論戦が展開されました。念のために申し上げておきますと、あのときの料金改正というものは、いま論議している郵便法のように二倍だの五倍だのというものではありません。これは旅客運賃が二三%アップ、貨物運賃が二四%アップ、こういうものでありました。しかし、あれほどの論議を沸き起こしました。そうしてその結論としては、四十八年の一月十四日、当時の愛知大蔵大臣、新谷運輸大臣それから自民党の倉石政務調査会長、この協議によりまして国鉄財政再建対策要綱、これが決められました。その基本的方針というものは、国鉄、国及び国民が三位一体となって抜本的財政再建策の推進を図る、こういうものです。要するに利益者だけの負担ではだめだ、国鉄当局も一層経営努力に力を入れろ、一方、国としても援助をしょう、こういうことで各種の政府助成が決められたわけです。大臣国鉄というものは公社的なものでしょう。郵政事業というものは国の直営事業のような関係になるわけでしょう。公社的なものに政府が助成しているのに、国の直営事業がそういう大変なことになっている、しかも三種のような政策料金を一種、二種でもって賄わなければならないというような、そういう大変な事態になっている。郵便法の第三条、第一条にも反するような内容です。そういうふうになっているときに、当然大臣としては政府助成の方向に努力をすべきじゃないかと私は思うわけです。お答え願います。
  196. 村上勇

    村上国務大臣 たびたびお答え申し上げますように、私はその時点になって十分考えていきたいと思っております。
  197. 大野潔

    ○大野(潔)委員 事態になったらって――値上げをすべきじゃないという立場なんです。いま事態なんですよ。仮に値上げしてもこうなるじゃないか。いまがもうすでに赤字なんですよ。ですから値上げ案が出ているわけでしょう。ですからその点で私は申し上げているわけです。  それじゃもう少し説明しましょう。国鉄に対する政府助成の内容は、工事費の補助金として四十八年度から十カ年間に総額一兆五千億円出資しているわけですよ。さらにまた利子負担、これもやっております。ですから郵政事業で見れば、第四種の盲人用点字、それからまた録音物、通信教育、いわゆる低料金扱いの負担分、こういうものは私は当然一般会計で負担してもいいじゃないか、こう思うのです。さらにまた局舎の新設や改善並びにポストの増設、こういう公共施設に対する補助金、さらにまたいまこれからやろうとしていらっしゃる自動選別機であるとか読み取り機、自動連結機、こういう省力化を図るための機械類、これなども政府投資として全額出させてもよいと思うのです。さらにまた、郵務局長は先ほど局舎の建設は借入金でやっている、郵便料金で負担してない、こう言っておられますけれども、結局は借入金だって後で利用者が返すわけですから、どっちの金で先にやるかというだけの話ですから、同じことなんです。ですから結局、今年度の局舎その他建設費五百八十八億、これは分担がいろいろと三事業あるかもしれませんが、さらにまた借入金の償還額の中で、建設財源償還額が三十五億あります。これを合わせますと六百二十四億になるわけでありますが、少なくともこのくらいをきちっと一般会計で負担するようにすれば、今回値上げしなくたって済むと思うし、どうしてもまた値上げするとしても、こんな大幅な値上げをしないで済むと私は思うんですよ。だからそれをやるべきだということを私は重ねて申し上げているのです。いかがでしょうか。
  198. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答えいたします。  先生お話しのように、国鉄に対する政府の助成は、工事費の補助金それから借入金の利子補給等が行われておるわけでございまして、これは御承知のように、国鉄財政再建期間に限って一般会計の補助を行うということになっておるわけであります。何分にも国鉄の場合は非常に固定資産の比率の高い事業でございますので、これが経営を圧迫する度合いも郵政と比べてはるかに強いわけでございます。そのためにこういった措置がとられておるわけでございますが、郵政事業は、先ほどから大臣も申し上げておりますように、人件費が大宗を占める事業でございます。建設関係経費をとってみましても、全体の三%にとどまるというような実情でございまして、仮に一般会計から補給を受けましても、問題の基本的な解決にはならないというのが現実の姿でございます。したがいまして、そういった意味合いでも一般会計の繰り入れによって問題は解決しないと考えるわけでございますし、また一般会計と申しましても、いずれは税金で賄うということになりますので、この税金負担によって企業が行われるということが果たして公正であろうかということになりますと、問題を残すものではないだろうかというふうに私ども考えるのでございます。  それからもう一つ、戦後の郵政事業の繰り入れのケースでございますけれども、これは先生御指摘のように、ございました。特別立法をいたしまして繰り入れ金を認められておるわけでございますけれども、これは、各年を通じまして料金値上げを相当大幅に行っておりましても、なおかつ収支が合わないという場合における一般会計補給でございまして、郵政事業のみならず、あらゆる専業がそういった戦後の悪性インフレの中で非常に苦しんでおりました時期の私は非常措置であろうというふうに考えております。
  199. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  200. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めて。
  201. 大野潔

    ○大野(潔)委員 こうちょいちょい中断してしまうと、何を質問しているのかわからなくなってしまいます。  いま経理局長は、一般会計で導入しても、結局国民の税金じゃないかと言われますが、一番最初に、だから物価問題との関連で申し上げたのですよ。大幅値上げをすれば必ず物価値上げのムードをつくるのではないか。だから心配して論議しているわけです。それを忘れて、あなた、郵政省の立場だけでもって答弁されたんでは、それは困るわけです。よろしいですか。  それで、結局国鉄運賃の話にまた戻りますけれども国鉄運賃審議のときに政府助成したというその考え方は、国道というものは全額国が負担して新設したり改修をしている。そのことによって自動車を利用する方や歩行する方に結局国民の税金を還元している。そうならば、国鉄を利用する国民への税の還元と考えれば、国鉄の工事費の一部を負担するのは当然じゃないか、こういう考え方に立ったわけです。そうであるならば、そのほとんどを人件費が占めておる郵政事業としては、やはり公共施設であるその庁舎であるとかまた機械設備、そういうものは当然国の方で、いわゆる一般会計で負担すべきではないか、このように考えているわけです。その点はどう考えるかということを御質問しているわけでありますが、どうぞよろしく。
  202. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵政事業の場合は、国鉄の経営の内容と非常に異なっておりまして、全体の建設関係経費、減価償却費と利子の経費を加えましても、全体の三%程度にとどまっております。したがいまして、一般会計繰り入れということが仮にあったといたしましても、問題の基本的な解決の方途にはならないというふうに私ども考えましてそうお答え申し上げたのでございますが、また見方を変えまして、いま郵便の使われ方と申しますか、利用の実態を見てみますと、約八割が事業用通信であるというような点から考えましても、受益者負担という原則は、たとえこれが固定資産に関する経費でありましても、同じように考えるべきでないのではなかろうかというふうに私ども考える次第でございます。     〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕  したがいまして、原則的に、過去もそうでございましたけれども、やってまいりましたように、独立採算制の原則に立ちまして、受益者負担の原則にならって、料金によって経営の改善を図るという方向でいきたいと思っております。
  203. 大野潔

    ○大野(潔)委員 八割が企業のダイレクトメールなどであるというならば、やはりそれを分離してまた考えればいいと思うんですが、それは分離はできないとおっしゃる。分離できないならば、やはり全体的な問題として考えるべきではないかという論議をしているわけでして、あなたの論議というのはぐるぐる回っているものだからちっともかみ合ってこないのですよ。いずれにしても、こういう問題は大きな問題でありますし、いま私がこの場でもって質問して、それに対して大臣がすぐ答えるというわけにいかぬでしょう。冒頭、大臣も十分意見を踏まえると言ったのですから、とにかくきょうまでの論議、これをひとつ踏まえまして、総理及び大蔵大臣と交渉して、この法案の審議中にでも結論を出すように努力してもらいたいと思うのです。  いずれにしても、ベテランの田中委員もいますのでそちらに引き継ぐことにいたしますが、ついでに申し上げておきますけれども、あなたの考えられた困窮世帯に対するはがきの無償配布、大変当時は好感をもって迎えられたのですけれども、いつの間にか消えてしまいました。私はこれは大賛成です。これなんかも大臣、一般会計負担でもって実現されたらいいと思うのです。とにかく値上げ攻勢の中でこういうことが実現されれば、多少なりとも一服の清涼剤ということで国民から歓迎されましょうから、大いにひとつそれを含めて努力してもらいたいと思うのです。  最後審議会について若干伺いたいと思います。審議会は郵政審議会令で四十五人以内と定められておりますけれども、現在の構成、人員、その審議会令の第三条による委員の出身構成、これはどうなっておりますか、簡単にひとつ答えてください。
  204. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵政審議会委員は、特に分野を確定いたしましてその代表者を任命するという任命の方法はとっておりませんで、広く関係行政機関の職員とか学識経験のある者、郵便貯金の利用者の利益を代表する者、簡易保険の利用者の利益を代表する者、そういった形で任命いたしておりますので、各委員の出身構成を画一的に分類するのははなはだ困難なのでございますが、便宜分類いたしますと、現在行政機関の職員である者四名、それから行政経験者八名、経済界から七名、学界から八名、言論界から七名、そのほか労働界その他から八名といったような分類ができようかと考えております。
  205. 大野潔

    ○大野(潔)委員 重ねて伺いますけれども、いわゆる一種、二種、三種、これを代表するようなメンバーは何人おるのですか。
  206. 高仲優

    ○高仲政府委員 一種、二種、三種の利用者代表という御質問でございますが、先ほど来郵務局長が申し上げておりますように、郵便の利用を層別に調査いたしましたところでは、個人の差し出しのもの、個人から個人といったものは現在きわめて少ないのでございまして、先生がおっしゃいますのは、消費者の代表という意味ではなかろうかと考えましてお答え申し上げるのでございますが、そうした意味では、労働界その他と私申し上げました中の方々に、あえて言えば、そうした意味での代表者的な方がいらっしゃると考えております。  なお、行政機関あるいは行政経験者は消費者を全く代表していないかということになりますと、私必ずしもさようなものではないと考えますので、この問題につきましても画一的なお答えは大変むずかしいので、便宜単純化してお答え申し上げたわけでございます。
  207. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いずれにしましても、郵便料金改正審議するのに郵便貯金の預金者代表が入っておるわけですね。それからまた簡易保険の契約者代表、こういう者が入っていますね。ところが、肝心な郵便利用者、いわゆる消費者団体から――最近、非常に消費者団体等ふえておりますが、消費者団体であるとか、特に第三種を利用をしていらっしゃる、そういう団体を代表するそういう立場の者が入ってないように思うのですが、その点どうですか。
  208. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、利用者の代表という資格をいかなる意味において認定するか、私非常にむずかしいのではないかと思うのでございますが、一つの例を申し上げますと、貯金の預金者の利益を代表するという形で入っておられる中に評論家の吉沢久子さんという方がいらっしゃいます。これは私は先ほどは労働界その他の分類の中に含めて数を申し上げたのでございますが、この方がたとえば先般、四十八年の郵便料金問題を取り扱った際の郵便事業経営問題特別委員会委員ということで参画していらっしゃる次第でございまして、そうした意味では消費者の意見というものも十分議事の中に反映されておるものと私は考えております。     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  209. 大野潔

    ○大野(潔)委員 二時間半になったから早くやめろというメモが回ってきましたけれども、休み時間が大分あったのですから、それを計算して引いてもらえばまだ二時間ちょうどぐらいのものでございますから、ひとつ御了解願いたいと思います。いずれにしても官房長もなかなか言い回しが苦しいような答弁をしておりますけれども、いわゆるこの審議会というものが法律からはずされた三種以下を審議するわけですから、この中身を充実させなければいかぬわけですけれども、どうも現在の審議会の委員という方は個々にはりっぱな方がおそろいだろうと思うのですが、しかし郵政事業全般、また細かな実務的な問題、こういうようなバランスのとれた十分な審議はできる構成になっていないと思うのです。これも後でまた専門の田中委員の方からも十分やっていただきたいと思いますが、そのためにさっきあえて岩尾さんの名前を出しましたけれども、やはりあのような主張を持った方もいらっしゃるわけです。私はこういう方等を加えまして、そして十分審議をすべきではないかと思うのです。そこで、郵政関係の三事業会計は当分独立のままいくとすれば、審議会をそれぞれ三事業に分けてつくるべきではないかと思うのですが、その点、大臣どうお考えですか。
  210. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  郵政審議会には部会を設けることができることと相なっております。その審議会令に基づきまして、現在、貯金郵便部会、為替貯金部会、保険年金部会、電気通信部会の各部会を設けてやっておる次第でございまして、その点特段の支障はなかろうかと考えております。また、郵便料金問題等非常に重要な問題がかかっておりますときにおきましては、先ほど私が申し上げましたように特別のそれを審査するための部会をつくって審議を行っておりますので、この点十分な審議が行なわれておるものと考えております。
  211. 大野潔

    ○大野(潔)委員 あなたの方は都合のいい審議会になってしまっているから、私は言っているのですよ。あなたの方でもって出した案を全くうのみにして審議会で検討いたしました、こういうことで今度の改正案が出てきている。だからいま国会でもって大論争が起きておるわけでしょう。ですからそういう隠れみののような都合のいい審議会でなくて、十分にあらゆる意見を闘わすことのできるような審議会に改組すべきだ、こういうことを私は申し上げておるわけです。大臣、ひとつ結論的におっしゃってください。
  212. 村上勇

    村上国務大臣 私が任命したわけでないからよくわからなかったのですが、しかし後でよく調べてみますと、広く各界からの有識者を集めて万全を期しているようでありますが、なおひとつ十分に今後研究しまして、どこから見てもこれならばというようなりっぱな審議会の構成メンバーで御審議を願うようにいたします。
  213. 大野潔

    ○大野(潔)委員 早く結論をつけろと言いますから結論に入っていきますけれども、これまでの審議を通じまして感ずることは、失礼ながらまず根本的に大臣を初め郵政省自体に郵便料金は公共料金であり、また諸物価と連動している、こういう自覚が非常に薄いと思うのです。ですから郵務局長さん初め関係局長さんの答弁がいつも郵政省サイドだけの物の考え方になって返ってくる。それでは全然かみ合ってないわけです。その点大いに不満です。さらにまた改正案の内容というものがどうも十分に検討されずに国会に提出されてきている、こう思えてなりません。  結論的に申し上げますと、この法案には七つの欠陥があると思うのです。第一は物価安定が緊急課題としながら、諸物価値上げのムードづくりに重大な影響を与えるおそれがあるというのが第一点です。また第二点には、改正料金は公共料金としては常識を逸脱した大幅値上げであり、その結果としてすでに国際的にも高水準の料金になっていること、これは郵便法の一条及び三条にもあるいは反するのではないか、そういう気持ちがするぐらいです。また第三には、あらかじめ省令事項に移されていた国会審議を外された第三種、これは一挙に五倍という値上げ、これは文化面、経済面に重大な影響が予想されるということです。それから第四には、郵政省所管の三事業会計の間が不明朗であり、その点だけでも経営努力の姿勢というものがどうも感じられない、こういう点です。第五には、このような無理した値上げ案を提出しながら健全な経営にはならず、郵政会計は将来大幅な赤字が累積し、このままでは利用者負担の郵便法第三条を盾にし、再値上げが予想されるということです。第六には、このような現状でありながら、政府助成に対して郵政省挙げて真剣な努力もされていない。また第七番目には、郵政事業財政再建の抜本策がないことであります。これは後で申し上げます。  以上、大まかな点だけ申し上げても、このように問題が山積していて少しも消化されておりません。未消化のまま利用者負担の料金改正案だけが先行して国会に提出されてきた、こういう印象を受けるのであります。この原因は、いま最後の欠点、第七番目で申し上げたとおり、これほど郵政事業が危機に瀕していながら財政再建の抜本的対策が立てられていない、こう私は思います。抜本対策案がこの法案とともに提出されていないから改正案も骨なし法案になっておりますし、また政府答弁の方もちっとも納得ができない、こういう答弁で終始しているのじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  214. 村上勇

    村上国務大臣 大体私ども考えとはすれ違っておりまして、これはすれ違い、行き違いのないように、時間もあることですからひとつ私の方でも十分検討いたしまして十分御理解のいくように努力いたしますから、先生の方もやはりすれ違わないようにひとつお願いしたいと思います。
  215. 大野潔

    ○大野(潔)委員 すれ違っているのはそちらがすれ違っているのですよ。こちらが質問していることをちっとも聞いていない。いずれにしても、この法案の施行というのは十月一日ですね。その意味では十分あるわけですよ。場合によってはこのために臨時国会を持ったっていいのですから。半年先のことですからそうあわてることはないし、しかもこの法案というのはあなたがつくった法案じゃないですよ。だからあなた自身もとにかく答弁しながら自分で納得できないような言い方をしていると思うのです。  そこで提案ですけれども、まず郵政事業財政再建抜本策、これは郵政省の頭脳を結集してまとめられたらどうでしょう。そして郵政事業の現状と抜本策を変な答弁をしている三木総理にも見せていただいて、よく納得させていただいて、その上で改組し充実させた郵政審議会で十分検討し、そこでまた国会に提出し直すべきだと私は思うのです。その抜本策を審議し、どうしても必要な規模の改正案として再提出する、私はそれが一番いい道じゃないかと思います。  私がこうもうしあげましても、大臣の立場上そういたしましょうと言うわけにはいかぬでしょうから答弁は要りません。しかしながら、最初にあなたが十分意見は取り入れると申したわけですから、十分取り入れてくれるということを信じまして、質問を終わりますけれども、とにかく野党各委員がそれぞれいろいろな角度から申し上げているとおり、この郵便料金値上げ法案というのは非常に多くの問題があります。いま私が挙げただけでも七つの大きな問題があります。どうかひとつその点を大物大臣として十分お考えいただいて今後対応していただきたい、そう申し上げまして、終わらしていただきます。
  216. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は、明十八日金曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会