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1975-04-16 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十六日(水曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    亀岡 高夫君       倉石 忠雄君    坪川 信三君       長谷川四郎君    水野  清君       村岡 兼造君    久保  等君       島本 虎三君    田邊  誠君       平田 藤吉君    大野  潔君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政大臣官房電         気通信監理官  田所 文雄君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省簡易保険         局長      北 雄一郎君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君         労働省労働基準         局安全衛生部長 中西 正雄君         労働省職業安定         局失業対策部長 岩崎 隆造君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      佐藤  徹君         郵政大臣官房資         材部長     中市 彩也君         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     原 健三郎君 同日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     高橋 千寿君 四月十六日  辞任         補欠選任   金丸 徳重君     田邊  誠君   下平 正一君     島本 虎三君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     下平 正一君   田邊  誠君     金丸 徳重君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 三月二十九日  簡易郵便局法等改正に関する請願外五十件(  赤澤正道紹介)(第一七二六号)  同外二件(江藤隆美紹介)(第一七二七号)  同外二件(大橋武夫紹介)(第一七二八号)  同外四件(大西正男紹介)(第一七二九号)  同外五件(亀岡高夫君紹介)(第一七三〇号)  同(久保田円次紹介)(第一七三一号)  同外二件(中村弘海紹介)(第一七三二号)  同(松野幸泰紹介)(第一七三三号)  同(村山達雄紹介)(第一七三四号)  同(山田太郎紹介)(第一七三五号)  同(山田太郎紹介)(第一七五三号)  同(金子一平紹介)(第一七九八号)  同(床次徳二紹介)(第一七九九号)  同(羽田野忠文紹介)(第一八〇〇号)  同外二件(長谷川峻紹介)(第一八〇一号)  同外二件(三池信紹介)(第一八〇二号)  同(村山達雄紹介)(第一八〇三号)  同(越智伊平紹介)(第一八三五号)  同外二十件(西岡武夫紹介)(第一八三六  号)  同(羽田野忠文紹介)(第一八三七号)  同(旗野進一紹介)(第一八三八号)  同外二件(宇田國榮紹介)(第一八九三号)  同(浦野幸男紹介)(第一八九四号)  同外十八件(正示啓次郎紹介)(第一八九五  号)  同外五件(瀬戸山三男紹介)(第一八九六  号)  同(竹中修一紹介)(第一八九七号)  同外三件(中村弘海紹介)(第一八九八号)  同(長谷川峻紹介)(第一八九九号)  同(早稲田柳右ェ門紹介)(第一九〇〇号)  同(渡辺栄一紹介)(第一九〇一号) 四月三日  簡易郵便局法等改正に関する請願内海清君  紹介)(第一九四一号)  同(小沢貞孝紹介)(第一九四二号)  同外二件(片岡清一紹介)(第一九四三号)  同外六件(澁谷直藏紹介)(第一九四四号)  同外七件(中垣國男紹介)(第一九四五号)  同外一件(宮崎茂一紹介)(第一九四六号)  同外三件(中村弘海紹介)(第一九八〇号)  同(福田篤泰紹介)(第一九八一号)  同外一件(伊東正義紹介)(第二〇一九号)  同(竹中修一紹介)(第二〇二〇号)  同外八件(松野頼三君紹介)(第二〇二一号)  同(浦野幸男紹介)(第二〇八七号)  同(内田常雄紹介)(第二〇八八号)  同外四件(小沢貞孝紹介)(第二〇八九号)  同(沖本泰幸紹介)(第二〇九〇号)  同外二件(唐沢俊二郎紹介)(第二〇九一  号)  同外一件(田中昭二紹介)(第二〇九二号)  同(三塚博紹介)(第二〇九三号) 同月九日  簡易郵便局法等改正に関する請願田中昭二  君紹介)(第二一一〇号)  同外三件(井原岸高紹介)(第二一九四号)  同外八件(坂本三十次君紹介)(第二一九五  号)  同外一件(羽生田進紹介)(第二一九六号)  同(古屋亨紹介)(第二一九七号)  同(大橋武夫紹介)(第二二九三号)  同外三十七件(倉石忠雄紹介)(第二二九四  号)  同(竹中修一紹介)(第二二九五号)  同(竹内黎一君紹介)(第二二九六号) 同月十四日  簡易郵便局法等改正に関する請願本名武君  紹介)(第二三七〇号)  重度身体障害者(児)への図書郵送無料化に関  する請願多田光雄紹介)(第二四一六号)  身体障害者団体刊行物を第四種郵便物として  認可に関する請願外六件(山本政弘紹介)(  第二四一七号)  同(赤松勇紹介)(第二四一八号)  同(稲葉誠一紹介)(第二四一九号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二四二〇号)  同(枝村要作紹介)(第二四二一号)  同(大出俊紹介)(第二四二二号)  同(加藤清政紹介)(第二四二三号)  同(金子みつ紹介)(第二四二四号)  同(川崎寛治紹介)(第二四二五号)  同(川俣健二郎紹介)(第二四二六号)  同(木原実紹介)(第二四二七号)  同(島本虎三紹介)(第二四二八号)  同(下平正一紹介)(第二四二九号)  同(田口一男紹介)(第二四三〇号)  同(田邊誠紹介)(第二四三一号)  同(高沢寅男紹介)(第二四三二号)  同(土井たか子紹介)(第二四三三号)  同(長谷川正三紹介)(第二四三四号)  同(藤田高敏紹介)(第二四三五号)  同(村山富市紹介)(第二四三六号)  同(森井忠良紹介)(第二四三七号)  同(八木昇紹介)(第二四三八号)  同(吉田法晴紹介)(第二四三九号)  同(和田貞夫紹介)(第二四四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  郵便物遅配解消に関する陳情書  (第二九五号)  郵便料金値上げ中止に関する陳情書外一件  (第二九六号)  郵便料金値上げに伴う第一種、第二種郵便料金  の格差縮小に関する陳情書  (第二九七号)  電信、電話料金値上げ反対に関する陳情書外十  五件(第  二九八号)  簡易郵便局法等改正に関する陳情書外三十件  (第二九九号)  鉄道高架事業に伴うテレビジョン電波受信障害  対策に関する陳情書  (第三〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六 号)      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
  3. 田邊誠

    田邊委員 今回郵便料金値上げ中心といたしまする法案が上程をされておるわけですが、本会議並びに委員会における大臣提案説明を見ましてもわかるわけですけれども、この法案は、端的に言いまして、料金値上げをする法案である、こういうふうに思っておるわけですが、大臣、ひとつ一言で言いまして、この法案、いわゆる料金値上げ提案をする根本的なというか、一番中心の理由は一体何でございましょうか。
  4. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおり、郵便事業は、郵便の取り集め、配達業務など、その大半を人手に依存しなければならない事業でありまして、運営経費の約九〇%を人件費及びこれに相当する経費で占めております。このために、近年増加の一途をたどってまいりましたベースアップ等の影響を受けて、四十九年度すでに営業収入をもっていたしましては人件費すら賄えないという状態になっております。したがいまして、四十九年度から料金改定を計画いたしましたが、公共料金抑制政府の方針にのっとりまして、四十九年度はその実施を見送ってまいったのであります。そこで、昨年の十二月、再度郵政審議会から手紙五十円、はがき三十円を骨子とし、四月一日から改正を行う答申をいただきましたが、物価政策上の配慮から、はがきを二十円とし、実施時期を十月に延期するなど配意いたしまして料金改正を行い、この窮迫した事業財政基盤を立て直してまいりたいと考えておる次第であります。
  5. 田邊誠

    田邊委員 いま大臣お答えになりましたように、今回の料金改定というのは、郵政事業、特に郵便事業のいわば財政が非常に悪化をしている、この事業収支改善が急がれるという状態であるということをいま大臣が言われたわけでありますが、そういった観点でこの料金改定がなされるということになりますと、一体財政上はどういうようなことになってくるのかということが一番関心を持たれるわけでありますが、この料金改定をしなかったといたしますならば、一体財政上どういうような問題が起こってくるのでしょうか。
  6. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 四十九年度以降三ヵ年の見通しを立てて見てまいりますと、四十九年度におきましては、もうすでに千三百八十一億の赤が生じでいるわけでございますが、さらに五十年度におきましては、料金改正をいたしませんと二千六百八十一億の赤を生ずる計算に相なります。さらに五十一年度におきましては三千八百五十七億という膨大な赤になりますので、この三カ年を通算いたしますと七千九百十九億という収支差額を生ずる計算に相なります。
  7. 田邊誠

    田邊委員 さらに念のためにお聞きしておきますけれども、これは郵政事業特別会計上の問題じゃなくて、その特会の中における郵便事業に限っての収支である、こういうように心得てよろしゅうございますか。
  8. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 御説のとおりでございます。
  9. 田邊誠

    田邊委員 そういたしますと、郵政事業特別会計全体をながめてみた場合には一体どういう状態になるのでしょうか。
  10. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生承知のように、郵政事業全体の現在の会計の仕組みでございますが、これは貯金保険はそれぞれ事業に必要な経費郵政事業特別会計の中に繰り入れるという形をとっております。したがいまして、貯金保険あるいはその他の受託業務がざいますが、これらの経費必要経費郵政会計の中に繰り入れますので、歳出の面ではその必要な額だけが出てまいります。したがいまして、ただいま申し上げました収支郵政事業全体といたしましても、そういう形であらわれてまいります。
  11. 田邊誠

    田邊委員 私の質問に対して正しくお答えがありませんけれども、後でまたこれはもう一度念を押してお伺いいたしますから、それならばその面は一応保留をしておきまして、それでは今度の改定によりまして一体どのくらいの収支改善が図られることになるでしょうか。五十年度見込みと、そしてまたその後の状態は一体どういうことになるでしょうか。
  12. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 五十年度におきましては、収入が五千八百四十六億円、支出の面で見ますと六千四百四十七億円でございまして、料金改定による増収が見込まれましても、なお五十年度におきましては六百一億の赤を生ずるという計算になります。  そこで、先ほど先生のおっしゃいました将来の見通しでございますけれども、これは人件費がどのように変化するかということで、なかなか見通しが困難でございますが、仮に経済見通しの線で見てまいりますと、五十年度がもし一七・一%のベースアップというものがあるとすれば、これは仮でございますが、九百九十八億というような赤になってまいります。さらに五十一年度は、これはただいまもとになる数字が非常にとらえにくいわけでございますが、経済社会基本計画に従いますと、一二・三%という数字が出ておりますので、これで延ばしてまいりますと、五十一年度見込みでは五百七億の赤が出る。約五百億でございます。こういう形で見てまいりますと、三年間を通算いたしますと二千八百八十億程度赤字が累計として出てまいります。
  13. 田邊誠

    田邊委員 そういたしますと、今度の料金改定によりましても五十一年度末には二千八百八十六億の赤字を想定するということになりますと、その赤字はどういたしますか。
  14. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生承知のように、四十九年度におきましては、四十九年度予算の中で借入金をいたしております。これが千三百八十一億ということでございますが、さらに五十年度におきましては同様の措置考えておりまして、収支差額につきましては必要経費借入金で賄うという形を考えております。ただ、五十一年度以降の問題につきましては、これはその予算編成段階におきましていろいろと検討していきたいと考えております。
  15. 田邊誠

    田邊委員 大蔵省、こういうふうに赤字がだんだんかさんでまいりますけれども赤字はそのままで借入金で済ますという、こういう郵政状態は、あなたの方はいつまでお認めですか。
  16. 佐藤徹

    佐藤説明員 お答えいたします。  実はことしの料金改正案をいろいろ検討する過程におきまして、五十一年度末までの見通しを立てて、そこで黒になるという案を当初考えておったわけでありますが、御承知のとおり他方に物価問題がございまして、先ほど郵政大臣の方からもお答えしたように、はがき料金を当初の案より若干低くし、また実施時期を延ばすというような措置予算編成の大詰めの段階でとったわけでございます。したがいまして、ただいま郵政省の方からお答えがありましたように、今回の料金改正をいたしましても、五十一年度末で、若干の前提を置いた計算でございますから若干数字は動くと思いますけれども、多少の赤が残ってまいるという状態になるわけですが、これを当面は借入金でしのぐ。最終的にどう処理するかは、五十一年度予算編成の際に改めて郵政大蔵両省で協議をして詰めるということにいたしております。
  17. 田邊誠

    田邊委員 余り言葉じりはとらえたくないが、二千八百八十六億、これにはもちろんベースアップの率の設定仕方等もありますけれども、この程度赤字大蔵省としては多少の赤字だというように御認識であれば、ここ数年間はこの赤字赤字としてそのまま認めていく、借入金でしのいでよろしい、こういう認識でございますな。
  18. 佐藤徹

    佐藤説明員 多少言葉不足だったかと思いますが、そういうことではございませんで、先ほど申し上げましたように、五十一年度予算編成の際にこの赤字をどう処理するかという問題を両省で詰めるということにいたしております。
  19. 田邊誠

    田邊委員 郵政省としては、ここで値上げをもし認められるとするならば、当分はこの現体制でいく、こういうお考えでございますね。
  20. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 御質問お答えになるかどうかわかりませんが、私どもとしては、先ほど申し上げましたような収支差額がある現状におきましては、料金改正によってこれを賄って、少しでも財政基盤を確立していくという努力をしていかなければならないと思っております。したがいまして、現在の段階におきましては、全体を賄うことができませんでも、料金改正によって収入を増加させまして、それによって経営基盤の確立を図ってまいりたいということのみを念願しております 。
  21. 田邊誠

    田邊委員 大体四十九年度赤字が千三百八十一億、これでもあわてふためいておるという状態料金改定をしなければならぬという郵政省が、五十一年度見込みが約三千億に近い状態になったときに、これは一体どういうふうにお考えでありましょうか。これはこのままでもって大体過ごせるものというふうにお考えでございましょうか、また新しい考え方に立たなければならぬというようにお考えでございましょうか。
  22. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私どもできるだけ収支相償というような状態で運営されるのが最も望ましいわけでございますけれども先ほど先生から御指摘がございましたように、三年間で二千八百億以上の赤字が累積されるということにつきましては、非常に私どもも心配しておるわけでございます。  ただいまのところは、さしむき五十年度予算におきましてはいまの形で経理をいたしまして、将来につきましては、五十一年度予算編成の際に、将来の財政的なあり方等を十分考慮いたしまして検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  23. 田邊誠

    田邊委員 そういたしますと、この料金改定というものの理論的な根拠は全くない。何となしに収支相償えばいいのであるけれども、それは償わなくてもやむを得ないということですな。したがって、この案にあるように、二十円の第一種を五十円にする、十円の第二種を二十円にするというようなことを基本にした料金改定というものは、あなた方の方から見れば、これはどうしてこういうふうに改定をしなければならぬかという理論的な根拠はない。私は聞きまして説得力ないですね。どんなものでしょう。
  24. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいまの料金改正案によりまして収支相償ができないという面では、あるいは先生の仰せの点が理解できないわけではございませんけれども、私どもはできるだけ最善の努力をして経営基盤が少しでも安定できるような方向に持っていきたいという考え方でおるわけでございます。本来ならば、経営を預かる者といたしましては、できるだけ料金がたとえば郵政審議会答申に基づいて実施されますことをこいねがうものではございますけれども、それよりも大きなと申しますか、物価政策その他の環境の問題というようなものがございまして、やむを得ず現在の料金体系でお願いをしておるわけでございまして、気持ちとしては、できるだけ三年間なら三年間経営が安定するような料金体系であることが望ましいことには変わりはございません。ただ、社会情勢がただいま申しましたように非常に厳しい中でございますので、やむを得ずそういった料金体系でやっていただくというふうにお願いしておるわけでございます。
  25. 田邊誠

    田邊委員 したがって、先ほどから大臣の最初の、財政上の赤字累積等があるので料金改定をしなければならぬ、こういう考え方から突き詰めていきますると、三年間収支償うという原則に立って料金問題は考えていきたい、こういう郵政省考え方というのは無残にも打ち砕かれたという形でいま赤字はさらに累積するという状態でありまするならば、これは大臣どうでしょうか。いま大蔵省は、料金改定をいたしました後五十一年度の末は、これは不確定要素がありますけれども三千億近くの赤字が出るけれども、このぐらいの多少の赤字はいいじゃないか、こう言っているのですからね。それならば四十九年度は千三百八十一億の赤字でございまして、このままいきましても五十年度末には約四千億の赤字、多少の赤字でございまして、何もここでもって料金改定をどうしてもしなければならぬということはないというようにわれわれは考えるのですけれども、これはどうなんでしょうか。この点はどうもやはり赤字は生みたくないけれども、生んでもやむを得ない、それで五十一年度末の三千億ぐらいは多少のものだという大蔵省認識であれば、郵政省ががんばればこの五十年度の四千億ぐらいの赤字は、多少のものですから、これは現行の料金改定でもってしのげるじゃありませんか。どんなものでしょう。
  26. 村上勇

    村上国務大臣 お言葉のとおりでありましょうが、しかし私どもとしては少しでも赤字を、黒字にはならないまでも赤字を少しでも減しておきたいということが今回の料金改定あり方でありまして、これをこのままいま先生のお話のように、ことしはいいわ、来年もいいということになりますと、大体三年間で約八千億近い赤字になる。そうすると、そうなってどうしても独立採算をとって利用者に負担を願うとすれば、今度はいまのようなはがき二十円とかあるいは一種五十円とかいうようなことではとてもおさまらない。それで非常に大きな値幅を上げてもらわなければいけなくなる。これはやはり非常に社会的におもしろくないんじゃなかろうか、こういうことで、完全ではありませんけれども、この程度値上げによって一応バランスをとらしていただいて、そして今後どういうことになっていくかということについては、五十一年度予算編成の際にはっきりしたものをまた計算していくというようなことで、荷を軽くしていくということでございますので、その点ひとつ御理解願いたいと思います。
  27. 田邊誠

    田邊委員 ですから、私が申し上げているとおり、将来の見通しは不確定なものがあるということは、先ほどからそちらで強調していますからさておくといたしまして、四十九年で大体見込みは千三百億ぐらいの赤字になった。しかし、それで料金改定をしなければならぬと言うけれども 五十一年度末に約三千億ぐらいの赤字になるということであれば、これはまた大変なことだろうと私は思っているのですよ。ところが、それに対しては確たる考え方というものがない。となれば、料金改定の持つ意味というのはきわめて根拠薄弱である。それと同時に、いま言った提案をされている中身の五十円ないし二十円というような設定の仕方についても、これは国民を納得させる理論的根拠がない。ありますか。おありでしたら示してもらいたい。いま言ったように、ないです。それでもなおかつ赤字は出るのですから。それでこの赤字は多少の赤字だという大蔵省認識なんですから、ならば何もここで千三百億であわてふためいて料金改定をしなくてもいいじゃないか。私の言っていることは間違いでしょうか、どうでしょうか。
  28. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先ほど経理局長あるいは大臣からのお答えがあったわけでございますが、確かに従来の料金改定をやりました過去の経緯から言いますと、料金改定をいたしますとその年度あるいはその次の年度は少なくとも黒字であって、前側の例で言いますと、最後の年は赤字になるけれども、三年間を通算すると何とか全体では黒であった、何とかもったというのが過去のパターンであったと思うのでございます。  そういう意味でいきますと、確かに今度の料金値上げは、御指摘のとおり値上げをいたします五十年度につきましても、実施時期が半年延びましたために年間を通じますとかなりの赤字が残ります。また五十一年度につきましても赤字が予想されるということでございます。大臣お答えになりましたように、本来なら一挙にこの際収支改善ができて赤字が消えるということが望ましいわけでございますが、四十九年度に本来であれば料金値上げをすべきでありましたのを諸般の物価情勢等のためにこれを無理に抑えましたそのことのしわ寄せ、またそれと今度の料金改定の中で実施時期が延びたということと、はがきについて利用者のことを考えました特別の配慮がありましたために、いま申し上げたような数字になるわけでございます。一挙にはいきませんけれども、このままほうっておきますと郵便事業赤字はますます大きくなるわけでございまして、今度の改正によりまして将来赤字が完全に消えるような体制になるまでの一つの大きな転機をここにつくりまして、一挙にはいきませんが、もう一回何かこの先の措置考えていただくことによりまして収支改善が図られていくものだということでございまして、やはり事業財政基盤確立のための大きな基礎を築くことにはなるということで今度の料金値上げをお願いしているわけでございます。
  29. 田邊誠

    田邊委員 何らかの手というあなたの話がちょっとありましたから、何らかの手は、郵務局長の計画であるか気持ちであるか知らぬけれども、後で名案をお聞きしますが、私の質問する趣旨は、郵政事業の中における根幹である郵便事業というものは、いま料金で賄っているということでありますが、これが収支が償わなくなってきた。そうすると料金改定をしなければならぬ、またそこで赤字が出てくる、また料金改定をしなければならぬ、こういう悪循環を繰り返しているわけですね。そのことに対する意見を私は持っているわけですけれども、その話をする前に、いまのあなた方の話で言いますと、料金改定をどうしてもしなければならぬという財政上の状態でない。千三百億赤字だと言いますけれども、それならば今度料金改定をいたしましても五十一年度末には約三千億近い赤字になるわけですから、これはまた料金改定をしなければならぬ羽目になるのじゃないかと私は心配するわけですよ、ほかの手を用いない限りは。したがって、郵便事業収支という面からら言って、どこが一体破産の状態なのか。あるいは言い方が悪いとすれば、どこがいわば赤字として、これ以上はしょい切れない限度なのか。あるいはまた四十九年から五十一年、三カ年というものを、あなた方はこの的の四十六年改正のときにも五カ年ないし三カ年と言っておるのですが、それを見越した場合に、大体この程度以上の赤字はもう耐え切れぬから、したがってこれは料金改定をしなければならぬと、こういう何か根拠はありませんかということをきょうお聞きしているわけです。そうでなければ、赤字程度というけれども、あなた方は千三百億であわてふためいているけれども大蔵省の方は悠然として構えて、五十一年度末の二千八百八十六億というのは多少の赤字が出ますという程度認識なんだから。だから、一体どの程度赤字になったらば、また将来三カ年を通じてどの程度赤字が予想されるようになったならば、この収支を償うという原則なりあるいは事業収入改善をその際しなければならぬということになるのかという、そういう一つの見通しというものがおありですかということなんですよ。それがなければ何も千三百億で、これはもうあなたの方のいろいろな人たちの意見を聞きますると、何か史上最悪の状態だなんと言っておる人がおるそうですけれども、そんな状態じゃないじゃないですか。そういう認識じゃないじゃないですか。だから赤字が出た、料金改定をしなければならぬとすれば、一体どういう時期にどの程度のものが見込まれるから、これ以上はもう郵政事業は破産をします、これは宣告を受けますということなんで、ここで料金改定をしなければなりませんということでなければ、これは千三百八十一億の見込みでもって料金改定をせざるを得ないということになれば、五十年度の末も累積は二千三百七十九億とあなた方は見込んでいるわけですね。これはより以上大変じゃありませんか。より以上の赤字じゃありませんか。これはまた料金改定をしなければならぬという理屈になるわけでしょう。そうでないとすれば、やはり一つの全体の事業の量がある、特別会計なりあるいは郵便事業だけとってみましても、この収支状態がある、これのいわば何%なり何割なりというものがその五十一年度末に見込まれるというなれば、それをカーブとしてとってみた場合に、この辺でひとつ物を区切っておかなければならぬという、こういう一つの考え方というものがなければ、ただ赤字が出ました、料金改定を行いますなんて、そんなことを言っておるならば、この次これでもって赤字がずっとまた出てくるのだが、一体どこの時期に料金改定をしなければならぬかという、こういうことに対してもあなた方は何らの見込みも立てていないというふうに見受けるわけです。ですから私が言うのは、やはり国民が大きな関心を持っているこの料金改定をするとするならば、それはそれなりの理屈、理由づけというものが明確でなければならぬ。大臣提案としてはいいですよ。これは赤字になったから収支改善しなければならぬという、政治家としての村上大臣提案としてはいいけれども、しかしそれを補佐する膨大な機構を持っている郵政省の機構としては、これに対する一つのめどというものが立っていないでそういったものを計画することはいかがかと思うのです。そういう意味で私は質問をいたしておるわけですが、おわかりでしょうか、どうでしょうか。
  30. 村上勇

    村上国務大臣 先生の本当のあれはよく私にもわかるのですが、実は郵便事業赤字を解消するために、ただ値上げだけでいくというようなことでなくて、何か値上げにかわる抜本的な方法がないかということを郵政審議会にお諮りした次第でありますが、郵政審議会では、たとえば貯金保険から、また一般会計からの繰り入れについても十分論議を尽くされましたが、いずれもとるべきでないという結論に達しました。そしてまた現在の郵便事業にはまだ改善すべき点がある。たとえば配達度数を減少するとか、また窓口時間の短縮なんというようなそういう、これはかえってこそくなことでありますけれども、そういうこともあるが、いろいろありますが、このような改善をしてもすぐにはこの赤字を解消することはむずかしい。また業務用通信が大部分を占める利用の実態からも、利用者の負担によって赤字を解消することはないんじゃないかという結論が出されました。したがいまして、今回値上げ幅や実施時期に十分配意いたしまして料金改正をお願いしておりますが、これを契機として本当に長期的に収支改善を図って郵便事業財政を立て直してまいりたい、こう思って今回のあれをお願いしたわけでございます。御承知のように政府がなるたけインフレを抑えるためにできる限り公共料金を抑圧していきたいという、そのために昨年やるものをやらなかった、また今回もちょっと御納得のいかないような料金改定になっておると思いますけれども、一応まず今日の段階としてはこの程度の御了解をいただけたらということでお願いしておるわけでございます。
  31. 田邊誠

    田邊委員 大臣、ちょっと話がずっと先の方に行って、私はまだそこまで質問をしようとしてないわけでありまして、あなたの御答弁は承っておきますけれども、私のさっきからの質問は、料金改定をする財政上の状態というものに対してどういう認識でいかなければならぬかということに対してお聞きをしておるわけでございまして、いままでの御答弁の限りでは、どうしても今回料金改定をしなければならぬという、財政収支の面から見てしなければならぬという根拠が見出しづらい。こういうふうに私は思っておるわけでありまして、まあ郵務局長はあれでしょうか、千三百億ぐらいの赤字が四十九年度出ますから、これは大変だということなんですか、あなたの方は。大変だということですね。そうするとあれですか、五十年度末に料金改定をしてもなおかつ二千三百七十九億ぐらいの赤字が見込まれるというのは、これは大変じゃございませんか。大蔵省の方は五十一年度末の二千八百八十六億も多少の赤字だということから、これはまあ大したことはないと認識しておるようですから、これは大蔵省はおくとしまして、郵政省の方は一体どうなんでしょう。五十年度末のこの赤字は一体どんな御認識でございますか。この方はほっておいてもよろしゅうございますか。
  32. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先ほど先生から理論的でないという御指摘を受けましたけれども、実は私ども経営的な立場で物を考えます場合は、どの時点で改定すべきかということをある時点で設定いたしますということになりますと、たとえば三年間なら三年間収支相償うような計画を立て、その時点で健全な財政ができる、経営ができる、こういうことがめどだと思います。ですから、本来ならば郵政審議会答申にございましたような料金体系で、また郵政審議会答申の中に掲げられてありますその時期におきまして料金改定をするのが最も望ましい形であると思います。ところが、先ほど来申し上げますように社会環境がきわめて厳しい、そういう段階の中で物を考えます場合は、郵政事業としてもやむを得ず若干値上げの時期を繰り延べる、あるいは料金体系の中におけるたとえばはがき料金を下げる、そういったことで、全体の郵便法の組み方をしておるわけでございまして、本来私ども希望を述べさしていただくならば、三年間収支が相償うというのが望ましい姿であると思いますし、また過去においてもそういった形で料金改正が行われてきておるというふうに私どもは理解しております。  ただいま御指摘の五十年度の六百一億でございますけれども、これは四十九年度におきまして千三百八十一億というすでに赤を生じておりまして、これにつきましては借入金によって賄う、こういう形でやってまいりましたが、五十年度におきましても、やはり同じような形で借入金によってその収支差額を埋めるという形をとらざるを得ないと思いますが、先生指摘のように、これは将来にやはり問題を残すと思います。この借入金、あくまでもこれは返さなければならない借入金という形でございますので、五十一年度以降につきましては、この財政負担をどのようにして解決するかという問題は依然として今後残ると思いますが、それは、先ほど大蔵省からもお話がございましたように、その時点で十分検討してその対策を講じてまいりたい、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  33. 田邊誠

    田邊委員 あなたのいまの答弁を聞きますと、政府・与党、特にあれは一体ですから、何か郵政省政府が別にあってあなたの方の計画と希望は達成できなかったような不満を国会で述べていらっしゃるようだけれども、そういうことは余りこちら側は受け入れられませんから、国会の場所は。あなたの方はこれが最善であると思って、現在とり得るところの最良の策であると思って出されたのでしょう。まことに不本意な案だなんていうもの出されるのだったら、これは国会審議を侮辱しているようなものですよ。いろいろな郵政事業収支の問題、いまの物価の問題、いろいろと勘案されて、政府はこれが最良のものであるというように認識をされて出されているのでしょう。そういった点では、何か泣き言を聞いているようでまことに不本意でありますけれども、あなたのいまの不本意な状態だということをお聞きしますと、五十一年度以降についてはもう一度料金改定をせざるを得ないという認識に立ちますな、これは。どうですか、そうじゃありませんか。
  34. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵政事業改善策につきましては、いろいろな形が考えられると思いますが、本来のあり方としては収支相償ということで料金政策を考えていくのが正しいと思っておりますが、ただ、一時的にどのようにこれを解決するかというのは、ただいまのような借入金の形もございましょう。また、法制的には一般会計の繰り入れという制度も一応の形はできております。しかし、私どもが望ましいのは、やはり収支相償という形で経営が行われていくということであろうと思います。借入金にいたしましても、やはり将来の料金負担になっていくことは間違いないわけでございますので、できるだけ早い機会に料金改定を行って、将来の負担を軽くするという努力はしていかなければならないと思っております。
  35. 田邊誠

    田邊委員 電通監理官、あれでしょうかね、電電公社の赤字は四十九年度なり五十年度は一体どういう見込みですか。
  36. 高仲優

    ○高仲政府委員 電気通信監理官が参っておりませんので、私細かい数字は存じませんが、電電公社におきましても四十九年度相当額の収支欠損を生ずる見込みでございますし、また五十年度においても同様と承知いたしております。
  37. 田邊誠

    田邊委員 委員長を通じて、ひとつ担当官を呼んでください。  それで、電電公社は約二千億の赤字を生ずるということになっておるが、五十年度は二千八百億くらいの赤字になるという予想でありますね。郵政省が管理、監督をしておる電電の場合は、これは料金郵便事業とはまた異なりまして、合理的な料金ということが公衆電気電信法で決められているのでありまして、いわば収支相償う原則は電電の場合はさらにきついわけであります。この電電の場合は郵政以上の赤字が四十九年度、五十年度見込まれるのでありますけれども、この料金は据え置くということになりました。そして、言わずもがなですけれども、大先輩である郵政大臣にお聞きするまでもないのですけれども郵便法の精神である、なるべく安い料金というたてまえをとるところの郵政の方は、今度は大幅な、それこそ史上かつて見ない大幅な値上げを出している。これは私はなかなかうなずけないわけです。ですから、いわば経営の合理化、合理的な料金を唱えるという点から言えば、これは電電公社の方が私はより以上求められていると思うのですよ。その方は赤字は累積をいたしております。私がそういう質問をいたしますと、いや、電電の方はいろいろ事業がありまして、これを縮めたりいろいろいたしましていろいろと図れますと、それから全体の規模から言いましてこの程度はまだまだ小さなものでございますと、こういうお言葉がはね返ってくるかもしれませんけれども、私は考え方というものは逆立ちをしているんじゃないかと思うのです。やはり、郵政事業の方は、より安い料金という精神を貫くということになれば、今回の赤字がいま申し上げたようにあなたの方の希望にも沿わない状態であるとすれば、この内容を盛った法律改正というのは国民を説得するのにきわめて説得し得ない、こういうように私は考えざるを得ないというように思って質問を展開してまいったのですが、それでもなおかつ何か御答弁がございますか。私を説得できる御答弁がございますか。
  38. 石井多加三

    石井政府委員 どうも、先生に納得いただける御答弁を申し上げられるかどうかわかりませんが、この値上げをするタイミングはいっと考えるべきか、その辺無計画ではないかというようなお話ございましたけれども、私たちの方の財政は、もう昭和四十八年度からすでに御存じのとおり二百数十億の決算上の赤字を出しております。したがいまして、四十九年度予算を編成する際には、当然四十八年度以上の大きな赤字が想定されたわけでございますので、その時点で当然料金値上げを策定するというのが普通の考え方であったろうと思うし、また、われわれもそういうふうなつもりで、郵政審議会答申を求めて、当時三十円、二十円でございましたが、そのような料金改定を計画いたしたことも事実でございますが、当時の石油ショック以来の物価高騰の中で、郵便料金値上げはこの際特にそういう高い立場からこれを見送るようにというような国家の大方針でございましたので、われわれとしてもそういった方針に従って今日まで及んでおるわけでございまして、料金値上げのそういうタイミングにつきましては、先ほど経理局長が申しましたように、収支相償という大原則はあるわけでございますので、赤字になるということが当然予測されておる時点で料金値上げ考えるというのがわれわれ事業に携わる者の当然の考え方であると思います。従来もそういった考え方で進んできたわけでございますが、また別のそういった情勢から値上げを今日まで見送ってきた、そういうことでございまして、われわれとしましては計画はちゃんと立てておったつもりでございますし、今後もそういう計画的な事業経営をやっていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  39. 田邊誠

    田邊委員 念のために聞きますが、この値上げをいたしましても、そうしますと、ここ数年間は値上げしない、こういうように確約いたしますね。
  40. 石井多加三

    石井政府委員 先ほどお答えいたしましたように、五十一年度におきましては、四十九年度末の赤字を含めますと三千億近い赤字になるではないかという御質問もございましたように、そういったような情勢でございますので、五十一年度になりました場合にこれをどのように措置するかにつきましては、また改めていろいろ考えていかなければならないというふうに考えております。
  41. 田邊誠

    田邊委員 あなた方の考え方だけに基礎を置くならば、五十一年度においてもまた再び値上げをせざるを得ない。千三百億ぐらいの赤字でもって大変なことだと言っている。ましてや三千億近い赤字になるということになればより大変なんでしょうから、郵政始まって以来の最悪の状態になるわけですから、これはまた赤字を背負ってこの解決のために料金値上げをせざるを得ない、こういう形になろうかと思うのですよ。だから、私はそういう考え方だけに閉じこもっておったのではどうにもならない。郵政大臣はさっきいろいろと御答弁がありましたけれども、経企庁おいででしょうが、郵便料金がいままで据え置かれてきた。この表をいただきますると、消費者物価が二十六年に比べて四十九年は約三・五倍ぐらいになっていますけれども郵便料金は倍になっている。こういうように実は比較的据え置かれてきた。この理由は一体何でしょう。一般の物価の値上げに比べて低く抑えられてきたのは一体どういう理由でございましょうか。
  42. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 公共料金でありましても、原則論といたしましては、先ほどからお答えがありましたように、受益者負担というものが原則であることは間違いないことだと思います。したがいまして、能率的な経営のもとでの料金というものは受益者負担論で貫かれるべきであるということは当然のことでございます。  ところで、先ほどお示しございましたような時点におきましては、比較的収支相償うということでございましたので、公共料金はある程度抑えましても、収支の健全性というものはある程度確保できてきたのでございます。ところが、今回の値上げでございますけれども、四十八年にすでに郵政審議会は、四十九年度から値上げをしたらどうかというような御答申もございました。その理由は、もちろん人件費等々のコストアップの要因が非常に強まりましたのと、それからもう一つは、四十九年度に起こりました狂乱物価というようなものが出てまいりましたために、今回は非常に異常な事態でございます。したがいまして、どうしても前のような原則とは違って、多少抑えていけばいいということではなくて、やはりある程度値上げ料金を認めざるを得ない。私たちもこの段階で上げることは非常につらい立場でございますけれども、それは認めざるを得ないということでございました。  以上でございます。
  43. 田邊誠

    田邊委員 郵政省を代弁したような答弁はあなたはやってもらわなくてもいいんだから、物価局長は物価局長としての立場でもって、一体こういう郵便料金のようなものはどうして低く抑えなければならぬかというあなたはあなたの方の考え方を述べてもらえばいいんです。あなたも何か郵便料金値上げを認めたような、そんなことを言わなくてもいいんですよ。質問の趣旨をしっかりとひとつ踏まえてもらいたい。  そこで、いまいろいろとお話が出ておりまするけれども料金というのは一体どうあるべきなんでしょうか。郵便料金というのは一体どういうふうなぐあいにあるべきなんでしょうか。いままでの論議を聞いていますると、発想が、財政収支を賄うという。しかし、それも経理局長の答弁のように、事志と違って、その収支相殺の原則も貫かなかった。そっちの方は志と違ったわけだけれども、一体料金というのはどういうことに基準を置いているのですか。これはあくまでも財政上の問題としてやっておるのですか。財政上の問題としても中途半端ですな。事志と違っておるのです。それだけですか。
  44. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵便料金の決定に当たりましては、ただいまお話に出ましたように、予定される期間の収支相償ということが何よりも大原則になろうかと思いますが、なお各種類別の、あるいはまた個別料金の損益状況、あるいはまたそれぞれの歴史的な経緯というようなものもあろうかと思います。それからもう一つは、いわゆる郵便法第三条に申しておりまするような、何といいますか、収支相償でございますが、特に総合的な収支相償、いわゆる総合原価主義に基づいての個別の各料金の間のバランスを考えるといったようなことがいままで考慮されておるわけでございます。あるいはそのほかにも、利用される郵便物の公共的な性格でありますとか、あるいは利用者の負担力とか、また同種のサービスの料金というようなことも勘案されてきたわけでございます。
  45. 田邊誠

    田邊委員 あなたの答弁を聞いておったんではさっぱりわかんないですね。  それなら一体料金が、はがきならはがきの場合、いままで十円であって今度二十円でなければならぬという根拠は何でしょう。これは財政上のつかみで、つかみ金じゃないけれども、そういうかっこうでもって決めるんですか。
  46. 石井多加三

    石井政府委員 先ほど申し上げましたのは全体の基本的な原則を申し上げたわけでございまして、個別の料金の割り振りということになりますると、そのときそのときのいろんな情勢判断によって変わってまいるかと思います。特に、今度の料金の中でわれわれ予想しておりますはがきの二十円というようなものは、いわゆる個別原価の計算方式から言いますと、五十年度の予想原価から言いましてもかなり赤字を予測しておるわけでございますが、個々の、第一種につきましては、従来から定形ないし定形外ともこれは大体黒字料金にいたしております。はがきの第二種につきましては、従来から赤字になりがちでありました。かなり低く抑えてきております。したがって、第一種と特殊の中のいわゆる速達料金でございますが、こういったようなもので二種あるいは三種、四種といったようなものの赤字をカバーしてきたというのが従来の考え方であったわけでございます。
  47. 田邊誠

    田邊委員 最近郵政省郵便事業というものに対する根幹を実は忘れていると私は思うのです。いままでの約一時間ばかりの論議を貫かれているものは、あくまでも郵便事業なら郵便事業財政上の問題、これに頭が全部いっておりまして、一体郵便法第一条に言うところの、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供する、そして公共の福祉を増進するというこの郵便事業のよって来る大原則を実はあなた方は頭の中から全く忘れ去っているというように言わざるを得ないのですよ。あなた方のいままでの考え方をもってすれば、この郵便法第一条というものは、これは要らなくなっている、いや、むしろこれはじゃまである、こういうように言わざるを得ない。それならば、いわば営利あるいは採算を目標にする民営をもってしてはこの国民の要請にこたえられないという郵便事業の大精神というものをあなた方は一体どう考えるのですか。こういったことに対して一言の発言もない。経企庁のごときは、郵便法を知らぬかもしらぬからしようがないかもしれないけれども、何か財政上やむを得ないようなことを言っているけれども、一体郵便事業というものが国民の福祉に貢献するためになるべく安い料金でやらなければならない、そしてあまねくやる、国が一元的に運営する、このことを忘れていくとすれば、これは郵政事業というものは形を全部変えなければなりませんよ。後で質問いたしまするけれども、山間僻地にある無集配特定局、簡易郵便局、これは採算合いっこないんですよ。そういったものまで含めて一元的に運営するというのは一体何かというならば、これはやはり国民の福祉、それに対応するためにやる。これはもう釈迦に説法なわけですね。説法なわけだけれども、あなた方はそのことを忘れてしまっている、あえて若い七そうとしないというところに私は非常に大きな問題があると思うのです。ですから、この郵便料金というもののなるべく安い料金、こういったものは一体どういう基準なんですか。これはあくまでも観念的なものですか。そうじゃないと思うのですよ。また、いままではそうであったかもしれない。郵便事業百年の歴史の中では、あるいはそういったいわゆる精神的な訓話的なものであったかもしれない。しかし現代的に見れば、こういったものはただ単に精神訓話的なものでおさまるべきものではない。そういう時代になってきているというふうに私は思うのです。そういった面から見て、これはどうなんでしょうか。郵便料金というものが国民生活の上から言って至大の影響を及ぼす。これは郵政審議会でも言っていますね。必ずしも料金値上げが直接国民生活に大きな影響を及ぼすのではないかもしれないけれども、しかし国がやっている事業である、こういう前提に立ってそのいろいろな心理的な影響等ははかり知ることのできないものがあるということを言っておるわけでございますから、そういったいわば国民の考え方というものを無視するわけにいかないとすれば、郵便料金というものは何らかの一つのミニマムが必要ではないか、私はこういうふうに思うのです。したがって、どういう形でもってそれを取るのか。たとえば、国民所得に対して郵便料金というものはこのくらいであるべきだという考え方でもいいでしょう。こういう一つの、国民がなるほどなと思うようなものを考えるというような、そういう考え方の発想をする気持ちはございませんか。どうでしょう。
  48. 村上勇

    村上国務大臣 それはもう本当に先生の御意見のとおりです。私どもも国民に奉仕するという精神を忘れておりません。全職員がそういう気持ちで今日までやってきております。そういうことでありますから、こんなよそのことを申し上げて失礼ですが、先生にお話しすることはもう釈迦に説法でお耳ざわりかもしれませんけれども、どこと比べても日本の料金が決して高くない。それから値上げの回数にしても、これは上げないことが一番いいことはよくわかります。まあそんなに毎回上げてきていないというようなことから、とにかく何ゆえにこういうふうになったかと申しますと、やはり結局インフレが悪いということでしょうが、——とにかくどういうことによってインフレになっているのか私どもよくわかりませんけれども、そのためにやはり生活給というものがだんだんと上がってくる。そうしますと郵便事業のほとんど八、九〇%まで全部人件費である。人件費が上がってくれば、いままで世界に誇る安い郵便でありましたけれども、こういうようなことをおしかりを受けてもどうしてもお願いしなければ、その人件費すら賄えないような安い郵便収入ではこれはいかんともできないのであります。  そこで先ほど来、五十一年度予算編成の際にあとは考えるということですが、必ずしも五十一年度予算編成の際に値上げするとかいうことを申し上げているわけではないのであります。とにかく、いろいろな方法もあるんじゃなかろうか、またこのままの状態でインフレが完全に抑えられて、そして何もいろいろな料金が上がらなければ、このままでも、この改定値段でもある程度十分いけるのじゃないか、私は自分ではそういう計算もしておりますが、まあ気持ちは同じでして、決して国民に離れてどうでもいいというようなことでないことだけはひとつ御了承願いたいと思います。
  49. 田邊誠

    田邊委員 大臣の答弁は気持ちとして私もわからぬことはありませんが、私の言っているのは、料金というものの設定の仕方について、ひとつ国民的な合意を得る必要があるだろう。これは何も法定主義だからということを言っているのじゃありませんで、やはり根強く国民生活に入っている郵便事業、この郵便というものの将来に向けて、国民のいわば合意の上に立って事業の運営を図らなければならぬという立場から言えば、料金というものも、ある程度国民がなるほどな、そういうところで郵便料金というものは決まっているのかという、いわば国民の気持ちに落ちるようなそういう一つの原則というものがこの際打ち立てられて私はしかるべきじゃないか。したがって、いまたとえばということでもって国民所得に比較をしてみて、郵便料金というのは大体このところの水準に置くというようなことが図られれば、そうすれば国民もまたそれでなるほどと、たとえば料金値上げ等があってもそれは自分の国民所得も上がってきているのだから郵便料金もある程度は上がってもやむを得ないんじゃないか、こういう気持ちになろうかと思うのですよ。ですから私はそういうナショナルミニマムというものが一つ設定をされる、それといま言った、あとでもってお聞きをしますけれども、原価主義の問題も出てまいりますが、それと財政の問題、この三つのことが相関関係になければ、この郵便便事業というものは国でやっている意味がなくなると私は思うのですよ。さっきから一生懸命で答弁されているけれども、それはすべていわば収支相償財政上の問題だけであって、それだけでは郵便事業というものは民営であっても何ら変わりはない。しかし、信書の秘密は侵さないという立場に立って国がやっているところの一元的な事業、このことを考えたときに、やはり郵便料金というものの設定の仕方については、いま言った国民的な合意というものを求めなければならぬ時代に来たのじゃないか、こういうように思うのですよ。これは経企庁の物価局長がおいでですけれども、いろいろ物価問題に国民が非常に大きな関心を持っていることは、これはもう戦前、戦中を比較しても比較にならぬほどの事態である。そういう中でもって、いまこの郵便料金の問題が国会で取り上げられた。ところが、論議をしてみたところが、財政が相償うか償わないかという問題だけだ。この考え方自身も、赤字がどのくらい出るということに対する認識が、いわば郵政省の事大主義と大蔵省の冷酷な態度というものの間には行って帰るほどの違いがある。そういう状態だから、これは私どもとしてはもう一つ場面を変えてみて、郵便料金というものに対する、国民の気持ちの上でもって納得のできるような一つの方程式というものがないものかどうか。こういうことを言っておるのだけれども、どうでしょう、郵務局長経理局長かどなたであるか知らぬけれども、あなた方はどういう考え方ですか。
  50. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘のありました郵便料金というものは、第一条の趣旨にのっとりましてなるべく安くということはもう基本の観念であることは申すまでもないわけでございまして、私たちもそのつもりで運営をいたしておるわけでございます。ただ、申し上げるまでもないことでありますが、もちろん郵便料金はできるだけ安い方が国民の公共の福祉の増進に貢献するわけでございますけれども、さればといって安ければ安いほどいいかといいますとなかなかそうもまいりませんので、特に第三条に「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」という条文もございまして、これがいわゆる収支相償ということで、これも一つの大きなよりどころであろうかと思います。もちろん考え方といたしましては、先ほど仰せのとおりわれわれとしてもできるだけ安くなるような運営を現在までもいたしてきたつもりでございます。またこのたびの料金改定の中で、先ほど触れられましたはがきは、答申の三十円を二十円に抑えましたのも、まさにこの第一条の趣旨に沿った措置をわれわれとしてはしたということに相なると思うわけでありまして、こういった点についての配慮は今後も十分してまいらなければならぬと思います。  それから国民的な合意の中での郵便料金の決定のあり方ということは私たちも非常に大事なことだと思うのでございますが、いまここに的確な資料を持ってまいりませんでしたが、過去の郵便料金の家計支出の中に占める割合というものをずっと昭和三十八年ごろから見てまいりますと、大体一世帯平均〇・一二%というような数字になっておりますが、これはその間に二、三隻分料金改定がございました場合でも、それらを通じて大体〇・一二から〇・一三、一四程度のパーセントを前後いたしておるわけでございます。このたびの料金改定が行われまして、かなり値上げ率は高くなっておりますけれども、この数字が若干上回ることになるかと思いますけれども、これはやはり全般の物価上昇の中で従来の〇・一二%、その前後のところに大体落ち着くのではないか。値上げの当初は若干上回ることがあるかもしれませんが、大体その程度のところを従来から前後している、さように考えているわけでございます。
  51. 田邊誠

    田邊委員 私はこの前郵便法改正をしたときに郵便法の第三条と第一条は相矛盾するのじゃないかという意見を吐いたのですが、きょうは私は言わないのです。相矛盾しているという意見を言わないのです。したがって、第一条の安い料金というものに対して国民が納得するもの、それといま言った財政収支の問題、それらをかみ合わせて考えられないか、こう言っている。ずいぶん下がって謙虚に言っているわけだ、質問も。われわれの考え方から言えば、第一条と第三条というのは必ずしも適応するものではない、相矛盾するものであるという理論展開をこの前の郵便法改正のときにしているのですよ。しかし、私はきょうはそこまで言っていないわけでありますから、そういった点から見て何らかの基準というものをこの際設けるべきだ。それを設けて、いま言った家計に占める割合が幾らだということについても、何か表があるようですけれども、そういったものをひとつ設定をする。四十八年〇・一二%ということを設定をし、それにいわば上限、下限のようなものもあるでしょうけれども——われわれはほかのいろいろの料金問題をやってきましたが、私は年金の掛金の問題と健康保険の掛金の問題なんか出たときもそのことを言ったのです。やはりそういう幅はあるけれども、一つの基準というものがある、それと財政というものを考える、原価主義の問題もある。これらを考えて、それで郵政事業特別会計の今後について制度的にこの際見直す必要があると言っているのですよ。そうでなければ、ただ財政収支のことだけ言っておったのじゃ——いま郵務局長は三十円を二十円にしたのがこれに適応するようなことを言うけれども、そんな場当たり的な話は聞きたくないのであって、いずれにしたって、それならば二十円をあなた、ここ数年間据え置きますかと私が質問すれば、それは五十一年度にまた赤字が出るのですから、これに対してまたそのときになって考えますというような不明確な答弁で終わるというかっこうだから、それではイタチごっこになるだろう。いつまでたっても郵政事業というものはいわば赤字に追っかけられている、こういうかっこうになるから、私どもとしてはこの際ひとつ、あなた方のためを思ってというよりも郵政事業のためを思って言っているのでありまして、そういう基準を設け先に私の方からちょっと結論を言いましょう。一つのナショナルミニマムを設ける。それに収支の問題を一つ考える。それから一つ原価の問題も考える。それでなおかつ補えないものについては別途の考え方を立つべきじゃないか、将来の体系を考えたときに。私はそういうことをあなた方に提案したい。そうでないと、いままでの事業の成り立ちというものがこうなっているからこうせざるを得ないというような発想だけではこれから先の時代に即応しない。こういうように私は思っておるわけでありまして、そういったことに対してあなた方が耳をかす用意があるかどうかということを実は私はお伺いしたかったのであります。この点に対してはまた別の角度から各委員質問が展開されると思いますから、私は一応とどめておきます。総論的な質問でございますから次へ移りますけれども、さらに各論として掘り下げた質疑応答というものがなされなければならぬと私は思っておるわけであります。大臣、その点はおわかりでございますな、どうでしょう、いまの私の質問は。
  52. 村上勇

    村上国務大臣 大変参考になります。十分わかっておりますので、私どもの方も勉強してまいりたいと思います。
  53. 田邊誠

    田邊委員 そこで、原価の問題が出ましたが、その前提としてお伺いしておきたいのは、この料金改定がなされますと一体どういう状態になるかということをひとっこれは簡単にお伺いしておきますから、てきぱきとお答えいただきたいのであります。  郵便物の物数はこのところ五年間ぐらいは年平均大体四・七%増であるという形になっておりますけれども、これが一体四十一年なり四十六年の改正後どういう状態になっているかということをひとつ表で出してください。  それから、今度第一種を大幅に値上げいたしますが、その後における物数の移動の状態というものは一体どうなるか、これはおわかりでしょうか。たとえば一種から二種へ移る、こういうような状態というものが過去の四十一年なり四十六年改正の後の状態と比較をいたしまして当然判明をすると思うのですが、これは比率は大体どういうふうになっているでしょうか。
  54. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  料金改正に伴いまして当然郵便需要の減少というような問題が出てくるわけでございます。動向等いろいろな問題がございますので、そういった要素を抜きにいたしまして私たちの見込みを申し上げますと、郵便物数全体といたしましては昭和五十年度におきまして、料金改正がない場合は対前年比で三二%従来のぺースからいって伸びていくであろうというふうに見ておったわけでございますが、それがこのたびの料金改正が行われるといたしますと一・九%の減少というふうに予想いたしております。と申しますのは、五十年度の四月から十月までは料金改定されませんので従来のペースで伸びていきます。後半にかなり大きな減少があって、通算いたしますといま申し上げたような一・九%の減というふうに見ておるわけでございます。  それから、いまのは普通通常でありましたが、特殊通常について申し上げますると、五十年度は〇・三%の減少というふうに見込んでおります。  それから、一種から二種への移行につきましては、確かに今度のような従来の二対一の基準がまたさらにその間の幅が開いたような料金改定になるといたしますると、かなりの移行があるというふうに見まして、私たちの今度の計算では、五十年度におきまして第一種は対前年比で六・二%の減、それから第二種は、これは逆に一・九%の増がある、料金改定をいたしましても一・九%の増があるというふうに見ておるわけでございます。  なお、前回の四十一年の七月に郵便料金改正をいたしました当時の数字をいま持っておるわけでございますが、当時四十一年の七月でございまするので、その前後の数字を申し上げますると、四十年度は総物数で言いますと五・七%の増があったわけでございますが、四十一年は二・七%、同じく四十二年度も二・七%というふうに、従来は増でありまするが増勢がかなり鈍化したというふうな形で、利用減が出ておったというふうに見られます。また四十七年の二月の改正の場合も大体似たような傾向でございまして、四十五年度について言いますと、総物数で五・九%、対前年比で増でございます。それが四十六年度の対前年比四・一%、四十七年度は二・二%というふうに、増加はいたしておりますが、増勢が落ち込んでおるということでございます。
  55. 田邊誠

    田邊委員 これはまとめてお伺いいたしますけれども、書留なり速達の収入が全部の収入に占める割合等もかなり変動があるだろう、それから企業、団体と個人との差し出しの比率も変動があるだろうと思いますが、一番問題になるのは、何といっても三種の場合における変動が非常に激しくなるだろう、こういうふうに私は思っておるわけでありまするが、この点に対しては、私はあなたのいまの御答弁を聞いておりましたけれども、いまは従前にない経済の落ち込みの状態から見ますると、予想以上の落ち込みになるだろう。三種は大変なことになるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  56. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  三種だけの対前年比の増勢はマイナス二・九%というふうに見ておるわけでございます。
  57. 田邊誠

    田邊委員 これは省令にゆだねるわけですけれども、三種と四種は一体今度はどのくらいにする予定ですか。
  58. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  第三種、第四種の郵便料金の決め方は御案内のとおり法定料金ではなく省令料金となっておりまするので、第一種、第二種の料金改定いたされました後で、その範囲内においてこれを改定することになっておるわけでございますが、いま私の手元に郵政審議会答申の中の数字を持っておりまするが、一番安いところで六円、これは新聞関係でございますが、これを三十円。それから雑誌関係につきましては、現在十二円のところを三十五円というふうに基本料金改定いたしますが、その上の刻みの増し料金につきましては、従来一円増しでありましたものを二円増しというふうにそれぞれなる。そういった関係が三種の改定の案でございます。  それから第四種につきましては、通信教育につきましては現在六円のところを答申では八円、農産種苗は、答申では制度としては廃止することになっておりますが、現在まだこの料金につきましては検討中でございます。それから学術刊行物につきましても、現在十五円のところを答申では二十円といったような数字をいただいておるわけでございまして、こういった審議会の答申を尊重しながら、またいろいろの御意見を拝聴しながら、今度の十月の郵便料金改定までにこういったものを決めてまいりたい、さように考えておるわけであります。
  59. 田邊誠

    田邊委員 大体、郵政審議会答申に基づいて変える、こういうふうに認識をしてよろしゅうございますね。  そうしまして、中身について実はいろいろと質問をしていく時間がございませんが、一つだけお聞きしておきたいのは、大体考え方によりますと二倍から、一番多いのが、いま言った官報等は六倍近くのものでありまするが、われわれが従前問題にしておりましたダイレクトメール等の問題等もありまするけれども一種の定形外についての、一番多いのは四キロ。四キロはいま幾らで、今度幾らになりますか。
  60. 石井多加三

    石井政府委員 四キロの定形外の料金は現在千七百円でございますが、今度の改定によりますと二千四百円という数字に相なります。
  61. 田邊誠

    田邊委員 これは倍率としてはばかに安いですな。ほかの面から見まして、これだけはどうして安くしたのですか。
  62. 石井多加三

    石井政府委員 御案内のとおり、定形外という制度はかなり割り高な料金になっておりまして、制裁といいますか、ある程度定形内への移行、追い込みを考えたような料金でありますので、現行の千七百円というものもすでにかなり割り高な料金になっておると思うわけでございます。したがって、ここだけの料金について言いますと、御説のように倍率は低くなっております。
  63. 田邊誠

    田邊委員 それじゃ、四十六年改正は、考え方としては間違いである、そうして高過ぎた、こういうわけですか。そんなあなた、前のやつが高過ぎたので今度は少し安くするなんて、そんなことでもってやられたんでは、たまったものじゃありませんよ。第三種のときは六倍近い倍率でもって上がっているのですよ。それが定形外という、いわばこれは特に企業的なものが多い。こういったものについては千七百円が二千四百円という、いわば七百円程度値上げで済ましておる。それじゃこれは、いままで高過ぎたのですな。いままでは少し多過ぎたのですね−−提案している者がそんな数字がわからぬのか。子供でもわかったことじゃないか。
  64. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  結果的に言いますと、前回に第一種の定形外の、特にいま御指摘のところは一番重いところでございますが、この辺に対する料金改定はかなり大幅に値上げをいたしまして、これによって、この辺の利用率が非常に少ない利用率になっていると思うのでございますが、今度もこれをまた三倍とかいうようなことではなくて七百円という料金をこれに上積みしたわけでございますが、おっしゃるように、若干前回の料金値上げの、まあ行き過ぎというふうには考えておりませんが、定形外という制度をつくりました趣旨は、この制度によってこの料金をうんとかせぐという趣旨よりも、ある程度、定形外になると非常に高いから、こういった高い料金を払わないで別の方へ移行する、定形内に移行するということをねらった制度でございまして、今度のこの二千四百円によりましても十分そういった定形外制度の目的は達せられるというふうに考えておるわけでございます。
  65. 田邊誠

    田邊委員 いまの定形外は、出している人たちをひとつ企業別、団体別に分けますとどんな状態でしょう。定形郵便物と比較してどうなんでしょう。
  66. 石井多加三

    石井政府委員 このたびの定形外制度の料金改定の中で、現行七百五十グラムまでのところが現在二百五十円でございます。このところを今度は六百円にいたすわけでございますが、この辺は一四〇%の上げ率になっているわけでございます。この程度のところの利用率は全体の中でもかなりのウエートがあります。大体この程度までのところでほとんど定形外の利用率は終わっておると申しますか、これから上の方はほとんど利用率が低いわけでございます。一番多いのはやはりもっと低いところの百グラムまでのところでございまして、これは現在五十五円でございますが、今度百四十円というふうに上げるわけでございます。この辺の倍率はかなり高いわけでございますが、この辺の利用率が全体の三五・九%、定形外の一番多いところはこの辺でございます。それから百五十グラムのところが現在七十円でございますが、これを二百円にいたすわけでございます。この辺までのところが全体の二四、五%、だんだん上になるに従っていま申し上げましたように利用率は非常に低いわけでございます。たまたまいま御指摘のところは、ちょっと数字を具体的に持っておりませんが、パーセンテージとしてはほとんど利用されてないというふうに御理解を賜わりたいと思います。
  67. 田邊誠

    田邊委員 こんな答弁をしてはだめですよ。ぼくの質問に対して正確に答弁しないのはだめだよ。——議事妨害だ。理事を通じてちょっと委員長から注意してもらってくれ。だめです、そんなことでは。私の質問はそんな質問をしてないよ。
  68. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  69. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めて。
  70. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま私、御質問を取り違えましてまことに恐縮でございます。  ただいま御質問になりました定形外郵便物についてだけの企業別等の利用状況のデータは、いま持ってまいっておりません。全般的に、これは常識的にと申しますか、企業用の通信が非常に多いということは間違いないと思います。
  71. 田邊誠

    田邊委員 大体今度の料金改定に一体収支償う、償うと言っているから、償うということになれば、さっきから言っている物数の異同は一体どうなるのか、状態はどうなるのか、それからまたこの一種なら一種の中においても、一体定形郵便物と定形外郵便物のこれはどうなるかということがはじき出されていって初めて、最後に幾らの収入が予想され、幾らの支出が予想されて、収支が一体どうなるかということになるのでしょう、これは。その根拠を聞いておって、それが郵務局長がわからぬなんということでもって、よくこういう一いわば数字根拠にした法案改定なのだから、それを積み上げなければならぬ。ただやみくもに何となしに上げたいということではないかと私が言ったのはそういうところなんです。そんなことでは、これは審議になりませんよ。私の質問はあなた方も知っているとおり、そこから積み上げていって最後に一体政治的にどう判断するかということなんだ。基礎がはっきりしていなければ、あなた、これは質問にならぬよ。どうしますか。
  72. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、第一種定形外だけのいわゆる用途別のシェアというものにつきましての資料は、それだけの調査をいたしておりませんけれども、全体の郵便の中でのシェアと申しますか、を申し上げますと、これは全体の中でダイレクトメールが二二・〇%、金銭関係が二一%、その他の業務用通信が一七・七%、行事、会合案内が一二・〇%、消息、各種あいさつといったようなものが一二・四%、申し込み、照会等が八・九%といったようなシェアになっておるわけでございます。この傾向は、いま私が申し上げましたのは封筒について一種、二種、定形外、定形内共通の調査をいたしました数字でございますので、この中で若干企業的なものが少し定形外については多いというふうなことは言えるかと思うのでございますが、大体の傾向としては特に大きな違いはないのではないかというふうに御理解を賜りたいと思うのでございます。
  73. 田邊誠

    田邊委員 この値上げによって、たとえばいま言った定形外の問題にしても、三種の問題にしても、大変傾向は変わってくると私は思うのですよ。企業から出すのは相当手控えると思うのですよ、これは。だから比率が変わってくるんじゃないか。個人というのはかなり出す回数等もありますけれども、どうしても必要なことでもって出すわけですからね。息子に物を送りたいとか、いろいろ必要に迫られて出すわけですけれども、企業の場合はいわば全体の企業の業績の面から見て、郵便料金だとか電話料金が、どうしてもいまの経済の落ち込みの中では一番ねらわれるのですよ。ねらわれるという言い方は悪いけれども、節約する、こういうことになると私は思うのですよ。したがって、そういったことに対する予測は当然あなた方になければ、これはあなた、全体の一体収入というものに対する見通しは立たぬだろうと思うのです。そこでお聞きをしているわけでありまして、そういったことが調べてないというのは私は——いままで調べておるでしょう。定形郵便物の中における企業が一体どのくらいあったのか、その企業もどういう種別があるかということを調べていらっしゃる。それからまた個人に対しても、どういう目的で出されるかということについて調べていらっしゃる。そういったものを出してもらわなければ、これは私は正確ないわば判断にならぬだろうということでもって質問をしているわけですが、お出しにならぬようですから、これはひとつ委員長を通じて資料を出していただく。——なに、いままでわからぬというのが急にわかったと言うの。出してください。資料を出してもらう。資料を出してもらって、それでひとつ一緒に審議をいたしますから。  ついでにひとつ資料をお出しいただきたいのですが、今度の料金改定前の原価、これは全体の原価も、総原価も総収入もありましょうけれども、個別原価で結構ですから。この個別原価と、一通当たり一個当たりの原価と収入とその損益、いまの現行と改正になった後の現行、これは表がありましょうから、コピーかなんかしてちょっと私のところに持ってきてくれませんか。それによって質問をいたしますから。−改定後の予測についてひとつ知らしてください。四十八年のやつは新聞に出ているから、そのとおりだから、あなたの方の資料を見せてもらわなくてもわかるから。この原価は、ひとつ内容を聞く前に、これはさっき言いました総合的な原価である、こういうふうに言われましたが、したがって原価主義をとっている、かつ個別原価主義ではない、いわば総合的な原価主義である、こういうあなたの方は判断ですね。したがって、この原価主義から言いますと、郵政省の原案というものは今度の国会には出されてない。原価主義の面から言うと、こういうように認識していいですな。
  74. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生指摘のとおり、原価につきましては総合原価主義により算出いたしております。ただ、郵政省がとっております原価計算というのは、過去の決算に従いましてその結果から原価部分を抜き出しまして、これによって計算をいたしております。したがいまして、現在手元にございます一番新しい原価は四十八年度原価ということに相なります。四十九年度、五十年度になりますと、これはもう原価と申しますよりは費用の見通しと申しますか、そういう推定に相なることになろうかと思います。
  75. 田邊誠

    田邊委員 私の質問に答えてない。あなたの方の総合原価主義から言えば、たとえば第二種について十円を二十円にしたということであれば、総合原価主義から外れる、こういう認識なんですよ。そうでしょう。そうでなくちゃ原価主義のたてまえから言えばあれでしょう、今度の改定は総合原価主義に基づいた改定になっていないわけでしょう。不本意なんでしょう。
  76. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 総合原価主義と申しますのは、総収入とそれから総費用、それが相償うというのが本来のねらいでございまして、個別の収支につきましてはそれぞれ異なってまいると思います。それを算定いたします場合には、料金の中で公共性の強いものあるいはそうでないものというようないろいろな価値判断が加わって個別の料金がつくられていくというふうに私どもは解釈しております。
  77. 田邊誠

    田邊委員 したがって、四十八年度見ましても、定形外と普通速達以外は全部これはマイナスなんです。マイナス要因。ということになっているわけですから、したがってこのいわば総合原価主義を言い、そしてそれに基づいた収支相殺の原則というのを貫くという考え方に立てば、今度の料金改定というものはこれはそのたてまえから言えば崩れている、こういうように考えざるを得ない。この認識を聞いているわけですから。
  78. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私の説明が舌足らずであったかと思いますが、実は総合原価と申しますと、種別では赤が出たり黒が出たりするわけでございます。たとえば四十六年の実績について見ますと、料金改定の際すでに二種につきましては同じように赤が出ております。したがって、総体としてたとえば通常郵便物、小包郵便物を通じて全体の料金体系の中で収支を相償っていくという考え方で総合原価主義というものをとっておるわけでございます。
  79. 田邊誠

    田邊委員 原価主義なんという言葉がそんなことに使われるんだったら、原価主義をとっていないと言った方がいいのです。そもそもこれは政策料金である、こう言わなければいかぬですよ。そういういわば科学的な考え方に立たないとすれば、今度の料金決定というのは、たとえばはがきにとってみてもそのとおりですけれども、いわばあなた方の事志と違っているわけなんだから、そういった面からいっても、これは原価主義にのっとってないと思うのですが、あくまでも原価主義をとるとすれば、私はさっき言いましたように、いわばナショナルミニマムが必要だと言ったけれども、もう一つは原価の問題がある、収支相償うという原則の問題がある、この三つの絡み合いだと言ったけれども、その一つであるところの原価については、郵政省はこれは一〇〇%全く正鵠なものだというふうに言えないかもしれないけれども、一応一つの参考になるとすれば、これは国民の前に公表するのがあたりまえですな。あなた方は常に部内扱いということでもって公表しないという形ですけれども、私は率直に郵政事業の実態を知るという意味からいって、これは公開すべきものであるというふうに思っているわけですけれども、これはどうでしょうか。
  80. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答えする前に一言お断りしておかなければならないかと思いますが、私ども原価を考えます場合に、原価のみによって料金を決定するという形はとっておりません。一つのメルクマールと申しますか、指標の一つであるというふうに考えておりまして、そういう扱いを原価につきましてはとっております。  それから公表の問題でございますけれども、これは公企業でございまして、御承知のように予算につきましても決算につきましてもすべて国会で御審議を預っておるわけでありますし、原価につきましても御質問がございまして、これに私どもお答えすることについては決してこれを秘密にしてお答えできないというふうにしておるわけではございません。あえて経営資料を積極的にいかなる場所にもこれを公開するという態度はとっておりませんけれども、公企業といたしましては先生の御質問お答えする、国会の場で御説明申し上げるということにつきましてはやぶさかではございません。
  81. 田邊誠

    田邊委員 いまの答弁を聞いていますと、原価主義なんということを言っているけれども、実際には料金は政策料金である、これはこういう認識に私は立たざるを得ないと思うのですよ。そうでないと言うならそうでないような考え方に立たなければいけませんけれども。しかし、あなたの方は原価主義だと言っているわけだ。そうしますと、この内容について、やはりこの種別についても考え直していかなくちゃならない点があるんじゃないかと思うのです。そしてまた、政策的な料金が加味されているということになれば、当然これは国民生活に影響のある部面あるいは企業的な要素の部面、こういったものはなるべく分けて、いわゆる企業的な要素のものについては、あなた方独立採算のたてまえを固執するわけだとすれば、できるだけひとつ原価に見合うものをとる。あるいはそれを補う他の赤字のものについては補う部面を考えてとる。しかし、国民生活にとって直接影響のあるもの、それからいわゆる庶民的なものあるいは低所得の方々のもの、いろいろなもの、後でもって島本委員等から質問がありますから私はその中身について個別には触れませんけれども、そういったものについてやはり考える。なるべくそれを区別していく。こういうことが、大臣先ほど答弁いたしました、なるべく安い料金という、国民にとって親しまれている郵便事業のあるべき姿として私は必要じゃないかというように思うのですよ。そういう工夫がなされておりますか。  たとえば信書について、信書というとこれは何か封筒できちんと封をしたものが信書だなんと思いがちですけれども、そんなことはもちろんないわけでございまして、あなた方の言うように、これは特定の者にあてたものでありまするから、そういった面から見て、そういう信書とそれ以外のもの。これは第一種はなかなか区別できぬと、こうあなた方はおっしゃるんですけれども、昔はいわば第一種と第五種と分けて、第五種は端を切っているという状態だったですね。これを逆にやるということも一つの方法なんですよ。何も中身を見るわけじゃないんだ。信書の秘密を侵すべからずというあれがあるんですから、信書は端をちょっと切っておく、いままでの観念と今度は逆に。それからはがきの場合は明確にわかるわけですから、手書きのものはこれは別に扱う。こういうような、私が素人の頭で考えてみましても、発想の転換をいたしますると、これはいろいろと考えられる。あなた方、ダイレクトメール、分けられないといままで盛んに言ってきている。そんなことはないはずなんです。そういったいわば発想の転換をしてこの内容を再検討する、こういうことが私は必要じゃないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  82. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま田邊先生から御指摘の問題につきましては、実は郵政審議会の場でも一番議論が集中したところでございます。郵便料金値上げをするにしても、負担力の高いといいますか、いわゆる企業等の分を高くするかわりに、個人の信書のようなものはこれをできるだけ安くするというふうに二段構えにすることを特にいろいろ議論をされたわけでございます。それについていろいろの議論があった結果、現在のような結論になっているわけでございますが、郵便の利用状況全体を見ますと、先ほどの御質問にもちょっと関連するのでございますが、業務用の郵便が大体八〇%ぐらいである、それから個人用のものが二〇%ぐらいであるという調査結果が出ておるわけでございますけれども、これはある特定の日に配達いたします郵便物にアンケート用紙をつけまして、一昨年のことでございますが受取人の方に「その受け取られた郵便の中身についてもしお差し支えなければお答えください」というような質問をいたしたわけでございます。その結果の集計で、その結果が八十対二十というふうなことになっておるわけでございます。あらかじめ郵便局で郵便を引き受けます時点で、すぐこれは企業のものであるとかあるいは個人のものであるといったような区別がわかっているわけではございません。したがって、もしいま、審議会での議論でもそうだったんですが、このような二段構えの制度をつくりました場合には、郵便局では安い料金を適用する、いわゆる信書の方でございますが、そういったようなものについては、その内容がまさしく個人用の信書であるかどうかにつきましていわゆる検査をしなければならないわけでございます。そうなりますると、当然昔の、いま御存じの第五種のような開封といったようなことも必要ではないかと思います。そういったような検査をするということは、もちろんこれは通信の秘密を侵すことにもなりかねませんし、利用者の方々からも、そういった自分の手紙がいろいろ中身を見られておるのじゃないかという疑惑やら嫌悪感を抱かせるというようなこともありまするので、そういったことはできるだけ通信の秘密確保のためからも好ましくないというふうに考えたわけでございます。また、郵便の大量処理といったようなことからもむずかしいというようなことで、結局結論的には企業とか個人というふうなことによる区別をつけることはむずかしいというようなことで、料金としては一本の料金に結論づけられたわけでございます。
  83. 田邊誠

    田邊委員 できる部面があるのじゃないかと私は言っておるので、それに対する答えがないわけで、たとえばはがきなどは明確にこれはわかる。ですから、そういった点から見ても、それなら一種と五種を分けておった時代から見て、あなた、ちょっと端っこを切ったようなもので中身を一々検査してますか。そんなものじゃないはずなんですよ、実際にはこれは。だから、そういう現実的にあなた方は処理しておるのを私ども知っているから、そういうことだけでは通らぬのです。できる部面があるでしょう。それでまた私は、たとえば封筒で手書きのものを別扱いにすると、これは企業も手書きで書く、そんな、あなた、手間を尽くすほどの余裕があるものじゃないですよ。ですから、そういったことを考えてみた場合に、皆さん方の方でもって工夫をされれば必ずそういった区別はできる。ですから、そのことに対する考慮はできないかと私は質問しているわけでありまして、専門家でもって百年も取り扱ってきた郵政事業の中にあって、いろいろな工夫というものがなされてしかるべきであって、私がいま素人の未熟な頭で考えてもできるじゃないか、こう言っているのです。そしてまた、実際には信書といいましても、中が手書きであるかどうかということだけわかればいいのでありまして、それは何も検微鏡で見るわけじゃないのだから。そういったことから見ても、私はたとえばはがきの手書き等について区別はできるだろう。郵政審議会はできないという判断をしたと言うけれども、この人たちが、郵政審議会のこのメンバーでもってできるなどと判断すると考えるのがおかしいのであって、本当はみんな企業の社長か何かがなっている郵政審議会の中でもって、企業の方にそんなにつらく当たるような答申を出しっこないのでありますから。郵政審議会答申がなければやらぬのですか、あなた方。専門家であなた方がまず考えるべきなのでしょう。考えているのでしょう、実際には。だから、そういったことを考えなければ、これから先の私がさっき申し上げた三原則に外れていくだろう、こういうことを言っているのです。検討するところのお考え、ありましょうか。
  84. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先ほどの私のお答えは、もちろん封書、いわゆる一般的な信書についての郵政審議会の場での議論を御紹介申し上げたわけでございますけれども、確かにおっしゃるとおり、はがきについてはいわゆる企業とか個人というようなものもわかるではないかという、現実的なそういう作業の面からの御指摘でございます。私たちもその辺はそういったこともわかるわけでございますれども、やはり企業であるかあるいは個人であるかということになりますると、差出人がそういったどちらかということについては、郵便局で一々これを判定する——御存じのように郵便の大多数はポストに投函されるわけでございますので、それを見る。簡単ではあるかもしれませんが、少なくともそのためにはかなりの人手もまた要るのではないかと思われますし、郵便の大量処理というようなことから言いますと、御存じのように、現在は引き受けた郵便は大局ではほとんど機械でどんどん処理いたしておりますので、そういったような処理から言いましても、非常にまた一工程手間暇のかかる作業をふやすことにもなるのではないかというふうなことで、われわれとしてはこういった考え方をとらなかったわけでございます。  それから、手書きと印刷についての議論も、実はこの審議会の場でもかなり出されまして、手書きのものだけは少し安くしたらどうか。手書きということになれば、もちろん個人的なあるいは信書的なものが多いし、印刷ということになると企業的なものが多いというようなことからも、個人、企業の区別が料金上差がつけられにくいということからまた出た一つの発想であったわけでございますが、その場合も大体似たような問題が出てまいりまして、かつて第五種というような制度がありました際にも、あれは開封でございましたが、最初は完全に印刷物でなければ第五種として扱わなかったのでございますが、若干その中に手書きの部分があってもいいのではないか、大多数が印刷であって若干そこに手で加えておる程度のものは第五種として認めるべきであるというふうな議論がだんだん出てまいりまして、また実行もそういったようなことになってまいりまして、最終的にはたしか半分程度まで印刷以外の手書きの分があっても第五種として認めたような経緯もございます。なかなかその辺の、手書きとそうでないものというものが必ずしも截然と区別しにくいというような問題もあろうかと思います。まあ手書きにつきまして、やはりいま申し上げたように開封というふうなことを条件でこれを料金を安くするということになりますと、先ほど申し上げましたように出される方にとりましてはやはりいやな印象を与えるのではないか。信書の秘密が侵されるのではないかというような、そういった心配もされるでございましょうし、高い方が企業の出すあるいは印刷物で、安いのが手書きの信書であるという形は、実は外国の郵便料金等を見ましても逆でございまして、印刷物等大量に出す場合は、わが国の昔の第五種のような制度が各国でもいまでも行われているわけでございます。安い方がやはり開封を条件にして、安い料金を受けるだけの資格があるということが郵便局でわかるようにすることが、これはぜひ必要なわけでございます。そういった手書きの信書的なものがそのような開封をされるということについてはいかがであろうかというふうな議論もございまして、審議会の意見としては出ましたけれども、採用に至らなかったわけでございます。
  85. 田邊誠

    田邊委員 これはもっと細かく実はいろいろと言いたいのでありますけれども、あなた方の方に積極的な意思がおありでないようですから、私の方としてはそういう意見があることをひとつ十分記憶にとどめておいてもらいたい。ぜひひとつそういった方向についていろいろと検討してもいらたい、こういうように思うのですよ。手書きとそれ以外はわからなくなるとか、それから信書の秘密の問題があるのですが、信書の秘密というのはあなた何も中に書いてある手紙の中身だけじゃないので、その差出人も受取人も含めてこれは遵守しなければならない規定なんですから、そんなあなた幼稚な答弁をされちゃ困るのでありまして、いささか私もその点はあなたの意見に承服しかねるという点がありまするけれども、そういうことを考えて、やはり国民の納得を得るような努力をしなければならぬだろうというように思っているのです。  時間がありましょうから、ちょっともう一つだけ聞きますが、速達の中で標準速度なんというのがいろいろと言われてまいりましたけれども、航空便を最近非常に利用しておりますけれども、これは速達ばかりでなくてそれ以外のものも載せておりましょうか。それからひとつ経費の面から、コストの面から言って、軌道、自動車便と比べてどのくらいでございましょう。その増加の状態、どんなものでしょうか。そしてまた、航空便を利用する部面とそれ以外のものを利用する部面と、これに対して料金を区別するというようなことは考えられませんでしょうか。これは航空便については、御存じのとおり同じ速達でも、飛行機便がないところ、それからあるところ、遠い札幌の方が早く着いて、言わば岩手だとか秋田だとか——秋田も飛行機はありましょうけれども、そういう所が遅く着く。こういうことがありますので、これらの問題についてもひとつ考えるというようなことはありませんか。
  86. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  航空便の関係につきましては、御指摘のとおり速達以外の、通常第一種、第二種につきましても現在航空搭載をいたしておるわけでございます。こういった航空機による送達をいたしておるものと、ただいま御指摘のとおり自動車、汽車によって輸送いたしておるものとのコストの比較につきましては、ちょっといま手元に資料がございませんので、後ほど資料を整えてまた御説明申し上げたいと思います。     〔発言する者あり〕
  87. 田邊誠

    田邊委員 委員長、雑音で答弁聞えないんだ。
  88. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっとお静かに。  午後二時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  89. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田邊誠君。
  90. 田邊誠

    田邊委員 午前中いろいろ積み残しました質問がありますけれども、時間を節約いたしまして次の問題に入らしていただきたいと思います。  御承知のとおり、郵政事業は、全国至るところに郵便局を設置をいたしまして、この郵便局において郵便あるいは郵便貯金、簡易生命保険郵便年金その他の事業を一元的に運営をしておるわけであります。ところが、この事業のいわば財政上のたてまえは、一般会計もありますけれども、主として郵政事業特別会計郵便貯金特別会計、簡易生命保険郵便年金特別会計というように分かれておるわけであります。私は、ここに非常な矛盾と非常に不合理な点があるのじゃないか、こう思っておるわけであります。一方の事業は同じ局舎の中でやられる、しかし、課を分けたり係を分けたりしているところもありますけれども、中には総合服務というような形で小局は運営をされておりますが、そういうふうに、一人の人がときに貯金をやり、兼ねて保険の事務をやる。こういうような条件の中で、しかも郵政職員という形ではその労働条件、身分等においても同一であるものが行っておるその事業体。人事交流等も当然行われておる。こういう条件の中で、この会計上のたてまえというものがこういった三特別会計に分かれているというところに、そもそも郵政事業の一つの隘路があるだろうと私は思うのです。私は前回の質問のときも申し上げたのですが、この財政硬直化というか、財政上の問題が、いろいろと取りざたされているときに、人に頼る事業である、物件費中に含まれる人件費を含めますと約九〇%が人件費であるというこのことが、いわば財政上非常に問題だというお話がありましたが、一面において人に頼る事業でありますから、それが大部分を占めるということはまたやむを得ざるものがあるわけでありまして、いかに機械化、合理化等をやりましてもこれはできない部面、収集と配達という、そういう面においてどうしても人力に頼るという部面がある。これはこれとして、われわれとしては郵政事業が持つ特色として認めなければならないけれども、もう一つの隘路がある。これは何かと言いますと、いわゆる会計法上のやり方というのが、いま申し上げたように個々ばらばらであるということ。それからもう一つは、やはり制度上の問題がある。これをどういうふうに巧みに組み合わせて最も効率的な運営をするというのが郵政事業に課せられた一つの大きな任務であろうというふうに私は思っておるわけですが、ところが、これに対してはきわめて何か一つのもう固定的な概念でいままで推移をしてきておるわけでありまして、私は、この際ひとつこれに対してもうちょっと発想の転換をしなければならぬのじゃないかというように思っておるわけであります。  そこでお伺いしたいのは、この特別会計の中で、郵便貯金特別会計、簡易保険等の特別会計の剰余金は一体どのくらいになっているのかということをまずお聞きをしたいと思います。
  91. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答えいたします。  貯金事業につきましては、四十八年度段階で千七百億円ばかりの剰余を持っておりました。しかし、四十九年度、五十年度と六百億ないし九百億ということで、年々単年度の赤が出ております。したがいまして、五十年度におきましては、従来蓄積しておりました剰余金は、貯金事業におきましては約二百億程度の残が出るにとどまる、こういう形になるわけでございます。  それから保険事業でございますけれども、これは四十九年度の補正後予算で見てまいりますと、剰余金が五百四十億ばかり出ております。それから五十年度見込みでは九百三十四億という見込みが出ております。  以上でございます。
  92. 田邊誠

    田邊委員 貯金についてはわかりましたが、四十八年度千七百三十五億という剰余金であることば承知していますが、保険についての剰余金はちょっと数字が違いませんか、四十八年度の剰余金は。
  93. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答えいたします。  四十八年度の決算で申し上げますと一千八十九億でございます。四十九年度は補正後予算で申し上げまして五百四十億でございます。これは補正がございますので、恐らく補正前と若干違ってきております。それから、五十年度予算では九百三十四億を予定いたしております。
  94. 田邊誠

    田邊委員 郵便貯金の総預金残高はおわかりでございましょうか、最近のやつが。
  95. 船津茂

    ○船津政府委員 最近の郵便貯金の総現在高でございますが、きのうの日報でちょっと記憶しておりますが、十九兆三千五百億円を超します。
  96. 田邊誠

    田邊委員 これはどういうふうに使われているかということは一々論及をいたしません。おわかりのとおりでありますが、私どもはこれが大蔵省預金部に入って財政投融資に回されておることを見ましたときに、これを何とか工夫をいたしまして、郵政事業全体の中の相互補てんに充てられないかということを考えるのです。われわれが考えるだけではなくて、これはいわばいろんな学説もあるわけでありますが、これに対しては郵政省はお考えになったことはございましょうか。
  97. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいまの御質問は、各事業相互の会計の区分の問題だと思います。剰余金が出ますと、それぞれの事業に必要な経費に充てられるという原則をとるべきだと私は思います。たとえば貯金事業におきまして剰余金が出た場合は、預金者の利益を守るためにその金は使われなければなりませんし、保険につきましては、やはり将来の保険料のあり方あるいは加入者に対する還元、こういった使われ方がなされるべきでありまして、したがって、そういった金全体が流用されて、一体的に使われるという考え方はとり得ないものと考えております。
  98. 田邊誠

    田邊委員 これに対する意見を申し上げる前に、郵便貯金特別会計なり簡易保険特別会計から郵政事業特別会計への繰り入れ金は一体どの程度になっていましょうか。
  99. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 昭和五十年度予算で申し上げますと、貯金が三千三十八億でございます。それから簡易保険関係の経費が二千四百十四億に相なります。
  100. 田邊誠

    田邊委員 それはどういう基準で繰り入れを行っているのでしょうか。
  101. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 原則といたしまして、各業務に必要な経費はそのまま郵政事業特別会計に繰り入れてまいります。  それから先生の御質問は、恐らく共通的な経費とかそういったものも含めてどうかという御質問かと思いますが、たとえば人間の比、人件費と申しますか、人員の比による繰り入れの仕方、それから局舎等のスペースによるものにつきましてはスペースの比によりまして、これを各事業特別会計から郵政事業特別会計に繰り入れております。
  102. 田邊誠

    田邊委員 これはたとえば局舎の利用の状態、それからその事業の特異性からくる国民の利用の度合い、さらには郵便局におけるところのいわばそれぞれの事業が受け持つ一つの分野、こういったものが当然勘案されていかなければならないというように思うのです。特に郵便局の窓口というのは、御承知のとおりに、郵便を出される方もありまするけれども、これは特別の扱いのものをねらってくる、あるいは切手の販売をする。必ずしも切手販売等は郵便局の窓口だけでなくても済むわけですが、多いのは、やはり何といっても貯金保険の窓口、そのためにそこにかなりの、たとえば冷房設備を設けるとかあるいは窓口の休む場所を設けるとか、実はいろいろなそういうものに対する改善の施策等もやるわけですが、こういったものはどういうことでもってここに繰り入れられることになるのでしょうか。
  103. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 業務の内容によって繰り入れるわけでございますけれども、この業務量の考え方でございますが、これは大部分がその要員数によってあらわされるのではないかというふうに考えるわけでありまして、直接の各事業の要員比をもって分けますと、これはその業務量比に近いものになるというふうに考えまして、私どもは一応そういったものにつきましては要員数によってやっていくというふうに考えておるわけでございます。  それから業務量が非常にはっきりしておりますもの、そういったものはそういう形でとることになると思いますけれども、ほとんどは業務別定員比ということで共通的なものは分けられる。  それから先ほど例に出されましたスペースでありますけれども、これは事実使っております面積を実際に算定いたしまして、また共通的な部分についてはその面積比というものをとりまして、これを繰り入れの基準といたしております。
  104. 田邊誠

    田邊委員 大蔵省、たとえば貯金保険の外務の方々のように、昼間ほとんど局内にいない。しかし、朝晩の仕事をする場合にそのスペースが要る、こういう形でもってかなりのスペースをそこへとるわけですね。さっき窓口の例を出しましたけれども、そういった面でかなりスペースをとるという形でありますと、負担の割合というのは、私は、郵便よりも貯金保険の方はそういった面でかなり大きな負担をかぶるんじゃないか、かぶってしかるべきものじゃないか。こういう気がするのですが、それに対する何か繰り入れの基準というものは、あなたの方はきちんと定められて、それがわれわれに示されてもわかりいいような形でもって繰り入れというものをやっていらっしゃるわけでしょうか。
  105. 佐藤徹

    佐藤説明員 具体的には、ただいま郵政省の方からお答えありましたように個別に、簡保なりあるいは貯金なりということが明白な経費については、その必要な額を繰り入れておるわけでありますが、問題は共通部分と申しますか、そういった部分につきましては、物によりまして人数の比率であるとかあるいは面積の比率であるとか、そういったことでそれぞれルールと申しますか、一定の考え方に従って繰り入れているわけです。詳細は一つ一つここで御説明するわけにまいりませんけれども、そういった一応のルールをつくって、それで毎年繰り入れをやっているわけであります。
  106. 田邊誠

    田邊委員 そこで、郵政事業特別会計を見ますると、業務収入と業務外の収入、これとの比率が年々一体どういうふうに変わってきておりましょうか。
  107. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生の御指摘の問題は、業務外と申しますと、たとえば収入印紙の取り扱いのような、そういう関係でございましょうか。それともただいま御質問のございました貯金保険等の受託業務意味でございましょうか。ちょっと私その点、大変失礼でございますけれども、お聞きしたいと思います。
  108. 田邊誠

    田邊委員 一つは、分けまして、款に言うところの業務収入と業務外収入、それから業務収入中のいわゆる郵便業務の収入、まあ若干為替振替業務収入が入りますけれども、それを含めたいわゆる項としての業務収入と、それ以外のいわゆる受託業務収入やその他の雑収入を含めた収入、この割合、二つありますね。
  109. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 わかりました。ただいまの御質問お答えする直接の比率の計数はただいま持ち合わせておりませんけれども、大体の傾向を申し上げたいと思います。  業務収入では、四十七年度で対前年二〇%伸びております。それから受託業務収入で一八%伸びております。それから業務外収入では四五・六%という非常に大きな伸びを見せております。  次に、四十八年度について申し上げますと、業務収入の面では八・三%の伸びでございます。それから受託業務収入では一〇・五%の伸びでございます。それから業務外収入では二三・九%と、これは伸びが若干落ちております。  四十九年度について申し上げますと、業務収入が七・七%の増でございます。それから受託業務収入が三九%の伸びでございます。それから業務外収入で申しますと五六・八%の伸び、こういうことになっておりまして、業務収入は余り年を追うて伸びておりません。しかし収入印紙の方は非常に大きく、業務外収入の方は相当大きな幅で変化いたしております。
  110. 田邊誠

    田邊委員 そこで支出の面で、主として人件費に充てる面が多いということを言われておりますが、全体の郵政事業特別会計の中で、人件費というものは一体どんな状態でしょうか。これは最近の傾向として、ここ数年間にどういう増減の状態でございましょうか。
  111. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 人件費の総体の経費の割合で申し上げたらいいかと思いますが、これで参りますと、総体の経費の中に占める人件費の割合は、四十五年度が七九・八%、四十六年度が八〇・五%、四十七年度が八〇・五%、四十八年度七九・五%、四十九年度八二・四%、五十年度八〇%、これは予算でございます。こういった形で全体の事業の中で占める人件費の割合は大体八〇%という構成は変わっておりません。ただ、毎年絶対額といたしましては、平均いたしますと、十何%かの伸びを見ております。
  112. 田邊誠

    田邊委員 もう一つお聞きしておきたいのは局舎の建設の費用、これは一体どういうことでもって賄っておるのでしょうか。これは私前回の郵便法改正のときにもお伺いしたのでありますけれども、この局舎建設を業務収入によって回収する、こういう行き方はとっておらないというふうに聞いておるわけですけれども、これは基本的にはどういう面でこの局舎建設というのは賄っているのでしょうか。
  113. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 貯金保険に必要な営繕費につきましてはその必要額を繰り入れておりますが、ただいま御質問郵便事業が大きな問題であると思います。これにつきましては原価の上では公正報酬を見込んでおりません。したがいまして、そういう形での資金調達はいたしておりません。ただ郵便事業につきましては剰余金はございませんので、これにつきましては財投、言いかえますならば簡保資金の借り入れをやっておりまして、それによって建設費を賄う。もちろん減価償却はこれを引き当てております。
  114. 田邊誠

    田邊委員 そうしますと、これは結局借入金によりますから、償還をずっとやっているわけですね。これはあなた方は郵政事業特別会計赤字の枠外に置く、こういうことに考えてよろしいですか。
  115. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 借入金につきまして、これに要する利子その他はやはり経費でございますので、これに要する金額は歳出に予定いたしておりまして、これは償還金は別の形になりますけれども、損益上借入金の利子の返済に充てる用意はいたさなければならない、こういう形になっております。
  116. 田邊誠

    田邊委員 大臣、特別会計が非常に苦しいという、こういう話でありますが、郵政省というのはばか正直というのでしょうか、全部が企業だという認識、それに立てばもうこれは言わずもがなですけれども、私は午前中にも質問いたしましたように、いわばもう採算が合わないところ、僻地なり山村なり、そういうところについても、あるいはまた逆を言えば過密でもう土地の取得がなかなかできないような大都市においても、局舎が必要ならばそれをつくるという、いわば損得勘定を抜きにして局を設置しなければならないこういう状態。これがまた郵便事業の特色でもあるし、また国民に対する一つの責務でもある、そういうあまねく公平にという観点でもって事業を行っておるのですから、採算を考えていけばこういったものはできないのです。それじゃ一体いま採算に合っている局がどのくらいありますか、現場だけとってみましても。単純計算ではできませんけれどもね。そういったことを考えていけば、いわば国営の独占事業としてやっておる郵政事業の中における、採算を度外視ということはちょっと言葉としてはどうかと思いますが、採算だけでは考えられないようなそういう事業形態、これを考えたときに、局舎の建設というものについては特別会計の範疇に置いておくというのは、これはいかがかと私は思うのですよ。他の税務署や、たとえばいろいろな官庁があります。これも国民の利便のためにやっておる国の事業でありましょう。それは皆、いわば国費、一般会計で賄っておるわけでありますから、いま苦しい苦しいという郵政事業の中で、この局舎の建設は特別会計から外して別の方法でもって考えるというようなことは、郵政事業の健全化からいって必要ではないか。これはもちろんなかなか財政当局の抵抗もありましょう。企業としてやっていくのだからこれもひとつ見ろ、いま利子の償還等は当然見ているという形ですけれども、これらのことをわれわれとしては発想の転換をしていかなければ郵政事業というのは成り立たないのではないか。本来これは成り立つべき仕事ではないわけですから。料金はやはり国民生活にも影響があるということでもって、これは何といっても法の大前提として安い料金であまねくやるという形といったものを考えてみますと、これは局舎の建設の費用というのは本来的に他の官庁——学校あり税務署あり、いろんな官庁がありますけれども、こういったものと同じように国の費用の中でもってこれをめんどう見るというのが当然の成り行きではないかというように私は思っておるのでありますけれども、この点に対しては、大臣、どうでございましょう。私の考え方が一体間違っているのか。あるいは本来はそうすべきなのか、あるいはまたそういう着想も一つあるというお考えであるのか。これは政治家、先輩としての村上大臣にぜひお教えいただきたいのです。
  117. 村上勇

    村上国務大臣 郵政事業はその性質上ほとんど人手に依存しておりますので、その費用の大宗は人件費で占められておりますことは御承知のとおりであります。局舎及び宿舎につきましても、固定資産にかかわる経費はごくわずかでありまして、仮にこれを一般会計から補てんされたとしましても、郵便料金改正によらずして郵便事業財政改善を図ることができない事情にあります。また、局舎及び宿舎等の固定資産にかかわる経費郵便業務の運営に要する経費でありますので、利用者負担の原則に立ちまして、郵便料金によって賄うことが社会的公平にもかなうことになると思っております。社会的にどこまでも奉仕の精神を忘れないで国民に奉仕するということはもう当然でありますが、とにかくこれは一つの事業であります。税務署とかあるいはその他裁判所というような建物につきましては、私ども考え方ではどうも一つの事業ではないんじゃないか、こういうように解釈しておりますので、先生のお考えはなるほど私どもにとってはまく了承できるのでありますが、しかし理屈から言えばそこまで飛躍することはどうかと思っております。
  118. 田邊誠

    田邊委員 そうしますと、私は、午前中の収支を賄う、こういった点から言いましても、いま大臣お答えを返すようですけれども、それならば採算ベースに合わぬ局は実際を言うと廃止しなければなりませんね。山の中の簡易郵便局だの無集配特定局なんていう利用度の少ないところはどうにもならぬ。実は時間があるかどうかわかりませんので行管にお聞きをする時間がないかもしれませんけれども、行政管理庁から「小規模な郵便局の運営について」こういう勧告が出ておりますが、これを見ましても、小規模の無集配特定局については「合理的経営方式を確立する必要がある。」、小局管理経費の低減等を図る必要がある刀それから簡易郵便局については「廃局の措置を講ずる必要がある。」ということまで書いてあるわけですね。合理的な小局経営方式を勘案してやらなければならない。これはこの見方がいいかどうかというのは別にしまして、やはり経営の合理性とか採算ベースというようなことを考えれば、当然この小局というものに対して何らかの措置考えなければならぬというところに来ていると私は思うのですよ。  局舎の建設などというものは、税務署なんか税金を取るところは国の費用で建てておいて、国民に対するサービスをする、しかも安い料金でやるという郵便局は、あなた、企業ベースの中でやりなさい。これは私は話が合わぬじゃないかと思うのですよ。そういう考え方に立てば、郵政事業というものはあまねく公平に安い料金でやるなんていう郵便法の精神というのはどうにもならぬ。だから、さっきの郵務局長なり経理局長の答弁のように、収支相殺の原則ばかり頭にこびりついてそれで料金はどうするか、こういう考え方に立つわけですから、それをもうちょっと広く考えて、国民のために一元的に国でもってやっている事業である、採算ベースばかり固執できないんだというところに郵政事業の深い意味があるのですから、したがって、局舎の建設等のごときはこの一つの枠の中でもって閉じ込めていくということはいかがかと思う。いま大臣の答弁はちょっとよく聞きませんでしたけれども、しかし局舎建設はばかにならぬ金でありまして、しかも局舎の建設自身にもいろいろ隘路があります。いま土地の購入の問題もありますし、それから増大する郵便物の処理に、建ったらその翌年から年末などは仮局舎を建てなければならぬという見通しのないあるいは見通しを立てられないような状態の中で局舎が建っているということも考えてみますと、私としては、この局舎建設をただ郵政事業特別会計の枠組みの中で処理するということは限界がある。それならば、これは反面解釈ですけれども、いま言った小局、小規模の局舎の運営について一体どうするのか、こういう考え方に私は立たざるを得ない。どちらでしょう。
  119. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵政事業の場合は、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、建設勘定に相当する部分が全体の経費の中でわずかでございます。先生承知のように、人件費が非常に大きなウエートを持っておる事業でございますので、経常経費収支経営を左右する非常に大きな要素になっているわけでございます。たとえて申しますと、郵政事業の場合は減価償却費は全体の一・一%でございますし、先ほど申しました借入金の利子は一・八%に相当する経費でございます。したがいまして、総体として二・九%、約三%程度のウェートしか持っておりません。ただ、国鉄とか電電になりますと、これが恐らく三割ないし五割というような非常に大きなウエートになりますので、これをどうするかというのが直ちに経営に大きく影響するかと思います。そういう意味で、郵政省の場合はこの一般会計繰り入れをたとえいたしましても、基本的に料金問題を避けて通るわけにはまいりません。現在このような経理状況になっておりますので、その辺の御了承をお願いいたしたいと考えております。
  120. 田邊誠

    田邊委員 これはけしからぬ話を聞きますね。いまとにかく千三百億でも赤字が出て料金改定をしなければならぬというのに、局舎の建設費が微々たるものだと言うけれども、幾らかかっているの。五十年度の局舎の建設費は幾ら予算に組んでいるのですか、あなた。
  121. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 建設勘定全体としては五百八十八億でございます。そのうち郵便分担分が二百七十億でございますが、これは単年度の負担になってまいりません。先ほど申し上げましたように、単年度の負担は減価償却費と借入金の利子というかっこうで払われてまいるわけでございます。
  122. 田邊誠

    田邊委員 いずれにいたしましても、土地の購入や建物の建設等によって単年度主義がとれないぐらいのことは私も百も承知である。それから現在利子の償還等に充てている費用についても私は承知している。さっき聞きました。しかし、いずれの方法をとったにいたしましても、そういう枠組みの中でもって、たとえ六百億近くであっても、これが支払いをしなければならぬという現実があるわけです。そういうことを考えてくれば、あなたは金が足らぬ足らぬと言っておって、千三百億じゃ史上最悪の状態だなんてあなたの方の部下はいま言っておるのだよ。六百億の方は、これは全体の枠組みから言えば微々たる費用だなんて、そんな話はありますか、あなた。私の言っていることは微々たるもので取るに足らぬ。局舎建設は一般会計からやってもらうように、そういう発想の転換をしたらどうだろうか、そういう話は微々たる話ですか。これは取るに足らぬ話ですか。いま聞けば、大臣先ほどの答弁のようにいわゆる企業的な要素を持っているものであるから、局舎の建設も一般会計から賄うことは適当でないとおっしゃった。そうならば、小規模の無集配特定局だの簡易郵便局だの採算ベースに合わぬやつは一体どうなんですか。私はそういう反論をしたわけだ。だから考えられる点については全体の中でもっていろいろ考えるような、こういう仕組みがえをしてはどうか。配達の度数の問題、実は後から質問をしたかったのでありますけれども、そこまで至らないかもしれません。それから、先ほど航空便に乗せるようなものは速達に限るというようなことにしたらどうか、航空便は別な料金を取ったらどうか、いろいろなアイデアを出しているのも、実はそういう苦しさを幾分でも緩和しよう、こういう考え方から出ているわけです。そういった点から見た場合に、局舎建設が微々たるものだという話になってくるのなら、もう千三百億なんて微々たるものだ。第一、さっきの大蔵省の答弁ではないけれども、これは金の価値という問題に対する観念が統一していない。大蔵省郵政省の間でも統一していない。二千八百億の赤字であっても多少の赤字ぐらいに大蔵省は言っているのだから、気を大きく持って、その程度赤字は、それではひとつ借入金でもやるという大英断を下しなさいよ、大臣。だから、そういうように相矛盾をしておるではないかと私は言っているのですよ。だから、どちらかの考え方に透徹するならば透徹するようにしなければならぬ。独立採算なら独立採算、企業ベースは企業ベースでいくならば、いまの実態、制度自身を変えなければいけませんでしょう。いまの郵政事業の根幹をなすところの大前提である安い料金、あまねく公平、こういう考え方を変えなければならぬ。そうでなくて、やはり国営でやっていくという形であり、これはもう僻地山村でもやっていくという形であるとすれば、当然それによって起こるところの赤字についてある程度国全体でもってそれに対するところのめんどうを見る、こういう考え方に立たなければ事業はやっていけないでしょう、こう私は言っているのですよ。ただ赤字が出ました、ただ安易に料金値上げをすれば当面は糊塗できますというような形では郵政事業百年の大計はない、こう思うのですよ。大臣は二度目の大臣、大先輩である。したがって、そういう中でもってこの時代に即応し、将来を見渡した一つの新しい着想と計画を立てなければならなくなってきている、こういう考え方でもって私は物を言っているわけですが、どうでございましょう。
  123. 村上勇

    村上国務大臣 大変有意義な御意見であります。ただ、私が考えましたと申しますか、私のお答えいたしましたのは、郵便事業という一つの事業の中で人件費が非常に多い。がしかし、局舎もいまのお話のようにばかにならない経費でありますけれども、たとえてこんな例が当たるかどうか知りませんが、鉄道の場合に、停車場を一般会計からとかどこからかというようなわけにいかないので、やはり鉄道の経営の場合も、その停車場はやはりその特別会計で全部やっているというのと、郵便局も一つの事業ですから、大体そういうような御解釈ができるのではなかろうか。これは間違っておればまた御意見を拝聴いたしますが、私どもはそういうようなことで、とにかくその費用の大宗を占めておるのが人件費ですから、だから、ほとんど伝統的に、いままで創業以来この方法で来ておることでありますので、これを踏襲していくということにいたしております。
  124. 田邊誠

    田邊委員 せっかくの大臣お答えですけれども、私を十分理解させるわけにいかない。この点は私の意見とまだかみ合っておらないわけですから、改めてひとつこれは論戦をいどんでいきたいと思っております。  委員長からの御注意があるようですから、やめろという意味でございましょうか、わかりませんけれども、まあ御親切なあれがありますので……。  ちょっと、せっかく行政管理庁に来てもらっておるので、時間を節約しまして、行政管理庁の調査結果及び勧告ということについては、この考え方はいまでも生きておるわけですな。それだけちょっと御答弁いただきましょう、せっかくおいででございますから。
  125. 大田宗利

    ○大田政府委員 監察結果は三十二年のものでございまして、ちょっと古いと思いますけれども、その思想だけは現在も同じでございます。
  126. 田邊誠

    田邊委員 郵政省は、この行政管理庁の調査結果及び勧告を受けて、「小規模な郵便局の運営について」、これを採用して適切な運用を図るということについて、何か施策をやられましたか。
  127. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  ただいま行政管理庁からお答えがございましたように、昭和三十二年十月に、郵政事業経営上の改善点について勧告を受けた次第でございます。この勧告に対応いたしまして、昭和三十三年、その後特定郵便局制度調査会を開いた次第でございますが、その調査会の中において、この勧告も検討したわけでございます。三十三年の一月に答申をいただいたと記憶いたしておりますが、郵政省といたしましては、この特定郵便局制度調査会の答申の線に沿いまして小規模特定郵便局の運営を図っておる次第でございます。
  128. 田邊誠

    田邊委員 全然わからない、前置きだけでもって中身は全然ない答弁。どういう施策をやったかということをお聞きしたいのですが、これは後へ譲ります。これは私が質問を改めていたしますなり、他の委員質問なりに譲ります。そんなような答弁ではとても納得できない。したがって、特別会計上の問題、それからいま言った特定局の制度の問題を含めて、制度上の隘路を一体どうするかという問題については、十分なお答えをいただかない、私もいまだ論戦不足ということで、これを全体的に保留しておきます。  最後に一問だけお聞きしますが、あなたの方からいただいたPR雑誌に、「郵便を利用される皆さまへ」というので、「郵便料金についてご理解をいただくために」という冊子がございます。ことしの一月に出された。大臣、こういう冊子はいけませんね。こういう冊子を出してはいけません。なぜならば、法案は審議中であります。いいですか、考え方を述べる分については、私はそこまで言いません。郵政事業というものに対する考え方を省が述べる分については言いませんが、大臣、五ページの後ろから五行目、政府が云々と書いてありまして、「実施時期もさらに六か月遅らせて、五十年十月からということになりました。」——なりましたか。郵便料金は五十年十月からということになりましたか。こんな、国会の審議を無視して、すでに法律が施行されているようなPR雑誌をつくられては、これは困りますよ。こういうものは法律が通ってから国民に対して周知をするためにつくらるべきものであって、何か国会の論戦をそぐような形で、しかもすでにもう郵便料金が十月一日になったような、あなた、そういう断定的な文言を書くようなPR雑誌は、これは私はとるべきことではない、こういうふうに思っていますけれども、これはどうしますか、大臣
  129. 石井多加三

    石井政府委員 確かにただいまのパンフレットは、ただいま御指摘の文章の点につきましてはまことに不穏当でございまして、早速この点につきましては訂正いたしたいと思います。
  130. 田邊誠

    田邊委員 ひとつこれはやめなさいよ、こういうのを。いまこれを出したからといってどうということはないのです。国会の審議を終わって法律が施行されたら、それに対して国民の協力を求めるということは、いかなる場合でもそれは役所としてはやっていいものだし、やらなくちゃならない場面もあるでしょう。しかし、こんなものをいま出されて、一体どういう印象を受けますか。われわれが論戦しても無意味になりますよ。われわれの考え方も取り入れ、いろんな中でもって国会というのは一つの審議があり、結論が出るんでしょう。そういう民主政治の基本にかかわるようなことを、逆なでするようなこういうものを出して平然としている神経がどうかしている。これはどうですか、大臣。これはやめなさい。
  131. 村上勇

    村上国務大臣 ちょうど私かぜを引いておったときか何か、全然見ておりませんで、まことに相済みませんが、とにかく早速先主の御指摘のように取り計らいたいと思います。
  132. 田邊誠

    田邊委員 質問はまだ序の口でありまして、まことに私の質問がいかようでも皆様に見ていただきまして、時間を食わないような形でもって質問しましたけれども、まだ序論でありまして、しかも意見がかみ合わない。適切な答弁ございませんので、以下の質問については、また理事を通じてお願いをすることにいたしまして、保留をしておきます。
  133. 地崎宇三郎

  134. 島本虎三

    島本委員 ただいまは田邊委員の方から格調の高い質問がございました。いろいろ答弁もございましたが、私ども大分わからない点が多かったのであります。その点一、二を通じて解明願いたいと思うのであります。  まず第一に大臣に率直に聞きますが、きわめて率直であります。それは、この提案理由の説明の中にも、四十九年度当初から相当の不足を生ずる状況となり、このまま推移すると収支の不均衡はますます大きくなることが予測されるので今回の値上げをやった、こうなっておる。それは、提案の理由としてはわかりました。では、来年度はするのですか、しないのですか。それだけひとつきちっと聞かせてください。私どうもわかりませんでした。
  135. 村上勇

    村上国務大臣 来年度のことは全然決めておりません。
  136. 島本虎三

    島本委員 では、これは上げて、また上げるということもあり得るわけですか。
  137. 村上勇

    村上国務大臣 それは五十一年度予算編成の際に考えることでありまして、いまの段階ではそういうことは決めておりません。
  138. 島本虎三

    島本委員 そうすると、場当たりな値上げ法案ということになりますが、見通しのつかない法案をいま提案したということになりますが、そういうふうになるのですか。
  139. 村上勇

    村上国務大臣 そんなことはございません。これは五十一年度予算編成の際にどういうふうに扱っていくかということについては、これはもう値上げということを必ず前提にやるべきではないと私は思っております。
  140. 島本虎三

    島本委員 各省大臣であると同時に、閣僚の一人でありますから、重大な内閣の一員として国政を担当しているのでありますから、そういうような点から、いまの態度が私はわからないです。必要が生じたならば、やる。見通しは閣議でちゃんと立てておるはずです。一五%というのは何の数字ですか。いろいろ立てている景気の見通しですよ。今度の値上げでございません。いろいろ、こう立ててやっていながら、来年度はわからない、ことしだけだ。これでは見通しのない場当たり的な値上げ法案だということになるではありませんか。閣僚としてどうなんですか。物価を抑えてきちっとして、もう値上げしないからこれだけやるのだ、こうなのか。来年上げるときにまた上げるのだ、物価が上がったならまた上げるのだ、こういうようなことになるのか。そこなんです。格調の高い質問ではなくて、きわめて具体的な質問だから、私はもうその辺がわからないです。上げるかのようで、上げないかのようで、わからないかのようで、わかるのですよ。そういうような答弁は私はわからぬのです。
  141. 村上勇

    村上国務大臣 郵便事業財政は昭和四十九年度から大幅な赤字が見込まれておりましたが、政府の物価抑制方針に沿って四十九年度中は料金改正を見送ってきたことは御承知のとおりです。(島本委員「それは提案理由の説明に書いてある」と呼ぶ)このために郵便事業財政はますます窮迫……。(島本委員「そのとおり。そのとおり書いてある」と呼ぶ)そういうようなことで、手紙五十円、はがき三十円を骨子とする、これも郵政審議会の方から……。(島本委員「そのとおり書いてありますから、それはわかるのです。したがって、来年はするのですか」と呼ぶ)いや、赤字を覚悟で二十円に抑えるとともに、実施時期についてもさらに本年十月に延期して実施するということであります。そこで、これは五十一年度予算編成の際に、相当苦しいところはありますけれども、それをどうするかということについては、必ずしも再度値上げをしてやるというように決定的なものではありません。とにかく……。(島本委員「では、しないのですね」と呼ぶ)何らかの方法によって切り抜けていく方法を考えていきたい、かように思っております。
  142. 島本虎三

    島本委員 何らかの方法によって切り抜ける方法を考えていく。したがって、値上げはしない、こういうようなことになりますね。理路整然と言ってください。
  143. 村上勇

    村上国務大臣 なるべくそういうふうにありたいと思っております。
  144. 島本虎三

    島本委員 なるべくそういうふうにありたい。ない場合は値上げするということですか。まあ、そうでしょうけれども、どうもそれは私としては、今回上げておいて、来年度他の方が上げるときにまた一緒に残りの分も上げていく、こういうような下心がはっきりあるような気がして、それを聞いてみたのです。大臣のいまの答弁、歯切れがなかなか悪いのです。しかし、これは考えないといけないのではありませんか。  いまの場合は、国民がいま最も心配しているのは、やはりインフレの抑制と物価の鎮静化でしょう。もう三木内閣の一員として——三木内閣もこれが最大の政治課題でしょう。したがって、消費者物価なんかも前年同月比一五%以内に抑える、こういうような公約さえ掲げたでしょう。一応これを下回るような実績を上げたとしていますけれども、しかし生活実感からまだまだ遠いものがある。しかし、やはりいままで国民は過去一年間、狂乱物価、それと消費者は物価高に相当痛めつけられましたから、それでボーナスの貯金だとかなんとかそれでもって自衛体制だけは整えたのです。それで一五%というのはやはり何かいろいろな意味があるようですが、春闘対策もあるようだし、この一五%はガイドポストというような意味で、賃上げをこの範囲内に抑え込むというような一つの巧妙な、経営に対する介入、こういうようなのもあるようにも思われますけれども、日本型の所得政策を実施しようとする意図があるのでしょう。これはもう最大のねらいであるとすると、今後また春闘が終わった後に、五、六月ころ以降に今度また相当の値上がり分が予想されるでしょう。鋼材なんかも、これはもう基礎資材ですな。それと酒、たばこ、生活物資なんかもくつわを並べてもう審議に入っているでしょう。こういうようなことですけれども、経済企画庁でも七〇%、経団連では六四%の企業がコストアップに耐え切れず値上げを待っている、こういうような報道さえあるでしょう。そうなんですよ。これでもう春闘まで無理やりにこれを押え込んでおいて、鎮静に向かったかに見えるような消費者物価は今度は五月以降にかけて一斉に値上げされる、こういうようなことになる。その一つの中に、この郵便料金も入っている。これはやはり国民は不安ですよ。こういうようなことに対して、したがって物価が上がったんならばその後を追っかけてまた郵便料金も上げるのか、この見通しの上に立って聞いているのです。あなたはやはり三木内閣の閣僚の一人ですから、物価動向に対してどういうふうにお考えですか。今度上がらないのですか、上がるのですか。
  145. 村上勇

    村上国務大臣 福田副総理の話を全面的に私は信用しておりますので、上がらないのじゃないか、上がらないだろうと思っております。物価は政府で責任を持って上がらないということを言っておりますから、私も上がらないと思っております。
  146. 島本虎三

    島本委員 じゃ六月以降も上がらない、こういうふうに断言しましたね。本当に上がりませんね。——いやいや、それがあなたの意思が入るのですか入らないのですか。
  147. 村上勇

    村上国務大臣 政府全体の慎重に検討した結果でありますので、物価は上がらないと私ども思っております。
  148. 島本虎三

    島本委員 ここではっきり閣僚の一人として五月以降は物価が上らない、こういうようなことを断言されたわけです。それならば、これをひとつお伺いしますが、この郵便事業に対する政府の一般会計からの補てん、これを考えるのか考えないのか。先ほど田邊委員質問の中でもこれの問題に触れていたようでありますけれども大臣、これはアメリカとかイギリスなんかでは先例があるようですね。アメリカでは政府の政策目的によって郵便公社に負担を背負わせる部分について、採算のとれない地域へのサービスの提供であるとか政策料金による収入不足など、こういうのは国庫から繰り入れているようです。一九七三年度事業経費の十数%に当たる十四億ドル、これだけやっているようです。英国においても政府のインフレ抑制対策によって公共料金に対する政策的な抑制を行ったため、それによって生じた赤字を臨時特例的な措置として一般会計から郵電公社にこれは補てんしているようです。一九七三年には一億三千三百万ポンド、約九百三十三億円。それでうち郵便事業分は五千七百五十万ポンド、約四百二億円、こういうようなことです。これはもう他の国でやっているわけです。今度の場合なんか、ことに日本の場合には、いろいろいままで論議になったように、全くこれは他山の石として日本でも、政府でもこういうような問題を学び、なおかつ取り入れてもいいんじゃありませんか。他の国がやって成功しているのに日本だけ取り入れないで値上げに踏み切る。もうこういうようなことでは少し総理の言葉と相反するように思いますが、社会的不公正の是正ということも重大な項目に掲げました。このためにはやったらいいじゃありませんか。やれるもの、他国がやっているものをなぜ日本はやらないのですか。やれないのですか。大臣
  149. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生指摘のように、イギリスにつきましては確かにそのようなことを一部やったかのように伺っております。(島本委員「一部」と呼ぶ)一部の補てんでございます。一部の補てんが行われたように伺っておりますが、全般的に諸外国の郵政事業を通じまして、やはり収支相償を原則とすることにおいては変わりはなかったと私ども考えております。特にフランスだとか西ドイツでは、現在でもそういった収支相償の原則を貫いておるように伺っております。  そこで郵便赤字でございますけれども、これは先生承知のように人件費が非常に大きな負担であるということでございまして、そういう内容また郵便の使われ方でございますけれども、その郵便の八割が業務用通信であるというような実態からいたしましても、利用者負担の原則というのはやはり貫いてまいる必要があろうかと思います。そういう意味で、これを一般の税金に転嫁することが果たして社会的な公正の面から適当かどうかということになりますと、問題を持つものではないであろうかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  150. 島本虎三

    島本委員 それだったらアメリカ、英国は不公正だということですか。
  151. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私もよく存じませんが、アメリカの場合は若干事情が違いまして、公社発足のときに、公共的な経費については一応一般会計から見るけれども、それを漸次なくしていきまして独立採算制を貫いていくというような考え方ではなかったであろうかと思っております。それからイギリスは御指摘のようにちょっと違った形になっておりますけれども、これもイギリスにおきましては近来数次にわたって料金改正もいたしております。それと同時にそういった政策をまぜて実施しているわけでございます。
  152. 島本虎三

    島本委員 だからそれが不公正なんですかということです。あなた、日本の方が正しくてほかはだめだと言ったでしょう。
  153. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 日本だけが正しくて外国は不公正という意味ではございませんが、まあいろいろの国によってやり方が異なっておる。私どもは現在の私どもの日本における郵政事業あり方というのは料金負担が、あるいは受益者負担が公正であるというふうに私は考えるという意味で申し上げた次第でございます。
  154. 島本虎三

    島本委員 これは国が行っている事業でしょう。郵便法の一条をさきに田邊委員質問に答えていたでしょう。安価に提供するというのがあるでしょう。三条に何かそれと反するようなのがあるでしょう。しかし、これは郵便会計の特別会計法ありますね。この郵政事業特別会計法、これの一条には、はっきりこれは何か「企業」云々という言葉さえ入っていますわね。こういうようにしてやっていますけれども、本来は国営でしょう。この点を何かあなたの方では、民間の経営と同じように考えるような風潮がこのごろ出ているのじゃないですか。何でもかんでも受益者負担の方がよりいいんだ、この考えはこの法律の郵便法の第一条に違反しませんか。受益者負担の方がいいんだとここに書いてませんよ、一条に。あなたの言葉は一条違反。
  155. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 郵政事業特別会計法の第一条の精神と申しますか「企業的に経営し」というのは、やはり公企業であっても企業的な運営をする必要がある、そういう公企業としていわば一般の行政サービスとは違った事業的な経営をする必要がある、そういう意味での趣旨と解しておりまして、私ども独立採算制の一つのよりどころもその第一条に求めておるわけでございます。
  156. 島本虎三

    島本委員 あなたのような秀才がそんなことを言っては困るじゃありませんか。郵便法が根本法でしょう。これは郵便法実施するための手続法でしょう。こっちの方に何と言ったからといって、郵便法の一条の方が先行するでしょうが。いつも何か足の方が先行して頭の方がおくれるのですか。そんなような考え方ではだめです。この郵便法の一条の方、この精神にあなたの考え方が違反しているということなんです。どうも何でもやってやるんだからそれだけの受益者負担が正しいんだ、こういうような考え方に終始しているようです。これは安く提供するという国営の本義を忘れちゃってるのです。せっかく郵政大臣は、もう五月以降は物価を上げないと断属したんだから、私はもう金科玉条としてこれを言いますけれども——いや、それに対する補足説明は要りませんよ、もう言ってしまったんだから。  それで、せっかくこれをやっても、官僚の——官僚のと言ってはなんですけれども、本当に郵政当事者の気持ちと運営のいかんによって、これはとんでもないことになる。大臣とのあれはなんですけれども、私はそれを危惧するのです。  基本的な問題として一つだけ聞いておきますが、労使関係ですよ。このいまの場合には近代的な経営の労使関係、これは重要だということは多言を要しないでしょう。郵政関係の労使関係、いろいろな曲折、変遷はありましたよ、しかしいま安定の方向へ進んでいるというようなことは私ども認めます。しかし、それはすべての病根がこれで摘出されて健康体を回復した姿に定着したと、大臣はこう見るのは少しまだ早いんじゃないか。いろいろないままでの労務対策の中で、やはり後から批判をまつまでもなく、最も低劣で、永遠の十字架を背負わされたというようなものは、これはいい言葉で言うとそうなりますけれども、いわゆる郵政反マル生運動なんというのがありましたよ。そんなのも根絶しつつある。この職場はいまでもまだ骨肉相はむ修羅場化しているのですけれども、今回だんだんそれが是正されつつある。しかし、中に残された一つの禍根というものは事業荒廃に追いやる暴挙となっていまでも残っている。大臣、ここだと思うのです。したがって、いま値上げをした、人件費が七十数%だ、長期にわたる労変闘争、四十五年十二月十四日のあの確認事項を初め紆余曲折を経ながらも労使関係だけは前進してきている。こういうふうなことを認めるわけですよ。しかし一つの職場にこういうような事態を発生させたままにしてある。これは管理者の責任としては十分反省しないといけないはずです。恐らく厳罰に処さなければならないはずのものだと思うのです。宿命的な悲劇というのは解消されることなくまだ続いているんじゃないですか。私はそういうような点で少し明るさを取り戻さないとだめだ、まだ陰うつな点も残っている。  それで、いまこの値上げ法案提案された。こういう職場の中で、全職員が全能力を発揮して国民の負託にこたえるというような体制ができて初めてこれは有効に機能するんじゃありませんか。七十数%が、これは人件費だと言いながらも、こういうふうな点で手抜かりがあるとするならば、郵政事業に対する国民の信頼、こういうふうなものはますます失われることになる。これではまさに大きい、いままで小さいざるだったけれども、今度大きいざるをつくって水をすくうようなもので、何にもならないわけです。大臣もこの点を考えて、実は物価の値上げの点はこれ以上五月以降は上げないと、それはわかりましたが、今度料金値上げして、それによって今度やる場合に、国民の負託にこたえるために内部で混乱ばかりあるような指導や、そういうような状態じゃだめなんです。今後これに対してもどのような施策をもって対処するのか、これははっきりしておかないと、これは前提条件ですからね。二つ目の、ひとつ大臣の毅然たる態度を聞いておきたい。
  157. 神山文男

    ○神山政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、郵政事業は非常に多数の職員の力によって運営しておりまして、事業の円滑な運営が行われるかどうかということは、やはり職場における労使関係というものの安定が大切であろうかと思います。私どもとしても、ふだんから労使関係というものを重視いたしまして、この改善を重要課題にしてまいったわけでありますが、先生おっしゃるように、四十五年の十二月十四日でございますが、労使間の確認というものが行われまして、この趣旨をお互いに定着させていこうということで、省としましても、その後いろいろの会議における指導あるいは訓令あるいはその他の施策を通じまして労使関係安定の基礎となる信頼関係をつくり上げていくように努力してまいったわけであります。そういう安定した労使関係、先生からただいま定着しつつあるという御評価の言葉をいただきましたが、そういう安定化を背景にいたしまして、職員が一つの郵政事業という共同の目標に向かいまして一体となって協力し合っていくということが一層必要であろうかと思うわけであります。私どもとしましては、今後ともそういう方向で誠心誠意努力していきたいというふうに考えております。
  158. 島本虎三

    島本委員 誠心誠意これから努力するんですか。値上げはもうすでにこういうふうな国民の負託にこたえるようなはっきりした施策と展望の上に立って出すのではないと、ざるで水をすくうようなものだ。いままでのざるは小さかったが今度大きくする。これだけにすぎないじゃないか。これはむだですよ、ということなんです。これから考えるんじゃ、少しおかしいじゃないですか。これじゃ国民の負託にこたえられません。これだったら、もう大臣はこれは撤回しないといけませんな。
  159. 村上勇

    村上国務大臣 先生の御指摘の点、労使の関係あるいは同僚の関係、これはもうきわめて大事なことでありまして、やはり私を初め、全職員が郵政省というものをにらみ詰めて、全く打って一丸となって、そこには一切の紛争もなければ、わだかまりもない、みごとな結束によって臨まなければ、国民に郵政事業が奉仕することはできないと思います。そういうようなことは、これはもう先生から御指摘されるまでもなく、この点は私も自分の政治生命ですか、私の体を張ってどこまでも和協、協調の精神、共甘同苦の精神をもって臨みたいと思います。  それから先ほどちょっと私は走り過ぎておりますが、誤解があると困りますので、それは物価の問題ですが、絶対に上げないということは、私のは一分も上げないというのでなくて、一つの標準があって、政府がすでに発表しておりまする一けたで何とか置く、それより上げない、政府のすでに国民に訴えておるあの線より上げないということでありますから、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  160. 島本虎三

    島本委員 また逆戻りしましたな。あなたは、五月以降は物価は上がらないだろう、こういうふうに言って、今度政府の上げるところまでは上げると言うのですか。それ以上上げなしと言うのですか。政府は、じゃどこまで上げるのですか。いままで上げないと言って、今度は上げるところまで上げるのですか。
  161. 村上勇

    村上国務大臣 政府の一般常識として、すでに過ぎましたが、この年度末までは一五%で抑える。それから五十年の年度末には一〇%以下にするというのが政府のお約束している物価の発表であります。私もやはり三木内閣の閣僚の一人ですから、政府はそこで抑えるのに私はもっと下の方で抑えるということはこれはできませんので、もしこれ誤解があると困りますから、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
  162. 島本虎三

    島本委員 後の方は理解できない。これはもう前と後とだんだん答弁が変わってくるのじゃ、三木内閣の閣僚の一人だといばったって何にもならぬじゃありませんか。官僚から渡されたそればかりちょっと読んで、だめですよ。そんな態度じゃ心細い。それで国民の負託にこたえるのはいまのような状態じゃまだだめだ。やはりこれは組合なんかだったら、一つである方が望ましいのでしょう。二つも三つも四つも——四つもないですか。そういうふうにしておいて、それで中で骨肉相はむようなことをさしておいて、それで国民の負託にこたえるなどということはできない。したがって、これからの施策と展望を聞いていたのですね。そうした上に立って、この料金値上げをして国民の負託にこたえるというならわかる。内部でそういうようなことをしていながら、これからだ、料金値上げ値上げだ。五月以降は上げないと言うのだけれども政府が上げるところまで上げる。まただんだん……それじゃこれはもう次、物価が上がったらまた次に上げて提案してくる。いよいよもって国民の信頼を失うことになる。こういうような値上げだったらやめた方がいい。それと同時に、これはいまの真剣に物価問題に取り組む態度もわかるような気もするのですが、国民生活の安定と社会福祉の充実の実現、こういうようなものは三木総理の初めからの決意でありまして 再々言ってしたわけです。したがって、今度の郵便料金値上げ法案、これはいまの場合にもう一回考え直して、他の国でも、アメリカでも英国でもやっている例があるのだから、一般会計からの繰り入れによって措置するように、発想の転換は今後も考えるべき余地があるのじゃないか。そして、その時期は、まあ国民の負託にこたえるように、省内の一般の施策と展望がはっきりするまで、それまでそういうふうにしておいたらいいじゃないか、これなんです。まだやはり中で第一組合だ、第二組合だ、第三組合だで、なおこうやるような指導をしている管理者もまだいるでしょう。そういうようなことでは国民の負託にこたえられない。したがって、一たんこれは撤去して、完全にできるまでの間、一般会計からの支出ということで発想の転換ということを私は強く要請したい。これは局長大臣大臣になりますか。
  163. 村上勇

    村上国務大臣 また一般会計のお話ですが、郵便赤字は、何遍か申しておりますように、人件費中心とする経常経費によるものであります。利用者に負担していただくのが適当と考えられますが、仮に独立採算制の原則を崩して、そして一般会計からの繰り入れによって赤字を補てんするということになりますと、これは一般納税者に負担させるわけでありまして、郵便の八割は企業などの差し出す業務用通信であるという利用実態から見て負担の公平を欠く、こういうように私ども考えております。
  164. 神山文男

    ○神山政府委員 労使関係の安定につきましては、先ほどお答えいたしましたように、四十五年の十二月十四日の確認以来もう努力をしてまいりまして、定着を図ってまいっております。相当定着してまいっておるというふうに私は考えておりますが、今後ともなお一層労使関係の安定、明るい職場をつくるように、なお努力いたしたいということを申し上げた次第でございます。
  165. 島本虎三

    島本委員 上の方ではそう考えるのですが、まだ行ってみたら暗いですよ、現場の方は。明るくなったところもありますよ。しかし、やはり郵政省本省の方にいると、そうありたいということを自分の方の環境と合致させて、郵政省の方はいいものだから、下部、末端の郵便局の方もこうだろうと、すぐ自分では推理しちゃう。だけれども、まだまだ暗い点があります。そういうようなところに値上げしてやったって十分な効果がないから、それができるまで一般会計から出せ、できたときにやれば国民の期待に沿える。そういうような発想の転換を図れと、これは大臣、当然なんだ。  大臣、それで今度は三木さんがよく言っていました社会的不公正の是正と言っていましたが、これに対しては郵政省は関係ありませんか、ありますか。
  166. 村上勇

    村上国務大臣 郵政省も関係のないことはないと思います。
  167. 島本虎三

    島本委員 関係があるということですね。  じゃあ、社会的不公正の是正、このうちで——労働省来ておりますか。これ、昭和三十五年に身障者の雇用促進法が発足しましたが、そのころから各省に雇用安定について何か要請してありますか、ありませんか。
  168. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 三十五年に身体障害者雇用促進法が制定されました。その法律の規定の中で、各企業に対して一定の雇用率をもって身障者の雇用を図れという規定があるわけでございますが、民間とそれから官公庁、現業も含めまして、それぞれ雇用率を定めております。現在は、民間については一・三%、それから官公庁につきましては非現業が一・七、現業が一・六%ということになっております。この法律の規定に基づいて毎年各省庁が雇用率達成のための身障者の雇用計画をつくりまして、私どもにお届けをいただいて、私どもと相談しながら身障者の雇用の促進を図っていただくというやり方をしております。
  169. 島本虎三

    島本委員 では郵政省、そういうような労働省のお答えですけれども、昭和三十五年以来年度別に雇用計画はちゃんと立ててありますか、ありませんか。労働省と相談しましたか、しませんか。
  170. 神山文男

    ○神山政府委員 身体障害者雇用促進法及びその施行令で、当省の雇用率、現在は一・六%になっているわけでございます。毎年計画を立てて努力してまいっております。しかし、残念ながら、昨年十月一日現在の数字でございますが、一・五二%ということで、まだ一・六%を下回っておるという結果でございまして、その後さらに地方を指導いたしまして鋭意努力中でございます。
  171. 島本虎三

    島本委員 一・五二%で、一・六には〇・〇八%足りない、だからこれは今後やる、それはわかりましたが、これは昭和四十九年度でしょう、四十八年度ですか。そうすると、それ以前、昭和三十五年からこれ指導しているのですが、それ以前の年度別の雇用計画達成状況、これがなければならないはずです。これは労働省もそれをやって、各省相談しているというんですから、なければならないはずです。これを出してもらいたい。
  172. 神山文男

    ○神山政府委員 雇用促進法成立以来の年度別の数字でございますが、これはございまして、昭和三十六年度は雇用率が一・二四%でございまして、当時法定雇用率一・四%でございまして、その後採用計画は百二十三計画したのですが、採用数二十三ということで一・二四%。その後雇用率は少し上がってまいったわけでありますが、三十七年度が一・二五%、三十八年度が一・二五%でございます。それから三十九年が一・三三%、それから四十年度が一・四〇%。それから、途中省きますが、四十三年度から一・六%の雇用率、これは政令で決められたわけでございますが、一・六%となりまして、四十三年度の雇用率が一・五二%となったわけでございます。その後四十五年度には一・五八%までいったわけでありますが、その後また残念ながら下がって、現在一・五二%、こういう状態でございまして、この一・六%をぜひ早急に達成したいということで現在努力中でございます。
  173. 島本虎三

    島本委員 これはそうすると——わかりました。労働省、ずっと相談して何か適当てやっているようだったんですが、まことに適当じゃありませんか。民間一・六%以上なければならないのに一・二五、ずっとやっていたのを了解していたんですか。これに対して労働省は何も指導しないのですか。現在でもなおかつ一・五二だという。これでは少し怠慢じゃございませんか。どうなんです。社会的不公正の是正に協力しない郵政省ということになるじゃありませんか。
  174. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 いま郵政省の方から御説明がありましたように、当初は雇用率が官公庁の場合に一・四だったわけです。それに対して一・二六、四十三年以来一・六に上がっておりますが、現在一・五二ということになっております。いまお話がありましたように、この四、五年郵政省も逐次改善してこられておりますし、その実績を私どもは一応評価したいと思います。各省庁に対しまして私どもは、たとえば政務次官会議あるいは事務次官会議等を通じまして一般的に協力をお願いするとともに、具体的な雇用計画の連絡がありましたときに個別にそれぞれ御相談すべきものはしていくということでやっておるわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  175. 島本虎三

    島本委員 なぜ局長来なかったんだ。局長を要請しておいたのに。審議官の立場だったらそれしか言えないんだよ、あなたがやったんじゃないから。だから局長を要請しておいたんだ。どういうわけで来れない。国会に対して何でも事務的なことだけをやれば了解すると思っているのか。だから官僚はだめだと言うんだ。どうも郵政省の方ではさっぱり、この雇用計画、これは下回るばかりだ。こういうのが過去のデータではっきりしました。上げれば上がる。それは政令が出た以後は上がっている。しかし、上がっても必ず余分を残して、一〇〇%まで決められたとおりやらないで、必ず下げている。これはどうもおかしいじゃないか。満度までやったって二人か三人、四、五人でしょう。どうしてもやらないで、〇・〇幾らか必ず余裕を残している。何でも郵便貯金のように余裕を残せばいいという考えですか、こういうふうなことにも。これは大臣、閣議事項ですからね、もう少し官僚の中にもこういうようなひずみがないように指導しないといけません。一番の非協力です。  大蔵省も来ていますから、そのうちにもっとはっきりしますけれども、これはどうなんですか、大体郵政省の方で入れているこの障害者というのは公傷者、内部から出た公傷者を入れているんですか。それとも外部からの者を入れているんですか。これはいずれですか。
  176. 神山文男

    ○神山政府委員 その前に、先ほどの達成してないという現状についてのお話、若干つけ加えさしていただきますと、私、昨年局長になりまして、こういう状態が長く続いているということは法律の趣旨からいってもそぐわないということで、本省に身体障害者雇用促進連絡協議会というものをつくりまして、各事業郵便貯金保険を通じまして雇用促進についてひとつもっときめ細かな対策を立てていきましょうという体制をつくったわけでございます。また地方郵政局にも同じような協議会をつくり、また郵便局にもこれから身体障害者の雇用担当員というような者を置いて、各機関ごとに雇用数の割り当てをこなしていく。あるいはその他職場内の配置等の検討をさしていこうという体制づくりをいたしまして、その後、鋭意雇用推進にも努めてまいりました。まだこれは労働省にも報告申し上げておりませんが、昨年の十月一日から四月上旬までの状況を徴したところ、新規採用で約七十名ふえているということでございまして、現在、推定でございますが、雇用率は約一・五五%というような現状になっておるわけでありまして、さらにこれを今後一・六%をできるだけ早急に達成するように努めてまいりたい。そういうことでございまして、その穴は当然新規採用でできるだけ充てていくように努力するということでございます。
  177. 島本虎三

    島本委員 じゃ、できるだけというのは、いままでは公傷者を充てて身障者ということにしてそれらを充足していたということになるんですか。
  178. 神山文男

    ○神山政府委員 毎年新規採用でとってまいっております。  ただ、先ほどのなかなか目標を達成しないということは、高齢退職の時期にそういう身体障害者の方がやはり退職されるというようなことで、また達成しかかったものがダウンしてしまうというようなことでまいったのではないかというふうに推定しますので、今後はその高齢退職等の毎年やめられる方の数も推定しながら雇用計画というものを立てていきたい、こういうふうに考えております。
  179. 島本虎三

    島本委員 これは社会的不公正の是正といういまの内閣の基本的な柱の一本として各省に割り当てられ、これを遵守しなければならない内閣の至上命令の一つだから、大臣、これを言っているのです。これを能率向上やうんと合理化によって、けがした人をそっちの方に充てていって、これが身障者だ、こんなばかげた考え方があってはだめなんです。いままでのところ、何かそういうような臭いようなことなんですが、いままでそういうのに充てていたんでしょう。内部の人でけがした人やなんかを身障者としてこれに充てていたんでしょう。したがって、新規で相当雇うならきちっと雇われるはずじゃありませんか。けがする人が少なくなったからこれだけの分が余分になってあいた。どうもこそくじゃありませんか。じゃこれは、いままでのやつは全部新規採用者ですか。
  180. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいまのところ、過去の職員であって身体が正常であって在職中に公務災害等で負傷して、それがどのくらい身体障害者に該当するかということについては、現在全国的な資料がございませんのでお答え申し上げかねますが、毎年新規採用として努力はしてまいっておりまして、そういう数字は残っております。ただこれから早急に一・六%を達成するために新規採用者の雇用の計画を立てて、それを推進していかなければ達成できないわけでございますので、新規採用者の採用について努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  181. 島本虎三

    島本委員 新規採用者、これはもともとそれでいいですね。だけれども、いままではそうじやなかったんですね。事故を起こしてけがしたりして身障者になる人をそれに充てて、そして身障者を雇っている、こういうようなこそくなものはだめだということ。  それから、いまこれは何ですか、身障者という言葉は簡単に、法律用語で身体障害者雇用促進法という法律もあるわけですから普通言うわけですけれども、これは昭和四十七年に身体障害者雇用審議会から労働省に対して答申が出ています。答申が出た後でこの趣旨にのっとって閣議で決めて、それを各省にそれぞれ通達でしょうか何でしょうか出したのでございましょう。大概答申の趣旨と合致してこれを行っているんですか。それとも無関係にやっているんですか。基本理念においてこれはどうなんでしょうか、労働省。
  182. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 身体障害者雇用促進法に基づきまして身体障害者の雇用対策審議会がございます。それでいま先生が御指摘の身体障害者審議会の答申は、労働大臣に対して身体障害者の雇用問題についての建議をされたものでございますので、第一義的には私どもがそれに基づきまして予算上の措置あるいは行政上の措置をもちまして、その答申の趣旨に沿うような施策を進めてまいっておるわけであります。したがいまして、各省に対しましては、その中に指摘してありますものについて該当のものがあれば、それは各省に対して私どもから御要請をするということになっておるわけでございます。
  183. 島本虎三

    島本委員 そこなんですよ。この基本理念というものも、この答申ではっきり出ているのですよ。この基本理念が各省にいく場合にはこれがもうはっきりしていないんですよ。ですから郵政省郵政省、労働省はどうかは知りませんけれども、各省まちまちにこの採用の基準だとかこれを決めている。しかし、はっきりこの中で「心身障害者を事業所に受け入れるに当たっては、設備等に特別の配慮を必要とすること」、その次に「生産性に自ら限界があることなど企業にとって特別の負担となる面があることにかんがみ、心身障害者を多数雇用している事業所については、税制上の優遇措置を考慮すべきである。」それから金融上の助成措置考える。それから今度官公需の確保もこれを努める。「政府関係機関等が率先してこれらの事業所に対して官公需の確保を図るよう努めるべきである。」。全部これ出して、それからなおかつ専門職員の養成及び配置だとか、事業所における相談員の選任、こういうようなものまでもうきちっとしておりますね。この生産性におのずから限界があるんだ。これはもう身体障害者ですから、当然はっきりしているんです。郵政省の方では、これに対してやはり毅然とした態度で臨んでいるようですけれども、この身体障害者に対しては特別生産性に限界があるんだ。このことについて郵政省、どう考えて雇用しているんですか。
  184. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  身体障害者につきましては、いろいろその障害の部位とか程度等において、作業上配意しなければいけない点が多々あろうかと思います。そこで身体障害のその部位、程度等を勘案しまして、実際勤務に際しましては職種あるいは担当作業、そういう点につきまして無理のないように配意するように指導してまいっております。現在のところそういうことで、十分実施が徹底されているというふうに考えております。
  185. 島本虎三

    島本委員 これは私の手元にあるやつは、郵政省との交渉のあれが一部始終あるんですけれども郵政省の方ではこれは答申は労働大臣に出されたものであって、郵政省としては答申の内容をりっぱなものだと思っているが、しかしそれをストレートに受け入れてやる立場ではない、こう言明されておりますね。答申答申として、われわれは答申と無関係にこれを雇い入れるんだ、こういう考えですか。
  186. 神山文男

    ○神山政府委員 直接的には、身体障害者雇用促進法及び関係法令の定めるところによって努力をしているところでありますが、政府に対する答申というものも、その精神は十分わきまえて対処してまいっております。
  187. 島本虎三

    島本委員 これは、その人たちに配達せよというのは無理かもしれませんが、事務では十分やり得る人、こういうような人も多いわけですけれども、採用の条件はどうですか。「局所まで独力で通勤可能であること。」というのが条件になって、車いすはだめだと言っている。それから「採用しようとする職種の職務内容のいずれかに適合する身体機能を有すること。」。適合するのは一〇〇%。八〇%はだめだ、五〇%じゃ半分だからこれはだめだ。こういうようなことになって、採用するのに能率を主にして身障者の人を採用する。こういうようなことじゃ、初めから生産性に限界がある、この基本理念に背くじゃありませんか。この人事局長から三月の八日に出されています通達、「身体障害者の雇用促進について(依命通達)」郵人人第一一七号、これにははっきりそうなっているじゃありませんか。これだったら結局はもう能率の上がる人しか、身体障害者であっても雇うことまかりならぬということと同じで、これはやはり身障者の雇用の精神に違反しませんか。初めからこれは生産性におのずから限界があるんだ、したがってそれを認識した上で雇いなさい。民間に対しては、税制上も金融上もその他いろいろ便宜も計らいますよ。これを民間に言う以上、官公需の確保、これも図る、これもはっきり載っているでしょう翻る立場の人たちが、能力の一〇〇%を有する人でないとだめだという採用内容、これじゃ少しおかしいじゃありませんか。これは通達ですけれども、一体どうなんですか。これはやはりもうおかしいですね。車いすではだめだということ、一〇〇%の能力を有する者でないとだめだということ、これじゃ身障者じゃないじゃありませんか。
  188. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  三月八日の通達では、まずこれは国家公務員でございまして採用資格というものがないといけないということ、それから勤務局所まで独力で通勤可能ということは、ただいまの郵政事業の実態、作業の実態等から見まして、やはり独力で通勤をしていただける程度の方でないとなかなか作業自体に適合しないのじゃないか。相当肉体的な作業でございますし、長時間立ち作業をするとか、それから……
  189. 島本虎三

    島本委員 車いすはだめだということですね。
  190. 神山文男

    ○神山政府委員 車いすがいけないということを言っているわではありませんが、独力で通勤可能な程度の、ひとつそういう程度であってほしい。それから就業、仕事ができる程度であってほしいということを言ったわけでございます。必ずしも車いすがいけないとか、そういうことを申しているわけではございません。
  191. 島本虎三

    島本委員 今度、大臣、これは社会的不公正の是正、こういうようなものを真っ正面から掲げながら、今度やはり法的に基づいて身体障害者の雇用促進、これはもう郵政省がやっている。やっている以上、身障者の雇用対策、この中にもはっきりしていますけれども、これはやはり生産性に限界がある人たちなんですからそのように考えて、一人を雇ったならば一人の能力じゃない、一人を雇って五〇の能力かもしれない、そういう場合二人雇えばいいじゃないですか。郵政省のこの通達によると、どうもそういうような点は全部業務本位に組み入れられて、そして社会的不公正の是正という、この本義にのっとらないような運営の仕方がされているようです。この点は定員上の問題もあろうかと思いますが、十分考えて、福祉優先の理念というようなものだけは、これはもう忘れないようにして指導すべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、いま事業運営の効率化、これを考えてやっているような答弁ですが、これではだめなんだ。五〇%しか生産性の能力がないという人なら二人雇ったらいいじゃないですか。一人は一人だ、こういうようなことにしてやる、この冷たい扱いを考えているようですが、これは大臣、是正しないといけませんよ。
  192. 神山文男

    ○神山政府委員 郵政省といたしましては、先ほど申し上げましたように雇用促進法の定める達成率一・六%というものをいまだに達成していない。それでとにかく早急に一・六%というものを達成するように体制をつくり、職場内のどういうところにどういう人が適するのかということをもう少しきめ細かに配慮して採用してまいりたいということでいま努力中でございます。  ただ一つ、先生のおっしゃるような、車いすに乗ったようなもう少し程度の高い人の雇用について検討すべきであるという御意見でございますが、そういう雇用促進の体制をいまつくっておりまして、その中で就業可能な職種とかあるいは施設とか職場環境、そういうものもあわせて検討してまいらなければいけない問題でございますので、そういう点を総合的にひとつ勘案いたしまして、今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  193. 島本虎三

    島本委員 定員の問題なんかと絡んで、大臣、これは一人は一人じゃないと思うのですね。ですから今度の、郵政大臣ではなく内閣の一員として、こういうような問題はせっかく内閣として取り上げた問題ですから、一人の点は一人と見ないで、これは二人を一人にして見てもいいわけです。これは余りしゃくし定規に見ない方がいい、こういうふうに思うのですが、この点は大臣の人間的な見地からの御所見をひとつ承りたいのです。
  194. 村上勇

    村上国務大臣 社会的公正を云々ということ、これはもとよりでありますが、それより以上に、いまお話しのような人間的な情愛というようなものも考えなければならないと思いますし、郵政省としては一・六というこの与えられた定数には一刻も早く到達できるように、前向きで最善の努力をいたさせたいと思っております。
  195. 島本虎三

    島本委員 では、今度大臣、これは身体障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、こういうような方面から労働省に対していろいろ要請がなされているようです。雇用率を当面二%に上げてくれ、政府機関や地方公共団体や公社の雇用率を達成できることを重点にしてください、こういうようなか細いというか血の出るような要請があるのですが、これはまだ政府部内としても一・六までいっていない、しかしやはり二%まで上げてもらいたいという要請がもう出ていますね。ちょっと私はいまの郵政省の態度から見ればさびしいように思うのですが、この要請に対して、大臣、どう思いますか。
  196. 村上勇

    村上国務大臣 法定雇用率については、身体障害者雇用促進法及び同施行令に定められておるところでありますので、関係の向きとも十分連絡をとっていくべき問題であろうと思います。
  197. 島本虎三

    島本委員 どうもよくわからなかった。その点については努力するということですか。
  198. 神山文男

    ○神山政府委員 郵政省といたしましては、先ほども再三申し上げたように現在の雇用率、政令で定められております雇用率を早急に達成したいということで現在鋭意努力しているところでありまして、ただこの一・六%というのは法定の最低のパーセントでございまして、もちろんこれでもって足れりという趣旨ではないと存じております。今後可能な限り、そのパーセンテージアップのための努力は検討してまいりたいというふうに考えております。
  199. 島本虎三

    島本委員 それはやはりあくまでも雇用率については新規採用で賄うべきだ、こういうようなことに対して先ほど答弁があったのですが、大体そういうように理解しておいていいですね。
  200. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほども申し上げたように、早急に達成するためには当然新規採用でなければできないわけでございまして、今後とも新規採用でやっていくように努力をいたしたいというふうに考えております。
  201. 島本虎三

    島本委員 公務災害で、採用した後で身障者になった人のデータ、これははっきりしていますか。
  202. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほど申し上げたように、そのデータは現在ございません。過去をずっとさかのぼって公務災害のために身体障害者になられたという数については把握してございません。
  203. 島本虎三

    島本委員 じゃ、結局内部で公務災害で身障者になった人を身障者として雇って、それで身障者の雇用について責任を果たしてきた、その答えではこういうようなことになるわけですね。ではいままでは外部から雇えということにはなっていなかったのですね。合理化によってどんどん仕事が過重していって、自転車に乗って配達に行ってけがする、身障者だからそのまま雇う、これだったら余りにひどいじゃありませんか。そういうような人と身障者とは別ですよ。公務災害でやった人は公務災害できちんとすべきじゃありませんか。これだったら棒頭のような考え方ですよ。うんと働かせてけがをした、けがをしたならば当然手厚くしなければならないのに身障者として雇い入れる、そしてちゃんと政府の決められた枠だけは満たしておく、こういうような考え方だとすると私は少し納得できない。それでいままでのデータはないということなんですか。基本理念に対して、身障者の能率とあわせて、いまのような考え方は私はどうも納得できないところです。現に労働省なんかこういうのを見ていて指導しないのもおかしいのだ。これだったら、合理化、強制労働促進、こういうようなことになってしまうじゃありませんか、けがした人を身障者として雇うということになると。労働省の指導や監視はおかしいね。労働省はどうなんですか。
  204. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 確かに先生指摘のとおり、身体障害者雇用促進法で雇用率として考えておりますものは、必ずしも新規採用じゃなくても、そういった公務災害あるいは交通事故等で障害を受けた者を引き続き雇用するということの結果、雇用率としては上昇するという場合もないわけではございません。しかし、それは基本的には新しく労働市場に出ようとする方々についての新規採用という形で雇用率を伸ばしていただくのがもちろん望ましいことでございます。先生の御指摘もございます。したがいまして、私どもも一層そういった面での指導に努めてまいりたいと思います。
  205. 島本虎三

    島本委員 大体省の方ではいままでの採用の方針そのものは健康体に近い者でなければ採用しない、こういうような考え方が通達の中にもはっきりしておりますけれども、今後車いす程度のものは考えるという御答弁がありましたからそれは了解するのですけれども、それ以外に、頭もりっぱだ、手もりっぱだ、動かない足、それだって不完全な状態でも十分仕事を果たせる、こういうような人だっているわけです。手の方も同様です。こういうような者に対してはやはりそれぞれ社会的な一つの責任というようなことで考えてやるべきじゃないかと思うのです。したがって、閣議決定による四%の定員の削減、こういうようなことをやること自身に対しても、身障者に対してはどういうふうに見るのですか。身障者もこの中の対象になるのですか。
  206. 神山文男

    ○神山政府委員 先生おっしゃるように定員削減というものは政府の方針として行われているわけでございますが、この定員削減につきましては事務の合理化あるいは簡素化、機械化、そういったもので対応するようにやってまいっておりまして、そのために現在のところ仕事にしわ寄せがいっているということにはなっておらないというふうに考えております。  それで、そこへ身体障害者を雇用した場合さらに要員面の問題が生じないかという趣旨の御質問かと思います。先ほど申し上げましたように、身体障害者の障害の部位、程度に応じして担務を考えて配置をしておるということでございまして、現在までのところそのために他のものにしわ寄せがいくというようなことにはなっていないという現状でございます。
  207. 島本虎三

    島本委員 大臣、いまの身障者の採用の問題で私こう言っているのは、福祉優先という考え方だといままでよく言っていましたし、社会的不公正の是正、これは内閣の一つの柱なんだ、こんなことを言っていたわけです。さてそうなると、心身障害者の雇用対策の水準、こういうようなものが福祉国家のバロメーターだと言われているわけです。したがって、日本の心身障害者雇用対策の現状、これは経済的にはぐっとすぐれた、GNPが上がっている日本だと言いながらも、この方面の対策だけは欧米先進国のそれと比べてみてずいぶん立ちおくれている。ようやくいま政令なり法でやるようになってきた。それも官公需の方は各官庁で不十分だというのは、まだ身障者を使っても生産性におのずから限界があるんだ、こういうようなことがきちっとしている、その人たちを雇っても人並みにやらせようとする、こういうような一つの能率本位の考え方があるからだ。そのためにはやはり、「福祉優先の理念に立った政治の展開が強く要請されている今日、心身障害者に対してその能力に応じた職場を確保することにより、心身障害者が一般健常者に伍して経済社会活動に参加し、生きがいのある人間生活をすごしうるようにすることは、今後の政治に課せられた重大な使命といわなければならない。」との本義がきちっとここにうたわれているわけです。実際はこれからやるということのようですが、そのためにはまずはっきりしておかなければならない。四%定員減の対象にしないこと。車いすその他、こういうようなものに対してはわかりましたけれども、なおいろいろと拡充する方向で検討する。もう一つは、採用してもいい局だけでやるというからこれはできないわけです。どうしてもやらなければならない場合には、過員局に対してでもこれを当てはめていって——一〇〇%じゃないのですから。そういうような施策、考え方も、おくれている福祉対策の一環として大臣としては当然考えてしかるべきじゃないか。いまのところは欠員局でなければ採用しない、普通の状態では採用しない、これがばっと前面に出ていますから、これで与えられたパーセンテージも達成できない。これは今後いまのような条件を整備するという省の考え方のようですから、それならば欠員局だけにこれをやるのか。そうじゃなくて、普通の状態でもここへ行きたい、やった方がいい、こういうような場合には当然やってしかるべきです。欠員局だけに押しつけるんじゃない、総体的にこれを考えて、過員であっても、とんとんであってもこれは採用する、こういうようなところまでやって、福祉国家としての一つの使命を果たせるんじゃないかと思うわけです。官僚の方ではそれまで考えていない。これはやはり大臣としてこういうような態度をはっきり打ち出すべきではないかと思う。欠員局だけに限るものではないんだ、こういうような考え方で今後指導するのでないと、いまのようにパーセンテージ上がっても何にもならぬです。これは大臣
  208. 村上勇

    村上国務大臣 十分検討いたしまして、前向きで進んでいきたいと思っております。
  209. 島本虎三

    島本委員 時間が大分進んでまいりましたから少し急いでいきます。  大蔵省も来ておりますけれども、庁舎の内外の改善対策、こういうようなことに対しては、もう閣議で決まってこれが法によって指導されている段階ですから、今後大蔵省としても現在の局舎の改築それから新しい局舎、こういうものに対してはいろいろ配慮をしてやらなければならないと思うのですが、これは当然それを考えるのでしょうね。
  210. 佐藤徹

    佐藤説明員 先生指摘の身障者対策というのはいまわが国の社会福祉問題の中で非常に大きな大事な話だと思っております。郵政事業におきまして身障者を雇用してまいる場合に、局舎の面あるいは施設の面でいろいろな配慮が必要じゃないか、そういう点についての予算的な考え方はどうかという御質問の御趣旨かと思いますが、その点については従来もわれわれ考えてまいっておりますし、今後とも予算面で十分な配慮をしてまいりたい。もちろん郵政省と十分御相談の上でございますが、そういうふうに考えております。基本的な方針としてはそういうことでございます。
  211. 島本虎三

    島本委員 郵政省、既設の建物について、この点はどういうふうにしていますか。
  212. 武田礼仁

    ○武田説明員 既設の郵便局舎につきましては、昨年末までに十六局にスロープ、自動ドアを取りつけました。またその後十一局についてスロープ、自動ドアを設置する計画で進めております。今後も身体障害者福祉モデル都市で施設の整備が進められている地域にある郵便局及びモデル都市でなくても近くに身体障害者施設のある郵便局等を重点に進めていきたいと思っております。  以上でございます。
  213. 島本虎三

    島本委員 カウンターであるとかポスト、こういうようなことに対しての配慮はありますか。    〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕
  214. 武田礼仁

    ○武田説明員 カウンターについて申し上げますと、ただいまの郵便局のカウンターの高さは一メートルでございます。でありますから、車いすで来られた方、障害の程度によりましていろいろあるわけですけれども、一般的に言いますと、車いすで来られた方もいまのカウンターで利用いただけるというふうに考えてはおりますけれども、もちろん障害の程度によりましてはそうでない場合もありますので、ただいまプロジェクトチームをつくりましてどういうふうにすればいいのだろうかということを研究しております。ポストについても、ポストの差し入れ口の高さが大体一メートル二十幾つでございますので、いまの考え方が同じように適用されるわけですが、やはりこれもいろいろ考えてみなければいけないということでプロジェクトチームで進めております。
  215. 島本虎三

    島本委員 カウンターであるとかポスト、こういうようなことも車いすの場合に準拠して考える、こういうようなことですか。予算の点では大蔵省は一応了解するということですからいいのですが、モデル指定都市というような言葉がいまありましたが、これはどういう基準で決めているのですか。
  216. 武田礼仁

    ○武田説明員 ただいま身体障害者福祉モデル都市という言葉を使いましたが、これは郵政省で決めているわけではございませんで、この指定は四十八年七月から厚生省において行われていると承知いたしております。
  217. 島本虎三

    島本委員 どういう基準でこういうようなことを決めているのですか。それはおわかりになりませんか。
  218. 武田礼仁

    ○武田説明員 正確なことを言えということですと、ちょっと言い渋るのでありますけれども、たしか人口が二十万以上、それからその都市が福祉モデル都市になりたいという希望をしているというような条件から決められているというふうに仄聞しております。    〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕
  219. 島本虎三

    島本委員 この問題については大体わかってきましたが、郵政省としては建物の点からも採用の点からもまだまだいろいろ考慮しなければならない、こういうことです。それでもカウンターやポスト、こういうようなことまで研究する、検討する、こういうことでありますけれども、いままでは答申であるとか法であるとか、こういうようなものはわりあいに軽んじられてきていた、しかし今度はそうではない、こういうことがわかりましたが、あくまでもこれは大臣基本理念というものを明確にすべきであって、そしてこれを忠実に実行する、こういうことでなければならないと思うのです。大蔵省当局も、建物の点では大幅な経費が必要とされても、これは見なければならない福祉国家の一つの義務だ、こういう考えのようであります。そうなると、当然この経費というものに対しては郵便に対しての受益者負担とするのは何か不当じゃないかと思うのですが、この点もやはり受益者負担でやるのですか。この点はやはり受益者負担ではちょっとおかしい。
  220. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいま、何度も申し上げるようですが、一・六%、これを早急に達成したいということで推進しておりますが、このための施策に必要な経費につきまして、これはわれわれとしては現在の指導のもとでは各当局の責任において実施するというふうに理解しておりまして、郵政事業特別会計の負担において行うべきものというふうに考えております。
  221. 島本虎三

    島本委員 いわゆる基本理念からすると、やはりこれは受益者負担というのがその基本的な考えだというから、いわば福祉の対策の一つとして国が先進国に伍してやるために必要だというものまで受益者負担の中に入れるのは妥当であるということにはどうしてもならぬでしょう。郵便を利用する人に対しては受益者負担でしょう。これは福祉関係の一つの国の義務でしょう。これも受益者負担だというような考え方は、大臣、少しおかしいじゃないですか。これは郵政省の官僚にすればそうなるわけです、この枠からしか考えられないから。これは政治的な大きい問題ですから、大臣、あなたも閣僚の一人としてきちっとしておかなければだめだ。幾ら手を挙げても向こうの方は指しません。大臣の意見を聞きます。
  222. 村上勇

    村上国務大臣 現在の負担の程度でありますれば、受益者負担で賄い切れるそうでございます。
  223. 島本虎三

    島本委員 現在の状況であれば賄えるというのはわかりましたが、基本的な理念としてこれは国の方が別会計で見るというのが正しいのじゃないかということです。しかし、これ以上はなにですが、これは考えるべき問題だと思いますので、今後ひとつ検討事項として、大臣、これは十分検討してみてください。受益者負担の中に入れるからいつでも満度にできないわけです。それからもう一つの身障者に対しての、生産性におのずから限界があるのだ、これも守られないわけです。なるべく能率の上がる者をという、完全体に近い人をやるわけです。これは国の方が会計とは別にやるのだ、こういうようなことにしてあったらこういうことはないのです。これは検討する問題だと思うのですがね、大臣。これは検討しますか。しましよう。
  224. 村上勇

    村上国務大臣 これは郵政省だけの問題でないのでありまして、各省の意見等も聞きまして、十分検討していきたいと思います。
  225. 島本虎三

    島本委員 これは、やはり第一種や第二種なんかの料金は法定事項であって、そのほかのものは認可料金ということでやるようでありますけれども、どうですか、身障者の個人、特に社会的不公正の是正、こういうような点からして、大臣、いまなお日本の対策はおくれている。こういうようなことがはっきりしているわけですから、今後それに対して手厚いような一つの施策を行わなければならない、これまた当然であります。それで、この点については、身障者の個人または団体の差し出す郵便物、こういうようなものに対しては、この値上げによってまた高くするということは、不公正を一層開かせるようなことにもなりかねません。雇用する人じゃなく、現在の身障者の個人または団体の差し出す郵便物、これは無料にすべきだ、こういうように思いますが、これはもう当然考えなければならぬのじゃないかと思います。大臣いかがですか。
  226. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま島本先生の御質問の身障者の個人の場合と団体の場合と若干分けて考え方を申し上げた方がよろしいかと思うのでございますが、現在、御案内のとおり、身体障害者のうちで視覚の障害者につきましては、盲人用点字等の郵便料金につきまして、第四種の料金としてこれを無料扱いにいたしているわけでございますが、これは世界共通の制度でございまして、万国郵便条約におきましても、盲人用の点字等はこれを無料とするというふうに決められているわけでございます。この規定の趣旨は、盲人の方々が知識とかあるいは慰安を得られるためには、一般の出版物によることができませんので、点字等によらざるを得ない、ところが、こういった点字等の借り受けとか入手に当たりますと、やはり郵便に依存する度合いが非常に大きいわけでございます。しかも、こういった点字図書等は非常に一般の出版物よりかさ高であり、また重いわけでございまして、盲人の方々はそのために郵便の利用上郵送料金を非常にたくさん御負担されなければならない、そういったハンディを負っておられるというようなことを考えまして、世界的にこれを軽減するあるいは無料にするということで現在までやってきているわけでございます。  ただ、それでは盲人の方々がお出しになるあるいはお受け取りになる通常の郵便についてまでこれをすべて無料にしているかといいますと、これは無料ではございません。たとえば盲人の方々が口述筆記で他の方に補助していただいて出される普通の手紙でございますとかあるいはまた逆にお受け取りになるようなものにつきましても、これは一般の料金が適用されているわけでございまして、いまお話のありましたように、一般的な視覚障害者以外の身体障害者につきまして、こういうふうな普通の郵便をお出しになる場合に、これを無料扱いにすることにつきましては、いまのような盲人用点字というような特殊なものと違いまして、一般の郵便とほとんど区分けができませんから、また一方、こういった郵便を利用されるような特殊な事情、点字の場合のような特殊な事情がございませんので、私たちとしては、一般の身体障害者がお出しになる郵便について一々これを確認しながら無料にするということはちょっとむずかしいと考えておるわけでございます。  なお、最後にお触れになりました、身体障害者の方々がいろいろお互いに励まし合い慰め合うためにサークルでもって雑誌等を発行しておられるという例があるようでございまして、こういったものにつきましては、現在も第三種の料金の中で、通数その他の制限からいきますと第三種の料金の恩典を受けにくいわけでございますけれども、この問題につきましては、特別な配慮をいたしまして、現在第三種として認可してきているわけでございますが、今度料金改正をいたします際に、現在御審議いただいております郵便法改正になりました場合には、第三種の料金をその後でいずれ決定いたさなければならぬわけでございますが、その際にいまの身体障害者の福祉のあり方の問題とか、そのような団体の認定の技術的な問題等ございますので、関係省庁とも御相談をした上で何とか解決してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  227. 島本虎三

    島本委員 大臣、どうですか。
  228. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま郵務局長お答え申し上げたとおりでありまして、やはり盲人に対しては、これはもういまお答えしたような措置が十分できることは当然であります。
  229. 島本虎三

    島本委員 そうすると、盲人以外は身障者でないという考え方になるのですが、こういうような身障者を差別するというのはおかしいのではないですか。身障者と言われる人たち全体に対して温かく見てやるべきだ、これがいわゆる社会的不公正の是正だ、日の当たらない個所に対して手厚くこれを見てやる、それが政治である、総理が言っているじゃありませんか。だから、郵政の面でも身障者に対してこういうような点をきちっとしてやって、特にめんどうを見てやる必要がないかと言うのです。雇用の点はいまやってきましたし、それから官庁初め道路でも住宅でも現にそういうようになるようになっているでしょう。それから大蔵省でも、公共の建物、たとえば郵便局なんかでそういうような施設をやること、改造すること、こういうようなことに対しては、もう率先してやるべきだというようなことを言っているでしょう。それはいいですよ。ところが、身障者に対しての、今度の郵便料金値上げがもし来たとすれば、——これは来ないことが望ましいのです。その場合に対して一番損害というのか、また格差をよけい開かせるもとなんです。ですから、この際社会的不公正の是正、こういうような人たちに本当に手厚くこれをもてなしてやるということだったら、個人または団体の差し出す郵便物を無料にしてやるのだ、これくらい踏み切ってやっても、三木さん喜びますよ。郵政大臣としてそれくらいきちっとして、登録させる方法だってあるでしょう。方法がめんどうくさいからやらないと言うのです。これは特に大臣としてお考えになりませんか。検討もしませんか。
  230. 村上勇

    村上国務大臣 これは決して考えていないわけではなくて、これはやはり政府全体で考えることだと思います。そうしませんと、郵政省だけでただ取り扱うということになりますと、いろいろとこれらの方々に対する愛情のある施策を政府がする、その中にいろいろなことが含まれていくことでありまして、十分われわれの方でもいろいろな面で検討はいたしてみますけれども、いまここでこうしますというようなことをお答え申し上げるのはちょっと私には行き過ぎだと思います。
  231. 島本虎三

    島本委員 ここで答えられない、それはわかりました。ただ、これは大きい一つの福祉の問題ですから、これは閣議であなたから提案してもらって、これに対しての、こういうような身障者の個人または団体の差し出す郵便物の無料化に対して強い要請があったということで、閣議にこれをあなた出して、そこで決まったならば、私は何をか言わんやです。三木総理がかねて公害環境特別委員会またはその他の委員会や何かで、この問題に対して私ども直接聞いているわけです。今後手厚くその問題に対しては対処するということを聞いているわけです。したがって、郵政省郵政省独立採算の面からこれを足踏みする、しかし、これはもう国家的な問題ですから、閣議の中でこの問題を提案し、ひとつその結果を私はもう本当に期待するのですが、その意思おありですか、ありませんか、大臣
  232. 村上勇

    村上国務大臣 これは政府全体の問題ですから、いまここで私がおれはこうしようとかおれはこうするのだということはちょっと先走ることは、これはどうかと思います。
  233. 島本虎三

    島本委員 委員長から注意してやってくださいませんか。言っていることと考えていることと違うようですよ。いまここで答弁しているのは、わかった。しかし、三木総理はもっと先のことを考えて発言していますから、いまこういうような身障者に対しての個人または団体の郵便物に対しては無料化はどうなんだというような、郵便料金値上げに対してのこの法案の中でこういう質問があったが、郵政省だけで考える問題じゃないからということを、あなた、閣議の方へ持っていって相談してもらえないか、提案してもらえないかということなんです。ここで答えろというのじゃないのです。ここでやったって郵政省の壁から一歩も出ませんから。あなたはもっと広いのですから、それを閣議の方へ持ち出してひとつ検討してみませんか、そういうような思いやりもありませんか、このことですよ。
  234. 村上勇

    村上国務大臣 私が個人的にどういうふうに持ち出していくかということは、いまここで申し上げることははばかります。私個人というものと、また三木内閣の閣僚としての立場はおのずから違いますので、これはやはり福祉事業政府全体で考えて、その政府全体の枠の中でどういう意見でも述べていきたいと私は思います。
  235. 島本虎三

    島本委員 個人的な意見、それもわかります。ですからこれは国家の一つの大きい問題であって、郵政省だけの問題でない、それはもう十分——だからこそ閣議に諮ってみて、こういうような問題はひとつ提案してみませんかということを言っているのです。個人的に賛成なのか反対なのか、どうもさっぱりわからぬ。こういうような福祉に対して大臣考え方が一体どこにあるのか、私ちょっとわからない。すぐここでやれというのじゃないです。盲人のやつだけはわかるけれども、そのほかのやつはやらないと言うから、これはもう閣議として国全体の問題ですから提案だけしてみませんかと言うのです。
  236. 村上勇

    村上国務大臣 先ほど郵務局長が御説明申し上げたのは、盲人だけはやるが、あとは何にもやらないんだ、こういうようなことを申し上げたわけではないと思います。その点は先生ちょっと誤解があるんじゃないかと思います。
  237. 島本虎三

    島本委員 誤解であるならば、それは大いに結構なんです。答弁ではっきり言ったのは、盲人用の点字、これはもう軽減または無料を考えているという、このこと。そのほかの身障者に対してのものがなかったから、私はそれを言っているのです。もしあったとするならばどういうようなことですか。それももう一回はっきり……。
  238. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先ほどの答弁が、あるいは私の説明が十分聞き取れなかったかと思うのでありますが、盲人につきましては現在すでにその制度がありますので、これはもうちょうちょうを要しませんが、一般の身障者すべての方々がお出しになる普通の郵便についてこれを無料にするということにつきましては、盲人の方々がお出しになっておる普通の郵便についても、これは現在無料ではございません。御案内のとおり、点字用の郵便物等につきまして、そういう特定の品物は盲人の方だけがお使いになる、これはだれが見ても非常にはっきりわかるようなものでございます。そういうものを特別扱いにしておるわけでございまして、盲人の方々が一般に出しておられる手紙はやはり有料でございます。そういったようなこともございまして、身障者の方々が出される普通の郵便につきましては、一般の郵便とこれを区別することがほとんど不可能である。郵便局へお持ちになれば、あるいはまた身障者手帳をお出しになればわかるかもしれませんけれども、またそれも郵便局においでになる方だけしかそういうことができませんし、いろいろな不公平にもなるのではないかと思いますので、そういった点で、現在まで個人の出す普通の郵便については身障者全般についてやっておりませんけれども先生のおっしゃった後の方の、そういった身障者の方々がお互いに励まし合うあるいは慰め合うためにサークルを持って雑誌等を発行しておられます。この雑誌等の郵便については、今度第三種の郵便料金の問題が出てまいりまして、かなり大きな値上げになるということもうわさが出ておりますために、これでは大変なことになるからもっと安くならないかというようないろいろな御要望を聞いておりまして、これにつきましては、私たちも、厚生省あるいはその他の関係の向きと十分相談した上で善処したいというふうに申し上げたわけでございます。
  239. 島本虎三

    島本委員 まあ、いま言った点はわかった。しかし、満足ではない。まだまだ、とろい。したがって、大臣、こういうような問題はそこまで考えているなら、思い切ってこれは閣議の問題にして、大きい問題にして考えるべきだ。大臣、その意思がなければないで、わかりました。  労働組合もこの問題に対して関心を持っているわけです。ですから、今後必要な場合には、この施策、こういうような問題に対しては郵政省の方でも組合と十分話し合って善処すべきじゃないかと思う。関心がないなら別ですけれども、十分関心を持っているようです。これはそうさせるべきだと思いますが、大臣、どうですか。
  240. 神山文男

    ○神山政府委員 身体障害者の雇用促進等につきまして郵政省が施策をいろいろ講じてまいらなければならないわけであります。事柄の性格等も十分念頭に置きまして、労働組合との間におきまして必要な意思疎通というものは従来も行ってまいっておりますが、今後ともこの考え方に変わりはないものでありまして、意思疎通を行ってまいりたいというふうに考えております。
  241. 島本虎三

    島本委員 いままでの答弁のうちで一番はっきりしています。いつもそう言えばいいのです。  それで、次なんですけれども郵便配達の人たち、こういうような人たちに対する職業病、こういうようなものに対してちょっとお伺いしたいのですが、最近、振動病、白ろう病、レイノー現象です、こういうようなものは、山に働く、木を切るあのチェーンソー、こういうようなものを使う人ばかりか、こういうように思っていたのですが、郵政省の内部にも、現場の方からこの振動病、こういうようなものの患者が出てきた、こういうようなことを聞いたのですが、どうなんですか。
  242. 神山文男

    ○神山政府委員 現在、大分県の由布院郵便局、それから三重郵便局、それから宮崎県の飯野郵便局、それから須木郵便局等において、計七名の職員がそれぞれ振動病あるいは振動障害の疑いがある旨の診断を受けたという報告を受けております。
  243. 島本虎三

    島本委員 これに対して当局はどういうふうな措置をお考えですか。
  244. 神山文男

    ○神山政府委員 機動車使用による振動病というような症状につきましては、これまで省として例がないというふうに考えられておったわけでありますが、まあ今回こういう報告を受けたわけでありますが、何分にも初めてのケースでありまして、実態を十分調査いたしまして、また、医師等専門家の意見も伺いまして、この対策というようなものも慎重に検討してまいりたいというふうに考えているわけであります。そうして、そういう実態を明らかにした上で疾病の予防とかあるいは現在そういう罹病されている方に対する健康管理等の具体的な対策というようなものを考究してまいりたい。  当面の措置としましては、罹病した職員に対しましては、関係医師とも十分連絡を密にいたしまして、病体の早期回復に必要な措置をとるよう、現地に指示しておるところであります。
  245. 島本虎三

    島本委員 これは労働省も少し怠慢じゃありませんか。こういうような振動症、レイノー現象、これは山に働く労働者だけに起きるものじゃないわけです。それから、こういうようなものに対しては医師も認定している。しかしながら、郵便局の方では外勤の人がオートバイに乗って歩く。したがって、手がふるえていわゆるレイノー現象、白ろう病、こういうようなことになっているわけです。ですから、こういうことはもうすでに局長まで提出済みのようであります。それでも認定の方はさっぱり進んでおらない。これは公務災害の申請を出しているでしょう。そのほか、四国の管内では徳島の小松島という局がありますね。そこからも一人出ているわけであります。職業病である、こういうようなことになっても、そういう例がないからということで放置されている。例がないものだったら全部放置するのかということになったら大変じゃないか。しかし、同じようなものでも山に働く人たちには出ている。それから同じようなものでも道路を工事する人たちにも出ている。郵便の方の人たちが長い間オートバイに乗って歩いていて、出るということは往々にして考えられるわけです。医者の診断も出ている。振動症または頚椎変形症、両側前腕神経炎、いろいろ名前がついているようですが、職業病ということになるのじゃないかと思う。林野庁あたりではいち早く認定している。頸肩腕症候群では、国会の速記者、ここにおりますけれども、このうちから十五人も出て、もうすでに認定してしまっている。手厚くこの問題に対しては対処している。内閣統計局、その方面から出ても、その対策をきちっとしている。もちろん電電公社の交換手も出ているけれども、その対策も行っている。なぜ郵政省の方だけ取り上げないのですか。おかしいじゃないですか。前例がないから取り上げないというのはちょっとおかしいと思う。四国管内、東海管内にも出ています。東北管内にも八戸の局に出ているようです。これは余り認識不足じゃありませんか。これはやはり職業病ですから、その診断によって早く認定してやるべきだ、私はそう思います。これはやはり向こうの方がとろいです。早く認定すればいいのです。これは人事院に言ってやれば認定になるでしょう。大臣、こういう職業関係から起きたものは早く対処してやらなければだめなんです。ただ、大臣、これは言っておきますが、診断されて白ろう病だと言われたら重症患者ですよ。言われる前に治さなければならない病気なんです。それを認定さえもしない。こんなばかげたことがありますか。大臣これは早く認定すべきだ、職業病として取り上げるべきだ。この点について、大臣しっかりしないとだめですよ。
  246. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほど申し上げましたように、機動車使用による振動病といった例は、これまで一般的に例がないと言われておりまして、何分にも初めてのケースでございますので、実態を十分に調査するとともに、医師等、専門家の意見も伺いまして、業務との因果関係等も慎重に検討し、公務災害であるかどうかの結論をなるべく早く出していきたいというふうに考える次第でありまして、公務災害の申請でございますが、本年二月に一件、本省に上がってまいっており、またほかの方については郵政段階で審査しておると思いますけれども、何分にもそういった初めてのケースでございますので、いろいろの方面の意見も聞きつつ、業務との因果関係等も検討してまいりたいというふうに考えております。
  247. 島本虎三

    島本委員 他の官庁でもこういうようなものがどんどん出ていますから、いまこういうような問題が郵政省に上がってくるというのはちょっと遅いのですよ。しかし、これに対してそれでは機動車に乗っている人に頸腕症の災害が発生していますけれども、これも御存じですか。
  248. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  機動車乗務による頸腕症の災害発生でありますが、郵便外務職員の中で頸肩腕症候群の診断を受けている職員が現在全国で七十七名という報告を受けております。
  249. 島本虎三

    島本委員 そういうようなものはもう認定していますか。
  250. 神山文男

    ○神山政府委員 現在までの頸肩腕症候群の認定状況でございますが、外務員を含む全職員では、公務上とされたもの八十件、公務外とされたもの七件ということでございます。
  251. 島本虎三

    島本委員 その原因は、道路それからオートバイ——あれは機動車というのですか。やはり真っ先に考えてやらなければならないのは予防なんです。いま頸腕症が出ている。これは罹病しても治す方法がないでしょう。あとは、はり、きゅう、あんまでしょう。それは全部他の方面から出るから共済も適用できない状態でしょう。だから、予防が第一なんです。医学的にもまだきちっとした決め手がないわけです。これは市内区、市外区の区画数、市外区の集配順路、こういうようなものをはっきりさしておかないで、ただ能率を上げるのにオートバイで吹っ飛ばすというようなことになるから発生する。この原因についてもきちっとした認識をしておかないとだめなんじゃないですか。市外区、それから延べ集配順路キロ程、それから道路の舗装率、こういうようなものもはっきりしていますか。
  252. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま人事局長が申しました発生局の局名ごとにただいまの御質問お答えしたいと思うのでございます。  大分県の三重郵便局、これは普通局でございますが、この局の市内区は二区でございまして、市外区が十一区、この市外区だけの延べキロ程は四百二十五・三キロということになっております。それから舗装率でございますが、三重の場合は市外だけの舗装率が五九・一でございます。市内は大体舗装されておるものだと思います。  それから大分県の由布院という、これは特定局でございます。市内の区数二区、市外の区数三区、その市外の延べキロ程は百二十八・四キロメートルでございまして、ここのところの市外区の舗装率はかなり低くなっておりまして、二三・三%であります。  それから宮崎県の飯野という郵便局につきましては、市内区が一区、市外区が九区でございます。市外区の延べキロ程は三百十一キロ、ここの市外区の舗装率は八九・八%というふうに、三つの中では舗装率が市外区でも一番高いわけでございます。  こういったような市外区の舗装率の高いところでも、また由布院のような低いところでも起こっておりますし、必ずしも舗装率だけでもこういった病気の原因というふうに結びつかないような気もいたしますけれども、この辺の因果関係につきましては、先ほど人事局長が言いましたように、いろいろな面から十分調査しなければならぬと考えておるわけでございます。  なお、先ほど先生指摘のように、市内区の場合はもちろん舗装率もよろしいし、道路状況もいいわけでございますから、ただいま病気の状況になっておられる方々の勤務につきましては、御本人の御意見も伺って、それぞれの局で現在市外区を担当しておられる方々だと思いますが、市内の方の担当に回っていただくとか、あるいはオートバイをやめて自転車に乗りかえていただくとか、そういった措置をそれぞれすでに講じておるというふうに聞いておる次第でございます。
  253. 島本虎三

    島本委員 どうも何か研究不十分。これは列を挙げられた小松島局谷崎辰美という人、五十八歳、レイノーいわゆる白ろう、こういうようなことで小松島の赤十字病院の診断を受けています。四十四年の四月十日に小松島の病院に入院して診断を受けた。病院からは局の方に職業病だ、こういうふうに連絡をした。局側では例がないといって放置した。本人は四十九年八月二十五日付で退職している。その後外勤者に白ろう病という、こういうような現象が出ている。こういうようなことなんですが、みんなやめていってしまっているじゃありませんか。労働強化。郵便料金を上げる、上げると言うたって、片方にこういうふうに働いている人が自分の身を傷つけながらやめていってしまう。なぜこういうのを認定してやらぬのですか。東京都内ならいざ知らず、田舎の方に行ったら中央の道路だけ舗装していますよ。中央だけ配達するんじゃないです。小路小路、それから山もありますよ。そういうような所は舗装していない所が多い。道路というのはどういうようなものを道路というのですか、郵務局長。あなたは道路道路と言っているが、道路というのは何を指して道路というのですか。
  254. 石井多加三

    石井政府委員 私も道路関係について特に詳しいわけではございませんが、私の持っておりまする四十九年度の建設白書の数字で見ますと、もちろん一番完全な、舗装率の高い、一〇〇%の高速自動車道路以下、一般道路として一般国道、都道府県道、市町村道とあるわけでございますが、一般国道の場合はただいま御指摘のような舗装率が九三・一%となっておりますが、都道府県道の場合は六九・六というふうにかなり落ちております。市町村道はもっと悪い舗装状況のようであります。
  255. 島本虎三

    島本委員 そうじやないですよ。道路というのはコンクリートまたは完全に舗装されてある、これをもって道路というのです。バラスを敷いてある、これは道路予定地なんです。いま出たところはほとんど徳島、宮崎県の一、二を除いたほかはやはり相当田舎の方。田舎の方はバラスも敷いていない。地球の表面ですよ。地球の表面を走らせておいて道路道路と言ったってだめですよ。建設省から聞いてごらんなさい。アスファルトかコンクリート、これで完全に東京のように舗装してあるのを道路という。それからバラスを敷いてあるのは道路予定地。何もしてないところは地球の表面。あなたは地球の表面まで道路だと言う。だめだ、そんな考えでは。もうとろい。こういうのがあらわれたのはそういうような現象からですから、十分これに対して早く認定してやるようにし、この対策を急がないとみんなやめてしまいます。身体障害者として雇用する以前に、もうすでにどうにもならなくなってやめてしまうのですよ、大臣。認定しないからです。こういうのは認定してきちっとしてやって、業務上、業務外、これは因果関係によることでしょう。これだって認定だってやればできるのです。恐らく皆さんの場合は業務外と認定したいでしょう。しかし、やはり職業病ですから、内外の別を問わず、これはやはりきちっとめんどうを見てやらぬとだめなんです。何よりとうといのは事業でなく、収益を上げることではないです。人間の命と体が一等大事なのです、大臣。どうもこのごろ錯覚を起こしておる。道路といったって県道だ、そんなことしか知らない。地球の表面まで道路だと考えておる。こんなことで一体どうしますか。この地球の表面を含めて道路というのは、外務員の主たる職場なんですよ。その改善のためにやはり十分考えてやらぬといけないのではないですか。認識を新たにしなさい。  それで山間部と平地によるところの機動車ですか、この保守の状況、これはわかりますか。
  256. 中市彩也

    ○中市説明員 機動車の保守でございますけれども、私どもの方は山間部とそれから平地におきましての扱いを特に区別しておりません。基本的な考え方は、必要なところには予算の範囲内で極力見る、こういうことでございまして、具体的には、地方では経理部が窓口でございますけれども、従前の実績というものを勘案しましてそれを配算し、さらに足りない場合には補てんをするという形で進めております。
  257. 島本虎三

    島本委員 やはり保守状況あたりはきちっとしておいてやらないと、これはいけないと思いますよ。  それから次に、この郵便の外務員の疾病状態、こういうようなことは、局長、きちっと把握していますか。内務と比較して外務の方はどうだかというのはきちっとしていましょうか。これは公務災害と私疾病ですか、こういうような区別によってはっきりしてありましょうか。
  258. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  昭和四十八年度におきます私傷病でございますが、これは調査したのが三十日以上休んだ職員でございますが、郵便内外別で申しますと、郵便内務で千人当たり四一、それから郵便外務が千人当たり五一ということになっております。それからなお、公務災害に認定された件数でございますが、これは病気だけでなく負傷者、けがをした者も含めて公務災害に認定された件数は郵便内務で六百六十三件、それから郵便外務が七千二百四十九件となっております。これは一日も休む必要のない者まで全部含めてこういう数字になっております。
  259. 島本虎三

    島本委員 したがって、宮崎県はえびの市の飯野局ですね。それから大分では由布院局と三重局、これらの人たちはもうはっきりと公務災害と認められるし、診断もそうなっているでしょう。これをやはり認めるのにちゅうちょしてはいけないと思うのですが、今後これに対してはどういうような措置考えておりますか。先ほどはもう十分、これはプロジェクトチーム云々だなんと言ってやっておりますけれども、やるまでもなくもう頸肩腕症候群やそれからレイノー現象、これに対してはお医者さん自身もプロジェクトチームをつくってこの問題に対して研究していますよ。頸肩腕症候群の場合は関東逓信病院がやっているじゃありませんか。もう結論を出していますよ。精神的による分が少し多いですけれども、そのほか白ろうなんかも全林野を中心にしてもう学者の結論が出ていますよ。ただ、両方ともないのは、完全な治療方法がないのです。だからそのまま座して死を待つ、こういうことがあっては困るから予防が大事だというのです。そしてまた治療すると言ったって、いま簡単なはり、きゅう、マッサージ、あんまですよ。それとても共済健康保険から除外されていて、これは全部自分で出さなければならない。業務上の疾病が自分で金を払わなければいけない、健康保険もきかない、やめるよりしようがないじゃありませんか。ですからそういうようなことではなくて、もっと十分考えなさいと言うのです。九州管内は早く認定してやらぬといけない問題だと思うのですが、これはどうしますか。
  260. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいま公務災害の認定上申中の者は二件でございまして、一つは郵政段階でいま審査して、一件は本年二月に本省に上がっておりまして、先ほど申し上げたように専門家等の意見も伺いまして業務との因果関係をいま検討中でございます。できるだけ早く結論を出すようにしてまいりたいと考える次第でございます。  それとは別に、先生指摘の由布院の職員、この方は手足のしびれ、足ひざ下しびれ、肩こり、不眠、ただレイノー現象はないというふうに症状の報告がございます。それから三重の職員、この方も両手しびれ感、首の痛み、肩こり、手の発汗、この方はレイノー現象ありというような——この方は佐藤さんとおっしゃる五十八歳でございます。そういうことで、このお二人につきましては現在由布院の職員もこの三重の職員の方もバイクの使用を中止しまして自転車配達区専担としております。その結果か、由布院の職員の方は症状が軽快しておるというようなことを報告で受けております。それから三重の職員の方についても、バイクの使用を中止して自転車配達区専担とし、超過勤務等も命じないようにして配意はしておるということでございまして、公務災害の認定につきましては先ほどお答えしたように十分検討してまいりたいと思っております。
  261. 島本虎三

    島本委員 これは何にも遠慮することはないのです、ほかの省庁にもあるのですから。郵政省はこういうように人の問題になると御遠慮なさるようです。値上げの方は遠慮なしになさる。値上げよりも健康、人間の命の方が大事ですよ。  いまおかしいことは、由布院の厚生年金病院の診断で振動病というのがついていますよ。これも大分県の由布院局の志手良久二十九歳、それから三重局の佐藤竹市さん五十八歳、これも振動病、同じく由布院の厚生年金病院の診断です。こういうふうに厚年病院や公の病院が診ているなら改めて診る必要もないです。早く対処してやらないとだめだ。これでもまだ仕事をさせる、これは残酷物語ではありませんか。郵政省対策がおくれている。だから職場が暗いと言われるのですよ。明るくしなさい。その辺のだれかのように明るくしないとだめですよ。  それで結論を申し上げますが、安全対策として予防が第一番だとしたら、地球の表面まで走っているという事実、こういうふうな点も十分知っておいて、その場所にはいつも注意して歩くか速度を落とすか、余り振れないようにして歩かせないとだめでしょうから、これも悪路なんかを示した安全マップ、こういうようなものに対してこれを掲示を任意じゃなく義務づけてやらしておいた方がなおいいんじゃありませんか。この点に対しては、現在は局の意思によってこんなことをやるもやらないも勝手だ、こういうようなことを従業員をいたわる局長はちゃんとやっているようですが、どうということはないと考えている局長はそんなこともやってない。これは義務づけてやるのが予防の一つだと思います。この点についてどうでしょうか。
  262. 神山文男

    ○神山政府委員 機動車の使用と振動病との関係につきましては、直接的な因果関係について十分検討してまいりたいと考える次第でありまして、またただいまお話しのような必要な措置についても検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  263. 島本虎三

    島本委員 いまのところはこれでいいのですが、頸肩腕症候群に対する対策、私もこの問題に対してはある程度調べさせてもらったのです。郵政省の方では、診断書が出ているその人に対しては、「軽易で補助的な半日勤務が必要である。機能訓練を兼ねた作業療法が治療上必要である。」それから「症状軽快したため、半日のみに限り、軽作業に従事してもよいと思われます。」こういうような医師の診断書を出してもそれを認めない、こういうような傾向があるようです。医師の診断書を認めないという風習がまだあるということは重大じゃないかと思うのですが、そういうふうに指導していなさるのですか。ことに頸腕障害によって長期間の療養が必要なため休職処分を受けた、ある程度回復して就労可能になる、そうして職場に復帰しようとすると、これはだめだと言われるというのですが、一たんこういうような者に対しては郵政省では切り捨て御免、首にする、こういう態度なんですか。この点どういう指導、指示をなさっているのですか。これをちょっと聞かしてもらいたい。
  264. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  頸肩腕症候群にかかっている者が休職して復職するというような場合、現在これは二割の勤務軽減をする。これは一般の病気も同じでございますが、二割軽減という制度で運用しているわけであります。ところが、お医者さんの診断書で勤務を半減する必要があるというような例が多いわけでございまして、それで制度的に勤務を五割軽減するということが可能になるようにしたいということで、現在案をつくりまして労働組合に提示しておるところであります。これは今後の交渉にまつわけでありますが、交渉妥結になれば五割軽減という道が開かれるという状況でございます。
  265. 島本虎三

    島本委員 これは郵政省は現実の問題よりも形式の方を大事にするような気がしてなりません。私の言うことが言い過ぎだったら取り消しますが、病休者と休職者、これを差別していませんか。病休者に対しては信越、四国、東北のただ三郵政局で半日勤を認めて、他の地域はまだ認めていない。休職者に対してはまことに何もしていない。これは医師の診断を尊重すべきじゃありませんか。郵政省の方では医師の診断よりも局長認識の方が重要なんですか。私はそういうような点が少しわからないのです。したがって、病休者の場合と休職者、なぜこれを別にしなければならないのですか。いわゆるこれはもう休職から復職する場合に半日勤務を認める。これならば条件をつけないでそのようにした方がいいと思うのですよ、半日勤務なら。半日勤務は三ヵ月に限って、その後二割以内の軽減期間が三ヵ月で、軽減勤務を後は全部これで打ち切ってしまう。かてて加えて、昇給は延伸する。減給までしよう。これじゃ一体、職場で一生懸命働いて病気になって、踏んだりけったりではありませんか。休職者はそれでなくても働かせないと、少しずつ職場に復帰させないとこれは治らない。これはお医者さんの診断でしょう。そういうのに対して、こういうような机上プランだけやって成績を上げようとしている。これはいけませんよ。医者の診断書をもっと尊重せい、局長考え方より医者の診断書の方をこれは尊重すべきだ、私はそれを言うのです。医者の診断書は尊重できないのですか。
  266. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  病休者と休職者を差別しているのではないかという御質問でございますが、これは病休と休職というのは種類が違うわけでございまして、病気になった者は病気休暇というものを申請してとるわけでありますが、病気休暇がある程度長く続いた者が休職に入るということでございまして、病休と休職とはおのずから制度の性質が違うということでございます。それからこの二割勤務軽減の制度しかいまないわけでありますが、現在五割軽減にしたいということで組合に提案中であるということを申し上げましたが、これをいつまで五割軽減を続けるかということについていろいろ検討をしたわけでございますが、いろいろ休職から復職する場合でございますから、休職で十分休養してきている。それで職場に復帰した当座五割という勤務に服する。そうすれば六ヵ月程度あればもう治る者は治っていくであろう。現在結核の場合はたしか三ヵ月程度で正常の勤務に服し得るというとき復職させておりますので、六ヵ月程度の期間様子を見ようという意味でそういう期間を提案したわけでありますが、現在これに対していろいろの点につきまして組合の意見も出てまいっておりますので、またこれに対してどうするか、省の方でいま検討中でございます。
  267. 島本虎三

    島本委員 これ、やはり原則があるのですよ。郵便料金値上げをもう皆さんが提案してきた。そして、それと同時に今度は、今後はもう十分サービスをしなければならない。そうなると勢い中にはそれによって体を壊す人も出てくる可能性もある。もう現に出ている。この体を壊した人、健康を損ねた人、これはもうどのような増産や何物よりも人間の命と健康というものが大事なんですよ。仕事を強要できるのはその範囲なんですよ。命や健康まで損ねてもこの仕事をせいと言う権限はないはずです。ところが、現実にそういうような人が出てきている。いろいろやっているようですが、その一つの根拠になる郵政省の健康管理規程それから運用方針、これでしょう。これはおっしゃるとおり結核患者を中心としてのこういうような一つのスタイルでしょう。頸肩腕症候群と結核は違うのですよ。したがって、新しい職業病に認識が当局は欠けている。こんなことで値上げ提案なんかできますか、こう言いたいのですよ。ましてこれは、本当に結核患者を中心としてのこの郵政省の健康管理規程や同様のこの運用方針、これを律して新しい職業病を見ようとする。どだい無理ですよ。根本から無理ですよ。そしてその後でいろいろ出ているじゃありませんか。やはり頸腕症の関係、つい最近の二月二日の朝日にも「職場に復帰するときは一日二、三時間の勤務から始めて、徐々に体をならすことがたいせつ。やり方を間違えると、再び悪化する恐れがあるからだ。」結核じゃないのですよ、これは。頸肩腕症候群なんです。これは精神的な要素があるから、職場を転換してやるとか、精神的な負荷を少しでも変えてやるとか、こういうようなことに、よっても初期のやつは治るのですよ。どうもそういうような点では、黙って休んでおれ、黙ってうちにいて、精神的ないろいろな重圧からなお病気が高進する、こういうようなおそれもあるのです。したがって、いまやる治療というのは、ほとんどはり、きゅう、マッサージでしょう。やはりこれは早く職場に帰ってきてやるためには、心機一転させることなんです。したがって、これに対して温かく迎えてやらぬといけないはずです。準拠する法律は古い結核患者を中心としての規定を根拠にしている。これじゃ新しいこういう職業病に対処できません。ですから、こういうようなことに対しては各お医者さんでさえもこれは言っていますね。これは頸肩腕症候群に対して休業加療中であったが軽症になったので約一カ月ぐらい半日出勤半日休業加療、三十分以上の連続作業を行わない軽作業に従事しながら徐々に職場復帰することが望ましい。こういう診断書が出た。理想的には正常状態の四分の一くらいの仕事の密度及び量より始め、四分の一よりこれはさらに二分の一に至る状態、こういうような正常な状態へ持っていくことが必要だ。これは何ですか、整形外科の日本労働者安全センターが発行している事務作業者の職業病に対しての結果がこれに出ているのです。一カ月くらいでも何カ月くらいでもなんですけれども、こういうように徐々にやっていったらよろしい、こういうようにはっきり出ているのだ。こういうような点をすっかり度外視して、結核患者と同じような扱い、こんなことじゃ少し適用規定が古いと思うのです。これをもっと明らかにして、実際これに適合するようにし、なおこの……。
  268. 地崎宇三郎

    地崎委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  269. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めて。
  270. 島本虎三

    島本委員 これはみんな診断書は出ています。診断書の写しですけれども、これはやはり職業病としての認定、それも「軽易で補助的な半日勤務が必要」「悪化の傾向があれば精査の上休業を必要とすることもあり得る。機能訓練を兼ねた作業療法が治療上必要である。」それから「適当なレクリエーションが必要である。」こういうようにして頸肩腕症候群の患者に対して、これは郵政の関係ですが、診断書もちゃんと出ているのです。これを認めようとしない。私の方ではやはり今後医師の診断書を尊重せい、そうして古い考え方じゃなく、古い結核中心のこういうような健康管理規程や運用方針ではなく、新しい現在の職業病、これに対処できるようにこれをきちっとしておくべきだ、このことなんです。そして、なった患者、これはもう打ち捨てちゃだめなんです。現在即効的な治療方法は不完全でありますけれども、マッサージとはり、きゅう、これが有効なんです。これは共済組合証、短期給付が使用できないわけです。したがって、もう自己負担ということになるわけです。したがって、長期間の治療、これでは経済的な損失は莫大だ。共済適用の範囲の外へ出ちまう。みんな自己負担になる。結果やめていっちまう、こういうことになるわけです。やはり認定するということは、こういうようなことに対しても省の方できちっと治療さしてやるということなんですよ。こんなのもほっちゃらかしておいて郵便料金値上げなんかあり得ないということですよ。  私は最後にこの件について大臣のはっきりした意見を聞きたいんです。こんなことまでほっちゃらかしておいて、人間の命や健康を粗末にして何の郵便料金値上げですか。それで早くやめろやめろと言う。これが前からの大臣の態度ですか。
  271. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げた件でございますが、健康管理規程、確かに結核を中心にして考えて当時つくられたわけでありまして、頸肩腕症候群という新しい症状が出てまいりましたために、そのためにいままでは二割勤務軽減であったものを五割勤務軽減の道を開こうということで、現在組合と話し合い中であることを申し上げたわけでございまして、決してあのままでよろしいというふうに考えているわけではございません。  それから、医者の診断書というものも、もちろん医者の診断書でなければわれわれはわかりませんものですから、それをもとにして判断していくということでおります。
  272. 島本虎三

    島本委員 これで何ですけれども、実際医者の診断書が出されても現地の局長のところで押さえられているのです。上がってきておる件数が二件、私の方でやっておるやつはもう八件か十件。押さえられているのです。だから暗いというのです。こんなことのないように、あなたの方で上がったなら全部よこしなさい。こういうふうにして早く認定してやって、はり、きゅう、マッサージ、こういうようなものさえもいまの制度では健康保険があってもきかない。そういうようなことを考えたならば、いつでも人間が大事だ。人間を大事にする職場、これは明るい職場ですよね。ですからもう、そういうような職場に早くやってもらいたい。料金値上げ、それと同時に、上からの管理運用条項であるとか規程とかいって何でもかんでも押しつける、こういうようなことが暗くすることであり、こういうような職業病をふやす大きいもとになります。こういうことがないようにきちっと今後指導しなければならない。私はもう料金値上げ法案が出されて、こういう問題がこういう状態だ、人間の命よりも郵便料金値上げの方を先行させるこの考え方は反対です。最後に大臣のこれに対する、私の考えが間違いかどうか、ひとつはっきりさしてください。間違いでなかったら厳重に官僚の方に命令してやってください。
  273. 村上勇

    村上国務大臣 間違いどころか、ごもっともでございます。何よりも基本人権を尊重するということが今日最も大事なことであります。ただ結核の治癒の関係をとっておるということを聞きましたが、昔ならばそれで上等だったでしょうけれども、いまは結核は非常に治りやすい病気になっております。しかし新しい症状につきましては、これは人事局長お答えのように十分診断書を尊重し、またその診断書に対してその扱いを理論的に具体的に扱っていくということは大事だと思います。  それから大分県の由布院等の局について、私もつい二、三日前に両方へ行ってきたんですが、私の耳にも入らなくて、けさ初めてこのことが耳に入ったというぐらいでして、地方では——まあ私がそういうところを見逃したのかどうか知りませんが、そういうようなことでありますから、十分すぐ私も調査いたしまして、そうして、このことにつきましても十分な自分で認識をしてまいりたいと思っております。
  274. 島本虎三

    島本委員 いま大臣認識、こういうようなことで、当局者もこれに対してはっきり対処してもらいたい。大臣も新たに知ったということであります。これに対処するためには、やはり余り形式的な問題に堕さないことです。内容をきちっとすることです。もう情勢は変わっているのですから。したがって、もういままでのような行政当局、局長ですよ、いま大臣お答え中心にしてなんですが、郵政省の健康管理規程、それから同条運用方針、こういうようなことにのっとっていまやろうとしておりますけれども、その結果やはり半減というのは三カ月、二割減というのは三カ月、計六カ月で限る、こういうふうに頭からきちっとやるのは問題だから、やはりこういうような点に対しては医師の診断書、医師の指導、こういうようなものを尊重してやれと、このことです。それと同時に大臣もこの点は聞いておいてもらいたいのですが、せっかくこれまでやっても、こういうような人たち、業務の犠牲になった人たちに昇給の延伸や減給までつきまとうということは、これは人道上の問題じゃありませんか。せっかく大臣がそう言ったんだから、それに基づいて局長、あなたの指導方針も今後いろいろと考えてやられるようですが、半減三カ月、二割減が三カ月目、計六カ月で打ち切る、こういうようなところに問題があるから、この問題はもう一回考えてもらいたい。それと同時に、昇給延伸や減給、こんなことまでそのために犠牲になった人に及ぼすなんというのはもってのほかですから、いま大臣言葉をそのまま行政世局の方では十分かみしめて、いまの問題はきちんと対処してもらいたい。しませんか、しますか。
  275. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほど申し上げましたように現在の健康管理規定、確かに肺結核を前提としてつくられたものであるということは申し上げたとおりでございまして、それで現在の制度としては二割の勤務軽減の制度しかないということで、五割の勤務軽減の制度をつくろうということで提案しているわけでありますが、その五割勤務軽減をいつまで続けるかという問題でございまして、(島木委員「お医者さんがいるでしょう」と呼ぶ)そこで、ただ現在のところ、まあその前に休職という期間がございますので、その間に適切な治療なりいろいろの適切な方法がとられれば、復職して半分勤務、それを六カ月続ければもう大体そういう症状は消失するであろう……(島本委員「であろうなんて、医者でないとわからないのだよ、ほかの方はそうやってませんって」と呼ぶ)その例として、労働省の通達で、三カ月程度で消失するであろうというようなことも参考にいたしまして、六カ月あれば十分ではないか、こういうふうに考えたわけであります。現在これは組合と交渉中の事項でございますので、これをどうするか、今後またいろいろ交渉を続けてまいりたいというふうに考えております。  それから昇給延伸でございますが、これは現在病休四十日以上の場合は一号俸の延伸ということに一般の例がなっておりまして、そういうものとの均衡を考えながら制度を検討していかなければいけないというふうに考えております。そういう意味でそういう提案をいたしている。これは一般のそのほかの病休、病気のために休暇をとる、そういう場合との均衡が問題でございますので、そういうことも考慮に入れなければいけないということを申し上げております。  それからもう一つ、先生、はり、きゅうの問題でございますが、これは医師が必要と認めた場合は共済でも認めているということでございます。
  276. 島本虎三

    島本委員 それではだめだ。委員長、申しわけないが、あなた、少し他の省のやつの採択を検討するようにしてもらいたい。お医者さんは西洋医学でありまして、はり、きゅう、マッサージは東洋医学でありまして、東洋医学の立場を類似行為として認めてるのですよ。類似行為を進んでやらせようとするお医者さんは余りないのですよ。医療に対しては、これは類似行為なんですよ。西洋医学だけがいま先行しているのです。したがって、そういうようなときにお医者さんが認めたならば−−認めようとなるべくしたくないのです、お医者さんは、 こういうようなのは。だけれども、現在の医療の中にはこれに対する的確な治療方法がないのです。ないからこそ、いまのようにして場所を変えたり精神的な負荷を弱めたり、こういうようなことにして徐々に治していく、こういうような方法しかない。それなのに半減するのに三カ月であるとか、二割減が三カ月であるとか六カ月、これだけに限るんだとか、それからそれに対して昇給延伸や減給までこれはやはりとれるんだ。ほかの方はこれやっていませんよ。電電公社や林野庁は、職業病にかかった者に対しては手厚くやって、お医者さんではなしに、本人から申請があればそれも認めるようなところまでいっているのですよ。何をおくれて、いまごろそんなこと言っているのですか。もうこれだったら、これさえはっきりしない以上、料金値上げなんか申し出る資格ありませんよ。人を殺してまで料金値上げしたいのですか。人を病気にしてまでもやらなければならないのですか。もう一回、これはもし組合との間に話が進んでるとしたならば、この点十分考えて、一つ、医者の診断書を尊重すること、もう一つ、いま言った半減三カ月、二割減三カ月、六カ月、これに限るというもの、もう一回考え直すこと、昇給延伸、それから減給まで考えておる こういうようなことは全然人道にもとりますから、こういうようなことをしないこと、この三つは十分考えて、組合との交渉の中でこれを詰めてもらいたい。——もう大臣だよ。これは大臣、もうだめだ、官僚の方じゃ。あなたの方がきちっとして指導しないと、与えられた古い一つの物差しでしかはからないのだから。ところが、時代は進んでおりまして、職業病でも新しい形態になっているんだから、もう腰痛症、頸腕症、レイノー症、そのほかたくさんあるでしょう。だけれども、こっちにはそれに対しては古い規定しかない。それにまた、しゃくし定規にいま言ったようなことまで考えている。申しました医者の診断書を尊重することと、六カ月で打ち切るなんということは一切しないこと、昇給延伸や減給、こんなことはもう考えないこと、こういうふうにして、大臣、対処すべきだと思うのです。いま前に言った大臣の答弁、私は全面的に賛成。だけれども大臣考えと官僚の考えていることが少しずれがありますから、この点では十分大臣考えを浸透させる。あなたから言いつけてやる。こんなことを考えてはだめだ。いまでもすぐ言いつけてやってください。  大臣、これで最後ですが、あなたの意見を聞きます。言いつけてやればいいんです、私の言ったこと間違いないですから。
  277. 村上勇

    村上国務大臣 私自身も少し勉強が足りておりませんから、十分検討して、各方面と相談しまして、そうしてなるたけ御期待に沿うようにと思っております。
  278. 島本虎三

    島本委員 じゃ、委員長、これで終わりますが、なお委員長の許可を得ませんけれども委員長に一言申し上げておきますが、委員長も社会労働委員会に所属したことが過去あったわけです。こういうような問題に対して携わったことがあるんです。いまの質問で聞いているとおり、実際ずれが多いんです。現行にこれはマッチしてません。そういうような中に、委員長、そこでにこやかに笑いながら聞いているというのは少しおかしいんです。あなたから言ってやらないとだめなんです。私は委員長にこれを強く要請し、いま言ったような三つの条件だけはきちっとさせるようにこれも委員長に要請して、私は質問を終わります。にこやかに笑わないでやってやってください。
  279. 地崎宇三郎

    地崎委員長 十分反映いたします。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  280. 地崎宇三郎

    地崎委員長 速記を始めてください。      ————◇—————
  281. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  現在当委員会において審査中の郵便法の一部を改正する法律案について委員を派遣し、審査の参考にいたしたいと存じます。ついては、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  282. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣地、日時、派遣委員の人選、その手続等につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十七日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十八分散会