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1975-03-26 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十六日(水曜日)    午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    亀岡 高夫君       高橋 千寿君    坪川 信三君       廣瀬 正雄君    水野  清君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       久保  等君    大野  潔君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     —————————————  委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     木村 俊夫君   水野  清君     中垣 國男君   村岡 兼造君     大橋 武夫君 同日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     村岡 兼造君   木村 俊夫君     金子 岩三君   中垣 國男君     水野  清君 同月十八日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     篠田 弘作君   村岡 兼造君     渡辺 紘三君 同日  辞任         補欠選任   篠田 弘作君     高橋 千寿君   渡辺 紘三君     村岡 兼造君 同月二十五日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     關谷 勝利君   金子 岩三君     田村  元君   高橋 千寿君     中村 寅太君   水野  清君     林  大幹君   村岡 兼造君     有田 喜一君 同日  辞任         補欠選任   有田 喜一君     村岡 兼造君   關谷 勝利君     小渕 恵三君   田村  元君     金子 岩三君   中村 寅太君     高橋 千寿君   林  大幹君     水野  清君 同月二十六日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 三月十九日  簡易郵便局法等改正に関する請願外十件(笠  岡喬紹介)(第一五五三号)  同外二件(吉川久衛紹介)(第一五五四号)  同外七件(志賀節紹介)(第一五五五号)  同(谷川和穗紹介)(第一五五六号)  同(床次徳二紹介)(第一五五七号)  同外九件(二階堂進紹介)(第一五五八号)  同(前田正男紹介)(第一五五九号)  同(山中貞則紹介)(第一五六〇号)  同外七件(大久保武雄紹介)(第一六〇〇  号)  同外十九件(加藤六月紹介)(第一六〇一  号)  同外十五件(片岡清一紹介)(第一六〇二  号)  同外十四件(金子岩三紹介)(第一六〇三  号)  同外八件(仮谷忠男紹介)(第一六〇四号)  同外十件(瀬戸山三男紹介)(第一六〇五  号)  同外三件(増岡博之紹介)(第一六〇六号)  同外二件(松野幸泰紹介)(第一六〇七号)  同外十四件(山崎平八郎紹介)(第一六〇八  号)  同(和田耕作紹介)(第一六〇九号)  同外四件(江藤隆美紹介)(第一六四八号)  同(大村襄治紹介)(第一六四九号)  同(大竹太郎紹介)(第二八五〇号)  同外一件(越智伊平紹介)(第一六五一号)  同外十二件(亀山孝一紹介)(第一六五二  号)  同(床次徳二紹介)(第一六五三号)  同外一件(野呂恭一紹介)(第一六五四号)  同外二件(船田中君紹介)(第一六五五号)  同外一件(藤波孝生紹介)(第一六五六号)  同外四件(武藤嘉文紹介)(第一六五七号)  同外二件(亀山孝一紹介)(第一七〇四号)  同(北側義一紹介)(第一七〇五号)  同(熊谷義雄紹介)(第一七〇六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一七〇七号)  同外二件(櫻内義雄紹介)(第一七〇八号)  同外十件(住栄作紹介)(第一七〇九号)  同外三十一件(中村弘海紹介)(第一七一〇  号)  同外三件(橋本登美三郎紹介)(第一七一一  号)  同(森喜朗紹介)(第一七一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号)      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。  提案理由説明を聴取いたします。村上郵政大臣。     —————————————
  3. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  この法律案は、郵便事業運営に要する財源を確保するため、第一種及び第二種郵便物料金改定すること等を内容とするものであります。  郵便料金につきましては、昭和四十六年度に改定されて今日に至っておりますが、この間、諸経費特に人件費の著しい上昇のために、事業財政は、昭和四十九年度当初から相当の不足を生ずる状況となり、このまま推移いたしますと収支の不均衡はますます大きくなることが予測されるところとなりました。年々増加する郵便物を円滑に送達し、郵便業務の正常な運営を確保して郵便に負託された社会的責務を果たすために事業収支改善が急がれるところとなったわけであります。  このような状況において、昭和四十八年十月、郵政審議会に対し郵便事業の健全な経営を維持する方策について諮問し、同年十二月、「郵便料金改正することが適当である。」との答申を得たのでありますが、折からの異常な経済情勢の中において政府といたしましては、物価安定を最優先の課題といたしておりましたことから、小包郵便物料金を除き、郵便料金改定につきましては、昭和四十九年度中は見送ることとした次第であります。このことに加え、その後の給与の改定が約三〇%にも及ぶかつてない大幅なものとなったため、昭和四十九年度末における郵便事業収支不足額は約一千四百億円にも達する見込みであります。  このため、昨年十一月郵政審議会に対し、事業運営に要する財源を確保するための郵便料金改正案を再度諮問し、答申を得ましたので、答申に示されたところにより改正案を骨子とする料金改定を行うこととし、郵便法で定められている封書及びはがき料金を本法律案により改定することといたしたものであります。  料金改正の主な内容は、第一種郵便物封書につきましては、定形二十五グラムまで二十円を五十円に、定形外五十グラムまで四十円を百円に改め、また、第二種郵便物通常はがきにつきましては、十円を二十円に改めることとしております。  以上のほか、この法律案におきましては、取り扱いについて若干の改善を図ることとし、料金不足郵便物等納付額算定方法を改めること並びに「引受け及び配達について記録」を行う、いわゆる簡易書留損害賠償最高限度額を引き上げることとしております。  なお、この法律案施行期日は、本年十月一日といたしております。  以上、提案理由及び主な内容について御説明申し上げましたが、今後とも郵便送達速度の安定を図ることにより、国民各位の期待にこたえるよう懸命の努力を傾ける所存でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ————◇—————     午後零時五十四分開議
  5. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案審議に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  6. 志賀節

    志賀委員 せんだっての本会議におきまして、郵便法の一部改正に関する質問並びに答弁が行われたわけであります。その御質問の中にはまことに傾聴に値することが多く、私も大変勉強させていただいたわけであります。私は、ただこの機会に特に伺っておきたいと思いますのは、いままでこの郵便法の一部改正が行われるその都度、いわゆる郵政のともすればおくれがちな配達とかその他もろもろの国民に迷惑をかけている点、そういう点を解消するという努力を払うということを前提として改正が行われてきたわけであります。今回もそのような趣旨に沿っての御発言があるわけでありますけれども、従来一体どのような企業努力といいますか、この努力がなされたのか、あるいは今後どのようなふうにこれがなされていくのか。その点についての抽象的な御見解ではなくて、具体的な御見解、いままでのおやりになった点、これからおやりになろうとしている点、これについての御質問を申し上げたいと思う次第でございます。
  7. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  御承知のように、人力に依存する度合いの強い郵政事業におきましては、業務の円滑な運営を図る上で労使関係正常化がきわめて大切な課題であります。このためには、労使双方事業に課せられた使命を十分認識いたしまして、お互いに法令はもちろん労使間で定められている各種のルールにつきましても、これを正しく守っていくという真剣な態度が最も大切であると考えられます。したがいまして、省といたしましては、労使関係正常化を図ることを当面の喫緊の課題といたしており、またあわせて各種機械化合理化等に努めるなど、郵政事業改善努力してきたところでありますが、一今後ともこのような方針にのっとりまして最善の努力を続けてまいりたいと思います。
  8. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま大臣からお答えがございましたことを若干補足さしていただきたいと思います。  御承知のとおり過去におきます郵便料金値上げの際に、ただいま御指摘になりましたように郵便の運行の正常化、これはもう当然の郵便の持つ使命、われわれの使命でございますけれども、そういったことについてお約束を申し上げて今日まで参っておるのでございますけれども、その当時お約束いたしました郵便の正確なる配達ということにつきましても、ともすれば昨今いろいろな問題からこれが乱れがちでございまして、国民皆様方に大変御迷惑をおかけしておることを大変われわれも残念に思っておるわけでございます。  このたびの料金改正に当たりましても、従来よりサービスをよくするといったような積極的な施策はほとんどお約束を申し上げることがございませんので、むしろ現在の私たち郵便の正確なる確実なる送達ということによって、ともすれば国民皆様方から薄れかかっておる郵便に対する信頼をかち取るような努力をしていかなければならぬと思うわけでございます。全体の中では、やはり労使関係の安定ということが一番大切でございますけれども、なお合理化とか機械化等につきましても、従来からいろいろ努力してまいっておるわけでございまして、御案内のことでございますけれども通常郵便物種類体系を整備してまいりましたり、あるいは郵便番号制の実施をいたしましたり、また集中処理局の建設をしたり、また自動読み取り区分機等機械化を推進するとかといったような、各般にわたる合理化機械化をいままで実施してまいっております。こういうことによって作業能率の向上を図り、人員の増加をこれによって吸収していく、それによって経費を節約して事業健全化を図ってまいったわけでございます。  また今後の課題といたしましては、郵政審議会答申等で触れておりますように、集配のサービスの基準でございますとか、あるいは窓口の取り扱い時間等をもっと合理化するといったようなことにつきましても、現在その具体策検討中でございます。ただ、御承知のとおり、郵便事業はいろいろとこういった努力をいたしましても、しょせん一軒一軒郵便配達するという最後の作業人力に依存しなければならないというふうなことで、各国ともこの点が共通の悩みになっておるわけでございます。今後とも効率的な運営を図るような施策をいろいろ工夫いたしまして、努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 志賀節

    志賀委員 これは私からの提案でございます。  実は昭和四十八年五月十日の逓信委員会議事録がここにございますが、小沢貞孝委員が御発言をなさっておられる中に、よく「男」という字が書いてないとか、あるいは同じ「お」が「男」と「夫」が違ってしまったとか、あるいは番地が多少違っておるというようなことで差出人のところに差し戻されてくる郵便物がよくある。これは一たん配達をしようとした者にとっても、差し戻されたその労力というものも考えてみればばかにならないのではないか。したがって、もしできることなら、そのかいわいの部落とか、そのあたり近所に明るいその土地人たちに請け負わせるというか、配達等につきましてもそのような前向きの検討はなされてよろしいのではないか。特に、これを実行に移す場合の前段階として、一地方に限ってそういうことをやってみたらどうだろうか。こういう御提案がございまして、なかなかこれはおもしろい、傾聴に値する議論であるというふうに私は理解をしておる者の一人でございます。  この御意見と若干異なりますけれども、私からの提案と申しますのは、小学校、中学校までは義務教育でありますから、高等学校からの生徒たちに、郵便配達物自分生活をしている根拠地である部落に持ち帰って配達をするというようなことも、子供たち義務教育を過ぎて社会に奉仕するという精神を養わせる上においてひとつプラスではないか。またもう一つは、それをただでこき使うのではなくて、郵政面からのこれに対する何がしのお礼というか報酬を出す。しかし、子供たちはむしろ自発的な意思からそれを学校当局に献上するというような気持ちで、これがまた教育施設の拡充にも寄与する。このようなことになってまいりますと、一石二鳥、三鳥のことも考えられます。同時に、現在置かれておる労働力不足であるとかあるいは労賃の問題とかに関しても一つ光明をもたらす施策ではなかろうか。このようなことを考えまして、私はこれは一つ提案として申し上げる次第でございます。このことに対しても私は、できることなら検討の結果一地方に限ってでも試験的にやってみてはどうであるか、こういうことを提案するものでございますが、当局の御見解を承りたいと存じます。
  10. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま志賀先生から御提案がございましたような高校生人たちに、自分の住んでいる居住地の辺については非常に土地勘もおありの方々だと思いますから、そういう所の配達をお願いするということにつきましては、私たちの方の郵便事業にとりましても非常に良質な労働力の給源が確保できるということもありますし、またそういった日本の将来を背負って立つ人たち郵便配達をしていただけたという、そういう体験を通じまして、郵便事業のよき理解者というものを得るというメリットもあると思います。また、お話にございましたように、高校生のいろいろ責任感を醸成するとか一あるいはまた社会奉仕精神を養うといったような、非常な教育効果という点ももちろんわれわれとしては期待できると思います。お話にございましたように、私たちとしてはこれに対しては報酬を差し上げなければならぬわけですが、そういったものをいまお話しのように学校のいろいろな設備の方へ皆が進呈するというようなことになりますと、その学校側にとっても非常に協力を容易にする大きな要素となるということも確かに私たちあると思うわけでございます。  ただ、私たちも最近の高校の実際の生活がどういう形で、たとえば帰宅時間が何時ごろになっておるかというようなことについても私も実は余り詳細に知りませんけれども高校になりますと、恐らくかなり午後遅い時間まで学校の授業もあるのじゃないかと思いますし、あるいは課外活動といったようなことも、最近はよくいろいろなサークル活動というようなことがあるように聞いておりますから、そういったようなことのために高校生の帰宅する時間が夕方になるというようなことがありました場合に、配達の時間がそれだけ遅くなるとか、あるいは場合によってはその日のうちに配達ができなくなったりするようなこともあるのではないかというような心配もございますし、先生のいまの御指摘のいろいろな計画につきまして、私たちとしましても郵政省のみならず文部省とか、もちろんいろいろ関係の方面とも話をしてみなければならぬことだと思いますから、いますぐ具体的にこれを施行するということまでちょっと私もお約束いたしかねますけれども、確かにことしの年末等におきましても、高校生のアルバイトが年賀はがきを破棄したとか、いろいろな私たちにとって非常に残念な問題が新聞に載ったことも事実でございます。私たち気持ちとしては、できればそういうことを考えてみたいなというのが率直な感じでございますけれども、いずれにいたしましても関係の省庁とも十分相談いたしまして、よく検討してみたい、さように考える次第でございます。
  11. 志賀節

    志賀委員 いろいろと今回の郵便料金値上げをめぐっての御議論の中に、これは一般国民大衆にしわ寄せをさせてむしろ大企業の方を益している結果になるのじゃないかという御議論が私の耳にも入っておるわけでありますが、この点に関してお答えをいただきたいと存じます。
  12. 石井多加三

    石井政府委員 現在の郵便料金の中で、大企業といいますか郵便を大量に出す企業の優遇というようなことがあるのではないか、というような点について確かにいろいろの所で言われておるようでございます。この点につきましては、実は欧米諸国の例を見てみますと、これはアメリカでもイギリスでもドイツでもフランスでもそうでございますが、料金体系の中で、この印刷物一般書状信書等と比べまして安い料金になっておるわけでございます。相当大きな割引率になっております。ちょうど日本でも四十一年の料金改正までは、御案内と思いますが、第五種という制度がございました。第五種というのは、印刷物についてこれを一般書状よりも割り安な、二割引きの料金で取り扱うという制度があったわけでございますが、そのときにこれを一本化して、一種、五種を統合したわけでございます。ちょうどその以前の日本と同じような状態で、現在でもなお印刷物というものは特別に安い取り扱いにしておるのが欧米一般の通例でございます。またそのほかに、わが国では一通出しても一万通出しても同じ料金郵便料金をいただいておるわけでございますが、いま申し上げた欧米諸国の場合は、大量に差し出した場合はまたその上に割引をする、たとえば一通の場合五十円でも、一万通の場合は五十万円じゃなくて三十万円にするとか四十万円にするとか、非常に大きな割引をしておるわけでございます。このような、印刷物に対する特例的な料金割引ということと、大口差し出しということの割引とそれぞれかけ合わされますので、仮に企業が非常にたくさんの郵便物を、印刷物として出すことが多いと思いますが、出す場合には、わが国と比べますと非常に安い料金になっておるというのが欧米の実態でございます。  先ほど申し上げましたように、わが国では昭和四十一年の改正の際にこの第五種の低料金制度を廃止いたしまして、現在では信書であれ、印刷物であれ、同じになっておりますし、もともと大量に出すからといって安くするという扱いはわが国では過去においてもやったことはないわけであります。そういう意味ではわが国料金体系は世界的に見まして、いま御指摘になりましたような企業等大口利用者に対してだけ見ますと、最も厳しい料金になっておる。したがってまた、利用者に対していいますと、そういう意味では差別されることのない、公平な料金であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、わが国料金の中で、現在、一時に大量に差し出される郵便物につきましては、区分協力に基づく割引を行っておるわけでございます。これは大企業が出す郵便をすべて割り引いておるのではなくて、大企業がそういった大量の郵便を出される場合に、郵便物区分して協力していただいた場合に、その協力に対する割引でございまして、その点は大企業に対する割引というものとは性格が違うということを申し上げておきたいと思います。  どうしてこういうことをやるかと申しますと、一時に大量の郵便物をもし出すところがございますと、そういう企業等が出しました場合には、全体の郵便物の流れに非常に大きな影響を与えます上に、非常に手間がかかりますので、この区分割引によって、業務の円滑な運営を確保いたしますとともに、省力化を図ろうという趣旨でございまして、郵便局の手数の軽減度合いに応じまして、一定割合を減額しておるわけでございます。もし利用者の方でこういった区分をしてもらわないで一遍にどんとたくさんの郵便を持ってこられますと、結局郵便局の職員がそれを行わなければならない、そのためには現在以上にそのためのまた処理要員を増配置するといったような必要も出てまいりますので、今後の郵便物の非常に増加の傾向を考えますると、そういった制度はむしろますます協力を得ながら、郵便業務を能率的に経済的にやっていく上に非常に適切な、また必要な制度ではないか、かように考えておる次第でございます。
  13. 志賀節

    志賀委員 よくわかりました。大企業に優先するような郵便料金体系ではないという理解を私どもはしてまいりたいと思います。  そこで、大企業に益するようなやり方でない反面において、むしろ積極的にわれわれが考えなければならないと思いますのは、いわゆる社会的弱者と言われる人たち機関紙とかあるいは郵便物等に対する郵政当局の温かい姿勢、これが大事だと思うのであります。もちろんこの問題については、郵政当局にもあるいは逓信常任委員会委員であるわれわれの手元にもいろいろな要望書が届いております。このことについてはいろいろと御検討であろうと思いますので、このことをお聞かせいただきたいと思います。  なお、あわせて、ちょうど同じような要望が私どもに来ておりますのは、種類は違いますが、一つは、いわゆる専門紙といいますか、そういう日本機関紙協会とそれから日本専門新聞協会という二つの協会があるようでありますが、ここから、それからまた農業委員会から、いろいろ第三種料金改定について少し考えてもらわないと困るぞという要望が来ておりますので、このことについてどういうふうにお考えになっておられるか。  それからもう一つは、これは全日本紙製品工業組合でございます。これは従来の趨勢からすると、当然封書とそれからはがきとの関係は五対三ぐらいであってしかるべきなのが、五対二になってしまうと、この封筒をつくっている人たちは大恐慌を来さざるを得ない。これはもうはがきの方に利用度合いが偏ってしまって、非常な動揺を来さざるを得ないという趣旨の陳情も来ております。  したがいまして、整理をいたしますと、第一に社会的弱者に対するお考え、それからいわゆる専門紙業界紙等に対しての第三種のお考え、それからこの封筒の問題についてのお考えを伺いたいと思う次第であります。
  14. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  最初に、このたびの郵便料金値上げの案を提案いたします場合に、いわゆる弱者救済の面からの配慮はどういうことを考えておるかという問題でございまして、今回の料金改正の案をつくる場合に、御存じのとおりいろいろな経過がございまして最終的に九十円、五十円という一種、二種の料金制度考えたわけでございますが、この配慮の中で特にはがき値上げ幅を極力低く抑えまして、郵政審議会答申では三十円という数字をいただいておりましたものを、まあ赤字を覚悟で二十円という低い料金に抑えたいということも、全般的なそういった利用者の方々に対する配慮を考えたつもりでございますし、また、実施の時期を十月一日ということにいたしましたのも、そのような配慮から考えたわけでございます。いまの郵便料金制度の中で、いわゆる弱者救済という観点に立って制度を見てみますと、従来からありますものとしましては、御案内のとおり、盲人用の点字でございますとかあるいは点字用紙、録音物を無料扱いにいたしておるわけでございますが、そのほかに身体障害者団体が発行する定期刊行物につきまして、普通の基準からいきますと私たちの方のいわゆる第三種の認可を得るためにちょっと数字が足りないという面がございましたのを、特別の配慮をいたしまして現在第三種の認可を受けやすくして扱っておるわけでございます。この点につきましては、今後とも引き続き同様の考え方で対処をしてまいりたいと思っておりますが、御指摘のように、身体障害者団体の発行する定期刊行物の料金につきましても、今回提案申し上げております郵便法改正案の中で、第一種、第二種の料金が確定いたしました後で第三種の料金郵政省令で定めなければならぬわけでございますが、その際に、身体障害者の福祉のあり方の問題とか、そのような団体の認定といういわば技術的な問題もございますから、そういった点等につきまして関係省庁とも御相談して解決してまいりたいと考えておりますが、その際、ただいまの御意見、特にそういった方々の出される郵便についての、三種の料金の決め方につきまして、ただいまの御意見を十分しんしゃくして検討してまいりたいという所存でございます。  それから第三種全体につきまして、いろいろ今度の郵政審議会から答申をいただいております内容は、先般来当委員会でも問題が出ておりましたように、雑誌等につきましては十二円のところを約三倍の三十五円、それから新聞等につきましては基本料金六円を三十円という、基本料金だけについて言えば五倍という面もこの答申の中に入っておるわけでございます。こういった点から、少し値上げ幅が現実には高過ぎるのではないかという御批判をいろいろいただいておるわけでございます。  三種につきましての基本的な考え方につきましては、若干長くなりますけれども、昔から新聞、雑誌といったようなものは社会、文化の啓発向上に非常に貢献することが多いということで、そういった社会、文化の発展を助成するという趣旨で沿革的に設けられたものでございまして、いまもそういう意味で非常に安い料金になっておるわけでございます。御参考までに申し上げてみますと、第三種の中で、たとえば中央新聞を見ますと、現在朝刊は二十ページでございますが、大体目方といたしましては百二十グラムぐらいになっております。これを現在八円で郵送しておるわけでございます。御存じのとおり葉書がいま十円でございますが、十円の葉書の目方から言いますと、大体三グラムにも当たらない軽いものでございます。それらと比べますと、第三種のいまの郵送料というものは非常に安いということはおわかりいただけると思うのでございますが、その葉書でさえ現在十円では非常に赤字で、今度倍の値上げをお願いしておるわけでございます。  そのようなことから言いまして、実はこの第三種の制度について、いままでの沿革的な意義はともかくといたしまして、今後いつまでも現在のように大幅なコスト割れの料金を続けますと、郵便料金全体に結局しわ寄せがいくことになりまして、一種、二種等の利用者の方々にこれを負担していただいておるわけでございますから、余り過度の割引はいかがなものかということで、郵政審議会答申で少し思い切った値上げ提案をしておるものと理解しておるわけでございます。  そういうこともございますし、最近諸外国の例を見てみますと、たとえばイギリスではすでに新聞等につきまして第三種の扱いをやめております。郵便の第二種と同じ料金——イギリスの場合は二速度郵便ということでございまして、速いのと遅いのと料金の差をつけておりますが、その遅い方の料金と同じようなふうになっております。しかし、遅い一般郵便と同じという意味では、すでに第三種という特別な制度はもうやめておると見ていいと思います。それからアメリカでも、今後五年ないし十年で個々の新聞、雑誌についての優遇措置をなくしていく方針をすでに発表しておるようでございます。各国ともこの三種の料金のあり方については非常に苦悩をしておるということも聞いておるわけでございます。私たちといたしましても、審議会の答申趣旨を尊重しながら、今後いろいろな御意見をも伺って、慎重に決定してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから最後にお触れになりました封筒関係の業界から私たちの方にもいろいろ陳情が参っておりまして、関係各省にそういった陳情が行っておるように聞いておりますけれども、確かに今回の料金値上げが、郵政審議会答申のように一種と二種との差が五対三——従来二対一だったものが少しその間が縮まることによりまして、そういう封筒業界、これは中小企業が多いわけですが、等からは、かなり利用も今後従来どおりといいますか順調に伸びると見ておりましたのが、五対二という比率になりましたため、いわゆる一種から二種への移行がかなりあるのではないか、そういうことになりますと死活問題であるというふうなことで、今度の料金値上げに対してそういう意味での反対といいますか、もっとその差を縮めるべきであるというような御意見を私たちも伺っておるわけでございます。私たちの見通しでも、今度の料金改定によりまして第一種の郵便物利用は五十年度におきまして対前年比で六・二%ばかり利用減を見込んでおるわけでございます。これは的確な見込みと言えるかどうかは別といたしまして、確かに今度の料金の中では葉書が二十円という非常に低位に抑えられましたためのいろいろなそういった問題が派生的に起こっておるわけでございます。ただ私たち、実はこういった業界からの陳情は承っておりますけれども、さればといって、今度の料金の五十対二十という数字は、コストその他から見ましても必ずしもわれわれも適切なものであるかどうか、今後ずっとこういった五対二というような比率で続けるのがいいかどうかについては、私たちも意見を持っておるわけでございます。ただ封筒業界の方々が御心配になるほど壊滅的な打撃を受けるかどうかにつきましては、封筒業界というのはそういった郵便のための封筒のほかにもいろいろなものも生産しておられるようでありまするし、またある程度料金値上げの当初はショック的なこういった見込み滅を予想されるのもやむを得ないと思いますが、長期的に見ますと、ある程度また封筒封筒としての需要も安定して伸びていくのではないかというふうにも考えておるわけであります。われわれとしては、むしろ料金制度のあり方として継続的にずっとこういう比率がいいというふうにも必ずしも考えておりませんが、現在のいろいろな物価情勢の中で郵便料金値上げをやっていく際に、政治的な配慮と申しますか、先ほど申し上げましたような郵便利用者が、特にわが国の場合は葉書の利用者が非常に多いわけでございまして、外国では葉書といいましてもせいぜい絵葉書程度でございます。一番葉書の利用率の多い国は西ドイツと聞いておりますが、西ドイツでも全体の郵便の中の大体九%ぐらいが葉書である、あとはやはり一種が圧倒的な多数を占めております。わが国では葉書が全体の半ばを占めておると申し上げてもいいわけであります。こういった利用率の高いものを特別に低位に抑えたということは、それなりにまた利用者の方々に対する配慮という意味で大きな意味を持っておるものと考えておるわけでございます。こういった業界にはそういった趣旨をよく納得していただく以外にないと考える次第でございます。
  15. 志賀節

    志賀委員 最後に要望を申し上げます。  やはり郵便料金改定はいろいろな面で国民に影響を及ぼすものでありますから、今後とも郵政事業を一層よりよく推し進めていただきたい、そしてまた弱者救済気持ちも絶えず心にとどめながら、これの道に専念をしていただきたい、これを希望する次第でございます。と同時に、私は実は今回の質問をするに際しまして勉強をいたしました資料、郵便事業の健全な経営を維持する方策に関する答申という、これは四十八年十二月十三日の日付になっております。またもう一つ郵便料金改正に関する答申、これは四十九年十二月七日でございまして、一年の差はございますが、いずれも郵政審議会答申でございます。この一年前のものの郵便料金改正に関する二、三行の点をそれぞれ読み上げてみます。「この郵便料金改正が家計に及ぼす直接の影響は、ごく小さいものである。しかし、これについては、国営事業であるがゆえに一般に与える心理的影響を無視することはできないとする意見もあった。」こういうふうにここに特筆大書されております。ところが、もう一つの方には、「しかし、この料金改正案は従来になく大幅なものであって、直接間接に国民生活や経済一般に与える影響は軽視することを許さないものがある。」とこうなっておりまして、やはり多少ここにはニュアンスの違いが私には感ぜられるわけであります。こういうこと等も私は読んでおって、何か一年の差があるとはいいながら、同じ郵政審議会郵便料金改正に対しての姿勢がちょっと違うんじゃないかという気もいたしますので、実は私は前に申し上げた方が妥当かと考えておる一人でありますけれども、こういう点についてもより慎重であっていただきたい。以上要望でございます。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。
  16. 地崎宇三郎

    地崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————