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石井政府委員 お答えいたします。
最初に、このたびの
郵便料金の
値上げの案を
提案いたします場合に、いわゆる
弱者救済の面からの配慮はどういうことを
考えておるかという問題でございまして、今回の
料金改正の案をつくる場合に、御存じのとおりいろいろな経過がございまして最終的に九十円、五十円という一種、二種の
料金制度を
考えたわけでございますが、この配慮の中で特に
はがきの
値上げ幅を極力低く抑えまして、
郵政審議会の
答申では三十円という数字をいただいておりましたものを、まあ赤字を覚悟で二十円という低い
料金に抑えたいということも、全般的なそういった
利用者の方々に対する配慮を
考えたつもりでございますし、また、実施の時期を十月一日ということにいたしましたのも、そのような配慮から
考えたわけでございます。いまの
郵便料金制度の中で、いわゆる
弱者救済という観点に立って
制度を見てみますと、従来からありますものとしましては、御
案内のとおり、盲人用の点字でございますとかあるいは点字用紙、録音物を無料扱いにいたしておるわけでございますが、そのほかに身体障害者団体が発行する定期刊行物につきまして、普通の基準からいきますと私
たちの方のいわゆる第三種の認可を得るためにちょっと数字が足りないという面がございましたのを、特別の配慮をいたしまして現在第三種の認可を受けやすくして扱っておるわけでございます。この点につきましては、今後とも引き続き同様の
考え方で対処をしてまいりたいと思っておりますが、御
指摘のように、身体障害者団体の発行する定期刊行物の
料金につきましても、今回
提案申し上げております
郵便法の
改正案の中で、第一種、第二種の
料金が確定いたしました後で第三種の
料金を
郵政省令で定めなければならぬわけでございますが、その際に、身体障害者の福祉のあり方の問題とか、そのような団体の認定といういわば技術的な問題もございますから、そういった点等につきまして
関係省庁とも御相談して解決してまいりたいと
考えておりますが、その際、ただいまの御意見、特にそういった方々の出される
郵便についての、三種の
料金の決め方につきまして、ただいまの御意見を十分しんしゃくして
検討してまいりたいという所存でございます。
それから第三種全体につきまして、いろいろ今度の
郵政審議会から
答申をいただいております
内容は、先般来当
委員会でも問題が出ておりましたように、雑誌等につきましては十二円のところを約三倍の三十五円、それから
新聞等につきましては基本
料金六円を三十円という、基本
料金だけについて言えば五倍という面もこの
答申の中に入っておるわけでございます。こういった点から、少し
値上げ幅が現実には高過ぎるのではないかという御批判をいろいろいただいておるわけでございます。
三種につきましての基本的な
考え方につきましては、若干長くなりますけれ
ども、昔から
新聞、雑誌といったようなものは
社会、文化の啓発向上に非常に貢献することが多いということで、そういった
社会、文化の発展を助成するという
趣旨で沿革的に設けられたものでございまして、いまもそういう
意味で非常に安い
料金になっておるわけでございます。御参考までに申し上げてみますと、第三種の中で、たとえば中央
新聞を見ますと、現在朝刊は二十ページでございますが、大体目方といたしましては百二十グラムぐらいになっております。これを現在八円で郵送しておるわけでございます。御存じのとおり葉書がいま十円でございますが、十円の葉書の目方から言いますと、大体三グラムにも当たらない軽いものでございます。それらと比べますと、第三種のいまの郵送料というものは非常に安いということはおわかりいただけると思うのでございますが、その葉書でさえ現在十円では非常に赤字で、今度倍の
値上げをお願いしておるわけでございます。
そのようなことから言いまして、実はこの第三種の
制度について、いままでの沿革的な意義はともかくといたしまして、今後いつまでも現在のように大幅なコスト割れの
料金を続けますと、
郵便料金全体に結局しわ寄せがいくことになりまして、一種、二種等の
利用者の方々にこれを負担していただいておるわけでございますから、余り過度の
割引はいかがなものかということで、
郵政審議会の
答申で少し思い切った
値上げの
提案をしておるものと
理解しておるわけでございます。
そういうこともございますし、最近諸外国の例を見てみますと、たとえばイギリスではすでに
新聞等につきまして第三種の扱いをやめております。
郵便の第二種と同じ
料金——イギリスの場合は二速度
郵便ということでございまして、速いのと遅いのと
料金の差をつけておりますが、その遅い方の
料金と同じようなふうになっております。しかし、遅い
一般の
郵便と同じという
意味では、すでに第三種という特別な
制度はもうやめておると見ていいと思います。それからアメリカでも、今後五年ないし十年で個々の
新聞、雑誌についての優遇措置をなくしていく方針をすでに発表しておるようでございます。各国ともこの三種の
料金のあり方については非常に苦悩をしておるということも聞いておるわけでございます。私
たちといたしましても、
審議会の
答申の
趣旨を尊重しながら、今後いろいろな御意見をも伺って、慎重に決定してまいりたいというふうに
考えておる次第でございます。
それから最後にお触れになりました
封筒関係の業界から私
たちの方にもいろいろ陳情が参っておりまして、
関係各省にそういった陳情が行っておるように聞いておりますけれ
ども、確かに今回の
料金値上げが、
郵政審議会の
答申のように一種と二種との差が五対三——従来二対一だったものが少しその間が縮まることによりまして、そういう
封筒業界、これは中小
企業が多いわけですが、等からは、かなり
利用も今後従来どおりといいますか順調に伸びると見ておりましたのが、五対二という比率になりましたため、いわゆる一種から二種への移行がかなりあるのではないか、そういうことになりますと死活問題であるというふうなことで、今度の
料金値上げに対してそういう
意味での反対といいますか、もっとその差を縮めるべきであるというような御意見を私
たちも伺っておるわけでございます。私
たちの見通しでも、今度の
料金改定によりまして第一種の
郵便物の
利用は五十年度におきまして対前年比で六・二%ばかり
利用減を見込んでおるわけでございます。これは的確な見込みと言えるかどうかは別といたしまして、確かに今度の
料金の中では葉書が二十円という非常に低位に抑えられましたためのいろいろなそういった問題が派生的に起こっておるわけでございます。ただ私
たち、実はこういった業界からの陳情は承っておりますけれ
ども、さればといって、今度の
料金の五十対二十という数字は、コストその他から見ましても必ずしもわれわれも適切なものであるかどうか、今後ずっとこういった五対二というような比率で続けるのがいいかどうかについては、私
たちも意見を持っておるわけでございます。ただ
封筒業界の方々が御心配になるほど壊滅的な打撃を受けるかどうかにつきましては、
封筒業界というのはそういった
郵便のための
封筒のほかにもいろいろなものも生産しておられるようでありまするし、またある程度
料金値上げの当初はショック的なこういった見込み滅を予想されるのもやむを得ないと思いますが、長期的に見ますと、ある程度また
封筒は
封筒としての需要も安定して伸びていくのではないかというふうにも
考えておるわけであります。われわれとしては、むしろ
料金制度のあり方として継続的にずっとこういう比率がいいというふうにも必ずしも
考えておりませんが、現在のいろいろな物価情勢の中で
郵便料金の
値上げをやっていく際に、政治的な配慮と申しますか、先ほど申し上げましたような
郵便の
利用者が、特に
わが国の場合は葉書の
利用者が非常に多いわけでございまして、外国では葉書といいましてもせいぜい絵葉書程度でございます。一番葉書の
利用率の多い国は西ドイツと聞いておりますが、西ドイツでも全体の
郵便の中の大体九%ぐらいが葉書である、あとはやはり一種が圧倒的な多数を占めております。
わが国では葉書が全体の半ばを占めておると申し上げてもいいわけであります。こういった
利用率の高いものを特別に低位に抑えたということは、それなりにまた
利用者の方々に対する配慮という
意味で大きな
意味を持っておるものと
考えておるわけでございます。こういった業界にはそういった
趣旨をよく納得していただく以外にないと
考える次第でございます。