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1975-02-26 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十六日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    高橋 千寿君       水野  清君    金丸 徳重君       久保  等君    下平 正一君       平田 藤吉君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      佐藤  徹君         文部省大学局企         画官      勝谷 祐一君         文部省社会教育         局視聴覚教育課         長       佐伯 信男君         厚生省社会局生         活課長     石原 公道君         郵政省電波監理         局放送課長   河野  弘君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         参  考  人         (日本放送協会          会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     津金 佑近君 同月二十四日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     北側 義一君 同日  辞任         補欠選任   北側 義一君     田中 昭二君 同月二十五日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     竹中 修一君 同日  辞任         補欠選任   竹中 修一君     高橋 千寿君 同月二十六日  辞任         補欠選任   津金 佑近君     平田 藤吉君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     津金 佑近君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 二月二十一日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) 同月二十五日  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  号) 同月二十二日  簡易郵便局法等の改正に関する請願外二件(足  立篤郎紹介)(第六五三号)  同(大橋武夫紹介)(第六五四号)  同外二件(大久保武雄紹介)(第六五五号)  同(奥野誠亮紹介)(第六五六号)  同外三件(加藤六月紹介)(第六五七号)  同外十一件(木部佳昭紹介)(第六五八号)  同(楢橋進紹介)(第六五九号)  同外二件(二階堂進紹介)(第六六〇号)  同外一件(浦野幸男紹介)(第六七二号)  同(大野市郎紹介)(第六七三号)  同(小渕恵三紹介)(第六七四号)  同外一件(澁谷直藏紹介)(第六七五号)  同(熊谷義雄紹介)(第六七六号)  同外二件(久野忠治紹介)(第六七七号)  同(小島徹三紹介)(第六七八号)  同(近藤鉄雄紹介)(第六七九号)  同(正示啓次郎紹介)(第六八〇号)  同(瀬戸山三男紹介)(第六八一号)  同外二十五件(田中六助紹介)(第六八二  号)  同外八件(廣瀬正雄紹介)(第六八三号)  同外二件(藤波孝生紹介)(第六八四号)  同(三原朝雄紹介)(第六八五号)  同外一件(山中貞則紹介)(第六八六号)  同(赤城宗徳紹介)(第七七四号)  同(石田博英紹介)(第七七五号)  同(越智伊平紹介)(第七七六号)  同外七件(木村俊夫紹介)(第七七七号)  同外四件(竹下登紹介)(第七七八号)  同(渡海元三郎紹介)(第七七九号)  同(西村英一紹介)(第七八〇号)  同外一件(根本龍太郎紹介)(第七八一号)  同外一件(八田貞義紹介)(第七八二号)  同(村岡兼造君紹介)(第七八三号)  同(内海清紹介)(第八三一号)  同外二件(宇田國榮紹介)(第八三二号)  同外二十件(小沢貞孝紹介)(第八三三号)  同外四件(金子一平紹介)(第八三四号)  同外七件(櫻内義雄紹介)(第八三五号)  同外二件(竹本孫一紹介)(第八三六号)  同(根本龍太郎紹介)(第八三七号)  同(橋本龍太郎紹介)(第八三八号)  同外一件(服部安司紹介)(第八三九号)  同外三件(武藤嘉文紹介)(第八四〇号)  同外十六件(保岡興治紹介)(第八四一号)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十二日  郵便料金等値上げ反対に関する陳情書外五件  (第一三九  号)  電信電話料金値上げ反対に関する陳情書外六件  (第一四  〇号)  祝日等郵便配達廃止に関する陳情書  (第一四一号)  簡易郵便局取扱手数料引上げ等に関する陳情  書  (第一四二  号)  有線放送電話北海道全域接続に関する陳情書  (第一四三号)  難病患者が利用する電信電話料金等割引制度  実施に関する陳情書  (第一四四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本件の審査が終了するまで、随時参考人として日本放送協会当局出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  4. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。よって、     —————————————
  5. 地崎宇三郎

    地崎委員長 それでは案提理由説明を聴取いたします。郵政大臣村上勇君。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ三億八千万円増の一千三百十三億三千万円、事業支出は前年度に比べ二百十九億六千万円増の一千五百二十九億一千万円となっております。この結果、事業収支におきまして二百十五億八千万円の赤字となっております。この赤字は、資本収入資本支出差額二百十五億八千万円をもって補てんすることとしております。資本収支におきましては、中継局建設放送設備整備等のための建設費として、百三十億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送全国普及を図るため、放送網建設を行うこと、テレビジョン放送及びラジオ放送番組内容刷新を行うとともに、教育教養番組の利用の促進を図ること、積極的な営業活動を行い、受信契約者維持増加を図ること等となっております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  7. 地崎宇三郎

  8. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  協会昭和五十年度事業運営は、前年度以来の社会経済情勢の激しい変動と受信料収入の伸びの鈍化とにより、きわめて困難かつ重大な事態に際会しておりますが、四十三年度受信料改定以来七カ年維持してまいりました現行受信料の月額を、諸般の事情を勘案して、なお五十年度も据え置くことといたしました。したがって、事業運営においては新規計画拡充計画は厳しくこれを抑制し、極力業務合理化効率化を推進しつつ、あわせて国民の要望にこたえるため、放送全国普及に努めるとともに、すぐれた放送実施して、公共放送としての使命を果たすよう努力する所存でございます。  次に、その主な計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、、その規模を極力抑制することといたしますが、この中で、テレビジョン難視解消を最も重要な施策とし、百八十地区中継放送局建設を完成し、百二十地区建設に着手するとともに、辺地において共同受信施設を八百施設設置することといたしております。なお、このほか、沖繩県宮古八重山地区において、教育テレビジョン局五局の建設に着手することといたしております。  ラジオにつきましては、超短波放送局十局の建設を完成するとともに、十局の建設に着手することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送は、テレビジョンラジオ放送ともに、番組内容刷新することとし、内外の重要な諸問題に関する番組積極的編成聴視者参加番組刷新及び幼児、少年少女の健全な成長に役立つ番組編成等実施することといたしております。また、カラー放送時間を、教育テレビジョンにおいて一日一時間増加し、中学校向け理科番組等カラー化を進めることといたしております。  国際放送においては、ニュースインフォーメーション番組刷新を図るとともに、各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与することといたしております。  次に、営業関係につきましては、特に大都市を中心とした社会情勢の変化に即応した活動を積極的に推進することとし、聴視者理解協力を得るよう協会事業の周知に努めるとともに、電波障害対策等受信改善を積極的に行うことといたしております。  これらによりまして、極力、受信契約者維持開発に努め、受信料の確実な収納を図ることといたしております。  調査研究につきましては、番組面において、国民生活時間調査番組聴視状況調査等技術面において、放送技術新分野開発研究カラーテレビジョン改善研究放送衛星に関する開発研究等実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、厳しく経費の節減と業務合理的運営に努めるとともに、企業能率向上を図ることといたしております。  以上のすべての業務を通じ、事業計画の削減、繰り延べを徹底して経費の節約、抑制に努めることにより、要員数は前年度どおりに据え置くことといたしております。また、職員に対する給与については、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げます。  事業収支においては、収入総額一千三百十三億三千万円を予定いたしております。昭和五十年度における受信契約者の増減につきましては、カラー契約において百八十万件の増加を見込み、普通契約においては、カラー契約への変更等により百十三万件の減少、契約総数において六十七万件の増加を図ることとし、受信料収入を一千二百七十九億七千四百万円と予定いたしております。  また、国際放送関係等交付金収入三億五千万円、預金利息等の雑収入二十五億一千百万円を計上するほか、特別収入には四億九千五百万円を予定いたしております。  これに対する事業支出は、国内放送費を初めとする事業運営経費固定資産減価償却費支払利息等財務費固定資産売却損等特別支出及び予備費総額一千五百二十九億九百万円を必要とするため、事業収支において二百十五億七千九百万円の支出超過を来すこととなりましたが、これについては、資本収支差額をもって補てんすることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費に百三十億円、放送債券償還に十八億八千万円、放送債券償還積み立て資産の繰り入れに十二億九千八百万円、総額百六十一億七千八百万円を計上し、資本収入においては、これらに対する財源及び事業収支差金の補てんに要する資金をあわせ計上することとし、前年度からの債務返還繰越金八十七億円のほか、外部資金等をもって総額三百七十七億五千七百万円を計上いたしております。  以上、昭和五十年度日本放送協会収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、国民生活向上放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたし、今後の協会事業運営に当たっては、聴視者の一層の理解協力のもとに、協会全体の力を結集して業務全般にわたる合理的運営改善に不断の努力を傾注し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位におかれましては変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞ速やかに御審議承認を賜りますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
  9. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  10. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。羽田孜君。
  11. 羽田孜

    羽田委員 ただいま郵政大臣から提案がありまして、また放送協会小野会長からしさいにわたって御説明のございました昭和五十年度収支予算事業計画及び資金計画、これに関連いたしまして、しばらく質問をさしていただきたいと思います。  さて、本年は日本放送協会が設立されましてちょうど五十周年を迎えます。このことは、放送開始五十周年と言いかえても過言でないと思います。私はわが国放送の歴史を振り返ってみましたときに、特に戦後古垣あるいは永田、野村阿部、前田さん、それぞれ人格、識見ともにすぐれた当代一流の学者、ジャーナリストの方々が会長を務められ、すぐれたリーダーシップと独自のビジョンを持ってNHK経営に当たってこられた中に今日のNHK自主独立公正中庸の輝かしい伝統を築き、放送界にはもちろんのこと、わが国民主主義の発展、文化、学術、教育並びに庶民の健全な娯楽に果たしてきた役割りははかり知れないものと考えます。この機会に、いろんな御意見もございますけれども、私は率直に評価したいと思うわけでございます。  さて、このNHKも、現在厳しい経済環境の中で大幅な赤字を抱えるようになりました。あらゆる意味で戦後最大の曲がり角に来ていると言えます。こうした時期に、すぐれた実務家と言われ、特に行政手腕に定評がおありの小野さんが会長の座につかれたことは、私は大きな意義とまた期待をしておるものでございます。会長は、NHKの偉大な足跡を踏まえた上で、将来への新たなステップに向けてその基礎固めをされる重大な使命を担っていただかなければならぬと思います。五十年を迎え、新たな転機に立つこのときに、まず会長の抱負、ビジョンをひとつ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  12. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  まず、本年五十周年の記念の年を迎えるわけでございますが、今日の成長を来しましたNHKの現状にかんがみまして、これはひとえに諸先生方の非常な御鞭撻、御叱正のたまものであり、また国民各位の変わらざる御理解と御支援を賜りました結果でありまして、この機会をかりまして厚くお礼を申し上げます。  私、非常に非力でございますけれども、ちょうどそういった半世紀の成果を踏まえました今後の将来の一つのスタートに当たりまして、たまたま財政的にも大きな曲がり角に参っておろうかと思います。  ただいまの御質問にお答えをいたしますのには両面あろうかと思いますけれども、いわゆる企業経営といった態度の問題につきましては、とかく世間にはNHK膨張主義をとっておる、そのために赤字を来すのだというような御批判もございます。私はそのような方針はとらないのでありまして、決して膨張主義はとりません。きわめてコンパクトにむだを排し、高能率運営をいたしまして、協会経営の上に、国民に不要の御迷惑をおかけしないように心がけてまいるつもりでございます。  一つ放送に当たります態度でございますけれども、これは世間によくマスコミ界では、犬が人間にかみついてもこれは別段ニュースにならないけれども、人間が犬にかみつくとこれはニュースになるんだ、こういうような、それが基本にニュースの編集の態度として貫かれているやに伝えられます。私はそのような態度はとらないのでありまして、放送事業が、マスコミ社会に背負っております責務の重大さを考えますと、やはり明るい正しい豊かな社会を理想といたしまして、そこに人間関係に対する麗しい愛情を織りまぜた、そういう目をもって現実の事象をながめるべきではないか、かように考えます。そういうような態度でこの責務にこたえてまいりたい、かように考えます。
  13. 羽田孜

    羽田委員 ただいま会長からの御答弁をお聞きしまして、私も本当に安心するわけでございます。  私は次に申し上げたかった、いま会長から御答弁がございましたような問題についてお話ししたいと思ったわけであります。五十年度予算を拝見しますと、二百億円を上回るという大きな赤字となっております。また年度末には五百三十五億円に上るといいます借入金ができあがるのじゃないかというようなことも言われております。そういった中に非常に大きなビジョンを持っておったけれども、少々膨張政策というものが言われたのではないかと言われております。特に各地におきます放送会館、これは非常な便利をしている面もあるわけでございますけれども、こういった問題に対する批判、あるいは特に代々木の巨大な放送センター、また巨額に上りましたところのコンピューターのシステム化の導入というような問題につきまして、評価と同時にやはり相当大きな批判があったことも事実であるわけでございまして、ただいま会長の御答弁をお聞きしまして、私はこれからの新しいNHKの進む道というもの、これは非常に健全なものであるということを感じたわけでございます。  それでは引き続きまして、今度は内容に少し入ってまいりたいと思いますけれども、NHKは本来業務以外に少々よけいに手を出し過ぎてないだろうかということがございます。特に外部へ対しての助成、補助、こういったものの実態について簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  14. 山本博

    山本参考人 ただいま御指摘をいただきましたNHKの本来の業務以外にいろいろな業務をしているのではないかというお話でございます。  現在NHKには、五つほどNHK本来の業務と関連のある団体がございまして、その団体に対して年々何がしか助成をいたしております。そのほかNHK仕事をいわば契約によって請け負いまして、NHK仕事協力をしておるという団体もございます。しかし、NHK助成をいたしております団体はいま申し上げましたように五つでございます。  一つNHK交響楽団でございますが、これはNHK放送法に基づきます認められた業務一つといたしまして、こういう団体に対しまして助成をいたしまして、あわせて放送を通じましてこの交響楽団活動、こういうものもNHK側テレビないしはラジオを通じまして国民に音楽を聞いていただく、こういう活動をしておる団体でございます。この団体に対しましては年々助成をいたしてまいっておりますが、五十年度予算では三億一千万助成いたしております。これは四十九年度まで少しずつ助成額を上げてまいりましたが、五十年度財政事情から見まして、これは前年度並みにとどめてございます。  それからNHK厚生文化事業団というのがございますが、これはNHK放送の中で社会福祉事業に関するいろいろな問題を取り上げております。その団体に対しましてNHK側番組制作協力をしてもらうことによりまして何がしか助成をいたしております。これが二千二百万でございますが、これも四十九年度と同額に据え置いております。  それから日本放送協会学園がございます。これはNHK教育テレビを通じまして高等学校教育、こういうものに対するいろいろな努力をいたしておりますが、その一環といたしまして、この学園の実際の通信教育あるいは放送を通じての高等学校教育、こういうものの実施をしながら放送をさらに内容を高めていく、こういう関係にございます。これに対しましても五十年度五億ばかり助成をいたしておりますが、これも前年度並みに抑えました。  そのほか日本放送協会健康保険組合、それから放送協会共済会、これはそれぞれ法律に基づきました健康保険業務、あるいは日本放送協会年金業務、あるいは厚生活動、こういうものを放送協会との間にそれぞれ受託をした関係をもちまして仕事をいたしてまいりました。これはいままで申し上げた三つの団体助成額とは違いまして、完全な意味での業務に対する委託費として金額を渡しておる、こういう関係でございます。
  15. 羽田孜

    羽田委員 資料をちょうだいしまして、内容をほぼあれしておりますけれども、その中で特に、一九六三年でございますか開校されました、いまNHK放送学園の問題がございました。これは全国の働く青少年に高校教育の開かれた場所というものを提供してきたことによりまして、すぐれた教育成果を上げていること、このことを私どもは評価したいと思います。ただし、こういった文教行政にかかわる事柄に一般聴視者受信料を投入し、NHKがすべての責任を負うということは疑問なしとしないわけでございます。NHK学園に国費で助成することはできないのかどうか。本来でございますと、これは文部当局をお呼びをいたしましてお聞きするのが妥当だと思うわけでございますけれども、これについて郵政当局からでもひとつ御答弁をいただければと思います。
  16. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘ございました日本放送協会学園の問題でございますが、この学園NHK通信教育番組の利用を推進するという目的で昭和三十七年に設立したものでございます。今後、ただいま御指摘ありましたような問題につきましても、やはりNHKの自主性あるいはNHKのこういう問題に対する取り組み方、こういうものをいろいろ聞きまして今後検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  17. 羽田孜

    羽田委員 続きまして、これは分担金の方になると思うのでございますけれども、放送番組センターというのがございます。これに二億五千万円ほど助成をしておるわけでございますけれども、この放送番組センターの果たしてきた機能またあるいはその効果というものをまず聞かしていただきたいと思います。簡単で結構でございます。どなたでも結構です。
  18. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま羽田先生の御指摘の番組センターにつきましては、四十三年度以来NHKの「新日本紀行」その他ドキュメンタリーを中心とする教育教養番組を四十八年度までで五百八十三本提供いたしました。なお、本年度を加えますと、恐らく六百本を超えるのではないだろうかと思います。大体それは一つ番組が五年という範囲内において御利用いただくということで提供いたしまして、かなり民間放送において利用されている実績がございます。
  19. 羽田孜

    羽田委員 いまお話をお聞きいたしますと、この放送番組センターの役割り、またその効果というものは、いわゆる日本の放送界全体の一つのレベルアップ、それにNHKが大きな寄与をしておるというふうにうかがい取るわけでございますけれども、現在赤字を抱えまして、NHKがこれまでの行きがかりの上で惰性的にお金を出しているということについてちょっと私ども理解できない点もあるわけでございます。放送界のレベルアップという目的であるならば、民放界の拠出金、このバランスというものを考えていただくということ、それと同時に、こういったたしか目的で放送文化基金というものをつくったはずでございます。こういったものを活用することができないのかどうか。この点についてお尋ねしたいわけでございます。
  20. 小野吉郎

    小野参考人 番組センターへのNHKのいわゆる拠出金は、前年度四十九年度までは三億円でございました。その後放送文化基金もできておりますし、できればやはりこういった種類の助成放送文化基金が当たることが非常に妥当ではないかと考えます。ただ、基金の方もまだ現在基本金の収益をもって運営をいたしておりますけれども、まだその幅もそう大きくございません。将来この基金が漸次ふえるに従ってそういうふうな余力も出ようかと思います。現状にもかんがみまして、五十年度予算におきましては、三億のうち五千万円を放送文化基金にかわって出してもらうことにいたしまして、NHKの負担は五千万円減らして二億五千万円になっております。いずれ将来は文化基金の発展に伴いまして、そのような措置を広めてまいりたい、かように考えております。
  21. 羽田孜

    羽田委員 そうお聞きいたしまして、安心したわけでございます。  それではその次にお聞きいたしたいと思いますのは、ここの委員会でもしばしば論議されてまいりました受信料の未収、また未契約。この現状について、本当に簡単に御報告をいただきたいと思います。
  22. 川原正人

    ○川原参考人 受信料の未収の額につきましては、私どもこの四十八年度、九年度、あるいは五十年度予算当初におきましては、収納率をいずれも九七・八%は必ず上げるということで計画を進めてまいっております。ただ若干最近その数字に変動がございますが、最終的には四十八年度の分は初年度で約三十二億円ぐらいの未収金を出しましたが、これは、いま四十九年度において極力回収を図っております。最終的にはまだ決算の時期になりませんと見通しがつきませんが、できるだけの回収をいまいたしたい、かように考えております。  それから未契約につきましては、これは実は契約者につきましては私ども完全把握をいたしておりますけれども、そもそもテレビジョンを持っておられる世帯が幾らかというのが、いろいろな統計数字がありまして、なかなかそれが推定しか出ません。それで正確には申し上げかねるのでございますが、大体二、三年前話題になりました二百六十万とか七十万、これが多少いまふえて三百万前後まで行っているかと思いますけれども、これはあくまで一つの統計資料に対する私どもの契約の数字との開きで推定でございます。そういう状況でございます。
  23. 羽田孜

    羽田委員 契約されましたものの収納率につきましては非常に高いものであります。これは税金なんかに比べましても高いんじゃないかと思うし、また私ども自身営業なんかをやってまいりまして、それぞれロスというものは出てくる。そういった中である程度やむを得ぬものだとは私は思います。しかし、やはり払っている人と払ってない人があるということは、これはどうしても不公平感を呼ぶものでございますので、これは極力御努力いただきたいということを要望したいと思います。  なお、いまお話がございました二百六十万から三百万前後にわたります未契約、この問題につきまして、従来から皆さんから御指摘がございました。特に、会社ですとかあるいは事務所、ホテル、こういったところはなかなかこれは調べにくいというような実態もございますけれども、こういったところだからこそまた支払うことも十分できるはずであるわけでございまして、そういった方たちの件名というものを特にお願いしたいと思うのです。  特に私はきょうここで申し上げたいと思いますのは、以上に関連いたしまして、一部の人たちの中にいわゆる不払い、契約拒否というものを特に扇動している方たちがございます。ここにいまございますけれども、いろんな資料があります。「あなたもNHK受信料支払い拒否を」しましょう、これは東京都小金井町のNHK視聴者会議というので、特にこれはNHKに対してのものであります。それから「放送市民」というようなパンフレットなんかも「NHK不払いの方法教えます」、付録としまして「不払いシール」なんというのがございます。また、こういった問題をいろいろと検討していくのに、「全国放送市民センター入会のおすすめ」なんというのがございまして、一口会費は百円ですけれども、何か千円ぐらいになるわけですね。一カ月が百円ですから大体千円になるわけでございます。二口以上ということになっておりまして、たしかいまの受信料、カラーテレビにしまして四百六十五円、白黒ですと一カ月に三百幾らでございます。これに対して、何か私これをずっと読んでみますと、こんなものを払うくらいだったら晩のおかずに回した方がいいなんて言っておりますけれども、この中で百円、二百円という金を集めて会議を持っているということ自体にも私は非常におかしなものを感ずるわけでございます。特にNHK受信料につきましては、放送法の三十二条「協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」という項があることはもう御存じのとおりでございます。そうして「協会は、あらかじめ郵政大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項、本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。」という規定がございます。これは文化というものについては、その罰則とか罰金とかいうものは課さないという一つの精神がございますけれども、これは明らかに法律でございます。法治国家においてこういつたことが実際に行われ、しかもそういった運動が繰り広げられるということは、これはゆゆしい問題だと思う。もちろん私どもでも、NHK放送を見ておりまして、いろんな不満に思うこともある。また反対の立場の人から見たときに不満なことがある。しかし、私は前段にも申し上げましたように、おおむね全体の放送を通じて、中正というもの、厳正中立というものに非常に苦労されておる。それだけに今度は何か無性格じゃないかという表現さえ出てきておるという、これだけの努力をされておる。そういったものに対して、こういった、しか法律を犯すことを勧める、このようなことが許されるということは非常におかしな状態じゃないかというふうに私は思うわけでございまして、これについては郵政当局一体どんなふうに考えていらっしゃるか、特にお聞きしたいと思います。
  24. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  NHK放送を受信することができる受信設備を設置した者は、放送法NHKと受信契約を締結することを義務づけられております。これに基づいて受信料を支払わなければならないことは当然のことでありまして、御指摘のような受信料の不払いを扇動するような行為は法律を全く無視したものとして遺憾に存ずるところであります。
  25. 羽田孜

    羽田委員 この内容をよく読んでおりますと、一人一人の人が、たとえばこれは問題が出てきた、そういった場合について裁判をする、たとえば裁判にかけるというような問題、しかし数が多くなれば多くなるほどNHKは困るであろうというようなことまで書かれておって、絶対にNHKはそんなことはしっこないんだというようなことまで書かれておるわけでございます。私は、こういった問題に対して、ただ対抗したり取り締まるだけがあれじゃございませんけれども、また人の主観によるものでございますからいろいろなむずかしい点はあると思います。しかし、やはり集金人の皆様方にもまたNHKの職員の皆様方にもよく教育なさって、ともかく自分たちとしてはありとあらゆる努力をしながら厳正中立を保つためにやっておるんだ、それと同時に少しでも皆様方のいろいろな生活にプラスになるような番組をつくるのに懸命な努力をしているんだ、ぜひともひとつお支払いいただきたいという、これからもひとつ説得努力というものを十分にやってくださることをお願いしたい。また、こういうことが許されておりますと、それこそテレビを支払って見ている方たちにまた不公平感というものをわかしてくる原因にもなるのでございますので、その他につきましても、特にNHKからも御見解をいただきたいと思います。
  26. 小野吉郎

    小野参考人 私どもといたしましては、やはり受信者の信頼とまた理解の上に立っていくことが一番最善の方法でございます。法律規定もさることながら、そういった面を非常に厚くいたしてまいることによりまして、円満に払ってもらうようなことをいたさなければならないと思います。その努力を続けておるわけでございますけれども、いまのような非常に多数を誘って不払い運動をやる、こういうことは法律上もやはり許されることではないと思います。  ただ問題が個々に非常に多くにわたりますと、一々それに対して恐らく訴訟もようしないだろう、経費がかかるので訴訟倒れになって、それはやらないだろうという、たかをくくられておる、弱点を見抜かれたところもございます。しかし、それが過度にわたりますと、現行の刑法あるいは民法の損害賠償等におきましても、一定の損害がはっきり確定できれば、これはやはり法に解れる問題でございます。要は、私が最初に申し上げましたような、私どもの誠意ある努力によってこれを打開すべきでありましょうけれども、やはり一面には善良な受信者と申しましてはあれですけれども、本当に気持ちよく払ってもらっておる向きから言えば、そういうような行動は非常に不公平だとNHKが指弾を受ける立場に立とうかと思いますので、そういうことをかね合って善処してまいりたいと思います。
  27. 羽田孜

    羽田委員 ぜひひとつこれは一日も早く解消されるように御努力をお願いしたいと思います。  次に、前項に関連いたしまして、収納方法についてちょっと申し上げたいのですけれども、ある週刊誌には、「NHK赤字のもとは受信料集金人の人件費」という見出しで、特にその人件費について指摘されておるわけでございます。私もこれは調べてございますから、その実績を申し上げますと、職員の方によるものが二・八%、一般委託者たとえばその専任の方が二八・八%、あるいは地方における兼業者が二三%、また郵政に委託しているものが一二・五%、振替口座によりますものが三二・三%、その他直接放送局等に持ってくるのが〇・六%ということでございます。確かに、指摘にございますように、このために百数十億円か何か、ちょっと私いま数字を落としてございますけれども、かけておるということでございます。ひとつぜひこの点につきましては、最も費用のかからない方法——口座からの振りかえというものも大体限界に来ているのじゃないかという見解を私は承っておりますけれども、だんだんこういった方法がいま定着化しつつございますので、これが一番費用がかからぬと思うもので、ぜひその方法をお進めくださるようにひとつお願いしたい、これはひとつ要望で申し上げておきます。  さてその次に、やはりこれもよくこの委員会で論議されてまいったわけでございますけれども、難視聴の問題でございます。この難視聴には、ビルの谷間、ビル陰によります難視聴という新しい問題も起こっております。また従来から何回も論議されておりますのは、僻地における山の陰、こんなものによる難視聴、これについては、今年度予算は総需要抑制という問題もございましょう、またいろいろと経費が上がってきたという中で、どうも実際に進める数というものは減っていくのじゃなかろうかということが予測されておりますけれども、これについては、そういう僻地であるからこそ一層そのテレビというもののありがたさというものがあるわけでございまして、これについては特にお進めいただきたいということを申し上げたいと思います。  それともう一つは、ローカル難視という言葉でたしか呼ばれておったと思いますけれども、いわゆる県境にあります所、たとえば私の県なんかでいきますと、山梨県側に面しておる所、ここの場合には、山梨県の知事さんの顔は見、そうして政見放送も山梨県の候補者の顔は見る。しかし、長野県の候補者の政見放送は聞くことがなく、長野県の知事の顔は見ることがない。もちろん県民へのサービスの放送も聞くことができないという中で、非常に辛い思いをしておる。特にこういう所は、県境にあるために、いつでも行政の中から置き去りにされておるというような、一抹のさびしさというものを持っている人たちが多いわけでございまして、こういったものについての対策、これは従来からも進めていただいておるわけでございますけれども、この点につきまして一体どんなような状況で進めようとしておられるか。また、いまどの程度に進んでおるか。これも簡単にひとつお聞かせいただきたいと思います。
  28. 藤島克己

    ○藤島参考人 ただいまの御質問、私どもはかねがね難視聴については、当委員会予算審議の過程で、必ず難視聴解消に努力せよという附帯決議を毎年つけていただいておりますし、また放送法では私どものやるべき当然業務と明確に規定されておりますので、いつの時代でも、難視解消ということは万難を排して最重点事項で実施してまいったわけでございます。五十年度につきましても、実は先ほどから説明がありましたように、建設の全額は昨年に比べまして約十億減額いたしまして、総額百三十億になっておるわけでございますけれども、その中でも、特に難視解消につきましては昨年と同額の五十億を計上いたしております。ただ、いまお話もございましたように、金額的には同額でございますけれども、この物価高の時世でございますので、実際の設備は、同額にいたしますと昨年よりも約一割方数が減ってまいりまして、私どももこれは大変遺憾なことでございますので、何とか昨年並み努力いたしたいといろいろ考えてみたわけでございますけれども、結果的にはサテライトの置局が百八十地区、共同受信設備の設置場所が八百地区、合わせまして九百八十地区にいま申し上げました置局と共同受信、いろいろ取りまぜまして難視解消に努力をいたしたい。その結果、五十年度に解消いたす予定の難視の数は約十万でございます。昨年は十四万でございまして、それに比べますとかなり落ちているように思いますけれども、御承知のように、地区に過疎地帯、散在地帯が入っておるものですから、同じような数をやりましても、それでカバ一する世帯の数はだんだん減ってまいります。そこでことしもいろいろ工夫をいたしまして、できるだけの効果を上げたい。それから、これから先も、財政がもし許せばもう少し上回った状態での解消に努めたいと存じておりまして、先ほどおっしゃいました全国難視という数が、ちょうど四十九年度末で大体九十万と私どもは算定をいたしております。その九十万のもうちょっと内訳を簡単に申し上げますと、そのうちの六十万世帯ぐらいは大変な過疎散在地帯になりますので、いまのやり方を続けてまいりますと、一世帯当たりの施設に必要な金が十万円とか二十万円とかいうことに相なりまして、大変効率的ではございません。したがいまして、これはかねがね放送衛星その他新しい技術の開発、そういうもので何とか対処してまいりたいと考えておりますが、その残りの三十万というのは、いまの技術をもう少し改善いたすかっこうで今後努力をして、大体五十三年度ぐらいまでにはその部分だけは解消いたしたい、かように考えております。  それからもう一つ、いま御指摘ございました県境のところのローカル難視でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、ああいうところをサテライトいたします場合は、親局から逐次電波をリレーしてまいるわけでございますけれども、その県域の地形によりましては自分のところの電波はリレーできないけれども、隣の県の電波ならばリレーできるというのが出てまいりますものですから、いま御指摘のような問題が出てきているわけですが、これも全国難視の解消の過程において逐次修正をしてまいっておりまして、その部分だけを申し上げますと、これも四十九年度末で大体十四万ぐらいはあろうかと思っております。ただいまのお話の選挙放送あるいはその他の県民のサービス放送の場合には、できるだけ隣の県との番組編成上いろいろ工夫をいたしまして、余り相互が支障がないように現実にはいたしておるつもりでございますけれども、なお落ちこぼれる点もあろうかと思いますが、できるだけその面で努力をしてまいりたいと思っております。
  29. 羽田孜

    羽田委員 そういったそごがないようにあれされておるということなんですけれども、現実には実際に見えないという所が大分ございまして、私どもにもいろいろと声が出ておるものですから、この問題はNHKだけに責任を負わせるというような性格のものじゃないと思うのです。やはり郵政当局あるいは自治体との協力というものもちょうだいしなければいけないのじゃないかというわけでございまして、この拠出金等につきましても、これは御答弁結構でございますから、放送協会と十分検討していただきたいということをひとつ要望で申し上げにおきたいと思います。  次に、国際放送についてお尋ねしたいと思います。  これは従来も、ちょうどお隣にいらっしゃる阿部委員からなんかも御質問があったわけでございますけれども、この国際放送について一応二つの分野があるというふうに私は承知しております。二十一カ国語ですかによります放送、これは世界に開かれた日本の顔というものを知らせておるということで非常に大きな役割りを果たしておる。特に、私どもはあっちこっちの国を毎年回って歩きましていろいろと聞きますときに、他国の放送と比較しましていわゆるイデオロギーといいますか押しつけがましいものがない。日本の実情というものをよく知らせてくれておる。また最近特に日本の実情を知りたがっている人が非常に多いわけでございまして、こういった放送の充実というものを一層やっていただきたいということをお願いしたいのです。それと同時に、日本語によります放送、これは各国の大使館員はもちろんのことでございますけれども、外国航路に従事する人々あるいは在外で活躍する人たちの本当に唯一のよりどころでもあるということでございます。そしてもう一つ、最近日本語を勉強する人たち、これが共産圏を含めまして非常に多くなってきた。この人たちの好適な教材であるというようなことでございまして、またその人たちを通じて日本の実情も知っていただくことができるわけでございます。しかし、残念ながらこの放送が、あちこち回って歩いておりますと、全然聞こえないという地区が非常に多いわけです。しかし、これをそれこそ世界にあまねく届かせるということになりますと、これはやはりそれぞれの各国の実情また事情というものもあると思います。どこの国でもやはり、電波はわが国家の物なり、という非常に強い鉄則もあることでございますので、なかなかむずかしいと思いますけれども、この問題についてもっともっと届けようという努力をなさっておるのかどうか。また最近実際によその国と置局の問題につきましての交渉をしたり何かした例があるのかどうか。そんなことを簡単にひとつ時間がございませんのでお聞かせください。
  30. 橋本忠正

    橋本参考人 ただいま先生御指摘のように、私たちの国際放送ラジオ・ジャパンは、日本の実情を知らせる、あるいはまた海外におる日系人、日本人に情報並びに娯楽を与えるということで日夜努力してまいっております。御指摘のように、ある地域によっては聞こえないといいますか受信状態が安定しておらない地域がございます。しかしながら、一般に受信状態が安定しておらないという地域でも、場所によってあるいは季節によって、あるいは一日のうちのまた時間によって、安定する場合もございますし、不安定な場合もございます。そこで、これを安定する、いわゆる聞こえるようにするにはどうしたらよいかということも、もちろんわれわれは常日ごろ研究し、検討し努力してまいっております。  いままでやってまいった点を若干ここで申し上げますと、一つは、ただいま申し上げましたように、果たしてどの程度の受信状態であるかという調査をしなければならないということで、私どもは外国におよそ百六十名のそういったモニターを委嘱いたしまして、そういった人たちから随時そのときの状態をレポートして、それをわれわれは分析しているということもございますし、昨年は外務省、郵政省それから国際電信電話株式会社、NHKと四者の専門家を海外に派遣いたしまして、中南米並びにアジア、アフリカ等の調査をいたしました。そういった、まず実情を把握するということが一つございます。二つ目は、国内の中波と違いまして短波でございますから、アンテナをどうして張るとかあるいは機械をどうするかとか、いろいろ受信側の理解が十分でないという点もございますので、どうやったらラジオ・ジャパンが聞こえるかというふうな手引き、パンフレットをつくりまして、外国にそういうものも配布しております。それからもう一つは、われわれといたしましては、先ほど触れましたように相手の地域の一番聞かれやすい時間に電波を送るということで、送信の時間を地域によっては若干変更してまいっております。つまり、これは相手が受け入れやすい、受信状態のいい時間をねらってやる。以上三つでございまして、これはわれわれすでに過去において努力しておりますし、現在も将来もこの点については努力してまいりたいと思います。  しかしながら、これだけでは根本的な受信状態の改善にはなりません。そこで大変むずかしい問題がいろいろございますが、ただ方法として申し上げますと、たとえば送信の力をアップする、つまり送信の出力を増強する。それから周波数の波をたくさんふやす。つまり、同じ内容のものをたくさん出しますと相手側はそのたくさんの波の中から一番いいのを選ぶという、周波数の数をふやすという問題がございます。その次は、外国に中継所を設けるという問題もございます。これはアメリカのボイス・オブ・アメリカあるいはイギリスのBBCはすでにやっております。しかしながら、これを日本でやるということになると、そこには非常にいろいろな大きな問題がございます。それからもう一つは、外国のそういう中継所を、金を出して賃貸しで、一定の時間借りるという方法もございます。それから、外国の放送機関との間に相互に電波を融通し合うといいますか、その送信施設を相互に共用し合うという問題もございますが、ただこれは経費だけでなくて、法規上の問題あるいは外交上いろいろ微妙な、大変むずかしい問題がそこに含まれますので、実現はたいへんむずかしいのでございますが、ただ方法としては以上ございまして、最初に申し上げた三つの点についてはわれわれ努力しておりますし、今後も努力したいと思いますが、後の三つ、四つの点については、方法論ではございますが、これは大変むずかしい点がありますという点だけ指摘さしていただきたいと思います。
  31. 羽田孜

    羽田委員 放送法の第三十三条(国際放送実施の命令)「郵政大臣は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」そして(国際放送等の費用負担)第三十五条「前二条の規定により協会の行う業務に要する経費は、国の負担とする。」という項目がございます。いまお話をお聞きして、国際放送の非常なむずかしさという点についてはよく理解したわけでございますけれども、わが国というものがやはり世界各国相互扶助といいますか、そういった立場の中に置かれておるということで、国際放送というのは私は本当に重要な使命がある、そしてまたこれは国家的な大きな使命があるのじゃないかというふうに思います。そういった中で四十九年度予算を見ますと二億四千五百万円、これを郵政省の方から出しておる。それに対しまして、近来まれに見る増額ということで本年度九千七百万円増額されておる。合計三億四千二百万円でこの事業を行わしておるわけでございますけれども、一日三十七時間放送するうち、命令によるもの、これは区分するのはなかなかむずかしいようでございますけれども、おおよそ二十三時間ほどだそうでございます。しかも、この重要な放送に費やしておる費用というのは二十一億円ということで、全体的にも少ないわけでございますけれども、NHKが二十一億円も負担しておるということでございまして、いろいろな命令による放送が二十三時間もあるという比率からいきましても、どうも国家がこれを負担しておる面が少ないのじゃないかということが考えられるわけでございます。時間がございませんので、お答えは結構でございますが、この国際放送というのは本当に重要なものでございますので、ぜひともひとつ外務省当局とも御協議いただきまして、もっともっとこの増強に対して積極的に補助されますこと、またNHKとしましてもこの国際放送をいよいよ充実するためにこれから積極的な御努力をくださいますことをここで要望申し上げたいというふうに思います。  もう時間が本当に迫ってきましたからざっとあれしますけれども、話は全然飛びますけれども、予算総則の第四条第二項、こういったものが本年初めてお目見えしたわけでございます。この経過というものは、私もいろいろ調べまして聞かされておりますから承知しております。そして、昨今の経済情勢の中でこの措置というものはやむを得ないものだということを私自身も感ずるものでございます。しかし、もしこれを適用しなければならぬような異常事態というものが出来するというときに——予算というものは国会で承認された予算でございます。そしてその費用というもの、その経費というものにつきましては、事業計画なんかに非常に大きなウエートを占めているものでございまして、こういったものにひとつ支障を来さないようにより慎重に扱っていただきたいということを要望したい。それと同時に、この二項というのは、あくまでも今日の本当に異常な状態——最近一応一五%以内に物価の上昇がおさまる、あるいは来年度は一〇%以内におさまるであろうということでございます。そういったある程度平常な事態になったら、この項目はまた当然排除されるべきものであるというふうに思うわけであります。ですから、一点はこれを慎重に扱ってもらいたいということ、もう一点はこれはやはり従来に戻るべきであろうというふうに思うわけでございますけれども、これは本当に簡単にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  32. 小野吉郎

    小野参考人 お説のとおり、予算は国会の御承認を得て執行するものでございます。現在の予算総則に追加いたしましたこれは、現下の非常事態に際しまして、これに対処するために必要やむを得ない措置でございますので、この適用に当たりましては、国会の予算審議のたてまえを乱さないような範囲において適用されるべきものと思います。それと、一般との給与の水準もございますので、そういう面も十分に見ながら、しか予算の国会審議のそれを無視しない形で慎重に配慮すべきもの、適用すべきものと考えます。  第二段の問題につきましては、問題が平静な状態になればこういった総則は適用の余地がない、かように考えますので、これは十分に労使の間で事前に給与をはっきりと決め得る問題でございますので、おそらくこういった総則の適用の場はないということをはっきりとお答え申し上げます。
  33. 羽田孜

    羽田委員 ぜひひとつ慎重にお扱いいただきたいと思います。  もう時間がいよいよあれしましたし、御指摘もございますので結びに入りたいと思いますけれども、私いまここでちょっと興味深い新聞記事を御紹介したいと思うのです。  これは私の郷里の信濃毎日新聞の記事でございます。「日本と日本人」という特集がございます。「難局切り開く道」、これは実は信濃毎日新聞の記者が中山伊知郎さんに、これからの日本というものはこの難局をどう切り開いていくかということで聞いた記事ですが、その中で、中山さんが最近非常におもしろい文章にぶつかったというのがあります。これをざっと読みます。一月四日のロンドンエコノミストに大変注目されることが載っていました。マックレーという編集次長が書いたものである。一九七五年から二〇七五年の一世紀は太平洋の時代ということで、日本のことを書いている。それは、一七五〇年から一八五〇年はいわゆるイギリスのユニオンジャックの時代であった。いわゆる軍事力を使って、植民地政策をとって世界の覇権を握ったということであります。そうして一八五〇年から一九五〇年はアメリカの世紀だったというのです。これは、アメリカはイギリスの軍事力にかわりまして、ドルというものの威力によりまして世界の覇権を握った。しかし、これは双方とも世界から総スカンを食らってしまって、いま一つの敗退の道をたどっておるということであります。その中で、彼はいわくに、日本はそのまねをしてはいけない、日本は自分の築く一世紀を、日本の文化力でへゲモニーを握るようにしてもらいたい、そうすれば英米のように失敗せず、本当に世界への最大の貢献ができるんじゃないか、ということを言っておるのです。そこでマックレーはこんなふうに言っております。日本の役割りというのは文化で貢献してもらいたいということなんです。一番発達しそうで発達しないのは放送文化じゃないか。ラジオテレビは新しい思想や芸術の表現形態としてずっと伸びてきている。しかし、不幸にしてその新しいメディアにふさわしい固有の文化はつくられておらない。これを本当に築き上げることができるのは、技術的にも非常な能力を持ち文化理解力にも非常にすぐれている日本人ではないか。印刷技術の発明、それはたった一つの機械的、技術的発明で新しい文化をつくりました。それに比べれば、今日の電子の放送技術というメディアの発明は大変なものです。それなのに呼応する新しい文化がないということです。今日の放送文化内容というのは、大体既成の芸術を伝えること、十七、八世紀あるいは十九世紀文化の繰り返しです。残念ながら、ラジオテレビができて、これが特有の文化だというのはないんです。ひとつぜひ日本で特有の文化を生み出してもらいたい、という記事があります。この仮説が正しいとするならば、放送の及ぼす影響また放送時間からいきましても日本は大変なものがある。そういった意味で、この仮説が正しいとしますと、その担い手というものは、私はやはり日本放送協会NHKがその旗手であると言っても過言ではないというふうに思うわけでございます。そうして、冒頭でも触れたようにNHKは新しい転機に立っていることは間違いない事実だと思います。そのためには、何よりも協会の財政基盤というものが健全であるということが不可欠であるわけです。しかし、受信料によります増収というものはもはや余り大きく期待ができなくなってきた。それどころか、ポスト・カラーというような言葉がもうあちこちに飛び出してきております。いままでカラーテレビの普及によって受信料をどんどん上げてくることができたわけでございますけれども、私はここでポスト・カラー、この時代に協会としてはどのような方法でこのむずかしい時期を乗り切ろうとしておられるのか。本当に会長の忌憚のないところの御発表をひとつお願いしたいというふうに思うわけであります。
  34. 小野吉郎

    小野参考人 大変示唆と勇気づけられる一つの仮説でございます。そのように推移するといたしますと、われわれ放送を担っております者の責任は非常に重大であろうと思います。私は冒頭に、今後の経営の基本姿勢としてどう考えるかと言われる、それのお答えといたしまして、きわめてコンパクトな、むだのない、効率高い運営を目指しておる、決して膨張主義に走らない、こういうことを申し上げましたけれども、問題は、量的膨張は考えませんけれども、質的の向上は常にこれを考えなければならない問題と考えております。特に、そのような仮説のような推移になるといたしますと、いろいろな放送関係も、国境の隔たりによってその政治体制の中でいろいろな違いもございましょう、いろいろな微細な——国家の非常な利害に関するものではなかなか手をつなぐことができないかもわかりませんけれども、少なくともそういう文化活動、世界の平和運動、こういったものについては国境の差なく、放送一つの世界を目指し得ると考えます。しかも、文化的な活動の中に新しい一つの構想を開発し、これを育成することによって、そういった推移にも耐え得るような用意もしなければなりませんし、そのような責務を担っていかなければならない、かように考えております。
  35. 羽田孜

    羽田委員 いまその姿勢についてお伺いしたわけでございます。また中に、その経費の節減、いろんな努力を続けていこうというお考えでございます。私は、それは非常にりっぱなことだと思う。ただ、今度の予算、これが世の中に出ましたときに、ちょうどここに持っております週刊誌の切り抜きなんかを見ましても、これは値上げへの一つのあれじゃなかろうかというようなことも言っておりますけれども、その辺について、私た何も値上げを望んでおる者ではございませんけれども、いわゆる財政基盤の確立ということをただその節約だけで今後できるのかどうか。この点について、ひとつ会長の忌憚のないところの御意見をいただきたいと思います。
  36. 小野吉郎

    小野参考人 良質のサービスを最も低廉な負担によって遂行するということが、私どもの第一義の義務であることは十分心得ております。ただ、何分にも、現在の二百十六億の赤字の原因を分析いたしてみますと、いわゆるカラー契約の伸びももう期待できません。今日では、全契約の中でおおよそ八五%はカラー契約が占めておりますし、限界に達しておるものと考えます。年々そのような状況は深刻になりつつありまして、そういった意味の発展を期し得ない。これはやはり、過去の推移から見ましても、昭和四十六年度には受信料収入が前年度に比較いたしまして一〇・六%あったのでありますけれども、次の四十七年には一〇%になりました。この辺のところはまだいいのでございますけれども、この四十七年にすでに沖繩返還を控えて八億二千万の赤字を計上いたしました。その後田村町の土地が高く売れましたのでどうやらもてたのでありますけれども、四十八年になりますと六八%でございます。四十九年度は五六%に収入の伸びは落ちております。五十年度はどう努力をいたしても四・一%しか見込めない。そういう状況と同時に、昭和四十三年にカラー料金を設定いたしまして以来七年間、受信料額については何ら変更を加えておりません。しかも、その水準を諸外国と比較いたしますと非常に低位でございまして、大体カラー料金は白黒料金の倍ぐらいを取っておるのが各国の例でございます。NHKは五〇%増ぐらいのところでございますけれども、その比率はともかくとして、現在の料額を比較いたしましても、放送時間は世界で一番多くて、しかも料額はBBCが今日八千四百円でございます。これはNHKの五千五百八十円に比較をいたしますと、約五割ぐらい高い料金でございます。これでも二千万ポンドの赤字を抱えて、四月一日からはカラー料金約五〇%の値上げが実現するようでございます。そうなってみますと、NHKの料金の倍額以上になります。西独その他の関係を見ましても、大体倍から三倍、スウェーデンあたりは日本の四倍、こういうことになっております。この料額を平面的に比較はできませんけれども、そういうような状況からこういった赤字が出ております。  私どもは、冒頭に申し上げましたような、いいサービスを低廉な御負担においてと申しますけれども、これにも限界がございます。もちろん合理化なり効率化なり、これに大いに努めなければなりませんけれども、今後の推移を見ますと、とてもそれだけでは追っつかない。となってみますと、やはり必要最小限の料金に対する負担増については、これは御理解を賜わらなければならないのではないか、かように考えております。
  37. 羽田孜

    羽田委員 会長からいまお話がございましたように、私どももいろいろな統計資料等を拝見いたしまして、あるいはNHKの良質的なサービス、そういったものを見ましたり、あるいは番組内容といったものからあれしましても、決して高額なものではないということは十分承知しております。しかし私は、それはやはりいままでの経営努力でありますとか、いろいろな皆さん方の御努力によってここまで来られたわけであります。ですから、厳しくなってきたからどうぞお上げくださいと言うわけにはまいらぬわけでございまして、もう本当にテレビというものは普及率が余りにも高くなってきただけに、やはり国民生活——この金額が多少上がっても生活そのものに響くということは私は少ないと思う。しかしやはり、こういういった時世の中にありまして、テレビというものものにはほとんどの人がみんな関係しておるという中で、この値上がりということがございますと、国民に与える影響、いわゆるインフレマインドというものを引き起こす原因にもなるわけでございまして、ひとつ十分に慎重に検討されまして、できるだけの経費の節減、効率よい運営というものを図っていただいて、なるべくひとつ時期を延ばしていただきたい、ということを私は最後に強く要望いたしまして、また郵政当局にもその内容を十分によくごらんいただくようにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  38. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次に阿部未喜男君。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 協会の皆さんは、本日お忙しい中を参考人として御出席をいただきまして、大変御苦労に存じます。  先ほど大臣からの意見書についての説明があり、また協会会長からも補足の説明をいただきましたので、それらの問題につきまして若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず郵政大臣にお伺いしますけれども、この大臣の提出をされました意見書でございますが、きわめて抽象的で、われわれもなかなか理解に苦しむところでございます。確かに、昭和五十年度協会予算がその収入、支出に当たっておおむね適当であるということについて異議はございませんけれども、しかし明らかに、昭和五十年度において二百十六億という赤字予算であることにこれは間違いがないわけでございます。もちろん郵政省が放送内容等に介入をしてはなりませんけれども、協会がこの膨大な二百十六億に及ぶ赤字を抱えて運営をしようとするに当たっては、放送法三十七条で郵政大臣がこの予算書、事業計画資金計画については意見を述べることになっておるわけでございますから、たとえば協会がこれからの協会運営資金画計等について長期的な展望——今日長期展望が無理であるとするならば、せめて三、四年の中期的な展望ぐらいのものはつくるようにという意見があってしかるべきではないかと、まず私はこういうふうに考えますが、大臣のお考えを承りたいのです。
  40. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  五十年度収支予算事業計画等を見ますと、事業収支において不均衡を生じておりますが、これは受信契約の伸び悩みにより受信料収入が頭打ちとなっているのに対し、支出面においては最近の物価上昇による支出増が避けられないので、やむを得ず生じたものと考えられます。また、の実施に当たっては、苦しい財政事情のもとで放送全国普及に努めるなどいたしまして、公共放送使命を果たそうとしているものと認められますので、計画全体としてはおおむね適当であると判断したものであります。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣の御答弁、私の質問に対しては全然答弁になっていないのです。そのことはちゃんとここに書いてあるのです。監督官庁として特に意見を述べるようになっておるわけでございますから、明らかに二百十六億の赤字があるんならば、これからの協会資金計画等についての中期的あるいは長期の展望というふうなものを意見として述べてよかったのではないかという例を申し上げたのですが、郵政省にお伺いしてもしょうがないでしょう。  そこで会長にお伺いしますが、同じ内容ですけれども、協会の今日の厳しい経営環境等について、特に視聴者である国民理解を得るためには少なくともここ三、四年、できるならばもう少し長期にわたっての協会としての展望と申しますか計画というものを発表して、それに従って視聴者、国民の納得を得るような措置が講ぜられるべきではないかと思います。確かに最近の物価の変動の激しい中で困難な問題であろうと思いますが、それなくして国民、視聴者の理解はなかなか得られないのではないか。そういう意味から、中期展望なり長期展望というものについて協会が何か計画をお立てになっておるかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  42. 小野吉郎

    小野参考人 お説ごもっともでございまして、このような予算の、それは単年度の扱いでなしに長期の見通しの中における位置づけをすべきでございましょう。ただ、いま非常に変動の激しいときでありまして、いろいろな指標を確定いたしますのに非常に困難を感じております。いろいろな作業はいたしてはみたのでございますけれども、これはやはり確信を持って将来の推移はこのようになるであろう、こういうように申し上げる中期計画としてはなかなか満足なものでございませんので、これは早急にこの予算をお認めいただきました後、また消費者物価も落ちつきつつあるようでございます。まだ根本にはいろいろの問題を抱えているのでございましょうけれども、そういった面をある程度見通せる段階になりまして五十年度予算の御承認後に早急に手をつけてまいりたい、かように考えております。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体いまの会長の御答弁で了解ができました。なるべく早い時期に、大体物価も鎮静の方向に向かったのではないかと言われておりますから、仮に長期のものができないまでも、中期的なものでも結構ですから計画を作成して、二百十六億という赤字が決して経営努力くらいで解消ができる内容のものと私は思いません。そういうことになれば、なるべく早い時期に国民、視聴者の納得を得る計画が必要だろうと思います。幸いそういう御答弁をいただきましたから、一日も早く作成をして国民理解を得るような御努力を願いたいと要望しておきます。  次に、二点目でございますけれども、番組編成の自主性についてでございますが、放送法第一条にも明確なように、不偏不党でなければなりませんし、とりわけ公共放送であるNHKがその点を中心に考えなければならないことは論をまちません。  そこで、実は去年のこの委員会だったと思いますけれども、「総理と語る」という番組を従来二カ月に一回でありたものを一カ月一回、毎月一回にふやしたいという会長の御希望があったようでございます。私はNHKの総体的な放送時間が短縮される中で、特に大臣は民放にも出ておることでありますから、ことさらNHKが「総理と語る」という番組をふやさなくてもいいのではないかという御意見を申し上げました。ところが会長は、これは政府からの要請もあり、それだけでは言葉が足りませんが、NHKの側としても、ぜひ国民に一国の総理の行政についての考え方を知ってもらうために欠かすことのできない番組であるから、毎月やりたいという強い御意向があって、私は再検討するようにお願いしたのですが、再検討の余地がないというところまでお話があったわけでございます。ところが、どういうものか、この番組が七月以降なくなっておるのでございますが、これは一体どういうわけでございますか。
  44. 小野吉郎

    小野参考人 私どもの意向といたしましては、これは池田内閣当時にこの番組を始めまして以来、やはりこれはかなり頻度をもってやるべきであろう、このように考えておりました。それは従来から現在に至っても変わっておらないわけでございまして、たまたま二ヵ月に一回のそれが田中総理の際に毎月ということになりました。そのようなことでしばらく続けたわけでございますけれども、私どもが昨年予算審議阿部先生にお答えを申し上げましたその気持ちに変わりはございません。ただ結果として、いろいろな事情もあってそのようなことにならなかったことは結果として生じましたけれども、これは決して私どもが基本方針を曲げたわけでもございませんし、またそれによって自主性が傷つけられたというようにも私は考えておりません。そのような気持ちを持ち、当時の総理もそれに対して非常に応ずるような状況だったわけでございますけれども、いろいろな事情もあったのでございましょう。何しろ首へなわをつけて引っ張ってくるわけにもまいりませんし、私どもの気持ちは、結果的に表にあらわれましたそれは私どもの意図のとおりになっておりませんけれども、これは決して基本的なそういう考えを変えた結果そうなったわけではございませんし、相手もあることでございますから、いろいろな事情でやはりそのようにならない、こういう場合もあり得るわけでございます。原則的には、私どもは月一回やはりそういった番組を組むべきではないかという気持ちを持っており、現在でもまだ変わっておらないということをお答え申し上げます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会長、少し詭弁にわたると思うのです。あのときのお話では、まず政府から要請があったことが第一点目ですね。そしてNHKとしても国民にぜひ知ってもらうためにやりたいというのが二点目です。したがって、出演する方と受ける方との意思は一致しておったわけです。  私が問題にしたいのは、それが権力者である政府の都合によって一方的に変更されるという、そこにNHK放送番組編成の自主性がないのではないか。悪口を言う人は、七月に参議院の選挙に田中さんが負けた、それから金脈問題が出てきた、そこであれはテレビに出なくなった。総理は都合のいいときには出て一人でしゃべりまくって、自分の都合が悪くなれば出なくなる。それを唯々諾々として番組の中に組み入れていく、そのNHK番組編成の姿勢に、私は、不偏不党といい、公公共放送としての使命という点から考えて問題がありはしないかということをお伺いしておるのです。
  46. 小野吉郎

    小野参考人 御承知のとおり、私は要請といったような言葉は使いませんけれども、要望はございました。たまたまそれがNHKの私どもの気持ちと合致したわけでございまして、そういうことで行われたわけでございます。結果としては、やはりNHK計画のみではなく、これに対してそういった要望もあったわけでございますから、両者の意思が合致したわけでございます。それがそのようにならなくなるということにつきましては、あるいは非常にNHKは自主性を損ぜられたのじゃないか、このようにお考えになることもごもっともだと思います。私どももまことに遺憾に思いますけれども、結果としてはそういうような、わけでございますが、今日でもやはりNHKの基本方針なるものを曲げておるわけではないわけでございますので、この点は御了承をいただきたいと思います。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 言葉じりはとりませんが、録によればやはり「要請」です。要請があったとなっている。ただ要請だけではなく、NHKもこれはやりたかったのだ。しかし問題の基本は、繰り返して申し上げますが、それでは今後も政府の都合で、出たいときには出てしゃべる、出たくないときは出ない、そういうことでやはりNHK放送番組を組んでいくおつもりですか。かちっとやる以上は、たとえ隔月であろうとも必ず出ていただくというふうな、特別の事故がない限りそれが守られるという前提での番組の編成ならば、私はなお自主性があると思います。しかし、あなた様の御都合でございます。私の方は出てもらいたいのですが、おたくで出られないときは出なくても結構でございますというような番組ならば、これはもうおやめになった方がいいと思いますが、いかがですか。
  48. 小野吉郎

    小野参考人 お説ごもっともでございます。これはその場になりまして、原則は原則といたしましても、都合の悪いことも起きてまいりましょう。それは例外でございまして、原則としてはそういうルールをはっきり立てて、そのルールどおりに運用していくことが最善であろうと思います。それが守られないことが事前に予見できるようであれば、これはルール自体を考えなければならないということば当然であろうと思います。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで実際問題としては、最近また三木総理、ときどきおいでになっておるようでございますが、いまどういう現況になっておるわけでございますか。
  50. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま阿部先先御指摘の総理出演番組につきましては、三木総理になられましてから、民放、私ども並びに総理側と打ち合わせまして、大体隔月で実施していくということで合意に達しまして、先月第一回は、いままでの順番から民放に御出演になりまして、NHKは昨日御出演になった次第でございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それではこれからは隔月大体間違いなくあるもの、と理解をしてよろしゅうございますか。
  52. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私どもはそのように理解しております。御病気とかやむを得ない事情のない限り、そういうふうに実施したいと考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは次の問題に移らしてもらいますが、特に受信契約と料金収納の問題点についてお伺いしたいのですが、それに先立って一点お伺いしておきたいのですが、耳の不自由な子供を持つ親たちが、NHKに対して、テレビに字幕を入れるための要望が出ている。これは熊本県を中心にやられておるようでございますけれども、教育、娯楽に占めるテレビ役割りから考えて、現行幾らですか、膨大な数字に上るこの子供たちのために、字幕を入れてもらえないかという要望があるようでございます。字幕を入れるそのことは技術的にむずかしいことではないと思いますが、すべての放送に字幕を入れていいかどうか、いろいろ問題があろうと思いますが、どうですか、これは御検討いただけますか。
  54. 坂本朝一

    ○坂本参考人 そういう大変不幸せなお子様方並びに成人につきましては、私どもは一応特定の番組と申しますか、難聴児につきましては「テレビろう学校」というような時間を教育テレビに三十分、再放送を入れまして一時間設けてございます。それから成人向けとしましては「福祉の時間」というのをやはり再放送を入れまして一時間実施いたしまして、原則としてはそういう特定の時間の中の充実ということを図りたいと思いますが、先生の御質問のような一般番組の中での取り扱いといたしましては、なかなか一般の方とのかね合いで困難な点もございますけれども、たとえば外国の調達映画等につきましては、一般の方への影響等もそうございませんので、できるだけスーパーを入れてやるというようなことを年間を通じて何回か試みておる次第でございます。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは会長、ひとつ検討していただきまして、外国映画なんか全部入るわけでございますから、技術的に私はむずかしい問題であるとは思いませんから、特にニュースとかそれから娯楽番組などで一部について特に配慮をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
  56. 小野吉郎

    小野参考人 私どももその要望書を見ておりますが、きわめて切実な要望でございまして、できることなら実現してあげたい、かように考えておりますので、検討さしていただきたいと思います。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、国際放送関係、先ほど羽田委員からもお話があったのですが、私はこの前の委員会でもかなり具体的に郵政省にお願いをしておきましたが、郵政省が昭和五十年度協会に命令をする国際放送に要する経費は、恐らくNHKと協議をされて、このくらいは要るという額を大蔵省の方に予算要求されたと思いますが、その額はどのくらいになっておりましょうか。
  58. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  現在国会の方で御審議いただいております昭和五十年度の政府予算案におきましては、国際放送実施命令に要する経費といたしまして三億四千二百万円を計上しているわけでございます。この額は昭和四十九年度の二億四千五百万円に対しまして九千七百万円の増、約四〇%の増加、こういうことになっております。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はそんなことを聞いていないのです。NHKと大蔵省に概計要求をした額は幾らであったか、そうして決定された額は幾らかと聞いているのです。
  60. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 当初私たちが予定しておりました国際放送の交付金の額でございますが、これは五億三百万を予定していたわけでございます。したがいまして、それが三億四千五百万円になったわけでございますので、その点を現在国会で御審議願っておるわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは、この前私特に注意しておきました。大体、NHKが命令された国際放送に要する費用、これは人件費も何も除いてですよ、純然たる国際放送のために要する費用がおおむね五億三百万だろうというように聞いておりました。したがってこれは、郵政省が命令をする以上、それだけの金は当然最低払わなければならない金だ。かねてから私はずっと論議をしてきておるわけです。もし、この五億三百万が削減されることがあるならば、郵政省がNHKに対して行う国際放送の命令の内容がどう変ったか私は聞きますよ、ということをはっきり申し上げてあるわけです。どんなふうに変わりましたか。
  62. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま申し上げましたように、現在予算として計上されておりますのが三億四千五百万円でございます。当初私たちの考えておりました計画とその点について金額が違いますので、われわれその命令の出し方につきまして現在検討中でございます。予算案を通していただきました後におきまして、われわれはその額に基づいて命令の内容を変更して、以前計画しておりました命令の内容を変更いたしましてわれわれの方から命令を出したい、こういうように考えております。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはかねて議論したから繰り返したくありませんけれども、そういう適当な答弁をすることはやめてください。変更できるわけはないのですよ。さっき羽田委員からもお話がありましたが、国際放送NHKの自主的な放送と国が命令する放送がどんぶりになっておるのです。だから、どんぶりの中で片方の負担が減ればNHKの負担がふえるのは当然のことなんですよ。私は素人じゃないから、そのことはわかっているのですよ。いまあなたは放送の命令の内容を変更すると申されましたが、それは何時間減しますか。具体的に言えますか。言えっこないでしょう。これはどんぶりでやっているのですから、減せないのです。三十何時間かやっているでしょう。そのうち二十一時間国際放送をやっているが、二時間短縮するというようなことが、あなた断言できますか。できないでしょう。
  64. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 現在行っておりますこの国際放送につきましては、NHKの方といたしましては放送法の第九条二項の規定により、自主業務としての国際放送、こういうものをやっているわけでございます。そのNHKの自主業務としてやっております中に、報道番組とかあるいは解説番組、こういうものの内容が入っているわけでございます。政府命令分と自主業務と、この両者の報道番組あるいは解説番組、こういうものを一体にして、この国際放送というものを総合的に実施しているわけでございますが、NHKとその点につきまして内容的にも相談いたしまして、この金額の中でこの命令が出せるようにわれわれ十分検討を進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは全く詭弁なんです。会長、そういうことができますか。郵政省はあんなに言いますが、実際、国際放送の中で命令分が一億五千万予算が少なかったから、それではひとつこれだけNHK国際放送命令分を減しますと、実際問題として放送内容の変更なんかは可能でありますか。これは私は明らかにどんぶりの中の分け前の問題だと思っているのですが、会長のお考えはどうでしょうか。
  66. 小野吉郎

    小野参考人 非常にデリケートな問題でございますが、どんぶり勘定になっておることは事実でございます。そういうことでございますので、一応与えられた交付金のそれと、NHKのこの予算に組んでおります金額の範囲内において操作する以外にないと思います。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは二つの解釈があると思うのです。要るものは出さなければならないという解釈と、この予算の範囲内でやらなければならないという解釈と、二つの解釈がこの条文からはできるのです。  大蔵省来ていますか。——かねてから私は大蔵省にこのことについて、そういう経緯があって郵政省がNHKに命令をする、その命令をされる内容についてNHKがこれだけの予算を必要とする、郵政省もおおむね妥当であろうと認めて予算の要求が出される。この予算はほかのものと違って、削減すべき性格のものでないということを私はずっと述べてきたわけです。ことしあたりは本当に放送に要する費用だけなんですよ、人件費も何も除きまして。この程度のものが大蔵省は認められないのですか。この程度のものまで視聴者の負担にさせておかなければならないのですか。大蔵省、どうお考えですか。
  68. 佐藤徹

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  私、ことし初めて郵政省の予算を担当したわけでございますが、阿部先生のかねてからの御議論は速記録等で拝見しております。いろいろな御議論があったようでございますが、それについていま私からくどくどここで申し上げるよりは、ことし郵政省から確かに五億の御要求をいただいたわけでございますが、これにつきましていろいろ検討いたしました。昨年私どもの、たしか中川政務次官だったと思いますが御答弁を申し上げて、前向きで検討さしていただきますということでお話ししておられるようでございます。そういった趣旨も受けまして、私ども、ことしは御承知のように非常に財政事情が苦しい中でございましたけれども、前年に比べて約一億増額ということで三億四千二百万、ただいま郵政省の方からお答えした数字を郵政省と御相談をいたしまして、この金額でやっていただくというふうに最終的に結論を出したわけでございます。この点、御了承をいただきたいと思います。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまお聞きのような事情ですから、実際問題としては、幾ら郵政省と相談してみても内容の変更ができる筋のものではないのです。そうすれば、これはやはり当然要るだけのものは出してやらなければならない。私は率直に言いますが、一億五千万ぐらい、いま協会全体の予算の中でそう大きなウエートを占めておるとは思いません。私はNHKというもののあり方という観点から、またあと幾つか述べますが、はっきりけじめをつけるべきだ。必要な経費は当然国が負担するという法律になっているんだから負担すべきだという原則に立って、もしこれから国際放送予算が削減されるならば、われわれ視聴者にとっては、ひとつ放送時間の短縮等をもってこたえてもらわなければ、国際放送分野に対する受信料は払いませんというふうな意見さえ出てきかねないと思いますから、大蔵省もひとつよく心して、来年度予算等について、もうこれ以上議論しませんから考えておいてもらいたいと思います。  次に、受信料がいろいろな関係で免除されておるわけでございますけれども、受信料免除のあり方についてですが、その中で大きいものが学校の教育関係テレビ受信料でございますね。それからもう一つは生活困窮者等。学校の関係は文部省になると思います。生活困窮者等は厚生省になろうと思いますが、これらの方々が、法的な手続を経ておりますけれども、いわゆる受信料が免除をされております。これは、今日社会福祉を最優先に日本の政治が行われるというときに、視聴者の負担によって賄われておるという、非常に問題があるように私は思います。したがって、いまの国際放送と同じですけれども、学校で受信するものについては文部省がその予算を当然組んでNHK受信料を払う、視聴者という立場に立ってもらわなければならない。あるいは生活困窮者については厚生省なりがその責任を持ってもらうのが筋ではないか、私はこういう気がするのですが、いつまでもこれを甘えて、福祉の問題なり教育の問題を受信者の負担に肩がわりさせておくというやり方について、会長はどうお考えですか。
  70. 小野吉郎

    小野参考人 在来の経過は、NHKがそういった福祉の面もやはり負担をいたしまして実行してまいりました。漸次近来いわゆる福祉国家の要望が非常に強くなってまいっております。現在の免除の範囲をもって十分とは私は思いません。あるいは母子家庭の問題でございますとか、重度の身体障害者を抱える、世帯主でない構成員がそういう中にある家庭についても、何とかやはり社会福祉上措置してもらえないか、こういう要望は幾多聞いておりますけれども、こういった面についてはNHKとして、財政の現状等から見ましても、とてもそこまで手の及ぶものではございません。そうなってみれば、この福祉関係の問題についてはやはり観点を新たにする一つのポイントに来ておるのではないか。このようにも考えますので、在来のそれはNHKの負担の許す範囲内において、この限度まではということでやっておりますけれども、これで十分に足らないということになってみますと、そこにまたいろいろな問題も出てまいりますので、将来の要望としては、こういった面についてやはりもう一度検討をし直す必要があるのではないか、かようにはひそかに考えております。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 文部省お見えになっていただいてますか。——文部省にお伺いしますが、学校でテレビを見せるといいますか、これはどういう目的で主に使われておるわけでありますか。
  72. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 お答えいたします。  学校の場合でございますと、たとえばNHKさんの方で学校番組等がございます。学校の授業の中身を豊かにするという意味で活用するわけでございます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはある意味では教材であるとも考えられますね。
  74. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるように、ある意味において教材だと思います。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、お聞きのように、これは学校の場合をまず例にとりますと、非常に教材的な意味を持つわけですね。その教材の提供をNHK受信者の負担で行うべきか、文部省の負担で国が行うべきかという原則になってくると私は思うのですが、これは監督官庁の所管大臣としてどうお考えになりますか。
  76. 村上勇

    村上国務大臣 先ほど小野会長がお答えしたと全く同じ意見を私は持っております。ただ、NHKの自主性との関連もありますので、これは今後ひとつ慎重に検討してみたいと思います。とにかく政府全体で考えなければならぬ点が相当あると思います。何もかもNHKの負担で、聴視料の中からこれらを負担させるということは何らか公平を欠くような気がいたしますが、なお慎重に検討してお答えいたしたいと思います。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ちょっと金額をお伺いしたいのですが、この学校関係で、資料によりますと、昭和四十八年度で白黒が十六万三千余り、カラーが一万七千七百六十ばかり、これを年間受信料に直したらどのくらいになりますか。
  78. 川原正人

    ○川原参考人 五十年度予算でお答えしてよろしゅうございますか。(阿部(未)委員「はい、結構です」と呼ぶ)私の方でいま学校関係では、契約の総数としましては二十五万四千件でございます。金額にいたしますと約九億三千万円、このぐらいの免除になろうかと思います。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうですか、文部省の方は。九億と言えばちょっとした学校一つ建つくらいの予算ですが、これはもうこれ以上NHKの視聴者の負担におんぶせずに、文部省予算で計上して、そして受信料を払う。こういうふうなことは来年度予算あたりで考えられませんか。
  80. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 お答えいたします。  学校におきますテレビ受信料の免除につきましては、放送法の第三十二条第二項に基づく日本放送協会放送受信規約及び放送受信料免除基準に定められております。私どもはその趣旨に従いまして、今後も国としては受信料を負担する措置をとるようにすることは、いまのところ考えておりません。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで、ここは法律をつくったり変更する所なんですね。あなた方はつくられた法律を守る立場だからおっしゃるとおりになると思うのですが、ここは法律をつくったり変更したりしなければならない所なんです。基本的な考えとして、先ほど来の議論をお聞きになって、これはいずれが負担すべき筋のものとお考えなのか、それだけ聞かしておいてください。
  82. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 お答えいたします。  いまのところ、将来も、国がそのような負担措置をとるような措置は考えておりません。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 国が負担措置をするという考えはないとあなたおっしゃいましたが、いまの法律の解釈では国が負担することになっていないと言うのなら私はわかりますよ。国が負担する考えがないとは何ということですか。あなたはいつ国になったのですか。
  84. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 大変表現が悪うございまして、おわび申し上げます。いまのところ施策といたしまして、受信料を負担するような措置のことについては考えておらないという意味でございました。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 考えておらないではなくて、先ほど来の議論をお聞きになって、いずれが負担をするのが正しいか。する、しないは別ですよ。議論としていずれが正しいかということをお伺いしておるのです。
  86. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 NHK公共放送の性格からいたしまして、いまの学校の免除でございますが、学校の免除の制度は継続されることが望ましいと考えております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 望ましいという理由を、それ聞かしてもらわなければ困るのですが、私どもがいま議論しましたように、NHKというのは国家の機関ではないわけですね。受信者の受信料によって成り立っておる、いわば受信者のものなんですよ。その受信者に国が法律をつくっていま一方的に負担をさせておるわけですけれども、それがもう財政上限界に来たということになるならば、本来教材にも匹敵するようなこのテレビの受信については、当然文部省が負担をするのがたてまえであって、いつまでも受信者の負担におんぶしておるべき性格のものではないのではないか。たとえばあなたの方で義務教育の国庫負担という問題があります。実質的にはまだ各父兄に負担させておる分野がかなりある。かなりあるけれども、原則としては国が負担すべきだというお考えがあろうと思うのです。それと同じように、この問題も原則としてはやはり文部省なり国家が負担する筋のもので、受信者の負担に肩がわりさせておく性格のものではない。このことをどうお考えになりますかということです。
  88. 佐伯信男

    ○佐伯説明員 やはり私どもとしましては、NHK公共放送の性質からして、学校教育に役立たされるような放送につきまして、学校に対して受信料の免除の制度は続けられてしかるべきものと考えております。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはもう法律を改正でもせぬ限り、役人の答弁ですから仕方がないようでございますが、先ほど国を代表して郵政大臣は、国全体として検討をしなければならぬ問題だというふうにお答えになりました。それから会長のほうも、今日まで財政の許す限りNHK公共放送社会福祉という、あるいは教育という観点から、ある程度の負担はやむを得ないという方針で来たけれども、ここまで来れば一応考え直してみなければならないのではないかと、こういうお話があったわけです。  大臣ちょっと席を外しておりますが、この点について、まず教育関係について検討をする余地があるかどうか、局長の方からひとつ……。
  90. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答え申し上げます。  放送法の三十二条の二に免除基準が決められているわけでございまして、この基準によりまして現在教育関係も免除されているわけでございます。しかし、これは公共放送としてのNHKが従来から本来の使命という形で、社会福祉的な見地あるいは教育的見地から、この基準に基づいて実施してきたものでございます。この受信料を国が負担するかどうかという問題につきましては、やはりNHKの自主性の問題もございまして、われわれとしては、現在NHKがこういう非常に経営的に苦しい状況ということもよくわかるわけでございますけれども、国が負担するとすればどういうかっこうで負担するのか、この辺のところはやはりNHKの自主性との関連もございますので、慎重な検討を必要とするのではなかろうかと、こういうふうに考えております。決して否定するものではございません。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも、国がNHKを私物視して肩がわりをさせておっても構わないのだという思想があるようです。ある意味ではNHKNHKといえば全視聴者の好意によって行われておるものであるというこの原則をしっかり踏まえてもらわないと、国が国の機関であるNHK法律をつくってやらしておるのだから構わないのだという思想があるならば、私は視聴者の一人として納得することができないのです。本当に国に力がないから、視聴者の皆さんに肩がわりをしていただいてやっていただいておるのだという、この基本的な物の考えがやはり必要だと思うわけです。したがって、これは法改正をしなければ簡単にできる問題ではありませんから、それはわかっておるのです。ただ私は基本的な考えとして、いまどうあるべきかということを議論しておるわけです。  同じ理屈で社会福祉関係の免除でございますけれども、これは厚生省関係で免除をされておるものはどのくらいで、金額はどのくらいになりますか。
  92. 川原正人

    ○川原参考人 厚生省関係のうち、特に社会福祉施設で申し上げますれば、全体で三万二千余りの施設、そして金額にしますと一億二千五百万円ぐらいが五十年度予算で免除になろうかと思います。そのほか、もし生活保護世帯を入れますと、この生活保護世帯だけで、これが全部で二十八万世帯ございまして、金額としまして五十年度予算で十億になります。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 厚生省お見えですね。もう繰り返しません。いま学校関係で申し上げたのと同じ理論ですが、厚生省、特に最近、国の政策が福祉重点に志向する時期に、こういう問題についても検討の余地があるのではないかという点、どうお考えでしょうか。
  94. 石原公道

    ○石原説明員 私どもといたしましては福祉施策の推進という問題につきましては、もちろんいろいろな局面、いろいろな施策、多方面にわたるわけでございます。そういった福祉施策の中におきまして、特に公共的な放送の受信という面の便益を受けるということを経済的なハンディキャップその他によりまして妨げられておるという方々に対して、現在の法制のもとにおきましては、ただいま議論がございましたように、NHKの方で受信料を免除するという形で施策が行われておる。こういった施策面について、果たして今後においてどういう形で考えるのかという問題でございますが、福祉施策という問題自身のとらえ方も、国費をもっぱら投入すべき分野あるいは地方公共団体の財源を投入すべき分野、あるいは民間の自主的な努力にゆだねる分野、いろいろお考え方があろうと思います。それについてはいろいろな考え方があろうと思いますが、現行法制のもとにおきまして、現在のNHK受信料免除制度というものは、そういういわば社会的に恵まれない方々に対して、他の社会的には恵まれていると申しますかそういった方々が、自分たちで出す受信料というものでそういう方々の福祉というものを図っていこうではないか、というのが立法の基本精神としてできておるところではないかと私どもは理解しております。そういう意味におきましては、私どもの方としてお願いいたしたいのは、できますならば現行のまま引き続いて——この施策はNHK一つのいまお話ございましたような性格の発露の問題としまして、引き続き御継続いただくようにお願いしたい、というのが私どもの考え方でございます。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあどこの省も、自分の省から進んで金を出した方がよかろうと言う省はないようですけれども、もっぱら赤い羽根思想に立脚をしまして、なるべくみんなのふところから出してもらって、国はほかの方に金を回そうということのようですが、しかし、これから福祉社会ということを政府も強く主張しておりますし、こういう福祉の問題について、いつまでも一般の国民に赤い羽根式におんぶしておることは私は許されない時期になってきつつあると思いますので、この点についてはまた、協会を含めて、次の時期にでも十分議論させてもらいたいと思います。  もう一つ、お伺いしたいのは、受信料免除の中で原因者の負担しているものはどれとどれになりますか。
  96. 川原正人

    ○川原参考人 御質問の趣旨は基地周辺の問題かと思います。  免除というあれで申し上げますと、基地周辺の受信者、それから射撃場、爆撃場周辺の受信者、これは協会が免除いたしますが、最終的に国の方から補助金が出ております。この分が、五十年度予算で申し上げますれば六億二千万円ほどでございます。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでもう一つ、そこのところをお伺いしておきたいのですけれども、難視聴を理由にした受信料の不払い、これはどのくらいありましょうか。
  98. 川原正人

    ○川原参考人 現在滞納しておられる受信者の中に、難視聴を理由としてお払いにならない方が、これは飛行場周辺の航空騒音の場合と、そのほかいろいろの受信障害、これは新幹線とかあるいはビルまでございますけれども、両方合わせまして約七万世帯ということでございます。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会長、そこで問題なのですが、基地周辺とか射爆場とか新幹線ですね、これは原因者負担の原則は貫かれておるわけですけれども、それは一定の枠の中で貫かれておるのであって、その枠の外におる方々が、おれたちも払わぬぞというのが、これに起因するものがいまお聞きのように非常に多いわけで、この対策をどうお考えですか。
  100. 小野吉郎

    小野参考人 騒音の関係につきましては、いろいろな調査もいたしておりすまし、免除と申しますか、NHKが直接免除いたしておりますその金は後ほど国から補てんをされますけれども、いわゆる国がやはり今日では国の施策としてそういったものもめんどうを見ようということになっておりますが、これは一応調査の結果、限界を引きましたものでございますので、その範囲をみだりに広げるわけにはまいりません。ただ、地域的には非常に画定しにくい面はあろうかと思いますけれども、その地域外にある人たちが、もうほとんど距離をそう隔てないで、一方は救済の手が及び、他方はそうでないということから物議を醸して、結局不払いにつながるわけでございますけれども、これは私どもが非常に足を運んで理解をしていただいて、払ってもらえるように努力をしなければならない対象ではないかと考えております。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体私もそう思うのです。ここはNHK努力で措置をしてもらわなければならぬけれども、しかし、原因はやはり騒音なりあるから、それが一定の枠がはまって、こっちは払わぬでいい、国が負担してくれる、その外にある私どもがなぜ払わなければならぬのかという原因から考えると、原因者負担という基本線から言えば、これもまあまあある程度議論の残るところだと思います。けれども、これは広げていけば切りのないことですから、努力してもらわなければならぬが、非常に数の多いのに私は驚いておるわけです。  もう一つ、難視聴を理由とする未契約。これは数がわかりにくいと思いますが、難視聴だから私のところは契約をしませんというのは、概数つかめますか。
  102. 川原正人

    ○川原参考人 これは正直申しましてなかなかつかみにくいのございますが、私どもが現在掌握しておりますのは、難視聴では一万三千ぐらいが契約そのものを拒否されているというふうに掌握しております。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。それが私はある意味でこの普及率の分布と影響があるのではないかという気がするわけですけれども、この前から私指摘しておるのですが、普及率で東京都が非常にこれは悪いですね。東京都は実に世帯数に対して七五・一%、こういう普及率になっておるわけですけれども、静岡県あたりでは世帯数に対して一〇〇・三%という普及率になっている。なぜ東京都だけがこんなに極端に悪いのかということを私は疑問に思うのですが、東京都の中を若干分析をしてみますと、非常におもしろいのですけれども、先ほどお話が出ました小金井ですか、小金井なんかもこれは契約率が非常に悪い、普及率が悪いところになっております。それから武蔵野市ですか、これが悪い。それから豊島が悪いのですね。ところが一方、千代田区あたりでは世帯数に対して一七〇%という契約率があるわけですね、東京都の中で。それから高いところでは青梅の一〇九%、こういう普及率が提示をされているわけです。同じ東京都の中でもこういう差が出てきておりますが、全国的に東京がなぜこんなに普及率が悪いのか。二点目に、東京都の中でなぜこのような極端な差が生まれてくるのか。その点を一体どういうふうに把握をしておられ、どういうふうに対策をお立てになるつもりか、お伺いしたい。
  104. 川原正人

    ○川原参考人 実は普及率という統計資料にいろいろ歴史的な経過もございまして、ちょっと問題がございます。いまの御指摘の普及率でもって、たとえば一〇〇%を超えている府県等がございますが、実はこれ長年ずっと放送開始以来、一番正確な五年目ごとの国勢調査の世帯数をもとに、私どもの獲得いたしました契約者の数を計算いたしますので、世帯がどんどんふえてまいりますと、国勢調査の方が遅れまして、一〇〇%を超す。たとえば御指摘の静岡県とか、そのほかに長野県、群馬県とあったと思いますけれども、そういうところが出てまいります。それが一点ございます。  それからもう一つ、東京都の普及率が非常に低いというのも、実は世帯の数との比較で私ども契約者の数を出すものですから、そこに一つちょっと問題がございます。と言いますのは、現在母数になっております世帯というのは文字どおり全部の世帯でございます。ところが、私どもの契約の対象となりますのは、テレビを持っている御家庭でないともちろん契約の対象になりません。東京都の場合に、それではテレビを持っておる御家庭はどのぐらいか。これもまあ実際——世帯数はこれは完全に国勢調査その他わかるわけでございます。テレビを持っている御家庭がなかなかわかりにくいわけです。特に東京都の場合は、実は単身世帯の方の割合が非常に高いのです。先般も、大学生がほとんど東京に集中しているというようなこともございましたが、こういう方たちがすべて単身の世帯ということで入ってまいります。そして、この単身者の世帯のテレビを持っておられる率はどのくらいかというのが、これは各種の調査統計とかの推定でございますが、私どもとしては学生さんその他単身世帯は四〇%ぐらいというように把握しております。そうしますと、東京都の場合は実は単身世帯が、全国は一四%なんですが、東京都の場合は二五%ございます。この方たちが四割くらいしかテレビを持ってない。それから御指摘の、さらに場所によって違うではないか。これにつきましては、実は最大の原因は単身の世帯でございまして、たとえば新宿等におきましては、学生さんそのほか地方から上京して働いておられる方々、実は単身世帯の割合が三五%を占めております。そのほか渋谷区も三〇%、あるいは池袋、大森等が多いわけでございます。それからもう一点、千代田区等の御指摘がございました。これは一つは、私ども先般たびたび御指摘を受けまして、非世帯の関係をいま徹底的にやっておりますので、統計の中に全部の契約が入ってまいりますと、契約者が世帯との比較では逆に非常にふえてくる場合もございます。そういうことではないかと思います。それからもう一つは、東京の都心部、千代田区、あるいは神田等におきましては現在世帯が減ってきております。そういうことも統計の最後の数字の計算のときに影響してまいりまして、いまのような一見不思議なような数字が出てくるわけでございます。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 さっき羽田委員から質問があったときに、小金井市ですか何か不払い同盟をつくっておると言っておったのでしょう。やはり小金井、悪いのですよ。七二・八%ですよ。小金井という所はいまの理屈は成り立たない地域だと私は思うのです。かなりふえていく地域だと思っておるのですが、そういう意味から考えますとこれは非常に悪いのですが、お説のような事情だけで、特に東京都が契約率が低いというようなことがないとおっしゃるんなら、それで私は結構です。しかし、東京都の人口、世帯数から勘案してみて、ここの契約率が低いというのは数字の上で膨大なものになると私は思うのです。これが五%上がるというのは、悪い例ですが佐賀県あたりが五%上がるのとはずいぶん違うだろうと私は思うのです。その意味で、もう少し把握ができるものならば負担の公平という意味からも努力をしてしかるべきではないか、そういう観点から質問をしておりますが、間違いございませんか。
  106. 川原正人

    ○川原参考人 御指摘のとおりでございます。私、多少弁明の方だけを申し上げまして失礼いたしましたけれども、そのほか大都市におきまして私ども一番苦労しておりますのは、昼間お訪ねしましてもお目にかかれない世帯が非常に多いということ。したがいまして、私どもの契約を上げますためにも、何と言いましてもそこへ努力を集中しなければいけないということで、具体的に言いますと、アパートとかマンションとかいうふうな都会の新しい生活態様、特に昼間かぎをかけて御不在の方が多いものですから、いまそこを何とかして解決しなければいけない。したがいまして、具体的に言いますとこれはいろいろ問題はあるのですが、ある程度夜間にかけましてお訪ねをするとか、休日にお訪ねをして契約をしていただくとか、こういうものに相当の努力をしていかなければなりませんし、予算の方でも、たとえば文書によりましてぜひお支払いをいただく、場合によりますと郵便の振替用紙を同封いたしまして、お目にかかれない御家庭にはそれでお送りいただきたい、こういうこともやっております。  それからもう一点、御指摘の一種の不払い運動的なものも、これは確かに大都市特有の現象でございまして、東京の一部にもいま御指摘のような運動がございまして、それが表面化しているのは事実でございます。ただし、この方の数字は私どもの把握では実は率に出るほどの大きな数字ではないというふうに掌握しております。
  107. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変な御苦労だとは思いますけれども、先ほど羽田委員からもお話がありましたように、受信料を払わない者が何か得をして払った者が損をするという、この不公平感が蔓延することはNHK公共放送としての使命にもかかわる問題ですから、お骨が折れてもやはりどこまでも把握をしていただいて不公平にわたらないような努力をお願いをして、いまの受信料関係については終わります。  次に、予算総則について。これも先ほど羽田委員からもお話がありましたが、四条二項を設けたその考え方をもう少し具体的に御説明いただきたいのです。
  108. 小野吉郎

    小野参考人 NHKでは在来、予算編成前に労使の交渉によって賃金を確定いたしまして、これを予算化いたしておりました。ここ数年そういう方式を踏襲しておりますけれども、たとえば四十九年度の例を見ましても、これは完全に十二月段階で妥結を見たのでありますけれども、その率は定昇を含めまして二二%を切っております。これでよく妥結できたと思いますけれども、その後の情勢は、皆率が高くなっておりまして非常に見劣りを来すようになっております。その前年を見ましても、NHKの場合定昇込み約一四%ぐらいで妥結をいたしておりますが、大体は一八%ぐらいになっております。そういうさなかにおきまして、この非常な物価上昇、従来のいろいろな立ちおくれ、そういった面を勘案いたしますと、とても予算編成前にこれでよろしいということで妥結し得るような情勢ではございません。それかといってNHKも、いまの客観情勢の厳しい中で、しかも一財政的には大きな赤字を抱えるような予算を編成しなければならないようなさなかにおきまして、そう組合の満足できるような額を提示できるものではございません。したがいまして、定昇込みで約一四九%ぐらいのところを出しております。五十年度のべースアツプ分とすれば、額として一万七千百十円でございますけれども、組合は四万五千円アップを提示しておりまして、とてもこれは妥結できる筋合いのものではございません。そのままではこれは闘争は全くめどがつかないようになりますので、私どもの方から中労委の方へ裁定を申し込みました。そういうことで出ました裁定等の結論等をも勘案いたしまして、今後の推移によって世間的に非常な立ちおくれのような状況になれば、やはりこれは是正しなければならない。しかし、それは恐らく予算が御承認を受けた後になりましょうから、こういった総則でも設けないと処置ないわけでございます。そういう意味におきまして、実は五十年度予算においては四条二項のような総則を設けたわけでございまして、前年のそれは先ほど申し上げました二二%弱のそれで妥結をしました。一般には三二・何%、あるいは国鉄等をとりましても非常に高いものになっております。そういう関係をなおざりにはできません。できませんので、予算が御承認を受けました後、これはいわゆる組合との協議によりまして、ベースをどうこうできませんので一時金の形で一人当たり約五千三百四十円、この手事として出しております。これは基本ベースになるものではございません。そういうような措置をとることはやはり非常に中途半端な措置でございますので、やはり世間並みに、相場が決まりましたときにこれに対するベースの修正も必要ではないか、このように考えましたのがこの総則を設けました理由でございます。
  109. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に時宜を得た措置だ。特に中央労働委員会の調停案に基づいてこれはおやりになったということで、かねてから協会の職員の給与について、その決定の時期が非常に早いために後で混乱を起こすおそれがある。またその意味では非常に職員に迷惑を及ぼしておる。これは私は非常にいい措置だと思いますが、そこで問題になりますのは、いままでこういう措置がなかったために、協会職員の給与が会長のおっしゃる適正な水準に達しておるのかどうか非常に疑問があるわけでございまして、かねて、前田会長のときにも、少なくとも同じような民放とかあるいはマスコミ関係の大手のところの具体的に言えば上位ぐらいには行ってもらわなければならない。そういうお考えがあったようでございますが、この適正な水準というものについていま会長はどういうふうにお考えになっておられますか。
  110. 小野吉郎

    小野参考人 数字的には労務担当の理事から御説明を申し上げると思いますが、大勢を申しますと、四十八年度、四十九年度、あるいはその前の四十七年度あたり、これは前会長が目標にし、私もそれがいいと思いますけれども、同種新聞あるいは放送関係のそれと比較して決して見劣りのしないものにしなければ人材は集まらない、こう強く考えておるわけでございますけれども、ここ三年ばかりはいつも早期妥結を図りますために、いつも取り残される結果になっております。したがって、今日の段階におきましては、そういったわれわれの意図からはやや低いものになっておるのではないか、かように考えます。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ここに私もちょっとした資料を持っておりますが、私が資料を申し上げる前に、担当の方から、いま会長のおっしゃった趣旨にのっとって計算をして、同じような民放なりマスコミの大手のところと年間所得で一体どのくらいの開きが出ておりますか。これは積み残しが出ておるのはもう間違いないわけですから、遠慮することはありませんから、ひとつ率直に答えていただきたいと思います。
  112. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 お答えいたします。  先ほど会長も申し上げましたように、ここ一二年ほど前、昭和四十七年度ぐらいまでは大体大手の新聞、放送とそう遜色のない給与水準でございました。四十八年度、四十九年度、この両年度のベアの額、率、これがNHKに比べまして他社が相当高額であったということのために格差が生じてまいりまして、現在昭和四十九年度末の賃金水準——賃金の水準を比較いたしますのには、年齢構成であるとか学歴構成であるとかあるいは給与体系でございますとか、そういうことで非常にむずかしいわけでございますけれども、四十九年度の水準で比較いたしますと、NHKの場合、先ほど会長も申し上げましたように一時金で補完の措置をいたしました。これが月割りにいたしますと、会長も申し上げましたように五千三百四十円、それを入れましてNHKの水準と申しますか平均賃金が十三万五千七百円ぐらいでございます。それに比べまして、大手の新聞、放送等は一万ないし二万の開きがございます。それぐらい上回っております。それから年間の臨時給与、賞与でございますが、これはNHKが年間五・七カ月でございます。大手の新聞、放送等は八カ月ないし十カ月。それぐらいの開きがございますので、大手の新聞、放送に対して遜色があるということは事実でございます。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私どもの資料でも、会長、やはり百万以上、比較によっては百五十万ぐらい、年間所得は協会の職員の皆さんが低いようになっておるようでございます。これはかなり大きな差だと私は思います。それがあるから、今回総則の四条の二項を会長もお考えになったんだと思いますから、私はこれは非常にいい措置だと思います。これはさっき会長もおっしゃったように、経済が平均化してくれば、これがあってもことさら適用しなくてもいいわけでしょう。著しい変動があったときに初めて適用すればいいのですから、変動がなければこれを残しておいてもいいのです。親友の羽田さんに申しわけないのですが、そういう意味ではことさらにこれを削除しなければならぬという意味は私は感じないのです。変動がない限りはやらなくていいわけですから。あったときに適用する。その意味で、私はこの四条の二項については今後も残していくように十分検討される必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  114. 小野吉郎

    小野参考人 先ほど羽田先生の御質問にお答えをいたします場合も、私は、これは平常時になれば削除していいとは申し上げなくて、その辺は含みを持ちまして、適用の場がなくなるんではないか、かように申し上げたような次第でございますので、大体御要望の御趣旨に沿い得るのではないかと思います。
  115. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に含みのある御答弁をいただきまして……。そうなっておれば、私どもも、たとえ十二月に予算編成の時期までに賃金の確定が行われるような場合でも、あまり紛争を起こさずにこれは確定できる。率直に言って、NHK職員の給与が日本の全体の賃金を左右するようなそういうおそれはまだないわけでございますから、むしろ逆に日本全体の賃金が決まったときに見直しができる。そういう措置の方が紛争を招かないためにも必要だと思いますので、この四条の二項については、これからもひとつ十分生かしていくように御配慮願いたいと思います。  次に、五条の二項、これも何か今回、総則で少し変更になったところのようですが、私は不勉強でわかりませんけれども、長期借入金返還金の繰越額というものは一体どういう性格のものでございましょうか。
  116. 小野吉郎

    小野参考人 これは御案内のとおり田村町の土地、建物を処分いたしましたものの中で、百八千億は外部負債の返還に充てる、こういう計画になっておりました。その中の八十七億でございまして、残余の金はもう借金返しに使ってしまいました。八十七億は、事業計画土は債務の減少に充てるべく予定したものでございます。しかし、このような情勢になりまして大きな二百十六億といったような赤字を抱えますときには、いろいろやはり考え直さなければなりませんので、そういうような経済情勢の変動等をも勘案いたしまして、四十八年度中に全部返してしまわないで、四十九年度計画を繰り延べをいたしました。これを五十年度でどう操作するかということでございますけれども、この赤字関係も、実質的には赤字には間違いございませんけれども、予算づらではできるだけきれいにしたい、こういうつもりから、これを充当すればあと百三十億の赤字で済みます。その百三十億も、減価償却の自己資金を持っておりますから、通常はこれで建設をするのが常道でございましょうが、これも使わないで、二百十六億に見合うものを資本収支の中で残しまして、事業収支とのにらみ合いでは形式上は均衡かとれたような形になっておるところが、まあ苦心をいたしたわけでございます。  そういうことで、この八十七億につきましては、繰り越しはともかくといたしまして、これはやはり収支の差金に充当いたしますためには計画変更をいたさなければならない筋合いのものでございます。計画変更ということになれば、厳密に言えば、補正予算を御提出申し上げて御承認を得なければならない筋合いかもわかりません。そういった面を一本の予算の中で操作いたしまして、予算総則五条第二項を設けた次第でございますが、この面は形はそうなっておりますが、実質的には、八十七億の債務の返還を収支不足に充てる事業計画の変更についての御承認を、改めてここで得たいというような意味合いのものでございます。
  117. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その趣旨はよくわかりました。しかし結局、借金を返すものを充当して、次の五十一年度にそのまた借金を返す計画をつくらなければならない、こういう内容だと思いますが、これは今回やむを得ぬ措置だと思います。  その次に、放送衛星について一、三点お伺いしたいのですが、放送衛星の打ち上げ、この前ちょっとお伺いしたのですが、今回は特に、放送衛星の打ち上げの目的と所要経費を大体どういうふうにお考えになっておるのか。
  118. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 放送衛星でございますが、衛星を使っての放送は、地上における放送と比べまして同じ番組を広い地域にわたって供給できるというようなこと、さらに、高い角度からサービスができる、こういうような非常な特色を持っておりますので、難視聴地域の解消とかあるいは教育放送、こういうような面ではきわめて効果的なものであろうかということで、この放送衛星を開発するということを始めたわけでございます。     〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕 したがいまして、郵政省といたしましても昭和五十年代の後半には実用の放送衛星を上げたいということで、大体そのぐらいが実現の時期になるのではなかろうかというふうに考えております。この実用の放送衛星を打ち上げるに至るまでには、いろいろ技術的に解決しなければならないという問題がたくさん残っております。このために、郵政省といたしましても、放送衛星に関する基礎的な実験を行うために、現在実験用中型放送衛星を開発しているわけでございまして、その衛星を通じまして必要なデータを集めていこうという考えでございます。  予算措置でございますが、昭和四十九年度予算におきまして、衛星本体につきましては三年の国庫債務負担行為ということで予算化いたしましたし、また、地上施設につきましては二年の国庫債務負担行為を認めていただいたわけでございます。金額といたしましては、この実験用の中型放送衛星の国庫債務負担行為といたしまして、衛星といたしましては約百二十七億円、それから地上施設につきましては約二十一億ということを予算計上いたしております。
  119. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この放送衛星を打ち上げて日本全域をカバーするわけですが、これ、技術的に一体可能なんですか。私余り詳しくありませんけれども、日本全体をカバーするために、この放送衛星が出す電波の出力というようなものはどのくらいなものが出れば日本全体がカバーできるのですか。
  120. 藤島克己

    ○藤島参考人 NHK側からお答えいたします。  ただいま私どもが計画いたしておりますのは、一チャンネル当たり大体百ワットという出力でございまして、これで日本全国を一応実験的にはカバーできると存じております。ただ、カバーできると申しましても、これは受信機との関係がございまして、受信機の性能が悪ければそんなものに役に立たぬわけですから、私ども放送の当事者といたしますと、その受信機、特に放送でございますから、個人の負担が非常に低廉でしかも性能の優秀な受信機を開発するということが、この放送衛星を成功させるかしないかの境目でございますので、数年来その研究をいたしまして、現在大変優秀な形のものが——と申し上げましても少々になりますけれども、技術研究所の方で開発されまして、この問題につきましてはアメリカあるいはヨーロッパから、ぜひその特許実施権を譲ってもらいたいというような引き合いも来ているようなかっこうでございまして、まだ完成とは申しませんけれども、一応放送として十分期待できる受信機が軌道に乗ってきたということでございますので、その点から申しまして、いま一応一チャンネル当たり百ワットぐらいの出力がありますと、十分聴視可能であろうという計算をいたしておるわけでございます。
  121. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま藤島参考人の方から申し上げましたように、大体百ワット程度の実験を今度行うわけでございます。全国をカバーできるかというお話でございましたが、われわれの方としてはそれで今度の実験も十分全国をカバーできる。さらに将来二百ワットあるいは三百ワットを使うような衛星におきましてもこれは十分で一ございますが、ただ、かえって、衛星からの放送でございますので、よその国へ電波が漏れるというようなことなどが国際的に現在いろいろ問題になってございます。その点につきましても、われわれは今度の実験を通じましてその辺のところを確かめたい、このように考えております。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでまず日本全域をカバーできるということについて私は理解ができました。  二点目の、受信の方の体制ですが、これも非常に開発が進んで、非常にりっぱな受信機ができつつあるということですけれども、これは受信機ができてもただでくれるわけではないわけでございますので、そうするとやはり受信機を買いかえなければならないという負担が受信者の側には起こってくると思います。この開発が早ければ早いほどその時期は早まるわけでございますが、そういうりっぱな受信機は非常に安い価格で、できればNHKが各受信者に配ってやるような体制ができますか。
  123. 藤島克己

    ○藤島参考人 お説のとおりでございまして、NHK全国に配るわけじゃございませんけれども、受信機でございますから、不特定多数の世帯で気楽にお買いできるようなところにならなければいかぬわけですが、いま申し上げましたようにまだ開発の当初でございまして、現状で申しますと四、五十万円かかるような感じでございますけれども、多量生産に移れば恐らくずっと安くなるだろうというふうに見ております。ただ、その場合でも、受信機と申しますか、いまある受像機につけるコンバーターでございます。UHFなんかができたときによく使いましたああいう考え方の、衛星といまの受信機とを結ぶ途中のコンバーターでございますから、そこへまあ一万か二万程度のものがつけばうまくいくかなということになれば大変望ましいと思っておりますけれども、いまのところそこまでコストダウンができるという見通しはまだ持っておりません。
  124. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう一万か二万の安いものででき上がれば大変結構ですが、そういう性能のいい——百ワットのあれで受信ができると言えば、かなり性能のいいものだと思いますから、なかなか大変でしょうが、私はそういうりっぱなものができることを期待しておりますが、その次に、もう一つ気になることがあるのです。  その場合に、放送が一元化されます、衛星から。ローカル放送というものは一体どういうことになってくるのか。これをどうお考えになっておるのですか。
  125. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、現在郵政省で開発しております実験用の中型の放送衛星でございますが、これは技術実験ということを目的にいたしております。したがいまして、将来の放送衛星の実用体制、ローカルをどうするか、あるいは全国的なネットワークをどうするか、こういうような問題につきましては実はこの衛星の開発状況並びにそれの成果、これを踏まえて検討したい、かように考えているわけでございます。
  126. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これ、踏まえて開発——まあ今日の科学ですからいろいろ考えられるとは思いますが、しかし、常識的に、さっき羽田委員からも質問のありました特に県域放送、ローカル放送というようなものが、この一つの衛星でできるとは私は幾ら技術が進んでもそう簡単には考えられないのです。電波監理局長は開発をされるというお話のようですが、これはちょっとどうでしょうか。できますか、それ。
  127. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほど申し上げましたように、この静止衛星の特徴といたしまして広い地域をカバーするということでございますので、この地上より三万六千キロメートルの静止軌道から地球をにらみますと、やはりローカル放送のような非常にきめの細かい放送というのは非常に困難性がある、問題点があるのじゃなかろうかというふうには考えております。しかしまあ、それにつきましても、今度の実験の結果などを見まして、技術的にどの程度まで開発が進められるか、そういう点についても検討を進めていきたい、こういうように考えております。
  128. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、その衛星が宇宙にどういう害を及ぼすか、あまりよくわかりません。恐らくこれはまだ今日まで研究が進んでいないだろうと思いますけれども、しかし、すでに経験のある自然の破壊とか公害とかいうような問題と関連をして考えてみて、いまこういう開発を急がなければならない状態だろうかということについて非常に疑問を持つわけですよ。むしろ、郵政省が百五十億になんなんとする予算をかけるのならば、その予算でいまの難視地域を解消しながら、さらにローカル放送を充実していく。さっき会長いみじくもおっしゃりましたが、量の拡大ではなくて質の充実、質の拡大をやりたいというお話ですね。そういう観点からも、これを打ち上げたら、NHKはこれはやはり使わなければ意味がないと思うのですが、お使いになりますか。一体どうお考えになっているのですか、NHKは。
  129. 小野吉郎

    小野参考人 これは十分に活用をするつもりでおります。
  130. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 恐らく活用されるだろうと思いますが、これは、しかし、相当な予算を食うことになってくる。維持費もかかるだろうし。そこまでして、しかも受信機はつくりかえなければならない、買いかえなければならない。ローカル放送にはなお問題が残っておる。しかも一方、いまのNHK放送のシステムでも、なおたくさんの解決しなければならない難視の問題がある。たとえば、ビル難視などというようなものでも、単にビル陰であるというだけでなくて、電波の反射によるフラッター現象とかいろいろな問題が起こってきておるわけでしょう。こういうようなものの解決もまだできていないと私は思うのです。新宿のビルがどこか千葉県まで影響するとか、いろいろ出ておるようでございますが、こういう関係から考えてみまして、いま当面しておる難視の解消なりローカル放送の拡大、そういうようなものを重点的に考えるべきで、NHK放送衛星に余り期待することは私はいかがなものかという気がするのですが、どうですか会長
  131. 小野吉郎

    小野参考人 御説の面も十分わからないではございません。ただ、現在の難視解消の面につきましても、先ほどの受信機を買いかえたりするそれは、現在のそれに放送受信用の。パラボラアンテナをつければいいわけですけれども、これは相当先の問題でございます。現在の段階ではとてもつけられないような値段でございますけれども、これがやはり量産になりまして、現在のテレビのアンテナぐらいの値段でつけられるようになるのはまだ先だと思いますので、当面はこれは問題になりません。地上のどこかで受けて、これを分配しなければならない。そうなれば一体、地上と両方使うのでは大して役に立たぬじゃないか、こういう御疑問ももっともだと思いますが、現状でも地上回線で難視を改善いたしますために、ある地域を改善するために直接そこに置局をしただけでは間に合わないで、ステップとして三段、四段の施設をつくらないとその地域が解消されない、こういう不経済もございます。そういうものは分配衛星にいたしましても直ちに経費節減につながるわけでございますし、そういったような面から申しまして、それを大いに利用して、少なくともこれからの難視のそれは過疎地帯に主力を置かなければなりませんので、おそらく今後の置局は多段中継、二段、三段、四段の中継になろうかと思います。そういう不経済は十分避け得るようなメリットもございますので、十分そういった面を生かして活用してまいりたいと思います。
  132. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先の問題ですから、いまここで議論をしても雲をつかむような話で、私自身余りその内容はよくわからないのですけれども、どうも素人考えとしては、いまるる申し述べたような懸念がある、そういうところにたくさんの予算をつぎ込むくらいなら、当面やらなければならない問題があるのではないか。そのことを、私の言いたいところをひとつ御了解いただきたいと思います。  それから、先ほど羽田委員からありました質問ですけれども、やはり私もこのNHKの料金値上げには反対でございます。反対でございますけれども、今日、公共放送としてのNHK使命を考えるときに、これをつぶして国民が万歳と言うわけにはまいらないと思うわけです。その意味からするならば、私は先ほど申し上げました中期計画なり、早い時期に、たとえば外国の主要な国々の公共放送の料金等の例もあるわけでございますし、NHK使命についても視聴者に納得をしていただかなければならないと思いますし、したがって、まあ中期計画ができるような時期にそういうものを含めて国民の納得を得るような措置をとると申しますか、それをおやりになることが大変必要なことではないかという気がします。     〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕 その場合に、そこまで行ってみなければわからぬと思いますが、昭和五十年度年度で二百十六億の赤字とそういうものを踏まえて見て、いま短絡的に料金の値上げをせなければならないとするならば、一体どのくらいな額が考えられるのか。差し支えがなければ聞かしてもらいたいと思うのですが。
  133. 小野吉郎

    小野参考人 現在の二百十六億の赤字は、五十一年度に参りますと、これはいろいろ物価の上昇、人件費上昇その他がどうなるかの推移にかかります。現在確定がなかなか困難な状態でございますが、仮に一〇%といたしますと、五十一年度にはおおよそ三百七十億ぐらいの赤字になろうかと思います。一五%で計算をすれば三百四十五億ぐらいになろうかと思います。それでやはり五十三年ぐらい、まあ五十年を含めて四年間ぐらいの見通しを立てますと、大体におきまして、その間毎年一〇%ずつ物が上がるといたしますと、総計で約千五百億ぐらいの赤字でございます。これをやはり受信料で回収をいたしますとしますと、ざっと四〇%ぐらいの値上げになるのではないか、かように考えます。もちろん、この中にはいろいろな浮動な状態もございますし、私どもは非常な合理化を一層務めてまいらなければならないわけでございますし、むだを一切排除して、その上でやはり考えなければなりませんので、いまのそれは一応私が個人なりに計算したものでございますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、この予算の御承認を受けました後、いろいろな把握できる限りのデータを駆使して中期あるいは長期の見通しを立ててみたいと思います。  その中で、いろいろな問題が出てまいりますが、私どもは決して料金値上げ、単純にそれのみを目途とした作業はしないつもりでございまして、どうすればこれを解消できるか、こういった合理化あるいは効率化の面も大きな問題としてこれを取り上げ、あわせてサービス面についても現状でいいのかどうか、おそらくこのサービスを切り捨てるということはやるべきでないと私は確信をいたしますけれども、そういうこともあわせ検討し、その中からおよそどうしても必要やむを得ず値上げをしなければならぬ結果が出るということは予想はできますけれども、その際の幅もできるだけ小幅のものにいたしたい。現在のテレビ受信料がいわゆる生計費の中に占める比率というものは、現状でカラーテレビで〇・三四%ぐらいになっております。白黒テレビでは〇・二三ぐらいでございます。そう高いものではございませんが、それを非常に安易に私どもは受けとめておりません。先生が先ほど申されましたように、料金いかんによってはこれはやはりもうなくて済ませるというものではございません。今日の生活実態の中に溶け込んだ、このテレビラジオのそれは、国民が少なくとも利用しなければならない実態になっておりますので、できるだけそういう面の御負担は軽くするような方向で検討いたしたいと、かように考えております。
  134. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 苦いことも申し上げるのですが、特に経営努力の中では、先ほど番組センター等の問題についてはお話がございましたけれども、私はこの前、前田会長経営委員会委員の皆さんの手当の問題についても議論したことがございました。非常に地位の高い収入の多い方々で、その六割七割が税金に納められておるし、さらにはまた残ったお金も助け合い運動等に出しておられる。ほとんどの方がそういう方々で構成されておるNHK経営委員会ですが、日当が一日三万円でございますか、一カ月何かして一人が二十万円から三十万ぐらいになる。そうしてボーナスもある。退職金もある。これは役員扱いでございますから当然でございましょうが、これがなければ生活ができないという方々ではないわけでございまして、大変差し出がましいし、また会長も言いにくいと思いますから、私はきょうここで発言をして議事録にとどめておきたいと思うのですけれども、経営委員の皆さん方についても、今日のNHKのこの非常に苦しい財政事情について十分な配慮がいただければ望外の喜びだと思います。あわせて、先ほど来問題になっております付属機関等についても、ひとつ検討を加えていただいて、仮に料金の値上げの必要が生じたとしても、先ほど来会長のおっしゃるようにそれは最小限のものでなければならないし、同時にまた協会を維持していくために国民理解と納得を得たものでなければならないという点に十分留意をされるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  135. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次に久保等君。
  136. 久保等

    ○久保(等)委員 私はNHKの五十年度予算に対する質問をいたします前に、一、二特に重要な問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、最初に、まず放送法、電波法の改正問題について郵政大臣に所見をお伺いいたしたいと思うのです。  私がいつもどうも委員会で、この問題を一年に一度ずつくらい質問をしておるようなことになっておるのですが、郵政大臣、ずっと前にも郵政大臣をおやりになった経験をお持ちでございますから御承知だと思うのですが、昭和三十年ごろにすでに現在の放送法並びに電波法の改正問題がいろいろ爼上に上って、私も記憶をいたしますところ、やはり昭和三十年か三十一年ごろですが、国会の方から地方に視察に行った際にも、放送法、電波法の改正問題について地方の方々の御意見をお伺いした、実は記憶があるのです。事はさほど以前から問題になっており、さらにその後昭和四十一年に、御承知のように政府の方からこの改正についての提案が正式になされて、まあ最後のほんの時間切れといったような、時間足らずでこの問題が廃案になった経緯もあるわけです。そういう経過を踏まえ、かつ今日日進月歩の大変な電波放送に関する技術の発展もあり、片や民放の発展、こういったようなこと等もあわせますると、昭和二十五年当時、制定せられたこの電波法、放送法の問題については、喫緊の問題として現状に即したような形で改正しなければならぬ大問題があるのです。  そこで昨年あたりも、郵政大臣にお尋ねしたときには、事務当局を督励をしてできるだけ早い機会に成案を得て国会に出すようにしたいというお話も、原田郵政大臣からありました。したがって、昨年の通常国会で、その通常国会に出さぬということは断言できないというようなことまで実は言われて、この委員会で、できれば昨年の通常国会にでも提案したいぐらい熱意を郵政大臣一応示されたのです。ところが、先般といいますか郵政大臣の所信の御表明があったのですが、この中には電波法、放送法改正問題について一言も触れられておらないのですが、これは歴代の内閣の怠慢じゃないかと思うのです。あるいは一郵政大臣の立場だけで言うと、残念ながら最近の郵政大臣、任期が一年くらいなのですが、一年くらいの大臣では手がけられないほど、事は重要な問題だと私は思うのです。そういう点では、これは総理大臣、もう少し安定した総理大臣がやらなきやならぬ問題かもしれません。しかし、これはきのう、きょうの問題じゃなくて、私が申し上げるように、二十年前後来の懸案なのです。  そこで、何か問題を避けて通るような感じが、村上郵政大臣についても、いま申し上げたように所信表明の中で一言半句も触れられておらない。しかし、事は早急に、これが改正が実現するようにお願いしなければならぬし、同時に事務当局では練りに練って、ああでもない、こうでもないと、私はここのととろ何年かにわたって議論をしておるのだろうと思うのです。したがって、余りこの問題で時間をとりたくないのですが、重要な問題ですから大臣のひとつ前向きの積極的な御発言、御答弁をぜひ願いたいと思うのです。
  137. 村上勇

    村上国務大臣 私よりもよくこの間の事情に精通されております久保先生の御質問でありますが、四十一年の第五十一国会で廃案になりましてから、引き続き検討をいたしておるのでありますが、この法の改正にあたりましては、電波の計画的使用、特に放送用の周波数の使用計画の作成とか、放送番組向上を図るための必要な措置、また新たに発生しました多重放送放送大学等、新しい放送分野に関する規律のあり方等について検討いたしておりますが、問題がきわめて多岐にわたりますとともに、事は表現の自由にかかわる重要な問題でありますので、各界の意見も必ずしも一致を見ていない状況のようであります。現在のところ、まだ成案を得るに至っておりません。法改正の問題は、わが国の電波管理体制及び放送体制の将来を左右する最も重要な事柄でありますので、さらに各方面の意見をお聞きし、世論の動向を見た上で成案を得たいと考えております。
  138. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの村上郵政大臣の御答弁は、昨年原田郵政大臣から聞いた御答弁とあまり変わらないのです。前向きでこれをとにかく解決するために、私は、いま大臣の言われるように事は言論に関する問題ですから、非常にむずかしい、また非常に重要な問題であることは、これはもうだれしも認めると思うのです。さればと言って、じゃあ現行のままで放置しておいていいかということになると、民間放送の問題をも含めて、現状  一体どうなっているのか。国会の場で実は民間放送関係の問題について余り議論がないのですね。しかし、これは今日八十数社にわたる民間放送等もあるのですが、そういう点から考えますと、現状から見るとまことに古いしろものになってしまっているのですね。そういう点で、できれば郵政大臣が権威のある調査会か何かつくって、それで各方面からひとつ本当に権威ある方々にお集まり願って、その中で問題点の——ある程度の問題点は私は事務当局でもピックアップしてできていると思うのです。たとえば、昨年電波監理局長のお話を聞くと、民間放送に対するタッチの仕方をどうするか、こういったような問題が実は非常にむずかしい問題だと思うのです。しかし、これも利害関係者の話だけ聞いておったのでは百年河清を待つようなもので、結論出ないと思うのです。問題は、国民全体が一体どう判断し、どういったものであってもらいたいかということに重点を置くとするなら、これは私は利害関係者の反対があっても、ある程度本当に権威のある調査会なり審議会なりをつくってもらったところで、時間を  半年なり一年なりかけて、もらって、そこで出た結論を郵政大臣として最終的に裁断をせられる、というような形で法案をおつくりになるというような具体的な方法をお考えいただいたらいかがかと思うのですね。現在の状態で事務当局で何年かかって議論をしておっても、結局最後は勇気をもってやはり決断しない限り、なかなか法案一つ、これだけの重要法案ですから困難だと思います。だからそういう意味でひとつ、私がいま申し上げるのは、権威のある審議会か調査会といったようなものを設けて、そこでもって諮問をして十分に議論をしてもらう。そういったようなことで、ひとつ具体的に取り組んでいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  139. 村上勇

    村上国務大臣 私も賛成です。こういう大事な問題が何年たっても結論も出なければちょっとも進行しないということは、法治国にあってどうかと思います。十分ただいまの御趣旨に沿うように前向きで、調査会なり審議会に相当経験者を入れて検討いたしたいと思います。
  140. 久保等

    ○久保(等)委員 同時に、われわれも立法府の一員として、かつてやはり逓信委員会の中に小委員会をつくったこともあるのです。したがって、われわれもぜひまたこれは理事会等で、ひとつ委員長、御相談をいただいて、この改正に関する小委員会等を設けて、院内は院内におけるわれわれとしても十分に検討していくということでもって、ぜひひとつお互いに英知を集めて、この電波法、放送法の改正問題に取り組んでまいりたいと思いますが、何と言ってもやはり政府、特に郵政大臣を中心にされて、この問題についてひとつ責任を持って処理をしていただきたい。このことをひとつお願いしたいと思います。恐縮ですが、郵政大臣の方から一言そのことに対する御意見……。
  141. 村上勇

    村上国務大臣 私も同感です。
  142. 久保等

    ○久保(等)委員 それじゃ次に、これまたずっと前から懸案になっておる問題で、NHKの問題とは別ですが、実はかねてから放送大学の問題があって、これまたいろいろ検討されてまいっておるのです。私、ここ数年の状況についてはあまりつまびらかではないのですが、文部省の中に設けられております放送大学設置に関する調査研究会議、こういったようなものがあって、放送大学、これは仮称ですけれども、それの基本構想といったようなものがまとめられておるようであります。したがって、もちろんその状況等については、文部省の方から現在の状況についてひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。
  143. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 お答え申し上げます。  放送大学の準備状況はどうなっておるかということでございますけれども、ただいま高等教育の拡充とか生涯教育機会の拡充の要請に対処するということで、放送その他の教育手段も総合的に活用いたしまして教育を行うという放送大学をつくるために、先生いま申されました調査会議あるいはその後身でございます創設準備調査会というものを設けまして、これには大学の関係者あるいは放送関係者等の御参加を得まして詰めておるわけでございます。昨年の三月に基本構想を取りまとめましたわけでございますけれども、そこでは放送大学の組織、運営あるいは教育課程、施設等につきまして具体的に指摘をされておるわけでございます。また、これと並行いたしまして、教材やテキストの開発、あるいは学習指導を行います場合のコンピューターによる処理のシステムの開発というようなこと、あるいはこの放送大学の建物のモデル設計等について検討を進めております。それと同時に、昭和四十六年度来ずっとNHK及び日本短波放送にお願いいたしまして実験放送番組をこしらえまして、それを放送し、番組制作の研究並びにその視聴者の反応を見るということを進めてまいっておるわけでございます。
  144. 久保等

    ○久保(等)委員 したがって、この放送大学は現在のNHKとは全く別個の特殊法人をつくってやろうという考え方のようですが、そうでしょうか。
  145. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 基本構想で示されております骨子は、放送大学というものを、いまおっしゃいましたように特殊法人をつくりまして、それが大学を設置するという形で考えております。
  146. 久保等

    ○久保(等)委員 その結論を出したところは、一体どういうところで議論をして結論を出したのですか。
  147. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 これも昭和四十七年度来文部省に設けました放送大学設置に関する調査研究会議の基本構想で出されたわけでございます。
  148. 久保等

    ○久保(等)委員 これは非常に重要な結論だと私は思うのですが、その放送大学だけに関する企業体といいますか経営主体といいますか、そういったようなものが果たして十分に放送大学としての機能を果たし得るのかどうか。しかも片やNHKで御承知のように教育放送がなされておる。そういったようなものと別個に特殊法人としての文部省所管の放送大学を設置する。これまたそれこそ全国あまねく電波が届くようにしなければならぬ。東京あるいは大都市等に出て学問ができない、勉強する機会が与えられない山間僻地等の人たちも、できるだけ、いながらにして勉強ができるようにしよう、というところに放送大学の特殊な目的なり価値があるんだろうと思うのですが、そうだとすると、この放送大学設置そのものが大変な問題だと私は思うのです。教科課程の中身をどうするこうするなんというのは、大学の先生方が集まってやられれば比較的簡単に、したがって基本構想の中でも主としてそういったことが書かれてあるのですけれども、経営主体を一体どういう形で構成をし、またどういうふうにして実際の放送大学を設立するかという問題等についても、これは非常に問題が大きいのですが、研究会議の構成メンバーを見ますと、二十名の中で十八名は全部大学の学長あるいは教授、こういった方々で、たった二人だけが元郵政事務次官、元電気通信監理官、こういった方々でいま言ったような方針を決められたようですが、一体こういうことでどういう構想で放送大学を設置しようとしておるのか。全国的に完成した暁の放送大学の構想というものはどういうことになるのか。たとえば経費の問題費用の問題、これも予算的にはどの程度の予算がかかることを考えておるのか。また運営の問題についても、大変な大きな組織を全部国費で賄う放送大学ということになるんだろうと思うのですが、そういったあたりのところをどの程度議論をしているのか、ぜひひとつお聞きしたいと思います。
  149. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 先ほど申し上げましたように、基本構想を取りまとめいただきましたのは調査研究会議でございますが、その後引き続きましてその基本構想をさらに具体的に深めるという検討をお願いをする、という趣旨で放送大学創設準備調査会というものを設けております。それには、先生御指摘のように、調査会議の場合には放送関係の方が比較的少なかったということもございまして、具体的に深めるという関係上、郵政省あるいはNHKあるいは民放連の方々にお入りいただきまして、御協力を得ておるわけでございます。  なお創設準備調査会につきましては、そのもとに教育専門委員会、施設専門委員会あるいは組織運営委員会というものを設けまして、さらにその下には作業部会も各種設けまして、具体的に検討をする過程におきましては、さらに実際上の技術的な問題のよくおわかりいただけるような、たとえば中堅の技師に当たるような方にもお入りいただいて詰めておるわけでございます。  それから放送大学の全体の姿でございますけれども、これはラジオテレビというような放送手段を主たる教育手段とはいたすわけでございますけれども、これだけによるというものではございませんで、基本構想で示されておりますように、各県に地域センターという学習の場を設ける、あるいは通信教育と申しますか印刷教材、テキスト、自習書、そういったものによって家庭で勉強もしてもらう。そういうものをいわば三位一体的に、総合的に活用して教育を行うという新しい構想でございます。  なお放送大学につきましては、先生先刻御案内のとおりでございますけれども、社会人あるいは勤労青年で、現在ありますような高等教育機関における修学形態ではとうてい大学教育を受けることができない方々が、この大学では学び得るという点に最大の魅力があるわけでございますので、そういう点が具体的に円滑にできるようなことを考えておるわけでございます。なお、施設設備につきまして非常に巨大な金を要するであろうという御指摘でございますけれども、これは全くそのとおりでございます。したがいまして、私どももできるだけ有効に経費が投ぜられて効果が上がるということを目途といたしまして、目下その検討を具体的に詰めつつあるということでございます。
  150. 久保等

    ○久保(等)委員 やはり何をやるにしてもまず金だと思うのですが、おおよそどのぐらい経費がかかるという目算のもとに、こういう特殊法人をつくることを考えたのですか。
  151. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 実は放送大学の基本構想の中でも、この大学を全国一斉にスタートさせるということはとうていむずかしいわけでございますので、開設当初は一ないし二のブロックぐらいから始めて次第に全国に及ぼす、その間に試行的な過程を踏んで必要に応じて軌道の修正等を行っていくという考え方が示されておるわけでございます。私どももいまその線で検討を進めておるわけでございますけれども、全体計画としてどれくらい経費がかかるかということになりますと、実は最終的には全国をカバーするというのがもちろん理想でございますけれども、具体的にどの段階でどこまでカバーするかという問題あるいはその代替手段がどこまで考えられるかという問題その他いろいろございますので、ただいまの時点ではまだ最終的にこれだけの経費をかけてこの年次計画でやる、というところまで割り切った結論は持ち合わせておりません。
  152. 久保等

    ○久保(等)委員 理想的な全国的に普及した状態については、これはよほど先の話ですから、あるいは想像することも困難かもしらぬですが、しかし、さしあたって一ブロックなり二ブロックについて、まず第一段階としてやっていこうというその段階におけるおおよその経費程度の目安はどういう程度なのですか。
  153. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 実は、一ないし二ブロックと申し上げましたけれども、その二ブロックも、どこのブロックをとるかということによっても変わってまいると思いますし、その点につきまして、実は五十年度予算をいま審議いただいておるわけでございますけれども、その中で需要予測調査などもいたしまして、どの地域からはどういう階層のどういう職業別の学生が予定されるかということもしっかり把握して、また、その人たちに対しては、放送大学で行います教育というものの中身なり、ある程度わかる範囲でお示しして、そういうものを具体的につかまえた上できちんとした数字は決めたいというふうに考えておりますので、いまちょっとにわかにお答えするのは非常に困難でございます。御了解いただきたいと思います。
  154. 久保等

    ○久保(等)委員 そういったことをまず検討した上に立って出てくるのが、独立した特殊法人にするか、それともあるいはNHKの施設なりを使ってやるか、という問題になってくるのだろうと私は思うのですがね。まず特殊法人をつくるのだと決めて、やり出してみたら、経費は一体幾らかかるのか見当つかぬ、これから調べるのだというのでは、こういう結論を出したこと自体が何かわれわれには理解できないのですね。しかも、片やNHKでは、先ほども議論があったように、学校放送等は現実にやっているわけですね。それで、片や今度は大学だけに関する放送大学というものをつくる、しかもそれには、これはあとで郵政省の方にもお尋ねしたいと思うのですが、当然また新しい波の割り当てもやっていかなければいかぬ。そうすると、片や経費の方は国でもってまる抱えでやっていく。すると、日本の放送体系というものは、民間放送ありNHK放送あり、それから国営放送と言えるのか何放送と言えるのか知らぬが、とにかく文部省所管の放送局ができる。この狭いところに、電波もそう豊富なわけじゃないわけだし、しか運営の問題だって大変な問題だと思うのですね。各地域にまた学校の先生、専門の先生を何人か配置するというようなことなんかを考えると、これは陣容としても大変な大学です。一東京にある大学と違って、全国的なエリアを持った大学という大学ですから、大変なものだと思うのです。しかも、教育も大学教育に限っての構想でスタートしているわけですから、一般の教育関係は、これはまたNHK教育放送という面でやっている。だから、特殊法人として出した結論、このこと自体にどうも私は疑問を感ぜざるを得ないのです。その決めたのは、先ほどお話ししたように、二十名から成る研究会議の方々で決められたというのですが、大学の学長や先生方が十八人、それで、元郵政事務次官の曾山さんあるいは電気通信監理官をやっておった柏木さん、この二人だけが入っている。教育の問題と電波の関係の問題、これは非常に大所高所から最終的には判断しなければならぬ問題だと私は思うのだけれども、こういうところで決められて、非常に教育課程のことなんかについてはいろいろ細かく決められておるのですが、これは相談せられれば比較的簡単に決められる問題だと思うのですが、問題は、この中で基本構想がどういうことでそういう結論を出したかと見てみても、きわめて簡単なことしか書かれておりません。設置形態というところに若干数行にわたって書かれている。これが実は私の最も問題にしたいし、お聞きしたいところなのですけれども、要するに既存のNHKの施設を使ってやった場合、それから新しく放送大学というものを特殊法人をつくってつくった場合、それとの経済比較というものをおおよそ検討しながらやっていかぬと——金は何ぼでも出す、国費は幾ら使ってもいいんだというならこういう構想もあるいはできるかもしらぬけれども、実際問題として、放送大学という限られたものに、幾らになるか見当もつかぬのですが、大変な金を注ぎ得るのかどうか、日本の財政能力からいって。しかも、放送大学という大学に限っての問題なのですから。そうしてみると、まことにわれわれ放送大学をつくることそのことには賛成なんですけれども、特殊法人の放送大学をつくって、単独にそういったことをやっていくということになると、これはなかなか容易でない問題があると思うのです。文部省の方から来て御答弁いただいておりますけれども、これは文部大臣並びに郵政大臣あたりのところで、さらにはもう少し関係すると思いますが、そこらあたりで、日本の電波行政の上からいって、そういう電波の割り当てを今後どんどんやっていく、放送局をつくる、そういったことが一体適当なのかどうか。これは教育内容問題は別にして、郵政省の立場ですから、あくまでも郵政省は電波の監理というかそういう立場から考えて、しかも現実にNHKが長い年月と実績を持った学校教育を現にやっていながら、放送大学というものを全然別個につくる。施設も人間も組織も全部別個。こういうことが一体適当かどうかということになると、疑問を感ぜざるを得ないのですが、郵政省としてはどの程度のこのことに対する見解を持っておられるのか。それはできれば大臣からお答え願いたいが、電波監理局長でも結構ですが、ぜひひとつこれに対して今日までどういうかかわり合いを持ってその論議に参画されたのか、またこのことに対してどういう見解を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  155. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この放送大学の構想につきましては、御承知のように、昭和四十四年にこの構想が出てきたわけであります。その後、放送大学というものの今後の持っていき方というようなものについて再三会合が持たれたわけでございますが、郵政省といたしましては、放送を利用しての大学というものについては、従来から放送大学というものが実施体制について責任を持つようなかっこうで進めていただきたいというような見解から、このような調査研究会議の結論に賛意を表したわけでございます。そして、われわれといたしましては、この放送大学が電波を利用しての大学であるということのために、やはり特殊法人というかっこうが望ましいということも考えましたし、またその番組の問題につきましても、やはり厳正中立という立場を守ってほしいというような意見も述べたわけでございますが、そのような構想のもとにやはり文部省で計画しております放送大学に賛意を表して、従来からこの設置に協力してきたものでございます。
  156. 久保等

    ○久保(等)委員 金を全然度外視してみれば、そういったことも電波行政の立場だけから見れば一応筋の通ったような話であるように聞こえるのですけれども、問題はやはり私は国家経済の全体のことも考えながら、そこで経営の問題になると、放送大学という特殊法人ができれば、これは文部省所管ということになるから郵政省としては何か関係がないというようなことになるだろうと思うのですけれども、しかし、この設立過程で、まだ海のものとも山のものともわからない過程で、やはり経営問題については率直に言って文部省何の経験も持っておらないですが、少なくとも民放ありNHKあるといったようなことで、放送経営問題については何といっても郵政大臣のところで郵政省のところで、いろいろな関係で従来からタッチしてきておられるわけですから、そういう点から考えると、この放送主体というものがどういう姿であることが望ましいのか。これは余りなわ張り根性で電波監理という立場だけではなくて、放送経営といったようなことについて、これはやはり十分に議論しなければならない問題だと思うのですね。だから、電波の割り当ての要請があったら、それに対してできるだけ協力して割り当てればいいのだという程度の問題じゃないと思うのです。したがって、私はこの逓信委員会で取り上げてお尋ねしているのです。文教委員会でもちろんやる問題でもあろうと思うのですが、しかし、放送経営という問題についていろいろと今日問題があるわけですしするのに、放送大学というものをこれからまた新しくつくる、全く新しく別個のものをつくる。観念的には非常にその方がすっきりしていていいのですが、何といいますか既設の施設を使ったりなんかする場合と違って、非常にすっきりしているのです。すっきりしているのですけれども、それは国家的な立場から見た場合に非常に不経済である。それからまた事実円滑にうまく運営できるかどうかという問題、これは十分に考えられるわけなんですけれども、そういった点については、これはやはり郵政大臣あたりのところでいい意味で文部省に対しても提言をすべきだと実は思うのですけれども、どうなんですかね。
  157. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたいろいろな点につきましても問題点はあるわけでございますが、私たちといたしましては先般四十四年来の放送大学構想というものを、一応政府の方針ということでそれに協力するという体制で参ってきたわけでございます。したがいまして、その経営主体の問題、そのような問題につきましても文部省といいますか、この調査研究会議におきまして十分検討を進めてきたというふうに存じておるわけでございますが、われわれといたしましては経営以外の、いわゆる放送内容というものにつきましてはかくあるべきであるという姿について、たとえば中立的な問題あるいは番組審議の問題、そういうような問題について十分われわれとして意見を述べてきたというのが現状でございます。
  158. 久保等

    ○久保(等)委員 この放送大学、大変な問題だと思うのですが、NHK教育放送の問題との関係は一体どういうように考えたらいいのか。これは従来どおりやっていくんだという恐らくまた御答弁だろうと思うのですけれども、一体それとの関係なんかを考えても、使うのは放送施設を使ってやるのですが、これはいわば二系統にこれからなっていくということにもなると思うのです。そこらあたりの問題もやはりあるんじゃないかと思うのですが、念のためにひとつ学校教育教育放送と、この新しくできようとする特殊法人の放送大学との関係というものは、どういうものになるのかお尋ねしたいと思います。これはNHK会長の方から。
  159. 小野吉郎

    小野参考人 新しく設立を予定されております放送大学につきましては、この放送を利用して勉強をすれば大学卒業の免状が取れる、こういうものでございます。NHKはそれとは関係なく教育放送の一環といたしまして特に幼児、あるいは小学校、中学校、高等学校向けのそれは学校向けに放送をいたしております。ただ、今日非常に生涯教育の叫ばれます中で、やはりそういう高等学校卒業者もより高度の教養を身につけたいでございましょうし、また時々刻々変わりつつある学術文化社会におきまして、いろいろ新しい知識も出るわけでございますので、市民大学講座なるものを設けております。これは放送大学が設立せられましてもこれをやめるつもりはございません。ただ、これに対して一定の資格条件を付与するかどうかは文部省の問題でございまして、NHKといたしましてはやはりそういった社会的要請にこたえまして、放送大学は放送大学で別個でやりましても、いまの市民大学放送は許される限り続けてまいりたい、かように考えております。
  160. 久保等

    ○久保(等)委員 そこらが非常に問題があると思うのですが、しかしここでこのことをさらに掘り下げてみても余り意味がないと思いますから、この問題についてはその程度にしたいと思います。  最後に文部省の方にお尋ねしたいと思うのですが、これだけ大きな問題ですから一体閣議に諮って閣議として決定をしておるのかどうなのか。特殊法人をつくる、言いかえれば国立放送大学——名前は何でもいいですが、とにかくそういうものをつくるのだと言う。これだけの問題ですから、当然内閣として閣議等に諮ってお決めになっておるのかどうか。これをひとつお尋ねしたいと思います。
  161. 勝谷祐一

    ○勝谷説明員 先ほど来申し上げましたような基本構想で示されておりますような形で放送大学をつくるということにつきまして閣議で決定をされたということはございませんが、放送大学を検討するということについては、閣議で話題と申しますか議題としてお取り上げになったことはございます。なお、放送大学の構想を準備を進めてまいりまして、最終的に固まりました段階ではもちろん閣議にお諮りするということになると思います。
  162. 久保等

    ○久保(等)委員 放送大学の問題については私その程度にいたしたいと思うのですが、ただ先ほど来申し上げますように、われわれの最も知りたいこと、それから当然構想として固まっていなければならぬと思われる経費の問題。一体どの程度の金がかかるものだか、また運営についてもどういったことになっていくのか。こういったようなことは、少なくとも準備を進める事前に、当然こういったことについての一案がなければならぬと私は思うのですが、そういった点では特殊法人をつくるのだと言って、われわれから見ると、比較的簡単に結論を出したように思われるのです。そういうことではこの大問題がスムーズに準備が進むとは私は思われないのです。そういった点については、文部省所管でありますが、ぜひ放送大学設置の問題について十分に事前に検討を加え、準備をしてもらいたい。このことをお願いしておきたいと思います。  それでは次に移ってお尋ねをいたします。先ほど通信衛星、放送衛星の問題について阿部委員の方からもお尋ねがありましたので、私も多くをお尋ねはいたしませんが、放送衛星そのものが実用化されるのには、先ほど来の御答弁を伺っておりますと、相当の年月が必要ではないかと思うのです。特に難視聴対策としてこれを利用していくという考え方に立てば立つほど、難視聴地域における受信者というものは、どちらかと言えばできるだけ低額、できるだけ安価に放送が見られるように、聞けるようにということが希望だろうと思うのですね。したがって、どこか実験室に備えておいて見るような受像機では実用にはならぬと思うのです。そこまでいくのにはよほどの技術的な研究と歳月を要するものだろうと思うのです。がしかし、さしあたって放送衛星打上げが五十二年にやられるということになっておるようですが、去年あたりは五十一年中には打ち上げたいという方針だったのが、大臣の先般のお話を伺ってもまた五十二年に繰り延べになったというのです。これもおおよそ想像はつくのでありますが、どういう経緯なのか、簡単に御説明願いたい。
  163. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 実験用静止通信衛星それから実験用の中型放送衛星、この二つの衛星の打ち上げにつきましては、アメリカの航空宇宙局、NASAと申しておりますが、そこに打ち上げを依頼するということになっておりまして、打ち上げ時期を一応五十一年度ということを宇宙開発計画で決めていただいたわけでございます。この打ち上げを依頼するために契約の締結交渉を行っております。これはNASAと宇宙開発事業団の間で契約をするわけでございます。この契約の作業を行っていたわけでございますが、その途中におきまして、先般打ち上げ経費の前払いの時期をめぐりまして問題が出てきたわけでございます。したがいまして、その内容を分析しますと、昭和五十一年度に打ち上げるということが不可能になったということでございますので、これを五十二年に延ばすということでございます。細かな問題でございますが、従来はアメリカのNASAとの交渉におきまして、NASAは従来の方針といたしましては打ち上げの二十四カ月前から打ち上げ費を払えということになっていたわけでございますが、ただ交渉の初めの過程におきましては二十四カ月でなくてもいいというようなことで交渉を始めておりましたら、最近アメリカのNASAの方からやはりこの原則を守っていただきたいという話になったために、交渉がこじれてきたわけでございます。したがいまして、アメリカの原則の二十四カ月ということを守りますと、どうしても五十一年度には上げることが不可能になるということで五十二年に延期したわけでございます。
  164. 久保等

    ○久保(等)委員 去年のやはり当委員会での御説明によると、四十九年度経費、これは科学技術庁、郵政省含め、国庫債務負担行為を含めて二百八十億と習われておったのですが、いまのように打ち上げが延期になってくると、こういった予算の執行面では金額的に変化が出てきているのじゃないかと思うのです。それと五十年度予算を食めて、予算の面では当初の予定から考えてどういうことに変わってまいりますか。
  165. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 予算の面でございますが、衛星本体につきましては、これは四十八年度に三年の国庫債務ということで予算ができ上がっているわけでございます。それから地上施設につきましては、二年の国庫債務で四十九年度からつきまして、五十一年度には打ち上げが可能なような予算の計上になっているわけでございます。したがいまして、現在われわれといたしましては、国庫債務の実施につきましては、そのまま進みますと五十一年度には地上施設並びに衛星本体はでき上がる、こういうことになるわけでございます。
  166. 久保等

    ○久保(等)委員 その打ち上げのNASAに支払う金額というのはどういう金額ですか。幾らですか。
  167. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 この打ち上げの経費の支払い方につきましては、二十四カ月の分割払いでございますが、これは一基当たり大体四十九億円というのが現在の打ち上げ費になっておりまして、これは宇宙開発事業団の方の予算に計上されております。
  168. 久保等

    ○久保(等)委員 NHKでもこれに対応して先ほど来いろいろ技術的な研究をしておられるようなお話を聞いたのですが、打ち上げ前それから打ち上げ後あたりに、この研究上いろいろそれに対応する実験施設というか、そういうものが当然必要だろうと思いますし、準備をしておられると思いますけれども、五十二年になったのですから、打ち上げ後ということになれば、いまから言えば明後年になるわけですが、打ち上げられた後における実験ということになると、どの程度の経費を必要とするのですか。初年度あたりの経費というものは。
  169. 藤島克己

    ○藤島参考人 お答えいたします。  普通、打ち上げは一年延期になったから経費も少し安くなっていいじゃないかというふうなお考えにおなりになるんじゃないかと思いますけれども、これは郵政省がお答えになるのが適当かもしれませんが、実は国際会議の方が明年の五月、再来年の二月というところで、放送衛星のチャンネルプランが具体的に審議される。この方はうちの衛星の打ち上げが延びようが延びまいが変わらないわけでございますので、放送衛星がおくれたことによって、実はそういうことに対処する資料の収集その他が、以前計画していたものがうまくいかなくなりまして、そのために、ことし、そういう関係の測定器だとかそれから送受信機だとかというものを従来よりも急いで整備するということになりましたので、五十年度はとりあえず事業費と建設費と入れて四・七億くらいの経費を投入いたします。それから、打ち上げを実施しました後は、先ほどからお話が出ておりますように、とりあえず個別受信というわけにはまだまいりませんので、あるブロックに分けた集団受信的な実験が当初始まると思いますけれども、そのためには、そういう施設をつくるために大体五十年度と同額くらいの予算が、ここ数年間は継続的に出なければいかぬだろうと考えております。
  170. 久保等

    ○久保(等)委員 わかりました。  それでは次にお尋ねをいたしますが、次は受信料関係について若干お尋ねしたいと思うのです。最初に、郵政当局の方にお尋ねしたいと思うのですが、ことしの郵政大臣意見書の中には、最初に協会を取り巻く経営環境がきわめて厳しいことを認識をして、将来における経営の健全化について今後さらに検討を行うべきであるということが一筆書かれておるわけですが、これはもちろん例年見られない事項だと思うのです。この意見書の中にも指摘しておられるように、二百十六億近い赤字経理をせざるを得なかったといったような意味からいま言われたことが書かれておるのだろうと思いますが、先ほども大分具体的な御答弁小野会長の方からありましたので、私の方で繰り返してお尋ねいたしませんが、この経営の健全化について今後さらに検討を行うべきである。この経営の健全化という中にはいろいろ考えられると思うのですが、経費の節約あるいは能率向上、さらに先ほど小野会長の方から会長のきわめて私案的なあるいはきわめて漠然としたような意味で申されたのだと思いますが、受信料の値上げの問題、こういつたようなことも含まれておるのじゃないかと考えられるのですが、郵政当局が考えておる経営の健全化というものは一体どういうことをお考えになっておるのか、お尋ねねしたいと思います。
  171. 村上勇

    村上国務大臣 NHK受信料を唯一の収入源として放送を行っておる公共放送機関でありますので、経営基盤の確立を図ることはきわめて重要なことであります。したがいまして、NHKがみずから経営のあり方について再検討し、国民理解を得られる形でその健全化を検討していただきたいと思っております。それから先のことにつきましてはいま私が申し上げる段階ではないと思います。
  172. 久保等

    ○久保(等)委員 差しさわりのない御答弁なんで、しかし、その御答弁もよくかみしめれば、受信料が唯一の財源なんだということも言っておられるわけですから、大きな節約が何百億というふうにできるような中身にしたらまた話は別でありますが、そういったことにもおのずから限界があるとなれば、受信料問題について手をつけざるを得ない。が、しかし、いまのところは言うべき段階でない。そういうふうな御説明だろうと思うのですが、私確かに、いまのNHKの最近数年における受信料の収納状況を見ても、いろいろと変化をしておることがわかるんですが、予算と決算をここ数年にわたってながめてみても、昭和四十六年ごろからだんだんと予算どおりの収納が見られない。だんだんと早算で計上した収納そのものが実現してないというふうになっておるようですが、四十九年度あたりはどういうことになりますか。私手元に四十七、八年度ごろぐらいまで持っておるんですが、四十九年度はこれは見通しになりますけれども、白黒契約それからカラー契約、そういったものが予算に対してどういう決算の上では見込みになっておるのか、NHKの方からひとつお答え願いたいと思うのです。
  173. 川原正人

    ○川原参考人 四十九年度はまだ実はあと一カ月残っておりまして、私どもとしては計画どおりにいま鋭意最後の努力を傾けているところでございます。率直に申しまして、四十九年度予算で当初契約総数で六十七万件の増という計画、それからカラー契約におきましては二百四十三万件の増と、こういう計画でやっております。いまのところ、契約総数は六十七万件、まだあと一カ月残っておりますので現在それに達しておりませんけれども、最後の努力でまず間違いなくいけると思っております。ただカラーテレビジョンにつきましては、その後のやはりカラーテレビの出荷状況等の影響もございまして、年度当初に掲げました二百四十三万件というのは若干いまいかがであろうかと考えております。しかし、なおあと一カ月以上の時間がございますので、現在全部の営業の職場を督励いたしまして、当初計画に近い数字でいま最後をまとめたいと思って努力をしているところでございます。
  174. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは確定したところまだおわかりにならぬようでありますから、四十七年度、八年度についてお尋ねしたいと思うのですが、四十七年度、八年度では予算に対して決算の面でどういうことになっておるか。また、その結果に対してどういう理由でそうなったのか、お尋ねしたいと思います。
  175. 川原正人

    ○川原参考人 これはむしろ金額でお答え申し上げました方がより正確かと思います。  四十七年度につきましては、これは当初収納率九八・九%ぐらい、一・一%の未収ということは一応覚悟してやったのでございますが、結果といたしましては若干ふえまして、未収の金額が一・三%というふうに四十七年度の決算はなっております。
  176. 久保等

    ○久保(等)委員 四十八年度は。
  177. 川原正人

    ○川原参考人 四十八年度につきましては、実はこれは初年度はすでに終わっているわけでございます。それで初年度におきましては実は三十億余りの未収金が出ているのでございますが、これは私どもの予算といいますか執行といたしまして、二年度にわたって未収金を回収することになっております。現在二年度の回収に入っておりまして、極力この金額を私どもは減らすべくいま努力をしております。これもまだ三月まで最後の回収の努力をしておりますので、これも結果を見ないと、まだ何とも申し上げられない状態でございます。
  178. 久保等

    ○久保(等)委員 そうすると、お尋ねしたいと思うのですが、四十七年度、四十八年度については、いま言われるように、まだ未収金についてはできるだけこれの回収を図っておる途中ですから、当然また未収金が入ってくるということになるんでしょうが、四十七年度について申し上げれば、それならば約十億円ぐらい予算より決算面で思ったほどに収入が人ってきていないということになっておると思うのですが、これも相当まだこれから回収というか納入の可能性があるのですか。予算面から見て、決算で十億円ばかり下回っておるのですが。
  179. 川原正人

    ○川原参考人 四十七年度につきましてはすでに決算を終了しておりまして、先ほど一・三%と申し上げましたけれども、これは予算に対しまして十四億円の未収という結果に終わっております。
  180. 久保等

    ○久保(等)委員 そうすると、四十四年、四十五年、四十六年とずっと見てくると、予算よりも決算の方で上回った収入がある。ところが、四十七年度に来て、いまお話があったように十四億ばかり逆に決算では予算より下回っておるということになるのですが、それはどういう理由ですか。特別な理由が何かありますか。
  181. 川原正人

    ○川原参考人 全体として申し上げますれば、四十五年、四十六年度にかけましては、カラーテレビジョンの普及と申しますか、これが非常な勢いで普及いたしまして、実は私どもが予算で予定しました以上にカラーテレビジョンの普及が伸び、結局契約がふえ、そしてそのカラーテレビジョンによる収入が予算以上にあったわけでございます。そのためにかなり黒字といいますか、そういう結果になったのでございますが、四十六年度をピークといたしまして、四十七年度あたりから徐々にカラーテレビジョンの普及が限界といいますか、かなり高い率になってまいりましたので、私どもももちろんそれに対しましてぎりぎりいっぱいの計画を立てまして鋭意努力をしたのでございますが、やはりそのカラーテレビジョンの見込み数が私どもの計画と若干食い違って、今度は下回るようになってきたというのが最大の理由でございます。
  182. 久保等

    ○久保(等)委員 結局ずっとながめて、四十七年度のところでにわかに相当な金額が、予算をはるかに下回るというような結果に決算がなったということですから、見込み違いだった、簡単に言えばそういうことだろうと思うのですね。だから、その見込み違いをされるということは、経営上大変な誤算を来すことになるわけですし、四十八年度についても、現状で見ますと、私の手元にある資料によると約四、五億円ぐらい下回っておることになるのですが、これが今後、先ほどお話しのように回収ができれば別ですけれども、そうなると、四十六年あたりを境にして、最近の見積もりそのものが、NHKとしてももう少し厳密に予測を立てていかないと、予算面で若干そういった点ではラフというか、予想違いのような結果になってきている傾向が、従来なかった傾向ですけれども、この七、八年の経過を見ると、四十七年度あたり際立って、しかもまた四十八年も必ずしも楽観を許さないようなことになってきていると思うのです。そういう点については、ひとつ誤算を来さないような、もう少し的確な予算を編成していただくように御努力を願いたいと思います。したがって、未回収分については一層ひとつ督励をしていただいて、ぜひ未収のないようにお願いをしたいと思うのです。  ところで、先ほどの受信料の問題になるのですが、私は、結局NHKも創立以来かつてない一つ経営上の曲がり角に立っておるんじゃないかと思うのです。もちろん外的な異常なインフレ、物価高といったような情勢が最大の原因の一つだと思うのですけれども、しかしそれにしても、ついせんだって放送会館の売却問題をめぐってあれだけ世論も非常に大きな関心を持っておったNHKが、一朝にして今度は逆に大変な赤字の経理に転落をしたというようなことで、非常な事態を迎えておると思うのですね。そういう点では一層経営基盤の強化について御努力を願わなければならぬし、まとまってそれこそ節約をして大変な金を浮かすといったようなことはできないので、小さいところに十分に御配意を願って、午前中もちょっとお話があったように、たとえば助成金の出し方の問題なんかにしても、これは小なりといえども十分にひとつ精査をしていただいて、民間放送との関係もありますけれども——私もあの問題については若干奇異に感じているのですが、金額的に見ますと、二億、三億という金ですけれども、しかし民間放送の出している金額と比べると、比率の面では大変な——民間一社から見ればわずかに十数万円程度の金額にしかならない。私のちょっと計算をしてみたところによっても、放送番組センターの場合でも、四十九年度の場合にNHKの三億円に対して、民間放送八十七社で一億二千八百八十万円、一社にすると約百五十万円程度だと思うのです。それから番組向上協議会に対する助成金にしても、これは金額は少ないと言えば少ないですが、NHKが二千四百万円に対して民間放送八十七社で一千四百四十万円、NHK二千四百万円に対して一社当たりにすると十六万円程度で、まあ百五十分の一ぐらい。番組センターの場合にはNHKに対してみれば一社が二百分の一ぐらいの負担。こういったようなことになっている。これは金額的には余り大きな金額じゃないかもしれませんが、こういった問題について、従来やってこられたやり方についてやはり振り返って、この時期に再検討を十分にお願いする必要があるんじゃないかというふうに考えます。そういう意味で、経営基盤強化の問題について、郵政大臣意見書ではありませんけれども、とにかく健全化について根本的な再検討をお願いをしたい。かように考えますが、会長、どんなふうにお考えになりますか。
  183. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘の点ごもっともでございまして、郵政大臣意見も十分に尊重いたしまして、経営の健全化のためには十分な努力を惜しまないつもりでございます。
  184. 久保等

    ○久保(等)委員 次に、難視聴の問題、これまた先ほど来御質問がありましたから、私は簡単に一つだけお尋ねしたいと思うのです。  都市難視の問題が陸続と発生をしておりますが、最近ではこれまた、新幹線が岡山からさらに九州の方まで延びるというようなことに伴って、一つのいわば新幹線難視の問題が出てくることになると思うのですね。こういったようなことについても事前にいろいろ調査をせられておるのじゃないかと思うのですが、NHKの方で例のテレビジョン放送難視聴対策調査会、そういったものをおつくりになってすでに今日までいろいろとこの問題については取り組んでおられると思うのですが、新幹線問題について具体的に取り組んでおられるのならば、それについてお答え願いたいと思います。
  185. 川原正人

    ○川原参考人 御指摘の難視聴対策調査会、これは郵政省の方でいまやっておりまして、私どもとしては委員の一人を出しているということでございます。  新幹線問題につきましては、国鉄当局とNHKでかねがね、一番最初昭和四十年ごろから受信障害に対しまして各種の対策を実施してきております。特にいま一番問題になっておりますのは、東海道につきましてはかなり時間もたっておりますので対策もかなり進んだわけでございます。山陽新幹線の方が現在工事が進み、すでに始運転を始めておりますけれども、この被害がかなりなものでございますので、これも一番最初、新大阪−岡山間につきましては昭和四十六年度から、岡山−博多間につきましては昭和四十七年度から各種の対策を実施し、結局は高架の鉄道の道路、高架線ですね、それと、そこをさらに上を列車が走ることによる受信障害、この二つが出てくるわけでございます。それに対しまして、私ども、沿線から大体三百メートル以内ぐらいが一番被害が出る、そこに四万五千ぐらいの世帯が含まれるのではないかということで、それを対象にしまして、すでに山陽新幹線につきましては昭和四十九年度、間もなく終わるわけでございますが、これまでに四万世帯ぐらいにつきましてその対策を済ませております。さらに、五十年度予算では一万七千世帯に対しまして必要な手を打とう。経費は大部分は国鉄当局が負担いたします。ただし、NHKといたしましても立場上、山陽新幹線につきまして若干の、一五%ぐらいの経費を負担いたしまして、これで対策を実施している、こういうわけでございます。
  186. 久保等

    ○久保(等)委員 郵政省の方から、現在の調査会での調査状況といいますか現状をひとつ、難視聴関係の問題についてお答え願いたいと思います。
  187. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 調査会の検討状況について申し上げます。  調査会といたしましては、まず都市における高層建築物等によりますテレビジョン放送の受信障害を取り上げることといたしました。その解消方策について調査検討を進めております。昭和四十九年の秋からは都市の受信障害の解消のあり方、これにつきまして調査会の中に小委員会を設けまして、そこで掘り下げた検討を続けております。一方調査会といたしましては、それと並行的に今度は辺地におけるテレビジョン放送の難視聴解消を促進する方策を現在調査検討しておる次第でございます。近く結論を出してほしいということでわれわれはお願いをいたしております。
  188. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの近く結論というのですが、もう少し具体的にというか、どういう問題を直接的には目的として結論を出してもらいたいというふうに考えておるのですか。
  189. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 この調査会におきましては、都市難視聴の問題と辺地の難視聴の問題、この二つに対象を向けまして、さらにそれを技術的な問題とそれから法制的な問題とこの二つに分けて調査を進めていただいているわけでございます。現在までにいろいろ作業が進みまして、技術的な問題あるいは法制的な問題についての作業の結論をいただけるようにお願いしているわけでございますが、ことに法制的な問題についてはなかなかむずかしい問題がございますので、この点は少し時間がかかるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  190. 久保等

    ○久保(等)委員 私も余り時間がないものですからできるだけかいつまんでお尋ねしますが、次に移って、主としてNHKの職員の給与問題についてお尋ねしたいと思うのです。  先ほど大分お話があって、私も聞いておりましたからその点は省略をいたしますが、先ほどの御説明では、特にNHKと比較される民間放送なりあるいは新聞関係に対する数字を挙げての御説明を聞いておりましても、私の手元にある資料から見ると、まだ多少控え目といいますか内輪目にお答えになっておったのではないかと思うのです。大ざっぱに言いますと、基準賃金の面では、民間放送と比較をいたしますと約二割程度の開きがあるのじゃないかというふうに私は見ております。また、手当なんかの問題にしても、大ざっぱに言うと、昨年一年間を見てみますと約半分程度じゃないかというふうに見られます。夏期手当、年末手当を含めて大ざっぱに言って、民間放送の大どころは約百五十万円前後になるようですが、NHKの場合には約七十万をちょっと超す程度じゃないかと思うのです。先ほどの御説明だと少し内輪目じゃなかったかと思うのですが、数字的にはある程度的確につかんでおられるのですか、どうなんですか。もう一遍ひとつお答え願いたい。
  191. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 お答えいたします。  数字は各社の数字を大体のところつかんでおります。先ほど臨時給与、夏期手当あるいは年末手当、これにつきましてNHKが五・七カ月で、大手の新聞、放送が八カ月ないし十カ月というふうに申し上げたわけでございますが、もともとのベースに差がございますので、額の上から申し上げますと、ただいま先生のおっしゃったように、四十九年度NHKの場合は大体年間七十四万円ぐらいでございます。大手の新聞、放送は大体百万を超えております。最高のところでは先ほどおっしゃったような百五十万というふうな数字もございます。以上でございます。
  192. 久保等

    ○久保(等)委員 この問題についても先ほど会長の方から御答弁があって、これからの問題として、この春あたりの一般の民間賃金等も見ながら当然対処していかれるだろうと思うし、労使の間で十分にひとつお話し合いになって、よく言われるように民間に比べて余り見劣りのないようにということをかねがね会長も当委員会等で御答弁になっておるわけですから、給与改善の問題については大変苦しい経緯の中ではありますけれども、そういう均衡を失しないように一層の御努力をひとつ願いたいと思うのです。会長の決意のほどをちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  193. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘のとおり、私どもといたしましては、いわゆる知識産業といたしまして非常に優秀な人材を抱え、またそれをフルに活用してまいらなければならないと思います。そういった面から他に遜色のあるようなことは決してよくない、かように考えておりますので、いろいろ一般の状況をも見きわめました上で、予算の許す限りにおいて善処してまいりたいと思います。
  194. 久保等

    ○久保(等)委員 私は、そういう意味合いで予算総則の第四条第二項、これは時宜を得た措置だと存じますし、ぜひひとつこういった条項等も生かしていただいて十分に現実的な御対処を願いたいと思います。そういう意味で第四条第二項については私も賛意を表します。  それで最後に苦言を会長に申し上げたいのですが、これまた先ほどの阿部委員の御質問にもダブるわけなんですが、やはり「総理と語る」という問題なんです。昨年阿部委員が当委員会でこの問題について、相当いろいろ会長の所信等お尋ねしているのです。私も当時の委員会での御答弁、聞いております。きょうも会長の御答弁聞いておるのですが、客観的にながめて、池田内閣当時に始まった「総理と語る」という番組、ずっと長い間昭和三十七年以来続けられて、一昨年に及び田中内閣になるや、従来に比べてさらに、ひとつ毎月やるようにということになったようですが、それが昨年の七月、参議院選挙後はぷっつり切れてやめた。そしてまたきのうから、三木内閣になって始まった。こういう経過を見てみますと、自主的番組編成の問題、これについてはやはりわれわれも疑念を持たざるを得ない。そのつど会長からの御答弁、昨年からの経過をお聞きいたしておりましても、本当にNHKが毅然たる態度番組編成の自主性を堅持していっておるのであれば、昨年七月やめられることについても  これは、総理は当時御承知のように参議院選挙後の臨時国会で、ついに国会で一言も発言しないという異常な国会をわれわれ経験したのですが、したがって、恐らく番組なんかには出てやろうという気持ちにはならなかったことは、私情としてはわかるのです。しかし、むしろ国民の立場から言えば、あのときにこそ総理にひとつ大いにあの番組に出てもらって、総理の所信を聞きたい、国民はこういう気持ちだったと思うのです。そういうときには影をひそめて、言いたいときには堂々とテレビにあらわれる。こういう番組では国民の期待とは全く逆だと思うのですね。あのときこそ胸を張って、逃げも隠れもしない、とにかく総理大臣としてこう思っているのだということを大いに語ってもらいたかったと思うのですが、そのときには杳として、ぷっつり切れてしまった。こういう運営をされておると、これは会長がどう思ってここの委員会でもって答弁をされようとも、私は、国民はやっぱり信用しなくなると思うのです。いまさら会長に申し上げることは、それこそ釈迦に説法ですけれども、何といったって電波、放送国民のものだと思いますし、特に公共放送がけさほど来言われておるように、聴取料の問題にしても、これを一体どう完納してもらうかということについて大変な御苦労をいただいておると思うのですが、問題は、こういったところが実は非常に重要なことだと思うのですね。民間放送とよく比較されるように、民間放送は払わなくてもちゃんと見える、NHKにはなぜ聴視料を払わなければならぬのだという素朴な国民の気持ちも、十分にひとつ会長なりNHKの皆さん方にも御理解を願っておいて、「総理と語る」という問題についてなかなか巧妙な答弁をどうにか会長はしておられるのですけれども、私は「総理と語る」の問題については、それならば、総理と同じ回数野党の党首にやらせろとは言いませんけれども、二度に一度とか、三度に一度は各政党の党首にも出てもらって、社会党が政権とったら一体どうするんだというようなこともひとつ大いに語ってもらいたいと思うのですね。したがって、総理とだけ語るのじゃなくて、私は、国民も各政党の党首にもやはり大いに聞きたいと思っておると思うのですね。政権を担当している人だけに聞きたいという気持ちはないと思うのです。私は、そういう意味合いで、ぜひひとつそういった点も公平に扱うようにお考え願いたいと思いますし、特に総理という立場になると、単に党首という立場よりも、権力者ですからね。何といったって最高の権力者であるだけに、私はその扱いについては、NHKとしては十分に配慮していきませんと、大いに言いたいほうだいのことを言いたいときだけに出てくるようなかっこう。昨年からずっとぷっつり切れておったのがまた昨晩から始まった。三木さん個人をつかまえて私はどうこう申し上げるわけじゃありませんけれども、やはり番組編成の自主性という問題は、よほどそういった首尾一貫した方針で取り組んでいただきたいと思うのです。御都合が悪いからやめられたと言われれば私はそのとおりだと思うのだけれども、しかしこれはビデオテープというものがあるのですからね、何月何日のその時間でなければ放送できないという問題ではないので、長期の病気なら別ですけれども、短期の病気であれば、ビデオでとっておくという手もあるのですから、そういったことは言いわけにならぬと思うのですね。だから、私のいま申し上げた、単に与党総裁あるいは総理大臣だけではなくて、そういった問題については、ぜひひとつ公平の原則もかみしめながら運用してもらいたいと思うのですが、会長いかがですか。
  195. 小野吉郎

    小野参考人 かれこれ弁解は申し上げません。フランクに、率直に考えまして、一たん設定したルールはそのとおりに運用さるべきものだと思います。それがそのようになっておらないことは非常に遺憾でございますけれども、今後設定したルールはそのままに運用してまいるように努めてまいりたいと思います。  ただ、野党の党首ということになりますと、これは「総理と語る」と平面の問題ではございません。これは一国の政治といいますか、行政の問題といたしまして、国民生活にかかわりのある、非常に関心を持たれる問題であるゆえに「総理と語る」を設けたわけでありまして、私は野党の党首、これはやはり政治的な立場からして、これを取り上げることも意義はあると思います。現在の「総理と語る」は、自民党総裁として出てもらっておるわけでございませんので、これは「総理と語る」として私どもが当初から考えております線で運用してまいりたいと思いますし、これとは別に、自民党の総裁あるいは野党の党首、この政治的立場をやはり時々必要に応じて取り上げることは、これは必要であろう、私はそのように考えております。
  196. 久保等

    ○久保(等)委員 「総理と語る」という言葉はたまたま昨年の委員会で取り上げた問題であったから申し上げたのですが、ゆうべのは別に「総理と語る」ということにはなっていないのですね。正式には「三木政治に問う」、それから「社会的公正の確保について」。それで出演者は三木武夫、それからほかに正村教授、秋山ちえ子さん、こういったようなことになっているのです。だから、あくまでも私の言うのは、形式的な、そういう総理であるとかなんとかということは別にして、要するに、いま言った一党の総裁、それは一面総理という立場は、ある点では野党の党首とは違います。しかし、実質的な意味で、均衡というか公平というか、そういったことが一般国民が見ておって聞いておって理解できるような番組編成にしてもらいたいということが願いですから、「総理と語る」をやったことがけしからぬとかなんとか、一概にそういったことを申し上げているのではなくて、あくまでも公平の原則、不偏不党の原則、こういったことを念頭に置いて取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げておるわけです。  それでは、私の質問は以上をもって終わります。
  197. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先ほど久保先生の御質問に対しまして、衛星本体の予算でございますが、四十八年から三年国庫債務と申し上げましたが、あれは四十九年でございますので、訂正させていただきます。
  198. 地崎宇三郎

    地崎委員長 先ほど久保委員からの御要望のありました小委員会設置の件につきましては、理事会で御相談申し上げます。  次に、土橋一吉君。
  199. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、小野会長初め日本放送協会の幹部の方々が参考人として出席されたことに対して、まず感謝を申し上げます。御苦労さまです。  私はまず最初に村上郵政大臣にお尋ねをしたいのでありますが、すでに同僚の議員からたくさんこの問題について質問も出ております。したがって、重複する点もあろうかと思いますが、ごく簡潔に、明瞭にお答えを願いたいと思うのであります。  第一は、日本放送協会昭和五十年度収支予算事業計画並びに資金計画に付する郵政省の意見として、「おおむね適当である。」ということが大臣の意見として述べられております。そして第二点としては、予算のいろいろな関係の配分に留意するよう、そして、とりわけ「受信料収入の確保と経費の効率的使用」を十分やってくれ、これが一つの大きな柱であると思うのです。二番目の柱は、テレビジョン放送の難視聴解消問題についてはできるだけ努力してくれ、端的な言葉で言えばそういう点があったと思うのです。  そこで、私は端的にお願いをしたいのですが、具体的に言いますと、御承知のように、たとえば東京が約二年ぐらい前には七五・九%という普及率であるわけです。あるいは兵庫県とか大阪府というような所は普及率が八〇%台であったと記憶しておるわけです。そういう中で、いま大臣がそういう意見を付せられた。こういう問題との関連において、大臣は具体的に一体どういうことを結論的に言おうとしておられるか。いま申し上げましたような点について、大臣の意見、あるいは郵政省全体としての考え方、そういう点を端的に、明確に答えていただきたいと思うのであります。
  200. 村上勇

    村上国務大臣 ちょっと私、はっきり聞き取れないところもありましたし……。
  201. 土橋一吉

    ○土橋委員 では、もう一言言わしていただきます。  まず第一に、「おおむね適当である。」こういうふうにおっしゃっておるわけなんです。その「おおむね適当」というのは一体、分析して言えば、ずばりと言えばどういうことをあなたは言われようとしておったのかということです。  次に二点でございますが、つまり十分に配分に留意してそういう点についていろいろやってくれ、それにはまず受信料の収入を確保しなさい、そしてその次は、経費の効率的な使用をやりなさい、これが一つの柱になっておるわけです。もう一つの柱は、テレビジョン放送の難視聴解消についてやりなさい、こういう意見であるわけです。そこで私は一つの例を申し上げましたように、さっき述べたとおり、たとえば東京の場合は二年前には七五・九%だった、あるいは大阪その他大都市周辺では八〇%前後であった。こういうことから見て、大臣は一体どういう確信を持ってこういうことをおっしゃったのかを聞きたいわけです。
  202. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  賃金及び物価が上昇していること、それから受信契約が伸び悩んでおること、特にカラー契約も頭打ち状態になってきていることなど、協会を取り巻く厳しい経営環境にかんがみますと、赤字を計上することはやむを得ないものと考えられ、大綱において適当であるとの判断を行ったものであります。
  203. 土橋一吉

    ○土橋委員 大臣、まことに失礼ですけれども、あなたのおっしゃったことはつまり「おおむね適当である。」というのの回答にふさわしいように思うわけです。私がお尋ねをしておるのは、受信料の収入の確保と経費の効率的使用という問題とテレビジョン放送の難視聴解消について、どういう点をお考えになって「おおむね適当」とかということをおっしゃったのか、ということを聞きたいわけです。  その一つの例で申しますと、先ほど申し上げたように、東京の二年ぐらい前にはまだ七五・九%しか普及率はない、あるいは大阪、兵庫方面では八〇%前後だ、こういうような状況のもとにおいて、たとえば受信料を確保するためにはどういう措置をすべきであるとか、あるいは、たとえば経費の効率的な配分については、ここはこうしたらいいのじゃないかというような点について、大臣の所信があったと思うのですよ。それが一つの問題。もう一つは、繰り返しますが、テレビジョン放送の難視聴解消という問題がいま大きな問題で、多くの同僚の議員の皆さんからもおっしゃっておるわけです。こういう点について、一体どういう考えをもってそういう意見書を付せられたのかということです。
  204. 村上勇

    村上国務大臣 難視聴区域の解消ということも、料金徴収の上に非常に大きな影響があると考えております。
  205. 土橋一吉

    ○土橋委員 これはまた、次の諸問題について大臣にお尋ねをしたり政府委員の方にお尋ねをしたいと思います。  さて、具体的な問題についてお尋ねをいたしますが、従来も言われておりますように、テレビジョン放送の難視聴解消の問題は二つあると思うのです。一つは僻地関係、つまり農山漁村におけるところの問題と、それから都市難視を中心とするところのたとえば高層ビルの問題であるとか、あるいはまた騒音が非常に激しいとか、あるいは新幹線等が振動を起こしておるとか、あるいはたくさんのかなり高い住宅、つまりビルが建っておるというような関係で電波障害が起こっておるわけでございます。そういうことについて、二つあるのですが、まず最初お聞きしたい点は、この僻地の場合において具体的に現在幾らぐらい、実際この難視聴の世帯数というものはあるのか。つまり、山間僻地といいましようか、農山漁村といいましようか、非常に交通の不便な所といいましようか、そういう所は大体何世帯ぐらい、まだ本当にテレビがついていない、あるいは見られないというのがあるのかということです。
  206. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  辺地の状況でございますが、さらに詳細な数字はNHKの方が的確につかんがいると思いますが、私たちの方で調査いたしましたところでは、四十九年三月末ではNHK関係で約百二万世帯、民放関係で約二百四十万世帯というのが辺地の難視聴でございます。五十年の三月末、これは推定でございますが、におきましては、NHKの方につきましては約九十一万世帯、それから民放につきましては約三百三十万世帯、こういうふうに推定いたしております。
  207. 土橋一吉

    ○土橋委員 ありがとうございました。  そういたしますと、この山村僻地その他で、いまのお話のようにかなりな——NHKの場合には百二万世帯、それから民放の場合は二百四十万世帯、こういうふうに言っておられますが、こういうのを積み重ねてまいりまして、実際いつごろ解消する考えでしょうか。大体の見通しです。それは一体いつごろ解消されると思っていらっしゃるのでしょうか。
  208. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  これがいつ一〇〇%解消かということでございますが、これはなかなか一〇〇%解消というのは事実上の問題としてむずかしいと思います。逐次NHKの方におきましても難視聴地域に対していろいろ解消対策を練っているわけでございますが、何年で解消されるかという点になりますと、私もはっきりはお答えしにくいわけでございます。しかし毎年こういう難視聴地帯の解消に努力しておりますので逐次パーセンテージが上がっていることは事実でございますが、何年ということはちょっと申し上げにくいと思います。
  209. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは先ほどの説明から言うと大体十万世帯ぐらい解消していく、あるいは民放の場合にはこの例で言うと大体これも十万世帯ぐらいということになると思いますが、それはよろしいです。大体理解をいたしました。  そうすると、特にたとえば三百六十世帯に一つ中継局をつくる、塔をつくるというような一つの基準があるようにも思われるのですが、これは一体基準なんですか。これは一体何でしょう。
  210. 藤島克己

    ○藤島参考人 お答えいたします。  いま三百世帯とおっしゃいましたけれども、過疎地帯になってまいりますと一局でカバーする世帯数は当然逐次減ってまいります。したがいまして、ことしはどのくらいのところをやろうかという予算をつくりますときの目安といたしまして、ことしは平均しまして三百世帯前後のところを置局でいこう。あるいは五十年度になりますともう少し下がってまいりまして二百四十四世帯ぐらいが平均になっております。それから共聴でまいりますと、一施設当たり五十年度予算の場合は七十世帯というものが一応の最初の算定いたしますときの基準にいたしております。
  211. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。そういたしますと、続いてひとつ教えていただきたいのですが、それでは二百五十世帯とかあるいは二百世帯とかあるいは百五十世帯ぐらいとか、だんだん狭まってくると思うのですよ。そういう何か一つの基準なり内規といいましょうか、そういう一つの目安を持っていらっしゃるのですか、NHKさんは。一〇藤島参考人 いま申し上げましたようなのは実際の世帯の分布の実態でございますので、その実態に合わせて毎年作業いたしておるわけでございます。
  212. 土橋一吉

    ○土橋委員 ちょっといまあなたが漏らされましたが、共聴ということをちょっとおっしゃったように思うのですよ。その共聴というのは一体どの程度の世帯数を共聴の枠に入れておられるのですか。
  213. 藤島克己

    ○藤島参考人 これも先ほどちょっと申し上げたと思いますけれども、五十年度予算の場合は共聴設備の一施設当たり平均いたしまして七十世帯というものがいまの入れている目安でございます。
  214. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこでひとつ教えていただきたいのです。七十世帯でも大変家がばらばらになっておりまして、たとえば檜原村のように御承知のように東京都ですけれども、檜原村というのはとにかく一つの山の所にある、また山越せばまたずっと十軒とか十五軒ある。一体そういうのはいつごろどうなるのですか。
  215. 藤島克己

    ○藤島参考人 仰せのとおりでございまして、逐次大変な散在世帯になってまいりますものですから、いま申し上げましたように一つの施設をつくる、たとえば共聴にいたしましても一つの施設をつくる費用というものは余り変わらないわけですけれども、ただ最近のように物価高でもちろんこれは変わっておりますけれども、原則的には余り変わらないのですけれども、それを担当するその中の世帯数が減ってまいりますものですから、一世帯当たり換算いたしますと大変過大になってまいりまして、置局で申しますと、五十年度予算の算定に当たりましては改善一世帯当たりに五万三千円ぐらいかかっておる。それから共聴にいたしますと、一世帯当たりいまの場合四万五千円ぐらいになっておるわけです。共聴の方がどういうわけで少ないかと申しますと、全体といたしましてまだ共聴の方が過疎状態が置局よりも手前の方をやっておるわけですね。と申しますのは、共聴といいますのは電波を受けてケーブルに流すわけですから、置局が先行いたしまして電波を出しませんと共聴自体が成り立たないものですから、そういう意味で進行の程度から申し上げますと置局の方がより過疎の方に近づいておりまして、共聴の方はもう少し手前におりますものですから、一世帯に換算いたしますと、いま申し上げましたように多少共聴の方が安上がりでございます。両方平均いたしますと、両方を込みにいたしまして五十年度大体十万世帯ぐらいをいま解消する計画になっておるわけでございますけれども、これを全部ならしますと一世帯当たり四万九千円でございます。
  216. 土橋一吉

    ○土橋委員 聞くところによると、そんなに安いばかりじゃなくて、えらい負担がかかって大変だというような話も聞いておるのですが、実際いまあなたが仰せになったように、共聴の場合は四万何千円とか、あるいは道路まで線を持ってくる、それから引き込んでずっと家はまた向こうにある、そういうようなのは五万とか、三万八千とか、こういうことになるわけですか。
  217. 藤島克己

    ○藤島参考人 私が申しましたのはそういうものを全部平均でならしたものでございますから、非常にスパンが長いところは当然高くついております。  それからこれは高いか安いかということになりますと、基準のとり方にもよりましょうけれども、一世帯五万円ということは、こういう言い方は正しいかどうか私わかりませんけれども、一世帯五万円ということはいまの受信料体系で言えば十年分の受信料に相当するということでございます。
  218. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりやすく言えば、大体そういう所の方は出かせぎが多いわけですね。非常にテレビを買うにしましても高い金でテレビをお買いになっている。そうしてまた、その共聴とかあるいは引き込み線が仮にいまおっしゃったように平均して五万円ですからね。四万何千円、五万円近くですから、ずっと引き込んだ所の人がえらい金を払うようになっていて、ちょっと大変な費用がかかるのですが、そういうことはどういうふうにして解消するのですか。
  219. 小野吉郎

    小野参考人 先ほどはやはり難視解消の基準をお尋ねになったようでございます。このお答えがなかったようでございますが、現在のやはり二百とか三百とか非常に少数の集団になっております。もとは千とか二千とかそういうかたまりを解消してまいったのでありますけれども、今日では非常に難視解消地点に居住する世帯が少なくなっております。そうなってまいりますと、置局と共聴という方式があります、共聴の方は有線でつなぐわけでございますが、これを全然基準上は厳格に分離しておりません。置局の基準、共聴の基準というものはまあ現状ではないと見ていいわけでございます。ただ、それは地形その他の関係あるいは家屋の分散かどうかの問題によって、経費的に置局にいった方が安い場合と、また共聴でいった方が有利な場合といろいろあるわけでございます。したがって、これは二者択一的に、選択的に経済的であり効率の高い方を選定してやっておるのが実情でございます。ただ先ほど衛星の場合にもお答えを申し上げましたけれども、今日の時点ではある地点を救済いたしますために中継局を二段、三段、四段とつくらなければならぬような場合がございます。そういうところのそれは全部親元から線を引っ張るわけにはまいりませんので、非常に不経済ではありますけれども何段かの置局をいたさなければならない。終局ははるか離れた地点の救済にあるわけでございますけれども、そういう方法もとらざるを得ない。こういうことでございまして、経費の点では今日では置局でいけば現状で平均をして一世帯当たり五万円ぐらいの経費NHKがかけなければならない、共聴の場合には四万数千円で済むということでございますけれども、これもやはりならした平均の数値でございまして、共聴でやれば十万も二十万もかかる所もございます。こういう所はなかなか手のつかない状況でございまして、後回しにならざるを得ない、そういうことになるわけでございます。したがって、現在九十万ばかりの難視世帯がございますけれども、一体何年でこれが解消できるのか、こういうお尋ねでございますけれども、五十年度予算では十万世帯の解消を目標にいたしております。当分はやはりそういった十万近い見当のそれで推移いたしましょうから、ここ五年ぐらいたてば五十万ぐらいは解消するでございましょう。あとの残りの四十万世帯の中には非常にコスト的に経費の高いものも出てまいりましょうしいたしますので、そういう平均ではまいりません。いわんや一〇〇%ということになりますと、ぽつんと谷間に一軒のような所もございますから、こういうそれはなかなかちょっといま見通しが立たないという問題もございまして、完全解消ということは、これは言うべくしてなかなか至難ではないか。少なくとも九十万世帯の六割、七割ぐらいを解消いたしますのにも、最小限度に見積もりましても十年ぐらいでは解消しにくいんじゃないか、こういうことが申せるんじゃないだろうかと思います。
  220. 土橋一吉

    ○土橋委員 ありがとうございました。できる限りそういう農山村、漁村の、そういう何ら娯楽施設もない所に多くの方がまだ住んでいらっしゃるので、ぜひそういう点について配慮を一層深めていただきますよう、また郵政大臣もそういう点について篤と配慮していただくよう、それがやはり御意見の趣旨ではないかというふうに私は拝聴しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、都市における難視聴の問題についてお尋ねしたいのですが、これは先ほどからもいろいろお話がございまして、たとえば電波が複合的なビルなどの関係ではいろいろな形をとります、あるいは映像が片方のすみに寄っちゃって、片方には線が出てくるとか、いろいろな形があると思いますが、これが特に最近の高度経済成長政策によりまして、御承知のように百メートルとか高いビルがどんどんできております。特に名前を挙げてあれですが、貿易センターであるとか、あるいは三井ビルであるとか、いろいろなものができております。この周辺では難視聴が非常に発生をしておるのですが、この難視聴をNHKは原因者負担の原則をどういうふうに貫いて解決の方向に努力されるのか、これをぜひひとつ明確に——原因者負担というふうにわれわれは理解をしておるのですが、この原因者負担について、実際そういう措置で、たとえば新宿のあの地域の問題あるいはたとえば霞が関ビルとか貿易ビルの関係のそういう所についてはどういうふうにやっておられるのか、ちょっとお聞きをしてまいりたいと思います。
  221. 川原正人

    ○川原参考人 NHKといたしましては大原則として、もともとテレビが見えない、つまり電波が届かないという所につきましては、これは本来NHK努力をして電波が届くように、テレビが見えるようにすべきものだと思っております。しかし、一度NHKの電波がちゃんと届いている所に、その後にその電波の、NHK放送所と受信者との間に障害物が入ってきた、つまり人為的な構造物が後から入ってきたという場合には、これはあくまでその原因をつくりました構造物をつくられた方、時にそれはビルの場合もありますし、鉄道、新幹線のような場合もありますし、あるいはまた高速道路のような場合もございます。あくまでその原因をつくられた方が——解決の方法があるわけでございますから、その方の責任と負担においてその受信障害を解決していただきたい、こういう大原則で対処しております。そして、現実には、そのような苦情が問題が発生いたしましたときに、私どもの者がまず最初に、いろいろ原因等が不明の場合も、あるいはだれも決めかねるような場合もございますので、私どもの方の最高の技術を駆使いたしましてその原因を調査いたします。調査した結果、この構造物が原因であるということが判明いたしました場合には、私どもはその構造物を設置されました方に、ぜひ御自分の責任において受信障害を取り除いてほしいということをお願いもし、申し入れもし、そしてそのようにいままでのところ都市のビル等の場合はほとんどそういう形で処理をしていただいております。ただ、場所によりますと、原因がどちらのビルかわからぬ、あるいは前から少しあったとかいって非常に紛糾することも事実ございますけれども、そういう場合におきましても私どもはできるだけ聴視者とそういう原因をつくられました方の間に入りまして、極力その原因をつくられた方の責任と負担によって解決していただくように努力をいたしております。
  222. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは本委員会におきましてもかつて私はお尋ねをしたことなんですが、本省の電波監理局長さん及び電波関係の専門の方は、たとえばニューヨークとかあるいはそういう高層ビルのあるシカゴとかあるいはロンドンというような所においてすでにそういうことが起こっておったことについては十分知っておられたはずだと私思うのですが、もし知っておったとするならば、建設省などに対してどういう勧告をするなり、どういうふうに注意をして後々問題を生じないようにすべきだ、そういういわゆる国家公務員として当然果すべき義務があったんじゃなかろうかと思うのですが、そういうことについて電波監理局長さんは本省を代表して建設省へ何か申し込みといいますか、あるいは一つ意見を述べられたことがありますか。
  223. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 御承知のように高層建築物は建築基準法によりまして行われたものでございますが、従来、と申しましても昭和三十八年以前には、わが国におきましては高さが三十一メートルまでということで高さを制限されていたわけでございます。三十八年に建築基準法が改正になりまして、そうして現在のような高層建築物をつくり得るというようなことになったわけでございますが、外国におきましては従来からこういう高層建築物は相当ございまして、いろいろな手を打っておりますし、それに応じてのいろいろ電波の使い方というのをやっていたわけでございます。ところが、わが国におきましてはそういうことで昭和三十八年以降新しい高層建築物が出てまいりましたために、われわれといたしましても当然そのような事態が起きるということが想像されたわけでございます。したがいまして、郵政省は、この建築基準法が改正されましたときに、テレビジョン受信障害をどのように防ぐかというようなことで建設省に申し入れを行いました。その結果、都市における高層建築物等による受信障害を防止し、または除去するためには、高層建築物等に関しまして必要な措置を講ずるということで、これは建設省と郵政省との間でも了解したわけでございます。これは今後検討しようということになったわけでございます。  郵政省といたしましても、この高層建築物によるテレビジョン放送の受信障害につきましては、原因者責任のたてまえでこの解消措置を講じられるべきであると考えまして、従来から建築主に対しましても指導に努めてきたわけでございます。そのために共同受信施設の設置というような方法などもいろいろ奨励いたしまして、かなりこの点については成績が上がってきているわけでございます。
  224. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体郵政省側の御意見はよく私わかります。建設省側来ていらっしゃいますか。建設省側の方にお尋ねをいたしますが、いまのお話で三十八年に建築法の改正のときに郵政省はきちっとそういう意見も述べて、そうして皆さん方の今後高層建築について建築法上の諸問題や基準の問題と同時に、どういうふうに御審議になったのか、この点をひとつお伺いします。
  225. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答えいたします。  都市におきます環境保全を推進し、また土地の合理的利用を図る上で建築物の高層化、立体化は避けられない現状でございます。最近の高層建築物の激増によりまして、これらによる直接的あるいは間接的な電波障害あるいは複合的な電波障害が生じているため、基本的な電波行政のあり方について現在郵政省にテレビジョン放送難視聴対策調査会が設置されまして、われわれもこれに参画し、検討を進めております。先ほど郵政省の方からお話しのありました点につきましても、建築に際しましては、現在のところ個々の建築主がその負担においてこれらの問題の解決に当たっておるのが実情でございます。
  226. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方は、電波監理局つまり郵政省の方からそういう御意見が出て、これはもっともだというので検討もされ、現在の調査会にも御参加になっておるということなんですが、そういう問題を建築法上の一つの問題として法制化していくというようなことについては、まだお考えになっていないのですか。
  227. 大田敏彦

    ○大田説明員 先ほど申しましたように、これは私どもの方の行政目的と申しますか政策目的としまして、やはり立体化、高層化はぜひ進めてまいりたい。しかし、現実にそういう障害が起きておりますので、先ほど申しました郵政省に設けられました調査会の答申が得られましたら、これを基本にしまして、われわれの方でもどうしたらそういうことが防げるかを検討してまいりたいと思います。
  228. 土橋一吉

    ○土橋委員 私がお尋ね申し上げましたのは、建築基準に関する法律の中でそういう点をきちっと法制化して、そういう建築をした人は、難視聴の問題が起こったときは速やかにそれを解消するよう、原因者負担として必ず適当な措置をとって地域住民に御迷惑をかけないこと、というようなことを法制化する時期ではないかと思うのですが、そういうことについてまだお考えになっていないのですか。
  229. 大田敏彦

    ○大田説明員 原因者負担の原則、あるいはそれを建築基準法に盛り込んでやるのが至当かどうか、そういう点につきましてなお今後十分に検討してまいりたい、こう思っております。
  230. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこで、私は難視聴対策調査会というものについてちょっと郵政省にお尋ねするのですが、これは一体郵政省の中でやっていらっしゃるのですか。
  231. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま御指摘の調査会は、正式の名前はテレビジョン放送難視聴対策調査会というものでございまして、これは昭和四十八年六月に郵政省の中につくったものでございます。
  232. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、そこでいろいろ御検討になっておるのですが、私はこういう文書を手に持っておるのです。これはたしかあなたの方の資料関係で、つまりNHKさんのものなんですけれども、ちょっとその内容を見ますと、「郵政省「テレビジョン放送難視聴対策調査会」の今後の対応について(案)」というのでできておるわけです。ちょっとこれを読み上げさせてもらいます。  「項目」というところで「受信障害解消について関係者の責務と費用負担」、こういうふうに書いてございます。「関係当局の試案」これは郵政省らしいのですが、(1)としまして、「建築主の責任及び費用負担を中心とし、国、放送事業者その他の関係者がそれぞれの責任に応じて費用を分担する。」こういうふうに(1)では書いております。そして「(2)受信障害解消に要する費用を支弁するため、関係者の負担金等は基金その他の形で一括プールする。(3)建築主相互間、放送事業者相互間等で負担の公平が図られるようにする。」こういうことが関係当局、つまり郵政省側の意見のようにここに書いてございますが、これは間違いございませんか。
  233. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 この調査会におきましては、委員の方十九名と専門員の方十九名、そういう構成でこれをいろいろ調査していただいているわけでございますが、ただいま先生御指摘の件につきましては、郵政省の案というのではなくて、調査会において取り上げられている内容の問題だろうというように考えております。
  234. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは四十九年十一月五日の資料でございます。「対応にあたっての基本的態度」、これはNHKさんの態度のように見受けられるのですが、(1)として「基本的前提として、NHKは都市の受信障害に対し、いかなる責務を負うべきか、経営施策の将来方向との関連において費用負担のあり方も変るが、NHKの性格に基づく社会的責任から、応分の費用負担は止むを得ないと考えられる。負担割合の算定にあたっては次の原則によるべきである。  現行施策の指導理念である原因者責任を明らかにするため、建築主等の負担を中心とする。(少なくとも二分の一以上は負担させるべきである)  国、地方公共団体は財政措置等を通じ積極的にこれに協力する。  その他の関係者、(NHK、民放、住民)はこれらを補足、補充する立場において費用を負担する。  (2)関係者からの負担金を基金という形で一括プールすることは妥当な措置と考える。」こういうふうにNHKさんの態度だというので書いてあるのですが、これを拝見いたしますと、いままで私たちが論じた原因者負担の基本原則は変わらないんだということであるにかかわらず、テレビジョン放送の難視聴対策調査会としては、こういう事柄が郵政省側の見解でもある、あるいは対応策としてのNHK側態度でもあるというようなことが書いてある。これは原因者負担の大原則を侵すような点がたくさんありますが、どう考えておられるのか。この文書を見てください。これはうそだと言うんでしょうか。まずこの文書の確認をしてください。この文書はうそだと言うんでしょうか。見てください。
  235. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 この調査会におきましては、郵政省から事務局といたしまして部長が出ておりますので、部長の方からその内容については説明させていただきます。
  236. 河野弘

    ○河野説明員 お答えいたします。  いま先生からお話しございました件でございますが、私ども一貫して原因者責任主義というものは保持いたしております。ただ、この調査会で議論になっておりますのは、結局原因が不明であるもの、あるいはまた反射波によりまして非常に広範な地域にこういう障害が生じているもの、そういうものが非常に多うございます。そういう場合に、これをどういう形で解消すべきかということでいま検討いたしているわけでございます。したがいまして、ビルが建ちまして、そのビル陰に電波障害が生じました場合は、これは当然にその原因者がお金を出してもらう。個々の一軒一軒の、ビルの陰の数軒のものまでこれを論じているわけでございませんで、国全体として現に都市内で発生いたしています障害をどういう形で救済したらいいか。これには国もあるいは地方公共団体も、あるいはまた放送当事者である放送会社あるいはNHK、それからまた住民、すべてがこれに関与しておりますので、みんな力を合わせて解消しようじゃないかということで議論いたしているわけでございます。
  237. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういう断りがそこの条項にはないのですよ。いまあなたが仰せになったように、そういうどこがどこだかわからぬような原因だからこうしましょうという内容の個所ではないです、これは。そこは原因者負担を明確にしなければならぬところを、そういう二の足も三の足も踏むようないわゆる郵政側の態度、その内容ははっきりしていますよ。「建築主の責任及び費用負担を中心とし、国、放送事業者その他の関係者がそれぞれの責任に応じて費用を分担する。」とは一体何事ですか。それならちゃんとそういう断りがなければ、それはそのまま適用されてしまうんじゃないですか。
  238. 河野弘

    ○河野説明員 お答えいたします。  いまやっておりますのは、その原因者が明確であります場合は、これは問題ございません。ただ、原因者が不明確な場合につきまして、その調査会で討議なさる場合の原資料として事務局でまとめろということで、私どもが、どういう形でやればいいか、どういう工事をやればいいか、あるいはだれがやればいいか、そういうことについて基本的にあらゆる面を洗い尽くしてやっているわけです。それで外に出す場合には、あくまでも調査会は公開でやっておりますので、当然関係者からいろいろ議論が出てまいります。被害者、加害者、あらゆる面から出てまいりますけれども、現在都市関係の小委員会を設定いたしまして、ある程度までここで議論していただいているわけでございますが、その場合に一番いい方法として、お金を持ち寄った上で第三者機関が公平な立場で解消の事業を行う。したがいまして、そのためには基金が必要である、その基金にはあらゆる関係者が協力するという考え方でございます。
  239. 土橋一吉

    ○土橋委員 それはNHKから出されている資料の二十九ページの——これは本物ですね。間違いございませんね。
  240. 河野弘

    ○河野説明員 これはNHKの内部資料のようでございます。私どもはこれは拝見しておりません。いま初めて先生にお見せいただいたわけでございます。(土橋委員「そういうものがちゃんとあることは事実です。私が勝手につくったものではないのです」と呼ぶ)NHKから一人調査会の委員として出てもらっております。したがいまして、調査会の委員に出ております方がNHKにお持ち帰りになりまして、そして私どもが配付いたしました調査会の検討資料をもとにしてつくられたものというように考えます。
  241. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、小野会長さん、ちょっと見ていただきたいのです。あるいはその関係の一番責任のある方、見てください。これはあなたの方でつくったのですね。
  242. 藤島克己

    ○藤島参考人 ちょっと拝見させていただきます。
  243. 土橋一吉

    ○土橋委員 よく検討してみてください。  続いて、時間もあれですが、そういう場合はあなたの方の二十九ページの「昭和四十八、四十九年度受信障害の措置状況」というところで、第三番目に「雑音等による障害」というようなところに当てはまるような気もするのです、私は読んでいて。原因者がはっきりしておる場合には原因者負担の大原則を貫くというのでなければ——あるいは小さいビルがたくさんできちゃった、学校もできた、そのためにどこがどうかわからなくなっちゃったというような場合には、第一項のような場合にはそういうことが適用されるかもわからぬけれども、明確な第二番目の鉄道の障害あるいは受信機が不都合だというようなときには問題ないわけですよ。
  244. 藤島克己

    ○藤島参考人 これは間違いなくNHKの内部資料でございまして、その限りにおいてはこれは間違いございませんけれども、いまいろいろな検討資料をつくっておる中の一つでございまして、これがNHKの最終結論として決まったわけではございません。
  245. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは返してくださいね。  そうしますと、あなた方のおっしゃる意味もわかりますけれども、私がいま申し上げたような問題については、原因者が明確なときには原因者負担の大原則をはっきりしてください、たとえばこの二十九ページにある、こういうようなときには、これはさっきのようなこともあるいは考えられるかもわからぬ。どこから雑音を出したのか、その自動車は何であるのか、どこの工場が雑音を出したのか、そういうことのときにはそれはそういうこともわかりますけれども、きちっとわかっているときにはやはり原因者負担の原則をはっきりさせなければ問題がうやむやになりますよ、ということを繰り返して私はここではっきりさせておきたいわけです。これは大臣、よろしゅうございますか。
  246. 村上勇

    村上国務大臣 結構でございます。原因者負担の原則はどこまでも守るべきだと思います。
  247. 土橋一吉

    ○土橋委員 ありがとうございました。  次は受信料の免除の問題について、いままでも同僚の議員の方々からいろいろお話がございましたが、私はここに資料に基づきましてお尋ねをしたいと思うのです。あなたの方がお出しになった「五十年度受信料の免除」という項が二十三ページにございます。この受信料免除の総免除額が三十三億三千八百万ということになっております。それで全額免除二十二億三千九百万、それから半額免除十億九千九百万円というふうになっておるが、この中で、先ほどからも指摘される基地周辺においては六億円の金が出ておるということなんです。そこで私は、最初の全免を受けておるところの(1)から(17)までいろいろ検討してみました。検討してみまして、これをすべて国の責任によって賄うことが至当だという意見もあるようでございます。また、それが一体正しいのかどうかということについても、私たちはまだまだ検討する余地もあるんじゃなかろうかということで、そういうような意見のある方に対して、いままで答弁は聞いておりますけれども、そういう場合に郵政大臣やあるいは会長さんはどういうふうにしたら一番いいと考えていらっしゃるのでしょうか。つまり国の責任において賠償させた方がいいという、全額を国から出すべきだというような意見があるわけでございます。そういう意見についてわれわれはまだ検討させていただくわけですけれども、そういう意見に対しては一体どういう態度でいらっしゃるのかということをちょっとお聞きしておきたいわけです。
  248. 小野吉郎

    小野参考人 受信料の免除の関係につきましては、在来のいろいろな伝統がございます。伝統に乗って物を言えばこのままでいいじゃないかということでございましようけれども、この中で、大別いたしまして、いわゆる教育関係のそれと社会福祉関係のものに分かれます。基地等の騒音等の関係については一応直接にはNHKが免除しておりますが、これは後から補完されてその金が入ってくるものでございますから、実際にはNHKの負担にはなっておりません。NHKの負担に係る免除の中に、大別すれば、先ほど申し上げましたような教育施設のそれと社会福祉の関係のものがございます。社会福祉の関係につきましては、現在NHKがここで免除いたしておりますこの範囲で妥当かどうかという問題が一つあろうかと思います。たとえばいろいろ要望の強いところでございますけれども、この範囲では足らない、福祉国家と銘を打つ以上はやはりもっと広げる必要がある、適用すべきものがあるではないか、こういう問題もございます。そういうものを踏まえまして新規にこれから拡大されるものはどこかで、また在来のものはNHKで、これは非常に混乱を来すゆえんでございますし、これは統一されてできればやはり国の福祉行政の一環としてやっていただくのがいいんじゃないか、このような意見は持っております。  教育施設の関係につきましては、けさほどいろいろ議論もございましたけれども、これはやはり一部教材というか教育行政の一環としてその大きな役を担っておるではないか、こういう意見もございましたが、片やNHKとしてはやはり教育に関する放送として、重要なNHKの事業目的に掲げております。しかも、その関係につきましては、学校向け放送でありましても、いろいろ教育課程等には準拠いたしますけれども、番組内容については完全自主性を貫き、これを維持しなければならないと思いますので、この関係について国費が支弁されることがいいのかどうかは、その点において非常に問題があろうかと思います。番組の自主性を貫くとすれば、これはやはり国が予算を出して、しか番組内容、いわゆる番組を通じての教育内容には文部省は何も言えないんだということでは、国としても非常にお困りになる分野じゃないかと思いますので、この関係についてはいろいろな議論もございましょうけれども、番組の自主性を貫きます限りにおいては、在来のそれを踏襲することがいいのではないか、このように考えております。
  249. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういうお考えでございますと、原因者負担の原則をどこまでも貫くという態度ならば、たとえば射爆場であるとかあるいは米軍の基地であるとかいう所で、この表によりますと半免、つまり半分しか免除していない。本来ならば原因者負担で、そんな飛行機が飛ばなければ何も免除の問題も起こらぬわけですから、そうしてくると、当然この基地周辺並びに射爆場あるいは射撃場といったような所におきましては、長い間防衛施設庁が原因者として払うべきものを払わなかったということで、ことしから六億だけちょうだいした。それは結構ですよ。しかし、さかのぼってちょうだいしていいじゃないでしょうか。そういう事故が起こって以来、さかのぼってちょだいしていいように私は思うのですが、会長さん、どうですか。
  250. 小野吉郎

    小野参考人 方式といたしましては、個々の受信者を相手にいたしますので、国としては、それを直接対象として援護の手を差し伸べるのは煩瑣にたえません。NHKがひとまず受信料の免除という形で処理をいたしております。その所要の金は、すべて防衛庁の方からNHKに補てんされる。したがって、NHKは金額的には犠牲を負っておらないということになりますが、これは五十年度にはじめて生じるそれではございませんで、もう過去四、五年の経過を持っております。これが全額負担になったのはまだ一昨年ぐらいからでございますけれども、その前には一部を補てんされるという形になっておりました。この措置を始めましたのがたしか三十七年ごろだったと思います。したがって、国から補てんの措置がとられますまでには、もちろんNHKが負担したものもございますけれども、これをいまになって、国に全部いままでのそれを出せとは言いかねますし、済んだことは済んだことで、そのままにいたしていいのではないか、かように考えるわけです。
  251. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方は三十九年からこれを主張されているのですよ、私の方のいろいろな資料によりますと。ですから、三十九年からやって、やっとことしの五十年に六億ちょうだいするなんということは、大臣どうでしょう、こういうことを国がおやりになっていいでしょうか。国家として、そういうことをおやりになって適当と思われるでしょうか。大臣はどう考えられましょう。
  252. 村上勇

    村上国務大臣 審議の結果、結論が出たことですから、これはもう当然だと思います。
  253. 土橋一吉

    ○土橋委員 当然だとおっしゃる意味は、私はよくわからないのですけれども。つまり三十九年から主張しておるわけです。いまもお話があったように、三十七年ごろからもう言っておったんだということなんですけれども、結局出たのは五十年、ことしの予算で初めてついたわけです。ですから、非常に国のやり方が正しくないと私は思うのですけれども、大臣のお考えはわかりました。  これも先ほど来いろいろと言われているのですが、大きなホテルとかあるいは大きな事務所とか、いろいろなところで、いわゆる三十二条の二項の規定ですか、これがなかなかうまくいかぬということになっているのですが、これについてずばりと——たとえば事業所は東京だけでも六十四万三千の事業所がございます。部屋の数にしたら相当のものだと私は思います。それでホテルの部屋の数は二万ございます。旅館は四万三千室ございます。大体その程度、大変なものだと思います。そうすると、そういうものに対して、ホテルの場合は部屋の数がはっきりしておれば、ちょうだいしていいんじゃないかというふうに私は思いますが、どうでしょう。
  254. 川原正人

    ○川原参考人 全体としまして、ホテル、旅館の数でございますが、私ども、自分の方で直接調べたわけではございません、政府統計その他でございますが、全事業所−たしかホテル、旅館が八万五千ぐらいではなかったかと私、記憶しております。もちろん、それにいたしましても、部屋数等を入れれば相当のものになるのは確かでございます。これはここ両三年、この委員会でもいろいろ御指摘を受けまして、現在鋭意、契約をきちんとすべく努力をいたしております。実際問題といたしまして、個々のホテルの名前は差し控えますけれども、たとえば東京都内におきまして数百ないし、大きいところは千前後の部屋数を持っている著名なホテルがございますが、これらのホテルにつきましては、最近ほとんど九〇%ないしそれに近い契約をいただいております。ただし、なお努力を続けておりますが、ただ中小のホテル等におきまして、私ども繰り返し訪問をして、放送法のたてまえあるいは国会審議の経緯から、すべてお部屋にテレビがある限り契約をしていただきたいと申しておりますが、若干まだ、われわれの努力も至りませんが、十分にいっていない点があるのは事実でございます。
  255. 土橋一吉

    ○土橋委員 要するに、最初大臣が意見として示されましたように、難視聴をどう解消するかということについての基本原則は、やはり原因者負担だという——いよいよどう考えてもわからぬというような場合には先ほどのようなことがございましょうけれども、とにかく一応原則はそこへはっきりするということがぜひ肝要だと私は思うのであります。そして将来、建築に関する基本的な法律化の体制はやはりとって、余りこんな煩わしいことで、NHKさんも困る、郵政省もしょっちゅうこれはまた委員会の問題となってどうだこうだということがないように、やはりきちっと、はっきりさしておく必要があるというふうに私は思うのです。  同時に、料金徴収の問題はいろいろむずかしいことがございます。先ほどからの答弁で私はよくわかります。わかりますが、それにも増して、やはり従業員の方々の御奮闘が必要だと私は思うのですよ。これはやはり契約しなければいけませんので。これは法的な義務じゃございません、契約事項です。これは民法によって御承知のようにお互いによろしいということがない限りは強制することはできないはずです。ですから、大臣が先ほど、それはけしからぬとおっしゃたような点があるように私はちょっと聞きましたけれども、これはもう少し検討してみる必要がある。やはり、機械を仮に設置をいたしましても、NHKさんは見たことがないという人も事実おるわけですからね。その人に対して、機械を据えたからおまえはこの法律規定によって契約を結ぶ義務があるなんということになってくると、その義務はいわゆる法律的なものになってしまいます。この辺はもっと検討してみる必要があるというふうに私は考えております。  質問が、多くの方が質問された後でございましたので、質問も十分できませんでしたが、以上簡単でございましたけれども、私の質問はこれをもって終わらしていただきます。ありがとうございました。
  256. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は、明二十七日木曜日、午前  十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会      ————◇—————