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1975-04-22 第75回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月二十二日(火曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 高鳥  修君 理事 中山 利生君    理事 山本弥之助君       伊能繁次郎君    亀山 孝一君       小山 省二君    渡海元三郎君       古屋  亨君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    小野 武朗君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         自治大臣官房審         議官      山本 成美君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 松浦  功君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         国土庁地方振興         局過疎対策室長 田中  暁君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         文部省管理局振         興課長     高石 邦男君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省医務局指         導助成課長   黒木 武弘君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     柳田 真司君         郵政省電波監理         局放送部企画課         長       奥山 雄材君         日本国有鉄道建         設局長     高橋 浩二君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号)      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林百郎君。
  3. 林百郎

    ○林(百)委員 これは同僚議員もすでに質問をしているところですが、四十九年度国税収入落ち込み、この問題について、地方税への影響、そしてそれをどのように処置されるかということですね。これを、まあ大蔵省が来れば大蔵省へまた改めて聞きますが、自治省としてはどういう考えを持っているのか。
  4. 松浦功

    松浦政府委員 私ども細かな数字を確定的につかんでいるわけではございませんが、御承知のように、四十九年度分の国税収入で約八千億、政令改正によって一部補てんをすることによって三税が二千六百億くらい穴があくんじゃないか。それに対しまして三二%でございますから、粗い数字で申し上げて約九百億くらい交付税減収という形になっておる。いずれにいたしましても、四十九年度交付税は、仮にそれだけ穴があいたにいたしましても、予算に計上してすでに執行してしまっておるものでございますから、これについてどうこうという問題はございません。  先生承知のように、交付税制度上は、その九百億円というのは、五十年または五十一年に精算減というかっこうになって法律的には出てくるわけでございます。そのときの財政事情十分把握をいたしまして、地方公共団体運営に困らないように適宜の措置をその時期においてとるということを考えております。現在の段階では、まだ精算の時期に参っておりませんので、どういう形をとるか、態度を決めておらないところでございます。
  5. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞によっては、いま言いましたような国税落ち込みで、松浦財政局長も言うように、約一千億くらいの落ち込み交付税会計の方へも来る、その返済を求めるというようなことが出ておるわけです。返済を求めるということがどういう意味か、これは新聞の書いているところによってもあれですが、この新聞によりますと、「四十九年度交付金はすでに見込み交付し、受け取った自治体側は実際に使っているため、同省は「実際問題として今すぐ返納を求めても無理」との判断だが、五十年度中に何らかの方策を講じたい」というのですが、これはもう一たん交付税として交付されて、いま局長も言うように、地方自治体としては執行済みのものなんですから、これを国が返済を求めるといっても、それは無理を強いることになりますので、その点については、特例交付金なり、あるいは交付税率を上げるということは大変基本的な交付税に関する制度の改変にもなりますが、いずれにしても地方自治体が当然交付税として執行したものを、これだけ返せというようなことで、地方自治体交付税見込みに狂いを生じたり、あるいは地方自治体財政計画混乱に陥れることのないようなことは、十分考えておられるのでしょうか。
  6. 松浦功

    松浦政府委員 四十九年度交付税について返納を求めるなどということは、制度的にも全く私どもとしてはあり得ないことだと考えております。交付税法の規定によりまして、穴があいた場合には翌々年度までに精算すると、こう書いてございますから、あるいは大蔵省考え方いかんによって交渉はあろうかと思いますけれども、五十年または五十一年度のまだ配ってないものとの差し違えということはあり得ても、四十九年度交付税どうこうという問題は、私ども制度的に起こり得ないと考えております。
  7. 林百郎

    ○林(百)委員 理論的にはそうなると思うのです。そこで、五十年度税収見込みについても、欠陥予算だとかいうようなことまで言われておるわけですが、五十年度税収見込みについては、これは大蔵省が早く来てくれないと質問にならないのですけれども自治省側としてはどういうように考えていますか。何か計数をおつかみですか。
  8. 松浦功

    松浦政府委員 年度が始まったばかりでございまして、どういう方向に経済が動いていくかということ自体、大蔵省の方もまだおつかみになっておられないと思います。私どもとしても、全く推測の域を出る何ものも持ち合わせておりません。
  9. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ理論的なことだけお尋ねします。また具体的なことは大蔵省が来てからお尋ねしますが、五十年度税収見込み落ち込みになるような事態が起きた場合、これはいま交付税をこうやって審議しているわけなんで、交付税の総金額、それとそれに対する各自治体への交付をいまわれわれは審議しているわけなんですけれども、これは仮定ですが、もし五十年度税収見込み落ち込みだというようなことがあるとするならば、これは交付税制度に対しては、理論的にはどういうことが考えられるのですか、それの影響は。
  10. 松浦功

    松浦政府委員 オーソドックスに考えますならば、国が国税三税の五十年度分の欠陥があるということで補正をいたしますと、交付税総額は当然減ってくる、これが一番オーソドックスな考え方でございます。ただ、私どもといたしましては、必要な需要十分精査をいたしました上に、見合い歳出として四兆四千億の交付税を計上しているわけでございますので、国税三税が減った場合におきまして、いろいろそのときの状況によると思いますけれども、われわれの考え方としては、地方団体運営が困らないようにするには、四兆四千億の交付税は確保すべきであろうと一般的に考えております。  したがいまして、三税が減収になって交付税がそれだけ出てこないということになれば、将来返還をすることを条件にするとかしないとか、いろいろ問題があろうかと思いますけれども借り入れというような方策によって本年度地方団体財政運営を確保してまいるということを考えざるを得ないのではないかということを、現在の段階では考えております。
  11. 林百郎

    ○林(百)委員 共産党の考えとしては、交付税会計と本予算会計あるいは特別会計との間の年度間調整というのは避けるべきである、もし多かった場合には地方自治体を潤わせ、少ない場合には税率を上げるということが基本的ではないかと考えておりますが、それはそれでまた、いずれ自治省財政当局と見解をお互いに交わすことにして、大蔵省が見えたようですが、いまあなたの見える前に自治省側考えは聞いたのですが、四十九年度国税収入見込み不足がどのくらいになりそうなんですか。そしてそれが交付税会計の方にはどういうように影響してくるか。そして大蔵省考えとしては、それに対してどう考えているか。
  12. 名本公洲

    ○名本説明員 おくれましてどうも失礼いたしました。  四十九年度税収見込みでございますけれども、すでに新聞等で出ておりますように、現在のところ、三税その他を込みにいたしまして八千億ほど歳入が足りないのではないかというふうに考えられておるわけでございますが、このうち、国税収納金整理資金法施行令の一部改正によりまして、約四千億程度カバーできる。したがいまして、実際問題といたしまして、歳入不足ということになりますものは四千億くらいのお金になるであろうというふうに、現在のところ考えられております。  なお、現在まだ出納整理期間中でございますので、それが幾らくらいのお金で落ちつきますかは、なおこれから先の国税の収納ぐあいを見なければ正確なところはわからないわけでございますけれども、見積もりとしては大体その程度であろうというふうに考えられております。  それで、正確にはなお今後の収納ぐあいを見なければならないわけでございますけれども、そのうちで交付税にどのくらいの影響を及ぼしてくるかということでございますが、所得税法人税酒税ともに、確たることはまだ申し上げられる段階にないのでございますけれども交付税にいたしまして大体一千億足らずではなかろうか、九百から千の間のところに落ちつくのではなかろうか。四十九年度におきまして交付し過ぎになっておる三税の三二%というのがそのくらいになるのではなかろうかというふうに、私どもの方としては考えております。  これに対する今後の措置でございますけれども交付税法にございますように、三税の三二%といたしましては、これが四十九年度交付し過ぎになったということには当然なるわけでございます。法律上そのようになりますが、これをどのように措置してまいるか、またいつどうやるかという問題につきましては、なおこれからさらに私どもの方として検討させていただくということしか、現在のところまだ検討が進んでいない状況でございます。  その方法といたしましては、その渡し過ぎになりました年度の翌年度以降、したがいまして、通常精算でございますと、御承知のように二年後でございますから五十一年度になりますけれども、いずれにしましても、五十年度以降において、法律のたてまえから申しますと、それを交付すべき年度交付税総額から控除してまいるということでございますが、今後の国を含めました地方財政需要状況、そういうものもさらに勘案してまいらなければなりません。さらに、今後の五十年度以降の経済情勢というものも考えまして、交付税がどういうふうなことになってくるかということも考え合わせながら検討してまいるべきものだというふうに考えておるわけでございます。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省の方は、私たちから見ると、少し虫がよ過ぎるような感じなんです。実は、いわゆる経済高度成長政策税収が多く見積もられた、それから地方税収の方も多く見積もられたという場合には、おまえの方はことしは多いからこれだけ貸せと言って、おたくの方が交付税会計から借り入れをしていく、そういうことをしておきながら、今度おまえの方へはやり過ぎておるからこれだけ返せ。あなたも理論的にそうなるということで、いますぐそれを返せということじゃないと思いますが、あなたが来る前に自治省財政当局答弁があったわけですけれども地方自治体としては、四十九年度交付税会計というものは、ちゃんと決まって予算に組んで執行しておるわけなんですから、これをあれこれいじられたのでは混乱がくるのはあたりまえですし、五十年、五十一年の国税収入地方税収入とに見合わせて、何らかのそこの調整をなさると思うのです。しかし、そういうようにして、やり過ぎたというときには返せ、そして幾らか多いときには貸せ、それでは地方自治体が潤う機会が全然ないわけなんですね。  だから、これは理論的にはそうなるけれども、四十九年度交付税はすでに地方自治体執行済みのものであるから、これを既成の事実として認める、そういうことはできないですか。これはどこまでも、一般会計の方からの貸付金みたいに、いわゆる債権額として将来相殺とかなんとかするとか、そういうような考えを持たれるのですか。それとも、五十年、五十一年の財政事情を見なければここでいまあれこれという結論は出せない、こういうことなんですか。
  14. 名本公洲

    ○名本説明員 先生指摘のように、四十九年度交付税はもうすでに地方交付いたしておりますので、四十九年度交付したものを返してくださいと、もうすでに過去になった年度に手を突っ込んで、そこから返してくださいということは、使ってしまったお金でございますから、できないと思います。したがいまして、五十年度以降の地方財政需要を勘案しながら、五十年度以降において交付される交付税の額から、法律のたてまえによって減額してまいるということに相なるわけでございます。
  15. 林百郎

    ○林(百)委員 それはそのときまた、われわれここで論争を交わそうと思います。  そこで、五十年度見通しなんですが、これは予算が通ったんですけれども、三月の法人税収入あるいは所得税収入、あるいは譲渡所得税収入等から見まして、どうも五十年度は一兆五、六千から二兆円くらいの落ち込み税収の中にあるのじゃないか。したがってこれは、特別な公債として赤字公債発行ということも考えなければならないじゃないかということが、ちらほら新聞に見えているわけです。予算がようやく通ったばかりですぐにこういうことを言うのはなんですけれども、しかし、この三月の税収見込みから言って、一応そういうことを大蔵当局としても考えることも無理からぬことだと思いますが、その見通しは、どんなような見通しでしょうか。まあ確たることは別として、落ち込みがあるのか。欠陥予算というような表現まで使われておりますけれども、そういう刺激的な言葉は使わないでおきましょう。五十年度税収見込みが、四十九年の三月税収からいって、このままの条件でいけば、当初見込みのようにいけるかどうかということについて、もちろん後半期にどういう景気状態になるかわからぬけれども、どういう見通しですか。
  16. 名本公洲

    ○名本説明員 先生指摘のように、五十年度にまだ入ったばかりでございますけれども、四十九年度が、国税収納金整理資金政令をいじらないといたしますと、八千億の減収になったわけでございます。したがいまして、そこから計算してまいりますと、言うならばそれだけのげたがなくなったわけでございますので、税収が落ち込むということに計算上はなるわけでございますけれども、現在のところ、今後の経済動向、下半期の動向がどういうふうになるかということについて見通しが持てておりませんので、先生指摘のように、なお今後の状況を見なければそこのところがわからないということでございます。  ただ、大蔵大臣閣議の際に御発言になりましたように、決して楽観は許さないという状況にあることは事実でございますが、私どもとしては、今後どういう状況になるか、今後の状況を見ながら収入対策というものを考えてまいるということでございますので、現在のところ、赤字公債発行するとか、そういうふうなことについては、まだ検討をいたしておる段階ではございません。
  17. 林百郎

    ○林(百)委員 これはもう各新聞とも、一兆円から一兆五千億、あるいは二兆円という数字も出ておりますが、落ち込みを、このままでいくと考えなければならないということを言われておるわけです。そこで、これは公共事業公債でなくて、特別な赤字を埋めるための公債を、場合によっては法律改正をして考えなければならないという事態も起き得るではないかということまで言われているし、それから大平さんも閣議で、それに似たようなことを言われております。私は、閣議でどう言ったか、正確な言葉を聞いていませんけれども、それに似たようなことですね。要するに、五十年度税収落ち込み一兆五千億、公債発行約二兆円くらいのことを考えなければならない、それも赤字公債ですね。  そこで、そう考えた場合に、地方財政に及ぼす影響が二つの側面から考えられると思うのですね。一つは、二兆円の赤字公債発行された、それが補助金となって地方へおりる場合に、地方はそれに見合う裏づけの予算考えなければならない。それは国の方は公債発行という形でできますけれども地方自治体の方ではそういう手段がとれませんから、それをどう見るかということ。それから、国の方の税収がそれだけ少ないということになりますと、地方の方の法人住民税あるいは住民税所得割の方ですね、これの減収が見込まれる。これは二重の減収地方としては考えなければならないわけですが、それに対して、大蔵省松浦財政局長、どう考えますか。それは、まだ四月の段階であれこれ地方自治体に不安を及ぼすようなことは、ここで慎みたいとお考えになるのか。しかし、われわれとしてはやはり国会議員として、万一の場合に備えて政府側質問をしておかなければならない問題だと思いますので質問するわけですけれども大蔵省自治省財政局と、両方から御答弁を求めたいと思います。
  18. 松浦功

    松浦政府委員 五十年度国税収入が現在の計上額より大幅に落ち込むというような情勢になれば、確かに先生指摘になられたように、新しい要素を除きましてそういった問題が生ずるかと思います。私どもといたしましては、いずれにいたしましても、地方公共団体に必要な経費というものは地方財政計画の中にはじき込んでおるわけでございますから、これに対する財源の裏打ちは絶対に必要である、そういう基本的な態度を前提に置いて、もし歳入に穴があくというようなことがあれば、交付税特別会計借り入れ方法もございましょうし、あるいは国債を国が発行するなら、地方債を一部増発をするという形もありましょうし、さらに、何か新たな需要でも追加になるというような問題があれば、臨時特別交付金というようなことを大蔵省にお話をすることもあり得ようかと思うのでございます。現在の段階では、これまであらゆる手が過去に打たれてきておる、それらのあらゆる打たれた手をどういう形で使ったらいいかということを、その時点において適時適切に判断をして財政当局と交渉していきたいというつもりでおります。  基本的には、現在の必要な需要と認めておりますものに、歳入に穴があいた場合に地方団体がお困りにならないように、国の手において歳入を確保してやるということについて基本的に考えているということで御了承いただきたいと思います。
  19. 名本公洲

    ○名本説明員 五十年度の問題でございますので、まだ何とも申し上げかねるわけでございますが、閣議におきまして大蔵大臣も御発言になったはずでございますけれども、要するに、従来のように五十年度自然増収というものが期待できるかどうか、非常に問題であって、場合によっては、自然減収ということも頭の中に入れておかなければならないというふうに考えられるわけでございます。しかし、それであるからといいまして、それを安易に公債に依存するということも、これまた大変問題でございます。したがいまして、国といたしましては、赤字公債というようなことを現在検討しているわけではございませんけれども、そういうことの起こらないように、厳しく歳出面につきまして節約できるところは節約してまいる。もちろん、現に御承認をいただきました予算でございますので、国が国民全体に対しましてお約束いたしました仕事につきましては、これは確実にやってまいるという態度を片一方で貫きながら、われわれ公務員としての、言うならば生活費のような予算があるわけでございますが、そういう点につきまして厳しく節約をしてまいるというような態度で今後臨んでまいるという考え方財政運営していくということでございますが、今後の経済動向がいかになるかということとも関連してまいりますので、私どもとしても、現在なお、赤字公債発行するとか、あるいは国債増発をどうするとかいうところまで、検討をいたしておる段階にございません。しばらく様子を見るという状況でございますので、先生の御質問に直接のお答えにはならなくて恐縮でございますけれども、そうなった場合の地方財政対策というものをいかがいたすかという点につきまして、なお確たることをお答え申し上げられない段階でおるわけでございます。
  20. 林百郎

    ○林(百)委員 無理もない点もあると思うのですね。まだ四月ですから、これから今年度税収あるいは国の収入見込みがどうなるか、ここで言えといってもなかなかむずかしいと思いますが、ただ、四十九年の三月が意想外のショッキングな税収落ち込みがあったことから、五十年度税収についていろいろのことを政府は考慮しているということが新聞に出ているわけです。「法人税では昨年十二月決算法人申告税額が前年を下回り、三月が申告期限になっている一月決算法人の業績も不振をきわめている。」われわれ常識から考えて、未曾有の倒産数を示しておるわけですから、こういうことが考えられるわけです。  大臣にお聞きしますが、先ほど大蔵当局からも話がありましたように、閣議で四十九年度三月の税収落ち込みと五十年の税収落ち込みについての大平大蔵大臣の意見が述べられたように新聞で報ぜられておりますが、このことはあったのかどうなのか。そして自治大臣として、それをどう受けとめられて、そして地方財政計画に対してはどういうことをその際考えたか考えられなかったか、あるいは一応参考までに聞きおいたのか、ちょっとそれを報告してくださいませんか。
  21. 福田一

    福田(一)国務大臣 閣議では、四十九年度税収落ち込み八千億円ということで発言がありまして、五十年度もなかなか厳しい状況になると思いますというので、五十年度についての金額発言はありませんでした。そこで、その場合において、どうしても五十年度税収が落ち込むというようなことになれば、いわゆる五十年度地方財政計画というものをこっちは立てておりますから、それに対してやはり相当な影響が起こり得る可能性はあるわけです。しかし、それがどれくらいになるかということは、いまの段階ではまだ立ちませんが、その場合において、いよいよ財政計画が施行できないようなことでは、地方財政は非常な困難に逢着するのでありますから、その場合にはどういう方法をとるかは別にして、当初予定しているだけの財政計画を十分実行できるだけの歳入というものは何らかの形で確保すべきである、こういう考え方で、実は、大蔵省の方からその前に一応そういうような発言があるかもしれぬということがありましたけれども、特にそういうことについては私は、まだ未確定の問題でこうしてくれああしてくれというのは時期尚早である、こう考えましたので、一応聞きおくにとどめましたけれども、しかし、それだからといって、事実具体的にそういう問題が起きたときには、地方自治体のために自治省としては万全の努力をする決意でおるわけでございます。
  22. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと大蔵当局にお聞きしますが、四月十九日の日本経済新聞によりますと、財政安定基金をつくる、償還期間通常国債より短い国債発行して、それを財政安定基金に組み込む、そして景気が回復して歳入がふえて、歳出を賄っても剰余金が出るようになれば優先的にこの基金に繰り入れるというような、参考までにここに新聞がありますけれども、大分具体的なものが出ておりますが、こういう構想まで具体的に考えられたのですか。
  23. 名本公洲

    ○名本説明員 この新聞に出ております財政安定基金構想というような形で正式に検討しておるというわけのものではないわけでございますけれども、かつて財政制度審議会におきまして、要するに景気調整のためにそういう資金があって、歳入において剰余を生じたときに、それをそういうところにプールしておいて、景気が悪くなりまして、いわゆるフィスカルポリシーの政策をとってまいるときに、そういうところから出したらどうかというような検討をやったことがあるわけでございますが、こういう現在のような状況になってまいりまして、特に自然減収歳入欠陥というような事態が生じてくる。しかも経済全体が大きくなりまして、予算も大きくなりまして、四十八年度には九千億に上ります歳入の剰余金が出たわけでございますが、四十九年度には、わずか一年の間に今度は八千億足りないというような、お金にしますと非常に大きな振幅になります。しかし全体としましては、経済予算の規模、それが大きくなっておりますので、そういうこともあり得るわけでございますが、その場合に、どういうふうなことを財政制度として考えていったらよろしいかということは、私ども主計局といたしましては、これは真剣に勉強せざるを得ない問題であるということで勉強はいたしておりますけれども、ここに新聞に載っておりますように、具体的に正式に検討をしておるということではございません。  かつて経済安定法構想というのがございましたけれども、そういうときにも同じようなことを検討いたしたわけでございますが、そういうラインに乗って前々から検討しておるということでございまして、具体的に今回、こういう事態に対処してこういうふうにやっていこうということで検討をしておるというようなたぐいのものではございません。
  24. 林百郎

    ○林(百)委員 四十九年度と五十年度歳入の振れと、それが地方財政に及ぼす影響については、いろいろまた問題がありますので、機会を見てやりたいと思います。  少し今度は各論に入って質問をしたいと思いますが、こういう非常に経済的な揺れの多い時期に、基本的にはインフレが進行している、それから資材費が非常に上がっていく。一方では、地方自治体として顕著な矛盾としては、人口の急増地帯では人口がどんどん急増していく、一方過疎地帯では過疎がどんどん進行していくという二つの矛盾面を持っていると思うのです。  最初に、人口急増地帯で直面している重要な問題で、今度の地方選挙に臨みましても、各地域住民から強い要望の出ている問題、ことに人口急増地域で出ている問題で高校増設の問題。いまもう中学卒業生の九〇%以上が高校へ進学する、準義務教育的な状態になっているのに、高校の新設についての財政負担は都道府県が一に負っておる、国の補助が全然ないということですね。このことは、今度の一斉地方選挙において大きな論争の的になっておるわけです。  文部省も、ことしは五十年度予算に七十億を要求したのですけれども、これが査定はゼロになっているわけなんですけれども、この文部省が七十億要求された基本的な考え方大蔵省はなぜこれを切られたのか、この辺の事情をお聞かせ願いたいと思うのです。
  25. 西崎清久

    ○西崎説明員 文部省でございますが、この件につきましては、この委員会でもお答えをしておるわけでございます。確かに先生指摘のように、高等学校生徒の増加というのは、一部の府県において相当著しいということは事実でございます。そういうことを私ども予測いたしまして、五十年度の概算要求の時点においては、七十億の補助金、これは公私立含めてでございますが、予算要求をしたわけでございます。  ただ、八月の概算要求時点から十二月までの予算のいろいろなプロセスにおきまして、関係各省との御相談があったわけでございますが、高等学校は、先生承知のとおり、起債並びに交付税で従来措置してきておる。これは戦後ずっとそういう形になっておりまして、そういう従来の財政措置の形態から言いまして、五十年度については起債、交付税措置措置すべきであるという結果になったわけでございます。  ただ、その内容といたしましては、地方財政の問題として、地方団体が高等学校を建てることがむずかしくなっては困るということで、積算を明らかにいたしまして、私どもの調査によりますと、四十九年度、五十年度、五十一年度の開設校で五十年度に一部をやる学校は百七十二校あるわけでございます。この百七十二校を積算いたしまして、事業費については、これは概数で申し上げますと、全体で四百三十億ぐらいになるわけでございますが、起債の充当率を考え合わせますと三百億円になるわけでございます。そういう形で、起債三百億円を地方債計画に計上していただくという形で措置しておるというふうなことでございます。
  26. 林百郎

    ○林(百)委員 七十億円を要求されたのはどういうわけですか。査定で要求されたわけでしょう。
  27. 西崎清久

    ○西崎説明員 概算要求の時点において要求をしました根拠といたしましては、五十年度と五十一年度の高等学校の新設校につきまして、補助率三分の一で補助金を積算いたしました。私立高等学校についても三分の一の補助をする。これは数がちょっとつかみにくいという点がございますが、そういう形で概算要求を七十億円出しておるというのが実情でございます。
  28. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省は、これは何で切っちゃったのですか。
  29. 名本公洲

    ○名本説明員 この問題につきましては、私ども大臣も参議院で、ちょっと言葉はいかがかと思うんでございますけれども財政制度を乱すことになるというような御答弁をなさったことがあるのでございますが、基本的な考え方といたしましては、高等学校につきましては、これは地方公共団体にお願いするたてまえのものである。従来からそのようになっておりますし、そういうたてまえのものである。義務教育の小中学校、これにつきましては、国、地方で半分ずつというたてまえできておりますけれども、高等学校の方につきましては、先生おっしゃいますように、進学率が九割を超えておるところもございます。そういう状況になっておりますけれども、なお、そのたてまえといたしましては、地方公共団体の方においてお願いすべきものであるという考え方に基づきまして、地方債の方で措置するという形の予算にさせていただいておるわけでございます。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 お願いするのは結構ですが、お願いされる方が困るのですよ。念のため数字を挙げますと、昭和四十八年から五十六年の九年間で高校建設に、埼玉県では二千六十億円、神奈川では二千二十億円、大阪では二千二百四十億円が必要だ、こういう数字が出ておるわけですね。年平均しますと、大阪が二百八十億円、埼玉が二百五十八億円、神奈川が二百五十三億円というのですね。これは高校教育費が都道府県行政費の二〇%を超える埼玉みたいなところも出てきているということで、都道府県の財政としては、もう耐えられない状況になってきているわけなんですね。四十八年から五十六年の間に埼玉県では百三校、千葉では五十四校、東京で六十二校、神奈川で九十四校、大阪で百七校を建てなければ中学浪人が出てしまうという状態なんですね。四十八年から五十二年の間で三十校を建設して、その後は毎年十校ずつ建設が必要だというような数字も埼玉県から出ておるわけです。  ここで、新聞でもこの問題が相当取り上げられまして、中学を卒業し高校へ入る子供を持つ親としては、入学金や授業料のことがありますから、何としても公立の学校へ入れたいという希望が非常に強いわけです。経済力の強い家庭の子供さんなら別として、入学金が私立なら十万円から十二、三万円要る、公立なら千円かそこらでいい。授業料も、私立なら月一万幾ら、公立なら五百円から千円でいいということですから、これは庶民の階級から言ったら、何とかして公立の高校に子供を入れたいということは切実な願いなんですね。  ところが、ここに写真がありますが、これはどうも大蔵省の方が物わかりが悪いのじゃないかと思うのですけれども、千葉の県立の柏南高校というのですが、ここを見ますと、小学校で入学式をやって後、プレハブの高等学校の方へ生徒がみんないすを持って移っていくというのです。それからこれも千葉ですが、松戸では小学校と高等学校が同じ建物で、牧野原小学校、松戸高等学校というのです。大蔵省、写真をちょっと見てください。どうしてもこれは国の補助金制度を設けなければならないと思いますが、文部省がわずか七十億ぐらい出したものを切ってしまうということは、実情を無視したやり方だと思うのですがね。ちょっと写真をお見せしますが、小学校で入学式をやって、入学式をやった後、自分の腰かけたいすを持って今度プレハブの教室の方に移っていくわけです、生徒がみんな。その裏は、小学校と高等学校が同じ建物で授業をやっているわけです。そういう実情を考えれば、これは補助金制度を確立するのはあたりまえだと思うのですけれども、将来そういう方向へ文部省、大蔵省考えてないのでしょうか。
  31. 西崎清久

    ○西崎説明員 五十年度措置につきましては、先ほど私が申し上げましたように、政府として地方債計画でということでございます。したがいまして、文部省か大蔵省かという先生のお話には、私どもちょっと困る点もあるわけでございます。文部省の責任でもございます。  私どもがなぜそういう考え方で五十年度措置しておるかという点につきましては、やはり用地の問題がございます。私どもが七十億という補助金の積算をいたしましたのは建物でございます。建物につきましては、百七十二校という現実の都道府県の計画をいただきまして、その点についての県からの申請があれば、起債によってこれは十分措置できる。かつ地方負担分については、交付税の積算においてこれは補正その他でいろいろ配慮していただいておりますので、起債と交付税において、建物の方についても百七十二校分の事業費は補助できるのではないかということで、五十年度は、私ども考え方をそういうふうに固めたという経緯でございます。  それから、先生が非常に問題だとおっしゃいますのは、恐らく用地の点ではないかと思いますが、用地の点については、建物とは別個に、地域で非常に単価が高いというふうな点もございますし、これは補助金にはなかなかなじみにくい点もございますが、この点は、公共事業の先行取得債とか水田債等で従来も自治省で御配慮いただいているところでございます。五十年度にもしそういうものが出てまいれば、御配慮いただけるという前提でやっておるわけでございます。  最後に、先生から今後どうするかというお尋ねでございますが、私どもとしては、予算委員会等で文部大臣もお答えいたしておりますが、五十一年度の概算要求時点までに、私どももまたいろいろな調査をするつもりでございます。そういうことを含めて、今後の事態に対処すべくまた検討を進めてまいりたいというふうな考え方でおる次第でございます。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省どうですか。文部省としてはそういう考えを持っているというのですがね。これについては、大蔵省としても、七十億というのはほんのわずかな額ですから、これが緒についたということだけで父兄も喜び、それから教育に対する大蔵省考え方が前向きの姿勢として受け入れられていくのではないかというように思うのですけれども、この点はどうなんでしょうかね。  総行政費の中で高校教育費が、埼玉県を見ますと、昭和四十六年では九・六%、千七百十三億円だったのが、五十六年の見通しでは、二二・二%、二千六百二億円になるというんですね。それは交付税の係数や起債で見るにしても、基本的に補助金制度を確立していくという方向へ一歩踏み出す必要がもう来ているのではないかというふうに思うわけですけれども、埼玉県などは、一万人くらいが県から越境して東京の私立の方へ行かざるを得ないという状態になっているわけですが、大蔵省、切ることばかり考えないで、たまには生かす方のことも、物によりけりですが、お考えになれないですか。あなた、高等学校へ行く子供をお持ちかどうか知りませんが、子供を一度持ってみればわかるんですよ、そういうことが。どんなに公立の高校が必要か。そういう子供を持っている親としては、何とかして公立の高校へ入れたい。それがもう中学のときから選別されて、おまえはとても見込みがないから私立の方へ行け、そういうことになっているわけですよ。あるいは越境してどこか探せとか。どうですか。
  33. 名本公洲

    ○名本説明員 私どもの方の考え方といたしましては、高等学校、小中学校というものの間の経費の負担に対するたてまえというものは、崩すべきではないというのが現在の考え方でございまして、五十一年度予算以降の問題になりますけれども、その場合も同じような考え方で一応臨むことに相なると思うわけでございますけれども、大きな問題といたしまして、高校教育というものをどのように考えるのか、小中学校が義務教育になっておる、高等学校は九割以上の進学率になっておる、そこのところを従来と同じような考え方でいくのかどうかというようなお話になってまいりますと、これは文部省の方でも十分御検討いただかなければならない問題でございましょうし、高等学校教育の経費につきましてどのように対処していくかという問題は、そういう大きな問題との絡み合いもあるだろうというふうに思います。  特に、先生おっしゃいましたように、高等学校教育費というふうになってまいりますと、建物の方でなくて一般の運営費系統の方まで入ってまいりますと、なおさらそういう考え方検討いたしまして対処すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。現在、いわゆる財政硬直化の問題に絡みまして、国、地方の事務をどういうふうにいたすべきかというようなことも検討されております。あるいは場合によっては、先生の御発言になられましたような、高等学校の問題というようなものも取り上げてまいるかもわかりませんが、そういうような大きい視野に立っての考え方で、本件については物を考えてまいらなければならない問題であるというように考えておるわけでございます。
  34. 林百郎

    ○林(百)委員 財政硬直化については、私たちは、その財政硬直という言葉政府の言うような意味にとるわけにいきませんが、現にきょう最初の質問にありましたように、国の全般的な政策、スタグフレーションをどう抑制していくかというようなことの中から、従来の生産の伸び率を抑えていくとか、あるいは金融を締めていくというようなことから、国の財政収入自体の落ち込みというようなことになって、国の予算自体が弾力性を失っていくということの中で、地方財政の弾力性を失っていく、ことに福祉の方面への弾力性を失っていくということは、地方自治体だけの責任では私はないと考えていますが、もっとも自治省の、ことにここにおいでになる松浦さんなどは、独自の見解をお持ちになって盛んにいろいろとアドバルーンを上げておりますけれども、しかし、そういう国の大きな政策から、地方自治体の努力ではどうにもならない要因が、大きく地方自治体財政の弾力性を失わせる要因として働きかけているわけですね。  そういう中で、高校の増設というようなものが非常な財政的な負担になっているときですし、それからいま言ったように、もう準義務教育的な、いまどき高等学校も卒業していないというような人はほとんどないということですね。国会の中で、私たちいろいろ働いている人たちに聞いても、大概どなたも高等学校を出ている人たちですからね。これは準義務教育と考えてもいいと思うんですね。そういう場合の補助制度をやはり大蔵省考えていく時期が来ているのではないか。文部省もおずおずとして、ほんの七十億か要求したのですけれども、これがゼロ査定になってきたということですから、その点はひとつどうしても考えていく必要があるのではないかというふうに思います。  そこで、自治省にお聞きしますが、松浦さん、文部省の方では、交付税の係数と起債の点で相当見てもらうように期待しているし、自治省の方もそうお考えになっているというのですが、これは具体的には、細かく調べればわかりますが、どうなっているのでしょうか。高校の建設の問題ですね。運営費の問題については、またあなたはあなた独自の見解があって、人件費とかなんとかいうような意見がいろいろ出てくるかもしれませんが、建設自体、土地も非常に値が上がっておりますが、特に人口急増地帯に必要ですから、地価が高いのも無理はないと思いますが、建設費も上がっておりますが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  35. 松浦功

    松浦政府委員 人口急増地域におきまする高等学校の建設問題につきましては、むしろ私ども考え方は文部省に近いわけでございまして、私の方から補助金を文部省に取ってくれということを積極的に願い出ております。と申しますのは、普通の状況の高等学校の建設あるいは運営費、そういったものは当然地方固有の事務という考え方で、交付税及び地方税、これで賄っていくというたてまえで、このたてまえは、大蔵省がおっしゃるように、崩すということになりますと、基本的な問題になるかと思います。事務の再配分等をめぐって直す場合は別として、現行制度として是認されてしかるべきではなかろうか。ただ、非常に急激に世の中の変動に伴って、特定の地域においてたくさん高等学校を建てなければならないという財政需要があることは事実でございますから、そういった傾向が続く間だけでも、高等学校に対する補助制度を確立をしてほしい、臨時、限定的で構いませんという前提で私どもお願いしております。したがって私どもは、積極的に起債でめんどうを見たいという態度でおるわけではございません。ことしはだめだったので、起債枠を用意をしてそれらの団体がお困りにならないようにしたいということでございます。明年度以降、文部省、大蔵省に私の方からお願いをいたしまして、先生の御指摘のような方向に結果が生まれるように、われわれとしては努力をしてまいりたいという気持ちでおります。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。松浦財政局長から非常に積極的な御意見を聞いたのですが、大臣どうでしょうか。これはやはり子供を持っておる親の身としては非常に強い要望がありますし、それから今度の一斉選挙で、自民党側の首長の人たち、あるいはそれぞれの議員の人たちも、このことを積極的に主張していますし、またいわゆる革新側の人たちも言って、これは一致しているわけですね。とにかく、人口急増地帯でいま高校入学が非常に困難な条件にあり、十五の春は泣かせないとかなんとかいっても、実際に泣いている人がたくさんあるので、自治省あたりがてこになって、大きく文部省にも働きかけて、自治省、文部省が一体となって大蔵省にも働きかける必要があると思いますが、これは子供の教育に関する重要な問題でありますので、締めくくりとして大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
  37. 福田一

    福田(一)国務大臣 いま財政局長から申し上げたのが自治省考え方でございますが、実を言いますと、私はそれとは別に、田中内閣のときにいわゆる日本列島改造論で過密過疎の問題解決ということを言ったんですが、過密の結果起きるいろいろの問題、それから過疎の結果起きるいろいろの問題、これをもう少し何か適当な方法で是正をしませんと、大きな意味で政策的に考えませんと——私の言うのは、政策的に考えないとこれはもう際限がないわけですね。よくするからまた人が入ってきた、またそれでよくするからまた入ってきた、一方だんだん人が減ってきた、こういうことになって、減った方にも金がかかる、ふえた方にも金がかかるという非常にむだが出てきておるのが事実だと思うので、こういう問題をやはりいまの段階において別に考えてみる必要がある。いまあなたの御指摘になった点については、私はもうそのとおりで結構だと思うのでありますけれども、ふえたから今度はまた保育所をつくらなければいかぬ、いや今度は学校だあれだと言って、どんどんつくればつくるほど人がふえてくる、ふえてくればまたつくる、そういうことではイタチごっこになってしまうので、ここいらで、日本列島改造とかなんとかという問題がいけないということであれば、過密過疎の問題を政治的にどう今後解決するかということが、われわれ各党いわゆる政治家としてお互いに研究をしなければならない一つの大きな問題ではないか、私はこう考えておるわけであります。
  38. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣の言うことは、大臣の立場でそうおっしゃることはわかりますが、しかし、そう大臣がおっしゃるときに、三木内閣は、私たち連合審査いたしましたように、宅地開発公団をつくって、首都圏、中部圏、近畿圏から五十キロ前後のところへ大規模の宅地開発をして、約十万人くらいの都市をつくる計画をやっているわけでしょう。集まるところにはどんどん集まり、過疎の方は過疎の矛盾を激化するとあなたはおっしゃるけれども、現実にみんな集まってきて、自治体としては受け入れざるを得ない状態になっているわけですね。自治体ではもう困っているわけです。あなたのおっしゃるように、もうそんなに来てくれなくてもいい、埼玉にしても神奈川にしても千葉にしても。それを政府の方は、いやそれでもまだ入れてもらわなければいけないのだといって、宅地開発公団をつくって、連合審査にわれわれの方も入ったのですけれども、いまあなたのおっしゃることと違うようなことを政府がやっているんじゃないですか。そうして現実の問題として、人口がそういう首都圏、中部圏、近畿圏に集まっているのですから、そこではどうしたって高校を建てざるを得ないわけですよ。あなたの理想論として、もう少し人口を日本全国へ平均化して都市も平均化すればという、そんなことはもう理想論としてはだれだってわかっていることなんですが、現実がそういかないのですよ。いま高等学校で、越境して神奈川県の向こうの方から東京まで来る、埼玉県の方からも東京の私立へ来なければいけないというような実情にありますから、先ほど松浦財政局長も言われたように、せっかく積極的な態度自治省が示したのに大臣がそういう態度を言ったんじゃ、文部省も大蔵省も、大臣があれならいいや、またしばらく先へ延ばそうかということになっては大変ですから、あなたから積極的な意見が出ないことにはどうにもしようがないですよ。どうお考えになりますか。
  39. 福田一

    福田(一)国務大臣 それは私は最初、財政局長の考えておるのがいまの私の考え方ですと言った。しかし過密過疎の問題をここで考えてみる必要がお互いにあるのじゃないか。これは自民党といわず、どこの党ということじゃなくて、政治家として考える必要がある。いまあなたは宅地公団の問題をお話しになりました。しかし、これはやはり行政の継続性という問題がありますから、急に今度はやめたからといって、それはもう全部だめだ、こうはいかないのですね。同じつくるにしても、三年のものを五年にするとか、あるいは延ばしていくというやり方もある。そういうところに、いま言ったような配慮を行い得る面もあるのじゃないかと私は考えておるわけです。だから、何もあなたの御意見に反対で先ほどのようなことを言ったのじゃないのです。  しかし私は、いま重要な問題として、これをお互いにみんなでよほど考えてみる必要があるのじゃないか。どんどん都市へ集中するようなことを何かやはり考え直してみる。考え直すというより、少しでもセーブするといいますか、何かそういう工夫も、ひとつ一面においては考える必要があるのではないか。これはあなたの質問に対する本当の真正面からの答えではありませんからね。あなたのおっしゃるような御意見も、ごもっともというか、一つの私に対するというか、三木内閣に対する考え方としておっしゃることはわかるけれども、それはそれとしても、私はやはり、こういう問題はここいらで十分みんなで考えねばいかぬじゃないかと思ったので発言をさせていただいた、こう御理解を賜りたい。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 過密過疎の問題をお互いに国政にあずかる者として考えてみる時期が来ているじゃないかということは、もう大臣が言うまでもなく、これは各党それぞれ考えていると思うのですよ。しかし、その問題と、たとえば過密過疎がこのような余りに著しい矛盾を露呈する前に、人口を農村に定着させるようにするためには、農業の保護政策をどのようにして、農産物の価格をどのように適正化して、農村の青年を農村に定着させるかというような問題、絡み、それから経済高度成長政策で都市に企業が集中することによる資本の集積と人口の集中との関係、こういう問題を考えなければならないことは、もうあなたに言われるまでもなく、われわれも考えなければならないし、考えているわけなんですけれども、しかし、そういう次元の問題と、いま現実に首都圏、中部圏、京阪神圏に人口が集まってきておる。それでもう埼玉県のごときは、毎年十校ぐらいずつ建てなければならない、それには土地代もいれて約二十億ぐらい要る、そうすると十校とすると約二百億ぐらいというようなことが出てきておりますので、高校の増設については国の補助を積極的に考えなければならないじゃないかという問題が論議されているときに、人口の過疎過密の問題を根本的に考えなければならないじゃないかというような、そういう次元の違う問題を持ってくると、聞いている方では、自治大臣自身が水をかけているような印象を受けるのですよ。それでは、せっかく私が、文部省と大蔵省を誘導尋問して、そして積極的な答弁を引き出しているときに、自治大臣に水をかけられてしまったのではどうにもしようがないので、その辺を御注意願いたいと思うわけです。  それで、あなたのおっしゃる過疎の方の問題も実は考えてきているわけなんですが、過疎の問題で二つほどあるのですが、教育の問題から先に入りますと、過疎に対する緊急措置法の対象として、教育施設の補助金制度で、小中学校が統合した場合に補助金を出すというようなことで、小中学校の統合を積極的に進めるような方向に過疎対策の緊急措置法の中に織り込まれているわけですけれども、しかしこれは、地域へ行って実情を調べてみますと、統合することによって、中学校へ通う子供がもう寄宿をしなければならないというような問題が起きてきておりますので、これはやはり過疎債の対象あるいは補助の対象として、小中学校を統合する場合ということでなくて、独立して小中学校が増改築をする場合にも補助金を出すというように、この幅を広げていく必要があるのではないか。こういう事態が起きてきていると思うのですが、これに対して、まず文部省どう考えていますか。
  41. 西崎清久

    ○西崎説明員 過疎地域の学校施設でございますが、先生指摘のように、三十一年に、町村合併後のいろいろな措置で学校統合が促進された時期がございました。そのときに通達を出しておりまして、その後、過疎法の特別措置で、危険改築でなくて学校統合については補助率を三分の二にするという措置をやってまいったわけでございます。ところが、その後、学校統合は三分の二であるが、危険改築は三分の一である。そうすると、町村によっては、財政的見地から若干無理な学校統合もやるというふうな感じも見受けられまして、私どももいろいろ検討した結果、四十九年度から、過疎地域につきましては、危険改築についても三分の二にする。これは予算補助といたしましてプラスアルファをしたわけでございます。そこで、統合をやっても危険改築をやっても、補助率は三分の二出るというふうなところで四十九年度から措置をいたしております。そういう意味においては、先ほど申し上げましたような弊害は、まず解消されたのではないかというふうに考えます。  一方、過疎地域の新増築につきましては、若干の事業はございますが、ほとんどが統合、危険でございまして、私どもとしましては、統合、危険について措置をいたしますれば、まず大方は過疎市町村の御要望にこたえられるというふうな気持ちでおります。  それから、ちょっとつけ加えさせていただきたいのですが、先ほど先生に高等学校のところで私がお答えいたしましたのは、八月までの間に、今後の高等学校の生徒の増加の状況とか、それから進学率自体の検討の問題もあるわけでございます。そういうふうなものも考え合わせまして、補助制度をとるかとらないかも含めて検討をさせていただきたい、こういうふうな趣旨で申し上げた次第でございます。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、これは統合の場合でなくとも、小中学校の危険な校舎に対する改築というような場合も、三分の二までかさ上げをするということを考えているということですか。
  43. 西崎清久

    ○西崎説明員 四十九年度からすでにそういう措置はとっております。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 要望としては、四分の三まで上げてもらいたいという要望もありますので、これは私の個人的な見解でなくて、過疎問題の全国過疎地域対策促進連盟というところでそういう要望がありますので、その要望をひとつ考えておいていただきたいというように思うわけです。  それから、自治省にお尋ねしますが、過疎の措置法の過疎債あるいは辺地債ですか、これについての適用の対象を、もう少し事業枠を広げるとか、あるいは過疎債、辺地債の総枠をことしどの程度広げて積極的にこれと取り組むようになったかということの説明をちょっとしてもらいたいと思います。
  45. 松浦功

    松浦政府委員 農用地の整備関係の事業を、はっきり私お答えできないのですが、一つ二つ今回は広げる、それがやはり去っていく住民を定着させる仕事につながるという考え方から、先般、政令改正をいたしまして、若干の枠を広げております。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、過疎債、辺地債の総枠については、これはまた聞けばわかることですから、ここであえて質問をするまでもないと思いますが、やはりこれについては、過疎の対象になっている町村、それから辺地の適用になっている地域で、もう少し枠を広げてもらいたいという強い要望があるので、その辺を十分考えておいてもらいたいと思います。  それから、問題は小さいようですけれども、過疎地域へ行くと非常に切実な問題で、テレビの難視聴地域がありますので、このテレビの難視聴地域の改善のために、サテライトはNHKあるいは民放等でつくるのですが、そのサテライトをつくるのに必要な取りつけ道路だとか、あるいはサテライトから各戸へ電線を引いてくる費用は、その難視聴区域で受益者組合のようなものをつくらせて、その組合の費用負担に対して、当該市町村が二分の一、県が二分の一というような負担をしているという実情がわかってきたわけなんですが、昨年度を総計してみますと、長野県だけでも、県の方が約三千万ぐらい、市町村がその倍になりますが、そういう費用負担があるわけなんですけれども、こういうのを国が見てやるというような方法考えられないのでしょうか。ことに多いところでは、熊本が四十九年度二億八千万というような負担を県としてしております。それから石川県が一億円の負担をしているようですね。それから長野県が、先ほど申しましたように約三千万ですが、これは三分の一ですから、市町村は三分の二を負担するのですが、これは、全国の都道府県、また市町村になりますと相当の負担になるのですが、これに対して財政的な措置を国の方で見てやるというようなこと、あるいは辺地債の適用をしてやるとか、これに対する配慮は何か考えていないでしょうか。これは郵政省と自治省と両方に聞いてみたいと思います。当該地域へ行ってみるとなかなか切実な問題でして、テレビがちっとも映らないという問題です。
  47. 奥山雄材

    ○奥山説明員 郵政省電波監理局の放送部企画課長の奥山でございます。お答え申し上げます。  先生が御指摘になりましたように、近年、地方自治体におきまして、辺地におけるテレビジョン放送の難視聴解消のために、独自事業として補助金あるいは助成金を交付するところがふえております。若干の例を先ほど先生お述べになりましたけれども、私どもの調査では、都道府県ベースで全国二十五の自治体がこのような補助事業を行っているようでございます。  内容といたしましては、中継局建設に伴う関連道路の整備、あるいは中継局建設自体の建設費の一部補助、さらには先ほど先生もおっしゃいましたけれども、辺地における共同受信施設の設置に要する経費の一部補助、こういったものが内容になっているようでございます。  これらは、辺地におけるテレビジョン放送の視聴というものが住民生活にとって必要不可欠なものであるということから、自治体において独自事業としていままで遂行されてこられたものだろうと思われます。テレビジョン放送が国民の日常生活にとって必要不可欠であり、しかも特に辺地あるいは過疎地域に参りますと、これが唯一の娯楽手段である、あるいはかけがえのない情報伝達の手段であるといった、都市におけるテレビジョン放送の地位以上に、非常に切実な問題としてその難視聴の解消という問題が浮かび上がっていることは事実でございます。  このような情勢にかんがみまして、郵政省といたしましては、四十八年六月に学識経験者等から成りますテレビジョン放送難視聴対策調査会というものを省内に設置いたしまして、自来今日まで難視聴解消の効果的な方策について多角的見地から現在調査検討を進めているところでございます。本来、この調査会は四十九年三月末をもって報告書を提出する予定でございましたけれども、何分にも問題が非常に広範囲かつ複雑多岐にわたっておりますために、若干取りまとめが延びておりまして、現在の予定では二、三カ月おくれるのではないかと見込まれております。  それで、先生から御指摘がありまして、辺地におけるテレビジョン放送の難視聴解消のために助成金あるいは補助金を国の方から交付することについての御提言があったわけでございます。当調査会におきましては、先生がいま御提案になりましたような方策を含めまして、その他の方策も含めて、いろいろな角度から最も有効適切な辺地難視聴解消の方策は何であるかということを現在鋭意検討中でございます。したがいまして、郵政省といたしましては、この調査会の検討結果が間もなく出る予定でございますので、この調査会の検討結果等に基づきまして、速やかに必要な措置を講じてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省にお尋ねしますが、NHKの辺地難視聴地域別状況調査という四十八年三月の資料が私の方にあります。これを見ますと、全国で約百万世帯の難視聴世帯がある。長野県だけでも三万二千世帯ということで相当の金額に上っておるので、もし郵政省、わかりましたら、この難視聴施設の取りつけ道路、あるいはその電線のための補助金を、都道府県でどのくらい、それから市町村でどのくらい負担しているか、金額がわかりましたら、あるいは両方一緒にしたものでもいいですが、金額を言ってもらいたい。  それから、自治省としては、これを過疎の緊急措置法の過疎債の適債事業の中へ入れる考えはないだろうかということについて答弁されたいと思うのです。
  49. 松浦功

    松浦政府委員 自治省といたしましては、せっかくただいま郵政省の方で御検討いただいておるようでございますので、それらの制度がどうなりますか、行方を見定めて、その上で右か左かを決めていきたいと私どもとしては考えております。いま直ちに、裸で、一切制度がないのに、出した金額はすべて過疎債で出せるというような形にいたしますことがいいか悪いか、その辺には非常に問題があろうかと思います。現実に、これまでのやり方といたしましては、過疎地域に対しましては、過疎地域には何か金が要るだろうということで、ある程度中身を指定しないで特別交付税で配っているものもございますから、市町村としては、そういった金をお使いになってやっておられるというふうに私どもとしては考えております。
  50. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答え申し上げます。  市町村あるいは都道府県の補助事業の金額につきましては、私どもの方も的確に全貌をつかむには至っておりません。ただ、NHKあるいは地方公共団体等を通じまして得ました情報からいたしますと、先ほど申し上げましたように、二十五の都道府県がこれを実施しているようでございます。しかしながら、それ以下の市町村段階になりますと、私どもも全く調査した資料を持っておりません。と同時に、金額につきましても、正確に、都道府県でこれが幾ら、あるいは市町村まで入れて幾らというような、総金額を申し上げる資料は持ち合わせておりませんので、御了解願いたいと存じます。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは郵政省は自治省と連絡して、大体どのくらいの負担になっているか。大体都道府県二分の一、当該市町村、まあ市よりは町村だと思いますけれども、二分の一というようになっているようですから、金額はどのくらいになっているか、それも参考に自治省の方に出して、そしてこれは郵政省の管轄になると思いますから、方針を至急決める。特交で見ているというような自治省答弁もありましたけれども制度的に何らかの改善の方法を求めなければならないかとも思いますので、この点は至急調べて自治省の方へ連絡をしてもらいたい、こういうように思うわけです。  あわせて、国土庁も来ておりますので、国土庁はいま私の過疎の問題として提案している問題、学校の統廃合の問題とテレビの難視聴等の問題についてはどう考えているか、あわせて聞きたい。
  52. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答え申し上げます。  私どもの方で把握している限りの資料につきまして、自治省と早急に連絡をとって、あわせて辺地難視聴解消の方策につきましては、難視聴対策調査会の結論が出た後に、その検討結果等に基づきまして、私どもの方針及び措置を決定していきたいと存じます。
  53. 田中暁

    ○田中説明員 過疎法の主管庁でございます国土庁といたしましても、関係各省と十分協議して対策を講じてまいりたいと思いますが、特にテレビ難視聴問題につきましては、全国過疎連盟からの要望もございますので、十分検討を進めてまいりたいと思います。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 小中学校の統合問題、独自の小中学校の増改築の問題についての補助金なり適債についてはどうですか。
  55. 田中暁

    ○田中説明員 過疎地域の学校は、学校統合のほか、危険校舎の割合も多うございますし、危険校舎を改築するという例がわりあい多うございますので、現在の措置で大部分は救済されているのではないかというように考えているわけでございますが、一般の新増設につきましても、文部省等と協議いたしまして検討を続けてまいりたいと思います。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 国土庁に一言申し上げますが、国土庁が過疎地域についての窓口になっているのだから、私がきょうこういう質問をするから十分な内容の答弁をされたいと言ったところが、いやそれは文部省と郵政省だということです。あなたが直接言われたかどうかわかりませんが……。一体この過疎問題をどうして国土庁へ移したのか、恐らく部落、集落の移転とかなんとかいう問題が中心じゃないかと思うのですけれども、しかし、過疎地域の問題というのはいろいろありますので、過疎問題一つ相談するにも、国土庁に相談し、文部省に相談し、郵政省に相談し、自治省に相談しなければいかぬということになると、これは全くのなわ張りで、質問もどこの省にしていいのかわからないというような形態になっているのです。これはもう少し効率的に、過疎の問題は自治省なら自治省が中心に権限を持っている、そしてもし集落移転のような場合は国土庁の方へ相談をかけるならかけるとか、何か聞けば、自治省から何とか室がそちらの方へ移ったのだそうですけれども、そういうことは何か官僚のなわ張り根性が横溢しているような感じがしていけない。これは自治省も一体どうして分けちゃったのですか。人口稠密地帯も過疎地域も窓口は自治省にしておいて、そうしてその仕事が必要な場合には各省へあなたの方が責任をもってやる、そうしてもらわないと、聞いてみれば、どこへ質問をしていいかもわからないような状態なんですよ。それはどうお考えになりますか、福田大臣と国土庁と。国政の根本に関する問題だ、官僚のなわ張り争いというものは。
  57. 福田一

    福田(一)国務大臣 非常に御不便であるという御質問でございますが、御案内のように、自治省というのは自分でいろいろのことをやるところではないのでありまして、それぞれの自治体がそれぞれの役所との関係においてそれをやっているその仲立ちに立って、そしてできるだけ自治体がうまく処理ができるようにするということでございますから、私の方でどうするということはここでは言えないのですが、あなたの御趣旨のあるようなことを体して、問題ごとにわれわれがまた努力をしていく、こういうことで措置をしてまいりたい、かように考えております。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 過疎債や辺地債の問題は、これは松浦さん、起債の方ですが、自治省がやっていると思うのですけれども、これは過疎地域の最も関心の多い問題なんで、やはり窓口は自治省がおやりになって、それで、仕事のそれぞれの分野によって、それぞれの各省庁へ自治省があっせんをするならするということで、窓口はやはり自治省一本にしておいた方が私はいいと思いますが、これは行政の編成に関する問題で、ここですぐ、自治大臣がどうとか、松浦さんがどうとか言えないかもしれませんが、われわれの方から見るとそう思いますが、将来ひとつ検討課題として検討してもらいたいのです。
  59. 松浦功

    松浦政府委員 先生承知のように、国土庁ができましたときに自治省から移りましたものは、小笠原、奄美、こういった補助金系統を予算に計上しそれを配賦する課と、集団移転等の予算を持っておりました先生指摘の過疎対策室が移ったわけでございます。  まあ大臣おっしゃられましたように、自治省としては、本来事業費を持っていてそれを配るという役所でないわけでございまして、離島の経費等は全部過疎対策室、いまの国土庁、がもともと持っておる。それらと類似のものですから、一緒に合わせてやるべきだろうということで、本来でございましたら、役所のなわ張りというのは残そうとするのでございますが、私の方は潔く吐き出したわけでございます。そういう意味では、決してなわ張り争いではないというふうに御理解をいただきたいし、私どもの本来の使命でございます財政的な対策援助という意味では、地方債というのは、あくまで私どもがそれぞれの団体の財政事情を見てお配りしなければいけない、こういうことで私どもの主張を国土庁の方も理解されて、私の方に地方債の許可が残ったわけでございます。  したがって、いまの過疎、辺地債の適債事業になっている問題でございますと、大体私の方へお話をいただいてもわかるかと思いますけれども、それらの関連から抜けております各省関係の事業となりますと、私どもは非常に弱いわけでございます。その辺のところは、先生も長年地方行政におられておわかりのことと思いますが、交付税自体の配り方は、財政との絡みで自治省はよくわかっておりますけれども、どこで公共事業がどれだけやられているかということは、自治省は各省にお願いして資料をいただかないとわからない。そういう調整的な役目をしながら地方自治の健全な発展に役立っていくというのが当省の役目ではないかと私どもは思っておりますので、あるいは御理解いただけないかもしれませんが、できるならばひとつ御理解を賜りたい、こう思っております。
  60. 田中暁

    ○田中説明員 過疎法は、交通基盤の整備、産業振興、集落移転、文教施設、生活環境施設というように、非常に総合的な対策でございます。これを都道府県の振興方針を立て、市町村それぞれ計画を立てまして総合的に実施する。この計画は、振興方針については総理大臣に協議をいたす、こういうことで全体の調整を図るというようになっておりまして、これを国土庁で担当しておるわけでございますが、個々の事業の実施につきましては、われわれの方ではコミュニティーセンターと集落移転の補助金を直接やっておるわけでございますが、そのほかは各省庁でお願いしておるわけでございます。先生の御質問、非常にそういった具体的な問題かとも思われましたので、あるいは私どもの方で電話を受けた者が、まず第一次的には各省庁の御意見をお聞きいただきたいということを申し上げたのではないかと思いますので、御了承願いたいと思います。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 松浦さん、過疎対策室を出したのは結構ですけれども、出されたおかげで不便な面も出てきましてね。妙なところで気前のいいことをやって、それがかえって不便な場合もありますので、ひとつ窓口として、やはり自治体としては、自治省が唯一の頼りになるし、窓口になりますから、過疎地域についても、おたくの方で親切にいろいろ指導をしてやることが必要ではないかと思うのです。それは国土庁へ今度移ったから、国土庁の方へ行ってくれ、ということでないようにされたいと思うのです。  あと質問を二つだけでとどめたいと思いますが、一つは自治体病院の問題です。これは消防庁なども非常に力を入れているようですが、これもまた国の補助が非常に少ない関係で、なかなかむずかしい問題になっておるわけです。これについて消防庁としてはどういうようにお考えになっていますか。
  62. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 自治体病院につきまして消防庁がいろいろ関係を生じますのは、救急医療の関係でございます。現在、自治体病院で救急病院としての指定を受けております病院が約四五%程度でございまして、この辺、現在の自治体病院が、たとえば医師、看護婦の不足あるいは空きベッドの不足というようなことから、非常に救急面から問題があるというふうに私ども考えておりまして、特に財政措置のほかにも、そうした医師、看護婦の充足等の問題について、厚生省の方にも御協力をお願いしておるというのが現状でございます。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 五十年度に救急医療への補助が二億五千七百万円出ておる、一病院四百五十万というのですが、これはどういう病院へどのように運用されているのですか。これは厚生省ですか。
  64. 黒木武弘

    ○黒木説明員 お答えいたします。  五十年度予算におきまして、先生のお尋ねのように、新しく救急を担当する病院に対して予算を計上することができたわけでございますが、この病院は、年度当初ということもございまして、一定の私どもの評価によりまして、Aランクと申しますか、救急医療体制が高度に行われている、どちらかといいますと地域の中心的な役割りを果たしているような救急病院に対して、運営費の助成を行いたいというふうに考えておるわけでございまして、予算の積算上は五十七カ所ということになっております。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、五十七病院というのは、Aランクの病院にとりあえず補助を出したということですか。それと、B、Cランクの病院へはどうなるのでしょう。
  66. 黒木武弘

    ○黒木説明員 B、Cランクの病院については、補助金を五十年度予算においては計上いたしていないわけでございますが、それは、先ほど申しましたように、年度当初ということもございますが、そのほか、先ほど消防庁長官がお答えになりましたように、自治体病院の半数近くが救急告示病院ということで救急を担当しておるわけでございますが、その実態はさまざまで、救急を担当するということで、専門に医師、看護婦等を待機させあるいは専用ベッドを設けている病院から、入院患者のための当直医師が救急患者が来られたら携わるといったようなところまで、種々さまざまでございまして、私どもといたしましては、救急を担当しておる自治体病院の経営の実態、あるいは昨年度休日あるいは深夜の救急を担当された場合の診療報酬の加算制度ができましたこと等も勘案しますと、そういったB、Cランクの救急病院については、今後の実態等も見ながら、かつ現在の救急医療体制は検討を要する問題がたくさんあるわけでございますので、救急告示病院のあり方等も含めて検討する中において、今後B、Cランクの病院についての助成をどういうふうに強化していくかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 消防庁の長官もおわかりのように、救急病院ということになりますと、医師、看護婦、ベッドを常時確保しておかなければならないし、患者がなければ収入がないという状態になるわけですね。これは自治体病院が公示されているわけなんですけれども、そうすると負担が非常に多くなるわけですね。  これは東京都の調査で、消防庁長官も御存じだと思いますが、都の衛生局の昨年の調査に基づきますと、八割が当直医は一人だけだ。ですからその一人が、たまたま外科なのか、内科なのか、小児科なのかわからない。それから満床で急患まではとてもできないというのが六割という状態になっているわけなんですね。これは救急告示医療機関なんですけれども、一般も入れてそうだと思いますが、これは非常に憂うべき事態だと思うわけなんですね。  したがって、これに対する補助は積極的に行っていかなければならない、そして救急医療に対する対応の条件を充実させていかなければならないと思うのですけれども、いまお聞きしますと、自治体病院では五十七病院、そしてこれはAランクだけだというのですが、将来B、Cも充実していかなければなりませんし、またA病院だけでも、この程度の補助ではとうてい充実した医療を達成するというわけにいかないと思うのですが、一医院四百五十万、これはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。今年度救急医療への補助制度が新設されたわけですけれども、これは将来どういうようにお考えになっていくのですか。これはおたくの方じゃないのですか。厚生省の方ですか。それじゃ厚生省から……。
  68. 黒木武弘

    ○黒木説明員 救急を担当している自治体病院のB、Cランクの病院の助成の強化の方向については、先ほども触れましたように、今後の課題として十分検討してまいりたいというふうに考えておりますが、若干いきさつから申しますと、従来は、自治体病院が救急を担当することはその公的使命からいって当然だという形で、自治体病院に救急担当をお願いし、かつ、そのための不採算部分については、一般会計の繰り入れ、これに対する財源措置としての交付税等が自治省において措置されておったわけでございますけれども自治体病院経営の悪化傾向、あるいは救急医療の重要性にかんがみまして、今年度から新しく救急Aの病院五十七だけに補助の道が開かれたということでございますので、今後十分私どもとしては検討をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それでは厚生省、結構ですからお帰りください。それから消防庁長官も結構です。  実は予算の分科会で、公立病院の特例債の元利償還について交付税で二五%見るつもりだというあなたの答弁がありまして、私としては、なかなか締まり屋の松浦さんがこういう答弁をしたものだから、これで実は質問をとめておいたんですね。そうしたら公立病院としては、やはり五〇%まで見てもらえないかということが非常に強いわけなんですね。どうして林さんは二五%でとめちゃったんだという声が方々から来ているわけなんですよ。じゃもう一度私の方から質問するし、さらに強い要望があるということを伝えておきましょうという約束をしたものですから。これはどうでしょうか。もう少し改善する道はありますか。
  70. 松浦功

    松浦政府委員 病院にもいろいろございまして、先生が御指摘になっておられるような、過疎の本当にだれがやってもどうにもならないような病院、これについてできるだけ手厚くするということでございましたら、非常に結構な一つの御提案かと思うのでございます。病院の中には、東京や大阪にある公立病院もたくさんあるわけでございます。そういうものについて一律にということになりますと、非常に議論がございます。したがって現在の段階では、利子補給のほかに元金の二五%以上見るという考え方はございません。  ただ私どもは、現実に特別交付税の配分を通じまして、財政力の強い弱いで区分をいたしまして、相当差をつけて弱い団体の方には傾斜的な配分をいたしております。これらの問題がございますし、さらに交付税の一般の計算の仕方、需要の算定の仕方としては、常に貧乏団体というものを頭に置きまして、傾斜的な配分に心がけております。そういった面を通じて、いわゆる貧弱団体の財政が困らないようにという配慮は今後も続けてまいりたい、このように考えております。そういうことでひとつ御理解を賜りたいと思います。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、なお自治体病院の関係者から五〇%算入という強い要望があるということを改めて申し上げまして、そういうきめの細かい配慮をさらに加えていただきたいというように思います。なおまた、関係者から何か意見がありましたら質問することにして、これはこれで終わります。  委員長、私あと一問、実は私の選挙区に関する問題で、運輸省と国鉄にちょっと聞きたい問題が残っておりますので……。
  72. 大西正男

    大西委員長 交付税の関係ですか。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 交付税に直接は関係ありませんけれども、何かと関係がある。  国鉄来ていますね。もうあなた方十分御承知だと思うのですけれども、中央東線のいわゆる諏塩トンネルですね。あれは御承知のとおり、地元の岡谷市の中の川岸と橋原という部落は非常に多くの人が反対していて、最近若干賛成の人も出てきたようですけれども、依然として、昭和四十年に事業認定申請をしたんですけれども、まだ認定がおりていないという状態なんですけれども、こういう中で、二月二十日に国鉄の方が川岸という部落で約四千平米の土地を金二工業株式会社というところから買った。買ったけれども、その道路造成、宅地造成、水道本管敷設等はこの売り渡し人が行って、それから国鉄へ渡す、こういう契約ですか。このとおりでいいでしょうか。
  74. 高橋浩二

    ○高橋説明員 いま先生のおっしゃるのは、金二工業株式会社から購入した土地のことかと思いますけれども、私の方の複線化の起業用地の代替を目的といたしまして、約四千平米ほど購入の契約を結んだというところでございます。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 これは本来地方自治体がやるような道路造成、宅地造成、それから水道管敷設というようなものを、国鉄が土地の売り渡し人にやらせる契約を結ぶということは、これはどういうことなんですか。こういう計画は当該自治体がやることじゃないですか。
  76. 高橋浩二

    ○高橋説明員 たまたま私の方が起業地の用地買収を進めるに当たりまして、被買収者からぜひ代替地を準備してほしいという要請が非常に強く出ておりまして、ただいまいろいろ折衝しております中の約半数の方は代替地を要望しております。宅地でございますので、一人の代替地の大体の大きさは、七、八十坪から百坪前後の大きさを希望しておるようでございますけれども、たまたま私の方でまとめて購入の契約をいたしましたものは、四千平米、約千三百坪でございます。したがいまして、これを個々の地主の方にお分けするには、私の方で分割をいたしまして個々に代替の契約を結ぶという準備をするために、まとめて買いました千三百坪の中を区画割りをしておかなければならないということで、買うときの条件といたしまして、区画割りをして、若干土を盛って道路をつけて幾らで売り渡すという契約をいまいたしているところでございます。したがって、それに従って若干土を盛ったり、あるいは幅四メートル程度の道路をそのまとまって買った土地の中につくっておるというのが、きょうの状況じゃないかと思います。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、地方財政に関係することでお尋ねしますが、これはいつ関係者に売り渡されるんですか。売り渡されるまでは、この土地に対する固定資産税はだれが払っていくことになるんですか。
  78. 高橋浩二

    ○高橋説明員 売り渡すのは、個々に起業地の被買収者と契約が結ばれた時点でお売りするということになります。したがって、現在のところは、私の方で登記をして国鉄の土地に一たんなりますので、したがって、そういう土地については、固定資産税をその間は国鉄が支払うということになろうかと存じます。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 このトンネル事業は総計幾らの事業になるのか。この岡谷の方から掘り出していく方ですね。そしてそれはどこが請け負うのですか。何建設業者が請け負うのですか。総計どのくらいの金額になるのですか。
  80. 高橋浩二

    ○高橋説明員 岡谷から塩尻の間約十一キロの延長の複線化をいま計画しておりますけれども、全体で百三十億円かかる予定でございます。  そこで、いま先生の御質問は、どこの業者が請け負うかということでございますけれども、すでに決まった部分と決まらない部分とございまして、岡谷の駅の付近については、先般二月に入札を行いましたので、約数百メーターの区間でございますけれども、株式会社大成建設が請け負うことに決定をいたしております。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 国鉄が非常に財政的に窮迫しており、それから都市周辺の国鉄が非常に混乱をしているときに、たとえば横須賀線だとか総武線に比べれば比較にならないような、まだ混雑の仕方が緩やかなところへ百二十億近くの金を出す。私の聞いているところでは、一方では大成建設に請け負わさしているという話を聞いているのですが、どうしてそんなに無理をしてまで財政的に国鉄が窮迫しているときに急いでやらなければならないんですか。十分納得をしてみんなが賛成するまで待っていたっていいじゃないですか。ことに、まだ路線関係者のだれがどこへ移るかということも決まらないうちに、直接その路線と関係ない土地を買い占めて、そして宅地造成までして待っているということは、国鉄へ土地を売る気がある者ならだれでも買ってやるよということをデモンストレーションをやっていると同じことになりませんか。
  82. 高橋浩二

    ○高橋説明員 岡谷−塩尻間の複線化につきましては、先生も御存じのように、昭和四十一年に運輸大臣の承認をいただきました。その後だんだん輸送量が非常にふえてまいりまして、ただいまのところ、あそこの単線区間に百四本ほどの列車が入っておりまして、通勤時間帯ばかりでなく、土曜、日曜等には、あるいは夏休み、冬休み、春休み等、臨時列車も増発ができないほど列車本数はぎりぎりいま単線の中に入っております。私の方は、国鉄としてはもちろん将来伸びていく予想のもとに複線化ということが必要でございますけれども、それ以外にまた、いまあります単線を保守していく上にも、複線化いたしまして、一つの線に入る列車の本数を減らすとか、そういうことをしてまいりませんと、保守の実態にも非常に差し支えるということもございますし、また、これから伸びていく輸送量に見合った列車を増発していくためにも、複線化をしていくことが必要だろうというふうに考えております。十年前に比べまして、ただいまそこを通過いたします急行あるいは特急は、二倍以上に現在ふえておりますし、これからもふえていこうかというふうに考えております。またこの線は、非常に短絡をいたしまして距離を短くしようということでございますので、いま急行、特急のお客様は非常に長い距離を迂回しており、それだけ列車運転のためのエネルギー等も非常にロスをいたしておりますので、線を短くすることによって、そういう面からもまた一つの貢献が得られるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  ただいま代替地等についてお話ございましたけれども、十一キロのうち、問題になっておりますのは岡谷市内の約一キロでございまして、その区間のまた岡谷市内の約半数の方々とは、いまいろいろの交渉をいたしております。それらの方々が半分が代替地をぜひ欲しいということで、私の方も準備いたしておりますけれども、もう少し代替地を準備しないと恐らく足らないのじゃないかというふうな見通しのもとに、ただいま代替地を購入したところでございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、ここでえらい論争しても仕方ありませんし、また運輸委員会で基本的にはやりたいと思いますが、松本と塩尻の間を十分か十五分短絡するというために、百二十億もの金を出して有名な建設業者にトンネルを掘らせる。それはいまあなたの話を聞いても、夏休みあるいは春休み等は混雑すると言いますが、東京の横須賀線や総武線なんか休みどころじゃないですよ。毎日毎日がもう半死にの状態で通勤しているのですよ。そういうところを改善しなくて、一たん国鉄が発表したからどんなことをしてもやってみせると言って、十年もかかって反対して、それでわずか一キロの間の関係者が十年たってもまだ承諾してないというところへ、なぜそんなに無理に金をつぎ込んでやるのですか。要するに、国鉄というものは一たん発表した以上は反対などは許さないという、あなた方の精神的な暴力手段をここに講じていると見るよりほか考えようがないですよ。  現にあなたは、現地の人と話しに行くと言って行っておきながら、そして皆さんの十分な了解を得てやりますと言いながら、次の日にもう建設業者に入札をさしているのじゃないですか。民主主義的に直接土地や家屋を取られる人と国鉄の間に意思を疎通し、了解をし合うという態度が全然見えないじゃないですか。ことに建設局長があなたになってから非常にひどいやり方ですよ、私たち聞いているところによれば。だからそういう態度は改めなければならないと私は思うのです。そんなにどうして急がなければならぬのか。いま都心に通っている勤労者のこの混雑と比較したら比べものにならないですよ。そんなところへ百億もつぎ込む金があったら、この都心へ通っている勤労者のために何とか改善することが国鉄らしいやり方じゃないですか。そういって運賃を上げて、上げた運賃はみんな金利に使われる、こういう財政的に困っているときに、十年もかかってもまだできないところを、いや真ん中から掘るとか、入り口が決まらないのに出口の方から掘ってみせるとか、まるでこれは、地域住民の人たちに、これでもかこれでもか、国鉄の言うことを聞かなければこうなるこうなる、そういう威圧を加えているというより考えようがないと思うのですよ。だから、基本的にはあなたがどこまでも話し合いでやっていく。少なくとも、納得しないものを強制収用とかなんとかというようなことでやるようなことはしない、そういうことは約束できますか。
  84. 高橋浩二

    ○高橋説明員 ただいま仕事を始めましたのは、岡谷市内の中でも用地買収も完全に終わりました、ことしの一月に岡谷市から私の方に、設計協議を申し上げて回答をいただいた区間だけの工事を実は進めております。それの残りの区間につきまして、先生のおっしゃるように最大の努力をいたしまして、円満な解決を図って地元の方々の納得のいくように、これは前回にも私はそういうふうに申し上げております。いまもそれには変わらない気持ちで、よく地元の方々の御了解を得て工事を進めていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 このトンネルにかかる一キロばかりじゃなく、いま設計協議は、あなたに聞きたいのですが、岡谷−下諏訪間は何キロあるのですか。ここにも関係して、設計協議に入るということを発表しているのじゃないですか。ここ全体の住民にも影響してくるのじゃないですか、複線にするということになると。
  86. 高橋浩二

    ○高橋説明員 いままでの御質問は岡谷−塩尻間の御質問でしたので、その区間のことを申し上げましたけれども、いま地域の方々から、なぜ岡谷とその手前の下諏訪間の複線化の工事を進めないかというお声がかかっておるやに聞いております。私の方は中央東線全体の複線化を進めるテンポというものを考えて、この区間につきましても、すなわち岡谷と下諏訪問につきましても、市と協議をいたしまして、協議が成立いたしますれば工事にかかってまいりたいというふうに考えております。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、あとわずかで終わりたいと思いますが、どうしてこの全員協議会にかけるのを、いま一斉地方選挙が行われているのでありますから、新しい議員が選ばれた議会で相談されなくて、全く任期切れの四月十一日というようなところに協議会をかけられたのですか。岡谷市の市民の意思をくんで選ばれた新しい議会へかけて相談されればいいじゃないですか。
  88. 高橋浩二

    ○高橋説明員 私の方は、仕事の進むテンポに応じて市御当局に設計の協議その他の御相談を申し上げております。通常の場合には、市の理事者がそれに対して御返事をいただくというのが全国の通常のケースでございます。たまたま岡谷市においては、全員協議会等に諮った上で市長が返事を出すという、これは岡谷市の内部事情かと思いますので、どの協議会にかけるか等については私の方はよくわかりませんけれども、私の方は、市の理事者に対しまして設計の協議をいたし、理事者から回答をいただければ工事をやるということでございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんから。そうすると、結論はこうですね。あくまで国鉄の立場としては、関係者、ことに土地、建物等、路線のためにあるいはトンネルを掘削するために取り上げられるような人に対しては、話し合いの立場を貫いていくつもりだ。決して強制収用するとか、あるいはそういう国鉄の方針に対して賛成できないというような者に対して特別に不利な報復措置をとるというようなことは考えておらない、こう聞いていいですか。
  90. 高橋浩二

    ○高橋説明員 そのように考えております。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一問。  運輸省も、いま聞いたような事情がありまして、十年来のこれは問題でありまして、地元の人たちも非常に不安に駆られて、国鉄が何をやるかわからないということで非常に恐怖感を持っているわけなんですね。だから、そういう恐怖感を持たしてまで国鉄をそこへ敷設する、あるいはトンネルを敷設するというようなことは好ましくないので、あくまで地元の者と十分話し合って、納得をして事を運んでいく、こういうように指導されたいと思いますが、この点どうですか。
  92. 柳田真司

    ○柳田説明員 この問題につきましては、先生からたびたび御質問いただいておりまして、大体ただいま国鉄の方から答弁がありましたように、極力地元の皆さんとの合意を図りながら工事を進めていくように指導いたしたい、このように答弁してまいりましたが、その考えは今日も変わっておりません。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 確かめてください。そうすると、国鉄に決して無理はさせない、そういうことですね。
  94. 柳田真司

    ○柳田説明員 はい、そのように考えております。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、私の質問を終わります。
  96. 大西正男

    大西委員長 小濱新次君。
  97. 小濱新次

    ○小濱委員 地方交付税法の一部を改正する法律案に対して、地方財政全般にわたり、特に基本的に今後の課題について、自治大臣及び消防庁長官政府委員の方々に御質問をしていきたいと思います。  まず簡単な問題でございますので、佐々木消防庁長官からお伺いをしていきたい、こう考えております。  消防白書を見ると、例年のことでありますが、一般の行政費目においては決算額が基準財政需要額を大幅に上回っているのに対し、消防費の決算額については基準財政需要額に満たない市町村が少なくないわけでございます。消防費について決算額と基準財政需要額との開きについて、市町村の実態をまずお聞かせをいただきたい、こう思います。
  98. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 これまで消防費の決算を見ますと、基準財政需要額との比較におきまして常に低い数字が見られておったのでございます。ただ、年々この割合は高まってまいっておりまして、四十七年度におきまして約九三%でありましたものが、最近の四十八年度の決算におきましてちょうど一〇〇%というふうな数字になってまいりました。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕 最近の市町村のいろいろな消防に対する需要が高まってきておるということを反映しているものだと思います。おおむねこういう数字で推移していくだろうというふうに考えております。
  99. 小濱新次

    ○小濱委員 きのう、きょうの新聞を見ましても、その悲惨な火事の犠牲者が後を絶たないわけであります。これは白書の実態を見ても明らかになっておりますが、いかにしてこの火事を起こさず、また、不幸にして災害が起きた場合に最小限度に食いとめるか。まあそれには何と言っても消防に金をかけざるを得ない、金をかけるのを惜しむべきではない、こういうふうに考えるわけでございます。非常に優秀な化学消防車が研究されたとしても、なかなかそれが入手できない、こういう実態はもう長官よく御存じのとおりであります。備えあれば憂いなし、私どもはこういう教訓も受けておりますし、一文惜しみの百失い、こういう言葉も聞いておるわけでございます。  そこで、消防施設整備の充実こそがとうとい生命、財産を守る基礎であると私どもは認識をいたしておるわけでございますが、この決算額と基準財政需要額の実態からして、この消防施設の充実、強化ということがいろいろの立場から論じられてまいりました。充足率の実態を見ましても御存じのとおりになっているわけです。自治体でもなかなかこの消防には金をかけたがらない、そういういろいろな内面もあるようでありますが、どちらにしても、今後、いまのような憂えられる実態に対する対策を消防庁長官としてはどのようにお立てになろうとされるのか。これは基本的な問題でありますから、その対策の進め方について一応御見解を聞いておきたい、こういうように思います。
  100. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 消防施設の整備の状況というものが、私ども考えております水準に比べましてまだ相当低いということは御指摘のとおりでございます。そういう点から、昭和四十九年度におきまして消防力の基準というものについての見直しを行ったわけでございます。この消防力の基準につきましては、特に最近の都市あるいは町村の実態から見て、いわば実現可能な消防力の水準ということを目標にすると同時に、最近の火災による死亡者等の増加状況等から見まして、人命の安全ということを特に注目いたしましてこの基準の改定を行ったところでございます。これから見ますと、普通ポンプ車等につきましてはある程度の水準まで到達しているというふうに考えますけれども、やはりはしご車、化学消防車といったような、こうした化学消防施設というものがやや不十分であるというふうに考えられるわけでありまして、この点についての充足をこれから特に市町村の方にお願いをしていかなければならないというふうに考えております。  また、こうした消防施設の整備のために、国庫補助金につきまして本年度は補助基準額の大幅な単価改定を行いまして、現在市町村が購入しておりますポンプ自動車の実勢価格というものと、この補助基準額というものをほぼ一致させるということができまして、市町村にとりましては、その購入についてその点の補助単価と実勢価格との乖離というものがなくなりまして非常にやりやすくなったというふうに考えております。  なお、この地方財政面から見まして、まず一つは、現在お願いしております地方交付税の単位費用の算定に当たりましては、本年度の消防費約四四%の引き上げということを行っていただきまして、一般的人員の充足、それから救急隊の増設の問題、それから消防車の構成割合の改善、こういうことをいたしまして、市町村がさらに消防施設の整備並びに人員の充足というものが十分に行い得るような対策を講じてまいったつもりでございます。  なおまた、消防施設につきましては、地方債の枠につきましても、いま地方債計画並びに地方債計画外の資金につきましても相当額を準備いたしまして、市町村の施設充実の要請には十分こたえられるように措置してまいるつもりでございます。
  101. 小濱新次

    ○小濱委員 最近は九州から関東に至るまでいろいろと大地震の予知と思われるようなそういう問題が起こっております。そういう点でいろいろと問題になっているそういう地震の対策についても、当然この消防施設の充実、強化ということが必要になってきておりますが、どうかひとつ、これは大変な予知対策になろうかと思いますけれども、是非ともそういう方向で一層努力をしていただきたいと強く要望申し上げまして、長官への質問はこれで終わります。  次に、自治大臣にひとつ基本的な問題をお尋ねしていきたいと思います。  現在わが国は、長年にわたる高度経済成長が破綻を来たし、低成長に入ったわけでございますが、この高度経済時代のひずみである公害、物価高あるいは生活関連施設整備及び福祉対策のおくれが著しいわけでございます。また低成長、福祉重点に政策転換を図るといっても、依然地方財政は税制においても補助制度その他においても、従来の産業基盤重点の体制のままに置かれております。このままでは地方財政税収がいままで以上に上がらない、そのためにますます窮地に迫い込まれることは必至である、こう考えます。当然、低成長、福祉型に政策転換を図るならば、その体制においても地方財政を抜本的に改めなければならない、このように考えておりますが、今後の地方財政の基本的なあり方をまず自治大臣からお答えをいただきたい、こう思います。
  102. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘のとおり高度成長時代から低成長時代に入りました。その結果として、地方財政はいろいろの意味における相当な困難に当面することは御指摘のとおりでございます。いまわれわれといたしまして、高度成長のやり方が悪かったからこうなったのではないかというような御指摘につきまして、とやかく弁明申し上げることはできませんが、しかし、高度成長をやって今日まで来たので一応日本の経済もある程度の成長をいたし、また福祉行政あるいはその他の面においても、いわゆる文化的な面もある程度は充実できたのだと私は考えておるのであります。しかしその結果、公害とかあるいはいま御指摘のあったようないろいろの問題も起きてきております。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、そういうときに今後の地方財政をどう処理していくかということになれば、これを急激に改めていくということは私はなかなか困難な面があると思うのでありますが、ことしなどはそういうような低成長時代に当面してきておるのでありますからして、五十一年、五十二年等々の先行きも考えて、そうしてどのような政策をとるかということは、これは国の中央の政治とも関係が非常に大きいわけでございます。そこで中央におけるこの方針が定まる、いま研究もいたしておるようでございますから、それと並行いたしまして地方財政の見直しということもまたやっていかなければなりません。その場合に、何といってもやはり歳入がそれほど多くを見込めないという場合におきましては、今度は支出の面において合理化を図るとかあるいは人件費その他の面においてもひとつ配慮するとか、けさも埼玉県の知事が月月二万円寄付をすることにしたというような記事が出ておりました。やはりそういうような責任の立場に立って物を考えるときには、みずから姿を正しながらひとつ皆にも協力を求めるということは当然なことだと思うのでありますが、そういう意味では地方財政、また非常に苦しい、したがって担当者は非常に苦しいことになると思いますが、これを一遍乗り越えていくことによってまた次の新しいステップを日本が踏み出すんだ、こういうつもりでみんなでひとつ協力をしてやっていただく以外に方法はないんじゃないか、われわれといたしましては、しかしそれだからといって急に縮小をしたり、急に規模を小さくするとかなんとかいうようなそういうようなことは、五十年度においてはすでに地方財政計画というものも立てておるのでありますから、これをどうこうするというようなことはいたしません。しかし、そうしてもやはり収入が少ないということになりますと、たとえば税収が少ないというようなことになれば、そこにまたいろいろの問題も起きてくるだろうと思うのでありますが、これらについては一応計画を立てておる以上は、これは今年度においてはこの計画を実現するように大蔵省その他に対しても要請をいたすつもりではあります。しかし大きな目で見れば先ほど申し上げたような意味で、ここでもう一度新しい世界経済情勢に適応する日本を再建するのだという立場において政治の方向を今後探していくといいますか、調査をいたしていくことが必要である、私はかように考えておるわけでございます。
  103. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろ地方財政危機とか財政が苦しいとか、その理由については、これはもう大臣もよくお耳にしていることであろうと思いますし、またみずからを正してというそのことも必要であります。また新しいステップを踏み出すためのその準備の期間も必要だろう、こう思いますけれども、やはり低成長という、こういう時期にこれからの方向づけというものを、自治省それ自体がその方向を示してやらないと、これは地方の一自治体ではなかなか困難な問題だなと思いまして、税の問題でもそうですし、行財政の問題でもそうでありますし、何かこの辺で抜本的に検討、対策を講じていく必要があろう、こういうふうに考えまして御質問をしておったわけでありますが、大臣のお気持ちもわからないわけではありませんが、自治省として期待されておりますので、ぜひともひとつ積極的にそういう立場からその姿勢を示していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。これはたって要望しておきます。  さらに、これもできれば大臣からひとつ御答弁をいただきたいと思いますが、三木総理は、国、地方を通ずる事務及び財源の再配分を検討すると、こう言っております。またすでに地方制度調査会にも検討を依頼しているようでありますが、自治省独自としてはどう考えているのか。総理大臣発言をしておりますし、お聞きのとおりでありますが、大分期間も経過しておりますので、この辺で自治省のお考えもただしておきたい、こういうふうに思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  104. 福田一

    福田(一)国務大臣 まず最初の御質問で大変いいお話を承ったのでありますが、小濱さんがおっしゃったような趣旨で、やはりわれわれとしても一つの方向を打ち出すべきである。そしてその方向を打ち出すについては、やはり地方の長官その他の意見も十分聞いて、そしてその方向を打ち出すべきではないかと私は考えておるわけでありまして、今後大いにそういう意味で勉強させていただきたいと思っております。  次に、地方事務配分とか行財政の整理の問題でございますが、これはいままでにもしばしば答申も出ておりますけれども、なかなかそれが容易に実現できなかったのでございますが、こういう時期でございますから、このときにこそ本当にむだな行政事務などはこれを改めるということが必要だろう、こう考えております。  しかし、さしあたり大きな問題としては、地方制度調査会にいま答申を求めておる段階でございまして、われわれとしても決して考えがないわけではございませんけれども、いまあなたが最初におっしゃった一つの姿勢を示すべきではないかという、その中にひとつ含めて問題の解決も図ってまいりたいと考えておるわけでございまして、これは時間をもうしばらくかしていただきたいというつもりでございます。こんなときにほっておいていままでどおりやっておればそれで済むというものではございません。いろいろな意味において、私が人件費の問題などもかつていろいろ言いましていろいろな御批判も受けましたけれども、私はやはりそういうことも含めてひとつ大いに研究もし、みんなでこの際しばらくはがまんしても、前へ踏み出す一つの準備というものを、足踏みをする時代もあっていいと思うのです。しょっちゅう成長ばかりすべきではないので、足踏みをしても、その次もう一歩大きく踏み出す足踏みであれば非常に意味があると思うのでありまして、そういう意味でも今後大いにこの事務配分とか財源の配分その他いろいろな問題について、中央、地方を通じて今度は新しい方向を出し、また決意を持ってこれを断行していく、こういうふうにさしていただきたいと考えておるわけでございます。
  105. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣の力強いお答えをいただいて、私も本当にそうありたいと心から願っておるわけですが、地方制度調査会に依頼するだけではなくして、自治省としての基本的なこういう配分のあり方を当然用意していると私ども考えておりました。しかし、いま大臣からも、われわれも考えを持ってないわけではないのだ、こういうことですから、私もそれを信じて大いにひとつこの制度の実現ができることを心から念願をしておる次第でございます。  行政局長、これは一つだけで申しわけありませんが、本当にわざわざここまでおいでを願って恐縮なんですが、地方自治法には市町村長が計画を策定することになっておりますね。市町村で長期計画をつくっているところはどのくらいあるのか、こういう問題についてお答えをいただきたいと思います。
  106. 林忠雄

    ○林政府委員 地方自治法におきましては、市町村はまず基本的な構想を定めるということが義務づけられておりまして、議会の議決を経る。これにつきましては、常々から基本的な構想を持つようにという指導をしてまいっておりますが、現在の策定状況は、数にして二千二百五十二市町村、全市町村の六九%、七割がこの基本構想をすでに持っております。それから、この基本構想に基づきまして具体的な長期計画、これを自主的に定めておる市町村は千八百七十、全体の五七%でございます。ですから、基本的な構想を七割、それからさらにそれに基づいてやる詳細な長期計画を五七%ですから、六割弱というものが現在すでに持っておる。これは、こういう長期的な構想に基づいて市町村の建設を図るよう、逐次この数を拡大するように指導してまいっておるのが現在でございます。
  107. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣に御質問をしたいと思います。  三木総理は社会的不公正の是正、福祉の充実を掲げておりますが、特に福祉施設の大半は地方自治体の任務になっている、内容からしてわれわれはこういうふうに考えております。従来の高度経済成長時代のもろもろのこのひずみ、また立ちおくれている生活環境の整備など、その充実が強く要望されております。これらが、短兵急にできるものではないことはよくわかりますが、これは、本腰を入れて計画的にやらなければならない問題であると考えます。そのためには何といっても基本となる計画が必要であるし、ここ五年なり十年なりの目標を立て、そのためにどれだけの財源が必要であり、またそれはどのようにして財源を捻出するのか、具体的な計画がなければ実効が上がらないのではないか、こういうふうに考えます。そこで、生活関連施設及び福祉充実のための五年なり十年計画をつくるべきである、こう考えるわけですね。自治省はその考え方があるのかどうか。基本的な問題でありますから、ひとつ自治大臣からお答えを願いたい。
  108. 松浦功

    松浦政府委員 自治省といたしましても、御指摘のとおり長期的な視野に立って地方の行政が行われることが望ましいと思います。それには、それぞれの生活関連施設なり社会福祉問題なりの施策は自治省で長期的な計画を立てるというわけにはまいりませんけれども、各省の方でそれぞれいろいろ御計画をお立てになっておる。いまのところそういう計画物がちょっと一年ずれた形になっておりますけれども、そういうものを各省で御検討になっておられるようでございます。自治省といたしましてはそれらの計画が円滑に施行できるように、長期的な、財政的な計画というものを持ちたいと思って、長期ビジョンについていろいろと検討いたしておりまするけれども、昨今の経済情勢では、データのとり方いかんによって全く違った形の計数が出てきてしまうという事態にございまして、将来の日本の経済をどの方向に導いていくかという基本的な方向が固まりません。それらのデータがございません。これらのデータが固まり次第、われわれとしてはそういう方向で長期財政計画をつくり、またそれの具体化として各省に対して自治省の持っておる意見というものを申し上げて、各省にりっぱな計画をつくっていただく。その計画が着実に実行できるように、長期財政計画に基づいて裏づけをしていくという方向で努力をいたしたいということを検討いたしております。
  109. 小濱新次

    ○小濱委員 立ちおくれているこの施設整備を進める、そういう立場から五年なり十年なりの計画の内容をお立てになりまして、いま局長が御答弁なさったように、この各省計画、たとえば経済社会発展計画、これはいろいろとそういう五カ年計画等にもちろん示されておりますけれども、その内容に自治省案というものを織りこませていくような、そういう積極的な推進策というものを持つべきではないのか。ただいま財政局長も、自治省としても持ちたいと考えているというお答えをいただきましたけれども、ひとつそういう方向でこれは努力をしなければならない、こういうふうに私ども考えまして、基本的な問題でありますが、御見解をお聞きしたわけでありますが、自治大臣いかがでございましょう。この問題について、ひとつ大臣から御見解を聞かしておいていただきたいと思います。
  110. 福田一

    福田(一)国務大臣 お考えはよくわかるところでありますが、御案内のように自治省というのは直接の、福祉事業の内容等々は各厚生省であるとか建設省であるとかその他の役所が一つの方向を打ち出していくのがいまの行政の姿でございます。  そこで、その場合に、これをどのようにして実現していくかということになれば、今度は財源の問題は大蔵省が一応一つの計画を立てて、その計画の中に、いろいろの各省のいわゆる生活関連施設あるいは福祉施策をどう織り込んでいくかという計画は立てなければいけないことはもうお説のとおりだと思うのであります。しかし、一面において、また地方自治体の側から見て、こういうものをやってもらいたいというものがいろいろあることも私事実だと思いますので、そういうものを各省に反映させていくということは自治省として非常に大事な仕事であると考えておりますが、そういう意味では、実際に具体化していきます場合には、いわゆる事業をやっております各省が大蔵省と折衝をする、その折衝に当たって自治省が協力をし、そして推進をする、こういう立場をとらざるを得ないかと考えておるのであります。しかし、実際に仕事の問題になりますと、何といったってこれは低成長時代でありますから、たとえば五%ずつ成長させて五年間ということであればせいぜい三〇%、五、五、二十五よりはふえますけれども三〇%しか伸びない。そのときには、どれくらいの財源が伸ばし得るかという問題がある。そうすると、その程度では、いまのようないわゆる住民の要望がいろいろの面において強くなった時代には、なかなか思うようには充足していくことができない、その新しい財源でできないということになると、やはり支出の内容をもう一遍にらみ直して、そしてそれを配分の仕方を考えてみるということも非常に大きな問題になってくるだろうと思っておるわけでありまして、われわれとしては、いまあなたのおっしゃったように、この一つの自治省としてということも考えるのはごもっともな御意見だと思いますけれども、実際に、たとえば老人福祉はどういうようにするかということになれば、やはりこれは厚生省がどうするか。年金の問題をどう処置するのかということになれば、これも厚生省の問題になる。あるいは上下水道、特に下水道等の問題をどう処理するかということになれば、これは建設省というように、いろいろの面において、やはり各役所が具体的な施策をやるわけでございますからして、そういう各役所が新しいその福祉施策を充実するためにわれわれとしては協力もし、また要請もしていく、そしてともに勉強をしながら実現を図っていく、こういうことが私は自治省の任務ではないかと思っております。自治省自体がすべての行政を握ってやっていくというような方向は、なかなかむずかしいのではないかと考えますが、しかし、それくらいの気概を持って、いまあなたのおっしゃったような気迫を持って勉強しておりませんというと、あなたがおっしゃったような問題を推進していくわけにはいかないと考えますから、そういう意味では、今後も大いに勉強さしていただきたい、かように考えておるわけであります。
  111. 小濱新次

    ○小濱委員 私も質問の中で、自治省が推進をしろとは申し上げていなかったわけですね。これはやはり各省計画という、そういう内容が示されているわけですが、自治省としても総合計画を、まあ財政局長も持ちたいとおっしゃっているのですから、確かに案はあるであろう、その試案というものをお持ちになっているであろう。それを経済社会発展計画に織り込ませるようなそういう積極的な推進の仕方を、これは私どもは念願をしながら御質問をしているわけです。ですからこの点をよく御理解を願って、今後こういう方向でひとつ努力をしていただきたい、こう思うわけですが、この点いかがでございましょうか、もう一度ひとつ……。
  112. 福田一

    福田(一)国務大臣 御趣旨のように努力をさしていただきたいと思っております。
  113. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、財政局長にお尋ねをしたいと思います。  これまでの産業優先の姿勢によって、産業基盤整備については、道路、港湾、漁港、空港などの整備計画を閣議決定されているわけですね。しかし、住民生活に関するものについては、住宅、下水、清掃などで、産業関連に比べると立ちおくれているという、そういう内容になっているわけです。福祉生活関連施設に関する長期計画を策定し、予算もつけ、そして閣議決定もし、真剣に内政問題に取り組むべきであると考えておりますが、この点についてお答えをいただきたい、こう思います。
  114. 松浦功

    松浦政府委員 全くお説のとおりであろうかと思います。大臣からもお答え申し上げましたように、自治省としては、それなりの勉強をいたしまして、各省に意見を申し出るという方向は、当然のことながら努力をさせていただきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、各省に専門家がおるわけでございます。その専門家が立てました計画が、地方財政の中で着実に実を結んでいけるように、われわれとしては地方財政の問題を配慮していかなければならない責任を負っておると思っておりますので、関係各省と十分連絡をしながら、早急に新時代にふさわしい計画ができ上がりますように努力をしてまいりたい。その場合におきまして、いままでの考え方考え方が少し変わってくるということは当然であろうと思うのでございまして、生活関連あるいは社会福祉、こういった方面に重点が置かれていくことになることは当然であろうと思います。  本年度財政計画をごらんいただいてもおわかりいただけますように、非常に私どもとしても計画作成に対してその点を配慮しておるわけでございまして、先生のおっしゃられる生活基盤あるいは社会福祉あるいは産業関連、こういうことになりますと、国の予算の組み方を頭の中に入れながら算定をいたしておりますが、生活基盤、社会福祉が大幅に伸びて、産業基盤はほとんど前年度と横ばいだという形の財政計画等になっておりますことも、われわれの考え方を端的に示したものであるというふうに理解をいたしております。
  115. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどは総合計画をお尋ねをいたしました。今度は具体的な例を挙げてお尋ねをしたわけですが、財政局長の積極的な御意見を伺いましたが、ぜひひとつそういう方向で一層の努力を心からお願いをしたい、こう思います。  そこで、さらにお伺いをしていきたいと思いますが、本年度交付税は四兆四千八十六億円、これが見込まれております。交付税については、四十一年以来、その税率が据え置かれてきたわけでありますが、その間、国の委任事務など地方の事業が急増し、一方においては、生活関連施設整備が遅々として進んでいない、こういう状況になっておりますが、福祉充実、内政重点の政治を本当に推進する決意があるんならば、この交付税率は少なくとも最低四〇%に引き上げる必要があるのではないか、この点についてはいかがでありましょう。
  116. 松浦功

    松浦政府委員 地方交付税率の引き上げについては、地方公共団体からもいろいろと御意見をちょうだいしております。地方交付税率自体、国、地方を通ずる財政状況を勘案しながら検討すべき問題であって、現在の状況では、なかなか地方交付税の引き上げという問題は困難な問題であると思います。  具体的には、五十年度地方財政問題につきましては、地方財政計画を策定する段階歳入歳出のバランスが十分とれるという形になっておりますので、地方交付税の引き上げということについては触れておらないところでございます。
  117. 小濱新次

    ○小濱委員 局長もよく御存じのとおりですが、この機関委任事務あるいは超過負担とか生活関連事業などが非常に自治体ではふえているわけです。当面の地方財政危機を乗り越えるためにどうすればいいのか、いろいろと私どももそれなりに検討してみたわけですけれども、やはりそれは自主財源である地方税が締めつけられているという現状では、交付税の引き上げ、これ以外ほかに何があるであろうか、こういうふうに私ども考えてみたわけであります。そこでどうしてもこの交付税率の引き上げというのが出てくるわけです。これに対してはいろいろ御事情もあろうかと思いますけれども、こういう方向で一層努力をしていただきたい。これは私どものたっての希望でありますから、どうかひとつ。地方へ行きますと、本当にこういう財政危機なんだ、このように財源が苦しいんだ、やりたい仕事もできないでこうやって私どもは耐え忍んでいるんだということで、強いたっての要望がこの交付税率の引き上げという面で出てくるわけですから、よく御存じのとおりでありますが、事情はまた事情としてよくわかりますが、そういう方向でぜひひとつ努力をしていただきたい、こういうふうに思っておるわけですが、もう一度お答えいただきたいと思います。
  118. 松浦功

    松浦政府委員 こういうことを申し上げるとあるいはおしかりを受けるのかもしれませんが、財政というものは歳入歳出から成り立っておるわけでございまして、歳出をできるだけ大きくしたいから歳入を何とかしろという考え方歳入はこれだけしかないんだからそれに合わせて歳出を決めるんだという考え方、私は二色あると思うのでございます。もちろん、どちらが正しいとは私は主張いたしませんけれども、何でもやりたい仕事がやれるように金をくれとおっしゃられても、これはすべて最後は国民の負担に返っていく問題でございます。仮に現在の国庫で交付税率を上げるということになりますれば、膨大な国債発行しなければ今度は国の収支がとれなくなるという一面がございます。したがって、節度ある、重点的なあるいは効率的な財政運営に心がけていくということを地方公共団体にもお願いをいたさなければなりませんし、私どもとして、理論的に歳入歳出のバランスが地方財政計画上にとれないというような事態が起こってまいりますれば、当然地方交付税率の引き上げなりあるいは地方債増発なりということをもってこれに対処すべきだと思っておるわけでございます。現在では必ずしも計数的にそういう姿になっておりません。したがって、私どもとしては、交付税率の引き上げを五十年度予算編成に際しても大蔵省に要求をしなかったようなわけでございます。事態が変わってまいりますれば、私どもとしては、そのときまた別に態度を決めたいと思います。現在では、少なくとも交付税率の引き上げということがなければ五十年度地方財政が回らないと断定できるところまではまだいっておらないのではなかろうかというのが私どもの見方でございます。
  119. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、自治省として、また財政局長としての基本的なお考えをきょうはお尋ねをしているわけです。これは大事な問題でありますので、そういう方向で進めていく今後の基本的な方向づけですから、それだけの決意でお答えをいただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  そこで、この交付税の強化について私どもはこれまでも強く主張してまいりました。当面、税率を大幅に引き上げることは、お話にもございましたように、地方側も強く主張しているところでございます。現在、国家財政は、五十年度二兆円の国債発行いたしております。このような国債発行下における交付税制度は、国債発行以前の国、地方財政秩序を維持するという点から見れば、国債発行額から、国税収入のうち国税三税に相当する分の一定割合は交付税に上乗せして交付すべきである、こういうふうに私どもはまた考えているわけです。これは具体的な内容についてはもう御存じのとおりでありますから申し上げませんが、この点についても、あればまたお答えをいただきたいと思います。
  120. 松浦功

    松浦政府委員 国の国債を基礎に置いてこれを地方交付税とリンクさせろという御主張と拝聴いたしましたが、この問題については自治省が過去において地方制度調査会等にもお願いをいたしまして、きわめて精細な研究をしたわけでございます。これはかえって地方団体のためにならないという結論に到達をいたしておりますので、私どもは直ちにこの国債地方交付税とをリンクさせる問題については必ずしも賛成はできないわけであります。と申しますのは、国債はいずれにいたしましても借金でございまして、将来返すわけでございます。そうすると、これの一定割合をもらいました場合に、今度は償還を地方で一定割合やってくれという議論に必ずつながってまいります。しかも、国債発行額というものが大蔵省の意思によって多くなったり少なくなったり、非常に恣意によって動くわけであります。こういうものにリンクするということは、私どもとしては制度的に非常に問題があるというふうに考えざるを得ないというのが、自治省内部の固まった意見でございます。むしろ、交付税を確保するということであれば、私ども国債にリンクするんじゃなくて交付税率を上げるという、正々堂々と前向きの主張をいたすべきではないかということを考えておることを申し上げたいと思います。
  121. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に思いやりの深い御答弁をいただいたわけでありますが、道路舗装率であるとかあるいは下水道、公園、こういうものの国と地方をよく比べてみますると、その実態の大きな格差というものが出ているわけです。  たとえば、道路舗装率が国道では九〇%、市町村道では一四・八%、川崎市では四八・九%、横浜四三・八%、札幌二七%。これは道路舗装率です。下水道、これは一九七三年の日本のパーセンテージは二〇%ですが、諸外国、イギリスでは九四%、スイスでは七三%、西独六三%。そして国内の大都市では、横浜一四・九%、川崎一二・六%。大都市の下水道の状況が以上のような内容ですから、その周辺都市は推して知るべしだ、こう思います。また公園、人口一人当たりの面積が都市計画区域では二・九平米、十大都市では一・九平米、ベルリンが二十四・七平米、ロンドンが二十二・八平米、パリが八・四平米です。こういう形になっている。このような施設整備のおくれを何としても取り戻していかなければならない、こういうことからこの交付税の増強が最も重視をされている、こういう内容になっているわけです。事情はよくわかるのですが、政府が真剣に検討することを私どもは強く要望したい、こういうふうに考えておったわけです。  この他例はたくさんあるのですけれども、こういう実態ですからぜひ何らかの対策を講ずるべきである、そういうことから交付税税率の引き上げというものを申し上げたわけであります。ただ、それにこだわるわけじゃない。何とかそういう方向で対策を見出せないかという一つの事例を挙げて申し上げたわけでありまして、ぜひひとつ、これは財政局長がやはり中心になって御努力を願わなきゃならない問題であろう、こういうふうに考えております。お答えをいただきたいと思います。
  122. 松浦功

    松浦政府委員 御指摘のとおり、諸外国に比べて生活環境施設等の整備が非常におくれていることは事実でございます。われわれとしてはこういった施設ができるだけ早いテンポで整うことを望んでおりますけれども、やはり国の経済力との関連の問題もございますので、単に交付税率を引き上げるというような形で措置がつく問題だとは思われないのでございます。やはり国全体でどう持っていくかという大方針が立てられ、それぞれの施設についての計画ができ、それに対する財源の裏づけ、こういう形でないといけないと思うのでございます。現在のままの租税制度、要するに歳入というものが限定されておるということでございますれば、それだけの投資はなかなかできないわけでございます。全般を考えながらわれわれとしては先生から御指摘をいただきましたような施設がなるべく早いテンポで整っていくような方向で努力はさせていただきたいと思いますが、自治省ひとりでこの問題が片づくような小さな問題ではないということもひとつ先生にも御認識をいただき、また私どものしりもたたいていただきたいと思っております。
  123. 小濱新次

    ○小濱委員 自治省だけの問題ではない、よくわかります。またひとつしりもたたいてもらいたいという御希望もよくわかりますが、どうかひとつ、私どもも努力を惜しむものではございませんが、私どものこうした声をやはり省内あるいはまた各省に反映させていただいて、そして一歩前進また一歩前進と、こういうふうになるようにぜひ進めていただきたい、そういう気持ちからのきょうの質問でありますので、ぜひ御努力を心から要請をしたい、こう思います。  さらに局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、この財投に占める地方債政府資金は、四十九年度一七・八%、五十年度一八・三%と、ここ数年二〇%以下になっております。従来の産業重点から生活関連重点に方向転換しなければならない、そういう現在、財投資金を三十年代のように五〇%近くに引き上げ、地方債重点に振り向けるべきではないのか、こういう問題が出てまいります。これも基本的な問題でありますので、局長にお尋ねをいたします。
  124. 松浦功

    松浦政府委員 財投計画の中で地方債の比率が下がっておるのは生活関連施設の方によけい財投が回っておるからではないのでございます。財投計画の中で国が取り扱ういわゆる生活関連、それから民生、社会福祉でございます、そういった方面も非常に財投計画の中に占める割合が上がっております。たとえば住宅金融公庫、住宅公団、そういったところへ非常に多額の金が回っております。そういうことから総体の財投計画が大きくふくらんだのにかかわらず地方債のシェアが著しくふえたというかっこうにはなっていないということであろうというふうに推測をいたしております。ちなみに五十年度の例を申し上げますと、対前年度地方債計画の政府資金量は三千億の増加で一兆七千百億円、われわれとしてはずいぶん思い切った結果が得られたものだと思っておりますのに、逆に先生からは比率が少ない、こうおっしゃられるような形になってしまっておる。そこいらにはそういったいま申し上げましたような事情がひそんでいるからだと思います。私どもとしては、財投計画になるべく地方債資金を求めるという形で、低利に良質な資金が地方団体にたくさん供給されるということが最も望ましいことだと思っておりますので、財投計画に占める割合を何%にするというような角度からだけの御議論をいただかずに、実質的にどういう形で地方団体政府資金が回っているかという姿をごらんをいただいて、なお私どものしりをたたいていただけたら幸せだと思います。今後ともこの問題については、全く先生の御意見のとおりでございます。地方債の中におきまする政府資金の割合を極力広げていく、多額に確保していくという方針で努力をしてまいることをお約束を申し上げます。
  125. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ局長にもう一度お答えを願っておきたいことは、財投資金が三十年代は五〇%、ここ数年二〇%以下、こういう状況はいまお示しをしたとおりでありますが、この三十年代とここ数年のこのパーセンテージとの状況についておわかりになればお聞かせいただきたいと思います。
  126. 松浦功

    松浦政府委員 これはもう釈迦に説法であろうかと思いますが、私は、地方公共団体に特殊なものを除いて起債で財源を措置することには極力反対でございます。これは返さなければならないものでございます。できるなら交付税あるいは税という形で一般財源を地方公共団体に提供して、地方債などは借りないでも運営できるというのが一番理想的な姿であろうと思っております。なるほど先生指摘いただきましたように、昭和二十八年五六、二十九年四六、三十年四一、それから三十一年三七と非常に高いシェアを示しております。この時代には非常に地方財政が国の方から冷遇をされまして、地方税の問題にしても交付税の問題にしても非常にお粗末、足りないものはみんな地方債へかぶされたというときの姿でございまして、私はこの当時財政課の課長補佐として仕事をいたしておりましたので、はっきり記憶をいたしております。次第に、自治省が努力をした結果だと私どもうぬぼれておりますけれども交付税率が引き上げられ、税法も幾らかずつ先生方の御支援によって改善され、だんだん地方債を出す額が少なくて済むようになってきた、そうなれば当然財投の中に占める割合が減ってくるのはあたりまえだと私ども考えておるわけです。むしろ地方債全体の額のうちでどれだけ政府資金を取るか、なるべく高い率で政府資金を取るということが問題であって、地方債をたくさんとるということは私どもは必ずしも誇りに思っておらないわけです。その辺のところを御理解をいただければ、この財投計画に占める地方債のシェアというものに余りおこだわりをいただかないでもいいんじゃないかという気が私どもはいたしておるわけです。むしろ逆に言いますと、地方債に占める政府資金の割合をどうするかという方が地方団体のことを考える者の立場としては適切な尺度ではないかという気持ちを私どもとしては持っているところでございます。
  127. 小濱新次

    ○小濱委員 基本的な御見解をお伺いしてよくわかりますが、地方自治体財政が苦しいという立場からきょうはお伺いをしたわけでありまして、どうかひとつそういう事態を踏まえてこれから一層御努力をお願いをしたい、こう要請をしておきたいと思います。  不況という問題で、これは局長からさらにひとつ改めて本日お答えをいただきたいことは、不交付団体では税収が大きくダウンしているため、こういうわけで深刻な財源難に悩んでいるわけですね。こうした団体に対する財源対策、内容がたくさんあろうかと思いますけれども、基本的な問題だけで結構でありますが、財源対策についてお答えをいただきたいと思います。
  128. 松浦功

    松浦政府委員 不交付団体は基準財政需要額より基準財政収入額が超えておる団体でございます。これを先生承知のように財源超過額と申しますが、これがある間は他の交付税をもらっている団体に比べれば財源にきわめて余裕のある団体だ、こういうことになるわけでございます。したがって基本的には財源超過額がある限りにおいては当該団体が財政運営によってこれを切り抜けるべき問題であるというふうに私ども考えております。税が落ちましてもなお超過額があればという意味でございます。しかしその落ち方がきわめて激しいということになりますと、地方財政というものは生き物であって、先ほど大臣からも御指摘がございましたように、一気に体質改善ということはなかなかむずかしい問題であろう。そういうような事態が現実に個々の団体に起きました場合においては、個々の団体の財政事情をよく私の方でお伺いをした上で何らかの措置をとるということは考えられる問題であろうと思っております。具体的に本年度先生お住まいの神奈川県が超過額で二百億を超える額が一気に落ちたわけでございます。こうなりますと、何ら財源がふえずにベースアップ等をかぶりながら二百億の金をどこかへ削り飛ばさなければならない、こういうことになればきわめて財政運営がむずかしくなって赤字が出るのは当然だ、こういうことになろうかと思います。そういう意味での激変緩和をする意味で神奈川県に特別に地方債をお認めをした、こういうことでございまして、そういった措置は個個に生じた個々の団体の事情を十分伺いながら、その場その場において適時適切に処理をいたしたい、このように考えているところでございます。一般的に不交付団体について起債を全部ばらまくというようなやり方は私どもとしてはとるつもりはございません。
  129. 小濱新次

    ○小濱委員 神奈川県ばかりじゃなくして、骨格予算を組んで出発したそういう自治体があるわけです。これから財源対策、財政対策をどう変えていくのか。そういう点でいまのように急激な落ち込みを余儀なくされたそういう自治体では、これからの前途が非常に憂えられる、そういうことであろうと考えておるわけですが、局長の御答弁がございました。個々の立場でその団体とよく談合してその対策は講じていくということでありますから、ぜひともそういう方向で御努力を特に要請をしておきたいと思います。  文部省来ておいでになりましょうか。  人口急増地域に対する小中学校用地の取得費補助が、一応五十年度で当初の予定が終わるようでありますが、来年度以降はどうされるのか、西崎助成課長にお願いしたいと思います。
  130. 西崎清久

    ○西崎説明員 確かに先生指摘のとおり、人口急増市町村に対する用地費は今年度で切れるわけでございます。この制度は四十六年度から五カ年ということで特例的に始まっておりますが、五十年度において一応五カ年を経過するということでございますので、現在私どもは都道府県を通じまして、市町村の児童、生徒の増加状況、それから学校新設の必要の度合い、それらにつきまして調査を行っておる次第でございます。これらにつきましての調査結果を見まして、八月時点までの間いろいろ検討を重ねて、この用地費補助の存続問題について結論を出してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  131. 小濱新次

    ○小濱委員 調査をしてみて、その上で大蔵省ですか、そういう方面に要請をしていくというような、これからそういう計画になっていくわけですね。いま五十年度一ぱいあるから、調査の段階だというわけですね。  これは自治省にお尋ねをしていきたいと思いますが、人口急増地域は、第二次ベビーブームによって小中学校は大変不足をしているのが現状であります。これまでこの地域は小中学校を建てるのにきゅうきゅうとしておった。その他の生活関連施設はまた全く置き去りにされてきたと言ってもこれは過言ではないわけですが、これらの地域の生活関連施設整備を進めるためには、学校用地取得費の補助はもちろん、その他についても高額補助を出すべきであると考えておるわけです。公明党も先ごろ人口急増法案を参議院に提出をしておりますが、政府も十分この趣旨をくんで、対策の万全を期すべきであると私ども考えておりますが、その点についてひとつ局長からお答えいただきたいと思います。
  132. 松浦功

    松浦政府委員 人口急増市町村に対する財政措置、四十六年以降いろいろと考えられました結果、各省の努力によって、公立小中学校の用地取得に対する国庫補助制度の創設、あるいは小中学校の校舎の建築費、幼稚園の建築費、消防の施設整備費、これ等の国庫補助率の引き上げ、こういった問題がそれぞれ行われてまいりました。まだ、当省としては、屋内体操場の補助率の引き上げでございますとか、いろいろ各省にお願いをしておって実現を見ないこともございますが、まあ相当な成果が上がってきているというふうに私ども考えております。  さらに、ただいま御指摘がございましたように、公明党の方から御提案になられた法案もございますので、それらの趣旨も十分に参考にしながら、今後とも従来の方針に沿って努力をしてまいりたいと思っております。  こういった国の側における補助率等の問題と対応いたしまして、地方交付税の算定に当たりましても、人口急増補正というものを徐々に強化をいたしてまいっておるところでございまして、国の援助、それから交付税制度の改善、両々相まって人口急増町村の財政措置はまあまあと言えるところまで来たのではなかろうかと思っております。しかし、必ずしもこれで十分だと言い切れる段階ではございませんので、交付税の算定に当たりましても、なお従来の方針を強めていく、あるいは国の援助措置についても、補助のかさ上げの対象になっておらないようなものを各省にお願いをして引き上げていただくという努力は、今後とも重ねてまいりたいと思いますし、先般この委員会でもお答えを申し上げたところでございますが、小中学校の土地の補助制度は五十年度で終わりますけれども、これは当然私どもとしては、五十一年以降も存続をしていただくように、文部省、大蔵省に強力に働きかけていきたいというふうに考えておるところでございます。
  133. 小濱新次

    ○小濱委員 文部省にお尋ねをしたいのですが、この首都圏の中には人口急増地域が非常にたくさんあるわけです。相模原の例ですけれども、大体昭和六十年度までには五十五万の人口になると推定をされ、小中学校も現在の倍、三十二校は建てなければならない、そして、高校も七校なければならぬ、こういう地域があります。小学校で、たとえば門だとか門柱、さくだとか、その他、便所もないのですか、補助金は。そういう点で、補助金のないそういう施設がたくさんあります。そういう点で、便所も補助金がついていないということになると、文部省の方針は、便所はつくらなくていいという方向なのか、そういうふうにもなるし、先生は、おしっこは裏の山に行ってやってこいと、そんな形になっては大変だと私ども考えまして、これだけの数の小学校を建てなければなりませんが、その補助率の問題が、いろいろと大事なことが抜けておるようにも私どもは聞いておりますが、その点についてはいかがでございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  134. 西崎清久

    ○西崎説明員 確かに先生指摘のように、相模原市は非常に小中学校の新増設の必要性がございます。四十九年度の用地補助におきましても、他市町村以上に補助申請がございました。これに私ども対応した経緯がございます。  ただいまの先生の御指摘の補助の面積の問題でございますが、私どもは四十八年度に小中学校の補助基準面積を二〇%増加させたわけでございます。そこで、特別教室の準備室とか、それからカウンセラー室とか、あるいは視聴覚教室とか、こういうふうなものを増加させますとともに、便所、それから更衣室等につきましても積算面積をふやしておるという経緯がございます。したがいまして、便所につきましては補助対象にいたしておるというふうに申し上げられようかと存じます。それから、門、さく、へいにつきましては、これは実は私どもの補助対象にいたしておりません。と申しますのは、義務教育の施設費国庫負担法で補助対象にいたしておりますのは、建物の本工事費、付帯工事費、そういうふうな姿でやっておりまして、法律自体の補助対象経費としては建物と校舎というふうな扱い方をいたしております。したがいまして、門、さく、へいにつきましては、地方公共団体の一般の財源の範囲内でお願いをいたす、その点につきましては交付税その他で裏打ちをしていただくというふうな姿でやっておる次第でございます。以上のようなのが現在の補助制度の姿でございます。
  135. 小濱新次

    ○小濱委員 文部省も、ひとつ教育の問題ですから、何はさておいてもやらなくてはならない、これはそういう優先してやらなくてはならない教育という仕事でありますから、ぜひひとつ門だとかさくだとか、そういう点に至っても、どうかもっと温かい思いやりのある政策が講じられるように努力をしていただきたいと思います。  高校問題で少しお尋ねをしていきたいと思いますが、これは自治省財政局長にお尋ねしたいと思います。  現在、人口急増府県の悩んでいる問題は、一様にこの高校問題なんですね。神奈川県の場合を少し調べてみたところが、財源超過額は四十八年度七百八十七億円、そのうち教育費が百五十七億円の超過になっておりまして、これの約三分の一の五十一億円が高校の超過額になっているというのが実態であります。これまでは税の伸びが順調であった神奈川県でありますが、これからはその財源をどこに求めればよいのか、最大の悩みになっているということであります。したがって、適正な基準財政需要を見込んで実態に即した算定が必要である、このように考えておりますが、ひとつこれに対する財政局長のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  136. 松浦功

    松浦政府委員 神奈川県の場合は、先生指摘のように、非常にたくさんの高校を建てなければならない問題があろうかと思いますが、本年度は高校建設に対する補助制度は見送られましたので、地方債を当省としては準備いたしております。地方債をもって現実の運営が困らないように許可をしてまいりたい、このように考えます。
  137. 小濱新次

    ○小濱委員 さらに財政局長にお尋ねいたしますが、府県は私学助成に膨大な金額を充てているようであります。しかし、これに対する交付税措置は非常に少ないために府県の負担が著しいという実態がございます。局長は何か不満のようでありますが、現在の私学助成に対する交付税措置は「その他の教育費」に含めているようであります。したがってこういう仕組みを変えて、むしろ費目を起こしてもよいほどにこの問題は重要な問題である、私はこういうふうに考えておるわけですが、私学助成に対する交付税措置をもっと重点的に行うべきであるという私の考え方についてお答えをいただきたいと思います。
  138. 松浦功

    松浦政府委員 私どもは、私学助成が非常に大きな経費になってきておりますので、サービスのし過ぎかなということを実は考えておったような状況でございます。四十九年度で五百十九億、五十年度で六百八十六億、これから配りますからまだわかりませんが、およその推算としては七百億弱のものを予定をいたしておるわけでございます。この積算は、国が大学に対して助成をしておられる算定方式と全く同一の算定方式を使っておりますので、これ以上のことは私どもとしてはできかねるわけでございます。六百八十六億という金額は非常に大きな金額でございます。今後、国の助成制度がさらに強まるということになってまいりますれば、国のやり方に合わせて交付税の積算を変えていくという努力をいたすことは当然でございます。  なお、別に種目を立てたらというお話がございましたが、まあ、交付税制度を余り複雑にしないために、種目を幾つずつか削っているような段階でございますので、これは実際の額を入れておりますので、算定の技術と思ってお目こぼしをいただきたいと思っております。
  139. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもも、種目をふやすことについてはこれは好ましくないと考えております。ただそれほどに重要な問題ではないのか、そういうふうに私ども考えまして、御提案をした次第でありまして、私学助成についてはわかりました。  もう一つ、これは文部省にお尋ねをしてみたいと思いますが、最近の高校進学率は全国平均九〇・八%になっているようですね。東京都では、私どもの調べですと九八%、神奈川県では九五%、相模原でも九六・五%、十四万の人口の大和市でも九五・五%、非常に首都圏の進学率は高いようですね。そういう点で、この戦後のベビーブームによって高校が不足をして、このままでいくと中学浪人が多くなる、人口急増府県ではこれが大きな問題になっておるわけです。  そこで少し神奈川県を調べてみたのですが、昭和六十年度までに百一校公立高校を建てなければならないという、そういう実態のようです。その内容を申し上げますと、四十九年度の場合、当年開校五校、翌年開校三校、既設校の増改築十八校、これに要する経費は一般財源四十七億円、起債が百九億円、計百五十六億円かかっているようであります。今後膨大な高校建設のことを考えますと、これはどうしても国の補助が必要になってまいります。国は高校問題は県の仕事であるといって高みの見物をしているという、そうではないのかという、こういういろいろ説がございます。これは真剣に取り組むべきである、こう考えますが、まず文部省の見解をひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  140. 西崎清久

    ○西崎説明員 高等学校につきましては、御承知のように都道府県が設置管理を行うということで、戦後一貫しまして新増設につきましては実は交付税で財源措置が行われてきたという沿革があるわけでございます。ただ、先生指摘のように、高校生が一部府県では非常にふえていくという事態も事実でございます。そういう意味におきまして、国として財源措置を今後どういうふうに考えていくかという点については、またいろいろな意見が出されようかと思うわけでございますが、昭和五十年度については起債措置三百億円、その他交付税における財源措置で当面五十年度の建築計画についてはこなせるという措置で対処しようということになったわけでございます。  今後、五十一年度以降についてはどうかという点は、いろいろと御議論もございますし、予算委員会等でも文部大臣がお答えをしておるわけでございますが、今後の高校生の進学率の上昇傾向、それから生徒数の増加の状況財政状況等を勘案いたしまして、文部省としてもこれに対処する方向については来年度の概算要求の八月時点までに種々検討を加えていきたい。したがいまして、現時点では補助制度を来年度概算要求するかどうかについてはまだ白紙でございますが、八月までの間に種々検討を重ねてまいりたい、こういうふうな考え方でございます。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 文部省の方は御存じだと思いますが、最近は不思議な現象が起こっているのですね。ということは、大和市に公立高校が一校だけございます。そこへ地域から入学している生徒は百三名しかいない。そしてあとは他の地域からみんな入ってきているわけです。ところが、湘南地区、横浜、川崎の大都市周辺からどんどん入校しているという傾向があるようです。それで、どうしても地域の高校進学者が、公立に入れませんので、逆輸入じゃないけれども、横浜に、川崎に、東京にと、私立の学校にお世話になっているわけです。どうしてこういう形になるんだろうかなあと、私ども不思議に思えるような内容なんです。そこへ今度は十年間に百一校も県は建てなくてはならぬ。その財源対策は大変な額になる。その対策がおくれて土地取得もほとんどできていない。こういうことで、これからのことを思えば、教育という、何をさておいても先駆けてやらなくてはならないこの行政が、これでは非常に不安だということですね。  ちょっとこれはお答え願いたいのですが、私立の学校と公立学校の入学金、これは平均で結構であります。それから月謝の平均、これがいろいろと問題になっているわけですが、おわかりならばひとつお答えいただきたいと思います。
  142. 高石邦男

    ○高石説明員 高等学校で申し上げますと、四十九年度、私立の高等学校の入学金、それから施設拡充費等を含めますと、約十五万六千円、これが入るときに納める金でございます。それから授業料は、これは四十九年度でございますけれども、年間約八万円でございます。公立は、県によって違いますけれども、一般的に授業料として一万二千円というのが四十九年度の年間の授業料でございます。  以上でございます。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 福田自治大臣、いまお聞きのとおりであります。  こういう内容ですから、公立学校にも魅力があるわけです。また、この内容的な格差もなくしていかなければなりません。それから、私立に対する助成措置も、大変お世話になっているという立場からもまた一考していかなければならない問題であると私は考えております。  しかしながら、公立高校建設のために自治体が全責任を持つのだということになると、地方財政強化という点から、自治省として、自治大臣としてどのような御見解をお持ちになっておられますか。今後のためにひとつお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。
  144. 松浦功

    松浦政府委員 御指摘のとおり、きわめて重要な問題でございます。先ほど林先生の御質問にもお答えを申し上げたとおりでございますが、当省としては、今年度文部省が要求されました七十億円の補助金についても全面的に賛成でございまして、何とか実現すべくいろいろ努力をいたしましたが、ついに日の目を見なかったという経緯があるわけでございまして、明年度以降においてこの種の制度ができ上がるように文部省、大蔵省に対して強くお願いをしてまいりたいと考えております。  また、補助金だけでは足りない問題については、交付税の算入の問題あるいは地方債の優先配分の問題ということを配慮しながら、個々の団体における財政運営が困難に陥らないようにわれわれとしては万全を期してまいりたいというふうに考えます。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 これは自治大臣お聞き願いたいのですが、本当に学校建設は大きな悩みになっております。どこへ行ってもこの話は出てまいります。したがって、ぜひともこれは国が、あるいは自治省がそういう総合的な計画を立てて、そしてこの問題の対策を進めていかなければ解決しない問題だなあと思います。この問題については、またいろいろと自治省にも御相談があろうかと思いますし、これはもう私どもがこの目で見ても、その実態をお聞きいたしましても、何とか努力をしてやらなくちゃならない本当に重要な問題だ、こう思いますし、特に教育問題ですから、一段の御努力をお願いをしたいと思います。これはぜひ自治大臣からひとつ力強い御答弁をいただきたい、こう思います。
  146. 福田一

    福田(一)国務大臣 御案内のように、義務教育との関係その他がありまして、しかも進学率が経済の伸びに従って非常に急速に伸びてきたということもあわせてこの問題を非常に大きく問題化してきておるのは事実でございまして、実情はよくわかっておりますので、今後ひとつできるだけ努力をさせていただきたいと思っております。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 文部省、結構であります。  自治省山本議官にお尋ねをしていきたいと思いますが、あと一問であります。  自治体病院の特例債の元金償還に対する交付税措置はどのくらい見込んでおるのか、こういう問題でございますが、まずお答えをいただきたい、こう思います。
  148. 山本成美

    山本(成)政府委員 小濱委員質問の、いわゆるたな上げ債につきましての元金償還に対する交付税の算入率でございますが、二五%と考えます。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 さらにお尋ねをしていきたいと思いますが、この公立病院特例債は交通のように特別立法措置をとらず、公営企業法の枠の中で措置をしてきた。しかも交通料金の決定は——ここが問題ですが、公営企業法によって自治体が実質的な料金決定を行うことができております。病院の料金決定は中医協の診療報酬制により病院側の意見が入らない、こういう内容になっているようであります。これらの点から考えまして、交通並みというのではなく、元金償還に対する交付税措置は五〇%ぐらいに引き上げてあげるべきではないか。これはやはり財政局長でしょうな、お答えいただきたい。
  150. 松浦功

    松浦政府委員 ごもっともな御指摘であろうかと思うのでございますが、病院と申しましても、東京や横浜等にございます財政力のある団体が抱えている病院もあれば、北海道や岩手のようにもうどっちみち採算制が非常にとりにくいというようなものもあるわけでございまして、これを一律に公立にしていくことは私どもとしてはにわかには賛成できないという態度でございます。  しかしながら、私どもといたしましては料金が中医協の手に押さえられているというその一つのことからながめて、採算制のとりにくいような病院については何らかの対策を講ずべきであるという基本的な考え方から、毎年特別交付税において財政力の逆比例の形で、一ベット当たり幾らという形で非常に多額の交付税を配分をいたしておりますのと同時に、普通交付税におきまして、いわゆる弱小団体につきましては傾斜配分をいたしております。それらのことを頭に入れてお考えをいただけるならば、この程度で何とかやっていただくように私どももお願いをしてまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 御存じのとおりでありますが、自治体病院の四十八年度の累積赤字の実態から見まして、四十九年度も恐らく千億円を超える赤字が出るのではないか、こういうふうに予想されているようであります。その場合、四十九年度末の不良債務は四十八年度と同様、たな上げが必要になってくる、こういうふうに考えるわけですが、この点は山本議官、お答えいただきたいと思います。
  152. 山本成美

    山本(成)政府委員 御存じのとおり、四十八年度末の数字によりますと、不良債務が約七百五十一億、累積欠損金が千五十億というような数字になったわけでございまして、こういう指標を見ますと、公立病院というものはいかに苦しいかということがわかったわけでございます。そういう時点で、どういうわけでこういう赤字が出てきたかといいますと、いろいろあったと思いますが、診療報酬の改定が適時適切に行われなかったという問題もありましょうし、また医療職員の確保が非常にむずかしかった、あるいは内部におきます合理化の問題が非常に不徹底であったといったような問題もあったと思います。あるいはさらに、一般会計からの繰り入れにつきまして、不足する部分が自治体によりましてはあったと思います。いずれにいたしましても、そういうふうなものをひっくるめまして、原因はともかくとして、不良債務、資金不足というものが非常に大きいということに着目いたしまして、現行制度の中でやれるものはやろうということで、法令に照らし合わせてやれるものはやったというのがいま御指摘の不良債務のいわゆるたな上げ措置であったと存じます。こういうふうな措置を、一年たちました後の四十九年度末の決算数字を見てさらにやるかということになりますと、私どもはまことに疑問に思います。これはいわば緊急の避難といたしまして特例的に四十八年度末に、何年かかかってたまってまいりましたものを一応整理をしたということでございますので、このようなやり方を改めてとるかということは、この際は断言できないという性格のものかと考えております。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 この際は、先のことですからなかなか御答弁はむずかしかろうと思いますけれども、いままでの経緯から見て当然そういう形が生まれてくるであろうことを予想いたしまして御質問をしているわけですから、この病院問題は抜本的対策を立てなければ赤字が続出し、自治体によっては医者があるいは看護婦が不足してベッドがあき、そして赤字がふえて、経営問題について病院長がその責任を問われ、進退問題にも及んでいるという事例を私ども承知をしているわけです。ところによっては、やむを得ない、これはもう閉鎖も辞さないという決意の自治体もあるようですよ。これは私ども承知している総合病院、市立、公立ですけれども、そこのベッドの数をずっと聞いただけでも本当にもう寒けがするような、そういうむねもベッドもあいているという実態、このまま放置すればどうなるのだろうかという、本当に憂えられる状態になっています。したがって、いまのように不良債務を四十八年度と同様たな上げが必要じゃないのか。これは先の話で答えはなかなかむずかしいけれども、そういう事態を私どもは見聞きして憂えられる実態でありますので御質問をしているわけですね。したがって、今後の自治体病院のあり方という問題については、これはやはり基本的な問題になりますのでひとつ自治大臣にお答えいただきたいと思いますが、この問題は一自治体、一病院の問題というよりも、国全体の重要な課題であろう、こういうふうにも考えられます。その実態についてはもう申し上げるまでもなく御存じであろうと思いますけれども、大事な問題でありますので、最後に福田自治大臣からぜひひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  154. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘の問題はおっしゃるとおりだと思うのでありますが、やはりこれは関係各省とよく連絡をとらしていただいて今後処理をいたしてまいりたい、かように考えております。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 私はその実態からして、これは急を要する問題だな、こう見ております。これは各省庁との打ち合わせ、あるいはまた閣議等でもそういう話も出ようかと思いますが、ぜひひとつこういう実態を踏まえて今後自治大臣の御努力を心からお願いをしたいと思いますが、いかがでしょう。大臣、本当にこれは各省庁と打ち合わせをして何とか対処したいというような、そういう内容と内容が違うという点、本当に閉鎖するようなことになったら市民はどうなるのか。いまでも半分ぐらいベッドがあいている、そういう病院はたくさんございますよ。御存じなんですか。そういうことですから、ぜひとも真剣に取り組んでいただきたいということで、私の方としては要請をしているわけでありまして、お答えいただきたいと思います。
  156. 松浦功

    松浦政府委員 現在の地方公共団体の力からいたしますれば、経営内容が悪くて赤字であるから、病院がつぶれていくというような実態ではないと私どもは思うのでございます。そうでございませんで、むしろ原因はお医者さんと看護婦さんの確保がなかなかうまくいかないというところに一番大きな原因があろうかと思うのでございます。お医者さんの確保と看護婦さんの確保は、先生から幾らおっしゃられましても、ちょっと私ども何の手段も持ち合わせがないわけでございます。私の方から財政の面からながめた場合には、診療報酬の問題あるいは合理化の問題、いろいろまだ問題がございます。しかし基本的にはそういった医師、看護婦の不足という問題から来る問題でございますと、これはちょっと私どもとしては何ともお答えのしようがないので、それぞれの養成機関においてたくさんの人を御養成いただく、あるいは配置が偏っているものを直すということになりますと、それは個人のそれぞれの問題にも絡んでまいります。厚生省の方にもお願いしてできるだけ平等な配り方ができるような方途はないものかというようにお願いをしていくより仕方がない問題ではなかろうかと思うのでございます。そうでなくて、財政運営が悪くてそのために赤字がたくさん出る、一般会計からたくさん持ち出すからという形で、もうこれ以上病院を持っているわけにはいかないという話は余り私どもは聞いておらないのであります。むしろいま申し上げたように、ベッドがあいているというのは、お医者さんが不足をする、看護婦さんが不足をする、こういう一般的な問題だというふうに私どもとしては受け取っております。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 私の聞いておる範囲では、病院のそういう経営難というその理由は、もちろんお医者さんにあるかもしれません、看護婦さんの不足にあるかもしれませんけれども、せんじ詰めてみれば非常に経営難というその責任をだれがとるのであろうかなということになりますと、病院長がその病院の運営までも責任をとらされているというのが何か実態のようであります。この病院のたとえばお医者さんが少ない、看護婦さんが来ない、努力をしてもなかなか集まらない。そういう責任が病院長にある。そして病院長がその責任を問われる。そういうことで進退問題にも及んでいる。そういう実態があるから、私はこれはやはり自治体の問題でもございますけれども、これはもう一つ国の問題でもあろうということで、自治省としてはどういうふうなお考えをお持ちになっているのか、行政指導をどういうふうにされようとしておられるのか、財政援助はどういうふうにされるのか、そういう点の問題をお尋ねしているわけでありまして、きょうはその実態については細かくはいろいろと差し支えがありますので申し上げませんが、これは本当に真剣にひとつ考える内容ではないかとわれわれは見ているわけですから、いかがでございましょう、自治大臣、これは各省庁とよく話をして解決をしていくという御答弁をいただきましたが、もう一歩真剣なこの問題に対する取り組む姿勢が私は必要なのじゃないかという心配を持って再度お尋ねをしているわけです。
  158. 福田一

    福田(一)国務大臣 それは私はやはり厚生省の問題だと思うのですけれども、実際は公立の病院などよりはやはり私立の病院、個人の病院は金がもうかって、公立の方は余り金がもうからないということが、給料が安い、そうたくさんは出せない。看護婦の場合もそういうことがあったりして、だから医療行政としての問題なのであって、自治体の問題にこれを持ってこられても、この問題の解決はなかなか困難ではないかと私は思っております。
  159. 松浦功

    松浦政府委員 地方行政全般に、財政的な面からあるいは地方自治法という基本法のたてまえから指導助言する立場にある自治省でございますから、大臣がおっしゃられましたように関係各省と十分連絡をとりながらできるだけの努力をするということは当然であろうかと思いますが、基本的に自治省にすべてやれとおっしゃられても、私どもとしてはこれはいかんせん権限が何もないわけでございます。もちろん交付税措置を通じまして看護婦養成所に対する財源措置をしたり、そういった手段は私どもは幾らも講ぜられます。しかし具体的な医者の右、左の問題になりますと、私どもには何らの権限がないわけであります。そこで、そういった面を基本的に厚生省で解決していただくようにわれわれの方からお願いをして、病院の経営全体がうまくいくように、われわれは非力であるけれども努力をすると申し上げておるわけでございますので、御了承賜りたいと思います。
  160. 小濱新次

    ○小濱委員 私がきょう厚生省を呼ばなかったのは、もうそういう論争をやりましてもこれはここで解決のできる問題じゃないことはよくわかります。ただ、自治体としてこの問題については非常に真剣に取り組んでおりますし、議会でもそうでありますし、そういう点では赤字が出れば出るほどそれが自治体の悩みになっていくわけでして、そしてまた市民の不安もそこから起こってまいりますし、これはやはり行政を預かる自治省として当然見解を問われなければならないなという考え方に立って私どもはお尋ねしているわけですが、これ以上お答えができないということになればやむを得ませんが……。
  161. 大西正男

    大西委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  162. 大西正男

    大西委員長 速記を始めて。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは基本的な問題をいろいろとお伺いいたしました。あと具体的な内容についてはわが党の議員が質問をすることになっておりますが、どちらにしても、いまの情勢下で非常に苦慮しながら行政を扱っている、そういう実態からの苦しい叫び声だというふうにお聞きを願って、そしてこれからの強い御努力を心から要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  164. 大西正男

  165. 折小野良一

    ○折小野委員 特に昨年から地方財政の悪化が唱えられて、いわゆる地方財政の危機という問題が大きく各方面の関心を集めるようになりました。地方財政の危機という実態についてはだれも疑いを持っておりませんのですが、その原因ということになるといろいろな説がございます。地方公務員の給与が国家公務員よりも高いからだ、これが一番の原因だ、こういう言い方もございます。いやそうじゃなくて、補助金制度その他に伴ういわゆる超過負担が一番の原因なんだ、こういう意見もございます。最近統一地方選挙のさなかでございますから、それぞれの立場において主張したい面を特に大きく主張する、そういう傾向のあることはやむを得ないといたしまして、現実の地方財政の危機をお互いに何とか乗り切っていかなければならない。したがいまして、そういう面から考えますと、確かに地方公務員の給与の問題もございます。そしてまた補助金制度、超過負担、こういう問題もあるという現実を私どもは十分認識をして、その上に立って具体的な解決策を図っていかなければならないのじゃないかと思っております。  そういう点からいたしまして、私どもは、地方公務員の給与の問題もあります。それからまた補助金制度に伴う超過負担の問題もございます。そのほかの問題もございますでしょう。そういうようないろいろな問題が現在のインフレと不況によって表面に露呈をいたしたもの、それが現在の地方財政の危機である、私どもはそういうふうに考えておりますが、この問題についての自治省、特に政府の立場における自治大臣としての基本的な御見解をまずお聞かせをいただきたいと考えております。
  166. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま折小野先生が仰せになりましたことがそのままだと私は思っておるのであります。実を言いますと、昨年私が自治大臣になりましたときに、もう昨年来景気が停滞ぎみなことになっておりますし、それから物価をどうしても抑えていかねばいけないという政策をとっていく以上は、景気はある意味でますます沈滞するというか、そういう政策になっていきます。そうすればそれが財政面にはね返ってきて、中央の税収にも大きく影響が出るであろう、また地方にもこれが大きく影響が出てくるであろうということを実は非常に心配をいたしまして、そういう意味で、いままでのような安易な考え地方の行財政運営するということは非常にむずかしくなるということと、いま一つは、そういう経済が伸びる時代においてやってきた行財政のやり方で行けるのかどうかということを非常に心配をいたしております。私は毎々申し上げておるのですが、したがって私が自治大臣に就任した直後に言いましたことは、景気はこれから停滞ぎみになり、そしていわゆる収入がだんだんふえなくなる、そういうときに、住民の希望はそれかといって減るわけではない、やはり福祉政策をやれとかいろいろな御要望も出てくるのだが、そういうことになると、これは何としても人件費の問題もひとつ考えてみなければいけない、と同時に、国もいままで安易に、何か当然出さなければならない義務経費を、法律で規定されている分でも十分に負担しておらない、いわゆる超過負担というものが施設の問題においてもあるいは運営の問題においてもございますから、この両方を解決しなければならないのだ、それが自分の与えられた使命であるということを、実は自治大臣になった直後に新聞関係にも私はそういうことを申し上げておるわけでございます。そのときに私が非常に心配して、景気は沈滞するであろうということを思っておったところが、今度八千億円も四十九年度歳入不足するというような事態が出てきて、当たったからといって喜ぶべきでない。当たってまことに残念なことになったと思っておるのですけれども、そういう事態であるということでございますから、ここでちょっと足踏みにはなるかもしれぬけれども、いまは足踏みをしながら前に出る準備をまじめにみんなで考えてみる時代である。これはもう折小野さんのように実際に仕事をしておいでになったお方はすぐわかっていただけることだと思うのでありまして、特に地行においでになる皆さんはそういう面で非常に勉強された方ばかりでございますから、私のような素人がそんなことを言ったら笑われるようなことでございますけれども、いま折小野さんが言われたその気持ちで今後問題に対処してまいりたいというのが私の考えでございます。
  167. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣、何かお急ぎの御都合があるようですから、どうぞ。  したがいまして、この問題は自治体が悪いとかあるいは政府が悪いとかそういうようなことでは片づかないであろうというふうに考えます。またこの問題を解決するのには、財源をふやせばいいということになるわけでございますが、いまの大臣の御答弁ではございませんけれども、国の方も歳入欠陥を出す、今後新たな財源の見込みもない、再び高度成長を夢見るわけにもまいらない、こういうようなことになってまいりますと、やはり現在の制度なりあるいは制度運営なり、こういう面についてもう一回ひとつ抜本的に見直す必要があるのじゃないか、見直さなければならない時期に来ておるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう立場から、きょうは実は時間の関係もございますので、私は人件費の問題だけについていろいろと御質問いたしたい、そしてまた改善を要する問題等がございましたら、今後ひとつ早急にそういう面の改善をやっていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  この人件費の問題につきましては、ことしの地方財政計画におきまして、総予算の中に占める比重が大体三五%ぐらい、昨年、一昨年あたりは二八、九%ですから、非常に大きな伸びを示したということでございますが、このことは、それだけ財政の硬直化が高まってきたというふうに言っていいわけでございます。したがいまして、一説によりますと、人件費につぎ込まれております経費は、地方財政計画に上がっております経費よりかもっと一兆円ぐらいあるいは多いのではなかろうか、したがって、人件費の比重も三五%という数字よりはもっともっと高くて、あるいは四五%、あるいは五〇%、こういうような数字にも実質的にはなるのじゃなかろうか、こういうことが言われるわけでございます。そういうような大きな比重を占める人件費でございますので、やはりこれに対する基本的な考え方、これをしっかりして対処してまいらなければいけないというふうに考えます。  この人件費、いわゆる給与費ですが、これにつきましては、現在のところ地方財政計画の中におきましては、いわゆる消費的な経費ということで分類をされております。分類の言葉どおりにお考えになっていないであろうことは私どももよく理解できるのでございますが、そこのところをひとつ財政局長の方から、消費的な経費として分類されております地方公務員の給与費に対するお考え、これをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  168. 松浦功

    松浦政府委員 御指摘をいただきましたように、分類といたしましては、物として残るものでないという意味で消費的経費という分類をいたしておりますが、恐らく折小野先生がおっしゃっておられることは、その中には警察官とかあるいは学校の先生とかあるいは消防官、こういうようなものは、それぞれの行政における全く目玉であって、これを消費的経費というのはおかしいじゃないかということをおっしゃりたいのではないかというふうに推測をいたしますが、私どももそのとおりに存じております。  ただ、一般論として言えますことは、十万円で警察官を雇用する、それが十一万円という形に一般の常識を破って高目に給与が払われるということになると、その一万円というものは、それが教育行政の中心であるから、あるいは警察行政の中心であるからということであって許されていいかどうかという問題と、この問題がどうもまじり込んでおるのではなかろうか。私どもは、教員はまさに教育行政の最大の眼目だと思いますから、適正な給与が支払われることについて何ら異存はございませんし、それが消費的な経費だということを声を大にして叫ぶつもりはございません。しかし、一般の常識として、十万円の賃金を払えば足りるところに十二万円の賃金を払っておるということになりますと、その差額の二万円だけは、私どもは果たして妥当な行政経費の支払い方であるかどうかということに疑問を持つ。そういう意味で、給与費というものをやはり全般として取り上げざるを得ないという考え方を持っておるところでございます。
  169. 折小野良一

    ○折小野委員 給与費に対する考え方、当然ただいまの御答弁のような考え方になるのが至当だと思いますが、さらにもう一つ考えますならば、その人件費をより効率的に使うことによって行政運営による住民に対するサービスをより高めていく、こういうような努力というものが、やはり今後特に必要なことじゃなかろうかというふうに考えます。  そういう点からいきますと、たとえ十万円が適正な給与であったにいたしましても、その適正な十万円がどの程度の行政サービスに働くかというのは、やはり今後の人件費に対する基本的な考え方、そしてまた人事行政に関する熱意、こういうようなもので非常に違ってくるのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。したがいまして、現在、人件費がいろいろと論ぜられておりますが、人件費の本質というものを忘れた議論というのはやはり困るのじゃなかろうかというふうに考えます。  そういうような点を一応基本的な立場といたしまして、以下具体的にいろいろと御質問を申し上げたいと思います。  今日、地方公務員の給与が高いというふうに言われております根拠といたしまして、国家公務員に比較してということが言われておるわけでございます。いわゆるラスパイレス指数、これは国家公務員を一〇〇とした場合の地方公務員の指数でございますが、しかしながらこの国家公務員の給与、これが基準であることは間違いございませんが、その国家公務員の給与そのものが果たして正しいのかどうか、あるいはこれがすべてりっぱに運営されておる結果としての金額であるのかどうか、こういう点にはいろいろと問題もあるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。特に現在の給与制度の中におきましては、地方公務員の給与制度は基本的には国家公務員の給与制度に準ずると、こういうような形をとっておるわけでございます。したがいまして、地方公務員の給与制度のいろいろな問題点というのは、同時に国家公務員の給与制度の問題点でもあるということ。したがって、地方公務員の給与制度について改善を要する面があるならば、これは多くの場合、やはり国家公務員についても考慮しなければいけないのじゃないか、こういう点が多々あるということを私どもは感じております。  そういうような点から、これから質問をいたします多くの問題は、地方公務員の給与制度といいますよりか、いわゆる公務員給与制度、国家公務員、地方公務員を含めた問題ということでお受け取りをいただきたいというふうに考えております。  これに関連をいたしまして、地方公務員法の二十四条、これに給与に関する基本的な考え方制度化されておるわけでございますが、その三項におきましては、地方公務員の給与は、国それから他の地方公共団体あるいは民間、こういうものの給与を考慮して定めるということになっております。考慮して定めると。それからその先の方の五項の勤務条件の点になってまいりますと、地方公務員の勤務条件につきましては、国あるいはその他の地方公共団体の勤務条件と権衡を失しないようにして適当に考慮しなければならない、こういうような表現の仕方がなされておるわけでございます。特に給与の場合の「考慮して」定める、「考慮して」という、この法律上の文言ですね、これをもっと常識的に、具体的にどういうふうに認識すべきものか、ひとつ公務員部長の御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。
  170. 植弘親民

    植弘政府委員 この二十四条三項の「考慮して」というのはいつも御論議いただいているところでございまして、これは俗に私どもが従来、国家公務員の給与制度に準じて地方公務員の給与制度考えるというふうになってまいりましたが、文言的に厳密に解釈いたしますとすれば、準ずるといった法律用語は使ってございませんし、それからもう一つ、私どもはよく地方公務員の給与における基本的原則といたしまして、均衡の原則というものを申しますが、その意味からいきましても、均衡ということを特にうたってないという御指摘はいつも承っているわけでありますが、これは釈迦に説法みたいで恐縮ですけれども、やはり勤務条件の中で、労働条件といいましょうか、賃金の決定というのはなかなかむずかしい問題であるとよく承っております。それでもまだ民間企業の場合でございますと、いろいろな経済上の原則、たとえば生産性の問題だとか収益の分配だとか需給関係だとかいったようないろいろな経済上の原則が働きまして、おのずからおさまるところにおさまる。しかしながら公務員の場合には、そういった生産性とかいったような民間企業に働くような原則が働かないというようなことから、人事院が大変御苦労なさいまして、官民給与の比較、実態調査をやられまして、それとの均衡をとっていただいておるわけであります。  そういう意味からいたしますと、私どもは、形式的な文言では準ずるとか均衡をとるとか書いてございませんが、同じような公務に従事し、しかもその原資が国民の税金に依拠しているといったような共通性からいきますと、準ずるといいますか、ならうといいますか、国家公務員との均衡を図ることが最も妥当であろう、こういうことでこの二十年来、そういった指導をさせていただいておるわけでございます。
  171. 折小野良一

    ○折小野委員 その国家公務員の給与制度でございますが、国家公務員というよりか、公務員の給与制度でございますが、これは従来いわゆる年功序列型賃金体系、こういう言葉で表現される基本的な特徴というものを持っておるわけでございます。年功序列型の賃金体系というのは、必ずしも公務員の給与体系だけでなしに、わが国の伝統的な民間の給与体系の基本的な考え方でもあるわけなんです。こういうような賃金体系というものがこれまでのわが国の近代化、特に経済の発展にとって一つの大きな支えになってきたという評価がございます。私どももそういう点はそれなりに評価をすべきだというふうに考えております。しかし、それにはやはり条件というものがあったわけでございまして、その条件が最近は大きく変わってきておるのじゃなかろうかというふうに考えます。一つは、働く人たちの意識が変わってきたということ、そしてまた、給与そのものが従来と比較いたしますとよくなってきたということ、こういうふうな条件が変わってまいりますと、いまの年功序列型の賃金体系というものが必ずしもそれで期待されるメリットばかりではなくなってくる、いろいろな面のデメリットというものもまた出てくる、こういうふうに考えられるわけでございます。  そういう中で二、三具体的に申し上げますと、結局、仕事と給与とのアンバランスというのがいろいろ表面に出てくる、それが不公正感を誘う、それが結局仕事の能率を阻害をするということ。したがって、そういう点から公務員がいわゆる休まず、おくれず、働かず、こういうふうな言葉で言われるような風潮というものをつくっていく。そしてそれが能率の低下につながり、結局は人件費の高騰につながってきておる。こういうような点から考えますと、今日まで長い間、日本の近代化を支えてきたというふうに言われております年功序列型の賃金体系というものにつきましても、この際やはり見直すべきじゃないか、少なくも公務員の給与制度の中におきましてこの際十分検討をし、そして新しい時代に即した給与体系というものをつくっていく必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、この面についての御見解をまずお伺いをいたしておきたいと思います。
  172. 茨木広

    ○茨木政府委員 先生がおっしゃられました、給与が大変大事な問題であって、その本質を理解していろいろ考えていかねばいかぬという考え方については全く同感でございます。国家公務員の給与と地方公務員の給与との関係につきましては、私の方の基礎になります国家公務員の給与体系についてもいろいろ今後考えていかなければいかぬ問題があるとは思いますけれども、その運用面について大変弊害が出るようなかっこうで運用されておられるという問題も、やはり地方としてお考えいただかなければいかぬ点が多々あるのではなかろうかというふうに、私どもいろいろ人事交流をやっておるデータから見まして考えております。  まず、いま御指摘がございました年功序列体系を今後考え直していくべきではないか。この問題は、三十二年に現在の俸給表ができ上がり、その後、民間の給与事情なり公務員の構成なり、いろいろな事情を考えながらそのときどきに手を打ってまいったことは、御案内のとおりでございます。ただ基本的には、実は国の場合は全く年功序列的な賃金ではございませんで、国家公務員法の六十二条にもありますように、「職務と責任に応じてこれをなす。」という考え方でございますので、御案内のように、同じ等級の中でも号俸が高くなってまいりますと、昇給間差額と言われておりますものがダウンしてまいるような構造になっております。これを、そこのダウンする点をよく折れ曲がりと俗称称されまして、そこに来たら一段上の等級に渡らせるんだという運用をやられますと、まさに御指摘のような年功序列体系的な要素が非常に強く出てまいるわけでございます。それから、いわゆる何短と称されるものをやられますと、早いうちにその曲がりのところに来てしまうというようなところで、いよいよもってそういう弊害が強く出てまいると思います。  しかし御案内のように、今後経済成長率が違ってまいりますと、恐らく民間給与体系におきましてもいろいろ考え方が変わってくるのじゃなかろうか。そういうところは毎年給与実態調査をやって報告することが義務づけられておりますので、そういう点は引き続きよく勉強をしまして、今後ともそういう実態と遊離しないように注意をしてまいりたいと思っておりますけれども、本体は、もともとがそういう俸給表でいろいろ考えられてはおるつもりでございますので、その点は御理解いただけるものと思います。
  173. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに給与制度の問題よりか、給与制度の運用の面に問題があるという面も争えない事実だと思います。  いま御答弁の中にもありましたような、たとえば三短、六短と言われるような一律昇給の運用、あるいは渡り、これは職階制を乱るということになってまいりますでしょう。それから、最近はいわゆる民間の賃金ベースも上がってきた、あるいは労務事情というものも反映をいたしまして、初任給の問題あるいはプラスアルファというようないろいろな運用上のまあ適当でないもの、こういうものがございまして、そういうものが地方公務員の給与が高いということの原因になっておるという点も確かにあるわけでございます。  しかし、そういう面はやはり制度といたしまして、そういうような好ましくない運用というものを抑えていく考え方というのも、当然制度の中で考えていかなければいけないわけでして、それがそういうふうに運用されておるからそれはいけない、それはそうやった方が悪いんだということばかりは言えないのじゃなかろうかというふうに考えます。やはりそういう好ましくない運用があるならば、それを阻止する、やらせないようにするということもまた非常に大切なことじゃなかろうかと考えます。  それから、いまの本俸そのもののいわゆる給料表の問題でございます。確かに年功序列型ばかりでなくて、それに職階制を加味した制度になっておるわけなんでございますが、しかし、そこでもやはりいろいろと問題が出てくるような面が多分にあるのじゃなかろうか。特に現在の給料表の中で、結局年齢が高くなる、ということは、すなわち勤務年限が長くなるということなんでございますが、どこまでも上がっていくのですね。こういうような点は、結局定年制の問題とも関連をいたしましていろいろと問題になる部分なんです。やはり人間好むと好まざるとにかかわらず、ある年齢に達しますと、自然に能力が落ちてくる、あるいは能率が低下をしてくる、あるいは伸びがとまる、こういうようなことが出てくるということは、これはやむを得ないことなんですよね。ですから、そういうような現実というものを十分反映した制度ということでございませんと、結局長くおりさえすれば得なんだというようなことでありますと、結局公務員の平均年齢が高まっていく、そしてまた定年制の問題をいろいろと論じなければならないような事態が出てくる、能率は低下する、給料の金額だけが高くなっていくというような結果になってくるのじゃなかろうかというふうに考えます。したがいまして、現在の給料表の中にあります年功序列型的な要素というものをもう一遍ひとつ見直していくことが必要じゃなかろうか、特に現在必要なことじゃなかろうかというふうに考えますので、その点については十分な御配慮をお願いいたしたいと思います。  それからさらに、もっと具体的になってまいりますと、たとえば超過勤務手当の制度がございます。これもやはり基本は本俸を基礎にいたしておるわけでございますけれども、その本俸の持っておる問題が超過勤務手当の場合にも出てくるということなんであります。たとえば、現在統一地方選挙が行われております。特に市町村の選挙ということになりますと、最も身近な選挙でございますから、ほとんどが即日開票。そうしますと、それに従事するのはほとんど市町村の職員でございますから、職員がその選挙のあった日の夜にかけて開票事務に携わるということになってまいります。で、たくさんの職員を使わなければなりません。その職員の主な仕事というのはどういうことかといいますと、開かれた票を伸ばして、これを名前別に分類をして、それを集めて計算をしてと、こういうような仕事なんです。これには当然、夜にわたりますから超過勤務手当が支払われるということになってまいりますでしょう。同じ仕事をしておって、一人には千円の超過勤務手当が支払われる、ある人には二千円の超過勤務手当が支払われる、場合によっては三千円の超過勤務手当が払われる人もあるかもしれません。こういうようなことになってまいりますと、その仕事をやっておる者といたしましてもやはりそれに疑問を感ずる、あるいは不公正というような感じを持たざるを得ないというようなことにもなってまいりますでしょう。そうしますと、大体公務というものにいまの超過勤務手当制度をそのまま持ってくるという、ここら辺にちょっと問題があるのじゃなかろうかというふうに考えざるを得ないわけであります。もともと超過勤務手当というのは、八時間勤務で八の仕事ができた、それを二時間延ばして十時間やれば十の仕事ができる、だから二時間分は賃金の割り増しをやる、これは当然理屈に合っているわけですよ。物を生産する工場等におきましては、そういう割り増し賃金、時間外手当というのは、当然のこととして支払われておる。しかし、そういうような仕事と公務とは必ずしも同じじゃないわけでありますね。そうしますと、そういう基本的な考え方の超過勤務手当の制度というものを公務にそのまま持ってくるということに問題があるのじゃなかろうか。もう少し公務にふさわしい時間外手当の支給の方法というものを考慮する必要があるのじゃなかろうか。こういう点も一つの問題じゃなかろうかと思うのです。  それからまた、一般的な仕事ということになりますと、八時半から五時までの勤務時間、その時間に仕事ができなければ時間外で超過勤務手当を受けて仕事をする。ところが能率のいい人あるいは能力のある人、その人は時間内に仕事を終えてしまうが、能率が悪い人、能力のない人、これが時間を超過しなければ同じ仕事がやれないといった場合に、能率の悪い人、能力のない人によけいの給与がいくということ、これもまた問題じゃないかというふうに考えます。そういうことになってまいりますと、これは人間の気持ちの自然といたしまして、楽してよけいに金を取った方がいいわけなんです。われもわれもと超過勤務をやるようになってまいります。もちろん最近はそれを抑えるために超過勤務の総枠を給与費の何%というふうに予算上抑えられておりますが、しかし一般的に、働いたら損だ、こういうような風潮を生む原因になるというふうに考えざるを得ないわけでして、そういうように運用される超過勤務手当のいまの制度、これにも問題があるんじゃなかろうかというふうに考えます。こういう点につきましては、何か改善の方法その他お考えでございますか。どうですか。
  174. 茨木広

    ○茨木政府委員 第一点の俸給表の構造の問題でございますが、年をとりましても引き続きだんだん上がっていくというような問題についての御指摘でございます。かねがね人事院でもそういう点で問題があるということは考えておりまして、御案内のように数年前に、五十八歳を超えました方については昇給期間を倍にするというような制度にいたしました。ただし当時、やはり相当抵抗もございまして、経過措置を講ぜよということで、この四月から初めて制度どおりに二倍の昇給期間で動くということにようやく相なるわけでございます。終戦の際、引き揚げられて途中採用になった方々がたくさんいらっしゃるものですから、その年配でもそう高い号俸に至っていないというような点もいろいろあってのそういうことであったと思います。そういう点については民間との関係もいろいろ研究をしていかないと問題点があるというふうには考えます。今後も、定年制等の問題についても給与調査の際に民間の方も悉皆的によく調査をしてみたいということで並行してやるようにいたします。  それから次に超勤問題でございますが、いろいろ言われております問題点を御指摘になられたわけでございます。これはなかなかむずかしい問題がございまして、地方の関係でございますと、労働基準法をかぶっておりますものですから、あの関係の法律改正をどうするかという問題を抜きにしては考えられないものでございます。国の方も、労働基準法を外しておりますので、これは国が模範的な立場をとらなければいかぬということで、基準法の内容にもとらないようなことを最低というたてまえできておるものですから、同じような立て方に相なっておるわけでございます。  ただ、宿日直勤みたいなものでございますと、まさに例示されたと同じような、等級いかんにかかわらず、やる仕事は全く同様でございますものですから、そういうものでございますと同一という考え方で超勤制度から外しておるわけでございます。御指摘の選挙事務のようなものもそういう面を多分に含んでおる面もあるのではなかろうか。上の方で監督される立場の人は別でございましょう。そうなりますと、何かまた特例でもつくっていかないとなかなかうまくいかないということもあるんじゃなかろうか。  それから能率云々の問題、これは特にベルトでもって工場生産をやっておるような場合は、一定の速度でどんどん押されますから一定のノルマが出てきますが、一般事務でございますと御指摘のような見方がいろいろされております。そこで超勤命令を出す方もそこをよく監督しながら出しておるわけでございます。そういう点の弊害がないように運用ではよく注意してもらわなければいかぬことだろう。特にこういうふうなきつい時代になりますと、その感を強くするわけであります。ただ、いまじゃすぐにここで超勤制度をどう持っていくかという問題については、なかなか名案がない。ただ部分的に言えば、管理職手当のような一定額で打ち切りにしてしまうというふうなものとか、教職調整額のようなものも、要するに教職に時間的計測がなじまないというようなことでそういうことになったわけでございます。その他のものは一応いまのところ時間的な計測になじむということになっておりますものですから、御指摘のようなうらみが出てまいるということもございまして、これはあくまで本人の自覚と、また監督者の方の命令を出す側によく点検をしていただくということで抑えてまいらなければいかぬ問題じゃないかと考えております。
  175. 折小野良一

    ○折小野委員 全部を一遍に直すとか合理化するとかいうような問題は、なかなかそれはむずかしいと思います。しかし少しずつでもそういう方向に努力していくということ、これが非常に大切なことじゃないかと思います。  それから超過勤務手当の運用につきましては、国の場合は私は知りません。しかし地方によりますと、一定枠の超過勤務手当をその所属の職員に均分に分けて支給して、そうして書類は適当につくってつじつまを合わせる、こういうような運用がなされておる地方自治体が現実にございます。こういう点については公務員部長の方はどういうふうにお考えになっておりますか。
  176. 植弘親民

    植弘政府委員 御指摘のようにそういった運用といたしまして適切を欠くものがあるのは私ども承知いたしております。たとえば一定部分は、実費といいますか実際に超過勤務をした時間に見合って支給するし、一定部分は均等に分けるといった好ましくない事態がございます。しかし私どもといたしましては、従来からそういった運用も、いま折小野先生からるる御指摘ございましたように、国家公務員につきましても根本的には問題はあるし、検討しなければならない点もあると思いますが、運用そのものは国家公務員に準ずべきであるということで従来から指導しているわけであります。先ほども人事院の局長からも御指摘ございましたように、また先生からも御指摘ございましたが、制度そのものを仮に合わせましても、運用が適切を欠くという、たとえば渡りといったような問題、こういったようなものと同じように、地方団体がそういうことをやることによって給与管理が乱れていく、その点非常に憂慮しておるものでございます。
  177. 折小野良一

    ○折小野委員 いま私が申し上げた超過勤務手当の支給の方法は、いまのやり方は行き過ぎだし、余り適当じゃありませんし、たとえ悪くとも悪法も法ですから、それに従ってやっていかなければなりませんが、しかしどちらかといいますと、仕事が同じでありながら給与に差があるということよりは、まだ一律に支給された方が受ける側としては公正感といいますか、そういうものがあるんじゃなかろうか、こういうことも、感じられます。そういう点は十分考慮の上でいろいろと今後の制度の改善を図っていただく必要があろうと思います。  それから超過勤務手当に関連をいたしまして、たとえば課長、これは通常高給者。そういう人たちが超過勤務をやるということになりますと、超過勤務手当が膨大な金額になる。もちろんそれだけが理由ではなかったんでしょうが、そういうようなことも問題がありまして、いわゆる管理職手当というものが出てまいったわけであります。ところが考え方によりますと、すでに職階制をとっております給与の本体におきまして管理職に対する給与というのは払われておるはずなんです。これは職務と責任に応じて職階制というものをとっておるわけでございますから、それにふさわしい号俸が払われておるならば、金額の多少は別としまして、結局管理職手当は払ってあるんだ、理屈としてはそういうことになるわけでございます。それに対しまして、また管理職手当を払うということは、理屈としては余り筋が通っておるとは言えないんじゃなかろうかと考えますが、この点は、人事院の方はどういうふうにお考えですか。
  178. 茨木広

    ○茨木政府委員 給与を官民比較をいたしました結果格差が出てまいるわけでございますが、それを必ずしも全部俸給表に計上するということをいたしませんで、いま約一割以上のものが諸手当等に分配されておるわけでございます。最近の傾向としましてはそういう手当が順次分化しつつあるというような見方もできるんじゃなかろうかと思います。  いま御指摘の問題点につきましても、全部が俸給の等級のそれぞれのところに評価されて計上されておるかということですとそうではなくて、その点は一部管理職手当の形で分かれて計上されておるというふうに相なっております。沿革的には、御案内のように、もともと超勤制度でやっていたものが、予算査定その他で長時間残る、したがって多額になるというようなことで実際は遠慮しておった、こういうことが昔あったというのが実態でございます。そういうこともあって打ち切り制度ができ、そしてまた、同じ中でも繁閑の度合いとか職責の度合い等も考えながら最高二五%の範囲内で段階的にいろいろ種別をつくっておるということに相なっておるわけでございます。したがって、二重の給与になっておるというふうには私どもとしては考えておりません。一部超勤的なものがあり、一部あるいは本来は本俸に計上した方がいいという問題もあるかもしれませんが、これを本俸に計上いたしますと、それぞれ年金なり退職手当の方にもはね返っていくという問題もまた別途の問題としてあります。そういうことで、本俸に盛りつけるものとそうでないものというようなことについても、民間の、本俸と役職手当というようなものもございますから、そういうものも見ながら制度を決めさせていただいておる、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  179. 折小野良一

    ○折小野委員 管理職手当が出た経過とかいろいろな問題は、いまの御答弁のとおりであろうと私ども考えております。しかしながら、管理職手当が出たことによりまして渡りを正当化したという面がある程度あるわけなんです。それは、もちろん、人事院としてはそういうつもりは全然ないんだというふうにおっしゃいますでしょう。しかし、受け取る側としましては、役職についたら管理職手当がつくんだ、だから給料の本俸の方に職階制が厳重に守らるべきものとしてあるんだというふうに厳しく受け取らなくなってしまった、そこに渡りを実質的に正当化した一つの理由があると私ども考えます。したがって、こういう面も十分考慮していただいて、やはりけじめのはっきりした制度をつけていくということが非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。  それから期末勤勉手当ですが、期末手当は一応いいといたしまして、問題なのは勤勉手当であろうと思っております。特に戦後、公務員の給与が非常に低かった時代におきまして、毎月の月給では食えない、赤字がたまっていく、その赤字を埋めるのに期末手当を出すんだ、こういう実質的な理由があったわけでございます。その当時、期末勤勉手当とは言っておりましても、いわゆる期末手当、生活費赤字補給、こういうような意味であった。したがって、またそういう運用がなされてきた、これもまたやむを得ないことであったと考えます。しかし、勤勉手当というふうに名をつけた趣旨は、やはり昔の賞与という考え方を公務員の給与制度の中に取り入れたわけであります。今日、民間給与と比較いたしましても、公務員の給与は決して安くない。こういう時期になってまいりました今日、勤勉手当の運用についても十分その趣旨に沿った運用がなされなければならない、またそれがなされるように制度を整備し、あるいは指導監督がなされなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。  現実の勤勉手当の支給状況を見ますと、せっかく名前があるのですから、何もやらないというのじゃぐあいが悪いということでしょうか、その期間中に欠勤をした、その欠勤の日にちぐらいは削る、こういうかっこうをとっておるにすぎない。あとは全部期末手当と同じ支給の方法です。何のために勤勉手当というものがあるのか、その趣旨が一つも生かされていない、これが現状だと思うのです。これにつきましては、人事院といたしましては、今後この勤勉手当をどういう趣旨の制度で運用してもらいたいとお考えになっておいででしょうか。
  180. 茨木広

    ○茨木政府委員 勤勉手当の問題については全く御意見のとおりだと思います。制度上は百分の四十から百分の九十という幅の範囲内で運用をするということになっております。各省庁の運用しておる実態では、いまいろいろ御意見もございましたが、段階としては二段階から五段階ぐらいに、省庁によっていろいろその段階を区分しておるのでございますが、そういう差をつける努力は払ってもらっております。今後もできるだけそういう方向で努力をしなければいかぬ問題だというように私どもといたしましても考えております。ただ、民間の方の実態を見ましても、いわゆる査定率と申しますか、やはり一六%前後のものがそういう査定配分になっておるようでございまして、全部が全部、昔の賞与制度ほど大きな差がないということではあるようでございます。  それから、御案内のように、公務員と民間と大変違う点は、金額は別としまして、こちらの方はやや上下同率的な運用になる、民間の方は、古い者というか、長く勤められて上になった者ほど率が高い月数をちょうだいする、若い方、勤務年数の短い方は少ない月数をちょうだいするというような点が大変違う点でございます。その辺は、国なり地方団体に持っていきます場合にはいろいろ意見がございまして、むずかしい点がそこにあるということで、私ども研究を重ねておりますが、なかなか名案がないというところでございます。
  181. 折小野良一

    ○折小野委員 勤勉手当を本来の趣旨のとおりに支給する、それに近づけるということになってまいりますと、結局その基礎には勤務評定制度とそれの運用というものがなければならないと思っております。ところが、現在、地方公務員の場合、勤務評定制度はございますが、制度があっても名ばかりで、その制度の趣旨に沿った運用というのは、現実にはほとんど何もなされていない、こういうふうに考えていいのじゃないかと思っております。したがいまして、さっき超過勤務手当のことで申し上げましたように、働こうが働くまいが同じだということになってきておるわけでございます。  勤務評定制度には、もちろんいろいろな意見がございます。しかし、それがある以上、できるだけその制度の趣旨に沿った運用というものが行われなければならない。といたしますと、まじめに一生懸命働く者に対してそれ相当の報いがあるということ、これが確認されなければ制度の運用が正しく行われたとは言えないと思うのでございます。この面につきまして特に地方公務員に関してですが、公務員部長としてはこの制度の運用についてどういうふうにお考えになっておるのかお伺いをいたしたいと思います。
  182. 植弘親民

    植弘政府委員 いまの勤勉手当についてでございますが、先ほど先生も御指摘ございましたように、地方団体でも十分に行われておるところが非常に少のうございます。率直に認めざるを得ないと思います。御承知のように、この勤勉手当の計算につきましては、期間率と成績率と二つございまして、期間率の方は先ほども先生引用されましたように、欠勤だとかいったような日数によったりいたしまして期間の割り落としをいたしますが、問題は成績率をどのように評価するか、そこに御指摘のような勤務評定制度というのが前提になってまいるわけでございます。たとえば同じ地方公務員でも教職員につきましてはああいった勤評反対闘争というものが非常に熾烈に行われた経緯もございますし、一般の地方公務員につきましても、団体によりましては相当職員団体の強い反対があったところもございます。そういったようなところからどうも成績率によるところの勤勉手当の配分が十分に行われていないというのが実態なのでございます。最近ではこの成績率につきましてもいろいろとまた問題を提起している団体もございます。それらの点からいきまして、給与管理というものを適正に行いますためには、現実に法に定められているような趣旨で勤勉手当の趣旨が十分に生かされるような形でやらなければならない。これは答弁ばかりして恐縮なんでございますけれども、実は会議のたびごとにそういう点は十分示達しているわけであります。しかしさっきの超勤問題にいたしましても、いろいろな運用上の不適正な問題にいたしましても、いろいろと労使の関係だとかいったようなものもございます。そういうものについて毅然たる態度をもって対処するという管理者の心構えも十分でない面もございます。そういう点では私どもといたしましても、単に労使関係という立場だけでなしに、理事者側の方もそういった適正な給与管理をすべきであるという点を今後とも十分指導といいますか、連絡しなければならないだろうというふうに思っております。
  183. 折小野良一

    ○折小野委員 そうおっしゃいますが、実際やるとなるとなかなか大変だと思います。しかしやるべきだと思います。  それから、給与が連動する手当の中で一番大きいのは退職金だと思います。地方公務員の給与がマスコミで取り上げられました一つは、いまのラスパイレス指数の問題、それからもう一つは退職金が非常に高いという問題でした。この退職金の問題というのは基本的な給与制度の改善に当然関連をいたすわけでございますが、この中にも運用上改善すべき問題もいろいろあるんじゃないかというふうに考えます。たとえば、その一つに、ある県の知事の退職金が一億円だった。最近民間でも一億なんという退職金はなかなかそうなかろうと思います。この原因は何かといいますと、結局その人はその役所の一般職員からずっと知事までなった人、その全体の期間が最後の給与に掛けられておるわけです。果たしてこれが正しい退職金の計算であるかどうかということなのです。国家の場合はそういうあれがございませんから、結局最高は次官ということになっておりますから何でしょうけれども地方の場合は、その団体の職員からずっと上がっていくということになりますと、結局知事の最後の給与に全体の期間を掛けるというようなことになってきますと、これはもう膨大な退職金になってくるわけです。こういうような問題も、これはそれぞれの団体の条例で決まる問題でございましょうが、やはり運用として考えなければ相ならない。ということは一般職の職員というものと特別職の職員というものは違うんだということ、できたら、それぞれの任期任期というものがあるわけですから、それごとにぴしゃっと区切っていくというやり方、そういうようなことを十分指導するといいますか、そういうことが大切なことじゃなかろうかと思います。  それにもまして問題なのは、いわゆる退職勧奨制度ということだと思います。国家公務員の一般職もあるいは地方公務員の一般職も定年制がございません。しかし年をとって給料ばかり高くなってくる、これを何とかしなければ財政上の問題にもなるというようなことで、いわゆる肩たたきというのが行われ、それに今度は五割増しの退職金を支給するからやめてくれというのを一つのえさとしてつくられた、これが勧奨退職制度の起こりなんです。ですから、勧奨退職制度の最初の起こりの場合は、勧奨をやるその期間だけにその条例を適用するということだったわけなんです。ですから、その期間にやめてくれればこれだけの優遇措置を講ずるということで一般的にそれは納得をされておったわけであります。ところがいつの間にやらこの制度の運用が非常に思わしくない運用になってしまって今日に至っておる。ここにも退職金が非常に高いという原因の一つがあるわけであります。たとえば東京都のある局長がやめられた、その退職金が四千万だ、こういうのが新聞だねになりました。これは結局勧奨退職制度で、東京都の場合は何割増しか知りませんけれども、五割かあるいは倍増しかの勧奨退職制度を適用されてその退職金は計算をされておるわけであります。しかも従来ならば、東京都で局長になられる方は、功成り名遂げて後進に道を譲るということでやめていかれたはずなんであります。ところが現在ではそういう方々でさえ勧奨退職制度によって割り増しの退職金をもらう、割り増しの退職金をもらって、そしてさらにいわゆる関係機関に天下りする、こういうことになってまいりますと、やはり社会的な不公正ということで問題になるのは当然なことだというふうに考えます。これは地方公務員だけでなしに国家公務員の場合もあるわけでございまして、高級国家公務員が勧奨退職制度で割り増し退職金をもらってやめて、そして今度は天下りする。そして天下り先を次々に退職金をもらって膨大な資産を残す、こういうような例もあるわけでございます。したがいまして、この勧奨退職制度の悪い運用、これは今日の退職金問題の中の一番大きな問題じゃなかろうかというふうに考えるわけです。この点は私は、是正をすればその他の問題よりかわりあい簡単に是正できる問題だというふうに考えるわけですが、なかなかこういう面の是正が行われません。そしてそれが今日では社会的な不公正にまでなってきておる、こういうことでございます。したがいまして、こういうような問題はひとつ早急に、最初その制度ができたときの初心に立ち返って改善をすべきだというふうに考えますが、これは自治省の方も、それから人事院の方も、ひとつそれぞれの立場でお答えをいただきたいと思います。
  184. 茨木広

    ○茨木政府委員 退職手当法の所管は国の場合には人事局でございまして、私の方で直接管理はいたしておりません。ただ全く関係がないわけではないので、基礎調査のようなものについては私の方で協力をして現在の退職手当法の内容が決まったという経緯がございます。御指摘の点、今度いろいろ新聞等で出ました点については、国の場合でございますと約七十カ月未満のところで頭打ちになっておるわけでございますが、それが百カ月を超えましても頭打ちになっていないとか、あるいは調整手当を基礎に入れておるとかというような問題も、どうもびっくりしましていろいろ地方のやつを計算してみますとそういう点があったようでございます。そんなところがいろいろやはり災いをしているんじゃなかろうかと思います。  ただ全体としましては、いま国の方も終戦後一時に入りました方々がちょうど五十代にかかってきたところでございまして、それが大量のこぶになっておるものでございますから、逆ひょうたん型みたいになっておるものでございますから、必要からいきますと、やはり行き先もお世話したり勧奨したりして、何らかおさめていかなければいかぬ事情がございます。  それから御案内のように、一方第三次にわたる定員削減がございました。一方を削減し、片方の方にふやすところはふやすというようなところで、総定員法の中でおさめていくというようなことがございます。職場ごとにおろしてまいりますとそういうことで勧奨せざるを得ないケースがたいへんふえてくるということも、実はどうも御了承を得なければいかぬ問題点もあるように見受けておるわけでございます。ただそれが乱に流れてはいかぬわけでございまして、そういう点については、今後ともよく検討はしてまいりたいと思っております。
  185. 植弘親民

    植弘政府委員 御指摘のように、一般的に申し上げますと、定年制もございませんために、こういうふうに毎年ベースアップさしていただくということになりますと、どうしてもずっと永年勤続したいという気持ちになりますので、やはりそこが国家公務員についてやっておりますように勧奨退職によって、ある程度割り増しせざるを得ないという点があるわけでございます。しかしそれに加えましてもう一つ問題がございますのは、地方団体の場合には、まあ一部の団体でございますけれども、役職加算といったような制度をとっているところがございます。したがいまして、これが単に勧奨退職によるところの割り増しよりも非常に大きなウエートで出てくるわけであります。そこらのところが非常に大きな問題であろうかと思います。  それからもう一つは、先ほどお話ございました特別職の問題でありますが、一般的には特別職の場合には、普通の一般職員から特別職になりましても退職手当の計算は一応は一般職と余り変わらないのでございますが、特別職の期間における功労金といいましょうか、そういった特別なものが準退職金として加算されますので、非常に大きくなってまいる、それがまた四期も五期もお続けになりますと、一期ごとに退職金を受け取っておりませんために、急に一億に近いような金になる場合が出てくるわけであります。しかしそれかといってそれが正しいとか適当だという意味じゃございませんが、やはりおっしゃいましたように、社会的な情勢といったようなものを考えながら適正な数値を決めるべきであろう。もちろん当然そういった功労金等を決めます場合においては、議会で慎重審議されるわけでありますからそうむちゃなことをしてないと思いますが、それにいたしましても、やはりどうかなと思われるようなケースがないわけじゃございません。いまの基本的な、一般的な意味におきますところの勧奨退職による割り増しという問題は、だんだんとエスカレートしてくる傾向にあるようでございますので、やはりいま国家公務員について人事院からの御意見もございましたように、乱に流れることのないように、定年制というものがしけませんので、それに至るまでの段階といたしましては、それにかわるものとして合理的な運用に努めるというふうに努力したいと思います。
  186. 折小野良一

    ○折小野委員 結局給与体系そのものが年功序列型で長くおればおるだけ得をする。そうすると、それが基本になっていますから、長くおればおるだけ退職金がよけいにつく、それからまた勧奨退職を受ければその割り増しがつく、それから長くおればおるだけ年金もまたよけいになる。こういうようなことになってまいりますと、これは人間の気持ち自然です、できるだけやめたくない、大過なく、とにかくいついつまでもおれるまでおりたいという気持ちになるのはもう当然だと思います。ですから結局そういうようなことでありますから、定年制が必要になってくるのじゃないか、こういうようなことになってまいるわけでして、そういう面をうまく制度化し、うまくその制度が運用されていっておるならば、必ずしも定年制を必要としない、こういうことになったかもしれないのですよ。しかし現在の問題としてそういう問題が非常に大きく論ぜられ、あるいはその欠陥が露呈されてくるということになってまいりますと、やむを得ず定年制をしかざるを得ぬ、こういうようなことになってくるのでしょうね。  それにつきまして地方公務員につきましては、過去において三回ほど条例で定年制をしくことができる、こういうような法律改正自治省は提案をされました。しかしこういう問題につきましては、地方公務員だけが特別だというわけじゃありません。ですから、あの当時定年制をしくことができるという地方公務員法の改正案に対する反対の理由の一つとして、一般職の国家公務員にないものをどうして地方公務員に先にやるのか、こういうのが一つの反対理由でもあったわけでございます。この点につきましては、最近いろいろと検討されておるように聞いておりますのですが、人事院の方ではどういうふうにお考えになっておりますか。
  187. 小野武朗

    小野政府委員 定年制の問題は公務員制度全体にかかわる研究課題でございまして、私どもも現在慎重に勉強をさせていただいております。先ほど給与局長からも申し上げましたように、本年度は民間の実態の調査も行うというように予定をいたしております。  定年制の問題は、先生承知のようになかなかむずかしい問題がございまして、機械的、画一的に退職をさせるというのも問題の一つだ、こう思っておりますが、退職したその職員の退職手当あるいは年金制度、そういうものも含んだ生活保障の問題あるいは労務需給の問題、業務の能率的な運営の問題あるいは人材活用の問題等々、諸般の幅広い総合的な検討をまたなければならない、こう考えておりまして、ただいま種々勉強、検討をさせていただいておるというのが実情でございます。
  188. 折小野良一

    ○折小野委員 ひとつ十分検討していただきたいと思いますが、国家公務員についての検討すべき理由というのは地方公務員の場合も同じだというふうに考えていいわけでございます。そういう点はひとついろいろな情勢、ただ単に定年制そのものだけの問題でなしにその背景というもの、こういうものを十分配慮していただく必要があろうと思っております。  いままでの御答弁の中で、私は、御答弁はあったのですが、それについてあえて私の考え方を申し述べなかった面がございます。それはたとえば自治権に関することだ、こういうことがあるわけでございます、特に地方公務員の場合は。したがって国として自治権に関与できない、しかしこの問題はやはりもっと考えていかなければならない問題が多分にあるのじゃなかろうかと思っております。幾ら自治権であるからといって社会的な不公正がそのまま許されるという問題じゃないと思っております。もちろん自治権というものは尊重されなければなりません。その尊重されなければならない自治権というのは、正しく運用されておるというものでなければならないわけでございます。したがってその自治権というものとそれからその自治が社会的に公正に運用されておるということ、これはやはりおのずから区別をして考えていっていいのじゃなかろうか、私はそう思うのでございます。したがいまして、そういう面についていろいろと指導をするということも必要だと思いますし、また自治権というものをより健全に、よりよく発展をさせるためにも、そのような社会的な不公正というものが自治権の運用の結果としてあらわれた場合におきまして、これを何らか是正をする、こういうような制度というものが地方制度の中に一つあっていいのじゃなかろうか、私どもはそういうような気がするわけなんですが、その点について何かお考えがございますか。
  189. 植弘親民

    植弘政府委員 もういま先生指摘のとおりでございまして、地方自治の本旨といいますか、自治権は守るのが当然でございますし、またそれぞれの地方団体法律の趣旨といいますか、そういった自治権を保障するという立場に立ってのそれに応じた立場で公正な運営を行うことは、当然前提的に期待されているところでございます。私どもの指導におきましても、その場合には十分に地方団体の自主性に依拠しながら指導してまいっておるところであります。  今度この給与問題が大きくなってまいりました原因の一つに、昨年の暮れに私どもが初めて各団体のラスパイレス指数を公表したわけでありますが、この一事も、実はラスパイレス指数を公表するという、いわばショック療法のような形でそれぞれの団体の自主的な反省といいますか、検討に多く期待したところであります。それぞれのラスパイレス指数を見ましたときに、なぜ自分の団体はこんなに高くなっているかということは、自分の団体における運営の実態から分析していくならば当然その原因は探求できるわけでありますから、その探求された原因を是正するということを期待したのも事実であります。しかし、かといいまして本来はやはり自治体の自主的な立場で考えるべきことでありますから、少なくとも非常に不公正なといいますか、不適正なことをやっているからといって、それに何らかの制裁的な措置を加えるということはやはり私どもとしては避けなければならないだろう。したがって、そうすると最後は何かといいますと、やはり地方自治の原点に返りまして、主権者である住民の判断、それが具体的には地方議会の審議を通してあらわれてくるということに期待したい。  したがって先般も、給与に関して申しますならば、予算審議に際しましては給与費の明細をもっと詳細に出して、そして十分住民の前に明らかにして、ガラス張りで審議をしていただくといったようなことをこの際やらしていただいておるわけでありますが、やはり何らかの制裁といったような問題になってまいりますと、これはゆゆしき問題でありますから、私どもはやはりそういった原点に返って、議会、住民を中心に、そしてガラス張りで執行部が適正な措置を講じていくということに強い期待をしたいというふうに考えております。
  190. 折小野良一

    ○折小野委員 もちろんこの問題は公務員の給与だけの問題じゃございませんから、部長の御答弁だけですべてが尽くしておるということも言えなかろうと思っております。たとえば給与の問題に限って申しますならば、プラスアルファという問題がございます。これに対しまして自治省では、そのプラスアルファの大部分を特別交付税から差し引く、こういうような措置を講じておられる。私は、それは一つの方法かと思いますが、しかしこれは正しい方法じゃないと思っております。といいますことは、そうすることによってプラスアルファというものを是認をしたということになるわけなんです。少なくもプラスアルファが言葉どおりのプラスアルファであるならば、これは法律違反であるはずでございます。これははっきり法律で、法律並びに条例に規定されている以外の給与は出しちゃならぬということになっているわけなんですから法律違反である。ところが、その金額を特別交付税との引きかえにおいて是認をするということは、これは余り好ましいやり方じゃない。しかし、現実にはそういうようなことでもやらなきゃ直らぬだろうという気持ちはわかります。  ですからこういう問題につきましては、やはり制度的に何らか是正の方法を講ずる。特に給与の問題につきましては、地方議会におきましてはなかなかタッチしないというのが普通の地方議会の実際のあり方のようです。これにはいろいろな理由があるのだろうと思うのでございますが、したがいまして、一般の会計会計監査がありますように、行政運営の正しいあり方を保障するという意味におきまして、市民を中心にした何らかの制度というものがやはり考慮さるべきじゃなかろうかというふうに考えます。ただ私も、それはどういうような制度をつくったらいいかということをいまここではっきり申し上げられるほど固まったものを持っているわけじゃございません。しかし、そういうようなものの必要というものを感じますがゆえに、ひとつ皆さん十分御検討をいただきまして、もしできるならばそういうものを制度の上でお考えいただくということが、将来にわたって非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。その点、ひとつ十分な御検討をお願いをいたしたいと思います。
  191. 植弘親民

    植弘政府委員 プラスアルファの問題でありますが、先生いま御指摘のように、期末、勤勉手当は条例で定めて支給するということになっています。したがって、条例で定めたといたしますならば、これは先ほど来議論になっておる二十四条三項の基本的な、考慮しなければならないという原則に対して抵触するんじゃないだろうか。そこでは問題がそうなってまいります。それから、その場合もう一つ問題になってまいりますのは、二百四条等に期末、勤勉手当の支給について「条例」ということがございますが、この場合想定しているのは、やはり国家公務員に考えられている期末、勤勉手当を出すことを前提としておると思います。そこらのところも検討しなきゃならない抵触の問題があるんじゃなかろうかという気がいたします。  それからまた、たとえば給与基準法といったような問題等も先生は御想定になっているかもしりませんけれども、これもやはり地方自治の本旨との関係でどう考えるか。またいろいろの制度の問題でありますが、現在でも直接請求なり、住民が直接的に行政にタッチする道はいろいろございます。そこらのところが制度として正当に、適正に運用されるかどうかという点が一つの問題でありますが、そういった現行のシステムの中においても、お互いに考えて知恵を出せば改善される道はあるであろう。まあ、いまの先生の御趣旨を十分に体しまして、私どもの立場でも検討さしていただきたいと思います。
  192. 折小野良一

    ○折小野委員 終わります。
  193. 大西正男

    大西委員長 次回は、明二十三日水曜日、午前九時四十五分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時八分散会