○佐藤(敬)
委員 私もそう思うのです。汚いものを自分のそばに持ってこられるのは反対で、総論賛成、各論反対、これは当然そうだと思います。その点は私もよくわかるのですよ。ところが決してそうではない。そういう単なる小さな、地域エゴというのは持ってこられるところだけにあるのじゃないんですよ。持っていく方にもあるのです。おれのところに持ってこないから賛成だと言う。これはもうそのとおりでしょう。持ってこられるのは反対だ。持っていく方は、よその市に持っていくんだから、おれのところは何も臭くないから賛成だと言う。これは持ってこられる方だけのエゴじゃないのです。これは持っていく方にもエゴがあるんですよ。ここのところをよく考えませんと、いまあなたの
答弁みたいに、持ってこられる方だけがエゴで、そしてけしからぬという
結論が出てくるのです。そこのところに持っていく方のエゴ、そのエゴのためにこの広域
市町村圏というのが利用されているということを私は言いたいのです。まさしくそうなんです。
これはいま読んで聞かせますけれ
ども、信濃毎日に出ている。われわれへの陳情書にもたくさん出ていますが、これは新聞が要領よく書いてあるので、これをいまちょっと読んでみせますが、これは昨年われわれが視察に行ったすぐ後の騒動です。こういうふうに出ているのです。「十日の
理事者会(加入十六
市町村長で構成)」というこの佐久広域行政ですね。「には清掃工場建設特別
委員会委員も出席して佐久市岩村田の同
組合事務所で開いた。席上、
理事者側から」この次が問題ですよ、聞いておいてください。「反対住民が佐久市西屋敷の敷地変更を求める限り話し合いの余地はない。」これが一つですね。その次は、「一部の反対で広域全体の
仕事ができないのは問題だ。」その次は、「四十九年度の第一次補助金申請期日が迫っている。今回認められないと広域行政そのものにひびが入る。」こういうような意見が出て、「この結果、特別
委員会の答申を入れ、反対住民との話し合いを打ち切って着工すべきだという
結論を出した。」こういうような記事が出ている。私はこれを見て、いま話したようなことを強く感じるのです。反対住民が、ここじゃだめだからよそへやってくれ、こういうようなことをやっている限りは話し合いの余地はない。ところが、これを見ますと、当時私
どもは陳情を受けましたけれ
ども、ここの土地じゃなくて、どこかもっと別の土地を選定してやっているのです。そこにも同じような問題が発生するかもしれませんよ。しかし別の土地も出してやっているのです。ところが、それが全然検討された議会の記録もなければ何もないんですね。ただそこは適地でないというだけで全然検討されておらない。なぜ適地でないという
結論を出したか、この問題ですけれ
ども、ただこういう二つの問題しか出ていない。一つは、人口の密集しているところから遠過ぎる。それから道路が狭い。たったこの二つの問題だけで、頭から検討する意思を全然持っていない。これを見ますと、単に経済性、これだけを追求している。人間を公害から守る、そんな考え方は何もないんです。これはまさしく持っていく方のエゴなんです。持ってこられる方のエゴを全然考えないで、ただ道路が狭いとか人口の集中地域でないからこれは全然検討する価値がない、こういうことだけを言っている。これは調べてみたけれ
ども、全然検討していないんですね。こういうようなことを考えますと、どうもこの広域
市町村圏というのは全く持っていく方のエゴに利用されている、私はそういうふうに思うのです。「一部の反対で広域全体の
仕事ができないのは問題だ。」これはまさしくそのとおりでしょう。しかし、それだからといって持っていかれる方の迷惑を全然無視していいということはないのです。ここのところは、私は広域
市町村圏というものの非常に大きな欠陥だと思いますよ。これをどう補っていくかということを考えなければならぬ。たとえばこの前の討論でもずいぶんやりましたね。このときも、野党が少ししかいない。与党が全部だとすると、与党の人だけ出ていって野党の
委員が全然そこに入っていかなければ、野党の意見が全然通っていかないのですよ、この中で。人口構成でもっていろいろやっていれば、全体で採決とれば小さいところの町が負けるに決まっているんです。そこのところに一番大きな問題がある。あなたは欠陥じゃないと言うけれ
ども、私はやはりこれの持つ
性格の欠陥だと思いますよ。これをどういうふうにして補っていくかということは、あなたの言うとおり、運用の問題だと私は思う。法的にこれを補っていければうんといいけれ
ども、やはり法を運用する者は人間ですから、それをやっていくところの人間、これが問題だと思う。この問題を
解決するためには、やはり一つは、こういう住民の意思が届くように、小さいところの町の意思が圧殺されないように、何かそういう議員構成なりいろいろな、拒否権を与えるとか何か、そういうふうな法的なあれをやることが必要だと思いますよ。そう思いませんか。