運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-06-25 第75回国会 衆議院 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十年一月二十九日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 五月二十三日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       伊藤宗一郎君    越智 伊平君       大石 千八君    瓦   力君       齋藤 邦吉君    野田  毅君       坊  秀男君    村岡 兼造君       武藤 山治君    山中 吾郎君       横路 孝弘君    増本 一彦君       広沢 直樹君    竹本 孫一君 五月二十三日  伊藤宗一郎君が委員長指名で、小委員長に選  任された。 ————————————————————— 昭和五十年六月二十五日(水曜日)    午後一時八分開議  出席小委員    小委員長 伊藤宗一郎君       越智 伊平君    野田  毅君       村岡 兼造君    佐藤 観樹君       武藤 山治君    山中 吾郎君       横路 孝弘君    増本 一彦君       坂口  力君    竹本 孫一君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       西沢 公慶君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         国税庁長官   安川 七郎君         国税庁税部長 横井 正美君         国税庁間税部長 星野 孝俊君  小委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  高橋 俊見君         国税庁長官官房         総務課長    水口  昭君         国税庁長官官房         人事課長    篠田 信義君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 六月二十五日  小委員山中吾郎君五月二十八日委員辞任につき、  その補欠として佐藤観樹君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員瓦力君五月二十九日委員辞任につき、そ  の補欠として瓦力君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員越智伊平君五月三十日委員辞任につき、  その補欠として越智伊平君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員広沢直樹君同月十日委員辞任につき、そ  の補欠として坂口力君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員横路孝弘君同月十七日委員辞任につき、  その補欠として横路孝弘君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員大石千八君及び村岡兼造君同月十八日委  員辞任につき、その補欠として大石千八君及び  村岡兼造君が委員長指名で小委員に選任され  た。 同日  小委員佐藤観樹君及び坂口力君同日小委員辞任  につき、その補欠として山中吾郎君及び広沢直  樹君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制及び税の執行に関する件      ————◇—————
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより税制及び税の執行に関する小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  先般、各位の御推挙により、私が当税制及び税の執行に関する小委員会の小委員長に就任いたしました。  最近の経済事情を反映して本年度税収が相当落ち込むことが懸念されるとともに、今後の経済安定成長下におきましては、従来のように自然増収に多くを期待することはむずかしいことと思われます。このような経済事情のもとにおける租税政策並びに税の執行のあり方は、一層適切であることが期待されると存じます。各位の御協力を得て、当小委員会の使命を全うしたい所存であります。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。  まず、最近における税収状況とこれに関連する当面の諸問題及び税の執行現状問題点について政府より説明を求めます。中橋主税局長
  3. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 去る四月十五日に、当院大蔵委員会におきまして、大蔵大臣が当面の財政事情についての発言をいたしました。その際、四十九年度の税収は約八千億円減収になり、国税収納金整理資金に関する法律施行令改正によって税収年度区分を改めることによりまして、約四千億円新たに四十九年度の所属の税収になるということを申し上げました。最近におきまして四十九年度におきますところの税収の概数がわかりましたので、まずそれを御報告申し上げたいと思います。  お手元に配付してございます資料昭和四十九年度決算見込み」、それで御説明をさせていただきます。  まず税収不足政令改正税収不足額七千六百八十六億円となっております。これがあの当時約八千億円と見積もりましたものが、約三百億円程度改善せられてこの数字になったものでございます。それから、政令改正によりまして新たに四十九年度の税収になる見込みの四千億円が、これも約三百億円多くなりまして四千三百三十億円となりました。したがいまして、政令改正後におきましては、四十九年度の税収不足額補正予算額に対しまして三千三百五十六億円となった次第でございます。  これに対しまして、その次の欄にございますように税外収入の増二千六百二十億円、歳出の不用千七百七十六億円、それで3の欄にございますように、差し引き千四十億円というのが新規発生剰余金となる勘定になります。その中で道路整備費財源、すなわち揮発油税等補正予算に比しまして増収になった分は、やがて特定財源として充当しなければなりません。その額が六百二十二億円ございますので、差し引きいたしまして四百十八億円がいわゆる純剰余金といたしまして翌々年度国債償還原資となり、あるいは歳入に組み入れられるということに予定せられるものでございます。  この政令改正前の税収不足額七千六百八十六億円、私ども税収見込みが非常に大きく狂ったという不面目な事態発生したわけでございますけれども、その原因を私どもも逐次反省をしております。まだ最終的な考え方は決まっておりませんけれども、主な内容といたしましては、これもさきに衆議院の大蔵委員会において堀委員からの御要求がございまして提出しました資料を今日配付申し上げております。  それによりまして御説明をさせていただきますと、七千六百八十六億円の中で、まず第一には、源泉所得税で千六十一億円見込み違い発生をいたしました。これは主な原因といたしましては、十二月支給の民間ボーナス水準がわれわれの見込みよりも低かったということによります。すなわち、補正時におきましては私どもは十二月に支給されるいわゆる臨時給与は前年に比べて四〇%増ということをそれまでのいろいろなデータから見込んだわけでございますけれども、現実にはそれを下回りまして、一二八・六%ということになりました。それが原因でございます。  それから、二月から三月にかけましての申告所得税におきまして、これがかなりの見込み違いを生じました。その一つは営業等におきますところの確定申告における所得伸びが低かったということでございまして、その金額は一千百四十九億円でございます。これも補正時に見積もりましたのが、たとえば営業所得が四十九年度の税収としまして課税される総体の金額としまして前年のそれに比べて二二%伸びるであろうということを見込んだものでございますけれども実績では横ばいをやや下回りました九九%ということになりました。  それからまた、土地譲渡所得につきまして前年分が非常に伸びたものでございますから、その後におきますところの譲渡実情等を勘案しまして前年の五〇%に落ちるだろうというふうに補正時に見積もったわけでございますけれども、これがさらにその半分程度に落ち込みまして、対前年比二八%という状況でございました。これによりまして二千三百七十億円減収となったと見込んでおります。  それから、法人税及び会社臨時特別税におきまして八百六十億円の減収がございました。これも補正当時かなり先行きについて見込みを落としたわけでございますけれども、その中でも特に、補正予算を編成いたしましたころにわかっておりました一年決算法人状況というのが非常に対前年比では好調でございまして、一五四%という数字を上期については示しておったわけでございますが、これを補正時におきましては一〇〇%増ということにまで落ち込みを見込んだのでございますけれども実績は十一月決算期から非常に落ち込んでまいりまして、そこに書いてございますように十一月決算期のものは一〇三・九%、十二月決算期のものは九六・四%、一月決算期のものは九二・四%となったわけでございます。こういうことで八百六十億円の見込み違いが生じました。  それから、相続税につきましても、課税財産価格見込みに比しまして伸び悩みました、あるいは延納の利用率が上昇したということで千十二億円、輸入の伸び悩みということで関税で六百十億円、それから先ほどの土地譲渡の動きが非常に少なかったということから、登録免許税伸び悩んだということを主な原因と考えておりますが、印紙収入で六百七十八億円減収となりました。  その他の税目ではプラスのものもございますし、マイナスのものもございますが、通算いたしましてプラス五十四億円ということになるわけでございます。  四十九年度は、先ほど申しましたように、政令改正及び税外収入の増、歳出の不用でもってこれの収拾は行われたわけでございますが、五十年度につきまして一体税収がどの程度になるだろうかということは、私どもも非常に心配をしておるわけでございます。  五十年度税収予算額の算定に当たりまして、もちろん四十九年度補正予算を策定いたしました際の諸データ基礎として用いておりますから、四十九年度の税収について先ほど御説明いたしましたような大きな金額減収になったという影響が五十年度に響くということはもちろんでございます。この四十九年度税収不足額、先ほど御説明いたしました七千六百八十六億円というものを基礎にいたしまして、単純に四十九年度補正予算それから五十年度の当初予算をつくりましたときの伸び率を各税目について適用して五十年度ベースに換算をいたしますと、約九千億円という数字になります。  これはもちろん非常に単純機械的な計算でございますが、今日におきましては五十年度の税収もまだ発足をしたばかりでございますし、五十年度の政府経済見通しにつきましても、政府はこれに即しまして物価の安定と経済の緩やかな回復を実現するべく努力を続けておる最中でございますので、当面これを改定するということも考えておりません。しかも私どもが五十年度の税収見込みを算定いたしましたときに用いました経済諸指標というものも、いまは容易に新たなる数字を見出しがたいのでございます。  したがいまして、今後の税収としましては、四月十五日に大臣が申し上げましたように自然増収を見込むことはとてもできませんし、場合によりますれば自然減収が生ずる事態も考えておかなければならないという事情でございます。そういうことに対しまして私ども税収確保の道を一体今後どのように考えていけばいいかというむずかしい事態に直面をいたしております。  その際に私どもは、まず当面、たとえば今年度あるいは昭和五十一年度というものを考えることと、それから早くて昭和五十一年度から若干の期間、中期的な問題として考えるべき問題と、二つに分けて考えなければならないと思っております。  当面五十年度につきましては、事態の推移とともに税収状況もわかってまいりますけれども歳出面におきましてもたとえば行政経費についてはできるだけの節約を行わなければならない事情でございますから、税収面におきましてもできるだけきめ細かい再検討が必要であると思っております。こういう経済情勢でございますからもちろん一般的な増税は不適当でございますが、その中におきましても、かねて税収について自然増収が多額でありまして余裕があった時代にいろいろな政策的な配慮あるいは企業内部留保を増強するという措置がやれたわけでございますけれども、そういうものは今日のような国庫の状態でございますから真っ先に再検討しなければならないと考えております。  私どもが当面検討しなければならない項目としまして考えておりますのは、これもお手元にお配りしてございますけれども、たとえば引当金準備金あるいは交際費課税、さらには広告費課税ギャンブル課税といった問題が、先ほど私が申し上げましたようなきめ細かい配慮としてさしあたって検討しなければならない項目だと考えております。  たとえば引当金の中でも、従来から大蔵委員会においてもいろいろ御議論がございました貸倒引当金でございます。これも実績との比較という意味におきまして随時見直しをすべきであるということはしばしばお答えをしてきましたとおりでございますが、昭和四十七年、四十九年と二回下げてまいりまして、今日それ以前の三分の二の率、千分の十ということになっております。金融保険業につきまして千分の十ということになっております。  私どもといたしましては、現在、金融保険業に限りませんで、製造業卸売業小売業その他全般的に、今日におきます企業貸し倒れ償却実績が一体どの程度になっておるのかということの調査をやっております。貸倒引当金はもちろん貸し金の評価でございまして、今日税金をかける場合に一体どの程度それをしんしゃくすればよろしいかという問題でございますから、最近における実績あるいは過去におきましての大きな貸し倒れ発生というようなものを配慮いたさなければなりませんけれども、こういった問題は、今日の財政事情でございますから納税者の御協力を得て改正方向に進んでみたいと思っております。  それから、準備金でございますけれども、たとえば価格変動準備金につきましては、これも本年若干の改正をお願いいたしましたけれども、これも財政余裕のあるときの制度がまだまだ根幹となっております。たとえば価格変動準備金の積み得る対象あるいはその率または国際的に価格変動の著しい物品についての特別な措置、こういったものについても一度洗い直してみなければならないと考えておりますし、あるいはまた公害防止準備金といいますものも、制度ができましたときは公害問題が急速に出てまいりまして企業としてもなかなかそれに対応する準備がない時代に設けたものでございます。これについても、かねがねいろいろ御批判をいただいておりました。そういう制度の問題をも含めまして、ちょうど今年度末で期限が切れる際でもございますから、これについてもできるだけ早期に検討をいたさなければならないと思っております。その他いろいろな準備金についてももちろん全面的に一度再検討をする考えでございます。  それから、交際費でございますけれども、これも年々強化の道を講じてまいりましたが、こういう際でもございますからさらに強化し得る道があるのかどうか。特にその際におきまして、資本金基準あるいは四百万円という金額基準、それから否認割合の七五%、こういう三つの要素につきまして検討しなければならないと考えております。  それから、広告費課税につきましても、今日の実態が一体どのようになっておるのか、またその新規分野を開拓しなければならない企業としての広告費必要性がどの程度あるのか、交際費との関連はどんなものかというような観点からこれを勉強しなければならないと思っております。  ギャンブル税につきましても、これも大蔵委員会においてしばしば御質問がございましたしお答えもしましたが、そのときの難点、一体投票券の当たった人へ返す率に食い込むことができるのかどうか、あるいは主催者への配分率を変えることができるのかどうか、さらにはまたいろいろな公益的事業をやっております団体への配分は変え得る余地があるのかどうか、こういった問題も検討いたしたいと思っております。  ここに挙げました項目は当面の検討項目にすぎませんで、もちろんこれに限ったわけではございません、今後いろいろ勉強してまいらなければならないと思っております。  中期的な問題といたしましては、今後の経済が一体どのように成長をしてまいりますのか、それに伴いまして財政需要が一体どういうような進み方をするのかという問題が真っ先に決められなければならないと思っております。今日までの高度成長がもたらしました巨額の自然増収のあった時代のように、減税もでき歳出増加も賄えるという事態は今後なかなか予測できないといたしますれば、恒常的に賄わなければならない財政需要というものも、やはり安定的な拡大ということを行わなければなりません。  私ども税制から言いまして、いままでのような多額な税収がないから他の税目をということはとても考えられない話でございます。やはり歳出伸びスピード、その内容ということと、今後におきますところの税収の問題を比較検討いたしまして、その際に税収として必要なものがあるのかどうか、あるとすれば一体どういうような税目で、どのようなスピードでそれを確保しなければならないのかという問題から入るべきだというふうに思っております。  いずれにいたしましても、その中期的な問題は、ここ当面の問題を処理いたしました後の検討というふうには考えておりますけれども、当面とこの中期の問題は、いずれにしましても相関連をいたしておりますので、今後いろいろとまた御審議を煩わしたいと思っております。  冒頭に当たりまして、御報告かたがたお願い申し上げます。
  4. 伊藤宗一郎

  5. 安川七郎

    安川政府委員 税務執行現状問題点につきまして、概要御説明申し上げたいと思います。  最初に、税務執行を取り巻く環境についてでございます。  御案内のとおり、申告納税制度が実施されましてから約四分の一世紀が経過いたしまして、申告納税制度国民の間に着実に定着しつつあると確信いたしております。しかし、経済規模拡大に伴いまして法人及び個人を通じて納税者の数が増加いたしまして、調査対象事案など処理を必要とする事案が激増することに加えまして、その内容も年を追って複雑になります。また、広い地域にまたがることとなって処理上の困難さは大きくなってきておるわけでございます。  一方、税務職員定員はこのところほぼ横ばいでございまして、この事態に対処いたしまして、課税の公平と租税収入確保を図るために、第一に、事務運営簡素合理化及びその改善について絶えず検討すること、第二に、組織、機構をその目的に即応して効果的なものにするための検討を的確に行うこと、第三に、その定員課税対象変動に応じて、事務系統間、地域間で効果的に再配分すること、第四に、職員の能力を高め、円滑に事案処理ができるようにその教育訓練充実努力すること、といったような諸施策を次々に実施してきているところでございます。  しかしながら、このような努力にもかかわらず、現在、税務執行を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあるのが実情でございます。  そこで次に、各税事務運営現状と主要な施策について御説明申し上げます。  まず、直税部門における課税対象の著しい増加にもかかわらず、定員増加がわずかにとどまっておりますために、職員一人当たりの納税者数は、この十年間で申告所得税では三百二十二人から五百二十二人へと約一・六倍、また法人税では百一社から百五十一社へと約一・五倍の増加となっております。このため、実地調査割合所得税法人税ともに年々低下いたしておりまして、たとえば、四十八年分の営庶業所得者及び土地などの譲渡所得者につきましては、それぞれ二・五%及び四・九%、四十八事務年度税務署所管法人につきましては八・七%となっております。  このような現状に対処いたしまして、四十八年末から直税事務運営につきまして大幅な改善に取り組んできております。  その基本的な方向は、これまでにおける申告納税制度国民各層への定着と国民納税道義の一層の向上を基盤といたしまして、納税者の自主的な適正申告を極力促進し、これを支援する体制充実するということでございます。  このため、所得税につきまして、納税相談における期日指定の来署依頼の廃止、事後調査中心の体系への移行など、個人及び法人を通じまして税務調査高額重点化小規模事業者などに対する指導相談体制充実などといった施策を実施しております。  なお、昭和四十九年分の所得税確定申告は、去る三月十五日に無事終了いたしましたが、この結果を前年と比較いたしますと、納税人員では一二%減の約四百九十四万人、総所得金額では二四%減の約十二兆八千五百億円、申告納税額では三六%減の約一兆一千五百億円とそれぞれ減少いたしました。この減少いたしました原因は、先ほどの主税局長説明にもございましたように、経済活動停滞に伴いますところの所得伸び停滞土地取引鎮静化による譲渡所得の減少によるものと考えておるわけでございます。  次に、間税事務について申し上げます。  間税は、酒税、物品税揮発油税など十三に及ぶ多くの税目に分かれておりまして、これらを限られた人数の職員執行しなければならないところに問題を抱えておるわけでございます。  このため、調査及び犯則取り締まりに当たりましては、大口悪質事案重点を置いた運営を推進してきております。また、指導の面でも納税者実態に即した適切な指導を効率的に行う必要がございますので、今後は一層民間団体と密接に連携いたしまして、指導事務充実に努めてまいりたいと考えております。  また、酒類行政につきましては、基本的には秩序ある競争をもとといたしまして、中小メーカーの動向に配意をいたしながら、時代の要請に即応した形で業界の合理化が推進されるように環境整備を図ってまいりたいと考えております。  次に、管理徴収事務現状について申し上げます。  まず、管理事務につきましては、事務簡素合理化に努める一方、納税者自主納付意識の高揚に訴えておりますが、納税貯蓄組合も年々増加し、国税関係組合数は約十万組合国税組合員数は三百十三万人に達しておるわけでございます。また、振替納税制度も着実に普及いたしまして、期限内収納割合は、四十九年度では九二%となっております。  次に、徴収事務につきましては、国税滞納はここ数年来きわめて低い水準で推移してきておりまして、昭和五十年三月末の滞納残割合はわずか二%程度にすぎず、二〇%近い高率に達した昭和二十年代と比べますと約十分の一ということになっております。  しかし、最近は、経済情勢の変化に伴いまして、国税滞納法人税中心にやや増加の傾向を生じてきているのが実情でございます。  最後に、現在当面している問題について申し上げます。  まず、現在の職員構成を見ますと、国税局及び税務署において勤務している男子職員のうち、年齢四十歳以上のいわゆる中高年層が過半の五三%を占める反面、三十歳台の中堅層が一〇%余りにすぎず、残りはほとんど二十歳台の若年層によって占められているというきわめていびつな姿になっております。  そこで、戦後一貫して努力を続け、今日の財政基盤を築いてきましたこれら中高年層職員の労苦に報いますと同時に、今後もその知識と経験を活用いたしまして、高いモラルを持って活躍してもらう必要性が大きいことを考えますとき、この中高年層職員の処遇の問題は、若年層職員の研修の充実とともにきわめて重要なことと存ずるわけでございます。  このため、税務職俸給表等改善上位等級の定数の拡大努力を傾けるとともに、五十一年度の予算要求におきましては、今後の事務運営の基本的方向に即応して中高年層職員の処遇の改善が図られますよう、上位等級に格づけされるべき税務相談官、特別国税調査官などの特別専門職の増設を要求したいと考えております。  次に、最近における景気の落ち込み等を反映しまして、自然増収の減少の問題が発生しておりますが、税務の執行に当たりましては、制度面によりませんいわゆる徴税強化に走ることなく、課税面、納付面ともに納税者実情を的確に把握いたしまして、その実情に合ったきめの細かい配慮をするように心がけていく方針をとることにいたしております。  以上、簡単でございますが、申告納税制度の一層の確立を目指して、困難な環境の下で税務行政を推進しております実情を申し上げまして、御説明を終わらせていただきたいと思います。
  6. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 以上をもちまして政府説明は終わりました。     —————————————
  7. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  8. 武藤山治

    武藤(山)小委員 主税局長、けさ財政委員会において、午前中いろいろ当面の税の歳入不足の見込みあるいは今後の対応策などについて議論をいたし五わけでありますが、他の委員から恐らくそれらの問題も出ると思いますので、私はきょうは個別問題二点について、主税局長国税庁長官に見解を賜りたいと思います。  まず第一の問題は、国会が終わりますと、いつも税金を安くするかあるいは高くするかの政令、通達がよく出るわけであります。前にも大蔵委員会で、税の増減に関係するような政令、通達というようなものは理事会に報告せよ、こういう慣行があったのでありますが、最近はそれがとだえているような感じがいたします。  たとえば、七月一日から実施するいま国税庁当局が考えているお昼の食事の供与による利益に対する課税問題、それから夜勤勤務、深夜勤務者の食事代金の企業からの補助、そういうようなものの課税限度を今度は幾らか緩和しよう、こういう取り扱いが実はすでに決まって七月一日から実施される。それからつい最近に、新聞報道によると、相続税課税問題も、個人住宅には、サラリーマンには相続税がかからぬようにしたい、こういうわれわれ野党側の各委員からの質疑がかなり多く行われ、それにこたえようとして、恐らく大蔵省当局は七月一日から二百平方メートル以下の宅地についての軽減を、二〇%評価額を控除しよう、こういうことが新聞に報道されたわけであります。大蔵委員をやっている者が何も知らない間にぽこっと新聞にそういうことが出るわけですね。  したがって、私はやはり租税法定主義の原則をできるだけ忠実に守っていただきたい。そういう意味から、別に法律事項でないから大蔵委員会の理事なり理事会なり、皆さんにそういうことを報告しなくともいいじゃないかと言えば、あるいはそれまでかもしらぬけれども、法律事項でないにしても、具体的にそれが課税の増減にかかわり合いのあるような重要な通達、政令に対してはやはり配慮してしかるべきではないか、こういう感じがするのでありますが、主税局長、どうお考えになりますか。
  9. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 いまお話しのように、政令、省令でもって納税に非常に影響のあるもの、それから国税庁が出しますところの通達の中で重要な内容を持っておりますものは、大蔵委員会の理事会に御報告をするというよき慣行が数年前あったということは、私もよく承知をいたしております。私も実はそういうことを思いながらも、法案審議で非常に差し迫った事態がずっと続いておりましたものでございますから、理事会で特にその機会を得ないままに今日まで至ったことを、いま御指摘があって非常に遺憾に存じておる次第でございます。主税局関係のもの、恐らく国税庁の通達もともどもでございますけれども、今後またその当時のよき慣行をぜひ守って御報告をいたしたいと思います。
  10. 武藤山治

    武藤(山)小委員 それから次は、いまの相続税評価をめぐってサラリーマンや個人事業者に相続税がなるべくかからぬような配慮をしたいということから、いま二百平方メートル、六十坪ですね、それまでの宅地について、その通常評価額の八〇%に相当する金額相続税課税金額にする。こういう評価の点からひとつ相続税課税を考慮してやろう、こういう配慮ですね。そういうものを省令でどんどん出す、通達で出すという場合に、あれだけ国会で議論されておるのに野党の意見を全然聞かずに、皆さんの方は与党自民党の税調だけには一応了解をとるのですか。これはどちら側に聞いたらいいですか、長官ですか、主税局長ですか。それとも全く大蔵省のサイドで、国税庁だけで決定してそういう措置をとっているのですか。これはどうなんですか。
  11. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 具体的には補足を国税庁からお願いをしたいのですけれども、私は実は衆議院の大蔵委員会のときの御質問で評価の問題がたしかあったと思いまして、そのときに、いままでの評価につきましてはどうも近傍類地の売買実例というものに準拠せざるを得ませんから、そこのところである程度の無理がきておるということを反省をいたしておりますということを申し上げ、その最たるものがやはり農地で、農業をずっと続ける人の相続税の評価のときに宅地として売った評価をそのまま持ってくるのはどうかということから、前にお願いをした納税猶予制度というものを開いたわけでございます。  その際に、そのほかについても同様なものがあるではないかという御指摘がございましたことに答えまして、事業用地であれ、居住用地であれ、実は最後のよりどころとして売るというチャンスが非常に少ない、ごく最小規模のものにつきましては、確かに近傍類地で現に売ったものの評価にしんしゃくを加えながらも、いままで持ってきたものについてさらにもう少し配慮を加えてしかるべきではないかということをお答えした記憶がございます。そういうことの具体的なあらわれが今回の国税庁の通達になって出たのだろうと思いますけれども、いまの御質問については、なお国税庁からお答えをいたします。(横井政府委員委員長」と呼ぶ)
  12. 武藤山治

    武藤(山)小委員 いいです。わかっている。いまの答えでよろしい。  私はこの措置に賛成なんですよ。二百平方メートルまでの居住用宅地の課税評価を二〇%減額してやろうということには賛成なんですよ。賛成なんですが、そういう措置をとった根拠が、与野党の質疑応答を通じて局長が、何らかの配慮をしなければならぬなと答えたからやったというあなたのいまのお答えでいいのですけれども、この間の横井さんの御説明では、与党自民党の税調の附帯決議の中にそういう項目が入っているからわれわれもこういうことを考慮したという説明の一項が入っていたわけだ。そうすると、役人というのは多数党の自民党がそういう附帯決議をつくった場合にはすぐさまそれを二〇%控除にぱんと実現さすのか、そこらのことがちょっと私の頭に引っかかったものだからいまお尋ねしたわけですが、横井さんがいまここにおるのですけれども、与党自民党の税調の附帯決議を実行したと言うのだ。  そこでお尋ねしたいのは、与党自民党税調の附帯決議と国会の委員会における附帯決議とどちらを大蔵省は尊重しますか。
  13. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 もちろん国会におきますところの附帯決議というのは、私どもは非常に尊重しなければならないと思っております。  いまのお話の、与党である自民党の税制調査会の附帯決議なりあるいは決定事項というものがいつも大綱として出るわけでございますけれども、そういうものに至りますときには私どもといろいろ議論を重ねて出ておりますから、単純にそれが出たからそれに従ったということではございませんで、その過程におきましては相当の議論が闘わされておりまして、そういうような方向を私どももとることがいいんだということで合意をした形が自民党税制調査会の大綱として出るわけでございまするから、それまでには私どももいろいろ反省をし、議論をし、そういう方向をとろうかというような決心もかなり強まっておるというふうに御了解を願いたいのでございます。
  14. 武藤山治

    武藤(山)小委員 どちらが重く、どちらが軽いかということまで中橋さんにここで問い詰めるのは酷なような気もするので、それ以上言いませんが、せっかくそういういいことをおやりになるなら、なぜ今回幼稚園の相続税について、あれだけ議論があったわけですからね、私も一月二十九日と二月二十六日と二回にわたって大蔵委員会で、私立幼稚園、個人立幼稚園の相続税については、幼稚園を続けている間ぐらい猶予して、幼稚園をやめたその段階で課税するという農地と同じような取り扱いができないか、こういうことで大臣にもあなたにもずいぶんしつこく質問をしているわけですね。  しかも、その後参議院の大蔵委員会において附帯決議がなされていることは主税局長も御存じですね。「公益事業用財産に対する課税については、相続税の非課税財産規定に従い、現状において明確を欠く個人立公益事業用財産につき、必要な制限を付した上、特別の措置を講ずること。」という附帯決議が参議院側でなされましたね。  したがって、今回この事業用または居住の用に供される宅地六十坪程度の評価額を控除してやろうというときに、同時に幼稚園の問題も質疑応答の内容を参酌して当然配慮をして今回改善されるものと、こう実は私は期待をしていたわけであります。その期待が期待倒れになったのはどういうわけですか。
  15. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 いまの通達で行うことにいたしました二百平米の評価のしんしゃくというものの一つの発想は、確かにあのときにいろいろ問題になりました幼稚園その他相続税について、農地に関して行いました制度の類推適用をいろいろ言われました問題も頭にあってやったのだと思います。  ただ、あそこで確かに武藤委員から何回もそういうしんしゃく、配慮というものが制度的にできないかというお話がございまして、それにお答えしました考えは私はいまでも同じように思っておりますが、農地につきましては、問題は、農地の相続税評価額を宅地として売られた農地の評価額から持ってくるということについていささか無理がある場合には、これを制度的に納税猶予という形で収拾をしましょうということで行いましたものですから、たとえば都会の中にあります小規模な事業をやっておりますところの土地あるいは幼稚園を経営いたしておりますところの土地というものについては、宅地は宅地でございますし、先ほどの農地の地目転換によるところの評価の増ということが行われませんから、その制度的な類推はむずかしいでしょうというふうにお答えをしたつもりでございます。  そこで、いまお話しの、しかし幼稚園についてはなお公益的な要素が非常に強いのではないかということから相続税上の配慮をすべきでないかという観点は、あのときも承りました。それからまた参議院に参りまして、相続税の非課税財産として今日ありますところの規定が実は政令でもってかなり厳しく制限をされておりますから、その点がいかがかという御指摘がございました。そういうこともありましたし、かねての問題もございましたから、今回、まだ検討中でございますが、そちらの方は相続税法の十二条一項三号にありますところの、確実にその公益を目的とする事業の用に供することを理由としました相続税の非課税財産というものを、今日あるような厳しい制限を再検討いたしまして、どの程度のものが考えられるか、それが成案を得ました暁には政令改正いたしまして、その相続財産非課税としての規定を生かすことによって、昭和二十年代の初めからありますこの制度を活用することを現在考慮しておる最中でございます。  したがいまして、これは先ほど御指摘のように、いずれまた理事会に御報告しなきやなりませんけれども、二百平米の問題は、それは一つ一般的には寄与すると思いますけれども、もっと公益的色彩の強いものについてはより深い措置を講じたいと考えております。
  16. 武藤山治

    武藤(山)小委員 前回の二月二十六日よりは大変前進した答えが出ましたから半分ぐらい満足感を感じつつあるのでありますが、その検討が来年度、新年度に間に合うようにするのか、あるいは年度内にそういう政令で、事実上幼稚園が継続経営できる範囲内のそういう相続税になり得るという期待を持っていいかどうか。それはいかがですか。
  17. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 この点は現在、早急に検討を終えましたらなるべく早く政令改正をお願いしたいと思っております。したがいまして、せっかくやっていただいたあの大幅な相続税改正が本暦年から適用になっておりますから、この問題も本暦年から適用したいと思っております。
  18. 武藤山治

    武藤(山)小委員 大変前進した答えをいただきまして私はやや満足でありますが、せっかくの機会でありますから一言つけ加えさしていただきますと、私に答えたときよりも三月二十五日の参議院で答えた答えの方が少しずつ前進しているのですね。だから参議院の存在理由というのはあるなあと、この議事録を読んで感じておったのですが、私の質問の仕方がとげとげしいので中橋さんがとげとげしい答えをして、参議院はふんわりしているからやや前向きの答えになるのかなあとも感じたり、いろいろ衆参両院の議事録を読んでみて感ずるところがあるのであります。  いずれにいたしましても、大平大蔵大臣も野々山一三議員の質問の中で、税務当局としても配慮できるような工夫を政令、通達段階で考えて、いまの御指摘の問題については実のある解決をいたしたいものと思います、大臣もこう答えていますから、ぜひひとつ早急にその政令改正によって、幼稚園経営が相続税を取られることによってつぶれるということのないような配慮をしていただきたい。さらに期待を申し上げて、本問題の質問を終わります。  第二の問題は、安川長官にお尋ねするのでありますが、長官も恐らくお読みになったと思いますが、五月二十六日月曜日の読売新聞夕刊でありますが、これに税理士会の会長、副会長など役員選挙をめぐって、税務署長みずからがあちらこちらの税理士に電話をして、好ましい候補者はこっちだというようなことを暗示して、それで投票を誘導するというか、あるいは投票させないような圧力を加える、そういう行為があったということがこの読売新聞に報道されているわけですね。  これは民主主義一般の問題としての議論ですが、やはり日本は近代国家であり、民主主義を尊重する国になったのでありますから、民間のそういう団体が選挙をやるときに、役所が、国家権力の最も先端に位する税務署が誤解を受けるような電話をしたり、あるいは署長がひょこひょこ出かけていって、親しい税理士の事務所を借りてそこから電話をするというような行為は民主主義の発達を妨げる。やはり役所の特権意識というものがまだあるんだ、こういう感じがしてならぬのであります。  この問題について、この新聞を読んで国税庁長官は、全く誤解されるようなことはない、こうお思いになるか。読売新聞という大新聞が書いた記事であるから、そう事実にたがった点はないのだろう。もしこの報道のようなことがありとすれば、国税庁長官としては、これは民主主義を育てるという意味からえりを正さねばならぬという姿勢をとるべきだと思う。これについて長官の所見はいかがですか。
  19. 安川七郎

    安川政府委員 いま武藤委員から御指摘のございました読売新聞の記事、私も早速取り寄せて検討いたしたわけでございます。六月五日に大阪で役員選挙が行われましたけれども、会長選挙には二人の立候補者が立ちまして、それぞれ支持団体を結成しまして、言ってみれば、相当激しい選挙戦が行われたと聞いておるわけであります。  それで、このような新聞のような事実があるかないかということにつきまして、当然、私、相当な関心を持ちまして、大阪国税局に事情調査を命じたわけですが、私の受けております報告では、大阪国税局の介入はそのような事実はないという報告を実は受けておるわけでございます。私どもの考え方は、税理士会の会長選挙というのは当然税理士会という一つの会の内部の問題でございまして、当局がこれに介入するのは、確かに武藤委員御指摘のように非常に好ましくないことだと考えております。したがいまして、今後ともこのような問題につきましては、こういったような一般の誤解を受けることのないよう十分配意してまいりたいと思っておるわけでございます。  先ほど私が冒頭に申し上げましたように、現在の税務行政というのは税務署だけではどうしても満足にいけないような環境になっております。したがいまして、円滑な税務行政をやる上におきましては、税理士会のみならず青色申告会あるいは法人会といったような関係の、民間の協力団体の本当の心からの協力を得る必要がございます。そういう観点から申し上げましても、本当に心からの協力を得るためには、かような業界内部の問題に当局が介入するのはとうていこれはよろしくない。かえってそれは真の協力関係というものを破壊するということになります。私はこういう基本的な考え方をもって臨んでいるわけでございます。
  20. 武藤山治

    武藤(山)小委員 この問題が新聞報道どおりあったかなかったかという論争になりますと、明石税務署長を参考人に呼べとか奈良税務署の幹部を呼べとか、あるいは五月十二日に大阪国税局管内の淀川分室に国税局の部長や課長が集まって、税理士の長老と思われるような人を二十人ばかり集めてなぜ選挙の情報収集などをやる必要があるのか、一つ一つの具体的事実を追わなければ決着はつかぬと思うのです。私はそういうことをやりたくない。  いま長官の答えで、民主主義の社会でそういう役所側が選挙に誤解を受けるような介入はすべきでないし、そういう指導もしておらぬとおっしゃるわけですが、しかし末端にいくといろいろな癒着があって、そういう長官が考えているようなクリーンな選挙ばかりが行われないのですね。ですから、今後そういう選挙の際には国税局や税務署は一切ノータッチでいきなさい、民主主義というものはこういうものなんだということを長官は何かの機会に——もっとも長官はやめちゃうのですから、中橋さんによく聞いてもらっておかぬといかぬのだが、これからの新長官も、いま安川先輩が言うようなことを国税庁長官に就任した際には十分配慮してもらいたい。こういうことをきちっと、本来なら長官通達を各局に出して、こういう誤解が新聞に出たが、こういうことのないように今後十分配慮せよ、気をつけなさい、そういう指示を当然各局に出すべきである、こう私は思うのですが、そこまではどうですか、必要を感じませんか。
  21. 安川七郎

    安川政府委員 こういうようなことは、いろいろ組織が大きいものでございますから、やはり私どもがいま申し上げたように、十分配慮をいたしておるということが完全に末端まで浸透するにはかなりむずかしい問題がございます。  そこで、いつも私はいろいろな問題について考えておりますが、実は一片の通達というのはなかなか浸透力が弱い。法令の解釈等はきちっといたしますけれども、いろいろ多数の人間がどういう心情をもって行動するかということにつきましては、これはやはり一片の通達ではなくて、国税庁その他当局の幹部という者がそういう気持ちを持ちまして第一線の人の心情というものを十分引きつけていく、そして一定の方向指導するということが一番適切であり、また永続性がある、私はかように考えております。御指摘のように、いろいろな末端で誤解を受けるというようなことがございましたとすれば、それは当然そういうような方法でもって今後とも第一線を十分指導してまいりたい、かように考えております。
  22. 武藤山治

    武藤(山)小委員 最後に締めくくりに、この新聞の真偽のほどはわからぬという反論もあるいはあると思いますので、もう一回ひとつ長官、明石税務署長がある税理士のところを訪ねて、これこれを依頼した、こう書いてある。この明石税務署長に直接国税庁としてもこの点をひとつ確認してもらいたい。  それから、奈良の税務署も、これはより具体的で、森という落選した方の候補者がたまたま税理士の宅に行っていたそのところへ電話があったということですから、それはその場で確認されている事実のようでありますが、この奈良税務署の問題についても、この点がどうだったのか、この辺をもう少しはっきりひとつ確認をしてもらいたい。  それから、五月十二日に淀川分室をどういう名目で使っていて、これは全く選挙に関係ないのかどうかもひとつ事実関係を明らかにしてもらいたい。  私は別にそれを公表しようという気持ちは全くありません。ありませんが、事実であるかどうかということの論争があるようでありますから、具体的ないまの三つの点だけは後刻調査をして、私も秘密は守りますから、ひとつ私のところへ明らかに報告をしていただきたい。この注文をつけて本質問を終わります。
  23. 安川七郎

    安川政府委員 ただいま武藤先生の御指摘の調査の件、十分私も配慮いたしまして、事実関係の有無等を含めまして調査をいたしてみたいと思います。
  24. 伊藤宗一郎

  25. 横路孝弘

    横路委員 主税局の方に先ほどの報告に関連してお尋ねしますけれども、二十七日から税調が開かれますね。そこで、財源確保税収確保ということで当面の検討項目というのがありますけれども、その税調の議論というのはこの五項目に限られるんですか、まずその辺のところを……。
  26. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 税制調査会はもちろんこの五項目には限られません。それから当面の検討項目としましても、税調を別にしても、先ほど私が御説明いたしましたようにたまたまの例示でございますから、これに限られませんけれども、特に税制調査会は、昨年新しいメンバーで発足しましてから、例の法人税の基本的仕組みという問題をずっとやっておりますし、また来年度の問題としてはいろいろな懸案も出てまいりますから、ことしは例年よりは少しペースを早く審議をやってもらわなければなりませんので、この二十七日に第一回の議論をやっていただくつもりにしております。もちろんこういう問題も含めて、広い角度からやっていただくつもりでございます。
  27. 横路孝弘

    横路委員 主にいままでの衆参の議論を通じて今度の税調で期待されているのは、財源を確保するということが中心のようなんですけれども、問題はやはり税の公平ということだと思うのですね。  先ほどから引当金準備金について、これはいままでの国会の経過を含めて当面の検討項目だということなんですが、その辺のところは、どうも動きを見ておると増収を図るという一点だけにしぼられておられるようなんで、そういう観点から何かこの問題が出されてきている。そうじゃなくて、やはり税の公平を確保するという点ももう一つの柱として置いておかないと、これは所得税減税そのほかをめぐってどうも今後の動きが心配なものですからお尋ねしたいのですけれども、基本的な方向としては、もっぱら増収をいかに図るかということだけになるのですか、それともやはり税の公平という点ももう一つの大きな課題としてこれからの税調の中で議論されるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  28. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 もちろん税制はもうおっしゃるとおり、公平、公正ということを忘れてはならないのですけれども、いま特にこういう税収状況になってきたときに、いわば従来とっておりました政策的な減税措置というものを中心検討しようと言いましたのは、税制は基本的には公正を根幹といたしますけれども財政的に余裕があるときには、また経済政策として必要な部面の政策的配慮をしてもいいではないか、また従来それをやってきたわけですから、国庫がこういう状態になったときには真っ先にそういうところにメスを入れる必要があるのではないかということで、準備金それから引当金等についての実績率との問題、こういうようなものを引き合いに出してきたのが私どもの本意でございます。したがって、増収対策だけからこれを出したということではもちろんございません。  しかし、収入が非常に多いときにはより政策的な配慮というのがやりやすいわけですし、その余裕がなくなってきたときには、やはりそういう租税特別措置中心とした経済的誘引措置というのは、見直すプライオリティーとしてはまず最たるものではないかということで考えたものであります。
  29. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、たとえば医者に対する優遇措置の問題ですね、これはずっと議論されている問題ですが、これはこの前参考人から意見を聞いたときには、いつも年末にやるのをもう少し早目から検討していきたいというようなことの御発言がありましたけれども、そういうものももちろん今度の税調の議論の対象になりますね。
  30. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 医師の社会保険診療報酬の問題は、実は昨年末の税制調査会の答申で方向は固まっておると私どもは理解しております。もう次回の診療報酬のときには、あの案を基礎にしました改正案を実施するということで、今回新たにもう一遍根元からやり直す必要はないという気持ちでございましたから、特に挙げていないのです。
  31. 横路孝弘

    横路委員 物品税の関係はどうですか。
  32. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 もちろん物品税につきましても、この問題のほかに挙げてしかるべきことだと思っております。  ただ、物品税につきましては個別品目課税ですから、やはりその間の権衡ということがございますけれども、その際に、さっき申しました増収という観点から言うと、なかなかむずかしい問題があるなという気持ちは持っておりますけれども、当然物品税についても検討してしかるべき問題があると思います。
  33. 横路孝弘

    横路委員 租税特別措置法の関係は政令事項と法律事項とあるわけですが、そうすると当面大蔵省としては、まずやはり政令事項あたりから手をつけてやっていく、こういうお考えですか。
  34. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 検討政令事項、法律事項にかかわりませずやはり進めてまいらなければなりませんけれども、まず五十年度の税収ということが頭にありますと、政令でもやれる事項がございますれば早く手をつけることが可能でございますから、そういう観点ももちろん頭に置いております。
  35. 横路孝弘

    横路委員 大蔵省としてのめどはいつごろですか。
  36. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 実は政令事項というのは、本当は余り項目としては多うございませんので、主としましてはこの貸倒引当金であります。  貸倒引当金も特に大口であります金融保険業については、先ほど御説明しましたように、四十九年にやりました措置の効果がいまずっと及んでおる。と申しますのは、積み増しが税制上できないということになっておりますが、その間は幾ら制度改正しましても税収としては増加してこないわけです。それが一体いつごろからと申しますか、むしろこの秋くらいから積み増しが始まってくるのではないかと思いますけれども、そういうことをめどに置きながら、しかも金融保険業以外は今回全く新たな措置として生じてまいりますから、それとの兼ね合いで、この秋以降結論を得ましたならば、早い機会に実行いたしたいなというのが本当は事務当局の腹づもりでございますけれども、これは全く今後の実態調査と、それから関係方面との折衝によるところも大きいと思うのです。
  37. 横路孝弘

    横路委員 大体そういう検討を行ってどのくらい、つまり検討を行う場合には、ある程度金額的なめどが最初にあって、じゃあどのくらい確保するためにはどの項目に手をつけていくか、実際の作業としてはそうだろうと思うのです。そうすると、大体どの辺のところをこの新税とそれから増収の部分で賄おうとしているのか、その辺のところはいかがですか。
  38. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 その賄わなければなりません税収不足額というのは実はまだ明らかでございませんけれども、単純に計算しましたところで、先ほどの九千億円というような数字がまずはあるわけでございます。そういうことから言いますと、五十年度に、しかも政令というようなもので処理できますことによって得られる収入というのはそんなに多く期待できないと思いますが、先ほど横路委員が御指摘のように、まずはこういう事態でございますから、従来の政策的配慮ということに重点を置いておった措置はむしろ社会的公正に重点を移すということで再検討することに意義があると思っておりますので、収人的には実は余りこれではカバーできないのじゃないかと私は思います。
  39. 横路孝弘

    横路委員 大体どのくらいを考えておられるのですか。全然そのあれがないわけでもないでしょう。
  40. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 したがいまして、九千億というものを仮に頭に置きましても、それをどれだけこういう措置で、あるいはその中の政令事項でどれだけということは目下考えておりません。
  41. 横路孝弘

    横路委員 来年度の中で、所得税の減税の問題ですね。いわば税の公平から言いますと、給与が上がって、いま累進課税ですから、そこで減税が全然行われないということになると実質的な増税になるわけですね。  そうすると、いま、税の公平という観点から政策的な配慮として行われた措置についてはやめていく、いわば税の公平に中心を置いて、増収という点には中心を置いていないかのような御発言がありましたけれども、その趣旨を貫いていけば当然所得税についてもやはり減税措置は考えなくちゃいけないだろうと思いますけれども、その辺のところはどうですか。
  42. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 所得税につきましては、実は物価がどの程度になるかという問題が一つございます。それから、毎年毎年所得というのはベースアップあるいは昇給でもってふえてまいりますから、そうしますと所得税の構造上どうしても累進課税が行われる。それを毎年調整しなければならないのかということになりますと、私は否定的に考えざるを得ないと思います。  確かに急速な物価上昇があるときには、それを課税最低限の引き上げなり税率の緩和ということで行わなければなりませんけれども、今日の課税最低限の高さになってきまして、ある程度物価の事情が安定してまいりましたならば、これまでのような毎年毎年のいわゆる物価調整減税というのは必要ないのじゃないかというふうに思っておりますけれども、この問題はやはり秋深くなってまいりまして、物価の状況はどうなのか、財源事情はどうなのかということともあわせて考えなければなりませんので、いま直ちにそれじゃ来年はもう所得税の減税がないとも断言できませんし、またやらなければならないということも言えない事態だと思っております。
  43. 横路孝弘

    横路委員 目標は来年の春の段階で九・九%だという。いずれにしても、それが達成できたとしても一〇%程度の上昇ということになるわけですね。従来の議論の中では、対前年度の物価動向というのが所得税減税の議論の一つの大きな根拠になって国会の議論が進められてきていると思うのですね。やはりそういう点からいきますと、まるっきりおさまってしまって、落ちついて全然そこに上昇がないということになれば別ですけれども、そうでなければ、いずれにしても給与の方もそれに相応して上がるということになれば、累進課税のもとでは増税になるということですね。  そうすると、たとえば、ことしの減税である程度国際的にも一定の水準に達したということだったわけですね、ことしの議論の中で皆さんの御答弁は。それがまたもとに戻ることになりますね。そうすると、いままでの議論の積み重ねから言いますと、やはりどうしたって減税措置はとらざるを得ないのじゃないですか。
  44. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 ですから、毎年毎年、インデクセーションとは申しませんけれども、そういう物価事情、それからベースアップ、昇給事情を勘案しながら所得税の減税を繰り返すのがよろしいのかということについては、私はこれまでのような事態とはかなり違って考えてもいいことになるのではないかということをいま思っておるわけでございます。
  45. 横路孝弘

    横路委員 その辺のところはこれから議論の大きな課題になっていくだろうと思います。税調のいろいろな議論の動向を見ながらまたこの議論をしていきたいと思います。  もう一つ、国税庁長官の先ほどの御発言に関連してお尋ねしたいのですけれども、先ほどの発言を聞いていると、いろいろと国税庁としても十分配慮しているかのような御発言がございましたけれども、どうも実態は必ずしもそうじゃないようなんで、ここ数年のたとえば定員の問題についてお尋ねしたいと思いますが、皆さんの方の要求はどのぐらいで、現実の定員増がどのぐらいか、五年ぐらいの数字でちょっとお答え願いたいと思います。
  46. 安川七郎

    安川政府委員 国税庁定員のいわゆる概算要求でございますけれども、数年間の数字を申し上げますと、四十七年が二千四百人、四十八年が二千二百人、四十九年が同じく二千二百人、五十年が二千三百人、大体こういうような二千二百から三百ぐらいの定員要求をいたしております。  そこで結果でございますが、御承知のとおり現在各省庁を通じまして計画削減をいたしております。それが国税庁の場合には、いま申し上げました年度を通じまして六百八十人見当で、差し引き純増になりますのは四十七年で二百一名、四十八年で百四十六名、四十九年で百四十名、五十年で百二十七名、かような数字でございます。
  47. 横路孝弘

    横路委員 いまの数字は大蔵省としての総枠じゃなくて、国税庁関係だけですか。
  48. 安川七郎

    安川政府委員 国税庁関係だけでございます。
  49. 横路孝弘

    横路委員 そこで、先ほどなかなか定員がふえないので実調率もどんどん下がってきてという長官の御発言があったのですけれども、実調率の推移というのも先ほどのお話ですと相当数字が低いようですね。その数字だけ聞いてもちょっとわからないわけなんで、過去の推移で概略三十年代どのぐらい、そして四十年代になってはどのぐらいで現在のところこうだということで、実調率を申告所得税法人税に分けてひとつ御答弁願いたいと思います。
  50. 安川七郎

    安川政府委員 三十年代の数字がちょっと不明でございますので、申告所得税、営庶業につきまして申し上げますと、四十年度が五・五%、それから四十八年がまだ正確に出ておりませんけれども、四十七年が四%。所得税につきましては比較的低下率が少のうございますが、法人税の方でございますと、これを税務署所管分について見ますと、四十年度が二二・四%、これが四十七年度におきましては一〇%、四十八年度は八・七%、かように低下をいたしておるわけでございます。
  51. 横路孝弘

    横路委員 三十年代の数字がはっきりしたのが出ていないということだったのですが、たとえば申告所得税が四十年度が五・五%から四十七年度四%に下がったというお話ですが、三十年代は一〇%以上だったんじゃないですか。
  52. 安川七郎

    安川政府委員 これは単純な計数だけでとれませんで、実は調査体系と申しますか、調査の方法がいろいろ変わってきております。三十年代、つまり古い方にさかのぼりますと個人調査とかいうのがございまして、比較的簡易なことで各営庶業の納税者の店舗等に臨む、こういう調査手法が非常に多くとられておりました。それでだんだん時代が新しくなるにつれまして、そういうような簡易な、言ってみれば浅い調査ではなくて、特に問題ある場所につきまして、深い、いわゆる実額調査ということになってまいっております。  したがいまして、恐らくこれは古い数字をとりますと、ただいま申し上げました簡易な調査も含めまして相当の数字が出てまいるかと思いますが、これはいまの水準で換算するといいますか、いまの調査の進度で換算いたしますと、所得税については常に納税者が多いという情勢がございましたので、余り数字は、たとえば現在のところの四%ぐらいが昭和二十年代で十数%になる、かような間差はないのではないかというふうに私は考えております。
  53. 横路孝弘

    横路委員 先ほどのお話ですと、実調率が下がったのは定員増加しないからだということで、いろいろと法人数やら個人納税人員数字を挙げられて、そしてそれに対して定員数字を挙げられて、したがって実調率が下がった、こういう御説明だったんじゃないですか。
  54. 安川七郎

    安川政府委員 基本的には、やはり当初申し上げましたように、納税人員増加ということが第一原因かと思います。
  55. 横路孝弘

    横路委員 それはそちらの方の企業数や人員がふえたということに対応して、定員の方がふえていかないからでしょう。
  56. 安川七郎

    安川政府委員 そのとおりでございます。
  57. 横路孝弘

    横路委員 それで実調率が下がっていって、それをカバーするためにこの前の佐藤委員の質問に答えて、法人の質的区分というのを昭和四十六年から何か通達を出しておやりになっているようですね。内容説明がないのですけれども、これはどういうぐあいに法人を分けて、どういう措置をとっておられるのですか。
  58. 横井正美

    ○横井政府委員 先ほど来御議論のございますような経緯がございまして、法人の数がふえてまいる。また、法人の規模も大きくなる、定員はふえない、こういう状況でございますので、私どもこれを適切に管理をし、申告するようにしてまいるということからいろいろな施策を講じておるわけでございます。端的に申しまして、いい申告をなさいます方については調査をする必要がない。悪質であり、大口であるという方については重点的に調査を施行するということは当然のことなんでございますが、これを一歩進めまして、ただいま先生から御指摘がございましたような質的区分という制度を四十六年ごろからとるようにしたわけでございます。これは内部の管理の問題でございますので、納税者の方々に、あなたはどういう区分に該当しておりますよということを公表するような筋合いのものじゃございませんが、この制度は記帳能力とかあるいは申告状況等に応じまして優良法人、準優良法人等に区分いたしまして、それぞれに応じまして指導をしたり調査をしたりする、こういうふうな制度でございます。  たとえば優良法人でございますと、これは私ども数回調査をいたしました結果、非常に優良であるというふうなことで自信が持てる、こういう法人につきまして優良法人という扱いはしておりますが、これにつきましては五年ごとに見直し調査をするということのほか、特別な問題がございましたならば調査をいたすわけでございますが、そうでございませんと、通常は継続して適切な申告が行われるように指導するというふうなことをいたしまして、調査をいたさないでも済むような体制づくりをしておるものでございます。準優良法人はそれに準ずるようなものでございます。  そういうことで現在管理をしてまいっておりまして、実調率の低下と合わせまして法人の実質的な申告水準の向上を図りたい、かようにやっておるわけでございます。
  59. 横路孝弘

    横路委員 いま優良法人と準優良法人説明はありましたけれども、あとの三区分、全部で五つの区分をされているのでしょう。準優良法人の下が周期対象除外法人、その次が循環接触法人、これは三年に一回ぐらい接触するということなんですかね。最後が継続管理法人、これは税務署の方が管理をしようというわけでしょう。これは毎年必ず調査をするということになっているんだそうですね。  この区分なんですが、結局、定員がふえぬからということで実調率が下がってくる、それをカバーするためにおたくの方で勝手に区分をして、そしてこれは優良だ、これは準優良だからということで、優良法人になると五年間で見直しするそうですけれども、ほとんど調査をやらないわけでしょう、もう調査をしなくてよろしいと。その辺のところの要件なんか一体どういうことになっているのか。それからそれぞれ何%ぐらいなんですか。もう始めて大体四年たつわけですからね、それぞれ優良法人というのは何%ぐらいで、準優良法人というのは何%ぐらいで、資本金別にどうなっているのかという数字は皆さんの方で調査されているのでしょう。
  60. 横井正美

    ○横井政府委員 先生の方から御指摘のございましたような五段階の区分でございますが、優良申告法人は現在一・一%でございます。それから準優良申告法人が一二%、周期対象除外法人三〇%、循環接触法人五四%、継続管理法人二%という状況でございます。法人数は全体で百三十万でございますけれども、協同組合、公益法人等を除きまして百十方法人をこのような管理にしております。  なお、資本金が五千万を超えます調査課所管法人につきましては、これは大規模法人でございますので、原則として調査課で個別管理をしておる、こういう状況でございます。     〔小委員長退席、武藤(山)小委員長代理着席〕  そこで、優良申告法人でございますが、これは私どもいろいろな機会に申し上げておるのでございますが、優良申告法人でない法人は全部問題法人だというふうなことでは実はございませんので、私ども申告書が出ますと、申告審理をして調査対象を選定し一調査をするという手順でございますが、最近の実調率の低下の状況のもとではなかなか調査を行われないという場合が多いわけでございます。そこで、優良申告法人につきましては二回ほどの調査をいたしまして、いわゆる不正、偽り等がない、期間損益の誤りがごく少量しかない、こういうふうな法人を優良申告法人というふうにいたしておるわけでございます。  その反面といたしまして、調査を二回ほどしておらないとかいうふうなことになりますと、実質が優良でございましても、優良申告法人に私どもが内部で管理がえできない、こういう場合もあるわけでございます。それから、準優良申告法人につきましては、優良申告法人に準じまして適正な申告と納税が期待できるだろうというふうな法人なんでございますが、これはその後数年のうちに調査をいたしまして、先ほど申しましたように問題がなければ優良申告法人に格上げするというふうなことにいたしておるわけでございます。そういうことで、実調率が低いということから、実は優良申告法人が一%前後、準優良申告法人が一二%ぐらいにとどまっておるという状況になっておるわけでございます。
  61. 横路孝弘

    横路委員 それは、法人の側ではどの区分に入っているかというのはわかっているのですか。全く税務署の内部だけの区分けですか。
  62. 横井正美

    ○横井政府委員 先ほど御指摘がございましたように、優良申告法人につきましては表敬状を差し上げるというふうにいたしております。表敬状と申しますのは、敬意を表するということでございます。したがいまして、当該法人には、当該法人が優良申告法人であるということがわかるようになっております。
  63. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、敬意を表するやつをもらうと五年間は税務所の方からはいろいろ調査に来ることがない、そういうお墨つきを与えるわけですね。毎年調査に来るところは一番下の継続管理法人だということになるわけですか。
  64. 横井正美

    ○横井政府委員 継続管理法人につきまして必ずしも毎年調査しておるわけではございませんけれども、継続的に管理をして調査を手厚くするというふうなことにいたしておるわけであります。なおそれは、当該法人が自分のところは継続管理法人であるということはわかっておらないはずでございます。
  65. 横路孝弘

    横路委員 どうもそういう区分なんかされているのを聞きますと、たとえば田中金脈のときの幽霊企業なんというのはどこに入っているのか。優良法人か準優良法人に入っていなければ、あんなことにならぬわけですね。調査を皆さん方でされておらなかったわけですから。そうすると、この二つに入っておったわけですか。
  66. 横井正美

    ○横井政府委員 これは先ほど申し上げました調査課所管法人でございまして、国税局の調査課におきまして、個別管理をしておるという対象になっております。
  67. 横路孝弘

    横路委員 これは個別管理しているものと言っても、ほとんど実際は調査をされてなくて、国会で議論になってから初めてあわてて調査をした。その調査にもだいぶ手間どって、最近ようやくその結果が出てきたというようなことですね。どうもようわからぬわけですが、いずれにしても、定員が少ないからこういう区分をするということになると、どうしたって大企業に有利になって、資本金でもって区分けしているようでありますけれども、その中でも結局やはり中小いじめになるんじゃないか。     〔武藤(山)小委員長代理退席、小委員長着席〕  つまり、皆さんの方の職員が少ないということは、どこにしわ寄せが行っているかと言うと、それは職員のところにも行っているし、同時に小さな企業の方にもしわ寄せが行くという行政に形としてはなっていますね。その辺はどうですか。
  68. 横井正美

    ○横井政府委員 ただいまの御質問でございますが、実態はそうではございませんで、こういうふうに事務量が増加をいたしまして定員がふえないという中で、大口でありかつ悪質であるというような法人にどのように事務量を確保するかというふうなことで私ども考えておるわけでございます。調査課所管法人につきましては、現在でも全体といたしまして二五%程度の実調率を確保しております。また、そのうちで資本金が六十億円以上というふうな法人につきましては、国税局におきまして毎年相当長時間かけて調査をするというふうなことにいたしておるわけでございます。
  69. 横路孝弘

    横路委員 そこで、行管の方、毎年の定員要求は二千名以上で実質増が百名台、四十七年が二百名ですね。ただ、四十七年の二百名というのは、その前の年の実質増というのが九名ですから、そこで二百名になっているんだろうと思いますけれども、いまのお話を聞いてわかるように、実調率がどんどん下がってきて、したがって、その法人の質的区分なんということをやらざるを得ない状況になっているわけです。その実調率そのものも、法人税の関係ですと、四十八年まで八%という、一〇%を切るような状況になっているわけですね。八%ということになりますと、何年に一回になりますか、十年かに一回ぐらいということになるわけですね。そうすると、税の公平という点から言って、自分のところだけやられたような不満というのはあるわけですね。  そんな意味で、ともかくこの定員の推移を見ておって、いま総定員法の問題が出ているわけですけれども、それにしても二千数百の要求で百名ぐらいというのは、これは余りにも厳しいのじゃないか。もっとも査定するのは最後は大蔵省の方になるのでしょうから、その辺のところは国税庁としては苦しいところじゃないかというように思うのですけれども、こういう実調率の低下を見ておって行管として一体これでいいのかどうか、その辺のところをどういうぐあいにお考えになっておりますか。
  70. 高橋俊見

    ○高橋説明員 まず、税務職員定員の推移でございますが、確かに四十六年度は、いわゆる純増が九名ということで少ないのでございますが、そのときは要求数も少なかった。これは削減の数の関係もございますが、少なかった。四十七年度からは二千名前後の要求になっております。  これに対しましてふえました数でございますが、最近五カ年間全部合計してみますと、削減は三千人ぐらい、これに対しまして同期間中の新規増員数は三千六百人ちょっとでございます。純増というのが六百二十三名でございます。納税者増加がございますので、結果として実調率が下がってきておるという問題があります。  これに対しまして、国税庁におかれましてもいろいろ調査の方法に工夫をこらしておられる、あるいは適切な申告をする、そういう申告納税制度の定着を図るようにいろいろ御努力をいただいておるというふうに聞いておりますので、そういう点を考慮いたしますと、人員の少ないということが直ちに実調率低下で問題ありと、こういうふうに直結して考えるのではなくて、いろいろな点でカバーされているというふうに考えますと、特に政府の方針としまして定員の抑制を方針としておりますので、そういう点をいろいろ考慮いたしますと、現状、私ども問題がないと言い切っているわけじゃございませんが、まあまあのところではないかというふうに考えておるわけでございます。  問題意識を持っていないのではなくて、今後とも大蔵省あるいは国税庁とも相談して対処してまいりたいというふうには考えております。
  71. 横路孝弘

    横路委員 国税庁の方にお伺いしますが、毎国会でたくさん租税特別措置を含めていろんな税制改正というのが行われるわけですね。われわれ国会で議論しているときには余り頭にないのですけれども、現実に現場でその事務に当たっている人の話をいろいろ聞いてみますと、一つの法律をいじるということが実は事務量に相当はね返ってくるという側面があるわけです。たとえば租税特別措置の場合ですと、政令事項もありますから、毎年毎年変わるということになると、何年間かずっとそれを調べて調整しなければならぬというようなこと等があるわけですね。  したがって、ことしはそんな意味では余り大きなのはなかったかもしれませんけれども、たとえば改正商法の施行に伴う申告納付制度改正というようなことで、定款を変更して事業年度終了の日から二カ月以内に株主総会を開催しないということをした法人というのが今度対象法人の中に入りましたね。ああいうようなことですと、作業というのはかなり事務作業として出てくるわけですね。あるいは医療費控除の場合の定額基準が引き下げられたというようなことになりますと、やはりそれに伴って数がふえてくるというような問題がありますね。そういうような毎年毎年の税制改正に伴って、件数としては一件なら一件であっても、その事務の中身がふえてくるという点がたくさんあると思うんですがね。その辺のところは、皆さんの方は行管にきちんと説明をされているのか。  いまの行管の答弁は、国税庁長官の一番初めの、税務執行の現在の問題点というところでお話しになった点とまるっきり食い違うわけですよ。実調率が下がって、本来ならば定員がふえなければならぬ、職員が大変だというお話をいろんな面からお話しになったわけなんですが、その辺のところを国税庁として、行管は査定する立場ですから、いるとなかなか言いづらいかもしれませんけれども、率直にひとつお話を願いたい。
  72. 安川七郎

    安川政府委員 まず全般的のことでございますけれども、大体最近数年は二千二百数名の定員をお願いしているわけでございます。ただ、結論的に先ほど申し上げたような数字になっておりますけれども、各省庁の横の比較をいたしますと、現在では国税関係はかなりよくめんどうを見てもらっているかと思います。ただ、先生御指摘のように、それじゃいまの純増程度で賄えるかと言いますと、これは率直に申し上げまして、やはりいろいろな面でむずかしい問題が出てまいります。  一つは、できるだけ事務の簡素化あるいは公平性というのは捨てられませんので、大口、悪質の方に重点を傾斜する。そのかわりその分だけはどこかでやはり粗漏がどうしても出てくるという問題がございますし、また職員の苦労というものも質的、量的にふえてまいります。ですから、定員が十分増加しないということにつきましては、どこかに見えないかっこうでもってしわが寄ることは全く事実でございます。ただ、そのしわの寄せ方を、税務行政に余り好ましくならないような方向にやっていく。その一つの方法が、申告納税制度というものをもっともっと定着いたしまして、民間の協力団体協力を仰いで一定の申告水準確保する、こういうことでございます。  したがいまして、率直に申し上げまして、私どもはもう少し定員増加を欲しい。それの影響はやはり見えないところで出てくる。それが累年累積いたしますとやはり問題であるというふうに私は考えているわけです。  第二は、例にお挙げになりました商法改正に伴ういろいろな事務増加でございますが、今回のは法人税の申告期限の延長の特例制度の創設でありまして、納付の態様がいろいろ区々になる。したがって、納付管理だとかあるいは利子税の計算が少しめんどうになる、こういうことでございまして、そういうものは要求の積算根拠に入れてございまして、一応私どもの方で概算要求数といたしました数字は六十一名、こういうふうに要求してございます。  したがいまして、二千名というのはつまみでやっておるわけではございませんので、一々の税法改正でいろいろな問題が出てまいりますと、かような例のように具体的な数字を挙げて、実は積み上げて御要求を申し上げておる、こういうことでございます。  第三には、年々、税制改正によりまして、一般的にはいろいろ税法が複雑化してまいるわけでございます。それはやはり第一線の職員事務量といいますか、それから量的、質的に相当のロードに、負担の増加になってまいるかと思います。ただしかし、これは税務行政がそういう意味で納税者実情に合うように改正される、あるいは納税者のためになるようにいくわけでございますから、一概にこれを悪いというわけにはいきませんが、しかし基本的には、私どもは、同じように納税者にサービスする効果を上げるならば、できるだけシンプルな、手数のかからない、技術的に計算がやさしい、そういうような制度を非常に要望するわけでございます。  これは毎年税制改正の、ちょうどいまごろの時期でございますが、国税庁の方から主税局に、当年度の税制改正の場合における事務量軽減という意味の要望事項というものを第一線から全部集めまして、これは相当の項目になるわけでございますが、それを主税局に要求して、その年の税制改正でできるものからこれを逐次実施に移す、こういうことになっております。  ただ、結果的に私が見ますと、そういうふうな簡素化と申しますか、事務合理化に役立つような方向と、それから新規に出てまいります税制上のいろいろな要望事項を比較しますと、新規に出てくる要望事項の方が勝ちまして、数が多くて、やはり第一線の方のロードはだんだんふえていく。これは何とかならぬかというふうに考えておるわけでございます。
  73. 横路孝弘

    横路委員 職員のたとえば年休の消化状況だとか、仕事をどのくらい持ち返ってやっているかというようないろいろな調査があるのですけれども、その調査を見ると、やはり年々かなり厳しくなってきている、つまり労働がきつくなってきているということが言えるんですね。その辺のところは行管も御存じでしょうか。
  74. 高橋俊見

    ○高橋説明員 要求がありましてから私どもはお話をずっと伺うわけですが、その過程におきましては、年休の問題あるいはそういう仕事を持ち返ってやるとか、あるいはそのほかの方面からもそういう点は伺って、十分承知しております。
  75. 横路孝弘

    横路委員 十分承知しておってさっきの発言というのはちょっと納得できないですね。  いま国税庁の長官の方からも話がありましたように、確かに横の関係が一つあるでしょうから、国税ばかり人をふやすと大蔵として示しがつかないみたいなことがあるのかもしれませんけれども、やはり問題はそんなことじゃなくて、結局、ある意味では国民に対するサービスに当たるわけですし、しかも税という非常に基本的な問題の職務を公平に執行しなければならぬという意味で、非常に国の方針とそれから国民の方のいろいろな要求との間の板ばさみになっているのが第一線で働いている人たちだろうと思うのですね。したがって、その辺のところはもうちょっと行管としてもぜひ来年度で考えていただきたい。  そうしてまた、国税の方も、ただ単に納税人員がふえたとか法人企業数がふえたからという、人員とそういうものとの数の比較だけではなくて、まだまだやはり仕事の内容が、企業そのものも大きくなっていっているわけですし、複雑化していくということになれば、それは二十年代あたりとは全然違うことで、しかもいろいろな取引の関係そのものも複雑になっていくということになれば、調査そのものも一件の処理をするのに時間が相当かかるというような変化もぜひ行管の方にも理解していただいて、来年度についてひとつ考えていただきたいと思うのですけれども、行管の方から初めにお答えいただきたいと思います。
  76. 高橋俊見

    ○高橋説明員 先ほどちょっと説明不足でございましたが、たとえば削減につきましても、私ども税務職員のその職務の特殊性、たとえば現地調査業務が多いとかあるいは判断業務が多いとか、したがいまして、合理化がなかなかむずかしい部門である、あるいは事務の民間委託というようなものはなかなかなじまないとか、そういういろいろな特殊性を十分考慮いたしまして、削減に当たりましても、その目標数の算定につきましては十分考慮しております。これは大蔵省が部門ごとには決めるわけでございますが、十分それは反映されているというふうに私どもは考えております。  それから、増員に当たりましても、大蔵省全体としましては五十年度には全体の定員は減少しておりますが、しかしながら、その中で百二十何名という増員を、純増でございますが、国税庁には認めているわけでございます。そういう意味で、私ども定員は必要最小限度にとどめたいという考えでありますが、事務量の増加とかというものは、ある程度といいますか、なかなか御満足はいただけないと思いますが、一応配慮しているというふうには考えております。なお今後も、大蔵省からお話を伺いまして、対処してまいりたいというふうに考えております。
  77. 横路孝弘

    横路委員 国税庁の方。
  78. 安川七郎

    安川政府委員 ただいまの横路委員の御指摘でございますが、調査の質の面、確かにお説のとおりの要因が非常に多くなっております。したがいまして、そういう点は現在までのところ何とかやりくりしてやっておるわけですが、そこで今後は、量的な増加のほかに加えまして、そういった質的面がだんだんむずかしくなっているということを十分行政管理庁あるいは関係方面に理解をしていただくようにお願いしてまいりたいと思います。  従来ややもすると、量的な、計数的にあらわれるものが非常に御説明しやすいものですから、とかく表面的な数字に頼るきらいがございまして、やや私の方も、御指摘のような質的な面の配慮というものが十分関係方面に真から了解していただけなかった面があると思います。その点は若干われわれの方の努力不足もあったかと思いますので、今後は大いにそういう点にも十分説明に意を用いまして、ぜひこの問題を少しでも改善していきたい、かように考えております。
  79. 横路孝弘

    横路委員 行管の答弁には私は不満なんです。ただ、いま国税庁の方からお話があったように、数字だけで比較をしてやっていく、だから、実務の簡素化でいいじゃないか、こう反論されると、余りそれに対して説得力を持たないというような形だったんじゃないかと思いますので、その辺のところは、ひとつ行管の方でも十分そういう質的な変化というものも見て来年度の人員については考えていただきたいというように思います。  最後に、ちょっとこれは国税の関係になるのですが、二点ほどお尋ねしたいのですが、いまサラリーマンが源泉徴収について、税というものを納める側ももう少し考えてみようということで運動をやっていますね。その中から一つ出てきたのは、住宅貯蓄控除と住宅取得控除の問題なんですけれども、あれは申請するときに確定申告書に記載がないとだめだという規定になっているのですね。これは租税特別措置法の四十一条です。ほかの本法の方に制定されている場合ですと、申告書にその記載がなくとも、後で修正なりなんなりの措置ができるのですけれども、住宅貯蓄控除と取得控除だけ意識して入れたのか、意識しないで入れたのか、ようわかりませんけれども、ともかく確定申告書に記載がなければだめだということで、一たん出してしまって、後で気がついてももうだめだという取り扱いになっているのですよ。この辺のところ、どういうことで住宅貯蓄控除と取得控除だけこういうことになったのか。  医療費控除等の場合は、申告書を一たん出しても、後でこれが落ちておったというので実務的な取り扱いはできるようですね。ところが、住宅貯蓄控除と取得控除だけは実際の実務上の取り扱いもそうじゃないのですけれども、そうしてまた法律を見ると、四十一条のところで、確定申告書に「控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり」ということだから、その記載がなかったらだめだということで救済の道がないのですが、これはどういう経過でこの二つだけこういう規定が入っているのか、ちょっとその辺を国税庁の方でも主税局でもいいですから……。
  80. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 いま御指摘の点は、恐らくこういう事情だと思います。と申しますのは、住宅貯蓄控除であれ、住宅取得控除であれ、かなり税制としては思い切った措置であります。とにかく住宅貯蓄をやれば、あるいは住宅を新しく取得すれば、限度の制限はございますけれども、何がしかの税額をいわば還付するという形でそれを与えるものですから、一番条件としては厳しいものを当時要求したのだろうと思います。  それで、あの制度をつくりますときに私どもは、やはり確定申告を出していただいて税金の計算をし、しかもこういう特別措置でもって税額が還付されるということを十分御認識していただきたいということからこういう制度をとったのですけれども、その後実はかなり申告書の数がふえる、そのために執行面でも相当の手数を食うということがだんだんひどくなってまいりましたので、今日では住宅貯蓄控除につきましては年末調整でもって給与支払い者のところでやれる制度になっておるようでございます。  それから、住宅取得控除の方も制度をつくりますときには、私どもはやや手続的には納税者にめんどうをかけ、執行面にもめんどうをかけることは意識しながらも、いわゆるそういう制度があるということを納税者にもはっきりと意識をしてもらいたいという気持ちから、確定申告への連結を非常に強く要求したのでございますけれども、これも執行面の要請が強くなりましたので、三年間住宅取得控除というのは行われるのですけれども、第二年目、第三年目は住宅取得の実績というのは第一年目の確定申告で明らかでございますから、もう特別の手続はそんなに要らないというような簡素化をやった経緯もございます。  恐らく御質問は、確定申告をやらなくて、後でそういう申請の道が講ぜられないかということも含めてのお話だろうと思いますけれども、できましたときのことを思い起こしますと、やはりこの制度が、従来の単に納めていただいた税金を還付するということじゃなしに、いわば積極的に税金を出すということですから、非常に条件も厳しくした、そこは余り他の制度、たとえばいま御指摘のような所得減殺要因としての医療費控除と条件を同じにするのはいかがかなという気はいたしております。
  81. 横路孝弘

    横路委員 どうも御答弁の趣旨がはっきりしないのですがね。問題は、確定申告書を出した場合なんですよ。出した場合に、還付請求書を出しますね、そのときに項目としてこれを落としちゃっているとだめなわけですよ。つまり、この規定に確定申告書に「控除に関する記載があり」という規定になっているわけです。四十一条の二項もそうですし、それから四十一条の三の二項も同じような記載になっているわけですね。  ところが、趣旨から言えば、納税者の方から言えば、別にそこで医療費控除そのほかと何も区別される理由は全くないので、いまいろいろとお話がありましたけれども、結論は要するに職員が少ないから、あんまりみんなが言ってきてもらっても困るから、少し厳しくしているみたいなニュアンスが御答弁の裏に感じられるわけなんですが、それは決して制度の趣旨じゃないと思うのですね。  問題は、確定申告書に「その控除に関する記載があり」という規定になっているから、還付請求をいろいろな形でもって出した場合に、出しちゃってからなかったということになったときに、もうそれで一たん出しちゃったからだめだ、そういう場合のことを言っているのですよ。出していない場合は、それは気がついたときに出せば別にどうということはないわけですね。一たん出しちゃってそこに記載がなかったときに、もう後これを救済する道がないということが、これはサラリーマンのいわば源泉徴収の問題でいま全国的に行われている中で、あちらこちらで同じようなこの問題が出てきているわけですね。これは国税庁の方がむしろ知っておられるのじゃないかと思いますけれども
  82. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 これは制度をつくりますときに、むしろ執行面というよりは制度として住宅貯蓄控除の控除をするということは、控除という形はかりておりますけれども、実はこの制度は本来納め過ぎの税金を返すという意味の控除じゃないわけですね。むしろ住宅貯蓄をするという、あるいは住宅を取得するということを奨励するために、いわば歳出という形をとらないで、税金控除という形をとっておるのですから、一番制限的に考えていく条件の厳しい制度なんですから。  医療費控除というのは、これはむしろ所得税の理論から申せば、課税する所得としまして、医療費を支出したときには所得減殺要因として課税所得から引いてもいいじゃないかという所得理論に相伴う問題なんですね。したがいまして、条件はより緩やかでも構わないという制度的な要因があるわけです。そのことでいま国税庁の方からお答えいたしますけれども、何か実行上若干の緩和をしておるようでございますけれども制度としますれば、私はやっぱりこの住宅取得控除と住宅貯蓄控除というのは一番厳しい条件をつけてしかるべきものだと思っております。
  83. 横井正美

    ○横井政府委員 制度上の趣旨につきましては、主税局長からお答えしたとおりだと思うのでございます。  私どもといたしましては、こういう特殊なサラリーマン等に対する恩典でございますので、できるだけこれが正当に利用されるようにということで、一線におきましては極力いろいろな機会を通じましてPRをしまして、確定申告に記載があってその段階で還付が受けられるというふうな方向努力をしておるところでございます。  しかし、中に御指摘のような案件ございますので、税法全体の取り扱いの整合性から見まして若干の問題はあるのでございますけれども、取り扱いを緩和いたしまして、たとえば御本人が一たん出されました確定申告書を取り下げられる、その後におきまして期限後申告書をお出しになるというふうなことになりますと、そこで改めて住宅取得控除が受けられるというふうなこと、若干税法の悪用という感じもいたしますけれども、そういう便法等も考慮いたしまして、住宅取得控除が適用できるような配慮をしてまいっております。  その場合におきまして、無申告加算税とかいう問題もございますが、通則法で正当な理由があればということもございますので、その辺を配慮してやってまいっておる、こういうことでございます。  制度的には主税局長から御説明したようなことでございますし、私どももせいぜい今後ともPRに努めたいというふうに思っておりますので、できるだけといいますか、間違いなく確定申告時に御処理いただくようにお願いを申し上げたい、かように考えております。
  84. 横路孝弘

    横路委員 ですから、主税局長の話は理屈は理屈としてそういう理屈も成り立つのでしょうけれども、結局、いま国税庁の方から御答弁があったように、やはり国民に利用してもらいたいということはそれは主税局だって同じだと思うのですね。もっとも、いや税金は少しでもたくさん取り上げた方がいいから、こういう制度があって知らないやつはそれはそれでむしろ返す必要はないという趣旨ならばまた議論は別になってくるわけなので、結局やはりこの制度というものを徹底して利用してもらうということで、現実の取り扱いがそういう取り扱いをしているならばこの規定そのものを直しちゃった方が、一たん取り下げてまたそれを出すなんということをやらないで、ほかと同じようなやり方ができるように規定を改めた方が問題は簡単でいいのじゃありませんか。
  85. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 それは制度の趣旨、条件というのと絡んでおりますから、検討いたします。
  86. 武藤山治

    武藤(山)小委員 ちょっといまの関連。  直税部長主税局長に伺いたいのは、いまの貯蓄控除も取得控除も五年間は請求権があるんでしょう。時効にならないのでしょう。たとえば家をおととしつくった、去年申告のときは知らなかった、ことし気がついた、そうすると二年分を確定申告に出せば請求できるのでしょう。その期間は五年間生きておるのでしょう。そこのところがはっきりすれば、いま言われたように後で修正申告を出したってもらえるわけなんですよ。  時効期間は何年ですか。それは五年間ですか。そういう制度があるのを知らなかった、五年後に気がついた、その場合に申告してもさかのぼってもらえるのでしょう。だとしたら、いまのようた規定で一年一年をチェックするのはおかしいんだな。
  87. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 確かに国に対する債権も五年間時効が完成いたしません。ただ問題は、一年一年ある条件のもとに、現在でございますとたとえば三万円ならば三万円という住宅取得控除の金額が与えられるわけでございますから、それはその年分年分の確定申告で記載をしていただかないと、数年まとめて、三年間まとめまして九万円をある年の確定申告で書いていただいても、それはこの条件を満たさないものであります。  ですから、一たんその年の確定申告に三万円という控除の申請をしていただければ、それの債権というのは五年間は生きますけれども、第一年目の分、第二年目の分を第三年目の確定申告に合わせて合計九万円という控除申告をしていただいても、これは適用できないと思います。
  88. 武藤山治

    武藤(山)小委員 その規定が四十一条なんだな。しかし、それはいま弁護士が言っておるように、求償権が五年間生きていたら、やはり後で気がついたときに一回に五年分ばちっと引かなくても、気のついた年から五年間、過去の五年分は年年五年間引けるようにしてやらぬといかぬのじゃないですか。
  89. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 それはたとえば納め過ぎた税金を還付するとか、先ほど申しましたように所得課税所得として考えます場合に、これは引き方がまず妥当であるという意味においてのたとえば医療費控除でありますとか雑損控除でありますとそういう考えも成り立ち得ましょうけれども、住宅を取得するあるいは住宅貯蓄をしたことにおいて税金を控除するという形はとっておりますけれども、本来は奨励措置でございますから、厳密な条件を満たしていただかなければならないということはまず基本にあるわけでございます。とにかく家を建てたら三万円、三年間もらえるぞということではありませんで、いわば確定申告という税金の認識を新たにしていただくということもこの一つの条件になっておりますから、やはりまとめてお支払いをするという、ただその金額を払うということじゃございません。
  90. 武藤山治

    武藤(山)小委員 ぼくはまとめてじゃないんだよ。要するに五年間じゃなくて、四年間、三年間納税者が無知でそういう制度があるのに気がつかなかった。家を建ててから三年後にこういう制度があるのかと気がついた。それで申告書を出す。そのときに、三年分まとめて引かなくても、気がついて申告をした年から三年間はずっと申告すれば過去の分が引けるわけでしょう。
  91. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 それは、この制度は住宅取得の時期も限っておりますし、あるいは貯蓄のこの特別措置を認めておる時期も限っておりますから、やはりその年分年分ということで判断をしていただかなければならぬと思います。
  92. 横路孝弘

    横路委員 この問題は時効の問題と違うのですよ。確定申告書の記載が一たんなかったら、つまり確定申告書を出してしまった場合に、後で気がついた場合にどうかということなんで、時効の問題とはまた違うレベルだろう。時効の問題の議論をするのはちょっとおかしいと思うのですか……。  時間なので、最後に一点だけちょっとお尋ねしたいと思うのですが、京都府の福知山で、所得税の関係で還付請求したのです。これはいろいろ調べてみたら、源泉徴収義務者の方が間違っておって、つまり不足だということで、もうちょっと取らなければならぬということになった。その場合ですと、従来おたくの方の扱いは、まず更正通知書を出して、それから還付金の充当通知書を出す。本人にこれを出して取り過ぎの場合には払う。それからいろいろな還付請求に基づいて還付する。それからたとえば源泉徴収義務者の方が間違っていた場合には、本人に対して支払いの納付通知書が来るという形でずっといままで行われてきたのですね。  ところが、ことしこの福知山の税務署ではそういう方法をとらないで、源泉徴収義務者の方に行って、源泉徴収義務者の方が、つまりいままでの不足分を納税者の方から源泉徴収するというやり方をとっておられる。この源泉徴収制度そのものというのは法律論としてもいろいろな議論があると思うのですけれども、いずれにしてもこういうケースは初めてですし、それから皆さん方の方のたとえば仙台国税局の徴収部管理課というところから昭和四十七年六月に「サラリーマン減税闘争関係の源泉所得税還付金の充当処分及びこれに伴う処理要領について」というのが出ていますけれども、これとも全く扱いが違うわけですね。したがって、これは皆さんの方で方針を変えてこういう措置をとられたのか、あるいは福知山の税務署の方で間違えてこういう措置をなさったのか、これはケースとしては、もしわかっておられたら御答弁いただきたいと思いますし、もう時間がございませんから、ひとつ国税の方で調べていただいて、どうしてこういう措置になったのかということを後で御報告いただきたいと思います。
  93. 横井正美

    ○横井政府委員 後でよく調べまして御報告申し上げたいと思います。
  94. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  95. 伊藤宗一郎

  96. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 横路委員の方からいま定員の問題で、税務署職員の方々の労働過重の問題について質問があったので、私もそれに関連をして、まずそのことからちょっとお伺いをしておきたいわけです。  まず第一点は、私もこの前の本委員会のときにも安川長官にお伺いをし、そしてきょうも恐らく私が質問するというので、わざわざ安川長官の方から全般的なお話がありました。  私はまずお伺いしていきたいのは、あえてきょうは人事院を呼んでいないのでありますけれども、税務職俸給表の水準差の問題ですね。納税者数の推移とか調査困難事案の推移とか定員職員一人当たりの処理件数の推移とか、こういったものは大体わかるわけです。特に全体を考えるときに、横路委員も先ほど言われたように、持ち帰り仕事の状況ですね。とにかく四〇%の人がうちへ持ち帰って仕事をしている、あるいは休みがとれないで年次休暇を残している。それを五日間だけ残しているという人が一四・二%、二十日以上残している、あるいは六日から二十日まで残しているという人が何と七四%にのぼっているというのは、これはどう見ても異常だと思うのです。  その辺のことを考え、しかも仕事の内容が、これは単純にコンピューターでできるというものじゃなくて、いま横路委員から言われたように、われわれも正直言って大蔵委員会をずいぶんやっているけれども、まだまだ税法というのは読めないですよ。括弧、括弧、括弧書きばっかりで、しかもそれが五冊も六冊もあって、政令、通達が出ている。しかもそれが税法が変わるごとに出て、税法が変わったら、今度はその案件が今度の変わった税法の施行通達で適用するかしないかの判断がまたむずかしい。大変な処理能力を要求されるわけです。こういったことを考えてくると、要員の確保も非常に重要なことでありますけれども、これは総定員ということもあるから、やはり税務職の俸給表の水準差、このことがまず基本になってくるのじゃないかと私は思うのです。  これはやり方としては人事院の問題ですから、人事院が決めてくると言えばそれまでだけれども、しかしやはり国税庁の方としては、五万人からいる職員の方々のいまのような労働条件の基本的な問題については、特に人事院の方に私は言うべきだと思う。恐らくもう言っているだろうと思うのですけれども、質的内容、人数のアンバランス、それからいまなお休みも十分満足にとれないといったような状況安川長官からも地域の問題も言われました。非常に調べる地域が広がっているという問題、こういったようなことを考えますと、果たして一体どのくらい人事院に伝わっているのだろうかということを私は疑問に思うわけです。  その辺、全般的な話をひとつ長官からしていただいて、担当は国税庁総務課長になるかな、担当の総務課長からこの辺の実情というものはどのくらい人事院に伝わっているのかをお伺いしたいのです。
  97. 安川七郎

    安川政府委員 まず、税務職の給与の問題でございますけれども、これは私いろいろな面から、税務職員の給与というのは他の一般の公務員に比べて相当の差があってしかるべし、こういうふうに考えております。  理由はいろいろございますが、ただいま御指摘の、仕事自身が非常に専門的である、しかも年を追うごとに高度な技術を要求されるような、仕事の内容が非常に複雑困難になっているという面。  第二は、税務職員という特殊な仕事でございますから、たとえば癒着と申しますか、そういうことを避けるためにできるだけ転勤が必要になるというような問題、あるいはそれに伴ういろいろな経済的な問題、さらには高度のモラルが要求されますから、世間一般のつき合いにも特別に配意しなければならない。したがいまして、これは全部経済的な問題に帰着する。つまり、一般の公務員よりはかなり気を使って、経済的支出がふえるということ。  さらに第三には、精神的な異常な負担、これはもう申し上げるまでもないと思いますが、非常に職員が気を使ってやっておる。それに対してはやはり相当な待遇がしかるべし、こういうことでございまして、私どもは極力機会あるごとに人事院等、関係方面に申し上げております。  そこで、これは人事院当局でも、そういう基本的な事実、実態というのはかなりよく認識しておられまして、年々それをやっていただいておるわけです。ただいまの水準差につきましては、昭和四十七年までは戦後一貫して下がってまいりましたが、ただいまのような認識を少しでもいただいた結果、四十八年にはこれが四十七年の九・五から一〇.三に回復した、これは非常に画期的なことでございます。ただその後、四十九年度は全般の給与水準が非常に増加いたしましたために、残念ながらこれが一〇・三から一〇・二に〇・一ほど逆に下がってしまった、こういう実情でございます。でございますから、これは本当に機会あるごとに人事院に申し上げております。  ただ、これはなかなか実現困難だというのは、やはり他省庁との関係というのがございまして、それが一つの壁になるように考えるわけでございます。  なお、持ち帰り仕事でありますとか、そういったような点は、これは実は若干申し上げたいのでございますが、私どもとしてはそういったような労働条件が非常に悪くなるということは基本的に好ましくない。したがいまして、持り帰り仕事がない、あるいは休日をつぶすというようなことがない、さらにはまた年間の休暇が十分取れるように、こういうことがまず第一でございます。そういう範囲内で仕事がやれるようなことを実は私どものマネジメントとして工夫すべきである、これを基本に考えております。  ただ、それをやりましても、先生御指摘のように年々仕事が複雑、困難になっておりまして、そこはぜひとも従前のように一般の公務員の水準より相当程度水準差があってしかるべし、こういうふうに考えておるわけであります。  なお、細目について御質問がございましたら、総務課長からお答え申し上げたいと思います。
  98. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 そこで、一〇・二三という水準差がついているわけですが、これは単に数字的な話で高いとか低いとか言うことは余り意味がないと思うのです。ただ、私たちが考えるときに一応思うのは、一般職の職員の給与に関する法律の第十条の法文というのは「人事院は、俸給月額が、職務の複雑、困難若しくは責任の度又は勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労条件が同じ職務の等級に属する他の官職に比して著しく特殊な官職に対し適当でないと認めるときは、その特殊性に基き、俸給月額につき適正な調整額表を定めることができる。」二項として「前項の調整額表に定める俸給月額の調整額は、調整前における俸給月額の百分の二十五をこえてはならない。」ということになっているわけですね。それを受けて人事院規則の九の六で六段階に分かれている。おのおのこれは俸給表の基礎が違いますから、単純にこの一〇・二三という数字は比べられませんが、しかし人事院規則の九の六というので最高二五%まで調整額をつけることができる。こういったことを考えますと、私は一〇・二三という数字は決して十分な数字ではないのじゃないかと思います。  もっと細かに詰めていきますにはちょっと時間がありませんけれども、一〇・二三というのは、いまの環境状況、特にこれは人数が多いし、一般的に困難な職場だということで一つ飛び抜けて税務職俸給表ができているという経過、また一般職の第十条のいま私がわざわざ読み上げたところから言っても、すべて税務職というのは私は当たっていると思うのですね。そういうことを考えると、まだまだ一〇・二三というのは私は決して満足できる状況ではないと思う。しかも、後でちょっと触れますけれども中高年層の方の昇任昇格が非常におくれているという問題、しかも非常に人数が広範囲にわたる、五万人近いという職員の方々がいる、こういうことを考えますと、これはもう少しやはり人事院に対して、なお詳細にいまのような労働条件の実情というのは話す必要がある。  それでは一〇・二三が、じゃ一五がいいのか二〇がいいのかということになりますと、これは非常に横のバランスのこともあるし全般的なこともありますけれども、しかしやはり国家財政の基本で、執行でありますから、そういう面からいくともう少し人事院に対して、人事院はある意味では独立した機関でありますけれども、なお一層詳細にいまの現状というものを伝える必要があるんではないだろうかと私は思うのですが、人事課長どうですか。
  99. 安川七郎

    安川政府委員 ただいまの御指摘、全くそのとおりでございまして、従来は水準差ということで、かつて戦後は一七%時代もあったわけですが、それが一貫して下がってまいりましたから、当面はやはりこの水準差をできるだけ回復していただきたい、こういう方向実情をよく御認識いただくということでやってまいります。また、これからも十分その点は努力してまいりたいと思っております。  そこで、問題は、その税務の職務の特異性をどういったような——何%がいいかということは、これは非常に質的、肉体的、精神的な問題でございますので非常にむずかしいのでございますが、実は私は個人的に、従来の水準差のほかに、やはりいま御引用になりました特別な職務に対する付加のような、税務全般に通じます特別な職務給的なものを考案したらどうだろうかということを、実はこれは全く個人的でございましてこのような席で申し上げるのはまだ適当でないかと思いますが、何かそういうような方法でもって特殊な、非常に困難な、しかも非常に財政基礎になるような職員の労苦に報いる方法はないだろうかということを、実はいろいろ考案をいたしている最中でございます。まだ成案は得ておりませんが、私の本当の偽らざる気持ちとしては、そういうもので何とかこの処遇を考えていきたい、かように考えております。
  100. 篠田信義

    ○篠田説明員 ただいま長官からお答え申し上げましたようなとおりでございますが、先ほど先生からの御質問にありました人事院に対する要望の仕方というのを申し上げますと、人事院勧告が毎年七月か八月に行われますが、その前だけわれわれが行って、職員の労苦、いろいろな精神的あるいは肉体的な労苦がございますが、こういうことをそのときだけ話しているわけではございません。年間常時、その他の問題でも人事院の給与当局その他関係当局に対しては何だかんだとやはりいろいろな仕事がございますし、その都度人事院その他関係当局に対してこういう苦労があるのだということを、単に人事院の上の方だけではなくて下の課長あるいは補佐とか、そういった段階まで十分理解してわれわれの方に協力してもらうように努力しておりますし、また必要に応じては長官にも出かけていただく、あるいは次長にも出かけていただくということで、できるだけほかの俸給表との格差を上げていただくように、あるいはこういった格差、いわゆる水準差が非常に無理であるならば、ほかのもっといい知恵はないものかということを常時考えております。
  101. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 特に私はやはりその中で強調していただきたいのは、きょうも長官の報告の中にありましたが、男子の四十歳以上が五三%を占めているという職場の状況ですね。そして三十歳以下が一〇%以下という典型的なひょうたん型になっている。これは昭和の二十一、二、三年ぐらいの特殊な国家事情によってのことで、したがって、同僚がいるがために幾ら勤めても課長職にもつけない、ほかの職場だったらつけるのにということで号俸が落ちているというような状況がある。これはほかの職場にもありますけれども、とにかく二万人近い人が昇任昇格がおくれているということは、全く国家的な要因でこういうことになっているわけですから、この面もやはり人事院にもう少し配慮させる必要があるのじゃないだろうか。  特に長官も言われたように、本当に今日まで国家財政の事実上の税務の執行面に携わってくれた方々の労苦に報いる。それから税務というのは国家が続く限り永久にあるわけですから、その意味ではそれに続く若い人々が本当に働きやすい、また働く意欲を起こさせる職場環境にしていかなければいかぬ。すぐ定員をふやすと言ってもこれはおのずから限度があるでしょうから、そうなってくると、やはり俸給という面でそれなりの何らかの報いがないと、本当にこれは一番大事な税務の執行の面における基本的な問題というのは私は非常におくれていってしまうのではないだろうかというふうに思うのです。  そういった意味で、いま申しましたように、中高年の問題、これも踏まえてひとつ俸給表というものも考えていただきたい。人事構成が正常な場合ならばまた物は考えようだと思うのですが、とにかく上には行かれない、さりとてこれだけむずかしい税法を扱う職務にしてはどうもそれだけの対価が国家的に払われていないということはきわめて遺憾なことだと思うので、いずれまたゆっくり人事院も入れて、横を見ながら私もやりたいと思いますけれども、その辺の、この後に続いてくれる若い人々に本当に働く意欲を起こさせるような、当面休みが消化できないのだったら、それにかわる何らかの形に持っていかないと、これは本当に明朗活発な職場は私はできていかないのじゃないかと思います。  そういった意味で、この中高年対策というのも非常に大事なので、特に今度の大蔵委員会の附帯決議でもそのことも含めて入れているわけなんですけれども、これは予算措置も伴うことでありますし、他の省のこともあるものですからなかなか大蔵省が——ことしはある程度前進をしたわけですけれども、さらに私は、とにかく昇任昇格おくれ二万人というけた外れのことですから、千人ずつこのことをやっていっても二十年かかってしまうわけですから、したがってこれは何らかの別のことを考えていかないと、とても税務職員の方々の労苦に報いるということはできにくいのじゃないか。この辺はどのように考えていらっしゃるのですか。
  102. 安川七郎

    安川政府委員 全くお説のとおりでございまして、水準差の問題あるいは税務職の特別な手当の問題、これはある意味で相当長い、将来とも続く問題だと思っております。しかし、いま御指摘になりました中高年層の問題は、全く当面数年間の一番喫緊な問題だと私ども考えておるわけです。そこで、ただいま給与上の問題の中では基本的なことも大切でありますけれども、やはり中高年層対策というものに非常に重点も志向いたしまして、昨年度から本当に重点的にやっておるわけでございます。  そこで、解決策としましては、やはり同僚が非常に多いために上位の等級に抜けないということがございますので、まずもって上位の等級のいろいろなポストをふやしていただく、こういうことに重点を志向しておりまして、昨年、つまり今年現に施行されております予算につきましては相当の改善を見たわけでございますが、これはやはり当面約五年間ぐらいの特別な措置といたしまして、上位等級、すなわち三等級以上のポストをできるだけふやしていただくこと、あるいは俸給の間差額と申しますか、上位等級の間差額を増大させるとかいろいろな技術的な問題がございますけれども、これにつきまして人事院あるいは予算当局、そういうものに十分認識を持っていただきまして、それに全力を実は挙げておるところでございます。幸いにいたしまして、漸次、関係方面の理解、認識が高まってきておりますので、これからの予算につきましても相当な進歩が見られるのじゃないかというふうに期待しておりますが、なお今後とも十分努力をしていきたいと思っております。
  103. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 これはむしろ人事院に聞いた方が本当はいいのかもしれませんが、実はこの税務水準差の問題と昇任昇格の問題というのはある意味では相矛盾するところがありまして、何を言いたいかといいますと、税務水準差というのは、特三が四十九年で見ると七・四%、三等級が九・九%、四等級が一一・二%、五等級が一二・五%、六等級が一一・八%、七等級が八.九%となって、それで平均が一〇・二三%となるわけですよね。したがって、特三とか三等級がふえてくると平均的な税務水準差というのが低くなってしまうわけですね。そういった意味で、特三なり三等級をふやす、これはもう必要なことなんですけれども、いまのようなやり方でやっていくと税務水準差の平均値が下がってしまうというきわめて相矛盾したいまの俸給表になっているわけですね。  これはむしろ人事院のことであるし、非常に技術的な面が多いので、もう時間もそんなにありませんから細かくは詰めませんけれども、この辺もひとつ配慮に入れて、そういった交渉というか、実情を人事院の方にもまた話をしていただきたい。もちろん私も国会の中であれいたしますけれども、それだけちょっと記録にとどめておいていただきたいと思うのです。
  104. 篠田信義

    ○篠田説明員 現在の三等級、特三等級の水準差の話につきましては先生のおっしゃるとおりでございます。三等級、特三等級に一番中高年層が集まっている点でございまして、この辺の水準差を上げない限りは全体の水準差が思い切って上がらないというような状況になっております。この点につきましては毎年人事院の方には要求をいたしておりまして、人事院も徐々に御理解いただいておるということでございますが、いま一つは、三等級、特三等級の号俸がだんだん多くなりますと、一号俸上がるごとの昇給間差額と申しますか、月給の上がり方がだんだん低くなってくる、そういう間差額をもっと多くしてくれということも、これは例年かなりな力で要求いたしております。
  105. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 これは余分なことですけれども、昇任昇格をいま全部ぽっと一つずつ上げても恐らく三億円ぐらいしかかからないのじゃないかという計算をぼくはちらっと聞いたことがあるのですが、いま国税の徴税費が、四十八年の数字で百円徴税するのに一円二十二銭ですか、このぐらいになっておるわけですから、そういった意味ではこの徴税費のバランスを考えても、これと比較することがいいか悪いかは別として、それは十分でき得ることだと私は思うので、ひとつそういった意味で、問題は要するに永久に続くこの税務の執行ということが、後々もう税務署なんてあんな職場に行くものかというようなことになっては大変なんで、また、戦後のどさくさの中で国家財政を立て直すために苦労なさった方々がそれなりに報いられる体制というものはやはりつくる必要がどうやってもあるわけで、その意味では今後私たちも大蔵省の主計局なりあるいは人事院なりに追求いたしますけれども、ひとつ皆さん方も皆さん方の担当として今後ともぜひ配慮をしていただきたいと思うのです。  時間がありませんのでその次の問題に移りますが、次は中橋さん、自動車重量税の問題なんです。これは細見主税局長時代に、細見さんと七時間半ばかりこれができるときに大変議論したのですが、その矛盾というものが実はあらわれてきているのです。もう時間がありませんから簡単に言いますと、消防自動車にまでいま自動車重量税がかかっているわけですね。消防自動車は走行距離が非常に少ない。私はこれは委員会でこれが創設されるときも審議をしたのですけれども、自動車税というものは保有に対して税金がかかっている、それになおかつ自動車重量税という重量で税金をかけるということは二重課税ではないかということを、細見さんとかんかんがくがくやったのです。その矛盾が消防署と消防団の持っている消防自動車、救急車にあらわれていると私ば思うのです。  それで、もう細かくは聞きませんが、要するにあれは車検のときに払うのだけれども、消防自動車が一体どのくらい走っているかといいますと、これは岡山県の消防署、消防団の消防自動車と救急車の例なんですが、これは岡山県出身の柴田健治衆議院議員から持ってこられた資料ですけれども、たとえば岡山の消防署の一台走る距離が最高で四千五百二十四キロ、最少が五百八十二キロ、一年間にこれだけしか走らないのです。いろいろなデータがありますけれども、一番少ないところは勝田町というところで、最高が一年間に十九キロしか走っていないわけですね。最少が二キロしか走っていないわけです。消防車が何台あるのかは知りませんけれども、これにも同じように自動車重量税がかかるわけですね。  それで、いま申しましたように自動車重量税というのは、要するにあのときの論議では、簡単に言えば道路を壊すから、重量は重いものほどかかるからということでかかっている税金ですから、それならやはり走行距離に従ってかけなきゃ矛盾しているじゃないかとまで委員会の中で私はやったわけですね。そういうことを考えてみますと、自動車重量税というものの持っている税の性格から考えて、こんなに走らないものにまで自動車重量税をかける必要が果たしてあるか。しかも地方自治体の福祉の基本といいますか、火事から人命と財産を守るという福祉に最小限必要な消防自動車や救急車、しかも走行距離がこのように少ないものにまで自動車重量税をかけるのはきわめて矛盾をしていると思うのですが、いかがでございますか。
  106. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 確かにいま御指摘の点は、自動車重量税創設のときにいろいろ御議論があったようでございます。今日の自動車重量税を考えてみますと、いま三つのことを言われましたけれども、一つは、だれが持っておるかということについては差異を設けていないということでございます。国が持っていようが、地方公共団体が持っていようが、私人が持っていようが差を設けないということでございます。そういう点から言いますと、地方公共団体なり国が持っておるものから税金を取るのは何かぐるぐる回りをしておるようでございますけれども、もうその差異は全部捨象するということであの当時割り切ったと思っております。  それから、それでは一体用途別に何かのしんしゃくをするのかということでございますけれども、これも、そういう用途はいろいろありましょうけれども、とにかく自動車であれば負担はかけますということでございます。それがいまおっしゃいましたように、緊急の用務であれ、福祉用であれ、あるいはレジャー用であれ、それは一律に見さしていただくというのも、いろいろな観点からどうも割り切ったというように思っております。  それからもう一つは、一番最後のこれが非常に重要な点でございますけれども、走行距離に応じた課税が行われるべきではないか、少なくともそういう点の配慮がないじゃないかということでございまして、これも確かに常々よく言われますけれども、こういう自動車に対して走行距離に比例して課税をするのに一番適当でありますのは、私は燃料課税だと思っております。燃料課税が一番ぴったりと走行距離に合うわけでございますから、そういう走行距離に的をしぼった課税も一方でやりますけれども、自動車を持っているということ自体について課税をするのに、一つは先ほどお示しのような自動車税があり、それから自動車重量税があると思うのです。  自動車税になりますと、もう一つそこはきめ細かく月税的な要素を持っておりますから、もう走行しないということになれば月分でそういうものの調整を行うという措置でございますけれども、自動車重量税になりますと、自動車を持っておるということに非常に重要な要素を考えておりまして、自動車を持つということは自動車を走行することができるいわば権利的なものがあるではないか、そこに着目をしての課税というふうにあの当時いろいろな議論の末割り切ったようでございますから、確かに消防自動車、救急自動車というのは走る範囲が狭いということでございますし、できるだけ消防自動車は走行距離が少なければ少ないほどよろしいのですけれども、そこは用途は一応除外いたしまして、自動車を持っておる、走ることができる、道路を使用するチャンスがあり得るということでかけておる税金でございますので、その中で特にいま言われた三つの要素をいろいろなことで課税上あるいは事後的に調整するということはどうもこの税金の成り立ちからしましてむずかしいのじゃないかというふうに思っております。
  107. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 中橋さん、それはおかしいですよ。自動車を持っておることあるいは道路を走り得ることで課税されるということになれば、あるいは持っているということは、持てるだけの背後の担税力を期待できるということですね。そうなりますと自動車取得税があるわけでしょう、物品税もあるわけですよ。  そこで、ぼくは細見主税局長とそのことでかんかんがくがくもう本当にやったわけなんです。結局あのときの結論では、自動車重量税の性格というものは、なぜ重量という重さを基準にしているかと言えば、それは結局道路を壊す率が非常に多い、そうなったらやはり走行距離もその中に加味すべきではないかと言ったら、それは事実上なかなかむずかしいからということで重量税ということになったわけで、だからいまの御答弁のような性格だと、自動車取得税もあるのだし、物品税もあるのだし、それは私はなかなか苦しい答弁じゃないかと思うのです。  それで、ここまで言うのだったら、たとえばこういう例は自動車重量税がかかりますか、かかりませんかということなんです。陸送ですね。運転手の人が仮ナンバーでたとえば東京から鹿児島まで持っていく、この自動車については自動車重量税はかかりますか、かかりませんか。
  108. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 自動車重量税は車検の際に納めますから、仮ナンバーで車検をとっていないということでございますと、かかりません。
  109. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 かかっていないのですよね。東京から鹿児島まで行ったら千五百キロあるわけです。確かにいまのやり方では車検のときに二年分か払うわけですから、車検をとっていない仮ナンバーですからこれはかからぬわけですね。片一方では、東京から鹿児島まで千五百キロ運んで税金はかからない。  それで、消防自動車あるいは救急車のように地方公共団体が持っているもの、しかも走行距離は、先ほど言ったように勝田町なんというのは年間十九キロしか走らない。上斉原村というところでは二十五キロ、最少のものは五キロしか走っていない。平均十五キロというから、ここは村だから恐らく二台しかないのだと思うのですけれども、それには税金がかかっている。だれが持っているか、あるいは用途別、走行距離、これは確かに自動車重量税というものはしんしゃくをしておりませんけれども、一つは、この消防自動車なりあるいは救急車というものは各地方自治体の福祉の基本的な問題であること、それから走行距離が非常に少ないこと、しかも非常に公共性が強いし、消防自動車とか救急車はふだんは走らない、何か一たん事がなければ走れないようにちゃんと法律でなっているわけです。走ったらあれはキ印だということを言われるわけですからね。  そういうことからいって、車検をとってないからという理由で、どんなに距離を走っても免除されているこういった陸送の、特例ではないかもしれませんけれども、実際にそういうことがあるのだったら、こういう消防自動車、救急車については全く特殊な例として除外してもいいのじゃないか。  私は、病院の救急車というのはお金を取っていますから、あるいは企業が持っている消防自動車、これは企業がみずからの防衛のためにやっているわけですから、これはいいと思うのです。いいと思いますが、地方自治体というきわめて公共性が強い、しかも走行距離がいま言ったように全く問題にならぬものについては——大体タクシーだったら年間九万キロぐらい走るわけです、毎日三百キロ走ったとして九万から十万キロ走るわけですから。そういうことから言いますと、消防車というのは、これはほとんど走っていないわけですね。各地で消防団で御苦労なさっている方は、こんなものまで税金がかかっているのかと、そういう反発する気持ちが非常に強いわけです。こんな公共性の強いものにやるのだったら、いわゆる売るために展示してある車がありますね、ああいうものにまでかけたらいいじゃないかという気持ちになってきているわけですね。  これはひとつ地方自治体の消防車ないしは救急車は、いま言ったような理由で、と言うと、皆さん方はすぐ、これをやりますとあれもなる、かれもなるからいかぬと言われるけれども、いま言ったように病院と企業の持っている救急車、消防自動車は除外してもいいわけですから、地方自治体の持っている消防車、救急車は台数にして全国で二万二千台ぐらいのことですから、除外をするだけの理由は十分あると私は思うのですけれども、政務次官、どうですか。
  110. 森美秀

    ○森(美)政府委員 この自動車重量税の問題は私も委員として八十時間、細見さんの話、皆さん方の話をよく聞いておりまして、ある意味では、いろいろ矛盾があるかもわかりませんが、一つの目的があったわけでございます。  そこで、今回のいま佐藤委員の御提案の問題も、やはり用途別には考えておりません。そういうところからきてどうしても——これは一々用途別にしますとまた大変繁雑な問題にもなりますし、別な方面で、交付税の問題で解決を図っているとかいうような点もございますので、ひとつその辺を御認識いただきたい、こう考えておりますが、いかがでございましょうか。
  111. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 これはどう見ても納得できないです。確かに自動車重量税が、中橋局長からお話があったように、だれが持っているとか用途別のしんしゃくとかあるいは走行距離、こういったものを何ら考慮していないということはわかるわけですけれども、いま言ったような実態ですから、地方自治体の持っている消防車及び救急車、これだけは、とにかく非常に公共性が強いことと台数が限られていることと、それから走行距離がきわめて少ないことと、この三点の理由から、事務的に特別繁雑になるわけじゃありませんから、外し得る要件、理由を十分持っているものだと私は思うのです。  だれが持っているかをしんしゃくするとほかのところまで広がるということをいつも皆さん方は言うわけですが、地方自治体に限って、しかも消防車と救急車だけですから、全国で二万二千台、これだけに限って外す。額は知れているわけですし、また仕事しながら片方で消防団という仕事をやっている人々が、とにかくこれに反発を持っているわけですね。われわれこんなに苦労してやっているのに国家が税金をかける、しかもそんなに走りやしないのにと。  いま申しましたように、東京から鹿児島まで千五百キロ、陸送のものには税金がかからないけれども、たとえば岡山市の消防署の車だって年間最高が千三十キロ、最少が百十二キロと非常に少ないわけですね。これは走行距離は勘案していないからと言われるかもしれないけれども、これはどう見ても矛盾し過ぎる。しかも非常に範囲は限られているから、事実上これを取り除くことはできると私は思うのですが、ひとつもう一度考えていただきたいと思うのです。
  112. 中橋敬次郎

    中橋政府委員 確かにいま言われることもよくわかりますし、特に自動車重量税につきましては、走行ということに重点を置いて、ひとり地方自治体の消防自動車の関係だけではありませんで、廃車をしましたときにその免除を講ずべきではないかというようなこともいろいろ聞いております。私どもは、いま御心配のように、波及するからということ、あるいは地方公共団体全般に及ぶからということも確かに一つの理由ではございましょうけれども、基本的には自動車に対する課税全体の体系から言いまして、その中で自動車重量税が持っておる地位ということから申しますと、いま確かに自動車重量税の難点として御指摘になったことはよく理解できるのですけれども、非常に複雑ないろいろな税金でもって自動車に対する課税を行っております。  一つには、先ほど言いましたように、燃料課税をすることによって走行に非常に比例した課税を行っておりますから、仮にまだ仮ナンバーでもって日本列島を縦断してまいるものでも、その点においては負担をしておるわけです。  それから、おっしゃいましたように、自動車を買うということについての担税力という点から言いますと、自動車の物品税でありますとか自動車取得税ということがございますから、それでカバーをいたしております。  そうしますと、もう一つは、とにかく自動車を持っておるということについての課税ということで、自動車税と自動車重量税というものが同じような性格ながらもまた取っておるわけでございますから、それをだんだん所有者、用途、走行距離ということに全部合わせてまいりますと、自動車に対する課税というのをもう少し別な角度から再編成しなければならないのじゃないかという気がいたします。  そこで、やはり今日のように、やや複雑過ぎると私は思いますけれども、あらゆる角度から自動車に対する課税をやっておるという体系のもとにおいては、この自動車重量税が、先ほど申しましたような非常にドライな税金に終始しておるというのもそれから由来したことではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、全体の車両課税そのものについて前々から複雑過ぎるというお話もございますから、そういうものの一環として検討しなければならないのじゃないかと思います。
  113. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 まあここまでくると自動車重量税の性格論からまたやらなければいけないので、とてもきょうは時間がありませんから、また機会を改めて質問をします。これは私の自動車重量税を審議したときのいわゆる二重課税じゃないかという問題と非常に絡んでくる問題ですので、また改めてやります。  しかし、いずれにしろ、大体聞いていただく方がだれでも、おかしいじゃないか、わずか千キロ一年間に走るか走らないものに、あるいは十何キロしか走っていないものにまで同じように自動車重量税がかかっている。しかも中橋局長自身が言われたように、運転手の人々がいま言っていることは、車検のときに二年分払っちゃうわけですね、二年分というか、自動車重量税を払っちゃう。自動車税は半年で売ってもたしか返ってくるわけです。ところが、自動車重量税は返ってこないわけです。これもまた私は矛盾をしたことだと思うのですけれども、きょうは時間がありませんので、これ以上はやめますけれども、ひとつなお一層研究してもらいたいと思うのです。  もう一つ、最後に、四月三十日に薬事法が憲法違反であるという最高裁の判決が下ったわけです。この内容についてはもう詳しく言う必要はないと思うのです。そこで、当委員会として関係があるのは酒の免許制度、その中には距離制限も含まれている。それからたばこの小売店の制度ですね。これが果たしてこういった薬事法の憲法違反が出た後でたえ得るかどうかという問題なんです。  これは私はたばこの小売の方々のいまの実情あるいは酒屋さんの持っている問題、こういったものも若干承知をしております。したがって、これは憲法違反だから直ちに全部免許制度をやめて、全部どこでも売れるようにしようという形の質問ではないわけです。しかし、事が全裁判官一致で憲法違反ということが薬事法の距離制限については出ているわけですから、やはり当委員会としても、事は憲法違反という問題ですから、論ずるだけはちゃんと論じておかなければいけないし、今後何らか行政の範囲で変更できる点については変更していかなければいかぬと思うのです。  いま酒の免許制度というのですか、あれは一体どういう法規に基づいて行われているか、簡単で結構ですからひとつ説明してください。
  114. 星野孝俊

    ○星野政府委員 これは酒税法第十条の十号と十一号に基づきまして、国税庁長官通達で免許基準を定めているわけでございます。
  115. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 それでこの薬事法の判決では、要するに、不良薬品が供給される危険性を防止するためという薬事法の配置規制の目的自体は公共の福祉に合致する。しかし、配置規制をしなければそれがすぐ不良医薬品の供給につながる危険性があるかというと、その見解には確実な根拠がなく、むしろ配置規制による実効性は乏しい。したがって、配置規制という手段には必要性と合理性がないという判決になっているわけです。  そこで、薬に言うところの不良品というのは、酒の場合はメーカーが非常に多いわけですけれども、果たして考えられるかどうか。しかも不良品が出る可能性があるからと言って、酒の場合ですよ、いまのような免許制度というのが果たしてこの薬事法に対する判決が出た現在たえ得るのだろうかという疑問が非常に起こるわけです。その辺はどういうふうに国税庁としては考えておりますか。
  116. 星野孝俊

    ○星野政府委員 実は薬事法の判決につきましては先生のただいまの御指摘のとおりでございまして、一方、酒の販売業の場合には実は多少薬事法と趣旨が違うと思うのでありまして、やはり酒は非常に重要な財政物資でありますし、高率の酒税が課せられております。そこで、この酒税は流通段階を通じまして確実に消費者に転嫁される、その代金が円滑に酒類製造業者に回収されて初めて酒税の保全、確保という目的が達成されるわけでございます。そういう意味で、酒類販売業者は酒税の保全上非常に重要な役割りを果たしておる、こういうふうに言えると思うわけでございます。すなわち、酒類販売免許制度というものが、そもそも酒税の保全という財政上の目的から設けられているものでありまして、それでこの免許制度は当然維持されていかなければいかぬ、このように考えているわけであります。  また、この免許をおろす場合に、先ほど申し上げました法第十条十号、十一号でそれぞれ免許の際の条件を規定しておりますけれども、その十一号で定めておりますところの「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要がある」場合には免許を出さないことができる、こういうふうな一つの規定があるわけでございますが、その判断基準の一つとして、現在長官通達で距離基準を定めているわけでございます。そうしたその距離制度というものは、やはり販売業者の経営を安定させて酒税の保全を確保する、こういうために非常に重要な要素でございますので、私どもとしてはこれを廃止しなければいけないというふうには考えておらないわけでございます。
  117. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 専売公社の方にもこのことを一度お伺いして、そして後で法制局にお伺いをしたいと思うのですが、恐らくこれはそんなに短時間にできることじゃないし、茂串部長にお伺いしても判事ではございませんから、しかし、若干法制局も議員立法とはいえ薬事法は国会で法律になっているのですから、その意味では部長自身でなくても何らか関係している面もあるのじゃないかと思うので……。  専売公社のたばこの小売店の指定制度、これは税金ではないけれども財政専売ということで同じように財政を維持するためにどうしても必要なんだということになろうかと思うのですが、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  118. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 たばこにつきましても、事情は大略お酒の場合と同様でございます。たばこにつきましては、先生すでに御案内のとおり専売事業であること、そのことにつきましては昭和三十九年でしたか、最高裁の判決がございます。それからたばこの小売人の指定制度そのものにつきましても、これは合憲であるという高裁の判決が昭和三十二年にございます。  それで、問題は、その小売人の指定制度の中身になって、その中の一つとして距離制限という問題があるわけでございます。薬事法の場合は、先生ただいま御指摘になられましたように、薬屋さんが乱立することによってそれが不良薬品の発生ということに直接つながるというところに問題があるのではなかろうかということが指摘されていたと思いますけれども、たばこの場合は、専売公社とそれから小売人の制度というものが直接にこれは結びついておる、その結びつき方は専売収入を確保するという一点でつながっておるかと思います。したがいまして、われわれとしてもお酒の場合と同様に今後とも距離制限というものは置かなければならない。当然のことでございますけれども、消費者利便の立場からまいりますと、これは確かに小売店がたくさんあればあるほど便利ということかと思いますけれども、同時に、専売制度全体を見ました場合には、そこにおのずから距離制限を設けて制限的な方向も加味せざるを得ないということでございます。  しからば、具体的に小売店の数が極端にふえた場合にどういうふうに専売収入に影響するかということでございますけれども、一つには、御承知のとおり小売人そのものが売り上げも非常に少額でございますし、それがさらに売り上げが少なくなってまいりますれば経営の問題もございます。それがまたマージンの問題にはね返るというようなこと、あるいは専売公社と小売店との間の配達経費を中心としましたもろもろの経費が増加していく、そういうようなことで専売収入に直接影響を及ぼす、それはたばこ事業全体あるいは専売公社の存立の上から見まして望ましくない、こういうふうなことになろうかと思います。
  119. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 いずれにしろ、財政を担保するといいますか、ある程度小売店の数が限られていないと、実際には支店から荷物を運んで卸してやっているわけですから、そういった意味ではその経費のこともあるだろうし……。槍ケ岳の上でもハイライトはいまは八十円で売られているわけですからね、いつどうなるかわかりませんが、いまは八十円で売られているわけです。そういったことをするためには、その経費を専売公社が持っていることによってできるということは事実だと思うのです。  ただ、私が心配するのは、たとえばこういう制度に対していまだれかが、大きなスーパーですとかがまた訴訟を起こす。それで、いま西沢さんからお話のあったような考えで、それじゃたとえば財政を担保するために私だったら、名古屋支店がありますからそこに販売の方々に取りに来てもらう、そのかわり末端は必ず決められた価格で売らなければいけませんよ、あくまで専売法は生きていますよということを主張してやった場合に、それでもなおかつもうかると思う者が自分で経費を負担してその名古屋の支店まで買いに行って品物を仕入れる、したがって、八百屋さんでも何屋さんでもたばこが買えるというような制度、これの方が国民にとってどこでもたばこが買えるということでいいではないかというように主張される。それに対してたばこの場合、果たしてどういうふうに反論ができるだろうか。  たとえば、なかなか値崩れさせた人をつかまえるのにつかまえにくいと反論しても、しかしこれは非常にポピュラーな品物でありますから、ある程度あそこでハイライト八十円を六十円で売っていたということになればこれはすぐわかるだろうし、警察がつかまえるのか専売公社がつかまえるのか知りませんけれども、ある程度事実上はつかまえることもできるだろうし、というようなことを言われますと、これは果たしていいものかなという素朴な疑問がある。  私が冒頭に申し上げたように、何も各店で売れるようにした方がいいか悪いか、これはまた政策的な別な判断になろうかと思いますけれども、憲法違反だという薬事法の判決が、しかも全員一致で出た時点において、確かに専売制度そのものは憲法違反と私も思いませんが、指定制度というのが果たしてたえ得るのかどうか。私も法律の専門家じゃないんで、隣に横路弁護士もいますが、果たしてそれがたえ得るかどうか。財政を担保すると言っても、たとえばそれじゃ支店に買いに来てもらえば、定価は幾らですがこれで卸すということになれば、信用があるところは小切手を切るということもできるだろうし、現金売買をやるということもできる。そうなると、ある程度財政だって担保できるではないかという反論もまた出てくるのではないかと思うのです。その辺のところをどういうふうに考えていらっしゃるかなという気がするのです。
  120. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、御承知のとおり、ただいま専売公社が配達経費等の間接経費を負担しておるわけでございます。しからば今度は逆にいたしまして、専売公社に各小売店がたばこを必要に応じて取りに来ればいいではないか、確かにそういう考え方もあろうかと思います。しかし、その場合におきましては、今度は配達経費なりそれに伴うところの間接経費が小売店の方の負担になる。小売店の方の負担になるといいますことは、小売店の経営を圧迫する、小売店の経営を圧迫してまいりますと、それがマージンの方にはね返っていくということになりまして、やはりこれは専売公社の専売収入に影響してくるということでございまするので、やはり専売収入を現状のように確保していくためには、距離制限というのは——もちろんこれは運用の問題は別にございます、どういうふうに弾力的にやっていくかということはあると思いますけれども、やはり制度としてはこういうものを残しておかなければ、財政収入の確保という本来の目的に影響を及ぼすのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  121. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 たばこの場合は、とにかくできている品物はいま何種類ありますか。画一的ですから、たとえば私が素朴に投げかけたような疑問というのででき得るし、酒の場合にはいま千八百種類ぐらいありますかね、銘柄もそれぐらいありますか。とにかくたばこのようには画一的ではないわけですね。しかも酒税は月々になりますかな。ということになりますと、おのずとこれは限られていなければいかぬので、酒とたばこは若干事情が違うような気がするわけなんですね。いずれにしろ、国家財政を支える大きな柱だからこのことは許されるんだということに、簡単に言ってしまえばなると思うのです。  法制局として、いまのあれを聞いていてどうなんですか。たとえば、いま酒の免許を生協なり大きなストアがおろせおろせとかなり大きな運動になっているわけですね。万が一この薬事法との関連で裁判ということになると、最終的にはまた最高裁の判決を見ないと、酒とたばこという国家財政の中の大きな割合を占めるものですから、また形態が薬の場合と違うし値崩れということはちょっと考えられないような気がする品物ですから、若干薬とは違うように私は思いますけれども、果たしてその辺はいまのようなことでたえ得るのかどうなのか、法制局としてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  122. 茂串俊

    ○茂串政府委員 私からは立場上、いま一般論を踏まえてお答え申し上げたいと思うのですが、一般的に言いまして、いわゆる営業の自由の具体的な規制措置が憲法上是認されるかどうかということは、ただいま御指摘のございました薬事法関係の判決の理由にも述べられておりますように、規制の目的、必要性内容と制限される職業の自由の性質、内容あるいは制限の程度というものを検討しまして、これらを比較考量した上で慎重に決定されるべきものでありまして、決して一律に論ずることはできないと思うのでございます。したがいまして、今回薬事法につきまして違憲の判断が示されたからと言って、それを根拠として直ちに現在地域的な制限制をとっております他の営業の許可等につきまして違憲の疑いが生ずるという筋合いのものではないというふうに理解をいたしております。  と申しますのは、今回の薬事法関係の判決、あるいはまた過去の最高裁判所の判決によりますと、営業の自由の法的規制のうち、薬事法の許可制のように社会公共の安全とかあるいは秩序の維持といった消極的、警察的目的のための規制措置につきましては比較的厳格に解するのに対しまして、社会経済政策の実施の一手段としての法的規制措置につきましては、主として立法政策の問題であるとしまして立法府の裁量にゆだね、立法府がその裁量権を逸脱してその措置が著しく不合理であるということが明白である場合に限ってこれを違憲とすることができるというような判断が示されております。  そこで、酒税法とたばこ専売法におきましては、先ほどから答弁がありましたように、財政収入の確保の見地から酒類販売業の免許制度とかあるいはたばこの小売人の指定制度がありまして、それぞれの免許制限あるいは指定の制限に関する規定が置かれておるわけでございます。その制限の一環としまして、先ほどの答弁にもありましたように、酒税法のたとえば十条の十一号あるいはたばこ専売法の三十一条の一項三号というような規定の運用としまして、距離制限の基準が設けられておるわけでございます。これらの規定とその運用としての距離制限につきましては、まさに財政収入の確保という財政政策の見地から必要であるとしてとられている規制措置でございまして、先ほど申し上げました判例の態度から見ますと、これらの規定あるいはまたこれに基づく距離制限という措置制度として合理的である以上は、憲法に違反することにはならないのではないかというふうに私どもとしては考えております。
  123. 佐藤観樹

    佐藤(観)小委員 終わります。
  124. 伊藤宗一郎

  125. 増本一彦

    増本委員 きょうは税務行政の問題に限ってお尋ねします。  昭和四十八年の二月二十八日に東京国税局長の名前で、その管轄下の各税務署長あてに「納税非協力者および納税非協力法人に関係がある弁護士および税理士の課税状況等調について」という通達を出した。その中身を見てみますと、  「納税非協力者(法人を含む。以下同じ。)に関係がある弁護士および税理士の課税状況等については、従来、そのは握が十分でないため、課税の適否が不明確であった。このため、次により納税非協力者に関係があると認められる弁護士および税理士を的確には握し、これらの者の課税状況検討して、適正な課税水準の維持に努めることとする。  なお、局において納税非協力者に関係があると認めた弁護士および税理士は、別添の名簿のとおりである。  1 納税非協力者に関与している弁護士、税理士のは握納税非協力者の事後調査法人税調査および所得調査カード、法人税決議書つづりならびに納税非協力者が行なっているPR等により、納税非協力者に関与していると認められる弁護士および税理士の全部の者について別紙1「納税非協力者に関与している弁護士税理士名簿」を作成する。  2 納税非協力者に関係があると認められる弁護士、税理士の課税状況等のは握別添の「1、納税非協力者に関係があると認められる弁護士の名簿」および「2、納税非協力者に関係があると認められる税理士の名簿」に記載されている者ならびにこれらの名簿には記載されていないが各署で納税非協力者に関係がある者としては握しているものについて、納税非協力者関係担当者が別紙2「納税非協力者に関係があると認められる弁護士税理士の課税状況調」を作成する。  3 局への報告上記1および2は、それぞれ二部作成することとし、そのうち一部を昭和四十八年四月三十日までに局所得税課(所得第六係)へ提出する。  なお、残りの一部については、昭和四十七年分申告審理の際に活用するほか、今後の管理のために署で保管する。」  こういう通達を出して、そして弁護士及び税理士の名簿が添付されている。たとえば「氏名、増本一彦。事業所、藤沢市藤が岡一−六−二。住所、同左。所属、横浜」そして備考欄に「マル自マル共代議士」(注)を見ると「「備考」欄の「マル自」は自由法曹団に属していることを示し、「マル共」は党員またはシンパであることを示す。」こういうようになっている。  これは、納税非協力者というように税務当局が認定した者、関係のあるというのはそれとの依頼関係がある、そういう弁護士や税理士だけ特定にマークをして名簿をつくり、別枠で課税状況を調べろ、こういう中身の指示になるわけですね。名簿に出ている者だけで弁護士が百九十九名、税理士は八十二名。われわれだけでなくて、せんだっての昭和四十七年の選挙で社会党からお出になった弁護士の名前まで載っている。  一体、こういう通達を出したのか、どういう目的で出したのか、まずその点をはっきりさしていただきたいと思います。
  126. 横井正美

    ○横井政府委員 ただいまお読みになりました通達、東京国税局長の極秘通達ということで出ておりますことは認める次第でございます。  これの趣旨等でございますが、私ども税務当局といたしましては、課税の適正公平ということを実現いたしますために、できるだけ納税者につきまして課税状況等を把握したいということは当然のことでございまして、そのように努力をいたしておる次第でございます。そういうことのために必要とあれば、いろいろな角度から国税局が課税状況の把握に必要な報告を税務署に求めておるということでございます。ただいま御指摘になりました通達につきましては、東京国税局から事情を聴取いたしましたところ、そのような管内の納税者の申告あるいは課税状況を把握して、適正公平な課税の実現をするために部内資料整備したというものにすぎないということだそうでございます。  この理由でございますが、一般的に私ども各種の資料を収集整理するようにいたしておるわけでございまして、たとえば弁護士、税理士につきましても同様の資料収集を図っておるところでございますが、納税非協力者に関係がある、あるいはあると思われる弁護士あるいは税理士につきましては、一般の場合に比べまして関与先等の法人あるいは個人納税者から資料が集められないということが通常でございます。普通でございますと会社調査あるいは個人所得税調査の段階におきまして、弁護士さんあるいは税理士さんに報酬等を幾ら支払ったというふうな資料の収集がかなりの程度において可能なわけでございますけれども、納税非協力者関係につきましては、納税非協力者ということのために帳簿が整備されておらない、あるいはまた、弁護士、税理士等に関します事柄につきまして資料が収集しがたい、こういう実情にあるわけでございます。  そういう意味からいたしまして、一般の弁護士、税理士に比較いたしまして、客観的な資料整備し、それに基づいて判断するということが大変むずかしいという状況があるようでございまして、そういうことからこの課税の適否が不明確であるということも考えられるわけでございまして、そういう状況から、当時国税局管内の納税非協力者に関係がある方あるいはまた関係あると思われる方につきまして、実態把握のために税務署から報告を求めたというものでございます。したがいまして、これは関与先等が納税非協力者等であるということのために協力を得られないというふうなことから、実態把握のために税務署に報告を求めたものにすぎないということを御了解いただきたいと考えるわけでございます。
  127. 増本一彦

    増本委員 私も立ってやりますから、ひとつあなたも立ってやってください。  課税の適正というのは個別的、具体的な問題でしょう。弁護士はそれぞれの依頼者の事件を受けて、そうしてそれに基づいてやるわけですね。それをあなた方の方で、担当している弁護士の依頼客が納税非協力者だ、それに関与している弁護士は別枠でマークをしなくちゃならないという理由はどこにあるのですか。反面調査のための資料が手に入らないというのだったら、なぜ直接来ないのですか。  私の名前が出ているから、じゃあ私でいきましょうよ。私の課税状況が適正でないと言うなら、それの証拠をはっきりちゃんと出してごらんなさい。藤沢税務署は今日まで一度だってそういうことで、どこどこの依頼者から幾ら報酬をもらったかということで来たことがあるか。弁護士はだれだってみな同じじゃないですか。  もう一つは、納税非協力者とか非協力法人と言うけれども、これは一体それではどういうものを指しているのですか。それに関係をしているという弁護士、税理士というのはどういう関係をしている弁護士や税理士のことを言っているのですか。当時の国税局長は主税局長だったんですね。そのことをまずはっきりさせてください。
  128. 横井正美

    ○横井政府委員 座って答弁いたしまして大変失礼申し上げました。  私どもは、各種の角度から資料の収集整備を図っておるということを申し上げたわけでございます。ただいま御指摘になりました通達に基づく報告あるいは資料の整理というものが唯一のものではございません。一般論といたしましては、私ども内部にいろいろな角度から集まりました資料を持っておりまして、申告書が出ますと、それに照らし合わせまして申告審理をし、必要があれば調査をするという体制になっておるわけでございます。一般の弁護士、一般という言葉が適切であるかどうか存じませんが、一般の弁護士、税理士につきましても、私どもいろいろな機会に資料が集まってまいりますので、それを整理しておりまして、それが申告の審理に役立っておるということになっておるわけであります。  納税非協力者関係につきましては若干資料が集まりにくい、こういうことがございますので、先ほど申し上げましたようにこの通達が出たわけでございまして、この通達によりまして直ちにこれに関係されておる弁護士、税理士の方々は低位申告をなさっておる、あるいはまた、調査をする必要があるというふうなことを考えておるわけではございません。課税の申告なり課税状況の整理をし、状況把握をしたい、ただこれだけのものでございます。  それから、第二の御質問でございます非協力者あるいは非協力法人とは何かということでございますが、私ども税務の一線におきまして、非常に低位申告をなさる、調査に参りますと調査を拒否される、あるいは忌避される、あるいは妨害をされるというふうな方々が現に相当数いらっしゃるわけでございます。また、そういう方々の中には税務署に対する誹謗をなさる。たとえば私どもが青色申告の推進をいたしておりますと、それはいわゆる重税を課そう、こういう趣旨からやっておるんではないかというふうな誹謗をなさる、こういう方々もあるわけであります。  そういう観点から、私ども、低位申告をなさる、あるいは調査の忌避、拒否、妨害がある、あるいは税務署を誹謗されるというような方々につきましては、やはり慎重に対処いたしてまいらなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございます。  もちろん、先ほど来御議論がございますように、全体の事務量がきわめて多くなりまして、職員数が乏しいということでございますから、納税者の全部について調査することはできませんし、非協力であるというふうな方々についてもそうたくさん調査できるわけでもございません。やはり私ども個人所得税納税者あるいは法人の方々につきまして、極力事務量の範囲内で大口な方から、悪質な方から、漏れが多いと思われる方から調査をする、こういうことにいたしておるわけでございます。  また、ここにリストがございまして、大変申しわけないのでありますが、増本先生のお名前が出ましたけれども、これらにつきましてどの程度関与されておるかということ等につきましては、国税局、税務署もやはり人間のやることでございますから、ときに過ちがなきにしもあらずということも考えられますので、もし誤りがございましたならば、その辺は今後訂正をいたしたいと、かように考えております。
  129. 増本一彦

    増本委員 あくまでもあなた方はこの名簿で合理化するわけですね。弁護士や税理士の依頼先によってその弁護士や税理士を特別にマークされて、別枠で名簿がつくられ、別に力を入れて、そうして課税状況調べをしなくちゃならぬ、そして国税局にも報告をする、こういうことをやれということが通達に出ているわけでしょう。しかもそれを担当するのが東京国税局の所得税所得第六係、いわゆるあなた方が言う納税非協力関係担当者の元締めのところへ出せ、こういうことになっておるわけです。  それで、もう一つは、あなたの方でいま言ったその納税非協力というのは、申告水準が低いとかあるいは調査を妨害したり忌避する、重税だと言って青色申告を誹謗する、三つの例を挙げたけれども、申告というのは、その所得計算そのものについての自分の認識を申告に反映するということですね。これは個別、具体的なものでしょう、その納税者納税者によって。調査を妨害するという問題にしても、私が関係していると言うから言いますけれども調査に来たときにはその調査の理由をまず明らかにしてくれ、自分の出した申告の内容のどこがどういう問題なのか、それに応じてちゃんと質問もし、答弁もし、調査協力しよう、そのところがはっきりしなければ調査と言っても受けられないじゃないか、こういうことを主張するわけでしょう。これはあたりまえのことですよ。  それから、更正決定が出されたら、その更正決定の理由を白色の場合には付記されていないから、税務署へ行って、教えてくれ、異議申し立てや何かをしなくちゃならないかもしれないし、あるいは納得のいく理由が説明されるかもしれぬ、そういうことを要求することでしょう。逆に、そうして異議申し立てをした後でも、それに対する決定が出されたときには、行政不服審査法などでちゃんと決定には理由を付記しなくちゃいかぬというように書いてあるのに、法律の要求するとおりに理由が書かれていないことが多い。だから、そういう理由付記はきちんとやってくれ。私もあなた方を相手にしてそれで最高裁まで裁判をやったことが何遍もありますね。実際にその理由付記で、最高裁であなた方は敗訴している。そういう事案だってたくさんある。  青色申告の慫慂は重税だというような形で誹謗しておると言うけれども、これだって一つの申告制度に対するそれぞれの人たちの主張でしょう。それは評価はいろいろある。多角的にいろいろ税制度検討しなくちゃならぬ。そこからいろいろな反対の理由も出てくるでしょう。たとえば記帳が全体として低いということは、これはその人の自主計算、自主申告という立場からいけばそれはそれで進めていかなくちゃならないことだ。しかし、それと同時に、そのことから国税通則法で問題になった記帳義務、これはみんなの反対で撤回もされた、そういう経過もあるし、あるいはいま問題になっている付加価値税というようなところへ移行されていくというようなことになるかもしれぬという評価を持つ人があっても、それが重税だと言って誹謗することだというように短絡はいかないはずですよ。それはそういう人たちの一つの問題です。そういうお客さんを持っている弁護士とか税理士というものがそれだけで特別にマークをされなくちゃならないという理由はどこにあるのですか。そのことがこの通達では全く配慮をされていない、重大な問題だ。  卑近な例が、たとえば弁護士だったら殺人犯人の弁護もする、放火の犯人の弁護もする。だからと言って、その弁護士がそういう犯罪者と関係があるというようなことで、警察は特別のリストをつくりマークをするというようなことをやりますか。この通達はそれと同じことを、税務当局の側から見て納税非協力者、それをお客さんに持っている弁護士や税理士は特別にマークをしろ、そういう内容になっているわけです。弁護士とか税理士は、こういう仕事の性質からいろいろな依頼者がいる。その依頼者に応じて各官庁や権力の側がマークをしたり特別の手だてをとり、不利益を与えるようなことをやっていくというようなことになったら、それぞれの果たさなくちゃならない職責そのものが果たせないということになるじゃないですか。  弁護士法の第一条は何と書いてありますか。弁護士の使命は基本的人権擁護と社会正義の実現だ、これを使命にする。そして当然弁理士や税理士の資格を持っている。だから課税関係の処分で不服のある者は相談に来る。それを受けるということは当然であるし、そういう人から課税関係に限らずに一般の普通の民事事件の相談だって受ける。そういうものとかかわりを持ったら特別のリストをつくって税務署からはにらまれるようになるぞというようなことになったとしたら、それは弁護士や税理士の職域そのものを権力によって狭め、制限するというような不当な介入をするということにもなるじゃないですか。あなた方は幾ら課税の適正を確保するためとはいえ、それをお客層によって特別にマークして、そうして特別扱いをするというようなことは、これは税法のどこを見たってそんなことができるというような根拠は何にもないじゃないですか。あると言うのだったらひとつ教えてください。
  130. 横井正美

    ○横井政府委員 納税非協力者の問題と、それから関係弁護士、税理士さんを別枠にするという問題の二つございますので、前段の方からお答えしたいと思います。  私どもは、申告書が出ますと、申告審理をいたしまして調査に参るわけでございますが、その際におきまして、先ほど増本先生からは、調査理由を言わなければ調査をさせない、あたりまえじゃないか、こういうことなどの御指摘がございましたけれども、私ども実際に一線で担当いたしております状況を申し上げますと、こういう方々は大部分が青色じゃございませんで、白色の申告者でございます。それで、参りましても証拠等ございませんし、申告書を見ましてもいわゆる決算等がついておらないという状況でございます。私ども見まして、どうも申告が適当かどうか問題があるということで伺うわけでございます。何年分の所得税調査に参りましたというようなことは申し上げられるわけでございますけれども、  しかしながら、申告書面から拝見いたしますと、売り上げが少ないのか、あるいは売り上げの漏れがあるのか、あるいは経費の水増しがあるのか、その辺のこともわからないような状況調査に参らざるを得ない場合が多いわけであります。そういう際におきまして、たとえば経費の交際費のところが悪いのか、あるいは人件費のところが悪いのか、その理由を言わなければ調査させないぞということでございましたならば、私どもの税務の課税の公平、適正ということはとうてい期し得られないわけでございます。いわゆる「納税者心得十ケ条」というふうなものが配付されまして、そういう場合に調査理由が納得できなければ調査に応ずる必要がないのだというようなことを……(増本委員「お客様がそういうことをやっているということと、それに関係している弁護士もだから特別にマークをしなくちゃならないという、そういうこととは全く違うじゃないか」と呼ぶ)まあそういうことでございまして、私どもやはり税務は適切にやってまいりたい、かように考えております。  そこで、第二の点でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、このことは、これによりまして関係の弁護士、税理士の方々を特別にマークをして調査しろ、こういうことではございません。一般のその他の弁護士さん、税理士さんに比べまして若干資料の収集が十分でないから補完をしようということでございまして、特別にマークしたりあるいは特別に調査をしなさい、こういうことの内容ではないということを御了解いただきたいと思います。
  131. 増本一彦

    増本委員 マークをしているんじゃないと言うけれども、そういう人間の名簿をつくったわけでしょう、国税局で。中橋局長の指示で当時つくった。それが弁護士百九十九名、税理士八十二名、そしてこれに漏れている人間はそれぞれの管内で調べて、リストをつくって報告しろ、二部つくって一部は手元に置き、一部は局へ出しなさい、そういう指示になっているんでしょう。マークをしているのじゃないですか。しかもお客さんがやったからと言って、それでどうしてそういう依頼者を持っている弁護士や税理士が特別にそういう名簿をつくられ、特別の当局の関心の的にならなければならないのですか。マークをしていないのじゃなくて、マークをしているのですよ、極秘の通達でこれだけ特別に名簿をつくれ、そういう指示を出しているのだから。  私の名前が出ていますけれども、私がいまあなたが言ったようなそういう調査妨害を慫慂したり、教唆したり、あるいは一緒にやったというようなことがありますか。そういう報告は受けていますか。私個人としては、いまの当局の質問検査権の考え方については、別の考えを持っている。それはちゃんともう八年くらい前ですか、「税理士界」という雑誌にも論文を出したし、そのほかいろいろな形でその点についてはこれまでも堂々と書いてきたし、また皆さんとの裁判の中でも、準備書面等でそういう主張はしてきている。だけれども、それは一つの理論的な主張ですよ。そういうことをしているからと言って、たとえば納税非協力者に関係のある弁護士だということで特別にマークをされなければならないのですか。  しかも重大なのは、そのやっている仕事がどうかという側面からだけ見ているのじゃないということですね。さっきも言ったとおり、名簿の備考欄にはマル自マル共と書いてある。注によればマル自は自由法曹団に属していること、マル共は党員またはシンパ、私はおまけに代議士ということまでくっついている。政治的な信条や所属団体、そういうものまでもこの中では注意をしている。そういうことになったら、これでどうして法のもとの平等なんというものは保障できるんですか。だから、これはそういう意味から言っても重大な人権侵害の通達ですよ。それだけじゃなくて、予断と偏見を最初から持っている。同じ弁護士という仕事の中で課税上のいろいろな問題があるんだったら、それは個個のそれぞれの弁護士に対して法で認められている手だてをとればいいのじゃないですか。これだけ特別に資料を収集し、目っこを光らさなければいかぬというようなことをやる理由も根拠もどこにあるんですか。これでもまだあなた方はいままでの立場を合理化しますか。
  132. 横井正美

    ○横井政府委員 お客がこうだからこうだというふうに見ておるじゃないかというお話でございますが、この通達は、先ほど来お読みいただいているわけでございますが、納税者が非協力であるからこのリストに載っておる弁護士、税理士の方々も非協力なんだ、あるいは低位申告をされておるのだ、だから調査の必要があるんだというふうなことで書かれておるわけではないわけでございます。通達上にあらわれておりますところは、資料が不完全であるから整備をしょう、こういうことでございます。決してここにございます弁護士さん、税理士さんがそういう税務非協力をあおり、そそのかしたというようなことを申しておるわけではございません。  それから、注にございますのは、その注のすべてが正確であるかどうかわかりませんが、私ども内部で知り得たことということでこの注書きをしただけでございまして、その注に基づいて調査をしなさいとか、特別にマークをしなさいとかいうことではないということを御了解いただきたいと思います。  全体的に申しまして、納税非協力者の方々でございますから、そちらの方面からの弁護士報酬なり税理士報酬なりの資料が入手しにくいから、内部の関係で資料整備を図った、こういうことでございまして、私ども調査権を逸脱して余分なことをした、あるいは特別にそれをマークし、調査をしようとしておる、こういうものじゃないということを御了解いただきたいと思います。
  133. 増本一彦

    増本委員 全く了解できないですよ。「納税非協力者に関係があると認められる弁護士、税理士」というのでしょう。これだけ別枠にしたわけでしょう。これについて局の方で把握している名簿を添付した。まだ漏れている者については、それをそれぞれの署でつかんで報告しなさい。お客層から見て、それに関係のある弁護士、税理士ということだけで、特別にマークをしているじゃないですか。  それからもう一つは、この局の所得税課の所得第六係にこれを提出しろというのでしょう。しかも、それをやるのは納税非協力者関係担当者がやれ。通達の表紙には局の直税部所得税所得第六係塚本という名前まで書いてある。課税の適正を図り、そのための必要な資料がほしいというんだったら、それは私なら私という、あなたにとっては納税義務者に対して、この点について不明確だからどうだという照会があってしかるべきじゃないですか。それで済むことじゃないですか。反面資料がとりにくいということで特別に名簿をつくり、それについては別に課税状況を調べるような手だてをとりなさいというのがこの通達じゃないですか。一般の、ほかの、この名簿に記載をされていない弁護士さんとは違ったやり方がここでとられるということになるじゃないですか。  それで、しかも課税関係だけの問題だったら何も所属団体なんというのは要らないじゃないですか。政治的な信条はどうかなんていうことだって、書く必要はないじゃないですか。ところが、ちゃんと丁寧に備考欄にマル自だとかマル共だとかいうことまで記載をしているじゃないですか。このマル自とかマル共というのはどこから入手をした資料で判定をしているのですか。特別にマークをしているということは明らかでしょう。所属団体や政治的信条まで備考欄にきちっと明記をしているが、その判定をした資料はどこから入手をしているのか、この二つについてもう一度答えてください。
  134. 横井正美

    ○横井政府委員 ただいま先生からお話のございました、御本人に聞けばいいじゃないか、こういうことはまさに調査でございます。私どもは、申告書が出ました段階で、各種の部内資料を持っておるわけでございまして、そういうものと照らし合わせまして申告審理をするわけでございます。いまのこの通達は、御本人に対する調査の前段階といたしましての資料整備でございまして、調査とは違う、こういう点、おわかりいただきたいと思います。  それから、一般の方とどう違うかということでございますが、確かにここにございます方々につきまして、資料整備するという意味合いにおきまして別枠にしておることは事実でございます。これは、先ほど申し上げましたように、一般の場合におきまして会社、個人等からの資料がいろいろ集まってまいっておる。ところが、納税非協力者関係については、資料整備がそういう面で不十分であるということで別枠にせざるを得なかったということでございます。  いずれにいたしましても、弁護士さん、税理士さんに限らず、いろいろな納税者の方々につきまして私どもは内部の資料を持っておりまして、申告書が出ますと申告審理をし、必要があれば調査するということでございますので、その体制が、ここにリストアップされました方々とそうでない方々で扱いが異なっておるということはないわけでございます。  それから、この注書きでございますが、これがどういうところから入手した情報であるか、それは私、報告を受けておりませんし、また、これはお答え申し上げるべきことでもないかと思いますので、御容赦願います。
  135. 増本一彦

    増本委員 あなたはがんこにしがみついていますけれども、これは全国各局全部同じような通達を出して、同じようなことをやっているのですか。その点はどうですか。
  136. 横井正美

    ○横井政府委員 それぞれの局署におきまして、税務の適正公平な運営上必要と思われる施策を講じておるわけでございます。他の局におきまして、この非協力者関係と思われる弁護士さん、税理士さんにつきまして、こういう通達を出しておるということは聞いておりません。しかしながら、それぞれの地域実情に即しました業種等を選んで資料整備を図るというようなことはやっておるところかと思うわけであります。
  137. 増本一彦

    増本委員 どこから見ましても、これはお客さんとの関係でその弁護士ないし税理士が特別にマークをされ、そして特別に目っこを入れて調べられる。それは直接質問検査権を使ってやる場合には限らない、資料収集ということでいろいろやるようになるのでしょう。だから、納税者である弁護士、税理士が自分の申告その他の関係で何か非違を犯しているということではなしに、依頼者であるお客さんとの関係でこういうふうに枠づけられてやられるということは、これは行き過ぎもはなはだしいと思う。だからこれはもう全部撤回をして回収をすべきです。  これを見ますと、「昭五一・三・三一日限り焼却」となっている。まだ現に効力を持っている通達なんですね。これは日本弁護士連合会に提起してみなさい、大問題になりますよ。これは個々の弁護士にとっては重大な人権侵害です。  そこで長官に伺うのですが、いまお話をお聞きになっているような状況です。これはもう全部回収をして——課税関係というのは個々の関係なのだから、個々の関係でいろいろ問題のある点についてはその問題をきちんと詰めて解決をしていく、その中で適正が図られるという性質の問題だから、こういうことでなくて、そういうように原則に戻すべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
  138. 安川七郎

    安川政府委員 増本委員と横井直税部長の質疑応答を私聞いておりまして、二、三補足いたしまして申し上げなきゃいかぬと思います。  第一は、税務調査というもの、これは各界各層あらゆる層にわたりまして、またあらゆる角度からいろいろな資料を内部的に整備いたすわけでございます。でございますから、たとえば業種をとりましても、あるいは業種の中の特別な地域をとりましても、あるグループごとにそういういろいろな資料整備するということは、私は十分あり得ることだと思うのです。ですから、これは一切いけない、これはそのグループの中へ入った人の非常な差別待遇だと端的に決めつけられますと、われわれの仕事はもう全くできなくなる、こういうことを申し上げたいと思うのです。  それから第二は、あるプロフェッション、職業のお客さんによって区分けするということは、私はいろいろの場合があるかと思います。当該のお客さんが非常に所得の高い方でその料金等も大変高い場合と、あるいは逆に世間的な水準から決して豊かでないもの、したがいまして料金等も安い、あるいは場合によれば手弁当でいろいろケースを扱わなきゃいけないという場合も私は十分あるかと思うのです。  ですから、そういう場合に、何かこのグループについて目の子をして特別に強い課税をするのではないか、こういうような御疑問があるようでございますが、私はそうではないと思うのです。そういうような課税と直接結びつく問題でもございませんし、場合によればそれは強弱両様の資料となってまいるわけです。いわんやこの通達というものが資料という段階にとどまっておりまして、これは課税方針を明示したものではないのであります。その点は横井直税部長からるる御答弁申し上げたところだろうと思います。したがいまして、通達の表題が何か非常に適切を欠いている、あるいは非常にぎらぎらしたというような感じ、そういう点は確かにあると思いますが、しかし、内容そのものは私は別にそうおしかりを受けるようなものではないのではないか、かように感じておるわけでございます。  なお、その団体につきましてもいろいろ非協力の関係が出てまいりました。これは非常に理論的にきれいに説明いたしますといろいろ問題がございますけれども、しかし、われわれの第一線がこの非協力関係で困っておるというような場合にはもっともっと複雑ないろいろな問題がございまして、あるいはなかなか理屈の上できれいに整理するような問題ではございませんで、たとえば帳簿を見せてもらいたい、確かに帳簿はある、しかしそれは某所にあってきょうはない、それでは何月何日を期して持ってきていただきたい、こう要請して帰るわけでございます。その日に行くと、いや、都合が悪いからだめだ、こういうことが実は累次にわたって繰り返される。そういうような非常にどろ臭い問題でございまして、これはよく実情をごらんいただかなければいかぬ、かように考えるわけでございます。  それから、こういうものが焼却云々と、こう書いてございますけれども、これはかような全くの内部資料でございます。こういうような資料というものが外へ出るということになりますと、確かに先生の御質問あるいは御疑問がございましたように、要らざる一つの波紋を巻き起こすわけでございます。さようなものは、用が済んだら当然廃棄すべきだろうと思います。そういうことでございますから、こういうような扱いというものは、私はある意味で当然だと思います。この資料が現にどういうふうに使われているか私よく存じませんけれども資料そのものをそのゆえをもって廃棄するということにはならぬのではないか、私はかように思います。
  139. 増本一彦

    増本委員 時間もあれですから結論に入ります。  あくまでもこの通達はそのまま続ける、こういうことですね。
  140. 安川七郎

    安川政府委員 この通達の性格は、実はいま伺いましたのではっきりいたしませんが、書いてございますように自動的に消滅いたします。したがいまして、これは資料の作成の通達でございますから、資料を作成いたしましたら当然用がない、こういうことでございます。たとえば課税方針云云ということでございますと、ずっと存続する限り効力を得ますけれども、これは一回限りの資料でございまして、私はそういう意味で、あえてこの際これを破棄するとかあるいはやめるとかいうような措置は必要ないかと思っております。
  141. 増本一彦

    増本委員 個々の弁護士をとったって、依頼客というのはたくさんいるわけですよ。私の経験で言ったって百件ぐらい抱えている。小さい事件ばかりですよ。その中にたとえ一人あなた方が言う納税非協力者というのがおって、それと関係したということだって、これでいけば納税非協力者に関係のある弁護士ということになりますよ。あなた方がそういうように見ている人間とは一般の法律相談もできなければ、事件の依頼も受けられない。だってそうでしょう、そうしたら必ずこのブラックリストに載っかるんだもの。だからこれは、弁護士、税理士という職業を持っている人たちにとっては、非常に重大な人権侵害ですよ。お客の層によって税務当局で見る目が違う。そういうことになりませんか。どうですか、政務次官。
  142. 安川七郎

    安川政府委員 第一は、ブラックリストというようなお話がございましたが、私は決してこれはブラックリストだと思っておりません。  それから第二は、お客の層によって所得水準というのは当然変わってまいりますし、料金の水準というのも当然変わってまいりますから、それと税務というものは全く無縁ではない、当然相当程度の相関関係があるわけでございます。そういう意味において、資料をつくるということは決して不合理でも何でもない、私はかように思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、何かこの表題が非常に適切を欠くという問題は、私は確かにあろうかと思っております。
  143. 増本一彦

    増本委員 では、この名簿に載っていない弁護士さんについてはどういうことをやっているんですか。別の通達を出して、これと同じようなことをやっているんですか。課税状況を特別に調べろというようなことをやっているんですか。
  144. 横井正美

    ○横井政府委員 各局によりましていろいろな施策がございますから一概に申せませんが、業種別あるいは地域別、グループ別等によりましていろいろな収集を図っておると思うわけでございます。一般的に申しますと、弁護士さん、税理士さんにつきましては、裁判所の事件に関与されておる状況でございますとか、あるいはまた会社等からの弁護士の報酬あるいは税理士の報酬、顧問料、こういうものの資料が通常のプロセスを経まして流れ込んでおるわけでございますから、その面におきまして、特別な通達を出して特別に資料収集をしておるということは余りないのではないだろうか、かように考えております。
  145. 増本一彦

    増本委員 町の一般の、私もそうだし、恐らく横路さんもそうだったと思うのですが、普通のいわゆる市民事件という、借地だ、借家だ、あるいは相続だ、交通事故だ、そういうことをやっている弁護士というのは、日本弁護士連合会などの調査によっても九七%ですよ。そういう人たちにとっては、顧問料だ何だというのは、そういう法人なり何か別のところから反面資料や何かで来るというものじゃないでしょう。だけれども、それでも別の手だてはとってない。またとる必要もないわけですよ。それぞれの個別の納税関係の問題なんだから。税務関係というものはそういうものなんだ。  だけれども、そのうちたまたまお客さんがあなた方が言う納税非協力者だ、それに関係している弁護士だというのでこういうリストに載っかる。これは公表されているものじゃないですね。極秘で、局のあれを見ても、直所極秘第六十二号だとか、直法極秘第六十六号だとか、総総極秘第八号だとか、ともかくそういう極秘ということでこういう名簿がつくられて、名簿が流され、さらにリストアップして名簿に載せられる。これはブラックリストですよ、やみにあって表に出てくるものじゃないんだから。しかもそういう弁護士、税理士については、課税状況の報告まで別手だてでしなければならない、こういうことになっている。これはちょうどアメリカで、政府の気に入らない者とか何かに対してCIAがいろいろなリストをつくってやった、そういうこととちっとも変わらないやり方だというふうに私は思うのですね。どう考えたって行き過ぎですよ。最後に政務次官の御意見を伺って、時間ですから終わります。
  146. 森美秀

    ○森(美)政府委員 不勉強で大変恐縮でございましたが、こういう事実を実はいま初めて聞きました。先ほどから増本委員国税庁の諸君との話を聞いておりまして、私ごとで恐縮でございますが、五年前に私、破産に近い状態になりまして、税金を払いたくてもどうしても払えない、その私の五年前の状態を納税非協力者と言われたらつらいな、払う意思はあるのだけれども銭がないんだという気持ちでおったわけでございます。  しかし、税務署の立場から見れば、そういうことがたび重なればあるいは納税非協力者にもなろうし、またそれをいろいろ弁護してくれた方は、納税非協力者に関係のある弁護士さん及び税理士さんということになろうかとも思われます。私は、国民は性が善だとは思っておりますが、国税庁の立場からいきますとこういうこともあり得るのかなと思いながら、実は自分のことと引き比べながらお話を聞いたわけでございます。私はむしろ政府委員の立場よりも一国民の立場として、両方の立場、いろいろ微妙なものがあるなということで、答弁にはなりませんが、それにかえさしていただきたいと思います。
  147. 増本一彦

    増本委員 これはともかくこの通達を撤回して回収してもらうまで私はこれを見詰めていきたいと思います。  これで終わります。
  148. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十分散会