○竹本
委員 私はきょうは
一つ提言をして、
大臣のお
考えを承りたいと思います。
問題は、中高年の独身婦人に対する所得控除の制度を新たに
考えてもらいたい、こういうことでございます。
中高年の独身婦人に対する所得控除ということを私が申し上げるのは、御
承知のように、ことしは国際婦人年でもありますし、わが国の婦人の地位というものは、いろいろ問題が
指摘されておりますように決して高いものではありませんし、特に中高年の独身の婦人の社会的な
立場というものは非常に弱いものである。そういう
意味でこの問題を取り上げてみたい、また
大蔵省としても是非検討をしてもらいたい、こういう
意味であります。
私自身、今日の政治はいろいろ批判をいたしておりますけれ
ども、その一番大きな
矛盾と申しますか弊害というものは、今日のデモクラシーがいわゆる組織化された大衆デモクラシーである、オーガナイズド・マス・デモクラシーである、そのプリンシプルは、メア・ウント・メアと言った人もおりますが、もっとよこせもっとよこせである。そういう行き方には私は常に反対をしておるつもりでありますが、いま申し上げる中高年の独身の婦人の
立場というものは、そんな圧力団体にむしろなり得ないところに問題がある、かように
考えまして、その弱い
立場の人たちにこそこの際温かい手を差し伸べてやるべきではないか、たまたま国際婦人年であるということも
考えまして、この提案をいたしたいというわけであります。
どういうことを
考えておるかという私
どもの構想は、まだ十分検討し尽くしたとは申しませんけれ
ども、こういうような
考え方であります。
独身婦人のうちで年齢の四十五歳以上の者で老年者に該当しない者について、所得税においては所得制限を設けまして、それが三百万円がいいかどうか、これも検討を要しますけれ
ども、一定の所得制限の
もとに中高年の独身婦人控除というものを設ける。たとえば控除額は二十万円の控除をしたらどうか、地方税については十六万円の控除をしたらどうか、こういう内容であります。
どういうわけでそういう提言をしたいと
考えるかと申しますと、先ほ
ども簡単に申しましたけれ
ども、何と申しましても日本におきまして婦人の地位が弱いし、いま私が申し上げている四十五歳以上の婦人というのは、いわば
一つの戦争の犠牲者であるということであります。と申しますのは、ちょうど戦争中に自分の結婚のチャンスを自分の意思ならずして失ってしまった人が多いということでありまして、この間国際婦人年でいろいろ婦人の方々の御意見も聞いてみまして、私も、そういう点に対するわれわれの配慮というものが少な過ぎたということを反省しながら、この提言をいたしておるわけであります。
戦争中に自分の相手の男性が戦場に行って死んでしまったということのために、婚約はしておったけれ
ども結婚はしないという人もおるでしょうし、あるいは適齢期を迎えておったんだけれ
ども、戦争のごたごたの際でついにチャンスを得ないままになってしまったというような人もたくさんいるようであります。そういう
意味で、これらの人たちというものは結局戦争の
一つの犠牲者ではないか。それに対して今日までいろいろ戦争の被害者、犠牲者というものには
政府としてはできる限りの手を伸ばしてきたでありましょうけれ
ども、これらの婦人に何が与えられたであろうかという反省をまずしたいと思うのであります。
特に、この日本の婦人の地位ということについては、
大臣も御
承知のように、たとえばまず賃金の問題から
考えてみましても、これは労働省が発表した四十八
年度の「婦人労働の実情」というものによりますと、一九七二年に西ドイツでは男子に対して七〇%、フランスでは八七・八%、オーストラリアでは七八・四%であるけれ
ども、日本の賃金収入というものは大体半分、五〇・二%になっておるということでございまして、これは男女同一労働同一賃金と言われておりますけれ
ども、
現実にはまだまだ婦人は半分くらいであります。そういうことの結果としまして、四十七歳前後の人の賃金は、これは
調査の年にもよりますけれ
ども、八万五千円前後ではないかというような統計も出ておるようなわけでありまして、まず第一に収入が非常に少ないということであります。
次には、これらの婦人に対しては税においては
基礎控除があるだけで、特に別に大きな控除はないのではないかと思いますが、その控除の面でも、少ない収入に対して控除は余りやられないで、全額税金の対象になりかねないということであります。
それからもう
一つは、四十五歳以上の婦人ということを対象にしましたのは、日本では定年の問題がある。この場合に定年制がどうだという議論はまた別といたしまして、大体において女子は男子に比較して三年か四年定年が早い、早くやめなければならぬというような実情であります。
さらに、これらの人が住まいを構えるという場合を
考えてみると、公営住宅法の十七条ということでございますけれ
ども、これはそういう独身婦人が入ることができないように法制上規定されておる。とにかく結婚の相手がいなければ公営住宅には入れないということになっておりますから、収入は少ない、税金は別に控除も大してない、定年は早く来る、しかるに家を構えようと思えば、ひとり者の婦人は安い公営住宅には入ることができない、こういうような
状況であります。
貯金の目減り問題も、われわれが取り上げて、
政府は
政府らしい、余りぱっとしませんが、寸志の
程度だけれ
ども、とにかく福祉定期預金というものを
考えられた。ところが、これらの婦人の貯金の目減りという問題もいろいろあるのですけれ
ども、いま申しましたように、定年は早く来るし収入は低いということになれば、少なくとも働ける間には若干蓄積をしておかなければならぬと思うのですね。その蓄積をしておこうと思っても、税金で持っていかれてしまうということでは余りにもお気の毒であるから、目減り問題は別としまして、これに対して何か税の控除の面で、これまた寸志でございますけれ
ども、ひとつ
考えてみたらどうかということを私
どもは
考えまして、
大臣のお
考えを承りたいと思うわけであります。
時間がないので急いで簡単に申しましたけれ
ども、まず第一に、日本におけるそうした戦争のために結婚のチャンスを心ならずも失ってしまって独身でおるそういう人に対する社会保障その他全般の面での思いやりが、果たして十分であると
大臣は
考えておられるか。
第二に、国際婦人年に当たりまして、
大蔵省は
大蔵省の
立場で、税なら税の面でそういう人たちに対する
一つのプレゼントをすべきであると思うが、そういうお
考えはないか。この点について、一般論として、あるいは常識論として
大臣のお
考えを承ってみたいと思います。