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1975-04-23 第75回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月二十三日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君    理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君    理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       奥田 敬和君    金子 一平君       鴨田 宗一君    小泉純一郎君       齋藤 邦吉君    塩谷 一夫君       中川 一郎君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       山中 貞則君    高沢 寅男君       広瀬 秀吉君    松浦 利尚君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    横路 孝弘君       荒木  宏君    小林 政子君       広沢 直樹君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       西沢 公慶君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵大臣官房審         議官      旦  弘昌君         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         大蔵省銀行局長 高橋 英明君         国税庁次長   磯辺 律男君         国税庁間税部長 星野 孝俊君  委員外出席者         日本専売公社副         総裁      泉 美之松君         日本専売公社総         務理事     斎藤 欣一君         日本専売公社総         務理事     佐藤 健司君         日本専売公社総         務理事     原  秀三君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号)  国の会計税制及び金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案について、明二十四日木曜日午前十時三十分、参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  3. 上村千一郎

    上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 上村千一郎

    上村委員長 次に、国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田耻目君
  5. 山田耻目

    山田(耻)委員 酒、たばこ料金値上げ審議の真っ最中でございますが、酒、たばこ審議かかわり合いまして、特に本委員会恭なければ片づけることのできない、週休二日の実施における金融機関従業員の内容の整備と、法律的には銀行法十八条のかかわり合いがございますので、それらについて特にこういう一般質疑の時間を設定いただきまして、これから大臣にその所信と具体的な方策についてただしたいと思います。こういう時間帯に設定しました政治的な配慮をひとつ十分おくみ取りいただきまして、掛け値ないあなたの真意をきょうは述べていただきたいと思います。  本国会で、週休二日制の問題につきましてはかなり議論が深められてまいりました。特に、新しく総理大臣に就任なさいました三木総理も、私は週休二日論者であり、一日も早く完全な週休二日制が実施されるように努力もし、配慮もしたいという御答弁がございましたし、こうした総理見解を受けられまして、大平大蔵大臣も推進のために努力を惜しまないという立場が述べられております。本委員会におきましても、政務次官をなさっておる森美秀さんから、積極的に解決努力をしたいという意向表明もございました。日本国内の実情を見ましても、国会のこうした事情を見ましても、まさに週休二日制の実施について、法律的な整備なり具体的な労使間協定なりは非常に前進をしつつあると考えています。  しかし、一部には、今日の日本経済情勢の動態を見ていけば、経済全般影響を及ぼす点なども考慮して、この実行にちゅうちょなさるという向きもなしとしておりません。しかし、今日の日本は、世界先進諸国家に比べてみまして、まさに遜色のない経済大国になっております。ところが、世界先進諸国は、週休二日制に入りましたのが昭和三年、国際的なパニックの状態を契機に入っておりますし、もう週休二日というものは完全に消化をされて、アメリカなりヨーロッパ諸国では二〇%を超えて週休三日制に入りつつある段階です。こういう国際的な趨勢も、日本の将来の経済進出等から見まして無視できない現状です。まあ、国際情勢国内情勢を見まして、もうここらあたり週休二日に踏み切っていただく、特に本委員会では、金融機関週休二日ということ、これとの絡みに銀行法十八条がございます。これらを何とか改正して週休二日の中身を充実していきたいという念願が、特にこの国会では強く表面化してきたわけです。  先般来この委員会でも、大臣御存じのように、私たち野党四党が相談をいたしまして、いま出しております私たち銀行法改正の中から十八条だけを抜き出しまして、十八条だけの改正を試みた議員立法をつくりまして、自民党にも、申し上げたような国内外の情勢を受けていただいて、大臣答弁総理答弁どもしっかり受けていただいて、ひとつこの議員立法に同調いただきたい、こういうことで打ち合わせを深めてまいりました。しかしながら、このことはまだ打ち合わせ中でございまして、具体的な実を結んではおりません。  しかしながら、本国会も会期があとわずかになってきておりますので、何とかして大臣の方で思い切った御答弁をいただくことが問題解決により大きな足跡を残すことになりますから、そういう情勢を踏まえていただいて、きょうは大臣からひとついい結論をぜひとも示していただきたいと思って、こうして質疑に入ったわけであります。  申し上げたような四囲の情勢については大臣十分御存じだと思いますので、それらから逸脱されるようなことのないようにひとついい答弁を願いたいと思って、大臣の思っておられる週休二日制、これからの金融機関への具体的な措置、こういうものについて見解をひとつお示しいただきたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 山田委員が御指摘のように、週休二日制が先進諸国においてすでに制度的に確立し、慣熟いたしておる状況にありますこと、私ども承知いたしておりますし、わが国におきましても、もろもろの条件が円滑に整いまして、そういった事態を招来することができることは望ましいと考えております。しかし、それは座して得られるものではなくて、政府民間もそれだけそれなり努力をして条件整備に努めなければならないことも、私、承知いたしておるつもりでございます。  しかしながら、この問題は政府民間を通ずる問題であり、労働政策の問題でもあれば、公務員政策の問題でもございまするし、あるいは産業政策の問題でもございますし、大蔵省のキャパシティーを超えた大きな問題であることも承知いたしております。しかし同時に、大蔵省もこの重要な問題の一翼を担って責任を分かたなければならぬ立場にあることも御指摘のとおり心得ておるつもりでございます。したがって、私といたしましては、そういう問題意識を持ちまして、この問題への取り組み方といたしまして、山田委員並びに山田委員の御質問に結晶されました本委員会皆様方のお考え方というものに対してどのように大蔵省として取り組んでまいりますか、基本的な考え方といたしましては、次のように考えておりますことを申し上げて、これを踏まえた上で今後のこの問題に対する取り組みに当たってまいりたいと思います。  基本的な取り組み方といたしましては、諸外国における週休二日制の普及の状況、最近のわが国における進捗の状況国会における御審議状況などから見まして、金融機関週休二日制の問題については真剣に検討すべき問題であると考えます。  そこで、私は、閣議におきまして次のように提案したいと考えております。すなわち、金融機関週休二日制の導入は、一般経済取引その他社会経済全般に与える影響がきわめて大きいので、ごの影響の問題も含めまして、週休二日制・定年制延長問題関係閣僚懇談会におきまして、金融機関週休二日制をめぐる諸問題につき検討を開始し、なるべく早く結論を出してほしいという要請閣議に求めるつもりでございます。こういう基本的な姿勢で今後真剣にこの問題に対処してまいりたいと考えております。
  7. 山田耻目

    山田(耻)委員 大臣の基本的な考え方が述べられました。それはそれなりに私もいただけるものがあると思うわけです。ただ、従来のパターンとは余りかわりばえがしないな、それだけ逼迫した情勢というものを十二分にお考えになっているんだろうか、こういう私の懸念も残ってくるわけです。  いまお話しになりました基本姿勢の中で、大別すれば、今日眠っておる主要閣僚懇談会を起こして、そこで私の立場を明らかにして善処方を求める。これは眠っている閣僚懇談会を起こすということを意味していると思うのです。二つ目には、真剣に検討を開始してもらって早い時期に結論を出したい、こういう姿勢が出ておるわけですが、この週休二日制の問題を議論する主要閣僚懇談会は四十八年二月十三日の閣議決定を受けております、そのことをお指しになっておるのだと思うのですが、あの四十八年二月十三日の閣議も、いまあなたが前段にお話しなさいました、公務員週休二日完全実施に至るまでを含めてお決めになっておりまして、第一部会御存じ国家公務員、第二部会公共企業体、第三部会教育公務員、第四部会民間、こういう四部会に分けられてこの主要閣僚懇談会審議を続けていって、二年ないし三年後公務員週休二日まで含めて結論を出す、これが四十八年二月十三日の閣議決定のはずでございます。調べてみますと、これを四、五回やったままとだえました。経済変動ということが主因であったと思うのですけれども、とだえて眠っている。  この中から私くみ取ってみましても、昭和四十八年の二月段階で二年ないし三年後ですから、実際には五十年のちょうどいまの時期には公務員週休二日まで含めて完全に実施をするというのが閣議決定です。それが経済変化で眠ってしまった、こういうことなんです。この主要閣僚懇談会を起こして、そこにいまあなたの基本姿勢を受け入れてもらって真剣に検討してもらう、そうして早急に結論を出してもらうために努力を求める、こういうことなんだと思うのです。だからここでは、今日眠っておる主要閣僚懇談会を起こしていただいて、あなたの基本方針をそこの中に入れていただいて、そこで具体的な消化に入る、こういうことだと思うのです。  ただ、四十八年の二月段階閣議決定は、二年ないし三年後ですから昭和五十年を一応目途結論を出す、こういうことだったわけですけれども、それが早急にと、こういうあなたの方針に変わってきたわけです。しかし私は、それにはそれなりの理由があることも認めております。だから、いま金融機関週休二日は大蔵省の所管であるし、法律事項かかわり合いのある問題なんですから、これは当然ここの委員会一つの具体的な方向を示さなくちゃならぬ。全産業的な週休二日はもちろんその中に包含されるものでありますけれども、特に金融機関銀行法十八条の改正に絡む一連の法改正、こうしたものは本委員会所掌にかかわるものなんですから、この問題についてはもっと具体的にあなたの見解表明がいただけるものだ、私はこういうふうに思っているわけです。  ですから、検討を始めてなるべく早い時期に決着をつけたいとおっしゃるこのなるべく早い時期、こういうものをもっと具体的にお示しいただかなければ、従来のパターン繰り返しになるんじゃないか。あなたを信用せぬわけではございませんけれども、どうも政府自民党というのは、お口はりっぱですけれどもなかなか実行が伴ってこない。そういうパターン繰り返しじゃ困りますので、なるべく早い時期に結論を出したいという、このなるべくという中身を、ひとつ大平正芳大蔵大臣所掌にかかわる金融関係についてもっと明らかにしていただきたいと思います。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 いま本委員会に、関係閣僚懇談会に提案をいたしましてなるべく早く結論を得ろように働きかけるというお約束を申し上げたわけでございます。これはしかし、私がここで山田さんの御質問に答えて申し上げるにつきましては、大蔵省といたしましては関係各省と十分打ち合わせをいたしまして、その納得を得た上でいたしておるつもりでございます。  したがって、私といたしましては、政府を御信頼いただいて見守っていただきたいと思うのでございますけれども、しかし、なるべく早くということをもっと具体的に示さないと、山田さん御自身はともかくといたしましても、いろいろ世間の御納得を得る上におきましてももっと明瞭にすべきであるということでございますが、何月何日までにというお約束はいたしかねますけれども、鋭意努力いたしまして、私のここで精いっぱい申し上げられますことは、少なくとも一両年の間には結論を出していただくようにいたしたいと考え、それに照応いたしまして、諸般の努力を鋭意積み重ねていかなければならぬと考えております。
  9. 山田耻目

    山田(耻)委員 一両年ということは、日本語で私たち理解をするのは、一年から二年ということだと思うのです。しかし、いまの日本週休二日制はいろいろな形でやられておりますが、完全に週休二日をやる、月一回やる、二回やる、三回やる、隔週やる、こういうことの中で、銀行金融関係保険関係はどうなっておるのか。特に金融関係は他産業に与える影響各省に与える影響、いろいろあることは私承知しております。十八条を改正することによって、小切手法手形法、商法、民法まで影響が出ることもわかっております。  しかし、そうでありながら、金融保険業昭和四十九年、去年までの週休二日の実施過程企業形態別に見ますと、すでに全企業の九四・六%、これだけ金融保険業週休二日制に入っております。しかし、その中で完全週休二日制をとっているのはたしか〇・九%でございますが、月二回週休二日、月一回週休二日は八五・二%にも及んでいるのです。  このようにしてながめてみますと、確かにあなたのおっしゃっているように、他の産業、他の各省に及ぼす影響のあることは承知いたしておりますけれども銀行法十八条を改正して、土曜日を休日とする、土曜日の契約、土曜日の預金、引き出し、こういうものについては逐次それぞれが理解をしながら、いろいろと土曜日を休日にしても支障のないように、そういう一つ心構えがかなり国民の中にも浸透してきた結果だと私は思っているのです。  ただ、金融保険業の中で九四・六%と申しましたが、これは特にその中で保険業が多くパーセントを占めていることは承知いたしております。こういうことは、中身もそうなんですけれども、いま申し上げたように、かなり国民の中にコンセンサスが得られ始めてきておるということはひとつ理解をいただかなければならぬ、このように思っておりますので、大臣が御心配なさるほど各省なり各産業ということの心配はないので、いつか適当な時期に踏み切ることによって、私は問題がかなり急速に、しかもさして摩擦も起こさずに実施に入れるという判断をもうすべき段階に来ておるのではないだろうか、こういう気持ちもいたしております。  ちなみに、一つここで例をとってみますと、経済変動という言葉がよく出てくるのですけれども、いわゆる石油ショックが起こり始めました四十七年の暮れ、四十七年の日本週休二日を全産業的に見ますと、一三・二%しか四十七年にはできておりません。それが四十八年には三〇%実施されております。四十九年には四二・八%とふくれ上がってきておるわけです。だから私は、週休二日というのは今日国民の中にもかなり定着をしたコンセンサスが得られつつある、こういう判断をするのが至当ではないだろうか、こういうふうに考えますし、金融保険業関係の中でも、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年と対比してみますと、四十九年には九四・六%と進んできておるわけです。  だから、いま大臣が一両年とおっしゃることについて、慎重を期したい、混乱を起こさないようにしたいという大蔵大臣配慮は私はわからぬことはございません。しかし、そのことが一つのもたつきになって、屋上屋を重ねるというふうな懸念もなしとしないわけです。だから、もうここらあたりで少し腹を据えてみられたらどうなのか。  たとえば、この状態を一番よく承知をしております銀行協会銀行に働いております従業員で組織しておる労働組合、こういう人たち動きを見ましても、よくその動きを物語っているわけですよ。四十八年度からかなりこの交渉は強められてきておりまして、いまのように九四・六という、完全週休二日ではないけれども、隔週があり、月三日があり、二日があり、一日がありますけれども、その総数が九四・六でございますから、こういうふうになってきた中で、銀行労使間、銀行協会労働組合都市銀行労働組合、あるいは地銀と労働組合、こういうところのいろいろな折衝、話し合い過程の中で一つ方向が出てきたわけですね。  その方向というのは、日本国内、国際的にこれは間違いのない趨勢である、やらなくちゃいかぬ。やらなくちゃいかぬけれども、お客のことも考えなくちゃいかぬ。不便をできるだけ縮めていくようにしてあげなくちゃいけないということで、いろいろと指導も必要になってくる。だけれども社会的要請も強いので、あるいは国際的にも、たとえば銀行からヨーロッパに送金するのに、土曜日はお断りというのが現実ですから、そういうことで国際関係の中にも支障が出てきたということで、銀行の方も、土曜日は休みにしなくちゃいかぬ、こういうふうな空気も強まり始めてきて、いわゆる約束事労使間の協定が生まれてきたわけです。その労使間の協定は、昭和五十一年上期までには完全週休二日に踏み切っていきたい、これが労使間の約束です。  ただ、その中に介在をしておりますのは銀行法十八条ですから、この銀行法十八条をひとつ大蔵省によく言って改めてもらう、こういうことにしたいというのが労使間協定の中で生まれてきた一つ方向なんです。  この中にも二つ問題があるのですけれども金融業労使でそういう方向に逐次進めてきた、そうして終着点を五十一年六月ごろに見つけてきたこの労使間の約束事、これは私は近代民主主義国家としては大事にしてやりたいなと思うのですよ。大事にしてやりたい。その中から生まれ出ておる大蔵省への求め方は、銀行法十八条を改正してほしい。銀行法十八条を改正するためには、大臣の方では、各省との関連もあるし、国民への影響度考えなければならぬので慎重にと。その慎重にということがいまお答えいただきました一両年ということになるわけです。  確かにあなたのおっしゃる一両年は、慎重な配慮を構えてのお答えで、それはそれなりに聞こえます。聞こえますけれども現実に私たちが政治のレベルで物事を片づけてあげたい、こう願っておる気持ちの中には、いまの銀行労使間のその一つの気風も大事にしてあげたい、そして結果として求められておる十八条の改正にもこたえてあげたい、そしてあなたのおっしゃっているような全産業への影響各省への波及、国民動向等も十分考えてあげたい、そういう三つ一つにして円満な解決をしてあげていくのが私たち国会における仕事だとも思っているわけです。  だから、私は、あなたの言う一両年というだけではまだちょっといただけないので、これは大臣、私がそういう三つ立場を申し述べてきたわけですが、こうしたものをあなたもおくみ取りいただきまして、五十一年六月を目途銀行労使間の作業が進んでおりますから、銀行法改正等についても少なくともそこを努力目標に置いて、あなたももう一つ作業を続けていただく。私たち国会審議の中で十分これらを受けて努力をしていきたい。こういう一つの早い時期に――一両年という言葉は、五十一年六月ごろを目途に私たち努力をしていかなければならぬので、そういうふうに大臣心構えをお持ちいただけたものと私は理解をしたいと思うのですが、そこらあたりはそのとおり理解してよろしゅうございますか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 金融界労使の間の話し合い、また、それが産み落とした了解というようなものにつきましては、私ども極力これは尊重してまいらなければならぬと思っております。  問題は銀行法改正問題で、これは銀行法がほかの法律にもいろいろ準用されておりますけれども、まあ金融行政基本法でございますが、これは御案内のように、十八条の改正問題のほかに、昭和二年の立法であるというようなことで少しアウト・オブ・デートになっておりますので、これを直そうじゃないかというような議論国会の内外でございましたこと、御承知のとおりでございます。この問題、つまり銀行法全面改正というような問題とこの問題を切り離してやるのか、一つのまとまった形で早急に仕上げていくのか、そういった点も早く、私も金融制度調査会幹部皆さんと御相談しなければならぬと思っております。  最近この幹部の方、委員の方がたくさんかわりまして、陣容が一新いたしましたので、いま御都合をいろいろ伺っておりますが、いろいろ国内を離れておられた人もあったりいたしまして、確たる日付はまだ決まっておりませんけれども、これこそ早急に機会を持ちまして、金融制度調査会皆さんと早く相談をいたしまして、早く作業にかかる段取りをつけなければいかぬと思っておるわけでございます。  そういうことを進めていく場合におきまして、いまあなたが仰せになられたこと、そうして金融界における労使が過去長い間鋭意追求してこられましたことにつきましては、私どもも十分の理解を持ちましてこれに当たらなければいかぬことでございますので、それは十分心得て当たるつもりでおります。
  11. 山田耻目

    山田(耻)委員 この昭和二年にでき上がった銀行法が古いのでいろいろ支障が起こっておるので、これを改正するために金融制度調査会を発足させる、これはきのうお決めになったようで、それはそれで承知をしておりますが、これを進めていきますと、日銀法改正まで発展してくるのです。私は、これこそ一両年かかるんじゃないかという気もしておるんですよ、非常に各般にわたりますから。しかも、その金融制度調査会には労働組合の代表も入れて、社会的な責任の問題から、週休二日の問題にまで至る過程を片づけていきたい。そこに銀行法十八条をうまく含ませておられるので、私は、なかなかあなたという人は大変深謀遠慮で緻密なお考えをお持ちだなと実は感心をしていたんです。  ただ私が言っているのは、社会的なそうした趨勢週休二日の問題は、もちろん銀行法改正も大事ですけれども、かなり速度を異にして進んでおることを理解しないわけにはいかないよと言っているんです。だからある意味では、銀行法改正を社会党はこの国会に出していますけれども、それから切り離して十八条改正議員立法で提起をしたというのは、そういう背景もあるのです。社会的な一つ趨勢にこたえてあげることが国会の信用を取り返す大事なことでもあろうからという気持ちもありまして、抜き出して提起をしたわけです。  ですから、これはひとつ大臣、あの問題を含めて審議いただくということももちろん制度調査会としては当然だと思いますけれども、きょうこの委員会では、十八条だけを抜き出して、そうして週休二日と結びつけて議論をしておるわけですから、そこはひとつ、あなたの明敏な頭脳で割り切っていただいて、そうしてエキサイトしつつある政治情勢の中で十分御了解をいただいて始末できるものだというように私は理解をしておりますので、特に私の方から求めて議論しているわけです。  週休二日につきましてはそうした銀行内部の情勢も熟しつつございます。しかも一両年のうち、これから一年を越えていく来年、昭和五十一年六月を目途銀行経営者と従業員組合とが話をしておりますから、ひとつ目途をここに置いて私たちの法作業なり政府の側の作業というものも進めていただきたい、そういうことを私が申し上げていることについてあなたの了解をいただけるのかどうなのか、こういうことを求めておるわけでございますので、私の言っていることについて、よろしい、そのことをひとつ目途に最大限努力をしようということをお約束いただければ私の質問は終わりたいと思うのですけれども、それがございませんとなかなか終わろうに終われなくて私も困っているのですが、いかがでございましょうか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 山田質問に答えて、関係閣僚懇談会をこれこそなるべく早く御招集いただきまして、私から御提議して、週休二日制の結論をなるべく早く見出すように努力しますというお約束をいたしたわけでございます。それが第一でございます。  第二は、しかし、なるべく早急にということでなくて、もっと具体的にということでございますので、一両年の間に出すように鋭意努力しますというお約束を第二にいたしました。  第三には、金融界労使の間で追求いたしてまいりました共同の道標というものは金融行政の上で十分尊重してかかれ、これはとりわけ週休二日制の実現を軸にいたしました共通の道標でございますので、これを十分踏まえた上でこの問題に取り組むようにということでございますから、これは承知いたしましたということでございます。  したがって、第四番目の問題といたしまして、私ども作業にかかるにつきまして、銀行法改正を初めといたしましていろいろな作業にこれから取り組んでいかなければならぬわけでございますが、その場合、この問題は非常に早急に取り運ばなければいかぬから、ほかの事案よりも一列車早く仕立てて早くこれを出せ、こういうのがきょうあなたの御趣旨だと思うのであります。  私といたしましては、それではほかの案件がいつまでもおくれていいかというと、そうでもない案件も多く抱えておるわけでございますので、そのあたり作業のやり方はわれわれ大蔵省にお任せおきいただきまして、一両年の間に鋭意努力して、実現の方向で最大限の努力をいたすわけでございますので、そのあたりの細かい作業のスケジュール、日程、そういったことは、十八条の改正だけは別にやります、ほかのものは追ってまた仕立てて出しますというようにするかどうかというのは、ここだけでいま私が判断、お答えを申し上げる前に、御相談せなければいかぬ筋もいろいろございますので、それはきょう勘弁していただきたいと思いますけれども、いまおさらいをさしていただいたような幾つかのことにつきましては、きょうのあなたの御質問を軸にいたしましてお約束をいたしたわけでございますから、誠実にこれにこたえて段取りを考えてまいるつもりでございますので、御信頼をちょうだいいたしたいと思います。
  13. 山田耻目

    山田(耻)委員 私の質問に誠意をもってこたえたいのでひとつ信頼をしてくれということなので、これ以上あなたを追及することは終わりたいと思います。  ただ、この委員会だけ過ぎればいいということで逃げるということは、私はある意味では非常に言ったことには責任を持つし、お約束したことは実行を求める性格の人間なんですから絶対許しませんので、それはひとつ十分判断をして善処方をお願いしたいと思います。  それで、委員長に、屋上屋の感がございますけれども、お願いがございます。  いまの政府見解なり、これから生まれてくる金融制度調査会なり主要閣僚懇談会なり、しかもそこでの銀行法の全般的な改正と特にその中の十八条の改正週休二日の実行、こういうものは若干仕立てる列車の速度が違う可能性もございます。そういうことを十分監視をし、委員会自身の責任として始末をしなくちゃならぬこともございますし、あるいは政府に要求しなくちゃならぬこともありますので、この大蔵委員会の中に常設としてこの週休二日、銀行法十八条改正に係る特別小委員会の設置をお願いしたいと思います。いかがでございますか。
  14. 上村千一郎

    上村委員長 ただいま山田委員からお申し出の小委員会設置の件でございますが、お申し出の趣旨に沿う小委員会を設置する方向理事の方にお諮りをし、各委員の方にお諮りをいたしまして努力することを申し上げまして、お答えにいたします。
  15. 山田耻目

    山田(耻)委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  16. 上村千一郎

    上村委員長 荒木宏君。
  17. 荒木宏

    ○荒木委員 いま同僚委員から質疑がありまして、大臣答弁を伺ったのですが、その中で、一両年結論を出したい、こういう話でありましたが、その結論の範囲ですね、金融機関週休二日制を導入することについてなるべく早く一両年中に結論を出したい、こういうことでありましたが、これは他の関連する公務員の関係、国家公務員あるいは地方公務員、また現業、非現業、いろいろ実施に伴って関連する領域が非常に広いわけでありまして、私たちは、先ほどもお話がありましたが、いろいろな問題があるけれども、それを鋭意努力して解決して、前向きに全面的に早期実施をすべきではないかというふうな、週休二日、週四十時間、賃下げなしのこういった制度を実施すべしということで求めてまいったわけでありますけれども、いま大臣が言われた結論を出されるという範囲は、金融機関だけについて言われたのか、あるいは全体について努力をするということでおっしゃったのか、この点を初めに伺っておきたいと思います。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 本委員会のやりとりでございますので金融機関の問題が主たるテーマでございますけれども問題意識といたしましては、山田質問に対して冒頭にもお答え申しましたとおり、関連するところが大変広うございますので、私は、全体の週休二日制ということを念頭に置いて関係閣僚懇談会でも十分問題を討議していかなければならぬと考えておりますし、金融機関週休二日制も全体の中で座りがちゃんといいようにしなければならぬことは当然でございますので、私自身としては全体を念頭に置いて考えております。
  19. 荒木宏

    ○荒木委員 諸外国の例を見ますといろいろな形がありますけれども、たとえばイギリスなどは金融機関週休二日の実施が他に比べて八年も九年もおくれる、こういったような実情があるようですが、また一方フランスでは、金融機関が他に先駆けて週休二日が実施された。大臣としてはそういう諸外国の実情だとかあるいはわが国の現状に照らして真剣に検討する、こう言われたわけですが、実施方向としてどういう姿をお考えになっているか。これは全部同時実施ということもありましょうし、それから条件を詰めていってやれるところからというのもありましょうししますが、いままで検討された経過と諸外国の実情から照らして、日本の国の労働時間短縮、週休二日の進むべき方向としてどういうふうな姿で実施をしていくか、その辺の大きな姿についてはどういうふうに考えておられますか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 正直に申して、私自身こういうやり方が日本として適切なやり方でないかという結論めいた熟した考えを持っておるわけじゃございません。荒木さんのおっしゃるように、フランスのような例もあるしイギリスのような例もございますことを承知しておりますが、日本の場合、どういうことが一番日本の風土に適しておるのか、社会経済の状況や、また社会慣行の中で座りがよくなるのか、まさにそういうことこそが検討の大事な節目になるのではないかという感じがするわけでございまして、予定された、こういう方向で御審議をお願いすべきじゃないかという考えをいま頭に描いているわけじゃございません。
  21. 荒木宏

    ○荒木委員 それはこれからの検討課題ということにもなるのでしょうけれども、端的に言いまして、真剣に前向きに検討を進められる上で当然ぶつかるのが、たとえば金融機関週休二日が実施された、郵便局は窓口が開いているというふうなことで、詰めた話で、大臣が真剣に検討されてそういう状態結論が出せるかどうか、この点はいかがですか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 いずれにせよ、結論を出さなければこれは話にならぬわけでございますので、むずかしい問題でございますが、これを回避するわけにはいかぬと思います。したがって、よく検討いたしまして、むずかしい問題はむずかしいなりにそれに対応した結論を出していかなければならぬものと思いますが、いずれにいたしましても、これから検討にかかろうというわけでございますので、検討過程を通じて問題の解明をし、それについて現実的な、そして実行可能な結論を生み出したいものといま念願をいたしております。
  23. 荒木宏

    ○荒木委員 すでに指摘されておりますように、金融機関と取引先の関係、中小業者あるいは住宅ローンの相談どもありましょう。また、他の金融機関との関係、もちろんこれもあります。従来から論議されてきましたように、いろいろな問題があるわけです。  一面、国際的に見ましても、アメリカ、カナダあるいはオーストラリア、ニュージーランド、いずれも週四十時間、場合によっては、産業によっては週三十五時間というのがすでに労使の協約で実施もされておりますし、ILOの歴史を見ましても、一号条約あるいは三十号条約、また労働時間に関する勧告などからしましても、前進する方向で関係する分野を本当に真剣に検討して解決しなければならぬという事態になっておるわけですが、先ほど大臣のおっしゃった結論の範囲あるいはその姿、これはすべてこれからだということになりますと、その関係閣僚懇談会の今後の作業日程であるとかあるいはまた作業の内容であるとか、これは非常に重要なことになってくると思うのですが、聞くところによりますと、この懇談会は座長さんも決まっておらぬ、また開催の予定とか定例日なども全く決まっていない、こういうふうに聞いておるのですが、閣議に提案をして懇談会で検討を開始するということになりますと、もう少しちゃんとした姿にしなければ、どだい進路だとかビジョンというものがいまはっきりしない段階ですから、これはもう少しきっちりしていただく必要があると思うのです。  そこで、先ほど大臣がおっしゃった今後の作業日程の一つとして、同時にこの懇談会には座長も決め、開催日も定例日を決めて鋭意努力をしていくということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 私の承知しておるところでは、これは過去四回開かれてそのままになっておると聞いております。したがって、早急にお開きをいただきまして、いま御指摘のような問題を懇談会自体の責任において決めていただかなければならぬと思いますし、私が勝手にこうする、ああするということはここでお答えすべきものではないと思います。ただ、あなたが言われるように、この懇談会が十分機能するような状態にしなければならぬことは当然でございますので、そういう方向皆さんにお願いをしてみたいと思います。
  25. 荒木宏

    ○荒木委員 いままでの到達点は、四回とおっしゃったのですけれども、基本的な問題がどこにあるか実情を調べようということで、関係各省庁連絡会議ですか、これができておりますけれども、その内容としては、いままでほとんど仕事がされていないというふうにそれぞれの所管の担当者から伺っておるわけですが、この際、問題を大きく進める意味からも、それぞれの実際にこの問題について事を進めておる中心的な関係者といいますか、そういう人たちからも十分実情も聞き、それから今後の方向についての意見も徴して実のあるような質疑を進めていくことが必要だと思います。  そこで、先ほど大臣は、閣議に提案される内容として、懇談会を実のあるようなものにしていきたい、こういうふうにおっしゃったわけですが、それの一助として、たとえばこの問題について非常に熱心に事を進めてきております労働関係団体があります。金融機関の中でも、こういう問題について非常に熱心に進めてきた連絡会議、共闘合議の関係などもあるわけですが、そういう労働者関係の、いままで研究もし、熱心に実践も進めてきた人たちの意見、それからまた金融機関の取引先の関係、こういった向きの実情調査、それから金融機関の中でも中小金融機関では、この問題を実施するに当たって考慮、検討すべき事項が多々あるという声も私は実際に回りまして聞いておるわけですが、そういう従来の各省庁連絡会議でやられておったようなデスクディスカッションといいますか、そういう論議に加えて、実際に実情を調査し、その人たちの意見を十分聞く、こういう作業もまずやられるべきではないかと思うのです。  これは実務段階でのことでありますけれども閣議に提案をされ、懇談会の今後の基本的な姿を大臣が実のあるものにしたいと言われる方向を、こういうことも含めてひとつ提案をされるのもいかがかと思いますが、その辺について、銀行局長の方から実務段階のお考えとして伺い、それから大臣の方から政治的な方向としてひとつ決意も含めて伺いたいと思います。
  26. 高橋英明

    高橋(英)政府委員 ただいまの先生の御提案、銀行だけのことではないような広いような感じがいたしますが、現在、銀行段階で、銀行の経営者あるいは銀行従業員との間で五十一年度上期中に実施されることが望ましいというような形で両者意見が一致しているというか、希望が一致していることは事実でございます。したがって、そういうことをするためには、銀行が土曜日店を閉めてお客さんに迷惑をかけないかというようなところを彼らなりに勉強もしている、あるいは用意もしておるということでございます。私どもは、そういう動きは逐一伺っております。  現在、土曜日の業務量をまず減らしていきましょう。それから、土曜日の業務というものは、お客さんにもなるべく来ないでいただきたいというような形で現在PRしておるといいますか、教育しておるというか、そういうこともやっております。具体的には、手形の期日を土曜日にならないように手形を発行してくださいとか、あるいはまた、例の家計貯金の中で水道の支払いとか電気の支払いとか、そういう振替業務というのも、なるべく土曜日に当たらないようにということを水道の方あるいは電気会社の方に頼んでおるというようなこと、あるいは銀行自体でできることとしては、土曜日の集金には上がりませんということをお客さんにわかってもらうとか、あるいはそれ以外の外訪活動、預金勧誘行為といったようなものを土曜日にやらない、そういうことを地道にやっていきながら、土曜日に店を閉めても大丈夫ですね、こういうような感じを銀行以外の人が持ってくださる、それがコンセンサスといったようなことなんだろうと思いますが、そういうことで、実務的には銀行の方もある一応のめどを置きまして、それに備えて準備をしておるというのは事実でございます。土曜日の預金等のために、いわゆるキャッシュディスペンサーあるいはナイトデポジットを置くとか、そういうようなことも鋭意やっておりますが、そういったことが五十一年の上期中までに達成できるかどうかというような事実問題も非常に大事なことであろうかと思います。  したがって、私どもは、そういう懇談会で議論いたしますのは一方やっていただくわけですが、そういう実態の方の動きというようなものも十分に把握してやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御提案になりましたことは、きわめて建設的な御提案であると思います。大蔵省ばかりでなく懇談会を構成する関係省も、そういう方向で実態の掌握を踏まえた上で地道な問題への接近をやってまいるように私も努力してまいりたいと思います。
  28. 上村千一郎

    上村委員長 広沢直樹君。
  29. 広沢直樹

    ○広沢委員 各同僚委員からすでに週休二日制の問題並びに銀行法改正の問題につきましてはお話がありまして、大蔵大臣も機がだんだん熟してきている、あるいはそういったことが望ましいというお考えですし、先ほどのお話にもありますように、一応労使間の話し合いは尊重する、こういうように非常に前向きにお取り組みになろうとしておることはよくわかったわけでありますけれども、やはりやりたいと言いながらいつをめどにするかということが明確にならないと、それに対する対策というものも立てようがないのではないか。  この週休二日制の問題は、きのうきょう始まった問題ではなくてすでに何年も前から、あるいは諸外国においても御存じのようにずっと以前から実施されてきておる問題でありますから、当然これはすでにめどを今日においてはきちっと決めて、そのめどに従って作業を進めていくという段階が来ておると思うのです。  そこで、先ほど一両年というようなことも申されておったようでございますけれども、すでに実態は、金融機関労使間においては先ほどお話しのように五十一年六月、そこをいわゆるめどにして一応考えていくということで、それを目途といいますか目標に置いて、すでに具体的作業に入っておるやに聞いておるわけであります。その点大蔵大臣は実態をどのように把握されておるのか、まず第一に聞いておきたいと思います。
  30. 高橋英明

    高橋(英)政府委員 実態と申しますか、五十一年六月というのはそれほどはっきりしていないと私は思います。いままで私が伺っておりますのは、労働組合の方も経営者の方も五十一年度上期に実施できるように諸般の準備をいたしたいということでコンセンサスが得られていると思います。六月というほどはっきりはしていなかったと思いますが、それは六月も上期の間の数字ですから、それを否定するつもりはありませんが、(発言する者あり)五十一年度上期中に実施することができるように準備をいたしましょうということでコンセンサスが得られているというふうに聞いております。
  31. 広沢直樹

    ○広沢委員 すでにこの予算委員会あるいは当大蔵委員会等におきましてもこの問題は論議になっているわけです。いまも声がありますように、銀行協会会長は委員会出席されて、その方向でやるということを明言されておるわけですね。したがって、すでに諸般の情勢は、私が承っておるところよりましても、労使間の話し合いに基づいて動きつつある、こういう状況にあるわけです。ですから、やはり当局におきましても、それを目途にして、具体的作業を始めるべきではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、大蔵大臣、先ほど大蔵大臣調査会に一応諮ります、こういうお話であります。私ども銀行法改正も今日の経済情勢に合わして改正すべきであるということも、私も別の機会に主張いたしました。  それで、特にこの十八条の休日の問題については切り離して行うべきであるということも主張いたしておるわけでありますが、調査会に諮る場合において、やはりこれを切り離して早急に答申を受けるべきであると思うのですが、その点は調査会にお諮りになるというお話でありましたので、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。それは、銀行法改正の中の条文は一緒ですから、一緒にお諮りになるんでしょうけれども、当然切り離して早急に答申を得るようにこれは御配慮をいただかなければならない、こう思うのですが、その点いかがでしょうか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 銀行法改正問題の中には、当然十八条の問題があるわけでございます。したがって、私としては金融制度調査会の首脳とこの銀行法改正問題全体につきまして、これからの進め方についてちょっと前提抜きで一遍十分意見の交換をしてみたいと考えておるのです。したがって、そのうちの十八条だけを取り出して先にやるかやらぬかというような問題は、その過程でどのようになりますか、これはいまちょっと私も予想がつかないのでございますけれども、まず前提を持たずにざっくばらんに一遍首脳と懇談してみたい。  これはかつて大蔵委員会でも、予算が済めばそういう機会を早急に持ちたいということを私も申し上げたわけでございまして、いまそういう準備をしておるところでございますので、それはその会合が持たれたらまた御報告は申し上げるつもりでおります。
  33. 広沢直樹

    ○広沢委員 これは調査会に諮問するわけです、諮問機関ですからね。ですから、諮問する側の大蔵大臣が基本的な考え方を示して、そして諮問しなければならないわけです。  それについて調査会がどういう答えを出すか、それは後からまた御報告はいただきたいと思うのですが、諮問するに当たっては、先ほどからも論議がありますし、以前からも主張がありますように、やはりこの休日のことを規定してある十八条の問題については、特に時期的なこともあり――これは銀行法全体といいますと、先ほどもお話がありましたように、日銀法あるいは金融機関諸法を相当見直していかなければならないということで、早くやれと言ったって、ちょっと時間はかかると思うのです。  そういうことから考えても、当然これは切り離して、特にこれを早急な答申を得るように御配慮いただくような諮問の仕方が必要であろう。これはこちらの姿勢だと思うのですよ。その点をお伺いしたわけですが、その点いかがでしょうか。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 いま申し上げておるのは、正式な諮問とかなんとかいう前に、一応大きな問題ですから、一遍ざっくばらんに前提抜きで御意見を承ってみよう、それから政府としてどういう姿でいつ御諮問申し上げるかというようなことを考えてみたいと思っておるのです。それよりも前の段階で、ざっくばらんに一遍意見を聞いてみようかという軽い意味で私は申し上げたわけでございます。
  35. 広沢直樹

    ○広沢委員 いずれにしましても、すでに金融機関当局におきましては、完全な週休二日制ではないにしても、それぞれの機関の実情に応じて実施をしているわけですね。ということになりますと、それぞれの金融機関の中で、たとえば銀行でも非常に違いが出てくる。銀行間の労働条件の格差というものも出てまいりましょう。そういったところの問題から考えてみましても、これは当然目途を置いて早くやるべきじゃないかと思うのです。  諸外国の例を引くまでもありませんが、先進諸国においては、決して金融機関が先行してはぐあいが悪いというのではなくて、すでに先行している例もたくさんあるわけですね。それは経済社会に及ぼす影響というのは私も理解をいたしておりますが、影響するからと言って、それをだれかがやったらやるんだというようなやり方であったならば、これはいつまでたっても今日までの議論の蒸し返しになるわけで、できないわけです。  ですから、当然これは具体的なスケジュールとして週休二日制を完全実施するのか、あるいは西ドイツがやったように段階的に――西ドイツにおいては、まず第三土曜日を完全休業にした。それから二年後第一と第三土曜日がそうなった。その同年ですか、今度は完全実施になったというふうに段階的に進めておるわけですね。  ですから、こういうふうにして進めていくについても、一応今日わが国においては銀行法の中に休日を規定されているわけですから、具体的にやろうとしても、そこが支障になってできない。  ですから、私はここで時間もございませんけれども伺っておきたいのは、今日、銀行法の中で休日の規定をがっちり設けておかなければならない必要性がどこにあるのだろうかとまず思うのです。この規定がきちっとなければ、そういうふうな具体的な協会、金融機関の申し合わせによってすでにやると言っておられるわけですから、それによってきちっと第一から段階的に始めるとか、いろいろな形が出てくると思うのです。その点がありますので、これはいまの銀行法改正の中で切り離して、これを特に早急に検討していくべきではないか、こう申し上げておるわけです。  ですから、それを相談なさる大蔵大臣自身がどういうお考えなのか。確かにそういう考え方で一応相談してみよう、周囲の意見を聞いてだめだったら私は引っ込むんだというような考え方ではなくて、あなた自身が、大体いま私が主張しているような考え方相談してみようというお考えなのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。相談してからでないとさっぱりわかりませんというようなあいまいなことでは、大蔵大臣は前向きの積極的な気持ちになられたんだなと私先ほど伺っておったんですけれども、そういう意味からも、ひとつその点を明確にしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 大平正芳

    大平国務大臣 ちょっと誤解をいただいておるようで恐縮いたしますが、つまり週休二日制の問題につきましては、問題点を取り上げて、また具体的なファクトを収集整理いたしまして、政府政府なりの見当をつけて、そして各種委員会等と諮問するにいたしましても、仰せのように、政府側の考え方ははっきりしておらなければいかぬと私は思います。  ただ、私がいま申し上げておったのは、あなたの御質問が、銀行法改正というのを全体としてやるのか、十八条だけを別に切り離してやるのかという御質問かと私存じましたので、そういうような取り扱いの問題だから、それは金融制度調査会の方々に、全体の銀行法改正というのは一体あなた方はどう考えるんだというような感触をまず伺う中で、そういった問題もひとつ感触を聞いてみようかということを申し上げておるので、こちらは白紙で臨みまして、それで万事あなた任せだ、そんなことを私は別に考えておるわけじゃないのです。  事柄をできるだけうまく整理して、審議の効率を上げて建設的に行政をやっていく上におきましては、われわれはいろいろ工夫せねばならぬので、工夫していく場合に、金融制度調査会の諸君の御協力もいろいろ得なければならぬので、そういう方々と、取り組むのもまずそういうところから入ったらどうかなと思っておるにすぎないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  37. 広沢直樹

    ○広沢委員 あと一問。  大蔵大臣がこの週休二日制の問題について大蔵省当局も含めて前向きに取り組む、これはわかりました。それで審議会にかける、こういうお話です。その審議会にかけるのは、週休二日制だけではなくて銀行法全体をかける、これもわかりました。  そこで聞きたいことは――これだけ明確にしてください。というのは、審議会は大体いつごろ開かれる予定なのかです。その審議会に銀行法をかけたときに、特にきょうは週休二日制の問題でここは問題になっておるわけでありますから、その銀行法全体の中での十八条、いわゆる休日を規定された法律、これについては、きょうのわれわれの意見を背景にして、特に全体の答申を得る前に、これを切り離して具体的な審議会の答申を受けてもらいたい、そういう意向を付してお諮りになるなら諮る意向があるのかどうか、これだけを聞いて終わりにします。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 きょうお約束できますことは、来月の半ばごろまでには新しい金融制度調査会のメンバーが決まりまして、そういう方々の御承諾を得まして、非公式に懇談してみたいと考えております。それだけをお約束はできると思います。  そして、そういう方々と相談して、それではいつごろ調査会をお願いするかという点を相談したいと思っております。それから進め方を漸次御相談していかねばいかぬと思いますので、いま私がこういう段取りで次々進めていきますなんてふろしきを広げますと、これはとても調査会の運営ができませんので、まあ来月半ばまでにはとりあえず打ち合わせを内々いたしまして、あなたの言われるような問題につきまして、調査会首脳との懇談は十分遂げるということだけは、一つ約束を申し上げます。
  39. 上村千一郎

    上村委員長 竹本孫一君。
  40. 竹本孫一

    ○竹本委員 週休二日の問題につきましては、これが世界趨勢である。三木さんもこれには前向きに賛成の意を表明された。全国的に見ましても、実質的にもうこれを実行しておるものが企業の大体半分になっている。特に最近におきましては、都市銀行等においては、土曜日は相手の会社が休んでおるために残っておっても仕事もやれたいといったような事情もある。こういう問題につきまして同僚の委員からいろいろとお話がありましたから、時間もありませんし、私は繰り返しません。のみならず、私は前回この問題を取り上げまして大蔵大臣からもお考えを篤と承っておりますので、きょうはもうきわめて簡単に一、二の問題を伺っておきたいと思います。  まず第一は、銀行法改正が取り上げられておるわけですけれども、第十八条の問題はその中で取り上げるのか、あるいは引き離して別に取り上げるのか。すなわち、一本立てでいくのか二本立てでいくのか。いまの銀行法には十八条に、御承知のようにこの問題が関連して取り上げられておるわけですけれども、今後の週休二日制の場合には、第十八条を改正する案が議員提案でも出ているわけですけれども、そういう十八条の改正といったような形で取り上げられるのか、あるいは週休二日制の問題は銀行法とは別個の法律にゆだねるという形で取り上げられようとしておるのであるか、その基本的な取り組み姿勢ですね、この点について改めてもう一度伺っておきたいと思います。
  41. 高橋英明

    高橋(英)政府委員 制度調査会には銀行法全体ということでかけたいと私は思っております。ただ、その調査会の審議の進捗状況がどういうふうになりますか、いまから予断は許さないわけでございます。  それから、一方また、週休二日制に対するコンセンサスあるいは実態の進捗ぐあいというものと銀行法全体の改正審議の進捗状況で、そのときになってみないと私は申し上げられないということしかいま申し上げられないのですけれども、たとえば実態あるいは準備といったようなもの、コンセンサスといったようなものが間に合っておって銀行法全体の改正が間に合わぬというようなときには、その折にはあるいは十八条だけ先に行くということも考えられることでございます。  したがって、いまからはどちらとも申し上げかねるのでございますが、金融制度調査会には、私は、銀行法というか、そういう大きな立場で諮問したいというふうにいま考えております。
  42. 竹本孫一

    ○竹本委員 ちょっといまの御説明でよくわからないのですけれども、構想としては銀行法全体の改正の中で取り上げるというのがむしろ妥当ではないかという意味なのか、あるいは銀行法全体の改正の中の第十八条のところを改めていくというような法的な手続の関係なのか、その辺がちょっと、もう一度明快に伺いたい。  考え方としては、銀行法全体の改正の問題の中でやることは間違いありませんが、手続的に、法的な改正の手続としては第十八条改正というような形でいくのか、銀行法改正一つの中に入れていくというような形になるか、ひとつその手続関係をもう少し明快に伺いたい。それが一つ。  それからもう一つは、私の結論を申しますと、もしやるとなれば、これは別個に、週休二日制というものとして別建てで考えた方がよろしかろう。というのは、特に銀行法改正というのは、いろいろ具体的な日程に上ってはきましたけれども、これはやはり重大な問題ですから相当時間がかかるだろう。それこそ、先ほど一両年という話が出ましたが、これは二、三年かかるかもしれないというふうに思いますので、やはり別建ての方がいいじゃないか。  局長のお話にもちょっとそういう考え方も出ておったけれども、いずれにしましても、別建てに考えた方がベターではないかということと、それから、銀行法改正というものは、特に一本で考える場合、見通しはそれこそ、いま私は二、三年かかりゃしないかと言ったのだけれども政府考え方では、金融制度調査会がこれを取り上げて、しかも、それは銀行法改正だけではいけないのだ、さらに進んで、日銀法改正も取り上げようというような形にでもなれば、問題は何年かかるかわからないほど重大、しかも長期にわたる問題になる。しかし、いま政府考えておられる銀行法改正というのはいつごろにできる見通しであるか、その中で改正されるのか別建てで考えられるのか、その辺もひとつ伺いたい。
  43. 高橋英明

    高橋(英)政府委員 銀行法全体として諮問するつもりでおりますが、それの審議状況あるいは審議の予定といったようなものが、先生おっしゃるように二、三年かかるだろう。あるいはそうかもしれません。その間に週休二日といったようなことの実態あるいはコンセンサス、そういったようなものが進んできますと、銀行法全体の改正案が間に合わない。しかし、週休二日はその前に実行すべきであるというようなことになれば、当然そういった、それだけの単独の改正案ということをその時期で考えなければならぬだろうということは言えると思います。
  44. 竹本孫一

    ○竹本委員 第二には、銀行労使間でいろいろ話し合いもして、いま実際的にその問題に取り組んでいるといいますか、そういう面もあるようですが、銀行員についてのみこの週休二日というものを、ほかの一般の、先ほど範囲の問題、関連企業の問題も出ましたが、それらから抽出して銀行員についてだけ週休二日制の実現を期するのか、やはり全体的な関連の中で、ほかの公務員その他との関連も含めて一緒でなければやらないのか、銀行員だけでもやるのか、その辺についての腹構えはどういうふうになっておるか、そこだけ聞きたい。
  45. 大平正芳

    大平国務大臣 それは先ほど荒木委員にもお答えを申し上げましたように、いまどうするという固まった考えを実はまだ私は持っておりません。フランスのように先に銀行が走って、それが牽引車になってあとを連れていったというところもございますし、また銀行が一番後からくっついていったところもあるようであります。国によっていろいろ違うようでございます。  日本におきましては、いまから実態をいろいろ検討し、世論の成熟のぐあいもよく見てまいらなければいかぬわけでございますが、銀行が先に走るべきか、中ぐらいに走るべきか、そのあたりばこれからよく検討をさしていただいてからわれわれの定まった判断をつくるべきではないかと思うのでございまして、いまの段階で、まず銀行が走りますということを大胆に申し上げるまで私は自信はないわけでございますが、鋭意実態の究明を通じまして問題点の解明をしなければなりませんし、先ほど山田委員にもお答え申し上げましたように、みんなが努力して条件をつくり出していかなければいかぬわけでございまして、そういうことにつきましては、大蔵省も鋭意やってまいるつもりでございます。
  46. 竹本孫一

    ○竹本委員 余りここで議論をしている時間もありませんから、第三番目に、六日働いている者が五日働くということになれば一日休みが多くなるということで、実質賃金が二割上がる、だから大変なんだというような考え方もあると思うのだけれども、その辺はどういうふうに見ておられるか。  それから同時に、金銭的に二割賃金が上がるという問題と、この週休二日の問題と実質的にどういう違いがあるかないか、その辺について何かお考えがあればそれも伺っておきたい。
  47. 大平正芳

    大平国務大臣 だんだん世の中が変わってまいりまして、肉体的な労働を機械力が代替するという世の中になってまいりまして、したがって、全体として労働時間がだんだんと縮小してまいりましたこと、過去一、二世紀そういう経過をたどってきたと思うのでございます。これは実質賃金が上がったと見るべきか、科学文明の恵沢をみんなが受けるようになったというのか、私よくわかりませんけれども、問題は、それだけの人的労働でもってして人類の必要とするものが調弁できる、それだけの労働力の提供で十分満足さすことができる状態になったということは、非常に慶賀すべきことであろうと思います。  しかし、今後もそういう傾向は続いていくだろう、大型の技術の発見がいましばらく停滞しているようでございますけれども、またどのような発見がないとは限りませんし、将来もっともっと労働時間が短くなるというようなことを予想できないわけでもないと思うのでございまして、問題は、そういった恵沢が公平に社会の各階層に分かち与えられるような環境をつくり、同時に、そういう中にありまして生活程度が下がることのないように、むしろなお快適な条件が確保されるような経済政策、労働政策というようなものを私どもが案出し、工夫してまいる必要があるのではないか、またそれはできない相談ではないと私は思います。
  48. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間が参りましたから。  まだこの問題は、いろいろ視野を広くして取り上げなければならぬ問題であろうと思います。低成長下の日本の経済のあり方、あるいは社会契約時代に入ってきたこれからの問題のあり方、そういう問題、いろいろと視野を広げて取り上げたい問題だと思いますけれども、きょうは時間があれませんので、以上で終わります。
  49. 上村千一郎

    上村委員長 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時十分開議
  50. 上村千一郎

    上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。村山喜一君。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 四月十五日に大蔵大臣は、当面の財政事情についての説明をこの委員会で行われたわけでございますが、その中で四十九年度の税収の不足が約八千億円、その対策として、四十九年度所属の税収になる額四千億円を繰り入れて、残りの四千億円については税外収入等のものをこれに充てる、こういうような考え方で、収支についてはプラス・マイナス・ゼロのような形に持っていこうというような計画のお話があったのでございますが、その中で日銀納付金、専売公社の納付金等の税外収入の増をどういうふうに算出をし、予定をしておられるのか、それについて承りたいのでございます。  なお、予算計上されました不用額はどの程度出てくるというふうに見ていらっしゃるのか、これで大体収支はとんとんになるというふうに見て間違いないかどうか、この点についてお尋ねをしたいのでございます。
  52. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 四十九年度の税収が不足をいたしますにつきまして、先ほどお話がございましたように、目下のところ税外収入二千四百億円、それから歳出の不用額千六百億円で補てんするという予定でございます。  そのうちの税外収入の中で、専売納付金につきましては後で専売公社の方からお話がございますが、日銀納付金につきましては私、担当でございませんので、詳細なる数字はわかりませんけれども、現在、日本銀行大蔵省主計局との間でその数字を検討し、近日確定するように聞いております。
  53. 泉美之松

    ○泉説明員 専売納付金につきましては、御存じのとおり今回の定価改定が問題になりましてから、十二月以降わりあい売り上げ増が出ましたので、もちろんそれに伴う製造コストもありますけれども、専売納付金としては補正予算の三千百五十八億円から約二百六十億円は増加する、こういうふうに見込んでおります。もっとも五月末に決算をしないと正確には申し上げられませんけれども、その数字に大体間違いはございません。
  54. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、これは主税局の担当ではないわけですが、主計局になるわけでありましょうが、いわゆる税外収入がたばこの場合で二百六十億、全体で税外収入の伸びを二千四百億というふうに踏んでいるわけでございますから、日銀の国庫納付金が二千百四十億程度、こういうふうに見て間違いございませんか。なお、予算計上の中の不用額は千六百億、こういうふうに見ているわけですね。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 日本銀行納付金につきましては、いま日本銀行相談いたしておりますけれども、千四、五百億程度考えております。それから専売公社の納付金につきましては、いまお話がございましたとおりでございます。そのほか中央競馬会納付金、交通反則者納付金等を合わせまして、日本銀行納付金以外の税外収入はおおむね一千億円程度の増収を考えておりますので、これと合わせまして二千四百億程度の税外収入を考えております。  それから不用額でございますけれども、千六百億一応もくろんでおりますが、そのうち約千億は個々の予算の費目に当たりましての歳出の不用額でございます。六百億は予備金の不用額を予定いたしておるわけでございます。
  56. 村山喜一

    村山(喜)委員 ギャンブル収入や交通事犯がふえて、そのために国庫納付金が一千億円ふえるということは大変悲しいことでございまして、そういうようなものまで当て込んで計算をしなければならない状態に陥ったという責任は、これはやはり大蔵大臣が受けとめていただかなければならない点だと思うのです。  そこで、私は、八千億円の減収という内容が、所得税関係で、源泉徴収で千二百億、申告所得で三千九百億、法人税関係が千二百億、その他が千七百億だとこの前説明を大臣から聞いたわけでございますが、一体その八千億という状態に果たしてなるかどうかということについて、私たちが手元にもらっております「租税及び印紙収入、収入額調」、この大蔵省の資料から見てまいりますると、源泉分にしてもあるいは申告分についても、対前年度の進捗割合と比較をいたしてみると、そんなに落ち込んでいるようには思われないわけです、二月の段階までの累積で調べてみると。そうなると、三月のいわゆる申告所得あるいは源泉徴収分等が極端に落ち込んできた、こういうふうにしか想定ができないわけでございますが、この八千億の減収見込みというのは確定をした、大体間違いがない数字であるのかどうか。  その点について、八千億という膨大な歳入欠陥が生じる見込みだということでは、一体どこに原因があったのかということを明らかにしてまいりませんと、問題の解決にならないと思うのでございます。その点について所得税関係並びに法人税関係も、進捗割合は二月段階では九三・一で、昨年は九一・五でございますから、この割合から言うならば決して悪い数字ではないのじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございますが、八千億円果たして歳入欠陥が確実に生ずるというふうに見て間違いないのでございますか。その点を明確にしておいていただきたいと思います。
  57. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまお話しのように、ことしの二月末の収入を見てみますと、税収全体でも昨年の対決算進捗割合と四十九年度におきますところの補正予算に対します進捗割合とを比較いたしましても、一・一いいということになっております。そういう点から申せば、あるいはまたいまお話しのように、所得税なり法人税の進捗割合だけをとってごらんになりましても、かなりいいという状況が見られるわけでございまするが、実は三月、四月に入ります税収としましてかなり多くを期待しなければならない事情でございます。と申しますのは、昨年におきましても決算額の中で三月、四月におきまして約二兆二千億円余りの税収が入ったわけでございます。  そういうことで、三月、四月のウェートというのが実は非常に高うございますし、しかも、四十八年度におきますところのこの二兆二千億円余りの税収の大部分は申告所得税でございますが、その中に例の土地の譲渡所得に対します所得税が、年度内に入りましたものでも約八千四百億円あったわけでございます。もちろん、補正予算につきまして私どもがあの当時積算をいたしましたときにも、かなりそれまでの課税実績、それからいろいろな経済指標、その後におきますところの経済見通し等を勘案しまして、それ以後の税収につまましてペースを落として見るということはやったわけでございますけれども、結果から見てみますと、実はまだ落とし足らなかった事情があるわけでございます。  一つには、源泉所得税におきまして、年末に払われますボーナスに対します源泉所得税がかなりあるだろうということで見込んでおりましたものが、これが予想どおりの支払いが行われておりませんでした。それから一年決算法人が、補正予算編成当時までの事情では、もう一年前に比べまして約五割を超えるぐらいの税額の伸びを示しておったわけでございますけれども、それが私どもかなり落ちるだろうという見込みで、一年前に比べて一割程度の伸びになるというところまでは見込んだのでございますけれども、結果から言いますと、十一月決算期のものは一〇〇%少し上回るぐらいの申告税額を示しまして、それが一月の税収にあらわれてきたわけでございます。それから、ここでいま御指摘の、二月末の税収の中に入っております法人税の中の十二月決算の一年決算法人、これは実は一年決算法人の中ではかなりウエートが高いのでございますけれども、これの申告税額が一〇〇%を割るという結果になってしまいました。  そういうような事情で、二月末の全体の事情は先ほど申しましたように、一・一なお進捗割合としてはいいということでございましたけれども、内容的には、先ほど申しましたような、私どもがかなり落ちるだろうと見込んでおりましたものをさらに下回って税収にあらわれてきたという事情がございまして、よけいに三月、四月への税収に依存する度合いが強くなってきたわけでございます。  そこで、確定申告の状況をいろいろ税務署にサンプル的に情報をとってみますと、やはり土地の譲渡所得につきまして、私どもは前年におきます土地の譲渡所得、これは異常に伸びた年でございましたけれども、それの半分に落ちるだろうという予測を補正予算当時にしたわけでございますが、結果を見てみますと、実はこれが二七%程度に落ちておりました。それから譲渡所得以外の営業その他の申告でございますけれども、これも先ほど申しましたように、一年決算法人が一年前に比べてかなり高い水準、それも十月期ぐらいまでは高い水準を結果として示しておったわけでございますが、それに当たるものとしましての営業その他の申告所得の割合といいますのが、一年決算法人ほど高くは見ていなかったのでございますけれども、結果として申告の事情をとってみますと、やはりわれわれが補正予算当時に見込みましたものをかなり下回った水準で終わったわけでございます。  そういうことから考えてみますと、はなはだ不面目なことでございますが、私どもが補正予算の当時に見積もりました税収というのは、どうも十分落とし足りなかった。その部面が反映してまいりまして、まだもちろん確定数字ではございませんけれども、四月までに入ります税収、制度を改正する前の税収としまして予測をしてみますと、やはり八千億円程度の税収不足が来るということは、残念ながら予定せざるを得ない事情になったわけでございます。
  58. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十九年度は、何らかそういうような繰り上げ措置等によりまして、あるいは税外収入の増によって処理をするといたしまして、一体、五十年度の分についてはどういうふうになっていくんだろうかということを考えてみますと、大蔵大臣、給与所得は一七%伸び、申告所得の中の営業所得は一七%伸び、農業が一〇%、その他事業が一七%、その他で一八%というような伸び率を予定して、歳入を予定しているわけでございますが、どうも今度の春闘相場の上から見ましても、そういうような数字は出てきそうにありません。  また、最近の工業生産の生産指数から見ましても、昨年同期に対して一八%程度下回っておる。これは四十九年の九月から五十年の二月まででございますが、稼働率も二〇%程度低いというような数字が出ておりますし、実質個人消費の伸びも一・六%程度昨年はあったわけですが、四十九年、暦年の経済成長率はマイナス一・八%。こういうような具体的な生産活動の中から生まれる所得、それに対して課税をしていくという形の中で考えて、五十年度の歳入は十七兆七千億余りの予算を計上されたわけでございますが、一体、所得税が六兆六千五十億も、法人税関係で六兆一千四百十億も取れる見込みがあるのかないのか。  大臣、これはもう単に主税局長の判断だけではないと思うのです。経済全体の見通しの上に立った税収は、四十九年度は大体こういうようなことで終わるわけでございますが、こういう調子でいまの景気の動向なりあるいは個人所得の伸びの状況から判断をいたしますと、二兆円ぐらいの歳入欠陥が五十年度は生ずるのではなかろうかという危惧があるわけでございますが、その点は大臣はどういうふうに判断をしておいでになるのか、そういうような事態にならないというのであるならば、その根拠を示していただきたいのです。
  59. 大平正芳

    大平国務大臣 五十年度の税収の見込みは、五十年度の経済の状況いかんにかかわると思うのでございます。五十年度の経済がどのように推移してまいりますか、これはこれからのことでございまして、政府政府として予算編成と同時に一応の見通しを持っておりますが、これに対しまして、村山さんのおっしゃるように、これは問題ではないかという御指摘は各方面にございます。一部には、そうでなくてV字型の回復が可能であるという見通しを立てておる調査所もあるようでございますけれども、確かにあなたが言われるような問題点はあると思います。しかし、いま年度が始まったばかりでございますし、これから世界経済がどのような推移をたどりますか、そういう中において政府がどういう施策をこれから施してまいるか、これに照応いたしまして民間経済がどういう活力を示すか、これは一に将来にかかるわけでございまして、いまから確たる展望を正直のところ持っておりません。  私といたしましていま申し上げられることは、歳入歳出とも、この間成立を見ました予算の忠実な実行を期したいということがいま精いっぱいの目標でございます。下半期にまいりましてもう少し経済の状況が経過をいたしまして、将来の展望もそれを踏まえて明らかになってまいりますと、政府全体といたしまして見通しをどのように立て直すかという問題が出てこようかと思いますけれども、いまの段階におきましては、せっかく成立をさせていただきました予算の忠実なる実行を、何としても確保せねばなるまいという決意を申し上げる以外に道はございません。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはおかしいのですよね。給与所得の一つの例をとってみましても、いまガイドラインを引いて一五%以下に押し込んでいけということで、あなたや福田さんを中心にして日経連の方と連絡をとりながら春闘の相場づくりを事前にやられて、そしてこれはどの程度になっているかわかりませんが、一五%以内に押さえ込んでおることは間違いない客観的な事実であります。     〔委員長退席、伊藤委員長代理着席〕 その中で、賃金は一七%上がるであろうということで予算は計上していらっしゃる。そこには矛盾があるんじゃありませんか。途中で景気がよくなったらまた賃金を上げるような状況をつくり出していくんだということなんですか。  一五%以下にとどめて平均は一〇%前後という状態が今日の春闘相場になりつつある。これが景気がさらによくなっていけば、あるいは製品価格を上乗せして、その中で企業利潤が出たら、それをまた賃金の方に分配をするというようなこともあり得るでしょうが、それは今度はまた物価政策等の上においてできないということになってくるならば、歳入の見積もりをされたものとその賃金のガイドラインとの間には深い関係があるわけでありますが、どうもそこら辺が私たちにはわからないわけでございます。一七%は上がるであろうという想定で所得税は算出をされて、賃金は一五%以下に押さえ込んでいきなさい。平均一〇%程度になったら、そういう源泉徴収の所得税だけでも約一兆円の収入減になるんじゃないかというふうに想定ができるわけですが、主税局長、その点はどうですか。
  61. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 確かに五十年度の源泉所得税の給与見積もりにつきまして、一人当たり雇用所得の増を一七%に見ております。これは実は春闘におきましてのベースアップだけでございませんで、そういうベースアップ、定期昇給、それから時間外給与あるいは臨時給与、そういうようなものを全部突っ込んで一七%でございまするから、一体、今回の春闘がどういう率に落ちつき、それからそれ以外の私が申しましたいろんな要素が今年度どういうふうに動くかということも十分注意をして見なければならないわけでございますが、仮に一七%と見込みました給与の伸びが落ちまして、一%当たり一体どれくらい税収に響くかということでございますが、源泉所得税で考えてみますと、約五、六百億円でございます。したがいまして、いまお示しのように、春闘のレベルが非常に低かったというようなことから御勘案されまして、すぐそこで一兆円というのはかなり大き過ぎる金額ではないかというふうに思っております。
  62. 村山喜一

    村山(喜)委員 どういうような数字になるか、最終的にはわかりませんが、大体低目にということになってくる。そうすると、他の申告所得の営業所得だってそんなによくなるはずがない。あるいはその他事業所得だって、これは一七%も上がるはずがない。そういうような全体から見ました場合には、所得税関係だけで一兆円の減になるであろうというのは、これは大まかな算出でございますが、大体想定がしにくい数字ではないと思うのです。  そういうような面から見ましても、政府が苦慮していることはわかりますよ。わかるけれども、そういうような税収の落ち込みが四十九年度にあった。五十年度についても二兆円ぐらいの税収不足があらわれるんじゃないかという想定が今日の段階においてもできるわけですから、それに対応する対策は一体どうすればいいんだということを、財政当局の大蔵大臣はやはり国民の前に委員会を通じて明らかにされるべきではないかと私は思っているのです。  だから、税収が不足をした場合には、やがて臨時国会等において富裕税の創設とか、そういうような面についても考えるという方向が明らかにならなければおかしいのじゃないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
  63. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、年度が始まったばかりでございますので、この年度内、内外の経済がどういう状況に推移いたしますか、これからのことでございます。それからまた、政府がこれからどのようなことをやってまいりますか、それもこれからのことでございますので、いま私が申し上げられますことは、せっかく成立させていただきました予算を忠実に実行いたしますと、こういうこと以外に申し上げようはないということを申し上げたわけでございます。  しかし、これを誠実に実行してまいりまして、いま村山さんがおっしゃるように、抜き差しならない歳入欠陥があらわになってくるというようなことがある段階において明らかになるということになってまいりますならば、それに対しましては具体的な対応策を講じなければならぬことは、当然政府責任になってこようと思うのでございますけれども、いまの段階におきましては年度が始まったばかりでございますので、いまそういう展望を語るわけにはまいらないと存ずる次第でございます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまの段階ではそれ以上のことを大臣も言うわけにはいかぬでしょうが、政府がというふうに言われないで、大蔵大臣がやはり当面の責任者でございますから、あなた自身が重大な決意をお持ちになった上でお考えをいただかないわけにはいかぬと思うのでございます。  それに関連をいたしまして、この酒税の見込みでございますが、この徴収歩合率から見ましても酒税は落ち込んでおりますね。八五・六%、前年は九三・五%ですが、この税収の見込みというのは、一体、四十九年度は酒税の税収の中において歳入欠陥になるような事態はございませんか。
  65. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 八千億を見込みましたときには、先ほど御説明しましたように所得税、法人税それから相続税、関税、印紙収入等について見込んだわけでございますが、酒税につきまして考えてみますと、いまお話しのように、二月末の現況におきまして確かに昨年度の進捗割合九三・五%に対して八五・六%を示しております。その点から申せば、ほかの税がかなりいい状態の中ですでに酒税は悪いという事情でございますが、実は昨年は三月三十一日が日曜日でございまして、したがいまして、三月三十一日に申告しなければならない税金が四月一日になるわけでございまして、それでそういう関係から、本来でございますれば四十八年度税収に入らなければならない金額が四十九年度にずれ込んだ事情が特にございました。その金額を概算見積もりまして約五百億円余りでございました。したがいまして、単に進捗割合から比較をしまして四十九年度の税収が特に悪いという事情ではございません。  ただ、景気が非常に冷え込んでおるということは、やはり酒税にも相当影響を来たしておることは事実でございます。しかし、補正予算作成当時にもそういった事情をもう一度見直してみましてつくりました税収見込みでございますので、若干の差はあるかとも思いますけれども、ほぼ補正予算程度の金額は入るのではないかというふうに考えております。
  66. 村山喜一

    村山(喜)委員 ちょっとおかしいのですね。三月三十一日が日曜日であった、だから四月一日に申告をした、だから四十八年度税収分が四十九年度分として入った。その金額は五百億だ、こういう説明でございますが、私たちがいまこの資料としていただいている中で問題にしているのはそうではなくて、二月末の累計で対比をしているわけでございますから、その答弁は間違った答弁です。昨年は九三・五%の進捗率であった、ことしは二月末で八五・六%しかないじゃありませんか、このことを指摘しておるわけです。  だから、いまの値上げの関係を別にいたしますと、この五月一日から値上がりになるというので、きょうのサンケイでしたか、五十年の一月から三月の出荷量も出ておるようでございますが、ビールは対前年度比六%ふえているようでございますが、これは値上がり利益を見越した上のそういう超過利得を得るがための措置であるという表現もしてありますように、若干そういうような関連性はあるわけでございましょうが、酒税関係においてはこの補正予算で計上されたものだけは確保ができる、こういうふうに主税局長は言われているのだと思うのですが、それは大丈夫ですか。
  67. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 昨年度の、四十八年度の税収について御説明をしましたが、三月三十一日が日曜日でありましたために、本来でございますれば四月に入りまして四十八年度税収になるべきであった金額約五百億円余りというのは四十八年度の収入に入らなかったわけでございます。したがいまして、二月末現在で見てみまして、四十八年度においてはあとほぼ一月くらいの税収が入る計算でございましたし、四十九年度で見てみますと、あと三月、四月二カ月分が予定をできるという状況でございますから、九三・五%と八五・六%の関係は、その数字だけでお比較いただかないようにお願いをしたいということを申し上げたわけでございます。  それで確かにおっしゃいますように、増税が予定されるような時期には流通部面に出荷が多く行われて滞留をするということが見られます。したがいまして、いわば早出しになるわけでございますが、そういう点で税収をふやすという要因にはなるわけでございますけれども、二月までの事情を見てみますと、実はそんなにそういう早出しの事情というのはまだ看取されておりません。私どもがほぼ税収が確保されるであろうということを見ておりますのは、大体その消費の水準から見まして景気の落ち込みも考えまして、あの補正予算当時に見直しました金額がその後においてもそんなに差がないだろうということを申し上げておるのでございまして、若干の差は生ずるかもしれませんけれども、ほぼこの補正予算額というのは達成できるのではないかというふうに考えております。
  68. 村山喜一

    村山(喜)委員 ことしの税額とそれに合わせたいわゆる蔵出しの数量、これは清酒、ビール、ウイスキー類、その他という分類によってどういうふうに見込みを立てておいでになるのですか。これは対前年度と比較をいたしましてその数量の推移はどういうふうに測定をされておりますか。
  69. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまことしとおっしゃいましたのは四十九年……(村山(喜)委員「五十年度です」と呼ぶ)五十年度の見込みにつきましては、やはり景気の状況、消費の事情というものを勘案いたしまして、かなり抑制的に見ておるつもりでございました。  それで、それを酒類別に見てみますと、大体清酒につきましては、特級、一級、二級を通じまして四十九年度に対して九八%の量になるだろうというふうに見込んでおります。ビールは四十九年度の量に対しまして一割増、ウイスキーは各級を通じまして二割増、全体の酒類で見まして、前年度に対して約六%程度ふえるということで五十年度の税収を積算いたしております。
  70. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十九年度ですが、ビールのいわゆる対前年度の伸びはどうなっておりましたか、実績はどういうふうになる見込みでございますか。
  71. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 現在見込んでおりますところでは、前年度に対しまして九五・六%でございます。これは昨年の夏季の気候を考えてみますと、暑さが十分上がらなかったというような事情でもってこういう事態になったのでございます。
  72. 村山喜一

    村山(喜)委員 天候に関係はするでしょうが、そうなってまいりますと、ことしは天候がよくて、そうしてビールの消費は拡大をする、こういうふうに見ていらっしゃるということですか。
  73. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ビールの出荷といいますのは、多分にその一番最盛期の天候に左右される事情がございます。それで四十八年度は前年に比べまして一割伸びたわけでございますが、四十九年度は先ほど申しましたように九五%にそれが落ちるわけでございますから、五十年度を四十九年度に対して一割増に見ますと、大体四十八年度の実績をちょっと上回るぐらいの程度でございまするから、これくらいのビールの消費というものは予測できると思っております。
  74. 村山喜一

    村山(喜)委員 ウイスキー関係は一二%を見込んでいるようですが、その点は大丈夫ですか。
  75. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ウイスキー類は、四十八年度に前年度に対しまして約二割伸びております。それで、四十九年度の実績見込みとしましても二割というふうに見たわけでございまして、それをさらに二割伸ばしておるわけでございますが、最近におきますところのウイスキーの消費というのは、やはり嗜好の移り変わりということもございましてかなり高い伸びを示しておりますし、まずこの程度の伸びは確保されるのではないかというふうにいまも思っております。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 税金のいわゆる増加額がビールで二二%のアップ、ウイスキーで二二%程度、清酒は二二%と一五%程度でございますが、そうなってきたときに、ビールは二二%程度税金を上げても、あるいはウイスキーも同じ程度上げても、ビールは一一〇%に伸びる、ウイスキー類は一二〇%になる、こういうふうに見て間違いないという根拠はどこから出てくるのですか。  なお、これに関連をして、コストの上昇等を織り込んですでに朝日麦酒、サッポロビールは値上げのなにをやっておるようでございますが、サントリーと麒麟麦酒はまだ値上げという段階になっていないようでございます。そういうような点から見た場合に、果たしてそういうような税金は上がる、小売価格は上がる、そのマージンが上がるという形になってまいりました場合に、ビールの代金は小売価格が、そのメーカーの値上げ分と税金の値上げ分によりまして相当値上がりになってくるわけですが、それでも対前年度よりも一〇%はふえる、こういう見込みが立つという根拠ですね。  景気は悪くなる。社用消費と家庭消費の割合は大体半々だというふうにわれわれも聞いているわけですが、社用消費の場合もある程度抑えなければならない。そういう節約ムードの中で、果たしてこれだけの税金を上げて税収が確保できるかどうかというところに問題があるわけですが、その点は大丈夫かどうか聞いているわけです。
  77. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ビールでもウイスキーでも、一つ一つの商品の小売価格が上がるということも消費に影響をいたしますけれども、しかし、全体的な家計消費なら家計消費の中における酒類に投ぜられますところの消費資金が、一体どうなるのかというのが全体的に非常に重要な要素になると思っております。  そこで、かねてからいろいろ今回の増税の理由というものを申し上げておりますように、所得は一般的に上がっております。たとえば家計で見ましても、四十三年から今日におきまして約二・七倍くらいに上がっておるわけでございますし、一般的に企業の収入というのも上がっておるわけでございます。  そこで、そういう家計なり企業の消費というものの中に占める酒類に投ぜられる消費資金が一体どういう事情にあるのかということでございまするが、たとえば家計で申しましても、総理府の家計調査によってみまして、酒類に投ぜられますところの消費資金というのは、四十三年においては一・三%であったわけでございますけれども、これは四十八年の実際の数字で一・〇になっております。恐らく五十年度もそのくらいの数字になっておりまするから、いわば酒類に投ぜられます消費資金というもののウエートは小さくなってきておりますから、今回の増税でその部分が値上がりになったといたしましても、消費資金としてはむしろまたもとに戻るくらいの趨勢というのを見てもいいのだろうというふうに私ども考えております。  したがいまして、ビールであれ、清酒であれ、ウイスキーであれ、増税に伴います値上がりがあったといたしましても、しかもその値上がり部分は四十三年度の小売価格の中に占めますところの負担率を全額もとに戻すというようなことをいたしませんで、かなり下回ったところでとめておりますから、この増税によりまして消費が非常に減るというようなことはないだろうというふうに考えておるわけでございます。
  78. 村山喜一

    村山(喜)委員 総理府の家計調査、私もここに持ってきておりますが、一世帯当たりの年平均一カ月の収入と支出の割合で勤労者世帯と全世帯の酒類のウエートは、いま主税局長は一・〇とおっしゃいましたが、一・五です。ですから、その消費動向がどういうふうに変わっていくかということは、これからの景気の上昇のいかん等によって変わっていくわけでございます、あるいはそれに伴いまして所得の伸びのいかんによって変わっていくだろうと思うのですが、家計費の上から見ましてウエートは一・五%程度の割合であるとしましても、やはりそういうようなところにも節約ムードというものが出てくるのじゃないでしょうか。  いままで特級酒を飲んでおった者が一級酒にかわるとか、一級酒が二級酒にかわる。大体アルコールの度数や銘柄によって一級、二級というのは違っているようでございますが、中には二級酒でうまい酒もあるわけでございますから、そういうようなうまい酒を見つけてそれに消費動向が変わっていくということも考えられるわけです。  そういうふうになってまいりますと、果たしてこの伸び率が一一〇%や一二〇%というふうに――普通の年であるならばこれぐらいの伸び率があるかもしれません。しかし、二二%程度も増税を予定しておるものがこんなに消費が伸びていくだけの家計のゆとりがあるというふうに、あなたは判断をされているのでしょうが、大蔵大臣はそういうふうに甘く見ていらっしゃるのですか。賃金は一〇%しか上がらない、ビール、ウイスキーは一〇%、二〇%前年よりも消費がふえる、こういうようなことから考えたときに、そんなにうまくいくかどうかですね。大丈夫ですか。
  79. 大平正芳

    大平国務大臣 長い間そういう税収の見積もりをやってまいりました主税当局の力量に信頼を置いておるわけです。しかし、去年は不幸にいたしまして大きな狂いを生じたので、この信頼やや揺らぎが生じかけておりますこともないとは言えませんけれども、しかし私は、それではほかによるべき物差しがあるかといいますと、やはり永年手がけた仕事でございますので、主税局の諸君が出してまいりました見積もりというものを企業ベースにいたしまして御審議を願うということにいたしたわけでございます。万々ことしは狂いがないことを祈っておるわけでございます。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 私たち大蔵省の見積もりはわりあいに正確だと思っておりましたのが、残念ながら、景気がいいときにはぼんと予想外の税収が出てくるし、景気が落ち込むと八千億だ、一兆円だというようなとてつもない大変な減収という形で、どうも余りこのごろは、大臣が信頼をされておるほど信頼をするわけにはいかぬようになってきたようでございます。  そういうような意味で、どうも税金が上がり、またその税金とともにマージンやあるいはメーカーのそういうような価格が上昇をしていく中で、税金プラスメーカーの諸値上がり分というものがともに小売価格に反映をしてきたら、ビール一本百九十円から百九十五円ぐらいの売り値になるのではないか。そうなってきたら、そんなにがぼがぼ飲むわけにはいかぬだろうと思うのです。おまけに、企業活動もそういう状態でございますから、社用消費というものもそんなにふえる見込みもない。そうなってきたら、どうもこれは過大見込みではないだろうかという気がするのでございます。  そこで、この点についてもう一つ確認をしておきたいのは、四月の大蔵省の見込みでは、このビールの値上がり、いわゆる税金の値上がりに伴いまして異常な出荷増というものが出ているわけですが、これは四月分は対前年比にいたしまして四〇%ぐらいの増になるだろうというふうに見ていらっしゃるのですか。そうなった場合に、これは小売店が前の税金の価格で仕入れたものを、新しい税金が制定をされた後においてその新しい価格で売るとなれば、小売店が超過利得を得る形になるわけですが、これはチェックできない、こういうような現在の情勢であるようでございますが、それに対する対策は一体どういうふうにお考えになっているのか、それもあわせて説明をいただきたいのです。
  81. 星野孝俊

    ○星野政府委員 四月の出荷分につきましてはまだ正確な数字がつかめておりませんけれども、大体四〇%あるいはそれを若干超すのではないか、こういうふうに推定しております。  それから、旧税で出荷したものを、新税に切りかえる際にそれの把握のしようがないではないかというお話でございますが、先生御承知のように、税制が切りかわる際には必ずストック課税というものを小売店あるいは料飲店の段階実施しておりまして、本年はその一・三キロ以上の在庫を持っておる小売店あるいは料飲店あるいは卸、そういうところからはストック課税でもって新らしい税金で税を取る、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  82. 村山喜一

    村山(喜)委員 そのストック課税の対象になる小売店なりはどの程度のものなんですか。たとえば小さな小売店の場合等は、何かラベルでも張ってチェックするのですか。そこまでは手が及ばないわけでしょう。一定量以上の在庫を持っているものでなければ、それをチェックできないのではないですか。
  83. 星野孝俊

    ○星野政府委員 ストック課税につきましては、実はこの増税が行われます際に、各小売店でもって記帳していただくことになっておりまして、したがってその記帳状況を税務署がチェックしまして、一・三キロ以上の場合には課税をする、こういうことになっているわけでございます。
  84. 村山喜一

    村山(喜)委員 それでは酒の問題は、まだ質問もありますが、この程度においておきます。  そこで、たばこの問題ですが、このたばこを見てみますと、これには定価が書いてございませんね。これは定価以下で売ったらどういうことになるのですか。どういうような適用がされますか。たとえば、小売店が自分の手数料、一割程度の手数料があるわけですが、そのうちから幾らか大口の消費者、パチンコ店あたりに手数料分として差し引いて渡すというような状態が出た場合には、それは構わないわけですか、その場合の規制はどうなりますか。  なお、定価法によりまして、この銘柄ごとのなには大蔵大臣の認可を受けて専売公社の総裁が定価は公示をするということになっておりますが、官報に公示をするだけで、これには定価が書いてないですね。なぜ書いてないのですか、その理由を承りたいのです。
  85. 佐藤健司

    佐藤説明員 たばこの定価でございますが、たばこ専売法の三十四条第三項によりますと、「小売定価によらなければ、製造たばこを販売してはならない。」という規定がございます。     〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕 また、三十五条でございますが、「小売人は、その営業所に、製造たばこの小売定価表を掲げなければならない。」というふうになっておりまして、もしこれに違反をいたしますと、やはりたばこ専売法の七十三条という規定がございまして、「十万円以下の罰金」ということになっておるわけでございます。  それで、現在たばこに定価は書いてございませんけれども、外国におきましても、大体専売制をとっておるところでは、定価をたばこそのものに書いておるところはないようでございますが、専売制をとっておりませんところでも、ほとんどそういうたばこの包装そのものに書いてあるというものはないようでございます。
  86. 村山喜一

    村山(喜)委員 過去には定価が書いてありましたね。いまはなぜないのですか。
  87. 佐藤健司

    佐藤説明員 過去、昭和十四年ごろまではそういうことがあったようでございますが、それ以降はないわけでございますが、やはり定価表そのものを小売店に掲示するということで周知を図ることと、また定価を必ず末端まで守るということになっておるものでございますから、そういう点であえて包装に定価をつけなくてもいいのではないかということになっておるわけでございます。
  88. 村山喜一

    村山(喜)委員 製造月日はどこに書いてございますか。
  89. 泉美之松

    ○泉説明員 たばこの種類によって違っておりますが、ハードボックスのみねとからんとかいったものにつきましては、その小箱の底に製造月日が印刷してございます。そのほかのソフトパックのたばこにつきましては、それを包装しております中包みの、二十箱とか五十箱とかパックしておりますが、その包装紙に印刷して書いてございます。
  90. 村山喜一

    村山(喜)委員 たばこにカビが生えて、これは衛生上もよくない、買いだめをしてカビを生やしてしまった、交換をしてくださいということで持ってまいりますね。そうなると、それはチェックできますか。消費者は中をあけてみないと、銀紙のところに製造月日が書いてあるのはわからないわけです。だから、小売店でも余り売れないところはそういうようなのが残っております。カビの生えたようなものがある。それをかえてもらいたいと思ってかえに行っても、いや、あなた、これは買いだめ品でしょうというようなことでいやみを言われる。  そうすると、値上がりの前に幾らか自分で買っておきたいということで買う者もおるでしょうし、中にはひどいのは、よくうわさに聞くのですが、このごろは小売店が機械化されておりますので、小売店からボール箱で買うわけにはいかぬというようなことで抑えられると、四八%も値上がりになるわけですから、アルバイトを頼んで百円玉にかえまして、そして人夫賃を一日四千円くらい払って、そして買いだめをしているのもおるやに聞いておるのです。ひどいのになると三億円ぐらい買いだめをしているというのもうわさに聞くわけでございますが、そういうようなものが梅雨の時期を越しまして、そしてそれはカビが生えておったというので、かえてもらいたいというふうに持ってきたときにはどういうふうになりますか。かえてくれますか、かえてくれませんか。
  91. 泉美之松

    ○泉説明員 通常の場合におきましては、カビが生えておったとか、あるいは虫がおったとか、あるいは巻きのぐあいが悪かったといったような苦清がございましたときには、それの内容を確かめました上で引きかえに応ずるように小売店を指導いたしております。  ただ、今回の定価改定の際におきまして、これはいまいろいろお話がございましたが、パチンコ等大口消費者の場合におきましては、そのような買いだめが行われますことは必ずしも好ましい傾向ではございません。一般消費者にできるだけ販売するようにいたさなければなりませんので、そういう大口消費者に対しましては、それに向けて売ります小売店を指導いたしまして、相当厳しく規制をいたしております。その関係で、いま先生のおっしゃったように、人を雇って自動販売機からたばこを買って集めるとかいうふうないろいろな手段を用いて、パチンコ店等が買いだめをしておるということはいろいろ聞いております。したがって、定価改定を行いました後にどういうふうな苦情が出てまいりますか、いまからなかなか予測できませんけれども、私どもとしましては、その品物がどういう経路で入手されたのかということを確かめまして、そういう点において消費者の方にやむを得ない事情がございますればできるだけ引きかえに応じていきたい、このように思っております。
  92. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは引きかえなければならないのですか。それとも引きかえる義務はないのですか。それは消費者に対するサービスだというふうにお考えになっておるのですか。そこら辺の関係は、法的にはどうなるのですか。
  93. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 法律的には引きかえなければならないという明文はございません。
  94. 村山喜一

    村山(喜)委員 引きかえなければならないという規定はない、それはサービス行為としてその場合にはやるということですか。
  95. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いろいろの場合があると思いますが、専売公社の責任のあるような原因、これはたとえば製造の工程でミスがございましたり――いま申し上げましたのは少し言葉が足りませんでしたけれども、消費者との関係におきまして、お客さんとの関係におきまして、引きかえなければいけないという明文の規定はございません。  そこで、ただ消費者との関係におきまして、専売公社の工場の工程でミスがございました、たとえばハイライトのフィルターがとれておりました、そういったことは明らかに専売公社に責任のある商品でございます。こういうものに対しまして引きかえするということはメーカーとしての当然のことであるということで、これは法の明文があるなしにかかわらずやるべきものということで、私たちはそういう対応をしております。  ただ、消費者の方に責めがある、これは争いのあるところで、具体的判定はなかなかむずかしい場合があろうかと思いますけれども、そういったものに対しましては、これは消費者の方のリスクでなさったこと、あるいは責任でなさったことについてまで私どもが全部御要求に応じなければいけないのかどうかということについてはいろいろ問題がございますので、これは私どもとして、もしやるとすればサービスでやる。しかし、法律的にやる必要があるような話ではないんではないかと思います。  先ほど法律的に明文がないと申し上げましたが、小売人と公社との関係におきましてはそういう法律の規定がございます。たばこ屋さんの方からある理由によって引きかえてほしいというお話がございましたときは専売公社は応ずるという、そういう法律規定がございます。
  96. 村山喜一

    村山(喜)委員 具体的にお尋ねしておきますが、たばこを買います。その中で、どうもカビ臭いなと思いながらも一本火をつけてみた。そうしたら辛くてたばこの味がしない、そんなのが間々あるのですよ。そこで一本吸うてみてあとはもう吸えないものだから、それを買ったところの小売店に持っていきまして、これは一本封を切って吸うたんだけれども、こんなカビの生えたやつはだめじゃないか、これは取りかえてくれ、こういうふうになってきたときに、それは小売人と消費者との信頼関係だけですか。それとも専売公社はそれに対してはどういうふうにするのですか。
  97. 佐藤健司

    佐藤説明員 消費者の方がお買い求めになりまして、そういう中の一本を吸いまして非常にぐあいが悪い、そういう場合には、小売人の方でそれをかえておるのが現在の実情でございます。そういうものがございました場合には、小売人の方は事情をよく見まして、公社の方にまたその引きかえその他の問題があると思いますけれども、その場合にはまたよく調べてやるということになるだろうと思います。
  98. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、その場合には専売公社としては封を切ったものであってもかえてくれるわけですね。
  99. 佐藤健司

    佐藤説明員 その悪品しておる内容その他をよく見た上でやるということになろうかと思います。
  100. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまのは的確な答弁でないのですが、そういうような場合にはかえてくれるのですか、それは小売店の損失に見るのですかと聞いているのです。
  101. 佐藤健司

    佐藤説明員 それが明らかに何か故意に悪品にさせたということでございませんければ、それをお取りかえをするということになっております。
  102. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうなりますと、私は良品対策の問題でお尋ねをしなければなりません。ろう紙包装などでやっておるわけですが、いわゆるセロハンで包んだような形で品物を置いておるのと、それからただもうこれだけの紙に包んで置いているのでは、特に雨季に入りますと、湿気の関係でセロハンで包んでいる分についてはある程度の耐久力があるでしょうが、むき出しのやつはすぐカビが生えたりするだろうと思うのです。  その場合にはそういうような良品対策というものを消費者に対してやらなければならないわけですが、この包装は、回転率が早くてそして売れるものについては余りそういうような包装をする必要はないけれども、余り売れないものは包装をしてカビが生えないようにしてやるということが消費者に対するサービスであると同時に、小売店などにおいてもそういうような品物を置きかえをしてくれるわけじゃないでしょうから、そういう点から小売店に対するサービスにもなると思うのですが、いまエコー、わかば、バット、それからウルマとかハイトーン、バイオレット、そういうようなものは包装がありませんね。それ以上の一級品、二級品というものはありますね。一体これはどういうようなことなんですか。  在庫率の上から見たりした場合に、どうもいまあなたの説明を聞いていると、なぜそういうようなカビの生えたようなたばこを売ったのか、いろいろ事情を調べた上で、小売店の場合にはかえてやるというような話でございますから、私はそういうような良品対策の上から見て、公社は国民にどういうようにサービスをしているのかということの責任を問いたくなるわけです。その点の説明を願います。
  103. 佐藤健司

    佐藤説明員 悪品した場合にはできるだけお取りかえをすることになっております。  それからいまの上にセロハンのあれがないものでございますが、これは製造たばこの葉に在来のものを使っておる、在来種という昔からの日本のあれでございますが、この葉を使っておりますものは非常に強いわけでございまして、いろいろなそういう湿気その他にも相当に耐えられるものでございます。そういう葉によってつくっておりますたばこにつきましては、そういうものをかけておらないのが現在の状況でございます。
  104. 村山喜一

    村山(喜)委員 一番在庫率の多い銘柄品は一体何ですか。
  105. 泉美之松

    ○泉説明員 現段階の場合でございますと、おおぞらとかマリーナが在庫率が多うございます。それから在庫率の少ないものはセブンスター、ホープ十本入り等でございます。  そこで、どの銘柄のものを包装し、どの銘柄のものにセロハンの包装を加えないかということは、先ほど佐藤務理事からお答えいたしましたように、在来種を使っていますと湿気を吸う程度が少のうございますので、したがって在来種を多く使っているものにつきましてはセロハン包装をいたしておりません。もっとも、わかばだけは従前セロハン包装をいたしておったのございますが、御存じのように石油ショック以後セロハンの価格が上昇してまいりましたし、まあいま申し上げましたように在来種を相当たくさん使っておりますので湿気の心配は余りないということから、省資源の考え方を加えまして、わかばにつきましてはセロハン包装をやめました。しかし、そのやめた後をいろいろ調べておりますけれども、わかばについてそういうカビが生えたといったような苦情は一切ございませんので、その点は大丈夫ではないかというふうに思っております。  なお、先生のお話でございますと、回転率を考えて、在庫率の高いものはセロハン包装をする、在庫率の少ないたとえばセブンスターであるとかホープ十本入りなんというのは非常に売れ行きがいいのだから包装しなくてもいいじゃないか、これは一つの御意見だと思います。  私どもといたしましても、その点につきましていろいろ検討をいたしたのでございます。普通の状態の場合でございますとそれでもいいわけでございますが、やはり梅雨どきになりますと、回転率がいかにいいと申しましても、やはり公社の工場から出まして消費者の手元に届くまでに若干の日にちがございますし、それから消費者がすぐそのままお吸いになればいいけれども、やはり手元に置いておかれる期間もあろうかと思いますので、そういった点を考えますと、一年のうち梅雨どきだけ包装して梅雨どき以外には包装しないというのも一つの手でございます。その点いろいろ考えたのでございますけれども、やはり国際的な商品として見ますと、外国で包装されているようなものと対抗するような品物につきましては、やはりセロハン包装をしておいた方がいいのではないかということで、種々検討いたしましたけれども、いまそのような措置にいたしておる次第でございます。
  106. 村山喜一

    村山(喜)委員 セブンスターとかショートホープというのは、梅雨どきであれば全部包装した方が望ましいわけですが、そういうようなものは梅雨どきには包装するとしても、それ以外は包装する必要はないじゃないか。それよりもおおぞらのような在庫率が四カ月も五カ月もあるようなものについてはやはり包装するなりして、高級品で売れないものについては包装すべきだと思うのですが、エコーとかわかばとかバットとかハイトーンとかウルマとかバイオレットとか、三級の銘柄品については余り包装してないですね。だから、値段が安いのだからこいつは価格に合わせてそういうようなことをやればいいんだというのが公社の態度ではないだろうか、こういうふうに思われてしようがないのですよ。だから値段の高いものには包装をして、中には過剰包装にまでなるようなろう紙包装も果たして必要であるのかどうかということも、これも考えなくちゃならぬ合理化の一つの問題点ではないだろうか。そういうような意味においては、もっとそこら辺は再検討されてしかるべきではないだろうかと思うのです。  それに対する答弁を承りますと同時に、時間の催促を委員長から受けておりますから、できるだけ御協力を申し上げようと思っておるのですが、あと二点ほどお尋ねしてみたいと思うのです。  公社のパネル調査を職業別におやりになっていらっしゃると思うのですが、一級品、二級品、三級品の職業別の聞き取り調査というのは一体どういうような結果になっておりますか。
  107. 泉美之松

    ○泉説明員 まず最初に包装のことでございますが、私どもはいま申し上げましたように在来種を多く使っているものにつきましてはカビの心配がございませんために包装をいたしておりません。そのために、お話のように三級品は包装してないじゃないかということでございますが、二級品とか三級品の中でそういう在来種を使っているものが包装されていませんので、包装しているものにつきましては黄色種であるとかバーレー種であるとかいう葉っぱを使っているもので、そういったものがたまたま一級品に多いということでございまして、価格が高いから包装する、価格が安いから包装しないという考えではございません。  ただ、お話のように、包装も全体のコストのうちではわずか五%ほどのものではありますけれども、しかし、最近ほかの商品につきましても過剰包装の問題が起きておりますので、専売公社におきましても包装の仕方につきましてはなお十分検討すべきだというふうに思っております。  それから、その後でお尋ねの公社でパネル調査をやっておる場合、これは職業のいかんによってたばこの喫煙本数がどうであるかという調査をいたしておりますが、この喫煙本数の調査によりますと、いわゆる管理職と申しますか、それとサービス業に従事しておる人たち、こういう人たちの喫煙本数が多い。同時に、その喫煙の中身はセブンスターであるとかチェリーであるとかいった一級品が多いし、その次にハイライトといった二級品になっておる、そういう職種では三級品はわりあい少ない。  しかし、もう一つの分析によりますと、たばこの銘柄は年齢によってかなり差がある。私どもは当初所得によって差があるかと思って見ておりましたけれども、所得の大きさによっては必ずしも差異がなくて、年齢によって差異がある。それはどういうことかといろいろ分析してみますと、結局、自分が最初にたばこを吸い始めたときの銘柄というものにかなり愛着を持つ傾向があります。これはもちろん銘柄によって多少違うわけでありますけれども、大体の場合におきましては、そういう喫煙者の六五%くらいまでは自分が最初に吸い始めたときのたばこに非常に愛着を持っておってそのたばこをお吸いになる。したがって、年齢が多くなられるに従って、はるか昔に売り出したたばこをいつまでもお吸いになっておられるという傾向があるようでございます。  そういうことからいたしまして、残りの三五%の人が好奇心といいますか、新しい銘柄が売り出されると新しい銘柄に移っていく傾向があるようであります。そのうちまたさらに分かれまして、三五%のうち半分程度は非常に興味を持って新しい銘柄が出るたびごとに銘柄を取りかえていかれる。しかし、その三五%のもう一つの半分は取りかえたある銘柄が気に入ってそれを持続していかれるというような傾向になっておるようでございます。喫煙者の心理はなかなか分析がむずかしゅうございますが、私どもはいま申し上げましたような分析をいたしております。
  108. 村山喜一

    村山(喜)委員 資料を調べてみますと、事務職の場合、それから労務職の場合、農林業の場合、まあ農林業の場合等は三級品が大部分ですね。労務職の場合には一級品、二級品が多いのですが、事務職になると一級品が過半数以上だという数字が出ているようでございます。また、総理府の家計調査の中の割合を見てみましても、全世帯の中の平均は一・一一ですが、所得の低いところはやはり二・七〇と、消費支出の中に占めるたばこの消費額の割合は高いわけですよ。五百万を超えたら〇・六五というような数字が出ております。まあ年齢的な面においての差異もあります。ありますが、やはり所得の中に占める割合から見たら、第一分位の方の場合には非常に高いということは言えるわけです。  私は「エコノミスト」の二月十七日の記事で、高齢失業対策事業の就労世帯の家計調査を松崎粂太郎さんがおやりになっているのを見たのですが、その中では失対夫婦の世帯の場合には、たばこの金額が一千八百三円、そのウエートは支出総額の四・七%、それに対して勤労世帯の全国平均の場合には八百四十八円で〇・九%という数字を見たわけです。  だから、そういうような失業対策事業等に働いている人たちたばこの値上げによる影響というものはきわめて大きいということを考えた場合には、前回にエコーというような新品種を創設したようなことをなぜ今回お考えにならなかったのか不思議でならないわけでございまして、貧乏人はたばこは吸わなくてもいい、そういうような考え方ではないだろうと思うのですが、老人世帯なりあるいは低所得者、弱者対策というようなものについての考え方というものは、あなた方はどの程度までお考えになったのか。やはり公社の採算ということだけで、国に対する納付金率をどうしなければならないという対策だけが先行し過ぎておつたのではなかろうかと思われるのですが、それは一体どういうふうにいまこの審議段階の中でお考えになっているのか、その点をお聞かせいただきたいのでございます。  それから、もう時間がありませんので、最後に自動販売機の問題でございますが、今回の定価改定で改造をしなければ使えなくなるわけでございます。そういうような場合に、公社は改作費を負担するというような問題も若干たばこの小売人組合との間には話があったようでございますが、それは定価の改定によります手数料の値上げによってカバーができるんだというようなことであるようでございます。  この小売人の手数料というものは、今度の場合には幾らか下げて、来年からまた従来どおり一割に引き上げるというようなことに話し合いがなっているようでございますが、果たしてこの小売人の手数料というものは一割が妥当なものなのかどうか。今回の改定とともにやられますその手数料が妥当なものなのか、ここら辺についてはどういうふうにお考えになっているのですか。  その二点をお答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 泉美之松

    ○泉説明員 まず最初に、総理府の家計調査の場合、第一分位の方と第五分位の方とでは、消費支出金額のうちに占めるたばこのウエートが第一分位の方が大きい、これはおっしゃるとおりでございます。ただ、それではそういう第一分位の方が安いたばこを吸っておるか、高いたばこを吸っておるかということになりますと、先ほどお話のありましたように、農林漁業の場合におきましては比較的三級品が多うございます。しかし、申し上げました事務職の人であるとかサービス業に従事しておる人たちの場合におきましては一級品が多いというようなことでありまして、必ずしも第一分位の方が安い銘柄のたばこを吸っておるということは事実としては出てきておりません。  ただ、これは村山先生御存じのように、かつて昭和四十三年の定価改定のときに、この総理府の家計調査の場合におきましては、どうもわれわれの調査からいたしますと、いわゆる記帳漏れがあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがって、いまお話しの農林漁業の場合に千四百円ほどの支出金額になっておるが、家計調査の場合には平均が八百七円でございまして、そういう点は農林漁業の場合あるいは土木事業でございますか、そういった場合の喫煙本数なり消費金額が多いというのではなくて、総理府の家計調査の場合の方に記帳漏れがあるんだというふうに解すべきではないかと存じております。  それから、今回の値上げに関連いたしまして、低所得者のことについてどう考えたかということは、これは申し上げておりますとおり、昭和四十三年以降の原価の値上がりは一級品も二級品も三級品もそれほど変わりのない原価の値上がりになっておるわけでありますが、その原価どおりに上げるのは適当でなかろうということで、一級品については二十本当たり五十円ないし六十円、二級品につきましては四十円、三級品につきましては二十円ということを一つの基準として引き上げることにいたしました。さらに、ゴールデンバットにつきましては十円だけ引き上げるというような配慮を加えておるわけでございます。  なお、先般当委員会で申し上げましたように、従来から行っております老人ホーム、保養所等におきまする老人の方に対しましては、低所得者の方が多いわけでございますが、そういった方に対しましては特別に無償で専売公社から希望されるたばこを差し上げるということも考えておる次第でございます。  なお、自動販売機につきましては、お話のように、今回の定価改定によって昨年九月三十日現在調査の十六万四千台のうち、改作しなくてもいい三万六千台と改作のできない三万台、これを除いた十万台近いものにつきましては改装を要するわけでございます。したがって、専売公社としましては、昨年予算要求のときにその改作費の一部を補助するという考えのもとに二十二億円の改作促進補助金を要求したわけでございます。  ところが、これは小売店のマージン問題と絡んでまいりまして、マージンの問題は、お話がございましたように、従来から定価改定を行いますとマージン率を引き下げる。今回の場合で申し上げますと、定価改定をしないと約二千九百三億本売れまして小売店のマージンが百二十九億円増額するわけでありますが、定価改定を行いました後マージン率を従来どおり一〇%にしておきますと、三百億円のマージンの増加になるわけであります。  今回の定価改定ということが財政収入を増加するという目的からいたしますと、本来百二十九億円ふえるべきものが三百億円もになるということはいかがかということからいたしまして、価格群別に一〇%、八・八%、八%というマージンに引き下げを行います。しかし、小売り手数量一〇%ということは小売業者のかねての悲願でもございますので、できるだけ早い機会に一〇%に戻す、そういうことから明年一月一日から一〇%に戻す、そういう措置を講ずることによりまして、本来ならば三百億円のマージン収入の増加があるわけでありますが、それが百六十億円の増加になる。  しかし、百六十億円増加するわけですし、それからたばこ小売店のうち自動販売機を持っておるのは約五〇%の人たちでございますので、その五〇%の人にだけ補助金を与えるということは、たばこ小売人全体としての立場から見ると必ずしも適当でない、公平でないというような意見がございまして、結局マージンをいま申し上げたようなことにセットすると同時に、その自動販売機改作補助金は予算に計上しないという措置がとられたわけでございます。  しかしながら、専売公社としましてはそれで放置しておくつもりはございませんので、今回の改作につきまして小売人の組合及びその中央会を通じまして、自動販売機メーカーと交渉する際に、個々の小売人でございますと弱くなりますので、小売人の組合を側面的に援助いたしまして、改作が円滑にいくように、また改作の費用ができるだけ少なくて済むように、こういう指導をいたしますと同時に、改作費につきまして金融を受けたいという希望がございますので、その金融措置につきまして、組合を指導いたしましてなるべく円滑に金融を受けられ、そして改作が円滑に進むように、このように指導いたしておる次第でございます。
  110. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣、ときどき質問をしないといけないようでございますが、今度酒の場合には特級酒、一級酒というようなことで、二級酒等は課税は強化されていないわけですね。しょうちゅう類も課税は強化されておりません。そこで、しょうちゅうの値段が上がらなかったということは、私のところなどでは非常に喜んでおるのですが、たばこだけはこれはもうかないませんな。田舎のばあちゃんが、生活保護すれすれの収入の少ないおばあちゃんですが、しょうちゅうの値上がりが税金でなかったということはほっとしたが、たばこはこの前はエコーのようなのをつくってもらって大変ありがたかったが、今度は全部軒並みに上がるようだが何とかならないだろうかという非常に強い要請があるのです。  昭和四十三年の値上げのときには、生活保護を受けている人とか老人世帯というような人たちに対してそういうような措置が講ぜられたわけでございますが、今度はそういうような者に対する配慮が酒ほどは、酒の場合には配慮がされたと私は思っておるのですが、たばこについては配慮する必要がないというふうにいまでもお考えになっているのか、やはりこれから参議院あたりでそれらについての話というものは期待しておられるのか、大臣の御所見を最後にお伺いをして私の質問を終わりたいと思うのですが、いかがでございますか。
  111. 大平正芳

    大平国務大臣 今度の値上げ問題、過去においていろいろな経緯があって、四十三年以来据え置いてきたわけでございますが、いまの時点において考えるとすれば、こういうことで御承認いただくのが適当でなかろうかと判断いたしたわけでございまして、原価が上がったわけでございますが、この原価の値上がりというのはどの銘柄にもかむっているわけでございます。従来の価格構成の中をできるだけ尊重いたしまして、そこに値上がりの分だけを上積みしていくということで足りるのか、それとも、おっしゃるようにもっと銘柄によって工夫する余地があるのか、そういうことは確かに問題であったわけでございますが、先ほど申しましたように、いろいろな経過を経てまいっておりますが、御審議いただいている案がまず一番ベストでなかろうか、専門家の意見も徴しながら参ったわけでございますので、私といたしましてはこの案で御承認いただくのがベストだと考えております。
  112. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  113. 上村千一郎

    上村委員長 松浦利尚君。
  114. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 質問時間が一時間ですから、答弁も簡潔にお願いいたします。  まず大臣にお尋ねをしておきますが、きのうの連合審査でも中村委員指摘しておりましたが、総理府の家計部会が答申をした例のナショナルミニマムですね、こういった発想はさておくとして、いま政府考えておる公共料金というのは何品目あるわけでありますか。
  115. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 お答えいたします。  消費者物価指数の中における公共料金というのは、消費者物価指数の分類の仕方が実は一般分類という分類の仕方と特殊分類という分類の仕方とございますが、いわゆる特殊分類という分類の仕方をいたしました場合の大別が商品とサービスということになっております。サービスの部門の中に公共料金という分類がございます。そのサービスの中における公共料金の分類からいきますと、二十三品目がいわゆる公共料金という形になっております。  ただ、それでは米だとか麦だとかいうような商品が入っておりませんので、いわゆる広義の公共料金というのになりますと、二十三品目にさらに三、四品目が加わるということになるわけでございます。
  116. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大体、総理府の統計局ではじいておる公共料金というのは、それに六品目足して二十九品目ですね。その公共料金が標準家計に占めておるウエートは全体で幾らになっておりますか。
  117. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 二十三品目で申し上げますと、一万分の千二百五十七でございます。そのほかにさらに何品目を加えるかというのは、いま先生御指摘の、六品目とおっしゃいましたけれども、私どもがいまここに持っております資料で見ますと、米と塩とたばこをこれに加えておりまして、この三品目を入れますと一万分の千七百十三ということでございます。  ただ、酒は、これはいま御審議いただいておりますけれども、公共料金ではございませんで税金でございますので、この品目の中に入っておりません。
  118. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そのウエートのうち一番高いもの、これは診療費ですね。いいですね。それから二番目に高いものはお米ですね。三番目にたばこが入っておりますでしょう。間違いありませんか。
  119. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 御質問のとおりでございます。
  120. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ですから、簡単にたばこと言いますが、たばこというのは総理府の統計の中に占めておる一万分のウエートから見て非常に高いのですよ。診療費、米、その次にたばこですからね。それを値上げするということは、一般の家計に影響を与える、与えないという二つの考え方があるのですが、このたばこを値上げすることはその分だけ家計に影響を与えるというふうに大臣思われますか。
  121. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり、家計にとりまして相当の影響を与えるものと思います。
  122. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、今度の値上げの理由というのは専売納付金とそれからたばこ消費税を上げる、こういうことだと思うのですね。それで、実質的に間接税なんですが、ぜいたく品のあのダイヤとか奢侈品の税率は何%ですか。一五%でしょう。
  123. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 現在、物品税の中でダイヤモンド等については小売価格の一五%が最高税率でございます。
  124. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 同じ間接税的なものであるにかかわらず、そういうぜいたくなダイヤその他は小売価格の一五%、たばこ消費税の方は、この税金の率というのはものすごく高いでしょう。高いですね。なぜこんなふうにしてあるのですか。同じ間接税的な性格なのに、なぜたばこの消費税だけはそんなに高くしてあるのですか。
  125. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 おっしゃいますように、課税いたしております物品なりサービスについての税率というものについては、相互に均衡を保たなければならないものでございます。ただ、酒とかたばこにつきましては、各国ともそうでございますし、またわが国におきましても従来からそうでございますが、また別個の観点を持っております。それにつきましては、恐らく酒とかたばこというものにつきまして非常に嗜好品的な要素が強く、またある程度消費節約も国全体として考えてもいいのではないかというようなことから、かなり高率の税金を課しておるのが普通でございます。  現に外国におきましても、たとえば付加価値税という一般的な消費税を持っておる国におきましても、その中におきましてのたとえばいまお示しの宝石、香水その他につきましては一般の税率よりも高い税率を持っておりますけれども、せいぜいそれは一般の消費税率の倍程度でございまして、やはりその国におきましても酒とかたばこに対する税といいますものはそれよりはるかに高率のものを持っております。それは恐らく、私が申しましたように酒とかたばこに対する一般の国民生活の中におきますところの物の考え方というものが従来からそういうふうなものを許容しておる結果だと思っておりますし、わが国においてもまたそういうような考え方が長年の間とられてきたものでございます。
  126. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、いろいろ理屈はつけるけれども、たくさんの大衆から税金を取る、間接税を取るという仕組みであることに間違いないわけですね。そこで、これはもうすでにいろいろの方が意見を言ったと思うのですが、逆累進的なものになるわけですね。先ほど村山委員からも御指摘がありましたが、総理府の統計を見ましても第一分位の負担が非常に高くなりますね。第五分位の人は非常に負担率が低い。  そこで大蔵省の方に一つの例としてお尋ねをしておきたいのですが、例の生活扶助基準ですね、これを十月一日から二三・五%値上げをして、標準世帯について六万一千二百十八円を十月一日以降七万四千九百五十二円にしますね。これは一体どこから出た数字ですか。この数字というのはどういう形で出された数字ですか。
  127. 辻敬一

    ○辻政府委員 生活保護基準につきましては、従来から経済見通しにおきます個人消費支出及び物価の動向などを総合勘案いたしまして改定をいたしておるところでございますが、五十年度予算におきましてただいま御指摘のように二三・五%引き上げることといたしておりますのも、同様に五十年度の経済見通しの個人消費支出、物価動向等を総合勘案いたしまして定めたものであります。
  128. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは社会局保護課で調べたのですが、大体一般の家庭の生計費の五六%というところなんですよ。そうしますと、たばこの値上げというのは相当大きな影響を与える。こういった第一分位の人たちあるいは生活保護基準すれすれの人たち、ボーダーライン層、こういったところには大変大きな影響を与えると私は思うのです。  ですから、この際明確にしておきたいのですが、そうであればあるだけに、一体このたばこの原価というのはどれくらいで、税金はどれくらいですということを私は国民に知らせる義務があると思う。原価はこれだけです、税はこれだけですよという区分を、そういう意味でたくさんの人がら取り立てる税金ですから明確にしておくことが必要だというふうに思うのですが、その点について午前中にもいろいろ議論がありましたが、各銘柄別に原価を公表するということは、私は国民に対して義務だと思うのですが、その点どうですか。
  129. 泉美之松

    ○泉説明員 すでに増本委員にお答えいたしましたように、世界各国のたばこ事業をやっていますものは、専売といわず非専売といわず、銘柄別の原価の公表はいたしておりません。したがって、専売公社につきましてもそういう公表はお許しいただきたいと思っておるわけであります。  ただ、たばこの定価改定を行うにつきまして一体原価がどうなっているのかわからぬでは審議のしようがないではないかとおっしゃるものでございますから、銘柄別は別といたしまして、総原価がこのようになっております、たばこ小売人の手数料と総原価、それから税金に相当するものがどういうふうになっているかということはお手元に資料としてお届けしてあるはずでございます。
  130. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは正確ではないと思うのですが、一つ一つ申し上げるのはめんどくさいですから、これを差し上げますので、これが銘柄別の総原価、間違いないかちょっと見ていただけませんか。
  131. 泉美之松

    ○泉説明員 この資料は、四十九年度の見込みとして申し上げますと、たとえば小売手数料は四十九年度は五十年の一月一日から一〇%になったのでありまして、それまでは一〇%でございませんので、若干違いがございます。それから、地方消費税はこれは同じでございます。納付金につきましても、これは若干の相違があります。ただ大勢としては大した相違はございません。
  132. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、たとえばいま百円のセブンスターの原価は三十三円、それかららん、これは販売価格が百二十円ですが、大体原価は三十七円、ですから実際にたばこをのまれる皆さん方は、原価よりも大部分税金なりあるいは手数料というものを払っておるということになりますね。だから大変に原価に対して負担が高いということはこれで言えますね。総裁もそう思われるでしょう。
  133. 泉美之松

    ○泉説明員 その点はお話のとおりでございます。  ただ、この原価は四十九年度の原価でございまして、五十年度におきましては、御存じのように昨年葉たばこの収納価格が四四・二三%上がりましたので、これより相当原価の上昇が多うございます。したがって、そうなりますと一番右の端に出ております税率がだいぶ下がってくるわけでありまして、そこで今回定価改定をして、この税率を回復させていただきたい、こういうのが定価法の改正の理由になっておるわけでございます。
  134. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、同じことを言っているのじゃないですか。もとが上がったからまた定価を上げるのだ、ただ定価が変わるだけで、この税金の率は変わらない、そうでしょう。
  135. 泉美之松

    ○泉説明員 従来は御存じのように益金率というのが六〇%台ということでやってまいっておったのでありますが、それが四十八年度、四十九年度と低下いたしてまいりまして、このままでいきますと五十年度におきましては四六・五%になるということで、定価改定を行いますと、これは五月一日実施の予定で計算した数字でございますけれども、五六・九%に回復する、その率は従前の率よりは若干低いけれども、率としてはある程度回復する、こういうことでございます。
  136. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで大臣、私は、専売公社がいろいろ外国との競争その他のことを言っておられるけれども、やはりこの程度のものは国民に知らしめるべきだと思うのですね。でないと、国民は全部知らないです。幾ら税金を納めておってどうだということは全く知らない。知らない間に税金だけはどんどんふんだくられておるわけですね。ふんだくられておるというのは言葉は悪いですが、このくらいのものは発表なさったらどうですか、正確なものを。大臣どうですか。総裁に指示されてこのくらいのものは出されたらどうでしょうかね。簡単なものです。
  137. 大平正芳

    大平国務大臣 差し支えがなければ松浦さんおっしゃるとおりこれは公表してしかるべき――原価構成というようなものは公表して国民に知っていただいて、理解していただくことが私は適当だと思います。ただ、たびたび申し上げておりますように、全世界で、専売国であろうと非専売国であろうと、たばこの銘柄別の原価は公表しないということになっていますので、わが国だけが何もそんなに異を立てる必要はないのじゃないか。  専売公社がそれはひとつ秘密にさしていただきたい、ただ御審議に必要な総原価というようなことにつきましてはできるだけ資料を差し上げるようにいたしますのでと申し上げておるのでございまして、専売公社の立場というものに対しましても、国会におかれまして理解を持っていただきたいというのが私のお願いでございます。
  138. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 理事会で理事人たちだけが知っているのです。国民は知らない、われわれも知らない。ですから、いま大臣も言われたのですが、こういうグループごとにぐらいはやはり私は知らしていただきたい。われわれが知るのじゃなくて国民に知らしめる義務がある。これだけ上げるわけですから、上げるからにはやはり国民納得してもらわなければいかぬ。  だから私は、個々の銘柄別に云々というつもりはありません。少なくともここに書いてあるように、総原価は幾らでこうこうだ、今度改定されてこういうふうになりますよということは、国民に向かって当然専売としても発表する義務があるんじゃないかという気が私はしますがね。副総裁どうですか、出してくださいよ。
  139. 泉美之松

    ○泉説明員 私どもが申し上げておりますのは、総原価の中身を申し上げることはお許しいただきたいということを申し上げておるのでありまして、納付金なり地方消費税なり小売手数料、それから総原価全体として幾らだということでございますならば、これは必ずしも秘密でなくてもいいわけであります。  ただ、御存じのように、納付金というのはここでは、この表をおつくりになった人は一定の前提のもとに計算されておるわけでありまして、納付金がマイナスだなんという銘柄が出ておりますけれども、そのようなことはあり得べからざることであります。というのは、結局、その銘柄は実は総原価が高くていまの定価では地方消費税も納付金も払えないんだということを示しておるのでありますが、現実にはそれに仮定された納付金を納めなければなりません。したがって、納める能力のない部分を納める能力のある銘柄でカバーしなければなりませんので、そっちの方に納付金の負担が多くなってまいっておるわけであります。  したがって、現実の姿で申し上げることをお許しいただけるならば、そういう数字はできると思いますが、しかし、こういう姿とはそこは若干違ってまいることになります。しかし現実にその三千何百億の納付金がどの銘柄に幾らなんだということは、仮定計算を行わない限りできないことでございます。したがって、いま私が申し上げましたように、この数字は近似値としては申し上げられますけれども、必ずしも実態を十分あらわしているとは言えない、こういうものでございます。  この程度のものでよろしいということでございますれば、私の方でそれを明らかにすることにやぶさかではございません。
  140. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、国民に知らしめる義務があると言っているのですよ。だから別に個々の銘柄云々じゃなくて、いまあなたが言ったように、これはこうなっておるのですよということは国民に知らしめるべきだ、何か義務的にしぶしぶじゃなくて、積極的にそういう点は国民に知らしめるべきだということを言っておるのですから、副総裁、ひとつその点はいま言ったように、できるだけ正確なものを国民の前に明らかにしていただきたいというふうに要望申し上げておきます。  それから、これは大蔵大臣官房と日本専売公社の副総裁との間に、昭和四十六年度以降における日本専売公社の専売納付金についての覚書がありますね。この第一種納付金と第二種納付金の関係でありますが、この第二種納付金、これは専売公社の益金から納付をするという、民間で言えば明らかに法人税的な性格を持っておる。第一種納付金というのは覚書に従って率で納める。  そこで、私は、納付金が二つに分かれておるのが一つの疑問なんですけれども、率直に言って、これは大蔵省どうでしょう、こんな第二種納付金は取らずに、これは専売公社なりあるいは国民に還元をする、第一種納付金でとめるんだということぐらいはやれないのですか。第一種納付金と第上種納付金じゃ性格が違うでしょう。第二種納付金というのは、少なくとも専売であって公社がやっておる事業に対して法人税的なものを課して、その分まで取り立てるというのは、私は行き過ぎとは言いませんけれども国民の側としてはちょっと納得できぬのじゃないか。第一種納付金でいいんじゃないですか。
  141. 泉美之松

    ○泉説明員 現行の専売公社法の四十三条の十三によりますと、専売公社の納付金は純利益、つまり総益金から総損金を引いた残りを納付するということになっておるわけでございますが、その専売公社法四十三条の十三の運営の仕方といたしまして、いまお話しのように第一種納付金と第二種納付金と二つつくりまして、その納付金の率をめどといたしまして四十三条の十三による納付金を計算するという措置を講じておるわけであります。  それはなぜかと申しますと、専売公社の経営の責任を明確にする、同時に、公社経営の努力によってどの程度成績が上がったかどうか、その評価の分析に使える、こういうことから第一種納付金。お話のとおり第一種納付金は、たばこに対する消費税相当分、その中に国に対する専売納付金と地方消費税と、こう二つあるわけであります。  それから第二種納付金の方は、専売公社法四十三条の十三の規定どおり、総益金から総損金を引いた純利益金の中から第一種納付金を差し引いた残りのものに対して、原則は五〇%でありますけれども、現在は塩の損失があり、あるいは塩業整理交付金があるものでございますから、三七・五%になっております。確かにこれは考えようでありますけれども、法人税に相当するもの、あるいは専売公社に専売事業を委託しておることに対する対価、あるいは国の資本でできておる公社でありますから、国の資本に対する配当、こういったものが全部含まれた数字のものとして第二種納付金ができ上がっておるわけであります。
  142. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 副総裁、そういう内容は私は知っておるのですよ。知っておるから第二納付金はやめたらどうですかと言っておる。だから第二種納付金は、この際、専売が内部留保するとかあるいは一般の消費者に還元をする。この分だけでも相当原価に影響するでしょう。たばこの実質的な価格に影響するわけですからね。そういうのはいままでなかったのをわざわざ四十六年から実施することにし、その段階で二つに分けて第二種納付金というのが出てきた。だから第二種納付金は、この際、その部分だけは、法人税に該当するようなものは取らない。これはむしろ専売も助かるんじゃないですか。
  143. 泉美之松

    ○泉説明員 四十六年から第一種納付金と第二種納付金と区別いたしましたのは、先ほど申し上げましたような趣旨で、第一種納付金の額を明らかにすることによって、およそたばこに課せられている消費税相当のものはどのくらいであるということ、それからまた、専売公社の経営の責任なり努力の明確化を図るためでありまして、それによって従前納めておったものをよけいに納めることになったわけではございません。  先ほど申し上げましたように、専売公社法四十三条の十三の規定が変わったわけではございませんので、従来から納めておったものを第一種と第二種に区別して、第一種の方を明確にしたというだけでございまして、もちろんこれは考え方で、専売公社は第二種相当の納付金を納めなくてもいいということになりますと、専売公社は経営がきわめて楽にはなりますけれども、しかし、それは国民全体の資本でできておる専売公社として許されるべきかどうかと考えますと、経営者だけが楽だからといって、そのようなことをお願いするつもりはございません。
  144. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 勘違いしたら困るので、制度があることはわかっているのですよ。だから、四十六年度から分けてきた。納付金を第一種、第二種に分けてきたけれども、第二種は法人税的なものだから、その部分についてはカットしたらどうか。あるいはその分だけはもう消費者の方に還元をする。極端に言うといただかないという意味ですよ。だから、そのことをあなたは一生懸命答えるけれども大蔵省、それはどうなんですか。そのくらいのことをやったらどうですか、たばこを値上げするんだから。
  145. 大平正芳

    大平国務大臣 要するに、それは専売納付金なりたばこ消費税なりをどの程度取るかという問題に帰着すると思うのでございます。松浦さんのおっしゃるように、いまそこで仮に計算いたしてありまする第一種だけでそのような事態であることを私は望ましいと思いますけれども、今日のような緊張した財政状況になりますと、やはり相当つついっぱい専売公社としては働いてもらわなければならぬと思いますので、当面専売益金なりたばこ消費税というようなものをもっと軽減できるということを期待できる状況ではないと考えております。そういたしたいととはやまやまでございますけれども、なかなか事情は許さないのではないかと考えております。
  146. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 どうも現在直ちに云々ということはむずかしいでしょう。しかし、少なくとも法人税的な性格を持った第二種納付金というようなものは、国民自身が私は納得しないと思うのですよ。しかも、それは結局消費者から取るわけですから。国民から取り上げるわけですから。だから私は、いますぐここで云々ということは言いませんが、将来の問題として、第二種納付金的なものはこの際軽減をしていくというような方向をとるべきだということだけ申し上げておきたいと思うのです。  そこで大臣たばこの有害論争というのが盛んに一時行われましたね。極端な言い方をしますと、まあ不幸にして私はたばこを全然のまないのですけれども、四十六年の三月に専売事業審議会から「喫煙と健康の問題に関連する日本専売公社の業務の運営についての答申」が出ましたね。その当時大変問題になりまして、たばこの横に吸い過ぎないようにという表示をいたしていますね。ですから、もともとこのたばこというのは、極端に言うと余り奨励したらいかぬわけでしょう。  そこで、専売公社にお尋ねをするんですが、一九七四年の一月、米国保健福祉教育省公衆衛生局から「喫煙の健康に及ぼす影響」というのが出ましたね。その内容というのはどういうことが書いてありますか。  資料が手元にないようですからこちらで申し上げますと、結局、アメリカでは再三にわたって、十年来この喫煙の健康に及ぼす影響というのを報告することになっておるんですね。そして一九七四年の一月に、最も新しいのが出されておるのです。それを見ますと、「本報告は、公衆衛生局が喫煙と疾病及び若年齢での死とを関連づけている科学的根拠を評価するとともに」、ですから喫煙そのものが若年で死ぬ者について影響があるんだということの明確な根拠、それから特に心血管系疾患ですか、心臓、それからがん、それから非腫瘍性肺気管支疾患、そういったものはもう明らかにたばこによる弊害だということがこの序文に出ていますね。  非常に大きな報告書ですから、全部リコピーできずに序文だけですけれども、そして現実にアメリカの方では、こういう報告をして以来たばこを吸う人が非常に減った。そういうことで死亡率が減ってきた。たばこをやめる人がふえてきた。あるいはタールとかニコチンというようなものをできるだけ軽減する意味で、軽いたばこ、そういうものにどんどん転化をしていった一つの結果があるんだということが、この報告書に出されておるんですね。  ということは、逆に言うと、本来ならたばこは余り国民にのましてはいかぬ。のむならなるたけタール、ニコチンの少ない軽いものをのんでもらう、そういう配慮が必要なんです。にもかかわらず、先ほど村山委員質問に答えて、やはり消費量というものをある程度増大するというような方向づけがあるんですね。私は明らかにそれは矛盾だと思います。専売公社の方は国の命令でうんと売られるわけですから、それは結構ですけれども、いずれにしても、税を取る側の大蔵省としてはそういうものについてどう調和をさせていくのか。ただたばこを売って消費税だけ取ればいい、納付金を取ればいいということだけでは問題は解決しないと私は思うんですね。そういうことについて、この際、大蔵大臣の方から御見解を承っておきたいと思うのです。
  147. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 先ほど先生が引用されました専売事業審議会におきまする答申でございますけれども、そこにおきましは、心筋梗塞あるいは狭心症などの心臓障害はたばこの重喫煙者に多いという統計的、疫学的な事実は指摘されているけれども、それらの病気と喫煙の病理学的な因果関係については不明な点が多く、これに臨床医学的な立場からの観点を加えれば、喫煙と健康との関係は簡単に結論づけられる問題ではないというふうに書いてあるわけでございます。したがいまして、現在直ちにたばこが有害であると決めつけるのはいかがかしらと思われるわけでございます。  しかしながら、やはりこういった統計的、疫学的な事実でございますので、先生すでに御案内のとおり、昭和四十七年の七月から「健康のため吸いすぎに注意しましょう」あるいは銘柄別のニコチン、タール量の掲示をいたしましたり、健康面に配慮したたばこの吸い方のPRとか、あるいは喫煙と健康問題につきまして公社の内部あるいは外部に委託いたしましてせっかく研究を推進しておるわけでございます。さらに低ニコチン、低タールの製品の開発にも鋭意努力いたしておるところでございます。
  148. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私、時間は一時間で、約束は守りますので、あなたに聞いておるのじゃないのですよ。大臣に聞いている。私は有害だと決めつけておるわけじゃないのですよ。そういう報告が出ております。あなたがそんなに言うなら、ここにはこういうふうに書いてあります。「シガレット喫煙をやめた人は、依然喫煙を続けている人よりも喫煙関連疾病による死亡率が低いという根拠は明白な事実である。」これは署名入りですよ。  ですから、私は何も有害だということを言っているわけじゃない。しかし、少なくとも有害かもしれないという疑いがあることは事実です。しかし、それをどんどん国民に奨励して消費税を取り上げたり納付金を取り上げるのは、財政硬直化の折から一生懸命にやると大蔵大臣は言っておられるのだが、反面、こういったものについてどう調和するのかということは国の方針として非常に重要だ。その点、大臣からお聞かせ願いたい、こう言っているのです。
  149. 大平正芳

    大平国務大臣 科学的、病理学的に見まして喫煙がどういう結果を生むかということが確実に立証されておるかどうか、私はよく存じませんけれども、しかし少なくともいろいろな提言がなされておることは事実でございますので、政府として少なくともたばこの消費を奨励するつもりはありません。それからまた、大いに広告費をかけまして消費を促進するという考え方もございません。ただ、新製品を出した場合にこれを知らせるというようなことはやっておりまするけれども、積極的な広告戦術はとっておりません。  しかしながら、これを逆に積極的に喫煙を規制するというところまでまだ踏み切っていないのであります。あなたもおのみにならないし、私もある時点からやめたんです。現に相当ヘビースモーカーでしたけれども、いまはもうやめておりますが、特段健康上の理由をもってやめたわけじゃございませんで、何となくやめたわけでございます。しかし、これは一般の国民に対しまして、この程度でひとつがまんしてくださいということまで踏み切る決心はまだついていないわけでございます。積極的に奨励するつもりもありませんし、広告をやりまして消費を奨励するというようなつもりもございません。ただ、といって規制するところまでまだ踏み切れていないわけでございますが、しかし、ニコチンその他の問題につきましては臨床的にも学問的にも絶えず研究させて、それをたばこ製造、包装その他に生かしておることは事実でございます。
  150. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大臣から言われましたようにまだ明白な方向はないが、疑いはあるわけですから、そういうものを国民にどんどん吸わして、それから税金を取るという発想自体がもう転換をしなければならぬところに来ていると思うのですよ。だからさっきから言うように、その手始めに第二種納付金ぐらいは交付したらどうかということも出てくるわけでしょう。そういう点はひとつぜひ大臣の方で、納付金の率が落ちたから、六〇%を割ったからどうだこうだという発想で余り取り組まないようにしていただきたいというふうなことを一これはこれからの希望ですよね。いまもう現に法案が出ておるわけだから、いまどうのこうのと言っても仕方ありませんが、これからはひとつそういう発想というものは転換をしていっていただきたいということを希望として申し上げておきたいと思うのです。  それから、もう時間がありませんが、そうなってくると一番問題になるのが実は未成年の喫煙なんですね。自動販売機が非常に普及をいたしましたね。そうすると、たばこ小売店などで買う場合には、非常に良心的な小売店の方たちは、あなたにはお売りできません、あるいは二十歳未満はという専売公社の広告がありますね。ところが、自動販売機だけはこれはどうにもならないのですよね、自動的に出てくるわけですから。そうすると今度は、自動販売機はだめだからというので自動販売機をたとえば禁止すると、小売店のコストが上がって、小売店自身もまた大変なしわ寄せを受ける。だから自動販売機は置かなければいかぬ。しかし逆に未成年、特にこういう報告から見ても未成年の喫煙だけは避けた方がいいということなんですから、そういう自動販売機に対して未成年者が手をつけないような方法を具体的に専売公社は考えておられるのか。  あるいはお酒の場合もそうですよ。お酒の場合にもかん入りのものはどんどん出るわけですね。そうすると未成年者の飲酒の約五割は、これは新聞で見たことで正確のほどはわかりませんが、やはり自動販売機で買っておるのですね。  ですから、自動販売機が普及することは私はいいと思う。しかし、それを未成年者が手をつけないようにするためには具体的にどういうことをお考えになっているのか。これは大変大切なことだと思うのです。その点ひとつたばこを売っておられる副総裁の方から……。
  151. 泉美之松

    ○泉説明員 これは先生のおっしゃるように大変むずかしい問題でございます。お酒でございますと、ドライバーが飲まないようにするため、夜の一定時間は自動販売機が作動しないように電気を切るというような措置も考えられておるようでありますが、たばこの場合は、夜たばこを買いに来るのが未成年者とばかりは限りませんので、そこでそういうふうに、たばこの自動販売機は夜は動かないんですということでは、これはまた自動販売機の趣旨に反するようになると思います。  それで、現在はお話のように余り効果はないかもしれませんけれども、自動販売機に未成年者は喫煙を禁止されておりますという表示をいたしますとともに、自動販売機の設置場所につきましても、未成年者が多く集まるような場所には設置しない、夜間であればその場所から撤去して小売店の中に取り込むというような指導を行っております。これでは必ずしも十分でないとは思いますけれども、自動販売機の趣旨からいたしますと、小売店の労働力不足の折からやはりある程度自動販売機が普及する必要がございますし、さりとて、いまお話しのように未成年者が喫煙をすることは健康上も問題でございますし、そういう措置をとっておるような次第でございます。
  152. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 非常にこれは考えなければいかぬところだと思うのですよ。いろいろな意味で合理化されて、自動販売機が普及していくことは私はいいことだと思いますよ。しかし、そのことが先行し過ぎまして、そういう対策が後事後手に回っておるのです。だから、そういう点は税金を取り立てる側は、ただ税金を取ればいいという発想じゃなくて、やはり国民あっての税金ですから、そういった意味で、政府自身の指導体制というようなものももう少しはっきりすべきではないかというふうに私は思うのですがね。税金をお取りになる側としては、大臣は、未成年、自動販売機についてこれからどうしようというふうにお考えになりますか。
  153. 大平正芳

    大平国務大臣 そもそも自動販売機が普及いたしましたゆえんのものは、これは労働力の不足だと思うのです。つまり、これは大蔵省の方でたばこの売れ行きをよくしようとか、そういう発想から出たことではなかったと思います。しかしながら、これが一たん普及されますと、それに伴いまして仰せのような弊害が付随してまいることでございますので、いま副総裁からお答えいたしましたように可能な限りの対策は講じておりまするけれども、それを根絶するというところには至っていないことは無常に残念なことと思うのでございます。  しかし、これでいい、いたし方ない、自動販売機自体が二十歳未満であるかどうかの識別ができないんだからやむを得ないじゃないかというわけでわれわれは放置するつもりはございませんで、これは仰せのように工夫に工夫を重ねて、何としてもそういう弊害の除去に可能な限りの手段は講じてまいらなければならないものと私は考えます。
  154. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は非常に大切なことだと思うのです。ですからその点は、大臣もいますぐここで具体的にどうという対策は出てこないと思うのですが、やはり専売公社自体も自動販売機の奨励を盛んにしていかれるだろうし、小売人の皆さん方もそういう方向でされていくと思うのですね。ですから、できるだけ早く方向づけをしていただきたいということを申し上げておきます。  それから、専売公社は商売が上手といえば非常に商売が上手把と私は思うのですが、要するに高い銘柄のところへ誘導していくんですね。非常に上手ですよ。これはおたくの統計要覧ですがね。それは商売だから高いものを売りつけるというのはわかるといえばわかるのですけれども、商売が副総裁以下上手なんでしょうが、銘柄がだんだん高い方向へ高い方向へ誘導していくように生産が進んでおるわけです、だんだん安いものはなくなる。偶然にそうなったのかどうかは別にして、そういう方向に行っていることだけは事実でしょう、この統計から見ても、製造本数からいっても。どうですか。
  155. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、ここ数年をとってみますと、製造数量は、チェリーとかセブンスターといったようなものの銘柄がふえておりまして、ハイライトは減っております。そういう点からいたしますと、結果的ではありますけれども、高い銘柄のものがふえておることは事実でございます。  しかし、四十三年以降ごらんいただきましても、専売公社としては、たとえばエコーであるとかあるいはおおぞらであるとか、それから沖縄関係の四銘柄、こういった安い品物も発売いたしておるわけでございます。ただ、御存じのように、喫煙と健康の問題がやかましくなりましてから、ニコチンの高い、タールの多いものから、だんだんニコチンの少ない、タールの少ない銘柄に消費が移ってまいりました。その結果、いま申し上げましたように、ゼブンスターであるとかチェリーであるとかいったような銘柄がふえてまいっておるのでございまして、私どもは高いものを製造し売るということだけを考えているのではなくて、やはり消費者の嗜好を考えてまいりますと結果的にそういうふうになった、こう御理解いただきたいと思います。
  156. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結果的にということじゃなくて、意識的に高い方向へ誘導していったわけなんですよ。これは大蔵省の指示かどうかは別ですよ。そこで今度据え置かれる朝日ですね。朝日なんか余り製造本数がないのじゃありませんか、据え置かれるというけれども。  そこで、大臣にちょっとお尋ねをしておきたのですが、三級品とか一級品とかいう言葉があるけれども、私自身はたばこの隊がわかりませんから、のむ人と発想の違いがあることは事実だと思うのですけれども、安くてうまいたばこというのがなぜできないのか。安くてうまいたばこというものもやはり私はふやしていくべきではないか、高いところ高いところへ持っていかずに、誘導せずに。そしてニコチンとかタールとかいうものを除去していく、そういう計画。もっと具体的に言うなら、やはりタールやらニコチンをだんだん減らしていくような方向づけ、しかも低所得者の負担にならないように安くてうまいたばこをつくっていく。あるいはアメリカの葉たばこを輸入しなければ云々ということがあるなら、やはりアメリカのたばこの品質に国内の葉たばこの味を近づけていくというプロセスがあってしかるべきだと私は思うのですよ。そういう計画あるいはプロセスというものをお持ちになっているのかどうかということをお聞きしえいのが一つと、それから安くてうまいたばこというものを開発していこうという努力を専売公社はしているのかどうか、この二点を専売公社の方からお聞かせいただきたい。
  157. 泉美之松

    ○泉説明員 まず第一に、葉たばこをつくってそれを製造たばこにしていくわけでございますが、わが国の葉たばこの生産は、御存じのように昭和四十三年以降、農業の構造変化によりましてだんだん葉たばこを耕作する人が少なくなっているのが現状であります。そこで私どもとしましては、いまお話しのように、国内の葉たばこにつきまして品質向上のための努力をいたしてまいっておりまして、そのために新品種をつくりまして、しかも病害に抵抗力の強い新品種をつくって、喫味もできるだけよくしていくという努力はいたしております。しかしながら、土壌とそれから気象条件の差からいたしまして、どうもアメリカの葉たばこに匹敵するような香喫味のたばこは現在のところなかなか生産できないようになっております。しかし、昔の国産葉に比べますと現在の葉たばこはずいぶん品質がよくなってまいっておるのでありまして、私どもといたしましても、今後とも国産葉の品質改善につきまして一層努力してまいりたい、このように思っております。  それから、安くてうまいたばこをつくれというお話でございます。お話のとおり、私どもとしましては、同じ葉たばこを使ってたばこをつくるにつきましては、諸外国との競争関係も見ながら、かなり安くてしかもうまいたばこをつくってまいっておるつもりでございますけれども、しかしいまお話しのように、二級品、三級品におきましてもっともっと工夫をすべきではないか、これはごもっともでございますから、できるだけ今後努力してまいりたい、このように存じます。
  158. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 佐藤委員からの関連質問があるそうですから私はあと二つだけお尋ねをしたいのですが、大臣、三級品というたばこですね、朝日だけ据え置いておるのですね。やはりこういう大衆たばこといいますか、そういったものは値上げせずに据え置いていくというぐらいの発想というのは、私はあってしかるべきじゃないかと思う。本数も非常に少ないですよ。これを見ますと製造本数はそんなに多くないです。そういうものだけはやはり安くしていくという発想ですね。そういう発想は、持つこと自体おかしいですか。そういう方向づけというのは必要じゃないかと思うのですが、大臣どういうふうにお考えになりますか。今度は無理だということはわかりますよ。しかし、そういうものはやはり本数も少ないのですから据え置いていくんだ、そういう発想というのはあってしかるべきではないのかということが一つです。これは大臣にお尋ねをいたします。  それから局長にお尋ねしますのは、ビールですね。これは百八十円。コストが上がったということで二十円値上げしたのですよね、大びんで。その内訳は、生産者が十二円取るのですよ。それから卸売業者が二円五十銭で、小売店五円五十銭。現にプライスリーダー的役割りを朝日がやって、サッポロが追随して、おそらくサントリー、麒麟麦酒も間もなくいくだろうと思うのですがね。そこへ今度の酒税の値上げでしょう。当然これが百八十円に上乗せされていくと思うのですがね。相当な消費者の負担になると思うのですよ。そういうものについて、もう便乗値上げを先にやっちゃったわけですよ。従来は、酒税が上がって、それに便乗値上げ分というのがいつも国会で問題になる。ところが今度は、もう酒税が上がる前に一応小売価格だけ上げておいて、その酒税分だけを上乗せしていくという、やり方として大変利口なやり方をしたわけですがね。こういう上げ方について、消費者サイドに対して一体どういうふうに判断をされるのか、税金を取る側としてですよ。そういう点について局長の御意見を承っておきたいというふうに思います。  それからもう一つ、これもまた大臣になりますが、もう酒の質問をする時間がなくなりましたから、この際伺っておきますが、先ほど村山委員質問で、二〇%ずつ近くふえていくという局長のお話だった。ところが、酒を飲めという奨励をするということはないと思うのですが、いま、これはプライバシーの関係で厚生省でも把握できないアル中患者、これは全く厚生省で把握できないのですよ。いま精神病院に入っておられる患者さんのうち、アル中患者と推定されるものが大体六%だと厚生省は見ておる。ところが、入院患者でなくて在宅のアル中患者というのが非常に多いのですよ。だから禁酒会なんかの人に言わせれば、酒は飲料じゃないんだという言い方もしておられるのですけれども、やはりこういう国民の体をむしばむ、適当に飲めばいいですけれども、私もしょうちゅうだけは飲みますけれども、しかしいずれにしても、国民にとってできるだけ飲酒は少ない方がいいと思うのですよ。だから、そういう意味からすると、やはり酒税などを見込みをたくさん立てて取るという発想も、私はどうもそういう人たちのことを考えればおかしい。それじゃ酒税の中から幾らそういうアル中患者に――もちろんアル中患者の人たちは逆な面で言うと、むしろ酒税を納めることに協力した人たちですから、そういう人たちに対して一体どういう手当てを考えておるのか。取ることばかり考えておって、そういう人たちに対する、患者さんの社会復帰に対する予算なんというのは微々たるものでしょう。そういうものについても、ひとつこの際大臣からお聞かせをいただきたい。以上です。
  159. 大平正芳

    大平国務大臣 第一の御質問の大衆たばこを据え置くことを考えたらどうかという御提案でございます。今回朝日を据え置きましたのは、これは近く製造も中止するということを予定いたしておるわけでございます。その周辺にある銘柄はもう実は赤字転落に瀕しておる銘柄でございまして、財政専売である以上、これからさらに原価が上がってまいりました場合に据え置くということに対して相当抵抗があるわけでございますが、しかし、できるだけ大衆たばこを低値段で据え置くということにつきましても、事情の許す限り配慮をしてみたいと思います。  それから、第二のアルコール中毒患者の問題でございますが、飲酒とアルコール中毒とはそれは直接関係があるわけでございますけれども、入院中の精神病患者の中でアル中患者が六%を占めておるからといって、酒税収入全体について考え直すというのは、せっかくのお説でございますけれども、若干飛躍があるんじゃないか。しかし仰せのように、アルコール中毒患者の矯正措置というものは別途考えていかなければいかぬ筋合いのものではないかと思うのでございます。そのためにはそれなりに予算の計上をいたしてあるつもりでございますけれども、それはそれとして歳出予算におきまして措置さしていただきまして、酒税収入の確保は、それあるがゆえに規制を加えなければならぬというようには私は考えないわけでございます。  しかし、といって、先ほどたばこでも申し上げましたとおり、これをいろいろ奨励的措置を講ずるというつもりはございません。松浦さんのお話の中で、聞いておりまして、税をたくさん取りますと、多くの収入を上げるべく消費の奨励に傾きはしないかという懸念を持たれておるようでございますけれども、そんなつもりは毛頭ないわけでございまして、むしろ税金を若干上げてまいるということは、当然のこととしてそれだけの消費の規制を結果するものと私は思います。
  160. 星野孝俊

    ○星野政府委員 ビールにつきましては、先生御指摘のように、去る三月七日に朝日麦酒が値上げいたしまして、また四月四日にサッポロビールが値上げしたわけでございますが、実は御承知のように、ビールの価格につきましては一昨年の秋から昨年の一月にかけまして改定が行われたわけでございますが、その後例の石油ショックがございまして、原材料費等が相当激しく高騰したわけでございます。実は昨年の秋ごろからこのビールの価格を改定したいという業界の希望はあったわけでございますが、御承知のように非常に激しいむずかしい物価問題を抱えておるときでございましたので、私どもとしましてもビール会社に対しまして、コストアップ分は極力企業努力で吸収して値上げを回避するようにということを要請してまいったわけでございますが、御承知のような状況で会社の経営も非常に苦しくなりまして、現在のままではとうてい経営が維持できない、こういうことで今回の値上げが行われたわけでございまして、これは私どもは、いわゆるコストアップによるやむを得ないものだ、このように認識しておりまして、便乗先取り値上げというふうに考えておらないわけでございます。
  161. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 百八十円ですが、今度これが上がって幾らぐらいになりますか。
  162. 星野孝俊

    ○星野政府委員 御質問の趣旨が少しわかりにくいのでございますが、従来百六十円で市販されておったわけでございますね。そこで今回、朝日、サッポロはそれぞれ二十円、これは末端希望価格でございますけれども、上げまして百八十円になったわけでございます。――増税のことでございましょうか。(松浦(利)委員「増税がプラスされて幾らになるか」と呼ぶ)  その場合にもし今回増税が行われるということになりますと、これは、税金は原則として消費者の方々に負担していただく、こういう考え方になろうかと思いますので、その分だけが上乗せになりまして、百九十五円というふうな末端価格、そういうものが予想されるわけでございます。
  163. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ちょっと関連質問。  いま松浦委員から専売公社の高価格誘導政策が問題になったわけですが、これは恐らく誘導政策ではないと言われると思うのですけれども、そこで一つだけお伺いをして検討してもらいたいことは、今度の値上げで、私から申すまでもなく、百円のたばこというのはなくなっちゃうわけですね。百円のものは大抵百五十円になっちゃう、五十円のものは七十五円、こうなってきますと、どう見ても切りのいい百円のたばこ、自動販売機の問題等もありますし、大衆品という意味での百円たばこというのを新たに一つつくるべきではないか。これはたしか法律事項ではありませんので、専売公社の方で調合してくれれば百円たばこというのはでき得るわけでありますね。やはり高価格誘導政策ではないという一つのあらわれとして百円たばこというのを、これだけどんどん値上げしていってしまうわけでありますから、考えるべきじゃないか。  まあまだまだ連休もございますし、法案が通ってから参議院もずいぶん時間がありますから、ひとつそれまでにお考え願えないだろうか。これは専売公社と大臣からひとつお考えをお伺いしたいと思うのです。
  164. 泉美之松

    ○泉説明員 百円たばこにつきましては、御存じのとおり、今回定価改定を行いますと、たばこの平均価格は百二十七円になるわけでございます。そこで、その平均単価よりも低い百円の銘柄のものをどうするかというのはなかなか大きな問題なのでございますが、しかし先生御指摘のように、商品価格体系からいたしますと、百円のものがないということについては問題もあろうかと思いますので、定価改定後の消費の動向等も観察いたしまして、今後検討いたしてまいりたい、このように思います。
  165. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは、この法案改正のとき以後ということでなくて、ある程度消費の動向を見てということになりましょうか。
  166. 泉美之松

    ○泉説明員 通常の場合、新規の銘柄を発売いたしますには、その銘柄を発売することを決意いたしましてから、葉組みであるとか、原料コストであるとか、香料であるとか、デザインであるとかいったようなものをいろいろ考えてまいらなければなりません。通常の場合は一年を要するわけでありますが、しかしお話しのようなものでございますと、そのようにゆっくりしておれませんのでできるだけ早い機会に出さないと意味のないことでございますので、そういう意味ではできるだけ早く発売するにはどうしたらいいか、つまり通常の手続を省略してどうやっていくかということだと思います。
  167. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 きょう、実は四時間するつもりで質問の準備をしておったのですが、理事会の申し合わせで一時間だそうですから残余の質問は打ち切って、またこの次の機会にさしていただきます。
  168. 上村千一郎

    上村委員長 荒木宏君。
  169. 荒木宏

    ○荒木委員 今回のたばこの定価の値上げの理由は、総原価が上がって益金率が低下をした、こういうふうに聞いておりますが、私は、まず初めにこの公社の提案の理由に関係をしまして、公社の営業姿勢について伺いたいと思うのですが、総原価が上がったということで公社の方から提示を受けました資料、あるいは聞きました説明などを見ますと、四十三年から四十八年まで確定しておる数字で言いますと、総原価の中で材料費の値上がりが総原価の値上がりの平均の率よりも高い、販売管理費の値上がりの率もこれまた全体の平均よりも高い。  いま公共料金据え置きという声が国民の声であり、物価安定が最重点になっておるというときに、総原価コストの上がったと言われておる中での材料費の問題、これについて値上げを抑える、あるいは引き下げる努力というものを公社としてなすべきではないか、こういうふうに思いますが、初めにその点について、副総裁の方からお考えを伺っておきたいと思います。
  170. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、公社といたしましては原料費の値上がりが大きいわけでありますけれども、材料費につきましても極力値上げの額を抑えるように努力いたしておりますが、やはりこの材料費のうちで多いものは巻き紙でありますとか、フィルターチップであるとか、あるいは段ボール箱といったようなもので、これらの購入代価が上がってまいっておるのが実情でございます。余りこれを抑えますと、やはり公社への供給が円滑にいかないというような点も出てまいります。  そこで、私どもとしましては、できるだけ材料費の中で節約し得るものは節約していこうということの趣旨から、この包かの印刷につきましても四色刷りを三色刷りにするとか、あるいはいままでホープにつきましては弓の矢になっておりますあそこに金箔的なものを使っておりますが、これを印刷にしてしまうというような努力をいろいろ重ねてまいって今日に至っております。しかし、それにもかかわらず材料費が相当大幅に上がっておりますことは事実でございます。したがって、公社といたしましては、今後ともそういった材料費の上昇に対しましては抑制ぎみに努力してまいりたい、このように思っております。
  171. 荒木宏

    ○荒木委員 コストにつきましては、原料費であるとかあるいは人件費であるとかいう不可欠のものは別として、材料費あるいは販売管理費、これだけで構成比が約半分になっておるわけですが、いま副総裁から説明があったような方向努力はまだまだできるのではないか。むしろそういう点もやるべきではないか。従来やってきたという話ですが、一つの例として、いまかなり大衆的に消費をされておるハイライト、それからチェリー、こういったクラスのたばこの銘柄について材料費は大体同じですか。それともその間に違いがあるのか。説明によりますと、チェリーの方はハイライトよりも材料費がかなり高い、こういう話を聞いたのですが、だとすれば、そういうふうなところになお努力すべき点があるのではないかと思いますが、どうですか。
  172. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 御指摘のございましたように、ハイライトとチェリーと材料費を比べてみますと、御承知のとおりチェリーの方は金箔の桜のデザインが入っております。あの部分がかなりコストがかかるということで、もちろんハイライトよりチェリーの方が高うございます。  そこで、そういったものをなるべく節約してコストの低減に努めたらどうかというお話でございまして、まことにごもっともな、意味のある御提案だと思います。たばこも確かにコストの節約というものはやるべきでございまして、やらなければなりませんが、同時にやはりお客さんの立場というものもございます。たばこという商品、中身もさることながら、包装その他ネーミングあわせまして全体が商品というものを形成しているわけでございますので、消費者の方の受け取り方との調和の点をそういった材料費の節約とどの辺で調整していくかということを考えながらコストの低減というものに努めてまいっておりますし、今後もそういうふうにやってまいりたいと思います。
  173. 荒木宏

    ○荒木委員 チェリーの方が材料費、包装費が高いということは認められたわけですね。ほかの、たとえば同じようなランクのハイライトだとかセブンスターだとか、これはいまあなたが言ったようなことをしなくても、消費は受け入れられておるじゃないですか。いま言われた特別のデザインがあるために、特にその部分がコストが高くなる。これは消費をするたばこ中身とは関係ありませんね。また同じような階層の銘柄と比べても、別にそれあるがために特別に受け入れられておるとかというメリットはないのじゃないですか。  ですから、理屈の上でそういう方向をよく考えていくということなら、たとえばそういう方向を実践する一つの兆しとして、いまのような提案について、単に一般的な消費者の好みだとかというようなことじゃなくて、実際にいま物価を抑える、公共料金凍結だということの手始めとしてまず一つ考えてみたらどうですか。
  174. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 先ほどお答え申し上げましたチェリーとハイライトと比べますと、材料費はある程度違います。しかし、同じ価格のグループのうち、百円のたばこは御承知のとおり相当たくさんの銘柄がございますが、それら相互間におきましては材料費についてはそう格段の差はございません。
  175. 荒木宏

    ○荒木委員 私が言っていますのは、チェリーもハイライトもセブンスターもがわに使っているものは同じでしょう。ただチェリーに少し金粉のようなものを吹きつけておるがために高うなっている。そうじゃないですか。なぜそういうことをしているのですか。ほかの同じような種類の銘柄で、別に金粉を吹きつけなくったって消費者は受け入れている。なぜこれをやっているのか、これを聞いている。
  176. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 このあたりは大変消費者の心理なり何なりに関する話でございますので非常にデリケートな話でございますが、これでございますけれども、それをホットスタンプと申しまして真ん中に桜が押してございます。これを普通のものにインクで印刷をしたって中身は変わらないではないか。確かにおっしゃるように、こうやりますと若干お金がかかるわけでございます。  そんなものをやめて普通の印刷にしたらどうかというお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、こういうもので売り出しております、それなりに消費者はこういうものもあわせてチェリーというたばこ全体を受け取っておる。それに対して印刷にした場合に一体どういうことになるかということになりますと大変むずかしい問題でございますので、その辺は慎重に検討いたしませんとなかなか踏み切れないということであろうかと思います。
  177. 荒木宏

    ○荒木委員 それの特殊印刷のためにコストが高くなる。もしその特殊印刷をやめれば、材料費は八十円のハイライトより安くなるのじゃないですか。
  178. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 大変申しわけございませんが、この部分だけで幾らかかっているかという資料を持ち合わせておりませんので申し上げかねますけれども、材料費は、ハイライトの場合は大変シンプルな印刷になっております。したがいまして、色の数も少のうございますし、ほかの銘柄に比べて比較的材料費が安くついておるというふうに理解をしております。
  179. 荒木宏

    ○荒木委員 皆さんの方から説明を聞きますと、総原価でハイライトとセブンスターの価格の違いがワンパックで約五十銭。ところが原料費は、ハイライトの方は国内産ですから、たとえばチェリーよりも高くなっていますね。にもかかわらず総原価はチェリーの方が若干高くなるというのは、わずかばかりの金粉を吹きつけるからそういう結果になる。ですから、それをやめればチェリーの方がハイライトよりもコストが安くなる、こういう説明を聞いておるわけです。そうじゃありませんか。
  180. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、原料費の点ではハイライトの方がセブンスターより高いわけであります。しかし、総原価の方でわずかながらチェリーの方が高いのは、必ずしもその金粉だけではございませんで、香料でありますとかそれからフィルターチップであるとか、そういった点でハイライトの場合より少し高くなっておるせいでございます。  この金粉をやめて、あれを印刷にしたらどうかというお話でございますが、まあそれが仮に消費者に受け入れられるとしましても、それによってワンパックにおいて少なくなる金額は三十三銭程度でございまして、したがって総原価においてまだチェリーの方が若干高いというのが事実でございます。
  181. 荒木宏

    ○荒木委員 つまり、そういう努力をすれば、これは一つの例で言っているのですが、コストはほとんど変わらない。むしろ一番肝心な原料は百円銘柄の方が安い。事の道理として、コストが安いあるいはコストが同じであれば、売価は同じであるかあるいはコストの安い方が安い、下げられるではないか。これは世間の生産販売の一つの常識であろうかと思うのです。  いま公共料金据え置きという話が出ておりますときに、理屈の上でもコストがほとんど変わらないということであれば、大衆的に広く消費されている百円銘柄を八十円の方に近づけることもコストの点から言えば可能ではないか。安くてうまくて安全なたばこということが公社の重要な目的の一つだと言っておられるわけですから、そういう意味で下げる努力、下げるための工夫をやるべきではないか。  一般的には、初めにそういう点では副総裁も認められたわけですが、具体的にこういうふうな点も含めて小売価格を下げるという努力を実際にやったらどうか、こういうことを言っておるのでありまして、その個々のデザインがどうであるかどうかということは、これはそれぞれ公社の中で検討されることだと思うのですが、そういった方向で下げるための努力、これはひとつ副総裁、やられたらどうですか。
  182. 泉美之松

    ○泉説明員 荒木委員御存じのとおり、先ほど来からの質疑で明らかになっておりますように、たばこの定価のうちで一番大きなウエートを占めますのは地方消費税及び専売納付金でございまして、原料費を含む総原価というものは、定価のうちに占める割合は比較的小さいものでございます。しかしながら、公社といたしましては、その総原価につきましてできるだけ上昇を抑えていく努力は、従来もやってまいりましたし、また、今後も大いに努力してやってまいらなければならぬと思います。その場合には、いまお話しのような点につきまして十分配意してまいりたいと思います。  ただ、一言だけ申し上げておきたいのは、従来は輸入たばこわが国たばこ販売量の一・〇四%ぐらいしか占めておりませんけれども、今後はだんだんと輸入たばこに対する消費者の要望も強くなってくると思いますし、諸外国の例などを見ましても、一・〇四%のままでは済まなくて、相当外国のたばこが入ってくることと思いますが、そういう品物と競争するためには、やはりそういった外国銘柄と遜色のないような包装、デザインもしなきゃならない。したがって、たばこすべてについて、そういう原価だけを、総原価を安くすればいいというわけにはまいりかねるものもあるということだけは御理解いただきたいと思います。
  183. 荒木宏

    ○荒木委員 皆さんのお話を伺いますと、凍結、据え置きの努力だとか下げることについては全く考えていないような印象を受けるのですが、いままでのたばこの定価改定の歴史を見ますと、なるほど戦前は値下げをしたのは一回しかなかった。大正十一年に当時バットが七銭から六銭ですか、これ一回しかなかったですけれども、公社発足以来は、いままでの大蔵省専売局のやり方と違って、サービス精神でやろう、こういうことで二十五年、二十六年、三十一年と値下げがあったですね。しかもその値下げがあって売り上げは伸びたでしょう。売れ行きは、値下げがあったがためにぐんと進んだ、益金の方も確保された。  いままでの歴史から見ても、たとえばこの専売納付金との関係から見ても、値下げをするということが検討すべき重要な方向一つである。何も、専売納付金を確保すると言ったらもうすぐに短絡的に値上げ、そういうふうに考えることはむしろ誤りであると皆さん方の「専売公社十年の歩み」の中で言っておられるじゃないですか。現に二十六年の値下げのときには、売り上げの数量は伸びた、益金も確保された。  ところが、二十九年に光とピースを値上げして、売れ行きがぐんと落ちて、しんせいの方にずっと変わっていった。だから、品質を上げてすぐに相応な価格へ値上げをしていくということは、これは誤りであるということを皆さん方も言っているわけでしょう。  ですから、今度の値上げ提案に当たっても、過去の例から見て値下げということ、あるいは値上げ幅の圧縮ということ、公共料金凍結という点から見て、もっとその努力は強めるべきではないのですか。先ほど提案したことも含めて、コストとの関連も含めて、たとえば同じコストでありながら、片方は二十円も高く売ろうとする。今度の改定によれば、それはもっとさやが広がってくる。いずれも同じように大衆的な消費で迎え入れられている銘柄だ。こういう点から言いますと、公社の営業姿勢というものが、従前の公社発足当時のあり方から見ても、財政専売の方向へ急速に傾いてきているというふうにも指摘できると思うのですが、副総裁、いかがですか。
  184. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、公社発足後何回か値下げをして、その結果むしろ売り上げがふえたという事績はございます。したがって、私どもといたしましても、その過去の事績は十分考慮してまいりたいと考えるわけでございます。  ただ、ハイライトとチェリーの場合、総原価が余り変わりないからチェリーの方を百五十円にしないで抑えたらどうかという御意見につきましては、コスト的に見ますと余り差がございませんので、そういう意味では私どもはハイライトの方をもう少し値上げしたいというのが本来の考え方であったのでございまして、そういう点は悪いとおっしゃればそういう御意見もあろうかと思いますが、コスト的に見ますと、それほど差がないものは同じぐらいの値段にしてもいいのではないかということも考えられるわけでありまして、全体としては、お話のように、今後の公社の運営に当たりましては、単に値上げするというだけでなしに、値下げを図ることによってかえってうまくいくというものも出てこようかと思いますので、そういった点につきましては、今後十分検討いたしてまいりたいと存じます。
  185. 荒木宏

    ○荒木委員 今後十分検討じゃなくて、いま検討してほしいのですよ。値上げ法案がかかっている現在ただいま、その検討を真剣にやられるべきだと私は思うのです。  現に、従来、十分ではないにしても、そういう検討がやられてきたことも一再ではないのです。四十三年の値上げ法案が出ましたときに、この点も国会で論議になって、昭和四十三年四月九日、当時の公社の佐々木副総裁が国会へ出られて、納付金率ということの期待、財政寄与率ということの期待はもちろんある、あるけれども、やはり売れ行きということ、このことに大いに関係があって、抵抗なく売れ行きが伸びていくという限度というものがあろう、こういう話がありますね。  副総裁は、抵抗なく売れ行きが伸びていく限度というものを一体どれぐらいに見ておられますか。このことは当時も論議になりました。このことはすぐ値上げ幅に関係する。据え置きか、どのぐらい上げるか。抵抗なく売れ行きが伸びていくという限度を一体どれぐらいに考えておるのですか。
  186. 泉美之松

    ○泉説明員 まず、前段で、現在の値上げの問題について考えろということでございますが、これは御案内のように、昭和五十年度の歳入といたしまして二千五百億の増収が期待されておるわけであります。したがって、その増収を図るために各銘柄別の値上げ幅をどうするかということにつきまして慎重に考慮したあげく、この案が最も適当であるというふうに考えまして今回の値上げを行おうとしておるわけでございます。したがって、私どもとしては、今回の値上げにおきましてはそういうことでやってまいりたいということを考えております。  それから、値上げに当たって抵抗なくして売れる本数というような計算はなかなかむずかしいことでございまして、私どもがいろいろ今回の値上げを検討する際にはじいたところでは、値上げをしない場合には、昭和五十年度におきまする売り上げ本数は二千九百三億本程度と見込んだわけであります。しかし、値上げを行うことによりまして、これは四十三年の実績から出てくるわけでありますけれども、消費がある程度減る。その減るのが約百七十億本、こう見て今回の値上げ案をつくったわけでございます。この値上げをしない場合の二千九百三億本を売った場合の専売納付金は二千二百七十億程度になるわけでありまして、そういった点からいたしますと、財政収入として二千五百億の増加を期待される以上は、どうしても値上げをせざるを得ないということになった次第でございます。
  187. 荒木宏

    ○荒木委員 政府の財政政策、物価政策は後ほどまた大臣に伺おうと思いますが、公社の営業姿勢といいますか、このことをひとつ伺っているのですけれども、副総裁はたしか他の同僚委員質問に答えて三つの目的を言っておられた。安くてうまくて安全なたばこ、関係者が潤うこと、そして財政需要に応じられること。いまの副総裁の御答弁ですと、初めに財政需要の期待額が決まっておって、そのためにどういうふうに配っていくか。結局は財政需要を満たしていくための道具になっている。いまの答弁の限りでははっきりそうですね。  しかし、四十三年の値上げの論議のときには、少なくとも公社の主体的な販売政策といいますか、その点から考えてみて値上げの幅というものは二〇%が限度であろう、当時の副総裁はそうおっしゃっておる。大蔵省専売局ならいざ知らずですけれども、そういった点で、公共料金凍結という立場から、副総裁みずからも言われた三つの目的のうち、しかもどれが後先ということなく、こうおっしゃっておるのですけれども、いままでの値下げをした事例と実績の検討も十分でなく、また抵抗なく売れ行きを伸ばしていくには二〇%が限度ということの吟味もこれまたなされておらず、ただひたすらに財政需要を満たすためにだけということになりますと、公共料金の据え置きや副総裁みずからが言われた点にも背離してくることになる。  ですから、平均的な売れ行き、抵抗なく売れ行きが伸びていくというのは一体どのくらいかということがはっきりわからないというなら、過去に数字としては示されておるわけですから、そういう点から見ても凍結ないしは値上げ幅を抑える、あるいは下げる努力をもっとすべきではないかと私は思いますが、どうですか。
  188. 泉美之松

    ○泉説明員 過去に値下げを行いましたのは、御存じのように全銘柄ではございませんで、特定銘柄だけでございまして、これは消費の動向を見てまいりますと、特定銘柄だけが特に値段が高いということではなかなかその特定銘柄の売れ行きがうまくいきませんので、その値下げを図って全体とのバランスでその銘柄の売れ行き増加を図るということはできるわけでございます。  それから、いまお話しの公社が三つの使命を持っているということは、かねてから私どもの申しておるところでございます。ただ、この三つの使命がうまく調和すればいいわけでありますが、必ずしもうまく調和しない場合が出てまいります。その場合に、その矛盾してくるところをどうやって調和を図るかということが、なかなかむずかしいけれどもどもの課題だと思っております。  私どもといたしましては、従来からわが国の製造たばこの定価は外国のたばこに比べても比較的安くなってまいっておりますし、また昭和四十三年に値上げした後、国民の消費者の方々の収入の増加を考えますと、消費資金の中に占めるウエートもだんだん小さくなってまいっておるわけでありますから、この際この程度の値上げをしてもそれは許していただけるのではなかろうかということで考えたので、必ずしも専売納付金を二千五百億ふやさなければいかぬということだけで考えてまいったわけではございません。したがって、今後とも安くてうまいたばこを消費者に供給するための努力というものは十分やってまいりたい。その過程におきまして、いまお話しのようなことにつきましては十分努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。
  189. 荒木宏

    ○荒木委員 公社としてはどのぐらいだと見ているのですか、公社自身の立場から抵抗なく売れ行きが伸びていく限度というのは。
  190. 泉美之松

    ○泉説明員 昭和四十三年のときにおきましても、値上げ後消費は減ったわけであります。ただ昭和四十二年度の販売数量と昭和四十三年度の販売数量におきましては、ごくわずかだけ、一・四%だったと思いますが、増加いたしておりますがこれは定価改定を五月一日に行いまして、その四月中のいわゆる仮需要に基づく売り上げが多かったからでありまして、定価改定後はやはり消費の数量は減っておるのであります。  そういう点を考えますと、やはり定価改定を行いますといかなる場合にもある程度の消費減というものはあるわけでありまして、消費減がないという状態を抵抗なくして値上げできる限度ということに考えますと一切値上げはできないわけでありまして、したがって、消費減があってもその消費減の割合がどの程度であればいいかということでありまして、その点からいたしますと、私どもは定価改定をしなければ二千九百三億本売れるところ、定価改定によって百七十億程度減る、それは仕方なくて、この程度の値上げ率でいいんではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  191. 荒木宏

    ○荒木委員 いずれにしても、二〇%超えればまずいとはっきり答弁をされておったのが、確たる根拠の説明もなしに、そのときの財政需要で、このたびは五〇%近い。値下げによるメリットということもいろいろ指摘をしましたけれども、それの検討も十分伺わずに、とにかく財政需要だからという話でありますが、こういうことになってくると、副総裁が財政専売というふうに言っておられるいまの公社のあり方ですね、これが一体法律上あるべき姿に沿っておるのかどうか、こういうことも問題にせざるを得ぬと思うのですが、これは副総裁いかがですか。専売公社法、それからたばこ専売法、それから塩専売法、ここであなたが財政専売、それからあと二つのことを言われましたけれども、そういった財政需要にという目的は、法律上はっきり予定をしておるのでしょうか。そのことがいまの時期に優先するということは、本来公社というものはどういうふうにあるべきものなのか。法律上予定しておるのはどういうことですか。
  192. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 専売公社法の四十三条の十三に専売納付金の納付義務に関する規定が一つございます。それから製造たばこ定価法の第二条に、製造たばこの定価は適正な専売収入をもたらすようなものでなければならないという規定がございます。それからたばこ専売法の三十四条に、これも先生御案内のとおり、定価の中には地方税、道府県、市町村民税両方を含まなければならないというような規定がございまして、こういった法制的裏づけと、それから明治三十一年の葉たばこ専売制度実施以来、たばこ専売については、一貫して財政収入を上げることが目的とされて今日に至っているわけでございます。
  193. 荒木宏

    ○荒木委員 専売公社法の四十三条の十二に価格差補給金というのがありますね。つまり、全部吸い上げるというのではなくて――公社は大蔵省専売局から離れた経過はいろいろあります。またサービス精神ということも言われましたけれども、しかし、いずれにしても、現在、公共料金として国民生活を守る上で強い要請があることも御承知のとおりです。法律上のたてまえから言えば、そういった立場からの経営をやって、その上で納付金があれば納付しなさい、こういうことでしょう。一定の財政需要が先立って、そのために公社経営をそれに合わせるようにしなければならぬという規定はどこにありますか。  私が伺ったのは、全体として、たとえば価格差補給金という制度は、それではいま説明されたところからはどういうふうな整合性を持つのでしょうか。先にこれだけの需要があって、そのために公社は働きなさいということはどこに書いてありますか。あなたが挙げられた条項は、国民に安くてうまいたばこ、安全なたばこを提供する、職員の人たちの労働条件も保障する、副総裁の言われたいろんな目的があります。これを全部やって、その後出た分は納付しなさいよ、それだけの規定でしょう。財政専売と言われておるその中身についてはいろいろありますけれども、しかし私が尋ねておるのは、いまの説明は少し趣旨が違うのではないか、こういうことですが、いかがです。
  194. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 専売納付金の額を幾らにするかというようなこと、あるいは地方たばこ消費税は税でございますので率が決まっておりますけれども、そういったもののめどといたしまして、われわれとしましては、たばこ事業益金率という率を用いておるわけでございます。そしてこのたばこ事業益金率は、たばこ総定価代金分の専売納付金と地方たばこ消費税と公社の内部留保とを加えたもので指標にいたしておるわけでございますけれども、これが過去の実績によりましても大体六〇%台を維持してきた、そういうことがわれわれの一応の目途ということで今日まで来ておるわけでございます。
  195. 荒木宏

    ○荒木委員 いま聞いたのは、あなたが法律の説明をなすったから、法律の規定はそれとは違うじゃないかということを言ったのです。一定の財政需要を前提にして、それを経営の最高指針にしているということは出てないんじゃないか。副総裁はこう言ったのですよ、幾らかの財政需要がある、そのためにこういうふうに改定をしなければならぬ。しかし、法律の規定はそうじゃないでしょう、こう言っているわけです。ですから、その点は、いまの公社のあり方というものをもう一度十分に検討し直す必要があるということで、この際、特に強く指摘をしておきたいと思います。  それから、そういう意味から、今後の公社の計画として中期計画、これは前の委員質問で、案のままでまだ確定はしていない、見直しをするという答弁がありましたが、たとえば宇都宮の方は統廃合がある程度進んだ、関西はまだ統廃合は実際にはあらわれておりませんけれども、見直しという以上は、この統廃合問題も含めて見直しをするのか、その点は副総裁、どうですか。
  196. 泉美之松

    ○泉説明員 御承知のように、第一次中期計画が昭和四十八年度に終わっておりますので、専売公社としては、四十九年度から大体五年間を目途に第二次中期経営計画というものをつくって、それを発足させなければならないわけであります。  御存じのように石油ショック以後、わが国経済変動がはなはだしくなってまいっておりますために、それを確定することは適当でないということで案のままにいたしておりますが、しかし、その案の中におきましても、製造工場の統廃合及び原料工場の廃止という点につきましては、将来を見通すとどうしてもそういうふうにやっていかざるを得ないということでありますので、第二次中期経営計画全体といたしましては、今度定価改定を行いました後の経済情勢を見ながらもう一度見直ししたいと思いますけれども、製造工場の計画及び原料工場の計画につきましては、従前からいろいろ検討してまいって、これ以外に方法はないという見地に立ち至っておりますので、これを見直す必要はないと考えております。
  197. 荒木宏

    ○荒木委員 統廃合に伴う労働条件の変化の問題、また前に関連をしまして交代制勤務に伴う健康状態の問題、これも調整をして原因を明らかにして報告をする、こういう話があったのがもうすでに一年前であります。そういった特殊勤務のところが有症率が高い。なぜか。調べて返事をします。一年たっていまだに何の返事もないのです。その労働条件に大いに影響のある統廃合問題、また将来についての経済情勢の見直しも含めてやらなければならぬと言っておるときに、足元でなすべきこともせずに、将来の見通しについて確たる案も確定せず、それでいて統廃合問題だけは進める。これは少し道理に合わぬのじゃないですか。  ですから、この際、前に求めたことは実行すべきは直ちにやり、調査をすると言ったのだから調査をして、報告をすると言ったのだからすぐに報告をして、そして将来についてもきっちり検討した上で統廃合問題を進めるというのが道理じゃないかと私は思いますが、再検討すべきではないでしょうか。
  198. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いみじくも先生がおっしゃいましたように、先生から当委員会で二交代制勤務者の健康問題などについて御指摘がございました、そして調査をするようにというお話がございましたのは昨年の四月二十四日、ちょうどあすで一年になります。それで、先生のそういったお話もございまして、早速調査をいたしております。御案内のとおり、二交代工場が発足いたしましてからそう長い期間はたっておりませんものですから、全体といたしましてデータが十分にとれていないといったような点はございますけれども、一応の結果は出ております。  申し上げますと、結論といたしましては、二交代になります前と後と比べまして、それからまた二交代をやっていないほかの工場と比べまして、意味のある差、有意の差と申しますか、そういうものが余りないというような数字になっております。それから、たとえば体重でございますとか受診率がどうだとか、いまおっしゃいました有症率がどうでございますとかというような数字をとってみましても、多少でこぼこがございまして、あるものは若干上がりあるものは若干下がっておるというようなことで、いま申し上げましたように、総体として余り有意の差がないということ、これはさっき申し上げましたように、全体としてデータが少しまだ不足しておる、もっととにかくフォローしていかなければいけないという問題であろうかと思います。  いずれにいたしましても、御指摘を受けるまでもございませんでして、職員が健康に職場で働いていただくということは、これは基本的な話でございますので、二交代工場につきましては、ほかの工場に比べまして、たとえば健康診断の回数をふやしますとか、あるいは健康相談のやり方を考えますとか、いろいろなことをやっておるわけでございますけれども、今後とも職員の健康を守るという立場から、先生のおっしゃいましたようなことをさらにフォローしてまいりまして、十分に気をつけてまいりたいと存じております。
  199. 荒木宏

    ○荒木委員 統廃合問題については、私は見直すべきだということをこの際特に指摘をしておきたいと思います。  公共料金を下げるという努力、凍結の努力は、酒の税金、これでも同じだと思うのです。ビールはたびたび指摘されておりますように、外国よりも税金が高い。大衆的にも消費されておる嗜好品で、他の同じ酒類の飲料に比べても、酒の中では負担率が高い。しかも、その高い方向改正の都度強まってきている。これは外国に比べても高い税金をまだ上げようとしているという点から見ると、やはり下げる努力をするべきではないかというふうに思いますが、この点は主税局長、いかがですか。
  200. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 確かにビールの小売価格の中に占めますわが国の酒税の率は、諸外国のそれと比べまして高いのでございます。ただ、諸外国におきまして国民一般がビールに対して抱いております感じと、わが国におきまして今日なお国民一般がビールに対して持っております感じとを比較いたしますれば、私はまだかなりそこの間には懸隔があるものと思っております。度数こそビールにおいては他の酒類と比べて低うございますけれども、致酔飲料としてのビールに対する考え方におきましては、まだまだわが国としましてはかなり重要な致酔飲料として国民一般が見ておることは事実でございます。その場合に、一体そういうビールの負担すべき酒税というものが、それと比肩される他の酒類とどの程度にあるべきかということは、必ずしも外国におきましてのビールと他の酒類の負担しておる酒税と同じにまだなり得ないのが現状ではないかというふうに思っております。
  201. 荒木宏

    ○荒木委員 ということは、つまり値上げを抑える努力をしていない、あるいはそういうふうな気がない、こういうことでしょう。つまり、諸外国と比べていまの答弁のような見方であれば、抑える努力、抑える気がないというふうにとれるわけですけれども、しかし、これは先ほども指摘があったように、小売価格に上乗せになる、ビール会社は値上げの動きがある。小売価格の値上げそれから酒税の値上げ、これについて本気で抑える努力を行政指導としてしておるのかどうか。  自由価格とは言い条、税金を抑える努力、ビール会社の値上げを抑える努力、これについては、いままで聞いたところでは、政府の方から、たとえば朝日、サッポロに続いて麒麟が値上げをしようとしているが、これは値上げを抑える努力というか、あるいはまだ抑えられるはずだというか、そういった点についての検討だとかあるいは指導だとかいうことはどういうふうにやっておるのですか。
  202. 星野孝俊

    ○星野政府委員 先生御指摘のように、朝日麦酒が去る三月、サッポロビールが四月四日に価格の改定を行ったわけでございます。再々説明申し上げておるわけでございますが、実はビール価格の改定が前回行われましたのが一昨年の秋から昨年の一月にかけてでございまして、その後例の石油ショックが起きまして、ビールの麦芽を初め原材料が非常に高騰いたしまして、昨年の秋ごろから経営を維持するために価格の改定を行いたい、こういう声が出てまいったわけでございます。  しかし、私どもとしては、当時物価情勢も非常に厳しいときでございましたので、そうしたコストアップ要因、確かにそれはございますけれども、それはひとつ何とか企業努力でもって吸収するように努力してほしいということで、現に朝日麦酒あるいはサッポロビールにつきましても相当な企業努力をしまして、経費の節減に努めたわけでございます。しかし、御承知のように、どうしても現在の価格のままでは正常な経営が維持できないということで、今回の価格改定に至ったわけのものでありまして、原因はそうした原材料費の高騰あるいは人件費のアップということで、これは最終的に抑え切るどいうことにはどうしても無理があった、やむを得ないものだと思っておるわけでございます。
  203. 荒木宏

    ○荒木委員 いま話が出ましたたとえば麒麟麦酒の場合に、季節要因があるから年間通して見ますと、七月決算と一月決算を合わせれば、四十八年と四十九年の利益は同じでしまう。内部留保はむしろ積み増しをしているのじゃないですか。それで、いま言われたように値上げを抑えることができないというのはどういうわけでしょうか。  また、もう一言ついでに聞いておきますが、そういうことだから凍結すべきだ、値上げをすべきでないという国民の声についてはどう思われるか。いま局長が答弁されたから、この二点について簡単に答えていただきたい。
  204. 星野孝俊

    ○星野政府委員 四十八年度末と四十九年度末の決算の状況でございますけれども、確かに税引き前利益で申しますと、先生のおっしゃるようにほぼ同額になっておるわけでございます。しかし、御承知のように、麒麟麦酒が価格を改定いたしましたのが四十九年の一月でございますので、四十九年期はそういう意味では値上げのメリットが本来出ているべきはずのものであります。ところが、実際問題としては、四十八年度とほぼ同額程度の税引き前利益しか出なかったと言いますのは、これは実は下期に入りまして非常に収益状況が悪化いたしまして、上期に比べまして税引き前利益率が半分以下に落ちた、こういうことに原因があるわけであります。  それからまた、消費者サイドから確かにビールの価格を引き上げないようにという御要望があることは私どもも強く認識しております。したがいまして、そうした御意見も受けまして今日まで、また現在も、そうした値上げの抑制ということについては努力しておるわけでございます。しかし、原因がコストアップ要因にあります以上、それを最終的にいつまでも抑え切る、それで赤字経営に転落してもやむを得ないというところまで私どもとしては強く言い切れないのでありまして、やはり現実にそうした石油ショック等によりまして大幅なコストアップがあったならば、それはある程度価格に転嫁するのはやむを得ないのではないか、このように考えておる次第でございます。  なおしかし、今後とも値上げの抑制にはもちろん努力してまいるつもりでございます。
  205. 荒木宏

    ○荒木委員 しかしあなた、四十八年度は百八十一億、四十九年度は百九十一億でしょう。それはなるほど上下の出入りはありますけれども、引当金の増加額は、四十八年度二十五億で四十九年度四十五億でしょう。取り崩し額にしても、四十九年の一月は六十六億四千六百万で、五十年一月は一億三千万じゃないですか。これで値上げをしなければならぬぎりぎりまでいっているということは言えないんじゃないですか。いままで出た決算で見る限り、むしろ二百億近い経常利益がずっと続いていて、そして準備金、引当金の積み増し額はむしろふえている、取り崩しも少ない、それで間に合っている、こういうのでしょう。  ですから、一つは、それでもう赤字に転落するというふうに皆さんが思った理由は何だ。コストアップとおっしゃったけれども、数字の結果こうなっておるじゃないですか。だから値上げをするなという国民の声についてはどう思われるか。承知しておりますというのでは、これは単に聞いたというだけです。どう思いますか、こう聞いておるのです。
  206. 星野孝俊

    ○星野政府委員 引当金が増加しておりますのは御指摘のとおりでございますが、これはいずれも法律で認められております引当金を引き当てているわけでございまして、これは企業が健全経営を維持するためには企業努力として当然行われるところでございまして、これを引き当ててはいけないというふうなことは、もちろん私どもとしては申せないわけでございます。やはり価格の決定は、御承知のように、現在、企業の自主的な判断でできることになっておりますので、会社側が株主あるいは金融筋等への配慮から、また健全経営を維持するというためにそうした積立金を積み立てるということ、これは一向に差し支えないことだと思っております。
  207. 荒木宏

    ○荒木委員 いや、私は、それはいかぬとは言ってないのですよ。だけれども、あなたが言われたように健全経営のために積み立てるなら積み立てて、経営は健全に向かいつつある。つまり健全を維持しておる、その努力ができておる、こういうことでしょう。ではあなた、経営が健全にやられているのになぜ値上げを認めるのですか。そのことを言っているのです。それと、そういうことをするなと言っているのに対して皆さんはどう思っているか、こういうことです。
  208. 星野孝俊

    ○星野政府委員 確かに従来麒麟麦酒は健全な経営で推移してきたわけでございますが、先ほども申し上げましたとおりに、四十九年度の下期になりまして経営内容が非常に悪化しております。赤字になったとは申しませんけれども、税引き前利益率が非常に落ち込んでおりますので、このまま推移していけば経営が悪化してしまう、こういうことで、私どもとしてはこのコストアップ要因というものを最終的にいつまでも押さえ切るということはむずかしかろう、こういうふうに判断しているわけでございます。  御指摘のように、国民皆さん方からそうした価格を改定しないように、こういうふうな御要望があり、また強い御要求がございますので、私どもとしてもビール各社に対しましては、そうしたコストアップ要因はできるだけ企業努力で吸収しまして極力価格に転嫁しないように、またやむを得ず転嫁する場合におきましてもその上げ幅は最小限度にとどめるように、このように要請しているわけでございます。
  209. 荒木宏

    ○荒木委員 ここで大臣に伺いますが、いま事務当局に聞きますと、大企業製品の価格を値上げするな、たとえばビールの場合は麒麟麦酒で値上げをするな、こう言っているのを受けて、事務当局ではその方向に沿うて努力している、しかし努力していても実際には上げるのはやむを得ぬ、こう言っておるのですから、結果は同じかもしれぬけれども、しかし少なくともその要望を受けて努力するというふうに言っておる。しかし、大臣はこの間、十六日の答弁で、ビールの値上げがいかぬと言うのはこれは一種の暴力だ、こう言われた。公共料金凍結ということについてわが党は昨日、総理に申し入れをしました。これは国民の強い要請でもあります。大臣がこれは一種の暴力だと言われたのは一体どういうことか。  私は時間の関係で申し上げられなかったけれども、いまの物価情勢の中で公共料金が次々と上げられていきます。大企業製品価格の値上げは、経企庁の調査では七〇%の企業が値上げの予定である、こう言っておるのです。一方、独禁法の改正については次々と骨抜きにされてきておる。こういうときに値上げをやめてくれという国民の声を一種の暴力だと大蔵大臣が言われたことは、このままにはできぬと思います。見解を伺いたいと思います。
  210. 大平正芳

    大平国務大臣 政府はかねてから、公共料金はもとよりでございますけれども、物価の安定ということに対しまして懸命な努力を傾倒いたしてまいったわけでございます。それで、とりわけ公共料金、政府の介入いたしまする料金あるいは物価につきましては、たびたび申し上げておりますように、一般の物価水準が高騰いたしまして諸物価が上がり、諸掛かりが上がりました段階におきましても極力押さえてまいったわけでございまして、しかしながら、最小限度の調整はいたさなければならぬという立場をとってまいったわけでございます。  私は、基本的に公共料金、公共物価といえども、これはやはり正当な原価要素というものを計算いたしまして、無理な押さえはきかないものと考えております。無理な押さえをやりますと、あとでまた爆発的に上がって、かえってまた消費者が迷惑をするわけでございまして、経済はもともと無理がきかないわけでございます。とりわけ石油危機が起きまして、石油という燃料、原料が一挙に上がった。四倍にもなった。その後いろいろなものが上がりあるいは人件費が大変上がってまいったということでございまするので、物価が狂乱に近い状態になったわけでございまして、それが早く鎮静しなければならないと存じまして、政府も一生懸命にやってまいったわけでございます。  いまのビールの値段は、そういう状態の原価要素の変動というものを十分組み入れていないという状態にありますので、このまま据え置けということは、私は無理じゃないかと思うのでありまして、合理的な調整が要るのではないかと考えておるのです。それをどうしても上げちゃならぬ、調整してはいけない、合理的な値段でなくていいんだということは、私は無理じゃないかと考えておるわけでございます。別段常識と外れたことを申し上げたつもりはありません。
  211. 荒木宏

    ○荒木委員 ぼつぼつ時間が来ましたからこれでおきますが、暴力発言は取り消しますか。これだけ経常利益があり積み増しもあり、それから取り崩しも少なくて済んでいる。もちろんコストの見方についてはいろいろありましょう。しかし、物価安定は最大の方針だと言われており、きょう配付されたファイナンスの末尾で、昨年十二月二十四日の記者会見の内容についての大蔵大臣みずからの説明の中で、経済対策閣僚会議の中にも公共料金の全面凍結の強い意見が出ている、こういう記事もありますが、そういう中で凍結せいというのは暴力ですか。暴力発言は取り消しますか。
  212. 大平正芳

    大平国務大臣 物価の問題、経済の問題を無理をしてはいけないのではないかという私の感想を述べたので、暴力という表現は適切でないと思います。
  213. 荒木宏

    ○荒木委員 いろいろ尋ねてまいりましたけれども、昨日、私どもは公共料金、大企業価格凍結について申し入れをいたしました。国民的な要望を受けて物価安定のためにということで独禁法の問題も含めて提起をしたわけですが、政府に対する申し入れですけれども、経済関係閣僚として大臣も誠実に検討されて、その実現のために努力をされるべきだということを求めて、質問を終わります。
  214. 上村千一郎

    上村委員長 広沢直樹君。
  215. 広沢直樹

    ○広沢委員 私は、いまから酒税法の一部を改正する法律案製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、この二案について質問いたしたいと思います。  この両案につきましては、もうすでに質疑があらゆる面からどんどん進められております。ただ、私は、冒頭に大蔵大臣に基本的な考え方を伺っておきたいと思うわけです。と申しますのは、われわれは、公共料金はすべていつまでも据え置けばいい、そういう考え方は持っておりません。確かに公共料金といえども、一応は採算も考え、すべて考えていかなければならないことは言うまでもないことです。しかしながら、すべての事情というものをよく勘案して、そして協議していかなければならない問題じゃないか。特に最近問題になっておりますインフレ、物価高、こういったような状況の中で、それぞれの公共料金については一年間凍結しよう。その中で特に酒税そしてたばこの定価改定をやる、値上げをしなければならぬ、こういうようなことでありますけれども、こういった時期にどうしてもそうしなければならないものなのだろうか、もう少し企業努力なり考える余地はあったんじゃなかろうか。こういったことを考えながら、きょうは二、三の例を引いて質問申し上げたいと思うわけです。  そこで、最初に伺っておきたいことは、せんだっても大蔵大臣は財政の危機ということを訴えられておりました。確かに国の財政におきましても、地方財政におきましても、非常に財政的に窮迫をしている、こういう事実は私ども認めるわけでございますけれども、その中で申されていることは、これから安定経済成長ということになっていきますと、いままでのような自然増収は求められない。それにかわる対策というものを立てなければならない。四十九年度におきましても八千億の歳入不足が起きるんではないか、こういうことでそれに対する対応策というものも先日大蔵大臣は述べられました。  さらに昨今の報道によりますと、すでに大蔵省当局におきましては、五十年度の税収見積もりも、これはまだ三月期の決算の税収実績が判明しないと明確ではないかもしれませんけれども、一応現在の景気の動向から考えると非常にむずかしいのではないか。伝えられるところによりますと、財源的には約三兆円も不足するのではないかという報道さえ出ているわけであります。その内容については、法人税の問題につきましてもそう、ベアを含めて考えると、所得税の増収につきましてもそういうことが考えられる、あるいは補正要因としてのいろいろな問題も考えられる、こういうことであります。  そこで、今回のあえて一年間公共料金は凍結していこう、わが党もそれを強く主張したわけでありますけれども、その中で、こういうように財政的な問題からどうあっても値上げを今回認めてもらいたいというような御説であろうと思うんですね。財政規模というものは、だんだん大きくなってまいりますと、いま申している酒税の財政に占めるウエートも低くなっていく、あるいはたばこの納付金、これも低くなってまいりますね。ですから、財政に占めるウエートというのは小さくなっていっているはずです。また今後もそうであろうと思います。  ところが、財政的な問題からどうしてもそれを考えていかなければならないということになると、たとえば酒税についても今回増税の方向が出ているわけでありますが、将来の方向というのはどういうふうに考えているのか。ただ、これだけでいまの財政の問題というものは解決するとは思いませんよ。したがって、酒税のみならず、ある報道によれば、これから増税時代にも入るのではないのかというようなことが言われているときであります。ですから、これからのそういう財政危機に見合った税制方向というものはどう考えているのか。中でもいま言う酒税の将来についてはどう考えているのか、そういった点から伺ってまいりたいと思うのです。
  216. 大平正芳

    大平国務大臣 財政の問題といたしまして、必要な歳出を賄う財源として租税収入が第一に考えられるわけでございます。第二に税外収入、租税以外の収入が考えられます。第三に国として借金、公債が考えられるわけでございます。  細かい議論は別にして、大きく分けてそういうことが考えられると思いますが、税外収入の問題はしばらくおきまして、さらに大きく分けますと、税によるか借金によるかということになると思うのでございますが、一定の歳出需要を前提といたしました場合、それは賄わなければならぬわけでございます。それは租税によるべきか公債によるべきかと考えた場合に、できるだけ私といたしましては租税収入によって賄うべきだと思うのでございまして、インフレの歴史を見てみるまでもなく、財政の不均衡がインフレの最大の原因をなしているわけでございまして、安易に公債財源に頼るということは私はよくないと思うのでございます。  租税収入に頼ることがいいとすれば、租税の中で間接税によるか直接税によるかの問題でございますが、直接税で法人税にいたしましてもあるいは所得税にいたしましても、本委員会を通じまして御検討いただきましたように、そして私どもが御説明申し上げましたように、諸外国に比肩いたしまして決して劣らない高さにおいて税金をちょうだいいたしておるわけでございます。これにはいろいろな議論がございますけれども政府といたしましては他の先進諸国に決して劣らないだけの所得税制、法人税制をわれわれは持っておると思っておるわけでございます。  しかし、間接税におきましては従価税と従量税がありまして、従量税が酒税であり、そしてたばこも実態的にはそれに入れていいと思うのでございますけれども、こういう物価の変動期のときにおきまして何年間もほうっておけばいつまでも変わらない状態に置いてあるということでございますので、税体系の中でのアンバランスというものが出てきておると思うのでございまして、人によっては、これは意図せざる減税が行われているという見方さえあるわけでございまするので、ここで酒とかたばことかいうものを七年間据え置かしていただいたわけでございますけれども、これを取り出して他の税目との間の調整をとらしていただいて差し支えないのじゃないかという考え方に立ったわけでございます。  すなわち、租税収入の中で、酒とかたばこで期待する収入がほしいから酒とたばこに手をつけたというのでなくて、酒とかたばことかいうものはここ数年間据え置きになっておりまして、意図せざる減税がそこに行われて他の税目との間の実態的なバランスが失われておるというような状態でございますので、これは若干の調整をそこに施していいのではないかという状況がありまするので、そこで、それではそこに若干の財源を求めるべきじゃないかという考え方から出てきたわけでございます。どうしても酒とたばこに期待しなければならぬという、考え方の基本をそこに置いたというわけでなくて、そういう状況のもとでございまするので、ことしはこういうものに手をつける方が所得税の増税、法人税の増税を考えるよりは、国民の負担の公平を期する上から申しましても、税制のバランスを考える上から申しましても、私はその方が適切な措置ではないかと考えたわけでございます。  しからば、今後どうかという御質問でございます。今後はこういう考え方を毎年とれるはずは私はないと思うのでございます。そのときの状況に応じまして、一番負担の公正が図れるような手段、方法をそのときどきの情勢考えていただかなければならぬと思うのでございます。ただ、今後にとって言えることは、酒であれたばこであれ、この委員会を通じてたびたび申し上げておりますように、わが国ばかりでなくどこの国も、洋の東西を問わず、時の古今を問わず、これはもう財源として確立しておる普遍的な財源を得る淵源でございますので、これは今後とも相当の歳入は期待していきたいと思いますけれども、年々歳々このように増税をお願いするとか値上げをお願いするというような考えは、私にはございません。
  217. 広沢直樹

    ○広沢委員 今回の酒税並びに納付金のこういうふうな増税というか増加というか、そういうことを図るということは、いわば今日までの財政の主流をなしてきた直接税の自然増収というものが図れなくなった、そういう財政危機の中で、特に一年間公共料金は凍結すべきである、他にいろいろあるのではないかと言われた中で、特に抜き出してこの二つをあえてこういった時期に値上げという形で法案を提出してくる。これは私どもは一年間凍結しなさいということを再三申し上げたわけです。  しかし、いま大蔵大臣がお答えになったようなバランスというか調整というか、その上において財源的にこれを見ていくのは当然ですから、そういう上に立ってウエートが――どうしてもそれがなければということじゃなくて、一応七年間とかあるいは何年間の調整的な意味も含めてということでしょう。ただ私は、こういう際でありますから、他の公共料金と同じように一年間は凍結をしていくべきではないかということをあえて言わなければならないわけです。大臣のおっしゃる意味も全然わからぬわけじゃありません。  だから、私は、この値上げの時期というものにつきまして、冒頭に申し上げたように、すべて何も上げてはならぬのだという意味は申していないつもりなんです。そういう、時期を選び、あるいは何かもう少し経営内容を検討し、もう少し努力すべき面はほかにあるのではないかと思われますので、こういう面を十分検討すべきではなかろうか。それが、いま言うように、ことしあえてこういう大衆課税になっていくこの両案を出してこなければならぬということは、財政的にどうしても必要なんだとおっしゃるなら、またその意味から考えていく方法があるのですけれども、いま言うような調整的なものであるならば、これは凍結すべきじゃなかったか、これは強く私は申し上げておきたいと思うのです。  そこで、そういう意味から少し具体的に内容に入ってまいりたいと思うのでありますが、まず酒税法でございます。  酒は、申すまでもなくこれは自由価格のはずでありますけれども、小売価格や卸売の値段が、特級あるいは一級、二級、大体そろっているわけですね。これは行政指導でそうなっているのか、自然にそうなっているのか。その点は、これはもう余り差がないのです。二級といえば幾ら、あるいは一級といえば幾ら、買う消費者の方もあるいは売る方も、大体そういう概念におさまっているわけであります。かつてはそれは公定価格だとか基準価格だとか、いろいろなことがあったようでありますが、いまは自由価格のはずですが、その背景には何かそういう行政指導があるのか、あるいは業界の申し合わせがあるのか、その点はいかがでしょうか。
  218. 星野孝俊

    ○星野政府委員 いま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、実は私ども、たとえば一級あるいは特級の標準的な価格というふうな物の言い方をしておりますけれども、しかし酒の価格帯はかなりばらつきがございまして、たとえば特級酒、一級酒あるいは二級酒につきましても、必ずしも全部一本に統一されているというわけではございません。ましていわんや、それは行政指導でそういうことをやっておるということでもございません。ただ、過去におきまして相当長い間統制経済になれ親しんできておりますので、そうした従来の慣習が残っておりますので、なかなか価格帯を広げるというのが現在のところまだ十分にいっていないということは事実でございます。
  219. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは、公取委員会から出席をいただいておりますので、後藤取引部長に、公取の立場からそういう面はどういうふうに見ておられるか、伺っておきたいと思います。
  220. 後藤達太

    後藤(英)政府委員 酒の価格につきましては、先ほど先生も御指摘のように、自由価格に移っておりまして、したがって、それぞれ価格あるいは品質、それから表示等も含めて、活発な競争が業界の中に行われておるというふうに見ております。したがって、酒の値段につきまして、特に私どもの方に協定の疑いがあるというようなことで申告が参っているというようなことも聞いてはおりませんです。  ただ、先ほども国税庁の方から御答弁があったように、長い間のやはり慣行というものがありまして、したがって、小売なりあるいはメーカーなりの姿勢というものが、その価格競争という面についてほかの業界とはやや違うような慣行なり姿勢というものがあって、おっしゃるような価格についての大きな乱れがない。ただし、そのほかの面において、いろいろな表示問題とかいうような形での競争が行われておるというふうに見ております。
  221. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、国税庁にお伺いしますが、清酒あるいはウイスキー、こういったものの特級、一級あるいは二級、種別はこういうふうに三つに分かれておるわけですが、この等級制度のねらいはどこにあるのか。酒税の保全のためといいますか、それともお酒の質ですね、そういう格づけを主体に考えられているのか。酒税法のねらいそのものが酒税の保全ということでありますけれども、当然これはお酒の質というものを十分考えてやっていかなければならない問題だ、こう思うのですが、その点はどういうふうになっているのか、またその審査はどういう形でやっているのか、一応御説明いただきたいと思います。
  222. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 現在の酒税は、いまお話しのようなお酒の種類につきましては、特級、一級、二級というような級別課税を行っております。これはやはり過去の経緯がございまして、それぞれの種類のお酒につきまして、その持っておりますところのいわば予定されておる小売価格がかなり開いておるということ、あるいはまたウイスキーにつきましては、特にその内容がたとえばモルトの含有量がかなり違っておるという品質的な差があるということ、そういうことからおのずと税負担についても差をつけるべきではないかというようなことから、いわばそういう品質なり価格というものの差を頭に置きながら、それにふさわしい酒税率を、できるだけ簡便な方法としまして従量的に設定をするというのがそもそもの発端ではなかったかと思っております。  したがいまして、清酒の特級、一級、二級につきましては、現在、いまお話しのような官能審査でもって特級、一級というものが生まれてまいりまして、それについて、恐らくそういったものの売られるであろう価格、そういうものから想定せられました税率というものが基本になっておるわけでございます。  もちろんそういう場合にも、ある程度予想されるような価格よりも高く売られるということはこのごろだんだん多くなってまいりましたから、ある一定の金額を超えました場合には、そういう級別の従量税率よりもむしろ従価の税率をとるということを採用し始めてまいりましたから、清酒なりウイスキーにつきましても、いわゆる予想せられました価格帯をかなり超えましたものについては従価税率が働くようになっておる、こういことでございます。  官能によりまして清酒の級別を分けておりますことはお話のとおりでございますが、これは級別課税をとりましてから、いわば品質が優良、佳良というような抽象的な文言でございますけれども、清酒のメーカーがそういう高い級別をみずから選びまして、それからまた、それに応じました高い税負担を自分も担うということを前提にしまして高いお酒を売るというものにつきましては、そういう官能審査でもって特級、一級という格づけをやり、またそれに応じました税負担をするというシステムになっておるわけでございます。
  223. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、実際にはそういう官能審査というか、鑑定を申請しなければ全部二級だ。等級別に言うと三通りしかないわけですから。販売力の弱い地酒メーカーといいますか中小メーカー、こういうメーカーはどんなに質がよくても二級、こういった例も非常にあるということを聞いている。それは酒税法で言う等級制度というのが、やはり徴税の一つの基準になっているのであって、本当の酒の味、いわゆる良質の酒である、優良、佳良とかいろいろありますけれども、そういうことを加味して考えて、その上に立っていろいろ等級をつけてそれからということではない、そういうふうにしかとれないわけです。  ということは、三つの等級に区分されているとは言いながら、最近ブランドといいますか、いろいろな形で売り出されている。特級の中にもいろいろなのがあるわけですね。種類が何十種類に分かれているか私も数えておりませんからわかりませんけれども、そういうことでやる。一級でも同じようにいろいろなブランドがついて出ております。正確に言えば三千数百社あるメーカーのブランドが皆あると言っても過言ではないと思うのです。  そういうことでございますから、その中にはいろいろなことが加味されているとは思いますけれども、いま言うように良質のお酒でも一級にならない、あるいは特級になるべき良質な酒がいわゆる二級であるということですから、実際に等級というのは徴税ということを一つの基準にしているのではなかろうかとしか考えられない、そういう関係になっていると思うのです。その点、今後等級というものをもう少し考えてみる必要があるのではなかろうか。これだけたくさんの種類があるということになりますと、そこを考えてみる必要があるのではないか。ところがこれが三つだけで、それを考える余地がないということになると、徴税の側から言いますとこの三つの方がやりやすいわけですが、その点は将来どうなんでしょうか。
  224. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 級別課税制度がお話のようにある種の価格帯を想定しながらでき上がってきたことは確かでございます。ただその に、メーカー側といたしまして、自分の商売という観点から、あえて特級、一級という認定をとらずに二級としまして、それにふさわしい税金を納め、自分の判断された価格でもって売られるということで、かなり伸びておるメーカーも実はございますし、また地元で、そういったことであえて特級、一級というような級別に頼らないで、味でもって売られておる地酒も多々あることは御指摘のとおりでございます。  ただ、かつて三段階の価格帯を想定してやってまいりました級別従量税率というものが、製法がかなり弾力的にやり得るように原料面においても自由になってまいりましたし、また新しい清酒の分野を開拓しなければならないということから、従来の醸造方法についても独特のものを見出そうというようなメーカーもずいぶん出てきたようでございますから、価格帯というのもだんだん広がってきておることは事実でございます。  ただ、そのときに、従来そういう非常に狭い範囲の価格帯を想定してつくっておりました級別従量課税率というものは、価格帯が広がってまいるとどうしてもうまく動いてこない面がございますし一また逆にそれが価格の展開を阻んでおるという要素がございます。  それからもう一つは、その級別という名称でございますけれども、先ほど申しましたように、税金上の二級のお酒が味の上でも常に二級であるかということも一致はいたしておりませんから、その際に二級酒ということで消費面においてハンディキャップを負うということもいかがであろうかという気もいたします。  そういういろいろな難点を考えてみますれば、確かに戦争中ぐらいからいろいろ考えてまいりましたこの級別課税制度も、級別制度というものを再検討いたしまして、もう少し価格帯が開く、また製法も自由にできる、それにふさわしい税金を納めていただくというような弾力性を導入することを考えるにふさわしい時期が来ておるのではないかと、ふと私ども実は思うわけでございます。  ただ、級別の従量課税制度というのも私は非常に簡便な一種の従価税制度みたいなものだとは思っておりますけれども、しかしそれは非常に簡便さが長所でございまして、級別制度をなくしましたときにはどうしても従価ということになりますから、そうすると、その従価税率を採用しました場合の課税標準というのを一体どういうふうにとっていったらいいのか、それについてもいろいろなまた難点というのもございますので、そういう従価税制をあわせて考えた今日の級別制度の検討ということは、確かにやってみなければならない問題だと思っております。
  225. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、きょうは表示の問題につきまして、公取の方も出席いただいておりますので、まずそこから伺っておきたいと思うのですが、消費者団体の方から四十八年に公正取引委員会に対して、ほかにもいろいろあると思いますけれども一つ清酒に例をしぼって申し上げたいと思うのですが、清酒の表示について申し入れがあったわけでありますが、その後それはどういうふうになっていっているか、その内容はどうなっているのか、こういった御説明をまずいただきたいと思います。
  226. 後藤達太

    後藤(英)政府委員 四十八年の四月に日本消費者連盟から「清酒の表示に関する規制について」という表題で、清酒の名称とか表示がいろいろと混乱して、そのために消費者が迷惑している面が多々あるので、これについて公取の方で適正化を図るように指導しろという申請が参りまして、私どもの方でも、都道府県等からもそういうふうな具体的な例も上がっておりましたときでございましたので、それを一つ一つ、個別の酒の個別の表示、広告、表現として取り上げるのがいいのか、それともこういう全国的にしかも非常に長い歴史があっていろいろな名前、いろいろな表現、表示が使われているという業界の問題については、むしろ業界全体でもってそういう表示をなくするようなルールをつくってもらう方がいいのではないかということで、具体的な個別の違反事件として取り上げるよりも、業界全体として、公正競争規約という制度が不当表示規制の法律の中にございますので、その制度にのっとった規約をつくってもらうようにということを四十八年の五月に酒造組合の中央会に申し入れをいたしますと同時に、また国税庁の方にも、そういうことについての指導についての御協力をお願いいたしました。その後、中央会におきまして、表示適正化委員会というものをつくりまして、いろいろと業界の内部で検討もいたしまして、具体的な案づくりに入っておりました。  その後、四十九年になりまして、一応、業界の方としては公正競争規約という制度に乗っけて業界がルールをつくり、そのルールをまた業界が自主的に守るという体制をつくるのはいろいろと問題があるけれども、ともかくも、一応、消費者に一番問題になっているようなところを逐次直していこうということで、昨年の九月に清酒の表示に関する基準というものをつくりまして、それにしたがって業界で、これは全く自主的な、任意な制度として、ことしの一月から、たとえば製造年月日の表示をするとか、それから四月に入ってからは、さらに原材料表示をするとかいうような方向に現在なっております。  私どもの方もそれを受けまして、昨年の十一月、ことしに入りましても、消費者団体あるいは関係官庁あるいは学識経験者等の方々に集っていただきまして、清酒の表示の具体的ないろいろな問題につきまして検討いたしておりまして一業界の方のそういう自主的なルールづくりというものと並行しながら、役所の方といたしましても、先ほど申したような規約という形でもって、きちんとした姿勢をつくってもらうというふうに指導してまいりたいということで、実は先週、ある程度こちらの方の考え方をまとめましたもので、公正競争規約という制度に早く乗っけていただきたいということを申し入れております。
  227. 広沢直樹

    ○広沢委員 その表示の問題については、公取の方も前向きに規約をつくったりして考えていこうということのようでありますが、その際、やはりこの表示のあり方というのがいろいろあると思うのです。たとえばことしの一月からは、いままで製造年月日が入ってないのを入れるようにしたとか、あるいは四月に入りましても、それぞれアルコールの含有量だとかいろいろな表示をしていくようにしておりますね。  ところが、こういう表示をするということは、消費者側に立って、消費者が選択しやすいようにしよう、そういうことが一つのねらいであるわけです。いままでは、先ほども私が申し上げましたように、級を三つに分けて、消費者が選ぶにしても、特級だとか一級だとかあるいは二級だとか、それにややこしいいろいろな名前がついているわけでありますけれども、非常にその選択がむずかしかった。それでその中には、先ほど言ったように販売力やあるいは流通網を持っていないということで、力の差で中小メーカーの方は、特級あるいは一級になるようないい酒も二級で売っている。  もちろん消費者側の方から言えば、その内容がはっきりわかれば、これは特級を買うよりも、二級がそれだけに相当するといい酒なんだなということで、必然的に中小メーカーのものを買うし、地酒としてもその地域では伸びるわけですね。それが明確でないために判断ができない。結局、酒税法決められた三つ判断だけでいきますから、名の通ったそういった酒がやはり市場支配をどんどんしていくというかっこうになる。  そこで、せんだってもちょっと問題になっておりましたけれども、いわゆるおけ売りということが行われている。これはほとんど中小メーカーの八割、九割までがそういう形でなければ現在やっていけない、こういう現状にある。先日のお話を聞いておりますと、それが大きなメーカーの中に組み込まれていくという形になっているようなんですが、それをそうじゃなくて、できるだけ横の競合的な行き方に持っていきたいというようなお話をしておりましたけれども、むしろそこへ行くまでに、今日三千数百のメーカーができているというような形から考えていきますと、やはりそこの表示の面をもう少し消費者に理解のできるようなやり方に持っていくことによって、そういった問題も解消していく一つになるのではないか、私はこう思うわけです。  特にお酒のことについては、食品衛生法とかほかの法律で云々しているのではなくて、酒税法だとか酒団法で決められている。そのねらいというものが徴税という意味から出てきているものですから、この内容を見ていきますと、どうしても、消費者側に立ったやり方というよりも、いわゆる酒税の保全という面の色彩が非常に強く出ている法律じゃないだろうか。そういう面で、今日、消費者側からこういった具体的な要求が出されているのですが、この酒税法の中にはそういった面を明確にしたところが一つもないわけです。  この点、公取さんは、いま申し上げているように、自主的な規制ということだけで実際に表示の問題が守られていくと考えるのか、あるいはもっと明確にやっていこうとするならば、やはり酒税法の中に、いわゆるお酒の種類だとかその内容によって課税をしようということにしてあるわけでありますから、そういった面も考えていくならば、これは法律をある程度考え直していかなければならないのではないだろうか、こういうふうに思うのですけれども、その点いかがですか。これは公取と大蔵当局の両方から聞きたいのです。
  228. 後藤達太

    後藤(英)政府委員 私どもは、いま業界の自主規制につきまして消費者の意見をいろいろ聞いて、消費者が酒の選択をする場合にどういう点を一番問題にしているのか、それでどういう点が一番誤認しやすいような点であろうかというようなことを消費者の声等も聞いて、そして自主規制と申しましても、その業界の自主規制の中にそういう点を必ず盛り込むようにということで指導いたしておりましてたとえば先ほど御指摘のございましたおけ買い酒の問題などにつきましても、これはやはりおけ買い酒とそれから全部自製醸造のものと一般消費者にとってはっきりわかるような表示を何らかの方法でもってすべきではないか、そういうものが入っていないような規約であれば、これは公取といたしましてもその規約の認定は困難であるというような趣旨も含めまして指導をいたしております。  その消費者がいろいろ誤認する、あるいはまたわからないというような点につきましては、先ほどもお話がございましたような酒税法上のいろいろな観点から入っている級別の問題だとか、あるいは種類別名称の問題だとか、度数表示の問題とかいうものもございます。したがいまして、そういうものもやはり消費者として非常に関心の強い問題でございますので、公取として規約の中にどういう形で盛るかということにつきましては、これは公取だけではとても指導できませんので、そういう点については国税庁の方にもひとつ御協力いただいて、本当に消費者が誤認しないで商品選択ができるような規約にしたいということで、国税庁の方にも協力をお願いいたしているところでございます。
  229. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 特にいまお話しの点は清酒について非常に大きな問題であると思いますが、まず私どもは、第一には、確かに清酒というものが最近の消費の動向からしまして、従来に比べてやや鈍化の傾向にあるということがございます。それを一体どういうように打破するかというのは、まず第一には清酒業界全体が考えなければならないことでございまして、そのために、いまお話しのようないろいろ内容を消費者にわかりやすく示すことによりまして、また新しい需要を喚起するという面について努力をしてもらいたいのでございます。  現に、先ほどお話しのような製造月日でございますとか内容を表示するとかいうことも、自主的な業界全体の動きとして始まっておるようでございます。それを一体、酒税法でもって規制するのがよろしいかということになりますれば、酒税法は税金を取る法律ということだけでございませんで、やはり税金について密接なることをいろいろ書くわけでございますから、仮に全然アルコール添加をしない清酒について別の税率を盛り込むというようなことがございましたり、あるいはアルコール添加の量によって税差を設けるというようなことがございますれば、それのまた表示ということを考えてみなければなりませんけれども、その内容あるいはその原産地ということを酒税法でもって一々表示するというような義務を設けるのが果たして適当かどうかということになりますれば、ちょっと私どもとすればいま直ちには賛成いたしかねるわけでございます。  しかし、御指摘のように、新しい需要層を開拓するという意味におきまして、消費者との関係を密にするという方法を、業界全体として、また私どもも国税庁も含めまして考えなければならないことは御指摘のとおりだと思っております。
  230. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、もう一本の法律に対する質疑がありますから、酒税法についてはあと一点聞いて終わりにしたいと思うのですけれども、やはり清酒というものについては酒税法にちゃんと決められております。何が清酒であるかということ、成分も確かに書いてあります。ところが、先ほど言ったように、自然的におけ買いの問題になってきたり、あるいは米だけ、あるいはそれに決められたものだけでできた、本物の酒と言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、純粋なそういうものと、それからアルコールの添加されたもの、添加酒というものと、それから俗に言う三倍増醸酒というのですか、大きく言いますとこういった三つに分けられていると思うのですが、清酒の種類につきましても、こういうふうにおけ買い制度が自然的に生まれるようなことになってみたり、あるいはこういうふうにしておけ買い制度になってきますと、勢い自分のブランドに直さなければならない、合うようにしなければならないということで、いろいろな手法が加えられるというようなことで、純粋な清酒というものの俗に言うこくがなってきたとかいうような、地酒のそれぞれの特徴のあるこくというものがなくなってくるというようなこともよく言われているわけでありますが、そういった点から見ましても、やはり今日のような状況から考えて、酒税法はやはり見直していく必要があるのではなかろうか、こう思うのです。  この点につきましても、やはりもっと正確に、清酒とあるいはまたいろいろな手を加えてできたもの、こういったものを分けていかなければ、合成酒というのと清酒というのとの区別があるのでしょうけれども、三倍増醸酒なんというのは私は合成酒の中に入ってもいいのではなかろうかと思うのですけれども、それは考え方はいろいろあるでしょう。しかし、そういう面から考えてみますと、今日まで規定された酒税法の区分というものも考え直してみなければいかぬのじゃなかろうか。そういうことにならないと、いわゆる消費者が求めているものにマッチしたそういったものが、いまは酒税法決められたいわゆる区分の中でそれにマッチさせられたという感覚になってくるのではなかろうかというふうに思うのです。現状というものを見て区分をもう一遍考え直して、そして消費者がそれに対して選択ができるようにして、それからもう一遍また税の課税というものも酒税法のあり方というものも考え直してみるべきであろう、こういうふうに考えているわけでありますけれども、その点の御意見を伺っておきたいと思います。
  231. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま御指摘の点は実は非常に重要な問題なんでございますが、確かに清酒の中にも、あの米のないときから発足いたしました三倍増醸酒なりアルコール添加酒というのがございますけれども、三倍増醸酒にしましても、もう二十年余りの歳月を経まして非常に技術は進歩いたしておりますし、また、幸い米が自由に入るようになりましたものですから、いわゆる三倍増醸酒というもののウエートは非常に減ってまいりまして、今日のいわゆる清酒は大部分がアルコール添加酒でございますし、またそのアルコールの添加量も少なくなってきておるのが事実でございます。また、それに対抗いたしまして、いまお話しのように、純粋にお米からできたアルコールだけの清酒というもので新しい分野を開拓しようとするメーカーもございます。  そのときに、税法上、それではそういうアルコール添加という問題をかなり大きな要素として、たとえば税差をつけるべきではないかというようなことになりますれば、実はいま三千何社ありますメーカー全体が一体どういうような生産方法をとっておるか、また、アルコール添加によりまして製造方法も三千数百社のメーカーにとっては非常に入りやすい製法が開拓されたと思いますし、また、原価的に見ましても、より安い清酒が供給され得るというチャンスがあるわけでございますので、一概にこれを税法上清酒の枠外に置いてしまうということが果たして清酒業界全体のためにいいかどうかということは、これはまた大きな問題でございまするので、酒税法全体、先ほどお示しのような級別課税の問題一従価税の問題その他ひっくるめまして、われわれの研究課題にさしていただきたいと思います。
  232. 広沢直樹

    ○広沢委員 以上、私は表示の問題も取り上げたわけでありますが、要するに、消費者の側から見れば、それを明確にすることでいいお酒を安く買えるということになるのではないかと思うので、その点公取の方でも前向きに取り組むということでありますから、以上で一応酒税法についての質疑は終わりにいたします。  次に、製造たばこ定価法改正の問題について、これは集中的にわが党の委員からも質問をしておりますので、若干伺ってみたいと思いますが、この値上げの理由につきましては、いままでいろいろ説明がありました。長い間据え置きになっているから税負担が低下している、意図せざる減税であるとか、あるいは諸外国に比べても非常に低いとか、あるいは財政の事情からだとか、あるいはまた、財政専売である以上は一定の率というものは保っておきたいとか、それぞれあるわけでありますけれども、最初に聞いておきたいのは、今後もこうした理由によって値上げを行うのか。  たとえば、財政専売の問題としても、一定の率から下がっていけば、これはもう当然、すぐまた値上げの理由として考えていくのか。その点については、先ほどちょっと大蔵大臣から冒頭にお話がありましたから、それによって大きく変わるということはないと思いますけれども、まずそういうふうに、ある一定期間の期間があって、意図せざる減税になれば、それについてはまた値上げの理由として考えていくのか、今後の考え方というのはどういうことになっていくのか、その点、時間がありませんので簡単にひとつ答えてください。
  233. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 今回の値上げによりまして五十年度の益金率は、御案内のとおり、五六・九%になる見込みでございます。それで、五十一年度以降、どういうふうにこれがなっていくかということにつきましては、葉たばこの価格とか人件費とか、そういった原価要素の上昇見込みがどうなるかということに一にかかるわけでございます。したがいまして、この時点でそれがどうなるかということは申し上げられないわけでございますけれども、ともあれ、われわれとしましては、公社の従来にもまさる企業努力によりまして、できるだけ可能な限り原価の上昇を吸収することに努めまして、再び値上げするような時期を先に延ばすというために最善の努力を尽くしたいと思います。
  234. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、公社からの資料によりますと、たばこの事業益金は、四十三年のあの値上げによりまして、四十四年からは大体六〇%を超えております。そして四十九年においてはそれを割って五四・二になった。五十年あるいは五十一年、五十二年になると、たとえば五十二年になると、それがもう三五・一にこのままでいけば下がってしまうのだ。  それから、たばこ事業総合納付率も、これが四十三年の値上げ後五八%であったものが、このままの状態でいくと四十九年で五三・九ですから、五十二年には三五・一になる、こういう試算をなさっていらっしゃる。  それから内部留保額についても、このままでいけば五十二年はゼロである、資金不足もだんだん増大していく、長期借入金も膨大なものになる、こういう試算が一つ出ているわけですね。  今回の値上げ案によりましても、この益金率がこの資料によりますと五六・九になる。それから総合納付率というのが五二・六、こういうふうになっていく。その益金率だけを考えてみましても、公社の試算によると、五十一、五十二、五十三といって、五十二年で五三・二、またそれからだんだん下がっていくことになっているのですが、こうなりますと、やはり今日の値上げの理由から言うと、これはまた直ちに値上げということが考えられるのかということになるわけなんです。この試算によりますと、これはだんだん来年度から極端に下がっていくわけですから……。  それから、四十六年において専売公社と大蔵省が覚書を交わしておりますね。それによりますと、第一種納付金というのはいわゆる国内の販売総定価代金の額の五六%に相当する金額、こういうことになっているようでありますけれども、四十九年度においては、これがすでに下げられて五四・五に見ておったようですけれども、実質的にはもっと下がっている。これが極端に下がっていくんだということでありますが、この表によりましても五十年は益金率が五六・九になるという試算なんでありますから、実際にこの覚書のどおり第一種納付金を五六%と考えたら、公社の取り分といいますか留保というのは、〇・九しかないということになるのではないかと思うのですね。  それで、これをいまの国あるいは地方合わせてのいわゆるたばこ消費税と納付金ということから考えてみますと、この五六%に相当する金額というのはこのままで考えられているのか、あるいは四十九年度のように若干下げるのか、あるいはもっとこれを考え直していくのか、この点を考えていかなければいけないのじゃないか。これはこの値上げの問題と非常に関連があると思うのですが、どうでしょうか。
  235. 泉美之松

    ○泉説明員 最初にお話しの昭和五十二年になると留保金がなくなるという数字は、これは広沢先生御案内のとおり、定価改定を行わなかった場合の数字でございまして、後にお話しになりました定価改定を行いますと、かねてから申し上げておりますように、昭和五十年度の益金率は五六・九%になります。それが今後だんだんと、上がっていく要素はございませんので下がっていくと思うわけでございます。  ただ、この計算の前提になっておりまする葉たばこの代金が、国内のものはもちろん、輸入たばこにつきましても、今後どういうふうになっていくか、また職員の人件費が、御存じのとおり、公柱の場合におきましては公労委の調停、仲裁ということで決まっていくのでありますけれども、それが今後どういうふうにベースアップが行われるか、それから一般の物価上昇がどういうふうになるか、そういったことに影響されるわけでありまして、お手元に差し上げました数字は、そういう点につきましてある前提を置いた数字でございますので、それがその前提と違っていく――私どもとしては、そういう葉たばこの代金なり人件費の上がりというものができるだけ少なくて、そうしてここにあります益金率というものがそれほど低下しないようになっていくことが望ましいと思っておりますが、しかしそうは言っても、なかなか益金率が低下していく傾向は防げないと思います。  したがって、そういう意味では、公社が今後とも企業努力を行いますのは当然といたしまして、いずれ遠からぬ将来におきまして、またたばこの定価改定をお願いしなければならぬときが来るかと思います。しかし、私どもとしては、その時期をできるだけ先に延ばすように努力してまいりたい、このように思っております。
  236. 広沢直樹

    ○広沢委員 約束の時間が参ったようでありますが、ただ、近い将来、遠からざる時期にまた値上げがあるかもしれないなんというようなお話でありますので、一言申し上げておかなければなりませんけれども、そういうことであるならば、冒頭に申し上げたように、もう少し長期的見通しというものも検討して、それからもう一点申し上げておきたいのは、先ほど同僚委員質問しておりました中にもありましたけれども、材料費が非常に上がってきておると申しておりました。その中においても、契約のあり方というか、会計の規則といいますか、材料の購入とかいった問題につきましても、私が資料をいただいて調べたところによると、ほとんどいま随契でやっておられる。随契の特徴もあるんでしょうけれども会計の原則はこれは一般公開入札でやらなければいかぬ。それから指名入札になり随契になるわけです。  いろいろ私が調べた若干の資料の中でも、明治時代から、あるいは昭和の初期からずっと契約をなさっているというところもあるし、それから、先ほど問題になりましたチェリーの問題一つ取り上げてみましても、千枚当たりの印刷加工費を考えてみますと、チェリーはセブンスターやハイライトの五倍、六倍というふうな印刷加工費になっているようなんですね。そういったことから考えていっても、まだまだ公社の経営の内容も吟味してみる必要があるのではなかろうか。  それから、いま言うような財政の長期的な見通しに立って、実はこういう実情であるから今回こうなるんだということの説明がないと、これは国民納得することができない、次はどうなるんだろうと。確かに、私がいまちょっと数字を指摘して申し上げたように、この数字だけで考えてみても、今回の値上げの理由とこの数字を当てはめてみますと、たとえ今回値上げをしても直ちにまた近々に値上げをしなければならぬような数字じゃありませんか。そうなれば、国民コンセンサスというものは得られるわけはありません。  したがって、冒頭に大蔵大臣に申し上げたとおり、これはやはりもっと十分検討してみる必要があるのではなかろうか。そのためには、やはりこれを一年間凍結して、そうしてその中で検討を加えていく必要があるのではなかろうかと思うのですが、その点について、今後のあり方としてももう少し反省していただかなければなりません。  大蔵大臣の所感を伺って、時間ですから終わりにいたします。
  237. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほどお答え漏れがございましたので、一言申し上げておきます。  御案内のように、昭和四十六年から四十八年までは、第一種納付金五六%ということでやってまいりました。それが四十九年度では守れませんので、それを若干落としたわけでありますが、今回定価改定を行いました後は三年間ぐらい安定的に運営してまいりたいということで、いままだ覚書はできておりませんけれども大蔵省と交渉いたしておりますのは、第一種納付金の率は五〇%にしていただきたい、その五〇%であれば、いまお話しのような数字になりましても、ある程度長もちするだろう。  ただ、私どもがお願いいたしておりますのは、この委員会でも申し上げましたように、五〇%一律ということでなくて、定価の高い銘柄と安い銘柄とでその納付金の率を変えてください。御存じのように、安いたばこの中には、地方消費税を賄えないような銘柄もあるわけでありますから、そういう銘柄に一律に五〇%納付金を課せられますと、どうしても負担がきつくなりまして、高い銘柄の負担能力のある方へ負担をかけなければいかぬようになってまいりますので、その点を実情に合うように納付金の率を変えていただきたいということをお願いいたしておるわけであります。  それから、いまお話しの随意契約の点、この点はおっしゃるとおり公開入札というのが会計上の原則でありますが、ただこの資材等につきましては、非常に専門的なものが多うございまして、機械にかかるか、かからぬか、機械にかからない資材を講入いたしても何の役にも立ちませんので、そういう意味で、従来からそういう能力を持っておるところと随意契約をいたしております。  しかし、随意契約につきましては、やはりその反面いろいろ問題のあることでございますので、私どもといたしましても、随意契約のあり方につきましては、今後十分注意してそういう問題を起こすことのないようにやっていきたいと存じます。
  238. 広沢直樹

    ○広沢委員 まだいろいろ具体的に検討しなければいかぬ問題がたくさんありますが、約束の時間でありますので、後日に譲って終わりにいたします。
  239. 上村千一郎

    上村委員長 横路孝弘君。
  240. 横路孝弘

    ○横路委員 財政専売ということで長期的に見る場合の一つのポイントというのは、消費がこれからどうなっていくかということだろうと思うのですが、従来、昭和四十四年から四十八年までのたばこの販売数量というのは毎年相当な勢いでふえてきておりますが、これからの見通しは、昭和五十五年あたりまでどの程度伸びていくというように考えておられるのか、その辺からお答えいただきたいと思います。
  241. 泉美之松

    ○泉説明員 今回定価改定を行いました後、昭和五十年度におきましては大体二千七百三十二億本程度販売されると思うわけでございますが、その後につきましては、成人一人当たりの喫煙本数からいたしますと、御存じだと思いますけれども、アメリカが一番多いわけでありまして、成人一人当たり三千七百本程度であります。それに比べますと、日本の場合は三千百本程度でございますので、そういう点からいたしますと、わが国の場合なお年々若干ずつ増加すると見込まれるのでありまして、その本数は、今後は、昭和五十一年度は五十年度に消費が落ちましたのをはね返す意味でかなり大きく増加すると思いますけれども昭和五十二年度以降昭和五十五年度程度までは年々約百億本ないし九十億本の増加が続くもの、このように考えております。
  242. 横路孝弘

    ○横路委員 第二次中期経営計画案、これのべースとしては大体どのぐらいを見ているのですか。
  243. 泉美之松

    ○泉説明員 第二次中期経営計画は、昨年内定いたしました段階では定価改定を織り込んでおりませんので、そういう意味では、数字が定価改定後の数字とはずいぶん違ったものになるだろうと思います。  ただ、私どもとしては、第二次中期経営計画のときには、昭和五十三年度におきまして三千三百億本の消費があるというふうに見込んでおりました。しかし、これは今回の定価改定によって若干違ってくるかと思いますので、第二次中期経営計画につきましては、定価改定が行われました後の状況を踏まえて再検討いたしまして、その上で確定いたしたい、このように思っております。
  244. 横路孝弘

    ○横路委員 この案でいくと、昭和五十三年が三千三百億本ぐらいということですね。定価改定後も大体毎年百億本ぐらい、特に五十一年度では相当取り返すだろうということになりますと、いまアメリカと日本との一人当たりの消費数量の比較があったんですけれども、大体アメリカ並みにいくのはどのぐらいというようにお考えになっていますか。
  245. 泉美之松

    ○泉説明員 日本の成人一人当たりのたばこ消費量は、アメリカまではなかなかいかないのではないか。一年間の喫煙本数は、先ほど申し上げましたように、いまアメリカは三千七百本、日本の場合三千百本でございますけれども、それはやはりアメリカの三千七百本に至らないで、三千五、六百本でとまるのではなかろうか、こういうふうに予測いたしております。
  246. 横路孝弘

    ○横路委員 アメリカの場合も一九六三年が何か最高で、それからだんだん落ちてきておるということになりますね。  国民の喫煙率というのは、日本の場合ほぼ七七%から七八%ぐらいだということになりますと、いまの数字で押えると、国内消費というのは、五年とか十年とかいう見通しで見ると、もうほぼいい線まで来ているというように考えられませんか。
  247. 泉美之松

    ○泉説明員 今後五、六年は、先ほど申し上げましたように、年間百億本ないし九十億本増加すると思います、本数で申し上げますと。率から言えばもうだんだんと増加率が落ちていくわけでございまして、今後十年となりますとちょっと見通しがつかないのでありますけれども、私どもとしては、そのころまでには消費は頭打ちするということを覚悟すべきである、このように考えております。
  248. 横路孝弘

    ○横路委員 消費が頭打ちに来た場合に、いまのような財政専売、益金率でというようなことでいけば、よほど物すごい値上げでもしない限りどうしようもないということになりますね。つまり、制度としていまのあり方自身をやはり再検討しなければならない時期というのは、したがって五年後くらいにはどうしたって来るんじゃありませんか。
  249. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいま数字のお話がございました。日本とアメリカとの成人一人当たりの喫煙本数の話がございましたけれども、ちょっとお断りをいたしたいと思いますが、アメリカの場合にはシガレット以外のタイプのたばこがとにかくかなり吸われておる、葉巻でございますとか、それからパイプたばことか。日本の場合はそういうものは非常に少ないといったようなことで、ある程度まだアメリカとの差は、シガレットの差だけではなくてそれ以上あるということだと思います。  それから、アメリカの消費を見ておりますと、確かに健康問題というのが問題になりましてから、伸びが非常に少なくなっております。年によっては落ちたこどもございます。最近は、昨年当たりはかなりまた伸びてきておるようでございますけれども、まあ天井に近づいてきておるということを申し上げられると思います。  しかし、アメリカにいたしましても、ただ、たばこの消費が天井に近づいているからと言って、それに対して――アメリカも、連邦にしましてもステートにいたしましても、たばこに対する財政寄与というものには期待がかなりあるわけでございまして、それに対応はしていかなければいけないということになりますと、量が頭を打ってくれば単位当たりの税が上がるというふうな形になってくる。したがいまして、アメリカあたりかなり頭を打っておりますところでは、大変シガレットに対する増税という形、これは連邦の場合は長い間据え置きでございますけれども、地方になりますとかなり頻繁に増税もございまして、したがいまして、それが消費者価格にはね返っていくというふうな現状になっておるようでございます。
  250. 横路孝弘

    ○横路委員 ただそうすれば別ですけれども大蔵大臣、五年後くらいまで大体毎年百億本くらい伸びていくだろう、しかし、それから後の消費というのは――いまもう日本の一人当たりの消費量というのはアメリカに次いで世界で二番目ですね。そうすると、消費が頭打ちに来たという場合に、いまのような制度でいいのか、やはりこれは改めなければならないという時期が来るんじゃありませんか。どうですか、その辺は。
  251. 大平正芳

    大平国務大臣 財政専売にどれだけの財源を財政が期待するかということ、これは御案内のように年々高低がございまして、傾向といたしまして漸次ウエートが下がってきておるわけでございます。われわれの希望といたしましては、五〇%ないし六〇%というようなところを確保いたしたいという願望は持っておるわけでございますけれども、これとても、あなたが仰せになるように、消費がどのような傾向をたどりますか、それから事業でございますからいろいろな原価要素がどのように動いてまいりますか、これはなかなか逆睹しがたいものがございます。  したがいまして、安定的にこれだけは確保しなければならぬ、そのためには制度的な改変を考えなければならぬというようなことを考えるには余りに条件が流動的であるように思うわけでございまして、したがって、いま私どもの頭に、制度の問題をどのようにしたらいいかということにつきまして確たる展望を持っておりません。ただ、事態の推移は十分見ておかなければならぬことと、現在の経営につきまして、公社制度のもとでできるだけ合理的な経営を保障してまいらなければならぬこと、そういう努力過程の中で推移を十分ウォッチしていきたいと考えております。いま、制度的な改変をどうするかについての確たる展望を私は持っておりません。
  252. 横路孝弘

    ○横路委員 しかし、五年と言ったってすぐなんでありまして、これはこれから二、三年の消費状況というものを見ていかなければいけないと思うのですけれども、さっき大蔵大臣が言ったように、積極的宣伝はやらないというあいさつもここで出ているわけですからね。宣伝もやらないということになって、しかも伸びがもう大体アメリカ並みにだんだんなってきている。そんな意味では、やはりそう遠くないうちに限界に来るのは明らかだろうと思うのですね。  副総裁にお尋ねしますけれども、第二次の案は具体的な数字が出てきていないわけですね、基本的な方向だけですね。これは後でお尋ねしますが、原料の問題にしても海外市場との関係にしても、やはりその辺のところの見きわめがまだどうも公社の中でできていないのじゃないかと思うのですけれども、消費そのものが限界に来ているということになれば、こういう計画に相当大きな影響が出てくるだろうというように思うのですが、その辺のところはどういうぐあいにお考えになっていますか。
  253. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほど申し上げましたように、第二次中期経営計画は、四十九年を起点といたしまして昭和五十三年までの五年間のつもりでおりますので、その期間におきましては、先ほど申し上げましたように、たばこの消費は年々ふえる傾向は続くと思います。問題はその後に出てくると思います。  したがって、私ども考えとしては、第二次中期経営計画の間はそういう頭打ちの問題は考える必要はない。第三次中期経営計画をつくるかどうか、まだ考えておりませんけれども、もしつくるとすれば、その段階ではそういった御指摘の問題を考えなければならぬときが来ると思いますし、したがって、それに備えた体制というものも考えておかなければならない、このように思っております。
  254. 横路孝弘

    ○横路委員 まあ公社だけの経営というんじゃなくて、その財政寄与ということを考えておられるからだろうと思うのですけれども、公社の商品計画そのものはやはりかなり無理をしているんじゃないかという気がするわけです。しかも、そういうことで消費の伸びの問題も一つ絡まってくれば、さらに無理をせざるを得ないのじゃないか。  たとえば、第二次の中期経営計画案によると、主力銘柄の開発等による中心価格群の強化と潜在需要層の開拓というようなことになっています。この辺の物の考え方について昨日から少し議論のあるところですけれども、お尋ねしたいと思うのですが、おたくの四十九年度の営業関係の事業計画書によりますと、この主力銘柄と中心価格群、中心価格群というのはチェリー、マリーナ、おおぞらあたりで、主力銘柄というのはらん、みね、ハイライト・エキスポート、ミスタースリムあたりだというように理解してよろしいでしょうか。
  255. 泉美之松

    ○泉説明員 その点はお話のとおりでございますが、どうしてそういうふうにしておるかと申し上げますと、実は輸入たばこの値段は、御案内のとおり、原則として百七十円、百八十円といったものでございます。そこで、公社の製造販売しておりますのは、ライセンス製造に係るものは百五十円、百六十円でございますけれども、ライセンスでないものは百二十円が最高になっております。  そこで、そういう輸入たばこと公社の百二十円以上の銘柄のたばこといろいろ調べてみますと、東京とか大阪といった大都市におきましては、輸入たばこの方が百二十円銘柄のものより多く売られておるのであります。そういう点からいたしますと、そういう消費者層がおるのであれば、何も輸入たばこで売るのでなくて、公社製品で売っていくのがいいんではないかということでクロスライセンスもやりましたし、それからまた、いま申し上げました主力銘柄ということで、百二十円銘柄でしかも消費者に好まれておるものに重点を置いていこうという考えをとっておるわけでございます。
  256. 横路孝弘

    ○横路委員 従来の数字で見ると、十本当たりの単価、たばこの販売数量と代金という関係で見ますと、四十四年以後大体毎年三%から四%の伸びなんですね。そうすると、値上げをしなくても五十三年度になると五十円を超す値段になるわけですよ。違いますか。私の方の計算だとそういう数字になる。だから、何も値上げしなくたってこのまま皆さんのいままで続けておられる誘導政策を続けていけば、そんなに大きな問題は出てこないのじゃないか。少なくともそこを一歩譲っても値上げ幅はかなり縮小できるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  257. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、昭和四十三年から四十八年まではかなり十本当たり単価が上昇いたしております。大体、年々三%ぐらいの上昇になっておるのであります。しかし、それはその間御案内のようにチェリーであるとか、らんであるとかといった有力銘柄が出てきたことによる点が多いわけでございまして、四十九年度におきましてはこの単価の伸びは二%にとどまっておりますし、今後は二%を切っていくというふうに見なければならないのであります。  と申しますのは、いま申し上げましたハイライトとかセブンスターとかチェリーといったような大きな銘柄がございますので、新しい銘柄を出してもなかなかそういった大銘柄のものに対抗するまでには育ちません。もし育つとしてもそれにはかなりの年数がかかりますので、そういう意味では今後は十本当たりの単価の伸びはもう一%台、下手をすると〇・八%といったようになるように計算されるのであります。そういう意味では、お話のように、ほうっておいて高単価政策をとっていけば単価が相当上昇して収入も確保できるではないかということは当たらないわけでございます。
  258. 横路孝弘

    ○横路委員 私はそうしなさいと言っているわけじゃなくて、いままでの公社の販売計画の内容をずっと追っていくと、そういうことになっているわけでしょう。毎年三%から四%伸びているというのは、結局、結果として値段の安いたばこがだんだん需要が減っていくから生産も減ってなくなったのだというのじゃなくて、政策的に完全に誘導してこういう結果になっているだろうと思うのですね。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、今回の値上げ幅四八%ということですけれども、結局、消費は安いたばこに必ず移ると思うのですね。これは間違いなく今度のような大幅値上げだったら移るだろうと思うのです、たとえばショートホープからエコーへというように。そういうときに公社が品不足の状況というものを意図的につくり上げない限り、四八%ということに全体の数字としてはならないと思うのですね。公社の方の意図によっては、この四八%を五〇%、六〇%にすることだってできるだろうと思うのですよ、品不足状況を意図的につくれば。  今月、札幌で公社の方が小売の販売店を集めていろいろ今回の値上げの説明をしていましたけれども、そのときの話を聞いてみますと、いろいろ問題があるのですけれども、ともかく品不足ですね。特にセブンスターを中心として足りないという圧倒的な要求、要らないたばこばかり押しつけるという不満、文句が、公社に対して小売店から爆発的に出ているのですよ。これは各地どこでも同じ状況だと思うのですけれども、そういうことだとやはり困るわけです。  これは大臣もよく聞いておってもらいたいのですが、この四十九年度の販売計画を見ると、そういう意図というのは非常に明確に出ているのですね。  たとえば四十九年度販売計画を見ますと、ハイライトが前年度比で九七・七%、これもだんだん落としていこうという意図、ミニ・スターというのが九二%、わかばが九三%、エコーが九五・一%ですよ。つまり前年度よりも減らして売ろうという販売計画になっているわけです。  一方これに対してマールボロは二七七・八%、ほぼ三倍ですね。オールドスプレンダーというのは三三三・八%、みねが一七六%、それからチェリーが一二七、カレントが一二七ということで、セブンスターなどは需要が多いにもかかわらず、計画自身がそれに対応するような販売計画になっていない。だから小売店から出てきているセブンスターならセブンスターが足りない、高いたばこを押しつけられるというのは、まさに公社の販売計画そのもの、これは四十九年度の販売計画ですけれども、これを見たって明確に出ているわけですね。その辺のところをもう少しきちんとお考え願わないと、値上げを四八%するために相当無理が出てくるのではないかという感じですが……。
  259. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように四八%の値上げというのは名目値上げ率でございまして、四十三年のときにも名目値上げ率は一八・六%でございましたが、実際に消費者の方が安いたばこに転移いたしまして、実際の値上げ率というのは一二・三%に終わったわけであります。今回の場合におきましても恐らく消費者は比較的安いたばこの方に消費が移ると思いますので、私どもの計算では実質値上げ率は三一%と考えておりまして、四八%にはとうていまいりません。  それから、公社の販売政策で四十九年度の銘柄別の数字がこうなっているというお話がございましたが、それは御案内のように、一番大きな銘柄でありますハイライトは昭和四十四年に一千億本だったのであります。それがだんだんと消費が減ってまいりまして、と申しますのは、御存じのようにハイライトは、ニコチン、タールが多いわけでございますが、その後発売いたしましたセブンスターなりチェリーといったようなものは、ニコチン、タールが少のうございます。健康と喫煙の問題からいたしまして、そういった喫味の軽い、いわゆるマイルドなたばこに消費が移っていったために、だんだんと千億本から減っていったのが実情なのでございます。  そのほか、マールボロは三倍にしているとおっしゃいますけれども、マールボロは四十八年の九月から売り出したわけでありますから、四十九年になりますれば相当ふえていくのはあたりまえでありまして、半年間しか売っていないものを一年間売れば相当ふえることになるわけであります。  個々の銘柄につきまして一々申し上げますと繁雑でございますので申し上げませんけれども、そういった個々の事情があるわけでございまして、私どもは消費の動向を見ながら販売計画を立てておるわけでありまして、意図的にこれを減らすというような見地で販売計画を立てているわけではございません。
  260. 横路孝弘

    ○横路委員 だがしかし、四十八年と四十九年度の需給計画の需給表を見ると、やはり同じような傾向が出ているのです。たとえばエコーなんか減らしていこうということじゃないかと思うぐらいです。たとえば製造と販売を見ますと、そういうたばこの場合は製造よりも販売の方が多いわけですね。製造を抑えている。それから、これから売っていこうというたとえばチェリーなんかの場合は、製造を上げて販売の方が製造を下回るというような傾向になっているわけですよ。それがいま私が申し上げた前年度の四十九年度の販売計画表と大体同じ傾向にあるわけですね。その辺のところは、さっきお話のあった主力銘柄とか中心価格群ですね。  つまり、消費の伸びが鈍ってくるとどうしてもある程度高いものに、原価が安くて値段が高い、つまり利益幅の多いものに切りかえをしていくという商品計画を公社としては苦労してつくっている。ですから、宣伝しないと言っていますけれども、おおチェリー、王様の味とかなんとかいうのですか、それ行け、何でしたっけ、ワン、ツー、ゼロだったか何か忘れましたが、百二十円たばこ、それ行けというような、何かそういう宣伝をずいぶんやっているのですよ。これを見るとやはりそういう政策というのはかなり明白じゃないですか。  私がお尋ねしたいのは、この値上げの後に、したがって需給が切りかえられるというところのたばこの販売計画や生産計画が一体どうなっているのかということなんですよ。皆さんの方で大体どの辺のところに切りかえがいくのか、つまり百円玉一つでというのと、やはり百五十円、もう一つ五十円玉を出さなければならないというのは、これはかなりやはり感じとして違ってくるわけですね。それが百二十円たばこがいままで成績が余りよくなかったかなり大きな要素だと思うのですよ。したがって、その辺のところはどういうように消費が移ると見ているのか、その場合の対策はきちんとされているのかどうか、この辺のところが心配だからこういう質問をしているのです。いかがですか。
  261. 泉美之松

    ○泉説明員 私どもといたしましては、あくまでも消費の動向を見ながら販売計画を立て、それに応じて製造計画を立てるわけでございますが、エコーの場合に製造本数が少ないではないかというお話がございましたけれども、これはエコーは特殊の製造機械でございまして、その特殊の製造機械が間に合わなかったためにそういう製造計画になっておりますが、今後定価改定を行いますとエコーの販売数量は相当増加すると見なければなりませんので、いま機械を改作いたしまして、改作するためには部品を取りかえなければいけないわけでありますが、部品を発注いたしまして、そういう計画に沿いまして、御案内のようにエコーは四十九年度は二百億本でございますけれども、五十年度におきましては三百億本以上消費がありましてもそれに対応できるようにやっていこうという措置を講じております。  それから、セブンスターが足らない足らないとおっしゃいますが、これはしばしば申し上げておりますように、セブンスターはチャコールフィルターを使っておりますので、チャコールフィルターをつくるためにはDAPと申しまして、チャコールフィルターをつくる特殊の機械が要るわけでありますが、これはイギリスのモリンス社というのが専売特許を持っておりまして、われわれはモリンス社から購入しなければならないわけでありますが、これが発注いたしましてからでき上がるまでに二年間かかるのであります。  御存じのように、昭和四十七年の春に大阪でチャコールフィルターには水銀が入っておるというような変な宣伝が行われまして、そのためにセブンスターの消費が一時落ちたのであります。そこで私どもは、そういう消費の状況考えて製造計画を立てておったわけでありますが、それが水銀が入っているということはうそであるということが判明いたしましてから、その四十七年の秋以来急激にセブンスターの消費がふえて弄いりました。そこであわててDAPの機械を発注いたしたわけです。  したがって、これの製造ができ上がるまでに二年かかりまして、それからさらに到着するまで数カ月を要するということでおくれておりますけれども、目下その発注いたしたものが十六台到着しつつあります。それから年末までにはさらに三十台到着する見込みでありますので、今後はセブンスターにつきまして品不足というような御心配をおかけすることはなかろうと存じております。
  262. 横路孝弘

    ○横路委員 エコーとか価格の低いたばこにやはり相当流れるということで、品不足で高いのを買わざるを得ないということのないように、ひとつきちんとしていただきたいというように思うのです。  時間がどうも余りないらしいのですが、もう一つ海外市場の問題をちょっとまとめてお話を聞きたいのですが、世界たばこの市場というのは巨大資本が制覇しているというような状況の中で、香港にハイライト・エキスポートを出してどうも余りうまくなかったようでありますが、一体これからどういう方針でやっていくのか、その基本的な方針だけちょっとお伺いしておきます。
  263. 泉美之松

    ○泉説明員 製造たばこの海外進出につきましては、お話のように香港を初め世界各地に対して努力いたしておりますけれども、諸外国はやはり製造たばこにつきましては関税障壁を設けましてその輸入を阻止いたしておりますし、関税率の比較的低い香港におきましても、世界たばこ会社が猛烈な競争をいたしておりまして、なかなか公社製品を売り込むことが容易でございません。  私どもでは、現在のところ、輸出といたしましては一応昭和四十九年度で九億八千万本ぐらいを輸出いたしておりますが、このうち大部分は外国船用それから空港用のいわゆる免税たばこでございまして、本格輸出のものももちろん日本では税金をかけないで外国でそれに消費税をかけるということになりますけれども、そういう状況でありまして、なかなか海外進出ということは容易でございません。  私どもとしましては、海外進出につきましてはできるだけ香港を初め東南アジア方面が日本のブランドに対するなじみが多うございますので、それと、それからマダガスカルとかあるいはそのほかの日本の船舶の寄港する先に日本船員用のたばこを売るということを考えております。  さらに、御案内のとおり、アメリカ、西ドイツ、オーストラリア及びベネルックス三国に向けて関税障壁を越えていくためにはどうしてもクロスライセンスによっていくのがいいやり方だと思いますので、クロスライセンスによって日本たばこのイメージを植えつけ、それが同時に将来の輸出につながっていく、このように考えております。
  264. 横路孝弘

    ○横路委員 時間がないので、では最後にちょっと一つだけしぼってお尋ねしたいのですが、いまの問題だって、実はいまのような専売公社のあり方で本当にやり切れるのかどうか、いろいろ問題があります。大蔵省と専売公社の問題なんかも少し議論したかったし、原料の国内の問題も議論したかったのですが、一つだけちょっと気になる点がありますので、それを確認しておきたいと思うのです。  それは、原料の輸入の依存度というのは相当高まってきているわけですね。これも本当ならば、一体どの辺で抑えるべきなのかというような議論もしたいのでありますけれども、いま輸入先はアメリカ、ギリシャ、トルコ、韓国、インド、タイ、メキシコといったようなところですが、原料の市場そのものもかなり厳しくなってきているわけです。  お尋ねしたいのは、現在公社で進めているインドネシアとかインド、ブラジルなどの産地開発あるいは韓国との技術交流の内容なんですけれども、これはそれぞれの地域にどういう形でいま行っているのか、いろいろ商社も関係しているようでありますので、その辺のところが政府間の契約のものがあるのかないのか、あるいは民間ベースなら民間ベースでどういう契約なのか、それぞれのところにどの程度の耕作面積というものを考えているのか、契約の内容はどういう内容で、どこと結んでいるのか、それのお答えをそれぞれについてお願いしたいと思います。
  265. 原秀三

    ○原説明員 ただいま公社で行っております海外産地におきます技術指導を具体的にどういうようなかっこうで行っているかという御質問でございますが、公社が対象としております地域はインドネシア、インド、ブラジル、韓国の四カ国でございます。  このうち国別に申し上げてまいりますと、インドネシアには二つのプロジェクトを持っております。一つは南スマトラのランポンという地域でございますが、これは本邦の企業でございます三井物産が昭和四十四年ごろからインドネシアのコスゴローという協同組合と提携をいたしまして合弁会社をつくっております。この会社は当初はトウモロコシの栽培をやっていたわけでございますが、トウモロコシ栽培のローテーションとの関係で葉たばこもやってみたい、技術指導してほしいと公社に要請がございましたので、公社といたしましてもこれを受けまして、昭和四十八年から現地に二人の職員を派遣いたしまして、主にこの地区におきましてはバーレ一種の栽培の調査試験を行っております。現在まだ試験面積は一ヘクタール程度の大変小規模な土地でございます。  インドネシアのもう一つの拠点は、中東部ジャワにソロというところがございます。この地域はインドネシアにおきます従来からの黄色種葉たばこの中心産地でございます。ここに本邦企業でございます三菱商事がインドネシアの国営農業企業でございますPNP-19という企業と提携をいたしまして、葉たばこの黄色生産のための調査試験を実施してまいりました。公社は昭和四十八年から若干の黄色種の葉たばこを試験購買してまいったわけでございますが、購買に際しまして初めてのことなので職員を派遣して調理指導をさせました。その結果が非常によろしゅうございましたので、現地企業要請がございまして、継続的に二人の職員を派遣いたしまして指導をやらせております。ここはさようなことでございまして、いままでに試験面積は三ヘクタール程度の小さな地域でございますが、試験購買としましては百トンないし三百トンぐらいの葉たばこを購買しております。  それからインドでございますが、インドは従来、東部にございますグンツール地方というところが葉たばこの生産の中心地でございました。ただ、この地方はどちらかと申しますと最近は綿花の栽培の方が採算性が高いということで綿作へシフトする傾向がございまして、将来性が必ずしも期待できないということで、インド中央政府及び州政府が西部にございます前のマイソール地方、現在はカルナタカ地方と名前を変えておりますが、ここに産地を開発しようという意図を持ちまして、公社も技術的な指導に参加しないかという呼びかけがございました。公社といたしましては、まず職員を駐在させましていろいろと検討いたしました結果、最も中立的な企業でございますナショナルタバコカンパニー、NTC社というのが一番中立的であるということでNTC社の要請を入れまして、現在耕作の技術指導中でございまして、これも試験面積は一・五ヘクタール程度でございます。試験的に購買いたしました数量は四十九年度で十七トン程度でございます。  次に、ブラジルでございますが、ブラジルに二つの拠点がございます。これは公社が昭和四十六年から七年にかけまして現地の調査をいたしましたときに、二つの現地企業から提携の申し込みがございました。一つはサンパウロ州、パラナ州でハッカの企業をやっております本邦系の企業でございますが、プラスメントール社という企業でございます。これがハッカの跡地を利用するということで葉たばこの栽培に手をつけてみたいと、こういうことから日本専売公社に協力の要請がございました。昭和四十八年からこの地域には四名の職員を派遣いたしまして指導に当たっております。  なお、申しおくれましたが、それぞれ先ほど何名派遣と申しましたのは現地の奥地への職員の派遣でございまして、私どもはインドネシアにはジャカルタの事務所を持ちまして三名の職員を送っております。また、インドはバンコクの事務所の出発ということでございますので、特別の事務所を持っておりません。  それからブラジルでございますが、これはブラジルの事務所には二名の職員を派遣しております。このほかに、ただいま申し上げましたサンパウロ州、パラナ州には四名の技術員を派遣しているということでございます。またブラジルのこのもう少し南部にサンタカタリナ州というのがございますが、ここにはエクスカ社という中堅のバーレーのサプライヤーがございまして、これに対しまして二名の職員を派遣して技術指導を行っております。  このほかに韓国でございますが、これは昭和四十七年から技術交流を行いまして、展示圃と申します模範農場をソウルの近くにございます礼山地域を中心といたしまして十一ヘクタールぐらい置きまして、現地の農民を指導しております。このほかに韓国は日本に職員を送って研修をさせる、あるいは韓国と葉たばこの種子を交換して比較し合うというようなことを一般的な技術交流として実施しております。  覚書の内容は、どういう覚書をやっているかということでございますか。(横路委員「それをちょっと答えてください」と呼ぶ)  簡単に申し上げます。  これらの三つの現地の私企業と組んでおります場合には、ごく簡単なメモ程度の交換をしております。その内容は、基本的に申しますと、公社が技術員を派遣して現地の指導を行うこと、これが第一点でございます。第二点は、ただ現地の受け入れ側としては公社の職員が安んじて仕事ができるように、その安全保障について全力を尽くすということが第二点でございます。第三点は、先ほど申しましたようにまだ数量は大変わずかなのでございますが、将来相当量の生産ができました場合には公社に対してこれらの産品を優先的に提供するという、この三点が骨子でございます。  このほかブラジルにおきましては、ブラジルの州政府が、州政府の開発のために大変興味を持ちまして、自分もこれらの協定の円滑な実施に協力をしたいということで、これもごく簡単な友好的な覚書でございますが、公社に対して協力をしようという覚書をもらっております。  韓国につきましては、内容が少し先ほど申しました点で細かい点の協定を結んでおります。  以上でございます。
  266. 横路孝弘

    ○横路委員 原料の方のいわば輸入の費用ですね。金額というのも非常にばらつきがあって、将来的に見て、これがどうなるか必ずしもわからないという状況ですね。市場だってそう簡単に自由なものじゃなくて、なかなか厳しい競争というものをやはりやっていかなくちゃいけないということから、先ほどの第二次素案の中にありますのはこういう海外で公社自身がいわば産地の開発を行うということだろうと思うのですが、これから先の問題になりますけれども、ただ安く手に入れるためだということでは、これからの問題としては、インドネシアにしたってインドにしたってブラジルにしたって、将来的にはそう簡単にそれで済む問題じゃないだろうというふうに思うのですよ。  資源問題というのは、いまあらゆる問題について非常に大きなむずかしい問題になってきているわけで、したがって、やはりいまのうちに基本的な原則みたいなものをきちんとつくっておかないといけないし、その中に商社が介在することがいいのかどうなのか。これは買い付けについてだって言えることですね。公社といういろいろな性格もあるでしょうし、また逆に公社そのものがいろいろやるということになりますと、その影響というのもやはりいろいろ出てくるということで、非常にむずかしい大きな問題を抱えていると思うんですね。基本的には国内農業の点があるのですけれども、その辺ちょっと別にして、そういう基本的な考え方をしっかり持ってもらいたいと思うのです。その辺のところをどうお考えになっているのか、ひとつお答えをいただいて、七時までに何とかやめろということでありますから、終わりにしたいと思うのです。
  267. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のとおり、製造たばこをつくっておる者といたしましては、原料をいかに安く、しかも安定的に調達するかということが基本になります。ところが、横路委員御存じだと思いますけれども世界の葉たばこ市場は、従来は買い手市場で需要に対して供給が多かったのでありますが、ここ数年来需要に対して供給が少なく、需要超過の売り手市場に転換いたしてまいっております。したがって、今後は安く購入するということよりも、いかに安定的に購入するかということが問題でございます。  そこで、私どもといたしましても、ブラジルとかインドネシアとかインドとかあるいは韓国等にいろいろ技術援助なり協力をいたしまして安定的に供給を受ける方法を考えておるわけでありして、資源問題のやかましい折から、そういう国から葉たばこをただ安く購入するというわけにはまいらぬことは御存じのとおりでございます。したがって、私どもとしましては、そういった原料の調達につきましては、国内におきまするたばこ耕作の安定を図って近代化させていく。と同時に、海外におきましてもそういう安定供給をしてくれる地域をできるだけ多く確保していきたい、こういう気持ちでやっておるわけでありまして、今後ともむずかしいことでありますけれども、そういう努力を続けてまいりたいと思います。
  268. 横路孝弘

    ○横路委員 終わります。
  269. 上村千一郎

    上村委員長 次回は、明二十四日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会