○
広瀬(秀)
委員 いまの答弁で、やはり
財政上の
理由で上げるのだということを中心に
お答えになったと思うのです。なるほど
専売は今日、
財政専売ということで
国民だれもが意識をしていると思うのです。確かに事業益金率というものは、この前の四十三年の
値上げで六三%、これを最近におけるピークとしてずっと下がって、四十八年
段階で五九・三%、四十九年では五四・三%になるだろう、そのまま
定価を上げなければ四六・五%であろう、こういう見通しの
数字があるわけですね。
そういうことで、持に五〇%を割るということに、
財政専売至上主義の、
財政益金を上げるということを非常に重視する
立場に立つあなた方としては、一種の危機意識を持って、
物価政策上は好ましいことではないけれ
ども、これはどうしてもここでひとつてこ入れをしなければいけない、こういう
気持ちになられたのだろうと思うのです。
納付金率も、最近のところで見ると、四十三年の五八・四%から、四十六年に五九・一%というところがありますが、だんだん少しずつ減少をして、四十九年は五四%に落ちる。しかもこれは四十六年から始めましたいわゆる納付金率覚書方式というこれを二%も割ってしまうではないか。五十
年度になればこれは四六・二%に落ちる。こういうことなんです。このことがやはり一番大きい今度の
たばこの
定価を上げるという発想の根本だと思うのです。私はこれでいいじゃないかと思うのです。五十年一年ぐらい四六・二%になったっていいじゃないですかということを言いたいのですよ。
まず、この納付金率ですが、
専売公社法の四十三条の十三の趣旨からいっても、むしろ納付金というのは後追い的なものだ。それを
専売益金納付金率覚書というものを大蔵省と
専売公社で取り交わして、五六%ということを当面の
目標として覚書の納付金率にした。そういうものをまず前提にしておいて
専売事業を
運営していくということになれば、原料が上がる
——これは国内産葉を確保しなければならぬということであるならば、米も上がる、その他の農産物も上がるという
段階では、やはり葉
たばこだって上げなければならぬですから、これも避けがたいことである。そういうこともあるでしょう。それから製造に従事している者の人件費も上がらざるを得ない。こういう
物価情勢の中で当然上がるものは上がるのだ。そういうようにしてくれば、コストが
上昇する、こういうことになる。
そうすれば、いわゆる原価構成部分の五割を若干上回る率で原料というようなものがその地位を占めているわけですから、そういうものがかなり値上がりをする、あるいはまた労働者の賃金もかなり上がるということになれば益金率が下がるのはあたりまえだ。ところが、そういう異常な状態の中でも
日本専売公社は一これは国家の
独占事業体、まさに
専売制度ですから、そのとおりである。そういう中で、
財政専売だからと言って五六%というものを至上のものとして維持するのだということをまず出して、その他の原価構成要因が上がった場合にはその益金率は覚書にとらわれずに下がってもやむを得ない、こういうことにすれば、それにしても四六%は確保できるのです。総売上代金の中で納付金が四六%、総売上代金一兆円ならば四千六百何ぼ、一兆五千億ならば、これもはじいてみればわかりますが、
相当な額になる、こういうような形になるわけですからね。そういう発想というものはやはりできないのですか。
将来
物価が安定した
段階で、ほかとの比較、国際比較だとかあるいはもうこれを上げてもほかに波及するようなこともない、
物価上昇に対しては〇・六%だけの寄与率でとどまるというような完全な見通しがついた
段階でやることは別としても、いまこの大事な時期において、
財政的な
歳入を確保するためにどうしても五六%なり六〇%なりというものを必要とするのだということをまず前面に出して、その他の部分についてすべてしわ寄せをしていく。すなわち、
国民と耕作者とそれから
たばこ製造に当たっている労働者にその分のしわ寄せを押しつけていくというような形でこの
定価の
値上げをやることを避ける道がこのようにあるんだということで一年がまんして、四六・二%といういままでの例から言えば極端に落ち込んだ益金率であっても、なおかつ四六・二%あるのですから、諸外国で、たとえばイタリアあたりでは七〇%だというようなことだけではなしに、アメリカだってほぼ五〇%ちょっとぐらいのところです。国税と州税などを加えて、あるいは
付加価値税を加えても五〇%ちょっとぐらいのところです。特に
物価安定ということを至上命令としている
日本の今日の
段階においては、この点だけ減らせば、四六・二%ということを甘受するならば
値上げしないで済むのだ。まさに
国民は、
政府も本格的に
物価を安定させて、
国民の生活を守ってくれているんだなということがこういうところでわかるはずですよ。そうすれば、
物価安定への
国民の協力なんというものは黙っておっても得られるのだろうと思うのです。
それも、いつまでもそういうことでやれとまでは私
どもも言い切れませんけれ
ども、少なくとも、ことし、五十
年度一年、四六・二%の納付金率で、あるいは恐らくこれ以上になるかもしれません、これは見通しですから、四八%かあるいは五〇%台でとまるかもしれないのですから、その辺のところは、これはまさに政治的に大きな、大所高所における本当に社会的公正の実現というような
立場を堅持するのだとするならば、そういうことをやるべきであった、こう思うのですが、いかがでございますか。