○中橋
政府委員 確かに数年前から当
委員会におきましてギャンブル課税の御意見があったことは
承知をいたしておりますし、主税局といたしましても、十分これまでも検討してきたわけでございます。そのときに逢着をしましたものは、実は二つの壁があったわけでございます。
一つは、前回の当
委員会におきまして広瀬
委員からいろいろ
お話がございましたときに申し上げましたように、ギャンブル税をひとつ考えますときには、
払戻金率、現在大体七五%というものに食い込むという方向を考えるわけでございますけれ
ども、そのときにはどうしましてもいわゆるのみ行為というのが、現在も残念ながら存在いたしますが、これは
かなりそれに対応しますところの施設を設けましたり対策を講じなければ、やはり非常にふえてくるのではないかという危惧がございます。そうしましたときには、せっかくギャンブル税というようなものを考えまして、一般の人は
払戻金率が七五%を切るというふうなことになりましても、のみ行為でもってそれを撹乱されるという心配があるわけでございます。
それからもう
一つ、それでは
払戻金率というのは現在の
水準を保ちながら、今度はきょう
武藤委員がいろいろ御指摘になりましたような点、たとえばいま売得金の中で
払戻金とならない部分について、
一つは経費になっております。
一つは国なり
地方公共団体の財政そのものに寄与しているものがございます。それからもう
一つは、
振興会を通じまして公益事業等に流れておるものがございます。それからもう
一つは、
振興会等を通じまして、先ほど御指摘のように、
畜産業でございますとか、自動車、自転車というようなそれぞれの業界に対して、そういう産業を
振興するという経費に流れておるわけでございます。しかも、それがここ二十年以上そういった形態としてずっとでき上がってきたわけでございます。
そこのどれかに、たとえば国税としてその分の分与を受けるということになりますと、従来そういう
仕組みで出てきておりましたもののどこかを削りまして、いわば国税として
国庫に取ってこなければならぬわけでございます。私はまた、それは決して無
意味であるとも思っておりません。あるいはそういうことを考えなければならないのではないかと思いますけれ
ども、何しろそれぞれの
地方公共団体、あるいはそれぞれの
振興会、また
振興会を通じてそういう資金をかつてずっと得ておりました各種の
団体がございまするから、それに一挙にそういう変動を加えるということは、なかなか担当の省庁としても一方的には踏み切れない事情もございますことは、十分了解するわけでございます。
それは私は、すべて過去二十年を越えますところの今日のギャンブルのいろいろな制度というものを見直すことが基本的に必要ではないかと実は思っております。それは全くいま
武藤委員が御指摘のように、
入場料金につきましても過去長い間その
金額を存続してきたこと、あるいはいまのいろんな地方
団体の歳入というのが、過去発足しましたときには戦災復旧のための財源を確保するということから、今日はその所在地の市町村でありますとか、過去の実績を持っておる市町村に
かなり収入が偏っておること、それから公益事業に流れますあるいは
地方公共団体の財政に入りますと言いましても、その率が実はかつての率にほとんど変動がなかったのではないかということはあります。
今日ギャンブルに対しますところの売得金は、いまや三兆を超えております。それからまた、先ほど御指摘のような
競馬の一
レースに対しますところの
売り上げが、たとえば百億円を超えるというような例もあるわけでございまして、そういった事態というのは、この率を創設した二十数年前とは
かなり格段の相違があると思っております。
それから、もう
一つは、そういうギャンブル全体に対する物の
考え方を、一体その当時と今日とでどういうふうに考えていったらいいのか。確かにギャンブルというのはある
程度規制はしなければなりませんけれ
ども、今日この
程度に盛んになってきて多くの人の生活に入っておるならば、それはそれとして、またそういうことを前提としながらのいろんな対策を講じていったらいいのではないかという気が実はするわけでございます。
実はいまから十何年か前に、こういったギャンブルに対して一体どういう施策を講じたらいいのかということで、内閣で審議会を設けられましていろいろ御議論になったものがございます。それはその後十何年間そのままになっておるわけでございますけれ
ども、それは今日の事態として、もう一遍再考していただいてもいいのではないか。そうしてまた、先ほど私が申しました二つの壁を、ギャンブル税というようなものを考える場合にはどうしてもどこかで見直さなければならない時期があるのではないかと思います。
そういうことはやはり私
どもだけでなかなかまいりませんで、
関係の各省庁の御協力を得ながら実はやっていかなければならないと思っております。それで申しわけございませんけれ
ども、今回はそういう問題としまして、氷山が水の上にはほとんど出ませんでしたけれ
ども、今日まで実はそういう検討は重ねてまいったわけでございます。