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1975-06-25 第75回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十五日(水曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 山村新治郎君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 萩原 幸雄君 理事 武藤 嘉文君    理事 佐野  進君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君   稻村左近四郎君       浦野 幸男君    小川 平二君       近藤 鉄雄君    橋口  隆君       八田 貞義君    深谷 隆司君       藤井 勝志君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       勝澤 芳雄君    上坂  昇君       竹村 幸雄君    野間 友一君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 六月二十五日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油備蓄法案内閣提出第六二号)      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油備蓄法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
  3. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 石油備蓄については昨年以来大変問題になりまして、私どもも非常に深い関心を持ってまいりました。同時に、この備蓄をいかに達成するかということは、現在の情勢の中で大変困難な問題点がたくさんあるというふうに実は考えているわけであります。その問題点を解決しない以上、いかにこの備蓄をわれわれは達成しようとしてもなかなか困難なことになる、そういうふうに実は考えているわけであります。そういう前提に立ちまして、まず非常に大きな問題でありますが、この石油をめぐる情勢についてお伺いをしておきたいというふうに考えるわけであります。  最初にお伺いをいたしたいと思いますのは、最近の国際情勢の中で、石油事情に、あの石油危機以来大変な大きな変化が起こってきているわけでありますが、こういう変化をとらえながら、一体わが国は今後どのような——あるいは短期、中期、長期、こういうものに分けましても結構でありますが、どのようにとらえているかという点が大変重要な問題だと思うわけでありますので、最初石油をめぐる情勢についてお伺いをしておきたいと思います。
  4. 増田実

    増田政府委員 最近の石油をめぐる国際情勢石油事情について簡単にお答えいたします。  一昨年の石油危機というものが起こりまして、それを境といたしましてエネルギー市場は非常に大きな変化を遂げておるわけでございます。それ以前につきまして、たとえば一九六〇年代におきましては、むしろ石油中近東諸国におきまして大油田が発見され、これの市場を求めておるということで、よく言われますように、豊富低廉の時代であったわけでございますが、一九七〇年代に入りまして、ことに一九七三年、昭和四十八年の秋に起こりました石油危機を契機にいたしまして、従来の豊富低廉という石油情勢が一変いたしたわけでございます。石油価格につきましては、危機を前後いたしまして約四倍以上値上がりをいたしまして、従来の低廉でありました石油価格というのが非常に高い価格に変わったわけでございますし、また供給につきましては、石油危機に見られましたように安定的ではないという点の変化を遂げたわけでございます。こういうものを背景にいたしまして、全体の石油政策に、あるいはエネルギー政策についてもその転換というものが要請されている、こういう事情になっております。
  5. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私がお伺いをいたしたいと思いますのは、一九八〇年の長期的エネルギー需給見通しに立った新エネルギー安定計画、これを七月ごろのめどでいま着々とやられておられると思うのでありますが、このエネルギー計画というものが大体どのような方向と方針に基づいていま進められているのか、大体いま皆さん方が考えておられる骨格というものは一体どういう点をこの中に求めておられるのか、この点だけ明らかにしていただきたいのです。特にこの備蓄に関係する点だけで結構でございますから。
  6. 増田実

    増田政府委員 先ほど申し上げましたように、エネルギー政策につきまして大きな転換が求められておるわけでございますが、これにつきましては、昭和六十年度、十年後の日本におきますエネルギー構造がどうなるか、需要供給がどうなるかということにつきまして、この一月から作業に入っております。その結論は現在の予定では大体七月半ばごろには出したいということで、鋭意検討いたしておるわけでございます。  それの基本方向を申しますと、最近のエネルギーをめぐります国際環境変化に対応いたしまして、エネルギー政策というものの転換が要請されておるわけでございますが、日本におきます必要なエネルギーを安定的にいかに確保するかというのが基本方向でございます。これに基づきまして、具体的にはできるだけエネルギー海外依存度を減らしたい。その中でも石油が現在は総エネルギーの中の約七七%以上を占めておりますが、この石油が、先ほど申し上げましたように供給が不安定な点がいろいろ出てきておりますので、この石油依存率をできるだけ減らしていきたいという方向で、昭和六十年度を目途とするエネルギー需給見通しと申しますか、目標というものを現在作業いたしております。  ただ、この作業におきまして、現在までのところ、私どもがどうしても避けられない結論として出ておりますのは、石油依存度を減らそうといたしましてもそう大幅には減らせられないということでございまして、そういたしますと、やはり日本エネルギーの中では石油というものが相当大きな地位を占めざるを得ないということでございます。そうなりますと、不安定な供給でございます石油というものにつきましては、これをいかに安定的に確保するかということで、対外的な政策、つまり産油国との間の協調の問題とかあるいは自主開発の問題その他がございます。  それから、お尋ね備蓄との関係でございますが、そういう石油というものにつきまして、この不安定な要素というものをできるだけ安定化するためには、備蓄というものを持ちまして、もしこの石油供給が制限されましたときにはそれに備えるという体制を敷いておきたいということでございまして、現在の六十日備蓄を九十日備蓄に上げる、これによりまして、わが国におきますエネルギー供給安定化というものを図っていきたいということでございます。
  7. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、海外備蓄考え方わが国考え方及び国際環境、こういう点についてもう一歩進んでお願いをしたいと思います。
  8. 増田実

    増田政府委員 お答えいたします。  まず、備蓄につきましての海外考え方でございますが、これにつきましては、石油に大幅に依存しておりますヨーロッパ諸国におきましては、備蓄政策というものを推進いたしております。これは一九六七年に中近東における紛争が起こったわけでございますが、このときの経験によりまして備蓄増強政策というのが進められておるわけでございます。その結果、現在欧州諸国におきます備蓄数量は、一部について申し上げますと、フランスは、昨年の十一月現在でございますが、百二十七日分を持っておる。ベルギーが百三日、イギリスが九十九日、西ドイツが約八十日ということで、各国とも備蓄増強に努めておりまして、ヨーロッパ平均では大体九十八日の備蓄になっております。  これを達成いたしますために、各国におきましても、それぞれ形は違いますが、法律によりまして石油備蓄推進を行っておるわけでございます。  わが国におきましても、備蓄重要性につきましては、これは何回か衆議院商工委員会におきましても、決議あるいは石油開発公団法附帯決議その他でも備蓄増強というものについての要請というものが出ておりますが、これにつきまして、従来私どもがやっておりましたのは、六十日備蓄政策というものをやったわけでございますが、これでは足りませんので、さらにそれを進めまして、九十日備蓄に持っていくということで、昭和五十年度、本年度を初年度といたしまして、五年間で九十日にまで持っていく、大体ヨーロッパ諸国に近い形の備蓄をいたしまして、供給の安定を図っていきたいということでございます。
  9. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 備蓄というものを概念的にとらえますと、非常に私どもも重大だということでいままでも言ってきたわけでございますが、いま世界各国が考えている備蓄政策といいますか、そういうものの考え方を実はお尋ねしたかったわけでありますが、余り私に納得ができるものではございません。  それでは、お尋ねをするわけでありますが、わが国の考えている九十日備蓄をしなければならないということは、これは全国民も考えておると思うのでありますが、その考え方基本といいますか、これは一体どこにいま置きながらあなたは考えておられるか、この点をお伺いしたいわけでございます。
  10. 増田実

    増田政府委員 わが国における備蓄に関する考え方でございますが、一昨年の秋に石油危機が起こりまして、当時六十日備蓄政策というものをやっておりまして、昭和四十八年の十月現在におきましては、五十九日達成いたしておったわけでございます。あの石油危機の期間に約十日分を減らしまして、四十九年の二月には四十九日という数量にまで下げたわけでございます。この備蓄を十日分吐き出すことによりまして、石油供給不足相当埋めたわけでございます。ただ、このときの経験でございますが、四十九日というものをさらにどれくらいまで放出をして減らし得るかということを当時いろいろ検討いたしたわけでございますが、これが四十五日を割りますと、生産段階流通段階におきましていろいろ支障が生ずるということが貴重な経験として出てきたわけでございます。そういうことで、六十日持っておるということは、六十日分を自由に放出できるということではなくて、やはり四十日をもし切ればいろいろな混乱が起こるということで、この備蓄を直ちに全面的に放出することはなかなかできないということが出てきたわけでございます。そういう経験に基づきまして、六十日分を九十日にふやしますと、たとえば四十日から計算いたしますと五十日分というものが自由にここで放出できるということで、相当供給削減を受けましてもこれに耐え得るわけでございます。  一昨年の秋を思い起こしますと、この石油削減によりまして、いろいろの障害、混乱というものが生じまして、その一番はなはだしい例といたしましては、洗剤あるいはトイレットペーパーその他の生活必需品につきまして、これが店頭からもう一切姿を消すというような、その部面においての一部のパニック状態というのが生じたわけでございます。  こういうことで、石油供給が減りますと、これは石油だけではございませんで、石油が全産業基礎エネルギーであるということから、全経済あるいは国民生活全部に非常に影響を与える。このため、やはり備蓄というものを行って、供給削減があった場合に混乱が生じないような体制を整えるべきだということから、先ほど申し上げましたように、一昨年の石油危機経験いたしまして、私どもがどうしても石油備蓄推進しなければならないと考えた次第でございますし、また国民一般においても、この石油備蓄というものが日本経済安全保障のために必要であるということにつきましては、広く理解されているところではないかと思います。  そういう意味で、先生先ほどおっしゃられましたように、非常に困難な問題がありますが、やはり日本経済というものの安全保障という立場から、備蓄の促進をぜひとも実現いたしたい、こういうように考えている次第でございます。
  11. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私がお伺いしたいことと非常に違うわけでありますが、たとえば貯金のようなものですか。
  12. 増田実

    増田政府委員 そのまま当てはまるかどうかあれですが、やはり貯金と同じだと思います。不時の事故その他が生じましたときに、それによって支えられるということでございますが、ただ貯金と違いますのは、貯金がなくても、もし急に病気になって非常に金が要る、あるいは火事になって金が要るという場合には、そのほかで、たとえば借金をするとかあるいは保険料が入るとかいうほかの手だてがございますが、石油につきましては、これがとまりますと、これをほかから借りたり、それからどこかから持ってくるというわけにいきません。やはり日本自身がそれに対してどう備えるか、対処するかということでやっていかなければならないわけでございます。  ですから、供給削減を受けましたときには、これは一つにはやはり需給の調整をして、その消費というものを削減するという方法を行わざるを得ないわけでございますが、この大幅な削減が行われますと、先ほど申し上げましたように、各種の経済的混乱が生ずるわけでございますので、それに備えて相当備蓄を持っておれば、備蓄を計画的に吐き出しましてそういう事態に対処できる、こういうことになると思います。
  13. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 長官、私が思いますには、やはり病気になったり、あるいは非常に金が要るという事態がいろいろの状態の中から起こる、そのときの心配があるから、貯金をする、こういうふうにいま考えるわけでありますが、いまわが国のような場合、世界各国の中でも一番多くの石油を必要とし、しかもそのすべてを海外依存をしている、こういう状態であります。  そういうふうに考えますと、いままでいろいろお尋ねをしてまいりましたが、どう考えてみましても、世界各国の中で一番事故が起こりやすくて、しかも貧乏で、ここで蓄えておかなければ不安だという気持ち、私は貯金と一緒だとまでは言いませんが、そういうような気持ち備蓄というふうに考えるとするならば、世界各国の中でも一層日本は独自に何かを立てなければならないというような考え方に立つのでありますが、その点はいままでお答えになった点と、いまようやく九十日備蓄というふうにまで達せられたわが国の置かれている状況、こういうものについてどういうふうにお考えですか。
  14. 増田実

    増田政府委員 確かに先生の御指摘になりますように、九十日備蓄政策というのを本年度を初年度としておくればせながら立てたわけですが、むしろこれは遅かったと私どもも反省いたしております。  ヨーロッパ諸国におきましては、これは昭和三十一年にスエズの動乱がありまして、そのときに石油については非常に不安になりました。このときからいろいろ備蓄の問題につきましては新しい政策推進いたしましたし、また先ほど申し上げました昭和四十二年の第三次中東戦争の後、備蓄政策が急速に進んだわけでございます。  先ほど答弁で落としましたが、昭和四十六年にOECDにおきまして、九十日の備蓄確保ヨーロッパ加盟各国に対しまして勧告をいたしております。ヨーロッパ諸国全部がそれぞれ九十日を持つべきだということを勧告いたしております。それから、EC諸国でございますが、これも同年の十月に九十日分の備蓄確保加盟各国に勧告しておりまして、着々と九十日、先ほど申し上げましたように、ヨーロッパ平均で九十八日になっておりますが、そういう体制をしいたわけでございます。  日本におきましては、ようやく六十日政策というものを立て、また先般の中東危機で非常な苦い経験を受けた、このときの石油危機物価騰貴その他で一番影響を受けましたのは日本であったわけでございますが、ここにおきます反省といたしまして、九十日備蓄というものを達成しなければ国の安全というものが保てないということで、ここに推進することになったわけでございます。
  15. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 もう時間がありませんので次に移りますが、備蓄というものの概念がどうもいままでのお話の中でもはっきりしないわけであります。  御答弁がなかなかあれでございますから私の方から先に申し上げますと、この概念というものの私のとらえ方でございますが、これは国内で現在直ちに使用できる石油といいますか、こういう上に立っておられる、そういたしますと、国内で直ちに使えるという、これが概念基本でございますか。
  16. 増田実

    増田政府委員 備蓄概念は、国内で直ちに使えるということで、国内のそういう需要が生じたときに直ちに放出できるものを備蓄の対象と考えておるわけでございます。
  17. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そこで、先ほども言いましたように、貯金というものは必要が生ずると直ちに銀行に行けば出せる。しかし、この備蓄の場合を考えますと、ほかのもの、たとえば石油でなくても、ガスでありましょうともほかのエネルギーでも使える、こういうふうに私は考えるのですが、この点はどうでしょう。
  18. 増田実

    増田政府委員 確かに石油がとまりましたときにほかのエネルギーを動員いたしまして石油にかえるということは、備蓄概念を拡大いたしますと、そういうものが入り得るということはそのとおりだと思います。ただ、わが国におきましてエネルギーの中で石油が現在七七%ということで、ほとんど大半が石油依存しておるわけでございます。そういう意味から言いますと、そのほかのエネルギーを動員いたしまして、そして直ちに石油の減った分を埋め得るかどうかということにつきましては、これは非常に限界があると思います。たとえば、石炭を直ちに増産して、そして火力発電所フル生産をして石油にかえるということをやりましても、これは全体の発電量におきましてはそう大きなパーセンテージにはなってこないわけでございます。  そういう意味で、やはり石油がとまったときに、ほかのエネルギーを動員いたしまして石油代替をいたしますのは当然でございますが、しかしそれにつきまして、いま申し上げましたようにその絶対量というものが限界がございますので、やはり石油相当大幅に備蓄いたしまして、そして一たん石油削減事態が生じたときには、その石油を放出してこれに備えるということをやらざるを得ないと私どもは考えている次第でございます。
  19. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私のいまの問題提起は、石油以外のエネルギーというものがわが国にもわずかながらもある、言うならば石油が非常に不安定な状態が起こったときにそれで代替できないのかといいますと、やはり私は代替できると思うのであります。そういうものは、わが国における備蓄といいますか、そういうものがあるのだという前提に立ってものを考えておらないのか、またそれが代替をさせたならばどのくらいのものといまあなた方は考えておられるのか、これをちょっとお伺いしておきたい。
  20. 増田実

    増田政府委員 石油がとまったときにそれの代替としてほかのエネルギーを動員するということにつきましては、先ほど申し上げましたように非常に限界があるわけでございます。  たとえば、例を挙げますと、国内石炭、現在二千数百万トンの生産になっておりますが、これの総エネルギーの中の構成比と申しますかシェアというものは、現在の生産量二千百万トン前後が三・八%になっておるわけでございます。ですから、石炭相当大幅に増産いたしましても、このパーセンテージから言いますとなかなか全体のエネルギーの解決にならないということが言えるわけでございます。  ただ、私ども石油依存度をできるだけ下げる、そしてそれも一つの今後のエネルギー供給安定あるいは日本経済安定保障になるということで、できるだけほかのエネルギーをふやすという努力をいたす方策で今後の、たとえば先ほど申し上げました六十年度のエネルギー需給計画もこれで組もうということで考えておりますが、どうもたびたび申し上げて恐縮ですが、現在石油が七七%を占めておる。これを減らしましてもそう大幅に減らないということになりますと、やはり石油備蓄が、石油がとまった場合の決め手になっていくのではないか、こういうことで、石油備蓄政策をぜひとも進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  21. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 長官、私がいまこれほどくどく言っておりますのは、石油備蓄はもとより重要だと考えておりますが、その他のエネルギーも当然国内にあるものはそれにかわるんだ、こういうようなことで考えられておるのかどうか、しかもそれがどの程度あって、しかもこれからさらにそれも開発をしていかなければならないのかというところをお伺いしたいと思っていままで言ってきたのでありまして、その辺をちょっとここで明確にしておいていただきたい。
  22. 増田実

    増田政府委員 今後のエネルギー政策基本エネルギー供給安定でございまして、石油が非常に不安定な要素があります以上、それにかわるべきエネルギーというものにできるだけその依存度を広げていくべきことが政策基本になってくるわけでございます。  そこで、先生から御指摘ありました国内エネルギー、これは国産エネルギーでございまして、これにつきましては最も安定した供給ソースでございますから、これにできるだけ頼るというのがエネルギー政策基本であろうというふうに私どもも思っておりますし、またその推進にも努めてまいりたいと思っておるわけでございますが、現在国内エネルギーにつきましてのその主要なシェアと申しますか、大体何%ぐらいになっているかということを簡単に申し上げますと、発電におきます水力、これはかつては水主火従と言いまして、発電量の大部分が水力依存しておったわけでございますが、現在は発電量の約二割ぐらいになっております。それで、総エネルギーの中で占めます地位は大体五%ぐらいになっております。ただ、この水力につきましては今後もできるだけ推進していきたいと思います。これは全く外貨も要りませんし、建設すれば発電というものが継続的に行われるわけでございますが、ただ今後大規模水力発電を行うだけのいわゆる発電適地がそう大幅に残されておらない。やはり五万キロ、十万キロの適地というものは、これは集めますと、よく言われますように、あとまだ二千万キロワット、現在の水力発電同量くらいあるということが言われておりますが、しかしかつての黒部ダムとか佐久間ダムのような大規模発電というのは非常にもう適地が残っておらないというのが現状でございます。いま残っておりますのは、いわゆる揚水発電という形で大規模発電もやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、国内資源といたしましては地熱発電日本火山国でございますし、また地熱発電につきましてはアメリカその他でいろいろ相当規模にできておりますが、地熱発電につきましても現在は四、五万キロワットというところのことでございまして、この地熱発電推進もいたしたいと心がけております。  それから、それ以外は先ほども申しました石炭でございますが、石炭が現在大体二千万トンということで、この石炭が最も貴重な国産資源でございますので、従来石炭撤退政策というものが行われておったわけでございますが、新しいエネルギー政策から石炭を見直すということで、ただいま石炭鉱業審議会が中心になりましてエネルギー需要変化に対応いたしまして日本の新しい石炭政策というものを立てております。これらの数字を合計いたしまして、現在はいま申し上げましたような国産というものの合計が大体九・五%ぐらいになっておりますが、これをできるだけ広げていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、日本エネルギー総量が今後安定成長といいましてもやはりふえていきますので、私どもがいま計算いたしましてざっとの結論を申し上げますと、国産エネルギーの実額はふえましても日本の使用総エネルギーにおきますパーセンテージを大幅にふやすことはなかなか困難ではないか、こういう問題に突き当たっておるわけでございます。
  23. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 長官、この間私、福島沖の大陸だなのあれに行ってまいりました。いま私が申し上げようとするのは、国内におけるたとえば採油可能な状態、それから、これから開発できる大陸だなを含めての問題、そういうことを考えますと、問題はいつでもこれは取れるのだ、こういう状態に置いておくものは実は備蓄の中に加えて考えるものかどうか、こういうことなんであります。この点はどうでしょう。
  24. 増田実

    増田政府委員 国内で産出されます石油は、これは本来から言えば非常に安全な備蓄と申しますか、一たん石油供給が不足いたしましたときに、国内石油というものを掘りましてそれで不足分を供給できれば、これが最大の備蓄効果を果たすことはそのとおりでございますが、ただ現在の国内におきます石油生産は、秋田、新潟その他合計いたしましても八十万前後ということで、日本の心要といたします石油、約三億キロリッターの中では〇・何%という数字でございます。ただ、これに対しまして、新しい国内石油開発というものをもっと推進すべきだということが強く言われておるわけでございまして。これに基づきまして、現在たとえば新潟沖、阿賀沖の大陸だなの開発とかあるいは常磐沖、これは帝国石油とエッソが組んでやっておりますが、常磐沖の試掘が行われています。また、西日本とか天草その他の地域において行われておりますが、現在までの結果では、そう大きな構造は発見されていない。また、相当距離がございますために、果たして経済的に採算が合うかという点についてはいろいろ問題がございます。ただ、私どもといたしましては、今後の石油政策の一環として、日本近海の大陸だな開発というものにつきまして、これを促進していきたいという基本的な政策を持っておるわけでございます。そういう意味で、各種の基礎調査を行いまして、堆積盆地の発見その他に努めておるわけでございますし、また日本近海の大陸だなの開発につきましては石油開発公団に対する投融資、あるいはこれが開発段階に移りましたときの開銀の融資、それぞれ制度をつくりまして、近海におきます石油開発についての推進というものを行っておるわけでございますが、現在までの結果について申し上げますと、それほど大きな成果は上がっておらないということでございます。
  25. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 冒頭にお尋ねしました国内で直ちに使える、こういうのが備蓄概念だというふうに承っているのですが、私が考えますには、日本国内、大陸だなを含めて考えますと、やはり地下に相当のものがある、エネルギーがある。問題は、こういうものを大事にしていく、いま言った備蓄的な概念でこれをとらえて私はいま言っているわけでありますが、こういうものも備蓄なんだ、こういう発想を実はできないものかどうか。私は本会議でも質問をいたしました。そのときに、国内における、言うならばそれは備蓄なんだ、こういう発想を実はそのときにも申し上げたのでありますが、これは違いますか、長官。そういう発想は違いますか。
  26. 増田実

    増田政府委員 国内石油備蓄であるかどうかということにつきましては、私はこれは備蓄概念に入ると思います。ただ、今回の備蓄法につきましては、これは国内石油は対象にしておりません。ただ、今後石油の新しい情勢を踏まえて、大陸だなの開発推進して、この備蓄効果というものを活用していくという方向に強力な施策を行わなければならないというふうに私どもも思っております。
  27. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私もぜひそういう概念で、国内にあるものを開発していくのにもっと力を入れるべきだ。貯金のように、いませっかくこういうものをつくろうとするわけでありますから、私は反対でありませんが、そういうこともさることながら、国内にあるものをいかに開発をして、それを十分に備蓄としてものを考えていく、こういう発想をぜひここで確認さしていただきたい、こういうふうに思っていままで言ってきたわけであります。  次は、国内でというふうになっておりますが、たとえば六月四日の日経を見ますと、インドネシアに石油備蓄基地ができる、こういうふうに出されておりますが、これはわが国備蓄基地というか、わが国備蓄の一環として考えられるものかどうか。これは国外ですから、先ほど言っている概念からいうと、国内で直ちにと、こういう概念と違いますが、これはわが国備蓄基地なんですか。
  28. 増田実

    増田政府委員 海外備蓄につきましては現在いろいろなプロジェクトがございまして、先ほど先生から御指摘のありましたインドネシアプロジェクト以外にも、たとえばタイその他東南アジア諸国で備蓄を検討するということが行われております。ただ、私どもが現在立てております九十日備蓄計画は、これは日本の主権の及ぶ国内において石油備蓄を行う……(岡田(哲)委員「法に関係ありませんか」と呼ぶ)ありません。
  29. 山村新治郎

    山村委員長 岡田委員に申し上げます。質問は委員長の許可を得てからお願いします。
  30. 増田実

    増田政府委員 ただ、海外備蓄につきまして、将来日本供給が不足になりましたときに、やはり海外備蓄というものが役立つというものであれば、そういうことで推進していくべき問題だと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、九十日備蓄計画というものの中には、これは海外備蓄を含んでおりません。
  31. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 九十日備蓄に含まれていないことははっきりわかりましたが、海外備蓄基地を置こうと、それはわが国状態を考えてこの構想は出ていると思うのでありまして、問題は、海外にもそういうものをつくろうという気持ちがあってやっておられるのか、完全な民間ペースでいま進められている、民間がそういうものを心要として考えておられるのか。この点だけちょっと、ここでお伺いをしておきたい。
  32. 増田実

    増田政府委員 この海外備蓄の構想につきましては、将来日本石油の使用量が、石油依存率を減らすにいたしましても、やはり相当絶対量はふえていく。そうなりますと、国内だけの備蓄では賄い切れないのではないかということから、海外においても備蓄基地を設けまして、そしてこれを自由に、不足の状態が生じたときに使えるようにいたしたいということでございますが、先生お尋ねの、これらの各種のプロジェクトについて政府がどういうように関与しているかということでございますが、インドネシアの備蓄構想につきましては、これは先般田中前総理がインドネシアを訪問されましたときに、スハルト大統領との間でこの問題についていろいろ話し合いが行われておるわけでございます。日本備蓄基地としてインドネシアの中に置くという構想がスハルト大統領から出ておるわけでございますが、そういう意味では、これにつきましては国家としては関与いたしておるということでございます。それ以外にいろいろのプロジェクトが出ておりますが、これは民間の発意でいろいろな計画がされておるということでございます。
  33. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 先ほどからも言っておりますように、国内で、こういうことになりますが、たとえばわが国の近くの国々に備蓄の基地を置くという発想は私は当然だというふうに思います。インドネシアの問題もそれを踏まえて申し上げたわけでありますが、現在はわが国内でというふうに概念としてはとらえているが、近い将来は、国内でなくても海外でも近いところにそういうものをつくるのだ、こういう構想というものは私はありそうに思うのでありますが、どうでしょう。
  34. 増田実

    増田政府委員 私どもが考えております九十日備蓄は、最低九十日は置きたい、これにつきましては、国内で置きたいという考えでございます。これを超える量あるいは将来石油の消費の絶対量がふえまして、九十日を全部国内では賄い切れないという状態が生ずることも予想されるわけでございますので、そういう意味で、私どもとしては海外備蓄につきましても、これをできるだけ前向きに検討するという立場で、各種の計画につきましていろいろ検討いたしておるわけでございます。  ただ、国外にありますのと国内にありますのではいろいろな意味で状況が相当違うわけでございます。ことに石油が国際的に不足いたしましたときに、国外にありますものを、これは当然日本の取り分だということで、近隣諸国が石油で非常に困っておるというときに、日本だけが自分のものとして持ってくるのがいいかどうか、いろいろな問題がありますので、やはり最も安全な備蓄国内ということで、ただ足らざるものにつきましては、海外備蓄につきましても積極的に見ていくべきだ、こういう仕分けで考えておるわけでございます。
  35. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 言われております国内で九十日備蓄を達成しようとするならば、約五百万坪の土地を必要とするわけでありますが、そういうめどがおありかどうか、私は非常に困難だというふうに実は思うわけであります。国内で仮に五百万坪用意ができたといたしましても、わが国事情から見ますと、それだけで事足りるのかという気持ちが私はするわけであります。そういうことからしますと、海外に置きましても、言うならば政府間協定か何かできちっと契約を取り交わしておけば、それが不安だという状態が起こるのかどうか、私はこれからは当然そういう方向に進んでいくのではないか、こういう気持ちがありますので、この点だけお伺いをいたしておきます。
  36. 増田実

    増田政府委員 備蓄につきまして、海外備蓄というものを一緒に考えて、今後の備蓄長期政策を立てなければならないということで私どもも考えております。そういう意味で、海外備蓄につきましても、これを真剣に検討し、今後の日本備蓄一つとして数え得るかどうかについていろいろ検討いたしております。  ただこの問題につきまして、いま先生からおっしゃられましたように、海外の国との間で、よほどしっかりした国と国との間の協定が結ばれませんと、世界的に供給が不足いたしましたときに、その分については、日本がせっかく備蓄基地を建設いたしましても、使えないという状態も生ずるわけでございますので、この点は政府間で相当詰めて、何らかの協定をつくるということが前提になるかと思います。海外備蓄重要性につきましては、私ども先生と同様に認識しておるつもりでございます。
  37. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それでは、いままでずっと申し上げたことを総括いたしますと、国内で現在直ちに使える、こういう概念ではあるが、この概念は将来幅を広げていく、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  38. 増田実

    増田政府委員 将来の備蓄につきましては広げるということにせざるを得ないと私は思います。ただ、現在私どもの立てております昭和五十四年度末に九十日に持っていく、この計画は国内でやっていきたい、ただ立地の問題につきましていろいろ問題がございますが、これにつきましては十分ないろいろな手当て、対策をとりまして、地域の方々の理解と協力のもとにこれを推進していきたい、こういうふうに思っております。
  39. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それでは、九十日備蓄についててお尋ねをするわけでありますが、まず先に確認をしておきます。  各企業がいままで大体四十日から四十五日間の備蓄を持ってきた。それが、四十七年から四十九年度にわたって六十日備蓄を政府が指導して、ようやくわが国も六十日備蓄を達成してきた。そうなりますと、問題は、四十七年から四十九年度において六十日に達したのだが、実態を見ますと、各企業が企業の経営操作上当然必要とするものがある。いまここで議論している備蓄という概念ではないものが四十日か四十五日、その上に六十日にしたということは、言うならば十五日間がいまここで議論している備蓄というものになるのかどうか、この点をちょっと……。
  40. 増田実

    増田政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。六十日備蓄というもので政策を立てて六十日まで引き上げたわけでございますが、実際のランニングストックと申しますか、操作上当然必要なものが大体四十日ないし四十五日でございますので、それを超えました分十五日ないし二十日が純然たる備蓄、備え用の油になる、こういう計算になるわけでございます。
  41. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そういたしますと、今回の九十日というのは、十五日間の上乗せにさらに一カ月、三十日の上乗せの四十五日をいまわれわれは考えておる、こういうことになるのですか。
  42. 増田実

    増田政府委員 そのとおりでございます。
  43. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そうなりますと、企業それ自体が操作上必要なものがある、政策上そこにその倍、言うならば四十五日分をいまわれわれは達成するためにここで議論をしておる、企業それ自体は当然操作上のものがある、こういうことをきちっとしまして話を進めたいと思うのでありますが、企業自体のものが半分、本当に蓄えとするものが半分、こういうふうに一つの容器の中で分けられるわけはないわけでありまして、そのときに値段の変動が起こる——これは当然起こると思うのでありますが、そういうものについては一体どういうふうになるのですか。
  44. 増田実

    増田政府委員 確かにランニングストックの四十五日を超える分の、その上に積みます四十五日分というものは、企業が社会的な要請あるいは石油業を営む立場から社会的責任として積んでもらうという性格のものであると思います。これにつきましては、石油価格変動というものがありますからそのリスクというものはどうなるかということでございますが、これにつきましても企業が負担するということになるわけだと思います。ヨーロッパにおきましても、先ほど申しましたように大体平均百日近いものを持っておるわけでございますが、こういう石油供給が不安定な時代において石油業というものを営む企業はやはり社会的責任として九十日を持つべきだということで、私どもはこの備蓄政策推進しておるわけでございます。  ただ、その分につきましては、企業の立場から言いますと、四十五日のランニングストックがあれば十分であって、その上は社会的要請ということで積まされる。ですから、これは経理的にもそれだけの超過負担を負いますし、また市場から言いましてもそれだけのストックが市場にかぶさってくるわけでございますから、そういう意味では非常な負担になっておるということは、これは間違いない事実だと思います。
  45. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それでは、ちょっとお伺いしますが、企業の操作上でなしに備蓄としての、蓄えている石油の年間の経費はどのくらいに見るのですか。
  46. 増田実

    増田政府委員 現在企業が持っておりますタンクそれからそれに対する負担というものにつきまして、これは経理の中へ全部入っておりますのでちょっと私どもその計算ができておらないわけでございますが、今後積み増す分につきまして大体どれくらいの負担になるかということにつきましては、企業の負担といたしましてはキロリッター当たり大体三、四百円の負担になっておるということでございます。この計算の基礎は、支払います金利それから償却費、税金それからタンクの操作費その他、それを全部計算いたしますと、大体それくらいの負担が企業にコスト的に加わる、こういうことでございます。
  47. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 一キロリッター当たりどれだけになるのですか。
  48. 増田実

    増田政府委員 先ほど申し上げましたのは、これから六十日から九十日に持っていく。その分のコスト負担というものが全販売量、つまり石油会社が売っております石油製品の全販売量にどれくらいの負担になるかという計算をいたしたわけでございます。内容といたしましては、先ほど申し上げましたように各種のコスト要因というものを計算いたしまして、それが全石油販売量の一キロリッター当たりどれくらいの負担になるかということを試算いたしましたのが、先ほど申しました三百円ないし四百円ということでございます。
  49. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 企業側はどういう計算をしているのですか。
  50. 増田実

    増田政府委員 企業側はいろいろな計算を出しておりますが、四、五千円の負担になるということが一部新聞に出ておりますが、これについて御説明申し上げますと、備蓄の対象になります油で計算いたしまして、それで掛けますと四、五千円になる、こういう計算でございまして。私が先ほど先生にお答え申し上げましたのは、日本における石油業者が売っております全石油に対してどれくらいの負担になるかということで、このもとの数字が違いますので、いまのような大きな差が出てくるわけでございます。
  51. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私がここではっきり聞いておきたいと思いますのは、企業側で計算をするとこのくらいになる、おたくの方で計算をするとこのくらいになる、この違いはあるのだということだけ私はこの機会に明確にしておいていただきたいわけであります。
  52. 増田実

    増田政府委員 私が申しました三、四百円と、企業側が申しております五千円と、一見非常に差があるような印象を受けるわけでございますが、これにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、キロリッター当たりの負担ということで計算しておるわけでございますが、私どもの計算は全販売量で大体どれくらいのコスト増になるかということで計算しておりますし、企業側が五千円と言っておりますのは、備蓄いたします石油に対してキロリッター当たりどれくらいの計算になるかということでございます。ですから、もとの数字が全く違うわけでございます。それで、企業側がいたしております。つまり備蓄原油一キロリッター当たりどれくらいの負担になるかということを私どもの方でも計算いたしました。これは五千二百円から四百円ということで数字は合っておるわけでございます。ですから、これは持ち出し方が、備蓄原油一キロリッター当たり五千円も負担になるというか、それとも石油業者として販売している全石油に割り掛けると備蓄コストが一キロリッター当たり三、四百円になるという表現をするかによって非常に受ける印象が違うわけでございますが、その計算の基礎その他におきましては大きな違いはないわけでございます。
  53. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私がなぜこのことについて触れておるかといいますと、いよいよこの法が発動する、そうしますと備蓄が起こる、そうしますと備蓄法案が通ったために石油価格に転嫁をしてくる、こういうことを実は考えるわけです。いまあなたが言われているように非常に大きな差があるわけでありますが、やはり企業側の計算というものが価格に上積みされるということが起こるであろう、こういうことを思うのであります。そういうふうに考えますと、この法案を通したためにわが国石油の値段が非常に上がってくる、こういうことになっては大変だと実は思うのでありまして、その点を踏まえてもう一度お伺いをいたします。
  54. 増田実

    増田政府委員 先生のいま御質問ありました点は、私は非常に重要な点だと思います。備蓄を行いますためには相当大きなコストがかかるわけでございますから、これにつきまして、コストの負担というものが最終的に消費者に転嫁される、これが非常に大きな負担になるのではないかという問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、全販売量で計算いたしますと三百円ないし四百円、それで現在の平均単価、三万円を若干切っておるわけでございますが、それとの比較でいいますと一%前後ということでございます。ですから、今後備蓄政策を進めていくに当たりまして、この備蓄コストということで不当に消費者に転嫁されるということのないように、私どももこれについては今後の石油の行政において十分指導いたしていくつもりでございます。
  55. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 これで終わりますが、最後に申し上げた、備蓄は非常に重大なことである、それをやるためには相当な経費がかかる、これはもとよりでございますが、そのために消費者に大きな負担がかかっていく、こういうことは重大な問題だというふうに私は考えるわけであります。そういうふうに考えますと、必要なことはわかりながらも、これを消費者にかけなくて、しかも安定をさせながら、われわれかなるほどと納得できるものでなければならぬというふうに考えているわけであります。  そういうことを考えながら、いま計算の上では数字ははっきりしているのでありまして、いまあなたがどういうふうに説明をするか、あるいは企業側がそこで押さえ込まれるのか、泣き寝入りをするのかということにもなるような気もするわけでありますが、そういうような全体の備蓄石油価格というものとの関係をお伺いをして終わりたいと思うのであります。長官からも、ちょうど見えていますから政務次官からも、そういう点について見解を聞きまして終わりたいと思います。
  56. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 ただいまの岡田先生のお話、まことに重大な問題でありまして、一昨年の石油危機、あのときの国民的衝撃を考えますと、石油備蓄はまさに当面の急務でありますが、同時に、国策としての備蓄のためにそれが石油価格の値上がりというようなことで消費者に転嫁されるということもこれは大変でありますから、そういうことのないようにして、これは備蓄の目的を達するというための今後の政府の努力ということになりますが、そういう備蓄という一つの国策に便乗して企業が価格転嫁をするというようなことがないように厳しく行政指導することはもちろんであります。同時に、これは国策でありますから全部企業に負担させるということにはまいりませんから、政府のしかるべき予算措置なりあるいはそれに対する必要な施策というものがこれから非常に重要になってくるのでありまして、一日も早くこの備蓄法案を通していただいて、また私どもは来年度予算でその面での準備をできる限りしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  57. 増田実

    増田政府委員 石油価格の問題、ことに物価との関係ということにつきまして、先生のただいま御指摘になった問題を十分考慮しながらこの備蓄政策推進していきたいと思います。いずれにいたしましても、相当なコスト負担でございますので、このコストをどこが負うかということにつきましてはいろいろ問題があると思いますが、ただ私が申し上げたいのは、この備蓄を口実にして不当な値上げということは、これは私ども責任を持って押さえるということでやっていきたいと思います。
  58. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 終わります。
  59. 山村新治郎

    山村委員長 佐野進君。
  60. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣は十一時半に来る予定になっておったそうでありますが、十一時半過ぎても見えませんが、委員長の方からひとつ適切な処置をお願いしたいと思います。
  61. 山村新治郎

    山村委員長 佐野委員に申し上げます。参議院の本会議がおくれておりますので、本会議終了次第こちらに来るように事務局を通じて催促しております。
  62. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、石油備蓄法案につきまして、まず提案理由に沿いながら法案の内容について質問をしてみたいと思います。  石油備蓄法案の提案理由説明で、「一昨年の石油危機経験に照らしても明らかなように、石油供給削減や途絶といった事態が生じた場合、きわめて大きな影響を受けることとなります。」このように書かれておるわけでありますが、これはわれわれが一昨年の暮れから昨年の春あるいはことしにかけて、いろいろな形の中で経験をしてきたことでありますから、この点については「石油備蓄増強を図ることが、国民生活国民経済の安定を確保する上で不可欠であります。」というこの説明に対しては、全く賛意を表するものであります。しかしながら、この石油備蓄法案がそのような認識に基づいて賛意を表されながら、なおかつ一抹の危惧、その危惧は実際上の問題として、はたして可能なのかどうかという大きな不安、こういうものが必ずこの問題が論ぜられるとき、ともに議論されておるわけであります。と申し上げますことは、いわゆる水島の事故を初めとする、さらに東京湾における油漏れ、あるいはシンガポール等におけるところの輸送上における措置の欠陥等々の関連の中で、石油備蓄というものが、そのもたらす弊害と関連していかに困難なものであり、かつ困難なものであるだけでなくして、そのことの施策が一歩誤るならば、これは国内、国外とを問わず、いかに多くの国の人々にはかり知れざる損害を与えるかということを、私たちは目の前の実態としてそのような状態の発生の中に見せつけられておるわけであります。それが本法案が比較的早いときに国会に提案されることになっておりながら、コンビナート法との関連なりあるいは内容の整備等があり、今日まで、終盤国会までもつれ込んできた大きな理由の一つになっておると思うわけであります。  そこで、長官にまずお尋ねいたしたいわけでありますが、本法案提案に至る経過の中で、この種国民の不安ないし起こり得べき災害というか被害というか、そういうものを想定して、どのような措置、どのような考え方に基づいて対処してこられておるか、こういう点について原則的な点、これは本当は大臣に聞かなければならぬのですが、大臣が来ておりませんので、長官にお伺いをしておきたいと思います。
  63. 増田実

    増田政府委員 石油備蓄につきましては、一つの大きな問題点として保安の問題がございます。この保安の問題に対する対策ができないで備蓄推進というものはできないわけでございます。そういう意味で、安全確保対策といたしまして、従来は消防法による規制が行われたわけでございますが、今回、昨年の水島事故その他の事故経験によりまして、この保安の問題をさらに強化するということで、今国会に石油コンビナート等災害防止法案が提出されておるわけでございますが、これによりましてさらに従来の問題点を解決するということで、このコンビナートの保安の問題あるいは災害対策の問題ということについて万遺漏なきを期したい、こういうことになっております。  この石油コンビナート等災害防止法の中には、従来の消防法で行っておりました規制についてもそれの改善強化というものがうたわれております。また、コンビナート法自身におきましても、種々の経験に基づきまして災害対策あるいは保安対策として行うべきものが新たに規定されまして、これらを実施することによりまして、今後再びあの水島の事故のようなものを繰り返さない、こういうことを前提にいたしまして、そして備蓄地域の住民の方々の理解と協力のもとに進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  64. 佐野進

    ○佐野(進)委員 長官、コンビナート法というものは、要するに石油ないし高圧ガスの併存という形の中において消防法による取り締まり、さらにまた高圧ガス取り締まり、いわゆる地方自治体と地方自治体に権限を委任した通産当局、そういうような形の中でこの防災等々に対して措置を行うということになるわけでありますが、この行わんとする石油備蓄法案に基づく石油備蓄の対象地域ないし対象構築物というものは、主としてコンビナートと併存する形、いわゆる高圧ガスと併存した形の中においてこの施設をつくるのか、あるいはまた石油備蓄という、単に高圧ガスと関連ない形の中につくるのかという二つの問題が出てくるわけですね。そうした場合、コンビナート法の対象としての基地にすべてが包含されると解釈していいのか、あるいは包含され得ない備蓄基地というものも存在するというように解釈していいのか、この点はこれから審議する上に非常に重要な問題でございますので、この際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  65. 増田実

    増田政府委員 現在御審議を願っております石油コンビナート等災害防止法におきましては、先生がいま御指摘になりましたように、いわゆる高圧ガスとの混在の場合と、それからそれが混在しない場合と分けた点が幾つか出ておりますが、この石油基地につきましては高圧ガスの施設は原則としてないわけでございます。そういう意味で、石油コンビナート等災害防止法におきまして、いわゆる配置規制の規定は高圧ガスと混在する場合にだけ適用されるわけでございますから、配置規制につきましては石油コンビナート、いわゆる石油基地は適用がないわけでございます。ただ、これ以外のコンビナート法の規定というものは全部石油基地にかかるわけでございまして、たとえばこれは先生御存じでございますが、特定防災施設の設置の義務、それから緑地に関する規定、それから消防用設備の設置、これは新しく自衛防災組織とか共同防災組織の防災機材の備えつけの義務その他あります。また、保安体制の整備で、これはコンビナート法に基づく消防法の改正をも含めまして統括管理者を設けるとか防災管理者を設けるという規定、それからいわゆる組織といたしまして自衛防災組織、共同防災組織その他の規定、それから防災本部が各県ごとに置かれる規定、その他緊急時の体制というような各種の規定は石油基地に全部かかるわけです。そうなりますと、一番先に申し上げましたように配置規制、つまり石油基地をつくりますときに、その配置につき事前に届け出をしてその指示を受けるという規定は、高圧ガスと両方が混在している場合だけに適用されて、石油備蓄基地にはかからないわけでございます。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  これにつきまして、ではなぜかからなくなっているかということを申し上げますと、石油、高圧ガス等各種の設備が混在しておりますときには、これはいろいろな配置規制、配置の問題を検討しなければならないわけでございますが、ただ私どもが今度の九十日備蓄政策で設けようといたしております石油基地は、これは石油タンクだけでございますので、施設の配置に対しましては、いわば比較的単純と申しますか、タンクの配置をどうするか、あるいは防油堤をどうするか、その他の問題でございますので、これらにつきましては、消防法に基づきますタンク間の距離の規制、その他の規定で十分やれるということで、いわゆる石油コンビナートと申します複雑な各種の設備というものが混在しておりますものにつきましては配置規制がかかる、しかし石油基地について配置規制がかからない、それ以外の規定は、これは石油備蓄基地には全部適用になるわけでございますから、石油コンビナート法から石油基地は逃れて、そうして外にあるのじゃないかということをときどき批判を受けるわけでございますが、これは配置規制だけは一応対象にならない。その理由は先ほど申し上げましたような理由で、これは外しても何ら問題ないということで外したわけでございます。
  66. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私どもこの法案を審議しようとする際、最も重要な問題として、住民に被害を与えない、そうして所定の目的、冒頭私は賛意を表した所定の目的を達成する措置を講ずる際、最も安心をしてもらえる方法は何かということで議論をしてきたわけです。したがって、その見地からいま質問をしておるわけですが、そうなりますと、配置規制云々と、長官は大変長い答弁を約七、八分したのですが、大体私もわかっているつもりなんです。原則的な問題ですから私も答弁を聞いておりましたが、これは私申し上げてみたいのは、あなたがいま言われているようなことは、具体的な事例として、その地域にたとえば九十日備蓄方式がこの備蓄法案によって確認された、そうして確認に基づいてそれぞれの地域が候補地になった、候補地になったときこれがどうなるのかという形で、わからない人たちから反対運動が起こることは必然的なんですね。現にすでに沖繩の人たちはじめ相当の地域の中で、この法案が成立したときおれたちは大変だぞという、いわゆる被害者意識的な行動がいま展開されている。これは被害者意識というとあるいは私の言葉は適切でないといって怒られるかもしれませんが、そういう住民の意識、感情があるわけです。  そこで、私の申し上げたいのは、この施設はいわゆる原油ないし石油製品ということになりまするけれども、あなた方の本来の意図せんとする目的は、原油の方にウエートが置かれており、製品の方にそれほどウエートが置かれていないと判断するわけでございますが、この点どの程度に判断したらいいのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  67. 増田実

    増田政府委員 備蓄につきましては、原油もしくは製品で備蓄するということになっておりますが、ただいま先生がおっしゃられましたように、私どもはできるだけ原油で備蓄いたしたい、こういうふうに考えております。
  68. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、原油備蓄というのは、要するに海の近く、海岸線に接近している方がより備蓄効率が上がるわけですね。したがって、備蓄効率を上げるということにおいては、適切な海岸地域を想定しなければならないと思うのですね。その適切な海岸地域とはすなわち漁業権が存在し、航路が発達し、あるいはその他もろもろの条件が具備しなければ適切な海岸線における基地としての役割り、能力、そういうものが発揮され得ないと思うのですね。そういうところには概していわゆる被害者——いままでもすでにある程度の被害を受け、あるいは被害に近い感情を持つ住民がたくさん存在するわけですね。そういうところに、現在六十日備蓄であるならば、さらにそれに対して五割の増強をする施設を設置するということは並み大抵のことではあり得ないわけですね。そうした場合、配置規制の中から外れておるということ、その他のことについては説明されましたが、その配置規制から外れておることについて、コンビナート法の対象から配置規制は外れるわけですから、いわゆる地方消防の権限の中でその措置を行うということ、そしてこの設置される構造物は相当膨大なものになるということ、その消防は市町村消防であるということ、とするならば、この法案を審議するわれわれの立場から見ると、当然相当の困難が予想されざるを得ない。予想されざるを得ないその状況に対して、何をもって歯どめとなさんとするものであるかという点について、いま一度ひとつ見解を示していただきたいと思います。
  69. 増田実

    増田政府委員 備蓄基地につきましては、保安、防災の問題が最重要でございます。これにつきましては消防法の改正その他によりまして、新しい、従来よりももっと強力な規制がかけられる、またその防災体制その他につきましては、先ほど申し上げました石油コンビナート法で各種の規制が加わるわけでございます。  いま先生がおっしゃられました地域住民に対しましてどういうふうにしてこの安全性について納得を得るように考えているのかということでございますが、私どもといたしましては事前調査その他も予算化しておりますが、安全調査その他をいたしまして、十分地域住民の方々と話し合って備蓄重要性については御理解を得られると思いますので、安全対策それから漁業の問題、あるいはいまおっしゃられました航路の調整の問題、その他いろいろございますが、これらにつきましては関係者とも十分話し合って、納得を得てやっていきたい、こういうふうに思っております。  確かにコンビナート法につきましては、私、先生のおわかりになっていることを長々御説明申し上げて恐縮でしたが、何かコンビナート法から石油備蓄基地が外れているのじゃないかということがいろいろ言われておりましたので、その内容について御説明申し上げたわけですが、コンビナート法については配置規制以外の規定は全部かかっておるわけでございますし、また配置規制につきましては強化された消防法によりまして、各種の基準それから防油提の設置その他の問題がそれぞれ強化されるわけでございますので、事故が再び生ずるようなことについては万全な策はとってあるということで地域の方々に十分御理解を得て推進していきたい、こういうふうに考えております。
  70. 佐野進

    ○佐野(進)委員 長官、私の聞いておる点は、いまの長官答弁よりもうちょっと深く入ったところの問題を聞いているんですよ。いま言われたような万全の措置をとるということは当然だと思うのですよ。そこで、たとえば消防法の適用あるいは新コンビナート法の適用、それらの措置によって万全の対策をとるということは当然だと思うのですよ。ただ、通産省の立場からしますと、あなた方のエネルギー庁の立場からいたしますと、コンビナート法の場合は通産省の立地公害局の所管事項になり、都道府県知事に一定の権限を委任する形の中において、通産行政としての責任を負うわけですね。そして、さらにまたその他いろいろな、あなた方はあなた方の立場におけるところの関係、関連を持つわけですね。ところが、この備蓄基地に関しては、通産行政の中における立地公害局は責任を負わなくなるわけですね。高圧ガスではないわけですから、いわゆる原油でありまするから。したがいますると、あなた方いわゆるエネルギー庁がその責任を負うわけですね。一定の条件なら責任を負う。その責任を負う度合いというものは、コンビナート法の規定を活用するとは言いながら、立地規制の問題を除いてそれを適用する。それは主として自治省、消防庁さらにまた地方自治体の権限の中でその役割りを果たされるということになるわけですね。その防災ないしその措置についての具体相なあれがあるということですね。そうするとあなた方は、その所々につくることについて万全の措置は講ずるけれども、つくったあとについての行政上の責任はないということになるわけですね。あるとしても間接的な責任であって、立地公害局がコンビナートにおいて持つような責任はないということであっては、その施設をつくられる立場に立つ住民としては、非常に無責任ではないかという不安感を持つのではないか。その指導をする対象は、国すなわちエネルギー庁がそこに施設をつくるのではなくして、政府の指導を受けた特定の人たち、企業の人たちがそこに施設をつくるわけです。そうすると、エネルギー庁というものが果たさなければならない責任を、ほとんど企業と他の省庁に委任してしまう。つくるだけつくり、そこにためられればためられるだけいいのだという形のそしりを受けないのかどうかということになるわけですから、この点をひとつ明確にしておいていただきたい、こういう質問なんです。
  71. 増田実

    増田政府委員 石油備蓄の保安問題、防災問題につきまして、私どもはこれを自治省に任しておるとかあるいは市町村の消防署がやるということでこの責任を逃れるというつもりはございません。やはり石油業あるいは石油備蓄というものについての所管は通産省でございます。ただ、タンクを建設するに当たりまして、その予防上のいろいろの許認可の権限が消防庁から市町村消防署に移っているということでございますが、この石油業を営み、また基地を建設いたします石油業者に対する監督権限というものは通産省が負っておるわけでございます。そういう意味で、先般水島の事故が起こりました後も、私どもの方と石油業界で、流出油防止対策について、会議をつくりまして、これに対する各種の措置をまた別途検討いたしておるわけでございます。そういう意味で、先生がおっしゃられるように、これを備蓄推進だけやっていって、そして私どもがこの保安問題その他について人に任せるということは、これはございません。また、自治省あるいは消防庁との間にも私ども緊密な連絡をとっておりまして、やはり政府一体として責任を負うという体制をとっていきたいと思います。  そういう意味で、保安、防災の問題につきましては、この備蓄基地が九十日を達成できるかできないか、いまの問題が最重要な問題だと思っております。そういう意味で、私どもエネルギー庁としてもあらゆる努力をいたして、この保安の問題については万遺憾なきを期したい、こういうふうに思っております。
  72. 佐野進

    ○佐野(進)委員 長官、あなたとここで議論しようと思って私は質問しているのじゃないのですよ。私は、前段言ったとおり、九十日の備蓄を行うということに対しては賛意を表しているのですよ。ただ、賛意を表しているのだけれども、その裏にある当然果たさなければならない問題について、あなた方が、その九十日を備蓄しなければならないという意味において積極的に取り組まれるならば、これこれこう、これだけの歯どめ、いわゆる住民感情、住民被害の発生に対して責任を持つという姿勢を明らかにしてもらいたい。その明らかにする姿勢の中において、具体的な条項はどこにあるのかということをいま質問しているわけですよ。これは後で大臣に質問いたしますので、それまでの間、具体的な問題が、あるいは当面適切な表現がおありになるならば、そこまで示していただきたいし、ないならばこの質問が終了するまでの間、私の質問ではなくて、この質疑が進行する過程の中で、いま少しく積極的に通産省エネルギー庁の責任の所在を明確にしていただきたいと思います。  そこで、第二番目の問題に入りたいと思います。  第二番目の問題といたしましては、要するに九十日の備蓄をすることが、日本経済の今日置かれている情勢の中で絶対必要だということでありますので、私もそのことが、いままで経験してきた上に立って今日必要なことだと判断いたします。そして、エネルギー庁といたしましては、九十日間の備蓄を行うためのそれぞれの措置を今度の法律によって講ずることになります。通産大臣は、審議会の意見を聞いて、四年間について備蓄目標を定め、これを告示する。そして、その告示に基づいて、それぞれの対象の企業に対してこの四年間に九十日の備蓄を義務づける措置を講ずることになるわけであります。命ずるというか、あるいは要請というか、その点はどういう言葉になるのかわかりませんが、いずれにせよ命ずるに近い形の中でそれぞれの企業に対して指示をすることになるわけでありますが、その名称を一般的にこの法律では「石油精製業者等」こういう名前で呼んでおるわけです。この呼ばれておる石油精製業者等ということは、石油精製業者と石油販売業者と石油輸入業者という形の中で一定の要件に該当するものということになっておるわけであります。  そこで、私の第二番目の原則的な質問ですが、第二番目の原則的な質問といたしましては、今日石油業界は、内容はわかりませんよ、しかし少なくとも表向きにあらわれている現象としては赤字に苦しんでおる。いわゆる新施設を創設し運営するがごときことはきわめて至難の状況にあるとわれわれは聞かされておるわけです。この至難な状況にあると聞かされておる業界に対して、これから四年間今日の五割増しの設備と、そして住民感情に基づく反対運動が続出すると予想される悪環境の中で、その目的を達成するには膨大な経費を確保しなければならないわけであります。その膨大な経費を確保しなければ、この目標は、いかにこうしなさい、ああしなさいと言ったところで、達成でき得ないわけです。それをやれと言うからには政府が、本来ならば政府直属でやらなければならないのに、特定の業者にやらせなければならなくなった理由、そしてその業者が財源的に困っているという形の中で、もし拒否を表明された場合、断られた場合、どういう態度をとろうとしているのか。それと関連して、その際説得する材料としては何を用意しているのか。この三点についてひとつ見解を明らかにしていただきたい。
  73. 増田実

    増田政府委員 九十日備蓄につきましては、これは六十日から九十日に持っていきますのは国家的要請でございますから、企業にとってはある意味では国家的要請にこたえてそれだけの負担を負うということになるわけであります。この備蓄を政府自身がやるのか、あるいはいまのような国家的要請にこたえて企業にやらせるのかというごとにつきましては、私どももいろいろ検討いたしたわけでございます。たとえば公団のようなものをつくりまして、そこがタンクを持って、そして六十日と九十日との間のいわゆる三十日分を持たせるということもいろいろ検討いたしたわけでございますが、やはり最も実現性があり、また現実的処理としては、これは企業に持たせる。ただ、これにつきましては国が大幅な財政あるいは金融的な援助を行うということを背景にして行うということにいたしたわけでございます。世界各国におきましても、フランス、ドイツ、イタリアその他も、これは企業に九十日あるいは百日以上を持たしておるということで、最近ドイツにおいては岩塩坑を利用して国が持つということについて検討はされておりますが、これは世界各国におきましても原則として企業に持たしておるということで、私どもも、今回政府が自分で抱くということでなくて、企業に持たせるという方策を立てたわけでございます。これにつきまして、いま先生からお話ありましたように、企業が現在非常に経営上苦しい。原油のコストアップにもかかわらず製品の価格はそれに追いついては上がっていないということで、販売がむしろ逆ざやになって累積赤字が非常にふえて、非常な苦境にあるわけでございます。これは確かに現時点で見ますと、企業としては非常に苦しい状況でございますが、この計画は五年間でやるわけでございまして、いつまでもこういう状況というのは続かないと思いますし、また続くべきではないと思っております。そういう意味で、企業も負担し、また国もこれにつきまして財政、金融その他の方面で全面的に応援をしてやるということでやっていきたいと思います。  それから、石油業界がこれを断るんじゃないかというお話でございます。確かに、この法案を提出するに当たりまして、私ども石油業界に説明いたしましたときに、これについてはいろいろ議論がございました。石油備蓄を九十日持つということについては、自分たちは、これは国家的要請としてしなければならないということについては異論はない。しかしながら、石油業界が非常な赤字で、むしろ会社の経営が継続できるかできないかの岐路に立っているときに、こういう負担増というもの、いかに新しい財政、金融措置で相当国の保護があっても、やはり相当なコスト負担というものは企業として残るということで、この法案につきましては、業界がこれを応援するとか非常に賛成だということではございません。ことに備蓄義務を課しまして、命令、罰則も入っておる非常に強い規制法になっております。そういう意味で、業界からもいろいろこれに対して意見もございますが、ただ私どもは、やはり九十日備蓄を達成しなければ国の安全保障というものが、万一の場合これを確保できないということで、この法案の御審議をお願いしておるわけでございます。そういう意味で、これにつきましてはいろいろな問題点があるわけでございますが、企業がこの備蓄を断るということは私はないと思います。ただ、備蓄義務を課するに当たりまして、やはり実情に即して備蓄義務を課していかなければならないと思いますし、また国としていろいろな意味で努力すべき点があると思いますので、私は企業だけにこの備蓄義務の責任を課して、そして強制するということでなくて、国が一緒になって、あるいは国民のコンセンサスを得て備蓄の達成に持っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  74. 佐野進

    ○佐野(進)委員 最後の点について答弁漏れがありますので、後で一緒に答弁してもらいたいと思うのですが、それではこの「石油精製業者等」という、設置をする義務者ですね。設置義務者になるのですか、これが資金的にあるいは財政的に行き詰まりがあるけれども長期の問題であるからということでありまするが、しかし長期であっても、後でまた質問しますけれども、今日の経済情勢ないし石油価格情勢等々を考えた場合、この石油業界における利益が大幅に向上するというか改善されるというか、そういう見通しは私はなかなかむずかしいと思うのです。むずかしい状況の中にそれを行わせることになるわけでありまするから、財政的な裏づけというものはそれは大変な苦労だと思うのです。もちろん不当な利益を企業に法律の名のもとに与えることは厳に戒めなければならないが、企業存立の基盤を確保する配慮は、それだけの重大な責任を課する場合においては当然また考えていかなければならぬ、こう思うのですが、その答弁がなかったわけです。  そこで、そうした場合、たとえばさっき言ったとおり、精製業者それから元売り業者それから輸入業者、この三者にそれぞれの負担を加えることになるわけですね、対象企業としては。そうすると、この三者のウエートは一体どの程度、どういうぐあいに配列するのか。思いつきでやるのか、あるいは申し出によるのか、あるいはまた計画的に三者のそれぞれに対して実情を加味した形の中でその割り当てを行うのか、これは非常に重要だと思うのです。いわゆる一事務官の、エネルギー庁の事務官の好みによってその措置が決められるということも、これはそんな乙とはありっこないんですけれども、そのときの長官の判断に基づいてそれが決められるということも当然考えられるわけですが、その配分基準は一体どこに基準を置いておるのか、答えていただきたい。
  75. 増田実

    増田政府委員 まず、配分基準の方から申し上げますが、法律上は、これは七十日から九十日の間の分を先生先ほど言われました三者に配分をいたすわけでございます。  それで、現在私どもの方で案として考えておりますのは、精製業者の分といたしましては大体七十五日分を負担してもらう、それからいわゆる元売り業者でございますが、この元売りと精製とを兼ねておる者はその合計になるわけですが、元売り業者に十五日分負担してもらう、これで合計九十日分になるわけです。それから、輸入業者が別にございますが、輸入だけを行っております者につきましては、大体三十日というふうに考えております。そうなりますと、合計が若干九十日を超えるということになりますが、それにつきましては加重平均で落としていくということでやっていきたいと思います。  それから、各社に対する指示の数字がいま御指摘になりましたように公平を欠くということのないように、これは一律でやっていきたいと思います。ですから、精製業者それから販売業者、輸入業者に対して何日分割り当てるか、いま申し上げましたような方向で考えておりますが、これはいずれ省令で決めていくわけでございますが、大体いまのような基準で一律にかけていって、そして公平を期するということでやっていきたいと思います。  それから、先ほど私の答弁漏れがございまして、企業が非常に赤字で、そういう中での備蓄の問題でございますが、石油の企業が現在非常に大幅赤字で、しかもその中でも民族系の企業が三期連続赤字になっている。さらには、いわゆるコンビナートリファイナリーと申しますか、ナフサと重油を主として供給いたしておる、これも通産省が奨励してつくったわけでございますが、コンビナート石油業者が特にナフサとC重油の価格が下がっておりますために膨大な赤字になっておるという実情でございます。これらに対しまして今後備蓄義務を課するわけでございますが、ただ石油価格につきましては、先生先ほどおっしゃられましたように、これが大幅に値上がりして、そして石油業界というのが非常に利潤率の多い業界になるということは、これは私はもうなかなかあり得ないと思っています。過去におきましても、この危機以前のいわゆる何もなかった時代におきましても、石油業の利益率は全製造業に比較いたしまして大体ずっと半分でありまして、やはり石油企業というのは利潤の低い業界でございます。ただ、この石油企業は全経済エネルギーというものを供給いたします非常に重要な産業で、私は鉄と並んでこれに対して見ていかなければならない企業だと思います。そういう意味で、これらの企業の経理が赤字のままに続きますと、その体質がむしばまれて、日本における一番大事なエネルギー供給体制についていろいろひびが生じてくるということで、これについてはやはりその改善を要するものと思っております。そういう意味で、先ほど申し上げましたのは、いまのような赤字は将来は消えていくということを申し上げましたわけでございますが、しかし石油企業が非常に大幅な利潤を得る企業になるということはあり得ないと思います。また、エネルギーというものを供給する立場から言いましても、これはやはり適正利潤というものは相当低いものである、こういうふうに思っております。
  76. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、大臣が見えましたので、大臣に対する質問をしてみたいと思います。  大臣、先ほど備蓄法案の内容についていろいろ質問しておるわけですが、この法案の提案理由の説明の中でも、今日の情勢の中で九十日備蓄計画を発足させることは大変大切なことである、しかし、これをするためには大量の資金負担が必要となるので所要の財政、金融上の措置を講ずる等々の形の中で提案されておるわけでありまするが、それらの点について、いま防災と金融、いわゆる財政上の問題について原則的な質疑をいたしておったわけでありまするが、大臣にお伺いしたいことは、この種法案の持つ特殊的な位置づけというか、意味からいたしまして、いまエネルギー庁長官答弁されておるように、今日石油の持つ経済的、社会的役割りは国民生活の中に非常に大きなものであることは、私もそのとおり認識しておるわけでありますが、われわれが当初心配しておりましたいわゆる石油パニック的な状況は、今日、価格面を除いて供給面においては全く解消されたような印象を国民全体が受けておるわけであります。いわゆる石油不安というものはもうない、ある一部の地域においては指導価格をはるかに下回った形の中における価格においてガソリン等の販売が行われておる、いわゆる備蓄というものはもはやすでに今日の状況の中においては一定の役割りが果たされた、済んでいるのだ、こういうような形の中でややもすると乱費の傾向さえ見えるような状況下にあることは、大臣も御承知のとおりだろうと思うのであります。  そこで、私は原則的な質問として第一にお伺いしたいことは、今日の世界における石油需給状況の中において、わが国の現時点における石油需給状況は、どのような状況として大臣は認識されておるのか、原則的な質問でありまするが、この認識の点について大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  77. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 本年度のわが国石油の消費の予定量は三億トン弱でございます。この必要とする三億トン弱の石油日本が入手をするということにつきましては、現時点では何らの支障はございません。ただ、いまお話がございましたが、一年半前にはああいうふうな石油危機が起こりまして、ようやくそれを乗り越えたわけでございまするが、もうああいう危機的な状態がないのではないかという一部の考え方国民の間にあるというお話もございましたが、昨年の年末からことしの初めにかけましては、御案内のように第五次中東戦争の可能性につきましていろいろと論議をされまして、多くの人たちが第五次中等戦争の可能性ということについて非常に強く考えておったわけでございます。そういう場合における石油危機が再び起こるであろう、こういうことも当時強く言われておったわけでございまして、それはわずか半年前のことでございます。  そういう状態でございますから、現時点では需給関係も非常に緩和しておりますし、OPEC諸国も一年半前に比べましてほぼ二割五分という大幅な減産をしておりますので、むしろ向こうから買ってもらいたい、こういう要請が非常に強くて、入手するということは大変楽になっておりますけれども、しかしながら日本には全然石油がないわけでありますから、またそれにかわるべきエネルギーも十分ではない、こういう現状でございますから、一年半前のあの危機状態、また半年前のあの危険性、そういうことを考慮いたしました場合には、どうしても国民経済上、私どもは最低九十日の備蓄は、現時点において必要である、こういう判断のもとに今回の法律をお願いしておるわけでございます。
  78. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いわゆる世界的情勢の中におけるわが国石油需給の推移はもう何も心配はないが、将来起こり得べき状態を考えたとき、いま九十日備蓄をすることが必要だ、こういうような答弁というぐあいに受けとめられるわけでありまするが、それでは、大臣が今度国会終了後、これら産油国等を訪問されるという報道を私は聞いたような気がするわけですが、これはそうであるのかないのかわかりませんが、とすると、大臣が訪問されようとする、そしてそこで果たされようとする役割りは一体何なのか。全然心配ないということで、しかし将来起こり得べき状態ということを考えて、それで行こうとするというと、ちょっとずれがあるような気がするわけですがね。今日の中東情勢その他産油国の状況の中で、当面政治的にそういう危険性は考えられないという大臣の説明をそのとおり受けて質問を続けていいのかどうか、この点政治的な判断になりますので、ひとつもう一度大臣から見解を示してくれませんか。
  79. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御案内のように、一昨年の危機のときもああいう状態でございましたけれども、当時の三木副総理がおいでになりまして、石油の安定供給ということについての話し合いをつけられたわけでございます。しかし、最後まで石油の十分なる供給がされなかったという国も二、三残ったことも御案内のとおりでございます。  また、昨年の危機の問題については先ほど申し上げたとおりでございまして、現在は国際情勢も、また中東情勢もやや安定化の方向にありますけれども、世界事情がいつ変わるかもわからない、こういうことを考えますと、国民経済上私どもはどうしても九十日ぐらいが必要ではないだろうか。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕  それでは、その科学的な根拠を克明に示せ、こう言われますと、科学的な根拠と言いましても、それを具体的に示すということはなかなか困難でありますけれども、たとえばヨーロッパの重立った諸国等におきましても、ほぼ九十日という備蓄を目標といたしておりますし、今度国際間におきましても、消費国が寄りまして、お互いに九十日の備蓄をしようじゃないか、そして将来困ったときは助け合おうじゃないか、こういう話合いも進んでおりますし、そういう海外の例あるいは国際的な動き等を除外いたしましても、私は日本事情から最低九十日の油を持っておるということは、どうしても国民経済上必要である、こういうふうに考えておるわけでございまして、国際情勢の推移いかんによってそれが変わるというものではございません。  なお、私の中東訪問旅行等の計画につきましては、ちょうど七月か八月で、夏になっておりまして、先方の要人も夏休みで留守の人が非常に多いということ等もありまして、予定は最終的には確定はいたしておりません。ただしかし、ことしの一月に、三木総理が施政方針演説におきまして、中近東問題を強くお取り上げになりまして、今後の経済協力についてはその方法、それから量、質、この三つの面で考え直す必要があるのじゃないか、それについて検討するようにと、こういうふうな演説がございまして、それを受けまして、通産省が中心になりまして、その対策をいろいろと立ててまいったわけでございます。また、この中近東諸国との話し合いというものは、困ったときにあわてて飛んでいって頭を下げ回る、こういうことは醜態でございまして、平素よく話し合いをしておきまして、困ったときには電話一本で片づける、そういう体制こそが望ましい、こういう意味におきまして、一昨年の暮れに当時の副総理、現総理がお約束になりました幾多のプロジェクトがございます。当時、三木総理は八カ国御訪問になったわけでございますが、その八カ国に対しまして幾多の約束をしておられるわけでございます。それから続いて、昨年の一月には当時の中曽根通産大臣が、やはり中近東諸国を御訪問になりまして、その場合にも幾多の約束が取り交わされました。さらに引き続きまして、政府の顧問として小坂特使が中近東に派遣をされまして、三木、中曽根両氏の行かれない地域をお回りになられまして、ここにおいても幾多の約束が交わされたわけでございます。その中には、一部約束が実行されておるものもございますが、多くのものが未解決のまま懸案になって残っておる。こういう状態では、日本という国は幾ら約束してもだめなんだ、困ったときには飛んできていろいろなことを言うけれども、しばらく時間がたつとたな上げしてしまって、一向に実行に移さぬではないか、こういう国は信用できない、こういうことになりましては、これは非常に困るわけでございます。  そこで、今後の中近東との基本的な経済協力をどうするか、特に先ほど申し上げました三木、中曽根、小坂三氏の行かれたその後のフォローアップをどうするか、そうしてさらにそれを踏まえて、今後新しい中近東との経済関係を強化していく、そういうことのためには一体どういう方法があるかということにつきまして、先方の首脳と忌憚のないかつ隔意のない意見の交換をしたい。また、貿易関係におきましては、いまOPEC諸国日本との関係は、日本が大体百五十億ドルばかりの入超になっております。非常に大きな入超になっておるわけでございまして、その入超の金額というものは今後まだふえる可能性がありますので、この貿易関係をどうすればある程度修正することができるか、こういう問題も大きな話し合いの課題になろうと思います。  いろいろな問題がございますので、適当な時期を選びまして、先方の首脳部と忌憚のない意見を交換いたしまして、今後の経済関係を強化していきたい、これが今回の旅行の一応の目的でございます。
  80. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、その際当然石油問題が、入超になっているという関係の中においても大きな課題になると思うのですが、私は、いま大臣の発言された内容をそのまま肯定して差し支えないと思うわけであります。そこで、そうした場合、前段の質問との関連が出てくるわけですが、いわゆる輸入量は三億キロリットル程度の当初の目標数とほぼ同じような目標数が確保されるから、当面の経済情勢には何ら差し支えない状況だ、だがしかし将来を見通した上で九十日備蓄に進むのだ、その備蓄をするために必要な措置は積極的にとるのだ、その一環として中東問題も、先ほどいろいろ説明された形と関連してあると思うのですが、そういたしますと二つの問題があると思うのですね。それは九十日備蓄の中で、世界的に言えば、中近東諸国は二割五分の減産を行っておるという形の中で、供給量はふえるけれどもわが国の消費量についてもやはり一定の節約というか、そういうような措置を講ずる中でやはり備蓄効果を上げていくのだ、こういうことが当然判断の中に示されておると思うのですが、それでいいのかどうか。  それからいま一つは、そういうような考え方がいいか悪いか、大臣の見解を聞かざるを得ませんが、私は当然政府の責任者としての立場に立てば、通産省としてもそういうことについての指導をするということはいままでの方針からして間違いないと思うのですが、そういう指導と同時に、百六十億ドルからあるいわゆる入超になっているその輸入品に対する価格の動きというものがわが国備蓄政策に非常に大きな影響をもたらしてくるということにならざるを得ないと思うのでありまするが、この価格的動向についてある程度の先を見越した上に立って、どの程度の動きとして把握されておるかということ、いわゆる値上げの動きが、SDRその他の方法によって値上げされるというような動きがあるやに聞いておるわけです。片や二割五分も減産しながら、片や原油の値上げを図ろうとする中近東諸国の動きがあるやに聞いておるわけでありますが、それと備蓄行政との関連の中でどのように判断され、措置しようとされておるか、この見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
  81. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 まず、節約の問題でございますが、節約問題は石油価格が非常に上がりまして貴重品になった、各国とも外貨の関係で困っておる、こういうことから特に消費国間におきまして、お互いに節約しようじゃないかという運動が強く持ち上がりました。ことしは大体消費国全体で二百万バレルということを目標にいたしまして、わが国はその中で十五万バレル、アメリカが半分の百万バレルということを目標にしております。来年はさらにそれをふやしていこう、こういうことでいま打ち合わせをしておるわけでございますが、これは備蓄と並行して私どもは今後も強力に進めていかなければならぬというわけで、通産省だけの運動ではございませんで、内閣全体としての、政府全体としての運動として内閣に、資源を大切にする運動本部というものをつくっていただきまして、ここと通産省が連絡をとりながら資源全般、特に石油の節約ということについて懸命に取り組んでおるわけでございます。  それから、価格の問題につきましては、御案内のように今月の六日から十一日までガボンでOPECの閣僚会議が開かれまして、いろいろなことを決議いたしておりますが、大きくこれを分類いたしますと、一つはこの九月に総会を開きましょう、その九月の総会において価格の調整を検討しようじゃないかということが一つであります。それから、取引の単位をドル建てからSDR制にすればどうだろうか。これは一部の国に反対があるようでありますが、そういう問題を検討しようということ。それからさらに、ガスの問題につきまして、主として天然ガスの問題でございますが、LNG等については石油よりもいろいろな点で有利な面も考えられるから、このガスについて強力なカルテルをつくって、そうしてガスの有利性を強調しつつ、OPEC諸国の利益を図っていこう、こういうことを決めておるようでございます。ほかにもいろいろ雑件があるようでありますが、大きく分けますと以上三点に尽きるわけでございますが、その中でも特に必要なのは、このガスの問題と、それから価格調整の問題でございます。  私ども考え方といたしましては、日本も先般第三次不況対策を立てまして懸命に景気対策をいまやっておるわけでございますし、アメリカも御案内のように相当思い切った景気対策をやっております。それから、ヨーロッパ諸国におきましても御案内のとおりでございまして、各国とも景気の落ち込みが大変ひどいものですからこれじゃ困る、何とかせにやならぬというので一生懸命に対策を立てまして、ようやくこの秋ごろから各国の景気が上昇機運になりそうな気配が出てきたわけでございまして、そのやさきにまたOPEC諸国が大幅な減産をしておるにかかわらず、経済原則を完全に無視してここで幾ばくかの石油の値上げ問題が仮に起こったといたしますならば、現在の世界経済の体力というものは非常に衰弱をいたしておりますから、少しの値上げを吸収する力もございませんで、若干の値上げといえども、これが非常に大きく響きまして、せっかく上昇機運にあります世界全体の経済にまた非常に悪い影響を与える、そういう点が石油問題を取り巻く当面の最大の課題であろうと私は思います。世界経済が活力を取り戻しまして健康体になりましたならば、若干の値上げなら、これは吸収する力も出てくると思いますので、OPECはあれだけの一千億ドルという外貨収入があるわけでございますから、世界経済が健康体になるまでは何とか値上げを待ってもらう、そうして健康体になればそのときに初めて若干の値上げも可能になると思いますが、そういうことについてやはり突っ込んだ話し合いをするためには産油国と消費国が一刻も早く対話の場を持つということが必要である。先般のパリ会談が一次産品問題を扱うかどうかによりまして御案内のような結末になりましたけれども、やはり一次産品問題を取り上げまして、石油問題と並んでこれを産消国共通の課題にしませんと、なかなかこの会議というものは開かれない。幸いにアメリカも英国も取り上げてよろしいという機運になってまいりましたので、そういう方向で一刻も早く私は産油国、消費国の会議を開いて、そうして先ほど申し上げましたような石油価格問題について忌憚のない意見の交換をする。そうして、何が世界経済全体のためになるか、何が産油国、消費国共通の利益になるかということについて本当に忌憚のない意見を十分時間をかけて話し合いをする必要があろうかと思います。  なお、アメリカの態度について若干申し上げますが、先般二、三週間前にアメリカのフォード大統領が、九月の総会で七、八%くらいな値上げはしようがないなというふうなことを言ったということが新聞記事で伝わっておりましたが、若干それに近いようなことを漏らしたという説もあるのでございますが、その後世界全体に対してその反響が非常に大きいものですから、大統領はその取り消しに一生懸命になりまして、そういう事実はない、あくまで石油価格というものは据え置かなければならないのだ、そういう趣旨のことをアメリカ自身が強く大統領を先頭といたしましていま言っておるようでございます。  そういうことでございますから、当面の問題は九月までにこの価格問題を何とか目鼻をつけるということが最大の課題であろうと思います。
  82. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私の残された時間ももうわずかになりましたから、いろいろ質問してみたいこともたくさんあるわけですが、エネルギー庁長官には特に各論でもっと突っ込んでみたいと思ったのですが、きょうは原則だけで終わりました。  しかし、ここで大臣に、先ほど大臣がお見えになるまでの間の二つの点について質問をして終わりたいと思うわけでありまするが、その一つは、いわゆるいま質問を続けてきたような情勢の中で、もちろん価格は安くするように政府は努力してもらわなければならぬし、さらに消費の節約について強力にこれまた努力してもらわなければならぬ。そのことによって備蓄効果が必然的に上がっていく。同時にまた、そういうような情勢の中で九十日の備蓄を達成するために施設の拡充をしなければならぬ。それで、九十日の施設ができることについてわれわれも大いに賛意を表したい。だがしかし、そのできる経過の中で必然的に発生する二つの難点、一つは防災対策、一つは建設に対する住民の反対と財源の問題、施設に対する財布の問題、この二つについてエネルギー庁長官と話をしてきたわけでありまするが、防災対策について先ほど議論いたしまして、コンビナート法の対象としてこの備蓄基地がすべて包含されるわけでないという認識の中で、住民の反対が多発し、続出するということが予想される。そういう状況に対して、これは大臣の答弁ですから原則的で結構でございまするが、どのように対処して、この基地建設についての取り組みを図ろうとされるか、原則的な見解をひとつお示ししていただきたいと思います。
  83. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 備蓄問題の必要性につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、これを実行に移します場合には、いま御指摘のように一兆数千億と想定されます資金調達を今後五年間にどうするかという大きな問題が一つございます。それからさらに、立地問題と関連をいたしまして安全問題ということがあるわけでございます。  資金の調達につきましては、本年度の分につきましては、多分長官から御説明したと思いますが、そういう方向で本年度は調達する予定でございますが、来年度以降の分につきましては、さらに私は抜本的に検討していく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。かつなお、この問題に関連をいたしまして、私ども石油業界自体の体力というものを強化していく、それが非常に大きな課題になるであろう、石油業界の体力を強化すること自身がこの資金問題の解決につながっておる、こういうふうに考えまして、この問題と表裏一体の問題として非常に重大に今後取り上げていきたい、かように考えておるわけでございます。  また、この保安の問題につきましては、今度の新しいコンビナート法によりまして、一部の条文はこの新しい石油備蓄基地には適用されませんが、その他多くの条項が石油備蓄基地にも適用されまして、安全の面ではさらに新しい角度から十分な配慮が払われていると私は思います。なおまた、住民の間でも自発的に安全あるいはまた保安問題等を研究していただく、そしてそれに対して十分な理解をしていただくということのために、通産省の方から補助金のような協力金のようなものを出すことにいたしております。いろいろなことを通じまして、地方の関係の住民の方々の御理解をいただきながら、保安の面で万全を期しながらこの問題の解決を図っていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  84. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、質問事項はたくさん残っておりますが、時間が参りましたので、質問を留保して終わりたいと思います。
  85. 山村新治郎

    山村委員長 午後二時から委員会を開会することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  86. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清政君。
  87. 加藤清政

    加藤(清政)委員 石油備蓄法案についてお尋ねいたしますが、午前中すでに同僚議員からそれぞれ質問があったと思いますので、重複する点は簡単に御答弁願いたいと思います。  まず最初に、備蓄と防災についてお尋ねしたいと思います。  本石油備蓄法案によりますると、昭和五十四年度末、すなわち昭和五十五年の三月末までに九十日分の石油備蓄することになっております。     〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 現在は六十日分の備蓄をすでにしておりますので、あと三十日分の備蓄を積み増ししなくてはならないわけであります。試算をしてみますると、三十日分の石油は三千万キロリットルが必要であります。これを現在の備蓄量の六十日分に上乗せをするのでありますから、その分の備蓄をする能力を有する新規の設備が必要となってまいります。三千万キロリットルの石油をストックするためには、十万トンの容積のタンクで三百七十五基必要であります。石油タンクは満杯にするわけにはまいりませんので、一応二〇%デッドストックを見た数字であります。一方、それだけのタンクを新たに建設するための敷地でありますが、十万トンのタンクを一基建てるためには一万三千坪の敷地が必要であります。そこで、三百七十五基の新規タンクの建設には五百万坪の敷地が要るということになるわけであります。  昨年十二月に三菱石油水島製油所で流出事故を起こしたタンクは五万トンであり、本年二月の大協石油の四日市製油所の火災事故を起こしたタンクの容積は二万トンでありました。このようなタンクですら、あのような大きな事故が発生するのでありますから、十万トンのタンクで事故が起きた場合には、想像を絶するような大きな災害になると考えられます。政府は十万トンのタンクを三百七十五基も建てなければならないような備蓄計画を推進するのであるならば、公害対策や防災対策を完全なものにしていかなければならないことは当然であろうと思います。国民は、相次いで発生したタンク事故、不等沈下等により、欠陥タンクの存在が明らかになったことによって、コンビナートに対して非常に不安を持っております。新しいタンクの建設に当たって、地域住民は、絶対に安全であるという保障がなければ反対をするということは明白であるわけであります。国民が安心できる公害対策、保全のための対策、そして防災体制を打ち出さなければ、国民は納得しないでありましょう。国民の理解が得られなければ、備蓄のためのタンクの建設は一つもできないわけであります。タンクの建設ができなければ、当然備蓄というものはできないわけでありますし、備蓄問題を考える場合には、備蓄と防災は切り離して考えることはできないのでありますから、政府が備蓄計画を推進するのであるならば、公害対策や災害予防対策を完全なものにしていかなければならないということは当然であります。新しいタンクの建設に当たって絶対に安全であるという保障がなければ、地域住民が今後タンクの建設については反対をしていくということは火を見るより明らかであろうと思うわけであります。国民が安心できる公害対策、環境保全のための対策、そして防災体制を打ち出さなければ、国民は納得しないでありましょう。国民の理解が得られなければ、備蓄のためのタンクの建設は絵にかいたモチになるわけでありまして、全く備蓄計画がなくなるということになるわけでありますので、タンクの建設ができなければ備蓄ができないのでありますから、政府は備蓄計画と公害対策、防災体制について、すでに上程されておりまする石油コンビナート等災害防止法案で十分であるのかどうか、またこれに対してどのように考えておるか、その点についてまず最初お尋ねしたいと思うのです。
  88. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま加藤先生から御指摘ありましたように、今後九十日備蓄政策推進していきますためには、タンクの安全性の問題、防災対策につきまして十分な措置をいたさなければ、地域の住民の協力は得られないわけでございまして、協力を得られなければタンクは建設できない。したがって、九十日備蓄は達成できないわけでございます。そういう意味で、私どもも今後の備蓄政策を進めていきますに当たりましては、ただいま御指摘のありました安全確保対策、防災対策については十分な体制を整えてこれに当たりたい、こういうふうに思っております。  現在、衆議院で御審議を得ております石油コンビナート等災害防止法案、これにつきまして自治省とそれから私どもの方もいろいろ協力して御審議を願っておるわけでございますが、これは従来ありましたいろいろの事故を再び繰り返さないということでいろいろ検討いたしました結果、各種の防災体制、保安体制というものを個々に規定しておりますし、また従来消防法でタンクの建設についていろいろ規制いたしておりましたのを、その経験に基づきましてさらにこれを強化するということでございます。これらによりまして、保安、防災につきましての体制を整えまして、これらを十分地域の方々に、このタンクの危険性についてこれが保安、防災体制が今回整って、しかもそういう心配のない状況になっているということを十分御理解を得た上で、今後建設いたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  89. 加藤清政

    加藤(清政)委員 防災対策につきましては、今後十分このコンビナート災害防止法によって万全を期していくというお話がございましたが、防災につきましては御案内のとおり自治省だとかあるいは通産省、運輸省、環境庁、そういう九省庁にわたってこの防災対策について考えられておるわけでありまして、各省はそれぞれかきにせめてばらばらであるということは、いままでの中で指摘されておったわけであります。     〔塩川委員長代理退席、萩原委員長代理着席〕 この前もちょっと申し上げましたが、やはり各省ばらばらであっては一元的な有機的なコンビナート建設に対する防災対策というものはとうていできないのではなかろうか、そのように考えます。この前もちょっと私は申し上げましたが、人間にたとえますると脳下垂体というものがございます。ホルモンの分泌作用をするわけでありますが、そのホルモンの分泌作用が脳下垂体の働きによって一方に傾きますると親指だけが太くなったり、あるいはその脳下垂体のホルモンの分泌作用が衰えるということになると足がきかなくなったりあるいは機能の障害を起こすということで、各部署においてばらばらであるということでは、一元的な有機的な体制というものをつくることはとうてい不可能だと思います。まして、これから備蓄計画を実施していく上におきましては、それに伴う備蓄と防災というものが密接不離の関係にあるということは言うまでもないわけでありますので、この防災についての万全を期さなければならない。そのためには、防災については有機的な一元的な防災体制をつくるということになろうと思うわけでありまして、このコンビナート災害防止法案ができましたけれども、いまだそれぞれの所管事項が各省にまたがる事項であるということは言うまでもないわけでありますので、何としてもこの防災に対しての一元的な有機的な体制というものをつくっていかなければならないと考えております。したがいまして、この備蓄について最も熱意を示し、そしてこれを推進しようとしてまいりました通産大臣に、ひとつこれから閣内においてこの有機的な一元的な防災体制をつくるために、防災対策本部かあるいはそういった機構をつくって、これからの九十日の備蓄、そしてそれに対する今後の防災体制というものについてのそういう機構をつくって、まさに活を入れていく、そういう決意があるかどうか、その点河本通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  90. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 防災面を強化するという意味におきまして、今回の石油コンビナート等災害防止法というものをいま御審議をお願いしておるわけでございますが、これとても完全無欠かといいますと決してそうではございませんで、まだ問題点が幾多残っておるかと思います。でありますから、この法律案が成立をいたしましても私どもはさらに運用の面でよほど気をつけていかなければならぬ、こう思っております。どういうふうに具体的に運用の面で気をつけていくかということにつきましては、関係者の間でよく相談をいたしまして万全を期していきたいと考えております。
  91. 加藤清政

    加藤(清政)委員 河本通産大臣は、昭和五十四年に万難を排して九十日分の備蓄をするということを確信をもって言明されております。しかし、一方では福田自治大臣が六月十九日の連合審査で、九十日分の備蓄の義務づけのある国際エネルギー機関への加盟参加と備蓄問題に対して私が質問いたしましたところ、「九十日の予備貯蔵ができるかどうかということも一つの大きな課題になろうかと思うのであります。私はそういう意味で、世界の石油関係の会議等に出た場合に、一体日本がそういう義務を完全に負って、ああそうですかと言って帰ってきていいのかどうかということも考えております。実際そういうときにやはり日本の姿というものをよく見て、そう簡単にはできない点もあるのでありますから、そういう点も十分考えて、私はそういうときに世界に対しても所信を述べておく必要があると思います。」という答弁をしているわけであります。これは三木内閣のエネルギー政策石油備蓄に関して、備蓄についての河本通産相の必要性、確信を持っての御発言と、片や福田自治大臣のこういう自信のない答弁について、何か意見の不一致が閣内にあると思うわけでありまして、石油備蓄について大変大事な問題でありますから、この際河本通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  92. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 政府が今回一つの大きな政策といたしまして九十日間の石油備蓄政策を進めていこうといたしておりますのは、第一には日本の置かれております石油事情から考えまして、国民経済上どうしてもこの程度の備蓄は必要である、こういう判断に立ったからでございます。それじゃ、細かい科学的な根拠の数字を示せと言われますと、そういう数字を示して説明をいたすわけにはまいりませんけれども、たとえば西欧あたりにおきましてもほとんど重立った国が現在九十日という備蓄を進めておる。こういう点から御判断いただきましても、やはり石油の出ない国々は三カ月程度の備蓄を持つということが現在の石油事情から国民経済上どうしても必要である、こういう合意のもとに政府としては重要政策として九十日間の備蓄を進めておるわけでございます。もちろん国際会議、IEA等におきまして、お互いに九十日間の備蓄をやろうじゃないか、そうして困ったときには助け合おうじゃないか、こういうふうなことも一つ推進の理由にはなっておりますが、それよりもさらに国民経済全体の立場から必要である、そういう観点に立って今回の政策というものはスタートさせておるわけであります。  福田自治大臣の御発言でございますが、基本的には私は九十日の備蓄というものは必要である、こういう御判断であろうと思います。ただ、自治大臣としては、防災面でよほど気をつけなければならぬ、こういう点を強調されたのでなかろうかと思いまして、私どもの間には意見の食い違いはない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  93. 加藤清政

    加藤(清政)委員 九十日分の備蓄につきましては、これは政府の統一した見解でもありましょうし、その目標達成のためにはあらゆる努力をしていかなければならないと思いますが、河本通産大臣はこのことにつきましては深い関心とまた備蓄のための決意のほどはいまお話があったわけでありますけれども先ほど申し上げましたように福田自治大臣からこの備蓄についての防災の面またその他につきまして、大変自信のない御答弁があったわけでありまして、さほどに備蓄と防災とは密接不離の関係にあることは言うまでもないと思うわけでありますけれども、こういう大事な石油備蓄の問題について福田自治大臣のもう一度決意と見解をお尋ねしたいと思います。
  94. 森岡敞

    ○森岡政府委員 国民経済国民生活の安定を図ります上におきまして、現在政府で提案いたしております石油備蓄法に基づきます石油備蓄増強、これがエネルギー政策上きわめて重大な問題であるということは、自治省といたしましても十分承知をいたしておるところでございます。先般の連合審査会におきまして、自治大臣からいま御指摘のありましたような御答弁がありましたのは、ただいま通産大臣からもお話がございましたように、備蓄増強いたしていきます上におきまして石油関係施設を新増設してまいらなければなりませんが、その場合に相次ぐコンビナート地帯におきます石油流出あるいは火災の事故などから考えまして、大変地域住民の不安が大きくなってきておる、そこであらゆる防災施設を完全に整えまして、地域住民の納得を得なければなかなかむずかしい、そういう気持ちを表明されたものだと私どもとしては考えております。  いずれにいたしましても、お話のように備蓄増強していく上におきまして防災を完璧なものに持っていくということは、どうしても必要だと思います。そういう意味合いで、石油コンビナート等災害防止法も審議をお願いしておるわけであります。また別途、先ほど来御指摘のありました石油タンクの構造でありますとか、あるいは地盤工事でありますとか、あるいは保安距離でありますとか、そういうものにつきましても消防関係政省令を強化いたしまして、地域住民が安心し、納得をして石油備蓄増強に協力をしていただけるという体制を整えるように防災面からも極力推進してまいりたい、かように考えております。
  95. 加藤清政

    加藤(清政)委員 福田自治大臣の去る連合審査における私の質問に対しての答弁は、河本通産大臣並びに政府の中における考え方と若干食い違ったと私はとったわけでありまして、きょうは特に福田自治大臣からその所信をお尋ねしたいということで質問通告を出しておきましたので、質問の主眼はそこにあろうと思いますが、福田自治大臣は参議院でいま法案審議の答弁に当たっておるということでありますのでどうしても出席できないという朝のお話でありましたから、私は福田自治大臣にこのことを質問しておりますので、後刻文書をもって私のところまで福田自治大臣の御答弁をいただくようにひとつ委員長からお取り計らい願いたいと思いますが、いかがですか。
  96. 萩原幸雄

    ○萩原委員長代理 わかりました。そのように取り計らいます。
  97. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、備蓄の量についてお尋ねしたいと思いますが、わが国備蓄量は昭和五十年の一月が六千三百万キロリットルで六十三・五日分、二月が六千万キロリットルで六十・三日分、三月が五千七百万キロリットルで五十六・九日分となって、備蓄量が消費の増加か何かで大変減っておるということになるわけでございますので、現在の備蓄量は一体どのくらいあるか、その点をお尋ねしたいと思います。  また、昭和五十四年には九十日分の石油備蓄することになっていますが、今後も石油の消費はますます増加すると思いますが、昭和五十四年の九十日の石油とはどのくらいの数字になると試算しておられるのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
  98. 増田実

    増田政府委員 まず、現在の備蓄数量についてお答え申し上げます。  一番最新の数字で、これは速報が入っておりますが本年の四月現在の備蓄数字でございますが、これは石油製品ベースで計算いたしますと四千五百九十五万一千キロリットル、こういうことになっております。内容的に申しますと、その中で原油が二千五百六十六万六千キロリットル、これは原油そのままのあれですから換算しておりません、これに製品、半製品は二千二百三十三万八千キロリットル、これを単純に合計いたしますと四千八百万四千キロリットル、こういうことになります。それを製品換算いたしましたのが最初にお答え申し上げました四千五百九十五万一千、こういう数字になります。  それから五十四年末の目標でございますが、ただいま私どもの方で五年間の供給計画その他を立てておりますが、それからの数字で計算いたしますと七千十四万キロリットル、これが五十四年度末の九十日の備蓄目標数字、こういうことになるわけでございます。
  99. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に国際エネルギー機関はアメリカを主流とした石油消費国同盟であると言われておりますが、アメリカと日本では石油消費の構造が違うのであります。アメリカは石油のうち三五%ないし四〇%はガソリンに使用しておるということであります。ところが、日本ではガソリンに使用しているのはたった一〇%で、それ以外は産業のためのエネルギー源としておるということであります。このように日本とアメリカでは石油消費構造が全く違うのでありまして、アメリカでは石油の消費節約は自動車ガソリンの節約でその目的を十分に果たすことができるわけであります。ところが、日本では産業界のエネルギー源でありますから、必要以上の節約をすることは日本産業が停滞するということに通じるわけであります。このように日本石油外交に関してはアメリカと同一歩調をとるということはできないというように考えられるわけでありまして、そこで消費国の同盟である国際エネルギー機関に加入することは、反面、産油国に対して対立をすることになるおそれなきにしもあらずと考えられるわけであります。言いかえれば国際エネルギー機関との協調問題は、産油国わが国の関係に水を差す結果になるのではないかと考えられます。このような背景を考えれば、九十日備蓄を義務づけられる国際エネルギー機関に加入して九十日備蓄をするよりも、石油産油国との間の提携を第一にするのが有力な方策であるということも一面考えられるわけであります。石油産油国との根本的な提携を具体的にどうするかということを考えた上で九十日備蓄にかからなければ意味がないと思います。政府は国際エネルギー機関への加入と産油国との外交についてどのように考えておられるか、どのような見解を持たれるのか、その点お尋ねしたいと思います。
  100. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま御指摘がございましたように、日本石油事情ヨーロッパ石油事情、またアメリカの石油事情はそれぞれ異なっておるわけでございます。ただしかし、共通いたしておりますことは、大量の油を外国から輸入して消費に充てておるという点においては共通しておるわけでございまして、今度のIEAに対する日本の参加もOPECとの対立というふうな意味で参加しておるのではございませんで、石油問題をめぐるすべてのいろいろな問題について討議をして、ひとつ将来の対策に資していこうではないか、こういうことでこのIEAの会議というものはできたわけでございまして、御案内のように幾つかの委員会がございまして、その委員会ごとにそれぞれ専門の問題を討議することになっておるわけでございます。  そういうふうに、OPECとの対立を図るという意味でこの会議がスタートしたわけではございませんので、別に産油国、消費国の会議を持ちまして、そこで産油国、消費国共通の諸問題につきましても対話と協調の道を探していこう、こういうことでいまいろいろとその具体的な対策が進められておるわけでございまして、先般のパリの予備会談では議題をどうするかということにおいて失敗をいたしましたけれども、その後アメリカの態度も変わり、またヨーロッパの態度も変わり、日本といたしましても議題として一次産品を取り上げるということが適切である、こういう判断のもとに、石油及び一次産品問題を含めた産消国の会議を一刻も早く開くということが必要であるという、そういう判断のもとに、近くIEAの理事会等もございますから、その会議日本の代表を派遣いたしますが、日本といたしましてはそういう態度で臨ませるつもりでおる次第でございます。
  101. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、備蓄についての財政についてお尋ねしたいと思いますが、九十日分の備蓄をするためには現在の備蓄量に三千万キロリットルの積み増しをしなければならないのでありますが、三千万キロリットルの備蓄をするためには、主なものだけでも原油代金が七、八千億円、タンクの建設費が四、五千億円、用地の取得のための費用が三千億円ぐらいかかるということを聞いております。合計すれば概算一兆五千億円が必要となるのであります。これを四年間で実現するためには毎年三千億円か四千億円もの資金を要するということになるわけであります。石油精製会社の決算は四十八年下期二百億円、四十九年上期二百億円、四十九年下期四百億円と、三期連続して赤字を出しておると聞いております。これは決して健全な企業の姿とは言えませんが、このような石油精製各社に、一兆五千億円もの資金のかかる備蓄政策を義務づけられるということについて大変むずかしいと考えるわけでありますが、政府はこの資金と対策について、石油備蓄が実際に可能であるかどうか、こういう点についてのお考えをこの際お聞きしたいと思います。
  102. 増田実

    増田政府委員 九十日の備蓄を達成いたしますためには、ただいまもお話ございましたように莫大な資金が要るわけでございます。これにつきましては特に原油代金、これはいま私どもの方で計算いたしておりますのは、三千万キロリットル分につきましては大体六千六百億円要るわけでございます。それ以外に、いま先生からもおっしゃられましたように土地の取得代金それからタンクの建設代金、それ以外のいろいろな付帯経費、これらを合計いたしまして一兆五千億には至りませんが、大体それに近い数字の一兆二千八百億円ぐらい要る、こういう計算になっております。  これに対しまして、これだけの膨大な資金をどうするかということにつきましては、国もこれに対してできるだけ援助をするということで、たとえば原油代金につきましては必要な資金の九割を政府保証で銀行から借りられるようにするということで、具体的には石油開発公団を通しましてその資金を供給するということになっております。ですから、いまの原油代金の九割に当たります金額につきましては政府保証の金が借りられる。また、金利でございますが、これも金利が相当の負担になるわけでございますが、それに対しまして四%利子補給をするということで昭和五十年度の財政金融措置を行っておるわけでございます。それ以外にも、たとえばタンクの建設資金につきましても開銀等の融資ということで必要金額の七割を特利で貸すということでやっております。それらのいろいろな方法を通じましてできるだけ資金の調達ができるようにということで、本年度を初年度といたします五年間の備蓄政策の第一年度の体制は、そういうように捕捉いたしておるわけでございます。  ただ、それにいたしましても残りの金額は企業がみずから調達しなければなりません。先生から先ほどお話ありましたように、現在石油企業は非常に大幅な赤字、ことに民族系資本の会社が経理状況が非常に悪いという状況でございますので、これの推進につきましては政府ができるだけ援助するという方向で、来年度もまたさらに財政金融措置を考えていきたいと思っております。
  103. 加藤清政

    加藤(清政)委員 三千万キロリットルの備蓄をするということになりますと、私は一応一兆五千億ということでお話ししましたが、いま御答弁の中で一兆二千八百億ほどの資金だというお話でありましたが、いずれにしても膨大な資金を要するわけでありますが、そのほかにいまお話がありましたように金利だとか償却等の経費がかかるわけであります。試算をしてみますと、十万トンタンクに八万キロリットルの備蓄をしたとしても減価償却費が三千八百万円、設備金利が一億円として、運転金利が二億円、固定資産税が一千四百万円、タンクと原油の保険料が二千五百万円、その他に修繕費、人件費、動力費などで、合計しますと八万キロリットルで一年間に四億円もの経費がかかるという計算になると聞いておりますが、たとえば一キロリットル当たりにいたしますと五千円につくわけであります。三千万キロリットルでは年間千五百億円のコストアップになると考えられます。いま申されたように石油会社は軒並みに赤字でありまして、このような赤字の企業に千五百億円の経費の増加は実際にはたえられないことであろうと思いますが、そうすると、石油会社はこれを解決するために製品価格の値上げをしてくることは当然の帰結だろうと思います。つまり政府が九十日分の備蓄をするということは、製品価格の値上げにつながることになり、その結果はまたインフレの再現ということにもなり得るわけであります。石油製品が値上がりするということは、日本石油消費構造から見ますと、そのほとんどを産業界が消費しているのでありますから、石油製品価格の値上げは他の商品の値上げも誘発し、あわせて便乗値上げのおそれも十分にあろうと思います。そして、物価高の時代が再びあらわれ、国民生活は極度に不安定な苦しいものになると考えられますが、この点について政府はこのコストアップに対して、またこういう資金需要に対してどう対処せられるか、お伺いしたいと思います。
  104. 増田実

    増田政府委員 いまコストの面でこれが非常に業界の負担になる、ことに金利それから償却、固定資産税その他の計算で一キロリットル当たり五千円前後の計算になるという御指摘がございましたが、これはけさほども答弁申し上げましたのですが、五千円という計算は今度備蓄される石油にかけましたときに一キロリットル当たり五千円になるわけでございますから、どれくらいその価格にはね返るかという計算をいたしますときは、むしろ石油業界が売っております一年間の販売量にその年のコストを計算するというのが物価のはね返りその他を計算するためのめどになる、こういうふうに思うわけです。これによって計算いたしますと、いまの五千円と大体基礎を同じで計算いたしますと、一キロリットル当たり三百円ないし四百円のコストアップ要因ということになるわけでございます。ですから、五千円と申しますのはその備蓄したものに全部コストをかけますとキロリットル五千円になるわけですが、その年の販売量に対してどれくらいのコストアップかということですと、大体三百円ないし五百円、そういたしますと石油製品の販売価格が大体三万円弱ということになりますから、それに対する比率というのは一%あるいは一・二、三%のコストアップ、こういう計算になります。ただ、この一%、一・二%と申しましても、石油というのは非常に膨大に使われますエネルギー源でございますから、物価に対するはね返りというのも過小評価できない問題でございます。そういう意味で、備蓄コストへのはね返りを、先ほど申し上げましたような財政資金援助、利子補給その他でできるだけカバーをする、また業界が備蓄コストを口実にしてそれ以上の値上げをしないように十分行政で指導するということで、私ども備蓄政策推進するに当たりまして石油価格へのはね返り、物価への影響を十分注意しながらこれを推進していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  105. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間がありませんから次に進みたいと思いますが、石油備蓄について防災の問題あるいは立地の問題、資金の問題、こういう重要な問題があるわけですが、立地についてお尋ねしたいと思います。  昭和五十五年三月末までに九十日分の石油備蓄するためには、現在の備蓄量に三千万キロリットルの上乗せを必要とされるわけでありますが、当然その分の備蓄をする能力を有する新規の設備が必要となると考えられます。三千万キロリットルの石油をストックするためには、デッドストックを見れば十万トンの容積のタンクで三百七十五基も必要であります。一方それだけの石油タンクを新たに建設するための敷地でありますが、十万トンの石油タンクを一基つくるためには一万三千坪の敷地が必要となるということでありまして、そこで三百七十五基の新規のタンクの建設には五百万坪、千六百五十万平米の敷地が必要になるというわけですが、一体どこに建てるのか、その点も大変心配されるわけであります。増田資源エネルギー庁長官は、二月十八日の商工委員会で石油備蓄について「備蓄政策につきましては、現在石油会社が持っておりますタンク用地に今後追加してタンクを建設いたしますのと、もう一つは、政府が半額出資いたします共同備蓄会社をつくりまして、その共同備蓄会社がタンク建設をするという二本立てで今後このタンクの建設を行いたい」と答弁しているわけですね。それから、四カ月経過しているわけですが、政府はこの石油会社が持っているタンク用地の調査をしたかどうか、そしてその用地にはどのくらいのタンクを建設することが可能であるか、そういう調査の結果についてお尋ねしたいと思います。
  106. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生からございました三千万キロリットルを増加備蓄するために、タンクの必要面積その他から割り出して大体千六百万平方メートル、四百九十万坪、私どもも同じように考えております。  それで、次にその内訳でございますが、この四百九十万坪の中に現在石油会社が大体タンク用地としてすでに持っておりまして、まだタンクを建設してない土地が大体百三十万坪ばかりございます。この中には、当初タンクを建設する計画であったけれども、その後なかなか建てにくいという事情のものも入っておりますから、これが全部タンク用地になるかどうか、今後の推移を見なければなりませんが、一応そういう形になっております。それから、それ以外に各石油会社が今後タンク用地として取得すべくいろいろ調査をしたり、また話し合いが相当進んでいるという土地その他を合計いたしますと、大体三百五、六十万坪というものが石油会社がすでに持っている土地及び今後買い増そうとしている土地ではないか、こういう数字でございます。そういたしますと、残ります百二、三十万坪は、この前私が御答弁申し上げました政府と民間との共同出資による共同備蓄会社が新たに土地を獲得して、今後共同施設と申しますか、第三セクターの会社をつくりまして、そしてそこで共同のタンクをつくる、こういう形になるわけでございます。  それから、いま申し上げましたような数字につきましての調査でございますが、これにつきましては、各石油会社につきまして、現在そのタンク用地として持っている土地がどれくらいあるか、また今後九十日備蓄政策を進めていくに当たりまして、その会社自体でどこまで土地の取得が可能であるか、それから話し合い中のものがどういうことであるかということを、各会社別にそれぞれ担当者から聞きまして、一応合計いたしたわけでございます。それが、先ほど申しますように、すでに確保されている土地が大体百三十万坪ということで、それからそれに今後獲得すべきものを合計いたしましたのが大体三百七十万坪くらいある、こういう数字になっておるわけでございます。
  107. 加藤清政

    加藤(清政)委員 増田長官から、石油会社の持っているタンク用地に新規タンクを建設して備蓄をするといまお話があったのですが、過般福田自治大臣は、新規タンクの建設について、「自治省自体の、いわゆる消火、防衛、災害の防除をするといいますか、災害を防ぐという立場から考えれば、現在あるコンビナートの近所にたくさんの予備タンクをつくるというようなことは、ほとんど考えられないと私は思っております。」と答弁しておるわけですね。このように政府部内ですらこのタンク建設用地に対して、増田長官と福田自治大臣との食い違いがあるわけでありますので、まして民間の石油会社が備蓄のための新規タンクの建設用地を確保することは非常にむずかしいことであろうと諸般の事情から考えられるわけであります。三千万キロリットルのタンクの増設は、世界有数の原油中継基地と言われておる鹿児島の喜入基地と同じ規模のものを少なくとも五ヵ所つくらなければならないわけであります。喜入基地は、聞くところによりますと、現在六百六十万キロリットルの備蓄であると聞いておりますが、この喜入基地もさらに拡張計画が立っておるそうでありますけれども、地域住民が絶対反対ということで計画が挫折し、スムーズにいっていないというように聞いておるわけであります。日本国内でこのような新規タンクを建設できる用地が一体どのようにあるかどうか、この点について大変心配するわけでございますので、もう一度明快な答弁をお願いしたいと思います。
  108. 増田実

    増田政府委員 まず最初に、先ほど私が石油会社が現在持っておる土地が大体百三十万坪ということを申し上げて、その中にはこれ以上拡張できないものも相当あるのではないかということでございますが、これも実際に私どもが調査いたしましたのは、すでに持っている土地は百七十万坪なんですが、そのうちの約四十万坪くらいについては、従来タンク用地で持っているけれども、これ以上タンクをふやすことはむずかしいのではないかということで、その四十万坪を引いて百三十万坪と御答弁申し上げたわけでございます。  それから、第二番目の喜入の問題でございますが、喜入は現在タンク容量が六百六十万キロリットル、土地が百八十八万平米でございますから、大体六十万坪ということになっております。これはいまの六百六十万キロリットルが第一期、第二期計画ということになっておりまして、さらに第三期計画が予定されております。これにつきましては、第三期でさらに千百五十万キロリットルというものをふやしたいという計画になっております。これにつきまして、現在これだけふやすことによりまして環境にどういう影響を与えるかということに関して鹿児島県が各種の環境調査、事前調査を行っております。これの結果が出まして、今後拡張する適当な規模というものが一応算出されるということでございまして、一応その調査結果というものを待っておるという状況でございます。  それから、タンク用地につきまして、今後、すでに手に入れておりますものを含めまして、三千万キロリットルのタンクを建設いたしますために約五百万坪の用地が要るわけでございますが、これにつきましてはやはりいろいろの事前調査をいたしまして、保安、防災その他の見地から十分調査をしてその土地を今後決めていくことになるわけでございます。五百万坪というその土地は、これは相当膨大な土地ではございますが、たとえば鹿島の臨海工業地帯、あそこは大規模の工業立地をいたしておるわけでございますが、これの総面積が六百三十万坪、二千万平米ということになっておりますから、大体その鹿島全地域くらいの土地を国内の数カ所で求める、それには事前に十分調査をし、それから公害、保安の問題につきまして地域の方々の理解を得て、そして適正な規模で建設していきたい、こういうふうに考えております。
  109. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間がございませんので、次に移りたいと思います。  わが国エネルギーのほとんどを海外に頼り、しかも石油には過度に依存しておるのが現状であるわけであります。そこで、昭和四十八年の秋に起こった石油危機では全面的にその影響を受けて、国民生活はきわめて深刻な場面に到達した。特に石油供給削減あるいは石油の値上げということで、それが一つのきっかけになって、不況とインフレと同時に進行するスタグフレーションという一つの厳しい経済が到来したということも一面あるわけでありますが、その後アラブ産油国石油戦略は徐々に緩和されて、原油の輸入状況も順調に推移するに至った。仮にアラブ産油国供給制限措置があのまま継続されたとしたならば一体どうなったかということが考えられるわけでありまして、わが国経済は崩壊して、国民生活はもっと厳しい深刻な事態に陥っておるということは言うまでもないと思うわけです。しかし、国際情勢は、地球のどこかで何かあると、私たちの生活の上にぴんぴんとはね返ってくるきょうこのごろの姿でありますので、仮に中東戦争が再発したという場合があるとすれば、また国際間の事情変更の原理によって何か国際間の紛争がもたらされたというようなことがあったとしても、この石油備蓄に対しては平素からそれに対応していかなければならない必然的なものがあろうと考えられるわけでありまして、このような国際石油情勢変化に対応して、石油のほとんど全量を海外依存しておる日本として、石油政策は重要な課題になってくると思うわけであります。  そこで、通産大臣や増田エネルギー庁長官は、わが国経済政策石油需給について、そういう事情変更の原理というものに対応して一体どのように考えておられるか、その点についての見解をお聞きしたいと思います。
  110. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一昨年の秋の第四次中東戦争の影響につきましては、御指摘のとおりでございます。また、昨年の末からことしの初めにかけまして第五次中東戦争の可能性を多くの人たちが考える、こういう事態が続いておったことも事実でございまして、いろいろな場合を考えますと、日本としてはあらゆる角度からエネルギー政策というものを考えておかなければならぬということは御指摘のとおりでございます。  そこで、いま政府部内におきましても総合エネルギー対策閣僚会議というものをつくりまして、いろいろと基本的な戦略を練っておるわけでございますが、要点を簡単に申し上げますと、一つ石油の輸入ソースをできるだけ分散をしよう、それから石油にかわるべきエネルギーとしては当面考えられるのは原子力と石炭である。したがって、石炭と原子力というものを相当高く考えていかなければならぬのではないかという問題が一つ。それから、さらにまた遠い将来のことを考えますと、新しいエネルギー開発に対しても相当力を入れなければならぬのではないか。日本ではサンシャイン計画と呼んでおりますが、幾多の新しいエネルギー開発、こういう長期的な問題とも取り組む必要がある。だから、現時点における対策、中期の対策、長期の対策、あらゆる角度から、エネルギー面からくるところの日本安全保障という対策に対して十分配慮をしていかなければならぬということについていま検討を進めておるわけでございますが、大体そういう方向結論は出るのではないか、こういうふうに考えております。
  111. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間が参りましたので、最後に罰則の問題についてお尋ねしたいと思いますが、石油備蓄には膨大な費用がかかるわけですね。三千万キロリットルの上乗せ分だけでも、先ほど、一兆二千五百億からの資金が必要である、その備蓄のためには一年間に一千五百億円程度の経費がさらにかかるということでありまして、備蓄のための費用であるということは、直接的には備蓄をした企業に何の利益ももたらさないということにもなるわけでありますが、この法律では政府の命令に違反して定められた備蓄をしなくとも、五十万円以下の罰金だけで済ませるということになっておるわけでありますが、これでは石油会社はこのような資金と経費をかけて備蓄をするよりも、金額だけのことを考えますと、五十万円の罰金を払った方がいいということにもなると一面考えられるわけであります。そして、民間ではどこの石油会社も備蓄をしないということが起こることも半面予想されるわけでありますが、政府の石油備蓄政策が、挙げて企業に義務づけられておるので、企業が自覚と責任を持たなければ、備蓄も砂上の楼閣に等しいと言わなければならないわけでありますので、企業にどのように本当にやらせ、協力させるか、こういう点もひとつお答え願いたいと思います。  また、罰則だけでよいのであろうかということも考えられるわけでありますので、ひとつ政府の見解をお尋ねしたいと思います。
  112. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この石油備蓄政策というものは国民経済上最大の課題であろうと私は思います。したがいまして、まず国民的な理解と合意を得るということが一番大事だと思います。  次に、もちろん大切なことは、石油業界がこの石油備蓄というものについての十分な認識を持つということも当然必要でありますが、同時にあわせて石油業界の体質を強化していく、これが非常に必要な課題でなかろうか、こういうふうに考えます。  もちろん、政府といたしましても全力を挙げて資金面その他の面でバックアップするつもりでございますが、国民経済上最大の課題として国を挙げて取り組んでいく、そういう覚悟のもとに私どもはこの政策を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  113. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま通産大臣から、この石油の問題については国民経済上最大の課題であり、もちろん協力と自覚のもとにこの備蓄を進めていかなければならないという力強いお話があったわけでありますが、特に、いままでお話がありましたように、石油備蓄というものが非常な日本の国策としてなければならないし、その遂行のためにはいろいろの手をこれから打っていかなければならないと考えられるわけでありますので、法律を単につくってその法律でもって縛っていくということだけではなくして、やはり備蓄についての行政に対する適正なる配慮のもとに、備蓄行政に万全を期してもらいたい、そのように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  114. 萩原幸雄

    ○萩原委員長代理 以上をもちまして、加藤清政君の質疑は終了いたしました。  米原昶君。
  115. 米原昶

    米原委員 この法案によって九十日間石油備蓄をやろうというわけでありますが、その根本的な理由が、いろいろ話はありまして、本委員会でも提案理由にそもそも説明がしてあるのですが、どうもすっきりしないのです。簡単に言いますと、なぜ法律をつくってまでやらなければならぬか。そういう点でどうも特にIEA、IEPとの関係が明確でないように思う。そういうものと関係なく、日本としてはこういう方針で初めから決まっていたのだというような説明がありましたけれども、どうも明確でないので、どうしてこういう法律をつくってやらなければならぬかということをまず説明していただきたい。
  116. 増田実

    増田政府委員 この九十日備蓄政策を実行いたしますために、政府の各種の財政金融援助、これは予算措置でやっております。予算の執行のためには、先般御審議を経ましてこのたび成立いたしました石油開発公団法を通じまして、各種の助成措置ができるようになったわけでございます。それに加えて今回石油備蓄法を出しましたのは、石油備蓄を計画的に行えるようにする。これは計画といたしましては昭和五十五年度の末をもって九十日にいたすわけでございますが、しかし毎年毎年どういう計画で、しかも各製油会社がどういうタンクを設けるかということにつきましては、これを計画的に行う必要があるということで、それにつきまして法律に基づきまして備蓄計画を定め、また各社からの備蓄の実施計画をとる、それからそれに対しまして各社別の備蓄基準量という形で指示をしてそれを保有させるということを行わせるわけでございます。それによりまして備蓄の保有義務がまた同時に出てくるわけでございます。ですから、今回の備蓄法によりまして、私ども備蓄を達成するために必要な計画的な実施と、備蓄されます石油の保有義務を各社に負わせる、こういう点でこの法律ができ上がっておるわけでございます。  それから、いまお尋ねのIEPとの関係でございますが、このIEP、いわゆる国際エネルギー計画備蓄義務は、私どものやっております九十日計画とは直接の関係はございません。今回の石油備蓄法案を国会に提出いたしましたのは、石油危機経験にかんがみまして、緊急時におきましての国民経済あるいは国民生活混乱を防止する、そのためには備蓄はぜひとも必要であるということで今回の備蓄法を出したわけでございますし、また昭和五十年度を初年度とする石油備蓄計画というものを政府として樹立いたしたわけでございます。  それから、九十日につきまして、なぜ九十日というものを持ってきたのかということでございますが、これは大体世界的に一つの九十日という目標が出ておりまして、先ほども御答弁申し上げましたが、OECDにおきましても一九七一年に加盟のヨーロッパ諸国各国に対しまして九十日の備蓄を持つことを勧告しておりますし、また同年の十月でございますが、ヨーロッパ共同体、ECが加盟各国に対しまして九十日の備蓄を勧告いたしておるわけでございます。それからIEP、先ほど先生からおっしゃられました国際エネルギー計画、これも昨年の十一月に発足いたしたわけでございますが、この中では六十日、加盟国は持っていなければならない、それから目標としては九十日に持っていく。それで、その九十日をいつまでに達成するかは、一九七五年の七月一日までに決める、そしてそれが決まったらそれを努力目標とする、こういうことになっております。     〔萩原委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、IEPではまだその九十日をいつまでに持っていくかということについては、決定はされておらないわけでございますが、私どもはこのIEPあるいはIEAと別個に、日本の立場でやはり九十日の備蓄は必要だ、また九十日の備蓄を持つことがヨーロッパ諸国その他の例、OECDの勧告その他を見ても一つの目標だ、こういうことで設定したわけでございます。
  117. 米原昶

    米原委員 昨年の七月二十三日の総合エネルギー調査会石油部会の中間取りまとめでも、確かにすでにそのときから九十日備蓄を打ち出しておりますし、その中では「この際、国際的な共同措置についてもこれを推進する必要がある」というふうに言っていることは私もよく知っております。しかし、IEA、IEPの成立の出発点となったワシントンにおける石油消費国会議は昨年の二月十一日−十四日に開かれており、日本で政府が九十日備蓄の方針を出すより前に、そういう問題が国際会議でも論じられてきたわけであります。ですから、石油連盟では、政府が九十日備蓄を昨年から急に口にしだしたのは、アメリカの圧力があったのではないか、こう言っているほどであります。これらの経緯を見ますと、今回急に法律として九十日備蓄が打ち出されたのは、確かに日本石油危機経験もありますし、そういう必要を感じた点はよくわかりますが、やはり国際的な要請やIEA参加の必要から生まれてきたのじゃないか、こういうふうに感ずるのです。  いずれにしましても、日本が参加しているIEAのIEPが緊急融通制度の前提として九十日備蓄を参加国に義務づけている以上、今回のわが国の九十日備蓄わが国独自の方針のもとでだけ運営されるのではなくて、IEA、IEPの国際的制約を受けるものであることは明確ではないか、そう感ずる次第です。先ほど加藤委員から若干質問がありましたが、IEA、IEPの性格の問題であります。アメリカが中心となってアラブ産油国やOPECなどに対抗して消費国が結束するということだと思うのです。天然資源の恒久主権やあるいはよく言われる資源ナショナリズム、こういう動きにむしろ対抗するものじゃないか、こういうことを感ぜざるを得ないのです。IEPの前文では、確かに産油国との対話、協力をうたってはおりますが、その前提としては、産油国に対抗してアメリカが中心となって大消費国が結束した上でのことだということになっております。つまり、こういう体制をつくってアラブ産油国の譲歩を引き出すのが目的になっております。そして、OPECなどの諸国は、このIEAを産油国に敵対的な組織だと非難しております。四月七日にパリで開かれた石油準備会議でも、OPECはIEAとの同席を拒否して欠席しているではありませんか。OPECなどとこのような関係にあるIEAに日本が参加するということが私はそもそも根本問題だと感じているのです。三木総理が言われた親アラブ政策あるいは総合エネルギー調査会の中間取りまとめでも強調されている産油国との直接取引の拡大という方向、これとも矛盾するものではないかということを感ずるわけですが、この点いかがでしょうか。
  118. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一昨年の秋の第四次中東戦争を契機といたします石油生産制限及び輸出制限というあの大事件は、私は世界の経済をひっくり返すほどの大事件であったと思います。そのことによって消費国はいずれも非常に大きな経済上の影響を受けたわけでございます。そういうことのためにアメリカ、ヨーロッパ日本は、それぞれ消費国として立場は若干違いますけれども、やはり共通の問題も非常に多いわけです。でありますから、あれだけの大影響を受けました消費国が、今後どうすればよいかということについて、私は共通の立場に立っていろいろな議論をする、相談をするということは、これは当然あってしかるべきことではないかと思います。ただしかし、これが決して御指摘のようにOPECと対立するものではない、そういうふうに存じます。でありますから、同時に、消費国の立場から共通の問題としての話し合いは進めておりますけれども、一面、産油国との対話、協調ということも同時にあわせて強く考えまして、先般来産油国、消費国会議を開いて石油に関するあらゆる問題を討議しようじゃないか、こういうことで、この春もパリにおきましてその準備会議が開かれた。そして、最近はさらに第一次産品問題も含めまして、一刻も早く本会議を招集しようじゃないか、こういうことにつきましていろいろ具体的な話し合いが行われておるということも御案内のとおりでございます。でありますから、私は、一面消費国が共通の石油問題についての話をし、同時に産油国と並行してこの協調問題について話し合う、こういうことは並行して行っても一向に差し支えないことであるし、双方とも必要である、こういうふうに考えております。また、IEA等の会議におきまして、消費国の会議日本も参加しておりますけれども、同時に一昨年以来、三木、中曽根、小坂と政府特使がそれぞれ参りまして、中近東との協調体制についてあるいは経済協力についていろいろ話し合っておりますので、日本日本としての立場から、先ほど申し上げましたような各種の国際会議に参加しながら、中近東との、OPECとの協力体制というものを別個に強く話し合っていく、進めていく、こういう政策をとっておるわけでございます。
  119. 米原昶

    米原委員 確かに産油国の現在の状態を見ますと、それぞれの産油国、それぞれ違った面があります。政治的な立場も実際はかなり違う面もある。しかし、全体の傾向は、長い間奪われてきた天然資源の恒久主権を回復していくという方向は共通ですし、いろんな過程をたどるでしょうが、消費国の同盟によってこれに対抗していく。もちろん対抗といいましても、いろいろな場面で話し合いの場面も持ち合うでしょう。そういう過程をたどることはわかりますが、それに依存していたのではだめだ。世界の大勢はそういう方向にいかないのです。その点で心配しているのです。たとえばIEAは一日当たり二百万−三百万バレルの石油の節約を取り決めるとのことでありますが、これも石油が足りないから節約するというのではなくて、需給関係を消費国に有利にしようという、産油国に対抗する圧力としてこのような方針がとられております。現在石油はだぶついていると言われますが、日本もこれに同調して十五万バレルの節約をするということが報道されておりますが、これは不当な負担であり、応ずべきではない、私はそういう行き方をとってはならないと思うのであります。どうでしょう。
  120. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石油の節約を進めていこうじゃないかという消費国を中心とする動きというものは、私は御指摘のように産油国と対決するための手段ではない、こう思います。やはり石油が一遍に四倍に上がった、そういうことになりますと、各消費国ともそれを買うために莫大な外貨が要るわけでございますから、当然この外貨の節約という意味からもある程度のエネルギーの消費節減という問題が起こってくると思いますし、それから日本も内閣に、資源を大切にするという運動本部をつくっておりますが、地球の資源は有限である、そういう立場から資源というものを大切にしようじゃないか、こういう角度からも節約というのは考えられたのだと思いますし、御指摘のように産油国と対決するために節約をするのだ、そういう趣旨ではないと理解をいたしております。
  121. 米原昶

    米原委員 それから、このIEAは、協定の前文に、「石油会社との協議の恒久的枠組みを確立した」、こんなことが書いてありますが、国際石油資本、つまりメジャーと一体のものになっています。そして、アメリカが石油投票権で五十票を持ち、一般投票権の三票を加えると五十三票、つまり併合投票権約百四十八票のうちの三六%を占めているわけであります。これに日本の投票権十八票、一般が三票で石油が十五票、それから西ドイツの十二票、一般三票で石油九票、これを加えると三カ国で実に八十三票となって併合投票権の中で五十六%を占めることになっております。したがって、IEAの運営が、アメリカ、日本、ドイツが手を握りますとアメリカの言うとおりになることは明らかであります。IEAは、昨年の十一月十四日のシカゴ大学でのキッシンジャー演説で明らかになったような、アラブに敵対する消費国同盟の結束という構想を推進するものではないか、そういうふうに見ざるを得ないのでありますが、そういうふうに見られないでしょうか。
  122. 増田実

    増田政府委員 まず最初に、石油会社との協議のための恒久的枠組みが設立されることが国際エネルギー計画に関する協定の前文に載っておりますことにつき、これはメジャーと組んでやるのではないかという御指摘でございますが、これは今後石油供給削減があった場合に相互融通を消費国間で行う、そのときにはやはり石油を扱っておりますいわゆるメジャーズというものの協力がなければ融通はできないわけでございまして、そういう意味でここの前文にメジャーズとの協議のための枠組みを設立するということになっております。これは、この協定ができます前、各国がブラッセルに集まりましていろいろの討議を行ったわけですが、特に問題になりましたのは、緊急の際の融通スキームをどうするかということでございまして、この融通制度につきましてはやはりいわゆる石油大資本会社がこれに協力していかなければ融通が行われないわけでございまして、そういう意味で入っているわけでございます。ですから、先ほど先生からおっしゃられましたようにメジャーズと組んで産油国に敵対する、こういうことではございません。  それから、もう一つありました票でございますが、これにつきましては御指摘のようにアメリカが非常に大きな票を持っておりますが、しかし決定をいたしますときには、やはり三票ずつ持っております基礎票につきましては相当な参加がなければ多数決の決定もできないということで、これは参加しております中のいわゆる比較的小さな国の意見が相当取り入れられておりまして、決してアメリカの自由になるような国際協定ではないわけでございます。  それから、最後に国際エネルギー計画に対する協定でございますが、これはただ産油国に対決をし、そして力づくで石油について有利な地位を、アメリカの指導のもとにやろうという説が行われておりますが、この協定の成立につきましては消費各国が全部参加しまして、そしていろいろな討議をし、各国の意見も取り入れられてその上にできたわけでございますから、決して産油国との対決を目的としたものではございません。先ほど先生からも読み上げられました前文にある産油国との間の理解、それから協調関係を増進するというのは、これは日本を初めとしてこれに参加いたしました国がこの協定をつくりますときに、この文章をぜひとも入れる、それで決してこの協定が対決的なものであってはならないということで入ったわけでございまして、私どもはこのIEPというものあるいはその機関でありますIEAというものが産油国との対決というもので生まれたものではないということを、これは確信を持って申し上げる次第でございます。
  123. 米原昶

    米原委員 私がアラブ諸国の代表にいろいろな会議で会った中で聞いたことでも、アラブ産油国のほとんどの国がイスラエルの侵略にアメリカが加担している、これはもう公然と言っていることです。同時にメジャーのことをみんな言っています。メジャーはイスラエルの侵略の加担者である、基本的な見方はそうですよ。そういうものがこういう形で大きな投票権を持っている。幾ら産油国との対話と協調とか、そういうことを言いましても、やはりIEAはそういうものと産油国が受け取っていない、こういう点をよく考えていただきたいのです。  それから、今度の備蓄ヨーロッパ並みの備蓄の水準ということ、九十日備蓄一つの理由としては、ヨーロッパ各国でも九十日備蓄だということが理由の一つになっているわけでありますが、こういう備蓄が果たしてこの前以上のような石油危機が起こった場合に、解決に役立つかというと、この前の石油危機の際に、九十日の備蓄の水準にあるヨーロッパ諸国でも一様に大きな打撃を受けた。あれ以上危機が続いた場合にはやはり大変な打撃であったろうということがわかるわけでありまして、そういう解決の方向では根本的な解決にならないのじゃないかということをしみじみ感じているのです。IEA、IEPの体制下の九十日備蓄というのは石油危機などの非常事態に備えたものだといわれますが、このことはつまりOAPECなど、アラブ産油国などによって日本に対して石油供給削減が実施されるかもしれないということを前提にしているわけであります。そのための緊急融通制度であり、九十日備蓄だということになるのじゃないか、そういうふうに私はむしろ逆に考える。つまりアラブ産油国などと対決する場合があるということを考えればこそ、こういう九十日備蓄という構想が出てくるのじゃないかと私、逆に考えるのですよ。そのとおりじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  124. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一昨年の石油危機のときにOPEC諸国がとりました対策というのは、一つ生産制限であり、もう一つ価格を一挙に四倍に引き上げる、こういうことであったと思います。むしろその中で最大の影響があったのは、私は価格の四倍引き上げということであったと思うのです。生産制限や輸出制限から全世界が受けた影響が比較的少なかったということは、これはある程底の備蓄を持っておったからだと思います。  それはそれといたしまして、消費国諸国がIEAの場におきまして、将来どういう事態が起こるかもわからぬが、その場合にはできるだけひとつ助け合おうじゃないか、石油不足のために一つの国が非常な打撃を受ける、産業がストップする、国民経済混乱する、そういうことがないようにできるだけ助け合おうじゃないか、こういうことで話し合いを進めているということは、私は当然のことだと思います。決してそのことがOPEC諸国との全面的な対決のためにあるんだ、そういうことではありませんで、私は消費国が生きていくための防衛手段である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  125. 米原昶

    米原委員 つまり根本的に態度を変えていく必要があるのではないか。大臣がまた今度アラブに行かれるそうですけれども、いままで三木総理を初め中曽根さんその他行ってこられました。それは一定の成果もあったかもしれませんが、基本的にはアラブの産油国の民族主権、これを単に認めるだけじゃなくて徹底的に擁護する、そういう立場に立ってイスラエルの侵略にも断固として反対する。国連憲章で認められたいろいろな経済制裁措置だってある。何も日本が武力を使えと言っているのじゃないのです。むしろアラブの民族主権を擁護する最大限の措置をとるように、日本政府としても国連に持ち出す、断固としてアラブの産油国と手を握り合っていく、こういう態度をとることが私は第一に必要じゃないかと思う。私は、何か再びこういう石油削減を受けるのじゃないかと思う。その措置を考えるためにこういう形でやるのじゃなくて、まずアラブに対する態度を根本的に変えていく必要がある。私は、そのことがむしろ一番必要じゃないかと思うので言っているのであります。  ことにメジャーに対する態度の問題も同じであります。メジャーの国際石油市場に占める比重もだんだん低下しているのは事実でありますが、まだ黙視できないほど大きな力を持っております。しかし、この前の石油危機の際にも、日本などを含む地球の半分の地域で最大のもうけを上げたということが知られているわけであります。このようなメジャーに従属するのではなくてその横暴を規制していくようにすべきだ。すでに西ドイツあたりでもカルテル庁などはメジャーの子会社に石油の値下げ命令を出している、こういうことも聞いておりますが、少なくともそのような姿勢でメジャーにもっと強い態度で臨むべきだ。最近はアブダビ方式によってメジャー経由の石油とDD石油との間の価格の差もだんだんなくなって、直接取引の拡大に有利な条件が生まれております。資源の恒久主権を認めて平等互恵の立場で貿易などを進める、そういう方向産油国と提携していく、これが根本じゃないか。そこのところが、どうもいままでとられておる政策ではそこまですっきりいってない。いつまでもアメリカの指示する方向についていっているにすぎないように見えるのです。こういう方向でいっていると、非常に危険な状態がむしろ生まれる。私は、この際アラブ産油国に対する態度を根本的に変える、思い切ってこれを打ち出すべきだと思うのでありますが、大臣、どうでしょうか。
  126. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この一月に、新内閣が発足をいたしまして初めての施策方針演説を三木総理大臣が行ったわけでありますが、その施策方針演説の最大の特徴は、私は外交問題で中東問題を真っ先に持ち出した、そして外交問題の中で非常に大きなスペースを割いておるということであったと思います。その中で私は、アラブ諸国に対して三木総理は十分な理解を示しておると思うのです。同時に、国連二百四十二号決議に対しましては、これは繰り返して、尊重すべきものであるということも強調いたしております。でありますから、アラブ諸国に対する日本政府の態度は私はいまのままでいい、またいまのままの政策を継続すべきである、そういうふうに考えておる次第でございます。  また、このメジャーの問題につきましては御指摘のような問題がございまして、その動きというものはきわめて複雑であり、にわかに捕捉しがたい面が多々あります。でありますから、私どももその動きには十分注目いたしまして、正確な情勢をキャッチしていく、そしてそれに間違いなく対処していく、こういうことが必要であろうかと思います。これまでややもするとメジャーの分析、動きなどに対する知識が不十分であった、そのために政策もときには後手に回った、こういうことであったと思いますので、今後はそういうことのないように十分気をつけていかなければならぬと考えております。
  127. 米原昶

    米原委員 それでは、IEAの国際エネルギー計画に関する協定で定められている緊急備蓄義務量九十日分というのは、石油純輸入の九十日分であって、アメリカのように三割程度しか輸入に依存してない国と違って、全面的に輸入に頼っている日本の場合、備蓄の負担は不当に大きいと思いますが、この不公平はどう見ておられますか。
  128. 増田実

    増田政府委員 IEAで、その九十日をいつまでに達成するかは、現在まだ決まっておらないわけでございますが、ただその備蓄の計算につきましては、ただいま御指摘がありましたように純輸入量をもって計算するということになります。それから言いますと、日本のように七七%石油依存している国と、それからアメリカのように純輸入というものが全エネルギーの中の一五ないし一六、七%という国とは、この備蓄量については相当な負担の差異が出てくるということはおっしゃられるとおりでございます。ただ、この備蓄数字につきましては、これはやはり輸入が途絶したときにそれに備えて設けるわけでございますから、自国の中で相当石油生産するとか、あるいはほかのエネルギー依存しておるという国と、それから国外の石油に大幅に依存している国とでは、これは当然差が出てくるということはやむを得ないものと思っております。
  129. 米原昶

    米原委員 いずれにしましても、自国に油田を持つアメリカには有利であり、負担が少なくなる、こういう点にもIEA、IEPがアメリカの利益を最優先にした体制であることが示されていると思います。  次に、先ほど加藤委員からも質問がありましたが、昭和五十年度を初年度として五年間で九十日備蓄を達成するわけでありますが、新たに必要となる石油、土地あるいはタンク、どのくらい要るか、またそれにどのくらいの資金が必要か、石油一キロリットル当たりどのくらいのコスト増になるかなどという質問がありまして、御答弁を聞きました。  私、「セキツウ」というこの雑誌を見ておりましたら、こういう通産省の試算に対して反論が出ている。ここに反論が書いてあるので、この点どうか、もうちょっと明らかにしてもらいたいのです。  たとえば「通産省では、五十二年度末までに九十日備蓄達成を目標に、来年度からこれを政策的に具体化すべく検討に乗り出しているが、その所要資金」これは先ほども言われましたが、約一兆五千億円、それよりも若干実際は少ないと言われました。しかし、その算定根拠でありますが、「その半分が原油代金、四分の一が用地代、残り四分の一がタンク建設費」こういうことで言われているようでありますが、この中でこういう反論が出ているのです。「要積増量三千万キロリットルを前提とし、貯油率を五〇%として必要タンク量を六千万キロリットルとしているが、この備蓄分は、日常操業のために絶えず循環させるランニングストックではなく常時眠らせておくのであるから、この分の貯油率は八〇%ないし九〇%が可能である。しかし、通産案のタンク建設費十万キロリットル一基分五億円(キロリットル当り五千円)は余りにも甘すぎその倍の十億円を見込む必要がある。しかもその建設費はさらに年率一〇%の上昇を見込んでおく必要がある。また、他の筋ではタンク容量の大きさを一基十五万キロリットルとして、その建設単価を十二億円と見込む必要があるとしている。」こういう反論をやっておりますが、たとえばこういう点について、先ほどの説明を一つずつ反論して、あとずっと出ているのです。これとは違って、相当もっと金がかかるのじゃないか。総体的にこの反論を読んでみますと、もう時間が余りありませんから簡単に言いますが、一兆五千億円どころか二兆五千億円から三兆円かかるというのが実態じゃないかという反論がここに出ておる。この点について、御存じでしょうからちょっと説明していただきたい。
  130. 増田実

    増田政府委員 私、まだその論文を読んでおりませんので、これに対して一々どういう点が私ども考え方と違うかということは申し上げられませんが、いまお読みいただきました中で申し上げますと、貯油率につきましては私どもの方も八〇%で組んでおります。これは備蓄につきまして六十日を超える分、九十日までの分につきましては、いわゆるデッドストックに近い形で保有させるわけでございますので、普通、タンクの貯油率というのは五一、二%というものでございますが、六十日を超える分につきましては八〇%で計算しておりますので、ただいまの批判は当たっておらないわけでございます。  それからもう一つ、このタンクの建設資金でございますが、十万キロリットルのタンク一基につきまして、これは私どもの方は単価を十億円と計算いたしておりますので、これもそこに十億円ではないかという指摘があるようですが、これは十億円で計算しております。そういうことで、一応、若干誤解があるかと思います。しかし、この総所要資金につきまして一兆二千八百億円ということで私どもが言っておりますのは、これは確かに指摘されておりますようにインフレによる増加資金というものは入れておりません。私どもは、この五年間にどれくらいのインフレ率になるかということについては、これは現在のところ想定できませんし、またできるだけインフレを防がなければならない立場にありますから、現在価格で計算いたしたのが一兆二千八百億円でございます。  それから、ちょっとここでつけ加えて申し上げますが、先ほど私が御答弁申し上げました中に、昭和五十五年度末をもって九十日に持っていくということで先生に御答弁申し上げましたが、これは五十四年度末の間違いでございますので訂正さしていただきたいと思います。
  131. 米原昶

    米原委員 いまこの雑誌を読んでおられないということなので、ではごく簡単にだけ言っておきます。こういう点です。  通産省案のタンク建設費十万キロリットル一基分五億円は甘過ぎる、その倍の十億円を見込む必要がある。これはいま言われたとおりだったら明らかに誤解しております。しかし、十億円を見込む必要があるが、しかもその建設費はさらに年率一〇%以上の上昇を見込んでおく必要がある、こう言っておるのです。それから、土地代です。所要の土地代について通産案では坪五万円と見ているが、この見込みも過小であり、かつ土地代についても年率一〇%程度上昇を見込む必要がある。それから、初年度の原油単価の見方が安過ぎ、現実の原油単価が通産省の見込みよりすでに一〇%以上ふくれている。通産省の試案では三十日相当の積み増し分のみを対象として、年々需要が増大することに伴ってふくれる六十日分維持のための増加分が考慮されてないなどの難点がある。こういうようなことを言っておるわけであります。そうして、以上の点を考慮して試算すると約三兆円が必要となるのではないか。まあ大変な莫大な資金が必要だということになるわけでありまして、業界関係の雑誌がこういうことを書いておりますから、私はこれはいまこの場でどれが正しいかなんて判定できませんが、当然これは通産省の方でもしかるべき反論をやっていただきたい、こういうふうにお願いします。  ヨーロッパなどを見ますと、備蓄にしましてもほとんど政府の財政援助なしに業者の負担で実施しておるわけであります。もちろん備蓄のコストが安いということもあると思いますが、本来、備蓄というのは大企業がみずからの負担で賄うべきものではないかと、こういうふうに考えるのです。石油業を営む以上、それに依存する国民に、しかも安定供給する義務があります。また、大口の消費者である電力その他の大企業も、同時にやはり備蓄の義務をある程度果たすべきではないか、そうしてできるだけ備蓄のコストを製品に転嫁しない、そういうふうにやっていくべきだと思うんです。そういうための備蓄の財源として、一時、通産省あたりから報道された石油消費税構想というのがありましたが、それはどうなりましたか、どのようなものでありますか、こういう考え方を聞きたいと思います。
  132. 増田実

    増田政府委員 九十日の備蓄を達成いたしますためには、相当大きなコストとそれから資金量を要するわけでございますので、これについての財源措置につきましては、私ども一時、消費税構想についていろいろ検討いたしたわけでございますが、本年度につきましてはこれは石炭石油特別会計から充当する、それ以外は全部いわゆる財投資金でやるということでやっておりますが、この財源問題については今後引き続き考えていきたいと思っております。  それから、先ほどおっしゃられましたヨーロッパにおいては国が補助しないで自力でやっている、こういうことでございます。これは確かにおっしゃられるとおりでございますが、ヨーロッパ石油会社の利益率は日本石油会社に比べて相当高いわけでございまして、日本石油会社は、これはいろいろな構造上、体制上の問題もございまして、従来からこの利益率は、先ほどもほかで御答弁申し上げましたように製造工業の平均に比べて半分以下ということになっておりましたし、またこのところの決算は三期連続、民族系石油会社は軒並みに赤字になっておるというような状況でございます。  それから、価格への転嫁その他の問題でございますが、ヨーロッパでは、この石油価格につきまして指導価格あるいは標準価格制度がありまして、これを使いまして石油備蓄に要するコストを指導価格あるいは標準価格の中に織り込んで、その費用負担は会社ができるようにしておる。日本では、現在この石油価格につきましては、一部標準価格とか指導価格があったわけでございますが、これもほとんど全部外しておりまして、こういうことで転嫁する価格制度というものはできておらないわけでございます。そういう意味で、日本におきます備蓄のコストの負担とヨーロッパにおける備蓄のコストの負担につきましてはそれぞれの違いがございますので、これを達成いたしますための手段として、私どもはやはり相当国が財政、金融上の保護を行っていかなければこれがなかなか達成できないということで考えておるわけでございます。
  133. 米原昶

    米原委員 それから、石油にかける税金の問題ですが、アラブの産油国の方では、消費国が石油関係に税金をかけ過ぎるから石油が高くなっているのだということで、産油国からも石油に税金をかけるやり方に対して非難が相当出ているわけであります。この点はぜひ考えていただきたい。結局、石油に税金をかけるようなやり方で非常に高くなる、この点は産油国側が非常に非難しているところであります。この点ぜひ考えていただきたいと思います。  さらに、先ほどにも加藤委員からずいぶん質問がありました備蓄のための石油基地の問題、さっきの話を聞きましても相当な、鹿島のあの臨海工業地帯に匹敵するぐらいの面積がさらに必要だと言われるわけでありますが、やはり現在の状態から見ますと、石油基地についてはもう全国至るところで住民の反対運動が起こっております。それだけにこれは容易なことじゃないということは一方で考えるのです。  さらに、問題は、あの水島の事故以来非常に問題になりましたが、タンクの不等沈下などが非常に問題になりまして、補修の必要のあるタンクが四百十七基、全国の一万キロリットル以上のタンク二千六百九十七基のうちで一五%が欠陥タンクだということを報告されているわけです。そういう点ではタンクに応対する安全管理の問題がこれから大変な問題になってくると思うのです。あのコンビナート防災法案が出ましても、法律が出ただけで解決する問題じゃないように思うぐらいです。  そういう点で、どういうふうにこういう問題を解決されていかれるか、非常に重大なので、最後にこの点についてもう一度大臣の見解を聞きまして私の質問を終わりたいと思います。
  134. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 備蓄政策を進めていきます上に最大の課題は保安問題だと思います。そこで、今回石油コンビナート法をいまお願いしておるわけでございますが、これができましても完全かと言いますと決して完全ではございませんので、なお保安という面から、あらゆる角度からこれを十分考えながら、法律だけではなく、行政の面からも万全の配慮を払っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  135. 山村新治郎

    山村委員長 松尾信人君。
  136. 松尾信人

    ○松尾委員 石油備蓄法案につきまして質疑をいたしてまいります。  最初に、四十九年度の石油の輸入状況並びに同じ年度の国内における石油の消費状況、これはどうであったかということを御報告してください。
  137. 増田実

    増田政府委員 四十九年度におきます原油の輸入量でございますが、これは速報ベースが三月に入っておりますので、確定数字ではございませんが二億七千四百二十三万キロリットルでございます。それから、石油のいわゆる内需消費量でございますが、四十九年度におきましては二億二千百万三千キロリットル、こういう数字でございます。
  138. 松尾信人

    ○松尾委員 それぞれ対前年比はどうなっていますか。
  139. 増田実

    増田政府委員 原油輸入量につきましては、前年度対比で九五%、五%の落ち込みになっております。それから、石油の消費量でございますが、これが九四・四%、五・六%の落ち込み、こういうことになっております。
  140. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣、いまお聞きのとおりでございます。輸入も五%減、消費が五・六%の減、こういうことですね。やはり資源のないわが国でございますから、省資源、省エネルギーという問題が何としても大事な問題、大事な点でございます。  先般私はこの委員会で石油の消費節約ということにつきまして長官お尋ねしまして、いろいろお答えがありました。それで、その消費の節約の問題ですが、その後現状はどのように進展しておりますか。
  141. 増田実

    増田政府委員 消費の節約につきましては、現在いわゆる国民運動という形でやっておるわけでございますが、その本部を内閣に置きまして、資源エネルギーを大切にする運動本部、ここが中心になっております。そこを中心といたしまして各省庁で各種の行政指導を行っております。一応めどといたしましては、民間におきますいわゆる消費部門における節約は一〇%という目標を置いております。それから、官公庁における使用につきましては一三%という目標を置きまして、節約に協力してもらっておるわけでございます。それからまた、生産部門におきましては、これは業種によっていろいろまちまちな点がございますが、各エネルギーの多消費企業、これは大体全部で三千五百企業が対象になっておりますが、これらの各企業からエネルギーの節約目標、それから消費実績というものを報告させております。こういうことで、各種のエネルギーの節約の協力というものを一般的に求めておるわけでございます。  確かに現在この節約ムードが薄れておりまして、そのために若干行政指導について不十分な点もございますが、私どもは、貴重な資源である、ことに石油を節約し、また国際収支その他の対策という点からも、この節約運動というものを強力に推進していきたい、こういうふうに思っております。
  142. 松尾信人

    ○松尾委員 次に大事なのは、いまの消費の節約、これで日本が十五万バレルというようなお答えも大臣からありました。それを具体的にそのような運動本部をつくって推進しておるわけでありましょう。これはしっかりやっていかなければなりませんし、やはり基本的に大事なのは省エネルギー産業政策でございますけれども、これは大臣、どのような構想でいま具体化しつつありますか。
  143. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 省エネルギーを中心とする産業構造の転換でございますが、これはなかなか一朝一夕にはまいりませんで、やはり私は二十年、三十年というふうな相当な長年月がかかると思います。産構審あたりからもいろいろな建設的な意見もいただいておりますが、しかし何といたしましてもいまこういうふうな非常に景気が悪い、経済界の活動は沈滞をしておる、こういうときでございますので、なかなかこの構造の転換ということもむずかしい状態になっております。やはり産業構造の転換をする場合には、経済界が活力を持たないと新しく転進していくということがなかなかむずかしい、こういう事情にもありますので、省エネルギー産業への転換ということはこれからの最大の課題と私どもは心得ておりますけれども相当長期計画のもとに、景気の回復、産業活動の活力を回復しながらその過程においてこれを実現していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  144. 松尾信人

    ○松尾委員 抽象的に、長期に取り組んでまいる、大きな課題であることは間違いない、こういう大臣の答弁ですけれども、通産省が、エネルギー庁関係としまして、あなたの方ではどのように具体化策等を進めておるのか。大臣の答弁は少し抽象的に過ぎるのでありますけれども、もう少し具体的ないろいろな施策があるんじゃないですか、現在。
  145. 増田実

    増田政府委員 エネルギーの節約につきまして産業面においては二つの面があるわけでございますが、一つは、産業構造を変えまして、エネルギー多消費型の産業からエネルギーを消費するのが少ない産業、いわゆる付加価値の高い産業へ移すということを誘導する政策、それからまた同じ産業におきましてもエネルギーの使用の効率化を図るという点があるわけでございます。特にエネルギーの原単位を減らすとか、それからまた廃熱その他を循環利用してエネルギー効率を上げる、こういう点がございます。  それで、前半の問題につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、産業構造の転換につきましては、産業構造審議会で長期の見通しというものを立てまして、これをもって誘導していくという方針を出しておるわけでございますが、これにつきましては相当いろんな困難とまた相当時日がかかるわけでございます。  それから、もう一つエネルギーの使用の効率化につきましては、私ども先ほど申し上げましたように、各企業に対しましてエネルギーの効率使用、つまり原単位の向上その他の目標を報告させまして、それからまた実績をとっているということで、各種の推進策をやっておるわけでございます。また、エネルギーの使用の効率化を図れるような機器につきまして、減税あるいは資金の供給、その他の新しい制度が五十年度よりできておるわけでございます。そういうことで、エネルギーの消費原単位の向上、節約というものにつきましてじみちではございますが、いろいろの施策を行い、また同時に、各種のそういう手引きあるいは実例を周知徹底させるということで、その使用効率化のPRのための文書その他も、いろいろ私どもの方で出して、関係方面に配っている、こういう努力を重ねておるわけでございます。
  146. 松尾信人

    ○松尾委員 非常に不景気なときでありまして、だから産業構造の問題も手がつけにくいというようなお答えでありますが、いま各企業は、非常に公害が広まりまして公害防止の投資というのが年々累増しております。それで公害防止の産業というのが、一兆円とか幾らの産業にいま大きく伸びつつあるわけでありますけれども、構造改善の問題は、やはり早く手をつけて日本産業の進んでいく方向だとかそういうものを固めませんと、後で手おくれになりまして、いつまでもそういう面で資源の節減ができない、いつまでも資源多消費型の産業に頼らざるを得ないというような結果になりがちでございます。恐らく公害が広まったということと同じようなパターンがやはりそこにあるわけでありますから、これは大臣もそういうお考えは一つありましょうけれども基本的には日本産業政策としましては、やはりそういうものを定着させて、そしてがっちり固めていくというようなお気持ちはあると思いますが、いかがですか。
  147. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御意見の点は全く賛成でございまして、そういう方向に進めていきたいと思います。
  148. 松尾信人

    ○松尾委員 今回の政府の石油備蓄に対するいろいろの考え方、態度でございますけれども、どうも私はすっきりしない。そして、業界依存型であるということ、政府の責任の所在というものが不明確である。単に財政金融的な措置をとっておられるにすぎない。おまけに、この石油企業に対しましては、勧告だとか命令だとか罰則というものがございまして、非常に規制的である、規制法的な法律体系になっておるわけでありますけれども、どうも私はこの点は非常に基本的に疑問を感じます。でありますから、この法案を規制立法とした理由、そしてこの九十日備蓄というものに対する政府の責任は一体何か、そういう点を明確にしていきませんと、これは基本的な進め方ができないんじゃないかと思うのでありますが、大臣なりまたは長官なりのお答えはいかがですか。
  149. 増田実

    増田政府委員 石油備蓄増強につきまして今回石油備蓄法の御審議をいただいているわけでございますが、これは先生がおっしゃいますように規制法的な性格でございます。こういう規制法的な性格の石油備蓄法をなぜ出したかという理由についてのお尋ねでございますが、この石油備蓄を達成いたしますために、これを計画的に確実に実施していきたいというのが第一点、それからもう一つは、やはり公平に実施されるというのを担保いたしたいということで、こういうような形の石油備蓄ということで御審議を願っておるわけでございます。法規制によらずして行政指導でやればいいじゃないかという議論もいろいろあったわけでございますが、やはりこの五年間に九十日まで計画的に持っていきますためには、こういうことでやりませんと、行政指導だけではおのずからいろいろの意味限界がございますし、また、かえって企業別に不公平な場面もいろいろ出てくるということで、法律に基づきまして相当きっちりした、確実に、計画的に、段階的にこの九十日を達成できるようにということで今回の法律を御提案しておるわけでございます。  それからもう一つ、政府のこれに対する態度と申しますか、この備蓄達成につきまして政府のあり方という問題でございますが、石油備蓄を行います主体としては、これは石油企業に行ってもらうわけでございますが、ただ石油備蓄というものは、これは国家的要請に基づいて、企業にとっては非常に負担でもございます。そういう意味で、国も全面的にこの達成への協力をすると申しますか、この推進をする、こういう立場に立つわけでございまして、資金の問題、補助金の問題その他につきましてもこれが達成できるような形で協力をしていく。また、その立地の問題、それから国民の一般の協力を得てこの備蓄を達成いたしますための保安問題その他につきましても政府が責任を負いまして、これを強力に推進していきたいということで、政府が企業にだけこの責任を負わして、そしてほうっておくという気持ちでは全くございません。何としてでもこの九十日備蓄を五年間に達成する、政府としても全力を傾注してこれの実現に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  150. 松尾信人

    ○松尾委員 いまのお答えですけれども、結局結論を申せば、金はある程度出しましょうということは、この予算的な措置、財政投融資の関係からある程度それははっきりいたします。しかし、いまおっしゃった土地の取得の問題それから地域の方々とのいろいろな話し合いの問題、そういう点について、この法案の中に国のこの九十日備蓄増強についての責務というものがどこにあるわけですか。
  151. 増田実

    増田政府委員 ただいま御審議を願っております石油備蓄法案の三条に、これは「国の施策」ということで、ほかの法律にはなかなかないような条文を入れたわけでございますが、この後段に書いてございますが「この法律による石油備蓄の円滑化を図るための施策を講ずるとともに、石油備蓄確保の必要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない」ということで、国のこれに対する姿勢あるいは方針というものをここに掲げたわけでございます。私どもは本来これをさらに強く書きたかったわけですが、ここまで書くことも、私はほかの法律に比べれば相当な前進ではないかと思います。  それから、先ほど先生のおっしゃられました備蓄のための各種の財政金融措置が、五十年度を初年度として、従来とは飛躍的に増加いたしておるわけでございますが、それとともに、この安全の調査のための交付金というものを、このたび初年度ですから五億円ですが計上いたしまして、これは各県に配賦いたしまして、備蓄のための安全調査、それから地域の方々の理解を深めるための備蓄重要性のPR費その他に使えるようにということで、そういう配慮も一応予算の中ではしております。金額はわずか五億円でございますが、そういう方向は一応示しておるわけでございます。
  152. 松尾信人

    ○松尾委員 この石油備蓄を行うに当たりましての大事な点と申しますか、要点、これはまず用地の確保でありまするし、二番目が資金の確保、それから三番目には、コストアップの吸収という問題があろうかと思います。  用地の確保の問題では、一挙に私も申しますけれども、コンビナートの基地としていろいろ予定されておったところ、苫小牧とかいろいろのところがございますが、それぞれが公害等からの反対によりまして足踏み状態である。それから、五島の離島に対しましても、基地設置の問題がいろいろ出ましたが、これはやはり基地の方々の大反対で、これも立ち消えになりました。いろいろの案が出ますけれども、そのようにして次から次へ立ち消えになるということは、いかに用地の取得ということがむずかしいかという問題であります。では、これを政府がどのように三条の精神を生かして具体的にやるかということは、この点もむずかしい問題がありますけれども、何かお考えになりませんと、企業ではあらゆる点で行き詰まっておるということですね。その打開策というものは企業だけに任せておってはなかなかこれは解決ができないであろうという問題、それをどのように政府が側面的に三条の精神を生かして用地確保に努力するかという問題ですね。  それから、コストアップの問題は、また少しこれはお尋ねしなければならない点がありまするので、次に回しまして、以上の点についてはどのような考え方ですか。
  153. 増田実

    増田政府委員 この長期石油備蓄計画を達成しますために、相当な用地を必要といたします。この用地の確保につきましては、いろいろ問題点があるという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、この用地の確保ができなければ備蓄計画の達成は不可能でございます。そういう意味で、用地の確保がきわめて重要な点になっております。  用地の確保につきましては、やはり石油備蓄基地の安全性につきまして十分な措置をし、付近の方々がこの石油基地につきまして決して心配のないような体制を整える、これが一番重要であると思います。そのために、先ほども御説明いたしましたように、コンビナート災害防止法とかあるいは消防法の強化とか、それから私どもの方でもいろいろ水島の事故経験といたしまして各種の検討会をしておりまして、その結論に基づいてこれも行政指導をやっていきたい、こういうふうに思っております。やはり保安の対策というものが一番重要であると思います。  それからまた、この備蓄につきまして、これが国としていかに重要であるかということにつきましてやはり御理解を地域の方々に得なければならない、そういう意味で、これは私どもとしてもこの備蓄重要性につきまして広く国民の理解を得られるように努力していきたいというふうに考えております。
  154. 松尾信人

    ○松尾委員 この三条というものは、具体的に政府が施策を一つ一つ推進していかなくてはいけない規定であると思います、単なる精神規定じゃなくて。三条を生かす、それには一つ一つの問題があるから、それは業界に任せるのじゃなくて、そして解決に当たる、これが一つの、政府が責任を持つというところの実態的な表現になると思うのであります。この点、私は政府の働き、活動というものを強くここで要請しておくものでございます。  それから、今回の九十日備蓄で、三千万キロリットルというものの備蓄を要する。これについてはいろいろタンク建設費、土地代、原油代等一兆数千億、今後の物価の値上がり、土地代等の値上がり、そういうことを考えると、これは相当の膨大な費用になるということは、これはいろいろ質疑が出ましたのであえて問いませんけれども、やがてそのような事柄はこのコストアップの問題につながってまいるわけでございます。これを先ほど長官は、このコストアップの問題につきましては、キロ三百円から四百円というような内容の御説明があったと思うのでございますけれども、それはこの既存の六十日分というもののコストアップというものをちゃんと見込んだものであるのか、それとも今回の九十日分にするだけの計算であるのか、この一点をまず明らかにしていきませんと、コストアップの全容がわからぬのじゃないか、こう思うのであります。いかがですか。
  155. 増田実

    増田政府委員 先ほどコストアップの金額といたしまして、キロリットル当たり三百円ないし四百円と申し上げましたのは、六十日から九十日へ持っていく追加三十日分のコストアップ分を計算いたしたわけであります。内容といたしましては、金利負担あるいは償却、それから、固定資産税、それからタンクの運営費その他のいわゆる増加コストとして追加三十日分にかかるものを、企業の負担として、一年間の販売額のキロリットル当たりにどれくらい負担増になるかということで計算いたしましたのが、三百円ないし四百円、こういう計算になっております。
  156. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、いままでの六十日分のコストアップというものはどのようになっておって、どのように吸収されておるわけですか。
  157. 増田実

    増田政府委員 現在までの六十日につきましては、これは企業の全部の経理の中に入っておりますので、これだけ摘出しましてコスト要因というものはなかなか計算できません。と申しますのは、タンクも非常に古いもの、それから新しく建設して非常に費用のかかったもの、その他で、償却費その他の計算も違ってまいります。そういうことで、六十日分につきましてもこれは企業の負担となっておりますが、これが計算上キロリットル当たり何円になっているかということにつましては、私どもは計算できておりません。
  158. 松尾信人

    ○松尾委員 これは一説によりますれば、既存の六十日分を含めまして今回のさらに三十日分追加ということで、キロリットル一千円近くになるのだ、このような試算もあるようでございます。私はその点は自信もありませんので、ここではそういうことが言われておるということだけは指摘しておきますけれども、要するに六十日分につきましては、右油の製品価格の中に転嫁されておるわけであります。同じ問題は、今回の三十日分のコストアップにつきましてもやはりその分は転嫁されていくであろう、このように思うわけであります。それをどうにかしてそのコストアップを減らしていこう、できるだけ消費者に大きな迷惑をかけないようにしていこうという気持ちはわかりますけれども気持ちだけでは値段は下がらぬものであります。やはり具体的にお金は要りますし、利息は払っていかなければいけませんし、そして企業はいまいろいろ苦しい、苦しいと言っている状態であれば、どうしても値段が上がってくるという方向に向かわざるを得ないんじゃないか、やはり六十日分と同じく。そういう問題があります。  でありますから、私はそこでこの備蓄基本の精神に戻りまして、どうも日本経済安全保障の問題にもからんでおりまするし、基本的にこれは政府が責任を持ってやらなければできない問題であります。それから、国際的な条約、協定、そういう関係も、七月早々には九十日分の備蓄というものが日本国内でも確立されていく、これはいかないとかいろいろ関連がありまして、そういうものが今回の法案では民間中心型、政府は財政金融の応援型ということになっておりまして、そこにはいろいろ結果的にはコストアップが出てくる。それがいろいろ民間だけの——これは石油企業も社会的責任で当然備蓄をやらなくちゃいけませんが、一つは国の責任としまして、国際的なそのようないろいろの関連からも国が真剣に実現しなくちゃできない問題でありますから、そういうコストアップも含めてやはり国が大きく備蓄の問題につきましては責任を基本的にはとる、こういう明確なものがないと私はいかぬのじゃないか。そして、三条の先ほどの規定からも、政府がいろいろ具体的な行動をしていかなければ基地の取得もできぬのじゃないか。ですから、いろいろやるとおっしゃいますけれども、具体的にはいまからじゃないかと思うのでありますが、そういう問題も含めて、どうも私はこの備蓄法に対しまして政府の姿勢が、最初備蓄公団だとか半分政府が持つんだとかいうような構想から、だんだん財源難から大蔵省から押されて下がり下がって非常に苦しい法案になっているんじゃなかろうかというように、私はあなたの心をくむわけですよ。通産大臣もその点はおわかりじゃないかと思いますけれども、やはりそういう点でこの法案というものはもう少しがっちりと国の責任を打ち出して決めるべきものが、民間中心型になってしまった、このように私は思って残念にも思いまするし、施策としては、国の責任というものをあらわす態勢がそこに弱い、またほとんど見られないという、法文の上ではそういうものが見受けられるわけであります。その点は長官も、苦労してこられたあなたがやはりここではっきり自分の思いを言うて、そして今後大臣に対しましても資金の問題、それからあわせて石油備蓄に対する国の責任をどのように遂行するかという問題はがっちりしておきませんと、私は来年、再来年苦しむと思うのですよ。いよいよ税金が足らぬとか、何だかんだと大蔵省も言っていまするし、要る金もどんどん出まするし、こういうことで国の予算が出せるかということになりますと、せっかく五カ年計画の九十日備蓄というものが、法案は通ったけれども、それを推進する力がなかったとか、または財源関係で思わぬ方向に行ったとか、とうとう途中でこれは実現できませんでしたというような法律になっていくおそれもあるわけですよ。これは長官からと、大臣からもはっきりとしたお答えを私はここで得ておきたいと思います。
  159. 増田実

    増田政府委員 一昨年の石油危機経験いたしまして、私どもとしてはやはり備蓄を九十日まで持っていくということが日本のために、ことに経済安全保障のためにどうしても必要だ、こういう信念を持っております。ただ、現在のやり方、つまり先生から御指摘になりましたように、企業にやらして国が補助する、しかもその補助の内容が決して十分ではないではないかということでございますが、これにつきましても私どもも力足らずして反省はいたしております。ただ、五十年度に組みました予算につきましては、たとえば四%の利子補給とか、あるいは原油につきましては、原油の価格の九割までを全部政府保証の金で資金手当てをするということで、ほかの制度に比べては相当画期的な制度ができたと思っております。ただ、それにもかかわらず現制度ではまだ不十分な点がいろいろありますので、私どもとしては、資源エネルギー庁として来年度の予算でまたさらにこれの充実を図りたい、こういうふうに思っております。  それから、企業ばかりにやらせるという御指摘がございましたのですが、これは法律の面では出ておりませんが、予算面ではいわゆる共同備蓄会社というものをつくりまして、従来の企業が自分の持っている土地、あるいは今後買います土地ではもう限界が出たというときには、石油会社が共同して、そして共同備蓄基地を設けるという制度があるわけでございます。それに対しまして国が半額出資をするということで、一応現予算では三十億円を出資金として予定いたしておりますが、これは国と企業が共同して備蓄会社をつくりまして、そして九十日の備蓄達成に努める、こういう姿勢を示しておるわけでございます。
  160. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石油企業が私企業としてどの程度の備蓄を持っておれば企業の運営ができるかという問題でございますが、大体四十五日から六十日、こういうふうに言われておるわけでございます。したがいまして、六十日を超えて九十日までの備蓄をさせるということは、これは企業の能力を超えて、また経済性を超えて、国民経済の必要上持たせるわけでございますから、御案内のようにもっと国がめんどうを見なければならぬという議論が当然生まれてくるわけでございます。ことし初年度の分は、御審議をいただいておりますような内容でスタートいたしておりますけれども、さらに今後の四カ年間、五十一年から五十四年までの間には相当な金額も要るわけでありますし、石油企業の体力等から考えましてなかなかの負担だと思います。でありますから、石油企業の体力を強化すると同時に、政府自身も、このことが国民経済上どうしても必要であるという観点に立って、大きな政策の柱として進めておるわけでございますから、やり方等につきましても国がもっと力を入れなければならぬという御指摘については全く賛成でございまして、その進め方につきましては、先ほど長官が申し述べましたような方向でさらに検討を続けてまいりたいと考えます。
  161. 松尾信人

    ○松尾委員 次は、備蓄義務者の点でございます。  この法案による定義で、石油精製業者とは、また石油販売業者とは、石油輸入業者とは、このようになっております。  それで、私がここで聞きたいと思いまするのは、石油の輸入業者、それから精製業者、販売業者、これがそれぞれ一貫してやっている企業もございますれば、輸入と精製という業者、または輸入専門だとか精製専門、このように分かれておるわけでありますが、まず輸入もやる、精製もやる、販売もするというのは、この定義の中のどれに入るわけですか。
  162. 増田実

    増田政府委員 備蓄の義務を負います企業といたしまして、いま先生からおっしゃられましたように三つの態様がございまして、石油精製業者それから石油販売業者、石油輸入業者、この三つになっておるわけでございますが、いまお尋ねのように石油の精製もやる、それから販売もやる、また原料の輸入もやるというような業者はどの範疇に入るかということにつきましては、これは石油精製業者でくくっております。たとえば輸入業者につきましては、石油精製を一緒にやっておる場合は石油輸入業者にも入らないということで落として、全部をやっているものは石油精製業者でくくっております。
  163. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、それぞれ一貫の仕事をしておってもその中の中心の業務を引き出してはめ込む。そうしますと、石油製品製造業者の備蓄は全体の何%になるのか。石油販売業者の備蓄はどうか。石油輸入業者の備蓄は全体の何%か。その見当はいかがですか。
  164. 増田実

    増田政府委員 いまの三つの分類になりますのが、ちょっと私どもの方も数量で計算できておりませんが、会社数で言いますと、石油精製業者が大体三十一社と考えております。それから、石油販売業者、これは先ほど答弁申し上げましたように精製、販売を兼ねているものは当然精製業者としてくくられるわけでございますから、販売だけをやっておるという会社は六社。それから、石油輸入業者は、これは商社でございますが、これが大体十四社ということでございます。数量ではいまの石油精製業者か圧倒的に大部分を占めておる、こういう数字になります。
  165. 松尾信人

    ○松尾委員 パーセンテージはわかりませんでしたけれども、精製業者が圧倒的である。  それから、いろいろの点から企業がこの備蓄計画を実現できないことが起こるであろうと思われるわけであります。まず、あなたがおっしゃる企業の赤字、膨大な所要資金、用地難、立地難、このような悪条件があるわけでございますので、予定された備蓄実施計画または基準備蓄量というようなものが政府の通知量に満たない、こういうときには私がいま述べましたような点は正当な理由として認めるんですか。十条にいうこの関係はどうなりますか。
  166. 増田実

    増田政府委員 正当な理由ということで考えておりますのは、自己の責めによらない理由ということでございますので、たとえば災害が生じたとか供給国が保持すべき石油をとめたとか、あるいはタンクに故障が生じたとか、そういういわゆる外的な原因で基準量として指示されたものが保有できなかった場合を想定いたしておるわけでございます。ただ、これに対して、保有量に満たない場合に勧告あるいは命令ということになるわけでございますが、このときにはやはり企業が十分努力をしてそれでもできないのか、あるいは努力をしなくて備蓄義務を怠って、そして数量に達していないのかというのが判断の基準になってくると思います。そういたしませんと、国策に協力して備蓄をあらゆる犠牲を払って行っております企業と、それから努力をしないで備蓄量に達しない企業との間の行政上の不公平が生じますので、そういうことを勘案して行いたい、こういうふうに思っております。
  167. 松尾信人

    ○松尾委員 だんだん時間がなくなりますので、いまから先の質問は簡潔にお答え願いたい。  五条三項の勧告、この発動はどのような場合に行うのか。それから、十条の勧告はどのようなときに行うのか、この点でありますが、いかがですか。
  168. 増田実

    増田政府委員 五条の勧告でございますが、これは企業から出てきました石油備蓄実施計画につきまして、計画的に全体の基準、これは通産大臣が定めます石油備蓄目標でございますが、それに適応してないという場合には、これは勧告をしてその引き上げを提出してもらう、こういうことでございます。  それから、十条の方の勧告でございますが、これにつきましては基準量つまり保有すべきものとして義務を負っております基準量に達しないというところには、期日を決めて保有基準量に達するように勧告いたす、こういうつもりでおります。
  169. 松尾信人

    ○松尾委員 石油海外備蓄の点でございますけれども、これは国際CTS協力協会の設立発起人会の開催、いろいろニュースもあります。また、インドネシアにおけるいろいろな計画、こういう石油海外備蓄ということを積極的にどのように政府は考えておるのか、そしてその動きというものについて通産省はどのような見解を持っておるのか。また、この備蓄法案とそのような海外備蓄のいろいろな計画というものがどのような関連性があるのか、この点いかがですか。
  170. 増田実

    増田政府委員 まず最初に、今回の石油備蓄法と海外備蓄との関連について申し上げますと、私どもが今回御審議を願っております九十日に持っていく備蓄は、これはわが国の領土内においての備蓄を考えております。そういう意味で、海外備蓄はこの対象にはなっておりません。ただ、海外備蓄につきましては、現在いろいろの計画がございます。それから、日本の将来を考えていきますときにやはり石油の使用量は、総エネルギーの中のシェアは、できるだけ海外石油依存度を減らすために、私どもこれを減らしていきたいというふうに思っておりますが、やはり絶対量としてはふえていくだろうと思います。そういう意味からいいますと、将来国内において備蓄することについては限界というものもいろいろ出てくる。それで海外備蓄をすることで、石油供給削減されたときに、その備蓄されましたものを日本が自由に活用できるということであれば、これが国内になくても備蓄の効果を果たすわけでございますが、ただ海外備蓄でございますから、これについてはよほど政府間の取り決めとかその他をやらなければならないわけでございます。そういう意味で、この海外備蓄につきましては、その相手国との間の十分な約束と協力のもとにできなければならない。そういう意味では、この海外備蓄に対し志ましては、そういう詰めをいたしましてからこれを進めていきたい、こういうふうに思っておりす。
  171. 松尾信人

    ○松尾委員 この備蓄の方法でありますけれども、これは現在タンクが中心ですね、ほとんどそうであります。外国では岩塩坑にためておるとかいろいろの方法、地下貯蔵を考えておるようでありますけれどもわが国も狭い国土でありまするし、いろいろ問題点は現在あるわけであります。それから、不等沈下の問題とかいろいろ保安防災上の問題もありますが、そういう点についてはこの備蓄の方法としてはタンク以外に何かを考えておるのか、検討する課題として挙げておるかどうか、これはいかがですか。
  172. 増田実

    増田政府委員 現在のところは、先生がいまおっしゃられましたように、石油備蓄は陸上タンクによって行う以外に有効な方法がございませんが、今後の備蓄方式として新しい方式を、ことに安全問題、立地問題の観点から考えたいということで、通産省といたしましては海洋備蓄の方式の可能性についていろいろの調査を行っております。五十年度におきましても、これは海洋備蓄システムの開発という項目でほぼ一億円の予算が計上されておりまして、これで委託調査をいたしまして、いわゆるタンクのフローティング、海上に浮かんでおりますタンク、あるいは海底に着きます着底方式のタンクその他の調査、それから実験を行っております。これは政府の予算で一億円と言いますと非常に少ないわけですが、しかし調査費としては相当なつぎ込みをいたしておる、こういうことでございます。
  173. 松尾信人

    ○松尾委員 共同備蓄会社のことでございますけれども、この設立の要件なんかありますか、あればその要件は一体何か。それから、この共同備蓄会社の設立の見通し、それから設立資金というものは公団と民間の比率はどうか、折半かどうか、こういうことをここでは確かめておきたいと思います。並びに、公団の出資が総額三十億という枠が決められておるわけでありますけれども、このような資金の枠でいいのかどうか。  以上四点について簡単にお答え願いたい。
  174. 増田実

    増田政府委員 共同備蓄会社の要件でございますが、これはこの備蓄を行いますことにつきましての義務者、先ほど申し上げました精製業者、販売業者、あるいは輸入業者が共同して備蓄基地を設けたいというときにこれが設立される、こういうことになっておりますから、要件としては複数の備蓄義務者が共同してタンクを設けるというのが要件になっております。  それから、これにつきましての政府出資でございますが、出資金につきましては民間分とそれから国の分と、これが五十、五十の同額ということで考えております。それから、三十億円というものがいま予算に計上されておりますが、これは一つの共同備蓄会社だけでなくて、数カ所の備蓄会社に対して出資金の半額を提供する、こういう考えでおるわけでございますが、いずれにいたしましても共同備蓄会社につきましては初年度でございますので、初年度はまだ調査費とかその他でございますからそれほど資本金として要らないのではないかということで計上されておるわけでございます。  それから、共同備蓄会社について具体的な計画がどうなっているかというお尋ねでございますが、これについて私どもの方にいろいろ相談もございますが、まだそのはっきりとしたものは出てきておりません。
  175. 松尾信人

    ○松尾委員 これは大きな一つ備蓄の柱になっていますから、やはり固めていく必要がある。  これで最後の質問になるわけでありますけれども、安定供給の問題でございます。いろいろ油の消費節約の問題、それから産業構造の省エネルギーの問題、そういうことも基本的に大事でありますけれども、やはり大事なのは備蓄と並行して安定供給確保の問題が当然大事でございます。三木総理が八カ国に行かれた、また中曽根通産大臣もかつて中近東諸国に行かれた、こういうことでありまして、わが通産大臣も大きな決意を持ってそういう海外にいまから出ていこうとお考えのようでありますけれども、三木総理にしろ中曽根通産大臣にしろ一部実行がされただけでありまして多くのものがなお懸案、未解決になっているというような大臣の先ほどのお答えがありましたが、こういう未解決の問題をどのようにあなたが調べ上げて、そしてこれをどのようにやっていこうとされるのか。それから、海外備蓄の問題でありますけれども、これもやはり大きな国際間の協調の問題がありますし、安定供給と同じく相手国との折衝を要する基本的な大きな問題でありますので、両方ひっくるめて通産大臣のいろいろな考え方——最終的に仕上げていくのは、日本エネルギー問題を解決するのは通産大臣であります。そういう自分の責務の重大さからも、大きな決意を持ってこれは臨んでいかなければできないわけでありますが、どのような決意であり、どうような態度でこれを解決していかれようとするのか、これを伺っておきたいのであります。
  176. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 日本エネルギーを考えます場合に、当分の間はやはり石油中心になると思います。そこで、石油問題の課題とは何かといいますと、一つは安定的に石油供給を受けることであり、もう一つはこれをできるだけ安く供給を受けるという、この二つに私は尽きると思います。中近東との関係等につきましては、この二つの目的を達成するためにその関係というものをさらに強化しなければなりませんが、特に一昨年、三木、それから中曽根、小坂三特使が連続して参りまして、中近東の諸国に対しましていろいろな約束をして帰られたわけでございます。しかしながら、その中には順調に進んでおるものも若干ありますけれども、なかなか進まないものも非常にたくさんありまして、相手国からはどうしておるのだ、こういうふうな意見の出ておるところも相当あるわけでございます。そういう関係をこのまま放置いたしますと、日本に対する不信等も出てまいりまして、先ほど申し上げましたような石油を将来安定的に供給を受けるという面におきましても大きな障害になると思いますし、さらにまた一昨年以降中近東の諸国との間は、日本から見ますと非常に大幅な入超になっておりまして、アンバランスの貿易関係が続いておるわけでありますが、これの修正ということ等についても十分な話し合いをしなければならぬ、こういう問題もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、石油問題というものは当面日本の最大の課題でございますので、中近東との関係というものをさらに一層緊密にいたしまして、石油の安定供給及びできるだけ廉価に供給を受ける、この線について引き続いて努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。また、海外における備蓄即CTS構想ということについて話をせよ、こういうお話でございますが、これは先ほど長官が御答弁をいたしましたように、今回の五カ年間の備蓄計画につきましては海外のことは考えておらぬわけでございまして、国内中心に考えておるわけでございますが、将来の課題といたしましては当然海外も考えなければならぬと思います。これは五十五年以降の課題として当然考えていかなければならぬと思いますが、その場合に一番の問題点は、生産制限あるいはまた輸出制限という有事の際に、日本石油を安定して確保できるということのために海外備蓄あるいはまたCTSということを考えるわけでございますから、一体どこの国にそういうものを設けた場合にそれが達成できるのか、安易な考えで、十分考慮も調査もしないで、十分な詰めもしないでスタートしてかかりましても結局何にもならない。こういうことになりましては国費の大きなロスになるだけではなしに世界の物笑いにもなる、こういうことにもなりますので、スタートする場合には立地条件、その国との詰め、さらにまたそれが果たして守られるかどうかということにつきまして十分結論を調査いたしまして、その上でないとなかなか軽率にはかかれない、かように考えておる次第でございます。
  177. 山村新治郎

    山村委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会