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松尾説明員
お尋ねは三点ございましたが、まず第一点、日本の税率、特に協定税率が諸外国に比べて安過ぎるのに、さらに東京ラウンドでこれを下げようとしているのかということでございましたが、まず事実ほかの国と比べてどうかというのは、前にこの
委員会で
先生の方から御要求があって資料もお出しいたしましたとおり、アメリカとの
関係において見ますと、アメリカが相当に高いところにある。日本とECとを比べてみますと、日本の方が高いものもあれば、向こうが高いものもある。個別に見ますと若干のでこぼこがございますが、ほぼ同じ水準ではなかろうかということでございまして、日本が特に高いという
状況にないことは御指摘のとおりかと思います。
次に、現在
交渉が行われております東京ラウンドにおきましてそれをさらに下げるのか、こういう
お尋ねでございますが、新国際ラウンド、ただいま
交渉の緒についたばかりでございまして、どういうルールで、どういうものをどういうふうに下げていくかというようなことはまだ全然決まっておるわけではございません。私
ども一般的な
考え方といたしまして、日本の国策としては貿易の自由化の一層の推進が必要であるということで、この東京ラウンドに積極的に参加しておるわけでございますが、個々の産業あるいは個々の商品についての配慮というものは当然この
交渉の中でしていかなければならない、かように
考えております。
それから、第二点の
お尋ねは、四十八年とおっしゃいましたが、四十七年の十一月の関税の一律引き下げのことを御指摘かと存じます。これは
先生がおっしゃいましたように、当時、対外経済政策の一環としてその時期に急遽行われたということでございますが、同時に私
どもこのとき一律にかなり関税を引き下げましたのは、主として製品関税に限って引き下げをいたしたわけでございまして、その基本にあります
考え方は、当時関税率審議会の企画部会におきましていろいろ御
検討いただきました結果、日本の製品関税が特に諸外国に比べて高いという
状況にございましたので、関税体系のあり方としてもこの製品関税を下げようということを
考えておったわけでございます。その時期を十一月ということにいたしましたのは、確かに御指摘のような対外経済政策の一環という意味はあったわけでございます。したがいまして、現在は
状況が違うからこれをもとへ全部戻すべきでないかという御意見でございますが、私
どもといたしましては、これ全部を一斉に戻すということは必ずしも適当ではないというふうに
考えておりまして、やはり個別に、個々の産業なり商品の実態に応じましてきめ細かく
検討してまいりたいということで
考えております。
それから第三点は、特恵関税の供与が近隣諸国からの繊維品の輸入を非常に促進しておるのではないかという御指摘でございますが、特恵関税につきまして、繊維品についてはほかの産業に比べていろいろかなりきつい規制を行ってきたことは、たしか前にも
お答えをいたしたことがあったような気がいたしますが、ただいまその詳細な資料を手元に持っておりませんが、生糸、絹織物を例外品目にいたしておるとか、あるいはこの枠の運用等につきましても、繊維についてはほかの産品に比べてよりきつい制限をおいてまいったわけでございますが、最近国内の繊維
業界が非常な不況に陥っておるという実態を踏まえまして、本年度の特恵関税の運用につきましてはさらに慎重ないろいろな配慮をしてまいりたいということで、たとえばシーリング枠の弾力化の停止というようなことにつきましても、繊維
関係につきましては非常に機敏にこれをやるということで、その運用につきましては私
ども昨年度よりはかなり努力をしておるつもりでございますので、今後、
先生御指摘のような問題も頭に置きまして、一層運用には慎重に配慮してまいりたい、かように
考えております。