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1975-03-26 第75回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十六日(水曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 山村新治郎君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 萩原 幸雄君 理事 武藤 嘉文君    理事 佐野  進君 理事 中村 重光君       天野 公義君    内田 常雄君       浦野 幸男君    小川 平二君       塩崎  潤君    橋口  隆君       森下 元晴君    山崎  拓君       板川 正吾君    加藤 清政君       勝澤 芳雄君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         通商産業省機械         情報産業局次長 森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         外務省経済局資         源課長     苅田 吉夫君         外務省経済協力         局外務参事官  菊地 清明君         参  考  人         (石油開発公団         総裁)     島田 喜仁君         参  考  人         (アラビア石油         株式会社副社         長)      大慈彌嘉久君         参  考  人         (海外石油開発         株式会社代表取         締役専務)   田中 武喜君         参  考  人         (石油開発公団         理事)     楠岡  豪君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四三号)      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 石油開発公団法改正は、石油安定供給確保を目的としているということでありますが、この審議に当たって、まず私はわが国エネルギー政策全般の中でこれがいかなる位置づけになるかということについてお聞きいたしたいと存じます。  最初に、わが国エネルギー供給現状と将来のエネルギー供給見通しについてお伺いいたしたいと存じます。
  4. 増田実

    増田政府委員 わが国エネルギー供給現状、それから将来の見通しについてお答え申し上げます。  まず、現状について申し上げますと、昭和四十八年度のエネルギー供給実績から申し上げたいと思いますが、昭和四十八年度におきます総エネルギー供給量は、石油で換算いたしますと、約三億八千二百万キロリットルとなります。その供給量に占めます各エネルギー構成比でございますが、国産エネルギーであります水力が四・六%、それから国内炭は三・八%、それから国産原油及び天然ガスは〇・九%、その他若干の、木炭その他非常に微量なものを含めまして、国産エネルギーの占める比率が九・五%になっております。それから、私ども国産エネルギーと申しております原子力でありますが、原子力現状はまだわずかでございますので、それを含めまして一〇・一%が国産エネルギーになるわけでございます。  次に、輸入エネルギーでございますが、これが八九・九%でございまして、この八九・九%の中で一番大きいのは、七七・四%を占めております石油でございます。     〔委員長退席武藤嘉一委員長代理着席〕  それから、エネルギーの最近の状況でありますが、エネルギー需給状況は、石油危機産業活動の停滞や、また消費節約の浸透その他がございまして、需要相当減っております。四十九年度上期について申し上げますと、石油製品販売量は、前年の同期に比べまして二・六%の減少になっておりますし、また電力量につきましても一%の減少になっておりまして、いずれも四十八年度より減っておるわけでございます。これらにつきましては、従来は石油が大体一四、五%ずつ毎年伸びておりましたし、また電力量も大体一二%ずつ昭和四十年度以降伸びておりましたのが、非常に減っておるわけでございます。  それから次に、原油輸入について申し上げますと、四十八年度に比べまして四十九年度、これはまだことしの三月末までの数字を入れなければきっちりした数字が出ないわけですが、大体一千万キロリットルを超える減少が見られる、こういうことでございます。  大体現状は以上でございます。  次に、将来のエネルギー供給見通しはどうかということにつきましてお答え申し上げますが、これは私どもの方とそれから総合エネルギー調査会でいろいろ作業をいたしまして、去年の七月にエネルギーの将来の供給量を中間的に発表いたしたわけでございますが、これによりますと、昭和六十年度でエネルギーの総供給量計算といたしまして、これも石油換算でございますが、七億三千万キロリットルから九億二千万キロリットル程度供給が見込める、こういうことになっております。ただ、この上の方の数字の九億二千万キロリットルは、これは相当むずかしいのではないかということで結論が出ております。それによりますと、この低い方の数字は七億三千万キロリットルでございますが、これは年平均伸び率が五・七%ということになります。過去の十年間のエネルギー平均伸び率は大体一二%でございますので、半減というところになるわけでございます。それから、大きい方の九億二千万キロリットルは七・八%ということでございます。いずれにいたしましても、将来のわが国に対するエネルギー供給につきましては相当限界がある。このために、従来のような高度の成長率というのは期待できないというのもこのエネルギー供給の面から出てきております。  それから、いまの六十年度のエネルギー供給につきまして、この中で石油がどうなるかということを最後に申し上げたいと思いますが、この総合エネルギー調査会検討結果では、昭和六十年度におきます石油供給は五億キロリットルないし六億キロリットル、こういう計算になっております。昭和四十八年度の輸入総量は大体二億九千ということになっておりますから、これに比較いたしますと相当伸びではございますが、しかし伸び率としては従来に比べて非常に低いわけでございます。  これによりまして、四十八年度におきます石油の一次エネルギーにおいて占める比率は七七・四%であったわけでございますが、ほかのエネルギー開発推進ということで、できるだけ輸入エネルギーに対する日本の高度の依存から脱却するという努力を行ってこの表をつくっておるわけでございますが、それにもかかわらず、五億キロリットルですと、先ほどの一次エネルギー総量の中で占める率は六四・六%ということでございます。  そういうことで、現在七七%を占めておりますのが、六五%あるいはそれを若干下回るという数字でございますが、いずれにいたしましても六〇%以上はやはり石油に依存せざるを得ないということでございます。  大体以上申し上げましたのがエネルギーの将来、昭和六十年度を見通しました供給の量でございます。ただ、これにつきましては、現在引き続きまして作業を行っておりまして、需要の面がどういうようになるかということで、その突き合わせ作業を現在やっております。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、わが国エネルギー供給確保対策についてどう考えられておるかという点について御説明いただきたいと思います。
  6. 増田実

    増田政府委員 エネルギーというものが産業の基礎でもございますし、また国民生活というものを支えておるわけでありますが、このエネルギー供給確保をいかにするかということにつきまして現在考えております点を申し上げますと、まず供給面につきまして供給の安定的な確保、それから必要量確保、こういうことで、先ほども六十年度の数量を申し上げたわけでございますが、従来のような高度成長でなくてもエネルギー総量はふえていくわけでございますから、その供給をいかにして確保するかということにつきましては、一つには国産エネルギーというものをできるだけ推進するということでございます。  これにつきましては水力発電、これは全く国産でございますが、その推進を図るということでございますが、現在水力につきましては、大型のダムを建設いたします土地はそれほど残っておらないわけでございます。ですから、今後水力発電を起こす計画は大部分揚水発電ということで、揚水発電によりまして水力発電推進するということを考えております。それ以外に地熱開発、あるいは国内石炭確保ということで国産エネルギー供給の増を図るということでございます。それから、先ほども申し上げましたように、準国産エネルギーと私ども言っております原子力発電開発を積極的に推進するということでございます。  それからまた、将来の問題を踏まえまして新しいエネルギー、ことにサンシャイン計画あるいは核融合その他を中心といたします技術開発によりまして、エネルギー供給確保しょうということでございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席委員長着席〕  それから、国産では足りませんし、また先ほど申し上げましたように、石油が依然としてエネルギー供給の中で非常に大きな地位を占めておりますので、これにつきましては、石油供給源をむしろ分散化し、それから石油開発を進める、あるいは産油国との直接長期取引を行いましてその確保を図るということで、従来はメジャーからの供給で、しかも中近東原油がほとんど全部であったわけでありますが、その供給源をもっと多角化する。それから、石油開発につきまして、これはただいま御審議をいただいております石油開発公団推進母体といたしまして、さらに石油開発を進めていく。それから、世界の新しい傾向として、産油国と直接取引する石油の量がふえていくという趨勢にございますので、直接取引推進していくということでございます。  以上申し上げましたのが供給の面の対策でございますが、同時に需要の面におきましても、エネルギー使用につきまして使用合理化効率化節約というものを図っていく、これを行いませんと、今後のエネルギーというものにつきましては、石油の量につきましてもその逼迫化がいろいろ考えられておりますので、わが国におきますエネルギー消費量をできるだけ減らしていくという努力をする、これによりまして必要なエネルギーの安定的な供給確保を図っていきたいというのがエネルギー供給確保対策大要でございます。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、私は今後の問題としてやはり有限な資源から無限な資源によるクリーンエネルギー確保が重要だと思うわけでありますが、そのために具体的にどういうことが進められておりますか、その点についての御説明を賜りたいと思います。
  8. 増田実

    増田政府委員 クリーンエネルギー重要性につきましては、私どももこのクリーンエネルギーというものをできるだけ確保して、その占める量をふやしていきたいということで考えておるわけでございますが、まず一つクリーンエネルギーとして液化天然ガス利用をふやしたいということで、これは輸入促進それから国内における受け入れ体制整備というものが必要でございますが、この液化天然ガスの占めます量を相当大幅にふやしていきたいというのがクリーンエネルギー対策一つ項目になっております。このLNG、現在の輸入量はまだ非常にわずかでございまして、四十八年度の実績は二百三十七万トン、全体のエネルギーの中で占めるシェアは約一%弱ということになっておりますが、これをできるだけ大幅に進めまして、昭和六十年度におきますLNG輸入数量を三千六百万トン、あるいはできましたら六千万トンに持っていく、もし六千万トンに持っていくことができますと、これが大体九%ぐらいの総エネルギーの中の地位を占めるわけでございます。そういうことで、この液化天然ガス輸入促進というのが一つの大きな項目でございますが、さらに長期的にはいわゆる太陽エネルギーその他の無公害の新エネルギー技術開発を行いたい、こういうことでございます。  これは御存じのように、工業技術院が中心になりましてサンシャイン計画ということでやっておりますが、太陽エネルギーのほかにさらに水素エネルギーあるいは地熱エネルギー、それから石炭ガス化液化、これはいずれもエネルギークリーン化を図るということで、この研究開発推進をしていきまして、従来のエネルギークリーンエネルギーに切りかえることを促進していきたいというのが、現在私どもの考えておるクリーンエネルギー化施策大要でございます。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この太陽エネルギーについて「総合部会中間とりまとめ」の中にも書かれておりますけれども、「温水器等の形で既に一部利用されているうえに、太陽エネルギー利用による革新的冷暖房給湯システムについては比較的早く実用化も期待される」、こう言われておるわけであります。こういうものがどのくらいの経済的効果があるのかよくわかりませんですけれども、これについての開発普及を強力に進める必要があるということがうたわれておりますけれども、こういう問題についての施策はやはり行われておるのでしょうか。
  10. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、太陽エネルギー利用は、将来はこれを太陽エネルギー利用いたしました発電に持っていきたいということで考えておりますが、実用化の点では、最初段階冷暖房に使われるということが一応予定されておるわけでございます。それで、大体昭和六十年度になりますと、この太陽エネルギー冷暖房における利用というものが相当実用化される、こういうふうに考えております。  ただ、これと同時に、太陽エネルギーによります発電というものを進めていきたい。それで、これにつきましては当初は大体千キロワット程度試作プラントをつくりまして、それを順次引き上げて、西暦二〇〇〇年、これは相当先ではございますが、その二〇〇〇年前後には、現在の最大大型発電所でございます一応百万キロワットの発電所太陽エネルギーでやっていきたい、こういう計画になっております。そうなりますと、わが国エネルギー総量の中でこの太陽エネルギーの占める比率相当高くなるわけですが、先ほど御説明いたしました昭和六十年度では一部冷暖房には使われますが、総エネルギー量の中ではまだ非常に少ないシェアということで、表に太陽エネルギーを出すほどのシェアは占めないであろう、一ういうことでございますが、今後の新しいエネルギーとして私ども大いに期待しております。また、これがクリーンエネルギーでございますので、いろいろな意味でこの重要性というものが認識されておるわけでございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私もこの経済的効果がどの程度のものかわかりませんけれども、たとえば温水器あるいは冷暖房というような問題については、経済的な面を考えながら資源節約という立場からやはり検討されて、もし効果があるとするならば、こういうものにできるだけ転化させやすいような政策をつくってやる必要があるのではないかという点を特に申し上げておきます。  それから次に、総合エネルギー調査会総合部会の中でも述べられておるわけでありますけれども、特に昨年の石油危機以来、石油業法というものがつくられた当時から今日の状態というものは変わっておるのじゃないだろうか。こういう点から考えてみると、いままでの供給が過剰というような立場から業法というものは考えられておったのに、いまは逼迫をしておる。しかも、特に消費者の保護あるいは流通機構実態というものがどう把握されておったのかということから考えてみると、この際石油業法の再検討ということが言われておるわけでありますが、輸入あるいは元請、販売段階における規制を強化するとか、あるいは備蓄の義務づけあるいは消費者利益確保等、こういうものの必要性が言われておりますけれども石油関係の変化に対応したこの業法の再検討についてはどう考えられておりますか。
  12. 増田実

    増田政府委員 ただいま勝澤先生から御指摘ありましたように、石油業法昭和三十七年にできたわけでございまして、その当時の石油実態とそれから一昨年の石油危機後の石油実態と、いろいろな意味で変わっておるわけでございます。そういう意味で、石油政策基本をなします石油業法について、その改正が必要ではないかということがいろいろ言われておりますし、また総合エネルギー調査会石油部会でも石油業法の再検討をすべきだということで、先ほどお挙げになりましたように、輸入、元売り、販売段階における規制をどうするとか、あるいは消費者利益確保をどうするとか、その他が指摘されておるわけでございます。私どもの方も、石油業法というものをいかにすべきかということにつきまして内々いろいろ検討いたしておりますが、まだ石油情勢というものが非常に流動的でございまして、これにつきまして、たとえば石油の価格が将来上がるのか下がるのかにつきましても、これは専門家の中でもまだ意見が一致しておらないという状況でございます。  また、石油業法改正いたしますと、これは石油生産面のみならず流通段階におきましても、相当幅広い改革を行わなければならないということでございますが、この実態も十分に把握し、また石油政策基本となります非常に重要な事項でございますので、私どもは慎重に行いたいということで、これに関します検討はやっておりますが、まだ結論を出すには至っておらないというのが現状でございます。御指摘のありましたように石油業法の見直しが必要であるということは私どもも考えておりますし、また先ほど申し上げましたように内々の検討は続けておるわけでございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、大臣にお聞きいたしますけれども石油産業体制のあり方という点でありますけれども石油危機の経験から石油業界に対する不信というものが高まっております。諸悪の原因は石油業界だとまで言われてきたわけでありまして、そのカルテル行為、また最近は石商連のガソリンスタンドまでにおけるカルテル問題こういう点を考えてみますと、この石油業界自体個別資本で利害が複雑にからまり、いまこの総合エネルギー調査会で企業の自主的な集約ということが困難ではないだろうかという指摘までされているわけであります。  それで、なおかつ、石油安定供給確保のためには、国際石油資本から協力開発原油とか、あるいは産油国との直接的な取引というようにいろいろな体制が行われているわけでありまして、今度のこの公団法によれば、産油国との直接的なところまで入ったいろいろの関係までやろう、こういうようなことを考えてみますと、石油業界体制体質改善といいますかあるいは集約化といいますか、こういう問題についてもやはりこの際考えてみなければならぬときにきておるのではないだろうか、こういうように思いますけれども、そういう石油業界体制整備の問題についてお伺いいたしたいと思います。
  14. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かにいまお述べになりましたようないろいろな問題はあるのですけれども、しかし何分にも世界石油事情エネルギー事情というものがきわめて流動的でありまして、一昨年秋の事情と現在の事情は根本的に変わっておりますし、さらに今後それがどうなるか、なかなかむずかしい問題がたくさんございます。特にことしは石油をめぐるいろいろな国際会議等が開かれまして、産油国消費国関係をどうするかというふうな問題も議論されることになっております。  そういう事態が一応落ちつきまして、将来ほぼこういうことで進むのではないかというふうな見通しが立つのには、若干の時間がかかると思います。そういう見通しが立つような段階におきましては、日本石油業界は比較的弱体でございまして、このままの体制ではやはり若干の問題があるんじゃないかと思います。そういうこともありますが、再編成をすべきかどうかというふうな問題につきましてはもう少し先に検討してみたい、事態の落ちつくのを待って検討してみたい、こういうふうに考えております。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 わが国エネルギー資源相当大きな部分輸入に仰いでいるわけでありまして、そういう点で、最近の国際情勢の変動等々から考えてみると、なおさらやはり国の果たすべき役割りというのは大きくなってきている、いままでと同じように民間に自由な競争をさせるようなやり方でいいだろうかどうだろうかという点について、私は実は疑問を持つわけでありまして、ぜひ大臣のいろいろな御検討をお願いいたしたいと存じます。  そこで、けさの新聞によりますと、中東サウジアラビアファイサル国王が暗殺されたということは、これは中東戦争の一番中心的な役割りをしてき、また中東石油取りまとめ役というようなことをやってきた立場にある国王であるがために日本としては大変関心を持たざるを得ないことだと存じますけれども、この問題に対しての今後の情勢というものについてお聞かせ願えればと思うわけであります。
  16. 河本敏夫

    河本国務大臣 ファイサル国王の暗殺というニュース、われわれも非常に驚いておるわけでございますが、まず私は、ファイサル国王の急逝に対して、日本としても深く哀悼の意をささげなければならぬと思いますし、私自身もさように考えておるわけでございます。  いまお話がございましたように、日本石油問題といえばまず中東問題、中東といえばファイサル国王、こういうふうに言われるくらい大きな存在であったわけでありますが、特に日本にとりましては、一昨年の暮れ石油問題が起こりました直後に、当時の三木総理中東を訪問せられまして、まず第一番に会われたのはこのファイサル国王でございます。そして、ファイサル国王との話し合いによりましてアラブ全体との友好関係が確認をせられ、そして副総理がその後数カ国を訪問されたわけでありますが、その訪問先に対してもファイサル国王からそれぞれ適切なる手を打っていただきまして、その結果、話し合いが大変スムーズに進んだ、こういうこと等もあり、日本に対するきわめて深い理解者であった。そういう意味におきましても、わが国に対しては私は相当影響があると思いますし、またアラブの盟主として指導的役割を果たしておられましたその重要な立場等から考えまして、世界情勢にも大きな影響があろうかと思います。  ただ、何分にも急なことでございまして、ただいま政府の方へ入っておりますニュースでは、きわめて大ざっぱなことしかわかりませんで、皇太子のハリド第一副首相が即位せられ、そして第二副首相ファハド王子皇太子につかれた、こういうニュースしか入っておりませんので、どのようにこのサウジを中心とする政局が動きますか、もう少し事態を見きわめませんとはっきりしたことは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、わが国にとりましても世界にとりましても相当大きな影響がある、日本としては十分その成り行きを注視しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三木総理がかつてお話し合いを持たれたところでもありますし、また前尾衆議院議長以下各党代表サウジアラビアに参りまして、国王とお会いして、いろいろと親善友好を深めてきた仲でありますので、何といいましても大変重要な立場、重要な国でありますから、十分なこれについての対処を要望いたしておきたいと存じます。  それでは次に、この法案の一番中心であります海外石油開発の問題についてお伺いいたしますが、わが国海外石油開発現状と将来の方向について御説明をいただきたいと思います。
  18. 増田実

    増田政府委員 わが国企業によります海外の石油開発について申し上げますと、まず昭和三十三年に設立されましたアラビア石油、これが石油開発を海外で行いました日本での最初の企業でございますが、その後数多くの企業が設立されまして、大体現在五十社ぐらい、中にはすでに失敗というのがわかって作業をとめているのも入っておりますが、約五十社ぐらいが探鉱開発を進めてきているところでございます。  このうち、開発が成功いたしまして、実際に石油が入ってきておりますのは、第一にはアラビア石油でございますが、それ以外にもアブダビ石油あるいはインドネシアの石油資源開発会社等が成功しておりまして、これによりまして、昭和四十八年度におきますこれらの開発会社の原油輸入量が二千四百五十六万キロリットルに達しております。これはわが国の総輸入量かちいいますと、約八・五%ということで、まだまだ少ないわけでございますが、それにいたしましても、昭和三十六年度にアラビア石油からの石油が入着いたしましてから、四十八年度までの累計で日本開発を行いました石油輸入総量は、約一億九千万キロリットルにいま達しておるわけでございます。  それから、投資額につきまして申し上げますと、昭和三十三年度から四十八年度までの探鉱開発の総資金額は累計で約四千七百八十億円に達しております。その内訳は、探鉱に投じましたものが大体二千四百九十億円、それから開発の方に投じましたのが二千三百億円、こういう数字になっております。しかも、海外の石油開発は年を追って非常に規模が大きくなっておりまして、昭和四十八年度一年だけの実績を言いますと、千三百十二億円の探鉱開発投資が行われておるわけでございます。  これらの石油開発につきましては、政府昭和四十二年の十月に石油開発公団を設立いたしまして、探鉱資金の投融資あるいは開発資金の債務保証等のいろいろの新しい積極的な推進策を図ってきたわけでございますが、公団の探鉱投融資で支出いたしました金額は、昭和四十九年度末で累計が大体千六百億円に達することが見込まれております。それから、来年度でございますが、これは現在予算の審議を国会でいただいておるわけでございますが、五十年度予算の政府原案では投融資規模を一千億にするということで、相当大幅な規模の拡大を行っております。ただ、産油国におきます事業参加の伸展とかあるいは開発条件の悪化とか、いろいろ海外石油開発をめぐります諸条件が相当厳しさを加えておりますが、しかしながら石油安定供給確保の手段といたしまして、この海外石油開発重要性は依然としてきわめて高いものでございます。そういう意味で今後とも新規地域への積極的な進出というものを図り、また供給源の分散化を図るということで、この石油開発というものをさらに積極的に推進していきたいと思っておるわけでございます。ことに最近の石油開発形態というものが、いろいろ新しい形態も出ておりますし、また従来の経験によりまして、従来の石油開発公団の業務だけでは達成できないということで、今回御審議をいただいております石油開発公団法の業務の追加もこの線に沿って御審議をいただいておるわけでございます。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは次の問題で、今後の石油開発を強力に進め、これを石油産業全体の強化に役立てるためには、石油開発と精製とを一貫して行う企業体制が必要ではないか、こう思いますけれども、この企業の一貫的な体制についてどうお考えになりますか。
  20. 増田実

    増田政府委員 石油につきまして確かに開発部門とそれから精製販売部門というものを一貫したら体制が強化され、石油開発が強力に進められるのではないかということが言われておるわけでございます。諸外国の石油開発体制というものもやはり一貫会社が行っているのがいま大部分でございます。ただ、わが国におきましては開発部門、アップストリームと言われておるわけでございますが、それと精製販売部門、ダウンストリームというものとが分離いたしておるわけでございます。これはわが国石油産業体制の顕著な特徴ということが言えるかと思います。そのような体制ができましたのは、歴史的にいろいろ原因があるわけでございますが、やはり原油供給が非常に安定しておる、それから確保が容易であるというような時代に沿った体制であるということが言えると思います。  そういう意味で、世界的な原油供給構造が一変いたしました今日におきまして、こういう体制で果たしていいかどうかということについては、これは今後体制問題として重要な課題になっておるわけでございます。総合エネルギー調査会石油部会でこの点についてもいろいろ討議が行われまして、昨年その中間取りまとめの発表が行われたわけでございますが、その中におきましてもこの問題が非常に大きな問題として指摘されております。ことに将来のことを考えますときに、精製は、やはりその原料である原油を安定的に確保できるように開発部門を一緒に取り込んでおくべきではないか、それから開発の方にとりましても、開発して石油が出ましてその販売を行うというときには、開発会社だけではできませんので、これは精製販売部門というものを持っておるという方が市場が確保されるということで、双方にとってメリットがあるわけでございます。そういう意味で生産、つまり開発とそれから精製販売という部門を合体して、そうして一貫した体制にする方が開発部門におきましても、それから販売部門におきましてもそれが強力化いたしますし、それだけの効率が上がるということでございます。  ただ、この石油部会の中間取りまとめにおきましても、理論的にはこの一貫体制というものの必要性を説いておるわけでございますが、ただ現状におきましてはまず最初に現在の開発部門が非常に多数の会社で行われている、先ほど申し上げましたように五十数社で行われている。ことにそれがワンプロジェクト・ワンカンパニーということで行われている体制を、まずそこから手をつけて、つまり開発部門の体制強化、それから精製におきましても元売り十三社あるいは精製三十数社というような体制が果たしていいかどうか。これにつきましても、そのおのおのの部門におきましての体制問題を解決した後に、さらに第二段階として開発とそれから精製販売の一貫化を図るべきではないか、こういうことになっております。こういうように二段階にするのがいいのか、あるいは両方一緒にやるのがいいのか、これについてもいろいろ議論がありまして、私ども体制問題についていろいろ検討いたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、現在まだ世界石油情勢が非常に流動化いたしておりますので、この将来を見た上での体制をいかにすべきかということにつきましては種々の議論も出ておりますし、またその結論が出ておらないという段階でございますが、しかし将来の問題といたしましては、体制問題というのが石油に関しての最大の問題であり、またこれは実現しなければならない問題であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いま長官も言われましたとおり、体制の問題というのは、遠い将来というよりももうすぐやらなければならぬ問題だ、私はこう思うのです。それは石油供給状況というのはいろいろ流動的であっても、日本国内的に見れば、これは大変なエネルギー中心になっているわけでありますから、そういう点からいって、私は早急に体制についても手をつけることを望みたいと存じます。  時間がありませんから少しはしょりますけれども、そこで特に今度の石油開発公団法改正の中身についてちょっとお伺いいたしますが、この改正の最大目玉だと言われているのは、公団による直接利権取得についてだと思います。公団が直接利権取得をする、これはどういう必要からなのか、この点についての御説明を賜りたいと思います。
  22. 増田実

    増田政府委員 公団の直接利権取得につきましては、今回の石油開発公団法改正で業務の追加の一項目になっておりますが、なぜ直接利権取得を公団にやらせるのかということにつきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  従来わが国では民間企業が交渉の主体となりまして、そして石油開発に必要な利権、その他の獲得を行ってきたわけでございます。そういう体制のもとに石油開発公団は企業に対して出資もしくは融資をする、ですから利権交渉その他は企業が行うということになっておったわけでございます。ところが、石油開発公団がいろいろの業務をやりまして、これは七年たっておるわけでございますが、この直接利権取得ができない点が、石油開発促進するための一つの非常な問題点ということで、これを解決いたそうというのが今回の改正の趣旨でございますが、この必要性が出てきましたのは、近年、産油国が交渉相手として政府機関を望むというようなケースが非常に多く出てきておるわけでございます。その例が幾つかあるわけでございますが、たとえばビルマの石油開発につきまして、先方から公団と話し合いをしたいという申し入れがあったということで、このような例はバングラデシュの開発につきましても出ておりますし、またそれ以外に中近東におきましても公団と直接交渉をしたいというようなケースが出ておるわけでございます。それが一つの理由でございます。  もう一つは、石油の利権を取得いたしますとき、非常に期限が限られるというのが何回か出てきたわけでございますが、現在の業務の対象となっておりますのは、企業が利権を取得いたしまして、それに対して公団が出資、融資をするということで、企業がありませんとそれの対象にならないわけでございますが、まず企業が設立されるまで、これは相当な期間がかかる。ところが、実際の利権の交渉というものは期限が限られているということで、一応企業が設立され将来石油開発公団から出資、融資の対象になるということが予定されておりましても、その期限までに実際の企業が設立されていない、ところがその交渉はそれまでに終わらなければならないというようなケースがいろいろ出てきております。それに対しまして、今回この直接利権取得として出しておりますのは、将来は設立された企業に当然肩がわりするわけでございますが、それまで期限が限られている、あるいは先方が最初の交渉は公団、政府機関とやりたいという場合には、直接利権を公団が取得いたしまして、そしてできるだけ早い機会に企業を設立させましてそれに譲り渡す、こういう形のものでございます。直接利権取得という項目一つの新しい業務の追加といたすことを今回改正案に出しましたのは、従来の石油開発公団の経験で、この点従来の業務範囲が実態に合ってないということで、これを追加いたしたいというのが趣旨でございます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この公団に対して直接利権取得権能を持たすということと、それからいままで考えていた中核企業を育成するのだという考え方との関連はどういうふうにお考えになるでしょうか。私はやはり公団が利権を取得して、それを公団としてやっていく方がいいのじゃないだろうかという気が実はするわけでありまして、中核企業の育成をするというならば、育成するということの方向をきっちりしていかないと、やはり何か中途半端なものになってしまうのじゃないだろうか、こういう点についてのお考えをひとつ御説明いただきたいと思います。
  24. 増田実

    増田政府委員 石油開発体制整備ということで、先ほど先生から石油開発と精製、販売を一貫にすべきではないかという御質問がございまして、私から一応、石油開発企業が非常に多くなっているのでこれをできるだけ体制整備をいたしたい、そのときに中核企業というものを幾つかつくりまして、そして石油開発を強力に行う方針にいたしたいということで申し上げたわけでございます。  ただ、そうすると、じゃ中核企業というものができれば、いまの公団の直接利権取得というものとの関係はどうなるのか、矛盾するではないかということでございましょうが、私の方で考えておりますのは、この中核企業というものは、現在これに似たような統括会社というものが八社できておりますが、これは現状では私ども先ほど御説明いたしましたいわゆる中核企業というものにはまだ達していないと思います。統括会社は、資金的には一つの受け入れとしてはその役割りを果たしておりますが、技術の面とか経験の面においてまだ十分ではない、将来石油開発をいたしますための強力な中核企業という段階に達しておらないと思います。もし、中核企業というものが相当できておる段階になりますと、先ほど申し上げました直接利権取得というものを公団みずからが行う分と、それから中核企業が行う分とでは、これは恐らくその中核企業が行う分が相当ふえてくると思います。その中核企業が相当育成され、それが発達してくれば公団の直接利権取得というものの数が減ってくるということになるとは思いますが、現段階ではまだこれらが育成の段階でございまして、まだ相当な期間を要するということで、現時点ではやはり公団による直接利権取得が必要だというふうに考えています。  それから、先生先ほどおっしゃられました、むしろ公団が直接利権取得をやった方がいいのではないかという御質問でございますが、これはいろいろのケースがございまして、中核企業に全部任せるとか、あるいは公団の直接利権取得で全部やらせて、そしてその上で企業に譲るということではございませんで、やはりそのときのいろいろな条件が出てきますので、公団が直接利権取得する形態もあると思いますし、また中核企業が全面的に出て、公団からは出資、融資を受けるだけということで、それぞれの分野ができてくると思いますが、現状では中核企業がまだ育成されてない段階でございますので、公団が直接利権取得しなければならないケースというものが今後幾つか予想されるということで、今回の改正をお願いいたしている次第でございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 長官、石油産業体制というものを現状の中で見詰めて方向というものをつくっていくと、いま出てきているようなものにしかならないと思うのですけれども、しかし石油産業体制というものをこういう方向に持っていくんだという一つの方向がつけられて、その中の公団の位置づけというものが出てくれば、私はおのずから中途半端なものでなくてすっきりしたものが出てくるのじゃないだろうか、こう思うのです。そういう意味で、石油産業体制についてはやはり国民的ないろいろな議論があるわけでありまして、石油危機を通して業界の精製から販売に至るまでの状態を見て、これでいいとはだれも思っていないわけであります。ガソリンスタンドがお互いに競合し合っている、日本経済から見てむだじゃないだろうかという点もあるわけです。そういう点から考えてみると、私もやはりこの辺で、公団というものがせっかく海外における直接利権の取得をするということになるならば、やはり一貫的なものの考え方が必要ではないだろうか、ということは、これは総合エネルギー調査会の答申がおくれているようでありますけれども、答申も答申ながらやはり一つの通産省としての方針というものがあってしかるべきでないだろうかなという気が実はするわけでありまして、その点を私なりに意見として申し上げておきたいと存じます。  それから次に、時間もございませんので備蓄の問題でございますが、石油開発公団の臨時業務として備蓄の問題が考えられているようでありますが、これについての理由は何なのか、御説明いただきたいと思います。
  26. 増田実

    増田政府委員 備蓄につきましては、昭和五十四年度末を目標にいたしまして九十日の備蓄増強を達成するということで、来年度、昭和五十年度から計画をスタートさせるということで考えておるわけでございます。  それで、石油開発公団は、これは従来から原油購入資金の供給をやっておるわけでございますが、これに伴いまして今回は共同備蓄会社に対する出資、融資の業務を加えるわけでございます。それで、この業務は一応本業務でなくて臨時業務ということで、附則に掲げまして業務の追加になっておりますが、臨時業務といたしました理由は、九十日の備蓄増強計画が、先ほど申し上げましたように五十四年度末で九十日に達するという計画でございますので、公団がやっております開発業務という本業務と離しまして、公団の臨時業務として附則に掲げて、そして五十四年度末までの業務といたしておるわけでございます。ただ、五十四年度でこれがすべて終わるかということになりますと、出資、融資をいろいろいたしますので、その業務はいろいろ残るわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、九十日計画というのは五十四年度で目標を達成するわけでございますので、これを本業務の中へ掲げるのはむしろ不適当ではないかということで附則の方に掲げた次第でございます。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 では、最後に大臣にお尋ねたしますが、最近の石油関係の一連の事故などの影響で地元が大変反駁を示している折からでもありますので、備蓄計画がいま計画されているように進むとは実は私は考えられないわけでありまして、また各所に精製工場の新設についてもいろいろと問題が起きているわけであります。こういうようなときに、政府として備蓄問題について責任を持ってやれるのかどうなのかという点について大変疑問を持つわけでありますが、政府としての決意のほどを最後に大臣からお伺いいたしたいと思います。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油関係の仕事を進めていきます上におきまして、石油精製、石油価格あるいは石油の備蓄で、一番大事な問題はやはり何と申しましても安全の確保、防災対策、こういうことについて地元の十分な了解が得られるということが先決条件であろうかと思います。そういうことでございますので、今度の備蓄問題につきましても、安全の確保、地元の了解ということにつきまして十分配慮をしておるつもりでございます。そういう意味で予算も組んでおります。御指摘のような点を十分考慮いたしまして、この九十日備蓄ということは、わが国にとりましてもぜひ実現をしなければならぬ政策でございますので、そういうことを配慮しながら実現に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いずれ法案が出されるようでありますから、そのとき議論することにいたしまして、以上で約束した時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  30. 山村新治郎

    山村委員長 玉置一徳君。
  31. 玉置一徳

    ○玉置委員 まず、政府にお伺いしたいのは、今度の公団法の一部改正でありますが、そのうちの大きな柱の共同備蓄が、いまもお話しのように臨時に、こういうお話でありますが、備蓄が九十日分必要であるという要請、さらにその九十日分というのは、いまのところ若干の停滞を示しておりますけれども将来とも非常に大きく伸びていくだろうと思われる日本石油需要に合わせますと、これがさらに増加していく、こう思うのです。前のときの構想では、石油公団の前国会のものでは、政府並びに民間が折半で共同出資をして一括備蓄するようになっておったのが、今回の構想ではプロジェクトごとにそのことを行うようにされたわけでありますが、その理由は、メリットは一体どういうものでありますか。
  32. 増田実

    増田政府委員 備蓄につきましては、九十日備蓄にぜひ増強いたしたいということで、そのやり方を私どもいろいろと考えておったわけでございますが、その一つといたしましては、先生のいま御指摘になりましたように、全国で一社の原油備蓄会社というものをつくりまして、そこで必要な備蓄増強分を一括して備蓄する、ただその石油基地はこの一本会社が幾つか適当な地に設ける、こういう構想もあったわけでございますが、五十年度の予算で一応計画いたしております内容は、共同備蓄会社はむしろ複数のものにいたしたい、つまり全国一本でなくてやはり何社かを持っていきたい、それでこの共同備蓄会社何社かの石油企業というものが集まりまして、そして具体的な石油備蓄基地候補地が決まりましたら、そのプロジェクトごとに設立される、そしてそれに対しまして石油開発公団が半額出資するということで、半官半民のいわゆる第三セクター的なものを持っていきたい、こういう形になっております。  それで、前に考えておりました全国一社の形態にいたしませんでしたのは、やはり共同備蓄会社というものが全国一本で全石油会社とそれから国との出資でやるよりは、むしろ具体性に即しまして、そして各プロジェクトごとで発足させるという方が企業の自主性も生かすことになりますし、またその地域の特性をも生かすということで、こういうふうに考えを改めて複数共同備蓄会社案になっておるわけでございます。  それから、なおつけ加えて申し上げますのは、九十日に備蓄を持っていく、現在の六十日から三十日分ふやすわけでございますが、これにつきましては、全部共同備蓄会社ということではなくて、大体今後増強いたします三十日分の四分の一くらいの数量を共同備蓄会社に持っていきたい。それで、残りの四分の三の取り扱いでございますが、これにつきましては、現在の石油会社がまだ工場の周辺に相当タンク用地として持っておる未利用地がございますので、それを利用させる、あるいはすでに石油会社が計画いたしておりますタンク基地、そこに備蓄させる。ただ、これにつきましても、現在立地問題その他いろいろ限界がございますので、その不足分につきまして、先ほど申し上げましたように大体今後備蓄いたします三十日分の四分の一強につきましては、共同備蓄会社、しかも複数の共同備蓄会社でやる、こういうことになったわけでございます。先ほど先生から言われました全国一本の共同備蓄会社という構想は、一応今回は改めて、いまのような考え方にいたしたわけでございます。
  33. 玉置一徳

    ○玉置委員 それでは、四十九年十一月、資源エネルギー庁から出ておりますが、「石油備蓄は緊急事態に備えていつでも用意しておかなければならない、いわばデッドストックである。この意味で備蓄の概念は、通常の在庫とは全く別のものである。現在石油の在庫は七十日をこえているので、九十日備蓄達成は石油企業にやらせれば簡単にできるというのは誤りである。」こういうようにわざわざパンフレットをこしらえて国会並びにその他の関係にお配りになっているのですが、急にそういうことに変わったのはどういう意味でありますか。
  34. 増田実

    増田政府委員 いま先生の続み上げられました考え方は、私どもは変わっておりません。石油会社が、通常ランニングストックとして持っておりますのは、普通の営業からいいますと四十五日、五十日以内で十分なわけです。ところが、石油会社といたしまして、石油企業というものを行っている以上、やはり少なくとも六十日の備蓄は持っておるべきではないか、これは石油中東戦争のような一方的な供給削減だけでなくてもいろいろな故障というものも起こりますし、そういう意味から言いますと、産業の基礎であります石油というものを扱っている業界としては六十日は持つべきだ、こういうふうに考えているわけです。  ところが、これをさらに九十日の備蓄増強計画ということになりますと、企業がこれを全部負担してみずからの手で九十日のタンクを設置し、そしてその中に入ります原油を保有するということは、これは企業の負担の限界を相当超えている、こういうことであると思います。そこで、六十日から九十日にふやします三十日分につきましては、国が相当大幅な助成措置を行うということが必要であるというのが、今回五十年度を初年度といたします九十日石油備蓄増強計画の内容でございまして、具体的に言いますと、三十日分の、つまり六十日を超えて九十日に至ります三十日分の原油につきましては、その資金は国がめんどうを見る、それから利子も利子補給をするということで、それによって保有をさせる。それからまた、タンクの建設、土地の取得その他にも多額の金が要るわけでございますが、これにつきましても特利で資金を供給する、こういうことになっております。  ところが、先ほども申し上げましたように、いまのような促進措置を受けましても、企業みずからではなかなか九十日までの備蓄ができないというその限界がございます。その限界がございますので、それを促進いたしますために、先ほど御説明申し上げました共同備蓄会社という構想が出たわけでございます。それで、共同備蓄会社をつくりまして、それに半額は政府が出資をする、また共同備蓄会社が設置いたしますタンクあるいは土地の取得のための費用につきましては低利の資金を供給するということで、以上言いましたように国が相当促進する、そして九十日に持っていく、こういう構想になっておるわけでございます。  それで、去年の予算の前の私どもの構想といたしましては、先ほど先生からも御質問ありましたように、共同備蓄会社一本化する、あるいは備蓄公団というものをつくりまして、国が一括して備蓄をするといういろいろな構想があったわけでございますが、しかしいま申し上げましたように、企業に対する助成とそれから不足分に対しては共同備蓄会社がやるということでやれるということで切りかえたわけでございます。ですから、根本的な思想につきましては、やはり六十日から九十日まで持っていくのについては、これは企業の自力ではできない、そこに国が大幅な助成をする、こういう思想でございますので、先ほど冒頭に申し上げましたように私どもの考え方は変わっておらないわけですが、ただ実現の方法について相当内容の変更があったわけでございます。
  35. 玉置一徳

    ○玉置委員 もう少し要領よく、ひとつ簡潔にお願いをしたいと思います。  私はそういう意味じゃないと思う。いまのは言いわけにしかすぎないと思うのですが、昨年備蓄公団を企図したけれどもそれが不可能になった、したがって石油公団法の一部改正をしてそこにひっつけるのだ、このくらいのことはだれでもわかっておることでありますので、なぜそうなったか、どういうメリットがあるのだということを聞いておるわけです。そのときに、「九十日備蓄は国家的要請から行うものであり、その強力な公的推進母体として、石油備蓄公団の設立が不可欠である。」「立地問題を解決する必要があり、国としても公団を設立して土地取得、施設の設置につき責任をもって当り、民間企業の備蓄増強を可能にする措置をとる必要がある。」さらに、備蓄が国家的要請であることを明確化し、地元の理解を得やすいようにする、こういうことで備蓄立地促進交付金を交付するというようなことまで準備をしておるということは、そういうほどむずかしいのであります。一兆五千億円の金もそうでありますが、その立地の場所をつくるということはなかなか言うべくして容易なわざではない。しかも、この間から大問題が起きておるいまの欠陥タンク等々の点を考えても、前にこのことを企図されたときよりもこのことをもっと痛切に考えなければならない。そういう意味でいま申し上げておるのですが、しからば三十日分につきましては、備蓄会社で四分の一、石油企業の各社によりまして四分の三となっておるのは、これはどういうことですか。
  36. 増田実

    増田政府委員 六十日から九十日までに持っていきます五年間の備蓄量、この計算の基礎は省略いたしますが、大体三千七百万キロリッターの備蓄が必要だという計算になるわけでございますが、この中でそれに必要な備蓄の面積が大体六百万坪と計算されるわけでございます。そのうち約百七十万坪の分につきましては、これはすでに先ほど申し上げましたように、石油会社が未使用地として、タンク建設予定地として持っておるものがあるわけでございまして、これでやらせる、それからそれ以外に、一応石油会社がみずからの手でタンクの用地をふやしまして、そこで備蓄させる、こういたしますと、残りますのが一大体百五十万坪ばかりがいまの石油会社ではできない。これは一社一社全部私どもの方で呼びましてヒヤリングをやりまして、現在のタンクの未使用地がどれくらいあり、また今後の計画がどうなっているかということで計算いたしまして、限界として残りました大体四分の一ばかりがどうしても今後五年間では計画できないということになっておるわけでございます。その分につきましては、先ほど申し上げました共同備蓄会社でやっていきたいというのが計算でございます。
  37. 玉置一徳

    ○玉置委員 私が心配するのは、昨年の構想では共同折半である。折半の共同出資の公団を構想し、しかも用地等の取得が非常に困難であろうと思って、それは国が責任を持ってやるのでありますというようなことで、大上段に振りかざしていたのが、今回の石油タンクの欠陥で非常に住民に不安を与えている今日、その安易な計算でやれるかどうかということを心配しておるのであります。と申し上げますのは、いままで備わっておる在来の石油タンクですら傾いたり何かしたものですから、整備するときにはかなり間引かなければいけないような感じもするのです。つまり間隔を広めろとかいろいろ問題が起こると思います。そういうところへ増設をして安易にやろうと思う計画は、ペーパープランに終わらぬかということを心配いたします。それを半々にでもやるのだったら別問題といたしましても、四分の三を石油企業の空き地を利用してという考え方で、果たしてこんなことが、机上プランができるのかどうか、自信があるかどうか、もう一度お答えをいただきたい。
  38. 増田実

    増田政府委員 ただいま先生から御指摘のありました問題、私もそのとおりだと思います。今後の石油備蓄基地の建設につきましてはいろいろな問題がありますし、また国が相当表に出たり責任を持ってやるという形が必要である。それから、現在の石油会社が持っております空き地につきましても、全部が利用できるかどうか、これも場合によれば限界がある、こういうことであると思います。そういう意味で、先ほど四分の一は共同備蓄会社でやるというふうに申し上げたわけですが、これは従来ヒヤリングを行いまして、一応四分の一が共同備蓄会社の対象になるという計算をいたしたわけでございますが、将来消防基準あるいはコンビナートのいろいろな基準も変わると思いますし、そうなりましてもっと広い土地が必要であるということになりますれば、この共同備蓄会社の対象となります数量がふえてくるということになると思います。その場合にはそれに必要な予算措置、助成措置をやっていきたい、こういうふうに思っております。
  39. 玉置一徳

    ○玉置委員 その場合に四分の一しか備蓄会社でやらない、四分の三を民間にお願いする。そのときに、協力はほとんどしてもらえることになったのですか。大体の見通しはどうなんですか。
  40. 増田実

    増田政府委員 九十日を備蓄しなければならないということにつきましては、石油業界の方も、先般の石油危機を経験いたしまして、これには全面的に協力する、また必要性につきましても十分認識しているということでございます。  ただ、先ほど先生からも御指摘ありましたように、幾つかの問題点があるわけでございまして、一つにはタンクの安全性の問題、それから地域住民の理解と協力を得なければタンクは簡単には建設できないという問題もございますし、またそれ以外にも、三十日分と申しましても、その中の原油あるいはタンクの建設のための費用というものを計算いたしますと一兆六千億ぐらいになる、それに対しまして国が相当助成をいたしましても、やはり無利子というわけにはいきませんから、その残りの分は当然負担しなければならない。また、タンクの運営費とかあるいは税金とかいろいろな負担がございます。そういう意味でい石油会社といたしましては、先ほど申し上げましたように、四十五日あるいは社会的責任から言えば六十日というふうに考えていたものを、九十日、しかも国の助成を受けても相当大きな負担をしなければならぬ、ここら辺に相当問題点があるわけでございますが、ただこの九十日の国策については協力するということになっております。
  41. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、お伺いしたいのですが、民族系の会社は幾らあって、今期黒字決算をしておるのはどことどこですか。
  42. 増田実

    増田政府委員 現在民族系につきましては、実質的に黒字決算しているところはほとんど皆無と言えると思います。出光が配当いたしておりますし、黒字決算しておりますが、これにつきましても、その実質的内容から言いますと、為替の差損の計算の仕方あるいは在庫品の評価の仕方その他で計算をやりかえますと、民族系会社は軒並みに赤字になっておるわけでございます。ただ、一、二の会社、例外的に黒字決算を出しておりますが、これも三月期の決算が出れば恐らく赤字になるということで、非常に苦しい状況にあることは先生指摘のとおりでございます。
  43. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、五カ年に一兆五千億円の金が要るということになりまして、四分の三は敷地がそこにある、民間の方、企業はあるとしても、かなり大きな財源が必要である。そのうちたとえば半分あるいは三分の一、それを財投で賄うということになりまして、公団の方からそれを融資をするとしても、それだけのものを融資できる能力があるのかどうか。残りを民間の赤字会社——一時あの狂乱物価のとき、千載一遇だと言ってもうけはしたかもわからぬけれども、長くずっと赤字が続いておった精製会社というものにそんな莫大な金が集められるのか、一割以上配当してないような会社が、そう莫大な資金を調達するということは私はむずかしいと思う。だから、政策融資でないとでき得ないし、その政策融資というものでもこれだけのものを、法律による株式会社でも何でもない、そういったものにそれだけ持っていっていいのかどうか。一兆五千億のうち公団がどのくらい融資をしようと思っておるのか、残額は民間が、企業が調達し得る能力があるのかどうか、そのことを聞きたいんです。
  44. 増田実

    増田政府委員 備蓄を行いますのに非常に多額な資金が要る。しかも、特に特徴的には、民族系が最近非常に赤字になっておるということで、それに対する資金負担力というものがあるかどうかという問題点の御指摘でございますが、今度の新しい制度は、国の資金助成というものを現在の制度としては限界点であるくらいまでに上げたつもりでございます。例を申し上げますと、今度の備蓄を行いますに当たりましての原油の代金につきましては九割、これは国がめんどうを見るということになります。そうしますと、あとの一割は協調融資で銀行から借りなければならないわけでございますが、しかし少なくとも九割の代金は国が融資のめんどうを見るし、それからその利子につきましては、四分の利子補給をするということで、私ども初め、先生から先ほど指摘のありました公団というものを考えておったわけでございますが、公団がやるといたしましても、やはりこれぐらいのところが限界ではないかというふうに考えたわけでございます。  それから、設備資金につきましても、普通は開銀とかその他が貸しますに当たりましては、四割とか五割が限界でございますが、今回の制度では七割を融資対象にいたしておるわけでございます。ですから、残りの三割につきましては、銀行から借り入れなければならないということでございますが、これにつきましても私ども大蔵省と十分協力いたしまして、この資金ができるだけ流れるようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただしかし、それにいたしましても、やはり各企業に対する負担というものが相当大きいということは、先ほども申し上げましたように利子補給を四分行いましても、残りの利子については企業が負担しなければなりませんし、その他につきましてもやはり運営費とかその他の費用がかかるということで、石油企業がこの九十日の備蓄を達成いたしますためには、相当な負担というものを課せられるということは先生の御指摘のとおりでございます。
  45. 玉置一徳

    ○玉置委員 私がいま質問しておる点は、七割もずっと金は貸さなければいかぬ、備蓄をふやすためのタンク、用地等には思い切って金を貸さなければいかぬ、中へ入れる石油の費用も貸さなければいかぬ、それもどんどん伸びていくものと見なければいかぬ、しかも私企業としては四十五日で普通のストックとしてはいいんだということになりますと、私企業にそれだけ思い切った金を将来ともつぎ込んでいかなければならないということをさせておることが、果たして妥当なのかどうかということをお伺いしたい、こういうことなんです。これは国の要請に基づいてやることでありますから、当然国が責任を持っていいんじゃないだろうか。つまり公団が責任を持っていいんじゃないだろうか。臨時なんということを言わないで、将来ともそういうものが要るわけであります。利子補給はずっとしていかなければいかぬ。ここにまた世の中からいろいろな目で見られるような問題が起こったりしてもいかぬわけでありますから、私企業は私企業、国は国の必要に基づいてやるべきものは、それは公団なりなんなりが責任を持つというような一つの大きなめどをつけていかないと、私企業とそういった国の要請との二つがこんがらがってしまって、今後値上げの問題その他のことをやられたときに、どの限界をどう突いたらいいのか、非常にむずかしい問題が起こるんじゃないだろうかという感じがいたします。外国の例を見ましても、国は国で責任を持っておるところもなくはないわけでありますし、そういう点を考えまして、法定の株式会社でもない備蓄会社、しかもいま申します各プロジェクトごと、こういうような構想ではよけいにややこしくなるのじゃないだろうかと感ずるのですが、将来、備蓄公団もしくは開発公団の中へこれを入れていくつもりはあるのかどうか、そのことは、昨年はこのようなりっぱなパンフレットを皆さんに出して、国が直接やらなければこのことはでき得ないのでありますというまことにもっともな文言が並んでおるわけであります。急激にこういうことにされたのは、備蓄公団法がまかりならないということになったために、取りあえずあわててやった作業だと思われる節もないことはありません。だから、第一点、将来とも備蓄公団もしくは石油開発公団にこのことを完全に取り入れていく気持ちがあるのかどうか。  第二点、民間その他プロジェクトチームというのは複数だというお話ですが、複数じゃなくて出光と日石はやりますが、残りはやりにくいから一緒にまとめてやりますとか、もっとはっきりしたことを聞きたい。それから、外資系は無理ですとかいうこともこの際明らかにしておいていただきたい、こう思います。
  46. 増田実

    増田政府委員 第一番目の、今後備蓄公団をつくるとかあるいは石油開発公団に備蓄をやらせるということで、もっと国が前面に出て、そして企業の負担限度を超えるようなものではなかなか達成できないので、むしろ当初の原案のごときものを考えないかどうかという御質問でございます。これにつきましては、私どもはこの九十日備蓄というものをできるだけ早くやりたいということで、五十年度予算で石油備蓄公団というものを掲げて要求いたしておったわけでございます。それに対しまして、先ほど玉置先生からも申されましたように、公団の新設ということにつきましては非常に議論がございまして、私ども行政管理庁その他ずいぶんいろいろ当たったわけでございますが、行政機構の簡素化の見地から公団の新設はむずかしいということで、構想を切りかえたのは、これは事実そのとおりでございます。ただ、この構想を切りかえるに当たりまして、私ども石油備蓄公団を設置いたしましたのにほぼ近い効果が上がるものということで、今回の制度をつくったわけでございます。その内容といたしましては、先ほど申し上げましたように、私企業に、原油については九割まで、しかも四分の利子補給をするという制度でございますが、しかしこれで九十日備蓄がいまのような石油企業の経営状況のもとにできるかどうかという問題、また立地の問題その他いろいろな情勢があると思います。そういう意味で今回の内容は、さしあたり九十日備蓄の第一年度の制度ということで、私どもも大蔵省その他との話では九十日備蓄を早急に発足しなければならないので、第一年度の制度として、今回これでやろうということになっておるわけでございます。  そういう意味で、今後の情勢を踏まえまして、九十日備蓄はぜひとも達成しなければなりませんので、必要性が生じてどうしてもそれでなければならないということであれば、またもう一度公団構想というものを出して、そして備蓄の達成に努めるということは私どもも考えておるわけでございますが、現在のところはいまの制度で第一年目を発足いたそうということになっておるわけでございます。  今後の財源問題もあります。これにつきましては、現在は石炭石油特別会計で財源の手当てをいたしておるわけでございますが、将来のことを考えますと、つまり二年目、三年目、四年目、だんだん総資金量がふえていくわけでございますので、これにつきましてもやはり財源問題は別途考えなければならないと思うわけでございます。そういうときに当たって、第一年度の制度につきまして、これをさらに見直して、目的が達成できるような制度に切りかえていくということはやっていきたいと思っております。
  47. 玉置一徳

    ○玉置委員 この際、大臣にお伺いしておきたいのですが、ただいま申し上げましたとおり、大蔵省の予算及び行政管理庁の公団の創設制限等々の問題があって、昨年の構想はうまくいかなかった。しかしながら、九十日にするのは一日も早くやらなければならぬ緊急の課題でありますので、とりあえずこういう手を使いましてやっておゆきになるのだと私は解釈しております。そういうような意味では、臨時とおっしゃった意味もわからぬわけでもないのでありますが、将来とも九十日で終わるのやら百何十日要るのやら、いろいろな問題があると思います。これはエネルギー政策の確立という問題の中で一貫して考えなければならぬことではございますが、この備蓄だけを取り上げましても、ただいま申し上げたとおり、非常な金額と利子補給とが要るわけであります。しかも、私企業に任しておいては気の毒なぐらい膨大なものが要るのだし、また性格的にも国の必要に基づいてやっておる備蓄でありますから、将来もう少し筋の通った形に検討をする御意図があるかどうか、このことを大臣に聞いておきたい、こう思います。
  48. 河本敏夫

    河本国務大臣 備蓄についての考え方の経過につきましては、先ほどお話しになったとおりでございます。  そこで、根本的に考えまして、わが国エネルギー事情からどうしても九十日の備蓄が必要である、これが国の基本政策でございます。したがいまして、初年度は、いまお願いをいたしておりますような方向でスタートいたしますが、何分にもこれは資金の面その他いろいろな面で大事業でございます。しかし、どうしてもやらなければいけない、こういうことを考えますと、いま御指摘になりましたようないろいろな問題点は十分考慮いたしまして、とにかくできるような方法を考えていかなければならぬわけでございますから、そこは機動的に考慮いたしまして、十分検討していきたいと考えております。
  49. 玉置一徳

    ○玉置委員 そういうようにさえ理解ができれば、われわれもこのことを一日も早く、しかられるかわからぬけれども、法案がうまくいくような方法に協力をしたい、こう思うのです。  そこで、せっかくおいでをいただきました国土庁の方に一つ二つお伺いをいたしましてお帰りをいただこう、こう思います。お忙しいのに申しわけありませんでした。  下河辺さんにお伺いしたいのですが、開発計画をもう一度見直しをしておいでになるはずでございますが、先ほどからお話ししておりますように、石油コンビナートもしくはコンビナートを外しました石油の備蓄基地、こういうものが最近の水島問題に端を発しました欠陥タンクの調査等々によりまして、非常に土地の入手というものがむずかしくなってきたと思います。こういった問題は、大臣からのお話のように、一つの国の大きな政策の根本でもございます。今後とも産業の脱石油というものを図りましても、わが国の現在の生活水準を維持しながら脱石油産業構造を改革していくことは、かすに相当な年数が要ると思います。こういう現実を踏まえて物を考えますと、いかに努力をしても若干ずつ増していくことは事実だと考えなければならないと思うのであります。  さような意味におきまして、新計画の中には石油基地あるいはコンビナートというものをどのように位置づけておゆきになりますか、その問題につきましてお伺いをしておきたいと思います。
  50. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  現在、御指摘いただきましたように、昭和四十四年に閣議決定いたしました新全国総合開発計画を全面的に見直し、新しい国土総合開発計画をつくる作業を始めております。  その作業の内容につきましては、まだこの席で御説明する段階まで作業が進んでおらないのでございますけれども、御指摘いただきましたように、エネルギー基地につきましては、その作業の中で非常に大きな検討課題にしております。しかも、御承知のように石油基地をつくることにつきましては、国民の皆さん方の間に非常に不安感があるために、なかなかうまく進捗していないというのが実情でございますので、私どもといたしましては、地方公共団体の意見も聞き、あるいは私どもみずから環境条件の調査を繰り返し行っておりまして、ある一つの方向づけをしたいと考えておるわけでございますが、今日の段階になりますと、御指摘いただきましたように、わが国の経済成長の要因のマイナスの大きなものは、やはりエネルギーの立地の問題ではないかというふうに考えておりますので、慎重に検討さしていただきたいと考えております。
  51. 玉置一徳

    ○玉置委員 ちょっと具体的なところへ入りますと、そういう基地として望ましい、あるいは地元の了解も得やすいと思うようなところ、そういう具体的なスポットを明示していくような形で作業は進むものでしょうか、どうでしょうか。
  52. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 私ども作業をいたします際に、地域の行政を担当しておりますから、全国総合的な需要がどうであるかということに踏みとどまるわけにはまいりませんので、具体的な地域についていささか検討させていただきたいと思います。しかも、現在すでにその地域の方々とのお話し合いを始めて、そして具体的には、用地買収をし始めているもの、あるいは一部公共事業を始めている地域もございまして、その地域の熟度に応じましてその事情は違ってまいりますけれども、そういう各地区ごとの検討は十分させていただきたいと思っております。
  53. 玉置一徳

    ○玉置委員 それ以上答弁を求めることは無理だと思いますので、どうぞお引き取りいただきまして結構でございます。  そこで、長官にお伺いしたいのですが、そうならば、先ほどのプロジェクトでやっていく、その答えはなかったのです。出光と日石ぐらいは個別でやれるのか、先ほどの複数というのは二なのか三なのか五なのか。備蓄に関しても先ほど遠い展望を聞いたわけでありますが、そういうことをまぜ合わせまして、民族系石油の育成というものの構想が何回も新聞にも出たわけですが、一体どういうような  これは後で大臣にも同じことを御答弁いただきたいのですが、こういう諸般の状況を踏んまえて、民族系石油資本をどのような位置づけに持っていくつもりで、どのような構想をお持ちになっておるか、お伺いしたいと思います。
  54. 増田実

    増田政府委員 まず、先ほど答弁漏れがございましたので……。  プロジェクト別に共同備蓄会社を設けるということで、これにつきましての内容でございますが、私どもの方は、これは民族系、外資系を問わず、ある地域に共同して備蓄会社をつくりたいという場合には、その内容、必要性その他もちろん検討いたしますが、これを共同備蓄会社の対象にいたしたい、こういうふうに考えております。ですから、複数という会社は、二社が最低限になるわけですが、頭の中で考えておりますのは、三社、四社が共同いたしまして、そして共同備蓄会社をつくっていく、こういうことで考えておるわけでございます。  それから、ただいま御質問ございましたこの民族系の石油会社を今後いかに持っていくかということでございますが、これにつきましては、いろいろな議論が行われておるわけでございます。現在のところでは、いわゆる外資系の石油会社とそれから民族系の石油会社と取り扱い量が日本全国では大体半分半分になっておるわけでございます。これにつきましても、従来は外資系の方がシェアが大きかったわけですが、共同石油中心といたしましてそれが年々ふえてきまして、石油危機のときには大体五〇、五〇になっておったわけでございます。それが、この石油危機以後の一年半におきましては若干民族系のシェアがまた退いてきているというのが実情でございます。  これは一つにはやはりメジャーの、民族系会社とそれからいわゆる系列外資系会社に対する石油供給値段に差があったこともその原因ではなかったかと思いますが、ただこの問題につきましては大体解消されておりまして、現在では民族系が入れております原油、それから外資系の石油会社が入れております原油につきましては、価格がほとんど同じになってきておるということでございます。  それから、この民族系会社が、これは数が相当多くて、しかも一社一社のシェアというものが必ずしも大きくないということで、非常に弱いんじゃないかということが従来から言われております。共石、出光は相当シェアを占めておりますが、それ以外につきましてはシェア相当低いということで、従来の通産省の政策として、民族系育成という旗印のもとに共石というものをつくったわけですが、このような形でさらに民族系を集合いたしまして共石を拡大するか、あるいは第二共石をつくるか、あるいはさらに民族系の会社がそれぞれの相手を求めて、そして企業の拡大を図るか、これらにつきましては現在まだいろいろな考え方がございますし、また、先ほども申し上げましたように、石油情勢が非常に流動化いたしておるわけでございます。昨年は民族系と外資系が入れます原油につきましては、ひどいときには一ドル以上の差があったわけでございますが、これが半年すれば解消するとか、それから今後の石油の入手につきまして、メジャーがどれくらいの比率を占めるか、バイバックがどれくらい維持できるか、そうしますとだんだんDDオイルというものがふえまして、むしろ民族系にとっては有利な地位になるのではないかというようなことがいろいろ言われております。そういう意味で、この民族系石油に対する対策につきましては、現在まだ世界石油情勢が非常に流動的でありますのを背景といたしまして、最終的な結論は出ておらないわけでございますが、ただ私どもは、現在のままというのは、やはりこれは石油危機以前の、石油が豊富でそして安価であった時代に対応した体制であり、石油危機以後、乱かもいつ何どき供給が削減される、あるいは大幅に停止するという危険があるときの体制として果たしていいかどうかということ、また今後石油数量というものは、総エネルギーの中の地位は低まるにいたしましても絶対量がふえる、それを見ていかにあるべきかということから言いますと、私どもは現在の体制というものはやはり改革しなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  55. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣にお伺いしたいのですが、こういう石油の問題はやはり世界じゅうが協調していくことに一番大きな眼目を持っていかなければならないと思います。しかしながら、DD原油等が、諸般の情勢を見てみますのに、ちょっとずつでも年々ふえていく可能性はあるわけであります。こういう意味でも、石油の価格が高騰しました今日、いまの民族系が一つずつ各個でやっておったのでは非常にひ弱いことは事実であります。石油公団が直接そういうものの衝に当たるのだったら別として、そうでなければかなり思い切った強化策を講じない限り、DD原油等々の手当てもうまくいかないのじゃないだろうか。こういう問題は当然日本エネルギー対策という大きな戦略の柱を立てて、その上に立ってすべてのものをやっていくんだと思いますが、今度の三木内閣の初予算でも私は一番大事なこういった問題が抜けておった、こう思います。一万円の老人年金を一万二千円にしたというだけで、すべてのものがパアであった、こういう予算の編成に終わったわけでありますが、石油ショック以来もうどんどん石油事情が変わっていくということに対処して、先手先手を打てるような形にしていくのには、大きな戦略を速やかに立てなければいかぬわけでありますが、先ほどの備蓄公団と同じような意味で、皆さんが、石油は国営にするんだ、公団にするんだ、輸入公団をつくるんだというようなことに飛躍されれば別問題として、ある一定の私企業の競争原理を残しておこうというようなことになれば、民族系の企業の強化策というものがずいぶん前から言われておりますが、ある程度具体的に伸長させていくのも必要じゃないか、こう思うのですが、大臣どういうようにお考えになりますか。
  56. 河本敏夫

    河本国務大臣 一昨年の秋から現在までおよそ一年半たちますが、その間には石油の価格の問題それから流通の問題等をめぐりまして、革命的と言ってもいいぐらいな大きな流れの変化があったと思います。そこで、政府の方でもこの大きな流れがどういう方向に向かっていくのであろうかということをじっと注視をしておったわけでありますが、大体の見当がついてまいった、なお流動的な面は多く残されておりますが、おおよその方向は大体つかめるんじゃないか、こういう状態になってまいりましたので、ただいまエネルギー庁が中心になりまして、今後の日本石油政策基本的な戦略はいかにあるべきか、こういうことについて目下検討中でございます。来月の中旬ぐらいまでには大体の方向をまとめ上げたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、その中でやはり一つの大きな柱は、石油企業というものの設備の投資であるとか、それからこのコストの面であるとか、石油企業自体を一体どうすべきかというふうなことも当然一つの大きな柱にしたいと思っておるわけです。そして、石油企業を柱にいたします場合には、いま御指摘がございましたように当然民族系の石油企業というものを強化しなければならぬ、これも大きな柱になってくると思います。ただ、いま長官が言っておりましたが、しからば具体的にどういう形でこの民族系を強化するのかということについてはまだ未定でございますが、その大きな柱だけは立てまして、いまの世界の油の流れの中におきましてとにかく強化していかなければならぬ、その強化の具体的な方法を早急に具体化したい、こういうふうに考えておるのが現状でございます。
  57. 玉置一徳

    ○玉置委員 この備蓄に関連して、この間新聞に載りました日商岩井とどこかがやります、スマンカですか、それからロンボク、パール、ビトン、これはセレベスてすが、こういった国における海外備蓄基地、輸入基地と申しますか、こういうものはこの九十日分の中へどのような位置づけをされますか。海外というのはいろんな欠点も持っておるけれども、近くによけいあればあるだけいいという考え方もできるでしょうし、その問題については、この九十日分備蓄に関連してどのように位置づけされますか。
  58. 増田実

    増田政府委員 昭和五十年度を第一年度といたしまして五十四年度までの九十日備蓄増強計画の中には、これは海外基地は含まれておりません。ただ、昭和五十四年になりましてその後の備蓄をどうするか、たとえば九十日をさらに積み増すかどうか、またもし九十日で維持するにいたしましても、日本におきます石油消費量は年々ふえていくわけでございますから、五十四年度に九十日を達成いたしましても、五十五年になるとまたその日にちが、絶対量が大きくなりますと一日当たりの単位がふえるわけですからその日数が減っていく、こういうことになるわけでございます。それから見ますと、私どもはやはり五十四年度に九十日を国内でやるのがもう精いっぱいで、それ以上の分はやはり海外の備蓄に相当頼らざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  現在海外備蓄につきまして、先生からお話がありましたようにインドネシアのセレベスあるいはロンボク等でやる計画あるいは南方の国連の委任統治地域におきます構想、その他タイでやる構想とかいろいろ出ておりますが、これらのものにつきましてはインドネシアの計画以外私どもはまだ正式に聞いておらないわけでございます。  それから、インドネシアにおける備蓄構想につきましては、これは先般田中総理がインドネシアを訪問いたしましたときに、将来インドネシアの地域に備蓄基地というものが可能かどうかということをスハルト大統領に対しまして打診いたしたのが契機になっておるわけでございますが、これにつきましても現在調査の段階でございまして、調査報告がようやくできたというところでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、九十日備蓄を達成いたしました後やはり海外の備蓄というものが必要になってくる、計算上はそういうように出てくるわけでございますので、私どもはこの海外備蓄につきましては慎重に、また今後の可能性があるものとして検討をいたしておるのが現段階でございます。
  59. 玉置一徳

    ○玉置委員 皆さんの説明書にも、今後産油国が精製あるいは備蓄等をやるような場合には、公団が出資してもいいように書いてあります。そういうような意味で、もう一つはなるべく多方面にわたりまして石油輸入先が多角的になることも好ましいことは事実であります。あるいはまたどこでどういう戦乱等が起こるかもわからぬ。そういう意味でも、ある中間地点まで持ってこられておるということは私は大きな第二備蓄だと思います。こういうような意味で望ましいことでありますので、それが輸送等の関係でよっぽど高価になれば困ることもあるでしょうけれども、余り値段が変わらぬということになれば、それにはやはりできる限りの御援助を申し上げていいんじゃないだろうか、ことにお申し出があった場合ですね、そういうように考えられますが、この法律によりまして、相当な資金が要るものですから、日本と半分ずつでいこうというようなことが多いのだと思います。半分ずつというよりも、土地を提供するからそっちでやれということになるだろうし、あるいはまたオイルダラーはできるだけ入れた方がいいのであります。こういうような感覚からすれば、いま申し上げましたようなところでそういう話も一応話題には上っておるわけでありますから、いよいよ具体的な話が出ましたときには前向きに検討されるかどうかが一点。その場合にオイルダラーの還流を努めて勧誘されるかどうか。第三点は、現在のこの法律のままで公団からそういうものが出資できるかどうか。この三点についてお伺いしておきたいと思います。
  60. 増田実

    増田政府委員 三点についてお答え申し上げます。  海外備蓄につきまして政府として前向きにこれに取り組む姿勢であるかどうかというお尋ねでございます。これにつきましては先ほど申し上げましたように九十日備蓄増強計画は、これは国内で備蓄いたしたいというのが私どもの方針でございますが、しかしながら将来を考えましたときには、やはり海外備蓄に依存せざるを得ないということになると私ども考えておりますので、この海外備蓄の各構想につきましては、もちろんいろいろ国際的な問題もございますし、いろいろの現地における問題もございますので、慎重に検討いたさなければならないと思いますが、姿勢としては将来の日本の備蓄の一端を担うものとして前向きに検討いたしたい、こういうふうに考えております。  それから、第二番目のオイルダラーの利用でございますが、オイルダラーがもし利用できるのであれば、このオイルダラーを取り入れながらまたオイルダラーの提供国からの原油をも引き取るということで、これはいろいろな組み合わせがあると思いますが、オイルダラーを利用するということにつきましても、これは一つの案であろうというふうに思っております。ただ、オイルダラーの取り入れその他につきましては、これは大蔵省の国際金融当局その他とも十分打ち合わせしなければなりませんが、私どもは、もしオイルダラーが使えるということであれば、この海外備蓄は相当膨大な資金を要しますので、オイルダラーを利用するというのも一つの方法であると考えております。  それから第三番目の、今度の公団法の附則で共同備蓄会社に対する出資、融資ができるということになっておるわけでございますが、海外備蓄にこの資金を使うかどうかということにつきましては、私どもは今回の公団法改正でお願いいたしております内容は、国内における九十日備蓄政策のための手段というふうに考えておりますので、海外備蓄につきましては、むしろ海外協力案件とかその他で、資金は輸出入銀行あるいは経済協力基金が対象になる、こういうふうに考えておりまして、海外備蓄基地というものは、石油開発公団の融資対象としては考えておりません。必要な資金は、先ほど申しましたようなほかの機関で供給をするということでやれる、こういうふうに思っております。
  61. 玉置一徳

    ○玉置委員 石油開発公団の業務に、産油国の国営石油会社が行う探鉱、採取等に必要な資金を供給するための資金の貸し付けの業務を追加する。「等」でありますから、精製が入る、精製というのは備蓄が入ることが大体あれですから、その精製会社がそこまで持ってきておくんだという形の、インドネシア等々におきましてもそこで精製兼備蓄をやるんだと言われた場合には、この石油開発公団法の一部改正の「等」でやらざるを得ない場合があると思うのでありますが、いかがでございますか。
  62. 増田実

    増田政府委員 「探鉱等」と入れましたのは、先生がおっしゃられましたように、これは探鉱だけでなくて、さらに開発、精製その他の資金というものを提供する場合があるということで、こういう表現にいたしたわけでございます。  この規定は、産油国の国営石油会社に対しまして資金を貸し付ける、それによりまして将来この石油確保する、こういう形になっておりまして、産油国の国営石油会社が石油開発し、また石油を生産するのにこちらが援助をする、その見返りとして石油供給を受ける、こういう形でございますが、探鉱資金だけでなくて、開発、精製のための必要な資金も対象になるということで「探鉱等」ということにいたしたわけでございます。
  63. 玉置一徳

    ○玉置委員 ほぼ意味はわかりましたが、マレー半島のタイのクラ地峡でありますが、あそこにパイプラインをこしらえる。この間から日本石油船が御案内のとおりの始末になりまして、マラッカ海峡というものが問題になっておるわけであります。したがって、クラ地峡のパイプラインの問題は、これはうまいことオイルダラー等が思い切って入ってくるということになれば非常に望ましいことでもありますし、先ほど申しましたように石油取引が、輸入の相手国が多角的になることは望ましい、しかも輸入ルートもなるべくいろいろなルートになることが望ましいことでありますので、多額のオイルダラー等が入ってそれをつくるということになり、タイがぜひ地域開発のためにやってもらいたいというような形になった場合も、それは望ましいけれども、この公団法改正の資金じゃない、一般的な資金でもってということになりますか。
  64. 増田実

    増田政府委員 現在備蓄基地構想の一つといたしまして、タイのクラ地峡に西岸へタンカーを着けまして、そこからパイプラインで地峡を渡しまして、そして東岸で受け取る、そこに場合によれば相当なタンク群を設けて一つの備蓄基地にする、あるいはそこで精製をいたしまして中東から持ってきました石油を製品にして東南アジア各地、日本が非常に大きな市場になると思いますが、これに対して供給をするというような計画がタイ側でいろいろ立てられている。これに対しまして、日本側も若干これに参加しているということを聞いておりますが、この問題につきましては、これはタイ政府の意向というものがまだ全然私どもわかっておらないわけでございます。それで、タイ政府がこの計画についてどういうように考えておるのか、またこの計画につきましてはマレーシアあるいはシンガポールその他の諸国との関係もいろいろ出てきますので、この点、私どもが直ちにこの問題につきましていいとか悪いとか言うのには、やはり国際的関係が非常にこれに絡まっておるわけでございますので、この点につきましてはもう少しタイ政府の意向あるいは近隣諸国の意向その他を聞きまして、そして検討いたしたいというのが現段階でございます。
  65. 玉置一徳

    ○玉置委員 それから、石油開発公団法の一部改正の中で今度は直接利権の取得ができる、こういうことになるわけであります。一時的、限定的なものであるということになっておりますけれども、その意味もよくわかりますが、何年間ぐらいの後にどういう会社に渡すのかというなかなかむずかしい問題が出てくると思うのです。それは一体幾らに評価するのか、公団が要っただけの金で渡すのか、公入札をするのか、一番そこに近い関係のある石油会社に渡すのか、総合商社に渡すのか、プロジェクトに渡すのか、ここらをきちっとしておかぬと、後でわいわいわいわい言われるような問題が起こっても困りますので、大体の構想を明らかにしていただきたいと思います。
  66. 増田実

    増田政府委員 今度の石油開発公団の業務追加でお願いいたしております直接利権取得につきましては、これは将来企業に譲り渡すというのが条件になっておるわけでございますが、まずこれについていつまでにその企業に譲り渡すかということにつきましてお答え申し上げますと、私どもは、これは通産省令で定めることになっておりますが、現在考えておりますのは一年以内ということを考えております。  それから、こういう直接利権取得というものを行いますときに、これは一年以内にその権利を譲渡するわけでございますので、利権取得の調印をいたしますときには一体どこに譲り渡すかはもうその企業を一応予定しておるという形になると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、その企業がまだ設立されてない、つまり間に合わないときにこの直接利権取得というのが動いてくるケースが非常に多いわけでございますが、将来その会社の主要メンバーとなります株主会社その他と話し合いをいたしまして、そして一年以内に会社をつくってそしてそれに譲り渡すということを大体取り決めをしておくということで考えております。そういたしませんと、公団が直接利権を取得しまして、その後相手を探す、しかも売れないということになりますと、これは資金の効率的運用の面からいろいろ問題がございますので、できるだけ契約いたしますときに譲渡先の企業は一応予定しておく、あるいはその企業に投資をする会社と話し合いをしておく、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、お尋ねの利権の譲渡価格をどういうように扱うかということでございますが、これにつきましては、いま申し上げたように大体譲渡先が特定されるわけでございますが、公団がこの利権を譲渡いたしますときには、公団が支出いたしました費用を回収すればいいということで実費で渡すということを考えております。大体その対象となりますのは資料の購入費とか、交渉の諸経費とか、保証金を積んだ場合は保証金、それからサインをいたしますときに一時払いのサインボーナスというものがございます。そういうような費用につきまして、これは特別勘定を設けまして、そして譲渡するときにその企業からこの金額を徴収して譲り渡す、こういうふうに考えております。
  67. 玉置一徳

    ○玉置委員 それともう一つ突っ込んでお伺いしたいのですが、結局それは総合商社もしくは総合商社と石油会社と探鉱会社等々がプロジェクトになったものに譲り渡す場合が多いと思います。石油開発公団は、ある会社が開発するものに、もしくは会社が一緒になってやるものもいいんですね、そういう形でおやりになるわけですが、その利権を取得した場合、いつかも御説明がありましたように、中東諸国のようなところでは会社よりは国の代表である公団等の方が、そういう場合に話がしやすい場合がかなりあるのじゃないだろうか、こう思いますから、それがある程度の探鉱までやっていく。どうせどこかへ渡しましても成功払いのような形でやるのだったら、しっくりするのには、石油公団というから公団が余りにも仕事が多岐にわたるのかわかりませんけれども、イタリアのENIのようなああいうものができまして探鉱までやって、そして当たるか当たらぬかもある程度調べて、そうしてどこかに渡すということも私はあるのじゃないだろうかという感じがするのですが、そこまで行くのは時期尚早なのか、とてもまだそこまでの機構ができませんということなのか、そういうのは民間にまかせた方がいいのか、どのようなお考えですか。
  68. 増田実

    増田政府委員 石油開発公団が利権取得しましたものにつきまして、せめて初期段階の探鉱をやらせるべきではないかということでございますが、現在石油開発公団はみずから探鉱開発の事業が営めない形になっております。御存じのように融資、出資業務、それから今回追加されます業務だけできるということで、みずから探鉱ができないわけでございますが、将来の問題として石油開発公団というものが、諸外国の政府石油開発機関と同じようにさらに探鉱をやり、あるいは開発をやるべきではないかということにつきましては、私はそういう方向というのが一つの方向だと思っております。ただ、現実に現在石油開発公団には五、六十人の技術者がおりますし、その技術のレベルは相当高いわけですが、もし探鉱を始めるということになりますとやはり相当の人数を海外に出して、そこで張りつけになるわけでございますので、現在の人数を割いて、そして探鉱をやるということになりますと、いまの技術陣の数その他から言いまして私は時期尚早ではないかと思います。ただ、将来の問題としては、先ほども申し上げましたように石油開発公団がみずから探鉱するというのは、むしろそういう方向に向けることができるかできないか、もっと検討すべきだと思いますし、また相当豊富な技術者というものを抱えたときにはむしろ実地に探鉱を行うということが、その技術者にとってもそれだけの経験を積むということになりますので、私どもは将来の課題としてこの問題を検討していきたい、こういうふうに思っております。
  69. 玉置一徳

    ○玉置委員 開発公団の役員なり幹部職員なり技術屋さんというものは、海外ではどこら辺にどの程度常駐しているのですか。
  70. 増田実

    増田政府委員 開発公団には石油開発技術者が、役員にもまた職員にも多数おるわけでございますが、役員につきましては、四人が役員になっております。たとえばこの役員の中で山内さんという方は、アラビア石油昭和三十五年に最初の仕事をいたしましたときの現地所長でございますし、またそのほかの技術役員も現在日本におきます地質、物探あるいは石油工学におきましてはレベルの高い人間がなっておるわけでございます。  それから、海外につきましては、これは現在石油開発公団が常時海外の情報を収集するということで、文献その他で情報を収集しておるだけでなくて、現在海外にはベイルート、ロンドン、ワシントン、ヒューストン、四カ所に開発公団の現地の事務所があるわけでございます。これは役員は行っておりません。それぞれ役員寸前の高級の者が行っておる、こういう形になっております。  それから、石油開発公団の仕事は海外の仕事でございますので、常時何人かの役員が海外に行っておりまして、そして各種の交渉をやっておるわけでございます。現在は直接利権取得ができませんので今度改正でお願いしているわけでございますが、事実上は石油開発公団が交渉の重要な部分をほとんどやりまして、そしてあと進出企業が一緒になって契約は企業の名前で行うというのが実態でございます。これも石油開発公団が七年の経験で、従来からもいろいろ海外に行きまして、そして現地でいろいろな交渉を行ったことによりまして、経験を生かしてそういうことをやっておるわけでございます。
  71. 玉置一徳

    ○玉置委員 私の言わんとするところは、この公団法の一部改正ができましても、実際はどこかの総合商社もしくは東京に座っておって向こうから注文が来るのを待っておるという姿では、本当は有利なものはよそへ取られてしまう。そういう意味ではやはり常時向こうに駐在して人間関係をつくっていくぐらいの程度に活動をやらないと、もうこれは総合商社の情報を待っておらなければしようがないような形では本当の国策としての開発がやれないのじゃないだろうか、言うてきたものを検討して金だけ渡すというような形ではなくて、もう少し積極的な姿が欲しいと思うので、そういう質問をしたのであります。こういう法律の改正に伴いまして、一段の機構の整備が望ましい、こう思います。  そこで、もう一つ石油開発公団のあり方が、いまのところ考えますと、金を貸すのだ、成功払いだ、それから備蓄がふえた、精製も若干あれしてきた、こういうことになっておりますけれども、そういうような意味で、開発公団を一体どこへ持っていくのか、これが第一点。二番目、いままで金を貸したところで、どのくらいの金額を何件貸したか、件数です。三つ目、そのうち少しでもいい徴候を見出しておるものあるいは現に稼働しておるものは一体どのくらいの件数があるか。四つ目——いまのを聞いてからにしましょう。
  72. 増田実

    増田政府委員 まず一番初めに、公団のあり方あるいは将来をどういうように考えるかということでございますが、石油開発公団は、ただいま玉置先生から御指摘ありましたように、現在は企業に対して石油開発に必要な資金を出資または融資をするということで、みずから開発をするわけではございません。むしろそれを助成するという形になっておるわけでございますが、ただ今後のあり方として、先ほど私も答弁で申し上げましたように、みずから権利を取得したものについて、少なくとも初期の探鉱段階をやるべきではないかというような問題もございますし、また政府間取り決めでできました原油輸入について、この石油開発公団輸入の一本窓口に使うべきではないかという議論もございます。それからまた、石油開発公団は現在、石油開発の探鉱段階までの出資、融資をしておるわけでございますが、それをさらに広げて開発段階までやるべきではないかというようないろいろな議論がございます。これにつきましては、それぞれその議論に関しまして問題点、つまり利点とそれから欠点と両方問題がございますので、現在それらの問題は検討段階となっておりますが、現状のままでいいのかどうか、ことに石油開発というものが非常に重要性を増している、ところが他方国際環境からいいますと、石油開発が非常にむずかしくなっている、この段階でいまのままの石油開発公団でいいかどうかについては、私どもも真剣に考えなければならないということを思っております。  それから、お尋ねの件数の問題でございますが、現在まで石油開発公団が出資、融資をいたしております金額は、四十九年度末、見込みが若干入りますが、大体千六百億円ということでございます。それから、対象企業は、開発会社大体二十九社であったと思います。  そのうち成功した例は何かということでございますが、現在すでに生産段階に入っておりますのが、石油開発公団融資、出資の対象になりました会社では三社でございまして、一つはインドネシア石油資源開発の東カリマンタン沖のプロジェクトでございます。それから第二番目は、アブダビ石油のアブダビ沖のプロジェクトでございます。それから第三番目は、ジャパン石油開発で、これはいわゆるADMAという会社にファームインをしたということで、現在年間八百万キロリットルの石油を引き取っている、こういうことでございます。  それ以外に現在を開発準備中である、これは石油開発公団の事業がここ数年前から始まったわけでございますし、また石油開発というのは相当長期間を要するわけでございますので、まだ開発準備中であるけれども、これは近く石油がこれによって日本へ来るというものについて、名前だけ申し上げますと、アブダビのカタール沖でやっております合同石油、それからイラク陸上でやっております日本イラク石油開発、それからザイール沖でやっておりますザイール石油、それからインドネシア東カリマンタンでやっております、これはインドネシア石油資源開発のもう一つのプロジェクトでございます。それから、ナイジェリア石油開発がナイジェリア沖で現在開発準備中でございます。それから、もう一つは、これはわが国の大陸だなの事業を行っておるものでございまして、新潟県の阿賀沖のものでございますが、これは日本海洋石油資源開発と出光日本石油開発のこの両社に対しまして融資をいたしまして、このプロジェクトは、天然ガスがことしの暮れかあるいは来年からいよいよ生産段階に入りまして、実際に販売に入る、こういうことになっております。
  73. 玉置一徳

    ○玉置委員 もう質問を終わってまいります。  これは不成功の場合元本を払わないでもいい、このくらい思い切ったことになっておるわけでありますから、かなり慎重な態度が要るのではないだろうか。いままでも慎重におやりなさっておいでになるでしょうけれども石油が要るとは言いながら、あまり山師的なことでは困るのであって、相当長期に経営が成り立つような埋蔵量がなければいかぬし、それにはさらに埋蔵量とか技術的な要素を慎重に検討しながらやっていただかなければならない、こういう感じかするものですから、一言申し添えたのでございます。  石油の問題との取り組み方等々につきまして、もっと根本的な問題を掘り下げて御質問を申し上げたいのですが、大体一時で終わってもらいたいということが初めからの申し合わせでありますし、自余の問題につきましては、いずれ一般質問のとき私大分貯金もたまっておりますのでやることにいたしまして、きょうはこれで終わって、皆さんの議事進行に御協力をしたい、こう思います。
  74. 山村新治郎

    山村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時五分開議
  75. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石油開発公団法の一部を改正する法律案について審査を続行いたします。  参考人として、石油開発公団総裁島田喜仁君、アラビア石油株式会社副社長大慈彌嘉久君及び海外石油開発株式会社代表取締役専務田中武喜君、以上の方々の御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中、本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。目下、本委員会におきましては、石油開発公団法の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本案に対し、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと思います。  まず、島田参考人にお願いいたします。
  76. 島田喜仁

    ○島田参考人 最初に、手前ども公団法改正案について御審議をいただいておるのに対しまして、厚く御礼を申し上げます。  ただいま委員長から、十分以内で意見を述べろというお話がございましたけれども、実は十分以内で意見を申し上げるのは私、不得手でございますので、まかり出ておりますから、御質問をいただいてお答えすることに重点を置かしていただきたいということをお願いを申し上げます。  その意味で一言申し上げますと、公団法改正の中身につきましては、すでに数年以来、改正政府等にもお願いをしておりましたわけでございまして、率直に言わしていただきますと、御承知のように産油国資源主権の回復によりまして、いままで日本はメジャー等から石油を買っておるのが中心でございましたが、供給構造が基本的に変わりました。特に中東戦争勃発以来、産油国資源政策というのは全く私どもの予想しておる以上に急速な変革をいたしました情勢に私どもは直面をしておるわけでございます。かたがた、数年石油の探鉱リスクに挑戦をしてまいりました民間の実績というものが、言いかえれば石油の事業というものが全くリスキーであるという実績があらわれてまいったこと、なお御承知のように世界日本はもちろんでございますが、不況の苦しい事態に追い込まれております。他方、インフレが世界的な旋風となっております関係から、リスク、投資コストが倍以上にここではね上がっておるために、従来小型プロジェクトと言われておったものが大型プロジェクトになりつつある。なお、これから仮に不況を脱出いたしましても、日本経済は高度成長から低成長路線に切りかわっていくということになりますと、民間もリスクマネーに対する投資意欲というものが、意欲だけではなしに、その企業の実態からなかなかこれを支出できない、こういう情勢に相なっておるわけでありまして、そのために公団の機能というものは内外の情勢から実質的には縮小せざるを得ないような総体的な面からの事態が現出をしておるわけであります。  そういう意味で、私は数年来公団に職を奉じておりますが、一面、日夜を問わず微力を尽くしておりますが、その成果が上がっておらない点についてはここで諸先生に深くおわびを申し上げると同時に、もっと早目に世界エネルギー情勢の変化に対処しまして、日本全体のエネルギー政策というものを政府並びに国会がおつくりいただければよかったと率直に申し上げたいと思うのであります。なお、今後ともこの法律そのものの中身はさることながら、もっと大きな意味日本の苦しい無資源国の事情というものを考えまして、政府も国会も含めまして本当に基本的なエネルギー政策というものを打ち立てていただきたい、こういうふうにお願いをする次第でございます。  なお、公団法改正の中身につきましては、御質問に応じましてお答えをさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  77. 山村新治郎

    山村委員長 次に、大慈彌参考人にお願いします。
  78. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 アラビア石油の大慈彌でございます。  今回の石油開発公団法改正につきましては、この際石油開発公団の機能を拡充強化をいたしまして、ただいまも島田総裁から御説明がありましたような石油情勢に対処してやっていこうというふうに承っておりまして、はなはだ時宜に即した改正内容であると存じます。  一つ一つの条文ができました経緯等については門外漢でございますので、これ以上の条文についての意見表明は差し控えさせていただきまして、ごく簡単に、私の会社が操業しておりますのはアラビア湾でございますので、ただいまこれも島田総裁から御説明がありましたことの敷衍のようなことでありますが、最近の石油事情ないし中東情勢ということについて本当に簡単に申し上げさせていただきたいと思います。  現在は、先生方も御承知のとおり中東情勢ないし石油情勢そのものが非常な変革期といいますか、変動の中にございます。そういうことから、私の会社が当面しておりますことも同様でございまして、石油輸出国機構、OPECという大きな機構の戦略といいますか、そういう政策の波の中に洗われているわけでございます。このOPECというのは、よく御承知のとおり一九六〇年にスタートいたしましたので、すでに十五年になりますが、当時はソ連の安い石油が輸出をされましたり、アフリカで新油田が発見をされるとか、あるいはアメリカが輸入制限を行うとか、そういうことで石油の値段が非常に下がりまして、石油の輸出国としてはいかにして価格を支えるかということに大変苦労していたときであります。そのころスタートしましてこのOPECが取り組みました大きな問題として、価格の維持ないし引き上げ、それから資源の保存ないし生産制限、最後に事業参加の問題、こういう問題を目標に取り上げたわけであります。そのうち価格につきましては資源のナショナリゼーションといいますか、資源に対する主権の宣言でございますとか、全般的にそういう空気の中で、一九七一年のテヘラン協定以来石油価格の引き上げというのが次第に軌道に乗ってきたわけですが、何と申しましても決定的なものは一九七三年十月の第四次中東戦争であります。そのころから石油の価格は実質的に輸出国が一方的に決めるというような形になってまいりまして、よく言われますように、現在はアラビアンライトという標準物で公示価格をとりますと、戦争前の四・三倍、四倍強上がった、こういう状況にございます。  それから、生産の抑制問題につきましても、第四次中東戦争のときから厳密に行われるというようなことになってきたわけであります。  最後に事業参加、パーティシペーションと言っておりますが、一九七二年にリヤド協定と言っております一般協定で決まりました内容は、一九七三年には二五%だけ事業参加をいたしまして、一九八一年に五一%という穏やかな事業参加が決められたわけですが、その後は、御案内のとおりあっと言う間に引き上げられまして、昨年からは湾岸諸国では六〇%、先方が企業参加をするという状況になっております。さらに、最近は一〇〇%という話し合いが進んでいる、そういうふうな状況にございまして、石油開発事業ないしそれの操業ということもこのような激変の中にあるというのが現在置かれている状況でございます。  十分御承知済みの内容でございますが、簡単に申し上げさせていただきました。
  79. 山村新治郎

    山村委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
  80. 田中武喜

    田中参考人 海外石油の専務をいたしております田中でございます。本来なら社長の今里が参るべきでございますが、先月から入院いたしまして、目下静養中でございますので、かわりまして出席させていただきました。お許しをいただきたいと存じます。  それでは、公団法改正について言意見を述べさせていただきます。私ども関係ございますのは、公団の方で利権を取得されるようになったというその改正点が直接の関係改正だと存じますので、その点についてしぼって述べさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、石油をめぐる内外の情勢は急激に変化をしておりまして、自主的な石油供給源確保がいま緊要のことになっております。これはわが国のみならず先進諸国共通の問題かと思います。そういうことで、利権の獲得競争は今後ますます激しくなるだろうというふうに思われるわけでございます。石油企業が多くのリスクとそれから莫大な資金を必要とし、また探鉱開発にきわめて長年月を要するということは申すまをもございません。したがって、このような石油開発を実施できるのは、みずから多くの蓄積を有し、その収益力によって外部の資金借り入れを可能にする、そういった国際石油会社のような企業であるか、あるいは国からリスク投資を可能にするような積極的な支援体制が期待できる企業ということになるかと思います。  わが国の場合はメジャーのような企業が存在しておりませんし、またフランスのERAPとかイタリアのENIのように国みずからが国策会社を通じて石油開発に乗り出すというような手段もとられておりません。したがって、わが国の場合には、民間企業が公団と一体となって石油開発を進めていくことが必要であるというふうに考えております。この点、必要な場合には、まず公団が利権を取得されて、それを民間に譲り渡していただくということも効果的だと考えておるわけです。このような観点から見ますと、今回の改正案におきまして公団が直接利権を取得されるようになることは有益なことだと考えておるわけです。私どもといたしましては、過去いろいろなプロジェクトに携わってまいりましたが、いま申し上げましたような資金調達力のほかに技術力の問題あるいは外に対する知名度の問題等、多くの問題を抱えております。特に最近におきましては、産油国みずからが政府機関との交渉を望むケースが多くなっているのも事実でございます。こういう意味におきまして、公団が利権取得業務をおやりになるということは時宜に即したものと考える次第でございます。  次に、今回の公団法改正とは直接関係ございませんけれども、探鉱開発に関する投融資規模の大幅な拡大についてお願いしたいと思います。  それには財政面におきまして十分な確保に努めていただきたいわけでございまして、特に探鉱開発資金につきましては低利資金の確保をお願いしたいわけでございます。来年度の投融資規模は、承りますと四十九年度の八百億から一千億まで拡大されると伺っておりまして、まことにありがたいことだと存じますが、今日の情勢を考えますと、まだ十分だとは言えないくらいではないかと思うわけでございます。石油開発企業の体質はまだ脆弱でございます。公団投融資によるところが大でございます。もちろん私ども民間企業といたしましては、できるだけの努力を重ねるつもりでございますが、公団投融資はそのためのインセンティブにもなるわけでございます。どうか石油開発企業の育成ということに意を用いられ、今後とも財政、金融、税制面での御尽力をお願いしたいと存じます。  以上、簡単でございますが、開発企業の現状の一端を申し上げて本改正案に賛成するものでございます。  どうもありがとうございました。
  81. 山村新治郎

    山村委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————
  82. 山村新治郎

    山村委員長 これより質疑を行います。  質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  83. 板川正吾

    ○板川委員 まず第一に、アラビア石油の大慈彌参考人に伺います。  けさの新聞等によりますと、サウジアラビアファイサル国王が急死をされた。そして、政変があったわけであります。日本なんかにも国王が来られて、なかなかりっぱな識見を持った国王だというふうに私ども感じておったのですが、これがこういう不慮の死に遭ったわけで、まことに痛惜にたえません。  そこで、お伺いいたしたいのは、こうした国王の死による政変、これが今後、アラビア石油にはもちろんでありますが、OPECの中軸を占めておるサウジの動向というのは重要な問題だと思いますので、今後どういう影響があるだろうか、こういう点の感触をひとつまず伺っておきたいと思います。
  84. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 お答えいたします。  ただいま御質問いただきましたファイサル国王が不慮の御逝去を遂げられたということでございますが、全く思いもかけない事件でございまして、現地で操業しております会社の一員としましても、また、たびたびお会いしていただけた方でございますので、そういう方としましてもひとしお哀悼の意を表したいと思う次第でございます。  先生よく御存じのように、同国王は非常に御聡明な方でございまして、国政を一身に背負っておられる。私生活においてもきわめて厳正な方でございますし、国民の信頼を得ておられた方でございます。国際的によく言われておりますように、反シオニズムといいますか、それから親米の立場をおとりになりましたし、石油関係だけでなくて、中東紛争につきましても穏健派のリーダーである、さらに、回教圏における指導者である、こういうふうに言われておられた方でございます。  国王の御逝去が世界的に衝撃を与えたということはけさの新聞のとおりでございますが、その衝撃の内容といいますのは、これもけさの新聞をずっと見ますと、今後の中東紛争につきまして非常に悪い影響が出るのではないか。あるいは石油問題について、ただいま御指摘いただきましたようにOPECの動き等に関して強硬派が力を得るというようなことになるのではないか、そういう憂慮が表明されているように思われます。この辺の詳細については、推移を待つしか、ちょっと断定的に私が申し上げる自信はございません。でございますが、私の会社も含めて、石油事情を考えますと、今後の推移を慎重に見守りたいと思いますが、それほど心配はしておりません。  今度新しく国王になられましたハリド殿下、今度は陛下でございますが、陛下にも前にお会いしましたが、非常に温厚な中正なことをおっしゃっておいでになりましたし、さらに新しく皇太子になられましたファハド殿下でございますが、非常に自信に満ちた物腰で国政のことをお話しになり、日本についての理解を示し、会社についても非常な理解を示されたことが記憶に新しいわけでございます。  そういうことで、新しい力といいますか、それで従来の路線を引き継いでいただきまして、それほど急激な変化が起こらないであろうと思いますし、また起こらないことを希望したいと思います。  どうも的確なお答えができませんで恐縮でございますが、以上のように考えます。
  85. 板川正吾

    ○板川委員 ついでに大慈彌参考人に伺います。  アラビア石油が海外に進出をして非常に成功をおさめて、日本の自主開発エネルギーとしてエネルギー政策相当貢献した。アラビア石油の成功というのは、その後日本の各企業の海外進出における一つの励ましになるといいますか、非常な体験になった、こう思う。ところが、最近御承知のように一〇〇%のパーティシペーションがうわさされておりますし、その前にサウジとアラムコとの関係で、これまた一〇〇%というものがいま出ているわけです。話し合いがついて一〇〇%というパーティシペーションが実行されることになれば、アラビア石油も同じような状態になる。そうした場合に、一体アラビア石油という会社はどういう形になるだろう。これは今後海外に石油公団等のお骨折りで利権を持ち、採油権を持つ、こういう会社にも相当影響を与えると思うので、そういう場合にどういう結果になるのだろう、こう思いますが、この点どう考えておられますか。
  86. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 事業参加の問題でございますが、現在は六〇%の事業参加でございます。私の方はクウェートとそれからサウジアラビア両国から利権を供与されておりまして、六〇%の事業参加が決まりましたのはクウェート政府だけであります。サウジアラビア政府とは決まっておりません。したがいまして、現状では六〇%の半分の三〇%事業参加がございまして、その分については現地資産に対して補償の金額を受け取りまして、今後の設備投資等につきましてもその比率だけは先方が経費を持つ、そのかわりにそれに見合う分の原油は向こうの取り分である、クウェート政府の取り分でございます。現在はそれをまた買い戻すといいますか、そういう形でやっておりまして、従来に比べますとアラビア石油本来の取り分の原油は減ってきたわけです。その分だけ減りましたが、残りは買い戻しをするという形で販売をいたしております。  お尋ねの一〇〇%でございますが、一〇〇%がどういう中身になるかはもちろんまだ確定をいたしておりません。サウジアラビアとアラムコの間で一〇〇%の話が進んでおると伝えられておりますし、その内容も部外者の推測の域を出ませんが、一〇〇%になった後、どれくらいの油をアラムコが買い戻すことができるか。一〇〇%になりますと、全部向こうの政府の取り分になりますが、優先的に特権的な地位でそれをどの程度買い戻すことができるか。あるいは操業を実際には従来のアラムコのスタッフがやると思われますが、その場合に操業に伴う対価というのはどのくらいにするのであろうか。それから、新しい開発投資の危険負担等はどちらがどの程度やるであろうか、そういうことが問題になっているのではないかというような報道が専門誌で行われております。恐らくそういうことではあるまいかと思いますが、もっぱらその推移待ちでございまして、いまのところどういう形で落ちつくかは明瞭ではございません。その間クウェート政府から一〇〇%ということが、先般急に出てきたわけでございますが、これまた内容については今後の問題でございます。
  87. 板川正吾

    ○板川委員 島田総裁に伺いますが、この自主開発原油日本石油業法の目的に石油の安定的確保という大きな柱があります。そのためには自主開発原油を少なくとも三〇%程度、メジャーのひものつかない原油というのを三〇%程度持つべきであるということは、石油業法以来わが国エネルギー政策石油政策としてそう主張されておった。われわれも主張したし、石油審議会の答申等にもそういう主張が再三載っておる。しかし、現在はやっと一〇%になった程度であります。こういうように自主開発原油伸び悩んでおる最大の原因というのは一体どこにあるのだろうか、先ほど委員長が申し上げましたように、そういう点についてひとつ率直な意見を承りたいと思います。
  88. 島田喜仁

    ○島田参考人 先生から率直にというおことばがございました。私としては率直に申し上げておるつもりであります。  公団ができました当時、先ほど大慈彌参考人からも、日本石油開発のためのパイオニアの偉大な実績をおさめられた——当時もそうでございますが、もともと石油事業というのはまず探鉱が非常にリスキーでございまして、石油に関しましては統計というのは大量観察、大数法則になかなか当てはまりませんけれども、大ざっぱに言いますと二割当たればいい、八割はリスクだというのが常識に実はなっておるわけであります。しかし、世界は、御承知のように国際石油企業というものがもう数十年前からその探鉱リスクに挑戦をしていったわけでございますが、日本にはそういう国際石油企業がございませんから、公団が、民間のリスク負担を半分は原則として負っていこうという政府政策に沿ってできたわけでありますが、御承知のように、その当時日本は非常におくれておりましたから、いい鉱区をとろうと思いましても、いい鉱区というのはメジャー等が押えておりましてなかなかいい鉱区がなかった、しかも有望な鉱区がなかったというのも、率直に申しまして実は日本がおくれてリスクに挑戦するという一つの原因であったと思います。そこに一つ、自主開発基本であります探鉱から始まる行き方が問題であったと申し上げざるを得ません。  それから第二は、資源ナショナリズム、資源主権の回復のために、要するに産油国が有望な利権はむしろ自分がリスクを負担して探鉱開発をしていこう、そのために金が足りないから、その探鉱開発資金を参加会社から借りようというムードがあると私は判断をしたわけであります。そのために私は産油国にアプローチしまして、そういう方法はとれないかということを考えましたのが御承知のように融資買油でありまして、この融資買油をもう三年以上前から政府に要望しておったけれども、実はその行き方というものが政策として具体化されなかったわけであります。その一部が今度の法案の内容になってあらわれておりますが、ところが実はその当時としてはそういう方法を産油国が考えたと思いますけれども先ほど大慈彌参考人から申されましたように、御承知のように価格は上がる、あるいはパーティシペーションが始まるということで、要するにオイルダラーが産油国に集まってまいりましたから、そういう金を参加国に期待しなくてもいいというムードに、冒頭申し上げましたように世界資源政策が変わったわけであります。  それで、今後どういうことになっていくかという一つ見通しを考えますと、自分で掘る、足りないところは金を借りるけれども、自分で金を出していく。そうしますると、掘ったり開発で成功したときに、その掘るための技術料なりあるいは開発をした操業費を要するにコントラクター代として払っていこう。そうすると石油関係なくなるわけであります。石油は別の観点から、たとえば日本に例をとりますと、日本の民間なり政府なりと、その出た油というものを長期的に安定供給確保するとすればギブ・アンド・テークでありまして、単に掘るだけではなくて、あるいは製油所をつくる、あるいはそこにペトケミ工場をつくる、港湾設備をつくる、パイプラインを敷く、タンクをつくる、そういうパッケージでもって、要するに出た油の長期的な安定供給とのギブ・アンド・テークになるわけであります。そうなりますと、それはもちろん油を買うわけでありますが、単に油を原油で売るだけではなくて、製油所をつくりますと付加価値の高い製品を供給していこうという問題に相なるわけでありまして、私が申し上げました公団が探鉱だけを中心にやっていくという考え方から、安定供給というのを広く見ますと、資源政策が変わってしまったわけであります。私が先ほど申し上げました総合的な安定供給の道というものを考えませんとなかなかできないということになる。もっと広い範囲で油を長期に買うなりあるいは探鉱開発をしようとしましても、みずから資源国がやろうということになってきますと、要するに全体的に安定供給の道を考えなければならないわけであります。  私はもう一つの問題といたしまして、すでにある会社が産油国と契約しまして、要するに開発油田を発見してその石油を売っておる、そのほかに探鉱地域も持っておるという、いわゆる探鉱と開発をミックスした地域に対して参加をするという問題も、実はすでに三年ぐらい前から強く政府に要望しておりましたけれども、これも一つ政策として実らなかったということでありまして、率直に申しますというと、七、八年前から日本も探鉱リスクに挑戦したり、長期的な安定供給という道を探ろう、そういう行き方をやっておれば、自主開発の行き方というのはもう少しあったと私は思います。  ところが、どんどん世界情勢は変わっていきますから、それを追いかけていかなければ日本安定供給というのは困難であります、無資源国でありますから。そういう問題こそ実は多様化の問題でありまして、それには日本政府も民間もそれに取っ組んでいかなければならぬわけでありまして、公団にわずかの探鉱の金を出したからといって、日本安定供給はできないと私は思う。ここが基本でありまして、今度の法律改正案も結構でありますけれども、実はもっと早目に手を打てば幾らか効果があった。私は数年間やっておりますから、そういう点は肝に銘じておりますので、その点を申し上げさせていただきたいと思います。
  89. 板川正吾

    ○板川委員 これは島田さんとほかの参考人にも伺いたいのですが、日本石油外交、どうも政府石油外交というのは、石油政策そのものがメジャー依存であって、自主開発を積極的にやろうという態度が従来なかった。したがって、日本政府石油外交というのも実はあってなきがごとき状態である。たとえばアメリカの場合には、ニクソン大統領だったり、あるいは副大統領だったり、政府の要人がアラビアにはしょっちゅう行って、それぞれの国との友好関係を深めておる。日本では石油ショックの最中に前通産大臣三木さんが使いをしたという程度で、その後これという石油外交の展開がない。こういう日本政府石油外交の欠如というのも、自主開発原油をふやすことにならない一つのブレーキになっておるんじゃないかと思うのですが、この政府石油外交というものについて、参考人にそれぞれの御意見を簡単に承りたいと思います。率直な所感といいますか、思っていることを言っていただきたいと思います。
  90. 島田喜仁

    ○島田参考人 資源外交といいましても、いわゆる外交だけではございませんので、石油の問題というのは非常に複雑でございまして、非常に変転きわまりないわけでございます。最も持てるアメリカを例にとっていただくとわかりますけれども、実はこの間私もアメリカに参りましてその実態を知ったわけでございますが、御承知のようにニクソン時代からエネルギー政策というのは大統領みずからが政策を打ち立てて、そしてこの推進を図っております。いまプロジェクトインデペンデンスをめぐりましてその具体策に狂奔をしておるわけでございますが、ただ政府と野党との間が、ちょっと見ますというと攻防を展開しまして、四つに組んでおるわけでございます。ということは、本当に持てるアメリカがエネルギー不足になってきたのをどう打開していくか、しかも世界的に複雑になってきたエネルギーの安全保障という面からどうしたらいいかというのを、全く野党の幹部も大統領も大臣も四つに組んでやっているという、それだけを見ましたときに、日本は本当に私は冒頭に、力がなくておわびをしましたけれども、そういうのを見ておりますと、日本政府も与党も野党も民間も全部一緒になって、この無資源日本が取り組むような——なぜかと言いますと、日本資源がありませんから、当然それが外交になる。そういう意味で私はぜひこれはお願いしたい。資源のない日本は、首相みずから、政府みずから、野党も与党も含めてむずかしい問題を乗り切るような方向で、もっとひとつ前向きにお願いしたい、率直にそう思います。
  91. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 御指摘いただきましたように、率直に申しまして従来石油外交というのは非常に弱かった、あるいはアラブ外交が弱かったと言ってもよろしいかとも思います。そういう意味では、一昨年の十二月に三木総理アラブにおいでになりましたが、ああいうショックのときではありましたが、あれからそういうことが次第に軌道に乗ってくることを期待をしております。  先ほど島田総裁からも、自主原油開発ということについても、製油所とかパイプラインどか、いろいろ総合的にパッケージで考えるという時代に来たというお話がございましたが、そのとおりでございまして、さらに広く言いますと、経済協力あるいは技術協力全般の問題であろうと思います。石油を安定的に供給するためには工業化開発に協力をしてくれた国にというようなことがよく言われますので、そういう意味から、単なる石油だけではなくて、今後ますますそういうものも含めました全体の外交が行われることを切に希望いたします。
  92. 田中武喜

    田中参考人 私どもとしてはまだ乏しい経験でございますけれども、アメリカや英国のメジャーといろいろ接触する機会がございますし、たとえばサウジアラビアでありますとかそういうところで新しい利権を獲得するということでいろいろ努力もしておるわけでございますけれども、そういうことをやりますにつけ、日本の場合には開発企業の脆弱さといいますか、底力のなさ、蓄積の乏しさ、そういうことを痛感するだけに、やはり政府の方の大きな御援助、バックアップを特に必要とするように思います。  それで、いろいろなそういうところに入っていって経験することは、自分自身が強くなければならぬということをまず第一に痛感いたしますけれども、同時にやはり時間の問題があるし、それに間に合うような状況で利権も獲得しなければなりませんし、開発も進めなければならぬ。そういう意味で、今後総力を挙げて資源開発石油の獲得には努力しなければいけないのじゃないかということを痛感しているのが現状でございます。
  93. 板川正吾

    ○板川委員 時間の関係で最後の一問にいたしますが、日本の自主開発原油というのが、目標は立っておるけれどもさっぱり進展しないというのは、やはり私は財源に関係があると思うのです。フランスやイタリアあるいは西ドイツ等から見ましても、日本の自主開発原油に関する投融資の額というのは非常に少ない、消費量の割合から言えば全く少ない。ですから、そういう財源の確保というところに最大のネックがあるのじゃないか、私はこう思うのです。たとえば石油関係の関税それから消費に関係するいろいろな税金、こういうものは膨大な金額になっておって、関税は石油特別会計から今度の公団などには若干来ておりますけれども、大半は道路や一般財源とされ、あるいは石炭関係に使われておる、こういう形になっておるのですね。ですから、私は石油関係から上がる税金の一定部分石油開発する投資資金に回してほしい、こういう注文なり要求なりを政府に出すべきじゃないだろうか。そういう声がないのはまことに残念でありますが、そういう点に対する各参考人の御意見を承って私の質問を終わりたいと思うので、とりあえず簡単に御所見を承りたい。
  94. 島田喜仁

    ○島田参考人 私は、どういう財源を私どもがあるいは民間とともに使わしていただくリスクマネー等に使うかという財源の問題はいろいろあると思います。ただ、少なくとも私が率直に申し上げられる点は、要するにこれから、量の問題はもちろんでございますが、質の問題が実はございまして、この二つの面からお考えをいただく必要がある。  簡単に申しますと、特別会計というのが三年ぐらい前にできましたけれども、これは要するに輸入する石油の量で関税収入というものが決まるわけでございますから、したがって量がふえない限りは、価格が上がりましても財源はふえてまいりません。それに私どもは縛られております。今度の五十年度の投融資資金の内訳を簡単に申し上げますと、約一千億と先ほどお話がありましたが、その中で、大部分といいますか、約三百五、六十億がその特別会計でありまして、その同じくらいの額が郵便貯金、年金等であります運用部からの借り入れであります。あとは百三十億ぐらいが要するに公団債の発行でございまして、それが財源になることと、逆に融資の場合にはだんだん融資条件が悪くなっておるわけであります。そういう点がございます。  そこで、財源をどこに求めるかということでございますが、率直に言いますと、このエネルギーというものは国民も使うわけであります。同時に、国の立場からしてこれを確保しなければならぬということになりますと、そういう一部の過去のいきさつから出た財源ではなしに、もっと全体的な見地から、本当にこのエネルギーに対して出していく金というものは国民も含めて国全体としてお考えいただいて、必要なところには出すという一つ政策に沿った方針をとっていただきたいということをぜひお願いをいたします。
  95. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 私の会社といたしましては石油開発公団にもいろいろとお世話になっておりますが、現在アラブ以外で開発はやっておりませんので、そういう意味で直接資金を借り入れるという状況にはございません。そういうことでつまびらかにはいたしませんが、自主開発原油確保のために資金が大きな要素であるということはもう否めないところでございます。ただいま先生がおっしゃいましたような方法等によりまして十分な財源が自動的に確保できるということは、はなはだありがたいことではあるまいかというふうに考えます。
  96. 田中武喜

    田中参考人 初めの御説明のときに申し上げましたように、私どもとしては、来年度の公団の投融資枠が千億になったということに対して非常にありがたいと感謝しておるわけでございます。しかし、先ほど申しましたようにやはりもっと金額が必要なのではないかと思っておりますし、同時に、先ほど総裁もおっしゃいましたようにその中身ができるだけ低利であってほしいということを強く望むものでございまして、その辺の御配慮を格段にお願いしたいと思います。
  97. 板川正吾

    ○板川委員 時間となりましたから、終わります。
  98. 山村新治郎

    山村委員長 この際、参考人各位にお願いいたします。各委員それぞれ持ち時間がございますので、できるだけ簡単にお願いしたいと思います。  佐野進君。
  99. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、特に田中参考人と島田参考人に聞いてみたいと思います。  田中参考人は、本法律の改正がきわめて有益である、こういうようなことでいろいろお話があったわけであります。私どもも、この法律は今日の情勢の中で必要であるということを認める立場審議をしておるわけでありますが、日本石油開発ということがそういう全体的な要望の中で具体的に成果を上げているかどうか、そういう面から見たとき非常に心もとない感じを持つわけです。ただ法律を改正し、その状態をいわゆる前進、前向きの形で変化させるとは言いながら、この程度改正で果たしてそのことが達成できるのかどうかということで質疑を続けてきておるわけでありまするが、その中で一番大きな問題としては、いわゆる開発事業に携わる企業の体制が確立されていない、人的にもまた資本的にも、あるいはその他の条件の中でも確立されていないというところを私は強く指摘しておるわけです。  そこで、田中参考人にお尋ねしたいのですが、いわゆる海外石油開発は四十五年に百五十億の資本金をもって設立され、それぞれの状態の中で仕事をおやりになっておられるわけでありまするけれども、今日、この公団法改正の条件と相関連した形の中で、あなたの会社が今日までやってこられたその実績、いかなる実績を上げておられるかという点について、簡単で結構ですが、全部言えないなら二、三で結構ですから、ひとつ具体的な例でお示しをいただきたいと思います。
  100. 田中武喜

    田中参考人 いま海外石油といたしましては、直接関係しておりますプロジェクト会社には一〇〇%出資しておりまして、現在、利権を獲得すべくまだ努力中の会社は除きますと、ジャパン石油と合同石油、これが油をすでに発見し、それからジャパン石油の場合には現在こちらに油を持ってきておりまして、四十八年度に八百三十万キロリットル、それから四十九年度は三月の見込みでございますが、八百九十五万キロリットルでございます。これは中東から持ってきておるわけでございます。合同石油の方は、これは私の方が中心でやっておるわけではございませんで、参加をしておる会社でございますけれども、これは開発計画が大体順調に進みまして、この七月から日産三万バーレルの規模で生産に入るという状況でございます。  それから、いま進行中のものとしては、これも参加しておる会社としてベンガル石油、これはバングラデシュでございますが、もう一つはサハリンの大陸だなでのサハリン石油開発協力の三社がございまして、これはまだこれから探鉱を開始するという段階でございます。それ以外にまだ、これから探鉱をする会社でピーエヌジー、これはニューギニアでやっております会社でございますが、これに参加しております。これが大体いま可能性が残っておる会社の実情でございます。
  101. 佐野進

    ○佐野(進)委員 続いて、田中参考人、それでは失敗した例は——失敗したというか撤退したというか、いわゆる投資はしたけれどもうまくいかなかったという例がありましたらひとつお示しをいただきたいと思います。
  102. 田中武喜

    田中参考人 それから、うまくいかなかった例といたしましては、コロンビア石油、それからもう一つオセアニア石油の二村がございます。コロンビア石油の方には海外石油としましては一億八千万円を出資いたしました。これは全体の一〇%ちょっとに当たっております。それから、オセアニア石油の場合には四千万円を出資いたしました。これは全体の三・六%。この両社の場合には残念ながらうまくいきませんで、先般鉱区を放棄いたしております。
  103. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私の聞いているところによると、百五十億の資本金を持つ海外石油開発株式会社もその業績余り上がらず、出資会社からの資本の参加に対して積極的でない情勢が出てきている、このようなうわさも聞いているわけですが、そのような状況はございますか。     〔委員長退席、萩原委員長代理着席〕
  104. 田中武喜

    田中参考人 ただいま申しましたように、現在のところ百五十億の資本金のうち現実に出資しておりますのが百十三億程度になっております。それで、いま申し上げましたようにうまくいきませんでした例は、コロンビアの一億八千万とオセアニアの四千万、このうちオセアニアの方は、実は先ほど申しましたピーエヌジーというニューギニアの会社の方で、実体はそちらの方で活動しておられまして、その方にも、わずかばかりでございますけれども、三千七百五十万ほどいま出資しております。これはこれから探鉱の段階でございます。  そういうことでございますので、海外石油としてはいままだ配当をするというような業績を上げるところまでいっておりませんし、どうしてもこの問題は、やはりここ数年間はまだ探鉱を主とするような状況を続けるということになりますので、それで株主各位に対しては、その点はもう少し長い目で日本石油資源確保のためにひとつ御協力をいただきたい。  それで、見通しとしては、こういう急激な変化のある時期ですから非常にむずかしいのですけれども、しかしそれはそうとして、だんだんに新しい秩序ができていって、その辺はまたそれなりの企業形態を十分とり得るようになるはずであるというようなことで、いま御協力をお願いしておりまして、私の方に関する限り、まだ出資問題で直接どうということはございません。
  105. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私はなぜこんなことを聞いておるかと申し上げますと、先ほど公団総裁も言っておりますけれども、今度は一千億の予算になる。したがって、投融資が一千億というのはことしでありますから、逐年ふえていくであろうということは間違いないわけです。しかし、これに対して総裁は、二割が成功すればいい方で八割は全く成功しないんだ、こう言っておるわけです。そうすると、一千億とすると八割、これは探鉱が全部じゃございませんが、五百億としても、八割ということになると四百億円、これがいわゆる国民の金ということになって、それが失われていく。もちろん二割が上がったことによってその損失を取り返すこともでき得るわけですから、それは算術計算でいくということは私も考えません。いずれにせよ、そういうような重大な危険性というかリスクというか、そういうものを持つ企業に対して、あなたの方も直接投資をしておるのであろうし、公団もそれに対する投融資をしているということになるわけであります。したがって、この企業、あなたの会社の持つ企業というものの果たさなければならぬ役割りが大変大きいということを私ども考えているわけであります。  そこで、この仕事を成功させるという意味において、きょう今里さんを呼んで、今里さんに私はそれを少し聞こうと思っておったのですが、情熱は結構ですけれども、この種日本におけるところの資源問題を取り扱う会社の責任者として、政治的あるいは財界人的感覚のみでものを処理する。たとえばチュメニの開発であるとかあるいはシベリアの開発であるとか、その他それぞれいいのでありますけれども、おやりになっていけないと私は言うのじゃないのでありますけれども、しかしこの海外石油開発株式会社という会社、これから直接投資をしている関連会社等々に対する責任あるお立場に立って、直接的にこの業務に携わるということについては無理があるんではないか。むしろ国民の期待にこたえ、石油公団等を通じて出されるその巨額なる資金を運用するには、いま少しくこの会社の内部体制整備等々が行われてしかるべきではないか。あなたは、失敗はこれだけですよ、こうおっしゃっておられるんだけれども、これは経過中のものは、失敗だか成功だかわからぬわけですよ。たまたま成功したとおっしゃっても、たとえばジャパン石油のこれは、開発したんでなくて利権料をお払いになってその原油確保しておられる、こういうことですから、もうでき上がったものを買っているということだけだと思うのですよね。たまたま合同石油の場合が、試掘に成功して出たという唯一のものではないかと私は考えるわけですね、会社ができてからすでに五年になんなんとする状況の中において。ですから、そういう点について会社運営についてどうかということを私はお伺いしたいと思うのです。  それから、時間がございませんからこれに関連して総裁にお聞きするわけですが、あなたの方の公団は、海外石油開発株式会社の出資会社に融資をされておるわけですね。海外石油開発株式会社そのものには融資はしておりませんですね。しておりますかどうか、この点一つ最初田中参考人の方から。
  106. 田中武喜

    田中参考人 確かに御指摘のとおりでございまして、私どもも、いかにして効率ある探鉱開発を進めるかということに実は日夜腐心しておるわけでございますが、その点について一番感じますことは、やはり技術力の不足でございます。何としても技術力を充実しませんと、そういう意味での効果もなかなか十分にはいかないと思いますし、これについて何とか名案はないかということをかねがね考えるわけでございますが、日本全体で一番いまやはり問題なのは、石油開発について技術力が不足しているということじゃないかと思うのです。かねがね通産省、公団におかれましてもこの点については着目されて、できるだけ早い機会に充実を図りたいというお心組みがあるように聞いておりますし、私どももその点では何とか御協力申し上げて実を上げたいと考えておるんですが、いま先生のおっしゃった点を前提にいたしまして、私どもがみずから省みていま一番早く何とかしなければならぬと考えているのは技術力の問題でございます。
  107. 島田喜仁

    ○島田参考人 御質問のポイントにお答えをしているかどうかわかりませんが、実はこれは全体の問題でございますけれども日本というのは、先ほども申し上げましたようにアラビア石油を除きますというと、単独で国際石油開発に挑戦をするような会社がなかったわけでございます。したがいまして、公団がみずからそちらの事業をやるわけではございませんし、特に最初は民間がこのリスクに挑戦するというムードに乗りまして、意欲に乗っかって公団がこれに援助をするということになったわけでございます。そこで、実はできる会社というのは、残念ながら石油開発に経験のあった人でない人たち、あるいは株主も同様でございまして、そういう人たちがなかなか金を出さないのを、民間で是非動員をしてくださいと、まあ率直に言えば国の金をなるべく少なくするつもりでお願いした、それで民間から公団は非常に消極的だと言われた時代があるわけでございますが、そういうことでできてまいりましたから、いま石油開発をしております会社というのは、私から言いますれば、開発企業の実態から見たらほど遠いということは率直に申し上げざるを得ない。これは日本の歴史が誤っておった。ところが、外国の企業というのは数十年でございますから、メジャー等には技術陣が二千人から三千人おる。日本は恐らく全体で技術陣が数百名でしょう。数百名ですけれども、その人たちは要するに技術は持っております、秋田、新潟、山形等で掘りましたから。ところが、日本のような温暖なところでない海外の現場に行きまして、灼熱のところ、原始林の中でやるということになりますと、まず言葉の関係があるわけです。そういう点から言いますと、海外活動のできる技術屋さんというのが非常に少ない。その上に、公団の対象企業でもラウンドで申しますともう四十近くになっていると思いますが、そういうところに技術陣がばらまかれてしまった。そういうことになりますと、なかなか技術力の結集というのができませんし、いま田中参考人から率直なお話がございましたが、これをどうするかというのは、本当にもとの技術陣が不足である、その不足の中でも海外活動のできる技術陣というのは、非常に厳しい現場に行っておるわけですから、そういう点から言いますと、これは私ども通産省にもお願いをして、要するに一刻も早く技術者の養成をしないと間に合わないということを申し上げておるわけであります。  それからもう一つは、海外石油に限らず、株主といたしましては幾つかの企業に、開発企業としてできましたところに実は金を出しておるわけでありまして、海外石油はまだ企業の数から言えば商社等に比べれば少ない方であります。一つ問題がありますのは、海外石油というのは御承知のように、私が先ほど申しました海外開発油田と探鉱地域とのミックスしたところに参加するという問題を、政策としてでなしに具体的なプロジェクトとして実は私ども関係いたしました。政府関係をいたしました。そこで、だれがその中心になってやるかというときに、いまのような資金動員力が相当なものでございますから、そこに今里社長初め財界を含めまして、政府とも一緒になって、もうすでにお話しになったように、探鉱リスクのみてなしに——一定の油はあるわけです、それをさらに探鉱リスクをあれしながらふやしていくという前提で、三〇%入りました。その金が海外石油としては非常に多いわけでありまして、その他の企業には恐らく私はごくわずか——実は海外石油というのはできましたのも遅いわけですから、その点は私がもし誤っておったら御勘弁を願いたいのですが、恐らく多くて十数%、もっと少ないワン・オブ・ゼムの参加しかしておらぬと思います。そこには中心になる株主というのがございますから、その点は、要するにむしろほかの企業よりも数多く参加しているところが少ない。問題はADMAの、要するに大きく投じた金の問題であろう。  もう一つは、これからも実は問題がまた起こってくるわけでございますが、冒頭に申し上げた、要するに日本が不況から安定路線に行った場合に条件が非常に悪くなりますから、先ほど私は八割、二割と申し上げましたが、二割でも当たりますと、あの当時は一〇〇%エクイティーオイル、コスト原油が入ってきますから、それでメジャーはもうけたわけです。超過利潤を搾取したといわれるのはそこにあるわけですが、もうそういう時代ではないわけですから、日本はプロフィットは少なくてもエネルギーそのものを幾らかでも多くするというそういう行き方をしなければならぬですから、民間企業にとっては非常に問題になってきます。そういう意味では、どうしてもやはり民間の財界の動員力を持った人が経営者となっていただかないと、先ほど先生のおっしゃったとおり国の金をどんどん、リスクマネーを出していただかなければならぬわけですから。  私が数年間どういうことを一番心がけたかというと、一つには民間の資金をやはり何としても動員してもらいたい。動員するためには、要するにいまの政府の、量だけでなしに質のいい金を動員していかないと誘導にならないわけです。だから、たとえばここで率直に——時間がちょっとあれして申しわけありませんが、十年くらい前からドイツは要するに探鉱の資金を融資しておるわけです。この融資をしておるときに、探鉱中の金利というのは無利子なんです。大体探鉱から開発に行くまでに数年から七、八年かかるわけですが、その金利というのは無利子でありまして、公団ができたときにも、要するにドイツ方式というものを考えておったが、実はこれは実らなかった。そういうような質の金を出しませんと、これから民間はなかなか出し渋る。それでは国がみんなこれを出すかというと、私もこれには問題があると思うし、恐らく先生もそうだと思う。だから、民間の資金を動員するという面で力のある人が経営者になってもらう。率直に言いますと、素人であることはもう日本はやむを得ない。  もう一つは、先ほど田中参考人から言いましたアラビア石油のように長くなりますと技術を持っておりますが、そうでないところは全く技術陣が払底した中で技術を持っていかなければなりませんから、この技術力の問題がある。この二つを全体的にどうしていくかというのは非常にむずかしい問題でございまして、いまこれを統合するといっても、いまのように失敗したところと一緒になるといったら、なかなかなりませんから。  それで、もう一つはドイツ方式で、これは通産大臣にもお願いし、ここにおるエネルギー庁長官にもお願いをしておるプロジェクト別成功払い方式、しかも探鉱中は無利子という質の問題を少しでも——これて民間が前向きにリスクに挑戦するということには限りませんけれども、そういうような問題を是非ひとつ考えていただきたいということを政府にも申し上げておる次第であります。
  108. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間が来ましたから質問を終わりますが、ただ私のいままで質問したことを各参考人はよくその意味をくみ取って御努力を願いたいと思います。
  109. 萩原幸雄

    ○萩原委員長代理 中村委員。
  110. 中村重光

    ○中村(重)委員 島田参考人にお尋ねいたしますが、直接利権を持っていないために不利益というのか、あなたの方が業務の遂行がうまくいかないという具体的な事実としては、どういうことがあるのですか。
  111. 島田喜仁

    ○島田参考人 それは率直に申しますと、私どものやってまいりましたのは、民間がよく接触をしまして、かつては利権——利権という言葉は悪いのですが、いまは契約締結権でございますが、要するにそういうものを前提にしましてあれしてきた時代がありますが、私どもは、民間のやれない場合というのは、むしろこっちがいいような内容の締結をするための権利を得るための交渉をする。そのときはこちらから積極的に行きまして、そうしてどうだ、どうだと、こうやるわけですから、そのときに、これはもうここで具体的に申し上げるのははばかるほど実は実際にはこちらが辛苦した場合もあるし、実際にそういう場合があるのですが、まず公団という組織は初め外国でわからないわけです。何をやるかというと、まず探鉱だけで開発を一本もあれしないというような問題がありましたときに、契約の締結ができないものがのこのこ行って交渉するというのは、これはもう向こうから言えば全くおかしいわけであります。それでいよいよ契約締結をするのは、会社がまだできておりませんから、ということは要するに利権が取れないのに会社をつくっちゃったら大変なことになりますから、そうしますと、会社の方はまだできない、その間にかわってやるときに、今度は契約締結するのは、会社もわからないから責任者もどういう人間が行くかもわからないでやるわけですから、これだけ申し上げたら、それだけでもうおわかりになると思う。それを私ども公団が、そういうことでもわれわれが交渉すれば大丈夫だ、話がつけばいいんだということをわからせるためには相当な苦労をして、行きつ戻りつしておるわけです。  それから同時に、ほかの企業と一緒に競争すると、ほかのところは話さえつけばすぐその場で調印ができますけれども、帰りまして民間を動員しまして会社の株を出し合うところを決めて、社長を決めて、その間に時間がかかるわけですから、日本だけが一番遅くなってしまうわけです。だから、そういう例を見ていただくと、本当におわかりだと思う。私ども利権の取得ができないために、どのくらい苦労したかわからない。ある意味から言えば、前にもここで申し上げたように、締結権がないにもかかわらず、私どもは越境をしておったということを申し上げざるを得ない。  それから同時に、民間と行く場合でも、民間は先ほどのように経験がございませんから、要するに私どもと一緒に行って交渉しておるということであります。ですから、こういうことがおくればせながらできたということは非常に結構でございますが、さて客観情勢というのは、先ほど言ったようにむずかしくなりまして、こういう利権取得をあれすることができるようにしたから、さあ幾らでもとれるんだろうということになると、情勢は非常に厳しいものがあるということを申し上げざるを得ない、こうお答えしておきます。
  112. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、その相手国というのか、資源保有国ですね、それは、公団が直接利権を持つということをむしろ歓迎するというようにお考えになっていらっしゃいますか。
  113. 島田喜仁

    ○島田参考人 私どもは、もう私どものところの力の限界がございますし、人員にも限りがありますから、要するに民間が契約締結権を持って、そして交渉が妥結するということが望ましいといつも思いますが、たとえば産油国からむしろ民間とは、どこの会社であっても単独では話がつかないから、公団ははっきりしないけれども、せめてそこと話をしようということになりますと、その点は産油国は、日本とやろうという場合には、その方が非常に歓迎するということになると私は思います。
  114. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたの方が民間と一緒に行って話をするということはよろしいのだし、信頼感というものも持つだろう。しかし、民間はコマーシャルでやりますね。公団即国なんだから、そこで国がこの権利を持つということは、恒久主権という点からある種の圧力というものを資源保有国が感じるようなことはないのかどうか。主権侵害といったような印象を与えるということを私どもは懸念をしているわけですが、その点どうです。
  115. 島田喜仁

    ○島田参考人 まず、そういう点は全部当たっておるわけではございませんからわかりませんが、そういうことはないと思います。と申しますのは、要するに利権という言葉が、御承知のようにもう古いわけでございまして、利権という言葉のあったのは、昔コンセッション方式と言いまして、要するにこちらが鉱区に対する権利を持つことでございましたが、いまやまさに資源主権ということになりますと、鉱区に対する権利というのは、要するに産油国が持っておるわけでございまして、私どもがあれしますそのあれというのは探鉱開発に参加する締結の権利と、こういう意味でございまして、その中身は当然に、いま産油国が考えているような資源主権に基づく内容になるわけですから、言葉の問題じゃなくて、その中身はもう絶対に昔のような利権という形じゃございませんから、その点はもう問題がない。中身によってあれするというより、そもそも契約締結の権利がなかったわけです。そこの中身の問題ですから、その中身は、向こうがノーと言う場合には、その中身は許さないわけですから、その点は法律でどういうふうに書いてありますか、恐らく利権なんという言葉じゃないと思いますが、そういうことができる権利義務が発生するわけですから、それは中身によるわけである、こういうふうに思います。したがって、産油国資源政策が変わり、資源主権が回復してくれば、中身は、かつてとは全然契約条件が違ってきておりますから、今後も変わっていくだろう、こう思います。
  116. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるように、要は中身ですね。相手国が納得するようなものでないと話はまとまらないわけです。まとまらないんだけれども、やはり民間との話し合いということになってくると、相手国がどうしても一つの主導権というものを持つようになる。国ということになってくると、日本が先進国であるという点から、相手国に与える印象というのか影響というのか、微妙なものがあるような感じがするわけです。  先ほどあなたは、いままでの折衝の中で大変苦労してやってきているんだ  苦労はしただろうけれども、まとまってきておればもうそれでいいわけなんだが、それがまとまらなかった。そのことが相手国にも、むしろまとまらなかったことによる不利益というものを与えておるというような事実がなければ、公団が一つの直接利権を持つということに対して、相手国が歓迎するということには私はならないと思うのですね。理屈じゃなくて、いままで具体的な事実をたくさん持っておられるのだろうから、そのことがこの法律案改正という形に私は出てきたのだろうと思うのですね。だから、あなたがもう長い間公団の総裁をしておられて、であろう、と思うというようなことではなくて、やはりなるほどということで私どもが納得し得るような説明でなければ、なかなか私どもも簡単にこの法律案を通すというわけにはまいらない。その点はどうか。あなたは、言葉じりをとらえるわけじゃないんだが、こういうものをつくってもらってと、もうこれができたような感じを持って発言をしておられるのだけれども、その点どうですか。
  117. 島田喜仁

    ○島田参考人 時間の関係がありますから申し上げますが、最近バングラデシュというところと探鉱開発の協定ができたわけであります。もう二、三カ月前になります。そのときにラーマン首相も来られたり、あそこのイスラム計画委員長も、これは大臣ですが、来られまして、実は公団と話し合いを始めましたが、いよいよ契約の締結ができるというときに、その会社をつくりましてということは、ほかの企業もその場でもう締結をしたわけでございますが、日本はその会社ができておりませんので、時間の猶予をということで、非常に相手方は不満でありました。日本が先に交渉をしておりましたけれども、契約の締結はおくれたわけであります。それで、非常にその点は不満だ、急いでやれということでありましたが、その会社が参りますときに、本来から言えば、会社と向こうの公社との間で調印が行われるわけでありますが、公団がどうしても立ち会え、公団がやはり契約者の一人になることで立ち会えという問題がございましたが、その契約は法律でできない。それで、アグリーメントは、この権利義務はこういう関係で公団は大株主だからあれしてくれ。それで、そのときに一応立ち会う形で最後に契約をしておるわけです。しかもそれが、日本がおそいわけですから、帰って会社をつくってという猶予——ほかはもうみんなずっとあれしまして、契約が一番おくれております。そのときにも、何としても公団が契約しろということを向こうは主張したわけです。長いことやっておりますから、人も知っておる。ところが、会社が出ていって、その社長が行きましたけれども、そのときのあれは、率直に言いますと、もう公団が、はっきりしないのですけれども、一応はその中に入り込んで、向こうはそれで契約した。その会社に対する信頼というのは、できたばかりですから、ないのです。そういう例があります。  あとは、ビルマの問題でもそうですけれども、ほかはみんなできちゃって、もうあと一週間でつくれ、一週間でつくらなかったらほかにやっちゃうと言うんで、飛び帰って一週間で、要するに簡単に、メンバーも全部決まらずにつくって、またそれを拡大していくということをやったわけです。だから、そのときに公団が契約が締結できれば、あとそれだけで向こうは安心して——安心するかどうか、事業はやらないのですから、多少問題がありますけれども、まあ政府機関であるということを信頼して、早急に民間に移していくということができるわけです。  その前にも、契約ができないということになると、一体契約ができないのに話して何だということを、私が公団に職を奉じて欧州に行ったときに、向こうの社長が言っているわけです。契約の締結ができないのに、時間が忙しいのに、君はこれから何を話をするんだ。だから、要するにどこの会社とやれるということになったら、その会社を推薦してあなたはお帰りください、こういうことです。だから、例はたくさんございますが、時間が長くなりますから、この辺で御勘弁願いたいと思います。
  118. 中村重光

    ○中村(重)委員 第十九条の「業務の範囲」の第七号に、目的達成業務というのがあるわけです。これによって公団が具体的にこの業務を遂行してきたという事例がありますか。
  119. 島田喜仁

    ○島田参考人 いま聞きますと、具体的なものはなかったようでございます。
  120. 中村重光

    ○中村(重)委員 大慈彌参考人にお尋ねするのですが、あなたの方は、サウジアラビアあるいはクウェート、この産油国との間はトラブルもなくてうまく行っているんですか。
  121. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 うまく行っていると思っております。
  122. 中村重光

    ○中村(重)委員 私もこの間クウェート、サウジアラビアに行ってきたわけですが、あなたの方の現場にも参りましていろいろなお話も伺ってきたわけですけれども、そのときに、この六〇%の事業参加というような説明を伺ってきたわけですが、産油国はその六〇%分に対しての最終経費というものは負担をしているわけですか。
  123. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 おっしゃるとおりでございます。今後の設備投資経費は六〇%負担をする、その見返りとしまして原油を六〇%向こうが持つ、こういうことになります。
  124. 中村重光

    ○中村(重)委員 傾向として資源保有国の資源ナショナリズムというのが非常に高まってきている。そうなってまいりますと、今後の方向としてはどういう方向に進んでいくのであろうか。あなたの方は、サウジアラビアあるいはクウェートとの間に、当初は生産量の全部を取得する、それがいまは六〇%の事業参加という形に変わってきたわけですね。今後は、いま申し上げたようにもっと産油国に有利な条件ということでなければうまくいかないのではなかろうかという感じがいたしますが、その点に対してはどのような見通しを持っておられるのか、あなたから伺ってみましょう。
  125. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 六〇%の事業参加でございますと、大体こういう形であるということがすでにわかっておりますが、今後それが一〇〇%の場合に一体どうなるかということはまだ明瞭ではございません。まだ現在アラムコなり、クウェート石油、KOCと言っておりますが、そこと話が進んでいるか、あるいはこれから進むという段階でございますので明瞭ではございません。ただしかし、従来考えておりますことは、現地の操業といいますのは、やはりあすから現地政府の方が全部やるというわけにはまいりません。従来の蓄積された技術なり経営の経験という点から、どうしても従来どおり操業は行っていくということは当然そうなろうと考えております。したがいまして、操業は従来どおりする、あるいは現地の操業会社に対しまして、六〇%のときですと、持ち株を持つというような形もあり得ると思いますし、それから生産された原油は買い戻しをしましたり等で販売をするというような形やら、いろいろ組み合わせが考えられるわけでございます。現在までのところ、向こうの政府の首脳の方とお話をしますと、開発なり操業についての適正な報酬といいますか、利潤は必ず考える、企業としては当然存続するというふうに自分らは考えているんだというような話を聞いております。さらに、石油だけではなくて、やはりこれだけの歴史が生まれてきますと、向こうとのいろいろなつながりができまして、両国間の経済全体についてのかけ橋といいますか、そういう役割りも出てくると思いますので、そのような点からまだ会社の存続ないしその意義というのは十分あろうかと考えております。
  126. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま私がお尋ねをした点について、田中参考人は、今後傾向としてはどういう方向にまず進むというようにお考えになられるか、抽象的でも結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。
  127. 田中武喜

    田中参考人 私どもも現在のところサウジとアラムコの交渉の動向を見守っておるわけでございますが、それがいつどういうふうに決着を見るのか、あちらこちらといろいろと聞いてみますけれども、いまのところ見通しがつかない状況でございます。それで、全体の方向として一〇〇%の傾向にあるということが、いよいよサウジアラビア、アラムコの間で実現するということになりますと、やはり近隣の首長国連邦でありますとか、カタールでありますとか、そういうところにも影響が出てきて同じような動きをするのではなかろうかというような予測をいましている状況でございます。
  128. 中村重光

    ○中村(重)委員 私がお尋ねをしたのは、御承知のとおり国有化によって利権の接収というのが数カ国によってすでに行われているわけですね。そこまでいかないにしても、条件的に資源保有国に有利な体制というものが確立されなければならぬ、される方向に進むであろう。国連におけるところの恒久主権の数回の決議といったような点からいたしましても、産油国が、当然のこととはいいながら、相当発言権を強くしてくるということは、これは考えられることだろうというように思うんですね。その点に対して、今回の法律改正案の中身と、いま私が申し上げているようなこととは直接関係はないわけですけれども、やはり方向としてはしっかり把握をしておかなければならないのではないかというような考え方から私はお尋ねをしているわけですが、島田参考人、その点どうでしょう。
  129. 島田喜仁

    ○島田参考人 先生のおっしゃったとおりであろうと思います。すでに国有化は御承知のようにイラクでも行われておりましたし、リビヤでも一部行われた。それから、特にイランが全くの国有化ということですでにもう実施をしております。いま問題になってまいりましたのは、ちょうどサウジアラビア中心にしますパーティシペーションの問題ですが、昨日ファイサル国王が暗殺をされまして状況がどういうふうに変わるかはなかなか私ども見通せませんけれども、いままでの要するにアラムコの一〇〇%問題というのは、国際石油会社、アラムコのメンバーの首脳部といたしましても一〇〇%のパーティシペーションというのは時間の問題で、これはある程度やむを得ない、こういう考え方を持っていたと思います。中東紛争の平和的解決がまたしばらく遠のきましたから、この問題もアラムコの一〇〇%パーティシペーションに関係があると私は思っておりますが、とにかくその場合に一体どうなるかということをもう一度私は私なりの判断で申し上げますと、一〇〇%になった場合には、油は完全に要するに産油国のものでありまして、いわゆるエクイティーオイルということではない、いわゆるコストオイルということではないわけでございまして、それは参加者に売っていくあるいは自由な市場に売っていくという形になりまして、先ほど大慈彌参考人からもちょっと触れられたようでございますけれども、結局探鉱したり開発したり、操業をしていくための技術的なフィーなりあるいは操業のフィーを話し合いで出していくということになると思います。そのときに国際石油会社というのは、私が先ほど冒頭に申し上げましたように、単に石油開発だけではなくて、精油所に関する能力あるいはペトケミに関する能力あるいはタンカーその他いろいろな能力というものを持っておりますから、そのときにいろんなフィーとしてあるいはインフラストラクチュアに対するサービスというような意味で、そういうもののギブ・アンド・テークというフィーというものをわれわれはもらうだけの技術その他の提供ができるという一つの自信に立っておると思います。そういう意味では、あくまでもこういう産油国の条件が悪くなっても、われわれは依然として従来の考え方をとっていくのだという態度も示しておりますから、そういう条件になったときに日本はどうかということになると、先ほど申しました技術的にも問題がありますし、それから総合的な、先ほど大慈彌参考人からも言われた、いまこれを経済協力、技術協力という面でのつながりを持っていかないと、要するに安定的な石油確保というのは日本にとってなかなか問題があるということを私どもも痛感をいたしておるわけでありまして、総合的な対策が必要である、こういうふうに申し上げたゆえんはここにあるわけであります。
  130. 中村重光

    ○中村(重)委員 終わります。
  131. 萩原幸雄

    ○萩原委員長代理 野間委員。
  132. 野間友一

    ○野間委員 ほかの委員がかなりお聞きになりましたので、重複しない形で少しお聞きをしたいと思います。  最初に、海外のいわゆる自主開発という名の開発について、先ほど総裁は個別の企業よりも公団が介入するというか、公団が直接当事者になるということを、信頼度あるいは知名度というような言葉も言われたと思いますけれども、そういう点から向こうの方が望むというような話もあったと思うのです。それに関連して聞くわけですけれども、従来の海外の開発を見ておりますと、一開発一会社と申しますか、しかもこの一会社、ワンカンパニーの中身を見ますと、それぞれたとえば電力とかあるいは商社とか日本の大企業が出資をして、そして開発の会社をつくって出ておるというのがすべてなんですね。これはたとえば成功率が二〇%、八割までがだめだという話もありましたけれども、それの関連でやはり一つのスペキュレーションと言いますか、投機としての何かそういうような機能で出ておるのではないかという気がしてしようがないわけですね。つまり大企業はどんどん出資をして一つの会社をつくる、出ていく。その企業の役割りを見てみますと、要するにリスクというのは出資分だけだ。しかも国から投融資を受けられる。もし掘って当たらなければ出資金だけ放棄したらいいのだ。こういうところに何か海外のいわゆる自主開発の問題があるように私は思うわけですね。だから、いままでのような開発のあり方でいいのかどうか、どのように考えておられるのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  133. 島田喜仁

    ○島田参考人 どうも頭がぼけておるせいか、先生のおっしゃる意味が、どうすればいいかという御質問がちょっとわからないものですから、はなはだお答えのピントが外れておるかもしれませんけれども先ほども申し上げますように世界石油企業というのは、そういういわばギャンブルであるがごとき、スペキュレーションであるがごとき、要するに探鉱開発を長年やってきたわけであります。御承知のようにコストは非常に安くても全部コスト原油で入りますから、それをバーレル当たりで売りますと大変なもうけが実はできて、それがリスクに対する再投資の蓄積になっておったわけです。  ところが、日本はそういうことをせずに金を出して買っておったわけですから、そういうオイルカンパニーがリスクを冒して掘った油を買ってきたわけですから、日本にはオイルカンパニーはないわけです。日本になければどこがやるかと言えば、国がやるか民間がやるよりしようがない。民間も要するに結果的に言ってスペキュレーションであるということも一応はわかりながらも、当たれば何とか取り戻せるという考え方が七、八年前にございまして、まだパーティシペーションの問題なんというのは全然なかったですから、そういう時期にスタートしたわけであります。そのためにはリスクマネーを出せるところといえば、いま申し上げましたように商社であったり電力会社であったりあるいは鉄鋼会社であったり、その他石油関係ない会社がリスクマネーを出してきたわけです。  出しますと、その当時は出資が多かったわけでございますが、公団といたしましては出資でも融資でもいいし、民間分も必ずしも出資に限らないわけです。出資がどんどん多くなりますとこげついてきまして——こげつくというのは配当ができるまでは戻ってきませんから。そうなると、要するに融資というような道が開かれて、民間でも出てくると思いますが、そういうことで、要するにリスクに挑戦をしてきた日本の歴史的な企業秩序であり政府政策であったところに実は問題があります。  そこで、今後これをどうしていったらいいかというのは、先ほど申し上げましたようにいろいろな問題がありまして、それは政府にもお願いをし、私どももその問題点というのは知っておりますけれども、これは容易ならない問題でございます。  簡単に御質問にお答えできたかどうかわかりませんけれども実態だけ御承知を願いたいと思います。
  134. 野間友一

    ○野間委員 私の質問は政府にするべき筋合いのものですけれども、実務の責任者としてついておられるのでお聞きしたわけです。  大体、公団が投資された開発会社、四十数社あるように私は認識しておるわけです。その中で冬眠会社が十社近くあるというふうに、これも私理解しておるわけです。いろいろ調べてみますと、先ほど申し上げたように、これはたしか鉱業連盟のいつかの雑誌にも書いてありましたけれども、要するに一つ開発を、一つの出資をして会社をつくってやるということのメリットはリスクを分散できることだということが書いてあったわけです。だから、わっと掘って、政府から投融資を受けて出資しても掘る、掘るけれどもうまいぐあいに当たらない。それじゃひとつ泣こうかというような非常に安易な開発がなされてきたのじゃないかという気がしてしようがないわけですね。探鉱でなくて、たとえば三菱にしてもあるいは三井にしても、あらゆる産業の中で世界の企業としてある意味で非常に信頼度、知名度があり、そういう意味でどんどん民間が出ていって成功しておる。ところが、石油開発についてはそうではないわけです。先ほど総裁はプロフィットよりもエネルギーそのものを中心にして今後は考えていかなければならぬ、こう言われましたけれども、いままでの経過をずっと見ておりますと、まさに山師と申しますか、相場を張るような開発がなされたのじゃないか。そのことが要するに産油国のいろいろな企業に対する信頼を失わせた、そういうところにつながっていったのじゃないかと私は思うわけです。そこで、お聞きしたわけです。  同じような質問ですけれども、海外へ出ておられる中でアラビア石油は成功された方ですが、海外石油田中さん、ひとつその点についてのあなたの御見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
  135. 田中武喜

    田中参考人 いまの問題は御指摘のとおりだと思います。それで、ここ数年間そういう試行錯誤を経てきたのだというふうにも考えられると思うのですけれども、大きな利益を予想することができたときと、だんだんに情勢が変わってきたときと、やり方も変わってこなければならないというふうに私どもも考えております。  それで、どういう方法が一番いいのかということは、結局そういう環境の変化も織り込んで効果的な開発形態を考えなければならぬと思うのでございますけれども、ただその場合に私どもとしていま考えますのは、どういう開発形態が一番いいのかということを考えると同時に、現在からそういう開発形態に結びつける過程が大切であるというふうに考えるわけでございまして、この点については衆知を集めて日本としてどういう開発形態がいいのかということを考えなければなりませんけれども、同時に現在置かれた開発会社の実情を最も効果的に生かしながらやっていかなければならぬのではないか。そういう意味でワンプロジェクトーワンカンパニーということについては先ほどお話がありましたけれども、それのまずい点を直しながら、しかし、かと言ってまだ民間が開発について相当大きな責任を負っていかなければならぬということも事実でございますから、それを結びつけていくのがこれから先の民間の責任であるというふうに考えて、それについては私ども一番頭にありますのは、さっきも申し上げましたが、技術力の問題、技術力を蓄えられるような形態の開発会社でないと、今後効果のある開発はできないということを一番強く考えますので、まず第一に今後の形態を考えていかなければならぬのではないかというふうに思っております。
  136. 野間友一

    ○野間委員 アラビア石油の大慈彌さんにお聞きしたいのですけれども、いまのパーティシペーションの問題ですけれども、クウェートの場合には六〇%、これは「エネルギー」七四年十月号の資料にも書いてありましたので私読ましていただきましたけれども、これが世界の趨勢であるということですね。いま一〇〇%の話もございました。これらについて、趨勢としての事業参加の見通しをどう持っておられるのか、と同時に、これと安定供給との関係をどうとらえていくのかということについてお伺いしたいと思います。  なお、時間の関係で島田さんにひとついまの御答弁をいただいておる間にお考えいただきたいと思いますけれども先ほど中村委員の方からも質問がありましたけれども、いわゆる天然資源の恒久主権の問題ですね。これは国連の決議、十七回あるいは特に二十一回の決議等、これによりますと、恒久主権の中身として開発それから油の保有それから販売権、主権の中身としては販売権まで含めて考えておるようですね。これはOPEC等の決議によりましてもそういう趣旨で貫かれておると思うのですね。そうだとしますと、今度の改正の中で公団が利権を獲得して民間に譲渡していくということは、世界のそのような主権の流れに逆行するものじゃなかろうか。特に先ほどのお答えにもありましたけれども、天然資源の恒久主権について、いま申し上げましたように探鉱して掘り当てたものを販売することまでも、処分することまでもこの中身に含めていくという、これは私は正当な考え方だろうとは思うのですね。そうだとしますと、いま幾つかある方式の中に、たとえば利権付与方式というのがありますね。これはもう探鉱権、開発権すべて入る会社がこれを持つという方式ですけれども、そのほかたとえばPS方式というのがありますね。このPS方式というのは、頭文字はそうですけれども、プロダクションのシェアリングというのとプロフィットのシェアリングと、この二つあると思うのですね。これはビルマ等ではいまではプロダクションのシェアリングではだめだ、これはプロフィットのシェアリングだというふうに言っておるわけですね。これは開発公団の雑誌にもちゃんと書いてありますけれども、確かにそうなんですね。つまりアラブのようなナショナリズム、民族のこういう闘争が非常にいま定着と申しますか、一定の地位を占めたという進んだところだけではなしに、あらゆるところでこういうのがずっと出てくると思うのですね。そういうのを前提とした場合に、ビルマですらも——すらもと言うと語弊がありますけれども、プロダクションでなくてやはりプロフィットでなかったらいかぬ。つまり販売権までやはり産油国にあるんだということは、これは国連決議の中身の一つとして、ビルマででもやはりそれだけの認識が深まっている。公団としてもそういうことを雑誌の中に書かれているわけですね。  そういう意味からして、利権の問題について単にその利権付与方式、探鉱やあるいは開発だけではなしに、やはり販売権まで含めて考えた場合には、これを国家が、いまの世界の趨勢に対して、利権を持ち、それを譲渡するということは、何か逆行するのではないかというふうに私は思えてしようがないのです。そういう意味で国連決議あるいはOPECのいろんな宣言等と利権の問題について、実務の最高責任者としてどのようにお考えになるのか、その点について後でまたお答えいただきたいと思います。
  137. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 パーティシペーションの問題でございますが、六〇%につきましては現在すでに行われておりますので、大体こういう形であろうということはわかりますが、一〇〇%の場合にどうなるかというのはまだ流動的でございまして、最終的にはまだはっきりいたしません。いたしませんけれども先ほどもお答えをいたしたところでございますが、実際の操業というのは引き続きやるというふうに考えております。それから、何より開発をしたあるいは操業しているという事実は否めないわけでございます。そういうことから、パーティシペーションと安定供給の問題はどうなるかという御質問でございますけれども、自主開発を行ったという事実は絶対に残る、こういうふうに考えております。  さらに、開発の取り組み方も先ほどからいろいろ島田総裁からもお話がございましたが、新しい開発の仕方といいますか、従来のように利権を取ってただ開発するということではなくて、融資買油でございますとかそれからただいま先生のおっしゃいましたPS方式でございますとか、いろいろ新しい開発の仕方もだんだん出てくるのではないかというふうに思います。そういう意味から、安定供給という点から言いまして、やはり大きな意味を持っているというふうに考えます。  さらに、これは一般的な流れでございますが、資源ナショナリズムといいますか、そういう大きな流れというのは、これはもう否むことのできない世界の大勢ではございますが、最近の国際情勢に見ますように、対決というムードからだんだん話し合いというムードに変わりつつあると思います。パリの準備会議でございますとかその後の動きを見ましても、新しい世界の経済秩序をどうするかという話し合いの空気というものが出ていることも否めないところでございまして、そういう中で自主開発ないしパーティシペーションそれから安定供給、そういうこともおのずから妥当な線というのが出るような空気になるのではないか、あるいはそういうことを希望すると申し上げた方が正しいかもしれませんが、私はそう思っております。
  138. 島田喜仁

    ○島田参考人 先ほども実はお答えしたわけでございますが、まずもう一度ダブるようでございますけれども、利権取得というようなことを言うものですからどうも少しおかしくなりまして、要するにかつては、ちょうど数年前までは、あるいは十年ぐらい前はと言った方がいいかもしれませんが、コンセッション方式というのがございまして、それは探鉱開発をするときに、その鉱区のいわば所有権をもらうような形がそのコンセッション方式というのであったわけです。ところが、先ほども中村先生からもお話がありましたり、いま先生からお話がありますように、恒久主権の確立という問題が国連で決議されるような時期から、だんだんナショナリズムあるいは資源主権の回復という問題が出てまいりますに従って、コンセッション方式というのはもう数年前からなくなっておるわけです。コンセッション方式の場合には利権取得というようなことを言いましても多少合うような感じがありますけれども、私は冒頭から申し上げたように、今度の公団法改正というのは、産油国と話をしながら要するに探鉱したり開発をする、その開発に参加する契約締結の権利義務、こういうものを持つという意味だと思います。  それから同時に、いまその契約方式というのは、したがって契約の内容、産油国と話した契約の内容についてサインができるかどうかという問題でございまして、それからもう一つは何か利権取得だから産油国からある程度まで利権が取れるというような感じじゃなくて、いまやまさに産油国というのは資源主権を侵されない範囲内でしか、要するに探鉱開発あるいはリファイナリーのダウンストリームの問題もみんな含めまして、実はその契約締結をあれしますと、こんな膨大な内容になりまして、もう条項条項、産油国というのは資源主権を侵されない範囲内でしかいろいろな権利というものを与えないわけです。そのために相当時間が実はかかるわけでありまして、したがって私どもはいまお話がありましたビルマについても長いことやっておりますが、そういう問題は逐一ビルマ側としても資源主権を侵されない範囲内でしかこちら側に権利をその内容については与えないわけです。  それで、実は先ほど中東中心にしまして一〇〇%のパーティシペーションというのが行われておりますが、まだ産油国にならない資源国というのは、やはり資金的にも問題がありますし、技術力がないために、いまお話しの、簡単に言いますと非常にモデファイされたいろいろな方式というのはありますけれども、PS方式というのが行われておるわけです。ビルマは実体的にはPS方式ですが、先生の言われたように、資源主権を侵されない範囲内で、油は向こうのものだ、向こうのものだというところがPS方式とは違いますけれども、その内容については本当に向こうの主権が侵されないような内容で、それぞれ産油国とやるわけですから、それで産油国はもう知っておりまして、その産油国がその内容について、これならよろしいからサインをするということでなければ、われわれの方が、日本の民間もそうですけれども、行ってサインできないわけですから、その点は内容によって、いま産油国資源政策あるいは産油国にならない資源国というのは、そういうことを承知の上で内容を決めていくわけであります。だから、向こうで了承した契約内容に日本側はサインをどこができるか。民間でしかできなかったのをするということであれば、これは利権取得と名がつけば民間がやろうが公団がやろうが同じことでありまして、それを向こうはもうよく知っておるわけです。知っておって、その内容を逐一、もう大変膨大なものになりまして、これは両方が要するに法律家もついておりまして、そうしてそれをやっていくわけですから、いまお話しのような、表面的に見ると何か利権あさりをやって利権か何かをとるというのですけれども、内容は全くいまお話しの資源主権というものを問題にしまして、それで今度はリファイナリーをどうするか、あるいはそれから御承知のように探鉱し、開発をし、配船をし、そして精油をし、それから今度は販売をしていく、これが石油事業の一貫的なインテグレーションでありまして、だから産油国も要するに探鉱開発から最近は精油所をつくろうじゃないか、自分のところにつくろうじゃないか、販売の関係も要するに消費国のダウンストリームに入るという問題も考えられております。それから、自分のところで販売まで持とうという問題も実は出ておりますけれども、それはそういうことを頭の中に置いて原則としてはそういうことを考えておりますけれども、自分の産油国の力、販売網あるいは操業の経営能力というようなものを考えながら逐次展開をしてまいるのだろうと思います。  ですから、現状においては、私どもあれしておりますときに問題になりますのは、まず探鉱から開発へという段階ですけれども先ほど申し上げましたように公団は探鉱の部分しかタッチしておりませんから、開発は輸銀になるわけです。リファイナリーの方は私ども関係がなくなる。だから、製品で売ろうという問題になると私どもが行っても話にならぬ。だから、そういうふうに資源政策が変わるというと、公団だけではタッチできる範囲内というのはもう限定されておりまして、そこに問題があるということを申し上げておるわけです。したがって、私どものできないような、いま先生のおっしゃるような販売だとか製品化する問題とか、いろいろな問題までは私どもタッチできないのです。そこに事業としては足があり手があり首があるところの一部しか私どものところはタッチできないということが問題だということを申し上げておるわけでありまして、それを越えたようなことは私どもとしてもできないし、向こうもそういうことを知っておりますから、そういう内容の問題に触れるということも考えてやろうということになれば、公団を相手にしないわけです。日本開発会社も相手にしないという点が実はあるということでございまして、その内容はよく知っておって、どこの範囲まででまず契約をしようじゃないかという内容というのは、相当時間をかけて、もう要するに簡単に、問題が前向きに進んでからおそらく二カ月や三カ月でできるということはないのです。一年かかる、二年かかるという長い話し合いの結果、できてくるわけでございます。
  139. 野間友一

    ○野間委員 もう少し突っ込んで私お聞きしたいのは、主権とそれからいろいろな自主開発という、いままでやっておることとの関連についてもう少し突っ込んで、特に中東、それから産油はしてないけれどもこれから開発していくというところの問題を中心にしてお聞きしたかったわけですけれども、時間がありません。政府に聞くことにして、これで終わりたいと思います。
  140. 萩原幸雄

    ○萩原委員長代理 松尾委員。
  141. 松尾信人

    ○松尾委員 もう約二時間にわたりまして参考人がいろいろ御意見を披露されて、それぞれのお考えは十分わかった次第であります。ただ私は、いままで各委員がいろいろ質疑を重ねてまいりましたが、これは公団並びに海外石油開発会社の関連でありますけれども、いままで一つのプロジェクトをある企業に任してきた、そしてうまくいかなかったことがある、そういう点を反省しまして、ここが足らなかったんだな、ここをもう少してこ入れをしておけばよかったんじゃないかというような面で反省される点はどうであったかということを、まずそれぞれお聞きしたいと思うのです。
  142. 島田喜仁

    ○島田参考人 どうも反省する点は私個人としてもたくさんありますし、政府に対して要望した政策もなかなか実現していただけなかった。ある意味から言えば、私がその実態認識の御説明が悪く、説得力がなかったという点も反省をいたさざるを得ませんわけでございまして、たくさんあるわけでございますが、これまたたくさん申し上げると時間の関係がございますから、今度は角度を変えまして、やはりこれからの情勢で、これが非常に日本としては歴史的な産業秩序あるいは日本の全体の体制という面から見ますと、やはりむずかしい問題でございますが、インテグレーションの問題が一つございます。それからもう一つは、非常にむずかしい問題でございますが、先ほども諸先生から、企業がたくさん多くて、そうして一穴である、全くそのとおりでございます。ところが、これを要するに、同時に最初からそういう民間にも国際企業というものが一つあるいは二つ三つできておればよかったんですけれども、とにかく民間を中心にやってまいりましたから、先ほどもお話しのあったように初めは一発で当たるという、自分のところは当たると思っておったわけですね。ところが、やはり大数法則じゃありませんけれども、なかなか当たらない、そうしますと、その会社ができておるわけですから、もしやめるとすれば解散するよりしようがない。要するに、また新しいところを見出すまでは、仕事がないけれども解散するわけにいかぬというような問題がありまして、そうすると、せっかくできた会社なんだから、そこにまた新しい仕事を見つけたらいいということになりますと、いままでのうまくいかなかったのをしょいかぶらなければなりませんから、要するにそこの会社でまた新しい会社をつくるより、その会社でやったらいいと思っても、そこに問題があるわけです。ですから、こういう問題というものを、やはりそういう実態実態としましても、要するに日本しかそういうのはないわけですから、そういう点を全体として政府ももっと大きな角度からお考えをいただくということを反省の意味で——いまになってまいりますとなかなかできない、それでリスク分散ですから、前の会社のやった、だめになったリスクを負うというわけにもいかないし、やはり一つには石油企業というものが、いまの時代と違って一発当たれば相当な超過利潤をもうけられた問題もありますけれども、たくさんやりまして、それで何本か当たれば要するに利益が出てくるということですから、一穴ではちょうど富くじを一本買うようなものでありまして、何本か買わなければいかぬ。この二つは先ほどから申し上げなかった点でございますけれども、むずかしい問題でありまして反省をいたす点でございます。
  143. 松尾信人

    ○松尾委員 いま総裁が、反省しながらこういうふうにやっていこうとおっしゃったのですが、田中さん、それに合わせて、こういうふうな方向でいきたいということを言おっしゃってもらいたい。
  144. 田中武喜

    田中参考人 私どもの反省としましては、ワンプロジェクト・ワンカンパニーというもののマイナス面をカバーできるのではないか、そういう形で運営していけるのではないかという考えが、私どもたとえば海外石油の場合にもありましたわけです。それで、それはワンプロジェクト・ワンカンパニーでないわけでございまして、数プロジェクトを持っておるわけです。ところが、ワンプロジェクト・ワンカンパニーのマイナスをカバーしようという考えでおりながら、実は数プロジェクト・ワンカンパニーという、量的にそういう形をとったということはございますけれども、実際にその機能を生かして、たとえば失敗したプロジェクトの経験を他のプロジェクトに生かしていくとか、そういう貴重な体験を自分の次の行動に役立てるというような、そういう本来当然やるべきことができていないように思うわけです。それで、これから私どもは、考え方としては持っておったそういうものを、どうやって実際に実現していけるだろうかという点についていま考えておる状況でございます。
  145. 松尾信人

    ○松尾委員 効果ある開発形態、そういうことを答えられたわけでありますけれども、この利潤追求でまず民間企業が先行して出た。それから公団ができまして、公団が海外でいろいろのそのような成功をやっていくという、それをまた一つのプロジェクトとして一つの企業に任せていく、こういう行き方が日本のパターンであったわけでありますけれども、そういう時代ははるかに過ぎ去ったんじゃないか。島田さんの先ほどのお答えからも私は感じたわけでありますが、何といっても資源のある国、特にいまは石油の問題でありますから産油国、これに対しては表というものはあくまでも海外経済協力というものが表に立っていかなくちゃならないであろう。     〔萩原委員長代理退席委員長着席〕 その中から相手の主権を尊重し、相手の社会の発展を願い、その中から日本に大切な資源エネルギー石油安定供給を図る、表と裏がはっきりしなくちゃいかぬのじゃないか、こう思うのです。そうしますと、何としても海外経済協力の一環として、日本が海外石油開発に当たる、利潤だとか利権だとかそういうものを表に立てていくのじゃない、こういう方向で進んでいかないと、いろいろの問題も起こるであろう。先ほどもお話がありましたが、産油国日本政府との交渉を望んでおるということは、やはり裏返して言えばそういうことになるのじゃないか、このように感ずるわけですね。ですから、今後の海外石油開発のあり方、基本的な日本の姿勢、その中の公団なりまたは皆様方の会社としてのあり方というものをそれぞれひとつ簡単にお答え願って、私の質問を終わりたい、こう思います。
  146. 島田喜仁

    ○島田参考人 もう先生のおっしゃったとおりだと思います。重ねて申しますが、率直に申しまして、私初め公団の職員の力の足らない点は重ねておわびを申し上げますが、それにも増しまして 増しましてと言うと語弊がありますが、先ほど来申し上げますように世界情勢が非常に激変しておりまして、簡単に言いますと、やはり一つには世界供給量をふやすために大消費国である日本はどうしてもこのリスクに挑戦をして、そしてその分け前を日本供給を受けるという問題と、あとは長期的に産油国の生産をした油を、ただいま先生のお話のありましたように技術的な協力、だんだんオイルダラーも出てまいりますから、いわゆる資金的な協力というものも限界が出てきますが、まだ依然として資金的な協力を受けたいという国もあると思いますので、そういう国々に対する幅広い技術、経済協力との結びつきにおいて日本安定供給を受ける。そのためには、恐らくGGベースというようなワンパッケージでいくような行き方というものも濃厚になってまいります。そういう意味では、公団はだんだんその安定供給のため、あるいは自主開発原油確保という問題のゲビートが狭くなってまいりますけれども、私どもは与えられたその使命に対しましてまた微力を尽くしていくつもりでありますが、重ねて政府並びに国会、これは口幅ったいようでありますが、与野党が一緒になりましてこのエネルギー確保に対する具体政策を御審議いただき、打ち出していただくことを切にお願いいたす次第であります。
  147. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌参考人 産油国資源主権というのを尊重しまして、経済協力と一体になりまして開発に取り組むべきである、国が責任を持って表面に出るべきである、こういう御趣旨だと思いますが、全く仰せのとおりであろうと思います。私の会社の経験から言いましても、当初は国が出てくるということを警戒感を持っていたかとも思われる節がございますが、最近では、産油国の力がつきましたせいもございますが、国自体が責任を持って、国が一体になって責任を持って遂行してくれ、こういうふうな感じが非常に強まっております。仰せのとおりだと思います。
  148. 田中武喜

    田中参考人 いままで、数少ないプロジェクトでございましたけれども海外石油開発関係しました体験として、大きな消費をする日本という国が、いままでは石油資源開発に余り積極的な協力をしていない、そのことについての反省を含めまして、ぜひ産油国と協調しながら、消費国である日本はそういうことについても大いに努力をしているんだという、そういう方向でがんばりたいと思っております。
  149. 山村新治郎

    山村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。     —————————————
  150. 山村新治郎

    山村委員長 引き続き、政府に対する質疑を続行いたします。野間友一君。
  151. 野間友一

    ○野間委員 いまもちょっとお伺いをしておりましたけれども、きのう私は、資源の恒久主権問題というものに照らして、本改正案には問題があるんじゃないかという点を御指摘申し上げたわけですけれども、長官は、探鉱権あるいは採油権の取得といった形の、いわゆる利権取得方式ですね、これは今後ほとんどないであろう、こういう認識のもとに産油国の恒久主権を尊重する、そして海外の開発を行うんだという答弁をされたわけですが、ここできのうも述べたわけですけれども資源の恒久主権というものは、産油国の側では、単に探鉱あるいは採油権を保有するというだけではなしに、とれる原油産油国がこれを保有する、こういうもので、私は、これは正当だと思うのです。先ほどもちょっとお聞きしたのですが、川上あるいは川下を含めて、これは国連の決議にもあるわけですけれども、そうだとしますと、恒久主権の尊重という限り、その生産物に対する権利を取得する方式であるPS方式、これは先ほども若干申し上げたプロダクションシェアリングですね、プロフィットでなくて、これについても恒久主権上問題がある、こういうふうに私は認識すべきじゃないか、こう思うのですけれども、これについての政府のお考え方はいかがですか。
  152. 増田実

    増田政府委員 ただいま野間先生からお話がありましたように、最近の石油につきましては、いわゆる産油国資源国の主権というものにつきましては、従来と様相が一変いたしておるわけでございます。ですから、そういう意味で、今後の石油開発はそれに合わせて行わなければならない。そうなりますと、従来のように、これは先ほど石油開発公団の島田総裁からも発言がございましたが、いわゆるコンセッションシステム、利権取得という名前の中に含まれておりますいわゆる権利の取得というような形は非常に少なくなって、むしろなくなってくるということで、今後の形態としては、むしろいわゆる請負方式ということになるわけでございます。請負方式の中にもいろいろな態様がございまして、たとえばインドネシアがいままでやっておりますのは、いわゆるプロダクションシェアリング、PS方式という形でございます。これにつきましては、出てきました石油を分けまして、一つには開発資金を賄うための割り戻しというものと、それからその残りにつきましては、産油国とそれから開発に当たりました企業というものが分け合う、こういう形になるわけでございますが、しかしその背後には、これは野間先生が言われましたように、石油というものは本来的には産油国の所有、主権の対象になるということでございますが、契約の内容によりまして、その産油国が処分すべき油を一部わけてやる、こういう形になるわけでございます。それで、従来のいわゆるコンセッション方式ですと、探鉱権、開発権を持ちます会社が、自由にその出ました油を処分し得る。つまり先ほど資源主権というものの対象から相当外れるという形で、ただ産油国に対しましては、いわゆる利権料とかあるいは所得税を払う、こういう形になっておったわけでございます。これが様相を一変いたしまして、先ほど言いましたように本来的には産油国資源国がこれについての処分権を持つけれども、自分の発意、契約の内容によりまして、その処分方法を決めて、その一部が開発に当たりました企業に分け与えられる、こういう形になっておるわけでございます。
  153. 野間友一

    ○野間委員 端的に私お聞きしたのは、いわゆるプロダクションシェアリングですね、これも国連決議等に照らし合わせれば、やはり恒久主権とは相入れないものではなかろうか。つまり一定の生産分の一定割合の引き取り権を会社が持つのがPS方式だと思う。ですから、販売権まで産油国にあるのだというようなことも主権の中身に、これは国連決議の中に入っておりますけれども、これからすれば、やはり問題があるのじゃないか。それで政府はどういう認識をしておるかということをお聞きしておるわけです。
  154. 増田実

    増田政府委員 先ほど御説明いたしましたいわゆるプロダクションシェアリングにおきまして、その出ました石油の一部を開発しました企業が受け取る、こういう形になっておりますが、しかしその基礎には、先ほど私が申し上げましたように、出ましたその全石油につきましては、本来的には産油国資源国にそれの処分権がある。しかし、処分の方法として、それを開発しました企業に与えて、そしてそれの販売を任せる、こういう形になっておるわけでございます。そういう意味におきまして、先生がいまおっしゃられました資源主権論から言って、PS方式というものが資源主権を侵すものというふうには私どもは考えておらないわけでございます。この点いろいろ議論があると思いますが、契約の内容、これも先ほど島田総裁が言いましたように、非常に複雑ないろいろな方式が絡み合った契約の内容になっておりますが、しかしその契約の内容は、現在石油につきましては、ほかの資源はまだいろいろの例がございますが、少なくとも石油につきましては主権国が非常に強いというのが現在の状況でございまして、昔のように石油開発会社が出ていきまして、そしてコンセッションを得まして、これを自由勝手に処分するというのとは、やはりもう様相が全く一変しておる。つまり基礎においてはやはり資源主権国に処分権があって、その上で資源主権国の意思で契約が結ばれて、それに基づいて開発会社がそれを処分し得るということであると思います。その意味で、繰り返しになりますが、いわゆるプロダクションシェアリングという方式につきましても、これが資源主権を侵すということにはなってないと私どもは思っておるわけでございます。
  155. 野間友一

    ○野間委員 先ほどの参考人にもお聞きしたのですけれども、これは「石油開発」という雑誌、いまここにありますが、ビルマの例ですね、これは同じPSでもプロフィットシェアリング、こういう名称になっており、「資源の取得・販売権は本来資源国にあるとの思想が強調されている。」これは七四年八月号に出ているわけですね、公団の出したものですが。  だから、様相が一変したというのはまさにそうなんで、これは一つの社会的、政治的あるいは歴史的な背景があるわけです。ですから、きのう申し上げたのですけれども、探鉱あるいは開発権、これを会社側が持つという、こういうのは例外だというふうに言われたわけですけれども、プロダクションシェアリングの場合でも、そうでなくてビルマでもやはりこのようにプロフィットでなかったらいかぬというところまで変わってきているわけですね。だから、これはやはり先ほど申し上げた川上、川下含めて主権概念に入るのだという国連決議、これからすればプロダクションシェアリングというのは当然主権の概念と相矛盾する、そういうことにならざるを得ないと思うのですね。  それはそれとして、政府は恐らくそういう見解に立っておると思うのですけれども、少なくとも探鉱あるいは開発権、これは産油国固有のものであるということについては、あなたも異論がなかろうと思うのですけれども、この点については再度ひとつ確認を求めたいと思います。
  156. 増田実

    増田政府委員 探鉱権という言葉につきましてもいろいろな解釈がございますので、現在の探鉱権は、請負契約のもとに探鉱をさせることを産油国の方が相手方企業に与える、こういう形になってくると思います。そういう意味で、従来のような鉱区を得まして、そしてそれを自由に探鉱し、自由に開発し、それからその処分についてはどこへでも処分するというような形式とは、もうこれは先ほど申し上げましたように様相が一変しておる、こういうふうに考えるわけです。  ただ、事実その開発につきましてはいろいろな形態がございますが、探鉱も産油国みずから全部行う、あるいはただ手数料だけを払って探鉱をさせるということもございますし、また請負契約であるけれども、そこで出ました油につきましてはそれを探鉱の費用の見返りとして与えるというような形、契約の形態によってそれぞれ異っておるわけでございますが、しかしいずれにいたしましてもこの産油国資源国の油につきましての資源主権というものは、産油国資源国側にあって、それに基づいて各種の契約がなされる。ですから、探鉱権というものが当然資源国にある、これはおっしゃられるとおりだと思いますが、しかし実際に探鉱するのは企業が請負契約でする場合があるわけですから、そういう場合には、これは権利と言うのがいいのか、あるいは契約に基づいて請負で探鉱ができる立場にあるということになるのか、いろいろ表現方法はあると思いますが、そういうことで、私も、野間先生の言われます世界の新しい傾向、情勢といたしまして資源主権というものが確立した上で、しかもそれを尊重した上、各種の資源開発が行われている、こういうことにつきましては、これは全くそのとおりだと思っております。
  157. 野間友一

    ○野間委員 非常に肝心なところであいまいになりまして、私何度も申し上げますけれども、要するに探鉱する権利、それから採油する権利ですね、これは産油国自国の固有のものである。それを請負とかいろんな形で掘るなら掘るのは、それは当然だと思いますけれども、そこをやはりきちっと押さえなければならぬ、これを言っておるわけで、何か様相が変わったとか、あれこれ方式があるんだ、請負だとか言われますけれども、ずばりその点についていかがですか。
  158. 増田実

    増田政府委員 その国にあります資源を探鉱し、開発する権利がその国にあるということについては、これはそのとおりでございます。
  159. 野間友一

    ○野間委員 今度の改正案の中には、実際にはまれにしかないかもわかりませんけれども、しかしその権利すら含めておるということになっておるわけですね。だから、これはいまPS方式についてはあれこれ私の見解と長官の見解とは違うようですけれども、それはそれとしても、少なくともそういうような探鉱、いわゆる開発権ですね、そういう権利すら取得するというのが今度の改正の中身に入っておるとすれば、その点についてはこれを排除する旨やはり明記すべきじゃないか、このことがやはり国連決議なりあるいはOPECの宣言等を尊重するゆえんじゃなかろうか、こういうふうに思うものですから何度も聞いておるわけです。この点どうです。
  160. 増田実

    増田政府委員 今度の改正法で、十九条の第七号に「石油等の探鉱をする権利その他これに類する権利の取得」ということが規定されておりまして、これに対しまして野間先生は、探鉱する権利というのはそもそも資源保有国の権利であって、これを取得するというのはいまの国連決議の資源主権というものに反するのではないか、こういう御趣旨だと解しておりますが、今回もこの点につきましては私ども相当配慮いたしたつもりでございます。  それで、この「探鉱をする権利その他これに類する権利」ということで広い概念を使いまして、現在の各種の請負契約その他が全部包含されるということで書き上げたつもりでございます。趣旨といたしましては、資源主権を侵すとか、あるいはこれについて尊重しないという趣旨ではございません。現在の石油開発事情から言いますと、資源国の方がこの開発国に対しまして圧倒的に強い権利を持っておるわけでございまして、アラムコ側も一〇〇%の経営参加を行われるような情勢にあるわけでございます。そういう意味では、この資源主権というものを侵すようなことを日本ができるはずもございませんし、またこの定義もそういう意味の解釈でやっておるということでございます。
  161. 野間友一

    ○野間委員 侵しては大変なことになるので、ただきのうの論議でも、いま申し上げたものもやはり入っておるんだ、ただし実際にはまれであるという答弁をあなたされたので、そうであれば、私は決議と矛盾するから、その分は含まれないということを明記する必要があるんじゃないか、これは当然のことだと思うのです。ただ、あれこれ言われますけれども、そのことを明確にする必要があるんじゃないか。そうでなければ、それを明記せずに含めるということ自体が、抵抗力の弱いところとか、あるいは資源があってもまだ産油国になっていないところですね、そういうところには今後一応の網打ちをして、そしてできるならばということでどんどん入っていく、そういう魂胆がある、このように考えても私はやはりそう言い過ぎではない、こう思うわけです。この点あなたは何かすりかえて論議されるので非常に困っておるわけですけれども、もうずばり言いまして、その点は含まれないということをどうして明記しないのか、簡単に、一言でいいからそれを答えてください。その姿勢が姿勢なら、私はそのようにとりますけれども
  162. 増田実

    増田政府委員 従来の利権付与方式というものにつきまして、これを国連決議が排除しようということで、従来の利権取得方式が望ましくないということについては、私どもも十分にこれを理解しておるわけでございます。また、現実にそういうことが起こることはほとんどあり得ないと思っております。  それから、先生がおっしゃられましたように、まだどこかの国が非常に弱くて、そしてOAPECとかOPECのような行動ができなくて、そこに日本がつけ込んで従来の古いような利権取得というものをやるおそれがあるんではないか、こういうことだと思いますが、少なくとも私どもが知る限りでは、石油につきましては、そういう古い形の利権取得というのは、もう世界の大勢としてできなくなっておるわけでございます。これはほかの資源につきましてはまだいろいろ問題があると思います。しかし、現実に石油生産国あるいは石油を新しく出すような国につきまして古い型の利権取得、ことに国連決議に反するような資源主権を侵すような形のものは、これは事実上あり得ないということを私はここで断言して間違いない、こういうふうに思っております。
  163. 野間友一

    ○野間委員 その点についてはもうこの程度にしておきますけれども、結局、参考人の話にもありましたし、いろいろ物の本によりましても、もういいところは全部メジャーが握っておる。だから、それにファームインするか、新たな別のところがありそうだ、そこへどう進んでいくかということが、開発ブームをいまリターンしたその一つの大きな原因になっているわけですね。だから、網打ちしておいて——いまある中東中心としたそういうところには、それはなかなかできません。これはいまの主権のいろんな歴史的な経過がありますし、またそういうところにしようと思ったってこれはできるわけはないけれども、私の申し上げたのは、抵抗力の弱いところとか、あるいは今後のところというところにメッコをつけて、そして網打ちをしておる、こう私は言わざるを得ないと思うのです。ただ、この点についてはそういう私の主張を述べまして質問を次に進めていきます。  DDオイルとかあるいはメジャー規制ですね、これについてもきのう若干お聞きしたんですけれども、国際的な論議がある、国際的にこの結論が出るのを待っておるということで、何ら主導的、主体的に日本政府がこれに対する手だて、取り組みをしていないということは、私は非常に遺憾だと思うのです。自主開発という原油が総輸入原油量の中に占める割合、これは先ほどの論議にも出ておりましたけれども、四十八年で八・五%、これは通産省の資料で知っておりますけれども、非常に低いわけですね。ほとんどがメジャーに依存しておるということだろうと思うのです。こういうところに金をつぎ込む。むしろ私は、いま本当に大事なのは、自主開発のこれを全くネグれとは言わないわけですが、しかし少なくとも日本が受け取る原油の大部分を占めるメジャーとかあるいはDDオイル、これについての——DDについては予算措置を去年つけたけれども撤回したという話もありましたけれども、本当に本気になってこれらについて手だてしておるというふうに私は思えないわけです。  そこで、聞きますけれども、この自主開発については、四十二年の段階計画で六十年度における総所要原油の三〇%を海外開発原油で賄う、こういうふうに計画ではなっておりますね。この計画をそのとおり進める立場にいま立っておるのかどうか、どうでしょう。
  164. 増田実

    増田政府委員 昭和四十二年の総合エネルギー調査会で、将来の日本石油を三〇%自主開発原油で取得する、こういう一応の目標が立てられておったわけでございますが、この昭和四十二年当時と現在とは、石油事情それから産油国の力その他いろいろな点で違ってきておるわけでございます。そういう意味で、三〇%自主開発原油という形で全部取得するということは、私は非常に無理だと思っております。ただ、自主開発原油につきましての定義もいろいろあるわけでございますが、先ほど先生もおっしゃられましたいわゆるDDの中にも長期取引に基づきましてのDD、これは産油国政府間交渉あるいは民間が交渉いたしまして、長期に、たとえば十年で毎年毎年幾ら引き取るというような直接取引というものができますれば、これは非常に安定した供給ということも言えるのではないかと思います。  それからもう一つは、この前イラクと行ったわけでございますが、日本政府が借款を与えて、その見返りとして石油を十年間でたとえば五千万キロリットル供給する、こういう契約というものが行われておるわけでございますが、これはいわゆる経済協力を背景にいたしたGGベースの長期取引でございますが、これらのものを含めまして三割以上あるいはもっとふやすということは、私はこの自主開発原油に非常に近い形でそういうものを確保すべきではないか、こういうふうに思っています。メジャーは、従来、大体日本の総供給の六〇%以上を占めておったわけでございますが、だんだんバイバックも減るとかいろんな新しい傾向が出ておりますので、日本がメジャーの石油だけに頼るということはもう歴史的にも無理だというふうに思っております。ただ、一番初めの先生の御質問で、自主開発、みずから石油開発をして、そして三〇%全部を賄うということにつきましては相当限界があるので、先ほど申しましたような長期のDD取引あるいはGGベースの取引、これを含めてできるだけそういう石油をふやすという政策にもっていきたいというのが、私どもの現在考えておる石油安定供給輸入政策でございます。
  165. 野間友一

    ○野間委員 できるだけ簡潔にお述べいただきたいと思うのです。  私はDDとかGGなんかは聞いておらぬので、三〇%は海外の開発、これはそうなっていますからね。その点について聞いておるわけですよ。ですから、これについては三〇%は非常に困難だ、DD、GG含めて、そういう答弁がいまあったんですけれども、非常に困難だ、私もそうだと思うのです。結局そういうことを考えてみますと、なかなかめどもつきにくいですね。先ほどの話でも成功するのは十のうち二つしかないというところに金を一生懸命つぎ込んでも、どの程度これが安定供給につながるかということを考えてみますと、非常に心もとない感じを私は受けるわけです。だから、その点について言いますと、くどいですけれども、やはりメジャーと、かあるいはDD、GG、この点についての精力的な取り組みをしなければ、私は安定供給という観点からしてもこれはやはりうまくない、こう申し上げておきたいと思うのです。  これはこれとして、時間の関係でさらに進めますけれども、次に聞きたいのは、この開発に関する投融資のやり方ですね。これについて問題があると思うのです。石油開発会社約五十社というふうに私は聞いておりますけれども、このうちで休眠会社が七つあるわけですね。恐らくそのほとんどが公団の投融資した会社ではなかろうか、こういうふうに思うのですけれども、この点について私の認識に誤りがあるのかどうか、まずお伺いしたいと思うのです。
  166. 増田実

    増田政府委員 現在休眠会社と言われております活動が停止いたしております会社は七つでございまして、先生のおっしゃられるとおり、これらにつきまして公団がそれぞれ投融資を行っておるわけでございます。
  167. 野間友一

    ○野間委員 ジャペックス・オーストラリア石油開発ですか、これは会社解散、鉱区放棄とか、「エネルギー」という雑誌によりますといろいろ書いてあるわけですよ。だから、金をどんどんつぎ込んでも、みな寝ておる。鉱区放棄をしたり、こういうのが私は読みますとずいぶん目につくわけです。結局それはどこに原因があるのか、これは参考人にも若干聞いたんですけれども、ワンプロジェクト・ワンカンパニーですね、これがやはり最大の原因ではなかろうか、こう思うのです。これは石油工業連盟の「石油開発時報」の中にも、そういうリスクの分散というようなことが書いてあるわけですね。つまりこれは実際見てみますと、大手の商社とかあるいは電力会社とか、そういうのがどんどん出資をして、石油開発会社を幾つも幾つもつくるわけでしょう。それが一発当たればいいけれども当たらぬ、すぐ寝てしまう。結局これによって一体だれがリスク、危険を負担するかといいますと、それぞれ出資したものは出資した限度で出すだけなんですね。国がどんどん出しても、これは相場師のように一発当てればもうかる、しかし当たらなければ、はい、さようならで済んでしまう。結局国民の血税をどんどんつぎ込んでこれはパアにされる、こういうやり方も私は大きな問題であろう、こう思うわけですね。それらについて、こういうようなことをする会社に投融資をどんどんつぎ込んでいいのかどうか。しかも、成功払いでしょう。成功したら払うけれどもそうでなかったらパアだ、こんなぼろいことはないと思うんですけれどもね。こういうことからもやはりいまの政府が進めようとする石油開発そのものについて私は納得できません。時間がありませんので、その点についてひとつ私の見解を申し上げて、備蓄の問題について進めていきたいと思います。  先ほどから出ておりました九十日備蓄ですね。この九十日は一体なぜ必要なのか、六十日を九十日にするのがなぜ必要なのか、その根拠をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  168. 増田実

    増田政府委員 九十日というものが備蓄の目標になっておるわけでございますが、それでは九十日あれば大丈夫かということになりますと、これはもちろん九十日分だけですからそれには限界があるわけです。ただ、世界の先進工業国を見ますと、現在の備蓄の水準が大体九十日あるいは百日前後ということで、日本だけがそれに比べまして備蓄数量が非常に低いわけでございます。もちろん日本が消費いたします石油相当膨大なわけですから、これの九十日というのはなかなかそう簡単には達成できないという事情がございますが、しかしいずれにいたしましても、現在まで何回か石油危機というのがあったわけでございますが、その経験を踏まえて西欧諸国では九十日前後というものを備蓄しておる。それで、日本もやはりほかの国並みの備蓄を行いたい。それからまた、この前の石油危機の経験でございますが、四十九年の二月、三月に大体四十八、九日ぐらいまでに下がったわけです。私どもの経験から言いますと、四十八、九日になってだんだんそれが切れますと石油の流通経路あるいは生産におきましてもいろいろな故障が起こるということで、ゼロまで備蓄を食いつぶすということが非常にむずかしいという実態をあのときの貴重な経験として知ったわけでございます。そういたしますと、六十日という備蓄も実質的には食いつぶし得るのは十五日とか二十日ぐらいしかないということで、それに上に乗せる三十日というのは、備蓄数量にすればそれの倍以上という効果が挙がるということでございます。  そういうことで目標といたしまして、先進諸国の大体の基準であります九十日にいたしたわけですが、それが非常に合理的な根拠があるというふうには私ども思っておりませんが、一応常識的な目標である、こういうふうに考えまして、五年間で九十日備蓄を達成しようという政策を打ち立てたわけでございます。
  169. 野間友一

    ○野間委員 六十日を九十日にふやすということは大変なことだと私は思うのですよ。いまお聞きしますと、理論的な、あるいは確たる根拠がない、常識的な線だというお答えがあったわけですけれども改正の備蓄についての趣旨の中に、世界有数の石油消費国としての責務上この備蓄を増強しなければならぬ、ここに一番大きなポイント、問題があるのじゃないか。それは少ないより多い方が国内的にはいい、それはそうかもわかりません。しかし、六十日を九十日にふやすということについての確たる、少なくともだれもが納得するだけのものがない。特に立地条件から言いましてもこれは大変な事態です。ですから、むしろ私は、この趣旨の中にありますように、世界有数の消費国の責務だというところにポイントがあるというふうな気がしてしようがない。去年の秋に国際エネルギー機関、IEA、ここに政府が参加をすることを決めました。ここでの備蓄目標は九十日になっておるわけですが、私はそれだと思うのですね。ここで実施される国際エネルギープログラム、IEP、この最重点は緊急時の石油の融通にある、これなんですね。だから、九十日にふやすということは国際的な責務だ、これはIEAが決めた、IEPではお互いの融通なんだ、こういうことにならざるを得ないと思うのですね。そして、そのために国内体制を九十日ということに合わせていく。だから、改正案の言う備蓄の九十日目標というのは、何のことはない、IEA、IEP、こういうところで決めたものに従って国内でこの体制をつくるということ以外にないんじゃないか、こう思うわけです、これは趣旨にも書いてあるわけですから。これは石油開発公団のいろいろな書物の中にもそういう趣旨のことが書いてあるわけですね。これはお認めになると思うのですけれども、いかがですか。
  170. 増田実

    増田政府委員 IEP、国際エネルギー計画の融通システムの中で九十日の目標が掲げられておるわけでございますが、これにつきましていろいろな解釈が石油開発公団の雑誌にも載っておるわけでございますが、この問題につきまして、私が資源エネルギー庁でずっと担当いたしておったわけでございますから、私のこの九十日に対する考え方というものを簡単に申し述べたいと思います。  実は、世界消費国が融通し合う、その融通の一つのシステムをつくり合おうということで、昨年二月のワシントンの消費国会議の後いわゆる作業グループができまして、融通のシステムというものが作業されたわけでございます。そのときに備蓄の数字を幾らにするかということは、日本を含めて各国が参加していろいろ討議をいたしたわけでございます。そのときに日本は現在六十日しかない、しかもほかの国々は非常に備蓄が多いということで、そこに非常なアンバランスがあったわけでございますが、備蓄につきましてはIEPでたとえば百日とか百何日という議論も出たわけですが、日本側として、九十日というものが日本では限度だ、しかもそれも非常にむずかしい、それからそれを行うのには相当の予算も要る。ただ、現在まだその予算も確保しておらないわけです。だから、日本としてはその九十日の義務づけというものは受けるわけにいかないということで、結局IEPで決まりましたのは、九十日を目標にする、しかしそれについて、いつまでにこの九十日に持っていくかという期限については翌年、ことしになるわけですが、七月一日までに決めるということになったわけでございます。  その経過を私がるる申し上げましたのは、日本の主張がいろいろ出まして、ことに一番大きな消費国であります日本、またその融通システムが動きますときに、融通システムの中でショートをして一番融通の対象になり得る日本立場といたしまして九十日、しかもそれについては相当な期限を置いて九十日を達成するということになったわけでございます。そういう意味で、IEPで決められてそれを日本がそのまま受けて九十日になってしまったということではなくて、むしろ日本の主体的な主張というものが相当入っておるわけでございます。  じゃ、そのとき日本がなぜ八十日にしないで九十日という相当高い目標を設けたかということになるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたようにほかの各国が九十日あるいは百日持っておりますし、また私どもが、前回の石油危機の経験からやはり九十日は持っていなければならないということで、日本としても九十日の計画を掲げたわけでございます。そういう意味で、IEPで決まってそれで仕方がなくて日本がこの備蓄目標を九十日にして無理をしているというふうには私どもは思っておりませんし、また事実もそうではないわけでございます。
  171. 野間友一

    ○野間委員 しかし、六十日を九十日にするということについての国内の確たる理由はない、IEAで九十日が決まった。いまその過程の中での話がいろいろ出ましたけれども、少なくともIEAでこういうふうに決まったということですね。しかも、考えてみます場合に、このIEP、中心は要するに一国が石油供給の削減を受けた場合にお互いに融通するというのがたてまえになっていますね。つまり何かの理由、特に中東が前提だろうと思いますけれども、とにかくそういう異常事態供給削減が出た場合に備えてということになっているわけですね。こういう前提がなければ、こういう備蓄も必要でないということになってくると思うのですね、これは六十日でも何でもいい、ランニングストックだっていいわけですから。  そこで、さらに少し突っ込んでお伺いするわけですけれども、アメリカが石油の削減を受ける、あるいは受けることが十分予測される場合、わが国を含む参加国からアメリカに一定の石油を融通すること、これもあると思うのですね。このIEP等を見ましても一定のレベルに達すると自動的に発動される、こういうことになっていますね。これはわが党の正森議員が予算委員会の中でもかなり突っ込んでやったわけですけれども、自動的にそうなっていますね。ですから、アメリカが削減を受けた一あるいは受けることが十分予測される場合は、これについても参加国はアメリカに一定の石油を融通しなければならぬ、こういう責務が生ずると思うのですね。これは間違いないですね。
  172. 増田実

    増田政府委員 いま野間先生のおっしゃられたとおりのシステムになっているわけでございます。これは消費国におきまして何らかのことが行われたときに、その消費のレベルを落とすことについて均等にするというのが今回の融通システムの特徴でございますので、たとえば一国、アメリカが供給削減を受けた場合には、これは世界的に供給が減るわけでございますが、その場合には各国がそれに合わせて消費を減らすということでございます。融通システムによりまして、日本から石油がアメリカへ行くということは現実には起こり得ないと思いますが、ただ日本に向けられるべき石油がアメリカに行くということはあり得ると思います。
  173. 野間友一

    ○野間委員 石油危機のときに、われわれは痛いほどメジャーに痛めつけられた。あり得ないと言われますけれども、このIEPの中ではそうなっておるわけですよ。  しかも、ここでお聞きしたいのは、いまの話では九十日はむしろ日本の方から、百日とか百数日の話があったけれども、何か値切ったような、そういう発想をされたので、この点についてお聞きするわけですが、これは私は、アメリカの主導によってできたものだということについては公知の事実じゃなかろうか、こう思うのです。この点、間違いありますか。
  174. 増田実

    増田政府委員 石油の融通システムがアメリカの主導によってできたということはそのとおりでございまして、昨年の二月にワシントンで消費国会議が行われましていろいろな議論が出たわけですが、今後石油危機が再発したときにお互いに融通し合うシステムをつくろうということで、これはアメリカの提唱であったわけです。ただ、この作業につきましては十数カ国が参加いたしまして、日本も当然参加いたして、いろいろな議論が出た結果、こういうシステムができたわけでございます。このシステムがアメリカにだけ有利で、日本にとっては非常に不利なシステムかどうかという問題点があるわけですが、これは私どもの解釈といたしましては、日本の国益に照らしてもこの融通システムというものは打ち立てるべきだ、こういう結論であります。  それの御説明を簡単にいたしますと、石油危機のときに実は石油の削減をいたしましたのはOAPECだけであったわけで、イランは減っていないわけです。日本は当時は四〇%の石油をイランから受けておったわけですから、もしOAPECだけの削減率が二五%になっても本来ならそれほど減らないところが、実際にはイランから来る石油も減ってきたわけです。ところが、これに対しまして、これを運ぶいわゆるメジャーズに対して、日本に対する供給をふやせということを通産省から何回も要請いたしたわけですが、ふやすと言いましてもこれをふやす基準がないというところに非常に問題があったわけです。むしろ石油危機が生じましたときに、各国公平にその不足分を分担するというのが今回の緊急融通システムの趣旨でございまして、これは日本にとって決して不利でない。前回の石油危機を経験いたしまして、はっきり基準ができて各国が平等に削減されるということであれば、メジャーズというのは英米系資本の会社でございますから、むしろ日本にとってはこれではっきりした基準で主張すべきことは主張できるということで、この方が有利だという判断でこれに参加いたしておるわけでございます。  それからもう一つ、御質問のありました九十日の問題でございますが、これは日本としても六十日の備蓄では足りないという経験をいたしたわけでございますが、ただこれが九十日以上ということでは、九十日でも立地問題その他非常に問題がある、日本としては九十日が限度である。しかももう一つは、すぐに九十日の義務づけは困るという気持ちがあったわけでございます。そういう意味で九十日というものは、相当の期間を経て日本の実情に合わして、そしてこれを蓄えるということでございます。それから、備蓄につきましては、供給が削減されますと、最初節約を行いますとともに各国が備蓄を食いつぶしていく、こういうシステムになっておりますので、各国がアンバランスな備蓄数量ですといろいろな障害が起こるわけです。そういう意味で融通システムに入りました消費国が大体備蓄の数量を合わせる。それで日本ができる範囲の九十日、しかも相当期間を置いて達成する、こういうことにいたしたわけでございます。
  175. 野間友一

    ○野間委員 相当期間と言われますけれども、五十四年が目標になっているわけでしょう。相当じゃありませんよ。  それはそれとして、先ほどいろいろ弁解されましたけれども、これも「石油開発」七四年十二月号にIEPについてこういうふうにコメントしてあるわけですね。「以上が国際エネルギープログラムの概要であるが、この計画が米国の国際エネルギー戦略の主柱の一つであることは協定の内容からも十分にうかがうことができる。」これは公団の資料ですよ。つまりこれによりましてもアメリカの国際エネルギー戦略の主柱の一つだということをはっきり言っているわけですね。これは疑う余地はないと思う。しかも、同じところに書いてあるのは「フランスがIEAに参加しなかったのもこうした米国主導型のパワーポリティックスに対し本能的に危険を感じたからに他あるまい。」はっきり書いてありますね。ですから、あれこれいろいろ言われましても、これはアメリカのエネルギーの戦略体制ですね。アメリカが主導してこういうことをやっておるわけでしょう。これははっきり認めているわけですよ。あれこれ国内のメリットというようなことをいろいろ考えて言われますけれども、実際はそうじゃないわけですね。だって、この間の石油危機のときでもそうだし、今後も予測されるのは、あの例のキッシンジャー構想を出すまでもなく、アラブとイスラエルの関係ですね。だから、石油供給が削減や停止されるかどうかということ、これは一にアメリカなんですよ。その場合に備えてアメリカがこういうようなIEAをつくり、IEPをつくりまして、そして九十日備蓄というようなものをつくって、自動的にこれが発動できる、こういう仕組みになっている。フランスは入ってない。そのように公団自身が書いているわけですね。コメントしているわけですよ。だから、あれこれ言われてもこれはまさに言い逃れであって、われわれはそれをそのまま、あなたの言われるようなふうには受けとめることはできないわけですね。つまりアメリカ自身が自覚しているわけですよ。やられるのはわしだ、その場合には皆助けてくれよ、九十日にせい。この狭いところに九十日にふやすとまた大変なことになるのです。いまでも水島のあの三菱の例でもそうですし、こんなものをあっちこっちつくれるわけがないのですよ。それでもなおかつつくろうというのは、私はどうかしておると思うのですね。だから、私はやはりアメリカが産油国を敵視するような形でのエネルギー戦略、これを続けること自体が問題がある、こう言うわけですね。ですから、そういうことをほうっておいてアメリカの危険を救ってやろうというようなことですね、そして、これが消費国の責務だということを麗々しくこの改正の中に書かれると、やはりわれわれはこちんとくるわけです。これは何も共産党だけがこちんとくるわけじゃないと思うのですね。いまの公害あるいは自然環境の破壊の中で、一億国民は非常に苦しんでおる。その中で、供給を削減されるか停止されるということが予測できる場合というのは決まっておるわけですよ。だからこそアメリカがつくって、それに従う。これは一つの公式パターンですからね。だから、そういう意味での備蓄ということになりましたら、日本人全部が犠牲になりまして、その上にアメリカにお手伝いする、援助するという形に結論からいってもならざるを得ない、そういうように私は思うわけですね。だから、そういう意味における備蓄というのはどうもいただきかねる、これは私は賛成するわけにはいかぬ、こう言わざるを得ないと思うのです。  そのことを主張しまして、時間が来ましたので終わります。
  176. 山村新治郎

    山村委員長 松尾信人君。
  177. 松尾信人

    ○松尾委員 外務省いらっしゃっていますか。——今回、石油開発公団法改正の法案が出ておるわけでありますが、現在のいろいろの世界情勢産油国のいろいろな情勢等から考えまして、わが国における油の安定供給なりまたは石油の海外開発体制というような問題が、公団法改正ぐらいで果たしてうまくいくかどうか、これで安心だというようなわが国体制というものがとられるかどうかということについて私は非常に疑問に思うのです。こういうことでいいのか。いわば石油というものは、これは世界各国ともでありましょうけれども、特にわが国にとりましては安全保障と密接なかかわりがあります。戦略物資であります。そういう点、また最近の中東情勢というものはなかなか予測が立てがたい。でありますから、いろいろ考えてみますと、政府自体、どうとかして買えるだろう、どうとかして持ってくれるだろう、そしてどうとかして開発も進むであろうというような安易な姿勢が日本政府にあるのじゃないか。一昨年の石油ショックのときにあれだけの大混乱を起こして、国民の生活をあのように不安に陥れて、物価狂乱の土台をつくったわけでありますから、ひとつ外務省と通産省が、本当に日本にとってこの石油確保、これは最大使命だというくらいに腹を固めていらっしゃるかどうか、まずその点ひとつ通産省と外務省からそれぞれ簡単でいいですからお答え願いたい。
  178. 増田実

    増田政府委員 いま松尾先生おっしゃいましたように、石油日本エネルギーの中で非常に大きなウエートを占めておりますし、またその石油が安定的に供給されないという場合には、産業のみならず国民生活に非常に大きな影響が及ぶわけでございます。ただ、石油につきましては、これはほとんど全部が海外に頼っているということでございますので、ことに産油国との間の協調というものが非常に必要であるわけでございます。その意味で、この資源問題につきましては、これは私どもも外務省と手を組んで、そして資源外交というものを強力に進めていかなければならない、こういうふうに思っているわけです。資源の問題につきましては、外務省の方も非常に重視して、最近資源課という課も設けまして、これは私ども資源エネルギー庁と常時連絡をして、各種の問題につきまして十分な連絡協調体制をとっておるわけでございます。ですから、先生の御趣旨を体して、現在もやっておるつもりでございますし、今後もその方向に進んでいきたいと思っております。
  179. 松尾信人

    ○松尾委員 外務省の経済局の関係、少しおくれておるようでありますので、その分は残して、お見えになってから答えてもらう、これは委員長いいですね。  それで、いままでのわが国の海外石油の探鉱開発の問題でありますけれども、どうもある一つの企業が利潤追求という形からスタートしていますね。そして、だんだんこのリスクも大きくなってくるし、金もだんだんたくさん要るし、何やかやでもう自分の力ではできなくなりますと、政府の力を頼る、公団法改正しまして、だんだん予算もふやす、公団ができなかった仕事もだんだんできるようにしてあげる、こういうかっこうで、いまのところは公団の方が投融資をしっかりやって、そしてできたプロジェクトを企業に任せていく、こういう進め方でありますけれども、こういうことでやはりいままで日本が、エコノミックアニマルですか、きらわれていく。そして、利益を上げればよろしい、あとのことはどうかというと、産油国には余り恩恵もないというような、こういう行き方というものは大きく変えなくてはいけない。そうすると、今回あなたたちが考えていらっしゃる、この公団に一つの力を与えていこう、で、それをまた一つの企業とか、または統括会社がおるでありましょうけれども、そういうものに任せていこうというような考え方というものは、それは過去のパターンを追っているのじゃありませんか。どうも私はそんな感じがして、いまここであなたは、もう日本政府としてもしっかり考えていく、外務省もそのつもりだとおっしゃるけれども、そのやり方はやはり過去のパターンを追っていらっしゃるのじゃないか。ここに画期的な本当の戦略物資としての日本の基盤というものを左右する土台、その土台というものを日本政府が固めていく最大の責任がある、そういう立場からの本当の施策というものがやや欠けておると私は思うのです。その点、一言長官答えてください。  それから、であるならば、今後この開発体制というものがどのようにあるべきかという姿をはっきりつくり上げていかなければいけないと私は思うのです。——外務省、いま来ましたか。では、私最初の質問をもう一回繰り返しますから、答えてください。  要するに、いま石油開発公団法改正してやろうとしておるわけですね。その法案の審議をいまやっておるわけでありますけれども、この石油というものが国の安全保障と密接なつながりがある、いわば戦略物資ですね。また、最近の中東情勢というものはなかなか予測も立てがたいような非常にむずかしい情勢にもありますし、一昨年の秋の石油ショックというものがまた来たら困るわけですよ。あれが国民生活を不安、混乱に落とし込んで、物価狂乱の土台をつくったわけですから、そういうところで外務省としてもしっかりしたお考えを持ってこの日本石油外交というものをお考えであろう、こう思うのであります。それで聞いているわけでありますけれども、どうですか、考え方としてはどのような考え方ですか。いまのところは簡単でいいですからね、だんだんあとで詳しく質問します。
  180. 苅田吉夫

    ○苅田説明員 どうも遅参いたしまして申しわけございません。  ただいまの御質問でございますけれども、外務省といたしましても、資源問題には非常な重要性を置きまして取り組んでおりまして、昨年四月から資源課というのを新設いたしまして経済局としてもやっております。  それで、御質問の点でございますけれどもわが国は御承知のとおり資源も非常に少ないし、石油輸入はほとんどOPEC諸国、そのうちでも特にOAPEC諸国、アラブに依存しておるということで、中近東との協調、協力を第一の柱としておりますことは申すまでもありません。しかし、それに依存しているだけで日本石油確保を図っていくということはやはりいろいろ困難もございますので、それに加えまして、日本一国ではとうてい石油確保を図れないという見地から、消費国との協力ということを産油国との協力に加えまして進めていく必要がある、そういう見地から国際石油計画、それから最近OECDのもとにできました国際石油機関というものにも参加いたしまして、みんなで力を合わせて石油の安定需給を図っていくという方向をとっております。これはもとよりこういった消費国間の協力をやっていくということが、産油国との対決になっては元も子もありませんので、その点は十分に注意して、対決にならないようにやっておる次第でございます。
  181. 増田実

    増田政府委員 石油開発方式につきましては、これは先ほども野間先生に私御答弁申し上げたとおりでございますが、事態が非常に変わっておるわけでございますので、従来のようないわゆる利権を取得して、それで開発するという方式から、最近は産油国立場というものを尊重しつつ、しかもその国々と協調しながら石油開発を進めなければならぬ、そういう意味で今後の石油開発のあり方というのはやはり変えていかなければならない、こういうふうに思っております。  石油開発公団役割りですが、そういう環境の変化に即応して石油開発を進めるということでございますが、今後の日本石油の安定的な供給確保いたしますためには、石油開発、それから先ほども申し上げましたのですが、いわゆるGGベースの取引とかあるいはダイレクトディールを長期的に得るとか、いろいろな手段を総合して講じなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。これによりまして、石油輸入先の多様化を図るということも必要だと思っております。  ただ、石油開発につきまして、最近いわゆる経営参加、パーティシペーションというものが非常に進んで、これは意味がないのではないかという一部の批判というのもあるわけでございますが、しかし世界の大勢を言いますと、現在石油開発については非常に進んでおります。きのうも本委員会で御答弁申し上げましたのですが、現在石油開発公団が融資対象といたしておりますビルマ、バングラデシュにおきましてもリグが足りなくて、世界各国から求めましても、石油開発ブームになっておりましてそれが足りないという実情から申しますと、石油開発というものの意義というものは依然として高い、こういうふうに思っておるわけでございます。
  182. 松尾信人

    ○松尾委員 それで、いままでの海外石油開発わが国のあり方、こういうものは今後やはりいまの実情に合った体制をとりたい、このようなお答えでありまして、そうでなくちゃいけない、こう思います。ですから、今後の海外の産油国における日本開発体制のあり方でありますけれども、いままでのような進め方、それを変えていく。どういうふうに変えていくのかということでありますけれども、これは私、外務省に聞くわけでありますが、やはり産油国が非常によかったということが土台にならなくちゃいけない。そのことは端的に言えば、海外経済協力というものが表に立って、そして日本石油安定供給のためには大きくまたいろいろのことを考えて、海外経済協力を表に立てたその働きの中の一環として石油開発体制というものを考えていくのが筋道じゃないか、こう思うのですが、その点は外務省の見解はいかがですか。
  183. 菊地清明

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  お説のとおり、産油国に対しましては、わが国の経済協力というものを進めてまいることが必要でございますが、ただ海外経済協力と言います場合は非常に広義の、広い意味の経済協力でございまして、政府、民間、一体となって、さらに資金協力、技術協力それから民間の信用供与とか、そういったものを全部含めた意味の経済協力を推進していくというふうに了解しております。
  184. 松尾信人

    ○松尾委員 だから、まずあらゆる日本の海外経済協力の総合力、そういうものを表に立てた活躍をして、そうして産油国がよかったということになり、そして日本もそういうところから安定供給ができるという体制をとったらどうかというわけでありますが、賛成ですか。
  185. 菊地清明

    ○菊地説明員 そのように心得ております。
  186. 松尾信人

    ○松尾委員 長官、いかがですか。
  187. 増田実

    増田政府委員 先生の御意見のとおりだと思います。
  188. 松尾信人

    ○松尾委員 外務省に聞きますけれどもわが国の海外経済協力の方針を二、三点挙げてください。
  189. 菊地清明

    ○菊地説明員 対外経済協力の理念ということは国会でもしばしば御説明しているところでございますが、基本的には経済協力というものは、私たちとしては、第一にはいわゆる南北問題の解決の一つの方法というふうに心得ております。つまり北の先進国と南の発展途上国というものに非常な経済格差それから所得水準の格差というようなものがありまして、世界経済というものが歪曲されているというので、これを均衡的に発展させていこうということが一つの大きな理念でございます。  それから、第二点といたしましては、日本の置かれております国際的な立場を考えますれば、日本というのは御承知のように軍事力、政治力、そういったものではございませんで、経済力といいますか、経済協力というもの、そういったもので世界の平和と繁栄に貢献するという道しかございませんので、その一つの有力な手段として経済協力というものを推進していく、それがひいては世界の平和と安定と、それから先ほど申しました南北問題の解決というものに寄与することを念願しながら実施しておるということでございます。
  190. 松尾信人

    ○松尾委員 それは一本大きな歯が抜けていますよ。何としても土台になるのは相手の国の主権の尊重じゃないのですか。それが基本にあって、そして尊重しながら、単に利潤を求めるのじゃなくて、相手の経済社会の発展に役に立って、そしてその中から南北問題の解決もできるであろうし、わが国石油安定供給もできるというような、そういうものが明確に打ち出されなくちゃ、何のために日本がこのように経済協力なんかを言うのか。南北問題の解決だとかなんとか言うたところで、相手の国は相手の国ですから、その国がやはり一番中心ですからね。どうですか、私の言っていることを明確にしてもらいたいね。
  191. 菊地清明

    ○菊地説明員 その点は全く御説のとおりであります。実際に経済協力を実施いたします場合に、私たちとして最も念頭に置いておきますことは、相手国のニーズといいますか、相手国が経済的、社会的に開発をしたいという場合に、どういったニーズがあるか、どういうところに優先度を置いておるかというようなことをまず第一に検討いたしまして、そのニーズに合ったような協力の仕方をやっていきたいということでございまして、御説のとおりでございます。
  192. 松尾信人

    ○松尾委員 主権の尊重ということを明確に打ち出した方がはっきりしますよ、ニーズとかなんとか言ってもね。一昨年の石油ショックで、あわててわが国産油国との外交を始めたわけであります。そして、総理も中曽根さんも行かれたわけでありますけれども、このような産油国との外交をあわててやるというようなことでは、まだまだ日本政府としまして、この大事な石油というものに対するかねがねの取り組み方がいかに弱いか、ほかのところへ力を入れて土台のこんなところが弱い、これは残念だと思うのですよ。三木さんも行かれた、中曽根さんも行かれた、そしていろいろお話がそのときなされておるわけでありますけれども、それは通産省も関連があると思いますが、基本的な問題を外務省と通産当局からお答え願いたい。
  193. 菊地清明

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  当時の三木総理、それから当時の中曽根通産大臣、それから小坂善太郎議員という三人の特使が、おととしの末から去年の初めにかけまして参りまして、それ以後、特に中近東産油国に対する経済協力というものが大幅に進展しつつあるわけでございます。それで、おっしゃられますとおり、日本アラブ産油国というものは、ほかの地域に比較いたしまして、比軽的なじみが薄かったと申しますか、そういった点は否めなかったと思います。しかしながら、石油の問題というものが起こりまして、そこで初めてやったということでもございませんけれども、従来にも増してそういった広い意味の協力を推進していくということになった次第は、先生おっしゃるとおりでございます。
  194. 増田実

    増田政府委員 一昨年末から昨年の初めにかけまして、当時の三木総理、それから中曽根前通産大臣がいろいろこれらの国々に約束いたしました経済協力の案件につきましては、各種の協定の締結とか借款の供与、あるいはプロジェクト、商品援助、技術協力等、政府が直接実施すべき事項につきましては、その多くが順調な進展を示しております。  具体的に申し上げますと、昨年八月にはイラクとの経済技術協力協定が締結されておりますし、またエジプトに対するスエズ運河の拡張計画を初めとする各種のプロジェクトあるいは商品援助も、すでに供与を決定した段階になっております。また、サウジアラビアとの経済技術協力協定につきましては、本年三月一日に調印されております。そのほか、サウジアラビア等に対する技術協力もいろいろございますが、順調に進展しております。  ただ、問題点といたしましては、一部のプロジェクト協力につきまして、日本がオファーをいたしておりますプラント建設につきまして、コストの問題、それから相手方の希望と打り合わない点がいろいろありまして、この点進捗がおくれている。それで、日本石油危機の苦しいときにいろいろ約束して、それが実行されていないのではないかということがいろいろ言われておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、政府がやるべきことは、きわめて順調に、しかも誠実にそれを実行しておるわけでございますが、ただ製油所を建てるとか、石油化学工場を建てる、あるいは製鉄所を建てるというような、いろいろな企業進出について話し合いが行われたわけでございますが、これらにつきまして、先ほど申し上げましたような理由で、これがまだそれほど進捗していないという点がございますが、私どもも外務省と協力いたしまして、これらの実現に努力いたしたい、こういうふうに思っております。
  195. 松尾信人

    ○松尾委員 このイランの製油所建設、一つ日本のナショナルプロジェクトみたいなものでありますが、途中で挫折した。そして、サウジにしてもイラクにしても、数々の日本のそのような約束というものが守られていない。危機のときには飛んできていろいろ約束しながら、政府のはよかったけれども民間のはいかぬというのも、これはやはりぐあいが悪いですから、その点は代表が日本から行って、そして話をしてきたのですから、両々相まって、向こうの要求が変われば変わったように、やはりいいようにやっていかなくちゃいけない、要するに、それは石油外交につながる基本でありますから。そして、外務省と通産省は、石油の海外からの安定供給の問題については本当に肝胆相照らして手を握り合ってがっちり今後がんばってもらいたい、これだけ要望いたしまして、外務省の方はお帰りになって結構です。
  196. 増田実

    増田政府委員 先生の御指摘のありましたイランの製油所の建設につきまして、その後の経緯を申し上げます。  これは昨年の一月に中層根大臣がイランを訪問いたしましたときに、この計画は従来からも進んでおったわけでございますが、これに対しまして日本側として十億ドルの経済援助をして、イラン側の希望いたします製油所、これは相当規模が大きくございまして、日産五十万バレルの規模の製油所でございますが、これにつきまして、話し合いが行われたわけでございますが、イランの方の方針が変わりまして、これだけでなくて、さらに石油化学の工場を一緒につくってもらいたい、こういう話であったわけです。従来すでに石油化学の工場につきましては一件進捗中でございまして、これが建設に入っておるわけでございますが、イラン側の希望といたしましては、製油所のみならずさらに第二の石油化学工場をつくってくれ、こういう非常に大きな計画が出てきたわけでございます。  日本側もこれをその後いろいろ検討いたしておりますが、この石油化学第二工場につきましての経済性の問題、それから膨大な資金が要るわけですが、この資金調達の問題その他で、現在まだ話を詰め合っているという段階でございまして、残念ながらまだこの両プロジェクト、石油精製、それから第二石油化学工場が進捗していないというのは事実でございます。
  197. 松尾信人

    ○松尾委員 次に、今回の法案の第十九条第一項第二号の、外国の政府機関で石油等の探鉱及び採取の事業を自国内で行うものに対する石油等の探鉱及び採取に必要な資金を供給するための資金の貸し付け、これは何か具体的な問題があるのですか。どこでどういう事業計画があるのか、念のために聞いておきます。
  198. 増田実

    増田政府委員 具体的な事例といたしましては、これはペルーであったわけでございますが、ペルーは相当有望な石油資源を持っておるわけでございます。ただ、現在のペルーのやり方は、石油の有望な鉱区は自国に保存するということで、自国の国営石油会社がみずからの手で開発し、そして石油供給する、こういう計画になっておるわけでございます。  それに対しまして、日本側との話し合いで、この探鉱開発、それから精製に至る各種の必要資金というものを日本から供給してくれ、そしてそれの見返りに石油供給する。これは相当な量の生産がされますので、国内需要を充足する分を超える分については日本供給したいという、いわゆる融資買油の形の契約というものでございます。そういう場合の事業が行い得るようにということで、今回業務の追加をお願いいたしておるわけでございます。
  199. 松尾信人

    ○松尾委員 次は、総合エネルギー調査会の昨年七月発表分というようなことで、長官は数字を言われておったわけでありますが、六十年度供給総量七億三千万キロリットルから九億二千万キロリットル、石油はその中で五億キロリットルぐらいの輸入見込みだ、こういうお話でありますが、間違いないですね。  それと、このような一つ計画的な数字というようなものに対して、あなたはどのような判断を下しておられるのか。そういう数字が示されたのだから、それを実現するために一生懸命がんばっていこうとするのか。そういう数量というもの自体は、いろいろの問題からもう日本には無理なんだ、だからそのような答申とかそういうものがあろうとも、日本日本としていまの安定成長のときにどのくらいの数量が今年度輸入さるべきか、そしてどのくらい次には伸びを見るかという、そのような新しい意味日本のあらゆる社会環境それからいろいろの問題を考えて、懇談会の提言等もありまするし、そういうものを考えた上のこの数字の発表ですか。それともこの数字をやはり忠実に大いに努力して輸入していこうという考え方ですか。
  200. 増田実

    増田政府委員 ただいまの昭和六十年度におきます一次エネルギー供給可能数量を昨年作業いたしまして発表いたしたわけでございます。これは日本におきますエネルギー供給の限界がどこにあるか、エネルギーの限界があるので、従来のような高度成長はもうできないということで低成長に移らざるを得ないということがよく言われておるわけですが、それなら実際にエネルギー供給はどこまでが限度かということで作業いたしたわけでございます。その作業の結果、先ほど先生からもお話しありましたように、石油につきましては下限としては大体五億キロリットル、現在大体二億八千万、本年度はこれを若干下回る数字になるわけでございますが、それを十年後の昭和六十年度におきましては五億キロリットルないし六億にしたい、こういう考えでございます。それで、このエネルギー表は、これはむしろ石油数字をできるだけ減らしたいということでやっておるわけでございまして、石油にかわるほかのエネルギー、たとえばLNGとかあるいは原子力発電とか、あるいは水力その他の供給を限界まで考えまして、そして石油をどこまでで押えられるかということで計算いたしたわけでございます。  このエネルギーの将来見通しにつきましては、現在また別の作業をいたしておりまして、一応供給につきましてはここでほぼ結論が出ておるわけでございますが、将来の日本における需要、これは今後の節約とかいろんな問題も入りますし、今後の成長率も踏まえましてエネルギーの需給表というものを現在作業しております。これも非常にむずかしい作業でございますので、当初には、四月には結論を出したいということでありましたが、大体六月ごろに結論が出るのではないか、こういうことで作業いたしております。  それで、このエネルギー供給につきましては、私どもは、今後この具体的な数字が出るわけですが、これは相当大きなエネルギー量になるということでございますが、これの達成には相当努力施策というものが必要だということで、それに基づきまして今後のあるべきエネルギー政策というものを打ち立てていきたいと思います。その意味では、先生のお尋ねのこのエネルギー供給計画につきましてはやはり相当政策努力を行わなければ達成できない、こういうふうに思っております。
  201. 松尾信人

    ○松尾委員 供給計画は発表したとおりだ、需給計画については新しい観点から大いに見直してその結論を六月ごろ出すということでありますけれども、そこが非常に大事なところでありまして、輸入できるだけやはり買っておこうとか、そのような考え方から、このくらい買えるだろう、このくらいの伸び率はいいだろうというような行き方は、やはり過去の日本経済成長の後を追っている行き方であります。ですから、日本の経済社会の発展がどのようにあるべきか。もうこれ以上公害をふやしてはいけませんし、それからその低成長の中で日本が新しい産業構造の方向をどのように位置づけていくか、消費量の問題、その節約の問題、そして国民がそういう中から、いざとなったら油がとまれば国民生活も一挙にもう破滅に追い込まれる、そういう段階で国民の皆様方の消費の協力の問題等をうんと煮詰めて、そして最小限の輸入にとどめて日本経済を維持し、そしてまた発展の方向に持っていくということが私は基本的に必要であろう。もう買いやすくなったからどんどん買うとかなんとかいうのは過去のパターンと少しも変わらぬ。新しい意味日本の進路を経済社会の発展の中からきちんとつくっていく。その中心をあなたの方でやっていくべきだ、こう思うのですが、くどいようでありますけれども、もう一回お答え願いたい。
  202. 増田実

    増田政府委員 今後のエネルギー計画を立てますときに、やはり今後の日本産業構造はいかにあるべきかということも加えて、これを基礎にして検討いたさなければならないわけでございます。それで、先ほど申し上げました六月を目途として現在いろいろ作業いたしておりますが、ただいま先生から御指摘のありました環境問題、立地問題、それからまたこれは外貨がどれくらい所要になるかという国際収支の問題、その他全般的な要素を含めまして今後の日本産業のあるべき姿を踏まえまして、そして計算していきたいということで検討いたしておるわけでございます。
  203. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほども触れましたが、日本石油開発なりまたは輸入したり精製の問題、販売は民間でやっておりますけれども、もう戦略物資というそのような基本的な性格のものでありますから、民間の利潤追求のそのようなものに任せていくようなあり方はいかぬではないか。また、もう一つ少し変えて言えば、弱体のこの開発にしても、ワンプロジェクト・ワンカンパニーということは、もう指摘されたとおりいろいろお考えでありましょう。また、日本でも統括会社が八社もある、このように言われておりますけれども、そのような八社も要るのかどうか。その中から特に民族資本の会社をどのように育成強化していくのか。こういう点が一つの宿題であり、日本のやはり石油基本政策につながる大きな問題であろうと私は思うのです。この点についてお答え願いたい。
  204. 増田実

    増田政府委員 いま先生から御指摘のありましたように現在の石油開発体制というものについては、私どももいろいろ問題があると思っています。現在約五十社の石油開発会社があるわけでございますが、先生からも御指摘のありましたようにワンプロジェクト・ワンカンパニーということでこれの基礎が非常に弱いという点がございます。それからまた、お話がございました統括会社、これは八社できておるわけでございますが、これにつきましても確かに資金面、資金の調達力はこの統括会社はあるわけでございますが、しかしながらその技術面とかあるいは石油開発の経験面その他においてもいろいろ問題があるわけでございます。そういう意味石油開発の企業のあり方、体制の問題につきまして、私どもは今後相当大きな変革が必要だ、こういうふうに思っているわけでございます。この点につきましては、昨年の七月に総合エネルギー調査会石油部会が中間とりまとめというものを出して今後の石油政策というものを検討いたしておるわけでございますが、この中におきましても開発体制の問題について考え直すべきだという点が指摘されておりまして、その方向で私ども努力いたしたいというふうに考えております。
  205. 松尾信人

    ○松尾委員 もう時間も大分遅くなりましたので省きますが、日本に油を供給する体制でありますけれども、このDD原油なり自主開発の油なり、またメジャーから買う、こういう構成が今後相当変わっていくのではないか、こう思うのです。特にDDの問題はうんと力を入れて、そういうものに対してふえていく傾向にあるこの供給部門にどのように対処していくのか。  それから、メジャーでありますけれども、これはすでに開発部門で大きく力を失った、価格決定部門においても力を大きく失った。そして、やがて自分の系列の会社に供給するのが主力になって、だんだんメジャーからもらえなくなってくるのじゃないか。これは私は喜ばしき現象だと思うのでありますけれども、そのような方向があるのじゃないかと思うが、いかがか。そういうものに対する政府の対応はどういうことかということであります。     〔委員長退席田中(六)委員長代理着席〕
  206. 増田実

    増田政府委員 石油供給ルートといたしまして、開発しました原油、あるいはいまおっしゃられましたいわゆるDD原油、それから政府取引によりますGG原油、それからメジャーの経由で入りますものがあるわけでございます。  これにつきまして、まず開発原油につきましては、現在石油開発公団法改正の御審議をお願いしておるわけでございますが、やはりこの供給源というものを多様化し、また日本が国際的にも石油供給の拡大に資するためには、これを積極的に推進すべきものと考えております。  また、DD及びGGにつきましては、現在経営参加によりまして産油国の処分できる原油が増加いたすわけでございますので、今後わが国輸入石油の中に占める地位が逐年高まっていく、こういうふうに考えておりますので、これにつきましても適時適切に対応していくことが必要だと思います。  それから、メジャーの石油でございますが、これも新しい情勢によりましてメジャーの機能というものが弱化しているということはそのとおりでございますが、しかしなお今後ともメジャーの果たす役割りというのはやはり相当大きいと思います。その意味で、メジャーとの関係というものも、これは協調関係を維持するということでやっていきたいというふうに思っております。  そういうように各種のルートがありますが、やはり時代の変遷に応じて、それに適応した対策を立てていかなければならないということで、ことに産油国からの直接取引その他というものに十分力を入れてやっていくということが必要だ、こういうふうに考えております。
  207. 松尾信人

    ○松尾委員 周辺の大陸だなの探鉱開発の問題でありますが、そこの石油資源わが国安定供給上非常に重大な役割りがあるわけですね。現在どうもこの大陸だなといいますか、海底の油田の開発は弱体じゃないかという感じがするわけです。日本安定供給上一番身近で、そして安全だというところはもう少し力を入れて開発すべきじゃないか。  先般、常盤沖の石油開発、エッソ撤退、帝石が大きなショックだ、こういうことがありまして、これは、うまくいかなければ外国の資本は手を引く、手を引いた場合には残された日本の弱体の石油会社が果たしてどのくらい開発できるか。もう少しやればそこが成功する、撤退されて資金が続かないとか、いろいろ日本政府としてはお考えだと思うのでありますけれども、大事な大事なこの周辺の大陸だなの問題については少し甘いんじゃないか、海外の開発輸入と同じく、より以上にここには力を入れて、力いっぱいがんばっていかなくちゃできない。  帝石の問題を出しましたが、そういう行き詰まった場合の外国資本の撤退、その後の戦線の収拾、それから今後の周辺の大陸だなの石油資源開発に対するあなたたちの腹構えというものを聞きたい。
  208. 増田実

    増田政府委員 日本の周辺の大陸だなの石油は、それが開発されれば、これは最も安定した供給源であります。また、低硫黄の原油の存在が期待されておるわけでございます。そういう意味で、すでに石油開発公団が事業といたしまして四十五年度から大陸だなの基礎物理探査というものを行っておりまして、この測線長がもうすでに一万九千キロメートルに達しておるわけでございます。それからまた、現実に大陸だなの開発につきましては、いますでに三十九坑、これは昭和四十六年から開始いたしまして行っております。具体的には、これは細かいことは省略いたしますが、秋田、山形沖、それから新潟沖、常磐沖、山陰、対馬沖というところでやっておるわけでございます。これらにつきまして、すでにこの目的達成業務ということで、石油開発公団が資金の融通もいたしてこれを応援いたしておるわけでございます。  このうち、現在までの成果を申し上げますと、新潟沖の阿賀沖と申しますが、ここで相当天然ガスが発見されましたので、ことしの暮れかあるいは来年になりますと、これが実際に生産活動に移りまして、供給一つの源泉になるわけでございます。  それからもう一つ、御指摘のありました常磐沖プロジェクトにつきまして、これはエクソンと共同作業でやっておりまして、現在まで八本の試掘が行われておるわけでございますが、現在までの成果を言いますと、二本は相当有望な天然ガスの存在が確認されておるわけでございます。ただ、これは陸地から相当の距離がございますので、これを陸地まで引きますのには相当膨大な資金がかかるということで、さらに有望な地区の試掘を続けておるわけでございますが、今後やる計画になっておりますのは常陸沖という場所でもう一本掘ろうということになったわけですが、これにつきまして技術的な問題で、エクソンとそれからここをやっております帝国石油と若干意見が合わなかったために、エクソンがこの作業については、従来全部共同作業でやっておったのですが、この作業は見合わせたいということで、これが新聞紙上に出ておるわけでございます。エクソンがこの常磐沖プロジェクトについて完全に手を引くのかどうかということにつきましては、まだ決定されておりませんが、この前の新聞に出ておりましたのは、常陸沖の共同開発については少なくとも見合わせた、こういうことでございます。  また、この秋田沖あるいは北海道の周辺海域におきましていろいろ有望視されている地区もございますので、今後もこれを積極的に進めていきたい、こういうふうに考えております。
  209. 松尾信人

    ○松尾委員 このわが国に対する石油安定供給の問題ですね、これは本当に重大な問題であります。そして、いままでの日本政府のやり方というものは反省されなければならない点が多々あります。  なお、油の需給の問題については、本当に日本現状並びに将来を考えた新しい消費量というものを明確にしておいて、日本産業経済の発展の方向というものをがっちりと固めなくちゃなりません。そういう意味において、海外経済協力というものを表に立てて、その予算をうんと出して、そしてあわせてその中から、主権の尊重をしながら、相手の国に喜ばれながら、わが国にも石油安定供給されるというのが基本的な方針でなくちゃいかぬであろうということであります。一つ石油開発公団をこのくらいの法律で変えていって日本の将来の石油安定供給されるはずはない、そういう取り組み方であられると、私は、政府の姿勢というものは非常に弱体であり、なお一昨年の石油ショックがまた来るおそれもありまするし、それを繰り返す心配が絶えないと思う。そういう意味において、ひとつ基本的に問題解決をする、このような機会にあわせてあらゆる日本石油政策を外交も含めて総点検をして、国民の納得する、安心のできる方策を立てるべきである。  一言最後に、大臣にかわって政務次官に自分の決意を述べていただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
  210. 渡部恒三

    ○渡部政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりでありまして、わが国エネルギー資源が最も国内で産出されない、海外に依存しなければならないという国であります。ところが、資源ナショナリズムというような方向で、もう海外に利権を確保するというようなことでなくて、海外の経済活動にできるだけ役に立って、海外のそれぞれの資源国に貢献をしてわが国エネルギー資源確保していく、そういうことの趣旨でこの法律の改正案ができておるのでありますが、いま先生おっしゃられるような方向で、海外に信用を持たれながらエネルギー資源確保に努めるということに努力をいたしてまいりたいと存じます。
  211. 田中六助

    田中(六)委員長代理 次回は、明後二十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会