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1975-06-26 第75回国会 衆議院 社会労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十六日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大野  明君    理事 菅波  茂君 理事 住  栄作君    理事 竹内 黎一君 理事 戸井田三郎君    理事 葉梨 信行君 理事 枝村 要作君    理事 村山 富市君 理事 石母田 達君       伊東 正義君    大橋 武夫君       田川 誠一君    高橋 千寿君       野原 正勝君    橋本龍太郎君       川俣健二郎君    島本 虎三君       田口 一男君    田邊  誠君       森井 忠良君    吉田 法晴君       和田 貞夫君    寺前  巖君       大橋 敏雄君    小宮 武喜君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 田中 正巳君  出席政府委員         厚生政務次官  山下 徳夫君         厚生省公衆衛生         局長      佐分利輝彦君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省薬務局長 宮嶋  剛君         厚生省社会局長 翁 久次郎君         厚生省児童家庭         局長      上村  一君         厚生省保険局長 北川 力夫君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     菱村 幸彦君         文部省大学局審         議官      三角 哲生君         厚生省保険局歯         科医療管理官  稲葉 利正君         消防庁安全救急         課長      矢筈野義郎君         参  考  人         (日本歯科医師         会副会長)   斉藤 静三君         参  考  人         (日本歯科技工         士会専務理事) 佐野 恵明君         参  考  人         (大阪消費者友         の会会長)   伊吹 和子君         参  考  人         (医事評論家) 大熊房太郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     竹村 幸雄君 同日  辞任         補欠選任   竹村 幸雄君     川俣健二郎君 同月二十五日  辞任         補欠選任   伊東 正義君     菅野和太郎君   森井 忠良君     川崎 寛治君 同日  辞任         補欠選任   菅野和太郎君     伊東 正義君   川崎 寛治君     森井 忠良君 同月二十六日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     金子 みつ君     ————————————— 六月十九日  療術制度化に関する請願受田新吉紹介)  (第三七六〇号)  同外一件(宇田國榮紹介)(第三七六一号)  同外十四件(小此木彦三郎紹介)(第三七六  二号)  同(木島喜兵衞紹介)(第三七九三号)  同(坪川信三紹介)(第三七九四号)  同(宮崎茂一紹介)(第三七九五号)  同(森井忠良紹介)(第三七九六号)  同(吉田法晴紹介)(第三七九七号)  同外五件(大竹太郎紹介)(第三八三四号)  同外三十九件(塩崎潤紹介)(第三八三五  号)  同(清水徳松紹介)(第三八七〇号)  同(村山喜一紹介)(第三八七一号)  同(山田耻目君紹介)(第三八七二号)  同外一件(越智伊平紹介)(第三九〇一号)  同外九件(高鳥修紹介)(第三九〇二号)  同(楢橋進紹介)(第三九〇三号)  同外三十七件(毛利松平紹介)(第三九〇四  号)  働く婦人の労働条件改善に関する請願石母田  達君紹介)(第三七六三号)  同(金子みつ紹介)(第三八〇九号)  同(寺前巖紹介)(第三八一〇号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願小宮  武喜紹介)(第三七六四号)  同(玉置一徳紹介)(第三八七五号)  同(中川利三郎紹介)(第三八七六号)  同(田中美智子紹介)(第三九〇五号)  雇用失業対策確立に関する請願小宮武喜君  紹介)(第三七六五号)  同(川俣健二郎紹介)(第三八七七号)  同(玉置一徳紹介)(第三八七八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三八七九号)  同(中川利三郎紹介)(第三八八〇号)  同(松浦利尚君紹介)(第三八八一号)  同(土井たか子紹介)(第三九〇六号)  診療報酬引上げに関する請願寺前巖君紹  介)(第三七六六号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇二号)  同(寺前巖紹介)(第三八三六号)  社会保険等診療報酬概算払いに関する請願  (寺前巖紹介)(第三七六七号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇四号)  同(寺前巖紹介)(第三八四二号)  老人医療保障に関する請願寺前巖紹介)  (第三七六八号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇三号)  同(寺前巖紹介)(第三八三八号)  看護婦不足対策に関する請願寺前巖紹介)  (第三七六九号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇五号)  同(寺前巖紹介)(第三八三七号)  結核対策拡充強化に関する請願寺前巖君紹  介)(第三七七〇号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇六号)  同(寺前巖紹介)(第三八三九号)  保健所整備拡充に関する請願寺前巖君紹  介)(第三七七一号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇七号)  同(寺前巖紹介)(第三八四〇号)  社会保険診療報酬審査改善に関する請願(寺  前巖君紹介)(第三七七二号)  同(寺前巖紹介)(第三八〇八号)  同(寺前巖紹介)(第三八四一号)  社会保険診療報酬引上げ等に関する請願(平  田藤吉紹介)(第三七九八号)  児童福祉法に基づく学童保育制度化に関する  請願吉田法晴紹介)(第三七九九号)  同(田邊誠紹介)(第三八七四号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願村山富市紹介)(第三八〇〇  号)  同(安宅常彦紹介)(第三八七三号)  食品に対する不安解消に関する請願山中吾郎  君紹介)(第三八六八号)  准看護婦教育制度改善に関する請願金子み  つ君紹介)(第三八八二号)  医療機関整備充実に関する請願増本一彦君  紹介)(第三八九七号)  看護教育改善に関する請願金子みつ君紹  介)(第三八九八号)  同(島本虎三紹介)(第三八九九号)  同(寺前巖紹介)(第三九〇〇号) 同月二十三日  全国一律最低賃金制確立に関する請願板川  正吾紹介)(第三九一八号)  同(佐野進紹介)(第三九一九号)  同(中村重光紹介)(第三九二〇号)  同(湯山勇紹介)(第三九二一号)  同(石野久男紹介)(第三九五九号)  同(山中吾郎紹介)(第三九六〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第三九六一号)  同(阿部未喜男君紹介)(第三九九三号)  同(井上普方紹介)(第三九九四号)  同(稲葉誠一紹介)(第三九九五号)  同(上原康助紹介)(第三九九六号)  同(大柴滋夫紹介)(第三九九七号)  同(太田一夫紹介)(第三九九八号)  同(金瀬俊雄紹介)(第三九九九号)  同(金丸徳重紹介)(第四〇〇〇号)  同(金子みつ紹介)(第四〇〇一号)  同(川俣健二郎紹介)(第四〇〇二号)  同(木原実紹介)(第四〇〇三号)  同(久保三郎紹介)(第四〇〇四号)  同(久保等紹介)(第四〇〇五号)  同(兒玉末男紹介)(第四〇〇六号)  同(佐野憲治紹介)(第四〇〇七号)  同(斉藤正男紹介)(第四〇〇八号)  同(坂本恭一紹介)(第四〇〇九号)  同(島本虎三紹介)(第四〇一〇号)  同(下平正一紹介)(第四〇一一号)  同(田口一男紹介)(第四〇一二号)  同(田邊誠紹介)(第四〇一三号)  同(中村茂紹介)(第四〇一四号)  同(福岡義登紹介)(第四〇一五号)  同(藤田高敏紹介)(第四〇一六号)  同(古川喜一紹介)(第四〇一七号)  同(村山富市紹介)(第四〇一八号)  同(森井忠良紹介)(第四〇一九号)  同(八木昇紹介)(第四〇二〇号)  同(山本政弘紹介)(第四〇二一号)  同(米田東吾紹介)(第四〇二二号)  同(吉田法晴紹介)(第四〇二三号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第四〇二四号)  同(川俣健二郎紹介)(第四〇七〇号)  同(佐々木更三君紹介)(第四〇七一号)  同(佐藤観樹紹介)(第四〇七二号)  同(高沢寅男紹介)(第四〇七三号)  同(原茂紹介)(第四〇七四号)  同(村山富市紹介)(第四〇七五号)  同(山口鶴男紹介)(第四〇七六号)  同(山本幸一紹介)(第四〇七七号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第四〇七八号)  医療機関整備充実に関する請願加藤清二君  紹介)(第三九二二号)  同外一件(森井忠良紹介)(第三九二三号)  戦時災害援護法制定に関する請願石野久男君  紹介)(第三九二四号)  療術制度化に関する請願外一件(川崎寛治君  紹介)(第三九二五号)  同外三十七件(塚原俊郎紹介)(第三九二六  号)  同外二件(森井忠良紹介)(第三九二七号)  同(山本弥之助紹介)(第三九二八号)  同(石野久男紹介)(第三九四六号)  同外四件(受田新吉紹介)(第三九四七号)  同(川崎寛治紹介)(第三九四八号)  同外七件(梶山静六紹介)(第三九四九号)  同(清水徳松紹介)(第三九五〇号)  同(田川誠一紹介)(第三九五一号)  同外一件(渡海元三郎紹介)(第三九五二  号)  同外十九件(丹羽喬四郎紹介)(第三九五三  号)  同外五十六件(松野幸泰紹介)(第三九五四  号)  同外二十二件(渡辺栄一紹介)(第三九五五  号)  同外一件(越智伊平紹介)(第四〇四八号)  同外一件(伏木和雄紹介)(第四〇四九号)  同外一件(前田正男紹介)(第四〇五〇号)  同外十七件(松本十郎紹介)(第四〇五一  号)  看護教育改善に関する請願田中美智子君紹  介)(第三九二九号)  同(川俣健二郎紹介)(第三九五六号)  同(津川武一紹介)(第三九五七号)  同(和田耕作紹介)(第三九五八号)  児童福祉法に基づく学童保育制度化に関する  請願大橋敏雄紹介)(第三九三〇号)  雇用失業対策確立に関する請願板川正吾君  紹介)(第三九三一号)  同(田中美智子紹介)(第三九三二号)  同(川俣健二郎紹介)(第三九六三号)  同(山口鶴男紹介)(第三九六四号)  歯科技工法の改正に関する請願竹内黎一君紹  介)(第三九六二号)  診療報酬引上げに関する請願浦井洋君外一  名紹介)(第三九七四号)  同(寺前巖紹介)(第四〇三五号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四〇六一号)  老人医療保障に関する請願浦井洋君外一名  紹介)(第三九七五号)  同(寺前巖紹介)(第四〇三六号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四〇六二号)  社会保険診療報酬概算払いに関する請願(浦  井洋君外一名紹介)(第三九七六号)  同(浦井洋君外一名紹介)(第四〇三七号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四〇六三号)  看護婦不足対策に関する請願寺前巖君外一名  紹介)(第三九七七号)  同(寺前巖紹介)(第四〇三八号)  同(寺前巖君外五名紹介)(第四〇六四号)  結核対策拡充強化に関する請願浦井洋君外  一名紹介)(第三九七八号)  同(寺前巖紹介)(第四〇三九号)  同(浦井洋君外一名紹介)(第四〇六五号)  保健所整備拡充に関する請願浦井洋君外一  名紹介)(第三九七九号)  同(寺前巖紹介)(第四〇四〇号)  同(浦井洋君外一名紹介)(第四〇六六号)  社会保険診療報酬審査改善に関する請願(浦  井洋君外一名紹介)(第三九八〇号)  同(寺前巖紹介)(第四〇四一号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四〇六七号)  准看護婦養成即時廃止等に関する請願(浅井  美幸君紹介)(第三九八一号)  同(有島重武君紹介)(第三九八二号)  同(小川新一郎紹介)(第三九八三号)  同(大野潔紹介)(第三九八四号)  同(大橋敏雄紹介)(第三九八五号)  同(近江巳記夫紹介)(第三九八六号)  同(岡本富夫紹介)(第三九八七号)  同(沖本泰幸紹介)(第三九八八号)  同(北側義一紹介)(第三九八九号)  同(坂井弘一紹介)(第三九九〇号)  同(鈴切康雄紹介)(第三九九一号)  同(石田幸四郎紹介)(第四〇四四号)  同(小沢貞孝紹介)(第四〇四五号)  同(宮田早苗紹介)(第四〇四六号)  同(粟山ひで紹介)(第四〇四七号)  同(新井彬之君紹介)(第四〇六九号)  歯科医療改善に関する請願木下元二君外一名  紹介)(第三九九二号)  同(寺前巖紹介)(第四〇四二号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四〇六八号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願坂口力紹介)(第四〇四三号) 同月二十五日  診療報酬引上げに関する請願寺前巖君紹  介)  (第四〇八七号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四一三六号)  老人医療保障に関する請願寺前巖紹介)  (第四〇八八号)  同(浦井洋紹介)(第四一三七号)  社会保険等診療報酬概算払いに関する請願  (寺前巖紹介)(第四〇八九号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四一三八号)  看護婦不足対策に関する請願寺前巖紹介)  (第四〇九〇号)  同(浦井洋君外一名紹介)(第四一三九号)  結核対策拡充強化に関する請願寺前巖君紹  介)(第四〇九一号)  同(浦井洋紹介)(第四一四〇号)  保健所整備拡充に関する請願寺前巖君紹  介)(第四〇九二号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四一四一号)  社会保険診療報酬審査改善に関する請願(寺  前巖君紹介)(第四〇九三号)  同(寺前巖紹介)(第四一四二号)  歯科医療改善に関する請願寺前巖紹介)(  第四〇九四号)  同(浦井洋君外一名紹介)(第四一四三号)  同(浦井洋君外一名紹介)(第四二二〇号)  同(木下元二紹介)(第四二二一号)  准看護婦養成即時廃止等に関する請願外一件  (西岡武夫紹介)(第四〇九五号)  同外三件(石井一紹介)(第四一五一号)  同外五件(田川誠一紹介)(第四一五二号)  同外十件(田中榮一紹介)(第四一五三号)  同(長谷川四郎紹介)(第四一五五号)  同外二件(八田貞義紹介)(第四一五六号)  同外一件(原健三郎紹介)(第四一五七号)  同(森喜朗紹介)(第四一五八号)  同外二件(森下元晴君紹介)(第四一五九号)  同(臼井莊一君紹介)(第四二二五号)  同(小此木彦三紹介)(第四二二六号)  同(熊谷義雄紹介)(第四二二七号)  同外十二件(田中伊三次君紹介)(第四二二八  号)  同(田中昭二紹介)(第四二二九号)  同(高橋千寿紹介)(第四二三〇号)  同(竹入義勝君紹介)(第四二三一号)  同(谷垣專一君紹介)(第四二三二号)  同外二件(西村英一紹介)(第四二三三号)  同外九件(羽田孜紹介)(第四二三四号)  同外二件(萩原幸雄紹介)(第四二三五号)  同外六件(葉梨信行紹介)(第四二三六号)  同(広沢直樹紹介)(第四二三七号)  同(松野頼三君紹介)(第四二三八号)  同(正木良明紹介)(第四二三九号)  同(松本忠助紹介)(第四二四〇号)  同外二件(粟山ひで紹介)(第四二四一号)  療術制度化に関する請願外五件(石井一君紹  介)(第四〇九六号)  同外二件(田川誠一紹介)(第四〇九七号)  同外十二件(塚原俊郎紹介)(第四〇九八  号)  同(戸井田三郎紹介)(第四〇九九号)  同外九件(林義郎紹介)(第四一〇〇号)  同外二件(越智伊平紹介)(第四一四六号)  同外二十七件(田中龍夫紹介)(第四一四七  号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四一四八号)  同外四件(原健三郎紹介)(第四一四九号)  同外五件(渡部一郎紹介)(第四一五〇号)  同外百十五件(竹中修一紹介)(第四二二二  号)  同外十八件(萩原幸雄紹介)(第四二二三  号)  同外九件(渡辺美智雄紹介)(第四二二四  号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願安宅  常彦紹介)(第四一〇一号)  同(石野久男紹介)(第四一〇二号)  同(加藤清政紹介)(第四一〇三号)  同(木島喜兵衞紹介)(第四一〇四号)  同(小林進絶介)(第四一〇五号)  同(阪上安太郎紹介)(第四一〇六号)  同(清水徳松紹介)(第四一〇七号)  同(田中武夫紹介)(第四一〇八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四一〇九号)  同(山崎始男紹介)(第四一一〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第四一六〇号)  同(阿部哉君紹介)(第四一六一号)  同(小川省吾給紹介)(第四一六二号)  同(岡田春夫紹介)(第四一六三号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四一六四号)  同(久保田鶴松紹介)(第四一六五号)  同(斉藤正男紹介)(第四一六六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四一六七号)  同(高田富之紹介)(第四一六八号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四一六九号)  同(塚田庄平紹介)(第四一七〇号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四一七一号)  同(原茂紹介)(第四一七二号)  同(堀昌雄紹介)(第四一七三号)  同(平林剛紹介)(第四一七四号)  同(森井忠良紹介)(第四一七五号)  同(安井吉典紹介)(第四一七六号)  同(山口鶴男紹介)(第四一七七号)  同(湯山勇紹介)(第四一七八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四二一九号)  原子爆弾被害者援護法制定に関する請願瀬野  栄次郎紹介)(第四一四四号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願外一件  (村山富市紹介)(第四一四五号)  建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に  関する請願田代文久紹介)(第四二一六  号)  雇用失業対策確立に関する請願瀬野栄次郎  君紹介)(第四二一七号)  同(渡部一郎紹介)(第四二一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  医療に関する件(歯科医療に関する問題)  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  医療に関する件、特に歯科医療に関する問題について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本問題について、本日、参考人として日本歯科医師会会長斉藤静三君、日本歯科技工士会専務理事佐野恵明君大阪消費者友の会会長伊吹和子君及び医事評論家大熊房太郎君にそれぞれ御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  4. 大野明

    大野委員長 それでは、ただいまの参考人方々がお見えになっておりますので、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人方々には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。今日おいでを願いました問題は、国民の間におきましても大きな関心が持たれているところでありますので、おのおののお立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、議事の都合上、最初に御意見を十分ないし十五分程度に要約してお述べいただき、その後、各委員からの質疑にもお答え願いたいと存じます。  また、念のため申し上げますが、参考人から委員への質疑はできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず斉藤参考人にお願いいたします。
  5. 斉藤静三

    斉藤参考人 最近の歯科医療の問題につきまして、代議士先生初め国民に大いなる御迷惑をおかけしておりますことを心からおわび申し上げます。実は、私事で恐縮でございますが、うちの孫が交通事故で、四、五日前起こったことでございますが、まだ意識不明でございまして、代理人を認めてもらおうと考えましたが、人がいないということで出てまいりました。心情を察し、御無礼の段ございましたらお許しいただきます。  私は、医療を行う中で最も大切なものは倫理であると思います。最近におきますいろいろの問題について、倫理感がかなり欠如しておるのではないか、医療の中で最も大切な術者患者信頼感が薄らいでいることをまことに残念だと思います。日本歯科医師会は今日まで国民サイドに立って啓蒙運動を展開しておりますが、その中で、テレビ放送を使いまして毎週一回歯科の学術、医学あるいは医療制度その他もろもろの問題について放映しておりますが、いかんせん関心が薄かった時代に、ほとんど見ておらない実態がわかりました。最近話題になりましてから、これに対してかなりの批判もありますし、質問も来るようになってまいりまして、関心がついたことに対してありがたく思っております。  なお歯科医師会としては、国民医療サイドの中で、衛生週間等も、自主的に大きな運動を展開しておることも御案内のとおりであります。国民に還元されます歯科医学、医術の発展進歩のために重大関心を持っておりまして、唯一の団体であります日本歯科医学会に対して会員一人二千円の会費を納入して、この発展に努力を続けておるわけであります。これが国民に還元されることを大いに期待しております。  何を申し上げましても現在齲蝕が非常に多発しておりまして、これが撲滅のために努力しなければならないのでありますが、その抑制の方法あるいは研究がまだ不足しておるようにも考えられますし、また全国保健所に対しても、八百五十に近い保健所の中にも歯科医師がわずか七十九名程度しかおりませんし、衛生士もわずかしかおらない現状に対してまことに残念だと思っております。特に小児齲蝕問題について予防研究体制、それから各国立歯科大学においても小児歯科学部というものが設置されておりません。ぜひこれを急速に設置してもらいたいというふうに思うわけです。なお、義務教育の中にも歯科の問題、虫歯の問題がかなりウエートが低いのでありまして、この点についてもひとつ御当局の御配慮を賜りたい。  私たちは毎日患者さんの診療に当たるに際して、患者がこれだけ大ぜいいる中で効率的に上げたいというふうに考えておりますが、それに対して、合理化の一端として衛生士あるいは技工士さん等々の介護者が不足しておりまして、ほとんどの養成は各県の歯科医師会自体において養成を図っている現状でありまして、このことについても当局重大関心をお願いするものであります。  なお、大ぜいの患者が来ていることは皆さん周知のことでございますが、術者が不足し、介護者も不足しております。お昼をかみながら診療に当たっているような重労働を連続しております。体はこれでは耐えかねます。ぜひ人並みの人間として——仮に八時間労働が許されるならば、八時間労働で済ませるような状態であればなお幸いだと思っております。そこで、私たちは考えておりますのは、国民歯科医療の確保のために地域ごとに歯科センターを設置いたしまして、時間外あるいは夜間あるいは休日問題、小児歯科の予防問題その他口腔衛生の普及宣伝等を兼ねた地域歯科保健センターの設置をいま急いでおりますが、ぜひともこれが実現のために——混乱の防止のためにもかなり役立つというふうに私は確信しております。  歯科医師会も最近、昨年来の苦情問題について苦情相談あるいは受付をしております。ずっとそれが減少しておる事実がございます。いま私たちは四月統一選挙を考えたときに、これだけの批判がある中で歯科医師の立候補者が必ず落とされるのじゃないかということに重大関心を持っておりましたところ、ほとんどの立候補者か——県議、市長、市議、町長、町議、特別区、都議会議員六十四名立候補いたしましたが、五十四名の当選を見て、まだ批判がそれほどでない、一部の人たちの批判によって大きくクローズアップされている事実を考えたわけであります。しかしその中で、医療制度の問題などがやはり混乱の一つの要因じゃないか。医療の格差とあるいは不採算点数等がまかり通っている中で、これを大臣として一日も早く解決をしていく方向をお願いしたいと思います。  なお、私たちは精いっぱい患者の、国民の信頼を取り戻すために努力を図ることをお誓い申し上げます。ありがとうございました。
  6. 大野明

    大野委員長 次に、佐野参考人にお願いいたします。
  7. 佐野恵明

    佐野参考人 日本歯科技工士会の専務理事をやっております佐野でございます。  私ども歯科技工士というのは非常に弱者の立場でございまして、こういう席で意見を述べさせていただくというような機会はかつてございませんでした。本日は初めてでございますし、大変緊張いたしております。その点、言葉の不行き届きがあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  まず今日の歯科医療の混乱につきまして、私どもは、残念ながら現在の歯科技工士というのは歯科医師の経済下にすっぽりと入っているというのが実情でございます。こういう立場におりまして、ただ私どもも歯科医療の中にコミットをしているという現実から、この混乱について何か組織としての統一見解はまとめていかなければならぬであろうという意見が会員の中から多く出てまいりました。われわれがこの問題について組織の意思を統一し、見解を発表をするということにつきましては、会員の生活の擁護という問題と、また医療倫理、社会正義という非常に二律背反するような問題を、これを統一をするという形でどこかに接点を求めていこうということで、本会はさきに統一見解をまとめて世間に発表をいたしました。  その中で、私どもがその作業の過程で感じましたことは、今日の医療混乱の大きな原因は、国の低医療政策のしわ寄せが歯科に来ているのではないかという点でございます。総医療費に占めます歯科のシェアが、ピークのときには一四・五%という数字を示していたわけですが、最近は総医療費に占める歯科の割合というのが九%までダウンをしております。ここにも何かいま世間で問題にされております差額徴収というものが起こる原因があるのではないかというようにも考えます。また、去る四十一年三月の衆議院の予算委員会におきまして、当時の保険局長が、日本歯科医師会の緊急是正の要望について、歯科については差額徴収を認めるという方向で考えなければならぬではないかというような発言があったやに聞いております。これはやはり歯科の特殊性というものについての行政の配慮の不足があろうかと思います。  また、現在保険制度の中では、歯科技工士というものは全く位置づけをされておりません。私どもは現在歯科技工料金というものをどういうふうにして決めているかと申しますと、基本的には自由経済の立場から原価計算に基づいて決めてはおりますが、われわれの歯科技工料の支払い側である歯科医師が現在の保険制度の統制下にあるわけですから、われわれ歯科技工士もこれの影響を免れることはできず、むしろこれに完全に組み込まれているというのが現状でございます。当然、つくる者、つくる歯科技工士に支払われてもよろしいであろうというように私どもが考えております歯科の保険点数の中のものでさえ、実態はそれの五五%から八〇%ぐらいしかわれわれには支払われていないというのが現実でございます。また、われわれがそういう中で、たとえば保険点数を決める審議会での発言も許されておりませんし、また医師、歯科医師にございます税の優遇措置の問題も、われわれ弱者である歯科技工士には全く恩恵が与えられていないというのが現実でございます。われわれは、安い技工料金でただ長時間労働によって自分たちの生活を支えておるというのがいまの歯科技工士の実情であり、われわれこそ現在の保険制度の中での最大の被害者であろうというように思います。ただわれわれは、医療倫理と社会正義、また医療術者としての使命感で現在まで国の医療政策には協力をしてまいりましたし、今後もそういう形で協力は惜しまないつもりでございます。  もう一つ、現在の医療の混乱について申し上げたいと思いますことは、確かに歯科医師の一部の先生方の中に医療倫理の欠けている面があるのではないかというようにマスコミ等によって大きく伝えられております。この問題について、先日NHKのテレビにある地区の歯科医師が出ておりました。私も非常に関心を持ってこのテレビを拝聴したわけですが、その中でその歯科医師が、私はグリーン車のお客を扱うのだ。記者の質問で、それでは弱者の切り捨てかという質問に答えまして、その先生は、弱者の切り捨てで結構だというような発言がございました。私は人間として、また歯科医療の中で働く者として非常に大きな義憤を感じました。こういう先生方が一部にあるということだけは、このテレビを見ても事実であろうかと思います。ただ、その裏に多くのまじめな歯科医師の先生方がたくさんいるということも事実でございます。私の知り合いの歯科医師で、自分の息子を歯科大学に入れるのに千五百万、二千万の入学寄付金がかかる、その先生は住宅と診療所を別々にしておりましたが、自分の住宅を売って診療所にささやかな住宅をくっつけて、住宅を売った資金の一部を息子の歯科大学への入学の寄付金に充てたという事実もございます。そういう面からいきますと、まじめに働いている歯科の先生方の多いということについても皆様方の御理解をいただきたい。私は歯科医師の弁護をするつもりは毛頭ございませんが、事実は事実として申し上げたいと思います。  またもう一つ、国や地方自治体が福祉政策を進めるということにつきましては大変結構なことだと思います。ただ、福祉政策を進める中で、たとえば老人の医療の無料化というようなものが進められておりますが、この中におきまして全く歯どめがないわけです。私どもの仲間がある技工所を経営をいたしております。その技工所は四軒、五軒のお得意さんの歯科医を持っておりました。ちょうど一週間前につくった入れ歯の型がまた別の先生から注文がされたということで、事実を調べてみましたら、ある老人が一週間前にはAという医院で、その後にまたBという医院に行って、一カ月後にはCという医院に行って、同じ入れ歯をつくったというような実態がございます。こういう問題につきましては、いまの医療の混乱については、国も歯科医師会も、また一般の社会の皆さん方も一緒になって真剣に打開策を考えていかなければならぬだろう、私どもはそういうように考えます。  また、三木総理大臣が弱者救済という言葉をよく言いますが、私たち歯科技工士の技工所に対して、よく税務署の立入調査がございます。その税務署の立入調査は、歯科医師の脱税の資料を集めるために歯科の技工所の実態を調査をしているというのが事実でございます。私どもがそういう調査に対して正確なコメントをいたしますと、早速その歯科医師から仕事の発注をとめられるという事実もございます。国の行政ももう少し弱者について配慮があってしかるべきではないかということを私たちは強く訴えたいと思います。  また、われわれの仲間でも国家公務員が多くおります。この人たちの給与のランクを見ますと、同じような教育制度を経ています放射線技師だとか、臨床検査技師とかいう方たち、この人たちには全国に数校の短期大学がございます。私ども歯科技工士はいま全部各種学校でございます。各種学校でも、高校を卒業して二年間行くということにおいては、実質では変わりはないわけです。でも、国は学歴偏重——実力主義ということを口にしながら、実態におきましては、われわれと、ほかの短期大学があるという業種との間に著しい給与の隔たりを設けております。こういうものについては、ぜひ御配慮をいただきたいということをお願いしたいと思うわけです。  それと、私どもの歯科技工士養成所というのが、昭和四十年には全国で十七校ございましたのが、現在は五十四校ございます。定員数にいたしますと実に五倍近くになっております。われわれ技工士の生活というのは、歯科医師の数とのバランスにおいて考えられることが当然であろうと私たちは思います。それを行政は、いままで五十四校の申請については一校の拒否もしたことがないというように私たちは聞いております。そして、ある県におきましては、技工士歯科医師の数はいま私たちの県では足りておりますから、技工士学校をつくる必要はありませんということを申し上げましたが、結果的にはそこに技工士学校ができました。そして、そこの県のわれわれ歯科技工士会の会長は、すべての歯医者さんから仕事をとめられて生活ができなくなって、五十年、六十年住んでおりました土地を捨てて、先祖の墓をその土地に残してほかの県に生活を求めて参りました。こういう実態があることをぜひ皆さんにおわかりいただきたいと思うわけでございます。これは、決して歯科医師が悪いとか行政が悪いとかということではなくて、こういう実態はぜひ御理解をいただきたいというように思います。  また最後に、私どもは国会の先生方と行政に対して心からお願いをしたいと思います。私どもは現在保険制度の影響をまともに受けながらも、保険制度の中に技工士というものは組み込まれておりません。当然つくるべき者に支払われる金さえ、私たちはその半分か七〇%しかもらってないのが実情です。いまの保険制度の中に、つくる者が取る部分をぜひ設けていただきたいと思うわけです。歯科技工士に支払われる分野を保険制度の中に設けていただきたいということをぜひお願いしたいと思います。ただ私どもは、そのときに、現在世論の批判を浴びております税の優遇措置等については、要求をするつもりは全くございません。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  また、いま私どもはほかの医療技術団体と相談をいたしまして、われわれ医療術者の教育制度をぜひ高めてください、ぜひ四年制の大学にしてくださいという要求を厚生大臣にも文部大臣にも出しております。ただ、これを昨年の春提出いたしましても何の返事もないし、何の動きがあったというようには聞いておりません。私どもは、ただひたむきに純粋に自分の技術を高め、すぐれた技術をもって国民歯科医療に貢献をしたいんだというひたむきな願いでございます。こういう問題についてはぜひ御配慮していただき、一日も早い実現をお願いをしたいと思います。  最後に、私たちは、いまの医療の混乱が医療倫理の欠如にあるということを痛切に感じております。われわれは毎月発行いたします自分の会報に大きなスペースをとって、医療術者としての自覚を持ち、医療倫理の高揚に努めろということを毎号毎号声を大きくして叫んでおります。そして、いま歯科技工士の免許証というのは知事の免許になっております。これをぜひ厚生大臣の免許にしてください。ほかの医療術者団体の免許証は厚生大臣の免許になっておるのが現実です。ですから、私たちに厚生大臣の免許を与えてください、そして会員の意識の啓蒙に役立たせてください、そうすれば会員は医療術者としての自覚に目覚め、より医療倫理の高揚に役立つのだ、それをいましてくれるのが国ではないのですかという要求をわれわれはしております。近くその要望書を厚生大臣あてに提出いたします。ぜひ国会議員の先生方の心からなる御支援と御理解をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  8. 大野明

    大野委員長 次に、伊吹参考人にお願いいたします。
  9. 伊吹和子

    伊吹参考人 伊吹でございます。ふなれでございますので、言葉の足りない点があると思いますけれども、よろしくお願いいたします。  私たち大阪消費者友の会では、二月十九日から二十二日までの四日間、電話による歯の苦情一一〇番を開設いたしました。その後郵便によるものも含めまして、二月末までで一応打ち切りましたけれども、その間に延べ九百九十七件の苦情が集まっております。その一つ一つにつきまして、歯科医療が現在いかに患者無視で、施療者本位のものであるかということを現実に浮き上がらせております。先生方にぜひこの患者の声をお聞きいただきまして、歯科医療の実態を御認識いただきたいと思うわけでございます。私たちが安心してよい歯科医療を受けられますように、その日が一日も早く来ますことを祈りまして、私はこの実態を御報告いたしたいと思うわけでございます。  集まりました苦情の中で診療拒否が五十七件ございましたけれども、それは医の倫理から言って、診療拒否はあり得べきものではないというふうに考えておりますけれども、子供とか老人とか身体障害者、そういう弱い立場の人たちに対する診療拒否が非常に多かったことが目立っております。現在の歯科医のモラルを如実にあらわしておると思いますけれども、その中で子供の拒否が特に多かったわけでございますが、歯が痛くて泣いている子供がどこのお医者さんに行っても診ていただけなくて、三軒回って四軒目にようやく応急処置をしていただいたというような胸の痛くなるような訴えがございます。このように、子供の治療というものは時間がかかってもうけにならないから拒否するということらしゅうございますけれども、現在の算術歯科医は弱者切り捨てを平気でいたします。そういう弱い立場の者こそ守られなければならないと思っておりますが、現在の実情としてはそういうことでございます。  子供の歯の問題としてもう一つ考えなければならないことは、学童の初期の虫歯についてだと思います。学校で年に一回ないし二回定期検診が行われておりますけれども、学校から要治療の通知をいただいてまいりまして、その紙を持って歯医者さんへお訪ねしてもなかなか治療していただけない。痛くなってから来いとか、あるいはもう少し先に来いとか、そういうふうに言われまして、なかなか治療していただけないのが現実でございます。お母さんと子供がその要治療の通知を持ってうろうろして、どうすればいいのでしょうというような訴えがずいぶんございました。また、検査時期が大体四月から六月というふうに限られておりますので、その結果七月から夏休みにかけて治療が集中いたします。この現実が必要以上に歯科医療を混乱させていると思われますが、このようなお話をいたしますとすぐ歯医者さんの数が足りないからというふうに言われるわけですが、歯医者さんの数が足りないということは確かに現在の歯科医療問題を混乱させている原因の一つであろうとは思います。ですから、やみ入学金なども含めました医科歯科系大学のお金のかかり過ぎるという問題も含めて、国立の歯科大あるいは歯学部の増設をお願いしたいと思っております。これらの件につきましては、三月七日に私ども大阪消費者友の会から文部大臣あてに要望書を提出しておりますが、一日も早くこれらのことが改善されることを希望しております。  それから、歯科医療をめぐるトラブルで最も多かったのは、差額徴収が高いということでございます。これは集まりました苦情の中で三百七十件ございましたけれども、治療が終わってから何十万円というお金を請求されて、払うには払ったが不満が残って、結局何十万円取られたというふうな訴え方になってくるわけです。それらのことを考えますと、それはやはりお医者さんと患者の話し合いが不十分であるということが原因の一つと考えられるわけです。そういう意味で、私どもは治療計画書というものをつくっていただきたいというふうに考えるわけです。治療計画書に、治療部位だとかあるいはその材料あるいは金額、保険外であるとか保険内であるとか、そういうことを明記していただいて、それをもとにして患者と医者とが十分話し合う、そういうことの中から信頼関係が回復していくのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから次に領収証の問題でございますが、歯科医療問題が社会化いたしましてから領収証をもらおうというふうな運動があちこちで起こっております。現状としましては、領収証は要求すればもらえるというふうな状態に大分なってきたようでございますけれども、以前から厚生省あるいは日本歯科医師会からのポスターに、必要があればお申し出くださいというふうなことは書いてございましたけれども、その中でも領収証をいただけないという事態がずいぶん発生していたわけでございます。そういうことを考えまして、医療控除のために患者が領収証を請求いたしましてもなかなかもらえないという現状の中で、領収証をどうしても必要だからという形で要求いたしますと、一割とか二割あるいは一万円とか一万五千円、そういうふうに領収証代みたいなものを請求されているというのが現実でございます。  一つ具体的な例を申し上げますと、ある患者さんが六十万円支払って医療控除のための領収証を請求いたしますと、五十一万三千円の領収証しか書いていただけなかったということがございます。そして、六十万円払ったのだから六十万円の領収証をほしいということを請求いたしますと、六十万円の領収証なら六十五万円払ってもらわないと書けないと言われたそうです。それで、その方は五十一万三千円の領収証を持って医療控除を申請なさったわけですけれども、その控除額が三万六千円だったわけです。参考のために六十万円の医療控除だと幾らの額になるのかということを聞いてみますと、六万五千五百八十円だということでございまして、その差の二万九千五百八十円がどうなるかというふうな苦情のケースでございました。これらは歯医者さんが自分の所得税を患者におっかぶせている、あるいはまた脱税というふうなことも考えられるというケースでございまして、現在の混乱している歯科医療の中では、歯医者さんは領収証の発行を必ずというふうに義務づけられるべきだと思っております。  次に問題になりますのは、保険使用を認めない、あるいは保険拒否というふうな苦情でございました。それは百七十件ございましたけれども、これらは歯医者さんが保険の治療は長もちしないとか、あるいは保険の治療は悪いというふうなことを言われまして、患者の無知につけ込んで、保険ではいい歯ができないというふうな印象を与えていらっしゃるということでございます。保険でしてくださいというふうに患者側がお願いしますと、保険の歯は保証できないというふうな返事が返ってくるわけでございまして、素人は、それでは差額徴収に応じなければ仕方がないと考えるのは当然だろうと思います。歯医者さんに言わせれば同意の上での治療だとおっしゃいますけれども、私どもから考えますれば強制の上の治療だというふうに考えるわけでございます。  厚生省は、通常必要な治療は保険でできるというふうに言ってらっしゃいます。ですけれども、現在の歯医者さんは、諸悪の根源は保険制度の低医療費政策だというふうにおっしゃいまして、保険だけでは食べていけないというふうなことをおっしゃっております。私ども素人にはそのいずれが正しいのかよくわかりませんけれども、歯医者さんが言うように保険ではいい治療ができないということであれば、私どもは保険料の不払い運動をすべきだと思っております。私は、年々進歩する技術が保険に組み入れられないならば、保険制度は意味がないというふうに考えております。ですから、技術が進歩してそれが保険内治療でないならば、保険外のものが出てくるのが当然でございますから、保険で最新の医療が受けられるようにすることが必要だというふうに考えております。最新の医療とぜいたくな医療というのは当然別であろうと考えます。歯には美容的な要素もずいぶん含まれますので、そのすべてを保険でということには非常にまた問題があろうかと思います。けれども、現在国民の犠牲によって行われている医療のあり方というものは、歯科医師も厚生省も反省していただきたいと思うのです。  また、苦情の中で、保険で治療してほしいと言いますと三カ月先に予約だというふうなことで、家へ帰ってすぐそのお医者さんに、三十万円ぐらいの予算で治療してほしいというふうに電話をしますと、じゃすぐ来てくださいというふうなことがあった、これも事実でございます。というふうに、保険の患者と自由診療患者、いわゆるもうかる患者ともうからない患者というものが区別されている、そして差がつけられているという事実がたくさんございます。現在の歯医者さんの悪徳ぶりがあらわれているわけでございますけれども、この悪徳部分を保険制度の欠陥というふうにすりかえられるということは、私どもとしても非常に心外でございます。  歯科医師会は現在会長問題で混乱していらっしゃるようでございますけれども、お家騒動はたっぷり時間をかけておやりになればいいと思います。ですけれども、その間私どもの歯科治療、歯科医療の問題が手をつけられずに置いておかれるということは非常に困るわけです。ですから、日本歯科医師会歯科医療のあるべき姿というものをはっきり描いていただいて、それを中医協の席でこそお示しになるべきだと考えております。そして、一日も早く歯科医療問題が正常化されることを願っているわけでございます。  国立大学の歯科料金が五月一日あるいは所によっては六月一日から値上がりしております。その算定基礎につきまして私どもは国立大学にお尋ねいたしましたけれども、それはお答えできないから文部省に聞いてほしいというふうな答えが返ってきております。で、私どもはその料金について疑問を持っておりますのは、三月二日に歯科医師会の近畿・北陸グループが標準料金を発表しておりますけれども、その標準料金は、子弟の教育費まで含めた、私どもとしては納得しがたい料金でございましたが、今度の国立大学の料金がなおそれを上回るものがあるということに対して、私どもは納得できないものを感じているわけでございます。歯医者さんに言わせますれば、国立大学というのは人件費あるいは税金が入っておりませんので、それが慣行料金より上回る料金であれば、歯医者さんとしてはもっと料金を上げてもいいというふうなことをおっしゃっているわけでございます。  このような歯科医療問題はあらゆる意味で厚生省の責任が大きいと思っておりますけれども、現在の混乱の一つに金合金の問題がございます。それは、保険材料はJISによって決められておりますけれども、歯医者さんが保険材料に近いものを自分のうちで、たとえば金を五十ないし五十三プロ白金を一ないし二プロという形で入れて自家製の合金をおつくりになって、それを差額徴収の対象として一万円ないし二万円の料金を徴収していらっしゃるわけでございます。それ以外にまた、舶来の合金でそれに近いものが市販されておりますけれども、そういうものを使用してその差額徴収の対象にするということは、私どもとしては納得できないわけでございます。これは見た目にも保険材料とは変わりません。ですけれども、この辺の厚生省の見解がはっきりしておりませんために、都道府県段階においても指導が非常に混乱しておる状態でございます。これらのことにつきまして、歯科材料というのは素人の私どもにはよくわかりませんけれども、専門家の十分な御検討をお願いしたいと思うわけでございます。  これら、ちまたにあふれております苦情をお聞きいただきまして、私どもが一日も早くよい治療を安心して受けられますような状態になりますことを願って、きょう皆様方に苦情の一部を御紹介したわけでございます。以上でございます。
  10. 大野明

    大野委員長 最後に、大熊参考人にお願いいたします。
  11. 大熊房太郎

    ○大熊参考人 大熊でございます。  私は、最近の歯科医療のこの混乱の根本的な原因は何にあるのであろうかということをいろいろ考えてみたのでございますが、その最大の一つは、国の低医療費政策にあるのではないかと思います。これは現在の診療報酬では医業経営が成り立たないということ、これは私いろいろ取材をいたしましたけれども、明らかでございます。たまたま補綴につきまして差額徴収が認められている、それで、これをうまく利用すれば医業経営がやっていけるのではないかというようなことから、次第にエスカレートして今日のような状況になったのではないかと思うのであります。ただこの差額徴収というのは一体どういうものだろうかと実は私もいろいろ考えてみたのでございますが、たとえばわれわれの常識から申しますと、保険では千円しか認めない、しかし実際にたとえば補綴物を  つくりまして三千円ぐらいかかる、その二千円があれば医業経営は何とかやっていけるだろう、ですから、私どもはこの二千円というものを差額徴収というふうに考えていたのでございますが、現在の歯科医師の多くの方のやり方を見ておりますと、この二千円の上に勝手に上乗せ、どんぶり勘定で、算定の基礎も患者に明らかにしないままに自分の思惑だけで五千円乗せ、一万円上乗せをし、次第に悪乗りし便乗して、それが五万になり十万になり、極端な場合には百万。私が調べた数字では、たとえば東京の都心あたりでは現在上下の総義歯一対で一万ドル相場、約三百万円というのはもう決して珍しくはございません。でございますから私は、これは差額徴収というのが大体おかしいのであって、むしろこれは完全な自由診療ではないか、もっと悪質だと思うのです。それはなぜかと申しますと、保険もききます、これをえさにしてつりまして、現実には差額徴収と言いながら、これはもう大変な自由診療でふっかけてきている。ですから、私などから考えますと、歯科医師会の方は一部には悪い歯科医師もいるかもしれませんがという表現をしますが、一部にはいい歯科医師がいるかもしれないがというようなのが現状ではないかと思うのであります。要するに、基本的には現在の診療報酬では医業経営が成り立たない。つまり低医療費政策に根本的な原因があったとは思うのでありますけれども、これにかなり多くの歯科医師の方が悪乗りをしたがために今日のような混乱を招いたのではないかと考えるわけでございます。  それから、やはり混乱のもう一つの原因は、歯科医療の需要と供給のアンバランス。これは昭和三十六年に国民医療保険になりましたが、当然これは歯科医療についての需要が増大するということは予測されていたわけでございます。しかし、これにつきまして、果たして歯科医師養成ということについてどれほどの努力が行われたのであろうか。この需給のアンバランス、その結果、端的にあらわれたのが予約制でございます。これは一面において非常に私は便利な制度であろうとは思うのでずが、見ようによれば、ていのいい受診抑制、診療拒否というような形になるのではないかと思うのです。現実にこの予約制の問題について見ますと、歯科医師会で私いろいろ取材してみますと、歯科医師の方は、良心的な診療ができるには一日十二、三人から限度十七、八人である。大体そのくらいの数字ではないかと思うのですが、そうなれば予約制というものもやむを得ないではあろうと思うのですが、十二、三人もしくは十七、八人くらいまででは当然医業経営が成り立たない。ここにやはり差額徴収、自由診療の発生する余地があったのではないか、こういうふうに考えるわけです。一方においては増大する患者、一方においては限られた歯科医師の数、これは当然こういう需給のアンバランスというようなことも背景にあったのではないかと思います。  それからもう一つは、やはり医の倫理の荒廃。これは何といっても、先ほどの、たとえばどんぶり勘定によって百万、三百万を総義歯で取る、そういうようなところにもあらわれておりますけれども、基本的には、これは現在の医科大学もそうでございますけれども、歯科大学が果たしてこの医の倫理、具体的に申しますと、医学概論についての講義を行っている学校が果たしてどれだけあるだろうか、この辺も非常に大きな問題ではないかと思うわけです。大体医師もしくは歯科医師、この医という字はメディシンではなくて慰める、医師というのは慰める師である、医道というのは慰める道である、要するに、医というものはやはり愛を基調にしたものであるわけであります。なぜ愛を基調にしなければならないかといいますと、これはやはり患者と医師との間柄というのは、しょせんは強者と弱者の関係ではないか。極端なことを申しますと、たとえば医師がマージャンに興じておりまして、患者が苦しんでいて、いまにも死にそうだ、来てくれ、そのときにもしマージャンに興じていて医師が行かなければ、その患者は苦しみ、死亡するわけでございます。こういうような状況に置かれているわけですから、弱者と強者との関係、しかるがゆえに私は、そこに医のモラルとか倫理とか医道が必要なのではないかと思います。ところが、こういうような愛に根差した気持ちを現在の歯科医師の方が果たしてどのくらいお持ちであろうか、その点について私は非常に疑問に感ずるわけでございます。これは結局、歯科大学六年間のこのコースにおいて、果たしてどれだけこういうことについての情操教育が行われたのであろうか、これは一面、もう一つ、歯科大学の教員の質の低下ということとも絡み合ってくるのではないかと思うのであります。これは端的に申し上げますと、現在特に私立の歯科大学に目立つ傾向なんでありますが、多くの歯科大学において、たとえば保存でも矯正でも結構でございます、そのある科目だけについては一科目、二科目、極端に学生が落第し留年するという事実がございます。それは確かにいまのように二千万円も、最低千五百万円も出さなければ入れないような状況においては、学生の質が悪くなっているかもしれませんが、その多くの大学においても、要するにある科目だけについて極端に留年するということは、これはやはりその教授、助教授の教え方が悪いんではないだろうか、ここに私は、何か最近の歯科大学の教員の質の低下、そういうようなことも考えられるわけであります。ですから、こういう教官によって教育される学生、私は非常に憂うべきことではないかと思います。  それからもう一つ、今日のこの混乱の一つの原因となっているのは、私は患者サイドにもあるのではないかと思います。これはいろいろ取材してみますけれども、たとえば歯科医師会の年配の方などがおっしゃるには、昔の患者というのは、たとえば歯科治療を受けに来るときはたいてい口ぐらいゆすぎ、歯はみがいてきたものである、ところが最近は、まず五人のうちそういう人が一人いるかどうかである。極端な場合には、お母さんが子供を連れてきて、待合室で診療を受けるのを待つ間にそこでもってお菓子を食べさせている、こういうような状況も見えてきております。そうなりますと、歯科医師の方でも本当に親身な気持ちになって治療をしようという気持ちが薄れてくる、これは見逃せない事実だと思います。この際、私どももたてまえ論ばかり述べてないで、こういう機会に反省はしたいと思うのですが、要するに予防への努力ということが特に母親の間になくなってきたのではないか。一枚の健康保険証さえあれば、なに、虫歯になっても、病気になっても何とかしてくれるだろう、こういう安易な気持ちも私は問題があると思います。いろいろ問題もありましょうけれども、確かにいまの医師は薬を乱用し、歯科医師は物を乱用しというあれがありますが、患者サイドにおいても、やはり保険証を乱用しているのではないだろうか。医療保険というのはわれわれ国民の共通した貴重な財産である。これはみんなで守って育てていこう、乱受診はやめよう、そういうようなあれがあってもいいんではないか。極端に申しますと、保険というものはこれは掛け捨ての火災保険のような気持ちを持つということ、いざというときの安心料である。毎月の保険料なり保険税というものは安心料である、そういうような意識も今度の問題を通して培っていかなければならないということを私は感じたわけでございます。これは、学校なり家庭なり社会においてこういうような教育も行われなければいけない。  でありますから、いまの、不幸なことに国民患者との間の感情の摩擦といいますか、みぞといいますか、これを一〇〇%私は歯科医師の側にあるとも思いません。やはり国民の側においても医師をプロフェションとして尊敬し、それからみずからの健康を守ろう、そういうような努力も必要なんではないか。歯科医師会を責める——あるいは行政当局の怠慢、たとえば怠慢と申しますのは、今度一つの大きな混乱を招いたのは、厚生省は、一方において保険でも十分に義歯はできるんだ、ところが一方においては差額徴収を認める通達を出す、非常に混乱しているわけでございます。こういうような怠慢もございますけれども、やはり国民サイドにおいてもこの際反省する必要があるんではないかということを私は感じているわけでございます。終わります。
  12. 大野明

    大野委員長 以上で参考人方々の陳述は終わりました。     —————————————
  13. 大野明

    大野委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田三郎君。
  14. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 きょうは斉藤参考人佐野参考人伊吹参考人、大熊参考人それぞれお忙しいところお越しくださいまして、特に斉藤参考人のお話によれば御子息が交通事故でまだ意識が覚めていない、大変御心配だろうと思うのです。私は、時間の関係で参考人方々にごくわずかな問題ですが、御質問させていただきたいと思います。  私はこの公述を聞きまして大変驚いたのは、斉藤参考人が、もちろん倫理感に欠けている面もあるし、あるいはいろいろな意味でトラブルが起こった面に対する遺憾の意の表明をされておりますけれども、しかしながら、そういったものは一部であって、今度の地方選なんかを見るというと、歯科医出身の人が六十五名立って五十四名も当選しているんだというような話をされましたが、何となく私はそういうのを聞いて、いまの医療問題というものに一番中心になっている歯科医師会の中で、果たしてどういうふうにこれをとらえて、どういうふうに感じているんだろうかということを考えたときに、非常にむなしいような思いをしたのです。私はまず、こういうような国民の中で起こった大きな問題を国民的に心配して国民的に解決しようとしたならば、やはりその一方の当事者であり、一番大事な医師会というものは、もっともっと真剣にこの問題をとらえなければならないと思うのであります。  そういう観点に立って、現在の日本歯科医師会の紛争といいますかあの混乱した状態、三月十四日からつい一昨日まで総会も開けなかった、こういうような状態、新聞報道で見るというと、私たち何かさっぱりわからない。果たしてどういったようなことが両者間で争われて、それをどういうような解決をしようという方向に向いているのか、その点についてまず第一にお聞きいたします。
  15. 斉藤静三

    斉藤参考人 まことに内部の問題で申しわけない次第でございます。事の起こりはいろいろあると思いますが、直接の発火点は、会長さんの失言か暴言かわかりませんが、それに近いものから発火点があったというふうに思います。たとえば普通の場合、御案内のように不信任というものが出る場合には政策から出なくちゃならないのじゃないかというふうに思っていたところが、感情の中から出たような感じがいたします。そこで不信任は、三月十四日に理由をつけずに不信任動議で通過いたしました。会長は、理由がわからない、私は政策によっての不信任ならば理解できるけれども、わからない中の不信任は承諾しかねる、それが混乱の大きくなったスタートでございます。  その後、わが歯科医師会国民のためにも会員のためにも仕事をしなければいけないんだという考え方を私は常々考えますし、この混乱をより以上延ばして国民に迷惑をかける、代議士の先生方も心配になっている中で何をしているんだという批判が強いのでありまして、私は立会の精神を訴えてまいったのでありますが、不信任を通過さした側にとりましてはその程度ではなかなか納得できませんで、一回流会になった次第です。  その後会長の考え方の中でどんなことがあっても混乱を長引かしている責任は免れないんだよ、そういうことが理解されまして、会長のあいさつ状となってまいったわけであります。そのあいさつ状の中で、混乱の責任は私であり、十分に反省する、代議員会の趣旨を尊重して今後やっていきたい、いまの混乱をそのまま見るにたえないんだ、こういう訴えがあったのでありますが、やめるという問題がめどがつかない限り、それはなかなか承諾できないというようなことで長引きまして、一昨日の開会と同時に、四、五時間その問題だけに終始した次第であります。まことに申しわけございません。
  16. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 不信任という問題であれば当然政策の問題になるべきでありますが、今回のはそうではなく感情問題だという。私は大事な問題もたくさんありますから、このことで余り論争したくないのです。ただ私、余りにもその認識の点において違いがあると思うのです。ということは、政策で会長に対する不信任が出るのだったらいいけれども、感情問題、派閥問題みたいなものでなったということになると、いま国民歯科医師会に対する問題で——差額徴収の問題とかいろいろありますが、そういう問題で非常に激高しているような状態の中で、そういうものが論じられないで単に感情的に不信任が出されたと私は思わないのです。やはり四十八年八月に会長の出されたマル秘文書、こういったものに対して歯科医師会の中で考え方の相違があるのではないか。それは、何新聞だったか知りませんが、国会図書館から出していただいた資料の中にあるのです。奥野半蔵さんという兵庫県の歯科医師会会長と松岡さんとの対談です。その中に「私たちと中原会長との違いは、中原会長は脱保険政策遂行論をいまだに改めようとしない。」いまだに改めようとしないということは、前にもそういう論争があったからだろうと思うのです。「これに対して私たちは保険重視政策です。」要するに保険重視政策と脱保険政策との争いで、マスコミでは学閥闘争だというようなことを言っているけれどもそうじゃないのだ。——まさにこれは政治的に、歯科医師会の中に保険制度を重視するものと脱保険政策でいくものと二つに分かれているのじゃないか、それが一つの発火点になって、あるいはそういったものが一つの感情問題に絡んでいるかどうか知りませんけれども、根はそこにあるのじゃないか。そうなるとすると、この問題をそういう問題にとらえずに、歯科医師会内部でもって依然として感情だなんという感じで処理していったならば、いつまでたっても国民の疑惑というものは晴れない。また現在のこの混乱を解決しようとしたならば、その解決の前進の道へ歩むことはできない、私はかように思うのです。簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。
  17. 斉藤静三

    斉藤参考人 マル秘文書、脱保険の問題については、あの時点においてそういう言葉を使うことについて半年間の代議員の協議会を経ているわけです。それで、脱保険という言葉は不適当であるというので、半年後には計画診療という言葉に変わっております。その間に私たちは、各県の県歯科医師会に脱保険という言葉についての不当性を言っているわけなんです。その脱保険の問題について、各県で理事会あるいは代議員会を行ったかどうかという調査をしてまいりますと、一県も理事会、代議員会の議を経ていないということがわかったので、これは言葉が強過ぎるので計画診療という言葉に切りかえるからということにしたわけなんです。その後また、この発端と思われるというふうにお考えでしょうが、マル秘文書というものが一年ばかりたってから外に出たわけです。その中で、これは当然その時期のものだけであって消しているのだ、それが消した通知が行かないじゃないかという問題が起こってまいりました。  そういうことで、ことしの三月六日ですか、正式に取り消し通知を出したといういままでの経過といろいろなものを大臣に提出してまいりました。そこで大臣は、これからはそのようなことのないように十分に厚生省との理解の中で進んでいってもらいたいということで一応のけりがついたと私は考えておったわけです。
  18. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 保険医療の範囲ではやっていけない、これは大熊参考人の話の中にもちょっとそういう低保険という国の政策に対する御批判のあれもありましたが、そういう意味で脱保険政策をとっている人たちの考えの中には、そんなものは安くてやれるか、こういうことをやっているのはおれたちはあたりまえなんだ、そういうようなのが何か心の中にあるのではないか。やはりいろいろな批判が起これは、批判をしている人たちはどうもわれわれの実態というものを知らないんじゃないか、こういうものでやっているから勝手な批判をしているけれども冗談じゃないというような考えが底流にあるから、やはり深刻な反省というような問題にも結びつかないのではないかと思うのです。  そこで私は、この三月に厚生省が調べました「歯科診療等苦情・質問相談受付及び内訳表(三月分)」によっていろいろこの苦情を見ると、先ほど伊吹参考人が言われたのと大体同じような傾向が出ております。最も多いのば差額徴収に関するものであります。その中で金額が高いというのが全体の三百八十八のうち百四十一、二九・九%。その次に、保険はだめだと言われて差額徴収治療を慫慂されたということで不満を言っているのが三百八十八のうちの百四、二二・一%。ですから、この差額徴収の中で先ほど伊吹参考人が言われた幾つかの問題点と同じようなものが五二%を占めている。こういうことはやはりこの差額徴収のあり方に問題があるのではないか。それは先ほど伊吹さんがおっしゃいましたけれども、十分に患者の納得の上で行っていない。いまの社会的な治療に対する要求の度から言えば、たとえばいままでだったら痛い歯を治してもらう、抜けたからひとつそこに歯を入れようというようなものから非常に美容的な方向に進んできて、きれいな歯、だから健康な人でもこのごろは歌手とかああいう人気商売をしている人であれば、何でもないうちから歯を全部きれいにしてしまうというようなものまであります。そういうようなものと治療をまじめにやろうというものとはもちろん違うわけでありますから、その差額徴収を取るような自由診療の場合にはもっと十分な理解を得て、理解を得た上でやったならば、少なくとも高いという問題と、差額徴収治療を慫慂されたというような問題は起こらないわけです。  そこで、この起こった問題を実際どう反省されているのかということについていま歯科医師会で論争されているわけですから、その傾向というようなものでもお示しくださったら幸いと思います。
  19. 斉藤静三

    斉藤参考人 私たちも各県に苦情処理の機関を設けさしております。かなりの数が昨年の場合にもありましたが、歯科医師会自体においても苦情処理の機関を設けておりまして、一課長を充てております。各県のものについてはこの前も御答弁申し上げましたが、おおむね処理されておるということでございますが、本会自体の苦情の問題を簡単に申し上げますと、本年二月苦情五十四件、相談五十一件、三月には苦情十九件、相談二十四件、四月に苦情八件、相談五件、五月に苦情六件、相談五件という形に減っていっている。私たちは規則を守りながら、どうしてもこれを中心にしてお話し合いを十分にして、納得の上でやれという指導を強くまたいたしましたので減ったとは思いますが、このような状況でございます。そしてこれからの問題については、いま不採算点数とか医療の中に格差があるとかという問題もかなり知っておりますので、この面に向かっても会員の持つ不合理性を解くためにお話し合いを厚生省としたいというふうに考えております。
  20. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 この差額徴収に対する不満というものは最近減ってきたというお話ですが、いま私が読み上げたのは三月であります。ですから、去年の五月から十月までの調査と比較すると確かに多少減ってきております。しかしながら、そういうような苦情というものの中には依然として悪質なものが残っている。このことは、医療という問題からとらえてみたならば、先ほどどなたかの参考人が言いましたように、患者と治療する医師の立場はまさに強者と弱者の立場で、君、これは保険でできるけれども、すぐ悪くなってしまうのだ、しかしこれでやったら永久に大丈夫ですよというふうに言われると、多少無理しても、借金を質に置いても、ひとつこの際だから治しちゃおうかという感じを持つのはあたりまえだと思うのですね。しかし、もし保険治療のものがそんなにすぐ悪くなるものだとしたら、それこそ大きな社会問題だと思うのです。多くの人がそれでやっていかなければならないので、ただ特殊の人だけが、見たら特別きれいに、まあ歯というものも顔の商売の一部だというような人たちが求める美術的なものとは当然違ってこなければならないので、そういう保険で大衆が求めるものが簡単にすぐだめになってしまうのだというものであるとしたならば、それこそその方がもっと大きな問題だと思うのです。私はそうじゃないと思うのです。それよりも、保険というもので患者がこのごろたくさん来るようになった、そういう条件というものを差額徴収でいこうというような、ちょっと誤ったような方向に行っているのだと私は思います。しかしそれはまた言いにくいでしょうが、そういった問題を解決していくために歯科医師会というものがやっていかなければいけない。しかしながら、その歯科医師会も三万何ぼか会員がおる中で、中原さんが不信任になったときには七十五対三十幾らとかいうようなもので、百人前後ですね。その三万何千の歯科医師の中で果たしてどういうふうなお互いの連携というものがとれているのだろうか。単なる親睦団体で、会費を納めて、何かあったら、歯科医師会に入っていればいいのだというようなものになっているのじゃないか、こういうような感じもするのですが、その点どうでしょうか。
  21. 斉藤静三

    斉藤参考人 最近におきましての歯科医師会の問題について、いままでは会員の関心の度合いがわりかた薄かったようですが、最近特に関心が強くなってまいりまして、こんな状態はもう御免だという考え方の先生がかなり大ぜい増加したと思います。私たちは十分反省して、これでいけるかいけないかを重大に考えなければならない時期だというふうに考えております。もうしばらく時期をおかしいただきたいと思います。
  22. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 時間がありませんから、次の問題に移ります。  一つは医師の不足の問題であります。大変不足している。それで、先ほど先生がおっしゃいましたように、飯をかみかみ治療しているのだ、せめて人並みの八時間労働にしてもらいたいというような状態の中で治療をしている。そういうような問題の一方に、佐野参考人でしたかお話しになりましたが、老人医療というようなものが保険制度になって無料化されてきている。そのためにAの医者、Bの医者、Cの医者等にかかって、三つのところから同じ患者の歯の技工を頼まれたというようなことになっている、こういうような問題もありましたが、確かに医者不足というものはやはり大きな問題だと私は思うのです。私、調べて、きのう厚生省の方に聞いてみると、大体十万人に五十名というのが標準になっておるというわけなんですね。そうすると大阪、東京あたりはどうなんだと聞いたら、東京は十万人に六十五人だというのです。そうすると、十万人に六十五人の大都会の中で問題が起こって、十万人に恐らく十人か二十人か、お医者さんの非常に少ないところで問題が起こっていない、苦情が余り出ていない。あるいはあるのかもしれないけれども、そういう機関がないから出てこないのかもしれませんけれども、実際は十万人に対して五十人という基準をオーバーしているところに苦情が多いのは、やはりいま言ったように医師のモラルというものがはっきりしないと、その問題は単純な数では解決  つかない。私たちからするならば、僻地とかそういう医療にかかれないようなところにむしろお医者さんが行っていただくということがありがたいのですけれども、そういうようなものができないにしても、数が満たされたところで問題が多いというのは、やはり医師側に一つの問題があるのじゃないか。しかしながら、お医者さんの中でも本当にまじめにやっているお医者さんも非常に多いと思うのです。大熊参考人はむしろ一部の善良なお医者さんと言って、大部分が悪いように言っていましたけれども、私はそう思いたくない。実態はよくわかりませんけれども思いたくない。むしろ善良なお医者さんが多いと思います。しかしながら善良なお医者さんが多くても、それだけ基準を満たされて基準をオーバーしているところに不平が多いということは、単に医者不足だけでは解決がつかない、モラルの問題だということを私はひとつ指摘しておきたいのですが、いかがでしょうか。簡単にひと……。
  23. 斉藤静三

    斉藤参考人 私も冒頭に、医療の中の第一基調はモラル、倫理から始めなければいけないのだ——それを私たち歯科医師会は会としてもっと強調し推進しなければいけない。そのために倫理委員会においていま、診療室に張り出す、あなた方はこう考え、こう医療をしなければいけないという標示みたいなものをつくろうとして計画中であります。
  24. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 時間が参りましたので結論に移りたいのでありますが、要は、この問題を総合的にとらえれば、先ほど大熊参考人が言われたように、医師会側にももちろん言い分もあるだろうし、患者側にも言い分もある。保険側にも、また技工士さんの佐野さんも言われましたが、技工士という立場で身分が法律的にも認められているのに、しかしながら一番大事な料金の面にいくとお医者さんの中に含まれてしまって、自分の自主的な要求をすることができない、こういうような問題等たくさんあります。こういうような問題を解決しようとするならば、やはり中医協のようなところへ出てきて自分の言うべきことは言う、そしてまた医師会の中でも、いま言ったように国民から出ている大きな要望の中で医師会として解決できる問題等については積極的に対処していただく、こういうようなことをしていただかなかったならば国民医療に対する信頼をかち取ることはできない。こういうふうに思うわけであります。そういう意味に立っていただいて、むしろ善意な大多数のお医者さんの立場を背景にしていただいて、医師会としても中医協へ来てひとつ堂々とやっていただきたいのですが、現在どういうふうなことになっておりますか、参考人の御意見、最後にそれだけ聞いて終わります。
  25. 斉藤静三

    斉藤参考人 いろいろのことがございましょうが、三師会の立場もありますし、私たちが委員を引き揚げましたときの声明もございまして、その声明の内容に積極的に前向きに当局が示してもらうというようなことから、私たち歯科医師だけに混乱の責任が来るような状態でなくて、まず大ぜいの方々と各機関を通して、虫歯を撲滅しなければいけないんだという姿勢を見せてもらわなければいけないと思うのです。その中に、今度の厚生省の予算を一つ見ても、歯科の問題だけについては非常に小さいのでありまして、私これを調べてがっかりしたのですが、五十年度厚生省予算は医療と年金を除くと約一兆五千億円だ、そのうち歯科関係は、歯科医師国家試験費その他の調査費を含めて二億四千万円、比率にすると一万分の一・六である。そうするとPPMにすぎないというふうな感じを持ったときに、これは歯科に対してもっと前向きに考えてもらわないと、虫歯はどんどんふえるし、患者はどんどんふえるし、たまったものじゃないという寒けがしたわけであります。この数字はけさ調べたのです。私知らなかったので申しわけございません。前向きに検討して参加いたします。
  26. 戸井田三郎

    ○戸井田委員 ありがとうございました。
  27. 大野明

    大野委員長 次に、枝村要作君。
  28. 枝村要作

    ○枝村委員 参考人方々にはお忙しいところ出席していただきまして大変御苦労さまでございます。  私は佐野参考人にお伺いいたしたいと思いますが、ことしの二月二十二日の衆議院予算委員会の集中審議で、当時の森谷会長参考人として意見を述べました。その後どういう理由か知りませんけれども、会長をおやめになりました。真偽のほどは不明でございますが、うわさによりますと、予算委員会における発言が原因で辞任せざるを得なくなった、こういうこと、それからまた歯科医師会の医師の圧力があったからやめなくてはならないようになった、こういうふうな取りざたがされておるのでありますが、一体どういう理由でやめたのか、その真相をおわかりになればひとつ説明していただきたいと思います。
  29. 佐野恵明

    佐野参考人 先生御指摘のように、本年の二月の予算委員会に当時の本会の森谷会長参考人として出頭いたしました。     〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 その席で小宮先生の質疑の中で、現在歯科の金歯は七千円であるというような発言をいたしました。これは本会の実情を全く無視をした発言だということで、その直後に開かれました全国会長会議でその発言の責任を追及をされました。森谷当時の会長は、当然その中で現在の技工士の実態を訴えるべきであるという立場にありながら全くそれを発言をせずに、非常に七千円というような架空の値段を言ったというようなことでその責任を追及されて引責辞職をしたというのが実態でございます。  また先生御指摘のように、そういう発言を歯科医師会等が圧力をかけてやらしたというようなうわさが一部にはございましたが、実際のその真実についてば私たちとしてはわかりません。
  30. 枝村要作

    ○枝村委員 それではその次に、引き続いて佐野参考人にお伺いしますが、今日の歯科医療に対して厳しい世論が集中しております。歯科医師会もそのことを非常に心にとめていろいろ御苦労されておるようでありますが、それともう一つは、歯科医療の混乱は、そういう意味から、いま言いましたように歯科医師会の内部の改革を含めて世間の注視の的になっております。斉藤参考人はもう少し時間をかしていただいて努力をするというようなことを言っておられましたが、このような状態に対して歯科技工士会はどういう受けとめ方をしておられるか、率直にひとつお話を願いたいと思います。
  31. 佐野恵明

    佐野参考人 われわれ歯科技工士会といたしましては、今日の歯科医療の混乱の大きな原因は、国の低医療政策のしわ寄せを歯科に求めたということが第一大きな問題だというように考えております。  また二番目といたしましては、一部の歯科医師のいわゆる先ほどから問題になっております倫理の欠如、また保険制度の欠陥というのがございます。歯科医師会がよく、保険で入れれば入れるほど赤字になるということを申しますが、これは私はある面では事実であろうかと思います。現に保険点数の上がり方が、一般の治療の分野では非常にひどいものになりますと三七〇%ぐらい七年間に上がっておるのにもかからず、補綴という物を入れたりする部分が七年間に三五、六%しか上がってないというような実態がございます。そういう保険制度の欠陥と一部の医師の倫理観の不足、また国の福祉行政を進める中で、たとえば歯どめがないために老人があっちこっちへ行って自分の入れ歯を三つも四つも持っているというような面、そういう面が相まって今日の医療混乱があるというようにわれわれの会では受けとめております。
  32. 枝村要作

    ○枝村委員 厚生省に聞きますが、いま佐野参考人からお述べになりましたように、たとえば治療技術料は三七一%も上がっている、ところが補綴技術料あたりは三五、六%しか上がらない。こういう医師そのものの行う部面については数百倍、数十倍も上がり、そして技工士の関係するそういう問題についてはわずかに抑えるというこういう不平等、差別、こういうやり方に対してどう思っておるか、関係者の答弁をお伺いしたい。
  33. 北川力夫

    ○北川政府委員 ただいまお話のありました歯科技工関係の点数の上げ方でございますけれども、私どもといたしましては、四十二年の十二月時点には、従来からいろいろありましたものをまとめて評価をいたしておったわけであります。しかし最も最近の改定である四十九年十月の時点におきましては、こういった一連の診療行為、すなわち歯冠の形成でありますとかあるいは印象の採得でありますとかいろいろあるわけでございますけれども、そういったものについて各診療行為を個別に評価するということにいたしました。したがって、四十二年十二月時点における歯冠修復あるいは欠損の補綴というふうなものについての点数と、それから四十九年十月のそれとを単純に比較いたしますことは、現在の点数表の構成上妥当ではないと思っております。そういったものを加味をして比較をいたしますと、いまお話に出ました三六%というふうな数ではなくて、あるいは二〇〇%、あるいは百数十%といったふうなものになっておりますので、点数表の中身が変わってまいりましたから、いま提起されましたものは私は当たってないと思います。
  34. 枝村要作

    ○枝村委員 厚生省に対する質問はこの時間ではとうていできませんので、午後からの一般質問の中で十分やりたいと思いますので、これ以上言いません。  続いて佐野さんにまたお聞きするのですけれども、現行の保険制度の中で歯科技工士の位置づけは一体どうなっておるかということなんです。歯科医師の補助的な立場に置かれておる、手足のように働けばいい、こういう状態に置かれておって、全く一人前の資格は与えられてない、こういうふうに一般的には見ておるわけでありますが、これに対して技工士会としてはどのような考え方を持っておるか、それを直すためにどのような要求をして運動を進めておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  35. 佐野恵明

    佐野参考人 いまの保険制度の中には、私ども歯科技工士というのは医療術者でありながら、全くコミットをされておりません。全く位置づけが認められていないというのが実情でございます。そして、私どもがぜひ申し上げておきたいことは、いまの保険制度の中で、たとえば補綴という物を入れるものの中には、たとえば歯科医師が型をとれば、型をとった行為については点数がついておりますし、また何を入れようかという診断をすれば診断の点数もついておりますし、そしてできたものを入れれば、その入れたという点数がすべてその行為については出ているわけでございます。そしてその中に技術料というものがございます。その技術料というものは、本来ならばつくる者がもらえる点数ではないのか。たとえばわれわれ技工士がつくれば、そのつくったものについては、つくった者の点数だというように私たちは解釈をするわけであります。ただし実際問題としては、現在、それの五〇%から八〇%程度しかもらっていないわけです。われわれの立場から言えば、歯科医師は自分で型をとって、それを技工所に出すときにマージンを取るのですか、それはわれわれに全部よこさないというのはマージンなんですかという問いかけをいたしましても、余りいい返事は返ってきませんし、われわれを納得させる返事は返ってきておりません。私の手元に業界紙の日本医事新聞というのがございます。この中で、つい先日まで中医協の歯科医師会の代表であった方、また日本歯科医師会の常務理事であった方が、日本歯科医師会の役員をおり、中医協のメンバーからおりまして、その先生が、東京都の代議員会でこういうことを申しております。いまの保険点数の中で、その三分の一程度技工士にはやればいいんだというような発言をされている、こういう記事が載っておりました。私たちは、こういう先生が中医協の中でメンバーとしていろいろと発言をしていれば、いまのように半分しか技工士には払われないというような実態が出てくるのは当然であろうというように思います。  ちなみに先生方が一番おわかりやすい例を申し上げますと、たとえば総義歯、総入れ歯の点数が、いろいろの行為をずっとトータルをいたしていきますと千三百何点かになります。そのうちに七百点という技術料が入っております。私どもは、技工士の手によって一々全部つくられるわけなんだから、その技術料は技工士がもらってもいいんじゃないのかという主張をいたしますけれども、実態は、いまそれの全国平均を申し述べますと、われわれの調査によりますと、全国平均で総義歯の技工料として支払われておりますのが三千五百円でございます。それで、過日日本歯科医師会が予算委員会あてに資料を出しまして、東京都の技工料金表というのをつけて出しました。東京都の技工料金表というのを、これでやっているんだというように歯科医師会は出しましたけれども、われわれが実態を調査をいたしますと、東京都の技工料金表は、現実に取引をされているのはこの料金表の七〇%だというように言われております。そうしますと、七百点の総義歯が東京都でも全国平均と同じように三千五百円の工賃しかもらってないというのが実態でございます。
  36. 枝村要作

    ○枝村委員 そういたしますと、差額徴収の一つの原因として、歯科技工士料の高騰が挙げられておるということは、全くそれは、でたらめという言葉の表現はおかしゅうございますけれども、理にかのうていない、こういうことになるわけでありますね、佐野さん。
  37. 佐野恵明

    佐野参考人 歯科医師会がよく差額徴収が高い原因を技工料金の高騰だということも申しますし、ある新聞によりますと、技工士トンビ論というのがありました。ある歯科医師の先生が、おれたちが幾らかせいでもみんな技工士に持っていかれるんだ、技工士は油揚げをさらっていくトンビだというようなコメントを新聞に発表したことがありました。私たちは、ここに御出席斉藤先生にもこの問題について抗議いたしたことがございます。先生も、それは暴論だ、そういうことは日本歯科医師会としては全く考えていないというような御発言をいただいたことがありますけれども、いまの保険制度の中でやはり欠陥があることは事実だと思います。たとえば、金のパラジウムというものを材料に使いまして歯にかぶせる鋳造冠というのがございます。この鋳造冠の現在の保険の中での技術料というのは百五十点になっております。そして、私たち技工士がもらっています技術料というのは全国平均で二千円もらっております。また、東京都におきますと約三千円程度工賃をもらっております。この三千円もらい、全国平均でも二千円もらっているものが、保険点数の中では百五十点ということに位置づけをされております。これは全く保険制度の欠陥であると私たちは指摘をしたいと思います。それで、私たちがその鋳造冠というものをつくりますのに要する時間は、約二時間から二時間半ぐらいは要しております。そういうことから言えば、歯科医師が入れれば入れるほど赤字になるというコメントは当たっていると思います。ですから、これは保険制度の欠陥としてぜひ国でお考えをいただかなければならぬ問題だというように考えております。
  38. 枝村要作

    ○枝村委員 もう時間もありませんから私の方からも言いますが、先ほど言いましたように、あなた方はどういう運動をしておるかということについて、冒頭、あなたの御意見の中では、中医協の中で技工士会の意見が十分反映されるようにいろいろ制度的に、ないしは、できるとすればそういう場で発言できるようにしてもらいたい、こういう意見が出されました。将来の問題については、保険技工士制度をつくる——これは保険技工士だけではなくして、ほかの看護婦もありましょうし、いろいろ補助的な仕事をされる方にも、そういう制度の中で、保険の中で十分活用できるようなものにしてもらいたい、そのことがあなた方のいわゆる一人前としての資格を与えることになるんだ、こういうふうにおっしゃったと思うのです。  そこで、厚生省にひとつお伺いしたいのですが、いまそういう補助的な立場に置かれて一人前の扱いをされておられない方々、今回は歯科技工士会の人々のそういう制度を改めるために、ひとつ抜本的な考え方に立たれる、ないしは当面の問題として、中医協の中の歯科部会があるようでありますから、そういう場にその発言の機会を与える、ないしはたとえば補綴技術料などを決める場合には、いままでのように歯科医師会と厚生省の二者だけで簡単にことことと決めるようなばかげたことをしなくて、その場合にも技工士会の代表も入れてそういうものを決めていく、こういうやり方をやられないものかどうか。
  39. 北川力夫

    ○北川政府委員 診療報酬の決め方につきましては、御承知のように、これは歯科に限らず医科につきましても、いまお話にありましたようないわゆるパラメディカルな方々の担当される分野というものも含めて現在はその仕組みができ上がっているようなわけであります。したがって、いま保険制度の問題ということがございましたけれども、確かに根本的には制度問題になるかもしれません。ただ、当面私どもは、現在のルールの運用というものをどういうふうに改善をしていくか、あるいはまた、現在のルールの中で所定の点数技術料というものをどのように改定をして、整合性のある合理性のあるものにしていくかということが喫緊の問題であろうかと思います。  そのためには、いまお話もございましたが、やはり現在中医協に対しまして私どもは歯科診療の領域におけるいわゆる差額問題ということを諮問をしているわけでありまして、このために中医協におきましては、歯科部会をつくってすでに二回討議をされたわけでございますが、残念ながら現在中医協が中断をいたしておりますので、いまのところ中医協の場における議論は前に進んでおりません。しかし、これは一刻も早く正常化を待って、この中において、歯科医師の側からもあるいはまた患者さんのサイドからも現在の制度の運用あるいはまた広く差額の周辺の問題まで発展をするならば、そういう問題について十分な討議をしていただいて改善の方向を見出したい、このように考えておりますので、すべて私どもはいまのところ一刻も早く歯科差額部会というものが再開をされることを期待をいたしておるような実情でございます。
  40. 枝村要作

    ○枝村委員 あともう一分くらいしかございませんから、斉藤参考人にちょっとお伺いします。  伊吹参考人の提案のようなものがありました。それは、差額徴収のトラブルの原因は医師と患者との間の信頼感がないというところにある、これはもう斉藤参考人自身もお認めになったところであります。ですから、話し合いを十分行われるようにしなくちゃならぬという意味で、伊吹参考人が治療の部分、使用材料、治療代金及び保険の範囲内の治療か保険外かをあらかじめ明記した治療計画書というものをつくって、そして話し合うべきではないかという提案をされた。それからもう一つは、患者が請求するしないにかかわらず、領収証を発行する慣行を義務づけるようにすべきではないか。三番目には、保険での治療は悪いという印象をお医者の方から患者に与えておる、こういうことはやめる。こういう提案があったわけでありますが、斉藤参考人はこの点についてどうお考えになっておるか、簡単にお答え願いたい。
  41. 斉藤静三

    斉藤参考人 どの点につきましても、趣旨十分わかります。  計画診療をしている先生もかなりふえておる、先ほどのお話の中にも領収証も出している人も出てきたというふうな風潮の中で、歯科医師会は、まず要求すべきものは要求するけれども、現在行われている規則に対しては守らなければいけないし、そして守り切れない不採算点数というものの中では十分にお話し合いして納得の中で進めろ、こういう指導は怠っておりません。
  42. 葉梨信行

    葉梨委員長代理 関連質問を許します。和田貞夫君。
  43. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私はまず斉藤参考人にお尋ねしたいのですが、私はやはり日本歯科医師会の認識の問題、先ほど斉藤参考人が一つの例として地方選挙の問題を言われた。まだ歯科医師会の信頼が地に落ちておらないというような発言があったわけなんですが、私はこれは非常に遺憾だと思うのです。今日歯科医療問題を混乱に導いたというのは、何といいましてもやはり歯科医師会に責任があると私は思うのです。全部だとは言いません、もちろん行政にもあると思います。先ほどより伊吹参考人からの一、二の例、あるいは佐野参考人の方から——歯科医の裏方なんです、陰の努力者なんです、そういう下積みになった技工士会の意見なりあるいは技工士の皆さんの努力というものをもう少しやはり組み入れて、国民医療という立場に立って、日本歯科医師会国民に背を向けるんじゃなくて、前向きになってこの問題の解決を図っていく、あるいは保険制度の中で、先ほどからいろいろと欠陥を指摘されておるのですが、欠陥があるとするならば、やはり中医協にも出席するとかあるいはあなた方の立場から国民の皆さんに訴えるというようなことをして、保険制度の欠陥を国民の協力のもとになくしていく、そういう前向きの姿がなくてはならないのですね。先ほどの発言をお聞きして、非常にそういう認識というものについて私は遺憾の意を表するのですが、これらについてあなた方の方の決意のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。  それから時間がありませんので文部省の方に、先ほど伊吹参考人が指摘されたわけでありますが、一月十一日の文部省通達によって国立の大学の付属病院に対してかくあるべきだという診療料金の通達をしておる。これは四月一日実施だという。四月一日実施だといって通達を出しておるにもかかわらず、一月もたたない間に五月一日から、あるいは六月一日から再値上げだ。その値上げが、まるで文部省通達が出したその料金を基準にして近畿あるいは北陸の医師の皆さん方が慣行料金、差額料金の標準ですね、料金制度をつくられた。それを上回るというようなやり方、当初の文部省通達の料金の三倍というようなばかげた通達ですね。一体どこからの圧力があったのか、歯科医師会からの圧力があったのか、厚生省からの圧力があったのか、そういう三倍までつり上げた算定の基準というものをこの機会に明らかにしてもらいたいと思う。  それから厚生省にお尋ねしたいのですが、これも伊吹参考人から指摘された内容の一つでありますが、金合金の問題です。これは金合金の基準というものが非常にあいまいである。あいまいであるために、地方に行きましても地方行政機関が指導することができないのです。医師によってばらばらである。厚生省の技官もばらばらな考え方である。一体何を基準にするのか、こういうことでありますから、金合金というものはかくあるべきだというその基準を統一した見解として厚生省が通達を出していく、それによって地方行政機関の方で指導していく、こういうやり方をすべきであると思いますが、これらの考え方について厚生省としてひとつお答え願いたいと思うのであります。  それからもう一つは文部省の方に、これも伊吹参考人なりあるいは大熊参考人の方から述べられたわけでありますが、予防への努力が欠如している。学校では児童に対しまして検診制度というものがあるけれども、治療制度というものが保障されておらない、治療体制というのは全くない。虫歯があるということを言われても虫歯を治療するところがなくて困っておる、こういう実情の訴えもあったわけでありますが、これらの治療体制の欠陥を補いあるいは予防への努力を積み重ねていくためには、伊吹参考人あるいは大熊参考人の方から、どういうような措置を行政当局にやらした方がいいかということをお二人からお答え願いたいと思います。  以上です。
  44. 斉藤静三

    斉藤参考人 世論の厳しい批判の中で少し甘いじゃないかというおしかりがございます。私はもっともっと深刻に考えているつもりですが、表現がまずかったかもしれません。  まず私たち自身の内部の安定が欠けているんだ、スクラムを組んで国民医療の向上のためにはもっともっと内部安定を第一義的に図らなければいけないんだということにかなりの精力を使いまして、これはもったいない、国民に対して申しわけない私たちの実態だと反省しております。この点についても早く安定の道を探りたいというふうに思っております。  なお、国民向けのPRについては精いっぱい努力しておりますが、執行部の不信というものはその効果を半減するに違いないと思うので、この点まずみずからのえりを正したいと思っております。よろしく御指導願います。
  45. 三角哲生

    ○三角説明員 国立大学の付属病院の料金の問題でございますが、付属病院で診療いたしました場合の診療料金の額等につきましては、国立の学校における授業料その他の費用に関する省令というのがございまして、この第十条の規定によりまして、文部大臣の承認を得てそれぞれの国立大学の長が定めることになっております。文部省では、この金額につきまして各大学ごとにある程度統一されておることが望ましいということで、昭和三十七年に国立大学附属病院諸料金規程準則というものを作成いたしまして、各大学に通知いたしております。各大学では、これを参考にして諸料金規程を制定しておったわけでございます。この各大学で定めます料金は、保険点数に定めのあります診療項目につきましてはこの点数による額といたしまして、他方保険給付の対象外のものにつきましては、所要経費でございますとか、それぞれの大学の置かれております地域の事情等を考慮に入れて算定した額としておったわけでございます。この場合、歯科領域の保険給付外の歯科矯正料でございますとか、保険で差額徴収を認められております補綴等の料金につきましては、所要経費の算定に当たっていろいろ複雑高度な専門性を要することなどもありまして、従来はそれぞれの大学におきまして、料金の定め方、額はまちまちといいますか、検討いたしましてやっておりました関係で、必ずしも最近の情勢から見て適切でないという面が見受けられたわけでございます。このために、四十九年度に文部省にございます大学病院運営改善調査会というもので専門家の御意見をいろいろとお聞きいたしまして、当面の参考となる額の検討を始めたわけでございます。  他方、病院の発行いたします文書料の問題でございますとか差額病床等の料金の問題につきまして、会計検査院から保険給付外料金の適正化について示唆もございましたようなこともございまして、専門家の意見によります検討の結果を準則及びその解説の一部改正という形で、本年一月の十一日にこれを大学に通知したわけでございます。四月一日に実施ということではございません。それで、各大学におきましては、旧料金は大体八年から十年据え置きになっていたものでもございましたので、それぞれ慎重に検討いたしまして、大学によりまして五月一日施行あるいは六月一日あるいは七月一日施行予定ということで、目下諸料金の規程の改正が進められているというのがこれまでの経緯でございます。  でございますから、四月一日にあれをして六月に再値上げということではないわけでございますし、それから三倍と申しますのも、これまで八年ないし十年据え置きでございましたために、いろいろな材料費あるいは光熱水道費あるいは給与の値上がり等、それぞれ勘案いたしまして、専門家によって検討を経た結果出ました金額でございます。それで、特段のどちらかからの圧力云々というようなことはないわけでございますので、ひとつ御説明いたしておきたいと思います。  なお、その余の文部省の問題につきましては、後刻学校保健課長から御説明いたしたいと思います。
  46. 北川力夫

    ○北川政府委員 金合金の基準の問題でございますが、保険の方では御承知のように十四カラットということでやっておりまして、差額については申し上げますまでもなくこれよりも高単位のものでございますから、現在でも十八カラットないし二十二カラットということを基準にして指導もいたしております。指導の不十分な点があればなお今後十分周知いたさせるように努力したいと思います。
  47. 伊吹和子

    伊吹参考人 ただいまの金合金の問題でございますけれども、私どもが受けました苦情の中で、保険材料と全くと言っていいほど変わらないものが差額徴収の対象として一万五千円ないし二万円徴収されているわけでございます。保険材料と変わらないのになぜこれが差額徴収の対象になるのかということを聞きますと、お医者さんの方は自家製で金を五〇ないし五三プロ、白金を一ないし二プロ入れているから差額徴収の対象になるのだというふうな発言なんですけれども、その辺のところは中医協の席上で、ある厚生省の技官が五八・三三%というふうな線を出されたとかというふうなことも聞いておりますけれども、全くはっきりしておりませんために非常な混乱が起きておると思うわけです。
  48. 大熊房太郎

    ○大熊参考人 先生、それは予防の件でございますか。——私はこう考えるのでございます。歯科医というのはいままでのように、おまえたちの方から出向いてこいというような立場ではなくて、今後市民の間に入っていくべきではないかと思うのでございます。それで、罪滅ぼしという言葉は適切ではないと思うのでございますけれども、差額徴収でこれだけもうけている歯科医師の方も大分おるわけでございますから、その地域の歯科医師会がイニシアチブをとりまして、当番制で、学校医だけに任せないで、たとえば学校を巡回して直接そういうふうな指導に当たるとか、最近ではいろいろな婦人団体、市民団体もあるわけでございますから、やはり当番制でそういう歯科医の方が現実にそういうところに出向いて、いろいろ歯のみがき方であるとか、甘いものはこういうふうにしてとらなければいけない、これ以上とってはいけない、そういうようなことに入っていくべきではないか。そうしますと、やはり市民との間にヒューマンリレーションズが芽生えてきて、医療というものも非常にしっくりいくのではないか。ところが常に、知らしむべからず、よらしむべしというのがいまの歯科医師会の姿勢でございまして、そういうようなことが予防の問題にもずいぶん——この問題は要するに厚生省がやることだ、あるいは地方自治団体がやることだというようなことで、大体それも一つの広報活動の中に入るのではないかと思うのですけれども、私は歯科医師会の広報活動というのは余り信用しておりません。今度の問題におきましても、いろいろと私テレビに出ましたり座談会に出ますけれども、一片の資料も、私などの必要とする資料などは、その席に出た歯科医師会の幹部は、それでは必ず今後はこういう資料を用意します、御意見を聞かせていただきますと言うけれども、一度も来ていないということも、この際申し上げておきたいと思います。
  49. 枝村要作

    ○枝村委員 これで終わります。が、山下厚生政務次官、お聞きになったと思うのですが、抜本的には制度の中の改善あるいはやりかえということもありますが、しかし、歯科医師会の内部の改革は当面一番急がれなければならぬと同時に、行政の面でもう少ししっかりすれば、いまのような参考人の御意見や提案なんというものもできると思うのですよ。そういう意味で、よく聞いていただいたと思いますから、厚生省としては力を入れていただくようにお願いいたしまして、終わります。
  50. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 ただいまの御意見、大変結構なことだと思いますし、その趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。
  51. 葉梨信行

    葉梨委員長代理 次に、小宮武喜君。  時間の制約がございますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
  52. 小宮武喜

    小宮委員 私は、二月二十二日に予算委員会の集中審議で、日本歯科医師会また技工士会に来ていただいていろいろ質問しておりますので、きょうは主として厚生省の歯科行政に対して質問したいと思います。  しかしその前に、せっかく斉藤参考人も来ておられますので端的な質問をしますけれども、いま言う四十八年の八月二十七日「自由診療実施について」といういわゆるマル秘通達を、これだけ世間の批判を浴びておるわけですから、歯科医師会として撤回する意思があるかどうか。撤回すべきだという考え方をしておりますが、その点についてどうかということと、もう一つは、予算委員会において歯科医師会技工士会は国民の納得するような資料提出を約束したわけですが、技工士会はここでもらったということになりますけれども、歯科医師会としては資料提出を斉藤参考人自身が予算委員会で約束しておるわけですが、その資料提出はいつ出すのか、現在どうなっておるのか、その点をまずお聞きしてから厚生省にお伺いします。
  53. 斉藤静三

    斉藤参考人 マル秘文書につきましては先ほど申し上げましたから、簡単ということで、一応マル秘文書の問題については三月六日に厚生大臣と中原会長との間に了解がとれまして、しかも三月十五日に、これは撤回という言葉も出した方がよろしいというので、改めて全国歯科医師会に撤回の文書を出しております。  それから資料の問題でございます。あれから直ちに帰りまして、歯科医師会の各機関の中で、集めてみろという指令を全国に出したところが、やはり三月に入りますとあのような状態で御迷惑をかけまして、なかなか集まり切れません。そして私自身がつくったものは鹿島さんに参考として渡してあります。必要ならば小宮先生に渡してくださいということで、渡しております。まだ行っておりませんか。鹿島先生自身に渡して、まだ全国的な慣行料金表は集まり切っておりません。  以上でございます。
  54. 小宮武喜

    小宮委員 これは私が資料提出を要求して予算委員会で決定されたわけですから、私に資料を提出せずに鹿島さんに資料を提出したということは……。
  55. 斉藤静三

    斉藤参考人 持っていっていただきたいということをお願いしたわけであります。
  56. 小宮武喜

    小宮委員 その問題、時間がないので次に譲ります。  そこで厚生省、このマル秘文書について、大臣ば健康保険法違反の疑いがあるとして告発をするということまで言われておったのですが、その後大体音もさたもなくなってしまったのだが、どのようになっておるのか、その点政務次官、ひとつ答弁してください。
  57. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 処分につきましては、一応いわゆる口頭による厳重注意をもって一つの段階を経ているわけでございます。公益法人に対する監督官庁としての権限としましては、民法によって法人の認可に対する取り消しというものもございます。したがって、今回の処分決定に至るまでは、厚生省内においてもこの取り消しまで含めていろいろ検討したわけでございますけれども、現在における歯科医療国民の間における重要性にかんがみて、そこまでするのはどうかという判断に立って、厳重注意をいたしたのでございますけれども、この厳重注意自体が過去に例のないきわめて異例のことで、私ども決して軽い処分だとは考えておりません。
  58. 小宮武喜

    小宮委員 違法性の問題についてはどうですか。これは後で保険局長にはまた質問しなければいかぬし、あなた自身が渦中にあると思いますから、あなたから答弁してもらうことを私は遠慮してもらいたい。政務次官、どうですか。
  59. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 厚生省としては違法性ははっきり認めております。したがって、違法性を認めてそういう処分に踏み切ったということでございます。
  60. 小宮武喜

    小宮委員 あれだけ厚生省は国民が納得する線で解決するということを内外に示しておるわけですよ。ところが、いま言われるように歯科医師会長を呼んで厳重注意するということで一件落着ということになっておるわけですが、厳重注意というのが国民の納得する線だと思いますか、政務次官。
  61. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 先ほど答弁いたしましたように、厳重注意というのは取り消しの次に重い処分でございます。そういうことになって、その中間というのはないのですから、二番目に重い処罰だというふうに考えております。
  62. 小宮武喜

    小宮委員 四月二十五日付の日本歯科医師会発行の日歯公報によりますと、厚生省はこの問題について文書で決着をつけようとしておりましたので、歯科議員懇談会の人々並びに歯議懇のメンバー以外の有力議員の協力を得て会長が大臣とお会いをしたわけでございます、こう言っておるわけです。そこで私が推察するところ、この問題についてはかなりの政治的圧力が加わったのではないかというふうに考えますが、政務次官、いかがですか。
  63. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 そういうことはございません。
  64. 小宮武喜

    小宮委員 多分そう言うだろうということは考えておったわけです。厚生省はこの問題について全然知らなかったと言われておりますけれども、日本歯科医師会の四十八年度の会務報告、ここにありますよ。会務報告の中にもこのマル秘文書の配付は記載をされております。また、この中に厚生大臣に対する申し入れ書の写しもあるのです。そういうようなことで、厚生省は知らなかったということ自体がおかしな話で、これはここまで社会問題になると知っていても、知らぬ存ぜぬということで逃げていることだろうと思いますけれども、それにしても、またさらに歯科医師会の幹部は、マル秘文書を渡すことは一昨年の八月、事前に厚生省の北川保険局長にも通告してある、よって厚生省は知っていたはずである。さらに日本歯科医師会が三月八日厚生省に提出したマル秘文書発翰経緯報告書の中にもこのことが記されてあるわけです。厚生大臣あて申し入れ書がみんなずっとこの中にありますよ。だから、そういうような中で厚生省が知らなかったということ自体を全くわれわれは納得しないのです。  また、具体的に申し上げますと、四十八年の八月、厚生省と日本歯科医師会との共催で開催された東海、近畿、北陸地区の社会保険指導者講習会のときもこの問題に触れられているわけです。また昨年八月三十日、北海道札幌で開催された社会保険指導者研修会でもこのことが言われておるわけです。だから厚生省が知らなかったということは、これはもうどうしてもわれわれ納得しないのです。しかし、それを言うても知らぬ存ぜぬでまた逃げるかもしれません。そういうことで時間をとりたくございませんけれども、それにしても、このマル秘通達を、いわゆるこの四十八年度の会務報告書を見落とした、これの中に記載されておる差額診療の問題を見落としたということで、そこにおられますけれども、医務局の局長、次長、課長がそれぞれ訓告、注意処分を受けているのです。これは医務局は、これだけ膨大な厚さでしょう、この中を見落としたということだけなんです。ところが実際の保険行政は保険局なんですよ。直接の指導監督権は保険局なんですよ。それが、片一方ではマル秘通達を見落としたというだけで局長、次長、課長が訓戒、注意処分を受ける、当の保険局は何らこの問題について——かも私に言わしめれば当然事前に知っておったはずだ。知っておったことは間違いないにもかかわらず、当の保険局は不問に付されて、注意処分が非常に厳重な処罰というのであれば、全然されてないのですね。だからこの問題についても、私は大臣がおれば大臣を呼びたいと思いましたけれども、大臣がおりませんので、当の北川保険局長に質問するわけにいきませんので政務次官に来てもらったわけですが、この問題についてはどうお考えですか。
  65. 北川力夫

    ○北川政府委員 政務次官からお答えをいたします前に、当然知っておったはずだというお話がございましたので、その点について冒頭申し上げておきます。  結論から申し上げますと、全く知りませんでした。それは、四十八年当時は御承知のように医療費改定がおくれまして、それから中医協が中断いたしておりまして、医科歯科を問わず相当医療費引き上げの要求が強かったときであります。その中で、歯科医師会の方におかれましては、診療報酬改定以外に歯科材料費の引き上げということも要求してこられました。後段の材料費の改定は八月一日でやりました。しかし、診療報酬の改定は中医協中断のためにずれ込んでおりました。そういう状態でございますから、私どもは一刻も早く診療報酬改定の場ができること、またその場において改定が行われること、そういうことを切望はいたしておりました。しかし、そうだからといって、いろいろ要望はありましたけれども、その要望の中で、いわゆるマル秘文書で出すというようなことはわれわれの方は全く知りませんでしたし、またその後もそういったことは全く存じておりません。それだけを私どもとして申し上げておきます。
  66. 小宮武喜

    小宮委員 この分厚いものの中にも、自由診療実施という字句があちらこちらに出てくるのですよ。大体そういうような会議には、あなたが出なくても、厚生省のだれか審議官あたりは出席しているはずですよ。そればかりではありません。ここでそこまで言いますと、昭和四十八年七月十九日に声明書が出ておりますね、日本歯科医師会の中原会長の名前で。それからさらには申し入れ書がありますね、これも昭和四十八年七月十九日、厚生大臣齋藤邦吉あてに。こんなことがはっきりここに出ておるのを厚生省が知らぬということになると、これはもう行政怠慢ですよ。時間がございませんから、この問題はまた別途の機会にやりますけれども、そういったことを私は当然局長も——どうせ知らぬ存ぜぬで答弁するであろうと思っておりましたけれども、やはりこういうことははっきり声明書なり申し入れ書に出ておるわけだから、その意味では厚生省は知らなかったとは言えないし、またそうでなくても、あらゆる会議には厚生省の審議官出席しておるはずです、また現に出席しておりますから。それでは審議官局長の間の連絡が悪かったのか知りませんが、いずれにしても、この問題は非常に大きな問題だと思います。そういうようなことから国民の疑惑というものが起きてきている。そして、こういった社会的に大きな問題になると、知らぬ存ぜぬの一点張りで逃げようとしている。だから、こういった問題について国民が納得するような方向でこの問題が解決されなければ、国民の疑惑は依然として残ると思いますよ。この問題は私も非常に責任というか、集中審議で私の質問が発端になって技工士会長がやめたり、歯科医師会が内紛を起こしたりしたのですから責任を感じますけれども、しかしながら、この問題についてはやはり大多数の国民が解明をしてもらいたいという声が非常に大きいわけですから、そういうような意味であえてこの問題を出したわけでございますが、政務次官、こればかりではございませんよ。たとえば歯科医師会と厚生省の保険局の癒着の問題もありますよ。この問題を出せば、二十分どころか一時間も二時間もかかりますので申し上げませんけれども、これは厚生省の名誉のためにも私は申し上げませんけれども、政務次官として、厚生省の歯科行政に対する今後の基本姿勢についてお聞きしたいと思うのです。
  67. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 残念ながら、当時の事情については私も熟知しておりませんけれども、ただいまの厚生省に対する御発言は、謙虚に私どもも反省しなければならないと考えております。ただその処分につきましては、これは大臣の権限で、今回の医務局長以下の処分につきましてば実は私も相談にあずかっておりません。いま保険局長自身が弁明申し上げましたようにやはり全く知らなかったというところで、あのような一方的と思われるかもしれませんが、そういう処分になったと思います。要するに、今後は歯科行政につきましてはもっと私どもも十分注意しながら、こういう知らなかったということがないように努めてまいりたいと考えております。
  68. 葉梨信行

    葉梨委員長代理 小宮君に申し上げますが、せっかくの機会でございますから、参考人に対して御質問をお願いいたします。
  69. 小宮武喜

    小宮委員 いや、参考人というよりは、もう時間が来ましたので、これで質問を終わります。
  70. 葉梨信行

    葉梨委員長代理 次に、寺前巖君。
  71. 寺前巖

    寺前委員 私はいま厚生省の答弁を聞いておって、驚くべきことを聞いたと思うのです。知らなかったという話である心こうなると、恐らく歯科医師会の代表の方にしても言い分があるだろうと思うのですね。  そこで、私は最初に歯科医師会の代表の方にお聞きしたいと思うのです。明治以来、日本の歯科医療を育て支えてきた歯科開業医の皆さんにとって、今日の医療保険制度の問題についてはいろいろ意見をお持ちだと思うのです。先ほども話がありましたが、この間あなたたちの会長さんが厚生大臣から呼ばれて厳重注意をされたという話があった。一体何を厳重に注意されたのか。先ほどから聞いていたら、どうもマル秘という文書が出たことがいかぬ、そういうことなんでしょうか。文書がなければ、口頭であったらいいということであったのか。一体何に対して厳重に注意をされたのか、あるいは受けられたのか、まずお聞きしたいと思います。
  72. 斉藤静三

    斉藤参考人 マル秘文書が公に出た関係上、これは違法性があるのではないかということに対して、それはよくない、これから注意を厳重にしなさい、こういうふうに受け取ってまいった次第であります。
  73. 寺前巖

    寺前委員 日歯公報の五月十五日号、おたくの方で出している新聞です。この二面に東京新聞の写しが載っているのです。この内容を見ると「厳重注意は形式だけ」と書いてあるのです。これじゃ何を怒られているのかさっぱりわからぬ。形式だけで中身はない。その中身を読んでみたら「厚生大臣が「国会で厳重な措置をとると答弁したので、そうしたと国会に報告せざるを得ない」っていうんで、ここでもみ合うのはやめて手を打ちましょうということになった。従って別にあやまりもしませんでしたよ。」と書いてある。これはあなた方一体何を注意されたのです。謝ることもないような注意だったのですか。どういうことだったのですか。
  74. 斉藤静三

    斉藤参考人 その内容につきましては、直接触れておりません。そのように話があったということだけでございます。私は直接その場に参加しておりませんので詳しく存じておりませんので、ひとつそのように御理解を願うほか仕方がないのではないかと思います。
  75. 寺前巖

    寺前委員 山下政務次官、日歯公報にこうやって公然と書いてあるのです。「別にあやまりもしません」というのだ。あなたの方は第二番目の処置をやったというのだ。ここに代表としてお見えになった副会長は、私はおらぬさかい知らぬと言う。全然ピントが外れてしまった。これはどういうことになりますの。
  76. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 厳重注意という処分につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、それを歯科医師会の方でどうおとりになるか。しかしながら、少なくともこれをいまの新聞のように、かすり傷程度におとりになっているとすれば、これは私は大変な受け取り方の誤りであると思います。その中には、自由診療という通達は不法であるということははっきり私の方は申し上げております。その不法行為に対して、ここに一つの公益団体が不法不当な行為をしたということははっきり厚生省としては指摘をして、その会長を呼んで、これは不法不当行為である、さらにそのほかに、日本歯科医師会の各会員が秩序ある社会保険診療を行うよう指導しなさいということまで付言しているわけでございますから、私の方では、別にかすり傷ということではなくて、厳重に注意した、その言葉のとおりでありますから、そのように受け取ってもらいたいと思います。
  77. 寺前巖

    寺前委員 相手がそう受け取っていないとした場合に、それではこれをどのようにされるつもりなのか、まず第一点、それをお聞きしたい。  第二番目に、あなたのところが三月十九日に事務次官の名前で歯科医師会長に、差額徴収の取り扱いについての報告をしてもらいたいというのを出されました。この報告書、回答が四月七日付で来ております。この回答に基づいてやったのかどうか知りませんが、四月八日付でもって厳重注意がされているわけでしょう。ですから、厳重注意以前に回答が来ているわけです。この回答を読むと、明確に先ほどの質問と同じ内容が出てきます。すなわち「厚生省当局より認め難いという言葉がなかった状況の中で昭和四十八年八月二十七日付、日歯発第六〇六号「九月五日からの自由診療実施について」の文書が発翰されたことを御認識いただきたいと存じます。」ちゃんと出てくるわけです。そしてその中には「北川保険局長並びに稲葉歯科管理官を通じて」云々という言葉が再三にわたって出てきます。そのことは、同じくいま私が読み上げました五月十五日の日歯公報の「五月十四日の理事会で承認」の中においても、厚生省に対して事前に話し合ってきているという内容を指摘しております。  また、先ほどもここで披露されておりましたが、四十八年七月十九日の厚生省に対する申し入れ書を読んだら、その申し入れ書の最後の方に「来る九月一日より患者の希望による自由診療を対話と了解のもとにおいて実施することを宣する」ということが書いてある。この申し入れどおりを文書にしたのが、いわゆるマル秘通達というものじゃないですか。とすると、これははっきりと文書にも出されている。また、四月七日付の歯科医師会の報告書の中にも出てくる。それにもかかわらず、知らなかったという言い分というのは、だれが考えても不思議だなと言わざるを得ないわけです。本当に厚生省はこの回答書を読んでこの措置をとられたのか。少なくとも、これをながめ見しただけでも保険局の名前が出てくる以上、内部の調査をしなければいかぬじゃないですか。内部として保険医に話し合いで自由診療をやりなさいという指導を行っていた疑いが出てくる文書が回答書として来た以上は、これに対して、けしからぬことを歯科医師会は言うということで、厚生省怒るのか怒らないのか。あるいはそれ以前にこういう文書が申し入れ書として来ておって、それはちゃんと保険局長に渡してあると言っているんだ。そうしたらその段階で、これは違法行為であって断じてできません、九月一日付でもってやるんだという宣告に対しては許しませんということを、なぜそのときに明らかにしなかったのか。文書で出た以上は口頭で言うだけじゃないでしょう。マル秘の通達が出ておったかどうかは知らないけれども、中身は知っておったと言われても仕方がないじゃありませんか。先ほどのここの質問では、医務局の監督不十分の指摘はあった、保険局に対する指摘はないが一体どうなんだ、それはこの文書を読んでおったらそうなりますよ、私だって。だから第二番目に政務次官に聞きたい。先ほど、知らないとここでみえを切った。この文書を読んでおったら知らないとは言えない。この問題についてどうしますか、お聞きしたいと思います。
  78. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 第一点の厳重注意は、厚生省が言っているようなふうに歯科医師会の方で受け取っていない、軽く受け取っておることに対してどうするのだという御質問でございますが、これについては先ほどからるる御説明申し上げましたように、不法不当行為をはっきり指摘して、厚生大臣が公益法人の歯科医師会会長を呼んで厳重注意ということを申しました、この中身というのは重大だと私は受け取っています。しかしそれをそう受け取っていないからどうするかとおっしゃっても、私は厚生政務次官としてどうするということは申し上げられませんが、ひとつ大臣ともよく話し合ってまいりたいと思います。  それから第二の問題につきましては、ここで本人がとにかく知らなかったということを、私がそれを知っていたと言うわけにもまいりませんし、文書のいろいろいま御説明がございました中身について、なおいまの御質問のほかにお答えすべき点があるならば、これは直接保険局長からお答えしたいと思います。
  79. 寺前巖

    寺前委員 保険局長は知らなかったとここで言い切ったから私はあなたに聞いているんだ。あれ以上のことは私は聞かぬ、局長がそう言い切ったんだから。ところが言い切れない文書が公式にあなたのところに出ているじゃないか。この回答書を読み直してごらんなさい、また申し入れ書を見てごらんなさいと言うのだ。そうしたら、保険局長は知らないと言えない。保険局長が会ったときに、九月一日からこうすると書かれているのだから、書かれている以上、文書のマル秘は知らないかもしらないけれども、九月一日から実施するというその中身については知っておったということじゃないですか。中身について知っておったら、医務局長が責任を問われておるけれども、保険局長が知っておった問題についてはどうなるんだ。今日違法行為だと言い切っているのでしょう。言い切っている内容について、保険局長はそのときの行政措置の問題についてどうだったんだ、この疑問は残るじゃないですか。そうでしょう、政務次官。これは直ちに調査してこの委員会に報告をしますか。関係の局長は疑問を持たれてしまった以上は答弁に値しないんだから。いいですか、政務次官に第一点。よく聞いていなさい。疑いはいろいろな形でそこから出始めたんだよ。この文書の中にもあるけれども、緊急避難ということで措置することができるじゃないか、そのことを教えられたのは兵庫県でしたか、何かのときに云々ということが、この歯科医師会の議事録の中にも出てきます。それだけじゃないのです。もうこれは天下に回っているんじゃないでしょうか。歯科マル秘文書の内幕、歯科材料メーカー官僚と平日ゴルフ、厚生官僚脱税、こういう資料が関係方面やいろいろなところに送られていますよ。私は、この中身についていまここでとやかく言うことはできません。またここには個人の名前が出てきますから、名誉にもかかわる問題ですから、ここでは読み上げません。だけれども、かなり関係者の間の疑惑がこういう形で出ていることは事実ですよ。それだけに私は、この問題は公式文書を通じただけても疑問か出る内容だから——政務次官、よろしいか、局長以下の名前が出るんだから、厚生省として十分に対応する調査をやるのかやらないのか、ここではっきりしてもらいたい。これが第一点、これは政務次官に要求します。  それから次に、斉藤参考人、あなたのところが二月二十六日に会員各位に送ったはがきがあります。このはがきを見ると、最後にこう書かれています。「当面次のような対策を急遽諸機関の決定を経て実施する考えであります。」と書いてある。その第一番目は「差額徴収を中止して自由診療に切りかえる。」この態度をあなたのところの会はとるんですか、どうですか。  政務次官から答えてください。
  80. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 第一点の、保険局長が知っておったかどうかという問題、これは本人から答えた方が一番いいと思いますから、本人から答弁いたします。  第二番目の、いまの何か不正があったという御指摘の点、これは中身は別として、そういう疑惑を招いただけでも大変に遺憾とするところでございますから、これはひとつまた私の方でも調査をして御報告申し上げたいと思います。
  81. 北川力夫

    ○北川政府委員 知らなかったということは先ほど申し上げたとおりでございまして、時間もございませんから簡単につけ加えて申し上げておきます。  いまのお話の中で、歯科医師会からの報告書の中にいろんな記載があります。しかしそれは、たまたま私なら私が歯科医師会の方が来られたときにこう言ったということが書いてありますけれども、私が別に代議員会に出席して発言したわけでもございませんし、そのまま正確な記述であるということは私は考えておりません。  それから、この申し入れ書の件は私も知っております。その申し入れ書の件に関する限りはマル秘文書とは全く違った性格のものでございますので、申し入れについては少なくとも違法性はありません。そのものとマル秘文書とは、適法、違法という面から見ますと全く性格が違います。  以上のことをつけ加えて申し上げます。
  82. 斉藤静三

    斉藤参考人 はがきのようでございますが、はがきの内容の第一の中で、補綴診療はと書いてあると思うのですが、それは会員の強い要望もありまして、一応機関に図らなければやれないけれども、そのような考えも一応持ちながら協議を図りたいと、しかしこれは今日の時点においてはそうたやすく移行できるものではないという含みを持っておったわけです。(「そんなこと書いてない」と呼ぶ者あり)いや、それは協議をしなければいけない。補綴でこんなに問題を大きくしていてはしようがないという会員の声を反映した一つのあらわれだというふうに私はとっております。
  83. 寺前巖

    寺前委員 ともかく歯科医師会、「差額徴収を中止して自由診療に切りかえる。」というのが一番であります。そうすると、自由診療にいくんだというんだったら保険医として差額徴収をやるということはやめるんだから保険医じゃなくなりますね。そうすると、皆保険のもとにおいて歯科医師会が全体の歯科のお医者さんに保険医をやめなさいという指導をやったのに等しいじゃありませんか。この態度を今後も続けるのかどうか、私はこれは非常に重大な問題だと思うのです。  しかもその次に補綴の問題が出てきます。補綴を健康保険で外してしまう方向を打ち出してごらんなさい、歯医者さんは一体何のために存在するのかということを言われざるを得なくなるんじゃないでしょうか。抜くのが歯医者の仕事でしょう。抜くことは補綴とは関係ないでしょう。補綴という部分は国民が歯医者さんに対する期待の面ではやはり大きな位置じゃないでしょうか。その位置を健康保険から外してしまうということになったら、これは大変なことで、むしろこれの改善診療報酬の方に求めていかなければならないんじゃないでしょうか。私はこれは考え方として重大だと思うのです。これについて厚生省の見解を聞きたいというのが第一点。  それから第二番目に、こういうふうにして、先ほど大熊参考人からお話がありましたが、差額を導入することを通じて今日の問題に波及してしまった。この差額導入に一番の問題がある。この御指摘に対して厚生省はどう思うのか。  第三番目に、老人とか子供さんとか、あるいはまた障害者とか、さらに言うならば生活保護者、これが歯医者さんへ行って診てもらえないという問題が、伊吹参考人じゃございませんけれども、やはり問題の大きな位置を占めていると思うのです。これに対して一体厚生省としてどうしようというのか。私は差額制度を設けている以上は、これらのところに対して特別なめんどうを見る措置をとらなかったならば、特別加算でもしなかったならば救われないという問題が現実に生まれているんじゃないだろうかと思うのです。一体どういうふうにしてこの解決を図ろうとおっしゃるのか。  それだけお聞きして、もう時間のようでございますので、やめたいと思います。
  84. 北川力夫

    ○北川政府委員 補綴を保険の給付外にする問題につきましては、いまお話しのとおり、私どもは補綴は歯の治療の上から見て必要不可欠な分野であるという意味でそういう考えは持っておりません。  それから差額制度の導入は、御承知のとおり三十年からの問題でございますけれども、やはりいろいろな経緯があって歯科診療分野における特殊な性格に着目をした制度でございますから、その後もこの制度は改善もいたしております。したがって今後の問題は、先ほども申し上げましたけれども、差額制度というものを存置をしながらそれをどのように改善していくか、これが中医協の方に諮問いたしておりますから、中医協の場で十分な御審議と改善の方策を検討してもらう、こういうことでございます。
  85. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 小児あるいは生保の問題、老人問題というような、もちろん保険とは関連ございますけれども、医療確保の観点がございますので、私からお答えいたしたいと思うわけでございます。  小児医療につきましては、一点には治療の面で非常にいろいろの意味の困難性がございますが、これをやはり保険で賄ってまいるということでございますれば、われわれ医療を供給する側から申しますならば、小児医療の保険点数というものに対して、そのような小児医療独特の観点からの技術面あるいは取り扱いの面を含めた評価、時間を要すあるいは非常にめんどうであるというような面の評価を導入していただくことを検討していただきたいと思うわけでございます。  そのほか、わが国の制度の中で生活保護制度等について歯科医療機関が、これを指定されておりながらやらない、あるいはこれを積極的に指定を受けないような方向であるということについては、公益団体としての歯科医師会のあり方としてもまことに遺憾でございますから、このような問題に対する動きがむしろ積極的に出るような場面がございますれば、これは公益法人としての歯科医師会に対する厳重な指導をしてまいりたいというふうに考えております。  なお小児歯科については、大学の講座には必須のものとなっておりますし、五十一年以降の国家試験に小児歯科医療の科目を取り入れる等、これらに対応する対策も各般にわたってやってまいりたいというふうに考えております。
  86. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  87. 大野明

    大野委員長 次に、大橋敏雄君。
  88. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 短い、限られた時間でございますので、答弁の方は要領よくお願いしたいと思います。  参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございました。歯の医療の問題が大きな社会問題になってもう久しいわけでございますけれども、国民のほとんどの者は現在の歯科医療について大変な不満、厳しい批判を持っていることは御承知のとおりでございます。そこでこれは大きな政治問題であるということから、きょうのこうした参考人招致の委員会になったわけでございます。参考人の四人の方々はそれぞれ利害が相反しているといいますか、そういう立場の方でありますけれども、四人とも共通した御意見は、現在の歯科医療に対するこの混乱の大もとは、政府、厚生省のいわゆる低診療報酬にある、また歯科医療の行政指導の怠慢にあるのだということが述べられたわけでございますが、私もこれが基本的な問題だろうと思いますので、まず最初に厚生省の政務次官にそれを素直に認めるかどうか、簡単で結構です。
  89. 北川力夫

    ○北川政府委員 歯科関連の医療費が非常に低いというお話でございますけれども、およそ診療報酬は、やはり国民の経済力というものを勘案しながら、日進月歩の医学の進歩を取り入れる、あるいはまた社会経済の変動に対応してという形でやっていくわけでございますので、そういう中で私どもといたしましては、少なくとも現在までそういう条件に見合うような診療報酬の改定をやってまいったわけでございます。なお、今後も引き続いてそういう見地から改定を進めたい、また内容についても中医協等の意見を聞きながら十分合理化を図ってまいりたい、このように考えております。
  90. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 まずこのことを素直に厚生省が認識してそれを認めて、それからでないとこの歯科医療の混乱あるいは問題点は根本的な解決はないということであります。  そこで斉藤参考人にお尋ねいたしますが、政府の低診療報酬のもとでは医療経営は困難である、これは私もその点数表を見ましてなるほどという感じを受けるわけでございますが、その医療経営が困難であるという問題を、つまり先ほどの言葉ではないけれども脱保険あるいは自由診療という方向に流れていった。歯科医師の立場から見れば、要するに保険診療改善、その是正ということの努力をむしろ意図的に抑えて、その脱保険あるいは自由診療の方向に走っていった、こう私は見るわけでございますし、またこれが問題になってきているわけです。先ほどのお話では、脱保険という言葉は計画診療という言葉に変えたということでございますが、内容は同じだと私は思いますが、今後ともこのような考えを踏襲されるのかどうか。また国民のほとんどはいわゆる保険による診療、保険ですべてが一応できるというのを希望いたしているわけでございますが、その点についての歯科医師会の考え方を聞かしていただきたいと思います。
  91. 斉藤静三

    斉藤参考人 私たちも国民とともに歩みたいということは同じことでございます。過去何回、現在に至っても、中医協に諮られましても、私たちは考えているものに何回となく努力しながらいけない、しかもこの中だけでは大変だということで、いま世界の保険の中で補綴の問題を調べてみたところが、ソビエトでもイギリスでも西ドイツでも、補綴だけは別にしないとやっていけないというようなことを考えますと、しかも歯科医師会ではいま三万五千の会員のアンケートをとっておりますが、補綴は別に考えろという人は七八%になっております。この辺のことについて厚生省とも十分に考え合わせなければならないというふうに思うわけです。
  92. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大熊参考人にお尋ねしますが、いま歯科医師会の代表の方は、補綴の部分についてむしろ保険から外せという意見がある、これは慎重に検討していくということがありましたけれども、われわれ国民の立場から考えた場合は、あくまでも保険でできる治療というものを希望しているし、そうあってほしいと考えるわけでございますが、先生の立場からの御見解を伺いたいと思います。
  93. 大熊房太郎

    ○大熊参考人 簡単に申し上げますと、私はこう考えます。  腕のいい、しかも良心的な歯科医であったならば、そういうような莫大な差額徴収がなくても、言葉をかえますと安い材料でも私は十分な補綴物はできるというふうに考えます。それで先生の御指摘のように、もし仮に補綴だけが保険の枠外に置かれるようなことになりましたら、現にやはり進行しておりますが、この補綴において差額徴収が認められている、現実は自由診療でございますけれども、この面からわれわれが戦後三十年間営々と——これは国会の先生方も含めてでございますが、営々と築き上げてきた社会保障というものはこの一角から崩れていく可能性が非常に大きい、その点を私は懸念いたします。
  94. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私もいまの参考人のお気持ちと同じ意見を持っております。あくまでも歯の治療も保険で済む、一般的な治療はすべて保険で済むというその基本的な考えに立っていただきたい。そうしてぜいたくなものは別です。これは自由診療で結構でしょう。そこのところを十分わきまえた上での今後の考え方を決めていただきたい、医師会の方には強く要求しておきます。  非常に時間に制限がありますので、次に移らさせていただきますが、先ほど歯科技工士会の代表の方の参考意見によりますと、今後の歯科医療の適正化のかぎは技工士の位置づけと、それから保険制度の中における技工料の明確化にあるのではないか、こういう御意見が出ていたようでございますが、私も聞いていまして、なるほど問題点というものはこういうところにもあったのかとつくづくと感じた次第でございます。建築のたとえにたとえますと、設計図を示すのが歯科医師の立場、そしてそれを建築工事にしていくのが技工士の立場になるであろう。ということは、おのずとその分野というものはけじめがつけられてしかるべきである。しかし先ほどの佐野参考人のお話では、歯科医師医療経済の中にもう抱き込まれてしまっていて、つまり技工士の内容というものは、いわゆる生殺与奪というものは歯科医師に握られてしまって、がんじがらめに縛られているのだというような感じを受けたのでございますが、私は先ほどおっしゃったように、やはりこれは技工料というものをこの機会にはっきりと明確化していく必要があろうと思います。これについての見解を厚生省と大熊先生に聞いておきたいと思います。
  95. 北川力夫

    ○北川政府委員 技工料の別建てという御意見だと思いますけれども、現在の点数表は御承知のとおり、医科の場合も歯科の場合も、医師あるいは歯科医師がみずからもろもろの診療行為等を行うことを前提にしているのでございます。  技工の面で申し上げますと、技工の委託の態様もいろいろばらつきがあるわけでございます。みずからやっている場合もあれば、全部委託している場合もあれば、あるいは部分的に出している場合もあれば、相当態様は多岐にわたっております。そういう意味合いで、私どもは、現在の段階においてこの部分についてだけ直ちに現在の診療報酬点数表の体系からいわゆる委託技工料というふうなものを抜き出して設定するという考えは持っておりません。  その理由は、いまも申し上げましたが、やはり診療報酬点数表の全体の整合性ということもございますし、それ以外に、医科の部面におきましても検査でございますとかいろいろな問題があるわけでございます。そういうわけでございますから、この面についていますぐにと言われますとなかなかこれは困難な問題であって、適切ではないのじゃないか、このように考えております。
  96. 大熊房太郎

    ○大熊参考人 いまの技工士が受け取っている技工料というのは、私などの感じで受けとめますと、全く歯科医師からおぼしめしでちょうだいしているというような状況ではないかと思います。それから、これは技工士の方に聞いてみますと、やはり注文が来るためには多少のリベートとか貢ぎ物、そういうものを要求されているという傾向にあります。  こういうようなことですと、大体技工士に優秀なる人材が集まっていかなくなるのではないか。たとえばそのほかのもう一つの問題としまして、いまのように技工士養成所、学校というものが、学校教育法によらない養成所になっております。こういうようなもの、それからそういう報酬の面、このために、せっかくいまの医療というものがチーム医療の時代になっているのにパラメディカル領域の、特に補綴の一番中心になる技工士に優秀な人材が集まらなくなってくる、これを一番恐れるわけであります。
  97. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの大熊参考人意見を十分拝聴した上で、厚生省は今後の技工科についての問題の取り組みの参考にしてもらいたい、強く要求しておきます。これはやはりきょうの技工士会の代表の方の切実なる訴えそのものだと思いますし、その解決がそのまま今日の歯科医療の是正、改善に直ちにつながっていく問題であろう、私はこのように考えます。  それから、いまの参考人の御答弁の中には、先ほどの技工士会の方がおっしゃった歯科技工大学の設置の運動については恐らく賛成の考えのように承ったわけでございますけれども、これも大変な運動が起きているのですが、厚生省も今日まで余り積極的な返事をしておりませんし、この点についてもどういう考えであるのか、これは斉藤参考人と大熊参考人にお尋ねします。簡単で結構です。
  98. 斉藤静三

    斉藤参考人 技工士大学の問題については、技工士の質的向上というものに対して心から話し合いながら、ここに佐野君がおりますが、私と直接に話していることが数回ございまして、決して歯科医師会がこれを阻止したりすることはございません。もちろん技術の向上については賛成でありますし、しかもそういうことが医療内容の向上につながる。ただしがあるのですが、これが歯科領域の実際の診療の中に食い込まないようにしてくれ、こういうことは条件でつけております。
  99. 大熊房太郎

    ○大熊参考人 私はやはり技工士の大学は必要だと思います。それは先ほども申し上げましたように格づけ、資格、そういうようなものがあることが、まずパラメディカル領域あるいは病院の管理事務部門に優秀なる人材を集める一番大事な方途になるものだと思いますので、これは私は賛成いたします。
  100. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほどの佐野参考人のお話の中に、技工士の免許制についても、県知事免許から大臣免許に切りかえてほしいというきわめて強い要求がなされていたようでありますけれども、確かに歯科技工法の制定当時は、養成所に入るいわゆる入学資格というものは中学卒程度であったと思うのでございます。したがって、これは県知事免許といいますか、これが四十五年の法改正で高卒程度ということに改められているはずでございますので、私は、佐野参考人がおっしゃっていたように、これは大臣免許に切りかえるべきだと思うのでありますが、この点について厚生省の見解を聞いておきたいと思います。
  101. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 いま御指摘のとおり、現在は知事の免許になっておりますけれども、一たん取得した以上は全国共通であることも御承知のとおりでございます。  そこで、いま御指摘の点も今後考慮する一つの問題と存じますけれども、現在この知事免許には、歯科衛生士診療エックス線技師等、医療従事者の中でもいろいろ知事の免許に属するものがございますので、それらのものとの関連等も考慮しながら、今後検討を加えていきたいと思います。
  102. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまおっしゃったような内容は全部知事から大臣に切りかわっておりますから、当然こちらも切りかえるべきだ、こういうことを言っているわけです。  そこで、佐野参考人にお尋ねしますが、先ほどの技工士大学の問題で、斉藤参考人は、職域拡大がなければ結構なんだ、そういうことについて反対しているんじゃない、こういう話であったのだけれども、佐野参考人は、この大学のいわゆる改革の問題について職域拡大をねらっているのかどうか、その点についてお尋ねします。
  103. 佐野恵明

    佐野参考人 私どもはただ純粋に、ひたむきに自分みずからの技術を高め、それをもって国民歯科医療に貢献をしたいのだ、業務の拡張とか何かというようなことは全く意図いたしておりません。
  104. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほど歯科医療の実態は医師不足である、大変な患者がいるために診療拒否等が起こっている、あるいは子供は診ない、いろいろな問題があるのですけれども、私もこれは大きな問題だと思うのですね。医者不足も重要な問題でありますけれども、大人も子供もいまは同じ点数内容ですね。そうなってくると、手のかかる子供、あるいは特にそうした手をとられる、煩わしい関係者についてはなるたけ避けて手っ取り早い患者を診ていく、こういうことになろうかと思うのでございますが、抜本的な改善が行われる段階においては当然これは改められると思いますけれども、子供と大人の点数が同じであることについて私は疑問を持っておりますけれども、これについての見解を斉藤参考人と厚生省にお尋ねをいたします。
  105. 斉藤静三

    斉藤参考人 御承知と思います。子供さんの取り扱いにはてこずっている人もたくさんいると思いますが、その前提には子供を哀れむという愛情が必ず医療担当者には生まれております。しかし、たくさんの時間がかかってたった十五点というような考えも少しはわいてくるんじゃないか。そのようなことで、ぜひ改善策をひとつ願わなければならない、診療意欲を低下させないようにしていただきたいと私は思っております。
  106. 北川力夫

    ○北川政府委員 子供さんの関係については、御承知と思いますけれども、乳幼児加算という仕組みが現在すでにあるわけであります。しかし、これだけでもって十分であるかどうか、そういった問題はやはり医療費あるいはまた診療報酬の仕組みを決める中医協で議論すべき問題でありますから、その辺の意見を十分聞いた上で、今後検討を続けたいと思っております。
  107. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これは市販されている本なんですけれども、「虫歯の告発」というのがあるのです。これは大阪府の歯科医師会公衆衛生理事という立場であった方が書かれた本なんですけれども、これは「歯科医師による内部告発」なんだという立場で、「なぜだろう?診療拒否された。莫大な差額料金を要求された。子どもの虫歯を診てくれなかった。痛くてしかたがないのに診てくれない——患者不在の計画診療。」というのが見出しで出ているわけです。私はこれをずっと読んでみましたら本当に大変なものだと、きょうは時間がないので一々中身を紹介するわけにはいきませんけれども、これは大いに今後の改善のための参考意見になるなという気がしてならないのであります。この中にもいまのそういう問題もちゃんと載っておりますので、むしろ勉強していただきたい、こう思います。  それから、現在、歯科技工士の技工法によれば、診療補助行為というものは禁止されているわけでございますが、いま医者不足、それから患者が多い、いわゆる需給のアンバランスを解消する意味においては、技工士もある程度歯の型をとったり何かするようないわゆる診療の補助行為を許すべきではないかという意見がかなり出てきているわけでございますが、これについての意見を、大熊参考人がいいと思いますし、また厚生省の立場をお尋ねしたいと思います。
  108. 大熊房太郎

    ○大熊参考人 先生がおっしゃいましたように、最初の型どり、それから製作、それから型合わせをよく何回かやりますが、こういうような場合に、患者の立場から申しますと、歯科医師だけより、むしろそういう方が立ち会ってそういうような行為をしてもらった方が一貫作業というような感じで、信頼感も生まれますし、それから歯科医師労働時間の軽減というようなことにもつながりますので、私はそれはいいことだというふうに考えます。
  109. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 歯科医師診療行為への拡大問題、先ほどの観点からの議論では、技工士会もその方向は考えていない。ただ、先生のただいまの御質問は、歯科医療のこのような状態のときに、もっと、また大熊参考人の御意見のように、直接それにタッチすることによるところの医療のむしろ適正な実施の上で考えたらどうかという御意見でございますが、この点につきましては、ただいま保険局の方からも、技工士の業態の多様にわたっていることも含まれておりまして、現状のような状態の中で、直ちに診療行為の補助業務として技工士の業務の拡大を、限定した範囲でも考えることについては、よほど慎重な配慮を必要とすると思いますので、この点については各般の医療関係技術者の中の問題でもあるわけでございますので、この点についてはきわめて慎重な考慮を必要とするというふうな段階でお答えしておきます。
  110. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 もちろん歯科医師の指導のもとにという前提条件であることは私も同じことでございますが、やはりそうした需給バランスの解消と、いわゆる歯科医師労働条件を改善していく意味においてもこれは有効なことであろうと思うから申し上げた次第であります。  それから、最後にあと二点お尋ねしたいわけでございますが、これは何も歯科医師だけじゃないのですが、三時間待たせられて三分診療なんと言われている今日でございますが、諸外国においては助診士の制度というものが真剣に考えられ採用されつつあるということを聞くわけでございますが、厚生省の考え、それを聞かしていただきたいということと、それから佐野参考人にお尋ねしたいことは、最近医療術者団体が結集しまして何か行事をなされたと聞いておるわけでございますが、その規模と目的について説明を願いたいと思います。最初に厚生省の方から。
  111. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生の助診士という言葉は初めて聞くわけですが、概念はよくわかります。この考え方は諸外国におきましても、医療のチーム的な、医療というものは医師だけではいよいよ困難になってまいるということから、いわゆるパラメディカルという言葉すらむしろ批判を受けておりまして、一つのチームとしての医療術者でやっていく、そのときに、いまの団体との関連も出てくると思いますが、したがって、この医療従事者の全体の素質と技術内容を高める必要がある、こういう意味で、現在ございますところの各般の医療従事者の身分制度について向上を図れという趣旨はわかりますけれども、この助診士という概念そのものが、あるいは沖縄にございます医介輔のような、かなり医師に近いものを想定するならば、わが国の歴史的な観点から見ましても、また将来の観点から見ましてもこの点はきわめて困難だと思いますし、全体に助診士という概念、外国にある概念を受け入れて全体のレベルを高める方向で考えろということは、まさにその方向が今後の重要な課題であるというふうに思っております。
  112. 佐野恵明

    佐野参考人 いま大橋先生の御指摘のように、私ども昨年の十一月に医療関係の技術者が、看護婦を初め九団体が結集をいたしまして現在協議会を設立をいたしました。その目的といたしましては、先ほどからいろいろお話が出ておりますとおり、チーム医僚ということが叫ばれながら、現在の医療の実態からいきますと、いわゆるわれわれ医療術者をアシスタントというような位置づけにされております。これをやはりパートナーというような位置づけの中でわれわれもいまの医療制度の改革をし、また真に国民のための医療確立のために声を上げていきたいということで設立をいたしました。総数といたしますと二十五、六万になるだろうというように予定されております。
  113. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 終わります。
  114. 大野明

    大野委員長 以上で参考人方々に対する質疑は終わりました。  参考人方々には貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  この際、休憩いたします。  本会議散会後、直ちに再開することといたします。     午後一時五分休憩      ————◇—————     午後三時二十八分開議
  115. 葉梨信行

    葉梨委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大橋敏雄君。
  116. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 昨年十二月ごろから話題になっております、いわゆるベストセラーになった「紅茶キノコ健康法」という本があるわけでございますが、これががんに効くというような、そうした効能のうわさまでそれにつきまして、大変なブームを巻き起こしているわけでございます。  ところが、きょうの読売新聞にも実は紅茶キノコの問題がわりと大きく報道されております。「便乗商法も“異常繁殖”雑菌混入の恐れ 悪質販売 厚生省が摘発へ」、こういう見出しでこの問題を取り上げられているわけでございます。  実は私も、最近週刊誌等ほとんどのものがこれを取り上げておりますし、異常なブームだなということで、ある意味ではやはり関心を持っていたわけです。きょうここに持ってまいりましたのは、紅茶キノコの実際なんですけれども、これは効能、効果があるという反面、最近ある週刊誌に、いや、それは危険性があるんじゃないかというような意味の記事が出てから、これを愛用していた人がいまちょっと中断しておりまして、こういう少し濁ったような感じになってはおりますが、これが功罪いろいろと問題になってきておりますので、きょうこれを冒頭にお尋ねしたいと思ったわけです。  これは環境衛生局が担当するだろうと思うのですけれども、まだ科学的な解明が十分に行われていないこのものが余りにも鋭い広がり方をしている。それにある商売をやっている方が目をつけて悪質な金もうけを始めた。便乗商法も急速にはびこっていっているというようなことなんですけれども、これについて厚生省が今日までどのような考えでこれを見ているか、また今後どうする考えか、聞かしていただきたいと思います。
  117. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま御質問の紅茶キノコでございますが、先生御質問のように、まだその本体等必ずしも十分われわれの方には判明しておるわけではございません。ただ、われわれがいままで調査いたしました結果を御報告申し上げたいと思います。  一般に紅茶キノコと言われているものは、砂糖入りの紅茶——これは必ずしも紅茶でなくてもよいようでございますが、緑茶あるいはコーヒー等でも結構でございますが、それに相当な砂糖を入れまして、ある種の細菌及び酵母をこの中で急速な増殖をさせまして、その結果酸味を帯びた発酵液とゼリー状の凝塊を形成させたものを通称紅茶キノコと言っておるようでございます。  その利用方法は、通常この発酵液を飲用に供しておるようでございますが、そのほかにも、この凝塊、菌塊につきまして、一般には摂食されていないようでございますが、外国では、そのままあるいはこれをシロップづけにいたしまして、またわが国におきましては、これを刺身、酢の物、砂糖づけ、そういった形で食用に供している例もあるようでございます。  それで、ただいまある種の細菌及び酵母と申し上げたわけでございますが、いままでわれわれがつかんでおるところを申し上げますと、酵母といたしましてはサッカロミセスというある種の酵母でございます。そのほかにキャンディーダ等を使っている例もあるようでございます。それと細菌の方でございますが、これはアセトバクターキシリナムという菌でございますが、この両方をまぜ合わせてこの本体になっておるようでございます。  そのメカニズムを申し上げますと、先ほど申し上げましたように、砂糖がこの中に入っておるわけでございまして、この砂糖を酵母サッカロミセスが分解いたしましてアルコールにいたしまして、このアルコール分をさらにアセトバクターキシリナムが酢酸に変える、こういうメカニズムのようでございます。  主成分は、主といたしまして酢酸でございまして、次いで少量のグルコン酸その他の有機酸を含んでいる。  さようなところまでわれわれのところで現在調べております。
  118. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 なぜこんなにぐんぐん広がっていくか、それについてはどうお考えになっていますか。
  119. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 環境衛生上の問題ではないのでちょっとお答えしにくいわけでございますが、ある一つの流行と申し上げましょうか、そういったものがあるのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。たとえば、紅茶のかわりに牛乳を使ったものが、これがヨーグルトというようなものでもあるわけでございまして、そういった一種の類似のものだと考えておるわけでございまして、一般的にはこれが健康食品とかそういった概念でかような異常な流行を示したんではなかろうかと推測いたしております。
  120. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 要するに、いまは自然食と健康という問題で大変な関心国民のほとんどの者が持っているわけでございますが、そういう中で、確かにこれを愛用すれば健康につながるとかなんとかということになれば、真剣にそれに取り組んでいく人もかなりいるわけですから、この紅茶キノコが果たして健康とどう関係するのか。あるいはこのまま飲んでいても実際問題として害にならないのかなるのかということになると、これは大きな問題になろうと思うわけです。  はっきり言いまして、大変効能、効果をあらわした本が出ている反面、最近になって、その反対意見を述べている記事もかなり出てきております。これを利用している関係者は大変迷っているわけですよ。こういうときに、厚生省として、これはこうこうこういうものですよ、だからこうあらねばならぬとか、ある意味の見解を示すことが国民に対する親切ではないか、私はこう思うのでございますが、その点について政務次官からお願いします。
  121. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 私はこういうことはよく存じませんが、少なくとも医学の新しい解明とかあるいはまた薬物等におきましては、それが真に後で弊害が出てくるかどうかということは、一定期間たたなければ私はわからないと思うのです。そういう意味におきましては、この紅茶キノコもあるいはこれから三年、五年先になってどういう結果が出てくるかということにまたなければなりませんけれども、現時点において厚生省がいろいろと検査しました結果、正常な状態で培養される限り、これが有害であるということは何も出ておりません。
  122. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 素人が——素人と言っては失礼ですけれども、一般国民が口伝えでどんどんこの内容と取り組んでいくわけでございますが、そういう意味においてはやはり危険性がひそんでいると思うのですけれども、その点はどうですか。
  123. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま政務次官からお答え申し上げましたように、この取り扱いさえ十分気をつければ、すなわち、先ほど申し上げましたように、この本体の菌以外の菌がこの培養液の中に入らない限りは大丈夫でございますが、やはり取り扱いが必ずしも十分でございませんと、先ほど申し上げましたサッカロミセスとかあるいはアセトバクターキシリナム以外の菌がこの中に入りまして、それがもし病原菌であるとすれば、ある種のそういった健康被害につながる可能性もあると思っております。  ただ、普通の場合、これは非常に酸性の強い液体をつくるものでございますので、普通のこういった強い酸性の液体の中では、他のいわゆる病原菌といわれるものは非常に育ちにくいところでございますが、培養方法が十分でないとそういった可能性もあるということを申し上げておきます。
  124. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 東京都では紅茶キノコのことについてかなり真剣にその問題と取り組んでいるようでございますが、厚生省としてこの問題についてある意味のコメントをする考えがあるかどうか、お尋ねいたします。
  125. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 紅茶キノコの実態というものがまだ明確ではございませんので、一つの想定で申し上げたいと思うわけでございますが、一つは、先ほど先生御指摘のような薬効を標榜した場合の問題でございますが、これは後で薬務局長の方からお答え願うといたしまして、いわゆる食品としてこれが取り扱われる場合どういう問題が生ずるかということでございますが、これが食品として販売される場合を考えてみますと、液体の方だけを飲用水として販売いたします場合には、これは食品衛生法第二十一条によります清涼飲料水製造業の許可を必要とする業種だと考えておりまして、それに基づきまして許可営業にせざるを得ないわけでございます。さらに、食品衛生法第七条に基づきます清涼飲料水の規格、基準の適用をするわけでございまして、相当厳しい製造基準等を遵守させる所存でございます。  さらに、これが喫茶店等で販売される場合を想像いたしました場合に、これは製造業の許可にはならないわけでございますが、やはりこれが喫茶店営業の許可を要する業種でございますので、そういった面からの法規制が可能だと思うわけであります。  その実態が必ずしもはっきりはいたしておりませんが、その中のキノコ状のものを販売するといたしますと、これはいわゆる食品として販売するものでございますから、食品衛生法第四条に違反するものにあってはこれを販売をさせないことになっておりますので、そういった意味での法的規制が可能だと思っております。  さらに、これが販売されないでいわゆる民間に人から人へ伝わるような場合におきましては、これが食品衛生法の対象にならないわけでございますが、今後非常にそういった事例がふえまして社会的影響がさらに大きくなるような場合には、食品衛生上の問題が生ずると考えられますので、何らかの行政的指導を必要とするというふうに考えております。
  126. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 きょうの新聞の中に「すでに新潟県では、これを販売した例があり、薬事法違反として検挙されている」というのがあるのですが、確かにこれを販売する立場になっていきますとまたこうした大変な問題が起こってくると思うわけでございますが、続いて厚生省としては薬事監視員を動員してこれを摘発するという記事も出ているわけでございますが、これについてどういうお考えかお尋ねします。
  127. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 健康食品と医薬品との境界というのはなかなかむずかしいわけでございますが、私ども現在の薬事法の解釈といたしましては、健康食品でございましても効能効果をうたいあるいはまた用法用量等を指示するというふうなかっこうになってまいりまして、医薬品的な表示ないしはそういううたい文句がございます場合には、これは医薬品と見るというふうにいたしております。  新潟の場合には、特定の容器にこれを入れまして効能効果をうたい、また用法用量等についても表示をしたようでございますが、そういう状況でございましたので、県警におきまして薬事法違反としてこれを摘発したと聞いております。  私どもといたしましても、ただいま申しますような解釈に従いまして、もし医薬品としてこのものを売るというふうな状況がございます場合には、薬事法に基づきまして新しい薬の製造承認の許可を得ていないということ、あるいは製造業の許可をとっていないということ、あるいはまた販売業の許可をとっていないということその他によりまして、薬事法を適用いたしましてこれを取り締まるということになるわけでございます。  私どもも現在のところ、この紅茶キノコにつきまして一般的に健康食品として流布されていると聞いておりますが、仮に医薬品としてこれを売るというふうな態様になってまいります場合には厳しく取り締まるということで、私ども注意をいたしております。そういう状況でございます。
  128. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いずれにしましても、きょうここに持ってきましたように、これは効能効果ありとしたような宣伝のためにいろいろ利用していた方が、その反対の見解が出たあるいは意見が出たということでやめているわけですね。そうするとこんなに濁ってきているわけです。これが本当に素人から見ても、健康の立場から見たときに非常に疑問を抱くような立場になっておりますので、一日も早く厚生省の立場からこのものの考え方をはっきりと何かの形で示されることが国民のためではなかろうか、こう思います。  最後にこのことについて、もう一度政務次官の見解を聞いておきたい。
  129. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 ただいまの御意見ごもっともでございますし、特に食品衛生は非常にうるさいときでございますから、この問題につきましても法的に規制すべきかどうかという面まで含めて検討をいたしたいと思います。
  130. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは問題をほかに移します。  身体障害者に関係して若干お尋ねをしたいと思いますが、障害者福祉対策のかなめというものは、その障害者のハンディキャップをできる限り軽減して、一般の人と同じような生活条件を整えさせて生活の安定を得させることにあると私は思うのであります。これはその目的を見てもそのとおりでございます。現在の身体障害者福祉法がその目的に十分機能しているかどうかということは私は疑問だと思うのでございますが、厚生省としてこれについて自信をもって言えるかどうか、まずお尋ねします。
  131. 翁久次郎

    ○翁政府委員 お尋ねの身体障害者の福祉全般に関する問題として、最初の御指摘はそのとおりであると存じます。ただその中で、身体障害者福祉法の掲げております目的ないしは法律の内容は、御承知のとおり身体に障害のある人がその障害を克服して社会に適応して生きていかれるためにいろいろな措置を講ずる、そのために更生医療であるとかあるいは児童の場合には育成医療であるとか補装具の給付であるとか、その他福祉事務所、更生相談所等を活用いたしまして、そういった方々のハンディキャップを克服するための中身が身障福祉法の中身でございます。ただそういうハンディキャップのある人々の生活、経済的な問題、こういったことにつきましては、それぞれ年金におきます福祉年金であるとか、あるいはこのたび御提案申し上げまして成立させていただきました福祉手当というもろもろの措置によって、そういったものが総合的に補完されていくというように私どもは考えておるわけでございます。
  132. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 確かにいまおっしゃるように、身体障害者福祉法はその目的が更生に置かれているわけですね。生活保障というのは別の立場で考えられているということで、労働能力があるかないか、これは適用の基準になっているように私は思うのでありますが、ここはやはり問題だと考えるわけです。したがいまして、身体障害者福祉法を生活保障的要素を含めた内容に改善する意思はないかということを聞きたいわけです。
  133. 翁久次郎

    ○翁政府委員 御意見としては、なるほどそのとおりだと存じます。ただ先ほども申し上げましたように、身体障害者福祉法本来の趣旨がそういう趣旨で成立して、現に施行されております。それ以外の所得保障あるいは生活保障的なものにつきましては、それぞれの個別の法体系の方で補完しているというたてまえから申しまして、また御承知のとおり身体障害を含めた心身障害者対策基本法というものがございます。この法律は基本にかかわる問題について、それぞれの各省またそれぞれの各省が所管する法律、施策を通じて、心身障害者の福祉の向上のために図るということになっておりまして、その中の大きな柱が身体障害者福祉法である、こういうように考えております。したがいまして、当面直ちにそういった生活保障的なものを織り込んだものとして改正するということについては、いかがであろうかと存じております。
  134. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 身体障害者の関係者の声は、いまの問題を非常に重視しておりました。というのは、心身障害者対策基本法、これは確かにできたけれども、個別法の内容の充実がおくれているために、その柱となっている身体障害者福祉法の内容がそういう意味で物足りない、こういう意見が強うございましたので、これを含めて今後の対策に当たっていただきたいと思います。  そこで話は変わりますけれども、児童の人格形成上最も重要な時期というのは幾つぐらいか。厚生白書を見てみましても、二歳とか三歳だとか非常に小さな時期、幼少の時期というのが大変重要だということが記されておりますけれども、たとえばたまたま両親の方が聾唖者であって、できた子供さんは普通の健全な子供さんである、そういう場合、いわゆる聾唖者である両親を持ったその子供さんの育児ということについて、一般の方に比べると大変なハンディが出る。つまり母親の温かいほおずりだとかあるいはやさしい言葉でまんべんなく気持ちの中に抱きかかえていく、母親などのいわゆるスキンシップが健全育成の重要なかぎだと言われているわけでございますけれども、そういう立場から見た場合に聴力障害者、つまり聾唖者を持った子供さんはその点非常に恵まれない立場になるわけです。  そこでこういうことを私は言いたいわけですが、要するにお父さんお母さんの方が聾唖者であるいま言ったような健全な子供さんが正しい言語を話すためには、一日も早く保育所に入れて、いわゆる集団的な生活の中で育てていくことが大事ではないか、こう思うのです。というのは、そうした両親であるかないかで子供さんの育児の内容を調べていきますと大変な隔たりがあるわけですね。そういうことで関係者からは保育施設に一日も早く入れてほしいのだ、これは自治体でかなり真剣に考えているのは優先的に入所させているところもあるようでございますが、そうでないところもある、いわゆるばらばらなんですね。これは厚生省として基本的にどういう考えでいるかということですが、いかがですか。
  135. 上村一

    ○上村政府委員 御指摘のように六歳ぐらいまでの就学前の時期というのが子供の将来の人間形成の基礎になるものでございます。そこでお母さんが聾唖であれば、スキンシップからくる言語の習得その他通常の健康なお母さんに期待する養育機能と申しますかそういうものが期待できない。そこで保育所に入れるという問題がいま御指摘になったわけでございますが、私ども保育所に入れる基準というのを一応やや抽象的ではございますけれども、各市町村に示しております。その中に、お母さんが病気になりあるいは心身に障害があるためにその子供の保育ができない、同時にその家庭に一緒に住んでおる親族の人もその子供の保育に当たることができない、そういった場合には保育所に入れるようにいま指導しているところでございます。
  136. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 やはり関係者の強い要望であったわけでございますが、これは保育所に入れての育児が非常に効果があって大変いいという話を聞きました。そして優先的に保育所に入所できるような指導をとってもらいたい、自治体で非常にばらつきがあるのだ、こういうことだったのですけれども、その点についてはどうです、もう一度。
  137. 上村一

    ○上村政府委員 御案内のように保育所の機能というのは、一つはその子供のめんどうを見る人が昼間いないから、その子供の福祉のためにある、同時に預かる子供が学齢前の子供でございますから、そこで何と申しますか幼稚園に類した教育的な機能も果たしておるということになるわけでございます。したがいまして御両親あるいはお母さんが聾の場合の子供について、ほかにその子供のめんどうを見る人があればなかなかむずかしゅうございますので、個別個別の判断というものはやはり市町村長にゆだねざるを得ないのではないか。私ども先ほど申し上げましたように、親が障害であるというような場合には保育所に入れるという一つの基準を示しておるわけでございますから、運用は市町村長さんにゆだねるというつもりでございます。
  138. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、聴覚言語障害総合センターの建設の要望が非常に強いわけでございますが、これについて厚生省としてお考えになっているのかどうか、お尋ねいたします。
  139. 翁久次郎

    ○翁政府委員 いま御指摘の聴覚言語障害総合センターを聾唖連盟の方で考えておられることは承知しております。ただ御承知のとおり、厚生省におきましても国として聴覚言語障害の研究につきましてはそれぞれ施設を持っております。御承知のとおり現在国立の聴言センターがございます。したがいまして、そういった意味でこのセンターが目的としておられる、あるいは事業の内容としておられることについては、国あるいはそれぞれ府県の段階に機能的にはあるわけでございますけれども、なおこういった御要望があり、またそれに対していろいろな運動があるということについて、この趣旨の実現を図るということについては何ら異議がございません。ただこれを国の手で、あるいは国の補助によって運営するということになりますと、いささか他の同種の問題等もございますので、なお検討を要する問題があるのではなかろうか、かように考えております。
  140. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 実は私にきょう与えられた時間が大体もう来たのですけれども、私の後に民社党の小宮議員がやられる予定だったのですがそれをおやめになったらしくて、帰られるときに、私急に用事ができてやめますので私の分をどうぞお使いくださいというようなことだったので、多少、十分ばかり延ばさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。実はこれは厚生省そのものじゃないのですけれども、聴覚障害者は遠方の方とのコミュニヶーションの大部分は手紙になるわけですね、電話は通じないわけですから。ところが郵便料金が値上げになってくるというそういう方向にあるものですから、皆さん大変お悩みになっておるわけです。どうか厚生省の方から特段の配慮が払われるように、郵政省の方に働きかけてもらいたい、こう思うのでございますが、この点いかがですか。特別措置を設けろということ。
  141. 翁久次郎

    ○翁政府委員 コミュニケーションの手段として、特に聴力言語障害のある人々の場合には手紙による場合が非常に多うございます。また、それしかないかとも思います。ただ、この問題につきまして郵政省の方で考えておられる郵便料金の問題は、御承知のとおり身体障害者の場合には点字図書の送付等については無料扱いをしております。それからまた団体が発行する定期刊行物の第三種郵便については他より優先的に取り扱いをしているわけでございます。それ以外の個人の郵便の送付についての料金の問題については、これを聾唖者の方々だけ特別扱いにするということについては非常に無理があるのではないだろうか、そういった点についてもちろん御趣旨は非常によくわかるわけでございますけれども、むしろこういった問題につきましては、いわゆる身体に障害のある人々に対する、最初に御指摘がございましたように、更生以外に所得保障と申しますか、あるいは福祉の措置というものでカバーすべき性質のものではなかろうか、こういうように思っている次第でございます。
  142. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 実はこれも関係者からじきじき聞いたわけでございますが、気の毒な言い方になりますけれども、聴覚障害者の方々というのは比較的所得の低い人が多いように見受けられました。この郵便料金の値上げについては非常な打撃だ、何としても特例措置を設けてもらいたいものだ、こういう訴えがございました。  そこで私提案でございますけれども、身障者手帳を持って郵便局に提示すれば聾唖者の方々についてのはがきだとかあるいは封書が求められるような制度をつくるべきではないだろうか、これを厚生省としてはどう考えているかということなんですけれども、もう一度お願いします。
  143. 翁久次郎

    ○翁政府委員 身体障害の中で特に聾唖の人々についてのそういう特殊の取り扱いが可能であるかどうかということについては、所管省である郵政省の専管的な問題になるわけでございます。御趣旨としてはよくわかるわけでございますけれども、やはり国としての全体的な施策の中でこれを考えました場合に、それだけを取り上げて郵便料金の別扱いというのは恐らく至難のわざではないだろうかと私は想像するわけでございまして、御趣旨の点はよくわかりますけれども、実現については非常に困難な問題が多いのではないか、かように思うわけでございます。
  144. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 しかし努力していただきたいと思います。  最後に国鉄運賃と身体障害者の割引について、これは、きょう国鉄を呼ぶつもりだったのですけれども、これも厚生省の立場からで結構ですから国鉄の方に要求していただきたい。  というのは、心身障害者対策基本法が昭和四十五年に制定されましたときに第二十三条第二項で割引の問題が規定されております。それを受けて国有鉄道運賃法第五条の二に「身体障害者及び介護者につきそれぞれ半額とする。」こういうふうに規定されておりますし、またその旅客運賃割引規則の中にも、普通乗車券あるいは定期乗車券、回数乗車券、急行券、これは括弧して特急は除くとしてありますが、一種身体障害者及び十二歳未満の二種身体障害者、介護者が乗車、乗船する場合は百キロを超える区間は半額である、こういう規則があるわけでございますけれども、問題は、これは急行だけだとなっているわけですね。最近は急行がどんどん減らされているわけですね。資料を見てみますと、四十七年三月でマイナス二十二、四十七年十月でマイナス三十一、四十八年十月でマイナス三十四と急行が減らされていくのです。五十年三月でマイナス六十八ということで、要するにここ四年間で急行は百五十五本なくなったわけですね。というのはこうした方々の利用する汽車がなくなっていっているということなんですよ。時代の変遷でもあるし、社会の状況の変化でもありますので、これは当然特急までぐらいはぜひとも適用をするように国鉄側に要求をしていただきたいということです。これが一つ。  もう一つは、心身障害者対策基本法の制定当時は内部障害者はこういう問題には含まれていなかったわけですね。いま全国で障害者が百四十万七千人、うち十八歳以上が百三十一万四千人、内部障害者六万六千人ということになっておりますので、結局約六万六千人の人は運賃割引の対象から外されている、またその介護者も割引を受けられないでいるというような実情にありますので、これもぜひとも調査をしていただいて実現を図っていただきたい。心臓発作等生命にかかわる病気を持っている場合、その人の介護も必要でありますし、介護についても割引の対象にすべきであるという考えのもとから申し上げているわけでございます。そういうことをひっくるめてお答え願いたいと思います。
  145. 翁久次郎

    ○翁政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、心身障害者対策基本法にあります国鉄運賃の割引につきましては、所管の運輸省の方でただいま御指摘があったとおりの規則によって運用しておるわけでございます。毎年予算シーズン前に厚生省の方から運輸省ないし国鉄の方にこういった趣旨のことにつきましていろいろ要望もし、お願いもしているわけでございます。これは御承知のとおり所管の運輸省の方で国鉄と話し合いをしながらこういったことについての措置をとっているわけでございまして、四十八年ではたしか十一億程度の運賃負担を行っておられるわけでございます。  特急の問題並びに内部障害の問題につきましても、われわれもかねてこういうことがあることは承知しておりまして口頭等で常に御連絡はいたしておりますけれども、国鉄にはそれぞれいろいろな理由もあるようでございます。ただ御趣旨につきましては十分その意思を伝え、また厚生省としても今後こういったことについて努力をすることについては続けてまいる所存でございます。
  146. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 きょうは大臣が来ておりませんので最後に政務次官に一言見解を聞いておきたいのですけれども、身体障害者福祉法の一層の整備と、常日ごろ感じていることといたしまして、障害者の方々の生活現場と行政庁との距離が大変にかけ離れているという現状を速やかに是正することが政治の使命だと思うのでございますが、大臣としての立場できょうはお答え願いたいと思います。
  147. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 生まれながらにしてあるいは交通事故その他によって心身のどこかに障害のある方が、健康な人と同じように社会を渡るということについては大変な御労苦があると思うのです。そういう方々に対してこそ社会福祉という観点から政府は温かい援護の措置を講ずべきでありますから、おっしゃる御趣旨は全く同感でございます。ただ身障者の中身につきましては多岐にわたっておりますし、また政府が行わんとすることも単なる援護法一本でできるような問題ではございません。ですから、そういう面は十分考慮しながら福祉の増強のために今後格段の努力を払いたいと思います。
  148. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 終わります。
  149. 菅波茂

    ○菅波委員長代理 次に、寺前巖君。
  150. 寺前巖

    寺前委員 きょうは私はてんかんという病気について、短時間でございますがお聞きをしたいと思います。  てんかんというのは社会的にかなり偏見を持たれ、しかもかなりの人の間におられるようです。私の身の回りを見ても、小さい子供がてんかんで初期の段階に手を打って非常によい結果になっているという人の話もありますし、あるいはまた小さいときには気づかなかったものが——出産するときに帝王切開をして退院一カ月後に高熱が出た。そのときに近くの小児科病院へ連れていったら、はしかと診断された。しばらくたって今度は学校に行った。今度学校に行くようになってきて、ある日突然跳んだり走ったりしていると大発作が起きて一分間ぐらい強いけいれんを起こして近くの病院に連れ込まれた。そうして脳波検査をやったら二日目にはてんかんだという診断になってきた。二十日に一度ずつ病院で薬をもらって半年に一回の脳波検査をやりながらいまそれなりの発育をしているわけですけれども、その親御さんは、早いときにこれを発見しておったらこうにもならなかったものであろうということを言っている、こういう話が幾つか私たちの生活している周辺でも聞かれるわけです。  そこで、てんかんに対する認識が対応策をとる上でかなり重要な位置を占めるのじゃないだろうかということで、私もまず幾つかの教科書を調べてみました。私自身は、てんかんといえば口からあわを吹いてばたんと倒れる、これがてんかんだというふうに単純に思っていましたし、よくはわからないけれども、あれは遺伝性のものじゃないだろうかという話をよく聞かされてきました。それで私は、そういうのは教科書で習ったんだろうか、社会生活でいつとはなしに耳に入ってきたものだろうかということを自分自身を振り返ってはっきりしないものだから教科書を見てみたわけです。高等学校の教科書を幾つか開いてみると、教科書の中に取り上げてあるのがあります。  たとえばいま私がここに持っております一橋出版の保健体育の教科書、これは去年のですが、百二十五ページにこう書いてあります。「てんかんとつぜん叫び声をあげてたおれ、身体をこわばらせ、ついで全身がけいれんし、あわをふいて、しばらくの間意識を失って眠ってしまう。このような発作をおこす病気をてんかんと呼ぶ。てんかんには、ちょっとの間意識を失ったり、手足の一部がしびれたりするだけのもの、不機嫌になったり、夢うつつの状態で行動するようなものなどもある。原因としては、脳の損傷など後天的なものと、発作を誘発する外的環境や発作を起こしやすい内的条件を考えなければならない。」これだけの説明なんですが、私たちは大体こういう角度で見てきたと思うのです。  ところが、てんかんを取り扱っている先生方や親の会の方々に会ったら、こういう現象もあるけれども他の現象もあると言う。そこでてんかんというものをこういう一つの形態だということで思い込んでしまうところに初期の段階に手を打たないという失敗をやるのだ。とするならば、そういうような取り扱いをやっている本は、ひとつ著者の皆さん方に正しい理解をしてもらわなければいけないと私は思ったわけです。文部省でも恐らく親の会の方々あるいは大学の先生その他の方からもこの問題について御意見を聞かれたと思いますが、この種の教育上の問題としてどのように扱っておられるのか、まず最初に聞きたいと思います。
  151. 菱村幸彦

    ○菱村説明員 ご承知のように現在の教科書制度は国定制度ではなくて検定制度でございますので、ある事柄につきましてどのように記述するかは著作者の執筆方針が第一次的に尊重されてまいるわけでございます。ページ数も限られておりますので、特定の事項につきまして必ずしも十分な記述ができないわけでございます。  いま先生から御指摘のございましたてんかんの記述につきましては、確かにいま先生が御指摘になりました分は必ずしも適切でない部分があったかと思います。そこで実はこの教科書につきましては、昨年十一月この部分を修正いたしておりまして、ただいま特に御指摘がありましたあわを吹くとか遺伝性云々というようなことは、新しい教科書からは一切なくなっております。現在、ことしの四月から使っております新しい教科書は修正されておるわけでございます。
  152. 寺前巖

    寺前委員 文部省の方は手をつけられた。ところで私は、それじゃ字引などにはどのように書かれているのだろうか、まず自分の部屋の字引を取り出してみました。これは三省堂の金田一京助さんが編集された新明解国語辞典です。この七百七十ページのところに「てんかん」というのが書いてある。どう書いてあるかというと、「発作的にけいれんを起こし、口からあわを吹いて人事不省となる、遺伝性の病気。」こう書いてある。これでいいものだろうか。いまの教科書の問題といい、この辞典の問題といい、このままの認識では、これがやはり助かるものを助けないことになってくる原因じゃないだろうか。まして遺伝性ということをレッテルを明確に張ってしまったら社会的取り扱いはどうなるだろうか。やはり私の体験した経験と変わらないことになるんじゃないだろうか。私はその後、小学館の出している日本国語大辞典五十年版を見てみました。あるいは岩波書店の広辞苑の四十七年版を見てみました。そこでも「卒倒して手足をもがき口から泡を吹く」云々ということが全部共通した指摘であるわけです。ですから、この認識問題というのはかなり広い範囲に考えてみなければならない問題が現実に存在しているのではないだろうか。  そこへもってきて今度は、日本大学教授の田村豊幸さんと福田照さん共著の「紛争を起こさぬ各科クスリの安全使用法 薬品副作用学2」という本があります。三千円の定価の本です。第一版が出されているのが去年の十一月一日で、まだ新しい本です。この本の中を見ますとやはりこういうことが指摘してある。たとえば百四ページに「てんかん患者は症状をおさえるのがせいいっぱいで、子供を生まないように心掛けている人もいるが、ときには、そういかないこともあるらしい。」云々とあって、「てんかんは遺伝するから、子供は生まないほうがいいらしいが、ときにはてんかんもちであることをかくして結婚して、相手があとでアッと驚くこともある。だからハナシが難しくなるのだ。時限バクダンをかくしていたみたいに……。」という指摘をしている。あるいは「てんかんは倒れて、目を白くして、からだをこわばらせ、かたくなってぶるぶる痙攣する。ウンが悪いと舌を咬んで、血を流す。てんかんの人は、からだにナマキズが絶えない。」「てんかんは怒りやすい性格や、オッチョコチョイの人に発病しやすい。それがさらにカーッカッするようになってはたいへんだから、クスリは十分慎重にしたい。」云々というふうに書いてある。  これはどういう先生か私よく知りませんが、この本の中に書いてある略歴を見ますと、厚生省の中央薬事審議会の副作用調査委員をおやりになったことのある先生のようです。私は決してその先生がけしからぬということを言おうとしているのではなくして、こういうふうにずっと教科書を見、字引を見あるいは専門の先生方が書いているそういう分野の本を見ていっても、私の認識と変わらない。  ところが現実に専門の分野の先生に話を聞いたりあるいはずっと悩み通してこられた親御さんの話を聞くと、そこの認識の誤りから初期段階に手を打たなかったところに問題があるということになってきておる。  そうしたら、これは少し厚生行政の分野においても考えてみなければいけないんじゃないだろうか、救われる人を救わぬことになってしまうじゃないか。だから認識を改めるための宣伝というのでしょうか、そういう活動を広く展開することが、今日この分野に新しく次々と起こっていく問題を早く一定の解決方向をつくるもとになるのじゃないだろうか、私はそういう印象を受けましたので、ひとつ厚生大臣から、この分野の私の提起している問題が誤りなのか、正しいとするならば、厚生省としてどういう手を打ってくださるのか、お聞きをしたいと思います。
  153. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 政務次官でございます。  先ほどから御指摘のてんかんに対する字引や教科書の問題、あなたがいまここで朗読なすった部分を私が聞きましても、適切でないような気がいたしますが、これらの取り扱いについては文部省にお任せするとして、厚生省としては、より専門的な、医学的な立場から、国民が少なくともてんかんに対して誤った理解を持たないような、今後はそういう理解を深めるための一つのPRと申しますか、あるいは思想の普及と申しますか、そういう面に力を入れてまいりたいと思います。
  154. 寺前巖

    寺前委員 担当の局長さんの方では、これを正しく理解をさせるための手段として、来年度はぜひこういうことをという何かプランがありますか、あるいはいままでやられたことがあったら、それもあわせて御報告を願いたいと思います。
  155. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 従来も約三百万円程度の精神衛生思想普及費といった予算を計上いたしまして、精神衛生連盟その他関係団体にお願いして、精神衛生の思想普及に努めてきたところでございますが、御指摘のように、必ずしもてんかんそのものについての知識の普及は十分ではございませんでした。  先ほど来お話を伺っておりますと、PRの対象といたしましては、一般国民のほかに医療関係者もあると思うわけでございます。したがって、医療関係者につきましては、小児科学会とか産婦人科学会とか看護協会だとか、そういったところに正しい知識の普及を、御指導をお願いすると同時に、一般の国民に対しましては、従来私どもが展開しております精神衛生の思想普及活動の中に、てんかんの問題を大幅に取り入れていきますとともに、こういった問題は精神衛生とは切り離して、一般的な小児疾患としてPRする方が好ましいという家族の方々の御希望もございますので、テレビ、新聞、ラジオ等の報道機関にもお願いして、正しいてんかんの知識が国民に普及いたしますように、さらに努力をいたしたいと考えております。
  156. 寺前巖

    寺前委員 いま局長さんから、子供の段階の措置の問題が出ました。私も子供の段階における正しい理解が広がるということは非常に重要なので、よりそれを具体化させることをひとつ希望したいと思うのです。  たとえば、ハンセン氏の場合には、ハンセン氏を正しく理解させるためのパンフレットを関係の団体で発行しておられます。これは非常に大きな役割りをしております。厚生省が積極的に助成費も出して、正しい見方の普及活動をやっておられますから、てんかんという分野についても、同じようにやられる気があるのかどうかということが第一点。  第二番目に、子供の段階におけるところの早期発見というのが重要な位置を占める。そうすると、子供の段階の健診と言えば、三歳児健診というのがあります。その三歳児健診の段階において、これを早く発見をするという措置をとらなければならないのではないだろうか。これが非常におくれている分野として、診断基準なり治療基準などをここに明らかにさせていく必要がある。ついては、いままで百万とか二百万とか毎年予算を組んで、その診断基準を出すための御努力をなさっておったようですけれども、一向にそれが現実化しない。だから、これはいつの時期にはっきりさせるのだ。私は、一日おくれれば、一日ほったらかしになって、社会的にも御本人の面においてもこれは損害だ。しかも初期の段階に手を打った場合には、お金の負担の面だって少なくて済むのですから、初期発見が一番大事だ。だから、この三歳児健診段階にどうするのだということ、すなわち、この診断基準を明らかにするという問題を一体どのようにやられるつもりなのか、いつまでもこのままの姿を延ばしておかれるのか、これを第二番目に聞きたいと思う。  第三番目にお聞きしたいのは、診断基準をつくったからといっても、それは根治療法にはなりません。根治療法というのは、原因を究明し、そしてそこから対策を組んでいくという、この態度が必要でしょう。この前の委員会で、近く静岡に、療養所ですか、専門病院として建設されるというお話がありました。私はそのこと自身は決して否定しませんけれども、持っている能力を、全体として、特に東京都では、この点頭てんかんについて難病として特別な研究もし対策をやらなければならないという位置づけをやっているのだけれども、厚生省としてこの問題についてはどのように取り組むのか、第三番目の問題としてお聞きしたいと思います。
  157. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 まず第一の、正しい知識の普及についての御要望は、先生御要望のとおり、私どもも今後力を入れてまいりたいと思います。  なお、最近においても産婦人科学会等がいろいろと協力をして、会員に適切な指導をしてくれておるところでございます。  また、第二の早期発見でございますが、三歳児健診においてこの検査を採用するかどうかは、後児童家庭局長がお答えいたしますが、診断については脳波検査がきわめて有効であるということはすでに明らかになっておることでございます。むしろ今後の問題としては、正しい治療方法の開発が問題ではないかと思います。現に、一部の方々は副腎皮質ホルモンだとかあるいは脳下垂体のACTHホルモンだとか、そういったホルモン療法を試みておられるわけでございますが、これはまだ一部の学者の方々の試みでございまして、学界の定説となったものではございません。また、特に乳幼児期、小児期におけるホルモン療法につきましては、その副作用にむしろ非常に警戒をしなければならない面があるのではないかと考えております。要するに、今後治療方法の開発研究には大いに力を入れるべきであろうと考える次第でございます。  そこで、第三の小児てんかんを担当いたします医療施設の整備の問題でございますけれども、これにつきましては、各都道府県におきましててんかんの専門医が少ない、精神科のてんかんの専門医は、まだ少ないと言ってもかなりおりますけれども、特に小児科の方の小児神経科の領域のてんかんの専門医が少ない、こういったマンパワーの問題がまずございます。また、施設の整備につきましては、現在各都道府県は一般的な小児精神病床の整備とか老人病床の整備とかアル中病床の整備に追われておるわけでございます。したがって、いま直ちに都道府県と話し合いに入りまして、どのように各都道府県でこういった施設の整備を引き受けてくれるかはよくわかりませんけれども、いろいろと今後都道府県とこの面について相談を進めてまいりたいと考えております。  最後に、難病指定の問題でございますけれども、この問題につきましては、国会の御意見とかまた医学会、医師会その他の関係団体の御意見をよく聞いた上で、公衆衛生局にございます特定疾患対策懇談会にお諮りをして決める筋合いのものでございますが、特に点頭てんかんについては、乳児のころから始まってまいります子供の疾患でもございますので、児童家庭局ともよく相談しながら今後の方針を固めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  158. 上村一

    ○上村政府委員 三歳児健診の点でございますが、いま公衆衛生局長からお話し申し上げましたように、点頭てんかんの場合、三歳児ごろまでに大部分が発症するというところから、三歳児健診ということになるんだろうと考えるわけでございますが、三歳児健診そのものの目的というのは、三歳の子供の発育の状況なり栄養の状況、それから病気のありなし、精神の発達の状況、さらにそれに加えまして心身障害の早期発見というのを目的にしておるわけでございます。したがいまして、三歳児健診の場合には、妊娠なり分娩の経過、それから既往の疾患、平生の健康状態、そういうものを相当詳しくチェックすることにしておりますので、小児てんかんに関する早期発見につきましては、家庭内における母親の観察について問診を通してある程度記録される。そこでその医師がいろいろなことを総合的に判定しまして、どうしても精密検診が必要であるというものにつきましては、いま特に有効であると考えられます脳波による精密検査を受けさせておるわけでございます。したがいまして、点頭てんかんの場合には普通発作を観察をしたお母さんがその情報を出して、それを受けて脳波検査によって確認されるという仕組みをとっておりますので、現在行われておる方法で十分発見可能ではないかというふうに考えるわけでございますが、さらに私ども診断の方法等の研究も進めておるわけでございますから、新しいその研究の成果は絶えずこういった検査に反映させるようにしてまいりたいと考えております。
  159. 寺前巖

    寺前委員 時間もあれですからやめますが、何といったっていまの三歳児健診をやるときに問診が大事だ、私もそう思う。問診をやるということになったら、前提は親御さんが正しい認識を持っておらなかったら、問診をするといったってしにくいということになるわけですね。お医者さんの側の認識と相手の側の認識、両方が発達しないとだめなんだから。そこに私は、PRというんですかね、ここが大きな位置を占めるという問題が出てくるのと、それから診断基準というんですか、これを早くきちっと確立するという問題を急がなければならないのじゃないだろうか。お医者さんの側だっていろいろなお医者さんがあの三歳児健診には実際はかかわりますから、そういう意味では、これは三歳児健診のときにはこういうふうなことできちっとしておかなければだめですよということを親切にやっておくという体制が重要じゃないだろうか。そういうことで私は診断基準というのを早く確立してもらうということを急いでもらう必要があるのじゃないだろうかということを改めてもう一度提起しておくことと、それから政務次官、最初の問題に戻りますが、その認識の問題としては、現に字引とかあるいはそういう医学書などの中に、これで認識を持たれたら困るという事実がずっと次々発生して、現にそれが一般化しているんだから、だからこれをもう一度全部手当たり次第調査をしていただいて、関係するところの編者にこの点については正しく改善をしてもらえぬだろうかということを、厚生省としても手を打ってもらう必要があるのじゃないだろうか、私はそのことをお願いしたいと思うのですが、再度御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
  160. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 てんかんという病気をお持ちの方が社会的に非常に不遇であるということは私ども十分承知をいたしております。したがって、こういう方々に対して政府や社会が正しい認識を持つ、そして正しい認識の上に立って、より厚い、より温かい援護をすることは当然でございますから、そういう一つの認識を持つことについて文部省ともよく話し合って、国民の理解を深めるように努力をいたしたいと思います。
  161. 寺前巖

    寺前委員 改善してくれるように手を打つね。
  162. 山下徳夫

    ○山下(徳)政府委員 教科書以外、文部省所管以外のことについては、私の方で改善するように努めます。
  163. 上村一

    ○上村政府委員 点頭てんかんの場合に、三歳児健診の問診の中でこのけいれん等についても調べることにしておるわけでございますが、わりあいに異常なけいれんはお母さん方も気がつきやすい。基本はお母さん方によくそういうことを知ってもらうことだと思いますけれども、異常なけいれんであるので、観察は一般的には容易じゃないかと思っておりますが、いま公衆衛生局の方からも申し上げましたように、てんかんに関する認識を世の中により深めることがその前提だろうというふうに思いますので、鋭意努力してまいりたいと考えております。
  164. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  165. 大野明

  166. 石母田達

    石母田委員 きょうは私はきわめて短い時間でございますけれども、救急医療体制の問題について二、三質問したいと思います。  それは最近救急医療体制の問題で非常に問題になっておりまして、特に急病患者の搬送問題で、いま御承知のように消防が担当しているわけであります。私が住んでおります横浜の統計を見ましても、四十九年の実績は四万七千九百三十五件、毎日百三十一件の出動を行っているわけであります。しかも、旧市街地に比べて港南とか磯子、金沢、緑、戸塚、瀬谷、こういう横浜で言いますと新興住宅地で増加しているわけであります。  そこで、消防庁の方にお伺いしたいのですけれども、昭和四十五年の救急の出場件数と火災発生件数、それからその五年後の昭和四十九年の同じ数、それのおよその伸び率がわかれば教えていただきたいというふうに思います。
  167. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 昭和四十五年の火災件数は六万三千九百五件でございます。それが昭和四十九年は六万七千五百六十八件でございまして、余り伸びておりません。それに引きかえまして、救急の出動件数でございますが、四十五年は八十七万二千五百四十五件でございます。毎年一三ないし二〇%の伸び率を示し、四十九年は百四十一万九千七百七十一件でございます。
  168. 石母田達

    石母田委員 いまお答えがありましたように、救急出場の方は五年間で一・六、七倍伸びているわけです。火災の方は若干四千件ほど伸びているという程度のものです。しかも、この横浜のデータによりますと、急病が救急出場件数では六〇・四%それから搬送人員で見ますと五九・〇%となっていますけれども、全国の傾向も大体これと同じでしょうか。
  169. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま先生から御指摘のございましたように、最近の救急の傷病別の内容を見ますと、急病が四十八年は五〇・二三%、それから交通事故の方が二三・七一%でございまして、四十九年は先ほど申し上げました五〇・二三%より上回りまして五二・二五%、それに交通事故の方は若干減りまして二〇・三六%でございます。過半数が急病でございます。
  170. 石母田達

    石母田委員 全国の統計ではないかもしれませんが、時間別の救急隊の出場状況を見ますと、横浜で一番多いのが二十一時から二十二時、それからその次に多いのが二十二時から二十三時、つまり深夜に及ぶような状況のときが一番急病においては出場回数が多いことになっております。これで見ますように、いま消防がこの搬送を担当しているということでかなり第一線の方々がいろいろ苦労しているわけであります。  私がまずお伺いしたいのは、消防がこの救急業務を担当する法的な根拠というのは消防法の第二条の九にある「救急業務」さらに消防法の第七章の二第三十五条の五及び六、こういうものであるというふうに理解しておりますけれども、そのとおりですか。
  171. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 御指摘のとおりでございます。
  172. 石母田達

    石母田委員 これによりますと、三十五条の五ではこの救急の業務は政令で定める市町村が行うことになっているわけであります。そして、第二条の九項目において「救急業務とは、」こういうものだというふうに書いておりますけれども、消防法の目的から言っても、主としてこれは災害あるいは治安上の問題から出されておるわけですが、特にここで言う事故による傷病といいますか、それを運ぶことが法的に規定された主な仕事だ。しかし、現在においては、急病という人々も含めてこれをいま担当しているというのが実情でありますけれども、法的な内容から言うと、事故を中心とした傷病者の医療機関への搬送というものが主に中心だと思いますけれども、そのとおりでよろしゅうございますか。
  173. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 救急搬送業務を消防機関が行います当初の状況は、交通事故を主として事故による傷病者を搬送するという実態でございましたけれども、近代的な社会情勢の推移と、傷病者の先ほど申し上げました傷病別区分けの内容の変化に応じまして、消防機関としては相当サービスを先取するかっこうにはなっておりますけれども、事人命にかかわる事柄でございますので、積極的に搬送業務に取り組んでおるという実情でございます。
  174. 石母田達

    石母田委員 先ほどのデータから見ましても、急病がどんどん増加する、利用者の中にもサービスというようなことで非常に利用度が高くなる、この実情の中で今後その需要といいますかそれにこたえられるような体制が非常に困難になってくるという状況が予想されるのではないかと思います。そのときに、本来の業務、本来の任務というところから、そうした急病の患者の搬送というものについて制限なり規制なりあるいはそれにこたえられないことが多くなるという状況はないかどうか、これはどうでしょう。
  175. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 現状は、消防の救急体制の整備強化という面でそれをカバーし、できるだけそういうことのないように努力をしていくつもりでございます。
  176. 石母田達

    石母田委員 これは今後の問題としてぜひ検討していただきたいのですが、果たしてこのままの体制でやり切れるかどうかということは、地方の財政上の問題でもいろいろあると思います。  きょうは時間がございませんので、その点はぜひ検討していただくということにして、私どもも横浜の消防の方とよくお話するのですけれども、いろいろのこうした救急業務を行う上での問題点があると聞いておりますけれども、いま消防庁で考えられている主な問題点というものはどういうものであるかお聞かせ願いたいと思います。
  177. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 先ほども申し上げましたように、救急需要は非常に急増いたしておりますので、どうしても体制の整備を図る必要があるということが第一点でございます。そのために、従前標準団体で救急車一台でございましたけれども、二台というふうに増強いたしまして、交付税措置も講じつつ、そういう財政的な面からカバーしていくということでございます。  第二点は、搬送途上においてどうしても応急措置を講じなければならぬというケースも起こり得ますので、救急隊員の資質の向上を図るための教養訓練が必要であると思っております。  第三点は、医療機関との情報の交換と申しましょうか、医療機関の空床その他血の状況等について正しい情報をキャッチしながら能率のいい搬送体制ができるように努力をするという必要があろうかと存じます。
  178. 石母田達

    石母田委員 いま三つの点で問題点が挙げられたわけです。その中で第三番目に言われた点で、情報の正確な把握ということですけれども、結局搬送しても受け入れ先がない、行っても、その情報が不足していればたらい回しといいますか転送といいますか、横浜の例でも一番多いのは五軒回ったという実例も出ているわけです。これはもちろん根本的には緊急医療機関の絶対数が不足しているということが根本的な原因であると思いますが、いまその情報の問題で出されました。それから、その問題について東京都の消防庁ではかなりその情報の点で努力しているらしくて、独自の指令センターを持ち、また独自の情報センターを持って、そして特に医療機関との情報の把握が、私がいままで聞いた範囲内では、ほかのところよりも非常にすぐれておる。横浜などではまだそういうところまでいきませんで、情報は求めるけれども、必ずしも正確な情報が出されていない、したがって、この情報がきちんと集まるようなセンターがどうしてもいまやっているところで欲しいのだ、こういうことでございますけれども、この点について、これは厚生省も含めてお伺いしたいと思うのです。そういう点で、ぜひ正確な情報センターが確立できるように問題を解決していただきたい。この点は消防庁においてはもちろんのこと、厚生省においてもそうしてもらいたいと思いますが、この点どうでしょう。
  179. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 先生御指摘のとおり、非常に大事なことでございまして、厚生省ともよく御相談申し上げておりますが、大都市における救急指令装置を中心とするセンターの活用についてはまだまだ今後研究すべき点がございますので、厚生省ともどもこの点について善処してまいりたいと思っております。
  180. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題につきましては、厚生省といたしましても、東京都、大阪等の大都市の現状の問題はそれなりに一つの成果を上げていると思いますが、医療情報システムの開発の一環といたしまして、ただいま神奈川県の三浦半島地区、横須賀等を中心にしたシステムの開発実験をほほ終わりまして、これを現地で実験に移したいという段階に五十年は来ております。これは医療情報システムの開発の一環でございます。その成果を踏まえまして組織的に開発していきたい、こういうふうに考えております。
  181. 石母田達

    石母田委員 そのシステムについていろいろまた意見がありますけれども、これは後にしまして、次の問題点である搬送の途中においてやはり医療知識のある者がいないために非常にいろいろな問題が起こるということで、いま消防署としては独自にその教育とか知識を取得するための研修などで教育されているようですけれども、私は、厚生省として人命を預かるということから、この搬送の業務の中にどのような点でそれを補強し、指導し、援助していくか、どういうふうに考えているか、まず厚生省のお考えを聞きたいと思います。
  182. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 搬送車の医療に対する、どこまでタッチするか、あるいは搬送車にどの程度医療機械を装備するか、こういう問題がございます。外国などの例では、相当の訓練と身分、資格を与えて、ある程度医療行為ができるというような制度のあるところも聞いておりますが、わが国の現状では、消防庁が、恐らく五十年度からだと思いましたが、嘱託医を設けまして、その医師の判断により、指示によって搬送車がある程度の、酸素吸入等ができるというようなことの方向にお考えがあるようでございますし、この点につきましては救急車そのものを病院側に置いて、そしてその医療従事者がこれにタッチするという方向と、両面からのアプローチが考えられるわけでございますので、この点は東京女子医大が心臓病の救急車を置いてこれに対応しているという一つの例もございますので、これらの点も踏まえまして、確かに搬送途中の医療行為という問題が非常に救命のためには重要であるという認識を持っております。
  183. 石母田達

    石母田委員 そういう認識で、ぜひ具体的な処置を、消防庁ともその他相談の上とっていただきたいと思います。  私の聞いた範囲内では、先ほどの東京都の消防庁が実施していると聞いたのだけれども、実施かどうか知りませんけれども、救急車の中の救援隊と受け入れる病院との間に電話で、その受信装置が可能で、そしてその指示を受けてやっているという。これは医療知識者が同乗してなくてもそれと同様の効果を持つものじゃないか。こういう装置もいま備えつけられているのか、近いうちにつけられるという話ですので、これは非常に重要な一つの方向ではないかと私は思っております。こういうことを含めまして、ぜひ厚生省の方とも相談をして処置をとっていただきたい。  いまお話のありました救急の医療体制の受け入れ側の問題ですが、この点について実際に一線に当たっておられる方々から最大の難点として出されているわけです。  そこで私も、実は身内の話で恐縮なんですが、一番長兄が最近クモ膜下という病気になりまして、入院の問題でかなり、一週間以上てこずりました。そのことを通じてつくづくこの点を改めて痛感させられてきたわけです。特に脳血管疾患、心臓疾患の場合の内科系の急患という場合には、時間を争う問題になるわけです。こうした場合の救急医療体制の整備について、厚生省として特にいま考えておられること——特に救急医療体制から言いますと、二十四時間受け入れ体制のできるような、そうした機関というものがどうしても必要だというようなことが、これは現場からもまた私ども患者の方からも言われることなんですが、特にこういう点について考えておられることがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  184. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 従来の、先ほど来御論議の三十八年消防法の改正に基づきます救急体制は、主として災害あるいは交通災害を中心としたものでございまして、これに呼応いたしまして外科系の告示病院、診療所を設けてやってまいったのがいままでの体制でございます。しかしながら、内科系の疾患は国民死亡の六割近いものがいわゆる脳卒中と、それから——がんは急激なということはこざいませんが、心臓病でございまして、心臓病と脳卒中を合わせましても約三十万近くの死亡者になります。そういうような実態に対する対応策は必ずしも十分ではなく、休日夜間診療所を設けましても、それを受け入れる第二次的な病院の機能がまだ充実していない。まして、いま申し上げましたような内科系の急病患者のセンター的機能が充実していない。こういう一つの問題点がございますので、五十年度僻地医療対策の充実に対していろいろ御配慮いただきましたと同様に、五十一年度事業の重要な課題といたしまして、急病医療対策の充実ということを五十一年度予算の編成に当たりまして、ただいま検討いたしておるところでございます。
  185. 石母田達

    石母田委員 それは二十四時間受け入れ可能なものですか。その体制を整えている、あるいはそこに病人を収容できるという内容のものなんですか。
  186. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 従来の救急センターと、名称の上でもはっきりさせる必要があると思いまして、予算作業の上では救命センターとして、従来の救急という消防法的な用語のほかに、いわゆる内科疾患を考えまして救命センター、したがってこれは医師が少なくとも三人ぐらいが三交代ということで、二十四時間体制というものを当然考えなければなりませんし、それを受け入れたときのICU、CCUというような特殊な看護体制の機械、人員の整備もいたさなければなりませんので、予算の上では、相当の体制の充実のための予算を必要とするわけでございますが、ぜひともこの問題については対応しなければならないと考えておる次第でございます。
  187. 石母田達

    石母田委員 最後に大臣にお伺いしたいと思います。  いま、先ほどから申し上げましたように救急医療体制の整備を非常に急がなければならぬということで、脳血管疾患や心疾患の問題についていまお伺いしましたが、いまのような暫定的な処置と同時に、根本的にはやはり、休日夜間診療所を、いまやっているものをどんどんふやしていくとか、あるいはまた救急医療の指定の病院をふやしていくということでそうした救急医療の全体の受け入れ体制の整備を緊急に図ることがやはり一番の基本的な解決だ、そういう中で、いま言ったような処置がなお一層有効なものになるだろうというふうに考えております。この点での国の整備促進について、大臣のお答えを最後にお伺いしたいと思います。
  188. 田中正巳

    田中国務大臣 休日夜間並びに救急医療、これは性質はちょっと違いますが、いずれにいたしましても、私、大臣就任直後にいろいろ所管事項の説明を受けました。この辺についてはいまだしのものがある、改善をいたさなければならないと当時考えておりましたが、私就任直後にもうすでに予算編成になりましたので、今後の重要な課題としてこれの解決に邁進をいたさなければならぬものと思っておりまして、具体的にいま医務局長から申したことについては、予算要求を編成の過程において積極的な立場でもっていろいろと予算要求の策定に邁進をいたしたい、かように思っております。
  189. 石母田達

    石母田委員 質問を終わります。
  190. 大野明

  191. 村山富市

    村山(富)委員 本会議の時間が大分延びまして、時間も下がっておりますから、端的にお尋ねをいたしますから、要領よく、端的にお答えをいただきたいと思うのです。  まず第一に、きょう午前中、歯科医療問題について、それぞれの参考人の方に御出席をいただいて意見を承りました。いろいろ質疑もあったようでありますから、重複する面は省きたいと思いますが、この点ひとつ大臣にお尋ねしたいのですけれども、保険制度についていろいろ問題が出ていますね。こういう大きな問題をここで議論しようとは思いませんけれども、その中で歯科医療問題について一、二点お尋ねしたいと思うのだけれども、これは私が三月の予算委員会で質問申し上げたときに、大臣の答弁の中に、技術の進歩に対応して保険診療の範囲を拡大したい、こういう御答弁がございました。この技術の進歩に対応して保険診療の範囲を拡大していく、こういう意思についてはいまもお変わりはないかどうか。同時に、次の診療報酬の改定等の時期にそういう点が検討され考慮されるかどうかということについてお尋ねします。
  192. 田中正巳

    田中国務大臣 ただいま先生、歯科の問題についてお話がございましたが、私、一般を含めまして、やはり社会保険診療といたしましても医学、医術の進歩に対応した給付ができるようにいたさなければならぬものというふうに思っております。
  193. 村山富市

    村山(富)委員 次の診療報酬の改定時期あたりにそういう点が検討されて考慮されるかどうか。
  194. 田中正巳

    田中国務大臣 もちろんそうした面での中医協におけるいろいろな御論議があるものというふうに思っております。ただ、中医協に対してわれわれがどういうふうに働きかけるかということについては、従前建議方式とか諮問方式とかいろいろありますので、ここであれこれ私どもの立場をいま申し上げるのはちょっと早いのじゃないか、こう思います。
  195. 村山富市

    村山(富)委員 次に、これはきょう午前中の各参考人の御意見の中にも、いまの医療の混乱は国の低医療政策にあるということが強調されました。これは平たく言えばいまの診療報酬だけでは経営が苦しいというところに問題があるのだと思うのです。したがって、言われるようにいまの診療報酬では大変問題がある、低医療だというふうに厚生省はお考えになっておるかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、差額徴収についてもいろいろ見解が違うと思うのですね。私どもが正当——正当かとうかわかりませんけれども、通常解釈をする場合には、たとえば通常必要な診療については保険でできます、こう国は言っておるわけです。したがって、通常必要とする以上の希望があった場合には差額を取ってもやむを得ないのではないか、こういう解釈をしておるのですけれども、そこらの解釈は若干混乱をしておって、自由診療の範囲が拡大されていって、通常必要とする範囲の中に差額徴収が食い込んできておる、こういうふうに言われる向きもあるのではないかと思うのです。したがって、差額徴収の範囲というものについてもっと明確にしてもらいたいと思うのですが、その二点についてお答え願います。
  196. 北川力夫

    ○北川政府委員 差額徴収の範囲が明確でないということはないと思うのでございますけれども、ただいままで一般に必ずしもそういう問題が十分に周知されなかったという点は確かにあったと思います。そういう意味合いで、昨年来御承知のとおりわれわれといたしましても行政努力として、現在のルールとして差額徴収というものはどういう部分について認められておるか、それ以外のものについてはどういうような合意と了解と手続を踏んでやるべきかというようなPRについて、大いに努めておるところでございます。したがって、私どもは差額徴収についてなお不十分な点があれば、今後も引き続いてそういう現行ルールの周知徹底に努めたいと思っております。  それからもう一点は低医療費という問題でございますけれども、診療報酬も逐年改定をいたしておりまして、少なくともそのときどきの医学、医術の進歩に対応した分、あるいは経済、社会変動に対応した分について、手直しをしているつもりでございます。しかしながら、いま申し上げましたようなファクターは非常に変動の多いものでございますから、速やかに対応していくという方針でもってやっておるわけでございますので、私ども一概に低医療費というふうには考えておりません。
  197. 村山富市

    村山(富)委員 端的にお尋ねしますが、差額を認めた根拠は、先ほど私が申し上げましたように、通常必要とする範囲は保険診療でできます、それ以上、言葉は悪いのですけれども、仮に患者の方がぜいたくな希望をするというものについては差額を取ってもよろしい、その差額の徴収については、あくまでも話し合いで、合意でやらないと誤解を受けますよ、こういうふうに解釈をしていいのかどうかということです。
  198. 北川力夫

    ○北川政府委員 おっしゃるとおりでございまして、差額というものを取るゆえんのものは、結局通常必要とされている医療、そういうものが給付されますけれども、それ以上の水準のものを希望する人たちがいる。そういう場合には、これは一概に退けるべきものではないということでございまして、そういう意味合いで現在の差額制度があると思います。
  199. 村山富市

    村山(富)委員 そういう点が大変実情としては混乱をしておる。ですから、私はやっぱりそういう点はもっと一般にわかりやすく明確に出す必要があるのではないか。そうでないと、必要以上に誤解を生んで、そして混乱をしているという面もあると思いますから、そういう点はそういうふうにやってもらいたいと思うのです。  そこで、その問題と関連をして、午前中の伊吹さんの御意見の中にもございましたけれども、金合金の扱いについて、歯科医師が自家製でこしらえて、そしてそれを患者に使って、そしてこれは差額をいただきますといって取っているものがある。あるいは輸入した舶来品もある。患者から見た場合には、これは保険診療で使えるものとちっとも変わらないというふうに思われるものもある。そういうものについては全然わからないわけですね。したがって、やはり先ほどと同じように、もっとわかるように、一定の基準を示す必要があるのではないか。これは何か話を聞きますと、中医協の席上で厚生省の技官が五八・三三%以上でないと金合金と言えない、こういう意見があったそうですけれども、しかし、そこらの解釈については、ある意味ではまちまちではないかと思うのです。そこで、府県段階になりますと、いろいろ問い合わせがあったって、これは指導ができぬわけですよ。ですから、そういう点についても、もっと明確に指導要項か何かを出して一般にわかるように徹底する必要があるのではないかと思いますが、その点どうですか。
  200. 北川力夫

    ○北川政府委員 これは午前中にもお話がありましたように、また、いまのお話のとおり、現在の保険で認められている十四カラットの金合金の金の含有量は五八・三三%ということであります。したがって、金合金として差額を認めたものはこのレベル以上のものでありますから、少なくとも十四カラット以上のものであって、通常十八から二十二カラット程度のものが差額の場合の金合金の基準である、こういうふうなことで現在も指導をいたしておりますし、私どもはそういうことで大体この問題は一般に知られていると思っているわけでございますが、ただ、いま先生がお話しのとおり、こういうようなことについてなお不徹底な面がございますれば、十分に徹底をするように、いろいろな機会を利用して指導を図ってまいりたいと思います。
  201. 村山富市

    村山(富)委員 現実問題として、やっぱりなかなかむずかしい問題があると思うのですね。あると思うけれども、少しでもそういう混乱をなくしていくためには、そういうものがあればやっぱり徹底させて、そして医師も患者もよく理解ができて、余りトラブルが起こらないようなことが必要であるとするならば、私はやっぱりきちっとすべきだと思うのです。これは府県段階では大変困っておるようですから、そういう点は明確にしてもらいたい。五八・三三%というのは厚生省の公式の見解として受け取っていいですね。——はい。  そこで、次にお尋ねしたいのは、私どもよく耳にするわけでありますけれども、歯科医師会の中に補綴についてはもう保険の中から外すべきではないか、こういう意見がある。よく聞きますと、大体歯科医師会代表の中で七〇%ぐらいがそれに賛成している、こういうお話も聞くわけですし、午前中も何かそういう意味の御質問があったそうでありますけれども、これは保険局長からは反対であるという御答弁があったらしいのですが、一つ聞きたいのは、こういう補綴を外すべきではないかという意見がどういう理由と背景から出てくるのかというふうに思われますかということが一つと、それから大臣に、そういうことは絶対認めないというふうに言えるかどうか、もう一遍確認したいと思うのです。
  202. 北川力夫

    ○北川政府委員 補綴が歯科医療の中できわめて重要な部分であって、保険診療で給付をやっております以上、皆保険であります以上、こういうものを保険診療から除外するということが適当でないということは、午前中に申し上げたとおりでございます。いまお話しのとおり、一部にそういった意見があるようでございますけれども、外国の例では補綴は給付をしないというふうな例もございますから、あるいはそういうようなことにならって、いま言われたような御意見があろうかと思います。しかし、私どもといたしましては、こういう重要なものを保険診療のらち外に置くというふうなことは現在の段階において考えられないというのがわれわれの考えでございます。
  203. 村山富市

    村山(富)委員 大臣いいですか。
  204. 田中正巳

    田中国務大臣 基本的にはただいま保険局長の申したとおりでございます。つまり補綴というのは歯の機能回復にとってこれぐらい大事なことはございません。したがいまして、普通の場合これを保険給付の外にいたすということは、私はよろしくない、かように思っております。
  205. 村山富市

    村山(富)委員 これは冒頭に御質問申し上げましたように、むしろ保険診療の範囲を拡大するということが厚生省の方針であって、自由診療の範囲を拡大するということは方針にもないでしょうから、その点ははっきり確認をしておきたいと思うのです。  そこで、その次に移りますが、これは私は、やはりいまの医療というものは、一般医療歯科医療も同じですけれども、いろんなセクションがそれぞれチームワークをとって組織医療体制をつくっていくということが、医療を近代化し、本当に国民のためにいい医療をつくっていくということになると思うのです。そういう意味で、技工士等につきましても、これは歯科医師に付属しておるものだという理解ではなくて、一つのやはり職業として社会的に認めていく、こういう制度をつくって、そして歯科医師も、あるいは衛生検査技師も、それぞれのセクションを守ってチームワークをとってやっていくというところに、医療がりっぱに完成していく道筋があると私は思うのです。  そういう意味で、技工士養成の大学をつくれ、こういう声もあると思うのです。ただ、これは歯科医師会の方が若干、歯科医師会の分野を荒されるのではないかというふうなことで警戒する向きもあるのではないかと思うのですが、しかしきょうの午前中の歯科医師会の代表の方の御意見を聞きましても、そういうことでなければ別に反対する理由はありませんという、こういう御発言のようなことがあったと聞いておりますけれども、厚生省としては、この技工士等の養成について大学をつくっていく、あるいはいまの医科大学の中に設けていくという、これは文部省の所管でもありますから管轄は違いますけれども、そういう前向きの方向で努力をしていく意思があるかどうかお尋ねします。
  206. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 歯科技工士の大学設置の問題でございますが、基本的に教育自体が高まることは決して反対するものではございません。ただ、現実には高校卒二年の課程を設けまして、特に昨年の十二月にそのカリキュラムの内容等も改定いたしまして、現実の姿では努力いたしておるわけでございまして、ただ、大学設置の問題は、文部省の問題であると同時に、設置の基準というようなものを設けることが必要でございまして、ようやく医療術者の中では、医師、歯科医師以外では看護婦の大学設置の基準が固まりまして、本年度から、つい近く、千葉大学看護学部が発足する、あるいは看護婦には短大がすでにあるということでございます。当面の各種大学等において技術短期大学の設置が進められているわけでございますが、特に歯科大学等における歯科技工士養成には文部省の看護婦における医療技術短大設置と同様の考え方は、恐らく将来の構想としてはお持ちであろうと思うし、われわれもそれは期待してよかろうと思うのでございます。  ただ、先ほど来の論議の中に、歯科技工士医療の許される範囲とこのような大学レベルに持っていけということとが何か一つの不安に結びついて、医師に近づくのだというようなことがございますことは、これは必ずしも私は——教育のレベルを高めることと業務範囲を拡大することとを一緒に論ずるとなると、これは大変な論議を呼ぶ問題でございまして、やはり現実の医療の技術者としてのパートナーとして素養を高め、技術を高めていく範囲で大学設置の問題は検討すべきであるというふうに私は思っております。
  207. 村山富市

    村山(富)委員 ぜひひとつ前向きで、積極的に文部省あたりとも接触をして検討していただくことを希望しておきます。  それからこれまた午前中若干問題になって、歯科医師とあるいは技工士会との見解が若干違うと思うのですが、たとえば技術料が点数の中に七百点ある。その七百点の技術料というのは技工料であるかどうか。技工料であるとするならば当然それは技工士に払うべきものである。ところが、そうでなくて、いまは七百点の中で七〇%くらいしかもらってない、あるいは六〇%しかもらってない。県によりますと、私が調べた範囲では四県くらいあるのですけれども、歯科医師会技工士会が協定を結んで、仮に六〇%とかあるいは五五%とかいうような協定を結んで払わせているところもあるわけですよ。これは私は全国的にばらばらだと思うのですね。そういうところにも問題があると思いますけれども、まず見解を統一しておく必要があると思うのですが、その技術料が七百点というのは、言われるように技工料を指しておるのか、あるいはそうではないのか、その点についての厚生省の見解を聞いておきたいと思うのです。
  208. 北川力夫

    ○北川政府委員 これは午前中にもお答え申し上げたところでございますけれども、現在の診療報酬の仕組みは、歯科医師の場合においても歯科医師がすべての診療をやるということを前提にして決められておるものでございます。したがいまして、私どもが歯科診療報酬を決めます場合には、一つには中医協で実態調査をやっておりますから、その実態調査の結果をいろいろ勘案をしてどう決めるかということ、それからまた改定の際にその都度日本医師会、日本歯科医師会から改定に当たっての意見が出てまいります。その中には当然その技工料の引き上げということもあるわけでございます。そういったことを総合勘案をいたしまして点数を決めるわけでございます。したがって、実態関係は歯科医師の方が全部やっているわけではなくて、全部委託している場合もあれば、一部委託している場合もあれば、あるいはまた歯科医師みずからがやっていらっしゃる場合もあるわけでございますけれども、そういうものの全部の場合に通用するような仕組みで現在の点数表は構成をされております。  したがって、技術料幾らという中で一般的に何%がその技工料であるということは私は一概に必ずしも言えないと思うのでございますけれども、少なくとも全体どういう態様で歯科技工というものを処理するにしても、それが賄えるだけの点数設定というものを、先ほど申し上げましたいろいろな調査意見等を参酌をして決めているわけでございますから、いま例に出ました各県によって協定をしているという話もございます。私も聞いておりますが、その限りにおいて技工料が賄えない、そういうことはないように診療報酬改定の都度十分適切な配慮をしてまいったつもりでございます。この問題はそういうことと同時に、やはり歯科医師会技工士会、さらに個別的には個々の歯科医師方々歯科技工士方々との間の関係でもございますから、その辺は点数の設定については十分配慮をいたしておりますから、その中身についてはその辺の両者の関係がうまくいって適切な配分を行えるというふうにわれわれは期待をしているような実情なんであります。
  209. 村山富市

    村山(富)委員 この診療報酬というのが、たとえば歯科の場合に、歯科医の診療行為に対してたとえば入れ歯をしたという場合に、その診療について大体どの程度の経費がかかるだろうし、どの程度の報酬目標にする必要がある、そのためには総枠を決めて、そしてこれは何点、これは何点と配分していく、こういうふうに決められているのではないかという考え方もありますね。そこで、この技術料の七百点が全部技工料だというふうにはなかなか言えない向きもあるのではないかと思うのです。ただ、私は、その診療報酬というものがやはり中医協で決められる。そして保険制度のもとにおいてある意味からしますと公定価格になっているわけですね。そういうものが、各県の歯科医師によってあるいは歯科医師会によってその地の技工士会と協定を結んでどこの県は五五%、どこの県は七〇%というようなことがあることについては、言えば、やはり全体の診療報酬の体系を壊すことになるのではないか。ですから、そういう意味からしますと、こういうものについてはもっと明確に位置づけてもいいのではないか。これは歯科医師がやろうと、技工士さんがやろうと、これはもう明らかに同じ作業をするわけですから、したがってこれは何点と見る、こういうふうに決めれば、そんなトラブルが起こらなくて明確になるのではないか。ですから、これはあくまでも技工料として点数に表示していく、こういうことの方がいいのではないかというふうに思いますが、その点はどうですか。
  210. 北川力夫

    ○北川政府委員 いろいろ問題はあると思うのですけれども、おっしゃるとおり確かに診療報酬を改定いたします際に全体の総枠というものがあって、その枠をどういった診療行為にどのように重点的に配分をするか、あるいはまた配分することによってどのようなバランスをとるかという問題が根っこにあるわけでございます。しかしいま言われましたような技工料だけを分離して点数化するということにつきましてはいろいろむずかしい問題があると思うのです。  まずこの歯科医療の領域におきましても、先ほども申し上げましたが、技工を委託する形態がかなり区々にわたっておりますので、そういう問題について一概に一つのパーセンテージでもって幾ら幾らが技工料である、こういうようないわば行政指導と申しますか、そういうことのできにくい面がございます。  それから歯科、医科を通じて医科の面にも問題があるわけでございまして、たとえば御承知のとおり検査なら検査というものがあって、その検査を医者みずからやる場合と委託に出す場合があるわけでございます。そういったものもありますから、そういうことになりますと、じゃ検査の場合にも検査の分については何か分離をするかというような問題もございまして、それ以外にも医療のいろいろな進歩によってリースのようなものもあるわけでございますね。ですから、そういったものを全体に考えますと、現在の診療報酬の中を分けてこれはたとえば技工料なら技工料何点、こうすることについては、全体の体系を考えますと、私はなかなか現在の段階ではそれが適当であるかどうかについて非常に問題があると思うのです。さればといって何%が技工料である、そういう画一的な指導をすることもこれまた余りにも形式的な問題ではなかろうかと思いますので、われわれの方はやはり現行の診療報酬の仕組みの中で技工料が適切に配分をされるような総体として最も適正な評価というものを絶えず改定の際にやっていく、これに十分留意していく、これが現在の一番必要なことではないかと思っております。
  211. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、いまの技術料七百点というのは、その技術料の範囲というのはどの範囲を言うわけですか。
  212. 稲葉利正

    稲葉説明員 たとえば義歯の場合を取り上げてみますと、義歯をつくる際には診断を行う。それから型をとる。それからかみ合わせなどを見る。そういう形で仮の模型ができ上がる。それを口の中に合わせていく。その結果義歯ができ上がる。そのでき上がった義歯を最終的に装着をする。そのでき上がった義歯のところが七百点ということでございます。だから歯科医師のチェアーサイドの技術料としては、診断をするとか、型をとる、合わせる、装着をするというのは個別に技術料がつくられております。それで義歯をつくるというところは歯科医師が義歯をつくるということで評価をいたしております。
  213. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、歯科医師がつくろうと技工士さんがつくろうと、その義歯をつくるということについては同じですね。そうでしょう。歯科医師がつくるから点数が高い、技工士さんがつくるから点数が低いということではないでしょう。言うならば、この技術料七百点というのは、型をとったり、かみ合わしてみたり、できたものを口に入れてみたりするようなものはまた別に点数があるわけでしょう。ですから、この七百点というのは義歯だけで七百点見ているわけですね。いまお話があったように、これは歯科医師がつくるということを前提にして七百点にしてある、こういう説明でしたね。これは歯科医師がつくる場合もあれば技工士さんがつくる場合もあるわけです。そうしますと、やはり技工料が七百点ではないかというふうに解釈されるのですが、これはどうでしょうか。
  214. 稲葉利正

    稲葉説明員 それを技工料というふうに考えるか。歯科医師の教養というのですか、あるいは技術の習得の度合い、そういうものに応じてつくった義歯ということでその技術料を評価しておる、それを技工料というふうに言えるかどうかということにつきましては、ストレートに、なかなかむずかしい点があると思います。
  215. 村山富市

    村山(富)委員 技工料と言おうと義歯料と言おうと、歯科医師が義歯をつくるということを前提にして技術料七百点、こういうようにしてあります、こういうことでしょう。それは歯科医師がつくろうと技工士さんがつくろうと義歯は同じでしょう。技術が違いますか。歯科医師さんがつくるやつはりっぱで技工士さんがつくるやつは余りりっぱでない、だからそれは一概に言えない、あなたの言うことを聞いていますとこういうふうに受け取れるわけですよ。歯科医師がつくることを前提にして義歯料を七百点見ている、こういうわけでしょう。しかし現実には歯科医師がみずからつくる場合は余りないと思うのだけれども、技工士さんが受けてつくる場合もあるし、いろいろあるでしょう。同じじゃないですか、それは。
  216. 稲葉利正

    稲葉説明員 ただ違いますところは、歯科医師が診断設計をした設計書、建築で申しますと設計書みたいなものに基づいて、つくる作業を技工士が担当するという部面が技工料であろうと思います。
  217. 村山富市

    村山(富)委員 設計料は設計料で見ているわけでしょう。
  218. 稲葉利正

    稲葉説明員 いや診断料です。
  219. 村山富市

    村山(富)委員 表現が違うのは、あなたが設計と言ったから私も設計という言葉を使ったのだけれども、そうするとそれぞれ点数があるわけでしょうが。
  220. 稲葉利正

    稲葉説明員 現行の技工法としては、その指示に基づいてつくる仕組みに法律上はなっているわけです。技工士が勝手につくるわけにはいかない仕組みになっているわけです。
  221. 村山富市

    村山(富)委員 それは技工士は勝手にはつくれぬ。
  222. 稲葉利正

    稲葉説明員 だから一つの診断に基づいて、設計書に基づいて、その指示どおりつくるという仕組みになっております。
  223. 村山富市

    村山(富)委員 指示どおりそれはつくらなければ——ですからチームワークとさっき言ったのですよ。ですからあなたの言葉をかりれば、設計は歯科医がやる、その設計に基づいて義歯をつくることを技工士さんがやる。この義歯をつくることについて、歯科医師さんがつくろうと技工士さんがつくろうと同じじゃないですか、これが七百点でしょうがと聞いているわけですよ。あなたの説明を聞いたらそのとおりじゃないか。
  224. 稲葉利正

    稲葉説明員 何回も同じことを申し上げてあれでございますけれども、歯科医師の責任においてつくるというところが現行法上のたてまえ、保険のルールから言って違うということを申し上げておるつもりであります。
  225. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると責任料が幾らか入っているということになるわけですか。私は、やはりそういう点はもう少し解釈をきちっとした方がいいんじゃないかと思うのです。そうでないといろいろ混乱が起こるわけですよ。いまあなたの答弁を聞いておりましても、ちょっと理解ができぬところがありますよ。ですから極端に言いますと、下請だからピンはねをするということになりかねないわけです。現状は大体そういう仕組みになっておる。そこで解釈をめぐっていろいろトラブルが起こるし、高いとか安いとかいうトラブルが起こるわけですよ。だからそういう点はもう少し解釈を明確にして、たとえば型をとったり診察をしたりするものは別に点数をとっているわけですから、技術料七百点というのは義歯をつくるだけが七百点ということになっているわけですから、これは医師がつくろうと技工士さんがその指示に従ってつくろうと同じじゃないかということになるわけですから、そこらの点は若干解釈を明確にしておいてもらいたいと思うのです。  いまあなたの答弁を聞きましても、気持ちとしてはわかりますよ。だが、そんなものじゃありませんからね。私はそこらはもっと明確にしてもらわなければならぬと思うのです。大臣どう思いますか、いまの質疑を聞いていまして。
  226. 田中正巳

    田中国務大臣 私両方の気持ちがよくわかるような気がするわけであります。しかしこの技工というものをどう考えるかということだろうと思います。当該歯科医師のところへ来ている患者さんであります。歯科医師は責任を持ってすべての治療をしなければならぬ責任を持っているということでありますし、これがいろいろな問題が起こるということになれば歯科医師の責任であります。その技工部門というものを技工士が担当するということでありまして、言うなれば実体的な行為を言うというわけでございますので、そこにはやはり歴史の流れの中にいろいろな問題があることは私もよく知っておりますが、なお一遍にいまの技工料がすべて技工士のものであるということにはなかなか私は議論が定着をしないものでなかろうかと思いますが、これらについては今後一つのまた検討、話し合いの問題となってくることだろうと私は予想をしております。
  227. 村山富市

    村山(富)委員 予想をしておるというんじゃ困るんでね。これはやはり、なんですよ、それは医師が責任持って全部をやっておるわけですから、しかしそれぞれの分野で点数があって診療報酬というのはできているわけですから、その技術料だけに責任料が入っているなんということにはならぬと思いますよ、私は。ですから私は、そういう意味で技工士会がいろいろ言っていることについてもわからぬことはないと思うのですよ。しかも各県それぞればらばらといったようなことも診療報酬全体の体系からいいますとおかしいと思うのです。そういう問題もありますから、そういう点はひとつ十分検討して、できるだけトラブルが起こらないように、やはりそれぞれのものが正当にその報酬が保障されるというような仕組みになるようにすることが診療報酬を正しく位置づける前提だと思いますから、そういう点は今後ひとつ十分検討してもらいたいと思うのです。  それから、もう時間も迫りましたから最後にお尋ねしますが、さっき私が申し上げましたように、医療というものはこれは歯科医療、一般医療も問わず、できるだけやはりチームワークをとって、組織医療に仕立てていくということが私は医療のためにはいいんではないかというふうに思っていますが、そういう意味で技工士会やらあるいは検査技師会やら、いろんな医療を担当している技術者がありますね。そういう各部門の技術者意見が反映される場というのが余りないのですね。ないのです。たとえば中医協だって、これは医師会代表と歯科医師会代表が入っているだけで、その他の医療担当者の意見の反映される場というのはないわけです。ですからそういう意味で最近いろいろなセクションの医療術者が一堂に会して、そして日本医療術者団体連絡協議会といったようなものもつくっておるようでありますね。こういう団体が正常にやはりその意見を行政に反映していく。そして国の政策も前進をしていくし、同時にこういう方々の身分もあるいは報酬も社会的に保障されて、りっぱな職業としてやはり位置づけられていく、こういうことが必要だと思うのです。そういう意味でこういう団体が生まれてくると思うのですが、こういう団体が生まれてきている状況に対応する厚生省の考え方というものを聞いておきたいと思うのです。
  228. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 われわれも、九団体だと思いましたが、このような団体がお集まりになって今後いろいろ医療の向上のために努力される方向であることを承知いたしております。  ただ若干行政的に申しますと、それぞれの団体がそれぞれ恐らく公益法人としての法人の性格をお持ちだと思うのでございまして、したがいまして、それぞれがその公益的な法人としての事業というものを踏まえながら、共通した問題点について、意見の対立ということでなく、調和を図った方向で協調しつつ御努力願うという団体としての向かわれる方向というものを期待いたしますし、またそういう方向が望ましいと思うのでございます。  現実の問題としては、たとえば看護婦さんの処遇を改善しますと、やあおれたちも同じ関係ではないか、その処遇を改善しろ、これは非常にごもっともでございますから、われわれは人事院に、看護婦も当然改善しなければならぬが、医療術者も待遇改善はしていただきたい、これは申し入れるつもりでございます。  したがいまして、そのような共通した部面も、全般的にはそういう方向でいいと思いますけれども、場合によっては業種の関係で団体が本来の公益法人的な性格を逸脱して、場合によってはそれがかえって調和を乱すようなことがあってはならないと思うのでございまして、結論としてはそれぞれの職分に応じて互いに連携した形でこのような団体が健全に育成されていくことを期待いたし、また行政的にも御相談あるいは話し合って、その方向で進みたいというふうに思っております。
  229. 村山富市

    村山(富)委員 いま中医協は医師会やら歯科医師会が辞表を出して出席しませんから開かれておらぬわけですけれども、やがて大臣の努力もあって、いつかは中医協は再開されるというふうに期待していますが、ただ、さっきから何回も申し上げておりますように、中医協の中にたとえば歯科部会かある。その歯科部会の中あたりに——中医協の委員に加えるということについてはいろいろ抵抗もあるし問題もあるでしょうから、その歯科部会の中にやはり技工士会やなんかの意見が反映されたりあるいは衛生検査技師あたりの意見が反映されたりなにかするような仕組みというものが考えられないのかどうかということですね。どうですか。
  230. 北川力夫

    ○北川政府委員 歯科専門部会が設置されましたのはたしか昨年の終わりでございまして、それから二回この歯科部会を開催をいたしました。この部会ができたゆえんのものは、いわゆる歯科診療差額問題についての総合的な意見を中医協に諮問をいたしましたのでできたわけでございます。これをこなすためにまずそういう部会をつくられた。  で、いまのお話のような問題点は、まだわずか二回しか審議が行われておりませんので、今後どのような手順を踏んで審議が行われるかわかりませんけれども、中医協が再開されますれば当然歯科部会も動いてまいるわけでございますから、今後その歯科部会の運営の中でどういうような話し合いとどのような段階でどのような方々がどういう形でどんなような意見を反映されるか、今後の歯科部会の運営のあり方、方向、そういうものを見守ってまいりたいと思っております。第一義的にはその歯科部会の中での一つの問題処理の方向の中での問題、こういうことで考えてみたいと思っております。
  231. 村山富市

    村山(富)委員 きょう午前中参考人の方に御出席いただいていろいろ御意見を聞きましたね。そうするとそれぞれ、仮にきょうは歯科医療だけですけれども、そのいろいろな立場からする意見があるわけですよ。そういう意見がやはり率直に反映されて、そして物事はつくられていくということの方がいいのではないか。それぞれ利害関係が違うかもしれませんよ。しかし違う者がそれぞれの立場でやはり意見を出し合って、そしていいものをつくっていく、こういう努力を行政的にするのは当然ではないかと私は思うのですね。  そこで、いまここですぐどうのこうのという回答はできぬと思いますけれども、ただそういうものはやはり十分前提に置いて、そして部会あたりもより多くの立場からする意見が反映されて、そして少しでも前進する医療体系ができるということになるように、こういう部会等についてはそれぞれのセクションの代表を加えて意見を聞く、こういうことも必要だと思いますから、そういう点はひとつ今後十分検討してもらいたいと思うのです。どうですか。
  232. 田中正巳

    田中国務大臣 いろいろな御意見をいろいろな場において聞き、またいろいろな治療にも参考にするということは、私は決して悪いことだと思いません。ただ日本の医療法制上やはり診療の主体、そしてまた、そういう言葉を使っていいかどうか知りませんが、経営の主体はあくまでも医師、歯科医師だというふうになっているものと私は現行医療法制というものを読んでおるわけであります。  さすれば、そうした中にあって、いまおっしゃるようないろいろな方々、職種、これは医療法制上はやはり医師、歯科医師の補助的機能を持っておる者というふうに理解するのが現行法制では、私は仕組みが成り立っているもの、これがいいか悪いかはいろいろまた議論の余地があろうと思いますが、現行はそのようであります。  こういうところからやはり中医協のあり方等々も考えていかなければならぬというふうに私は思うわけでございまして、かようなわけで、私どもは今日までそういう仕組みをとってきているわけでございますが、しかしそうは申すものの、医療はやはりこうしたいろんな職種の方々が、医療が高度化してまいるに従いましていろいろなパラメディカルという言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、そうした方々の協力がなければやっていけないということでありますので、そうした方々の十分な協力体制なり意見の聴取あるいはくみ上げといったようなことは、やはり医療行政の中では考えていかなければならぬ問題であろうというふうに思っております。
  233. 村山富市

    村山(富)委員 これはもう時間がないから大変残念ですけれども、いま大臣が言われたように、現行法体系は医療についてはやはり医師、歯科医師、あとの部門は補助的な部門、こういう体系になっておる。したがって医療にいろんな問題が起こってきている。そこでやはりこういう医療体系を改編して、そしてそれぞれ組織医療につくりかえていこうという方針でいまやっているのじゃないんですか。そうでなければ、看護大学なんかつくって、そして看護婦さんも四年制の大学を卒業して医師と同学位にするというようなことは必要ないことですよ。そうでなくて、やはり医師と看護婦とあるいは薬剤師と、いろいろな医療従事者がそれぞれのセクションで専門的に教養を高めて、技術も高めて、そしてお互いにチームワークをとって全体的な医療を担っていく、こういう体系にやっていこうではないかというのがこれからの前向きな医療に対する考え方じゃないのですか。ですから私は、本当に中医協あたりがこんなに混乱するのもいろいろな要因はあると思うけれども、しかし日本医師会なら日本医師会が大変、何といいますか、悪口を言えば余りにも横暴であると、こういう批判もありますよ、率直に。それに対して医療は医師会が握っている、だからこれといちゃもんがあったんじゃ医療行政うまくいかぬというので、厚生省も遠慮してなかなか物が言えぬというようなかっこうになっているふうに見られている向きも確かにあるのですよ。ですから私は、大臣がもしそういう考え方でいまの日本の医療というものを考えておるとすれば大変問題がある。これはまた議論のあるところですから、またいずれ別の場でやりたいと思いますけれども、しかしいま大臣が答弁をされた範囲ではやはり問題があるということだけ申し上げておきます。  そこで、そういうこととは別に、医療全体に従事しているそれぞれの職種があるわけですから、そういう職種の方々の貴重な意見もあるわけですよ。少なくとも医療はいまこれだけ混乱している、この混乱した医療を本当に国民医療として立て直すためにはこうしたらどうか、こういう意見を持っておる、いろいろな意見があると思うのですよ。そういう意見をできるだけ吸収していく、聞いていくということが必要ですから、そういう意味で行政に反映できるような場をどんどんつくっていくということが必要ではないか。きょうは歯科医師会だけの問題を取り上げましたけれども、歯科医師会だけの意見ではなくて、やはり技工士会あたりの意見も十分聞き入れる、そうして全体としてうまくいくように行政でやっていく、当然のことじゃないかというように私は言っているだけですよ。
  234. 田中正巳

    田中国務大臣 現行法制の仕組みを私は申し述べたわけであります。したがって、わざわざ私は、それがいいか悪いかはいろいろ議論のあるところですと、こう申し上げているわけでございますし、またこうしたパラメディカルの方々の御協力がなければ近代的な医療はやっていけない、したがってまた十分なコオペレーションというものも必要であろう、それからまたこういう人々の意見というものもくみ取って、医療行政の推進に邁進しなければならぬ。  後段の問題については、私は先生と私と意見は余り違わないというふうに思います。
  235. 村山富市

    村山(富)委員 いろいろ申し上げましたけれども、きょうここですぐ結論が出るとかなんとかいう問題でもない点もたくさんありますから、いままで申し上げました意見はひとつ十分御検討いただいて、いまの医療の混乱が少しでもやはり是正されていくような方向で一層の御努力を心から御期待申し上げて、終わります。
  236. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 次回は来る七月一日火曜日午前十時理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会