○小泉
委員 私自身もできることなら、この個人
献金により全部賄えるなら、それが望ましいと思います。しかしながら行き過ぎがあった。確かにいままでの
企業献金には行き過ぎがあったと思います。行き過ぎがあったからもう
企業献金は悪である、これはかえって逆の方の行き過ぎであると思うのであります。やはり本来なら、
政治資金規正法にしても
公職選挙法にしても、私は
法律がない方がいいと思います。なくて公正な
選挙が行われる、これがやはり一番いいのでありますけれ
ども、やむを得なく
法律をつくらざるを得ない。できることなら
法律が少なければ少ないほど、その社会というものはより安定していい社会だと思う。あんまり
法律が多いというのはよくないことだと思います。
そういう問題から、この
政治資金規正法にしても
公職選挙法にしてもいろいろ問題点があると思うのでありますが、その
法律でどうしても
規制せざるを得ない、この
法律の網の目をくぐるとか、あるいは余りにも社会の常識を逸脱して行き過ぎがある、そこでやむを得なく
禁止しなければいけないというのが今回の
政治資金規正法であり、また
公職選挙法である。本来なら、私は、余りあれをやるな、これをやるなという、そういう余りにも国なり
政府が干渉するような
法律は望ましくないというのが私の立場でありますけれ
ども、やはり行き過ぎがあった、これをどうしてもある
程度規制をしなければしょうがないという、こういう立場からも、ある面におきましてかなり厳しい
規制案が今回盛られていると思いますが、そういう点について私は現在を
考えてやむを得ない、またかなり前進したものであるということで、この
法案に賛意を表するものであります。
特に、今回のこの
政治資金改正案において重要なことは、かなりの節度を設けた。たとえば収支の公開でありますけれ
ども、現行法であったならば、
寄付は公開しなければならないけれ
ども会費は公表する必要はなかった。当時、これができたときは会費なんというものは微々たるものであり、
政治資金はやはり
寄付に多く依存をしていた。それで個々の会費を一々公表するのは煩しいということで、それほど会費の収入というものは問題はなかったと思います。ところが、この
政治資金規正法ができたときに、会費というものは公表しないということで本来重点が置かれたところをねらわれて、いわゆる法の網の目ですね、実際
規制しようと思ったものは
規制されましたけれ
ども、この会費の
規制がなかったために今度は会費がかえって網の目をくぐるような形になって、現在では自由民主党にとってもその収入の九〇%以上は会費収入ある。それで、今回会費も
寄付も収支を公開するという立場に立って、しかも個人
献金を奨励するような税制優遇
措置もとられている。
そういう観点からすれば、今回の
政治資金規正法案を通すならば、いままでの
政治の金の動き、また
政治を動かしている一番大きな要素である
資金についても
国民に
理解されるために一歩前進である。何とか
政府はこの
政治資金規正
改正案についてもう強固な
意思を持って通過させるべきだと私は
考えております。
それから、
公職選挙法改正案でありますけれ
ども、今回、
衆議院の
定数是正だけでなく、いろいろな
改正案が盛り込まれております。この
定数是正案というのは、何も
参議院選挙が終わった直後に起こったものではなく、ここ十年来
選挙が行われるたびに一票の価値について多くの論議が戦わされた。もっと早くやってしかるべきだったのですけれ
ども、この前の
参議院選挙が終わってから、金権
選挙批判と同時に、長年の
懸案であった
定数是正の問題にも手をつけて、ようやく今回の
法案を見るに至った。私自身、
定数を積極的に
是正すべきであるという主張をとった者の一人でありますが、今回の
定数是正案についても、先ほど
石井議員の
質問にもありましたけれ
ども、暫定的なものである、減らすところは減らさないでふやすところはどんどんふやしていくと、これまた片方の
定数の不
均衡をつくり出す、当然だと思います。
ですから、いままで
政府は、特に
政党本位の
選挙制度と
定数是正とをできたら一括してやりたいという希望でありました。しかしながら、今回切り離してやるということになった。私は、一歩でも二歩でも前進するならば、あるものに不備があるから全部できないということですべてだめにするというよりも少しずつ前進さしていく、そういう姿勢も大事だと思います。今回の
定数是正に関して、将来、歯どめというもの、より
定数の不
均衡を
是正していくという立場において、大枠、根本方針を
政府は持ってそれを積極的に働きかけていく態度がさらに必要だと思うのであります。特に今回の
定数是正においても、過少代表と過剰代表の差はかなり大きいのです。やはり
衆議院と
参議院、いま日本の
政治制度の中で二院
制度がある限り、両方それぞれ関連があると思いますが、
衆議院の場合は、その根本的な
基準は
人口基準だと私は思うのです。そういうことを
考えますと、中には
衆議院の場合でも地理的とか領土とか、まあ面積も入れろと言う方もおられると思いますが、やはり
衆議院の場合は
人口を
基準にして、しかも最少の
人口と最大の
人口の偏差を一対二あるいは一対三、どこまで持つか、この二点を明確にして、五年後、十年後にもこういう
改正がなされないならば、今回の
定数是正をしても近い将来においてまた新たな不
均衡が生まれる。減らす方は非常にむずかしいと思いますが、こういう
考え方について
政府はどういうように思っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。