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1975-02-18 第75回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十八日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 藤本 孝雄君    理事 森  喜朗君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       住  栄作君    戸井田三郎君       八田 貞義君    渡辺 栄一君       角屋堅次郎君    中島 武敏君       米原  昶君    岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長    小澤 文雄君         公害等調整委員         会事務局長   宮崎 隆夫君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     小幡 八郎君         環境庁長官官房         会計課長    竹谷喜久雄君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁企画調整         局環境保健部長 橋本 道夫君         環境庁自然保護         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君  委員外出席者         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       小林 育夫君         大蔵省銀行局特         別金融課長   岡崎  洋君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   米原  昶君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   中島 武敏君     米原  昶君 同日  理事坂本三十次君同日理事辞任につき、その補  欠として田中覚君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策等)      ————◇—————
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事坂本三十次君から理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、さように決しました。  引き続き、ただいま辞任されました理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  それでは、田中覚君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十年度環境庁関係予算説明を求めます。信澤官房長
  6. 信澤清

    信澤政府委員 昭和五十年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は二百二十六億九千七百六十三万九千円であり、これを前年度の当初予算額百五十四億七千六百九十六万円と比較すると、増加額は七十二億二千六十七万九千円であり、その増加率は四六・七%であります。  次に、予算要求額の主要な項目について御説明いたします。  第一に、公害対策について申し上げます。  まず、大気汚染等防止対策及び水質汚濁防止対策については、環境基準設定及び各種規制基準強化を引き続き計画的に推進するほか、新たに日本近海における海洋汚染防止対策の確立に資するため必要な調査を行うこととしており、また、蓄積性汚染自動車公害新幹線騒音及び振動並びに悪臭についての対策を確立するための調査を行うなど、九億六千三百六十七万円を計上しております。  このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として七千七百六十五万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億六千三百三十一万円をそれぞれ計上するなど、公害規制強化する等のための経費として、総額十二億四百六十四万円を計上しているところであります。  次に、公害監視設備整備費については、発生源監視設備整備費充実を図るなど、地方公共団体監視測定体制整備を重点として、十四億三千九百十九万円を計上しております。  環境保全企画調整等経費については、環境影響評価の実施を促進するための経費環境保全長期計画を策定するための経費のほか、新たに瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づく基本計画の策定に必要な経費を計上し、これらを合わせて一億五千百四十七万円、また、公害防止計画についても一千三百二十五万円をそれぞれ計上しているところであります。  次に、公害健康被害補償対策費についてであります。公害健康被害補償法に基づく被害者救済対策推進を一層充実するほか、新たに水俣病センターを設立することとし、これらの経費として五十七億四千九百二万円を計上しております。  公害防止事業団については、その事業規模を一千百七十億円に拡大することとし、これに伴う事務費等助成費として二十四億八千四百二十九万円を計上しております。  公害防止等に関する調査研究推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を一層促進するため、総額四十一億一千八百五万円を計上しております。  このうち、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として二十八億四千六百二十二万円を環境庁において一括計上し、各省庁試験研究機関等における試験研究総合的推進を図ることとしております。  また、光化学スモッグに関する調査研究費一億八千二百万円、化学物質審査判定のための基礎調査研究費一億二百万円、水質汚濁に係る総量規制導入のための調査研究費六千七百万円など、公害による健康被害大気汚染水質汚濁及び自然環境保全等に関する調査研究費として八億三千百八十三万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として四億四千万円を計上し、関係省庁が所管する各種環境保全に関連する調査研究の総合的な調整を図ることとしております。  さらに、国立公害研究所に必要な経費として十三億四千二百二十七万円、公害研修所に必要な経費として一億一千百五十二万円を計上しております。  以上、公害対策費総額は百六十六億一千三百七十四万円であり、前年度の当初予算額に比し六十四億九十一万円の増額となっております。  第二に、自然環境保護整備対策について申し上げます。  まず、自然公園等維持管理に必要な経費として四億四百十四万円、交付公債による民有地買い上げ制度については、新たに国定公園にも拡大することとし、その事業費総額を六十億円と予定し、このために必要な経費として五億四百五十九万円を計上しております。  鳥獣保護については、従来に引き続き渡り鳥の保護対策推進するとともに、新たに自然保護行政天然記念物行政との調整に基づいて、特殊鳥類等保護事業を行うなど、一億四千三百四万円を計上しているところであります。  さらに、国立公園等整備を図るため必要な施設整備費として二十三億二千百七万円を計上しております。  以上のほか、新たに自然環境保全目標基準を作成するなど、自然環境保全対策費として七千九百十九万円を計上しておりますので、自然環境保護整備対策費総額は三十四億五千二百四万円であります。  なお、このほか建設省所管予算として、国立公害研究所施設整備のため二十四億五千七百十一万円、公害研修所施設整備費として七千九百七十九万円がそれぞれ計上されております。  また、国立公害研究所施設整備に係る官庁営繕国庫債務負担行為として三十五億三千三百万円が予定されております。  以上をもちまして、昭和五十年度の環境庁関係予算案の御説明を終わります。
  7. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次に、昭和五十年度環境保全関係省庁予算について、便宜、環境庁から説明を求めます。城戸企画調整局長
  8. 城戸謙次

    城戸政府委員 各省庁昭和五十年度環境保全経費等概要について御説明いたします。  まず、歳出予算について御説明いたします。昭和五十年度における環境保全経費総額は三千七百五十一億円となり、前年度の当初予算に比べ三百五十五億円、一〇・四%の増加となっております。  このうち、一般会計分は三千三百九十四億円と、前年度の当初予算に比べ二百四十六億円の増加となっており、各特別会計分は三百五十七億円と、前年度の当初予算に比べ百九億円の増加となっております。  次に、事項別予算の主要な項目について御説明申し上げます。  第一に、各種基準等設定につきましては、総額五億七千五百万円を計上しております。この経費は、環境庁等におきまして、環境基準及び排出基準設定等推進を図るためのものであります。  第二に、監視取り締まり強化につきましては、総額三十七億五千四百万円を計上しております。  このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、大気汚染及び水質汚濁の状況を監視測定するため、大気汚染監視等設備整備費九億九千八百万円、水質環境基準監視費二億九千八百万円を計上しております。  また、環境庁厚生省及び通商産業省におきまして、各種化学物質による環境汚染防止するため、化学物質審査規制対策費四億六千八百万円を、運輸省におきまして、自動車排出ガス検査体制整備を図るための経費三億六百万円、海上公害監視取り締まり体制整備を図るための経費三億四百万円を、警察庁におきまして各種公害関係事犯取り締まり強化を図るための経費二億七千三百万円をそれぞれ計上しております。  第三に、公害防止事業助成につきましては、総額七十三億六千三百万円を計上しております。  このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、公害防止事業団助成等経費二十四億八千四百万円を計上しております。また、農林省におきましては、漁業に係る公害防止漁場環境維持保全等のための経費十億六千八百万円、赤潮被害をてん補するための養殖共済における特約の掛金補助に要する経費一億三千七百万円を計上するとともに、畜産公害防止を図るため、畜産経営環境保全集落群育成事業費十七億五百万円を計上しております。さらに、通商産業省におきましては、金属鉱業等に係る鉱害防止するため、金属鉱業事業団運営費七億九百万円を計上しております。  第四に、公害防止関係公共事業等推進につきましては、総額二千八百四十九億八百万円を計上しております。  このうち、主要なものといたしましては、まず、下水道整備促進するため、建設省等におきまして、下水道事業費一千七百九十二億円を計上するとともに、特に来年度からは、新たに三次処理施設の建設、特定環境保全公共下水道整備に着手することとしております。  また、水質環境基準達成等のため、公共下水道について、特別の地方債及び国庫補助金分割交付制度を導入し、事業の大幅な推進を図ることとしております。  さらに、廃棄物対策といたしまして、廃棄物処理施設整備促進するため、厚生省運輸省等におきまして、廃棄物処理施設整備費二百七十一億百万円を計上しております。  次に、特に最近におけるヘドロ汚染農用地土壌汚染等いわゆる蓄積性汚染の問題に対処するため、農林省におきましては、カドミウム等による汚染農用地客土事業等に要する経費として三億二千万円を、運輸省におきましては、港湾内の汚泥しゅんせつ事業に要する経費として十五億六千五百万円をそれぞれ計上しております。さらに、通商産業省におきましては、休廃止鉱山における鉱害防止事業に要する経費として十七億八千万円を、運輸省におきましては、一般海域清掃事業費として八億六千二百万円を、また、建設省におきましては、海域浄化対策事業費として一千四百万円をそれぞれ計上しております。  また、防衛施設周辺及び公共用飛行場周辺における騒音問題に対処するために、学校等防音工事助成、家屋の移転補償等を行うこととし、防衛施設庁におきまして二百九十六億五百万円、運輸省におきまして二百三十四億千二百万円をそれぞれ計上しております。  このほか、都市における産業公害防止するための緩衝緑地整備事業費として、建設省におきまして二十七億五千五百万円を計上し、また、地盤沈下対策として、農林省におきまして地盤沈下対策事業費二十一億六千五百万円、通商産業省におきまして工業用水道事業費十九億四千二百万円等をそれぞれ計上しております。  第五に、公害防止調査研究推進につきましては、総額二百四十八億八千万円を計上しております。  このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、各省庁試験研究機関等における公害関係試験研究総合的推進を図るための経費として二十八億四千六百万円、公害研究所に必要な経費として十三億四千二百万円を計上しております。  次に、農林省におきましては、農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究推進するため、四億六千万円の経費を計上するとともに、新たに休廃止鉱山関係地域においてカドミウム吸収抑制土壌改良事業を実施する等、土壌保全対策推進するため、九億三百万円を計上しております。  さらに、通商産業省におきましては、産業公害防止技術開発促進するため、重要技術研究開発費補助金二十四億二千万円を計上し、窒素酸化物除去技術等開発を重点的に進めるとともに、太陽エネルギー等の無公害な新エネルギー開発推進するため、新エネルギー技術研究開発費三十六億一千五百万円を計上しているほか、大規模工業立地に伴う環境汚染を未然に防止するため、産業公害総合事前調査費として三億九千万円を計上しております。  第六に、公害被害者保護対策充実につきましては、総額七十億六千三百万円を計上しております。  このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、公害健康被害補償対策のために必要な経費として五十七億四千九百万円を計上しております。  このほか、原因者不明の漁場の油濁による被害を救済するための経費として、農林省におきまして一億九千四百万円を計上しております。  第七に、自然保護対策推進につきましては、総額四百二十一億一千万円を計上しております。  このうち、主要なものといたしましては、まず、自然公園等維持管理のため、環境庁におきまして四億四百万円を計上しております。  また、都市環境緑化等推進するため、建設省等におきまして、都市公園及び国営公園整備のための公園事業費として二百七十六億五千五百万円を計上しております。  次に、自然環境の中で良好なレクリエーション施設整備するため、環境庁におきましては、自然公園等施設整備費二十三億二千百万円を、運輸省におきましては、観光レクリエーション施設整備費二億四千三百万円を計上しております。  さらに、開発等に対して自然環境や史跡を保護するため、民有地買い上げを実施することとし、環境庁におきましては、総額六十億円の交付公債を予定し、これに必要な経費として五億五百万円を、また、文部省におきましては、四十二億円の経費を計上しております。  このほか、港湾における緑地遊歩道等整備するため、運輸省におきましては、二十億四千四百万円の経費を、また、海岸の環境整備を図り、その利用の増進に資するため、運輸省建設省等におきまして七億四千五百万円の経費を計上しております。  さらに、鳥獣保護対策充実を図るため、環境庁におきまして一億四千三百万円を計上しております。  以上申し上げました事項のほか、主要なものといたしましては、大気汚染地域等における公立小中学校児童生徒特別健康診断移動教室及び学校環境緑化促進事業推進するための経費として、文部省におきまして六億四百万円を、廃棄物対策一環として、クリーン・ジャパン運動の展開、廃棄物再生利用促進のための経費として、通商産業省におきまして三億二千三百万円をそれぞれ計上しております。  次に、公害防止関係財政投融資について御説明いたします。  昭和五十年度における公害防止関係財政投融資は、全体として、事業規模または貸付規模において、総額七千八百三十八億円を予定し、前年度の当初計画に比べて二千五百十六億円の増加となっております。  まず、公害防止事業団におきましては、事業規模において千百七十億円と、前年に比べて三百五十億円の増加を図り、中小企業等公害防止施設整備等促進することとしております。  また、日本開発銀行におきましては、貸付規模において千四百十三億円と、前年度に比べ三百三十三億円の増加を図ることにより、企業公害防止施設等の設置を円滑化するとともに、水銀汚染防止のための苛性ソーダ製法転換等を重点的に推進することとしております。苛性ソーダ製法転換につきましては、北海道東北開発公庫におきましても百億円の貸付規模を予定しております。  次に、中小企業金融公庫におきましては、貸付規模を三百億円に、国民金融公庫におきましては、貸付規模を五十億円にそれぞれ拡充することとしております。また、農林漁業金融公庫におきましては、畜産経営環境保全施設に関し三十億円の貸付規模を、金属鉱業事業団におきましては、金属等鉱山鉱害防止工事等に関し三十七億円の貸付規模を、また、日本私学振興財団におきましては、私立学校防音工事等に関し四億円の貸付規模をそれぞれ予定しております。さらに、東北開発株式会社におきましても、騒音防止工事等に関し二億円を予定しております。  このほか、地方公共団体下水道整備廃棄物処理施設整備等事業推進するため、地方債計画において四千七百三十二億円を予定しております。  最後に、公害防止関係税制改正措置について、その主要なものについて御説明いたします。  まず、昭和五十一年度の自動車排出ガスに係る保安基準に適合する乗用自動車に対する物品税について、その課税標準昭和五十年度においては四分の一、昭和五十一年四月一日以降右の保安基準に適合しない乗用自動車生産が認められる期間の終了する六ヵ月前までの間においては八分の一(窒素酸化物排出量が一キロメートル走行当たり平均値で〇・六グラムを超えるものにあっては十分の一)それぞれ減額することとしております。  また、電気を動力源とする乗用自動車で、右の保安基準に適合する乗用自動車と同種のものに対する物品税について、その課税標準を右の措置が適用される期間二分の一減額することとしております。  このほか、所得税及び法人税における公害防止用設備及び廃棄物再生処理用設備特別償却制度について、対象となる設備範囲を拡大するとともに、公害防止用設備及び無公害化生産設備特別償却制度等について、対象となる設備のうち適用期限の到来するものにつき、その期限を二年延長することとしております。  さらに、事業協同組合等公害防止事業団から譲り受けた土地を再譲渡する場合の所有権移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる組合員等中小企業者に限定した上、その通用期限を二年延長することとしております。  以上をもちまして、昭和五十年度の各省庁環境保全経費等説明を終わります。
  9. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 以上で予算説明は終わりました。     —————————————
  10. 渡辺惣蔵

  11. 小澤文雄

    小澤政府委員 ただいまから、公害等調整委員会が所掌しております公害紛争処理に関する事務概況につきまして、御説明いたします。  公害等調整委員会は、従前中央公害審査委員会土地調整委員会とが統合され、総理府の外局たる行政委員会として昭和四十七年七月一日から新しく発足いたしたものであります。公害等調整委員会は、公害紛争処理法の定めるところにより公害に係る被害に関する民事上の紛争について、あっせん調停仲裁及び裁定を行うとともに、地方公共団体が行う公害に関する苦情処理について指導等を行うこととなっております。このあっせんについては、昨年の公害紛争処理法の一部改正により同年十一月一日から新たに設けられたものであります。なお、従前土地調整委員会の任務であった鉱業採石業または砂利採取業一般公益等との調整を図るという職務も行っております。  続きまして、これらの事務の概略について御説明します。  第一に、公害等調整委員会が行います公害紛争についてのあっせん調停及び仲裁は、ともに、紛争解決基礎当事者の合意に求めるものでございますが、当委員会が管轄する公害紛争は、人の生命、健康に重大な被害を生ずる公害に関する紛争、農作物や魚介類など人の生活に密接な関係を有する動植物またはその生育環境に五億円以上の被害を生ずる公害に関する紛争新幹線鉄道及び航空機の運行により生ずる騒音に関する紛争並びに被害地加害地が二つ以上の都道府県の区域にまたがる公害に関する紛争でありまして、いずれも、社会的に重大な影響を有し、かつ、広域的な見地から処理することが適当と考えられるものであります。なお、当委員会の管轄に属さない公害紛争につきましては、公害紛争処理法に基づいて全国の都道府県が設けております都道府県公害審査会等が行うあっせん調停及び仲裁手続により処理されております。  第二は、公害紛争についての裁定でございますが、裁定制度は、昭和四十七年九月、公害紛争処理制度充実強化する施策一環として設けられたものであります。これには、責任裁定原因裁定の二種類がありまして、ともに訴訟手続に準じた手続によって紛争処理することとなっております。責任裁定と申しますのは、公害による被害について損害賠償に関する紛争が生じました場合に、被害者からの申請に基づいて、その相手方の損害賠償責任有無及びその範囲について判断するものであります。一方、原因裁定と申しますのは、公害紛争においてその解明が困難で当事者間の争いの中心となることが多いところの被害加害行為との間の因果関係について、当事者からの申請に基づいて、その有無を明らかにする裁定であります。  第三の事務は、地方公共団体が行う公害に関する苦情処理について指導等を行うことであります。住民から申し立てられる公害に関する苦情の数と内容は、その地域の環境問題の指標的な意味を持つと同時に、また、公害苦情公害紛争の前段階的な性格を有しておりますので、その適切な処理を図ることは、公害紛争発生事前防止という面におきまして、きわめて重要な機能を果たすものであります。このような公害苦情の適正な処理重要性にかんがみ、公害紛争処理法においては、これに当たるべき地方公共団体の責務を明らかにし、公害苦情相談員制度を定めておりますが、公害等調整委員会は、地方公共団体が行う公害苦情処理について指導、助言、協力等をすることとなっております。  次に当委員会事務処理概要を具体的に御説明申し上げます。公害紛争処理に関しまして、昭和四十九年に当委員会に係属しました事件は、調停事件六十五件、責任裁定事件六件の計七十一件で、このうち、調停事件二十七件、責任裁定事件二件、計二十九件の処理が終了しております。  昭和四十九年中に手続が係属した六十五件の調停事件の内訳を見ますと、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病事件が四十件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害事件が五件、大阪国際空港周辺地域における騒音による生活環境被害事件が十九件、徳山湾における水質汚濁による漁業被害事件が一件であり、申請人総数は約二万一千名の多数に上っており、とりわけ大阪空港騒音調停申請事件は一万九千余名の申請に係るマンモス事件となっております。  係属した調停事件六十五件のうち昭和四十九年に新たに申請があった事件は二十五件であります。  紛争処理が終結しましたものは二十七件で、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病事件が二十三件、患者数は二百三名、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害事件が四件、申請者数は九百七十一名であり、いずれも、調停が成立して終結したものでございます。これらのうち水俣病事件は、水俣病と認定された患者に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに会社との問の調停を成立させたものであります。また、渡良瀬川沿岸における鉱毒被害事件は、足尾銅山から排出される廃棄物鉱滓が水田等に流入したことにより農作物被害をこうむった沿岸農民と古河鉱業株式会社との間における補償をめぐる事件でございまして、八十年にわたる紛争の歴史的な重みに加えて、被害加害行為因果関係の立証、損害額の算定等が非常に困難な事件でありましたが、鋭意調停手続を進めた結果、被害が最も広範囲であった群馬県毛里田地区の農民九百七十一名について、昭和四十九年五月、会社側との間に調停が成立し、過去の全期間についての補償の問題を含め両当事者間の紛争について円満に解決したものであります。  その他の事件については、目下鋭意調停手続を進めているところであります。  また、裁定事件につきましては、昭和四十九年七月に最初の申請があってから同年中に計六件の責任裁定申請がございました。その内訳は、富山市及び大阪市におけるビル建築工事に伴う地盤沈下による建築物損傷事件が三件、東大阪市における大阪国際空港の航空機騒音による健康被害事件、東京都新宿区における地下鉄工事に伴う騒音、振動、地盤沈下による営業損害事件、長野県中野市におけるカドミウム汚染による農作物等被害事件がそれぞれ一件であります。  このうち二件については、申請の取り下げがあり、手続が終結しておりますが、他の四件は、目下審理中でございます。  次に、昭和四十八年度の全国の公害苦情の実態について申し上げます。当委員会調査によれば、その総件数は、約八万七千件となっておりまして、昭和四十二年度から引き続き増加を続けてきた総件数が前年度に比べわずかに減少いたしております。  これらを公害の種類別に見ますと、騒音、振動に関する苦情が最も多く、全苦情の三分の一、すなわち三三%を占め、次いで悪臭が二三%、水質汚濁一八%、大気汚染一六%の順であり、これらで全体の約九割を占めております。また、苦情件数を市町村別に見ますと、苦情件数の多い人口二十五万以上の市では前年より五・八%減少しているのに対し、人口二十五万未満の市では一・八%、件数の少ない町村では二五%、それぞれ前年より増加しております。  このような事態を踏まえまして、公害紛争処理法施行令の一部を改正し、本年四月一日から、公害苦情相談員を置かなければならない市を人口二十五万以上の市から人口十万以上の市に拡大する等の措置をとっております。  引き続き、昭和五十年度の公害等調整委員会予算案につきまして、その概要を御説明します。  昭和五十年度の総理府所管一般会計歳出予算のうち公害等調整委員会予算総額は、二億七千八百四十万円でありまして、これを前年度の歳出予算額二億三百七十九万二千円と比較いたしますと、七千四百六十万八千円の増額となっております。その内容は、当委員会に係属する事案の審理及び一般事務処理のための経費四千二百七十四万九千円、公害紛争処理について都道府県等と連絡協議するための経費五百四十七万二千円、公害因果関係の解明に要する調査のうち、特に専門的、技術的要素の強いものを外部の研究機関に委託するための経費二千五十九万四千円、公害苦情の実態を調査し、その処理について地方公共団体の職員に対する研修指導等を実施するための経費一千三百四万二千円のほか、あとは人件費であります。  以上が昭和四十九年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争処理に関する事務概況及び昭和五十年度の予算案の概要であります。  なお、公害等調整委員会設置法第十七条に定められております昭和四十九年の所掌事務処理状況の報告書は、会計年度で取りまとめまして、追って所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  12. 渡辺惣蔵

  13. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 引き続き、本件について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  14. 島本虎三

    ○島本委員 先般、環境庁長官の所信表明がありましたし、今回また、昭和五十年度の総理府所管一般会計の環境庁予算案についての説明関係省庁昭和五十年度の環境保全経費等説明がなされました。続いて公害調整委員会からの報告もあったわけであります。私は、これを総じまして、環境庁長官が、この所信表明にあります内容について、どういうような決意を持っているのか、数点についてひとつただしてみたいと思う次第であります。  まず第一に聞きたいのは、いまのような日本の公害列島になったこの原因と、その手段、手続等を見ます場合に、やはり不足しておりますのは環境影響評価制度化されていなかったということであります。今回長官は、その環境影響評価充実強化、これをうたっているのであります。したがいまして、この制度の確立ということを検討を進めているという段階でありますが、法制度化の確立と解釈していいのか。それと、そうだとすると、その時期についてはいつを目途としているのか。これを早くやらなければ、他の事業法との関係で、またしても公害そのものを放置することになるのじゃないか、こういうように思われるわけでありますけれども、これに対して長官の御意見を伺います。
  15. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 この前の予算委員会でお答えをいたしたわけでありますが、私どもは当然アセスメントの制度化、これを法律の手段によっていたしたいという考え方のもとに、いろいろな準備、研究を進めているわけでございます。大変おくれておって、その点は恐縮でございますが、昨年ようやく中公審の防止計画部会の中に専門委員会を発足をいたさせまして、審議を進めていただいております。これを五十年度は部会に昇格をいたしまして、ここで開発の手法あるいはいろいろ結論が出ましたものを住民に公表するやり方等につきまして十分御検討を願って、その結果、法制化の努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。  いま専門家で鋭意御検討願っておる段階でございますので、いつそれがまとまって、私ども行政庁としての法案の作業にかかれるか、一にかかって部会で御検討をいただく結論にまつわけでございますので、ここで私、時期を明確に申し上げられないことははなはだ遺憾でありますけれども、せっかく審議を進めて、何とかできるだけ早く、私どもとしても必要なアセスメントのやり方等について決定をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  16. 島本虎三

    ○島本委員 その考えはわかりましたが、急がないといけないのです。それと同時に、その内容の問題だと思います。それで、長官御存じのように、昭和四十七年六月に閣議の了解事項として「各種公共事業に係る環境保全対策について」、これがもうすでにきまっているのであります。政府のこの閣議了解事項でさえも、開発主体に対する環境影響評価の義務づけをされているということであります。しかしその内容は精神訓示的なものであって、公共事業は環境破壊をするな、してはならない、そして実施官庁が必要と認めた場合には環境影響評価開発主体がやる、こういうようなことであります。まあこれでは何か一本足りないのじゃないか、こう思われているのが、いままでの運営の実態であります。そして長官も御存じのように、高速自動車道それから新幹線、空港、こういうふうな方面の建設等については、工業開発に直接結びつかないということで、これらの公共事業は一応除外されております。今度環境アセスメントを法制化するという際に、これらのいわゆる工業開発に直接結びつかない公共事業新幹線、空港または高速道路、スーパー林道並びに本四架橋等もそのうちに入ると思いますが、これらの公共事業はいままでは一応除外されるのでありますが、今後はこれらの大規模の公共事業は当然その対象とすべきじゃないかと思います。そしてその制度化の際には、当然これは組み入れて考えるべきではないかと思います。法制度化を進めている長官の、この基本的内容についてひとつお示し願いたいと思います。
  17. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 アセスメントの法制化の内容の中に、そういう各省庁にまたがる公共事業の具体的なやり方まで全部入れるべきか、あるいは私どものこの法律には基本的な問題を規定をいたしまして、それぞれの公共事業の所管庁の持っております法律の中に、そのアセスメントの具体化をうたってもらうべきか、この辺も含めて現在検討中でございますから、いずれにしましても、そういう先生おっしゃいましたような公共事業の施行に対する事前の環境影響評価も、もちろん対象として進めていくという考え方でございます。  なお詳しいことにつきましては、必要があれば局長から説明をいたさせます。
  18. 島本虎三

    ○島本委員 これ、まだ進めているのに、大体の考え方を聞いているのであって、基本的な問題なんです。いままでは閣議了解事項さえあるのです。それによって、訓示的であるけれども、公共事業の環境破壊はだめであるとか、あるいは実施官庁が必要と認めた場合には環境影響評価をやれとかいうことが決まっているのですけれども、新幹線はやっておりませんね。それをやる方の事業主体に義務づけなければ、事業主体はやりたいのですから、何とでもなるような状態にして、環境影響事前評価はこれでいいんだということにはならないんじゃないか、運営上は。そこなんです。したがって長官は、やはりきちっとしたものでそれに当てはめてやるのか、または事業主体にまた任せるのだ、いずれなんですか。どうなんですか。そこなんです。きちっとして環境庁が姿勢を正すのでなければ、せっかくつくってもこれはどうにもならなくなる。ここを私は心配するのです。せっかく法の制度化も考えているというのに、内容のその辺まできちっとしたものを持っていないと、これまた画竜点睛を欠くおそれがありますから、しつこいのですが、あえてこのことを聞くわけです。
  19. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 外国等におきましても、公共事業については、それぞれの実施官庁で決められた手法に基づいて環境影響事前評価をやっていかなければならないという制度のたてまえになっておるわけでございます。ただ、私どもは開発をやる側のアセスメントだけで、それで一切任し切りという態度をとらないで、それを環境庁として十分チェックをいたしまして、環境保全に万全を期していく態度をとりたい。制度としては、それぞれの公共事業の主管庁の方で、それぞれの関係する法律のもとでやっていただくが、その基本をこちらの方で、先生がおっしゃったようにアセスメントの立法化の方で受け持っていこう、こういう考えでございます。  なお、詳細なことは局長からひとつ。
  20. 城戸謙次

    城戸政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、公共事業につきましてはいろいろな形のものがあるわけでございます。私ども、立法問題としてとらえます場合には、それぞれに応じた一つの考え方を整理しなければいかぬわけでございまして、例を挙げて申し上げますと、港湾整備だとかあるいは公有水面の埋め立て、工場団地の造成というように、その公共事業自身が公害をもたらすというよりも、むしろその後にまいります企業の立地、工場の立地により、いろいろな汚染物質が排出される、こういうグループが一つ。それから、先生いまお話しになりました高速自動車道あるいは新幹線というような、それができました後、むしろそれを利用する形に応じて問題が出てくるようなもの。それから林道だとかダムだとか、あるいは住宅団地造成、いろいろあると思いますが、むしろ自然破壊との関連で問題があるもの。こういういろんなグループがあるわけでございます。  私どもとしましては、その第一のグループに属するものにつきましては、いろいろな法律改正等を通じまして、環境庁長官が意見を求められたり協議を受けたりすることによって、あるいは関係の審議会に委員として参加することによりまして、アセスメントの審査を行うということでやってまいったわけでございます。また、第三のグループに属するものにつきましては、自然公園法とか、あるいは自然環境保全法とか、こういうものの運用を通じまして十分なるチェックをする体制をとってまいったわけでございますが、第二のグループにつきましては、大臣の所信表明の中にもございますが、環境基準の早期設定を初めとしまして、アセスメント、それから規制措置、それから障害防止措置、こういうものの総合的な対策の中で問題を解決していこう、こういうことで鋭意努力しているわけでございます。  一般的に申し上げまして、公共事業は非常に長期の期間を要するわけでございますので、日本では余り問題にはなっておりませんが、むしろ建設段階での環境影響ということが非常に問題になるわけでございますし、また、できまして五年、十年先のいろいろな問題というのもあるわけでございますので、こういう面につきましての影響の評価の仕方等については、その手法を関係省庁でも検討をいたしているわけでございます。  そういうことでいろいろな形のものがありますから、それぞれにどういう形の評価をするかという評価の項目なりあるいは方法なりについて今後確立するとともに、それに対応しました手続を決めていきませんと、ただ観念論ではまた穴があくということになるわけでございますので、ただいま大臣からお答え申しましたような趣旨で、今後さらに細かな検討をしていきたい。なお、関係省庁に対しましては、現在の実施状況、たとえば建設省は地方建設局で行った状況等ということでそれぞれとって、私ども参考にしながら今後進めていきたい、こう思っているわけでございます。
  21. 島本虎三

    ○島本委員 次に、瀬戸内海の環境保全対策であります。  大臣も水島の重油の流出事故に触れられて、深刻な影響があることを前提にして、これには万全の策をとる、こういうふうに言っていられるのでありますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法は議員立法で、三年間の時限立法であります。そして本年はこれで二年目に入るわけであります。そうすると、対策の万全はわかりますけれども、予定どおり三年間でやり切れますか。これを伺います。
  22. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 この法律の施行後三年以内に産業排水に係るCODの汚濁負荷量を二分の一にするということを目標にいたしておるわけでございます。ただ、水島の事故が起きましたので、率直に言いまして、この目標達成はなかなか困難ではないかという予測を私どもはいたしております。しかし、過般も申し上げましたように、目下影響調査というものを総合的に進めておりますので、この調査の結果、まあ、これは早急にはなかなか出ないとは思いますが、具体的に一つ一つのデータを見まして見当をつけなきゃいかぬと思いますけれども、現在のところは、この三年間でCODの汚濁負荷量を二分の一にするということは非常に困難ではないかと、今度の事故にかんがみて心配をいたしておるわけでございます。
  23. 島本虎三

    ○島本委員 いや、心配はわかるんですよ。心配しているから、今度の予算案でどういうふうにするのだと言うのです。これはだれでも心配していますよ、長官。で、それは三年間の時限立法だから、三年間に昭和四十七年度のころのあの汚濁負荷量を二分の一にして、昭和三十七年程度のところまで清浄化するんだ、またそれだけのことを三年間できちっとやらせるんだ、やるんだ、こういうことになっているでしょう。ところが今回の予算を見ても、瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づく基本計画策定に必要な経費として一億五千百四十七万円、本当にやるつもりならこれを十倍にしてでもこれは徹底してやるべきじゃないですか。これだったら、三年間の時限立法だから、やれないということを前提にしているんじゃありませんか。そういうような疑問があるから、この問題について三年間でやり切るのかどうかという決意を聞いているのです。どうも処女の答弁のようで的を射ませんが、もう少し男性的な、ダイナミックな答弁を欲しいのであります。
  24. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私、先ほど申し上げましたのは、瀬戸内海全体の汚濁の問題から見てなかなか困難だと申し上げたので、法律制定のときに予定をいたしました産業排水の負荷量の削減の計画は、四十七年の負荷量から四十九年、五十年、五十一年末ということでそれは予定をいたしまして、その面から考えますと、一応予定どおりいくように計画を立てているわけでございます。  ただ、今度のような事故がありましたために、瀬戸内海の水質の汚濁そのものは私は従来と違った考え方で、三年間のうちにいまのCODの汚濁負荷量と、さらに瀬戸内海全体の海水がきれいになるかという問題とは、一応私どもの考え方は別なものですから、この水が汚くなったものを回復するということについて、私は心配して申し上げたわけでございますから、その点は、いま予算を挙げられて、これぐらいの予算ではだめじゃないかとおっしゃいますけれども、産業排水については規制を強化をいたしましたり、それから生活排水についての下水あるいは終末処理整備等を十分進めていって、CODの汚濁負荷量というものを当初の削減予定のように持っていくことは、その面からだけ見ますと、一応計画どおりに進んでいくんじゃないか、こういうふうに考えております。ただ、それができたからといって、瀬戸内海の海の水がきれいになるかということになりますと、その汚濁の問題は、今度の事故によって相当被害を受けておりますから、その面では、とうてい私どもが考えておったようなものではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  25. 島本虎三

    ○島本委員 長官、この点では少し思考錯誤があるようです。  事務当局、少し、いまの長官の弁を補足しておいて、この際、きちっとしておきなさい。
  26. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先生御存じのとおり環境保全臨時措置法では、政府に基本計画をつくれということを義務づけております。それまでの間、暫定的措置として三つの施策を講じろということを、これも政府に要求しておるわけであります。  すなわち一つは、産業排水に係る汚濁排出量を四十七年当時の二分の一にカットし 、段階的に三年間で二分の一にしろ、こういうことが一点でございます。それからもう一つは、いろいろの汚濁を出す特定施設についての許可制度をとる。それについては事前にアセスメント等をきっちりやって、公告、縦覧等の制度も完備して、そうした形で特定施設の許可制度をとり、厳正にそれを実施するということが第二点。それから第三点といたしましては、埋め立てについての基本方針を定める、それは厳に抑制しろ。こういったことが骨子になっているというふうに思います。  現在、この法律の要求する三つの方針に従いまして、私ども対策を実施しておりますけれども、第一の、ただいま御議論になりましたCODを二分の一にカットするという問題につきましては、たしか千三百四、五十トンの四十七年当時のCODを二分の一にカットする、六百七十何トンだったと記憶しておりますけれども、それを各府県別に割り振りまして、そして各府県が条例を制定して、それを段階的に自分の府県のアロケートの範囲内でおさめていく、こういった措置を実施しております。早い遅いの差はございますけれども、昨年いっぱいにすでに各府県におきまして条例を制定しております。つまり、排出規制のための条例を制定しております。  それによりますと、四十七年当時のCODのパー・デー千三百四十五トンが、四十九年の末につきましては千百四十五トン、つまり八五%にカットする。それから五十年末には九百二十トン、つまり四十七年当時の六八・四%にカットし、それから五十一年末には、さらにそれを半分の六百七十三トンにカットするという法制的手当ては、すでに手当て中でございます。でありますから、法の命じておりまする三年間に産業排水の排出量を二分の一にカットするということは、すでに制度として手当て中でございます。  あと、今回の水島事故に伴いまして、このCODをカットしていろいろ努力しておりますことにつきまして、いろいろ阻害要因というものが出てきているということは御指摘のとおりでございまして、私ども、片っ方でPPmという単位で工場排水を現に厳しく取り締まっているという傍ら、ぽっとあれだけの重油が環境汚染をしてしまうということは非常に残念でございます。そういう意味で、それに対する対策というものは今後至急立て直して検討しなければなりません。  この二十一日に、そういった油濁の問題、今回の水島事故の影響とか、そういったことも踏まえまして、瀬戸内海の審議会を早急に開く予定でございます。二十一日に開きまして、基本計画を諮問いたしまして、その中で今後の瀬戸内海の水質保全の問題について幅広く御討議願いまして、その結論を踏まえまして今後の対策を進めていきたい、かように思っているわけであります。
  27. 島本虎三

    ○島本委員 そういうふうにして、要は水質が汚れてしるから、それをきちっとさせなければならないということ、それに対して、いま大体補足でわかりましたけれども、その中で、条例で決めてきちっとやっている、それはわかりますが、中には、三年間であるから、三年間は出しっ放しにしておいても、三年たったらきちっとやったならばいいじゃないか、こういうような企業もあるかのように聞いているわけです。もしそうだとすると、これは本旨に沿いませんね。いま長官が答弁したのと大分似てくるわけですね。いまの汚れているのはしようがないけれども、これから出すのだけ気をつければいいのだというのに似てくるわけですね。そういうようなことではいけないんですね。この点はきちっと指導しておりますか。そうしないといけないのですよ、大丈夫ですか。
  28. 大場敏彦

    ○大場政府委員 段階的に排出量を削減していくということでございますから、各県の実情に応じて、それから各業種、対応の形も違うと思うわけでございますから、汚濁の多いところと、また少ないところと、それから対応する技術の問題ということもいろいろあると思いますが、それは各県の実情に応じましてきちっとやっていくという形で対処しております。
  29. 島本虎三

    ○島本委員 委員長、ちょっと関連を許してください。
  30. 土井たか子

    ○土井委員 関連して。  先ほど環境庁長官の御答弁を承っておりますと、どうも瀬戸内海環境保全臨時措置法に対しての御認識を十分にお持ちでないかのごとくに拝察をするわけであります。  それは、条文をただして申しますと、おっしゃっている条文の根拠は、恐らく、第四条の(排出水の排出の規制の強化)という項目がございまして、その中身でおっしゃっていると思うのでありますが、よくそこをごらんいただきますと、そこに規定をされております中身は、こうであります。「化学的酸素要求量で表示した汚濁負荷量を昭和四十七年当時の二分の一程度に減少させることを目途として、関係府県ごとの当該汚濁負荷量の限度を定めなければならない。」と書いてあるわけでありまして、産業排水についてそれを規制する中身ということにはなっていないのです。「産業排水に係る化学的酸素要求量で表示した汚濁負荷量」について、これを昭和四十七年当時の二分の一にすることを各関係府県に対して割り当てるということを具体的中身にしているわけでありまして、先ほどの長官の御発言を承っておりますと、このCODの昭和四十七年当時の二分の一は、産業排水にのみ限るがごとく御説明を賜ったようであります。ひとつもう一度その辺の御認識をはっきりお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでございますか。——ちょっと申しわけないのですが、私は長官が御答弁なすったことに対して、長官に承っているわけでありますから、説明要員の方は不必要であります。長官、お願いしますよ。
  31. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私、どうもお言葉ですが、間違って申し上げたつもりはないのですよ。産業排水の負荷量を削減する、先ほど局長が言いましたように、COD・パー・デーというものを、四十七年の負荷量が千三百四十五であるから、これを五十一年末には六百七十三にするという計画を、この法律に基づいてやっているわけでございます。  そこで、それを各県別に割り振って、各県がそれぞれ規制をやっているということを、局長と私は、同じ一体の環境庁として答弁を申し上げているわけでございますから、ただ、たまたま生活排水等に言及をしたために少し混乱したかもしれませんけれども、そういう点で私は、産業排水についてはこの法律に「産業排水に係る」と書いてあるわけでございますから、産業排水についての規制を十分そういう目標を立てて、それに持っていくための必要な規制を各県別にちゃんと割り当てをして知事にやらせておる、こういうことを申し上げておるわけですから、私は法律の解釈として間違ってはいないと思っております。
  32. 土井たか子

    ○土井委員 解釈論とそれに対して法の運用をどうやっていくかということ、これはやはり各都道府県に割り当てをなすった、その都道府県内でどうやっていくかという具体的な問題がさらに出てくるわけでありますから、産業排水だけに限らず、汚濁負荷量を昭和四十七年度当時の二分の一にしていくことのためには、三年計画で十分にこの規制値を具体的に充足させるような努力をするということが至上命題だと思うのです、各都道府県に。  だからその点はひとつ明確にはっきり御理解をいただいた上で、さてもう一つ、私、どうしても聞いておきたいのは、あの水島の三菱石油の流出事故後、現地でこれに対する対策本部を政府としては設けられました。そして、やはりこれは瀬戸内海について、もう流出してしまった油が大変な被害を及ぼしましたし、第二次公害、第三次公害も現に憂慮されているときであります。ところがいち早くこの対策本部というのは解散をされました。先日また私は当委員会におきまして、瀬戸内海環境保全のこの法律に従い審議会を設けるということを長官に対して御要望もし、また長官はそれに答えて、近々これについては設ける予定になっている、そして、これについては設けて、しかも審議会を開いた席上、やはり瀬戸内海のいま討議の中に入っております四十七年当時の汚濁負荷量の二分の一というのを崩さないように努力したいという御答弁も、そのときにはあったわけであります。さて、この審議会の模様がどうなっているかということと、なぜ現地における緊急対策の本部がもうすでに解散をしてしまっているかという事情について、ひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  33. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先ほど大場局長が申し上げましたように、この二十一日に審議会を開くことにいたしております。審議会で基本計画の策定についての御意見をいろいろ承り、また今度の水島事故についてもいろいろ報告をし、御検討を願おう、こう思っているわけでございます。  それから、対策本部をなぜ解散したか。実は率直に言いまして、少し早いじゃないかと言ったのですけれども、現地の対策本部の任務は大体終わったというので、その面では一応解散、後はこっちの方の中央でそれぞれやっていけばいいということになって、内閣の方で——初めは相当前に廃止するというものを一週間ばかり、私はがんばって、もう少しきちんとするまで置いておけと言って、延ばさせたわけでございますが、対策本部そのものは臨時、緊急の対策本部でございますから、これはまあやむを得ぬだろうということで、現地の本部の解散を了承したわけでございますが、なお御承知のとおり総合調査も進めておりますから、そういうような意味でのそれぞれの総合調査を分担した各省の仕事はそのまま進めてやっているわけでございます。必要なら本省の方から出かけていって、いろいろ現地と打ち合わせをしたり、指導すればいいんじゃないか、こういうように考えて、一応臨時のあの対策本部は看板をおろした、こういうことでございます。
  34. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、もうこれは一問だけで私は関連を終わりたいと思うのですが、今回の二十一日に催されます瀬戸内海の環境保全審議会というのは、この三菱石油流出事故ということについての審議会ということを特にお考えになっての審議会ではないわけでありまして、この瀬戸内海環境保全臨時措置法そのものについて、本来設けられるべき審議会というふうに認識をしていいわけでありますか、どうなんですか。
  35. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 そのとおりでございます。ただ、このような大事故が起こったものですから、当然その状況も報告しなければいけませんし、それから総合調査の内容あるいは経過等も御報告しなければいけません。そういうようなことを含めまして審議会を開催するわけでございますが、基本的には、先生おっしゃるように、この法律に基づく基本計画のための審議会、かように御理解いただきたい。
  36. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、いま申し上げましたとおり石油流出に係る第二次公害、第三次公害を非常に憂慮されておる折から、これについては一体どこが具体的に後をフォローして、環境に対する影響ということをいろいろと調査をし、また未然にそういうことを予防できるなら予防対策を講じ、またできてしまったものに対しての事後対策というものもあわせてしていくということになるわけでありますか。
  37. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 環境影響に対する総合的な調査を私の方で主管をして、各省庁それぞれ分担をさせて進めていっているわけでございます。  それから未然に防ぐ問題で、どこでやるんだということ。これはきょう閣議でも自治大臣から報告がございましたが、予算委員会で総理も、早急に何らかのまとめた、もっと防災体制を強化する法律をつくりたいとおっしゃいましたので、その総理の言明を受けまして、大体自治大臣のところが主管になりまして、ようやく先週末で各省庁の案が出ましたので、その案をもとにしていま詰めの作業に入りつつございます。できましたら三月の半ばごろには成案を得たい、そして今後そういう事故のないような防災体制の確立に万全を期したい、かように考えておるわけでございます。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 私は一般論をお伺いしているわけじゃないので、先日私が、瀬戸内海の審議会について、置かれる必要があるのではないか、特にこのことに対しての討議を早くおやりになる必要があるのではないかと言ったのは、三菱石油のあのC重油の流出がただごとでなかったからであります。現にそうであります。二次公害、三次公害は、起こるならこれから起こる。そういう段階に、瀬戸内海一般に及ぼす影響は絶大なものであるということを私は考えて、そうして審議会の中身も、この三菱石油の流出事故に係る審議会を特に設けていただいて、そしてこれに対する討議、調査あるいは対策というものを進めていただくことが、瀬戸内海環境保全臨時措置法という立場から必要ではないかということを私は申し上げた。そのときに、長官の御答弁は、さも私のその質問に対して必要性をお認めになったかのごとき御答弁であったわけでありますから、したがってきょうは、審議会は特にその三菱石油の流出事故に係る瀬戸内海環境保全という立場かち特設される審議会であるかということを意味に含めて、私は質問をさせていただいているわけであります。ところが御答弁はそうではない。一般論としてお答えになっているようでありまして、どうもその辺のすれ違いをもう少しはっきりさせておく必要があると私は思うのです。審議会については、いま申し上げたように瀬戸内海環境保全臨時措置法から考えまして、三菱石油流出事故について、特にそれだけを取り上げて問題にするようなたてまえをお考えになっていらっしゃいますかどうですか。ひとつそのことについてお答えいただいて、私の関連質問を終わります。
  39. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 せっかく臨時措置法の中に審議会というものがあるわけでございますから、その審議会と別に、水島事故についての審議会を特設しないでも、この審議会で水島問題なら水島問題について特に重点的に御審議を願ってもいけますし、まあそういう意味で、先生の御質問にどういうようなことで審議会を設けるというふうにお約束したか、私ちょっといま覚えておりませんが、私が過般来のいろいろな審議の過程で申し上げたのは、瀬戸内海臨時措置法というものをもっと強化していただいて、これは議員立法でございます。まあ私の方でも研究いたしますが、瀬戸内海の環境浄化のために、この法律に基づいてもっと強力な措置ができるような具体案がないか、こういうことでいろいろいま事務当局にも検討をさせているわけでございますが、水島事故について、私が特別な審議会を設けるということを申し上げた記憶はちょっと私はないのでございまして、これはもしあれば、私、これは公の席上の言明でございますから、御訂正さしていただきますけれども、せっかく法律に基づく審議会がありますから、この審議会を活用していって、その目的は十分達せられるのじゃないかと思いますので、なおよく私、検討さしていただきます。
  40. 島本虎三

    ○島本委員 どうも聞いていても歯切れが悪いね。ざっくばらんに言ったらいいんだ。言葉だけで何か逃げ切ろうとするような様子がないわけでもない。いまの問題一つとらまえても不十分でありますけれども、じゃ、これはもう防災対策として、三重県の四日市コンビナートの大協石油の、あれは灯油ですけれども、火災事件、これに対してだって一体あなたの方で、もう少しきちっとしたことをやるように、閣議なり、それを通じて通産省なんかの指導強化さしてもいいはずです。通産省も来ているはずですが、通産省の指導企業べったりなんです。だめなんです。水島へ行ってもそれがはっきりわかるんです。もっと毅然としてやらせないとだめなんですよ。公害や環境破壊だけじゃなく、災害にまで影響してきているんです。いまの三重県の四日市のこれだって、もうすでに何回か忠告されているでしょう。そのやり方一つ一つ抜けているから、こんなことのないように、今度あなた毅然としてこれを持ち出してやらしてください。  四十八年の七月に出光石油化学徳山工場が爆発したんですよ。ここで政府の対策は何でした。全国十七のコンビナートのエチレンセンターの総点検をしますと言って、もうこれによって対策は万全だと言ったのです。ところが今度は、同じ十月八日に千葉チッソの五井工場、問題のチッソですね、五井工場が爆発して死傷者まで出たのです。この間総点検したのに何だと言ったところが、政府の方では、エチレンセンターでなくて関連工場であるから、これは検査の対象にならなかったと言うのです。対象外だったと言うんです。今度は、コンビナートには二百二十の関連工場があるから、それも総点検するということになった。そうしたところが、今度、十月の二十八日に信越化学の直江津工場がまた爆発した。一体これはどうなんだと言ったら、これは単独化学工場だからこれもまた対象外だったと言うのです。こういうふうにして、次から次とずっと対象外にしてきているんです。こういうようなやり方なんですよ。ですから、環境庁はもっときちっとしておらぬとだめだ。言葉だけじゃないんですよ。あなたのやる気なんですよ。やってやってください。  それで、これに対する高比ガスの取締法ができた。それだって、決めたのは家屋との距離だけでしょう。二十メーターのものを百五十メーターぐらいにした。二百メーターも入りますか。しかし、依然としてコンビナートの関連工場と単独工場は適用外になっている。法律をつくってもこういうような実態ですよ。ですから、事故は起こるべくして起きているのです。初めから起きる、要素を持っておるのです。通産省来ておるのでしょうが、この事故以前指摘されたときからどういうふうなことをして、またこういう事故が再発しておるのですか。いま言ったようにして次から次へとやっておる。これに対してはっきりこの際、解明してください。来ていますか、通産省。
  41. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 確かに内閣は一体ですから、私も国務大臣としてそういう面では責任を逃れることはできないわけでございます。ただ、御承知のとおり、環境庁長官がタンクの火災まで責任を全部負わなければいかぬかということになりますと、これはなかなかそこまで、私ども大気の汚染、水質の保全、自然環境の保全ということで、そちらの方では責任をもって一生懸命にやっておりますけれども、火災の発生まで、どうも私を責められましても大変でございますが、しかし、それがいろいろ関連がどうしても環境汚染につながってきますから、私が閣議で発言をして、いま、それじゃどこがまとめてやるか。私のところでまとめて防災体制整備の法律までつくるということは、これは所管がそれぞれありますから、なかなかできないので、そこで自治大臣が中心になって、今後は三月の半ばころまでには、その防災体制を強化する法案をつくろうというところまでいったのですから、その努力だけはひとつ多としていただきたいと思うわけでございます。
  42. 島本虎三

    ○島本委員 いま言ったのは四日市の例、ただし、いままでずっとあったのは、瀬戸内海のあのコンビナートにずっと起きておるのですよ。それだったら、時限立法までつくっておるのに、そっちの方に完全に支障を来すじゃないか。いま挙げた例は四日市、外れておるから全部防災できないなどと言ったら、この瀬戸内海の沿岸にコンビナートが幾つあって、どれほどのタンクがありますか。それを考えたらそんな悠長なことを長官考えてはいけませんね。少し姿勢をきちっとしてやってほしいな。私のように背が大きいやつなら総身に知恵が回りかねるけれども、あなたは回り過ぎておるじゃないですか。どうも言っておることが少し少し後退、後追いになっておる。それはまことに残念です。後追いになってはいけない。それはイタイイタイ病にもあるのです。  文藝春秋の二月号の中に「イタイイタイ病は幻の公害病か」ということでずっと出ておるのであります。環境庁はもうすでにこれに対する行政措置をしておるのであります。このイタイイタイ病に対する反論が出ておるが、環境庁としてはこれに対してはっきりした見解があるはずです。これに対してどうお考えですか。この際、はっきりしておいてください。
  43. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 文藝春秋の二月号に「イタイイタイ病は幻の公害病か」ということが書いてございまして、この中にイタイイタイ病の学説の動向、あるいはそのときの調査研究の進め方、あるいはこの結論に至る経緯、あるいは結論に至った後の学問と行政と司法と政治というものの関係、あるいはそれがマスコミの中でどういうぐあいにあったか、あるいは主治医の問題というような角度から、一人のルポライターの方が書かれたということでございますが、御承知のように、四十三年の五月の厚生省の見解は、あのルポライターの方は余り書いておられませんが、カドミウムではないかという問題を提起した方は萩野先生でございました。それからそのカドミウムを実際分析して出された方は吉岡先生や小林先生でございました。ただその後、昭和三十八年から四十年にかけて厚生省の研究費と文部省の研究費、両方が金沢大学に出されまして、そして合同研究班ができました。そしてその結論を四十年に取りまとめ、四十二年に初めてその結論を出されたときに、このカドミウムは要因の一つである。そしてその中で、カドミウムはほとんど関係しないという説とか、あるいはカドミウムは関係してないという説、あるいはカドミウムだけによるという説はきわめて少数であるというような四十二年の報告を基調といたしまして、もう一つの問題は、そのカドミウムはどこから出てきたかということを、厚生省公害調査研究委託費で昭和四十一年以来追求いたしまして、そして神岡鉱山から出てきたもの以外には自然界にごくある程度のものしか出てこない、そういう結論を出したわけでございます。  そういう厚生省の見解というものがございまして、それに対してその後の学問の動向を書いてございますが、あの本の中に書いてある各学説がいかなる関係にあるかという図は、私はきわめて不正確でミスリードをする図であるというぐあいに考えております。そういうことで、これは学問上きわめてむずかしい問題がございます。全体といたしまして、カドミウムに大量暴露された方々がおられる。これは一つの共通現象であります。それからそのあとに、老人、更年期以降の方とか、あるいは栄養の問題とか、あるいは労働の問題とか、これは富山に限った問題ではございません、どこにでもある問題でございます。そして腎臓の障害があらわれ、また骨の障害があらわれてくるということがこの病気の病像でございますが、厚生省見解とその付属の資料の中には、イタイイタイ病は水俣病と水銀のような関係ではない。しかしながら、カドミがかんでいることは間違いないということで書かれておりまして、その中での腎から骨に至る病変というところにいろいろの説がある、そこにいろいろな学問の経緯があるということで、まだ完全な決着はついてないということでございます。  そういうことで、学問的にはこれはまだ完全な決着がついていないということは事実でございますが、厚生省見解を変えるというような考え方は、私どもは現時点においては持っておりません。ただ、わからないことがたくさんございますから、鋭意研究を進めているという段階でございまして、研究で得られた所見によって、公害行政としては対応していくべきものである、こういうぐあいに感じております。
  44. 島本虎三

    ○島本委員 学問的にというのは、いろいろありましょうが医学的にということだと私ども解釈していますが、そうなんでしょう。それと同時に、今後あれだけではまだ患者自身にも相当不安があるのじゃないかと思うのですが、こういうようなことに対して、環境庁厚生省と一緒にきちっとした態度でこれに対処しておいてもらいたいと思うのです。この点は長官、今度はあなただ、いいですね。
  45. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 御承知のようにイタイイタイ病に関しましては、厚生省から環境庁が引き継ぎまして以来、四十四年、五年、六年、七年、八年、九年、また五十年度予算、それぞれ相当額の研究費を計上いたしまして、医学的な検討を進めておるような問題でございます。したがって、素人の判断とか、あるいは政治的な判断とか、そういうことで決すべき問題ではない。私が行政長官として、あるいはまた政治家として、文芸春秋が間違っておるとか正当であるとかというような評価を与えるべきことではないと私は考えております。もっぱらこの予算によって本当に熱心な学者の方々が何年も慎重に検討を続けておられるわけですから、その検討を待って初めて正しい見解が出てくるもの、かように私は考えておりますので、私はこの文芸春秋の記事について所見を求められても、どちらとも答える知識も持ちませんし、むしろ私の立場上答えるべきではない、かように考えております。
  46. 島本虎三

    ○島本委員 橋本部長はどう思いますか。
  47. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま橋本部長はどう思うかという御質問でございますから、私の考えとして申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、腎性骨軟化症というところに一番問題があるわけでございまして、それがカドミウムだけで腎性骨軟化症になったのだということは厚生省見解もとっておりません。そういう説の方はおられます。しかし、カドミウムだけでなったのだということは厚生省見解のときでもとっておりません。  それで腎臓が障害を起こしまして、それから、その次に三つの立場がございます。一つは腎が骨の病変に直接的に関係があって、それがカドミウムによって起こったのだ、いまの少数で、厚生省見解のとらざる説。それからもう一つは、腎の病変と全く無関係に骨軟化症が栄養で生じたのであるという説が一つございます。その説も厚生省見解はとっておりません。腎の病変によって特に燐の再吸収の阻害という問題があり、ちょうどその場合、折あしくそれらの方々は更年期以降の方であり、また栄養の面ではたん白が少ない、あるいはカルシウムが少ない、あるいはビタミンDの不足というような状態、普遍的な農村婦人の不幸な状態、そういう悪い条件が悪循環を持ちまして、そういうものが全部絡んで、一方に栄養不足があって佝僂病ができる要素もあって、一方に腎のそれがある。それが両方絡み合ってイタイイタイ病という病像を形成したのだという立場をとって厚生省見解は出しておりますが、これは学問の結論を出しておるものではいささかもございません。公害行政を進める立場からということでございます。学問は自由な立場で公正にやられるべきであるということでございます。そういう立場でございます。
  48. 島本虎三

    ○島本委員 次に、いよいよ原子力の方へ入っていきたいと思うのでありますけれども、その前に長官、あのチッソの開銀融資、これは決めたのですか、決めないのですか。それはPPPの原則に反しませんかどうか。この辺はっきりしてもらいたいと思います。
  49. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私の方ではチッソの開銀融資には全く所管でありませんので全然関与いたしておりませんし、所見を求められても私どもは答える立場でございません。ただ私が間接的に聞いておりますのは、何か千葉の設備投資をやったその資金について、いまチッソが水俣病で補償の責任があってどうこうという問題とは一応無関係に、設備投資として政府の開銀融資が対象になって、どの程度出るのか、そういう問題としていろいろ検討を進めているというふうに聞いておるわけで、もしそれがチッソそのものの経理的な内容に好影響を結果として与えて、しかもその結果として患者の補償について支障なく行われるのだということであれば、その結果そのものは、水俣病の患者の補償について心配をしている私の立場にとって大変結構なことではないかと思うだけでございまして、チッソの開銀融資につきまして環境庁は全く所管でもありませんし、私は何ら相談にもあずかっておらない、こういうことでございます。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 相談にもあずかっておらない。じゃ、また別な場所でこの問題ははっきりさせます。  まず、最近原子力開発で労働組合の電労連の提言があるようであります。それには、一番目に、現在運転中の四つの原子力発電の設備利用率は四五%から七一%と低くて、軽水炉は完成された商業炉として位置づけるには課題があるということ、二番目には、原発に働く従業員の放射線被曝量が年々増加しているので、この解決なしには前進は見込まれない、こういうようなことのようであります。最近の新聞にもまた敦賀の原発が停止している、こういうようなことも出ているのであります。一体日本開発銀行は電力会社へどれほど融資しているのですか。これをはっきりさしてください。
  51. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 お答えいたします。  開発銀行が原子力発電事業につき融資しております残高は、九月末で千四百八十二億円ということでございます。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 千四百八十二億円融資している。そうすると、その他石炭並びに電源開発、その方面にはどれほど融資していますか。
  53. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 お答えいたします。  同じく九月末現在で、石炭火力に対して二百十五億円、電源開発について千五百二十九億円の貸付残高となっております。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、これを原子力と火力と水力に分けられますか。データありましたら、そういうふうに分けた発表を願いたいと思いますが。
  55. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 お答えいたします。  いま手元の資料では完全に正確な分け方にはなりませんけれども、先ほど申し上げました原子力関係の千四百八十二億円、それから石炭火力が二百十五億円、電源開発、これは水力というふうに見ていただいて結構だと思いますので、これは千五百二十九億円というのが、分け方の大まかな分類というふうに御承知おきいただきたい。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 そこでこれは私どもが見逃すことのできないのは、現在四つのそれぞれの会社で原子力発電を稼働中のものでありますが、そのうち五つがもうすでに欠陥品として、あるいは点検のため、あるいは故障のために、運転中のものがストップしているのであります。それは日本原子力発電株式会社の敦賀工場、それと福島第一ですか原子力工場、それと第二、それから美浜の第一、それと中国電力の島根原子力、これがもうすでに点検または事故、故障、こういうふうになってほとんど稼働されていない。原子力発電所美浜一号は稼働率がたったの七%でしょう。ほかの原子力発電所もいま言ったようにして故障が多い。そしてとめている時間の方が長い。八〇%稼働しなくては経済性は不十分でしょう。その原子力研究の安全性を確立するために融資しているというならわかるのです。安全性を飛び越えて、基礎段階を飛び越えて、営利目的のためにこれをやっているということは、これは大蔵省、危険じゃありませんか。ことに人身障害まで与えている。これに対して開発銀行が融資しておる。それが千四百八十二億円。営利性のために危険性を飛び越えて、基礎段階も飛び越えてこれをやっている。果たしてこれでいいものでしょうか。もっとやり方があるじゃありませんか。これだって国民の金じゃありませんか。あるいは年金あるいは貯金、保険、こういうような積立金、そういうようなものがこの欠陥品である原子炉の方へ、それも千四百八十二億円も持っていかれている。こういうようなことをそのまま認めていいものですか。ことにこれは原子力公害を起こしているのであります。従業員組合の方からはっきりこれは摘発されているのであります。一体これに対して大蔵省、いいのですか、悪いのですか。まことに危険だと言わざるを得ない。こういうふうなやり方は、私は少しおかしいと思うのでありますけれども。
  57. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 お答え申し上げます。  日本開発銀行は御承知のとおり政策金融機関でございますので、開発銀行が単独でこのような融資をしておる、独自な判断で融資をしておるというわけではございませんで、エネルギーの多様化というエネルギー政策の一環といたしまして、その所管官庁である通産省の御推薦に基づき、その推薦の中から資金量等を勘案して融資しておるということでございまして、そのプロジェクトの内容の安全性等につきましても、所管官庁の方と十分打ち合わせをして、いままでやってきておることでございます。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 この原子力発電所が事故続きだということは、データによって明らかです。これは資源エネルギー庁のデータです。どれもまともに稼働していない。そしてもう五社内の労働者の放射能被曝事故、これは増加している。著しく増加しておるわけです。それで、いまの日本の原子炉技術、これは基礎的な研究段階であって、商業炉をつくってよい段階ではまだない。これは明白な事実なんです。このようなところに、国民の各種の保険料や郵便貯金、それから年金の積立金、こういうようなものが原資になっている財政投融資を資金として国民、国家が使用させる、こういうようなことに対しておかしいということなんであります。私は、そういうようなことからして、単にこの問題は融資の問題だけじゃなくて、現在もうすでに被曝者が増加しているんです。それと同時に、この研究段階がまだ日本の国内ではっきりしていないのです。したがって、アメリカでおかしいと言うと日本のやつを総点検したり、また定期点検を早めたりしてとめているのです。日本でやってないで、アメリカがやって、これがおかしいということになったら日本の炉も一緒に検査する、これほど不的確なことはないじゃありませんか。それで稼働率はただの七%かそんなもの。これはもうすでに基礎段階のものであって、これは経営上の問題じゃないと思うのであります。一体通産省、これでもなおかつ、安全性、そういうものからして出してあるのがまともだ、こういうふうに考えて指導されているのですか。
  59. 井上力

    ○井上(力)政府委員 まず最初に、現在の原子力発電所の現状をちょっと御説明させていただきたいと思います。  現在、原子力発電所の運転中のものは八基、約三百九十万キロございます。ほかに建設中のものが十五基、千二百六十八万キロでございます。  それで現在運転中の原子力発電所でございますが、まず日本原子力発電の東海発電所は現在運転中でございます。それから敦賀発電所でございますが、これは現在停止いたしまして、先生の御指摘のような点検をやっております。それから東京電力福島第一原子力発電所一号機でございますが、これは年一遍、法律に従いまして詳細な点検をやるわけでございますが、現在ちょうど電力の不需要期でございますので、定期点検に入っております。それから福島第一原子力第二号機でございますが、これは先生の御指摘の点検に入っております。それから美浜一号機、これは非常に特殊といいますか、ほかの七基とは違いまして、先生例に挙げられました稼働率が非常に悪いということでございますが、熱交換器のトラブルによりまして、現在停止いたして原因の追求をやっておるということで、非常に稼働率が悪くなっております。美浜二号機でございますが、これもやはり年一遍の法的な定期検査を行っております。高浜一号機でございますが、これは現在運転中でございます。それから中国電力の島根原子力発電所、これはやはり年一遍の法的な点検に入っておるわけでございます。そのほか試運転中のものが何基かございますが、その四基ほど、いわゆる燃料を入れましての試運転をやっておるわけでございますが、そのうちの二基につきましては、やはり御指摘の、アメリカにおきますトラブルがないかどうかという点についてのチェックを指示しております。  こういった現状でございますが、さらに御指摘の稼働率がどうかという問題でございますけれども、四十八年度におきます稼働中の発電所の設備利用率を見てみますと、先ほど御指摘の美浜一号機は、四十九年度は一〇%を割っておりますが、二七%程度、その他の発電所は約五〇%から高いもので約八〇%弱という稼働率でございます。こういった稼働率でございますが、御指摘のように安全性を確保するという見地からいたしまして、われわれの方としては稼働率を犠牲にいたしましても安全性のための点検を十分行う。アメリカの方がやや先行して原子力発電の建設を行っておりますので、どうしても向こうの方が先にトラブルが出がちでございますが、これが出ました際には、直ちにこちらの方でもそれ以上の点検を行うという態度でもって、安全性の確保に万全を期している次第でございます。  現在起こっておりますトラブルと申しますのは、現実に何か漏れておるとか、あるいはどこかが破壊したということではございませんで、予防的な措置としての点検ということでございまして、そういった意味で万全を期するということでの点検をやっているわけでございます。したがいまして、安全を期する観点から、どうしても稼働率が低下する方向になるわけでございますけれども、現在の油の価格の上昇からいきますと、あまり下がり過ぎますとやはり火力に発電原価が匹敵しないという点がございますが、相当程度の稼働率が確保されれば、経済性はまだ確保できるものというふうに考えております。  それから、先ほどの開銀融資の点でございますが、これはやはり明治以来、非常に大型な技術、原子力以外の大型な技術もそうでございますが、これにつきましては、どうしても欧米諸国から技術を入れまして、これを完全に消化して、国産化していくという技術開発をせざるを得ない状況で来ているわけでございまして、原子力発電につきましても、これは欧米諸国で開発された技術をもとにいたしまして、これを国産化するという努力を現在しているわけでございまして、いろいろ安全性上万全を期さなければいけないということで、若干の稼働率の低下ということはありますけれども、われわれの方といたしましては、技術の国産化によって安全性をさらに向上さしていく、経済性をさらに向上さしていく、あるいは稼働率を上げるということで信頼度を向上させていくという観点からいきまして、国産化を促進するということのための開銀からの融資をしていただくということでやらせていただいておるわけでございます。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 時間のようでありますが、問題は、私ども言っておるのは、やはりいまの答弁の中にもちょっと出たように、安全性を否定するものじゃないんだ、こういうようなことを言いながらも、日本ではっきり安全性を確立してそれからやったのですか。そうじゃないでしょう。われわれとしても、将来における核融合等の原子力発電、こんなものを真っ向から否定しているものじゃないのです。むしろ、平和目的の自主、民主、公開の三原則に基づく原子力の基礎的な研究を積極的に行うように主張しているのです。ところが、安全性の確認をとれないままに原子力発電をもう実用化してしまっている、経営化している、ここが問題だということです。十分研究して、それからやったっていいじゃないか。稼働率も落ちて、中には七%、美浜一号のようなものだったら、何のためにいま稼働させておるのですか。これならば研究に重点を置いて、もうほとんど安全だという時点から稼働させてもいいじゃありませんか。十分研究を行う、これでなければだめなんだ。まさに国産がそういうような状態であって、安全性は二の次にして、そして事故が起きたならばその問題を考える、従来のコンビナートと同じような考え方で原子力も施行する、これはまことに重大であります。一たんもしものことがあったら取り返しがつかないのであります。  そういうような点からして、この点は安全性の確立が何よりも大事であって、効率が上がるからと言って経営化した、しかしながら、実用化してもさっぱり上がってないのが実態。これは安全性を先にきちっとやらないからです。そういうコンビナートの爆発と似たようなものもある。今後のために、大蔵省にも通産省にも重大なる問題点としてこれを提起して、安全性をはっきりした上でこれをやるように私から要請して、私の質問を終わります。
  61. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 木下元二君。
  62. 木下元二

    ○木下委員 前回、環境庁長官の所信表明がございました。  当面の重点事項としまして、「自動車排出ガス問題については、昨年末の中央公害対策審議会の答申に基づき、規制を強化する措置を講ずる」というふうに書かれております。もとより厳しい規制強化が必要であります。ところが、問題はこの中公審の答申であります。いまこの問題をめぐって重大な疑惑が生じておるわけであります。にもかかわらず、この中公審の答申に基づき、規制を強化する措置を講ずるということについては大きな問題があると思うのであります。それで一体大気保全対策の万全を期することになるのかどうか。  また、この所信表明に「国民の理解と協力を求めながら、環境行政の積極的な推進のために全力を尽くす覚悟であります」と書かれておりますが、そういうことでは国民の理解と協力は得られないのではないか。何より大事なことは、この中公審の審議あるいはまたこの答申をめぐって生じている疑惑を解消することではないかと思うのであります。一体、長官はそのためにどのような措置、あるいはどのような方法をお考えになっていられるかということを、まず伺いたいのであります。
  63. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 家本委員が自分の委員会における審議の経過をメモをいたしまして、整理をして、それを浄書をさせ保管をさせておいた、それが一部外部に漏洩した。あるいはまた自工会の公的な集まりのときにいろいろ審議の経過等について説明をした、そのときに業界がいろいろな対策を練ったというようなことを私ども聞いておるわけでございますが、その後の経過については先生御承知のとおりでございます。  しかし、家本さんが自工会に説明を若干された、あるいはまたそのメモが一部外部に漏れたというようなことと、中公審の専門委員会の技術的な評価といいますか結論について、それが影響されて、先生おっしゃるように答申そのものが非常な疑惑に満ちているとか、あるいはそういう方面からの、いわゆる専門的、技術的検討以外からの圧力によって変更になったとか、そういうふうには私ども理解をいたしておりませんので、あくまでも中公審の答申を得て、できるだけ早く実施いたしませんと、おくれればおくれるほど、かえって環境行政にとってマイナスになるという考えが私ございますので、総理のおっしゃっておられますように、中公審の答申を尊重して、できるだけ早い機会にこの規制を告示をいたしたい、実施をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  64. 木下元二

    ○木下委員 この中公審の、いまあなたが言われた審議筒抜け問題によって国民に疑惑を招いたことは、これはもう前回もお認めになったと思いますが、この疑惑を招いているという事実、これを否定されますか、いかがですか。
  65. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 一部そういうような疑惑があることは、当委員会においても、あるいは他の委員会においても議論が行われておりますから、それは認めざるを得ないだろうと思うのでございます。ただ、それは委員会の専門的な結論についていろいろ疑義を生じたり疑惑を持ったりするようなものではない、私はかように考えております。
  66. 木下元二

    ○木下委員 どうも長官は、この重大な問題について理解不足のようであります。いま答弁されたことについては、これから追って聞いていきたいと思いますが、まず私は具体的にお尋ねをいたしたい。  前回の当委員会で、非公開の中公審の審議に環境庁自動車業界には傍聴を許可していたことが明るみに出ました。この傍聴を許可した理由は何でしょうか。
  67. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 環境庁が傍聴を許可したとおっしゃいますが、実は委員以外の人が傍聴したいということで来られて、それを許したというような性質のものではないわけでございます。私はこの前、はなはだ遺憾だと申し上げたのは、やはり委員でない方が委員の代理としておいでになっても、それはやはり厳粛な委員会の審議だからお断りすべきが当然だったと思うのです。そういうような意味で、従来、間々各種審議会においてその委員の代理としておいでになった方に、審議には、あるいは意見の表明とか賛否については許しておらぬけれども、その委員の方に審議を報告する意味において、たまたまその中に着席を別の席にしてもらって聞いておってもらうというような、そういういわば何となしに、よくある例をそのまま認めたのじゃないかと思いまして、私、部下を弁護するわけではありませんけれども、しかし、さはさりながら非常に不注意だったと思いますので、この点は、今後、委員の代理が参られましても、そういうような取り扱いをしないように厳重に注意をしていきたいと思っているわけでございます。
  68. 木下元二

    ○木下委員 さらに具体的にお尋ねしますが、では、八月三日の大気部会で岩越日産社長に対して傍聴をお認めになったのは、前回は許可という表現を使われましたけれども、これは長官御自身が許可されたのではないことは明らかであります。これをお認めになったのはどういう理由ですか。
  69. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 いま私がるる述べたとおりでございます。
  70. 木下元二

    ○木下委員 不注意で、ついうっかり許してしまったということでは納得できません。どういう理由ですか。
  71. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、不注意で認めたということを申し上げているわけじゃないのです。先ほど言いましたように、よく審議会で、委員の先生が参加できないときに、長期的に毎回そういうようなことがあれば別ですけれども、たまたまある委員会のその日に、委員の方がやむを得ず病気で欠席をしなければいけないというときに、その代理の方、代理といっても、やはり特にその委員を選んだいきさつ、その他と密接に関連しなければ代理にならぬと思いますが、そういうような立場の方がおいてになったときに、このような大事な審議だから、普通間々あることではあるけれども、そのときだけ特に厳重に注意すべきであったにもかかわらず、やらなかったのが不注意だと、こう申し上げておるわけでございまして、そういう意味で代理の出席を許したということでございまして、特別に業界の方が来たから傍聴を許したという表現でありますと、少し誤解を与え過ぎるんじゃないかと思いますので、申し上げておるわけでございます。
  72. 木下元二

    ○木下委員 どうも言われる趣旨がはっきりしないのですがね。その委員が病気のために代理人として認めたというわけでもない。これは委員個々の学識経験者としての資格において委員を任命しているわけでありますから、その委員の代理ということは認められない、そういうお立場に立っておりながら、病気であって、かわりの者をということのニュアンスもあるわけでありますが、そういうことになると、これはどういうことなんでしょうね。単なる傍聴ではない、委員にかわるべき者、しかも代理人ではない、そういうふうなニュアンスがあるのですがね。それはちょっとはっきりしていただきたいのでありますが、どういう資格と理由において認めたのか。
  73. 春日斉

    ○春日政府委員 八月三日の大気部会で、川又さんが正規の委員でございまして、急病のため御出席がかなわないということであるわけでございますが、川又さんは、みずから自動車に関する専門の立場で委員に選ばれていらっしゃるわけでございまして、自分としては、どうしてもその討議の内容について十分な関心をお持ちになり、出席したいんだが、どうしても体の自由がならぬということで、御承知のごとく川又さんはたしか日産の会長であったろうと思います。日産の社長である岩越さんに依頼されたわけでございまして、代理ということではもちろんございませんが、ともかく大気部会における審議というものにみずからが参加できないのはきわめて残念であるので、せめてその空気について委員として知っておきたいので、ということで岩越さんに依頼されたものだと聞いております。したがいまして、私どもは、代理として委員席にお着けするということはお断りし、もちろん発言も許していないわけでございます。単にそのときの審議の模様を聞くことを許したということでございます。先ほど長官申しておりますように、単なるいわゆる傍聴ではない、こういうことでございます。
  74. 木下元二

    ○木下委員 どうも理由がはっきりしませんね。代理ではない、委員でもない、傍聴でもない、一体何でしょうか。いまあなたが言われたので経過は薄々わかりましたけれども、いまのあなたの説明は単なる経過の説明であって、これを許した理由にはならぬと思うのですよ。その経過の説明も、何かいろいろ言われましたけれども、それは一体だれから申し出があったのですか。岩越さんから申し出があったのですか、あるいは川又さんから申し出があったのですか、どっちですか。
  75. 春日斉

    ○春日政府委員 岩越さんから川又さんの意を私は伺いました。それならば、ということで許可をしたということでございます。
  76. 木下元二

    ○木下委員 どうもよくわかりません。単なる経過の説明であって、理由については私は納得できません。大体あなた方は、公害反対運動の住民たちが傍聴に来ても、これは追い返しておる。そうしておいてこういう業界の幹部を入れておる。だから問題なのですよ。これは結局、岩越氏がメーカーの幹部であったから、だから認めたのだ、こういうことに尽きるのじゃないですか。あなた方はそれを否定されますけれども、では認めた理由。少なくとも傍聴しておったことは事実なので、単なる傍聴人かどうか、いろいろあなた方は言われますけれども、委員でなくてこの会場内にいた、客観的事実としては傍聴しておったということは間違いないのです。この傍聴を許した理由というものは何か、これは少しも明らかにされていないのですよ。あなた方が言われないなら、これはもう私からはっきり申しますが、メーカーの幹部であったから認めたのだ、こうでしょう。なぜこれがはっきり言えないですか。  それでは、八月三日の大気部会にも青木部長が参加をしておりましたが、これはどういう理由で許可をしたのでしょうか。
  77. 春日斉

    ○春日政府委員 これは単なる秘書役として、あるいはかばん持ちという言葉がございますが、かばん持ちとして同席することを認めたわけでございます。
  78. 木下元二

    ○木下委員 この前も、これは分身というようなことを言われたのですけれども、だれの分身、だれのかばん持ちなのでしょうか。青木という人は専門委員会にはほとんど毎回出ておりますね。これは専門委員会の際は家本氏の手足、分身だということのようであります、あなた方からの説明を聞いておると。では一体この八月三日の大気部会のときのかばん持ちというのはだれのかばん持ちになるのですか。
  79. 春日斉

    ○春日政府委員 岩越さんのかばん持ちでございます。
  80. 木下元二

    ○木下委員 かばん持ちであるかどうか、分身であるかどうかということは別といたしまして、青木という委員でない一人の人間がこの会場内にいたという事実、傍聴していたという事実、これは客観的に明らかなのです。これは否定できないと思います。さらに、専門委員会には毎回青木部長が委員でないのに参加しております。これはやはりかばん持ちということですか。
  81. 春日斉

    ○春日政府委員 これは何回も先回お答え申し上げましたように、これは家本委員のかばん持ちでございます。分身と申しますか、手足と申しますか、いわばかばん持ちという言葉が適切だろうと思います。
  82. 木下元二

    ○木下委員 かばん持ちを何で認めるのですか。
  83. 春日斉

    ○春日政府委員 先ほど長官も申されておりましたが、審議会において間々ある慣例だと考えたのでございます。
  84. 木下元二

    ○木下委員 そういう慣例があるかないかは私はよく知りませんけれども、これだけ非公開ということであなた方はやっておられながら、委員でない者を参加させる。かばん持ちであるかどうかはともかくとして、これはけしからぬですよ。この前あなたは、青木部長に来てもらったのは、資料を配ってもらう必要だというようなことを言われたのですけれども、資料を配るのはもともと環境庁事務局としての務めではないのですか、いかがですか。
  85. 春日斉

    ○春日政府委員 先般申し上げましたように、資料を単に物理的に配るというだけではなくて、物理的に家本さんの資料を持参、持ち込みと申してもいいでしょうね。それからまた作成を手伝ったりする、そういう意味で必要であった、こういうことを私は申し上げたのですが、その役割りと申しますものは、まあいわば手足であり、かばん持ちである、こういうことでございます。
  86. 木下元二

    ○木下委員 資料を委員会に持ってくるのは持ち運びですね。それは当然必要でありましょうけれども、それは委員会に参加する、しないとは別の問題でしょう、参加するまでに持ってきて出ていけばいいわけですから。あなたが前回言われたのは、配ってもらう必要ということを言われた。きょうは家本氏の書類の作成というふうに言いかえておられますが、どっちが本当ですか。
  87. 春日斉

    ○春日政府委員 資料を一々各委員のところに専門委員会で配付するというようなことは事務当局の仕事でございます。
  88. 木下元二

    ○木下委員 当然そうだと思うのですが、ところが前回そういうふうに言われたのは間違いですか。
  89. 春日斉

    ○春日政府委員 日本語の申し上げようが私十分でなかったかもしれませんが、資料を持参するのは配付するために持参するわけでございますが、そういったことを含めて申し上げたので、若干の言葉の不注意さがあるとすれば申しわけなかったと思いますが、決してある種の意図があって申し上げたわけではございません。
  90. 木下元二

    ○木下委員 さっきから言っているように、持参は委員会に参加することとは別問題でしょう。持参するために傍聴を認めたということは理屈に合わないですよ。だからもう少し、この前言われたことを言葉の不注意ということを言われましたが、間違いだ、訂正するというならそれで結構です。そういうことですね。
  91. 春日斉

    ○春日政府委員 いろいろ資料要求が各委員から討議の結果出てくるわけでございます。それから各自動車メーカーに要求することもあります。そういう意味で、いろいろ自工会を通じて資料を集めることもございましょう。そういったときに青木氏が家本委員の手先として持参をする、こういうことはございます。  それから持参してそのまま傍聴することとは違うではないかとおっしゃる、そのとおりだろうと思います。そこで私は、青木氏は別に傍聴しておったということよりも、かばん持ちとして出席しておった、こういうふうに申し上げておるわけでございます。かばん持ちとして出席させるのはまことにけしからぬではないかという御指摘に対しましては、先ほど申しておりましたように、間々そういう慣習というもの、セクレタリーを同道する、そういうようなこともないわけではないので、慣例として認めてきた、こういうことを申し上げておきます。
  92. 木下元二

    ○木下委員 とにかくあなたはいろいろ言われますが、かばん持ちとしてなのかあるいはそれ以外の理由なのか、それは参加した人たちの胸の内はいろいろ理由があるかもわかりません。本当に審議の中身をよく聞こうということで参加する場合もあるでしょうし、あるいはそれ以外の目的をもって参加する、あるいはかばん持ちということもあり得るでしょう。そういうことでなくて、この委員会の中にいた、傍聴していたという事実は否定できないと思うのです。それを一体どうして認めたかということを問題にし、あなた方の答弁は理由にならない、こう言っているわけであります。結局、中公審の審議というのは、非公開だと言いながらメーカーの方はフリーパスであった、メーカーの幹部の傍聴は環境庁によって容認されておったということであります。  長官、ほかの審議会がどうのこうのと言われますが、そういうことは理由にならぬですよ。特にこれは非公開、非公開ということをずっと終始一貫して言われてきたんですよ。これまでの経過は長官もよく御存じだと思うのです。この問題についてどうお考えになるか。一言で結構です。
  93. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 非公開を原則とする委員会委員が、たとえみずからの意思をもってやったことでないにしても、結果的にその審議の内容が他に漏洩したということは、はなはだ遺憾なことだと考えております。
  94. 木下元二

    ○木下委員 どうもこの問題の重大性を余り認識されていないと思うのです。昨年の八月に五十一年度規制問題が中公審にかかりまして以来、その審議経過と答申は全国民の注目の的でありました。窒素酸化物という毒ガスを吐き出す車をどんどんつくらせて、メーカーをもうけさせるのか、それとも国民の生存と健康を優先して考えるのか、これが大きな課題になってきたのであります。そういう中で、中公審の密室審議というものが疑惑を呼び、審議の公開が大きな世論になってきておったのです。  こうした中で、国会でも昨年夏以来何回となくこの問題が取り上げられました。専門委員会では審議は一体どういう状態なのか。そしてその審議の中でどんな資料が出されておるのか。これは私からも質問しましたし、ほかの委員からももう何回となく質問されておるのです。参議院でもそうであります。私は、この問題が起こりましてから、衆参両院の公害特の委員会会議録をずっと精査してみましたけれども、これに対して環境庁の方は一貫して、これは非公開だ、言えません、こういう態度に終始してきたのですよ。その急先鋒が大気局長、あなたですよ。あなたは会議録をもう一遍読み直してみなさい。五十一年規制の中身の問題についても、質問すると、それはいま専門委員会で専門的に検討中ですからちょっと言えません、もう少し待ってください、こう言ってきたのですよ。そういう経過があることを、長官は新しいから詳しくは御存じないでしょうけれども、認識をしていただきたいと思うのです。  結局、国会と国民をつんぼさじきに置きながら、メーカーにはフリーパスで審議を進めてきた、その結果の答申であります。国会と国民に対する重大な侮辱であると私は思うのです。これは断じて許せません。いかがですか。
  95. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 委員会が開催をされまして、それが終わりますと、委員長と私どもの大気局の方でそれぞれ、きょうの委員会ではどういうような審議があったかということの概要について記者会見をいたしております。しかし、御承知のとおり非公開だ非公開だと言っているのは、専門委員会が専門的にある問題を討議していることについては、従来の専門委員会の性格上、当然結論が出るまで非公開にいたしておるわけですから、その審議の経過について一々発表することはいたしておらないのでございます。そういう意味で、今回の事件は遺憾だとは思いますが、専門委員会委員の人選に当たって、学識経験者として、自動車関係の専門的な知識を持つ者として選んだ人が、たまたま業界に関連がある場合に、その業界の方々の方に最初から全く漏れないものだという想定のもとにやったとすれば、これは少し委員のあり方について配慮が欠けておったと私は思うのです。  たとえば、皆さん方もそうだと思いますが、社会保障制度審議会というのがございます。これは非公開でございます。総理官邸で行われております。これは各党の代議士さんが委員として、まあ一定の制限はありますけれども、出ております。帰って、それぞれ、たとえば自民党出身の議員は、社会保障制度審議会でこういうような議論が行われたということを、わが党の部会において報告し、それをいろいろと審議して、それじゃ党の態度決定はどうするかというようなこともやはり現実にあるわけでございますから、そういう意味で、私がこの前から申し上げておるのは、今後は、専門委員会は、その問題に直接関係のある業界から委員として入れることはよくないんじゃないか、したがって、参考人として意見を十分聞く機会を持つことによって、そうした専門委員会の審議の参考にしようということで、今後はそういう方針でいくようにいたしておるわけでございます。  いま先生からるるお話があって、環境庁が業界にいわば筒抜けにしたような、あるいは積極的な意思を持ったようなお尋ねでございますが、各種審議会において労働組合の委員長が出ておった場合に、たとえば総評なら総評の代表がお出になっておった場合に、その代表が都合の悪いときに、その組合の同じ立場にある幹部の方が代理として出るというような場合も間々あったものですから、恐らく事務当局はそういう点についての注意が行き届かなかったのだろうと思いまして、この点は不注意だと私は申し上げておるわけでございますが、今回のこの問題は、結論には一つも影響は来しておらない。そういう意味で、間々そういうような例があることが念頭にあって、取り扱いについて慎重を欠いた点があることは事実でございますけれども、そのために専門委員会の技術評価が変更を受けたりしたことはないという確信のもとに、この専門委員会の結論を受けた中公審の総合部会における和達会長の答申は尊重して十分妥当なものである、私はかように考えておるわけでございます。
  96. 木下元二

    ○木下委員 私が先ほど言ったときに、長官はちょっと後ろを向いておられましたけれども、昨年の夏から秋にかけまして、中公審の専門委員会で検討をしておるときに、この国会では、五十一年問題が一体どういうふうに進んでおるのかということで、私をも含めて、衆参両院の公害対策特別委員会で再三再四にわたって、その検討の段階あるいはどういう資料が出されておるかということを環境庁に伺いましたら、環境庁は非公開だ非公開だと言って中身を明らかにしなかったのです。私、会議録を全部持ってきております。これをここで引用してもいいのですが、実にひどいですよ。トヨタや日産が〇・八ではだめだ、そういうことが専門委員会でどういうふうに論議をされておるか、その専門委員会の論議の状況だけでなくて、客観的にどの程度の評価ができるかという問題を環境庁に伺っても、いや、その問題は専門委員会で検討中だから言えませんというふうな答弁さえやられておるのですよ。そういうことをしておきながら、この審議中にどんどんメーカーの方には知らせておる。こういうことがあってよいのかどうかですね。しかも長官は先ほど、それは特に環境庁として手をかしたのではないかのように言われますけれども、初めに私が聞いているように、環境庁がそういう傍聴を認め、委員でない者を入れ、審議をやったじゃないですか。だから私は聞いているのですよ。この問題について将来こうする、ああするということを言われますが、将来において再び過ちを繰り返さないように今後の対策を検討するということは大事でありますけれども、同時に、現に生じた過ちをどう是正するか、この点が一番大事だと私は思うのですよ。この観点が長官にはないので、私は聞きたいのです。  この中公審の審議において、すでに明らかにされましたように岩越社長や青木部長の傍聴を許しました。これによって環境庁の言う審議非公開の原則というものは崩れたのではないかと思うのです。それとも、なおこの非公開の原則は保たれておるとお考えですか。いかがですか。
  97. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 中公審の非公開の原則は完全に崩れたとは私は思っておりません。たまたま大気部会という部会で、委員の川又さんが病気で出られないということを申し出られて、全く代理権の行使はさせません、もちろん代理としては認めていないのでありますが、その委員の、審議経過を聞いた上で自分が判断をするという意味における、そういう必要性から傍聴を許したものだと思うのでございまして、そういう意味では非常にレアケースでございますから、その一事をもって審議会の非公開制が破られたというふうには考えないでいいんじゃないかというふうに私は考えております。
  98. 木下元二

    ○木下委員 どうもよくわかりにくいことを言われますね。審議経過を聞いた上で判断をするというのは、だれが判断するのですか。
  99. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 それは当然委員としての立場の川又さんが大気部会の最後のときに判断をするという意味で申し上げたわけでございます。
  100. 木下元二

    ○木下委員 委員としての川又氏が判断をするのに、病気で来られない、かわりの者をどうして認めるのか。学識経験者としての資格においての委員、これが参加するわけでしょう。そうでない者を入れて審議を傍聴させる、それが一体許されるのかどうかということですよ。どうもあなたは理解が不十分のように思うのです。  この審議非公開というのはどういうことかというと、特定の委員以外の者、つまり一般の者ですね、あるいは不特定多数の者と言ってもいいでしょう。そういう者には公開しないという原則でしょう。この場合、岩越社長、青木部長の傍聴を許しました。その許した理由というのは、初めに聞きましたがどうも釈然としません。はっきりしませんでしたが、岩越社長について言えば、結局メーカーの幹部だということに尽きると思うのですよ。青木部長について言っても、委員の手足としての働きをするからということに尽きると思うのです、お話を聞いておりますと。つまり、メーカーの幹部であれば、これは岩越氏でなくても出入りができたということでしょう。
  101. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 違います。
  102. 木下元二

    ○木下委員 違うと言われたって……。それじゃ違うと言うなら聞きたいのですよ。では、なぜ岩越氏に認めたのか。たまたま岩越氏が病気だったらどうなんですか。やはりそれにかわる者が認められたのでしょう。そうでないと言うなら、じゃなぜ岩越氏に認めたのか、その理由を言ってくださいよ。これは、川又氏が来れない、ひとつかわって聞いてもらいたということで岩越氏が来たわけでしょう。岩越氏がぐあい悪ければ、岩越氏でなくてもまた第三者の人が来ることも考えられたわけですよ。そういう意味では、岩越氏が来るという必然性といいますか特定性といいますか、そういうものはなかったと思うのです。それから青木氏の場合でもそうです。手足ということなら青木氏でなくても出入りができたというわけでしょう。結局メーカー側には出入り口を開いておった、公開しておったということでしょう。いかがですか。
  103. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、岩越さんの場合はたった一回の例じゃなかったかと思いますが、これは、川又委員を選定をされた当時のいきさつは私はよくわかりませんが、大体、日産自動車という一つの進んだ自動車会社の長い間の経験をお持ちの最高幹部であるという点を、委員としての、学識経験者としての価値に位置づけたのだろうと私は思うのです。そういたしまして委員を任命して、川又さんが委員として大気部会に参加をされておった。ところがたまたまある日、その大気部会のときに川又さんがお病気で来れない。そこで、まさにそれと全じ経験の度合いを持った人に、その審議並びに結論に責任を持たなきゃいかぬ川又さんが、その経過をよく承知をして、そうして理解をして判断をする意味において、かわりに出席を依頼した。しかし、われわれの方としては委員の代理を認めておりませんから、委員としての権限と責任の行使はお断りしますが、そういう趣旨ならば傍聴をしておってくださいということで、その点についての注意の足りなかった点は先ほど私が申し上げているわけでありますけれども、そういう立場でお認めをしたわけでございますから、私は、その一回をもって部会の非公開の原則が全部破られたと言われても、確かにその点の注意の行き届かなったことは反省をしなきゃいかぬと思うけれども、その点は、間々そういう例が各審議会であるということが頭の中にあったものだからそういう結論になったので、私としては、大気局長をかばうわけではありませんが、一応お許しをいただいていいのじゃないか、こう思っているわけであります。
  104. 木下元二

    ○木下委員 どうも長官のお話を聞いているとますますわかりにくくなってくるんですよ。何か委員にかわるべき実質的な代理人であるかのような言われ方もする。代理人は形の上で認められないけれども、実質的には代理人であるかのようなニュアンスが、いまのお話を聞いていると非常に強くなってきた。これはやはり厳格に解してもらいたいと思うのですよ。委員以外は委員として参加できないというこの原則に立つならば、それがいかに病気であるからといって、その近辺の者がかわって来れるものではないということですよ。それをどうも誤解しておられる。  それから、たった一回だとかいうようなことも言われるが、一回だからいいということにはこれはならぬですよ。それからまた、この大気部会の場合は一回ですけれども、専門委員会の場合には十六回にわたって、これはほとんど各回に参加している。これはかばん持ちというようなことを言われますけれども、客観的には傍聴しておったのは事実なんです。まあ一人や二人だから構わぬだろうというお考えですか。私はそうであってはいかぬと思うのです。少人数だから非公開が全面的に崩れていないというような考えならば、これは私は誤りもはなはだしいと思います。一人でも二人でも一般の者に、つまり不特定多数の者に出入りを許せば、それは非公開ではなくなるということです。公開か非公開かということは、これは質的な違いなんです。人数の大小あるいは回数の多い少ないではありません。しかもこれは家本委員自身が認めておりますように、審議の状況を議事要旨によって配付をいたしておりますが、これによっても非公開の原則が崩されております。この中公審の審議は、さっきから申しておりますように、国会や国民には非公開とされながら、メーカーの方には筒抜けであった。これはまさに非公開ではなかったということであります。それでもなお長官は非公開の原則は守られていたんだというふうにお考えですか。
  105. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 おっしゃるように、公開、非公開は人数によって変わるものではない。質的に、そうおっしゃることは私もよく理解できます。ただ、青木何がし話の場合のことは、恐らく委員が自分の資料を、私どもがここへ秘書官に全部資料を持って来さすような意味でやっておられたのを、環境庁で、それはいろいろな資料の配付等も必要な場合に家本委員がこういうデータを出してくれということでいろいろ言われる、そういう必要性から恐らく承認をしたんじゃないかと思うのですが、そういう意味においては先ほど来申し上げているように、確かに注意が足りなかったわけでございまして、この点は今後そういうようなことのないように厳重に、私としては専門委員会等の専門的な審議の場においてそういうことのないように、今後は一切、従来のようないやしくも若干でも疑惑を招くような結果にならぬようにいたしたいということをたびたび申し上げておるとおりでございます。
  106. 木下元二

    ○木下委員 さらに、考えてみますと、もともと中公審の審議というものを非公開にしておく理由というのは私はないと思うのです。この場合問題になるのは、一部の者に公開したから問題になるのであって、もともと本来から言えばこれを非公開にする理由はないと思うのですが、長官、この点については、・今後の問題もあるわけでありますが、いかがお考えですか。
  107. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、専門委員会は専門的な立場でいろいろ御審議を願うわけですから、やはり結果が大事であって、経過は、場合によって委員の先生方もそれぞれ反対のいろんな意見を聞きながら自説を修正される場合もあります。したがって、その審議を公開をすることによって、討論が妨げられる、重要な発言が妨げられるようなことがあっては、かえって本当の意味での正しい審議が行われませんので、公開ということは今後もとり得ないと考えております。部会あるいは総会等につきましても、これはやはり一番大事な結論をいろいろと審議をするのですから、全般的な国民の声を聞くという方途は別途いろいろ考えることにして、やはり審議そのものは非公開で、十分冷静に判断をしつつ結論をつけてもらった方が、公正妥当な結論を得るのじゃないか、こう思いますので、これからも審議については、私の意見を問われれば、そういう気持ちでございます。  しかし、これは審議会の自主的な決定にまたなければいかぬ議事手続の問題でございます。これは和達会長が第一回の総合部会をお開きになり相談をされ、また二回を来月お開きになるそうでございます。これは自主的に審議会の委員の自主性をもって決めていただくことでございますから、私がそういう考えを持っておりましても、委員会が先生のような御説になれば、それはもうそれで委員会として議事を自主的にひとつどちらかに決めて進んでいただきたい、かように考えております。
  108. 木下元二

    ○木下委員 非公開にする理由があるのだということを言われながら、この本件の問題では一部に公開されておったということになると、ますます私は責任は重大だと思うのですが、しかし、これはもともと考えると第一、非公開にする法的根拠というものがないことは明らかであります。公害対策基本法の上でも、また中央公害対策審議会令を見ましても、議事運営規則に照らしても明らかであります。非公開にする実質的理由は、これは自由濶達な意見の交換を保障するということを再々私は聞いてまいりました。では一体公開にすればなぜ自由に物が言いにくいのか。そんな発想自体が私はおかしいと思うのですよ。国民の生命、健康にかかわる公害、環境問題を審議する中公審の場というのは、何より国民に責任を負うという自覚をもって論議に参加をするということが必要であります。また、その審議の状況は国民の方にはガラス張りにされる、これが本来あるべき姿だと思います。もうすでに地方自治体ではこれをやっておるのです。それを公開にすれば自由に物が言いにくくなるというのは、国民に背を向けた官僚的な発想だと私は思います。自由に物が言いにくいなどと申しますと、では一体この中公審のメンバーにメーカー代表がいたり、あるいは関係省庁の政府側役人がおるということはどうなのか。その方がかえって自由に物が言いにくいとも言えるのです。その方は不問にしておいて、公開にして国民の目に触れると物が言いにくいというのは、それは国民の要求に背を向けた立場で論議を進める、そういう前提があるからなんです。これはもう全く一方的な論理だと私思います。結局非公開にする理由はないと思うのです。この問題については、長官も言われたように中公審の方で今後の問題として再検討をされる、それはそれとして、この五十一年規制を審議した中公審の審議状況というのを、当委員会会議録を提出することによって、公開するべきだと思います。少なくともこれまでの経過に照らして考えますと当然のことだと思います。これはお出しください。長官、いかがですか。
  109. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 従来の審議会で御決定になりました議事手続というのは、先生の御要望に沿えないようになっておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、私ここに持っております「自動車窒素酸化物排出低減のための技術に関する評価」こういうものは、これはこの委員会の結論に至りました重要な技術的な検討の内容でございますので、これらは十分ひとつ御審議の参考にしていただきたい、かように思います。
  110. 木下元二

    ○木下委員 この中公審の審議を非公開とすること自体が、一般論として論拠に乏しいということを私申しましたが、この五十一年規制の審議では、メーカー側には非公開ではなかった。これは長官自身も、全面的には崩れたとは思わぬということを言われましたけれども、一部これが崩れたことはお認めにならざるを得ない。そうしておいて国会の方に対してはなお非公開を押し通そうというのですか。そんな不公正なことがありますか。これだけ業界の方に筒抜けになって、傍聴も許し公開された。国民の方に、国会の方に対してはなお非公開ですか。そんなことをごり押しされますか。
  111. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、先生の御要望がどういうものを公開しろというのかはっきりいたしませんから、それを承った上でお答え申し上げますけれども、いま私が申し上げたように、この排ガスに関する専門委員会の御討議は、まさにこの「技術に関する評価」に全部まとまっておるわけでございますから、これをひとつ十分ごらんいただいて、御批判をいただくなり御審議をいただくということで、私は先生の御意思に十分沿えるんじゃないか、かように考えております。
  112. 木下元二

    ○木下委員 私が求めておるのは、少なくとも問題にされている会議録です。一部のメーカー側に公開されてきた会議録のことを言っているのです。昨年の八月三日の大気部会、それから八月九日以降の公害専門委員会会議録、これは少なくともこの国会に提出をすべきだと思うのです。これは大気局長も、家本メモが暴露されますと、そのメモの中身の不正確さということを盛んに強調しておられる、新聞にも報道されておりますが。そうだとすれば、これは国民に対してその点を明確にするためにも、会議録を出すべきではないかと思うのです。これは出す時期をおくらせますと、ますますややこしくなりますよ。改ざんの疑いさえ出てこないとは言えない。私は会議録を直ちに出していただきたい。これは当然出すべきものであります。
  113. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生がおっしゃいますが、私どもは政府部内で、この問題のみならず他の問題で、いろいろ局は局で課長が集まって会議をしたり意見を討議したり、それからさらに幹部会にかけて討議をしたり、最終的に私がそれについて判断を下す、その結論が私ども環境庁の行政方針になるわけでございます。それを国会でいろいろ御審議を願う、それが形として法案になったり、あるいはまた政令になったりいたします。あるいは告示になったりいたしますが、その局なり私どもの内部でいろいろ相談をした審議経過を全部国会にお出ししないことが国会軽視だと思わぬのです。私ども行政庁が国会に対して責任を持つのは、行政として最終的に方針を決めた内容について国会に責任を持つわけでございます。  私は、専門委員会でも、この「技術に関する評価」ここに結論がまとまっているわけでございますから、その結論に至るまでの過程の中で、どういう人がどういう議論をしたかということを一々外部に言わないでも、あるときにはこの評価の内容についてあるいは反論があったかもしれない、反対があったかもしらぬ、賛成があったかもしれない、そういうような経過を、私は、少なくとも私が行政責任者として方針を決めるに当たっては、一顧だにしないと言うとおかしいですけれども、そういうことは全く問題にいたしませんので、これを私は中心にして、答申を実行するかしないかの判断を決めるわけでございますので、この点はひとつどうぞそういうふうに御理解を願って、議論を進めていただければありがたいと思います。
  114. 木下元二

    ○木下委員 いま長官が長々と一般論を言われましたけれども、私はそういうことを聞いているのじゃないのですよ。この問題では一体どうなんですか。メーカーの方にどんどん筒抜けにこの会議の模様を教えておきながら、国会や国民の方に対しては——これはメーカーに教えたのは審議中ですよ、事もあろうに。もう審議が終わって答申が出たこの段階で、それでもなお国会や国民の方に対してはこれは公開できない、そんなことがあっていいんですか。しかも、これはさっきから言っておるように、この議事要旨やメモはもうすでに明らかにされました。この内容を見ると、これは長官がまだほんとうに検討、吟味をされていないと私は思うのでありますが、いろいろと問題があるわけであります。これは予算委員会でもわが党の不破書記局長が追及し、申しましたけれども、これを見た国民は驚きます。一体こういうことが本当にやられたのかどうか、大きな疑惑が起こっているわけでしょう。だから、特に大気局長のように、いやそれは不正確だというようなことも言われるなら、実はこうでしたという会議録をすぐ出せるはずであります。そして、そのメモとその会議録とを国会の方でよく照合できるように、これは当然すべきじゃないですか。メーカーの方には教えても、国会、国民の方には審議が終わってもこれは非公開だというのは、いかにも片手落ちであります。それが三木内閣の姿勢でありますか。これはひとつ長官、これまでのことが御理解が不十分な点が私はあったと思うのでありますが、よくお考えになって、これは公開をされるように、これは時期をおくらしてはなりません。いかがです。
  115. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 繰り返し申し上げるようで恐縮でございますが、私はやはり結論が大事なんであって、ことに専門委員会というのはそういうものだと思うのです。専門委員会というものは、長い間かかって審議をして、技術的にいろいろ検討して、その結論を大気部会にかけ、中公審の手続を得て答申になってくるわけでございますから、私はそういう考えをどうも、先生のいろいろなお説でありますけれども、捨て切れないわけでございます。  それから、そういうような、もう一部共産党でお出しになったメモがある。それは正しいかどうかというようなことについても議論があるんだから、ちゃんと出したらいいじゃないかとおっしゃる気持ちはわかりますけれども、これは私がここで出す出さぬを決定する立場にはないのです。御承知のとおり先ほども申し上げましたように、私が非公開の気持ちがあると言ったって、中公審が自主的に相談をして、それでよろしいということになれば、そういうことに決まっていくでございましょうし、また、これらの議事録については当然精査をして、各専門委員が自分の言うたことと間違いがあってはいかぬから、それも照合しなければいかぬでしょうし、専門委員会なりあるいは大気部会の先生方が、これは外部に出していいとか悪いとかということについては、非公開の原則をお決めになったのは中公審の中でお決めになったわけでございますから、その御了解も得ないうちに、ここで私が出す出さぬということを御答弁申し上げる立場にはない、この点だけはもうしばらくひとつ御猶予を願いたいと思います。
  116. 木下元二

    ○木下委員 そんなことは通りませんよ。それは私も時間がありませんので詳しく申しません。けれども、じゃ一体、専門委員会が決めるべきことだというようなことを言われますが、傍聴を許したのはだれですか。事務局としての環境庁じゃないですか。環境庁がメーカーの方に対しては許しておきながら、国会の方で要求されたら、いやそれは環境庁ではできません。そんなことが通りますか。私は何とふがいない環境庁か、国民はもういら立たしい思いで注目をしておると思うのです。過ちを改めるにはばかるなかれ、この格言を長官はかみしめて、これはひとつ公開されるように私は重ねて強く要求いたします。  それから、これで終わりますが、もう一つだけ、私は詳しく質問もいたしたかったのでありますが、時間の関係で一言だけ最後に申しておきます。  それは、初めから長官は、この前も言われましたけれども、審議の上であるいは手続の上でミスがあった、けれども、答申そのものの内容は公正妥当である、こういうことを言われたのでありますが、この問題も長官は非常に理解不足である。私は断言いたします。これは法律論的にも長官、よく検討いただきたいと私は思うのです。少なくともその公正妥当な結論、正しい結論を出すために手続が決められている。その手続が間違っておれば、ミスがあれば、当然その結論そのものもミスがある。これは裁判の場合でもはっきりしておりますよ。たとえば裁判官の一人がその被告人に対して裁判の合議の模様を筒抜けに知らしておった。その判決は、いかに内容が公正妥当かのよう一に見えても、判決そのものに重大な瑕疵があるということで破棄を免れない。理屈は同じなんですよ。憲法三十一条が法定手続の保障ということを定めておりますのもこれなんです。手続や審議の上において瑕疵があればその内容は不当である、違法である、瑕疵を帯びる、当然のことなんです。この手続そのものに国民が大きな疑惑を持っている、このことは長官も否定できない。とすれば、この結論そのものにも大きな疑惑を呼んでいる、これは当然のことなんですよ。それを、いや手続が間違っておっても、答申そのものの内容は正当です。これではどこに出しても通りません。この問題について、私は、長官がもっと掘り下げてよく検討されることを強く要請いたします。  終わります。
  117. 渡辺惣蔵

  118. 中島武敏

    中島委員 長官の所信表明について伺いたいと思っているのですが、これはもう本当に百の言葉より一つの実行であります。そういう点で私は具体的にお伺い申し上げたい。  中公審の大気部会及び自動車公害専門委員会における委員外出席者の名簿一覧を見ますと、昨年八月三日の第十回大気部会には日産岩越氏が傍聴しておられます。また、この大気部会と八月九日の第二十三回自動車公害専門委員会から十二月五日の第三十八回自動車公害専門委員会に至る自動車公害専門委員会及び十二月十日の第十一回大気部会には、必ず毎回自工会の青木技術部長が傍聴しております。ただし、第二十四回、二十五回、二十六回、この三回の自動車公害専門委員会については報告がありません。  そこで伺いたいのですが、これは事務局に記録がありますか。
  119. 春日斉

    ○春日政府委員 ただいまお尋ねの二十四回、二十五回、二十六回について記録がないのはいかがかということをお尋ねだと思いますが……。
  120. 中島武敏

    中島委員 そうではありません。そうではなくて、提出されましたこの資料は、事務局にきちんと委員外出席者の記録があるかどうかということをお尋ねしたのです。
  121. 春日斉

    ○春日政府委員 ございます。
  122. 中島武敏

    中島委員 記録に漏れているというものはないわけですね。これは全部間違いないということでございますね。確認したいと思うのですが。
  123. 春日斉

    ○春日政府委員 たとえば運輸省あるいは通産省その他説明員として関係省庁から担当者が入っております場合、名前を確実にしない者がある場合もあったと思いますし、また、途中で課長が課長補佐と交代したというようなこともあろうかと思いまして、その辺の記述につきましては必ずしも正確になっていないものもあろうかと考えます。
  124. 中島武敏

    中島委員 政府側以外についてはいかがですか。
  125. 春日斉

    ○春日政府委員 私の記憶する限り、ないと思います。
  126. 中島武敏

    中島委員 それじゃ次に、これまで環境庁は、国会においてしばしば中公審の会議は非公開でなければならないということを繰り返し答弁されてきたわけであります。たとえば参議院で行われました四十九年八月九日の公害環境特別委員会においても、春日大気局長は、「一般の方々を入れて行なうというような性格のものではない」こういうふうに答弁しておられます。  そこで春日大気局長にお尋ねいたしますが、この第十回大気部会にあなたが傍聴を許されました岩越氏は、かつまた青木氏は、この一般の方々の中に入るのかどうかということについてお尋ねしたい。
  127. 春日斉

    ○春日政府委員 ただいまの件につきましては、先ほど長官が明確にお答え申し上げたとおりでございます。
  128. 中島武敏

    中島委員 先ほど来の答弁を聞いておりましたが、しかし、いろいろとあなた方はおっしゃいます。長官も言われる。大気局長も言われる。おっしゃいますけれども、しかし岩越さんというのは日産の社長であり、青木さんというのは自動車工業会の技術部長であります。いろいろあなた方が言われるけれども、要するにこれは企業と業界の代表であるということには間違いないわけですよ。そうでしょう。これ以外の人物ですか。企業と業界、ここに所属しているそれ以外の人物ですか。そうじゃないでしょう。これは明快にしてもらいたい。
  129. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 岩越さんは日産の社長ですから、その意味においては業界人であることは間違いないわけでございます。それから青木さんという人は、先ほど来申し上げておりますように、委員の書記として連れてこられた人でございまして、この方が身分が自工会の技術部長であることは厳然とした事実でございますから、私どもこれは別の人だとかどうだとか言っているわけではございません。ただ、私どもが、先ほどのお尋ねでございますが、一般の人を入れたというふうに理解をされるのは、少しこのお二人についての具体的な立場を考えていただくと、一般の人ではない、一般の人に傍聴を許したというようなものではないということだけは、るる先ほどの質疑応答で御理解いただいたと思います。
  130. 中島武敏

    中島委員 いまの長官のお話では、少し違うそうですね。一般の人と少し違うというようなことを言っておられる。しかし、これは会議が非公開でなければならない、公開はしないのだということを言ってこられた。これは国会ではっきり言っておられた。しかし、実際には企業の代表者が傍聴している。動かしがたい事実ではありませんか。国会において、非公開でなければならないということをあれだけ強調された。そういう点から見て現実はどうだったか。現実は、やはり企業代表がおり、業界代表がいたじゃありませんか。業界に所属する者がいた。これは動かしがたい事実なんですよ。しかもそれを許可したのは環境庁じゃありませんか。事実ははっきりしているのです。ですから、言ってみれば、これは国会における答弁ということを考えてみると、国会をペテンにかけたものだとはっきり言える問題じゃありませんか。お認めになりますか。
  131. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 それは私はちょっと過ぎているのじゃないかと思うのですね。青木さんはまさに家本委員の手足なんですね。それから、もう一人の岩越さんですか、これは川又さんという、先ほど申し上げましたように、日産自動車で長いことの経験のある人を、学識経験者として、自動車の専門家として大気部会の委員にしたわけです。まさにその方と同じ経路を持ってきた人を、たまたま病気でその川又さんの、自分が最後に結論を下す場合に審議の参考にしたいというので、まさに手足ではありませんが、しかし、全く同じようなそういう立場にある方を、まさに川又さんの御意思によって審議のその日だけ、欠席になるその補いに許したわけでございますから、私、ちょっと中島先生のは少し飛躍しているような気がいたしますが、ひとつ御了解を得たいと思うのです。
  132. 中島武敏

    中島委員 ちっとも飛躍なんかしていない。その非公開の席に、本来は入ってはならないはずの人がいたということは事実でしょう。いたことは正しいとあなたは言われるのですか。どっちなんですか、はっきりしてもらいたい。
  133. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先ほども申し上げましたように、厳密に言えば、はなはだそういうことは不注意であったと繰り返し申し上げているわけでございます。  ただ、そうかといって、先生のように、委員以外の者がいたんだから、もうこれは公開じゃないか、しかも一部公開じゃないか、こういうことに結論を結びつけられるのは、少し私どもとしては残念だ、こういうふうに申し上げたわけです。
  134. 中島武敏

    中島委員 私は、どこへ結論を導こうという話をしているのではない、事実を申し上げているのです。これは一部に公開されたということではありませんか。違うというのだったら、なぜ違うか、はっきり言ってもらいたいものだと思うのです。これはそのとおりでしょう、一部に公開されたということは。
  135. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 いや私は、公開という概念に当たらないと申し上げているわけです。まさに家本委員の手足としての立場というものは、われわれは家本委員を注目しているわけでございます。それから、われわれは川又委員を注目しているわけでございますから、そういう意味で御理解をいただきたいと申し上げているわけであります。
  136. 中島武敏

    中島委員 御理解はできないです。長官は何と言おうとも、これは国民は納得しません。国会の私どもも納得できない。あなたはここでいろいろなことを言うのは自由かもしれない。いろいろな理屈をつけられる、それは自由でしょう。しかし、国会と国民は、この冷厳な事実について、あなたの言っていることについては納得しない。国会におけるいままでの答弁というものは国会をペテンにかけてきたということははっきり申さなければなりません。  じゃ、同じことになるかもしれないけれども、重ねて聞きたいと思うのです。大気部会や自動車公害専門委員会に、委員以外で、政府の者以外でそこに人間がいた。しかも、それは何と企業の側の人間じゃありませんか。企業の側でしょう、それははっきりしている。長官が認めておられるとおりです。行政というものは、公正なものでなければならないのですよ。これは私から申し上げるまでもありません。行政は公正に実行されなければいけない。あなたはこれらの傍聴ということをはっきり許可してきたわけです。出席を許可してきたわけです。しかも、一部の業界、企業、これに対してだけ許可してきた、これは動かしがたい事実じゃありませんか。これでも公正な行政が実行された、環境庁は公正な行政を実行していると言えますか。私は、その責任についてどういうふうに自覚しているのかということを問いたいのです。問いたいのですが、まず、その点を認められるかどうか、長官に聞きたいと思うのです。
  137. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 自動車専門委員会は、公正な審議が行われたと私は信じております。
  138. 中島武敏

    中島委員 私は、公正な審議が行われたかどうかを問うているのではありません。そうではなくて、環境庁が行政を行うという場合に、その専門委員会なり大気部会なりに委員以外の人間、しかも、事実が全部明るみになっているように、あなたがどういうふうに理屈をつけようとも、企業の代表であったり、あるいは自動車工業会、業界の者であったりする者の出席を許していたということです。これは公正なことかどうかということを聞いているのです。私は公正じゃないと思う。
  139. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 そういう扱いが審議の公正を妨げるような結果になったとは思わないのでございますから、したがって私は結論的に、その一、二の事例があったからといって、公正を欠いているというふうには思っていない、こういうふうに申し上げているわけであります。
  140. 中島武敏

    中島委員 いまの長官の答弁も、国会も国民も、もちろん私も納得しません。納得できるような答弁じゃありません。環境庁がどういうことをやったのかということについて、その自覚がないとはっきり言わなければならぬと思うのです。  私はもう一つ、これも同じことになるかもしれないけれども、お伺いしておきたいと思う。委員外で出席を許された、その八は業界の側だ、先ほどから申したとおりであります。環境庁という役所は一体どういう役所か。公害防止する、環境を保全するということを任務にしている役所ではないのですか。ところが、出席を許された、傍聴を許された。だれが傍聴を許されたのか。公害発生源であり、加害者の側です。規制が審議されている部会や委員会において、その規制を受ける側が出席を許され、傍聴を許されているのです。許したのは環境庁でしょう。これはもう環境庁の自殺行為じゃありませんか。どうです、長官。
  141. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 やはり委員の人選に絡むと思うのです。私は、この家本委員を選任をいたしました結果、その手足としての、分身としての青木氏の出席といいますか、傍聴になり、それから、大気部会で川又さんの代理としての問題が傍聴という形で起こったということでございますから、したがって、委員の人選に絡むのだろうと思うのです。私は、国民の健康を守る立場から見て、大気汚染防止するために、自動車の排ガスについてできるだけ強い規制をやっていかなければならない。そのためには、自動車の排ガスを規制どおり守って、それをできるだけ早く実現をしてもらわなければならぬその立場の人は、何といいましても、私やあるいは先生方じゃないので、これは自動車メーカーそのものがやってもらわなければいかぬわけでございますから、そういう意味における受けざらとして、この自動車排ガス問題を、決まったことに忠実に従うなり、あるいはそれを実行してもらう立場の方を縛り上げる効果が非常に大きかったのじゃないか。私はその当時おりませんけれども、そういう意味でこれらの方々を委員に任命をしたのではないかと思うのです。そういうように考えてみますと、先生おっしゃるように、この経過の中で一部そういう姿が外部に出たといって、その結論そのものがもし間違った結論になっておれば別ですけれども、先ほど来申し上げるようにこの「技術評価」というものは八田委員長以下本当に真剣に長い間かかって公正な結論をお出しになったのですから、この点は決して環境庁の任務に違反したものと私は考えておりません。ただ、その中に一部御批判を受けるような誤った手続があったことは、これは不注意であった、その点は認めざるを得ないから、今後は私ども厳重にそういうことのないようにいたしますと申し上げているわけでございますから、どうぞひとつ御了解をいただきたいと思います。
  142. 中島武敏

    中島委員 御了解くださいと申しますけれども、これはちっとも御了解できないのですよ。この点では本当にいま先ほど来長官言っておられることは、やはり環境庁の任務というものに照らして見ても、もっと自覚が必要であり、責任を感じなければならない問題だというように思うのです。しかし、これはまた引き続き私どもはこの問題については明らかにしていきたいと思います。  ひとつ別の問題についてお伺いしたいと思うのです。前回の公害環境委員会におきましてもちょっとお尋ねしたのですが、このいわゆる議事メモの中にある「ある先生から長官に渡された資料」という例の問題であります。トヨタは〇・九なら可能であるという資料は「技術評価」に載っておりますでしょうか。
  143. 春日斉

    ○春日政府委員 直接は載っていないと思います。
  144. 中島武敏

    中島委員 一体いっこの〇・九可能だという資料をトヨタや日産などは委員会に提出されたのですか。
  145. 春日斉

    ○春日政府委員 自動車専門委員会には提出いたしておりません。
  146. 中島武敏

    中島委員 日産の資料も提出されておりませんか。
  147. 春日斉

    ○春日政府委員 提出されておりません。
  148. 中島武敏

    中島委員 そうすると、〇・九可能ということについては、それ以外の社からはいかがですか。
  149. 春日斉

    ○春日政府委員 その他の社と申しますと、たとえば東洋工業のロータリーエンジンを中心としたもの、それから本田のCVCCあるいはツー・サイクル・エンジンの問題あるいは三菱の新しいエンジンとかあるいはヤマハのエンジンとか、いろいろ〇・九は可能であるというようなデータは提出されております。
  150. 中島武敏

    中島委員 トヨタ、日産は提出されていないという状況のもとで審議がやられたわけですね。ちょっともう一度、間違いないのかどうか、大変大事なところですから。
  151. 春日斉

    ○春日政府委員 私が申しておりますのは窒素酸化物〇・九ということでございまして、窒素酸化物だけはもう少し下まで下がる、ただし、ハイドロカーボン及びCOについては高いというようなデータは、日産等からあることは私どもも知っておるわけでございます。EPA等の資料を通じて知っておるわけでございます。
  152. 中島武敏

    中島委員 そうするとトヨタや日産は〇・九が可能というだけではなくて、もっと〇・七とか六とかが可能ではないのだ——もう一度言いますよ、〇・九可能ということについての資料はない、しかしそのことは聞いた、見たということをこの間小林課長は言われましたね。じゃトヨタならトヨタだけでもいいのですけれども、トヨタにしろ、日産にしろ、〇・六とか〇・七とか、あるいは〇・四でもよろしゅうございますけれども、もっと低い値のものができないという、そういうことは確認できたのですか。
  153. 春日斉

    ○春日政府委員 私どもはヒヤリングを通じましてかなり大きな資料も得、あるいは工場視察によりましてもいろいろなデータを得たわけでございますが、正式のデータはすべて一・〇ないし一・一、これが生産可能な五十一年度における値である、こういう資料の提出を受けておるわけでございます。したがいまして〇・九以下が可能であるというようなデータは提出されていないわけでございます。
  154. 中島武敏

    中島委員 つまり資料として得ていたものは一・〇ないし一・一、これが資料として得ていたものである。それ以外の資料は得ていない。それ以外の資料は得ていないという状態で審議がやられたということですね。
  155. 春日斉

    ○春日政府委員 私どもは、正規の資料としては得ておりません。ただしいろいろディスカスをし、あるいは推定をする、こういう作業は専門委員会の中では行われておるわけでございます。
  156. 中島武敏

    中島委員 資料はない、いろいろ推定はやった、そんな審議がありますかね。それから十二月の三日には自工会で社長クラスの秘密会が行われて、ここでは〇・九これ一本にしようというようなことが申し合わされておる、そういう事実もある。一体この専門委員会というのは何をどういうふうに審議していたのかということについては、資料なしにやっていたということですね。資料なしで審議をやっていて、しかも結論を出した、その結論は正しいということですか。
  157. 春日斉

    ○春日政府委員 その辺の経過につきましては「技術に関する評価」の三十九ページ等から資料がいろいろ出ておりますので、この中にある資料もございます。それからまた日産、トヨタにつきましては普通のエンジン改造プラス触媒さらにEGRというような、いわゆる日産トヨタの何と申しますか正規のものばかりではなくて、日産の場合はNVCCといういわゆるトーチ点火方式も独自に検討いたしております。それからトヨタで言えば新トヨタ燃焼方式というやはりCVCCに似たような方法あるいは東洋からロータリーの導入によりますところの新しい方法、それから日産では熊谷エンジンと称するものの検討、そういうようなことがずいぶん多く行われており、それらに対するいろいろな資料もあるわけでございまして、そういったものは当然〇・九可能であるということはわかるわけでございますが、普通の触媒も一何と申しますかいい触媒が完成するならば、これは一挙に〇・二五以下にさせ得るという可能性はございますが、五十一年の段階では恐らくないであろう、そういう意味での、私は〇・九が可能であるという資料は当時提出されてないと申しておったわけで、検討は行われておるわけでございます。
  158. 中島武敏

    中島委員 どうもよくわからない。資料はない、検討はいろいろやった、「技術評価」にいろいろ載っている。載ってはいますけれども、私がいま言ったものは載ってはいませんよ。それから〇・八五を答申する、その根拠になる資料、それはやはり初めからしまいまでなかったということである。こういう審議というのはあるのですかね。長官、どうなんですか。
  159. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 この前の当委員会で、私は予算委員会で不在でございましたが、八田委員長以下参考人としてお呼びになりまして、八田委員長からその辺の経過についてはるる御説明があったと思うのです。専門委員会ではいろいろな資料を整備されて、その資料に基づく検討をやられました結果、お手元にあるような「技術評価」が最終的にでき上がったわけでございますから、資料がなくて、討議をいいかげんにして結論を出したというようなものではないということだけは、これは私ども確信をいたしております。
  160. 中島武敏

    中島委員 それは机上の確信と違いますか。本田、東洋、その他ロータリーエンジン、CVCCでは可能であるという資料はある、しかしトヨタや日産の触媒方式の資料についてはない、いろんな推定はやった、これはきちっと審議をやられたということなんですかね。私はこういう点では、やはりどんな審議がやられていたのかということについてきわめて大きな疑問を感じるのですよ。先ほど木下委員も言いましたけれども、会議録だって公開していただきたい。私はわからないですね。国会もわからなければ、国民もわからない。資料なしでいろいろやった、しかし結論は正しいんだ、これだけでしょう、あることというのは。
  161. 春日斉

    ○春日政府委員 評価書の四十二ページをごらんいただくと、その一番上に書いてございますが、「従って、前述の実験車のデータから判断し、改良EGRを用いることにより、〇・九g/kmないしこれをやや下回る値を達成することは不可能とはいえない。」これを言っておるわけです。その四十一ページあるいは四十ページ、さらにそれ以前にもいろいろなデータがございます。私が提出されなかったと言うのは、〇・九が確実に五十一年度に量産できますという資料は提出されなかったと言っているわけで、実験車の資料は、たとえば三十八ページの一番上を見ていただきますと、日産の酸化触媒プラスEGRの実験車のデータなんかも出ております。そういった意味でございます。その辺、全く五里霧中で推定をしたというわけでは決してございません。  これは八田委員長がこの前の参考人として再三お答えになっておりましたけれども、五十一年車というものがいま現に存在しているわけではないので、これから五十一年度にできるであろうという技術の予測でございますので、数式でぴちっと出るというものではないわけでございます。その辺、八田委員長が参考人としてお述べになったこと、まさにそのとおりだと思います。
  162. 中島武敏

    中島委員 CVCCやロータリーエンジンについては可能という、また〇・八五という結論が出ているわけですけれども、その〇・八五を導き出すに十分な資料というものがなかったのではないかということを私は言っているんですよ。いろいろな資料がたくさん載っていますよ。それは春日局長おっしゃっているとおりです。言われているとおりですよ。だから私は〇・八五を導き出す資料、正規の委員会にその根拠になる資料がきちんと出されて審議されたのかどうなのか。そういう点では、出されて審議したものではないということを先ほどからあなた言われておられるわけでしょう。そうじゃありませんか。
  163. 春日斉

    ○春日政府委員 再三申しておりますように、決して資料なしで論議をし、推定をしたわけではございません。こういった技術予測のことでございますから、一足す一は二になるというような、きちっとした数字に基づくものはございませんが、いろいろ推定のために資料を集め、たとえば四十一ページの図2、図3等もその一つでございましょう、それから四十ページあるいは三十八、九ページのデータ、すべてこういったものから、先ほど言いましたように〇・九ないしはこれを下回る値を達成することは不可能ではないだろう、これは普通のレシプロエンジンのことでございますが、そういう結果が出たわけでございます。これが〇・八五につながるわけでございます。
  164. 中島武敏

    中島委員 小林課長、この間の委員会で、「ある先生から長官に渡された資料」それはそうじゃない、長官に渡されたものじゃありません、見たことはあるということを言われた。そして専門委員会の中においてもトヨタは可能だと言っておるということを発言しておられる。しかし、その資料は専門委員会に出されなかったことは事実なわけでしょう。
  165. 小林育夫

    ○小林説明員 その資料が出ないということは、おっしゃるとおりでございます。ただ、それはデータとかそういうものではございません。どこまでできるかということが単に書いてある、そういうことでございます。
  166. 中島武敏

    中島委員 そのことがもとになって委員会が紛糾していますね。そんな資料があるのかということが議事メモの中には出てくるのです。そうですね。だからそこから私どもが言うことは、春日局長からいろいろな答弁がありましたけれども、そういうような審議がやられている。そんな資料一体どこにあるのだということを委員の人たちが言わなければならないような審議ですよ。そこが問題だということを言っているんですよ。
  167. 春日斉

    ○春日政府委員 あの場合の論議は、そういった正規の資料が果たしてトヨタにあるのかどうかという問題提起でございます。  それから、あの家本メモと称するものをごらんになっていただくとわかりますが、なぜ〇・八五という表現になったか、そのゆえんがいろいろ出てまいりますが、これは八巻委員が〇・九よりは下であろう、ただし〇・八よりは上であろう、その間にあるであろう、こういうような御発言もあります。これは技術予測のときの一つの間々ある結論の導き方でございます。これを足して二で割ったバナナのたたき売りというのは、ちょっとひどい言われ方のような気がいたします。
  168. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 中島君、時間が経過しましたから、結論をまとめてください。
  169. 中島武敏

    中島委員 そうですね。  バナナのたたき売りというのはひどいといったって、委員の先生が言っているんですよ。私が言っているわけではない。だからいまの話を聞いておっても、何が本当だったのかということについて、はっきりしないのですよ。だから私はやはり会議録をしっかり公開する、そして国会も国民も十分わかるようにするということが最低限必要なのじゃないか、今度の問題に関して言えば、ということですよ。そういうことを抜きにして、結論は正しかったのだ、公正に審議がやられたのだということを言ったからといって、だれが納得できますか。そういう点で私はやはり会議録は公開されなければならないし、同時に、いろいろこの間うちから非常に明瞭なように、今度の審議会、専門委員会は非常に疑惑に包まれておることがたくさんありますよ。もっと議事メモに載っておることを言えばいろいろ不可解なことがたくさんある。そういう点から言えば、会議録を公開すると同時に、構成についてももっと検討する必要がありますし、それからみんなを納得させるためには、やはり再審議を行うということが必要なんだと思うのです。八田委員長でさえも、再審議をやれと言われればやったっていいとさえ言っているんじゃありませんか。このことについて長官に伺います。
  170. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 まず結論の、三番目の再審議でございますが、私どもはその必要はないと考えております。  それから委員の構成につきましては、過般来申し上げておりますように、専門委員には当該規制を受ける直接的な業界の代表は今後は入れたくない。  それから会議録の公開でございますが、先生や、あるいは木下先生のおっしゃった御趣旨はよくわかっておるつもりでございますが、これは全く審議会の自主的な判断にまつことでございますし、その御了解を得ないまま行政官庁が、議事録を公開すべきだとかあるいはすべきでないとかということを決定をすることはいかがと思いますので、この点は審議会の先生方の自由な討議にお任せ願って、その自主的な結論が出た上でお答えをさせていただきたい、私はかように考えております。
  171. 中島武敏

    中島委員 最後に、いま長官の言われたことに対して一言だけ言わせていただいて終わります。  これは中公審の自主的な審議にまつべきものだ、審議会の自主的な討論、その結論にまつべきだということを言われましたけれども、私はもっと環境庁がこの問題についての考え方はどうなのかということをはっきり言うべきだと思います。それを抜きに、全部審議会に任してある、そういう無責任なものじゃないだろうということをはっきり申し上げまして、終わります。
  172. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 岡本富夫君。
  173. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官に基本姿勢をまずお聞きしたいと思います。  この長官の所信表明の中で環境保全長期計画の策定、環境保全計画を長期にわたって策定をしてそして年次別にやろう、こういうことでありますけれども、従来の公害対策基本法というのは昭和四十二年にできたわけですが、そのときにはこの中に経済との調和条項が入っていた。これはその後それだけ外したということでありますから、やはりここで環境庁もできたことでありますから、われわれが提唱している環境保全基本法、そこからいろいろと長期的な計画の作成をしなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その考えをひとつお聞きしたいと思うのです。
  174. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 岡本先生の党から御提案になっております環境保全基本法のお立場は、よく私も理解をいたしておりますが、私どもはやはりこの公害日本だと言われるような公害のひどいところの当面のいろいろな問題を処理していくために、公害基本法を設け、それから自然環境保全法、自然公園法というものを設けて、あるいは大気汚染防止法、水質汚濁防止法というようなものを設けまして、環境の改善に取り組んでいるわけでございますが、同時に長期的な展望に立った環境保全の長期計画という、やはり基本計画をつくらなければならぬだろう、こういうことで現在御承知のとおり中公審においてそれぞれ部会でやっていただいておるわけでございますが、やはり将来の方向として環境保全基本法というような形にまとめていくべきじゃないかという御意見はわからぬわけではありませんが、当面はむしろ私は具体的な問題を解決するための、現在のような法制の立て方で、そして大気と水とそれから公害の人的被害に対する救済にまず専念をしていくべきではないか、かように考えまして、直ちに各党のお出しになっておるような環境保全基本法の立法にはどうもまだ時期尚早ではないか、かように考えておるわけでございます。
  175. 岡本富夫

    ○岡本委員 それはちょっと長官おかしいですね。この公害対策基本法というのは対症療法的すなわち後追い行政なんですね。その後追い行政を長期的にやっていこうというようなことではもう遅い。たとえばいま環境基準を決めるにしましても、自然環境保全法というのがありますけれども、これは自然公園とかあるいは原始林とかこういうものであって、結局この狭い国土でこれから私たちの後代の人々たちが生活する上においての環境保全をするためには、やはり環境保全というものにまず基本を置いて、そこから公害対策が出てくる、こういうことにしなければ、現在の対策だけをやって、ただ現在おる人たちの生活保全をするだけ、これではもう遅い時代に入っておるのではないか。したがって長官はもと厚生省出身だし、本当にこれからの日本の環境保全をして、後代の人たちのためにこの国土を守ろうとすれば、やはり何と申しましても私は環境保全というものの基本姿勢を改めなければならないのではないか、こう思うのですが、もう一度ひとつ。
  176. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 いや、おっしゃることは決して全面的に私否定しているわけじゃないのです。     〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕 ただ、やはり現在の環境六法を中心にしましていろいろな施策を進めてまいりまして、その成果を踏まえて、おっしゃるような環境保全基本法的な考え方に持っていく、たとえばアセスメントにいたしましても、まだその手法の開発やその他あるいは計量の技術的な問題等がなかなか解決をしておりません。法律をつくっても効果が上がらぬようでは困りますし、またいろいろな国民的な環境に対する諸権利を公明党の立法の中には具体的に挙げておられるようでありますけれども、これらの法律上の権利につきまして、まだ法律上確定した概念にはなっておらない面もございますので、やはりいろいろな現行法に基づく環境改善に努力をし、その成果を一応集約しまして、それから徐々にそういう方面まで進んでいかなければならぬ分野がございますから、いま直ちに環境保全基本法をつくって、そこから下にすそを広げていくべきだということについては、私はもうちょっとお待ち願えぬだろうか。ただ、後追い行政になってはいかぬということだけは確実だと思いますので、私どもはできるだけ、例の緑の国勢調査もございますし、今度六十年を目途にした長期計画をつくりまして、あるいはまたアセスメントの手法をはっきり確立をして、環境行政が後追い行政にならぬように、ひとつ先取りの考え方で今後は行政の方針を進めていきたい、これが私の考え方でございます。
  177. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは根本的なことですから、長期計画をこれから立てようという非常に前向きなあなたの姿勢のように考えられる。それにはこれから少しずつしていって、そして帰納的に到達しようというのでは、たとえば一つの環境基準を決めるにしましても、やはりただいま生活できるだけの——そうでなくて、子供たち、今後の人たちまでも守っていけるような環境基準の決め方があろうと思うのです。ですから、もうここへ来た時点においては、やはり演繹的な考え方で目標をちゃんと決めないと、何か帰納的なやり方では環境保全というものは解決しない、こういうように私は思うのです。しかし長官、まだ非常に姿勢が弱い。これは私まことに遺憾だと思います。  そこで、いまあなたはアセスメントの問題を話されましたが、このアセスメントの手法、これをこれから検討するんだというようないまの話でありますけれども、私たちいま法案を考えているのですけれども、アセスメントを制度化するためには、あらゆるものを評価する上において、一般のたとえば工事あるいは事業をやる、今度はそれによって不利益を受ける人がいますね、こういう人の意見も聞く委員会といいますか、環境アセスメント評議委員会というようなものをつくらなければ、たとえば苫小牧の環境アセスメントをやったと言いますけれども、行政だけのアセスメントでありましたならば、そのデータが不十分であったりして結局うまくいかなかった、もう一ぺんやり直さなければならぬ。反対側に立つ人、不利益を受ける人、そういう人の意見も聞ける、そういう民主的な審議会と申しますか、環境アセスメントの評議会というようなものをつくろう、こういう考えをしていらっしゃるのか、その点をひとつ聞きたい。
  178. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 おっしゃるように、被害側といいますか、その影響を受ける住民の考え方が反映するようにはしなければいけないわけでございますが、それはアセスメントの手法の開発でなくて、むしろアセスメントの制度をつくったときに、それを公開をして、国民がそれについての意見が十分言えるような機会をどういうふうに担保するかというような制度の問題だと思いますので、私どもは環境影響評価に関する中公審の部会ができまして、そこで御審議を願うときに、そういう点も含めまして答申をいただきたいと思って検討願うつもりでございます。     〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、新幹線、航空機等の高速輸送機関による公害防止対策につきましては、環境影響調査あるいはまた規制措置、障害防止措置等の総合対策を立てようというようでありますけれども、これはこの間兵庫県の伊丹の方からも参りまして、一日も早く新幹線環境基準をつくってもらいたい、いまは暫定基準だからというようなお話であったのですが、これは大体いつごろできますか。
  180. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 新幹線騒音に悩んでおられる方が大分あちこちございますので、私どもは鋭意、騒音防止をする基準をつくろうという作業を進めておるわけでございますが、もう大分煮詰まってまいりまして、恐らく私の見当で、私はできるだけ二月中にやれと言っておるのですが、なかなか中公審の審議を、騒音の専門委員会だけでなくて部会と中公審全体の討議に付さなければいかぬというような手続を考えてみますと、二月にはちょっと間に合わないのじゃないだろうか。いずれにしても、年度内にはどうしてもこれをつくりたい。そして、できるだけ納得できるような基準を設定するようにということで、いま最終の詰めをやっているところでございます。
  181. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、出てくるのはどういうのが出てくるかわかりませんけれども、大体年度内ということは、三月いっぱいには確実に出す、こういうことですね。もう一度。
  182. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 遅くも三月末までには何とかしたいと思います。
  183. 岡本富夫

    ○岡本委員 新幹線あるいは航空機の騒音の問題から、今度は振動が非常にやかましく言われているわけです。この振動につきまして、たとえば、これは国鉄があのときに各市長と約束をしたのが、山陽新幹線の場合は〇・三ミリ以内というような約束をしておるわけですが、この振動の基準はまだないのでということで、非常にうまく逃げてしまっておるわけですが、この振動基準についてはいつごろ大体できる予定ですか。
  184. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 専門的なことは後でひとつ事務当局からお答えをさせますが、実は振動の公害に対する法律の規制を行う場合の測定単位、それから規制の基準値、これについて実は学者の間でも非常に異論がありまして、私ども専門的な用語はよくわからぬのですが、速度ではかれ、あるいは加速度を特に基準にしろ、あるいはデシベル方式だとかいろいろなものがあるのだそうでございまして、とにかくそういう測定単位についても、あるいはまた規制の基準値についても非常な論争があって、いま各県でまちまちに決めているようでございますけれども、しかし、決めておっても、それをはかる測定器が果たして信用なるかどうかという議論さえあるわけでございますので、なかなかこれはめんどうな問題でございます。いま専門委員会でいろいろ御検討願っておるものですから、これはちょっと年度内というわけにいかない。できるだけ、まず測定値と規制の基準値の意見の統一を図ってもらわなければいかぬ。そこに非常な難点がございますので、なお詳しいことは、もし御質問があれば事務当局からお答えいたします。
  185. 春日斉

    ○春日政府委員 いま長官からお答え申し上げたとおりでございますが、なおつけ加えさしていただきますならば、新幹線の振動の公害につきましても、中公審の中で対策指針について審議をお願いいたしておるところでございます。こういった答申をできるだけ早くお出しいただきまして、必要な対策推進を図るつもりでございます。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、たとえば新幹線騒音あるいは振動、この答申を中公審でやっておるわけですけれども、これは専門委員会は特殊騒音、振動委員会というのですか、この中の委員がまた問題になってこようと思うのですね。航空機の場合は、航空機の騒音の基準を出すというときも、この間もお出ししましたように航空会社が入っておるとか、あるいは国鉄が入っておるとかで、これはやはり先ほどもお話がありましたように、意見は聞く、しかし、公正な判断は、メーカー側というのか、そういった被害を与える方でなくして、そういうのは排除して、そして公正な判断を出すというような専門委員会あるいはまた中公審のあり方、こういうように今後改める必要があると思うのですが、この点について長官からお聞きしておきたいと思います。
  187. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 騒音の専門委員会に国鉄の副技師長を入れておる問題だろうと思うのでございますが、これはむしろ入れておいた方がいいのじゃないか。冗談によく言われるのですが、とにかく国鉄の副技師長は国鉄へ帰ると総スカンになる、あるいは運輸省からも、そんなことを認めていいのかというようなことで、対策に大変な金がかかるものですから、大騒ぎになっておるようでございますが、とにかくこれは国有鉄道でございますから、いわば政府部内と同じようなものでございます。ことに新幹線騒音は国鉄以外にはないわけでございますので、どうしても国鉄側を委員に加えておいた方が、私どもとしては所期の目的を達成するために非常に効果があると思うのでございます。参考人で意見を聞くにしましても、そうすると国鉄のまさに利益代表的な意見ばかり言われて、これではできません、できませんと言われたのでは困るので、むしろ、とりこにして、そうして守らしていくという方に向かっていった方が、企業と違いますから、この点は私はやはり国鉄側を委員に加えた方がより効果的だということで御了承願いたいと思うのです。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 航空機の方は。
  189. 春日斉

    ○春日政府委員 恐らく朝田さんのことをおっしゃっているのだろうと思います。これは確かに飛行機会社からの出身でございますが、ただ、飛行機騒音の場合も非常にこれは特殊な騒音でございまして、すべて業界なるがゆえに、朝田さんの学識、経験というものを単なる参考人にとどめてよろしいかどうか、こういった問題はやはり国鉄の副技師長の委員問題と似たところがあるわけでございます。慎重に考える必要があろうかと考えております。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 国鉄にしましてもそれから航空会社にしましても、五十一年度排気ガスの審議会と同じように、公正な意見をどんどん言える、それから学識経験者、要するに国民の健康の立場から物を言える人がどんどんいろいろなことが言えるという立場にするためには、やはり参考人。それからそれを決めるときに、その付近で迷惑をしておる、新幹線の沿線におって毎日毎日迷惑を受けておる人、それから航空機の騒音あるいは振動があるのですから、こういう迷惑をかけている人、両方の公正な意見を聞いて、そうして決めていくというようなやり方が、やはり私は——先ほどあなたが自動車メーカーだけははねる、飛行機の方ははねない、あるいは国鉄の方は取り入れる、これでは大分私は長官の態度が後退しておるように思うのです。国有鉄道だからと言いますが、非常に横暴ですよ。山陽新幹線でも、最初に各市長に覚書まできちっとしておいて、いままだできない。とめるわけにもいかない。仕方がないから、その付近の被害を受けている人たちは市役所に文句を言う。環境庁にも再三陳情しておるわけです。ですから取り入れて守らせるというよりも、取り入れなくたって環境庁できちっと基準を決めれば、それは守らなければいけないのですから、そんな弱腰では、取り入れないと守ってもらえないというようなそんな弱腰な環境基準では、話にならないと私は思うのですよ。これをもう一遍再考してもらいたい、いかがですか。
  191. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生の意見も私は十分傾聴すべきだと思います。ただ騒音防止につきましては、新幹線の問題、私は着任して、もうすぐ結論が出ようという時期でございますから、いまこの際どうも国鉄側に、例の自動車のああいうような問題があったから、おまえの方はやめてなどというようなことは、もう結論が出そうな最終段階に来ておるわけでございますので、将来の問題としては考えますが、いろいろ私も実はこの問題は家本さんの処置のときに一緒に考えようかと思ったのですけれども、いま言いましたように、国鉄は何千億という投資をこのためにさせなければならない。一方いわば公的な機関でございますし、そういうような意味でひとつ将来は将来として、今回はいよいよ最終段階だから、もちろん副技師長の、国鉄側から出ている専門委員の意見を抑えつけるような形での審議を願っているわけでございますので、その点は将来はもちろん十分検討いたします。検討いたしますが、今回いま直ちに最終段階に入っている騒音の専門委員会から国鉄を参考人に切りかえるということは、どうも得策でないなという判断で実はぎたわけでございますので、おっしゃることはよく理解をしておりますから、将来は十分に検討さしていただきたいと思います。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 基準決めてしまってからじゃ遅いんですよ、本当のところを言うと。要するにその基準がその地域の人たちの健康を守れるか守れないか、これが基準なんですからね。それにもう最終段階に来ておるのだからとおっしゃいますけれども、私はやはりその基準がどういう基準を出してくるのか。要するに守れなかったら困る。環境庁がやはり少し強い基準を出して、それでそれにどんどん技術革新をさせていく、そういうような基準でなきゃ、あるいはその付近の住民の皆さんの健康を守れるような基準でないと、出したところで何にもならないのですよ。弱い基準出してもらったんじゃ、かえってこれは結局その付近の人たちが迷惑するだけのことですからね。これは環境庁がやるしかないわけですからね。その点について、基準が出た機会というのはおかしいです。それじゃ遅いんだけれども、ひとつそれだけは先に申し上げておきます。  そこで、次に公害健康被害補償法、これは昨年施行されたわけでありますけれども、これについて交通公害健康被害の人たちの補償、これをどういうように考えておるのか、これは城戸局長からお願いします。
  193. 城戸謙次

    城戸政府委員 補償法によります第一種地域の指定に当たりましては、「著しい大気の汚染」があるということと、それから「その影響による疾病が多発して」おること、これが二つの要件になっているわけでございまして、要件につきましては、昨年の十一月の中央公害対策審議会の答申で具体的に決められているわけでございます。結局その答申に言います汚染の程度が三度以上、それから影響による疾病多発によります有症率が二度以上というのが一応の目安になっているわけでございます。  ただ、一般の道路の場合には道路沿線におきます大気汚染も、通常NOxの自動車から出ます分、それからSOx、NOxを含めまして固定発生源からの分の複合汚染の形態をとっているわけでございまして、現在私どもがやっておりますような硫黄酸化物を中心としました地域指定の方式で大体カバーされるわけでございますが、先生前からも御指摘ございますように、幹線自動車道路沿いでは、工場、事業場等からの硫黄酸化物の影響が少ないような場合、そういう特殊の地域の場合に、窒素酸化物によります汚染が主体になっているというのがあるわけでございまして、この場合の健康影響をどういうぐあいに考え、地域指定の場合に、こういう特殊の地域をどういうぐあいに拾い上げていくかというのが、前々から御指摘になっている点でございます。  私どもとしましては、こういう地域に関しましては、何といいましても窒素酸化物とその影響によります疾病の多発ということの条件を、まず明らかにする必要があるということでございます。で、今年度で終わります複合大気汚染によります人体影響調査、これは御承知のとおり五年間の調査でございましたが、これと、近く行います高速道路周辺におきます地域住民の健康影響調査これは兵庫県と神奈川県下で行う予定でございますが、この結果に基づきまして具体的な条件を得るように努めまして、その上で中央公害対策審議会に諮って、第一種地域の指定要件を変えていけば一番スムーズにいくのではないか、こう思っておるわけでございます。四十三号線沿い等に指摘されておりますような、補償法の第一種地域指定をするかどうかというその問題につきましても、したがいましてこの答申をできるだけ早くもらいました上で判断する、こういう方針を私どもとしてはとっておるわけでございます。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 国道四十三号線のいまあなたがおっしゃった問題、これは小山長規さんが環境庁長官のときに、芦屋の市長さんが参りまして、そして国道四十三号線沿いの両側の約五十メートルの人たちが相当健康被害を訴えておる。ここはもともと住宅地域だった。それがあそこに幹線道路が入ってから、非常に健康被害を受ける人がたくさん出てきたということで陳情に参ったときに、これはひとつ環境庁の宿題にさせてもらいたいというようなお答えだったのです。  これは大阪府立大学の工学部の講師の工学博士西亮という先生が、ちょうどそこに精道小学校がありまして、ここの環境調査をやられているわけですが、これを見ますと、まず環境基準が〇・〇二PPMということでありますけれども、少し風の弱いときでは約六倍になっておる。そしてそのときに、ここの生徒たちが頭痛あるいは鼻血、こういったものをたくさん出している。これは自動車の排気ガスの関係からこういうことになっているということを詳しく皆出しているわけです。  同時に、芦屋市議会の公害対策特別委員会委員長が城所高明さんというのですが、これがやはりアンケート調査を独自にやっておる。その四十三号線沿いの道路の両側約五十メートルの調査を行いますと、騒音については、非常にやかましいが三〇%、騒がしいが五五%、屋内でもテレビの音が聞き取れないというのが七・五%、小さな声では話しても聞こえない、屋内で、これが五五%、また騒音などによる体調変調ですね不快感、これが気分がいらいらするというのが最も多くて三〇・八%、不愉快になるというのが二四・八九%、頭痛するというのが一三・六五%、腹が立ちやすくなるというのが一三・五%、また目に異常ができるというのが一三・八三%、ときどき目に異常ができるというのが三七%、鼻がときどき詰まるというのが三三%、のどがおかしいというのが四四%、非常におかしいというのが二五・三%、こういうように体調の変調やあるいは不快感、これがものすごいのですね。これについて早く何とか指定地域にしていただいて、せっかくできたのですから、健康補償法の対象にしてもらいたいということなんです。芦屋それから西宮、尼崎、この四十三号線沿い、これについての調査は、環境庁としてももう終わっておるのではないですか。この点、いかがですか。
  195. 城戸謙次

    城戸政府委員 いま先生御指摘になりましたような騒音の問題、排気ガスの問題、この二つを含めました健康事件に関連いたしまして、私どもとしましては、川崎市内とそれから兵庫県の四十三号線沿線とこの二つを対象としまして、一部コントロール地域と言っておりますが、調査を進めようということで、いま準備中でございます。健康調査及び環境調査、双方あわせてやりました上で、具体的な調査の結論を出したいと思っておるわけでございまして、時期的にはいま着手するための準備を進めている、こういう状況でありますことを御承知いただきたいと思うわけでございます。  なお、先ほど申し上げましたのは、排気ガス、特にNOxの問題との関係で申し上げたわけでございますが、騒音に関しましては、騒音の健康影響ということで、大阪空港その他に関連しても従来いろいろ御議論がありますように、さらにその因果関係等を詰めていかなきゃならぬむずかしい問題があるわけでございまして、私どもとしましては、この調査を通じて、そういうような騒音の問題と排気ガスの問題をあわせて検討していきたい、こう思っているわけでございます。
  196. 岡本富夫

    ○岡本委員 検討、検討と言うが、これは公害補償法をつくったとき、その前から私、当委員会でもやかましく言っているわけです。これは全国至るところにある。たとえば東京の環七、こういうところもやはり同じですね。この間も住民運動も起こっておりましたが、これはいつからやっていますか。昨年の十一月ごろには、たとえば四十三号線はほとんど調査が終わっているはずなんですよ。そういうことで、これから検討、検討ということですが、環七の問題あるいは各所にこういうのがある。二年も三年も先になったのでは、これは話にならないと思うのです。私は、この四十三号線はいつごろ結論が出るのか、まずお聞きしたい。それから川崎の問題もありますけれどもね。
  197. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 具体的ないまやっておる調査の内容とかその他については、後で局長から答弁しますが、私もこの前環七へ行きまして、健康被害地域に指定漏れになっている目黒、それから世田谷あるいは墨田でございますか、中央、これらの陳情を受けたわけでございます。  御承知のとおり、先生のいまおっしゃった兵庫県の四十三号沿線については、騒音による健康被害それから大気汚染による健康被害と、両方関連をしているというわけではないでしょうが、一緒の問題として出ているものですから、騒音については、直接健康被害に結びつくかどうかということについての検討がなかなかめんどうなわけですね。それから、先ほど局長言いましたように、大気汚染による健康の影響ということについては、いまのところ一応有症率を調べまして、それからSOxの度合いが非常に高いという、両方の判定で、東京やその他地域指定をしたわけでございますが、NOxについては、どうもまだ健康被害の学問的な基準をつくってないものですから、そういう点で結論でもし落ち度があってはいけませんので、そこで、ただいま局長言いましたように、川崎と二地区を選びまして、総合的に環境庁みずからの費用で調査をやろうというので始めているわけでございますから、やはり相当期間がかかるわけでございます。おっしゃるようにできるだけ急がなければいかぬ問題でございますから、督励をいたしまして、データを正確に収集するようにできるだけの努力をいたしたい、かように考えます。
  198. 岡本富夫

    ○岡本委員 NOxが健康被害の元凶であるということぐらいは、もうはっきりしておるわけですよ。これがどういうように健康の被害影響があるのか、そんなことをいまさらやらなくたって、たとえば西先生のこれを見ましても、「NOxの濃度とあたまいたおよびのどいたの被害者数の間には密接な関連」がある。「高い濃度の日が連続して起こると、被害者数が累積する傾向を示す」「例えば十三日〜十六日は一五〇ppb〜二〇〇ppbの日が連続しており、この期間中のどいたは完全に累積してゆく傾向を示しており、さらに二十六日および二十七日は二五〇〜二七〇ppbと高濃度の日が続いているため、二十八日は五Oppbと濃度が下ってものどいたの人数は減っていない。しかし頭痛は」濃度が下がると下がっている。「この理由としては、高い濃度の排ガスでのどに被害を受けると、一日では完全に回復しない」、のどは回復しない、頭の方はちょっと回復する、こういうことなんですね。こういうことは学問的にわかっていることじゃないのですか。いまさら窒素酸化物健康被害にどういうふうになるのだとか、そういう人体影響調査をしてからというのは、ちょっといただけないのですがね。この点いかがですか。
  199. 城戸謙次

    城戸政府委員 これも先ほどお話ししました中公審の答申の中にあるわけでございますが、いろいろな汚染物質の中で硫黄酸化物、窒素酸化物、粒子状物質、この三つを汚染物質の指標としてとらえるわけでございますが、その中の硫黄酸化物以外の二つの物質につきましては、補償法の見地から大気の汚染の程度を数字であらわしていくことが、現在の段階の試験ではできないわけでございます。したがって、数字としましては、硫黄酸化物で代表される大気汚染の程度を中心にとらえまして、それに地域によります窒素酸化物なり粒子状物質で特に濃度の高いところがあるということがありますれば、そういうことも考慮して考えていく、こういう考え方をとっておるわけでございまして、特殊の道路沿線等で特に硫黄酸化物その他の影響が少なくて、もっぱら窒素酸化物で汚染されている地域におきます健康の影響につきましては、特に疫学的な数字的な把握が十分なされていないわけでございます。そういうような調査を今度やろうということでございまして、それをやりました上で、できるだけ早くそういうところも地域指定できますように持っていきたいというのが、先ほど私が申し上げましたところでございます。
  200. 岡本富夫

    ○岡本委員 この地域指定の問題では何か非常にマンマンデーというのか、なるべく公害による健康被害の人たちをほっぽらかしているというように感ずるわけですよ。こういう窒素酸化物あるいは一酸化炭素もそうですし、こういうのはもう健康被害のあることはわかっておるわけですからね。どういうようになって、どうなっていくかというような、そんなところまでやらなくとも、これは毒性で、有害物質の中には出ておるわけですからね。そういうことを考えますと、私はもっとスムーズに健康被害を救済していくというようなやり方にしなければ、学者でいろいろそんな汎論をやっておったんじゃ、どんどんこの人たちが倒れていくのですよ。中には、健康保険で皆いっておるわけですけれども、家族は健康保険だとやはり何割か払わなければならぬ。こういうようなことを考えると、せっかくこの公害健康補償法をつくったにかかわらず、環境庁はそれを知っていて地域指定をしないために、法律が施行されない。要するにこの人たちが救済されない。ここに私は問題があろうと思うのです。  したがって、私はもう一つ意見を申し上げれば、少なくとも各市あるいは県、地方自治体がそういった指定地域の案を出してくる、それに対して、環境庁の方で余りむずかしい、何といいますか、いまさら健康被害ごうごうとか、どうだこうだと言わずに、どんどん救済していくというような、もっとスムーズに行政が進むような考え方に立っていただきたいと思うのですが、長官、この点どうですか。あなたの政治的……。
  201. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 おっしゃるように、窒素酸化物というのは健康に対する有害物質であるということは事実なんですね。ところが、これがどの程度になればどういう障害を与えるかという基準についてまだできてない。私も実は長官になって参りまして、すぐ、東京都の指定が五つ漏れたのはおかしいじゃないかといういろいろな御要請を受けて、聞いてみますと、SOxの方で大体基準に合っているところ、それから有症率が高いところ、これは指定しました。しかし有症率が低くてSOxが高いところは、これは一応保留になりました。しかし、有症率は高いがSOxが低いというところもアウトになっておりますと言うのです。それじゃ、NOxがその有症率が高いのには影響しているんじゃないか。影響していると思うけれども、その基準がないから、なかなか確定的にぴしっと答えが出ないのですということのあれを聞きまして、これは確かに早くやらなければいけない。有害物質であることははっきりしているわけですから、その辺のところが、私も常識と学問的なあれがちょっと合わない点があって、先生のような、ことに地元をよく知っておられる先生が、こんなにあるじゃないかと言われて、われわれも調査をしますだけではどうも申しわけないのですけれども、この点はひとつできるだけ私も、調査を一方進めると同時に、何らかの方途がないものか、その点は十分検討いたしますから、いましばらくお待ちを願いたいと思うのでございます。何しろ学問的な基準がまだできてないということでは、健康被害補償法をいいかげんに、常識的にあるだろうからやってしまえというわけに、ちょっと行政当局としてはできない点がありますので、しばらくの間御猶予を願って、できるだけ急いで調査をするようにいたしたいと思いますので、御了承を得たいと思います。
  202. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも、調査調査言いまして、なかなか健康被害というやつは、その人々によって、また体質も違うわけですね。そのときに車が幹線道路を走ってないというのなら話はわかりますよ。ですからその点はもっと簡単に、たとえば地方自治体の方で、こういう状態だということで指定の申請といいますか、これが出てきたものに対しては、環境庁の方から指定をしていくというような前向きの姿勢が何とかならないと、私はこれはいつまでたっても解決しないと思うのですよ。その点いかがですか。
  203. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私も政治家ですから、本当におっしゃることはよくわかるのですよ。しかし私は、また一方行政の責任者でございますから、いま先生のお気持ちをわかって申し上げているわけでございますが、この点は、先ほど言いましたように、何らかその打開の方法がないのか、それが余りルーズなやり方ではない方法でいくような道がないか、十分ひとつ検討させていただきたい。きょうここで先生がやるかやらぬかと言われましても、現実に学問的な基準がないものを、私は行政庁の責任者として、いますぐやりますとなかなか言えない。恐らくこの調査も一ヵ月や二ヵ月で終わる調査ではないと思うのです。しかし、それではそれまでほっておいていいのかということを考えまして、あるいはまた、地元の現状をよく認識の先生のお立場も考えつつ、私は今後何らかいい方法はないかということを、十分よく真剣に検討しますから、いましばらくお待ちを願いたい、こう申し上げておるわけでございますので、こんな気持ちでいる私の気持ちを御了承願いたいと思います。
  204. 岡本富夫

    ○岡本委員 こんな気持ちでいる私なんて言われても、それはこっちの方が言いたいくらいですよ。東京都内もそうですし、もう全国にこれはたくさんあるんですね。その付近の何といいますか窒素酸化物の濃度、あるいはまた車の回数といいますか、そういうものによって基準を決めて、先ほど言うたように、この窒素酸化物によってどういう病気になって、どうなるのだというような、この解明は私はなかなかできないと思いますから、もっと簡単な方法で救済できるようにひとつやってもらいたい。これは要望しておきます。  そこで、これは私、去年の委員会だったと思うのですが、音のマスキー法といいますか、自動車の音を下げなければこの環境基準が達成できないということを提案いたしまして、検討をしてもらっておることになっておるのですが、特に大型トラックあるいはまた大型の自動車ですね。これはどういうように現在は考えておるのか。ひとつ環境庁から、検討結果あるいはこれからどうするということを聞きたいと思います。
  205. 春日斉

    ○春日政府委員 自動車騒音対策といたしまして、先生の御指摘のとおり、発生原因としての自動車騒音を下げるということが一番大切なわけでございます。私どもはその中でも一番大きい問題は大型車、二輪車なので、そこに重点を置きまして、騒音の大きさの許容限度の強化を早急に行うことといたしております。ところが、それとは別個と申しますか、並行してと申した方がよろしいかと思いますが、長期的観点から、この規制問題につきまして、先生はいみじくも音のマスキー法とおっしゃいましたけれども、そういうものにつきまして、現在中公審の中で、許容限度の設定の長期的方策について諮問をいたし、御検討いただいておるわけでございます。その答申も遠からぬうちに出てくるであろうと思います。これを中心にいたしまして、われわれ十分に検討してみたいと思っております。このような発生対策がまず第一。  それから、それに加えまして道路の改善、交通規制の道路交通環境対策、こういった推進につきましても、関係省庁と十分に協議をしてまいるつもりでございます。
  206. 岡本富夫

    ○岡本委員 騒音規制法、これは御承知のように昭和四十三年に制定された。この十六条に「環境庁長官は、自動車が一定の条件で運行する場合に発生する自動車騒音の大きさの許容限度を定めなければならない。」これは何年かかっていると思いますか。
  207. 春日斉

    ○春日政府委員 おっしゃいますとおり、騒音規制法は四十三年でございますが、これは十六条の一項の規定に基づきまして、自動車騒音の大きさの許容限度を、現在は四十六年六月二十四日から適用いたしておるわけでございます。これをさらに遠からぬうちに強化する、かように申し上げておるわけでございます。
  208. 岡本富夫

    ○岡本委員 それが、これは決めておるけれども、この騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令、ここに一種区域、二種区域、あるいはずっと出ておるわけですけれども、これが結局守られていない、現在の自動車の音を見ていますと。ですから、環境基準を上回ってその周辺では非常にやかましいということでありますけれども、この音の大きさの許容限度、これは私、前に指摘したのですが、たとえば九十二ホンですか、これは「車両総重量が三・五トンをこえ、原動機の最高出力が二百馬力をこえるもの」これが九十二ホンになっておるわけですよ。そして環境基準は一番高いところでも、夜間、昼間とありますが、八十ホンが一番高いのですよ。この表で見て七のところ  「第三種区域及び第四種区域のうち二車線をこえる車線を有する道路に面する区域」これは八十ホン、ところが自動車は九十二ホンを許しているわけですよ。ですから、この環境基準にどうしても合致しないわけですよ。ですから、この自動車騒音というものの許容限度というものをここまで落とさなければ、この環境基準は満たされないんじゃないですか。この点について。
  209. 春日斉

    ○春日政府委員 確かに御指摘のとおり、現在主要幹線道路の周辺で、いわゆる道路騒音環境基準を満たしていないところが多々あることは、全く同感でございます。しかしながら、その点と、騒音規制法の第十六条の第一項の規定に基づいて、たとえば現在決まっております加速走行騒音が、三・五トンを超えるようなもの、あるいは二百馬力を超えるようなものにあっては九十二ホンとなっておりますが、これは環境基準とは測定方法等々が全く別個でございます。したがいまして、環境基準はたとえば六十ホンだといたしますと、これは九十二ホンだからもうそれで間違いだということにはならないわけでございます。環境基準の測定方法とその辺が異なる点は、いま詳しく御説明申し上げてもよろしいわけですが、一言に言えばまあ基準が違う、そういうことであります。ただし、先生が御指摘のように、環境基準を超えているところは多々ある点は全く御指摘のとおりと、かように考えております。
  210. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでこの前もあなたにお聞きしたことがありますけれども、基準が違うと言いますよね。しかし、この「車両総重量が三・五トンをこえ、原動機の最高出力が二百馬力をこえるもの」これがもう九十二ホンもあるのですから、それが走って、こっちの方は夜間ですと六十五ホンが一番最高のところですよね、そこまで行かないのですよ。ですから、どうしても車の騒音を抑えなければならない。  報道によりますと、昨年ローマで開かれたECの自動車安全公害対策会議では、英国、ベルギー、スウェーデンの三国が具体的な規制基準化を提案した。それによると、約平均十ホンを下げることを求めておる、環境庁もこの目標を目安にするのかというようなあれが出ておるわけですけれども、これについていかがですか。
  211. 春日斉

    ○春日政府委員 まず最初の話からちょっと申し上げておきますが、道路騒音環境基準の場合、これは中央値を使うわけでございます。そういった点で、十六条の一項に基づく定常騒音が幾らとか、あるいは加速騒音が幾らとかいうのと、必ずしも一致するものではないということを御了解いただきたいことが一つでございます。  後段のお話でございますが、先生が御指摘のように、確かに私どもは、自動車の持っている騒音というものは十ホン程度下げようというのが、これは世界じゅうの一つの統一的な考え方と申してもいいと思います。わが国においても全く例外ではございません。それをただいま中公審で御討議いただいておりまして、遠からぬうちに御答申いただくことになっております。ただし、これは一挙に十ホン下げるというわけにはまいらないと思います。数段階に分けて下げていく所存でございます。
  212. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が参りましたからあれですが、長官、御承知のように、あなたも環七やあちこち回られたと思うのですよ。この幹線道路の付近の人たちは排気ガスの規制もないし、それから音なんですね。毎晩毎晩寝ておられないですよ。この騒音を何とかしなければならないわけです。だから、環境庁はいまこの音についていろいろと検討しておるようでありますけれども、これを一挙に下げられない。しかし、これはこの報道によると十ホン下げるということでありますから、やはり厳しいそういった規制をつけて、そうしてやはり自動車の改造といいますか、音を何とかしていかなかったら、とても沿線の人は寝ておれないわけですね。これをするのは環境庁じゃないですか。自動車会社やまたメーカーに気がねしてできないというようなことでは話にならないと私は思うのですよ。
  213. 春日斉

    ○春日政府委員 そのとおりなんでございますが、これ技術的な問題でございまして、現在の技術の段階で一挙に十ホンを下げるということになりますと、自動車は動かぬだろうと思います。十ホンを下げるということは、日本だけではなくて世界じゅうの一つの合意の方向である、方向としては合意していると申しましたが、それを達成するのはやはりマスキー法と同じでございまして、これは段階的に落としていかないと、技術にそれほどの飛躍はできないわけでございます。走らない自動車をつくってみてもしようがないわけでございます。  それから、排気ガス規制が今後五十年規制、五十一年度暫定、それからさらにターゲットとしての〇・二五というふうになってまいりますと、これがやや自動車自身が発する騒音と逆比例するものも出てくるのでございます。そういう点ございますので、私どもは十分にこの自動車騒音を低くするというところにつきましては、自動車メーカーのおしりをたたくというところに努力してまいりたいと考えております。
  214. 岡本富夫

    ○岡本委員 これで終わりますけれども、長官、排気ガスも一緒ですが、自動車騒音で本当にみんなまいっておるわけですよ。ですから、いまごろ走らない車をつくっても仕方がないと言いますけれども、それは厳しく規制してこそ初めて技術は革新するものなんです。そうでなければ、いまのような、できるものしか仕方がないというような、そんな弱い考え方では人の健康を守れないと私は思う。ですから、その点もひとつ強く検討し、規制していくということを要求いたしまして、きょうはこれで終わります。  どうも委員長、ありがとうございました。
  215. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十四分散会