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1975-06-05 第75回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 三枝 三郎君 理事 野中 英二君    理事 勝澤 芳雄君 理事 野坂 浩賢君    理事 平田 藤吉君       加藤 六月君    佐藤 守良君       井上  泉君    太田 一夫君       久保 三郎君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         運輸省航空局長 中村 大造君         海上保安庁次長 隅  健三君  委員外出席者         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       丹羽 一夫君         法務省人権擁護         局調査課長   宮本 喜光君         外務省欧亜局西         欧第一課長   野村 忠清君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   横山 義一君         海上保安庁警備         救難部長    山本 了三君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君         建設省道路局次         長       中村  清君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 下平正一

    下平委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 高速自動車道路事故、これを最初に取り上げてお尋ねをしたいと思います。  総理府の交通安全対策室のおつくりになりましたみごとな要覧がありますが、この図説を見まして、高速道路事故というのは人身事故率は少ないようでありますが、一件当たりの死傷者数に至りますると、致死率にいたしましても非常に大きい。その理由がわき見運転とか不注視運転、これが多いようで、その次にハンドル操作不適当なんというのがあります。この高速道路交通事故を防止する基本対策というのは何でございますか、お尋ねをいたします。
  4. 勝田俊男

    勝田政府委員 高速道路事故実態につきましては、ただいま御質問にありましたように、一般歩行者がおりませんので事故の件数と事故率としては五分の一ぐらい少ない。しかし、一たん事故が起こった場合の致死率は非常に高いということでございます。こういった面で、高速道路における一番の特色はスピードが出るということでございますし、そのスピード規制をそれぞれの状況においてやっておりますが、スピードを十分に守っていただくということ、それから路線区分がございますが、路線のレーンをできるだけ守っていただくということが一番の基本になろうかと思います。そういった点から見まして、各高速道路における事故対策として、各高速道路区分ごと高速道路交通警察隊というものをつくりまして、その警らによって運転者の注意を喚起するということを行っているわけでございます。
  5. 太田一夫

    太田委員 朝早く、首都高速道路などにおきまして、取り締まり班が出動いたしましていろいろと規制をしておるのを拝見いたします。それは早くからやっていらっしゃいますから私はいいと思うのです。この取り締まりのあるとき、それは一度何か事故が起きてからが多いような感じがいたしますが、五十キロのスピード制限が守られておるかどうか疑わしい。これは渋滞する昼中というのはわりあいに守られておるだろうと思いますが、渋滞をしない、スムーズに走れる夜などに至っては、五十キロなんてスピードはあってなきがごとしだ。このスピード取り締まりはやっていらっしゃるのですか。
  6. 勝田俊男

    勝田政府委員 スピード取り締まりもやっておるわけでございますが、スピード違反というのは一番担保がしにくい違反でございまして、取り締まりをやっていない期間中にスピード違反実態があるということは、これは否定できないと思います。そういった面でいろんな試みとして、ひとつ車線の幅を狭めてみて運転者の自粛を促そうというような、技術面からそういったことを守りやすいような方法も考えていかなくちゃいかぬというふうに考えておりますが、何としても担保できるのは取り締まりであろう、そういった面で取り締まり器材整備という面についても今後検討していきたい、こういうふうに考えております。
  7. 太田一夫

    太田委員 スピードを守ってもらうという御方針について異存があるわけではありませんから、五十キロとせっかくお認めになったものは深夜に至っても守らせていただきたい。  そこでちょっと聞きますが、警視庁が昨年でございましたか、東京マイタウン化計画というのを発表されたことがありましたね。これはその後どうなっちゃったのですか。これは自動車より人間優先東京をつくろうという交通計画であると思うのでありますが、それは生きておるのですか、それともこれは流産しちゃったのですか、どうですか。
  8. 勝田俊男

    勝田政府委員 それぞれの地域地域に応じてやっておるわけでございまして、たとえば昭島市でございますが、この場合、昭島市内における通過交通をできるだけ排除していこうというようなことで、市の方にも大変熱心に取り組んでいただきまして、大変大規模な昭島市全体を対象とした規制をやりまして、交通量交通騒音交通事故、ともに大幅な減少をいたしております。昨年の九月に実施をされて、その結果は非常にいいように思っておりますが、こういった計画を逐次推し進めていって、交通に伴ういろいろな障害から住民の安全を守っていきたい、住民生活を守っていきたいというふうに考えております。
  9. 太田一夫

    太田委員 そこで、その御方針に従って承りますが、交通渋滞というのは、朝晩の通勤時間帯というのが一つあります。基本的にこれはだれでもわかっておる。何かその調べた時間によりますと、朝十時半から十一時半までの一時間、それから午後十五時三十分から十六時三十分までの一時間、これが非常に交通渋滞の多い時間帯だというのですね。第三番目に、それに続いて十一時半から十二時半の昼だ、こういうふうに渋滞する時間帯というのが一時間ずつ一日三回あるということも、当時の記録でしたか、私は承った気がする。  そこで、こういう時間帯ならば、高速道路等自動車が利用する時間というのは朝、晩、昼中のちょんちょんちょんと三回だということになりますと、深夜などに至ってはここがそんなに渋滞するはずがない、一体市民の生活に与える深夜の自動車交通影響はどうだろうかというふうに考えてみますと、これは排気ガスに問題があると思いますけれども、逆に渋滞をするときには騒音はございませんね。騒音が非常に環境を脅かすのはこの時間帯以外なんですね。特に深夜、早暁であります。これはわれわれもそばに住んでおりますからわかるのでありますが、一向五十キロで走っておる気配もなければ、それから騒音環境基準が守られておるようにも思われない、こう思うのであります。  そこで、自動車騒音環境基準はその後どうなっておって、これからどうなるであろうというお見通しが何かありましたら、お答えいただきたい。
  10. 勝田俊男

    勝田政府委員 騒音環境基準につきましては、従来からその基準が決められておりまして、必要な基準と、それからそれに対して要請基準というような形のものがあるわけでございますが、現に要請基準を超えている地域もあるということでございます。そういった面でわれわれとしては、特に問題は御指摘のように夜間でございますので、夜間自動車騒音によっていろいろと騒がしい、ゆっくり寝ていられないというような状況をできるだけなくしたいというふうに基本的に考えているわけでございます。  そういった点で、警視庁の七環方式というような形で五十キロ規制をやっている。五十キロ規制という速度規制は、いま言われたような形でなかなか守りにくいというようなことで、これを守らせるためには、取り締まりのほか、技術的には信号機を五十キロ以上で走っても早くは行けませんよというような系統式に切りかえていくというようなことでやっておりまして、これはそれなりの効果は上がっているわけであります。地域地域によって、はかってみますと大した数ではありませんけれども、多いところで七ホンぐらい、少ないところで一ホンニホンというような形で上がっている。また大型車を車の中側に入れるというようなことをあわせてやっているわけでございまして、こういった方式もできるだけ取り入れて、地域地域によって検討を進めているところでございます。  ただ、騒音の問題は、基本的にはやはり車両構造の中でできるだけ騒音が出ないような車両をつくっていただく、あるいは道路構造の面でできるだけ騒音が他に影響を及ぼさないような道路構造というものも考えていただく、そういう基本的な対策とあわせて、警察としてもできるだけそういった住民要望に沿うような対策を進めていきたいと考えておるところでございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 環境庁公害課長さんにお答えをいただいてもよろしゅうございますが、自動車というのは、特に私の言いますのはディーゼルエンジンを備えておる大型トラックでございますね、これは一体何ホンまでと規制をされておりますか。
  12. 田付健次

    田付政府委員 お答え申し上げます。  個別の自動車につきます構造上のホン限度は、道路運送車両保安基準に定めてありまして、ディーゼルにもいろいろございますが、大型トラック最高出力が二百馬力以上というような非常に大きなものにつきましては、定常の走行騒音それから排気騒音につきましては八十ホン加速騒音につきましては九十二ホン以下という定めでございます。
  13. 太田一夫

    太田委員 その八十ホンというのは、いま何げなくさらっとおっしゃったけれども、これは現実に実用化されて走っているときの騒音基準じゃないですね。メーカーの工場から出て一般使用者に売られるときの基準でございますね。そうして実際にある程度一定スピードで走っておるときは九十二ホンというのですから、新幹線が八十ホンで問題になっておるときに、自動車の方だけ九十二ホンで知らん顔しておるというのは怠慢じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 田付健次

    田付政府委員 先ほどお話ししましたホン基準につきましては、先生指摘のように、新車として製作されました段階でチェックを受ける基準でございます。それから先ほどお話が出ました九十二ホンは、加速走行騒音といいまして、一定速度から急加速をしましたときの騒音をはかる大きさの基準でございます。なおこれらを含めまして検討を進めておりますが、近く環境庁との共同作業で、大型トラック等につきましては御指摘のようにいろいろ問題がございますので、加速騒音中心に三ホン下げたいということが現在作業を進めている段階でございます。
  15. 太田一夫

    太田委員 これは部長さん、三ホンというのはいかにも、下げることは下げたことですが、はなはだ幅が小さいような気がしますね。夜間ディーゼルエンジン騒音というのは、まさに飛行機の騒音と同じなんですね。ですから、これをうんと下げる、何らかの別表の基準の改正というのは思い切ってなさる必要があるのであって、もう少し世の中の要望にこたえていただくように、三ホンでは、九十二ホンが三引いて八十九でありますし、いま新幹線住宅地域は七十ホンでしょう、そこまで新幹線に対しては盛んに言われておるが、自動車の方はどちらかというとこれは治外法権的な立場に置かれておるのですよ。  一度各主要道路においてこのホンを正確にひとつ調べていただいて、それで騒音の絶滅ということについてひとつ思い切って技術的な指導をしてほしいと思います。それによって、あるいは場合によっては新たなる技術開発をしなければならないので費用がかかるとかいうことはあろうかと思いますが、そんなことに顧慮していたらいつまでたっても騒音公害から逃げるわけにはいかぬと思います。ぜひこれは徹底的にひとつ撲滅をするようにしてほしいと思います。  これはもう一つ、環境庁の方いかがですか、いま三ホンを減らす程度の研究取り組みでございますか。
  16. 丹羽一夫

    丹羽説明員 お答えします。  先生おっしゃられますように、自動車騒音というものは、いろいろ道路環境交通事情、また自動車騒音発生源としての性能というような問題がございます。それで、最近の自動車騒音というものの低減率というものは、だんだんとよくなってきている場所もございますが、地理的な環境だとか道路交通環境によりましてまだ相変わらず高い地位にあるということは十分承知しているわけでございます。特に先生指摘のいわゆる大型ディーゼルだとかそれからダンプだとか大型バスというような大きな車、それから一部には、ちょっと高速道路から外れるかもしれませんが、カミナリ族と称する二輪車の問題、これは確かにいま一番大きな騒音源であり、爆発的な音を出して歩くというような感覚で受けとめなければならないだろうと思っております。  そういうことで、大型自動車とそれから二輪車については、先ほど田付部長からお答えがありましたように、三ホンでも四ホンでも、一ホンでもニホンでも、少しでも下げていくという努力を緊急にしてまいりたいということで運輸省と協議しておるわけでございますが、いわゆる騒音環境基準といいますか、そういうものは出ておりますが、長期的に見た騒音許容限度というものの設定ということが必要であろうと考えられますので、ただいまのところ中央公害対策審議会自動車騒音専門委員会で長期的な展望に立った騒音のあり方とその許容限度設定ということについて御審議いただいておりますので、その審議を促進し、また早く結論をいただいて、その答申に従って今後の長期的な展望に立った指針を立ててまいりたい、そのように考えております。
  17. 太田一夫

    太田委員 新幹線騒音については、とにかくこの間中公審のあれは何部会でございましたか意見がまとまったのは、住居地域七十ホン商工地域七十五ホンでありますから、自動車だけがどんな騒音を出したっていいなんということはない。少しでも下げるというのはいま時分になって遅いのであって、これは少なくとも国民要望にこたえて思い切った対策を講じてほしいと思います。運輸省はその指導をしっかりやってもらわなければいかぬとと思うのですね。あなたの方がしっかりしなければやるところがないじゃありませんか。そして警察庁も、それは警視庁が言うたことであって、そんな東京マイタウン化計画なんて知らないよというようなことではなくて、少なくとも全国同じ悩みに悩んでおるのですから、この問題についてはひとつ徹底的にあなた考えていただきたい。  そこでさらに飛躍をいたしますが、主要道路のそういう大きな騒音を発する車の通行を、深夜、ある時間帯三時間なら三時間禁止をするという、そういう規制をお考えになったことはありますか。
  18. 勝田俊男

    勝田政府委員 深夜、特に住宅街等についての大型車規制につきましては、すでに各府県でそれぞれ実施しているところでございます。ただ、幹線道路規制につきましては、それを全部とめてしまうということは、かなり長距離のものがございますので、一定時間車は全くストップしてしまうということになりますと、車の全体の流れが非常にむずかしいというようなところで、速度規制とかそういった形で騒音をできるだけ少なくしていきたいということで考えているわけでありまして、現在まで主要幹線道路で全くとめているというところはないのじゃなかろうかというように思います。
  19. 太田一夫

    太田委員 全体の流れがむずかしいからとおっしゃるのですが、全体の流れとは何の流れですか。
  20. 勝田俊男

    勝田政府委員 たとえば九州から東京へという長距離トラックがあるわけでございますが、一定の時間帯にちょうどその地域にかかります。それをとめてしまうと、その車をどこかでとめておくターミナルとか、そういったいろいろな設備が必要である。したがって、規制するに当たっては、規制してとまった車を置いておくような施設整備がなければ交通が非常な混乱を起こしてしまうということになるわけでありまして、そういった全般の輸送体系の中で、とめても差しつかえないような施設なり体系ができないとなかなか規制しにくいと考えておるわけでございます。これは、特に、主要幹線道路でございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 九州から来るトラックが走るのだろうから、北海道から来るトラックが走るのだろうから、あるいは忙しいから走るのだろうから、なんということを言っていたら、深夜規制なんということは全然おぼつかないわけですね。外国の人が千葉県の製鉄基地へ参りまして、深夜跨道橋の上から見ておると、次から次へと大型自動車荷物を満載して出ていく。日本という国はえらい国だ、寝るときに働く、この国にはかなわぬと言って感心されたという話があります。大体夜は道があいておるのですよ。だから通るのでしょう。  夜通る必要があるのだったら、先方に行く時間を調整する必要もあるかもしれませんが、二時なら二時までに入りなさいというように時間を限定すれば、向こうもそのように時間の調整をするじゃありませんか。また、事と次第によっては、国鉄の方もいらっしゃいますから国鉄の任務だ。なぜトラックを載せるフレートライナーはできないかですよね。カーフェリーのかわりにカートレイン設定いたしまして、その間運転手さんは寝てくればいいじゃないか。物流関係で、夜困るのであって、自動車を通さなかったらわが国はどうかなっちゃうなんという問題じゃありません。電気は確かに終夜通じておらなければ、これは国民生活に困る。しかし、終夜大型トラック荷物を持って走り回っておらなければわが国国民生活は破綻に瀕するなんということは出てこない。なぜ、その際には自動車を汽車に載せて、特急で東京なり大阪なりに運ばないか。こういうことも考えてよろしいじゃありませんか。物流の問題をひとつ考える、物流問題の結論なくして規制はありませんから。  そのことを中心にして十分お考えにならないで、全体の流れがどうか、向こうから来るから仕方がないというようなことでは——局長さん、あなたも非常に思いやりの深い方のようで、その点には私も敬意を表するけれども沿道に住んでいる住民に対する思いやりが一つ抜けてしまっていますからね。トラックの方にそれだけ思いやりがあって、夜寝れなくて三時に目があいてしまう人はどうするのですか。規制警察庁交通規制以外にないと思いますが、それが無理ならばなぜ国鉄と御相談なさらないか、あるいは場合によっては建設省と相談して、夜何とかして安眠を破らない、脅かさない、そういう方途をお考えにならないか。ひとつ大きな意味で考え直していただきたいと思います。何か答弁がありますか。
  22. 勝田俊男

    勝田政府委員 大型トラックの問題につきましては、基本的には物流の問題、物をどのようにして持っていくかという問題であることは仰せのとおりだと思います。ただ、現実交通の問題から見ますと、一定地域だけとめるということは非常にむずかしいのじゃなかろうかというふうに感ずるわけでございます。したがって、そういう地域につきましては、できるだけ沿道住民の方に迷惑のかかることのないように、速度規制なりできる限りの規制をやっていきたい。それから建設省関係にもいろいろと御相談をして、防音壁とかそういうものをつくっていただくとか、そういったことについてもお願いをしておるところでございまして、今後とも基本的には住民方々にできるだけ御迷惑をかけないという考え方規制考えていきたいと思います。
  23. 太田一夫

    太田委員 とにかく国民の生命、健康を守るということを第一に考えていただきたい。たまたま昨年いい考え方警視庁は発表されておるのですから、これは大きく発展させていただきたいと思います。  そこで、同じ自動車で、沖繩自動車整備のことですが、沖繩の六事業所六十九人の関係者の方が、沖繩復帰の際に国に接収されて失業を余儀なくされた民間車検場、これをひとつ何とか救済し、補償してほしいということをきつく言っておりますね。それは、認証工場制度をおつくりになったのですから、別に間違いだというわけじゃありませんが、いままで長いこと、二十年もの間民間車検場指定検査人制度でやってきた。その指定検査人というものは、なし崩しに仕事がないようにしてしまおうという政策を運輸省はおとりになった。だから、二十年一生懸命に沖繩自動車整備に貢献をしてきたこれらの人たちが、いまや認証工場という制度のもとに踏みにじられて、窒息させられて生きていけない、従業員も何とかしてもらわなければならないが、生活も何とかしてもらわなければならぬというような陳情をしておりますが、これは御存じでございますか。
  24. 田付健次

    田付政府委員 先生お話しのように、過去にありました制度を返還後、従来私どものやっておりました車両法制度に切りかえなければならないためにそのような問題が出ているということは承知いたしておりますが、当時切りかえの際に、それまで仕事をしておられました方が困らないようにということで、私どもとしては、いろいろな条件といいますか、たとえば融資の問題あるいは指定工場への切りかえの問題等を御提示申し上げまして、問題が起こらないように時間もとり、摩擦の生じない形で新しい車両法制度に現地の側としては切りかえが進みますように配慮いたした次第でございます。
  25. 太田一夫

    太田委員 その結果、指定検査人、言うなら民間車検場認承工場として正式に登録されたのはどれぐらいあるのでございますか。
  26. 田付健次

    田付政府委員 ちょっと具体的な数字をただいま持っておりませんので申しわけございませんが、その後、その方々とのいろいろな接触を経ました後、現状におきましてはなお一部の方で私どもの御提案申し上げた線に入っていただけない、なじめないということで残っていらっしゃる方もあるように承っております。
  27. 太田一夫

    太田委員 これは整備部長さん、これ以上押し問答をすることじゃありませんが、沖繩復帰後の暫定措置あるいは善後措置の問題でございますから、いま六事業所関係者六十九人という問題に詰められておるようでございますが、一度よく事情をお調べになりまして、あなたの方も少し印象が薄いようでございますから、後図をはかるのに間違いのないように、手抜かりのないように、冷たいもののないように御指導をして御措置をいただきますようお願いしておきます。  それから、騒音問題等に関連をいたしまして建設省お尋ねをいたしますが、東海道一号線のバイパス問題はずいぶん長い間の懸案でありまして、東京から下関まで、一号線、二号線ともにバイパスをもって交通緩和を図り、騒音公害等の集中を避けようというような御方針であったと思うのでありますが、遺憾ながら一号線の豊橋名古屋間のだけ抜けたところはどうにも手がつかぬ。バイパス計画進捗度をひとつお知らせいただきたい。
  28. 中村清

    中村説明員 お答え申し上げます。  一般国道の一号線の、いまお話がございました豊橋名古屋の間、この区間につきましては、名豊バイパスというものを現在計画いたしております。それで、これは一般国道の二十三号という国道がございますが、二十三号の改築工事といたしまして現在一部の区間について事業を実施いたしております。  これを具体的に申し上げますと、名豊バイパス名古屋豊橋の間、全区間約七十キロございますけれども、そのうち約二十七キロの区間につきましてすでに都市計画決定を済ましております。そのうち知立、刈谷、安城といった名古屋に近い方、そういった地区につきまして現在用地買収事業をやっております。なお、残余の区間につきましても都市計画決定を行いました後で逐次事業を進めていきたい、かように考えております。
  29. 太田一夫

    太田委員 そのことは何遍も聞いておることでありますが、一向に進まないのです。それで、いつになったらばバイパスが完成するかというと、実は見通しが立っておらない、こういうことでありまして、名豊バイパスとおっしゃいましたですが、名豊バイパスなどは物の役に立たぬ計画だ、夢の計画である。だから、これをさらにもっと具体的なものにすべきじゃないだろうかと思うのでありますが、それはなかなかできない。  けれども、いま国道一号線は上下四車線に改修されましたために一応スムーズになった。なったけれども、その沿道住民というのはどういうことになったかというと、非常に交通量がふえて振動と公害、騒音、これに悩まされ、さらには、夜間になりますというと猛烈に走る、ばく進する大型車の通行によって恐怖の気持ちを感じておるのです。これは一号線を四車線にしたことはいいことではありまして、決して否定はしませんが、都市のまん中に国道一号線をずばりっと通しているのですから、これはその地域交通安全をつかさどっておる警察としてもたまったものじゃないと思うのですね。そういう点、何か解消する方法はお持ちでしょうか。
  30. 中村清

    中村説明員 いまお話がございましたように、一般国道の一号線を四車線に拡幅をいたしました。そのために地元の方々にも相当御迷惑をかけているという面もあるかと思います。私ども基本的な方針といたしましては、大体そういう大都市の中に大きな道路が入るのは余り好ましくないということで、一般的には都市の外側を回るバイパスをつくるといったことを現在盛んに進めておりますが、先ほど御指摘がございました名豊バイパスといったものも、そういった都市をよけて大量の交通を流す、こういった趣旨にほかならないのでございます。  そこで、御指摘の名豊バイパスがいつできるのだというお話でございますが、御承知のように、道路投資に対する機会がなかなか得られませんので、御承知のような予算の状況になっておりまして、われわれはなはだ残念でございますが、今後とも努力をいたしまして、できるだけ早く仕事を完成したいというふうに考えております。
  31. 太田一夫

    太田委員 そこで、次長さん、一つ提案をいたします。東名高速道路を一号線バイパスとして本当に開放しちゃったらどうだろう。東名、名神、これを開放した方がいいじゃないですか。それはいかがですか。
  32. 中村清

    中村説明員 東名、名神といった高速道路の無料開放というお話かと思いますが、これは先生も御承知だと思いますが、東名とか名神とか、ああいいました高速自動車国道は道路整備特別措置法という法律がございまして、そのたてまえを申しますと、利子つきのお金で道路をつくって、その償還が済んだ段階で無料開放するというたてまえになっておりまして、現在償還がまだ終わっていないという段階でございますので、ちょっと無料開放といったことは考えられないのじゃないかというふうに考えております。
  33. 太田一夫

    太田委員 次長さんはそのお答えで無難でしょうけれども、私ども国民の側、市民の側から見ると、そのお答えじゃ不満です。欠陥答弁です。一号線は国道ですね。これは通るのにお金がかかりませんから、いま東名高速道路の通行料金が五割も六割も上がりましたから、したがって、勘定する人たちは全部一号線にルートを変更いたしまして、一号線の渋滞は激しいのです。したがって、長距離大型車が深夜等町の中をばく進するということになる。そこで周辺の人たちは非常にこわい、いつ突っ込まれるかわからないという気持ちがある。これを私は申し上げておるのです。  そこで、特別措置法でつくった東名高速道路であるということ、それは聞くまでもなく、そのとおりでしょう。しかし、現在の交通の状態から考えて、わが国の道路政策、交通政策は、東名高速道路というのは一般国道として無料開放する。もしお金か何かあって会計上困るならば、それは買収なさればいいじゃありませんか。何とか措置を講じて無料開放する、そういうところまで踏み切るべきだと私は思っておる。これは一応建設省議に付すなり、内閣で相談してもらわないといかぬわけで、竹岡さんもひとつ東名高速道路無料開放説に賛成をしていただきまして、音頭を取っていただきたい、こういうふうに思うわけです。答弁はよろしいです。あなたに答弁を求めてもしようがない。建設大臣がいらっしゃったら答弁を求めたいところだが、本日は御欠席のようですから、これはそれでとめておきます。  ちょっとここで、いやなことばかりの中で海上保安庁に臨時に聞いておきたいのですが、きのうの朝の三光汽船「栄光丸」二十三万一千トン何がしが座礁したという件ですね、これはけさになりますと、新聞は流れた油は大したことがないからといって小さく報道しておりますけれども、私どもといたしますれば、これほど重大な事故はないと思うのです。またもタンカーの油流出事故、海難事故か、衝突事故が起きたのか、だれもびっくりしたわけです。ですから、「イースタンパーム」というリベリアの船が気がつかないで行ってしまったというようなニュースを聞いてみても、三光汽船の「栄光丸」というのは何か操船にミスがあったんじゃないだろうかということはどうも考えられる。しかし事情を調べてみると、中ノ瀬航路を通るわけにいかなかったという問題が一つあるわけですね。水深が深いためにこの二十三万一千トンのタンカーでは中ノ瀬航路は通れなかった。だから大型タンカーというのは、七万トン以上のものはみんな中ノ瀬航路の西側というか北側というか左側というのですか、横を通るようになっている。そういう暫定措置がいま講ぜられている。これは海上交通法の特例ですか、せっかく海上交通法を決めながら特例が設けられておる。その中ノ瀬航路という安全制度つくりながら、それの適用ができなくて遂に外側を通った。だから、リベリア船が出航するのとそこで対面することに相なったわけですね。しかも、その日は霧があった。濃霧だった。そんな濃霧の東京湾に無理に大きな船が入っていくことも冒険だと思う。それは私たちから見ると、タンカー側に大きな過失があったのじゃないかと思いますが、現状並びに原因と思われること、それから今後とられるべきであろう対策、この三つの点について、おわかりの限り御発表いただきたいと思います。
  34. 山本了三

    ○山本説明員 タンカー「栄光丸」、これは総トン数十一万五千六百六十七トン、三光汽船の船でございますが、原油を二十一万トン余積載いたしまして、ペルシャ湾から千葉港、京葉シーバースに向けて航行しておりましたところ、六月四日午前八時十六分ごろ東京湾の中ノ瀬の西方におきまして横浜から出港してまいりましたリベリア船のイースタンパーム、三千十一トンとちょうど行き会い状態となりまして、イースタンパーム号が左転をいたしたということで、ちょうど自分の航路の前を妨害されるような行動をとったということで、栄光丸が右転しまして、それで中ノ瀬のAブイ付近の水深約十四メートルのところに乗り上げました。この乗り上げによりましてフォアピークタンクと中央の一番タンクの底部が損傷を生じまして、原油が流出しております。  当初、原油の流出は相当多量になるというふうに予想いたしましたけれども、結果的には、私どもの過去の経験からいたしまして、船外に流出した油は百トン前後ではなかろうか、そういうふうに推定いたしております。  この事故によりまして、海上保安庁といたしましては、巡視船艇、航空機を動員いたしまして状況調査、それから防除作業を実施いたしました。船主に対しましては瀬取りの手配、それから一番タンクの油をほかのあいたタンクに移すような移送の指示、サルベージによる船底の損傷状況調査等を実施させましたし、それから東京湾の災害対策協議会、これは大量の流出油災害の場合に、官民の力を合同いたしまして防除活動をやるためにかねてつくってあるものでございますけれども、この協議会のメンバーに出動を要請いたしております。この要請によりまして、巡視船艇は十九隻、航空機三機、民間船は三十四隻、これが出まして防除活動をやったわけでございますけれども、当初多量に流れると予想いたしました油が、幸いにも一番の中央タンクからフォアピークタンクの方に多量に移っておりまして、それとさつき申し上げましたほかのタンクへの油の移送、こういったことが効を奏しまして、流出油は目下のところ先刻申し上げました程度にとどまっておる、現在のところは、けさほどから油の海面への流出はない、そういう実情でございます。  それで、中ノ瀬航路の外をこの「栄光丸」は航行いたしておったわけでございますけれども、中ノ瀬航路は水深の最も浅いところで二十メートルということであります。けさ方新聞も報じておりますとおり、十九メートルの水深の沈船が存在いたしております。海上交通安全法施行の当時、そういった実情を踏まえまして、十六メートル以上の喫水のある船舶は中ノ瀬航路を通らなくてもいいのだという規定になっております。もちろんこの船は満載、今度のいわゆる入港におきましては喫水が十九メートル二十ほどありますので、中ノ瀬航路に沈船がなくとも当然これは外の方を回らなければ中ノ瀬は航行できないという船であります。そういう実情でありますけれども、この中ノ瀬航路の沈船につきましては、目下関係機関とこの精密な測量を行うということを協議しておりまして、航路の環境整備に今後努力してまいりたい、そういうふうに考えております。
  35. 太田一夫

    太田委員 まだ原因の点についてはお触れになりませんでしたが、濃霧の中を無理に入ってこようということはいささか冒険ではないか、これは一般国民の常識です。その点どうですか。
  36. 山本了三

    ○山本説明員 当時「栄光丸」が入港いたしてまいりますときには、視界が約三千五百メートルほどあったと報告されております。こういった視界の場合には警戒船をつけて入港させるという体制をとっておりますけれども、従来の経験からいたしましても、注意をして通れば十分通れたであろう、そういうふうに一応考えられます。
  37. 太田一夫

    太田委員 これは山本さん、濃霧であるというのじゃなくて、三千五百メートルの視界があったといえば濃霧とちょっと言いがたいような気がするのですが、いろいろな報道とは大分違うのですね、いまのあなたのお話は。  それからもう一つ、このような喫水が十九メートル二十もあるような「栄光丸」のごときタンカーでは、もともと沈船三隻を除去したとて中ノ瀬は通れないのだから、あちらを通るべきものだ。そうなれば、事と次第によってはそういうような事故が起きるのは今後もあり得ることだという話になりますね。次の事故が重なって起きることを予見をされておるような答弁ですが、どうなんですか。
  38. 山本了三

    ○山本説明員 申しおくれましたけれども、浦賀水道で狭視界の場合に私どもが一応航行を停止させる基準としておりますのは、現在一マイルを基準といたしております。  次の問題でございますが、中ノ瀬航路を通れないような船はどうするかという問題ですが、これは今回「栄光丸」が通っておりましたように、中ノ瀬航路の西側には中ノ瀬のAブイ、Bブイ、Cブイというようにブイが浅瀬のふちに打ってあります。これを競って通って北上していく。南下いたします船につきましては、私ども指導では少なくとも千メートル程度は離して通る、そういった指導を現在いたしております。
  39. 太田一夫

    太田委員 私は時間がないからこれで終わっておきますが、だれか後また質問があるときに、どこかでまた聞きます。保安庁長官もまたいらっしゃるでしょうから。きょうはあなたの意見を聞いておいて、後長官の意見を聞いてどこが違うか、しさいに分析いたします。  国鉄の皆さんにお尋ねをいたします。  評論家の中島誠さんという方が「新日本」という雑誌の六月号に「新幹線博多開業で切り捨てられるもの」という特集にこたえて書いておりますが、どういうことを書いておるかというと「新幹線を新棺線にするな」という見出しが書いてあるのですよ。騒音という問題が一つ取り上げても、国鉄は今度七十ホン、七十五ホン、八十ホンという専門委員会の答申に対して、それはなかなかえらいことだとかなんとか、いろいろ意見を言っておるようでありますが、それに対してこの中島さんという人は、「防音壁をとりつけたら、列車の風圧が車両防音壁で共振を起こし、よけいに振動はひどくなった」、沿線の橋脚の地域に住む人たちは異口同音にそう言っておる。だから、解決の方法は何だと言えば、「列車のスピードダウンしかない」という結論を、評論家中島さんが支持しておる。また、組合の人々は、最近、線路上に枕木などを置く列車妨害が頻々としておこる。この種の列車妨害は子供のいたずらではない、重大事故の心配がある、そういうことが言われておる。こういうことを考えると、いたずらに新幹線が博多まで延長されてめでたし、めでたしというわけには相ならぬ。「新幹線が新棺線にならぬよう祈るばかりである。」と、全く近代科学の時代にふさわしくない評論をなさっていらっしゃるが、私ども国民も、残念ながら同じことを考えておる。  そこで、新幹線の四・四ダイヤは、岡山まで開通したとき以来、四十七年三月以来四・四ダイヤだったのを、その後五・五ダイヤにしようという計画は出たが、これは国鉄の内部においても相当異論が出て、危険だ、安全性に問題があるという意見さえあって、五・五ダイヤというのは保留をされておる、そういう状態である。  私ども、ここで思いますのは、騒音と安全という二つの面を一挙に解決する道は何かと言うと、いみじくも中島さんがおっしゃったように、スピードダウンしかないのじゃないかという気がするのですが、現在、一日百三十往復近いものがダイヤに組み込まれておりますね。でありますから、この七十ホンというのは達成するのになかなか困難でありましょうから、いまいろいろ研究されておるようでありますが、これも達成する。それから、いざとなったときの天然災害等のときにも事故を最少限に防ぐためには、最高スピード二百キロというのを、少なくとも一割か二割最高スピードを下げていく。そして、市街地においては百キロ程度のスピードで走るというようなことに思い切ってしてしまったらどうだという世論というのは無視できないと思う。これについての御見解を伺っておきたい。
  40. 内田隆滋

    ○内田説明員 この問題はたびたび国会でも御質問がございましたわけでございますが、騒音の問題につきましては、ただいま騒音振動部会で盛んに検討がされておりますし、それに対しまして、国鉄といたしましても、国鉄の立場でいろいろとお願いなり、またわれわれの考え方を御説明しておるわけでございまして、そのうちには新しい基準が出てまいると思います。基準が出てまいりましたら、これは国鉄自体ももちろんでありますが、国も御援助願い、総力を挙げてこれを守るということでいかなければいけないというふうに考えております。ただし、現在の七十ホン、七十五ホンというのは、われわれにとっては非常に厳しい基準であって、これを実施の面なり、あるいは現在の技術レベルの問題、あるいは国鉄の置かれている現状等から考えまして、期限内に実施するということは非常にむずかしいというふうに考えておる次第でございます。  それからもう一つ、新幹線の安全の問題に関しましていま御質問がございましたが、御承知のように、新幹線でいろいろと故障が起こっております。これは事実でございますが、新幹線が開業して以来十年間、いわゆる本質的な事故というようなものは起こっておりませんし、お客さんに危害を与えたというようなこともございません。そういう意味では、新幹線というのはスピードの面あるいは設備の面、列車同士が衝突しないようにATC等の施設が非常に完全にできておりますので、それらのものを完全に保守することによりまして、安全には十分の余裕があるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。  ただ、計器でございますので、ときどき故障を起こす、故障を起こすと、それがいわゆる安全面に働くということで列車を全部とめてしまう、したがって、こういうように列車回数が多くなりますと、お客さんに非常な御迷惑をおかけするという問題がございまして、いろいろといままで論議をされておるわけでございますが、これらの問題につきましては、今後さらに計器の点検なり施設の点検あるいは車両整備等を十分やってまいりまして、国民の皆さんの負託にこたえるようにいたしたいというふうに考えております。  最後に、スピードダウンの問題でございますが、先ほども申し上げましたように、騒音の問題につきましては非常に厳しいけれども、これはとにかく、もし基準が決まればこれを守らなければいけないということは変わりないわけでございますが、もしスピードダウンをいたしますと、一割ぐらいのスピードダウンでは、騒音なり振動には何ら影響はないというふうにわれわれは考えておりまして、少なくとも百十キロあるいは七十キロぐらいに落とさなければ、現在の状態で希望されるような音の状況にはならないということでございまして、仮に市街地を百十キロに落とすといたしますと、これもたびたび御説明しておりますように、東京−大阪間で約五割時間がよけいかかるということになりまして、これは車両の増備あるいは到着時分の延長による輸送力が六割になるとか、そういうようなまた別の問題が起こるわけでございまして、現在、騒音では沿線の皆さんに相当の御迷惑をおかけし、これにつきましては、国鉄としては誠意を持って対処しておるわけでございまして、できるだけ早く御迷惑がかからないようにいたしたいというふうに考えておりますが、一方において、スピードダウンをいたしますと、国民の中に新幹線というものが定着し、経済面あるいはいろいろな地域開発の問題等に密着している新幹線スピードダウンするということは、そういうような面の影響が非常に大きいのではないかというふうに考える次第でございます。
  41. 太田一夫

    太田委員 御丁寧な御答弁をいただいたような気がするのですが、どうもはっきりしないのでありまして、私がスピードを落とせというのは、スリップですね、非常制動をかけましてからの惰行距離の長短の問題が一番念頭にあるわけなんです。ですから、二百キロで千二百メートルもスリップする、百六十にすればその半分以下だというところに問題があるのですから、これは全部半分にしろなんて言っておらぬ、最高スピードは一割ぐらい下げたらどうか、百七十キロぐらいを最高にして、市街地等においては百キロでもいいじゃないか、特定の市街地においては百キロで走ってもいいじゃないか、こんなようなことを言っておるわけです。これまたきょう議論するのに少し時間がありません。問題投げかけの程度に終わっておきます。  最後に、時間がありませんが、民鉄関係についてお尋ねをいたします。  これは安全の問題と言ってはなんですが、最近各社の経理の発表されたものを見ると、非常に悪くなってきましたね。たとえば、非常にバスなどたくさん持っております。民間で一番バスの保有量数の多い東武鉄道においては、鉄道の方で三月期末九億円の赤字、バスが十三億の赤字と発表されております。こういうふうにバスも鉄道も赤字というのがちょいちょい出てまいりまして、その結果どういうことが起きるだろうか、それを私どもちょっと心配をするのです。  そこで、最近のいろいろの安全という点から見ますと、たとえば車両の検査等において、定期検査などは二十五万キロ検査というのを三十万キロ検査にほとんどしておりますね。これは株式会社が運輸省に申請を出して許可をもらってやっておるようです。あなたの方は許可しておる。そういう点につきまして、事故が起きておるわけじゃありませんよ。起きておるわけでないし、ほとんど有力なところは皆そういう検査の許可を受けて、新しい体制と新しい機械と新しいやり方に変えておる。ところが中小になると、なかなかその申請ができないということで、これが足踏みされておるようでありますが、地方交通機関が赤字になれば非常にその方に手を抜くのではないかという気もするのです。できるだけ許可をするとかいうふうでなくて、法律でぴたっと車両検査基準を決めてそれでやれるように、国鉄にしても私鉄にしてもするべきじゃないか。特にいま私鉄の場合をお尋ねしておりますが、赤字のしわ寄せが不安全にならないように、現在許可制度でいろいろ車両検査体制を推し進めていらっしゃるその制度を、自信があるなら私は法定されるべきだと思うがどうか、この点を一つ。  それからもう一つ、バスの関係でありまして、これはけさあたり新聞に出ておりましたが、十何キロの距離の通学の定期券は、いま四割の割引率を八割にふやすように指導をなさろうとしていらっしゃるようであります。そういうことでありますと、通学距離十五キロ超の通学定期は八割引きにしなさい、いま四割引きだ、こういうふうになさる。これは八割が必要があるなら八割引きでもただでもいいと私は思うわけですが、それならその公共負担というものについてはどうするのだということがないと、やはりそういういまのバス会社の企業で黒字のところはございませんから、非常に問題が起きてくるのじゃないかという気がするのですが、首尾一貫しない。赤字はどうするのだ、生活路線の補助だ、こうしておる。片方において公共割引をさらに押しつけていく。それならば、押しつけていいですよ。その後、私どもが出しております一つの別の法案もありますが、公共負担は国の負担とする、公共負担法、国がその分だけを負担をするというようなことになればいいと思うのですが、その点が明らかでない。  その二つの点についてひとつ運輸省側からお答えをいただきます。
  42. 横山義一

    ○横山説明員 第一問についてお答えいたします。  ただいま先生が御指摘の検査回帰の延長の問題でございますけれども、これは御指摘のとおり最近技術が非常に進歩しておるということで、各鉄道車両の品質が向上している、それから検修設備の技術も向上しているというようなことで検査回帰の延長という問題があるわけでございます。これにつきましては四十六年ごろからいろいろテストをやってございまして、ただいまもテスト運行というようなことでございます。それで省令の改正につきましては、こういうテストの結果を明らかにいたしまして、それから省令改正をいたしたいと考えておるわけでございます。
  43. 太田一夫

    太田委員 バスの関係は……。
  44. 田付健次

    田付政府委員 私、ちょっと担当外でございまして、したがいまして大ざっぱなことしかお答えできませんので大変申しわけございませんが、いま先生お話のございました公共負担の問題については、文部省といろいろ協議をしているという状況でございますので、その点で御理解を賜りたいと思います。
  45. 太田一夫

    太田委員 終わります。
  46. 下平正一

    下平委員長 次に、紺野与次郎君。
  47. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に、東京湾における「栄光丸」と「イースタンパーム号」の問題と、それから同じ日に神戸港においてイギリスとノルウェーの船がぶつかっておるのですが、最初の方の概略についてはわかりましたが、神戸港の事故の問題についても報告を願いたいと思います。
  48. 山本了三

    ○山本説明員 神戸港で起きました貨物船「アマラ号」と貨物船「ファームスプリング号」との衝突事故につきまして御報告申し上げます。  英国の貨物船「アマラ号」、総トン数一万三十一トン、船舶所有者ロンドンのスチーム・ナビゲーション・カンパニーでございますが、これが神戸港内の第十一番ブイに係留いたしておりましたところ、六月四日午後二時ごろ、川崎重工から出渠してまいりましたノルウェーの貨物船「ファームスプリング号」、総トン数二万九千五百六トン、これが「アマラ号」の右舷三番船倉付近に衝突いたしました。この衝突によりまして、「アマラ号」の右舷に破口が生じまして、同船は右舷に約三十度ぐらい傾斜いたしまして、船底の一部が海底に接触するという状態になりました。  この事故によりまして、乗組員については異常はございませんでしたけれども、同船で作業いたしておりました作業員二名が負傷を負っております。  当時の気象は、曇り、南西の風三ないし四メートル、視界は良好であったと報告されております。  この情報によりまして神戸の海上保安部は、直ちに巡視船四隻を出動させますと同時に、関係者事故の概要を通報するとともに出動を要請いたしまして、水上の消防艇その他民間船等が出動いたしまして、巡視船艇に協力して「アマラ号」の乗組員を収容いたしております。  事故の発生の原因につきましては、現在調査中でございますけれども、「アマラ号」にはパイロットが乗船いたしておりましたので、単純なる操船ミスではないというふうに一応は考えられます。
  49. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、特に中ノ瀬航路の問題で、沈船が十九メートルの水深下にあると言われているし、そのほか二十二メートル、二十四メートルに二つの沈船があって、合計三隻あるということになっている。これが事実かどうかということ。  それと、海上交通安全法がわざわざできて、中ノ瀬航路が設けられた。それは安全のために行われたのでしょう。ところが、こういうものを残しておくということが第一大きな行政上の責任ではないか。速やかにこれは取っ払う、排除するように、そしてこれに関係する人工魚礁ですか、そういうようなものは別につくるとして、航路からこれらを直ちに除去すべきであると思いますが、その点はどうですか。
  50. 山本了三

    ○山本説明員 先生指摘のとおり、中ノ瀬航路に沈船が三隻あるということは事実でございます。水路部が精測いたしましたところでは、水深が十九メートル、二十二メートル、二十四メートルに沈船が存在いたしております。海上交通安全法を施行いたします時点におきまして、この状況はすでに判明いたしておりました。先刻太田先生に御答弁申し上げたとおりに、一応規制では喫水十六メートル以上の船は中ノ瀬を通らなくてもよろしいということに暫定的にいたしております。この沈船の撤去につきましては、海上保安庁は関係部局といろいろ協議をいたしております。なるべく早い機会にこの精測を行いまして、とれるものならとりたいと思っております。
  51. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いつまでにとりますか。
  52. 山本了三

    ○山本説明員 その日時につきましては、いまのところまだ決定いたしてはおりませんが、まずとれるかとれないか、どういう状態になっているかということを精測をいたすということにいたしております。
  53. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは全く海上交通安全法に対する違反だと思いますね、実際上。  それからもう一つ、西側に、大きな十九メートルの喫水の船は航路の外に出なさいというのは、これも海上交通安全法は安全のための航路をつくるという法律でしょう。それを大船に対してはどうぞ外側に出ていって自由にやってください。そこはいろいろの船が上からも下からもやってくるというところでしょう。そういうところに大船を悠々とやらせる。これは四十七年の年間の合計によりますと、二十万トン以上の船がここを出入りしているのは三百四十四隻ですよ。そういうしり抜けですね。ですから、そういう点ではやはり海上交通安全法に対する違反になっていないですか。附則でそういうことを決めているけれども、そのこと自体がこの法に対する脱法行為ですよ。これは大企業に奉仕するためにあなた方はそういうことをしている。どうですか。それが一点ですね。  もう一つ、結局、東京湾における航路の設定及び運航規則、こういったことを全面的に再検討すべきだということなんです。そうでしょう。一番危ないものを自由行動させて、航路の中には三隻の沈船を残しておく。全く怠慢であり、全面的にこれは航路の設定、それの清掃及びいろいろの船の規則ですね、こういうことを私は再検討すべきだと思います。その点について一つ。
  54. 山本了三

    ○山本説明員 第一点の中ノ瀬航路の外に大きな船を通すのは脱法ではないかという御意見でございますけれども、海上交通安全法の規定には航路を通らなければならない船の規定を設けております。そこで省令に定めるものは除かれておるということでございます。その省令で十六メートル以上のものは中ノ瀬を通らなくてもよろしいということになっております。したがいまして、脱法ではございません。  次の問題でございますが、東京湾に巨大船等が数多く出入する、したがいまして、東京湾が非常にふくそういたしております。私どもその実情を見まして、東京湾内の航路体系といいますか、これはどうあるべきかということを相当長い間関係者ともよく協議いたして研究いたしております。そういうふうな航路体系つくりますと、航路の改修といいますか、環境整備に相当の日時が必要になると思います。で、現在の東京湾の交通環境といいますか、水深、それから船舶の通航の状態等に現状で一応最適と言える航法を定めておるのが当面の海上交通安全法で定めております航法でございます。  しかし、いま申し上げたとおり、根本的に東京湾の航路体系はどうあるべきかということは重大な問題でございますので、今後とも検討を十分に進めてまいる、そういうふうに考えております。
  55. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、時間がありませんから、大体そういうことにして、ただ、油の量が百トンとか千トンとか言われておりますが、これと、中和剤をたくさん使っていますね。その中和剤をどれぐらい使用しているかということについての資料を後で出していただきたいと思います。     〔委員長退席、勝澤委員長代理着席〕 中和剤も非常に生物に対して、今後魚その他ノリ等々に対しても影響を与えるというふうに見ていいのであって、どれぐらいの中和剤が使用されたかという資料を後で——わかっていますか。
  56. 山本了三

    ○山本説明員 流出油の量につきましては現在百トン前後というふうにお答えいたしておきましたけれども、油処理剤の使用量は、私どもの現在の資料では約五十トンほど使用したというふうになっております。
  57. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いずれにせよ、東京湾では大船を規制する、それから便宜置籍船も規制する必要がある。しょっちゅうやっている相手は便宜置籍船ですからね。これはやはり両方これから規制をするという方向をとるべきだと思います。  時間がありませんから、ここで東北新幹線と上越新幹線の問題について、国鉄当局及び運輸省の方にお聞きしたいと思います。  第一点は、ことしの五月二十八日に埼玉県の浦和、戸田、与野の新幹線に対する対策協議会、それから北区の同じように東北新幹線、上越新幹線も含めて対策協議会、千代田区の神田地区の対策委員会という三つのところから五万五千名の署名をもって、東北新幹線及び上越新幹線の問題について、現在の大都市部に高架線で入ってくるということに対して、どうしてもこれに賛成するわけにはいかないということで、これを白紙撤回してほしいという請願をしてきているわけであります。  その理由とするところは非常に複雑だということです。健康の破壊、生活の破壊に通ずる、営業権に対して大きな障害となり破壊となる、あるいは環境破壊の問題になる。町づくりについても、町づくりが停とんし、障害を受けてつくれないというふうな大都市部における非常に深刻な問題、これには騒音問題、日照権問題あるいは振動問題、こういったことも含めて非常に複雑な多面的な理由によって、都市部にこのような計画をもって入ってくることは絶対に断る、したがってこれは白紙撤回してくれというのが請願の趣旨であります。  住民がますます結束してこれに反対しているという、こういう住民の意思を国鉄当局はどう思うのか。これを考慮して、その意見を尊重してやるのか、それとも全く無視して計画を強行するという意思なのか、この点について最初にお聞きしたいと思います。
  58. 内田隆滋

    ○内田説明員 そういう陳情が国会あてに出ておることは承知しております。この問題は、先生も御承知のように、いまとなって非常に長い経緯を経てここまでまいったわけでございます。その中でわれわれとしては、申し上げておりますように、東北新幹線というのは東京だけのものではなくて日本全体のものでありますので、そういう意味では新幹線が便利なように、また、東京に入りましてからも二次交通機関等を考えれば東京駅が非常に便利である、あるいは西日本に対する直通運転等を考えて東海道新幹線と東北新幹線を結ぶのだというようないろいろの目的をもって東北新幹線東京に乗り入れるということをわれわれは決定したわけでございまして、そういう意味において交通系絡的には御理解を願っているのではないかと考えております。  ただ、その通る経路におきまして、現在の東海道新幹線から類推せられて、沿線の皆様に対して相当の環境破壊なり騒音、振動等の悪影響が出てくるのではないかということでいろいろの反対があることもよく承知しております。  これらの問題につきましての国鉄基本的な態度といたしましては、それらの皆さん方のお話をよく聞いて、そういうようなものに対してできるだけ障害を少くするようにということで、いままでも皆さんと対話を進めてまいりましたし、今後もそういうような問題につきまして納得のいくような御説明をいたし、また約束したことは実行するということでやってまいりたいと思います。  なお、新しい環境基準が出ました場合には、これを確実に守っていくということで対処してまいりたいと思う次第であります。
  59. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いま、住民の意向は十分に聞いて、約束したことは守っていくというふうに言われた。あなたはこの前にも、私がいろいろ聞いたときに、たとえば本体工事ですね、多くの金を投入してのっぴきならないことになる、こういうことについては、住民との間で通してもよろしいということにならない限り本体工事はしないと言いましたよ。そういう約束ですね。これは依然として守りますね。どうですか。
  60. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまも申し上げましたように、国鉄といたしましては、東北新幹線東京駅に乗り入れるということは基本計画として運輸大臣の認可も得ておりますし、その認可に従って推進していかなければならない責務があるわけでございまして、そういう意味では工事を推進してまいりたいと考えております。  ただ、環境の問題あるいは住民の皆さんと相談をしなければならない事柄があるわけでございます。それは住民の皆さんがだめだと言えばできない、あるいは市の理事者がだめだと言えばできない問題でございまして、そういうものを無視して工事を進めるということはない。ただ全体の工事を進める意味でどうしてもやらなければならない工事というのはたくさんございまして、あるいはそれらの準備工事として進めなければならない工事もございますので、そういうものについては関係住民の皆さんの御了解を得て進めておる次第でございます。
  61. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういうことで、特に埼玉南部から東京都の最も過密地帯に入ってくる場合には、全体としてこれは都市環境の破壊にもなるし、このこと自体が住民の納得を得られないような状態のもとでは、そこの点について解決がない限り本体工事はやらないと言ったと私は思う。私は六月四日に東京駅と秋葉原と日暮里を実際に視察いたしました。その現地視察によると、明らかに最も重要な本体工事が実に巧みに実行されていっているということなんです。そしてそれは、いろいろ別の口実を設けて行われているという点で許しがたいことだと思う。  第一番に東京駅の七番ホーム。これはきのうあなた方からもらった設計図です。これでもはっきりとわかるように、これは東北新幹線の本格的なスタートラインですね。それが巨額の金を投入してすでに完成しているのです。これは明瞭に本体工事ですよ。それで、われわれが見たところによると、七番ホームはこういうふうに曲がっている。真っすぐのあのホームを、博多の方まで山陽新幹線が通ずるに当たって、そのために必要なホームだと言いながら、反対の方のところでははっきりと曲げて、これは東北新幹線であると言っておるわけですね。七番ホームの改造だけでもすでに二十三億円の金を投入しているのでしょう。また、この一帯は、特に神田地区等々の区域については、そういう計画には賛成できないと言われている。それを全く無視した形で、住民が反対するのに背馳して、スタートのところのホームが何十億の金を投入してつくられているということなんです。これははっきりと、本体工事は住民との間で話し合いがない限りは、そこのところはやらないのだと言ってきていることに対する違反だと思うのです。どうですか。
  62. 内田隆滋

    ○内田説明員 きのう御視察をいただいたそうでありまして、そのときも御説明をいたしたと思いますが、御承知のように、東海道新幹線は非常な輸送の増大によりまして、ちょっとした故障で非常な混乱が起こっておる。これの第一の原因は、東京駅にホームが足りないからということでございまして、東京駅にホームの余裕があれば、列車の折り返しが早くできて全体の輸送の回復が早いということは、一番はっきりしておるわけでございます。そういう意味で、東京駅のホームは、現在の東海道新幹線の輸送力をつけるために、あるいはまた事故の場合に回復を早くするためにはどうしても要るということでございまして、先生が御指摘のように、またただいま御説明をいたしましたように、このホームは東北新幹線と東海道新幹線を直通するホームでございますから、そういう意味では将来は東北新幹線も通る。しかし、現在のところは、東海道新幹線の輸送力の緩和のためにできるだけ早くつくれということで工事を進めておるわけでございまして、そういう意味では、現在のところはいささか違う目的で工事を進めているものであります。
  63. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これを見てください。いいですか。だからそこを一つの口実にしている。もし西の方だけをあれするならば、ホームを曲げて、ちゃんとそういうふうに東北新幹線の方の第一のスタートとしてつくるということをやるべきじゃないですよ。西の方だけのあれならば、それはそれとしてやるべきであるけれども、同時にそれは一つの口実になっていて、実質的にはこれは東北新幹線のホームであるということを明瞭に説明者も言っているわけですね。だから、そういう最も重要な点についてまだ疑義があり、意思の不統一があり、また最大の紛争もそういうところにあるわけです。  というのは、東京駅ドッキングは必ずしも正しくない、いまの情勢のもとではそれは正しくないのだということが言われているわけですね。そういうときに有無を言わさず既成事実をつくって、後はもうわれわれの言うとおりに従えという姿勢一がありありと見えるわけです。これはどうですか。あくまでも強行しようと言うのでしょう。それをいまやるべきでない、この前の合意はそうだったと思うのです。そういう点については、東京都とも住民とも話し合いがついた後に、本体工事は了解を得てやるということだと思うのです。明らかにそれは既成事実をつくって、後は強行するという態度ですよ。どうですか。
  64. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまも申し上げましたように、私たちとしては、新幹線東京駅に入れるべきである、また入れることで政府もよろしいという御認可をいただいておるわけでございますし、また予算もついておるわけでございまして、そういう意味では東北新幹線を推進していく責務がわれわれにございます。ただ、新幹線を進めることによって、ただいまも申し上げましたように、住民の皆様と協議をし、また市の理事者あるいは区の理事者と協議をしなければならない部分がありますので、そういう部分については十分な御理解あるいは御認可を得るという意味においては、実際国鉄のいままでの態度として、そういうようなことで住民の皆様に御迷惑なり何なりをかけたことがなく、全部御了解を得てから仕事を進めておるというのは事実であります。そういう意味におきましては……(紺野委員「口でそう言っても、実際にはもう巨大な構築物が二十三億をかけてひん曲げてつくられている。どうしてひん曲げるのだ」と呼ぶ)東京駅のホームの点につきましては、ただいま御説明したとおりでありまして、東海道の輸送の緩和ということのために、どうしてもやらざるを得ないということでございます。
  65. 紺野与次郎

    ○紺野委員 しかもその隣の第六番ホーム、これももうすでにあなた方実に巧妙に手を打っていますよ。それは横須賀線、東海道の一部の線を地下に持ってきまして、地下駅をそこへ持ってくる。そして地上のそういう施設は地下に入れて、六番ホームもまた東北新幹線基本ホームにする。この設計がありますね。そういう設計はちゃんとここに書いてあります。七番ホームよりももっと大きな六番ホームは、横須賀線その他を地下にやって、そのかわりにあの隣のホームを改築する。そして中央通路も、現在の八メートル通路を二十五メートルの通路にする工事をいましている。     〔勝澤委員長代理退席、委員長着席〕 これも東北新幹線をちゃんと考慮に入れて、東京駅を着々とそういうふうに変えつつあるのです。これは基本的な構造ですよ。こういうことを住民をばかにして、国会をばかにしてやるというのは、これは重大な責任問題ですよ。  それからもう一つ、今度は秋葉原のところです。これは貨物ホームが撤去されたわけです。そしてこれで見ますと、それから説明を聞きますと、神田明神の明神坂通り、これは区道ですよ。その区道のところに、同じ平面のところに新幹線がそのままやってきて、ぶつかるという。あの設計によると、御説明によると、いま工事をしているところを見ると、全く同じ区道のところに乗り込んでくるのですね。それはどういうことだと言ったら、区道は地下に行ってもらうのだ。これは区議会にも言っておらないし、東京都に対しても言っておらない。後はもう有無を言わさずそうさせるのだ、地下を通させるのだ、こういうふうな傍若無人。神様がいるならば怒るだろう。そういう神田明神通りを地下に追いやることを前提として、着々としてそういう準備をしている。これはどうですか。
  66. 内田隆滋

    ○内田説明員 現在やっている工事は、先生も御承知のように、秋葉原に貨物駅がございまして、その貨物駅が全体の都市機能からいって必要でなくなったために、これを廃止する。したがって、それに伴いまして貨物設備の撤去工事をやっておるわけでございます。  それで御指摘のとおり、ただいまの私の方の新幹線計画では、なるべく都心は地下で通るということでいろいろ検討した結果、秋葉原の構内で地下に入れば一番設計的によろしい。ということは、ほかの場所で地下に入ろうとすると、どこで入りましても幹線道路を数本支障するということになりますので、いろいろ考えまして、われわれとしては秋葉原のただいまの構内で地下に入るというふうに一応考えておるわけでございまして、その場合には先生の御指摘のように、新幹線が地下に入ろうとすれば一本だけ区道がどうしてもひっかかるわけでございまして、その道路をどちらかに迂回するか下に下げるかということが問題になるわけでございまして、これらのことは公共事業としては常にあることでございます。お互いに譲り合って、そして全体として皆さんの環境が、その部分をどこかで補償していくというようなことで御納得をいただくようにただいま協議を進めておる段階でございまして、その協議が整わない間はそこの工事には必然的にかかれないわけでございますので、われわれは……(紺野委員「実際にはそこのところはもう工事はできているのですよ。そして区道はさあ下へ行ってくださいということですよ」と呼ぶ)必然的にそれはかかれませんので、かかる意思はございません。
  67. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、実際には千代田区議会の対策委員会の委員長にただあそこの貨物駅を撤去させてもらいたいということを言って、安全協議会を地域につくったと称して、そして議会の方の意向としては、そういうことがある場合には直接住民に持ち込んでいくのではなくて、区の対策委員会で協議して、そうしてそれを通じてやるというふうに紳士協定というか、そういう協定ができているというのですね。  ところが、そういうことをやらないで、そうして勝手にそれをどんどん進行してしまっている。そして既成事実をつくって、ちょうど東京駅のスタートラインがもうそういうふうに構築されている、二十三億かけて。そうして今度は、そこから神田駅の二十一メートル半くらいの高い防壁の上を通って構築物をつくって、そうして地下に入っていく。そこのところでは、いま言いましたように、区道を地下に追いやることを前提として設計が行われて、そのあらゆる準備が行われているということなんです。全くこれは住民の意向を尊重するとか何かではない。相談するということではなくて、一方的に既成事実をどんどん積み上げてやっていくという、そういう傲慢な態度だと私は思うのです。いま新幹線がそんな傲慢な態度をとれる時期かどうか。  私は、日暮里の問題も大体似たようなことですけれども、これは時間がないから割愛しまして、大体あなた方に聞きたいことは、新幹線が十年前あるいは昭和四十六年当時とも比べて、条件と情勢が変わっているということを認めているかどうかということなんです。  一つの条件は何かというと、それは新幹線の神話が崩れたということです。何も事故はありません、万歳です、さあどうぞ信頼してください、こういうことで信頼して言うことを聞きなさいという態度が言えた時期です。いまはそうじゃない。新幹線はしょっちゅう事故を起こしているじゃありませんか。新幹線にはみんなあきれ返っておる。そういう新幹線になっておるということが一つ。それから、十年前に新幹線計画されたころの高度成長、これも条件がもうないということ。それから、予想されなかったような公害がたくさん出てきたということ。その公害によっていまどんなに大きな問題になったか、これは新しい世論です。  この新しい条件というのはいわゆる騒音問題、これは中央公害対策審議会の重要テーマになって、騒音振動部会、特殊騒音専門委員会で、これが答申がつくられている。これは大きな問題です。それは当然なんです。名古屋のような大都市のまん中に飛び込んでいった。大阪、横浜、これらは郊外を通った。それは賢明だったと思う。ところが、都市の中を平気で入っていったところでまた大変な公害問題が起きてきた。そうしていまや騒音基準をつくらなければいかぬということになっているわけです。それが幾らですか。住宅七十ホンでしょう。商業地域七十五ホンでしょう。そうして達成年限は、少なくとも建設中の東北新幹線と上越線については、開設するときから八十ホンなんですよ。それから三年たって七十五ホンから八十ホン、五年たって七十ホンから七十五ホンにするというふうに期限も問題になっている。これはただ最終決定になっておらないということで逃げるかもしれぬけれども、時勢はそういうふうに向かっておって、必ずそうなっていくということなんです。それを見越さないでやることはできなくなったのです。そうして既成のところでは、もっとこれを実行するに当たっては十三兆円も金が要るじゃないかと言われているような莫大な金を必要とするのです。情勢の変化がそういうふうになってきているということ。  ですから、その変化ですね。いわゆる新幹線公害ということがどんなに深刻な大問題になっているか、特に都市中心部においてそれは拒否的なものになっているということを認めるか。それから最後に、住民の意識水準です。十年前といまは違う。営業権それから生活権、環境権、これらのことについての住民の意識の向上、それを敵に回して、大都市部で古い時代の設計を強行するというふうなことは、これは時代錯誤もはなはだしいことであって、この条件の変化をどう思いますか、認めますか。
  68. 内田隆滋

    ○内田説明員 東海道新幹線が開業した当時の条件と現在の条件とでは非常な変化があるということは事実だと思います。ただ、それにもかかわらず、東北新幹線なり上越新幹線は非常にやらなければならない仕事であるというふうにわれわれも考えますし、また国もそうお認めになっておると思う次第であります。これは東北線なり上越線の現在の鉄道の列車回数、あるいは貨物なり旅客の通過の状態というものを見、また東北線の通勤輸送の現状というのは、たとえば熊谷なり小山等から来る通勤輸送の現状等から考えまして、新しい新幹線つくりますことによって急行列車を現在線から取り去るということはどうしてもやらなければいけない仕事でありまして、それが途中でとまったのではどうにもならない。やはり都心まで入ってくる。これは大きく言いまして、日本の国、ことに東北の皆さん、あるいは北海道の皆さん方の非常に熱望しておられるところでありまして、先生の御指摘がございますように、それらの新幹線住民の皆様に建設の当初あるいは開業後において相当の御迷惑をかけるということにつきましては十分了解をしておりますし、これらの問題につきましては、国鉄は誠意を持って解決するということで今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  69. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そこが、東北新幹線がいまではもう前とは違った立場で考えられなければいけないような情勢の変化に来ている。特に都市部に入ってくるということは、皆さんが出してきました埼玉、それから北区、千代田区の人たちの理由を見ますと、もう都市でこのようなことを強行することはできないということがはっきりとわかると思います。たとえば北区のような場合には町づくりがもうできない、こういうふうな状態ではやっていけないということを言っております。特にいろいろの下水、水洗便所の工事とか、あるいは都営住宅の建設計画だとか、あるいは家をつくる、町をつくる、あるいは公共施設をつくるにしてもすべて、新幹線がやってきたのではそれがもうぶち壊しになるのだ、そしてまた、その計画があるためにすべていままでのそういうことの計画もストップしてしまっておるということも言われております。それから、何よりもいけないのは、健康上の問題とともに町づくり全体がやはり撹乱されるということを言っているわけですけれども、千代田区の場合を見ますと、もう長年にわたって営業権を営々としてつくり上げてきた、そういう地域社会ですよ。それが実際にこの計画によって壊されてしまう。  ですから、騒音、この問題についても大きな問題があるが、同時にそういう営業権から居住権から町づくりの計画、その他すべてが壊されて、それはどうしてもここを通らせるわけにはいかないというふうに切々と訴えているわけなんです。だから、このことについては、仮にあの騒音公害基準になる七十ホン、七十五ホン、こういうものが実際に問題になってくることは明らかですけれども、その場合に、あの沿線の百五十メートルをずっと撤去して、そうでなければこれは達成できないということを言われておりますね。そんなことがこの大都市の中でできると思っているのかどうかということですね。  そういうことと、いま言いましたような都市部の日照権、それから電波障害はもちろんのことですが、そういうもっと大きな、町全体を破壊するようなやり方というものはどうしても避けて、そして別のことを考えよというのが地域住民考えなんです。  その基本的な考え方についてどうですか。絶対に新幹線を否定するというふうには言ってない。ただ、もっとこの都市の中心過密部を避けてそうして東海道線ともドッキングするならするとか、こういう方向に思い切って考えるべきである、そういうことなんです。
  70. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 大変むずかしい問題でございまして、全般的にいままで先生いろいろと御指摘がございましたが、われわれ新幹線の問題に当たりまして、特に新幹線環境との関係におきましては非常に重大な社会的な問題であるという強い意識は持っておる次第でございます。したがいまして、特にその中の騒音問題につきまして、現在暫定指針に基づきまして極力これを達成するように国鉄指導しておるわけでございますが、いまお話しございましたように、現在中公審で審議されております新しい指針というものが出るやに聞いておるわけでございまして、専門委員会におきます。十、七十五という問題をめぐりまして実は私どもの方も環境庁等といろいろと意見を交換をしておるわけでございます。  非常にむずかしいと言う問題でございますが、仮にこれがまとまりまして答申を得た場合におきましては、われわれといたしましては、そうした新しい環境基準に対応いたしまして、これを完全に実施するという方向で最大限の努力をしてまいりたいというふうに強く思っているわけでございます。  新幹線、特に東北新幹線の問題につきまして、人口稠密な都心部の通過に当たりましていろいろと問題があることは十分承知しております。これらの経路につきましては、こうした環境問題あるいは地形、地質あるいは既設の埋設物なり河川との関係等々、非常に十分な考慮のもとに経路を決定した次第でございまして、この工事の実施に当たりましては、ただいま国鉄からも答弁がありましたように、地元住民との密接な対話を通じまして、ぜひとも御理解をいただきながらこの工事を進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  71. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いままでの対話の結果はもう出ておるわけなんです。浮間の方を見ても、埼玉の方の都市部についても、みんなこれ以上来てもらってはだめなんだという点で意思が一致しておるわけですね。白紙撤回を要求しておるわけなんですね。七十ホン、七十五ホンということが問題になっておることは明らかであって、この沿線を百五十メートルわきをずっと立ち退いてもらって、そして七十ホンか七十五ホンはできるだろうと言われておりますけれども、そういうことをやるのですか、ちょっと聞きます。どうですか。
  72. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいま新しい基準につきましては、中央公害審の騒音振動部会で検討中でございますが、そこに出されました専門委員会の基準は、要するに原則としては七十ホン、七十五ホンを戸外で達成すべきである。しかしそれはなかなかむずかしいだろうから、そういう場合には建物に防音工事を行って、そして同じような効果が上がるようなことでやむを得ないだろうというか、そういうようにしなさいというような答申になっておるわけでございまして、これは今後最終的にどういうふうに決まるかわかりませんけれども、そういう意味では非常に高価な都心地は防音工事を行うことによって所期の目的を達するということになろうかと思います。
  73. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはみんなごまかしなんだね。すでにもう名古屋その他でそんなことはできないということが明らかなんだ。だから百五十メートル外側ずっと両側を土地を買収していかなければもうできないのだと言っておるわけです。それを何か糊塗してできるかのように言うというのは、本当に国民をだまし討ちすることなんだよ。だから、そういう点では絶対に住民は納得しないということです。  聞きますけれども新幹線はいまの計画では五十二年の予定になっていたですね。これはどうですか、見通しは。五十四年、二年間延びると言われているけれどもどうか、この点。
  74. 内田隆滋

    ○内田説明員 総需要抑制の関係で、東北並びに上越新幹線の予算は二年間前年度並みということできておりますので、現在の状況では約二年以上完成が延びるであろうというふうに考えられます。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 二年延びる。これは住民の方も認めていないのですから、それは五十二年度にできるはずがない。ところでその間に、やはり都市の中心部を避けるという設計ですね、迂回して、そして外側に東京のターミナルも考える。都心部の真ん中に持ってこない。住民が総反対しておるものを避けて、迂回する計画を立てるべきだと思いますけれども、これについてはどうですか。
  76. 内田隆滋

    ○内田説明員 いまのところは現在の東京駅並びに東京駅が満員になれば新宿駅ということで基本的な計画を立てておりますし、これに対しまして、住民の皆さんと対話をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  77. 紺野与次郎

    ○紺野委員 既成事実をつくって、後は強引に押し切るという態度をはっきりと出したと思いますけれども、そういう態度がもういまは集中的に批判をされておる観点なんだよ。そして藤井総裁が五月二十三日の国会の委員会で、最悪の場合大宮駅始発にせざるを得ないだろう、こう言っているのですけれども、これについてはどうですか。
  78. 内田隆滋

    ○内田説明員 議事録をお読みいただければわかると思いますけれども、そういうような新幹線というのは機能的に半減する新幹線であり、そういうようなものは希望はしていないという意味で申し上げたわけでございまして、実質的にも、大宮では用地の問題あるいは車両基地の問題等から考えまして、いわゆる機能的な新幹線の運行はできない、あるいは大宮と東京の二次輸送というようなことを考えますと非常なトラブルが予想されますので、そういう意味では満足な新幹線、いわゆるわれわれが考えておるような新幹線には相ならないわけでございまして、われわれとしては、つくる以上は国民の皆さんに非常に便利なものをつくってまいりたいというふうに考えております。
  79. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、これは地域方々に知ってもらわなければいけないと思うけれども、最悪の場合は大宮駅、こはれ総裁が言っておるのですね。全く社会を欺瞞するような二枚舌をしているのだと思うのだが、こういう総裁をわれわれは信頼することはできないと思いますね。あなた方もまた盛んにそれを糊塗しようとしておる。  大きく言って、大宮駅始発というのは、大宮の北の方の上尾の方も反対しているのです。ですから、広く言って埼玉県南部だと思いますけれども、その埼玉南部から東海道線に、もしどうしてもつなぐと言うのならば、あなた方はそれがメリットと言っているのですから、もっと迂回して、都市部のそういう繁華街を避けて幾らでも連絡できるじゃありませんか。住民はみんなそう言っていますよ。そうして、大きく言えば首都圏ですから、大阪を見てもその他を見ても、全部外側を通っている。真ん中を通ったものだけが大変な非難を受けているのです。名古屋の問題は十年間の総決算ですよ。その教訓をなぜ東京でやらないのかということなんです。東京の都民をばかにするのですか。  この間、知事選もありましたけれども、選択したのは、やはり住民の権利と、それから暮らしや営業というものを守るという、そういう都政が勝利しているのです。あなた方はこれを敵にして、そうして踏みつけて通ると言うのですか。それはどうですか。それとも賢明にそこを避けて、みんなが望むように、もっと大局的に政治的に判断して、後から何遍も何遍も挫折するようなことのない、そういう合理的な線を考えられないかどうか、それを聞きたい。
  80. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生のおっしゃることもわかりますけれども、しかし、機能的な問題を考えますと、われわれとしてはやはり新幹線東京駅へ入れるべきであるという信念を持っておりますので、そういう意味におきましては、要するに問題は、沿線の皆さん方がどう御納得し、また、納得のいくような設備をするかという問題なのであって、もし、そういうものがなければ、やはり先生も、非常に機能的なところに交通機関というのは集めるべきであるという御趣旨に賛成だと思いますので、そういう意味では、われわれのお話もある意味では御賛同いただいておるというふうに考えておる次第であります。
  81. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最後に、だから、それは全く破産した論理を使っているのですね。住民はもうみんな反対している、ますます反対する、永遠に反対する、こういうふうになっている。あなたはそれと話し合うという同じことを繰り返しているのですね。なぜもっと頭の柔軟体操をやらないかということなのです。もっといい知恵があるじゃないか。機能的に東海道線とつなぎたかったらどうぞつないでください。住民は幾つも幾つも提案してますよ。何で東京駅を通過する——東北新幹線から一六%しか西の方に行かないと言われている。八四%はあそこで降りると言われているのです。それは東京のどこで降りてもいい人なんだよ。一六%をつなぐだけだったならば、もっともっと郊外、ずっと関東平野を広く見て、そうして迂回作戦をとるということ、もう実際の結論はこれ以外にないのです。  それをあえて拒否するというようなこと——いま空港だってもっと遠いところにあるじゃないですか。大阪駅だってそうじゃないですか。そういう点から見て、当然そうすべきなのです。それ以外にないのです。首都圏という言葉はもっと広くて、いろいろのことができるのです。上野駅だって繁盛できる。そのターミナルを別のところへつけたところで、上野駅と電車でつないでごらんなさい、上野の諸君は喜びますよ。何もあそこまでごり押しをして持ってくるということを願っているわけじゃないのだ。  だから、そういうことで、もう、一つしか道はないと思います。そうして二年延びたわけですから、その間にうんとわれわれ住民の意見をどんどん聞き入れて、そうしてそのかたくなな、昔、新幹線が無理押しにというのか、神話時代にはそういうことがまかり通っても、いまはそんな傲慢な態度は通らないということです。よろしく、この新しい構想に従って白紙撤回をして、そうしてもっといい、みんなが納得するような線をつくるべきだ。その最後の、それだけの余裕があるかないか、ちょっとそれだけ聞かせてください。
  82. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生の御意見、貴重な御意見として承っておきます。
  83. 下平正一

    下平委員長 沖本泰幸君。
  84. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私は、きょうは主としてエアフランスのアンカレッジの事故と、それからスチュワーデス問題で質問したいと思っておったのですが、たまたま昨日の東京湾のタンカーの座礁について各党委員の御質問もありました。そこで、それを先にお伺いしておきたいと思うのですが、次長が後からお見えになるということで、先ほど部長がおこしで、一応事故に対する御説明はあったわけなのです。かいつまんで申し上げると、中ノ瀬の航行水域の中に沈船がある、それが非常に航行の邪魔になっている、それを除くべきだという御意見、それからまたさらに、西側水域を大型タンカーが通航しなければならない、二つの問題点なんですが、たまたまきょう委員会あてに保安庁から「第拾雄洋丸、パシフィック・アリス号衝突事故報告書」というのをいただいているわけです。これをまだ読んでいませんけれども、恐らく報告にとどまったということでなくて、これに対する結論もある程度お持ちではないか、こう考えます。  そこで言うなれば、絶えずこの狭水道の事故ということが非常に問題になりながら、海上交通法というものができ上がったわけですが、しかし、それをもってしてもなおかつ事故対策等にはならないという現状になっておるわけです。水島の重油流出事故がありました。これは船にはよらないけれども、狭水道の大型タンカー等の通航は日没あるいは日の出までの分は認めないということでいろいろ規制されておりますし、いろいろな形でこれの防止のために対策が講ぜられておるわけですけれども、一向に、その危険が除去される、沿岸住民なりあるいは国民の不安を取り除くというところまでは全然行っていない。なおずっと衝突一事故のおそれがすべて残ってきておる。  こういう事態を考えると同時に、きのうの場合は、衝突を避けるために水深の浅いところへ乗り上げてしまった、そのために亀裂が生じた、それから原油が流れ出たということになるわけですけれども、一番心配なのは引火した場合です。油がたくさん出た場合に、それぞれ沿岸に漁業なりいろいろな被害を起こしながら、なおかつまだ引火のおそれ、出火のおそれが出てくるという点にあるわけです。新聞等の批判を読んでみましても、大体大型タンカーは、新しい鋼材によっていわゆる油の重みと海水の圧力とそのバランスの中で航行しておる。ですから、重い重量のものが何かの形でほかに接触する、当たる、抵抗を受けるということになると、すぐ亀裂して油が流出するというおそれがあるわけですね。  そこで一番安全だと考えられることは、一定の原油の基地をつくってそこから小分けして安全に移しかえていく。非常にコストの点で無理はあるわけですけれども、安全性を考えるとそれしかないという点にかかるわけなんですが、なおかつ中ノ瀬の場合は、沈船を除いてみても今度は漁業補償の問題あるいは水路の水深をもっと深く掘ってみても、今度は海の汚濁なり何なりいろいろな問題が出ております。それから最近になって伊勢湾の赤潮の問題あるいはヘドロが多く出てきているということから、港湾における公害のおそれも出てきている。そういういろいろな点が重なってきておるわけです。あるいは東京湾を相当埋め立てたということによって船舶の航行に非常な無理が起きてきておるというようなことも聞いておるわけです。  ですから、単に海上交通法で中ノ瀬の航路は防ぎ切れないということから、特例を設けて一つは何がしかの安全を図ろうとしておるわけですね。また、「第十雄洋丸」の場合は、パイロット船のようなものが案内しておった。案内しておってもなおかつ衝突が避け得られなかった。この場合もそういううものも配置され、いろいろ検討されておるわけですね。しかし、大型船が十二マイルの速度で走っていれば、それは急に停船しない、相当距離の間惰力が起きてくる、急回転もできない、こういういろいろな問題が重なってきておるわけです。ですから、この場合海上交通法そのものをもう一度検討してみなければならないし、それ以上に狭水道における航行船舶の中身を検討して、大型船の航行の規制のあり方なり、あるいは海上交通のラッシュのことが起きてくるこの辺の問題をもう一度洗い直すという点にかかっていると思うのです。その場合も、まあ検討しておるのだということだけではもう事が済まない事態が来ておる。  ですから今度のタンカーの座礁はただ単に原油が流れ出した、それをオイルフェンスを張ってとにかく食いとめた、出る油についてタンクからタンクへ移動させていって油をできるだけ出さないように防いだ、たまたま防ぎ切れた、よかったという点なんですけれども、それをひっくり返してみると今度は逆に、出るのが激しかった、亀裂が大き過ぎた、オイルフェンスを張っても防ぎ切れない、何かの拍子で引火した、爆発したということになりますと、これはもう手のつけられぬような事態が起きる。いまもなおこの「栄光丸」は燃え続けておって爆発が起きるという危険性というものは十分考えられるわけですね。そうするとほかの船の航行は全部とめなければならないし、沿岸住民に対する危険も出てくるし、流出油に引火してどうするかこうするかという点では、付近のこういう災害救助船なり消防艇なり何なりを総動員してみたところで、なかなか問題解決に行かない。だから、安全を図っていくという点から考えると万全を期さなければならないし、万全を期してこそ初めて住民の安心なり、いろいろな防止の安心が得られていくということになるわけですからね。  また、いろいろと考えられますことは、保安庁の方としては専門的な立場から船を規制すべきである、われわれの述べるようなことに対して御見解をお持ちだと思うのですが、運輸省自体としては、やはり船主なり荷主の立場から物を考えてそうもいかないという一面があって、同じ省内で意見が競合するものも出てくる、これは考えられるところです。ですから、それはやはり、いままで言われておるところの一部の利益者のために名もなき大ぜいの人が犠牲にならなければならないということは、現在の社会情勢なりいろいろな点から、これはもう考えを改めなければならない問題だと私は考えるわけです。  そういう点から結論として言えば、まあくしくも「第十雄洋丸」の衝突事故報告書をいただいたその時点で御質問しなければならない。しかしこの事故のケースというものは、衝突している、していないとの関係だけで、同じ条件のもとで何か起きているわけです。だからそういう点を考えると、今後も同じことが憂慮されていく、一つも除かれていないということになるわけですから、そういう点について急いで対策なり何なりを考えていただかないと、これからますます大きな事故の恐怖に包まれながら、安全は一つも保たれないという形でいくわけですが、その点について、保安庁の方として、あるいは運輸行政の上から、こういうタンカー事故なり狭水道の衝突事故に対してどのように対処をされるのか、そこをお伺いしたい。
  85. 隅健三

    ○隅政府委員 東京湾の安全対策につきましては、ただいま沖本先生のおっしゃるとおりでございまして、きょういみじくも「第拾雄洋丸、パシフィック・アリス号衝突事故報告書」をお配りいたしましたが、警救部長からも報告がございましたように、昨日、「栄光丸」の座礁事件がございました。いま考えてみますと、確かに僥幸と申しますか、非常に運のいい状況で、被害を最小限に食いとめたということは言えると思います。たとえばフォアピークタンクの隔壁が破れまして、一番タンクの油がそっちの方へ流れ込んだ。そのために三千トンの油が外へ出ないで船体の中にとどまったということ。  しかし、こういうことの対策はいままで何回も言われておりますけれども東京湾に巨大船を入れることの是非ということをわれわれ運輸省としてはもうすでに相当前から検討いたしました。CTSと申しますか、集中して揚げる基地をつくって、そこから海底のパイプラインを通じてそれぞれの製油所に原油を送る、あるいは小型タンカーに移しかえて基地へ運ぶということでございましたが、そういうこともいまだに実行されておりません。それで、海上交通安全法を制定いたしまして、航路内の秩序維持を考えてこれを実行しておりますけれども、やはりこの「第十雄洋丸」の事件のように、航路の出口での規制と申しますか、これで事故につながる点をどうするかという点もさらに検討を要する点でございます。  なお、エスコートボートにつきましても、「栄光丸」にはいみじくも「第十雄洋丸」のエスコートボートの「おりおん一号」がやはりついておりましたけれども、衝突を未然には防ぎましたが、座礁ということになりました。  それから、中ノ瀬航路の沈船につきましても、このときにすでにわかっておったものをなぜいままでほっておいたかという御批判は、われわれとしても十分反省をするところでございます。この点につきましては、早急の対策を講ずることといたしております。  なお、海上交通情報の整備ということも、予算を投じまして、観音崎にレーダーをつくっております。  また、海上安全船員教育審議会におきましては、水先法の一部改正を提案しておりまして、ことに東京湾においては、一万トン以上の船に強制水先としてパイロットを乗船させるべきである、この実行を早くするようにということでございました。  われわれといたしましても、海上交通安全法をさらに遵守していくと同時に、外国船に対する指導、それから海上交通情報の整備、強制水先への連絡を密にする、やはり一つ一つの対策をうむことなく繰り返していかなければ、現在東京湾に巨大船が入ってくるわけでございますので、さらに海上交通安全に対しまして、心を新たにして対処をするつもりにしておるわけでございます。
  86. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大体の御意見はわかるのですが、ただ具体的にどういう方法ですぐかかるかというところにあるので、次長がおっしゃるとおり、一つ一つやっていかなければならないのだ、これは当然だと思うのです。  それじゃ、少しでもこういう事故の危険を除くためには、たとえば沈船をとってしまうということ、水深をもう少し深めていくにしても、中ノ瀬のここは二十万トン、三十万トンというような大型タンカーはなおかつ入りにくいわけですね。そうするとどうしても、「第十雄洋丸」なり「栄光丸」というのは同じような条件のもとに起きたわけですから、このことは当然起きるということが考えられるわけですね。  ですから、結局陸上で言えば交通信号のようなものがあって、進む方向を片側同士やらせていくとか、そういうふうな方法なり何なりとりあえずの措置考えていただかなければならない。また、たとえばマラッカ海峡の座礁の問題もありますし、大型船の鋼材のこういう衝突に対する弱さということから、二重底ということも考えられる。その点では、船会社の方が利益の点あるいは船価の点、いろいろな点で抵抗もあると思うのですが、しかし、衝突の危険とかそういうものを考えると、あえてそれを踏み切らなければならないというのがいまの日本事情ではないか。さらに今度は、基地の対策を講じていく。いわゆる基地をつくる地域のいろいろな不安もあって、地元住民の反対、いろいろな点があると思うのですね。そういうものも乗り越えて、とりあえずこういう大事故をなくするため、これは国にとっても大きな損失になっていくわけですから、その辺の踏み切るステップですね、それはどの辺でおやりになるおつもりなんですか。
  87. 隅健三

    ○隅政府委員 航行安全対策といたしましては、先ほども申しましたし、また、この第拾雄洋丸の報告書でも七十一ページ以下に書いてございますが、船体構造の問題から、アメリカにおきましても、タンカーは二重底にすべきであるという意見が出ておることも承知をいたしております。なお、これは船舶局あるいは海運局の問題、あるいは広くはIMCOの問題として取り上げられていくはずでございますし、海上保安庁といたしましては、やはり海上航行の安全のために一つ一つ、先ほど申しました繰り返しでございますけれども、船舶の運航者あるいは船主に対しまして安全を常に呼びかけていく、なお小型鋼船、それから外国船に対しましては法規の徹底、やはり法規の遵守ということに欠けるところが多々見られますので、この点についても繰り返し指導をしていく以外にないというふうに考えております。
  88. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まあこれ以上詰めようもないと思うのですが、ただ単に保安庁だけのお考えということでなくて、これは政府が重大な決意のもとに進めていただかなければならないという立場から、大臣がいらっしゃれば御質問するところなんですけれども、十分その点をお考えになって、本年度予算はもうでき上がってしまったわけですが、来年度予算にすぐに着手できる方法として問題点を十分とって早急な対策を講じていただきたいのです。でないと、政府もあるいは企業の方も社会的責任を追及されて初めてあわてなければならない。こういうことになったのでは何にもならないので、その点を十分お考えになっていただきたい。水島の事故でもちょっとした手違いからあそこまで起きたということで、全部のタンクを調べたら全部に欠陥があったということになるわけですから、その点は十分お考えになっていただきたいし、石油は産業の重大な動脈でもあるわけですから、なくするわけにはいかないわけです。その辺も十分御承知と思いますけれども、対処していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  では、本題に移らしていただきます。  これは、運輸委員会で共産党の紺野先生が御質問したことの蒸し返しみたいになるわけですけれども、エアフランスのジャンボジェットが故障を起こしてアンカレジへとまった事故ですね。これは二月二十日十時半から二月二十一日二十二時三十分までの間、乗客がほとんど状況をわからずにわいわい騒いだということに端を発して、日本人のスチュワーデスを乗せるなり何なり、日本語のわかる人を乗せてほしいという要望が出てきておるわけです。私がいただいた資料の中で、このときの添乗員からも内容をいただいておるわけですが、「外人ばかりもしくは大部分がそうであれば別だが、満席のジャンボの九〇%は日本人で占められている。全く英語を理解できなく添乗員の引率のないインディビベースのお客もかなり居る事を考えれば、AFのサービスは、全然なっていない。」という点を指摘しておるわけです。そして添乗員の方に日本語の機内放送を十数回もあたりまえのように頼みに来ておるということです。私自身もしばしばこういう場面に当たった経験はあるわけです。そうするとこれは、権限の問題なり何なりでそういうことが常時行われていいのかどうかということです。エアフランス自体も、アンカレジの地上勤務の最高責任者も何も説明をしなかったというような内容ですね。  それで、エアフランスが「当社のサービスなどに関してのご意見がございましたらお聞かせ下さい」というアンケートをとっているわけですが、その中ではことごとく、日本人のスチュワーデスの搭乗を望むという意見ですね。それから「フランス人での英語のアナウンスは早口でたいへん聞き取りにくいので、日本人のスチュアーデスでのアナウンスがありますと大へん助かります」とか、お客さんをほったらかしておいて搭乗員がさっさとおりてしまっているというような点の指摘とか、どれもこれも結局は日本人のスチュワーデスを乗せてくれということを言っておるわけなんですね。  運輸省の方としては、これは企業内の営業の問題にかかわるわけですからどこまで言えるかどうかという点もあると思うのですけれども、聞くところによりますと、会社の方にも運輸省の方からある程度のあれはおやりになったということですが、その点どうなんでしょうか。
  89. 中村大造

    中村(大)政府委員 日本に乗り入れております外国のエアラインは、サービス上の見地から、一、二の会社を除きまして、たてまえとして日本人スチュワーデスを乗せることになっており、また現実に大部分はそのようにいたしておるわけでございます。エアフランスの場合につきましては、北回り路線でございますけれども、これについてもたてまえ上は日本人スチュワーデスを乗せることになっておるわけでございますけれども現実には、特に先生指摘の二月二十日でございますか、そのときには乗ってなかったということでございます。  日本人のスチュワーデスを乗せるか乗せないかの判断は、最終的にはそのエアラインが決めることでございますし、また一般的に客室乗務員についての規制は当該登録国においてやるたてまえになっておるわけでございますので、外国エアラインに対する日本政府としての意思表示にはおのずから限界があるわけでございますけれども日本人が多数乗っております場合に、大多数は外国語については堪能でないということが想像されるわけでございますので、できる限り日本人のスチュワーデスを乗せることが望ましいと思うわけでございます。  それで、先月の中旬でございますけれども、フランス国営航空に対しましては、私の名前で、利便の増進という見地から日本人スチュワーデスを乗務させることが望ましいと考える、したがって十分配慮されたいという希望を文書で申し入れをした次第でございます。
  90. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ただ、これはサービス問題ということでなくて、やはりいまに至ってもハイジャックの危険性は除かれていないわけですね。そういう場合に、言葉がわからないので事態がわからないということから、突発事故的なことが起きると上空で乗客が騒ぎ出すわけですね。あるいは緊急事態に対して事情がわからないとそこでパニック状態が起きてくるということをおもんばかるから言うわけであって、そういうことが上空の機内で起きる、あるいは離陸直後にそういう問題が起きてきたということになると、これはもう重大事故を想像せざるを得ないということになってきますし、人命救助、安全ということにつながるわけで、ただ言葉が通じないからどうとかということではないわけですね。  たまたま、これはサービス面に係るわけですけれども、「エンジン故障とかでアンカレジで一泊する事になったが、四時頃出発とかで待っていると、十一時迄椅子のない待合室で待たされ、エアーフランス社員の誠意のなさと不親切に旅行の楽しさが半減しました」ということがここにあるわけです。これは、エンジン故障でアンカレジへおりて、待合室へお客さんを誘導して、その間にホテルへも入れたりしたけれども、ホテルへ入れることと食事の世話をしただけで、あとは何の話もなかったということで、完全に一泊させられたという不満がここにあらわれてきておるわけです。これは結局、日本語の放送があればこういう事態は起きなくて、あらかじめお客さんは十分承知して対応できたということになるわけで、こういうことを読んでみると、これはサービス的な問題はまるっきり抜けてしまって、何かの重大事故があって閉じ込められたような事態がここで起きているわけですね。こういう点は、運輸省として十分検討していただく必要があるのじゃないだろうかというふうに考えられるわけです。この塔乗員、エアフランスに関しては、御承知のとおりに、エアフランスに乗るところの日本人スチュワーデスはフランスに籍を置くべきであるというような事柄から、人権を無視してしまって、日本人だから日本に籍を置いておきたいということが対立して大量にやめさせられるという事件が起きて、仮処分の申請をして、仮処分は聞き入れられ、なおかつ訴訟を起こして、訴訟でも明らかに勝訴になっているということですから、日本にあるところの企業は、日本の裁判ではっきりと決められたことを守らなければならないわけですよ。  これはもう少し後ほど伺うのですが、先ほどの日本人を乗せるということを決めておりながら、ここにもらっている資料でいきますと、これは七五年の各便が出ているのです。二七四、これはいわゆるフライトナンバーですけれども、これが到着して、出発が二七三で出ている。日本人がジャンボに二人ずつ乗っておったということなんです。これで十八便の往復があるわけですけれども、二人乗っておったのが一回だけで、それでジャンボでないのがこの中で二便しかないわけですね。乗せておるといっても、ジャンボで二人乗っておったのが一回だけで、あと全部一人になっておるわけです。それで二十二往復の分は全然乗せていないが、お客さんの中に日本人が非常に多い。後で見ていただいたらいいと思うのですが、そういう統計がちゃんと出ているわけですね。  私が考えますことは、一番心配なのは、パニックが起きるということに対する配慮をしてもらわなければならない。サービス面よりも安全のために乗せてもらうということを考えなければならないと思うのです。ハイジャックのおそれが世界じゅうからぬぐい去られたということであれば、これはまた考え直すこともあると思うのですけれども、依然としてハイジャックの危険性というものは除かれていないわけですから、その点についてはもっと深い考え方運輸省は持っていただいて、外国の航空会社各社に対してこの点十分配慮していただきたいのですが、この点いかがですか。
  91. 中村大造

    中村(大)政府委員 御指摘のように、安全の確保というものはもう大前提でございます。したがいまして、ことしの二月、いわゆる日本人のスチュワーデスの問題が起こりましたときに、民間の労働組合の連合会の方から要請がございまして、その要請をエアフランスの会社に通知をしたわけでございますけれども、そのときにも日本政府としては、運航の安全については万全の配慮をしてほしい、これはもう大前提でございますから、そのことは二月にすでに強く申し入れておるわけでございます。これはもう大前提でございまして、当該航空会社あるいはその登録国であるフランス政府が全責任を負うべきことであるわけでございまして、日本政府といたしましては日本人乗客が多数乗っておるという見地から、あらゆる場合を想定いたしまして、日本人のスチュワーデスを乗せることがいいのではないかというふうな意思表示を五月にいたしたわけでございます。
  92. 沖本泰幸

    ○沖本委員 問題指摘は別になるのですが、たとえばマヤゲス号事件ですか、この間カンボジアの海軍がアメリカのコンテナ船を拿捕した。カンボジアがやったのか、アメリカが仕組んだのか、それはまだわからないわけですけれども、とにかくそういう事件が起きて、アメリカは軍隊まで出動させた。あるいはサイゴンなりプノンペンあたりの在留アメリカ人を引き揚げさせるために、軍隊まで出動さすというように、自国の国民を危険から守るということには最大限の努力を払っておるということが言えるわけですね。ですから、そういう面も考えていきますと、政府としても海外におるところの日本人の安全を図っていくという点については、十分考えていただかなければならない問題ではないか。そういう観点からこういう問題を取り扱っていただきたいと考えます。  そこで、局長はそうおっしゃったわけですけれども、五月の十三日にエアフランスの社長が日本へ見えているんですね。そのときに日本に置かれているスチュワーデスなんかと会って、エアフランスの会社は、以前決めた条件を一つも変えていないということをはっきり言っているわけです。立場は全然変えないという点をはっきり言って帰っているわけですから、運輸省の方からおっしゃった分については、全然効果がなかったということが言えるのじゃないかと思われるのです。日本で待機されて手当だけもらっているスチュワーデスに会って、いろいろと条件を聞いたわけですけれども、本社としての立場は全然変えないということを言っているわけですから、スチュワーデスがふえるわけもなければ、会社の方のそういう面のサービスの面が変わっていくことも考えられないということになるわけです。  そういう点もあるわけですから、そういうことになると、ただ申し入れたということにしかすぎないことになりますけれども、その辺はどうお考えですか。
  93. 中村大造

    中村(大)政府委員 会社と従業員、まあ日本従業員でございますけれども、その間のいろいろなトラブルの問題については、私どもやはり深くこれに立ち入ることはできないわけでございます。したがって、現在問題を提起いたしております日本人スチュワーデスをどうこうということもさることながら、われわれとしては、とにかく日本発着路線について日本人のスチュワーデスを乗せるべきであること、こういう意思表示をいたしておるわけでございまして、これにつきましては先ほど申し上げたような、文書で申し入れもいたしておりますし、また日本地区の支配人は私どものところへも参っておりますので、口頭でもこの問題は強く申し入れておる、こういうことでございます。
  94. 沖本泰幸

    ○沖本委員 さらに日本人の添乗員ですね、これに機内放送さしていくというような便宜主義は改めさすようにしてもらいたいと思うのですね。そういうことがふだんになれてしまいますと、それで切りかえて事足れりというふうになりますと、何かのことで責任問題もいろいろ起きてくるわけですから、その辺は十分また運輸省の方から徹底していただきたいということになります。  そこで、本題に移るわけですけれども、これは首切り問題を担当した弁護士さんのお話ですけれども、仮処分が一九七四年八月二十八日に確定しており、会社は、日本人スチュワーデスを従前どおり従業員として扱うべきであるのに、就業させないばかりか、賃金の基本的部分を払う以外一切の権利を奪い、他の職員との間に差別を行っている。司法機関の決定を行政機関である労働省が放置している状態は正常ではないし、問題の性質から見てごく一般的問題である、こういう指摘もしております。  仮処分が確定するまでに会社は証拠及び証人を出し尽くしており、さらに本訴地裁判決によって仮処分は裏づけられている。それにもかかわらず、会社はさらに控訴した。この先会社側が勝訴することは、これまでの三つの判決内容から見てあり得ないし、国家の機関を一企業の労務政策のために乱用するということは許せない。エールフランス航空会社が外資の企業であることを思量すれば、日本の法体系下での外資企業の行動という問題が生じる。日本の法により決定している判決に従わない労務政策が放置されていてよいのだろうか。これは外資系の企業一般に通じる問題である。この点を私も重要視しておるわけであって、日本の裁判所で決定されたことが日本に来ておる外国企業が守らないという点は、これは日本の国の主権にもかかわってくるということになるということであって、こういうことがこのまま通るのだということであれば、これは日本にある企業が次々とまねをしてもいい、何をやってもいいということになるわけで、これはそのまま見過ごせない問題だと考えられるわけです。  ですから、先ほどことさらに申し上げたように、自国の国民の海外における生命なり財産なり権益というものは十分政府が守る姿勢をとってもらわなければ、安心して働けない、安心して外国へ出ていけないということにも当たるわけですから、この点について——航空局長はもう参議院にお越しになるのですね。——じゃ、運輸省の方は、さらにこの問題を、労働問題だからという点でとらえないで、これは航空企業ですから運輸省関係あるわけで、そのほか通産省に関係する多国籍企業なり何なりありますし、また日本が外国に出ておる外国での日本の立場という、いわゆる日本が外国で多国籍企業として扱われる面もあるわけですから、この辺ははっきり筋を通してやっていただかないと後々尾を引いて、日本の権益なりあるいは法治国家としてのたてまえというものが崩れてしまうということになるわけですが、運輸省としてはこれはどうお考えになっていらっしゃいますか。
  95. 中村大造

    中村(大)政府委員 先ほどからたびたび申し上げておりますように、運輸省の権限におきまして、乗客の安全あるいは快適な旅行を確保するために日本政府としてなすべきことにつきましては、あるいはまた空港内での安全を確保するために日本政府としてなすべきことにつきましては、日本のエアラインであろうと外国のエアラインであろうと、われわれといたしましてはできる限りのことをしなければならないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この法律的な問題につきましては、それぞれの所管する省庁においてこれを善処しなければならないわけでございますけれども運輸省としてなすべきことは十分やってまいりたいと思います。
  96. 沖本泰幸

    ○沖本委員 あと井上先生が関連質問があるらしいのですが、まずもう一つ聞いておきたいのは、そういうことに対して運輸省はどの程度手が突っ込めるかということなんですね。その辺の権限はどうなんですか。
  97. 中村大造

    中村(大)政府委員 運輸省はあくまでも行政権の発動としてなし得ること、その中で運輸省として法律的に権限を有していることについてこれを行使するということでございます。したがいまして、運輸行政の観点からなすべきことをなすということでございます。  具体的なケースにつきましては、やはりそもそもの発端がいわゆる労使間の問題として発生し、またそういう観点から取り扱われておるわけでございますので、そういう観点から運輸省としてこれに介入するということは非常にむずかしいし、また不適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、しかしそのような非常に不自然な状態でこれが永続するということは好ましくないわけでございますので、一日も早く正常化することを望んでおるわけでございます。
  98. 井上泉

    ○井上(泉)委員 簡単に、関連で質問を申し上げたいと思うわけです。  航空機の安全を図るために各飛行場におきましてボデーチェックをやっておるわけです。そしてまた荷物の点検、これは非常に結構なことでありますし、しかし、そのことをずっとやっておるのでありますから、私何か法律に基づいてやっておるのであろうか、こういうふうに疑問に思い、きのう調査をしたところが、全く法律ではないということで、一つの航空の安全を期するためにやっておる行為であるということでありますが、これはやはり体の捜索をするにしてもあるいは荷物の捜索をするにしても、こういうふうに乗客がみずから進んで協力をしていただくという体制の中でやっておるには違いないのですけれども、これを本当に国民の義務として、飛行機に乗る者の義務として位置づけるためには、そしてまた航空の安全を期するためには、これは法的にも根拠を与えてしかるべきではないか、こういう感じがしたわけですが、その必要はないとお考えになっておるかどうか、局長に御答弁願いたいと思います。
  99. 中村大造

    中村(大)政府委員 航空法の現在の規定によりますと、いわゆる爆発物のような危険物でございますけれども、そういうものは航空機の中へ持ち込んではいけない、こういう規定があるわけでございます。  問題は、そういうものが持ち込まれないようにどのようにしてチェックするかということでございますけれども、明らかにそういうものが持ち込まれるということがわかっております場合には、これを拒否することができるわけでございます。立法論といたしましては、先生おっしゃったように、たとえばボデーチェックあるいは荷物を全部検査するということを法律で義務づけるということも一つの考え方かと思いますけれども、現在は各航空会社の約款によりまして、その約款の中にボデーチェックあるいは荷物の検査ということをいたします、それに応じない方は搭乗を御遠慮いただきます。こういうことを取り決めておるわけでございます。したがって、約款でございますからいわば乗客との約束事でございまして、乗客一人一人に御納得をいただいた上でチェックをする、こういうシステムをとっておるわけでございまして、私どもとしてはその法律的な根拠によってボデーチェックをする効果というものがどこにあるかということを考えました場合に、むしろ現在のように約款で決めまして 乗客の協力を得てこれを行うということがいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  100. 井上泉

    ○井上(泉)委員 約款でやるということを決めておることで事足れりといいましても、この約款というものを航空会社がつくる中で、いわゆる人権に関係する調査をやるのですから、一人の不届き者のために万人の調査をするのでありますから、やはり航空法の航空の安全を期するという意味において法律を制定することが必要ではないかと思うので、これは政府の方でその法案については非常に消極的な見解のようでありますが、委員長においてはこれを、さきに土砂等の運搬に関する法律を議員立法でやったように、議員立法として検討する用意はお持ちにならないかどうか、委員長の見解をお尋ねしたいと思います。
  101. 下平正一

    下平委員長 その他の問題等についても委員会で検討する事項等もありますから、いずれ理事会で御相談をいただいて各党の御意向などを伺った上でその問題についての結論は出していきたい、こういうふうに考えております。
  102. 井上泉

    ○井上(泉)委員 何分、航空の安全ということは、全員が死亡することにつながる大事故でありますので、万全を期する中での法的な措置というものも私は必要ではないかと思うので、運輸省の方においてもなお検討していただくようにお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  103. 沖本泰幸

    ○沖本委員 では、局長に行っていただくことにしまして、ただいろいろな制約があると思うのです、日本人的な国民感情からいいまして、自分の国に籍を移して、そして働きなさい、体重がふえたのは困るとか、全く人権を無視したようなことがまかり通るようなことであってはならないと思うのですね。だから、そういう観点からも、判決で示されたような問題とかそういう点は、ただ行政能力が違うのだとか、これはうちの担当じゃないのだということでなくて、航空行政一般をあずかる運輸省としては真剣に考えていただかないと、何もかも全く日本は弱腰だ、こう国民からも受け取られますし、何をやってもいいのだということが外国企業で受け取られてしまうということにもなりますから、その辺はもっと検討していただきたいと思います。それはまたほかでも御質問したいと思いますから、どうぞお越しになってください。  じゃいまのことに関しまして、これは外務省もいま少し述べたような点で御関係があると思うのですね。外務省の立場として、この種の問題は、これから日本の企業がどんどん外へも出ていきますし、これから外国企業も入ってくるということも考えられますので、こういう問題に対して外務省としてはどう受けとめていらっしゃるか、その辺をお伺いしたいと思います。
  104. 野村忠清

    ○野村説明員 お答えいたします。  エールフランス社の問題に限って考えますれば、私どもといたしましては、この問題は本来、エールフランス社に勤務しておる日本人スチュワーデスの方々とエールフランス社との間の私的な雇用関係の問題であるというふうに理解いたしておりますので、本来はこの問題はその当事者の間の話し合いによって解決されるべき問題であろうというふうに理解いたしております。またすでに、わが国の国内法に基づきまして司法機関の判断というものが示されておるわけでございまして、これに基づいて解決が期待されておるというような状況であるというふうに承知いたしておりますので、私どもといたしましては、一般的に申しまして、このような雇用関係の問題に端を発しておる問題というようなものにつきましては、外交交渉に若干なじみにくい性質があろうかというふうに考えておりますけれども、実際に、具体的な問題として、外交的な折衝というようなものが必要であろうというような判断が出てまいりました場合には、ひとつ関係の省庁とも協議させていただきまして、いかなる方策をとるべきかということを検討させていただきたいというふうに考えております。
  105. 沖本泰幸

    ○沖本委員 多くを外務省には期待できないのですが、これは一つの事例であって、今後増加していくことが考えられるわけですね。一番最近問題になっておるのは、韓国でのあるいは台湾での非常に賃金の低い方を日本に観光目的で連れてきて、日本の企業が使っておるという事実であるとか、日本の企業が外に出ていって賃金の低い人たちを扱う問題だとか、こういうことがだんだんふえていって、日本の企業に対する、あるいは日本自体に対する感情にまで発展していく。  これももうはっきり出ておるわけですから、こういうものと同種類と考えられることではないかということで、それでこの場合でも、いわゆるエールフランスにとって考えてみれば、向こうの労働組合があって、外国人の従業員は好ましくないという組合感情もあるわけですね。そういうことから、この種の事件が起きてくると孤立してしまうということで最後は泣き寝入りしなければならないという点にあるわけですけれども、そういう点を比較して見てみると、感じとしてヨーロッパの国々は自分の国民の権利というものに対して非常に敏感ということが言えるわけですね。この辺は十分研究していただいて、そしてある程度の考えなり一ただそれが、外交交渉なり何なりという事態まで発展するということでなくて、外務省としてはある種のアドバイスをしていけるようなことをお考えになっていただいて、日本人の権利を守っていただくという方向での検討をしていただきたいと思うのですが、その辺どうですか。
  106. 野村忠清

    ○野村説明員 ただいま沖本先生指摘のございました西欧事情について、日本人の権利を守っていくというような見地から日ごろから大いに勉強しておくようにという点につきましては、私どもといたしましても従来からも努力いたしておりますし、今後とも努力していきたいというふうに考えております。
  107. 沖本泰幸

    ○沖本委員 後、法務省などお呼びしたわけですけれども、法務省としては、本訴でこういうはっきりした判決があって、それを守らないというような事案がよくあるわけですけれども、この点について、先ほどから述べておるとおりに、日本の主権が届かないというようなことにもなると思うのですが、かかる問題について法務省としてはどういう態度あるいは見解をお持ちなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  108. 宮本喜光

    ○宮本説明員 この事件につきましては、先ほど御指摘がありましたように、まだ本案訴訟は控訴審係属中でございます。したがいまして、判決が確定したということを前提にしてそれの執行をするということができないわけでございます。ですから、判決が確保するまでは司法手続としては未確定な状態でありますので、まだ争いが続いているということになるわけでございます。したがいまして、判決が確定しない限りは具体的な執行ができないということにならざるを得ない。これは現在の司法手続がそうなっておりますので、やはり本件もそういう手続に乗るということになろうかと思います。
  109. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まだ係属しているわけですけれども、たとえばいまの時点で判決が確定したとした場合、執行するとすれば、こういう企業に対してどういう形で執行ができていくということになるのですか。
  110. 宮本喜光

    ○宮本説明員 本案訴訟の主文を見ますと、従業員としての労働契約上の地位を確認するということになっておりますので、それに付随する執行ができると思います。ただ、具体的に給料を払えとか、あるいは就業させろとかいう問題は、またこの判決でカバーできているのかどうか、当事者がそこまで主張しているのかどうか、その辺の問題があります。しかし、判決書をいろいろな資料で見た限りでは、どうもそこまで具体的には言っておらないようでございます。したがって、解雇しないという状態に復するということで、その意味での執行ということになろうかと思います。
  111. 沖本泰幸

    ○沖本委員 後、労働省なんですが、先ほどからずっと述べておるとおりなんですけれども、これに対して労働省の見解はどうなんですか。
  112. 岸良明

    ○岸説明員 先ほど来先生が御指摘になりましたこの事案の内容は、ほぼ正確なことだというふうに私は思っております。労働省といたしましては、この種の事案につきましてかねがね心をいたしております。ただ、労働省の方は、御承知のとおり労働基準法の違反でありますとか、あるいは労働組法の違反でありますとか、職安法の違反であるという状態が出てまいりますと、これは当然積極的にこの問題に入ってまいる。ただ、通常の労使間の紛争でございますと、これはなかなか入ってまいりますきっかけということがむずかしゅうございます。  この事件につきましては、先ほど法務省から申し上げましたとおりに、まだ控訴をいたしておりまして係属中でございます。また、この会社の方におきましては、裁判所の判断に従いましてやはり雇用関係は継続しているという形で手当を払っておるわけでございますので、その面で今後ともずっと状況を見守りつつ、もしも万が一わが国の法律に抵触するような問題があれば、これは当然監督指導をしてまいりたい、かように思っております。
  113. 沖本泰幸

    ○沖本委員 仮説に立たざるを得ないのですが、すでに労働条件がいろいろと変わってきているわけなんですね。昇給があっても昇給からはずされていく。だんだんだんだんその間に労働条件が変わってきつつあるのですね。ですから、その裁判がすべて終わるまで耐えたいという問題がたくさん出てきておるということでもあり、それからまた、このことによって同じような条件の問題がほかに波及するという心配がたくさんあるわけなんですが、こういうことを起こさないように、先ほどからお伺いしているとおり、外国企業に対して労働省としてはどういうお考えをお持ちなのか、あるいは、こういう事故を未然に防ぐためには、労働省としては十分の指導的役割りなり何なりを、できるだけの権限をお使いになっておやりになっていただかないと困るわけなのですが、その点、どうなのですか。
  114. 岸良明

    ○岸説明員 労働省といたしまして、基準法なり、あるいは労組法の適用のありますものについては、これは外資系であれ、またわが国の企業であれ、これは区別なく監督指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、すでにこの航空関係の企業についてははっきりした数字は持っておりませんけれども、全般的には、大体私どもの業種別の監督計画その他に乗せまして、外国企業の場合も全部監督指導をいたしております。  ただ、やはり外国企業でございますから、日本の法律あるいは労使関係、こういう慣行等になかなか熟知をしてないものがございますので、これらについては特別にいろいろと指導をいたしまして、また、私どもの方にも相談がありますれば、相当詳細に、資料を渡して、これらに対して協力をいたしておる、こういう状況でございます。
  115. 沖本泰幸

    ○沖本委員 訴訟を起こしていることは別にして、いまあるこの内容をとらえて、何らかの形でエアフランスと折衝をお持ちになったことはあるのですか。
  116. 岸良明

    ○岸説明員 この事情関係が私ども基準法の関係を所管いたしておりますが、労働組合全体を見ております労政局では、この事情を聴取いたしまして——ただ問題は、直接に基準違反でありますとか、あるいは労組法違反であるとか、そういう状態がまだないわけでございます。したがいまして、これは裁判所の判断が出ておりますし、これは中間的でございますけれども、やはり日本の法律をきちんと守って、そういうような権限ある機関の判断に従って速やかに問題を解決するようにというふうなことは申しております。
  117. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まだ、こちらが期待しているような納得いくような結論がとれないのですが、しかし、問題は底が深いのですね。表面に出ないいろいろな問題があるわけですし、それから同じことが起きるであろうという憂慮も十分あるわけなのです。まして、だんだん世界じゅうが不況になってくるということになると、一番先にやはりこういう事故が起きてくるということが考えられるわけで、恐らくいま訴訟を係属中ですから何とも言えないというお答えが返ってくるだろうということは予想しておったわけですけれども、それについてもこういう事故が起きないように十分指導監督なり、いろいろな配慮をしていただかないと、いわゆる日本人の目から見て、いかにも日本人の方が落ち目を感じてしまっておる、もう好き勝手なことをやられてどっちでもいいのだということで事が終わってしまうというようなことになると、労働条件の向上なり何なりに非常な支障を起こしてくるということにもなりますから、政府としても十分日本人の立場が守られる場をつくっていただいたり、そういうふうに十分指導監督していただくような方向で問題を改善していただくということで十分配慮していただきたい、こう考えるわけでございます。  以上で質問を終わります。
  118. 下平正一

    下平委員長 次回は公報でお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十分散会