○沖本委員 私は、きょうは主としてエアフランスのアンカレッジの
事故と、それからスチュワーデス問題で質問したいと思っておったのですが、たまたま昨日の
東京湾のタンカーの座礁について各党委員の御質問もありました。そこで、それを先にお伺いしておきたいと思うのですが、次長が後からお見えになるということで、先ほど
部長がおこしで、一応
事故に対する御説明はあったわけなのです。かいつまんで申し上げると、中ノ瀬の航行水域の中に沈船がある、それが非常に航行の邪魔になっている、それを除くべきだという御意見、それからまたさらに、西側水域を
大型タンカーが通航しなければならない、二つの問題点なんですが、たまたまきょう委員会あてに保安庁から「第拾雄洋丸、パシフィック・アリス号衝突
事故報告書」というのをいただいているわけです。これをまだ読んでいませんけれ
ども、恐らく報告にとどまったということでなくて、これに対する
結論もある程度お持ちではないか、こう
考えます。
そこで言うなれば、絶えずこの狭水道の
事故ということが非常に問題になりながら、海上
交通法というものができ上がったわけですが、しかし、それをもってしてもなおかつ
事故対策等にはならないという現状になっておるわけです。水島の重油流出
事故がありました。これは船にはよらないけれ
ども、狭水道の
大型タンカー等の通航は日没あるいは日の出までの分は認めないということでいろいろ
規制されておりますし、いろいろな形でこれの防止のために
対策が講ぜられておるわけですけれ
ども、一向に、その危険が除去される、沿岸
住民なりあるいは
国民の不安を取り除くというところまでは全然行っていない。なおずっと衝突一
事故のおそれがすべて残ってきておる。
こういう事態を
考えると同時に、きのうの場合は、衝突を避けるために水深の浅いところへ乗り上げてしまった、そのために亀裂が生じた、それから原油が
流れ出たということになるわけですけれ
ども、一番心配なのは引火した場合です。油がたくさん出た場合に、それぞれ沿岸に漁業なりいろいろな被害を起こしながら、なおかつまだ引火のおそれ、出火のおそれが出てくるという点にあるわけです。新聞等の批判を読んでみましても、大体
大型タンカーは、新しい鋼材によっていわゆる油の重みと海水の圧力とそのバランスの中で航行しておる。ですから、重い重量のものが何かの形でほかに接触する、当たる、抵抗を受けるということになると、すぐ亀裂して油が流出するというおそれがあるわけですね。
そこで一番安全だと
考えられることは、
一定の原油の基地をつくってそこから小分けして安全に移しかえていく。非常にコストの点で無理はあるわけですけれ
ども、安全性を
考えるとそれしかないという点にかかるわけなんですが、なおかつ中ノ瀬の場合は、沈船を除いてみても今度は漁業補償の問題あるいは水路の水深をもっと深く掘ってみても、今度は海の汚濁なり何なりいろいろな問題が出ております。それから最近になって伊勢湾の赤潮の問題あるいはヘドロが多く出てきているということから、港湾における公害のおそれも出てきている。そういういろいろな点が重なってきておるわけです。あるいは
東京湾を相当埋め立てたということによって船舶の航行に非常な無理が起きてきておるというようなことも聞いておるわけです。
ですから、単に海上
交通法で中ノ瀬の航路は防ぎ切れないということから、特例を設けて一つは何がしかの安全を図ろうとしておるわけですね。また、「第十雄洋丸」の場合は、パイロット船のようなものが案内しておった。案内しておってもなおかつ衝突が避け得られなかった。この場合もそういううものも配置され、いろいろ
検討されておるわけですね。しかし、
大型船が十二マイルの速度で走っていれば、それは急に停船しない、相当距離の間惰力が起きてくる、急回転もできない、こういういろいろな問題が重なってきておるわけです。ですから、この場合海上
交通法そのものをもう一度
検討してみなければならないし、それ以上に狭水道における航行船舶の中身を
検討して、
大型船の航行の
規制のあり方なり、あるいは海上
交通のラッシュのことが起きてくるこの辺の問題をもう一度洗い直すという点にかかっていると思うのです。その場合も、まあ
検討しておるのだということだけではもう事が済まない事態が来ておる。
ですから今度のタンカーの座礁はただ単に原油が
流れ出した、それをオイルフェンスを張ってとにかく食いとめた、出る油についてタンクからタンクへ移動させていって油をできるだけ出さないように防いだ、たまたま防ぎ切れた、よかったという点なんですけれ
ども、それをひっくり返してみると今度は逆に、出るのが激しかった、亀裂が大き過ぎた、オイルフェンスを張っても防ぎ切れない、何かの拍子で引火した、爆発したということになりますと、これはもう手のつけられぬような事態が起きる。いまもなおこの「栄光丸」は燃え続けておって爆発が起きるという危険性というものは十分
考えられるわけですね。そうするとほかの船の航行は全部とめなければならないし、沿岸
住民に対する危険も出てくるし、流出油に引火してどうするかこうするかという点では、付近のこういう災害救助船なり消防艇なり何なりを総動員してみたところで、なかなか問題解決に行かない。だから、安全を図っていくという点から
考えると万全を期さなければならないし、万全を期してこそ初めて
住民の安心なり、いろいろな防止の安心が得られていくということになるわけですからね。
また、いろいろと
考えられますことは、保安庁の方としては専門的な立場から船を
規制すべきである、われわれの述べるようなことに対して御見解をお持ちだと思うのですが、
運輸省自体としては、やはり船主なり荷主の立場から物を
考えてそうもいかないという一面があって、同じ省内で意見が競合するものも出てくる、これは
考えられるところです。ですから、それはやはり、いままで言われておるところの一部の利益者のために名もなき大ぜいの人が犠牲にならなければならないということは、現在の社会情勢なりいろいろな点から、これはもう
考えを改めなければならない問題だと私は
考えるわけです。
そういう点から
結論として言えば、まあくしくも「第十雄洋丸」の衝突
事故報告書をいただいたその時点で御質問しなければならない。しかしこの
事故のケースというものは、衝突している、していないとの
関係だけで、同じ条件のもとで何か起きているわけです。だからそういう点を
考えると、今後も同じことが憂慮されていく、一つも除かれていないということになるわけですから、そういう点について急いで
対策なり何なりを
考えていただかないと、これからますます大きな
事故の恐怖に包まれながら、安全は一つも保たれないという形でいくわけですが、その点について、保安庁の方として、あるいは運輸行政の上から、こういうタンカー
事故なり狭水道の衝突
事故に対してどのように対処をされるのか、そこをお伺いしたい。