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1975-02-19 第75回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十九日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 梶山 静六君 理事 唐沢俊二郎君    理事 服部 安司君 理事 村田敬次郎君    理事 井上 普方君 理事 浦井  洋君       内海 英男君    小沢 一郎君       大村 襄治君    三枝 三郎君       塩谷 一夫君    田村 良平君       中尾  宏君    野中 英二君       松野 幸泰君    保岡 興治君       佐野 憲治君    清水 徳松君       中村  茂君    柴田 睦夫君       新井 彬之君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         国土庁長官官房         会計課長    重元 良夫君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         建設政務次官  中村 弘海君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設大臣官房会         計課長     丸山 良仁君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 福田 秀夫君         水産庁漁港部計         画課長     塩田 洋三君         運輸省港湾局計         画課長     大塚 友則君         建設大臣官房官         庁営繕部長   大屋登美男君         国土地理院長  井上 英二君         自治省財政局地         方債課長    小林 悦夫君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     保岡 興治君 同日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     浜田 幸一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井彬之君。
  3. 新井彬之

    新井委員 国土行政基本施策に関する件につきまして、先日国土庁長官からいろいろお話があったわけでございますが、災害対策につきまして「特に大都市における震災対策の総合的な推進を図ってまいります。」こういうぐあいに言われてるわけでございます。  これは日本の国にとりまして非常に大事なことである、そういうことで、いままで中央防災会議、これが昭和三十七年に発足をいたしまして、また四十六年五月二十五日には大都市震災対策推進要綱、こういうものも設けまして、こういう震災に対してのいろいろな施策を講じてこられたということでございますけれども、現在、地震予知連絡会等が十二月に発表いたしておりますけれども川崎市等では直下型の地震が起こる、その場合にはマグニチュード六、五度の強震である、こういうようなことも科学的な事実に基づいての指摘があるわけでございます。  そこで、去年の八月でございますか、行政管理庁から震災対策についてのいろいろな勧告が出ておるわけでございますけれども、この中から少し質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  特にこの数年来というのは、専門家の間でも、非常に危険な時期に入った、こういうぐあいに言われておりまして、四十九年三月の鳥海山の百五十年ぶりの噴火、あるいはまた三原山の爆発、昨年五月死者数十人を出しました南伊豆沖地震、さらにことしに入りましては、阿蘇では火山性地震が起こっている、こういうことで、住民危機意識がますます高まっておるわけでございます。  この中で地震に関する各省庁機関の有機的なつながりがどのようになっているのか。現在たとえて言いますと、川崎市等におきましては、毎日のように、どのような消火体制をとるのか、あるいはまた防火体制をとるのか、あるいは避難体制をどうするか、こういうことでその地域地方公共団体におきましては真剣な討議がされておりますし、東京都等におきましても、各地域に、乾パンだとか毛布だとかそういうことが言われておるわけでございますけれども、配置をしなければならないということで用意がされつつありますけれども、国として、各省庁としてどのような打ち合わせをやられておるのか、それからお聞きしたいと思います。
  4. 横手正

    横手政府委員 お答えいたします。  政府として、地震対策関係でございますが、中央防災会議のもとに関係省庁、十八の省庁から成ります大都市震災対策連絡会議を設けております。この連絡会議のもとに六つの分科会を設けまして、それぞれ関係省庁によりまして問題点の洗い直しあるいは対策推進調整、こうしたことを行っておる次第でございます。  特に川崎の隆起問題に関連いたしましては、直ちに地震予知の観測の強化を図ることにいたしますとともに、関係省庁連絡会を設けまして、それぞれ現在までとってきておりますところの対策の見直しとその推進を図るように申し合わせております。これによりまして、各省庁それぞれ地方団体に適切な指導を行ってきておるところでございますが、地方団体側におきましても、こうした各省庁指導を受けまして、それぞれ各市の当局におきまして必要な連絡会議を設ける等対策を講じできておるところでございます。
  5. 新井彬之

    新井委員 十八省庁がいろいろ会議をやられてしておるわけでございますけれども、これは外務省は抜けておりますね。これは東京の場合におきましてもあるいはまた大都市におきましても、大使館とかあるいはまた領事館とか、そういうようなところがたくさんあるわけでございますけれども、そういうようなところに対する具体的な、それなら災害のときに、緊急のときに、どのような連絡方法になっておるのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 横手正

    横手政府委員 お答えいたします。  現在私どもの方では、国内における防災体制、これに重点を置いて、こうした仕組み体制の確立に努めてきておるところでございます。したがいまして、お話外務省等この関係省庁からは外れておるわけでございます。震災状況に応じまして、その都度必要な措置は講じてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  7. 新井彬之

    新井委員 やはり非常に地震の多い地域であります日本の国におきましては、たくさんの外国の方も来られておりますし、そういう施設もたくさんあるわけでございまして、そのときの、災害が起こったときにどうするかというようなことについても、当然外務省としても知って、そういうところにも連絡を密にしておかなければいけない。  じゃ、一つのたとえのお話をしますと、局長は、いまここで地震が起こった——地震というのは突発性があるわけでございますから、地震が起こったときにどういうことが行われて、あなたはどのようにされるわけですか、ちょっとそれを具体的に説明していただきたいと思うのです。いまここで震度六の地震が起こった、関東大震災が起こったというときには、いまわれわれは一体何をするのですか。
  8. 横手正

    横手政府委員 お答えいたします。  いまたとえば震度六の地震東京に起きた、こういうことになりますと、地方公共団体と県並びに各市あるいは東京都内の特別区でございますが、すでに震災対策計画を策定いたしております。この計画によりまして、それぞれ必要な措置を講ずる、こういうことになってまいります。  また国としましては、震災災害の程度に応じまして、緊急の非常災害対策本部を設置する等の措置を講じ、この場を通じまして、各省庁調整あるいは各地方団体指導、これをはかってまいる、こういう仕組みになっておるところでございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 議事進行について。  ただいま拝見いたしますと、定足に足りませんので、定足が足るまでひとつ休憩されることを要求いたします。
  10. 天野光晴

    天野委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  11. 天野光晴

    天野委員長 速記を始めて。  新井君。
  12. 新井彬之

    新井委員 いまも説明がありましたけれども、非常に抽象的ですね。やはりそのような認識だからこれはなかなか進まないと思います。具体的に言えば、極端に言えば何にもできていないということではないかと思うわけです。  そこで、この前に水島で石油流出事故がありましたけれども、あのときでも、地方公共団体、まあ県にしましても市町村にしましても、どこへ言っていったら一番いいのか。そうすれば、それは通産省だとか、これは農林省ですとか、これは運輸省ですとか、てんでばらばらで、なおかつその施策というものが明確に手が打てない。油の流出事故であってもそういうような状態になっているわけです。ところが、地震ということになりますと、これはもう明確に言われていますように、各省庁が全力を挙げてフル回転をしなければならない。その上に、なおかつ連絡というものは緊密によっぽどよくしなければこれに対することはできない。それともう一つは、やはり日ごろの、日常の施策というものの積み重ねで初めて地震なら地震というものに対する予防ができるのである、こういうぐあいに指摘をされているわけです。  そういうことでありますので、私も東京におりますし、いろいろの方に聞いてみますけれども、実際問題としていま地震があった場合に、どの道路を通ってどこへ避難したらいいのか、避難するときにどんなものを持っていけばいいのか、あるいはいまの住んでいる家というのは実際問題どのくらいの地震に耐えるのか、あらゆる面にわたって全然わかりませんね。今回初めて川崎市でそういう説明会等開いたときに、みんなが来て、こういうことが心配だからということで初めて防災体制というものを知っているわけです。それもその防災体制で助かるかというと、そういうことではなくて、一応のそういうものがあったということがわかった。したがいまして、そういうような一つ一つの具体的な問題というのは、各省庁あるいはまた地方公共団体、それだけではなくて、その地域住民の方々にもよく周知徹底をしなければならない、こういうぐあいに考えるわけでございます。  そこで、その問題、たとえて言いますと、横浜なら横浜で、この前、石油タンク不等沈下をしている、こういうことで総点検をやっておりますね。その総点検の結果というものが一つは出ておるわけでございますけれども横浜には非常にたくさんの石油タンクがあるわけです。コンビナートが大きいわけですね。その中で三十二のこれはもう危ないというタンクがある。しかしそれらに対して、これがもしも地震があって火災になったような場合に万全かどうかということになると、川崎市でもそうでございますけれども緩衝緑地帯というものが本来なら設けられなければならないのですが、それすらなかなかできていない。それも川崎市とかあるいは横浜市にとっては、これは何とか国にやってほしいということが再三にわたって陳情されている。しかしながら、それは今度どの省が受けてそれを実行するかということになると、全然実行されていないわけですね。ところが、一たん地震があった場合にはもう非常な被害が予想される、こういうようなことがあるわけでございます。こういうようなことについては、一体どのように進展してどのように結論を出すのかお答え願いたいと思います。
  13. 横手正

    横手政府委員 お答えいたします。  先ほどちょっと御答弁が簡単に過ぎましたので誤解を招かれたかと存じますが、すでに避難地確保等につきましては、東京都では百数十カ所を指定し、横浜市も六十数カ所を指定する、こういうようなかっこうで、都なり市なりにおきまして避難地確保に努力しております。もちろん、現在確保しております避難地で十分かといえば必ずしも十分でない面があろうかと存じますけれども、その面の努力は地方団体で行っておるというような状況でございます。  またコンビナート対策関係でございますが、川崎の隆起問題がございました直後に、関係省庁集まりまして、特にコンビナート対策の面におきましては、通産省なり消防庁なりが各都道府県なりあるいは企業側連絡をとりまして相当の対策を進めることにいたしておりますが、なお、コンビナート総合規制の面につきまして、従来の形では十分ではないのではないかというような御意見かと存じます。この点につきましては、現在関係省庁意見を参考にしながら、消防庁におきましてコンビナート総合立法準備を現在進めておるところでございますが、国土庁としましても、消防庁との連絡を密にとりながらこうした面の対策の万全を期してまいりたい、かように存じております。
  14. 新井彬之

    新井委員 私の聞いている答弁にはちっともなっていないわけですね。それで、避難場所ができているとかそういうことは全部書類に出ているわけですからよくわかるわけですよ。しかし、東京都の委員会におきましても、専門家がいろいろ研究して発表している中には、川崎市でもしもいま言われているような地震が起こった場合には、都内で四万人余の人が死んだりけがをしたりするのだ、あるいはまた焼失とか倒壊が二万六千棟も出てくるということが出ておりますね。あなたがこういうものができておりますからいいんだという、そういうものに対する安全性といいますか、これはこう直さなければいけないのだということがはっきりしない限りにおいてはいまのままで行ってしまうと思うのです。だから、あるからいいんだというのと、これで万全ですというのと、万全にするためにはこうしなければなりませんというのとちょっと違うでしょう。その点はどうなんですか。     〔委員長退席服部委員長代理着席
  15. 横手正

    横手政府委員 お答えいたします。  地震対策関係省庁が非常に多いということ、あるいは震災発生時においての対策を講じますのは、まず地方団体が主になるというようなことがあるわけでございますが、私ども震災対策につきましてはそれ相応の対策計画を立てまして万全を期してまいっておりますが、おっしゃられますように、さらにより一層関係省庁の間の連絡を密にしながら、また、地方団体とも相互に連携を強化して、計画に基づきます各種の応急対策が迅速かつ適切に実行されるように私どももより一層検討を進めてまいりたい、かように存じます。
  16. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、さっきも私が言いましたように、川崎市ではコンビナートと市街地が最小で三十二メートル、最大で約三百メートルしか離れていない。あるいは横浜では産業道路、三十メートルの道路一本はさんで石油コンビナートがあるわけですね。この件についても、これは国土庁がやってくれるのだと思って両市ともいろいろ陳情であるとか打ち合わせをやっていたと思うのですね。しかしそうではなかったということが出ているわけですけれども、そういう問題も検討することは、それは大いに結構なことですけれども、早急にやらなければいけないでしょう。それをもう早急にどんどん決断をしていかなければ、このいつ来るかわからない地震等については対処し切れない。ところが何回もの打ち合わせをやっても、現実のそういう実行がなければ何にもならないわけですけれども、その点のところはどうですか。
  17. 横手正

    横手政府委員 お答えいたします。  国土庁は、各省庁施策推進調整をもっぱら図りまして、円滑な震災対策推進されるという方向へ持っていくべき役所でございます。したがいまして、今後ともそうした面につきましてさらに一層積極的に調整を図ってまいりたい、かように存じております。  緩衝緑地等の問題も、実は建設省の方で調査されておられるわけでございますが、これをどのように今後検討し、そうした緩衝緑地帯を整備していくか、こうしたことにつきましても関係省庁と十分に連絡をとって進めてまいりたい、かように存じます。
  18. 新井彬之

    新井委員 長官中央防災会議というものは会長総理です。その中で、今度事務局長国土庁の事務次官だと思います。また、そういう災害対策室がありまして、そこの職員の方がいまの調整機関というのに当たっていると思うのですけれども調整するということは非常に大事なことであるし、打ち合わせでございますけれども、実際問題はそれに対する実行ですね、今度は。いろいろな問題点というのは現実に出てくるわけです。そうして、災害が起これば当然考えられる問題が多々あるわけでございますけれども、この中央防災会議事務局を握って調整されている国土庁としては、こういう問題について、本来ならば総理会長として明確に判断を下してすぐにでも実行しなければいけない問題が多々あると思うのですけれども、その件について、長官、どのようにお思いですか。
  19. 金丸信

    金丸国務大臣 いま審議官からいろいろ御説明があったわけでございますが、いま先生がおっしゃっておられるように、防災対策というものは一応会議もあり審議もされ、いろいろ準備もされておるけれども、果たしてこれが実行されておるか、こういうことについて私も主管大臣であるけれども、まことにじくじたるものがあるという感じがいたすわけでございます。そういう意味で、人命尊重の上から考えてみましても、この問題については本当に真剣に取り組まなければならないという考え方で今後十分指導してまいりたいと考えております。
  20. 新井彬之

    新井委員 では、都市防火対策の中で、現在の江東地区防災拠点開発事業が行われているわけでございますけれども、当初の予定どおりには進んでおらないと思いますが、この件についての現状と今後の対策はどのようにお考えですか。これは建設省だと思いますが。
  21. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 従来東京の中でも、特に江東地区低湿地でもあり、住工混合している非常な密集地区であるというようなことから、非常に危険な地帯と言われておりまして、東京都におきましても、かねてから江東地区全体に六カ所の防災拠点を配置するということを中心とした総合的な防災対策計画していることは御存じのとおりでございます。  その中でも最も進んでおりますのが白鬚東地区でございまして、これはすでに四十七年の九月に都市計画決定を終えたものでございますが、その後多数の権利者の方とのたび重なる打ち合わせ協議会を持ちまして、昨年の十一月には改めて関係権利者意見も取り入れ、公有面積を当初計画よりも増大させることとか、あるいは再開発後の人口計画を減少させることとか、道路幅員を広げること、逆に建築敷地面積を狭めること等の意向を入れまして、新しい都市計画決定といいますか、変更を行って現在に至っております。  なお、この地区では、相当大規模工場跡地がすでに都市開発資金等によって先買いされておりますので、そのうちの一部につきまして区域を分けまして、まず建築工事にかかろうということで、この二月に第一地区事業計画決定いたしまして、年度内には初めてあの地区の中で建築工事にかかるということになりました。そういった新しい建物が建ちますと、そこにできるだけ地区内の希望者をまず入れ、地区内でのいわゆる転がしというようなことを通じて事業を急速に進めたいということでございます。  次いで亀戸、大島、小松川地区、これは非常に膨大な区域でございますが、これも事前の調査はほぼ完了いたしまして、昨年十二月にその計画案関係権利者に提示をしているということでございまして、本年度内都市計画決定にまでこぎつけたいという準備中でございます。  その次に白鬚西地区、これもその次に進んでおりますが、できるだけ今年度内都市計画決定までいきたいということでございます。これはまだ計画案を立案中という段階でございます。  その他木場地区中央地区、四ッ木地区、両国地区とございますが、その中には、一部区域について調査が済み、計画素案策定段階というものもございますし、木場地区のように、代替地をまず探して木場を移転するというところから始めなければならぬという、そういう交渉をしている地区もございます。  以上のようなわけで、非常に緊急な事業であるにもかかわらず、関係権利者の従来の営業、生活というものを保全しながらやっていかなければならぬという点で、御指摘のとおりおくれがちでありまして、まことに残念でございます。  これに対しましては、一番の隘路となっているのが、権利変換によって従来の床面積が減るのではないか、等価交換でいけば等床交換にならないのではないかという御不満があります。これは文字どおり計算どおりやれば通常そうなるわけでありますので、これにつきましては、四十八年度以来新しく一般会計補助というものを再開発事業にも投入し、これを新しい建築原価から差し引いて、その残りで等価交換ということにすることにより、平均的には等床確保をぜひとも実現したい。  さらに、その機会に増し床をしたいというような方のためには、現在継続審議中の都市開発法の一部改正案の附則でもって住宅金融公庫法改正を行っておりまして、そういう増し床希望者の有利な融資というものも受けられるようにいたしたい。  また、特に問題となる借家人対策につきましては、これも本年度の予算から新設されました再開発住宅制度、これは収入基準を撤廃した第一種公営住宅のようなものでございますが、これに優先的に入居していただけるような道を開く。もちろん家屋所有者が等床で確保されれば、家賃も必ず上がるという性質のものではないわけであります。当事者間にはいろいろ言うに言われぬ問題もあろうかと思いますので、そういう場合には、そういう再開発住宅等を用意して、そういうのに入居していただくというようなことを進めたい。  また、中小商工業者営業基盤を失うという問題が非常に深刻でございます。これにつきましては、いろいろな専門家による経営指導とか、特に新規の設備資金運転資金等確保につきましての低利融資のごあっせん、こういったことを中心話し合いを進めている。  また、本来は、この権利変換方式という現行の制度は非常に民主的でありまして、そういう意味では理想的なんですけれども、非常に時間がかかる。しかも、地区を一括して話し合いをまとめなければならぬ、それでなければ着工すらできないという、非常にまどろっこしさがあります。したがって、防災拠点のような緊急な、重要な、大規模事業というものにつきましては、できれば買収方式という新しく御提案申し上げている第二種再開発事業というようなものを行いまして、工場跡地等さきに取得しているところ、話のついたところから逐次再開発建築を行い、地区内で転がしていくというようなことが必要ではないかと思います。  いずれにいたしましても、個別にはいろいろな権利が絡み合っておりますので、東京都も十分努力してやっておられますし、私どもも国としてできるだけの制度的、実務的御協力を申し上げ、一体となってこの大きな問題を解決していきたいと思います。
  22. 新井彬之

    新井委員 いま言われたことはどれも皆非常に大事なことです。ただ、いま言われたことが、たとえて言いますと、低利で長期の融資をするというような問題につきましても、具体的にはなかなかむずかしい問題になってくる。あるいはまた、再開発した地域の人たちが優先的に住宅に入るというようなことも、戸数の面から見ても、これもなかなか大変なことである。だから、そういうことを現実に即してやらなければこういう問題の解決にならないと思います。  そこでもう一つ、こういう再開発事業というのは、これはもう防災拠点という再開発事業でございますから、普通の再開発事業とは少し性質が異なって、多くの方々の人命とか財産とか、当然それをやらなければ守れないという前提があるわけです。したがって、これについては早急にやらなければいけないということもありますけれども、この事業が一般の公共事業に組み入れられておる。そういうのではなくて、総合的な防災事業を実施するためには、これは当然不十分でございますから、災害復旧対策事業のように特別な補助率とかあるいはまた起債を認めるという、そういう形も盛っていかなければならない。そうしないと、こういう早急にやらなければならないところについてはなかなかできにくいと思うのですけれども、こういう件についてはどのようにお考えになっていますか。
  23. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 確かに、防災拠点というものは再開発事業の手法を用いておりますが、一般の商業地区あるいは駅前その他の再開発事業に比べれば、公共性、重要性、緊急性において差があるということは、私どもも考えておるわけでございますが、さりとて、そのための特別立法と申しましても、結局内容は個々の補助措置融資措置あるいは減税措置でございまして、私どもとしては、たとえば江東地区防災拠点につきまして、他の再開発事業には認められていない防災性能強化費の一般会計補助というふうなものを実現いたしております。これは、あの地区が特に地盤も悪いし、特に防災拠点という建築物を建設するためには、火に対してあるいは地震に対して普通以上にがんじょうな、安全な上にも安全な建物を建てなければならない。そのためには、まず基礎工事に通常の何割増しかの経費がかかるということでありますし、それから、ビル自体をいざというときに水で遮蔽する、ドレンチャー設備と申しておりますが、そういった特殊な設備が要るというようなことで、こういったものにつきましては、防災拠点に限り国庫補助対象にするというふうな道も開きました。  現在のところ特段の差異はその点だけでありますが、今後も特別立法という方向も検討はいたしますけれども、要は個々の内容がそういう緊急な事業に多数の人の同意を得ていくということの隘路になっているものを打開することにあるわけでございますので、まずは内容的な充実というものを今後とも図りたいと考えます。
  24. 新井彬之

    新井委員 いまの状態でいけば、都市計画法とか都市開発法という法律によらざるを得ないやり方になりますね。そういうことであれば、いま言われたように、いろいろなことをしようとしてもやはり当然枠というものが限定されてくる。したがいまして、当然やはり法改正をするなり立法してやっていかなければならない。このことを今後ひとつよく検討していただきたいと思います。  それから、昨年の四月でございますが、東京都の火災予防審議会の答申の中で、いままでは江東地区というのがゼロメートル地帯で非常に被害が起こるということを想定されておりましたが、もしも地震があった場合においては、江東地区だけではなくて、城南とか城西地区の方がむしろ火災による被害が非常に大きいということが発表されております。それで、地震面後二十三区内で五百件の延焼火災がもし発生したとすれば、四十件が世田谷で起こる。十一件は消火できるが、残りは燃えて、五時間後には区の二二%が焼け野原になる。文京区では一五%、江戸川区では二〇・七%、その他に特に危険度が高いのが十五地区ある。こういうぐあいに調査の結果が出ておりますけれども、この防災拠点、再開発事業、こういうことの対策というものがそこではどのように打ち合わせをされておるのか、あるいはまた調査がちゃんとされておるのか、お聞きしたいと思います。
  25. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 東京消防庁調査によれば、江東地区よりもむしろ山手地区が非常に地震等の際の火災の危険がある。これはまあ一言で申せば、木造住宅の密集市街地が大部分だ、火をさえぎるような堅固な耐火建築物群というようなものも少ないし、道路の幅も狭いというようなところでありまして、江東地区はむしろ工場地帯がかなりあったせいもあって、この移転跡地というものにいろいろな形での耐火建築物が建ったり、多少の広場ができたりして、むしろ火を食いとめる要素がある、こういう御判断のようでございます。まあそうは言っても、江東地区が非常に一面の平らな低い地帯でございますので、そこが危険でないというわけではないわけでありますが、そういう、見方によっては従来比較的安全と思われていた他の地区がそれにも増して危険だ、こういう警告であろうと思います。  まあそういう地区地区の具体的な防災対策というものは、一般論でなかなか律し切れません。江東地区と同じような防災拠点中心とする対策がふさわしいのか、非常に広大な地域でもありますから、むしろ既存の大規模な広場、公園、緑地等のようなものを活用しつつ、あるいは竪固な住宅群というようなものを造成していくというようなことを中心として、避難路などに中心を置くような対策のほうがふさわしいのかもしれません。その辺のことは、非常に地区的なことでありますので、現在東京都におきまして、地域防災計画の中に織り込むべく緊急の防災対策を検討しておられます。私どもも、そういった検討に相談に乗りまして、一日も早く少なくとも当面の対策を立てることを期待いたしますし、そういうものができますれば、国としてできる範囲のことを、江東地区に限らず応援する体制でいきたい、こう考えております。
  26. 新井彬之

    新井委員 避難場所や避難道路を各都市で指定しております。東京都においては百二十一カ所。最長距離が六・八キロメートルで、平均すると大体四・七キロメートル、それだけ歩くと避難場所に行けるということで、百二十一カ所の地域が指定されているわけでございますけれども、そういう避難をする道路——沿った道路ですね、これにも大きな問題があります。非常に狭い道路が指定されておったり——それしかないわけですから、それはそこしか通りようがないということにもなるわけでございますけれども、そういう地域において、たとえて言いますと、東京都では、区部でございますけれども、一三・八%の防火地域というものを指定してありますけれども、そういう地域についての防火地域の拡大、指定の拡大というようなことについてはどのようになっておりますか。
  27. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、町ぐるみにいわば防災都市というものをつくるには、防火地域を大幅に指定するということから始まらなければなりません。それですら、既存の建物はその適用を免れるわけでございますが、都市内の建てかえというものは意外に進んでおるわけでありますから、新築あるいは増築の際に防火地域の規制がかぶるということであれば、ある期間を経過すれば見違えるような防災都市になると私どもも考えております。  ただ、しかしながら、防火地域というものの規制内容が非常に厳しいわけでありまして、たとえば三階以上の建物はすべて、それから百平米以上の建築物、こういうものはすべて耐火建築にしなければならないということになります。それだけ防災効果は高いのですけれども、建築費が非常にかさむ等の問題がありまして、従来はどうしても商業地域などの土地の高度利用を図るような地域、高層に建てるような地域でしかなかなか指定ができなかったということでございます。もっとも、一昨年末の新用途地域への切りかえに際しまして、特に大都市ではその機会を利用して大幅に防火地域、準防火地域を拡大いたしまして、たとえば東京都は、従来防火地域が用途地域全体の三%にすぎなかったのですけれども、これを約八千ヘクタール、一四%にまで高めておりますし、大阪などでも四%から七%にふやしているというようなことをいたしております。また、準防火地域につきましてもかなりふやしまして、防火または準防火地域を含めれば、東京都では現在では七九%に達する、大阪でも八四%に達するということでありまして、少なくとも準防火地域までは重要な場所は指定されていると考えます。まあ準防火地域でも、たとえば四階以上のものあるいは延べ面積が千五百平米以上のものは耐火建築物にしなければなりませんし、それ以外のものでも、たとえば三階建てのものあるいは延べ面積が五百平米以上のものは耐火または簡易耐火の建築にしなければならない、それ以下のものでも、木造であっても外壁、軒裏等の部分は防火構造としなければならないということでありますから、ある程度の効果はあるわけでございまして、住居地域等ではこの準防火地域の指定というものはやはり主力ではなかろうか。  ただ、おっしゃいますように避難道路等に指定されているその沿線というものは、何とかせめて防火地域に指定し、同時にいろいろなそのための特別にかかる費用、こういったものについての助成なり融資というようなものをかみ合わせまして、せめて帯状にも防火の網を広げる。これは避難にも役立ちますし、そこで火が何とか遮断できるという二重の効果がありますので、これを何とか行いたいと思いますが、これも住居地域のど真ん中を通るような場合に、なかなかいまのままでは思い切って一斉に防火地域の指定まではいけないということでありますので、なおそういう方向を目指して地区住民にも受け入れられるような形で十分検討さしていただきたいと思います。
  28. 新井彬之

    新井委員 避難場所は、公園とかそういうところが唯一の避難場所であるということでつくられておるわけでございますが、いまいろいろ言われているのは、その避難をしたときに、消火機器であるとかあるいはまた備蓄倉庫等を置いて、そこで避難された方が安心ができるようにしなければならないということが言われておるわけです。しかしながら、御存じのように占用許可対象とされていないために、都市公園法の施行令の改正をしなければそれができないようになっておりますね。したがいまして、当然これは改正をしてそういうものを設置しなければならない、このように思うわけでございますけれども、その現実を伺いたいと思います。時間がありませんので、一言で言ってください。
  29. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 避難用器材といいましても、非常に種類も多いし、しかもいま計画されている百二十カ所の拠点はおおむね数万人から十数万人を避難対象と考えている非常に膨大な数でありまして、そういった膨大な避難者に必要な食糧とか衣類とかまで含めて常時備蓄しておくということになりますと、これは面積的にもものすごいものをとりますし、そういうことを常備すること自体が可能であろうかという問題もあります。また、かなり広い公園でありましても、大部分をそれにとられてしまうということになって、逃げ場にもならないというジレンマも出てきますので、一般論としては普通の公園ではちょっと考えにくいと考えます。  しかしながら、避難場所として特に指定された大規模な公園につきまして、そういった方向で、まあその場合も、そういう避難公園という意識に立てば、そういった最小限度の応急の施設を公園の常時の利用と調整をはかりつつとるということも可能であろうし、そうなれば、むしろ占用という概念よりは公園施設として積極的に置けることも考えなければならぬではないかということでありますので、限定的ではありますが、そういう方向で検討さしていただきたいと思います。
  30. 新井彬之

    新井委員 避難用地についてでございますけれども、筑波研究学園都市には政府関係機関四十三機関が移転するようになっておりますが、建設省関係都内にある国土地理院とかあるいはまた土木研究所、建築研究所が移転をするということになっていると思いますが、前に総理府総務長官でありました坪川総務長官が、この跡地を避難場所として公園や緑地にしていきたい、こういうことで中央防災会議に提案をして各省庁とも了解を得ていきたいと、こういうように言われたことがありますけれども、この件についてはその後どのように検討されていますか。
  31. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 筑波研究学園都市に移転いたします機関の跡地利用の問題でございますが、これにつきましては、昭和四十二年の九月の閣議了解におきまして、この利用方法につきまして別途検討するということになっております。それを受けまして、現在大蔵省におきまして国有財産中央審議会に筑波移転跡地小委員会というものを設けまして、ここで現在鋭意検討中でございます。大体の方向といたしましては、公共、公用に優先的に充てるということで検討しているわけでございますが、現在の審議過程におきましても、いろいろ討議の過程におきまして、避難用地あるいは市街地再開発用地にできるだけ充てるようにという意見がかなりあるように聞いております。現在そういうことで検討いたしております。
  32. 新井彬之

    新井委員 もう一つは、建設省の建築研究所が調査したわけでございますが、中央官庁の所管の建物の耐震診断ですね。地震に耐えるかどうかということで診断した結果が出ておりますけれども、耐えるものと耐えないものといろいろ出ているわけです。これは全く震度五の場合において倒壊は免れないというのもあるわけでございますけれども、こういう建物については今後どのようにされますか。
  33. 大屋登美男

    ○大屋説明員 建設省昭和四十六年度から四十八年度、三カ年計画で官庁施設について耐震点検を行っております。その結果によりますと、全体の点検総数が千百七十一件でございますけれども震度六、こういった程度に耐えるものが大部分、千百六十三件でございまして、残りの八件、補強を要するものでございますが、これにつきましては耐震壁を設ける、そういったような補強工事を行ってこれに対処しております。
  34. 新井彬之

    新井委員 時間がないので、この地震のことについてはまだいろいろございますけれども一つは活断層という層がある。その層に沿って地震のときには大きな地割れをするというようなことがいままでの地震の結果からも出ているし、活断層ということについてはいろいろ世界でも研究が進んでおるようでございますが、その活断層の上にいろいろの道路であるとかあるいは住宅だとかそういうものが建っている場合は、一番危険であるということが言われているわけです。しかしながら、いままではなかなかそういう説というのが取り入れられなかったわけでございますが、とにかくいまの川崎にしてもあるいはまた横浜市にしても、そういうようなことも大分調査をしている。その活断層の図面というのは、国土地理院の方でいろいろ調査をされておるようでございますけれども、国のそういう関係、たくさんあるわけでございますけれども地震予知研究推進連絡会議であるとか、これは科学技術庁がやっておりますが。また、建設省では国土地理院とか建築研究所、それから科学技術庁では国立防災科学技術センター、通産省では地質調査所というような、いろいろに分かれての研究が行われておりますけれども、そういうような資料というものがなかなかはっきりしてないし、出にくいということがあるようでございます。そういう学術的な一つの大きな研究において、こうあるべきだということについては、やはりどんどん各市町村に協力するといいますか、そういう資料をどんどん出してあげる。その中で、どの地域もそういうことに対しての知識を得、また防災対策について完璧なものが、できてくると思います。  いまは、これは中央防災会議でも掌握されているとおりに、東京都と大阪、それからまあ川崎横浜ぐらいがある程度力を入れておるようでございますけれども、あとの地域については、なかなかそういうような専門的な知識もありませんし、できていないというのが現状です。そういうことについて、今後どのようにされていくのか、この問題について最後にちょっとお答え願いたいと思います。
  35. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  実は、初めの活断層の問題でございますが、これは国土地理院で行っているのは少のうございまして、実は地質調査所が一番よく行っております。  実は活断層というのは、日本の場合には全国的に非常に量が多い。と申しますのは、日本は非常に地殻変動の大きなところで、非常に活断層が多い。それの調査につきましては、確かに地質調査所あたり、あるいは大学あたりでずいぶんやっておりますけれども、現状を申し上げますと、実はまだ十分ではない。非常に一部しかやっておらぬということ。われわれの方にも地震予知連絡会という事務局を預かっておりますので、そういう資料をいただきまして、そういう資料につきましては、それぞれ大学の先生方あるいはそれぞれの関係機関専門家の方々に集まっていただきまして、そういう議論はしております。そういう議論の結果、やはりそういう地震の問題、いろいろ問題がございますと、やはりこれがある程度地震につながる可能性があるというような場合には、それぞれの行政機関中央防災会議あるいは今回できました科学技術庁の推進連絡会議、そういうところともよく十分に連絡をとりまして、公表すべきものは公表する。それから地方公共団体にもよくレクチュアをするというような処置をとりまして、そういう対策をやっております。  ただ、地震予知と申しますのは、現在まだ研究の段階、非常に初歩的な段階でございます。今後ともそういう問題につきましては、われわれ鋭意一生懸命、そういうものはなるべく早く地震予知実行できるように努力したいと思っております。
  36. 新井彬之

    新井委員 私の言ったのは、そういうのをどんどん研究をして、各公共団体に問い合わせがあった場合はどんどん教える、あるいはまた、こちら側の方からやはり先手を打って教えてあげるということが大事であるということをお願いしておきたいと思います。  時間がありませんから、最後に本四架橋の問題ですけれども、この前、何かボーリング調査の結果によると、非常に軟弱な地域で、これはもう一度設計をやり直さなければいけないということが出ておりましたけれども、この点についてはどのようになっておるのかお聞きしたいと思います。
  37. 井上孝

    井上(孝)政府委員 本四架橋の明石の橋につきましては、四十七年度から現地の調査をやっております。その現地調査が実は昨年の十二月に一応完了いたしました。現在その調査資料は、室内実験あるいは明石層の模型実験によって振動実験等をやっております。そのボーリングの結果を見ますと、明石層の砂れき分が予想より若干少ないという結果が出ました。その結果が新聞報道ということになったものと考えております。  御承知のように、明石海峡は世界にまだ例のないような難工事でございまして、本四架橋公団、もちろん建設省も一丸となりまして全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。現在わかりました程度の地層の変化に対しましては、詳細設計の段階で十分対処できるというふうに考えております。
  38. 新井彬之

    新井委員 終わります。
  39. 服部安司

    服部委員長代理 柴田睦夫君。
  40. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 土地の問題に関して、建設大臣は、所信表明の中で「大都市地域における宅地需給はなお著しい不均衡の状況にあることにかんがみ、これらの地域において早急に良好な宅地を大量に供給することが必要である。」こう言われております。  国土庁長官も、「土地利用の適正化と地価の安定を図ることは、国民生活の安定上必須の要請であり、また新たな国土行政を進める上での基礎条件である。」こう言われまして、宅地、土地問題に対する認識を述べられているわけですが、本来は、これが具体的に実現できるかどうか、ここが問題になるわけであります。  現在でも土地問題の中心は、一つは、地価がずっと急上昇をいたしまして、一方では大企業や独占資本あるいは大資産家、こうしたものが信じられないような莫大な利益を上げたということに対しまして、一方では勤労者が住宅用地を求めようとしても、都心から相当離れたところにおいてたとえば百五十平方メートルの宅地を買う、こういう場合においても、まさに六年分、七年分の総収入を充てなければならない、こういうことでマイホームをあきらめざるを得ない、こういう状況に立ち至ったことであります。もう一つは、大資本を中心とする民間資本が買い占めた土地が莫大なものになって、こうした一部のものへ土地が集中したということが、結局は、国民生活上なくてはならない必要な生活用地や公共用地を確保することを困難にしているということであるわけです。  こういう状況は、結局は日本の経済の発展をむしばみますし、経済の発展を大きくゆがめる、こういう結果につながっていると考えるわけです。要は、勤労者が安心して自分の住宅用地を入手することができるようになる、また、地方自治体などが住民のために必要な生活用地、公共用地を取得し得るようになるということ、これが土地問題の解決の第一歩であるわけです。  先日の委員会でも指摘がありましたが、現在住民運動の立場から企業の持っている土地、当然買い占め地と思われる土地を公共用地として放出せよ、開放せよ、こういう声が起きております。このことについて、市川市と小金井市の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず市川市に関連してですが、中身を言いますと、市川市の大野地区、この地域における市川市の区画整理事業地区で、この地域内で三井不動産は昭和四十八年中に十九軒の農家から買い受けた一万九千平方メートルの土地を所有しておりまして、市川の市民運動は、この三井不動産に対して、付加価値を削除した値段で市川市に譲渡してもらいたい、こういう申し入れをいたしました。市川市は、この住民運動の要望を受けまして、三井不動産に対して、公共施設の整備には市の方針に従って十分に協力するように、こういう要請をいたしました。三井不動産も適正な価格なら売却に応ずる、こういう態度を表明したと伝えられております。  ところで、三井不動産が所有する土地は未利用地でありますが、この土地について国土利用計画法による遊休地指定というのは、理論的に、また現実的に可能であるかどうか、このことを国土庁の方にお伺いしたいと思います。
  41. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 御承知のように、国土利用計画法の附則では、四十四年一月一日以降の取得土地で市街化区域内は二千平米以上、市街化調整区域内は五千平米以上の土地であれば遊休地としての指定が可能となっております。
  42. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その法律は見ればわかることでありますけれども現実に問題となっているこの三井不動産が持っている土地については、現実的にどのようにお考えでありますか、お伺いいたします。
  43. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 御承知のように、この権限は都道府県知事が行使するたてまえになっております。私ども国土庁といたしましては、積極的な態度でこれに臨むようにという指導をいたしております。  また、遊休地としての認定に当たりましても、現在使われていない土地が基本でございますが、使われておりましても、低利用のものについては対象に含め得るような、非常に積極的な態度で指導いたしております。  ただ、問題の土地につきましては、千葉県当局からまだ何ら相談その他連絡が上がってきておりませんので、目下の段階で千葉県知事がどう考えておるかということについては承知をしていないということでございます。
  44. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 この土地は、昭和四十八年に三井不動産への所有権移転登記がなされておりまが、その以前から取得の交渉がなされておりますし、農家の手を離れたのはずっと以前であるということは間違いないわけです。いまに至るまで利用されてはいませんが、この地区は、国鉄小金井線、県営鉄道、また都市計画道路計画が進んでおりまして、そのために地価はだんだん上昇し、そして予想を立てれば、将来は人口がそこに集中する、こういうことが考えられるわけです。そういうわけですから、当然学校や幼稚園その他の公共用地が必要になることは明らかであります。公共用地についてはまさにいまのうちに手当てをしなければならない、こう思うわけですが、国土法によってこういう土地を公共用地として取得できる可能性があるか、公共用地に転換する見込みがあるか、またそのほかの法律で公共用地として使用するにはどういう対策があるか、こういうことをお伺いします。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 本来公共施設の用に供する土地というものにつきましては、地方公共団体が本来的な責務といたしまして適地に適当な施設を決定をいたしまして、そうしてその土地の所有状態が、大企業が持っておろうと、あるいはどなたが持っておろうとも、なるべく早期に取得をしていくことが望ましい、また事業化の直前になりました場合には、土地収用法等もございますので、その取得ができるものというふうに私どもは考えているわけでございます。  国土利用計画法では、先ほど柴田先生おっしゃいましたような遊休地に関する措置、この適用がまさにあるわけでございまして、当面附則に基づきます四十四年一月一日以降の取得土地につきましては、特に公的使用計画の明確な公共用地に転換することを重点といたしまして指導をしておるわけでございます。  また、御承知のように、建設省、自治省の共管によります公有地の拡大の推進に関する法律というのがございます。これは東京都の土地白書等でも、民間の売買価格との競争になりがちであって、協議に応ずる義務づけは相手方にあるのだが、協議成立に至る件数が三二・何%というようなことで比較的低いといううらみが従前からあったわけでございますが、今般の国土利用計画法の施行によりまして、市街化区域では二千平米以上、調整区域では五千平米以上の土地、これはまさに公拡法の対象にしている土地でございますが、土地の民間売買につきましても国土利用計画法で届け出が必要となり、しかも、その予定対価の額に関しましては標準価格を基準とする価格で指導していくというたてまえになっておりますので、今後におきましては民間の売買も標準価格を基準とした価格でなされるという姿になってまいりますから、公拡法の運用もいままでよりはやりやすくなるはずであるというふうに考えております。
  46. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 市川市の話を聞きますと、市が現在この土地を先行取得いたしましても、区画整理が終わるまでは使えない。そういう土地にいま二十億円という金を使うことには当然問題が生じるというわけです。この地価は課税評価は一平方メートル当たり四千六百円から八百円、これは水田の評価であるわけです。公示価格は一平方メートル当たり七万円弱、これで計算しますと十三億円以上になるわけです。いま使えない土地に対してこうした莫大な資金をつぎ込めば、そのほかの市の福祉事業がどうしても弱くなってしまう。しかし、将来買わなければならないといたしますと、もっと高い価格を予想しなければならない。市川市としても土地は必要である。しかし金は出せない。こういう板ばさみ状態になっているそうです。このようなときにどういう対策があるか、市川市が欲しい金がないという問題を解決する現在の対策についてお伺いします。
  47. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 まず、価格の問題でございますが、現在対象となっております土地が、いまのお話でございますと、水田というようなお話でございます。お話によりますと、四千六百円から四千八百円くらいだと思われる、しかし公示価格が七万円であるというお話でございますが、公示価格は宅地としてやっているのじゃなかろうかと思います。したがいまして、適正な価格というものは、その周辺の標準地である宅地の価格七万円だといたしましても、その七万円そのものが適正なその水田の価格になるわけじゃございませんので、その点は、不動産鑑定評価基準に基づきます適正な比準方式なり何なりを使ってまいりますと、宅地にするのに幾らかかるかというような種類の計算をいたしまして、現在の水田価格を公示価格七万円から割り戻して計算をするわけでございますので、市川市当局がどう言っているかわかりませんが、ちょっと地価公示価格そのもので計算なさるというのは間違いじゃないだろうかという感じがするのでございます。  それからなお、資金手当ての問題につきましては、公共用地先行取得債の枠で、たとえば五十年度予算に例をとりますと、地方債計画で、先般もお答えいたしましたが、四百八十億円というものを組んでおります。しかし、本当に公共団体が必要とする土地であり、また、それをいま取得しておくことが妥当であるというようなものにつきましては、自治省、国土庁両省とも、審査をいたしまして積極的に起債承認に当たるという約束ができておりまして、そのいいは、四百八十億円というものを地方債計画で一応組みましたが、その枠外でも必要な場合には弾力的に運用をするという約束になっているわけでございます。そういうことで、市川市からの申し出があり、千葉県当局の意向が明確になりました段階で、なるべくこの点につきまして、必要があれば前向きで対処したいというふうに考えております。
  48. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いまの答弁の中でちょっと気になるのは、結局公簿上水田になっているということでまだ評価額は四千六百円−八百円、こういうことであるわけです。それから、公示価格はもちろんこの地点ではありませんけれども、この地域の建設する地点の価格が七万円弱、こういうことになっているわけです。  市といたしましては、これを買うには公示価格が十三億円くらいだけれども、実際上はいろいろなものがあって二十億円くらい予算組まなくちゃならなくなる、こういう見解を述べているわけです。そういう意味では、地方自治体の現実の苦労があるいはわかってないのかもしれませんが、そこで、起債枠の拡大というようなことを言われましたが、自治省の方にこの先行取得に対する起債に対する考え方を伺っておきたいと思います。
  49. 小林悦夫

    ○小林説明員 ただいまお話のありましたように、地方債計画の中で四百八十億円公共用地先行取得事業費というものが組んであるわけでございますが、実際の問題といたしまして、遊休地というものがどれだけ出てくるか余りはっきりしない、こういうことでございまして、もし地方債計画において賄えない部分が出てまいりましたら、それにつきましても弾力的に対処させていただく所存でございます。
  50. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 弾力的に対処するというのは、この枠を必要に応じて拡大する、このように理解したいと思いますが、結局起債を認めるということですけれども、起債としてもまた借金になるわけで、一つは、この大幅な起債がこういう場合に認められなければならないし、またこれに対して利子補給がなされなければならない、このように思うわけですけれども、これだけではやはり借金がかさむわけで、現実的に当面は解決できても、全体的な解決ができるかどうかは、もう非常に疑問になるわけです。  自治体の土地の取得に対して大企業が買い占めた遊休地、未利用地、こうしたものについては、市民運動が言っておりますように、その原価と維持経費程度の金額で買い上げる、その支払いについても公債というような形をとる、こういうことを考えなければ、この土地問題の解決がむずかしいのではないか、解決していかないのではないか、こう思うのですが、この点についての国土庁長官の見解をお伺いしたいと思います。
  51. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま自治省からもお話があったわけでございますが、自由経済の中でありますので、いま先生のおっしゃるような、そういうものに対する強い考え方ばかりではいかないと思いますが、しかし、公共優先という立場からできるだけそういう面につきましては指導してまいりたい、こう考えております。
  52. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 遊休地の指定に関連して申し上げますと、たとえば町田市、ここには遊休地が一万筆以上あると言われております。遊休地ということによって国土法に基づいて利用促進の勧告ができるわけですけれども、しかし、この遊休地というのは宅地分譲の目的をもつものが圧倒的であるわけです。この町田市では人口抑制策をとろうとしておりますけれども、利用促進の勧告ではこの市の方針と矛盾することになるわけです。それでは自治体がその土地を買い取れということになっても財源がない、また山林などの遊休地については、市から見ますと、現実的には緑の確保になっております。そうしますと、遊休地の利用勧告はこの場合しない方がよい、地価さえ現状のままなら、山林などは現状のままであってもらいたい、こういうことを聞いております。国土法は、現実の上で買い占め地や値上がり待ちの土地について、住民のための生活用地あるいは公共用地として使用する。そういうことは全く予想できないのか、そういうことを目標にしていないのか、この点についてお聞きします。
  53. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 公共施設の用に供するために、まず遊休地に関する措置を大いに活用していくということは非常に喜ばしいことだと考えております。したがいまして、分譲用に企業が取得いたしました土地でございましても、たとえば千葉県当局に例をとりますと、県民の森というのを二カ所ほど予定をいたしておりますが、そういうような場合には、分譲用に企業が取得した土地といえども積極的にこれを県のものにしていく、そして県民の森というようなものに直していくということは大変いいことだと考えております。  しかし、企業の持っております土地の保有の地域状況を見てまいりますというと、市街化区域内、つまり開発が直ちに行えるという地域に持っている面積は全体の五分の一程度でございまして、市街化調整区域ないしは無指定地と言いますか、ともかく開発を当面あまりさせたくないと土地利用計画上考えている地域に保有している面積が非常に大きいのでございます。緑の確保、自然環境の保全という立場からいたしますと、あえて企業の持ったままであっても、開発を許可しなければ現状のままで残るわけでございまして、先ほど申し上げましたような県民の森といったような、あるいは風土記の丘とか、特に公共団体が積極的な施設として緑を保存したいというような地域は別といたしまして、現状のままで凍結しておきたいというような土地については、特に公有地の拡大措置を講じていかなくてもそれはできるんじゃないかというふうに私は考えております。
  54. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に小金井市の問題ですが、これは東小金井駅前のいわば一等地に、日本電建株式会社が所有する約八千四百平方メートルの土地で、国際興業のゴルフ練習場があります。日本電建も国際興業も田中前首相の刎頸の友と言われました小佐野賢治氏が主宰しているわけですけれども、この土地は、昭和四十七年の十一月七日の衆議院予算委員会で田中前首相が当時十万か九万で買ったと説明している土地ですけれども、現在は一坪当たり七十万円、こう言われております。日本電建はこの土地を昭和三十六年に取得いたしまして、昨年の四月まで荒れ地のままにしておりました。国土法の審議関係があるかどうかわかりませんが、去年の四月からゴルフ練習場に衣がえしたものであります。  小金井の市民運動は、この土地を地方自治体に更正譲渡するように運動を起こしました。小金井市はこれを検討いたしまして、この土地の南側に一つの農地をはさんで位置しております市の公園、ここに五千坪あるわけですけれども、この土地とあわせて市の公共用地として多目的保留地として必要である、こういうことを言っております。小金井市では公共用地が不足しておりまして、市の庁舎が建っているその敷地を見てみましても、よその市では見られないような狭い土地であるくらいで、この小金井市が計画しているところによりましても、これから市がつくらなければならない施設用地として七万六百八十平方メートル、これが必要だ、公示価格を基準にしても八十一億八千九百八十万円の価格になる、こういう計算がされております。このような莫大な予算を市が捻出するということは、これはもうきわめて不可能に近いわけで、先ほどの四百八十億円というものから比べてみても、この八十億以上ということから見ますと、本当にこの四百八十億というのではとても間に合わない、こういうことがわかります。  こういう中で住民運動が起きているわけですけれども、この住民運動に対する長官の見解とともに、この小金井が抱えている土地取得、公共用地、施設用地の取得に対する政府の対応策を伺いたいと思います。
  55. 金丸信

    金丸国務大臣 公共の施設のために小金井の日本電建の土地の問題で市民運動が起きておるという話は、私も了承いたしておるわけでございますが、こういう仕事はまず地方公共団体が当然その責任に立ってやるべきことであるけれども、しかし、余りに土地が少ないということで市民運動というものが起きた。この市民運動が穏やかな中で、話し合いで進められておるということについては相当評価してもいいのではないかという感じが私はいたします。  また、日本電建の社長の上原社長も話し合いに応ずるというようなことで、私、新聞の上で見たわけでございますが、そういう中で円満な解決ができればと私は考えておるわけでございますが、いまおっしゃられるように非常に価格が上っておるというところに収得することがまことに困難だという見方も出てくると思うわけでありますが、こういう問題につきましても、小佐野さんは山梨県人でありますから、十分私も側面から協力をいたしたいと考えております。
  56. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 小金井市が、さきに言いましたように、多目的保留地として必要だと考えている土地でありますし、この土地の取得に対して、いま長官から、側面から援助したい、こういうことを言われましたし、この小金井市の希望を実現するために、特にこの企業と建設省との関係も、建設省の監督するといいますか、関連のある企業でもありますので、建設大臣の方にも、国の方がこの企業に対して協力を要請するなどの形で市の希望を実現するために措置をとる意思があるかどうかということをお伺いいたします。
  57. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 国土庁長官からもお話がありましたように、地方公共団体がその地域内の土地を公共の用に供することが必要だということになれば、地方公共団体が率先をして責任を持ってやるべき問題であります。小金井の問題もそのとおりでありまして、小金井市が、それが必要だ、それが小金井市の将来の発展のためにも住民のためにも必要で、その土地は確保すべきだということになれば、小金井市が先頭に立って交渉をすべきであります。小金井市がそういう交渉に当たり、市がそういう考え方にいくなれば、私の方もその趣旨に沿って努力をいたします。
  58. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 この土地の取得について一番問題になるのは、やはりその価格の問題です。公示価格というようなものではとても買えない。先ほど言いました公園、これは東京都の栗山公園なんですけれども昭和四十九年の三月に都がこの土地を買い上げたのですが、その価格を坪当りに直しますと約二十五万円で済んでいるわけです。十数年間にわたっていまのゴルフ練習場の土地は値上がりを待って遊ばしていたというふうに見られる土地でありますし、現在ゴルフ練習場になっておりますけれども、その気になればいつでも他に利用目的を変えることができる、こういう土地と見ることができるわけです。こうした土地が、周辺の開発やその他の理由によって地価が暴騰してまいりました。しかし、こうした値上がり待ちの土地を公のために利用するという場合においては、公共用地、公のために利用する場合の憲法上の規定、「正当な補償」をするというようになっておりますけれども、この「正当な補償」というのは、原価プラス維持経費、そうしたもの、特にいろいろな転がしだとかあるいは買い占めだとか、こういうことによって付加されていった価格は差し引いて考えるのが現在の社会常識に合致してくるのではないか、このように考えているわけです。これはいままでの法律の体系から見ますと重大な問題になってまいりますけれども、この「正当な補償」というものは、やはり社会的に納得の得られるものであるということから考えてみましても、こうした企業が買い占めて土地の値段をつり上げてきたものに対して、社会的に非難されるような行為によって値段が上げられているというものに対しては、そうした値段については価格の中に入れて計算しない、削除する、こういう態度が必要ではないか、このように考えます。  住民運動が起きております市川や小金井の問題を取り上げましたけれども、要は、特定の大企業が独占的に土地を所有して、住みよい町づくりを進めるために重大な障害をもたらしているから、これらの土地を公共用地として適正な価格で自治体に放出せよという当然の要求が生じるわけで、こうした運動はこれからやはり現在の情勢から見れば全国的に起こってくる、このように考えられます。そういうところでは当然土地問題をめぐる深刻な事態があるわけです。  たとえば千葉県の高等学校建設の問題を見てみましても、昭和五十三年までに千葉県ではさらに高等学校を県立高校十三校建設しなければならない、その用地をどうするか、これが非常に深刻な問題になっております。昭和四十九年度に建設予定だった五つの学校は、たとえばこの建物の敷地だけを取得して、残りの校庭のところはこれから先買うんだ、こういうところもありますし、あるいは小学校の用地を一年間借りてプレハブ校舎を建てて当座しのぎをする、こういう事例も出ております。それから土地があっても財政が追いつかない、土地が買えないというころに問題があるわけですけれども、人口急増地においては、このような高校でも小学校でもあるいは幼稚園でも保育園でも、土地問題が重大な障害になっているということはもう御承知のことだと思います。こういう場合において、そういう事態を生み出してきた大企業のあの投機的買い占め地、これらのものの公共利用について根本的な対策、価格の面についても根本的な対策を検討されるように最後に要望いたしまして、時間が参りましたので終わります。
  59. 天野光晴

    天野委員長 佐野憲治君。
  60. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 まず最初に、国土庁長官にお伺いしたいと思うのですけれども、国土利用計画法が施行されましてから二カ月有余を経過いたしておるわけであります。この問題につきまして、私たちはいま法の施行を見守っておるという段階でありますけれども、一、二点ただしておきたいと思います。  一つは、市町村利用計画はどういう作成状況になっておるか、まず最初にお聞きいたしておきたいと思います。
  61. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  ただいまのところは、国土利用計画のうち全国計画と都道府県計画につきまして若干の作業を始めております。市町村計画につきましては、県を通じまして指導を始めつつございますが、法律にございますように、地方自治法上の市町村基本構想との関係を保たなければなりませんので、自治省とも連絡いたしまして、市町村基本構想と共同作業でどのような作業を進めるかについて検討を加えている段階でございます。
  62. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私たちは法案作成の段階でも論議いたしましたけれども、町村土地利用計画というのはやはり住民の意思が十分に反映される国土利用計画でなくてはならない。この意味におきまして、府県計画もそうでありますけれども、もっと地域に密着しておる市町村、そこの住民の意思が反映される土地利用計画をつくることが必要ではないか。その意味におきまして、たとえば土地利用基本計画機関委任事務でありますけれども、そういうことからも表面は市町村計画をつくることができる、こういう形をとっておりますけれども段階事務としてこれが必要なんだ、こういう意味において私たちは理解しておるわけであります。その意味におきまして、たとえば府県計画あるいは土地利用基本計画、この場合におきましてもやはり町村長の意向が反映されるように措置を講じなくちゃならない。そうしてまた、計画には市町村長の意見が反映されねばならない。こういう規定を置いておるわけですね。  ですから法の趣旨は、一番基礎的なのは市町村土地利用計画なんだ、ですから府県計画をつくる場合におきましても土地利用基本計画をつくる、これは機関委任でありますが、つくる場合におきましてもそういう手続が必要だ、こういうぐあいに規定いたしておるわけでありますけれども、府県計画は一体どうなっておりますか。
  63. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在私どもの方で全国計画をつくります際に、各地方公共団体、特に都道府県の御意見が非常に重要でありますし、その意見を反映させなければいけないということから、私ども作業の第一段階から都道府県との連絡を密にして、都道府県の御意見を入れられるように連絡を始めております。  先生御指摘のように、市町村計画は法に示されましたように土地利用の中で最も基礎的な計画であるということは、私どももまさにそう考えるわけでございまして、都道府県計画をつくるについては、市町村長の意見を聞かなければなりませんから、市町村がみずからの計画を持っておられるということが最も理想的であるというふうに考えて、できるだけ早く国、都道府県、市町村の計画が相互に調整がとれて整うということを目標に作業しておりますが、御承知のように、三千幾つある市町村の土地利用計画をつくることはなかなか至難のわざでございまして、どうも一年あるいは二年ということで完成するかどうかということについては、目下明確にお答えし切れない状況でございます。  地方自治法上の市町村基本構想につきましても、自治省が中心になって指導しておられますが、現在のところ全市町村の約半分程度が一応の市町村構想を持たれたという段階でございまして、全市町村に及ぶのにまだもう少し時間をかけなければならないという実態でございますし、特に法制上私ども急ぎたいという気持ちもございますが、環境問題あるいは住民の御意向等の問題がございますから、一方では慎重を期さなければならないということもあって、本年鋭意努力をさしていただきたいというふうに考えております。
  64. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 しかし、一番大事なことは、町村計画の中に住民の意思を反映させる公聴会その他の義務をつけておるわけですね。ですから、従来におけるところの、たとえば都市計画の場合におきましては、必要と認めた場合には公聴会を開くことができる、こういう規定なんですが、土地利用計画の場合は、義務づけとして作成する前に住民の意思を反映させる措置を講じなければならない、こういう規定まで置いておるわけです。ですから、当然それを受けまして、府県計画をつくる場合におきましては、市町村長の意見が反映されなければならない、あるいはまたそうした意向が反映されなければならない、こういう規定を置いておるわけです。それが町村計画の方は、大事な府県計画を立てるときにそのことが反映されなくてはならない、そういう町村長の意向が講ぜられる措置をとらなければならない、こう言いながら、これができていないという、これこそが急がれねばならない問題ではないか、かように考えるわけです。  特に全国計画の場合におきましては、どうしてもやはり抽象的になると思います。しかしながら、府県計画において初めて利用区分の分類なり配置というものは具体性を持ってくると思います。それが町村計画になってまいりますと、長期展望ではあるといいながらも、非常に地域が狭く住民がみずからの手によって判断することができる、その中におきましてのやはり土地利用計画、しかも作成前に住民の意思を反映させる措置を講ずることを義務づけておる。このことこそが急がれねばならぬではないか、かようにも考えておりますので、その点を一つ意見として申し述べておきたいと思います。  さらに土地利用基本計画でありますが、これは来年の三月までに作成を得たいと、こういうような意向だと大臣言われておるのですが、その点はどうですか。
  65. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 ただいま御質問の土地利用基本計画の今後の策定のスケジュールでございますが、当面本年の三月を目途といたしまして暫定的な土地利用基本計画の作成を各県にお願いをしているところでございます。さらに、国土利用計画の策定が五十一年三月を目途に進められておりますので、それができました段階でもう一度全面的に見直しをいたしまして、しっかりした土地利用基本計画に移行するというのは一年ほど先の段階でございます。
  66. 天野光晴

    天野委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  67. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐野憲治君。
  68. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 引き続き質疑を続けますけれども、先ほどの質疑の中で土地利用基本計画、この計画を立てるには全国計画並びに府県計画を基本としなければならない、しかも基本計画をつくる場合におきましては、作成前に市町村長の意見を聞かなければならない、と同時に意向が反映される措置を講じなければならない、こういう前提があるわけです。しかし、それを抜きにして実は基本計画作成要領というのが出されておる。やはり本案作成に当たった立法の趣旨というものを十分尊重しながらやる、これが必要じゃないか。  そこでお尋ねいたしたいのは、一つには、いわゆる調整をする場合におきまして、たとえば都市区域と山村区域、いろいろ問題があると思います。もちろん都市計画法なり森林法なりあるいはまた農振法なり、いろいろな法律がそれぞれの目的のもとにばらばらに実はできておる。そういうのを総合的に計画的に調整しなければならぬ。その場合におきまして、一つには重複している地区が出てくる、もう一つは白地地区が出てくる。これに対しては作成要領の中でどういう指導をしておられるかという点を含めて……。
  69. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 端的にお尋ねにお答え申し上げます。  土地利用基本計画作成要領の中におきましては、白地地域、重複地域ともにある程度の言及をいたしております。  まず重複地域につきましては、主として問題になりますのが都市地域と農用地地域でございますが、この農業地域都市地域の重複部分に関しましては、細線引きといいますか、そういった大きな五地域区分ではなくて、さらに農振法なり都市計画法に基づきました区分、具体的に言えば、都市計画法に基づきます市街化区域、市街化調整区域、農振法に基づきます農用地地域その他の地域でございます。参考までにそういった細区分を表示をさせておりますが、その細区分の重複のあり方の組み合わせによりまして、各都道府県ごとに今後の開発なり保全なりの基本方針を書かせる、これを土地利用基本計画におきます図面表示と並んで重要な文章表示の一つに書かせていこうということを通達をいたしております。  各県、この細区分の組み合わせによります基本方針のあり方につきまして、一応国としてのモデル指針みたいなものを示しておりますが、一例を申し上げますと、市街化調整区域と農振法の区域とが重複している場合であって、農振法による細区分の農用地地域以外の地域調整区域とがダブっている場合、あるいは農振法の農用地地域都市計画法による市街化調整区域とがダブっている場合等で多少ニュアンスを異にいたします表現をとらせようというような指導はしたわけでございます。  また、白地地域につきましては、現在進めております土地利用基本計画が暫定計画的なものであり、佐野先生御指摘のような本来の手順を経た正式の段階をまだ迎えていないということから、現行各個別法による線引きをそのままの形で写すというおとなしい方針をとっている関係から、本来からいいますと、国土の中で白地があるのは望ましくないけれども、しかし、今回は各個別法による既存の線引きの関係で白地になっている部分はやむを得ないというようなことにいたしているわけでございます。
  70. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大きな問題を含んでおると思います。ですから、やはり根本的に検討する必要があるのじゃないか、かように考えるわけです。  それから、「土地利用の調整等」という言葉を入れておるのでありますけれども、「等」に対しまして、作成要領によりましてどういうような指導をやっておりますか。
  71. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 「土地利用の調整等に関する事項」とこうなっておりますその「等」のことでございますが、開発保全地区計画がある場合にはそれを記載するようにという指導をいたしております。  なお、この開発保全地区というのは二十ヘクタール以上の地域でありまして、その面積上の地域開発の予定があるとかあるいは保全の予定があるとかいうような地区があれば書いて出すようにというふうに指導をいたしております。
  72. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 本法作成に当たりまして、代表としての木村委員長が、政府に対する発案者の意思として、この土地利用基本計画は、土地の規制あるいは利用の規制、開発の規制、いわゆる遊休地に対する措置、それを実施するために必要な計画なのだ、このことを申し入れてあるわけなのですけれども、これに対しまして、どういう事態か存じませんけれども、将来あるべきいろいろな問題点を「等」という名のもとにおいて計画に織り込もうとする、こういう傾向も指摘されておるのですけれども、この点はどうお考えになりますか。
  73. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 当時の国会審議の御論旨等も十分承知いたしておりまして、この点、各都道府県を含めました国土利用計画法施行研究会の中で、各都道府県といたしましては、開発許可の段階になる前に、売買の段階で一応事前チェックができるという国土利用計画法の長所、これを十分生かしたい、そのために公的機関が持っております計画につきましては何らかの表示をさせてもらいたい、民間のデベロッパー等の土地売買に関する届け出がありました際に、公的機関計画のあるところにつきましては売買を差しとめができるような何らかの措置を講じるように配慮してくれないかという研究会の結論でございます。ただ、私どもその際心配いたしましたのは、国会における御論議でございまして、その点非常に考慮いたしました。公共団体、つまり都道府県、市町村等の公的機関が持っている計画であることに限定をすること、さらに開発保全といいますが、保全の計画も十分に書いて出すことということを前提といたしまして、現在素案の作成を都道府県にさせている段階でございます。  その結果、先ほどもちょっと触れましたが、たとえば千葉県等におきましては二カ所にわたる県民の森というものをこの開発保全計画に該当するということで出しておりますし、あるいは山梨県におきましては文化財等を中心といたします風土記の丘というようなもの、これは相当大規模でございますが、出してきているわけでございまして、この辺につきましては、現在デベロッパーの手が及ぶ心配もあるので、土地利用基本計画に書いて明示をいたしまして、売買に当たっては、そこは買ってもらっては困るという種類の勧告の根拠にいたしたいというふうに県が言ってきておるわけでございます。なお、そのほかに書いております主たるものは、東京周辺でございますと、たとえば地方住宅供給公社の開発したい地域であるとかいうようなものを書いている県もございます。  そういうようなことで、私ども国会の御趣旨をはみ出さないようにということを心配いたしまして、各県の代表者の御意見でございましたが、いま言った枠組みをはめまして運用に当たりたいというふうに考えている次第でございます。
  74. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私たちの心配いたしたのは、そういう問題が起こるのではなかろうかというために、特に立法者の意思として政府にこういう点を一つ要望いたしたのです。ですから、保全だけではなく、逆に開発計画も織り込んでくる。しかも、私が先ほど指摘いたしましたように、府県計画ができていない、しかも町村計画もできていない。しかも、府県計画を基本として定めなければならない、こういう規定を置いておるにもかかわらず、「等」というのを理由にいたしまして、いろいろ環境アセスメントなりあるいはまた住民の反対運動が非常に紛糾をしておる、そういうのをこの基本計画の中に入れてしまう、こういう動きが見られるということは非常に遺憾なので指摘しておくわけですけれども、それと同時に、冒頭に申し上げましたように、木村委員長が、「国土利用計画は、開発事業計画決定については他の法令等の定めによるものとし、直接に開発事業の実施を図る性格のものではなく、総合的かつ計画的な国土の利用を確保するための長期計画である。」こういうふうに、全国計画の性格も明らかにしながら、府県計画あるいは基本計画というものの位置づけをやっておるわけであります。  以下、最初から申し上げましたように、地方におきましては、先ほど局長からお話がありましたけれども、行政運営に対する基本構想というのは、二千何百の町村がもうできて、六割を超えておる、こういう現状でもありますし、また町村計画というのは、土地利用計画住民意見が反映する、住民とともに土地利用を確保していくという趣旨から言っても急がなくてはならぬと思います。それに対するところの作成要領も出さない、そして、府県計画もできていない、基本計画だけが先行していくというところに一つの危惧を抱くわけです。  と同時に、私はひとつ大臣にもお願いいたしたいと思うのですけれども、本当に身近な地域において、しかも自分たちのあすがどうなるか、どういう形に現状においてなっているか、こういうものは住民周知徹底させ、住民の意思というものがその中から反映されて、どうあるべきか、こういう形におけるところの町村計画の作成、これには少し時間がかかっても、やらなくてはならぬと私は思います。  そのことともう一つは、組織なり人員の配置にいたしましても、抜本的な対策が必要になってくるのではないか。  もう一つは財源の問題だと思います。この点につきまして、たとえば都市計画法をつくりましたときにも、私たちが修正案を出して、先ほど触れましたけれども都市計画案を作成するときには、必要がある場合には公聴会を開くことができるという、原案にないものを挿入いたしたわけでございますけれども、このときに自治大臣も参加していただき、農林大臣も参加していただく、同時に建設大臣、この三者が連合審面会に出席していただきまして、そして、線引きなりいろいろな問題は、農村地域なりいろいろな点が絡んでくるわけですね、非常に重大な線引きの内容を持っている。その場合におきまして、やはり住民の意思が反映されるというために公聴会あるいは審議会を設ける。そのためには経費がかかるわけで、都市計画法においては、県においては審議会を設けるのですけれども、町村においては記入されていないわけです。ですから、行政指導として、ここに審議会を町村が持つ、その場合におきましては、農民関係の皆さんも委員に任命をする、そういう行政指導を農林大臣はやる、非常に重大な権利関係が絡んでおりますから、それと同時に、それらに対する経費に対して、自治大臣としては、交付税の中において必要経費としてこれを認める、こういう答弁がなされたわけであります。そういう意味におきまして、必要ある場合というのは、やはりやらなくてはならないのだけれどもという意味も含めて全町村にそれを義務づけるのはどうか、こういう意味においての措置でありましたので、そういう意味から、行政運営の面におきましてそういう措置をとる、こういうことにしたわけですけれども、今回の場合におきましても、もっと私は、町村計画を作成することができるというのは、機関委任じゃなくて団体事務としてできる、しかもこれが必要なんだ、こういう趣旨においてあの文言が挿入されておるということをまず第一に銘記していただきたいと思う。  と同時に、国土利用計画そのものは、町村を母体とする住民が参加しなければ本来の意向を反映することができないのだ、運営ができないのだ、こういう意味におきまして、この法案の場合におきましても、地方審議会というのは義務づけられておりますけれども、町村審議会がないわけです。しかも、この法案によりますならば、住民の意思が反映される措置を講じなければならないという義務規定も置いておるわけです。そういう立場に立ちますならば、やはり第三者としての審議会が必要になってくるのではないか。それと同時に、そうした公聴会その他の住民の意思、意向が反映する措置を講じなければならない。この意味において非常に重大な内容を含んでおるのだと、私たちは作成のときに考えたのですけれども、この点に対しましても、十分事務当局とも話し合って、やはりそうした公聴会その他の住民の意思を反映させるにはどういう手法がとられねばならないか、それに対する第三者機関というのはどういう性格のものとして設けるか。しかも、この財源に対して、自治省なりの交付税におけるところの基準財政需要額の中に算入できるのかどうか、あるいは特別交付税として算入するのか、こういう点をもう少し明確にして、その点はやはり市町村に指示する、こういうことが大事じゃないかと思うのですけれども、この点大臣の見解を伺いたい。
  75. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいまのお話は、私もそのとおりだと思います。法の適確な運営と、また一番末端の市町村の意見を反映するということは、当然この計画に入れるべきだ。また、それに対して自治大臣も特別交付金を考えていただけるというような話もあるわけでありますし、今後十分検討して全きを期してまいりたいと考えております。
  76. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 大臣の答弁を補足させていただきます。  先生御指摘のように、公聴会その他の方法によりまして、市町村計画をつくる際には住民の御意見を十分反映させたいということでございまして、技術的には、公聴会を開きたいということが一つと、もう一つは、審議会等によりまして十分御意見調整させていただきたいということを考えております。  ただ問題になっております点は、地方自治法上の基本構想をつくります審議会をすでに出発させておる市町村がかなりございますので、二重につくるということについてはいかがかということから、現在基本構想のためにつくられた審議会が全市町村の約四割ぐらいございますので、その審議会を活用させていただいて、市町村基本構想に即してつくらなければいけないという規定でございますので、同時に御審議いただいたらどうかということで、自治省当局とも検討を重ねております。  それからもう一つ、そういった事務を行います際の経費につきましては、自治省におきまして、地方交付税の中で、県が行います都道府県計画、市町村が行います市町村計画につきまして、公聴会あるいは審議会を開く、あるいは調査をするということを内容といたしまして、地方交付税の算定の中に本年度から入れるということで、自治省との話し合いがその点では調っております。
  77. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 最後にもう一つ、大臣、きょうの朝日新聞だったですか、いわゆる土地の権利等に対する届け出、この点につきまして、市街化区域は二千平米、都市計画区域は五千平米、あるいは都市計画以外は一万平米、こういうために、国土庁においてもいろいろ調査を、資料中心だと思いますけれども、やっておられる。首都圏一都三県にわたっての届け出の内容は、やはり二千平米を超える土地の売買、取引というのはほとんどないのじゃないか、こういう点、いろいろな意味においてしり抜けとかいろいろな形で表現は使っておりますけれども、この点について、私たちも立法する過程におきまして、二千平米というのは少し範囲が大きいのじゃないか、しかし公有地拡大法案というものと整合性を持ちたい、こういうので、あの面積の範囲は入れたわけですけれども、そういう点につきまして、立法者としての立場において、特に天野委員長は、その意味において、ともかく出発する、やはり公有地拡大法案との整合性を保つ、しかしながら、土地利用の規制の真の効果を上げるためには法の改正もいとわない、こういう発言をしておられたのでございますが、そういう意味におきまして、出発早々ではありますけれども、そうした抜け穴のような、現実的に二千平米というものは取引の対象とならないという現実の中において、しかもこれは細切れとなってやがて地価暴騰の、あるいは投機誘発の原因となるのじゃないか。こういう点に対するところの法に対する修正なり、あるいはその範囲に対するところの——私たちも勉強していきたいと思いますけれども、そういう点に対しても、ひとつ大臣としても研究願いたい。このことを希望しておくわけですけれども……。
  78. 金丸信

    金丸国務大臣 地価は現在鎮静をいたしておるわけですが、できるだけ土地が安くなることが、宅地供給の点から言いましても——この点については、定義をさせながら、なおかつ土地の値下がりということについて最大の関心を持たなくちゃならぬと考えておりますが、いまおっしゃられるように、広大な地域というものは対象にならぬということも当然であります。価格の定着化、あるいはそれより下げるというようなことについて、あらゆる角度から検討し、また先生のおっしゃられるような方向でいろいろ検討してみたいと思います。ありがとうございました。
  79. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 次は建設大臣に、所信表明を中心としながら、二、三お聞きしておきたいと思います。  一つは、大臣の、これからの建設行政の重点を環境の保全と生活環境の改善に置き、この面に対して全力を傾けたい、こういう非常に熱意に満ちた言葉をお聞きいたしておるわけですけれども、その点につきまして、まず最初に、建設省所管の公共事業の実施に当たりまして、そのことが環境に対する影響、その内容と程度あるいは公害なり環境破壊の未然防止策を検討して、その事業が環境を破壊しない、こういうときにのみ事業を実施する、こういう考え方が最近強く主張されておるわけですけれども、大臣としてはどうお考えになりますか。
  80. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 一般論としてはそのとおりだと思います。これから公共事業を進めていくためには、公共事業の目的は何かという問題から考えていけば、環境をぶち壊して国民生活に影響を及ぼすような公共事業意味ありません。だから、少なくとも環境を整備し、あるいはそれを守っていくということも一つの公共事業の大きな役目だと思っておりますから、お説のような考え方で今後の公共事業は進めていくべきだ、かように存じております。
  81. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 その考えを一つ制度として、環境アセスメント、事前評価、こういう制度を設けるということに対しまして、大臣はどうお考えになっていますか。
  82. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 建設省としましては、環境アセスメントの制度、手続につきまして、仮称でございますが、建設省環境影響評価実施要領というものを現在検討中でございます。その中身につきましては、道路とか河川とか宅地開発とか下水道とか、一定の大型の要件に該当するようなものにつきまして、事前に影響調査をしようということで、その手法につきましても、建設技術開発会議の環境アセスメン卜部会というものを設けまして検討中でございます。これによりましてこれを急いでつくりまして、事業主体は建設省に報告させ、審査会を設けましてその結果の審査をしていくというような段取りを、いま考えて検討中であるということでございます。
  83. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 その制度、手法なんというものより、もっと具体的な研究の過程なり、あるいは第三者機関を設けて、そこの同意を得なければ事業を実施しない、あるいはまた、住民なり関係者の理解と承認のもとで実施していく、こういう具体的な手法なんというものを考えておられるのですか。
  84. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いま手法ということでございましたので、それには、計量化することが非常に問題だと思いますので、ただいま申しましたアセスメントの部会を設けて、そういう面は検討いたし、それから、それができ上がりましたならば、各事業主体を中心として、地元との折衝の過程においてそういった評価を積み重ねた上、建設省の中に置かれますそういう検討する部会の方へ上げていただきまして、これを個々に審査していく、当然その中には地元のいろいろなアピール、要求等の交渉過程等も十分反映するように考えていきたいと思っております。いまその作業中でございますので、それを急いで、五十年度中にそういった手法を完成したいと思っております。
  85. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 先ほどの新聞の一面には、片方におきましては、いまの国土利用計画法の中におけるしり抜け問題が論じられておる。片方を見ますと、足なし団地の自主運行バスという問題が出ておる。もう一方を見てまいりますと、山梨県の韮崎市ですか、中央道をめぐるところのトンネルが問題になっておる。ここは建設省関係の記事で埋まっておるという印象を受けるわけなんですけれども、確かに道路建設の場合におきましても、多くの問題が、騒音なり日照なりあるいは振動なり環境破壊なり、いろいろな問題が実は起こってきておると思います。  大臣、どうですか。閣議で三木総理から、そういう点に対するところの全体としてのアセスメントですか、環境アセスメント、事前評価の制度をつくろうじゃないか、建設省だけではなくて、というくらいの発言はなかったですか。
  86. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 別に閣議でそういうものをとりたてて発言があったというわけではありませんが、御趣旨の面については、これからいろいろの事業を進めていくためにはきわめて重要な問題であるということは、これは総理も全閣僚も皆認識した問題でありまして、いま局長からも御答弁申し上げましたような次第で建設省の方は進めてまいりたいと考えております。
  87. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私、昭和四十八年に公害対策並びに環境保全の特別委員会委員長をやっておりましたとき、三木さんは環境庁長官として所信表明の中において、この制度をつくるために邁進したい、こういう決意を表明しておられるわけですが、自来今日に至るもなおでき得ないということと、もう一つ私は、そのときの三木さんの所信表明の中におきましても、一国の文明の度合いを知るには、環境保全のためにどれだけの努力を傾注しているか、破壊された環境をどのようにして復元するか、このことにかかっておると言っても過言ではない、だから私は環境問題こそ政治の第一出発点である、だから全力を挙げて取り組むことが私たちに与えられた最大の命題だ、これに向かって全力を挙げていきたいということを述べておられるわけです。三木総理が述べた述べないは別といたしましても、建設省としてもう少し真剣に——そういう手法なり、もうすでに問題として取り上げられておる多くの住民運動なり、いろいろな学者なり第三者の皆さんからも指摘になっておる、そのためにいろいろな工事が非常に難渋しているというような場合を、現実的に建設省は一番よく知っておるのじゃないですか。それに対して、そういう工事を実施する場合にはそういう制度が必要であるし、またそれを前提としなければやらないんだ、こういう考え方に立って、もう少し急いで、制度としての、あるいはまた手法としてのそういう問題に対するところの作業を急ぐことはできないですかな、大臣。これは大臣の、特に所信表明の中にも、環境保全と生活環境の改善に対して全力を傾けるという、新しい大臣としての所信にもありますので、いまの考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  88. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 実は私は同感であります。公共事業をわれわれが幾ら進めていこうと言ったところで、現地におっしゃるような問題があればこれは進まないわけでありますから、環境問題等事前に十分調査をし、地域住民とも十分に話し合いの上で、そして結論を出して進まなければならぬ、これは当然のことでありまして、そういうことを前提に置いて私どもはこれからの仕事を進めてまいりたいと思います。  ただ、制度上の問題とかいろいろな問題につきましては、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、ひとつ五十年度内にはそういった面で取り組んでいこう、かように考えております。
  89. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 ぜひお願いしたいと思います。一たび破壊された環境というものを回復させるということはもうなかなか困難であることを、現実の中において皆さんも感じておられると思います。そういう意味におきまして、やはり早急にそういう制度なり手法をつくり出していただきたい。このことをお願いいたします。  次に、先般、十月だったですか、住宅宅地審議会の住宅部会から中間答申が出ておると思いますが、大臣、これをお読みになってどうお感じになったですか。
  90. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 私は、現在の住宅宅地の非常に困難な問題、問題点をかなりよく調査をして取り上げておると思いますし、そしてその問題点に対処する仕方、いろいろな手法、そういった面も相当積極的に取り上げていただいておるようでありまして、私どもは五十年度予算を、住宅宅地審議会の中間答申というものをむしろ参考にしながら予算編成にも当たったというような次第でありまして、その意味においてはたいへん貴重な資料だと思っております。
  91. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣もう一つ、一九六一年の六月だったと思いますけれども、ILOにおいて採択されました勤労者住宅に対する勧告、この内容をお読みになったことはありますか。
  92. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 申しわけありません。読んで勉強はいたしておりませんが、大体趣旨としては、適正な負担のもとにおける一定水準以上の住宅の確保、公的機関による住宅供給の促進あるいは住宅の質の向上といったようなものが特に住宅宅地関係ではうたわれておるんじゃないかというふうに承知をいたしております。
  93. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 私は大臣、二つを比較してやはり読んでいただきたいと思うのですけれども、と同時に、今日住宅政策が大きな困難にぶつかっている、そういうことを当然予期されるからそういう道を選ぶんではない、これがILO条約において特に世界の各国の人々が集まっての宣言であり勧告であったと思います。ですから、いま中間答申において指摘されていることは、すでにもうILOの中で述べられておる問題だと思います。  一般原則が十章二十五項目ですか、それから、この原則を適用するための付属文書として、どう適用していくか、このためには九章四十七項目が述べられておるわけですが、これを読んでみますと、先般中間答申の中に皆述べておるわけですね、反省を込めて。その中で、私はやはり大臣考えて——きょうも、先ほども休憩時間に指摘がありましたような積立債券の問題にいたしましても、やはり原価主義というものをとることをILOの場合には非常に警戒をしておるわけですね。ですから、勤労者の能力に応ずるところの家賃でなくちゃならない。このことを、非常に各項目の中においても述べておるわけですね。労働者が適切な——この労働者というのは、いわゆる賃金労働者だけではなくて、自家営業者もこの勤労者という、あるいはまた現在働けない年とった人たち、あるいはまた身体障害者の人たち、こういう人たちも勤労者という定義を与えておるので、日本で言われるところの労働組合なり賃金労働者が勤労者、こういう意味にとっていないわけです。ですから、国民のための住宅を、どうあるべきか、こういう原則と、そのために到達する目標ですか手法をも明らかにいたしておる。  そういうために考えてまいりますのは、一つには、先ほど問題になりましたような問題にいたしましても、やはり家賃問題。家賃はどうあるべきか、このことが指摘されておるにもかかわらず、それをやってこなかったという中にも私は出てきておると思うのですけれども、そういう意味から、いまきょうは所信表明に対する、大臣に対するなんですから、余り具体的な問題は避けたいと思いますけれども、やはりその中で、私は中間答申の中で触れられておる問題でいろいろな問題点はあると思いますが、日本的な現実を踏まえての記録だと思われる点もありますけれども一つは、問題として考えられるのは、ILOの場合におきましては、権威ある国家機関の中で、住宅に関係する行政団体は中央的な機関を持たなくちゃならない。またこの機関ではどういうことをやるべきかということもここで明らかにして、住宅政策の具体的な項目が列挙されておりますが、その中に、そうした中央機関には労使の代表がやはり参加する、関与する、このことが必要だということ、その中央機構は責任ある権限を持ってもらわねばならない、こういう点が述べられておるわけですが、そういう点に対してはどうですか。中間答申にも実は触れていなかったわけですけれども……。
  94. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いまのお話に出ておりました中間答申は、実はまだ答申ではございませんで、基本問題小委員会から部会に対して報告をされたというもので、正式にまだ大臣に答申になっておりません。六月になりますと正式答申が出るということで、われわれ待っておる次第でございます。  ただいま先生お話しございましたILOの勧告の中で、公共団体の責任、八という項目だと思います。そこに、先生おっしゃいますように「権限のある国家機関が、住宅建設に何らかの責任を持っているすべての公共団体が加盟すべき中央機関を設立すべきである。」というのを骨子にいたしまして、「代表的な使用者及び労働者の機関は、関係のある他の機関と同様にこのような中央機関の仕事に参加すべきである。」ということが明示されております。ただ同時に、一九一九年の平和会議の国際労働法制委員会の報告でILOの勧告の機能について述べておりますが、その中身によりますと、やはりILOの勧告につきましてはそれぞれの加盟国がその国情に最も適した方法で適用されるべきだということを述べられております。  御承知のとおりわが国の場合には、住宅行政を行います中央機関といたしましては建設省が設置されております。それで住宅行政を担当させていただいております。さらに建設省が担当しております住宅行政の執行に関しましては、その主な点につきまして住宅宅地審議会等に意見を求め、諮問をし、建議を受けてやっておるわけでございますけれども、その当該住宅宅地審議会の委員の中には、日本労働組合総評議会幹事の方だとか、全国建設労働組合総連合書記長の方だとか、全食品同盟副執行委員長の方だとか、主婦連の副会長さんというような方々も参加をしていただいておる次第でございます。したがいまして、その会議の運用に当たりましては、実効上は、その他の皆さんの御意見も十分拝聴するという機会もあるわけでございまして、御指摘のILOの勧告につきましては、われわれといたしましては実質的には実施されておるのだというふうに考えておる次第でございます。
  95. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 ちょうど事務次官をやめられた大津留さんが、当時住宅局の総務課長だったと思います。そのときの国会答弁を見てまいりましても、そのようなことを言っておられるわけですね。しかしどうだろうか。これほど住宅問題が破綻をする、大変な事態に直面してしまったというときになってまいりますと、局長がいま指摘する住宅宅地審議会、当時は住宅審議会ですが、これは大臣の諮問機関でしょう。その諮問機関と、権威を持ち責任あるそういう中央機関、しかもこれには労使の代表も関与する。関与するというのとこれは全然性質が違うのじゃないですかな。どうですか。——それはまあいいです。だから私思いますことは、大津留さんが昭和三十六年総務課長時代に述べておられたことと同じことを聞かなくてはならない。しかも十四年間経過いたしておるわけです。まことに日本の住宅政策は、地域計画の中において、都市計画の中において、農村計画の中においても住宅は取り入れられていかねばならないというILOの勧告、そのためには居住水準、このこともうたわれておるわけですね。その居住水準、適切にしてしかも上品な生活環境、あるいは個別水準ですか、こういう点にいたしましても具体的にやっておるわけですね。そういうものを明らかにした基本法なりそれらのものができなくてはならないのが、みんなばらばらな中で出てきてしまう。  たとえば日本住宅公団が生まれてまいりました。住宅困窮者に低廉かつ良好な賃貸住宅を提供するのだ。最初に設立したときにおけるところの立法趣旨はそうだった。ことしの予算を見てまいりますと、大臣、答申に基づいて大いにやりましたと言われますけれども、結局はことし初めて賃貸住宅を上回るように分譲住宅がなってしまった。そこで、なぜ賃貸住宅が行き詰まったか。ここの問題に対しましてもやはりILOはすでに指摘いたしておるわけで、そういうことに陥ることをやめるためにどうあるべきかということも、ひとつ大臣、住宅政策を今後考えられる場合におきまして……。  私は先般アメリカに行きまして、アメリカのモデルシティーですか、あの法案を読みながら一、二カ所歩いてまいったのですけれども、また、フランスとワシントンの大使館にも建設省から出向いたして大使館付になっておりますからいろいろな資料が集められるんじゃないかと思うのですけれども、ああいうアメリカのような国においてすらも、モデルシティーで、単なる住宅戸数主義じゃない。当然そこにおいて地域に保存すべきものあるいはまた再開発すべきもの、新しい住宅団地の造成、その場合におきましてやはり地域計画をどう結びつけていくか、ただ物理的な条件だけじゃなくて経済的な問題、福祉の問題を含めた計画を立てることが法に位置づけられておるわけですけれども、そういうために独立の機関が、地方自治団体と別の機関が生まれてまいる。しかも住民が参加をする。そういう意見に対しまして地方自治団体がまた持っている意見とそこに調整をする。しかも選挙その他を通じて選ばれてくる。こういうような形において住民の意思がいかに反映されるか、その地域が新しい住宅政策とどう結ばれるか、調整されるか、こういう形で、人間が住んでるんだ、人間性をいかに回復するか、そのための政策が法律として出てきておるわけですからね。また具体的にも取り組んでる個所を見てまいったわけですけれども日本の住宅政策の貧困、と言っては大臣に対してはなはだ恐縮ですけれども、いまこの問題点として指摘される中間報告、まだ正式な答申ではありませんけれども、というお話ですけれども、しかしながら、中間答申の中において触れておる、どうしてこういう住宅政策が後退せざるを得なかったか、その原因はやはり一つ一つもっと追及しなくちゃならないんじゃないか。建設省の住宅政策を見ておりましても、後追い行政で、これが困ったから次がこれ、次がこれと、こういう形で繰り返しておるんじゃないか。いわゆる土地区画整理事業、ああこれも行き詰まった、だから新住宅市街地開発法、これこそ唯一の新しい方法だと。しかも、ここにおきましては全面買収をやる、そして半分ぐらいは緑地なり公共あるいはまた環境施設を配置する、そこに住宅を建てる。ところが、これも行き詰まってしまった、もはや全面買収に応じてくれる者もないし、その三十四カ所ですか、やってる新住法がどんな困難にぶつかっているか、なぜ地元からきらわれるか、どうすれば解決していくか、そういうネックになるものは一体何なんだ、これをもっと掘り下げて解決点を求めていくときに、実は皆さんの方はすぐに新都市基盤整備法という法律をつくってまいる。いや新住法でまだだめだから今度は新都市基盤整備法だ、四割はおまえの方にやるから六割は提供しろとかいう新しい手法を考えてまいります。一体この手法にいたしましてもどうですか、幾つこの手法によって現在基盤整備がやられていますか、宅地の確保がなされておりますか、後から御返事願いたいと思うのですけれども。  そういう形にして次から次と新しい構想を持ってきて、しかもその問題があるのにかかわらず問題点を避けて通る、こういうことが私は住宅政策そのものを誤らしめたんじゃないか。たとえば私も委員会でしばしば道路公団の皆さんともいろいろ意見の交換をしたのですけれども、この原価主義というのは、しかも適正な家賃、あるべき家賃、収入に対してどれだけの家賃が必要なのか、このことこそが住宅政策の中において——一つの適正な家賃というのは、その家賃を出してもらうところの労働者の生活状態なりその状態の中で適正な家賃を決める、それをオーバーするものは一体どうするか、これが住宅政策として生まれてこなくちゃならない。ところがそれを避けてしまって、原価主義だ。ですから、空き家を抱いて空き家の割り増し家賃を取るとかいうような形でそのときそのときの住宅政策を続けてまいった。しかも、地域計画なり都市計画なりあるいはその地域の中における新しい住宅はどう調和するかというような問題に対するところの発想というのはほとんど後退に次ぐ後退で、戸数主義だけがここに出てまいった。しかも原価主義だ。これではもう分譲住宅自体が行き詰まらざるを得ない段階にまで入ってくるのじゃないか、こういうことも考えましたので、一言触れて、大臣のまたそれの今後に対する所信をもお聞かせ願っておきたいと思います。
  96. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 佐野先生大変御熱心でありまして、この問題御研究なされておりまして、大変敬意を表します。  ただ、ざっくばらんに申しますと、やはり戦後の日本の住宅はまず量を確保するということに全力を挙げてまいったことは事実であります。とにかく入れ物をつくろうということが住宅政策の主であったと私ども思っております。そのことは必ずしもILOの精神にのっとっておったとは思っておりません。ようやっと量の問題はかなり、現在では戸数が三千一百万、世帯が二千九百万と言われますから、量の問題では私どもは一応の形は整ったと思っておりますが、それでいて決して国民は満足していない。何が不服かといえば、環境が悪い、狭い、設備が悪い、こういうことに大変強い要望があることは御承知のとおりであります。したがいまして、今後は住宅は量よりもおっしゃるようにむしろ質に重点を置くべきであるという考え方で、私どもは努力をしてまいらなければならぬと思っております。一期、二期も必ずしもそれを度外視してきたわけじゃありませんが、結局そういうウエートになってきたことは、これはやむを得ない事情でなかったかと思っておりますが、少なくとも五十年度の予算はそういった面を考えながら質の面に重点を置いた予算配分も考えておるつもりでありますし、五十一年度もこれは初年度として第三期が出発をいたしますから、先生お説のとおり、過去を洗い直す必要があるのであります。  なぜおっしゃるような方向に行かなかったのか、なぜいろいろな、たとえば公営住宅にいたしましても、これは大都市地域においては特に建設がおくれております。一体なぜおくれておるのかというその問題を探求していかなければなりません。公団住宅にいたしましてもそのとおり、原価主義であることは事実であります。そのために地方の関係の町村はむしろ人口を抑制されておる、そういうような状態になっておることはお説のとおりでありますから、一体なぜそういう問題ができたのか。それは関連公共施設等によって莫大な負担が一時にそれぞれの関係市町村にかかっていくというところに大きな問題がありましょうから、関連公共公益施設を一体今後どうすべきか、住宅と切り離してやるべきか、一緒にやるならどういう形でやるべきかという問題、あるいは家賃の問題にいたしましても、公営住宅一つとってみても、東京都内は御承知のとおり五十円住宅がある、百円住宅がある、二千円以下が二万五千戸ぐらいあるそうであります。そうして合わしてみると、やはり十三万戸ほど現在は東京都内だけでもむしろ戸数は上回っておる。そういうようなことも現実に私は新聞報道等で見たわけでありますが、そういうふうな安い家賃の公営住宅があるかと思えば、逆に二万円、三万円払わなければ入れない公営住宅が現在の状態であるということを考えると、公営住宅のあり方そのものもやはりひとつ検討をする必要があるのじゃないか、かように思っております。  そういった面で、五十年度は第二期の終わりの年でありますから、過去を十分に洗い直して、そうして五十一年度は新しく出発するための基本をつくるべきである、かような考え方で努力をいたし、事務当局も勉強をいたしておるわけであります。  具体的な問題は事務当局から御答弁をいたさせます。
  97. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 新都市基盤整備法に基づく事業につきましては、現在まだ着手に至っているものは一件もございません。  手法というものは、先生がおっしゃいましたように、次から次からつくりましたけれども、その背後にありますやはり水の問題、交通の問題、地価高騰の問題、あるいはいま大臣が申しました関連公共公益施設の地方負担の問題等々の前提の問題が山積しております今日、これらの前提の問題を解決するということがいまや大きな課題になっていると思います。新都市基盤整備法の施行状況につきましてお答え申しました。
  98. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ただいま大臣から申されたとおりだと思っております。  ただ一、二つけ加えさせていただきますと、先生がおっしゃいましたのは、アメリカにおきますモデルシィティープログラムのお話であろうかと思います。実はわれわれも盛んに現在検討を進めております。アメリカの実施状況等についても調べておりますけれども、最初は相当大きい構想でございましたけれども、一部の実施の状況を見ますと、スラムクリアランスの拡大というようなところにおさまっている面もあるやに聞いております。しかし、諸外国の制度の中でもそういうふうな環境を考えました非常にいい制度だと思いますので、だんだんわれわれも勉強しなければならないということでございまして、来年度予算の中に、住宅地区改良費の中でございまして、額はわずかでございますが、四千万弱、住宅建設事業調査費というのを新規に計上いたしております。実はこれによりましてそういうふうなものの日本的なあり方の勉強をしたいというのがその趣旨でございまして、そういう萌芽を少し出しておるというのが実情でございます。  なお、家賃の原価主義につきましては、中間報告におきましても、応能負担ということを前提として前向きに勉強しろというような報告がなされておる次第でございます。
  99. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 応能というのは幾らが払える負担限界であるか、こういう中から応能が出てくるのだと思います。原価主義の中における応能じゃなくて。その点をもう少し趣旨をよく読んで考えてみなければならぬ問題があるのじゃないかと思うのですけれども。それはそれとして、私は時間も何ですし、大臣の所信表明を中心としての話で、具体的な問題は法案審議その他の中で討議を深めさせていただきたいと思いますけれども。  ただいま非常に地方財政が危機に直面しておる、こういう中におきまして、建設省としても所管事項に対しまして見直さなければならぬ問題というのが非常に多くあるのじゃないか、こういうことを感ずるわけです。そういう中で、一つは先ほどの問題とも関連いたしますけれども、たとえば大規模団地に対する関連公共公益施設、これに対する一番大きな問題として、新住法が登場してきたと思います。多摩ニュータウンが新住法の花形として出発いたしたときの皆さんの感激ぶりをいま思い起こしながら、困難な問題にぶつかっていることを実は残念に思うわけでありますけれども、そうした中でやはり公共公益施設という問題が、単に東京のニュータウンだけではなくて、新住法適用の三十数カ所ですか、みんな陥っている問題じゃなかろうかと思います。  一つは、ある町に参りますと、一万人の町に大体二百五十ヘクタール。これには六千戸、二万四千人の団地をつくる。一つの新しい町をつくるようなものだと思います。新住法の中に五万都市の建設もやられておるわけです。そうしますと、片方においては旧来の町があり、片方におきましては二万五千なら二万五千の人口を収容する、その場合におきましては、たとえば交通機関が問題になってまいります。その交通機関にいたしましても、新住法の場合は運輸大臣と協議をするということになっておる。これは、多摩ニュータウンの場合もそういう協議条項があっただろうと思います。そういうことがちっとも生かされていない。こういうところに、私はやはり一つの問題があると思いますけれども、先ほどの、新聞に出たバスの足のない問題にいたしましてもそうだと思います。新住法の場合におきまして、そういう問題がずいぶん出てきておると思います。しかも小学校を建てなければならない。一住区には小学校が一つ必要だ。三住区だと三つだ。中学校は二つだ。高等学校は一つだ。と同時に、保育所は一住区に対して四つくらい必要になってくる。児童公園もつくらなければならない。それに関連する都市計画街路もやっていかなくちゃならない。旧来の町との間における都市計画街路をつくらなければ、交通が確保できない。こういう問題が出てくるでしょう。そうした場合におけるところの負担はどうだろうか。施行者がだれであろうとも、それは地元市町村が、公共公益事業は負担していかなければならない、こういう規定になっておるわけですが、そういたしますと、ここで出てくる負担は一体どうするか。その場合に建設省の皆さんのとられている、ちょうど国会におきましても、昭和四十七年、小委員会を設けまして、これらの問題に対するところの検討を進めたわけです。そして、一応決議として政府にも申し入れをしたわけですけれども、四十七年以来今日まで歩いてまいりました道を見てまいりましても、ちっとも問題は解決していないわけですね。  ただ、立てかえ制度が少しは前進していっておるわけです。立てかえといっても、一万の町に小学校三つも新しくつくってくる。それを立てかえなければならない。東京においてはストップを食ってしまう。だから、この三大都市圏と言われるところにつきましては、たとえば住宅公団がやっている。日本住宅公団がやる場合におきましては、拒否反応が出てまいりますと、どうも手がつかないということから、立てかえ払いの期間を延ばす。あるいは無利子の方法をもってくるというわけですね。しかし、それらのものが結局はまた宅地にたたき込まれていかざるを得ないということが、日本住宅公団の悩みだろうと私は思います。  しかしながら、そうでなくて、その地方において三大都市圏でないところで新住法の適用を受ける、このところは、日本住宅公団にとられておる措置と全然違った措置がとられておるわけですね。同じ地方自治体であって、その同じ地方自治体の中で、首都圏の中においてもありますけれども、たとえば東京都がやっている、公社がやっている、この場合と、住宅公団がやっている場合との差別をいたしておるわけですね。結局は大蔵省なり皆さんの方の御意見なりお聞きいたしますと、住宅公団はここしかないんだ、地方供給公社なり県施行なりの場合におきましては、その施行者がめんどうを見るべきだ。しかしながら、その施行者にいたしましても、たとえば県なら県にいたしましても、県議会に、建設省の法律に基づいて大規模団地を形成いたしました、ここに特に一般財源を投入します、こんな決議を求めたら、完全にこれは否決になってしまいますね。そうしますとどうするか。結局は地元町村の負担としてとにかくいま超過負担の問題も出てまいります。平常時における地方財政の中においても超過負担が問題になっているときに、新住法の中において建設される、それを地元が負担をしていかなくちゃならない、これは大変な財政の問題だと思う。本来やるべきものができ得ない。団地形成のために実は旧来の町は何もできない。借金だけがたまってくる。これでは団地お断りというのは私は当然じゃないかと思う。と同時に、国の施策だから、新住法は、勤労者のために農民の土地を全面買収をして、強制買収までしてつくった団地だからりっぱに育ててやりたい、こういう気持ちを持って旧来の人たちがおっても、その団地と在来の地域との間におけるところの連帯性なり融和なり、その地域計画の中の位置づけなりというのは、全然やられないわけですね。生みっ放しという形になってしまう。これが地方財政のいまの危機の中で大きくこれからクローズアップしてくる問題だと私は思います。  そういう問題を心配したからこそ、国会に小委員会を設けて問題点を、新住担当の市長さんにも出席願ったり、住宅公団の皆さんにも出席願って問題点を明らかにしたわけです。けれども、これが解決されてきてない。もちろんあのときにおける私たちの決議と今日の段階における情勢とは相当の変化をしてまいっておると思いますけれども。  これに対して大臣、あまり私、話ばかりしておっても何ですから、ひとつ検討してもらいたいと思いますのは、こういうことが一つ検討されないか。おそらく日本の高度経済成長なり産業基盤造成のためにとられた措置でありますけれども、たとえば新産業都市あるいは工業特別開発地域、これに対する特別措置法が生まれてまいりまして、やはり大きな財政問題が出てまいる。関連するところの住宅の問題、あるいはまた公共道路、河川なりの問題が出てくる。あるいはまた教育施設の問題が出てくる。そういう問題にはたえられないという形で、産業基盤は前進していっても、背後にあるところの生活基盤というものはこれはもう立ち遅れてしまって大変な公害の発生なり環境の悪化が出てくるということから、新産都市なりあるいはまた工特に対する財政援助に関する法律というのが生まれてまいったわけです。  この法律によりますと、そうした中で特定の生活基盤関係の仕事に対しまして特定いたしますけれども、県の場合におきましては、たとえばそれが後進地域の場合は後進地域に対する財政援助によるところのかさ上げ方式がありますから、県施行の特定の事業に対しましては三分五厘以上のものに対する利子補給をやる、町村の担当すべき問題につきましては、公園なりいろいろありますね、こういう問題に対しましては、府県がとられたと同じような、性質は違いますけれども、やはり事業費のかさ上げというものを財政援助でとってきたわけです。これはちょうど天野さんが、委員長が、災害対策においての激甚地災害に対する財政負担の軽減などというようなことが当時参考となってとられたのだろうと思いますけれども、そういうことを私があえて申し上げますのは、産業基盤育成のために新産業都市というものを成功させたいという当時の情勢から生まれてきたにしても、やはり地方財政に対する圧迫を何とかして防ぎたいという趣旨があったと思います。それはあったとしても、先般の報告を伺いますと、産業基盤の方は相当進んでいるけれども、生活基盤の方は四割か五割しかいってないという報告が出てきているわけでありますけれども、それだけの措置をとってもそうなんですけれども、いわんやここに新しい住宅団地をつくる、大規模団地をつくる、その場合に、その町村が管理しなくちゃならない、引き継がなくちゃならない、こういうものを列挙して、これが一般の財政のあるべき状態から見るとふえてきておる。そういうものに対するところのかさ上げ措置というのは、建設省の予算の中にもずいぶん出てまいっておりますね。そういう措置がとれないかどうか。単なる他の地域から補助率の引き上げというような形での問題が一つの限界に来ているのじゃないか、私はそういうことも考えたので、ひとつ検討をしていただきたい。もちろんその他にもいろいろな問題ありますけれども、地方財政の問題として一つ指摘しておくわけです。  次に公園関係の問題ですけれども、公園は先般の緊急特別措置法によりまして補助率の訂正もありましたけれども現実的に見てまいりますと、用地費が三分の一、施設費が三分の一でありますけれども、しかしこの内容を見てまいりますと、たとえば九千億円の全体計画でありますが、全体計画の中でもうすでに国庫補助対象事業が四〇%、単独事業が六〇%が含まれておるわけです。ですから、地方の負担ということを考えてまいりますと、実に八五%が地方負担になるわけです。だから都市公園というものは、公共事業としても道路や河川に変わらない根幹的な町づくりの基礎だと思います。同じ建設省の所管であって、公園に対しましては四〇%しか補助対象にしないんだ、六〇%は単独事業として継ぎ足しをしろ。ですから財源的には八五%は地方が持つんだ。こういう中身というのは、大臣どうお考えになりますか。他の公共事業と比較いたしまして八五%も地方財源に依存して公園事業をやる、これが緊急措置法の中身だという。どうですか。
  100. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 御指摘のように、この補助率等が他の事業に比べまして若干低いという感じは免れないのでございますが、これも先生おっしゃいましたように、初めて四十七年度に都市公園の五カ年計画を策定した際、補助率等も若干改善し、さらに従来の補助対象事業の割合というのが一〇%から二〇%台という非常に低いものであったものを、思い切って現行の四割にまで高めたということでございまして、そういうような努力を過去においてしてきております。  現在の公園事業の最大の急務は、やはり非常に整備自体がおくれているわけでありますので、何といっても事業量を拡大していくということではなかろうか。したがって、今後も私ども事業量を拡大していく。そして少しでも多くの公園を整備していくということに、まず何といっても主眼を置きたいと思いますが、幸い五十一年度からは新しい五カ年計画の発足ということに恐らくなろうかと思いますので、内部的にも検討を始めておりまして、御指摘のような点も十分検討したいと思います。  補助対象の割合といいましても、公園はかなり地域的なローカルなものも多く、児童公園など非常に小規模なものもありますので、道路や河川に比べましてもそういう非常にローカルなものがどの程度補助対象になっているかということを考えますと、あながち一概にも言えない。しかし全体として私どもは、たとえば去年大幅に補助率を引き上げた下水道なんかに比べて確かに低いという感じを持っておりますが、いまの国費でわずか二百億台、ようやく三百億になろうかというこの段階で、なかなか何もかも一遍にもいきにくい。そこにどういった方向を持ったらいいかということを十分考えさせていただきたいと思います。
  101. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣、やはり都市公園というのは、少なくとも人間の生活環境にとってはなくてはならないものだ。そういう意味において建設省はこういう点を是正措置をとっていただきたい、このことをひとつ希望いたしますと同時に、同じく見てまいりますと、都市緑地保全法ですか、これの緑地保全地区に対する土地の買い取り請求、これが補助率が三分の一であるわけです。同じようなもので、古都保存法の場合は五分の四の補助になっておるわけです。大都市近郊緑地の場合におきましては三分の二だ。しかるにかかわらず、都市の自然環境というものを守るために土地の買い上げを要求された場合に対する補助事業としてわずか三分の一だ、ここにも不均衡があるんじゃないか。だれしも同じ住民にしては納得できない、なぜ公園の場合だけはこうなんだ、こういうような不合理さが住民の前に姿を浮き彫りにするんじゃないか。こういう点もひとつ考えていただきたいし、いまのたった四〇%ですから、補助率の基準は一体どうなっておるんだ。全く不明確な中で補助基準がなされておる。採択率もそういう形になっておる。もう少しこれも、だれでもわかるように採択基準なりというものを明確にすべきじゃないか、こういうことを感じております。  次に、公共下水道の問題ですけれども、公共下水道におきましては、昨年度補助率の改正があったわけですけれども、ただ見てまいりますと、この場合におきましても、第三次五カ年計画ですか、このうち国庫補助対象が全体計画の中において五七%、四三%が単独事業となっておるわけです。しかも、これは大都市と小都市に分かれておりまして、大都市の場合は四一%が補助対象、単独が五八%、一般都市が七四%が国補対象で単独が二六%、こういうことになっておるわけです。ですから改定される前におきましては、ここに一般財源が交付税の中において投資的経費として投入されておりましたけれども、国庫補助率が変わった関係上、去年からは一般財源の投入いわゆる投資的経費というものは、この費目から落とされてしまったわけです。ですから後は、この補助と起債それに対するところの一割の受益者負担、これでやっていく、こういう形がとられてきておるわけです。この点に対しましても、たとえば単独事業にいたしましても八五%は起債だ、一五%は地元負担だという形で、受益者負担がここになっておるわけですね。この場合に対しましても、受益者負担の問題は先般も時間をかけていろいろ論議いたしましたので、またセンターから事業団のときにいろいろまた検討させていただきたいと思いますが、大臣、このことに対しましてどうお考えになりますか。  私は、公共下水道の場合におきまして、たとえば補助率はある程度まで上がってまいった、しかしながら補助対象は据え置きますよ、こういうようなやり方をやっておるわけですね。ですから単独事業、こういう場合におきましても、補助対象事業はどこまで補助対象事業だ、政令に書くことになっておりますけれども、なかなか難渋しておられる。ですから、これはなかなか不明確な中で、一体どこまでが環境が補助対象事業になるんだ、こういうことも不明確なままで全体として先ほど申し上げましたような形で五七%が補助対象、単独が四三%、こういう形でやられておる。ですから、地方におけるところの問題は、ちっとも解決していないということがこの中から出てくるんじゃないか。そういう点に対しましても、大臣、ひとつ地方におけるところの具体的な問題として考えていただきたいと思います。  それらに関連いたしまして、たとえば終末処理場にいたしましても、第二次公害を防がなければならぬ、あるいは汚泥その他を収容する用地が必要だということ、大変な私は問題があると思います。また、そうした終末処理場周辺におきましては緑地化する、こういう点にいたしましても、ほとんどこれは補助対象外として省かれてしまってくるわけです。ですから、公共下水道をやるために、片方におきましては単独事業その他からくる圧迫が出てまいる。片方におきましては、いろいろな関連事業というものは対象になっていない。ここにも地方財政に対するしわ寄せというものは、公共下水道に前進しようとする大臣の生活環境改善という意味において共鳴したとしても、足元にこういう問題が一つあるということもひとつ知っておいていただきたいと思います。  最後になにをいただくことにして、一通りそういう意味問題点を述べてみたいと思うんですが、道路の場合におきましても、大胆、昭和四十七年、四十八年、四十九年、大臣の所信表明並びに建設省説明書を読んでまいりますと、町村道に対して非常に前進しておる、このことを述べられておるわけです。生活に直結する市町村道に対しましては非常に措置をとったということが述べられておるのですけれども、たとえば予算書を見ても、四十八年度の場合におきましては五百六億円が市町村道であるわけですね。このうち、豪雪なりあるいは離島なりあるいは山村振興なり、約七つの特殊立法がある。この特殊立法に二百五十五億円。ですから、一般の町村道に対する補助対象になっているのは二百五十一億円しかないというわけですね。二百五十一億円で八万何千キロあるという市町村道に対して果たして躍進したということが言われるだろうかどうか。それから、四十八年度から見ればもちろん四十九年度におきましては五百九十七億円、来年度は六百七十一億五千九百万円ですから、その数字から見ればパーセントは上がってまいっておるのですけれども、中身そのものはこのような状態になっておるということですね。この点につきましても、根本的な町村道財源のことが検討されねばならないのじゃないか。幸い四十八年度−五十二年度、十九兆五千億円で第七次道路計画が出発しておりますが、この計画の中における町村道の整備というのを見てまいりますと、大変な数字になってくると思うのです。町村に対する補助というよりも特定財源をどう確保するか、この点に対してひとつ考えていただきたいと私は思います。  第六次計画を見てまいりますと、国の場合は特定財源が八〇%、県の場合は七〇%、町村の場合は二四%ですが、膨大な延長を持っておる町村の道路に対しまして特定財源がわずか二四%しかない。こういう点も、四十八年度−五十二年度の中で五十一年度に新しく発足をする、こういう閣議の申し合わせがあるそうですけれども、大臣としても、町村道の特定財源をどう確保するか、こういう点に対してひとつ取り組んでいただきたい。そうでなければ、生活に直結する生活関連市町村道に対しまして大いに措置をとったなんということにならないのじゃないかということです。  次は、河川関係ですけれども、河川におきましてことしは準用河川に対して初めて補助対象にしておるわけですけれども、河川法には一級河川、二級河川があるわけです。しかしながら、町村を流れておる河川に対しましては河川法上何ら位置づけがないわけですね。ですから、普通河川に対しましてどうするか。御存じのとおり、自治省におきましても、実は交付税の中における土木じゃなくて、その他の経費の中に普通河川に対するあてがいぶち的な経費を算入するよりかしようがない、法的にも明確でない、こういうふうな現状であります。  普通河川というのは全国で一体何千本あって、準用河川は一体幾らぐらいになっているかということをちょっと聞かせてください。
  102. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 細かいことは、後、局長答弁させますが、先ほどから先生御質問の一連の公園の問題、下水の問題、私ども重点のつもりで今年はできるだけ予算の獲得もいたしたつもりでありますが、内容に至っては御指摘を受ける面も確かにあると思います。そういった面は今後十分に検討してさらに前進を考えなければならぬと思っております。     〔委員長退席服部委員長代理着席〕  それから道路の問題にしましても、市町村道確かに一二%伸ばしたということを私ども決して自慢に思っておりません。ただ全体道路予算が九三%ですか、その程度まで圧縮されておる中に逆に一二%伸びたんだから、むしろその中では優遇しているんだというふうに私どもは言っているわけでありまして、しかも、従来市町村道の改修は、御指摘のとおり特殊立法ですか、地域立法によって重点的にその路線をやっておったことは事実でありますが、五十年度からは、そういった面のみでなくして、生活に関連する道路についてはかなり重点的に伸ばしていくつもりでありますし、これからもさらに推進してまいりたいと思っております。  それから、河川にいたしましても、いろいろ御指摘の点もあると思うのですが、準用河川については今年初めて新規に補助をつけるという制度も設けたわけでありまして、これは一応私どもは前進だと思っております。  ただ公園、下水、道路、河川いずれにいたしましても、お説のとおり市町村財政というものがかなり厳しいことを私どもも承知をいたしておりますし、これから国が積極的に、直轄にしても補助にしてもやろうとしても、やはり受け皿が本当に財政が確立しなければこれはスムーズに進まないことは御承知のとおりでありますから、そういう面においてわれわれも考えますが、国全体として、内閣全体として、地方財政の今後のてこ入れと申しますか強化のためには努力をいたしてまいらなければならぬ。当然のことでありまして、努力をいたしていくつもりであります。
  103. 増岡康治

    ○増岡政府委員 先生の御質問ございました普通河川の実態でございますが、昭和四十七年に一斉調査いたしました結果、河川数で約十二万河川でございます。延長が約二十万キロでございます。それから準用河川はことしの一月一日現在で六千二百三十九河川でございまして、延長が九千五百十五キロということになっております。  なお、この法制化の問題につきましてお話がございましたけれども、その必要が出た場合は普通河川から準用河川に格上げしたり、あるいは一級にも二級にもなる事態が来ますればそういうように格上げしていく方が、私どもの河川法の方のたてまえから見れば至当ではないかと考えておる次第でございます。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 今度百条による準用河川、これに対して百八十本、十億二千万円、国費三億四千万円、この程度のことで、河川にどんどん適用していきます。準用河川がまた一級にも二級にもなる、これぐらいしか考えられないんじゃないですかな。と同時に、大臣、どうですか。やはり普通河川というのを——道路にも国道、県道、市町村道、こういう形にして管理体制というものを明らかにしておると思いますね。こういうぐあいに自治省が交付税の中で河川費の中にも入れられない、土木費の中にも入れられない、その他の中に入れなければならぬという形で置いておる、しかも、台風が来ればやはり普通河川のはんらんによって激甚な被害が出てきておる、大変な事態だと思うのです。それが何ら河川法の中でこの管理が明確でない、こんなことは許されないことじゃないかという感じもするのですけれども、大臣、そういう点に対して今度は本当に取り組んでいただきたいと思うのですが、いまの局長お話、非常に専門家としての立場でだろうと思うのですけれども、そういう行政専門でなくて、素直な国民の立場に立って考えてまいりますと、これほど災害が大きくて、年間一千六百から二千億円の被害を出しておる、人命も損失を受けておる。しかも普通河川のはんらんが非常に大きい。河川だけでことしの予算見てまいりましても、治水事業費が五、六千億円で災害が二千億円だ、私は本末転倒じゃないかと思うのですね。もっと洪水なり台風なりのはんらんから国民の生命、財産を守る、そのための事業費の半分ぐらいが災害復旧費に追われていなくてはならぬ河川行政というのは考えなくてはならぬのじゃないかという気もいたします。と同時に、そういう状態だから普通河川というものは放置されてくるんじゃないかという感じもするのですけれども、大臣、どうですか。
  105. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 集中豪雨等で特に中小河川がはんらんをし、災害が起こることは私どももいつも承知をいたしておる問題でありまして、したがいまして、災害を未然に防ぐための防災事業も積極的にやらなければならぬことは当然でありまして、そういう意味では努力をいたしておるつもりでありますが、それがあるから河川予算が大幅に少なくなっておるというふうには私ども実は必ずしも思っておりません。ただ、準用河川の問題、いま御指摘がありましたように、確かにわずかな金額で、それから河川の数も全体から比べるとまことに少ないものでありますが、しかし、初めてできた制度でありまして、私ども一つの前進だと思っております。制度は小さくはできましたけれども、これからひとつ御趣旨を体して大きく育てていくということに私どものこれからの仕事があるのじゃないか、かように存じております。  それから、大体市町村が管理をしておる河川でありますから、一体普通河川といっても、普通河川にもピンからキリまであることは御承知のとおりであります。大体、いろいろな災害が起こるとか、いろいろな問題が起こるとかいったのは、いまの準用河川という程度のものにほとんど包括されておるのじゃないかという感じもいたしますし、そういった面は、各市町村からの要望もあって、取り上げられておる面も多いと思うのでありますから、お説のような方向で行くことは当然のことでありますけれども、一挙に直ちにというわけにはまいりませんから、徐々に努力をいたしてまいりたいと思っております。
  106. 佐野憲治

    ○佐野(憲)委員 大臣、私はやはり旧河川法の準用河川と今日における準用河川とは性格が違っておると思いますがね。そういう意味におきまして、準用河川という言葉そのものが残っておるのがおかしいくらいで、これはやはり普通河川としての位置づけをする。町村道の場合でも八十六万キロですから、大変なものですよ。ですから、ここにおいて一級、二級の区別をつけておる、あるいはまた大都市の市町村道と中都市あるいは本来の町村道、こういう形に道路の場合なんかは区別しながら全体としての改修計画に取り組むという。河川の場合だけが、準用河川という昔の印象だけ与えるようなものを残しておいて、ずっと何もやっていなかった。それよりも、普通河川という中でやはり全体の河川の改修計画というものは取り組まなければならぬときに来ておるのではないか。大臣はそう心配はないように言われるのですけれども災害復旧費を河川だけで年間二千億円も必要としておる、そのほかに個人の生命、財産が奪われておるということを考えてまいりますと、河川の現況というものは決して看過できない問題が多くあると私は思います。  そこで、先ほど財政力指数の話をしましたけれども、新産都の場合における後進地域に対してかさ上げをするということがとられておるのは、財政力指数ですけれども、この財政力指数のCクラス、いわゆる〇・四から〇・五、これは日本の場合の府県の実情では非常に多いのですけれども、そのCクラスの県を実は見てみたのですけれども、これによりますと、直轄の改修事業費というものは四百四億五千六百万円というのが一応事業費として基本計画によって認められておる。補助事業の合計は三百九十五億八千百四十万ですか。しかも、これに対しまして五十一本だけが補助対象事業になってきておる。直轄は五大水系、一級河川だけです。合わせますと八百億円になっているわけですね、事業認証を得ているものだけが。これに対するところの四十九年度の建設省関係の配分を見てまいりますと、直轄が十七億五千万円、補助事業が十九億ですね。合わせまして三十六億五千万円。こう見てまいりますと、一体八百億円をかけなければ、しかも補助対象なんてのは五十一本しかないわけですね、たくさんあるうちの。それに全力を注ぐといたしましても、これは何年間かかりますかね。ここに台風が来る、洪水が暴威をふるいますならば、大変な事態を惹起をすることはもう必至だと思うのですがね。そういう中におけるところの普通河川の始末も町村がやれというような形でいかれたら、地方財政というものはその意味からも大きな危機に陥るのではないか、私はそういうことを考えましたので、一応これはCグループ、自治省の財政力指数、しかも類似団体Cグループに属する、財政力指数が〇・四から〇・五、こういう地方における一つの県の実情を集計してみますと、こういう問題点が出てくるわけですね。  それから大臣、私は先ほど地方財政の危機の問題をめぐると同時に、危機だからといってやはり生命、財産、生活環境を維持していかなければならない、そこに大臣の言われる環境保全と生活環境整備のために全力を傾けたい、その政治信念をもってして、私がいま申し上げましたところの公園の問題、下水道の問題、道路、河川、こういう問題に対して、とりあえず私の感じましたことを述べて、大臣の就任後初めてのごあいさつでありますので、ごあいさつに報いるのに少し細かい問題に触れたかもしれませんけれども、大別いたしまして、地方財政という問題と生活環境、特に河川の場合にいたしましても道路の場合にいたしましても、非常に大きな問題が絡んでいるのではないか、こういう現実を逃げるのではなくて、現実を直視しながら解決の道を歩んでいただきたい、このことをお願いしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  107. 天野光晴

    天野委員長 次に、内閣提出奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。保岡興治君。
  108. 保岡興治

    保岡委員 議題になっております法案に関連して、若干の質問をさせていただきたいと思います。     〔委員長退席服部委員長代理着席〕  御承知のとおり、奄美大島は日本に復帰しましてから二十一年を経過してまいりました。戦後八年間は日本から分離されまして、アメリカの委任統治下に置かれまして、非常に行政が空白状態になっておりまして、当時日本の国の財政力も非常に弱かったという関係があって、日本からの直接の援助も得られず、また一方、委任統治をしておる米軍の方も、沖繩に比べて基地としての機能が非常に少ないために、民生安定のいろいろな施策についても欠ける点があって、この八年間の行政空白は非常に大きな痛手を群島に与えておったわけであります。  それが日本に復帰しまして、そういう荒廃した状況をできるだけ早く本土並みに復興させるために、国の特別措置を二十カ年間行っていただいてまいったわけでございます。初めの復興特別措置法による十カ年の特別措置、それから振興特別措置法による十カ年の国の保護を受けてまいったわけでありますけれども、国の努力あるいは地元の努力も実りましてかなりの格差是正にはなってきておるのでありますけれども、なお非常に大きな格差が残っております。これの一つの一番大きな原因は、これは国の努力が足りなかったということではなくて、むしろ制度的な意味での欠陥が非常に従来指摘されてきておったわけであります。というのは、奄美群島復興特別措置法あるいは振興特別措置法にしてもいわゆる五年セット方式でやってきておりまして、これは五カ年やることを全部あらかじめ決めまして、それに対して予算も全部当初で付するというやり方をやってきたために、国の財政力が高度成長に伴ってぐんぐん伸びていく中で、逆にこのセットにしたことが当初の予算がそのまま適用されるという結果になって、予算の伸びが非常に抑えられたという欠点があったわけであります。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 なお、一つのまとまった地域でありますから、一つの役所で、従来自治省が一カ所で統括してやっておったわけでありますけれども、これもやはり、道路建設省とか港湾は運輸省といういわゆる専門の省庁の直接所管するところでなかったために、どうしても専門的な観点からの施策の充実という点が遅れておったという欠点があったわけであります。  これに対して、きょう議題になっております奄美群島振興開発特別措置法は、この欠点を払拭して、振興開発計画は五年先行きのことを決めるけれども、これは目標であって、毎年予算を具体化する方式に変えたこと、それと国土庁が一括省庁として直接担当することにはなりますけれども、各省でそれぞれ事業ごとに対応して予算組み、予算の執行を行うという新しい方式に切りかえていただいたわけであります。  そこで、従来指摘されてきておるところの施策のおくれというものあるいは専門的な観点からの施策の充実というものに対して、この新しい法律によって思い切った措置が行われるのではないだろうかということが地元の最大の関心事であり、期待でもあったわけでございます。そこで、地元としてこの法律に期待しておったわけでございますけれども、この法がスタートした昭和四十九年度、そして二年目を迎える来年度の五十年度、いずれも公共事業が急に抑え込まれる時期にぶち当たりまして、御承知のとおり、総需要抑制の関係から、非常に厳しい予算措置になっておる。そこでその影響を受けて、せっかく新しい法律がスタートしても、そういった格差是正が十分に行われることがないで終わってしまうのではないだろうかという危惧が地元であるわけでございます。  そこで、きょうは重立った事業について、そういった観点から、この法律に基づく振興開発計画の目標に沿って、一応各事業ごとに目標というものが定められていると思うのでありますが、その目標の達成のために四十九年度の予算あるいは来年度の予算措置がどういう影響を与えているか、あるいは今後の施策がどう進んでいくかということについて伺いたいと思います。  まず、道路関係についてお伺いしたいのでございますけれども、この振興開発計画建設省国土庁でどういうふうな目標を立てて臨んでおるか、まずその点について伺いたいと思います。道路局長、御答弁をお願いします。
  109. 井上孝

    井上(孝)政府委員 奄美群島振興開発計画におきます道路の整備方針といたしましては、国道及び県道については早期に本土並みの整備水準に到達する、市町村道につきましては、幹線道路及び地域生活に緊要な生活道路の整備を図るということで、整備を進めておる次第でございます。
  110. 保岡興治

    保岡委員 私が承っておるところによりますと、主要地方道の改良率、これがそういった施策の前提となる資料としてとらえられていると思うのでありますが、全国の改良率が七五・二%で奄美が九四・九%になっておったり、あるいは一般県道が全国の改良率が四九・八%に対して、奄美は五三・三になっておる、これを全国並みに持っていくということでございますけれども、これの資料によると奄美の方がむしろ改良が進んでおるような数字になっておるわけでありますが、実際は三・五メートルの幅員で一車線で改良済みになっておるというような結果に終わっておると聞いておるわけであります。したがって、そういった全国と同じような基準で実質的に比べた場合、かなり本土よりかおくれている数字が出てくるのではないだろうかという点が懸念されるのでありますが、目標自体にこのように問題があるということを地元で指摘されておるのですが、その点について道路局長にお伺いしたいと思います。
  111. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のとおり、奄美群島におきます県道の整備率等は全国並みの数字になっておりますが、実は全国もそうでございますが、本来二車線以上、幅五メートル五十以上を改良率と言うべきでありますが、従来の統計の関係から、一部三メートル六十以上も改良済みということで、市町村道の交通量の少ないところはそういう整理をしている関係で、いま申しましたように、全国に比べて奄美がいかにもそうおくれてないような数字が出ております。この辺は十分私ども承知いたしておりまして、新しい構造令に合致しない道路、これは改良済みと統計にありましても未改良扱いにいたしまして、これから、奄美の道路の重要度、交通需要等も勘案いたしまして、緊要度の高いものから整備を進めてまいりたいと思います。  先ほど先生御指摘のように、四十九年度の新しい措置法以降、従来自治省が一本で扱っておりました道路整備費も、道路整備特別会計の中で建設省所管として扱うことになりましたので、今後は細かくこういった点を踏まえて指導してまいりたいと思います。
  112. 保岡興治

    保岡委員 舗装率も、四十九年度で、見込みでありますけれども、全国が八二・四で、奄美が七二・七、一般県道の場合でも全国が六六・八で奄美が五五・六というふうに非常に低位な数字になっているわけでございます。  私があちこち選挙区を回りまして一番強く要望されるのが道路の陳情でございます。結局奄美大島のようなところは、他に交通手段もほとんどなくて、道路が唯一の交通手段である、しかも幹線の道路がまだほとんど改良、舗装が進んでいないという状況から考えて、われわれから考えると、たとえば本年度の予算なども、公共事業抑制下であっても住宅、下水道はかなり国も重点を置いて、いわゆる生活関連公共事業として予算配分をたくさん与えている。ところが、こういった奄美地区における道路というのは、住宅、下水道すらない地域であって、住宅、下水道は、生活関連でもいわゆる文化生活関連事業であって、奄美における道路は最低生活関連公共事業である、そのように言っても過言でないと思っておるのでありますけれども、そういう観点から見ると、ことしの奄美関係道路予算を見ても、全国が九三%と落ち込みになっておりますけれども、奄美は前年度よりか三%伸ばしていただいている点は、確かに建設省の御努力は十分認めるのでございますけれども、なおこういった格差是正、あるいは他の公共事業の生活関連の数字と比べると、新しい特別な措置法もできておるのだから、もう少し重点を置いて予算措置をしていただけないだろうかということが地元の強い希望でございますが、この点について大臣にお伺いをしたいと思います。
  113. 金丸信

    金丸国務大臣 私も建設大臣当時奄美大島を視察したことがあるのですが、まことに道路も貧弱な道路で、これが道路かというような感じもいたしたわけでございますが、アメリカから日本に返されて、奄美大島に対する考え方というものが、沖繩と比べてどうだろうかというようなことまで私は考えたわけでございますが、そういう点を比べてみますと、奄美大島は非常に日陰におるなという感じもいたしたわけであります。どちらにしても、この中央を走る道路は国道にしてもいいのじゃないかというような感じもいたしまして、建設省へ帰って道路局長にも調査をしてもらったわけでございますが、そのような中で、今回奄美大島は国土庁の所管になったわけでございます。国土庁といたしましても、特別措置法に従いまして鋭意努力して、この格差の是正をすべく最善の努力をいたしておるわけでございますが、総需要抑制という問題は、ひとり奄美大島をのけていくわけにもいかぬという面もあろうと思うわけであります。しかし、格差があるという点については認めざるを得ない。今後あらゆる努力をしてこの格差の是正をいたしたいと思うわけでございますが、総需要抑制の中で公共事業が相当抑えられる中で、ことしは、先ほど先生のおっしゃったように、何がしか伸びたという点については努力のほどを認めてもらいたいと思うわけであります。
  114. 保岡興治

    保岡委員 いま大臣からお話があったとおり、国道昇格という、離島で初めての措置をとっていただいて、地元民もたいへん喜んでいるわけでございます。まあお隣の沖繩を見ましても、道路は奄美よりかよいという事実もございますし、また北の方の種子島、屋久島、いわゆる離島振興法対象地域における道路を見ても、奄美よりかよいというような関係があって、その中間にあって、やはり隣接地域が非常によいだけに、特別措置があるのにどうしてこんなに施策がおくれておるんだろうかという疑問が強いわけでございます。いま大臣がおっしゃった国道昇格に伴って、これに対する期待も非常に強くて、おそらく一般県道の中から主要地方道に格上げしてもらえる、あるいは市町村道から県道に格上げしてもらって、さらに道路整備が進むんではないだろうか、予算措置も国道の場合は別になっておるから、それだけは別な会計から出て、従来のおくれている地域道路に回ってくるんではないかという期待があるわけでございます。その点について、道路網の再編成が奄美大島についてどのような期待を持っていいか、これを道路局長にお伺いしたいと思います。
  115. 井上孝

    井上(孝)政府委員 国道昇格につきましては、御承知のように昨年の十二月に全国で五千八百六十七キロ、そのうち離島関係で六百十一キロ、さらにその中から奄美大島につきましては、従来の主要地方道でございます九十・七キロ全線が国道に指定されたわけでございまして、現在、全国的に見ましても、国道が主要地方道の延長を上回るというような、いささか偏ったかっこうになっております。といいますのは、五千八百キロのほとんどが在来の主要地方道から国道に指定されました。主要地方道が減り、国道がふえたという、いささかゆがんだ形になっておりますので、近く、道路網の再編成の一環といたしまして、一般県道の中で建設大臣が指定いたします主要地方道の追加指定をやりたいというふうに考えておりますが、まだその時期、規模等につきましては検討中でございまして、申し上げる段階ではございません。  これに従いまして、また主要な市町村道の県道への認定というものも逐次進めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 保岡興治

    保岡委員 国道昇格になると、主要地方道であった場合と比較してどのようなメリットがあるか、その点についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  117. 井上孝

    井上(孝)政府委員 メリットといたしましては、国の負担率が上がるということとか、あるいは計画的な整備が進められる、特に重点的に、国道でございますから、進められるというようなことが考えられるわけでございますが、奄美につきましては、実は従来から国道が、離島も含めましてございませんでしたので、奄美は特別措置法によりまして、道路整備事業は国の負担率十分の九ということでやっておりましたが、これは県道として法律に書かれておりまして、国道は十分の九でない。国道はなかったから書かなかったのだと思いますが、そういう状態で、先ほど申しましたように国道を指定いたしました。実は、このままでおきますと、道路本法に戻りまして、県道のときは十分の九であったものが、本土並みの国道の整備は四分の三国庫負担というようなことで、逆に国庫負担が下がるというような事態になりますので、今回国土庁から御提案申し上げております措置法の改正をすることになったわけでございます。この改正になりますと、従来どおり十分の九という国庫負担で国道が整備されるわけでございまして、この点に関しましては、従来の主要地方道時代と国庫負担率については特にメリットはございません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、国道にいたしますと、やはり目標を決めまして、しっかりした構造、規格で計画的に整備を促進するという点でメリットが出てくるわけでございまして、私どもも従来の奄美群島の事情をよく存じておりますので、十分その辺を心得まして、国道の整備でメリットを生かしていきたいというふうに考えております。
  118. 保岡興治

    保岡委員 建設省関係については、このほかに治山治水関係も——奄美は非常に台風の常襲地帯で、常に風水害の影響が甚大でございます。ところが、従来復興特別措置法あるいは振興特別措置法の時代には、この施策が非常におくれておったという事実が指摘されているわけで、この関係の予算も思い切って伸ばしていただきたい。これはまあ御要望にとどめて、次の質問に移りたいと思います。  次に、港湾関係についてお伺いをいたします。  港湾関係については、これはやはり道路と同様に、今度は島と島の間あるいは島と本土の間を結ぶ唯一の交通手段であるということで、島民にとっては非常に重大な意味を持つわけですが、これもどうも従来港湾の整備がおくれて、成長経済で船の方がどんどん先に大きくなるものですから、いつまでたってもはしけで乗りおりしなければならないという現象が解消しないで今日まで来ております。もう復帰してから二十年になって、国も相当の力を持っているにもかかわらず、はしけで行って、年寄りが海の荒れた日に大きな船から飛びおりて乗りおりしている状況を見ると、やはりこれももう少し国としても思い切った施策をしなければならないのではないかという感を非常に強くするわけでございますが、新しい法律に寄せられている期待もこの関係で非常に強いわけでございます。  そこで、ことしの予算あるいは来年度の予算、これは運輸省もかなり努力をしてくださいまして、ことしが前年度対比大体八割アップしていただきましたし、来年度予算でも四割五分近くの予算のアップをしていただいた。この二カ年の経過で約三倍ぐらいに予算をふやしていただいております。そういう点の御努力は非常に多とするのでございますけれども、われわれが見た場合に、各島々の現在走っている船がはしけで乗りおりをしなくていい程度の整備をするために、まだ全体で二百億ぐらいの予算が要る。ところが、ことしの予算は十五億円ぐらいしかついていない。この数字の開きを見ると、振興開発計画が大体五カ年で策定されているのから見て、先行き目標の達成が非常にむずかしいのではないだろうかという感を深くするわけでございます。したがって、この点についてどういうふうに対処しておられるか、運輸省にお伺いをしたいと思います。
  119. 大塚友則

    ○大塚説明員 お答えいたします。  いま先生の御指摘のように、従来非常に予算的には少額であったわけでございますが、足の確保ということはこれまた先生の御指摘のとおりきわめて重要であり、かつ必須なものとわれわれ考えておるわけでございます。  奄美群島の振興開発計画に目標として掲げられております各島の基幹的港湾については一万トン級船舶、その他の主要定期船の寄港港湾については五千トン級船舶等が必ず着ける、しかもはしけを利用するようなことをなくすというふうなことで目標を掲げておるわけでございます。われわれもその目標の線に沿いまして鋭意今後とも努力してまいりたいと思いますが、何せ相当な金額がかかることは事実でございます。しかし、われわれとしてもこの目標を何とか達成するべく今後とも努力してまいりたいと思いますが、国土庁とも十分御相談をしながら、今後目標達成に万全の措置を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  120. 保岡興治

    保岡委員 一生懸命努力をしていただけるそうですので、大変ありがたいのでございますけれども、先ほど御指摘を申し上げたように、二百億と十五億ではいかにも先行き大丈夫だろうか、もしこれがこのままの予算ペースで進んだ場合には、十年たってもなかなかちょっとむずかしいんじゃないだろうかという感を深くするわけなんです。ですからこれも、全体の予算の枠が非常に公共抑制の関係で抑えられているという制約下にあるということは承知しておりますが、こういうことからいって、こういう離島の格差是正のためには公共抑制ということはやはり外して、むしろこの地域にとっては、単に生活関連の基盤をつくるという以上に、実はこの地域の所得の働く場所を島民に与えるという意味でも非常に重要な意味を持っている公共事業でございますので、弱者対策とか社会的不公平の是正ということが新しく叫ばれておるし、かつての田中総理大臣の列島改造論もこういう地域に本当に生活の基盤を与えていくという意味では適切な主張であったろうと思うのでありますけれども、そういった観点から思い切って施策を充実していただくような方向づけをぜひお願いをしたいと思うのでございます。  次に漁港関係について若干お伺いをしたいのですが、奄美大島は四面海に囲まれておって、サンゴ礁に富み、あるいは黒潮が流れておって非常に漁場としては恵まれているということが言われているわけでございますけれども、従来大量に需要がある市場に遠いことやあるいは局内で製氷施設などをつくろうと思っても電力料金が高かったという経緯などもあって、なかなか企業としての水産業というものが育たないで今日まで来ておるわけであります。一人当たりの従業者の漁獲高を見ても、本土の四分の一、鹿児島県本土の三分の一というような低位な状況にあるわけでございます。ところがこの奄美群島の所得構造を今後よくして所得格差をなくすということも振興開発計画一つの目標なんですが、その観点から奄美の水産振興というのは非常に重要な意味を持つと思うのです。その水産振興の何といっても基盤となるのが漁港の整備だと思うのでありますが、その漁港の整備が一体どの程度どういう目標で行われておるかということについて、水産庁にお伺いをしたいと思います。
  121. 塩田洋三

    ○塩田説明員 奄美群島関係の漁港整備の関係でございますが、ただいま先生が申されましたように、奄美におきます水産業の問題点といたしましては、非常に天然礁に恵まれて漁場としては非常に潜在的な生産能力がある。にもかかわりませず、それが十分生産が上がっていないという点につきましては、基盤整備でございます漁港が十分でない、あるいは島内の消費力が弱いというようなこと、流通体制が整っていないというふうなことが原因でございます。奄美振興開発計画におきまして、水産業の振興というのが一つの柱として取り上げられておりますが、その中でも特に漁港整備につきましては大きな柱として推進してまいりたいということで、水産庁といたしましては、御承知のように、漁港整備につきましては四十八年から五カ年間の国会承認を得ました漁港整備計画がございます。その漁港整備計画の中に、四十八年から実は奄美の漁港整備計画を取り入れようということで計画を立てておったわけでございますが、奄美振興開発計画との関係で、一年見送りといいますか、結局四十九年から漁港整備計画の中に取り入れるということで、一年遅れました関係上、全体的な計画といたしまして、県からの御要望といたしましては三十五億ぐらいの御要望がございますが、一年遅れましたために、残念ながらちょうど四十九年、五十年という年が総需要抑制というふうな年に当たりました関係上、四十九年、五十年は、他の地域に比べましては多少努力いたしたつもりでございますけれども、先生御承知のように、絶対額といたしましてはそれほどのものではないということでございます。奄美の漁港整備につきましては、特別立法のございます五カ年間ということではなくて、その精神を踏まえまして漁港整備計画の中で今後とも伸ばしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  122. 保岡興治

    保岡委員 確かに漁港関係の予算は、振興特別措置法最終年度の四十八年度の予算が約八千万余りだったのがことしは三億三千万にふえて、また来年度四億七千万にふえて、従来の予算に比べると約六倍近い予算をいただくようになって、その重点を置いていただいている御努力には率直に地元でも感謝を申し上げております。しかしながら、たとえば奄美大島の基幹漁港の一つである大熊漁港も四年間で五億八千万の総事業費でやるのに対し、初年度のことしは約五千万しか予算措置ができない。あるいは来年度五十年度の予算で、大体この個所づけはこれから決まるわけですが、できても一億程度であるという予算の進捗状況を見ると、先ほどの港湾と同じように果たしてこの五カ年の間に目標達成できるのだろうかという率直な疑問が出てくるわけでございます。そういった意味で、今後漁港の関係はなお御努力を継続していただきたいと思うのですが、それにしても確かに好漁場が近くにある、こういうことでございますが、いまだにどうも明確な漁場調査あるいは資源調査というものもないように伺っておりますし、船や漁獲方法の充実や流通施設あるいは市場開拓という一連の総合的な施策があってこそ初めてこういった漁港が生きてくる、水産業の振興ということが図れると思うのですが、その総合的な計画作成というものがどういうふうになっているか、この点について伺いたいと思います。
  123. 塩田洋三

    ○塩田説明員 総合的な水産振興開発計画でございますが、先ほど私少し触れましたけれども、奄美群島振興開発計画といたしましては、まず南海漁場の基地及び沿岸漁業の根拠地として漁港の整備を重点といたしまして、あわせて恵まれておる漁場ではございますけれども、なお漁場の改良造成事業を進める。それに漁業技術の高度化といいますか、これは、新しいたてなわ漁業とかあるいは機械化、省力化が非常におくれておりますので、そういう関係のものを導入する。それに流通施設、これは先ほど申し上げましたが、本土との流通関係がございますので、コンテナによります本土との輸送というふうな点あるいは共販体制を強化いたしますために漁業協同組合を育成するというふうなこと、それに漁船の整備でございますが、漁船の整備といたしましては、現在鹿児島県で漁船のリース制度を実施いたしておりますが、その中で四十八年度は奄美に重点的に、まあ隻数としては非常に少のうございますが、重点的に県も実施しておるようでございます。四十九年、五十年におきましても、このリース制度の拡充、それから振興基金によります漁船建造の融資というふうな点を県としても充実したいということでございますし、そういうことで、まあそのほか恵まれた条件を生かしまして、栽培漁業といいますか、真珠養殖のマベガイの養殖とか、あるいはオキナワモズクの養殖というふうな点等を総合的に実施いたしたいということで、県単独事業といたしましても四十八年以来県といたしましても相当事業をやっておるようでございますし、国の方といたしましても第二次沿岸漁業構造改善事業といたしまして五十一年にこの地域を指定いたしたいというふうな考えでございますので、その五十一年の指定が終わりますと、一年間の調査計画を立てまして、その後計画的に事業を実施いたしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  124. 保岡興治

    保岡委員 いまのお話は確かに目標としてはいいのですけれども、その具体的な実施については、地元でも関係の人たちに聞きましても、どうも明確な、年次的にこの年はどういうことをするか、この年はどの程度のことをするかという施策の具体的な計画というものがほとんどまだ詰まってないような印象を受けるわけであります。いま課長の答えの第二次構造改善事業にしても、五十一年度で実験の指定をして、さらにその後検討を加えて五十三年度から具体的に実施する。国の場合にはそのように構造改善にしてもまだまだ先の話になっておるわけですね。そういうことやいろいろ考えると、これを思い切って推進するためには、県の方にもよく御指導願って総合的な計画を立てると同時に、それを具体化する施策についての計画と予算措置計画ですね、これを一度はっきり詰めていく必要があるというふうに強く感じます。したがって今後御努力をよろしくお願いを申し上げる次第です。  それから次に、国土庁局長さんにちょっとお伺いしておきたいのですが、もう一つの交通基盤整備である空港なんですが、奄美大島は五つの島に空港ができて、しかもそのうち二つについてはジェット化の方向でいろいろ検討を進めておる。多少用地の確保の問題その他障害もありますけれども、全体としては順調にいっておると地元でも感謝をしておるところであります。  しかしながら、私はもう一カ所、これはいままで何ら計画にも出ていないところでありますが、瀬戸内町の加計呂麻島あるいは瀬戸内町の本島か適当な土地があるそうでございますので、この空港建設をぜひ考えていただきたいと思うのでございます。というのは、喜界島にしても、すでに空港があるわけですが、これは名瀬から船で二時間半で行ける。小湊という港を整備して、漁港に指定されておりますが、こことの関係連絡をすれば約一時間で行き来できる。すでに今度建設が決まっている与論の空港にしても沖永良部空港から船で約一時間半行けば与論に着く。こういう地域にあって、なお空港に恵まれておる。ところが瀬戸内の方は、奄美空港から二時間半ぐらいかかるし、それも非常に現在のところ悪い道路を走らざるを得ないわけなんですけれども、この地域は二万二千のまとまった人口がおるわけで、喜界島の一万二千、与論島の約八千の人口に比べても、かなりその必要があるのじゃないだろうか。この地域はやはり空港でも持ってきて、思い切って施策を講じないと、せっかく自然を生かして観光開発をするにしても、いろいろな産業の振興を図るための力をつけていくにしても、やはりそういった何か思い切った交通基盤の整備をしないと、この地域はなかなか開発が進まないんじゃないだろうかという感じが強いのです。  そういった意味で、道路の整備はもちろんでありますけれども、ここに空港建設を思い切ってやはり計画にのせていただくような方向で検討していただけたらと思うのでございますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  125. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ただいまお話しの加計呂麻、古仁屋地区におけるところの空港建設問題でございますが、現在の振興計画にはもちろんのっておりません。それから県の方にそのような計画があるということも実は私まだいまの段階では聞いておりません。今度昇格いたしました国道が名瀬から——名瀬を通じまして古仁屋に至るわけでございまして、あれが改修されれば二時間半という距離は相当短縮できるのではないかと思います。ただ、しかし、あの地区の将来性をこれからどのような方向に持っていくかということ、それから他の離島との関係等もございましょう、いろいろな点から慎重に検討しなければならないと思います。そしてまた政府部内にもいろいろな意見があろうかと思いますので、関係各省とも相談してまいりたいと思います。
  126. 保岡興治

    保岡委員 慎重に検討をする必要があると思いますが、ひとつここで、この委員会でこの問題が出たことによってこの地域の人が希望を持ってこの地域の発展のために一生懸命努力するようなことができるきっかけになったと後で喜んでいただけるように、ひとつ鋭意努力を願いたいと思うのでございます。  それから、通信設備の整備ということが開発計画にも上がっておりまして、この地域はいわゆるNHKしか見れないという地域で、民間のテレビは復帰してから二十年ずっとなかったわけであります。お隣の沖繩があっただけに非常に島民としてさびしい思いをしていたのですが、今度国土庁並びに関係の方々の御努力によって民間テレビが見れるという予算措置ができた、こういうことで大変喜んでおるのです。したがって、この予算を実施するとどういうふうな時期にテレビが見れるようになるのか、その建設までどういう問題があるのか、その点について大臣にお伺いをしたいと思います。
  127. 金丸信

    金丸国務大臣 奄美群島における民放テレビ中継局設置については、昭和五十年度においては鹿児島市と奄美大島の中間に当たる中之島におけるテレビ中継局の設置と、奄美大島の名瀬市におけるテレビ中継局の局舎の建設を予定しており、奄美群島において民放テレびが放映されるのは昭和五十一年度の事業が実施された後となる見込みであります。  なお、昭和五十一年度以降、奄美大島の名瀬市、奄美大島南部徳之島、沖永良部島にテレビ中継局の設置が計画されており、順調に進捗すれば昭和五十三年度に完了する見込みであります。以上。
  128. 保岡興治

    保岡委員 大変ありがとうございます。私は来年すぐ見られるんじゃないかと思って期待しておったのですけれども、しかしながら、たいへんむずかしい懸案の問題が確実に一歩前進した、これでレールに乗って見られるようになるという意味で大変感謝を申し上げたいと思います。  それからもう一つ、ミカンコミバエの問題について農林省にお伺いしたいと思います。  これは、奄美群島は亜熱帯地域だということで、復帰に伴って奄美群島における有害の動植物の緊急防除に関する特例が設けられまして、いわゆる奄美の果実が本土に出荷できないという措置がとられたわけでございます。そういうことから、せっかく農業振興の一環として早期の花卉園芸というものに力を入れようという群島民の振興意欲というものを非常に阻害しておるわけです。  現在、薫蒸をしたものについて、一部だけ出荷が認められるということなんです。ところが、薫蒸を行う費用は生産者負担でありまして、御承知のとおり、奄美群島全体の生産について言えるのですが、輸送コストを負担して市場で他の地域と対抗しなければならない関係上、非常に苦しい条件下に置かれているわけですが、この花卉園芸の出荷については薫蒸が大きな負担になっておる。そこでこの薫蒸の解除ができないかどうか、簡単に農林省からお答えいただきたいと思います。
  129. 福田秀夫

    ○福田説明員 先生御指摘のとおり、奄美群島には本土に発生しておりませんミカンコミバエなど特殊な病害虫が発生しております。ミカンコミバエは柑橘等の重大な害虫ということで、国際的にもこの発生していない国は発生している国からのミカンコミバエのつく植物類の輸入を禁止いたしております。わが国もミカンコミバエの発生諸国から柑橘類など、この害虫がつく植物の輸入を原則として禁止いたしております。そういった観点からも、この害虫の本土への侵入を防ぐために、わが国内における発生地域からの物の移動につきましても制約を加えざるを得ないということでございます。御指摘のとおり、復帰当時移動を禁止しておったわけでございますが、薫蒸をすることによりましてこの移動を認めることができるであろうということから、農林省におきまして薫蒸技術の開発を急ぎまして、年々薫蒸可能な作物がふえてまいりまして、薫蒸を条件にいま移動を認めているというところでございます。したがいまして、薫蒸もやめるというわけにはまいらないかと思っております。
  130. 保岡興治

    保岡委員 これは県の農業試験場の大島支場でつくった資料によりますと、ミカンコミバエは平均気温が十度を下回る地方では永久的に定着している記録がない、鹿児島県の場合は大体最低平均気温が二・三度から五・七度Cで、鹿児島以北の地域では年間生存して定着することは不可能ではあるまいかというような問題提起もあるわけなんです。そうだとすると、これはかりに研究を十分しないでこのような薫蒸の措置をとらなければならないとすると、国が研究不足であるがゆえに群島民がいつまでたってもこの負担をしなければならないということで、この研究が十分なされているかどうか非常に問題だと思うのです。この研究が現在どういうふうになされているか、予算上の措置はどうなっているのか、これをお伺いしたいと思います。
  131. 福田秀夫

    ○福田説明員 ミカンコミバエが本土に定着し得るかし得ないかということでございますけれども、このことに関しましては一九六五年、昭和四十年に発表されました小泉、柴田両名による総括的な膨大な研究がございます。この研究によりますと、このミバエの卵とか幼虫とか、サナギは、本土の気温では実験によれば生きられないだろう、成虫は食物さえあれば生きられるであろうというような結論が出ております。その中で、この小泉、柴田の両氏は、しかしながらこれは大気候、気象庁が発表する大気候で比べた場合であるので、たとえば果物の中に生み込まれている卵、幼虫は、それが倉庫あるいはそうでないところでも積まれて置いてある場合の、そのミクロの気象はどうであるかということ、あるいはサナギは土の中でサナギになりますので、地下のそのサナギのいるところのミクロの気象がどうであるかということを考えると、本土に定着する危険があるというようなことを指摘しております。  それからまた、先ほども申し上げましたとおり、諸外国におきましてもミカンコミバエの発生していない国は、この害虫の侵入を非常に警戒して輸入の禁止措置をとっておりますが、それらの国の中にはニュージーランドだとかオーストラリアだとか韓国だとか温帯地方の国も幾つかございます。それらのことを考え合わせますと、やはり温帯地方でもこの害虫が定着する危険があると考えざる得ないではないかと考えております。  これがさらに詳しい研究をして、この辺をさらに究明するためには、この害虫の生態並びに生理の研究が必要かと思いますが、何分この害虫の研究をいたします場合には、この害虫が発生している地方でないとできないのでございますけれども、発生している地方には、農林省機関といたしましては、私どもの植物防疫所の名瀬出張所がございますし、それから研究機関としまして熱帯農業研究センターの石垣の支所がございます。それからまた地方自治体の研究機関としましては、鹿児島県及び沖繩県の研究機関があると思いますが、これらのところにおきましてミバエ類の生態並びに生理の研究は日夜行われておるわけでございます。  直接私どもが所管しております門司植物防疫所名瀬出張所につきましては四十八年度から施設並びに人員の拡充を行ったところでございまして、また国際的にはミバエの問題につきましてはハワイにアメリカ合衆国のミバエ研究所がございますが、私どもの職員、植物防疫官を昨年の秋、ミバエ研究所に留学させるなど、このミバエ類の生態並びに生理の研究を行っているところでございます。今後ともこれら内外の研究機関の間の連絡をさらに密にいたしまして、本土への定着の可能性についてさらに明らかにすると申しますか、不明の点は解明してまいりたいと考えております。
  132. 保岡興治

    保岡委員 まあ危険がある可能性があると言っても、いまのお話を聞いているともっといろいろ研究の必要があるのではないだろうか。私の承知している限りでは、地元でやらなければならないという御指摘だったのですけれども、地元でやっておる試験では非常に個人の努力に頼っている面があって、やはり思い切った予算上の裏づけがないと、この少数の人たちが徹底した実験をすることができない状況にあるように聞いております。そういうことで、もう少しこの研究を一生懸命できるような体制をとっていただきたいことと、やはり研究が終わる段階まで、場合によっては、あとで結果的に見ると過剰防衛であったという可能性もあるわけなんですね。そうすると、その間、この生産者にそういう薫蒸の重荷を負わせた責任ということも問題になってくる可能性もある。したがって、こういう隔絶外海離島で輸送コストを負担する上に、さらにこういうハンディキャップを負わなければならない島民に対しては、何らかの防除対策あるいは薫蒸費の助成、こういったものを国の方でやっていただく可能性についてやはり検討していただく必要があるんじゃないだろうか、このように思います。  さらに薫蒸処理によってまだ出せない果物もあると聞いておりますので、そういった研究がこういった薫蒸の方法につながって、さしあたりの措置としても生きてくるという可能性がありますので、ひとつ思い切って施策の充実を図っていただきたい、このように御要望を申し上げます。  それから、国土庁局長さんにお伺いをしたいのでございますけれども、奄美大島は非常に物価が高いのです。これは、本土の東京など非常に物価の高い地域と言われておりますけれども、この高い地域よりさらに指数の高い地域として奄美大島は統計が出ております。そういうことで、これは輸送コストをかけて物を買わなければならない事情がそうさせておるんではないだろうか。あるいは島内で消費する物が、生産性が非常に少ないために、できないために大量に本土で取ったものを逆に本土から移入しなければ需要が賄えないという、地元の産業の弱体化からくる要因とかいろいろあると思うのですが、非常に海岸線が長くて、いろんな特殊な地域がありますので、この物価調査はかなり大変だろうと思うのです。そこで前の国会でも御質問申し上げたところが、調査費等国土庁にある経常予算でも十分対処できると思うので、思い切って物価調査などをやってみたい、こういうお答えだったわけですが、それがその後どういうふうに進捗しておるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  133. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 奄美群島の物価調査につきましては、本年度経済企画庁から三百万円が調査委託費として支出されることになっておりまして、鹿児島県ではこれに同額を合わせまして六百万円の調査費でもちまして日本リサーチセンターというところへ委託しておるという状況でございます。  その調査の内容といたしましては五項目ばかりございますが、第一が生活物資等の需給構造の現状と問題点、第二が卸売業及び小売業の実態と問題点、第三が流通経路及び価格形成等の実態と問題点、第四が奄美大島における価格格差是正のために講ずべき施策の方向ということになっておりまして、特に本土から奄美大島へ移出しておる移出のウエートが大きい物品二十品目につきまして詳細な調査を行うということになっております。  調査期間は昨年の十月から開始しておりまして、本年三月までに報告書をまとめるということになっておりますので、われわれといたしましてはその報告書の結果を見まして対策をいろいろ検討してまいりたいと思っております。
  134. 保岡興治

    保岡委員 調査が順調に進んでるようで大変うれしく思いますが、地元ではこういう輸送費のハンディキャップというものは、いまの時代にその地域の人に負担させていいだろうかという疑問が出てきておるのです。たとえば本土であれば、国道とかあるいは国鉄とかいろいろ国の負担でかなり赤字になっておっても、財政負担その他で低廉に運賃を抑えてやる便宜が図られておるのに、たまたま海で隔てられているだけに、その航路については民間が船舶の運営を維持して民間ベースでやらざるを得ないというために、どうしても輸送費分の負担が、これを生産して物を売る立場にある場合も、消費するために物を買う場合にも、島民にとっては非常に圧迫の要因となってくる。しかも地域が所得が国民平均の所得に比べて半分そこそこの低所得に苦しんでいる地域だけに、やはりこの物価対策というのは非常に大きな意味を持っているわけなのでございます。そういった意味で、地元としては国鉄航路を開設してほしいとか、もう少し運賃を補助してほしいとか、何らかの国の助成を求める声が強いので、国土庁にも従前からその検討をお願いしておるところでございますが、きょうは時間がないのでお答えいただかなくてもけっこうでございますが、ひとつ十分この物価対策については御検討、施策推進をお願いを申し上げる次第でございます。  もう一点だけ振興開発基金について国土庁にお伺いしたいと思います。  この振興開発基金は保証業務をやっておりまして、これが信用条件の非常に悪い奄美大島では大変地元に喜ばれて重要視されているわけでございますが、この保証のもとになっている出資が、いわゆるガリオア、エロアのアメリカからの債権を譲渡されて、それをもとにしておる。この債権の回収が非常に順調に進んでいる間はよかったのですが、最近ではほぼ回収が不可能な状況になって、不良債権だけが残っておるという状況にあるわけです。そこで保証の枠の拡大に非常に困難になってまいりまして、保証枠が足りなくなってきたという厳しい状況に至っております。昨今不況が進みまして、保証の需要は伸びる一方であるのに枠がふやせないということでございますが、この保証への国の出資を確保しないと、この枠の拡大は非常にむずかしいだろうと思うのでございますけれども、この点についてどのように対処しておられるか、局長にお伺いしたいと思います。
  135. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 昨年の暮れ、非常に金融事情が切迫した関係もございまして、保証に対する要望が非常に強くなりまして、現在の枠内でまかない切れないというような事態になりかけたことがございます。したがいまして、政府といたしましては、関係省と相談いたしまして昨年の十二月に保証倍率を十二倍から十五倍に引き上げるという措置をとったわけでございます。このままでまいりますと、大体五十一年度まではいけるんではないかと一応われわれ見ております。ただしかし、この奄美の振興開発基金につきましては、先ほどもお話ございましたように、特にその保証業務につきまして原資がガリオア資金であるという関係で、回収不能の分をどうするかという大きな問題がございます。したがいまして、その処置をどうするかということをあわせまして、しかも特定の一地域だけにおけるところの保証業務でもございますので、将来どういう形に持っていくかということ、この基金の基本問題にかかわる問題でございますが、そういったことをひっくるめまして、ここ一、二年の間に何か結論を出したいということで、現在鹿児島当局はもとより、政府部内、特に大蔵省とも相談をしておるところでございますので、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
  136. 保岡興治

    保岡委員 これは一、二年というお話もございましたけれども、私はもう来年から思い切って根本的な対策を立てないと、いつまでも枠の拡大の手直し程度では追いつけないだろうと思っております。そういうことで、来年根本的な改正をするとすればすでに十分な検討を開始していかなければならないと思いますので、ひとりよろしくお願い申し上げます。  なお、融資の枠の拡大や融資条件の緩和、これは、先ほど申し上げたように、信用条件の非常に低い地域でございますので、これから産業を振興して所得格差の是正をやりたいという地域にとってはとても重要でございます。その点についてもお伺いしたいと思ったのでございますが、時間がありませんので、ぜひこういう点にも重点を置いて御努力をいただくことをお願い申し上げておきたいと思います。  これで質問を終わりますけれども、なお僻地医療の問題とかあるいは台風常襲地帯で干ばつ地帯の農業の問題、たった一つのキビ産業の振興の問題あるいは第二次産業として唯一の大島つむぎの問題等、離島として、どれ一つとってもそのハンディキャップに苦しむ島民の重要な問題ばかりでございます。そういった意味で、奄美に関する質問をしますと、大体こういったすべて一般の施策に外れる特別な問題が多いので、大変政府の方にも何かと御努力を賜らなければならない関係もあるわけですが、ひとつこの地域の方々が、国民として同じ文化水準あるいは生活水準を享受できるように、日本もここまで国力が伸びてきておりますので、ひとつこの地域の人たちが将来に明るい見通しの持てる計画推進していただけるように心からお願いを申し上げる次第です。特に大島つむぎについては、韓国で類似のものが生産されるということで、非常に労務賃が安い地域での生産で、ほとんど労働集約型の手づくりであるところに意味のあるこの種の産業は、安価な外国類似品が入ってくると非常に手痛い打撃を受けて長い間の伝統が消滅する可能性もあるということで、地元で大問題になっておるのでありますが、きょうはこの点についても聞きたかったのでございますけれども聞く時間がございませんので、専門の委員会でいろいろ質疑をしてみたいと思うのでございますが、ぜひ両大臣におかれまして、この大島つむぎの韓国問題、ひとつ覚えておいていただいて、またいろいろお願いすることもあると思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。  以上で終わります。大変ありがとうございました。(拍手)
  137. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会