○佐野(憲)
委員 応能というのは幾らが払える負担限界であるか、こういう中から応能が出てくるのだと思います。原価主義の中における応能じゃなくて。その点をもう少し趣旨をよく読んで考えてみなければならぬ問題があるのじゃないかと思うのですけれ
ども。それはそれとして、私は時間も何ですし、大臣の所信表明を
中心としての話で、具体的な問題は法案
審議その他の中で討議を深めさせていただきたいと思いますけれ
ども。
ただいま非常に地方財政が危機に直面しておる、こういう中におきまして、
建設省としても所管事項に対しまして見直さなければならぬ問題というのが非常に多くあるのじゃないか、こういうことを感ずるわけです。そういう中で、
一つは先ほどの問題とも関連いたしますけれ
ども、たとえば大
規模団地に対する関連公共公益施設、これに対する一番大きな問題として、新住法が登場してきたと思います。多摩ニュータウンが新住法の花形として出発いたしたときの皆さんの感激ぶりをいま思い起こしながら、困難な問題にぶつかっていることを実は残念に思うわけでありますけれ
ども、そうした中でやはり公共公益施設という問題が、単に
東京のニュータウンだけではなくて、新住法適用の三十数カ所ですか、みんな陥っている問題じゃなかろうかと思います。
一つは、ある町に参りますと、一万人の町に大体二百五十ヘクタール。これには六千戸、二万四千人の団地をつくる。
一つの新しい町をつくるようなものだと思います。新住法の中に五万
都市の建設もやられておるわけです。そうしますと、片方においては旧来の町があり、片方におきましては二万五千なら二万五千の人口を収容する、その場合におきましては、たとえば交通
機関が問題になってまいります。その交通
機関にいたしましても、新住法の場合は運輸大臣と協議をするということになっておる。これは、多摩ニュータウンの場合もそういう協議条項があっただろうと思います。そういうことがちっとも生かされていない。こういうところに、私はやはり
一つの問題があると思いますけれ
ども、先ほどの、新聞に出たバスの足のない問題にいたしましてもそうだと思います。新住法の場合におきまして、そういう問題がずいぶん出てきておると思います。しかも小学校を建てなければならない。一住区には小学校が
一つ必要だ。三住区だと三つだ。中学校は二つだ。高等学校は
一つだ。と同時に、保育所は一住区に対して四つくらい必要になってくる。児童公園もつくらなければならない。それに関連する
都市計画街路もやっていかなくちゃならない。旧来の町との間における
都市計画街路をつくらなければ、交通が
確保できない。こういう問題が出てくるでしょう。そうした場合におけるところの負担はどうだろうか。施行者がだれであろうとも、それは地元市町村が、公共公益
事業は負担していかなければならない、こういう規定になっておるわけですが、そういたしますと、ここで出てくる負担は一体どうするか。その場合に
建設省の皆さんのとられている、ちょうど国会におきましても、
昭和四十七年、小
委員会を設けまして、これらの問題に対するところの検討を進めたわけです。そして、一応決議として
政府にも申し入れをしたわけですけれ
ども、四十七年以来今日まで歩いてまいりました道を見てまいりましても、ちっとも問題は解決していないわけですね。
ただ、立てかえ
制度が少しは前進していっておるわけです。立てかえといっても、一万の町に小学校三つも新しくつくってくる。それを立てかえなければならない。
東京においてはストップを食ってしまう。だから、この三
大都市圏と言われるところにつきましては、たとえば住宅公団がやっている。
日本住宅公団がやる場合におきましては、拒否反応が出てまいりますと、どうも手がつかないということから、立てかえ払いの期間を延ばす。あるいは無利子の方法をもってくるというわけですね。しかし、それらのものが結局はまた宅地にたたき込まれていかざるを得ないということが、
日本住宅公団の悩みだろうと私は思います。
しかしながら、そうでなくて、その地方において三
大都市圏でないところで新住法の適用を受ける、このところは、
日本住宅公団にとられておる
措置と全然違った
措置がとられておるわけですね。同じ地方自治体であって、その同じ地方自治体の中で、首都圏の中においてもありますけれ
ども、たとえば
東京都がやっている、公社がやっている、この場合と、住宅公団がやっている場合との差別をいたしておるわけですね。結局は大蔵省なり皆さんの方の御
意見なりお聞きいたしますと、住宅公団はここしかないんだ、地方供給公社なり県施行なりの場合におきましては、その施行者がめんどうを見るべきだ。しかしながら、その施行者にいたしましても、たとえば県なら県にいたしましても、県議会に、
建設省の法律に基づいて大
規模団地を形成いたしました、ここに特に一般財源を投入します、こんな決議を求めたら、完全にこれは否決になってしまいますね。そうしますとどうするか。結局は地元町村の負担としてとにかくいま超過負担の問題も出てまいります。平常時における地方財政の中においても超過負担が問題になっているときに、新住法の中において建設される、それを地元が負担をしていかなくちゃならない、これは大変な財政の問題だと思う。本来やるべきものができ得ない。団地形成のために実は旧来の町は何もできない。借金だけがたまってくる。これでは団地お断りというのは私は当然じゃないかと思う。と同時に、国の
施策だから、新住法は、勤労者のために農民の土地を全面買収をして、強制買収までしてつくった団地だからりっぱに育ててやりたい、こういう気持ちを持って旧来の人たちがおっても、その団地と在来の
地域との間におけるところの連帯性なり融和なり、その
地域計画の中の位置づけなりというのは、全然やられないわけですね。生みっ放しという形になってしまう。これが地方財政のいまの危機の中で大きくこれからクローズアップしてくる問題だと私は思います。
そういう問題を心配したからこそ、国会に小
委員会を設けて
問題点を、新住担当の市長さんにも出席願ったり、住宅公団の皆さんにも出席願って
問題点を明らかにしたわけです。けれ
ども、これが解決されてきてない。もちろんあのときにおける私たちの決議と今日の
段階における情勢とは相当の変化をしてまいっておると思いますけれ
ども。
これに対して大臣、あまり私、話ばかりしておっても何ですから、ひとつ検討してもらいたいと思いますのは、こういうことが
一つ検討されないか。おそらく
日本の高度経済成長なり産業基盤造成のためにとられた
措置でありますけれ
ども、たとえば新産業
都市あるいは工業特別
開発地域、これに対する特別
措置法が生まれてまいりまして、やはり大きな財政問題が出てまいる。関連するところの住宅の問題、あるいはまた公共
道路、河川なりの問題が出てくる。あるいはまた教育施設の問題が出てくる。そういう問題にはたえられないという形で、産業基盤は前進していっても、背後にあるところの生活基盤というものはこれはもう立ち遅れてしまって大変な公害の発生なり環境の悪化が出てくるということから、新産
都市なりあるいはまた工特に対する財政援助に関する法律というのが生まれてまいったわけです。
この法律によりますと、そうした中で特定の生活基盤
関係の仕事に対しまして特定いたしますけれ
ども、県の場合におきましては、たとえばそれが後進
地域の場合は後進
地域に対する財政援助によるところのかさ上げ方式がありますから、県施行の特定の
事業に対しましては三分五厘以上のものに対する利子補給をやる、町村の担当すべき問題につきましては、公園なりいろいろありますね、こういう問題に対しましては、府県がとられたと同じような、性質は違いますけれ
ども、やはり
事業費のかさ上げというものを財政援助でとってきたわけです。これはちょうど
天野さんが、
委員長が、
災害対策においての激甚地
災害に対する財政負担の軽減などというようなことが当時参考となってとられたのだろうと思いますけれ
ども、そういうことを私があえて申し上げますのは、産業基盤育成のために新産業
都市というものを成功させたいという当時の情勢から生まれてきたにしても、やはり地方財政に対する圧迫を何とかして防ぎたいという趣旨があったと思います。それはあったとしても、先般の報告を伺いますと、産業基盤の方は相当進んでいるけれ
ども、生活基盤の方は四割か五割しかいってないという報告が出てきているわけでありますけれ
ども、それだけの
措置をとってもそうなんですけれ
ども、いわんやここに新しい住宅団地をつくる、大
規模団地をつくる、その場合に、その町村が管理しなくちゃならない、引き継がなくちゃならない、こういうものを列挙して、これが一般の財政のあるべき状態から見るとふえてきておる。そういうものに対するところのかさ上げ
措置というのは、
建設省の予算の中にもずいぶん出てまいっておりますね。そういう
措置がとれないかどうか。単なる他の
地域から補助率の引き上げというような形での問題が
一つの限界に来ているのじゃないか、私はそういうことも考えたので、ひとつ検討をしていただきたい。もちろんその他にもいろいろな問題ありますけれ
ども、地方財政の問題として
一つ指摘しておくわけです。
次に公園
関係の問題ですけれ
ども、公園は先般の緊急特別
措置法によりまして補助率の訂正もありましたけれ
ども、
現実的に見てまいりますと、用地費が三分の一、施設費が三分の一でありますけれ
ども、しかしこの内容を見てまいりますと、たとえば九千億円の全体
計画でありますが、全体
計画の中でもうすでに国庫補助対象
事業が四〇%、単独
事業が六〇%が含まれておるわけです。ですから、地方の負担ということを考えてまいりますと、実に八五%が地方負担になるわけです。だから
都市公園というものは、公共
事業としても
道路や河川に変わらない根幹的な町づくりの基礎だと思います。同じ
建設省の所管であって、公園に対しましては四〇%しか補助対象にしないんだ、六〇%は単独
事業として継ぎ足しをしろ。ですから財源的には八五%は地方が持つんだ。こういう中身というのは、大臣どうお考えになりますか。他の公共
事業と比較いたしまして八五%も地方財源に依存して公園
事業をやる、これが緊急
措置法の中身だという。どうですか。