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1975-02-14 第75回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十四日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 梶山 静六君 理事 唐沢俊二郎君    理事 服部 安司君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君       内海 英男君    大村 襄治君       中尾  宏君    野中 英二君       林  義郎君    三原 朝雄君       佐野 憲治君    阪上安太郎君       清水 徳松君    中村  茂君       瀬崎 博義君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁長官官房         会計課長    重元 良夫君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         建設政務次官  中村 弘海君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設大臣官房会         計課長     丸山 良仁君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         科学技術庁計画         局筑波研究学園         都市研究計画官 川村 恒明君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     今野  博君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     上野 誠朗君         参  考  人         (日本道路公団         副総裁)   尾之内由紀夫君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  鈴木 俊一君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)    山本 三郎君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事長) 三橋 信一君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  富樫 凱一君         参  考  人         (地域振興整備         公団総裁)   平田敬一郎君         参  考  人         (下水道事業セ         ンター理事長) 関盛 吉雄君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   三原 朝雄君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 二月十二日  道路台帳整備に関する陳情書  (  第一三号)  三角点整備に関する陳情書  (第  一四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  去る五日本委員会に付託されました内閣提出奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。金丸国土庁長官。      ————◇—————  奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  奄美群島につきましては、昭和四十九年六月に新たに策定された奄美群島振興開発計画に基づき、各種の事業を推進する等特別の措置を講ずることにより、その基盤整備地域の特性に即した産業の振興を図っているところであります。  昨年十一月、一般国道路線を指定する政令の一部改正により、奄美群島内にも一般国道路線が指定されることになりましたが、群島内の道路整備の推進を図るためには、奄美群島振興開発計画に基づく事業のうち一般国道新設改築または修繕に要する経費についても国の負担割合特例を定める必要があります。  以上が、本法律案を提案した理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  現在の奄美群島振興開発特別措置法におきましては、国の負担または補助の割合特例の対象となる道路は、県道及び市町村道に限られておりますが、これを、道路法第二条第一項に規定する道路に範囲を拡大し、一般国道新設改築または修繕に要する経費に対する国の負担割合についても十分の九以内とすることとしております。  なお、この法律は、本年四月一日から施行することとしております。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  4. 天野光晴

    天野委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  5. 天野光晴

    天野委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団から総裁南部哲也君、理事上野誠朗君、理事今野博君、日本道路公団総裁尾之内由紀夫君、首都高速道路公団理事長鈴木俊一君、水資源開発公団総裁山本三郎君、阪神高速道路公団理事長三橋信一君、本州四国連絡橋公団総裁富樫凱一君地域振興整備公団総裁平田敬一郎君及び下水道事業センター理事長関盛吉雄君に参考人として御出席を願い、御意見を徴することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  7. 天野光晴

    天野委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側義一君。
  8. 北側義一

    北側委員 まず建設大臣に伺ってまいりたいと思います。  建設大臣諮問機関であります住宅宅地審議会住宅部会が、昨年十月中間答申を発表したわけでありますが、その際、住宅のいわゆる憲法ともいわれる住宅基本法制定一つの重要な施策として上げておるわけであります。  一昨日中村委員に対する答弁建設大臣のお気持ちはよくわかったわけでありますが、去る二十八日わが党の竹入委員長が本会議代表質問において、この住宅基本法制定をするのかどうかという質問に対しまして、住宅基本法はつくる考えはありません、このように明確に答弁しておるわけなんです。ところが一昨日の建設大臣答弁では、十分検討いたします、こういう答弁があったわけでありますが、これは三木総理建設大臣答弁、食い違うわけですね。これはどちらが誤っているのですか、どちらが間違いなのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  9. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先日、中村委員にもお答えいたしましたが、私ども総理考えが違っておるとは思っておりません。総理の発言も、基本法は今国会には提案する考えはない、こういうふうに発言されたと私どもは解釈をいたしております。何さま質問が多岐にわたっておりまして、住宅省をどうするか、あるいはそういった問題を含めてのことですから、若干答弁がはっきりしなかった面もあったかもしれませんけれども、私どもは今国会には提案できない、こういう意味に発言したものと解釈してそういうふうに進めておるわけでありまして、したがいまして私どもは、審議会答申が出てきますから、その意思を十分に体しましてこの問題は検討を続けていきたい、こういう考え方を持っております。決して食い違っておりませんので、御了承願いたいと存じます。
  10. 北側義一

    北側委員 その問題について総理とお話し合いをされたのかどうか、その上でそう建設大臣がおっしゃっておられるのか、これはやはり非常に重要な問題じゃないかと思うのです。その点はどうでしょうか。
  11. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 別に、総理、あなたの答弁はいかがですかというふうに確認をいたしておりませんが、私どもはそういうふうに解釈いたしておりますので、もし北側先生、そういうふうに御懸念があるようでございましたら、一応総理とも会って、この意思を統一するということにいたします。
  12. 北側義一

    北側委員 今日までのわが国住宅政策というのは、いわゆる住宅建設計画によってなされてまいったわけでありますが、概して言うならば、これは戸数をいかに多く建てるか、このような戸数主義一辺倒と言われてもやむを得ないようないわゆる住宅建設計画であったわけであります。ところが、最近の状況を見ますと、地方自治体関連公共公益施設等超過負担、いろいろな問題で地方自治体公営住宅建設お断り、また公団住宅建設お断り、このようなことが方々で言われておるわけです。ましてや、ここ三年来、土地が非常に上がった、またマイホームを持つための資材というものが非常に高騰いたしております。そのような中で、建設省の方では一応一世帯住宅、こういうものはもうすでに達成されておる、このように言っておられるわけでありますが、しかし、この一世帯住宅というのは、いわゆる過小の小さなそういうアパート類も含めた一世帯住宅ではないか、このように私は考えておるわけであります。  このような観点から、人間が人間らしく住めるようなそういう住宅、こういうものを今後どうしても住宅政策の上で推し進めていかなければならないんじゃないか、このように思うのですが、実際の問題といたしまして、いまの第一期住宅建設五ヵ年計画、これは一応どうにかこうにか達成した。ところが第二期住宅五ヵ年計画を見ますと、これはやはり非常に落ち込んでおります。そこら、一体だれに責任があるのか、こういう点が明確になっておりません。そういう点で、いわゆる国の責任、また地方公共団体責任、また個人責任、こういうものをやはり明確にしなければいけないんじゃないか、このように思うわけです。また、建設資材高騰等によって、去年あたり見ますと少し民間自力建設の方も規模が小さくなってきておる。そういう面から、住宅規模とか環境、そういう条件等を考慮さすためにも、どうしてもこの住宅基本法というのは必要じゃないか、このように私自身は考えまして、またわが党はその問題につきまして本委員会住宅基本法を提出しておるような次第でございます。大臣は十分検討したい、このようにおっしゃっておられるわけでありますが、この住宅基本法制定するに当たって、何かこういう点がむずかしいんだというような点があるんでしょうか。
  13. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃいましたとおり、現在二千九百二十三万世帯に対しまして三千百六万戸住宅があるということになっておりますが、特に東京などを例にとって申し上げますと八十万戸以上の木賃アパートがあります。その中六十万戸は大体便所それから炊事場等が共用でございます。六軒に一軒は東京ではそういうふうなことが行われておるようでございまして、国民の皆さんの需要につきましては三五%の方が不満を持っていらっしゃって、しかも狭い、環境が悪い、設備が悪いということが中心でございます。先生おっしゃいましたとおり、いままではどっちかと申しますと量の方に重点を置いてきたということは間違いございません。理由は三つ四つございます。一つはやはり核家族化の進行でございますし、一つはベビーブームの名残ということでございますし、一つ大都市への人口の集中企業集中ということでございます。しかし、最近このような時代になりましたので、おっしゃいますように新しい住宅基本理念をうたうという意味で、中間報告の中では審議会の方からは、「住宅政策理念の統一と明確化、国、地方公共団体企業個人責任明確化及びそれらが果す役割の体系的、斉合的位置づけ、適正な居住水準及び住居費負担程度住宅供給計画策定住宅に関する諸統計整備等を含む」基本法制定するようなことを前向きに検討しろという中間の御報告をいただいております。まだ、本答申は六月ごろ出る予定でございますが、それまでの間にもっといろいろと充足されると思いますけれども、御答申が出ましたら、その趣旨に従いましてうんと前向きに検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  14. 北側義一

    北側委員 では次に、問題を変えて伺ってまいりますが、建設省では、昭和四十九年から昭和六十年までのいわゆる住宅及び宅地必要見通しを、この資料によって発表されておるわけですが、これはどのような状況になっておるか、それをお伺いしたいと思います。
  15. 山岡一男

    山岡政府委員 昭和六十年までの住宅建設戸数につきましては、建設省昭和四十七年の十二月に策定いたしました新国土建設長期計画構想の中で一応の試算を行っております。その際には昭和四十六年から六十年度までに三千万戸の住宅が必要だという推定をいたしております。その後、四十六年から六十年まででございましたので、四十九年までに建ちましたいろいろなものを除きますと、二千四百四十万戸という概算が出るわけでございます。宅地開発公団等でメモに使いましたのはその数字でございます。  ただ、これにつきましては、現在、政府全体としまして、昭和五十一年度を初年度とします新経済計画、第三次全国総会開発計画等策定作業が行われておりますので、全部見直すということになっておる次第でございます。
  16. 北側義一

    北側委員 見直しがあるにいたしましても、一応やはりこの新国土建設長期構想、これのいわゆる昭和四十九年度、それまでの分は省いた数字が二千四百四十万戸、こうなっておると思うのですが、そうしますと、やはりこの構想を達成するためにはいわゆる住宅投資が必要であろうと思うのですね。その住宅投資公的資金民間資金、このように分けまして、一体どの程度に見ておられるのか、これを伺いたいと思うのです。
  17. 山岡一男

    山岡政府委員 当時の見通しでは四十五年価格で百八十兆と見込んでおりましたが、これもやはり、先ほど申し上げましたように全体計画見直しという作業を進めておりますので、今後改定をいたしたいと考えておる次第でございます。
  18. 北側義一

    北側委員 見通しをされてどうなんですか、ふえるのですか。これは資材等高騰がありますので当然ふえてくると思うのですよ。その点どうですか。それとあわせて、公的、民間と分けたらこれはどうなりますか。
  19. 山岡一男

    山岡政府委員 前回の見通しの中では、公的、民間の区別を一応積算は内部でしておりましたけれども、全体としては設けておりません。  ただ、今後のふえるか減るかということでございますが、四十五年価格で百八十兆と言っておりましたので、当然今度新しい計画のときにはふえると思います。しかしどの程度ふえるかについては、先ほど申し上げましたように、現在フレームワーク検討をしている最中でございますので、いま直ちに推定申し上げられる段階ではございません。
  20. 北側義一

    北側委員 大体いままでの第一期、第二期の建設計画、これらから考えますと、これは大体六対四、こういう比率に今日まではなっているわけですね。そうしますと、ちょっと計算しますと、公的資金が大体七十二兆になりますね。民間資金が大体百八兆、こういう試算になってまいります。そうしますと、これを見直しされるということになりますと、やはりただいまの御答弁のとおり、この金額がまだふえてくるんじゃないか、こういういわゆる見通しが立つわけです。そうしますと、この民間自力建設について、この目標を達成していくためには、現在の住宅ローンのこういう現状ではとても私は目標は達成できないと思うのです。  大蔵省いかがですか。ただいまの目標必要戸数、これは一応見直しされるそうですか、いずれにしてもこれは減ることは恐らくないと思うのです。そうしますと、大体大蔵省として、この目標達成に対して毎年どの程度新規貸し出し住宅ローンが必要となってくるのか、そのような試算をなさったことはありますか。
  21. 宮本保孝

    宮本説明員 ただいま先生指摘の六十年までの数字でございますけれども、この点につきましては、われわれといたしましてはまだ建設省の方から御相談を受けておりませんので……。
  22. 北側義一

    北側委員 私なぜこのようなことを申し上げるかと言いますと、現在までの都銀地銀その他のいわゆる商業銀行関係、これらの住宅ローンではこういう数字は絶対達成されないということはいまは明確になっておるのです。だから、達成するためには達成するように、これは金がかかるのですから、そこらをやはり大蔵省建設省よく煮詰めてやっていただきたいと思うのです。そうしなければ幾ら計画構想を練ってもこれは何にもならぬわけですから。  だから、たとえばローン実態を一遍私ずっと申し上げましょうか。いまここに表を持っておりますが、この表は日銀経済統計月報及びブンデスバンク月報からとった資料なんです。  この資料によりますと、アメリカ西ドイツ日本住宅金融状況がここに詳しく書いてあるわけです。これは御存じだと思いますが、これなどから見ますと、わが国住宅金融というのは、国情が違うと言いましても、欧米に比較して非常に悪いわけです、おくれておる、これが実態じゃないかと思うのです。たとえば、日本における一九七三年三月末の住宅貸し付け残高の総貸し出しに占める割合が五・九%です。アメリカにおける一九七二年十二月末、日本統計とったのが約三カ月の違いがありますが、住宅貸し付け残高の総貸し出しに占める割合は四五・二%です。西ドイツにおける一九七二年十二月末の住宅貸し付け残高の総貸し出しに占める割合は三三%。このようになっておるわけです。  日本がなぜこのようにいわゆる民間住宅金融が悪いのか。これは住宅金融にうまみがないということです。どうしても回収のいわゆる期間の早い法人にその貸し出しの大半が行っておる、こういう実情から、このようないわゆる欧米に比較して、日本民間金融住宅金融に対する貸し出しが非常に落ち込んでおる、このように私見ておるわけです。これについて大蔵省はどう見ておられるんですか。
  23. 宮本保孝

    宮本説明員 確かに先生指摘のとおり、わが国の場合にはまだ住宅ローンの占めるシェアというのは非常に低うございます。この点につきましては、いままでの民間経済の発展の過程におきまして非常な特徴的なものもございますし、それからいろいろな金融市場メカニズム等もございまして、確かに低うございましたわけでございますけれども、今後住宅に対します需要と言いますか、住宅政策重要性が非常に叫ばれておりまして、国民住宅に対しますニーズも非常に強いわけでございます。そこで政策といたしましても、この住宅政策には非常に重点を置かなくちゃいけませんし、われわれ民間金融機関を監督いたしております立場からも、民間金融機関に対しまして十分これを指導していかなくちゃいけないということで、非常に実は力を入れているわけでございます。  ちなみに、いま先生指摘のように、現時点で欧米諸国に比べてまだ非常に低いわけでございますけれども、四十五年三月末で民間ローンを見ますとわずかに一兆でございました。それが四十九年の三月では六兆七千万まで高まってきております。それで、全体のローンシェアもいま申し上げました四十五年三月では、民間シェアは四六・九%というふうな数字でございましたが、四十九年三月のいまの六兆七千万の数字は七二・四%というように、ローンの中で占めますウエートも非常に民間ウエートが高まってきております。こういうことで非常に努力はいたしておるわけでございまして、今後ともこの点につきましては十分指導いたしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  24. 北側義一

    北側委員 消費者ローンの中で七二・四%、これは当然そうなんだろうと思うのです。大体、貯金する人はなぜ貯金をするか。貯金をするというのは大体マイホームを持つためですよ、一番多いのは。  あなたそうおっしゃるなら、一遍これももう一つ資料で言いましょうか。同じ日銀のこれは経済統計月報による数字です。  昭和四十九年三月末における都銀地銀相銀信金預金額及び貸し出し実態、これを見ますと、こうなっていますよ。昭和四十九年三月末、都銀地銀相銀信金のいわゆる法人その他の預金額は五十三兆二千六百六十三億円、個人預金額が四十三兆八千九百二十一億円、合計預金額総額がいわゆる四つの分が九十七兆一千五百八十四億円、こうなっております。それに対して貸し出し総額、大体法人に対して貸しておるのは七十五兆五千七百十三億円、それから個人に貸し付けておるのが七兆五千百六十六億円、そのうち住宅ローンは四兆二千三百六十五億円、この資料ではこうなっております。率から見ますと、個人から集めた金が預金総額の四五・二%なんです。ところが個人に貸し付けておるのはわずか九%、法人に貸し付けておるのは九一%になっておるんです。  個人の預けた預金、こういう人たちは自分が家をつくる、マイホームを持ちたいために一生懸命銀行預金なさる。その預金された金が法人に貸し出される。その法人はいろんな金に使うでしょう。中にはその法人昭和四十六年、四十七年、四十八年のあの土地騰貴のときに土地買い占める、大体そういう筋書きになっておるんです、じっと考えてみると。ということは、マイホームを持つために預けたお金が、銀行がそれを法人に貸し付けて、そうして買い占めを行ったりまた土地を騰貴させたり、ますますマイホームは離れていく。そうして預金は目減りしていく。これが実態なんです。  だから私、最初に建設大臣にお聞きしたのは、そういう点から考えてみましても、こちらの方の銀行関係長期構想のいわゆる新国土建設長期計画、この必要戸数をどうしても確保するためには、この民間ローンのあり方というものをもう一遍考えなければならない。その点、絶対これは達成される数字じゃないんです、私らから言わせたら。全く庶民の夢をむさぼり食い尽くしておるのは、銀行であり、そういう土地買い占めに走った法人なんです。一番悪いのは、こういう数字から見たってまず銀行です。全くこれはけしからぬです。庶民マイホームの夢を食い破っているのは、この数字から見ますと銀行と言わざるを得ない。こういう実情を、私は建設大臣によく知ってもらいたいと思うんです。きょうは大蔵省よりも建設大臣にこういう実態を聞いていただきたい。その上で、この住宅建設計画をもう一遍練り直していただきたいということです。そのために、あえてこういううるさい数字を引っ張り出しているわけです。  また、この問題とあわせていま一つ重要なことがあるんです。と申しますのは、今後の住宅政策にとって、現在の国民の傾向というのはどうしても自分の家を持ちたいという志向が非常に強いわけです。ところが、先ほどからずっと話しておりますとおり、現状のような住宅金融のあり方ではとても持ち家は不可能。住宅金融公庫あたりがすぐに貸付金がなくなってくるというのは、あれは五・五%ですか、金利が非常に安い。ところが都銀あたりの住宅ローンになりますと九・四六ですか。長期になれば九・六くらいになっていますね。こういう実態です。最近の状況を見ましても、土地高騰やそれから建設資材高騰、これらで自己資金だけではどうにもならない、家が建たない、これが実態です。昨年度を見ても三九%がダウンしておる、このように私聞いておるわけですが、どうしても借入金に依存してマイホーム建設しなければならない、こういう実態になっておるわけです。  一例を挙げますと、現在分譲マンションとか分譲住宅、こういう面で一番実質使われておるローンが一千万円のローンです。これを都銀から仮に借入して二十年でそのローンの返済をやってみよう、このように考えた場合に、一体どれくらいの返済額になるのか。毎月均等返済ですと九万三千八十四円になっております。毎月、二十年間。またこれを毎月均等返済とボーナス時の返済を併用いたしますと、一千万ですから五百万、五百万に分けましても毎月返済額が四万六千五百四十二円、ボーナス時の返済額が二十八万四千八百三十八円、これだけどうしても払わなければならない。しかもこれを二十年間払うわけです。普通言われておりますのは、税込み収入で二百万から三百万の人でローンの支払いができるのは大体三〇%、これぐらいが限度であろうと言われております。また、三百万以上の収入の多い人で大体三五%、それ以上は無理であろう、これは一般通常銀行あたりが言っておる数字です。そう見ますと、二十年間でこういう金を返済するなんということは、これは一般の人には不可能なことなんです、こんなことは。  だから、そのような点を考えますと、どうしてもここで先ほど申し上げました見直しされたとしても、二千四百四十万戸一応試算は出ておるわけです、四十九年から。これを建設するためには、やはり一千万戸近い民間自力建設に期待しなければならない。そのためには、どうしてもここを改善しなければ、とてもじゃないがこれはできないということです。これに対して建設大臣及び大蔵省考え方をお聞きしたいと思うんです。
  25. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話のとおり、住宅金融につきましては、長期である、それから低利である、それから小口であるということから、一般の企業金融に比べまして限界金融とわれわれは呼んでおります。確かに景気に左右されまして、一番先に締まる金融でございます。ただ、最近の実情を見ますと、昭和四十八年の貸し出し総額で見ますと、昭和四十七年よりも五七%ばかりふえております。さらに、四十九年は非常に下がったわけでございますが、大蔵省の御努力にもよりまして、四十九年の七月−九月期の貸し出し額は、やっと昨年の水準まで回復しております。今後も御指導いただくということで、当面住宅ローンは伸びていくだろうと思っております。  それは当面の問題でございますが、長期の問題といたしまして、われわれも、確かに今後もそういうぺースでいきますと、年率で二割ぐらいは今後民間住宅ローンがふえていかなければならぬのじゃないかという試算を、ひそかにいま検討中でございます。十分、そういうような点につきましても関係当局にもお話をいたしまして、資金の面でも整合のとれた五年計画にいたしたい、十分検討を続けてまいりたいと考えております。
  26. 北側義一

    北側委員 非常に、民間の借入金に負うところのいわゆる持ち家、これが多いわけでありますが、生保にしたって信託にしたって非常に利子が上がっております。昭和四十七年九月ごろから。四十七年九月で大体七・二%、現在が九・六%ですね。こういう高利ではとてもじゃないが、地価が高騰する、資材高騰する、そういう高利の金利では借入金は賄えないということです。そこらの問題を根本的に洗い直さなければ、私これからの住宅政策というものはあり得ないと思うんです。そこらの点をひとつ何とか建設省大蔵省詰めていただいて、解決していただきたいと思うんです。そうでなければ、どのような計画を立てても、これは達成不可能と初めからわかり切った話でありますので、その点よろしくお願い申し上げたいと思うんです。  ではまた次に問題を変えます。  一昨日、当委員会東京南多摩団地及び箕面の粟生団地の特別住宅債券積み立てによる分譲建設のおくれ、価格の大幅なアップ、これらで質問がなされたわけでありますが、あのやりとりを私聞いておりまして、私自身も納得のできない点が多々あったわけです。南多摩団地につきましては、中村委員が相当詳しく突っ込んで質問なさいましたので、私は大阪の箕面の粟生団地について伺ってまいりたい、このように思うのです。伺ってまいるに当たりまして、私が知っておる範囲の状況をここでずっと申し述べますので、間違っておったら間違っておるということを言っていただきたいわけです。  まず、応募期日が昭和四十七年五月、応募時の約束という話ですが、そのときには二年後に三DKで約五百七十九万円、三LDKで約七百十四万円、積立開始期日が昭和四十七年七月、積立金額が半年ごとに、三DKで約三万六千八百円、三LDKで約四万四千六百円ですか、積立完了が昭和四十九年一月。ところが、公団が昨年十一月下旬、こういう当初約束した分譲期日より約一年おくれて、なお価格についても三DKで五四%、三LDKで六一%、このようにアップすることを印刷物で通知してきた、こういう状況を私、聞いておるわけです。これに間違いないでしょうか。
  27. 上野誠朗

    上野参考人 積立額は三DKで百四十七万、三LDKで百七十八万七千円でございます。そのほかはおっしゃるとおりでございます。
  28. 北側義一

    北側委員 そうしますと、この一年おくれた原因というのがあると思うのですね。これは何ですか。
  29. 上野誠朗

    上野参考人 一年おくれましたのは、当初敷地造成の地元の市との協議、手続、その他で、地区外との関連もありましてそれに若干日にちを要しまして五カ月おくれました。それから建築工事に入りまして石油ショックによる資材不足のために約七カ月。両方合わせまして、当初四十九年の四月を私ども目標にいたしておりましたのが一年おくれました。ただそれは、当初のお約束いたしました優先譲渡期間の二ヵ年間のちょうど真ん中の時日ぐらいに結果的になったわけでございます。
  30. 北側義一

    北側委員 優先譲渡期間とおっしゃいますが、普通応募なさるときに、半年ごとにこれだけのお金を納めていただいたら約何年後には入居していただきますよというのが大体常識ですよ。そうでしょう。なるほどあなたの言うとおり、書類の譲渡期間ではそうなっておるかわかりませんよ。しかし、普通の状況としてはそういうわけにはいかぬと思うのですね。初めそういう約束があったから積み立てる方はそう信じておるのですよ、自分の家を持つために一生懸命相当な金を預金するわけですから。目標なしに預金する人なんかないのです。  そうしますと、大体これはいつ着工したのですか。
  31. 上野誠朗

    上野参考人 工事の発注は四十七年の三月でございます。それから建築工事の着工は四十八年の五月でございます。
  32. 北側義一

    北側委員 そうしますと、工期のおくれたのはいろいろな理由があることは私わかります。これはわかるのですが、工期のおくれたことによって価格が大幅にアップしたものなのか、そこらが非常に問題になるのですね。ましてやこれは金利のつく金でしょう。一年おくれたら金利というのはすごいものになってくるのですね。そういうものは全部積立者の方にしわ寄せがいかなければならないのかどうか、これは私非常に疑問になってくるわけです。これについてどう考えておられますか。
  33. 上野誠朗

    上野参考人 ちょうど積み立てが終わりまして住宅を譲渡するために工事をする期間にインフレに遭ったわけでございますが、もともと予定どおりやってもこのインフレには遭遇しておったわけでございますけれども、おっしゃるとおりそれがさらに一年おくれたためにその工事期間が長くなった、そのためにさらに値上がりしたということも事実でございまして、この工事のおくれについては、地元との交渉あるいは資材の手当て等でやむを得なかったとはいえ、私どもとしては非常に残念だ、こういうふうに存じております。
  34. 北側義一

    北側委員 最もけしからぬのは、この工期がおくれておる。入居者は、二年後に入居できるんじゃないか、こう思っておるわけです。これは一体いつ通知しましたか。通知なさったのは十一月でしょう。そうすると、それまでナシのつぶてで置いておいた。もうすでに昭和四十七年から債券を積み立てておるのですから、おくれとか価格変動するような状況を、説明会なり何らかの手だてをそれまでに打つ、これがやはり親切なやり方じゃないかと思うのです。それを昭和四十九年十一月になって初めて通知を出して、しかも大幅なアップ、これは納得できぬと思うのですよ。それはどう考えられますか。
  35. 上野誠朗

    上野参考人 価格を大幅に上げざるを得ないということをお知らせしたのは、おっしゃるとおり四十九年の十一月でございます。ただ、工事がおくれておりますので当初の四十九年四月の入居がむずかしいということは、四十八年の暮れごろに、大体年一回ぐらい積立者の方にいろいろな団地の進捗状況等をお知らせするパンフレットを出しておりますが、その中で、工事がおくれております。近く着工いたしますということをお知らせいたしております。
  36. 北側義一

    北側委員 では次に伺いますが、日本住宅公団が箕面粟生の場合債券積立者に出した通知によりますと——三LDKだけ取り上げましょう。応募時の予定価格大体が七百十四万円、それが一千百五十万円、約六一%のアップなんです。六一%は四百三十六万円のアップですね。ところが大阪府の住宅供給公社、これが大阪府内で同じようなものを近所に建てているのですよ。たとえば吹田市千里山の山田団地、これは応募期間が昭和四十八年三月、応募時の予定価格が八百三十万、着工が昭和四十八年五月です。着工したのは同じです。入居が五十年の四月、これは分譲価格が、八百三十万円が一一・三%上がって九百三十六万七千円になった。この千里山田団地といわゆる箕面粟生団地では、これは工事に入ったのは同じ月です。しかも、公団側は六一%、その家屋の形式も三LDK、場所的な面から見ても、この山田団地は決してそんな不便なところじゃないです。これは約一一・三%のアップです。同じく大阪の松原市にあります松原団地、これも大阪府住宅供給公社が建てた三LDKの団地です。これは応募時期が昭和四十七年十二月、予定価格が六百七十五万円、それが四十八年一月に着工しております。分譲価格が、六百七十五万円の予定価格が六百九十万円で分譲しております。これはアップ率二%です。予定より十五万円アップだけです。しかも、山田団地は十四階の高層です。このように見てみますと、公団建設した住宅と、大阪府住宅供給公社が同じような種類の三LDKを同じような時期に工事にかかって、なぜこのようにアップ率が違うのか、これは私はどうしても解せないのです。その点どうでしょうか。
  37. 上野誠朗

    上野参考人 河内松原団地、千里山田団地につきまして、大阪の供給公社に問い合わせまして、ただ、土地が幾ら、建物が幾らという内容が余りわかりませんけれども、私どもなりに分析いたしまして、公団の箕面粟生団地と比較をいたしまして、いま先生がおっしゃいますような相違がどうして出てくるか、ある程度推定をいたしてみました。  その結果で申しますと、まず千里山田団地は一戸当たりの敷地面積が約五十四平方メートルでございます。河内松原団地は二戸当たり約七十六平方メートルでございます。箕面粟生団地は、二戸当たり約百五十四平方メートルの敷地を使っております。千里山田団地は、ただいまおっしゃいましたように十四階建ての高層でございますので、それで千里ニュータウンの中のもうでき上がったブロックの中に恐らく建てたものと思われますので、非常に土地を有効に使っておるのだろうと思います。それから河内松原団地は、これは堺の方にある恐らく郊外的な団地だと思いますけれども、総戸数が百八十戸でございます。それで、非常に小じんまりした団地だろうと思います。ですから、いろいろな公共用地にそう敷地を割く必要がなかったのじゃなかろうか、したがって、同じ五階建てでございますけれども、一戸当たり七十六平米というようなことで非常に面積が少なくなっておる。一方箕面粟生団地は百五十四平方メートルも使いまして、それから粟生団地全体が二千三百五十戸の団地でございますので、道路、学校、排水その他のいろいろな公共公益施設を団地建設とあわせて整備することになっておりますので、それの方にも相当投資をいたしておりますので、そういうのが譲渡代金に入ってくる、そういったようなところが即価格自体が違う原因であり、それからなお、小じんまりした方が、まあそういう資材難のときでもわりあい資材の手当てがおくれるということがなく、うまく工事ができた、そのために工事がスムーズに進む、大きい箕面粟生の方は、資材の手当てに渋滞があって工事が延びた、そういうような結果が結局このアップ率の相違にあらわれてきたのじゃなかろうか、こういうふうに想像いたしております。
  38. 北側義一

    北側委員 いま言われたことなんですが、私は問題はアップ率が箕面粟生の場合六一%、着工時期は同じような時期なんですよ。そうして千里山田のほうが一一・三%、松原団地が二%、全然これはだれが見たって入る方で不審を抱きますよ。不審を抱くなと言う方が無理ですよ。  いまあなたの方でそういうあれを調べておられるのですが、私はちょっと資料要求をしたいのです。粟生団地の分譲価格の基礎となるいわゆる用地取得から始まった工事価格の明細書、いま一つ、大阪府住宅供給公社の千里山田団地、松原市の松原団地の分譲価格の基礎となる用地取得からの工事価格の明細書、この二つをいただけないでしょうか。
  39. 山岡一男

    山岡政府委員 公団資料は早速提出いたします。それから公社の方は私の方から連絡をとりまして提出するようにいたします。
  40. 北側義一

    北側委員 ありがとうございます。  特にこの箕面粟生団地につきましては、三月二十八日がいわゆる入居の日になっておるわけなのですね。そういう時期がちょうど三月末ということで、特に義務教育の子供を持った御両親等が、学校がかわる、そういう関係で、非常にそういう面も含めて入居をするのかしないのかという決断を下さないといかぬわけです。その時期が迫っておるわけです。時期があったらいいのですが、時期がありませんので、だから何とかこの問題は、ここ早急に債券を積み立てた人が決断できるような、そういう話し合いなり何かやらなければ、これはどうにもならない問題になってきておるのです。そこらについては一体今後どうなさるのか、それを伺っておきたいものです。
  41. 上野誠朗

    上野参考人 三月二十八日が契約予定日でございますが、それを目標にいたしまして、積極的に十分納得がいただけるような説明を続行するつもりでございます。昨日も支社の計画部長を東京に呼びまして、その辺の打ち合わせも十分いたしてまして昨夜帰りましたので、ともかくその予定日までに十分御納得がいただけるような説明をいたすように努力をいたします。
  42. 北側義一

    北側委員 また、仮に積み立てた人が、もう今後やはり年齢的にいってもこれだけのあと残金を払えない、また収入の面からとてもこれだけ上がったのでは払えない、そういう人が出た場合に、その積み立てた債券のお金はどうなるのですか。これはいつ返済して、どういう利子がつくのですか。
  43. 上野誠朗

    上野参考人 積み立てました債券は、住宅の譲渡契約をしたときに公団が買い入れる、あるいは譲渡契約しない場合は満期になるまで持っておっていただくというのが原則でございます。ただ、今回のように、こういうような物価の変動のために計画を変更して、住宅の譲渡契約はもう辞退するというような場合の、その時点における買い入れについては、そういうことができるように検討いたしたいと思っております。
  44. 北側義一

    北側委員 ちょっとわからないのですが、満期になるまでにも、こういう変動が大きかったのだから、そういうお断りになる人についてはすぐお返しします、利子をつけてお返ししますということですか。そう受け取っていいのですね。
  45. 上野誠朗

    上野参考人 辞退をしたその時点で、満期になる前において、債券に書いてあります利息をつけて買い入れをいたす、そういう意味でございます。
  46. 北側義一

    北側委員 資料をいただいたのですが、これは理由があるのでしょうが、あとの残金の支払い方法等についても、私この間中村さんの質問を聞いておりました時点と、これを見まして支払いの金利が違いますね。中村さんの質問のあの南多摩の場合は、これで納得はなさっておられませんよ。おられませんが、こう違うのかというので私はこれを見ておったわけです。また、公共施設の金がかかる、こうおっしゃっておられるわけですが、それはやはり場所が悪いということですよ、言いかえれば。建てておる場所が悪いということですよ、府の供給公社よりは。これは、そう受け取らざるを得ないですね。これも時間がないので次に進みますので、これでやめますが、もう入居期日が迫っておりますので、どういう解決方法をなさるのか、いまここで言えといったってなかなか言えない問題かもわかりませんので、これは理事会でいろいろ検討するとおっしゃっておられましたが、三月二十八日の期限があるのですから、その点ひとつ何とか納得なさってうまく解決できるようにやっていただきたいと思うのです。  先ほど要求い化しました資料については、お願いしたいと思います。  ではもう時間がありませんので、国土庁長官にお伺いします。  先般、国土庁が発表いたしました五十年の公示地価の動向速報、これでも明らかになりましたが、全国的に地価が鎮静してきておる、これは今日までの総需要抑制政策及び十二月二十四日に施行されました国土利用計画法、これらとあわせて土地税制、こういうものが絡んでこのようになってきた、このように私は思うのですが、しかし最近、産業界あたりでこういう不況対策に対して金融の引き締めの緩和をしてもらいたい、こういう要望が非常に強く出てきておるわけです。また、宅地需要というのは非常に要望が根強いものがありますので、景気が回復された場合にまた地価が高騰するんじゃないか、そういう非常に心配をしておると思うのですが、それに対する具体策、これをどのように国土庁では考えておられるのか、それをまず伺いたいと思います。
  47. 金丸信

    金丸国務大臣 北側先生がおっしゃるように、総需要抑制、金融引き締め、また昨年国会におきまして議員立法でつくられました国土利用計画法という、私はこの法律があずかって力がある、それが今日の土地の鎮静をしておる最大の要因でもあろうと思うわけでありますが、いつの日かこれがまた上がるというようなことになっては、いままでの苦労というものも水のあわということになるわけでありまして、土地価格の定着化ということを考えなければならない。そういう意味で国土計画法の適確な運用をやらなければならぬということでございますが、実は私もただいま先生からお話がありましたように、金融の緩和というような問題あるいは景気刺激策というようなことで、金融の引き締めというものが幾分緩んできたとき、土地価格に及ぼす影響というようなことを考えまして、本日の閣議においてこの申し入れをいたしたわけであります。適確な運用をしながら、また地方自治体とも十分緊密な連絡をとりつつ、仮に土地が上がるというような場合につきましては、所定の法に従いまして網をかぶせていくというようなことも考えなければならぬ。  なお、詳細につきましては政府委員から御答弁をいたします。
  48. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 お答えいたします。  ただいま長官から御答弁のありましたとおりでございまして、今朝の閣議におきましても、当面の金融財政政策検討に当たりまして、地価に対する影響を十分留意してもらいたい、特に金融の緩和に関しましては、土地需要の緊要度等を十分に勘案いたしまして、不要不急の土地取得を新たに喚起するというようなことのないよう取り計らわれるよう措置することを要望申し上げたところでございます。  また、国土利用計画法の中では、土地投機の激しいような場合あるいは地価上昇の著しいような場合に規制区域を指定するという制度も設けられておりますので、今後の地価動向を厳重に監視をいたしまして、必要な場合にはその措置を都道府県知事がとるよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  49. 北側義一

    北側委員 では、その点ひとつよろしくお願いをしたい。というのは、金融機関が不動産業界に貸しておるいわゆる貸付金額というのは、パーセントから見ますと、総貸し出しに対してそう減ってないですよ。きょうは時間がありませんのでやりませんが、余り減っていません。そういう点をがっちり締めなければ、土地というものは、国土利用計画法はあっても、やっぱり需要が強いだけに、また絶対に管理しやすい、買っても絶対に損しないとわかったら、またぱあっと買いに走りますからね、そこらの点よくお願いしたいと思うのです。  それから、現在都道府県で遊休地の調査をやっておられるようですが、昭和五十年度の予算案の遊休土地買い上げ資金を見ますと、地方債で四百八十億円、金利が九%、こういう状況ですね。そうしますと、現在の地方自治体というのは、御存じのとおり、財政が非常に逼迫しておる。遊休地はもうのどから手が出るほど欲しいが、財政的に苦しくて買い上げができない、こういう状況ではないか、このように私は思っておるのですが、いまのように地価が上がらない場合はいいと思うのですよ、鎮静しておる間は、下がりぎみのときは。上がりかけたときには、何らかの手を打たなければ遊休地の買い上げもできないのじゃないか、こういう考え方を私は持っておるのですが、その点どうでしょうか。
  50. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 先生質問のとおりでございまして、四百八十億という予算を来年度の地方債計画として組んでおります。しかし、自治省の方と相談いたしております過程で、四百八十億円で足らない場合につきましては、弾力的に対応しようという話し合いになっております。ただ、私ども国土庁といたしましては、現在のような価格の一般的な低落傾向のもとで、企業からの土地の買い取り申し込みも非常に多いという段階でございますので、下手な買い進みをやりますと、高値で買ってしまう結果にもなりかねないし、また買い支えというような批判を受けないとも言えないというようなこともございまして、その点十分に注意をいたしまして、公的な使用計画が確実なもの、しかも急ぐものということに重点を置きまして、起債の承認を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  先生の御質問は、恐らくは金利の点、これが地方財政の負担を相当増すのじゃないか、圧迫するじゃないかというような点だと思います。実は全国知事会議等からも、そういう点につきまして問題の指摘があるわけでございますが、ただいま申し上げましたようなことで、民間の遊休地等を買い上げる場合に、緊要度に応じて、なるべく最近のうちに学校用地等に使用するものに限定をいたしまして起債の承認方針をとる予定でございますので、その金利負担の期間もおそらくはそう長くはないと思いますので、現在の姿でしばらく運用させていただきたいというふうに考えております。
  51. 北側義一

    北側委員 そのほかいろいろな問題があるのですが、もう時間がないようですからこれで終ります。新井さんが水曜日にやりますので、あとはそのときにやっていただこうと思うのですが、いずれにいたしましても、対応策を考えていただきたいと思うのです。いま局長の言われたこともよくわかるわけです。一応対応策を、そういう地価が急騰のおそれがある場合にはすぐ対応策の手が打てる、こういうことをやっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  52. 天野光晴

    天野委員長 渡辺武三君。
  53. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設大臣にお尋ねいたしますが、本年度の予算案が、いわば社会保障そのものを重点にした、あるいはインフレの抑制というものに非常に強く意を用いて予算編成が行われた。したがって、予算そのものがいわばことし限りの短期的な視野で組まれておる、五十年代の出発点という問題意識が欠けておるんではないか、こういう実は批判があるわけでございますが、このような批判に対して、まず建設大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  54. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 五十年度建設省関係予算は、御承知のように公共事業が主でありますから、総需要抑制という一つの命題のもとにかなり圧縮されたことは御承知のとおりであります。その中でも、住宅宅地あるいは下水とか生活道とかいったものについては、かなりウエートを置いて予算の獲得をいたしたわけでございます。そういう意味で、私どもは従来の予算編成の考え方から、いわゆる国民の生活基盤、環境整備のために重点を置いたというふうに思っておるわけであります。ただ、建設省関係のいろいろな長期計画は五十年度が大体最終年度ということになっておりまして、五十一年度から新長期計画に基づいて出発しようという考え方もありますので、たとえば住宅等のごときは五十年度で第二期のものを一応結末をつけて、そして、新年度から、五十一年度を初年度とする五ヵ年計画から再出発をしよう、下水もそのとおりでありますし、あるいは公園等の整備の問題もそのとおりでありまして、そういう形で、一応五十年度を一つの区切りとしてけじめをつけようという形のものになっておることが一面あることは事実であります。
  55. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 確かにある面では幾分かの増額がなされておるのでございますが、御承知のように、物価の上昇がきわめて高率であったために、いわばそのようなインフレの後追い的な予算にとどまっておるのではないか。その中でも重点を置いたというふうに所信表明の中でもお述べになっておりますけれども、果たして金額的に増加をしておることが、いわば従来方針を是正して社会資本の充実のために重点を置いたと言えるのかどうか、この辺、私きわめて疑問があろうかと思います。もちろん、この不況の克服というのは、これは至上命令でございますから、総需要抑制政策がとられるということは当然でございますけれども、しかし、これが相当長期にわたりますと、いまもやはり社会現象として出ております倒産とか失業という問題、こういう問題が出てまいりまして、産業基盤そのものが揺らぐというようなことになりかねないわけでございます。したがいまして、ある程度のいわば将来への拡大の種というものがまかれていなければならないのではないか。たまたま計画終了年度が五十年度だから、五十一年度から考えればというようなお考えのようでございますが、そのような、いわばきちっとした区切りをつけた状態で建設行政というものが果たしてできるのかどうか、この辺も私若干疑問があるわけでございます。したがって、そういうような観点からいたしますと、今回の建設省の予算というものは、一体そういう考え方が本当に反映されているであろうかどうか、大変疑問に思うわけですが、大臣のお考え方をお聞きしておきたいと思います。
  56. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 いろいろ見方にもよろうかと思うのですが、率直に言って、総需要抑制で非常に大きく圧縮されたことは事実でありますし、その中においても、前段申し上げたようなものについては、私ども、特に三木内閣の一つの大きな方針でもありますものですから、かなり予算面では重点を置いたと思っております。これは、しかし、圧縮されたものと比較してのことでありまして、全体から申し上げまして、仮に国民の前に、りっぱにこれだけできましたと言って自慢するほどのものだとは思っておりません。おりませんけれども、ああいう事態の中で私どもは最善を尽くしたものだ、かように思っております。  ただ、将来の展望がないではないかというふうなお話のようでありますけれども住宅にしましても、一応けじめはつけるけれども、今年の住宅対策についても、過去ずっと、たとえば四十九年度の実績をずっと振り返ってみて、どこに隘路があったかという問題を検討して、その隘路打開のための施策というものは五十年度にもある程度盛られておると思っておりますし、あるいは河川やその他の問題にいたしましても、予算そのものに伸びはなくとも、新しい制度の芽というものは私どもは出しておりまして、その芽を将来大きく育てていくための努力はしなければならぬ、それだけの基盤はつくってある、そういうふうな考え方を実は持っておるわけでありまして、具体的なお示しをいただきますならば、またいろいろとお答え申し上げたいと存じます。
  57. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それではひとつ具体的な問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、たとえば大臣の所信表明の中で、住宅についていろいろ申し述べられております。つまり、よりよい住まいを求める国民の要求にこたえて、そして住宅事情の改善を図ることが現下緊急の課題だ、こういうふうに申されておるわけでございますが、本当にこのような気持ちで特段の配慮が払われたかどうかということについては、これまた疑問があるわけでございまして、公的住宅規模の拡大、さらには建設単価の適正化、金融公庫の貸付限度の引き上げ、こういうことをやってそういう気持ちをあらわしておるんだ、こういうことをおっしゃりたいんだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、いまの物価上昇というのは非常に高率でございまして、いわば従来に比較して建設コストそのものが大幅な上昇をいたしておるのではないか、そう考えていきますと、インフレそのもののいわば後追い的な予算、こういうことが言えるのではないであろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  たとえば金融公庫の貸付限度額を見てまいりましても、対象戸数が十六万六千戸から十九万一千戸というふうに、予算上は実は増加をいたしておるわけでございます。しかしながら、この金融公庫の貸し付け対象戸数というものは、昨年度、十月に約五万五千戸、さらに一月十日に年度内において三万戸分の追加融資というものが決定をされておるわけでございます。したがってこれらを総トータルをいたしますと、実は昨年度の対象戸数よりも実質的には大幅に減額をされておる、こういうふうに言えるわけでございますが、単純に当初予算の数値のみを比較をされて、これで増加をしておるんだ、こういうふうにおっしゃっておるわけでございますが、この辺の具体的な事実について一体国民の皆様方にどういうふうに説明をして理解を得たらいいのか、大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
  58. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 規模、単価の問題はもう御承知のとおりでありまして、単価にもいろいろ問題はありましょうけれども、四十九年度は前年度から四七%ほど引き上げ、途中で一六・七%ほどの単価引き上げをやりまして、大体公営関係ではそれで地方の超過負担は恐らく大してなしに基準のものはできるんではないか、こういうめどを私どもは立てたわけで、もちろん十分とは考えておりません。規模の問題も十分ではありませんけれども、拡大していこうという考え方で予算編成もいたしたことは事実であります。  金融関係の問題で住宅金融公庫のお話がありましたが、それは数字を示せばそのとおりであります。昨年の当初予算十六万六千戸、その中で個人が十五万戸でして、それを途中で締め切ってみますと七万戸ほど超過をして二十二万戸になった。その分を手当てをして、さらに足りなくて、今年に入りましてから五万戸受け付けて三万戸の分の予算計上ということになりますから、そういうのをトータルしてみますと、確かに四十九年度と五十年度と比較しますと数は減っていることは間違いございません。ただ御承知のように、予算編成の中で大蔵省といろいろ折衝をいたしたわけでありますが、私ども昨年の場合も当初は十六万六千戸で出発をしましたが、これは途中で必要に応じて弾力条項を適用するということにもなってそういうふうなことをやったわけでありますから、本年も当初予算はそういう形にはなっておりますけれども、年度途中においてさらに金融公庫の要求等が非常に大きくなってきて、そのことが必要だということになれば、これは四一九年度と同じように大蔵省と十分予算折衝をしてさらに枠の拡大を図っていく。こういう問題については大蔵省の方とも私ども一応了解をつけておるわけでありますから、まず当初の出発はこれでいこうという形でありまして、確かに数字から推しますと四十九年度よりは減っておることは間違いございません。
  59. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 基本方向で述べておられます気持ちが具体的な予算案としてあらわれていないんではないか、こういうふうに私はいまの御説明によってもその疑いは払拭し切れない。補正予算でまた云々というようなことがありますけれども、補正予算というものは緊急的に起こってくる問題について対処をしていくのであって、長期的な展望に立っての気持ちが決まっておれば当然それらが当初予算に反映をされてこなければいけないんではないか、そう思いますし、さらにその内容についても私は大きな問題がある。たとえば五万五千戸分の追加融資が決定をされました。これがたちまちのうちに締め切られたということは、いかに住宅不足の現象が深刻であるかということを物語っておるわけでございますが、それと同時に、この追加融資である五万五千戸分はたちまち締め切りになってしまったけれども、実際には個人向け融資というものは非常に少なかった、大体において企業が独占をしてしまったのではないか、こういうふうに言われておるわけですが、その辺の実態大臣は御存じでしょうか。
  60. 山岡一男

    山岡政府委員 現在公庫の受け付け分につきまして精査中でございますけれども、昨年の暮れ、七万戸分を追加いたしましたときまでのプレハブ率は一八%でございました。その後の状況につきましては、現在精査中でございますが、それよりも下がるような見込みでございます。  それから、先ほどの大臣のお話ございましたけれども、確かに前年度の金融公庫は全部足しますと二十四、五万戸になるわけでございます。ただそのうち二千六百六十七億というのは弾力条項を発動いたしたものでございます。本年度も弾力条項は予算総則に載っておりまして、ついております予算の五〇%までは年内に弾力的に運用できるというのが総則に入っております。大臣が申されましたのはそういう趣旨であったと思います。
  61. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 答弁漏れの件について答弁してください。
  62. 山岡一男

    山岡政府委員 ただいまプレハブということを申し上げましたが、それでは間違いでしょうか。余り大手かどうかということにつきまして、個人住宅でございますのでそこまでの分類をいたしておりませんで、プレハブの業者とそれ以外というふうに分けて統計をとったわけでございます。
  63. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私の質問をいたしましたのは、その五万五千戸分の追加融資というものがたちまち締め切られてしまったけれども、しかしそれは実態的に見ると個人融資はほとんどなかったのではないか、大部分が企業に持っていかれてしまった、こういうふうな情勢があるけれども、その辺はどうなっておるかということを御質問しているわけです。
  64. 山岡一男

    山岡政府委員 その辺の細目につきましては、まだ精査したものはございません。ただ、非常に取引の多い銀行がございます。そういうところの主な銀行を抽出いたしまして、どの程度そういうものがあるかというのを調べましたが、現在のところ一六、七%ということでございます。四万七千戸分のうち大部分は個人でございます。
  65. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それは正確な数値をひとつ後で提出をしてください。
  66. 山岡一男

    山岡政府委員 提出いたします。
  67. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私ども調査では、どうもそんな状態ではないようでございまして、非常に企業融資が多くなっておる。したがって、それにはやはり申し込みの方法だとか手続とかいうようなものが不備があるのではないだろうか。せっかく個人向けとしてのその融資額が、それとは違った方向に流れてしまうという、これは後で調査をしていただきますが、そういうおそれがあるわけですから、そういうことのないようにやはりこの申し込みの方法なりあるいは手続なり、もう少し整備見直してみなければいけないのではないか、こう思うわけですが、その辺はいかがでございましょうか。
  68. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 個人の持ち家住宅の要望が非常に強いので、その要望にこたえて金融公庫の融資を考えたわけでありますから、それは当然個人融資になるべきはずであって、それが大手に流れるというようなことを私どもは常識で考えておらないのです。ただ大手業者、プレハブ業者が、何と申しますか、事業シェアを確保するといった面で動きのあったことは事実でありまして、これはむしろ逆に抑えてやって、中小建材業者とかあるいは本当に小規模の零細業者がありますから、そういう人々を優先して考えるべきだ、それに重点を置いて集中すべきだということで、むしろ私どもその方を強力にいたしたくらいでありますから、どうも大手業者に個人住宅が全部流れたといった面についてはいささか私ども質問の趣旨もわかりかねる面がありますから、よく調査をいたしまして御報告をいたします。
  69. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 一般の金融情勢から見まして、いわば住宅建設に対する融資というのが非常に極度に締められておった。したがっていままで市中銀行から借り受けておった企業住宅金融公庫の融資を受けようとして殺到をしておることも事実でございますから、その辺の実態はひとつ十分に調査をしていただきたいと思います。  さらにこの個人向けの貸付限度ですね、これは毎年問題になるわけでございますが、今度の新年度予算では一体坪当たりどのくらいの単価になるのでございましょうか、貸付限度額は。
  70. 山岡一男

    山岡政府委員 一平方メートル当たり単価で十万七千円、端数が七百九十円ついておりますが、見込んでおります。坪にいたしますと約三十二万円ぐらいになります。
  71. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 規模的に見まして、じゃどの程度の家が建つわけですか。
  72. 山岡一男

    山岡政府委員 大体見込んでおりますのは九十二平方メートルを予算上見込んでおります。実際の貸し付けを行っております本年度の実績はいずれも九十平方メートルを超えておりまして、地方におきましては百平方メートルぐらいのものに貸し付けておるのが実情でございます。
  73. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 じゃあ端的にお聞きしましょう。  普通の状態で標準的な規模を持った住宅で、住宅金融公庫から融資を受ける金額で、その家の建築費の何割程度を満たすことができるか。
  74. 山岡一男

    山岡政府委員 五十年度では、建築面積九十二平方メートル、それにいま申し上げました単価を掛けますと、戸当たりで約一千万になります、九百九十二万円ということになります。公庫融資額がそれに対して四百五十万円、全体から言いますとパーセントで約四五・四%ぐらいになりはしないかと思っております。  ちなみに、四十九年度の公庫で借りられた方の昨年十二月までのものの集計によりますと、一戸当たりが七百二十五万円ということになっております。公庫の平均貸し出し額が約二百八十万、これは全国ベースの平均でございます。そのときの構成率は、公庫融資が三八・三%ということでございます。
  75. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 全体の五割にも満たないし、現実の問題として建築費がそれで全部済むというふうには私ども理解できない。そうしますと、実質的には融資限度額というものが引き上げられたにもかかわらず現実には三〇%程度の補完しかできないんではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけです。したがって、本来金融公庫法等の法の趣旨は、そうではなくて、もっと高率でその融資がなされなければならないはずでございます。これは毎年問題になっておることでございますが、建設大臣その他も、その都度、そのように努力をしていくという答弁をいままでなさっておるわけでございます。ことしは数値の上ではある程度増額をされたというふうに見ましても、先ほどから何回も言っておりますように、異常な物価上昇のために実はその数字がまともに受け取れない情勢があるということでございます。したがって、そういう面については今後一体どうしていかれるのか、法の趣旨には私はまだまだ非常に遠いんではないか、こう思うわけですが、その辺はいかがでございましょうか。
  76. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃいますとおり、われわれもこれで十分だとは思っておりません。今後とも努力をいたしたいと思います。  ただ、公庫が発足いたしましてから昭和四十六年までは、大都市の木造で大体九十五万円で推移しておりました。四十七年に百五十万円、四十八年に二百五十万円、四十九年に三百五十万円とだんだん上げてまいりまして、ことしも百万円しか上がらなかったわけでございますけれども、今後一層の努力をして、この金額をふやすように努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  77. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 法の趣旨に合致するような方向で、一体いつごろまでにその法の趣旨に合致するような方向の実現を図りたいとお考えでしょうか。
  78. 山岡一男

    山岡政府委員 端的に申しまして、来年からというようなことはどうも申されないような状況でございます。ただ、できる限り早くという答弁になろうかと思います。
  79. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣がお忙しいようですから、大臣質問をする事項を先に済ましてしまいたいと思います。  御承知のように、私これは前にも指摘をいたしましたが、建設省には建設省が所管をいたしております国有財産がございます。具体的にはこれは里道、それから水路、いわば赤線、青線と言われておるものでございます。以前の委員会においても問題にいたしましたが、日本全体でその面積はほぼ山梨県に匹敵するぐらいの面積があるであろう、こういうふうに言われております。ところが、その実態はどうかといいますと、それらの建設省所管の国有財産がすべて地方自治団体である県にその管理が移管をされておる。ところが県のほうは、地方財政の圧迫も影響をし、さらにはその財産管理のために特段の配慮をしてもらっておるわけではないから、そんなものは十分な管理はできないのだ、こういう問題があるわけでございます。細かいことを調査をしていきますと、それらの上に不法建築すらなされてしまっておるというような問題も間々ある。したがって、そのようなずさんな国有財産の管理の方法はいけないので、何とかやはり考えるべきだ。建設省がやれなければ、十分なやはり管理委託費でも出してその管理の監督もしていかなければいけないのではないか。あるいはそれらがむずかしいと言うならば、地方自治団体に無償交付をすべきではないか、そうしてその土地の有効利用を図っていくべきだ、こういう意見を出しておいたわけです。十分研究をし、善処をいたしますという答弁があったはずでございますが、その後それらはどういうふうに研究され、どう善処をされたか、お伺いをしたいと思います。
  80. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生指摘の法定外国有財産、これは非常に大きな問題でございます。現状は詳しく申し上げませんが、建設大臣から都道府県知事にこれは管理委任されて管理しております。ただ、実質的に非常に市町村との関係が深いところは、市町村におきまして管理条例を地方自治法に基づいてつくって管理いたしておる次第でございまして、十四府県で管理条例をつくり、市町村で三百五十五市町村が管理をいたしておるわけでございますが、問題は、この管理の徹底を図るためには、いろいろ対策を考える中でまず言われるのは、独立のそういう管理法をつくったらどうだという一つ意見があります。これにつきましては、やはり非常に多種多様な利用形態のものでございますので、一本にするのは非常にむずかしい。したがって、道路法だとか河川法だとか海岸法だとか、それぞれのところで取り込めるだけ取り込む。法によって管理できるように取り込むということがまず第一に必要だろうと思います。そういう努力はいたしております。  それから、そうしてもやはりどうしても法定河川なり法定道路に取り込めないところがあります。そういうのが問題だろうと思います。これにつきましては、私も一番いいのは市町村に譲渡をするということがいいだろうと思います。ところが、現在の法制では、市町村に譲渡するのは、建設省から大蔵省に一応返しまして普通財産にして、それから市町村に渡すということになりますが、その際には、市町村なり地方団体が管理しているその管理費用を出したその範囲内においてしか譲渡できないということになっておるわけで、そこが実は問題でございます。そこのところを何かそういうようなことでなしに市町村に譲渡できる道はないかということで、大蔵省といろいろ検討いたしておりますけれども、現在のところまだ残念ながらその結論が出ていない次第でございます。しかしながら私どもも、さっき申し上げましたように、できる限り管理が十分にできます法律のある法定河川にまずするということ、それ以外のものは市町村が地方自治法に基づく条例をつくって管理を徹底してもらうということを考えている次第でございます。  同時に、費用の面につきましては、自治省に地方交付税の中でそういうものが十分に取り込めるようにいつも要望いたしております。また、それについての管理費についての補助金もすでにいろいろ出しておる次第でございます。今後ともまだ不備な点につきましては十分努力してまいりたいと思う次第でございます。
  81. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 これは前大津留官房長時代にも申し上げたことなんですが、いまもまた同じ答弁なんですよ。実際は、そのままで推移をしてきておるのではないか、こう考えざるを得ないわけですが、私は、既存の法律でそれが処理がむずかしければ、あるいは特別措置をするための法律をつくってもいいわけですから、そういう方向で早く石はり結論を出すべきではないか。そのときにはいろいろ具体的な問題まで私は申し上げておるんですよ、現実には。どうも建設省では十分その財産すら把握が十分でないし、ましてや管理に至っては非常にずさんになってしまっておる。そして末端ではいろいろなトラブルがある。調べていっても十分な番地も入っておりませんし、ただ土地台帳の上に線が引っ張ってあるだけという状態では、これはいろいろなトラブルの原因になるので早くやるべきだ。当時、大津留官房長も、公物管理法というようなものを設けて何とかそのような国有財産の管理等々万全を期していきたいんだ、こういうふうに申し述べられておりました。ところがその後、私はいまの御答弁では、全然進展をしていない、こう判定をせざるを得ないわけでございまして、早急にひとつ結論を出していただきたいと思います。  それから、次に移りたいと思いますが、建築基準法の改正は前国会からの継続審議事項でございます。しかし私は、いま提案をされております内容とは別に、建築基準法そのものの考え方をやはり一遍見直してみなければいけないんではないか。先ほどもちょっと申し上げましたが、建築基準法そのものは、建物の構造が問題であって、建てられる土地は一向に問題にされていない。ここにやはり大きな問題があるので、急傾斜地付近のがけ崩れ等による人命の損傷等々にも、私はある程度関係があるんではないか。これらは条例によって、急傾斜地との距離を規制をしておるようでございますが、建築基準法では、建物さえ適法に、その構造が法に照らして違反でなければ許可を出しておるわけですから、この辺は非常に問題だ。したがって、十分にその辺を考えるべきだ、こういうふうに申し上げてあるはずでございます。  それからもう一つは、たとえばいま問題になっております騒音問題、これはやはり道路が開発をされることによってその付近の住民の方が大変に迷惑をされる、こういう問題があるわけでございます。ところが、やはりわれわれ一億の国民がよりよい生活を営むために経済活動が不可欠なものだとするならば、物流ということも当然に考えていかなければならぬ。そうしますと、道路を開発することによって、その開発利益というものはその道路の一番近くの人々が受ける、道路わきの人が利便性が高いので大変土地も高くなる、こういう問題があるんだ。したがって、道路のすぐそばに建てられる家屋等については、特に住居については防音装置というものを義務づけるべきではないか、こういうふうに実は申し上げたはずでございます。この辺は両々相まって、やはり国民全体の協力を得ながら、お互いに経済活動を続け国民生活を向上させるという立場に立てば、考えていかなければならない問題ではないか、こう考えて御質問を申し上げておいたと思いますが、その後、その辺はどのように検討が進められたでございましょうか。
  82. 山岡一男

    山岡政府委員 建築基準法におきましては、敷地の安全というのはやはり現行法の中にも入れております。さらにがけ地等につきましては、災害危険区域の指定をいたしまして、そのところで条例によっていろんな規制ができるということになっております。その他、がけ条例というのを各地方公共団体で全部つくっておりまして、やはりそういう意味から、敷地の安全については相当な考慮をなすようにいたしております。  それから、防音の問題でございますが、これは前回の改正のときだったと思います、前々回かもしれませんが、一応そういう趣旨を入れまして、政令の中にそういうものを織り込んでおるはずでございます。
  83. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 条例によって規制をされ、あるいは政令によってそれの指導をしていくんだ、こうおっしゃっておりますが、それは私は万全ではないと思うのです。万全ではないので、十分に本則によって考えていくべきではないか。特に建築基準法は、他人の土地でも建築許可を出せば受かってしまう、許可をされてしまう。その土地がだれの所有であろうとも、それは問題にされないはずでございます。その辺に非常に大きな問題があるんではないか。地方では特に、何といいますか無理を通すやからもおりまして、肩を怒らして他人の土地にうちをつくってしまったという例もないわけではありません。特に地方公共団体等はそういうやからに弱いもんですから、市道の上にひさしを十分に出されてしまっても文句も言えずにおる、市当局はその土地を十分調査せずに建築基準法による建築許可を与えておるという問題もある。したがって、この辺は十分に一遍考えていただかなくてはならないんではないか、こう考えますので、再度ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  84. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃいますとおり、建築基準法の確認におきましては、敷地の所有権にはタッチをしないというたてまえで進めてまいっております。  その件につきまして何かうまい手はないか、地方公共団体等も集めまして何度も会議をいたしておりますけれども、その中で出ました案は、やはり敷地境界を基準法上ではっきりとくいを打たせるようにしたらどうだというようなことでございましたけれども、実効の問題を考えましてまだ具体の問題にいたしておりません。  それから、いままでのところ、そういうふうな敷地の面につきまして強行的に違反のものができたという場合は、後追いでございますが、違反是正措置、そういう点で厳しく取り締まってまいるというのが現行の取り扱いでございます。
  85. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは次に移りたいと思います。  宅地の確保問題でございますが、これも先国会からの継続法案が関係があろうかと思います。しかしながら、私どもが問題にいたしておりますのは、いわば開発による環境の悪化というものを防ぐためには、ある程度市街化調整区域での市街化というものを防止していかなくてはいかぬ、こういう基本方向を踏まえて考えるならば、今回の宅地開発公団法ですか等々を拝見をいたしていきますと、どうもやはり市街化調整区域を主体とした開発がもくろまれておるのではないか、こう考えるわけです。あれに付随して公共負担分の諸手当て、これは当然必要でございますが、問題は、やはり市街化調整区域そのものが、市街化を抑制をしていかなければならない土地が、開発をされていくんではないか、こういうおそれがあるわけでございます。一方、市街化区域の中における農地等々まだまだ市街化されていない土地が相当数あるわけでございます。その辺との関連において私は若干問題があるんではないか、こう思いますので、大体今後五ヵ年間ぐらいに住宅を建てるために必要な宅地面積というものは、一体どの程度を見込んでおられるのかお聞かせを願いたいと思います。
  86. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 今後の五ヵ年間の宅地需要量ということにつきましては、新しい第三期の住宅五ヵ年計画等とにらみ合わせまして正確な数字を出すべきでありまして、まだ計算していないのでございますが、現在の計画におきましては、九百五十万戸のうちの約四百四十万戸分が新規に宅地を要するであろうというので、七万六千ヘクタールぐらい必要だとされております。先ほど申しました長期計画におきましても、大体四十九年から六十年までの十二年間でございますけれども、十八万六千ヘクタールぐらい必要であろうという推定を持っております。これは長期計画でございますので、近く改定の作業に入るわけでございますが、それで見ましても、大体同じぐらいの七万数千ヘクタールというものが五カ年間に必要であろうというふうにいまのところは考えておる次第でございます。
  87. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その程度のものであれば、いわば市街化区域内における未開発部門、いわば市街化を促進をしていこうとして線引きをした区域内において十分消化をできる状態ではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
  88. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 今度の宅地開発公団の趣旨と申しますのは、いま御審議を願っているわけでございますけれども、主として大都市地域の周辺部におきまして計画的に大規模な開発を図らないといけない、そういう緊急な課題を持って、新しい構想計画に基づいて新しい住宅を中心とする市街地づくり、というような形で進められる予定の計画でございます。したがいまして、量的には現在の市街化区域の中で間に合うかもしれませんけれども、そういう意味の新しい一つの市街地の構成をそこで計画するということになりますと、市街化区域のこれは縁辺部でございますが、ここにおきましては、現在の市街化区域の調整をいたしまして、位置その他によりましては調整区域を市街化区域に編入し直して形を改定するというようなことも必要になるだろうと思います。その場合には調整区域を市街化区域に編入してその中に入れるというような形を考えざるを得ないと思うのでございます。
  89. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 線引きをいたしましたね、あれは一体何のために線引きをしたのでございましょうか。どうも線引きは線引き計画は、計画、目的は目的、と何かばらばらのような感じがするのです。線引きそのものももちろん問題にされるでございましょうが、少なくとも今後五年ないし十年のうちに市街化を図っていかなければならない地域として線引きがなされたはずです。市街化調整区域というのは、そういう乱開発を防止するために市街化を抑制をしていこうという趣旨で設けられたはずでございますね。それらがやはり厳然としていまあるにもかかわらず、全然別な角度でそういうことがまた考えられていくということについて、これはやはり問題があると思うのですが、いかがですか。
  90. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域として設定されたものでありますので、これは原則的に十分その趣旨で守っていかなければなりません。ただいま申しましたのは、新しいそういう計画が与件の変更を伴って出てくる場合を一つの例として申し上げたわけでございます。したがいまして、五ヵ年ごとに市街化区域、調整区域というものを見まして、都市というものは動いておりますし与件も変わっておりますから、その都度五ヵ年ごとに見直せという規定もございますので、決して市街化区域、調整区域の線引きを軽視し、軽々にこれを変えるという趣旨で申し上げたわけではございません。
  91. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは、あと大臣に一点だけ御質問をいたします。  所信表明の中の一番最後の項で「建設業の近代化、合理化を促進し、その体質の改善を図るため建設振興基金を設立する等建設業の振興に関する施策を推進することとしております。」こう申し述べられておるわけでございます。これは前大臣のときにもいろいろお聞きをしたわけですが、建設省構想というのはこのようなものではなかったはずでございまして、いわば中小の建設業の皆さん方の近代化、合理化を図り、いま複雑多岐にわたっておる建設省のお役所の中でいろいろ指導を受けるにしても、あちらの局こちらの局と大変なことだ。したがって、どこか何とか窓口をつくっていただきたいという要望があり、それらを受けて建設省がそれに善処をしていこう、こういう方向が出されておって、具体的には建設業局を新設したいという意向があったようでございます。もちろんその局の新設建設省の意向だけでは新設できないかと思いますが、されば次善の策として、それらのいままで複雑多岐にわたっておる窓口を建設省の中で一本化する方向というものはあわせて考えられないのかどうか、単なる振興基金を設けておけばそれらの矛盾が解決できるのかどうか、この辺に若干疑問があるわけですが、いかがでございましょうか。
  92. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 お説のとおりであります。本来なれば建設業局の新設というものが私ども従来の大臣からの要望だったわけでして、かなり主張をいたしたのですが、御承知のとおり新設の機構は一切認めないという基本方針ですから、それならせめて建設業部ぐらいのところでまとめていくことはできないだろうかと思って行管ともいろいろ折衝いたしましたが、結局は部長にかわる参幕営を置こうということで、その参事官が一切いま言ったようなものの窓口の焦点になって今後の中小企業の指導にも当たっていこうということに、実は機構の上からはそういう形になったわけでございます。これは決して私も満足はいたしておりませんけれども、現在の場合そこら辺でやむを得なかったと思っております。  もう一つは、中小企業を育成していくために、建設振興基金というものも、これも実は要望をいたしておったわけでありますが、これは一応認められることになりまして、今度民間と共同して発足することに相なったわけでございます。最初の構想とは若干後退をいたしましたけれども、これは私ども、小さく生まれたけれども将来はひとつ運営によって大きく育てていこう、こういう考え方を持っておりまして、この基金が発足することによって今後の中小企業に対するいろいろな対策を積極的に立てていく、そういうふうに考えておる次第であります。
  93. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  94. 天野光晴

    天野委員長 井上普方君。
  95. 井上普方

    井上(普)委員 きょうは私、各公団建設省あるいは国土庁関係の公団の方々を参考人としてお呼びいたしました。なぜこういうことを私がしたかということを、一言申し上げたいと存じます。  建設行政を遂行する上において、その主体をもはや公団はなしておると思います。しかしながら、国民の声を聞く機会が公団の方々には非常に少ないように思われるのであります。一つの関係法案が出てまいりましたときに初めて国会に呼び出され質問せられる、それが済めば直ちにお帰りになるというような毎日でございます。しかしこれでは、一体国民が何を考えておるか、その国民の声というものをお聞きになる機会というものが非常に少ないと私は思わざるを得ないのであります。したがいまして、せめて建設委員会の一般質問の間でも、各関係公団の首脳部の方が来られてこれを聞いてほしいのだということを私は要求いたしたのでございます。しかしながら、国会法の関係から参考人として呼ばなければなりません。これは政府の関係機関であります。したがいまして、せめて代表の方が一般質問の間だけでも傍聴に来られる機会を私はやっていただきたい、こう思いまして、あえて御多忙のところではありますけれども、お集まりを願った次第であります。この私の趣旨をひとつお考えいただきまして、今後も、関係法案のときにのみ出てまいりまして国会はいかにもうるさいところであるというような顔をせられず、真剣に国民の代表の声を聞かれることを切に私は要望いたす次第であります。そういうために、実はあるいは参考人の方々にも私は質問することがあるかもしれませんが、ほとんどないと思いますが、ひとつその点御無礼をお許し願いたいと存ずるのであります。  建設大臣の所信表明を私は承りまして、過去の建設大臣の所信表明と比べてみました。一番特徴的な事柄が一つ出てまいったのであります。  ここ四、五年の間の建設大臣の所信表明とそれ以前の大臣の所信表明の最も違っておるところはどういうところかと申しますと、これは五十八回国会におきまして保利大臣の所信表明あるいはまたその後の西村建設大臣の所信表明等にも全部言っておる言葉なんでありますが、必ず最後にこういう言葉を入れております。建設省の費用、予算というものは多額のものである、したがいまして事業遂行に当たっては公正かつ効率的な運用について特に留意いたします、ということが書いてある。ところがここ二、三年来の建設大臣の所信表明には、この公正にして効率的な予算運営をなすということを実は言っておらないのであります。ここが、ここ数年来の建設行政の特徴的なあらわれではなかろうかと私は思うのであります。予算を執行する上において公正かつ効率的に予算執行をやるのである、これは常識だと言ってしまえばそれまでです。しかしながらやはり大臣のお気持ちとして、これを明確に、多額の予算でございますので、やる上においては効率的な運営をやるんだということは、私はあってしかるべきだと思うのですが、大臣いかがでございますか。
  96. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 前大臣がどういう所信表明をなされたか承知いたしておりません。公正にして効率的な運営をするということがないのはどういうわけかという御質問のようでありますけれども、これの全体を流れておる私の考え方を見ていただければ御理解がいただけると思いまして、公正で効率的にやるということは、おっしゃるとおり当然のことであって、われわれはそういうことを基本にしてこれから国民のために努力をしなければならない、こういう考え方でおるわけでありまして、たまたま言葉が入っているいないということによってこの言葉の軽重を考えるべきではありませんし、またそういうことがあってはならない、かように存じております。
  97. 井上普方

    井上(普)委員 大臣の所信表明というのはここの決意であります。わかっておることであってもです。予算執行上の行政のこれは基本でなければなりません。それを明確にお述べになり、決意を表明するのは、大臣の所信表明としては私はあるべき姿ではなかろうかと思うのであります。しかも、このように公共事業費は非常に多額の金である。ここに大臣の決意表明がないから、私はそれを揚げ足をとる意味ではございません、これはひとつお考えになって、そういうお気持ちで建設省全体の運営に当たっていただきたいことを私は特に要求いたしたいと存ずるのであります。  続きまして、具体的に大臣の所信表明について質問をいたしてまいりたいと存じます。  大臣は、「今後の建設行政は、長期的視野に立って、社会資本の整備その他の施策計画的かつ着実に推進し、豊かで住みよい国土を建設することを基本とすべきものと考えます。」こうお述べになっております。行数で言いますと七行目からおっしゃっておられます。しかし御存じのように、この計画的かつ着実に推進することと、経済政策、これが非常に変転いたしております。しかもその経済政策を実行する上において、財政政策というものをいじらなければならないという現実があります。現に、その前にお述べになっておられる高度経済成長路線から安定成長路線へと転換したときに、まず何がいじられたかと言えば、総需要抑制という形で財政政策がいじられてくる。そういたしますと、あなたのお述べになっておられる建設省の基本政策としての計画的かつ着実に実行するというものとの関連においてどうなるのか。私は決して揚げ足をとるのではございません。揚げ足をとるつもりで言っておるのじゃない。ここをひとつ明確にしていただきたいと思うのであります。大臣の決意と申しますか抱負と申しますか、これをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  98. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 ざっくばらんに申しまして、今年度の建設省予算が総需要抑制という至上命令のために大変圧縮されたことは事実であります。それかといって最近になってみると、総需要抑制を少し緩和するためにまた公共事業を少し緩めろという声も出てきております。大体公共事業というものの使命は申し上げるまでもありません、社会資本を充実して国土保全をして国民の生活環境を守っていくという重大使命を持っておるはずであります。それが景気対策によって右左に大きく動くということは決して好ましいことではありません。その点について私は一つ考え方を持っております。しかし、やはり物価安定という至上命題があって、そのためにはその事態に逆行するわけにいきませんから、その範囲内においてわれわれは率直に言って、じっとがまんをしなければならぬと思ってがまんをいたしてきたわけであります。ようやく経済も安定成長に向かうとするなれば、その向かう中にあって、これからは計画的に着実に進めていかなければならぬ、そういう考え方を持っておりまして、少なくとも五十年度予算に計上した限りにおいてはこれは必ず実行する、こういう考え方で私どもは努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  99. 井上普方

    井上(普)委員 しからば、いまの大臣のお話は現在の建設省の予算圧縮に対する、内閣に対する抗議の言葉としか私は受けとめざるを得ない。これは明らかに、建設行政は長期的視野に立って、計画的かつ着実に推進し、豊かで住みよい国土を建設することを基本とするのだ、こういうことをお述べになっておられる。     〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 そこで、こういうことを書かれる以上は、財政政策との関連において、一体国の財政政策建設省の行政との間にどういうような関係があるべきだということを私はお聞きしたがったのであります。具体的なお答えがないのははなはだ遺憾に存ずるものであります。  私はただ言葉の上で申しておるのじゃない。確かに建設行政というものは計画的に、そして着実にやらなければならないと思います。それが実際に行われておらないから私どもはここで問題にするわけなんです。それはもちろん物価安定という至上命令のためには公共事業の圧縮にがまんしなければならない場合もあります。しかしながら、国民が最も要求する問題については計画的に着実にやらなければならないと存ずるのであります。これが行われておらないから、私はあえてこの問題についてお伺いいたしておくのであります。具体的な問題は後々申し述べたいと存じます。  そこで、これから私は各論に入ってまいるのでありますが、住宅宅地対策についてまずお述べになっておられます。ここで、先ほど渡辺委員からも指摘されましたように「住宅事情の改善を図ることが現下緊要の課題でありますので、これに特段の配慮を加えることとし、次の三点に重点を置いてこれを推進してまいる所存であります。」私も現下緊急の課題が住宅対策であることを認めます。だけれども、私も先日来おたくの建設省の若い諸君に実はお話を承ったのであります。     〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 これからいままでのような高度成長政策が望めないとするならば、生産性向上が余り図られないということになりますと、どういたしましても現在の賃金というものは高度成長政策時代のような高度の伸びを示すことは無理となると私は考えます。しかしながら片方において、それでは若い世代の諸君はどうなるのかということを私は静かに考えざるを得なかったのであります。好むと好まざるとにかかわらず社会保障制度の充実のためには、一例を挙げますと、年金も賦課方式に頼らざるを得ないでありましょう。これは大臣、私は政治家として申し上げる。あなたも政治家として考えていただきたい。年金も賦課方式の方向に、好むと好まざるとにかかわらず進まざるを得ない。そういたしますと、今後の老人は若い世代の諸君に年金を負担していただかなければなりません。そうなりますと、若い世代に対する負担というものは非常なものになってくる。スウェーデンの例を申しましても、御存じでございましょう、非常に高い税金になる、年金の掛金になってくる。こういう状況になってくる。  それで、またわが国考えてみますときに、核家族が非常に発達をいたしました。いままでのような家族制度は、われわれの世代におきましては残存的に残っておりました。しかしながら、これからは核家族がますます激しくなってまいるでしょう。そういたしますと、あれが、もうすでに言われておりますように、親子の断絶というような言葉も間々聞かれるのであります。われわれの世代が生活に困った場合には、田舎におる親に頼る、あるいは親が持っておる田舎の土地を売って、足してもらう。あるいは住宅を建てるにいたしましても、田舎の土地を売って、親のすねをかじるということもできました。しかしながらこれからの若い諸君は、こういうようなことを望むわけにはまいらないであります。  そういたしますと、この核家族が今後さらに発達する時代において、若い諸君が自分の持ち家を持つということになったらどういうことが考えられるか。先ほど渡辺委員から質問がございましたが、いまのように建築費が一千万円、宅地を買いますと二千五百万円普通かかります。そういたしますと、それの金利が二十万少々毎月かかってまいります。先ほど北側委員大臣質問した際に、収入の三五%、これを住宅費に充てるのは、銀行はそれぐらいは人民は耐え得るであろう、こう申しますけれども、そういうことは私はできないと思います。そうなってまいりますと、これからの世代の諸君は一体どうやって住宅を確保するのか。私はここに問題があると思うのであります。そうするならば、われわれの世代のときに、若い三十以下あるいはそれらの諸君に対してやらなければならないことは一体何だということを考えますならば、これは住宅を低廉に供給するようなことをいまわれわれは真剣に考えなければならないでしょう。将来若い世代に老齢福祉年金をおぶさるわれわれ世代として、これはイデオロギーを別にして考えましても、われわれの世代でできることはわれわれで若い世代のためにやっておく。それは何だといえば、いま若い世代の諸君が困窮しておる住宅、これを低廉に大量に供給する以外に方法がないんじゃないか、私はこのように考えるのであります。  そういう観点に立ってこの住宅問題を真剣に考えるならば、現在のこの制度のもとにおいて、果たしてわれわれ世代が若い世代の諸君にこれだけやりましたと言って誇れる制度であるかどうか、私は大きな責任を感じざるを得ないのであります。大臣の御所見を承りたいと思います。
  100. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 大変高邁な御質問でありまして、果たして御期待に沿えるような答弁ができるかどうかと思うのですけれども、やはり年金にしましても賦課年金の方向になっていくことは、これは時代の趨勢でしょう。おっしゃるとおりに若い者に対する希望を持たさなければならぬ。そのためにやはり政策として住政策が一番重要だということ、私もそのとおりに考えております。衣食住ということを言われておりますけれども、これから先はやはり住宅問題に最重点を置いていくということがこれは政治の一番の要諦だ、私はそういう考え方を持っております。そういう意味から、現在の住宅政策住宅制度、そういったものが満点かというと、私は決してそうだと思っておりません。満点であるなれば第二期五ヵ年というものが十分に達成されておるはずでありますけれども、もちろんいろいろな経済的な事情はあったにいたしましても、これが十分に達成されない見通しであるということは、大いに反省せなければならぬと思うのであります。  そういう面から考えてみると、やはり五十年度で終わりますから、五十一年度から新しい住宅政策というものを、基本計画というものを立てなければならぬわけでありますが、その計画を今年度、五十年度は用意していかなければならぬ、準備をせなければなりませんが、そのためには過去の住宅の実績というものを十分に反省、検討して、なぜそれが達成できなかったのか、隘路はどこにあるのか、それからさらに、これから低廉豊富な住宅を供給していくためにはいかにすべきかという問題は根本的に洗い直して新計画を立てるべきである、私はこういう考え方を持っております。  しからばどういうふうなことにするのかという御質問を受けても、いま直ちに具体的には、私も就任間もありませんからお答えできませんが、この問題については真剣に取り組んでいきたいと思っております。  まあ、そういう意味で、この住宅問題については、これは決して一党一派の問題ではないと私は思います。超党派で皆さん方の意見も十分に徴しながら、最善の計画を立ててひとつ推進いたしてまいりたい、こういうのが考え方でありまして、今後ひとつ、特に専門の井上さんあたりの御協力や御指導もいただきたい、かように存じております。
  101. 井上普方

    井上(普)委員 私は、先ほど来申し述べました観点に立つならば、これから民間自力住宅というものを主体にした建設行政住宅政策というのは転換しなければならないと思うのであります。先ほども申しましたように、住宅をつくるのに二千五百万円ぐらいかかる。そして、いまの銀行屋さんは収入の三割五分を、これまでは払える能力があるなんということは、われわれは若い世代に対して何をか言わんやであります。こういうようなことを要求できません。しからば私らとして考えられるのは、公的住宅、低廉なる家賃の住宅を大量に与えることでなければならないと思うのであります。そういう観点に立って考えますと、いま建設省が進めております持ち家主義がどんどんとはびこってくる、これは大臣、あなたは否定できぬと思う。これを転換して、公的住宅を建てるということに転換しなければならないと私は思うのであります。これが第一点であります。  それと同時に、イギリスのごとく、家賃の補助制度というものもこの際一応参考にして研究してみる必要もあるのじゃなかろうかと私は思います。  この二点について大臣のお考え方を承りたいと存ずるのであります。
  102. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 後で、足らぬところは住宅局長答弁させますが、公的住宅重点を置けという考え方も私は賛成であります。井上先生御承知のように、四十八年度の住宅統計調査によりますと、率直に言って住宅戸数世帯数を上回っておるわけなんです。そうすると、量においては一応何か達成されたというような感じもするわけです。ところが逆に今度は、住宅に対するいろいろの希望を聞いてみますと、狭いということ、環境が悪いということ、まあそういう面で非常に厳しい要求があるし、批判があるわけです。そういうふうに考えてみますと、私は、形の量だけができておってもそれは何の意味もない。やはり質に重点を置かなければならぬということになると、これはむしろ民間よりも公的住宅を積極的に考えなしければならぬということだと思っております。  ただ、公的住宅、たとえば公営住宅を取り上げてみましても、昨年の実績、四十九年の実績等を見ましても、いろいろな隘路があって思うとおりに建築ができていない。そのために四十九年よりも五十年度は一万戸も戸数が減った、こういうような形になっておりますことは残念でありますけれども、特に大都市を中心にした東京大阪あたりが公営住宅がほとんど建築できていない。それなら一体その原因はどこにあるかということをもう一遍掘り下げてみなければならぬと思います。これにはいろいろ事情があります。単価の問題もあります。用地の問題もありましょうし、あるいは関連公共施設に対する地方公共団体負担が非常に過重になってきている。これに対してむしろ人口流入を抑制するという考え方が周辺の地方町村地域にはあるわけでありまして、そういうふうな問題点を一遍洗い上げて、そうしてそういうものを整理しながら、公的住宅をどこに位置づけるかという問題は、これは真剣に考えなければいかぬ問題だと思って私は検討させております。そういう面で努力をいたしてまいるつもりであります。  それから英国との関連がちょっとありましたが、住宅局長から答弁いたさせます。
  103. 山岡一男

    山岡政府委員 先生御案内のとおり、現在第三期の住宅建設五ヵ年計画作成のための基本的方向づけということで、住宅宅地審議会で真剣に御討議を願っております。この前ちょっと中間の御報告が出ておりますが、この中でも、公的住宅供給の拡充については格段の努力をせよということになっております。それから、さらにもう一言、最後に先生おっしゃいました家賃補助につきましても提言をいたしておりまして、公的賃貸住宅の家賃制度を応能家賃方式に改めて家賃補助制度を導入すべきであるという中間の御報告が出ております。  それらのことにつきまして、私の方からも最近二人ばかりヨーロッパの方の見学といいますか、勉強にやりましたけれども、真剣に討議をいたしまして、そういう方向で進みたいと考えております。
  104. 井上普方

    井上(普)委員 行政官はとかく隠れみのをつくりたいものであります。これは、住宅局長を私は責めるのではない。審議会がこういう提言をした、こういうことを言われますが、しかし、ほんとうに実際やられておるのは行政官、皆さん方なんです。これの覚悟をしっかりしていただきたいというのが私の希望であります。この点、だれが考えても公的住宅を中心に置かなければならないことは、今後を考えますと当然でありますし、また、これを大量に建設し、低廉な家をともかく与えるということが私どもの世代の務めである、このことを私は強調いたしたいのであります。  いろいろとほかにもこの住宅問題について申し上げたいことがございますが、時間の関係もございますので、続いて宅地問題についてお伺いいたしたいと思います。  したがって、この宅地の問題が非常に重要でございます。先日もわれわれ建設委員会は、共産党を除いて超党派で国土利用計画法を策定いたしました。国土利用計画法の主たる目的は、ほとんどと言ってもよろしゅうございますが、地価の抑制ということを目的にいたしたことは金丸大臣も御存じのとおりだろうと思います。  そこで、この地価の抑制を一体今後どうするのだということでございます。物価指数からいたしますと、消費者物価指数と住宅用地の上昇と比べてみますと、消費者指数の数倍に当たることは大臣も御存じのとおりであります。したがいまして、現在の地価を安定させることが第一段の目的ではありますけれども、将来にわたっては、この地価をさらに下げるということでなければならないと思うのであります。先般、小金井の土地問題につきまして大臣は新聞紙上において発表されております。今後の土地政策の基本的な考え方を発表されておりますが、これをさらにまた大臣の所信表明におきましても、土地税制の改善と金融上の措置宅地供給の促進ということを含めて総合的な土地対策を推進してまいる、こう申されておりますが、大臣、具体的にどういうようにしてやられるのか、この点ひとつお伺いいたしたいのであります。
  105. 金丸信

    金丸国務大臣 国土というものは限られた資源でありまして、そういう観点から考えてみますと、この国土の利用ということについては、均衡のあることを考えなければならない。また、先ほど来から住宅問題も出ておるわけでありますが、この住宅問題は宅地がなければ解決つかないということでありまして、私はそういう意味から言いますと、適確な国土法の運用、これはもう当然でありますが、そのために公的な介入もいたしますし、また投機的な土地売買の排除、抑制もしていかなければならぬ。そういう観点から考えていきますと、余りにこれを抑圧することによって宅地提供あるいは宅地造成というようなものの意欲を減退するのではないかという心配もいたしておるわけでありまして、そういうことから考えますと、両々相まった調和のとれた考え方を持っていかなければならぬということも当然だと思うわけであります。いま継続審議になっております宅地公団等の問題を私は大きく期待をいたしておるわけでございますが、どちらにいたしましても、現在の土地の問題については、土地特別保有税という問題もあるわけでありまして、こういう問題についていまこの保有税をはずしてくれないかというようなことを言ってくるけれども、私はあくまでもこの保有税というものは土地問題を確保していく、また将来の住宅問題を解決する上においても必要な税法だ、また、金融の面からその他土地提供に対する税制の改善等については特段の配慮を払いつつこの問題を解決したいと思っているわけでございますが、詳細につきましては土地局長から御説明を申し上げます。
  106. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 今後の具体的な土地対策の展開の方向という大変むずかしい御質問でございます。御承知のように前々国会で国土利用計画法という大変りっぱな法律をつくっていただきました。従来は地価対策、地価の安定ということのためには、まず投機的な投資等の仮需要を排除する、残りました実需要に対して供給を促進する、大変簡単な図式でございますが、この図式を追って政策を展開してまいりました。ただ、残念ながら従来は税制による間接誘導策というようなものに重点が置かれておりましたが、ただいま申し上げましたような国土利用計画法の成立によりまして、直接的に土地取引に介入をすることができるようになったということでございまして、その点、私どもは大変ありがたいというふうに考えております。  したがいまして、当面の問題は、投機的取引の抑制にいたしましても、適正な地価水準の確保につきましても、この法律の適確な運用というところに重点を置いてまいりたいというふうに考えております。しかし、ただいまも長官からお答えがございましたように、今後この法律の枠組みの中で住宅用地の残された実需要に対する実際の供給ということを促進する使命がわれわれにはございます。そのためにどういう形で土地対策を推進したらいいかということにつきまして、いまも長官、お触れになりましたが、保有課税の適正化の問題あるいは金融上の問題等を含めまして検討を進めさしていただいているような次第でございます。  なお、当面の問題といたしましては、宅地開発関連法案の成立というようなことも必要かと考えておりますが、この法案の早期成立の後に続く施策につきましては、いましばらく時間をちょうだいしたいというように考えております。
  107. 井上普方

    井上(普)委員 御存じのように、地価はいま鎮静化しっっあることは、これも私は認めます。しかしながら、この鎮静化したことの最大の原因は私は金融処置であったと思います。土地利用計画法ができましたので、心理的には影響を与えておるかもしれませんが、日本人に伝わっておる土地は値上がりするものだというこの神話は、これは私はなかなか払拭し切れないものがあると思います。したがいまして、金融緩和ということが起こりますとまたまた土地の値上がりを来たすのではなかろうかという心配を私どもはいたすのであります。強権を自治体に与えて規制区域内における許可制を導入する法律はつくりましたけれども、法なんというのはつくらぬほうがいいのであります、本当は。昔から法は三令あれば足りるという言葉もありますように、自然に土地を持っておればもうかるものという神話をひとつ打ち破る必要があると思うのであります。それには地価をさらに低下せしめる方法を私どもは講じなければならぬ。それには大量な土地の供給ということがございます。  そこで、私は一つの提言をいたして大臣の所信をお伺いいたしたいのであります。これは私も予算委員会において二、三年前にしゃべったことでございますが、いまの土地譲渡税ができました。いまでございますと、個人譲渡に関しましては二七、八%、地方税を含めますと、所得税として分離課税をやる。しかしながら法人の場合はそうじゃございません。法人の場合は御存じのように二〇%は土地利益を吸い上げます。表面はそうなっております。しかしこれは、黒字の場合でありますとその後の八〇%に対しては一般の所得と同じような取り扱いがなされますので、実際言いますと、黒字の場合に土地を売りますと益の大体七二、三%が奪い取られるのであります。会社は、赤字になったときに初めて二〇%しか益に対する税がかからない仕組みになっています。でございますので、法人は所有土地を会社が赤字になったときに初めて吐き出すというようなことに相なるのであります。いまの税法はそうなっております。でございますから、会社はいま苦しい苦しいと言っておりますけれども、実際はどうもその法人土地が吐き出されておるかどうかは、私、見ますというと吐き出されておらない、会社が赤字になってないから。黒字の間ならともかく売りますと七十数%取られる。赤字になって、赤字補てんのためでありますというと二〇%しか税金は取られないので、いまの時代においても会社は実は土地を売りに出しておらないのが実情じゃなかろうかと思います。  ところが、御存じのように、先般建設省か国土庁か、ともかく役所の発表によりますと、昭和四十二年でございましたか、税制改正から以降いままで、農家が持っておる、あるいは個人が持っておる土地の譲渡が盛んに行われた、それの四八%が法人に取得せられておることはもう皆さんも御存じのとおりであります。ここに私は問題があると思う。その四八%の土地というものは、いまはほとんど動いていないのです。四十二年以降取得した法人土地というものは動いていない。ここに土地供給のネックがあると私は思います。これを会社が赤字にならなければ吐き出さないようなこの制度を改めるべきである、黒字のときも赤字のときも同じように吐き出すというような制度をここで——実際不都合な話です。法人土地譲渡税を私は予算委員会でも質問したのですけれども、実に不合理だと思いました。大臣、これを直さなければ、四八%取得したこの法人が持っておる土地というものは出てまいりません。同時に、土地の供給というものはなされないと思う。大臣いかがでございますか、御所見を承りたい。
  108. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、土地というものは特別な商品だという考え方、また先ほど申し上げましたように限られた資源であるということ、いわば国民の保有する領土だというような考え方を持っております。そういう意味で、先ほどの土地というものは値上がりするものだという考え方は、この際国民に十分な認識を持ってもらう必要もありますし、またその認識を持ってもらう上においては、先生のおっしゃるような税制の改善もやらなくちゃならぬかもしれぬ。十分ひとつ検討してみたいと思います。
  109. 井上普方

    井上(普)委員 こういうような四十二年以降動いた土地の四八%が法人の手に入っておる、ここにともかくいまの土地住宅用地の不足の最大の原因があると私は指摘せざるを得ないのであります。したがってこれをいかにして吐き出させるか、これを私は真剣にお考えになっていただきたい。  あるいは土地再評価の方法もあります。膨大なる土地を持って、そして帳簿価格は取得時の価格でございますので非常に安い価格である。土地再評価の方法も私ども党としましては要求いたしております。そしてその再評価をした場合に、土地の物納も認める。その際にはある程度の控除を認めて、安くしてやって物納させるというような土地再評価の方法もあります。同時に、この法人譲渡税の問題にメスを入れることによって、私はここ五年や十年間の国民需要にはこたえ得るだけの土地がある、このように感ずるのであります。  しかしながら法人の諸君は、そういうような抱えております土地を国土法によりまして遊休地に指定されることを恐れて、あるいはゴルフ場をつくってみたり運動場をつくってみたりするような逃げ道をいま盛んに考えておるようであります。それに対する市民の反発があの小金井の問題ではなかろうかと思うのであります。したがいまして、国土庁といたしましては、遊休地に対する明確なる考え方をここで出さぬ限りは、依然としていまの法制のもとにおいては、遊休地指定ということはなかなかむずかしくなってくると私は思います。そしてまた、それが国民の大企業に対する不満のあらわれとなり、敵視のあらわれとなって今後爆発することを私は恐れます。大臣、この法人が持っておる遊休地指定についてのお考え方を明確にしていただくと同時に、事務当局も遊休地に対する政令内容をひとつお示し願いたいと存ずるのであります。
  110. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 遊休地の認定基準と申しますか、この政令は昨年の十二月二十四日に制定公布をいたしました。内容は、建物その他、上物と申しますか、工作物が立っていない土地、これは当然遊休地でございますが、問題は、建っておりましてもいいかげんに建っているというか、いいかげんに利用されているという土地が問題でございまして、政令上は、都道府県知事が建物と敷地との関係その他を勘案いたしまして、周辺の一般的な土地利用状況との関係で遊休地を指定し得るという基準を設けたのでございます。あとはまあ具体的に各都道府県がその政令に基づきましてどういうような細かい細則的なものを、細基準的なものをつくるかということでございますが、これにつきましては各県ごとに現在検討を進めているところでございまして、おおむね建蔽率その他の法定上の率の十分の一以下の利用状況にあるものにつきましては遊休地として認定をしていく、というような態度を固めている都道府県が多いように見受けております。これらにつきましては、今後とも国土庁といたしまして実質的な指導はしてまいる所存でございます。  なお税制につきましてお尋ねでございましたが、実は先生のおっしゃるとおりの問題がございまして、昨年、法人に対します特別土地譲渡税ができたわけでございます。従来は赤字法人、欠損法人につきましては徴税できない、担税力との関係から徴税できないとなっておりましたものを、土地の譲渡益に関しましては赤字法人といえども追及して取る、こういう制度にはなったわけでございますが、さらに、これらの土地を十分市民の必要とするような用途に吐き出させるような措置というものが、今後どういうようなものが必要かというようなことについては今後とも検討してまいりたい。  その点に触れまして、四十四年一月一日以降の企業の取得土地につきましては、特別土地保有税という税金がかかっておりまして、これが実は非常な放出のプレッシャーになっているわけでございます。長官が先ほど来、特別土地保有税につきましては廃止をせいという運動が強いが、これは断然継続し完全に実施していきたいということを言っておられるのもその点でございます。細かい点につきましてさらに今後とも検討いたしまして、先生の御趣旨に沿うような方向でまいりたいというように考えております。
  111. 天野光晴

    天野委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時二十一分開議
  112. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上普方君。
  113. 井上普方

    井上(普)委員 国土庁長官、まだお見えになっておらないので、先ほどの質問は保留しまして、それまで建設大臣にお伺いいたしたいと存じます。  宅地対策につきまして所信表明でいろいろと提案がなされております。特に私はこの際建設大臣にお伺いしたいのでありますが、宅地公団をつくられるということについては賛否両論あります。しかしながら、この際考えなければならないことは、日本住宅公団との関係をどうされるのか、私はここらあたり明確にしていただきたいと存ずるのであります。先般来、住宅公団のいろいろな施策につきまして、各種、この委員会におきまして質問の名をかりて詰問が行われたことは御承知のとおりであります。しかし大臣、私はここでびっくりしたことが一つあるのです。実はおととい官庁名簿を私は見ました。そうしますと、日本住宅公団理事は十一名、副総裁が二名。公社、公団は数多くありますけれども理事が十一名、副総裁が二名というところは日本国有鉄道以外ございません。電電公社にいたしましても専売公社にいたしましても十名以下であります。こういうように頭でっかちになり、マンネリズムに陥っておる結果があのような事件を起こすのではなかろうかと私は思われてならないのであります。この際、宅地開発公団をつくる際には、根本的に住宅公団の体質改善をやらなければならないのではないかと私は考える。  一例を挙げれば、先般中村委員指摘いたしましたように、土地の取得費が二千七百円、工事費が九千七百円、金利が一万三千円というようなことで宅地造成がなされておる。民間の営利会社においてもこのようなことはないと私は思う。多摩ニュータウンを見てみますと、山はだは削られて放置せられ、一面砂漠のような状況をもう何年間も呈しておる。これは役所仕事の典型であろうと思われるのであります。公団設立の目的は、役所の計画性と同時に民間の能率性を導入するということで公団というものはつくられたと思うのであります。現在の日本住宅公団の運営を私はこの委員会で見てみますと、あの多摩ニュータウンにあらわれるようにまさにどこか欠陥がある、欠陥があるというよりももう動きがつかなくなっておるのではなかろうか。あるいはまた、先般清水委員指摘いたしましたように、人家から百五十メートル離れたところで五百メートルの長さの地上四十五メートルの万里の長城のようなものをつくって、そして住民の反対に遭っておる。それをまだ強行しようというこの姿勢、これらは何と申しますか、公団が官僚機構そのものになっておる証左ではなかろうかと思われるのであります。この際宅地開発公団をつくられるとするならば、非常に競合する面は多々あると思います。したがいまして、根本的な公団のあり方、改組、このようなことをやる時期が来ておるのではなかろうかと私は思うのであります。先ほどの理事の数を申し上げたのもその一例であります。大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
  114. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 二つに分けてお答えをいたします。  開発公団住宅公団との問題でありますが、開発公団法はいま法案の御審議を願うことになっておりまして、これは昨年からの継続審査でありますので、ぜひひとつお願いをしたいと思うのであります。  住宅公団があるのに宅地公団も必要じゃないのじゃないかという意見も確かにありますが、住宅公団公団自体の住宅建設するための宅地を開発するということに重点が置かれておりますが、御承知のように、大都市周辺都市部には公共関係、公的関係の住宅はいろいろな隘路があってなかなかできない。その大きなもとはやはり宅地にあるのでありますから、宅地の改良、供給ということを前提にして今後の住宅政策考えなければならぬことは一応御理解がいただけると思います。そういう意味において、宅地公団は三大都市圏を中心にしたその地区に大規模宅地開発を行って宅地供給を行い、そして住宅対策を推進しよう、こういうわけでありますから、筋としては一応御理解がいただけると思うのでありまして、御理解いただいてぜひひとつ審議をお進めを願いたいと思うのであります。  いずれにしましても、片一方は宅地だけでありますが、住宅の方は住宅を建てながら宅地も行っておることは御承知のとおりでありまして、その間の機構上の問題をどうするかといった問題、これは確かに検討を要するものだと私は思っております。  特に住宅公団は、おとといもきょうもいろいろとここで議論をされておるのでありまして、公団そのものは一生懸命努力しておるのであって、必ずしもすべてがその責任だとは思っておらない。いまの経済情勢、客観情勢がありますから、これはわれわれも理解ができますけれども、これだけ公費をつぎ込んでこれだけ努力をしながら全く国民に喜ばれていないということ自体は、私は、公団の姿というものをもう一遍振り返ってみる必要がある、これは確かにそう思っております。  なぜ一体そういうふうに国民に不人気なのか、率直に言って努力をしながらも、第二期計画にしましてもなぜ六〇%程度しかできないのか、そういうものを振り返ってみる必要がある。これは全く責任がないとは言い切れないと私は思います。そういう意味において、機構の問題等についても十分に再検討しなければならぬと思っておりますから、宅地公団ができれば、それとあわせてこの機構上の問題は十分に検討して、五十一年度から再出発をするようにしたい、こういうふうに考えております。
  115. 井上普方

    井上(普)委員 私はそれでは遅過ぎると思います。住宅に対する国民の訴えは先ほども申し上げたとおり。しかも、宅地開発公団で造成される土地については一体どうするかというのが今後の論議になろうかと思います。しかし、先ほど来私が申し上げたように、また大臣も御賛成いただいたように、公的住宅を大量につくるんだ、これからの住宅政策の基本は、公的住宅を大量につくることに重点を置く以上、この宅地公団でつくられる宅地というものも公的住宅をつくらざるを得ないんじゃないか、結論的にそうなってくる。したがって、いまの住宅公団宅地造成の事業と非常に似通ってくる、ここらあたり考えなければならない、再検討しなければならないのではないか。いままでたくさんの隘路、ネックと言われるものがございます。しかしながら、それらのネックというものはおおよそ予想できた事柄であり、また当建設委員会におきましても、四十六年小委員会をつくって解決策を建設省ないし議長に提出いたしておるところであります。しかし、便々としてその間三年間計画すら立てられない現状、これが、先ほど私が申し上げた理事の数にいたしましても、日本国有鉄道に次ぐ理事の数の多い日本住宅公団——電電公社、専売公社、これよりも多いのですよ。まさにふくれ上がって動きがとれないような姿になっておるのじゃなかろうか。ここにひとつ新しい血を注入するといいますよりは、むしろ身軽に改組する必要があると私は考える。これは宅地開発公団をつくる際に、五十一年度とは言わず、この際根本的に見直し、これを検討し直す必要があると私は思う。五十一年度では遅過ぎます。この法案を作成するまでにその作業をなさる御用意がありやいなや、この点をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕
  116. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 いろいろと宅地開発公団の問題については、それなりに機構の問題も準備はいたしておりますけれども、やはり法律が通過しない先に余り出過ぎていくわけにもいきませんから、これは御理解がいただけると思いますが、私が五十一年度と申し上げましたのは、住宅問題は五十一年度を初年度として出発をするということでありますから、そうしますと、五十年度においては、いま言ったあの機構の問題等を十分に検討して、五十一年度に出発できるような体制を整える必要がある、こういう意味で申し上げたわけでありまして、検討は五十年度にやらなければならぬ、こういうふうに思っております。
  117. 井上普方

    井上(普)委員 これはやがて法案審議が行われる際に、もっと詳しく掘り下げた論議をしたいと存ずるのであります。  続いて、日本住宅のあり方であります。大臣の所信表明にも何枚目ですかございます。「特に、良好な都市環境を確保するため、下水道と公園緑地の整備重点を置くこととしております。」こういう御説明があります。しかしながら、私は先般はなはだ素人の男から話を聞かされたのであります。どういうことかというと、日本の都市計画というものはまことにおかしい。一たん全部山はだを裸に引きむいて樹木が育たぬような宅地を造成しておる。その典型が多摩ニュータウンだ。これをつくるのに住宅の中に新しく今度は公園緑地をつくって、そこに人工的に木をまた植え直さなければならない。政治家としてどうですかと言って私は聞かれた。あの中に入っておる人は砂漠をながめて索漠たる気持ちで住まざるを得ない。これよりもむしろ森の中に住宅を建てる。そして緑を常に見させてやるという住環境をつくる必要があるのじゃないだろうか。新しくわざわざ公園を都市公園として小さなものをつくって、いままで樹齢五十年、六十年の木をばさばさと切っておる、このいままでのあり方は検討し直す必要があるのじゃないかと私は言われた。まさに私は言いわけとして言いました。その際には、いままで住宅戸数をふやさなければならないという至上命令があり、かっまた建設費を安くするという意味合いからそういうようなことをやってきたんだと言って、言いわけはしましたけれども、私は内心じくじたるものを覚えたのであります。  およそ日本ほど都市の住宅に青さがない国はないことは御承知のとおりです。その青いやつをわざわざぶち切って表土を全部追いのけて新しく家を建て、そしてまた今度はそのスペースに公園緑地というものをつくって木を植えていく、このあり方は果たしてどうなんだろう、あるいはまたそこに住む人たちの情緒が一体どうなるであろうか、こういうことを考えるときに、私は、素人の言として言われておることを、住宅政策として考え直さなければならないことだと実は感じた次第であります。  それで私は、大臣に対しまして、いまここに公園緑地の整備というようなことをおっしゃっておられますけれども、新市街地をつくる際には、このような公園緑地というような考え方ではなくて、青い中に住宅をつくるのだという発想の転換をする必要があると思うのですが、いかがでござ  います。
  118. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 お説もっともであります。私はしかし、いままでもそういうことは考えていたと思うのですけれども、やはり一定の規模の、一定の数の住宅建設する場合に、その用地を整備する場合には、やむを得ず木を切らなければいかぬ、あるいは自然をある程度是正しなければならぬ場合があったかもしれません。できることなれば、自然もそのまま置いて、木もそのまま切らずにおいて、そこに理想的な家が建つことは、これは好ましいことでありますけれども、現実の問題としてそれができなかった面もあるのじゃないかと思いますが、ただ建築をするということのみを中心に考えて、自然の保護、存置という問題については軽視されておった面も確かにあると思います。したがいまして、今後の公園緑地は、それが利用できるとすれば、自然をそのまま生かしながら住宅建設考えるということは当然でありまして、そういう趣旨でやります。
  119. 井上普方

    井上(普)委員 わかりました。大臣、あなたは多摩ニュータウンを御視察になっていただきたいと思います。恐らくやっておらないと私は思うのです。私はあれを見て、あそこに住む人たちの心が索漠たるものになるだろうという感を強くいたしたのであります。ここで育つ子供たちは、いつか大柴議員が質問しましたけれども、どういうような将来が考えられるだろうか、懐然たるものを感ぜざるを得ません。この点、大臣も多摩ニュータウンの現状をひとつごらんになって基本政策を立てていただきたいことを強く要求いたしたいと存ずるのであります。  それから、河川の問題につきましてあるいは道路の問題につきまして私は質問をいたしたいと存ずるのでありますが、これも実は私に与えられた時間が非常に短うございますので十分な質問はできませんが、大臣道路問題につきましていままで公共事業費が非常に大量についてまいりました。したがいまして、不要とは申しませんけれども、あるいは不急の道路に手をつけておったのではなかろうかという感を私は深くするのであります。     〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 大臣はまだおわかりになりませんが、一例申しましょう。  これは先日道路局長に私はお伺いしたのでありますが、地方のやっております有料道路なんかを見てみますと、七〇%が赤字であります。すなわち計画交通量がそれだけ不足なのであります。計画においてすでにおかしいところがある。あるいは国道に並行して有料道路がつくられておる。こういうような、不要とは私は申しません、不急なる道路がつくられておった懸念が、私は確証はございませんから懸念と申します、これがなきにしもあらずであります。この際、予算も少なくなった折、産業優先のいままでの道路政策、これを見直す時期と同時に、果たしてこれが緊急かどうかひとつ見直すべき時期が来ておると思うのであります。そして国民の本当に必要な道路集中的な努力をしていただきたいと存ずるのでありますが、御所見を承りたいと思います。
  120. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 地方の有料道の中に不急ではないかと思われるものもあるとおっしゃられますが、それはそれなりに、またいろいろその地域の人々やあるいは建設した団体にはそれなりの理由はあるかと思うけれども、ただ比較した場合におっしゃるような面があることは確かに私も理解できます。冒頭にも申し上げましたように、公共事業、特に道路予算が一番圧縮をされております。圧縮をされておれば、その中でやはり重点的に緩急の度を考えながら執行していかなければならぬことは当然であります。そういうことを考えますと、これからは、本年度の予算の執行に当たっては、特に生活環境整備、そういうふうな国民生活に密着するものを重点に予算の配分を行って道路行政を行っていくということは当然でありまして、そういうふうに進めていきたいと思っております。
  121. 井上普方

    井上(普)委員 これは具体的な問題になってまいりますから、私はここで触れることをやめますけれども道路予算がどんどんとついたときには、それ行けというので、十分な検討もなくなされたおそれなしとしないと私は思うのであります。そういうような観点ではこれからはいけないと思います。したがいまして、もう一度洗い直して、真に必要なところ、国民生活に密接しているところ、これに対して十分な御処置をとられんことを強く要求いたしておきたいと存ずるのであります。  さらに、河川につきましては、河川の要望は私は非常に強いものがあろうと思います。特に都市河川につきましては、これは一面公共下水道的な意味合いもあり、重点的にやらなければならなかったところであります。しかしながら、これすらも実は抑えられておるのをはなはだ私は——事業量が抑えられる、予算面においてはどうか知りませんけれども事業量においては、前年度に比較いたしまして抑えざるを得ない現状にあります。特に都市用水は、これは住民に対して非常に生活に影響するところが多いのでございますので、重点的にひとつお考え合わせ願いたいと存ずるのであります。  いろいろと申し上げましたが、最後に建設大臣にお伺いしますが、このように公共事業をつけたところで、地方財政との関係が一体どうなのかということなのであります。仕事をやるのは、直轄事業以外は地方自治体が直接やる、しかしながら、地方自治体が硬直化してきて、聞くところによると、投資的経費が非常に圧縮されてきておる現状。で、おとといですか、地方財政計画が発表になったようでありますが、私はそれはまだ見ておりませんけれども、実際建設省の公共事業関係と地方財政とはどういうような関係を今度生んでおるのか、この点、大丈夫だというなら大丈夫で、一言でひとつお答え願いたいと存ずるのであります。
  122. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 実は、景気のある程度の緩和という意味で、年度内の一−三月の公共事業も、できるだけ繰り越しのないように完全消化をせよということで私ども努力をいたしておりますが、それを進めておる中でも、やはり地方財政がかなり困って、受け入れができない、だから完全消化ができないといった面も現実にあります。五十年度の予算執行に当たっては、特に地方財政はいろいろな面でいま非常なピンチにあるようでありますから、国は公共事業として直轄あるいは補助でやるといたしましても、完全な受け入れができるかどうかという問題について私ども心配をいたしております。ただ、現状では、地方各府県からそれぞれの要望が出されておりまして、要望されたものを全部こっちが採択するとしたら、むしろこちらの方の予算が足らないという状態でありますから、多分われわれの持っている予算の範囲内では、地方財政は全くその受け入れができないという形にはならぬと思いますけれども、工事の中身によってはそういった面もできるかもしれませんが、もしそういうことがあるとすれば、これは大変なことになりますから、これは私ども今後自治省とも十分折衝しながら、少なくとも必要な公共事業を完全実施することに最善の努力をしなければならぬ、このように思っております。
  123. 井上普方

    井上(普)委員 建設大臣、予算委員会に行かれるようでございますので、最後に一つお伺いいたしておきます。  四国の橋でございますが、三本、橋をつくるということで参ったのです。ところが、地方自治体に対しましても非常な負担をかけております。現実に漁業補償とか用地補償なんかは、これは地方自治体の苦しい財政の中で立てかえまでさせておる、こういうような事例もあります。三木総理は情なくんば立たずと言っておりますけれども、国が約束したことでございます。信なくんば立たずであります。建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  124. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 前回のこの委員会でもお答えをいたしたのでございますが、公式論として私が発言をするならば、三本の同時着工はきわめて困難であろう、したがって、経済の動向を見ながら、弾力的に考えて、そして適当な時期に着工するように努力をいたしますというのが、これが公式の発言でありまして、それ以上のものは公式には出てきません。  ただ、率直に申し上げまして、私もあなたも四国の人間であります。この問題は超党派で推進をしてきた問題でありますから、お互いに超党派で本当に真剣にひとつこれは腹を割って話し合ってみる必要があるのではないかという感じがいたします。そういう意味で、私は大臣でなしに個人としてあなたの意見も十分聞かしてもらいたいと思っておりますし、みんなで関係の代議士が相談をして、いかにすることがこの問題を方向づけるために一番いいことか、ひとつぜひこれからは相談をしてまいりたいと思っておりますから、それは、きょうの公式の発言ではございませんが、最大限の努力をせなければならぬと思っております。
  125. 井上普方

    井上(普)委員 建設大臣、私はもうあなたにこれで最後に、出て行かれるので答弁は要りません。私がこういうようなことを申し上げたのは、実は公正にして効率的な予算運営をひとつやっていただきたい、これであります。これが実は、私、見ましてはなはだ残念に思っておるのでありますが、この点ひとつさらに御留意していただきまして効率的な運営を図っていただきたいということを最後に申し上げて、建設大臣に対する質問を終わります。
  126. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 御趣旨に沿って努力をいたします。
  127. 井上普方

    井上(普)委員 金丸国土庁長官。やはり地価問題であります。  今回の所信表明では、地価を安定させるということを目的にしていますと書いています。しかし、安定させる以上は、さらにこれを引き下げるのだという努力を国土庁は払うべきである。それには一体どのような方策があるのか、これを研究しなければならぬと私は思います。先ほども、保有税に対して圧力がかかっているのを金丸大臣は毅然としてはねのけていると言われますけれども土地に対して先ほども申しました、四十四年からこちらに動いた土地の四八%は法人が取得しておるのです。これが動いていないところに、宅地の供給ができていない最大の原因があると私は思う。仮需要、これを抑えるのにはどうすればいいか。これはひとつ真剣になって国土庁としては取り組んでいただいて、土地を持っておれば値段は上がるものというあの神話をひとつ打ち破っていただきたい。さらに地価を下げる努力をされるか、御所見を承りたいと存ずるのであります。
  128. 金丸信

    金丸国務大臣 地価対策の問題については、これでよろしいという考え方ではありません。あくまでも先生のおっしゃられるように、できるだけ安く、それが住宅問題を解決する糸口である、私はこう考えておりますので、今後あらゆる努力をして、また税制の面その他あらゆる方途を講じてまいりたい、こう考えております。
  129. 井上普方

    井上(普)委員 すべて地価に帰着するのでありますが、インフレの最大の原因の一つも地価問題にあったということをひとつ真剣にお考え願って、適切なる施策を講ぜられんことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
  130. 天野光晴

    天野委員長 瀬崎博義君。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、筑波研究学園都市の建設の現状と、政府建設に対する基本的な考え方、態度というものをお尋ねしたいと思うわけです。  四十八年の四月二十七日の閣議で、おおむね昭和五十年度末をめどに移転機関等の移転を行う、つまり五十年度概成という線を打ち出されましたが、それに対する現在の進行状況を、これは大臣がお答えになりますか事務当局がお答えになりますか、まずお伺いしたいのです。
  132. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 筑波研究学園都市の現在の進捗状況でございますが、まず道路、河川あるいは上下水道、こういった公共公益施設につきましては、ほぼ七割方概成しておりまして、五十年度には概成という予定でございます。  それから、あとは各研究機関あるいは大学の施設整備でございますが、これにつきましては、一昨年来の石油ショックに伴います総需要抑制の現状におきましてかなりおくれておりまして、先生のおっしゃいましたように、四十八年には、一応五十年度に概成する、こういうことでございましたけれども、これが、現在関係各省庁と詰めておりますが、かなり移転完了の時期がおくれるというような見通しでございます。  それから、国土庁は、現在この筑波研究学園都市建設事業につきましての関係各省庁間の調整それから推進、そういった任務を持っておりまして、現在この事業全体を円滑に推進するように努力をしているわけでございます。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、とにかく現在の進行状況の現状を聞いたわけなんですね。ですから、それに的確に答えてほしいわけです。  四十八年四月の閣議決定の計画によると、通産省関係の十研究機関は五十一年度、その他の研究機関は五十年度あるいはそれ以前の概成。移転時期については、電総研、公害資源研究所は五十二年度、その他の通産関係の研究機関と農事試験場の一部、厚生省関係の二研究機関が五十一年度、それ以外の研究機関は五十年度またはそれ以前となっていたわけであります。  この中で、この当時の計画どおりにいくものは、ではどれとどれなんですか。それを答えてください。
  134. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 移転研究機関四十三機関でございますが、現在までに移転完了し、あるいは業務を開始しておりますのが九機関ございます。どれとどれかとおっしゃいますと、文部省の筑波大学、それから同じく文部省の高エネルギー物理学研究所、それから環境庁の国立公害研究所、それから科学技術庁の無機材質研究所、それから国立防災科学技術センター、これは予定どおり業務を開始いたしております。それからあとは、郵政省の関係で電電公社の筑波電気通信建設技術開発センター、それから建設省の建築研究所は、これはまだ移転しておりませんが、現地である程度業務を開始しております。  以上であります。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 重ねて聞きます。それ以外は全部一応おくれになっている、こういうことですね。
  136. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 それ以外の機関につきましては、本年度中に予定どおりできるのが二、三ございますが、ほとんどはこの五十年度という概成時期、これがあるいは五十二年、五十三年、五十四年というふうにずれるかと思いますが、最終的には、これは閣議決定でございますので、推進本部に諮りましてそれから閣議の手続をとってこの完成の目途を変更することにしたい、こういう予定で考えております。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、今年予定どおりいくものが二、三あるとおっしゃいましたが、どれとどれでか。
  138. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 一つは、文部省でございますが、国立教育会館でございます。特殊法人でございますが、これが予定どおりいくと思われます。それからもう一つは、農林省の熱帯農業研究センターでございますが、これが四十九年度に移転する、こういうような予定になっております。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もともと政府は、四十四年六月十三日の閣議決定で、昭和四十三年を初年度として、前期五年、後期五ヵ年の二期に分けて、おおむね十カ年で概成する。つまり五十二年度目標の方針を出したわけでありますが、これを四十八年の四月に、二年繰り上げて五十年概成の線を打ち出した。それにはそれなりの理由があったと思うのですね。なぜ、四十八年当時二年繰り上げなければならない理由があったのですか。これは大臣にお願いしたい。
  140. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 当時におきましては、移転機関のそれぞれの機関の計画、一応五十二年度と、目途として決まっていたわけでございますが、これをさらにプッシュするようにというような政府考えがございまして、それで二年間繰り上げるということで、それを四十八年に閣議決定したというような次第であります。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だれがプッシュしたのですか。
  142. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 これはだれがと言いましても、結局政府として、筑波研究学園都市の建設を二年間短縮することが適当である、こういう判断で下政府として決めたわけであります。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 たしか、当時建設大臣であった金丸さんは、この繰り上げをする前に現地も視察していらっしゃったと思うのですね。ですから、当時の現況はつぶさに御承知であるはずだし、また、閣議決定ですから、どういう理由のもとに二年繰り上げたのかは直接参画して御承知のはずだし、また、繰り上げてやっていけるという根拠についても、何らかその当時はよりどころを持っておられたと思うのですが、いかがですか、長官。
  144. 金丸信

    金丸国務大臣 この話が決まりましたのは、私が大臣のときでなくて、たしか木村大臣のときだったと私は思うのですが、しかし、これを早めたということについては、当時、国の力の上から言ってもやれる、それからまた、実は各官庁の研究所等について、早くしていただかないことにはいろいろの混乱が生ずるというようなこともこれありまして、そういうようなことから、強い要望の中でそういうことが取り決められたと私は考えております。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、それからわずか二年しかたっていないのですが、今日ではその急ぐ理由というものがなくなった、あるいはまた、二年繰り上げに当たって当時とっておった政府の方針といいますか、根拠が何らかの形で崩れたということですか。
  146. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題につきましては、御案内のように総需要抑制等もありまして、公共事業等も圧縮されておるという中で、そうせざるを得ないというのが政府実態だったと考えております。
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 四十八年当時、計画を繰り上げた時点では、一応長期の計画なんですが、しかも、相当大きな金額が要りますが、予算の裏づけについても、政府見通しを持っておったのですか。
  148. 金丸信

    金丸国務大臣 その繰り上げることについての時点においては、これをやれるという考えのもとにそう決めたと考えております。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体われわれが考えますのに、研究学園都市建設というのは、高速道路とか新幹線などの建設と違いまして、数万の人々が一応社会生活の条件の整っている現在の生活の場を捨てて、全く新しい土地に生活の場を移すという、こういう事態であるし、同時にまた、いままで積み上げてきた高度の研究業務を一時中断して、ほとんどすべてを新しい場所に移しかえて、これを継承発展していく、つまり生活と研究とがまさしくついて移転するという、こういう問題ですから、私は、本来これは大変な難事業だ、困難な事業だ、そういうふうに理解するのが正しいと思うのですが、科学技術庁が見えておるようですから、ひとつ研究所を総括していらっしゃる科学技術庁の方で、こういう事業を手がけるに当たって、格別腰を据えて慎重な構えでいかなければならないと私は考えるのだが、科学技術庁はどう考えているか、お答えいただきたいと思います。
  150. 川村恒明

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、研究所の移転というのは、その研究の中身を中断することなく、さらに一層の高度化を図りながら進めなければなりませんし、そのためにはやはり研究者の皆さんが安心して研究に専念できる環境をつくるということで、これは大変にむずかしい問題だというふうに思っております。  今回の計画につきましても、私どもは、そういう観点でできるだけ良好な研究環境整備されるということで、この計画には賛成をしているわけでございまして、そういう意味での整備充実が着々図られていくことを期待しておるわけでございます。
  151. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 恐らくそういう観点があったから、四十五年の七月二十二日に推進本部が、申し合わせとして、研学都市建設の各種の計画策定の手順を決めているわけなんですが、その手順というのは、第一に建設計画の大綱策定、第二に公共公益事業整備策定、第三に移転機関等の移転計画策定に当たっては、移転予定機関固有の問題及び移転職員に対する生活環境問題等の処理をしておく必要がある、こういうことを決めておったわけですね。だから、これは恐らくそのぐらいの慎重な手順を決めてかからないとこの建設は成功しないという配慮があったと思うのです。その当時の事情について政府は現在どう考えているのか。これはだれが答えますか。
  152. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 建設事業計画をつくりまして、まず宅地造成をいたしまして、道路とか上下水道、こういった公共公益施設を早期に先行整備する、そういうことで、これが予定どおり進んでいたわけでございますし、現在この関係はかなり進捗しているわけでございます。  ただ、問題は、いわば上物の官庁営繕でございますが、これにつきまして、当時といたしましては全体の金額もおおよそ二千億円程度であろう、一方、東京あるいはその周辺地域にあります移転機関の跡地の処分収入もそれくらいであろうということで、一応資金的にも予定どおり進捗できるのではないかという考えがあったと思うわけでございますが、その後建築単価の非常な値上がり等ございまして、そうして現在では、この官庁営繕関係、いわゆる施設関係の全体計画の金額だけでも二倍あるいは二倍半、こういった非常な金額になるということがわかってまいりましたものでございますから、そこで、これは当初の予定どおり進めることがむずかしいというような判断に現在立っているわけでございます。
  153. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、ここで聞いていることは、こういうふうな三つの手順を常に考えておかないといけない。これが万全だというのじゃないですよ。政府自身がこういう手順が必要だと決めているわけなんですが、そういう慎重な配慮が、たとえば四十八年の四月の閣議決定で二年繰り上げを決めた時点でも、同じように配慮されたかどうか。ただ当時は高度成長の波に乗っておったから、まあ金さえつけばやればいい、その程度のことで決めたのか、そこのところを聞きたいわけなんです。
  154. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 そのようなことではございません。政府といたしましては、できるだけ生活環境施設の整備を先にやろうということで、この建設計画の大綱あるいは公共公益施設等の整備計画の概要におきまして、かなりきめ細かく決めているつもりでございます。
  155. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 生活環境整備は整っているということを強調されておりますから、それはいま聞きおいて、後でまた実態をいろいろ具体的に申し上げたいと思う。  この大きな都市建設には、多くの職員の生活と研究そのものがついて回っている。これはよくよく御承知のことなんですが、だから、本来なら慎重の上にも慎重を期して、一たんつくられた計画がそのとおり間違いなく遂行される、このことで、建設計画に合わせて移転する人々の生活設計なり、あるいはまた切りかえられる研究計画なりも立ってくると思うのです。ところが、このもとになっている建設計画が、延びてみたり縮んでみたりまた延びてみたり、こういうふうなことになってくると、いやおうなしに職員の生活や研究そのものも右往左往せざるを得なくなってくると思うのですが、大臣はそんなことがあっていいと考えているのですか。
  156. 金丸信

    金丸国務大臣 原則的には先生のおっしゃるとおりだと私は思うわけでございますが、石油パニック以来の世界経済の激動というものがそろばんの中になかったということが私は一つの問題点である、こう端的に申し上げたいと思うわけであります。
  157. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 高速道路とか新幹線とか工場用地の造成、こういうふうなことだったら、確かに、もし政府が石油パニックを予期していなかったと言うなら、恐らく新しい事態に備えてこれを中断したりあるいは計画をやめたりすることは可能だろうと思うのですよ。しかし、そのことで、いままで見通しもなしにとにかく大企業の利益になるということで高度成長政策を進めたことを免除するものではないのですけれども、しかし、筑波の場合はそうではない。すでに中途半端な状態の中で相当部分の人は現地に移っているわけですね。また、逆に今度は移転が予定されている研究機関の方では、本来整えるべき施設とか装置等も、移転ということが前提になっているために見送られて、研究の方が半身不随になってくる。つまり現地へ行って生活している人も中途半端な状態に放置されて、ある人々の表現をかりれば、砂漠の中に住んでいるようだ、こういうふうに言われているし、残っている人は残っている人で、いつ行けるかというめどがはっきり立たなくなって研究は腰だめだ、こういうことになってきているわけですね。ですから、そういう点で道路作りや鉄道作りとは根本的にやはり考え方を変えなければ、この筑波の問題で正しく対処していないと思うのです。ですから、もしも政府がそういう予期しない事態になったために計画がまた狂ったのだと言われるなら、この高度成長の波に乗ってとにもかくにも、政府が出しているいろいろな統計を見たって、大企業の方はこの十年間ほどの間に何十倍と大もうけしていることは事実なんだから、そこから財源を確保してきて、それで少なくとも筑波などのものはちゃんとやっていく、これなら、金丸長官が、職員のことを考えているのだ、大事に思っているのだ、私の言うとおりだということを、ほんとうに親身におっしゃっているというふうに考えられるけれども、結果としては、計画の方をまたずらしそうな気配で、やはり移転する職員とか行った人たちにしわ寄せするようになっていると思うのです。そういう点で、もしそういう予期せざる事態でこうなったと言われるなら、重大な政府責任なんだ、大変迷惑をかけて申しわけない、こういうことをひとつ大臣はっきりここでおっしゃっていただきたい。
  158. 金丸信

    金丸国務大臣 その問題については、まさに計画が狂ったということについて、大臣として申しわけないと私思っています。  しかし、この問題につきまして、混乱はできるだけ少ないようにすべきだということで、たとえて申しますれば、遅まきであるにいたしましても、果樹園あるいは林業試験場、こういうものについて私も実はこの間行って見てまいりました。そういうようなものを管理するのに、一方は平塚にある農業試験場から来て管理する。その他いろいろ出先へ泊りがけでやらなくちゃならぬというような混乱が生じておるわけであります。そういうものは、五十四年といわず五十二年、遅くも五十二年当時には完成するような方向に努力したい。  また、職員のそういうような、ただいま申し上げましたような、いわゆる一方では向こうへ行っているけれども、まだ一方には残っておる。また、研究の上においても、全部がそろうところに全き研究ができるだろうと私も思います。そういう意味で、私もあなたと同じ考え方でありますが、財布の中の金というものは決定づけられておるものでございますから、それをあなたのおっしゃられるように大企業から持ってきて、これをこういうようにやったらどうだ、こう言われてみましても、それも簡単にはいかぬということだけは御理解をいただきたい、こう思います。
  159. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 部分的にはいろいろ努力しているのだというお話なんですが、事は、やはり一つのあれだけの大きな町作りですから、なかなか部分的な手直しで今後うまくいくとは私は考えられないのですよ。  その点で、ひとつこれは科学技術庁の方にまたお尋ねしたいのですが、現在の日本の国立の研究機関の中で、つまり中央機関と言える機関は幾つほどありますか。
  160. 川村恒明

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  ただいまのその中央機関という意味が、むずかしいあれでございますが、国の各省に付属しております試験研究機関がどれぐらいあるかということでございますれば、約百ぐらいあるというようなことでございます。
  161. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、今度移転する研究機関の数からいくと、おおよそ三分の一は移転、こういうことなんですね。
  162. 川村恒明

    ○川村説明員 そのとおりでございます。
  163. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 世界でこれだけの中央研究機関をまとめて移転するというふうな例はありますか。
  164. 川村恒明

    ○川村説明員 諸外国にもこの研究学園都市に似た計画が幾つかあるように聞いておりますが、これだけまとまって移転をするというのはほかに例がないことと聞いております。
  165. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、お聞きのように、日本の最も中枢的な役割りを果たしている研究機関のまさに大移動なんですね。しかも、世界でいまだやったことのないようなことを日本で手がけているわけでしょう。そういう点では、私は、よほどこの事業に対する慎重な配慮というものが全く他のいろいろなプロジェクトと違ってなければならないし、ある意味では国家百年の計を考えるぐらいの慎重さもあってしかるべきだと思うのですね。こういうふうな慎重な配慮はほんとうに最初からあったのですか。
  166. 金丸信

    金丸国務大臣 慎重な配慮は私は十分にあったと思っております。しかし、先ほど申し上げましたような事態もあることですから——ただ、先ほどもお話がありましたように、世界にもまれな事業であると思います。しかし、この問題はいろいろ困難はある、迷惑もかけた、申しわけないとも思うけれども日本人の英知というものはこの問題を必ずや解決してくれるだろうと私は思っております。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、一月二十二日ですか、金丸長官が記者会見をされました。五十年末までに完成させることに閣議決定したが、五十四年に延ばすことにするなんというような発言をされておるようですね。されましたか。それも、まさに世界に誇るべき大事業をやっているというこの重大な認識、あるいは日本の大部分の重要な研究機関を移すという大きな認識があって、五十四年に延期するというようなお話をなさったのですか。
  168. 金丸信

    金丸国務大臣 実は実際問題、できないことはできないとはっきりすべきことであって、ほうかぶりしていくわけにいかないという状況であります。  そこで、この問題をどの機会に私は発表すべきか。しかし、余り向こうへ置くことはいかぬ。各官庁の移転の計画もあることでありますし、いままでの計画とまた計画を立て直さなければならないということでありますから、ちょうど筑波の学園を視察したその時期を選びまして、私は率直に、五十四年に延ばさざるを得ない、しかし、五十四年概成ができ上がるということについては、それは一部だ、大部分のものは五十二年の程度ででき上がるのではないかという付言もしてあるわけであります。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、おくれざるを得ないということをこの際はっきり大臣が認めるのは、それはいいと思うのですよ。しかもそのおくれたことについて、はっきり責任をとったような発言ではないけれども、申しわけないとおっしゃっているのだから、それはいいけれども、しかし、五十四年に延ばすなんということを、本来閣議でいままで決定されたことを、長官が出先の記者会見で発表される。本来は、よほど関係研究機関によく相談もしなければならないし、また、それぞれの職員の意見もよく聞いてみなければいけないし、日本学術会議意見も求められたこともあるのですから、そういうところの意見も一遍聞くぐらいの配慮がなければ、私はほんとうにこれだけの大事業をやっているという認識にならないと思うのですね。  少し質問の順序が逆になるのですが、建設大臣が席をはずされるということなので、その関連した質問をちょっとはさませていただきたい。  それは、先ほどから大都市圏の局長がしきりと生活環境整備は先行している、こう言われるのだけれども、実はもしそうだったらこういうことは起こらないだろうという事実があるわけですよ。その一つは、たとえば医療問題。現状は、私の方から申しますが、花室東部地区に最も近い岡田医院、これが内科、小児科、耳鼻科、軽い整形外科を扱っていらっしゃるらしい。これですら三キロメートル離れている。それから土浦市内の医院及び霞ケ浦病院へとなると十キロ離れている。筑波大学の中に診療所の分室があるけれども、これは文部省共済しか利用できない。というわけで、住民の方々が最も日々心配していらっしゃるのは、この健康と命に関する医療問題です。そこで花室サブセンターに診療所を開設されるように計画されておったわけですが、これは現在開設されているのですか。
  170. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 花室東部サブセンターの中に診療所を開設する件につきましては、大体医師につきましては確定しておりますし、地元医師会の了解も得ておりますので、いま準備が完了次第、ことしの四月には開業できる、このような予定になっております。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私がかつて説明を聞いたときには、今年早々から開業というふうに聞いておったのですね。たしかお医者さんも、筑波大学のあっせんで内科、小児科のお医者さんが決まっているのでしょう。ところが問題は、花室サブセンター内の診療所の賃貸料が余りにも高いということを聞いているのですが、住宅公団のほうで、住宅公団はこの第三セクターに対する最大口の出資者でありますから、どういう条件で貸すことにしているのか、ちょっと簡単におっしゃってください。あと建設大臣答弁を求めたいと思います。
  172. 今野博

    今野参考人 簡単にお答えいたします。  まだ正式に契約はいたしておりませんが、大体平米一万五千円程度で、これは一般の店舗と同じ単価で契約をいたす予定でございます。(瀬崎委員「何がですか」と呼ぶ)賃貸料でございます。
  173. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 賃貸料が平米当たりもし一万五千円だったらですよ、診療所は三百平米、要るのですが、一体どうなりますか。家賃四百五十万円ですよ。冗談じゃないですよ。
  174. 今野博

    今野参考人 失礼いたしました。ちょっと間違えまして、平米千円でございます。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは、建設大臣、ちょっとお聞きいただきたいのですが、まず保証金が要るのです。いまおっしゃいませんでしたが、平米当たり五万円です。それから敷金が要るのです。平米当たり一万五千円です。賃貸料は、私が聞いたのでは、現在は平米当たり月千五百円。これが五十二年三月までで、そこから先二年間は二千円に上がる。さらに五十五年四月からまた五百円上がって、二千五百円になる。これは人口もふえたらもうかるだろうという計算だそうですか。診療所に大体三百平米要るのですね。それで、ここで診療所を開こうと思ったらどれだけ負担がかかるか、一遍計算してみてください。  それで、まず建設大臣にお答えいただきたいことは——住宅公団を所管しておられますから。国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する目的で公団はできて、その公団がいろいろな出資をする場合には、居住者の利便に供する施設で、団地の居住者の環境の改善に関する事業に投資できる、こうなっていますね。こんな高い権利金、敷金、家賃を取って、そのことが実は診療所の開設がおくれている理由になっているのですが、建設大臣、こういうことで公団は役目を果たしているとまずお考えになるかどうかという問題なんです。それと、何らか処置を講ずる意思があるのかないのか。
  176. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 初めてお伺いすることですが、第三セクターというのは住宅公団も入っておりますけれども、茨城県も入っておるし……(瀬崎委員住宅公団は最大口ですよ」と呼ぶ)地元六町村も入っておりまして、これが出資をして決めた第三セクターがその賃貸を決めるわけでありまして、これは住宅公団だけがやれるものじゃありません。住宅公団の趣旨はおっしゃるとおりであります。一番大きな出資をしておるようですから、それは発言権はあると思いますけれども、やはり地元の県や町村の意見も十分聞いて調整しなければいかぬ問題だと思います。できるだけ安いに越したことはないと思いますから、努力しなければならぬと思います。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、ここで二つの問題が起こってくるのです。あとのお店屋さんの品物の値段にも影響するのですが、つまり何らかの方法で、こういう保証金だとか敷金、賃貸料を下げる工夫を建設省の側で、つまり公団を所管している建設省の側で考えるか、または、それができないというのなら、逆に、診療所を開設する側のお医者さんであるとかあるいはこのサブセンターに入るお店の方に何らかの援助をするか、これは一体どこの省庁がその責任を負うのか私わかりませんが、これはどっちかになると思うのです。だからこれは、二人も大臣がいらっしゃるのですから、一体どっちでこの問題の解決に当たろうとされるのか、一遍御相談の上答弁いただきたい。
  178. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろ分担もあるわけでございますが、筑波学園担当大臣として、あそこに医療というものはいまもって設置されていない、私も行ってみて、そういうことは人命の尊重の上からも必要であるということを痛感いたしました。家賃が高いというようなことで医者が来られないということであってはならぬ。そのためには最善の努力をして、払えるような家賃にいたすように要請をいたしたいと考えております。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 要請だけで、具体的に解決しますかね。要請というのは、公団を通じて第三セクターに要請されるのか、別途に何か補助、助成の制度をとるという意味なのか、どっちなんですか。
  180. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 この問題につきましては大体解決しております。  その状況と申しますのは、医師は決まっておる。それから、条件といたしまして三つございまして、一つは、レントゲン設備その他の設備を何とか安く貸してくれないかという問題。これにつきましては、県が無償貸与という方向で現在考えております。それからもう一つは、いま申しましたテナント料、要するに借料を安くしろ、こういう問題につきましては、先ほど公団の方からお答えいたしましたように、大体公益施設並みにするということで了解がついております。それからもう一つは、宿舎を世話するという問題。これは公務員宿舎あるいは住宅公団の宿舎を世話する。そういうことで医師も大体了解いたしまして、これで四月から開業する、こういう予定に話が全部済んでおります。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまのは当面の内科と小児科の医師にのみしか通用しないわけなんですね。  まだあるんですよ。今度は、歯医者さんは近辺に全然ないわけです。これ、一番困っていらっしゃるようですね。土浦の歯医者さんへ行こうと思うと、何ですか、場合によっては一カ月ぐらい予約してからかかる。これでは急場の間に合わないわけですね。ですから、こういうものも将来考えなければいかぬですね。それから、先ほど言いましたように、現地の購買施設が非常に貧弱で、しかも物が高いというふうなことは、しょせんまたこの賃貸条件ともからんでくる。そういうことを考えれば、いまのような答弁でわれわれは満足するものでもないし、またそういう答弁を求めたわけではないのです。こういう第三セクター方式でやると、結果こうなるので、これはやはり抜本的に何らかの対策を政府として考えておかないと、建物だけつくったって、住民の皆さんの役に立つような購買施設とか医療施設とか、そういうものは生まれてこない、こういうことなんです。ですから、これは長官ひとつ総合してどうするのか、政府の方針をお聞きしたいと思うのです。
  182. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま医療の問題についてはお話があったのですが、それは、歯医者さんの問題にも関連のある問題であろうと思いますし、歯、医者さんが入りたくも入れないような状態であってはならぬ。これはあくまでも国土庁の責任において、歯科の先生が住民の医療のできるような方法を考えます。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応まあ緊急解決を要する問題に入りましたから、続いてそれを申し上げますが、今度は学園都市の都市内交通の問題です。  現在のこの学園の都市内交通はどういうふうに確保されてますか。
  184. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 現在は、公共交通施設といたしましては、土浦の駅から住宅のございます花室地区、その間、それからさらに筑波大学の南の方を通るバス路線、これに依存しているわけでございます。
  185. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 土浦−花室間、これはまあバスが走っていると言える程度に走っているようですね、一日十四往復、大体六時過ぎから八時ごろまで。問題は、その学園の都市内のバスですが、それは一体どのぐらいの頻度で走っているのですか。
  186. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 実はこの問題は何とかしなきゃいかぬということで考えておりますが、その前に、現在どうなっているかと申しますと、あの広大な研究学園都市につきまして、研究機関、大学、それと住宅のあります花室地区までの間の南北の連絡ルートがない。したがいまして、現在は各研究機関、大学がマイクロバス等を購入いたしまして、そして朝晩の職員の交通の便に供しておる、そういうようなことでございます。
  187. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 具体的に、一体何時ごろと何時ごろにそのバスが走っているのか、そういうふうに答えてください。
  188. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 現在各研究機関全部で十台のマイクロバスを持っておりまして、大体午前一回、午後一回ということで出勤時と退庁時にやっております。
  189. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、研究者のことですから、たとえば四時半とか五時になったからびしっと研究をやめられる日もあるでしょう。しかし研究によってはやめられない日も多々あると思うのですね。これは試験研究の特質だと思う。そういうときに、朝一回晩一回しかないバスに外れたら一体どうなるかという問題ですね。お考えになったらわかると思う。しかも、マイクロバスを持っておる研究機関とかあるいはバス会社からバスを借りて運行している等々、ずいぶん苦労して各研究機関足の確保に努めておるようですが、それでもなお、たとえば高層気象台などはそういうものを持っていないために、花室から高層気象台行きのバスはないと聞いておるのですが、いかがですか。
  190. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 そのとおりでございます。
  191. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この間自転車でやりますと約三十分かかるそうです。雨が降ったらどうなるか、これも御推察に余りがあると思うのですね。ですから、こういう状況を放置しておいて、さっきから一生懸命、生活環境の方は先行投資で七割整っておる、一番肝心の医療とか交通が整わないで一体何が七割確保できたと言うんですか。私そこを聞きたいですね。基準はどこに置いておるのですか。
  192. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 したがいまして、国土庁としましては、この関係の調整、推進という立場から、やはりこれは非常な問題である、何とかしなければいかぬということで、実は来年度予算、国土庁に南北の交通ルートを開設するために筑波研究学園都市運行バス購入費補助金というものを計上してこの問題の解決を図りたい、このような措置を講じておるわけでございます。
  193. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体国土庁でそういうような予算がつけられるんだったら、なぜもっと早くそういう予算をつけて、現在でもたとえば高エネルギー研などは関東バスを貸し切り運行しているわけですね。こういうようなものを国土庁がやる役目を持っていると言うのなら、もっと上手に運用したら現在でも直ちに私手が打てると思うのです、朝一回、晩一回というようなことでなしに。これはひとつ長官、新しいバスを購入して運行されるんだそうですけれども、それまでの間も、あすからでも解決できる手だと思うので考えていただきたいと思うのですが。
  194. 金丸信

    金丸国務大臣 国土庁は、まだ生まれまして半年ばかりでありまして、なかなか先生方のおっしゃられるとおりにまだいかない面もあるわけであります。予算を先取りして使うというわけにもいかぬと思いますが、ひとついまのおっしゃられる点につきましては、現在困っておるということでございますから、検討をしてみたいと思います。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それともう一つここで私言っておきたいことは、本来こういうバスの購入に補助金をつけるなんというようなことは運輸省がやるべきことだと思うのですね。一体どういう経過でこれを国土庁で持たなければならなくなったのか。確かに苦労されているようですから、苦労話大いに結構ですよ。もし各省庁問でそういうなわ張り争いがあって、厄介なものは引き受けないという風潮があるんだったら、こういうことこそ改めなかったらこんな総合的な町づくりはできないと思うのです。だからひとつ、臭いものにふたをせず、はっきりさせてほしいと思うのです。
  196. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 国土庁が発足いたしまして、来年度すなわち五十年度の概算要求をするに当たりまして、私どもはこの住民の交通利便の確保、これは何とかしてしなければいかぬということでいろいろ検討したわけでございます。何分まだ都市建設の過程でございますので、でき上がった都市であればともかく、そういった過程におきましては、利用者も偏っているし、朝晩は多いわけでございますけれども日中は少数であるという問題、あるいは採算の問題もございますし、これは運輸省に十分相談したわけでございますけれども、なかなか運輸省の制度には乗りがたい。と申しますのは、運輸省の方では現在過疎バスという制度、それから団地バスの制度がございます。過疎バスにつきましては、この筑波の都市は過疎にはとても該当しない、とても乗らない、過疎地区ではないということでございます。それからもう一つは、よく公団でやっておられます団地バスの問題でございます。団地バスの問題につきましては、これは最寄りの駅までの交通手段を確保する、こういうことであります。ところがこの筑波研究学園都市は、最寄りの駅までの問題は土浦までバスがございます。問題はむしろこういった都市内の交通の問題、しかもその都市内というのは二千七百ヘクタールという非常に広大な地域である。これが欠けている。ところが、現在これに対処し得るような制度がないわけでございます。それを新しくつくってほしいということをいろいろ運輸省に言ったわけでございますけれども、運輸省はやはり全国的な運輸問題をやっておりますので、筑波だけにそういった制度を開設するということにつきましては、なかなかこれは実際問題としてむずかしい。しからば各研究機関がバスを持ち寄って共同でやったらどうかというような問題、それから公務員宿舎は大蔵省の財務局でやっておりますから大蔵省の方でやったらどうかとか、あるいは住宅公団住宅もつくりますから公団も加わったらどうかとか、いろいろな問題を持ち寄りまして検討したわけです。その結果、国土庁が調整の立場でございますから中心となってやったわけでございますけれども、関係各省いずれも、これはとりあえずの措置として国土庁でひとつ引き受けてくれないかということに相なりまして、そこで、こういった例はないわけでございますけれども、こういった都市の建設過程におきまする暫定措置といたしまして国土庁に予算を計上することにしたわけでございます。もちろんバス路線の認可とかそういった監督面は全部運輸省がやるということになっております。
  197. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それなら二つお尋ねしておきたいのですが、一つは、一応公費を使って運行するバスであるから、このバスの運行ルート、運行時間表等については、当然のことながら関係住民の要求を十分反映していなければいかぬと思うのですね。ですから、そのことをちゃんとバス会社に義務づけるという手だてを政府は講ずるようにしてあるかどうかということが一つ。  いま一つは、各省庁が現在の制度のもとでは引き受けられないという問題で、しかし筑波については全く特殊な条件のもとでどうしても解決しなければならないという問題が、今後出てくると思うのですね。いま医療の問題、交通の問題、買い物も出ていますが、こういう問題については、金丸大臣はいま一応抽象的には考えるとおっしゃったわけなんですが、具体的な措置としても、いまのパスのような方法で暫定的には国土庁が事務の調整ということで引き受けられるわけですね。この二点。
  198. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 具体的なバスのルートの問題でございますが、これは現在関係者相寄りまして検討しているわけでございまして、それには住民の意向を十分取り入れたいと考えております。  それから、今後このような措置を暫定的にとるかという問題でありますけれども、これはやはりケース・バイ・ケースでございますが、調整し推進する立場といたしまして、必要な措置は講じていきたいと考えております。
  199. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では次は、近く移転する機関の問題なんですね。先ほどの局長答弁では、熱帯農業研究センターしか研究機関はあげられなかったと思うのですが、科学技術庁いかがですか、近く移転の機関というのはそれだけしかないのですか。
  200. 川村恒明

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  筑波研究学園都市におきまして現在業務を開始しております機関、業務の態様につきましては、いろいろございますけれども九機関ございます。このほかに、本年度と申しますか近いうちに業務を開始するという機関は、先ほど御答弁がございました農林省の熱帯農業研究センターがあると承知しております。(瀬崎委員「ただ一つだけですか」と呼ぶ)失礼しました。それと、先ほど御答弁にございました国立教育会館筑波分館、これは昨年の十月に一部業務を開始いたしまして、本年の四月以降本格的に業務をされるというふうに伺っております。
  201. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、私が聞いておった気象測器工場というのはまだ当分先になるのですかね。ちょっと待ってください、科学技術庁。  それらの移転機関の職員はどの地域住宅に入られる予定ですか。
  202. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 現在花室東部地区に建設中の住宅に入ることになろうかと思います。
  203. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 万万が一にも大角豆とか手代木とか、こういうふうな全く新しい地域に移転させられるということはないですね。
  204. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 これは実は、いまちょっと私の言い方が悪かったのですが、花室地区に非常に数多くの住宅ができる、それからもう一つは、いまおっしゃいました大角豆地区にも百戸ばかりできる。そこで、これはまあ公務員宿舎の配分でございますから、私はいま花室と申し上げましたけれども、大角豆には絶対行かないということはちょっとこれは私としては申し上げられない。といいますのは、これは最終的には大蔵省の財務局の方で配分するわけでございますので……。
  205. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ここで長官お考えいただきたいのですが、現在ある一定の人たちが集まっていらっしゃる花室東部地区についても、先ほど申し上げましたような事情で、生活環境というのは政府の用語で言うならソフトの面については全く何にもできてないと言ってもいいぐらいなんですね。ところがこの大角豆とか手代木は、現地ごらんになっていると思うのですが、あそこは本当に何にもない、ただ宿舎が建っているというだけなんですよ。ですから、こういう点では、よほど急いでそういう地域を生活できるような場所にするか、あるいは移転する宿舎を十分やはり職員の意見を聞いて調整しないと、本当に人間を扱っているような状態ではなくなると思うのですね。人間性無視もはなはだしいと思うのですよ。ひとつその点、長官の方で大蔵省とはっきり話をつけ、各研究機関と了解をとりながらやるということを約束しておいてほしいのですが……。
  206. 金丸信

    金丸国務大臣 人間が住む以上、住むらしい設備をしなければならぬことは当然であります。そういう意味で、マーケットも必要でありましょうし、あるいは緑も必要でありましょうし、そういう中で、職場と住宅、そういうような距離の関係もあることですから、十分大蔵省とも連絡をとりながら、皆さんに満足いけるように最大の努力をいたしたいと思います。
  207. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一つ問題になってくるのは、今度は移転がおくれる方の研究機関の問題ですね。移転が予定されている研究機関で、現在の施設の拡充やあるいは改築の必要が起こった場合には、政府側はいまどういうふうに対処していますか、科学技術庁。
  208. 川村恒明

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  移転がおくれているために現在の既存の施設が老朽化しているという研究機関は、私どもの承知している範囲でも幾つかございます。で、実際問題といたしまして、間もなく移転することが明らかであるという施設につきまして、施設の新営その他を行うということはなかなかむずかしい問題もございますので、私どもといたしましては、できるだけ早期にこの移転の時期のめどを明らかにしていただきまして、研究に支障がないように配慮をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  209. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現実に起こっているそういう修繕とか、どうしても部屋をふやさなければならないとかいうごとに対しては、どう処置しているのですか、予算上。
  210. 川村恒明

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  それぞれの具体的な事例につきましては、それぞれ各省庁及び各研究機関との間でお話し合いをしていただきまして、研究に支障がないような措置は講じていただいておるというふうに伺っております。
  211. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 長官に聞いていただきたいのですが、いまのような状態で、たとえば農林省の食品総合研究所の場合は、これは時代の要請もありましていやおうなしに研究室を増加させざるを得なくなった。ところが、移転予定機関であるからなかなか新築、改築が認められないというので、事実上バラックと言ってもいいようなプレハブで現在しのいでいる、こういう状況なんですね。ですから、政府計画がどうしても一定ずれざるを得なくなったということが明らかになっている今日、現在地点での研究機関についても、たとえそれが一時的に二重になっても、最小限必要な研究施設の改善についてはやはり予算をつけるように、これもひとつ、これは新しい筑波の問題ではないけれども、移転に伴う問題ですから、これは国土庁の方で何とか配慮してもらわなかったら引き受けるところがないと思うのですね。長官の方のお答えをいただきたいのです。
  212. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 この問題は非常に重要な問題でございまして、一つは移転時期をこの際はっきりして、この設計のめどをつけるということでございます。それに伴いまして、現在、移転前におきまして起こっている事態、いまおっしゃいましたような修繕費もつかない、それから研究設備もつかない、こういった問題につきましては、これはひとつ全体の問題といたしまして各省庁と十分検討したいと考えております。
  213. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現状のまま放置しないというふうに理解していいですね。——いいです。  そこで、結局はやはり今後の計画は何らかの形で明確にしていかなければいかぬということですね。だから、さっきの金丸大臣のように、記者会見で個人的な考え方で五十四年度などと言うようなこと自身が非常に軽率で、いままでのことに対する反省がまだ十分でない証拠だと私は思うのですよ。やはりいまの研究とか生活の面から見ただけでも、計画は慎重でなければならない上に、今後は二度と狂わないように財政的裏づけも必要ですね。  時間もありませんから詳しく余り申し上げる余裕はありませんが、住宅公団の方にお尋ねをしたいのです。
  214. 金丸信

    金丸国務大臣 ちょっと瀬崎さん、その問題について。  昭和五十四年ということについて、先般の筑波学園都市視察の節私が申し上げましたことについて、まことに不用意な発言だという御注意でございますが、私は私なりに、私はただ腰だめで申し上げているわけでなくて、関係機関とも話し合いを一応して、また実際問題やれないということは現実の予算の上でできておることでございますし、むしろここで申し上げておくことの方が親切だというような配慮がありまして私は申し上げたということを御理解をいただきたい、こう思います。
  215. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ住宅公団の方にお尋ねしたいのですが、住宅公団が建てかえざるを得なくなっている関連公共並びに公益施設については、四十九年度分の見込みを含めて資料をいただきましたから、それで大体わかるわけなんですが、五十年度の立てかえも約一千億要るわけですね、予算としては。これの主な対象になる事業はどういうことですか。
  216. 今野博

    今野参考人 お答えいたします。  五十年度の立てかえにつきましては、目下関係当局と協議中でございまして、まだ額の確定をいたしておりませんが、おおむねいま先生おっしゃいました一千億ではなくて百億程度になろうかと存じます。
  217. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 九十九億二千万ですからざっと百億ですね。  しかし、一応こういう数字が出ている以上は、大体対象は出ていると思うのですが、現在までのあれでいけば、道路とか下水とかそれから学校教育施設が多いんじゃないかと思うのですね。この点で、同じ日本住宅公団の関連公共施設の立てかえ分について見ると、政府が出している五十年度予算で見れば、筑波が約百億に対して筑波以外が全部占めても百六十億ほどなんですよ。ですから、そういう点で見ますと、筑波分の比重はきわめて高いということになるように思うのですが、公団全体で見てどうお考えですか。
  218. 今野博

    今野参考人 おっしゃるとおり、研究学園都市につきましては、立てかえの費用は一般の宅造の区域に比べまして多うございます。
  219. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は今後についての見通しなんですけれども、おそらく直接現地の自治体と折衝しておられたら、自治体がどういう状態であるかはよくおわかりだと思うのです。たとえば教育施設について言いますと、現在でき上がったのは幼稚園一、小学校一、中学校一だけですね。ところが、この生活関連施設の計画全体で見ると、この都市が完成した暁には、幼稚園が十二、小学校十二、中学校七、公立の高等学校が三、これだけ建てることになっているわけだ。さて、これが今後はどうでしょう、地方自治体の自力で建てられる方向に向くんですか、それとも現在と同じようにやはり公団が立てかえていくという方向になっていくんでしょうか。どういうふうにお考えですか。公団の方にちょっと、直接接触していらっしゃる方にお尋ねしたいのです。
  220. 今野博

    今野参考人 お答えいたします。  しばらくの間は現在のような方向でいかざるを得ないと思っておりますが、そのうち国土庁の方で筑波研学の大綱が決まりますれば、その負担区分等ははっきりいたすわけでございます。当分の問私どもとしましては、学校等は立てかえでつくっていくつもりでございます。
  221. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 おそらく全国的にも、こういう立てかえ施工にかかる分の地方自治体への引き取りに伴う償還は大問題で、だからおそらく建設省の予算でも今年度一定の改善を織り込まざるを得なくなっているのだと思うのですが、比重のはるかに高い筑波の場合はおそらくあれでもやっていけないだろうと思うのですね、いまの公団側の見通しから推察しても。ですから、こういう点でも何らかの処置が要ると私は思うし、筑波研究学園都市の建設法にもそのことはうたっていますね。具体化する時期に来ていると思うのです。  それからいま一つ政府がそもそも事業主体である事業につきましても、もう時間がないので詳しくは申し上げませんが、特特会計でやっている場合、いろいろな条件に制約されて、この面でも財源不足が出てくるんじゃないかと言われている。ですから、国の財源を確保するというあの法律の趣旨に照らしても、何らかこれは手を打たざるを得なくなってきていると思うのです、本当にりっぱな都市を計画どおりつくっていこうと思うなら。  ですから、さあこういう点を全部総合してみると、先ほど金丸国土庁長官は、むしろ親切から五十四年というめどを出したなどとおっしゃるけれども、決して五十四年で切れるようなものではない、関連公共から一つの大きな社会生活ができるような状態までにしていくということまで考えるならば。ですから、私は繰り返し申し上げるけれども、よほどやはりこれは慎重に検討してほしい。その慎重に検討するというのは、やはり関係する研究機関の意見をよく聞くことがまず第一だし、財政の裏づけをよくとっておくことが必要だし、また、直接筑波に関係なくても、研究機関のことですから、学者、専門家の意見もよく聞いておく、こういうことをしていただいて、慎重の上に慎重を期しての閣議決定をしていただきたい、この点がまず一つですね。  それから、まとめてお尋ねをしておきますが、政府責任体制の問題なんです。われわれがいろいろと政府等から資料をもらうに当たっても、一体どこがその全体の窓口なのか、これがはっきりしなくて実は弱ったわけなんですね。その点で、本当に政府を代表している、こういう言葉もあまりよくないと思いますが、この研究学園都市を総合的に進めていく総指揮官とでもいいますか、ほかの省庁で、どこもわからないとか、どこも自分の任務じゃないと言ったときに、じゃあ私のところで解決しましょうという、そういう場所は一体どこなのか、これをひとつはっきりしていただきたいこと。  それから職員対策として、移転機関職員対策協議会というものがちゃんと設置されているわけなんですが、一体これは現在何をしておって、どこがその庶務をやっているのか、このことをはっきりさせていただきたいということ。移転される職員の側は国公賃金共闘連絡会議筑波移転対策委員会というものをつくっておられて、ここが一応職員側の窓口という形で、いろいろな要求をまとめていらっしゃる。ですから、こういうものに対応して政府の方は今後どういうふうな体制で、こういうところから出てくるいろんな要望などを受けていこうとするのか、こういう点もお聞きしておきたい。  以上、まとめてひとつお答えいただきたいと思います。
  222. 金丸信

    金丸国務大臣 筑波研究学園都市のような構想の中で、現在住宅公団立てかえというようなものもありますし、また、あれだけの都市をつくっていくということでございますから、いま六ヵ町村で組合等も建てて、いろいろな施設もやっておるわけでございますが、それとても、とても六ヵ町村だけでは、将来この仕事の完成したときどうなるかということを考えてみますと、とてもしょい切れないということだけは確かだと私は思います。  そういう意味で国土庁としましては、これに対応する、自治体がこれをしょったために、どうもこうも動けないということにならないような特別措置を講じなくちゃならぬだろう。実はこの間、筑波学園の視察に参りまして、六ヵ町村の長から陳情もありました。その問題も出ておるわけでありますが、いま国土庁でも具体的にこれを検討をいたしておるわけでありまして、できるだけ早い機会にこれを明らかにしたい、こういうようにも考えております。  また実際問題、この筑波学園の関係の行政機関のいろいろ窓口があるようにも思いますし、また国土庁としては、この調整あるいは事業の実施の推進というようなことをやり、また施設の整備等もやっておるわけでございますが、いわゆる総理府の中に研究学園都市推進本部というのがあります。その本部長も国土庁長官がやっておるというような関係もこれありまして、この間筑波学園に参りましたときに、町村長も窓口がどこへ行っていいのかわからないということでございますから、調整役の、また担当大臣である国土庁がその窓口を引き受けます、責任を持ってやるから、いろいろな問題はここへ持ってきてくれと、こういうようなお話を申し上げたわけでございますが、そのような考え方で窓口は一本でひとつ国土庁がやってまいりたい。  また職員関係あるいは研究所関係、これも推進本部の中にその部会もあることでございますから、そういう中で十分に御説のとおり意見も聞きながら全きを期してまいりたい、こう考えております。
  223. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ちょっと、いま答弁が漏れているのがあるので、それだけお答えいただいて終わりたいと思うのですが、一応職員関係の対応機関として政府側には移転機関職員対策協議会というものがつくられているので、これが一体どうなっているのかということが抜けました。これが一つと、それから、いずれこれだけの大きな計画変更をせなければいかぬわけです。またそれをぜひ決めてもらわなければいかぬという話もさっきから出ていますから、計画変更は閣議決定に及ぶと思うのですね。それをあまり軽率にやられても困る。それこそ今度は狂いのない、そしてまあその計画は必ず完成されて、りっぱな都市に、当初の予定よりよりりっぱなものになるくらいなことにしてもらわなければいかぬので、その計画づくりは慎重な配慮のもとにやられる。だから、国土庁の長官が記者会見して五十四年だと言ったから、もうそれが、言えば形式的に閣議で追認されるというようなことになっちゃ困ると、そういう意味のことを申し上げてるので、それに対する見解とをおっしゃっていただきたい。
  224. 金丸信

    金丸国務大臣 この計画につきましては、私は五十四年というお話を申し上げましたが、十分検討し、配慮し、各関係機関との調整もしまして閣議了承をとりたい、こう考えておりますが、なお、職員関係の問題につきましては、私ちょっと存じ上げておりませんので、局長から説明をさせます。
  225. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 移転職員の問題でございますが、研究学園都市建設推進本部に昭和四十七年五月に移転機関職員対策協議会というものを設けまして、この協議会におきまして、移転職員それから移転困難な職員も含めまして、そういった職員の対策を講じていこうということで、総理府の人事局あるいは各省庁から成る構成ということで発足しているわけであります。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 何をしておる、いま現在の活動状況は。
  227. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 最近は具体的な問題がなくて開いておりませんが、かつてたとえば職員の待遇の問題につきまして、移転職員手当の問題その他につきましてやっております。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、いまの状況を聞いているんです。
  229. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 現在は、国土庁になりましてからまだこういうものを開いておりませんが、近く……。(瀬崎委員「じゃ、国土庁がこれの庶務をやっているのですね」と呼ぶ)推進本部の庶務をやっておりますので……。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いやいや、その協議会はどこが庶務をやっているか、それを聞いている。
  231. 小幡琢也

    ○小幡(琢)政府委員 協議会は研究学園都市建設推進本部でございますから、推進本部の庶務をやっております総理府の審議室と国土庁でやっている、実質的には国土庁でやるということになります。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それを答えれば、それでいいわけです。  終わります。
  233. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来る十九日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会      ————◇—————