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1975-06-24 第75回国会 衆議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十四日(火曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       赤澤 正道君    宇野 宗佑君       加藤 紘一君    高田 富之君       田代 文久君    坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁長官官房         長       齋藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君  委員外出席者         防衛庁経理局会         計課長     楢崎 泰昌君         外務省アメリカ         局外務参事官  深田  宏君         海上保安庁警備         救難部長    山本 了三君         消防庁予防課長 永瀬  章君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 六月二十四日  辞任         補欠選任   大石 武一君     宇野 宗佑君   菅野和太郎君     加藤 紘一君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     大石 武一君   加藤 紘一君     菅野和太郎君     ————————————— 六月二十日  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁について審査を行います。  まず、防衛庁長官から概要説明を求めます。坂田防衛庁長官
  3. 坂田道太

    坂田国務大臣 昭和四十七年度における防衛庁関係歳出決算について、その概要を御説明いたします。  まず(組織防衛本庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は七千三百六億四千万円余でありまして、これに昭和四十七年四月以降政府職員給与改善するための予算補正追加額二百二十八億四千一百万円余、高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額一千万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額五億五千六百万円余、科学的財務管理方法導入準備調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額八百万円余、前年度からの繰越額二十六億四千四百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額三十九億五千万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七千五百二十七億五千二百万円余となります。  この歳出予算に対して支出済歳出額は七千四百四十一億八千二百万円余、翌年度へ繰り越した額は四十五億三千万円余でありまして、差し引き不用額は四十億三千八百万円余であります。  昭和四十七年度予算執行に当たっては、第四次防衛力整備計画の初年度として第三次防衛力整備計画に引き続き実質的な防衛力整備を一段と推進することを主眼といたしました。  以下、自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一、陸上自衛隊については、六一式戦車六十両、六〇式装甲車三十四両を取得し、新たに昭和四十八年度取得予定の六一式戦車六十両、六〇式装甲車三十四両の購入契約をいたしました。  また、航空機については、連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター六機、観測ヘリコプター十三機、練習用ヘリコプター七機、合わせて三十八機を取得し、新たに昭和四十八年度取得予定連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター四機、合わせて十六機の購入契約をいたしました。  二、海上自衛隊については、昭和四十三年度計画護衛艦一隻及び昭和四十四年度計画護衛艦二隻、潜水艦一隻、昭和四十五年度計画護衛艦一隻、輸送艦一隻、昭和四十六年度計画小型掃海艇二隻、魚雷艇一隻、支援船一隻並びに昭和四十七年度計画調達に係る哨戒艇三隻、支援船六隻、合わせて十九隻を取得し、新たに昭和四十八年度以降に竣工予定護衛艦四隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、小型掃海艇二隻、魚雷艇一隻、輸送艦二隻、支援船二隻、合わせて十四隻の建造契約をいたしました。  また、航空機については、対潜哨戒機十一機、対潜飛行艇五機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター二機、初級操縦練習ヘリコプター二機、合わせて二十六機を取得し、新たに昭和四十八年度以降に取得予定の対潜哨戒機八機、対潜飛行艇一機、対潜ヘリコプター六機、輸送機一機、掃海ヘリコプター一機、救難飛行艇一機、計器飛行練習機三機、機上作業練習機二機、合わせて二十三機の購入契約をいたしました。  三、航空自衛隊については、戦闘機八機、高等練習機二機、救難ヘリコプター二機、救難捜索機二機、合わせて十四機を取得し、新たに昭和四十八年度以降に取得予定高等練習機二十機、救難ヘリコプター一機、救難捜索機二機、輸送機十一機、偵察機十四機、合わせて四十八機の購入契約をいたしました。  また、ナイキ部隊整備航空警戒管制組織の充実など防空能力の一層の強化を図りました。  昭和四十七年度防衛本庁職員定員自衛官二十五万九千五十八人、自衛官以外の職員二万四千九百四十一人、計二十八万三千九百九十九人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員において一百九十九人の減員となっております。  また、予備自衛官の員数は、前年度同数の三万六千三百人であります。  次に、繰越額四十五億三千万円余は、装備品等製造修理並びに施設整備に関する計画または用地取得に不測の日数を要したこと等のため年度内に支出を終わらなかったものであります。  また、不用額四十億三千八百万円余は、外国為替相場変更等に伴って生じたものであります。  続いて(組織防衛施設庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は六百九十五億一千四百万円余でありまして、これに昭和四十七年四月以降政府職員等給与改善する等のための予算補正追加額二十三億四千九百万円余、沖縄財政援助金に係る基地周辺整備事業補助のため、沖縄開発庁から移しかえを受けた額二千三百万円余、前年度からの繰越額三十一億九千五百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額五千一百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林省所管農林本省へ四億九千一百万円余、建設省所管建設本省へ三億三千九百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百四十一億九千九百万円余となります。  この歳出予算現額に対して、支出済歳出額は六百三十四億二千七百万円余、翌年度へ繰り越した額は九十八億三千六百万円余でありまして、差し引き不用額は九億三千六百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、施設運営等関連諸費でありまして、防衛施設周辺整備等に関する法律等に基づき、自衛隊施設維持運営並びにわが国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等提供施設等維持運営に関連し必要な騒音防止措置障害防止措置民生安定施設助成措置飛行場周辺安全措置、各種の補償、土地の購入及び賃借等に要した経費並びに沖縄復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律に基づき支給する見舞い金等のため五百十七億九千九百万円余を支出いたしました。  昭和四十七年度防衛施設庁職員定員は三千五百二十五人でありまして、前年度職員定員に比べ三百十七人の増員となっております。  これは沖縄復帰に伴い、新たに沖縄那覇市に那覇防衛施設局が発足したこと等によるものであります。  次に、翌年度への繰越額九十八億三千六百万円余は、(項)調達労務管理事務費において、受給資格調査確認の困難により三億四千万円余、及び(項)施設運営等関連諸費において、アメリカ合衆国軍隊の事情、用地取得及び計画または設計変更補償処理難航等により九十四億九千六百万円余の工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額九億三千六百万円余は、賃貸借契約において提供施設等借料を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもって、昭和四十七年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なお、予算執行については、諸法規を遵守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民信頼にこたえるよう努力してまいったところでありますが、昭和四十七年度決算検査報告におきまして(組織防衛本庁演習弾調達航空機用ボルト等調達及びタービン燃料管理について不当事項の指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これについてはよく部内に徹底させ、将来このような過誤を繰り返すことのないよう適切な措置を講じますとともに、改善または検討を要するものについては、速やかにそのための諸施策を推進する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 井原岸高

  5. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十七年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件、本院の注意により当局において処置を講じたもの二件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一号は、調達実施本部海上幕僚監部要求によって護衛艦搭載五四口径五インチ砲の射撃訓練用演習弾調達するに当たりまして、この演習弾は内部にさく薬のかわりにぎ薬が充てんされており、したがって炸裂するということが考えられないものでございますのに、さく薬を炸裂させるために必要な弾底信管の取りつけ用のネジ穴をあけこれに弾底栓を取りつけたものを購入することといたしましたために、不経済になったものでございます。  次に、検査報告番号二号は、調達実施本部航空幕僚監部要求によってF−4EJ航空機等修理用ボルトリベット等調達するに当たりまして、調達価格算定の基礎となります「航空機用国産標準部品価格表」を改定する際の原価調査が十分でなかったために、価格表価格割り高なものとなり、この価格を適用して算定いたしました契約額もまた割り高になったものでございます。  最後に、検査報告番号三号は、航空自衛隊第二補給処で、航空機燃料を受け入れる際、取り扱い業務に従事する者の不注意によりまして燃料が流出し、また、その引火による火災のために民家等を焼損して賠償金を支払うに至ったものでございます。  次に、本院の注意により、当局において処置を講じたものについて御説明いたします。  その一は、潜水艦用蓄電池調達に関するものでございます。調達実施本部では、昭和四十二年度以降毎年度「うずしお」型潜水艦を一隻ずつ建造しておりますが、この新艦建造の都度、潜航中の推進動力源として使用する蓄電池規定搭載数量相当量予備を加えて調達しております。  この予備電池は、搭載したものの一部に性能劣化が生じた場合や、搭載の際に事故が生じた場合の取りかえ用として考慮したものでございますが、「潜水艦用蓄電池取扱要領」によりますと、使用中の電池の一部に性能劣化を生じた場合にはこれを取りかえることをせず、残りの電池だけを使用することになっておりますし、また、搭載の際の事故について見ましても、四十二年度以降皆無となっております。  このようなことから見まして、予備電池は新艦建造の都度調達する必要はないと認めまして当局注意いたしましたところ、海上幕僚監部では、四十八年九月、今後同型艦について予備電池調達しないよう処置を講じたものでございます。  その二は、自衛隊施設使用する電力ケーブルの仕様に関するものでございます。防衛施設庁設計基準によりますと、配電用電力ケーブル高圧用としてプチルゴム電力ケーブル低圧用としてゴム絶縁クロロプレンシースケーブル、これを敷設することとなっております。しかしながら、配電用電力ケーブルは、高圧用低圧用とも三割程度廉価な架橋ポリエチレンケーブルが市販されておりまして、一般にこれが使用されている実情でございます。しかも、その性能も前に述べましたケーブルに劣らないので、これを使用することとすれば工事費を相当程度節減できたものと認め当局注意いたしましたところ、防衛施設庁では四十八年八月、設計基準を改定する処置を講じたものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十六年度決算検査報告に掲記いたしましたように、四十六年度検査の進行に伴い、防衛施設庁における有線放送施設等設置助成事業積算等について是正、改善処置要求いたしておりますが、これに対する防衛施設庁処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  6. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。
  7. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 二、三、先に質問を申し上げて、最後に、四次防の全体計画の経過と今後の見通しについてお伺いをします。  最初に、米国防長官韓国日本に関係する核使用発言に関してお伺いをしまして、その次に自衛隊震災対策地震対策をお伺いをする、次いで次期主力戦闘機についてお伺いをした後に、四次防全体計画見通し等をお伺いをするという順序でお伺いをいたします。  最初に、米国防長官が、去る二十日ですか、韓国日本防衛のために核兵器使用もあり得るという発言をいたしまして、事は重大だと思いますし、ちょうど日本が昨日で日米安保自動継続五周年を迎えた、しかも非常にこの論議がやかましく今国会でも行われている時期でもございますので、特にラロック証言前後にやかましく、わが国における核兵器存在有無に関して同僚からお伺いをいたすたびごとに、アメリカの国是としてそのことは絶対に言わない、こう言われて今日に至りました。公式的な政府の答弁では依然として、わが国核兵器は持ち込まれていない、にもかかわらず、依然としてわれわれの側からは、核兵器存在する、こういう平行線をたどったまま今日に至っているさなかに、韓国日本防衛に必要があるなら核兵器使用し得るんだというシュレジンジャー発言というのは非常に重要でございますし、今後これを契機にまたもう一度、わが国における核兵器存否を中心にした論議が展開されていくだろうと思うのであります。  私は、そのことをお伺いしょうというのではありませんが、二、三これに関してお伺いをしておきたいのは、一つは、アメリカがいままでいかなるところ、いかなる地域においても核兵器存否を絶対に言わないと言ってまいりましたのに、韓国においては核兵器存在することを明言したということは、アメリカの大変大きな態度変化であったように思うのですが、これ、防衛庁長官いかがお思いになりますか。
  9. 坂田道太

    坂田国務大臣 今回シュレジンジャー国防長官が、韓国米韓条約に基づいて守るという意思をあらわしたその一つといたしまして、核使用も辞さないということは、これは、いままで核の存在地域的に余り言わない従来の考え方から一歩を踏み出したということについては、一つ変化があったというふうに思います。しかし、そのことそれ自体は、アメリカ米韓条約を忠実に守るんだということを強い調子でコミットしたということだと思うのでございまして、それ以上には私どもは考えておりません。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 事は重大ですし、いまおっしゃるとおりに核の存在を明言したということからつれて、前段に申し上げたように、今日までやかましくわが国でも論議されてまいりました日本における核の有無戦術核兵器にしろ、アメリカ核兵器なるものをわが国に持ち込んでいる、いない、アメリカわが国使用しております軍事基地なり自衛隊基地なりを利用して、そこに貯蔵をされている、いないという問題を、韓国で明言された以上は、わが国でもはっきりとその有無について明言してもらうことが当然だと思いますし、防衛庁長官としては、当然国を代表してアメリカに対して強く、わが国における有無に対する言明要求することが必要だと思いますし、非常にこの問題が大きな論議を呼ぶ問題であるとするなら、なおさらに私は、直ちにわが国防衛責任者である長官としては、アメリカに対してその有無を明書してもらうように正式に要請をすべきだと思うが、いかがでしょうか。
  11. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点につきましては外務大臣がしばしばお答えになっておるとおりでございまして、いまここで私からそのようなことを米側に問い合わせるとかなんとかいうことは必要がないものだというふうに思っております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 韓国と同じように、わが国はやはりアメリカの核のかさの中に組み込まれていることは事実です。そのことはお認めになっている。しかし、わが国防衛責任者としては、今日まで長く論議をされたその問題にまだ明解なアメリカ側回答がない、間接的にラロック氏の証言があった程度に終わっているこの問題については、進んで決着をつけるという意味で、外務省アメリカと話しながら、その有無に関する明言を迫るというのは当然の義務だと思うのですが、もう一度、いかがですか。
  13. 坂田道太

    坂田国務大臣 すでに、三木総理並びに外務大臣がしばしば、本会議あるいは委員会等において明確にお答えになっておりますとおりに、日米間における信頼関係のもとにこの条約が結ばれておりますし、米国の最高責任者でありまするフォード大統領がこちらへおいでになりましたときにすでにそのことを明白にいたしておられるわけでございまして、その点は、日本の憲法あるいは非核政策をとっておるということを十分米当局は知っておるということでございまして、私は、もうこの問題は自明の理であるというふうに考えております。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 依然として自明の理ではない。フォード大統領言明をされました後にもまだ、その内容等が検討された結果非常に不分明である、不明確であるというのがわれわれの疑義でありますし、いまだに解消していない問題。ということは、国民もやはりこれに大きな疑いを依然として持っている。韓国に関係してあのような国防長官言明があるならば、ここで当然、国防長官の、防衛責任者としてのわが国の核の有無に関する明確な回答を得るため、やはり一段と努力していいのじゃないか、仕上げをすべきではないか。国民の中にまだ疑惑がある、われわれも疑惑を持っているということを考えたときには、疑惑のある限りそれを一掃しようというのが義務ではないか。まして、わが国防衛責任者としては、当然、そのことにここで区切り点をつけるという意味で、もう一度努力をすべきだと私は思うのですが、その気はおありになりませんか。
  15. 坂田道太

    坂田国務大臣 私ども自衛隊は、御案内のとおりに核を持たない、そういう装備は持たない、そして専守防衛ということをたてまえといたしておりまして、そういうことからいたしまして、アメリカ側におきましても十分そのことを承知をいたしております。したがいまして、何度も繰り返して申し上げるようで恐縮でございますけれどもアメリカ大統領みずからが日本に参りましてそのことを約束した以上、私はそれにとやかく言う必要はないというふうに思っております。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 わが国アメリカの核のかさの下に組み込まれていることはお認めになるでしょう。いかがですか。
  17. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはもうしばしば私もお答えをいたしますとおりに、わが日本防衛につきまして、核の攻撃に対しては、非常に地勢的にも日本列島は、縦深性が浅うございますし、また、高度工業社会わが国といたしましては都市集中、人口調密というような状況でございますから、全く手が出ない。また、われわれは核を持たないわけでございますから、そういうわけで日米安保条約が結ばれておるわけで、アメリカが核の抑止力を働かせることによって日本国民を守る、言うならこういう仕組みになっておるということは当然のことだというふうに思っております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 ということになりますと、わが国専守防衛自衛隊存在、いやしくも防衛前提にした戦闘行為などを考えるときに、いろいろ国際間の複雑な絡み合いの中でアメリカの核のかさの中に組み入れられていることが前提で、わが国装備の場合でも何の場合にでも常にアメリカの核のかさに組み込まれている前提で、自衛隊存在が、あるいは訓練が、あるいは装備が今日あるのだということにもなっていると思うのですが、この点いかがですか。
  19. 坂田道太

    坂田国務大臣 わが国防衛のために、わが国国民の一人一人の生存権とその自由を守るために、国民生命財産を守るために、安保条約がある。したがいまして、核の攻撃に対しては無力でございますから、その点におきましてはアメリカ援助を仰がなければならない、そういう仕組みになっておる。しかし、あくまでもそれは日本の安全のために限られるわけでございまして、そのところをひとつ御了解を賜りたいというふうに思います。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう前提に立ちますと、国防長官言明しました、韓国に対しても日本に対してもその防衛上必要があるなら核兵器使用する、こういう、日本に関しても使用するといったこともお認めになりますか。それでいいという態度でございましょうか。
  21. 坂田道太

    坂田国務大臣 抑止力としては、そういうふうに日米安保条約のたてまえになっておるということを、われわれは承知をいたしておるわけであります。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 抑止力としては、わが国防衛のために核兵器が使われることを承知している、それでいいんだと考えている、こう理解してよろしいですか。
  23. 坂田道太

    坂田国務大臣 安保条約そのものがそういうたてまえになっていると私は承知をいたしております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 安保条約は、核兵器に関して特段の規定も何にもないのですよ、そういう意味規定はない。安保条約を拡大解釈してそういう解釈もできないことはない。あなた方はそういう解釈をおとりになるのですが、しかし、わが国防衛を考えたときに、日本国民の立場から言うなら、非核三原則を貫くというたてまえから言っても、アメリカが、ある意味では勝手に日本防衛上必要だと考えて核兵器を使うがごときことは、断じて困る、これは国民感情だと言って間違いないと思う。その感情があるにしても、いま長官がお話しになったように、アメリカの判断により、事前協議により——もうすでに既成事実がある、ないは別にして、その場合にはわが国はそれをのむという前提に立つ、あの国防長官言明に関してはそのことが十分に考えられなければいけないと思うのですが、私は国民感情から言うなら、非核三原則を貫こうというわが国の国是から言って、核兵器日本防衛のために使うというあの国防長官言明には、非常な大きな反発と不安を感じておると思うのですが、そうお思いになりませんか。それでよろしいとお思いになりますか。
  25. 坂田道太

    坂田国務大臣 私たちがなぜ安保条約を結んでおるかということは、日本の安全と独立を守るというためにあるわけでございまして、そのために国民の不安感を除去していくというのがわれわれの責務であると思うのでございます。したがいまして、わが国防衛というのは、単に防衛力整備だけではなくて、外交あるいは経済、あるいはまた民生の安定といった、そういう総合的な一つの政策の一環として、この自衛のために必要最小限度の防衛力は持たなければならないというのが、実は私の立場でございます。したがいまして、有事に至らしめない最大最善の努力をするというのがわが政府の考え方であるし、そのことにつきましては防衛庁長官としても一致した考え方でございます。いやしくもそういう事態に至らしめないような最大の努力をすべきであるというふうに思っております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 抽象的にしかお答えができないのでしょうけれども、では、ちょっと角度を変えてお伺いしてみますが、現在韓国には、アメリカ言明するような、核兵器を使ってでも韓国防衛をするほどの、端的に言うなら北からの脅威なりその危険があるとお思いになりますか。
  27. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 先生の御引用になっておりますシュレジンジャーの記者会見の中身でございますけれども、朝鮮半島の情勢分析をいたしまして北と南との対比をしておりますけれども、通常兵器の南北の均衡というものは南の方が優勢であるということを言っております。したがいまして、通常兵器による紛争の場合に南が負けることはないんだということを、その言葉の中で強調していると思います。したがいまして、その後に、韓国に配備してある戦術核兵器を必要な場合においては使用するということを初めて明言をいたしたわけでございますが、これは先ほどから大臣が申し上げておりますように、いわゆる核の抑止力というのは、核の軍事的な能力と、それからそれを使うという意思を相手方に明示するということ、それによって抑止力が保たれると通常言われておるわけでございます。そういう意味で、使うんだぞということをはっきり言うことが、いまの朝鮮半島に展開をしております戦術核の抑止力を意義あらしめるという効果をねらったものであるというふうに考えるわけでございます。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕  そこで、戦術核を使うような情勢があるのかという御質問でございますけれども、私どももないと思っておりますし、それから、いまシュレジンジャー長官が言いましたように南の方が通常戦力においてまさっているということは、あえて核を使う必要がないという前提を述べておるというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのような判断が私も一部正しいだろうと思う。北の脅威が、核兵器を使うぞというほどの脅威を示していない、持っていない、そんな危険はないと私は判断をする。にもかかわらず、シュレジンジャーがなぜ一体、韓国に関連して、日本においてもと言って、日本をここで出さなければいけないほどに、わが国に朝鮮半島に類するような何かがあるとお考えになりますか。私は、シュレジンジャー日本に言及したことに対しては、全くよけいなことを言ったものだというふうに考える立場でお伺いをしているのですが、韓国に、いまお話のあったような、朝鮮半島中心の南が優勢であろう、北が少し劣っているであろう、いろいろなことがありながらも、問題がありそうだ、あるんだと朴大統領の言っていることなどを中心にして、アメリカもそちらに寄って、必要のない核使用宣言などを行う。何かあるからそうしたんだというふうに善意に解釈したとするなら、わが国に言及したということは、日本にもそのような危険あるいはそのような事態、ちょうど朝鮮半島と同じような事態があると考えたから言ったのか、ついでにわが国における核アレルギーに対して思い切って水をぶっかけるというようなことを政治的な配慮で言ったのか、どちらでしょうか。どうお考えになりますか。これは長官から。
  29. 坂田道太

    坂田国務大臣 まずその前に、朝鮮半島の状況でございますが、われわれ防衛庁が把握しておりまする状況を御説明申し上げますと、もうすでにこれは予算総会等においても私お話を申し上げたとおりでございますが、北朝鮮と韓国との間においては確かに軍事的な対立がある、対峙がある、その事実は認めるわけでございます。しかも最近、国境線を中心といたしまして、陸におきましても海におきましても、小さい規模ではございますけれども衝突事件が行われておる。あるいはまた、三十八度線を越えまして北朝鮮側からトンネルが掘られておったという事実、これも客観的に認められることでございます。  しかしながら、先般、北朝鮮の金さんが中国に行かれた、そしてそのときの声明、そして会談を終えてから共同声明が発表されましたけれども、そのトーンはやや落ちておるということから判断いたしますると、中国は北朝鮮に対しまして抑制的な立場にあるということが判断をされます。同様にソ連におきましても、ここで朝鮮半島に何らかの大規模な武力衝突が起こるということは期待をしていない、望んでいないという状況であります。しかも、中ソの間においては御案内のとおりに対立がある。しかして、アメリカはどうかというならば、もちろんのことながら、朝鮮半島に事情の変更がある、事態の変化がある、あるいは武力衝突が大規模に行われるということを望んでいない。まして、平和憲法を堅持いたしておりますわが国といたしまして、あるいは朝鮮半島それ自体の影響がやはり日本に及んでくるという、そういう立場の日本といたしまして、朝鮮半島にいろいろな事態、大規模な戦争等が起こるということを望まないことはもちろんのことでございます。  そういうわけでございまして、確かに武力の対峙は双方にあるけれども、私は、一応しばらくの問、ここに大規模な戦争が起こるというふうには実は考えておらない、そういう判断をいたしておる。そのことをまずひとつ御了承を賜りたいと思います。また、恐らく先生方もそういうふうに大体御判断になっておるんじゃないだろうかというふうに思います。  ただ、ベトナムから撤退をいたしまして、そうしてサイゴンが陥落をいたしたわけでございますが、そういたしますると、一体、アメリカのアジアにおけるところのコミットメントがどうなるんだということが、たとえばフィリピンにおきましてもあるいはタイにおきましても、つまりアジアの諸国について非常な動揺を与えておることもまた否めない事実でございまして、その限りにおいて、いわば同盟国と申しますか、何らかの二国間の条約を結んでおるアメリカといたしましては、ここで、その決意は変わらないんだよ、このお互い相互に結んだ条約は完全に履行するんだよということを言わざるを得なかった、その調子が少し強い調子で決心を述べた。したがいまして、われわれ平和愛好国民である日本にはかなり強く響いたというふうには私考えるのでございますけれども、一般的に、日米安保条約を結んでおるわけで、日本を除外するわけにいきませんので、そういう意味合いにおいても、また韓国のあるいは朝鮮半島全体の危機がもし勃発いたしますと、それはやはり日本にも少なからざる影響が及ぶということをアメリカ承知をいたしておりますから、その意味合いにおいて、日米安保条約はかたく守るのですよということの意味を少し強い調子で言ったのだということだと思います。ただいま防衛局長から申し上げましたように、シュレジンジャーは、韓国と北鮮との場合におきましても通常兵力においても優勢であるのだということが明言いたしておることでございますから、私がいまお答え申し上げましたことがアメリカの大体の真意ではなかろうかと受け取っておるわけでございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 いままで予算委員会その他でいろいろ論議を聞いている。私も質問したことがあります。そういうときに、アメリカが一体どんな状況にあるとかないとかいうようなことに関しては、他国のことは一切申し上げられません、これが政府態度だったのですが、きょうは長官、なかなかずばりと、アメリカが十七度線で大敗退をして以後の国際情勢はアメリカの側に非常に不利だ、信用がなくなってきたというようなことが、結局、三十八度線に十七度線の敗退が移ってきてそこに何らかの動きがあり、それを少しでも先制攻撃で抑制したいということでつい調子が強過ぎちゃって、その余り、韓国、また日本に対してまで言明したのだ、こういう理解のようです。  その説明の中で大変感心だなと思いましたのは、アメリカの敗北とは言わなかったけれども、十七度線以来の非常に大きな国際情勢の変化、そのためにアメリカが非常に焦っているだろうと言わんばかりの言明をしたことは、私、大変買う、と言っては恐縮ですが、いままでの政府の物の言い方から見ると非常に正しい、正直な言い方をしているなという点では同感ですが、ただ、ついトーンが強過ぎて日本に言ったというようなことは、シュレジンジャーなりアメリカの真意に反するのじゃないでしょうか。そんなふうに言い切ってよろしゅうございますか。シュレジンジャーのあの言明というのは、ベトナム以後における国際情勢の、アメリカの非常な困難の中において十七度線が三十八度線に移ってきたこの現状の中で、ここでまたあってはたまらぬというので、先制攻撃意味韓国における核兵器使用言明した、その勢いが余って、そのトーンが強過ぎて日本にまで言明したのであって、他意はないのだ、そういう解釈を、防衛庁長官解釈としていまお示しになられたのですが、アメリカに対してそれでよろしいと、もう一度言明をしていただきます。
  31. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、先生の最初の御質問に対しまして、アメリカの立場また日本の立場というものを御説明申し上げておるわけでございまして、安保条約仕組みというものに対しては、核の攻撃に対してはこれが抑止力として働く、それでなければ日本の安全と独立は守れないのだ、私はこういうことをはっきり申し上げておるわけでございまして、後半の部分だけを取り出してどうかこうかとおっしゃられましても、それは少し私の気持ちと違うので、前半にお答え申し上げましたものと後半お答えを申したものを合わせてお考えいただきますならば、アメリカも了承してくれるものだと思っております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 速記録をよくお読みなさい。私はそんなに混乱してないつもりです。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕  前段の問題は前段の問題として長官の考えを聞き、後段の問題は後段の問題として一項取り上げていまお伺いをしている。答える長官の方で前段と後半とどう結びつけるか、速記録を見てよく検討してごらんなさい。  いまのような答弁ではなくて、私の聞いているのは、少しトーンが強過ぎて日本にまで言及したんだ、日本防衛に必要があるなら核兵器を使うというようなことは、アメリカの本当の真意としては、朝鮮半島における事態に、韓国に対する抑止力を事前に行使しながら北に対する圧力をかける、そのかける強いトーンがつい日本にまで及んだと解釈いたしておりますというのが長官の答弁だったのですから、前段の方と結びつけてもつけなくても結構ですから、その後半の、アメリカシュレジンジャーの真意は日本防衛に関しても核兵器使用することがあり得る、こう言ったそのことは、ただ韓国を北に対して強く守っていくんだという意思表示のために、その強い調子をあらわすための修飾語として日本防衛のだめの核兵器使用もあり得るということを言ったにすぎないんだ、こうおっしゃったのですが、そうなのかどうか、そのことだけをもう一遍お答えいただきたい。
  33. 坂田道太

    坂田国務大臣 安保条約があります以上これはあたりまえなことなんで、核の攻撃に対しては日本は無力である、したがって日本の安全というものが脅かされるという立場、そしてまた日本も、そういうふうに安全が核によってやられるという場合においては、アメリカとの安保条約抑止力に依存しておるわけですから、当然の結果を申されたと私は理解をいたしておるのでございます。しかしながら、先ほどから申し上げますように、そういう事態に至らしめないように外交努力をすべきである、最大の努力をすべきであるというのがわが三木内閣の、日本を安全にする立場でございまして、このことはシュレジンジャー長官もよく承知をいたしておることでございます。それからまた、防衛局長が先ほどお答えいたしましたように、抑止力というのはまさにそういうようなことをはっきり明示する、相手が誤解や間違いによっていやしくも侵略行動に出ないというところに抑止力の実は意味があるわけなんで、そこを把握いたしますならば、あの言明というものはちゃんとうなずかれるものであると私は了解をいたします。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 またそれにひっからんでしまったのですが、どっちにしても、シュレジンジャーの真意というのは、日本に対する核兵器使用というものがあり得ると言ったことは、韓国防衛の強い意思表示のついでに強い調子で言ったんだ、こういった解釈が一応出たことだけは、そのことのよしあしは別にして、重要な長官解釈だと私は思う。そこで、いま最後にお話しなさった中で、日本に対する条約上の義務その他から言って、核の抑止力を使う前に、間違って侵略行為などをやったらこれを使うんだぞ、こう言った、そういうことは当然のことだ、従来もそう言ってきました。ソ連なり中国が、私はそういうことはないと思いますが、何かの必要で、持っております核兵器抑止力のつもりで、万が一間違って、そういうことがあったときには使うことがあり得る。そうすると、アメリカが今回言っていると同じように、同盟国なり条約締約国なり必要とする国に対して先制的に強い防衛の意思を示すためにソ連、中国も同じように言ったときには、これも正しい、こういうことになりますね。
  35. 坂田道太

    坂田国務大臣 私どもといたしましては、日米間の条約義務の履行ということに基づいてお互いやっておるわけでございます。それからまた、ソ連もいまデタント、つまり平和共存政策をフルシチョフ以来続けてきておるということは、私は常識だと思うのでございます。いま、そういうようなことをコメントしたり言ったりするはずはないと思っております。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、少し小さく限定して聞いてみましょう。  北の側に対して中国——当然、中国になりますが、あるいはまた、何かの調子でソ連もということもあり得るかもしれませんが、現段階の国際情勢の判断では中国ということになりますが、アメリカ韓国に対してシュレジンジャーを通じて意思表示をしたと同じようなことが、いつの日か、中国が北をやはり防衛するという決意をして、またそれを使用することがあり得るというような事態だって、そういう言明をすることだって予想できないものではないと思う。国際間の状況というものはそういうふうになりやすい。大変いやなことだし、そうあってほしくない、にもかかわらずそのことがあり得るというふうに私は思いますが、そういうことは全然ない、そういうことがあり得る、どちらにお考えになります。
  37. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、この四、五年の間はないというふうに判断をいたしております。それからまた、いろいろ私が防衛庁長官としてのそのような判断というものを余りにもここで申し上げることはいかがかと思いますので、やはりこれは外務大臣及び総理大臣からお答え申し上げることだと思います。各国に与えます影響というものが非常に大きいと思いますので、この程度にお許しを願いたいと思います。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。余り物を言うなという……。総理大臣、外務大臣が言ったのなら各国に影響は余りなくて、防衛庁長官が言うと各国に影響が非常に大きい、そんなことはないと私は判断する。おっしゃる真意は別の角度からわかりますから、その問題はもう一度答弁はいただきませんが、私は、四、五年の間はないと思うということは、甘いと思う。わが国防衛責任者がそういった甘い国際情勢の判断をしているようなことではいけない、私はそう思います。  そこで、この問題の最後にもう一点、二点お伺いしておきたいのですが、御存じのように、カナダがかつてインドに原子炉を売却しました。これが中心であの恐るべき実験が行われたわけでありますが、いま韓国に対してもカナダは原子炉の契約中であります。朴大統領の声明を見ますと、万が一アメリカにして云々、そのときには韓国独自で核兵器の開発を行う、こういうことをすでに言明いたしましたが、インドに次いで韓国までがカナダの原子炉を輸入する、現に契約中でございますが、このようなことを通じて、アメリカに対する何らかの不満なりその他の拍子から、韓国が独自で核兵器の開発に乗り出しているかもしれません、乗り出すかもしれない。こういう事態が好ましいと思いますか、いいことではないと思いますか。私は、韓国がこのような態度をとり、独自にインドの轍を踏んでいくようなことのないように、外交努力は——長官には関係ないとおっしゃるかもしれませんが、日本としてはすべきだと思うし、断じてやらせてはいけないと思う。現に大統領はそのことに言及いたしましたが、一体、わが国防衛責任者として、インドに次いで韓国が独自の核開発をすることは、好ましいとお思いになりますか、あるいはそうではないとお考えになりますか、端的にお答えをいただきたい。
  39. 坂田道太

    坂田国務大臣 拡散防止条約というものを、いま政府としましては国会に提出をしました。その趣旨はやはりそういう趣旨かと思いますので、先生のお考えと私の考えは大体同じでございます。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 次いで、自衛隊震災対策についてお伺いします。  ことしの五月十三日に何か図上演習、コンピューター等を使って、ある大都市の震災を想定して、そうして図上訓練をされている。その成果はどんな成果がありましたか。
  41. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 昨年、陸上自衛隊が中心になりまして、それに航空自衛隊海上自衛隊、それぞれ協力をした形によりまして、南関東にマグニチュード七・五、と記憶しておりますが、ちょっと私、正確な数は覚えておりませんので、誤っておりましたら後で訂正させていただきますが、こういう前提で事態が起きましたことを想定いたしまして、大部分が指揮所演習でございましたが、一部実動を入れまして、部分的な、たとえば都市に退避の車が集中いたしまして道路がふさがった場合の道路警戒、それから航空機を使いましての消火活動、これはバートル、ヘリでございますが、これを使いましての消火活動という、一部そういう実技のテストなどをやったわけでございます。  そこで、ことしも大臣からの御下命がありまして、大震災対策を考えるようにということで、実は業務計画には当初から考えておらなかったわけでございますが、陸上自衛隊の第一師団を中心といたしまして、これは純然たる指揮所演習、図上演習でございますが、一部実技もございます。想定は川崎の直下型ということであったと思います。——失礼いたしました。川崎という特定ではございませんで、昨年と同じように、関東南部地区ということで想定をいたしまして、ただいま計画を立案中でございます。実施の予定は七月十日にやるという予定になっております。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 何かお答えが混乱しているのではないですか。ことしの五月十三日に一応図上作戦をやった、昨年の演習の成果をもとにして図上演習をやった、そしてまた四次防の五十一年度の見直しの中に、大臣から、特に民生安定その他災害対策、大震災対策を十分に考えるようということで、特に今後に対する注意があった、こういう順序じゃないですか。この順序どおりに話してもらいたい。
  43. 坂田道太

    坂田国務大臣 簡単に要約して申し上げますと、昨年、山中長官のときに一回やったわけでございます。それからことしも、一部でございますけれども、それをやりたいということで、たしか七月の十日からだったと思います。これは多摩を中心としておると思います。  それからもう一つこの前やった、これは全然別ないわゆる指揮系統の演習でございまして、これは東京等の震災対策ではございません。北海道あるいは東北の海峡を中心としまして、輸送つまり上陸、そういうような演習はやりました。私も市谷で指揮所へ参りまして、これはまさに図上でやるわけでございますけれども、それを視察をいたしたわけでございます。  それから、ポスト四次防につきまして、私はいま検討させておるわけでございますが、やはり国民の安全ということ、生命、財産の安全を守るという意味から、大震災等に対する、あるいは災害等に対しての自衛隊一つの任務というものを新たな立場で考える必要があるのじゃないかという気持ちを実は持っております。  たとえば、この前、去年からことしにかけて起こりました水島の油の流出のときにも、年末そして一月に出動いたしまして、大変住民の方々からは喜ばれたと思いますが、残念ながら機材その他が十分でございません。新聞でごらんいただいたと思いますが、ひしゃく等を使って非常に困難な作業をいたしたというようなこともございまして、こういう災害に対して、あるいは震災等に対して十分な資材、機器、そういうものをふだんから備えておく必要があるのじゃないだろうか。特に東京都のような人口稠密地帯、しかも、あの昔の大震災と違いまして、これだけ油を使用する世の中に変わってきておる。この中にもしそういうことが起こったとすると非常な大混乱を起こすわけで、それは新潟地震のときの経験もございまして、警察あるいは消防だけではとうてい国民の生命、財産を守ることができない、安全を守ることができない事態も、その教訓としてあるわけでございまして、これにはやはり自衛隊が当たるべきではないだろうかというようなことで、いろいろその検討をいまやらせておるわけで、ポスト四次防の中においてそういうようなこともどうだろうかということを、いま内々検討しておるということでございます。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 大変結構なことだと思うので、奨励をする意味で御質問しているのですが、ただ、こういうことをやろうと言ってもう四年ぐらい、やったりやらなかったり、図上演習をしたり、いろいろ自衛隊もやってこられている経過は、昨年のことからことしの図上演習の大体の成果も、実はお聞きしているわけです。わかっています。  私、これだけの演習をやった結果、一つ欠けているものがあるのじゃないかなという感じがするのです。それから、一つどうしても私から注文をつけたいなというのがあるわけです。  一つ欠けているなと思うのは、南関東を中心にマグニチュード七・九程度の地震があったということになりますと、やはり関東大震災当時の被害状況を想定する必要がある。現段階であのような被害が起きたときには——ここは何といっても行政の中心ですから、大東京は。わが国の行政が全国的に麻痺の状態になるということが大前提でないと、収拾がつかなくなる。皆さんの想定の中には局部的に、人命救助だ、それ消火だ、何だということがあるのですけれども、私は、その想定の大前提になるものは、南関東中心の七・九程度の大震災ということがあったときにはわが国の全行政が一時的に麻痺をするという、その前提がそこにあって細かい対策が立ってこないと、演習がいつまでも局部的なものに限られていたのではだめだということを、これは一つの注文なんです。それに対してどうお考えになるか。  それから、もう一つ、注文をつけたいというのは、いま長官からも、東北で、北海道で、どこでというお話がありました。私は全自衛隊の正課の中に、災害対策に関する限り、思い切って日常の非常に重要な科目の一つ訓練として入れなければだめだ、特に震災対策に関しては、北海道における駐とん地の自衛隊員であろうと、九州のそれであろうと、山口のそれであろうと、東京のそれであろうと、彼我融通してどこにでもいつでも機動力を発揮しながら、全国的な麻痺状態——最も大きな地震が一カ所だけに起きるとは決まっていない。南関東に起きる、遠州灘には起きない、学者の一部では同時に起きることはないと言っていますが、そんなことはあり得ないと他の学者は言っているし、私もそう思う。わずか一日、二日、三日を置いて南関東にあり、遠州灘に大きなものがあったとしたら、大事態が起きます。その危険なしとしないということになるなら、私は、自衛隊の隊員諸君がいま訓練をやっている、その訓練と全く同じ重要な科目の一つに、震災を中心にした災害対策の強化訓練が全国一斉に行われている、正課として取り上げられるということにならないと、役に立たないと思います。これは注文なんですが、ぜひそうしていただきたいがいかがか。この二点。
  45. 坂田道太

    坂田国務大臣 非常に御示唆をいただきまして、私どももそのような計画を立てるべきであるという意思を持っておることを申し添えておきたいと思います。  先般行われました、四月から五月、六月と六回にわたりまして「防衛を考える会」をやりましたが、その中におきましてもそのような御指摘がございまして、私は十分これを尊重いたしたいというふうに思っております。しかも、われわれ防衛庁だけで、しかも、ある局限された一部でこういうような演習をやりましても、本当に地震が起こった場合、災害が起こった場合には果たして対処できるだろうかというような、実は去年のやりました教訓も得ておるわけです。特に地方自治団体との協力、あるいは国といたしましても各省庁の御協力、これが伴いませんと全くの図上的な訓練に終わると思うのでございまして、私は、内閣それ自身といたしましても、こういうようなことは単に東京都だけで起こるのじゃない、関西にも起こるかもしれない、あるいはその他の地方でも起こるかもしれない、それぞれの地域においてそういうような日ごろの訓練が行われるということは非常に大事なことなんだ。私は、有事、平時を問わず、国民一人一人の安全と生命を守るということ、その役割りをわが自衛隊はやはり責任を負っておるのだ、こういう認識なんでございます。  私、先ほど申し添えましたが、水島のあの災害に対しまして現地部隊が出動いたしました。隊員は非常に熱心にやりました。そして、その結果、やはり国民に喜ばれておる、自衛隊さんが出動したことによってよかったなということを、自分たち自身がはだ身で受けまして、非常にはつらつと、自衛隊の職務というものに生きがいを感ずるようになってきたということも、部隊長から実は聞いておるわけでございまして、その間、当然のことでございますけれども事故発生あるいはいろいろな国民の皆さん方に御迷惑をかけるようなことを自衛隊員がやっておりますが、そういうような事故もなくなるし、部隊も引き締まりますし、何か非常にいいわけなんで、私はこれは、先生のおっしゃるようなことを組み込んでいまひとつ検討いたしたい。五十一年度予算要求の際におきましても、私は長官指示を出しましたが、その中に——先ほど申しましたのはポスト四次防でございます。それは検討しておりますが、今度の「昭和五十一年度業務計画の作成に関する長官指示」の中にも特にこれをメンションいたしまして、「民生協力については、国民の期待にこたえるよう積極的に災害派遣その他の活動を実施する。特に、大都市における大震災に対し、適切に対処し得るよう所要の施策を推進する。」ということで予算要求もいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、本格的にはポスト四次防にむしろ、平時における大震災あるいは災害等についての自衛隊の役割りといいますか、位置づけというものを私はいたしたい、先生のおっしゃったとおりでございまして、そういうことをひとつ具現いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  46. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 昨年の大震災対処演習を実施いたしましたときに、当時の防衛庁長官の御意向がございまして、できるだけ、自衛隊だけの演習でなくて、全省庁が合同して行うような形にしろという御指示を得まして各省庁にお諮りをしたわけでございますが、実は当方は長いこと計画を立てて準備をしておりましたけれども、各省庁、急の話で間に合いませんでしたので、とうとう昨年は防衛庁だけということになりまして非常に残念だったわけでございますが、先生御指摘のとおり、東京の場合においては全国の行政の中枢が集まっておりますので、ここに急激に大きな震災が見舞いました場合には一時的に行政機能が麻痺するということは、これは当然のことであると思います。  そういう意味で、御案内のとおり災害につきましては、災害対策基本法に基づきまして国土庁が中心となりまして中央防災会議を中央で設ける、これが基本的な対策を立てるということになっておるわけでございまして、昨年、私ども大震災対処演習をやりました際に、中央防災会議との連絡体制というものをどういうふうに置くか、当方の陸上幕僚監部が中心になりました場合にそこの司令部といいますか、そこと中央防災会議との連絡、こういったものをこの演習の中に盛り込んでやったわけでございますが、いずれにいたしましても期間が短く、十分の用意ができておりませんでした。いろいろ問題点はたくさんそのときに指摘されておりますので、この次に大規模な演習を実施いたします場合には、十分その教訓を生かしてまいりたい。それから、できればやはり中央防災会議がイニシアチブをとった形で、私どもはその一員として働かしていただくということが理想的ではないか、しかも実際に合った形になるのではないかというふうに考えております。  それから、まことに恐縮でございますが、昨年、行政管理庁が災害対策についての勧告を出しておられまして、それぞれの関係すると思われる省庁にいろいろの指摘事項があるわけでございまして、当庁に対しましては、中央の体制については一応問題がないけれども、地方の防災計画、これについてはできるだけやはり地方レベルでその中に参加して、自衛隊だけで考えるのでなしに地方の防災計画に積極的に参加するようにという勧告がございますので、この趣旨もぜひ生かしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 中央防災会議仕組みでございますとか行管がどんな勧告をしたとか、そんなのはみんな知った上で物を言っているので、余りそんなことの説明をしていただかなくていい。  ずばり、この問題で第一に指摘をいたしましたのは、いままで行ってきた演習の前提としては、全国の行政機能が一時的に麻痺をするということが一応想定されて図上なり実際の演習が行われるというときに、中央防災でやることが一番いいのだ、これを中心でやるのだといった状態で実際に仕事が進んでいるかというと、そのことをいま中央防災に期待することは、あの人員ないし仕組みからいって無理だ。しかも、いつ起きるかわからない。国土防衛という一番大事な、国民防衛しようという立場から言うなら、私は自衛隊が、防衛庁が率先、進み過ぎるくらいにこの種の問題には取り組んでいい、また、それが本来あるべき使命なんだというふうに実は考えるので、全国的な機能麻痺という前提がそこにあれば、一体何が必要かがおのずから出てきます。私は素人ですが、素人なりにこういうものが必要だろう、全国的にこういうものがなければだめだろうというようなことを言いたいのだが、言っても、まだ訓練してないからだめだ。その前提があって訓練すると、こういうことがなければいけない、こういう施設をしなければだめだ、こういう有機的な連携をとらなければだめだというのが出てくる。それを防衛庁でつくってほしい。それが中央防災に持ち込まれる、中央防災はこれはいいというようにしていかない限り、中央防災が中心でやることが望ましいのだというようなことではわが国震災対策はできていかない。私は防衛庁が、せっかく大臣もああいう意思を持っているのですから、ある程度ずっと進み過ぎるぐらいやっていいと思う。やっちゃいけないということは何にもないのですからね。本来の使命として取り入れようという長官の決意があった以上、なおさらおやりになるべきだ。その前提が大事だから、今度は前提を持ってくださいよ。その前提があると、何が必要かというのが出てきます。ぜひそれをやっていただきたい。どうですか。
  48. 坂田道太

    坂田国務大臣 きょうの先生の御指摘は、私は非常にごもっともな話だと思いますので、いま検討をさせておるわけでございますから、十分御意見を尊重いたしまして検討をいたすつもりでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 それは非常にありがたい答弁で、ぜひ期待をいたしますし、七月の演習に引き続いて演習が行われるようにぜひお願いをしたいと思います。  そこで、これに関連をして小さな問題を一つお聞きしたいのですが、自衛隊の災害出動に対して、最近、住民感情はどうですか。一番最初にはずいぶん、自衛隊に対する拒否反応みたいなものが、ある地域、あるグループにあって、それがちょっといやな雰囲気を醸していたりなんかしました。最近の災害出動に対しては、全面的に住民が感謝をして、ありがたいという気持ちでやるようになっているだろうと思うのですが、それがどうか、そのことを一つ。  それからもう一つ、もっと小さい問題。たとえば長野県の上高地あたり、登山者、観光客がいっぱい来る。ごみをめちゃめちゃに散らかしていく。したがって、この清掃をしなければいけない。とてもじゃないがあの大量のものを清掃ができない。したがって、自衛隊にあの清掃を手伝ってもらおうじゃないかという大きな住民の意向があって、それが要請される。それに対して何々委員会、思想的なグループその他から、どうも自衛隊が出てくるということは——自衛隊の隠されている、戦争を再び日本に持ち込むといった目的を大衆から隠蔽するために自衛隊がそういうところに出てくるのはどうも望ましくないんだというようなことから、それをやめてくれという申し入れを行ってみたりするようなことが、まだ長野県下の一部に行われています。だが、そんなことがあってもなくても、住民の要求があってそのことができるなら協力をしていただきたいという二点、お答えいただきたい。
  50. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 災害派遣は、雪害それから大降雨というような場合から始まりまして、病院への患者輸送というようなところに至りますまで、形態が種々雑多でございますが、いずれも実施に当たりましては、大変地元の方々から感謝の意を述べられておりますし、隊員も士気が上がっておるわけでございますが、ただ多少、全国的といいますか、ごく一部の地域でございますけれども、問題がございますのは、災害出動そのものではなくて、そのための訓練をいたします場合に、たとえば国有林を通るのがいかぬとかいうような、いろいろなそういう趣旨の一部の方々の反対運動、こういうものが皆無ではないという状態でございます。  次に、観光地のごみ処理の問題、ただいま先生から御指摘のような場合でございますけれども、これは主催をされる方あるいは管理をされる方々の方ではっきりした、自衛隊の支援を求められるという御意向が出ておりました場合、私どもの方としてはできるだけ、日常の訓練その他に支障のない点におきまして、地元の責任者との間のお話し合いで前向きに考えてまいりたいというふうに思っております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、FXの問題に入ります。  この予算要求が八月ごろになりますか、予算要求を行う八月ごろをめどにFXの機種の選定が終わりますか、決まりますか。いま何か防衛部第一分室で専門にこの選定作業を行っていると聞いていますが、八月をめどに選定が終わるかどうか。
  52. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 FXの調査団がこの六月の一日から、関係の欧米合わせまして約六カ国でございますが、これに派遣をされておりまして、七月になりましてから帰ってくるわけでございますが、その結果を踏まえまして、これを私どもいわゆるORと申しておりますけれども、コンピューターにいろいろデータを入力をいたします。それから次期の一般的な周辺情勢の見通し、その他いろいろな情勢を入れまして検討いたすわけでございますが、いまお話しございました、ことしの八月にその結論を出すというのは、大変むずかしいんではないかと思っております。  大体のスケジュールといたしましては、来年の八月つまり五十二年度予算要求いたしますまでに決めさしていただきたい。と申しますのは、これも先生十分御承知のとおり、ポスト四次防が来年、五十二年度からを初年度として始まるということになりますので、そのポスト四次防の中の当然このFXは主要項目になることが予想されるわけでございまして、そのときに国防会議で御審議を願いますために、来年の八月までに作業を終えさしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 いま七機種が話題に上っているのですが、欧米特にヨーロッパの三機種はもうすでに、まあいろいろな理由がありますが、使わない。結局アメリカの四機種の中から選定をする、重戦闘機、軽戦闘機にするかしないかを含めて。いずれにしてもわが国のような、アメリカと長い間戦略、戦術とのかかわり合いを持っている関係から言うなら、少なくとも、七機種うわさされていても、アメリカの四機種にしぼられるということは間違いないですか。
  54. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ただいまおっしゃいましたように、ヨーロッパの三機種、スウェーデンのものと、それからイギリスと西独とイタリーで共同開発をしております多目的の航空機、それからフランスの例のミラージュでございますが、これにつきまして、いま調査をしておるわけでございます。最近NATOの四カ国、ベルギー、オランダ、デンマーク、ノルウェーでございますが、これが新聞報道の伝えるところによりますと、F16に大体決まったようなふうに私ども聞いております。その際に当然地元のヨーロッパ機と比較検討されたということだと思うわけでございますが、そういう経緯を踏まえて見ますと、七機種ほどいま出ておりますけれども、その中でヨーロッパ機は、いまの状態におきましてはまあ比較的条件が悪いというふうに考えられるわけでございまして、私ども日本の国土という非常に特殊な形態の条件の中でどの航空機が一番適するのかというのは、やはり本当に純粋に技術的に詰めてまいらなければならないというふうに思っておるわけでございまして、素人的な、まあ私も素人でございますので、私の素人的な感覚では、この欧州機というのは、どうもいまの状態ではやや条件が悪いのではないかというふうに考えております。これはやはり、先ほど申し上げましたように、純粋に防衛のための緒条件というものを技術的に詰めました場合にどういうことになるかということは、はっきり申しまして、いまの段階でこうだということをまだまだ申し上げるべき時期に来ておりませんので、大体いま御答弁申し上げましたところが、正直、私の現在わかっておるすべてであるというふうにしか申し上げられないわけでございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 まあとにかく、大変な激しい競争の中でどれを採用するか決められるわけですし、忌まわしい事件まで起きた歴史を持っておるわけですから、慎重に答弁なさるのはあたりまえだと思いますが、であればであるほど私は、いまの七機種だなんて言っても、もうすでに大体アメリカの四機種ということに腹を決めるなら決めて、ぐっと狭めてやるというようなことも必要じゃないかなというので、あえて質問したのですがね。いまの答弁以上にはできないでしょうが、しかし、大体アメリカの四機種にしぼられるのじゃないかという御答弁だったから、それはそれでよろしい。  私は、いま自衛隊が使っておりますF104J、百八十一機使っていますね、これはいつまでに全部交代するのですか。それからもう一つ、いまのF4EJですか、これもやがてかえなければいけない、一応の目標がなければいけないと思うのですね。これに代替するもの、これと組み合わせして一部使っていきながらやがてこれと代替するということになるわけですから、そこで、いまの五十二年以後の採用機種というものがそれとの絡みで決まってくる、機種の数も決まってくるということになりますので、その前提としてのいま言った二機種がやがて全部かえられる目標は、年度別にこのくらいずつで、いつまでに全部かえたいのだということをお聞きしておきたい。
  56. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 104Jの今後の用途廃止の見込みでございますけれども、104Jそれ自体といたしましては昭和五十二年がピークでございます。このときに、飛行隊の数で申し上げますと六個飛行隊でございます。これが五十三年、五十四年と五個飛行隊になるわけでございます。それから、以下五十五、五十六となりまして、五十九年にゼロになるわけでございます。一方、現在のF4EJ、ファントムの方でございますが、これがただいま五十年に、まだその正式の編成までできておりませんけれども、地元とのお話がうまくいけば三飛行隊になるわけでございます。現在二飛行隊できておりますが、あと一飛行隊まだ準備中でございます。もしこれが順調にまいりますと、五十三年に五個飛行隊までになるわけでございます。この五個飛行隊がずっとその後続くというかっこうになっておりまして、先ほど申し上げましたように、五十四年の時点におきまして104Jの部隊が五個飛行隊、それからファントムの飛行隊が五個飛行隊、合わせまして十個飛行隊という形が続けられるわけでございますけれども、五十五年になりますと104Jの方が四個飛行隊に、一個飛行隊落ちるわけでございます。そうしますと、両方合わせまして九個飛行隊ということになりまして、以下FXの手当てをいたしませんと、これが毎年一個飛行隊ずつ落ちていくというかっこうになるわけでございます。  そこでファントムでございますが、ファントムは五十六年に四個飛行隊になりまして、それから以後ずっと四個飛行隊のままで当分続く、こういうかっこうでございます。したがいまして、このファントムの後継機ということになりますと、これは今後十年以上後の問題になるということでございまして、さしあたってこの後継機の問題は、私ども現在は、具体的な問題としてまだ考えておらないわけでございます。  FXの機数も、実は104Jにかわるということでございますと、この104Jの現在持っております機数が一つの目安になるわけでございますけれども、今度入りますものが性能がどういうものであるかということによって、必ずしも現在の機数は要らないのではないか、運用上の問題その他いろいろな問題も含まれますので、機種の選定の結果によって機数その他もおのずから違ってくるというふうに考えておるわけでございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がなくて、四次防に触れられそうもなくなっちゃったですね。この問題のまた最後にちょっと聞いておきたいのは、この種の機種の選定をするときの、やはり防衛であろうと何であろうと戦闘行為前提になるわけですから、足の軽いのがいい、重たいのがいい、いや重戦がいい、何がいい、こういうことになるわけですから、そうすると、中国なりソ連の持っております装備が対象で機種の選定は行う、ソ連、中国が機種を新しくしてくるとそれにつれてわが国の機種の代替が行われていく、究極的に言うなら、わが国装備のありようというのは、たとえばいまこの問題に例をとるなら、ソ連なり中国の装備が対象で選定をするということになりますか。
  58. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは必ずしも、中国なりあるいはソ連の航空機ということだけを意識しておるわけではございませんで、機種の更新は、結局どちらかと申しますと、更新自体は内部事情、つまり耐用年数、耐用命数が参りまして老朽化ということで次のものにかわっていくということが一つの大きな理屈になるわけでございます。それから、わが国の地形その他の諸条件、航空基地その他の問題をあわせましてやはり自主的に選んでいくということが主になると思います。ただし、その場合に外国の飛行機を全然意識に入れてないのかということになると、これは必ずしもそうではない。当然、わが方がFXが入ってまいりまして、それが実際に配備になる、それからある相当の年数それが主力要撃機として活動するわけでございますから、その時点におきまして国際的に見た場合に、いわゆる要撃機なり、あるいは相手にいたしますのは相手の攻撃機あるいは爆撃機、こういったものになるわけでございますが、そういうものの国際的な趨勢がどういう方向をたどるかということは、はっきりした見通しをつけておかなければならないと思います。具体的にどこの国の飛行機というものを意識してやるかということになりますと、必ずしもそうではございませんが、一般的には、国際的なそういう攻撃機なりあるいは要撃機なりあるいは爆撃機なり、こういったものの一般的な趨向というものは十分考慮に入れて選定をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 四次防の全体のあれについて一応お伺いしたいと思いましたが、正直に言うと地震で少し皆さんの答弁が丁寧過ぎちゃって、どうもそこまで行けないようで、また次に譲りますが、長官のきょう答弁されました内容は、よくひとつごらんいただいて、実施に移していただくようにお願いを申し上げて、これで終わりたいと思います。
  60. 井原岸高

    井原委員長 庄司幸助君。
  61. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、過日、長崎県の佐世保で米海軍の貯油施設が油漏れした、こういう事件が起こったのですが、その問題でお伺いしたいと思うのです。  まず、防衛庁関係で、佐世保の米海軍基地の油漏れの実態、これを捕捉しておられるのかどうか、調査されたのかどうか、この点まず御答弁をお願いしたいと思います。
  62. 銅崎富司

    銅崎政府委員 今回の油漏れ事故につきましては、本年の三月八日と五月の二十九日にそれぞれ発見されました。米側は、直ちにオイルフェンスの設置等によりまして流出油の回収とその拡散防止に努めました。三月の事故につきましては、漏れたと思われます一号タンクの油を去る四月七日に抜き取りを行いまして、故障個所の修理を行っていると聞いております。それからまた、五月の事故につきましては、三号タンクの油を六月の十日に抜き取りを完了して、現在米側事故原因を究明しておるというふうに聞いております。  なお、福岡防衛施設局の現地調査によりますと、さきに報道されました、付近の小庵浦部落の井戸一基につきまして確認しましたところ、油の混入状況は判別が困難でありましたけれども、佐世保市当局の水質検査書によりますと、油のにおいと油の味が——油味といいますか、油の味がしたということであったほかは、漁業被害については届けがないというふうに私ども承知いたしております。
  63. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは消防庁それから海上保安庁、それぞれ調査しておられますか。調査しておられるなら状況、おられないならノーと答えてもらえばいいんですが、その辺どうですか。——それでは、来ておられないようですから後から聞きます。  この点で、この問の土曜日、私も現地調査いたしましたが、いま防衛庁の方から御報告があったわけですが、一号と三号、これが油漏れをした。くみ取りをやっていて、しかも井戸の被害については定かでないという御報告のようですが、私の調査した状況を少しお話ししてみたいと思います。  この庵崎という米海軍の貯油所は、タンクが五基あります。これは旧海軍時代からの地下タンクがありまして、それを米軍が引き継いだ、非常に老朽化したタンクなんですね。地下タンクですから、これは構造上は当然コンクリート製だろう、こう思われるのですが、これが昭和四十六年にも一遍油漏れを起こして、施設庁当局が九十万ほど補償をしているという事件があったわけです。住民の話によりますと、九年ぐらい前からそういう現象にときどきぶつかっていたという話なんです。一号タンクについては三月八日抜き取った。それから三号タンクについては五月の何日かに抜き取っている。しかし、今度漏れている個所を調査しましたら、後で地図をごらんに入れますけれども、明らかに四号タンクの油漏れが原因だと思われる個所が漏れているわけです。これはおたくからちょうだいした現場の図面ですが、オイルフェンスを張ったというのは、後でこれは差し上げますが、私が指摘するBとCという地区ですね。済みません、これをちょっと持っていってください。——そのBとCという地区がいわゆるオイルフェンスを張った形跡がある。現在は木さくになっております。ところが、私が調査した現場というのは、その図面で言うと、ちょっとごらんになっていただきますが、この半島のつけ根のAという場所です。ここが油漏れして、私が調査に行った際、雨の中、四、五人の日本人従業員の方が一生懸命ため池から油をくみ取っている最中でした。そうすると、これは一号、三号を空にしたからいいというものじゃなくて、ちょうど四号タンクの真下なんですね、これが油が漏れている。佐々木さんという方の井一尺これも拝見してきましたが、これにも明らかに油が浮いておりました。私も写真を撮ってまいりましたし、NHKのカメラマンも撮影しておったようであります。  同時に、Aという場所に井戸の印をつけておきましたが、そこのところへ赤い線を引いてあります。これが施設の境界線で、バラ線を張ってあります。ちょうど、このバラ線のつけ根のあたりの石垣から、海岸に向けて盛んににじ色の油流出の現象が見られたわけです。そうすると、これは一号、三号だけの問題じゃなくて、四号も油が漏っている。これは等高線がそれに入っておりますから、その等高線の関係からいっても、一号の油がこちらへ回るはずはないんですね。ですから、四号も漏れている。そうしますと、これはたしか大正末期か昭和初期あたりにつくられたタンクらしいので、もう全部のタンクが油が漏れているという推測をしても間違いないだろうと思うのです。そういう点で漁民は漁民で、魚を生けすに入れておいたり、あるいはかごから揚げる際油のにおいが魚についてしまう、井戸水は飲めない、こういう状況にあるわけですが、まず簡単な点から御質問いたします。  この点で、昭和四十六年に漁業被害があった場合は、これは補償なすっているわけです。今度も被害の申し出があった場合は、当然に補償の対象になると私は思いますが、対象になりますかどうか、この点、伺っておきます。
  64. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 ただいま調査中でございますけれども、被害がありますれば、また御申請がありますれば、それに応じまして適正な補償をいたすということにしております。この場合には恐らく地位協定の十八条の五項ということで、タンクに亀裂があった、管理に瑕疵があったという形になろうと思います。
  65. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、これも簡単な点ですが、井戸が使えなくなっているわけです。これは佐世保の市当局伺いましたら、どうしても水道施設をやってやらなければならない、あの辺に十三戸ありますから。その点で水道施設を市がやる場合、略称基地周辺整備法ですか、この対象になりますかどうか、この点……。
  66. 銅崎富司

    銅崎政府委員 なります。  それで、本年の六月、佐世保市長から水道の施設を設置したいという要望がありますので、私どもとしてはこれは早急に実現するように考えております。
  67. 庄司幸助

    ○庄司委員 その場合、この整備法の三条と八条とありますね、この三条の対象になるのか。つまり、自衛隊等のいろいろな災害といいますか被害、これが三条、八条は生活環境の整備というかっこうになるわけですが、これは自衛隊等、まあ米軍ですが、米軍の油漏れによる井戸水の被害であるということになれば、当然三条の対象になるのじゃないかと私は思うのですが、そのように理解していいのか。  それから、これをやるとすれば、要望も出ているわけですから、年度内の予算でやっていただけるのかどうか、この点ひとつ。
  68. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先生のお話のように、井戸に出ております油が基地の貯油施設から出たものであるという関係がはっきりいたしますれば、三条の適用ということになろうかと思います。  それから、本年度予算でできるだけ実施したいと考えております。
  69. 庄司幸助

    ○庄司委員 関係がはっきりすればとおっしゃっているわけですが、あなたの方の施設局の現地の方もいらっしゃるわけですね、お会いもしてきましたが。行ってみれば、あの場所はすぐわかるのです。これはあなたの方の事務所から一応三十分で行けるところですから、ぜひすぐ発見して、あの関係を確認してもらいたいと思います。  次にお伺いしたいのは、今回の事態、これは今回だけじゃなくて、いままでも再々あった事態なんです。この事態に対して、米軍に対してどういう申し入れをして、米軍がそれに対してどういう対応をしたのか。米軍側の対応あるいは反応、こういう点をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  70. 銅崎富司

    銅崎政府委員 四十六年、それから四十九年の事故につきましては、佐世保の防衛施設事務所から米側に申し入れまして、油の早急な除去と原因の究明を申し入れたわけでございますが、米側は直ちに油を抜きまして検査をし、所要の修理等いたしたわけであります。  それから、この本年の三月八日の油漏れの場合は、直ちに現地へ係官を派遣いたしまして、油漏れの現場を調査、確認いたしまして、三月十日には現地の燃料貯油所副隊長に、それから翌十一日と十四日には同所の隊長に、流出油の早急な処理、それから原因究明について申し入れを行いました。一方、施設庁本庁におきましても、三月十二日と三月十四日に担当官を在日米軍司令部に派遣いたしまして、やはり同様の申し入れを厳重にいたしたわけでございます。なお、三月十四日開催の施設特別委員会の席上におきましても、早急に適切な措置を講ずるように重ねて申し入れを行っております。  また、今回の五月二十九日の油漏れにつきましては、その漏れました同日、直ちに現地米軍に申し入れを行いまして、翌三十日には係官による現場調査を行っております。それから一六月四日にも、再度米軍に対しまして、流出油の早急な処理と原因究明について申し入れを行っております。それから六月五日には横須賀の米海軍司令部に対しまして、注意の喚起と同時に流出油の早急な処理、それから原因の究明等についてやはり申し入れを行っております。最近におきましても、六月十八日在日米軍司令部、それから在日米海軍司令部、現地の佐世保燃料廠の司令官に対しまして、文書で同様の申し入れを行ったところでございます。  当庁といたしましては、米軍に対しまして早急に事故原因の究明を申し入れ、その改善に当たらせる考えでございますが、こういう事故が再び起きないよう万全の措置をとるように申し入れているところでございます。  それからなお、先ほど御指摘がございました四号タンクでございますが、これも米軍に問い合わせましたところ、空にして検査する、こういうふうに申しております。
  71. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、この一号タンクは全部抜いたというのですね。一号タンクというのは米軍ナンバーではM七〇一ですが、これは三万キロリッター入っているのです。三号タンクはMの七〇三で五万キロリッター。それから四号タンクは一番大きいのですね、M七〇四で七万キロリッター。それからちなみにM七〇二、二号タンク、これは三万五千キロリッター。そのほかに五号タンク、これは戦後できたらしくて丸型のいわゆる浮き屋根式ですか、こういうタンク、これが千五百九十キロリッター。どうもいずれも航空燃料らしい、こう言われているのですね。私も現地で油を指でつまんでみましたが、非常にさらさらして、重油なんかじゃないことは明確だ。この一号、三号は抜き取ったと米軍は言っているわけですが、本当に抜き取ったのかどうか、これは現場へ行って確認なすったのですか。というのは、一、三号を抜き取ったと言った時点からだいぶたってからも、あのB、C地点ではやはりくみ取り作業をやっているわけです。だからその点で、一、三号を抜き取られたという形跡が疑わしいと思われる節があるのです。四号も抜き取る抜き取ると言っていますけれども、この調子でまいりますとどうなのか、その辺も疑わしい。これはやはり施設庁が当然に現場の確認をなさらなければならないだろうと思うのですが、その点どうですか。
  72. 銅崎富司

    銅崎政府委員 事故が起きますと同時に、担当の防衛施設事務所の方で職員が米軍と連絡をとって立ち会いをして、どういう状況かも調べております。また、燃料タンクがこの庵崎の場合いっぱいでございまして、配船してほかからタンカーを持ってきてタンカーに入れるとか、別の燃料廠のタンクに入れる。それで、そのタンカーを持ってきましてよそに持っていく場合、タンカーの手配その他につきましては、私ども、横須賀の海軍司令部等に行きまして、いつタンカーが行ったか、そういうことは確認できているわけでございますので、私ども米側が実際に抜き取っている現場に立ち会っておりませんけれども、確実に抜き取られたものだというふうに確信いたしております。
  73. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、なぜ、その図面の上で言うB、C地点ではいまでもくみ取りをやっているのか、その辺ひとつ御説明を願いたいと思います。
  74. 銅崎富司

    銅崎政府委員 私も専門家でないのでよくわかりませんが、たとえば過去において油漏れがありまして、それが地下にしみ込んだ場合、雨が降りますと地下水が上昇しまして、それに押されて、過去に出ました油がわき出てくるということがあるというふうに聞いております。
  75. 庄司幸助

    ○庄司委員 一日ドラムかん三本ぐらいくむ日があると言われています。地下にしみ通った油の程度ならそういうことはあり得ないだろうと思うのですよ。油流出がまだ続いている事態でドラムかん三本が一つの最大量のようであったわけですが、同じようにやはりくみ取りが続いている。これはやはりタンクの中に油がまだ存在することを証明しているのではないか、こう思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  76. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在、五月二十九日以降どういう状況で油が流出しておりますか、先ほど先生から、すぐ行って井戸の汚染の状況も確認しろということでございますので、このタンクの中の状況も調べたいと思います。米側と立ち会いの上で現地でその状況をよく聞きたい、こういうふうに考えておりますけれども、四号タンクにつきましては現在入っておりまして、これから抜き取る。それから二号タンクの方は一応抜き取っておりますけれども、やはり底の方のたまった油というものは少しはあるのかとも思いますが、そういうのも全部抜き取るように米側の方は言っておりまして、一応ここのタンクは空にして、そうして中を調べるということを米軍の方は申しておりますので、どういう原因で油が漏れるかという、その結果を待てばその原因もわかってくるのではないか、いまはそういうふうに思っております。
  77. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはひとつおたくの方で施設内に立ち入って、米軍と一緒に調査してもらいたいと思うのです。そうでないと、依然として油の流出が続いている。しかも私は、魚の汚染とか井戸の被害とか言いましたけれども、それよりもっと恐ろしい事態、これを非常に憂えているわけです。  と言いますのは、私が行った当日、現場へ行くちょっと前からもう石油のにおいがぷんぷんとして、うっかりたばこの火もつけられないような危険を感じたわけです。ああいう油がどんどん海上へ流出してますから、もしこれに火がついたら、あの辺が火の海になる可能性だってあるんですね。それから、それが今度ははい上がっていったらどうなるのか。付近に民家もありますし、漁船もつないであります。その点心配していますから、この立入調査、と言うとあなた方なかなか腰を上げないようですが、これはやはりアメリカと当然協議して、一緒に入って現物を確認する。その上でタンクの構造、これが今後使用にたえるものかどうか、このタンク自体の廃棄処分ですか、これも考えざるを得ないような事態を私心配しているわけですよ。その辺も含めてひとつ立入検査といいますか調査といいますか、これをなさいますか。
  78. 久保卓也

    ○久保政府委員 先ほど来、施設庁側から御答弁申し上げておりますが、本来、施設庁の仕事は米軍への施設の提供でありまして、施設に関連をしていろいろな問題を生じますものは、つかさ、つかさがございます。たとえば、弾薬庫の保安距離という問題になれば通産省の問題になりますし、弾薬の輸送というような問題になりますると警察の問題になります。米軍の行動ということになりますと外務省が所管するというふうになります。したがいまして、この問題も、本来は消防庁の問題でありますが、出だしが昨年末の水島の石油事故の問題でありまして、大臣から直接指示を受けまして、米側に具体的な点検と調査をやれという御指示がありましたもので、われわれ、米側と非常に接触しておりましたから、本年の一月以降、米側にいろいろの調査をし総点検をやってもらっておるわけです。しかしながら、具体的に問題が発展してまいりますると、現地の、たとえば佐世保市の消防局がありますれば消防局が現地の具体的な調査をする。また現に、御承知だと思いまするけれども米側に消防局が立入調査の申し入れをしたということがあります。そういう場合に私どもが仲に入って御相談に応じ、あるいは米側に連絡をするという仕事はやります。  さしあたって私どもの方では、被害があった場合の補償という問題はまさに防衛施設庁の問題でありますが、いま御提示になりましたように、具体的に、その石油タンクが貯蔵にたえるもので、使用にたえるものであるかどうか、今後どういうふうに石油の貯蔵をやるべきであるかというふうな問題になってまいりますと、消防局なり消防庁なりという専門の方におやりいただかないといけないという問題になります。そこで、消防庁なり消防局の方で立ち入ってそういうものを調査したいということであれば、私どもは当然仲に入って米側に御連絡申し上げるという段取りになろうと思います。
  79. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは久保さんがおっしゃる点も、施設庁としての権限から言うとそういうことは理解できますけれども、ただ、先ほどの委員に対する長官の答弁の中で大変りっぱなことをおっしゃっているので、防衛庁が住民の安全のために大いにがんばらなくちゃならない。それから油の流出の問題でもいろいろ御答弁なすったわけです。防衛庁側の機材が十分でないという点もお話しになった。生命、財産を守らなくちゃならない、こうもおっしゃっておるわけですね。だから、当然その予防の問題もやはり専門の消防庁なりその他と協議して、こういう全くざるみたいなタンク、これに対してはおたくの方も関心を払って協議をして、一緒にこれは進めないと——防災上私は申し上げているのですから、その辺でやはりぜひ消防庁とも連絡を十分とって、そして米軍施設内に一緒に立ち入りをやって調査をして、タンクの構造から、それから抜き取りの実態から、米軍のそれに対する対応をどうするのか、その辺までひとつ調査していただきたい、こう思うのですが、その点ひとつ御答弁願います。
  80. 久保卓也

    ○久保政府委員 仕事そのものの所管は消防庁であるにせよ、私どもでなし得ることはできるだけするという立場に立っております。先ほども申しましたように、本庁としましてもあるいは現地の施設事務所の方としましても、米側に再々申し入れをいたしておりますし、それから米側に総点検を求めた結果については、四月に私どもの方に返事が参りました。そしてまた、あわせて私どもは、米側から石油の貯蔵に関するマニュアルも求めました。それをわざわざ私どもの方で翻訳しまして、そして米側回答をあわせて消防庁の方に出してあるわけです。しかし、米側からもらった総点検の結果の資料については詳しさを欠いておりましたので、もっと具体的なものとして提出をしてもらうというふうに米側に言っております。そういう具体的なものを基準にして消防庁の方で勉強、検討していただく。私どもの方では消防庁がおやりになる仕事について全面的に御協力申し上げ、御協議もするということは、先生のおっしゃるとおりであります。
  81. 庄司幸助

    ○庄司委員 消防庁いらっしゃったようですから、消防庁の方で現地の佐世保の局の方と連絡をとって、いろいろ報告も受けているだろうと思いますが、その辺で消防庁の調査、その結果、これを御報告願いたいし、あわせて海上保安庁、これは海へ油が流れているわけですから、その辺も保安庁からひとつお願いしたいと思うのです。
  82. 永瀬章

    ○永瀬説明員 佐世保の米軍貯油施設の油漏洩問題につきまして、これは先ほどお話がございましたように、佐世保市の消防局長から現地の石油廠長に立入調査の申し入れを行ったりなど数回にわたって措置をいたしておりますが、一番新しい措置といたしましては、三月に外務省アメリカ局安全保障課長に、現地の佐世保市からの要望がございましたので、佐世保市が現地に立入調査できるようにお取り計らい願いたいという旨の要請をいたしております。しかし、その後の状況につきましては、まだ報告に接しておりません。
  83. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁から御報告申し上げます。  米軍の佐世保庵崎貯油所からの油の流出状況でありますが、三月八日ですか、佐世保の海上保安部が現地の調査を実施いたしましたところ、油は庵崎の付近の海岸の数カ所でわき出しておりまして、米軍はオイルフェンスを展張いたしまして、ポンプで除去作業を実施しておりました。この米軍が展張いたしましたオイルフェンスの間隙から漏れた油が、幅が十メートル、長さが約千メートル程度、高後崎、いわゆる港の入り口の方向に薄く拡散しておりました。  その後、拡散の範囲は多少増減はありましたけれども、依然として流出はとまらないという状況のとき、四月の七日ですか、亀裂タンクの油抜き取り作業が終了いたしました以後は、油は漸減いたしまして、四月の下旬にはなくなる、そういうことになりました。  ところが、五月の二十九日に、米軍から再度油がわき出したという連絡がありましたので、再度調査に赴きましたところ、庵崎を中心といたしまして半径千メートルの円状に薄く拡散いたしておりました。その後六月八日、主なわき出しの個所の閉鎖作業を行ったということですが、わずかずつ減少いたしておりますけれども、現在なお幅五、六メートル、長さ百メートル程度の油の流出といいますか、拡散がございます。  以上のとおりです。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま消防庁から答弁があったのですが、外務省の安全保障課長あて立入調査の要望が外務省に出された、しかし依然として返事がないという御答弁でありますが、外務省、この点どうなんですか。
  85. 深田宏

    ○深田説明員 この問題につきましては、先ほどから防衛施設庁の方でいろいろ御説明いただいておりますような状況でございまして、現在いわゆる総点検というものが進行中でございますから、その結果等を見た上で、外務省といたしましても、本件につきできるだけ御協力したいという立場でございますので、所要適切な措置を講じたい、かように考えております。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 外務省、この点、少し怠慢じゃないですかね。総点検は四月六日に米軍から出された、マニュアルまでつけて。これは防衛庁当局の御答弁です。これは詳しくないというので、もっと詳しくしてくれと要望までしているわけですね。こういう結果を踏まえておられないんじゃないかと思うのですよ、外務省。しかも、いま海上保安庁からも報告があったように、依然として油膜が海上にずっと広がっている。とまらない。そういう中で、この四号タンクとおぼしき油漏れが新たに問題になってきておる。現地の住民は非常に困っておるのです。心配しておるのです。佐世保の市長さんも、消防局長も、これは大変な心配をしております。それが外務省に対して三月に要望して、まだ返事もない。総点検の結果を待ってどうかしよう。総点検はもう四月にやってしまった。これでもほっともていいのですか、外務省
  87. 深田宏

    ○深田説明員 私どもの了解しております限りでは、現在その総点検の結果待ちということでございまして、その結果いかんによりましては再度アメリカ側に申し入れをする。その場合には私どもの方で、必要がありましたら十分お取り次ぎ申し上げる用意がございます。いまのような事情になっておりますことにつきましては、施設庁、消防庁、各関係省庁において十分御承知でいらっしゃる、そのように私どもは考えております。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 外務省、大分のんきなものですね。もう現に油が漏れているのですよ。三月に漏れた。それでおたくへ立入調査その他含めて米軍側に連絡をとって了解をとってほしいという要望が行っているのです。その結果総点検をやって、その総点検の結果がどうも詳しくない。その後、五月に入って四号タンクの油漏れがある。現実に事態が進行しているのです。ただ単なる危惧の念じゃなくて、現実にこういう油漏れの事故が起きているというのに、外務省として、こういう現地の要望をすぐ取り次いで了解を求めるような工作をなぜしないのか。安保条約というのは、何か遠慮したりあるいは窮屈なものだということになっちゃいますね。  とにかく、いままでのことをとやかく言っても、要望しなかったのは間違いありませんから、こういう私の話を聞いたりあるいは答弁を聞いたりして、現地が望んでいる立入調査、これをすぐ申し入れされるつもりはあるのか、ないのか、この辺ひとつ御答弁願います。
  89. 深田宏

    ○深田説明員 私の御説明が不十分であったかもしれませんけれども、私どもの了解しております限りでは、中間的な回答アメリカ側から得ましたものが必ずしも御専門の検討に十分でないということでございますので、さらに詳細な点検について米側に再度申し入れが行われているわけでございまして、その総点検——総点検と申しましたのはその段階でございますが、その結果を入手次第、関係省庁で専門的な角度から御検討になるわけでございますので、その上で必要があるということでございましたら、外務省の方で御協力申し上げる用意は十分あるわけでございます。  先ほど来の、特に施設庁の御説明では、この点検と申しますか、調査について米側は所要の協力をしておるというふうに私どもは理解しておりますので、その辺、外務省の方でお取り次ぎをしないというようなことではございませんので、御理解いただきたいと存じます。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ外務省伺いますが、このままでは、住民はもうじりじりしているのですよ。防衛施設庁もそれから消防庁も海上保安庁も、協議中だ、協議中だということで七月になる、八月になるのですね。そういうことになったのじゃ、住民の不安は増大する一方なんです。  それじゃ、久保さん、それから消防庁、この辺いつまで協議が調って、いつごろ一体、外務省に対してそういう要請をするのか、その辺、どちらからでもいいですから、答えてもらいたいと思います。
  91. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもとしましては、具体的なデータをなるべく早くいただいて消防庁で御検討願う。私どもの方では石油貯蔵に関する専門業務を担当しておりませんし、専門家がおりませんので、現地を目で見るという、通常の人の行うことは私ども行いますけれども、専門的検討には少したえないということで、なるべく早く消防庁の方で検討にたえる材料を米側から得るのが私どもの仕事と考えております。
  92. 永瀬章

    ○永瀬説明員 米軍施設の貯油施設の実態、あるいは、いまお話しございました点検の結果のわれわれの検討に値するといいますか、検討することができる資料を入手次第、全般的に検討して措置を講じていく、また、申し入れをする等の措置を講じていきたいと考えております。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 いつごろになりますか。
  94. 永瀬章

    ○永瀬説明員 米側からの回答がいつごろ来るか、来次第やりたいと思っております。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 これじゃ、いつまでたってもらちがあかないのですね。米側回答次第……。  これは委員長にお願いしますけれども、ひとつ当委員会で、外務省を通して折衝してもらって、あそこの現地の立入調査をやるようにお取り計らい願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  96. 久保卓也

    ○久保政府委員 現地によく出入りしておりまするのは私どもの役所でありますので、いまここでの答弁がいろいろございましたが、私どもの方で外務省、消防庁ともよく相談しまして、佐世保消防局のやりたいようなことをやり得るように関係省庁と御相談してみたいと思います。
  97. 井原岸高

    井原委員長 委員長からもちょっと御注意申し上げておきます。  ただいま外務省からの御答弁、消防庁も、それぞれの立場もあろうかと思うのですが、庄司委員の御質問、これは当然早急にあるべきことだと思うので、追ってまた理事会で検討いたしますから、その予定でひとつ進めていただきたいと思います。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 ありがとうございました。  そこで、長官帰ってこられたようですから、いま長官聞いておられないのですが、油漏れが現実に進行している最中、現地から非常に強い要望があっても、外務省が何ら取り次ごうとしていない。ですから、早急に、いつごろそれはめどになるのだと言ったら、見当つかない。それじゃ、決算委員会として現地に行ってみないとだめだという私の意見も申し上げたのですが、そういうやりとりがあったわけです。  それで、実はこの佐世保の庵崎の米軍貯油所の問題というのは氷山の一角だろうと思うのですよ。——その前に消防庁に伺っておきますが、この庵崎、それから佐世保にはあとは赤埼という米軍の貯油施設がございます。それぞれ、いわゆる貯油量、油をどれぐらい抱えているのか、最大タンクが何ぼでどれぐらいのタンクがあるのか、それに対応するいわゆる消防力、これが米軍側としてどれぐらいのものを持っておるのか、これは御調査になったことがございますか。
  99. 永瀬章

    ○永瀬説明員 米軍施設に対しましては、向こうが管理権を持っております関係で、現地の消防といたしましてはこの実態につきまして、許可等をもちろん行っておりませんし、また、その消防力あるいは貯油量については正確には把握いたしておりません。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは私が調べた内容ですが、現地の消防局からもらってきた資料です。局長さんが出したのです。それを見ますと、庵崎については一号が三万、二号が三万五千、三号が五万、四号が七万、それから五号が千五百九十、こういう数字がございます。  これに対する米軍の消防力、これもちょうだいしてまいりました。これは人員は合計で六十五名だそうです。本部というのがあって、本部には化学消防車が二台ある。これはあわ放射能力が毎分二百リッターだ。それからタンク車が一台ある。それから、さっき申し上げた赤埼地区、これは貯油量が何ぼあるのかわかりませんが、毎分一千二百リッターの化学消防車が二台だ。それから前畑地区、これは普通の散水タンク車、これが一台。それから針尾の弾薬庫、この針尾地区はタンク車が二台、これは普通の水です。これだけしか消防力がないということがわかるのです。そうしますと、最大、庵崎の場合は七万キロリッター、これに火が入ったりなんかした場合、全面火災になったら、これで消せないということは明確なんです。米軍といったって、確かに治外法権で日本の領土内におりますけれども、しかし、災厄は日本人がかぶるわけです、日本国民が。あの連中なんというのは、火事になればさっさと逃げ出すのが精いっぱいですからね。これはベトナムでもよくわかることです。こうやって日本人の生命、財産が、こんなお粗末な消防力でもって守られるなどとはとうてい考えられないのですね。これは庵崎一カ所だけの問題を申し上げておるのです。  それで、防衛庁にお伺いしますが、一体、こういった米軍の貯油施設、これは全国で何カ所あって、そのキャパシティは一体どれくらいなのか。それに対する消防力はどのくらい持っているのか。これで日本人の生命、財産を守れるのか。この辺、お調べになったことがありますか。
  101. 銅崎富司

    銅崎政府委員 全国で八施設ございます。タンクの数は約二百十四基、貯油量約百八十五万キロリッターと聞いています。  それから消防関係でございますが、まず八戸の貯油施設ですが、ここでは各タンクの周囲に防油壁を設置しておりまして、消火ポンプが一台あります。水です。——これは私ども、大体概要ということで、詳細には調べておりませんが、大体のところを御説明申し上げております。それから鶴見の貯油施設ですが、化学消防車が二台、それからオイルフェンスも準備しております。それから地上式のタンクには防油壁、それから防油堤が設置されております。それから小柴の貯油施設ですが、化学消防車は一台、それからオイルフェンスも準備されております。地上式タンクには同様に防油壁、それから防油堤が設置されております。それから吾妻倉庫地区は化学消防車が三台、オイルフェンスも準備されております。それから佐世保関係は、ただいま先生の方からお話がありましたので省略させていただきます。ただ、佐世保におきましてはただいま先生の方からお話がありましたタンク車、それから化学消防車それぞれ相互的に応援し合って消火に当たるというふうに聞いております。  大体以上でございます。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 沖繩はどうですか。
  103. 銅崎富司

    銅崎政府委員 沖繩におきましては、陸軍関係でございますが、瑞慶覧消防署外三つの消防署が置かれておりまして、七台の消防車が配置されております。それから各タンクファームには常時化学消火剤が準備されておるというふうに聞いております。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 消防庁に伺いますが、いま大変大ざっぱなお話がありました。これは本当なら、八戸に防油堤があってポンプ車が一台ある、これじゃとうていタンク火災を防げるわけはないのですが、しかも八戸に何万キロリッターのタンクがあってなんて御報告はないのですね。それから鶴見にしても、どのぐらいのタンクがあってそれに対応しているのかどうか、その辺消防庁お調べになっていますか。
  105. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防庁としましては、必要に応じて防衛施設庁の方と御連絡を申し上げながら資料をいただいて調査いたしておりますが、全部について一覧表はまだつくり上げておりません。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 消防庁のタンク火災の想定というのがあるわけです。たとえば八万キロリッターの川崎のタンクが火災を起こした場合、私何遍も申し上げておりますよ、いわゆる毎分三千リッターの高性能化学消防車が九台要るとかそういう基準があるのです。それから普通化学消防車を二十四台配置しなければならない。これは長官、聞いてもらいたいのです。そういう想定に比べたら、いま私が調べた庵崎の事例なんというのはてんで問題にならないのです。これじゃ、とてもじゃないが、周辺住民の生命と安全を守ると長官おっしゃっていましたが、これは守れる道理がないのです。  だから、その点、長官、いまの問答いろいろお聞きになったと思いますが、米軍の貯油施設、タンク群、これに対して今後どう対処をなさるのか、これはひとつ閣僚の一人としてお聞かせ願いたいし、同時に、いま国会で例のコンビナート防災法が審議されておりまして、これも相当の問題点がある法律ですが、ところがこれだって、米軍については全然対象にならないという性格です。日本人の生命、財産を守ると安保条約を結んでいながら、何か見えざる敵のあれで侵略を恐れていろいろ核論争その他があります。戦闘機もどんどん買います。しかし、日本人の生命、安全というのは、戦争だけじゃないのですね。こういう問題についてどうするんだ、米軍が存在するゆえに。この点、ひとつ長官明確な御答弁をお願いしたいと思うのです。
  107. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、自衛隊の役割りといいますか、あるいは位置づけというものは、単に外国からの侵略だけではなくて、やはり天災地変、そういう災害あるいは大震災、そういうようなものからも守る、そして住民の、国民一人一人の生命、財産を守る、こういう位置づけをしたいという方針を私考えておるわけでございます。したがいまして、私、就任いたしまして間もなく水島の油流出の災害が起こりまして、そして自衛隊の出動を命じたわけでございますが、それと同時に私は、まず自衛隊が持っております油タンク、これの総点検を命じたわけでございます。その後、これはもうことしになってからでございますが、米軍の使用しておるタンクの安全について米側にまず調査をお願いいたしました。そうしたら、先ほど久保長官からお答えを申し上げましたように、総点検をするということでございます。われわれはその総点検の結果を待ちましてこれに対していろいろ対策を立てなければならないというふうに考えておるわけであります。  一方、これは予算総会だったと思いますが、社会党の江田三郎さんから水島油流出事件についての詳細な御質問がございまして、総理はその際、これに対処しよう。ところが、どうも政府の各機関がばらばらなんだ。どこに責任があるのか。消防庁は消防庁なりに、あるいは自治体は自治体なりに、通産省は通産省なりにいろいろございますけれども、住民側の立場から見た場合には、総合した、一つのちゃんとした責任の所在が不明確である。このことに言及されまして、政府としてもひとつ総合的な対策がとれるようなやり方を考えようじゃないかというお話が、たしか昼飯の閣僚の懇談会の席に出ました。私もその一員といたしまして、そうなんだ、それではいけないんだ、ひとつ各省協力してこういう問題を考えようじゃないか、そして国民の安全というものに万遺憾のないことを期したいということを申しまして、昼からの後の答弁におきまして、三木総理は前向きの御答弁になりました。そして、その結果といたしましてコンビナートの法律というものに、たしかあれは主管が福田さんのところだったと思いますが、が取りかかるということになってあの法案が出てきた、こういう経緯なんでございます。ただし、これはコンビナートについて局限されております。  われわれが関係いたしております米軍等につきましても、同様に何らかのことが施策として全体的に、総合的に考えられなければならない問題だというふうに私は思っております。先ほどからお話を聞いておりましたが、先生の、言うならば佐世保市民の住民感情を踏まえての御質問でございまして、私よく先生の御趣旨はわかるわけでございます。したがいまして、総点検の結果またいろいろ詳細な報告があると思いますが、それと同時に、佐世保市民の不安というものもやはり除去する必要があるわけでございますから、久保長官が申しましたとおりに、外務省あるいは消防庁あるいは防衛庁政府間におきまして協議をいたしまして、そしてこれに対する前向きの対処の仕方をしたらどうだろうかというふうにいま考えておる次第でございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に、これは御要望も含めて質問いたしますが、佐世保は一つの事例として、事故が現実にあったから申し上げたのですが、そのほかに、おたくの御報告だと佐世保を含めて八カ所もある。それがどうなっているのかわからない。対応する消防力を米軍がどれだけ持っているかも、ぼんやりはわかります。しかし、私が聞いた範囲では、これくらいじゃ、とてもじゃないが話にならないということなんです。この消火力では話になりません。これに対して米軍に申し入れる必要もありますし、その前に米軍の詳細なタンク数、容量、それから、それに対応する消防力にどういうものがあるか。しかも化学車一台あると言ってごまかされたのじゃだめなんです。化学車は一体どういう性能の化学車なんだ、それから常備体制はどうなんだ、この辺まで徹底的な調査を進めるのが、国民の安全を守る道だと思うのです。これは要望も含めた質問ですが、その点ひとつ長官最後の御所信を伺って、終わりたいと思います。
  109. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほど来お答えいたしましたのは、一つの例が佐世保であったわけでございますが、私といたしましては日本列島全体、住民の安全を守るという立場から、それらの施設について詳細なデータ、具体的なものをいただきまして、そして、それに対してどうわれわれ政府としては対処するかということを考えてみたいということでございます。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 一応終わります。
  111. 井原岸高

    井原委員長 坂井弘一君。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 坂田防衛庁長官はこのほど、私に言わせれば全く突如として、いわゆる一たん有事の際に備えまして、日本周辺海域の防衛の分担につきまして日米間において取り決めをしておこう、こういう意向を明らかにされました。     〔委員長退席、唐沢委員長代理着席〕 なぜ、いまのときに、こうした日米防衛分担の取り決めの必要ありと長官が判断されたかというその理由の一つに、いわゆるベトナム後の情勢の展開の次第によっては朝鮮半島初め日本の周辺諸国に危機的な状況が出てくるのではないか、こういう一つの判断があって、そして今回のこの日米防衛分担構想の長官発言があった、こう受けとめてよろしいかどうか、その判断の根拠につきまして率直に御答弁をいただきたいと思います。
  113. 坂田道太

    坂田国務大臣 実は私、ポストベトナムということを踏まえてこれを考えたんではございません。しかも最初の御質問は、社会党の上田さんも四月一日、二日だったと記憶をいたしております。そういうわけで、私自身は就任いたしまして、日米安保条約がある、そして基地については両政府のオーソライズされた機関の協議会がある、しかし共通の危機に対して日米が共同して、協力して対処する、こういう条約のたてまえから言って、その協力の仕方等について何らの作戦協力の大綱というようなものもないようだ、これで果たしていいのかどうなのかということを私は疑問に思い続けておったわけでございます。その際、上田議員から御質問がございましたので、しかも上田議員は、論理的に言ってやはり何かそういうようなものがなければならないのではないか。まあ上田議員としては、自分は社会党として立場は違いますよ、それから自衛隊というものを認めているわけじゃございませんよ、しかし、立場は違うけれどもそういうことになるという御意見も交えられて御質問がございましたので、私はそれに対して、おっしゃるようなことも私は就任以来考えておりました、したがいまして、そういうようなことをやはり日米両国の防衛責任者同士がまず話し合うということが必要ではなかろうか、むしろそこに重点が置かれまして私はお答えを申したつもりでございます。  そういうわけでございまして、そういう気持ち、そしてまた、私就任いたしましたときから、前山中長官がやはりアメリカシュレジンジャー長官にもお会いになっておる、しかもアメリカに行かれた、今度は日本に御招待を申し上げる立場なんだという引き継ぎがございまして、その機会を待っておったわけでございますが、たまたま上田議員の御質問がございましたものでございますから、私、初めてその際、口に出したわけです。そしてシュレジンジャーさんをお招きしたいということをはっきり明らかにいたしたわけでございます。  その際、このシーレーンの問題に関連してのいろいろの御質問等がございましたから、海域分担というものは考えておりませんということを申し上げたわけでございまして、しかし、両国間の責任者同士が話し合いをするということは必要だし、整合のとれた作戦行動が行われるようにするためには何らかのこのお互いの合意というものが得られれば幸いである、これはしかし、先方の意見もあることだし、話し合ってみなければわからないのだ、しかし、私といたしましてはそういうものがあってしかるべきではないかというふうに考えておる、こういうような御答弁を申し上げた。それが今日、防衛協力の問題が論議の対象になってきたいきさつでございますし、それが真相でございます。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、重ねて端的にお伺いいたしますが、今日まで長い期間にわたりましてこの日米防衛分担が取り決められなかったその理由は  一体どこにあったと長官はお考えでしょうか。
  115. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点が実はよく私わかりませんので、当然こういうものはなくてはいけないんじゃないかというふうに思うわけでございます。防衛庁は御承知のとおりに、率直に申し上げまして防衛庁長官が何回も立て続けにおやめになったようなこともございますし、そういうような問題に対しまして考えておられた人もあるのかもしれませんけれども、今日までそのような状況になっておった。とにかく私、白紙で、防衛庁長官になりました白紙の眼で見ますとそういうものが必要ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 いままでなぜ日米防衛分担が取り交わされなかったかという最大の理由というものにつきましては、大方の意見の統一がございます。長官、よもや御存じないはずはないはずでありまして、つまり、これはそれなりの理由があるという最大の理由といたしましては、日米安保体制に基づくところの共同作戦というものを意図しておる、この防衛分担によりましてそういう印象を内外に与えるということはきわめて好ましくないのではないか。同時にまた、このような計画というものは、周辺諸国に対していたずらに緊張を激化するそういう要因をなす、あるいはまた挑発的行為、そう受け取られるおそれもある。したがって、この防衛分担については、そうした内外の諸情勢をにらみながら、これを取り決めることは好ましくないのだと、常にそういう判断が今日まであった。したがって、冒頭私が長官にお尋ねしましたことは、いわゆるポストベトナムにおける最近の米極東戦略の中で、いわゆる総合戦略体制の一環としてわが国に対して防衛力の増強というものを米側はありありと意図しておるということも常に伝えられるところでありまして、とりわけ朝鮮半島、さきの原委員の質問にもございました、そうしたものを背景として、今日このときにおいて、長年懸案になってきた、しかしながらいまのような情勢があるからこれを取り決めることは好ましくないのだという政治的判断からずっと今日に至っておる日米防衛分担を、いまこのときにおいて取り決める必要があるんだという長官のそういう判断があって今回の発言になったのではないか、実はこう考えたわけでありますが、いま長官の御答弁を聞くとそうではない、ないのがおかしい、どういうわけなんだろうかと、まあきわめて率直な長官のお考えというものを述べていただいたわけであります。  後で触れていきたいと思いますけれども、これは私は非常に危険な、あるいは今後のわが国防衛をこの運用いかんによっては誤るという、実は非常に大きな心配を持つものであります。したがって、長官が、なかったのがおかしいのであって、どういうことなのか——確かにそうでしょう。日米安保条約に基づくものでありますし、少なくとも第五条におきますところの有事の際の日米の共同作戦、共同防衛ということから見ましても、これに対する防衛分担の取り決めがないということは非常におかしい。常識的にはそうでありましょう。ありましょうけれどもわが国防衛ということの前提に立ってこの日米安保体制ないし安保条約の運用を考えた場合に、軽々に防衛分担は取り決めるべきではないという、常にそういう配慮が今日までなされてきたことは、これは否むべくもないこの問題に対する政治的判断であった、誤りのない判断であったであろう、こう実は私は理解しておるわけであります。  今回の日米防衛分担、これはいつ、どこで、どのような形で取り決めようとされておるのか、その内容等についても御説明をいただきたいと思います。
  117. 坂田道太

    坂田国務大臣 先生の御質問にお答えする前に、実はポストベトナム以後のアジア情勢といいますか、そのことについての私の認識を先ほどお答えをいたしたわけでございますが、朝鮮半島には武力的な南北の対峙はある、そして衝突事件も小規模ではあるけれども起こっておる、あるいは片側でトンネルも掘っておる、そして韓国においてはかなり心理的な影響も起こっておるという、そういう実態はあるんだけれども、しかし今日、中ソ自身が朝鮮半島自体に武力衝突の大規模なものが起こるということは好ましいことではないという認識である、アメリカもまたそのとおりである、いわんや日本もここにそういう事態が起こるとは考えないし、また起こってはならないし、そういうことを希望していないんだと、こういう前提がまずあるわけでございまして、ポストベトナム以後の日本の安全という立場から申しまして、私はそう前といまと変わっておらないという認識なんです。それがまず前提にあるわけです。  そして、先ほど申しますように、確かにいままでやってこなかったその理由としていろいろお挙げになりました、そしてそれはわからないわけではございません。それなりの理由が従来の防衛庁長官におありになったということもわかるわけでございますが、しかし、われわれといたしましては、もう単なる防衛力整備だけでわが国を守るんじゃなくて、外交努力、最大限の外交努力、あるいは経済、あるいはまた民生安定、そういうものを含めた中において防衛力というものを考えていこう、そしてわが国を守ろうという、この立場から考えまして、有事に至らしめないということが最大のわれわれの努力の課題であるという、まず前提があるわけですが、しかし、安保条約というものは有事になったときにどうなるのか、日米関係がどうなるんだという国民の御心配もやはりないわけじゃないので、そのことに対して、私は責任ある防衛庁長官といたしまして、その国民の誤解を解く必要もあるというふうに判断をいたしたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、まずシュレジンジャー長官と会ってみたいと、こういうことでございます。  その時期でございますが、われわれの方も、いままでなかなか考えなかったようなことを考えようとしておるわけでございますから、かなり時間がかかります。したがいまして、いま事務当局に、どういう課題について話し合いをするか、あるいはどういうものを、もしでき得べくんば、相手がいいと言うならば合意したらいいかという検討を命じておるわけでございますが、まあ一つ考えられることは、作戦協力の大綱というようなものであるとか、あるいはまた情報の交換、これは当然のことかと思います。あるいは補給、支援の問題であるとか、いろいろございます。あるいは制服同士の間においていままで研究を積み重ねておりまするが、そういうような研究の場をオーソライズされた形において合意をするというようなこともその一つではないかというふうにも考えております。それからまた、その形式等につきましては、繰り返し申し上げておりまするように、三木総理お答えになりましたように、協定というような権利義務を伴うようなそういうものではないんだという御指示もございますし、私もそう思いますので、その形式等につきましては、これは関係各省庁と協議をいたさなければならないというふうに思っておりますが、私は、やはりシュレジンジャー長官と私との間において何らかの合意が、そういうようなことで、ただいま申しましたようなことで合意ができれば幸いだというふうに思っておる次第でございます。そして、その時期はどうかということでございますが、やはり秋以降ということになろうかと思います。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 多少議論が堂々めぐりするようでございますが、長官があえて御答弁いただきましたので重ねてお伺いしたいと思いますが、長官は、つとに米国内におきましてはいわゆる安保ただ乗り論、そういう日本に対する不満が今日までくすぶり続けてきておる、これはもう篤御承知のとおりであります。そうした折も折、長官発言前に、ブラウン米統合参謀本部議長が、日本海上自衛隊の力、それから対潜水艦防衛能力、これを持たせるべきであるということを、ことしの二月に米下院において報告をしておる。これもすでに御承知のとおり。あるいは最近、前駐米大使でありました牛場さんがアメリカに行かれまして、米側にも同じように、日本に対して対潜能力の向上あるいはまた航路千マイル、船団援護ということを日本にやらせるべきであるという、アメリカにはこういう強い意向があるというような情報ももたらされておるということは、これは百も御承知のとおりだと思います。したがって、そういう折に、今日、防衛庁長官が、日米防衛分担ということをあえて長官の口から打ち出された、意向を表明されたということでありますが、ここで一つだけお伺いしておきたいことは、従来、米側からわが国に対して日米防衛分担を取り決めてもらいたいという要請はあったかなかったか、ありとするならばどういう形であったかということについて、具体的に端的にお答えをいただきたいと思います。
  119. 坂田道太

    坂田国務大臣 私もブラウン報告を読みました。確かに対潜能力期待、あるいはまた日本の防空に対する期待はございます。しかし私はブラウン報告にあるとかあるいはシュレジンジャー報告にあるとかということじゃなくして、わが国を守るためにわれわれは何をなさなければならないかということが防衛庁長官としての責務でございまして、その意味から申しまして、基本的な意味から申しまして、この日本列島周辺を取り巻いております状況、あるいは日本が人口が非常に多く、そして資源が乏しく、そして国土は狭い、こういう国といたしましてはどうしても資源を海外に求めなければならない。したがって、油にいたしましても、食糧にいたしましても、かなりの商船が入ってくる、そういうものの安全を図るということは私の責務の一つでございます。あるいは対潜能力を高めるということも私の責務の一つであります。そしてまた防空ということも、たとえばスクランブルを年二百回もかけておるこの現実から考えますと、やはり私の責務だと思うのです。アメリカが言う言わぬにかかわらず、日本の国を守る、日本人一人一人の生命、財産あるいはその生存と自由というものを守るためにはそれは必要なことであって、その限りにおいて日本は、憲法の制約のもとにおいて防衛努力をするということは当然なことである、日本国民のために当然なことである。しかし、核の攻撃あるいは大規模の攻撃に対しては無力であるから安保条約を結んでおるということでございまして、アメリカの期待もそういうところにあるということは私たちは承知をいたしております。  しかし、憲法の制約がございますから、私のところで、できること、できないことがあるわけです。そういうようなことは向こうで余り過大なる期待を持たれても、それはできないことはできないわけでございますし、また、われわれの国といたしましても、国全体としての政策がございます。外交政策もございます。あるいは民生安定の政策もございます。経済政策もございます。あるいは、世界全体に対しまして平和外交を展開しているわれわれの立場があるわけでございます。そういう意味を総合的にお話をするならば向こうもわかっていただくだろうというのが私の考え方なのでございまして、そのためには、いかにブラウン報告に書いてあろうとも、それはどういう意味なんだということをやはり私が直接聞くということが、わが国の安全を求める私といたしましては当然なことではないだろうかというのが私の気持ちでございます。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 従来、要請はあったかなかったかにつきましては……。
  121. 坂田道太

    坂田国務大臣 一番大事なことを忘れて申しわけございません。これは全然ございません。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 長官長官の信念として、きわめて重大な実は決断をされたんだろうと思うのです。しかし、この日米防衛分担を取り決めるという決断は、私は、結果的にはわが国防衛、安全保障に対してきわめて重大な問題提起でありますと同時に、その道を誤るのではないかという実は深い心配をいたしております。  そこで、具体的にお伺いいたしたいと思いますが、いわゆる安保条約第五条、これはわが国の憲法上の規定、その手続に従います。この運用は、その範囲にあります。領土、領空あるいは領海の範囲から、今日それが領海三海里から数百海里、あるいはシーレーンの設定に至っては千海里というように拡大されてきておる。そういう中で、極限の状態においてはこれは敵の基地をたたける守備というようなことも専守防衛の考え方の範囲の中に、具体的な行動の中にあらわれてきておる。そうなってまいりますと、憲法上の解釈の問題と安保条約第五条の運営との間の重大な問題がここに一つ提起されるわけでありますが、今回の日米防衛分担におきまして、対空、対潜水艦、さらに輸送の関係とありますが、一番大きな柱として対潜水艦の問題がある。つまり潜水艦に対する攻撃ないし防衛ということはわが方が分担をする。その前提として、アメリカ側がその領海圏をまず制定をした後と、こういうことでありますけれども、ここで取り決めようとする対潜水艦防衛の具体的な海域の範囲内、一体わが方は具体的にどういう分担をするのかということについて、防衛庁ではどうお考えになっていらっしゃるか。
  123. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 問題が具体的な問題でございますので、私から御答弁申し上げたいと思います。  いま先生御指摘のとおりに、わが国は憲法のたてまえがございますので、在来から国会答弁で申し上げておりますように、領海、領空をまず基盤にしておりますけれどもわが国を守るための限度内において必要に応じ公海、公空にも及ぶことがあり得るということでございまして、これが安保五条で日米が共同して対処いたします場合におきましても、わが国としてはあくまでもわが国の安全のために必要な限度内において動くということで、独立してわが国防衛活動をやります場合と考え方はいささかも変わっておらないわけでございます。ただ、安保五条に基づきまして日米が共同対処しますための、先ほど大臣からも申し上げました整合のとれた連携活動といいますか、こういったものが両者に行われる必要があるがゆえに、両方においてはっきりと打ち合わせをしておく必要がある、調整をしておく必要があるということでございます。  そこで、いま御質問の対潜活動でございますが、これはかねがね申し上げてございますように、アメリカが第七艦隊——現在の状況を考えてみました場合には、極東においては第七艦隊が主になるわけでございまして、第七艦隊がその空母打撃力を中心といたしまして、この極東の地域における一般的な、全般的な制海権の確保というものを図ってもらうということが前提でございます。そこで、第七艦隊にもいろいろ対潜機能というのは持っておりますけれども、これはむしろ自体の対潜機能、つまり第七艦隊それ自体を守るための対潜機能というのが主になっておるわけでございまして、一朝有事の際には、わが国あるいはアメリカと同盟関係にある国の船舶をも守るという余裕は恐らく少ないものである、乏しいものであるというふうに判断をいたすわけでございます。  そこで、わが国は、先ほど大臣からも申し上げましたように、わが国にとって必要な、国民の生活にとって緊要な物資の海上輸送というものは独自にわが国が担当しなければならない、また、そのための妨害となる潜水艦に対する処理、これもわが国が独自にやらざるを得ないということを考えておるわけでございまして、そこで日米でこの問題に対する分担ということになりますと、ただいま私が御説明申し上げましたように、全般的制海権の確保はアメリカに依存する、それから、わが国周辺海域における対潜並びに海上交通の保護はわが国がやると、こういう分担に恐らくなるんではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  124. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、周辺海域というと、海域三百海里というところに行動が限定されるということでございましょうか。
  125. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 在来から御説明申し上げておりますように、周辺海域につきましては大体数百海里ということで御説明申しておりますし、それから航路帯を設定する場合、これは大体京浜あるいは阪神といいました日本の中枢地帯でございますが、ここからはかりまして大体千海里以内のものをいままでのところ二本、南東と南西に設けるというようなことを考えておるわけでございます。この航路帯を設けるというのも、これもそのときどきの情勢によって判断をいたすわけでございまして、それがはっきり図面の上に書かれるようなルートとしてでき上がるということではなくて、ある程度航路の安全というものを当方の海上自衛隊の勢力によって確保できることであれば、そこは比較的安全な地帯として一般船舶が航行できるような状態をつくる、非常にそういうことが困難である場合には、また重要な船団である場合には、直接海上自衛艦によりまして船団護衛をするというような場合も考慮せざるを得ないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  126. 坂井弘一

    ○坂井委員 果たしてそのような分担の取り決めが可能なのかどうなのか、非常に疑問を持つわけであります。周辺海域数百海里と言えば、九百九十九海里までは数百海里でありましょう。シーレーン千海里、これはそのときどきにおいて設定をする。一体どこまで延びるかわからない。そういう範囲というものは、しかも現実に、一たん有事の際、海上におきましては、陸上におけるような境界線はあってないようなものであります。まして、対潜行動を行う場合に、潜水艦は海の底をもぐるわけでありますから、その守備範囲、行動範囲というものをある程度設定いたしましても、いまの説明からしても、これはどこまで延びるかわからないという危険性があるし、ましてや、いかにその範囲を限定するような取り決めをしてみたとて、しょせん、海の上のことであります。あるいは海の中のことであります。一体、どこでどのような歯どめをしてこれに対する分担を明確にするのかということになりますと、恐らく、これは聞いていけば、いま直ちにそのようなことについて細部にわたってまで検討はなされてもおらないし、あるいはまた、今後日米間においてそうしたことについては機能別分担という原則に立って、これは今後のお互いの協議の中で取り決めていくことであるというような答弁しか私は返らないと思う。もし、そうでなくて、はっきりこうあるんだ、その心配は一切無用であるというのならば、後ほどお聞かせいただきたい。でなければ、前段申しましたようなことであれば、それなりに結構であります。     〔唐沢委員長代理退席、吉永委員長代理着席〕  そこで、なお一つ伺いいたしますが、この第五条によりますところの一朝有事の際の共同防衛につきましては、これは日米それぞれがそれぞれの指揮系統に基づいて行動する、いわゆる二元論を今日まで言われてきた。しかし、このような日米共同分担ということでもって行動する場合、とりわけ米第七艦隊、この大きな艦隊の力の中で、わが方は、力関係からすればきわめて小さいでしょう。作戦行動をともにする場合に、実際的な問題として、現実的な問題として、やはり米第七艦隊の指揮系統に組み込まれざるを得ないというようなことになるのではないか。一人の人間であれば、つまり、いままでの専守防衛たるものが、自衛隊は盾でございます、米軍基地はやりでございますと、いわゆる盾、やりの関係でもって議論されてきた。なるほど、騎士が右手にやりを持ち左手に盾を持って、一方は攻撃で一方は防御であると、これは熟練すればいくでしょうが、一人の人間ではありません。アメリカです。片や日本です。それが共同作戦をとる、分担をする、こんな器用な使い分けが二元論でもってできるわけはない。少なくとも一元論、指揮系統というものは一本化されなければ、この共同防衛、共同分担の機能というものは十二分に発揮できないであろうということは、だれが考えたってこれは自明の理であります。したがって、指揮系統についてはあくまでも二元論でいくのか、それとも一元論、時によっては一本化もやむを得ない、そういう判断をされておるのかについて、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  127. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 前の御質問に関連するわけでございますが、いま先生おっしゃいましたように、具体的な中身を長官シュレジンジャー長官との間のお話し合いということで詰めていただくということは、考えておらないわけでございます。いま先生も御指摘ありましたように、そういった問題を詰める土俵をつくるということが大きな目的であるというふうに私ども考えております。あくまでも、個々の具体的な場合につきましては、そこで両国がオーソライズされた形で専門家が集まりまして検討する。あくまでも、その場合において、わが国としては憲法の制約というものを十分に踏まえて先方に対処する、こういう考え方でございます。  それで、いまの御質問にお答え申し上げます一と、まず日米の問題について非常に大ざっぱに申し上げますと、先生はいま、第七艦隊と日本海上自衛隊を御比較になりましたけれども、まさにそのとおりでございまして、大きさはもうまるっきり違うし、あわせて機能も全然違うわけでございます。これは第五空軍とわが航空自衛隊を比較した場合におきましても同様でございます。  アメリカに一体何をわれわれが期待をしておるかということを大ざっぱに申し上げますと、陸の場合におきましては、大体、作戦の初期においてアメリカに期待するということは無理であろう。陸の場合には、外敵が侵攻してくる、いわゆる上陸、着陸という現象が出てくるわけでございまして、それに対処するのでございますが、特に初期においては、これはもう独自に対処せざるを得ないであろう。あとは補給その他の面におけるアメリカへの期待、こういうことになるかと思うわけでございます。  海につきましては、われわれはもっぱらいわゆる防勢作戦ということに徹するわけでございまして、その防勢作戦をアメリカによって補完をしてもらうということでございまして、わが国ができないこと、つまり核の抑止力という全般的な——これはいま海として例を挙げたのでございますが、全般としては核の抑止力というものに依存をする。それから攻勢作戦、相手の方へ向かって攻めていくということがあるわけでございますが、これはわが自衛隊ができないわけでございまして、当然アメリカに依存をせざるを得ないということになるわけでございます。  それから、空につきましても大体海と同じでございまして、わが国はもっぱら防衛作戦、それから先方は攻勢作戦ということが主体になるわけで、先ほどから申し上げておりますように、同じファントムにいたしましても、当方はもっぱら要撃戦闘機としての機能しか持っておりませんけれどもアメリカは対地攻撃、爆撃その他、そういった重要な機能を持っておるわけでございまして、こういった点で、当然、いわゆる両方が入りまじって一つの隊をつくって活動するということは、能力上からいっても不可能なことでございます。  そこで、当然、指揮の問題につきましては、在来から申し上げておりますとおり、日本日本の系列での指揮、アメリカアメリカの系列の指・揮。そこで、両方の指揮を調整をするということは当然必要だと思います。そういったものを、有事の際に調整機関といいますか、こういうものを置いて、これがわが方の国防会議あるいはいわゆる全般的な統合司令部といいますか、こういったものの監督下に活動するというようなことは、当然考えられることではないかというふうに思うわけでございます。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 現実的な問題として、有事の際に、現場においてあくまでも指揮系統は別で、しかしながら、その有事の際に必要によっては連絡調整するというようなことが、常識的に果たして可能なのかどうなのかということを、実は私はまず第一に、非常に大きな疑問を持つわけであります。ましてや、米第七艦隊、非常に強大な戦力であります。その作戦行動の中に組み込まれてしまうというおそれは多分にありと、まずそういう心配を前提としての議論の中から、具体的にかくかくしかじか、このようにするからこれは大丈夫なのだという、だれしもが納得するそういう答えは、残念ながら、私はいまの局長の答弁の中には見出すことができません。ましてや、そうした第七艦隊の核戦略体制の中にも組み込まれる心配があるのではないか、実は非常に大きな危惧を持つわけであります。  さらに具体的にお尋ねいたしますが、自衛隊法第八十二条、つまり海上における警備行動、この海上における範囲は一体どこまでを指すのでしょうか。端的にお答えください。
  129. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 八十二条の警備行動、これは御案内のように、いわゆる防衛的な規定ではございませんで、警察行動を律する規定ということになっておるわけでございます。「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため」第一義的には海上保安庁が管轄をしておるものでございますけれども、海上保安庁がこれに十分対処できないという事態が起きた場合において、海上警備行動、これを長官が命ずるということになっておるわけでございまして、その場合の海上というのはどこまでを指すのかということになるわけでございますが、一般的に海上保安庁が治安維持のために必要としておる海域ということになるわけでございまして、法律的に申しますれば、先ほど申し上げました防衛行動をやります場合の、必要に応じて公海、公空に及ぶという場合の概念とはいささか違うのではないかというふうに考えるわけでございます。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 領海に限るのでしょうか。三海里以内ということですか。
  131. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これもやはり治安維持のために必要な限度ということになると思いますので、たとえば、日本の近海において海賊が出没してそれに対処するという場合に、これは海上保安庁の仕事になるわけでございますが、その場合は当然三海里ということの限度にとどまらず、公海上の問題であってもこれに対処せざるを得ないということになると思うわけでございます。そういう意味で、必ずしも領海内というわけではないと思います。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 数百海里に及ぶということもあり得る、こう受け取ってよろしいでしょうか。
  133. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 これは運輸省とよくお打ち合わせをしなければいかぬのでございますが、私どもの考え方としては、違った概念でございますけれども、理論的にはその数百海里ということもあり得るのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。     〔吉永委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 重ねてお伺いします。  この自衛隊法八十二条に「人命若しくは財産」とありますけれども、ここで言う「人命若しくは財産」は、日本人の人命及び財産に限定されますか、いかがですか。
  135. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 通常、日本人の人命及び財産ということであると思います。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 通常という、ここはそのままに受け取っておきましょう。  同じく八十二条、つまり私がなぜこれを問題にするかと申しますと、「内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」自衛隊の出動があり得るわけであります。この「特別の必要がある場合」とは一体いかなる場合を指すのか。たとえば——たとえばで申しましょう。たとえば、わが国の貨物船、タンカー等が国籍不明の潜水艦に追跡をされる、こういう場合、こういうケースは「特別の必要がある場合」ということに誇当いたしますか。いかがでしょう。
  137. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 最初に御説明申し上げましたように、この八十二条はいわゆる警察行動的な規範といいますか、規定でございますので、本来、海上保安庁がその所管の任務として対処しておる性格のものでございます。海上保安庁で対処できないという事態が出た場合においてこの八十二条が適用になるというふうに私どもは理解しておるわけでございまして、具体的にどういう場合ということになりますと、なかなかちょっと、具体的な説明は、いま私が申し上げましたような説明しかちょっとできないんではないかと思います。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 したがって、私は具体例として、一つのケースとして、これを仮定に置きながらもケースを出しまして御質問しているわけであります。わが国のタンカー、貨物船、これが公海上、国籍不明の潜水艦に追跡をされた、こういう場合、これは海上保安庁ではどうもとても手がつけられない、恐らくそういうケースであろうと思う。そういう場合に自衛隊が出動することができる、こうなっておるわけです。これは特殊なという、ここに該当するかどうかということをお尋ねしているわけなんです。
  139. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 海上の警備行動の際には、これが警察行動であるということからいたしまして、この場合に出動いたしました自衛官も、ここで使用し得る武器というのは結局警察活動に必要な形の武器ということに限定されるであろうというのが私ども解釈でございます。したがいまして、たとえば、いま先生の御設問になりましたような、潜水艦が出て、それに日本の船舶が追いかけられておるというようなことになりますと、潜水艦のその行動を阻止いたしますためには、通常の小火器、警察行動に使われます小火器では対処できないということになるのではないかと思います。そこで、自衛隊がこれに出動いたしますということになりますと、八十二条の問題でなくなってくるんではないかということでございます。つまり、八十二条の限界というのはあくまでも警察行動であるというところに、この八十二条としての性格の特色づけといいますか、性格づけがあるというふうに私ども考えるわけでございまして、それ以上の、防衛出動でなければ権限を認められておらない、そういう行動を海上警備行動においてもなし得るかというと、これは法のたてまえ上そういうことは認められてないわけでございますから、したがいまして、八十二条としてはあくまでも警察行動の範囲内にとどまるということだと  いうふうに考えるわけでございます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 一体、自衛隊法第八十二条のこの解釈、そして具体的に起こり得るであろうということを想定する中で、国内的な問題として、防衛庁と海上保安庁との間に十分な協議がなされていないんじゃありませんか。私は一例としていまのような具体的なケースを申し上げたわけであります。いかがですか。
  141. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 海上保安庁との間に十分な協議はできておりません。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 だから、後で長官の御答弁をちょうだいしたいと思いますが、これは国内の問題として海上保安庁対防衛庁、そこで具体的な——ここに、八十二条は「海上における警備行動」ということでもって自衛隊法で規定したわけです。しかも、その具体的な内容によっては自衛隊が出動することができるわけなんです。しかし、第一義的には海上保安庁、この辺の具体的な協議、詰めというものを十分にしなければ、日米防衛分担という議論はこの上にのって起こってくることであって、国内的なわが方での協議も十分なされないままに日米防衛分担というのは、きわめておかしいんじゃありませんかということを、実は私は申し上げたいわけなんであります。  後ほど答弁いただくといたしまして、さらに重ねてお伺いいたしますが、「自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」と、こう八十二条ではなっておるのですが、一体、自衛隊の必要なる行動とは具体的にどういうことなんですか。たとえばでまた申しましょう。わが国の船舶に対して、公海上において国籍不明の潜水艦攻撃がなされた。先ほどの例で申します。その場合、海上自衛隊が必要な行動をとることができる、この必要な行動とは、たとえば爆雷などでそれを追っ払うというような行動まで指しますか、いかがですか。
  143. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 先ほども申し上げましたように、この八十二条は、これはあくまでも警察行動でございますので、ここで予想をしておりますことは、具体的には、たとえば海賊船というようなものを対象として考えておるわけでございまして、いま御設問のありましたような、潜水艦あるいはその他のいわゆる軍艦というものになりますと、ここの海上警備行動というものの適用の範囲外に出る問題、したがって、その場合においては防衛行動というものの端緒になり得るかどうかというような判断に変わってくるんではないかというふうに思うわけでございます。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 その辺も明確でないわけですね。  お尋ねしますが、八十二条は海上における警備行動でありますが、一方、第七十六条の防衛出動、この八十二条と七十六条、これが接続連動して行動する、こういうことも想定できますか。
  145. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 ちょっといま思いつかないわけでございますけれども、一種の不正規船というような形で海賊行動を起こしておるというようなことになった場合に八十二条の適用があると思うわけでございますが、それがわが国に対する組織的、計画的武力攻撃につながってくるということであれば、それは次に七十六条ということになると思うのでございますが、具体的にそういうものがどういう条件がそろえば、いま申し上げましたわが国に対する計画的、組織的な武力侵攻ということになるのか、ちょっとはっきり御答弁できないわけでございますけれども、いずれにいたしましても考え方は、八十二条と七十六条とは全然次元の違ったことを考えて規定をいたしておりますので、いろいろな諸条件が合致をいたしますれば、八十二条があって、そしてその事態から七十六条に移ってくるというような問題があるかと思いますが、ちょっと、いろいろ個々の具体的事例だけで考えて御答弁できませんので、その程度のことしか申し上げられません。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 一般的常識論として、あるいは現実論として、いろいろなケースが実は想定されるわけです。その場合に、いわゆるこの八十二条警備行動という——、確かに一義的には海上保安庁。しかしながら、ここで規定したことは何かといいますと、その内容、事のいかんによっては海上自衛隊の出動があり得るわけであります。つまり、海上保安庁の能力を超える、したがって海上自衛隊の出動の要請を行う。いわゆる特殊な状況が発生した、その場合には出動するんだ、こういうことがここで明確に、八十二条において規定をされておる。さらに、出動した自衛隊は必要なる行動を起こすことができる。したがって、一体どういう場合を想定してであろうかということをきわめて常識的に考えてみますと、私が先ほど一例として申し上げました、わが国の船舶が国籍不明の潜水艦に追跡されるというようなことも起こり得ると想定しなければならない。その場合に果たしてどうなのかということをるる御質問してきたわけでありますけれども、きわめて残念ながら、この警備行動とそして一方におきます第七十六条の防衛出動、このかかわりと申しますか関連、この連動については、わが国の国内的協議事項であるにもかかわらず、それが防衛庁と海上保安庁との間において具体的な協議が完結していないということは、先ほどの答弁で明確であります。少なくともいわゆる警備行動に出たものが、相手の出方によって、保安庁がその能力を超える。そこで自衛隊の出動を要請した。自衛隊はそれに対して行動をとる。次に起こってくるものは何か。これは八十二条の範囲を超えて七十六条に該当するような事態にまで派生した。そうするとこの七十六条、今度は八十二条との関係においてどう発動させるかという問題が次に起こるでありましょう。同時にそのことが、少なくとも今回の日米防衛分担の取り決めについてきわめて大きな関係を持つということも、これまた当然のことだと思います。この前段がなくして日米防衛分担を取り決めるということはきわめて軽々にすぎるのではないかということを、実際的な行動の問題からして、私は一例として指摘をしたわけであります。  時間が参りましたので、残念ながらあと一つの質問につきましては次回に譲るといたしまして、結論的に坂田防衛庁長官の御見解を率直、明確にひとつ承っておきたいと思いますが、私は、少なくとも今回のこの日米防衛分担の取り決めはきわめて理論的、観念的であって、実際的な行動を想定した場合に、これが果たして明確にわが国憲法を踏まえながら、かつ安保条約第五条の行動範囲において、少なくとも専守防衛ということが明確に厳守されるという保証はどこにもないのみならず、今回の防衛分担の取り決めは、これはアメリカの極東戦略の一環として日本が組み込まれる危険性を多分にはらむものである、こういう私の結論にならざるを得ないわけであります。したがって、いま防衛庁長官がこの構想を発表されまして以来、国民の間におきましてもさまざまな議論が沸騰しておることは、長官もつとに御承知のとおりであります。少なくともこのような取り決めについては、事前に国民に問いかけをするというぐらいの慎重さがあってしかるべきではなかったであろうかというような感を実は私は深ういたします。  しかし、長官に先ほど御答弁をいただきましたが、少なくともこの防衛分担については取り決めなければならないという長官の、これは信念でありますし決断であります。もし、そのようなことに立つならば、私は日本の将来の防衛を、安全を誤らせるという非常に大きな落とし穴であるということを、実は警告申し上げたわけでありますけれども、もし、この取り決めがなされれば、これは直ちに国会にその承認を求め国民に公表する、こういう御意思でもって長官はいまお考えになっていらっしゃるのかどうか、最後長官から御答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  147. 坂田道太

    坂田国務大臣 いまお話にございました、海上保安庁とわれわれ自衛隊との間のいろいろの話し合いというのは、これからいろいろ協議をしなければならない課題だと思っております。非常にいい御質問をいただきまして、私どもも、シュレジンジャーと会う前に、国内法につきましてももう少し検討をいたしまして、各省庁と十分なひとつ検討をいたしてみたいというふうに考えております。  それから防衛協力の問題につきましては、従来、安保条約があって、何らのそういうような両国間における運用上の合意がなされておらないということは、やはりよくないことだというふうに私は思います。ただし、憲法上の制約もありますし、向こうの期待もどの程度か、会ってみなければわかりません。しかし私は、率直に日本の事情をよく説明いたしまして、できることとできないこと、言うならば憲法の制約のもとでできる範囲のことは、やはりでき得べくんば合意に達したいというふうに思っておりますし、それは、先ほどもお答えをいたしましたように、三木総理もはっきり言っておられるように、協定というようなものではない。しかし、こういうようなことは国会にやはりお知らせしなければならないことだというふうに私は考えております。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  149. 井原岸高

    井原委員長 吉永治市君。
  150. 吉永治市

    ○吉永委員 私は、最初防衛庁長官にお伺いをしたいのでございますが、現時点における核のかさというのはどういうものなのか。特にMIRV戦略多核誘導弾と申しますか、これを中心とした変化が非常に日進月歩の状態のようでございます。その意味で、現時点での核のかさという点について御説明を願いたい。
  151. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 私からお答え申し上げます。  いわゆる核のかさということと、それから核の抑止力ということが、大体同意義に使われておるわけでございまして、この核のかさというものがいわゆる戦略核の報復力、第二撃力によって構成されておる、しかもこれも、そういう軍事的な能力の上にプラスこれを確実に使用するという意思の明示ということが必要であるかというふうに思われるわけでございます。有事の問題でなくて、常時核のかさというものはかぶさっておるというふうに考えられております。で、この常時核が有効であるということは、特に米ソの間におきまして四六時中相手方の攻撃に対して反応ができる体制というものをとっておるということによるものでございまして、その間に両者の錯誤に基づく核の報復ということの危険を防止するための措置も講ぜられておるようでございます。日本わが国の場合について見ました場合に、安保条約の締結ということ、それから、いままで日米の両首脳間に明確に取り交わされております、日本に対する核の攻撃あるいは通常兵器の攻撃に対して、あらゆる攻撃に対して日本を防御するという意思は、そういうアメリカ側の意思の表明ははっきりと、日本に対しての攻撃について核の報復を、日本攻撃を加えた国に対して向けるということを明示しておるわけでございまして、そういった意味において戦略核の抑止力というもの、つまり戦略核による核のかさというものは常時日本にかぶせられておるというふうに考えてよろしいのかと思います。  それからさらに、有事の際には、通常兵器によって対処できなかった場合に戦術核が使われるという可能性があるわけでございますが、この場合におきましては、日本防衛するためにたとえば第七艦隊が有事の際に核の装備をする、具体的には艦載機に核のミサイルを載せるとかあるいは核爆弾を載せるというようなことが場合によってはあり得ると思います。しかし、これも可能性としてはきわめて少ない可能性でございますが、通常兵器で対処できなくなったというような場合にそういうものを使うということを表明しておるわけでございまして、その可能性がゼロというわけではないと思います。その場合には戦術核の核のかさというものが同様、日本をカバーをしてくれるということになると思いますので、有事におけるわが国に対する核のかさの中身というのはどういうものであるかという御質問に対しましては、戦略核、戦術核両方合わせた核のかさであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  152. 吉永治市

    ○吉永委員 その戦略核の問題でございますが、御承知のように、昨年の十一月にアメリカとロシアがウラジオストックでSALTの第二回目の協定に入って、現在はたしかジュネーブで第三回目の協定を実施中である。しさいの報道は受けておりませんけれども、その第二回目の協定においては、ICBM大陸間弾道弾、SLBM潜水艦弾道弾、いずれも二千四百基ずつに限定をしようという協定ができ上がった。ところが第三番目のMIRV、先ほどの誘導弾でございますが、このことで、アメリカの提案でロシアがのんだのが千三百二十基ずつということであったように記憶をしております。その時点においてはロシアはMIRVというものをほとんどゼロに近い状態であった、研究には入っておったけれども保有をしていなかった、そういう状態においてそれぞれ、いま一番先端を行くと申しますか、激しい、救いようがないというくらいの爆弾でございますが、MIRVをそれぞれ千三百二十基ずつに協定をした。その後の協定は今日ジュネーブでは続いておるという状態だと私聞いておりますが、そのような状況を見ております反面に、これははっきり私たち情報を得ておるわけではございませんが、今日、いままでの核保有国六カ国に加えて、新たに核を持ちたい、持とう、あるいは実質的な交渉に入ってある程度準備をしておるという国が十二カ国、お隣の韓国もそうでございます。あるいは台湾もそのうちに入りましょう。それから、特に注意しなければならぬと思いますのは、イスラエルとアラビアがそのような状態になってきておる。パキスタンもアルゼンチンもその範疇に入るわけでございますが、その十二カ国のあとにまた四カ国、その希望ということで動き出しておるというような情報を得ておりますが、このような状況が続きますということは、あるいはカナダが、あるいはフランスが、平気で——平気でやっておるわけではありますまいけれども、売っておる、移出しておるというような状態でございますが、そうした意味においては核保有の米ソ二大国は非常に頭痛の種でございましょうけれども、実際問題とすると、この核拡散防止条約というものがいわゆる国際条約のざる法化しつつあるということが言えると思うわけでございます。  これは大変な問題だと思っております。北朝鮮においてもその動きがあるということを聞いておりますが、イスラエルとアラビアが両方備えた場合、あるいは朝鮮の南北がそれを備えたような場合に、これは小国だからどうということじゃございませんけれども、非常に感情が激越してきた後進国の、いわゆる争いをずっと続けてきたというその過程においての興奮状態においてこのようなことが出来していくということは、私は恐るべき一番大きな事態じゃなかろうか、そのように考えておるわけでございます。  そういったことを考えますと、かつて冷戦緩和ということを言いました、緊張緩和ということを言いましたけれども、実質的には私は、別の次元で緊張の要因というものが、この宇宙の上で、世界の上で一日一日醸成されていっておる恐るべき事態だというように感じる次第でございます。核時代の冷厳なる国際関係と平和主義的な幻想あたりが吹っ飛ぶような、非常に何かいやな予感もするわけでございます。  そういう状態のいろんな世界の底流が、潮流が流れておる、そういう時期に日本としてどうあるべきか、どのような態度をとるべきか、これはすでに国防国策として決まったことでございますが、八月に総理がアメリカにいらっしゃる、十一月に防衛庁長官アメリカにおいでになる。これでは、今日煮詰めておられると思いますが、日米安保条約を基本として精密なお話があることと思いますし、今日の時点におきましては日米安保条約を維持強化していくということ、自衛隊を自衛の限度内において精強なものに仕上げていくということ、今日の世界の情勢を見て、日本の安全と平和というものはどうしてもこの二つ以外にないという確信を、私たちはまたさらに深くするわけでございます。  しかしながら、両国の政府首脳当事者たちの話し合い、あるいは世界の舞台での話し合いにおきまして、もう一歩先に進んだ話し合いが今日なされなければ、人類が取り返しのつかない、本当に後悔先に立たざる悲惨を味わうようなことになりはしないか。今日、六カ国の核保有国がありますけれども、あの非常に貧窮したインドがこれに走ったときに、私は、しまった、これは本当に大変なことだということを実は感じたわけでございます。それが波及してこのようなことで、どうかしますと二十カ国に近いものが核保有するという事態が、ここ三年、五年将来に起きるかもわからない。このような状態で推移いたしますと、恐らく起きるだろうと思います。その状態のまま放てきをする、放置をするということは、人間の、政治の英知が許してはいけないということを私は感じておるわけでございます。  ここで申し上げたいことは、総理にいたされましても長官にいたされましても、できるならば現在の核保有国が、核を分けてほしい、分譲を受けたいという国に分譲しない条約をしてほしい。分けてやらない、新しい核開発の国をその開発の意味援助をしないということを徹底をしてほしい。それと同時に、現在、先ほどお話がありましたSALTの会議でいわゆるICBM、SLBM、MIRVの協定はできたようなものの、その内実は、MIRVに対しましてICBMやSLBMの陰の転化作用が行われております。移出でございます。そういうことを考えてみますと、米ソ両大国は国力のあらん限りを尽くして核軍拡競争に突っ走っておるというのが現況だと私は見ております。悲しむべき事態であろうかと思っております。そのような状況におきまして、米ソ両核保有大国とともに、ほかの四カ国の現在の核保有国も、現時点の核で一応凍結する、つくらない。廃棄するとかなんとか言いますとまたとてもむずかしくなりましょうから、次善の策として、その第一段目の策として、一応その核を凍結をしてもらう。米ソ両大国がいま持っておる、ほかのインドや中共やイギリスやフランスが持っておる現時点の状態で凍結をしてもらう。その状態で、後は国際会議に訴えて、本当に人間の英知で話し合って大きな人類の惨禍を未然に防止する。そういう挙措、日本の提言がここは一番なくてはならない、あってしかるべしだというような気がしております。非常に大まかなことで恐縮でございますが、長官の御意向を承りとうございます。
  153. 坂田道太

    坂田国務大臣 MIRVの話につきましては防衛局長からお答えを申し上げたいと思います。  核の問題でございます。核の抑止力そしてその均衡ということにつきまして、私はこういうふうに考えておるわけなんです。  これはシュレジンジャーも言っておりますが、デタントというのは、力の追求の結果として緊張緩和という政治的課題が出てきた、こういうこととも思うのです。単に緊張緩和、デタントと言うといかにも危険がなくなってしまっているように思いますけれども、そうじゃなくて、今度のシュレジンジャー長官でも、それは一応そうなんだけれども、基調はデタントなんだけれども、しかしエピデントな、顕著な危険な様相だってなくなっているわけではない、あるいは隠された危険というものが存在しないわけじゃない、あるいは不確かな危険な様相がないわけじゃないんだ、こういうことはちゃんとつけ加えておるわけでございます。ちょうど横綱が相撲をとって、こうやって四つに組んでいる。そうすると観客の目から見ればこれはいかにも静止した状態である。しかし、一方がちょっと力を弱めますとがたっと押しつぶされてしまう。そういうわけなんで、デタントという状況はそういう静止した状態、しかし、それは力が加わって均衡を保っておるがゆえに静止しておる状況だ、こういうふうに私なりに説明をいたしておるわけでございます。  これはざっとした計算でございますが、ことしの「ミリタリー・バランス」の資料をもとにいたしましてうちで計算させてみますと、米ソ間あるいはNATO、ワルシャワ間全部ひっくるめまして、下限が大体一万二千メガトンから一万六千メガトン。これは偶然じゃない、恐らくそういうことでSALTの交渉が始まったと思うのですが、米ソ両方とも大体一万二千メガトンから一万六千メガトンだ。これを広島爆弾に計算いたさせますと、これもまた、計算方法はいろいろ違いますけれども、大体六十五万発の爆発力を持った、その力というものが双方均衡しておる、こういう状況かと思います。したがいまして、そのためには莫大なお金がかかるわけで、双方ともそれにつぎ込んできたわけでございますが、しかし、こんなことであっては大変だという気持ちもあるわけで、ボタン一つでそういう爆発力があるわけでございますから。そういたしますと何億という人が殺戮されるおそれがある。第一撃をやれば第二撃の反撃が来る。何千万という人を殺戮することを予測しなければ第一撃はやれないんだ。したがってもう使えないんだというのが現状かと思うのです。  そしてまた、天井を持とうというのは、お互い金を使っているけれども、しかし、お互い均衡を保ってさえいれば、むしろそれがデタントにつながっていくんだということで、あのSALTの交渉というものが始まったんじゃないかと思います。  歴史的に言いましても、最初、フルシチョフがソ連に出てきた。あるいはアメリカにケネディが出てきた。そこで初めて平和共存の考え方、デタントの考え方が始まった。その一つの具体的な例がホットライン。その前には六二年のキューバ危機、それに対してアメリカは決然として、場合によってはボタンを押すぞというようなことで、フルシチョフがホットラインを設けようということ。そしてまたヨーロッパにおいては、アルジェリアの戦争を終結いたしましたドゴールが、東側においても、いまは脅威があるけれども、しかし東側といえども希望はあるんだ、デタントはあり得るんだ、こういうことを言い出した。そして現実に西ドイツにおいては、東ドイツと協定を結んだ。こういう一連の関係で、六〇年代からずっと七〇年代にかけまして、デタントの政策というものが各国とられるようになって、そして一応、世界はそのデタントの方向へいっているんだ。でございますから、緊張緩和でそういう核戦争は起こらないといういまの状況だということは、一応認識しますけれども、そのバランスが崩れた場合はやはり危険は出てくるんだ、こういうことかと私は思うわけでございます。  そういうわけで、私は、SALTの交渉あるいは核拡散防止条約というものは、いま御指摘になりましたように、保有国も軍縮の方へ向かってほしいし、また同時に四国も、それがこれ以上拡大しない、いわんや、いままで持っておられない国はひとつもうつくらないようにしようじゃないか。核自体を持ちますと、やはり核それ自体がひとり歩きをいたしますから、その意味合いにおいてそういうような核拡散防止条約というものが締結されようとしておる。そこでわれわれもこれには賛成なんだという意思表示をいたしてきたわけなんで、吉永先生のお話のような方向で考えていかなければならぬ。  三木総理の訪米の問題につきましては、これは総理、外務大臣が、やはりそういうことを踏まえていろいろ日本の安全のためにお考えいただくことだと思うのでございますし、私もシュレジンジャーと会いましたときには、いろいろ私の考えもございますから、私の考えも申し上げますし、また向こうの考えも聞きまして、そして十分検討した上で、先ほど来申し上げておりますような日米間のこの協力というものを考えていきたいというふうに思っておるわけで、責任者同士が話し合いをするということは、やはり日米両国の国益のために、また安全のためにも非常に必要なことであるというふうに私は考えておる次第でございます。
  154. 吉永治市

    ○吉永委員 ただいま長官の御説明で、SALTの協定の目標も大体均衡の状態を一応の天井を設定しながらやって、ここで一つの均衡を得た平和という線ができておるようだ。欧州においてもNATOとワルシャワ条約機構との間の地上兵力の均衡もそういう意味で小康を、一応平和の状態を得ておる。それが、おっしゃいますように現時点における世界の現況であろうと思いますし、現時点の平和というのはそこから来ておるということは、私も全然同感でございます。問題は、核が後進国、弱小国、と言っては失礼でございますが、そういうたくさんの雑多な国に渡った場合の処置について、これは非常に危険が伴うということを私は苦慮しておるものでございます。  実は、ことしの五月十七日の新聞でございますが、アイルランドの元外務大臣をやりました、ノーベル平和賞をとられたショーン・マクブライドという方が論文を出しております。その中には「核大国は人類の破滅に向かって競争を続け、情勢は新しい世界戦争前夜といっていいほど深刻」だと思う、あるいはある国が広島型の五百倍という地下核実験を行ったという実証がある、あるいは「核兵器使用は、いかなる状況下であろうと、国際法と人類に対する犯罪だということを徹底的に確認する必要がある。使用した者は人類の敵だ。資本家であろうと、コミュニストであろうと。」こういう言葉で結んでおりますが、核問題に対する一つの良心的な、人間の本当の声であろうかと思っております。現在の状況で進む限りにおきまして、日本はあくまでも日米安保条約を基本として進むということ、これ以外の方策があってはならないと信ずるものでございますが、先ほど申し上げました十数カ国の弱小後進国が核保有する、そういう結果に私たちは十分の注意を払って、そういうことがないようにひとつ十分の、国際的な視野から国際場裏においてそういう指導、助言をしていきたい、そのようなことを特に感じますし、お願いを申し上げたい次第でございます。  時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  155. 井原岸高

    井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十六分散会