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1975-06-19 第75回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十九日(木曜日)     午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       三池  信君    塚田 庄平君       安井 吉典君    田代 文久君       坂井 弘一君    塚本 三郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 稻葉  修君  出席政府委員         法務大臣官房長 香川 保一君         法務大臣官房会         計課長     近松 昌三君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省刑事局長 安原 美穂君         法務省保護局長 古川健次郎君         法務省人権擁護         局長      萩原 直三君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君         国税庁税部長 横井 正美君         国税庁調査査察         部長      渡邊 喜一君         建設省計画局参         事官      大富  宏君  委員外出席者         法務大臣官房営         繕課長     水原 敏博君         大蔵省銀行局特         別金融課長   岡崎  洋君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在総計算書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (法務省所管)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、法務省所管について審査を行います。  まず、法務大臣から概要説明を求めます。稻葉法務大臣
  3. 稻葉修

    稻葉国務大臣 昭和四十七年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  まず第一に、法務省主管歳入につきましては、歳入予算額は三百四十九億八百二十万円余であります。  これに対しまして、収納済歳入額は四百五十三億三百八十五万円余であり、予算額に比べ百三億九千五百六十四万円余の増加となっております。  この増加しました主なものは、罰金及び科料の九十五億九千三百四十五万円余、刑務所作業収入の五億六千三百六十八万円余等であります。  第二に、法務省所管歳出につきましては、当初予算額は一千二百四十六億二千八百四十九万円余であります。これに予算補正追加額五十四億九千百十八万円余、予算補正修正減少額三億三千二百七十六万円余、前年度からの繰越額九百三十九万円余、予備費使用額三億七千百二十九万円余、差し引き五十五億三千九百十一万円余が増加されましたので、歳出予算現額は一千三百一億六千七百六十万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は一千二百八十四億四千五百七十八万円余であり、その差額は十七億二千百八十一万円余となっております。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は二億二千六百二十三万円余であり、不用額は十四億九千五百五十八万円余であります。  なお、右のうちには、沖繩関係経費として、支出済歳出額二十三億四千七百五十一万円余、翌年度への繰越額九千百八万円、不用額二億五千四百三十四万円余が含まれております。  支出済歳出額のうち、主なるものは、外国人登録事務処理経費三億六百三十六万円余、登記事務等処理経費二十二億三千三百二万円余、検察事務処理経費十億八千九百四万円余、矯正施設における被収容者収容作業等に要する経費八十一億四千七百五十五万円余、補導援護経費十六億二千七百八十八万円余、出入国審査及び被退去強制者収容送還等に要する経費二億三千七百六十七万円余、暴力主義的破壊活動団体等調査に要する経費十三億二千二百十六万円余、施設費五十七億八千九百十五万円余となっております。  不用額となった主な経費は、人件費刑務所等収容者食糧費、被収容者作業賞与金及び保護関係更生保護委託費であります。  以上をもって、昭和四十七年度法務省所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
  4. 井原岸高

  5. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十七年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件でございます。  これは、法務省職員不正行為に関するものでございまして、神戸入国管理事務所で、仮放免保証金等出納保管事務に従事している職員が、小切手を不正に振り出し、これを現金化して領得したものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは三、四点お伺いしたいのですが、最初に、法務局の人手の不足の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  去年の十二月ですか、大阪法務局管内の一部で、いまのように部外者補助員が来て、しかも非常に立ち入って仕事をさせている。これは非常に国民の信頼を失う危険があるし、外部補助員といわれる者の身分の問題もあるので、実力でこれを排除しようというので、組合中心で十二月にやりました。その結果どうなったか、ちょっと報告をいただきたいと思います。
  9. 川島一郎

    川島(一)政府委員 法務局の扱っております登記事務につきましては、事務量が近年非常に増加をいたしておりまして、そのために職場が繁忙の度を高めておるということは御指摘のとおりでございます。  昨年の年末に大阪でも御指摘のような問題があったわけでございますが、これは部外応援と申しまして、登記所職員でない外部の者が登記所事務応援するということで、中に入って仕事手伝いをするという状況があるわけでございます。  どうしてこの部外応援が起こったかということも問題でございますが、これは過去十数年間に徐徐にそういう慣行が行われてきたというのが実態でございまして、今日突如として始まったものではございません。これに対しまして私どもは、本来、登記所仕事登記所職員自分の手でやるべきものである、したがって、部外応援を受けるということは望ましくないということで、前前から、部外応援は極力なくて済ませるようにということを指導してまいったのでございます。しかしながら、事務が極度に繁忙をきわめますと、申請人登記所登記簿謄抄本を請求する、ところが、その請求した謄抄本が直ちに出せない、二日おくれる、三日おくれるというような事態が生じます。そこで、たとえば司法書士とか調査士とか、そういう登記所に出入りする業者補助者登記所に参りまして、自分の申請した事件謄本をつくって、そしてこれに認証してもらいたいという形でもって補助が始まったのがそもそもの始まりだろうと思いまして、これが地域的にはかなり行われておるところがあるわけでございます。  そこで、組合などでは、部外者一緒仕事をする形になるので業務の運営上好ましくないということで、ああいう問題になったわけでございますが、私どもといたしましても気持ちは全く同様でございまして、ただ問題は、これをいま直ちに全部排除してしまうかどうかという点が一つあるわけでございます。これを排除することは当然であるといたしましても、登記所事件が非常に多いという状況においてこれを完全に排除いたしますと、やはり申請者として不便をこうむる方が出てくる。したがいまして、登記所の繁閑の事情を見ながら極力これを排除するようにということをわれわれは言っておるわけでございまして、その後法務局関係会同が何回がございました際にも、こういう問題を取り上げまして、部外応援排除方針につきましてはこちらから何回も指示をいたしております。  要点は、要するに可能な限り逐次排除していけ。それから、やむを得ず部外応援が入る場合においても、これは部外者であるから、職員のすることとは当然仕事の上で区別があるべきだ。したがって、外部の者にさせてよい仕事とさせて悪い仕事とある、させて悪い仕事に対しては絶対に手をつけさせてはいけない。それから、そういう者が入ることによって登記所に来られる一般の方々に疑惑を招くといようなことがあってはいけませんので、そういう点についても十分に注意をせよということで、法務局の指導をいたしておるわけでございます。  他面におきまして、五十年度予算要求におきましては、これを極力排除したいという方針のもとに、増員であるとか、あるいは謄抄本をつくる能率的なコピー機械、これを大幅にふやしていただくとか、そういう要求をいたしまして、これもかなり今回の予算において認めていただいております。  こういう経過でございますので、逐次、部外応援というものは排除されていくというふうに考えておる次第でございます。今後とも努力いたしたいと考えております。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの御説明の中で、組合部外者一緒仕事をするのはどうかと思うといったようなことが主な理由だと言わんばかりですが、それは間違いだと思いますよ。そんなことだけじゃない。仕事の内容も、受付あるいは調査業務、あるいはまた、うっかりすると庁印まで押させるようなことがあるなどとも言われるほど、場所によっては多分そういうことがあるんじゃないかなという感じがします。  いまもお話しのように、際立ったこういう問題が全国的に起きてきた、排除する、減らすというようなことをお考えのようですが、実際には、去年十二月以来だけでもいいですが、今日までの間に改善をされ、減らされて、本来の庁員仕事をするようになったという、改善された数字が出ていますか。
  11. 川島一郎

    川島(一)政府委員 登記所は、御承知のように全国に非常にたくさんございます。したがいまして、具体的な数字というものは出しておりません。しかしながら、われわれがいろいろ法務局関係の者と話をいたしまして聞いたところによりますと、かなりの登記所におきまして事態を改善いたしております。たとえば、あるところでは部外応援が入っていたものを完全に排除いたしまして、そのかわり、一時的ではございますけれども臨時職員を雇い入れて、そうして事務の混乱を起こさないように配慮した、こういう例もございますし、かなり部外応援について排除を行ったという話も聞いておるわけでございます。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 川島さんはこの問題の責任者なんで、話によるととか、聞いておりますなどというような調子で答弁するような、そういう立場ですか。何か人ごとのようなことを答弁されているように思うのですが、違いますか。
  13. 川島一郎

    川島(一)政府委員 決して人ごとではございません。私、責任者でございますので、この点については非常に関心を持っております。ただ私、現場に一々行って様子を見ておるわけでございませんので、たとえば、関係局長とか課長会同などがございまして本省に集まりますが、そのときにいろいろ様子を聞くわけでございます。そのときに話に出ましたことをいま申し上げておりますので、聞いておるというふうに申し上げたわけでございますが、これはそういうふうな実情として私が理解しておるということでございます。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 少なくとも、膨大な数に上るのですよ、この補助員が。その実態を調べて、地区別地域別にどのくらい改善されたかというようなことをちゃんと集めて、常にそれに対する関心を持ち、前進させるように注意するのが局長仕事だろうと私は思うのですよ。  非常に膨大なものですよね。数字なんか一々申し上げませんが、とにかく件数も年々歳々ふえていることは間違いないのですから、ほうっておけばなかなか減ることはむずかしいように思いますね、皆さんの定員をふやさない限り。  基本的な問題に入った方がいいと思いますかな、お伺いをするのですが、一体これは、いつごろまでに完全にこの種の補助員排除するという目標がおありでしょうか。少なくとも仕事をやるのに、目標を置かないで仕事をやっていたんでは進みっこないので、そのくらいの目標局長としてはおありになるはずだと思いますから、それをひとつお伺いをしたい。  それから、現在までのこの人間の不足する原因の中に、人間をふやさない、できるなら減らそうという国の方針との絡み合いで、やはりどうしてもこうなるんだという理由がおありになるのかどうか。  それから三つ目に、先ほど聞きましたように、定員をこの種の事業に関してはふやさないわけにいかないと私は思いますが、ふやすお気持ちがあるのか。それがないのに完全に排除をいつまでにやろうというようなことができたら、そのやり方をお聞きしたい、こう考えるわけです。  いずれにしても、市民の信頼を裏切ってはいけない。しかも、あの起きておりますような不祥事、この間起きたのは——前にも、三十九年に印紙不正使用事件がありましたね。これは古いことだ。ことしの二月に地面師原簿変造という、七人だか六人のグループでやった問題があります。こういう問題が起きたというのもやはりこのことに原因しているんだろうと思いますが、法務省としては当然、こういうことのないようにしなければいけない。ないことにするためには、いま申し上げたように定員をふやす、あるいはその他の手段によって補助者排除をするということも間接的には必要になるだろうと思いますが、合理化という、いま政府の進めております定員法によるがんじがらめになっておりますこの状態を、このままで一体解決できるのかどうか。解決できないなら、どういう方法でやるのか。三つに分けてお答えをいただきたい。
  15. 川島一郎

    川島(一)政府委員 この部外応援という慣行が生じましたのは十数年以前からでございまして、その当時から実は排除したいということで、常にその方針を示してまいったわけでございます。ところが、事件が非常に増加しておる。たとえば、謄抄本の交付を請求するような事件のことを乙号事件と申しておりますが、それが十年前には、あれは全国でたしか一億近い件数になっておったと思います。それが現在は倍にふえております。この乙号事件増加原因というのはいろいろの社会的な事情によるものでございまして、それが登記所事務に非常に圧迫を加えておるという事実がございます。こういった客観的な事件増加という、つまり登記所内部ではない、外部からの事情によって引き起こされておりますだけに、部外応援を中だけの問題として排除しようとしてもなかなかし切れないという面があるわけでございます。  そこで、部外応援には大きく分けまして二種類ございます。一つは、先ほど申し上げました司法書士調査士などの補助者を主体とするものでございます。それからもう一つは、地方公共団体がいろいろ公共事業に基づく登記を申請いたします、その事件に関連して手伝いをするという、公共団体からの補助者部外応援というものがございます。この二つの種類の部外応援のうち、特に司法書士調査士等業者補助者からの部外応援、これは緊急に排除する必要があるということで、私ども増員でありますとかあるいは機械器具の整備ということによって極力排除する方針をとってきておるわけでございますが、何分にも事件増加がはなはだしいために、思わしい成果を得ていないというのが現状でございます。  そこで、昨年末ごろから、この乙号事務処理基本対策というものを定めまして、これを自力で処理するための体制をつくるにはどうしたらいいかということをいろいろ検討しておるわけでございまして、今回の予算的措置である程度実現を見たわけでございますけれども、しかしながら、全国に及ぶ部外応援を全部排除するということはとうていまだできない現状でございます。  したがいまして、今後の予算その他の措置とも関連する問題でございますので、いつまでという正確なことは申し上げられませんけれども、しかし、少なくとも弊害を生ずるような部外応援はこの際全部排除するという方針で進んでおります。それ以外に、業者からの補助というものが若干残りますけれども、しかし、こういうものも今後できる限り減らしていくということで、進んでおりますので、数年のうちには相当な成果が上げられるというふうに考えておるわけでございます。  それから増員の問題でございますが、これは御承知のように、政府定員削減という方針がございます。その中で非常に繁忙度の高い登記所事務をどのように処理していくかということを考えますと、これはどうしても定員をふやさなければいけないという事情がございますので、この点につきましては、従来から相当大幅な増員要求というのを毎年いたしております。その結果、定員削減数以上の増員というものをいただきまして、プラス、マイナスでは結局定員増加するという形で現在まで来ておるわけでございます。  問題は、今後こういう情勢のもとでどれだけ増員が得られるかということが一つございます。そこで、いままでの実績を見てみますと、最近純増で二百名近い数までいっておるわけでございますけれども、それだけで賄えない部分というものをやはり何とか考えていかなければならないということで、たとえば賃金職員を充てるとか、あるいはある程度の部外委託というようなものを考えるというような方法でもってこれを処理していきたいということで目下進んでおるわけでございます。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 端的に言うと、後数年の間に何とかしたいと思うが、それでも完全に排除はできそうもありません、そういう結論になると思いますね。  おっしゃるとおりに、年々歳々、甲、乙両方合わせて件数はふえる一方ですから、この不況でこの五十年どうなるか知りませんが、不動産登記なんか多少減るかもしれません、しかし、乙号の場合にはこれは減りっこないです。こういう不況になればなるほどふえてきます、これは。甲号の場合には減ってくることも、不況影響であり得る。しかし、全体的な件数で言うなら、年々歳々ふえることは間違いない。現在でも全然部外者排除ができない。こういう状態で数年たったらできるかというと、目標にしておやりになるのであってそれはできそうもない。  そこで私の提案なんだ。どう考えてもいきなり定員増を、増員が何千とできるはずがない、いまの状況では。しかも部外者応援は必要だ、現にある、当分排除できないというなら、あと、最後にちょっと、あなた、お触れになったけれども、やはりこの部外者応援者というものに対する身分をどういう形ででか、組合も納得するような方法で正式に受け入れるということを、ある種の訓練も必要かもしれませんが、何かを考えることの方が現実的じゃないか。排除するんだ、排除するんだというんで、現状のままで司法書士だあるいは土地鑑定士事務所人間だ何だかんだという、よそのところの事務所人間応援によこしている、そのままで使っているというようなことから、その人の心構えも非常に庁員とは違ってくる。したがって、不測の事件もずいぶん起きるわけですね。これからだって起きないとは保証できない。というなら、現実に合わして、私はやはり、現在応援を得ている人間に対してのある種の新しい工夫をこらして立案をされて、身分保障をするということにすべきではないかと思うのですが、どうですか。その方が現実に合っている。当分だめですよ。数年先にこれ解消しようなんでいう、そんななまやさしい数じゃない。できませんよ。片っ方はふえていくのですから、件数は。ぜひやるべきだと私は思うのです。何かの工夫をすればできないことはない。だから工夫をすべきではないか。それが一つ。  もう一つは、いまコンピューターシステム法務省にも入っていますね。これは犯歴ともう一つ出入国管理に関しては、コンピューターシステム制度化されて、いま使われていると思う。私はせめて不動産登記、これが一番数が多いんですし手間をとるのですから、これに対するコンピューターシステム化はやるべきだと思うのですね。もちろん、こういうシステムの導入によってプライバシーの問題がどうなるという大きな問題が一つ別にあります。これは原則的な問題として、これから論議をし考えていかなければいけない。しかし、犯歴に使い、あるいは出入国管理に使っている。不動産登記に使うということがプライバシーの侵害になるかどうかという問題もあるでしょうが、私は、少なくとも法務省でもう一つ追加してこのコンピューターシステム化を図っていく、このことをやっていいんじゃないか。これは二つ目ですよ。  というようなことが考えられていかない限り、この現在の、常に犯罪の萌芽を持っているような状態、すき間のある状態、不自然な状態というものがずっと続いていく。毎国会これは聞いたって、同じ答弁が繰り返されるに決まっている。したがって、そういう見通しがはっきりついているものに関して、ただ、数年先に何とかします、何とかやるつもりでございますと言って濁していく政府の態度は、いずれの省庁においてもよくあることですが、私はよくないと思う。法務省は率先垂範して、いま私、二つのことを提案したのですが、一体おやりになる気があるか、大臣からこれは答えていただきたい。
  17. 川島一郎

    川島(一)政府委員 その前に私からお答えいたします。  いま御指摘二つの点、私、非常に大事な点だと思います。そういった点につきましても十分考えなければならないと思って、実はわれわれもある程度それに対応する施策というものを目下検討し、来年の予算要求にも実現したいというふうに思っております。  その一つは、定員の形で人をふやすことができない場合には、やはり何らかの形でその資格を認める。これはたとえばパートタイム式なものであってもいいと思います。要するに、臨時職員という制度がございますので、それをいろいろな形で考えていきたいということです。  ただ、その臨時職員の場合は、これは政府方針がございまして、なるべく定員化を避けるという見地から臨時的な業務に限って認めろという方針がございます。そこで、それを避ける意味で、別に外部に特定の機械的な事務だけを委託する。そうして、そういうものに機械的な、たとえば謄本コピーをするといったような仕事だけをしてもらって、そして登記所事務の軽減を図る、こういう方法が考えられるわけでございまして、そういったいろいろな方面で、おっしゃられた方向に進んでいきたいということを考えておるわけでございます。  それから、将来の問題としてコンピューター化、この点につきましても十分検討に値する問題であるということで、実は数年前からその研究に着手をいたしております。予算も若干ちょうだいいたしまして、果たして現在の登記制度コンピューターに乗るものであるかどうか、それを検討しておるわけでございます。  ただ、この問題は、一つには非常に経費がかかるという問題、それが採算ベースに乗るかどうかという問題、それから技術的に、現在の帳簿のシステム機械に改めるということによってどういう影響が出てくるかということを考える必要がございます。それから制度的に、現在の不動産登記法で決められている事務手続をどのように変えていかなければならないか、こういった制度的な問題もございます。こういったいろいろな問題を含んでおりますので、その点につきまして目下鋭意検討を続けておるところでございます。
  18. 稻葉修

    稻葉国務大臣 原さんの御指摘の点は、私はきわめていいお考えだと思うのです。こんなことをしておったのでは、まことに国民の権利保全、法秩序の維持に関して怠慢のそしりを免れないように思っているのです。法務省の威信にもかかわる、こけんにも関するという意味で、原さんの御提案につきましては誠意を持って検討して改善を図っていきたいという感を深くいたします。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、なかなか信念居士ですから、憲法に対すると同じような信念でひとつ、いまおっしゃったことを急速に進めるようにお願いをしたい。  そこで、川島さんにもう一度だけ突っ込んでお伺いしておきたいのですが、先ほどの、いろんな方法があるだろうという応援者の処遇の問題で、コピーに類するようなものは外部の作業として出すというようなことも考えるというお話があった。私は、私の小さいいろんな経験なんですが、それはまずいんじゃないかなと思います。よっぽどでないと、外部にそれを出したらいろんな問題が起きる危険がある。非常に単純なコピーであっても、外部に出すということは何か問題がある。そうでなくても、コンピューターというとプライバシー侵害というような問題がすでに起きるような、いわゆる国民の感覚になってきているときですから、私はよっぽどでないと、外部へという考え方はむずかしいんじゃないかなという感じがする。これは私の私見を言っているだけです。  もう一つは、コンピューターシステム化をやろうというときに一番大きな問題は、不動産の場合にはやはりファイル化作業ですよね、これが非常に時間がかかると思う。このファイル化ができてしまえば、いまのコンピューター、さっきむずかしいとおっしゃったけれども、いまの不動産ぐらい何でもないことです、こんなことは。ただ、ファイル化が進まない。ファイル化に対して、一体、二年か三年、うっかりすると四年ぐらいかかるかもしれませんね。だから急速にやらなければいけないし、これに金がかかります。慎重にやらなければいけない。そのファイル化の作業が困難を来すだけであって、コンピューターシステム化をしようと言ったときに、それがいまの不動産業務を考えたら非常に単純なうちに入るから何でもない。したがって、これをおやりになる決意が大臣にある以上は、川島さんの特に関心を持って早く進めていただきたいのは、ファイル化作業というものをどういう手順で、一体何年ぐらいの目標でやるか、目標を決めておやりにならないと、このファイル化作業に案外かかる。これに時間さえかければコンピューター化はわけないということを私の経験で考えますので、このファイル化作業に対して即刻、いわゆる手順その他を考えた、年限を切った作業化計画をおつくりになる必要があると思いますが、いかがですか。
  20. 川島一郎

    川島(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、実は三、四年前からコンピューターの研究をいたしております。現在の研究は、現在の登記制度コンピューターによって賄うことがいろんな面から見て可能であり、かつ、それが有効であるかどうかという点を検討しておるわけでございまして、この結論が出ましたならば実際に具体的な計画を立てて進んでいきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。現在は、コンピューターに乗せることができるかどうか、その点の検討でございますので、これがやがて近いうちに結論が出ます。したがいまして、その上で今後の作業をどう進めるかということを考えていきたいというふうに思っております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題で、後で塚田委員から関連してちょっと質問があるそうですが、その前に、最後に一つだけ、ついでにお聞きしておきたい。  これはきっと川島さんの関係じゃないかもしれないが、今月の初めだったかに、横浜地方法務局にいた、いまは大和の出張所長をやっていた椎橋昇さんが、贈収賄事件でこの間逮捕されましたね。この犯罪の起きる動機が何だろうと思っていろいろ見ていると、せんじ詰めるとこういうことらしいんですね。自分の所有する畑を早く宅地に登記をしたい。早く宅地に転換してもらう登記の、時間のかかるのをうんと時間を詰めて、早く宅地で売りたい、商売人が。そのために、その転換登記をする時間がうんとかかるものを何とか早くやってくれという、手心を加えるというのか、そのことを中心に何がしの、ばかな金ですが、わずかな金を贈ったり取ったりというので逮捕事件になっておりますね。こういう場合の手心を加えるという、その手心というのはどんな方法があるんですか、参考までに聞いておきたいのです。手心を加えるというんですね。その手心を加える事案は何だというと、畑を宅地に転換するその登記を早くしてもらいたい。普通だったら一年も二年もかかるのかどうか知りませんが、手心を加えてもらおうというので贈収賄が起きたという手心というのは、どんな手段、どんなことが考えられるんでしょうか、経験談でいいです。
  22. 川島一郎

    川島(一)政府委員 横浜法務局職員が贈収賄で問題を起こしましたことは、大変申しわけないことだと思っております。この事件の内容は詳しく私承知しておりませんけれども、現在まだ最終的な報告を聞いておりませんので承知しておりませんけれども、手心を加えるというのにはいろいろな意味があろうかと思います。たとえば、普通ならば一週間かかる仕事を、事件処理を一日か二日でやってくれ、事件の迅速化を特別にしてもらうというようなこと。それからもう一つは、土地の地目の変更の場合につきましては、御承知のように農地法の制限がございまして、その関係で、たとえば農地法の知事の許可を得ているかどうかとか、いろいろそういった関係調査をする場合があるわけでございますが、そういった点の調査を手抜きをするというようなことが考えられるのではないかと思います。この後の場合は、その行為自体が違法なことになりますけれども、そういうことも、手心を加えるという場合には考えられるのではないか、このように思います。
  23. 井原岸高

    井原委員長 この際、関連質問の申し出がございますので、これを許します。塚田庄平君。
  24. 塚田庄平

    ○塚田委員 いまの登記業務と関連いたしましてちょっと御質問いたしたいと思いますが、登記所の統廃合の五カ年計画というのがたしか決定をして、これを進めておるはずでございますが、これはパーセンテージでいいですが、五カ年計画達成のパーセンテージをまず知らしていただきたいと思います。
  25. 川島一郎

    川島(一)政府委員 現在、登記所全国に千数百ございまして、その中には職員が一人しかいない一人庁あるいは二人しかいない二人庁、三人庁といったような小規模のものがたくさんございます。登記所仕事をなるべく合理的に、能率的に処理していくというためには、ある程度の規模を持った登記所というものをつくっていく必要がある。それから、現在の配置は明治時代に決まったものでございまして、その後、交通状況もずいぶん変わってきております。そういう関係で、ほかの役所などと比べましても登記所が非常に数が多いというので、これをなるべく数を少なくいたしまして、そうしてその実質を大きくして近代化していきたいということで、登記所の統廃合を行っておるわけでございます。  その進捗状況というものは、昭和四十六年から始めたわけでございますが、四十六年度に四十一庁、四十七年度に六十一庁、四十八年度に六十庁、それから四十九年度には七十四庁と、合計いたしますと二百数十庁になっておるわけでございますが、これは御承知のように地元の住民の方々の便宜にも関係いたします。したがって、私どもといたしましては、特に何庁をやるというはっきりした目標は定めておりませんので、地元の方々にお話をいたしまして、そうしてある程度の御理解をいただいた上で統合を実施しておるという状況でございます。したがって、今後どの程度進んでいくかということは成り行きにもよることでございますので、現在そういう状況にあるということを御承知いただきたいと思います。
  26. 井原岸高

    井原委員長 塚田君。
  27. 塚田庄平

    ○塚田委員 先ほど原委員からいろいろと質問のありました登記業務の能率化ということ、それから部外者を使っての業務の遂行というのは業務の性質上正しいやり方ではないんじゃないかという意見も付した質問がございました。  実は、率直に言いますと、業務の能率化ということは絶対必要ですが、もう一つ登記業務登記する住民の利便ということをやはり頭に置かなければならぬと思います。いま聞きますと、五カ年計画はこれで終わりですね。終わりで、五カ年計画というのは特別何カ所を指定してどうこうするという計画ではないんだ、つまり、それぞれの地方自治体で合意ができて、そして円満移転といいますか、統合というところを何とか推進していきたいと、こういう御答弁に聞き取れました。そこで、もうこれはことしで終わりですから、五カ年たっていろいろやった結果約一割の統廃合ができた、これ以上第二次五カ年計画なり、第三次五カ年計画なりを立てて——お言葉ですが、私どもが地元で受けておるいろいろな苦情を聞きますと、率直に、相当強引な統廃合勧告といいますか、をやっておるという事例もあります。具体的にここで指摘してもいいんですが、この場は避けたいと思います。  そこで、最終年度でございますので、この辺で、つまり、これ以上やれないということは、住民の抵抗、住民の不満が、どうしてもできない事態にまで来ておると、こう判断していいと思うのです。この不満を押し切って統廃合を強行していくということは、私は、住民の利便から言ってこれはやめるべきじゃないか、そう思います。しかし、確かに一人一所というのは不合理なことは知っておりますから、この点は先ほど原委員からの御指摘のとおり、何としても増員をやる、部外者に助けを求めないという方法で解決するのが最も合理的であり、また住民の要求にこたえる道だ、こう考えますが、この件はどうですか。
  28. 川島一郎

    川島(一)政府委員 実は、この五カ年計画を立てるに当たりまして、法務省といたしましては、登記所の配置というものはいかにあるべきかという点について検討をいたしたわけでございます。その点につきまして、法務大臣の諮問機関であります民事行政審議会というところに諮問をいたしまして、登記所の適正配置の基準というものを考えていただいたわけでございます。その結果、たとえば登記所間の距離がどの程度であって、そして事件数がどの程度の登記所については、これは統合してもやむを得ないであろうというような一定の基準というものをつくっていただいたわけでございます。その基準に照らし合わせまして今回の五カ年計画というものを考えてみたわけでございます。  しかし、その実行に当たりましては、先生仰せのような、地元の住民の方々の利便あるいは感情といった問題がございます。そういった面も十分に考慮いたさなければなりませんので、地元といろいろ折衝をいたしまして、その趣旨を御理解いただけたところから実施していくということでやっておるのでございまして、私どもといたしましては、登記行政の円滑な推進ということのためには現在の登記所はまだまだ多過ぎる、そして、登記所をもっと集約した形で、しかも近代的な登記所というものをつくっていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。一人庁に勤務する職員の非常な過重負担という問題もございます。いろいろな角度から考えまして、ある程度登記所の統廃合というものは進める必要があるというふうに考えておるわけでございますが、仰せのように五年計画で現在五年目に入っておるわけでございますが、地元からは相当いろいろな抵抗、御要望といったものが出ておりますので、その点を考えまして、なるべく無理をしない形でおさめたいというふうに思っておるわけです。  今後二次、三次の計画をどうするかという問題でございますが、これは、現在のところそこまでは考えておりません。おりませんけれども、いままで四年間にわたって実施した結果を見ますと、全国的にかなりのアンバランスが生じているということは事実でございます。それから、地元の御了解はいただいておるけれども、しかし時期について待ってほしいというようなところもございます。そういったいろいろな関係もございまして、この五年計画が最終的にどういう形でおさまるかということは、まだここで申し上げるほどはっきりした形にはなっておりません。若干、年度内には統廃合が実現できないけれども五年を過ぎた段階でもって統合してもいいというようなところにつきましては、来年度においても統合が行われるというところもあろうかと思いますけれども、しかし、計画そのものといたしましてはこの五年計画を円満な形でおさめたいというふうに考えておりますので、そのように御了承いただきたいと思います。
  29. 塚田庄平

    ○塚田委員 ちょっとわかったようなわからないような答弁なんですけれども、私は、できるだけ統廃合を強行しなさいという立場で言っているんじゃなくて、五カ年間の折衝の中でいまできないというには、それなりの深い理由があると思うのです。それは、法務省は相当精力的に各自治団体を当たったと思うのです。不幸にしてこれは、住民の抵抗もさることながら、自治体同士で、つまり統合されて新しい庁舎のできるところ、統合されて失うところ、こういう自治体同士の感情のもつれあるいは住民同士の争い、こういったものに発展しかねないし、また、現実にしているところがこれが法務省の計画に乗らないわけです。それから、いま一応合意したけれども待ってくれと、恐らくそういうのは場所の問題が絡んでくると思うのですね。恐らく法務省は、先ほど原議員の御指摘のとおり、補助員というか部外者の助力を得るためにできるだけ関係役所の近いところに持っていくというようなことも、当然これは考えられます。そうなりますと、たとえば三町にわたる場合、その三町の真ん中に持ってくるのが一番解決しやすい道なのですが、そうじゃなくて、やはり一方に偏っていくというような選択になっていくと、これは一たん承知しても、場所がそこならおれは承知しない、こういうことになって、非常なもつれに発展しておる例が幾つかあります。そういう自治体同士の感情のもつれに発展する。あるいは住民の利便ということを考えれば、特にこれからは、いろいろな農業をめぐる諸情勢というのは非常に重要な段階になってきておりますので、これ以上無理をしないで、むしろここまで統廃合を進めた実績を踏まえて、あとは近代化あるいは増員というところに全力を挙げて努力するのがたてまえじゃないか。そうでなければ、さっき言った二律背反ですね、大きくして能率をよくし、そして職員の労力を何とか省きたいという、そういう志向と、それから住民の利便という問題とが、二律背反としていつまでも残ってくるわけです。解決する道はただ一つ、人をふやしてりっぱなものにするという以外にないと思うのです。そういう面で再度、これは法務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  30. 稻葉修

    稻葉国務大臣 塚田さんの御指摘の点は、たびたび法務委員会等でも御指摘があり、また、国会議員の諸先生から直接、選挙区内の統合につきまして御陳情を受けたりいたしまして、この民事局一課と出入国管理の御陳情には、ほとほと私も、非常に苦悩をする場面がたくさんあるわけですが、余り極端な地域利己主義の場合はともかくとして、そうでない限りにおいては、農業の見直し、食糧自給度の向上とか、そういう点の労力が、登記所が遠くなるために阻害されるというようなことにならないようにということで、なるべくは無理をしないようにという——私、去年の十二月就任後直ちに、民事局長にも一課長さんにも、そういうふうにするのが新しい国策のように思うがねと言うてきているわけですが、一人庁みたいなところでまた間違いを起こすとこれも問題なのでございますというようなことで、私は、塚田さんのおっしゃるような方向に必ずしもいかないで、統合を進めていただいたところもございます。  まあ、私の選挙区なんかでもそういうのがありましてね、しかし、こうやって統合を進めているんだから、法務大臣の場所は統合をやめるということでは非常に困るからということで、頼んで統合してもらいましたがね。それはまあ、統合に値するところですからやったわけです。  いろいろな御事情を伺ってみますと、残しておけという御要望の方が理由があるように思う点は、そういうふうにいたしたい個所も四、五カ所ございます。そういうわけでございますから、無理、無理ということではなく、しかし、余りにもこれは少し、この地域的なエゴイズムがひど過ぎるというようなところは来ていただいて、非常な御議論の末、もう私は法務大臣として踏み切らざるを得ませんよ、こういうこともありました。  塚田さんのいまの御質問は、はなはだもう私の苦悩の種なんですが、方向としては、事務当局よりは私の方が、あなたにほんの少し近寄ったものであるというふうに思うのです。まあ、その程度のところで御勘弁を賜りたいと思います。
  31. 塚田庄平

    ○塚田委員 それじゃ、大臣気持ちは私に近い方だそうですから、局長、ひとつよく心得てこの運営を図っていただきたいと思います。  終わります。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、時間の関係で余り突っ込んでお伺いできそうもありませんが、保護司の問題について一、二だけお伺いをしておきたいと思います。  いま内勤保護司というのがあります。内勤保護司の待遇と身分が一体どんなものか、数はどのくらいいますか。
  33. 古川健次郎

    ○古川政府委員 いま原先生御質問でございましたように、保護司の中に、保護観察所の中で勤務してもらっております内勤保護司さんというのがあるのであります。やはり保護司としての仕事もしていただいているわけでありますが、それで現在いわゆる内勤の保護司さん、これは全部で百七十六名おりまして、日額約千円程度で、時間的には比較的短い時間と申しますか、御勤務いただいておるという状況でございます。それからなお、その以外に、われわれ駐在保護司さんと言っておりますが、これが約三十五名ばかり、これも同じような待遇で御勤務いただいております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 内勤保護司といのは、まだずっと置く予定ですか。
  35. 古川健次郎

    ○古川政府委員 これは保護司さんの仕事をしていただいているわけですが、保護観察所の中で勤務していただいております関係で、一般の保護司さんとは違うわけでございます。そういう違うという意味で、果たしてそういう方をずっと置いていただくことがどうか、問題はあるわけでございます。現実に保護司さんと同じような非常に重要な仕事をしていただいておりますので、われわれの方としては御勤務いただきたいわけでございますが、ただ、いまのように、制度としてやはり問題がないわけではございませんで、現在、内勤保護司さんをどういうふうに考えていったらいいのかという点につきまして、実はこの四月一日から私の方で、長期展望に立った更生保護のマスタープランというものを策定いたしまして、作業を開始いたしました。その中でも重点項目として検討してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 四十六年八月二十四日に勧告が出て、四十七年一月二十日に回答を出されて、四十八年三月六日にその後の改善措置状況の回答が出された。これはおわかりですね。その後の改善措置の回答の末尾に「内勤保護司のあり方について検討したいと考えている。」という、そういう回答を四十八年に出されている。いまも同じことを言われているのですね。いまは五十年になっているんです。何か四十八年から進歩がないみたい。もう結論が出て検討をされているんじゃないだろうかという気持ちでいたんですがね。四十七年の一月二十日に出された回答でも、「その運用の実状には検討を要すべき点があるものと思料されるので、将来保護観察所職員増員に努め逐次これを改善していきたい。」というのが出ているのです。四十八年にはそういうことを言わずに、今度は、検討をしていきたい。いまのお答えがちょうど同じようなことです。二年間何にもやってなかったということになりますね。
  37. 古川健次郎

    ○古川政府委員 ただいま御指摘のように四十七年、四十六年の勧告を受けましてから検討しておったわけでございますが、いま御指摘のような観察官の増員が実現いたしますれば、ある程度すっきりできたわけでございます。それが、先ほど来原先生からも御指摘がありますように、定員削減というような問題でなかなか実現を見ないわけでございます。われわれの方も数百名、毎年要求するわけでございますが、純増が一とかいう状況で、ほとんどふえないわけでございます。そういうような観点から、四十七年に考えましたような、増員で打開したいという点が必ずしも実現を見ないというわけで、検討をさらにしたわけでございます。  しかし、内勤保護司さんが一体どういうような仕事をしておられるか、現在内勤保護司さんがどういうような希望を持っておられるか、そういうような点についての実態調査が必ずしも十分に行われておりませんでしたので、そういう細かい点にわたりまして、内勤保護司さんがどのような仕事に従事されているか、一般の保護司さんと違うのかどうか、あるいは保護観察所の中の保護観察官が本来やったらいいような仕事をある程度かぶっておるのか、そういう細かい点につきまして、つい最近調査をいたしました。そういう点も踏えて、先ほど申し上げましたマスタープランに乗せまして、そのマスタープランの中の最重点事項として検討中でございます。これは近く何とか結論を出したい、かように考えております。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 その観察官の増員ができれば逐次減らすというのが原則ですよね、おっしゃるとおり原則です。そこで、そのことは非常に大事なことだと思うのです。わずか百七十六ですから、ふえてないのです。ですから、減らし得るし、なくして正規のものにすることは方針としては非常に正しいと思うのです。この観察官をふやすということもやらなければいけませんが、なかなかいまの状況では思ったようにふえない、こういうことになるわけでしょう。  私、見まして、どうもわずかの人数しかいない中に、管理職と一般観察官の比率ですよね、これは世間にない比率ですよ。よく幽霊会社で、新星企業じゃないけれども、何とか会社なんて、社長はいるけれども、取締役がどこかにいるだけで、従業員が一人もいないなんというのもありますよ。ここはそれよりまだ悪いのです、課長がいて、そうして一般の観察官が一人か二人だなんという。課長課長職、管理職をやる。これに対しても工夫すべきだということが勧告にありますね。これはどうなっていますか。このことは非常に重要ですよ。
  39. 古川健次郎

    ○古川政府委員 四十六年度の勧告にも、まさにいま原先生御指摘のように、保護観察所、特に小人数の十数人庁、たとえば十一人庁など、そういう小人数の職員しかいない庁における管理職と一般職員との比率、これがちょっと異常ではないか。確かに十一人庁でございますと、所長と課長が三名で四名、十一分の四ということで、確かにこれはほかの官庁に比べてまあ高い。そういう点でわれわれの方も検討を当時からしておったわけでございますが、現実に、それでは小人数の庁では課長を、まあ課を減らしましていくという点なども、院長、支所長会同におきまして、あるいはその他の課長会同等におきまして、何回か検討したことがございます。  ただ、この点につきましては、これは保護制度の特色と申しますか、わが国は御承知のとおりいわゆる官民共同体制の保護行政を行っているのでございまして、保護観察官、全国で千名ちょっとほどおりますが、それ以外にと申しますか、民間側では約五万人の保護司さんがおいでになる。小さな県でも数百人の保護司さんがいる。そうすると、たとえばそういう保護司さんのお仕事について扱っております各観察所の調査連絡課、こういうところは確かに課長一人と平観察官一人ぐらいのところがございますが、実際にはその下に、それ以外に数百人、四、五百名の保護司さんがおいでになりまして、その方たちと一緒になって仕事をしている。そうしてやはり管理職的な仕事が多いわけでございまして、そういう点でちょっとほかの官庁とは違うんじゃないか。  したがって、また課の制度を、課は果たしていかがだろうという意見が強いわけでございまして、そういうことで勧告をいただいた行政管理庁にもいろいろ折衝いたしまして、どの面で考えていくか、そういう内勤保護司さん、あるいは管理職と一般職員との比率の異常さ、他の官庁に比べての異常さ、そういうような検討を、もう相当熟しておりますが、やはりこれも先ほど申し上げたマスタープランに乗せまして、保護観察官制度のあり方、そうすると今度課長をやめまして保護観察官、いわゆる国税査察管、国税庁職員と同じような、そういう独立の官制度を導入したらどうか、そういうような点も含めまして現在鋭意検討いたしているわけでございます。これも近く何とか結論を出したい、かように考えております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 稻葉先生のような方が法務大臣になったときだ、チャンスだから思い切っておやりなさいよ。同じ答弁ですよ、きっと。来年聞いても同じことを言うだろうと思うのです。ところが、これはやる気があればできることですね。私なんか素人でわかりませんけれども、案を出せと言ったら出して、まあ素人はこんなものを出すかなというものの方がいいかもしれませんよ。そんな案も考えてきたのですが、きょうはそれを細かく申し上げません。  そこで次に、更生保護事業に関して、いま保護法の規定に基づいていろいろと待遇がされていますけれども、現在支給されているような状況ではどうもやっていけませんというんで、全国更生保護会連盟の、木村篤太郎さんが会長だそうですが、陳情、要望が出ていて、皆さんのところへ行っている。それに対する皆さんのお答えがまた出ていますね。それを見ますと、何でも、御期待に沿うように努力します、何とかしょうと思います。第一項については「努力いたしたい。」第二項についても「実現に努力いたしたい。」みんな後に、努力いたしたい、努力いたしたい。私、これを聞いてみたんですよ。そうしたら、余り努力の跡がないんですね。今度は努力をしたいと五十年に回答なさっているのですが、飛躍的な結論が出そうなんでしょうか。  とにかく、この更生事業は大事なんですが、更生事業をやろうとする団体が、三十九年には百五十七団体あった。それが十年間に五十一団体が、とっても経営が困難でやっていけない。現在百六団体にまで激減したが、聞きますと、まだ減る傾向だというのです。これはなくてはいけませんよ。なくてはいけないどころか、充実しなければいけませんよ、三木さんのああいう御趣旨からいっても。  そういうことになりますと、現在のような経営状態を放置してよろしいのか。基本的には国の負担分あるいは委託費の問題というものを現在の状況に照らして思い切って上げなければ、この経営改善もできないし、やっていけないということになるでしょう。今年度のもの、ちょうだいしましたからわかりましたけれども、これではまだまだ、とてもじゃないがこの経営が維持される状況ではないと思います。数字を一々言ったら、大臣は知っているかどうか知りませんが、はあそんなものでやれるかなと思うような数字ですよ、みんな何百円単位の。こんなことで確かにこれはやっていけないなと思います。飛躍的に何とかするお考えがありますか。
  41. 古川健次郎

    ○古川政府委員 確かに更正保護会は非常に大事な仕事をやっていただいているわけでございまして、まさに犯罪者、非行者で満期釈放などになりました者の再犯などを防止する、非常に重要な仕事をしていただいておりますが、先ほど申し上げましたように、わが国の更生保護制度が官と民と両方、どちらかといえばむしろ民間先行型で来た。その民間先行型のさらにトップを切っているのが更正保護会。そういう更生保護会につきましてわれわれとして全面的にバックアップといいますか、むしろ本当にやっていかなければならないと思うわけでございます。  ただ、先ほど原先生御指摘のように経営困難というような事情、さらにほかに刑務所の収容人員の減少でありますとかその他の状況で、更生保護会が幾らか減ってきておる。現に百六団体あるわけでございますけれども、そこでその経営困難化の一番大きな原因は、先ほど申し上げたように刑務所の収容者が減る。これは一面では非常に喜ばしいことでございまして、結構なことでありますが、そうしますと当然、更生保護会に入ってくる人も少なくなる。従来、収容率が七〇%くらいあったものが、現在、収容率が四五%という状況でございます。そういたしますと、更生保護会の経営が国の委託費——国の委託費は定員定額でございませんで、収容されている人口率によって出るというようなところから、七〇%もございました収容率が四五%に下がった。一面喜ばしいことではあるのですが、更生保護会としてはまことにつらい立場にある。それがいまのような状況を来した。  これにつきまして、いまわれわれ努力しているわけでございますが、先ほど原先生から、努力の跡が見えないじゃないかと御指摘受けたわけでございますが、先ほど先生ごらんいただきましたような予算で、委託費が昨年は三〇数%という、従来から見ますと画期的な増を見たわけでございまして、最近、社会福祉と並んで司法福祉を重視しろということで大いにわれわれ努力しているわけでありますが、ようやく厚生省の社会福祉並みに肩を並べたわけでございます。またさらに先般も、ガスとか電気の値上げになります際にも各方面に働きかけまして、厚生省の社会福祉施設と並んで更生保護会も同時に、この値上げ延期の措置を初めていたしたわけでございます。  そういうふうに努力をいたしておるわけでございまして、今後ともこの面につきましては、先生御指摘のようにわれわれ大いに努力いたしまして、更生保護会が経営困難等によって事業ができなくなるというような事態の出ませんように最善の努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 たくさんのことを言いたいのですが、一つだけ、これは大臣に決意をしていただきたいのは、いま言ったような収容人員掛ける幾らでやっている限り、基本的な問題としてこれはだめなんですよ。いまおっしゃったように、だんだん減っていくことは望ましいことなんです。事実、減っていますよ。そのたびに経営は苦しくなる。で、一人単価幾らと上げたって、あの上げ方三八%といいますが、いまの時代、金額でいったら問題にならないでしょう。ということになりますから、やはり一つ収容所に関して全体の規模を見ながら、一番フルとは言わないですよ、九〇%ぐらい収容されたときの基準なら基準をとって、それが基準で固定値としての補助なり何かが国の立場でされない限り、この事業どんどん減っていきますよ。いまのあなたの考えではとても追っかけられません。だから、そういうものは根本的に変えなければいけないと思うんです。その変える一番急所は、やはり収容所一単位に対して幾らという固定的な国の補助が必要だと思いますが、いかがですか。やる気があるならそれをやらなきゃだめです。大臣に答えてもらいたい。
  43. 稻葉修

    稻葉国務大臣 いま古川保護局長が答弁している間に私も原さんと同じことを考えまして、後ろ向いて相談しておったところなんです。なかなかうんと言いませんが、私もそう思って、そうやったらいいんではないかという事実があったところですから、私も先生と同感なんですが、事務当局としてそういうことにいけるかどうか、財政当局とのいままでの交渉はどうなっているか私知りませんものですから、帰りましてよく検討したい、御希望に沿いたい、こう思います。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣がその決意なら、庁内に大号令をかけてやればできることです。これはそう大した予算じゃないんですから、ぜひおやりいただくようにお願いをしておきます。  それから次に、二十二年ぐらい前ですか、千葉の市川市の事件で滝淳之助さんという人が無期懲役を言い渡されました。現在服役中ですね。この人の問題につきまして日本弁護士連合会に再審の要求があって、服役してから十年後ですか、再審請求しようというので請求をしました。この人は十八歳のときに強殺を行ったことになっているんですが、その強殺をやったという時期に実は北海道で左官屋の修業をしていた、修業しているときに窃盗犯でつかまっている、したがって千葉へ来てそんな事件を起こすなんということはできっこないという意味の証拠を出して、これに対する再審の請求を日弁連が正式にやっている問題があると思うのですが、そう詳しく事件そのものを私は問題にしようとしているんではない、ほかのことを問題にしようとしているんですが、いまの経過の中で一つだけ気になるのは、そういった、北海道で左官屋の親方について修業をしているそのときに、あの当時北海道から多額の金を使ってちょいちょいこっちに帰ってきて、しかもだれにも見つからないように強殺をやっておいてまた引き返していった、そしていつでもアリバイができるようにするなんというようなことが、あの十八歳の少年でできたとお思いになるかどうかも含めて、一体この問題のその点に関していまどのような判断をされているのか、お聞かせいただきたい。
  45. 安原美穂

    ○安原政府委員 いま御指摘の点でございますが、アリバイの主張は、強盗殺人についてのアリバイの主張ではなくて、数多くある強盗事件八件のうちの二件につきましてアリバイを主張しているのでございます。その点はそういうことでございまして、再審の請求は、昨年の一月の二十八日に弁護人から東京地裁に出されておりまして、二つのアリバイの主張があるわけでございます。  事実関係といたしまして、一つの強盗の件、すなわち昭和二十五年の三月十一日に千葉市で強盗をやったということで有罪の判決を得ていることにつきまして、再審請求の理由によりますと、二十五年の二月二十六日に滝正男という男は千葉の印旛地区署で窃盗によって逮捕されて、三月一日に千葉刑務所に在監し、五月十三日佐倉簡易裁判所で懲役六カ月、三年間執行猶予の判決を受けておって、つまりほかの罪で刑務所に在監しておったので、三月十一日の千葉の強盗はやれっこないというアリバイの主張がございまして、その滝正男なる男は実は滝淳之助の異名であるというのが一つのアリバイの主張であります。  もう一つは、昭和二十五年五月二十日の午前二時の横浜市における強盗についてのアリバイの主張でございまして、同じく滝正男という名前でありますが、それは昭和二十五年の五月十八日、五月二十日の強盗の二日前に当たります五月十八日に贓物牙保罪で上野署で逮捕され、その二十日の日、東京家裁で中央児童相談所に送致決定がなされておる。この滝正男なる者も滝淳之助の異名であるから、五月二十日午前二時には、当時はそういう上野警察によって身柄を拘束されて、中央児童相談所に送致をなされておる状態であったからアリバイがある、こういう二点のアリバイの主張でございます。  これにつきましてはどういうことであるか。確かに原先生おっしゃるように、札幌におったということがアリバイが立証されるならば、千葉で強盗は不可能であろうと思います。その点につきましてはそういう主張があるというだけでございまして、ただいま再審開始決定をするかどうかということで、東京地裁では、検察官からもこの点に関する意見を聴取いたしまして、いま再審開始をするかどうかということの決定をするための審査の途中でございまして、さような段階でございますから、検察官は検察官なりに、正しい再審制度の立場から事実に即した意見を出しておりますけれども、近く東京地裁が決定をなさる段階でございますので、この段階におきましては、どのような意見を検察官が持っておるかということを申し上げることは御猶予を願いたい、かように思います。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。いまの最後のところは了解して、そこまでは聞こうと思っていない。  二つをお聞きしたい。一つは、再審請求があってから検察官が意見書を地裁に出すまでにどのくらい時間がかかっておりますか。
  47. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほどお答え申しましたように、再審の請求は四十九年の一月に出ておりますが、具体的に裁判所から検察官の意見を求められたのは昨年の十一月でございますから、約五カ月半経過いたしております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 五カ月ですか。
  49. 安原美穂

    ○安原政府委員 昨年の十一月に裁判所から意見の提出を求められておりまして、四月の十八日に検察官から東京地裁に検察官の意見を提出いたしましたから、その間の計算をいたしますと五カ月半になるのではないかと思います。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど、私の調べがちょっと間違っていたのですね。この問題、私はそれよりも五カ月よけいかかっているように調べた、意見書を出すまで。これは遅過ぎるなということです。五カ月ぐらいなら、事によるとやむを得ないかもしれない。この種の問題を扱うときに、服役中の、たとえば二十年以上の人が何人いるか、大した数はいないと思いますが、そういう人が再審請求なんかするということは、どうも余り、皆さんの側から言うといいやつではない、うるさいやつだということで、どうも扱いがいろんな意味で違ってくる、その一つのあらわれとして、いま言ったように一年ぐらいかかったのではないかという、これは私が少し勘違いしたのかもしれません。五カ月ぐらいならやむを得ないと思う。しかし、いろいろ聞くところによると、再審請求するようなやつにはいろいろな、うるさいなという感じの扱いがあるやに聞いていますが、これは、時間がありませんから、そんなことをきょう言おうというのじゃないのですが……。  そこで、この人に弁護人がついたのは、被疑者の当時についたか、被告になってからついたか。もちろん私選ではないと思います、官選弁護人でしょう。被告になってから官選弁護人がついたか——あるいは私選かもしれません、失礼な言い方をしてはいけないが、被疑者当時に私選弁護人がついていたかどうか、それをちょっと。
  51. 安原美穂

    ○安原政府委員 実は先ほど原委員から御内報いただきましたので、早速、東京地検にその点を調べさせておりますが、何分にも二十数年前の事件でございまして、関係記録を見ましても、いまのところは被疑者の段階で——もちろん、被疑者の段階ですから国選弁護はつきませんが、これは事件の性質上、被告段階からは国選弁護人がついたことは間違いないと思いますが、被疑者、捜査の段階において弁護人がついたかどうかは、いまのところわかりかねておる次第でございます。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 これは大臣にお伺いしたいのですが、先日も言ったことなんですが、国選弁護人をつけるのに、被告になってからつける、これは法律上当然そうなっています。現在では、被疑者の段階では国選弁護人をつけることができないのですね。これはどうしても被疑者の段階で国選弁護人をつけるようにしないと、その被疑者である段階が一番精神的にも不安だし、言いたいこともあるし、一番大事なときなんですが、そのときには被疑者には国選弁護人をつけない。これは新しくそういう法律をつくって制度を開かなければいけないわけですが、大臣は長い間そういう専門家なんですが、私は被疑者の段階で国選弁護人をつけるようにすべきだというふうに考えるのですが、そのためにやはり措置を行うということをやらないと、最高裁ではこれは立法府の仕事でございますからと、これは当然です。立法府として、やはり被疑者の段階に国選弁護人をつけるということが新たに、いまの法務大臣の稻葉先生の時代に大英断で発案されるようにしていただきたいなと私は思うのでお伺いしたのですが、いかがでしょう、何とかそういう道をお開きになる決意をお持ちいただきたいと思うのです。
  53. 安原美穂

    ○安原政府委員 原先生はすでに御承知で、申し上げるまでもないことかと思いますが、憲法上の保障といたしましては憲法第三十七条に、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する難護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、國でこれを附する。」ということで、憲法上の保障があるわけでございますが、捜査段階については、国選弁護の規定をつけるべしということは憲法上の要請にはなっていないわけです。  そこで、なぜ今日まで、国選弁護人が捜査段階については考えられていないのかという理由を推測いたしますに、被疑者になった者は必ず起訴されるわけではない、私の記憶では、いま起訴率は恐らく六〇%ぐらいで、四〇%は起訴されないということと、それから、拘束をいたしました場合、こういう拘束期間は十日でございますし、延長しても二十日ぐらいでございますので、短期間であるというようなことから、特に国費をもって弁護人をつけるというまでの必要性はないということであろうかと思います。ただ、制度として絶対いけないこととは思いません。しかし、そういう現実的な必要性から考えて、必ずしも絶対に必要だという必要性は客観的にないのではないかと思います。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がありませんので、また重ねて大臣に答弁いただきたいのだが、いまのような滝さんの問題でも、被疑者の段階で国選弁護人がつくということがあったら、もう少し内容も——いまになって再審の請求があるとかないとか、しかもアリバイがある、ないといって調べていますが、日弁連では自信があるようです。こういう問題があったり、陰では、被疑者段階でもっと、ああもこうもしたかった、できていたらなと思う現在の服役者もいるだろうと思うので、五〇%だから、何十%だからまあしないでもいいというんではなくて、いまは人権尊重が一切に優先していなければいけない時期ですから、いやしくも、百人のうち一人にでも人権尊重に反することがあってはいけないということが、法務省法務大臣としても一番大事なことだ。人権尊重が一番大事なことということがあれば、事前に被疑者の段階で金がない人、私選弁護人を選べない人は国選弁護人をつけるという制度が新たに設けられなければいけないと私は思うのですが、大臣はいかがですか、道を開いていただくような決意をお持ちいただけませんかどうかお聞きして、終わります。
  55. 稻葉修

    稻葉国務大臣 刑事局長のお答えしましたのは、憲法三十七条では被告人となっているから被疑者は含まない、そしてこれを受けている刑事訴訟法もそうなっている、しかし、憲法がそういうことになっているからといって、刑事訴訟法で被疑者の段階で国選弁護人をつけるという制度を設けても差し支えないということを答弁しているわけであります。また、人権尊重が近代民主国家として憲法上最も重要なポイントであることは、御説のとおりでございまして、そういう点では、現行刑事訴訟法の、被疑者の段階に国選弁護人をつけてやらないということは親切に欠けるところがあるように私も思いますし、外国の立法例はどういうことになっているか、刑事局長にちょっと聞いてみたのですが、被疑者の段階で弁護人をつけているところもあるというのですから、それはどこだか知らないけれどもなかなか文明国だなと感じますので、検討したいと存じます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  57. 井原岸高

    井原委員長 庄司幸助君。
  58. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、国民の関心の的になっております、田中前総理にまつわる金脈の問題あるいは脱税の疑いの問題でお伺いするわけですが、五月七日の国税庁報告が発表されますや、国民の中からいろいろな新聞投書が出まして、一国の総理としてあるまじき、非常に疑いのある行為をやったといわれる事例があのままうやむやに葬り去られていいものかという投書が非常に多く寄せられたのは、法務当局も御存じだろうと思います。この件について、国税庁はもうすでにあのような発表を行ってほとんど微罪放免だという状況にある中で、国民がひとしく求めておりますのは、為政者の長たる者がみずからえりを正すという点を非常に強く求めておられるだろうと思うのです。その点で、検察当局がいま、田中金脈に関係のある新星企業あるいはその他関連会社の宅建業法違反あるいは特別背任、こういった問題について取り調べを継続中であるということに非常に大きな期待を持っているわけです。しかもこれは一縷の期待というわけでありますが、きょうは、主に新星企業あるいは関連会社の問題に限って、法務当局に主として質問したいと思います。  最初は安原刑事局長にお伺いしますけれども、宅建業法違反で新星企業その他を取り調べられておるわけですが、この取り調べの過程の中で各種マスコミがいろいろの報道をしております。宅建業法違反は明らかである、その中から特別背任の疑いも出てきているというような報道もるるなされておるわけですが、しかし、国会筋においては、当委員会のこの場以外でこの問題で正式に伺ったのはないような感じがいたしますので、特にお伺いするわけです。  いま申し上げた宅建業法違反あるいは特別背任、こういった点で、これは捜査の過程ですから、あるいはお話しにくい点もあるかもしれませんが、大体どういう感触を得ておられるのか、この辺、まずお伺いしたいと思います。
  59. 安原美穂

    ○安原政府委員 庄司委員がいみじくも御推察いただきましたように、いままさに捜査中でございますので、まことに申し上げにくいことを十分に御理解いただきたいと思います。  まず、現在、東京地検では何をやっているかということでございますが、御案内のとおり、本年の三月二十六日に警視庁から新星企業株式会社の宅地建物取引業法違反事件の送致を受けまして、自来、東京地検の特別捜査部におきまして同宅建業法違反事件の捜査をしており、先般参議院で申し上げましたが、近くその処分を決定する見込みと聞いております。  あと、特別背任とかいうようなお話を新聞が報道しているということでございますが、これはあくまでも当該新聞社の推察でございまして、われわれとしてはその点について申し上げる段階ではございません。
  60. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで刑事局長、お伺いしたいのですが、いままで東京地検の特捜部で、何人ぐらい、会社についていえば何社ぐらい、それからだれだれ、これを取り調べられたか、その辺簡単に。
  61. 安原美穂

    ○安原政府委員 実は先般参議院でも、送致を受けてからもう二カ月以上になるが、ただ宅建業法だけをやっておるのじゃなかろうという御推察に基づく御質問がございましたときにもお答えいたしたいのでございますが、何分にも、庄司先生御指摘のとおり、この種事件は実に社会の耳目を集めた事件でございますので、宅建業法を調べるといたしましても、その動機とか、あるいはその被疑者とされておる会社の事業内容とか規模等につきまして綿密な捜査を行っておるために捜査に日数を要しておるとお答え申したのですが、まさにそのとおりでございまして、いま何人調べ、それから何会社調べたかということも実は報告を受けておりませんが、いま申し上げましたたてまえから申しまして、必要なものについてはだれかれを問わず取り調べをし、何会社を問わず取り調べをしておると私どもは確信をいたしております。
  62. 庄司幸助

    ○庄司委員 大体いつごろ結論が出ますか。
  63. 安原美穂

    ○安原政府委員 一々弁解のようなことを申してはなはだ恐縮でございますが、捜査は生き物でございまして、相手のあることでございますので、いつまでにとすることはかえって捜査の弾力性を失うことでございますので、特に法務省の立場からいつまでにということを、地検からも聞いておりませんので、申し上げるのが事実上不可能でございますが、これは私なりの推測では、今月中には何らか処分の決定を見るものというふうに推察をいたしております。
  64. 庄司幸助

    ○庄司委員 今度は大臣にお伺いしますが、実は、これは一月下旬、新しい検事総長になった方が就任の記者会見をやって、この田中金脈の問題について、検察庁としてはこの問題について調査することは何もないといった意味の——これは新聞に出ているのですから……。そういった意味の御発言をなすったのですが、これはもしそういう御発言をなすったとすれば、検事総長としてはやはり予断と偏見と申しますか、そういうものを抱いていると言われてもやむを得ないような発言じゃないかと思うのですが、その点、大臣、何かお耳にはさんでおられますか。
  65. 安原美穂

    ○安原政府委員 実はその点、新聞の報道が検事総長の言であるのゆえにいろいろ関心と御心配をいただいたようでございまして、私どもの方でも直接検事総長にその点を確かめましたところ、同総長の申されますのには朝日の記事が最も正確だという御指摘でございまして、その当時の朝日新聞の記事を見ますると、「検察として田中金脈問題に関心を持つのは当然だが、いまのところ捜査に着手するだけのものはないと思う。」と言ったというのが正確だということでございまして、予断、偏見ではなくて、あの検事総長御就任当時におきまして、金脈には重大な関心を持っておるけれども、いま検察として検事認知をして捜査に着手するだけの疑惑は、いまのところ証拠等はない、将来のことはわからぬ、こういうことを正直に申されたというのが真相のように承知いたしております。
  66. 庄司幸助

    ○庄司委員 それが本当だとすれば、まさにそうあるべきだろうと思うのです。田中金脈の調査あるいは捜査についてこれまでの経過を見ていますと、国民は、このままで決着してしまうのではないか、うやむやになってしまうという点で非常に心配しているわけです。そういう点で、いまのような談話は、もしいまのような御発言が正確だとすればそれでいいんですが、やはり誤解を受けないように注意していただきたい。  それで、大臣にまず伺っておきたいのは、実は造船疑獄の際は法務大臣が指揮権を発動して、それで封じ込んでしまったのですね、あのときは。これは私だけではありませんが、稻葉法相が今度の田中金脈問題で、検察庁の捜査いかんによって、発展の度合いによっては、まかり間違うと指揮権発動をやるのじゃないかといううわさもあるのですよ。これは単なるうわさかもしれませんがね。その点で稻葉法相、万々一、指揮権を発動してこれを封じ込めてしまうというようなことはなさらないだろうと思うのですが、一言伺っておきたいのです。
  67. 稻葉修

    稻葉国務大臣 そういうことはいたしません。御信頼をいただきたいと思います。  私は就任のときに、ここにいる局長も皆聞いておるわけですが、法務省として重点を置く、ことに法務大臣の指揮監督下にある検察当局には、暴力犯、第二は経済犯、物価問題は国民の利益に非常に重大な影響を持ち、国民は不安に思っているのだから、そういうことを乱す経済犯、さらに公害事犯、公害諸立法に規定しておる環境保護制度の違反事件、さらには、あの当時、十二月でしたから、その当時の時点で、来年四月行われる統一地方選挙、政治の信頼を回復するには選挙の粛正に始まる、こういう点については一般論として厳正な態度でもって臨むべきである、就任のときこういうあいさつをしておりますから、当時の次官はいまの検事長であり、また検事総長を任命したのは私でありますから、そういう点をよく踏まえておると思います。そして、厳正公平にこの新星企業の問題についても目下特捜部で鋭意捜査中、近く結論を出す、こういうのでありますから、法務大臣の訓辞のようにしっかりやっているな、感心だなと思っておるわけですから、そうやっておいて私が指揮権を発動するなんということは、考えられるだけ、まことに不徳のいたすところであると恥じております。
  68. 庄司幸助

    ○庄司委員 指揮権発動はなさらない、これは確認しておきます。  それで、少し小さな方からそろそろ本論に入ってまいりますが、建設省にお伺いします。この新星企業の宅建業法違反、これについて警察当局に通告したのは何件でございますか。
  69. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  建設省から警察当局に送付した資料では、八件でございます。
  70. 庄司幸助

    ○庄司委員 その八件の件名について、場所、取引の面積、年月日、売買の相手先、価格、こういったものを話していただきたいと思います。
  71. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  本件につきましては目下検察当局で調査の段階でございますので、具体の内容につきましては説明を御勘弁いただきたいと思います。
  72. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、私から申し上げましょう。東京都新宿区若宮町三一の二、宅地・建物千三百七十一平米、それから二番目は文京区目白台一の三七の一六、これは田中さんの家のわきですね。建物・土地三百十一平米、それから新宿区下落合一の二八八の八、宅地・建物百平米、それから渋谷区鶯谷二八の八、宅地三百七十四平米、それから港区西新橋一の五〇の八、宅地・建物二百三平米、長野県軽井沢町高瀬字愛宕山一二七四、山林・宅地・建物三千三百平米、千葉県八千代市佐山字池ノ下一一七四、山林・原野十一万八千六百七十五平米、それから東京都渋谷区千駄谷三の四、土地百五十二平米、以上八件ですか。
  73. 大富宏

    ○大富政府委員 ただいまお答えいたしましたとおり、八件は事実間違いございませんが、いまお述べになりました個別の問題について、当否については回答を保留させていただきたいと思います。
  74. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうお答えになるだろうと思っていました。しかし、建設省までがこういった、何か守秘義務みたいなことを言って隠し立てする。大蔵省もあのとおり守秘義務ですね。どうも田中さんをかばい続けている。建設省までこうやってぐるになって、何かもうわかっていることをかばい続ける。これは非常に私はけしからぬじゃないかと思うのです。これはあなた方内部で意思統一して、絶対口が裂けても話さないというおつもりでしょうから、これ以上は深追いしませんけれども、これは、私はだれから聞いたと憾言いません、言えば差し支えありますから。ただ、おたくの方の筋から聞いた事例なのです。ですから、これは、そうですとかそうでないとかあなた方言えば、また内部で下々の役人に迷惑がかかりますから、私は、とにかくこの八件はさっき私が挙げた個所であるということは、ひとつ確認して記録にとどめておきます。  それで、建設省、そのほかはないのですか。新星企業について、そのほかはなかったのかあるいは取り調べ中のものがあるのか。それから、そのほか田中関連企業と言われる企業で、調べた結果、もうこの八件以外はないんだと断言できるのかどうか、この点ひとつ伺っておきます。
  75. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  建設省におきましては、宅地建物取引業法の目的としておりますところの消費者保護という観点から、不特定多数の者を相手に宅地の売却行為を行ったと見られる室町産業及び新星企業二社に限りまして、責任者から事情聴取を行ったものでございます。
  76. 庄司幸助

    ○庄司委員 消費者保護の観点、消費者に迷惑をかけたという観点で調べたと言われましたね。これも一つ確認しておきます。消費者に迷惑をかけた。  それで、法務省伺いますが、建設省当局から告発されたのは先ほど挙げられた八件、それは間違いございませんか。
  77. 安原美穂

    ○安原政府委員 検察庁は警視庁から事件の送致を受けておりますが、それによりますと、送致の被疑事実は十五回にわたる宅建業法違反があるという送致事実を受けて、目下捜査中でございます。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 刑事局長、これは建設省からは八件警視庁に告発している。通告ですね。いま十五件と申されましたが、あとの七件はおたくの独自の捜査で出てきた件数ですか。
  79. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほど申し上げましたように、東京地検でいま宅建業法の被疑事実についてどういう認定をしておるかは、捜査中だからお答え申し上げかねると申し上げたのですが、その捜査の基本になっております警視庁からの送致事実によりますと、十五件の宅建業法違反があるということでございます。それを基本にしていま捜査中であるということでございまして、建設省から警視庁へどの程度の違反件数が送致されたかは警視庁に聞かないとわかりませんので、検察庁としては、警視庁から送致を受けた事実をもとにして刑事訴訟法上の捜査をしておるわけでございまして、建設省と警視庁との間でどういうことになったか、ちょっと私ではわかりかねます。
  80. 庄司幸助

    ○庄司委員 建設省、刑事訴訟法の二百三十九条に、「何人でも、犯罪があると思料するときば、告発をすることができる。」「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」一般民間人はすることができる、官公吏はしなければならない、こうなっていますね。そうすると、あなた方は八件だ、あれだけ騒がれながら八件八件、こう言っていて、警視庁が送致したのは十五件だ。差が七件あります。これはあなたの方の怠慢じゃないですか。あなたの方は専門的にこういった問題、不動産局を設けて調べておられなければならないはずですね。その辺でやはり、どうも田中金脈の調査についてはやる気が大蔵省、建設省が少ない、薄いという感じがするのですが、その辺どうですか。
  81. 大富宏

    ○大富政府委員 建設省から警察当局に送付した資料は、新星企業が扱った件数としては十五件送っております。十五件の中で、宅地建物取引業法上疑わしいと目されるのが八件ということでございます。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、これは十五件中クロが八件で、シロが七件だ、そういうふうに解釈していいですか。
  83. 大富宏

    ○大富政府委員 そのとおりでございます。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、その点で十五件、これもあなた方、また、具体的な名前が出ると口にばんそうこうを張ったようになってしまうのですが、先ほど挙げた八件、そのほかにこの十五件というものは、たとえば西多摩郡の瑞穂町殿ケ谷というのですか、この山林三十三ヘクタール、それから千葉県印旛郡四街道中台字鴻ノ巣五、三十一万五千平米、それから千葉県富津市金谷字栗坪二〇〇五の二、いわゆる砲台山、この山林二十五万九千八百九十八平米、それから同じく千葉県の野田市大殿井字孝心四三四の一、山林・原野三十二万九千七百四十二平米、それから埼玉県上尾市西貝塚の宅地、それから港区赤坂五丁目の北斗ビル、それから新潟県の鳥屋野潟、東京新宿区神楽坂の松ケ枝、東京文京区関口二の二の七の土地、それから静岡県御殿場の原野四千百二十四平米。これは合計で十八件ですが、十五ですから、今度は逆に聞きますが、このうち何々が抜けますか。なかなか答えないから。これなら言えるでしょう。
  85. 大富宏

    ○大富政府委員 先ほど答弁いたしましたとおり、建設省から警察庁当局に送付いたしました資料は十五件でございます。ただいま先生がお読みいただいたのはそれより件数が上回るものでございますから、上回る分につきましては警察庁独自で調査した件数だと思いますが、どの件数がオーバーしているかということは、考え方を申し述べるのは控えたいと思います。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 法務省伺いますが、いま私、十八件挙げました、先ほどの八つも含めて。こういった十八件については捜査の対象になっていますか。
  87. 安原美穂

    ○安原政府委員 先ほどから十八とか十五とかという数字があって、よくわからなくて、はなはだ恐縮でございますが、私ども報告を受けているところでは、警視庁から十五件の宅建業法違反の事件の送致を受けて捜査中であるというふうに聞いております。その結果何件になるかはこれからの捜査の結果でございまして、いまから申し上げるわけにはまいりません。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 なかなかガードがかたくて攻めにくいわけですが……。  それでは国税庁伺いますが、いま十八件——私、前に言った八件とともに読み上げたのが十八件ですが、五月七日に当決算委員会に国税庁から御報告いただきました。この御報告の中で、いま読み上げた十八件について、どこどこを調査なすったのか、あるいはまた、どことどこを調査してないのか、この辺ひとつ御説明願いたいと思います。
  89. 渡邊喜一

    ○渡邊(喜)政府委員 ただいま先生のお読み上げになりました十八件につきましては、私ども調査の過程におきましてすべてを一応承知した上で調査を行っております。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 すべてを承知した上で……。ですから、承知したのは承知しました。しかし、承知した上でどこどこをお調べになったのか。承知だけしたって、調べなければだめですから、どこどこを調べたのか、あるいはどことどこが調べから抜けているのか、どっちでもいいですから、答えてください。
  91. 渡邊喜一

    ○渡邊(喜)政府委員 承知した上でと申し上げましたのは、そういうものを全部踏まえた上で適正な税務処理をしたという趣旨でございます。特にそういう表現を使いましたのは、非常に古い取引というふうなものはすでに課税権が及ばないものもございますし、また、特に新しい、最近の取引につきましてはこれから調査を行うというものもございます。いずれにいたしましても、今度の再調査の対象となりましたものにつきましては、すべてについて調査を行い、適正な税務処理を行ったということでございます。
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは、きのうの決算委員会の増本委員に対する国税局の答弁でも、新しい疑いの事実があれば調べる、こういう御答弁だったですから、それはそのとおりに理解していいですね。
  93. 渡邊喜一

    ○渡邊(喜)政府委員 昨日も御答弁申し上げましたように、現在のところ、われわれがさらに再調査をするというふうな新しい資料は何もないというふうに考えております。今後、われわれが全然把握していないような新しい取引事実というものが出てくれば、当然それらは再調査の対象になるということでございます。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、おたくが調べられたかどうか、あるいは調べても見逃している可能性があるものを私がいまから読み上げますから、その点についてひとつ再調査の対象にしてもらいたいのです。  一つは、東京都新宿区下落合一の二八八の八、宅地・建物百平米、これが新星企業から新飯田美津男という人のところに所有権が移転されていますが、これが九百五十万円で取引されたと言われております。これは大体三十坪ですから、あの辺、坪三百万ぐらいに見積もっても約一億円ぐらいの、土地だけの値段です。それが建物込みで九百五十万円。これは調べておられたなら調べた、違法はなかったとおっしゃるならそういうふうに答えてもらいたいし、少なくとも、こういう一億円ぐらいのものが九百五十万円ぐらいで売られたとすれば、これはあとの分は贈与税の対象か何か、そういうものにならざるを得ないのじゃないか、こう私は思うわけです。  それから二番目は、渋谷区鶯谷二八の八、これはきのうの委員会で増本委員もちょっと触れておりますが、これは私どもがちゃんと登記もとってあります。これから見ると、明らかに新星企業が介在しているわけです。これは、松本さんの話あるいはまた竹中不動産の話を聞いても、介在している節が十分に見られるわけです。しかも、松本さんが一遍口をかけた、渋谷区鷲谷一八の五、日下不動産株式会社、高橋秀典さん、この方に直接お話ししてみると、こういう話になっておるのです。松本亨、この方から土地を売ってくれと頼まれ、坪三十七万円で話がついた。その後、九月十日ごろ、松本氏の会社の常務と総務課長が訪ねてきて、社長の松本氏と田中角榮さんの直取引であの土地を売ることになったので、前の話は御破算にしてくれと言ってきた。私はもう広告料など三十万円ぐらい使ってしまい、被害者ですよと言っています。あの土地は角さんの会社が買い——角さんというのは田中角榮さんですね。竹中へ渡ったと聞いたが、いまも更地で草が生えておる、こういうことまでおっしゃってくれました。その辺、角番記者の日記なんかを調べてみますと、どうもゴルフに行っていた話が出てくるのですが、八月二十四日から二十九日まで箱根宮ノ下で静養なさって、二十八日には一日じゅうゴルフをなさっていますね。だから、こういう松本さんの話や高橋さんの話、符節が合うわけなんですね。だから、この辺ひとつどうなのか調べてもらいたい。  それから、港区西新橋一の五〇の八、宅地・建物二百三平米、これは川上土地から共和不動産、四十九年の二月ですが、そして最終的には日本合成ゴムに帰属しておりますが、ところがこれも——これは「現代」に出ておりますが、立花さんの話では、川上土地から大林に入って、大林から新星が中に入って、そして共和不動産に流れて、熊谷組に流れた、こういうお話を承っております。その際、二億一千万円ぐらい、新星が手数料を取っているというお話です。  それから瑞穂町、これはもう一々番地を申し上げません、さっき申し上げましたから。瑞穂町の事例だと、三協物産から日本電建に渡る際、新星企業が介入して手数料約一億円取っていると言われております。  それから軽井沢の愛宕山の例ですが、これも四十七年の七月、新星から東京ニューハウス、そして中西さんに流れた。この経緯がやはり疑問があるわけです。  それから千葉県の八千代の問題、これはすでにわが党の柴田議員が取り上げた問題ですが、これも新星が介入している。  それから印旛郡の四ツ街道、同じ千葉県ですが、これは最終が新星、こうなっておりますが、ここでもやはり所得があるらしいと言われております。  それから富津市の砲台山、これも非常に奇々怪径な事件だと、これは立花さんがおっしゃっておりますが、富洋物産が九億八千万円で東産業から買ったのが四十八年四月、この富洋物産から輝伸興産へ十二億円で売られて、そして四十八年の四月、新星企業に十五億七千万円で売られている。そして、これから四カ月後に今度は日本電建ですか、国際興業ですか、富津の市役所に宅地開発の許可申請をやっております。これは新星から国際興業に売られた可能性もあるわけです。しかも、富洋物産から輝伸興産にいったのが四十八年の四月十一日ですが、この同じ日に富洋物産は東産業から買う。同じ日に輝伸興産に移る。同じ日に新星に移っている。こうやって六億円ぐらい、土地転がしによってそれぞれがもうけているという実態があるのです。これは登記簿にちゃんと出ているのですね。しかも奇怪なのは、この輝伸興産というのは、私が東京の建設局で調べてみたら、宅地建物取引業の登録はされておりません。これは東京都港区赤坂六丁目十五番十四号、社長さんは、代表取締役木倉功さん。これは何か赤坂に非常に有名なバーか何かがあって、エル・モロッコといいましたかね、ここの隣らしいのですが、これが宅地建物取引業法の届け出をやっていない。しかも、会社の目的には何と書いてあるかというと、「一、土地建物の売買並びに其の仲介 二、土地家屋の調査鑑定並びに測量 三、前各号に附帯する一切の業務」こうなっていますが、これなんかは新たな一つの宅建業法違反ですね。しかも、たった数分か数時間で転がして、輝伸興産が二億二千万円もうけているわけです。新星もやはり数分か数時間で、同じこの富津の登記所かどこかで三億七千万ぐらいもうけている、こういう話です。  野田の例もあるのです。ここでも新星が、松井商事と日本電建の間に介在して手数料一億二千万ぐらい取ったようだ、こう言われているのです。  こういう幾つかの事例を挙げました。こういうことは大蔵省、一体、あなた方が五月七日に発表したあの文書ですね、あの中で調べ済みの問題なのか。こういう私が挙げたような所得ですね、これがちゃんと帳簿に記載されて正確に申告されていたのかどうか、この辺どうなんですか。
  95. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  五月七日の当委員会におきまする磯辺国税庁次長の答弁にございましたように、いま御指摘のございました取引につきましては、すべて私ども踏まえた上で課税しておるわけでございますが、それにつきましては、売買価格が適正であるかどうかという点につきましても検討いたしておりまして、磯辺次長が当日報告いたしましたごとく、近傍類似地の売買実例価格、税務署の見込み時価額等と比較検討いたしまして、適正な処理をいたしておるわけでございます。ただ、先ほど渡邊調査部長が申し上げましたように、すべての御指摘の取引につきまして会社計算に計上されておるということでございますけれども、ごく最近の、たとえば鷲谷の件につきましては、計上されておりますが、調査年分ではございませんので、問題があればこれから調査をする、こういうことになっております。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 千葉県富津の砲台山の一件、これは適正に課税されたのかどうか。私が具体的な数字一つ挙げました。それに基づいて適正に課税されたのかどうか、これをお答え願います。
  97. 横井正美

    ○横井政府委員 ただいま御指摘の件につきましても、会社の計算に計上されておりますし、私どもも検討いたしまして適正な処理をいたしております。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、あなた方適正に処理したと言われて、きのうどなたかから、それじゃ一体何ぼぐらいだったのだ、田中角榮個人については何ぼだったのだ、それから新星企業については何ぼ一体更正決定したのか、あるいは修正申告を受けたのか、そこのところが明らかにならないと、この疑惑は晴れないのです。だから、その点で、たとえば一億円台であったとか二億円台であったとかあるいは五億円台であったとか、そういうことを言ってもらわないと、いや、二、三千万円で済んだのじゃないか、こういう国民の疑いが晴れないわけです。その辺、話せませんか。
  99. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  取引の内容にわたりますことにつきましては、毎度申し上げて恐縮でございますが、御容赦いただきたいと思いますが、それぞれ調査いたしまして処理をいたしてございます。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 どうもわかりませんね、これは。  それで、会計検査院来ていますね。この間、三月十九日の参議院の予算委員会で、おたくの白石会計検査院長はほぼこういうことを言っています。田中金脈をめぐる国税庁当局の税務運営について、内部資料を検討した結果、課税漏れと思われる数項目を発見した、修正申告が十九日には会計検査院に提出されるので、これらの点が是正されているかどうか本格的に検討したいと答弁されております。この検討をされておりますか。
  101. 高橋保司

    ○高橋会計検査説明員 検討いたしました。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 どういうふうに検討しました、具体的な内容を。
  103. 高橋保司

    ○高橋会計検査説明員 それでは申し上げます。  院長から申し上げた、課税上疑問のある点でございますが、それは配当所得に関する問題、中身は計上漏れであるとか帰属者の誤謬、それから土地の譲渡に関する問題、これは年分の違いであるとかあるいは低額譲渡であるとか、所得区分の違いとか、それから株式の取得に関する問題あるいは土地利用に関する問題、その他不動産所得の計算の問題、それから法人につきましては受け取り配当、受け取り利息、留保金課税、それから損金に計上いたしました法人税なり都民税なりの計上間違い、貸し倒れの経理の間違い、それから支払い手数料の経理の間違い、このようなものを、私ども資料をいろいろ収集する過程におきまして指摘しておったわけですが、三月の十四日に修正申告が出されましたし、それから法人税につきましては五月の十五日に更正の処理が行われたわけですが、その更正の処理並びに修正申告の段階で、私どもが事前に指摘しておりました事態はすべて是正されておりました。  以上でございます。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 会計検査院、それは、修正申告に基づいてそれを調査したというだけのことですね。そうですか。
  105. 高橋保司

    ○高橋会計検査説明員 そうではなくて、私ども昨年の十月以降、いろいろ内部資料なり、あるいは国税庁に対しまして数次にわたって資料の要求などをいたしまして、当初の関連法人なり田中さん並びに田中さんが関連する個人の所得税、法人税、贈与税関係が適正であったかどうかということをずっと調査をしてまいったわけでございますが、その調査の過程で私どもも、こういう点に疑問があり、かつ誤りがあったではないかというようなことを指摘しておったわけですが、その指摘を基礎にいたしまして、先ほど申し上げましたように、三月十四日に所得税につきましては修正申告が出され、法人税につきましては五月十五日に更正の処理がなされたわけでありまして、そのような処理がなされた段階で東京国税局並びに関東信越国税局に参りまして、いわゆる私どもの言葉で申します実地検査をいたしました。その実地検査のときには、すでにそういう事前に指摘しておった点が直されておったという次第でございます。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは検査院の不当事項にはあるいは記載しないでしょうが、指摘した事項とか何かありますね、ああいうものには載りますか。
  107. 高橋保司

    ○高橋会計検査説明員 結論的には、載らないものでございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは結局、これは具体的なものは何一つわからないまま、あなた方がただ調べて妥当であったというだけで終わってしまうのですね。つまり、守秘義務の壁のもとでやみからやみに葬り去られる、こういうことになっちゃうわけです。これでは全然納得いきません。  それで、法務省の刑事局長さんにお伺いしますが、これは一般論で言いますが、特別背任というのは、Aという企業があって、このA企業がB企業に身売りをした、これは株の取得をやっていわゆる役員が入れかわる、これは身売りと一応表現しておきますが、その際、このA企業の資産内容がもぬけのからだったといった場合、これはB企業の方に特別背任がかかるのか、あるいはそのもぬけのからを売ったA企業にかかるのか、A企業の方はもぬけのからを売ったのだから詐欺罪になるのか、それからA企業はもぬけのからにした内容、これをどこかへ流したといえば、これは特別背任になるだろうと思うのですが、さっき言ったA企業とB企業の関係で特別背任が成立するとすれば、どちらに成立するのですか。
  109. 安原美穂

    ○安原政府委員 商法の特別背任罪の規定は御案内と思いますけれども、会社の役員等が自己または第三者の利益を図る目的をもちまして、その代表取締役なら取締役の任務に背いて、当該、代表取締役をしておる会社に損害を与えるというのが構成要件になっておりますから、いまのB会社の代表取締役が自己または第三者の利益を図るために、何ら資産内容のないもぬけの会社なり企業なりの譲り受けを受けたということであれば背任になるということになろうかと思います。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、新聞の報道によりますと、国際興業の小佐野栄さん、これが検察庁に呼ばれたと報道されております。それから新星企業の山田泰司さんはとうに呼ばれている。この場合、国際興業が呼ばれたのは、宅建業法違反の問題で呼ばれたのかあるいは特別背任の問題で呼ばれたのか。それから山田泰司さんが呼ばれたのは、宅建業法違反の疑いだけで呼ばれたのかあるいは特別背任で呼ばれたのか、この辺いかがなものでしょうか。
  111. 安原美穂

    ○安原政府委員 これはまた、先ほどからたびたび申し上げておりますように、警察から送致を受けました宅建業法違反の罪で検察庁が捜査中であることは申し上げたとおりでございまして、そのほかの犯罪の嫌疑を抱いているかどうかというようなことは、現在宅建業法違反の捜査中でございまして、恐らく、その過程で何らかの嫌疑を抱いたら、検察庁のことでございますから当然に捜査をしておると思いますが、その点については何ら報告を受けておりませんし、報告を受けましても、捜査中のことでございますから申し上げるわけにもいかない事柄でございます。  ただ、先ほどの山田取締役は、宅建業法違反の被疑者として送致を受けておりますから、当然、宅建業法の関係では被疑者として取り調べを受けたものと思います。御指摘の小佐野さんが調べを受けたかどうか承知をいたしておりませんが、推測から言えば、新星企業の有力な株主が国際興業でございますから、そういう会社の実態等の関係で何らかの事情を聞いたのかもしれませんが、これも私の推測でございます。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に、時間も来ましたので、法務大臣伺いますが、いまお聞きになって、確かに検察当局が捜査中の問題を一々発表するわけにはまいらない、その間の事情も若干わかりますけれども、いま国民の関心はまさにこの点にかかっているわけです。あの新星企業あるいは田中関連企業とそれから国際興業との関係、この宅建業法違反に端を発して特別背任の問題、これは新聞もテレビも一斉に関心を示しておりますし、それから国民もまた、そこに関心を示しているわけです。われわれは、今国会をもって田中金脈に対する追及打ち切りなどという考えはさらさらございません。これは次の国会でも当然追及さるべき問題でありますし、また三木総理も、総理就任以前、この田中金脈の問題については国会で解明するとはっきりおっしゃっているわけです。そういう点で、法務大臣としてひとつ検察当局を厳正に指導監督なすって、国民の疑惑の目を一点でも晴らされるように、ぜひこの疑惑を晴らすように努力をしていただきたいと思うのですが、ひとつ最後に法務大臣から伺って、終わりたいと思います。
  113. 井原岸高

    井原委員長 ちょっと法務大臣に申し上げます。が、さっき御答弁漏れがあったようでございますので、あわせてそれもひとつ御答弁いただきたいと思います。
  114. 稻葉修

    稻葉国務大臣 ただいまの問題からお答え申し上げますが、法務大臣には検察当局を一般的に指揮する権限はありますが、特定の具体的事件についてああせい、こうせいという指揮権はないわけであります。したがいまして、私が先ほど申し上げましたとおり、わが検察庁は、厳正公正に捜査を進めていると信じております。これが、ただいまの御質問に対する私の答弁であります。  それから、まことに恐縮ですが、先ほど、指揮権発動に関する庄司委員の御質疑中それに対する私の答弁の中で、検事総長、検事長を私が任命したと申しましたのは間違いですので訂正させていただきます。正確を期するために訂正文を朗読いたします。  私の法務大臣就任後、検察庁法第十五条に従い内閣が任命し、天皇の認証をいただいたものであります。こう訂正させていただきます。  以上です。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま法務大臣に訂正してもらったのですが、それを私も最後に御指摘しようと思ったのです。  いまの御答弁でもう一つ、ちょっとおかしな御答弁があったので伺っておきますが、法務大臣の指揮監督権については検察庁法の十四条に定めてありますが、「法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。」こうなっていますね。「但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」だから、個々の事件については検事総長を経由して指揮監督できるわけなんです。その点、法務大臣は御答弁間違っておられるようですから、もう一遍取り消しをお願いします。
  116. 稻葉修

    稻葉国務大臣 先生のおっしゃったのが正確でございます。ただ、伝統的に、具体的事案については検事総長を通じてでも余り指揮監督をしないで、信頼してこれに任せるというふうにやってきておりますものですから、先ほど申し上げましたように、検事総長を通じての個々の事件についての指揮権はございますけれども、それを行使することなく、信頼をして、きっと厳正公正な捜査をやっている、こう信じ、近く結論が出るという先ほどの刑事局長の答弁でありますから、それを期待して待っているというふうに答弁をいたします。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  118. 井原岸高

    井原委員長 坂井弘一君。
  119. 坂井弘一

    ○坂井委員 大都市等にあります刑務所等の施設を郊外に移転いたしまして、その跡地を有効利用しようということでもちまして、新都市開発センター株式会社との間で契約を締結いたしまして、つまり新設の施設をセンター側に提供さしまして、一方、法務省が持っております、国が持っておりますところの既設の土地や建物をその反対物として払い下げる、つまり交換するわけでありますが、その交換物件問の差額がございますね、差額につきましてはセンターの方から国の方へ支払う、こういうことになっているようでありますが、まず冒頭、お尋ねをしておきたいと思います。  四十七年度決算とのからみでお尋ねをいたしますが、四十七年度以降のその差額支払いの延納契約分の支払い、これはどうなっておるでしょうか。その額のみについて御説明をいただきたいと思います。
  120. 水原敏博

    ○水原説明員 御説明申し上げます。  延納の第一回分が、四十七年三月二十日が納付期限でございまして、三月十八日に延納代金及び延納利息分を合わせました一億六千二百六十万二千七百三十九円が国庫に納入されております。続きまして第二回延納分は、翌四十八年三月二十日が納付期限でございました。その納付期限である三月二十日に延納代金及び延納利息分合計一億五千二百九十五万円が、これまた国庫に納入されております。三回目は、昭和四十九年三月二十日が納付期限でございまして、これまた同日付で、延納代金及び延納利息分合計一億四千二百九十七万五千円がいずれも間違いなく国庫に納入されております。
  121. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  法務省ではこの巣鴨拘置所、この土地、建物等の国有財産でございますが、これを、いま申しました新都市開発センター株式会社に払い下げをした、そのかわりに岡山、旭川、川越及び栃木県の黒羽、ここでこの刑務所等の施設を取得して今日に至っております。御承知のとおりでありますが、この契約の概要及びこの交換の経過の概要概要で結構でございますが、御説明いただきたいと思います。
  122. 水原敏博

    ○水原説明員 順序といたしまして、建築交換契約を締結いたしましたいきさつから御説明さしていただきたいと思います。  巣鴨に当時ございました、その当時、その前には通称巣鴨プリズンとも呼ばれておりました東京拘置所、これが池袋副都心整備計画の上に邪魔になる、そこでその池袋副都心整備計画を推進する上にこの拘置所は早期に他へ移転すべきであるということが、昭和三十三年の二月二十一日の閣議了解で認められたのでございます。  そこで、法務省といたしましては、その閣議了解を体しまして移転方法を検討いたしました。移転といいましても、あれだけの施設を他に移すわけでございますので、この敷地及び建物、立木等国有財産を、この跡地を副都心整備計画を推進する上に最も適当な相手方に有償処分をいたしまして、その代替建物を整備するのが閣議了解の御趣旨であろう、そのように理解いたしました。その相手方といたしましては、副都心の整備計画を推進するには東京都が最も適当な相手であろう、このような判断に立って、法務省といたしましては東京都に対して右の計画を申し入れ、そしてこの土地、建物の有償取得の御依頼をいたしたわけでございます。  何回にもわたりまして要請をいたしましたが、昭和三十九年だったと思いますが、東京都から、財政上の理由法務省の要請を受け入れることは困難である、そこで、この土地の跡地を副都心の再開発計画を推進することのできる民間団体にでも払い下げることはやむを得ないという御回答をいただきました。  法務省といたしましては、でき得ることならばやはり公共団体あるいはこれに準じたところにお買い上げいただきたいという考えに立ちまして、もう一度文書による照会を都に対していたしたわけでございます。このときも同じような回答でございました。財政上困難であるということでございました。  私の伺っておるところでは、その際に東京都を介しまして、株式会社新都市開発センターというものが設立された、その会社は自動車ターミナル事業免許、都市計画事業の特許を得ておるということでございまして、この会社ならばというお話があったやに伺っております。  この会社は、調べてみますと、高速道路五号線の出入り口、いわゆるインターチェンジ、これの特許、それから西巣鴨公共駐車場及び西巣鴨バスターミナルの事業免許を得ておるということがわかりました。ここならば公共性も認めら外窄すし、また会社の役員等を調べました結果、言用度の厚い方々で構成されておることがわかりました。都がそのように、再三の法務省のお願いにもかかわらず、財政上の理由で買い上げが困難だとなりますならば、できるだけ早期に拘置所の移転をせよという閣議了解の趣旨にのっとるならば、この際、この池袋再開発のために新都市開発センターを相手とする建築交換契約がよかろう、このような判断に立ったわけでございます。  そのようないきさつで、新都市開発センターを建築交換の相手方にいたしまして、その後交渉いたしました結果、先ほど先生御指摘のとおり、巣鴨にございます東京拘置所の敷地、建物、立木等を処分し、その処分して国庫に入ります金で見合う建物を整備するとしたならばどこが整備できるだろうかということでいろいろ検討しましたところ、まず、移転先であるところの小菅刑務所に東京拘置所を整備しなければならない、それから小菅に収容しております受刑者をほかへ移さなければいけないのでその新設刑務所の設置が必要である、その新設刑務所の設置を新都市開発と交渉いたしました結果、青梅につくるという話でございました。それだけでは財源が余りますために、先生も御案内のとおり、法務省収容施設は大変老朽いたし、狭隘でございますので、この際の予算の余り分で岡山の刑務所、それから旭川の刑務所、それから川越少年刑務所、それと浦和の拘置支所、以上をそれぞれ整備させていただくことになりました。協議相調ったので、昭和四十一年度の国庫債務負担行為の御承認を国会でいただきまして、それに基づいて昭和四十二年の二月二十七日に、いま申しました巣鴨にございます拘置所の土地、建物を新都市開発に公共事業を実施させることを条件に売り払い、そしてそのかわりに、その売り払い代金に見合う、先ほど申しました諸施設を建てて、そして国が購入する、こういう契約を締結することになったわけでございます。  ところが、四十二年の二月の時点では、青梅に小菅刑務所にかわるべき、その当時仮称多摩刑務所と呼んでおったようでございますが、多摩刑務所を四十三年の十二月三十一日までに完成するという約束でございましたが、これが諸般の事情で実施が困難になりました。その後センターの方から、仮称多摩刑務所は栃木県の黒羽地区に移したい、そのための契約更改をお願いしたいという申し入れがございました。詳細の説明は省かせていただきますが、検討いたしました結果、黒羽地区の地域住民及び公共団体等が刑務所の受け入れに賛同しているという事情もわかりましたために、ここならば間違いなく、契約を更改しても所期の目的を達成することができるであろう、このような判断に立って、昭和四十四年の七月に多摩刑務所分だけを抽出いたしまして、そして契約更改をし、四十六年四月七日までにすべての建物の完成を見、国はそれを購入いたし、そして国の持っておった旧東京拘置所をセンターに売り払ったといういきさつでございます。
  123. 坂井弘一

    ○坂井委員 大変丁寧に御説明をいただきました。巣鴨の拘置所、つまり東京拘置所、敷地が二万坪になんなんといたしております。払い下げられた坪数は一万六千五百余り、払い下げの相手は、御説明をいただいております新都市開発センター株式会社、資本金が八十九億であります。つまりこの会社は、この拘置所の跡地の払い下げを受けるために設立をされた会社である。民間会社であります。しかも、開発を主体としました民間デベロッパーということであります。  いま御説明をいただいております中で、小菅刑務所を拘置所に改めることによって代替施設が必要となった、仮称多摩刑務所、これは青梅でございますが、ここに設置を予定したのですが、これができくなった。それで栃木県の黒羽の方へ行ってしまった。契約書を見ますと第四条には、ここに多摩刑務所(仮称)をつくるんだということでもって契約が交わされたわけですね。この最初の契約は、実はいまの御説明では、諸般の事情によってこの多摩につくることができなくなった、契約を変更いたしまして栃木県の方へ行ったと、まあこういうわけであります。諸般の事情とは一体いかなる事情でしょうか。実は、多摩刑務所の予定いたしましたこの用地は西武鉄道が持たれておった。社長さんは堤さんであります。しかもこの堤さんは、新都市開発センターの監査役であります。同社の土地取得が不可能になったということは、これはちょっと常識的には判断できない。諸般の事情とは何でしょうか、一口でおっしゃってください。
  124. 水原敏博

    ○水原説明員 先生御指摘のとおり、移転候補地として決められておりました青梅の予定地は、調べてみますと西武鉄道が大部分取得しておった土地でございました。ところが、そこに刑務所を持ってくるということが付近住民に知れ渡りまして、その付近住民の反対がございました。新都市開発センターでは極力、地域住民の了解を得るべく説得に努めたようでございますけれども、結果は説得が得られなくて、そこに刑務所を新設することができなくなったといういきさつでございます。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の方からも簡単に申し上げましょう。契約当時において、すでにこの多摩地区は、ここに刑務所が来るということについては反対であった。そういう中で契約が交わされた。案の定、後で説得をしようとしてもできない。だからできなかった。結果的には栃木県の黒羽の方へ行かざるを得なくなった。非常に短絡して申し上げました。  実はこの内容等について、ここでつぶさに議論をしようとは思いません。しかし、いずれにもせよ、当初の契約が契約どおりいかなかったということは事実でございますし、しかもこの建設が二年余りもおくれた、このことも事実であります。たとえて言いますと、商取引の場合に納品期限が二年おくれた、そういう事態が生じた、引き渡しの期限が著しく遅延した、こうした場合、この契約を見ますと、明らかに契約条項違反だと思います。二十四条にちゃんと明記されておる。なぜ契約違反、この条項を適用されなかったのか、これもひとつ簡単にお答えいただきたい。
  126. 水原敏博

    ○水原説明員 私が承知いたしております事情は、最初に昭和四十二年の二月に新都市開発を相手に建築交換契約を締結した際は、まだ地域住民の反対がなかったように承知いたしております。その段階では西武鉄道の土地でございましたために、当然そこに刑務所が容易にできるものだと、このような認識の上に立って契約を締結したと承知いたしております。当時まだ、刑務所の移転に関して地域住民からの受け入れ反対という運動が、さほど大きな運動として起こっておらなかったときでございました。法務省としても、西武鉄道がすでに取得済みの土地でございましたので、当然そこに建てられるものだと思って契約を締結したところ、御指摘のとおり地域住民の反対がございましたために、約束の工期であるところの四十三年十二月三十一日までには多摩刑務所が建設できなかったわけでございます。  この事実は、この契約の約束をセンターが履行しておりません。事実でございます。また国側といたしましても、期日までに刑務所ができなかった、移転できなかったということにつきまして何らかの損害があったことは認めなければなりませんが、その損害額を計算することはきわめて困難でございます。と申しますのは、現実にまだ単鴨には東京拘置所がございます。それから小菅には小菅刑務所があって、それぞれの運用を、事業運営をいたしております。何がしかの、またどのような形かの損害があったということは認めざるを得ませんけれども、いま申しますように損害額の算出がきわめて困難であったということが一つと、それから、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、地域住民の受け入れ反対という、当時といたしましては予期いたしておらなかった事態によって約束の履行ができなかった。そのような場合に、センター側に責任を追及することの立証が大変困難だという事情もございます。それに加えまして、センターからは、困難となったということがわかって、早速法務省の方に契約の変更の申し入れをしてまいりました。黒羽に代替地を求められる、そのところは地域住民の了解も得られたという、青梅に移せなかったことに対する責任と、これにかわるべき土地を誠意を持って探した、それらの事情を勘案いたしまして、国といたしましては、先生御指摘のように、二十四条に基づく損害賠償の請求をいたさなかったわけでございます。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 ここは地元は反対であったということを、私はあえて申し上げました。それまで、ここに刑務所が建つというようなことは言っていないのでしょう。しかも、何と言っているかというと、西武はこの土地を入手するに当たって、公園にいたしますと、——あなた方御存じでしょう。公園にしますと言って買っているのですよ。そして、今度は公園ができるんだろうかと思ったら、いや、実はここに刑務所が建ちます。公園が刑務所になったのです。反対するのはあたりまえじゃありませんか。都市開発センターは百も承知しながらこういう契約を結んでおる。こんなでたらめな話はないじゃありませんかということを私は申し上げているわけです。  したがって、二十四条「丙は、」丙というのは都市開発センターですね。「本契約に定める義務を履行しないため、甲及び乙に」いずれも国であります。「損害を与えたときは、その損害に相当する金額を損害賠償として甲又は乙に支払わなければならない。」これはこういうやり方で契約をして、ここにできなくなった、これは当然のこととして契約違反ですよ。だから、賠償請求の権利は国に、当然のこと、あるわけだ。いまいろいろと事情を聞きました。理由を聞かしていただきましたが、理由になりませんね。そういうことでもって賠償請求しない。しかも、場所が変わって栃木県まで行ってしまって、二年もおくれてようやくでき上がった。実際、国はこれで損害があったのでしょう。国は損害を受けたでしょう。どうですか。その国が受けた損害をどう認識されておりますか。
  128. 水原敏博

    ○水原説明員 先ほども説明申し上げましたとおり、移転予定時期に移転できなかったこと、これによって国としては何らかの形の損害があったと思うわけでございますけれども現実に東京拘置所も、それから小菅の刑務所も、収容業務を問題なく継続いたしておりまして、具体的にどのような損害があったのか、また、その損害が金額が幾らであったのかということを算出するのがきわめてむずかしい事案でございます。この点はひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務省さんですから、もっと厳然としてもらいたい。損害はあるのですね。算出する基準も非常にむずかしい。確かにむずかしい面はあろうと思う。しょうと思えばできないこともない。先ほど、二年間遅くなった、この間小菅刑務所を使うというようなこともあるということで、ある意味では実害がないのではないかというような判断もあったのではないかというように聞こえるわけですけれども、私、先ほど商品取引の例でもって申し上げましたけれども、それならば、商品の納期が二年おくれた、納期がおくれたけれども、うちには在庫品がございます、ですから特別商売には差し支えございませんでした、したがって実損はございませんと言うに等しいこれは論議ですね。そんなようなことでもって、契約の中で幾ら麗々しく罰則規定を設けてみても、これは意味をなさぬじゃありませんか。  私は当初から、この都市開発センターについては相当無理があると実は見ております。これからおいおい申し上げましょう。そういう形の中で、余りにもセンターの方に顔を向けたようなそういう形が出てきますと、はなはだぐあいが悪いんではないかということを実は言いたいわけであります。ですから、あえて言えば、この多摩の刑務所、青梅の方がだめになった。しかし、そのことについて国がセンター側の責任を追及できない。契約の中でははっきり契約違反ですからできるんだけれども、できない。何かできないような事情があるんだろうか、そういう実は感じすらするわけであります。もともと、この三多摩の青梅を新設個所の適地としたわけでしょう。だから契約があったわけですね。ところが、小菅という東京地域から、栃木県まではるばる転出をせざるを得ない。青梅がだめになってはるか栃木県に持ってきたということになりますと、青梅の適性には当然私は劣ると思う。だから、何も損がない、一切損はないということは言えないのではないか。適性の問題からしまして、その辺はどうお考えになっておりますか。
  130. 水原敏博

    ○水原説明員 私が御説明申し上げておるのは、損害につきましては何がしかの損害があったと思います。しかし、その損害額を算出するのはきわめてむずかしい問題がございます。その点を御説明申し上げておりますので、決して損害をこうむっていないというふうには御説明いたしておらないわけでございます。なかなかそういう件で、それじゃ具体的に損害賠償をするのに金額がどれだけあったのか、どのような損害があったのか、これを金銭に換算するとしたならばどういうことになるのかということの計算が大変むずかしい、このように説明申し上げておるので、御了解いただきたいと思います。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 損害を受けました、受けましたけれども、まあいたし方ございませんというに等しい損害というような認識だ。それが困るじゃないかということを実は私は申し上げたい。なぜそのようなことになるかというと、やはり国とこのセンターが非常に特殊な関係線にあるのではないか。実は役員名簿を手にいたしました。名だたる方々ばかりであります。特に日本開発銀行から、この都市開発センターの執行部と申しますか、取締役、執行関係が、会長を除きまして八名おりますが、八名の中で三名まで日本開発銀行から、言うなれば天下った方ですね。御存じでしたらば、この三人、明らかにしてください。
  132. 水原敏博

    ○水原説明員 これは設立当初から相当の役員の変動がございます。先生の御指摘は現在の役員のことかと思いますので、それを踏まえまして説明させていただきます。  私どもの手元にあります資料では、代表取締役社長の太田信氏、それから常務取締役の小野胖氏、取締役企画部長の木原康氏、以上の三名でございます。
  133. 坂井弘一

    ○坂井委員 ここに日本開発銀行から多額の融資がございますが、法務省は、どれくらい融資されているか掌握されていらっしゃいますか、おわかりでしたら……。
  134. 水原敏博

    ○水原説明員 その点については定かな資料を持っておりませんので、正確なものは把握いたしておりません。
  135. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、大蔵省に御出席いただいておりますので、今日までどれくらい融資をされておりますかお答えいただきたいと思います。
  136. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 お話の融資金額は、今日まで残高として百三十億円でございまして、四十八年三月以降三回にわたって融資されております。
  137. 坂井弘一

    ○坂井委員 現在まで百三十億、国に返った金はまだ一億もないようであります。四十八年に四十億、四十九年に六十億、五十年に三十億、合わせますと百三十億、つまり百三十億という持参金つきの天下り。事実、先ほどお示しいただきました開発銀行の三名の方が、この都市開発センターの役員であります。この都市開発センター株式会社が借り入れております借入金の総額を見てみますと、二百三十一億六千万円、したがって、この半分が開銀の融資であります。他の半分、五〇%は興業銀行外二十一行でもって、総額二百三十一億六千万円の借入金がございます。いずれにもせよ、半分、開発銀行が融資をしておる。これもこの会社の一つの性格を物語るものでしょうが、いずれにもせよ、国との非常に深い結びつき、つながりということは、この融資の関係あるいは人事の関係をもっても、これは事実の問題として容易に、きわめて特殊な関係にあるということは言い得ると思うのですね。  そういうこともひとつ踏まえていただきまして、さらにお尋ねをいたしますが、この巣鴨のいわゆる東京拘置所、ここは非常にいい場所でございまして、池袋駅前の商業地域であります。これが払い下げられた価格が、四十四年の際には十一万三千三百十円、その前の四十二年の時点では八万五千四百四十九円。たとえば四十四年の時点の十一万三千三百十円、これは非常に安いように思いますが、これを算定されました基準、根拠はどこに求められたんでしょうか。
  138. 水原敏博

    ○水原説明員 実は、先生、天下りの役員が大変多いと、こういう御指摘でございますが、現実は、先刻御説明申し上げたように三名の方が開銀から参っております。しかし、設立当初の役員の中には、そのような関係の役職員はおりませんでした。  それからもう一つ法務省とセンターとの間に、あるいは国とセンターとの間に深い関係があるのではないかという御質問がございますが、これは一切そのような事実はございませんので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。  いま御指摘の価格でございますが、先生の御明示いただきました金額は、これは一平方メートル当たりの金額かと了解いたしております。昭和四十二年の契約時点は一平方メートル当たり、お述べになりました八万五千四百四十九円でございました。四十四年では一平方メートル当たり十一万三千三百十円でございます。この算出の根拠でございますけれども、国有財産の売り払いの際には、民間精通者の鑑定を数社から徴します。そして、その鑑定結果に基づきまして関係財務局の鑑定官が評価いたしまして価格を算出するのでございます。本件もその方法にのっとった適正な価格だと了解いたしております。
  139. 庄司幸助

    ○庄司委員 四十五年一月一日現在の国土庁の地価公示価格について御存じですか。
  140. 水原敏博

    ○水原説明員 この旧東京拘置所近傍の地価公示価格は承知いたしておりません。
  141. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、私の方から申し上げましょう。  大体この地点、ここは池袋の駅から約五百メートル以内の地点ですね、すぐのところではございません。実は5の3で、東池袋一丁目十七の十三、これは大体駅から四百メーター、大体この場所に近いところです。三十一万円。一丁目の十一の七になりますと、駅から二百五十メートル地点で七十四万円。駅前が百二十万円。これはいずれも四十五年一月の地価公示価格であります。およそこの払い下げの時期も同じであります。地点につきましても、およそ距離的にも似通ったところでございます。これは非常に安いですね。付近の実際の売買価格等も勘案されたのでしょうが、何しろここは拘置所の跡地であるというようなことも、この地価を決定する非常に有力な材料であったのではなかろうか、向こうから言えば。実はそんな気がしてならぬ。いずれにもせよ、非常に安い価格であることは間違いない。それは当然、固定資産税の評価額であるとか、相続税評価基準、あるいは鑑定人等をも入れて決められたのでしょうが、しかし、いま申しました地価公示価格等から見ましても、安いことは事実です。したがって、この安さと、それから一方においてこの建築等価交換方式で今度新しく国が取得する分については、土地の値段は実勢価格、時価。そこへつくる建物は、これまた時価。これは実勢です。これは国の方ですから、国は非常に安い評価。この差額だけでも大変なもうけになるでしょう、これは。いま、この場所は坪当たり百万とか百十万とかいっていますね。そのことをいま直ちにここでとやかく言うわけではございませんが、いずれにもせよ、そういうことでもってこの都市開発センターは非常に大きな財産がころがり込んできた、こう見るのは、私はあながちひが目ではなかろうと思う。  そこでお尋ねをいたしますが、この青梅にしろ、あるいは栃木県の黒羽にしましても、つまり国の受け財産は国と同じ評価で片づけるわけにはいきません。つまり、いま申しましたように相手さんの方は実勢価格、つまりセンターの方の取得価格、これが基礎になる。したがって、国の算定方式に比べますと非常に割り高にならざるを得ないのではないか。つまり、この利ざやはセンターの方にいくということも、これまた当然だ、こういうことになろうかと思うわけであります。国の受け財産の建物については、いまも申しましたように、設計図等積算額を評価額としておる。国の払い下げ物件としての建物は、こちらの方は実在をいたします。ところが、今度新しく取得しようという分については、これは新設ですから実在していない。実在していない建物を評価する。そして交換をする。これは交換の公平評価の上からいってもおかしいのではないか。したがって、こういう点からも国とセンターとの非常に特殊な関係ということが考えさせられるわけでありますけれども、それについてはどうお考えになりますか。申し上げたいことは、本当は受け財産は完成後の実在物をもって評価する、これが正当ではないかということを言いたいわけであります。いかがでしょう。
  142. 水原敏博

    ○水原説明員 先ほど、四十五年一月一日現在の公示価格を先生御指摘いただきましたが、先生の御提示されました場所というのは、駅の周辺でございまして、密集した商店街でございます。私、あの付近よう承知いたしておりますけれども、そこと、拘置所が建っておりました場所、ここは全く商店街ではございませんで、付近にはアパート等が、それから民家等がございますだけで、相当そこには公示価格の違いがあってしかるべきであろう、私はそのように判断いたしております。  価格の決定につきましては、先ほど申しましたとおり、精通者の意見をもとにした鑑定官の適正な価格が基盤になって算出されております。  なお、交換で受ける土地、建物の価格でございますが、渡し財産につきましては、御指摘のとおり現実に存在いたします。しかし、受ける方は、渡す財産を評価した時点において、同じ時点で土地を取得し、建物を建てるとしたならばどれだけの金額がかかるであろうかという積算をいたします。その後、現実につくります建物が、物価の変動等によって多くの金がかかろうが、土地を評価した時点で、同じ時点において、やはり受ける財産につきましても金額を算出するのが国有財産の売り払い及び取得の基本原則ではないか、これが公平な方法ではないかと私思っておりますし、従前も、また現在も、同じ方法処理いたしておるのが現状でございます。
  143. 坂井弘一

    ○坂井委員 このような形で交換するということは、これは非常に特異な、特殊な例であろうと実は思います。ただ、事情も確かにわからぬではありません。しかし、これが本当の意味での公正な等価交換ということになるかというと、決してそういうことにはならぬのではないか。もともとのこの東京拘置所、これは拘置所という一つの目的を持っておる。それがそのままに同じ目的のものと交換するというならば、これはまあ等価交換だ、これが一点。  それから、確かに建物がない。これは建物をつくらせて建築等価交換しようというのですから、建物に見合うこの跡地の売り払いということですから、これまた建物がないものを、これから建つとしてこれだけ要るであろうということを予測して交換する、これもある意味では確かにわからぬではありません。わからぬではないけれども、しかし、そのような形にしますと、これは完成後のものとはまた違ったものが出てくる。その差額等についてはいまもお話がございましたけれども、そういう方法によって等価になるようにするということも、これはわかるわけですけれども、しかし、そうした特殊な、特異なといいますか、というような形の交換ということは、本当の意味の交換にはならぬのではないか。ならない、そういう性格といいますか、そういうものを最初から持っておる。もともとの拘置所につきましては、これは民間デベロッパー——これは開発を主体にした公共的な性格を持たせるのだ、公共事業を主体にするのだということ、公益性も踏まえましょうということになってはおりますけれども、いずれにせよ、ここは副都心として開発をしていこう、ここでもって利潤をあげていこうという純然たる民間開発会社ですね。ですから、そういうものと拘置所との等価交換というものが、土台、最初から無理なような実は感じの中で、少なくとも契約等においても、これはもっと厳正にすべきではなかったのか。  最初に申しました一点、当然青梅にできなければならないものができなくなってしまって、そして栃木県黒羽まで行ってしまうというようなこと、あるいはまた、そういうことについて、これは確かに契約違反ではあるけれども、国は損害は受けたけれども、実質的な損害の賠償は相手には求めない。いろんな事情があって求められないんだということですけれども、結論的には賠償を請求しない。そして、この都市開発センター株式会社の構成を見ますと、現在、非常に国との結びつきの深い人事の関係にある。融資の関係を見ましても先ほど指摘したとおり。そういうところであればあるほど、国はやはり非常に厳格な立場で厳正、公平に対処していかなければならぬ。いささかもそこに、周辺の人たちから見て不信を持たれるようなことがありとするならば、これは事志と違って、最初の趣旨がとんでもない方向に行ってしまう、そういうことを非常に実は懸念するわけであります。  同時にまた、黒羽の方へ新しくつくりましたけれども、道路の問題とかあるいは下水の問題とか、地方自治体がそういう点で非常に財政的にも困っておるというようなことも聞いております。したがって、そういうことについても、そのような地方自治体の不満なり不服なりがやはり起こらないような手だてを十分にして国はかからないと、せっかくの今回のこの移転が、そうしたことでもって、かえって国の姿勢を疑われるというようなことにもなりかねない。  したがって、そうした点につきまして、国の姿勢についていささかも気にかかるようなことがあってはならぬ。今後におきましても、ここが副都心として開発されていくわけでありますので、もともと国有地でもありますし、法務省所管の土地でもありますし、それだけに心していかなければならない、こう思いますので、最後に大臣から、そうした点につきまして率直な御所見をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  144. 稻葉修

    稻葉国務大臣 これからも刑務所の移転の個所がたくさんあるやに聞いておりますが、坂井さんの御指摘になりました池袋刑務所のような、どうも胸を張っていささかの疑点はないと言い切れないようなことのないよう気をつけます。
  145. 井原岸高

    井原委員長 次回は公表をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二分散会