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1975-03-20 第75回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十日(木曜日)    午後一時十四分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       大石 武一君    大村 襄治君       塩谷 一夫君    葉梨 信行君       渡辺 栄一君    坂井 弘一君       塚本 三郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         運輸大臣官房会         計課長     松井 和治君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省航空局長 中村 大造君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金第一課長   垣水 孝一君         会計検査院事務         総局第三局長  本村 善文君         会計検査院事務         総局第五局長  中村 祐三君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         参  考  人         (日本航空株式         会社代表取締役         社長)     朝田 静夫君         参  考  人         (日本航空株式         会社取締役)  田中 勇夫君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   石田 博英君     葉梨 信行君   菅野和太郎君     塩谷 一夫君   三池  信君     渡辺 栄一君   水田三喜男君     大村 襄治君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     水田三喜男君   塩谷 一夫君     菅野和太郎君   葉梨 信行君     石田 博英君   渡辺 栄一君     三池  信君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について一審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本航空株式会社代表取締役社長朝田静夫君及び取締役田中勇夫君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井原岸高

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見の聴取は委員の質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承を願います。     —————————————
  4. 井原岸高

    井原委員長 次に、運輸大臣から概要説明を求めます。木村運輸大臣
  5. 木村睦男

    木村国務大臣 昭和四十七年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  歳出予算現額四千二百六十億五千十五万円余に対し、支出済歳出額は四千百二十億五千百十九万円余でありまして、差し引き百三十九億九千八百九十六万円余のうち、翌年度へ繰り越した額が四十五億二千十七万円余、不用となった額が九十四億七千八百七十九万円余となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、木船再保険特別会計でありますが、収納済歳入額は四億二千九百五十四万円余であり、支出済歳出額は一億九千七百九十万円余でありまして、差し引き二億三千百六十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は四千七百九十一億一千四十八万円余であり、支出済歳出額は一千五百七十七億五千五十二万円余でありまして、差し引き三千二百十三億五千九百九十六万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は一千八百二十三億三百三十六万円余であり、支出済歳出額は一千六百九十一億八千二百五十七万円余でありまして、差し引き百三十一億二千七十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は八十八億四千百八十一万円余であり、支出済歳出額は七十九億三千七百四十五万円余でありまして、差し引き九億四百三十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第五に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は六百六十六億四千三百十三万円余であり、支出済歳出額は五百四十九億二十七万円余でありまして、差し引き百十七億四千二百八十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和四十七年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策につきましては、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。  最後に、本決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾であります。  指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和四十七年度日本国有鉄道決算書を国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和四十七年度における日本国有鉄道運輸成績は、対前年度比、旅客輸送人員は一%増、旅客輸送人キロは四%増、貨物輸送トン数は六%減、貨物輸送トンキロは四%減となり、収入においては、旅客収入において対前年度七%増であったのに対し、貨物収入においては対前年度四%減少いたしました。以下、収入支出内容勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定におきましては、収入済額は一兆四千百三十億四千八百五十八万円余、支出済額は一兆三千九百一億一千二百八十六万円余でありまして、収入支出を超過すること二百二十九億三千五百七十二万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では昭和四十七年度損失は三千四百十五億四百三十四万円余となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入予算額一兆四千八十三億六千百二十一万円に対しまして四十六億八千七百三十七万円余の増収となっております。これは運輸収入四十五億四百八十三万円余の増加雑収入百二十六億八千二百五十四万円余の増加に対し、助成金受け入れで百二十五億円余の減少によるものであります。  他方支出予算現額一兆四千六百六十三億六千三百八万円余に対しまして、支出済額は七百六十二億五千二十二万円余下回っておりますが、そのうち六百二十三億七千八百九十五万円余は翌年度への繰越額であり、残額百三十八億七千百二十六万円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は一兆四百四十六億二千百十三万円余、支出済額は一兆四百二十五億九千二百七十六万円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入予算額一兆五百四十八億円に対しまして百一億七千八百八十六万円余の減収となっております。これは資産充当三百六十九億四千三百七十万円余の増加に対し鉄道債券及び借入金で四百七十一億二千二百五十六万円余の減少によるものであります。  他方支出予算現額一兆九百二十四億七千二百七十四万円余に対しまして四百九十八億七千九百九十八万円余下回っておりますが、そのうち四百八十八億七千二百六十五万円余は翌年度への繰越額であり、残額十億七百三十二万円余は不用額となっております。  次に、工事勘定におきましては、収入済額は五千八百三十一億四千五百六万円余、支出済額は五千五百九十三億二千六百六十二万円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入予算額五千九百四十五億九千二百四十六万円余に対しまして百十四億四千七百三十九万円余の減収となっております。これは資本勘定からの受け入れが少なかったことによるものであります。  他方支出予算現額六千九百五十六億四千六百十五万円余に対しまして一千三百六十三億一千九百五十二万円余下回っておりますが、そのうち一千二百九十二億八千二百三十三万円余は翌年度への繰越額であり、残額七十億三千七百十九万円余は不用額となっております。  この工事勘定内容に関連して主要施策の実績について申し上げますと、将来の総合交通体系に占める役割りに対応する輸送力増強業務運営能率化及び安全の確保を図るため、昭和四十七年度におきましては、通勤輸送七百五十七億四千九十四万円余、新幹線二千四百八十六億五千二百四十三万円余、幹線輸送力増強一千二百九億四千七百六十五万円余、合理化近代化等一千百三十九億八千五百五十八万円余、合計五千五百九十三億二千六百六十二万円余を投資いたしました。  最後に、昭和四十七年度予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上、昭和四十七年度日本国有鉄道決算につきましてその概要を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問の都度御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  6. 井原岸高

  7. 本村善文

    本村会計検査院説明員 昭和四十七年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件、是正改善処置を要求したもの一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  これらはいずれも、公共事業関係補助事業実施に当たり、施工設計と相違していて、国庫補助金の経理が当を得ないと認められるものでございます。  次に、是正改善処置を要求したものについて説明いたします。  これは運輸省施行しております航路、泊地のしゅんせつ工事予定価格積算につきまして、積算基準が最近におけるこの種工事施工実情に適合していないと認められるものがございましたので、今後、施工の実態を十分調査検討し、積算基準内容を整備して、予定価格積算の適正を期する要があると認められたものであります。  なお、以上のほか、昭和四十六年度決算検査報告に掲記いたしましたように、四十六年度検査進行に伴い、防波堤等築造工事における被覆石等のならし工事費積算について是正改善処置を要求いたしましたが、これに対する運輸省処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 井原岸高

  9. 中村祐三

    中村会計検査院説明員 昭和四十七年度日本国有鉄道決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件、是正改善処置を要求した事項二件、本院の注意により当局において処置を講じたもの四件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一七四号は、新潟鉄道管理局が新清水トンネル内に照明用一斉点滅設備を新設する工事施工するに当たりまして、制御用ケーブルは三線が必要であるので三心のもの一条を設置することとして設計すれば足りるのに、二心のもの二条計四線を既設架線支持金具に仮づりする方法実施し、さらに、その後仮づりのままでは不安定であり、保安上も適当でないということから設置した四線のケーブルのうち使用する予定のない一線に既設制御回路を切りかえ、その跡に仮づりしたケーブルを移設することにしたため、不経済になったものであります。  一七五号は、下関工事局福岡工事事務所山陽新幹線路盤工事施工するに当たりまして、盛り土ののりじりに施工します土どめ擁壁コンクリート型枠費積算いたします際、擁壁基礎部工M方メートルの型枠単価本体部一立方メートルの型枠単価とを合計してこれを擁壁全体の一立方メートル当たり単価とするという計算上の誤りを犯したなどのため、契約額割り高になったものであります。  次に、是正改善処置を要求した事項について説明いたします。  その(1)は、軌道保守用機械の活用及び今後の導入に関するものであります。  日本国有鉄道では、軌道保守近代化を図ることを目的として、軌道修繕方式を従来の人力主体方式から機械主体とした方式に逐次切りかえるため、四十五年度から四十七年度までの間に  マルチプルタイタンパー及びこれと組み合わせて使用する軌道モーターカーまくら木更換機等機械三百五十台を導入し、各総局及び鉄道管理局に配備しておりました。この新しい軌道修繕方式は、作業を能率的に行うため、これらの機械線区状況に応じて適切に組み合わせた編成で行うことを目的としたものであります。  ところが、このうち四十五、四十六両年度に導入した機械稼働状況を調査したところ、計画を組んで作業を行っている線区はきわめて少なく、大部分はマルチプルタイタンパー及び軌道モーターカーだけを単独で使用していて、他の機械はほとんど使用していないまま保有しており、また、単独で使用している機械があるというものの、たとえは主要機械であるマルチプルタイタンパーに  ついて見ても、その稼働率はきわめて低く、中には全く稼働していない局もございました。  このような状況から見て、今後、オペレーターの養成、作業計画の策定、機械作業に適した組織制度等について十分検討して現有機械を有効に活用し、導入した機械が遊休することのないよう十分配慮する要があると認められるものであります。  その(2)は、しゅん功図及び保守台帳作成に関するものであります。  札幌外工事局では、財産管理に必要なしゅん功図保守台帳等作成作業を十二会社に請け負わせて実施しております。  このうちしゅん功図については、工事最終設計図面等を請負人に貸与して、保存に適する製図用透明フイルムまたは謄写用紙に手書きで写図して原図作成させ、これを感光紙に複写することとしておりますが、設計図面のままで差し支えないもの及び修正の少ないものは、近年普遍化しているマイクロ写真による写図の手法により、設計原図をそのままマイクロフイルムに撮影するだけでよいと思われますし、また、保守台帳については、建造物の種類に応じて、その所在位置ごと構造物別財産価額等を記載することとしておりますが、簡易な構造物につきましては、同種のものを取りまとめた位置表程度のものに簡略化し、財産価額財産原簿で把握できるので、保守台帳に特に記載しなくともよいと思われます。  したがいまして、これらの作成作業については、その作成方法記載内容様式等について検討の上、作業簡素化簡略化を図り、経費節減を図る配慮が必要であると認められるものであります。  次に、本院の注意により、当局処置を講じたものについて説明いたします。  その一は、高架橋スラブ、けた等のコンクリート打ち込み費の積算に関するものであります。  大阪外工事局では、山陽新幹線高架橋工事施行に当たり、スラブ、けた等のコンクリートの打ち込み費について、配管式コンクリートポンプ車を使用することとして積算しておりますが、近年、この種の工事コンクリート打ち込みには、ブーム式コンクリートポンプ車一般に使用されるようになっており、これを使用すれば、コンクリート輸送管配管及びその足場の必要がなくなるので、輸送管足場等費用を見込む必要はなく、また、打み込みに従事する作業員につきましても、人員を相当程度低減できると認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、ブーム式コンクリートポンプ車を使用することに積算を改め、また、打ち込み作業に従事する一編成人員減少するという処置を講じたものであります。  その二は、災害予備品として常備しているレール及び分岐器用品に関するものであります。  国鉄では、鉄道管理局等に、事故発生時等の応急復旧を容易にするために、その予備用としてレール及び分岐器用品を現地に常備させており、これに充てるため毎年度多数の新品を購入しております。しかし、これらのレール等使用目的応急復旧であることから再用品を充てることとなっており、国鉄では、四十三年以降実施しております軌道強化工事等から発生した再用品を多数保有しておりますので、災害予備用にはこの再用品を充当することとすれば、レール及び分岐器用品購入費節減できると認め、当局見解をただしましたところ、国鉄では災害予備品として保有している新品を再用品に置きかえるための処置を講じ、鉄道管理局等ではすでに実施段階に入っているものであります。  その三は、懸垂碍子の取りつけ費の積算に関するものであります。  鉄道管理局等では、信号高圧配電線路絶縁強化工事等施行に当たり、多連式碍子の取りつけ費について、碍子一個の取りつけに要する場合の標準歩掛かりを個数倍して積算しておりますが、多連式碍子の場合は、碍子一個を取りつける場合に比べて取りつけ作業は一回で済み、したがって、個数の増加に比例して費用増加するということはありませんので、このような方法積算しているのは作業実情に合わないと認め、当局見解をただしましたところ、国鉄では、施工実情に合うように歩掛かりを改めたものであります。  その四は、車両体質改善工事実施に関するものであります。  国鉄では、四十五年度以降、定期的に行われています車両検査のため、車両工場に入場する電車、気動車及び客車につきまして、あわせて車両体質改善工事を行って車両保安度を向上させるとともに、車両検査周期を延伸して修理費節減を図ることとしております。しかし、改善工事実施しましたもののうちには、改善工事実施しましても検査周期を余り延伸できないと思われるものがある一方、改善工事実施しなかったもののうちには、改善工事実施したといたしますと、検査周期が大幅に延伸できまして、車両検査経費節減できたと認められるものがありましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、定期修繕をいたしますときは、改善工事実施することによりまして検査周期を大幅に延伸できる車両から逐次改善工事を行うように通達を発し処置をいたしたものであります。  なお、以上のほか、昭和四十六年度決算検査報告に掲記いたしましたように、四十六年度検査進行に伴い、東北新幹線計画予定路線等空中写真測量施行について是正改善処置を要求いたしましたが、これに対する国鉄処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 井原岸高

  11. 藤井松太郎

    藤井説明員 昭和四十七年度日本国有鉄道決算につきまして、ただいま、運輸大臣から予算区分に基づく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、経営成績概要を補足して御説明申し上げます。  昭和四十七年度におきましては、旅客輸送量山陽新幹線新大阪岡山間の開業もあり前年度より増加いたしましたが、貨物輸送量は前年度より減少いたしました。  これを収入面で見ますと、営業収入は、旅客収入九千二百十六億三千百八十万円、貨物収入二千三百九十五億二千八百六十二万円、雑収入八百三十億九千六百五十万円、合計一兆二千四百四十二億五千六百九十二万円となっております。  なお、雑収入には、工事費補助金及び財政再建債利子補給金が含まれております。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入六百二十億七千三十万円、率にいたしまして七%の増加貨物収入百五億三千九百八十四万円、率にいたしまして四%の減少雑収入百四十五億五千二百九十万円、率にいたしまして二一%の増加合計六百六十億八千三百三十六万円、率にいたしまして六%の増加となっております。  輸送量につきましては、旅客輸送量二千十六億五千九百八十万人キロ貨物輸送量五百九十五億三千五百十三万トンキロと、それぞれ前年度に比べますと、旅客は四%の増加貨物は四%の減少と相なっております。  営業経費は、極力経費節減に努めてまいりましたが、仲裁裁定等による人件費等増加利子等資本関係経費増加がありました結果、営業経費合計は一兆五千九百四十四億二百九十五万円を計上するに至りました。  この内訳は、人件費七千二百十五億五千三百五十二万円、動力費五百十六億八千八百三十八万円、修繕費二千六百八十三億二千九百七十八万円、業務費千二百二億三千六百二十九万円、租税及び公課百三十九億四千四百二十二万円、営業費計一兆千七百五十七億五千二百十九万円、利子及び債務取扱諸費千九百八十二億七千五百五十六万円、減価償却費千八百三億五千五百十八万円、固定資産除却費百七十六億二千五百三十四万円、繰延資産償却費二百二十三億九千四百六十八万円、資本経費計四千百八十六億五千七十六万円、合計一兆五千九百四十四億二百九十五万円でございます。  以上の結果、営業成績は、営業損失三千五百一億四千六百三万円を計上することとなり、営業外損益を含めて純損失は三千四百十五億四百三十五万円となりました。  このため、前年度から繰り越された欠損金七千九百九十六億二千二百四万円と合わせて繰越欠損金一兆一千四百十一億二千六百四十万円を計上することとなりました。  次に、設備投資概要を御説明申し上げます。  昭和四十七年度は、山陽新幹線岡山・博多間、大都市付近通勤対策主要幹線の電化及び複線化貨物輸送近代化安全対策等の諸工事実施いたしました結果、設備投資額は五千五百九十三億二千六百六十二万円と相なりました。  なお、昭和四十七年度設備投資額事項別内訳は、通勤輸送七百五十七億四千九十四万円、新幹線二千四百八十六億五千二百四十三万円、幹線輸送力増強千二百九億四千七百六十六万円、合理化近代化等千百三十九億八千五百五十九万円、合計五千五百九十三億二千六百六十二万円であります。  この設備資金調達は、そのほとんどを外部資金によりました。新たに長期負債増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金五千六百四十三億円、鉄道債券発行額三千七百十一億九千三百四十八万円、合計九千三百五十四億九千三百四十八万円であります。一方、長期負債償還等に伴う減少額は三千三十四億四千百七十万円でございまして、この結果、長期負債は前年度に比べて六千三百二十億五千百七十八万円増加し、昭和四十七年度末において三兆七千百九十一億三千九百九十二万円となりました。  また、資本金は一般会計より六百五十六億円を受け入れ昭和四十七年度末において七百八十億千六百八十二万円となりました。  なお、負債・資本総額のうちに占める負債の比率は、前年度の八八%から九五%となりました。  最後に、昭和四十七年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項二件と是正改善処置を要求された事項二件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。
  12. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わりました。
  13. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に、いま国鉄に対する不当事項指摘がありました一件、先にお伺いしたい。  最初の百七十四号、新清水トンネルの照明に関する設備の問題、この種の工事施工する前に、最高責任者として技術的な点検を行うのはどこですか。
  15. 内田隆滋

    ○内田説明員 この工事は東京電気工事局施工しておりますので、恐らく電気工事局ではないかと思います。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 東京電気工事局に最高の責任があるということにしますと、この内容を見ると、私どもが考えても、少なくとも世界に誇る技術陣を持った国鉄が、会計検査院不当事項としてこんな種類の指摘を受けるというのは、予想外というよりは、どこか穴があいているかたるんでいるか、何か意図的に他の原因があってやったのじゃないかとすら考えるのですが、この責任はどのように追及するのですか。
  17. 内田隆滋

    ○内田説明員 先ほどの御質問、新清水隧道などで東京電気工事局と申し上げましたが、これは新潟鉄道管理局の電気部でやっております。したがって、最高責任者は電気部長ということになります。  この工事は、御承知のように北陸新幹線で火災が起こりまして、まことに申しわけないのですが、多数の犠牲者をお出ししたわけでございます。それに伴いまして新清水隧道のような長大隧道につきまして、いわゆる火災という面から隧道の施設を見直すということをやりまして、一斉点滅装置、トンネルの中に一斉に電灯を点滅する装置を早急に——電灯はございますけれども、それを早急に、点滅できるような設備に変えろということで、全国一斉にできるだけ早くやれという指令を出してやったわけでございまして、そういう早急の間にやったということで、これは申しわけにならないわけでございますけれども、電線が三本でいいものを四本、電線が二本入っているものを二本、全部で四本にしたので、一本よけいじゃないかという御指摘で、まことにそのとおりだと思いますけれども、現地の情勢としては、何でもいいから早くやれというような指示がございましたので、その点で検討がやや不十分であった、その点はまことに申しわけないということで、深くおわびをする次第でございます。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 内田さんあたりのようなえらい人が、やや不十分であったとかやや急ぎ過ぎたなんというお話をするのだけれども、こういう問題はほかにも起きるのじゃないですかね。ないのですか。もうこれだけでしょうか。いまのようなお考えで何でもいいから早くやれと言った結果、やや不十分な工事が行われているおそれがありませんか。  これに対しては、残った一線に既設制御回路を切りかえたようですね。そして仮づりしたケーブルをここに移設をした、こういう処置を講じたようですけれども、この一線をやった後、これはずっとこのままいくのですか。後で何か改良を加えるのですか。いま二心ケーブルを二線やったとおっしゃったでしょう。そのうち一線が残っているから一線を使った。これで将来とも技術的に満足できるもの、これをまたさらに何か手を加えるということがないのですか。このままでよろしいのですか。
  19. 内田隆滋

    ○内田説明員 設備としてはよけいなものができているわけでございますが、機能としては一応これで達成できますし、これをやりかえるとなるとまた相当の金がかかるというようなことで、一応これで今後ともやっていこうというふうに考えております。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 これを読むと、これは私がよくわからないから誤解しているのかもしれませんが、「二心のもの二条計四線を既設架線支持金具に仮吊りする方法実施し、更に、その後仮吊りのままでは不安定であり、保安上も適当でないということから設置した四線のケーブルのうち使用する予定のない一線に既設制御回路を切り替えた」、そうするとあれですか、四線新たにまた別にやったわけですか。二心二線の仮づりのものでは不安定だというので、それを新たに独自の四線に、仮づりでない四線に施工し直したのですか。そうして、その四本のうちの一本をこれに使った、こういう解釈ですか。前に調べていただくように御通知しなかったから、きっと、えらい人過ぎてわからないのかもしれませんね。結構ですから、まだ私がこうやっている間に、ひとつ電話ででも何でもお問い合わせをして、わかったときに御返事ください。この会計検査院指摘内容が誤っているのか、そうじゃなくて、いま私が申し上げたようなことが正しいのか、文章上の欠点なのか、事実上まだもう一度この種の工事施工をし直す必要があるのかをお聞きしたい。御質問申し上げている間に調べて、わかり次第にひとつお答えをいただきたい。
  21. 内田隆滋

    ○内田説明員 正確にお答えする意味で、もう一度チェックいたしましてからお答えさせていただきたいと思います。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。途中で結構ですから、ぜひ、いつでもお答えいただきたい。  きょうは、細かい問題から、みんな細かいかもしれませんが、お伺いしたいのです。  最初に地震についてお伺いしたいのです。  この間、今月十四日の深夜に中部地方中心の、発表によると震度三と言われた地震があったのですね。その地震がありました翌日、新幹線二十本、とっくに地震はやまっているのですが、しかも震度三ぐらいなのに、その地震のために運休をした、こういう発表があったのですね。私、不思議に思ったのは、震度五だ、六だという大きな地震の被害があったとか、あるいはまた、震度三程度の地震であっても、その地震が、専門家に言わせるとまだどんどん余震らしいものが続いていて、いつそれ以上の大きなものが起きるかわからないというようなことがあって、翌朝二十本をとめたのか、という問題をひとつお聞かせをいただきたい。  それからもう一つは、よく地震があると新幹線はとまりますよね。これは非常に結構なことなんですが、あの地震に関して、これは危険だあるいは危険でないという判断をするのは、国鉄だけで判断をするのでしょうか。ああいう問題が起きたときに直ちに気象庁なりその他関係方面と連絡をとって、これはまだ非常に危険があるとかないとかいう判断をした後に当局はお決めになるのか、国鉄だけで判断をするようになっているのかを、先に二つお聞かせいただきたい。
  23. 山岸勘六

    ○山岸説明員 お答えします。  第一の、十四日の夜に起きた地震に対しまして、十五日の朝なお列車を多数運休したという御指摘でございますが、私もこの問題につきまして詳細に調べてみたわけでありますが、第一は、あの地震の後の列車の運行が大変私どもの不手際と言えば不手際でございますけれども、在来線の方が確認が早くできますので、乗客が在来線の急行にお移りいただきますならば非常に早く、二時間ぐらいのおくれで乗客が目的地に着かれるというような状況を御説明申し上げて、乗客に新幹線から在来線に移っていただくことを御説明したのですけれども、なかなかおおりいただくわけにいきませんで、ついに最終列車は翌朝になるという現象を呈したわけでございます。もっとも、それらの列車に対して乗っておったお客さんというのは十数名というようなお客さんでございますけれども、しかし、お客さんでございますので、やはりそういう措置になってしまったということが一つでありまして、この原因のために、終夜まで大阪運転所等の構内におきます列車の入れかえが自由にきかないということで、列車の検査が結果としてうまくいかなかった。  もう一つは、そういう現象のために肝心の地震地帯におきます検査が、徒歩から、当初三十キロ運転、それから次の列車が七十キロというぐあいに向上してまいるのでありますけれども、結局三十キロ運転しかできなかったということでございまして、翌朝の初列車からしばらくの間七十キロ運転をやらざるを得なかった。すなわち、七十キロ運転をあの区間においてやりますとどうしても所定のダイヤが入らないということが判明いたしましたので、早朝にこの列車の間引きを決定いたしまして、できるだけ早く所定のダイヤに戻すことを決定したわけでございます。  第二の点の、地震のあった場合の決心でございますけれども、私ども、各所に地震計を持っておるわけでありますが、これが四十ガル、八十ガルというぐあいに私どもに指示をし、私ども、四十ガル以上は列車を一たん停止し、特に八十ガル以上になりますと歩行による精密点検ということをいたすことにしておるわけでありますが、いままでの経験によりますと、気象庁の御連絡を待って、しかもどの地帯がどのぐらいというような細かい御連絡をいただくまでには、私どもの方が早く詳細な地震の強度を知ることができます。したがいまして、私どもといたしましては現在地震に対しましては、新幹線のCTC指令所、その中におきまして直ちに決心いたしまして現場へ指令を落とす、こういうシステムをとってございます。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 要するに、国鉄独自で判断をしてとめたり出したりやる、こういうことですよね。  そこで重ねてお伺いしたいのですが、いまのお話ですと四十ガル以上、もちろん八十ガル以上というのは問題になりません、というお話があったのですが、御存じのように震度四というのは二十五から八十ガルですよね。四十ガルなんというのは震度四です。気象庁の発表は、あれは全部震度主なんだ。そこで二つ目の疑問を持ちましたのは、震度幾つというよりは恐らく何ガルが一番正しいと思うのですが、何ガルでとめるという原則になっているのか。この間は四十はいっていないのですね。もし車によって四十ガルを記録したものがあるとすれば、地震そのものの震度は発表どおりに震度三であっても、二十五ガル以下であっても、そのレールを敷いた基盤が非常に軟弱なために必要以上にガル数が多くなるというようなことで、それもちゃんと計器にあらわれて、とまったり、運転を徐行したりということをしたんじゃないか、これは想像ですが、発表は震度三です。二十五ガル以下なんですから、四十なんかないんですからね。     〔委員長退席、吉永委員長代理着席〕 そうすると、一体だれが判断するのか知りませんが、原則としては何ガルでとめるんだという原則があるのかないのか、あるならその原則をおっしゃっていただきたい、今後の参考のために。そのときの感じで、二十五でもとめちゃうし、三十でもとめちゃうし、要するに震度三でもとめちゃうし、四でもとめるということなんでしょうか。この原則というものを決めておかなければおかしいと思うし、その原則を聞かしていただきたい。
  25. 山岸勘六

    ○山岸説明員 一般に私どもの決め方といたしましては、全線区的な決め方といたしまして、震度三において一たん列車を停止、徐行運転というのを原則にいたしております。しかし、新幹線におきましては、いまだ地震に対してどの程度の被害が起こるのかというデータ研究が、私どもといたしましてさらに進める必要があると思いますけれども、現状におきましてはやはり震度三、四十ガル以上というような決め方でございまして、一たん列車を停止、点検という指示をいたしておる次第でございまして、この点検の仕方その他につきまして、いろいろな方法がこれから開発されなければならないということで勉強しておる次第でございます。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 いま震度三、四十ガル以上と言うのだけれども、震度三というのは二十五ガル以下なんですよね。震度三、四十ガル以上というのは、これは全然当たっていないので、何かの都合でおっしゃったのだろうけれども、そんな感覚で汽車をとめるのはどうかなという感じがするのです。  それからもう一つは、新幹線は確かに震度三、二十五ガル以下でもとめるんだ、危険だ、いま検討中だ。普通の列車はどうなんでしょう。震度三でとめていたのでしょうか。やはり停車して点検するのでしょうか。
  27. 山岸勘六

    ○山岸説明員 第一点として、震度三の四十ガルということでございますけれども、これは私どもの感震計、地震計に感知するガル数と、それからあるいは気象庁からの震度三という通報とがあるわけでございまして、いずれをとっても、私どもは最悪の事態を考えて処置する、こういう意味で申し上げた次第でございます。  なお、在来線の方は、震度三以上は一たん停止の上、徐行運転による点検ということを決めてございます。したがいまして、新幹線の方は四十ガル以上、徒歩点検はあるわけでございますけれども、在来線の方については、震度三では徐行運転による点検という指示をいたしております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの第一の問題、余りこればかり時間をとるわけにいかないのだけれども、気象庁あたりから震度三と言ってきたら、自分のメーターでは四十ガルと出たら、そんな非科学的な決め方というのはおかしいですよ。そんなら震度三の最高の二十五をとって、二十五をメーターで指したら、そのときにとめるとか点検するとかいうことに決めるべきじゃないですかね。気象庁が震度三なんと言ったときに、すでに四十ガルでなければとまらないのでしょう。それならば、気象庁から震度三という通知があったときには新幹線はとめるのだ、こう決めるのなら、震度三の真ん中じゃ大変でしょうからね、こんなものはどこにでもあるから、せめて震度三の一番上の二十五でメーターが指すようにして、これを指したらとめる、こういうように統一しなければ、いまのは意味がないと私は思うから、検討してみてください。ちょっとおかしいと私は思う。  それからその次の、新幹線はとめて見る、在来線は徐行運転でというお考えだそうですが、在来線に走っております列車等に、震度四だ、五だというものがわかるようになっているのでしょうか。どういう連絡をするのでしょう。
  29. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先ほど感震計と申し上げましたのは、車上ではございませんで、あくまで地上でございます。地上の地震計でございます。したがいまして、在来線の方におきましても地震計を置いてありますけれども、新幹線ほどピッチは、距離的には短くない配置になっております。したがいまして、在来線の場合には、気象庁の地震の通報というものも非常に参考にして、その方で先に手を打つという場合が相当あるわけでございます。ただ、在来線におきましては、過去の歴史と申しますか、そういった経験値がたくさんあるわけでございますから、震度四になって徒歩巡検という指示をいたしている次第でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 総裁お聞きになったとおりなんで、総裁に今度はお伺いしたいのですが、一体新幹線新幹線と言って、確かに新幹線はスピードが非常に大きいから、危険はありますよね。でも、私は新幹線なんか乗っていない。中央線ばかり乗るのですよ。乗りながらいつも考えているのだけれども、新幹線は地震のたびにぱっぱっととまって点検して、それ何十両、こうやっている。私の乗っている特急なんかは、中古が回されてきて、とにかくがたがたの線路ですよ。前にもちょっと申し上げたのですが、びろうな話ですけれども、便所へ行ったって、まともに穴の中へ入りませんよ。すごいのですから。これで震度四だ五だという地震があったときにどうなるのだろうと、いつも考えていますよ。日本じゅうの線は、在来線の方が多いのですよ。これを新幹線に気をとられるというか、スピード化をやっているから、それのいろいろ計算をすると大変な被害になる、在来線の方は間違ってもまあまあ、新幹線で同じような事故があって死ぬときには一斉に死ぬとしても、在来線なら百人ぐらいだろう、こんな計算でもしているのじゃないかなと思うほど、在来線に対してどうもなおざりなんですね。これは何とかしなければいけないのじゃないでしょうか。その点で私は、やはり在来線に関しても地震における指令が即刻出せるように、あるいは列車そのものが震度幾つの何ガルの地震がいま起きているということがわかるような簡易メーターをつけるかどうかを私はすべきだと思うのですよ。そうじゃなければ不公平だ。おかしいですよ。こんなばかなことはない。そういうことをやるべきだと思うがいかがかが一つ。  ついでに私は、大きい地震があったときに、幸いに日本じゅうにあれだけの大きな牽引力を持った客貨車が走っているわけですから、その乗客、あるいは乗っている従業員にしてももちろんですが、どこかの場所で大きな被害を受けた、その被害を受けたときに、乗っている乗客に対して、五時間だ、あるいは十時間だ、徒歩ですぐどこか行こうというのも不可能なような地域があったというときには、あの列車、貨車には適当な救急具、医療器具あるいは食料——いまわれわれ買わされていますよね。非常用の避難袋か何か配ってきたりしていますよ。それに相当するような準備があってしかるべきじゃないか。地震というのは、いつあると思っているのか知りませんが、私はいつあるかわからないと思うのです。そのときに、いままでの経験から言っても、一番大事なのはやはり水、食料、医療器具ですよ。医療品、救急具ですよ。列車自体に被害があるかもしれない。あるいはその地域に大きな被害があって、列車は何でもなかったかもしれない。列車の場合でも、その地域にあった場合でも、とまっている、しかも常に運搬をしているこの走行車には常時震災対策用の、いま申し上げたようなものを準備すべきではないか、私はこう思うのです。それが二つ目です。ぜひやってもらいたいという意味で言っている。  それから三つ目には、何かあったときに無線連絡が一番大事だと私は思うのです。現在、無線連絡のできる私どもの乗っている列車というのは余り知らない。完全にある基地を決めて、その基地からの指令を受け、あるいは何かあったときに無線でその基地に対してSOSを出す。何が起こるかわからないのですから、そういう簡易無線装置がつけられてしかるべきだと思うのですが、これをぜひつけるべきだ、こういう立場で、三つお答えをいただきたい。
  31. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答え申し上げます。  非常にむずかしい御質問でございますが、まず第一の、新幹線のみ三十ガルか何かでとめて、現在線は一体どうするのか、こういう議論なんでございまして、先生よく御承知のことと思いますけれども、気象庁の出している震度階というものは、何度だからいいというような数学的なつながりがございませんで、墓石が倒れた、とか、障子ががたがたいったから二だ三だというようなことで、数字的な根拠は余りない。したがいまして、私どもはガルとかなんとかいうやや数字的なものをつかまえて、新幹線にいたしますと、二十五ガルというような御指摘ございましたが、大体三十ガル見当で列車をとめる。列車をとめるということは電源の変電所のスイッチを機械的に切る、こういうことなんでございます。だから、三十ガルだったらもう自動的にとまっちゃうんだというようなことで、私は新幹線をつくったときに技師長をやっておりましたが、三十ガルというのは、これは御承知のように非常に軽微なる地震で、新幹線を三十ガルでとめるからしょっちゅうとまっているんだ、もう少し上がらぬかという議論もやりまして、これは地震学者なんかも入れまして議論をやっておりますが、先生御承知のように、変電所に地震計があって、そこでは三十ガルだったかもしれぬけれども、これより地盤の概して悪いようなところが中間にあったら、それは六十ガルにならぬという保証は何もない。しかも新幹線は速く走っておるんだから、その意味の安全を保つために三十ガルか四十ガル程度でとめようじゃないかということに現在はなっておりますけれども、私はもう少し上げていいと思うのでございますよ。それで、新幹線が速いということでそういうことになっておるので、現在線はどうだということになりますと、現在線は、スピードは新幹線の半分ぐらいなんで、これも保線区とかなんとかに地震計を持っておって、それから連絡してとめるというような方法をとっておりますが、確かに、新幹線だけよくて現在線どうでもいい、はばかりにも行けないというような状態では困りますので、これは線路の保守とも絡みますけれども、十分な努力をいたしたい、かように考えております。  それから、一朝事があったときの救急品をどうするんだという議論になりますと、先生も御承知のように、東京近郊で関東震災程度のものが四十年か五十年に一回起こるぞなんという話でございまして、全部いつでも救急品を担いで歩くということもいかがかと思いますけれども、鉄道の幹線というのは全国走っておって、正常な状態ではそういうものがどこでも入手できるというたてまえになっておる。したがいまして、駅とかなんとかには、先生のおっしゃったような観念を入れて、救急品とかなんとかの備蓄をやる、蓄えておくということは当然でございますけれども、列車に一朝恐ろしいものが起こっても困らぬようなものを担いで歩くということは、いろいろな経済上の都合などもあり、そういう不幸な事態がめったに起こらぬというようなこともあって、これはやっていないというのが現状でございます。  それから列車無線に関しましては、新幹線は御承知のように無線をやっておりますが、新幹線にあらずして常磐あたりも無線のあれをやっておりますが、これは先生の御指摘のとおり、漸次、全部無線化して、しょっちゅう連絡がとれるということが、安全のみならず列車の運転計画上もきわめて便利であるというので、そういう方向に進めていきたい、かように思います。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 総裁、聞き違えているのじゃないかと思うので、もう一遍くどいようですがお答えいただくんだが、第一の問題は、中央では、震度三だなんといったって、ガル三十だといってとめるなんていっても、これは大変ですからね、場所によっては六十になるところもあるんですから。だから、列車ごとに地震計をつけるべきじゃないか、判断ができるように、というのが一つですよ。そういうようにつけるべきだと私は言う。  それから、いまの救急車というのは、せめて乗っている乗客、乗客の方に何もなかったときには、その地域にあったらそこでおろしてやってもいいんだから、せめて乗客の何割分かのいわゆる救急医療、水それから食品ぐらいのものは長距離用の列車については考えるというのが、私は地震対策として当然だと思うのですよ。  それから三つ目の、無線を順次つける、こう言われたので結構です。結構ですから、いまの二つ、もう一遍答えてください。
  33. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  第一番の、場所場所でもって地震が変わるんだから、地上じゃなくて列車に地震計をつけなさいという御議論でございまして、これはまあ技術上不可能だとは決して言いませんけれども、普通の並み大抵の地震以上に揺れているやつなんで、それの引き算みたいなかっこうになりまして、精度の高いものは非常にむずかしい。むずかしいからできぬということじゃございませんけれども、御指摘によってよく研究はさせますが、いままでやっているのは、動いているやつだから、それをはかるったって、はかりようはむずかしいんだということでございまして、さように御理解願います。  それから、一朝事あって列車でもとまったときに乗客が困らぬような対策が必要だという御議論で、まさにお説のとおりで、御承知のように、吹雪なんかで列車がストップしたら炊き出しとかなんとかいうような体制もやっておりますし、そういう体制を強化することによってそういう危険というか御不便をカバーしたい、かように考えております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 まあその程度でしようがないでしょうが、列車の揺れと別に地震を検出するようなことを研究もしていますし、また、これはつくるべきですからね。やるべきですよ。それから、まあまあ現在は予算その他の問題でできないでしょうが、最近の地震予知連絡会が大胆に発表した警告なども参考にして、地震対策というのは従来のような考え方でなくて、先取りした思い切ったことをやりませんと大変だと思うので、これはお願いをしておくんです。陳情ですよ。ぼくも乗客の一人だからね。ひとつ真剣に取り組んでいただくように、素人の私が思いつきで言うのじゃなくて、もう少し皆さんなりの検討が、従来と違う検討がないと、あれだけの地震予報が出ている限り、もしこうあったらどうするかということがもっと真剣に、具体的に検討されるようにお願いをして、次回、どんな検討をしたかお聞かせいただいて、私も素人なりに、国鉄はこうすべきだというのをひとつ個条書きに考えてきますから、次回またこれはお伺いします。いけなければ、委員会へ行ってでもお伺いする。それから、先に細かい問題一つ聞きたいのですが、塩嶺トンネルはその後一体どうなっていますか。地元ですから、皆さんと同じぐらいには細かく知っています。現在思わぬ障害が起きて、残念ながら延びた部分がある。その思わぬ障害みたいなものを御存じなのかどうかということも含めて、一体見通しはどうなんでしょう。これをひとつお答えいただきたい。  それからもう一つ、中央新幹線、昨年二億ですか、予算を取って調査が始まったようです。とにかく長大トンネルが幾つか予想される難所の多い幹線ですから大変だろうと思うのですが、総需要抑制下に、もうすでに決まっている五線についても何か怪しげな、期間の延びるような話を聞いておりますので、新幹線、中央も含めた十二線が、一体いままで言われた予定どおりにいきそうなのかどうか、予定どおりにやるんだという予算取りをしているのかどうか、こういう三つに分けて中央新幹線のことをお伺いしたい。  塩嶺問題は、その見通しについて、思わぬ障害が起きたことを知っているかどうか、この二つについてお伺いしたい。
  35. 内田隆滋

    ○内田説明員 塩嶺問題につきましては先生御承知のとおりでございますので、詳しくはお話しいたしませんが、御承知のように御倉町の工事の用地買収をいたしまして、つい最近工事の入札をさしていただきました。その後、いわゆる非常に反対の強い他の二地区につきましては今後十分な説得なり国鉄の考え方を御説明して、できるだけ早く工事に着工してまいりたいというふうに考えております。それで、先生のおっしゃられる思わぬ障害というのは、ちょっと思い当たりませんので、もし御指摘がございましたらまた御回答さしていただきます。  それから中央新幹線でございますが、これは御承知のように一昨年、いわゆる甲府地区から名古屋の間の南アルプスを含んだ地質的には非常にむずかしいところにつきまして、新幹線の調査の命令が大臣から国鉄総裁にございまして、これに基づきまして四十九年度は地形の調査、それから実質的な地上踏査と申しまして地質の踏査を終わって、概略調査を終わったというところでございます。御承知のように五十年度も二億の調査費をいただいておりますので、これにつきまして今後さらにボーリング等を含めた地質の深度化を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、いわゆる五新幹線でございますね、これは御承知のように昭和五十年度におきましては、国鉄に五十億、それから公団に五十億ということで百億の工事費がついております。これは四十九年度におきまして両方にさらに五十億ずつの工事費がついておりますので、合計いたしまして百億ずつの工事費がついておるということでございます。われわれとしては、今後さらに調査を含めて慎重に進めてまいりたいということでございますが、ただ、これをいつ着工するかどうかということにつきましては政府等とよく相談をいたしまして、あるいは経済情勢その他の見通しとも相当関連があるのではないか、指示を待って進めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 塩嶺の問題で思わぬ障害があったということを御存じないようですから、これは公開では申し上げませんが、後でどなたか聞きに来てください。皆さんの仲間の関係することですから、やはり知っていた方がいいんじゃないかと知は思います。非常に大きな支障を来たしている。それば後で、特に私と直接会ったときにお聞きをいただきたい。  塩嶺トンネルの塩尻側の方ですね、先ほど申し上げたように、見通しとしてはいつやる見通しなのか、塩嶺があるからだめだだめだと言うのですが、塩尻の方からはもうすでに坑内へ千二百メートルぐらい進んでいるのじゃないかと思う。そこらへ来ると断層があるのです。その断層があってなおかつ塩尻の側から来る岡谷までの工事予定どおり何月めどに完成する、しないということを聞かしていただくと、非常に参考になるのですね。しかし、まだ駅の側の方へ八百メートルぐらい、地盤の問題で非常に工事の難航が予想されるということも含めて、塩尻側はトンネルがあいて岡谷に来るまでの期間の目標、駅から全部完成する目標、それをついでにお聞かせいただきたい。
  37. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生御承知のように、塩尻側からもうすでに着工しております一それで問題は、約四キロ程度のトンネルでございますので、両側からやれば、断層がございましても二年半ないし三年あれば十分できると思います。ただ、御承知のように岡谷方は着工がちょっと不可能でございます。これは地元の解決を見ませんと着工できないと思います。これは拝みのトンネルでございますので、拝みというのはまん中が高くなって両側から行きますので、先生の御指摘のように塩尻側からどんどんどんどん、解決しなければ岡谷の方へ掘っていけばいいじゃないかということでございますが、普通は、トンネルというのは安全のために水が自然流下で流れるようにということで、突っ込み隧道はやらないのが原則でございまして、特殊な関門とか青函とかはやらざるを得ないわけですけれども、普通の場合は危険を避けてそこでとめるということになりますので、やはり岡谷方の解決というようなことがこの工事全体の空気を支配すると思います。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 それじゃ岡谷が見通しができない限り塩尻側の工事完了の見通しも同時につかない、こういう説明と理解をいたしておきます。  次に、国鉄の問題、やはり概括論になるのですが、私は、いまのようにスピードアップ、スピードアップということは非常に大事だし、新幹線があそこまで行ったということも大変大切なことだと反対はしないのですが、基本的な問題として一番大事なのは安全という問題だ。それから二つ目にはやはり列車公害をなくす。そこで、環境基準が商工地は七十五ホンまでいい、住宅地は七十ホンまでとかいう中公審の答申がこの間出たので、要求している住民の側から言うと十ホンぐらいまだ差があるのですが、環境基準の問題もやかましくこれからどんどん言われると思います。新幹線だけが環境基準を言って、ほかの在来線の環境基準はいいのかという問題だって、先ほどと同じようにこれからは出てくると思いますし、われわれは、新幹線で住宅地七十、商工地は七十五だとか、あるいはもう少しそれが下がるとか、いま反対同盟の連合会が騒いでいるように六十五にしろといった、その中間のどこかで決まったにしても、これは直ちに在来線にも適用をしていくような問題が起きてくるんじゃないかと思うほど、環境基準は大事だと思う。  それをひっくるめて列車公害、こう言うわけですが、その安全確保という問題について一つだけ。この間国鉄の発表によりますと、東北線ですか、六月から九月の間にレールの取りかえ工事をやるという発表があったのです。先ほどもちょっと言ったように、東北線へも私ちょいちょい乗りますが、中央線を比べたときにこれはまだずっと先へ置いてもいいんだ、東北線が一番悪いんだ、レール更換が必要だ、あるいは路床の修理が必要だ、手を入れることが必要だ、中央線その他在来線は大丈夫だという全部の検討をした中で東北線のこういう六月、九月ということを発表したのか。まだほかは調べてないんだ、あるいは調べた結果ほかはいつまでにやろうとしているんだということになっているのか、それをお答えいただきたい。
  39. 内田隆滋

    ○内田説明員 軌道の状態というのは全国的に、いわゆる試験車というのを一月に一遍ないしは二月に一遍ずつ走らせまして的確に把握をしておるわけでございます。その軌道の状態に基づいていろいろの保守作業計画しているというのが実情でございます。したがって、国鉄といたしましては正確に全国の軌道の状態を把握しておりますし、各管理局、現場にはその試験車の図表が全部参りますので、各現場も自分のところの線路の状況というのは把握できるというシステムになっております。したがいまして、それに基づいて保守作業をやっておるわけでございます。  東北線の場合には、先生御承知だと思いますけれども、新幹線ができますと優等列車が新幹線に移りますので、列車の間合いが非常にとれるわけでございますけれども、新幹線ができるまでは、全国で一番列車回数が多い場所になっております。片道約二百四十回というような列車回数が入っておりますので線路の補修をする間合いが非常にとりにくいというのが実情でございます。したがって、そういう意味では保線作業を一生懸命やっておるのでございますけれども、なかなかそれが間に合わない。今回そういう意味で、古いレールが約八十キロばかり東北本線にございますので、これを、まあ夜間間合いをとってやってもできるのでありますけれども、ある程度昼間に時間をとらしていただいて一挙に線路の改修をいたしたいというふうに考えて、特にやらしていただく。  その他の線区につきましても、ところどころにそういう悪いところがございます。これは従来も、そういうような大きな工事をやる、改善作業をやる場合には、特にたとえば二時間の間列車をやめてもらうとかいうようなことをやって、いままでもやっておりましたし、大体は毎日毎日の中で確保された間合いの中で保守をしていくというのが原則でございまして、こういうような大きな工事をやる計画はいまのところございません。それで十分やっていけるというふうに考えております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 東北線の場合には六月が上り、九月が下りというので、昼間も含めて大胆にやるわけですよね。あとは毎日毎日の保守の手でやっていく。従来どおりでいいんだ。物というのはどんどん疲れていくのですよ、使っているのですから。では、保守をやっている人員はふえているかと言ったらふえていない。ところが、どんどん老朽化しているのですよ。それを東北線の方は、まあまあいろんな事情で八十キロやる必要があるからやるんだ。ほかの方は同じようにどんどん老朽化している。しかもスピードは上げているわ、車両の台数は多くなっていくわ、どんどん悪くなっているのに、従来と同じ保守、その保守が手はどんどん減っている。それで間に合うんだなんというのんびりしたことをやっていられたのでは、あの東北線のレール更換があるという発表をされますと、一体われわれの利用しているのは大丈夫だろうかという不安を持つのは、これはあたりまえでしょう。あたりまえですよ、現状からいったらどんどん悪くなる一方なんだから。では、毎日毎日の保守だと言いながら、その保守をふやしているかと言ったらふやしていないんだから。ということになりますと、これは何ですか、レール更換をするのだと発表されただけで、心ある人は、一体おれたちの方はいつやるんだろう、どうなんだろうという心配があるのです。私は、調査はしているんだろうと思いますから——ほかのところは従来どおりやりますと言っていたのでは、これは本当に住民サイドの物の考え方には通じない。通じないので、ぜひ計画的に調査をした上で、こことここはいつレール更換をするのだということを近日発表するなり、公表ができないのなら私のところへその計画というものを出すようにしてもらいたいと思うのです。これは当然あってしかるべきだと思うのです。ないのがおかしい。どうでしょうか。
  41. 内田隆滋

    ○内田説明員 東北線のような大規模なものはほかにございませんけれども、先生の御指摘のように全国的な軌道強化改善につきましての計画はございますので、後ほど先生のところに御提出させていただきたいと思います。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 それから列車公害の中で、これは今度はびろうな話になる、汚物処理の問題、これはまさに黄色い方の列車公害ですよね、間違いたく。依然として解決ができていない。発表されております再建計画実施状況の報告書にも一、汚物処理という項目が出たのは、四十七年度からようやく出ましたよね。四十六年度なんか、汚物処理なんということは全然実施状況報告書にも載っていない、ずっとそれ以前は。そうして国鉄の事業に対する監査報告も年々出されている。その監査報告にも、汚物処理の問題についての報告は何にもない。事ほどさように国鉄当局がこの汚物、日本じゅうにふん尿をまき散らしているという恐るべき黄害を非常に軽視してきた。ようやく新幹線あるいは地方の幹線特急などの一部にタンクをつけるようにしたということを聞いていますが、この状況報告書で、四十七年度は九百幾つでございます、四十八年度は八百幾らでございますと、こう書いてあるんですね。  そこで、現在走っている旅客列車全体の本数、何本あるかをひとりお聞きしたい。走っているやつですね、何本走っているか。  それから、一遍に聞きますが、推定した乗客は大体何人か。私は私なりに調べていますよ。だが、こんな素人の調べたものなんか発表したって、またすぐだめになるから言わないだけです。で、乗客一人当たり、皆さんは係数と言うのでしょう、小便がコンマ何人、大便の場合がコンマ何人という係数があるわけですね、こういう計算の係数。それをどのくらいに見ているか発表していただきたい。それから、一日の走行列車がわかっておるわけですから、そこに乗っている乗客数を最初に質問していますが、そうすると、一日、小便にして何万リットルがばあっとまき散らされているのか、大便にして何トンがまかれているのか、日本じゅうでですよ。それをちょっと先に答えてください。
  43. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答え申し上げます。  第一点の御質問の、全国で何本ぐらい走っているかという御質問でございますが、普通列車、急行列車、特急列車入れまして一万八千本でございます。そのうち便所を利用するお客というのは長距離のお客だと思いますので、これが大体特急、急行ということに限定をいたしますと、千六百本でございます。  それから利用乗客でございますが、大体、年間約七十億でございます。その七十億のうちで、大体二十五億程度が一般の乗車券を買ってお乗りになるお方で、残りが通勤定期あるいは通学定期のお客様、こういう状況でございます。  それから、一人どのくらいの排尿あるいは排ふんと申しますか、それは実は私よく存じませんが、後ほどよく調査いたしましてお答え申し上げたいと思っております。
  44. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先生御指摘の一人どのくらい、一日全国でどのぐらいかという御指摘でございますが、私どもの先生方にこの計算方お願いしているわけでありますが、結局、大分いろいろの数字が場合によって出てくるということでございまして、まあ世間的に言われましたのには、全施労でございましょうか、組合の発表しました千八百トンというような数字があるのでございますけれども、私どもの先生方の計算ではどうも一つけたが違うんじゃなかろうか。と申しますのは、通勤電車の中には便所もございませんですけれども、要するに乗客の乗車距離と非常に関係がある。また、お乗りになる列車にもよるわけでございまして、その辺の係数のとり方が一人当たりという形では非常にとりにくいということでございますが、大体計算から言って一けた違うような感じであるということを申しておりますから、そういたしますと約二百トンぐらいのものがまかれておるのじゃなかろうかという感じになるわけでありますが、(原(茂)委員「一日でございますか」と呼ぶ)一日でございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 いま一万八千車両と言いましたが、確かに最近少しふえていますから一万八千、これは、皆さん商売人だから、当たっていると思う。乗客の人数は、いまの定期の通勤客まで含めると大体約九十億ぐらいになるはずです。少なくとも八十五億は下らないはずですから、これも再検討してごらんなさい。七十億なんていう計算は出てこない。年間八十五億以上は間違いない。  それから、いまの係数の問題ですが、一けた間違っていると言いますが、私ども聞いている範囲では、大便の係数、これは百人に三人、通勤などがあるから百人に三人という係数になっている。〇・〇三という係数になるんですね。それから小便の方はどうかといいますと、十人に二人。これは一けたなんていうことはないですよ。小便は百人に二人しかやらないなんて、一けた違っていればそうなるのですけれども。そんなばかな、百人で二人しか小便しないなんていうことは絶対ない。皆さんだって、三時間か四時間列車に乗ってごらんなさい、大体一遍は行きますよ。十人に二人ぐらいのことを、一けた違っている、要するに百人に二人小便なんていう係数は、これは少しく非科学的だ。  いま言った百人に三人、十人に二人が大小便をやるということになりますと、大体大便が一回三百グラム、小便が約三百五十CC。いいですか。ということになりますとどのくらいになるかといいますと、大体大便にして一日千八百トンですよ。それから小便になると百四十万リットルです。これが北海道から九州に至るまで、ばあっと黄色い害を与えておるわけです、黄害をね。そうして、雨が降ったりすると、われわれが知らないで新宿のガード下なんていうところにちょっと小やみになるまで入っていますと、ぽたぽたぽたぽた落ちてくるときには、遺憾ながらこれが一緒におっこってきている。この直接的な黄害といいますか、これは私は列車公害の最たるものだと思うのですよ。しかもこれが、七十キロぐらいのスピードで走っているときに大小便をやりますと、大体高さ二メーター、長さ約二十メーター、飛沫となって飛ぶのですよ。これは実際に調べてあるのです。皆さんだって調べたはずだと思うのですよ。そうして、特急のとまる駅はめったにないでしょう。ぼくはそばが好きだから、駅に行くといやでもそばを食いたい方なんだけれども、そうすると、そばを食っているところでも、売店で物を売っているところでも、あの飛沫をずっと全部浴びているんですよ。知らないで一生懸命そばを食っているわけだ。二メーターから二十メーターに拡散するのですよ。これはもう本当に恐るべきことなんですよ。しかも、健康体の人ばかりじゃないでしょう。いま湯河原でもってチフスで大騒ぎしていますね。あるいはどこで赤痢菌がどうの。保有者が乗っていないとは限らないのですから、あれは潜伏期間が長いのですから、こういうものが一斉に出てくる。しかも、いまの特急以上になると、われわれが窓をあけようとしてもいまほとんどあきませんが、急行以下になるとみんなあくので、夏なんかあけていますよ。冬だって、空気を入れようというのであけるでしょう。あのときに小便をされたら、知らないで弁当食っているけれども、みんな飛沫になって窓から入ってきているのですよ。それを一緒に食べているのですよ、実際に。だから、運賃を取って客を乗っけて、これに大小便をぶっかけて飯と一緒に食わして、それでサービスをよくします、しますなんて言ったって、ここを改めなければサービスがよくなるはずがない。これは基本問題ですよ。それで、駅のホームで待っているわれわれは、列車がばあっと通るときに本当に何かひやっとするときがありますけれども、あれをかぶっているわけですよ。  こういうようなことは、四十七年度を見ると幾らですか、四十八年度を見ると幾らですか、結局タンクをつければいいわけでしょう。そのタンクが、皆さんのつくったものが、わずかに一年にたしか千以下ですよ。一万八千本のうち四十七年が九百八十四両しかついていない。つける必要があるのは、半分としても九千あるわけでしょう。それに対して九百八十四両しか四十七年にはつけない。そして今度、四十八年になるとこれは減っているのですね。しかも、ついてるのは、新幹線がみんな入っているわけですよ。四十八年になると八百十六両しかついていないのでしょう。来年また減らすのでしょうかね。これは恐るべきことじゃないですか。四十七年で九百幾らつけておきながら、四十八年になったら八百十幾らに、約百両も減っている。四十九年のものは出ていないからわかりませんよ。一体その傾向はどうなってるんだろうというのが一つ。  基本的な問題としてこれは運輸大臣にお伺いする。木村運輸大臣、いまお聞きになっていたろうと思うのだけれども、列車公害もいろいろある。騒音もあります、いろいろな事故もあります。しかしながら、この汚物、ふん尿をまき散らしているという黄害の方は列車公害の最たるものだと思うのですが、どうでしょうか。
  46. 木村睦男

    木村国務大臣 この問題は、私もずいぶん前から聞いております。しかも、いまお話の中にありましたように噴霧の状態で、どういうふうに車両の横っちょにつくか、あるいは窓から入るかということも、ずいぶん前から私も聞いております。これは、いま環境整備とかいろいろ公害問題をやっておりますけれども、昔からある公害ですから、やはり極力早くこの公害は防止しなければいけないと思います。国鉄の方もせっかく一生懸命になってタンクをつくっておるようでございますが、実数は私はよくつかんでおりませんが、いまあなたのお話によりますとその数が減っておるようでございますが、これはちょっとやはり考え直すべきじゃないかという感じを持っております。  いずれにいたしましても、こういうところから環境整備はやっていくべきである、かように考えております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 列車公害の最たるものだ、こういう認識をお持ちいただきたいのです。  そこで、今度は具体的にお伺いするのですが、まず、四十九年度、五十年度、タンクが減っていくのかふえていくのかが一つですね。その計画を実数で示していただく。  それから、タンク一個つけるのに五十万はかかるのか七十万はかかるのか、これをひとつ教えていただく。それから、タンクで集めても、これを処理する施設がなければいけないので、これにも書いてありますね、大変苦労をして、住民の反対運動があって大変だけれども、大井新幹線電車基地の汚物処理設備の工事を完了した、品川、秋田車両基地等十カ所の工事に着手した、これは四十八年ですね。四十七年にも同じような、約五基地がどうのこうのと書いてあります。この基地ができない。住民の理解がなかなか得られないからできない。基地ができなければタンクをやったって、持っていっても処理のしようがない。海の中へ捨てるわけにはいかない。だから結局、処理基地と見合ってタンクをつけるというようなことに今後なるのか。私のお聞きしながら言いたいことは、そういう考えでは困る。タンクをつける方は大至急に、あらゆる無理をしてタンクをつけて、そうして地域住民なり客に対するこの種のとんでもない、ふん尿を浴びせかけるというばかげた黄害はなくそうということが先で、そうしてそのタンクの何千、何万とつくのに見合って基地は何が何でも求めていくという努力が第二に行われていかないといけない。そうしなければこの問題の解決はできません。確かに基地を手に入れるということは大変なことだ。だからそれと見合ってやるんだというのでは、とてもじゃないが、これは進まないです。いま一万八千両が恐らく二万になった、だんだんふえることはあっても減ることはない。にもかかわらず、わずかに九百だったのが八百だ、七百だとやられたのでは、永久にこの黄害はまき散らし放しになるという考えから、まず二つ、タンクが今後ふえていくような予算になっているのか、四十九年と五十年に対して。一個のタンクは幾らかかるのか、同時に、基地の建設に関して現在どういう計画を持ち、どのような量の処置が行われ、タンク何千個分の処理が一つの基地ではできるのだというような基準で、わかりやすく説明をしていただく。
  48. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先生も御存じのように、私ども、いままで在来線におきまして十二基地に対応してまいったわけでございますけれども、しかし、われわれの目標としている第一段階と申しますのは、現在客車二万六千両のうち一万七千両に便所を持っているわけでございます。この一万七千両の便所持ち客車の中で、長距離等比較的大小便の排せつ機会の多い列車に該当しているのが七千両でございます。したがいまして、私ども、この七千両の取りつけとこの処理につきまして第一の目標としておるわけでありますが、これに対応する基地数は約三十、正確にいま私ども二十九と見ておりますけれども、約三十と見ていただいてよろしいんじゃないかと思います。そういう状態の中で十二基地に対しましていろいろと手を打ってまいったわけでございますが、現在使用をいたしておりますのが、最近品川客車区で基地使用に入りましたので、たった三カ所でございます。近く金沢で一カ所使用に入る情勢に入っております。  一方、車の方でございますが、先生御指摘のように、車につきましては現在三千七百両、取りつけ完了または準備工事済みの車がございます。この準備工事済みと申しますのは、タンクを持っていってボルトにつければいい、こういうことでございますので、準備工事さえすればあとはいつでも何百両でも直ちにできる、こういうものでございますので、一応七千両に対しまして三千七百両持っていると、こういうふうにお考えいただいてよろしいかと思います。タンクづき客車、電車、旅客車でございます。(原(茂)委員「タンクも準備してあるの」と呼ぶ)はい。いつでも取りつけられます。  これに対応しまして、今年度はさらに、五十年度予算といたしましていま九百両分を要求させていただいているわけでございますけれども、先ほど申しましたように、やはり基地の問題解決というのが最大の現在の私どもの悩みになっておるわけでございます。しかしながら、十二基地を対応にしておっただけでは進展が遅いわけでございまして、やはりわれわれの目標とする基地をもっとふやしまして、交渉を重ね、工事を推進することが重要と考えまして、最近さらに十カ所を指定いたしまして、現地との交渉に入るよう国鉄の方針を決定いたしました。二十二カ所に対して現在工事済みまたは工事中、または交渉を開始した、こういうふうにお考えいただいてよろしいかと思いますが、先ほどの七千両の対応といたしましてはさらに七カ所ぐらい追加をいたしたい、こういうことで基地の選定を急いでいる次第でありますが……(原(茂)委員「四十九年度、五十年度別は」と呼ぶ)四十九年度は、客車取りつけ両数としてはまだはっきり数字は上がってきておりませんけれども、恐らく七百両ぐらいじゃないかと思いますが、五十年度は一応九百両を目標といたしておりますけれども、これは先ほど申し上げました基地数から見ますと非常に先行している、物すごい先行状態に相なるかと私は思うのであります。さらに先生は、もっと全部完了しちゃって待っていたらいいじゃないかということでございますけれどもやはり私どもといたしまして、車両改造等につきましては、雪害対策あるいは列車火災対策等の急ぐ工事もございますので、やはり優先順位として考えますと、先行はこの程度のものでがまんしていただきまして、そして他の急ぐ対策を進めてまいらなければならないというふうに考える次第でございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 いま説明を聞いても、四十九年がまた七百に下がるのだから、四十七年九百、四十八年八百、四十九年七百、ずっと平均百くらい落ちてきておる。そして五十年度これから大体九百を見込んでいますと言っていながら、三千七百はいつでもつけるようになって、タンクも全部準備できているにもかかわらず、なおかつ、いま言ったような数字で年々漸減をしておいて、結果的にはその原因は基地にあるのだというところへ逃げていくわけですよね。     〔吉永委員長代理退席、森下委員長代理着席〕 各地方自治体とも、このふん尿処理というのは非常に大問題でいま取り組んでいるのですが、いずれも相当大きな処理場の建設、敷地の入手等をやって、いま工事をやっています。国鉄がこれだけの大きな黄害をまいているという責任から言っても、もっと基地に対して積極的な工夫、考案がなければいけないし、大々的な基地建設に対する努力を払っていかなければ、問題の解決にならないと思います。いまの数字の状況でいくというと、十年、十五年くらいはまだまきっ放し、われわれはかぶせられっ放し、こんなばかなことを、この環境保全か重大問題になっている——第一、三木内閣なんか、クリーン三木なんて言ったって、ちっともこういう方を解決しなければ、クリーンだなんて言えた義理じゃない。何と言ってもこれは目の色を変えて、当局の責任で解決をしてもらわなければいけない、こういうふうに考えますので、いまのような内容ではいけないから、もっと積極的にこの基地の建設を進め、黄害を、少なくとも目標としては五十何年では完全に終わります、きちっといたしますという目標がせめてあるはずですから——従来、目標は五十三年ということがひそかに皆さんの内部では言われていたんだ。五十三年にこれはできっこないとすれば、何年目標にこれをやりますということを、この問題の最後にお答えをいただきたい。
  50. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先ほど申し上げました二十二基地につきまして、私どもといたしましては、この基地の完成を五十三年度末までということで挙げているわけでございまして、さらに七カ所追加ということになりますと、さらに一年くらいの余裕をいただきたい感じがいたしますけれども、少なくとも五十三年度目標に二十二カ所が完成いたしますと、これに対応する客車数は、先日細かくはじきましたところ、六千二十六両ということでございますので、全体の、いわゆるまき散らす量に対しますならば、五〇%以上あるいは六〇%くらいのものが対応できるのじゃないかと思うわけでありまして、さらにこれを一〇〇%にするということになりますと、基地数にいたしますとさらに百カ所くらい増加になるかと思いますので、この目標につきましては、いま私単独で申し上げることを御容赦願いたいと思います。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 基地だけでは百三十必要だ、従来五つできました、十二できました、こうやっていって、そうでなくてもだんだん基地の入手が困難になっている状況の中で、あと三年でやる目標はいままでわかっていますよ、わかっていますけれども、そんなできもしないでたらめを言っていないで、やはりこういう機会に、一年延びた方がいいと思うなら、五十四年までにはやります、こういうことをはっきりお答えいただけませんか。いまの五十三年を目標にやりますと、目標という言葉がつくのでは、いままでの経過からいって、もう一遍また皆さんにお願いをしたり、こうやって追及する気になりませんよ。早くこの黄害をなくそうというのがお互いのねらいなんですから、したがって、一年延びたら何とかいきそうだというなら、五十四年までになくしますと言ってください。
  52. 山岸勘六

    ○山岸説明員 私、先ほど、十二カ所当初計画としてやっておると。この十二カ所の中で、一番私どもいまの目標としてこの辺と見ているのが五十二年の四月でございます。したがいまして、先ほど追加の十カ所につきましては、私どもといたしまして五十三年度までどうしてもやりたい、何が何でもやるんだという覚悟を現在持っておりますので、それをいま延ばすとおっしゃられても、私どもちょっと御返答に困るわけでございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 ただし、六割じゃだめですよ、よくいけば七割いくなんて言っていたんじゃ。そういう前置きがあるからぼくは言っているんで、少なくとも一〇〇%やると。黄害をなくしてもらいたいんだということですから。五十三年目標でおやりになる、これから私もそれを十分に見ながら、ひとつ、ある意味では協力しますよ。黄害をなくしていただきます。  それから、ローカル線の赤字線の廃止を四十四年の再建計画でお決めになった。二千六百キロ、八十三線。それをお決めになった後、確かに営業線の廃止をやった。それ以上に新しく、まあ赤字がはっきりしているローカル線も含めて、余分に新設をされているんですね、恐らく。多くを言いませんが、私なんかが幾ら頼んだって鉄道を新しく敷いてくれるはずはありませんけれども、人によっては、その地位と権力なども行使しながら、これは無理だな、赤字だなと思いながらも敷いているものがある。しかし、この敷くのを、勝手に二、三の人が相談するんじゃなくて、建設審議会があって、建設審議会の三十名の委員がいて、そこでお決めになっているという隠れみのがある。確かに、一応審議会で決定しましたからそれをやったんだということになるんですから、われわれがそれをいけないと言ったって、民主的に審議会が審議をした結果出たんだとこう言われますと、それでどうしようもないという感じがするんですが、私は、いままでの赤字線が廃止されないことを責めてみたり、それ以上にまた赤字のローカル線がふえたりというようなことを云々しようという気持ちはありません。ただ、そういう赤字が明瞭だというローカル線が新たに非常に数多くできているんですが、そういうものを審議する審議会の委員の構成について、これは大臣からお答えをいただきたいのですが、現在の委員の構成を見ますと、そういう偏ったものになるのはあたりまえだなという感じがするんですね。恐らく御存じだと思いますから、名前を挙げたりいろいろいたしませんけれども、この委員会の委員の構成を少しく変えるということをおやりにならないと、依然として、赤字のローカル線を廃止しようとお考えになる——廃止の仕方はいろいろありますよ。また、廃止しようと思ってもできない事情もあります。市町村全部同意を得てやらなければいけないわけですから、なかなかできない事情もあるけれども、やったところもある。しかし、廃止した線よりは、赤字がわかっているローカル線を新たにふやした数の方が多いということは事実でしょう。ですから、当局局長さん方から、四十四年に計画をつくって今日に至るまでに、廃止は何線、何キロ、新たにローカル線を何線つくって何キロつくりました、つくりつつありますを含めてひとつお答えをいただくのと、それを受けて大臣から私はお聞きしたい。いま申し上げたようなこの鉄建審というもののメンバーの選び方が、これではやはりどうも、新たな、赤字だとわかっているローカル線をつくりやすいのじゃないか。もっと違った、チェックできるようなメンバーを数多く入れるという工夫があってしかるべきだろう。ここから手を入れなければいけないのじゃないかと思いますので、いまの廃止と新線をお聞きになった上で、大臣がこの審議会のこの状態を改める御意思があるか、それをお伺いしたい。
  54. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  四十三年から今日までに国鉄線で廃止を認可をいたしましたものは、全部で二百十三・九キロでございます。同じ期間に新たに営業を開始いたしましたものは、いわゆるAB線で二百九十六キロ、武蔵野線その他の大都市交通線で二百三十七キロ合計五百三十三キロでございます。
  55. 木村睦男

    木村国務大臣 赤字路線の廃止の問題は、ずいぶん長きにわたって議論もされ、またそういう方針で廃止もしてまいっておりますけれども、私は、来年度から国鉄の再建に取り組んでいこうということで、いまいろいろの問題で検討しておりますけれども、国有鉄道というものは公共性と企業性と両方兼ね備えた一つの事業体ということになっております。そこで、これは再建とも関係してくるのですが、いままで赤字のひどいのはやめよう、また、将来赤字がひどくなるのがわかっていながら新線建設はもちろんいけない、これも一つの議論であると思いますけれども、私は、国有鉄道の公共性という観点から見ましたときに、必ずしもそれですっきり割り切るべき問題ではない、かようにも考えるわけでございます。  そこで、赤字と言いながら、とにかくその地域の交通運輸の使命を果たしておる。また、道路にお客がどんどん転化してきておるので赤字になっておるというのも原因でありますけれども、道路交通の将来を考えますときに、必ずしも、すべて今後道路に過重負担になって、鉄道の負担が軽くなるという性質のものでもない。これは将来の陸上交通の総合的な政策の見地からも考えるべきである。  実は現在いろいろ再建ということで検討をしておるわけでございます。したがって、私は、なるべく赤字路線を減らすということの考え方はむげに否定はいたしませんけれども、赤字を減らしさえしたらいいのだという再建策は考えるべきでない、かように思っておるわけでございます。  しかし、赤字がどんどんふえていくような企業体ではどうにもならぬではないかということに対しては、やはりそういう政策をとりますならば、それ相応に政府として、やはり公共的な使命を持つ路線には財政的なめんどうを見てやらなければいけないということが、半面にどうしてもなきゃいけない、こういう観点から、赤字路線の廃止につきましては、今回再建を考えます場合には、従来言われておりましたような考え方も含めまして、もう一つ新しい考え方を加えて検討してみたい、かようにも思っておるわけでございます。  ところで、鉄道建設審議会のメンバーのことでございますが、御承知のように、法律でそれぞれ職能別に人数も決められております。ことに国会議員としては衆参合わせて十名の方、しかも各党にまたがっての委員の御推薦をいただいておるわけでございますが、私は、恐らくおっしゃりたいところは、もっと利用者を参加させたらどうかという御意見じゃないかと思いますが、その点、私も考え方としてはそうあるべきだ、こう思います。したがって、この問題もそういうことも含めまして、これはどうせ法律事項でございますから、最終的には国会の御承認を得るわけでございますので、方向としてはそういうことも含めながら今後再建問題とともに検討していきたい、かように考えております。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。私の言いたいことはそこにありますので、大至急に検討をお願いしたい。  最後に、いまの赤字線を含めての問題を取り上げ、あるいは監査委員会の報告の中にもありますような、日本経済調査会が交通再編で大胆な提案を去年の八月二十四日にやっているわけですね。私も、赤字路線だからローカル線廃止しちゃえないという立場じゃありませんから、そんなむちゃなことを考えているのではありません。この提言も、だからと言ってむちゃにローカルの、へんぴな町村に対する公共交通というものをなくしていいのだという考えではないという基調に立って提言をしているわけです。その提言の中のどん詰まりへいきますと、一つには、総需要抑制だあるいは公共料金を下げなければいけないというようなことで下げるのだったら、その公共料金を抑えるために、当然値上げをしなければいけない状況になっている鉄道なりその他運輸機関に対しては、値上げをさせない政府の側で予算上のめんどうを見るべきだというのが、大胆な一つの提案ですよね。これに対して一体どうお考えになっているかをお聞きしたい。現在なかなかそうなっていない。これは私営の交通も含めてですが。  それからもう一つは、この赤字線みたいなものは大胆に、もう地方の公共団体、自治体に経営を移譲しなさい。国鉄はもっとすっきりしちゃえ。そして幹線だ何だという主な線路だけの経営に当たればいいので、あとは地方公共団体にこれは全部経営を移譲して、そうして五年間なら五年間その経営が赤字であった場合には国がめんどうを見るというようなことをして、ローカル赤字線を、廃止じゃなくて地方自治体の苦心の中でこれが経営できるように放していけ、移譲しろ、こういうのがこの提言の二つの柱なんですが、これに対してどうお考えでしょう。地方公共団体に対する移譲。あるいはそうじゃない、これはもう民有にすべきだから民間の経営に移譲する方がいいというようなお考えがあるのか。提言どおりに、やはり将来赤字線というものは地方公共団体に移譲をして、五年間は赤字に対してめんどうを見てやる、指導はするがめんどうを見るというような、二つ目の問題をどうお考えになっているか。この提言に対する考え方、それと第一の問題、これを大臣からお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  57. 木村睦男

    木村国務大臣 第二の問題からお答えをいたしたいと思いますが、国鉄は御承知のように、山手線と新幹線と高崎線を除いたら実際赤字だというふうな、まことに大変な事態になっておるわけでございます。そこで、いまのお話の中で地方公共団体に移したらという御意見、まあこれは、そういう提言があることでございますけれども、私は国鉄のその再建といいますか、経営改善といいますか、そういう観点から、国鉄線の非常に赤字の多いようなところを地方に移す、国鉄はそれで悪いところを切って捨てるかっこうになりますから、それであるいは助かるかもしれませんけれども、国全体として見ましたときには、いまの地方公共団体の現状から言いますと、地方公共団体に移すことによってかえってその線は赤字がふえるんじゃないかという感じも持つわけでございます。これはいろいろ理由は考えられるのですが、ことに、いま国鉄の経営の中で、収入に対しては九〇%近く人件費経費の中でも七割以上が人件費という、非常に人件費の多く比率を占めておる経営のもとで国鉄はやっておるわけでございますが、こういう点から考えますと、これを地方公共団体に移しますと、やはりこの人件費はふえこそすれ減ることはないであろうという感じを持つわけでございます。その他、総合的に保守その他の面から手広く、地域的にも広くやっておるというところにやはりメリットもあるわけでございますが、そういう点もメリットからデメリットに移るようなことになりはしないかという不安もございます。ですから、これは非常な大きな問題として私は検討はいたしますけれども、いろいろ難点があると思います。ことに全国的なネットワークとしての列車の運行という点から考えても研究を要すべき問題だと思いますので、これはひとつ、提言として私は承っておりますけれども、検討さしていただきたいと思います。  それから、運賃を時の物価対策で抑えて、抑えっぱなしで政府はめんどうを見ていない、見るべきである、私はそのとおりだと思います。事実、今日まで、これは国鉄といわず交通関係の公共料金について、物価対策のために、純粋に計算すればこれだけの必要な運賃にしなければならないというのを、そういうことのために抑えてきた。で、場合によりましたら、角度を変えて補助等の政策もやってきておりますけれども、抑えた運賃で得べかりし収入に対してそれ相当の手当てをしてきたかと言えば、それはそうまいっておりませんので、その点は政府としても反省しなければならない点は多々あると思います。要するに、理論といたしましては、やはり運賃というものは常に適正な運賃でなければいかぬ。もしも、交通事業として適正であるべき運賃を政策的に抑えるとすれば、その政策を執行しておる政府側においてそれにかわる方法を考えるべきであるということが正論であり、今後はそういう考え方に立って運賃問題は処理していかなければいけない、かように思っております。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  59. 森下元晴

    ○森下委員長代理 この際、委員長から申し上げます。  本日は時間の制約がございますので、政府におかれましても答弁は簡明に願いたいと思います。  庄司幸助君。
  60. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、日本航空の赤字問題が最近大分取りざたされておりますので、その問題について御質問申し上げたいと思うのです。  最初、参考人の皆さんにお願いしておきたいのですが、後からお伺いして、それで調べてから御返事するというようなことがあるとまずいので、前もってお調べおき願いたい点があるのです。  一つは、ジャルパックをおたくの方でおやりになっているわけですが、ジャルパックハワイというのがありますね。それからジャルパック沖繩とかあるいは韓国とか。この三つの地域についてのホテル、どういうホテルに契約されておるのか。そのホテルの中で、なかんずく、おたくのいわゆる個人筆頭株主である小佐野賢治さんの関係するホテルですね、どこどこで、いままで何人ぐらいのお客さんが利用されたか、そういった点ひとつお調べおき願いたいと思うのです。それから、そのホテルの一回の宿泊の一人当たりの料金、この辺ひとつお調べおき願いたい。  二番目は、とかく取りざたされておりますダンピングの実態ですね。それに伴うキックバックと言われておりますが、これは裏リベートといいますか、この実態もひとつ前もって、これは電話で照会すればおわかりだろうと思いますから、そういったものもお調べおき願いたいと思います。後でこの問題で質問いたしますからお答え願いたいと思います。  最初、私申し上げたいのは、やはり赤字の問題についてですが、いろいろな原因があるだろうと思います。しかし、それにはやはり経営における近代的な経営管理の問題やらあるいは見通しの問題やら、それから労務管理の問題やら、いろいろあるだろうと思うのです。最初、私は労務管理の問題から伺ってまいりたいと思うのです。  日本航空の労使問題は、四十七年に連続事故がありました際も指摘された事項です。私の感ずる点では、大変前近代的な労務管理がなされているんじゃないか、こういう感じを持っているわけです。  これは一つの例でありますが、昭和四十年ごろにおたくの乗務員組合の方が四名解雇されました。それ以来、労働組合と会社側とのいろいろな係争事件が大変多くなったわけですが、その時期から、組合が四つあったものが七つぐらいに分裂して、まあさせられたと私は申し上げますがね、その後また統合されておるようでありますが、そういう中で非常に数の多い不当労働行為があったわけです。大きく分けても二十件ぐらい、都労委なりあるいは裁判所に提訴されているわけですが、そのうち決着のついたもの十件ですね、これは全部会社側が敗訴しているわけです。そこで、こういった問題で、大変熱心に会社側は労務管理なすっているわけですが、大変な法廷費用とか弁護料がかかったんだろうと思うのです。大体昭和四十年からいままでどれぐらいそういった訴訟の費用がかかったかをお知らせ願いたいと思うのです。
  61. 朝田静夫

    朝田参考人 お答えを申し上げます。  ただいまの御質問の訴訟費用、弁護士費用等につきましては、ただいま御指摘のとおり、昭和四十年くらいから約十年この方の長い経緯等もございまして、弁護士費用で二千四百五万円かかっております。これは都労委、中労委あるいは裁判所、地裁、高裁、最高裁、そういう訴訟を含めまして、いま申し上げました二千四百五万円というのが弁護士費用としてかかっておるわけでございます。
  62. 庄司幸助

    ○庄司委員 弁護士費用のほかに法廷費用は。
  63. 朝田静夫

    朝田参考人 法廷費用もいま申し上げました金額の中に含まれております。
  64. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはおたくの経費の費目、何から出されておりますか。
  65. 田中勇夫

    田中参考人 ただいま御質問のありました費用に関しましては、その他の役務費用で出しております。
  66. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは労務管理としては、ほかさんと比べると非常に多いと思うのです。それだけにいわゆる組合対策なりあるいはそういったものに大変御熱心だったという数字が、ここにあらわれているわけです。  この争訟問題、いろいろ調べてまいりますと大変ひどい実例があるわけですが、その中でも特にひどい実例を申し上げますが、これは四十年のころ、乗務員組合の役員が四名解雇されたわけです。それが四十八年の一月までかかって、会社側が結局本訴を取り下げた。それまでに労働委員会やら裁判所やら十七回も、日本航空の会社側が敗訴しているんですね。しかも、中労委の方では緊急命令まで出しているわけでしょう。これに従わなかったために三回も科料、まあ罰金みたいなものです、科料に処せられている。私は中労委の見解を聞いたんですが、中労委では、こういう緊急命令が出てもなおかつ従わないで科料まで取られる会社はないというんですね。この科料の額は三回で六百万円です。  これは政府が約半額出資をしている会社でしょう。しかも監督権を持っている会社です。いわゆる近代産業の第一線を行くと言われている航空産業ですね。こういう会社が、こういう前近代的とも言われるような感覚で労使間の問題を処理して  いるとすれば、これは非常に憂うべき事態があるんじゃないかと思うのです。特に、航空機飛ばす場合は整備の問題やらあるいは運航の問題やらで、本当に針をつついたような神経の鋭さが要求されるわけでしょう。そういう際こういう無益な労使紛争を巻き起こして、しかも中労委の決定にも従わないで罰金まで取られている。これは決算上から言っても、こういう科料を三回も払っているというのは私は大問題だと思うのですよ。その点、監督の責任のある運輸大臣どう思われるか、ひとつ運輸大臣から私は所信を伺いたいと思うのです。
  67. 木村睦男

    木村国務大臣 私は、委員がおっしゃる非近代的ということの意味がよくわからないのですが、これはどの企業体でも、そこには管理者側があり労働組合がある。その間でいろいろ紛争もある。その紛争の解決の手段として訴訟に及ぶこともある。私は普通の形ではないか、かように思います。その間にいろいろ、見る人によって批判はあろうかと思いますが、できることならそういう紛争に立ち至らないで、円満に解決をするということが最も望ましいことには変わりはございませんが、これは事の成り行きで、そこにいろいろな形態が出てくるのではないかというふうに思いますので、具体的な事例一つ一つについて私詳しく知りませんので、そういうことをよく見きわめていきたいと思います。
  68. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ運輸大臣、いまから事例を申し上げます。たとえば四十年五月七日に四名解雇されましたが、これが一つの事例です。四十二年八月に都労委の審決が下る。四十四年の七月に、それで会社側は納得しないで中労委に訴える、ここでも審決が下る。これを今度は行政訴訟に持っていく、それで負ける。今度は控訴をやる、そして四十七年のあの事故が続発した時点で会社側が取り下げております。  それから同じような問題が、今度は中労委の緊急命令が四十四年の九月に出るそれに従わないで罰金を取られる、第一次科料です。それにも従わないで今度は即時抗告をやる。これでも負けてまた特別抗告をやる。そしてあの連続事故が起きて四十八年一月、これは最高裁で却下されております。同じようなあれがまた今度は尾を引して、第二次の科料決定、即時抗告、特別抗告、却下、第三次科料決定、即時抗告、会社取り下げ、こういう事例がまだあるのです。  それから、もう一つ申し上げましょう。一等整備士の受験の差別の問題があるのです。一等整備士が国家試験を受ける。そのためには筆記試験か何かを運輸省でおやりになるのでしょうが、実地試験の方は会社の飛行機、機材、こういうものを借りなくちゃならない。これに対していろいろな差別を加えている。一等整備士にならなければ、整備士として一人前の仕事はさせてもらえないわけでしょう。これは働く意欲にもかかわるわけですね。それから同時に、航空の安全を期するための機材の整備、こういった問題でも非常に関係があるわけです。それで、この問題で四十六年の三月に組合員二人の提訴があって、会社側が敗訴したにもかかわらず、再び現在、同様の不当労働行為が争われているのですね。あの二人の事例は、四十六年敗訴して和解しております。これは訓練も試験もともに受けさせようという決定が裁判所の方から下っているわけです。それから今回、四十九年の四月に提訴していま係争中のものは、プロペラの整備士からジェットの整備士になる拡張試験、五人受けようとしたのです。この五人の方は、いずれも現にジェットの整備のベテランです。ところが試験を受けられないのですね。それから、確認者の資格の問題もあるのです、三人については。確認者というのは社内の制度だそうで、整備の確認をする責任者の社内資格だ。普通だと、一等整備士になって二、三年で九割近くの方が確認者になられるそうです。ところが、この要求されている三人は一等になっても十年ぐらいだめだというのですね。非常なベテランです。こういうベテランを飛行機の整備点検、あるいは機材の整備点検に当たらせないでおいて事故が起きる、これじゃ私は困ったものだと思うのですね。  それから、給与の差別を受けまして、それでいま訴えている方が二百三十五人分あるのですね。この方々は、不当な差別のために何だかんだ入れると四億円、これぐらい損失を受けている。一番多い人は、こういった差別の結果累積で一千万円ぐらい損していると言われております。この二百三十五入の方が都労委に訴えられた。そうしたら会社の方では、二月十四日に都労委に対して三百十九人の証人申請をしていますね。いや差別じゃないのだ、これはこういう悪いことをした人だから、だから月給は上がらないのだ、昇格しないのだというのの証人に三百十九人も出しておられる。これは証人です。ところが、組合側の証人申請したのはたった二人です。三百十九人も出さないと、二百三十五人の人についての、いわゆる月給が安い、昇格しない理由が述べられないような仕掛けになっているようですね。管理職というのは一体何のためにあるのか、こういうふうに感ずるわけです。いままでの都労委の審問は、月に一回ですから、二時間ぐらいです。これで行くと、この係争というのは早く見積っても十年かかる、三百十九人の証人の調べに。あるいは三十年ぐらいかかるかもしれない。こういう実態なんです。  私は、これは朝田さんにひとつ答えていただきたいのですが、その後運輸大臣でいいですから、これはちょっと異常じゃないですか。これは中労委でも異常だと言っているのです。政府監督の会社で、しかも最も近代産業の第一線を行っている会社で、なぜこういう労務管理といいますか労使間の問題がこういうふうにあるのか、不思議でならないわけです。いまいろいろな事例を挙げました。この辺どう考えていらっしゃるのか、これは社長さんからひとつ答えていただきたいと思います。
  69. 朝田静夫

    朝田参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘をいただきました過去十年この方いろいろないきさつがございまして、乗員の四人の解雇の問題につきましては、一昨々年まことに申しわけのない事故を起こしまして、私はやはり先生が御指摘になりますように、何としても私どもの事業の絶対命題は安全性の確保でございますから、労使の関係を正常化したいということで私が決心をいたしまして、最高裁に係争中の事件をみずから進んで取り下げたということでございまして、その際あらゆるしこり、あらゆる問題をひとつ取り除いていきたい、こういうことで私が自身で決心をいたした問題でございます。したがいまして、基本的には私は、安全性の確保という絶対命題を持っておる航空輸送事業でございますから、今後も労使関係の正常化に全力を挙げて努力をいたしたいということには変わりはございません。  そこで、ただいま都労委にかかっております昇格、昇給の問題でございますが、これもまた七年間も続いておる問題でありまして、当初、一年ごとにそういう問題を都労委で審理をいただきまして、結論が出ればこんなにたまらなかっただろうと思うのでございます。七年間に延べ二百名を超、えるケースを個々に、考課の状況を個別的に立証しなければならないとするならば、各所属長、第二次人事考課評定者でございますが、これを証人として立てて一つ一つの個別の立証をしなければならないとするならばそういう立証計画になるということを申し上げたことば事実であります。しかし、そのことについて私どもは固執をしておるわけでは決してございません。もっとスムーズに、しかも申し立てに合った適切な妥当な立証方法がございますれば、十分私どもはそれに協力をする所存でございますし、このことは労働委員会あるいは組合の方々にも言明をいたしておるところでございます。したがいまして、労働委員会等で、こういう立証方法でなくてもっとこういう形で、あるいは方法でやれば証人の数も少なくなるとい一うことでありますならば、私どもは進んでそれに協力をいたす所存でございます。
  70. 庄司幸助

    ○庄司委員 いまの社長さんのお話、非常に針の先のような安全神経が要求される航空業界ですね、やはり労使の間が円滑を欠いたら本当に不測の事故につながるわけですから、その点で、いまお答えになったような姿勢で臨まれるとすれば、私は一歩前進だろうと思うのですよ。だから運輸大臣も、そういう、社長さんがお話しになったような実態もあるのですから、これは監督者として十分やはりつかんでおかれる必要があると思うのですよ。  それで、いませっかくの社長さんのお話ですから、二百三十五名の問題、これは中労委ではこう言っているのです。差別そのものが集団的なものであって、個人の成績は判断の基準にはならないのだ。それから、労働委員会で証人採用にならない例も多い。また、やる場合でも陳述書で済ませることも多いんですね。  それで、私ここで感ずるのは、三百十九名の管理者を呼ばないとこういった方々の実態が明らかにできないのだというところに、日航の労務管理体制の中に非常にむだがあると思うのです。こんなことぐらい常時つかんでおられる担当の重役さんがいれば、これは一人でも間に合うんですよ。あるいは課長一人ぐらいでも間に合うはずなんです。それをこういう管理職を三百十九人も、はるばるヨーロッパやその他から呼びつけなければならない。大変余裕たっぷりの会社さんだなと思うのですよ。  それで、一例を挙げますけれども、おたくでこれだけ申請しているのですね。これは全部証人のお名前と、だれについての証言をするのだと、こう出ております。これで見ると、国内だけじゃなくて、国外の三十社から——三十社と申しますか、三十支店から三十余名も証人を東京まで呼ぶことになっております。いいですか。ブラッセル営業支店長、クアラルンプール支店長、欧州地区副支配人、メキシコ空港支店ステーションマネージャー、シカゴ支店長、バンクーバー支店長、ローマ支店長、ウィーン営業支店長、バンコク空港旅客マネージャー、ハンブルグ支店長、シンガポール支店次長、まあ一々読むのも大変ですが、その他ハバロフスクとかアンカレジとかカラチとかコペンハーゲン、モスクワ、テヘラン、サンフランシスコ、アムステルダム、もう至るところです。万国旗飾ってもいいようです。海外で働いている人を、まあそういう人はおたくは飛行機はただだから、これもむだな話ですが、一々呼びつける。よっぽど暇なんでしょう。おたくはこういう管理職が非常に多いのですね。ほかの外国の航空会社と比べると、アメリカあたりでは大体平均で五十五、六人に一人の管理職、それが日航の場合は十二人に一人。大変なむだ、やっているんじゃないですか。その辺にも赤字の一端があるのじゃないですか。あなた方は、普通の労働者をお使いになるときは、さっき言ったような裁判まで執拗に繰り返してやって、締めつけをやってやりますけれども、管理職はこうやってたっぷり遊ばしておいて、ただの飛行機まで利用させる。暇も与える。恐らく日当も出すのでしょう。こんな暇があるなら、なぜこういう管理職に、もっとお客さんをとらせる工夫なり、あるいはむだを省くような指導をやらせないのですか。社長、どうです、これは。
  71. 朝田静夫

    朝田参考人 ただいまの証人の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもはこの人数で個別立証をすることになりますということだけであって、これを固執するものではないということを先ほど申し上げたわけでございます。そこで、申し立てに合った適切な、妥当な立証方法があれば、それに従います。そして、進んでそれに協力をいたしたい。これは審理の時間を引き延ばそうとかそういうようなことでは決してないのでございまして、四十七年までは組合も個別立証方式は採用しておられたわけでございますから、われわれがいま個別立証方式になりますとこういう人数になりますということを申し上げておるだけでございまして、四十七年までは組合の方も個別立証方式でいこう、こういう時期があったのでございます。したがいまして、私が先ほどから申し上げておりますように、これに固執するものではございません。もっと適切な、妥当な方法を労働委員会の公益委員から示唆をいただくなり、あるいは提案をいただきますならば、それで前向きに処理をしたい、こういうことを申し上げておるのでございます。
  72. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、方法があれば変えてもいいとおっしゃいますけれども、私はこういう計画を組まれたところに、こういうことのできる余裕が日航さんにおありなんだということを申し上げているわけですよ。余裕があればこそ、ただの飛行機にも乗せて引っ張ってくる、それから都労委の証人調べに休みをやる、そういう体制があるんでしょう。あるからこそ、こういう個別申請に応じてきているわけです。その点ひとつ今後は、私これ以上申し上げませんから、ぜひこういった問題、労使間の問題ですから、特に信用第一の日航ですから、政府出資も半分近く入っていますから、労使間の問題は早速労働組合と話し合いをやって、そして進められるようにぜひ希望しておきたいのです。そして、むだな係争はやめて、労使一体になって本当に日航の赤字の再建、これに気持ちよくお互いにやれるような体制、職場の空気、これをつくっていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  73. 朝田静夫

    朝田参考人 ただいま経営環境がきわめて厳しい、そして困難な段階を迎えておりますので、こういう危機突破・克服対策を企業体質強化委員会におきまして、私みずから委員長になって、企業体質強化の数々の事項を決定いたしております。  しかし、私自身の考えを申し上げますと、こういうものを決定いたしましても、ただいま先生御指摘のとおり、労働組合の協力を得られなければなかなか実現ができないのでありますから、労使協議制をしいております一万一千人の非常に大きな組合も、乗員組合も客室乗員組合も経営協議会という制度を持っております。しかし、日航労組に対しては、そういう制度をとっておりませんけれども、私みずから、赤字克服の諸方策を詳細に各項目にわたって説明をいたしておるような次第であります。そして、そういう労使の関係が正常化されて、ただいま御指摘のようなことで、役職員一体となってこういう危局を乗り越えていきたいということで、日航労組にも同様に説明をいたしておるような次第でございますから、ただいま御指摘の点はよく私の肝に銘じましてさらに努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  74. 庄司幸助

    ○庄司委員 具体的な問題になりますが、この差別の問題はやはり解消してもらわなくちゃなりません。それから一等整備士の問題なんか、これはもう安全に直接関係する問題ですから、これも解決してもらわなくちゃなりません。それも含めてひとつお話し合いを進めて、労働組合側の納得を得るような方向でやっていただきたい。かりそめにも会社側が一方的につくったあなた方の赤字克服路線、これを押しつけるなどという態度があってはならないだろうと思うのです。その点いかがでしょう。     〔森下委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕
  75. 朝田静夫

    朝田参考人 ただいまの昇格、昇給の問題も都労委に持ち込まれておりますから、これについて、先ほどから申し上げておりますように、適切な立証方法が見出せますならば、これはスムーズに解決していけることだと思います。  なお、一等航空整備士の問題につきましても、同様にこれは都労委にかかっておる問題でございますから、公正な第三者の御意見に従って善処をしてまいりたい、こう思っております。もちろんこういう問題に限らず、先ほど申し上げました諸般のもろもろの事項につきましても、日航労組ともしばしば話を私自身しておりますので、今後もこういう問題についても話し合いをしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  76. 庄司幸助

    ○庄司委員 運輸大臣、大体お聞き及びのとおりです。これはやはりあなたも監督の責任があるわけですから、いままでのやりとりを通じましていろいろお感じなすったこともあるだろうと思うのです。その上に立って一言、どういう御所信なのか、これを承りたいと思うのです。
  77. 木村睦男

    木村国務大臣 政府が監督をしております企業といえども、その企業の中の労使の紛争には政府は干渉しないという姿勢が、私は従来とも、とるべき姿勢であると思っております。日本航空は非常に重要な国家的使命を遂行しなければならない会社でございますので、経営者側も従業員も、この日本航空の創立の使命をひとしく担って、その使命の遂行に邁進してもらうこと以外に政府としては言うべき言葉はないわけでございます。そのためには、社内の労使間の紛争は円満に解決をして、一体となって使命遂行に当たってもらいたいということに尽きるわけでございまして、社内の労使間のいろいろな紛争についてとやく批判はすべきでない、かように考えております。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 そういうふうにおっしゃいますけれども、やはり日航の社長さんというのは、朝田さんは元運輸事務次官をなすった方でしょう。いわば政府が出資している、それで派遣しているような形もあるわけですね。ですから、社長さんに対して、やはり労使間の問題で世上いろいろ取りざたされている、紛争もあるようだ、こういった問題でいたずらに事態の解決を遷延するような策、これは好ましくない——干渉してくれなどとは私も言いませんよ。しかし、それくらいのことは言ってしかるべきだと私は思うのです。  時間の関係で前に進みますが、日航の赤字見込み額、これは、政府から出された財政法二十八条に基づく五十年度予算参考書類、これで見ますと、四十九年度は三百億二千四百万円の赤字見込みだ、それから五十年度は三百六億四千六百万円の赤字の見込みだということなんですが、この赤字の原因、これは時間がありませんから私から、会社側が言われそうなことを申し上げますが、燃料費が上がった、それから二番目は貨物やお客さんが減った、あるいは台北線が廃止になった、あるいは台湾領空を通れないで遠回りする、あるいは日韓関係が悪化してお客さんが減ったとか、こういうことだろうと思うのですが、大体そのとおりですか、おたくのほうのあれは。
  79. 朝田静夫

    朝田参考人 赤字の原因は、外的要因と、世界的な不況でございますので航空輸送総需要が激減をしたということと、あわせてただいま御指摘の項目のとおりだと思います。
  80. 庄司幸助

    ○庄司委員 こういうことは実は前から徴候があったのだろうと思うのですね。これはおたくの社内報、ことしの二月号ですが、「おおぞら」、これで橋爪経営管理室長さんがこういう質問に答えているわけです。「数年前までわが社は収支のいい会社であったと思うんですが、どうしてこう急転直下に悪くなったんでしょうか」ということに対して、「こうなる兆は四十五年ごろからあった」と述べられております。四十五年ごろからそういういわゆる貨客の伸び率の鈍化——油の方は予測できなかったでしょうが、そういうものを認めていらっしゃるわけです。そうすると、それについてすでにもう予測があるわけですから、経営者ならば対策をとらなくちゃならないですね。こういう予測がありながらなぜこういう今日の事態までなったのか、それを簡単にひとつ御説明願いたいのです。
  81. 朝田静夫

    朝田参考人 四十五年というところから石油危機に至りますまでの過程というのは、御承知のとおり高度経済成長のバックアップを受けて、どんどん輸送総需要というものが伸びてまいりました段階でございます。しかし、私どもの方で、いま御指摘になりましたような傾向というものは徐々ではあるけれども見られる、したがいまして、そういうものに対してわれわれが心して経営をしていかなければならぬ、しかし、それは徐々に漸進的にそういうことになるだろうということで、私どももそれ相当の対策を打ち、稼働率を上げたりあるいはコストダウンをしたりというようなことを今日までやってきたところが、石油危機を契機にいたしましてこれが急激に一挙に顕在化してきた、こういうことでございます。
  82. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、わかっちゃいたけど手の打ち方がやっぱり情勢の変化におくれたということになりますね。  それで、ボーイング747、ジャンボですね、これの導入は何年から進められたのか、それから年度ごとの導入数、それから現有機数、これをちょっとお知らせ願いたいのです。
  83. 朝田静夫

    朝田参考人 各年度の導入機数はいま数字がございませんが、最初にボーイング747を導入いたしましたのは四十五年からでございます。現在、現有機は二十四機ございます。
  84. 庄司幸助

    ○庄司委員 貨客の伸び率が鈍化してきたのが、もう四十五年に徴候が出ているのですね。橋爪さんがおっしゃっているとおりです。それにもかかわらずこのジャンボをなぜ導入したのかという問題がやっぱりあるわけです。しかも現有機数が二十四機でしょう。そうすると、パンアメリカンの三十二機、これが筆頭ですが、おたくが第二位で二十四機、それから英国航空が十六機、それからエールフランス、TWA、ノースウエスト、これは各十五機ですね。ジャンボが多いほど営業成績が悪いというのはこのごろの通り相場なんですが、なぜこうやってジャンボをどんどん入れられたのか、理解に苦しむわけです。だから、燃料費の上昇も確かにあるとは思いますけれども、燃料費の上昇以前の問題として、私はこのジャンボの導入というのは問題があると思うのです。しかも、このジャンボのお客さんの利用率といいますか客席の込みぐあい、これは非常に悪いでしょう。だから、その点で、ジャンボを導入してから座席の利用率はどういうふうに下がってきたのか、ちょっと教えてもらいたいのです。
  85. 朝田静夫

    朝田参考人 お答えを申し上げます前に、四十五年ぐらいから貨客の伸びが鈍化してきた、こういうお話でございます。それにもかかわらず、なぜジャンボを大量に入れたのかということでございますけれども、四十五年から石油危機が勃発するまでの間は、先ほど申し上げましたように、高度成長で貨客の伸びは非常に顕著なものがあったわけでございます。過去三、四年を通して石油危機以前の伸び率は、海外に出られる日本人の旅客の伸びは年率四二%伸びておるわけでございますから、四十五年当時から四十八年ぐらいまでの間はそういう高成長の時代であったということでございます。貨客の伸びが鈍化をしておるということはもっと後のことでありまして、特にそれが顕在化し、一挙にそういうことが出てきたというのは石油危機以後でございます。  ジャンボをなぜそんなに大量に投入したかということは、私どもは、そういう高度成長というものの伸びに対して、そういうもののニーズにやはりこたえていかなければならない、外国のキャリアと激しい国際競争の中にありまして日本のナショナルキャリアとしての使命も果たさなければならない、こういうことで、御承知のように国際航空協定、二国間条約で決められておりますところの、国家間の権益が交換されておるものを日本のナショナルキャリアとして実行してまいらなければならないという、一方において使命と義務を持っておるわけでございます。したがいまして、私どもはそういうニーズに応じて、今日までそれを拡大をしてきたということであります。  それともう一つ、国内の空港事情というものは非常に制約を受けておりまして、御承知のように発着枠の制限がございますし、運用時間の制限もございます。こういうときに、しかもますます深刻化してまいりますところの環境問題ということもございます。騒音公害に対処するためにも、あるいはさらに安全性の向上したこういう新鋭機のジャンボジェットを入れてくる、そして騒音レベルの低い環境問題に対処する上においても、私どもはこのジャンボジェット、ボーイング747というものを導入してこれに対処しようというふうに考えたわけでございます。  国内空港事情の制約もございますし、安全性のさらに向上した新鋭機を導入するということと、安全と環境問題に対処するためにもこういうものを大量に入れてまいった、こういうことでございます。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 ナショナルキャリアですからニーズにこたえる、これも一つあると思いますが、しかし、経営を健全化するということも、ナショナルキャリアですから当然考えなければならないだろうと思うのです。そういう点で、ジャンボの導入がいわゆる座席利用率を低下させた一つの原因だ、私はそう思っておるのです。  ですから、時間がありませんから、この、ジャンボ導入以来の座席の利用率、この推移、これはひとつ資料として出していただきたいと思います。いいですか。  それで、おたくの場合は、昭和四十七年から損益分岐利用率、これが急上昇しているわけです。たとえば昭和四十六年、これは五〇・五%だったのですが、四十七年になりますと五四・八%、これは総合ですからね。それで、四十八年には六三・八%に上がってしまったんですね。しかもこの実際利用率は、一〇%、四十八年と四十九年の間で下がっておりますね。これはやはりジャンボの導入と大きな関係が一つあるし、同時に、ダンピングの問題があると思うのですね。ダンピングと申しますか、非常に安い団体割引とかあるいはダンピング、これがあると思うのです。  それで、欧州行きの往復正規運賃、これは五十六万六千九百円ですね。そのとおりですね。それから団体割引の場合、団体特別運賃は、十人以上の場合は三十五万五千円、二十五人以上だと二十四万三千円、それからバルクの場合、三十五人以上の升を買った場合は十九万一千六百円、ここまでは確認できると思いますが、そのとおりですね。簡単でいいですから……。——これは時間ばかり食いますから、調べて後で答えてください。  それから、巷間伝えられるところによると、これにキックバックが重なって、往復で十一万円ぐらいの運賃が現実にある、こう言われているわけです。  これをひとつ、いまの欧州線とあわせて、各路線ごとのそれぞれの運賃、正規運賃とか団体特別運賃あるいはバルク、それからダンピング価格、これを資料で出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。出せますか。
  87. 朝田静夫

    朝田参考人 資料として提出できると思われます。  ただ、いま御指摘の点は、団体割引運賃、バルクあるいはGIT、こういうグループITの運賃というものはダンピングではございませんで、IATA、国際航空運送協会の百十社ばかりの国際航空を担当しております会員で世界じゅうの運賃を決めておるわけでございますから、このIATAで決められましたプロモーショナルフェアでございますから、そういうものに従ってやっておるのでございまして、巷間出ておりますところの実勢割引、そういうものについてはこれは関係のないことでございまして、ノンIATAで、IATAに加盟をしていない航空会社、あるいは加盟をしておってもダンピングをしておるところがあるかもしれませんが、私どもはこれはダンピングだと考えておりませんので、その点だけ一つつけ加えさせていただきたいと思うわけであります。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは私もわかっております。  それで、IATAの協定以外に、いわゆるキックバックというのが巷間伝えられているわけです。冒頭に、このキックバックの実態、ダンピングの実態、これをひとつお知らせ願いたいとお願いしていたのですが、御用意がないようですから、これもひとつ資料として出してもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、どうせ日本航空の問題は今度の委員会だけで終わらないだろうと思いますから、もう一つ資料を要求しておきますが、各路線ごとの、正規運賃で運んでいる旅客は何%なのか。欧州航路で言えば五十六万六千九百円きちんと出しているお客さんは何%を占めているのか。それから団体特別割引は何%なのか。それからバルクの場合は何ぼなのか。締めて一〇〇%になりますね。あるいはバルク以外のいわゆるキックバックによる、おかしなやり方によるダンピングがあれば、それは何%なのか。この辺、欧州路線以外各路線についてひとつ資料を出していただきたいのです。これはおたくの赤字を分析する場合重要な資料ですから。よろしゅうこざいすか。——よろしゅうございますね。  それからもう一つお伺いしたいのは、おたくの社員以外の割引パスあるいは無料券、これは年に何枚、金額にしてどれぐらい。中にはそれも使わないで薩摩守を決め込む方があるかどうかわかりませんけれども、この資料もひとつ出していただきたいのです。よろしいでしょうか。  それで、私はこの点で、いまの数字を聞いて大変感ずる点があるのです。正直者がばかを見るというのはこのことじゃないか。私も私なりにちょっと計算してみました。たとえば欧州線で三百六十人ぐらいの定員のジャンボに三百人乗ったとする。正規の五十六万六千九百円払った人が、おたくの資料でも三八%平均だと言われておりますから、そうすると百四十四人、これが八千百六十三万三千円ぐらいになるのですね。あとは仮定ですが、十人以上の団体では、三十五万五千円で、二〇%として六十人、二千百三十万円、それから二十五人以上だと二十四万三千円の九十人分で、これは三〇%と見て、この比率は仮定ですが、二千百八十七万円、それからバルクあるいはダンピング、こういったものをひっくるめて一二%ぐらいと仮定して約三百九十六万円です。そうすると、これは仮定も入りますけれども、三百人で一億二千八百万円余を上げるわけですが、この六三%ぐらい、六割近くは実は三八%の人数のお客さんが負担するというかっこうになるのです。そうすると、まじめに、個人の所用で欧州に行かれる方は五十七万近く払って、あとの観光客や何かは非常に安い運賃で運ばれている。私はレジャーを否定するものではありませんけれども、しかし、自分の所用、会社の用、こういうものでまじめにおたくの路線へ乗る方は倍以上の金を払っている。これは正直者がばかを見るということの実態だろうと思うのですが、これはIATAの協定だとあなたがおっしゃるならば仕方がない問題でしょうが、こういう正直者をどうしてくれるんだ、この問題が残るわけです。そうすると、大体三百人で一億二千八百万円を割れば四十三万ぐらいなものですから、いっそおしなべて四十五万ぐらいにしちゃったら会社も黒字になる、不公平もなくなる、こういう仮定も一つ成り立つわけですが、こういうことできませんか。赤字だ赤字だと言って、去年は四回も値上げされて、一方では正直なお客さんは大変高い運賃を払って乗っているのです。われわれだって一人で欧州に行く場合は五十六万六千九百円払います。こんな不公平なことないんじゃないですか。その辺どうなります。
  89. 朝田静夫

    朝田参考人 お答えを申し上げます。  団体割引、グループ割引、バルク、地上のホテル、バス等もついたそういう運賃というものと、ただいまお話のありましたビジネストリップで商用とか会議だとかというようなことと、商品の質が違うわけでございます。それは行って帰る旅程がきちんとそこで拘束をされて行く、行ったその飛行機から帰る飛行機も全部限定をされておって自由がきかないわけでございますから、商品の質が違うということで御理解をいただきたいと思います。
  90. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 庄司さん、大臣が参議院に行きますので、なるべく時間厳守を願います。
  91. 庄司幸助

    ○庄司委員 それはどうにも割り切れません。  それから、ダンピングとキックバックの実態、これはきょう時間がないでしょうから資料で出してもらいたいと思うのですが、こういう形態の中でバルクや団体にフリーの客を当てはめるようなことがもしあったら、これは業者がもうかるわけですね。その点で代理店の手数料とかキックバック、この資料はどうしても出していただきたいと思うのです。代理店に皆さんの方で年間何ほお払いになっていますか、あと旅行業者合わせて。
  92. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 時間がありませんから……。すぐわからない……。調べて後から……。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 そういうこともわからないんだ。だから時間ばかり食うんだ。
  94. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 庄司さん、いますぐわからないようですから、後から報告するように……。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ、次の問いをやるまでに調べておいてください。  最後に、私先ほど冒頭にお願いしていたジャルパックハワイとか沖繩とか韓国の旅館の問題、お調べ願ったと思いますから、これをお答え願いたいと思います。
  96. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 もうちょっと資料を早く整備しておかないとだめじゃないですか。それもすぐわからないのですか。ちょっと資料整理が不備だな。時間の関係がありますから早くやってください。ちゃんとやらなければだめじゃないですか。
  97. 朝田静夫

    朝田参考人 ジャルパックのハワイのホテルでございますが、どういうところと契約をしてどういう契約内容になっておるかということは、私どもの方は契約の当事者ではございませんで、御承知のようにジャルパックをオーガナイズいたしますのは旅行開発株式会社でございます。したがいまして、そういうホテルとの契約をする当事者は日本航空じゃございませんで旅行開発会社でございますので、何室、何人利用したかということをいま直ちに資料として持ち合わせておりませんので、そういう実績も締めてみないとわからないということでございます。はなはだ恐縮でございますが、不十分な答弁で申しわけありません。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 沖繩、韓国は。
  99. 朝田静夫

    朝田参考人 韓国もそうでございますが、韓国では朝鮮ホテルと東急ホテルでございますが、これも全部ジャルパックにおきます旅行を組織をする旅行開発会社がホテルと契約をいたしておるようなわけでございます。
  100. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 庄司幸助君に申し上げます。  ちょっと時間の関係がありまして、これは資料を整備してまたもう一回……。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  101. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 速記を始めて。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 坂井さんが残っていますから、坂井さんが終わった後、お残りいただいて私の質問を続けていいですか。
  103. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 大臣はいいですか。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣はいいです。
  105. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 あと理事会で協議をさせてください。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 資料も出せないし答弁もできない、これではとてもじゃないが決算審議にならないわけですよ。だから、この点で、後の時間の関係もあるでしょうから私はもう一問ぐらいでやめますけれども、いずれ大至急もう一遍運輸の決算やってもらいたいと思うのです。これは理事会の相談事項になるでしょうけれども、こういうかっこうではとても質問になりませんよ。後の残った質問は保留しますけれども、一つだけ聞いておきます。  ハワイ関係の旅行開発株式会社社長さん、どなたがなすっていますか。それから所在地。
  107. 朝田静夫

    朝田参考人 旅行開発会社社長は小野と申しますが、ハワイの旅行開発はその支店でございます。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 どこにあるのですか。
  109. 朝田静夫

    朝田参考人 ホノルルでございます。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、全然答弁にならない答弁ばかり繰り返しておられるので、私はこれでやめますが、私の質問は保留させてもらいます。いいですか。
  111. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 いずれ理事会で取り計らいます。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  113. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 坂井弘一君。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 いままでのわが国航空行政の中心をなしてきたものは、日本航空、全日空、東亜国内航空、いわゆる航空三社によりますところの事業分野の調整にあったと思います。このことは四十五年十一月の閣議了解に基づきますところの四十七年四月の運輸大臣通達においても明らかなところでございます。しかしながら、現在、石油危機以来の世界的なインフレあるいは不況等によりまして、わが国経済の原則、つまり経済成長の諸条件あるいは客観的な条件というものが大きく変わってきております。こうした変化に対応いたしまして省エネルギーあるいはまた環境保全、こういった時代的要請を踏まえてわが国の航空政策そのものを根本的に今日見直さなければならない、そういう時期に私は直面をしておると思います。  そこで、運輸大臣にまず最初にお尋ねをいたしたいと思いますが、こうした変化を踏まえながら今日航空事業の公益的な使命、そういう立場に立ちまして、新しいこうした事態に対応するところの航空三社間のあるべき競争あるいはまた協調、こうしたものを具体的に実現をさせていかなければならないときに至っているのではないか、その点に関しまして、きわめて基本的なことでございますが、大臣の率直な、具体的見解等をお持ちならば、この際御所見を承りたいと思います。
  115. 木村睦男

    木村国務大臣 わが国の航空政策は、いまお話しのように、四十五年以来、航空三社で国内、国際それぞれ使命を持って運営に当たるという基本的な原則のもとで行われておるわけでございます。高度成長経済のもとで相当発展はしてまいったのでございますけれども、高度成長経済から低成長へと、また景気の収縮という世界的な経済条件のもとで、わが国のみならず世界の航空業界に非常に冷たい風が吹きすさんできたことは事実でございます。ことにわが国におきましては、それに加えて石油の問題等がさらに一層大きな影響を与えておるということも事実であるわけでございます。  そこで、これから先のわが国の航空政策はどうするべきか、このまま続けていくべきであるか、あるいはここで再び新しい考え方に立って再編成なりあるいは方針というものを変えるべきではないかという御意見も、よく言われるわけでございます。この経済の低成長が将来どういうふうになりますか、現在のところはいま一番底に突き当たりかけておりまして、一月、二月の状況を見てまいりますと大体底でございまして、これから安定成長へと向かう兆しもないではないというふうな状態でございますので、いまこの段階で航空政策を根本的に練り直すということは、まだその時期ではないのではないか、いましばらくこの景気、世界的な経済の動向というものも見まして、そしていましばらくはこの状態がどういうふうに変わっていくかということを見た上で考えて決して遅くはないのではないか、こういうふうに考えておりまして、現在のところはそれぞれの航空会社が経営上は非常に苦しい立場に立っておりますけれども、いましばらく推移を見てみたい、かように考えております。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 特にナショナルキャリアとしての日本航空の大幅赤字、年度末には三百ないし三百二十億に達するであろうと言われておりますが、非常に大きな問題であります。このことは各国の国際航空会社共通の問題であろうかと思われます。つまり、構造的な問題に起因するところが非常に多かろうと思うわけでありますが、そうしたことに日本航空自体が正しく対処していくということ、これが非常に大事なことではなかろうか。つまり、国際的な過当競争、こういうものを自主的に管理する方法というようなものを各国際航空会社間で具体的に話し合うというようなことも、これから非常に大事な課題になってくるのではなかろうか。つまり、そうした情勢というものを踏まえながら、航空三社間の単なる事業分野の調整にとどまらず、非常に幅の広い国際的な視野に立ったところのこれからのわが国航空政策のあり方というものを検討し直さなければならないのではないか、実は私はそうした見解に立ちまして基本的な大臣のお考えをお聞きしたわけでございます。  そこで本日は、日航の政府保有株の処分の問題と赤字対策及び日航関連会社のあり方につきまして、具体的にひとつお尋ねを進めてまいりたいと思います。  申し上げるまでもなく、日本航空、資本金四百八十四億、うち政府出資分は四四・八%、つまり国策会社でございますが、政府所有の日本航空株式会社の株式の払い下げが、四十七年の七月二十四日に二百五十八万三千株放出されておりますが、この放出の理由、なぜ払い下げを行ったのか、ごく簡単に説明をいただきたいと思います。
  117. 中村大造

    中村(大)政府委員 日本航空が行おうといたしました増資の引き受けをいたすために現在の持ち株の一部を放出いたしまして、それによりまして増資を引き受けた、こういうことでございます。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 この場合の一株の処分価格は幾らでございますか。
  119. 垣水孝一

    垣水説明員 一株二千三十円でございます。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 二千三十円で処分することに決定いたしました経緯につきまして、これまた簡単に説明いただきたいと思います。
  121. 垣水孝一

    垣水説明員 御承知のように、この額面は五百円の額面でございますが、当時二千円を超える程度の市場価格になっていたわけでございますが、この処分につきましては国有財産中央審議会等に諮りまして、大体その前後の市場価を参酌して、一割程度の割引はやむを得ないが、その程度のところで売ったらどうか、こういう答申を得まして、それに基づいて二千三十円という価格を決定したわけでございます。
  122. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、国有財産中央審議会の答申を受けたのはいつでございますか。
  123. 垣水孝一

    垣水説明員 四十四年八月三十日付でございます。
  124. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、さかのぼってお尋ねしますが、政府所有の日本航空株式会社の株の処分は、その前、つまり四十三年七月の十一日に二百五十万株放出されております。このときの一株の処分価格が千二百三十円で行われておりますが、この千二百三十円に決定した根拠は何でしょうか。
  125. 垣水孝一

    垣水説明員 このときも、考え方としては大体こういう考え方でございましたが、まあ多少、そういう点についてはっきりした基準がないではないかという御批判があったかのように聞いております。その結果審議会にお願いをして、四十四年八月三十日に答申を得まして、四十四年度と四十七年度はそれに基づいて行ったわけでございますが、基本的考え方について、四十三年度のやり方も大差はないというふうに承知いたしております。
  126. 坂井弘一

    ○坂井委員 四十三年七月十一日の政府株の放出をした当日でございますが、終わり値が千三百四十五円、このときの週間平均価が千三百九円でございます。つまり、当日の終わり値に対しまして百十五円安、パーセントにいたしまして八・六%安い値段で放出をした。週間平均価にいたしますと七十九円、つまり六・〇%安、こういう値段で放出をしたわけですね。このときの放出の根拠というものは、およそ、四十四年八月の三十日に具体的な答申を得ましたこの答申の線に沿ったというようないま御説明ですけれども、答申がなされないままに、この四十三年のときはこのような形で安値で売っちゃったのですね。この答申そのものは、私から言うならば、これは追認したとしか言いようがないのです。そのことにつきまして具体的に論証していきたいと思います。  つまり、いま申しましたように、四十四年度には二百十五万四千株の放出がなされた。それから後、四十七年度には二百五十八万三千株の放出がされております。国有財産中央審議会の答申は、いま申しましたように四十四年の八月三十日でございます。たとえで申しますが、造幣局がたとえば銅を購入する場合、その購入価格の決定は大体月平均の建て値、これで精算をされております。比べまして、国有財産の放出につきましては、安く売るというような方法でもって放出がされている。つまり割引されている。安い値段で放出をされた。その根拠はどこに求めたかと言いますと、つまり国有財産中央審議会の答申に基づくのだ、こういう御答弁であります。  しからば、四十四年以前の放出の分については何ら根拠ないままに行われたということはおかしいではないかということを、あわせて私、指摘しているわけでございますが、その問題はさておきましても、四十七年七月放出をされた。当時の日航の収益状況というのは非常に好況でございます。株価も強気でございますし、株に対する取得需要そのものもきわめて旺盛であった。平均株価、時価より非常に格安のこの放出日航株が魅力のある株であったことは、これはもう言うまでもないと思います。同時に、六カ月後の増資割り当て株の条件つきのさらに有利な株である、これは魅力を倍加しておる、こう見るのが客観的には正しかろうと思われます。  そこで、四つの証券会社、つまり幹事証券会社でございますが、を通じて、この魅力ある株、政府株が放出されたわけでございますが、一体どこに放出されたのでしょうか、どこに売られたのでしょうか。
  127. 垣水孝一

    垣水説明員 四社を通じて一般に売り出すといいますか、公募のような形で売り出したわけでありますので、具体的にはわかっておりませんが、証券会社からの報告を集計いたしますと、法人について六十一件、個人について七千二十四件、計七千八十五件にわたって不特定多数に放出されたということでございます。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、このときの当日の終わり値が二千百六十円。これよりも百三十円安い、つまり六・〇%安い。週間東証平均は二千百二十五円でございますから、九十五円安い、つまり四・四%安い。したがって、いま御答弁ございましたけれども、この株を取得できた法人、個人の余分の利益、余分な利得と申しましょうか、これを計算いたしますと、少なくとも二億四千五百三十八万円、こういう計算に相なろうかと思います。つまり、このことは裏返しにすれば国損に通ずる、実は私はそのように言いたいわけであります。  なぜそのようなことを申すかといいますと、次にお尋ねする問題に対する御答弁によって明らかであろうと私は思うわけでございますが、証券会社は契約条件に従い、放出株を買収価額と同額で一般市場で売り出しを行った、こういうことになっておるようでございますが、このときの契約条件の売り出し期日、それから手数料、いかなる契約条件であったかということを御説明いただきたいと思います。
  129. 垣水孝一

    垣水説明員 この契約は、四十七年の七月二十四日に契約したわけでございますが、売り出しの放出期日を八月の一日から八月の四日までの四日間とし、売り出し価額は、ただいま先生のおっしゃいましたように買い入れ価額と同額の二千三十円、それから株券の交付が八月の八日ということで、その間に証券会社はツーツーで売ったわけでございますので、売り出し手数料として一株につき三十円を払うという形の契約でございます。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、この売り出しの根拠になる法律規定、つまり、この売り出しについては不特定多数に均一の条件をもって売り出しをする、こういうことになっておろうと思うのですけれども、そのように解釈して間違いございませんか。
  131. 垣水孝一

    垣水説明員 証券取引法の第二条によります売り出しの規定に従ったわけでございますが、ここで「売出とは、不特定且つ多数の者に対し均一の条件で、既に発行された有価証券の売付の申込をし、又はその買付の申込を勧誘することをいう。」ということで、との規定に基づきまして、証券取引法第四条及び第五条の規定に従って証券会社が売り出したわけでございます。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 取引所には出さないで、一般市場において売り出した、不特定多数に売り出したということが言えますか。
  133. 垣水孝一

    垣水説明員 この契約は、実は政府のいろいろな手数、あるいは専門的な知識ということを活用するという意味で四社に買い取らせましたけれども、実質的には、ただいま契約条件でも申し上げましたように、手数料三十円を支払って、いわば委託して政府が売り出した、法律形式的には証券会社が所有権を取得してやったわけでございますが、実質的には委託して売り出したという形でございまして、売り出し目論見書にもそのことをはっきり明示して、公表して売り出したものでございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は実態から申し上げているわけです。公表して売り出した、新聞広告でもしたのでしょうか。あるいは本社、支店に広告でもして、そして不特定多数、一般に売り出したのでしょうか。そうじゃないじゃないですか。どこに売ったかといいますと、法人は六十一社です。個人は七千二十四人なんです。ところが、この法人は、ごらんになってください、上位十社を挙げますと、日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行、東京海上火災、同和火災海上、東京銀行、日本郵船、三和銀行、日本長期信用銀行、安田火災海上、こういうところ。法人全体六十一社で百五十六万四千二百株。個人はいま申しました七千二十四人、これで百一万八千八百株。この個人は小佐野賢治さん、これが六万一千九百株、六・三%。そのほかの個人は、日航社員が四千百七十七人、これが五十九万株。これは六〇%ですね。その他が二千八百四十六人、三十六万六千九百株。こういう相手に売られておる。これは不特定多数と言えるのでしょうか。
  135. 垣水孝一

    垣水説明員 大蔵省といたしましては、この買い受け契約が調印されました七月二十四日付で新聞発表をいたしております。「このたび政府と野村、山一、日興及び大和証券会社との間で、政府所有に係る日本航空株式会社株式の買い取り引き受け契約が調印された。契約の概要は次のとおりである。」として、処分株数、売り出し価額、売り出し期間、こういうことで二十四日に新聞発表をいたしますと同時に、先ほど申し上げましたように、売り出し目論見書という証券取引法上の正規の書類を八月一日まで証券会社の店頭に置いて、買い入れの便を図った、こういうことでございます。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 ですから、実態的に見て、きわめて特定のところに売り出しがなされた。これは少なくとも実態論、結果論から私は申し上げておるわけだ。しかも売り出し期間が、八月一日から四日まで四日間ですよ。これでどうして一般不特定多数に対してこのことが公示され——わずか四日間の間にそんなことができますか。ごらんなさいよ。買っている先のことをいま申し上げたわけなんです。上位十社挙げただけでも、これらはすべて日航関係の会社。これは特定のところにかたまっておる。どういう実態かといいますと、まあ事前にもわかっておるのですよ。だから、お得意さんに、関係のあるところにみんなこの株がかたまった。もうかりますよ、この株は。これは大変なもうけだ。逆に、さっき言いましたように、一週間の平均株価で見ましても、国が損をしたのが、つまり日航ないし国、これが二億四千五百万円、これだけ損をしておる。少なくともこういう売り出しについては、問題はきわめて大きいし、改善されなければならぬと思いますよ。  手元に答申書があります。何もわざわざ安うして売れというようなことを冒頭に言っておるわけじゃないのです。この答申では「政府所有の日本航空株式会社株式を処分する場合の処分価額については、契約締結日の当日の東証終値又は前一週間の東証終値平均を基準価額とすることが妥当と考えられる。」こんなことはあたりまえでしょう。なお、ただし書きがあるのです。「放出数量等を勘案し、一割を限度として値引きをすることは止むを得ないと思われる。」これは八百長みたいなものだ。四十三年にも安く放出をしたから追認したんじゃありませんか。しかも、条件としては不特定多数。この場合でも安く売る場合でも、不特定多数なんですよ。不特定多数じゃないでしょう。実態があらわれているじゃないですか。このような放出のあり方は私はきわめて不明朗、これは改善する必要がある。大臣、お聞きになっておられましていかがでしょう。まだこれからも日航株を放出しよう。少なくともこのようなあり方は私は改善されてしかるべきだろうと思うのです。特定のところにかたまってしまう。いかがでしょう。大臣にお聞きしたい。
  137. 垣水孝一

    垣水説明員 ちょっと、大臣の御答弁の先に技術的なことを申し上げたいのでございますが、実は日航の株というのは政府の後配株でもございますし、これだけ大量の株を一度に市場に放出するということについては証券市場にどういう影響を与えるかというような問題がございます。それから、一般に放出するのがいいか、あるいはすでに株主である方々に割り当てるのがいいかというような技術的な問題もございます。そういういろいろな点を検討した結果でございますし、同時に、この売り出しによります場合は、時価発行の株式についても同様でございますが、証券界の常識といたしましては、一割ないし一割五分の値引きをするということはいわば慣習でございまして、私どもは、これだけ大量の政府の持ち株を一時に放出するという手段としてはこういう方法が最も妥当ではないかということでございますし、国有財産中央審議会のお考えもそのようであったと承知いたしております。
  138. 木村睦男

    木村国務大臣 政府の出資をいたしております会社の持ち株については、政府としては財政当局の大蔵大臣が一括して全部処理をされておりますので、ただいま資金課長説明申し上げましたようないきさつでこういうふうになったというように私も理解をいたしておるわけでございまして、私の立場からこれが妥当であるかどうか、やはり大蔵省が妥当である、こう思ってやったことでございますので、そのままに受け取っておる次第でございます。
  139. 坂井弘一

    ○坂井委員 きわめて遺憾ながらこのような方法によらざるを得ない、これが一番妥当な方法である、こういう考え方に政府は立っておられるようでございます。少なくとも私は、この売り出しの方法に問題ありということを指摘申し上げた。あなた方がこの売り出しがどのような実態において行われているかということを御存じあるのかないのか、いま私は直ちにここで、そのことに対してさらに深く申し上げようとは思いません。しかし、少なくとも証券業法第二条四項に基づくところの不特定多数にしかも均一の条件でもって売り出されたとは、これは実態的には言いがたい状態であることは事実であります。そういう中で、少なくとも政府の株を放出する場合において特定の人に特定の利益を与えるようなあり方というものは、これは好ましくないから、具体的になお検討の方法として余地はあるのではないかということを提案申し上げたわけであります。態度はきわめてかたくなでございますから、そのことにつきましては改めて実態を挙げてあなた方の考え方というものをただしてまいりたいと思います。  時間が進んでおりますので、次の問題に移ります。  日航商事株式会社、資本金五億六千万円、これは日本航空株式会社の関連会社、子会社です。日航からの出資額が二億八千八百万、つまり五一・四%。この日航商事の役員構成を見ますと、兼務が四名、日航元役員が五名、こういう会社であります。申すまでもなく、日本航空株式会社の事業を円滑に遂行していくということを目的として設置された会社でございます。ところが、日航商事株式会社の経営がきわめて乱脈である。ついに二月の十四日には安永会長、川淵社長初め六人の役員が辞任をいたしております。私は、この乱脈な内容についていまから指摘申し上げたいと思いますが、少なくとも日航赤字の一因をなしたことは否めないことであろうと思います。具体的にどのような乱脈経営がなされているか、実態を申し上げたいと思います。  いわくつきの日本熱学工業株式会社との関係がございまして、不渡りを食った。つまり、日航商事が四十八年十一月と四十九年に、エアロマスター、日熱の子会社でございますが、ここから冷暖房機六千台を五億三千七百三十七万八千円で購入をいたしておりますが、これを日本熱学工業株式会社に五億七千六百万円で手形販売をした。うち四十九年度に取引をいたしました三億三千六百万円が不渡りとなっております。これは日本熱学が日航商事に手形で支払う、手形を受け取った日航商事が直ちに現金でもってエアロマスターに支払いをする、こういうやり方がなされているのです。ずいぶん危険な、でたらめな取引の方法であります。契約の書類もつくっていない。商品の受け渡しの確認もしていない。こういう中で、いま申しましたように不渡り三億三千六百万円、これだけ日本熱学から日航商事が損害をこうむっております。あとで一つ一つの事実について、皆さんが御存じなのかどうか確認をしたいと思います。  二つ目に、昭栄化成株式会社より販売代金の未回収の問題がございます。つまり、この会社は、四十八年度に株式会社大阪ロール機製作所からカレンダー機械設備一式を八千五百万円で購入いたしまして、そして昭栄化成株式会社に八千五百八十五万円で割賦販売をしておりますが、昭栄化成はエアロマスターの倒産によりまして経営困難になりまして、販売代金が回収されていないという問題であります。これは大阪ロールと昭栄化成との間の見積書、発注書がありません。それから、オーバーホール中に代金全額を支払い検収をいたしておりません。つまり八千五百八十五万円全額未回収になっておる、そういう問題であります。  三つ目には、株式会社恒友商事、ここにだまされております。この恒友商事は、四十八年一月、静岡県伊東市八幡野所在の土地二十九万五千五百八平方メートルを十三億六千七百三十万一千九百三十四円で契約いたしまして、そして日航商事株式会社に売るわけでございますが、その時点で恒友は総買収面積のわずか三〇%しか買収していないときに、日航商事株式会社は恒有商事に対して、契約金といたしまして十二億九千八百万円支払っております。つまり、大部分です。総額が十三億六千七百三十万一千九百三十四円、そのうち十二億九千八百万円。わずか三〇%しか買収していない時点。しかも買収済み面積のうちの二十八万一千八百十四平方メートルについては一〇%の値上げを認めておるのですね。金額にいたしまして一億一千五百八十二万五千円。契約いたしました期限までに買収を完了しない、まだ未買収のところがあるのに、その時期で値上げを容認したということ。さらに、値上げの時点で恒有がすでに買収いたしておりました十七万一千八百七十一平方メートルにつきましても、これはまた値上げを認めておりまして、損害額といたしましては概算一億八千万円になるかと思います。  つまり、このような三つ、これは代表的に挙げたわけでございますが、非常にでたらめですね。こういうやり方をしておる。運輸省は御存じでしょうか。
  140. 中村大造

    中村(大)政府委員 ただいま先生が御指摘のような事実があったということを運輸省も承知いたしております。
  141. 坂井弘一

    ○坂井委員 会計検査院はたしか検査に入られたと思いますが、私が申し上げましたような具体的内容につきましては、ほぼそのとおりと、検査院の方では検査の結果出ておりますか。どうでしょうか。
  142. 中村祐三

    中村会計検査院説明員 そのとおりでございます。
  143. 坂井弘一

    ○坂井委員 運輸大臣にお尋ねをいたします。  いま私が申し上げました日航商事株式会社、これはきわめて有力な日本航空の言うならば関連会社、子会社、人的にもあるいは資本面から見ましても、まさに日航と同体の関係にある会社であります。いまさら申し上げるまでもないかと思いますが、少なくとも日本航空は、るる述べられておりますように、政府出資によりますところの国策会社であり、きわめて重要な会社でございます。それと軌を一にいたしますところのこの日航商事株式会社の経営、経理面、まさに乱脈きわまりない、こういう実態が今日まで続いてきた。私は、このことが今日の日航の赤字の要因の一つをなしてきたことは否めないことであろうということを前段申し上げたわけでございますが、このような子会社のあり方に対して、運輸省は指導、監督の立場から厳正な指導と監督、このようなことがありとすれば、当然それに対する適正な処置というものをお考えになっていかなければならない立場であろうと思いますので、大臣としてどのような御見解を持たれ、具体的にどのように対処していくか、明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  144. 木村睦男

    木村国務大臣 政府の出資会社でもありますし、また非常に重要な使命を持っております日本航空が出資もいたしておるその関連会社が、いま御指摘のような、非常に経営が乱脈であった、私は非常に遺憾に思います。従来とも日本航空としては、会社の使命ということを深く認識をいたしまして、関連会社に出資する等のときにはみずからいろいろな基準その他をつくって、それに照らして適正な運営ができるようにすべきであると思います。また、そういう指導をしてきたのでございますけれども、それがそうでなかったということについては、重ねて遺憾に思うわけでございます。幸いにこの投資会社も、責任を負って重役陣が一新をいたしまして、今回日航商事の経営を引き受けて日航から出向しております社長も先般私のところに参りまして、非常な決意をもって再建に当たるということを言ってまいりました。私はそれを非常に期待をいたしておるわけでございますが、今後運輸省といたしましても、こういった出資会社については、さらに日本航空として運営の基準等もきちんとして、また定期的に運営の内容についてもチェックをする、そういうことを励行するように、そのときにも強く私は申したのでございます。  なお、出資会社が大規模な事業をさらにやるというふうなときには、直接それらについて報告を求めて、誤りのないように厳重な監督をいたしたい、かように考えております。
  145. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が迫っておりますので、きわめて簡単にお伺いして終わりたいと思いますが、日航の赤字対策の一環といたしまして非常に大きな柱でありますところの内部留保の問題があります。つまり特別積み金が現在五百九十二億円、これだけの内部留保を持っておりまして、さらに拡大政策と申しますか、従来の日航の基本的な経営のあり方というものが、ある意味では延長線上になお置かれていくというような傾向にございますが、この際、このような内部留保につきましてもっと納得のいくような形をとらなければ、赤字だ赤字だといってその赤字の責任をインフレに転嫁をし、あるいは政府のこの航空政策に対してもある意味では批判の一つとして、日航みずからの責任ある立場というものを回避するかのごときことは、私は許されないと思う。ましてや、前段庄司委員から質疑もございましたけれども、合理化であるとかいうようなことに名をかりて、そうして日航の労組に対して、私にもきわめて遺憾と思われるようなあり方というものが今日、赤字対策の一つとしても行われようとしておる、そういうことは断じて許されないことではなかろうか。もっともっと企業の体質の改善、これからの日航の国際航空会社の中におけるわが国のナショナルキャリアとしての根本的な位置づけというものをみずからの責任の上において確立をしていかなければならないし、同時にまた、この監督、指導に当たるところの運輸当局の責任もまた非常に大きい、こういう決意、自覚に立って今後の赤字の解消、と同時に、国民の足あるいはまた国際的な航空需要に健全に対応していくところの日本航空というものを再建していかなければならない。その一つとして、いま申しましたようにこの内部留保、これにつきましては非常に批判も多いことでございますので、この際、何らかの検討を加えられて改善されてしかるべきであろう、こう思いますので、大臣の御見解を伺いまして、参議院の方がお忙しいそうでございますので、私は御協力申し上げる意味におきましてこれで質問を終わりたいと思いますので、きわめて責任のある前向きな御答弁をひとつちょうだいいたしたいと思います。
  146. 木村睦男

    木村国務大臣 申すまでもありませんが、日本航空はわが国のただ一つのナショナルキャリアでございます。その使命は、先ほど申したとおり非常に重要な使命を持っておる会社でございます。いまいろいろな内部あるいは外部の事情による経営の苦難の道を、歩いておりますけれども、社長以下、この経営の改善のためにいま一生懸命になって努力しておる、その熱意は私は認めます。しかし、過去における日本航空の経営については、いろいろと問題点もあることも存じております。今後は、創立の使命に立ち返って、りっぱなナショナルキャリアとして立ち返って、りっぱな経営体制をしいてもらいたいと、心からそれを祈っておるわけでございますが、監督をする運輸省といたしましても十分に指導をいたし、いまお話しの内部留保等の問題についても十分検討をいたして、健全な経営に向かって再建ができるように努力を続け、また、われわれは大いに監督を厳重にいたしまして、目的達成に向かうように努力をいたす覚悟でございます。
  147. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  148. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十一分散会