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1975-03-18 第75回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十八日(火曜日)    午前十時二十三分開議 出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢 俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       大石 武一君    正示啓次郎君       橋本登美三郎君   高田 富久君       坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁長官         官房会計課長  石田  徳君         科学技術庁研究         調整局長    伊原 義徳君         科学技術庁原子         力局次長    福永  博君         科学技術庁原子         力局次長    半澤 治雄君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         建設省都市局参         事官      森田 松仁君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         文部省学術国際         局学術課長   七田 基弘君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         国土地理院長  井上 英二君         消防研究所長  熊野 陽平君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         参  考  人         (地震予知連絡         会会長)    萩原 尊礼君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団副         理事長)    瀬川 正男君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     田代 文久君 同月四日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     坂井 弘一君 同月十四日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     岩垂寿喜男君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     安井 吉典君 同月十八日  辞任         補欠選任   水田三喜男君     正示啓次郎君 同日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     水田三喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管科学技術庁)〕      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管科学技術庁について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として地震予知連絡会会長萩原尊礼君、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君の御出席を願い、その意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井原岸高

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 井原岸高

  5. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 科学技術庁昭和四十七年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十七年度の当初歳出予算額は八百八十九億四千八百九十一万円でありましたが、これに予算補正追加額六億六千八百二十三万円余、予算補正修正減少額九億一千五百十一万円余、予算移しかえ増加額七千六百十一万円余、予算移しかえ減少額十七億五千七百七十万円余、前年度からの繰越額六億三百三十二万円余、予備費使用額一億五百八十六万円余を増減いたしますと、昭和四十七年度歳出予算現額は八百七十七億二千九百六十三万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額八百七十二億一千百六十四万円余、翌年度への繰越額二億一千七百二十九万円余、不用額三億六十九万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして五百五十億六千二百四十七万円余を支出いたしました。これは、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉及び新型転換炉開発核燃料開発ウラン資源の探鉱並びに使用済み核燃料処理施設の建設、日本原子力研究所における各種原子力関連試験研究及び各種原子炉の運転、日本原子力船開発事業団における原子力第一船「むつ」の建造及び運航に必要な陸上付帯施設整備放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線医学的利用に関する調査研究民間企業等に対する原子力に関する試験研究委託等原子力平和利用促進を図るために支出したものであります。  第二に、宇宙開発関係経費といたしまして百九十七億五千二十一万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団におけるロケット及び人工衛星開発並びにロケット打ち上げ施設等整備航空宇宙技術研究所におけるロケットに関する基礎的、先行的試験研究及びこれらに関連する研究設備整備のほか、種子島周辺漁業対策事業助成等のために支出したものであります。  第三に、海洋開発関係経費といたしまして四億九千五百五十四万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける海洋工学潜水技術等に関する試験研究実施潜水技術者養成訓練及び潜水技術に関する研究に必要な共用施設としての潜水シミュレーター製作等のために支出したものであります。  第四に、試験研究機関関係経費といたしまして、当庁の付属試験研究機関のうち航空宇宙技術研究所金属材料技術研究所国立防災科学技術センター及び無機材質研究所における各種試験研究実施及びこれに関連する研究施設整備並びに運営に必要な経費として五十一億一千百九万円余を支出しました。  最後に、重要総合研究の推進を図るための特別研究促進調整費研究公務員等資質向上のための海外及び国内留学経費、理化学研究所、日本科学技術情報センター及び新技術開発事業団事業を行うための政府出資金及び補助金科学技術庁一般行政費など六十七億九千二百三十二万円余を支出いたしました。  以上、簡単でありますが、昭和四十七年度の決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。
  6. 井原岸高

    井原委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。高橋会計検査院第一局長
  7. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十七年度科学技術庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明聴取を終わりました。     —————————————
  9. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、科学技術庁長官としても二、三お伺いしますが、中央防災会議の主要なスタッフとしてもお答えをいただく前提で、地震の問題を中心にお伺いをしていきたい。地震に関しては、予知の問題も少しくお教え願いたいのですが、同時に、防災対策という面で、現在政府のやっていること、やろうとしている方向、その時期等についてもお伺いをしたい、こういう前提でお聞きをいたしますが、まず前段に、原子力産業会議が十三日に会議を終わりましたが、その原子力産業会議の大会における意見の中で二点、長官のお考えをお伺いしたいのです。  非常に貴重な意見をまとめているようですが、いわゆる原子力開発考えたときに現体制では国民の理解を得ることはむずかしいだろう、こう言っているのですが、一体何が原因でこういう、理解を得ることはむずかしいと結論づけたのか、これが一つ。  それから、原子力委員会そのものを、安全性規制中心にする規制委員会、それからエネルギー確保のための動力炉などを開発するための開発委員会、この二つ規制委員会開発委員会に分けた方がいいじゃないかというのが大変多い委員意見だったと報道されていますが、これに対して、いや、三つ委員会に分けるべきであるとか、いや、それではやはり中央的な機関としての統制力が弱まるから従来でいいんだという意見があったりする中で、多くの意見としてはいま言った規制委員会開発委員会に分割をしろ、これは三つもあわせながら、この特に最後に申し上げる規制委員会開発委員会二つに分けようという産業会議意見に対して、長官はどうお考えになるか。  それから三つ目にお伺いしたいのは、稲葉委員から特別出席をした中での発言がありまして、万が一、国と民間安全性中心研究をするときには、基礎研究に関しては国が持ってよろしい、開発関係に関しては民間でこれを負担すべきだ、民間負担をするときに、どうしても二百億、三百億、一千億という金が必要なために民間電力会社では負担ができない場合には、これはやはり電力料金値上げをして利用者負担をさせるべきだという意見が、大胆に稲葉さんから出されたようです。この問題、三つ目の、電力料金値上げによって原子力安全性のための研究開発民間で行うというようなことが言われたものに対して、長官のお考えはどうか。  最後に「むつ」に関して四つ目にお伺いしたい。当然のこととして、いま新母港探しといいますか、やっているはずですが、ブラジルにこれを売るとか、ブラジルが買い取るとか、政府の一要員もこのことに対して、新聞紙等によるといろいろと言及をしているようですが、長官として、この「むつ」に関してどのように考えておられるのか。現在はこう考えているんだが、やがて、あしたあさってになると売ることに変わるかもしれないというような逃げの答弁でなくて、基本的な姿勢と、言ったからには貫くという方針をびしっとお示しをいただく意味でお伺いしたい。四つお願いしたい。
  11. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原委員の御質問に対して、四つの点に関して御説明申し上げます。  まず第一点は、現体制下においては安全問題に対する責任の所在が不明確じゃないかという御指摘でございます。  安全問題に対する審査あるいは検査が一番この問題に触れているわけでございますけれども、御承知のように、現在原子力委員会で扱っているのは基本設計あるいは方針でございまして、詳細設計とかあるいはできたものの現物の検査といったようなものは、発電でありますれば通産省、船であれば運輸省というふうに実は分かれております。したがいまして、実際に故障等が起きた場合に、その原因基本設計の際に生じたものなのか、あるいは検査等の現物化した場合に問題が生じたのか、あるいは設計に罪があるのか、あるいは材料その他に罪があるのか、いろいろケース・バイ・ケースでその原因が違うのでございますけれども、そういう際に一体どこが責任個所なのかということになりますと、必ずしも現在の体制は明確になっているとは言えないのじゃないかと私も実は感じます。さらばと言って、現在、原子力の方は原子炉等規制法発電でありますれば電気事業法等規制しておりますので、その法律を急にいま変えると言ってもなかなか至難でございますので、それに先立ちまして、きょう午後から開かれます、内閣に設置されました原子力行政懇談会等で、こういう問題におのずから対策を立てる予定になっておりますので、そういう結論を待ちまして、それに従って、現行法規等に改正の余地あれば改正すべきじゃないかというふうに実は考えております。  それから二番目の、原子力委員会規制委員会開発委員会二つに分けたらいいじゃないか、同じ機関開発もやり、同時に事故査察事故規制もやるということはどうもおかしいじゃないかという議論がずいぶんございまして、むしろ現在の世論と申しますかではある程度定着しつつあるような傾向になっていることは御指摘のとおりでございます。アメリカも御承知のようにこの一月から、いままでの原子力委員会を廃止いたしまして、そして安全のための規制委員会に衣がえをいたしました。各国とも大体この安全性に対して非常に力を入れつつある現行でございますので、わが国もちょうど御指摘のような事態に遭遇しているのじゃないかと存じます。ところが、原子力委員会自分の職務なりあるいは機能あるいは組織、権限等自分で案をつくるのは、どうもこれは、それこそいまの二つの問題に分ける分けないといったようなときなどははなはだ無理があるのじゃないかという感じがいたしますので、先ほども触れましたが、内閣にできました原子力行政懇談会で、原子力委員会あり方も含めまして対案を練ることになっておりますので、当然、いまお話のございました規制開発委員会二つに分離するかあるいは分離しないでいくか、あるいはもう一つ違った考え方でいくか、あるいはその際に規制関係委員会の性格は行政委員会的なものにするか、開発委員会のようなものは諮問委員会でいいんじゃないかといったような、いろいろまたその権限機能の問題もありますので、そういう問題もひっくるめまして原子力行政懇談会結論を出すことになってございます。  それから、稲葉委員お話のございました、安全性に関する基礎研究は国でやるべきで、安全に関する開発技術と称しますか、こういうものは電力会社自体でやるべきじゃないかという御主張のように、私も新聞で拝見いたしました。  現在はどうなっているかと申しますと、軽水炉の安全問題に関しましては、もちろん、電力会社自体もそれぞれ研究はしているでしょうけれども、実は基礎研究的な部分は、あるいは応用的な技術まで含めまして、原子力研究所でただいま進めております。もう少し進んだETRとかあるいは増殖炉等安全性の問題は動燃事業団でただいま進めておりまして、これにはそれぞれ、各電力会社等からも人あるいは資力等も投じまして、いわば共同である程度進めているというかっこうになっております。しかし、現在のその形態がよろしいか、あるいは稲葉委員のおっしゃるように、基礎は国の研究機関でやるけれども、安全の実際の開発自体電力会社、一社でやるか共同してやるか別にいたしまして、これをやるかという問題は、大変実は意味深い提案でございまして、今後研究課題として深めていく問題ではなかろうかと思います。ただいま、どちらがよろしいかという点に関しましては、私自体も、どうもまだ結論を持っておりません。  それから、四番目の「むつ」の問題でございますけれども、まず、ブラジルに売るとかいう話が新聞に出まして、私どもも大変驚いたのでございますけれども、これは政府といたしまして全然あずかり知らぬ問題でございまして、新聞の報ずるところによりますと、東京工大西脇教授がただいまIAEAの職員に入っておりまして、この人が事態を憂慮してブラジル等いろいろ話をしたというのがああいうふうに伝わってきているというふうに承知してございます。しかし、私どもは、「むつ」をああいうかっこうで今後処分するなどは毛頭考えておりません。  それから、「むつ」を含めて今後の原子力船あり方というものをどうするかという御質問でございまして、これはいま油がああいう状況になってまいりましたので、原子力船も、長距離の大型のもので、しかも特殊な用途に使うものであれば採算的にも見合うのじゃないかという状況にだんだん近づいてきているようでございまして、したがって、各国でも原子力船というものに対して非常に注目をしつつある状況のようでございます。日本海運国でございますから、そういう原子力船の時代が来ても、原子力船日本じゃ持っておらない、あるいは原子力船は一切日本の港湾には入れないという鎖国的な行き方を将来とも進めるということは、これは大変憂慮すべき状態だと思います。したがって、将来の日本原子力はどうあるか、特に第二船をどうするか、それにつきまして、現在「むつそのものをどうするかといったような大所高所からの議論ももちろん必要でございまして、原子力委員会にさらに小委員会と申しますか、懇談会のようなものをつくりまして、学界、財界等から御参加を願ってこの問題を進めることにしてございます。  ただ、現実の「むつ」を一体どうするのだという点に関しましては、いつか原先生科学特別委員会で大変はっきりした提案をしてくださいまして、それは、私も同じ委員で、非常に敬服して聞いておりました。お説のとおりだと私も考えます。「むつ」を廃船にするとかあるいは用途を変えたものにするとかいう考えじゃなしに、あくまでも原子力船として修理するものは修理をして、そして試験船でございますから、予定どおり二年なら二年というものを試験に使いまして、その後は本来の目的どおりのある種の貨物船にするかあるいはもう少し違った用途に使うか、これはいずれにいたしましても原子力船として、第一船として育てていくという意向には変わりございません。そういうつもりでやっております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのことでもう一度だけ、意見を申し上げたり、お聞きしておきたいのですが、一つは、稲葉先生提案した電力料金にかぶせろという問題です。これは非常に明瞭に提案しているわけですから、いまお話のあったように新たな問題として討議をなさるそうですが、私は、国であろうと企業であろうと、現在A、B、Cという製品をつくって売っていながら、DならDという新しい製品開発をしようとするときに、その開発研究費をA、B、Cに乗っけるなんということは、これはしてはいけない原則だと思う。絶対やるべきではないと思うのですね。こういう飛び上がった考え方はよくないと思う。特に、幾つかの製品がたくさんある民間企業の場合には、ことによると、その類似品等に次の開発研究費を乗っけることもないとは言えないのですが、電力料金の場合には全く一品でございますから、これに次の開発の費用を乗っけるという考え方は、消費者の側から言ってもこれは承服できないと思うので、その点も参考にしていただきたいと思う。その点に対してお伺いしたい。  もう一つは、「むつ」に関して西脇教授が、国際原子力機関で仕事をされているにしても、あの談話の中にありますように、「私の知っているだけのことは話をし、持っている資料も提供し」と書いてあるのですね。新聞がうそを書くはずがないので、西脇さんが言ったから書いたに違いない。私は、西脇さんが原子力船むつ」に関しての資料を単独でブラジル政府に渡すというようなことが、ちょっとひっかかるのですよね。これは確かに原子力の三原則から言って公開は結構なんですが、いやしくも西脇教授というあの人の立場から言って、いま長官がおっしゃるように、全然、「むつ」に関して売ろうとも売りたいとも考えてないのだと言うのに、これを何か問い合わせがあったからと言ってその資料までも提供したと言い切っているこの事態は、今後相当チェックを要するのじゃないか。こういうことを放任しちゃいけないのじゃないかということが二つ目にひっかかっておりますので、その点についてもお伺いしたい。
  13. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどの稲葉委員の問題でございますけれども、私、あの新聞の記事しか承知しておりませんけれども、まあ日本安全研究発電炉に関しては大変遅れている、ドイツや何かに比しまして日本は大変遅れているようだから、もっと力を入れたらいいじゃないかというやりとりがありまして、そして、要すれば電力料金を上げても安全性に力を注ぐべきじゃないかという趣旨のように見受けられました。何も電力料金にかぶせぬでも、いまの原子力研究所で共同的に進めておりますから、私は現在のままでも差し支えないと思いますけれども、しかし、いま、稲葉さんの御意見でもあり、原さんのまた反対の意見もあるようでございますから、それもあわせまして少し研究してみたいと思います。  それから西脇教授の問題ですけれども、詳細な資料西脇さんが持っておってその資料を提供したというふうには、私ども、実はそこまで知らぬのでございますけれども、そうじゃなくて、あの人はずいぶん長い間、日本におったときには原子力の問題に深く入っておった方でございますので、いろいろ資料はお持ちかと存じますが、従来あった手持ちの資料を出したにすぎないのじゃないかと思いますけれども、しかし、政府方針がはっきりしているのに、あるいは所有権事業団という特殊機関にはっきりあるのに第三者の人がこれをどうこうするということは、これは私も、どうも少し出過ぎやせぬかという感じがいたしますので、お説のように、何らかの注意を喚起したいと存じております。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 ありがとうございました。  では、これから地震予知から先にお伺いをしてまいりたいと思いますが、冒頭申し上げたように、大臣が退席される直前にはひとつ大臣としてお答えをいただくことがあると思いますから、それを終わったら退席をお願いするようにしたいと思うのですが、萩原先生中心にお伺いをいたしますが、私の方でどなたということを申し上げませんので、どうぞ、きょうせっかくおいでいただきました気象庁あるいはその他の関係官庁の各位からも、指名がございませんでも案件によってお答えをいただくように、時間の都合でお願いをしておきたいと思います。  最初にお伺いしたいと思いますのは、かつての伊豆沖地震に関してですが、東海大学調査班石廊崎沖二十二キロに震源を新たに、ここじゃないかといった指摘をしたと言うのですが、これは御存じでしょうか。私がお伺いしたいのは、この種の東海大学調査班だけがやっているのでなくて、特に太平洋プレート中心にした調査は国際的にもやり始めているようですが、日本にはまだ、その調査ができるような十分な施設機構もない。残念ながら個々に東海大学調査班などがこうした調査をするのもやむを得ないと思うのですが、これがやはり予知連絡会、あるいは気象庁なら気象庁としても、こうした東海大学調査があったときに、これがすぐ集約されて、これに対する検討を加えた上で国家的な統一した見解というものを出すようにすべきだろうという前提で、この石廊崎沖二十二キロの震源云々という東海大学調査班指摘に関して御存じかどうかをお伺いしたいわけです。そういった機構そのものがなければいけないのに、まだ十二分に海底探査施設もない、機構もない、なかなか予算もないという状況になっているのだろうと思うのですが、そういう点もあわせてお答えをいただきたい。
  15. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  伊豆半島沖地震震源は、最初気象庁石廊崎から約十キロぐらいの沖合いであると、これは暫定的に発表いたしまして、その後各種調査を進めまして、さらに最終的な電子計算機によります結果で、最初暫定震源よりはもう少し陸上に近寄ったところであろうということを気象庁としては発表いたしました。その後、大学の研究陣などが、地殻変動の結果、余震観測その他を総合的にお調べになり、恐らく陸と海の境ぐらいであろうということになったわけでございます。ただいま先生御指摘東海大学の結果につきましては、まだ存じ上げておりません。これは恐らく相当地震の起こりまして後の研究成果でございまして、この四月に春の地震学会が開かれますので、当然その席上で御発表になるものと思っておりまして、それを伺って十分検討させていただきたいと思っております。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 いま末広先生、四月に学会がある、そこで発表されるだろうという前にも、この種の発表があったときに何か国の機関としてすぐそれが集約できて検討をする、学会が年に一回、二回あるからその学会の発表を待つというようなことではやはり少し遅過ぎるのじゃないかという感じがするのですが、何か方法はないものでしょうかね。もうちょっと早く、この種のものが発表されたときにはそれにすぐ手をかけ、連絡が自動的にとれるようにした何か機構があって、そこで検討をするということにしないと、どうもこの種の問題の解明がおくれていくのじゃないだろうかという感じがするのですが、ほかに何かそういう手だてはないものでしょうか。
  17. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  研究発表にはいろいろな性質のものがあると存じますが、今回問題になりましたのは、過去に起こった伊豆半島沖の地震についてなお学問的に各種研究あるいは検討を加えた結果でございまして、よしんばこの二十二キロ沖合いということになりましても、伊豆半島沖地震の性格を大きく変え、あるいはこれが将来の防災に影響を与えるというほどの性質のものではないかと存じます。これに引き比べまして、たとえば川崎、いま問題になっております川崎の問題につきまして、いろいろな各機関のおやりになった新しい研究成果あるいは検討結果は、これは年二回の学会を待っているようなことは決していたしているわけではございませんで、必要とあれば臨時の地震予知連絡会を開きまして直ちに検討するというような体制は整っているかと存じます。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、先生、地震予知予知と言っていますが、やはり既往の地震とかその地震原因とか震源の個所とか、その個所における変化とか、こういうものが十分に早くつかみ得た、それが一部材料地震予知に関連し有効性が発揮されてくるんじゃないかという感じがするんですよ、素人でわかりませんから。既往のものはそう余り問題じゃないというのではなくて、そのものの深い探査と研究の成果というものがやがて地震予知に生かされてくるというものでなければ、科学的な的確な予知というものはむずかしいのじゃないかという意味で、この種の問題が後であそこでも検査した、あそこでも調査した、その結果こういう最初十キロ、いやもっと近いんじゃないか——これが間違っているとかいいとかいうんじゃない。その検査する器具なりその他いろんなものの誤差というものがあるでしょうから、そんなこと問題じゃないのですけれども、それが二十二キロになったというと、素人の私では、何かそこにもうちょっと詳しくすぐにメスを入れていくと、次の地震予知という問題につながる何かを先生方ならつかんでくれるのじゃないかなと、こういう気持ちでいまお伺いしているわけなんです。ですから、これは参考にしていただいて結構なんですが、私は素人なりにそういうものじゃないだろうかというふうに考えていることをまず申し上げておきたい。  それから、ついでにお伺いしたいのは、予知に関して、御存じでしょうが、新聞にこれも出ておりましたように、去年の九月ごろですが、宇宙電波を手がかりにして地殻の変化を探ろうというので、NASAが中心になって断層地帯地震のずれを測定するということができるようになった。あるいは中国で地震予知というものが大分進んできた。八カ月前にずばりそれを当てて、非常に的確に対策を立てたために死傷者が非常に少なかった。で、具体的な例なども新聞で報道をされているんですが、このこと自体についてお伺いしようと思っているんじゃないのです。私は、これは萩原さんにお伺いしたいのですが、地震予知というものは、いま末広先生にも申し上げたように、幾つかの地震がある、それが十分に調査され探査された結果が地震予知への大きな学理的な基本をつくり上げていったり基礎になったりということになるだろうというたてまえを、同じようにこの種の問題に当てはめると、中国であろうとアメリカであろうと、この種の問題が起きたときに、単なる文書によるレポートがあったからそれを見て検討して済んでしまう。わが国はとにかく地震に関しては非常なオーソリティーですから、先生方は、とにかくこの種の報告がちょっとあれば、すぐペーパーの上で理解をされて、わかるのだ、こういうお気持ちになりやすいと思うのですが、この種の問題があったら、やはり予知の立場から、萩原先生の御指名によるかどうか知りませんが、関係者がその実際にやった諸外国へすぐに派遣をされて、そこで私たちの非常に深い経験の中から、彼らとは違った立場でそのデータを現地で見てくることが、今後の地震予知というものに関して相当有効になるんじゃないか。派遣しているのかもしれません、しているなら結構ですが、物の考え方なんですが、この種のことが、これは実は二つしか持ってきませんが、五つありますよ、去年の三月から。つまらないことのようですが、諸外国におけるそうした例があったら、その例を現地へ行って、やはり器械も見、そのデータのとり方も見、あるいはそのとった学者の人々とも話し合いをした中で、日本のような深い学理的な研究と実際の経験を持った先生方がおいでになってディスカッスをやると、ただペーパーの上で報告をされたものを見ただけ以上の何かがつかめてくるんじゃないかという意味で、こういう問題があったらすぐに先生方を派遣するようにしなければいけないと思うが、そうなっておりますかどうか。そのことをすぐにやっているのかどうか。全然やる必要はありません、この種のことならもう報告を文書によって見ればたくさんだ、もうそれほど大きな自信がおありになるのか。そういうことをひとつ萩原先生お答えいただきたい。
  19. 萩原尊礼

    萩原参考人 ただいまの原先生の御意見、まことにごもっともだと思います。私ども、できるだけ外国との交流に努めておるわけでございまして、特にアメリカ、ソ連とは、常日ごろいろいろと情報を取り交わしておりますし、また、お互いにシンポジウムを持つ機会も多くございます。ただいま御指摘のように、何かあったときにすぐこちらの学者を派遣して調べるということ、非常にそういうことがしたいという場合もございます。ただ、現状におきましては、学者なりあるいは地震に関連した観測事業を担当している者、こういう者がすぐ外国出張するということはなかなか制限がございまして、そう勝手に、行きたいからすぐ行けるという状態にはなっておりません。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 これも科学技術の関係でいつも言ってきたことなんですが、長官どうでしょうね。いまお聞きになったような問題で、やはりそういう状況になっていない。人もいないこともあるのでしょうが、予算の問題もあるんじゃないかと思うのですね。この種の問題は政府としてそう大した金じゃないのですから、予算の面というものもいま先生のお話の中にあると思いますが、どんどん派遣するようにしていく方がいいんじゃないかと思うのですが、その予算取りはとてもむずかしいものでしょうかね、長官
  21. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実はことしの五十年度予算の編成の際に、わが党の中曽根幹事長からお話がございまして、ことしの重点項目として、核融合、がん対策、それから地震予知、この三つをひとつ取り上げようじゃないかというお話がございまして、したがって、この三つ予算だけは要求どおりひとつ出してもらいたいということで、各省から出ています予算は大体私ども予算に盛り込んだつもりでございまして、もし、いまのような、何か予算面でさらに必要な事項がございますれば、今後も気をつけまして、そういうことがないように、重点項目でございますから、できるだけ御要望に沿えるように努力してみたいと存じます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは予算を余り細かくやろうという予定ではないですから、多く申し上げませんが、いまのお話のような、萩原先生の、やればやりたいという気持ちがあることができていないことを御承知いただいて、閣僚としては、できる限りそれが円滑に、要求があったらすぐ出せるような予算措置が特別な配慮でできるように、ぜひこれはお願いしたい。  それから次に、これも萩原先生で結構なんですが、去年から言われました、東海地方に地震が起きる、マグニチュード七以上の地震が起きるだろうと言われていますが、起きた場合に、従来の経験から言い、あるいは学理的にも、その及ぼす地域の影響ですね。東海地方地震と言われたときに、東海地方だけではなくて、及ぼす影響、地域というようなものが一体どういうところへいくだろう。第一に、私の住んでいる信越地域、それから伊豆地域があり、または濃尾三河地域があり、また熊野灘、遠州灘の太平洋地域というような四つに大別することができるだろうと思うのですが、この大別した中の一、二、三、四の四つに分けて、マグニチュード七以上のいわゆる遠州灘中心地震が起きたといったときに、その影響する範囲というのをどの程度、たとえばマグニチュード幾つぐらいの地震がこの四つの地域にいくだろう、こうお考えになっていますか、これをひとつお伺いしたい。
  23. 萩原尊礼

    萩原参考人 私どもが東海地震と呼んでおりますものは、遠州灘にマグニチュード八を超える地震を想定しております。その被害分布につきましては、安政元年の東海地震のときの被害、これがかつて起こった東海地震としては最も大きいものでございますが、これが大きな参考になるものと思います。安政元年の場合にどのような震度分布をとったかと申しますと、これを古文書で調べました結果によりますと、大体三島から浜名湖辺に至る東海道沿いでございますが、大体震度七でございます。これはかつて、大正十二年の関東地震の場合に、横浜とかあるいは大磯、鎌倉、この辺が非常に大きな震度でございましたが、それに匹敵するものでございます。  なお、こういう巨大地震は相当遠くまで影響がございまして、震度六の範囲もかなり広うございます。特に安政元年の場合は甲府、つまり富士川沿いでございますね、それから長野県の方にかけまして非常に被害が大きく、現在の松本市におきましてはつぶれ屋がたくさん出まして火災も起こっております。松代も非常に大きな被害を受けて、当時の記録を見ますと、松代の人は自分の真下で地震が起こったと信じていたように見受けられます。震度五の範囲もそういうわけで、相当広い範囲に及ぶものと思います。一口に東海地震と申しますけれども、これが起こったときの影響は非常に恐るべきものがあると考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、その後も調査研究をされているわけですが、その予知という立場では、東海地方に依然として大きな地震の危険がある、こう、ますます確信をお持ちなのでしょうか。それが研究の結果、その危険がだんだん薄らいでくるということになっているのでしょうか。それが一つ。  同じように房総南沖に関しても、予知連絡会としては、大型地震の危険ありということを昨年発表なさいました。その後、この房総南沖を中心調査研究をされているのですが、その後今日に至る約一年七カ月、もうたちますが、依然としてその危険はあるとお考えでしょうか。何らかの理由でこれは少し小康を得ているとか、あるいはだんだん違っているんだというようなことになるのでしょうか。たとえば川崎の異常隆起に関しても、後から否定的な見解が発表されて、いや、地下水の規制をしてから地下水が上がってきてだんだん隆起しているのであって、決して地震の前兆というのではないというような意見があり、萩原先生は毎日毎日国会に来られて、本当に御苦労さまですが、きのうも何かその御答弁をされているようですけれども、依然として変わっていない、まだまだその危険度というものは川崎に関して感じている、こういう御答弁がございました。そういう否定的な見解も学者の中から出ている現状が、房総南沖に関して、あるいは東海地震と予想されるものに関して、現在ありますか。あるいは依然として、今日に至ってもその危険度は非常に高いというふうにお考えかどうか、それをお伺いしたい。
  25. 萩原尊礼

    萩原参考人 東海地震に関しましては、東海地方の熊野灘に地震活動の空白部があるということその他の理由で、将来地震の起こる可能性があるということは言えるわけでございますが、これがいつ起こるかということについてはまだ申し上げることができないわけでございまして、少しでもそういうはっきりしたことを申し上げたいためにいろいろと測定をしておるわけでございます。昭和四十九年度のお金で行いました東海地方の精密測地網の結果こういうものがわかりますと、東海地方にどのくらいの地殻ひずみがたまっているかというようなことがある程度言えるようになるかと思いますが、この東海地方の地震は、過去におきまして百年ないし百五十年の間隔で起こっておりますので、いずれは起こることは確かでございますが、これがただ、非常に近い将来か、もう少し先かということにつきましては、現在のところ申し上げることはできません。  房総沖の大きな地震につきましても同様でございまして、やはり過去におきまして、歴史時代に相当巨大な地震が起こったということは確かでございます。房総のかなり沖合いに地震活動の空白部があるということも確かでございまして、その空白部の周辺におきまして微小地震並びにもう少し大きい地震が相当起こっているということも確かでございますが、これもその時期については、非常に近い将来であるのか、まだ相当先なのであるか、現在のところ申し上げることができません。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、ちょっと細かい問題をお伺いしてみたいのですが、現在、日本地殻変動観測所というのがございます。多分、関東地方のみで四カ所あるように思いますが、東大のもあり、地理院のもありというふうに聞いておりますが、この地殻変動観測所は何をねらい、どういう機構で何を観測しようとしているのか、その施設がいつできたものなのかを、ひとつおのおのお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  地殻変動観測所は、現在、大学サイドに十六カ所、それから国土地理院及び気象庁に二カ所、合わせまして十八カ所ございます。それの内容といたしましては、土地の傾斜計と土地の伸縮計とこの二つ装置を置きまして観測をする施設でございます。  この地殻変動観測所は、広い意味におきまして地殻変動を、国土地理院のやっておられます測地的方法によって地殻変動がはかられるわけでございますけれども、非常に短時日、一日とかあるいは半日、あるいは数日というようなオーダーにおきます地殻変動の観測というもののためにつくられておる施設でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 水管傾斜計を使っているのは何カ所になりますか。
  29. 萩原尊礼

    萩原参考人 現在、地殻変動の観測所と呼ばれておりますところでは、水管傾斜計、それと同じ長さの水晶管によります土地の伸縮計、この二つは必ずそろえることになっております。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 それがいま何カ所になっていますか。全部そうですか、十六カ所。
  31. 萩原尊礼

    萩原参考人 そうでございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど最初にお伺いしたように、設置した年代、ちょっと言ってみてください。
  33. 七田基弘

    ○七田説明員 昭和二十年に一カ所新設いたしております。それから昭和二十四年に一カ所でございます。それから昭和三十三年に一カ所、それから昭和四十年に三カ所、昭和四十一年度に二カ所、昭和四十三年に三カ所、昭和四十四年に一カ所、昭和四十五年に二カ所、昭和四十六年に一カ所、昭和四十九年に一カ所、これは大学サイドでございます。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 四十九年の一カ所はどこですか。
  35. 七田基弘

    ○七田説明員 京都大学の防災研究所の宮崎地殻変動観測所でございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 宮崎というと、場所はどこですか。
  37. 萩原尊礼

    萩原参考人 宮崎市のそばに青島という有名なところがございますが、その付近でございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 その青島における京大の観測所の設備と、昭和二十年以来ずっとやってまいりました四十六年までの設備とを比較してみて、全く同じで機能的に作動している、先生お考えになって十分だと、こういうものでしょうか。
  39. 萩原尊礼

    萩原参考人 新しい観測所ほど新式の器械を備えております。たとえば東京大学地震研究所の筑波地震観測所あるいは油壺地殻変動観測所、鋸山地殻変動観測所、これらは地殻変動観測所のいわばはしりでございまして、ここでいろいろと器械や測定方法等開発されまして、そして今日の地殻変動観測所の普及を見るに至ったわけでございますが、その大もとでございます油壺、鋸山等の観測所は、終戦後の非常に困窮の時代につくりましたので、みな手細工のもので、非常に老朽化しております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 そのことを比較してお伺いしたかったのですが、特に房総沖の地震の危険があるとか東海地方の危険があると言っておきながら、大事な、いま言ったような鋸山、油壺、筑波山、あるいは館山もきっとそうでしょう、こういったところの地殻変動の測候をしようというのは、先生おっしゃるとおりに老朽化していて、四十九年青島のものと比べると大変物足りないし不十分だということをお考えになっていながら、これが最も緊急に、青島よりは大事な場所における観測所の施設の更新を図らなければいけないのに、なぜそのままにしてあるのでしょうか。予知をされることは非常に大事なんですが、予知だけして、その予知が不十分であったりあるいは的確な予知でなかったり、そうでなくても精神的なパニックを考えてみると、予知が乱発されたりというようなことすべてを含めて、私は予知公害、大変な予知公害が起きると思うので、予知は大事に違いないのですが、その予知が的確であることがまず第一の条件でなければいけないと思う。その予知がいま言ったような状況で、予知される核心的な場所において、どうも満足できない設備だと思いながらそのまま放置してあるということは、許しがたいことだと思うのですが、これは何とかならないものでしょうか。萩原先生、一生懸命に前回も前々回もお話しのように、とにかく予算が十分に取れないので、取れればというお話が切々と前にもありました。ですから、当時の長官とも、とにかくこの種の予算づけというものは、という要請をし、いま佐々木長官お話にあるように、今年度予算はこの面に関してはまあまあ要求どおりというようなお話もありましたが、一体この点で、どうして新しい施設に交換をしないのか、できないのかということをお伺いしたい。
  41. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  先生いまお話しございましたように、東京大学の地震研究所の油壺、松山、鋸山、この三つ研究観測施設は非常に古いわけでございまして、器械設備その他が古くなっておるということは確かでございます。これの更新につきまして、私どもの方も鋭意、更新したいというふうには考えておるわけでございますが、この地殻変動観測所の拠点をつくるということがまず最重点になったということが一つと、それからもう一つは、先生御案内のとおり東京大学の地震研究所の紛争がございまして、その間、若干やむを得ないとは言いながら、その設備の更新がおくれたというような事情が一つございます。  それから、地震研が一応紛争が終わりました段階で、大学サイドにおきます地震研究をどのようにするか、これは萩原先生が測地学審議会の地震予知の特別委員長をやっていただいております関係もございまして、これからこの点もひとつ御検討いただきまして、そういう古い機器等の更新につきましても検討していきたいというように考えております。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 揚げ足を取るわけじゃないのですが、同じ房総だって館山のものは国土地理院、建設省関係にあるわけですからね。何も東大の問題があったからだけではなくて、私の申し上げたいのは、もっと率直に、お互いに地震による災害を憂える、しかも日本の場合は緊急の問題だという立場で御意見もお聞きしたいし、私も申し上げているわけですが、少なくともその老朽化した施設をそのままにしてあるのは、予算の問題なのか、必要性を認めないのか。いいものなのだけれども、こんなところはまあこの程度でいいのだとお考えなのか、それを率直にお伺いしたいというので質問を申し上げているわけです。もう一度答えてください。
  43. 井上英二

    ○井上説明員 お答えいたします。  国土地理院で置きました館山の観測所、これは実は四十六年に科学技術庁の特別調査費でつくりました。これは、大学でやっておったように、非常に新しい施設、自動記録のできるような施設を置いております。現在それをやっておりますが、私の方の観測所の目的は若干大学と違っておりまして、私の方がやっております地震予知といいますのは、測量を繰り返して行うことによって日本全体の地殻の変動を調べていこう、ところがこれと大学サイドでやっております連続観測との間に、これは測量の方はやはりどうしましても五年周期ぐらいでやらなければ仕方がない、ところが連続観測は連続的にやれる、その間に若干の食い違いができたりあるいは話がうまく合ったり、そういう問題がございますので、地理院の方でその辺一体どの程度局地的な問題があるのかということをひとつ検討しようということで、科学技術庁の方から調査費をいただきまして、防災センターと共同作業ということで観測所を設置したわけでございます。したがって、あそこには伸縮計、傾斜計のほかに、地震研究所で開発されました小型の試験用の傾斜計も置いてございます。これはまだ十分動いておりませんけれども研究しております。それからもう一つ科学技術庁地震計も置いて、これが活動しております。  その結果を見ますと、少なくともあの房総の南の地域につきましては、地殻変動観測の連続観測でやられた結果と、われわれがもっと大きな規模でやっておる測量の結果と、これは水平変動ですけれども、大体傾向は合っておる。恐らく局地的に地質構造の違いなどから、あるいは連続観測の記録等と広い意味の測地観測との結果が合わないような事態も二、三見られますけれども、地域の選定を十分にやり器械の補充を十分にやれば、十分に測地的な広い意味での測量の補完として、大学でやっておられるような連続観測が十分役立つではなかろうかと、われわれ大体いまそういう結論を得ております。けれども、あそこの観測所はこれからもどんどん整備してもっといい結果ができるように努力したい、そういうふうに考えております。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 地理院の四十六年ということも知っているのですが、ちょうどいまお答えがあったのでいいですから、両方同じことになりますが、館山なら館山で変動を記録したデータを集約するのはどういうシステムで、何日、何時間置きにそのデータを取り寄せて検討しているのでしょうか。
  45. 井上英二

    ○井上説明員 お答え申します。  初めに申しましたように、われわれの目的、若干大学と違っておりまして、測地測量との比較という点に重点を置いております。したがって、あそこの器械につきましては連続自動記録をとれるようにしておきまして、地元の中学の理科の先生で非常にその点に興味を持っておる方がございまして、その方に一応嘱託という形で保守をお願いしている。大体そのデータは一週間ごとにまとめてもらって地理院に送っていただいて、われわれの測地のデータと比較する、こういう方法で現在やっております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないので場所ごとに申し上げることはできませんが、大体、目的が少しくらい違っても、まあ私はそういうシステムとして申し上げるのですが、地震予知で一番大事なことは、一週間に一遍記録を集めて検討をする。一番大事なところへ来ると、いままでの地震がそうですが、数日前、数時間前非常に大きな変化、細かい変化が数多く起きてくるのですよ。ずうっと起きてくるらしい。そういうものでしょう。この一週間前なり五日前なり三日前なり、あるいは何時間前なりというものの急に変わってくる変化というものをしっかりととらえたときに、その予知のいままでやってきたものが集約されて、経験から言ってもこれは二、三日中に危ない、これは一週間後、一カ月後に危ないというようなことが出てくるものじゃないでしょうか。それを、この種のデータを集めるのに中学や高等学校の先生にお願いをして嘱託にして、一週間に一遍ずつ記録をとってこれが検討されるなんというのんびりしたことで、しかも予知は、すでに連絡会の発表としては房総沖は危ない、東海地方危険だと言っているようなときに、万が一、いまの予算その他の問題で施設を更新できることがすぐできないとしても、これは科学技術庁の調整費であろうと何であろうと、大至急やるべきだと思うので、長官からその決意をお伺いしたいと思いますが、こんなばかな、老朽化したものをそのままにしておいちゃ困ると思うし、しかも集約するのに一週間に一遍だ、二週間に一遍だなんというようなことをやっていて、一体いいのか。素人だからわかりませんが、いまお答えの井上さんにしろどなたにしろ、みんなこの面におけるオーソリティーだと思います。こういう先生が、何か隔靴掻痒の感というか、何かの理由で、何ができないでこうなっているのだということがあるのじゃないかと私は思うのですね。こんな大事なときに、危険があると発表しておきながら、一週間たたなければデータが来ない。それで一体、本当に予知を発表して、その予知責任を持ってつぶさに調べて、その危険をできるだけ事前に、三日でも一週間前にでも発表しようといった責めが果たせますか。何かあるのじゃないでしょうか。こんなばかなことはないと思う。まあ素人考えですが、少なくとも、連続的に記録をどこの観測所もやる。それがテレメーターできちっと中央に集まる。中央では随時その変化というものを見詰めている。毎秒、毎分、毎時間、各地における観測所の変化というものをずうっと見詰めていて、初めて私は的確な地震予知の成果が上がると思うのです。従来の地震のずうっと調べた記録から言っても、地震が本当にきょう起きるというときの前の日、その前の日、あるいは数時間前、何時間前の非常な変化というものは、これは顕著にあるわけですから、その顕著な変化をどうやってとらえるかというふうに考えたら、少なくとも中央に全部即座に連続的な記録が集まるようなテレメーター方式なりを採用するぐらいなこと屡今日の学者先生の常識から言ったらあたりまえの考えだと思う。なぜそれができないのか。おまえの言うようにそんなものは必要としないのだ、一週間に一遍集めればいいのだ、こういうことなんでしょうか。萩原先生お答えいただきたい。
  47. 萩原尊礼

    萩原参考人 御指摘のとおりでございます。大学関係におきましては四十九年度から相当の予算をいただきまして、逐次微小地震の観測及び地殻変動の観測、こういうもののテレメータリング化を行いつつございますので、これが実現いたしますれば、少なくとも北海道地区、東北地区、あるいは名古屋、京都といったような地区に分かれると思いますが、それなりに、そこでは一カ所で即時記録がとれるというような形態になるものと思っております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 長官、どうですかね。いま私の話しているような、予算がないんだが、必要がないと考えているんじゃないらしいのですが、そういうときに何らかの方法で少なくとも連続記録が中央に全部集まって、いつでもこれを常時検討できるようなテレメーター方式を採用すれば、私は地震に関する予知予知に関連する作業というのはずっと科学的になり、進んでいくと思うのですが、どうでしょう。
  49. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私もあんまり詳しくはないのですけれども、しかし、お話を拝聴いたしまして、まさしくそのとおりだと考えます。  それから、予算の面ですけれども、これは各省と十分連絡をいたしまして、必要なものでありますれば、調整費なりその他でカバーする行き方もございますので、善処したいというふうに考えております。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひお願いします。  それから、ここで息抜きじゃありませんが、この間新宿の駅で、東京都知事選の前段の運動として、「新しい東京をつくる都民の会」というものからきれいなビラが配られていたのですがね。私も新宿の駅でこれをもらった。捨てちゃおうかなと思ったけれども、私も配ったときに捨てられるのはいやなものですから、一応見ようと思って見たら、気がついたのは、「震災対策費は前年の1/16に激減!」と書いてある。「本年度予算にみる都政の破産状態」という中のトップにまた、「震災対策費は対前年度の光に激減 防火用貯水槽の設置 道路災害防除 河川防災すべて……ゼロ」こういうのが出ているのですよね。  これは、消防庁からきょうおいでいただいているので、消防庁は関係するからちょっとお伺いしたいのですが、東京都の地震対策費というのは前年度の十六分の一になっているでしょうかどうか。調べていただくようにお願いしてありますから、お答えがいただけると思う。
  51. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 東京都におきまして震災対策関係予算としてまとめておりますのは、東京消防庁以下の震災予防計画上の予算の取りまとめでございます。この数字の経過を見ますと、昭和四十八年度が千六百十五億円、四十九年度が千八百五十七億円、五十年度の予算が千八十六億円というふうに、前年度に比べますと約八百億近い減でございます。  五十年度の東京都の予算の編成は、地方選挙を前にいたしまして骨格予算の編成ということをたてまえにいたしておりますので、ほとんどが人件費の計上にとどめておりまして、いわば投資的経費については選挙後の予算において補正をするというたてまえをとっておりますので、耐震性貯水槽でありますとかその他の一連の震災対策の中でも、投資的経費に属する部分の経費は計上されておらないというふうに聞いております。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 答えることがむずかしいかもしれません。だから、この十六分の一とゼロというのは、うそですね、何かの間違いですね。いまの御説明でも五十年度は骨格ですからね。ですから、十六分の一だのゼロと書いているのは、これは間違いか、うそですね。
  53. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 この予算についての計算基礎が、パンフレットに書かれてありますものの計算基礎がはっきりいたしませんので、私ども、十六分の一ということがどこから出てきたのか、よく承知をいたしておりません。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 それ以上、時間がありませんし、やめますが、……。防災対策についてこれかお伺いをしていきたい。  去年の八月、行管が地震対策について勧告を出しました。大変大きな問題をよく指摘をされているわけですが、これ一項一項については、後にまたお伺いする機会を得たいと思っています。  先ほど、川崎の問題を末広先生お話しになりました。そこで、もう一度川崎に関してもちょっと後で触れてまいりたいと思いますが、基本的な物の考え方の中で二、三、先にお伺いをしてみたいと思うのです。  消防庁がせっかくおいでになっておりますので先にお伺いしてみますが、川崎も含めてですが、震災対策の非常に重要な問題としては避難緑地というものが必要なことばとく言われているし、行管も指摘をしています。この避難緑地というものに関して消防庁としては、大都市であればあるほどに重要視したいろいろなプランをお持ちのようです。その方針について、現在こうしたいと思うのだがかくかくの理由でそれができないし、やらなければいけないと思うのだがかくかくの理由で全然できそうもないというのに分けて、お答えをいただきたいのです。方針はわかっています。どことどこと、細かいところもわかっています。しかし、それがやりたいのだけれども、現在どういう事情でそれができないか。当分の間どころか、もう幾らがんばったところでこれはできそうもない。やらなければいけないのだがこれはできそうもないというのと二つに分けて、ひとつお知らせをいただきたい。大まかにお答えをいただきたい。私の質問する目的を先に申し上げておきますが、私はこれを早く進めたいと思うのです、皆さんのお考えを。進めたいのにかくかくの理由でできないのだ、こういうことでできないということが私どもにもわかって、それを私どもなりに、できるようにこれから一緒に協力をしたいという前提です。特にきょうは大臣が、中央防災会議の最高スタッフの一人としておいでになっていますので、非常にこれは重要ですから、特にざっくばらんにおっしゃっていただきたい。それが一つ。  それから、同じような例になりますが、一番問題になるのは給水施設ですよ。すぐ断水が起きますよ。で、これに関してもこうすべきだ、ビルにはこうするああするというようなことをお考えになっておいでになるが、それも同じように、こういうことを考えているのだが、こういう事情ですぐにはできそうもない。いや、もう一つは、ほとんどできないだろう、やらなければいけないのだが、できない理由はここにあるのだ。二つに分けてそれもお答えをいただきたい。これを先にひとつお答えをいただいて、また質問いたします。
  55. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 消防の担当いたします最も重要な部分の一つが、この住民の安全避難対策でございます。地震がいつ発生するかということが非常に不的確でございますので、消防といたしましては、現在時点において大地震が発生した場合の避難対策と、それからある程度時間的余裕を持ち得る地震対策というものと二つに分けていま考えておるわけでございますが、特に大都市地域におきましては、現在時点において大地震が発生した場合の避難地の確保という観点から、避難道路と避難空地というものをとりあえず現在のままで確保するということで、いまその対策一つは進めておるわけでございます。  現在確保しております避難地を見ますと、特に問題になりますのは、避難地がやや地域的に偏在があるという問題が一つございます。したがって、避難距離が非常に長いところがある。そのために、どうしてもそういう地域においては新しい避難地を何とかして確保しなければならない、こういう問題がございます。それからまた、地域的に偏在しております関係で、ある地域におきましては避難地の面積が非常に少ない。したがって、場合によってはパニック状態になる可能性のあるところもあるという問題がございます。それから、現在避難地として予定をいたしております土地が私有地であります関係から、その土地に新しい建築物が建造されないという保証がない。そのために、いっその避難地が縮小されるかわからないというような問題がございます。こういうことで、いま避難地につきましては、とりあえず、そうした避難空地の不足する面につきましては、私有地の公有化を進めてもらいたいという問題を含めまして、一避難地につきましては少なくとも十ヘクタールの土地を確保したい、それから、予定される避難住民一人当たりの面積を最小限一平米を確保するようにしていきたい、それから、避難距離としましては三キロメーターというものを一応目標にして避難空地の整備を図りたいということを、いま指導しておるわけでございます。  さらにまた、避難道路はとりあえず幹線道路を予定いたしておりますけれども、避難道路は、避難が済みますと、将来の食糧等の日常生活用品の確保のための輸送道路にもなるというような観点から、避難道路をいかに耐火性、耐震性の区画を確保するかという点が問題でございます。  いま申しましたように、この避難空地、避難道路、いずれにつきましても、この問題でもおわかりになりますように、避難空地につきましては土地の確保の問題、この土地を確保いたしますためには、ある程度の区画整理、都市計画上の手法を用いましたところの土地の確保方式、これが必要でございます。また、避難道路を確保いたしますためには、ある程度の建築制限といったような問題がございます。そういう意味におきまして、いま避難道路、避難空地として予定をしております部分につきましてはいずれも非常に大きい問題がある、こういうことでございます。そういう意味におきまして、私どもがいま、この避難路、避難地域をいかに安全にするかという対策をとりあえず講じておるという段階でございます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 給水のことは……。
  57. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 給水の問題につきましては、仕事の担当が厚生省の担当でございますが、私どもの方といたしましては、この給水の確保という点が大地震の場合に最後に残る問題といいますか、一番確保しにくい問題であろうということを想定いたしまして、消防用の貯水槽等がとりあえずの給水源になり得るような対策もあわせて講じる必要があるのではないだろうか、こういうことで、次の措置として、いま厚生省ともいろいろ打ち合わせをしておるわけでありますけれども、ろ水器等の設置ということをお願いをしているところでございます。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 そうでしたね、給水は厚生省でしたよね。給水の方が少し問題があったのですが、どっちにしても、私が申し上げているような的確な答弁はちょうだいできていない。  相当の計画は持っていても、それを実現しようとしたときにどういう隘路がある、何が問題である、したがって、これはできるんだが、やらなければいけないと思うが、なかなかにできそうにな  いんだということがお話しいただければ一番ありがたいと思ったのですが、むずかしいですかね。
  59. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 ただいま申し上げましたように、過密状態にあります大都市地域におきまして空地を確保するということは非常に問題の点でございまして、私どもの仕事の上で最も障害となっている事項でございます。たとえば東京都におきまして、江東地域において大規模避難地六カ所を確保したい、防災拠点として六カ所を確保したいということで、いま東京都において仕事を進めていただいておるわけでありますけれども、この地域におきまして大規模な工場等が移転をするというようなことができました分につきましては、たとえば白髪の拠点はそういうことで土地の確保ができたわけでありますけれども、他の五地域の防災拠点というものは相当な建物の移動等を要しますので、なかなか空地の確保が困難である。そういう意味におきまして、いわゆる都市計画関係の事業としての区画整理事業というものを相当やらなければ空地の確保が困難になってくるというようなことでございまして、いわばこうした意味での土地の確保の問題が最大の問題だということが言えるだろうと思います。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 消防庁は消防庁なりに関係の省庁と連絡をとりながら、土地の確保のためにずばりこうやってくれ、こうできないかというような提案をする。それに対する答えが出てくる。そこで、いまこういう問題で困っているんだというのがたくさんあると思うのですが、そういうものをびしっとリストアップしてないですかね。こうなければいけないのだ、何カ所こうしたいと言いながら、それが、こうしなければできないんだが、こうしてもらえない。関係省庁に話したところが、それはこういう理由でだめだと言われて、これはストップになっている。この問題はこうやっていて、いまもうちょっとこうすればこうなるんだが、それがどうも、もうちょっとのところで、こういう理由でうまくいかない。何かそういうものがずっとリストアップされていなければ、責任を持って消防庁がこの種の問題と取り組んだことにならないのですね。やったんだけれども、こうすればいいと思うのだけれども、なかなか空地の確保がむずかしいから、お手上げで、ほってあるんだというのと同じ結論になるのか。そうでなくて、具体的に必要な提言も行い、必要な折衝も行い、なおかつこれが隘路で、ここまでいったが、これがだめだ。これはこういう理由でだめなんだ。こうしなければだめだと思う、理想的にはこの場所にこうしたい、そのために、地域住民の協力を得て全体の移転をやるとか、あるいは工場の東京都からの移転をさせるとかいうような案は持っているんだけれども、それをやろうとして、予算の問題だ、こういう問題でできないのだということがびしっと——計画がせっかくできているのですから、理想的な避難緑地をつくろうという場所を決めたら、その近辺においてこうすればどうだろうというようなものがちゃんと案として出されて、これが中央防災会議まで行って、あるいはどこでやるのか知りませんが、いわゆる政府として十分に論議をされた、それでいまこういうところへ来ているということになってこなければ、いつまでたったって、こうすればいいと思うのだけれども、なかなかにプレースを求めることがむずかしいのだ、何のプレースがむずかしいのだ、それで終わっているのじゃ、責任ある仕事をしたとは言えないと私は思うのですが、そういうものをリストアップしてありますか。
  61. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 この避難緑地の確保という問題につきましては、これは各都市の防災計画におきまして、その地域ごとにその必要な面積あるいは場所等を予定しながら計画はつくられてございます。この避難緑地の確保のためには、いわゆる公園並びに緑地ということを前提にしながら、この避難緑地の整備につきましては、建設省の系統の仕事でいま仕事を進めてもらっておるわけであります。また、土地の確保についての資金の問題につきましては、地方債計画上必要な公有地の確保のための資金の用意はいたしております。  しかし、この関係で一番問題になります点は、やはりある程度その地域において建物の間引きをせざるを得ない、この問題が最大のネックになっておるわけでございまして、予算面の問題よりはむしろ、その土地の買収についてどういう方式で買収をしていくか、工場の移転という形で行うのか、あるいはまた一般の住宅を含む建物の間引きという形でいくのか、この辺が一番問題でございまして、やはりその地域、地域においての地域住民との折衝というものが一番の問題になっているというふうに私ども感じております。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 地震に関する限りいつでも同じことを言って、あれは建設省でございます、これは厚生省です。  そこで、きょう、国土庁の横手審議官は、国土庁長官をも代表するくらいの気持ちでおいでいただいているのですが、いまの話を聞いておりましていかがでしょうか。国土庁として防災対策上、緑地の問題にしても水源の問題にしても、あるいは川崎なんかにありますような、コンビナートと危険な同居をしているようなああいう込み入った、最も危険な、しかも真下型地震という恐怖を与えられている皆さんに対して、コンビナート、あの危険なものを遮断をする遮断帯というようなものも何が何でも早急につくらなければ、万が一、年末であろうと来年であろうと、大きな地震の起きたときには——石油タンクは心配ないのだということならそれでいいのですが、新潟地震の場合、石油タンクが火災を起こしていますよね。ところが、その石油屋さんなりガス屋さんに言わせると、ああいうタンクは心配ない、そういうことをよく言うのですが、新潟地震の場合には石油タンクが間違いなく火災を起こしている。川崎にそれがないとは言えない。ということになると、やはり防災対策責任者としては、いま私が消防庁長官お話し合いをしたというその内容について、もっと具体的にこういうことをやっています、問題はここにあるからという問題点は全部リストアップして、こういうふうにやろうとしていますということを、ひとつ横手審議官からお伺いしたい。
  63. 横手正

    ○横手政府委員 お答えいたします。  現在の震災対策が必ずしも十分でないということは、私ども長官も日ごろ言っておられますし、私どもも痛感いたしております。こういうことでなしに、万全の備えをすべく極力努力いたしたい、かように存じます。  震災対策につきまして、この震災対策そのものが広範多岐にわたるわけでございますが、昨年八月に行政管理庁の方からも各般の指摘事項を受けております。この指摘された事項をまず解決してかかることが震災対策の取っかかりになるのじゃないかというふうな考えも持っております。そこで、この行管の勧告を受けまして以来、関係省庁から成ります大都市震災対策連絡会議中央防災会議の事務局のもとに置きまして、ただこの連絡会議を設けましただけでは、各省庁何十人か集まった会議ではなかなか問題点の煮詰めもむずかしいであろうということから、この連絡会議のもとに六つの分科会を設けまして、その分科会で関係項目につきまして、最も関係のある省庁が集まって対策を講じていただく。国土庁としましては、中央防災会議の主務庁でもございますので、その間の総合調整を図ってまいるというようなことで、全般的な震災対策を進めてまいっております。  なお、最近川崎の隆起問題がございましたので、これにつきましては特に重点を置きまして、各省庁でそれぞれ震災対策を進めておられますが、特に当面必要とします応急対策につきまして万全の措置をとるよう各般の対策を進めてまいっておるところでございます。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 だから、六分科会で討議をして対策を立てていくということはわかりますが、いま申し上げた水源、避難緑地、たとえば川崎で言うなら一番大きな問題のあの種の危険物に対する遮蔽帯といいますか遮断帯を早急につくる必要がある。川崎なんかは、避難場所を求めるといったってないですよね。駅周辺ひどいものですね。これを一体どうするのか。その三つに分けて、どういうことを考えているかをお答えいただきたい。
  65. 横手正

    ○横手政府委員 まず、給水対策でございますが、これにつきましては、各市で震災対策計画を持っておりますが、その中で給食給水対策あるいは生活必需品の確保対策、こうしたものをおのおの講じておるところでございます。  具体的に川崎地区に関連いたしまして、関連地域でとられております給水対策を申し上げてみますと、たとえば横浜市では取水個所が五カ所だったと思います。川崎でも同じ程度。また東京都下におきましても、太田区並びにその周辺個所で九ヵ所ほどを選定いたしております。おのおの取水可能量はかれこれ十万トンずつ、合わせて三十万トンぐらいあろうかと思います。また、各市それぞれ被害想定を行っておりますが、給水所要人口、これは震災が起きました直後数日間特に必要とします給水対象人口を合わせますと約百七十万人ぐらいに想定いたしております。これを一日三リットルといいますと、一日所要量が五千トンということになりますので、三十万トンと言えば、まず水の量の面におきましては一応確保されておるというふうに考えております。なお、各市とも、それぞれ取水個所に選定いたしておりますところは、特に耐震性の問題、この点検も終わっておるところでございます。そのほか、その給水の拠点個所、これはまあ避難地ごとになりましょうが、そうした選定も終わっておりますし、運搬車両、こうしたものにつきましてもそれぞれ手当てが終わっておる、こういうような状況でございます。全般的に言いまして、給食並びに給水対策、こうしたものは、量の面においては私どももまず安心ではなかろうか、あと残されておりますのが、これを必要な場所に運搬するということが十分できるかどうかの点だろうというふうに考えております。  それから、避難地の問題でございますが、現在、横浜市では六十一カ所、東京都では百二十一カ所の避難地が指定されております。川崎ではまだ避難地の指定が終わっておりませんが、今回に備えまして市の当局ではおおむね十カ所、十万平米の場所につきまして、それぞれ避難地の安全性の点検まで行っておるというような状況でございます。当面の応急対策としましては、現在あります空地の活用を図る以外手がないわけでございますので、当面そうした措置を講じております。ただ、将来の問題といたしまして、空地の偏在、こうした問題につきましては、市と相談しながら私どももいろいろ応援の手を差し伸べていかなければならないのじゃないかというふうな考えを持っております。  それから、防災遮断帯の問題でございますが、これにつきましては、一昨年と昨年でございましたか、建設省におきまして、防災遮断帯の必要性、あるいは設けるとすればどういう形というような構想の検討がなされておるわけでございます。現在建設省では、市当局とこの進め方についていろいろ折衝中であるというふうに聞いております。この問題も一日も早く解決いたさないことには間に合わないということになろうかと思いますが、関係省庁ではせっかく努力中でございます。  以上でございます。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 そういうふうに各自治体でやるやると言っていて、実際にやれると思っていないだろう、だから、国としての援助なりその他手当てをしなければいけないだろうと思っている、そういうお話があったその前段に、なお認識不足といいますか、各自治体でたとえば給水問題なら十分だと思います、一日三十万トン云々といったような楽観的な、あるいは手の施しようがないから仕方なしにその場を糊塗するのか知りませんが、そういった考えでその日その日を過ごしておられる。たとえば川崎における遮断帯の問題なんというものは、これはもう緊急を要する問題でしょうね。これに関しても的確に、こうする、こうしているんだ、幾日までにはこうしようと思う、何年後にはこうだといったことを一きのうの大臣の答弁なんか見ますと、いずれ現地を見てからというような答弁を参議院でしているようです。この問題が起きてからもう相当日がたっている。なおかつ、国会が開かれたいまの段階で、まだ同じことを言っている。川崎市から要望書が出たときに、大臣なり消防庁長官は何と答弁したか。できるだけ早く現地を見て的確な対応策を講じますということを答えている。いつだとお思いになる。今日、国会が開かれるまで平気でいて、そしてまた同じような答弁をしている。地震というものに関する本当に真剣な国としての対策が、これで講じられているのかしら。一国民として非常に不安だし不満ですよ、こんなばかなやり方をしていたのでは。少なくとも、あそこに遮断帯をつくろうなんということをやったときに、地方自治体でやれと言ってできるはずのものではない。中央防災の立場では一体どうしてやろうと思っているのか、それだけ答えてください、もう一度。
  67. 横手正

    ○横手政府委員 防災遮断帯の件でございますが、これにつきましては、建設省の方で、先ほども御答弁申し上げましたように市当局と相談しておるところでございます。国の方も地方団体に積極的に応援すべき点はあろうと存じますが、やはり市当局におきましても防災遮断帯についての考え方、こうしたものをはっきり固めていただく、いわゆる都市計画上いろいろ必要な措置も検討していただくということでありませんと、必要性はよくわかっておるわけでございますが、なかなか前に進まないというようなかっこうになろうと存じます。ちょうど、新しく避難空地を確保しようとする場合に非常に困難があるのと同じような問題が、やはり防災遮断帯、こうしたものを設ける場合にも出てまいっておるところでございますが、現在建設省の方でもかなり市当局と密接に連絡しておるところでございますので、これが早急に進めばというふうに存じております。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 国としてやらなければいけないという前提に立って、国としてやる機関としてできたその代表できょうおいでいただいたわけですから、いろいろこれは無理かなと思いながらわざわざ言っている面も、実は正直言ってあります。とにかく、こんな状態でやっていたのでは震災対策は何ら進まない、これじゃ困るというふうに私は痛感をしている。やらないよりはいいでしょうけれども。あの問題に関しても、まだ建設省から案が出なければ、それもいつ出るかわかったものじゃないという状態。後で集約しますが……。  そこで、もう一つ伺いしますが、いまお話しのように、この種の防災対策は地方自治体がやっております。中心になってやります。そこで、地方自治体はどうかというと、全部お手上げ、とてもじゃないがやれないから、国に陳情をして要望をしている。その中で一つ珍しいのは横浜市ですね。横浜市は、地震が起きた、そうして、その自分企業がもとで地震による関連被害を住民に与えた場合には、企業責任を負わせよう、その損害に対する企業負担をさせようという条例をつくったのですね。御存じだと思いますが、横浜市がつくりました。これは一つの新しい行き方であり、そのような厳しさがあって初めて各企業が震災対策、しかも事故企業を通じて地域に損害を関連的に及ぼさないようにという手当てをするということも防災体制の一環として大事だと思うので、その意味から言うと、この横浜市の条例は非常にいいと思うのです。他にはまだ聞いておりませんが、この種の条例ができることはいいことだと思いますが、いかがでしょうか、横手さん。
  69. 横手正

    ○横手政府委員 横浜市の震災対策条例でございますが、かねて市当局の方へ連絡いたしておったところでございますが、まだ市の議会に云々というようなこともございまして、実は手元にまだ届いておりません。ただ、条例を出されるという方向は決まっておるというふうに伺っております。  なお、各市においてこうした条例を作成し、震災対策に取っ組んでいただくということは好ましい方向だというふうに考えております。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、少し具体的にお伺いをいたします。  私は、この間、三菱重工の爆破事件が起きたときに、大衆というものは、爆破、爆破で気を取られていますが、落ちついてみると、地震もこれと同じだなという、地震の恐怖というものを大変感じたろうと思うのです。上かられんがが落っこってくるわ、ガラスは飛んでくるわ、これはえらいことだという感じは、単に爆破でなくて、いま恐れている地震との結びつきを暗黙のうちにして、大変な地震に対する恐怖を実践的に経験したというのが、あの爆破事件の一部の貴重な教訓だろうと思うのです。  ああいうことを思いますと、道路歩いているのは非常に危険だなと思う、地震がいつ起きるかわからないから。幸いに地下道がある。地下道があるなら地下道に逃げ込むという本能的な感じがある一方、地下でつぶれちゃたまらぬという考えもある。もう一つは、御存じのように、地下道あるいは地下街を見ますと、火を使っている飲食店がいっぱいある。地震といえば火災が起きる。一番大きな災害は火災によって起きる。その地下街に料理飲食店が許可されて、何ら特別の措置も講じないままに火が使われている。勘違いした大衆は、地下が危険でないというので、人によっては地下へ逃げる。そこで火が起きたら、これは最も大きな、いわゆる火災による災害が地下で起きるわけですね。  いろいろな面から考えて疑問が出てくるんですが、しかし、かといって、地下道があり地下街がある限り、これを防災対策上避難路として考えるか、避難道として考えるか、避難をする誘導路に使うのか。場所によっても違うでしょうが、基本的な原則として、国の立場でこの地下街、地下道を一体避難場所と位置づけるか、避難道路と位置づけるかは大変重要な課題だと思うのです。  そこで、これも横手さんになるんでしょうが、一体、この種の地下道を中心にして考えたときに、ビルの地下街も同じですが、これを避難場所に位置づけるか、避難道路に位置づけるかということによって大変貴重な対策を即時打たないと、地震が起きたときに、大衆がある意味では正しく、ある意味では結果的に錯覚を起こして、地下道へ行ったり、地下街に逃げていくおそれがある。結果的にはいい場合もあるし、悪い場合もある。これに対して、そうなったときの対策をたとえば一つの例で言うなら、地下道、地下街には非常灯は絶対つけるというようなことがあってしかるべきだ。現在ないところがある。その他細かいことがいろいろあります。いまの料理飲食店に関しても、火を使うことを制限したり、使うならばこういう条件というようなものがなければいけないし、というふうに考えていろいろ対策をとっておかないと、予見できるのにそれの手を打たなかったために大きな災害の原因になるのが、ある意味では逆に大ぜいの大衆を助けるのが地下街であり、地下道であるというふうな考え方に立つと、これを避難場所にするか、避難道路にするか、場所によって違っても、原則としての位置づけを国としてやる必要がある。どうお考えでしょうか。
  71. 横手正

    ○横手政府委員 ただいま先生のお話伺っておりまして、地下道あるいは地下街、これが避難場所あるいは避難道路、こうしたものに活用できないかというお話でございました。私も一層研究いたしてみたいと存じます。ただ、現在までのところ、こうしたところは避難地あるいは避難路というよりも、そこにおける大衆のパニック状況、こうしたものを考えますと、むしろこうしたところから、すでに指定済みの近くの避難地へ誘導するというようなたてまえで考えております。いまお話しございました点、新たな立場で一回考えてみたいと存じますが、現在までのところは、いま申し上げましたように、避難地、避難路としては考えていないところでございます。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 地震の大きなやつが起きたときに、パニック状況が起きた大衆心理の中で、ほかに避難緑地がある何があると言ったところで、現にある地下道、地下街というものは一応頭の上から何か来るやつがよけられるという、もうこれは本能的な感じになることは間違いない。したがって、おざなりな考えでなくて真剣に、いま私が言ったように、国として地下街、地下道を避難場所あるいは避難道路、どちらに位置づけるかを決めて、それに対策を十分また具体的に行政的な処置を講じていかなければいけないという確信を持っていますが、もう一度それを検討する一いまお答えができるのが一番いいのですが、あとの何かをつけ足さないで、ひとつそのことに対してのお答えをいただきたい。
  73. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 地震の場合の避難に当たりましては、地震直後の一時の避難と、それから地震に伴って広域的な火災が発生した場合の避難地と、こういうふうに二つに分けて考える必要があるだろうというふうに思います。  地下街につきましては、恐らく地震発生直後の状態というものは、その地下街が大衆が入り込んで一般に利用されている状態のもとにおきましては、相当多数の人々が利用しているという状態でありますから、恐らく人間の本能としましては、外へ出たいという心理が非常に働くわけであります。そういう意味におきましては、大地震直後の地下街というものは、やはりその中に発生いたしますパニック状態というものを防ぐためにも、地上に一時誘導させるというふうな措置がどうしても必要になるだろうと思います。そういう意味におきまして、現在地下街につきましては、消防上から見ましてもスプリンクラーの設置とかあるいは防火区画の規定とかいうことで、その安全対策につきましては相当な施設整備するように法令で規定されているわけであります。特に古い地下街につきましても、昨年の消防法の改正によりまして、こうした消防用の設備あるいは非常電源あるいは誘導灯等の設置は詳細に義務づけられてまいりましたので、古い地下街につきましても、これは近く、こうした施設が完成することによって安全に地上に誘導するという体制がとれるだろうと思います。地震がおさまりました後におきましては、この地下街が場合によっては避難道路として利用されるということはあり得るものであるというふうに考えております。  また、大きい建物のそばは、先ほど御指摘ございましたように、上からの落下物の危険が相当あるわけでありますので、私どもの指導としましては、地震の際には、大きいビルの場合にはその建物からある程度の距離に離れるか、あるいはその建物の中に逃げ込むということを指導いたしております。現在、関東大地震程度の場合におきましても大きいビルが倒れるということはまず考えられませんので、いま指導としてはそういうふうな指導をいたしております。  そういう意味におきまして、地下街につきましては、地震直後の場合の措置と、それから地震が一応おさまってその後の火災による避難ということの場合と、二様の指導方法があるというふうに考えております。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 佐々木さんも関東大震災をきっと経験しているんじゃないかと思うのです。私は明瞭に覚えているんですが、経験しないのか、若いんだかどうか知りませんが、頭が黒いから私より若いのか年とっているのか知りませんが、地震直後だの終わった後だの——あのときを考えてみると、地震が終わったという状態は私は三日かかったと思う。その間に地下の人は全部外へ誘導するんだなんて、それはごくわずかな部分の誘導はできるかもしれませんが、本能的には地下へ入るという人がたくさんある。逆なんです。出ていこうという人もあるけれども、うちのすぐそばのあの地下道は大丈夫だから、あそこへ、おれは逃げればいいんだというのが——飲み屋へ行ってごらんなさいよ。主人公が言っていますよ。使用人までちゃんと教わっている。そんなのがいっぱいいますよ。全部逃げる。地下にいるのをこわがって全部逃げちゃうんだなんという心境になるとばかり考えることは、まずむずかしい。それから、地震があったというあの何秒かの瞬間の直後とその後という分け方も大変むずかしいし、危険だと思う。したがって、長官がせっかく関心を持って答弁があったわけですから、再び検討をお願いしておきますが、国としてはやはり原則として地下街、地下道をどう位置づけるかを真剣に検討すべきだ、その中から科学的に対策を立てていくようにしなければいけない、こう考えていますから、それも改めて検討をしていただくようにお願いをしたいと思う。  それからついでに、そのお答えをいただくと同時に、消防庁長官最後にお伺いいたしますが、去年岩手県で、廃屋と言っちゃいけないが、工員の住宅を燃やして火災に対する科学的な資料を得よう、訓練をしようというので、大規模な放火をやった。放火というんですか何というか、何とか実験をやった。あのときの実験の様子を後で聞いてみますと、前の日四十一ミリずっと降っていて、朝方まだ三十何ミリかの雨が降って、あのほろほろのうちが、雨漏りをしているものもあったし、相当程度湿っていた。普通の火をつけたんじゃ燃えない。油を特にぶっかけて火をつけた。そうして風向きが、やろうとした瞬間に変わってきたために、風下に対して延焼防止のための薬剤散布をやってみたのが、逆に風上に変わってしまったものですから、それも適切な効果は見られなかったというようなことを聞いているんです。  私の言いたいのは、あの実験をやったことが、あんな気象状況のときには何日でも延期してやるべきじゃなかったんだろうか、もっと正常なときにやるくらいな柔軟性があっていいんじゃないか。やると決めたんだからやっちまうんだというんで、どしゃ降りが毎日続いて湿っていて、正常と考え状況でないところに油を大量にぶっかけて火をつけてやるというような、強行した感じがあるのです。本当のことを言うと、立ち会っていませんでしたから的確なことは言えないんですが、私は後で内容を聞いて、何かもったいない実験をしちゃったなという感じがするんですが、そんなことありませんか。やった御本人からすれば、そんなことありません、雨の中だってああいうこともあり得るんだからいいんだ、こういうことになるかもしれませんが、しかし、私どもから言わせると、どうもちょっともったいなかったな、ああいう状況のときには延期すべきじゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  75. 熊野陽平

    ○熊野説明員 ただいま御指摘の件についてお答え申し上げます。  あの実験は、松尾鉱山の廃坑になった跡地にあります鉱山住宅、これを使えるということで最初あれに着目しましたのは、四十七年の夏でありましたか、県の手で一部焼却処分にしたというのを知りまして、これではもったいないから、何とか私ども研究の手段として使わしてもらいたいということでいろいろ折衝を続けまして、ようやく四十九年に実施する運びになったわけであります。研究費の方も科学技術庁の方の調整費を分けていただくことになりまして、それで計画を進めて、実験予定の期日としましたのが八月二十八、二十九両日でございましたが、あの跡地一帯の処分というのが八月いっぱいで終わらなければいけないというふうになっていたそうで、そういうような制約もございまして、いま先生がおっしゃったような、かなり強行した面がございます。  予定最初の第一日は、確かに前に雨が降り続いて、前日の二十七日もかなりな雨が降りまして、湿っているというよりは家の中までぬれているという状態でございました。しかし、先ほど申し上げたような、あそこの跡地一帯の処分というデッドラインがございますのでいわば強行したようなことでございますが、そういうわけで、第一日の実験は、途中で霧も出てくるというような悪条件に悩まされまして、必ずしも理想的な成果が得られたとは言えませんでした。第二日の方になりますと、これは前日の午後から雨も上がりまして、第二日目の二十九日は朝から好天気になりまして、かなり所期の状態で実験ができたと思います。  それから、途中で風向きが変わったということ、これも第二日目のことでございまして、予定した風向が実験開始した直前のころにほとんど直角に変わりまして、この点確かにそごがございましたけれども、一方、このために、幾つかの棟が一遍に燃えたある程度大規模な火災から立ち上る上昇気流の状況についての観測という面では、逆にマイナスがプラスになったような観測も得られたということは申し上げられます。それから、風向きの変化によってヘリコプターからまいた消火剤の効果確認という点も予定とは若干違った状況になったわけでございますが、これも、その条件のもとである程度散布した薬剤の効果は、確かにまかないものよりもまいた家の方が燃焼しにくいという確認は得られた状況でございます。  以上でございます。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 私は素人なりに、もうちょっと慎重に、ああいう天候のときには延ばすくらいな配慮、勇気があっていいんじゃないかなという意味で、今後のために参考にしていただけばいいと思います。もったいなかったように思う。  それから最後に、二点に分けてお伺いします。  その第一は、細かい問題ですが、現在、石油ストーブが、地震などで倒れたときに自動的に消える装置をしなければいけないことになって売られています。石油ストーブを使うのは冬だけなんですね。関東大震災なんか、あれでも大きな火災が起きた。これは総菜店だ、料理屋だというところから起きたのですね、昼間火を使っているから。炊飯をするために、普通の家庭からも起きたわけでしょう。ということになれば、あれで事足れりとしてはいけないわけであります。石油ストーブは冬だけしか使わないということを考えなければいけない。地震は夏もある。したがって、火を使うところに地震に対してどのように対策を立てるかということが考えられなければいけないと思いますが、いかがですか。これが一つ。  それから最後のもう一つは、たとえば、先ほどから東海地震ということが話題になっておりますが、東海地震が起きたときには、萩原先生のおっしゃるのを聞きましても、東京は相当大きな災害を受けることは間違いない。東京が災害を受けて大阪は何でもないか。大阪もやはりそれなりの相当の影響がある。特に東京が大災害をこうむったときに、東京の機能が麻痺したときに、そこに住む地域住民をどうするかを防災対策として考えているんですが、私は、その中央防災会議考えている、その地域住民をどうするかは最も大事だし、やらなければいけませんが、東海地震が起きて大きな影響が東京に来た、東京の機能が麻痺したというときには、日本全体が沈没的な状況になる、恐らく動かなくなるおそれがあるというようなことを特に、横手さん、考えていかなければいけないと思うので、中央防災として一番考えなければいけないのは、地域にある細かい大事なそういう対策は立てる必要がありますが、東京が、関東大震災、大正十二年とは違ういまの段階で万が一機能麻痺を起こしたときに、日本列島が一体どうなるのか、日本全体の経済が、人心が、あるいは何がどうなるんだということを的確につかんでその機能麻痺に備えることを中枢的に考えておかないと、あれよといったときにはもう遅いと思うのですね。  だから、私の申し上げたいのは、中央防災会議という、行政府の各省庁から出てきた人々が集まって会議をやるという会議ではなくて、万が一、震災による東京の機能麻痺が起きたときにはどのような経済的、行政的な影響が起きるかを、私は私で応募しますが、日本全体から公募して、もし東京麻痺せばどうなるだろう、どんな影響が日本じゅうに起きるだろうということを国民全部から公募する。公募したものを科学的に検討をして、そうして楽観説、悲観説ともに論文の整理を行って、これはというものを公平な審議会で選んだ後に、行政府の代表あるいは民間における心理学者あるいはこの種の問題と取り組んでいる学者も含め、一般の有識者を含めた審議会を持って、その審議会の中で、なるほどこういう影響が起きるというまとまったものを幾つかうまく論議をしながら、最終的に一応のケースとして一つのものにまとめて、万が一東京が麻痺したときに日本全体がこうなるだろうというものをつくって、それに対してこういう手当てをすべきだということが、逆に科学的に一つ一つの柱ができてこないと、いまのままで、東海地震が起きるだろう、房総半島に大きな地震が起きるだろう、すべて東京に大影響のあることが間違いない地域を予知はされているのに、なおかつ東京がもし麻痺したときにどうなるかが的確に推定されて、それに対する対策はこうするんだということが中央防災としてはできていなければいけないと思う。したがって、現在の行政府会議でその公募した論文を審議するというようなことをしたのではだめなんだ。いわゆる民間の有識者、心理学者も含め、地震学者も含め、そうして論文の公正な審議を行い、楽観説、悲観説ともに持ち上げながらこれを十分に討議して、こうなる危険があるというものを想定しつくった後に、それに対する対策が片方で起きてこないと、中央防災会議の、行政府だけの考えで、こうあるんだろう、こうしなければいけないだろう、行管の勧告がある、こうすべきだというだけでは、現在の進められている構想では一つ欠けている。万が一東京が麻痺状態になったときの現段階における日本の経済あるいは政治その他全般の問題がどうなるかは、十分に論議をしなければいけない。それを的確につかんで、それに対する対策をつくるということもやっておかないと、本当にずたずたになって、日本がどうしようもない状態で一カ月、二カ月を過ごすようなことがあったら大問題だと思う。日本列島が死んでしまう。小松左京さんじゃありませんが、まさに日本沈没の状態になるだろうということを恐れるので、中央防災会議の御苦労は多とするし、まだ足らないところはどんどんやってもらわなければ困りますが、しかし、万が一東京が麻痺したらどうするか、一般の国民から公募するくらいの気持ちでその論文を集約しながら、有識者を含めた公正な審議会をつくり、その審議会で、東京が万が一こうなったときの手当てはこうすべきだというものをつくるという機構が、新たにできなければいけないし、緊急にその構想をつくっていかないと大変なことになるんじゃないかということを考えますが、横手さんでいいですか、お答えをいただきたい。
  77. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在、南関東地域における地震対策は、昭和四十五年に消防審議会におきまして想定いたしました被害予想をもとにしていろいろ対策考えておるわけでありますけれども、その後のいろいろな調査によりまして、特に冬場における石油ストーブの使用、これに伴う出火率というものは、ややそれまでの出火予想率よりも高いというようなことも認められますので、そうした冬場における、特に石油ストーブ等を使用しております時点における被害予想というものについて、いま洗い直しの作業をやっておりまして、これは近く結論が出るところでございます。それに基づきまして、さらに新しい被害想定に基づいた対策というものにつきまして、いままでの対策の見直しを行いたいというふうに考えております。
  78. 横手正

    ○横手政府委員 先生御指摘のように、現在の中央防災会議のままで十分なのかどうか、これから十分検討してまいりたい、かように考えておりますが、私も、国土庁の方に参りまして災害対策に関係するようになりまして、東京都が麻痺するようなことにでもなればというようなことでいろいろ検討もいたしましたが、過去一千年の間に東京で震度六以上の地震は起きてもいないようでありますし、一千年の間に震度六の地震はたしか七、八回ではなかったかというふうに存じます。現在の各種の構造物、こうしたものはかなり耐震化も進んでおりまして、震度六程度のものならかなり大丈夫のものが見られるわけでございます。したがいまして、東京と同時に大阪なり東海なりが一挙にというようなことがあれば大変な問題になろうと思いますが、従来の状況から見ますと、地震も同じ時期にということもないようでありますし、また、地震の被害の地域も限られてまいるというふうに見受けられます。私ども先生のお話を十分参考にさせていただきまして、今後の震災対策には極力努めてまいりたい、かように存じます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 萩原先生お気の毒ですが、いま御答弁いただきましたように、従来の経験から言って、あそこもここも東京も相当がたがたになるような地震が一遍にくることはないだろうと、大変楽観的な説があったのですが、そう見てよろしゅうございますか。
  80. 萩原尊礼

    萩原参考人 歴史時代の記録を見まして、東京と大阪が一度に大きな打撃を受けるという地震は起こっておりません。
  81. 井原岸高

    井原委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  82. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  庄司幸助
  83. 庄司幸助

    ○庄司委員 きょう私は、昨年の七十二国会で大変問題になりました分析化研のデータ捏造事件があったわけですが、この後始末がどうなっているか、その辺をひとつお伺いしたいと思うわけです。  佐々木長官御存じのとおり、ああいうデータ捏造の事実を科学技術庁が見破れなかったわけです。しかも証拠隠滅までされ、その上に汚職まであったわけですね。この事件というのは、やはり科学技術行政の致命的な欠陥と科学技術庁の体質をさらけ出したのじゃないか。それで、国民の信頼を失って、原潜寄港の問題あるいは原発、それから原子力船、こういう問題についての住民の不安をかき立てた問題だと思うのです。それで、七十二国会でのいろいろな論議があったわけです。  ところが、当時の長官である森山さんが、最初、わが党の不破書記局長から追及された際は、大変恐縮して、いろいろな言葉でも平謝りに謝っていらしたのですが、その後、科学技術特別委員会あるいは参議院の決算委員会とかでいろいろ御発言なすっているうちに、だんだんと態度がまたもとへ戻っていった、こういう経過があるのですね。あの七十二国会の当初には、非常に恐縮して、万全の体制をとるとか、いろいろおっしゃっていたわけです。ところがだんだん後退しちゃって、最後には、参考人で国会が呼んだ学者に対して毒づくやら、国会が呼んだお客様に食ってかかるような始末で、狂乱状態があったのですね。その点で私は非常に不安に思ったわけです。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕  しかも、原子力船むつ」の問題が発生した際、森山さん、当時の長官が、これはある新聞の対談ですが、こういうことまで言っているわけです。「技術論をタテに政治論をやっている人たち」がいる。「たとえば、十年ほど前までは、あなたのいわれるような人たちがいた。その人たちがつくったのが原子力潜水艦入港の放射能検査の方法だが、これは世界でやられていることの百倍もていねいなものだ。ところが、その検査方法は実際には実行できなくて分析研のような問題を起こした。」こうやって、分析研の問題をこういった科学者のせいに今度はすりかえまでやっている。私は、これは驚くべき暴言だろうと思うのです。  さらに、こういうこともおっしゃったわけです。あの反対運動が起こったむつ市を訪れた森山長官が、これだけの船と施設がありながら安全性を疑うのは世界の科学に対して挑戦するようなものだ、漁船の妨害をどう思うかという質問に対しては、こんな抵抗はなれておる、祝辞の一つだと思っている、有明港では花火を上げて抵抗を受けた、こういった態度で、最初の恐懼していた状況がだんだんエスカレートして、開き直っている態度が見られたわけです。これでは、せっかく分析化研の問題が国会で明らかにされて、おたくの方の行政が直る方向に行くのだろうと思っていたら、こういう状態。  だから、その点で私は、こういう森山長官の後からの突然変異ぶりに対して、新しく長官になられた佐々木さんはどういうふうに思っていらっしゃるか、こういう問題についてひとつ所感を述べていただきたいと思うのですよ。あれは科学技術庁の態度としてはあるまじき態度だというふうにお思いになっているかどうか、これをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  84. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私の前々長官でございまして、私自体、前々長官の言動等に対して批判を加える立場にもございませんし、いまお話しのようなことでありますれば、あるいは皆さんの御指弾を受けることがあったかと存じますけれども、しかし、やはり前任者のある程度行政の承継と申しますか、ございますので、私は私なりに自分の思う方向で原子力行政をとってまいりたいと感じておりますので、この席で前任者の批判ということは慎みたいと思っております。
  85. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは長官、いまいみじくもおっしゃられたわけですが、やはり前任者なり前々任者なりの行政の承継をなさるわけですから、前々任者のとられた言動、これについては、やはり明確な批判なり、あるいは賛成なら賛成なりの態度をお持ちにならなくちゃならないだろうと思うのです。しかし、長官、なかなかその辺言いづらいようでありますから、そこで今度は、長官が分析化研のデータ捏造事件についてどういう反省を持っていらっしゃるか、これはひとつ長官から伺いたいと思います。
  86. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御指摘のように大変不手際な、批判、指弾を受ける事件でございまして、二度とああいうことのないように役所ともども反省をしているところでございます。いまお話しありましたように、その後分析化研が一体どういうふうに立ち上がったか、改善されたかという点が一番要点かと存じますので、少し、改善された点をお述べしたいと思います。  一つは、旧分析化学研究所は、御承知のように設立許可を取り消しまして、かわって財団法人の日本分析センターというものを設立いたしました。新しい分析センターにはすぐれた機器あるいは核種分析の実施を迅速かつ効果的にやるように体制の充実を図ってございます。それから、科学技術庁日本分析センターに対する厳正な監督の実施でありまして、二度とああいうことのないように監督を厳にしてございます。三番目は、放射能分析をいたしました評価委員会を私の諮問機関として設置いたしまして、第三者が常にこれをチェックするという体制を強化してございます。それから四番目は各港、横須賀、佐世保等に波高分析器の予備器を設置してございます。現地における迅速な核種分析ができるように、いま申しましたように波高分析器の予備器を置いてございます。それから五番目には、いままでのモニタリングポイントの性能の向上を図るようにしております。いままでのモニタリングポイントの性能をさらに高めるために熱螢光線量計等を新たに加えてございます。それから六番目といたしまして沖繩の体制強化でございますが、モニタリングポストの固定化あるいは新設したこと、それからモニタリングボートを新しくつくりまして予算を計上したといったようなことが、従来の分析化学研究所時代に比しまして非常に改善された主な点かと存ぜられます。
  87. 庄司幸助

    ○庄司委員 実は私も去年の一月からの、政府の、きわめて遺憾であるとか、重大な問題であるとか、万全の体制をとるとかを、速記録を調べて勘定していったのですよ。そうして、五十回ぐらいまでは勘定しましたが、あとめんどうになってやめました。いっでもそうやって、非常に遺憾だ、今度はもう万全の体制をとる、そういう御決意を述べられたのですが、いま長官からもそういう御決意が述べられております。  そこで、簡単な点からお伺いしますが、大体これで幾ら国費がむだ使いになったのか、この辺つかんでおられるんだろうと思いますから、これをひとつ御報告願いたいと思います。
  88. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 お答え申し上げます。  直接問題にいたしましたのは四十七年度の委託費からでございますが、四十七年度の放射能調査委託に係る経費につきましては、債務が履行されなかったという判断のもとに全額返済を請求いたしまして清算を了しております。四十八年度につきましては、放射能測定調査のうちで、確実である、業務が履行されたと認定された分のみを支出いたしておりまして、これは放射能測定調査のほかに調査対策研究というものと原子力平和利用研究というものがございますが、いずれも業務が正確に遂行された範囲内において認定をいたしてございます。数字を簡単に申し上げますと、四十七年度の放射能測定調査は六千二百九十六万五千円の委託費を予定しておりましたが、これは全額返納させたわけでございます。四十八年度につきましては、放射能測定調査につきまして六千五十万五千円というものを当初契約いたしたわけでございますが、確定額といたしましては二千九百十八万八千円ということで確定いたしてございます。なお、調査対策研究費につきましては、九百十七万八千円の契約に対しまして百九十二万一千円というところで確定をいたしてございます。平和利用研究につきまして八百五十一万九千円の当初契約というものに対しまして業務の遂行されました範囲、つまり百九十八万八千円ということで確定いたしてございまして、以上のような状況でございます。
  89. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは四十七年度の時点でつまり捏造事件が暴露されたわけですが、この手口からいけば、四十六年度以前も当然にインチキデータをつかまされていたということになるわけですが、四十六年度以前の分はどうなっていますか。
  90. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 四十六年度以前の分につきましては、確定のための調査をいたしまして履行が完了しているものと認めております。
  91. 庄司幸助

    ○庄司委員 いまの意味、ちょっとわからないのですがね。確定のための調査はしたが、無効が完了したと。何が完了したのですか。無効ってあれですか、いわゆる効果がないというあれが確定したというのですか。
  92. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 四十六年度以前につきましては、契約は履行されたものと認めているわけでございます。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは認めるに足る何か根拠があったのですか。
  94. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 四十六年度以前の契約につきましては、当該契約事業が完全に履行されたかどうかを当然に検査をいたしまして額の確定が行われたわけでございます。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、四十六年度以前の波高のチャートその他ですね、そういったものは存在したのですか。
  96. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 波高分析のチャートはございません。機器分析及び化学分析のデータはすべてございます。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 それではこれは、四十七年度と同じことになるのじゃないですか。有効だったか無効だったか示すような証拠がないと同じことですよ。それで、委託費が完全に消化されて有効な報告がなされた、そういうふうにお言いになるつもりですか、あなたは。
  98. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 申しわけございません。ただいま申し上げました機器分析ではなくて、化学分析のデータのチェックは行いまして、業務が遂行されたものとして確定したわけでございます。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは大変な問題ですね。波高分析、これで七十二国会に大問題になったのですね。それで、あなた方も、でたらめだというのを認められたわけです。それがなくて四十六年度以前の分は完全に契約が履行されたなんという根拠はないんじゃないですか。
  100. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 四十八年度までの契約におきましては、契約上もともと波高分析、機器分析は行っておりません。化学分析だけを行っているわけでございます。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 この問題、当然に、四十六年度以前についても疑ってしかるべき問題なんです。その点、あなたの方は、ろくな証拠もなくて、とにかく契約が完全に履行された、こうおっしゃっていますが、会計検査院、先ほどの御報告の中に、四十七年度については科学技術庁決算について不当事項その他指摘する事項がございませんという御報告があったわけですが、四十七年度については、あの七十二国会で問題になったデータ捏造事件の問題これはお調べになったのかどうか。それから、同じような観点で四十八年あるいは四十六年度以前について御調査をなすっているのかどうか、これをお伺いしたいのです。  と言うのは、あなたの方のほかの指摘事項の中で、国鉄が委託した空中写真ですね、これがピンぼけ写真をつかまされて、インチキ商品をつかまされたのと同じで、それに金を払ったのはけしからぬという御指摘があったのですから、当然に分析化研の問題について、科学技術庁決算でもああいう観点で御調査があってしかるべきだろうと私どもは思っているわけですが、この点どうなっていますか。
  102. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  昨年の一月二十九日でございましたか、衆議院の予算委員会で、波形図をごまかしたというような事態指摘されたわけですが、私どももその段階で初めてそういう事実についての情報が入ったわけでございまして、四十七年度の決算検査報告をつくる段階、つまり四十七年度の決算検査する段階では、大変遺憾に思いますけれども、実はそういう事実を知らなかったわけでございます。  それで、昨年一月二十九日あのような指摘がございまして、いろいろ調査をしたのでございますが、それにつきまして、四十八年度の検査報告にそういうことについての評価が当然あるべきではないか、こういう御議論が当然起こることだと思いますけれども、昨年でしたか、この件につきましては、内部におきましてもいろいろ検討いたしました。しかし、先ほど科学技術庁当局からの御報告もありましたように、実は当局の方で四十七年度分につきましていろいろ調査したところによりますとかなりのごまかしがあったということで、四十七年度の委託費全額を返還さしておるというような事態がありましたものですから、これは私ども検査報告の態度にもかかっておるかと思いますけれども、みずから調べましてその後の調整というものをなされておるというような種類のものにつきましては、伝統的に検査報告に掲示をしていないというのが従来の取り扱いでございまして、そういう観点で四十八年度の検査報告にも掲示をしなかったという次第でございます。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 会計検査院、ぼくはその点で、ちょっと白々しく感ずるのですね、こういうことを申し上げて大変失礼ですが。今度の事件は、やはりあなたの方に検査能力がなかったということを物語っているのですよ。それは無理もない点があると思うのです。しかし、あれだけの大事件があって、きょうあなたの方で御報告になる場合、七十二国会でこういう御指摘があって、これはまことに遺憾であるとか、それくらい——決算委員会に報告される場合、まるっきり黙って、何にもございませんでしたというような御報告をなさるのは、ちょっと気がひけるのではないかと思うのです。従来の慣例もおありだというお話ですが、この慣例は直していただきたいと思うのですよ。これでは国民が納得しませんよ。これはあとでまた別の機会に私はやりたいと思っているのですが、おたくの方の科学的な問題での検査能力の問題ですね、これはたとえば超大型電算機の問題やなんかも、科学が進歩すればするほどいろんな込み入った科学的な検査が必要になってくるだろうと思うのです。その点でのいわゆる科学的な知識を持った検査官、こういう検査官の拡充というのは非常に大事になってくるだろうと思うので、これはまあ後で会計検査院のくだりでやりたいとは思いますけれども、しかし、先ほど言った点ですね、これはぜひ直してもらいたいと思うのです。  つい、この間もあったわけです。当決算委員会じゃなかったですが、これは分科会で私が御指摘申し上げた事項で、建設省が、どうもずさんな経理をやったというのをお認めになって、処分も出しておられるわけですね、七名も。こういうこともあなたの方ではこれからの検査対象かどうかわかりませんけれども、国会でいろんな指摘をされて、当局も認められたような問題ですね、やはり、何もなかったというような御報告では、余りにも白々しい感じがするのですね。その辺ひとつ、今後お直しになるかどうか、伺っておきたいと思います。
  104. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 四十七年度の決算検査報告をつくる段階におきましては、大変われわれ力及ばずしましてそういう事態を発見するに至らなかったわけでございますから、私自身、大変遺憾に思っております。  それから、このような種類の問題につきましてどのような扱いをするかということにつきましては、私一存で決めかねる問題でもありますし、御趣旨の点は持ち帰りまして検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  105. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは私は、長官にも申し上げたいのです。この四十七年度の決算に関する概要説明ですね、本来なら、会計検査院から指摘事項があれば当然にあの問題は最後の方で、こういう事態が発生してまことに遺憾であったぐらい、どこでもこれは書くわけですね。ところが、会計検査院の指摘もないことを幸いに、まあ幸いにと言うと語弊ありますが、一言も書いてないのですね、四十七年度決算のあの失態については。これはやはり書くべきだろうと思うのですが、長官、その点どうですか。
  106. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この種の報告は、どちらかと申しますといわば形式が決まっておるようなかっこうで、いまお話しのようなものを入れるのが至当なのかどうか、私は前例等をよくわかりませんので、必ずしもその方がよろしいという自信を持って言い得る段階ではないのですけれども、しかし、お話しのように、そういう会計検査院等からいろいろ御指摘等があれば、それはそれに付加していくのも一つの方法かと存じます。
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 その問題それぐらいにして、本論に入らしてもらいますが、結局、この分析化研問題の大失態があったわけですから、この後始末がどうなっているのか。つまり、大変御反省なすったわけですから、これについての改善措置が当然にとられて、いまごろは着々と進行している段階であらねばならないと思うのです。  それで、まず第一点でお伺いしたいのは、日本分析化研があのとおり、おたくの方から四十七年度全額お金は持っていかれる、まあつぶれたようなかっこうになったわけでしょう。その分析化研の後に、同じ化研のあった二階に日本分析コンサルタントという会社があるそうですが、これはどんな会社か御存じないですか。
  108. 福永博

    ○福永政府委員 お答えいたします。  旧分析化研がその後どういうふうになっておるかということにつきましては、ただいま先生お話しのようなことも聞いてはおりますけれども、詳細については存じておりません。
  109. 庄司幸助

    ○庄司委員 では、私から御紹介しますが、分析化研で汚職をやっておたくのお役人さんに贈賄をした、それで起訴された浅利民弥という方がいらっしゃるんですね。この方はいわゆるデータ捏造の張本人だと言われておりますが、この方の弟さんか息子さんがこのコンサルタントの社長をなすっているというんですね。そうして、何やら地方自治体やあるいは公害に関係ある企業、こういうところの分析をやるんだというふうに広告しているというわけですね。そうすると、こういう前歴のある会社が分析をまた依頼されてお金を取ってやれば、またインチキデータを施設のない地方自治体やあるいは公害関係の企業に提供するおそれがあるのですが、こういうものは、科学技術庁の監督上やはりよく見ておかなければならない問題だろうと思うのですね。そうでないと、迷惑をこうむるのは地方自治体であり一般住民になってくるわけですね。その辺、見ておられないようですが、私は非常にその点残念なんです。これは何かその点で、お聞きになっている点はありませんか。
  110. 福永博

    ○福永政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、その新しい会社がどういうことをやっておるかということは承知いたしておりませんけれども、私どもの方は環境放射能の測定その他、都道府県、電力会社等実施いたしておるわけでございます。そういった環境放射能の測定調査という面につきましては、今度の新しい体制で遂行できるように組織をつくっているつもりでございます。
  111. 庄司幸助

    ○庄司委員 何かわけのわからない答弁ですが、実はこういう問題があるのです。この会社の中で、ある分析化研のデータ捏造のネタを共産党にばらしたのはだれなんだ、これを犯人を明らかにしない限り仕事の世話をしないと言っている科学技術庁のある幹部がいるという話を私は聞いているのです。これは重大な問題ですからね、もしありとすれば。その事実、何か聞いていませんか。
  112. 福永博

    ○福永政府委員 私、そのような話は全く存じません。
  113. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはこの会社の中では公然と言われていることだと言っているんです。これはぜひ調べてもらいたいのです。事実だとすれば、これは重大問題ですからね。私は、漏らした人こそ本当に国民に忠実であって、しかも正義漢だ、良心的な科学者だ、こういうふうに思うのです。だから、科学技術庁から見れば、こういう人こそまさに表彰物だと私は思うのですよ。そして、先ほどのように、犯人はだれだ、教えなければ仕事の世話しないなどという人がありとすれば、そういう発言をする人こそまさに旧態依然で、また捏造の可能性があると思うのです。その点、長官ひとつ、あの分析化研で、何党でも結構ですよ、ありのままを、材料を提供した人、あのデータは間違いだ、インチキだと、こう言う人を、科学技術庁長官としてどう思いますか。りっぱな人だと思いますが、けしからぬと思いますか。これは長官からひとつお伺いしておきます。
  114. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は当時担当していなかったものですから、その事件の内容等、余りつまびらかにしておりませんので、お話しの発言の要旨だけで、それが大変りっぱな行為だ、あるいはけしからぬ行為だというように判断できないように思いますので、私の考えはこの際慎みたいと思います。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 長官、こんなの、わかり切ったことなんですよ。インチキデータを外部に漏らして、これはインチキですよと言うのが、当然の科学者なり技術者の務めだろうと思うのですよ。それに対して長官は判断がつかないとおっしゃると、これも困ったものだなと思うのですが、ともかくこの問題についてひとつ科学技術庁の内部を一遍調査して、あの犯人を明らかにしなかったら仕事を世話しないなどと言った方があるかないか、これはぜひ調査して報告していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  116. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そういう事実はないと思いますけれども、御要求のようでございますから、一応お調べしてみます。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 続いて、原潜寄港地の放射能監視体制、これは昨年の科学技術特別委員会その他も含めて、わが党も、疑問があると申し上げました。それから、専門学者の指摘もあったわけです。  そこでお伺いしたいのは、当時の議論を踏まえて、この放射能監視体制で、放射能の排出ですね、あの一次冷却水のたれ流し、こういうものは発見できる体制なのかどうなのか。でないとすれば、この点どういうふうに改善されたのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  118. 福永博

    ○福永政府委員 原子力軍艦寄港地の放射能監視体制はどういうふうにやっておるかというような御質問かと存じますが、原子力軍艦が入港いたしますと、多少細かくなりますが、二十四時間前に入港前の調査というのをいたします。入港に際しましては入港時調査というのをいたしまして、寄港しております期間中はモニタリングボート等によりまして寄港中の調査をいたします。出港いたしますと、出港時の調査と、それから出港後の調査といたしましては出港直後の海水、それから二十四時間たちました後の海底のどろでございますが、海底土、これを採取いたしまして核種分析をするわけでございます。その核種分析の方法あるいはその前のサンプルの採取方法、こういったものにつきましては、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、原子力軍艦の放射能調査専門家会議というものと、それから分析の評価をしていただきます放射能分析評価委員会というところにこれらのデータをすべて提出いたしまして御審議願い、御確認願った後公表する、こういうことで進めております。そのほか、四半期ごとでございますが、定期的に環境放射能の調査ということをやっておるわけでございます。  こういった体制で進めておりますのは、簡単に結論だけ申しますと、原子力軍艦が寄港いたします地域の住民と申しましょうか、地域の環境の放射能に有意な変化があったかどうかということを調査いたしておるわけでございます。
  119. 庄司幸助

    ○庄司委員 それはもう去年の国会でさんざん論議された問題なんです。あの論議を踏まえてどう改善されたのかということを伺っているのですよ。もっと手短かに言うと、あの当時の森山科学技術庁長官は、例のばか丁寧論という暴言を吐かれているんですね。それから、原子力潜水艦におしめを当てないとそんなことはできないというような発言までなさっているのですよ。つまり一次冷却水の放出ですね、たれ流し、これについての監視の体制が改善されて整ったのかどうか。それともそういうものはあなた方の去年の論議で必要ないと、いまでも思っていらっしゃるのかどうか。モニタリングポストの問題ではもう論議が尽くされて、いろいろ当時の森山長官が科学者に食ってかかる一幕もあったわけですが、その点、時間がないので申しわけないのですが、簡潔にひとつお答え願いたいと思うのです。
  120. 福永博

    ○福永政府委員 原子力軍艦が寄港いたしますそれぞれの港につきまして、環境放射能の調査、こういうのがどういうふうに改善されたかという点でございますけれども、この御質問の冒頭に大臣から申し上げましたように、機器の整備あるいはチェック体制整備等々やっておるわけでございまして、そういう意味におきましては、私がただいま申し上げましたように、環境放射能に有意な差があったかどうかという点が迅速かつ効率的に測定できる、こういう体制を整えております。
  121. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、原潜が寄港して、もし一次冷却水をちょっとでも外へ漏らしたというものが、いまのモニタリングポストやポイントやあるいはボートですね、こういうもので完全につかめる体制になったと、こうおっしゃるのですか。
  122. 福永博

    ○福永政府委員 先生お話しのように、昨年の国会等におきましてもこの議論は行われたようでございますが、原子力潜水艦から、ただいま先生、少しでもというようなお話がございましたけれども、その度合いにもよりましょうけれども、私どもは、少しでも出したのを、一次冷却水が放出されたということをそのまま直に測定する、こういうことは考えていないわけでございまして、先ほど来、私申し上げておりますように、その結果環境放射能に有意な差があり、ひいては住民の健康と安全上問題があるかどうかという、こういう着眼点で観測をし調査をしているわけでございます。
  123. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、昨年の国会で大分激しく論議された問題は一向に改善されてないということになるわけです。  そこで長官、その当時の論議の中で、これも灼熱的に、森山長官日本学術会議の学者の方の間で討論がやられたわけですが、日本学術会議に対する長官の態度ですね、これも森山長官時代と変わっていないのかどうか、少しお伺いしたいのです。  これは昨年の二月二十六日の論議の中に出てくる問題ですが、日本学術会議に対しても絶えず十分な連絡をとられたいという御要望があったわけですが、森山長官が、「こちらのほうから日本学術会議に対して絶えず十分な連絡をとるなんという意向は全くないことを、この際明らかにいたしたいと思います。」こうおっしゃっているのですね。そして、この日本学術会議参考人に対して、「国会外の者が来てかってなことを言って、これはまことに私は遺憾しごくに存じますので、委員長において善処を賜わりたい。」と言って、お門違いの論議を展開されておるわけです。  そこで、この日本学術会議については、昨年の二月二十六日、衆議院の内閣委員会で、わが党の中路議員の質問に対して当時の小坂総務長官がこういうふうに答えておられるわけです。「学術会議の会長が、そのような問題について言及されたことは、」——これは分析化研の問題での会長談話があったのですが、「私も新聞紙上で知ったわけでございますが、」「十分に御意見を承っておく必要があるんじゃないかというふうにも考えております。」総務長官はこういうふうに考えているのですね。「学術会議は、その持っている力は、日本で最高のものではないかと私は思います。」こうおっしゃっています。そして「学術会議政府の間あるいは各官庁との間に、コミュニケートが少し欠けていたのではないかというふうに考えます。」こう反省なすっておるのですね。総務長官はこうお考えになっている。ところが、最も科学的であるべき科学技術庁の当時の長官が、そんな絶えず十分な連絡をとるなんという意向は全くない。これは言葉が滑ったのかどうかわかりませんけれども、「二流の学者の集まりだ」と言っちゃって、後からあわてて、「てなことは申しませんが、」とやっているわけですよ。私は、これはきわめて遺憾な態度だと思うのですね。  佐々木長官はその点、考え方、前々任者と変わった——変わったと言うとまた長官お答えにくいかもしれませんけれども、率直に佐々木長官日本学術会議についてどうお考えになっているのか、今後十分な連絡をおとりになるのかどうか、これをひとつ承りたい。
  124. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先般もそういう質問がございまして、私は、今度の原子力行政問題懇談会の有力な委員として学術会議の副議長である伏見康治先生に入ってもらったじゃないかというお話をいたしました。おたくの方もそれで納得がいったとみえまして、「そうでございますか」ということで終わったのでございますけれども、そういう点から御推察いただければ大変結構だと存じます。
  125. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、長官、これは具体的な問題になりますが、分析化研後の後始末の問題ですね、やはり原子力潜水艦の放射能監視体制あり方についても学術会議意見があるわけです。これも踏まえて、あなた、ひとつ学術会議と今後お話しいただく、御連絡いただく、とるべきものはとる、こういう態度に理解してよろしゅうございますか。
  126. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 学術会議のレポートを私まだ不敏にして見ておりませんけれども、そういう貴重な資料がありますれば、みんなで勉強させてみたいと思います。
  127. 庄司幸助

    ○庄司委員 今度はサンプリングの問題でちょっとお伺いしたいのです。このサンプリングの問題についてもいろいろな御指摘があるわけですね。試料を海に行って取ってくる場合、どの場所で取るか、あるいは深さ何メートルで取るか、その際の水温は何度であったか、あるいは風向はどうであったか、地形はどうだったのか、こういう点がマニュアルにもあるのかないのか私わかりませんけれども、この点での改善が求められているわけです。その点どういうふうに改善されたのか、お伺いしたいと思うのです。
  128. 福永博

    ○福永政府委員 サンプリングの問題につきましては、私先ほどお答え申し上げました原子力軍艦専門家会議という専門家の方々の御指示も得まして、それぞれの港ごとに、どこで採取するか、どういった量を採取するか、こういったことをすべてマニュアルと申しましょうか、そういうマニュアルで規定して、その規定どおり実施させるように指導しております。
  129. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、評価委員会をつくったのが一つの改善点だと長官おっしゃっていますから、この評価委員会、これでどういう評価の仕方をしているのか。このサンプリングについての事項も含めた評価をなすっているのか、あるいはチャートだけ出させて専門の先生方がチェックしているというだけのことなのか、具体的に評価委員会でどういう検討をされていますか。
  130. 福永博

    ○福永政府委員 評価委員会は今度の機会に新しく設けた委員会でございます。原研、放医研、理研、大学の先生、こういった専門家の方々で、委員長は東大の先生にやっていただいております。  評価委員会の業務といたしましては、いろいろございますけれども、大きく申しますと、試料のサンプリングの方法の指定、分析方法の指定、分析結果の評価等々、科学技術庁の委託により行う放射能分析に関して実施しておるわけでございます。したがいまして、先生御質問の、サンプリングのところから実施しているかという御質問でございますが、そのとおりでございます。  それから、この委員会を開催いたします際には、その分析を担当いたしました技術者の方に一切の、波高分析器でございますとその波高のチャートを持参してもらいますし、測定の原票みたいなものを持ってきていただいて御説明願い、評価する、こういうようなやり方をやっております。
  131. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、その評価委員会にこのチャートが出てくる土台になった試料、そういうもののサンプリングは、これこれこういう方法でサンプリングされた、こういうこともちゃんと付記されてくるのかどうか。その点で、先ほど申し上げた海流であるとか、あるいは水温であるとか気温であるとか、風向であるとか地形とか、そういうものまで付随してきているのですか。
  132. 福永博

    ○福永政府委員 サンプリングの方法につきましては、先ほど申し上げましたマニュアルに従いまして、そのとおり実施しておるわけでございます。したがいまして、その都度その都度、どこでどう、どれだけの量を採取したか、こういう調査はいたしませんけれども、それはいつも、かねて指示してあるとおりの方法でやっておるわけでございます。
  133. 庄司幸助

    ○庄司委員 この間、私、板橋の浮間にある日本分析センターへちょっと見学に参りました。その際、あそこの望月常任理事、この方はこういうことをおっしゃっているのですね。サンプリングは、マニュアルだけでなくて、地形、天候、海流、気温など、そういう状況によって判断して行うべきだ、サンプリングの仕方が不適切なために異常なデータが出た例もある、こういうお話をなさっているのです。それから横山次長さん、「」の試料はどんな試料か、これが本当に適切な試料で、状況を代表できる試料であるかどうかわからない、こういうふうにおっしゃっているのです。そうしたら、ましてや評価委員の先生方はわかるはずはないでしょう。どんな評価が出てくるのか。こういったサンプリングのやり方も、こういうサンプリングをしたのだというやり方まで出なければ、評価委員会の先生方を愚弄するようなものですよ、これは。その点どうなっていますか。
  134. 福永博

    ○福永政府委員 サンプリングをした日の、あるいは時間の天候の状況、海象の状況、気象状況等々によって、それは先生おっしゃるように差がございます。それが異常というのかどうかというのは測定の分析結果を見なければわからないものでございますけれども、非常に一般的に申しまして、雨が降ります場合は平常の場合の二−三倍くらいの数値が出ることが間々ございます。そういったことをあるいは望月理事はおっしゃっているんではなかろうかと思います。したがいまして、採取いたしました際のそういった状況といいますものは、特定の状況がありますれば、それは当然評価委員会において報告されるわけでございます。
  135. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、やはりサンプリングの問題は改善がされていないと私は思うのですよ。こういう点もやはり改善しないとだめだと思うのです。マニュアルどおりやっているだろうというような、単なる信頼だけでは話にならないと思うのですよ。時間がありませんから、この問題これくらいにしますけれども……。  それから、分析方法の問題ですね、これが非常に根本的な問題でありますが、旧分析化研と比べてどういうふうに改善されたのかという点です。それから、クロスチェックなんかも強化されたのかどうか。先ほどの長官の御発言で、港ごとに予備の波高分析器を置いて体制強化した、こうおっしゃっているわけですが、どうも分析センターなんか拝見しますと、例の核種分析の重点が機器分析に移ったような感じがするのですね。そうすると確かにスピードは上がるだろうと思うのですよ。しかし、精度が落ちるという問題が出てくると私は思うのです。だから、迅速性だけ考えてこの精度の問題は考えない。その辺で、改善の点でまだまだ非常に疑問があるなと思っているのですが、その点ひとつ簡潔にお願いしたいと思うのです。簡潔ばかり申し上げて申しわけありませんが……。
  136. 福永博

    ○福永政府委員 分析化研の時代から分析センターにどういうふうに分析が変わっておるか、あるいは改善されておるかという御質問でございますが、先生御指摘のように、大きな改善点は、従来の化学分析中心から今回は機器分析、それもゲルマニウムリチウム半導体を使いましたパルスハイトアナライザーでございますけれども、そういった機器を中心にした機器分析体制に移行しているわけでございます。機器分析でやりますと、それは単に時間的に速いというだけではございませんで、まず名人芸的なテクニックも必要ではございませんし、それから波高を描きますチャートがそのまま記録として残ります。それからまた、化学分析の場合でございますと、コバルトならコバルトに着目いたしまして分析するわけでございますが、その場合はコバルトだけしか出ないわけでございます。機器分析でございますと、少なくともガンマを出すものにつきましては、その有意な存在があれば必ずチャートに出てくる。こういった幾多の利点もあるわけでございまして、単に迅速性だけを考えて機器分析に移行した、こういうことではございませんので御了解願いたいと思います。
  137. 庄司幸助

    ○庄司委員 やはりこれは、機器分析の問題というのは、要すれば手間を省くだけの感じがするんですよ。たとえば、一つ一つの核種について精度の面から言ったら、これは化学分析の方がはるかに、はるかにという言葉はちょっと語弊がありますが、精度がいいのです。その点で、いわゆる機器分析をやって時間を節約する、もっぱらこの合理化面で使われている感じがするんですね。これはどうも、森山長官のばか丁寧論というのがあるんですがね、これの実践が機器分析にあらわれているんじゃないか、こういう感じがするわけです。この点は、きょうは時間がありませんからこの次、あなたの方で予備費を出しておられますから、この辺でももう少し論争したいとは思うのです。  次に移りますが、資料の公開の問題です。これをどういうふうに改善されたのかという点を一言伺いたいと思います。
  138. 福永博

    ○福永政府委員 先ほど来、私、環境放射能調査体制という一連のシステムを御説明申し上げましたけれども、最終的には専門家会議、評価委員会を経まして、すべて公開いたしております。
  139. 庄司幸助

    ○庄司委員 この公開ですね、私もちょうだいしました「昭和四十九年度第一・四半期定期調査結果」、これでいくと、横須賀とかいろいろありますね、いずれの港についても、何という符号ですかね、米の字みたいな、バッテンとも違う、一応米印と言っておきますがね、それがやたらと多いんですね。前にはこういうことはなかったと思うのです。数字がちゃんと記載されていたと思うのですよ。そうすると、せっかくこれは国会へ、あなたの方で張り切ってなさると言っても、数字のない、米印だけがやたらとべたべた並んでいるわけです。これでは私は意味がないんじゃないかと思うのですよ。あなたの方に言わせれば、これはもう住民の安全とかに関係がない、非常に低い、あるいはこの有意の結果があらわれていないから米印にしたのだとおっしゃるだろうと思うのです。しかし、それでは、分析なすっている方、評価なすっている方、あるいはこれをごらんになっている放射能関係の科学者の方には、経年的な変化とか時間的な変化は何にもわからないだろうと思うのですよ。これでは科学の進歩はないだろうと思うのですよ。分析者なんというのは非常にじみな仕事ですから、あなた方一番おわかりでしょうが。こういうものはやはり発表されて、学界で論議にもなり、それがフィードバックで分析者に返ってくる。そこで初めて研究心も起きれば科学に対する情熱もわいてくるのだろうと思うのですよ。朝から晩まで、あの腐った魚を焼かせられているような方もいらっしゃるわけです。それから波高分析でも、一日じゅう単純な仕事を繰り返している方もいらっしゃるわけでしょう。情熱がわきませんよ、これじゃ。それから、専門の科学者の方がこれを見たって、ちんぷんかんぷんでわかりません。これで改善と言えますか。
  140. 福永博

    ○福永政府委員 御疑問点は、米印と申しましょうか、スターマークの点であろうかと存じますが、このスターマークいたしましたのは、測定していないということじゃございませんで、測定するわけでございます。しかしながら、測定しておりますのが何分にもピコキュリー・パー・リッターといったような、一兆分の一といったような非常に細かい数字をはかっているわけでございます。したがいまして、測定しました結果、ある数字が出てまいります。しかしながら、その数字を器械あるいはサンプルから出てくる誤差と申しましょうか、そういうものを勘案して処理いたしますと、出てまいりました数字よりも誤差の方が何倍も大きい、こういうことになってくる場合がしばしばあるわけでございます。したがいまして、もとの数字プラスマイナス幾ら、こう書きますといいわけでございますけれども、そのプラスマイナスの方がもとの数字の何倍にもなっていたのでは、もとの数字は一体幾らだったのか、こういうことで、  いわばそのもとの数字が意味がなくなるわけでございます、簡単に申しますと。そういう意味もこ  れはあらわしているわけでございまして、非常に端的に申しますと、これは非常に小さい数字であって、その誤差の範囲に入ってしまって、有意の数字と考えられなかった、こういうような性質をあらわしているわけでございまして、その点ひとつ、これによって何も判定できないのじゃないか、あるいは測定していなかったのではないか、こういう誤解がないように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  141. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはまあ、分析していなかったなどとは私は申しておりませんよ。ただ、有意の数字が出なかったから米印になったんだと、あなたは誤差の問題もおっしゃいましたが、それでは分析化学の進歩にもつながらないだろうと思うのです。やはりありのまま書かれるのが本当だろうと思うのです。これはひとつ今後の公表に当たって検討してもらいたいと思うのです。  それからその次は、私は、電力会社原子力発電所のデータの問題を伺いたいのです。これは前の分析化研の際は民間同士の私契約だ、私的な契約だから公表をさせられない、こう拒否なさったわけです。センターでことしから民間の委託も引き受けられるという話、伺ってきました。そういう準備を進めている。やはりこの場合も、電力会社のデータですね、これはやはり私的な契約だから発表できない、こうおっしゃるのですか。
  142. 福永博

    ○福永政府委員 先生御案内のように、分析センターでは、ただいまやっております国の委託にかかわる事業のほか、電力会社等からもクロスチェックというような意味で恐らく委託されるだろうということで、そういった分析もできるような体制を整えつつあるところでございますが、そのデータの取り扱いにつきましては、これは電力会社の関係もございましょうけれども、極力公表するように指導してまいりたいと思います。
  143. 庄司幸助

    ○庄司委員 極力公表するように指導するということですね。これはぜひ公表させていただきたいと思うのです。いま原子力発電所に対する住民の抵抗が非常に大きいのは、もう長官御存じのとおりです。しかも原子力船むつ」のああいう事態が発生してから、なおこの問題がシビアになっているわけですから、これはぜひひとつ公表してもらいたいと思います。  その次、お伺いしたいのは地方自治体の問題なんです。原子力発電所所在地の都道府県あるいは原潜寄港地の都道府県、ここのやはり分析監視体制ですね、これがいままでは分析化研に依頼されていたわけですから、それがいまの分析センターでは、まだここまで十分お引き受けできるかどうかわからないだろうと思うのですが、その辺のギャップが一つ生まれていると思うのですね。私もこれを見学に参りまして、倉庫みたいなところに相当の試料が、未処理のものが集積されているのですね。あそこの人員や器材の関係から言って、なかなか迅速にはいかないような状況を見てきたわけです。このギャップをどうやって埋めるのか、この点が第一点。  それから第二点は、地方自治体の持っている分析機器ですね、これは私もおたくの資料をちょうだいしましたが、波高分析の器械を持っている自治体は、実際放射能調査実施している自治体が三十ですが、その中で現在十三しかないのですね。その中では、もちろん原子力発電所が所在しない都道府県もあるだろうと思います。あるいは原潜寄港地でない都道府県もあるだろうと思うのですが、こういった装置ですね、これはフォールアウトの調査から言っても、全都道府県がやはり持つべきだろうと思うのですよ。それから、そういうものを持って、独自の、そういうものをやれる技術者も雇わなくちゃならないですね。それとあわせてクロスチェックをやはりしなくちゃならないだろうと思うのですよ。そういう体制があるのかないのか。それから、十分でないとすれば、どういうふうに補充していかれるのか。  それからもう一つは、地方自治体で困っている問題は、器械は確かに今度の電源開発の法律で特交でくるようになった、しかし人まではめんどうを見てくれない、だから人件費補助もやはりしてもらわないと、そうでなくてさえ人件費がかさむなんて自民党の方々から相当やられているわけですから、あれは私はでたらめだと思いますけれども、とにかく人件費がかさんで困っているのですよ。そういうよけいな仕事まで地方自治体はしなくちゃならないので、この人件費補助、これもやはり考えてもらいたいと思うのですよ。その辺、どう対処なさり、あるいはどうお考えなのか、簡単で結構ですから、ひとつお願いします。
  144. 福永博

    ○福永政府委員 地方自治体の、名前はいろいろございますけれども、一般的な言い方で申しますと衛生試験所でございますけれども、大体この衛生試験所を中心に放射能分析をやっていただいているわけでございます。  それで、御質問の、この地方の衛生研究所、これをどういうふうに強化していくかということでございますけれども、先生お話しございましたように、まず器械装置につきましては電源特会によりまして、四十九年度から新しい型の機器分析装置を購入するというようなことも計画しておりますし、さらに五十年度も引き続いて強化してまいりたいと思っております。しかし問題は、器械もさることながら、技術者をどういうふうにして確保していくのかということにあろうかと存じます。県によって若干の相違はございますけれども、最近それぞれの県がかなり技術者も持っておりまして、五、六名といった程度ではございますけれども、こういった技術者を持っております。しかしながら、今後こういった技術者をさらに養成し訓練していくということにつきましては、私どもの方の放医研でございますとか原研でございますとか、あるいは理研でございますとか、そういった専門機関に受け入れまして、研修と申しましょうか実習と申しましょうか、そういうことも現在もやっておるわけでございます。  それから、質問最後にございました人件費の問題でございますけれども、先生御指摘のような意見もございます。それから、都道府県からもそういった要望もございます。私どもは、人件費として恒久的な職員にこの業務に従事していただくというのをどういうふうに持っていくかということも考えてはおりますが、しかしながら、結論といたしましては、地元、県の御要望もございますので、なるべくそういった線に沿えるように努力したいとは思います。さしあたりのところとしましては、恒久的な人件費ということではなくて、私どもの言葉で申します賃金職員と申しましょうか、そういった形の人件費は差し上げるというふうなことで対処しておるところでございます。
  145. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に私は長官お話し申し上げたいのですが、いままで質問した中で、分析化研の後始末の問題もあれば、あるいはコンサルタント会社の問題もある。あるいは監視体制の改善、サンプリングの問題、分析方法の問題。私の目から見ると、そういう点での改善がきわめて立ちおくれていると思うのですよ。だから、その点私は、国会の論議も踏まえ、かつ、日本の最高の学者の集まりである日本学術会議意見、これも踏まえて、ぜひこの改善の方向へ一歩——一歩じゃない、百歩も進めていただきたいと思うのです。田中内閣時代の森山長官はああいう方だった。きわめて乱暴だった。青森の漁民なんか、こうおっしゃっていますよ。あの方は科学技術庁長官という名前だけれども、その名前の上に非の字をつけてみたらどうだ、非科学技術庁長官だ、こうおっしゃっている方もあるのです。こういう政治姿勢ですね、基本的な姿勢はぜひやはり改めてもらいたいと思うのです。そうでないと、三木内閣はやはりたてまえと本音が違うということになるんですね。その辺、長官の決意もひとつ最後にお聞かせ願って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  146. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 フォールアウトと日本の化学分析あるいは器械分析は世界でも優秀なんだと私承知しておったんですけれども、しかし、お話しのように、いろいろまだまだ研究しなければならぬ点があるとすれば、それは今後ともみんなでひとつ推し進めまして改善してまいりたいと存じます。
  147. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  148. 井原岸高

  149. 坂井弘一

    坂井委員 原子力開発につきましては、核燃料の再処理の問題、さらには廃棄物の処分等をめぐりまして、その安全性確保の見地から今日なお数多くの技術的課題が存在いたしております。このことはとりもなおさず、全国各地におきますところの原発反対運動の理論的ないしは心理的な根拠になっていることもまた事実であろうと思います。そうした中で、きょうは、内閣総理大臣の直属機関でありますところの原子力行政懇談会の初会合が午後からなされているようであります。佐々木長官も先刻この懇談会に御出席されたようでございますが、私は原子力安全性確保という見地を踏まえまして、まず、ひとつ長官の基本的な御認識について、かつまた、お考え方をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  きょうもずいぶん具体的な検討が、各委員から意見の交換等がただいまなされている最中であろうかと思いますが、いずれその結論は集約されまして送付されてくるということでございますが、まず、ここで何よりも大事なことは、やはり原子力開発の三原則と申しましょうか、三つの点から本日も提言されまして、恐らく論議が集中されるであろうと推測をいたしているわけでございます。その三点は、まず第一は原子力発電安全性確保、これは単に原子炉だけでなくて、燃料、燃料サイクル全体を見直して実施すべきではないかという意見。かつ、二つ目には技術の公開の問題であります。さらに三点といたしまして、計画に対する公衆の判断を生かすような仕組みをつくるという、この三つが、恐らくや原則としてきょうの一番大きな柱になるかと私は予測をいたしているわけでございますが、佐々木長官は率直にこの三点につきましてどのような御見解をお持ちになるか、まず基本的な御認識につきましてお伺いをしておきたいと思います。
  150. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は原子力基本法をつくった一人でございまして、自分でつくったものでございますから、いまでも、その線に沿うて原子力行政を進めていくべきものだとかたく信じておりすす。
  151. 坂井弘一

    坂井委員 しからば、具体的に問題点に入ってまいりたいと思いますが、原子力発電の容量を見ますと、五十年度で九百五十万キロワット、五十五年度におきましては三千二百万キロワット、そういう計画をお持ちのようでありますけれども、そうなりますと、排出されるところの使用済み燃料は、軽水炉だけでも、ウラン量にいたしまして五十年度で約百十トン、五十五年度になりますと七百三十トンが見込まれているようでございますが、こうしたウランあるいはプルトニウム、これを回収するということ、つまり再処理でございますね。そこで動力炉・核燃料開発事業団が再処理工場を建設された。やがて操業になる運びと聞いているわけでございますが、この再処理工場は一体いつごろから操業の見込み、めどを立てておるのかということが一点。  なお一点、いわゆる死の廃液と言われますところの放射能廃棄物、これをどう処理するか、具体的に簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  152. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 再処理工場の操業の見込み、スケジュールでございますが、御案内かと思いますが、現在化学テストを行っておりまして、これからウランを使った試験操業、テストを十五カ月から十七カ月ぐらい行う予定でございます。したがいまして、私どもの期待といたしましては来年の夏前後、これは試運転の結果とその結果のいろいろチェックがございますので確定的なことは申し上げかねますけれども、おおむねその程度の見込みを立てておるのが現状でございます。  それから第二、廃棄物の処理、処分でございますが、放射能水準の低いレベルの排気及び廃液につきましては、それぞれ希釈等の処理を行いまして、規制に準拠して最も低い水準で放出いたしますが、中レベル、高レベルの、特に放射能水準の高いレベルの廃棄物につきましては、慎重な管理のものに保管するという形で処分することが予定されております。
  153. 坂井弘一

    坂井委員 この廃棄物の処理についてもずいぶん問題があろうかと思うのですが、それは後ほど触れるといたしまして、この再処理工場で回収されますところのウランあるいはプルトニウム、これは申し上げるまでもなく核物質でございます。ここで抽出、回収されましたプルトニウム、これは一体どういう形で使用される御計画でしょうか。
  154. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 プルトニウムの使用につきましては、まず第一には、軽水炉燃料としてプルトニウムを使えるかどうかということについて現在研究開発を行っております。  それから、本来、プルトニウムを燃料として使用することを予定いたしておりますのは高速増殖炉、ファストブリーダーと呼ばれるものでございます。  なお、この軽水炉から増殖炉に至りますまでの間に、これは御案内かと存じますが、現在新型転換炉というものを開発いたしてございますが、その中間のつなぎで使うことを予定しております新型転換炉の燃料用に使用することを予定いたしておるわけでございます。
  155. 坂井弘一

    坂井委員 回収されましたプルトニウムの保管、貯蔵についてはいかがでございますか。
  156. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 再処理工場が稼働いたします当初におきましては、酸化プルトニウム溶液の形で貯蔵が行われます。しかし、近い将来において酸化プルトニウムの粉末の形で保管することを予定いたしまして、五十年度予算にその一部を計上しているところでございます。
  157. 坂井弘一

    坂井委員 合わせてこれから再処理工場において回収されますプルトニウムの量、これはどれぐらい見込まれておりますか。
  158. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 プルトニウムの量にいたしまして、再処理工場の能力は日産〇・七トン、フルスケールで動きますと年間二百十トンの再処理能力を有するものでございますが、フルスケールになりました場合に抽出されますプルトニウム量は約二トンでございます。
  159. 坂井弘一

    坂井委員 これは大変な量になると思いますね。核物質、大変危険な物質でございますが、これから回収されますところのプルトニウムの量あるいは貯蔵ということについていま伺ったわけでございますが、現在保有しておりますところのプルトニウム、これはどれぐらいございますか。また、その管理体制につきまして簡単にお答えいただきたいと思います。
  160. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 昨年度末現在でございますが、日本に存在いたしておりますプルトニウムの総量は七百十六キログラムでございます。そのうち、言うなれば燃料の形と申しますか、先ほどの高速実験炉なり新型転換炉等の燃料等の形で現在保管されているものと、研究開発にプルトニウムの形で使われているものがございます。原子炉に装入されておりますものは、七百十六キログラムのうち三百九十六キログラムございます。これは高速臨界実験装置用の燃料なり軽水臨界実験装置用の燃料なりで保管されております。その三百九十六キログラムのほかに、三百二十キログラムが燃料開発のプロセスの形で現在保管されておるわけでございます。そのほかに、少量ではございますが、いろいろな研究用に使用されているという形態でございます。
  161. 坂井弘一

    坂井委員 長官御存じかどうかちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、私いま手元にありますのが、これは去る三月十日の、アメリカの週刊誌「ニューズウイーク」の記事なんです。あと米紙におきましても報道されたようでございます。あるいはそのほかにも、アメリカにおきましてずいぶん議論されておるようでございますが、問題の発端は、二月二十八日に米国のテレビの科学番組の実験で、プルトニウムさえ手に入れば、核爆弾というのは素人でもこのように容易にできますよということを実験しまして、テレビで放映をした。そのことが週刊誌等にも取り上げられておりました。このことを長官御存じですか。
  162. 福永博

    ○福永政府委員 私ども新聞報道によりましてはそのことを承知いたしました。内容的な詳しいことは、まだ私は入手をいたしておりません。
  163. 坂井弘一

    坂井委員 長官御存じなかったでしょうか。
  164. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いまの記事を実は読んでおりません。
  165. 坂井弘一

    坂井委員 わかりました。では、私からその一部だけ読んでみます。「アメリカのTV局「ノバ」から放映された科学シリーズは人々の心を引きつけた。それは、二十歳の学生が自作の原爆を設計したものであり彼は成功した。検査をした係官は、もしこの原爆が実際に作られたらTNT一千トン級の強力なものであり、十万人の人を殺すと言っている。この番組の名前は”プルトニウム・コネクション”である。もし、テロリスト達にプルトニウムが多量に入手され、彼らが原爆の作り方を知ったら、大きな問題となろう。プログラムの放映は、二週間後議会でも問題となり、原子炉のプルトニウムが確実、安全に保管出来るようになるまでは、このような番組の放映を禁止する事となった。」あとずっと続いてありますが、ざっとこういう記事であります。  化学専攻の平均的な学生でありますと、核兵器に対する特別な知識がなくても、プルトニウムさえ手に入れば手軽に核爆弾をつくることができる、こういうことなんですけれども、プルトニウムが五キロございますと原爆一発できるというのですね。このぐらいの原爆というのは、大体広島、長崎級の原爆。先ほどわが国のプルトニウム保有量が約七百二十キロと伺いましたが、そういたしますと五キロの原爆が百四十四発できる、計算上そういうことになるわけです。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕 アメリカの記事によりますと、十五ポンドのプルトニウムで重さ八百ポンドの原爆ができる、こういうことも言われておるようであります。プルトニウムは一グラム当たり十ドル前後する、大変高価なものですね。  そこで、このような危険性は、わが国において実際に何らの心配もないとするか。アメリカにおいてこのように危険視され、安全性の確保等につきましてずいぶん慎重な議論の末、アメリカの議会におきまして、上院のアスピンという議員が原子力規制委員会に対しまして、議会の承諾なしにはプルトニウムを原子炉燃料として使用することを禁止するという法案を出したというようなところまで発展したようであります。こうしたアメリカにおける経緯から見まして、わが国におきますところのこうした核物質、とりわけプルトニウムの保管管理体制安全性あるいはテロリストによる核ジャック、果たしてこういう憂えは一切なしとしないと私は思うわけでございますが、科学技術庁ではこうした観点から、どのようにしてこの安全性を確保するか、具体的にこれに対する何か特段の安全性の確保、危険の防止ということについて考えなければならぬと思うわけでございますが、いかがなような具体策をお持ちであるか、お伺いしておきたいと思います。
  166. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、プルトニウムあるいはコンテンツの高い濃縮ウラン等は一番査察の対象になるものでございまして、したがって、わが国自体では、御承知のように二国間協定で、現に平和利用以外には転用してはいかぬということになっておりまして、軍用にこれを使う傾向ありや否や、使っているかどうか、この検査は挙げてIEA、国際機関にゆだねていることは御承知のとおりでございまして、毎年相当数の人たちが、ほとんど一年じゅうと言ってもいいほど日本に参りまして、この検査をしております。どういう保管の方法でどこにどれほどあって、移転はどういうことになっているか、これはこちらでも詳細に記録を持っておりますし、また保管しておりまして、向こうもその存在を検査しております。  今度の新しい核防条約下におきます査察状況は、今度は逆に日本側が主になりまして、向こうの査察官はそれに立ち会うというふうなかっこうになっておりますので、今後はわが国の査察体制というものをさらに整備しなければいかぬわけですけれども、いまお話になりましたような、そういう軍用とまでいかないで、ギャングとかあるいは盗賊とかいったたぐいの人がプルトニウム等をひそかに入手して原爆等をつくるおそれがありやなしやという点、アメリカで大変問題になっていることばよく承知してございます。わが国では軍用の方は、先ほど申しましたように全然その意思もなし、また三原則もございますれば基本法もございますし、一切軍事的なことは考えておりませんけれども、反面、盗賊等と申しますか窃盗等で盗難に遭ったら一体どうするか、これはやはり大変考慮の中に入れて今後処置しなければならぬ問題と私も考えます。  ただ、そのできたプルトニウム、いま保存しているプルトニウムはコンテンツがわりあいに低うございまして、原爆をつくると普通言われています九五%以上のそういう高いものは、日本にはほとんどございません。ですから、そのままそれが素人の手で原爆に変わるかと申しますと、技術的に大変疑問じゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、そういう盗難に遭わないことが一番重要でございますから、主として原研あるいは動燃の方で保管しておりますので、実際の警備状況等は、きょうは副理事長さんが見えていますので、そちらからひとつ詳しくお聞き取り願いたいと存じます。
  167. 坂井弘一

    坂井委員 いままで核物質が紛失をした、あるいは盗難に遭ったというような事件が何回もあるわけですね。たとえばイリジウムが、四十六年の三月三日でございますか、あの茨城県鹿島で輸送中に紛失しておりますね。あるいは四十九年の八月に関電美浜の原子力発電所でイリジウムが盗難に遭ったという事件がございましたですね。あるいはまた、アイソトープの管理が乱脈である。これは東京大学。ずいぶん騒いだものでございます。ほかにもあるようでございます。いままで事実の問題といたしまして、そうした紛失とか盗難とかいうものが核物質についてあったということ、このことをきわめて深刻に踏まえる中で、プルトニウムという核物質がとりわけ毒性が強く、核としての非常に大きな特性を持ち、素人でも容易に核爆弾をつくることができるという、大変危険なしろものでございます。これが盗難とか紛失のおそれは一切ないということは言えない。むしろそのような心配があるのではないかということをまず一番重要視しなければならぬことではないか、私は実はそう思うわけでございまして、そういう考え方に立ちますと、いまわが国のこうした核物質に対する貯蔵なりあるいは安全の確保の面から考えても、きわめて手薄ではないかということで、実は非常に大きな危惧を抱くわけでございます。  そういう立場からひとつお尋ねをいたしたいと思いますが、各地におきます原子力発電所から、そこで使われました核燃料が、いま建設され、やがて操業されようとしておりますところの再処理工場に送られてくる輸送の問題でございます。この輸送につきましてはどのような方法によって輸送をするか、お答えをいただきたいと思います。
  168. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 輸送は、詳しくは後で担当官からお話しいたしますが、いまのお話でちょっと気になりますのは、実はプルトニウムとか濃縮ウラン系統のものは、これは厳重に管理をしておりまして、いままで盗難に遭った事実あるいは紛失した事実はございません。ただ、アイソトープはいままでもしばしばございまして、これは別に爆弾の材料になるわけでもなし、ではございますけれども、しかし、これも紛失するのは大変不幸なことでございますから、そういうことのないように、ただいま厳重に各使用個所には保管方を申し入れしておるところでございますけれども、おっしゃるようなプルトニウムとか濃縮ウランに関しましては、これはもう国内的にも国際的にも非常な厳重な管理下に置かれている物質でございますので、その管理保管等は厳格をきわめていることを、私から御報告申し上げたいと存じます。  燃料棒の輸送あるいは使用済み燃料の輸送はどうするかという点に関しましては、係官から御説明申し上げたいと存じます。
  169. 福永博

    ○福永政府委員 最も危険であると言われております使用済み燃料、これは、日本の再処理工場がまだ動いておりませんので、現在はイギリスに送って再処理をしていただいておるわけでございます。したがいまして、原子力発電所在地の港から、実は船もイギリスの船を使っておるわけでございますが、その船に積み込みましてイギリスに運んでおる。一部は、東海のケースでございますが、日立港を使ってイギリスに搬出いたしております。したがいまして、使用済み燃料につきましては、現在、海上輸送とごく一部の陸上輸送がございます。  それで、日本で運びます場合には、海上輸送につきましては船舶安全法、陸上輸送につきましては原子炉等規制法に基づく車両運搬規則の規定に基づきまして、非常に厳重な管理、安全確保のための措置を講じながら輸送することになります。  なお、使用済み燃料ではなくて、新しい燃料と申しますか、これから装荷されます燃料につきましては、事前に警察等の連絡を行った上で、先導車をつけまして輸送いたしております。規則はただいま申し上げました車両運搬規則等によって規制をいたしておるわけでございます。
  170. 坂井弘一

    坂井委員 私がお尋ねしておりますことは、つまり核燃料の再処理工場が新しく建設をされまして、そこでこれから、先ほども御答弁にありましたように二トンでございますか、大変な量のプルトニウムが再処理されるわけでございますね。これから始まるわけなんですよ。いままでのことを申し上げているのではない。どんどんと日本の各地に原子力発電所を建設しようという計画をすでにお持ちになって、これからその原子力発電所で使われましたところの核燃料が、この東海村の再処理工場にどんどん送られてくる。これは非常に危険な状態にこれから広がりを見せていくわけなんですね。そこで、この輸送については万全なのか、具体的にどうするのか、どういう計画を持たれているのかということをお尋ねしているわけであります。たとえば、主たる輸送の方法は海上輸送によるのか、あるいは道路を使うのか、あるいはまた鉄道によるのか、その辺のところをしっかり詰めておきませんと、輸送途中においてこういう核燃料が紛失だとか盗難だとか、そうした心配がこれからさらに増大される。しかも、これは大変な輸送コストがかかりますね。厳重な密封をしまして送ってくるわけですけれども、重量も大変な重さになりますね。橋梁がもたぬのじゃないかというようなことも一言われておりますね。この輸送途中の安全性ということにつきましては、もうあちこち抜け穴だらけじゃないかという感じが私はするわけです。そこで、そのようなことは、御専門の立場で、少なくともいま再処理工場ができ上がってこれから稼働しようとしているわけでございますから、あちこちから送られてくるこの核燃料について具体的にどのような輸送手段によるかということは、十二分の上にも十二分に御検討されているであろうと思いましたのでお尋ねしているわけでございますので、具体的にひとつお答えをいただきたい。
  171. 福永博

    ○福永政府委員 日本では原子力発電所は、現在もそうでございますし、今後とも海岸に建設されると見込まれます。なお、現在つくられております再処理工場で予定しております原子力発電所はすべて海岸に建設されてございますので、東海村までは専用船、これから建造するわけでございますが、船による海上運搬を予定いたしてございます。  道路でございますが、地元からの御要望もございますものですから、専用の道路をつくるべく現在関係者とお話し合いを進めておる段階でございまして、専用道路ができるまでの間、暫定的に一これは再処理工場の稼動が非常に低い段階でございますが、暫定的には日立港を使わしていただくということで地元にもお話ししているわけでございます。  したがいまして、輸送の大宗は海上輸送になりまして、将来は専用道路を経由して再処理工場に持ち込む。これも実は今年度からその設計等に関する予算をいただいておりまして、できますれば五十一年度中くらいには道路もつくり上げたいという計画を現在持って、関係者の了解を得るべく努力中でございます。暫定期間、つまりそれまでの期間、かつ稼働率が非常にその間は低うございますが、その稼働率の低い期間は日立港を暫定的に使わしていただきまして、日立港から東海村までトラック輸送でございます。特別の陸上輸送に依存する。御指摘のように非常に弱い橋梁等が途中にございますけれども、その橋梁の補強は行う予定で現在進めてございます。  以上でございます。
  172. 坂井弘一

    坂井委員 大体五十一年度で専用道路をつくる。そういたしますと、暫定的にはそれまでの間は国道二百四十五号、これを使うということになろうかと思います。その点についてお答えをいただきたいことと、それから、一体だれが運ぶのですか。
  173. 福永博

    ○福永政府委員 御指摘のとおり国道二百四十五号線を使いまして、電力会社が輸送会社に委託して運ぶことになります。
  174. 坂井弘一

    坂井委員 輸送会社に委託して運ぶのですね。これは民間ですな。運送屋さんですな。これは大丈夫ですか。
  175. 福永博

    ○福永政府委員 民間の輸送業者でございます。
  176. 坂井弘一

    坂井委員 ですから、民間の輸送機関にゆだねて、この安全性について、あるいはまた盗難だとか紛失だとか、そのようなおそれはないのでしょうか。万全の体制をお考えになっていらっしゃるであろうと思いますので、民間会社に委託する場合に、ここに安全に輸送するために、これこれしかじかの条件であるとか何なりのことがあるでしょう。対策としてお考えでしょうから、お尋ねしているわけでございます。
  177. 福永博

    ○福永政府委員 御案内のように、使用済み燃料というのは非常に厳重な、したがって重くなるわけでございますが、厳重なキャスク、容器に入れまして、放射線量率、表面の線量率が規制の範囲以下、非常に低いレベルというところに抑えられる、そういう安全性をまず確保いたしまして、それでトレーラーで運ぶわけでございますが、伴走車をつけ、かつ警察署、県等の連絡を十分とりまして、交通量の少ない夜間等を選んで運ばせるといった措置を講ずるようにいたしてございます。
  178. 坂井弘一

    坂井委員 短い時間の中で一つをとりまして、輸送途中の安全性確保の問題につきましても、短い時間でございますので十二分に議論することができませんが、輸送だけ見ましても、私は大変危険な要素が数多くあるように思えてなりません。この安全性の確保につきましてなお十分な御検討と対策というものを持たなければならないのではないかと思いますので、この点につきましては、また機会を改めましてお尋ねするといたしまして、大臣にひとつお尋ねをしておきたいと思いますが、先ほど申しましたように、アメリカにおきまして、議会の承認なしにはプルトニウムを原子炉燃料として使用しない、承認を要する、こういう法案を提出しているようでございますが、これは非常に慎重を期そうということだと思うのです。こういうアメリカの安全性に対する考え方に対しまして、原子力安全性については一番慎重にいろいろと御検討をされております、あるいは見解をお持ちでありますところの大臣、佐々木長官のお考え方をひとつ承っておきたいと思います。
  179. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほども説明がありましたように、わが国のプルトニウムは平和目的に限って使用するのでございますから、その使用の範囲は限られておりまして、主として、今後できますETRあるいはファストブリーダー等の燃料にこれを使用するのでございますから、輸送の途中等の配慮、あるいは格納個所でお話のございましたような、また、いまアメリカ等でも考慮されております盗難の事故等に対する警備、警戒は、これはもちろんでありますけれども、しかし、プルトニウムそのものは軍用ということはあり得ないわけでございまして、そういう意味では、いわば安全という面に私は二つ意味があろうかと思いまして、一つは軍事的利用をしないという、国のいわゆる安全保障と申しますか、この面からは、まずまず私は全然心配の要はなかろうと思います。ただ、いまお話のありました輸送中あるいは保管中に、そういう軍用という意味じゃなくて、もし紛失等があればこれは大変なことでございますから、そういうことのないように万々注意することが必要だという点に関しましては同感でございまして、今後ともさらに一層警戒を深めたいと実は考えております。
  180. 坂井弘一

    坂井委員 私の考え方というものをこの際申し上げておきまして、この問題につきましてはまた日を改めて十分中身につきまして議論をいたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、非核三原則が国是でございますし、とりわけ放射能の恐ろしさ、こわさということについては身をもって体験をいたしましたわが国でございます。いま長官は、平和利用であり、目的がそうであるのだからということでございますが、確かにこれは、軍事目的を持ってこの種のプルトニウムであるとかあるいはウランを再処理するものでは決してございません。ございませんが、先ほど申し上げましたように、すでにプルトニウムで核爆弾ができるというような、そういう物騒なことが報道もされ、また、そのことがアメリカにおいても非常に大きな問題として取り上げられて、この安全性の確保ということに対してさらに検討を要するというようなことで議論が百出いたしまして、アメリカ上院、議会におきましても、法案の提出というようなところまでこのことが進展をいたしておるというような事実というものを、これはひとつ慎重に受けとめながら、わが国におきましても原子力の平和利用、安全性の確保ということに対しましては、これは慎重の上にも慎重を期さなければならない問題である。したがって、先ほどの答弁を伺いながら、私は率直に実感として感じました点は、なおかつ今日、原子力行政、原子力安全性の確保に対する確固たる考え方と、そして具体的な方策というものを持たないままに原子力開発を推し進めていこうというような、そういう考え方が強いのではないか、そういうようなことに流されてしまうおそれが多分にあるのではないか、非常に大きな危惧を実は抱くわけでございます。最近におきますところの各地におきます原発反対運動、これは単なるイデオロギーであるとか、あるいは地域住民の心理的な作用だけではございません。やはりそこに強引にエネルギーを原子力に求めていこうというような、こういう行政のあり方等に対する一つの住民としての素朴な反発でもありましょうし、かつはまた、最近までの重化学偏重、高度成長から、今後におきましては経済が減速いたしまして低成長時代に入る。したがって、これからの産業形態、産業構造というものも従来から大転換をいたしまして、省資源型あるいはまた知識集約型の産業への転換というようなことを、これはもう大方の一致した考え方として推し進めていこうという折に、なお安全性の確保等についてはなはだ疑問多しとするこの核燃料の再処理あるいはその利用、活用ということに対して、強引とまでは申しませんけれども、いささかこれについては事を急ぎ過ぎるきらいがあるのではないか、なおかつ慎重であっていただきたいということを最後にひとつ強く要望いたしておきたいと思います。  次の問題としてお伺いいたしたいことは、科学技術庁で、原子力の平和利用研究等の試験研究民間団体に委託する場合に、受託者が取得いたしました物品のうち機械器具類につきましては、委託事業が完了した後にその所有権を国に移転をする、こういうことになっております。四十八年度末現在で、一点五十万円以上のものが三百八十九点、金額にいたしまして十二億二千三百三十三万余円で、三十七年度以降引き続き保管させているものがあるようでございますが、今回会計検査院より指摘を受けまして、百二十九点、金額にいたしまして二億五千六百七十二万円余、この保管状況を会計検査院が検査をした、そのうち五十九点が物品の管理が適切でないという指摘があったようであります。つまり、一つは「受託者が国に無断で使用しているもの」、これは「ミニコンピュータほか三十一点」、二つ目には「現在使用可能であり、受託者が貸付け又は払下げを希望していたのに、そのまま保管させているもの」、これは「分光光電光度計ほか十点」、それから三つ目には「受託者が貸付け又は払下げを希望していたのに、そのまま保管させていたため、現在では使用不可能となっているもの」、これは「ヨウ素化合物実験装置ほか十五点」、ざっとこういう三つあるという点の指摘があったようでございます。  そこでお尋ねいたしますが、この所有権が国に移転されます。その物品につきましては当然物品管理法の適用を受けると思います。つまり物品管理法の適用を受けるということになりますと、民法六百五十七条ないし六百五十八条、つまり寄託とそれから受寄者の保管義務でございますが、この六百五十八条は「受寄者ハ寄託者ノ承諾アルニ非サレハ受寄物ヲ使用シ又ハ第三者ヲシテ之ヲ保管セシムルコトヲ得ス」、こうありますが、当然この物品管理法の適用を受ける、したがって民法六百五十八条に基づく、こう思うわけでございますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  181. 片山石郎

    ○片山(石)政府委員 全くそのとおりでございます。
  182. 坂井弘一

    坂井委員 会計検査院にお伺いいたしたいと思いますが、いま三つの点につきまして指摘を会計検査院がいたしたわけでございますが、この場合、違約金を取りなさい、こういうことを科学技術庁の方におっしゃったのでしょうか。
  183. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 違約金をお取りなさいというような明示のことは申してありません。しかし、いまイ、ロ、ハと三つの態様の事態がありましたから、これにつきましては適宜な方法で改善の処置をとるようにと、このような内容の照会を出してございます。
  184. 坂井弘一

    坂井委員 違約金ではございませんね。これはちょっと見解を伺っておきたいのですが、違約金というのは民法四百二十条、四百四十七条等にございますが、いわゆる債務不履行の場合には債務者が債権者に支払うべきものとあらかじめ定めた金銭である。物品の管理については債務不履行は生じていない。したがって私は違約金とは言えないと思うのですが、いかがでございましょうか。
  185. 片山石郎

    ○片山(石)政府委員 違約金という言葉は先生がいまおっしゃったとおりの言葉でございまして、今回のような場合におきましては、厳密な意味におきましては、違約金と申すのはいささか適当を欠いたかというふうに考えております。ただ、本件につきましては、保管者が当庁との間で寄託契約に反して物品を使用しておったという、その使用しておったという契約の違反があったというような点もありましたもので、いろいろ考えあぐみまして、違約金という言葉でもって、使用者との間でもってこういう金を徴収したいということを申し入れまして、使用者もそれを了承したということでありますので、徴収の契約そのものは有効かと思いますが、言葉は若干適当でなかったかと存じます。
  186. 坂井弘一

    坂井委員 これはやはり厳密に区分した方がよろしいと思いますよ。これは、違約金、違約金でやっていますな。どうして違約金を払わなければいかぬのか。これは無断使用料でしょう、正確には。そうしなければ相手側だって納得しませんよ。もう国に受け取ってください、私の方はこれ以上保管は御免こうむります、もう終わったのですからどうかお取りください、こう言ったのですね。そういう場合もあるのですからね。これは、ぼくはやはり物品管理上、科学技術庁責任もあると思いますよ。それを今度は一方的に違約金だなんて言われますと、相手は納得しないということになるじゃないですか。物の道理ではないでしょうか。少なくとも無断使用しておった、断わりなしに黙って使っておった、これはいけませんよ。無断使用料でしょう。その辺を、言葉の上ではございましょうが、やはり厳密に区分なさるのがよろしかろうということで申し上げているわけでございます。  なお、そういうことになりますと、やはりどうも、少し御注意いただきたいと思いますのは、所有権移転時のこの受託者側からの預かり証も出ておりますけれども、どうもこの預かり証が不備ですな。たとえば、間違って書いている。東京芝浦電気株式会社、これはイオン分析装置。これは科学技術庁の物品台帳では一万二千ないし五百ガウスとなっています。三十度偏光と書いてある。預かり証では千二百ないし五百。これは単位が違いましたね。一万二千と千二百の違いがありますね。それから、これは日付も入っていませんね。どうもせっかく預かり証を取ったりするのに、こういう間違いは——私は揚げ足取るわけではないですよ。しかし、少なくとも、この種の物品をきちっと保管をさせあるいは管理をする当然の責務というのは科学技術庁にあるわけでございますから、相手のあることですからお互いにきちんとすることは、これまた言うまでもないことでございまして、特に役所は、そうしたことについてはとりわけ神経を細かく使われているところでございますけれども、案外こんなところにミスがあるのかなという感じが実は私はするわけでございますが、いまそんなことを申し上げましたけれども、ごらんになってください。いかがでございましょう。おたくの方からいただいた資料でございます。
  187. 片山石郎

    ○片山(石)政府委員 いまにわかに確認できませんので、よく調べます。
  188. 坂井弘一

    坂井委員 間違いないです。私、さっきからこう目を通しながら、これもすぐ目につくことです。おたくからいただいた資料でございますので、御確認してください。これをもってあげつらう気持ちはございませんけれども、やはり管理というものをもっと厳格におやりになるべきではなかろうかということでございます。この無断で使用しておった、無断使用料を請求してこれを徴収いたしております。  その後の物品の管理につきましては、全部で三十二件ございました。有償貸し付けが九件、委託事業が十二件、それから管理がえを二件いたしております。保管が九件、合計三十二件、こうなっておりますが、環境庁へ管理がえを二件しておる。これはもう最初から環境庁へ管理がえしておけばよかったわけですよね。会計検査院から指摘されて、後で、いまどき環境庁へ管理がえするなんて、これは私は不細工なことだと思いますね。つまり、定期的な物品の管理についての検査等もっときちんとやっておれば、このようなことはなかったと思うのですね。こういう点についても注意を喚起しておきたいと思います。  さらに問題は、受託者が貸し付けまたは払い下げを希望していたにもかかわらず、そのまま保管させていたために、現在では使用不可能になったものが十六件もございますね。これはどうなさいますか。
  189. 片山石郎

    ○片山(石)政府委員 そのまま保管をしておったために耐用年数が過ぎてしまった、それで、中には使用ができないというようなものもあらわれております。その後会計検査院の指摘がございましたので、会計検査指摘の件につきまして一々全部チェックいたしました。中にはまだ使えそうなものも若干残っておりますので、そういったものにつきましてはまた委託事業などに活用を図るということをやりたいと思いますが、相当の案件、約半分につきましては、どうもこれは使えそうもないということになりましたので、これについては早急に廃棄処分にいたしたい、そういうふうに考えております。
  190. 坂井弘一

    坂井委員 廃棄処分というのは、スクラップか何かですか。
  191. 片山石郎

    ○片山(石)政府委員 そのとおりでございます。
  192. 坂井弘一

    坂井委員 長官、これは、受託者からこの取得物品の利用処分等の計画を科学技術庁は提出さしておったようなんですよ。あなたの方に委託した物品をこれからどうするか、あなたの方で貸し付けをしてほしいのか、払い下げをしてほしいのか、あるいはまた国へ返還するのか、希望を言いなさい、わざわざ出してあるのです、皆。利用計画出てますよ。もっとしっかりそれをごらんになって、適切にそういう問題に対して個々につきまして処理をしておったならば、会計検査院から指摘されるような、いまのような三つのぶざまなことは私はなかったであろうと言わざるを得ないわけでございまして、そうした観点から見る限りは、管理体制はきわめてずさんであるとしか言いようがないわけでございます。今後における問題もございます。せっかく貴重な国費を使いましてこれだけの科学的な新しいこの物品、器具、そういうものを開発しながら、みすみすこれが使用不可能になる、スクラップとして処分しなければならぬというような事態を招くということは、それは私は許されることではない、もっともっと厳重にきちんとした管理体制というものを科学技術庁においてもおとりになることが、今後におきます非常に大事な点ではなかろうかと思いましたので、あえてこの問題につきまして内容等について伺いながらまいったわけでございますが、今後における御方針として、長官、このようなむだなことのないように、ばかなことのないように、ひとつ御決意のほどを承りまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  193. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 段々のせっかくの御指摘でございますので、今後十分注意いたしまして、御趣旨に沿えるように努力いたしたいと思っております。
  194. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  195. 森下元晴

    ○森下委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十六分散会