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高橋(寿)
政府委員 お答え申し上げます。
岩手県の事案につきまして、昨年の秋に現地の行政の責
任者であります
陸運局長が交代したことは事実でございますけれ
ども、このことと実はいま
先生御
指摘の
問題とはもちろん直接
関係はないことでございまして、私
どもも行政機関でございますから、責
任者がかわりましても省の方針は変わりませんので、一貫してかわる前の
局長の方針を踏襲して、新しい
局長にもその方向に沿って努力するように督励していたところでございます。
それはさておきまして、いま御
指摘のような岩手県につきましては、初め県がてこ入れしたところの公的一元化というふうな形で話が進んでおりましたけれ
ども、なかなかこれはいろいろ支障もございますし、それから岩手県
自身についても慎重論が台頭したというようなことがございまして、途中から公的という旗を一応おろしたわけじゃありませんけれ
ども先のことにいたしまして、さしあたりは
民営会社同士、いわゆる
民営ベースで一元化するということで進んでまいったわけであります。そして私
どもも、また
仙台の
陸運局長も
民営ベースの一元化ということでいろいろ努力をしておりましたけれ
ども、このことに対しまして非常な障害になりましたのが、昨年の七月十五日に岩手県南
バスが盛岡地方裁判所に会社更生申し立てをしたということが一大障害でございました。私
どもが行政措置の中で、行政指導の中で集約一元化の方向を進めております途中で、その対象になっております中心になっていた会社の
一つが会社更生申し立てをしてしまったというところから、行政指導による集約一元化という
問題がしばらく足踏みをしなければならないことになったわけであります。私
どもは、この会社更生の申し立てがもし裁判所によって棄却されるならば、もう一遍原点に戻って
民営ベース一元化を進めたい、こう思っておりました。たまたま十月十一日に申し立て棄却されました。この棄却の事情については、裁判所の棄却理由によりますと、岩手県南
バスの
経営者が
再建に対して本当に熱心な
気持ちがまだうかがわれないというふうなことが書いてございますけれ
ども、管財人の選定その他について岩手県南
バスの
経営者が不満を漏らしたというところが実質的な理由であったようでございます。
そこで、棄却になりましたので、それではひとつもとに戻って
民営ベースの一元化を推進しようと思っておりましたらば、棄却になった直後、会社は
仙台高等裁判所に抗告をいたしました。棄却を不服とする抗告をいたしました。
仙台高等裁判所は十二月十八日に、この抗告を取り上げまして、原決定取り消し、盛岡地方裁判所に差し戻しという決定をいたしたわけでございます。そこで現在、盛岡地方裁判所では、会社更生申し立てがあったときと同じ時点に戻りまして、いま審理をしている最中でございます。
そこで私
どもは、このことが非常な障害になりまして一元化の推進が阻まれておりますけれ
ども、私は現在の岩手県の、特に県中央部及び県南部の交通状況を考えますと、単なる岩手県南
バスがみずからの会社の財産保全あるいは債権の保全という
考え方のみに立って会社更生を申し立てるというふうなことは必ずしも地域交通
計画全体の見地から考えますと適当な手段ではないんじゃないかというふうにも考えております。
そこでごく最近でありますけれ
ども、この会社の
経営者に対しまして、昨年の夏以来ずいぶん時間がたったし、あなたのところはまあたとえて言えば会社更生法というざんごうの中に入っちゃって全然われわれに耳を傾けようとしないじゃないか。そういったことをしている一方において、岩手県の地域交通というものは日一日と荒廃の度を加えている。非常にわれわれとしても関心を持たざるを得ない。そこで、会社として一体どうするつもりなんだという、責任ある回答をよこしなさいということを申し入れまして、現在その回答を待っている状況でございます。
私
どもも事態の推移を関心を持ちながら見ておりましたけれ
ども、いつまでもこういったことでざんごうに入られたのでは行政としては困りますので、岩手県当局とも十分御
相談いたしまして、やはり当初の方針でございましたところのさしあたり
民営ベースによる一元化を進めたいということを考えております。