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1975-06-20 第75回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木部 佳昭君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 西銘 順治君    理事 増岡 博之君 理事 太田 一夫君    理事 金瀬 俊雄君 理事 三浦  久君       大竹 太郎君    佐藤 孝行君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       久保 三郎君    兒玉 末男君       坂本 恭一君    梅田  勝君       紺野与次郎君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         運輸大臣官房審         議官      中村 四郎君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   森  郷巳君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省銀行局特         別金融課長   岡崎  洋君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     野原 石松君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         日本国有鉄道職         員局厚生課長  藤井  徹君         日本国有鉄道運         転局長     今野  尚君         日本国有鉄道建         設局長     高橋 浩二君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   原島 龍一君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 六月十八日  辞任         補欠選任   大竹 太郎君     石田 博英君   綿貫 民輔君     宇都宮徳馬君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     大竹 太郎君   宇都宮徳馬君     綿貫 民輔君     ————————————— 六月十九日  埼玉県南地域東北上越新幹線建設計画撤回  に関する請願(紺野与次郎紹介)(第三七七  九号)  同(平田藤吉紹介)(第三七八〇号)  同(紺野与次郎紹介)(第三八一五号)  同(平田藤吉紹介)(第三八一六号)  同外一件(清水徳松紹介)(第三八八五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(地方バス事業に関する問題  等)  日本国有鉄道経営に関する件(東北本線のレ  ール更換作業事故に関する問題等)      ————◇—————
  2. 木部佳昭

    木部委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、日本国有鉄道経営に関する件について、日本鉄道建設公団理事原島龍一君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木部佳昭

    木部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 木部佳昭

    木部委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  5. 太田一夫

    太田委員 最初運輸大臣国鉄お尋ねをいたします。  それは、ついこの間、六月十八日に、東北本線レール更換工事が行われまして、世人の注目を引いたのでありますが、その際に思いがけない事故が発生をいたしまして、そして死者一名、重軽傷者二十八名の犠牲を出すようなことがございました。  これは私ども具体的な内容は存じませんから、必ずしも正確な推測ではないのではないかと思いますけれども、しかし、ベテランの高田さんという保線の係の方が、二十年の経験を持ちながら今度の重軌条更換によって、機械にはさまれて亡くなったということは、何と考えてみても計画にミスがあったのではないか、計画の手落ちではないのかというような気がするのであります。いたずらに人海作戦をとったというのではないでしょうけれども、何かリハーサルをおやりになったにしては手抜かりが多過ぎた、こういう点が思われます。  さらに、多くの重軽傷者を出したボルトであるとかバネだとかパッドというようなものが飛散をして、そしてけが人が出たという件について考えますと、上野発仙台行き特急ひばり四号というのは、レール更換をしておるという現場を少なくとも百キロ以上のスピードで飛ばしたのではないか。もしこのスピードが、工事中の傍らを通るのでありますから当然に徐行運転をしていたらそういうことは起きなかったのではないかという気がするのであります。  それで、これはこの際申し上げていいか悪いかわかりませんが、最近新聞を読んでおりますと、国鉄の方におきましては全くみごとな広告をなさいまして、十六、十七、十八日の三日間にわたって、「国鉄は話したい」と最初の日に話しかけられ、そうして非常に借金借金だとここでおっしゃった。第二日の十七日の日には、国民皆さんの負託にこたえるために、私たちは安全でそして正確なダイヤを守って一生懸命やっておるんだということをおっしゃる。それで仕事内容について非常に責任の高い仕事をしておることをおっしゃりながら、十八日の日には「健全な国鉄をめざして」こういう大きな見出しで、字だけはりっぱでありますが、中に書いてあることは、最後は運賃二倍論をあなたが御容認いただけるなら幸せだというような、一杯ひっかかったような三日間連載をおやりになった。これはただじゃないと思うんですよ。  ここまで気をお使いになるならば、私は、この間の東北線レール更換工事に対してあのような事故が起きることは、どう考えてみてもベテラン国鉄が起こした事故とは受け取りがたいものがある。何であったでしょうか、またどう考えていらっしゃるか、これを大臣国鉄施設局長の両方からお答えをいただきたいと思います。
  6. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 十八日に東北本線始まって以来初めて、四時間という昼間の間合いをいただきましてレール更換いたしました。このことは、何と申しましても安全を考えまして、本来でございますと、夜間作業を中心に行われるべき性格の保線作業でございますが、四時間という間合いをいただいてレール更換をいたしました。作業は完了いたしましたが、先生指摘のように、はなはだ残念なことでございますが、一人の殉職者と二十八名の負傷者を出しましたことについて本当に申しわけなく思っております。  まず、事故内容でございますが、これは二つに分かれまして、まず第一番目の殉職者問題は、これはレール更換機という、これも国鉄が二十年以上開発しまして使われております機械でございますか、この機械を使いましてレール更換中——レール更換機と申しますのは約三キロの速度でレール更換するわけでございますが、この御本人は非常にまじめといいますか、後で奥様に伺いますと、この日のために非常に生きがいといいますか、一生懸命になっておられまして、つい作業熱心の余り、そこら辺は現在調査中でございますが、足をとられたか何かいたしまして、いずれにしましても倒れられた。即刻いわゆる作業指揮者は赤旗を出しましてモーターカーをとめたわけでございますが、約二メーター行き過ぎてそれが——その後直ちに病院に入れましたけれども、まことに不幸なことにお亡くなりになられたという実態でございます。  これにつきましては、現在私ども初め警察関係と事実関係調査されている段階でございますので、詳細のことはまだ本社としてとらえておりませんが、今後このような事故がありませんよう極力また検討してまいりたいと思っております。  それからもう一つ問題、これは私どもにとりまして、何と申しますか、非常に驚いている一つ問題でございますが、二十八名のいわゆるけが人が出たという問題でございます。  当時東北線は十八工区、実際は十八の現場部門がございました。その十八の現場一つ一つは独立した一つ作業でございました。飛来物によりまして、ボルト等が、レール付属品が飛んでけがをなさったという方は、この二十八名のうちの二十名がその飛来物によるけがでございますが、そのうち十九名が十二スパンという特定の現場で全部多発している。なぜその現場だけにそういう現象が起きたのかということにつきまして、実は私ども非常に検討しなければならない問題点でございまして、一つ一つ部品は、その下にあります砂利よりもずっと重いものでございます。ボルト類相当重いものでございます。それから、まだ私正確に聞いたわけでございませんが、その後の現場からの知らせでは、その後労働基準監督局等々ともいろいろ御調査があって、そういう部品がゲージの中にあっても舞い上がるという現象がなかったというようなことも、相互に一部は確認されている面があるようでございます。しかし、いずれにしましても、現実としてその十二スパンけが集中して部品が飛んだということにつきましては、現象として事実起こったわけでございますので、私ども深く反省をいたしまして、その原因を究明いたしたいと思っております。  なお、その工事をいたす前の列車が、御指摘列車がなぜスピードを落とさなかったかという御質問だと思いますけれども、当日につきましては、私も現実現場に行っておりまして、上下線間には全部安全のロープが引かれておりました。それから全区間とも全部固定式マイクでもって列車退避合図等は私自身全部確認してまいりました。私ども管理者側としてむしろ心配しておりましたのは、四十四ヵ所の踏切をとめるということで自動車とのトラブルの問題、あるいはいわゆる部外者が、見学者が大分来ておりますが、この問題、報道陣の安全の問題等々、その部外者との安全についてむしろ最初注意を払われていたわけでございますけれども、このようにそちらの方は全部完全にできておりまして、全然考えられもしなかった、区間内に起きました準備作業のものがあったというところに問題がございます。  なぜスピードを落とさなかったかといいますのは、東北本線四時間の間合いがありますので、十分時間があるという判断から、それから相当長い区間工事でございますので、これを全部徐行いたしますと相当列車のおくれというものが考えられ、それだけかえって作業時間がたとえば少なくなるとかあるいは逆さまに言いますと御迷惑をかけるという問題から、私どもはその四時間の間合いの中で十分できるということで、特にいわゆる列車の安全に関係いたします道床関係は全然作業の中にいじっておりませんので、したがいまして、四時間の中でできるというもとに徐行をいたしませんでした。  以上でございます。
  7. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 ただいま先生質問の中で、過般国鉄が三日間にわたりまして新聞に一ページ大の国民に訴える趣旨広告を出しましたことにお触れになりました。このことにつきましては、このような広告を出しました真意につきまして私どもは詳しく国鉄から報告を受けております。私どもは、国鉄がただいま控えております重大なる難局に対処しまして、政府はもとより各界で、来年度を初年度とする新しい生まれ変わりの計画というものを御検討になっておるということは、これはまあ承知の上でございますけれども国鉄自身がこの問題に取り組むに際しまして、従来の経験から国鉄実情というものを国民の皆様によく知っていただくという必要を痛感しておる またそのための手段として国鉄はこれまでもいろいろな努力をしてまいっておりました。たとえば最近パンフレットを出しましたのもその一つのようであります。これらの方法を通じまして、もう一つしっかりした、国民各層すべてのお方に実情を訴えたいという趣旨から、いろいろと専門家相談をしまして、その結果としてあのような方法を選んだということのように承知しております。
  8. 木村睦男

    木村国務大臣 太田委員からの御指摘の二点のことでございますが、いま事務当局から申し上げたようなことでございます。  せんだっての東北線レール更換で一名の犠牲者と多数の負傷者が出ましたこと、本当に私も遺憾に思っておるわけでございます。まあいままで国鉄がやらなかった——いままでは列車の合間を利用して軽わざ的にレール更換をやっておったのですが、今回は午前中四時間という時間をとってその間上り線ですか下り線ですか、一方をとめて軌条更換をやった。私はよく踏み切ったと思っております。今後とも多少利用者に御迷惑はかかりますけれどもレール更換は安全に関係することですから、かなり思い切った方法でやることはいいことだと思っております。ただ、あれだけの事故を起こしたということは、事前準備とそれから作業中の監督、そういう点が果たして万全であったかどうかというところに非常に問題があると思います。原因はどうであったかということはいま恐らく国鉄も調べておると思いますが、今回の原因がはっきりいたしますれば、それを十分将来に生かして、二度とこういうことのないように十分な事前準備監督を厳にして今後レール更換を必要なところは早くやるというふうに指導いたしたいと思っております。  それから広告の件ですが、いま局長が申し上げましたようなことでございます。再建問題は大変な大きな問題でございますので、国鉄といたしましてもじっとしておれないという気持ちで、ことに国民の、利用者皆さんの理解と協力がなければ再建はむずかしいということは私自身も非常に痛感をいたしておることでございますので、国鉄にとりましても非常に強くそれを感じておると思います。その一つ方法として、異例な新聞による意見広告といいますか、そういう方法国民皆さんに読んでいただき、国鉄のいまの問題点はどこにあるかということを訴えたいという気持ちから出たものだと思います。これに対して恐らく国民各層からいろいろ御意見が寄せられることだと思います。私は寄せられた意見再建のための参考に役立てていけば、これは大いに意義のあることではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 時間がありませんからこれ以上長くこの問題を論ずるわけにはまいりませんが、施設局長お尋ねをすることは、一つ工事の常識というものだと私は思う、少なくとも特急ひばり四号」の仙台行きというものを普通のダイヤ面スピード工事現場を通過させて、風圧によって巻き起こった事故が出てきた、これは仕方がないというようなものではない、工事の場合には徐行させるのが本来の原則ではないのか、私はそういうことを指摘しておるわけです。これはあなたは技術者の良心をもってロープを張り、メガホンを用意しておけばそれでよかったとおっしゃるが、もしだれやらがどうとかいうはずみに風圧の中によろけ込んできたときにはどうなるか、私は大変だと思いますから、そういう場合に何も定時輸送定時運転というところにこだわって無謀な運転をするということは、しかも百キロを超えるというようなスピードでもし走っておったとするならば、無謀運転計画、言うならば無謀な工事計画であるというそしりは免れないと思う。これを指摘したのであります。これはあなたの意見とは違いますから、これはまた後日やります。きょうはこの問題は申し上げません。大臣もその点はひとつ監督官庁監督者として聞いておいてください。  それから三日間の広告のこともきょうは論じません。しかしあなたがおっしゃったような意味で、よくとればこういうことですね。運賃二倍にしますよ、二倍にしますよということを言うと、国民が怒るだろう、怒って、そんなものじゃないよ、国が悪いのだよとか、あるいは運賃政策貨物運賃政策が悪い、いろいろなことで出てくるだろう、そのことを言ってもらうためにわざと右のほおをつついて左の答えを出そうとしたのだ、言うならこれもなかなか孫子の兵法でございますから、よくわかります。その辺できょうはとめます。  次に、今度は鉄道監督局長お尋ねをいたしますが、公共割引をどうするかという負担原則を長年議論されております。公共割引というのはいろいろありますが、公共割引を一挙に鉄道負担ではなくてそれぞれの所管する政策官庁負担だとするならば、言うならば国の負担として出すということになるならば、国鉄にしても私鉄にしても非常に経営が改善されることはあたりまえなんです。当然のことであります。  そこで、一つの具体的な例を申し上げますから、それによってお答えをいただきたいのでありますが、昭和四十四年九月一日付の運輸省鉄監局長建設省道路局長の連名による覚書がございますね。これは踏切道構造改良費負担方法についての覚書であります。踏切道構造改良費負担方法については、その覚書によれば、鉄道国鉄を含めまして大手三分の一、道路が三分の二と書いてある。もう一つ、人口五十万以下の市町村については、道路管理者の方の負担を考えて、鉄道二分の一、道路側二分の一、こうなっておるのであります。中小私鉄については、これは道路が全部持っておるようでありますね。二・三メートルという幅員を一つ基準といたしましていろいろ問題が起きておりまして、この負担割合が妥当であるかどうかというのが大問題。大体、道路を広げなければそこに自動車が通らない。道路を広げなければ人が安全に通れないというならば、それで踏切を改良しようというなら、当然これを原因者負担ということに踏み切って、全部道路側負担するというのがあたりまえじゃありませんか。それをなぜ鉄道負担させておるのか。公共負担をなるべく、企業体負担させるのではなくて、国の方が負担すべきだという意見が顕著になりつつある今日に、この覚書というのは四十四年のころのことでありますから、これは非常に時代錯誤であるので、再検討して改めるべきだと思うのです。そのことについて、これはひとつ鉄監局長と、金の問題公共負担問題がありますから大蔵省主計官に、ともにお答えいただきたいと思うのです。
  10. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 先生指摘のように、四十四年に建設省道路局長と私の前々任者との間に取り交わされた合意がございまして、先生がただいまお述べになりましたような、踏切部分維持費負担割合について道路管理者鉄道事業者との分担の取り決めがございます。その事実関係についてちょっと申し上げますと、大手私鉄以外の私鉄構造改良負担は、これは道路管理者負担するということになっております。それは別としまして、この四十四年に建設省運輸省との間の相談がまとまりまして、いまお述べになりましたような負担割合は、長い間の経緯を経て、このようないわば妥協約束が成立したものでございまして、踏切はいわば道路管理者から見れば、狭い二本のレールを含めて、全体の鉄道の敷地が、これが車両の通る道ではないかという考え方があり、また踏切といえども、恐らくそこを車や人が横断するのであるから一種の道路ではないかという考え方があり、その間にそれぞれにいろいろな経費を支弁するのにどちらがどう支払うかということについては、長い間の紛議があったわけでございます。その結果といたしまして、御指摘のようないろいろな事情を勘案しながら、やれ三分の一である、あるいは二分の一である、あるいはゼロであるといったような負担割合というものを四十四年に関係省の間で約束をいたし、それに基づいてただいまやっておるわけでございます。やはりこれは妥協でございますので、踏切の中のいわばレールでない舗装した部分というのは、直接には人間の足とその上を通るトラック、バス自動車というものがそれを毎日毎日いわば押して、その上に乗っかって走るわけでございましょうが、また同時に、直接に押すわけではございませんが、その横にあるレールの上を重い車両が毎日毎日頻繁に通りまして、その舗装部分についてもいろいろないわば力を加えているわけでございます。どちらかがどうであるということは、これは直ちには割り切れない問題で、四十四年の時代両省が御相談をしていわば手を打ったという形というものは、それはそれなりに尊重されるべきものではないかと思います。  ただ、この両省合意でまだカバーされていないものがございまして、そこの部分につきましては、道路管理者鉄道事業者との間でときどき紛議があるようでございます。こういった問題につきましては、ただいま私どもはさらに建設省と御相談を進めておりまして、妥当なところで、しかも鉄道事業者が新しい今日の時代に相応して不当な負担をこうむらないように、合理的な分担になるように、建設省と鋭意御相談を進めているところでございます。
  11. 西垣昭

    西垣説明員 いまの鉄監局長の答弁に特につけ加えることもございませんが、鉄道道路が交差する部分の改善の費用分担につきましては、その手を加えることになった原因がどちらにあるのか、その受益がどういうふうに配分されるのかということを基準といたしまして、両当事者の間で費用分担を決めるということだと思います。そういう意味で、鉄監局長が言われましたように、長年建設省運輸省との間で検討、協議の結果いまのような制度になっておりまして、先生が言われましたような踏切の場合、たとえば道路を拡幅する費用につきましては全額道路側負担する、もともと踏切のところであった道路部分につきましては両者が原則としては折半負担をするという現在の制度につきましては、これは合理的な制度ではないかというふうに考えております。
  12. 太田一夫

    太田委員 さらにいまの主計官にちょっとお金のことで聞きますが、どちらに原因があるかという問題は、むずかしいだろうと思う。その議論をやっていると、ある程度、それは局長もおっしゃったが、問題があるかもしれませんけれども踏切は道であることには間違いない。これはこちらの方の定説の方が私は力があると思うのでありますが、それは別として、最近の中小交通機関資金逼迫というものは、全く何とも目を覆うばかりのものがある。これは国鉄ばかりじゃない。これは何ともならない。これは国民の足を守るという点から存続させなければならぬことはだれしもがわかっておる。ところが、金のことになると、担保がない、仕方がない、こういうわけでしょう。お金がない、何とかしろ。不可能な話ばかりで、四方八方ふさがっておるわけであります。  そこで、私はこういうことを考えるのです。何とか担保なしで融資をするという方法は考えられないか。たとえば現在ある地方公営企業金融公庫などは、必ずしも地下鉄、市バス等のみでなくして、地方自治体が関与しておる公社の道路とか住宅等部門にも融資ができるならば、現在地方公共団体過疎バスや何かには助成金を出しておるわけでありますから、ここから融資ができるのではないか。独特の民営公庫というものがいまない現状でありますから、つくれば全くいいと思うが、つくれなければないとしても、公営企業金融公庫が現存しておるのだから、そこから融資の道が開かれて、無担融資制度ができるのじゃなかろうかという気もするのでありますが、こういう逼迫現状をどう考え、資金問題についてはどう措置をなされる御所存であるか、大蔵省の方の気持ちを聞きたい。
  13. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 公営企業金融公庫につきましては、先生御存じのとおり、地方公共団体が行う公営企業に対して資金を供給するということで、地方債計画の一翼を担っておるものでございまして、民営の企業に融資をするということは、現在の公庫の性格上ちょっとなじみませんし、法律上もそれはいまの時点では認められておりませんので、お話しの向きにつきましては、現行法上は取り上げにくい問題でございます。  ただ、御指摘のとおり、企業の資金というものにつきましては、いろいろ苦しいというお話もございまして、それぞれたとえば既存の政府関係金融機関、日本開発銀行でございますとか中小企業金融公庫でございますとか、それから地域によりましては北海道東北開発公庫でございますとか、これにつきましては地方鉄道等に対しましても従来からも設備資金融資しておる実例もございますので、そういう既存の機関の活用ということでお話の向きにできるだけおこたえしたい、こういうふうに考えております。
  14. 太田一夫

    太田委員 これは鉄監局長です。運輸大臣に聞いておっていただいた方がいいのですが、資金を融通するのに、この間何回かの危機に、既存の金融機関を使ってみたがそれだけでは十分でなかったことは御承知のとおり。で、補助金の前渡しというような制度をとってやりくりしたところもありますが、それでは十分でない。何とかせなければいかぬということは事実だ。ところが大蔵省公営企業金融公庫じゃだめだ。私は道があるかと思ったら、だめだ。だめだったら一つのものをつくればいいのであって、北海道何とか公庫なんかでは役に立たぬことはわかっておる。北海道は九州の役に立ちません。そこで私は時間がないので、いまの問題大臣に要望しておきまして、さらに資金逼迫に対して対処する方法を考えていただきたいと思うのです。  そこで私は、バス問題についてどうしても聞いておかなければなりませんからお尋ねしますが、バス経営集約化というのは一体どうなっちゃったのか。これは自動車局長に尋ねますが、かつて岩手県のバス企業の集約の問題が日程に上ったときに、大事なところに来て陸運局長、リーダーを首切っちゃった。それでこの次は、やらぬ、手も出さぬ足も出さぬ人を送り込んで水をかけた。どういうわけだ。  最近では愛媛県におきまして伊予鉄道、瀬戸内運輸、宇和島自動車等の不採算路線を七割から八割持っておるところのこの三社が集約したらどうかというので、県も力を入れまして集約化の運動が進んでおるわけであります。対策が進んでおります。こういうこともあって、西に愛媛県、北に岩手県があるとするならば、どちらか一日も早くこの眼を入れるべきだ。もう一つ遠くだと沖縄にありますけれども、沖縄は二社の合併をおやりになった。まあ沖縄の問題は別にいたします。どうしてもうちょっと第一線の施政官である陸運局長というものにそういう問題についてのリーダーシップをとらせなかったか。とらせる気があるかどうかお尋ねします。
  15. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  岩手県の事案につきまして、昨年の秋に現地の行政の責任者であります陸運局長が交代したことは事実でございますけれども、このことと実はいま先生指摘問題とはもちろん直接関係はないことでございまして、私どもも行政機関でございますから、責任者がかわりましても省の方針は変わりませんので、一貫してかわる前の局長の方針を踏襲して、新しい局長にもその方向に沿って努力するように督励していたところでございます。  それはさておきまして、いま御指摘のような岩手県につきましては、初め県がてこ入れしたところの公的一元化というふうな形で話が進んでおりましたけれども、なかなかこれはいろいろ支障もございますし、それから岩手県自身についても慎重論が台頭したというようなことがございまして、途中から公的という旗を一応おろしたわけじゃありませんけれども先のことにいたしまして、さしあたりは民営会社同士、いわゆる民営ベースで一元化するということで進んでまいったわけであります。そして私どもも、また仙台陸運局長民営ベースの一元化ということでいろいろ努力をしておりましたけれども、このことに対しまして非常な障害になりましたのが、昨年の七月十五日に岩手県南バスが盛岡地方裁判所に会社更生申し立てをしたということが一大障害でございました。私どもが行政措置の中で、行政指導の中で集約一元化の方向を進めております途中で、その対象になっております中心になっていた会社の一つが会社更生申し立てをしてしまったというところから、行政指導による集約一元化という問題がしばらく足踏みをしなければならないことになったわけであります。私どもは、この会社更生の申し立てがもし裁判所によって棄却されるならば、もう一遍原点に戻って民営ベース一元化を進めたい、こう思っておりました。たまたま十月十一日に申し立て棄却されました。この棄却の事情については、裁判所の棄却理由によりますと、岩手県南バス経営者が再建に対して本当に熱心な気持ちがまだうかがわれないというふうなことが書いてございますけれども、管財人の選定その他について岩手県南バス経営者が不満を漏らしたというところが実質的な理由であったようでございます。  そこで、棄却になりましたので、それではひとつもとに戻って民営ベースの一元化を推進しようと思っておりましたらば、棄却になった直後、会社は仙台高等裁判所に抗告をいたしました。棄却を不服とする抗告をいたしました。仙台高等裁判所は十二月十八日に、この抗告を取り上げまして、原決定取り消し、盛岡地方裁判所に差し戻しという決定をいたしたわけでございます。そこで現在、盛岡地方裁判所では、会社更生申し立てがあったときと同じ時点に戻りまして、いま審理をしている最中でございます。  そこで私どもは、このことが非常な障害になりまして一元化の推進が阻まれておりますけれども、私は現在の岩手県の、特に県中央部及び県南部の交通状況を考えますと、単なる岩手県南バスがみずからの会社の財産保全あるいは債権の保全という考え方のみに立って会社更生を申し立てるというふうなことは必ずしも地域交通計画全体の見地から考えますと適当な手段ではないんじゃないかというふうにも考えております。  そこでごく最近でありますけれども、この会社の経営者に対しまして、昨年の夏以来ずいぶん時間がたったし、あなたのところはまあたとえて言えば会社更生法というざんごうの中に入っちゃって全然われわれに耳を傾けようとしないじゃないか。そういったことをしている一方において、岩手県の地域交通というものは日一日と荒廃の度を加えている。非常にわれわれとしても関心を持たざるを得ない。そこで、会社として一体どうするつもりなんだという、責任ある回答をよこしなさいということを申し入れまして、現在その回答を待っている状況でございます。  私どもも事態の推移を関心を持ちながら見ておりましたけれども、いつまでもこういったことでざんごうに入られたのでは行政としては困りますので、岩手県当局とも十分御相談いたしまして、やはり当初の方針でございましたところのさしあたり民営ベースによる一元化を進めたいということを考えております。
  16. 太田一夫

    太田委員 一元化を進めるという決意を承りまして安堵いたしましたが、新しい局長さんを叱咤勉励していただきまして、その先頭に立ってくださるように。だれかが声をかけなければならない。だれが声をかけるかと申せば陸運局長であります。  そこで愛媛県の場合でも、不採算路線というのは全系統の七割あるが、その七割の三分の一は三社の競合路線なんです。一元化ということが公的と言おうと集約的と言おうと、とにかく非常に地域の交通再建に役立つことは事実でありますから、りっぱに堂々とひとつ再建できますように、そして地域の人も安心するし、足の使命を発揮しながら労働者の職場も安定するというふうに持っていっていただきたい。お願いしておきます。  これは時間がありませんから最後に警察庁にお尋ねをいたしますが、これは運輸大臣と警察庁からともにお答えをいただきたいのです。  運輸大臣お尋ねしたいのは、この通行する自動車の総量規制ですね。総量規制の声、叫ばれて久しいのでありますが、一向にこれが具体化されない。道路の混雑緩和はしたがって総量規制しかない。あるいは排気ガスの規制も総量規制しかないことはわかっているわけだ。そうなるならば、その一つの具体化として、最近各地にあるバスレーンというものは極力積極的な推進方針をとるべきではなかろうかと思うが、大臣はどうお考えになりますか。  それから同時に、警察庁はバスレーンの推進の実際の当事者でありますが、これはバスレーンというのがどれほど都心のバス輸送の機能回復に役立っておるかということははかり知ることのできないものがある。ですから、現在どのような地区でどの程度バスレーンが普及しておるか、将来はどのような方針をもってこれを推進するつもりであるか、こういう点について警察庁の方からお答えをいただきたい。
  17. 森郷巳

    ○森説明員 輸送効率の高い大量輸送機関としてのバスの円滑な運行を確保して、マイカー等の自動車利用者をできるだけバスに乗りかえさせる、それによって自動車の交通総量を削減するということは、先生指摘のとおり、都市交通対策の問題として当面できるだけ強力に推進すべき事柄であろうというふうに考えております。  そういったような観点から、私どもも数年来バス優先通行対策を実施しているところでございますが、五十年の三月末現在におけるバス優先通行対策の実施状況は、専用通行帯を設置しているところが二百三十二区間、キロ数で三百四十キロメートル、それから、優先通行帯を設置しております区間が二百七十四区間、延長にしまして四百七十一キロメートル、それから、バス専用道路を設定しておりますところが九十九区間、延長にしまして八十一キロメートルでございます。これまで具体的にやっておりますところはほとんどの都道府県に及んでおりますが、いろいろその設置をしました効果を見てみますと、バスの運行所要時間がかなり短縮されておる、それからバスの運行回数も増加しておる、それから、バス利用客も増加しておるといったようなかなりいい結果を見ておるわけでございます。  私どもといたしましては、都市における総合的な交通規制を実施するという一環として、さらにバスの専用通行帯、優先通行帯並びにバス専用道路の設置、あるいはバス優先信号の設置、そのほかの施策を強力に推進するように各都道府県警察を指導してまいりたい、このように考えております。
  18. 木村睦男

    木村国務大臣 大都市におきます総量規制、運輸省としても賛成でございます。ことに、排ガスの減少、交通の円滑化の両方から非常に有効でございます。総量規制をいたしますと、それであふれたお客はやはり大量交通機関で賄わなければいかぬ。そこでバス輸送、そのバス輸送を円滑にするためにバスレーン。同時にバスレーンをふやしますと、普通の自動車の通る幅が狭くなりますから、今度は普通の自動車が非常に時間がかかるので、普通の自動車を締め出すという反射的効果もあろうかと思います。こういうことから考えまして、警察と協議をしながら、いま警察当局から説明がありましたようなことで逐次進めて効果を上げておりますので、今後ともこれは強化いたしたい、かように思っております。
  19. 太田一夫

    太田委員 終わります。
  20. 木部佳昭

    木部委員長 三浦君。
  21. 三浦久

    ○三浦委員 きょうは大臣がお見えですので、大臣に直接お尋ねをいたしたいと思いますが、大臣は五月十三日に私鉄運賃の値上げが緊急な検討課題になっているという発表をされておられますね。私は、この発言は物価対策上きわめて問題ではないかというふうに考えているわけでございますけれども、この発言をなさった大臣の真意をお尋ねいたしたいと思います。
  22. 木村睦男

    木村国務大臣 いまお話しのとおりの発言は、私はした記憶はございません。ことに緊急課題であるといったような発言はいたしておりません。当時私は、私鉄の昨年からの状況というものもよく知っておるつもりでございますし、私鉄経営内容は大体わかっております。そういう事情から、ことに昨年一回運賃改定をいたしましたけれども、それも十分ではないということも承知しているわけでございますし、いま私鉄が春闘後さらに一層経済の不況の中で苦しんでおるので、私鉄自体としては一刻も早く運賃改定をしたいという非常に強い意向のあることも承知をいたしておりますけれども、この問題は、いま政府が真剣に取り組んでおりますところの物価対策に非常に大きな影響を持っておるわけでございますので、これは慎重に構えて考えなければいけない、こういう気持ちであるわけでございまして、現在運賃値上げが緊急の課題でやらなければいかぬという気持ちはいま持っておりません。
  23. 三浦久

    ○三浦委員 それでは、なぜ各紙にそういうふうに報道されたんでしょうか。そうすると、大臣はどういう御発言をこの私鉄運賃値上げの問題に関してされたんでしょうか。
  24. 木村睦男

    木村国務大臣 恐らく新聞記者の方から私鉄運賃値上げの申請をすればどうしますかという問いがあったかと思うのです。で、私は、ごく事務的に、法律的に申し上げたのは、地方鉄道法によりますと申請は自由でございますし、自由にされる申請は受け付けざるを得ぬ、受け付ければ検討はしなければいかぬというその筋道を話したのが、そういうふうに受け取られたのじゃないかと思います。
  25. 三浦久

    ○三浦委員 その大臣の発言を受けまして、五月三十日に民鉄が総会を開いて、九月ごろには大幅な値上げを申請する、年内にも実施してほしいというような意見を表明しているわけですね。また決議にもなっているわけですよ。そうしますと、大臣と民鉄協会がしめし合わせて運賃の値上げのために動いているという疑惑を国民が持つのではないかということを心配したわけですね。前回の値上げのときにも、自民党に対する私鉄の政治献金との関係というものが大きく問題にされて、国民の疑惑を受けたばかりなんです。ですから私は、軽々しくこういう運賃値上げの問題についてまだ申請のない段階で発言をするのは慎むべきだというふうに思うのですが、この点について大臣の御見解はいかがでしょう。
  26. 木村睦男

    木村国務大臣 運賃問題で記者からそういう質問がありましたから、それに答えただけの話でございまして、それ以上何ら前進した答えは私はしておりませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
  27. 三浦久

    ○三浦委員 まあ、一国の大臣の発言というのは非常に重きをなしまして、事務的な答弁でもそれは単に事務的と受け取られないで、やはりそれぞれの人々に大きな影響を与えるわけですから、私は、今後こういう大きな国民的な問題になっている値上げの問題については、もっと御慎重な発言をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思うのです。  それから、前回鉄監局長に御質問をいたそうとした広告問題を改めて御質問いたしたいと思いますが、「やむを得なかった私鉄運賃の値上げ」というので、昨年私鉄運賃の値上げが認可された後に週刊誌やまた各紙に総理府の広告が載っておるわけなんです。その金額は全部で、ちょっと概算ですけれども、二千二百万円ぐらい使っておるようですね。それで私、私鉄運賃値上げの問題について、この値上げが認可される前に前の民鉄部長さんに質問しているわけなんですけれども、そのときに、民鉄部長さんは、私の方は「別に赤字を言い触れておるというわけではございません」ということを一つ言っておるのですね。民鉄が赤字だ赤字だということを宣伝しているというようなことはありませんということを一つ言っている。それから赤字の宣伝の内容ですけれども、たとえば事業報酬であるとか、法人税その他諸税、これまでも赤字の中に含めて宣伝しているのはおかしいじゃないか、こういう指摘をしたわけです。それに対して中村民鉄部長さんは、「先生指摘の点につきましては、単純に赤字だと言った場合に申されたような誤解を生ずるとするならば、その点もう少し補足したような表現をとってまいりたいと思っております。」こういうふうに述べているんですね。赤字、赤字だと言って政府は民鉄と同じ立場で宣伝をされるわけですけれども、その赤字の中身が、本来赤字であれば払わなくてもいい法人税であるとか事業報酬、こういうものまでも含めて赤字だというふうに宣伝されているわけですね。ですからそういう宣伝は不当じゃないか。適正な原価を償い、収入があるのにこれを赤字だと宣伝するというのは不当じゃないか、こういう立場で質問をしたら、誤解のないようにいたします、こういう答弁だ。ところが、「やむを得なかった私鉄運賃の値上げ」この広告を見てまいりますと、四十九年度見込み赤字は、各社合計で千八十七億円というふうになっているわけですね。この資料は運輸省から出たんだと思うのです、すべて「資料、運輸省調べ」こうなっておりますから。この千八十七億円の中には、事業報酬や法人税を含む諸税、こういうものが含まれておると思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
  28. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 前回はこの広告を持ってまいりませんで失礼いたしました。  御質問お答えいたします。  千八十七億円、これは見込みでございます。あるいは予想でございます。詳しく御説明すれば長くなりますけれども一つ考え方としまして、法人税を払う場合に払うべき金額あるいは事業報酬といったようなものが全部含まれた上での数字でございます。
  29. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっとその内訳を発表していただけませんか。
  30. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 いま直ちに詳しく御説明する用意も資料もございませんけれども考え方を御説明させていただきます。  すでにこの点につきましては、私の前任者あるいは前民鉄部長と先生との間にたびたび御議論があったことはよく承知しております。重複するかもしれませんが、この「四十九年度見込み赤字は、各社合計で千八十七億円(値上げ前の見込)。」この千八十七億円の考え方を御説明いたします。  まず第一に、この数字は具体的な私鉄の会社の収支決算というものを足してみたものでは当然ございません。これは四十九年度の数字を仮定して机の上で計算したものでございます。第二に、この数字は私鉄十四社の、それぞれに兼業部門を持っておりますが、会社全体としての損益計算を整理したものではございませんで、それの鉄道部門の収支というものを観念的、数学的に整理をいたしましてつくり上げたいわば観念上の数字でございます。それでこの数字をつくりますにつきまして、支出と考えるべきものの中に適正な事業報酬、具体的には鉄道部門で使っております固定資産から通常に上げる一定率の収益、具体的には、これは決算をやってみた場合にはたとえば借入金に対する利子だとかあるいは株主に対する配当だとかそういうものになると思います。そういった固定資産から、考えられる妥当なる事業報酬あるいは通常の配当を行うときに生ずる税金、こういったようなものを支出の欄に計上し、それから予想される収入というものと見合いまして、その差でございますね、その差を千八十七億と、このようにはじき出したものでございます。詳しく御説明するとまだいろいろと言うべきことがあるかもしれませんが、まず大ざっぱに御説明しますと、そういうことでございます。すべてこれはいわば机の上の観念からつくり上げた数字でございまして、個々の十四の会社の決算を足してどうこうしたというものではございません。
  31. 三浦久

    ○三浦委員 観念上の数字ではあるけれども、実際に私鉄運賃値上げの根拠にされているものであり、値上げの必要性があるということで、あなたたちがその数字をもって国民に宣伝をしている数字なんです。  それで、これはおたくからいただいた資料なんですけれども、原価としては人件費が千七百六十四億円、修繕費が二百三十三億円、経費が五百三十六億円、諸税が百八十一億円、原価償却費が四百三十八億円ですね。雑支出が三十九億円、事業報酬は六百七億円なんですよ。そうしますと、事業報酬と諸税というものを、これは本来赤字じゃないわけですから、千八十七億円から引いてみますと、二百九十九億円なんです。そうするとおたくの方で、昭和四十九年度見込み赤字は、各社合計で千八十七億円ですよ、こう言って宣伝をされているけれども、事業報酬と諸税を差し引きますと二百九十九億円なんです。これはあなたがさっき観念上の数字だと言われましたけれども、たとえば人件費でも、鉄道部門と他の事業との配賦の方法をぴしっと正確にやれば、私はこの時点での赤字はなかったんだというふうに思うんですね。赤字は出る見込みじゃなかったのだということを言いたいわけなんですね。それはともかくとして、少なくともあなたの方で民鉄部長さんが「単純に赤字だと言った場合に申されたような誤解を生ずるとするならば、その点もう少し補足したような表現をとってまいりたいと思っております。」と言っているけれども、これはちっとも補足してないですね。事業報酬がどうです、諸税がどうですというようなことは一言も触れてない。事業報酬や、本来赤字なら払わなくてもいい税金までこの千八十七億円の中にぶっ込んじゃって、そうして四十九年度は千八十七億円の赤字でございますと言って「やむを得なかった私鉄運賃の値上げ」こういう宣伝をされているわけですよ。これは私は、前の答弁、責任を持っていないじゃないか、そういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  32. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 どのような数字を赤字と呼ぶかということにつきまして、かつて先生と私の前任者との間でいろんな御議論がございましたことを私も読ませていただきました。その赤字という言葉をめぐっていろいろと私ども考え方先生のお考え方とが違うという認識は持っております。私どもは、かねがね前任者が御説明申し上げておりますように、私鉄のここでいまいろいろと御議論になっております数字というものを私ども検討いたしますのは、これは当然運賃の申請を審査し、認可する過程において必要なものとしていろいろ検討するわけでございますけれども、適正な利潤を生みながら能率的な経営をして、それで永続的に鉄道事業が成り立つように運賃を決めるべきだという観念を持ちまして、その観念に照らして出された申請の運賃というものが適正であるかどうかというものを判断する材料として、先ほどから申し上げております、それを赤字と呼ぶかどうかについて御議論があるといたしまして、収と支がどうなるか、どのような運賃ならばどうなるか、どのように運賃を改定すればどうなるか、運賃の値上げ額は適正であるかないかということを判断する材料として、先ほど来申し上げておる数字をいろいろと検討しております。その結果、事業報酬と税金を支出に掲げ、収入との差というものがありましたときに、それを私どもはこうやって赤字と言っておりますけれども、それは確かに私は、先ほどからたびたび申し上げておりますように、これは具体的な会社の具体的な収支決算というものについて言っているのではなくて、そういった通常考えられる、あるいはあるべきと申しましょうか、そういった支出と収入との差という数字をわれわれは先ほどから赤字と言っておるわけでございまして、そのこと自身がもし御議論があるのならば、それについて御説明を申し上げたいと思います。赤字ということの呼び方についての問題は、年来の御議論でございますけれども、どうもこれは言葉の問題、私どもの御説明は御説明として御理解いただきたいと思います。
  33. 三浦久

    ○三浦委員 適正な原価、そして適正な原価を償い、そしてまた適正な利潤をもとにしながら、適正な運賃とは何かということを算定していくということは、それは結構でしょう。しかし、いま私が言っておるのは、いま局長のおっしゃるようなことですと、適正な原価を償う収入があった場合でも赤字だというふうにおっしゃる、こういうわけですか。適正な利潤がなかった場合ですね。利潤がなくて、ちょうど適正な原価を償う収入があった場合に、それをも赤字だというふうに宣伝されるおつもりなんですか。
  34. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 宣伝云々は別でございます。私ども運賃のあるべき額というものを考えるに当たりまして、ある仮定された運賃額のもとで予想される収入、その同じ時期に鉄道部門負担しなければならない支出、それを見比べまして、支出額の方が収入額よりも多ければ、それは収支差でございます。したがって、ちょうど事業報酬の分だけ差し引いた支出とそれから収入とがもしイコールであるならば、事業報酬に相当する額が私どもの言う収支差であるということでございます。
  35. 三浦久

    ○三浦委員 だからそれは赤字と呼ぶわけでしょう。収支差を赤字と呼ぶわけでしょう。いま局長がお話しになっているようなことは、前回の中村部長さんとの間ではちゃんと意見が一致しているわけなんです。そうでしょう。しかし、そういう収支差というものを単純に赤字というふうに言ったんでは誤解を与えるかもしれないから、だからその収支差を赤字と言う場合には補足した説明を入れましょう、こういうのが民鉄部長さんのお話だったんですよ。ところが、その後認可された後これを見てみますと、宣伝を見てみますと、全然コメントがないですね。赤字だ、四十九年度見込み赤字は各社合計で千八十七億円。この中には事業報酬、諸税が入っておりますよ。あるべき企業経営体として当然支出されなければならない事業報酬であるとか諸税というものが入っておりますよというようなコメントは何もないんだ。ですから私は、それじゃ私に対して答弁をしたことは全然責任をもって実行されてないじゃないか、国会でもって議員が質問をし、それに対して回答したことがその後の行政に全然生かされていないというのでは責任のある答弁ではないじゃないかというふうに思うわけなんですよ。それでいま私は再度御質問をしているわけなんです。  そうすると、局長さんは、今後もこういうコメントなしに、要するに自分たちとしては、あるべき支出と収入の差があればそれは全部赤字なんだ、こういうふうに宣伝をされる、こういう御意思なんですか。
  36. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 二つの問題がございます。先生の御議論の中でそれは問題がないんだとおっしゃっている部分かもしれませんけれども、今後運賃の申請を審査する段階でどのような考え方をとるかについては、先ほど来申し上げているような考え方を、時代に応じていろいろと考え方をまだ発展させることがあり得るといたしましても、基本的にはそういうふうにいたしたいと思います。  二つ目の問題、宣伝——これをまた宣伝と言うかどうかでございますが、私どもは、これらの問題につきまして、いろいろと外部に向かって必要に応じ、いろいろな形で御説明をする必要があると思います。そういった場合に、従来先生が御指摘のような、赤字という言葉を使うことがおかしいとおっしゃっていらっしゃることについて赤字と呼ぶことにつきまして、それを呼んではいかぬというふうに私は考えておりません。ただ、こういったことにつきましての説明というのは、そのときそのときに応じまして、また、この説明の前後の全体の調子によりまして、それぞれ相手に応じてわかりやすくあるいは簡明にいろいろとしなければならない。そこで、どうする、こうするということをただいまはっきり将来に向かって申し上げることは差し控えさしていただきます。わかりやすくしなければならぬということは、私もそう思います。
  37. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、中村民鉄部長さんと答えが違ってくるわけですね。それで千八十七億円の赤字だと言っておきながら、事業報酬とか諸税を引いたら二百九十九億円なんですよ。これはまさに私は、ごまかしの宣伝だという以外の何物でもないと思うのですよ。ですから、この点、もっと国民にわかりやすいような宣伝を、実態に即した宣伝をするように私は強く要求しておきたいと思うのです。  次の問題ですが、これは鉄建公団にお尋ねします。油須原線の問題なんですが、昭和四十九年に予算がこれに八億円つきまして、昨年一年間で一億六千万円しか予算を使ってない。工事がほとんど進行していない、こういう状況なんですね。それで、あそこに油須原線ができるというので、多くの農民の方々、地元の方々が土地を提供されていますけれども、十数年来にわたって油須原線が開通をしない。昨年度初めて予算がついて地元の人々が大変喜んでいるわけですよ。ところが実際の工事の進捗状況はちっともはかばかしくない。いつこれは完成するんだろうか、こういう気持ちをたくさんお持ちになっていらっしゃるわけですね。  それで私、お尋ねしたいんですが、なぜ工事がこんなにおくれているのか、その理由と、また、いつごろまでに完成のめどをお立てになっていらっしゃるのか、この二点についてお尋ねいたします。
  38. 原島龍一

    原島参考人 ただいまの件につきまして回答いたします。  油須原線は、国鉄のただいま営業しております田川線それから添田線、彦山線、こういうものと一部交錯している線路でございまして、この工事を進めるに当たりまして、営業線に接近ないし交錯しているので非常にむずかしい問題がございます。  細かくなりまして恐縮でございますが、第一番に先般国鉄が営業を廃止しました川崎と第二大任の間、これの軌道を撤去いたしまして、路盤を補修しなければなりません。それから田川線に接近したところでの路盤工事がございます。  それから次に川崎駅とか大任駅、油須原駅、こういうところでの連絡設備というようなものがございます。そのほかに踏切の立体交差というようなものもございまして、国鉄と協議をしなければならないものがたくさんございまして、ただいまこれにつきまして国鉄と協議中でございまして、目下これに日時を費やしているところでございます。  こういうわけで、第一番目の工事がおくれているというのは以上のような理由に基づくものでございます。  それから二番目に、いつ完成するのかということでございますけれども、ただいま申し上げました国鉄との協議、これは在来線の方でもいろいろこれに関連する工事がございまして、この協議が整いましてから大体一年半ぐらいはかかるんじゃないかと思われます。  私ども公団といたしましては、できるだけ早い時期に完成させたいわけでございますが、予算の関係それから、いまの協議の関係、こういうものがございまして、極力早い時期に完成させたい、竣工させたい、こういうお答えしかいまのところできないので本当に恐縮でございますが、できるだけ早い時期に完了したい、こう思っている次第でございます。
  39. 三浦久

    ○三浦委員 いまおっしゃいました路盤工事関係についての協議、これはもう国鉄との間にできているわけでしょう。
  40. 原島龍一

    原島参考人 大体はできておりますけれども、一部まだできていない個所もございます。
  41. 三浦久

    ○三浦委員 それからこの開業設備に関する協議、これはまだ全然整ってないわけですね。
  42. 原島龍一

    原島参考人 おっしゃるとおりまだ協議中ということであります。
  43. 三浦久

    ○三浦委員 国鉄に対して開業設備についての協議申し入れはいつごろされたのですか。
  44. 原島龍一

    原島参考人 昭和四十九年の十二月の末に公団の下関支社から国鉄の九州総局あてに文書を発送しております。
  45. 三浦久

    ○三浦委員 いま四十九年と言いましたか。
  46. 原島龍一

    原島参考人 失礼しました。四十八年の十二月の末でございます。
  47. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、その申し入れ、下協議の申し入れと言っておるようですね。下協議の申し入れをすると、それについて九州総局の方から回答があるわけでしょう。どうなんですか、通常の場合は。
  48. 原島龍一

    原島参考人 通常、回答ございます。
  49. 三浦久

    ○三浦委員 すると、現在その回答はあるのですか。
  50. 原島龍一

    原島参考人 その回答をまだいただいておりません。
  51. 三浦久

    ○三浦委員 国鉄お尋ねしたいと思うのですけれども昭和四十八年の十二月に下協議の申し入れを受けておきながら、なぜいままでそういう協議についての作業をせずに回答がおくれているのでしょうかね。その理由についてちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  52. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 建設公団から協議をいただきましたのは、私の方は昨年の一月、先生のおっしゃるとおり協議いただきました。当時は私の方も山陽新幹線等非常に忙しいプロジェクトがたくさんございまして、そういう点で若干協議に応ずる体制が不十分であったということが一つございます。  それからもう一つ申し上げますと、先生御承知のようにこの油須原線は当初は貨物、特に石炭を輸送するということで建設の計画が進められてまいりました。その後その辺の事情が変わりまして、福岡県における東西を結ぶ輸送短絡ルートとしての性格として考えたちどうかというような意見もございましたけれども、ごく最近になりましてこの地区からむしろ行橋方面に至る通勤を重点とした線区にしたらどうかというようないろいろの事情の変更がございまして、ようやく私の方もどういう設備にしたらいいかということがほぼ固まってまいりましたので、近く建設公団と協議を続けなるべく早くまとめたいという段階でございます。
  53. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、新幹線も走って、いまもう走っていることですし、ひとつなるべく急いでこの協議を成立をさせて、一日も早くこの油須原線を開通させていただきたいと思うのですが、それはよろしゅうございますか、国鉄の方。
  54. 高橋浩二

    高橋(浩)説明員 できるだけの努力をいたしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、油須原線だけの問題でなくて、油須原線が開通いたしますと、国鉄側自体の田川線あるいは日田彦山線等の改良もあわせて行わなくちゃならないという問題もございますので、それらの見通しを得た上でできるだけ早く進めたいというふうに考えております。
  55. 三浦久

    ○三浦委員 技術的なことはそちらにお任せするとして、鉄監局長の方にお尋ねしますけれども、これは産炭地域振興基本計画の中にも、またその実施計画の中にもきちっと盛られているわけです。これは産炭地域振興臨時措置法という法律に基づいてつくられているものなんですけれども、この中には油須原線の新線建設を促進するというのが実施計画の中にあるわけです。ですからそういう意味で産炭地域の振興という観点からも私は急いでいただきたいというふうに思うのです。せっかく予算もついていることですから、そういう立場でひとつ運輸省の方も国鉄とそれからまた鉄建公団の方の御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  56. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 予算の問題があり、いま非常に金の苦労をしておる国鉄鉄道建設公団が両方で相談をしておって、金の相談をしておる。さらに来年度の予算の問題もある。いろいろな問題があることは、ただいま両方から御説明申し上げたとおりでございますが、しかし、ただいま先生のお話しのように、この線につきましてはそういった制約の中でもできるだけの努力をして、地元の方にできるだけ早く喜んでいただけるように努力をいたしたいと思います。
  57. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。  関連で梅田議員が質問いたします。
  58. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がございませんので、少し近鉄の京都線の踏切改善策につきまして御質問申し上げます。  御承知のように本年の四月十七日に近鉄京都線新祝園五号踏切におきまして衝突事故がありました。六十六名の方が重軽傷を負うという大変な事故でありまして、先頭列車は線路上に直角に横転をいたしまして、ちょうど並行して走っている国鉄片町線の線路上を覆うように横転いたしました。幸い二重事故は避けられたのでありますけれども、大変な住民の不安を呼んでおります。近鉄京都線というのは、もとは奈良電鉄というように言うておりまして、昭和三年にできております。ところが、その辺には問題踏切やたくさんの踏切があるんですけれども、全部鉄道ができる以前からの生活道路でありまして、踏切幅が狭いからといって一律に自動車の通行を禁止するというわけにいかないんですね。だんだん自動車がふえてきた時代に即応した踏切体制になってないというところに一番大きな問題点があるんじゃないかと思うのです。私も、事故が起こって現地も視察したのでありますが、この新祝園第五号踏切というのは、府道から入りましてまず片町線の踏切を通過いたします。これは二・一メートル、町道も二・一メートルの幅があるのですよ、それを越えますと近鉄の踏切になる、ここで急に一・八メートルに狭くなっているんですね。だから問題自動車はそこで脱輪を起こした。ですから、現地で実際にそこを見てみますと、ちょっと踏切のところが下り坂になっておって、せっかく道が広いのにそこで急に狭くなるということで、私は、近鉄側がいままで踏切の改善策を怠ってきたんではないかというように思うわけです。また、問題踏切から北へ十一番目の踏切が狛田一号という踏切でございます。ここは町道が二・八メートルあるのです。ところが踏切の幅員はわずか一・七メートルしかない。ここはしょっちゅう脱輪しているというんですね。そしてここは駅の真横ですから、商店街もあって非常に人通りが多い、一日二百四台の車両、それから七百八十四人の通行人があるという町当局の調べが出ております。それで町民の方々に聞くと、ここは一・七メートルで非常に危険だから軽わざのようにして通っていくと言うのですね。そこはせめて何とか道路幅にする必要がある。そうすれば大変な損害を起こすような事故を未然に防ぐことができるのじゃないか。いろいろ住民運動が起こりまして、先般近鉄は住民の要求に対して、一つは、狭小な踏切は幅を広げ、脱輪防止の工事を進める、二つ目に、障害物検知装置の充実を図る、こういう二点を中心とした安全対策を決めたというように言われておりますが、運輸省としてこれは確認されておるのかどうか、また今後こういう踏切に対しての改善策をどのように指導、監督されていくのか、承りたいと思います。
  59. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 前回に御説明申し上げましたとおり、現在私どもが総理府を中心として立てております踏切の安全対策の方策といたしましては、幅が二・三メートルに至らざる踏切につきましては原則として自動車の通行は禁止していくんだというような考え方であります。  しかし、ただいま御指摘の近鉄の事故を起こしました踏切は、いま初めて伺いましたが、昔からの道路でございましょうし、それから上り下り両方の隣の踏切の位置を調べますと、この踏切自動車の通行を禁止しますと、ちょうど一キロメートルにわたって自動車が渡れなくなるようでございます。この総合対策にも、住民の生活に重大な支障を及ぼす踏切道については若干のいわば考え方を変えるんだという思想もあるようでございますし、基本的な政策はこれ、具体的な対策はまたこれ、御指摘踏切をめぐる問題につきましては、地元の道路の管理者、鉄道事業者である近鉄あるいは陸運局、警察、当然そこいらは地元の住民の方の御意見も伺わなければならぬと思いますけれども、そういうことで現実的な処理をされることが私はいいと思いまして、そのような考え方で臨んでおります。確認をしたかどうかという御質問につきましては、遺憾ながら私は具体的に確認はしておりませんけれども、そういうことであるのかどうかは存じませんが、この踏切はまくら木の長さが一・七ないし一・八メートルのようでございますが、ここには近々そういうまくら木でないものを並べた踏切というものをつくるようなことが考えられているというふうに私は聞いております。
  60. 梅田勝

    ○梅田委員 この問題踏切の隣の踏切は、新祝園四号という踏切なんですよ。町道は二メートル幅ですけれども踏切の幅員は三・五メートル、道路幅よりか広くしておるのですよ。それから狛田第七号という踏切は府道ですが五メートルでございます。ところが踏切の幅員は五・八メートル、脱輪してはならぬということで道路幅よりも踏切だけ広くすることも現にやっているのですね。ところが、点検しますとそれより狭いところがたくさんあるわけです。そういう点で、踏切自動車がふえてきたという時代に対応してないという現状にかんがみて、総理府の指導もありますが、やはり一律に車両の通行を禁止するということではなくて、生活道路という必要な面については、踏切の改良に努めるというところに指導の改善を強めていただきたいと思いますが、大臣、どうでございますか。そういう事故を防止するという点におきまして運輸省の指導方向につきまして御意見を承って、質問を終わりたいと思います。
  61. 木村睦男

    木村国務大臣 実は踏切事故があらゆる事故の中で一番多いものですから、いろいろ対策は講じておるわけでございます。ことにできるだけ踏切をなくそうというのが第一の対策でございます。存置しておる踏切については、いまお話があるように、そこで事故を起こさないように、必要なれば踏切のところの道路の幅を広げるとかいろいろな対策を講じて、要するに事故を起こさない対策を考えなければいけません。この両方をあわせて対策を講ずることが踏切事故の防止になりますので、具体的にはその踏切踏切について措置を考えていくといういき方で今後ともいきたいと思っております。
  62. 梅田勝

    ○梅田委員 その会社も事故を起こせば損をするわけですから、ほんのわずかの経費で踏切の改良というのは実際上はできるわけでありまして、ここは遮断機も警報機も全部ついているのですよ。ただ問題は道幅よりも狭いだけ。近鉄も直すということを約束しているようでありますけれども、ひとつ指導監督を厳重にしていただくということを要望いたしまして、質問を終わります。
  63. 木部佳昭

  64. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 私は、しばしばこの委員会でも取り上げました近鉄八王子線の問題について、その後の進捗状況を承っておきたいと思います。  四十九年の七月二十五日に集中豪雨によりまして三重県の天白川が破壊をし、堤防の決壊があった。そのことによって、近鉄は八王子線を従来廃止したいというような意向があったために、それを一つのチャンスとして廃線という方向を強く打ち出していたわけでございますが、地元の非常な反発がありまして、なかなか話し合いがつかない。その間、運輸省が間に入ってこの紛争の解決を要望してまいりましたけれども、このことについてどのような進捗状況になっているか伺いたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕  まず建設省にお伺いをいたしますが、十月末に復旧工事を完了したい、こういうようなことになっております。その後、本工法によってこの堤防を整備したいというようなことが前回の委員会でも表明されたわけでございますけれども、その進捗状況はどんなぐあいになっておりますか、お答えをいただきたい。
  65. 田原隆

    ○田原説明員 お答えします。  この天白川につきましては、前回も御答弁申し上げましたように、仮工事は十月二十日にブロック積みで完了いたしております。河川としてはこれで仮の効果を果たしているわけでございますが、本工事に着手すべくその後従事し、予算措置といたしましても四十九年と五十年の合計で災害費約二億、助成費約十二億、約十四億つけてございまして、全体事業費が二十六億五千万でございますので、進捗率は全体で五四%という予算措置はしてございます。こういう河川助成工事は第二年目までで五〇%くらいが標準でございますが、標準をやや上回る程度の予算措置がしてございます。ただ、この計画を進めるに当たりましては、河川の拡幅が必要でございますので、それに必要な用地とかあるいは家の立ち退き、そういうものが必要になってくるわけでございます。その方面の交渉を鋭意続けてきておりますが、ほぼ住民の方々の合意に達しておりまして、ただ、ただいま農繁期でございますので、個別折衝は六月二十日からにしてほしいという地元の要望がございます。そこで、一応きょうになりますが、六月二十日から個別折衝に入るという予定で現在まいっております。それが完了しますと、全面的に工事に着工できるわけでございます。  ただいままでのところ、近鉄線に関係のない下流の地区は工事を進めておりますし、近鉄線の区域内におきましても七百十メートルの間については護岸工事を進める予定にしております。用地並びに立ち退きその他の問題が早く完了するように努力をしておる段階でございます。  以上でございます。
  66. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それでは民鉄部長に伺いますが、この問題の解決はどのような進捗状況を示しておりますか、御報告ください。
  67. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 八王子線の存廃の問題につきましては、先生も御存じのように、昭和三十九年廃止の申請が出まして、以来、私どもとしては地元住民あるいは県あるいは四日市の市等を含めましていろいろと話し合いを進めてまいったところでございます。先生も御指摘のように、地元住民の非常に強い反対もございまして、未解決のまま経過してまいりましたところ、昨年の七月に天白川のはんらんということで鉄道も大きな災害をこうむりまして、現在は運行休止ということに相なっております。しかしながら、この休止状態というものを解除してこの八王子線を復旧するということにつきましては、相当多額の金もかかるということでございますので、この際従来からの懸案である存廃問題にけりをつける必要があるというふうに運輸省としては考えておるわけでございます。そういうことでございますが、その後も依然としまして事業者は全廃と言い、あるいは地元の住民は全線復活というふうなことで意見は対立したままでございます。このままでは私どもとしても、いつまでも休止の状態を続けるのは好ましくないので、何とか早期に解決したいということで、去る六月上旬に私どもとしましては、四日市の市長あるいは四日市の市議会の議長さんのところに一応運輸省としての考え方というものを示しまして、御検討を願いたい、そして内満な解決が図られるようにしていただきたいというふうにお願いしております。  一応この席で、その市長さんあるいは市議会議長さんにお示ししました私ども考え方を簡単に申し上げますと、八王子線は日永から八王子まで行っておるわけでございますけれども、そのうち日永−西日野間につきましてはすみやかにこれを復旧して運行を再開する。それから西日野−八王子間、これは天白川沿いの約一・五キロメートルでございますが、この間につきましては連絡バスを円滑に運行するということで鉄道の方は廃止をしたらどうか。三番目としまして、連絡バス運賃等につきましては特段の優遇措置を講ずるようにしたいというふうな趣旨考え方をお示しいたしまして、現在検討していただいておるという段階でございます。
  68. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これは地元の検討ということになっているようでございますから、私はこれ以上申し上げませんが、これについては、運輸省の方針について一応近鉄側も了承している、こういうふうに考えてよろしいわけでございますか。
  69. 高橋英雄

    高橋(英)説明員 ただいま申し上げましたような運輸省考え方に対しまして、近鉄としては、こういうことで解決されるならやむを得ない、協力いたしますというふうに申しております。
  70. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これは運輸省に要望しておきますが、十年戦争といいますけれども、もうすでに十年を経過しておるわけでございますので、早急に解決方を要望申し上げておきます。  運輸大臣にお伺いいたします。  私は前回、物価の委員会におきまして、総合交通体系の問題について福田経企庁長官といろいろ議論を交わしたわけでございますが、何といいましても、この総合交通体系の見直しについては運輸省が責任を持って行わなければならない、こういうふうに私は考えるわけでございます。この物特の委員会におきます議論の中で出ました問題は、五月二十一日にいわゆる総合エネルギー対策閣僚会議が開催されまして、そして低成長時代の経済の展望をどういうふうに見ていくかというためにはエネルギーの問題が非常に関連があるわけでございますのでそういうようなことが行われたのだと思うのでございますけれども、その際、福田長官からは、十月末というわけにはいかぬかもしれぬけれども、いずれにしても来年度の予算編成に間に合うようにこのエネルギー政策というものを決めたい、こういうようなことを表明されておるわけでございます。私、思いまするに、エネルギー政策——運輸部門がエネルギーを消費する割合というのは非常に大きいわけでございますので、そういった意味におきましても、五十年度中には総合交通体系というものを粗々まとめなければならぬ、こういうふうに思って長官にも申し上げたわけでございます。長官もまた五十年度中には粗筋を明らかにしていきたいというようなことを言われておるわけでございますけれども、運輸当局といたしましては、これに対してどういう考え方を持っているか、あるいは総合交通体系を固めるについてどんな作業を進めておられるか、これをまず伺いたいと思うわけです。     〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 総合交通体系につきましては、先生御承知のとおり、四十六年の七月に運輸政策審議会から答申を受けまして、その線に沿ってその後の運輸政策を推進してきたわけでございます。しかしながら、この答申後におきましてわが国の経済社会情勢の変化というものは非常に著しくあらわれておるわけでありまして、低成長経済への移行あるいは環境問題等を初めといたします高福祉社会への要請、こういった高まりが出ているわけでございます。そこで私どもの方としましては、このような情勢を踏まえまして運輸政策審議会の総合部会に総合交通体系の見直しの作業委員会をつくりまして、ここで鋭意検討を重ねておるわけであります。現在運輸をめぐる諸条件の中の特に制約要件として考えられてまいるであろう、ただいま先生エネルギーをお取り上げになりましたが、そういったエネルギー資源問題あるいは空間、環境それから労働力の問題、こういったものにつきまして、その制約条件の検討を中心としていま作業を行っておるところでございます。
  72. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 確かにいまおっしゃったように、特に経企庁の総合交通研究会の中間報告が出まして、いわゆる低成長時代については特に四つの制約がある、エネルギー、労働力、環境、空間というような問題からいま議論が進められておるわけでございますけれども、そういうような制約がある上にこの総合交通体系の見直しをしなければいかぬということなんですが、五十一年度からの経済見通しという問題もありますし、予算編成という問題もあるわけでございますから、そういう意味でやはり早期に総合交通体系の粗筋をつくらなければいかぬ、いつごろをめどにこれを作業しておるのか、この点いかがですか。
  73. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 私どもの方としてはできるだけ早くその作業を終わりたいわけでございますが、ただいま先生も申されましたように、経済フレームと申しますか、経済の六十年におきます姿をとらえるための、たとえば経済成長率とかそういった一つの前提要件もあるわけでございまして、私どもの方としましては、この総合交通体系が長期の経済計画あるいは全国総合開発計画の見直し、こういった作業と整合性をとりまして、最終的にそれらの時期と同様の時点におきまして最終結論を得たい、こういう考えでございます。
  74. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 大臣、いずれにしても総合交通体系、本年度中には粗々つくらなければならぬということはいまの御答弁でもおわかりだと思うのですが、そこでいろいろな問題が実はあるわけでありまして、この問題についてはこういう方針でいこうというような、大変むずかしいかもしれませんけれども、そういうものを粗々示していかないと、この総合交通体系それ自体ができないわけですね。たとえば、これは大臣も非常にそういう行政については詳しくていらっしゃるわけでございますからおわかりだと思うのでございますけれども、環境問題一つを取り上げましても新幹線騒音、この問題についても解決には三兆五千億というようなことも報道されているわけでございます。そうしますと、いまの国鉄財政の上からいきまして、国鉄財政の上にこれを賄うということになりますと、大変な年数がかかって、とてもじゃないけれどもこれは百年戦争になりゃせぬかというようなことではないかと思うのです。こういう問題に対して、いわゆる騒音発生について国鉄けが責任を持つというようなわけにはいくまいと思うのですね。そういうような問題、それから通勤地獄を解消するためにも、これは空間という制限があるわけですね。土地を入手するということが非常に困難、時間もかかるし多額の金もかかる。これも東京、大阪近郊をやるだけだって恐らく何千億という単位では終わらぬかもしらぬ。  そういうふうなことを考えてみますと、社会開発的な意味におけるそういう投資というものと、いわゆる国鉄の企業追求という一つの姿勢、そういうものがどこかで方針を出さないと方向が定まらぬ、計画が立たぬ、こういうことじゃないかと思うのですね。福田長官と議論を交わしてみますと、基本的には、やはりそういった国鉄問題については受益者負担だというようなことをおっしゃっておりますが、これはもう何回も繰り返された議論であって、だれしもがわかっているわけです。全く受益者負担なしというような議論をしている人はいない、一般消費者におきましてもそういうことはなかろうと思います。しかしそれは一つの比率の問題であって、そういう原則論だけで押し通していこうと思ったって、これはとてもできるものじゃない。あるいは航空機の騒音にいたしましても、騒音料を今度設定するというようなことを言っておりますけれども、これは、大阪に第三セクターをつくって大阪空港周辺整備をやろうといったところで、そう簡単に財源が確保できるわけじゃない。かなりの年数がかかる、それ以外の空港についてはほとんど手がつかぬというような状況でございましょう。そうしてみますと、そういった受益者負担の原理をかざしてみても、これは総合交通体系をつくるときの方針にはならぬのですね。したがって私が言うのは、社会開発的なそういういわゆる財政的な事業分担、そういうものと、いわゆる営業を中心とした企業のあり方というものを、何らかの方針を出さない限りは、こういう問題一つも進展することはできないのじゃないか、こういうことを非常に心配をいたしておるわけでありますけれども、そういう問題をあいまいにしてしまうと、総合交通体系をつくってみても全くの空理空文になってしまって、意味すらがないというようなことになりかねないわけでございますけれども、こういうような問題について、大臣どういうふうな方針をお持ちでございますか。
  75. 木村睦男

    木村国務大臣 総合交通体系の問題が基本になるわけでございますが、四十六年に運輸政策審議会の答申が出まして、それがもとになって現在検討を続けておりますが、御指摘のように、当時の経済の成長期を前にしての答申と今日とは背景がずいぶん変わってきております。ことにその間エネルギーの問題あるいは公共料金の抑制等ございますし、また先ほどお話ありましたようないろいろな外部的な制約条件も加わっておりますので、それらを踏まえてこの総合交通体系をどういうふうに進めていくかということは、これは実は非常に頭の痛い問題でございます。  ことに、その最も背景をなしますこれから先の経済の見通し、国土全体の利用、活用がどういうふうに展開していくかという、この基本が実はまだ決まっておりませんので、それらの一応形ができた上でそれを背景に交通体系というものを考えていかなければいかぬわけでございます。そうこうしておりますうちにもう五十一年度の予算の編成ということがございますので、われわれとしましては、一応いまお話しのように料金一つとってみましても、料金で賄うのかあるいは財政投融資で賄うのかという問題もあるのですが、料金の問題の中では予算にも関係する問題が出てまいっております、財投の問題になりますと当然予算に関係してくるわけでございます。まあ八月末までに来年度の予算の骨格をつくるという具体的なタイムリミットがございますので、この時点までは総合的ないわゆる交通体系というものはまだ非常にかすんでおりまして、やむを得ぬと思うのですが、しかし、いろいろいままで検討いたしておりますので、ぼやっとした、何となしにこうあるべきではないかというふうなことはあるわけでございますから、その程度のことを後ろに控えながら予算要求をせざるを得ないであろう、こう思うわけでございます。したがって、その後背景もだんだんはっきりしてきまして、最終的に予算が編成され国会に提出するという段階までには——あるいは運輸省の段階における予算案というものを途中で多少変えていかなきゃならぬという時点があるかもしれませんが、いまの時点に立ってものを申しますというと、そういうふうなことでいまは進めざるを得ない、かような状況で、実は非常に苦吟をいたしておるということが実情でございます。
  76. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 問題は、これは自動車関係にしてもあるいは航空機にいたしましても、いろいろあるのですけれども国鉄が何といっても企業としては非常に大きい企業でございますのでお伺いをするわけですが、いま私が申し上げました、端的に言えば公共性と企業性という問題だと思うのですね。それを財政をこの二つの面からどう処理していくか、問題はここにかかってくると思うのです。そういった意味において、先ほども指摘しましたけれども、新幹線公害をなくすだけでも三兆五千億という説を唱えられておる。そういうことを踏まえて公共性と企業性、この財政との関係国鉄当局としてはどういう希望を持っておるのか、その点についてはいかがですか。
  77. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 国有鉄道法ができましたときから、国有鉄道の、いわゆる公共企業体というものの性格が公共性を発揮するために、企業的な能率向上によって公共性を発揮させる、こういう規定づけがございます。現在までこの公共性と企業性との調和ということでずっと問題がございました。私どもは、一時、公共性を発揮するためには企業性の限度において公共性を維持するという意見があった時期がございました。また企業性、公共性を同時に発揮させるために国有鉄道の独立採算制、つまり財政的な自立ということをやらなければならないという意見がございました。いろいろと模索してまいったわけでございますが、現在、御承知のとおり、延べにいたしまして年間七十億人の旅客の御利用、あるいは物流におきますところの貨物の輸送におきましては大体一億六千万トン程度の輸送量がございます。したがいまして、幹線に限りませず、いかなる路線につきましても、公共性の維持ということについて腐心しておることは御承知のとおりだろうと思うのであります。その中においで公共性なるがゆえに企業的な採算の不可能な線が実はたくさんあるというところに非常に悩みがございます。したがいまして、私どもは、企業というのは一般私鉄の企業ということを頭に置いての企業性の問題でなくて、ナショナルミニマムとしての公共性を維持するために、いかに企業的な採算が得られるようにしていくか、こういうことが結局問題だと思うわけでございます。したがいまして、一部はもちろん利用者に御負担をいただかなければなりませんし、また一部については財政的な御援助をいただかなければなりませんが、いずれにいたしましても、目下のところは企業性、公共性の調和ということをもって国鉄の独立採算的あるいは財政的な基盤を強化していく、こういうことが私どもの考えでございます。
  78. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 時間が余りありませんからたくさんの議論ができないのですけれども、いまおっしゃったことは従来言われてきたことでございますから、私も抽象的な概念としては承知をするわけでございますが、問題はそういうことでは済まなくなってきておりますね。財政確保の問題を考えますと、そういうことでは済まなくなってきておる。ただ企業性という問題を追求したときに、たとえばフレートライナーなどは最近の実績は非常に落ちてきておると聞いております。これは経済情勢の変化もありましょうけれども一つはやはりストライキ権の問題がありますね。これとの絡み合いがあって、実際には廉価であるから使いたいけれども、とても定められた日数に届かないということで、どうしても利用者はトラックを利用するということになっておりますね。そういうような社会情勢全体を踏まえて見ますと、当初つくってきたフレートライナー方式で貨物輸送をやろうというようなことが、ここへ来て、全くできないということではないでしょうけれども、極端に言えばできなくなってきておるのではないか。そういうような可能性がだんだん逆に薄らいできている。それは一つは日本人の性格的な問題もあろうかと思います。正確迅速というような近代社会の一つスピード感が身についてしまったために、そういうような性格的なところにも由来すると思いますけれども、こういう問題を企業性の上から判断すべき要素が強くなってきているのではないか、こう私は考えるわけなんですけれども、そういうような転換ですね。転換というのは、実際に計画を立てて金をつぎ込んでしまうと、なかなかそう簡単にできない。そういうことで、一つ一つ部門について何年間ごとの見直しというものは必ず必要なんじゃないか、こう思うのです。それで、この企業性、公共性という角度だけではないと思いますけれども、そういう点の見直しというのは一体何年ごとぐらいに行われておるのか。この点はいかがですか。
  79. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 確かにむずかしい問題だと思いますけれども、先ほども質問ございましたように、企業性、公共性をどう考えるかという中の企業性の問題は、要するに収入とコストの関係をどう調整するか、収入で十分コストを賄って、その余剰分は利益分と申しますか、それはやはり新しい投資に向ける、これが企業性の本質だと思います。残念ながらそういうふうにいっていないということを先ほど申し上げたわけでありますが、御指摘のたとえばフレートライナー、これを一つとってみましても、これはコンテナの特急列車でございます。したがって途中でヤードで入れかえをしないで、そうして拠点間、拠点間を結んでいく。こういうことで非常に御利用をいただいておるのでございまして、これによって収入を上げるということも一つでございますが、一つには、ヤードその他にかかる諸掛かりをコスト減していきたい、こういうことの二つの目的をもって設定したわけでございます。しかし最近は御承知のとおり経済情勢の周囲の環境がございまして、多少利用が減ってきておりますが、それにいたしましても物流の時間距離を短くするということと、やはりコストを幾らかでも減らしていきたいということのあらわれが、実はああいうふうに速達をするコンテナリゼーションでございます。したがいまして、私どもは年々実はそういった経済需要と申しますか、国民の荷主のニーズということによりまして、到達時間を早くする、あるいは一定の時期には一定の定形的な貨車輸送をするというのが現在のニーズでございます。絶えずそれに合わせるように私どもは努力しております。ただ収入とコストが、たとえば収入が高いからほかのものはやめてしまう こういうふうなかっこうではやっていないわけでございます。
  80. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 この議論は非常にむずかしいので簡単にはできないと思いますが、この総合交通体系をおつくりになるときに、私は財政を含めて申し上げたのですが、そこまでは実際の比率を出すとかなんとかいうことは難事中の難事でございますからできないと思います。しかしながら、公共性と企業性の問題は、私鉄のいわゆる鉄道にしてもバスにしても、バス過疎バスなんかの問題が話題になっておりますけれども、これはあらゆる面にかぶってくる問題なんですね。少なくとも公共性と企業性という問題の基本方針ぐらいは総合交通体系の中に織り込んでもらえるのではないか、そういう方針を出すべきじゃないか、こういうふうに思いますので、この点を御要望申し上げまして、あと関連で松本委員質問がございますので、これで終わりたいと思います。
  81. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 石田議員の質問に関連しまして、若干の陸運問題についてお答えをいただきたいと思います。  大臣も御承知のように、一昨六月十八日に、国鉄といたしましては在来線で国鉄始まって以来と言われる大規模な老朽レール更換工事東北本線で行ったわけであります。わが党も、このレールの荒廃という問題に対しましてしばしば全国的に調査団を派遣いたしまして、在来線の安全確保のために特別調査を行ってまいりました。その都度その不備も指摘したわけでございます。今回の大工事に際しましても、昼間に列車をとめてこれをやらなければならなかった。それほどにレールが荒廃していた、こういうことを示すわけでございますので、この大工事の完成まで私たちは注意して見守っていたわけでございますが、残念ながら事故が発生したわけでございます。この工事で宇都宮保線区の高田軌道掛員の殉職、また二十八名の重軽傷者を出した、こういう点について心からお悔やみを申し上げるとともに、重軽傷者に対するお見舞いを申し上げるわけでございます。  こういう点を考えましたときに、今度の事故に対して万全なるところの安全対策が講ぜられていたかどうか、非常に疑問を私たちは持ちます。先ほども述べましたように、東北本線レール、道床等の問題について、昨年ですか、古河駅の付近で脱線事故がございました。その直後に私どもも間々田−野木間のレールの状況を視察に参りました。それは昨年の十一月二十五日のことでございましたが、北鉄道管理局の施設部長の案内で私自身もこの目で確かめてきたわけでございます。東北本線レールの荒廃状況というものが大変ひどかったことは事実でございます。当然この問題に対してこうした大工事をやったわけでございますが、ここで大臣に伺いたいことは、今回の事故に対しまして、国鉄監督の責任者でございます大臣といたしまして、どのようにお考えになっているか、まず大臣から伺いたいわけでございます。
  82. 木村睦男

    木村国務大臣 先般の東北線軌条更換につきまして、いまお話しのように一名の死者、多数の負傷者が出ましたことは本当に私も遺憾にたえないわけでございます。ただ、やり方としましては、従来軌条更換はああいうやり方でなくて、列車の合間を縫って軽わざ的にやっておったのでございますが、今回は初めてああいう試みをやったわけでございます。その点は、私は今後ともああいう行き方で思い切ってやった方がよろしいと思うものでございます。  ただ、あれだけの大きな事故が起こりましたのは一体どういうところに原因があったのか、まだ国鉄の方も調べておるようでございまして、いずれははっきりすると思いますが、事前に十分な準備というものができておったかどうか、それからいよいよ工事に着手いたしましたときに、その後の現場における監督というものが本当に行き届いて行われておったか、この二点に原因究明のメスは当然入ると思います。  それから、複線でございますが、片側だけ列車をとめて片側は走らしておった、この片側に急行列車を走らしておったのがあの事故の果たして原因になったのかどうかという点も究明しなければいけないと思います。いままでは旅客、貨物の輸送ということを念頭に置いてその合間にやっておったのを、思い切って今度やったのでございます。往復ともとめるということは大変な影響があるからということでまず片側でやったのでございましょうが、これらも、今後同じやり方をする場合に、大いに検討を要することであろうと思うわけでございます。  いままで国鉄経営が非常に悪化してまいりましたのですけれども、それも心理的にいろいろ影響があったろうと思います。軌条更換を思い切って長距離にわたって一遍にやらなければいけないという点は、やはりいままでのそういった経営上の問題にも多少の関連があるのではないか。その都度その都度安全な措置をやっておればこういうことはなかったであろう。とにかく一生懸命に貨物、旅客を輸送して何とか赤字を克服しなければいかぬというところに保守の面において反省すべき点があったのではないかということも考えられるわけでございますが、今後は、今回の事故を本当に将来に生かす意味国鉄検討検討を重ねて、二度とこういう事故の起こらないように十分な配慮をしながら軌条更換等をやってほしいと思いますし、そういう面では十分監督官庁としても指導をいたしたいと思っております。
  83. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国鉄側に伺うわけでございますが、今回の保線作業に従事した人が約三千七百人、こういうふうなことを聞いております。その内訳は国鉄職員が千八百、外部の作業員が千九百、こういうふうに概略聞いております。この外部から作業に加わった者はこうした工事にふなれな、いわゆる出かせぎと申しますか、そういう作業員が多かったということでございますが、ここに問題はなかったのかという点。それから最近、機械類の導入によりまして保線作業が能率化した反面に、こうした機械類に対する作業員の教育、訓練に欠けていた点があったのではなかろうか。また安全確保、特に列車の通過時の待避、こういう問題について万全な教育がなされていたかどうか。今回の大事故に対する事前準備については私どもも多少の疑問をここに残しておるわけでございますが、これらの事前準備について、要するに企画、施行上に無理があったのではなかろうか、こう思うわけでございますが、これらの点について国鉄として、全般的に簡単で結構でございますが、ひとつまとめて伺っておきたいわけです。
  84. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 東北線始まって以来の、昼間四時間の間合いをいただきまして線路の軌条更換をいたしましたにもかかわりませず、大ぜいの負傷者と一人の殉職者を出しまして、まことに遺憾だと思っております。  それで、先生お尋ねのまず第一点目の請負の問題でございますが、私どもの線路は全部直営というわけにはまいりませず、いわゆる専門家がやるべき性質の仕事と、それからそれの補助をいたしますような余り技術の要らないもの、こういうものは相当数を外注にいたしております。で、外注をいたします場合は専門の軌道業者でございます必要がありまして、ここら辺につきましては、国鉄経験を持っている作業指揮者等々のいろいろな制約のもとに、その会社を審査の上はっきり認可いたしまして、こういう業者はいわゆる線路にさわれるという業者の指定をし、その業者にやらせているわけでございます。それで先生指摘の、一部に技術にふなれな方々がおられたのではないかということでございますが、確かにこういう労務事情の中で、全員専門家であるというわけではなかったかとも思います。しかし、請負に対しましては十分指導と申しますか、その作業指揮者は全部国鉄を卒業しましたり、あるいは長年その会社の中で線路をいじくっていた専門家でございますので、この点につきましても、作業内容は業者にも十分説明してございます。しかし、確かに保線作業と言いますものはやはり相当の人手を必要とする作業だけに、直営の問題も当然のことながら、部外のお力におすがりするその教育は今後ともなお一層徹底してまいりたいと思っております。  それから二番目に、機械のふなれがあったのではないかという問題でございますが、私ども国鉄始まって以来の作戦でございますので、現地局といたしましては二回にわたりまして、この直営の実際の仕事をします方々に、側線でございますとかそういうところで、たしか二月だと記憶しておりますが、それから六月にも実際にリハーサルをしております。したがいまして、もっと何回も回数をやればよかったかどうかということについてはさておきまして、この殉職者を出しましたところのレール更換機と申しますのは、国鉄が開発しまして二十年以上たっている機械でございまして、機械そのものの性能とその他には十分熟知しているわけでございまして、それから条件も、私ども夜間でございますともっとひどい条件になりますので、総裁にお願いして一昼間一番いい環境の中で確かに作業は行われたと思います。にもかかわりませず、そうした中でこうした殉職者を出した、これにつきましては、重々私どもも、その原因等につきましては、いま関係現場機関あるいは警察の方々にもお調べ中でございますので、よく原因を突きとめまして、それから慎重な対策をとってまいりたいと思います。  それから第三番目の待避等の問題に手抜かりはなかったかということでございますが、私どもこの作戦を考えますときに、一番大きな問題は対社会との問題でございまして、四十四ヵ所の踏切を全部とめて、そのバス路線もとめるわけでございますから、これは県のあるいはバス会社のあるいは地元の方々の御協力を非常に得たわけでございますが、ともかく一斉に四十四ヵ所、栃木県の主要なほとんどの道路をとめてしまうということでございまして、これに対しまして道路側とのトラブルがなかったか、これを実は一番心配したわけでございますが、これは非常に予想外に問題がなかった。これは県の県警本部長にもお会いしましたときに、私も当日現場におりましたが、そのように本部長からも言われました。  それからもう一つは、見学者あるいは報道陣を含めまして、ふだん線路の中に入ったことのない人が始終入ってくる問題を私どもが一番心配をしておりまして、そのために片一方上り線は全部開通させております。下り線だけで作業するわけでございますので、上下線間には全部ロープを張りまして、ここから絶対出てはいけないという位置をはっきり明示しておりましたこと、それからこの区間十八区間でございますが、全部固定式マイクをつけまして、指令室を設けまして、そこから上り線に対しまする列車の接近、待避、これは全部マイクで放送されており、私自身ほとんどの現場を自分の足で歩きましたけれども、マイクの音が作業のために聞こえなかったということはないと思います。あらゆるそうした待避等のことにつきましては、まあいままでの保線現場、特に小規模でやっておりますところの保線の手当てといいますか、保線の環境から見ますと非常によかったと思います。にもかかわりませず、大勢の傷害者を出したということは、私どもは実はショックでございまして、これは十八工事区間それが一つずつ独立してあるわけですが、その中の一区間だけに大量に発生しているという問題、これはボルトでございますとか、そういうような軌道の付属品でございますが、ここら辺につきましては、在来も全国レール交換をやっておるわけでございまして、それは非常に重いものでございまして、どうしてああいうものが舞い上がったのか、これについてはいま現地でもいろいろと調べておりますが、さらに技術研究所等も含めまして、こうした事故が起こったことは事実でございますから、よく調査をいたしまして、さらに慎重に作業を進めたいと思います。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 きょうは関連ですし、もう時間が経過しておりますし、本会議もございますので簡単にお答えを願いたいと思います。  次に、職員局長が海外出張中ということでございますので伺いたいのですが、藤井厚生課長いらっしゃっていますか。——今回の事故で殉職されました高田職員でございますが、昭和十九年の四月十五日に国鉄に就職して以来、軌道掛として豊富な経験の持ち主であるというふうに伺っております。また残された御家族も、四十三歳の奥さん、それから十九歳で短大に行ってらっしゃるお姉さん、それから下のお嬢さんが高校三年、こういうふうに聞きまして、本当にお気の毒なことだと思います。  そこで、この殉職者に対する補償の問題でございますが、一月一日から一千百万円になったということを聞いておりますけれども、要するにこのお方も、三十有余年にわたって国鉄一筋に勤めてこられた方でございます。そういう面を考えましたときに、最近のインフレ時代、高物価の時代に貨幣価値が下落しておりますので、一千百万ではちょっと少ないのではないかというふうな気もします。特に六月十三日に、自動車の損害賠償責任保険審議会の答申でも、七月一日から一千五百万になる、こういうことの答申もございます。そういった点から考えまして、ちょっとこの一千百万は少ないのではないか、こういう気がします。また、三十余年間の就職期間における退職金、こういったものも当然殉職という立場から何らかの加算がされることと思いますが、まあ遺家族に対する万全の処置、これをどのようになさるのか、その点を決定していれば伺っておきたい。  それからさらに、国鉄職員でない下請業者の労働者が今回もかなり負傷しております。その人たちが、いわゆる責任の所在があいまいであるために、涙金程度で片づけられている例が間々あったわけでございます。そうしたことがありますと本当に気の毒だと思いますので、今回の負傷者の中にも下請の労働者がございますので、これに対してはどのようになさるのか。  この二つの点について簡単にお答えを願いたいと思います。
  86. 藤井徹

    ○藤井説明員 国鉄の厚生課長でございますが、ただいまの先生の御質問お答えいたします。  国鉄のこの種不幸にして殉職された場合の補償につきましては、労働組合との協約に基づきまして制度を決めておるわけでございますが、先ほど先生指摘のように、まず、殉職されますと御遺族に一時金といたしまして、最低一千百万円というものを支給することになっております。そのほか六年経過後からでございます、業務災害補償に基づく遺族年金といたしまして、基本給与の六ヵ月分が支給されるわけでございます。それからさらに、当然のことながら退職金が支給されるわけでございますし、それから共済組合に御加入になっておりますので、これの共済組合の規定に基づく遺族年金というものが、これが最低給与の百分の二十ということで、この方は先生指摘のように約三十年以上にわたって勤められておられますので、かなりの額になると思います。そのほか、当然のことでございますが葬祭料とかあるいは弔慰金といったものも出るわけでございますが、いまの段階では、残されました御遺族の方は非常に悲しみに打ちひしがられておられまして、そこまでお考えになる精神的余裕があるかどうかと存じますが、比較的落ちつかれた段階でよく御相談申し上げまして、もし仮にたとえば未亡人の方に就職の御意思があれば、それに就職のごあっせんを申し上げるとか、あるいは先ほど先生指摘のように、ちょうど学校に通っておられる御子弟もおありのようでございますので、これにつきましては、鉄道弘済会におきまして子弟の育英資金の貸し付けの制度もございますが、そういった制度をごあっせん申し上げるというような形で、あらゆる手を使って、できる限りのことをして差し上げたいと思っております。  具体的な金額につきましては、実は、先ほど来申し上げております退職金とかあるいは年金の計算の基礎になる給与の額が、亡くなられたことに基づきまして若干の昇給が行われる予定でございまして、その間の人事上の事務手続を進めておる最中でございまして、確定いたしましたら、先生のところに御報告に上がりたいと思います。
  87. 鈴木秀昭

    鈴木説明員 請負業者の負傷者の補償の問題でございますが、これは労働者災害保険法に基づきまして、労災適用を労働基準監督局に申請をいたしまして行っていくというのが基本的な法的根拠でございますが、なお見舞い金等々の問題も含めまして、よく関係業者とも相談、指導いたしまして、遺漏なきを期したいと思います。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一点、それでは、運転局長来ていらっしゃいますね。運転局長に伺っておきたいことは、これらの事故、詳細はもう申し上げなくてもおわかりでございますが、ただ、レール更換作業やその準備段階にあったときにも、いわゆる下りの「ひばり」ですか、二本通っている、これらの列車が非常に猛スピードで通った。そのために、線路の中に置いてあったものが舞い上がって事故になったというさっきのお話でございますが、こういったことを考えてみましたときに、こういう工事をやる場合に、少なくとも徐行運転をすべきではないかと思うのですが、徐行運転をしなくてもよろしいという規則になっているのかどうか、この辺を伺いたいと思うのです。
  89. 今野尚

    ○今野説明員 お答え申し上げます。  今度のような非常に特殊な工事をいたします場合に、工事を担当する側と輸送側といいますか、列車運転を担当する側と相当綿密な打ち合わせを行いまして、工事を担当する側では、先ほど施設局長から答弁がありましたように、いろいろな手だてを講じまして安全策を講ずるわけでございます。そういうことを背景にいたしまして、列車運転は従来のままでいいのかというような細かい相談までいたしまして、速度を下げなくてもこの工事はやっていける、いままでの経験といろいろな安全措置を講じた上で、前に通る列車の速度は下げなくてもこの工事はやれるという御相談まで綿密にいたしまして、それで計画したものでございまして、規則とかなんとかいうことよりも、細かい打ち合わせの上に立って、両者の判断でその辺の速度その他を決めているわけでございます。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんから、もう一点だけ、野原安全課長おいでいただいていますね。——こういうときに通過する国鉄列車の速度というものに対して、非常に私どもも危険に思うのです。いま十分の打ち合わせがしてあったというようなわけでございますけれども、労働省として、労働者の安全確保という面からいって、この点についてどのようにお考えになるか、お答えを伺って終わりにしたいと思います。
  91. 野原石松

    ○野原説明員 レール更換などのいわゆる保線作業従事者の安全確保につきましては、労働省といたしましても、従来から触車災害の防止などを重点といたしまして、法令の整備あるいは監督指導の徹底等を進めてきたわけでございます。  今回、御承知のように、東北本線レール更換作業におきまして、多数の死傷者の発生を見ましたことは大変遺憾に存じております。  労働省といたしましても、今回の事故を重視いたしまして、直ちに地元の労働基準局あるいは監督署から安全専門官あるいは監督官を派遣しまして、現在原因調査に当たらしておりますが、ただいままで私どもの把握したところでは、このレール更換作業方法あるいは作業の手順並びにそれに基づく教育あるいは現場における管理体制などに改善の余地があるように思われますので、これらにつきまして、今後さらに指導の徹底を図ってまいりたいと思います。  なお、先生指摘のように、最近列車スピードアップ等に伴いまして、保線作業の危険性が非常に増大しておりますので、今後はレール更換作業計画段階におきまして、安全の面から十分な配慮がなされるように、この面につきましても十分の指導を行ってまいりたいと思います。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 九月の二十六日もまた再びやるようでございますので、先ほど大臣からもお話があったように、再びこのような事故を起こさないように十分の監督をしていただきたいし、また施行に当たって注意をしてもらいたい、このように希望して終わります。
  93. 木部佳昭

    木部委員長 次回は、来たる二十七日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会