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1974-12-25 第74回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十二月二十五日(水曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員の異動  十二月二十四日     辞任         補欠選任      夏目 忠雄君     吉武 恵市君      橋本 繁蔵君     斎藤栄三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 小柳  勇君                 須藤 五郎君     委 員                 岩動 道行君                 小笠 公韶君                 劔木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 福岡日出麿君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 相沢 武彦君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        経済企画政務次        官        安田 貴六君        通商産業政務次        官        渡部 恒三君        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        通商産業省立地        公害局長     佐藤淳一郎君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        海上保安庁警備        救難部救難課長  安芸 昭助君        消防庁予防課長  永瀬  章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○適正な織工費の確保に関する請願(第六号)(  第三二号)(第一一七号)(第一五七号)(第  一五八号)(第一五九号)(第一八六号)(第  一八七号)(第一八八号)(第三一七号)(第  三一八号)(第三一九号)(第三二〇号)(第  三二一号)(第三六八号)(第三六九号)(第  三七〇号)(第三七一号)(第三七二号)(第  三七三号)(第四五一号)(第四五二号)(第  四五三号)(第四五四号)(第四五五号)(第  五〇一号)(第五〇二号)(第五〇三号)(第  五〇四号)(第五〇五号)(第五〇六号)(第  五〇七号)(第五〇八号)(第五〇九号)(第  五一〇号)(第八八四号)(第八八五号)(第  八八六号)(第一〇〇二号)(第一〇〇三号)  (第一〇〇四号)(第一〇〇五号)(第一〇五  二号)(第一〇五三号)(第一二〇〇号)(第  一二〇一号)(第一二六四号)(第一四四三  号)(第一六五七号)(第一九六七号)(第二  〇一〇号)(第二〇八四号)(第二〇八五号) ○織布業界の長期安定のため過剰設備廃棄に関  する請願(第七号)(第三三号)(第一一八  号)(第一六〇号)(第一六一号)(第一六二  号)(第一八九号)(第一九〇号)(第一九一  号)(第三二二号)(第三二三号)(第三二四  号)(第三二五号)(第三二六号)(第三七四  号)(第三七五号)(第三七六号)(第三七七  号)(第三七八号)(第三七九号)(第四五六  号)(第四五七号)(第四五八号)(第四五九  号)(第四六〇号)(第四六一号)(第四六二  号)(第五一一号)(第五一二号)(第五一三  号)(第五一四号)(第五一五号)(第五一六  号)(第五一七号)(第五一八号)(第五一九  号)(第五七六号)(第八八七号)(第八八八  号)(第八八九号)(第一〇〇六号)(第一〇  〇七号)(第一〇〇八号)(第一〇〇九号)(  第一〇一〇号)(第一〇五四号)(第一〇五五  号)(第一二〇二号)(第一二〇三号)(第一  二〇四号)(第一二六五号)(第一四四四号)  (第一六五八号)(第一九六八号)(第二〇一  一号)(第二〇八六号) ○過剰在庫凍結等による織布業界安定対策に関  する請願(第八号)(第三四号)(第一一九  号)(第一六三号)(第一六四号)(第一六五  号)(第一九二号)(第一九三号)(第一九四  号)(第三二七号)(第三二八号)(第三二九  号)(第三三〇号)(第三三一号)(第三八〇  号)(第三八一号)(第三八二号)(第三八三  号)(第三八四号)(第三八五号)(第四六三  号)(第四六四号)(第四六五号)(第四六六  号)(第四六七号)(第四六八号)(第五二〇  号)(第五二一号)(第五二二号)(第五二三  号)(第五二四号)(第五二五号)(第五二六  号)(第五二七号)(第八九〇号)(第八九一  号)(第八九二号)(第一〇一一号)(第一〇  一二号)(第一〇一三号)(第一〇一四号)(  第一〇一五号)(第一〇五六号)(第一〇五七  号)(第一二〇五号)(第一二〇六号)(第一  二六六号)(第一三三七号)(第一四四五号)  (第一六五九号)(第一九六九号)(第二〇一  二号)(第二〇八七号) ○織布業者に対する長期低利減産資金融資確保  に関する請願(第九号)(第一九号)(第三五  号)(第一二〇号)(第一二一号)(第一六六  号)(第一六七号)(第一六八号)(第一九五  号)(第一九六号)(第一九七号)(第三三二  号)(第三三三号)(第三三四号)(第三三五  号)(第三三六号)(第三三七号)(第三八六  号)(第三八七号)(第三八八号)(第三八九  号)(第三九〇号)(第三九一号)(第四六九  号)(第四七〇号)(第四七一号)(第四七二  号)(第四七三号)(第四七四号)(第五三八  号)(第五二九号)(第五三〇号)(第五三一  号)(第五三二号)(第五三三号)(第五三四  号)(第五三五号)(第五三六号)(第八九三  号)(第八九四号)(第八九五号)(第一〇一  六号)(第一〇一七号)(第一〇一八号)(第  一〇一九号)(第一〇二〇号)(第一〇四三  号)(第一〇五八号)(第一〇五九号)(第一  二〇七号)(第一二〇八号)(第一二〇九号)  (第一二三一号)(第一二六七号)(第一四六  一号)(第一六六〇号)(第一九七〇号)(第  二〇一三号)(第二〇八八号) ○織布業界不況打破のため制度融資償還猶予に関  する請願(第一〇号)(第三六号)(第一二二  号)(第一二三号)(第一六九号)(第一七〇  号)(第一七一号)(第一九八号)(第一九九  号)(第二〇〇号)(第三三八号)(第三三九  号)(第三四〇号)(第三四一号)(第三四二  号)(第三四三号)(第三九二号)(第三九三  号)(第三九四号)(第三九五号)(第三九六  号)(第三九七号)(第四七五号)(第四七六  号)(第四七七号)(第四七八号)(第四七九  号)(第四八〇号)(第五三七号)(第五三八  号)(第五三九号)(第五四〇号)(第五四一  号)(第五四二号)(第五四三号)(第五四四  号)(第五四五号)(第五四六号)(第八九六  号)(第八九七号)(第一〇二一号)  (第一〇二二号)(第一〇二三号)(第一〇二  四号)(第一〇二五号)(第一〇六〇号)(第  一〇六一号)(第一二一〇号)(第一二一一  号)(第一二一二号)(第一二三二号)(第一  二六八号)(第一四四六号)(第一六六一号)  (第一九七一号)(第二〇一四号)(第二〇八  九号) ○織物及びその製品輸入制限実施に関する請願  (第一一号)(第三七号)(第一二四号)(第  一二五号)(第一七二号)(第一七三号)(第  一七四号)(第二〇一号)(第二〇二号)(第  二〇三号)(第三四四号)(第三四五号)(第  三四六号)(第三四七号)(第三四八号)(第  三四九号)(第三九八号)(第三九九号)(第  四〇〇号)(第四〇一号)(第四〇二号)(第  四〇三号)(第四八一号)(第四八二号)(第  四八三号)(第四八五号)(第五四七号)(第  五四八号)(第五四九号)(第五五〇号)(第  五五一号)(第五五二号)(第五五三号)(第  五五五号)(第五五六号)(第八九八号)(第  八九九号)(第九〇〇号)(第九〇一号)(第  一〇二六号)(第一〇二七号)(第一〇三〇  号)(第一〇三五号)(第一〇六二号)(第一  〇六三号)(第一二一三号)(第一二一四号)  (第一二一五号)(第一二三三号)(第一二六  九号)(第一四四七号)(第一六六二号)(第  一九七二号)(第二〇一五号)(第二〇九〇  号) ○織布業機動的需給調整措置確立に関する請願  (第一二号)(第二〇号)(第三八号)(第一  二六号)(第一二七号)(第一二八号)(第一  七五号)(第一七六号)(第一七七号)(第二  〇四号)(第二〇五号)(第二〇六号)(第三  五〇号)(第三五一号)(第三五二号)(第三  五三号)(第三五四号)(第四〇四号)(第四  〇五号)(第四〇六号)(第四〇七号)(第四  〇八号)(第四〇九号)(第四八六号)(第四  八七号)(第四八八号)(第四八九号)(第四  九〇号)(第四九一号)(第四九二号)(第五  五七号)(第五五八号)(第五五九号)(第五  六〇号)(第五六一号)(第五六二号)(第五  六三号)(第五六四号)(第九〇二号)(第九  〇三号)(第一〇二八号)(第一〇二九号)(  第一〇三一号)(第一〇三二号)(第一〇三三  号)(第一〇三四号)(第一〇六四号)(第一  〇六五号)(第一二一六号)(第一二一七号)  (第一二一八号)(第一二七〇号)(第一四四  八号)(第一六六三号)(第一九七三号)(第  二〇一六号)(第二〇九一号)(第二〇九二  号) ○絹織物及びその製品輸入制限実施に関する請  願(第一七号)(第一二九号)(第四一七号)  (第四一八号)(第四八四号)(第四九三号)  (第四九四号)(第五五四号)(第五七四号)  (第九〇六号)(第一〇三六号)(第一〇四五  号)(第一二三四号)(第一三三八号)(第二  〇四八号)(第二〇九三号) ○繊維産業不況対策促進に関する請願(第二〇七  号) ○家庭用燈油大幅値上げ反対に関する請願(第  七二九号)(第八一二号)(第八一三号)(第  一一九〇号)(第一八八七号) ○経営指導員等処遇改善に関する請願(第八〇  一号) ○丹後機業危機打開のための緊急措置に関する請  願(第一二四四号)(第一二四五号)(第一二  四六号)(第一二四七号) ○中小業者営業生活の安定に関する請願(第  一五七六号)(第一九九〇号) ○公営電気料金算定基準の改定に関する請願(第  一六六六号)(第一八二二号) ○中小企業に対する融資わく拡大等に関する請  願(第一六六七号)(第一八二三号) ○中小業者営業生活安定施策に関する請願  (第一七九五号)(第一七九六号)(第一七九  七号)(第一七九八号)(第一七九九号)(第  一八〇〇号)(第一八〇一号)(第一八〇二  号)(第一八〇三号)(第一八〇四号)(第一  八〇五号)(第一八〇六号)(第一八〇七号)  (第一九五〇号)(第一九五一号) ○中小業者営業生活の安定に関する請願(第  一八〇八号)(第一八〇九号) ○中小業者営業及び生活の安定に関する請願  (第一八一〇号)(第一八一一号) ○中小業者営業生活安定のための施策に関す  る請願(第一九八九号) ○小売業者営業生活の安定に関する請願(第  二〇二七号) ○継続審査要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (派遣委員の報告)     —————————————
  2. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  河本通商産業大臣及び渡部嶋崎政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。  河本通商産業大臣
  3. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) このたび通商産業大臣に就任いたしました河本敏夫でございます。わが国経済環境がきびしい局面にございますだけに、その責務の重大さを痛感いたしております。  私といたしましては、この難局にあたり、国際社会の真の一員として国際協調につとめるとともにわが国産業の活力と将来にわたる創造的発展力確保しつつ、真に豊かな福祉社会の実現を目ざして、通商産業政策の展開につとめてまいる決意であります。  この機会に、これからの通商産業行政の進め方につきまして所信の一端を申し述べたいと思います。  まず初めに、石油危機の後遺症を克服し、今後のわが国経済を調和のとれた安定成長路線に乗せるため、物価の安定に全力を傾注していく所存であります。したがいまして、明年三月の消費者物価上昇率を、対前年同月比一五%程度にとどめるよう万難を排し努力することとし、なお当分の間総需要抑制策を維持してまいる必要があると考えます。同時に、総需要抑制策浸透に伴う失業、倒産等摩擦現象に対しましては、金融対策等きめこまかな手当てを行ない、社会不安の生ずることのないよう、万全を期してまいります。  さらに、明年度以降の経済運営につきましても、石油危機等による根深い傷を治癒することが先決であり、また、国際情勢も不安定でありますので、ここ二、三年は中期調整期間として、特に慎重な経済運営を行なっていく必要があると思います。  なお、物価問題に関連して豊かな国民生活と活力ある産業社会を実現するため、消費者保護対策充実流通機構合理化近代化及び産業競争条件整備には特段の配慮をしてまいります。独占禁止法改正問題につきましても、前向きに取り組む決意でありますが、この問題は、わが国経済の将来を方向づける重要問題でありますので、経済のバイタリティーをそこなうことのないよう十分な配慮をしてまいりたいと考えます。  第二に、今日の経済運営の困難さをもたらしている最大原因一つは、資源エネルギー問題であります。昨年来の石油危機により資源エネルギーの大部分を海外に依存するわが国経済脆弱性が明らかとなり、資源エネルギー確保重要性があらためて痛感させられました。  最近の石油をめぐる国際情勢は、産油国側における価格決定方式の変更や生産量調整動き消費国側における国際協調の進展等流動的であります。わが国としては、かかる情勢を踏まえつつ、産油国消費国との協調につとめ、資源エネルギー安定供給確保最大限の努力を払っていくことが必要であります。  すなわち、供給面におきましては、備蓄の抜本的強化をはかるとともに、サンシャイン計画等中心とする新エネルギー開発供給地域分散化等を強力に進めてまいります。  また、需要面におきましては、内閣に設置されました「資源エネルギーを大切にする運動本部」を中心に、わが国独自の立場から、消費節約国民運動を展開いたしますほか、長期的観点から産業構造の省資源省エネルギー型への転換を促推してまいります。さらに、廃棄物の再資源化にも力を入れてまいります。  第三に、わが国経済において事業所数で約九九%、製造業出荷額で約四九%、輸出額で約三三%を占める中小企業の健全な成長を促すことは、わが国発展にとって不可欠であります。このため、特に、小規模企業対策に力を入れてまいりますほか、引き続き中小企業高度化施策を拡充いたします。また、総需要抑制策浸透に伴う不況現象に対しましては、先般、政府系中小企業金融機関貸し出しワク大幅追加を行なったところでありますが、前述のように、適時適切な手を打ち、摩擦回避に万全を期する所存であります。  第四に、わが国経済は、諸外国と密接な相互依存関係にあり、資源エネルギー問題をはじめ、今日直面している諸問題は、国際的観点に立って解決をはかる必要があります。また、わが国経済は、国際経済において大きな地位を占めるに至り、その経済力を生かして国際社会に貢献することも、ますます要請されております。このため、国際間の相互協力を一そう推進してまいりますとともに、経済協力を量、質の両面から拡充するようつとめてまいります。  また、貿易面におきましては、国際収支の動向を注視しつつ、秩序ある通商関係を維持、拡大してまいります。  最後に、無公害で快適な社会は全国民の希求するところであり、引き続き産業公害防止技術開発環境アセスメント実施等公害防止全力を注いでまいります。また、産業活動高度化に伴う危険、たとえばコンビナート災害から国民生活を守るため、全力を傾注いたす所存であります。  なお、先日の三菱石油水島製油所及び三井砂川炭鉱事故につきましては、現在全力事故処理につとめておりますが、原因を徹底的に究明し、今後このようなことの起こることのないよう、万全の措置を講じてまいる所存でございます。  以上、通商産業行政を展開いたします上での基本方針を申し述べましたが、かかる方針を踏まえて、国民福祉の一そうの充実国際社会への貢献につとめてまいる決意であります。委員各位の深い御理解と御支援をお願いをいたしまして、職責を全うできるようにしたいと考えております。
  4. 林田悠紀夫

  5. 渡部恒三

    政府委員渡部恒三君) このたび通商産業省政務次官を拝命いたしました渡部恒三であります。  国民生活安定向上のために力一ぱい働きます。何とぞ委員先生方皆さま方の御支援、御指導をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。
  6. 林田悠紀夫

  7. 嶋崎均

    政府委員嶋崎均君) 過般、参議院側から通商産業政務次官を仰せつかりました嶋崎均でございます。  常日ごろ皆さん方にもたいへんごやっかいになっておりますが、当商工委員会には今後いよいよごやっかいになると思います。浅学非才でございますので、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。     —————————————
  8. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 福田経済企画庁長官及び安田政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。  福田経済企画庁長官
  9. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私、このたび副総理、経済企画庁長官を仰せつかりましたので、何とぞよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  たいへんいい機会でございますので、私の考えていること等につきまして若干申し上げさせていただきたいのであります。  書面でもお配りしておりますが、いま日本経済が当面しておる問題は、大きく言うと二つあるんです。一つは、国際情勢の変化の中でわが国経済かじのとり方をいかようにしてまいるかという問題でございます。それからもう一つは、当面の物価不況が混在するそのさ中で、どういう打開策を求めていくか、こういう問題でございます。  第一の、世界経済、また、その中での日本経済かじという問題でありますが、世界経済は非常な大変革の時期にある。戦後にはこういう変革時というか、転換期、そういうものはなかった。しいてこれを戦前に求めるならば、一九三〇年代だろうと思います。あのときは、一九二九年フーバー不況に始まりまして、世界が大混乱におちいる、五年間で実に世界の総生産が四割に減ったのです。また、総貿易が三割減ると、こういうような異常な状態でありましたが、今日は、非常な混乱ではありまするけれども、ああいう深刻な落ち込みは私はないと思います。つまり、国際経済協力機構というものがかなり完備されておる、そういう中でありますので、あんなひどい落ち込みにはならぬと思う。  しかし、もっと基本的なむずかしい問題がありますのは、資源有限性ということが世界の人々に認識されておる、認識されつつある、そういうことで資源保有国、これはどうしても売り手市場という立場をとるわけです。それからさらに、資源経済的目的以外の政治的、戦略的目的に使うというような動きも出てくる。それに対しまして、消費国は身がまえをする姿勢をとるわけです。つまり、省資源省エネルギー、そういう資源保有国資源消費国、その両方の立場を総合しますと、どうしても世界が低成長時代になっていくだろうと思うんです。しかも、低成長が定着した低成長であればまだしもでございますが、これがいつ石油戦略のような、ああいう資源戦略措置がとられるかもしらぬという波乱含みの低成長時代、そういう時期が続いていくであろう、そういうふうに思うんです。  そういう中で、資源から見ると非常に弱い立場のわが日本がどういう態度をとるか、結論はおのずから明らかでありまして、そういう世界動きの中でわが日本は、もういまや、過去二十年近くにわたってとられた高度成長、そういうようなやり方はもう再びできない、やはり控え目な、静かな成長ということを考えなけりゃいかぬだろうと、こういうふうに思うんです。  世の中の一部には、いま混乱期だ、この混乱期を少ししんぼうすると、またもとのような成長、繁栄が来るんだというような見方をする者もありますけれども、そういうことはあり得ない。もう、いわゆる高度成長という夢から完全にさめ切らなきゃならぬ、高度成長という思想から完全に脱却しなけりゃならぬ。これが非常に大きな問題となってくるんだろうと、こういうふうに思うわけであります。  そういう考え方を踏まえますと、やはりわが国といたしましては、政府がまず、いままでの高度成長思想に基づくところの諸政策をここで転換をしなければならぬ。何よりもまず経済社会基本計画、また、新全国総合開発計画、こういうものは過去のものを清算いたしまして、そして新しい出発をしなければならぬ、こういうふうに思います。  また同時に、高度成長期におきましては、これはもう高度成長ですから、大企業中心にして企業は前へ前へと進むわけです。それにつれまして国民生活向上する。弱い小さい立場の人までも、去年に比べるとことしはよかったなあという感じを抱くような世の中でありましたが、低成長時代になりますれば、そういう状態が非常に変わってくる。私はそういう背景を考えますと、これからのこの経済運営の内容の面におきましても、また大きな転換を必要とする。国民経済の力というものを、いままでは次の成長、つまり産業へつぎ込んできましたけれども、そうじゃない。それもしなければならぬけれども、同時に、より重点国民福祉向上、われわれの生活環境整備、そういう方面に振り向けていかなければならぬ、そういう時期に来ておる、こういうふうに思うわけであります。  まあそれらの諸問題は、きのう経済対策閣僚会議を開きまして、最終的な決定をしたんですが、昭和五十一年度から五カ年間の経済社会発展計画、新しい計画をつくるわけです。それからまた、同じ五十一年度を起点といたしまして、新全国総合開発計画を策定する。それらの計画においてそれを明らかにしていきたい、かように考えております。  それから第二の問題は、その次のわが国経済、静かな控え目な成長政策時代に入るその過程、当面この一、二年間というもの、これをどういうふうに経過するか、こういう問題でありますが、これは何と申しましてもインフレ抑圧、これに最大重点を置かなければならぬ、こういうふうに考えます。  世の中には、インフレ抑圧か景気かという論争もありますけれども、あくまでもインフレ抑圧がこれはもう主軸でなければならぬ、こういうふうに考えます。インフレ抑圧政策をとりますれば、どうしたって摩擦現象、ひずみ現象が出てくる。それに対しましては機動的、弾力的な措置を講ずる、こういう態度をとるべきだ、こういうふうに考えます。  そのインフレ抑圧努力、これは私は全精力をあげてみたいと思うんですが、まあ本年度について言いますれば、来年三月、本年度末、その時点における一年間の消費者物価上昇率、これを何としても一五%程度に押えたい。そのために年末年始の物資需給対策、物資輸送対策、また、三月までの公共料金の全面的凍結、また、総需要抑制政策の引き続いての実行、それらの諸政策を強力に進めていきたい、こういうふうに考えております。  それから、そのあとは一体どうだと言いますと、五十年度でありますが、これも控え目の成長を、これはまあ特に控え目の成長をとらなければなりませんけれども、その中におきまして、やはり物価の安定というものに主軸を置き、そして五十年度一年間、この消費者物価上昇率を何としてもこれも一〇%以内にひとつとどめたいと、こういうことを考えておるのであります。これに成功いたしますれば、さらにさらに物価安定施策を進めることもできまするし、また、わが国経済をほんとうに国民生活に即した成長軌道に乗せることができる、かように考えておるのであります。  そこで、本年度の一五%というこの消費者物価の抑制目標、これにつきましては、十一月の消費者物価上昇率が〇・五%でございます。十二月、一月、二月、三月の四ヵ月があと残るわけでございまするが、これを〇・七五%ずつ上昇にとどめるということになりますると、一五%上昇ということに相なるわけでございます。まあこれはわれわれが全力を尽くしますれば達成できない目標ではない、何とかしてこれを実現したい、かように考えます。  それから、五十年度中の上昇率を一〇%以内、一けたにとどめるという問題、これに対しましては二つの問題があるんです。一つは公共料金の問題、これがやはりコストとして物価上昇要因になるわけで、これは私は、いま政府部内で検討いたしておるんですが、何とかしてとにかく大事なときだけに、これを押えるという方向の結論づけをいたしたい。これは全部が全部というわけにはまいらぬです。しかし、国民生活に重大な影響を及ぼす公共料金につきましては引き上げを据え置くというような措置ができないものかどうかといって、いま相談中でございます。  それから、もう一つコスト要因として物価に大きな問題があるのは賃金です。その賃金の問題につきましては、私は来年の春闘というものに非常に関心を持っておるのでありますが、これからの賃金問題がいままでと非常に質が変わってきておる。一昨年までの十三年間はいわゆる高度成長期であります。経済の形といたしましては、これは高賃金、高成長、そういうパターンです。しかも、その間において卸売り物価はずっと横ばいであり、消費者物価はわずかに五%ないし六%の上昇にとどまった。それは一体どういうわけかということは、これは申し上げるまでもございませんけれども、高度成長でございまするから、これは企業生産性が上昇する。賃金が上がりましても、その賃金の上昇は、これは売り値に影響させずに済んだわけでございます。しかし、当面五十年度はかなり低目の成長になる。  そうすると、生産性は上がらない。賃金だけがいままでの惰性で上がっていきますと、どうしても消費者物価に重大な影響を及ぼす。高度成長期昭和五十年度のような低成長期は、賃金と物価の関係は本質的に変わってくる、こういうふうに思うのでありますが、そういう意味合いにおいて、私は来年の春闘、これが五十年度の物価の推移と非常に大きな関係があるものであると理解し、賃金問題は労使双方が決定するものでございまするけれども、その決定のあり方につきましては重大な関心を持っておるわけであります。この労使の賃金決定がなだらかに、合理的に進むように、政府といたしましてはその環境づくりにひとつ全力を尽くさなけりゃならぬ。ただいま申し上げました公共料金の問題のごときも、そういう角度からも考えてみたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、長期にわたってのわが国経済かじのとり方を大きく転換をする。高度成長から静かな抑制型の安定成長路線への転換、これは国民にもきびしい転換を求めなけりゃならぬわけであります。  また、当面のこの物価インフレ抑圧の問題につきましても、これは国民に理解のある協力を求めなければならぬ問題である。そういうことを考えますと、どうしても政府は出し得る全力を尽くしてやらなけりゃならぬ、こういうふうに考えますので、私は与えられたこの任務を、全力を尽くしてひとつこの問題の打開に当たってみたい、かように考える次第でございますが、まあいろいろ皆さんから御教示、御鞭撻にあずかりまして誤りなきを期してまいりたいと、かように存じます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  10. 林田悠紀夫

  11. 安田貴六

    政府委員安田貴六君) 私は、このたびの三木内閣発足にあたりまして、経済企画政務次官を命ぜられました安田貴六でございます。  至って不敏な人間でありますが、ただいま福田大臣より所信の表明がありましたように、現下きわめて重大な経済課題が山積をいたしておるわけでありまして、したがいまして、私といたしましては、福田大臣の政策方針を体しながら、最もいま重大な課題でありまする物価問題をはじめとする国民生活安定向上のために、私の使命を果たすために誠心誠意努力をいたしてまいりたい、こういう所存でございます。  各委員の諸先生方の格別の御鞭撻と御指導のほどを心からお願いを申し上げまして、はなはだ簡単でございますけれども、私のあいさつにかえる次第であります。  どうぞよろしくお願い申し上げます。
  12. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) これより請願の審査を行ないます。  第六号適正な織工費の確保に関する請願外四百四十四件を議題といたします。  これらの請願につきましては、慣例により、理事会において慎重に検討をいたしました結果、第  一六六号及び第一八二二号を除き、いずれも議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。  この際、おはかりいたします。  ただいまの報告どおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 継続審査要求に関する件についておはかりいたします。  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、中小企業者の事業分野に参入する大企業者の事業活動の調整に関する法律案、及び小規模事業者生業安定資金融通特別措置法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、三案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  18. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、昨二十四日本委員会で行ないました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。阿具根登君。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 きのう行なわれました三井砂川炭鉱災害の委員派遣の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は楠理事、須藤理事、対馬委員、相沢委員及び私の五名であります。  日程は、砂川鉱業所へ行く途中のバスの中にて、札幌通産局、札幌鉱山保安監督局、北海道労働基準局から災害の概況、被災者の医療対策、労災補償についてそれぞれ説明を聴取し、現地砂川炭鉱において、会社、労働組合及び職員組合から災害の実情等について説明を聴取いたしました。  まず、災害の概況についてでありますが、すでに通産省から本委員会に報告がありましたので省略させていただきますが、きのう、残りの四名の遺体が収容されております。ここに、とうとい犠牲となられました十五名の方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々の御悲嘆に心からお悔やみを申し上げます。  また、入院中の方は十一名であり、そのうち七名がCO中毒の疑いがありますが、後遺症はないとのことでありました。  災害原因につきましては、罹災者の状況、坑内の被害状況等により、ガス爆発の疑いが強いのでありますが、特に火源と思われるものもなく、また、ガスも規定以下の〇・五ないし一%であったといわれ、いまのところ原因らしきことも明らかでなく、監督局等において現在、状況把握につとめ、原因究明中であります。  次に、現地における要望事項等について申し上げます。  現地の労働組合等から、災害原因の徹底的な究明と保安対策の確立につき適切な措置を緊急にとられたい。大災害を理由とした閉山、合理化は絶対に行なわないよう適切な行政措置並びに指導をされたい。炭鉱再建救済のための立法措置を検討されたい。旨の陳情がありました。  われわれが現地に参りまして感じましたことは、当砂川炭鉱が、他の炭鉱に比べ坑内骨格構造の改善も進んでおり、採炭方式も、近代的な水力採炭方式を採用する等保安には十分に留意し、優良炭鉱とされているにもかかわらず、今回のごときガス爆発が起きているのであります。さらに徹底的に原因の究明を行なうべきであると思います。  なお、水力採炭方式についても、国が積極的に開発を行なう必要があるのではないかと思われます。  また、エネルギーの見直しが行われ、石炭対策を進めようとするとき、このような災害が業界、関係当局に対し、その前途に暗い影を投じないよう一段の配慮をするよう、政府当局に対し強く要望いたします。  なお、炭労から出されました要望書につきましては、別途文書をもって委員長に提出することにいたしております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  20. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまの御報告に対し、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  21. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣に対しまして……。  ただいま阿具根調査団長より、今次砂川の災害に関する調査報告がございました。私は冒頭、この十五名の犠牲者に対しまして心からなる哀悼の黙祷をささげたいと思います。  そこで、私も直ちに災害発生と同時に、二十日に現地に参りまして、一応の関係事情聴取をいたしてまいりました。さらに、いま報告がございましたように、調査団に加わり、現地関係調査をいたしてまいりました。私は、今回の石炭見直しの中でこの重大災害が発生をしたということに対しまして、まさに一大ショックを受けております。率直に感想を申し上げますならば、衝撃を受けたの一語に尽きるという感じであります。  それはなぜかなれば、まず一つは、今回の災害発生の原因がまだ不明確ではありますけれども、つまり、私も炭鉱マンでありますが、ソビエト方式による水力採炭方式を採用して、一切の火源がない、いわゆる爆発あるいは災害が発生をする火源と目されるものがその現場には想定をされないという状態であります。そういう中で災害が発生をしておるということ。しかも、この災害の発生が私なりに判断をいたしますと、やはり二千万トン以上体制をつくり上げるという関係から、生産計画に対しましてある程度のスピードアップなどが加えられているのではないか。また、そのためにかなりの生産計画に対する、働く者に対する犠牲強要などがありはしないか、こういう一まつの心配をいたしております。  また、二つ目の問題でありますが、率直に私は申し上げまして、今回の事故発生の問題を考えますときに、この前から私も石炭問題で申し上げておりますが、やはり深部に開発が進んでいる限り、坑内の骨格構造がどんどん深まっているわけであります。坑内構造が深まるということはどういう現象が起きるかといいますと、湿度が高まる、温度が高くなる、あるいは水が発生をする、こういった要因が加わってくるわけであります。したがって、問題になりますことは、今回の原因だけは徹底的にこの際、水力採炭方式でありますだけにこの原因をあいまいにしてはならない、そういう意味では、会社の責任はもちろんのこと、われわれの段階におきましても、国会の段階におきましても、この原因の明確化を突きとめることが石炭見直しにつながる緊急な課題である、こう私は考えるのであります。  そういう意味で、第一点といたしまして、この際、北大の磯部教授という石炭の権威者がございますが、こういう学識経験者を交えまして、政府機関を含めて私は、この原因の明確化のための政府技術調査団を現地に派遣をしてもらいたい、すべきであるということが第一の質問であります。  第二の問題は、率直に申し上げまして、人命尊重は何をさておいてもわれわれの命題であります。そのために、当面する課題といたしまして、現地の段階においては、もはや読売新聞の二十一日付には、石炭見直しの衝撃、いわゆる災害を契機に閉山の引き金になるのではないかという大々的な見出しをもって訴えられております。きのうも現地へ参りましたら、現地の実情として訴えられましたのは、この災害を契機に大幅の合理化、首切り、もしくは、閉山につながるようなこういった不安定のない石炭政策充実をしてもらいたい、この問題につきまして大臣の基本的な姿勢をお伺いをしたい、これが第二点であります。  それから第三の問題は、率直に申しまして、私はきょうの段階で直ちに答えを求めようとは思いませんが、やはり生産第一主義から保安優先第一主義の体制に切りかえるために、かねて保安の管理が通産省に所属をされております。これは私は、保安管理の一元化をする意味におきまして、労働省に保安の所属権限を委任をいたすべきであるという関係から労働省移管を再検討願いたい、これが第三の問題であります。  第四の問題は、保安法の一部改正を行なって、つまり、企業チェックの段階から国家権限の権能を持ってのチェック体制に変える意味においても、保安監督員を強化をして、一炭鉱に必ず一人保安監督員が配置をされる、同時に、山元の保安委員が、私も炭鉱マンで経験ございますけれども、いかなる危険な作業現場に出会っても、その作業を停止する権能が与えられておりません。これは今日の重大災害を発生する要因であります。保安委員という資格を持っていながら、いま目の前に落盤がある、あるいはガス検定器ではかって〇・五あるいは一、三という状態がかりにあったとしても、直ちに作業を停止する権能は保安委員に与えられていないのであります。私はそういう意味でこの際、保安法の一部改正を行なって、保安委員が危険と判断した場合には直ちにその作業は停止をする、保安体制に直ちに着手するという保安委員会の権限、権能に対して改めるべきであるという保安法の一部改正を検討していただきたい、これが第四の問題であります。  次の問題でありますが、今回の炭鉱災害発生によりまして、先ほど言いましたように、山元の組合員家族は、まさに閉山の引き金になりはしないかという不安、恐怖におののいております。しかし、見直しということばがあるだけに何とか見直してくれるだろう、こういう期待だけではなくて、具体的な政策でこたえる意味においても、こういった重大災害を発生した責任は、もちろん三井鉱山責任者にあるわけでありますけれども、こういった炭鉱重大災害のための救済立法措置を新たに検討してみてはどうか。もちろん、きょうの段階で確答を得ようとは思いませんが、重大災害救済立法というものを検討する必要の段階にきているのではないか、こういう感じがいたしますので、この点をお伺いをしたいと考えます。  次の問題は、遺家族に対する問題であります。  今回の十五名の遺家族の家族状況を検討いたしますと、採用年限は三年足らずであります。しかも、家族構成を見ますと、幼児から小学校に至る、まことにほんとうに家族構成が二人から三人、四人。ほとんど生活状態が混迷におちいることは明らかであります。私は、こういう意味では、もちろん労使間の協定はございます。労働災害補償保険法による労使間の協定はございますけれども、これを上回る行政指導ということを政府側は、労働省は特に行政指導してもらいたい。加えて、遺家族に対しまして、雇用の安定としての再就職のための行政指導、対策を厳に直ちにとってもらいたいということを申し上げまして、まず大臣の基本的な姿勢なり、公害立地局長の見解をお伺いをしたい、こう考えます。
  22. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昨年の秋に石油問題が起こりましてから、石炭の重要性がにわかに高まってまいりまして、いまお話しのように石炭見直し論が起こってきたわけでございますが、この重大なやさきに今度のような大きな事故が発生いたしましたことは、私どももたいへんな衝撃を受けておるわけでございます。  事故が起こりましてから、直ちに本省から公害立地局長、及び札幌から合計合わせまして十名の者がとりあえず調査に参り、そして行くえ不明者の救出等指揮をとったわけでございますが、本日午後、お話しのような政府の技術調査団を数名派遣をすることにいたしました。そして技術的にいまお話しのような原因の究明を徹底的にひとつやってみたい、こういうふうに考えております。  なお、保安の問題につきましては、石炭問題の最大の焦点は、やっぱり私はこの保安の問題だと思います。保安の問題を解決することなく石炭政策というものは進められない、こういうふうに自覚をいたしております。したがいまして、詳細な技術調査とともに、保安対策につきましてはあらゆる角度から万全を期していきたい、こういうふうに思っております。  なお、あとの経営等につきましては、調査が終わりましてから会社側、組合側とも十分相談をいたしまして、御心配のないような方向に持っていきたい、こう思っております。  遺族に対するいろいろな対策、その他問題がたくさんございますが、そういう問題につきましては、政府委員のほうから答弁をさせます。
  23. 佐藤淳一郎

    政府委員佐藤淳一郎君) 時間もあまりございませんので、簡単にお答え申し上げたいと思います。  第一点の調査団の派遣は、本日の午後、元東大教授の伊木先生を団長にいたしますところの、伊木先生、それから早稲田の房村先生、東大の山口先生、それからいま先生がおっしゃいました北大の磯部先生、この四人の先生をもって明日朝から現場の調査に当たります。もちろん通産省からも、随員として石炭課長を派遣させたいと思っております。  それから第二番目の、労働省移管の問題でございますが、本件につきましては、事故のあるつど御提議があるわけでございますけれども、鉱山の保安は生産とまさに一体の作業でございますので、われわれ通産省に置いたほうが、そういう生産と保安が一体であるという考えから、われわれは一番望ましい体制であるということでやってきておりますし、今後ともそういう考え方で、ただし、労働省とは十分に連携をとってやっておるわけでございまして、たとえば、危害防止に対しますところの労働省からの勧告がございますれば、われわれのほうとしましては十分に尊重いたしまして、保安行政に現実に生かしてまいっておるわけでございますので、先生の御趣旨をそういう考え方で今後とも運営してまいりたいと思います。  それから、保安監督官の配置の問題、あるいは現場の保安監督員の方々の権限の問題でございますけれども、監督官の配置につきましては、逐次山の数は減ってきておりますけれども、逆に石炭関係の保安監督官の数はむしろふえておるわけでございまして、ほとんどいま各炭鉱に一人ぐらいずつ配置されたかっこうになっております。相当密度を増しておるわけでございますが、さらにこういう状況でございますので、できるだけ今後とも密度を増して現場の体制を十分に監督してまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから、救済立法の問題は、これは非常にむずかしい御提言でございますが、石炭につきましては、いろんな法律が他産業に比べましてできておりますので、私としては、現在できていますたくさんの法律を十分に生かしてまいれば、先生の御趣旨を生かせるのではないかと思いますが、なお検討さしていただきたいと思います。  それから、最後の遺家族の問題につきましては、これは保安局の問題ではなくて、エネルギー庁の問題でございますけれども、私、帰ってきてからさっそく資源エネルギー庁にも御依頼申し上げまして、早く遺家族の補償をするとか、あるいは労働省にお願いしまして、労災を早く支給していただくようにいろいろお願いしております。これも格段と努力いたしたいと思っております。
  24. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間に協力する意味で、本会議もありますから。いまの通産大臣並びに公害立地局長の答弁についてはそれなりに理解をします。ただ、労働省移管の問題に関しては、これは私は保留にして、通常国会の段階で石炭全般にわたる問題として、さらに提起をいたしてまいりたいと思います。  一つだけさらに加えて検討してまいりたいことは、私の発想でありますが、鉱山保安技術開発センターの設立をしてはどうか。これは現行岩見沢に一カ所爆発試験所を中心とした岩見沢市技術研究がございますけれども、今日の段階では、深部開発並びに技術開発開発利用という問題では、私も西ドイツに行って参りましたが、現実に西ドイツ、イギリスあたりでは、社会主義の国はもちろんでありますけれども、鉱山保安の技術開発センター、こういうことで独立部門として保安機能が確立されているわけであります。私は、現在ある岩見沢の試験所、もちろん、機能強化するという考え方は賛成でありますが、こういう点もひとつ含めて、ほんとうに企業関係から独立をして、あくまでも公団制度のような方式によって、技術センターでもってすべての保安の原因が明確化される、事前、事後対策がとれる、こういう意味での社会主義国あるいは西ドイツ、イギリス方式のような技術センターという問題をぜひひとつ鉱山局側で、政府側で検討してもらいたい。この点をひとつ提議をしておきます。  同時に、先ほど申しました遺族の対策だけは、後手になっては遺族に対しても申しわけございませんから、これはほんとうに事後の生活は心配ないという弔辞はいつも読み上げますけれども、終わってしまうとそれなりに惰性に流れちゃって、対策はとっていかない。こういうことであっては困りますので、遺家族に対する対策だけは、特に再雇用対策だけはひとつスピードを上げて、本人の希望を十分にいれて対処していただきますよう要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  25. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は、先般の委員会で御報告がございました三菱石油の水島製油所の問題について若干質問いたしたいと思います。  まず第一にお尋ねをいたしたいのは、先日の報告によりますと、約一千キロにわたる油が海上に流出したと見込まれる、これに対しまして先日の報告の段階では、約三百キロリットル程度は回収をしたと思われる、なお続行中であるという御報告があったわけでありますが、最近の新聞等の報道によりましても、相当流出範囲が広くなってまいりまして、今朝は紀伊水道から外洋に達するまで広範に油が流出をしておるというようなことが報道されておるのでありまして、その後の油の回収はどの程度進んでおるのか、そのことをまず第一にお聞きいたします。
  26. 増田実

    政府委員(増田実君) 油の回収数量につきましては、現在までの数量は約二千二百キロリッターという報告を受けております。
  27. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、先日一千キロ程度だと、なおそれ以上とも見られるというような御報告がございましたが、いまお話があ実りましたように、三千キロリットル以上ということになりますと、油の流出は一体どの程度海上に流れておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  28. 増田実

    政府委員(増田実君) ただいま申し上げました浮流油の回収につきましては、二千三百キロリッターという報告でございますが、この中には全部回収油になっているのか、そのほかの海水が入っているのか、これらについて若干不明な点がございます。  それから、いま御質問のありました流出油でございますが、この前御報告いたしました数字は、その後判明いたしましたところでは大体三千から三千キロリッター、あるいはそれ以上ではないかということで、現在調査中でございます。
  29. 森下昭司

    ○森下昭司君 非常に先日の報告は不明確でありましたので、なおいまお尋ねいたしましても、二千から三千と非常に大きな幅がございました。これはやはり、当時タンク内に入っておりました油の量、それから、防油堤から出まして土のう等で阻止された量などから勘案をし、私はいまの御説明からまいりますと、相当たくさんの油が流出したのではないだろうかというような、実は率直な感じがいたします。したがって、まずこういういわゆる油の流出をした量そのものが判明をしないということは、私は、後の油回収作業、対策と申しますか、そういう点に大きな粗漏があったのではないだろうかという感じは免れません。  それは先日も、流出した問題につきまして、たとえばアジア共石株式会社だとかその他製油会社の回収船の出動を要請したとか、あるいは、小型船の出動を要請して何百隻まいりましたよなんていう話がありますが、これはあくまでも一千キロロリットル程度の海上流出を予想して行なわれたのではないだろうか。現に新聞で読みますと、和歌山県あたりにおきましては、自衛対策といたしまして、いわゆる住友金属でありますとか、あるいは東亜燃料でありますとか富士興産、石油三社に画一的な油回収船の出動を要請したというようなことが二十四日付の新聞に報道されているわけでありまして、いわゆる海上保安庁を中心といたしました油流出対策の対応策というものが非常に私は過小の見込みの上に立ったために、このように大きく油の流出範囲が広がった一つ原因になっておるのではないかというふうに思うんでありますが、その点についてはどうお考えになっていますか。
  30. 増田実

    政府委員(増田実君) まず、防油堤の中に流出した油につきましては、現在判明いたしておりますところは四万四千キロリッター程度、こういうことになっております。それから防油堤から外へ出ました油は、現在の調査では約言万六千キロリッターということになっております。それから、先ほど御答弁申し上げましたように、このうち海上へ出ましたものが三千ないし三千ということでございます。  それから、いまお尋ねの回収状況でございますが、これはむしろ海上保安庁のほうに御報告いただきたいと思いますが……。
  31. 安芸昭助

    説明員(安芸昭助君) 昨日までの回収量につきましては、一応回収船あるいはポンプ等で引き上げた分と、それから油除去剤、それから吸着剤、この部分は使用しまして、目途になっております。そういったことで数量はさだかではございませんが、推定数値としては大体三千キロリットルをこえておる、こういう計算をしております。
  32. 森下昭司

    ○森下昭司君 これは相当数字が食い違う点がありますね。たとえば、先日消防庁の御説明によりますと、流出をいたしましたタンクの容量というものは五万キロリットルだと、それが実際は四万八千キロリットル程度しか入っていなかったのだというような御説明でありまして、先ほど御説明がありました四万四千キロが防油堤内で、それから一万六千云々と、海上に二千ないし三千ということで、数字的に合わないんです。しかし、そのことはきょうは時間がありませんから、次の機会に改めます。したがって、私の言いたいのは、要するにそういうように回収したのも、いまお話があったように、海上保安庁のほうでは三千キロリットルをこえただろうと言うんです。これもまた数字が合わないんです。これはいかに私は油流出に対して政府側のとった対策というものが対応してないかという証左でないだろうかと思うのでありまして、こういった問題は時間がありませんので、きょうは追及をいたしません。  そこで第二の問題は、被害の状況がいわゆる香川から徳島あるいは岡山、兵庫というように非常に拡大をいたしてまいりまして、ノリ、ワカメなどを中心といたしまして関係各県の被害総額が約五十七億円ではないかといわれておりますが、今日までの被害状況は、政府おいてつかまれておるのはどんな状況ですか。
  33. 増田実

    政府委員(増田実君) 現在水産庁と打ち合わせておりますが、その総額が現在まで判明いたしておりますところは、大体四十九億円ということを昨日私、水産庁から聞いておりますが、ただこれで全部かどうかにつきましては、先生御指摘のように、油の流出範囲が広がっておりますので、むしろこれをこえるのではないか、こういうふうに思います。
  34. 森下昭司

    ○森下昭司君 そこで問題は、被害を受けられました漁民に対する補償問題でありますが、この補償については、私のこれは記憶が間違いであるとは思いませんが、先日の衆議院の商工委員会におきまして、全額すべて三菱石油が負担すべきものであるというふうに政府側のほうでお答えがあったと伺っておるのでありますが、この補償問題についてどのようになさるお考えがあるか、お尋ねいたします。
  35. 増田実

    政府委員(増田実君) 事故が発生いたしましたのは、これは三菱石油のタンクでございますから、今回の油流出事故につきましては、三菱石油が補償問題の窓口に立つことは間違いないわけでございます。ただ、この問題につきましては、御存じのようにタンクのひび割れということで、現在そのひび割れが溶接部分にあるのか、あるいは鉄板にあるのか、その他調査を現在いたしております。そういう意味で、最終的な責任者というものにつきましては調査の結果を待って行なうわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、事故発生いたしました三菱石油というものがこの補償問題について誠実に当たるべきだ、こういうふうに思っております。
  36. 森下昭司

    ○森下昭司君 補償問題は、時間がありませんからそれだけにいたしますが、最後に一つだけ。  先ほどいろんな数字の食い違いがありましたが、この油の回収はどのぐらい見込めば完全に回収できるとお考えになっているのか、そのことだけ一点伺いたい。
  37. 安芸昭助

    説明員(安芸昭助君) まだ、いま県の対策本部と各出先の保安部署と緊密な連絡をとって、漂着油は県のほうで動員してやってもらうと、沖のほうは回収船とそれから油処理剤、そういったものを使いまして、年末までには回収できると思います。
  38. 森下昭司

    ○森下昭司君 年末だな。
  39. 安芸昭助

    説明員(安芸昭助君) はい。
  40. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、三井上砂川第一坑のガス爆発の問題につきまして、若干お尋ねをしたいと思います。  今回、石炭見直しの中で初めて起きた大事故で、非常に関係者のショックが大きいわけでございます。大きな事故一つ起きますと、それが直ちに閉山につながるという、たいへんなことでございまして、この事故原因の調査、また、事故発生当時の対応ということについては、もっとこれは追及されなければならないと思います。  最初に、なくなられました十五人の被災者に対して心から御冥福を祈ると同時に、遺家族に対する補償の万全と、また、残った家族の方々の今後の生活の安定に対する問題、そして万全を期されるように、まず第一に要望いたしたいと思います。  次にお尋ねをいたしますが、事故発生当時の会社側の対応がもう一つまずい点があったのじゃないか、こういうことが言われております。何回も御説明聞きましたが、事故発生は十九日午後九時五十分、いわゆる二番方の作業がほとんど終了まぎわの時間でございますが、発生直後に風圧を感じて係員から連絡があった。会社側は、救護隊を編成して現場へ到着するまでに大体二時間の時間がかかっている、こういうことでございます。坑内には相当の人がおりましたけれども、自力で坑外へはい出して助かった人もかなりおるわけでありますけれども、残念ながら十六人の方が坑内に残りまして、救護隊が現場に着いてから救出された人数はわずかに一人だけであります。もう少し現場到着が早くできるように手が打てれば、あるいは何人かの方の救出が可能ではなかったか、こういうことも言われているのですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  41. 佐藤淳一郎

    政府委員佐藤淳一郎君) 先生の御指摘のように、救護隊が出動しましたのは、事故が起きてから二時間後ぐらいの経過をしておるわけでございますが、一般的に、こういう特にガス爆発と思われるような事故が発生いたしました場合に、救護隊が入るときの判断といたしまして、また二次災害が発生するかしないかということが非常に大きな問題でございまして、よく過去の実績でも、助けにいった人がまたやられるというケースも間々あるわけでございます。そこが非常にこういう場合のむずかしい問題でございまして、当然、保、安統括者もその点は非常にいろいろ考えた末に、救護隊の出動時間をきめられたのじゃなかろうかということでございまして、特に落盤等の場合はすぐに入れるわけでございますけれども、こういうガス爆発の場合は、二次爆発というのは間々多い問題でございますので、その点ある程度見通しを立てまして、安全であるということで入坑したものと私は思っておりますので、この程度の時間の経過はやむを得なかったのじゃなかろうかというふうに判断いたしております。
  42. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この三井上砂川の場合は、保安優秀鉱として表彰もされている炭鉱だし、また、全国の炭鉱の中でも自主保安が最も行き届いているということなんですが、それでも何回か事故が起きていますし、一部にやはり会社側としても、うちの炭鉱は自主保安が行き届いているのでという、そういう安易な気持ちも、どうしても管理側に出てきているのではないかという点で、どこかにやはり保安管理上のゆるみ、ミスがあった人災ではないかということも一部言われているわけです。今回のこの事故、特にいわゆる電気関係を管理されている職員組合の人たちの意見としても、どうも原因がよく見当たらないで、推定さえもできないということをおっしゃっているわけですけれども、先ほど御答弁ありましたように、今回は直ちに政府技術派遣団を現地におもむかせる、学術的な、専門家の人たちも行かれると思いますけれども、徹底的なやはり調査、そして原因究明が行なわれなければならないと思います。  四十五年にこの三井上砂川の登川で起きた事故のときも、結局、調査したけれど、原因不明のまんままた再度生産が再開された。また、四十四年の十一月には、第一坑でガスの小爆発がありました。このときは、わずか一人の死亡という小さな事故で済みましたけれども、このときも全く火のけのないところから事故が起きているわけですが、最終的にはこれは自然発火であったということなんです。  この教訓を生かしていわゆる自然発火の対策、また、かりに自然発火が起きたとしても、爆発を起こさないようにするガスの排出対策、こういうものを完全にしていれば、今回の大惨事に至らなかったのではないかということも考えられるわけですが、この点について、前に起きた事故に対しての原因追及、どこまで一体やられたのか、また、いま申しました四十四年の事故の教訓を生かして何らかの対策を講じたのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。——じゃ、あとから報告をもらいます、時間がないから。後ほど私のほうへ直接経緯を申し述べてください。  それから、事故の起きた二日前に、滝川鉱山保安監督署では抜き打ち検査を行なっておるということであります。特に十七日には、土佐署長以下四人の監督官が手分けをして、坑内総延長約百キロを巡視し、保安日誌、保安諸施設、安全器具などの点検のほか、一酸化炭素、メタンガス濃度の測定を行なっている。ですから抜き打ち検査をやって、安全を確保した、その行動はわかるのですが、どうも私、ふに落ちないことは、今回の場合、ガスのほうは心配なかったというし、それから発火のいわゆる火源、これはどうもだから考えられない。キャップライトみたいなもの、あるいは何かの圧がかかって、中に電池がありますから、そういうものが発火になったと考えられますけれども、どうも事故原因がわからない、こうどなたに聞いても言われたわけです。  一方で私、現地の関係者に、現場で働いている人たちからの声を聴取をしてもらいました。その中には、いわゆるガス抜き装置の不十分、また、ガス探知などに対するガス対策の軽視ということは、どうしても身に感ずるという声もあるわけです。特に警報機の場合、これはある一定の濃度になれば急を知らせる、鳴るようになっている。何度で鳴るのですか。
  43. 佐藤淳一郎

    政府委員佐藤淳一郎君) 第一点の点は、調べた上でまた御報告申し上げたいと思います。  それから二番目の、滝川の監督署の監督官が事故の発生二日前に現場に定期検査で行っておりまして、私も事故発生後直ちに参りまして、調査した者から事情を聞きましたけれども、行った当時は非常に正常でございまして、何ら異常はなかったということを確認いたしております。で、火源としましては全然ないわけじゃございませんで、キャップランプとか、それから現場を照らしますところの高燭の電灯とか、誘導無線を使っておりますからそういう関係の問題はございますけれども、ただ可能性としては、火源としての可能性は非常に薄いわけでございますけれども、この辺は技術的に徹底的に究明してまいりたい、こう思っております。  それから、ガス警報機は二%になりますと作動するということになっておるわけでございます。
  44. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまおっしゃったように、ガス警報機の場合は、濃度二%でこれが鳴るようにセットされているわけですが、鳴っているにもかかわらず入坑、採炭する場合もあるというようなことを述べている声も聞こえてきているわけでして、これは非常に重大なことだと思うんです。  一方で自主保安をこういうふうに強調しながら、会社側の生産重視といいますか、そういうものはどうしてもやっぱり現場に圧が無言のうちにかかるような状況もあるいはあったのではないかというように懸念がされております。  そこで私は、先ほども対馬委員から話がありましたように、生産と保安、確かにこれは一体のものですから、特に行政の立場としては、これは同じ管轄の所管でやったほうが便利だと思いますけれども、やはりこれは切り離してやらなければならないんじゃないかということを、こういったことからも私感ずるわけです。特に、いわゆる危険が予知できた場合に、作業の全面中止ができる権限を与えてほしいということは、これは労働組合からもたびたび出ている要望ですし、またその上にこの保安員、保安監督員の補佐員、これは私、ぜひ保安のほうは国家管理にして、いわゆる国からの給与でそういう仕事をする人を専門につくらない限り、こういった炭坑の事故というものの安全ははかられないんじゃないかというふうに感じます。ですからぜひとも、もう石炭産業もあとがないわけですから、どうしても国内唯一の資源を有効活用する。また、重大災害を絶対に起こさないという決意に立ってやられるならば、かねて懸案のこの保安と生産の所管の分離、また保安員、保安監督員、補佐員の身分というものは、その給与を国で払う、こういうように制度を変えなければならない、こういう時期に来ていると思いますが、この点についての明快な答弁を求めます。
  45. 佐藤淳一郎

    政府委員佐藤淳一郎君) 今回の事故が無理な生産増強に伴うものじゃなかろうかという御懸念がおありになるかと思いますけれども、ことしに入ってから、特に最近の日産量をずっと私どもでチェックいたしましたが、特に生産量が上がっている実績はございません。したがいまして、あの現場において特段とそういうような圧力をかけて、その無理がたたって事故が発生したという事実は認められないわけでございます。  それから、われわれといたしましては、先生のような御懸念を十分に考えまして、監督官が現場に参りますときは、会社側と労働組合の方々と御一緒に入坑しまして、それから上がってきてからの講評も労使の方両方にお話しもし、御意見も聞くということを十分にやっておるわけでございます。そういうことで配慮いたしておりますので、まあそういう御懸念はなかろうかと思います。  それから、保安監督官の配置につきましては、相当の数が、最近は山の数に比例しますと相当密度が上がってきておりまして、ほとんどもう毎月、あるいは一回半程度現場を見回って、労使の方々と保安問題は十分に意見を交換してまいっておりますので、先生の御趣旨は、そういう面でも十分に私は生かされておるのじゃなかろうかというふうに感じておるわけでございます。
  46. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最後に、大臣にちょっとお尋ねします。  今回の重大災害が現地山元の閉山の引き金にならないかということで非常に新聞等にも報道されまして、地域住民は心配し、おののいているわけでございますが、新大臣に、この石炭に対するいわゆる国内エネルギーの中の位置づけについてどうお考えになるか。  それから、今回の事故発生に伴いまして、いわゆる災害の損失というものはまだ全部計算されておりませんけれども、かなりな額にのぼろうかと思います。会社側としては遺族に対する対策、それから原因の究明、こういう点に全力をあげた後に再建に取りかかると思うんですけれども、やはり現状としては、私企業ではもう限界に達しているというようなことも何回も言われましたが、炭鉱経営自体も国の援助なしにやっていけない、こういう事態でございまして、もし、国や関係者の援助が必要であると、こういう要望があらためて出されることに対してどのように取り組まれるか、決意だけをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
  47. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 石炭の問題につきましては、石油問題が起こりましてから非常に大きくクローズアップされまして、これからはエネルギーの分野において非常に大きなウエートを占めていくと思います。それで、通産省におきましても、いま石炭審議会にこれからの石炭政策のあり方について諮問をしておりまして、近く答申が出ますので、それを受けまして将来にわたる対策を立てていきたい、かように考えておりますが、非常にウエートが高くなっておる、かように考えておるわけでございます。  そういうやさきに今度の事故が起こりましたので、私どももたいへんに心痛をしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この事故原因を徹底的に究明いたしまして、今後二度と事故の起こらないように、また、この石炭問題は、保安問題についてしっかりした対策を立てませんとどんな政策も進められませんので、あくまでこの保安ということを中心に石炭政策というものを進めていきたい、かように考えております。  あわせて、事故が終わりましてから、よく調査をいたし、それから経営者とも、また組合とも打ち合わせをしたいと思っておりますが、できるだけの援助をいたしまして、閉山等のことのないようにひとつやっていきたい、かように考えております。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私も、昨日、砂川炭鉱事故現地調査団の一員としまして、参議院商工委員会から派遣されて日帰りで行ってまいりました。  詳しいことはお尋ねする時間がありませんから、ただ一言私は申し上げておきたいんですが、それは、これまで保安と生産は両輪の輪だと、こういうことがよく言われてまいったわけですが、石炭産業をほんとうに守って発展さしていくという立場に立つならば、生産と両輪の輪ではなく、保安というものは生産に先行すべきものだ、こういうふうに私は考えております。その点を大臣に意見としてお伺いしておきたい。大臣がどういうふうに保安について考えていらっしゃるか。そうなると、実際生産費のうちに占める保安の費用ですね、それが一体どのくらいのパーセントを占めているのか。やはり保安を十分にしようとすれば、どうしても保安費というものをたくさん組まなければいかぬと思うが、現在一体何%ぐらいその費用を組んでおるのか。十分だとお考えになるのかどうかという点をひとつ御答弁していただきたいと思います。
  49. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私も、やはりこの石炭政策の上では、生産よりも保安のほうが優先すべきである、保安対策なくして生産はあり得ない、かように考えております。  あとの具体的な問題につきましては、政府委員から答弁させます。
  50. 佐藤淳一郎

    政府委員佐藤淳一郎君) コスト分析で保安のウエートというのは非常に出しにくいわけでございますけれども、まあ電力で見ますと、大体保安電力というのは四五%ぐらいになっておりますし、それから、国のいろんな設備投資の中でいわゆる保安投資につきましては、特段に補助金あるいは融資等におきまして生産に優先しまして配慮をいたしておりますので、結果的のコストは相当高いウエートを持っていると、こう考えております。
  51. 安武洋子

    ○安武洋子君 十二月の十八日に三菱石油水島製油所で、世界に類例も見ないような重大な事故が起こっております。これは広範な地域の住民に大きな不安と甚大な被害を与えております。先ほど被害総額四十九億円とおっしゃいましたけれども、現在、岡山、香川の直接被害だけでも五十三億四千万円をこえると、現地からこう伝えております。兵庫、徳島さらに和歌山、大阪、こういうところに被害が拡大しつつあるわけです。だから、漁業関係者を含む直接、間接の被害、これははかり知れないものがありますし、被害を受ける住民の数もまたはかり知れないものがあるわけです。  この未曾有の大事故を起こした責任というのは、これは保安対策を怠ってきた企業と、これを放置してきた政府だと思います。政府は、瀬戸内海沿岸に石油タンクを林立させております。それなのに、昨年末からコンビナート事故が頻発しているにもかかわらず、石油精製施設を総点検の対象からはずすというようなことをされております。一体政府は、常日ごろ石油企業に対してどのような保安対策をとらせ、そうしてどう監督されてこられたのか。また、今回の大事故を起こした三菱石油のこの全施設の保安対策、企業の保安に対する姿勢、そういうものをどのように評価されてこられたのか。いままで問題はなかったのか。こういうことを私は、石油行政の最高責任者である河本通産大臣にお伺いしたいと思います。
  52. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まずその前に、具体的な問題でございますので、政府委員から答弁させます。
  53. 安武洋子

    ○安武洋子君 企業姿勢に対してどう考えられたか、やはり御答弁いただきたい。
  54. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 石油問題が起こりましてから、特に備蓄タンクの問題等につきましては保安関係を、安全関係をよほど大事に考えませんと、あとの政策が進みませんので、これまでもやかましく指導してきたわけでございますが、この事故機会に目下原因を徹底的に究明しておりますけれども、さらに全国のタンクを再点検いたしまして、絶対にこういう事故の起こらないような指導をいましておるところでございます。
  55. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油企業にとりまして安全を確保し、それから災害を防ぐということは、これは業務の基本であると思います。今度の事故につきましては、これは多大な影響を近県に与えておるわけでございますが、このような事故が二度と起こらないように、事件の解明を待ちまして、関係官庁、これは消防庁その他私ども関係官庁と一致協力いたしましてこの原因を究明しまして、事故の再発を防ぐということをいたす所存でございます。また、石油企業につきましては、今回の事故が起こりましたあと、直ちに私のほうから注意としまして総点検をいたしておりますが、なお、事故原因究明の結果が出ましたら、これに基づきましてさらに対策を打ち立てる、こういう所存でございます。
  56. 安武洋子

    ○安武洋子君 私のお尋ねにお答え抜けております。三菱石油の保安対策、その企業姿勢についていままでどのように評価されてこられたか、この点抜けておりますけれど。
  57. 増田実

    政府委員(増田実君) 三菱石油につきましては、保安対策につきましては非常に注意を払って行なっておる企業だと、私どもはこういうふうに従来も見ておるわけでございます。今般の事故につきましては、これは結果としてこういうことが出たわけでございますが、保安体制につきまして三菱石油が不十分であったということではないと思います。
  58. 安武洋子

    ○安武洋子君 三菱の企業姿勢についてはあとで触れさせていただきます。  今度の事故原因は、まだはっきりはいたしておりませんけれども、タンクの亀裂というふうなことで、ささいなことだと思います。だから、ささいなればこそ石油タンクは常に災害と隣合わせておる、事故は常に予測さるべきだと、このように私は思うわけです。今回の事故も当然予測しなければならない事故ではなかったか、こう思いますけれども、どういう認識をお持ちでございましょう。
  59. 増田実

    政府委員(増田実君) 今回の事故につきましては、原因の究明をいたすわけでございますので、その結果が出ませんと私から申し上げられないわけでございますが、ただ、今回の事故につきましては、タンクに亀裂が生じまして、それから油が出た。ところが、そのあと問題がありますのは、防油堤の破壊が行なわれたわけでございます。普通であれば、タンクから油が漏れましても全部防油堤の中でおさまるということでございますが……。
  60. 安武洋子

    ○安武洋子君 簡潔にお願いします。予測さるべき事故だったかどうかということでけっこうです。
  61. 増田実

    政府委員(増田実君) このタンクにありますはしごが飛ばされた。ちょうどその油の漏れる地点にはしごがありまして、そのはしごが油の圧力によりまして飛ばされて、そうして防油堤の一部がくずされたということでございます。そういう意味で、相当偶然が重なっているということが言えると思いますが、ただ、この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、事故の究明を行ないまして、こういう事故が再び起こらないように万全の措置をいたしたい、こういうふうに思っております。
  62. 安武洋子

    ○安武洋子君 的確なお答えではございませんけれども、いずれにしても、事故はささいなことで起こるということだろうと思うのです。そういう認識にお立ちでないようなので、少し問題でございます。実は三菱の水島製油所の事故の翌日、十二月の十九日、神戸港の神戸ポートサービス株式会社のラインバンカーで、C重油用の二万六千キロリットルタンク、これは三基ございますけれども、そのうちの一基がことし二月に完成したばかりの真新しいタンクです。これが給油中に大音響とともに天井が陥没してあわや水島、こういうことになりかけております。水島の翌日でたいへんタイミングが悪過ぎると、発表をおくらすというけしからぬ一件もあるわけですけれども、この水島と同じようになっていれば、これは大阪湾、神戸港、それから播磨灘一帯は油の海で、瀬戸内海は死の海になるわけです。たいへんな事故になるところでしたけれども、一体このあわや水島という事故原因ですね、これは神戸の場合どうして起こったのか、簡潔でけっこうですので、お答えください。
  63. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 先生お尋ねの神戸のポートアイランドのタンクの陥没事故でございますが、これは当時、屋根の部分の保温材の工事をやっておりまして、その仕上げの防火塗料の吹きつけ作業、をやっておりましたんですが、その吹きつけ作業のために通気管をビニールで一応おおっていたわけでございます。完全におおっていたわけじゃございませんが、一応おおっていたわけでございます。そこを操作ミス、これは勘違いでございますので、操作ミスとなるわけなんでございますけれども、そのタンクから油を引いたわけでございます。そのために屋根が陥没いたしまして——屋根は内圧がかかった場合、あるいは内部が真空になった場合に、周囲に亀裂を入らせて飛ばないようにしたり、あるいはへこんだりする構造になっております。
  64. 安武洋子

    ○安武洋子君 いずれにしても、この事故も実に簡単な思い違いということから発生しております。私の申したいのは、災害は常に起こり得る。だからこそ防災体制というものは真剣にもっと考えらるべきだと。企業まかせの防災体制、これでは私は十分に万全は期せないと思うわけです。だからこの際、福関係省庁が協力して地方自治体、それから付近の住民の代表、こういうもので企業に対しての立ち入り総点検をするべきじゃないか。いたずらにいままでの企業の秘密性とか排他性、閉鎖性、こういうものを許しておくべきでないというふうに思います。  それから十九日に、衆議院の予算委員会で私どもの村上議員が、既存の貯蔵タンクの点検を要求して、先ほど、しているとはおっしゃいましたけれども、私、三十二日に神戸市の消防局の当局者と会いましたけれども、そのときには何の指示も出ておりませんでした。ですから政府の緊急というのは、たいへん手ぬるい緊急だというふうに思いますので、もっと迅速にやっていただきたい。  それから、通産省がこういう姿勢では私は、やはり企業は対策を怠るんじゃないかというふうに思うわけですけれども、政府自身も非常に保安対策ということに熱意をお持ちじゃない、軽視をされているんじゃないかというふうに思います。その一つの例としては、油回収船一そうすら政府はお持ちじゃない。せめて重要港湾には一隻、各海運局には二そうぐらいずつ備えつけるべきではないか。本年度の予算でわずか二そう購入するということでは、あまりにも少な過ぎます。だから、こういう設備があれば今回の事故もこんなに大きく住民に被害を与えないでも済んだんじゃないか、こういうふうに思うわけです。ですから、企業にもこういうものをもっと持たせなければならないし、政府自身も防災体制に力を入れていただきたい、このように強く要望させていただきます。そして私は、先ほど出ました三菱石油企業姿勢の問題について、三菱石油が一体どんな防災体制をとっているか、具体的にお話しさせていただきたいと思います。  神戸に三菱石油神戸油槽所というのがございます。私はここに、この十月十二日に立ち入りして調査をさせていただきました。参りましたのは、これは住民代表の方と、共産党の機関メンバーと、共産党の県会議員、市会議員ですので、いまから申し上げることは、これは私の主観でもつくり話でもないわけです。ここには神戸市の消防局、予防部の予防課、消防司令補の梶本喜男氏と兵庫県の生活部消防防災課の主査、駒井利夫氏、この方たちも同行してくださっております。  この三菱の防油堀ですけれども、一体その時点でどのようになっていたか。約三メートルにわたって切りくずされていて、車が自由に出入りをしておりました。付近に土のうの設備もございません。なぜこういうふうになっているのかと私が聞きますと、タンク工事中ですので、済んだら直しますと事もなげに答えられるわけです。あとで調べてみますと、三菱石油神戸油槽所、これはタンクの増設に伴う防油堀変更願いを出されて、この工事許可というのがおりているのが四十八年の十一月二十九日、いまも工事続行中ですので、一年以上にわたって防油堀が切り開かれている。仮使用の願いが出ているにしても、ここはたいへん人家密集地帯です。そこに隣接しているわけです。これでは非常に危険じゃないかというふうに思うわけです。そして、この防油堀が切りくずされていないにしても、この防油堀は役に立ちません。なぜかと申しますと、この防油堀をパイプが貫通しております。防油堀にパイプを貫通さすということは、非常に弱くなるわけです。それだけでなしに直径三十センチほどのパイプが通っている。その周辺はくずされたままです。だから、周囲にぐるりと五、六センチの穴があいて向うが見えるわけです。防油堀の役に立たないわけです。一体こういうふうな防油堀をほっておる三菱のこの対策ですね、優秀な企業だとお答えになりましたけれども、私が、この防油堀は何だと指摘しますと、詰めねばいけませんねと事もなげなお答えです。  それから、オイルフェンスの問題ですけれども、これは、ここにはオイルフェンスは常時張らなければいけないというふうにはなっていないわけですけれども、オイルフェンスはどうでしょうと聞きますと、潮流が激しくて張れないと、こう答えられたわけです。しかし、ここから八百メートルほど離れたところに丸善石油がありますけれども、ここの潮流のほうが激しいということを丸善石油のここの所長が申しております。ここではちゃんと当時、オイルフェンスが張ってありました。このように平気で偽りの答弁をなさる。その場限りの答弁をなさるというふうなことも重なっております。だから付近の住民は、こういう三菱石油に対して非常な不安を抱いているわけですけれども、一応ここでとめて、一体こんな三菱石油は、優秀な防災体制を十分にしている企業なのかどうかということを、通産、消防各庁お答えいただきたいと思います。
  65. 増田実

    政府委員(増田実君) 安武先生が御指摘になりましたような事実がありましたら、これは非常に遺憾であると思います。私のほうも事実を確認するようにいたします。
  66. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) ただいま先生御指摘のような、防油堀を切りくずしたままとか、あるいはパイプの周辺を穴をあけたままというのは非常に危険な状態でございまして、私どもはこういうことを現地が十分監督しているというように認識しておりましたが、御指摘でございますので、事実がございます関係上、今後こういうことのないように、十分市町村が監督するように強く申しつけたいと思っております。
  67. 安武洋子

    ○安武洋子君 こういうけしからん三菱石油の防災体制の手抜かりが今度の水島の惨事も生んだと思います。だから、いまのお答えも含めで政府自身、もっときびしい措置をこの三菱石油にとっていただきたい。もちろん、今度の災害についても全被害を三菱石油に補償させるようにすることは、これはもちろんですけれども、させていただきたいと思います。  そして、この三菱石油を含む石油基地は神戸の長田、須磨海岸に密集しております。だから、付近の住民はたいへん不安を抱きまして、関係十三社に対して防災協定を結ぶようにと要求しております。で、防災協定の中身、七項目ですけれども、石油基地とそれから居住地の間に緩衝地帯をつくってほしいとか、必要な台数の化学消防車を設けてほしいとか、しごく当然の要求です。これに対して、関係十三社に防災協定を早急に結ぶようにという行政指導をお願いしとうございます。それとともに、さらにこの全企業に対して、この三菱のようなずさんな防災体制かどうかというふうなことで、先ほど要求した立ち入り点検、これをぜひやっていただきたいということを重ねてお願いします。  それから、三菱石油の資本金ですけれども、私のほうでは百五十億、このように思っておりますけれども、間違いございませんでしょうね。これは大手の石油企業の中では第五位に当たるわけですね。で、この三菱が油回収船を持っているかどうかということをお伺いいたします。
  68. 増田実

    政府委員(増田実君) 三菱には油回収船はないそうです。
  69. 安武洋子

    ○安武洋子君 大体油回収船一そうも持たないという三菱の企業姿勢、先ほどからいろいろ申し上げた三菱の姿勢、一貫してやはりあらわれていると思うわけですね。ですから、こういう水島の参事も起こっております、再びこういう惨事を起こさないように厳重に政府の監督を私はお願いいたします。  それから、抜本的な防災対策、これを考えるとともに、私どもはいまの緊急事態に対して、政府に十二月の二十三日、緊急の申し入れを行なっております。これは七項目にわたっておりますけれども、その一つは、流出重油による漁業被害は、直接、間接被害を問わず、関係漁民の要求に基づき、加害者である三菱石油に全面的な損害賠償を行なわせること。   一、被害漁民に対し、年末の生活つなぎ資金の交付など、国と地方自治体の緊急救済対策を実施すること。  また、漁協に加入していないノリ採取業者および水産関連業者への救済を行なうこと。   一、国と企業は、漁業被害の拡大を防ぐ必要な手段と体制をとるとともに、海上に流出し、また沿岸を汚染した重油の除去につとめ、すみやかな復元・浄化をはかること。   一、事故原因の究明を早急に行なうとともに、残った重油がこれ以上海面に流出しないよう措置すること。   一、全国の原油基地、石油精製施設の安全と汚染防止体制の総点検をすみやかに行なうこと。   一、大規模製油所の構造及び設備の技術上の基準を根本的に見直し、強化すること。   一、石油精製工場の瀬戸内海沿岸における新設を停止すること。  以上、共産党の国会議員団として申し入れを行なっております。これを誠実に実行されるように申し入れをして私は質問を終わりたいと思いますけれども、河本通産大臣、おわかりでございましようか。
  70. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) とにかく、これを機会にいたしまして、抜本的に安全対策というものを考えていきたいと思います。  なお、三菱石油のほうは、年末を控えておりますので、漁民、漁業組合等との間に一時金を先渡しする等いろんな措置を講じておるようでございます。
  71. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、派遣委員の報告に関する質疑はこれをもって終了いたしました。  なお、別途報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十二時散会      —————・—————