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1974-12-24 第74回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十九年十二月九日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 三池  信君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君    理事 佐藤 文生君 理事 佐藤 守良君    理事 太田 一夫君 理事 兒玉 末男君    理事 三浦  久君       石井  一君    小渕 恵三君       大竹 太郎君    唐沢俊二郎君       關谷 勝利君    田村  元君       渡海元三郎君    西銘 順治君       増岡 博之君    宮崎 茂一君       山村新治郎君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       坂本 恭一君    梅田  勝君       紺野与次郎君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十九年十二月二十四日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長代理理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 孝行君  理事佐藤 守良君    理事 太田 一夫君  理事兒玉 末男君    理事 三浦  久君       小渕 恵三君    大竹 太郎君       關谷 勝利君    渡海元三郎君       西銘 順治君    増岡 博之君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       梅田  勝君    紺野与次郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         運輸省船員局長 山上 孝史君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         海上保安庁長官 寺井 久美君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  深田  宏君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月九日  辞任         補欠選任   石井  一君     江藤 隆美君   小渕 恵三君     阿部 喜元君 同月十日  辞任         補欠選任   神門至馬夫君     佐々木更三君 同月十二日  辞任         補欠選任   阿部 喜元君     小渕 恵三君   江藤 隆美君     石井  一君 同月二十日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     瀬戸山三男君   斉藤 正男君     安宅 常彦君 同日  辞任         補欠選任   瀬戸山三男君     綿貫 民輔君   安宅 常彦君     斉藤 正男君     ――――――――――――― 十二月九日  航空法の一部を改正する法律案内閣提出、第  七十一回国会閣法第八八号) 同月十六日  気象業務整備拡充等に関する請願木下元二  君紹介)(第一三三号) 同月十八日  気象業務整備拡充等に関する請願(紺野与次  郎君紹介)(第六八三号)  同(松本忠助紹介)(第六八四号)  同(吉田法晴紹介)(第六八五号)  過疎地域交通確保に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第六九八号) 同月二十日  気象業務整備拡充等に関する請願鬼木勝利  君紹介)(第一七二九号)  同(梅田勝紹介)(第二一二五号)  国鉄車両し尿処理設備改良に関する請願(小  沢貞孝紹介)(第一七三〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一七三一号)  同(羽田孜紹介)(第一七三二号)  同(吉川久衛紹介)(第二一二八号)  同(小坂善太郎紹介)(第二一二九号)  国鉄篠ノ井線複線化促進に関する請願小沢  貞孝紹介)(第一七三三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一七三四号)  同(羽田孜紹介)(第一七三五号)  同(吉川久衛紹介)(第二一二三号)  同(小坂善太郎紹介)(第二一二四号)  北陸新幹線年内着工に関する請願小沢貞孝  君紹介)(第一七三六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一七三七号)  同(羽田孜紹介)(第一七三八号)  同(吉川久衛紹介)(第二一二一号)  同(小坂善太郎紹介)(第二一二二号)  中央新幹線建設促進に関する請願小沢貞孝  君紹介)(第一七三九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一七四〇号)  同(羽田孜紹介)(第一七四一号)  同(吉川久衛紹介)(第二一二六号)  同(小坂善太郎紹介)(第二一二七号) 同月二十一日  国鉄篠ノ井線複線化促進に関する請願中澤  茂一紹介)(第二五〇八号)  同(中村茂紹介)(第二五〇九号)  国鉄車両し尿処理設備改良に関する請願(中  澤茂一紹介)(第二五一〇号)  同(中村茂紹介)(第二五一一号)  北陸新幹線年内着工に関する請願中澤茂一  君紹介)(第二五一二号)  中央新幹線建設促進に関する請願中澤茂一  君紹介)(第二五一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二十一日  山陽新幹線新大阪広島間の早期開業に関する  陳情書(第一一六  号)  国鉄車両し尿処理方法早期改善に関する陳情  書外五件  (第一一七号)  精神薄弱者運賃割引制度創設に関する陳情書  外五件  (第一一八号)  北海道における空港整備促進に関する陳情書  (第一一九号)  関西新国際空港泉南沖設置反対に関する陳情  書(第一二〇号)  港湾整備充実に関する陳情書  (第一二一号)  過疎地域バス路線維持等に関する陳情書  (  第一二二号)  新幹線公害防止に関する陳情書外一件  (第一二三号)  自動車の保管場所確保等に関する法律の改正  に関する陳情書(  第一二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  閉会審査に関する件  港湾及び海上保安に関する件(流出油事故によ  る海洋汚染に関する問題等請願  一 気象業務整備拡充等に関する請願木下    元二紹介)(第一三三号)  二 同(紺野与次郎紹介)(第六八三号)  三 同(松本忠助紹介)(第六八四号)  四 同(吉田法晴紹介)(第六八五号)  五 過疎地域交通確保に関する請願鈴木善    幸君紹介)(第六九八号)  六 気象業務整備拡充等に関する請願鬼木    勝利紹介)(第一七二九号)  七 同(梅田勝紹介)(第二一二五号)  八 国鉄車両し尿処理設備改良に関する請願    (小沢貞孝紹介)(第一七三〇号)  九 同(唐沢俊二郎紹介)(第一七三一号) 一〇 同(羽田孜紹介)(第一七三二号) 一一 同(吉川久衛紹介)(第二一二八号) 一二 同(小坂善太郎紹介)(第二一二九号) 一三 国鉄篠ノ井線複線化促進に関する請願    (小沢貞孝紹介)(第一七三三号) 一四 同(唐沢俊二郎紹介)(第一七三四号) 一五 同(羽田孜紹介)(第一七三五号) 一六 同(吉川久衛紹介)(第二一二三号) 一七 同(小坂善太郎紹介)(第二一二四号) 一八 北陸新幹線年内着工に関する請願小沢    貞孝紹介)(第一七三六号) 一九 同(唐沢俊二郎紹介)(第一七三七号) 二〇 同(羽田孜紹介)(第一七三八号) 二一 同(吉川久衛紹介)(第二一二一号) 二二 同(小坂善太郎紹介)(第二一二二号) 二三 中央新幹線建設促進に関する請願小沢    貞孝紹介)(第一七三九号) 二四 同(唐沢俊二郎紹介)(第一七四〇号) 二五 同(羽田孜紹介)(第一七四一号) 二六 同(吉川久衛紹介)(第二一二六号) 二七 同(小坂善太郎紹介)(第二一二七号) 二八 国鉄篠ノ井線複線化促進に関する請願    (中澤茂一紹介)(第二五〇八号) 二九 同(中村茂紹介)(第二五〇九号) 三〇 国鉄車両し尿処理設備改良に関する請願    (中澤茂一紹介)(第二五一〇号) 三一 同(中村茂紹介)(第二五一一号) 三二 北陸新幹線年内着工に関する請願中澤    茂一紹介)(第二五一二号) 三三 中央新幹線建設促進に関する請願中澤    茂一紹介)(第二五一三号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 これより、会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  この際、御報告申し上げます。  五年余にわたり本委員会委員として御活躍をされておりました神門至馬夫君が去る十一日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  ここにつつしんで委員各位とともに哀悼の意を表し、御冥福を祈るため、黙祷をささげたいと存じます。御起立願います。   〔総員起立黙祷
  3. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 黙祷を終わります。御着席を願います。      ————◇—————
  4. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため、  一、陸運に関する事項  一、海運に関する事項  一、航空に関する事項  一、日本国有鉄道経営に関する事項  一、港湾に関する事項  一、海上保安に関する事項  一、観光に関する事項  一、気象に関する事項 について、本会期中、調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は、全部で三十三件であります。  本日の請願日程第一から第三三の請願を一括して議題といたします。  まず、請願審査方法についておはかりいたします。  請願の内容につきましては、文書表で御承知のことでもありますし、また、先ほどの理事会におきましても御検討願いましたので、この際、各請願について、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  先ほど理事会において協議いたしましたとおり、本日の請願日程中、第五、第八ないし第一七及び第二八ないし第三一の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  残余の各請願は、採否の決定を保留いたしますので、御了承願います。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  10. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、山陽新幹線新大阪広島間の早期開業に関する陳情書外八件であります。  この際、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  11. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 閉会審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、航空法の一部を改正する法律案について、閉会中もなお審査を行なうことができますよう、議長に対し申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  13. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。兒玉末男
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 海上保安庁並び通産省にお伺いしたいのでございますが、去る十二月の十八日に、水島臨海工業地帯におきまして、三菱石油製油所タンク破損によって四万キロリットルをこえるC重油流出事故が発生し、それが現在瀬戸内海から紀伊水道に及ぶいわゆる重油流出はきわめて重大な問題としてわれわれは受けとめております。  このような事故に対して、さらに十九日の午後にも神戸港のポートアイランドのいわゆる硫酸漏出事故、さらに同じく十九日の午後四時四十五分には、同じ倉敷市にありますところの関東電化工業の水島工場においても重油並びに硫酸関係のパイプラインの破壊事故、こういうものが相次いで起こっているわけでございますが、特に石油関係コンビナートのいわゆる監督指導に当たる通産省資源担当庁としては、一体この事故に対してどういうふうな対策をとってきているのか。さらに、このような群集するコンビナートに対しましてもあらためて私は総合的な徹底した点検をこの際行なう必要がある、こういうふうに感ずるわけでございますが、今回の事故にかんがみての対策、それに因果関係等どういうふうに把握をされているのか、まず通産当局にお伺いしたいと思います。
  15. 松村克之

    松村説明員 お答えいたします。  石油精製業所管しております通産省といたしまして、今回の三菱石油の起こしました重大な災害ということについて非常に深く責任を感じている次第でございます。  最初に、三菱石油事故についてどういう措置をとったかという点についてお答えいたしますと、災害が確知されましたのが十八日の二十一時十三分でございますが、その翌日早朝に広島通産局公害保安課長以下四名を現地に早速派遣いたしました。また、本省からも担当官を一名派遣をいたしたわけでございます。派遣されました担当官からの情報及び消防庁海上保安庁等からの情報をもとにいたしまして、私どもがとりました対策を申し上げますと、最初広島通産局の中に対策本部を設けまして油の回収のための資材等を他の製油所等から急遽救援と申しますか、そのための手配をいたしたことが第一でございます。  第二番目には、近隣の都市、たとえば都市ガスでございますとか、あるいはその他の民生用あるいは工業用燃料油の供給について遺漏がないように他の製油所等への応援出荷ということを依頼いたしたわけでございます。それから全体につきましては、土曜日に精製各社に対してエネルギー庁長官から文書でもって今後の保安体制の確立について格段の努力をするようにということを申すと同時に、月曜日でございますが、精製各社保安担当役員等を招集いたしまして、とりあえずの話として年末年始保安確保体制についてさらに再点検をし、その結果を当庁に報告するようにということを昨日申し渡したところでございます。  次に、この事故原因でございますが、原因につきましては現在までのところ警察あるいは消防署あるいは海上保安庁等関係機関原因究明が現在行なわれているところでございますし、たしかきょう、それらの機関による原因究明のための現地調査が行なわれるというふうに聞いているわけでございます。したがいまして、その点について私どものほうからあまり推察めいたことはここでは控えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 いま説明を聞いていますと、報告を受けるということでございますが、むしろ私は関係通産局を通じてこのコンビナートの点在する個所については、積極的にこちらからそういうふうな点検体制をとるということでなくては、企業の側の報告を待って対処するということでは手ぬるいと思うわけですが、いかがですか。
  17. 松村克之

    松村説明員 たとえばタンク等点検につきましては、消防法でもって消防庁が御所管しておられるわけでございまして、消防庁とも十分それらの点については打ち合わせをいたしております。消防庁のほうで、たとえば昨日も消防庁石油連盟各社をお呼びになっていろいろの点検等についての御要望をされたというふうに伺っているわけでございます。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 そのような点検の経過について私はコンビナート設置については通産省所管である、事故関係消防庁だ、そのことはわかるわけですけれども、そのようなコンビナート設置については、いろいろな地理的条件なりあるいはそういう災害発生事態においてできるだけこれが人畜に被害がないとかいろいろな状況を勘案して認可をしていると思う。そうするならば当然通産省が主体であって、これを監督指導するのも通産省、ただ災害発生消防庁所管かもしれないけれども、そういうふうなコンビナート自体に対する責任の所在から考えても、もう少し通産省が積極的な姿勢を示すべきである。であるならば、いま消防庁との協力による各地域点検状況等の集約は大体いつごろできる見通しなのか、それを明らかにしていただきたい。
  19. 松村克之

    松村説明員 関係の省庁とも十分私ども協力をいたす所存でございますし、私どものほうからは私どもでお手伝いができることがあれば何でもお手伝いしますということは申し入れと申しますかお話はしているわけでございます。ただ消防庁にいたしましても、とりあえずの原因究明ということに重点を置いておいでのようでございまして、そういうことでございますので、私どもといたしましても、とりあえず年末年始対策というところに重点を置いて指導をいたしたわけでございますが、もちろん先生お話のように、通産省といたしましても、その災害消防庁と、あるいは海難、海上問題は保安庁というふうにただお願いしっぱなしということは、いかにも企業所管しております通産省として無責任と申しますか、そのそしりはもちろん免れないと思いますので、できる限りのお手伝いと申しますか、はいたしたいというふうに考えるわけでございます。したがいまして、私が申し上げましたその年末年始対策ということはこれは当座の問題でございまして、あとは当然関係諸官庁と十分打ち合わせをとって、できるだけ早くそれらの全体についての対策とそれの分担と申しますか、そういったことについてのお話し合いをしたいというふうに考えております。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 それではひとつ今後積極的な姿勢で、このような事故の再発がないように積極的な指導をひとつ要望します。通産省よろしいです。  次に海上保安庁にお伺いしますが、新聞やテレビの報道等を聞いておりますと、事故発生から、大体数字的には三千キロリットル、二百リットル入りのドラムかんで約一万五千本ですか、程度海洋に流出している。それで現在では内海から紀伊水道、和歌山県沿岸まで及んでいるという報道がされておりますが、この事故発生対応して海上保安庁としては、オイルフェンスをはじめ海洋汚染防止ということと同時に、これが及ぼす水産業関係被害というものは相当甚大だといわれておりまするが、現在の保安庁の機能として、私はこの程度事故ではめったにないことだと思うのですけれども、今後内海にも相当タンカー船等は往来しておるわけですが、このような防止対策について今回どういうふうな対策をとってきたのか。同時に、現状ではまだ油の流れが広がっている状態がなかなか食いとめられない。また香川県沖等においては六万人ぐらいを動員しまして、何かひしゃくみたいなものでくみ出しをしながら、ノリとかあるいはこのような汚染防止にやっきになっているということを聞きまして、事の重大さをわれわれ非常に深刻に受けとめているわけですが、取り締まりの主管である保安庁としてはどういうような対策を今日までとってきているのか、この点をお聞かせを願いたい。
  21. 寺井久美

    寺井政府委員 海上保安庁といたしましては、この種の事故が発生した場合、特に大型タンカー事故発生を中心にしていままで対策と申しますか対応策を準備しておったわけでございますが、そのために化学消防船あるいは巡視船等を出動させまして、油の拡散防止、油の処理あるいは火災が発生した場合の消火に応ずる体制を整えておったわけでございます。  さらに警察消防庁地方公共団体、民間の関係者が一体となりまして、事故発生の場合の被害最小限に食いとめる必要があるということから、石油コンビナート所在地またたとえば東京湾大阪湾のごとき湾単位流出油災害対策協議会というものを設けまして、必要な資機材の備蓄それから訓練等を実施して、有効に対処しようという措置をとってまいっております。  またタンク設置者等にも油の防除機材の保有が義務づけられておりますが、こうした事故が発生した場合に、緊急かつ効果的に集中使用ができる体制を整備する必要がございますので、この点については先ほど申し上げました対策協議会をさらに活用強化していく必要があるというふうに考えております。  今回の事故の場合を例にとって申し上げますと、まず第一に、オイルフェンス展張の可能な場所につきましてはオイルフェンスを展張いたしまして、油の拡散防止するという措置をとりました。それから第二には、海上に流れ出しました油につきましては、油処理剤等を散布して乳化処理を行なう。それから第三番目に、濃い油につきましては回収船によって回収をする、あるいは吸着材によりまして吸着をする、あるいは先ほど先生指摘のような網によりましてくみ取り作業を行ないました。沿岸に標着いたしました油につきましては地元の協力を得まして、くみ取りあるいは清掃等対応のしかたをやっておる次第でございます。  御指摘のように、非常に大量の油が流出いたしまして、昨日の夕刻の状態では鳴門海峡を越えて紀伊水道まで薄い油が出ておるというのも事実でございます。こうした油をどのように処理できるかという点につきまして、全力をあげていろいろやっておりますが、潮流の関係等もございまして、なかなか早急に油の処理ができないというのが現状でございます。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 聞くところによりますと、このような臨海工業地帯の特にコンビナートにおける問題、いろいろと報道されておるわけですけれども、問題は、海上保安庁は油が海洋に流れてくるまではその所管外である、こういうことだと思うのですけれども、やはりこのような事故は去年でしたか、タンカー船の問題もあり、この前東京湾上のタンカーの問題もありまして、いわゆるこのような事故をできるだけ最小限に食いとめることと同時に、最悪の事態対応する防御対策、こういうことが私はやはり海上保安庁としても真剣に考えられなくてはならない。今度の場合でも、おそらく管区本部としては第五管区ですかね、相当の手段はとっておるようだけれども、いわゆる三千キロリットル程度重油流出に対して全く防除効果というものが、ほとんど効果がないんじゃないか。関係沿岸ノリ、ハマチなど養殖関係もおそらく五十億をこえる被害をこうむっている。こういう点等について、海上保安庁として設備上の不十分さというものあるいは対応策というものが技術的に不可能であるのかどうか、その辺の関係はどういうふうに長官としてはお考えになっておるのか。
  23. 寺井久美

    寺井政府委員 まず海上保安庁設備でございますけれども、たとえば油の回収装置を持った船というものも予算要求をいたしまして、本年度には一隻入ってまいるという状態になっておりますが、これは購入を多少ずらしました関係で本件に実は間に合わなかったという実情がございます。それから、この油の回収船そのものの能力といいますか、技術的にまだいろいろ問題があるようでございまして、それが整備されたから油が全部早い時期に回収できるという性質のものでもございませんようでございますが、しかし、少しでも回収に役立つということのためには、そういう現在ある施設をまず整備する必要があるというふうに考えておりますし、また技術開発等によりまして、より効果的なものが生産されるようになりましたら、それを使用していきたいというふうに考えております。  それから、この対策といたしまして、海上保安庁は当然海の上のことに中心があるわけでございますが、臨海地域にこういういろいろなタンクその他がある、これが今回のように海に影響があるということがはっきりいたしました。やはり、陸上の関係機関あるいはこういう施設を持っております石油業界と常日ごろ十分な連絡をとりつつ、今回のことを教訓といたしまして、さらに海へ流れ出てこないような施設をしていただくということを要望していきたいというふうに考えております。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 まあ、所管庁でないので、間接的な被害に対して処理をするのが海上保安庁でありますけれども、今回のこの教訓にかんがみて、やはり海上保安庁としては、もう少し積極的な意見を出して、たとえば今回の場合でも、聞くところによると、タンクから漏出する場合の、いわゆる防油堤というのですか、これらについてもなかなか基準が明確でないということも聞いておるわけです。ですから、このような施設がある周辺については、特に海洋へ流出した場合、因果関係が明確であれば沿岸の漁民等は補償の要求ができる。しかし、企業には支払い能力の問題がある、そういう点等で、結局最後は裁判を通じて、被害をこうむった零細な沿岸漁民は泣き寝入りをしなくてはいけない。そこで、海上保安庁として、取り締まり官庁としても、このような弱者の立場というものに重点を置く対策、同時にこのような企業に対しては、そういうふうな設備関係について、海上保安庁としてもひとつ積極的な意見を出していただいて、災害が発生してからこれを防ぐという予算よりも、災害を事前に防止するという、こういう姿勢で臨んでいただきたい。特に、関係の省庁等の早急な連絡会議を持って、これ以上の災害は発生しないという保証はないわけでございますので、それらの点について最後に長官の見解を承りたいと思います。
  25. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま先生の御指摘、まことに私同感でございます。ただ、施設等につきましては、当然今回の場合も消防法上の規則は十分守られておったというように考えておりますが、規則が守られるということ以上に、やはりそういうおそれをできるだけなくすという点につきまして、私どもの立場から、やはり消防庁その他に意見を申し述べていきたいと考えております。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 関連があるそうでございますので……。
  27. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 関連質問がありますので、許可します。金瀬俊雄君。
  28. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ただいまの兒玉委員の質問に引き続きまして、関連質問をお願いいたします。  今回の事故は、東京湾におきますタンカーの衝突事故に引き続きます事故であるわけでございますが、御存じのように、大型タンカーとかあるいは備蓄されているタンクから大量に油が海上に出た場合には、それを処理する能力というものを海上保安庁は持っておるわけですが、今度の事故はその能力の限界を越えたものかどうかということ、それから、もしそうだとすれば、海上保安庁で持っておる、油を吸い上げる船があるはずです。そういう船の準備というのはどの程度持っておるのか、それから、あと、むしろとかいろいろな準備が平素備えられておるわけですが、そういうものに対する、こういう大きな事故に対する海上保安庁対応策というのはどの程度あるのか、それについて御答弁をお願いいたします。
  29. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、こうした事故対応いたしますためには、海上保安庁が持っております防除用機材だけでは不十分であるという観点から、先ほども兒玉委員にお答えを申し上げましたが、関連の業界それから地方公共団体と連絡協議会を持ちまして、こうした対策の準備をしておるわけでございまして、こうした各団体が持っております船をはじめ、防除用資機材を有効に活用する必要があるというふうに考えております。御指摘の油の回収船は、実はまだ、予算上購入いたすことになっておりますが、今回の場合、まだ現物が届いておらなくて間に合わなかったというのが実情でございます。
  30. 金瀬俊雄

    金瀬委員 油の回収船というのは、これは国内でつくっていますか。
  31. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 運輸省の港湾の部門におきまして現在、油回収船を二隻新造いたしまして、京浜並びに阪神で一隻ずつ所有しております。それで、今回の油の事故に対しましても、神戸の油回収船を水島に出動させているわけでございますけれども、これは半分アメリカ、半分日本の合体でつくったものでございます。
  32. 金瀬俊雄

    金瀬委員 今度の事故というのは、海上保安庁消防庁なりあるいは関係業界の備蓄してある対応策をはかるに越える大きな事故であるかということが問題なんですよ。はるかに越えるものであるのかどうか、全くもう処理能力のないような大きな事故であるかどうか、それはどうなんですか。
  33. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、備蓄しておった資機材が十分であったかどうかという点で、オイルフェンスをまず展張いたしました。ところがこの当初予定、といいますか、普通考えられました量よりもはるかに多くの量が出ておったわけでございます。一重に張りましたオイルフェンスではもたないということで、二重、三重にオイルフェンスを張って流れ出ることを防ごうということを試みたわけでございますが、潮流の関係もややございまして、一部流出を始め、同時に、オイルフェンスが部分的に切れたという事実があります。したがいまして、オイルフェンス自体の改良も考えていかなければなりませんが、持っておりましたオイルフェンスの量からいたしますと、大体四千九百メーター程度オイルフェンスを展張いたしましたが、水島地区には一万数千メーターのオイルフェンスがございます。したがいまして、量としてはまず十分あったということが申せるかと思います。それから、油の処理剤あるいは吸着材というものも相当量使っておりますが、これが足りなくなったという報告は受けておりません。したがいまして、資材等は十分あったと考えられますが、何ぶんに短期間に大量の油が流れ出たということのために、処理が追いつきかねたという点があるように考えております。
  34. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そのくらいの事故ならば処理能力があったけれども、瞬間的に大量に出たから対応策が間に合わなかった、簡単にいえばこういうことですか。
  35. 寺井久美

    寺井政府委員 簡単にいえばそういうことでございますが、流れ出て拡散した油の処理につきましては、いまの能力では不足しているということであります。
  36. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは、水産庁、消防庁それから海上保安庁、各業界の、水島付近なら水島付近で油が流れ出た場合を予想しての総合した防災訓練というのをやったことがあるかどうか、それをちょっと教えてください。
  37. 寺井久美

    寺井政府委員 流出油災害対策協議会を中心といたしまして、民間と一緒になりまして訓練を毎年一回やっておるのが現状でございます。
  38. 金瀬俊雄

    金瀬委員 海へ大量に油が流れ出した場合はだれが最高責任者であって、どういうふうに処理していくかという国の責任体制というのが明確でないですよ。油が流れ出した場合は海上保安庁が最高責任をもって全体を指揮するのか、あるいは地方の消防関係の人が指揮をするのか、あるいは水産庁がやるのか。どこがやるということは国のほうでまだ明確になっていませんので、その点については国のほうで、海上へ油が流れ出てきた場合はどこが責任をもってどう処理していくかという責任体制を、災害対策委員会とか各方面と相談して一日も早くつくってもらわないと、まちまちな指揮系統だからなかなか予防処置ができないというきらいが相当ありますので、その点についてはひとつ十分な対策を練っていただきたい。  それからもう一つ、タンク、これは通産省の人が来ていると思いますので聞きますが、タンクの中から大体どのくらい油が流れ出たかすぐわかるという管理体制ができておるはずです。だから、コンピューターの部屋、管理室にいれば、どのくらいタンクにいま油が残っているか、出ているかということは、急激に減れば絶対にわかるようになっているはずです。だから、よほどばかでない限りはこんなに流れ出すということは絶対にないはずですよ。それがどうなっているか。通産省の人来ていますか。
  39. 松村克之

    松村説明員 お答えいたします。  最近の精油所のタンクにつきましては、先生のいま御指摘のありましたように、自動的に計量がなされ、それが集中的に管理されているというところが、新鋭の精油所でございましたら大部分でございます。したがいまして、急激な油面の低下ということがあった場合には、それは当然計器室においてチェックできるということになっておると思います。
  40. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、このタンクは古いタンクだ、そういうものがないタンクだった、こういう意味ですか。
  41. 松村克之

    松村説明員 そういうわけではございませんで、三菱石油タンクについても当然そういうことは、急激な油面の低下を生ずる段階においては計器によって判明したということでございます。
  42. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この場合それが重大な問題なんですが、どこでもタンクというのは放射能を使っておるはずです。放射能を使うことがいいか悪いか。放射能の出ることによる被害その他のことについては違う機会に質問しますが、タンクには必ず放射能物質をつけてあるはずです。その放射能の物質によって変化というのが刻々管理センターに映らなければならないはずです。ダムが決壊したときなんかに、水が減るのがすぐわかるようになっているはずです。それと同じ装置がつけてあるはずです。だから、その装置が自動的に発動すれば、絶対に油が大量に外に流れ出るということはないはずなんですよ。よほどの人為的な欠陥があったとかなんとかいうことしか考えられないわけです。だから、油が流れ出して海上保安庁に迷惑をかける前に、もう少し通産省というのは徹底的にそうした検査をやっておかなければならないはずです。だからこのタンクについては、どの程度中間検査をやったり竣工検査をやったりいろいろなことをやっておるかどうかということが問題だと思うんですよ。普通タンクに油を入れる場合には、タンクの中をからにして、油より重い水を何日か入れて圧力をかけて、絶対だいじょうぶだということにならなければ、油を入れないはずなんですよ。それだけの準備をして、そして放射能とかいろいろな物質で変化がわかるようになっているはずだから、管理センターには必ずわかるはずなんですよ。だからそれがわからなかったということは、これは通産省指導が悪いのか、あるいは会社の管理体制が悪いのか、どこかに欠陥があったはずですよ。この油が流れ出てきた最大の欠陥は何であるか、それをちょっと答弁してくれませんか。
  43. 松村克之

    松村説明員 今回の事故原因につきましては、先ほど兒玉先生にお答えいたしたとおり、主管庁、たとえば警察でございますとか消防庁でございますとか等で現在原因調査中でございます。したがいまして、私どもからちょっとどういう原因であるかという点について御説明はしにくいわけでございますが、先生お話のように放射能を使っておるものもございます、それ以外のものもございますが、油面については常時計器的に管理されていることは事実でございます。  ただ、今回の事故について私どもが聞きました範囲においては、ある時期までは油の流出はどちらかといえば漏洩といいますか、漏れる程度であった。それがある時期に至って、非常に急速に流出するようになったというふうに聞いているわけでございます。それでその漏洩の段階では、これは視察によって、つまり歩き回っている監督員がそれを発見したというふうに聞いているわけでございます。
  44. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最後に一点だけ要望しておきます。それは、視察員が目で見て回って事故が起きたということがわかったと新聞には出ておりますが、明らかにそれはコンピューターで管理室でわかるはずなんですよ。絶対わからなければならないはずなんですよ。見て回ってなければわからないような監視体制というのは、体制の中では一番悪い体制なんですよ。だから、その点について今後指導を厳重にしていただきたいということと、もう一つは石油の備蓄、原油の備蓄というのは、これから先の日本の大きな課題なんですよ。そうしたときにこのタンクから油が出たということは、将来東京湾の中に備蓄基地をたくさんつくるとかいろいろ話が出ておりますが、そうしたことについてますます漁民とか住民の反対が強化されてきて、備蓄ということについては相当再検討しなければならないし、反対の大衆運動が起こるということは確実なことに、この問題を契機になってくると思うんですよ。こうした備蓄を今後やるとすれば、タンクの防災ということについては通産省で再検討すべきである、さように考えておりますので、その点についてひとつ強く要望しまして、関連質問を終わります。      ————◇—————
  45. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。木村運輸大臣。
  46. 木村睦男

    ○木村国務大臣 去る九日の三木内閣発足に伴いまして、運輸大臣を拝命をいたしました木村睦男でございます。  運輸省の行政は、輸送、交通等を中心にいたしまして、観光あるいは気象庁等非常に幅が広うございますが、いずれも国民の日常生活に非常に密接な関係を持っております行政だけに、その任務は非常に重いと自覚をいたしております。  しかるに私、今回運輸大臣をお引き受けいたしたのでございますが、きわめて非力でございます。その任を尽くし、果たし得るかどうか、たいへん不安に思っておりますけれども、私なりに全力をあげて取り組んでいきたいと思っておりますので、今後いろいろと当委員会の皆さんには御迷惑をおかけしたり、あるいは御心配をしていただく問題が多々起きると思いますが、どうかひとつよろしく御支援、御指導のほどをお願いを申し上げまして職責を果たさせていただきたい、かように思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。一言ごあいさつを申し上げる次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  47. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について質疑を続行いたします。紺野与次郎君。
  48. 紺野与次郎

    ○紺野委員 まず第一番に水島港の三菱石油タンクからの重油の流出問題をめぐる問題を聞きます。  これは、十二月十八日に、約四万三千キロリットルといわれておりますが、C重油三菱石油タンクから流れた。まず第一番にお聞きしたいことは、このうち地上に流れた重油海上に流れた重油の量はどれくらいであったのかということと、それからその流出した海面の範囲がどの範囲に拡大したかということと、その沿岸の住民、漁民に与えた被害はどれくらいであるかということについてまず聞きたいと思います。
  49. 松村克之

    松村説明員 お答えいたします。  まずこれは消防庁のほうで現在御所管といいますかチェックしておられますので、けさ消防庁のほうから伺った数字を申し上げますと、約四万四千キロリットルの油が流出した。そのうち二万八千キロリットルが防油堤内にとどまり、その他の油が防油堤外に流出して、工場の構内約八万平方メートルの範囲に拡大するとともに、海上相当量流出したものと思われる、こういうふうに消防庁のほうでけさ伺ったものでございます。
  50. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま通産省のほうからお答えがありましたが、海上に流れ出ました油の量というものはまだ明確にわかっておりません。ただ、相当量流れ出たというふうに考えられます。私どものほうで油の処理剤あるいは吸着材の使用状況から見まして大体三千キロリットル程度処理をしたというふうに考えております。  油がどの程度の海面に流れ出たかということでございますが、水島から出まして小豆島と高松の間を通りまして、一番流れ出ました先端が鳴門海峡を過ぎて紀伊水道に一部出ておるという状態でございます。ただ、全面的にこれがべったり油ということではございませんで、部分的に油の濃度が違っておりますし、また油がないところもございます。それから高松側には相当の油がすでに海岸にスラッジ状になって漂着をしておるというふうに報告を受けております。
  51. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その被害ですね。漁民に対するノリとかハマチとか、そういうものに対する被害の総額はわかりませんか。
  52. 松村克之

    松村説明員 これは水産庁のほうの御所管でございますが、私のほうで情報として聞いておるものを申しますと、岡山県と香川県がそれぞれ養殖ノリ、ワカメ、ハマチ等で二十数億円、合計で四十数億円という数字が両方の県からとりあえずの数字として出ております。これは二十二日ないし二十三日現在という数字でございます。そのほか兵庫等についても今後数字が出ると思いますが、現在のところではその二県だけでございます。
  53. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ではさしあたってこれは大臣にもお聞きしたいと思いますけれども、四十数億の被害が、現実に三菱石油の不始末からこういうことが行なわれているわけですが、これに対して政府として三菱石油に対して全面的にこれらの漁民に対する損害賠償、これをするように指導するかどうか、われわれはこのことを政府にすでにきのう申し入れをしているのですけれども、これについて政府の態度をお聞きしたいと思います。
  54. 木村睦男

    ○木村国務大臣 今回の水島港のC重油タンクの油が瀬戸内海に漏れまして、予想いたしましたよりもたいへんな広範囲に広がって、またその被害状況もただいま御説明申し上げましたように、非常にばく大なものになっておるわけでございます。まことに政府としても遺憾に思っておるところでございます。そのために御指摘の漁民の方たちにも相当大きな被害を起こしておるということも事実でございます。したがいまして、現在原因等も取り調べ中でございますから、いずれはその明確な結果を待って処置すべき問題でございますけれども、政府といたしましても、被害を受けられました漁民その他の関係者にできる限りの補償ができるようにいろいろと努力を尽くしたい、かように考えております。
  55. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、それは原因者でありますから、三菱石油に対し出すように、できるだけ損害賠償に応ずるように指導するということですね。  それからもう一つ、この年末を控えて、漁民は非常に困っておりますから、そういう点での生活のつなぎ資金、こういうものも、まず率先して国がこれらの漁民に対するつなぎ資金のようなものを出すというふうに、これは非常に度はずれた災害ですね。瀬戸内海がほとんど全体が汚染されるというふうな、かつて聞いたことのないことなんでありまして、そういうことに対してやはり住民に対するつなぎ資金その他の援助を与えるというふうなことをやるべきだと思いますが、その点とあわせて、もう一度お願いをいたします。
  56. 木村睦男

    ○木村国務大臣 おそらく現地のほうでも被害者の方からそういう声が出ておろうかと思いますし、実は私も年内に一度実情を見に参る予定にいたしておりますので、現地に行きましてそういう関係者の方からもよく話を聞き、また現状も見ました上で、いまお話しのような点も含めまして、政府として努力いたしたいと思っております。
  57. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ではその点についてはぜひノリ業者あるいはハマチ業者等々を含めて、しかるべき損害賠償とつなぎ資金等を政府に指導及び実際の措置をしてもらうようにしたいと思います。  それからこの問題と関連して、実際にまだ油が流れていってどんどん広がっているわけですから、これについて、この拡大を防ぐための積極的な手段ということについて、もうちょっと前の質問者にも答弁ありましたけれども、こんなに広がっていくということの原因と、これをどうすればこんなに拡大しないようにできるかということについて、関係者の答弁をお願いしたいと思います。
  58. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、これに対します対策としてどういうことをしたかということをお話し申し上げたいと思いますが.まず油が流れ出しました当初は、オイルフェンスを展張いたしまして油の拡散を防ぐことを試みました。その後オイルフェンスが十分効果を発揮しないで油が流出を始めたわけでございますが、このうち薄い油につきましては、油処理剤を散布いたしましてこれを乳化処理をいたしました。それから海上にあります濃い油に対しましては回収船によって回収をいたしますほか、吸着材あるいは網等によりましてこれをくみ取りを行なっております。また、沿岸に漂着いたしました油につきましてもくみ取り作業等を行なっておるわけでございます。  油がこのようにどんどん広がっていくのを防ぐ方法といたしましては、やはり濃度の濃い部分から、非常に原始的ではございますが、くみ取り等の作業によって濃度の濃いところの油の処理をしていくという方法しか現在のところないというふうに考えております。また、薄い油につきましては、油処理剤等の処置によってこれを行なうことができるわけでございます。ただ油処理剤の使用につきましては漁業者との意見の調整等が必要でございまして、すぐに発動するということができないような状態になっております。ですから、新しく油が流れ出た先々の関係の漁業者と事前に話をしながらこの処理をしていくということになろうかと思います。
  59. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 実は、港湾のほうの系統でございますけれども先生方の御努力によりまして昨年油回収船をつくりました。それで、神戸に現在一隻、横浜に一隻ございます。そのほかごみの回収船というものをつくってございます。それで、今回の場合には海上保安庁の要請によりまして神戸の油回収船現地のほうへ持っていっている。この油の回収船は二はいのタグボートで回収装置を曳航します。その場合に、二はいのタグボートのうしろのほうにオイルフェンスがついておりまして、ずっと進んでいきますと、だんだんと層の薄い油が集まってくるというような形で回収するというような新しいスタイルのものを派遣したわけでございます。これは大体一時間に五十立方メートルの油と水を分離する、油水を処理するという力を持っておりまして、これは初めて使っているわけでございますけれども、その効果を期待しているわけでございます。  それから一方、先ほど長官も言いましたが、油を吸着するようなものを流しますと、それがごみといいますか、よごれるような形で海面に浮かんでくる、こういうマイナス面があるわけでございます。そういうものに対しましてはやはり、ごみ処理船というものをたまたま昨年来持っておりますので、それでもって油を吸着したごみといいますか、浮遊物を吸収するというような作業もやっている最中でございます。これは、いずれにいたしましてもこういうような事故までは考えていなかったのでございますけれども、常々の清掃を考えましてつくったものがこのような大事故に対してどれだけ効果があるかわかりませんけれども、ある程度相当な期待をしているわけでございます。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いずれにせよ、そういう点については非常に抜かっていた。あれだけのわずかの油でもってどんどん、もう瀬戸内海が汚染されるような状況を拱手傍観するような状態になっていると思います。ですからそういう点で抜本的な対策が必要であるということになると思いますが、これについてわれわれとしてはさしあたって全国のたくさんの石油基地、それと瀬戸内海それから東京湾その他にあります石油コンビナート、これについて、安全と汚染対策という点でその防止体制について総点検を政府がこの際思い切ってやる必要があるのではないかということと、それから実際の石油コンビナートの構造上のいろいろの設備の技術的な点の基準、そういう点が非常に甘くなっていないかどうかというふうな、技術上の基準というのか、そういうものまであらためて見直すようにこの際総点検を政府が行なうべきである。そしてこれに対応できるような対策というものをつくるというふうにやるべきであると思いますけれども、この点について大臣がいち早くこの重大性を感じられてそういう抜本的対策の必要ということについてはどうでしょうか。
  61. 木村睦男

    ○木村国務大臣 私も近く現地へ行ってよく見た上でそういった問題についての判断もしたいと思っておりますが、何せ今度のこの事故はこちらで聞いておる限りでは非常に大きな事故でございます。おそらく今後とも他の地域にこういう事故が起こらないとも保証しかねる状況でもございますので、お話の点も十分頭に入れまして善処をいたしたいと思っております。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、総点検その他対策についてこの際政府が十分に見直しをして、二度とこういう事態が起こらないようなことをしてもらえるということだと思いますが、そうですね。
  63. 木村睦男

    ○木村国務大臣 この問題は運輸省だけのことではどうにもなりませんので、関係する他の各省もあるわけでございますから、他の関係各省とも十分相談をいたしまして、いまのお話の点も前向きに考えていきたいと思います。
  64. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、今度は消防関係に、たいへん急いでおられるようでありますからお聞きしますが、水島の問題は重油でありましたけれども、これが原油であったならば引火して火災になったであろうというふうに新聞でも報道されておりますが、もし重油でなくて原油であったならばという、こういう点でどうですか、消防庁の見地から見て。
  65. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 ただいま御指摘のとおり今回の油がC重油類似品でございますので、引火点が比較的高いというために火災の発生の危険というものは比較的少なかったわけであります。これが原油になりますと、原油はいろいろな油分が入っておりますので、比較的引火点が低くなっております。そういう意味におきまして原油の場合には火災の危険性がより大きかったということが言えると思います。  紺野委員 あの場合は水島コンビナートがありますから、もしこれが原油であったならば水島コンビナートに引火したかもしれないというのがいまの答えだと思います。また、マスコミのほうでもそう見ているようであります。  今度は東京湾ですけれども、最近川崎の大黒町の岸壁でアジア石油の第六シェル丸、二百六十一トンの船ですけれども、これがジェット燃料を給油中に爆発、炎上したのですね。わずか三十メートルのところにタンクがあったのです。それで、ここには数百のタンクがあって全体としてこのまわり一帯にはおそらく二千か三千のタンク群が東京湾の西のほうにあるのではないか。東のほうにも二千ぐらいあるのではないかといわれておりますが、こういう事態の中で火災ですね、このような大小のタンカーの爆発による火災の危険ということですね、こういうことをあらためて見直す必要が出ているんじゃないかというふうに思いますが、第一にお聞きしておきたいのは、この前の質問で私は大型タンカーが去年九百八十二隻東京湾に入っているということを聞きましたが、中小タンカーはどれくらい入っているのでしょうか。タンカーですね。それとこの東京湾内における石油タンクですね、その数がどれくらいあるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  66. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御質問のタンカーの数でございますけれども、四十八年に百六十九隻東京湾内に入っております。ただ、これのうち中型がどのくらいであるか、ちょっといま手元に資料がございませんので、調べましてお答えしたいと思います。
  67. 紺野与次郎

    ○紺野委員 東京湾に往復している中小タンカー、新聞が報道するところでは四万隻といわれておりますね。これは小さな百トンとか二百トンとか入れてだと思います。大型はといえば、この前の報告では四十八年は九百八十二隻、これは五万トン前後と二十万トン以上まで含めたものでありますが、そういうことで、東京湾における貯油タンクの数はわかりませんか。
  68. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 東京湾というふうに限定されますとまだ手元に資料ございませんが、いま屋外貯蔵タンクというのは全国で九万一千五百ございます。このうちいわゆる大規模タンクといわれますものが大体石油精製会社を中心にしてあるわけでございますけれども、これらの関係の大規模タンクというものが、これは全国の数字でございますが、三万キロリットルから五万キロリットルのタンクが二百二十八基、それから五万キロリットルから十万キロリットルが三百六十基、十万キロリットルをこえるものが百四十一基ということになっております。これがことしの三月末現在でございます。
  69. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは全国でですね。東京でもわれわれの資料では東側に約三千、西側に三千、千葉を中心として約二千ぐらいあるんじゃないかというふうに聞いております。ですから、これについてはひとつあとで資料をお願いしたいと思います。東京湾のですね。  それで問題は、その中で、私のほうから言いますが、四十七年度の、去年のナフサとかブタンとかこういう油を積んでいるものが、非常に引火しやすいものが約五千万キロリットル近くあるというふうにもいわれております。こういう状態の中でいわゆる大型消防船というものが何隻ぐらい東京湾にあるのかということについて、水島、向こうはあれですけれども、今度は東京のほうです、これについてこの間第十雄洋丸の衝突事件があったわけでありますから、そのことと関連して東京湾における消防船、これは一体どういう状態になっているのかということをあらためてお聞きしたいと思うのです。
  70. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます前に、先ほど私が申し上げました数字は一日の数字でございますので、年間に直しますと約五万隻ぐらいになるかと思います。  ただいま御質問の消防船の状態でございますが、現状はまず大型消防船が、海上保安庁の持っておりますものが一隻、それから民間が持っておりますものが一隻、そのほかに海上保安庁の持っております小型の消防船が二隻ございます。その他私どもの持っております巡視船の大部分が消防能力を持っておりますし、またタグボートの相当数が消火能力を持っておるという現状でございますが、考え方といたしまして、東京湾の消防能力としては、最低大型消防船が三隻と中型消防艇が一隻、合計四隻程度が必要であろうかというふうに考えておりまして、大型消防船一隻をさらに民間の協力を得まして本年度じゅうに着工をするという予定になっております。それができ上がりますことと、また中型消防艇につきましては四十九年度に代替建造することになっておりますので、これが完成しますと、計画いたしております大型三隻、中型一隻、合計四隻の体制になる状態にあるわけであります。
  71. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう考え方は、いまの東京湾における約五千ぐらいの石油タンクとかあるいはコンビナートも密集しているというふうな状態、そこにタンカーが四万隻か五万隻も往来している中で、まことにお寒い話だと思うのです。それで消防船といわれる「ひりゅう」ですか、これの能力ですね、これは普通の消防車と比べまして、われわれがもらった数字によりますと、いわゆるあわノズル能力が普通の消防車の三・四倍、消火能力が九・四倍、あわ原液保有量が九・四倍。普通の消防車のたかだか四倍とか九倍、こういうふうな船が一隻、二隻、三隻というふうなところにとどまっているということがいまのこの東京湾における危険というものと全く対応しない、コンビナートの危険というものとも対応しないものであるというふうに、常識的にそう考えられませんか。どうですか、その点。
  72. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、この大型消防船と申しますのは、普通の化学消防車に比べまして放水量でいいますと六・四倍、あわでいいますと四・一倍、あわの保有量からいいますと九・四倍でございますが、私どものこれを準備いたしますときの考え方は、二十万トン級のタンカーのサイドタンクが二個破れた場合に発生する火災に対応し得る能力があるというふうに考えておりまして、まあ当然のことと申しますか、いままで陸上のタンクから油が流れ出て火がつくということを十分想定いたしておりませんので、その意味で御指摘のように不十分であるという御判断もあろうかと思います。ただ東京湾内全体といたしましてどういう体制にいたしますか、今後さらに対策協議会等を通じましてこの準備を、考え方を整理させていただきたいというふうに考えておりますが、現在のところ私どもタンカーを中心に考えまして、二十万トン級のタンカーが火災が発生した場合に十分対応する能力ということで、大型消防船三隻が必要であるというふうに考えております。
  73. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最近、東京消防庁が研究したデータによると、東京湾の第二海堡付近で二十万トンの原油タンカーが衝突して引火した場合、その場合に約三万トンの油が流れることは避けがたいといわれております。今度の水島における油が、それよりはるかに少ない量で瀬戸内海一帯にああいうふうに蔓延したわけですけれども東京湾の中に三万トンの原油が流れ出てきたとしたならば、またたく間に東京湾全体に広がる危険がある。そして、これが引火して燃えたならば一体どうなるのか、京葉及び京浜工業地帯の石油コンビナートが一斉に引火する、爆発するという危険ですね、これに対してはもういまの消防体制の考え方では対応できない、お手上げであり、東京湾の機能は全滅するであろうということを、想定した研究の結果、そういうふうにいわれているのですね。そして、現にアメリカで一九四七年、南部のテキサスシティーでもって七千トンのタンカーが、接岸してこれは爆発したのですけれども、付近の製油塔二基と、原油タンクが誘爆しまして、そして二千五百メートル以内の町が完全に破壊した珍事が二年前に起きているのですね。そういうことを考えると、最近の、コンビナート付近、東京湾あるいは瀬戸内海においてこういう事故が多発しているということから見て、これは、アメリカのこの実情は、大いに無視できないということと、それからさきほどの、二十万トンタンカーから三万トンの原油があふれる、どうにも対応できないというような事態が研究されているということから見て、事の重大性ということ、東京湾及び瀬戸内海におけるこういうコンビナート近付の防火体制ですね、これはやはり根本的に考え直すということが必要じゃないか、この点もう一ぺん聞きたいと思います。
  74. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、三万トンの油が出るということでございますが、私どもの想定は、二十万トンタンカーの衝突によりまして二つのサイドタンクが破れた場合に、大体三万トンという油が流出する可能性があるという想定をしております。一つのタンクですと少ないわけですが、ちょうど継ぎ目の辺に船がぶつかった場合に、両方のタンクが破れる。そうすると、両方のタンク合わせまして、大体三万トンになる。したがいまして、その程度事故がまず大きな事故になるだろうということで、二つのタンクが破れて、まず三万トンの油を対象にして考えているわけでございますが、この場合、流出する油は一時間で約半径六百メートル程度であろう、そうして、火がつく部分はそれよりやや少ないかもしれない。この場合に、先ほど申し上げました三隻の大型消防艇で初期鎮火ができるというふうに判断をして、最低限三隻の大型消防艇が要るという計画を立てて、その準備をしておるわけでございます。  それから、第二番目に先生指摘の、接岸したタンカーが爆発をして、そして陸上の貯蔵タンクその他に引火するという場合にどうするかということでございますが、この点につきましては、私ども当然海面よりの消防に消防庁とも協力をするわけでございまして、そういった事態にどう対処するかという点につきましては、消防庁のほうとも十分連絡をとり、対策を立てていきたいというふうに考えております。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう点で、全然過小評価していると思いますね。三万トンの油がずっと広がって、しかもそれが、ただ引火するというんじゃなくて、今度の第十雄洋丸を見ても、瞬間的に吹き飛ばされるような、ああいう引火、爆発現象も起きているし、そういうちょろちょろと火が燃えていくというようなものではない。もっと研究されている東京消防庁のほうの計算では、全然いまの消防能力ではだめだということがいわれているわけでありますから、この際東京湾、特にこういうコンビナートが多い、石油タンクの多いとこれにおける、この石油基地及び石油コンビナートの消防対策の検討の上に、特別の安全措置法のようなものをつくってでも、この際抜本的にいろいろの施策を強化するということをいまから考えなければいけないのじゃないかと思いますが、その点どう思いますか。
  76. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 昨年の出光の徳山工場の爆発以来、相当数の石油コンビナートにおきまして爆発事故が発生をいたしたわけでございます。そうした経験にかんがみまして、特に石油コンビナート地帯、これは全国に、私の計算で約六十二カ所予定しておりますけれども、この地域についてば個別に、このコンビナート地帯といわば住民の居住地域を含めました、コンビナート地帯の防災診断というものを今年度から実施をいたしております。そうした個別にその地域の見直しを行なうことによりまして、必要な都市計画事業なりあるいは必要な消防力を充足をする、あるいはまた保安基準等についての見直しを行なうといったような対策をとってまいりたい、こういうことでいまコンビナート地帯の防災診断を実施をいたしております。なおこれは、一応診断基準というものを定めますと同時に、この診断につきましては、地元の消防機関協力を得ましてさらに継続をしていくつもりでございます。
  77. 紺野与次郎

    ○紺野委員 この個別診断ですね、そういうものを、ひとつ、できたところからわれわれに資料として提供して知らしてもらいたいと思います。  先ほど大臣も言われましたように、この際点検を行なうということも先ほど約束したと思いますけれども、そういう点検に基づいて、やはり消防体制ということをあらためて全国的な対策として打ち出すというふうにすべきだと思います。これについてもう一度あなたの答弁をお願いしたいと思います。
  78. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 各消防機関における消防力の充足の問題につきましては、現在消防法の規定に基づく消防力の基準というものがございますけれども、これについての全般的な見直しを行なっておるところでございます。なお、特にいま御指摘石油コンビナート地帯における消防力という点につきましては、通常の市町村の消防力とはまた別個の消防力が要請されるところでもございますし、また、企業自体におきましても、火災危険の非常に大きい企業でございますので、特に危険物を取り扱っております工場におきましては自衛消防力というものの設置を義務づけておるわけでございます。この自衛消防力の内容がこれで十分かどうかという点につきまして、さらにこれは検討を進めてまいりたいというふうに考えております。ただ、巨大タンク等における火災発生という事態になりますと、消防力がいかに充足いたしましても、それを完全に鎮圧をするということは非常にむずかしい問題がございます。そういう意味におきましては、現在は石油タンク、危険物のタンク自体に安全な設備を義務づけておるわけでありまして、たとえばあわ消火剤というものがそのタンクごとに自動的に放射できるような装置というものの安全基準が設けられておりまして、そうした火災が発生した場合にはその個別のタンクの発生時点において消火をしていくという安全基準がいま設けられて、その設置の義務づけが行なわれておるわけでございます。こういう施設自体の消防用の設備、それから企業自体の自衛消防力の充足、さらにまた地元消防機関の消防力の充足、この三者の充足によって危険というものの増大に対処していくということを考えておるわけでございます。
  79. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、第一の質問は大体これくらいにいたしますけれども、いま話されたようでありますけれども、くれぐれも企業の側の責任ということを、たとえば消防艦というようなものをつくる上においてもいまのような何百トンというのじゃなくて、数千トンくらいの大型のものが必要ではないかという人の意見も聞いております。そしてそれには企業の側からも金を出すべきだ。あるいは防油堤ですか、今度水島でもろくもくずれて油が流れ出した防油堤ももっと高く、あるいは二重につくるとか、いろいろこれは防壁としても役立つわけで、そういう点についてもまる裸の状態であり、こういう点についても十分企業側で責任をもって対処するというふうな点を強化してもらいたいというふうに思います。  その次の問題は、この前の第十雄洋丸の問題と横須賀の問題との関連でありますけれども、この間私が聞いたところでは、ちょうど衝突地点から北東風に押されまして、そして夕方には横須賀港の正面のところに船が流され、炎上しつつあったわけです。これに対して決死の覚悟でロープをつけてこれを引き戻して、千葉のほうに持っていったということをあのとき答弁していると思います。これは、あそこには岩礁や浅瀬が非常に多いので、船体の折損、それから引火爆発を考えて、決死的にロープをつけて現地に持っていったんだという答弁があったわけですけれども、いわゆる決死でロープをこれにくっつけて千葉の漁民のところに持っていったということ、これは横須賀の米軍基地がそこにあったからではありませんか。これについて海上保安庁……。
  80. 寺井久美

    寺井政府委員 経過は先生指摘のとおりでございますが、これを富津へ持ってまいりましたのは、横須賀の付近には非常に浅瀬と申しますか、岩礁がございます。船体が損傷いたしますと、先生指摘のように大量のLPGあるいはナフサが流出して二次災害を起こす可能性があるということのほかに、実は同船が積んでおりましたC重油、約二千八百トンといわれておりますが、これが流出して東京湾全体の汚染も懸念されたわけでございます。したがいまして、最善の策といたしまして比較的海底部分がやわらかい富津へ座礁させまして、そうして鎮火その他の対策を講じようということで持ってまいったわけでございまして、横須賀に米軍基地があるなしとは関係のない判断でございます。
  81. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ところが漁民は、自分らはノリやその他をやっているんだ、そこにこういうものを持ってきてもらっちゃ困るということを言ったときに、こう言ったそうですよ。あそこは、横須賀はやはり米軍の基地があるからだ、だからあそこからこっちへ持ってきたんだということを言ったといわれています。ですから、決死の覚悟でやったということは、それはあなた方うそを言っているんですね。はっきりそのときには、現場のほうでは漁民に聞かれて、あそこは横須賀港の正面玄関に行ったのでこれは基地だ、これはたいへんだということでやはりこっちへ持ってきたんだということを言っている。あなたそれを隠しているんです。そうじゃないですか。
  82. 寺井久美

    寺井政府委員 横須賀の基地とは関係ございませんで、むしろ私どもが心配いたしましたのは市街地に被害が及ぶということでございまして、先生指摘のような発言をしたかどうかについては、私ども確認いたしておりませんけれども、判断といたしましてそういう基地のために富津へ持っていったということではございませんで、むしろ市街地に被害が及ぶ場合を懸念したほうが大きかったことは事実でございます。
  83. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ますます重大ですね。横須賀の市街に火がかかる危険があった、つまり浅瀬、岩礁に乗ってそれが折損して転覆、重油もナフサもLPも一緒になった火が、北東風があのとき吹いておりますから、まっ正面にあの港に吹き込むわけですね。その場合に市街に火が移るということになると、考えなければいけないのは、あそこはやはり軍港なんですよ。海に向かって弾薬庫のとびらが幾つも幾つもあるんです。まともにとびらに火が向くということですね、住宅に火がかかるんだったならば。それからその山も弾薬庫の上の林も燃えただろうといわれております。それから燃料タンクが、軍港ですから地下タンクでありますけれども、これも火攻めにあうということなんです。そういうふうな状態であったということなんです。  それからそういうことからいえば、そこにアメリカの軍艦がいるわけなんです。しかも油送船、タンカー船とかLSTとか、こういうふうなものもたくさんいるんです。そうしてその中に、最近ラロック証言によって、いまではもう公然たる秘密で、実際には核兵器を持った軍艦がたくさんここにいる。だから市街が焼けるほどであるならば、この港湾にいたこれらの汽船や油送船やアメリカの艦船がやっぱり火を受けるということなんですね。そういう状態であったということなんです。だから市街だけが焼けて、こういう米軍の弾薬庫とか燃料庫とかあるいは油送船やアメリカの艦船というものが何の被害も受けないで、それは考慮の外だった、市街だけが燃えることを心配したんだということだけれども、それは両方じゃないんですかどうですか。
  84. 寺井久美

    寺井政府委員 このLPGの流出、この種の事故は世界的にも初めてのことでございまして、どのような影響が起こるかということは、当時的確に判断はできませんでした。しかし、万一積み荷が全部火を吹くというようなことになりますと、相当大きな被害になるだろうという判断は当然ございまして、そういうことの起こらないようにするには、やはりこの岩礁地帯を避けたほうがいいということでございまして、正直申し上げまして米軍の基地がある、あるいは弾薬がある、それにどういう影響があるかということの判断よりも、やはり先ほど申し上げましたように、万一市街地に火が及ぶようなことになってはたいへんだということでございました。
  85. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、外務省の方々にお聞きしたいんですが、第一にお聞きしたいのは、十一月九日に第十雄洋丸が衝突して横須賀の基地のまっ正面に来たときに、アメリカのどういう軍艦がここにいたかということについて知らせていただきたいと思います。
  86. 深田宏

    ○深田説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、在来型の米国艦艇が施設区域たる港に出入することにつきましては一々通報を受けておりません関係で、その時点におきまして、具体的にどのような艦艇が入港しておったかということは承知しておりません。
  87. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、最近一年間毎月どういう米軍艦が入っているか、これもわかりませんか。
  88. 深田宏

    ○深田説明員 いまお答え申し上げたとおりでございますが、一般の日本国の開港、施設区域でない港に出入する艦艇につきましては、米軍からの通報に基づきまして詳細を把握いたしております。また、先生御承知のように、原子力により推進される艦船、原潜等につきましては、これまた一つ一つの入港のケースにつきまして通報を受けておりますので、詳細を承知しております。しかし、先ほどお答え申し上げましたように、在来型の艦艇が施設区域である横須賀港に出入することにつきましては、一々通報を受けません関係で、詳細を承知する立場にございません。    〔紺野委員、書類を示す〕
  89. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あなた方のことだから、きっとそんなことが出てくるかと思って、心配してわれわれの努力で、国民の努力で調べたのはそういうことなんですがね。これは去年の九月九日から十月二十四日までの四十六日間の横須賀平和委員会及び米空母の母港化に反対する横須賀市民の会の調査であります。それによりますとこういうことです。いいですか、聞いてくださいよ。  第七艦隊旗艦オクラホマシティーが十八日間、航空母艦ミッドウェー十三日間、コンステレーション三日間。  それから、これは第十五駆逐艦隊ですが、駆逐艦パースンズが二十七日間、ウォールデン四日間、ガーク二十一日間、ローワン三十六日間、アンダースン二十四日間、バウセル四日間、バッグレイ七日間。  それから潜水艦は、ディーゼル潜水艦が十七日間、原潜はガードフィッシュ二十六日間、フラッシャー八日間、ハドック十二日間。  そのほか弾薬運搬船AE32フリントが四日間、資材貯蔵艦AF59が十二日間、タンカー艦が一隻四十六日まるまる入っております。油がそこにあるということです。係留船も四十五日間係留されている。  軍用貨物艦がプロボー、フェニックス、シャイヤン、マスキンガムというのが十四日間、他に名称不明二隻とも十四日間、ショート・スプライス二十五日間、ヘルカイマー三十八日間、こういうふうに軍用貨物船がいる。  LST五隻は同じように十八日間、四十六日間、十二日間、十三日間、四十日間というふうに、たくさんの艦船がいると同時に、この中にはラロック証言によって核兵器を持っているといわれている旗艦オクラホマシティー、それからミッドウェー、パースンズ、ウォールデン、ガータ、ローワン、バッグレイ、アンダースン等の軍艦がいるし、またたくさんの爆弾や燃料を持っているものが入っているのです。  ですから、あの瞬間に、爆発炎上しつつあるあの四万トンタンカーが北東風を受けてどんどんどんどん進入するという状態にさらされたのです。あのまま入っていってごらんなさい。市街が焼けるのだったら、これらの軍事施設や軍艦が燃えると同時に、核爆発を起こしたのではないかと思うのですね。そういう事態にあったのだということだ。これは東京湾ですよ。われわれの首都の東京湾のあの小さな湾の中にこんな危険なものが入っておるという事実に対して、日本人として戦慄を覚えませんか。ちょっとお話を外務省と海上保安庁から聞きたい。
  90. 深田宏

    ○深田説明員 ただいま先生指摘になりました中で、核兵器を搭載した艦船が横須賀等に入っているのではないかという点がございましたが、この点につきましては、御承知のように、核の持ち込みは事前協議の対象でございまして、アメリカ側から事前協議の提起はございません関係で、私どもといたしましてはそのような核兵器が横須賀に入ったアメリカの艦船に搭載されておるというふうには考えておりません。その点を除きまして、アメリカの若干の艦艇が横須賀港に入港しておるということは、これは事実でございますけれども、私どもが承知しております限り、このような米軍艦艇が巻き込まれた事故というものはないと思います。アメリカ側におきましても周到な注意を払って、そのような事故がないように最善の努力をいたしておると信頼しているわけでございます。
  91. 寺井久美

    寺井政府委員 私は、いまの仮定と申しますか、原子力の核爆発の点については全くしろうとでございまして、かりにあったとして爆発をするのかどうか全然判断いたしかねますが、少なくとも動ける艦艇というものは、こうした場合に避難をし得るであろうと思います。先生指摘のように、弾薬があり、あるいは燃料がある、そういうものがどうなったかということにつきましては、もしここで大爆発を起こせば、それを誘爆するという可能性もあったかと思います。そういう意味では確かに非常に危険な施設であるということが言えるかもしれません。しかし、直接的にそういう事態になったかどうかということは、いまの時点になってみますといろいろ考えられますが、当時、幸いにしてこれを引き戻すことができたということで、私どもはあの災害を防げたというふうに考えております。
  92. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、私は結論的に言えば、こういう東京湾にすでに大タンカーその他の規制をしなければならないという状態になってきている点から見ても、東京湾からこういうアメリカの横須賀基地というものを撤去するということが日本国民の安全のために必要である。それからここにアメリカの核兵器をこっそり秘密に、たてまえはないと称して、実際は持ってきておる、こういうふうな犯罪的なやり方、うそをついてやってくるのですからね。こういう船は撤去すべきであって、入れるべきでないということを国民の名において要求したいと思います。  私はあと時間がありませんから何ですけれども、横須賀港を置くと、あの中ノ瀬航路を浦賀水道航路のちょうど接続点でアメリカの軍艦が横須賀に入る、出るときにはそこをまた横断する、ちょうど東京湾から出ていく一方交通のところを常に横断するのですね、あそこはたいへんな難所です。ラロック証言でも、マルタ島でちょうど核兵器を持っていた軍艦の横っ腹に直撃で直角衝突をしてひやひやしたということをいわれております。しょっちゅうそういうことが起きておるということです。そういう点から見ても、横須賀基地というものは撤去するということをやるべきであるというふうにわれわれは要求します。  時間が残念ながらここでなくなりましたけれども、特にわれわれとしてはこういうことを要求しておきたい。アメリカの艦船が港に入ってくるのをつかめないと言うでしょう。それなら、東京湾の入り口のところで一月ぐらい監視船がいて、ああ、あれがアメリカの軍艦だということを、東京湾に入るのを数えておいて、そうしてそれを、一体一月に何ぼ入ってきているのか、また出ていくのかということを調べるぐらい調べて、そうして報告してもらいたいと思うのですが、これはどうかということと、最後に、時間がありませんから、こういうふくそうする東京湾の船に対する総合的なレーダー管制所というか、空港においていわゆるレーダーによってコントロールしておりますね、観音崎あたりに総合レーダー施設を置いて、そうして船が絶えず監視されて整理されるというふうなものをつくって、これらをチェック、いろいろのことを整理することができないかどうかということと、もう一点だけ、第二京葉シーバース、千葉のところに大きなタンカーのシーバースをつくる計画がありますが、これを禁止するということをしてもらえないかどうか、この三点についてだけ答弁をお願いします。
  93. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、東京湾に入ってくる米軍の入出港状況をチェックしてはどうかという御意見でございますが、私どもの立場からいたしますと、航行の安全という観点から船の動きを、これは軍艦も含めまして船の動きを把握しておるわけでございます。海上交通安全法に基づきまして、二百メートル以上の船舶につきましては事前に通告を受けることになっておりますので、米艦艇からもこの種の通報は励行されております。その限りにおいては把握いたしておりますが、通常のそれ以下の小型のものについては把握いたしておりません。  それから第二の、レーダーをつけて航空管制のごとく湾内の艦船、船艇の動きを把握しておくという点でございますが、私ども直ちに、航空管制のごときものが船舶について適用できるかどうかにつきましては、まだいろいろ問題がございまして、そこまで踏み切れない状態でございますが、とりあえずは観音崎にレーダーをつけまして船舶の動きをキャッチするという計画を立てておりまして、これは遠からず予算措置ができましたら実現に入ると思います。その後、いわゆる船舶の管制をどういう形で行なうかという点につきましては、さらにシステムその他を検討した上で進めていきたいというふうに現在考えております。
  94. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 京葉シーバースは現在年間二百隻近くのタンカーが着船しております。そのためにむしろ沖待ちができたりしておりまして、いわゆる過密な使用方法でございまして、その面からの危険性も考えられるのではないかと思います。現在の京葉シーバースを増設するというのは、現在の使用の実態に対して沖待ちを解消するというような目的で計画されているものでございまして、将来原油をどんどん入れてくるというためにつくっているわけではございません。そういう意味も含めまして現在のシーバースを改造、増強するということを禁止する必要はないと考えております。
  95. 佐藤文生

    佐藤(文)委員長代理 本日は、これにて散会をいたします。    午後零時二十五分散会